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1952-03-04 第13回国会 衆議院 電気通信委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年三月四日(火曜日)     午後三時六分開議  出席委員    委員長 田中 重彌君    理事 關内 正一君 理事 高塩 三郎君   理事 橋本登美三郎君 理事 長谷川四郎君       井手 光治君    岡西 明貞君       加藤隆太郎君    庄司 一郎君       辻  寛一君    畠山 重勇君       石川金次郎君    田島 ひで君  出席政府委員         電波監理委員会         副委員長    岡咲 恕一君         電波監理長官  長谷 愼一君         総理府事務官         (電波監理総局         法規経済部長) 野村 義男君  委員外出席者         参  考  人         (日本放送協会         会長)     古垣 鐵郎君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     岡部 重信君         專  門  員 吉田 弘苗君         專  門  員 中村 寅市君     ————————————— 三月三日  洩打村に電話架設請願山本猛夫紹介)(  第一一二二号)  面潟郵便局電話交換事務開始請願畠山重  勇君紹介)第一一二三号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会の  承認を求めるの件(内閣提出承認第一号)     —————————————
  2. 田中重彌

    田中委員長 これより開会いたします。  放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会承認を求めるの件を議題とし、質疑を続けます。本日参考人として日本放送協会会長垣鐵郎君及び理事岡部重信君が御出席になつておりますので、質疑は便宜上電波監理委員会と並行して行いたいと存じます。高塩三郎君。
  3. 高塩三郎

    高塩委員 日本放送協会の二十七年度の収支予算事業計画及び資金計画につきましては、本委員会において数回にわたり詳細に審議を行いまして、そ、の全貌についてはほぼ承知いたしたのでありまつするが、本日は委員会の求めに応じて古垣会長出席しておられますので、放送協会運営に対する基本的な方針に関いまして、若干お尋ねいたしたいと思います。  まず第一にお尋ねいたしたい点は、事業計画計画概説において、放逸番組に関しては、国際知識普及徹底並びに青少年教育放送報道放送及び健全明朗な娯楽放送充実重点を置くと述べておるのでありますが、この表現は放送事業目的のほとんど全分野を網羅しており、どこに真に重点を置くのかが明瞭でありません。そこで講和条約発効後において、NHK日本再建のためにいかなる点に最も重点を置いて番組の編成を行い、事業運営に当られるのであるか、会長の御所見を承りたいと思います。
  4. 古垣鐵郎

    ○古垣参考人 御質問にお答えいたします前に、一言ごあいさつを申し述べさせていただきたいと思います。日本放送協会昭和二十七年度事業計画及び収支予算等につきましては、連日本委員会において審議していただいておりますことを、厚く御礼申し上げます。この国会の御趣旨なり御意見につきましては、十分にこれを尊重いたしまして、事業運営の上に反映して参る所存であります。  ただいまの御質問は、講和発効後において、日本放送協会日本再建のためにいかなる点に最も重点を置いて、番組編集に当つているかということでございました。公共放送使命達成をはかりますためには、国際知識普及徹底並びに青少年教育放送報道放送及び健全明朗な娯楽放送充実と申しますことは、いわば番組を編成いたします上の基本的な四本の柱ともいうべきものであります。しかしながら本年度におきます日本立場は、まことに独特のものがあると存じます。講和条約発効に伴いまして、主権を回復いたしますわが国は、その自主独立とともに、経済的な困難と、一面国際的な諸問題が再建の上に大きく浮び上つて参つたのであります。放送におきましても、わが国が直面いたいますこれらの諸問題の解明の上に大きな力とならなければならないと存じます。すなわち第一は、青少年のための教養番組拡充でございます。また第二には、国際知識普及及び諸外国との文化交歓、さらにはニユース解説を通じまして、正しい社会あり方についての把握などに資したいと存ずるのでございます。  まずこれからのわが国をになつて立つのは全国青少年でありますが、これらの人々は諸外国青少年に比しまして、敗戦の結果といたしまして、わが国におきましては特に不遇な立場に置かれていると存じます。学校教育の受けられない者や、またさらに高い課程の学問を希望するところの社会人としての青少年はまことに多いのであります。これらの働きつつ学ぶ人々のために、青少年の時間、または若い農民といつた具体的な職業教育講座拡充編成いたしまして、家庭で勉強できる番組といたしております。これはさらに社会人といて文化面に恵まれることの比較的少い婦人とか、農村を対象とした教養番組拡充にも努めているのでございます。  次に国際知識の涵養につきましては、平和国家を標榜いたしますわが国といたしましては、これは今後ますます大切なことと存じますので、外国通信社などと連絡いたし、また海外特派員を派遣し、ニュースを広汎な地域から収集いたしまして、さらにまた解説を加えて参つでおりますが、このほかに海外事情紹介のため、海外通信海外の話題、アメリカだよりといつたような、幾つかの番組も行つているのでございます。また文化交歓につきましては、広く海外諸国学問、芸術などの紹介に努めますことはもとよりでございますが、さらに外国の著名な芸能人を招聘あるいはまた交歓放送などによりまして、海外のすぐれた芸能文化紹介することに努めますと同時に、わが国の持つております文化一般をも諸外国紹介することに努めたいと考えているのでございます。さらに国内の諸問題にいたしましても、ニユースの面は迅速確実なニュースを平明な解読によりまして、正しい社会現状を伝えることに着々と準備を進めておらます。さらにまた以上の実施にあたりましても、常に輿論の動向を調査いたしまして、かつまた部外の知識と協力を得まして、片寄らない公共放送でありますように万全を期して参りたいと存じております。
  5. 高塩三郎

    高塩委員 次に民間放送との関係につきましてお伺いするのでありますが、民間放送はすでに十数社の予備免許が與えられ、うち数局がすでにNHKと相並んで放送事業運営しているのでありまして、昨冬以来、わが国放送事業の情勢は、まつたく従前と趣を異にしておるのであります。公共放送民間放送とのそれぞれのあり方につきましては、電波法放送法制定に際しましても、種々論議せられたところでありますが、NHK民間放送に対する公共放送あり方というものに対して、この点いかなる見解を有せられるのであるか。また民間放送に対してはどういう方針をもつて臨まれているのでありますか。この点につきまして会長所見を承りたいと思います。
  6. 古垣鐵郎

    ○古垣参考人 お答え申し上げます。ただいまの御質問民間放送との関連についてのNHK考え方と承りましたが、民間放送が発足いたしまして、日本放送事業に新しい紀元を画しましたことは、長年放送事業に携わつて参りました日本放送協会といたしましては、これは放送文化発展という立場から喜びにたえないところでございます。またよい意味におきましての放送という点から申しましても、放送番組が、公共放送民間放送との両立によりまして進歩改善されますということは、九百五十万の聴取者の方にとりましてもたいへんよいと考えております。民間放送は御承知のように、自由に放送事業を営む企業体であります。これに対しまして日本放送協会は、放送法制定趣旨並びにその規定によりまして、公共福祉のために、あまねく全国において受信できるように放送施設を整備いたしまして、全国民要望を満たすような放送番組放送する任務を持つところの公共放送企業体でございます。すなわち協会公共的文化機関としての本質から、公衆の要望に沿い、かつ文化水準向上に寄與するように、最大努力を払うということ、定期的に多角的な輿論調査を行うということ、放送番組編集についでラジオ・コードというべき法律上の準則に従うということなどを義務づけられておるのでございます。かように日本放送協会は、民間放送とはその設立の基盤を異にするものでございますが、わが国放送文化発展という見地からいたしますと、常にこれと協力し、相携えて放送使命達成に努めたいというのが、私といたしましての考えでございます。これを具体的に申しますと、放送番組に対するわれわれの定期的、科学的な輿論調査の結果、あるいは各種放送資料などを公表いたしまして、番組編集上の便益に供し、また放送技術進歩改善のためにわれわれの有する放送技術研究成果、あるいは技術の経験を公開し、さらにまた民間放送電波の発射によりまして派生する各種聴取上の障害、これを積極的に除去いたし、相互事業の発達に支障のないように努めるといつたような積極的な態度をもちまして、わが国における放送文化向上に資することを念願いたしまして、鋭意努力しておる次第でございます。
  7. 高塩三郎

    高塩委員 次は国際放送についてお伺いいたしますが、諸外国におきましては、たとえば米国ではヴオイス・オブ・アメリカの名において、英国におきましてはゼネラル・オーバーシーズサービスの名におきまして、多額の経費をかけて海外放送を行い、国策の宣伝、文化交流、国情の紹介などに、きわめて活発なる活動をしておると聞いておるのであります。わが国においても戦後七年間とめられておりました国際放送が、本年二月から再開されましたことは、これらの促進決議をいたしましたわれわれといたしまして、まことに同慶にたえない次第でありまするが、協会の二十七年度事業計画及び収支予算によりますれば、その経費総額は五千八百万円程度でありまして、送信方向といたしましても、北米、華中、華北、フイリピンインドネシヤ及びインドの五方向であり、使用国語日本語及び英語の二箇国語で、その内容に至りましてはニユース及びニユース解読というような、きわめて貧弱かつ小規模なものでありまして、国際放送としての成果を期し得るかどうか疑わしいものと考えられる次第であります。またこの国際放送番組責任の所在という点に関しましても、本委員会審議の経過に徴し、きわめて不明瞭であると考えられるのであります。会長といたしまして、この重要なる国際放送の規模、範囲について、この程度で満足しておられるのかどうか、また国際放送責任に対してどういうふうに考えておられるか、この二点についてお伺いいたします。
  8. 古垣鐵郎

