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1952-04-15 第13回国会 衆議院 通商産業委員会公聴会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年四月十五日(火曜日)     午前十時二十九分開議  出席委員    委員長 中村 純一君    理事 中村 幸八君 理事 山手 滿男君    理事 今澄  勇君       今泉 貞雄君    小川 平二君       神田  博君    小金 義照君       土倉 宗明君    永井 要造君       福田  一君    南  好雄君       村上  勇君    佐伯 宗義君       高橋清治郎君    橋本 金一君       加藤 鐐造君    八百板 正君  出席公述人         東京電力株式会         社社長     安蔵 弥輔君         日本化学工業協         会会長     原 安三郎君         富山県知事   高辻 武邦君         住友共同電力株         式会社専務取締         役       吉田徳三郎君         東京商工会議所         理事      田中 東馬君         日本ペインテイ         ング株式会社取         締役      青木  勇君         主婦連合会組織         宣伝部長    吉田 静子君         日本産業再建技         術協会理事長  久保田 豊君         新潟県知事   岡田 正平君         福島県知事   大竹 作摩君         全日本電気産業         労働組合中央常         任執行委員   今井  宏君         日本農民組合事         務局長     大森真一郎君         全国農民組合事         務局長     佐野 正友君         滋賀県指導農業         協同組合連合会         会長      今井熊五郎君         宇都鉄工所取締         役       飯田  務君  委員外出席者         専  門  員 谷崎  明君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 本日の公聴会意見を聞いた事件 電源開発促進法案について     —————————————
  2. 中村純一

    中村委員長 これより電源開発促進法案について公聴会を開会いたします。  開会にあたりまして、本日御出席公述人各位に一言ごあいさつ申し上げます。本日は御多用中にもかかわらず、当委員会公聴会公述人として御出席くださいましたことに対し、委員一同代表いたしまして、委員長より厚く御礼申し上げます。申すまでもなく、本法案わが国自立経済を達成させるため動力源確保という絶対的な必要条件を満たすため電源開発を全般的にかつ急速に促進し、今後の経済発展の基盤を築こうとするものであります。本委員会といたしましては、広く各層の学識経験者及び利害関係者の御意見を拝聴し、もつて本案審査を一層権威あらしめ、かつ本委員会の今後の審査に多大の参考とならしめようとするものであります。公述人各位おかれまては、おのおののお立場より十分忌憚なき御意見を御披瀝くださるようお願いいたします。ただ時間の都合上、公述の時間は一人十五分程度といたしたいと存じます。  なお念のためつけ加えて申し上げますが、衆議院規則の定めるところによりまして、公述人発言しようとするときは委員長の許可を得なければなりませんし、その発言につきましては意見をお尋ねする問題の範囲を越えてはなりません。発言の劈頭には職業と氏名を御紹介願います。  それではこれより公述人各位の御意見の御開陳を願うことにいたします。まず安蔵弥輔君
  3. 安蔵弥輔

    安蔵公述人 私、ただいま御指名の東京電力社長安蔵でございます。今日ここで拝見した公述人の名簿に、電気事業者として、九電力代表東電社長なつて起りますが、私がこれから述べます意見は九電力会社の完全なる代表ではなく、おおむねの意見は申し上げるつもりでございますが、九電力会社全部の一致した意見だというふうに申し上げることができないことをあらかじめ御承知おき願いたいと思います。  今回の電源開発促進法案につきましては、その総則にうたわれているような精神については私は反対をするものではございません。この電源開発促進について議会が取上げられましたお考えについては、私ども電気を預かつている者は、そういう意味においてはごく賛成でございます。私ども去年あのような渇水でいろいろと各方面に御迷惑をかけましたことはあくまでもおわびを申し上げます。と同時に議会方面におきましても、これが改善にいろいろと御心配をいただきましたこともここにお礼を申し上げます。また私どももいろいろ手段を講じまして、石炭確保あるいは外国炭の入手、重油をたく等、いろいろのことをやりました。その結果この渇水期におきましても皆さんに御迷惑をかけることなく無事に過すことができたことはまことに同慶の至りでございます。そしてただいまは幸いにも水がございますので、少しも電力制限はいたしておりません。ネオン・サインまでもつけております。また今後はどうかと申しますと、最近の同じ電源地帯の雪の状態を見ますと、去年よりも大分多うございます。水源地帯の大正池あるいは信濃川方面、越後湯沢の方面あるいは猪苗代の奥の方の檜原湖方面の降雪、積雪量は去年よりも多うございます。でありますからここ当分は去年と同じような電力状態であると思います。大なる制限もなく済むと思いますが、これは一時的の現象でございます。私どもは、電力を使う方にはいつもこれ以上に合理的に使つてください、むだのないようにしてください、浪費をしないでくださいと常にお願いをしておるのでございます。どうしても電源開発を早く安くやらなければならないということは当然のことでございます。早くあるいは安くというのは私どものモツトーとしております。私ども電気代英国及び米国に比較して非常に安うございます。英国米国におきましてははなはだしいのは何倍ということでございます。しかるに私ども産業製品であるものが、国際場裡におきましてはとんとんかあるいは高過ぎるとしております。電力代が安いにもかかわらず、その競争場裡において負けようとしております。まことに情ない状態であります。今後つくるべき電力は当然私どもが今預かつている水力原価よりも数倍も高くなると思います。詳しいことは略させていただきますが、時間があつたらば御説明申し上げたいと思います。私どもはこの法案にあります通り、県その他公共事業あるいは自家用がおやりになることについては賛成であります。どんどんおやりくださらんことを希望しておりますし、私ども現に自家用あるいは公共事業等と話合つてできるだけの御協力を申し上げております。技術的にも、あるいはできた電力をいかに処分するかについても御協力を申し上げております。ただその計画国家的であり、そのできる電気が採算のとれるものであることを注意しているだけであります。ただここで注意しなければならないのは、ただいま私ども追加料金でいただいておるいわゆる火力料金なるものがべらぼうに高い。その単価が五円とか十円とかいいますが、これはべらぼうな話でありまして、これは要するに石炭がべらぼうに高いというところに原因していることであります。従つてこの原因を見合いにいたしましてのみ発電所の改革をおやりになると、将来大きな間違いがありはしないかという懸念を持つておるのであります。水力電気はその固定資産すなわち建設費いかん原価でございます。どうしてもこの建設費が安くなければなりません。その金利とか償却とか税金というものがその原価をなすのであります。でありますからあくまでも原価が安からんためには建設費が安いこと、それから早くやらなければならないというこの二点から私どもはこの法案を批判して申し上げたいと思います。  本案を見ますと、基本計画政府がこれを決定することになつております。大規模地点はその資本は大部分を政府が出すことになつておるわけであります。役員は政府が任命し、すべてできたところのものはこれを電力会社に貸与あるいは譲渡、あるいは電力を売るということになつております。これは電気事業国家統制を廃止いたしまして自由主義化をはかりました去年の五月、私どもが関係することになりました電力編成趣旨にまつたく反するものではなかろうかと思います。私どもはこの電力編成趣旨に基きまして国家に奉公するつもりで経営しているのでございます。このような組織わが国経済統制化を招来するものと思うのでございます。政府企画によりまして、その実施企業性競争による推進力を持たない統制会社が独占的に当ることになります。その資本の調達は、経済的べースを離れた国民税負担に依存するものでありまして、このようなことでは完全なる統制経済であるということができると思います。このような場合におきましては、この経済に対して政治の妨害が入るおそれがなくないかという心配を持ちますし、またこれがため開発が遅れるとか、能率が下るとか、あるいは電力需給責任が不明確となりまして、それがため電気事業者開発意欲を低下するおそれがあるのではないかということを心配いたします。そうして終局的には国民に高価なる犠牲を負わしめるものではないか。しかしこの反面に現在私どもが扱つている電気事業はいかにも弱体であります。御承知通り去年のあればかりの渇水でもがたがたしておりまして、まことに心細いということは事実でございまするが、これは何にしても過去長い間の統制の結果であると私は思うのであります。統制前において各電力会社がいかにはつらつとして開発に邁進し、電力不足という御迷惑をかけなかつた事実がわかるのでございます。これが日発ができ、配電統制令ができて完全なる統制下においての開発に対する活躍はいかがであつたでありましようか。それは御承知通りでございます。私は思うのに、このような巨大なる資本を持つておりまして、社会性の非常に濃厚な事業が、過去の統制から脱却するには相当の摩擦があるのであります。でありますからこのような電気事業が現在置かれております過渡的の悪条件を打破いたしまして、電気事業はつらつたる活動を促進せしむるという点電源開発促進法主眼が置かるべきものと思うのであります。電力開発会社ができまして、これがため開発が促進されるとか、あるいは能率がよくて原価が安くなるとか、資本導入が便利であるとかいうことに私は疑問を持つのであります。自由主義社会におきまして、国営ないし国家統制によつて経済的活動が早くなつたということは、おそらく前にはないと思うのであります。ことに本案のような統制的な会社におきましては、建設企画計画が複雑なる官僚機構通り資金面では予算上の制約もあるだろうと思います。そうしてこれを補うべき民間資金利用も不明確であります。これが実施にあたりましても、会社自体民間の場合のごとく促進することに直接の利益を感じないのであります。簡単に言えばいわゆるお役所仕事でありまして、民営のごとき熱意と創意を期待することは不可能ではなかろうかと思うのであります。かような特殊会社ができまして、電力需給責任、あるいは開発責任が不明確となりまして、現在の電気事業者開発意欲を少しでも冷却し、再編成後の電気事業責任経営体を麻痺するようなことがなかろうかと恐るるものでございます。またこのような形態におきましては不活発、非能率となり、コストが高くなることは当然でありまして、そういう例も少くないのであります。ことに経済活動政治的介入が及ぶおそれがあるようなことにおきましては、建設費はいよいよ高くなろうと思うのであります。政府資金を入れるがためには特殊の会社でなければならない理由はないと思うのであります。私ども現在やつて来ていて何が困つておるかといえばただお金のことだけであります。私どもにこのお金を融通してくださるならば、もつともつと安く早くできるという自信を持つております。ただ私ども一つ会社であります。会社に直接金をつぐことができないというむずかしい法律がございますならば、私ども日本開発銀行、あるいは特別なる金融機関を通じまして、私どもの社債を持つていただくなり、あるいは貸金をしてくださるなりでけつこうでございます。私どもはこれに対して利子の安いことを望みまするが、国民負担になるほどの安ついものを期待いたしません。また税金も特に私どもに安くしてくれろということは申し上げません。しかしながらこの通り建設費を安くし、電力コストを安くしよう、そのために特別の処置を講ずるというならば、現在の電気事業者に対しても同じような処置をいたしてしかるべきだと思います。それから特殊会社があるために、外国資本導入が一層有利であるという理由は私にはわかりません。私どもはこのようなはつきりしないところには、資本の安定を第一義とする外資なんかは望むことはできないだろうと思うのであります。私ども数十年前に東京電燈外資輸入に関係いたしましたが、その当時の資本がいかに臆病であるかということを如実に経験しておるのであります。たとえて申し上げますというと、私ども設備がいかがであるか、詳細に専門の技師が来て調べます。また私ども経営内容につきましても修繕費が出してあるか、出してないか。また修繕費をはたして事実上に使つてあるかどうか。償却はどうか。これも一々現場に当り調べて、しかして後において初めて配当が許されるというふうに、非常に厳格なものであります。このようないわゆる臆病な外資特殊会社に入るとは私どもは考えることはできないのであります。それから電力料金特殊会社がやつた方が安いだろうということも期待はできないと思います。それは先ほど申し上げましたところのコストが高い、これを安くするためには税金を安くする、金利を安くするということだけであります。私どもはほんとうに企業努力によりまして、この建設に当ることに努めておりまして、税金の安い、金利の安いということは少しも期待していないのであります。先ほども申し上げました通り、安いことはけつこうでありますが、国民負担をかけてまでやろうとは考えておりません。それから治水、利水、あるいはその他の水の利用につきまして、総合調節が必要でありましよう。なかなかこれは大事なことでございます。けれども現在の組織でできるものならばこれでけつこうであります。これ以上重ねる場合はすべてを遅延させるという心配があるのでございます。できるだけ現在の政府機関利用なさつてやるべきたと思います。ことにこの基本的計画政府においてやらし、また今回つくるところの特殊会社においてやらせる、そうしてその工事特殊会社にやらせる、あるいはやらせるところの会社を設定するということでございますが、現在の機関でこれができないでしようか。私は十分行い得るものだろうと存ずるのでございます。  結局におきまして、私どもは、諸産業がまかない得るところの程度建設費を下げて、それが要求するところの電源をその規模においてやろうと存ずるのでございます。そうしてこの限度においてできるだけ電力を発生し、できるだけ安くしようとするのでございます。ただ私ども困つておるのは金のみであります。私どもは直接電力需用家と接触し、これと取引しております。従いましてこれの負荷の特性と需用とに応じまして、しかも競争的に能率的に開発を促進するつもりでございます。現に行われましたところの再編成主眼とするところの責任と覚悟をわれわれは持つておるのでございます。たまたま電気事業が九分割されております。従いまして、ある地点によりましては、その会社のみでは応じ切れない場合があります。需給のバランスが一致しない場合もございます。このような地点におきましては、私ども電力会社が間接に協力し、また需用家協力を得て、民営はつらつたる会社をつくり、これでやつて行きたいと思うのであります。ただ資金が問題であります。先ほど申し上げましたところの特殊機関によつてこれをお許し願えれば、特殊会社のごときはなくて済むのではなかろうかと思うのでございます。現に私どもの持つておるところの地点はたくさんございまして、これをやつております。しかしながらこれでは足りないのであります。私どもといたしましては、私ども水利権を持つておる只見川をやりたいと思つております。また十分に研究を尽しておるところの天龍川もやりたいと、ただいま折衝しております。ことに新聞で伺いますと天龍川のごときものも、まず第一に特殊会社で取上げようとしております。私はこれは大いに間違つておると思います。天龍川のごときは、私どもにおいて数十年研究を十分に尽しております。すでに工事方法もどうやつたらよいか、どうやつたら安いだろうかということを研究を尽し、さらにまたもつとよい方法があるかどうかということについてOCIと下話をしておるような次第であります。これを何を苦しんで特殊会社でやろうとするのでございましようか。ただ資金の数百億を御融通くださいますれば、完全にできると信じております。ことにこれには数十年来没頭しているエキスパートがおるのでございます。これを取上げてやろうとは、まことに情ないことではなかろうかと思う次第であります。もうちよつとしやべらせてください。
  4. 中村純一

