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1952-04-04 第13回国会 衆議院 電気通信委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年四月四日(金曜日)     午後一時三十分開議  出席委員    委員長 田中 重彌君   理事 高塩 三郎君 理事 橋本登美三郎君    理事 長谷川四郎君 理事 松井 政吉君       石原  登君    井手 光治君       加藤隆太郎君    中村  清君       福永 一臣君    椎熊 三郎君       石川金次郎君    田島 ひで君  出席国務大臣         電気通信大臣  佐藤 榮作君  出席政府委員         電気通信監   山下知二郎君         電気通信事務官         (業務局長)  田辺  正君  委員外出席者         専  門  員 吉田 弘苗君         専  門  員 中村 寅市君     ――――――――――――― 三月二十七日  委員猪俣浩三辞任につき、その補欠として武  藤運十郎君が議長指名委員に選任された。 同月二十九日  委員庄司一郎辞任につき、その補欠として夏  堀源三郎君が議長指名委員に選任された。 同月三十一日  委員辻寛一君及び夏堀源三郎辞任につき、そ  の補欠として今村長太郎君及び庄司一郎君が議  長の指名委員に選任された。     ――――――――――――― 四月三日  日本国アメリカ合衆国との間の安全保障条約  第三条に基く行政協定実施に伴う電信電話料  金法等特例に関する法律案内閣提出第一五  一号) 三月二十六日  鳩谷郵便局、尾神間の電信電話線存置請願(  岡村利右衞門紹介)(第一七〇一号) 同月二十八日  西宮電話局電話交換方式改善に関する請願(  吉田吉太郎紹介)(第一七九七号) 四月二日  北海道におけるテレビジヨン放送に関する請願  (伊藤郷一君紹介)(第一八八五号)  鹿兒島県電気通信施設新設改善に関する請願  (岩川與助紹介)(第一九一七号) の審査を本委員会に付託された。 三月二十六日  公共放送によるテレビジヨン実施に関する陳  情書外二十一件  (第一〇三七  号)  同外三件  (第一〇三八号)  教育的テレビジヨン実施に関する陳情書  (第  一〇三九号)  テレビジヨン放送の佐賀県誘致に関する陳情書  (第一〇四〇号) 同月二十九日  テレビジヨン放送実施促進に関する陳情書  (第一〇九五号)  公共放送によるテレビジヨン実施に関する陳  情書外一件  (第一〇九六号) 四月二日  教育的テレビジヨン実施に関する陳情書外十  三件  (第一一六六号)  唐津電報電話局交換機自動化実施促進に関する  陳情書(第一一六  七号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  日本国アメリカ合衆国との間の安全保障条約  第三条に基く行政協定実施に伴う電信電話料  金法等特例に関する法律案内閣提出第一五  一号)     ―――――――――――――
  2. 田中重彌

    田中委員長 これより開会いたします。  昨三日本委員会に付託になりました日本国アメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定実施に伴う電信電話料金法等特例に関する法律案議題とし、審議に入ります。まずその趣旨説明を求めます。佐藤電気通信大臣
  3. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ただいま上程されました日本国アメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定実施に伴う電信電話料金法等特例に関する法律案につきまして、提案の理由を御説明いたします。  現在連合軍に対する電気通信サービスは、スキャップイン一二九九号によつて提供されておりますが、講和条約発効後におきましては行政協定第七条により提供されることとなり、それに対する料金は、当然電信電話料金法の定めるところによることになるわけであります。しかしながら連合軍に提供している電気通信サービスのうちには、国内一般的に認められないもの、及び国内サービスに類似しているが取扱い条件等が異なるものが多く、従つてその料金国内料金とは別個に定めなければ徴収できないこととなり、また国内サービスと同種のものであつても、料金徴収事務関係等から国内料金と別個の料金体系とする必要がありますので、電信電話料金法適用を全面的に排除し、行政協定に基くとりきめによつてこれらの料金を定めることといたしたのであります。  次に、昨年七月以降電話設備費負担臨時措置法によりまして、加入電話増設電話機などの新設に際しましては、その設備資金に充てるため臨時措置として加入申込者設備費を負担させておりますが、特に国の機関に対しましては、この設備費を負担させないこととしておりますので、駐留軍に対しましても、行政協定第七条の国の機関に対する条件よりも不利でない条件サービスを提供する趣旨に基きまして、国の機関と同様に電話設備費負担臨時措置法特例を設けることといたしました。  次に、連合軍に対する市外専用電話料金は、現在一般専用料金適用しており、駐留軍に対しましても、同様の取扱いをしたいと考えておりますが、行政協定に関する打合せに際しまして米国側は、駐留軍に対する市外専用電話料金については、国家地方警察並取扱いは、警察電話逓信省への統合に関する特殊事情を納得し、あえて要求しないが、警察予備隊並取扱い要求する旨述べております。現在警察予備隊は、警察事務を行うものとして、国警自治警等と同等の取扱いを受けておりますが、これは料金法中に警察事務として表現したことに基いた便宜処理でありますから、この際、米国側要求の次第もありますので、警察電話関係移管当時の事情もあわせ考えまして、料金法中、官庁等専用の料率の適用範囲施設移管を受けた国警自治警及び消防関係に限ることとし、警察予備隊その他は一般専用料金によることといたしました。  次に、連合軍以外の外国人がなす市外通話に対しましては、スキャツプインによりF・L通話、すなわち外国語通話として特別の料金を課し、かつ最優先で取扱つておりますが、講和条約発効後におきましては、最優先取扱いは廃止することとし、英語による取扱いは便宜上存続することといたしまして、その料金につきましては、必要な経費を一般市外通話料に加算して徴収することといたしたのであります。  以上が本法案の大体の内容でありますが、何とぞ慎重御審議の上、御賛成あらんことをお願い申し上げます。
  4. 田中重彌