    ○古垣参考人 ただいまの御質問に対してお答え申し上げます。国際放送につきましては、去る二月十日から正式に再開されましたことは、まことに御同慶の至りに存じます。御承知通り日本放送協会は、電波監理委員会からの命令に基きまして、とりあえず五つの方向に向つて毎日五時間ずつの国際放送実施いたしておりますが、この命令書によりますと、この放送は諸外国わが国実情を伝え、各国理解支援によつてわが国復興を進め、かつ文化交流をはかり、国際親善に寄與することを基本方針といたしまして、放送の事項はこれまたニユース及び解読として、必要に応じては音楽その他を加えるものとするということになつております。また使いまする国語は、日本語及び英語とし、必要によりましてはその他の国語をも使用することを妨げない、こういうことになつております。  国際放送再開にあたりましては、かつて国際放送とはその趣を異にするものと考えますので、努めて宣伝的な色彩を避けまして、新生日本実情を伝えることに努力いたしたいと考えております。この意味におきまして、またもとより予算がきわめて切詰められております関係もございまして、今回は新しい日本国際放送としては、簡素で謙虚な外形と内容とで一応発足いたしたいと存じたのでございます。使用国語をさしむき日本語英語にいたしましたのも、このような考え方から出たのでございます。この放送目的は、前に申し上げました通り国際親善を第一義といたすのでありまするが、同時に海外に在留いたしておりますところの多数の同胞に対しましても、故郷のたよりとまたいろいろの慰安の番組とを送りたいと考えております。  次にただいまのお尋ねの点、国際放送番組編集責任ということにつきましては、諸外国わが国実情を伝え、各国理解支援によりましてわが国復興を進め、かつ文化交流をはかりまして、国際親善に寄與するようにというこの命令書にございます基本方針従つて日本放送協会におきましては、責任をもつて編集いたしているのでございます。この責任を果しますためにも、またよりよい放送を行いますためにも、国際放送番組審議会を設置いたしまして、朝野各界意見を承り、さらにまた放送効果調査など、番組の的実をはかる処置を考慮いたして、この放送実施いたしているのでございます。御参考までに今日までに寄せられました海外からの聴取報告について御報告申し上げますと、今日までにその数は百三十通に及んでおります。その大半は北米からのものでありますが、これ以外に、送信地区では、インド、パキスタン、フイリピン、台湾などから報告を受け、また送信地以外のカナダ、南米、ペルー、濠州、ニュージーランド、南アフリカなどからも相当数報告が参つております。これらの報告から判断いたしますと、受信状態一般に良好でありまして、これらの聴取者が一様に番組に希望しておりますことは、日本国内事情が知りたい、すなわち日本経済産業を初めといたしまして、歴史や生活文化等についての解読を望み、また日本語講座を開設してくれというようなことな希望いたしますものや、さらには日本音楽を聞きたいという声もかなりございます。そうして特に在外邦人からは感激的な声が参つておりまして、北米初めインド一つの町に住んでおりますただ一人の日本人までが、在外邦人をあげて最も待ちわびておりました日本の声が聞えて歓呼の声を伝えております。中でもハワイのホノルルの一邦人は、四十二年も前からハワイに住んでいるが、今まで日本放送を聞くために、午前一時ころから起き出して、よく聞えたときには家中の者を起して聞かせたが、これは三度に一度ぐらいの割合でキヤツチできるほかは、他の放送にじやまをされたり、感度が弱くて聞えないときが多い。その苦労もなくなつて大喜びですといつたようなことを伝えております。これらの報告には、日本国際放送を始めましたことによりまして、日本電波の上で世界の仲間入りができたことを心から喜んでおります。しかし現在実施されております国際放送は、再開早のことで、いろいろ御不満の点も多いかと存じます。今後はさらに研究を重ねまして、皆様の御期待に沿いますように努力いたしたい所存でございます。
  9. 高塩三郎

    高塩委員 最後にテレビジヨン放送は、社会的にも、経済的にも、教育的にも、また文化的にも、きわめて重要なる意義を持つものでありまして、当委員会におきましても、わが国におけるテレビジヨン放送あり方に関しましては、すでに幾多の論議がかわされ、またこれが実現には多くの問題を解決せねばならないものと考えております。日本放送協会は、テレビジヨン放送につきましてはすでに二十年にわたり研究を続け、東京、大阪で実験放送実施いたし、テレビジヨン全国普及を目ざす実施計画を整えて、目下電波監理委員会に対しまして、認可申請中であると聞いておるのでありまするが、わが国におけるテレビジヨン経営形態はいかにあるべきか、わが国においてテレビジヨンを急速に普及発達せしむるにはどうすればよいかという点に関しまして、アメリカイギリスフランス等における事情と合せて、NHKとしての所見をお伺いいたします。
  10. 古垣鐵郎

    ○古垣参考人 お答え申し上げます。放送最終形態でありますところのテレビジヨン放送は、聽覚と視覚の双方から受像者に訴えるものでありますかつ、このテレビジヨン放送は、マス・コ、ユニケーシヨンの最も有力な手段である。その生活環境に與える影響もすこぶる重大であると存じます。かような点からこれの運営いかんは、国民文化の将来に限りもない大きなつながりを持つものであると存じます。このようなテレビジヨンの演じます役割に注目いたしまして、世界各国はあげてその研究に従事いたしております。今やテレビジヨン文化のバロメーターであり、テレビジヨンのない文化国家はないとまでいわれているくらいでございます。すでにアメリカイギリスフランス、ソ連などの国では、正式にテレビジヨン放送を行つております。その他のスイス、西ドイツ、デンマーク、イタリア、オーストラリア、オランダ、スエーデン、スペイン、ベルギーなどの国々でも、この正式放送を目ざしてただいま鋭意実験放送を行つております。と同時にこの新しい力でありますところのテレビジヨンを、どのように一国の文化経済及び産業に役立たせて行くか、またそれにはどのような形で放送運営すればよいかというようなことについても、真劍に研究がなされているのでございます。これにつきまして英国放送協会BBCでは、一九三四年のテレビジヨン放送開始以来一貫いたしまして、公共放送方針を堅持しておりますが、一九五二年以降のBBC運営について、英国政府から勧告を求められましたビーバリツジ委員会は、こういう考え方をとつております。それはテレビジヨンラジオの延長であり、両者は同一の機関によつて行うべきであり、公共放送こそ英国放送にとつて本質的に最大利益であるという考え方をとつているのでございます。またカナダオーストラリアでは、ラジオ放送の方は公共放送商業放送との二本立てで行つておりますが、テレビジヨンに関する限り公共放送しか認めず、カナダ国会におきましてもまた同様な態度をとつているのでございます。このように公共放送を希望する声は、現に商業放送を行つておりますアメリカにおきましても、青少年教育立場から教育者を中心といたしまして、強力に輿論として全米に広がつているのでございます。私ども公共テレビジヨンを主張いたします一つの大きな理由は、番組健全性ということに大きな関心を持つからであります。すなわち公共放送を行つております英国BBCでは、多くの番組が教養的な色彩を帯びております。またフランスでは国営でいたしておりますが、ここでも教育番組に力を注ぎまして、よく国民要望にこたえておるのであります。そこで私ども日本におきましても、公共企業体でありますNHKによりまして、テレビジヨン実施させていただきまして、国民要望に応じて文化水準向上に寄與し、テレビジヨンをして真に国民文化財たらしめるように、ひたむきな努力をいたしたいものと考えている次第でございます。  次にテレビジヨンはラジヨオと同じく国民全体が享受すべき文化財でありそのためにはテレビジヨン放送全国至るところで受信可能とすることが肝要であると考えております。しかるにテレビジン電波、いわゆる超短波は、到達距離がたいへん短かいために、山岳の多いわが国では多くの放送局を必要といたします。また経済的にはテレビジン放送は、中波放送いわゆるラジオ放送の数倍の経費を要しますために、地方の中小都市への普及は非常に困難になつて来るのであります。この点につきまして一九四六年の七月に英国政府の発表いたしました放送白書の中で、こういうことが述べられております。「比較的狭小で人口稠密な地域をカバーするために、ごく限られた数の適当な波長しか利用できない場合、この波長を最も社会利益にかなうように使用し、かつできるだけすべての受信者が片寄ることなく番組を選択聽取できる道を確保するには、公共企業体によつて運営される総合一体放送組織による以外に方法はないのである。」と述べておりますが、これはよくこの間の事情を物語つておるように考えております。  次にNHKテレビジヨン放送事業中波とあわせて行いますということは、單にテレビジヨン一つ企業として行いますより、合理的な運営ができるという点でございます。テレビジヨン放送最終的形態であり、テレビジヨンラジオとは一体化されて、相互に補足し合うような関係になることが最も適当なのであります。諸外国テレビジヨン放送経営形態について見ましても、アメリカイギリスフランス等のごときも、みなテレビジヨン放送のみによりましてはこの運営は困難とされておりましていずれも中波放送企業体がこのテレビジヨンをあわせ行うことによつてテレビジヨン実施が可能となつている現状なのでございます。そこでわが国におきましても唯一の公共放送企業体でありますところの日本放送協会テレビジヨン放送を行いすれば、その持つておりますところの中波全国的ネット・ワークを利用いたしまして、その施設人的要素及び中波を合せました番組の各面におきまして、合理的な適切な運営が可能となるものと存ずるのであります。またテレビジヨン放送事業を営むものはその放送設備改善研究を絶えず事業運営に並行して考慮しなければならないのでございます。この点におきまして日本放送協会は長年の方針として、国家的見地から技術面研究を、わが国技術水準向上のために積極的に実施して参りました。そしてその研究成果を公開することによりまして、わが国通信工業界に寄與いたすように努力しておるのであります。わが国が一日も早く最も合理的にしてかつ最もむだのない方式のもとに、全国的なテレビジヨン放送網を形成しまして、国民大衆要望にこたえ、公共福祉国民文化水準向上に寄與するよう、放送法趣旨に沿いまするところのテレビジヨン実施に、私ども努力を傾けたいと存じておるのでございます。  以上申し述べましたごとく、日本放送協会テレビジヨン放送につきましては、優秀な人員と豊富な経驗施設とを持つておりましてテレビジヨンに関する総合的な技術研究機関として活動して参つておるのでありますがこの日本放送協会の現に有しております中波放送及びテレビジヨン驗放送施設技術人員等は、そのままテレビジヨン正式放送に利用することができるのでありまして、私どもといたしましては明日にも正式放送に移行できる態勢にありますので、私ども国民の久しく待望しておりまするこのテレビジヨン放送を、一日も早く実施いたしたいと存じておる次第でございます。
  11. 田中重彌

  12. 石川金次郎

    石川委員 電波監理委員会責任者がおられますが、ただいま放送局の当局から、テレビジンについては施設、金、技術、一切の準備ができた、明日許可があつて放送準備ができる、こういう御説明があつたのでありますが、電波監理委員会としてはそのように放送協会を見ておられますかどうか。
  13. 岡咲恕一

    岡咲政府委員 お答え申し上げます。古垣会長がお述べになりましたように、日本放送協会テレビジヨン技術研究におきましては、相当の年月を費しておられまするし、その設備もある程度研究のようでございますし、ことにその人員の点におきましては、他の放送事業者と比較いたしますと、非常にすぐれた技術陣を擁していられる次第でございます。現在、会長がお述べになりましたように、東京と大坂におきましてテレビジヨンの実驗放送をいたしておられてますが、現在やつておられますのはあくまでも技術研究としての実驗放送でございましてこれをただちに切りかえて本格的な、強力なテレビヨンの放送組織にいたすことができるかどうかという点につきましては、私どもといたしましては現在正確な判断をいたしておりません。あるいはさように発展できるかもわかりませんし、あるいはそうでないかもわかりませんので、その点は今十分確信をもつてお答え申し上げるだけの資料を持つておらないのでございます。
  14. 石川金次郎

    石川委員 電波監理委員会放送局とは密接な関係がある。公共放送のために放送局が懸命になつておるのでありまして、あなた方が見ておられまして、すでに放送させてくれという許可の申請までしているのですから、まだ研究しておらないということはいささかいかがかと思われますが、それは何か言いづらいことでもございましようか。
  15. 岡咲恕一