    中村委員長 簡単に願います。
  5. 安蔵弥輔

    安蔵公述人 私どもの持つているところの水力発電所は非常に安いのでございます。この間再評価してもらいましたその結果、一キロ二万七千円でございます。今後つくるところの発電所は、一キロ十万円内外であります。安いと吉つたつて八万円か九万円でございます。これに対するところの金利その他を合せましても、私ども固定支出だけで一割三分六厘、金利が一割、償却が二分、固定資産税が一分六厘、合せて一割三分六厘、これはどうしても負担いたします。十万円ならば、一割三分六厘というものは、毎年発電所が動こうが動くまいが一万三千六百円であります。一キロ一年にどれくらい出ますかというと、四千五百キロワツト・アワーであります。四千五百キロワツト・アワーということは、一キロ今申し上げました金利だけで三円かかります。私どもが持つておるところの発電所は、先ほど申し上げました通り二万七千円がベースであります。これと十万円とは何倍か違うことは数字上はつきりいたします。それでございますから、私どもはこの会社ができても、決して安いものではない、現に私ども持つているところの発電所電気欧米に比較して非常に安い、しかもその製品欧米に負けがちであります。これは電力原因でないことは申し上る通り、ますます電力代が高くなれば、産業発展はなかなかむずかしいということを申し上げておきます。御謹聴ありがとうございました。
  6. 中村純一

    中村委員長 次はお急ぎの御都合があるようでございますから、原安三郎君にお願いいたします。
  7. 原安三郎

    原公述人 御通知によりますと、十五分ということになつておりますが、きつかり十五分ですか。
  8. 中村純一

    中村委員長 大体十五分程度でお願いします。
  9. 原安三郎

    原公述人 この問題は八千万の国民全部が関心を持つておる大きな問題で、一番われわれが遺憾と思つておるのが、この問題が、経済上の問題というよりも政治上の問題と化しておる。終戦後六年半の長きにわたつて、経済上の要求として盛り上つておるにかかわらず、実行されておらぬ。元来電力の問題は、すでに五年間というもの、終戦後の六年を加えると十一年間ほとんど開発されなかつた。あるいは停頓に近い状態に置かれておつたというわけであります。昭和五年のころが水力電気設備として二百七十九万八千キロあつた。このころ私もこの問題の下働きをした一人でありますが、この計画者は、福沢桃介山本条太郎、現存の松永安左ェ門、この三人が考えておりましたことは、二十年後には一千キロ新しく開発する、すなわち千二百八十万キロワツトの設備を持つのだと、こういうふうに考えておられた。それが二十五年になる現在、まだ六百万キロ余りの水力電気設備しかございません。その点から考えますと、そのときの希望の約半分が到達されておる、こういうことであります。それは約十年間ほとんどストップしておりました。すなわち発電会社のごときはございましたが、開発専門であつたにかかわらず、大きな電力、すなわち一箇所で大量の発電をする地点だけを開発したということになりまして、ことに自家用発電を全部発送電会社に吸収した。そうして自家発を許さなかつたという、実にひどい政策の現われが長く続いておつたということであります。戦争中やむを得なかつたと言いますが、やむを得ないじやない、その点で大きな失策であつたと思います。それを終戦後は何とか取返したいと私考えましたが、たまたま私はその後は電力を使う方の側にまわつて、建設促進の方をやつておりませんでしたが、今日この場合、もう少しもこの点について右顧左眄する必要はない。あらゆる手段開発を急いでいただきたい。計画などは相当立つておるにかかわらず、実行これに伴わないということは、まつたく残念な次第でございます。そこで電源開発促進法案を拝見いたしましたが、その前に基本方針のことについて、並びに私の希望を申し上げまして、そのあとでこの法案についての意見を述べたいと考えます。十五分は、いわゆる十五分以上かかると思うことを御承知を願つておきたい。  そこで基本方針としては、前申し上げたことではつきりわかつております。まつたくこれをあらゆる面から促進するよりしかたございません。すなわち既設電力会社はもちろんすでに水利権を持つておりますから、これをできるだけ実行しなければならぬこと、また今公営事業をやつておりますが、この面ではもちろんやらなければなりませんが、もう一つ自家用、この問題は——自家発電はずいぶん長く押えられておりましたが、これは自由になりました。自家発電はそれぞれの個個の発電力は少うございまするけれども、これは一つ一つの生産につながつておりまして、その電力利用して即製品をつくることができまするので、経済的基礎を持つておるものでございますから、それが一番大切なことでございます。これをとめておつたということが、日本電力発展を非常に遅らせた、こういうことでございます。すなわちセルフ・インヴエストメントを基礎として八千万国民が考える開発が一番早いのです。でありますから電力開発するという面では、責任者が多くいる方がいいということは端的に言えると思います。その点から現在の電力事業をやつておられますところの既設の九つの配電会社、それから公営をやつておられる方は、幾らか経営上の問題はございまするけれども、まずこれは一応解済しないで、すぐその県、その奧にあるものをどんどん開発してやることはけつこうです。とにかく今は急ぐのです。自家用の方は、できるだけ今製品をつながつて完全な計算に合う開発をしていただく、この点から促進する。これは電力開発基本方針であると思います。しかしながら一番大切な問題は資金の問題です。かりに電力日本全体の資金を動員しましても、あまりこれに集中した結果他の産業を萎靡せしめることは、この十数年間電力を萎靡せしめたと同じ結果も参りますから、その間の調整ははなはだ困難ではありますけれども、やはり調整しなければならぬ。まず現在の御方針けつこうだが、ただ実行これに伴わない、そこを実行していただきたい。こんなふうに考えるのが私の希望するところであります。もつともその資金の求め方は、まず国内によるよりしかたがないと思います。次いで国内の他の産業に非常な圧迫を加えないこと、ある程度圧迫はいたし方ありません。電力開発伴つた産業の伸展をはからなければなりませんけれども電力だけできて産業は起らない。ただ公衆用電気をつけたり、電車を走らせたりするということのみに電力を使うのは——これもパブリツク・ユーテイリテイのためにはけつこうでありますが、やはり日本産業用に電力を使うということが主になりますから、これとにらみ合せて産業開発をはからなければなりません。あまりにこの面に集中することは考えものだと思いますが、その面の調整が大切だと思います。その面から資金の吸収をしていただいて、その次に外資です。これは外資と並行してもいいのですけれども外資はこの数年間心得ても入りません。これには理由があります。外資導入というものは、ただ単に電力開発する、日本電力が足らないから、ときどき切れるから、国民は十数年間電力開発を、ほんとうの電力需用のふえ方に伴つてやつていないから、急にやりたいのだ、こういうことを海外の投資家に話しても感じません。海外の投資家は、それがいかに使われて、その使われた電力がいかなる製品なつて、そしてそれがどんなふうに電力建設に使つた借金、外資あるいは外債を償却し得られるか、こういうことがはつきりされなければ金を貸す理由がない。これは金を貸すという立場から言えば、日本人でも、外人でも、人間の本能として同じです。でありますから、金貸しはその点においては普通人よりももつと厳格な基準を持つております。それを従来の日本のやり方では電力をつくり、五、六年間なりあるいは十年間なりに返し得られるだろう、だから貸してもらう方法があるだろうというような、だろうだろう主義でやつておりますから、これはとんでもないものになる。むしろ自家用が十万キロの電力をつくるとして、アルミニウムをかりに年産五万トンつくる、それは二年間に建設も終り、生産もできる、それによつてこれがどんなふうに処分されて、その結果電力に対する償却が十年とか十五年でペイ・バツクすることができるというふうに、製品につながるその電力を使つて製品ができるという場合には、おそらくそのアルミニウムをつくる設備に対する外資導入できましようし、その基本になるべき電力の新施設に対しても許されることです。こういうふうに行かなくてはならぬから、むしろ現在考えられている自家発電の五千キロ、三千キロの方がまとまると、金融の目的になるのではないか、あるいは海外から資本を入れることに役立つのではないか、これがもし大きな数字であれば、なお楽に入る、そういうふうに考えております。でございますから、基本方針としてはあらゆる部面、現在働いておりまする電力事業会社及び府県の公営事業、私の事業、こういう方面事業者はできるだけこの仕事を進め、資金の獲得については各自できるだけの努力はされようとは思いますが、これは国家の支援を得るにあらざれば、このわくのつくり方にすでに調整上相当困ることがございますから、国内資金の獲得にわくをつくり、あわせて外国資本導入には、今申しましたように仕事とつながるその電力を使つて何ができるか、その結果を出して、何年間に完済ができるかということを示して、外資の獲得に進まなければならない。それに対する数字は、仕事をしている者全体、すなわち事業に従事している全体の電力事業者が電力を供給する面だけからただ簡単に考えているだけでは基礎づけが十分でございませんから、電力消費の産業に従事している全部の人たちが一緒になつてこれに対する企画を立てなくてはならぬ、こんなふうに考えます。これはあとで電源開発調整審議会の問題に触れたときに申し上げたいと思います。  その次に起る問題は、従来の電力六百八十万でございますか、火力は別としてその程度水力電気でございます。火力は三百何十万の設備を持つておりまして、水力、火力全体で一千万と称せられておりますが、この施設は、何といつても長い間の建設でありますから相当安くなつております。今後のは相当高くなることがはつきりしておりますから、ぜひともこのフアートス・コスト、すなわち電力供給費を安くするためには、建設費を安くするようにできるだけの配慮をお互いにしなければならぬのではないか、そのうちに、お互いといえば自家用発電なら自家用発電者、及び公益なら公益企業経営者、あるいは現在の電力会社なら電力会社、こうございますが、国家措置としてここにお願いしなければならぬことは、やはりフアースト・コストを安くするためには、この公益事業的の性格をよく考えていただいて、なるべく工事を公益事業費の方で負担し得られる部面はさように願いたい。たとえばダムなどは治水に関係がございますから、これを利水の面とにらみ合せる。これはよく申し尽されておりますからくだくだしく申しませんが、そういう点をやつていただきたい。  またもう一つは、これは新設企業ではよく起ることですが、電力で特にお願いしたいことは、なるべく安いコストの金を使いたい、これが大きな問題だ。でありますから利率が安ければなおさらけつこうです。国家資金をもし貸し付けていただければ、これに対する利息は長期のものであつて、しかも低利であるということを必要とするわけです。またこの会社が新らしい発電所に対しての固定資産税の問題、または不動産生取得するときに必要なる取得税の問題、その他水利権に対する問題、並びにいろいろな公物使用料、すなわち国家のものを使つた場合に、それに対する使用料のごときものを、安くしていただくか、あるいは一定の期間なくしていただくということがあればなおさらけつこうです。そんなことが電力建設費を安くする、すなわち安くすること自身がさつそく将来において生産品のコスト電力消費面において下げる、こういうことになるわけです。私は持論としては、日本は従来、水力電気料は非常に安かつた、また労銀も比較的安かつた、そうして能率よく働く、知性を持つた労働者が多かつた。そういう点で、この知性を持つた労働者と安い電力コストのものを加え、そうして電力関係の製品を輸出することが日本の海外貿易の大きな骨になるのではないかということを一時考えておりましたが、その点においては幾らか高くはなりましたが、この電力はそういう面で、電力を消費して製品をつくる大きな産業ではこれが非常な副原材料となりますゆえに、ただいま安蔵さんでございましたか、御説明があつたように、最近では少くとも一キロワツトの設備が十万円、最近いただきました経済安定本部の数字によりますと十一万円に相なつておりまするが、これに対する利息を考えましても、利息は一割と見ても一万円かかるわけであります。もしこれが、電力のその設備に対する効率から考えますと五〇%だから、二万円も電力の全部にそれがかかることに相なりますので、できるだけフアースト・コストを安くする、建設費のうちのダムは公共事業費によつて支出してもらうというようなことも考えていただく必要がある、こんなふうに考えます。私は、将来この新しく開発された電力がどの程度、これを副原料としてつくりました製品が海外において、品物の性質によりますが、優秀な地位を確保し得られるかということに不安なきを得ないわけでありますから、コストを安くしていただくことについては、ぜひお願いしたい。その次に起つて来る問題は、開発で一番累をなすところの水利権の調節並びに水利権以外に、これを実行する場合に、貯水池があればダム築造のために水没、埋没する村落あるいは農耕地に対する補償、あるいはこれが簡単にできそうでできないのは、公園すなわち府県幾つかにわたつておる国際公園と申しますか、大きな公園風致の問題及び地方の風致の問題も、常にこれが取上げられて実行を妨げておりまするが、こういう面について特別な方法が講じられなければいけないのではないか、こんなふうに考えております。そういう点が、まず実行上起つて来るはつきりした問題であるわけなのであります。  私が申し上げましたのは大体概論的に申上げましたのですが、ここに一つ問題になりますのは、さて従来の民間会社すなわち九つの元配電会社である現在の電力会社、並びに自家発電及び府県の公営事業以外の会社の必要がありやなしやの問題、これは今度の三十八条あります電源開発促進法案のうちのおもなる部分を条文としても盛られておりますし、世間でも問題になつておりますが、私は従来の電力会社が持つていらつしやる電力会社水利権、これはできるだけ早く開発していただけばけつこうですが、ここに数県にわたつておるものまたはまつたく新しい水系で開発をしなければならぬというものは、別の会社をつくつてもいいと思います。これはさつきお話しましたこととちようど一致するわけであります。あらゆる面から、開発をするという力を持つたものがそろえばそろうほど開発を早くする、端的に言えばそれが結論です。でありますから大きな水系、すなわち只見川のごとく数県にまたがつておりまして、特にこれに対して下の方の水利を扱つておりますけれども、大きな計画の部面ではまだ実行されておりませんもの、あるいは熊野川、吉野川という水系のもの、これは別の会社でやつてもよろしいと思うのであります。そのあり方は民営にするか公営にするか、公営にして株式会社にするか公社にするかという問題があるのですが、これはもう末の末の問題で、創立上の手続及び運営上の手続でありますから、大きな問題ではありません。ただ一社にするか数社にするかという問題があります。これなども、促進のために必要なる場合には数社の方がいい、こういうことになるのであります。ことに問題になるのは資本金の問題、もう一つは、またこの資金獲得を数社でやる方がいいか、一社でやる方がいいかという実際上の問題、こういう問題がこれにいろいろ連関して参ります。でありますから私は、みなが一緒に仕事を始めることができれば、多い方がけつこうです。しかしそれを押えているのは資金の問題です。なけなしの日本資本——さつき申し上げましたが、他の産業もつぶさないように電力開発と一緒に足並をそろえて行きたいという資本の必要があるのですから、これを数社にわけて、いずれも目的を達しないようなことになつては相ならぬ。これは実際問題です。でありますから、数社問題とか一社問題とかは大きな問題ではない。むしろ資金が許し、また利用者も完全に得られた場合には数社の方がけつこうです。しかしながら資金面がきゆうくつで仕事が進まないおそれがあれば、これは一社でもやむを得ない、こういうふうに考えられる。しかし資金が潤沢になつて、そしてまだ開発されてない水域があれば、余裕ができた場合にまた一社つくるということも一つ方法です。法律はわれわれが今つくるのです。法律が皆さんの手によつてつくられることは、皆さんにわれわれの代表としておつくりいただくわけです。そういたしますと、これは常にその場合の実況によつて判断していただくよりしかたがない。今日の一社案の問題は、とりあえず一社をつくつて、あと数社をつくるという何らの含みはございません。全国一社ということで、同種の名義を用いることさえ禁止しておりますが、もしこの会社が、資金は潤沢に発足の見込みがあつたにかかわらず、発足後従来の発送電会社がやつたように大きな電力だけの開発、また机上の設計に終つてなかなか実行にかかれないなどということがあれば、そして世間の状態資金も余裕ができた、あるいは外資——ある仕事に対する電力を使つても、ちやんとこれに対してバツク・ペイするだけの外資導入が行われるときに、その会社で行われなければ、また一つ会社を起すことも一つ方法ではないか。これはまだこの際できません。できないから、とりあえずできるところの一社を、また数社にしろとかぐずぐず改変していたのでは時間がかかる。われわれは時間のかかることが一番困る。急ぐのでありますから、理想は今申し上げたように、現在でも既設電力会社と、民営公営とチャンポンでやろうとしているのですから、これに特殊会社をつくつて、それは未開発地域の、ほかに影響のないところでやろう、こういうことはけつこうだと思います。それで数社でやるだけの余裕があれば数社でやつていただいて、一緒にかけ出してもらうことはけつこうですけれども、現在の状態において、それが許されるかどうかということに相なるわけであります。馬本の資金情勢並びに海外の資金導入などに対して、私は今のやり方では大いに悲観的だと思つている。これが事実だとすれば、やはりこの際、すでに法案になろうとしているこの一社案によるもやむ得ないのではなかろうか こんなふうに考えております。  ただここにこの法案について、私ちよつと申し上げたいと思うのです。この法案は、総則と電源開発調整審議会並びに開発会社、この三つのものが盛られておりまして、関連性のあるような、ないような、別々の法律でもいいようなものを一緒にしておるように拝見しますが、総則のところでは、ただ電源開発の必要並びに調整の必要があつた場合には、その行政を行う長の申請によつて、調整問題を実行するために審議会に諮ることがきめられております。その他公共事業との費用の分担の点などがきめられております。こんなことは論議する必要はございませんけれども、ただ問題になることは、この審議会の問題なのであります。これは現在のところ、安定本部に帰属させることになつておるように拝見いたしております。この審議会の任務がここに掲げられておりますけれども、大体諮問をされて、それに答えることになつております。この第八条のうち二号から四号までは、いわゆる行政機関の長が安本総裁に申し出たときに初めてこれに対して意見を出せることになつておりますが、第一号は電源開発基本計画に関し調査審議することとなつております。これはたいへん大切なことで、この大切なことを実行する線からいえば、むしろ電源開発調整審議会というよりも、電源開発策定審議会、あるいはこの策定と調整と二つを加えた何かいい言葉があればそういうものを盛り込んだ審議会ということにする。名は体を表わすで、またこの審議会に入つていらつしやる方々の気持をまとめる上においても、そういう形をおとりになるのがよいのではないかと思います。もつともこれは安本がおきめになるものの諮問ということになつておりますけれども、八条一項一号から見れば、これは策定することになつておりますから、電源開発策定調整審議会ということにして、どこかで全般的の策定をやらなければ、これはその開発機関責任者の数が多くなればなるほど、この問題が大きな問題になるのではないか。一例をあげれば、自家用の人たちがある水域において至急に水力を起したい。量は一万キロでよろしい。しかし大急ぎでこれを開発して、大急ぎでここで繊維事業を営むとか、その他の化学工業を営むということを希望しておりましても、これは特殊会社の方でねらつておるところで、この水利権はさようにしては相ならぬということがある。しかしその方でやれば五年もかかる。これでやれば一年半でできるということになれば、全体の計画にさしつかえのないようなわくをつくつて、一年半の方に早くやらせる方がよいのではないかということも起りますから、ここの審議会は相当力のあるものにしたい、そういうふうに私は考えます。そうなりますと、この審議会に関する規定をもつと拡張したり、あるいはこれに事務局を備えなければ実行できないと思いますが、まず第一に、この審議会実行するいろいろな調査機関は安本によつておるようでありますが、やはりここに独立の事務局を持つて、技術者も有能な人たちがこれに入つて仕事をしなければならぬのではないかと思います。ただここにこの組織についてふしぎに考えている点があるのであります。それは会長及び委員十人で十一人になつておりますが、任期がない。任期のないのはどういうことなのかふしぎな感を抱くのです。この審議会は相当大切なものでありまして、電源開発の歴史的なことも知つていなければなりませんし、同時にまた現状の把握も大切でありますし、相当大切な仕事を持つておりますから、やはりこれに対して長期の任期を与え、または過半数ずつかわるという制度もけつこうだと思われますが、この点についてふしぎに思つておるわけであります。もう一つ議会組織する委員の資格の問題でありますが、大蔵大臣、農林大臣、通産大臣、建設大臣、安定本部総務長官、及び公益事業委員会委員長と、一から六までは中央官庁の方で、第七号に地方自治庁長官が地方自治を代表して入られておりますが、要するに十人のうち七人は全部官庁の方であります。これはこう言うとおかしいのですが、当吉田内閣のごときも大蔵大臣は初めからずつと同じ方がいらつしやいますが、通産省の方は五人かわられました。こういうふうにかわられると、任期というものを書いては困るのではないかと思います。通産省としては非常に大切な仕事をつかさどるところであり、ことにこれを産業と連接する場合には切り離すべからざる問題であると思います。でありますからこれはやはり任期をつけて、大臣でない方にやつていただいて、これを慎重審議されることがよいのではないかと考えます。任期をつけない理由は、七人の方がいつかわるかわからないような大臣の方々が入つておるためではないかと思います。しかもこの人たちは非常に忙しい。おそらく二十四時間お宅でも、事務所でも、あるいはこの際ならば国会でも非常にお忙しく、寸暇のない方々が、会長を除いた十人のうち七人を占める。この重要な審議会がかくのごときことでは運営ができないと思う。この審議会を完全に働かす場合には組織方法をかえていただきたいと思います。  それからその次の第八号に、この電源開発にあたつて学識経験を有する者のうちから安定本部総裁がこれを任命することになつておる。この三人にただ単に電源開発に関し学識経験ある者だけを入れておるのですが、これには異議がある。これはやはり消費者関係の人——消費者関係てはちよつと狭くなつて人を選びにくいかもしれませんが、八千万人の人間がおりますから、そのうちには適当な方があると思います。業界その他について広い知識を持つた人を少くとも二人ぐらい入れるということにしていただく必要があるのではないかと思います。でありますから、私はやはり一般の官庁以外の、第八号の三人を五人ぐらいにふやしていただいて、あるいは十人でもけつこうでありますけれども、五人ぐらいにふやしていただいて、そのうち二人くらいは電源開発に経験を持つた方、あとは財界において広い経験を持つた人三人、これが大切なのです。技術上の問題と歴史を知つておるということだけではだめなのであります。電力日本産業界においてどういう地位にあるか、この電力をどういうふうに開発して行くか、割当てて行くか、三年、五年十年後の電力使用状況はどうなるか、そういう案を練つてこの審議会に盛り込む力を持つた人が大切なのです。この点に思いをいたされまして、人数をふやすか、ふやされても、その構成員をただ単に電源開発に対する学識経験を持つた方々のみ三人入れるということを考え直さなければならぬのではないか、こういうふうに考えます。それでもう一つお願いする。一から七までございまする七人の大臣諸公はお忙しくて出られないと思いますが、大臣が出られなければこういうものが出るというふうに、完全にこの仕事を把握している方を出していただかぬと非常に困るのではないか。この議事の進行方法などは相かわらず役所式になるのか。そこのところは非常に困ると思います。そういうものにならぬものとして進んで行く、一人でも反対すれば決議ができないということになればいいと思いますが、そうも行かぬと思います。そういう点で組織についての御考慮を煩わしたい、こういうふうに考えております。ただ十条の「その所掌事務を処理するため必要があるときは、関係都道府県知事の出席を求め、」これは非常にいいことだと思う。私はかねてからこういう問題について、二十七ぐらい大きな川がありますが、これについて各川審議会というものをつくつて、それに関係都道府県知事並びに各省の代表者を入れて、各川ごとに利水、治水、灌漑その他全部の問題を解決して、その場合に水利権も決定して行く、そういうふうにしたいという希望を持つております。その意味から考えまして、やはり大勢の人がその審議に参画することが必要ではないかと考えます。  その次に電源開発株式会社の問題ですが、これは私あまり力を入れて見ませんでした。というのはおそらく株式会社的の性格を持つていないものができ上つておるのだろうと思います。いわゆる株式会社であれば配当その他についても自由闊達にやれますが、これは第一配当する会社かどうかもわからなかつたのです。しかし一応拝見すると、利息の配当を許す場合も云々ということがありますから、一般の配当も許されると思います。許されなければ官庁が半分以上株を持つということで、民間資本はちつとも入らないことになると思つたのでありますが、その点では許されております。  あとの方を見ますと、非常にいろいろなわくがありまして、そのわく、制限によつて行動をとることになりますから、この経営者の御苦心も察するに余りある、こういうふうに感じます。しかしながらこの審議会で確定したものを早く実行に移すということは、その目的を達成する意味から、またこれは経済経営の線にもはつきり合いますから、その点はけつこうだと思います。  この会社の定款に盛り込まれることを予想したそれぞれの内容については私どもあまり検討いたしませんでしたから、これは全知全能の皆さん方の御決定にまたなければならないと思いますが、ただ特殊会社というものができるだけたくさんできてやることがけつこうですが、現在の資金わくその他を見通してこれができないとなれば、この問題で相争うよりもむしろ早く実行に移ることを期する、すなわち言いかえてみれば、悪い言葉でありますが、拙速をたつとぶ、実行をたつとぶのでありますから、どうかその点を早く御決定を願つて、一日も早く実行に移されることを切にお願いして私のお話を終りたいと思います。
  10. 中村純一