    田中委員長 質疑を許します。橋本登美三郎君。
  5. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 時間もありませんので、根本の二、三について大臣の御所見を伺います。  当然のことでありまするが、今回の法案の基礎となるものは、日本独立後における行政協定措置に伴うところの変更でありまして、従来占領軍がおりましたときとは、形式的には完全に異なるわけであります。従つてその区別の上に立つて、今回の法案について二、三お尋ねいたします。今後駐留軍に対しても、日本国内法令が原則として適用されるものである、こういうぐあいに考えるのでありますが、大臣の御所見をお伺いいたします。
  6. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 お説の通り考えております。
  7. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 従つて国内法令が原則的に駐留軍に対しても適用されるものであるといたしますれば、当然に電信法適用されると考えてよろしいかどうか。
  8. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 その通りであります。
  9. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 電信法駐留軍に対して適用されるということになれば、電信法の第一条の電通大臣管掌権、あるいは第四条及び第五条の電気通信大臣停止権、こういうものが当然に適用されると考えるべきか、それとも行政協定並びにそれのとりきめによるところの問題については、これらは及ばないと解釈してよろしいか、この点をお伺いします。
  10. 山下知二郎

    山下(知)政府委員 ただいま適用範囲は、電信法第二条の事業としてはこれを認める、しかしそれに対する必要な規定はつきりさせなければならない、その規定は今後行政協定内容によりまして考慮しなければならぬと考えております。停止権のことは、これはきわめて不法なことがありますれば別でありますが、米軍の方といたしましては、そういう迷惑をかけるようなことは絶対にないということを言明いたしておりますので、現段階ではその必要はないのではなかろうかと考えております。
  11. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 少し今日は連絡なしにめんどうな問題をお尋ねして恐縮ですが、次会質疑関係もありますので問題を提起するわけですが、そうすると駐留地における駐留軍電気通信設備は、国内法適用せられるのではなくて、行政協定またはそのとりきめによつて駐留軍地区内においては自由に施設ができると解釈してよろしいですか。
  12. 山下知二郎

    山下(知)政府委員 行政協定によりますと、施設区域内におきますところの施設の設定、運営、防衛、管理に対しては権利、権力、権能を持つというふうに明記されておるのであります。従いまして軍専用のものといたしまして施設しなければならないというような場合におきましては、その区域内ならば施設することができると考えておりますが、大体において軍専用と申しましても、これが電気通信に関する限り、電通省がめんどうを見てやらないとできない部面が相当にあります。現在の航空基地なんかにおきますところの専用電話というようなものは、大部分われわれの方の手を借りておるわけであります。従いまして軍が軍機上どうしても日本人に見せられないというものがありますならば、それはわれわれの知らないうちに何かを進めることがあるかもしれませんが、大体において通信に関する限り、私どもその内容は知ることができるものと考えております。
  13. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 あなたは交渉中の問題を言つているのですが、私のは法律上の問題を言つているのです。駐留地区内に駐留軍所管大臣の承認を経ずしてやれる根拠、これは行政協定のとりきめで、やれると思うのですが、そういう場合においてはその電信設備なるものは、一つ駐留軍軍機とみなす、従つて所管大臣了承を必要としないのかどうか。単なる通信機関として置くならば、国内法を尊重する建前から言えば、所管大臣電通大臣了承を得なければ施設ができないということになります。従つて駐留軍がそういう施設をする場合は、それは軍機一つである。たとえば大砲をすえつけるとかいうような考えと同じような考えのもとに、大臣所管を離れて単独になし得る。それは技術的の援助を受ける受けないは別として、そういうふうに解釈してよろしゆうございますか。
  14. 山下知二郎

    山下(知)政府委員 先ほどの答弁も、ただいまの御趣旨のようなつもりで申し上げたわけであります。
  15. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 そこで駐留地域内におけるそうした通信施設は、軍機の一種であるから当然オーソリティーの立場から行えると思うのですが、駐留地駐留地外との場合、そこに駐留軍専用電話なりあるいは専用電信なりをつくる場合に、あるいはこれは電波関係しましようが、駐留地からして遠方の地区、たとえば朝鮮なり本国なり、こういうところに通信をするような設備をする場合に、これらも国内法適用を受けるか受けないか、この問題をお尋ねいたします。
  16. 山下知二郎

    山下(知)政府委員 失礼でありますが、今のは施設区域外お話でありましようか。
  17. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 たとえばA基地B基地とをつなぐような専用電話をつくる場合、あるいは電信でも同じですが……。
  18. 山下知二郎

    山下(知)政府委員 それは無線に関します場合においては、電波監理委員会の方にお尋ね願いたいと思います。電信の場合においてはさようなことは必ずわれわれの方の専用線を通らなければならない、向うの方では線を持たないわけでありますから、必ずわれわれの方の規定ひつかかつて来るものと考えております。
  19. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 相当の距離をおいた場合には、実際上は日本政府了承を得なければできないと思うのですが、たとえば非常に近い場合、あるA基地からわずかに一里とか一里半離れた基地外に、波止場とか何か連絡上そこに一種の線を引かなければならぬ場合には、たとい一キロでも駐留地を出る場合においては、日本国内法から見て政府了承を得なければならぬと解釈してよろしいかどうか伺いたい。
  20. 山下知二郎

    山下(知)政府委員 さように考えております。
  21. 椎熊三郎

    椎熊委員 関連して伺いますが、軍が作戰用兵上に使つている有線電話ですが、基地だけではなくて、基地外にも作戰行動が行われる場合が幾らもある。そういう場合には国内法適用しないと思うのですが、適用するのですか。
  22. 山下知二郎