    岡咲政府委員 別にお答え申し上げるのに支障のあるような事情は全然ございません。私も砧のテレビジヨンの実驗局を拝見いたしたのでございますが、何分にも技術の方は専門でもございませんで、あまり確信をもつてお答えできませんが、私の拝見いたしました感じでは、あれだけの組織をただちに本放送に切りかえられるというふうには、私は当時は判断いたさなかつた次第でございます。いずれ現在放送協会から御提出になつておりまする申請書を検討いたしまして、そうして予備免許してしかるべきものであるかどうかを判断する時期がやがて参るかと思いますが、協会の方で計画しておられまするこの計画をざつと拝見いたしましたところでは、私は現在の施設をそのまま転用して、本格的放送をお始めになることができると断定するのは、ちよつと困難ではなかろうか、私は技術の専門家でないのでわかりませんが、さように考えております。
  16. 石川金次郎

    石川委員 しかし放送局は長年の間苦労してやつて来たのであります。そのつぎ込んだ金も、国民の受信料がつぎ込まれたと思うのであります。何年かの経驗の間には、ずいぶん犠牲を払つて来たと思うし、研究された人々が非常に難儀しただろうと思うから、非常に好意あるあなた方の態度で、一日も早く完成するように御指導なさらなければならぬと思いますが、今お聞きしますと、技術はまだ未熟かと思うが、専門家でないからわからない、こうおつしやるのであります。そういう点がありましたらば、技術をよく知つておる人と御相談なさつてNHKとの間でいろいろお話合いをなさつたらどうですか。
  17. 岡咲恕一

    岡咲政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、電波監理委員会が、日本放送協会テレビジヨンの実驗放送を免許いたしておりますのは、将来本格的なテレビジヨン放送を必ず行わせることを前提として、実驗、研究を許しておるわけではございません。この研究が、やがては日本放送技術のために貢献するところがあるであろうことを大きな眼目といたしまして、免許を與えておる次第でございます。将来あるいはNHKが本格的なテレビジヨン放送をお始めになることもあろうかと考えますが、現在そうさせるために実驗、研究を命じておるのではございませんから、石川委員のお話のように、私どもの方からいろいろ実驗放送から本格的放送に切りかえられるように、設備なりあるいはいろいろな工作を御指導することは、行き過ぎかと考えております。
  18. 石川金次郎

    石川委員 この点に関しましては、後日また適当な機会にあなたからいろいろお教え願うことにいたしまして、放送協会予算についてお伺いいたします。ちよつと私の質問が、あるいは条文の読み方、解釈を誤つておるかもしれませんが、そうしてまた質問する理由は時間の関係で省略いたします。第七条の読み方、特に但書の読み方であります。これは非常に範囲が広いのでありますが、「業務量の増加に直接関係ある」これはどういうことを意味するかということをお聞きしたい。
  19. 長谷愼一

    ○長谷政府委員 ただいまの予算総則第七条に関します御質問に対しましてお答え申し上げます。ただいまの御質問は、第七条の但書以下の条文の読み方だと存じます。これは予算におきまして予定いたしております俗に加入者と申しておりますが、受信者が予定よりももつとふえ、従つて年間の聽取料の收入、事業收入が予定よりもふえました場合でございますが、受信者がふえますと、御承知のように協会、あるいは郵便局等に委託をしまして、集金事務を行います。この集金関係経費は、人数がふえることにふえるわけであります。ここで言つておりますことは、收入の増加が業務量の増加に伴う場合で、結局今の事業收入の増加というような場合には、主として加入事務に携わつて、そのために仕事の分量がふえたようなところへは、その経費に一部分を充てることができるという条項であります。ややわかりづらい文句になつておりますが、目当は、加入関係の方へは、そのために仕事がふえるのであるから、そちらへの経費に一部分をまわすことを認めよう、こういうことであります。
  20. 石川金次郎

    石川委員 あなたは今例を受信料にとられたのでありますが、受信料が増加いたしますには、加入者が増加して来る。加入者が増加いたしますと、いろいろな設備、機械も必要です。同時に人も必要です。人件費もここに含まれる。こういつた意味に読まなければならぬのじやないですか。そう読まなければ、ここにいうところの「増加に直接関係ある」ということの意味が出て来ないじやないですか。
  21. 長谷愼一

    ○長谷政府委員 従来二十数年間の放送協会の過去の経験からいたされまして、その年の受信者の増あるいは減というものは、統計的にずつと実績がございまして、それに基いて予想されておるのでありますが、今までの実績からいいますと、予想からそう大きな変更はないようでございます。しかし今までも予想よりは多少受信者の増加の実数がふえておるのが、実情でございますから、おそらく二十七年度においても、予定よりも受信者の数が多少でも多くなるだろう。従つてこの但書の条項に該当するような場合が起り得ることが想像されるのでございますが、それはそう大きな数字ではない。加入事務に携わる人数を相当増加を必要とするというほどにはならないと存じます。また一方、集金関係の仕事は、一番手数を要することだと存じますが、集金関係の仕事は、郵便局に委託をしておるものが相当ございます。そういう関係から、ただいま御指摘になりましたように、必ずしも協会の要員の増というようなところにまで響かないで済むだろうという見当をつけておるわけであります。
  22. 石川金次郎

    石川委員 私の聞いておりますのは、「業務量の増加に直接関係ある」という概念は、人と物とによつて仕事して行くのでありますから、人そのものも直接関係ありと、こう読んで行かなければならないじやないか、こう聞くのです。
  23. 長谷愼一

    ○長谷政府委員 この条文の読み方としては、お話の通りでございまして、業務量の増加のときには、経費施設ばかりでなしに、人間も当然必要になりますから、必要によつては人間の増も考えなくてはならぬ。お話の通りに読んで行くべきだと思います。但しこの要員のうちには、協会の正式の職員と臨時の職員等いろいろございますから、必ずしも給與の面に現われるかどうかという点になると、実際的にはいろいろ違います。
  24. 石川金次郎

    石川委員 わかりやすいために、例を極端にとつて見ましよう。加入者が非常に多くふえたといたしますならば、たくさんの受信料が入つて来る。ベース・アツプをしなければならぬという場合には、これから出して行ける。また十二条の役務の提供、この役務も人力が入つておることは明らかである。これらによつてベース・アツプの財源にできると読むべき予算書であろうと存じますが、いかがでございますか。ただいまの御答弁の趣旨だと、どうしてもそうならなければならぬ。
  25. 長谷愼一

    ○長谷政府委員 第七条の条文は「收入の増加が業務量の増加に伴う場合は、その増加額に相当する金額の一部を」といつておりますので、全部の職員のベース・アツプ等にここから充てるということは、実際上は起り得ないじやないかと思います。
  26. 石川金次郎

    石川委員 実際上起らなくとも、理論上はでき得る書き方とか聞いておるのです。その点はどうですか。
  27. 岡咲恕一

    岡咲政府委員 石川委員のお尋ねの七条にいたしましても十二条にいたしましても、この増加額に相当する金額の全額あるいは一部を、業務量の増加に直接関係ある経費に充てるということになります。あるいは労務につきまして直接関係ある労務者に対してはその一部分を給與の増額に振り当てるということも不可能ではないと思いますが、やはり給與というものは平等である方が合理的だと思いますので、特にこの業務が他の業務に比較して困難であるとか、危険を伴うとか、あるいは一般よりもより高い手当を提供しなければならないというようなことがない限り、特にその部分だけを増額するということは困難と思いますし、いわんやこれを他の給與に振り当てるということは、七条あるいは十二条からは無理ではないかと考えます。
  28. 石川金次郎

    石川委員 しかしどうもこの読み方がわからなくなつたので岡咲さんに伺いますが、そうすると今の御説明だと四条における但書、これは続いて参りますか。合わなくなつてしまいはしませんか。四条の但書では、「給與及び退職手当の金額は、給與の項から退職手当の項に流用する場合を除き、他の項の金額と彼此流用することはできない。」とはつきりきめてあるのです。それがきめてあつて、受信料から入つて来たものは給與、退職手当等には全然使われない、こういう規定だと思うのです。おそらくこれは、事業を大切だと思われる放送局の御熱意の現われだと思います。ところが七条、十二条を読んで参りますと、場合によつては聽取者が多ければ給與もできるというようなことにも読んで行けるのであります。そうなりますとこの関係はどういうふうなことになるのか。今日ここでこれ以上お聞きいたしますと議論になると思いますけれども予算のこしらえ方に疑問がありましては、あとで問題が起りましたときにいろいろ議論が出ると思います。ですからお聞きしているのです。実際を言いますと、私はむしろ放送局の御当局に聞きたいのです。
  29. 岡部重信

    岡部参考人 この第七条の「その増加額に相当する金額の一部を業務量の増加に直接関係ある経費に充てて使用することができる。」とあります問題につきまして、この「收入の増加」という、これの大本をなすものは、申し上げるまでもなく受信料の收入でございます。受信料の收入を増加するには、聽取者を増加するか、収納率を向上するかでございまして、たとえば職員が一体となつて聽取者の増加に努力したというのならば——そういう場合が相当あるのでございますが、さような場合にはこの但書は、今御趣旨にありましたような線に相当近づいた解釈のできるものだというように考えておる次第でございます。
  30. 石川金次郎

    石川委員 ただいまのお答えは、全員が加入増加のために盡せば、この手当は第七条で出て行く、こう承知していいのですか。
  31. 岡部重信

    岡部参考人 さようであります。
  32. 石川金次郎

    石川委員 そういたしますとこの四条の但書はどうなつて参りましようか。もう少し説明して申し上げますと、将来ベース・アツプをしなければならない事態が来るかもしれません。その場合、あなた方が心配されるだろうけれども、いろいろ御苦労の結果、財源がないという建前で、政府当局の言うようなことをおつしやるかもしれぬ。そのときに今のように言われると、ここから出るのではないか、こういう要求が来るのです。理の当然なものに対しては聞かなければならぬ。みんなで働いてたくさん加入者をふやしたらどうでしようか。ベース・アツプの問題が出て来ても財源がない。だから今度は予算書をひつぱり出して来て、この問題の解釈がまた争いになりますから、四条と七条とはこれでいいのか、お聞きしておくのです。
  33. 岡咲恕一

    岡咲政府委員 四条の但書は、給與及び退職手当の金額としてこの予算面に計上されておりますこの金額を、他の項の金額と彼此流用することは許さないということでございまして、七条あるいは十二条の解釈の方は四条とは関係なく、その分につきまして、もし増額部分がありますならば、その増額部分と業務上直接の関係のある費用に充てる。その費用が、あるいは一部手当になりましても、これは妨げないと私は解釈いたしております。
  34. 石川金次郎

    石川委員 それではつきりわかりました。働きようによつては財源がないということはないということになつたと思います。  次にお聞きしたいのは、第八条の意義でありますが、「前年度の決算において収支剰余金があつた場合は、」こうなつておりますが、二十六年度の収支剰余金はすでにお見込みがついたことと思います。それをひとつお伺いいたしたい。
  35. 岡部重信