    中村委員長 次は富山県知事高辻武邦君。
  11. 高辻武邦

    ○高辻公述人 電源開発促進法案に関しまして、県知事の一人として公述を申し上げます。  本法案の立法の理念になつておりますところの、すみやかに電源開発し、電話変電施設の整備によつて電気の供給を増加する、こういう問題に関しましては私はおそらく何人も異存のないところであろうと存じます。ただこの法案に明示されておるところのいろいろの方式により電源開発を促進するという根本理念を真に達成するために、適当な組織なつておるかどうかというところに問題があると存じます。特に第三章の電源開発株式会社組織に関しましては、特に慎重なる考慮を要する問題であろうかと存じます。本法案の規定によりますと、第十二条に、電源開発株式会社電源開発のうち、その規模が大であり、または国土の総合的な開発利用及び保全に関し特に考慮することを要するもの、そういう地点についてみずからこの特殊会社開発に当るのであるということが規定せられております。思うに大電源地帯開発は莫大な資金を要するのでありまして、現存の機構が現在のままの状態でこの莫大な資金を調達することがはたして可能かと申しますと、それはおそらく困難であろうかと存じます。この際政府の出資によつてこの特殊会社を設立し、この会社に種々の特典、ことに政府が外債の補償を行つて資金の調達能力を与えるというような構想は一応首肯し得るかと思われますけれども、しかしながら今日わが国電気の事情を客観的に考えてみますと、むしろ二年もしくは三年というような比較的短期間に開発可能なところ、いわゆる中小電源地帯を全力をあげて開発することに当りまして、これらの目的がおおむね達成せられた上において たとえば十年もしくは十五年以上もかかるような大計画を漸次進めて行つてもあえておそしとしないのではないかと考えるものであります。すなわち今日のわが国電気事情から考えますと、必ずしもこの特殊会社にまつまでもなく、現在の電力会社もしくは自家発電会社あるいは公営事業というようなものにゆだねられておるところの中小発電開発に当分の間は全力を注ぐことが緊要なことであろうと思います。この点においては電源開発株式会社の設立ということにつきまして特に慎重なる考慮を要するゆえんがあろうかと考えるのでありますが、しかしながら政府の発表せられましたところの——これは政府の発表ではないかもしれませんが、委員長から御送付を願いました電源開発計画の構想という資料によりますと、この電源開発株式会社と称するところの特殊会社を設立することによつて外資導入に大いなる可能性があるということが説明せられております。外資導入ということがこの電源開発株式会社の設立によつてはたして可能であるといたしますならば、これは大いに積極的にこの電源開発株式会社の設立を考慮しなければならないのではないかと私は思うのであります。換言しますならば外資導入を前提にして初めてこの電源開発株式会社の設立の意義があると考えるのであります。従つて私はこの際第三章に規定するところの電源開発株式会社の設立に賛意を表する場合におきましては、外資導入ということが前提であつて、従つて主として外資というものによつて大電源地帯もしくは特殊の事情のある地帯の開発資金を充てたらいかがであろうかと存じます。すなわち原則として、もしくは主として外資によつて大電源地帯開発する、こういう建前をとるべきではないかと思うのであります。ここに申し上げました主としてとか、原則としてとかいう意味はどういう意味かと申しますと、私はもつぱら外資によるべきであろうとは想いますけれども、しかしあたかもポンプの水を吸い上げるためにさし水をいたしますことが必要であると同様に、ある程度国内資金を注入することによつて外資導入ということが期待し得ると存じます。ゆえにここにいうところの、主として外資によつていたしたらどうかと思うのであります。しかしてそのことによつて電力会社もしくは自家用発電あるいは公営事業既設計画圧迫を受けないように、十分に考慮せらるべき問題であろうと思います。また技術の面におきましても、この特殊会社を設立いたしまして、既存の電源開発計画の技術陣営から技術を引抜くようなことなくして、はたして十分に電源開発株式会社の技術陣営を整備し得るでありましようか。承るところによると外地から帰還せられた多数の有能なる技術者がおられるということでありますから、その辺の御用意も十分に必要であろうと思います。  要するに私は第三章に規定する電源開発株式会社というものに無条件で全面的の賛意を表するわけには参らぬと存じます。すなわち主として外資によつてこれを行うこと、既存の計画資金的に圧迫を加えないようにすること、また技術的の圧迫を加えないようにすること、これが一つの条件であります。第二の条件は、本法案に規定されておりますように、大電源地帯もしくはその他特別の事情がある地帯においてのみその会社でみずから開発計画を進めることが適当であろうというような一応条件つきの意味におきまして、電源開発株式会社の設立に賛意を表したいと存じます。以上は私の公述を申し上げたいと存ずるところの最も骨子とするところでありますが、これに付随いたしまして、二、三の意見を申し上げたいと存じます。  第一に特殊会社を設立するといたしまして、一社案によるべきであるか、数社案によるべきであるかという問題でありますが、もしこの会社が必要であるといたしますれば、私は一社主義の方が適当であろうかと存じます。数社主義の意見は、一社主義を否認し電源開発株式会社の設立ということを否認するものであつて、むしろ既存の九つの電力会社に競合せしめる方が適当であろうと存じますがゆえに、もし特殊会社の設立が必要だとすれば一社案をとるべきであろうと考えます。  第二に申し上げたいと存じますことは、本法案によりますと、資金の手当ということに関しまして、この特殊会社に関する資金の手当については相当明細な規定がありますけれども、既存の電力会社等に対する資金に関しましては、規定がはなはだ不明確でありまして、どうもその間に多分の疑念があるように存じます。これに関しましては、この特殊会社にもしも多少の国内資金を投資するといたしますならば、このわくを越えて既存の電力会社その他の電源計画圧迫しないような措置を、法律的な手段によつて明定いたしておく必要があろうと存じます。  第三に申し上げたいと存じますことは、電源開発調整審議会の構成に関する問題であります。法案の規定によりますと、十人の委員のうち七人までが国務大臣と公益事業委員長をもつて充てることになつておりまして、わずかに残りの三人が学識経験者からこれを選任することに相なつておりますが、これをむしろ拡張いたしまして、少くとも半数以上は民間学識経験者より選任する必要があろうと存じます。その方が民主的な運営の趣旨に合致するものであろうと存じます。  次に、河川使用の水利権に関する問題でありますが、わが国における河川使用の水利権というものは、昭和十七年におきまして、従来各経営者に許可されておりました水利権の中で、一地点五千キロ以上に属するものはことごとくこれは法律の規定によつて日発に帰属せしめることに規定せられたのであります。その後終戦後になりましてから、電気事業編成ということが行われまして、日発の持つておりましたところの水利権がそのまま九つの電力会社の方に継承せられて参つております。すなわち五千キロワツト以上の水利権というものは、今日九つの電力会社によつて独占せられておるのであります。しかもその電力会社がことごとくこれを急速に着工し得る状況にあるかというと、必ずしも急速なる着工を期待し得ない地点があると思います。この場合におきまして、本法案は特に法律の規定によつて水利権の整理を行うことが適当であろうと思います。たとえば三年間もしくは四年間の将来を見通しまして、その間に着工の見込みのないものは、電力会社の所有するところの水利権といえどもこれを剥奪して公開すべきものと存じます。たとえば自家用発電ために、もしくは都道府県の公営事業ために公開すべきが適当であろうと存じます。なお本法案特殊会社におきましても、もし特定の地点に対しまして開発せしめる際に、この水利権をいかなる方法によつて吸収する考えでございましようか。法案の中にはその規定がないのであります。これらの点につきましても十分に御考慮を願いまして、水利権の適当なる整理ということが必要であろうと存じます。いわゆる河川の水利権は今日特権として考えられておりまして、あたかも神聖にして侵すべからざるもののごとく考えられておりますけれども、これは誤れる考えであると存じます。普通の所有権と異なりまして、水利権は公益のために与えられておるものでありますがゆえに、これは政府が公益のためには制限もしくは停止を行うもあえて不当ではないと存じます。もとより不当な措置によつて十分の理由なくして水利権を剥奪するということは慎むべきことでありますけれども、ただいま私が公述いたしましたような事情を勘案いたしますと、この際いわゆる遊休水利権なるものは適当液る方式によつて整理せられることが適当であると考えます。  次に本法案によりますと、特殊会社開発をいたしましたところの電源は、既存の電力会社に譲渡もしくは貸付するという規定に相なつておりますけれども、これはどの電力会社に貸付し、どの電力会社に貸与するのでありましようか。その点の裁量の責任は何人が負うのかということも十分に明確にはなつておりません。特殊会社開発するところの電源というものは免税の特点があり、あるいは政府出資に対する配当もしくは金利も免除せられる特点がありますがゆえに、すなわち国民負担において開発せられた電源でありますから、一部の人に利益を与えることは適当でないと存じます。この特殊会社開発した電源を既存の電力会社に貸与もしくは譲渡する場合におきましては、現行の電気事業編成というものの不合理性を十分に考えまして、根本的に改編すべきものであろうと存じます。今日行われております電気事業編成がいかに不合理なものであるかということは多言を要しないわけであります。一つの例をとつて説明申し上げることをお許し願いたいと存じますが、私の代表しておりますところの富山県、すなわち北陸地方におきましては、北陸電力株式会社が配電区域を持つておりますが、今回政府の命令によりまして肥料五十二万トンの増産計画を進めることに相なつております。しかるにその五十二万トンの肥料の増産計画実行するにあたりまして、北陸に所属せしめられておるところの電源がきわめて僅少でありますために、これに対応するだけの電力がないのであります。そこでやむを得ず関西電力株式会社より、一箇年に一億六千万キロワツト時だけを買電することに契約が成立したのであります。しかもこの一億六千万キロワツト時の電力は火力料金によつて買電することになつておりまして、御承知通り富山県は全国有数な発電県であるにもかかわらず、そこに所在する黒部川と庄川という最も有力なる電源地帯が、再編成の規定によりまして不当にも関西電力株式会社に所属せしめられております。その結果今申し上げましたような国家的な要請にこたうるためには電力が不足しておりますので、大量の電力を、しかも火力料金によつて大阪からこれを購入する。かような不当なことがあるでありましようか。たとえば米を生産する地方の者が大阪まで米を買いに行かなければならぬ。それはまつたく再編成の不合理な措置によつて発生いたしましたところの現象であります。かくのごときことはすみやかに是正せらるべきことでありまして、私は他の機会にまたお願い申し上げたいと存じますが、少くとも本法案において、特殊会社開発をいたしました電源を、いずこの電力会社に所属せしめるかという場合におきましては、かくのごとき不合理な点は根本的に是正せらるべきものであろうと考えます。  最後に、電力行政の行政機構に関する問題でありますが、現在は公益事業委員会もしくは通商産業省等政府機関におきまして多元的な組織に相なつております。その結果このままの行政組織、行政機構のまま進行いたしますならば、新設の電源開発株式会社と、既存の会社とにおける混乱、摩擦を生ずることは明瞭であると存じます。すみやかに政府機構を一元的に統制せられまして、いわゆる行政機構の簡素化の線に沿うて、適当な改廃が行われることが適当であると存じます。  以上は私の公述の全体でありますが、要するに私は本法案に関しましては全面的に御賛意を表することは困難であると存じますけれども、以上申し上げましたところの数点を条件といたしまして、適当な修正を施されまするならば、本法案に賛意を表する次第であります。
  12. 中村純一

    中村委員長 次は住友電力吉田徳三郎君。
  13. 吉田徳三郎