    山下(知)政府委員 私ども公衆通信系を使います場合は、適用できるような見地から、ただいま交渉しつつあるのであります。ただいまは結論を申し上げたのではございませんで、そういう考えを持つて交渉しつつあるということを申し上げた、かようにお考え願いたいのであります。従いまして今基地基地外との通信が必要だという場合には、どうしましても公衆通信系にたよらざるを得ない、かように考えております。ですから、これは無線でありますならば、私ども所管外でありますけれども有線でつなぎます限り、われわれの線がそこに入つている。私ども基地内の軍機に関しますことについては手を触れ得ないと思つておりますが、基地内におきましても公衆通信系関係のありますものは、われわれの方の法規は適用されるものと考えているわけであります。
  23. 椎熊三郎

    椎熊委員 私の言うのは、日本陸軍なんかが持つていたでしよう、そこらの木の枝へひつかけて持つて行くようなものは、一般には何の関係もないですね。そういうものは基地外へぐんぐんひつぱつてつても、国内法適用しないのですか。
  24. 山下知二郎

    山下(知)政府委員 軍の作戰とか、演習のために使うものは、これは別問題だと思います。
  25. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 今関連して椎熊委員からも質問がありましたが、演習などで線をばらばらとひつぱつて行くような問題は、行政協定の中にある程度の幅をもつてきめられるだろうと思うのですが、そうではなくて、ややもすれば基地外に、それも近距離の場合において、特に軍が必要であるという理由で、専用電信なり、専用電話を延長せしめるようなきらいがありはしないか、そういう場合にあくまで国内法適用という建前からしてそういう必要がある場合は、これをきめるのはよいのですが、そういう場合には駐留軍はかつてにできるかどうか、日本政府了承を得て行うべきじやないか、この点はどうですか。
  26. 山下知二郎

    山下(知)政府委員 やはり日本政府了承を得なければならぬと解釈しております。
  27. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 最後に、時間もありませんから簡単に質問をしておきますが、この法文の中の第一条に「行政協定の定めるところによる。」ということでもつて料金問題をきめておるのですが、その行政協定の中には、実は料金の問題は書いてはないのであります。従つて行政協定という意味は広くその意味を言つたのであつて、厳格に言えば行政協定並びにそのとりきめによるという意味だろうと思うのですが、その点この条文意味の御明確な解釈を願いたいと思います。
  28. 山下知二郎

    山下(知)政府委員 行政協定の第七条によりまして、電気通信事業サービスをいたすように相なつております。これは条文にもありますように、現政府機関よりも不利でない条件サービスをする、かように相なつております。サービスをいたしますが、そのサービス内容に多種多様あることを想定いたしておるわけでございます。現状から見まして、多種多様のサービスの必要があろうかと思うのであります。国内法規定のありますものはこれはもちろん国内法に準拠していたしますが、国内法規定されていないサービスをする場合におきまして、そのサービス種類及びそのサービス種類に関連しますところの料金を、行政協定の細目のとりきめによつてきめたい、かような趣意のものでございます。
  29. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 電通監説明はわかるのですが、ただ条文の表わし方として「行政協定の定めるところによる。」こう書いただけで、そこで料金標準表が出て来るかどうかということが問題です。行政協定の中には料金標準表は出ておらないのであるからして、この行政協定によつて料金等のとりきめは別個に行われるものだろうと思う。従つて直接に「行政協定の定めるところによる。」だけで十分かどうか、あるいは行政協定並びにそのとりきめの定めるところによるというような字句を必要としないかどうか。
  30. 山下知二郎

    山下(知)政府委員 もちろん行政協定のとりきめによる料金であるわけでありますから、それはすなわち私ども行政協定だ、かように考えております。
  31. 田島ひで

    田島(ひ)委員 私はいずれ次会に詳しく御質問したいと思いますが、今関連しまして、これは料金についての法律になつておりますけれども、私どもはかんじんなことは、行政協定による電通事業サービス内容種類をまず知りたいのです。例を引きますと、私どもが自分の家を占領されて今まで使われておつた。その家が明くのか明かないのかわからないのに、その家賃のとりきめをしておる。どこの家をどういうふうに使われるのか、その説明を私はこの前にお伺いしたのですが、目下交渉中だとか、協議中だとかいつて、それに対する御説明がない。やはりその内容種類を御説明いただかなければ、ただ料金だけ——これは料金も問題ですけれども、その内容がわからないで料金だけ問題にするということは重大なことだと思うので、その内容を私はぜひ知りたいと思う。もし今おわかりにならなければ、次会にはこの御説明をいただきたい。交渉中なら交渉中の政府の態度、こつちの政策、方針、それから進行の状況を御説明していただきたいと思います。これはこの前も何回もお願いしておるわけであります。関連いたしましてこれだけ申し上げておきます。
  32. 山下知二郎

    山下(知)政府委員 その内容につきましては、とりきめの交渉議題には一応あげておりますけれども、まだ実体的には入つておらないのでございます。しかし現在軍命令によりまして行つております相当いろいろなサービスがございます。このサービスというものは、中には非常に割のいいサービスもございますが、中には実にやりたくない、われわれから見まして好ましくないサービスも入つております。そういつた事業の上におきましても、また一般公衆の利益の上におきましても支障があるようなものは、できるだけこれを排除して、正常なるサービスができる、そのサービスを取上げて交渉いたしたいと考えております。ただいまのどういうこととどういうことかをあげろという御要求に対しましては、またこれから交渉に上つて参りまして、それでいいとか悪いとか、そういうことならばこのくらいの料金をもらわなければわれわれの方はやれないとか、幾ら料金をもらつてもこういうことはやりたくないとかいうことに相なるわけでございます。
  33. 田島ひで