    岡部参考人 収支剰余金でございますが、この予算を編成いたしましたときは、その見通しが立ちにくかつたのでございます。それで総則でそのような場合が起りましたときに、その収支剰余金の使用方法を規定いたした次第でございますが、ただいまの状況におきましては、前年度より上まわるのではないか、かように見通しておる次第でございます。
  36. 石川金次郎

    石川委員 金額は幾らくらいになりますか。
  37. 岡部重信

    岡部参考人 御承知通り二十六年度がまだ決算にまで至つておりませんものですから、まだ確たることは申し上げることはできませんが、前年度の収支剰余金、これは二十五年度のことでありますが、約三千三百万円ほどございました。それをある程度上まわるというふうにただいま見ている次第であります。
  38. 石川金次郎

    石川委員 そうするとこのたびの案といたしましては、放送局のあなた方の方では「借入金の返還又は設備の改善」とありますが、三千三百万円、よく余つても五千万円だとかりに考えますならば、これはやはり設備の改善にまわるはずになりましようか。それとも借入金のぜひ払わなければならぬものがございますか。
  39. 岡部重信

    岡部参考人 御案内の通りこれを借入金の返還にいたしますか、または設備の改善の経費に充てますかは、経営委員会において審議決定される事項でございますが、いずれになりますか。借入金も御承知通り今年度の長期借入金の中には、収支の均衡を保つために一部借りかえといいますか、乗りかえの額もございますので、その辺はよくにらみまして、これを経営委員会において決定されることと存じております。
  40. 石川金次郎

    石川委員 もちろん放送法に基く委員会が決定して行くのでありますが、私どもがこれからお聞きしますことは、放送局の意思決定機関としてではなく、業務の執行に当られるあなた方のお考えいかんを聞くのでありますから、そのつもりでひとつお答えを願います。それから放送債券についてお伺いしたいのです。これを六億発行することになつております。まずこの点について電波監理委員会にお伺いしたのでありますが、六億円の借入金については、妥当であるというような御意見を提出せられてあるのであります。妥当であるという点は、日本経済界があらゆる市場に向つて資金を求めて行くのだ、政府もまた求めるかもしれない、こういうような客観的情勢から見て、放送局のお考えを妥当としたのか、放送局事業をやるのには、金融事情のいかんにかかわらず、最低限度これだけは必要だ、この両方から見てこれが妥当であり、可能と見られたのか、それをひとつお聞きしたい。
  41. 岡咲恕一

    岡咲政府委員 石川委員の御説明の後段の方の理由で、私どもは妥当と考えた次第でございます。協会で計画しておられまする設備の増設あるいは改修、それに要する費用、それから本年度におきまする債券の消化の状況などを勘案いたしまして、来年度六億円の債券を発行せられることは、経理上合理的であるし、かつこの消化も十分可能である、かように考えまして妥当という意見を付したのでございます。
  42. 石川金次郎

    石川委員 放送局の方に伺いますが、これは発行して、ただちに予定の資金計画通り消化されて行くという御自信があつたのですか。
  43. 岡部重信

    岡部参考人 二十六年度におきましては、すでに三月の起債関係も決定をしておりますので、今後増加することはございませんが、予算通り二十六年度におきましては五億の発行が可能でございました。この大体の状況を申し上げますと、一億ずつ隔月というような状況でございまして、来年度も一億ずつ隔月という発行は可能であろうという見通しのもとに、これを計上いたした次第でございます。
  44. 石川金次郎

    石川委員 可能という御自信があつたならば、第九条の二項で、万全の御注意を払われたのかもしれませんが、「長期借入金の項に移行するものとする。」と御説明になつておるのであります。可能という御自信があつたならば、こういう二項をどうして入れておかなければならぬのですか。万全の注意とおつしやられるかもしれませんが、これは不必要だ。長期借入れなどをやらないようにやつて行きたいが、それをお聞きするのです。長期借入れと公債と、どちらが利益かという点です。
  45. 岡部重信

    岡部参考人 石川委員の御指摘の通り、この六億の放送債券が確実に出し得るというのでございますれば、九条が不必要な条項でありますことは申し上げるまでもございません。しかし起債界の事情によりましては、多少変更の場合の起ることは事案でございます。そのような場合に資金の調達を円滑ならしめるという趣旨から、この九条を設けた次第でございます。  それから放送債券と長期借入金とはどちらが有利かというお尋ねでございますが、この放送債券は、ただいまのところ五年目に償還いたすことになつております。長期借入金の方は一年すえ置きまして、二年目から返還するというふうに、返還の時期は非常に早いのでございます。そのために長期借入金による場合、返還期間の非常に早いということが、われわれとして事業運営をする上において非常に困難なのでございます。この点につきましては放送債券の方が——いろいろ発行に起債界の状況その他で支配されるところがございます。そういう条件はありますが、何しろ五年でございますから、資金計画を立てる上において非常に確実に立てられるというので、でき得れば放送債券によるということを主眼として考えておるようなわけでございます。
  46. 石川金次郎

    石川委員 この長期の方は、一年すえ置きで何年間に払うのですか。それから利息の関係はどちらが有利か。
  47. 岡部重信

    岡部参考人 放送債券の方は、年にしまして八分九厘三毛、それから長期借入金の方は一割一分一厘でございます。
  48. 石川金次郎

    石川委員 借入金をいたすためや、公債を募集するために費用がかかつておりますが、借入金のためにごちそうなどをしなければならないのじやないですか。
  49. 岡部重信

    岡部参考人 石川委員よく御承知だと思いますが、多額の金を借り入れることは、幸いにいたしまして放送協会の信用というか、その方の経費はほとんどかかつておらぬようなわけでございます。
  50. 石川金次郎

    石川委員 売却固定資産代金についてお聞きいたします。これを二千五百万円と見積つておられますが、何を売却するのですか。
  51. 岡部重信

    岡部参考人 大阪におきまして昨年堺の放送所が完成して電波を放つております。その放送所は、吹田の駅のそばの千里の放送所から移転をして放送を行うことになつたのであります。従つて千里の放送所の土地、建物その他のものが不要に帰したわけでございまして、その売却を見超しましてこの金額を計上したようなわけでございます。
  52. 石川金次郎

    石川委員 会計検査院から注意せられました電気興業株式会社及び日本放放出版協会の投資分、これもすでに処分になりましたか。
  53. 岡部重信

    岡部参考人 過日の委員会でもお尋ねがございましたが、たしかあのときに、山一証券にも頼んでおりますが、株式市場に上場されておりませんので、まだ処分できない、かように申し上げたと記憶しております。実はまだ処分できていないような次第でございます。
  54. 石川金次郎

    石川委員 勧告を受けたのでありますから、今度は二十七年度の予算には立てられぬとしても、今年中に処置いたしますかどうか、処置したら損失が起るかどうか、起るならばその見込を……。
  55. 岡部重信

    岡部参考人 過日の委員会においても申し上げた通り、できるだけこれを有利に処分したいと思いまして、誠意をもつて努力いたそうと存じております。
  56. 石川金次郎

    石川委員 誠意をもつて努力するはいい、あなた方の誠意はちつとも疑いませんが、売るのか売らないのか。会計検査院の勧告があつた、たしか委員会からも勧告があつたわけでありますが、売れるかどうか。もし売るならばどれだけの損失があるか、あるいは売らなくても大丈夫だという自信があなた方にあられるか、見込みがあられるか、お聞きしておきたい。
  57. 岡部重信

    岡部参考人 この株式を売ることについては、先ほど申し上げた通りでございますが、放送協会といたしましては、放送協会の財産は国民よりお預りしておるものでございますから、これを非常な損失を侵してまで売らなければならぬというふうには考えておりません。有利に売却したいという線において、これを処置したいと存じております。
  58. 石川金次郎

    石川委員 有利になる見込みがあるかどうか。
  59. 岡部重信

    岡部参考人 非常にむずかしいお答えになりますが、一年前くらいよりも多少有利な見込みになるのじやないかという見通しは持つております。
  60. 石川金次郎

    石川委員 投資額に達したら有利であるというのですか、投資額を超えたら有利であるというのですか。あるいは投資額まで行かなければ有利でないから放さぬとおつしやるのですか。
  61. 岡部重信

    岡部参考人 そのときの事情によりまして、いろいろ状況の変化があると存じますが、極端に損失を侵してまでも売ろうとは思つておりませんので、できる限り有利にしたい、そして会計検査院の改善を要する事項という趣旨に沿つて行きたいという考えで、これに当つておる次第でございます。
  62. 石川金次郎

    石川委員 両方立てようとすればなかなかかく困難かと存じますから、ひとつ十分にお考えを願いたいと思います。  次に定員について伺います。本年度の定員は八千四十三名となつておりますし、今年増員いたしまする方々は百二十六名でありますが、現在休職になつておる方があるかどうか、長期欠勤の方があるかどうか、まずお聞きしておきます。
  63. 岡部重信

    岡部参考人 現在長期欠勤者並びに休職者はどのくらいかというお尋ねでございますが、長期欠勤者と休職者は大体百五十名程度でございます。
  64. 石川金次郎

    石川委員 予算に示された定員八千四十三名で、むろん放送事業運営はさしつかえないという御確信でのことでございましよう。けれども放送局の労働組合の責任のある人の事業計画に対する意見を拝見しますと、百二十六名の増加であつては、休職者もあるし、長期欠勤者もあるし、事業運営がはなはだ困難になるのじやないか、そのためには非常に強い労働強化を受けなければならないのだ、事業と人とには一つの限界がある、すでに限界まで達して、これ以上動かぬというような場合になつておるのじやないか、そして労働協約に定められた休暇も満足に與えない、前々年分の休暇機数も満足にもらえない、こういう意見が提出されてありますが、この定員数で大丈夫だということは、労働組合と御協議の上でやられたのであるかどうか。
  65. 岡部重信

    岡部参考人 申すまでもなく職員の労働条件につきましては、職員の構成いたしております労働組合と締結した労働協約、団体交渉に基いて履行いたしております。なおこの予算につきましては、組合と協会との間の折衝の機関といたしまして最高経営協議会がございますが、最高経営協議会における諮問事項として、この予算が上つておる次第でございます。この二十七年度の予算につきましては、最高経営協議会の延長の交渉におきまして、原則的に了解を得たものでございます。
  66. 石川金次郎

    石川委員 そうすると経営協議会があるそうで、まことにいいことであります。その経営協議会の内容を知りたいと思うのでありますが事業方針を定めるときとか、予算を編成するときとかは、全部労働組合と協定の上にやることになつておるのでありますか。
  67. 岡部重信