    吉田(徳)公述人 ただいま御指名をいただきました住友共同電力吉田でございます。私の会社は四国の新居浜市にありまして、日新化学、別子鉱業、四国機械などへ電気を供給しております特殊な電気事業者でございまして、共同自家用という性格を持つております。ただいま自家発代表として御指名を受けましたが、自家用会社の総合の代表意見ではございません。自家発の性格を持つ当社の意見でございますから、その辺ひとつ御了承を賜わりたいと存じます。  すでに電源開発がいかに緊要なものであるかということにつきましては、今さらここに申し上げるまでもないことでありまして、国民すべてがよく承知のことであります。今日国をあげまして全力をここに集中せざるを得なくなつたということにつきましては、いろいろの事情もございますが、電気事業者の一人としまして、その点まことに申訳ないと存じております。しかしながら幸いにして全国民からこのことをよく御認識していただきまして、あらゆる方面から電源開発についていろいろと積極的な御意見や、また御計画が発表せられまして、われわれ電気事業者に対しまして真剣な御叱正、御鞭撻を賜わつておりますことは特に感銘深いものがあるとともに、またわれわれといたしましても一つの心強さを覚える次第でございます。ただ議論が百出する割合に現実に即しないものや、いたずらに文句ばかりを並べる者もありまして、なかなか具体的な開発の実績が上らないことを遺憾に存じましたところが、このたび自由党におかれましてはその点を御心配くださいまして、電気開発促進法案を過般国会に御提出せられまして、積極的な電気開発の実現に乗り出されましたことは、大きな進歩でございまして、まことにけつこうなことと存じます。これは昨年実施せられました電力編成の結果が成功であるか、また失敗であるかは別といたしまして、特に異常渇水に際会したなどの事情もありまして、国民全般からこれまではまだいけない、どんどん電源開発をやつて、電力需給をもつと円滑にしなければならないという不満の声が盛り上つて、本法案の提出となり、皆さんの御審議にかけられているものと考えられるのであります。つきましては日ごろ私の抱いております見解をここで率直に申し上げます。特殊な電気事業者としての立場から本法案に対する意見なり希望なりを開陳して皆さんの御審議における御参考に供したいと思います。しばらくお聞取りを願いたいと存じます。  ただいま申し上げましたように、電源開発のことがやかましく各方面から叫ばれながら、どうしてこれが円滑に進捗しないか、そのよつて来る原因についてまず考えてみたいと存じます。その原因をいかに打開し、電源開発を進めて行くかということを慎重に検討することによりまして、おのずから一つの道が開けて来るのじやないかと存じます。そこでこれらの原因としてまず第一にあげたいことは、根本的なことであり、また最も大きな隘路となつておる資金調達の問題であります。ではどうして資金調達がうまく行かないかと申しますと、二つのことが考えられるのであります。その一つは、戦後における企業活動経済ベースがすつかりかわつてしまつたために、電源開発に要する資金があまりにも大き過ぎて、現在の企業体では容易にこれをまかなうことができなくなつたということであります。すなわち開発ためには莫大な資金を短期間に調達する必要が絶対の条件でありますが、戦前におけるそれぞれの電気事業者はこれをみずからの努力によつて調達する道が十分あつたわけでございます。戦後における経済現象の中にはいろいろの要素の間に均衡が失われたままいまだにその回復を見ないために、電源開発に要する資金をそれぞれの企業者が自力でこれを調達するということは非常に困難となりまして、ことに大規模開発についてこれをみずから調達することはほとんど不可能になつたと存じます。そこでこれの打開のためには政府資金、さらに外資導入ということが要請せられる次第でありまして、要は政府資金をどんな形態で支出するか、また外資導入ためにはどんな受入れ態勢にすれば一番いいかということに帰着するものであると存じます。  第二の点は、電力料金を適当に修正する必要があるということであります。現在の電力料金では電気事業者の経理面が不当に圧迫せられまして、現実の損益から見まして、配当もほとんど不可能な状態であります。将来に対する経理面の改善について希望が持ち得ないために、電力会社の株式に対する市価は、御承知通り常に額面を割つておる状態であります。こんな状態では電力会社電源開発ために増資することも、また金融方面からの融資を仰ぐこともまことに心細い限りといわざるを得ない次第でありまして、少くとも現状から見まして、一割五分程度の配当を維持できるよう経理面が改善される必要がございます。また現在の電力料金では新規電源開発による原価高騰につきましてどんなにして経理面をやりくりして行くのか、その見通しが立てにくく、たといこれら原価の上昇に応じまして適宜料金の改正が行われるにいたしましても、将来の損益に対する不安を免れません。電源開発に対する資金調達にも何かと支障を及ぼさざるを得ませんので、ここに電力料金に対する根本的な対策が早急に樹立される必要がございます。  電源開発の進捗をはばむ原因としまして次に考えられますことは、その考え方が、開発に当る企業体いかんについてあまりにもとらわれ過ぎておるといいますか、企業体いかんについてあまりに拘泥しすぎておるために、開発が妨げられておるのではないか、こう存じます。もう少し砕いて申しますと、A地点開発につきましてだれだれ以外の者にはやらない、だれだれにB地点開発させるのは反対だというようなことが、取上げるにもあたらない理由か、または理由もなく云々されて来たようにも見られるのでございます。企業につきましては開発の意欲と能力とを持ち、その開発の内容が適正でありまして、しかも他に重大なる影響を及ぼさない限りは刻下の電力下足の実情にかんがみまして、一日も早くこれを具体化できるように、政府においても十分援助すべきであると思います。しかしながら戦後開発が遅れた原因を探つてみますと、あちらこちらにおいて公益を堅持したためとか、自家用であるためとか、いわゆる水利権に関するつまらない沿革とか、あるいは他の感情問題とかに災いされまして開発が遅れたことも少くありません。このようにして熱烈な開発意欲がいたずらにつみとられて経済発展を阻害するようなこともあつたのではないか。この点は残念に思うものであります。  第三番目に考えられますことは、地方問題のむずかしいことでございます。戦後民主化の傾向がややもすれば悪く利用せられたこともしばしば見たことでございますが、電源開発に際してはこの傾向に便乗したような水利、漁業、灌漑、家屋水没などにつきましてむずかしい問題が地元との間にたくさん起つて参ります。その折衝において不当の要求を突きつけられて開発を遅らせることも戦後特に多いことでございまして、これが適切な調整をはかることが必要かと存じます。  次に申し上げたいことは、電源開発を所管する政府窓口がいささか複雑過ぎるのでないかと存じます。水利権は県から建設省、発電所の設置につきましては公益事業委員会や通産省、資金については安本、補償については農林省、その他あちらこちらに関係が多いことは、開発の性質上やむを得ないことではありますが、その窓口や手続の複雑さははなはだしいものでありまして、開発の隘路の一つにもなつているように存ぜられますので、いま少しく簡素化する必要があるように存じます。以上いろいろ申し上げましたような開発の進まない要因について、これを解決するような行為を加えてこそ、初めて本法案の目的とするすみやかな電源開発ということが達せられるものと存じます。  次に本法案の内容について少しく私見を申し述べさしていただきたいと存じます。法案を拝見いたしますと、その内容として、一つには企業体のいかんを問わず、すべての電源開発についてこれを極力促進するとともに、その資金確保について政府の努力を義務づけられている、その次には特殊地点開発ためには特殊会社を設ける、第三番には電源開発調整審議会を設けるという三点に要約せられておると存じます。そのうちの第一の点につきましては、本法案第一章総則においてこれを規定せられていますが、これは一般的な開発の促進であり、政府がその資金確保に努めて積極的にその具体化をはかる意味において何ら異論はございません。むしろここでお願いしたいことは、総論的な本項目の実施を一片のお題目にとどめないで、これを強力に進められ、さきに申し上げましたような企業体のいかんにかかわらず、すなわち既存電力会社自家用あるいは公益企業いかんを問わず、公平適切にその開発を推進するとともに、資金の調達について政府が積極的に責任を持つてこれに努めるよういたされたいと存ずる次第でございます。  次に特殊会社の新設につきましては、その根本的な根拠は、政府の直接資金をもつて特殊地点につき総合的な建設を行うことにあると存ぜられます。しかしながら既存会社開発については、総則にも規定してある通り、その促進をさらに一層積極的に具体化するのであるならば、投下し得る政府資金を既存会社に与えて、これら既存企業体の経験や能力をよく活用しても十分目的を達せられるのではなかろうかと存ずるのであります。これらの政府資金は血税であり、また血税に準ずるものでありますから、営利会社である民間会社にはまわし得ないというならば、その面からの監督を行うことによりましてその弊害を防ぐことができると存じます。しかしながら政府におきまして、いろいろの事情により政府資金民間会社にはどうしても投下し得ないというのであるならば、これを与え得る対象をつくることもまたやむを得ない次第でありまして、これがためには本法案による特殊会社を設けて開発を促進することも、けだし了解できるところでございます。ただ特殊会社に対する政府資金支出に準じた特別扱いを既存企業体にも均霑せしめることが適当であると存じます。要は企業形態やその手続において少々問題を生ずることがありましても、だれでも一キロでも多くの電源を現実に開発するということ、そのことが現下のわが国においては最も重要なことであります。いわゆる小我を捨てる意味におきまして特殊会社を設けることもけだしやむを得ないことといわなければなりません。さて特殊会社が設けられてその所期の目的を果し得るかどうかということは、今後における運営にまたなければなりません。その経営のいかんによりましては、新しい特殊会社の意義が生きて来るか、あるいは死ぬかということにもなると存じます。巷間では特殊会社を旧日発の再現だという声も耳にいたします。特定河川について水利権を独占し、その経営が官僚的なものになつては当然その経営も非能率になり、電源開発は遅れ、工事費はかさみ、結局は旧日発の再現を来すことは明らかであると存じます。この点については十分政府も御指導が必要かと存じます。なお本法案においてはあまりにも多くの特殊権益と申しますか、特別の取扱いが織り込まれております。特殊会社の性質上いろいろやむを得ない事情も了解できますが、これが一つの災いともなることを忘れてはなりません。しかしながら私はこれらの特別の扱いにつきまして、その内容を全面的に改めるべきであるというのではありません。ある特定のものについてのみこれを認めることに問題があるのでありまして、これを同業の他企業体にも公平に均霑せしめるべきであると存ずるのであります。ことに登録税、固定資産税の減免につきましては、他企業体が今後新しく開発するものにつきましても、当然これを同等に取扱うべきものであると存じます。ただそのうち政府の出資金が無配当になつておりますが、やはり一つの企業体としての適切なる原価計算に基きまして開発も行わるべきものでありますし、他面政府資金を無利子で使用するということは、電気料金を安くするということにはなつても、結局は国民税金を高くすることになりまして、言いかえれば電力消費者のみに不当な利益を供与することになります。この点首肯しがたい次第であります。  なおついでながら、本法案に対しまして河川別に数個の開発会社をつくるという案もいろいろ伝えられておりますが、それぞれ一長一短ありまして、私は積極的にそのいずれが是であるか、非であるかをここで断定いたしがたいのであります。要は形態のいかんよりも、その運用のいかんによつて能率を上げ得るかどうか、それによつて定められるものであると考えるのであります。特殊会社は、ただいま申し上げたように、いろいろ官僚的になりやすい性格を持つているやに存ぜられますので、その運用にあたつては民間における人材を各方面から集めるとか、あらゆる方策を尽して将来に対して悔いを残すことのないように善処することが肝要かと存じます。  次に電源開発調整審議会につきましては、これもその運用いかんによつてその是非が決定せられるものと存じます。このような機関はややもすると政治的に利用されたり、あるいは屋上屋となつて無用な長物ともなるおそれがありますから、その運用を公平適切に行われることを要望するものでございます。  以上で本法案自体についての見解を申し上げましたが、かりに本法案実施されるとして、これから住友共同電力、特に特殊な性格のもとにあります電気事業者としての立場から二、三申し上げたいと存じます。住友共同電力というのは冒頭に申し上げましたように、新居浜地区所在の大口電力需用各工場に対しまして電力を供給している特殊な電気事業者でございます。当社は当社の使命に基きまして吉野川上流で数地点、その下流、さらには四万十川等の河川におきまして逐次電源開発して、四国における全出力の約四割を建設いたしました。そうしてこれらの電源開発によりまして、新居浜地区所在の工場が逐次拡充せられて今日の発展を見たのであります。昨今における電力不足に際しましては、当社におきましても電源開発について豊富な経験を生かして、活発な開発を行いたいと念願しているものであります。現在では諸般の事情によりまして一箇所の開発を打つているにとどまつておりますが、吉野川につきましては、当社本来の計画や精密な調査によりまして、吉野川中流に対する積極的な開発を行いたいと、ひたすら御当局の御許可を待つているものであります。つきましては本吉野川におきまする当社のようにすでに多大の経験を持ち、引続いそその具体的な計画を立てているものについては、当然これを尊重して本法案による電源開発促進の道を至急講じられたいと存ずるのであります。いささか会社の宣伝みたいになりましたがお許しを願います。従いまして本法案によりまして特殊会社が設立せられましても、本会社によりまして当社のような企業体の計画の遂行に支障を与えられるようなことが絶対にないように、むしろこのような計画が国土総合開発などの関連におきまして、修正の要があるならば相協力して適宜これを改める。そうして至急これが達成に御援助を与えられるようにとりはからわれたいと思うのであります。  次に特殊会社開発した施設の貸付または譲渡や、電気事業者に対する電気供給について規定せられておりますが、これは何も電気事業者のみに限定することなぐ、事情によりましては直接大口需用者にも発生電力を供給する道を開いておいてしかるべきかと存じます。  以上本法案に関連いたしまして私の見解をいろいろ述べて参りましたが、一般的な開発促進はこれを強力に具体化していただくこと、政府資金の支出に関連して特殊会社を設けることもけだしやむを得ない旨を申し述べた次第でございます。  つきましては結論といたしまして特殊会村の運用に当りましては、一つには他の企業体で開発計画を具体的に進めている場合には、決してこれを阻害したりその企業意欲を減殺せしめないこと、すなわち他の企業体でやらないもの、あるいは諸種の事情で実施できないもののみを特殊会社開発対象として取上げること、第二は特殊会社に与える資金関係の取扱いは、他の企業体にもできるだけ同等に均霑せしむる、開発工事自体についてその取扱いに関しましては、特殊会社と他の企業者との間に何ら差別待遇を設けないこと、その他今まで申し上げましたいろいろの事情につきまして、私の要望いたしましたことを御実行くださることを前提といたしまして、さらには本法案の改めるべきことは率直にこれを改め、その適宜修正されたものの実施にあたりましては、あくまでも民主的にこれを行い、その結果他の関係業者との摩擦を避けて、もつて積極的に電源開発を促進することによりまして、国家全体に多大の貢献をもたらすことを心から期待しているものでございます。
  14. 中村純一