    田島(ひ)委員 お答えが相かわらずわからないのです。もし今交渉中ならば、こちらとしてサービスしたくないとか、こういうところが悪いとか、今おつしやつたのですから、それを具体的にはつきり、どこがサービスしたくない、占領下でもつて無理にとられておる、こういうところを返してもらいたい、そういう点がおわかりになつているはずなんです。返してもらえるかもらえないかを聞いているのではなく、こつちの今までの状態を、今こちらの電通省としてお考えになつていらつしやる点を、具体的に私はこの前からあげてほしいと言つているのです。それはもう案があるはずだと思いますけれども、それをお示し願いたい。一部分はたしか「文化新報」か何かに出ておつたと思いますけれども、そういう点をもつと具体的に、抽象的な一般的なことではなくて御説明願いたい。
  34. 山下知二郎

    山下(知)政府委員 もちろん私ども案は持つておりますけれども、これはこれから交渉するわけでございますから……。
  35. 田島ひで

    田島(ひ)委員 交渉内容です。
  36. 山下知二郎

    山下(知)政府委員 これは今ずつと羅列して申し上げるわけには行きませんが、たとえて申しますれば、今まで人を提供してくれというような要求が命令的に一本で参りますと、何としても提供しなければならなかつた。そういうことは今後は、われわれの事情がそれに相対応することのできる範囲においては協力いたしますが、それを命令的に強制するというようなことはお断りする、こういつたような考えでおるわけでございます。その他のサービスにおきましてもそういうつもりでございますが、ただいまのお話のことから私は想像いたしてみますと、たとえばこういう専用線がある、あるいはこういう電話が使われているんだがそれをどう返すのか、日本側に返してくれと言うのか、こういうようなお話の一端もあるやに考えられるのでありますが、これはもちろんやるつもりでおります。これはまた軍の方の必要性もございますから、日本事情向う事情との折合うところに線が引かれるかと思うのでありまして、ここでどの線を返してもらうとかいうようなことは申し上げかねるのでございます。実例といたしましては、たとえば二六の丸の内局電話、これは軍が相当使つているのであります。移転が近いように聞いておりますが、そうすればそういういうものは最大限度に返してもらう。あるいは横浜あたり相当電話番号を保留されているのがございますが、そういうものは返してもらう、こういつたような交渉は今までもやつておりますが、これからさらにやる考えでおります。
  37. 石原登

    石原(登)委員 占領下の現在と、それから講和が発効しまして独立後のいわゆる駐留軍が使う電信電話利用方式について、何か変更されるようなことが予想されますかどうか。たとえば度数とか、利用範囲とか、あるいは施設要求とか、そういうものについて従来より以上に過重になるか、あるいは楽になるか、こういう点をお尋ねしたい。
  38. 山下知二郎

    山下(知)政府委員 従来よりもぜひ楽にいたしたいと考えております。しかし今の度数がどういうことになるかというようなことは、これは私ここで想像しかねるのでございます。たとえば本部は市ヶ谷に行く。今回の内にあるが、その度数丸の内の場合と市ヶ谷の場合とどう変るかといつたようなことは見当がつきませんけれども、しかし今までいろいろないわゆる被占領国として要求されている点がございました。そういうものは及ぶだけ排除する考えでおります。提供しますサービス日本並サービスということを基準に考えてを行きたい、かように考えております。
  39. 石原登

    石原(登)委員 そうしますと現在提供している一切のサービス、これより以上にはおそらくならないだろう、こういうようなお考えですか。
  40. 山下知二郎

    山下(知)政府委員 これは向うの計画がまだ私どもにははつきりわからないのであります。たとえば第—相互ビルディングのものは市ヶ谷に行くのだ。あるいは陸軍は座間に行くのだといつたような範囲しか聞いておりませんので、どういうことをお前らの方は計画するのかということが、われわれ方にまだ質問になつているわけです。その質問に答えが出て参りますと、そのスケールが大体において見当がつくと思います。
  41. 石原登

    石原(登)委員 今はまだ日本は占領されているのですよ。占領されているのだから、命令その他によつて、また占領目的のために、いろいろ大きな電信電話サービスをしておるのだと思うのです。今度いやしくも独立国になるわけですが、それでも日本の国防のために、ある程度のしなければならぬいろいろなことが軍にはある。それと現在、いわゆる占領軍から駐留軍への動きというものは——これは一般的ですが、現在の日本電信電話設備を現在よりも強く利用しようとしているというふうにお考えであるのか。おそらく今日よりも軽くなるというふうにお考えであるのか、その点を聞いておるわけです。
  42. 山下知二郎