    岡部参考人 御案内の通り放送事業のような複雑多岐と申しますか、各種の方面にわたつております業務を、円滑にかつ迅速に遂行いたしますためには、常に従業員と一体となり、また従業員の意見を十分業務の上に反映させなければ、事業使命達成いたしますことは困難に考えております。このために、先ほどもちよつと触れましたが、協会は労働組合との間に締結しております労働協約の中におきまして、事業の円滑な運営と、その民主化をはかるために、労働組合と放送協会の両者の間に経営協議会を設けまして、この機関を職員に対する労働条件及び礼利厚生施設の基準並びに職員の不平不満の処理についての協議機関といたしますとともに、他方経営参加の面といたしまして、予算の編成、職制等の重要な規程の制定改廃及び事業運営基本方針についての諮問機関といたしております。この経営協議会は各中央局におきまして、その中央局の管内の事項を審議する下部経営協議会と、それから中央におきまして全国的事項を協議いたします最高経営協会とにわかれております。この委員の数は組合側と協会側、双方とも同じ人数といたしまして、議事の運営をはかつておる次第であります。
  68. 石川金次郎

    石川委員 御丁寧な説明でわかつて参りましたが、諮問すると、こうございますね。諮問するという意味をどのようにおとりになつておるか。これはあなた方にははなはだつまらない質問だと思いますが、私は大切な質問ですから、お尋ねいたします。こう申し上げれば、あるいはわかるかと思います。諮問するというのは、予算案なら予算案を示して、どうだといつただけで諮問は終れりとするかどうか。定員が足らないから、もう少しふやしてくれなければなりません、あるいは給與ベースが足りない、あるいは病人が出ておりますから、こういうような厚生施設をやつてください、こういう場合、この協議をどうして成立させて行くか、できないからというので、諮問をしても、諮問しつぱなしでいいのかということです。それを伺つておきたい。
  69. 岡部重信

    岡部参考人 先ほど申し上げましたように、この多岐にわたりまする放送事業の円滑、迅速な遂行のためには、従業員の意見というものを業務の上に十分反映させなければならぬのでございまして、この経営協議会で協議が成立した事項につきましては、組合と協会との双方によつて承認されました後実施いたしまして、そのうち必要と認められるものにつきましては、それを成文化いたしまして、この労働協約に加えて行くというふうな方法によつております。
  70. 石川金次郎

    石川委員 たとえば協議がととのわなかつた場合はどうなるんですか。
  71. 岡部重信

    岡部参考人 労働協約に中和条項という章を設けてございますが、協議事項につきまして、協議のととのわなかつた場合には、もし放送協会または組合のいずれか一方が労働委員会に依頼いたしましたときには、他方はこれを拒むことができない、かような規定を設けておりまして、それによつて処理しておるような次第でございます。
  72. 石川金次郎

    石川委員 わかりました。あなのた方で解決できなかつたときは、労働法に基く運営にまかせる、こういう御方針です。そこでお聞きしたいのですが、放送法第十三条による経営委員会に、労働組合の代表者適当数を参加せしめて、経営に組合を参加させて行く、こういうことはお考えになりませんか。できなければ、経営上できないということか、または法律上できないということか。それをお教え願いたい。
  73. 岡部重信

    岡部参考人 私どもの考えておるところによりますと、経営委員会の性質その他にかんがみまして、ただいまお尋ねのようなことはできないのではないか、かように解釈しております。
  74. 石川金次郎

    石川委員 できない理由は、そうすることが経営に不利だからできないとおつしやるのか、法律上不能だからできないとおりしやるのか。あなたは一体となつて活動しなければならないとおつしやつておる。あなた方の仕組みを見て参りますと、持つておられる資産は、株主という資本家のもとではございませんと伺つておる。みなで積み上げて行つたところの財産であります。そして放送法によつてそれに一つの経営機関ができておるのであります。これが公共福祉のために一生懸命努力しようとするならば、そこに全従業員の協力をまたなければならぬことは、あなたが重々おつしやつた。協力をまたんとするならば、その経営に労働側の考え方を入れるということは当然だと思うが、そうすることが経営上不利であり、運営ができ得ざるがゆえにできないというのか、現行法律上許されざるからできないというか、これをお聞きしておきたい。
  75. 岡部重信

    岡部参考人 私どもの考えておるところにおきまして、現在においては法律上さようなことは許されないのじやないか、こんなふうに考えておる次第でございます。
  76. 石川金次郎

    石川委員 そこでちよつと岡咲さんにお伺いしたい。岡咲さんの御意見はいかがですか。
  77. 岡咲恕一

    岡咲政府委員 法放送十三条に明記してございまするように「経営委員会は、協会の経営方針を決定し、且つ、その業務の運営を指導統制する権限と責任を有する。」となつておるわけでございますから、法律的に申しますと、ここにありますような権限は一に経営委員会にあるわけでございます。しかしこれは経営委員会の権限と責任規定いたしておりますので、この経営委員会が自己の最終の決定をする際に、広く意見を徴するという意味において、理事の方々の御意見をお聞きになる場合もあろうかと思いすし、あるいは局長の方々の御意見をお聞なる場合もあろうかと思いますし、場合によつては今お話の経営協議会の意見をお聞きになるということは、法律的に妨げないものと考えております。
  78. 石川金次郎

    石川委員 もう一歩つつ込んで、十四条に「経営委員会の議決を経なければならない。」とあります。これは私の読み方が違うかもしれませんが、自分流に解釈いたしますと、その十号に「経営委員会が特に必要と認めた事項」と書いてありますので、今労働組合側に経営委員会意見決定権を與えることはどうかという疑問はありましよう。しかしこの法を活用することによつて、組合の意見を聞くことを大いに確立して行くという解釈はできませんか。
  79. 岡咲恕一

    岡咲政府委員 経営協議会の意見を聞かなければ、経営委員会が最終決定ができないというふうに改める、そういう解釈ができないかという御趣旨ですか。
  80. 石川金次郎

    石川委員 法律上そういうとりきめをやつて行くことが妥当だと思うならば、それは許されるのではないか。十号によつて経営委員会予算なり事業方針をきめるときには、理事者を介して組合も参加する、そして表決権を持つのだということを定めたならば、必ずそれは実行しなければならぬ責務を負うことになりはしないか、こう言うのです。
  81. 岡咲恕一

    岡咲政府委員 石川委員のように解釈することはちよつと行き過ぎではないかと思います。言いかえれば経営委員会の権限と責任との一端を経営協議会にまかせる、あるいは少くとも経営委員会の決定について経営協議会の介入を認める、認めなければ決定ができないということになりますと、それは行き過ぎかと思います。経営委員会が任意に、その他特に必要と認めた事項につきまして、経営協議会の意見を聞くということは妨げないと思いますが、その意見を聞かなければ経営委員会が最終の決定ができないというようにとりきめますことは、法律が與えておりまする権限と責任とを場合によつてはみずから制限することになりますので、これは行き過ぎではないかと思います。
  82. 石川金次郎

    石川委員 なるほどそういうお考えは、確かに従来の法律の場合は出て参りますが、しかしかくかくしなければ経営できない、もしくはこうすることが最善の経営だと見たならば、経営委員会がそういう事態を、条件を、施設を認めるということは、経営委員会にまかせられているのじやないのですか。この経営委員会の任務は、放逸協会の経営の円滑なる進展を維持するにある。まかせられないという理論はどこから出て来るのですか。十号はそういう意味を予測してでき上つたものである。かりにそういうことを予測しなくても、現在発展の過程においてそういう解釈をすることが妥当ではないかと考える。
  83. 岡咲恕一

    岡咲政府委員 石川さんのような解釈も、場合によつてはできなくないかもしれません。私は多少行き過ぎのように思います。のみならず石川さんの御提唱になりまする経営協議会の構成員の方々の意見を十分に聞くという方法は、必ずしも石川さんのような方法をとらなくても、私は実現し得るものと思いまするがゆえに、多少法律解釈上疑義があると思われるような方法をとりませんで、経営協議会の意見をも十分経営委員会がお聞きになるという態度をおとりになることになりまして、円満なる事業運営の道を開いて行かれることができるのではないかと思います。
  84. 石川金次郎

    石川委員 この点に関してはまた別の機会に放逸協会の方及び岡咲さんからいろいろ御意見を承りたいと思いますので、これにとどめまして、給與の点についてちよと伺いたいと思います。  一八%引上げた、これについてあなた方の方の御報告によりますと、社会経済情勢にかんがみてこれは妥当であると言われているが、これは何の情勢にかんがみたのですか。社会経済情勢ということでなく、従業員の生活がこれで守れるなら守れるということをはつきりお書きくださればいい。あるいは協会の状況がここに出せないのですか。現に労働組合の諸君は満足しておらぬようであります。
  85. 岡咲恕一

    岡咲政府委員 電波監理委員会が今石川さんのお述べになりましたような意見を付しましたのは、過日委員長からも申しましたように、給與の改善につきましては私ども委員会といたしましていろいろ意見がありまして、一八%の増額はやや低いのではなかろうかという意見も出たのでありますが、協会の財政態、ことに一八%の増額が相当の金額を必要としまして、経理の面からも必ずしも安易な金額でないという点、また他の一般基準賃金などと比較いたしますると、まずこの程度の値上げであるならば、現在の社会的賃金基準、あるいは物価の情勢に対応し得るであろう、かように考えまして、現在の社会経済情勢と協会の財政状態から見て妥当である、かように判断いたした次第であります。
  86. 石川金次郎

    石川委員 それでは他の報道機関と比較してどうでありますか。
  87. 岡咲恕一

    岡咲政府委員 過日も他の委員の方から、石川委員の御趣旨と同様なお尋ねがございましたが、私ども放送事業は必ずしも新聞と同様な事業とは考えませんし、むしろ新聞よりも非常に幅の広い文化事業ではないか。ことに教育的な面が非常に広いというようなことも考えまして、必ずしも新聞を基準とすることを適当と考えないのでございます。労働省の労政局の調査によりましても、民間の主要会社二百四十七社の賃金の月額平均額は、一万四千六百三十円でございますので、この金額と、このたび定められました新基準賃金月額一万四千四百六円と比較いたしますと、一般の平均月額賃金とほぼ同様と考えまして、妥当ではなかろうかと判断をいたした次第でございます。
  88. 石川金次郎

    石川委員 しかし将来上げなければならぬというような場合には、放送協会当局としては、十分お考えになるおつもりでありますか。それをひとつお聞きしておきます。
  89. 岡部重信

    岡部参考人 この二十七年度の予算編成につきましては、御承知通り現在の受信料の月額を五十円すえ置きというところから出発して、収支の均衡をはかつたのであります。御承知通り一般経費といたしましては、通信、鉄道、電力などの各種の公定料金の値上り、及びこれに伴います諸物価の値上りを考慮しなければならなかつたので、人件費につきましては満足の行く程度に給與の改善をはかるならば、ある程度業務内容の低下を来すおそれがありますために、諸物価の増額につきましても、できる限り節約、合理化によつて規制いたしまして、また人件費につきましては、ただいま御質問通り、ベースをやむを得ず一八%にとどめざるを得なかつをような次第でございます。
  90. 石川金次郎

    石川委員 おつしやいましたように、なかなか物が高くなつて参りますので、給與を上げなければならぬという事態になりましたならば、さつそくお上げになる御決意を持つているのか、御方針であるかどうか、上げるという責任であるとかなんとかいうのではなしに、御方針か、それを伺いたい。
  91. 岡部重信