  15. 田中東馬

    ○田中公述人 私は日本曹達の社長の田中でございます。今日は消費者の立場から、時間も迫りましたから、簡単に私ども希望を申し述べさせていただきたいと思います。  最近に至りまして企業のほとんど全部が自由の形になつているのでありますが、この電力と金融の面についてはなお配給上におきまするいろいろな統制の覊絆が抜けていないのであります。これは需用家、ことに産業に携わるものの立場といたしましては、非常にいろいろな困難を感ずるものでございまして、ことにこの電気を今までみたいに補助材料の形で使う企業でない企業者、言いかえますならば、化学工業でありますとか、原料工業でありますとか、製錬事業でありますとか、こういうものは電力はほとんど原料の形になつておるのであります。従つてその産業の形態としては、電力問題はその死活の問題にかかるというように重要な意義を持つのであります。私どもの考えといたしますれば、電力とか金融というものは産業の面からはこれは基礎的ではありますけれども、むしろ二次的、補充的な仕事と見なければならない。産業の政策上の問題とすれば、いかにして生産が廉価に、そして合理的に行われるかということは、最も重要な問題だと私ども思うのであります。従いまして今度の電源開発の問題につきましては、一番要望いたします問題として電力料金があくまで低廉であるべきことは非常に重要なことだと思うのであります。ただいま配当されております最後の二〇%から二五%の電力量ではありますが、これは非常に高い、いわゆる火力料金の形で賦課されておる。この料金というものはいかほど生産の面において努力いたしましても償い切れないほどの大きな負担となるのでございます。いろいろ過渡的の問題がありましようから一概には言えませんけれども、まずこういう点を早く是正していただくようにお願いしたいということであります。その次旨いろいろ開発問題について、国をあげての審議が行われておりますが、何と申しましても早くつくつてもらうということが最も肝要なのであります。これは百議論いたしますよりも一つ実行を早くするということが最も大事でありまして、季節的にいつも渇水期になれば、生産をほとんどしぼつたコストの高い製品だけを追つていなければならないという状況では、なかなか産業の復興、その他は非常に至難な問題だと思います。従つて電源開発の問題につきましては、できるだけ早急にこれを実施していただきたいということが第二点であります。  その次に電源の問題につきましては先ほどからいろいろお話がございましたように、それぞれ地方的のいろいろな特殊な関係があるということもよくわかるのであります。しかしながら現下日本がどうして復興するかということは、政治上の問題と経済上の問題が基本的な点になると思うのでございますから、まず日本の非常に長い目で見る復興の点から言うならば、地方的の特殊事情はこの際あまり強く主張しないことにして、国全体が、産業全体が復興するためには、多少の犠牲はお互いにここに譲り合うということを考えていただきたいのであります。従いまして最後の結論になりまするが、この法案を提出されるにあたつて、いろいろ参考資料を頂戴いたしましたけれども、私どもが最も可能性のある考え方といたしましては、むしろこの特殊会社は一社にしてしまいまして、いろいろの小さい事情はお互いに譲り合つてしまう。また私どもは本年度の産業政策において、電力に非常に協力しろということはごもつともなことでありまして、何をおいてもまず電力方面に第一次の資金を投ずるということはよくわかるのでありまして、そうサポートしたいのでありますけれども、そのためにほかの産業は全部ほつたらかしになりまして、走つておる電車の修繕もできない。軌道の危険性も放棄するというわけにはなかなか行かないと思うのであります。そうしますと、ここに非常に多額の資金量を要するのでありますから、やはりできれば外資その他いろいろ政府で考えておられるような方法もここにとる必要があるのでありますから、何分早くつくるためには、すつきりした一つの方向を示すことが必要だと思いますし、私どもはできれば一社の形において急いでやつていただきたいと思うわけです。現に工場を私どもつくりますときに、いろいろな点から、その立地条件としては、電源の問題その他をいろいろ考えてやるのでありますが、ただいまでは、この再編成の問題がよい悪いのことは別といたしまして、実際は配電計画の盲点といいますか、そういう趣旨でつくつた工場には、工場の上をどんどん電気通りますけれども、実際上配分されないといういろいろな不便もありますので、できればまとまつた形にして、各電力会社に対して、うまくこれを供給し得るような会社の構想が私どもは非常に望ましいと考えるのであります。簡単でございますが、私ども需用家といたしましては、この問題が論議されるよりも、早く実行していただきたいということを重ねて皆様にお願いしておきます。
  16. 中村純一

    中村委員長 午前の会議はこの程度にいたし、午後一時半から再開いたします。時間の関係がありますので、定刻に御参集をお願いいたします。この際暫時休憩いたします。     午後零時二十二分休憩      ————◇—————     午後一時四十五分開議
  17. 中村純一

    中村委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  公述人よりの御意見の御開陳をお願いいたします。公述人各位に申し上げますが、時間の関係がございますので、御陳述は十五分以内にお願いを申し上げます。  次はお急ぎの御都合があるそうでありますから青木男君にお願いいたします。
  18. 青木勇