    山下(知)政府委員 おそらく軽くなるだろうと考えております。
  43. 椎熊三郎

    椎熊委員 関連して伺いますが、こういうことじやないのでしようか。講和条約が発効すれば、今まで進駐軍が使つてつたような、占領しておつたような設備が、ひとまず日本に帰属するのだ。たとえば丸の内電話局などは、厖大な施設を占領されております。そしてそのために日本国民は非常に迷惑しておるのだが、今までは占領されておるのだからしかたがない。今度講和条約によつて全部日本にこれらが一応帰属するが、駐留軍日本の防衛のために来てくれるから、それが使うためにはサービスしよう。そして使つてもらつてもしかたがないのだけれども、それはあなたが今おつしやるように、今までよりも重い範囲であつては困るので、なるべく軽くしてもらいたい。そのお気持はよくわかるけれども行政協定の第七条という屈辱的条約は、あなたの考えとはまるで違つた結果にならざるを得ない協約である。私ども行政協定に対して非常な異論を持つておる重大な箇所は第七条にある。これを読んでごらんなさい。こんな屈辱的な条約はないですよ。「公益事業及び公共の役務を利用する権利並びにその利用における優先権を享有する権利を有する。」とある。すべて向うが公共の施設などを利用するときは優先権です。あなたの考え方はいかにあろうとも、日本の国情にかかわりなく向う、彼らの便宜のためには優先的にすべてを使用することができる。それですから、あなたは現在よりもあるいは軽くなるかもしれぬと言うが、それは希望するところ、国民全体がそう念願するところだが、この七条が炳とし生きている間は、そんなことは国民の希望であつて向うはかつて優先権を認める。平等の条約でも何でもないということが一番露骨に出ているのが第七条です。われわれが衆議院の予算委員会等で争つたときにも、政府が一番答えに窮したのはこの点なんです。これによつてすべてやられるのです。これを私どもは屈辱的な行政協定だという、そしてそれが一番露骨に現われている点なんです。それですから、あなたのおつしやるように、今占領されておる丸の内設備でも何でも、それはひとまず日本に返つて来るかもしれぬ。そしてこの行政協定は屈辱的なものではあるけれども、その中においても、さらにこれを日本日本国民のために有利に展開して行くためには、まずよこせ、あとはあとで相談しようということでなければならぬのであるのに、今田島君の言われることなどを聞いていると、どれだけ線を使わせるのか、そういう計画があるだろうかと言う。大体そんな計画などは持つてつてはいかぬのだ。全部日本のものなんだ。あなた方がいる以上は、最小限度に日本国民に迷惑をかけないような協約を、平等の立場で相談して行こうという態度を示すべきだ、そういう決意を私は聞きたいのです。ことに大臣から聞きたい。そこであなたはそう希望しておつても、こういう条約を結んだ以上は、あなたの思うようにはならぬのではないかと私は心配しておるのだが、その点に関して山下さんはどうお考えになりますか。
  44. 山下知二郎

    山下(知)政府委員 ただいま椎熊さんからお話がごさいましたその考えで、実は火花を散らしているわけであります。きようも午前中もやつているわけであります。もちろんこれは区域外の施設であるかどうかということは問題の対象になるわけでございますが、それはない、われわれはこういうふうに考えております。しかし今御指摘のように、この条項ばかりではありませんで、行政協定の全体の協定があります限り、それを踏み越えることはできないわけであります。われわれはその線の中で、日本人としてほんとうに主張すべきものは完全に主張する考えでおります。
  45. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 今の椎熊委員お話ですが、第七条の前段に、「日本国政府の各省各庁に当時適用されている条件よりも不利でない条件で、」という条件が実は入つているわけであります。従いまして今御指摘になりましたところの優先的な使用なり、あるいは役務を利用する権利というものは、この条件でやるということでございますので、日本政府の各省庁が今使つておりますその条件と同様のものだと一応考えざるを得ないのではないか、かように考えておるのであります。ただ問題の専用回線を何回線よこせとか、あるいはどこそこの交換局を自分の方へよこせとか、こういう問題になりますると、ただいま山下君から御説明申し上げましたように、具体的な問題として私どもがこの折衝を続けて参らなければならないのであります。しかして在来のようなサービス提供につきましては、事務当局ももちろんでありますが、私どもとしても非常な不満を持つておるので、その点については十分の交渉をいたします。そうして各省で最も問題になりますのは、警察であるとか警察予備隊などですが、こういうところへ提供をしておりまするこの条件のもとで、そうして一般公衆に影響をできるだけ与えないように、しかも駐留軍の活動上に支障を来さないように、そういうような点を妥結の点だと考え交渉しているような次第であります。御了承願います。
  46. 椎熊三郎

    椎熊委員 なかなか簡単でないですよ。大臣は前段を読んだが、私は遠慮してこの前段を読まなかつたのです。しかし前段を読むとなお悪い。あなたは前段を読んでいいと思つているような説明だが、それは違うのです。日本の各官庁に適用されている条件よりも不利益でない条件というのは、どつちが不利益でないかというと、アメリカ側が不利益でないということなんだ。一番最低の、最悪の場合でも、日本の各官庁と同様なのである。ですからそれよりもいいという場合があり得るということを予想されている。しかしあまり気の毒だから私はこれは言わなかつたのです。そういう条件なんです。日本の各官庁に適用されているよりもいいのだ。うんと悪くなつて日本の各官庁に適用されているより以下にはならないのです。そういう有利な条件のもとに、さらにつけ加えて優先権を享有するというのです。行政協定はもうやつてしまつたのだし、あなた方が多数で押し切つてしまつたのだから、ここで行政協定をあなたと議論しようとは思わないが、これは今後国民とともに批判して行くべき問題である。あなたは前段があるからその条件範囲だと言うが、それは違うのであつて、前段があるからなお悪いということなんです。それは別として、行政協定はそうあつたにしても、私の言うのは、講和条約の発効と同時にまず日本の自主権を主張せよ。そうして対等の立場に立つて日本の国防の必要上駐留してもらうという最小限度において、日本の公共物を使用させるという、そういう強固なる民族的意識の上に立つてやらなければ、これは非常なことだということなんです。そういう意味ですから誤解ないように願います。あなたの見解はさらに悪くなつておるから私は言うのです。
  47. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 別に椎熊委員と議論するつもりもありませんが、ただ不利でない条件というのを、最小限度の不利でない、こういう解釈で、どれだけ有利であるかわからないのだ、こういう御議論をなすつていらつしやいますが、これはちようど数字の以上、以下というような問題と同じなんでございまして、私どもが扱います場合においては、同等のつもりでこれを処理して参るわけであります。従いましてこの点におきましては、皆様方の積極的な御支援はぜひともお願いしなければならないと、かように考えまするが、非常に広い範囲という意味の、言葉だけの解釈に私は賛成しかねるものであります。これは法文の書き方としてこういう書き方にならざるを得なかつたのだと思います。
  48. 田島ひで