    岡部参考人 先ほど岡咲電波監理副委員長からも御説明がございましたが、いろいろな点から見ますと、一八%ではやや水準に近いものであるというような御答弁がございましたが、経済事情の激変等もありまして、やむを得ない場合には、この給與ということについてやはり補正予算といいますか、追加予算と申しますか、そういうことも事態によりましては当然考えなければならぬ事項かと存じております。
  92. 石川金次郎

    石川委員 先ほどお聞きいたしましたように、財源が幾らでもあるのでありますから、経営委員会の議決を経れば、経費に充てることができるのではないか。そこでさつきの七条、九条をお伺いするのです。
  93. 岡部重信

    岡部参考人 七条の点につきましては、先ほど来お話がありましたが、一つ考え方として、この増加額がただちにベース・アツプということに行くには、相当問題があると思います。但し先ほど申し上げました通り、職員全体が協力一致して、聴取者の増加ということに邁進いたまして、この増収が出たような場合には、あるいは厚生施設その他の面において許された範囲におきまして、これを具現することができる、かように存じております。
  94. 石川金次郎

    石川委員 質問を急いで参りましよう。岡咲さんから先ほどおつしやつたことですが、放送は新聞とは違うかもしれませんか、ニユースを担当する人たちは同じ面もあると思います。先ほど放送協会会長がおつしやるには、迅速、正確を旨とし私たちはそうやつてくださると信ずるのであります。さてその設備、人に対する待遇、これらは新聞社の待遇、組織、設備と比べて遜色はございませんか。人の待遇をおろそかにしておいて、相競争する人と同一の正確、迅速を求めることは無理なのであります。この点は大丈夫でございますか。何らニユース関係の諸君が不平なく働いておられますか。
  95. 岡部重信

    岡部参考人 ただいまの設備関係でございますが、設備関係におきましては、新聞社と比較して格段に劣るというようなことは、私どもといたしましても十分そういうことのないように考慮いたしておる次第でございますから、御心配のような点はないものと存じております。
  96. 石川金次郎

    石川委員 それでは自動車とか電話であるとか、その他万般のことは大丈夫になつておりますね。活動するにも新聞社と同じような状態になつておる。この点は心配ないと承つておきます。いずれもけつこうなことであります。それからラジオの共同聽取、これは料金をとつておられますね。
  97. 岡部重信

    岡部参考人 共同聽取について料金をとつておるかというお話でございますか。
  98. 石川金次郎

    石川委員 共同聽取は北海道にあるそうですが、一つをすえつけて、ほかの方に有線で送つて共同で聞いているという設備、その子供の方からも料金をとつておりますかということを聞いておるのです。
  99. 岡部重信

    岡部参考人 今のお尋ねのわかりやすい言葉の子供の方でございますが、その方からも放送法規定してある料金を徴収いたしておる現状でございます。
  100. 石川金次郎

    石川委員 放送法の何条の規定でございましようか。
  101. 岡咲恕一

    岡咲政府委員 それでは便宜上私からお答え申し上げます。放送法の第三十二条の第一項によりますと、「協会の標準放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。」ということになつておりまして、この受信契約——受信規約と申しておりますが、その中に共同聽取の設備をいたしました者は、今お話の子の方の設備についても、それぞれ独立した受信設備とみなすという規定を設けておりまして、これによつて受信料を支払うという義務が生じておるわけでございます。
  102. 石川金次郎

    石川委員 今言われた子供の方の設備も受信設備をしたものだという規定は、どこにございますか。
  103. 岡咲恕一

    岡咲政府委員 放送法の施行規則の第五条でございます。第五条に「法第三十二条第一項本文の受信設備には、放送を受信する受信機に連接する受信器及び拡声器を含むものとする」という規定が設けてありまして、いわゆる子の受信機の方も受信設備の中に入るということになつておるわけでございます。
  104. 石川金次郎

    石川委員 そこでお伺いしたいのは、引用されました放送法施行規則の第五条の前の「受信設備の範囲」という点ですが、この条文を卒直に読んで参りますと、三十二条で受信する設備とはこういうものであるという説明を今言われた施行規則の第五条でうたつてその第五条は、放送を受信する受信機に連接する受信器及び拡声器を含む、こう見るべきではないでしようか。拡声器がございましても、それは受信設備の範囲内だ、こう見なければならないのじやないでしようか。これはどうも非常に不明確で、とるべからざるのをとつておつたら問題だし、あるいはほかの方ではこれを見てどうも変だと思うかもしれませんから、そういう御趣旨でなければ、わかるように改正してください。この解釈はどうですか。
  105. 岡咲恕一

    岡咲政府委員 施行規則の第五条は、石川先生のお述べのような多少疑義をさしはさむ余地がある点は、私ども認めざるを得ないと思いますが、受信設備になるのであるという趣旨でございまして、放送を受信する受信機に連接してある受話器とか拡声器も「それぞれ受信設備である。言いかえれば、親受信機の中に包含された一箇の受信設備となるという趣旨ではございませんで、むしろ法律の言つている受信設備に該当するのであるという趣旨でございます。従いましてこの第五条を受けまして、放送協会でおつくりになつております受信規約の中には、他の受信設備に連接して、受信の用に供される受話器、拡声器は、それぞれ一受信設備とするという規約をお設けになりまして、それぞれ独立して受信料を払う義務を生ずるということになつているわけでございます。
  106. 石川金次郎

    石川委員 この放送法で定めました規約そのものが変なのでお伺いしているのです。岡咲さん、これはそう読めますでしようか。あなたは学者として私は非常に尊敬しているのですが、そう国民に読ませるためにお書きになつたでしようか。放送法施行規則第五条に、第三十二条の受信設備をといつて、あなたの方で註釈までつけて、受信設備の範囲を言つて、受信設備にはこれこれを含むものとすると書いてございますがどつちが日本人らしい読み方でしようか。ちよつとひつぱつて行つたものまでも受信設備だ、こうお読みになることが、国民に法律家として丁寧な態度でしようか。私は岡咲さんからかような御答弁を聞くことは、私の無学のぜいでしようが、意外に存じます。日本語ではどうもそう読めません。これはもう一度お考えになる余地はございませんでしようか。
  107. 岡咲恕一

    岡咲政府委員 石川委員の該博な御経験及び法律に関する知識に対しましては、私は非常に敬意を持つているものでございまして、第五条の条文を読みますると、あるいは石川委員の御解釈になるような解釈も、必ずしも無理とは考えない次第でございますが、少くともこの五条を制定いたしました私どもの気持は、いわゆる受信設備として取扱われるのである。言いかえれば親受信機の中に包含されて、独立のものではないという趣旨ではございませんで、第三十二条に言つているところの受信設備に該当するのであるという趣旨を表わすつもりで、かような規定を設けたのです。確かに御指摘のように、表現の点において多少適切でない点があることは認めまするが、私どもこれを規定いたしましたものの趣旨とするところは、それぞれ受信設備として取扱われるものということを表わさんためであつたわけでございます。
  108. 石川金次郎

    石川委員 放送局理事者の方にお伺いいたします。皆さんは最高の教育を受けておられるのでありますから、その読み方についても十分御研究なさつたでありましようが、第五条を今岡咲さんのおつしやつたようにおとりになつて、あなた方の規約を御決定になつたのですか。そう読まなければ、どうしても日本語として読まれないのでしようか。私と岡咲さんとの読み方で、どつちが日本語として一般にわかるのにわかりいいものでしようか、それをお聞きしたいのです。そうしてもしみんな国民がこれをそうお読みになるのならば、私だけばかな読み方をしておるのですから、それでよろしいのです。日本語の条文というものはこういうものだ、こうおつしやればそれでもいい。そうして確定するのは別な方法で確定しようというのなら、それでもよいのです。その点いかなる方法をとつてくださいますか、あなた方の御見解を承りたいと思います。
  109. 岡部重信

    岡部参考人 この法律の解釈につきましては、私どもとしましては、やはり電波監理委員会の権威ある機関の解釈を尊重というとおかしいかもしれませんが、その解釈によつて事業運営しておりますので、私も法律家ではありませんので、ここで法律論を申し上げる資格がないことはおわびしなければならぬと思います。権威ある機関の解釈というものによつて、私どもは受信機やその他を作成しているようなわけでございます。
  110. 石川金次郎

    石川委員 そうですかどうしてもそうなりますか、それでは私かないませんから、私の質問はこれで終ります。
  111. 田中重彌

    田中委員長 田島ひで君。
  112. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 古垣さんは先ほど講和後の協会の構想を述べられました中に、海外特派員を出したいという御意向がございましたが、現在どこかに出しておられますか。
  113. 古垣鐵郎

    ○古垣参考人 ただいまのところは海外に出しておりません。
  114. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 そういたしますと、今後どの辺にお出しになる御予定でございますか、お聞きしたいと思います。
  115. 古垣鐵郎

    ○古垣参考人 考えといたしましては、将来ヨーロツパとアメリカにそれぞれ特派員を出したいと考えております。
  116. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 それは今年度の予算の中で、その費用が組まれておりますのかどうか。もう一つモスクワにも同時にお出しになるのかどうか。といいますのは、最近共同通信は特派員をモスクワに出すことを決定しておりまするし、朝日も現在申請中だと聞いておりまするが、NHKとしても当然特派員の派遣を要請されるものと思いまするけれども、その点とあわせて二つのことを伺いたいと思います。
  117. 古垣鐵郎

    ○古垣参考人 私はただいまヨーロツパとアメリカに派遣したいと申しましたのは、ヨーロツパに派遣するといたしますれば、その国際情勢等に照して、順次その特派員が、單にモスクワばかりでなくして、ほかのところもカバーするということを考えておるわけでございます。
  118. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 そういたしますと、モスクワの方には今のところ出す予定はないという意味でございますか、そういうお考えを持つておられませんか。ヨーロツパといいますのは、西ヨーロツパですか。それから先ほどお尋ねしたその費用が、今年度の予算の中に組まれているかどうかということについて、御返事をいただきたいと思います。
  119. 古垣鐵郎

    ○古垣参考人 お答えいたします。ヨーロツパに特派員を出すというのは、必ずしも單数ではありません。ヨーロツパの必要な地に送るということでございます。それから予算はちやんと組んでございます。
  120. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 もう少しはつきりその予算はどこの項に組まれおるのか、向うにお出しにならないのか、なるのか、そういうことを考えているのか、いないのか、その点もう少しはつきりおつしやつてください。
  121. 古垣鐵郎