    ○青木公述人 私は今御指名をいただきました青木と申します。日本ペインテイング会社の役員をしておりまして、居住が長崎でありますので、長崎県の電力議会の委員も兼ねてやつております。そういう立場からいささか私見を開陳いたしたいと思います。  このたび国会に提案されましたところの電源開発つ促進法につきましては、結論的に申し上げますると、この自由党の御施策には万全の賛意を表するものであります。その理由についてこれから少し申し述べてみたいと思います。まず第一に、現在のわれわれ需用家が当面しておりますところの電力問題の隘路と申しますか、それがどういうところにあるかということを少し考えてみたいと思うのであります。これらの問題は、たとえば当面問題になつている料金の問題にしても、また料金の中の地域差の問題とか融通の問題とかいろいろありまようが、これらの問題はすべて供給力の不足と絶対量の不足ということに根本的には起因しておると思うのでありますが、ただ従来言われるところの、漫然と絶対量が不足である、そのことだけではないと私は思うのであります。もう一つの重要な要件といたしましては、日本全体としての絶対量が下足しているということとともに、その各地域別の供給力が非常に大きなアンバランスの状態にある、供給力が非常に不均衡であるとやうことが大きな原因だろうと思うのであります。この二点を私たちは忘れられないと思うのであります。  従いまして、そういうふうに考えて参りまして、現在の地域的な不均衡の状態にあるところの供給力を増強するにはどうしたらいいかということを考えてみますと、各地域別の供給力をふやすためには、何でもかまわないから電源開発を各地域別に、経済的な条件その他をある程度無視してもどんどんやつて供給力をふやせばいいのだということだけでは、その目的は達せられないと思うのであります。あくまでも、たとえば九州で申し上げますと、九州の電源開発コストは非常に高いのでありますけれども、その高い中から全国的な規模に立つて経済的な条件にかなうところの電源開発をしなければならない。経済的な条件を無視した電源開発を行うということは、その結果においてそれが何らかの形によつて料金という形にかわつて、各地域別の需用家負担を増大する。従つてそこに地域差ができるという当面の料金問題が出て来るのではないかと思うのであります。こういうことはわれわれの一般的な常識としても明らかなことだと思うのでありますけれども、最近料金問題などを通じて公益委の方々やあるいはまた現地の電力会社の方々が言われるところを見ると、先般も聴聞会のときにそういう話があつたのでありますが、九州は地域差に対しては絶対に反対だ、それはよくわかる、だからこそお前たちはしばらく料金の高いというようなこともしんぼうして電源開発ためにも——これは直接の建設費ではありませんけれども電源開発ためにも料金の高いのをがまんしなければならぬのだ、こういう御意見も出るのでありますけれども、これは私は非常に間違つた考え方であると思う。現在とつておられる属地主義によるところの電気事業経営、その欠陥をカムフラージしながら料金だけをのませよう、悪くとると、こういう意図を含んでおるのではないかというふうにさえ思われる言い方があるのであります。これははなはだ私は間違つておると思うのであります。属地主義によるところの電気事業経営上の大きな欠陥は、再編成当時に需用家側からも、またその他からも強く指摘されたところでありますが、再編成が終り、新会社ができてまだ一箇年もたたないのであります。しかしこの過去一箇年の間でも相当顕著に、九分割の結果、属地主義の結果の悪い欠陥が出ていると思うのであります。私たちが期待するところは、その欠陥を今度の新しい施策によつて、やはりカバーをしてもらわなければならないという期待を持つのであります。しかしてその欠陥でありますが、第一に指摘されるところは、現在の電力会社の能力をもつてしては、大規模電源開発を行うことはほとんど不可能な状態にあるということだと思います。たとえば九州電力が、本年の二月二十七日でしたかの日付でもつて、九州電源開発計画案説明書というりつぱな印刷物をつくつて一般に配布しておりますが、この最も新しい計画を見てみますと、その初めの趣意書のところにおきまして、「九州電源開発の目標は、さしあたり築上、相の浦、苅田等の高能率大火力の建設と並行して、上椎葉大貯水池式水力建設及び筑後川、一ツ瀬、綾、球磨川等の開発に着工して、水火力併用による電力の安定性と経済性とを向う三箇年ないし五箇年の間に確立し、引続き屋久島の開発を目標として水力ベースを拡大し、さらに本州、四国との連繋により、遠く日本水力電源地帯とも水火の交流を画策して九州の新鋭火力の利用率及び本州、四国の利用率を向上せしめ、九州の電力の安定性と経済性とを飛躍的に高揚せしめんとするものである。」こういうことをこの計画の冒頭にうたつて、一つの目標を示しておるのであります。これは私たちとしてはまつたく同感であります。こういう目標であつてほしいと思います。しかしながらこの目標の言つておりますところは、これは明らかに属地主義の考え方ではありませんで、いわゆる大電力の送電連繋と申しますか、そういう全国を一つにいたしまして水火力併用の妙味を発揮しようというやり方であろうと思うのでございまして、大賛成でございますけれども、さてその裏づけとなるところの具体的な内容を少し検討してみますと、詳しいことは省略いたしますが、現在九州電力が持つているところの既定五箇年計画とでも申しまようか、そのほかいろいろ群小のたくさんの開発をやることになつております。その中には、キロワツト当り二十万近いような高いコストのものもございますが、そういう既定五箇年計画の分だけを拾つてみましても、合計いたしますと一千二百八十六億円という金額になります。その他に、その計画の中についておりますところの球磨川の開発、尾久島の開発、また尾久島と本州とをケーブルによつてつなぐという画期的な連繋というものとか、あるいは四国、九州間の超高圧の送電連繋、また北九州内の新しい送変配電の施設費、それらを私が集計してみますと、約二千七十一億円というような計画になるのであります。御承知通りに、九州電力の二十六年度の電源開発、これは改良工事も含みますが、経費を調べてみますと、約八十億円くらいのものだと思うのでありますが、それがことしの三月までに調達ができましたものが十五億円であります。そういう状態で、従来もしばしば指摘されておるところでありますけれども政府の御尽力によつて、またこれは電力会社の民力でもありますが、見返り資金の獲得はできたけれども、それを実行するにあたつての自己資金の獲得ができない。それがため建設が遅れるということは実情としてあるのでありますが、そういうふうに電力会社の持つている本年度の既定計画実行にさえ、資本的な能力が不足いたしまして行えないというような実情にあるのであります。こういう意味からも、その他いろいろ拾い上げてみますと条件はございましようが、この大規模電源開発ということは、現在の電力会社の能力では無理だ。もしそれをあえて実行するということになりますと、結局急激に料金収入をあげなければなりませんから、現在問題になつているような料金改訂をもつとうんと大幅にして、そうして会社経営を適正化いたしまして、これをうしろの力として資本導入をはかる以外に手はないと思うのであります。これは当面問題になつている値上げ率でさえも問題になるくらいでありまして、これ以上の大幅の料金値上げを急激に行うことは、現在の経済的な、あるいは社会的な条件から不可能である。不可能というよりも、やつてはいけない、こういうふうに考えますので、一にもつて九州なら九州の電源開発をやろうとするならば、現在の電力会社の力だけではなくして、別途の力を、国の力をかりてやらなければならぬというふうに考えておるのであります。先ほど私、ちよつとよく聞きとれませんでしたが、東電の安蔵さんのお話を聞きますと、電力会社にはすべて能力があるのだ、金だけがほしいのだというふうにおつしやつておつたように思います。これは私は今の電力会社の切実な声だと思うのであります。しかし、ちよつと言葉じりをとらえるようではありますけれども、その御説明の中に、もしも政府資金を使わせてもちえないならば、興銀あたりから金を出してもらつて自分の方でやるというようなこともおつしやつておられましたけれども、これは非常に矛盾があると思うのであります。現在でさえ、そういうお金を借りられないというので困つておられます。これを借りようとするのには、もつと商売が営利的に、非常に潤沢な経営状態にしなければならないという問題が裏づけられて来るのだろうと思います。そのためには、先ほどのお話にもどつて、料金という問題にかかつて来る。これは今の場合急激にやつてもらつては困る。こういうことになりますと、結局私は現在の電力会社ではその能力なし。それ以上の無理をしてもらつては、やはり国民経済上困るというふうに思うのであります。その次に大きな、現在の電気事業一つの隘路と考えますのは、電力の地帯間融通それにからんで来るところの料金の地域差の問題であるというふうに思うのであります。現在御承知通りに、この地帯間融通及び地域差の調整方法としての水火力調整金は全国の九電力会社の協議によつてこれを調整する、解決をはかるということになつております。しかしながら一部の経営者側の個人的に漏らした意向でもありますが、今のように完全な属地主義によつて、各九地区が独立した形になつておのおのの商売に一生懸命だというような状態の中におきましては、協議によつてお互いに譲り合うということは限度に来ているのではないかと思うのであります。今度の料金改訂にあたりましても、私の聞いた範囲では、本年の一月ごろからこの水火力調整金の九電力会社の協議を始めまして、相当の苦労をなさつておられます。その努力たるや私は目ざましいものがあると思つて、感謝しておるのであります。しかしながらこれはもう協議による解決には限度が来ておる。どうしても根本的に機構上、編成上の問題として再検討しなければならぬという時期が来ておると思うのであります。現在その打開の方法としては、もしも水火力調整金について円満な話合いができない、あるいは公共の福祉に反するというような場合には、公共事業令第四十五条によつて公益事業委員会が変更の命令をすることができるということになつておりますから、やろうと思えば、それ以上のことは命令によつてやることができるわけではございますが、公益事業委員会の現在の態度といたしましては、ちよつと話は横にそれますけれども、先般、昨年八月の十三日の料金改訂によつて地域差が非常にふえましたので、中国の山口県の電力議会はこれに異議を申し立てております。この異議に対して公益事業委員会は、水火力調整金の問題は、電力会社の自主的な協議によるものであり、これを命令によつて変更することができないということで、公共事業令の第四十五条を無視したような意見を言つて参りました。異議を却下したのであります。これに対しまして山口県の電力議会は、ただちに公共事業令によるところの高裁に提訴をいたしました。現在行政裁判の準備を進めております。公益事業委員会の取扱い態度はそういう状態であります。かりにこれを調整して各地域別需用家の福利を公正なものにしようというので、公益事業委員会の命令によつてやつたといたしましても、私は属地主義の方針が生きておる限りにおいては、徹底した解決ははかられない。やはりこれは機構上の問題として考えておかなければならないと思うのであります。現在地帯間融通はどういう状態なつておるかと申しますと、昭和二十二年を頂点といたしまして、昭和二十二年に一億七千万キロワツト・アワー、昭和二十三年が一億四千万、二十四年が六千七百万、二十五年が四千八百万、二十六年が三千七百万というふうに、再編成の直前から、GHQの属地主義的な考え方の方針がちらほら見えるころからがた落ちに地帯間融通は落ちているのであります。公益事業委員会あたりの昨年の需給計画を見ましても、地帯間融通はゼロになつておる。それを関係地区電力会社としてはやはり需用家に済まないという気持もありますので、非常な努力をいたしまして多少でも実績を上げておるような実情だと判断しておるのであります。どうしても地帯間融通という問題は協議によつてはできないという結論が、私は出ておると思うのであります。  その次に料金地域差の問題でありますが、料金の地域差もいろいろな説明はございますけれども、やはり増大する方向に進んでおるのであります。その率をこの席上で一々申さずとも、電力に御関心の深い方が多いと思いますので申し上げませんが、今度の料金改正が今の原案の率の通りに行われたといたしますと、また非常に増大して来ることは数字上明らかだと思うのであります。こういうふうに現在の欠陥を拾つて参りまして、われわれは現在の欠陥が是正されるところの新しい開発促進法でなければならないと思うのであります。開発促進法の中心課題であるところの開発会社という問題を中心に考えてみました場合に、これらの欠陥を除去するためには、結論的にいうと今出されておる新聞情報によるところの白洲構想と申しますか、ああいうふうなただ金を使う、政府資金を上手に使うということだけを考えた構想では、何らわれわれにプラスがない。第二番目には、公益委のブロツク案でも十分のことができない。やはり私は現在出されておる自由党案を果断に実行することだと考えるのであります。これを少し御説明申し上げてみたいと思います。  第一に、電源開発についての自由党案に対する一つの期待でございますが、それと公益委の案を対照比較してみたいと思いますが、公益委の案によるブロツク別にわけるというやり方では、新しくつくるところの会社の性格が、商法によるところの一般会社であるという点と、その主要なる投資家がその関係地区の電力会社であるという点、その資本能力の点ということから、国家資金を使うのにはベストの形態ではない。その方の御主張をなさる方はいろいろ弁解をなさる。今の形でも金が使えるのだ、こういうことをおつしやいますが、少くともベストの形ではないと思うのであります。政府が今度の大規模電源開発を果断に実行するために、政府資金を思い切つてお使いになるについて、政府資金を使いいい、安全な、堅実な方法をお求めになるということはもつともなことであつて、そのために新しくできるところの電源開発会社特殊会社をつくるということは当然な要求であろうと思うのであります。ただよく言われるところの公社化されたり、あるいは特殊会社にすると非能率的になるということでありますけれども、私たちはそう考えません。能率的とか非能率的とかいうことを言われるならば、現在の九電力会社は私はやはり非能率的であると思うのであります。これはちよつと逆の形の説明になりますが、一つの例で申し上げましよう。たとえば今度の料金改訂の計画の中の供給規程の中言、われわれ需用家としては納得できないことがございますが、その単純な一つ理由といたしましてこういう言葉がございます。電圧やサイクルの降下をしないように、できるだけその防止に努めるけれども、その責任は持てません。こういうことが各電力会社の供給規程案の中に入つているのであります。おそらく他の地方もそうだと思いますが、九州電力も入つております。これは私の推察でありますけれども、おそらく従来の慣例からいいましても、全国の九電力会社経営者の方方がお集まりになるときに申合せをなさつて、こういうものを全国一律に九電力会社別におつくりになつたと思うのでありますが、一社にすると企業は独占化するとか非能率化するとかいうが、これは九社でもやはり独占的な形をとつて非能率化するという一つの例証ではないかと思うのであります。  最後に一言申し上げたいと思いますことは、先ほど冒頭に申し上げた結論なのでありますが、今せつかくある自由党案を皆でいろいろつつ突きまわして、何が何やらわからないような案にしてしまうということを極力避けまして、自由党案を果断に大胆に実行していただきたい。その他九州としては球磨川を開発してもらいたいとか、屋久島をどうしてもらいたいとか、西日本送電幹線をどうしてもらいたいとか、各地区としてはいろいろ御要求がありますが、それはできてから先のことだと思います。当面の緊急の問題は一日も早く電源開発をすることだ。その電源開発をするためには金がないのだ。その金を国家資金で出してもらうにはどういう姿が一番いいか。それを虚心担懐に考えて、私は最も使いよい機構を考えて断行していただくということが大切だと思います。  もう一つ、これも関連があるわけでありますから、申し上げますが、われわれといたしましては自由党案の果断な実行希望するのでありますが、それについてはすでに述べ来つたように、卸供給事業による地帯間融通とか、料金地域差の調整ということが絶対的の条件だ。そういうことを言いますと、よく日発の再現だとかなんとか言われますが、私たち需用家の現状といたしましては、日発の再現が何だ、ポ政令が何だ、ことに今度中国が異議の申立てをして、公益事業委員会が、ポ政令については公益事業委員会責任を持たぬということを文書で返答しておる。日本のだれもが責任を持たぬようなポ政令にこだわつて、今どうだこうだということを議論しておることは、国民の生活に忠実な議論でないと思うのであります。よろしく虚心坦懐に新しい立場に立つて御研鑽を願いまして、この際思い切つて自由党案の断行をお願いしたいと思います。  言い尽せないことが多々ありますけれども、相当時間も過ぎましたので、これで終りたいと思います。
  19. 中村純一