    田島(ひ)委員 椎熊委員の今の御質問の中に、私の名が出て非常に失礼な言い分をしておられます。私はもう行政協定が締結されます前から、大体独立したと政府が言つておられるならば、施設を全部返してもらうのはあたりまえなんだということを、何度も言つておりました。いつか先日の委員会椎熊委員は、すでに行政協定が決定になつて第七条があるのだから、もうそんなことを言うたつて始まらないということを言つておられる……。(「そんなことは言つていませんよ」と呼ぶ者あり)それは速記録をお調べになればはつきりしているのです。椎熊委員自身こそ、非常に誤解しておられますけれども、そういう民族的な立場にお立ちになれば、けつこうなことだと私は思つております。  私がさつき政府にお聞きしたことは、山下政府委員説明では、一生懸命向う交渉中だということを言われます。交渉中ならば、日本として、たとえば市外電話なんかは、ほとんど政府の資料によりましてももう不能状態、破滅状態になつておるということを言つておられますから、日本国内の公衆通話にとつて、そのような状態になつている市外電話など、国民のために、向うに対して、政府として具体的にこれとこれは返してもらわなければ、日本の公衆通話にどうしてもだめだという案を持つておられるのか。われわれとしてはもちろんその条約には反対しておりまるから、われわれは全部日本にこれを返してもらうことは当然だと思つておりますけれども政府はこれの中で言つておられます以上、具体的にどれとどれを出しておられるのか。その具体的な資料を私は示してほしい。それを聞かないことにはこの電話料金は、いくら何だかんだと言うたところで、それはあとのことである。それを私は具体的に説明してくれ、案がおありになるはずなんです。それは説明できないということを言つておられますから、それだけでも御説明なつたらいいだろうということを言つておるわけなんです。それを説明願いたい。
  49. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 一日も早く交渉の実体を明らかにしろ、また交渉する際の、具体的にはどんなことをするのかというお話ですが、ただいまのところまだ具体的な折衝は、先ほど来申し上げますように始まつておらないのであります。この点は山下君が直接の専門委員になつておりますので、この専門委員が申し上げる通り、まだその点はないのであります。ただ今日この段階でいろいろ御議論があろうと思います点は、われわれがいかなる気持で向うと具体的な折衝をするのかというその考え方の問題は、これは大いに御批判をいただかなければならない問題だと思う。この点につきましては先ほど来申し上げておりますので、御了承が願えて御理解がいただけたと思うのであります。私ども行政協定第七条の規定趣旨に基いて、折衝をいたしているわけであります。具体的に甲地、乙地というものがきまつて参り、そうしてそれらの活動がはつきりいたして参りますれば、その際にどの施設をいかにするとか、何をどうするとか、こういうような具体的な問題になるわけです。そのもとの話すらまだはつきりしておらないのですから、ただいま言われますことはやや無理な御注文ではないかと私は思います。もちろん私ども話があり、具体的に折衝しておりますものなら、国会の委員会で申し上げることは当然であります。申し上げるのが筋でありますが、ただいまないものは、そこまで進めての話は、これはお尋ねがありましても申し上げる段階でない。もつと話が進みまして、協定の内容等について、そして駐留基地等の話が具体的に進んで参り、あるいは現在の基地自身が動かないとか、こういうような話になつて来るなら、その際にいかようにするかという問題が具体化するわけであります。
  50. 田島ひで