    ○古垣参考人 共同及び朝日新聞におきましては、いろいろ先方の方からの交渉があつたというように聞いております。NHKの方ではまだ何もそういうようなことはございませんが、決して出さないという考えもありませんし、今出すという考えも決定いたしておりません。ヨーロツパ、アメリカ特派員を出すということをきめ、詳しいことは追つてその国際情勢の必要性に応じて出したいと思つております。なお予算放送費の番組編成費の中に組んでいる次第でございます。
  122. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 次に放送番組のことについてですが、先日ある家庭婦人から、放送番組の中の特に婦人の時間、それから解説の中で世界の危機というような中で、再軍備を謳歌するような放送をなさつた。これを聞いた御婦人が非常に心外にたえないということを私に申されたのですけれども、そういうような内容番組は、責任をもつてやはりお組みになつていられるのかどうか、その点をちよつとお伺いしたいと思います。
  123. 古垣鐵郎

    ○古垣参考人 ただいまの御質問の中に、再軍備をあふるというようなお話でございましたが、放送協会方針といたしましては、決して再軍備をあふるというようなことを方針といたしてはおりません。できるだけ客観的に不偏不党にニユースを取扱い、解説も主張でなくして、内外の情勢を解説するというようなことを方針といたしております。ただ部外から講師の方が出て放送される中で、お聞きになる方の中には、それを再軍備をあふるというようなことにおとりになる方もあるかと思います。またそうでないとおとりになる方もあるかと存じます。ただいまの田島委員の御注意は、放送協会が再軍備をあふるという方針ではございませんから、一層よく注意をして参りたいと存じます。
  124. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 会長のお答えで、確かに会長は御存じなかつたのだろうと思いますが、おそらく今後いろいろ国際情勢の微妙な点からいたしましても、現に国内に軍隊マーチというようなものが公然と町にあふれ出したような状態になつておりますときに、放送局でもそのような放送がされないとも限らないと思うのです。その点につきまして、戦争を放棄した日本といたしまして、平和のために放送番組を十分監視なさるような御方針があるかどうか。同時にまたこういう問題は、放送法の中に戰争放送を禁止する項目を加えることが必要ではないかと思いますが、そういう点についてのお考えがあるかどうか、また放送法を改正なさるような意思がおありかどうかを、電波監理委員会からも御返答いただきたい。
  125. 古垣鐵郎

    ○古垣参考人 ただいまの御注意の点でございますが、その点も新しい年度の放送方針として、一層充実して、しつかりやつて行こうということになつております。たとえば番組の面において、審議機関充実するというような点も、ただいまのお話のような点などについて、ことにこの重大なときに際会しておる日本公共放送を受持つ責任といたしまして、一層ニュースの公平、あるいは解説を不偏不党にやるということに責任を持つて努力して参りたい、こういうような考えでおります。
  126. 岡咲恕一

    岡咲政府委員 田島委員のお尋ねの御趣旨はよくわかりませんが、将来おそらく放送法を改正することもあろうかと思いますが、現在は今ただちに放送法を改正しようとは考えておりません。
  127. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 放送番組に関連いたしましてもう一点、先日お尋ねいたしましたのですけれども国会討論会に共産党を除外しておる点、これが政治的公正の立場だという御返答をいただきました。放送法の第一条によりましても明らかに不偏不党、放送内容の公平を期するということがこの目的になつておりますから、まあそういうお答えでもつて共産党を除外したと申されるのかもしれませんけれども、これは明らかに詭弁でありまして、今後もこの方針をはつきりおとりになるのかどうか、あるいは公党として共産党の国会議員を今後お入れになる意思があるかどうか、その点会長の御返答をもう一応お伺いいたしたい。
  128. 古垣鐵郎

    ○古垣参考人 ただいまの御質問にお答えいたします。国会討論会はその週間における国会の動きを国民に解明いたしますのがねらいでありまして、各党の政策討論会というふうには考えておらないのでございます。従いましてその週間のおもな動きにつきまして、重要な役割を演じられた政党の代表者の方々に御出席をお願いいたしまして、今日まで実施しているのでありまして、しかも公正を期します上から、與党、野党の方々それぞれ二名ずつ出席していただくということにいたしております。
  129. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 国会討論会の内容を私はお伺いしておるわけではございませんけれども、そう言われると問題が非常にややこしくなります。重要な案件について国会審議した政党の代表と言われますと、まるで共産党は遊んでいるように言われるのですが、そういう立場でお考えになれば、共産党も何回かお出しになるのが当然だろうと思います。あなたの説から言つても当然だろうと思いますが、今後そういう点で、お出しになるつもりがあるかどうか、それともお出しにならないのかどうか。何か出せなかつたような理由があるのかどうか。
  130. 古垣鐵郎

    ○古垣参考人 先ほども申し上げました通りに、公共放送としてのNHK番組は、NHK自体において自主的にこれを編集しておるのであります。国会討論会につきましても、その週間に国会において審議されました国民全体に関係のある重要な問題につきまして、最も深く関係せられた方々の中から御出席を願つているのでございまして、特に何党であるからお出と、何党であるからお出ししないということはございません。
  131. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 言葉じりをつかまえるわけではありませんけれども、そういたしますと、共産党は大分長い間重要な国会内の問題に関與しなかつたという御見解なんでございますか。そういう御見解を今後もおとりになるのかどうか。
  132. 古垣鐵郎

    ○古垣参考人 決してそういう見解ではございませんが、われわれが編集権を託されて知りますので、その週の重要な問題の動きを、中正穏健な立場から見ながら組んでおるのでございます。現に過去において共産党の方がお出になつたこともある。別に何党であるからお出ししないというようなことはございません。
  133. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 ずいぶん過去には出ましたけれども、最近何年間か、おそらく共産党は出ていないと思います。先日も私は東大講師の吉田さんの評論をここで読み上げましたけれども、共産党の代議士が出なくなつてから非常に興味がなくなつたというような意見を述べておられる。共産党の国会議員も、国会で政治に關與したことについて、公共放送であれば招くのは当然であろう。今後お招きになるお考えはありますかどうか。今後の御方針をお聞きしたいと思います。
  134. 古垣鐵郎

    ○古垣参考人 繰返して申し上げるようでございますが、NHKといたしましては、内部からも外部からも番組編成につきましては独立自主の立場をもつて組んでおります。それで繰返して申し上げるようですが、決して何党であるからお出ししない、何党であるからお出しするというようなことはございません。それだけをお答えしておきます。
  135. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 あまりくどく申しませんけれども、いつだつたか古垣さんは、放送番組は自主性を持つているけれども、占領下だからまあ御想像くださいというような御返答を私は得たと思う。おそらく占領下で相当の自主性も失われているということは、これはだれが見たつて明らかでありますから、今まではそういうような立場をとられたかもしれません。少くとも今後独立国家だと言われますならば、ほんとうの意味の自主性を持たれて、共産党の代表をも十分討論会にお出しになることを私は希望しておきます。  次に、テレビジヨンについて先ほど御説明がありました。直接この予算には関係ないかもしれませんけれども、一、二点だけお尋ねしたい。NHKがもう十年以上もテレビジヨンの問題も相当の費用をかけて研究なさつて、あすからでもこれを実際に移すことができるという御説明でございました。その研究内容は、私も専門家でありませんからわかりませんけれども、つまり七メガサイクルといわれております。その七メガサイクルを中心にしてNHK研究なさつて来たというふうに考えておりますけれども、そうなのでございますか。それともどちらでもできるような立場研究なさつて来られましたのか。その点をひとつ……。
  136. 古垣鐵郎

    ○古垣参考人 テレビジヨンのことについての御質問にお答えしますが、ただいま実験放送をいたしておりますのは六メガでございます。
  137. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 そういたしますと、先ほどの古垣さんのお話はたいへん自信のおありになる御説明でした。NHK研究なさつた技術でもつて、そうしてNHKの財源でもつて、もしNHKに許可が来たとすれば、十分テレビジヨン日本普及できるとお考えになるのかどうか。
  138. 古垣鐵郎

    ○古垣参考人 テレビジヨンについての先ほどの御質問にお答えいたしましたことで盡きておると思いますが、私どもとしましては、豊富な人員、経験、また施設を擁しておりますから、もし許可がおります際は、責任をもつて全国普及する確信をもつてテレビジヨン実施いたしたいと考えております。
  139. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 私がこのことをお聞いたしますのは、テレビジヨンの標準方式とかあるいは許可をめぐりまして、現在日本テレビジヨン放送株式会社というものができておりますが、アメリカからの白黒式の機械が入つて来るということもいわれております。この委員会でもある委員のように、アメリカ技術日本技術よりもずいぶん進んでいる。日本技術はそれに及ばない。だからとにかくいろいろの標準方式があるけれども、現在のアメリカの標準方式を持つて来て、それでアメリカ技術日本に入れてやれば、日本のためにもよいからということで発言をしておられる方がありますが、そういう技術及び機械が日本に入りましたとき、それに対抗してNHKは御自分で研究なさつた技術なり、先ほど申されましたいろいろな財源、人員とかによつてつて行けるのかどうか、あるいはNHKはやはりアメリカの機械なり技術——これは一種の外資導入という関係になると思いますので、これは重大な問題だと思うのですが、やはりそれを受け継いでおやりになるつもりなのかどうか。私ども日本技術が多少遅れておりましても、今後の科学の進歩は、これまた日本人自身の手によつて研究されれば、どんどん進むということも考えられますから、多少アメリカより遅れていても、日本人の手によつてなされた技術日本普及したい。外資導入の形で技術やら機械を日本に入れるということは、現在の日本として重大な問題だ、そういう観点から私はお聞きしておるのでありますが、先ほど私の質問した点について、十分自信をお持ちになるのかどうか。いずれ別な機会に当委員会テレビジヨンのことは問題になつて、詳しい論議が重ねられると思いますから、今日はその点だけをお聞きしておきたいと思います。
  140. 古垣鐵郎

    ○古垣参考人 この問題については、岡部参考人からお答えいたしたいと思います。
  141. 岡部重信

    岡部参考人 テレビジヨン普及につきましては、特殊の部品はやむを得ずこれを輸入にたよるということも考えておりますが、先ほども申しましたように、国内産業の振興という点から考えまして、やがては特殊の部品を輸入したものを基礎としまして、国内でも供給するようにならなければならぬ。その意味合いにおきまして、これを輸入して行く。なお必要な技術というものについては、欧米の技術を十分取入れてやることは当然でございますが、現在まで研究した技術の基礎というものにつきましては、過日の委員会におきましても、網島電波監理委員長が、基礎なきところに技術の導入はないというふろにお答えがあつたように記憶しておりますが、現在まで多年研究して来た基礎の上に立つて、それらのことをやつて行くつもりであり、また十分やつて行ける、かように確信いたしておる次第であります。
  142. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 この問題に関連いたしまして、電波監理委員会にお伺いいたしますがテレビジヨンをめぐつて非常にいろいろのうわさが飛んでおります。最近電波監理委員会をおやめになつた方の問題につきましても、ある外国の圧力によつてやめられたということを私どもは聞いたことがあります。そうような事実があつたかどうか。お答えになれるこどうか知りませんけれども、その点の御返答を得ておきたいと思います。
  143. 岡咲恕一