    中村委員長 次は主婦連合会の吉田静子君。
  20. 吉田静子

    吉田(靜)公述人 電気料金の値上げ反対に立ち上つたどもが、まだその料金の決定を見ないうちに、今度は電源開発をどうするかという法案が自由党から出されましたことに対しては、現在の電力会社がいかに弱体なものであるか、経営が困難であるかをたびたびの値上げでよく知つている私どもにとりましては、このたびの電源開発法案に対しましては、非常な喜びであると同時に、また関心も深いわけでございます。現在の九電力会社には電源開発は重荷であり、なかなかむずかしいから、これを政府が側面から援助するため国家資金でやるという基本線に対しましては、私どもは条件付で賛成をいたすものでございます。ただこれをどのような方法でやるか。たとえば外資導入の問題、資金、資材の見通し、それから電力編成との関係、開発会社組織、業務の内容などにつきましては、いろいろな問題があると思うのでございます。このことにつきましては各関係代表者によつて十分な御検討の上、党利党略にとらわれないで正しく審議してほしい。私どもはそれを願つておる次第でございます。  実は私ども法案を拝見しただけではとてもその焦点をつかむことができません。聞くところによりますと、今までの審議の状況は、残念ながら非常に低調であつたということを聞いておりますが、これも結局根本はこの法案の問題点、すなわち前申したような諸問題や開発地点、期日、特殊会社の実質的性格などが電源開発調整審議会で慎重に決定するというので、ただいまのところではそのポイントが十分につかめてないためだろうと思つておるわけでございますが、私どもも同様この電源開発議会というものと、電源開発会社というものがはつきりと示されてからでないと、具体的に意見を申し上げるようなことはできないのでございます。  ただ、法案を見まして気つきました二、三の点を申し上げてみますと、審議会の人員の構成は関係閣僚五名、地方自治庁と公益事業委員長とで二名、計七名に対して、民間学識経験者から三名というようになつておりますが、民間の声も多く取入れるという立場から、三名を五名ないしは同数の七名にしていただきたいと私どもは思つておるわけでございます。  それから電源開発会社は大規模電源地帯を担当するでありましようが、その企業形態は政府が実権を握る全国一社の特殊会社をとるということでございますが、これはやつてみなければわからないことであり、結局そのやる人の問題であるとも思うわけでありますが、このような形をとれば、自然現在の電力会社開発意欲というものを低下させはしないかというような懸念もあるわけでございますし、また今までの例から言えば、政党に不明朗なことが多くなつたり、また政界腐敗のもとになりはしないかということを、よけいな心配かもしれませんけれども、これには相当研究の余地があるように私どもは思つております。  また考えられますことは、資金の世話は特殊会社にさせて、利益は電力会社に押えられるというようなことにならないように、そういうよけいな心配をいたしておるわけであります。むしろ今度の法案が適用されたとすれば、資金、資材、税金などは相当安くしていただけるはずだと思いますから、私ども使います料金は相当に安く、量も多く使用できるはずだと思つております。今日までの電力会社のような経営の不手ぎわや石炭値上げだのあるいは修繕費だのと、むやみに料金値上げでもつて消費者を苦しめ、それでもつてカバーするようなことは、今度は絶対になくしていただくようにお願いできるはずだと思つております。  また利益の配当でございますが、これにつきましても一応お考えおき願いたいと思つております。  全国一社の特殊会社が世話をして、発電所ができ上ると、これを原則として電力会社に売るか、あるいは貸し付けるかするそうですけれども、そうすると会社の存続期間も短いし、また役員の任期も短いので、あるいは無責任になりはしないかというようなことも私どもしろうとして考えておりますが、御検討願いたいと思います。  またせつかくこの再編成によつてできた九電力会社があるのに、全国一社では旧日発の再現になりはしないかというようなことも懸念いたしておるのでありますが、そういうところは私どもにはよくわかりませんですけれど、相当の声がありますので、御注意があつてほしいと思つております。  資金、資材のお世話は政府がやつて、開発事業電力会社にやらせる方がいいという意見も私ども主婦の間には相当にあります。これはもちはもち屋といつたこともあるのかと思われますので、その方も一応考えられるわけでございますけれども、ただいまのところ私どもの知つております電力会社に対しましてはここには結論を出すことができないわけでございます。  このようにあれこれ考えてみますと、どの方法をとりましてもプラスとマイナスはあるもので、私どもとしてはしろうとでございますし、十分にわかりませんものでございますから、その関係者に十分な御研究をお願いしたいと念願しているわけでございます。  とにもかくにも電源開発政府が乗り出すということは、前にも申しましたように、非常にありがたいことで、産業方面から考えてみましても、また私ども主婦として生活の能率化の上に、また文化面にも電力は重大なのでございまして、この一端を政府がになつてくださるということに対しましては、婦人の社会的地位を向上させる上に非常に有益なことであると私どもは喜んでおります。このように考えて来ますと、今までの経験から、電力は季節的にもあるいは地域的にも発電状態がわかつていると聞いておりますから、現在の九会社にさらに検討を加えて、会社の数も適当にお考えくださいまして、その融通がうまくつくような方法を考えていただきたいと、つけ加えてお願いいたす次第でございます。  なおこの案の中で私ども家庭の主婦として落していただきたくないことは、電源開発に伴つて、末端設備、たとえばトランスとかあるいはメーターとかいうものに類したものも一緒に考えていただかないと、電源開発ができましても器具や機械その他の不足でそれが十分家庭に使えない、工場に使えないというようなことも起りはしないかと思いまして、これを落さないで一緒に考えていただきたいと思つております。なお電気の器具でございますが、これもたいへんこまかい話で申訳ありませんけれども電気器具の生産コストも引下げてくださるような努力を一緒に払つていただきたいというふうに思つております。とにかく社会的、国家的費用をかけようというこの電源開発がどこまでも公共の福祉を増進するようなものであつてほしいと、私ども家庭を守つております主婦の立場からお願いいたす次第でございます。
  21. 中村純一

  22. 久保田豊

    ○久保田公述人 私の申し上げたいことはごく簡単なことでございますが、電源開発促進の重要であることは申すまでもないことであり、またその問題を重点として取上げるということで、この案がつくられたことはまことにけつこうなことでありますが、実はおそきに過ぎたということを私は感ずるものであります。わが国の戦後の電力の増強は、火力の戦災による被害の復旧を主といたしまして、水力のごときは二十数万キロを出でない。合せましても二百万には及ばない程度のものによつて、不足がちの今日に到達をしておるのでございます。わが国と同じように資源が足りない、また戦災を受けたというような状況にありますイタリア、フランスの状態を見ますと、これらはいずれも五百万キロに近い増強をいたしております。全体の量はわが国よりも少いのであります。にもかかわらず五百万の増強をいたしているということは、ことにイタリアのごとき資源の乏しい国が、いかにエネルギー経済において電力というものが重大をきわめておるかということによつて、国民なりあるいは政府なりが非常に強力な措置をとつたということになると考えるのでありまして、その点についてもこの措置はおそ過ぎたと考えるのであります。  この方針については私は大体において賛成でございますが、賛成の要点は、一番大事なことであるこの問題を重点としてお考えになるということ、第二に資金政府においてお取上げになるということ、なおまたいろいろむずかしい問題の調整をなさるということ、そのほか小さい問題でございますが、電力の料金を安くするためには税的の措置をなさる、ことに地方税の固定資産税をある期間減額なさるというようなこまかい配慮が入つておるのでありますが、この点についてはあるいは若干のつけ加えが望ましいではないかと考えます。そうしてこの問題がどんどん進行するということを希望するのであります。電源開発促進に関する調整につきましては、例を申しますと、わが国において一番大事なのは貯水池の築造だと考えます。日本は雨と人間が多いのだというふうに、いい意味においても悪い意味においても言われております。この雨の問題は、利用されればこれは天然の資源となり、反面損害を受けている場合も相当に多いのであります。この雨を山に貯えることができますれば、これは電力といたしましても非常な増強になり、ことに渇水期間等におきまして十分の調整がとれるのでありますが、これらも場所によつて今日まで開発できないいろいろな困難があります。その一つ日本は貧乏国であり、いる所がないので山の高い所まで開墾されて、貯水池のできるような面積の所には相当の住民がおります。これらの人々に対しては、はなはだお気の毒でありますが、場合によつてはそういう所に適当な処置をとつていただかなければならないという問題であります。またこれらの土地は景色がよく、天然記念物があるというようなことで、各地においてこういう問題を取上げることはなかなか困難であるという場合もございます。これらに対して措置がなければ、全日本の有力な電源を十分に開発することは困難でございます。これに対する措置を調整されることが望ましいのでありまして、それについてはこの組織をお考えになつているのでございますが、いろいろな調整をなさるにあたつて、従来政府の各機関でいつも見られているのはセクシヨナリズムであります。おのおのの申出をなかなか譲らないという点でございます。それについてはこの調整機関がどういうふうにして強力に行われるかということがポイントでございます。それをやる措置と、それからそれをやるべきための調査及び調整の研究というような事務組織が非常に必要になつて来ると思います。聞くところによりますと、安定本部といい、公益事業委員会といい、こういう問題を内閣に直属いたしまして、そういう問題を取上げる機関はあるいは改廃になるようなことを新聞等で伺つております。これも私は問題の是非を論ずるものではありませんが、電源開発に関する限り何らかの強力な基盤を持つことが必要ではないかということを痛感するものであります。  次に問題点として考えますのは、わが国電力開発の促進にあたつてまず考えられるのは、いろいろたくんのものが盛り立てられておりますが、一体どれをやるのか、あしたからそれだけ入るのかということになりますと、私の見るところによりますと、あしたから必ず入るというものはわずかしかないのであります。どの地点に入れたらいいか、損でもいいから入れようという所は残念ながらはなはだ少いのであります。これは従来こういう問題に対して調査が十分でない、また調査に基く計画が行われてないということでありまして、この問題を何らかの形で取上げるということが電源開発促進の一番重点でありまして、工事はあしたからでもできる状態にしておく、工事の前の時間を十分とるということが必要だと思います。この法案のどこかにこういうことが盛り込まれることが非常に望ましいことだと考える次第であります。  なお申し上げたいのは、開発会社のことでございますが、開発会社開発の担当者である。これは必ずしも従来までの関係上、各電力会社、それから自家用または公営というものは、むろん今までの法令によつてやつていいことであり、またやつていい方針なつております。自家用等につきましては、先ほど原さんからのお話もあつたようでございますが、これは自分で必要とし自分がそれだけの力があるならば、そういうものにどんどんやらせていい。従来の日発時代には、自家用を非常に抑圧する方針をとつておられたのでありますが、これが今日は幾らか認められて来た時代であり、幾らかというよりも開発銀術等の資金をつけるまでに一歩前進されたという喜ばしい状況でございますが、かくのごときものも十分取上げていただいていいというふうに考えるのであります。  私往年朝鮮でこういう問題を取扱つたのでございますが、そのうちの一部のごときは、できた電気の半分を一般の公共用に供給しろ、半分は使え、あるいは三分の二を供給しろ、三分の一を使つてよろしい、こういうようなことをもつて開発の担当者が資金的の苦しみも越え、また事業的にも非常に熱心で、またできる電気自家用でありますために、非常に安くすることが必要であるというようなことで、その問題を推進いたしまして、結果は大部分の供給をいたし、ことにこれが一般に供給する会社に出すばかりでなく、自家用的の金属会社、化学工業会社、こういうようなところにも同じような率をもつて均霑したというようなことも行われたのでございます。これは資金ができるから、組織があるからということが土台でございますが、そういうようなこともあり得るのだということを一応お考え願い、あの手この手ということでいろいろな人がいろいろな手でもつてやつて行くということがこの電源開発促進の重要な問題だと考えます。ただもしやむを得ないといたしますれば、ある地点開発にあたりまして、その地点は国の名前をもつてしなければ、どうも感情的に水没の問題であるとか、その他いろいろな問題、ことに地方的な問題なんかもございます。そういうような問題のために、非常に困難だというようなときに、国という名前を使うというようなことで、あるいは今御審議になつておるような問題もあるかもしれません。そういうような場合は、これは非常に特殊の場合でありまして、それは決して全部ではないと思います。これは一部といつていいと思います。そういうようなむずかしい問題、急務を解決するということにおいて電源開発促進をいたさなければならぬということであれば、これまたやむを得ないというふうに考えております。しかしこれが唯一の解決方法とは考えておりません。ただもしこれをそういうような線においてお取上げを願うならば、これは私どもの考えるところによりますと、この会社にはやはり持続性を持たせたい。先ほども御指摘がありましたように、二年間ぐらいで役員が退却するということは、いい意味においても悪い意味においてもどうかと考えます。職員についても永続性がないということは、これはやはり熱意をそがれるものと考えます。従つてこの本社については、あるいは永続性を持たす一つ機関である、あるいは機動性を持たすような機関であるということを盛り込むことが熱意を増す意味において必要かとも考えられます。同時にまたこの会社ができたならば、資金的の信用を博する、つまり借金ができるようなものにするためには、やはり若干の営業性を持つて行く、あたりまえの商売をして、政府の指示するような必要な動力源に対してこれを補給するというような目的などを持ち、永続性を持たせますならば、あるいはこれもごく一小部分の仕事というふうに、今言われるような、これが大局を支配するというようなものでないという意味において、これもあるいはあり得るかもしれぬという程度に考えるものでございます。私の申し上げることは、これだけであります。
  23. 中村純一