    田島(ひ)委員 私はもう一点だけお伺いいたしますが、政府は相かわらず案がないということを言つておられますけれども、それなら大体政府の言い分では、独立するんだという立場に立つて施設を全部こちらに返してくれという立場に立つて交渉なさつておられるのかどうか。政府の今までの御答弁では、第七条によつて今まで占領軍使つているものは、今後それが変更される点だけについて——今まで使つているのが、そうすると新しい転居先の方にそれを使う、そういう点だけの交渉のような御返答が今までにありました。決して政府はこの施設を全部日本に返せという立場に立つて、御返答になつておられません。すでにこの行政協定が決定になつているのである。だから第七条の点に従つてと、こういう制限された中でやつておられます。従つて少くともその立場に立つて政府は自主的にこちらに案があつてこそ交渉ができる。何もなしで七条に従つて交渉されるというはずはないと思う。私はそれを示してくれと言つているのです。それとも何もなしで漠然と向う様の言うなりに、向うがお出しになつた、今まで使つておるそれによつて交渉なさつておるのか、それとも新しく向うが出した案で交渉なさつておられるのか、それともこつちへ全部返せという断固たる決意を持つて交渉なさつておるのか、それならなおけつこうです。
  51. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ただいま専用しております施設、これは日本政府のものである、この点については間違いはないのであります。特殊なもので、占領軍自身のものがあるかどうか、その点は私は十分承知してはおりません。大部分のものは日本政府施設そのものであります。従いまして所有権自身についての何らの議論はない、これは御了承願えると思います。ただ問題は、今日本政府電通省の所有に属します設備を、進駐軍はスキャップインによつてこれを専用しておる。その他新聞社であるとか、各官庁であるとか、警察予備隊であるとか、あるいは特殊な商社等々が、契約によりまして、その施設の一部を専用しているわけであります。従いましてこういう専用の制度があります限り、占領軍に対しましても、専用の制度を設けるこは別にふしぎはない。ただ御議論になつているのは、専用の範囲を拡大することによつて国内の公衆通信に非常な支障を来すのではないか、そういうことがあつては、本来の電通省の使命から見てまずいのではないか、こういう御注意だろうと思うのですが、その点については先ほど来山下通信監からも申しておりますように、十分公衆の通話等につきまして、よりよいサービスができるように、できるだけの努力をいたして参るつもりでいるわけであります。ただいま占領軍は、重ねて申し上げますが、スキャツプインによりまして電通省施設使つている。今後この占領軍駐留軍となりましたあかつきにおきましては、電通省との間の申合せによりまして、その専用を続けて参るものもあるでありましようし、また新たに場所によりましては専用をつくるものもあるだろうし、また不要になりましたものは返して来るものもありましよう。また先ほど山下君が申しますように、在来のサービス自身は、国内においては提供しておらないようなサービス形式をとつている。これははつきり申せば、ある交換局の一部を占領軍が専用しておる、こういうものもありますから、そういうようなサービスにつきましては、これは国内サービスと同様な形にぜひとも切りかえたい、こうういう点が私どもの折衝の問題なのであります。第七条の規定がいろいろ議論になりますが、この条文はひとり料金だけの問題だ、かように私ども考えておらないのであります。問題は具体的な折衝が始まりました際、先ほど申しますように、ある程度の専用は当然許してやらなければならない、占領軍駐留軍にかわりまして、安全保障協定に基いて駐留するわけでございますが、それらの活動上当然必要なものについては、私どもサービスを提供するのは当然だと思います。従いまして、これを全部一応返して、出直せと言われることは、法律的には一応の議論が成り立つかもわかりませんが、現在までの占領軍駐留軍にかわる、そうしてその基地自身がその場所である、こういうような場合でありますれば、その専用線自身にはさしたる変更はまずないと見ることもできるのじやないか。ただ占領軍であるがゆえに、その命令によりましてわれわれが提供しております特殊なサービスについては、これを更改するだけの考え方をもつて折衝して参る、かようなことになるのであります。
  52. 田島ひで

    田島(ひ)委員 大臣は最近おかわりになつたから、前のわれわれの質問に対する政府の御答弁を御存じないので、そういうお答をしておられるのだと私は思う。占領軍日本におつても、電通事業にはさしたる支障がないかのごとき御返答をせられておるが、今まで政府当局は、日本国内の公衆サービスに対していろいろ不備な点について、これはやはり占領下にあつて占領軍のために優先的に使用されるとか、いろいろな面で、これは占領下だからやむを得ないということをたびたび繰返しお答えしておられた。ただ今の大臣のお言葉で、今度駐留軍になつてもあまりかわらない状態になるというのだつたならば、なおさら問題だと思う。私は今ここに具体的な資料を持つておりませんから、次会に詳しく御質問申し上げたい思いますが、われわれの問題といたしておるのは、占領下だからやむを得ないと言われております政府として、独立したならばそういう占領下にあつて優先的に、無理にわれわれから取上げていたものを、今度はどのように国内サービスに返してもらえるのか、これが問題です。返してもらえる、もらえないは今後の交渉だと言われるなら、これだけのものはぜひ返してもらいたいという案がおありだと思うから、そういうものを出していただきたい。政府がどのような案をもつて交渉されておるか、それをお出しになれないはずはないと思う。これを私は前から何回も何回も繰返し言つておる。国内において公衆サービスがいかに占領軍のために制限されておるかということは、たびたび政府の答弁として出ているわけです。今までの国内サービスの不備な点をお示しになるだけでもよろしい、それをあなたの方で返してくれという勇気がおありになるかならないかは別にしても、これだけのものは日本国内になければならぬのだ、ことに市外通話占領軍のためにほとんど破滅の状態になつておるということを、政府自身も言つておられます。そういう点については、次会に詳しくまた私お聞きしたいと思つております。
  53. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 その電話サービスの問題ですが、この駐留軍がおりますために、国内電話サービスに影響が全然なしとは私も考えません。もちろんその通りだと思います。しかしながら駐留軍の必要なことははつきりしておる。駐留軍がおります限り、またこれを駐留さすということを決意いたします限り、この駐留軍の活動にサービスを提供することは、私どもの当然の責務です。だからこの点は駐留軍サービスを提供するために、国内通信が非常に迷惑しておる、破滅状況だというお話を今しておられますが、その問題については私ども次会において詳しく説明をするだけの用意をいたして参つてもさしつかえありませんが、この点は遺憾ながら田島委員のお考えと私の考え方は相違しておるわけであります。私全然国内の通話に影響なしとは申しませんが、ただいま言われるような非常な極端な状態だとも絶対に考えません。
  54. 松井政吉