    岡咲政府委員 私の存じております範囲においては、田島委員の今御指摘になつたような事実は全然ございません。
  144. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 おそらくおつたという御返答はおできにならないだろうと思いますから、このことはこれ以上は聞きません。同時にテレビジヨンの問題につきましても、先ほど申しましたように別な機会に詳しくお伺いすることにいたします。これは最近非常に早く許可せよという委員会からの発言もありまして、非常に重大な問題ですから、日本放送協会としてもこの問題については十分の関心をお持ちになつて、ただいま申されましたように、日本の民族的な産業を振興するという立場から、テレビジヨンの問題についても考えて行かなければならない。この点を希望いたしまして、私の今日の質問はこれで打切ることにいたします。
  145. 田中重彌

    田中委員長 次は長谷川君。
  146. 長谷川四郎

    ○長谷川委員 岡咲さんにお伺いいたしますが、先ほど論議の中心となつた問題、すなわち電波法放送法というものの中に非常に疑義があることをあなた自身が感じておられると思うのであります。そこでお尋ねしたいのですが、現在の放送法の条文を拡充する必要があると思うかいなかをお伺いしたのであります。
  147. 岡咲恕一

    岡咲政府委員 電波法放送法を、私は電波監理委員会委員の任命を受けて初めて検討いたしたのでありますが、非常によくできておる法律だと考えております。もつとも電波法につきましては、ただいま長谷川委員の御指摘のように、多少不明瞭な点、あるいは運用上少し無理ではないかと思われるような点もございますので、航空法案の国会提出も近いのでございますから、電波法の一部を改正する法律案を目下検討中であります。放送法につきましては今の段階においては、特に改正を必要とする点を認めませんので、今国会には放送法の一部改正法律案は準備いたしておりません。
  148. 長谷川四郎

    ○長谷川委員 先ほど放送法の条文の中に疑義があると指摘されたのではなかつたのですか。それであるならばあなた自身が疑義があるとお考えになつたのだから、それを一部改正する必要がないという考え方はどうかと思いますが、いかがでしようか。
  149. 岡咲恕一

    岡咲政府委員 先ほど石川委員の御指摘になりましたのは、放送法の施行規則であります。放送法施行規則第五条の表現がやや不明確で石川委員の御指摘のような点のあることは私も認めざるを得ない次第でありますが、その基本法であります放送法第三十二条につきましては、現在の段階では特にこれを改正しなければならないような点があるとは考えておらない次第でございます。
  150. 長谷川四郎

    ○長谷川委員 先般来岡咲さん自身がテレビというものを早急に行いたいのである、行うのが私たちの使命でございますという御答弁をなさつております。そのテレビに関連しまして、今の放送法をそのままであなたは持つて行ける、おつもりでございますか。
  151. 岡咲恕一

    岡咲政府委員 放送法の解釈問題になりますが、放送法の中で言つております放送の中に、テレビ放送も私はもとより含まつていると解釈いたしております。日本放送協会がテレビ放送を本格的に実施するために、法律の改正が必要であるかどうかという点につきましては、私個人としては意見がございますが、目下電波監理委員会におきまして愼重検討中でございますので、その検討の結果によりましてお答え申し上げたいと思います。
  152. 長谷川四郎

    ○長谷川委員 放送法、つまり電波法を見ましても、あまねくというのが法の精神である。こういうことにつてなおれば、NHKと言おうと放送協会と言おうと、それは優先して許可をすることは当然だとあなたは考えているでしようし、私たちも当然だという考えを持つている。そういうことになつて来ると、商業放送というものはどうなのだという考え方、あまねくという精神から行くならば、当然料金というようなものもそこに入つて来なければならない。そういうことから考えて行つて、当分この放送法を直す必要がないようにも感ずるという、非常にここのところが不可解ですので、もう一度御答弁してください。
  153. 岡咲恕一

    岡咲政府委員 放送法の第七条には、ただいま長谷川委員の御指摘のように、日本放送協会目的といたしまして、公共福祉のためにあまねく日本全国において受信できるように放送を行わなければならぬことになつておるのでございますが、この第七条によりまして、日本放送協会民間放送より優先してテレビ放送をしなければならないという結論は出ないと、私は解釈いたしております。
  154. 長谷川四郎

    ○長谷川委員 そういたしますと、あまねくという精神は、たとえば商業放送にいたしますと、都市偏重というようなことになりはしないかという憂いもございますし、あなたは日本のつまり電波数というのですか、それに対してはもう限定されているのだというようなこともお答えになつている。そうすると、たとえばこれを幾つも幾つも日本国内にたくさんの許可をしなければ、あまねくの精神を貫くことはできなくなりはしないか、こういうことから私は心配しているわけですが、その点について岡咲さんは、そういう商業放送を幾つも幾つも許可して、あまねくの精神を貫くという御意見でございますか。
  155. 岡咲恕一

    岡咲政府委員 民間放送につきましては、日本全国においてあまねく受信できるように放送しなければならないという規定はどこにもありませんし、私どもは必ずしもさような広汎な、しかも非常に費用のかかる機構というものを、民間放送に求めなければならないとは考えておりません。日本放送協会がまさに負担する国家的な使命である、かように考えます点におきましては、長谷川委員と全然同感でございます。
  156. 長谷川四郎

    ○長谷川委員 それでいくらか話がわかつて来たようでございますけれども、いずれにいたしましても商業放送は広告料金というものを財源として運営されている。公共放送の場合は、国家が当然負担しなければならないという段階にあるのですけれども、それが財政上なかなかでき得ない。そこでまず受信者の負担にしている。一千万人に近い受信者がありますのに、現在では国家負担はしていない。そこで商業放送をさせる場合に矛盾というものが考えられるということは、今の岡咲さんの御答弁でややわかつて来るのだけれども、私はあまねくという精神をあくまで貫かなければならない、これよりほかに何ものもないのでございます。私は別にNHKと親威でもなければ、また役員でもない。NHKにやらせようとどこにやらせようと、そんなことは私の知つたことではない。それはあなたの方の考えで進むべきことですから、そういうことに関連しているのではない。あくまでも私は日本国中あまねくの精神をもつて文化普及を行いたいという気持よりほかに何もないから、今一言申し上げたのでございます。  それについて法案の問題ですが、いずれにしても料金をとるようなことになれば、当然この法案にも入れなければならないと思うのですが、それは入れなくてもそのまま現行法案で行けるのかどうかということを伺いたいのでございます。
  157. 岡咲恕一

    岡咲政府委員 放送法の改正問題につきましては、現在電波監理委員会で検討中でございまして、私個人としては意見を持つておりますが、個人の意見を表明いたすことはむしろ遠慮いたした方が適当ではないかと思います。放送法の改正が必要であるかどうか、ことに日本放送協会がテレビ放送をいたすということになりますと、放送法を改正すべきではないかという御意見は確かにごもつともな御意見でございまして、その点目下慎重に検討いたしておりますので、検討の終るまでお答えを留保いたしたいと思います。
  158. 長谷川四郎

    ○長谷川委員 もう一つお伺いしておきたいのですが、放送法を制定する当書は、テレビ放送というものは予想だけであつて、現実の問題としては取上げられておらないということは事実でありましよう。そこで何か不備な点があると思うのならば、これは一日も早く是正しなければならないし、またたとえば放送協会に許可するしないは別問題として、許可申請をして来たものに対して、平等なる立場においてあなた方の方でこれを認可するとかしないとかいう問題になるならば、私はこの点についても訂正しなければならぬと思うし、さらにラジオ・コードの問題もございますし、またテレビジヨン無線局の許可期限、こういう問題もおのずから生れて来ると思うのでございます。それで私はなるべく一日も早くその方に進んでもらわなければならないのではないかという考えでございます。そこで許可云々という前に、今国会中にこれにあなたの方で御意見があつて、そうして今研究中であるとか、あるいわ出す考えであるとかいうくらいなことは、お答えが願えるのではないかと思うのでございますが、その点はいかがでしようか。
  159. 岡咲恕一

    岡咲政府委員 目下検討中でございしまて、今国会に必ず提案するということをはつきり明言いたすことは、現状におきましてはちよつと無理かと思います。
  160. 長谷川四郎

    ○長谷川委員 どうもそこのところがまだおかしい。前に椎熊さんの御質問に対して岡崎さんは、いつごろには出すのだ、このごろには許可したいのだという御意見を十分にお述べになつておいて、あなたの今の御答弁で、出すか出さないかわからないというようなことでは、あなた自身非常に矛盾があるとお考えになりませんか。私はそこがふしぎではないかと思うのです。当然これは改正しなければならない点があるので、今検討中だからこの国会に出すのだということをはつきり言つてもらつた方がよいのではないでしようか。ひとつはつきりした御返事をいただきたい。
  161. 岡咲恕一

    岡咲政府委員 私個人の見通しなり見解でございますならば、もちろんはつきり申し上げることができます。これは非常に重大な問題でおりまするし、委員会で検討中でございますから、委員会が決定いたしましたその結論を申し上げるのが適当な行き方かと私は考えております。前会でございましたか、網島委員長からもお答え申したと思いますが、日本放送協会がこの放送法に基きましてテレビジヨンの申請をいたすということは、もちろん妨げないと私は考えております。のみならず、もしも私どもが定めます基準並びに電波法放送法規定に合致いたしておりますならば、日本放送協会テレビジヨン申請に対して予備免許を與えることも、もちろん妨げないと思つております。但し放送法の改正がそのときに必ず伴わなければならないかどうかという点につきましては、私は多少の疑問を持つております。個人的な意見を申し上げますならば、放送法の改正をいたした方がよろしいであろうとは思いますが、放送法を改正しなければ、日本放送協会にはテレビジヨンの免許をやれないものと断定いたすことはいかがかと考えております。
  162. 長谷川四郎

    ○長谷川委員 許可をするしないは別問題といたしまして、許可をするために何かこれに対してあなた方に支障があるのではないか、たとえばこういうような法案の一部にひつかかるから、これをもつて放送局にはさせないのだというようなお考えも、当然ないとは言い切れないと思うのでございます。そこで先ほども言つた通り、あなたのお気持通りあまねくという精神にのつとつて許可するのだというならば、やはり私は早急に出していただいた方がよいのではないかと思う。しかし許可してからもまだ相当時間があとあるのだから、その間に十分考慮して、そうしてよりよい法案をつくるのだという御意見なら、またそれもしかりだと思いますが、そういうお気持でございますか。
  163. 岡咲恕一

    岡咲政府委員 ただいま長谷川委員の御指摘の点は、私どもも非常に問題といたしておる点でございまして、もちろん検討いたしております。私個人の意見ならば、それに対してただちにお答えができる次第でございますが、やはり委員会としてのお答えをすべきものと思いますので、委員会で検討いたしました上、適当な機会にその点を明言いたしたいと思いす。
  164. 田中重彌

    田中委員長 他に御質疑はございませんか。——本件に対する質疑の通告は他にありませんので、これにて質疑は終了いたしたものと認めます。  本日はこの程度にとどめ、次会は明五日午後一時より行うこととし、にて散会をいたします。     午後五時五十四分散会