    ○松井(政)委員 内容はこの次にしたいと思いますが、この法律を提出しなければならなかつた基本的な考え方だけ、きようお伺いしておきたいと思います。行政協定の第七条については議論をしたくありません。われわれは第七条が必要だとは考えておりませんから……。けれども今出された法律のこの一点だけは聞いておきたい。行政協定の第七条は、当然占領が解ければ、現在占領軍がもろもろの形において専用しております関係というものは、もう日本のものであるというものの考え方からできた、こう解釈していいのかどうか、これが第一点、第二点は、第七条がそういう解釈の上に立つて組まれたとすれば——われわれは行政協定の第七条に、そういうサービス条項を協定する必要はないとも考えておりませんが、これは行政協定内容の議論になりますから省きます。従つて返すとか返さないとかいう議論は成り立たない。これは全部日本のものである。その場合に日本に駐留しておりますいわゆるアメリカ軍隊との間に、どういう形で通信施設利用させ、それからどういう料金でやろううとする、その事柄がこの法律なつたのであるか、この基本点を明らかにしておいていただかないと、私は内容の議論はできないのじやないかと思います。  第二点は、今お伺いしますと、そういう事柄については交渉中であり、折衝中だというお話がありました。そうすれば、行政協定に基くいわゆる料金等の法律が、かりにその交渉中に決定されて、日本の国においてはこの料金において、こういう方法において専用させるということをきめてしまつてさしつかえないものであるか、交渉過程等一切が明らかになつてからきめるべきであるのか、先にきめてこれで行くのだということでいいのか、政府考え方をお伺いしておきたいと思うのであります。
  55. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 御承知のように駐留軍が駐留することになりますれば、当然第七条の規定によりまして、ある程度のサービスを提供しなければならない。その場合のサービス内容範囲につきましては、先ほど来ここでいろいろお尋ねがありましたように、具体的に何回線だとか、あるいはどの交換局だとか、こういう問題があるわけでありますが、その点については、まだ駐留地等もはつきりいたさないので、まだ話が進んでおらないのであります。ただ一番問題になりますのは、先ほど冒頭においてお尋ねがありましたように、駐留軍が使用する電信電話といえども日本政府の持物であるだろう、従つて電信法適用があるのは当然だと思うがどうだというお話があり、その通りでありますということを申したわけでございます。これは日本政府のものであり、同時に現在の法規が適用されるのが当然であります。そこでこの電信電話料金法であるとか、あるいは設備負担金を課するあの法律がそのまま適用になるのが一応の筋だと考えられるのでありますが、その際に日本政府自身は設備負担金は課さないことになつている。それの特例が設けられて免除されておる。従つて日本政府と同様の条件で、不利でないという条件サービスを提供するわけでありますので、設備負担法のうちにも特例を設けて、進駐軍だけは除外しておる。また料金法自身には御承知のように、国内の民間の専用通話料だとか、あるいは官庁の通話専用料金だとか、あるいは通信関係のものであるとか、あるいは警察関係のものというので、この前に御審議をいただきましたように、料金の扱い方がそれぞれ違うわけであります。従つて占領軍に対してはどの専用料金適用するかという問題があるのでありまして、その場合に日本政府の各省がやつておりますように、二百通話分をいただくのが当然だ、こういうわけでありますので、今回電信電話料金法のこの特例を設けるという意味におきまして、二百通話ということにいたす考え方でおるのであります。それでだいままで特に安い専用料金をとつておりますのが、警察関係、消防関係等であります。これは御承知のようにもと警察電話あるいは消防電話というものがあつた。それを旧逓信省時代に移管をいたしたわけであります。従いましてもと設備を持つていてそれを、電通省へ移管をした、そういう因縁があるので、特にそれだけは割引をしておるわけであります。これは五十三通話になつております。従いましてその一番安いものを適用する考え方ではないのでありまして、各省と同様の料金適用して参る、こういう考え方で特にこの法律を出しておるわけであります。あるいはこの法律場合によりますれば二つの法律にいたしまして、それぞれの法規についての修正案が適当かとも思いまするが、行政協定に基く処置でありますので、その二つのものを合せまして一法として御審議をいただいておるような次第であります。
  56. 松井政吉

    ○松井(政)委員 もう一点、大分大臣内容について説明をされたが、私は内容はまた次会にお伺いをいたします。ただ私は法律を提出をして参りました考え方と経過だけを聞いているのです。そこで先ほど来政府の方では、あらゆるものが折衝中だということを施設関係については申しております。ところごわれわれは議院運営において官房長官等に来ていただいて、行政協定によつて立法措置を必要とするものの経緯、折衝、過程等は常にお伺いしております。そのときに現在この法律とともに六つ出ております。あと十二件残つておるという説明を聞いておるのです。そういたしますと、この料金法律を出す場合には、折衝中じやないのです。交渉は済んでいるはずです。従つて行政協定に基く料金等の法律は、わが国においては、われわれはこういう内容によつて法律を提出して、議会の決定を見ようと思うがという折衝ができているはずであります。この施設をこつちに移すということについては折衝中のものもありましよう。そうでなければこの法律審議をすることが筋としておかしくなる。だからして提出までにおける経過として、折衝中であるということがそれでもあるのか。その点を明確にしていただかなければ筋が通らない。われわれは折衝中であつて向う様と話合いができなくてわからない法律審議をするわけには行かない。その点を明らかにしていただきたい。
  57. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 重大なお答えを私がお答えしなかつたので、重ねてお尋ねをいただいて恐縮に存じますが、この料金に関する考え方は、第七条の趣旨から見まして、すでにこの点は政府といたしましては予備的な交渉を進めたわけであります。従いましてこの料金をただいま申し上げるような処置をとること、これは政府といたしまして、この第七条の規定から見まして、やむを得ないことではないか、かように考えておるわけであります。
  58. 松井政吉

    ○松井(政)委員 政府考えておりまするが、われわれは向こうに無折衝で、かりにこの通り法律ができ上つて向う様とはこの通り料金で契約をするのだ、あるいは契約のような形で専用させるのだということになるのか、すでにこの事柄についてはある程度折衝済みなのか。政府考え方ではなくて、政府として考えた場合の相手方に対する折衝経過を聞いておる。
  59. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ただいまお答えいたしましたように、予備的に折衝いたしまして、了承しておるわけであります。
  60. 田中重彌

    田中委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は来る十日午前十時より開会することといたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後二時三十七分散会