    中村委員長 次は新潟県知事岡田正平君。
  24. 岡田正平

    ○岡田公述人 私はただいまお呼び出しにあずかりました岡田正平でございます。このたびのお呼び出しにつきまして私どもといたしましては、待望の電源開発を促進するところの法案が今国会に提案されることは、まことに邦家のために皆様方とともに喜びにたえないところでありますとともに、その審議にあたりまして、本日意見公述する機会をお与えくださつたことは、私の最もありがたく思うところでございます。  この法案がきわめて重要なる意義を持つものであるだけに、その内容において、また運営においてこれを誤つたならば、せつかくこの法案の価値をまつたく没却することになりますので、私としてはこの際思うところを率直に申し述べさせていただきたいと存じます。  まず第一にこの法案の大きなねらいは、わが国産業の振興及び発展に急速に役立つような電力開発することと信じております。さきに経済安定本部でつくられました電源開発五箇年計画によりますと、その目標がきわめて過小ではないかと思われるのであります。少くとも今後の電源開発は、まず第一に戦争のために十箇年間に及ぶ電力開発の停滞を補うとともに、今後、いな現在から今後に及ぶ電力需給の見通しに重点を置くべきであると信ずるものであります。これが本法案のねらいであると信じます。  次に現在日本においては、渇水期の補給電力が絶対に必要であるということは否定できない大きな事実でありますが、最近の国際的な経済情勢を見ましても、化学工場初め非鉄金属工場その他の新興工場が急速に勃興いたしまして、電力を大幅に要求する時代に移りつつあります。わが国におきましても政府が商業の目標として公表しておるところの鉄鋼業生産指数の一九〇ないし一九七の規模に到達するためには、四、五箇年のうちに電力需用は想像以上の急増を要するものでありまして、今にして大電源開発をはからなかつたならば、日米経済協力の達成も、はなはだ困難を招くことと思われるのであります。従つて今後の電源開発の目標は小さな需給計画基礎としたり、補給電力のみに執着するのあまり、豊富にしてしかも低廉なるところの質のよい大量の常備電力開発をおろそかにすることがありまするならば、いわゆる木を見て森を見ざるのたぐいでありまして、わが国電力需用者に対しましてまことに不当なる犠牲をしいることになると憂慮するものであります。かるがゆえに本法案によりまして実施するところの電源開発基本計画は、よろしく日本全体の電力開発計画の上に立つて、窮迫したところの日本経済の要請、停滞していた電力開発の穴埋めたるところの大量の電力で、しかも早く、また安く開発できるものから第一に着手すべきものであることを、本法案のまた眼目とせられるところと考えるのであります。この意味におきまして本法案第一条にこの理念をさらに具体的に明瞭に示されることが必要であることを強く要望するものであります。しかるにこの法案の参考付表として配付されておりますところの開発計画の予定内容を拝見いたしますと、説明では仮の案として一応とりまとめたものとなつておりますが、現在両案があつて、まだ開発方式が決定していないものについて、一方の案のみを記載しておる点が見受けられるのでありますが、仮といいましても、これらのことは往々人をして誤らしめるものであります。かようなものについては慎重なる案を挺示していただきたいと思うのであります。  次に本法案に対しまして世上電力事業独占の排除と企業の自主性を重んずるという電気事業編成趣旨に反して、旧日発の再現であるという批判がなされておりますが、現在の九電力会社とは別に、電源開発株式会社を設立いたしまして、国家資本を投じて開発を行わんとするゆえんのものは、この法案のねらいとする開発方式が、単に電気オンリーだけでなく、水の最も効率的な利用の上に立つた総合開発方式を企図しておると解釈してこそ妥当なるものと考えるのであります。従つて電源開発株式会社実施せしめるところの電源開発計画は、大規模でかつ治山、治水、灌漑等、国土の総合開発を十分に織り込んだ多目的利用開発方式に限定すべきものであつて、その他の電源開発電力会社自家発電公営発電に一任いたしまして、電源開発行政の混乱を防止せられるように御留意願いたいと思うのであります。  本法案によるところの電源開発調整審議会の委員の構成は、電力産業関係各省大臣がほとんど大半を占められまして、しかも事業計画規模、方式等も審議会が決定することになつております。この問題は今までの公述人がしばしば述べられたところでありますが、かかる技術的問題までが、これらの委員によつて決定されることは、委員の構成から見て適当でないと思われるので、審議会の構成には少くとも七名以上の学識経験者を増員するか、あるいは別に学識経験者をもつて構成する調整機関を設けられることが必要と信ずるものであります。すなわち羅議会の所管事務は電源開発を促進するため基本方針及び資金資材計画等に限定をいたしまして、開発地点開発方式の決定、その具体的実施に関する事項につきましては、別に調査機関を内閣もしくは適当のところに設置し、しかもその調査担当者は、日本における最高技術者、特に海外において豊富な体験を有する方々を起用し、万全を期せられるように措置すべきものであると考えるものであります。  また政府はさきに多額の経費を投じられまして、外資導入の呼び水としてOCIに熊野川、只見川等の調査を依頼されましたが、本法案による電源開発計画は、外資導入のいかんにかかわらず、独自の調査、研究によつて、日本の現状に最も即した、すなわち今後の経済情勢との結びつき、資金関係、資材状況、工事能力等を勘案した公正な開発計画を決定せられるように要望いたします。  次にこの法案は非常に中央集権的な色彩が強く感じられるのであります。すなわち最も切実な利害関係を持つところの地元関係県の知事に、単に意見を申し述べる機会を与えておるのみでありまして、審議並びに決定にはまつたく参画せしめておらないのであります。すべからくかようの意味におきまして関係県の知事を、当該河川について臨時委員として加えることが公正妥当な結論を得るゆえんであると存ずるのであります。  次に現在大規模開発地点、たとえば只見川、熊野川、琵琶湖等に、開発方式をめぐつていろいろ紛争が起つておりますが、政府はかかる紛争を口実として、経済的に有利た開発地点政治的にたな上げするようなことなく、真に国家ため必要な大電源をすみやかに開発でき得るよう積極的に紛争の調停に乗り出し、電源開発政治的促進に努められるよう深く要望するものであります。  以上本法案そのものの目的、巌義並びに審議会の構成等について一般的の意見を述べましたが、以下この法案の運営について特に重要な事項について申し述べたいと存じます。  私は只見川の問題についてはここにおられます福島県の知事さんも御同様でありましようが、なるべくこの際触れたくないのでありますが、他の河川のことは私はよく知りませんので、只見川を県境に持つ新潟県の知事といたしまして、少し大目に見ていただいて只見川を例にとつて運営に関する重要事項につきまして意見を申し述べさしていただきたいと思います。只見川は最も優れた河川であると信じておりますが、ただその開発を行う場合、下流から順々に開発する方がよいという説もあるようですが、真に日本の現状が要請するところにこたえまして、只見川を生かすためには、只見川の上流を流域変更によつて開発することが第一であると思うのであります。すなわち天恵の地形によつて七百メートルに及ぶ大落差を一挙に利用できるので、わが国経済の最も弱点となつておりまする産業電力開発のいわゆるずれを安い電力で、しかも早く穴埋めができるのであります。本流沿いにダムを築いて長期間を要し、しかも高い補給電力開発しようとする本流案と、いずれがまさつているかなどという抽象的な問題よりも、まず最初に、早期に開発ができ、しかも企業的に有利でかつまた総合開発の効果ある流域変更によつて開発することが、真に日本経済の現実に即しておるということを御認識いただきたいと思うのであります。これが戦争もなく、普通のときでありましたならば、あえて流域変更でなくともよいでありましよう。しかし現在の日本としてはそんなのんきなことは言つておられぬと思います。今日の段階では流域変更以外にわが国経済の要請に即応し縛るものはないとここにはつきりと申し上げたいのであります。これについては公益事業委員会の外郭団体である電源開発調査会も、流域変更の優位性を目下検討中であると聞いております。また野口研究所も、日月潭ダムの立案者林さんも、独自の流域変更の構想を発表しております。中野有礼さんもこれまた流域変更に賛意を表しておるのであります。このように只見川の流域変更の主張は、単に一新潟県の主張のみでなく、日本一流の技術人、経済人が強く関心を持つておられるのであります。世上往々この厳然たる事実にことさらに目をおおい、真に日本経済に役立つ電源開発実施を誤らせようとしておるがごとき、まことに遺憾にたえない。この点は皆様にもとくとお考えをいただきたい次第でございます。本法案のねらつておる目的の具体的表現は、只見川の流域変更による以外にはないということを強く確信し、従つてその実現をあくまで要望する次第であります。  なお開発方式について一言いたしますと、識者のうちには、流域変更による開発方式、たとえば只見川の水声新潟県へ落すのは無理だという感情的先入観から、流域変更が日本においては実現できないように考えられておる人もあるように思われまするが、まことに潰憾にたえません。自然の流れに沿うて開発することは、常識的で無難な方法ではありまするが、しかしこの自然の流れをカツトして流域変更することが、技術的にも経済的にも有利たという場合が多いのであります。ところが人口密集とか、その他の事情で困難な場合もあり得るが、只見川の場合においては、流域変更が十分可能であり、かつきわめて有利であるということが考えられるのであります。特にわが国の現状から、真に国家ため流域変更が是であるならば、よろしくその方式を採用すべきであると思うのであります。その最近の実例は、奈良県の十津川にあります。只見川の水を新潟県へは一滴もやれぬと言う人がありまするが、これはとんでもない話でありまして、只見川上流の水は、六割は新潟県の地積内の水でありまして、むしろこちらへもらうのが当然だという議論も成り立つのであります。只見川の水の流域変更についてとやかく言つても、新潟県は昔から米を供出しております。全国に対して、いわゆる米の流域変更をやつておるのであります。農林省、特に廣川農林大臣は、私の顔を見るたびに米を出せ出せ言つておられまするが、この流域変更によれば、換算して八十万石の米の増産が容易にでき、この量は、福井県全体の米の産額に匹敵するものであります。このことは日本経済自立の根幹をなすところの食糧自給のため、いかに重要なる役割を果すかということを御認識を特にお願い申し上げたいと思います。しかもその増産された食糧は、単に一県民が消費し、他県にはやらぬというようなことではなく、日本国民の食生活のために、農民が額に汗して一粒の米でもよけい供出することを特に御考慮願いたいのであります。他県に水をやるとか、やらぬとかいう島国根性に対する遠慮から、開発方式がゆがめられるというようなことがございましては、本法案趣旨に反するものと考えるものでありまして、真に国家ために大乗的見地に立つて電源開発を遂行せられんことを、この際あわせてお願いするものであります。  最後に結論として申し上げたいことは、電源開発の時局的重要性にかんがみまして、双手をあげて本法案に賛意を表するものでありますが、この法案を実際的に価値あらしめるためには、この法案の意義、目的、審議会の構成並びに法の運営等について、前述のごとき意見を申し述べましたところによりまして、只見川の開発には、流域変更案が最も適当かつ有利であると確信し、この意味においてこの法案に対して賛成するものであります。しかるに右に反するようなことがありといたしましたならば、この法案趣旨を没却し、せつかくのこの法案を無価値ならしめるものとして、そういう場合にはこれに反対せざるを得ないのであります。どうぞこの法案の御審議に際しまして、十分これらの点を御考慮いただいて、慎重に措置せられるように祈念いたしまして、私の公述を終ります。
  25. 中村純一

    中村委員長 次は福島県知事大竹作摩君。
  26. 大竹作摩

    ○大竹公述人 今回電源開発促進法案が今国会に御提案をされましたことは、まことに時宜に適したものと考えます。その趣意については心から賛意を表するものであります。わが国の現状からして、未開発の大規模電源地帯開発は、国家の総力をもつてなさねばならぬと思いますので、この法案に対しまして賛意を表するものであります。  次に本案に対しまして私の所見を二、三申し述べてみたいと存ずるのであります。経済の面からあるいは技術の面からいたしまして、午前より各権威であられる皆様から公述されましたので、私は審議会の運営について申し述べてみたいと思うのであります。この第二章の電源開発調整審議会においては、電源開発基本計画に関するところの調査審議することを規定しておりますので、この審議会の議を経てしかる後にその工事実施することとなりますから、この審議会の委員につきましては最も厳格に指定することを希望いたします。ただいま新潟県知事から公述されましたように、この審議会の構成は、現在の案に示されておりますように、各省大臣が七名、学識経験者から三名と相なつておるのでありますが、かようなことでは真にその適応したところの開発はなし得ないであろうと思うのであります。ただいま新潟県知事からも、また午前中に富山県知事からも公述されましたように、この学識経験者の中に、その関係府県の知事を委員または臨時委員としてその構成の中に入れることが最も望ましいと思うのであります。この審議会の運営につきましては、ただいま新潟県知事からの公述中にも、この電源開発政治的に解決するようにという御意見の発表がありましたが、私はこれと反対的な意見を持つておるのであります。現在のわが国に残されたこれらの未開発電源は、これは最も科学的に最も技術的に検討せんければならぬと思います。いわゆる審議会の運営に関しましても、これが単に政治的に行動されますようなことがありますれば、技術と経済とを脱却する結果に相なるというおそれがあるのであります。ただいま新潟県知事から、只見川の開発方式に対するところの御意見の御開陳がありました。私は新潟県知事と反対な意見を持つておるのであります。只見川の水は分流すべきでないという考えを持つておるのであります。只見川の水を分流して、新潟県にこれを流し、そうして最も良質な、豊富にして低廉なる発電が可能でありまするならば、何で福島県がこれに反対いたしましよう。技術の面、科学の面においてこれを立証されるならば、決してこの案に反対はいたしません。私は技術人でもありませんし、科学者でもありませんが、少くとも只見川してはわれわれも検討をいたし、またさきに日本発送電株式会社並びに国費をたくさん投下して、これらの開発の方式の調査研究を遂げておるのであります。また御承知のように、昨年の夏以来只見川の調査に米国の海外技術調査団が調査をいたしておるのであります。近くこれらの結果も発表になると聞いておるのであります。この日本に残された宝庫、わが国が今後再建するためのただ一つの基盤であるところのこの只見川の開発をもし誤りましたならば、どうなるか。私はこれは厳正なるところの技術と科学の力によつてのみ決せらるべきものであろうと信ずるのであります。本日のこの公聴会の性格からいたしまして、この開発方式を云々すべき筋合いではないのでありますが、新潟県知事から流域変更に対する御意見の御開陳がありましたので、一言申し上げておくのであります。  ただ本案によつて大規模なるところの未開発地帯の開発は、最も国家の総力をあげてやらなければならぬのでありますが、現在までに調査研究を遂げておりましたところの小規模なるところの開発は、属地の電力会社、あるいは公営企業等に開発をなさしめるのが最も適当であると考えるのであります。従つてこれらの会社が今一番困つておりますことは、資金の面であります。それらに対しましては十分なるところの援助をなすことが国家ためであろうと思うのであります。この法案によつてこれらの小規模なる既存の会社圧迫するようなことがあつてはなりません。かようなことも十分研究を必要とするものと思います。この法案そのものに対しましては技術面より各権威の皆さんから御意見の御開陳がありましたので、私はその審議会の運営について申し上げたのであります。  以上私の意見を総括して申し上げますならば、電源開発調整審議会の適正にして厳正公正なる審議をなし得るような機構を整備していただきたい。  二に、電源開発株式会社実施する発電地点の選定については、実情に適応したところのわくをもうけてやるということは、先刻新潟県知事さんの公述されましたことと同感であります  三に、公共並びに民間企業への工事資金の強力なあつせん、融資並びに属地主義的な工事の委託をはかる、これも大切なることと考えるのであります。  最後に、発電県に対しまして、その電気の使用量を確保していただきたい。これはこの機会に申し上げることが適当であるかどうかわかりませんけれども、御承知のように、電気というものはただ開発されるものでないのであります。その河川流域民が長い間水害その他の災害において辛酸をなめて参つておるのであります。現在これらの電源地帯であるところの県がいかに電力に苦労をなしておるか。米の供出をなすために、調製するため電力は一キロの配電も容易でないのであります。これらの実情はまことに矛盾もはなはだしいのでありまして、皆さんに格段なる御配慮を願いたいと思うのであります。  先刻来書公述人より申し述べられましたこの開発会社の性格が、第一に独善になつてはならない、官僚的なものであつてはならない。これも強く主張しておきたいと思うのであります。以上私の意見であります。  なお電源県の知事といたしまして、開発事業実施にあたりましてはこの早期完成に県の総力をあげて御協力申し上げることを付言いたしまして、私の公述を終ります。
  27. 中村純一

    中村委員長 この際お諮りいたします。公述人として御出席の予定でありました藤田進君がおさしつかえがございますので、全日本電気産業労働組合中央常任執行委員今井宏君を公述人として意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 中村純一

    中村委員長 御異議なければ、さようとりはからいます。  それでは今井宏君。
  29. 今井宏

    ○今井(宏)公述人 陳述に先だちまして私が申し上げます意見は、この電源開発に関します法案は、昨年の十月ごろからさまざまの変革が加えられたようでございますけれども、逐一われわれはいただきまして、これを下部に流しております。そうして電気事業に携わる労働者としてその一つ一つの実感の上に積み上げられた電産として持つておる意見でございますので、その意味でお聴取り願いたいと思うのでございます。われわれは昨年の五月に、松江における大会におきまして電源開発を促進しようという大会の決定を持つております。そうしてこのような決定に基きまして、時々に起ります具体的な問題はその都度都度開かれます中央執行委員会において具体的な闘い方、それから具体的な問題の処理というようなことを一つ一つやつて参りました。もちろんわれわれとしては決して電源開発をはばむという考えは毛頭ございません。この点をあらかじめ申し上げておきたいと思うわけでございます。  さてこのたびの電源開発促進法案でございますけれども、この提案の御説明等をお聞きいたしましても、要するに電気が足りない。だから電源開発をしなければならぬ。そのためには一社の形態でやるという、このようないわゆる簡単な三段論法の形の進め方のようでありますが、われわれは電気事業に携わる労働者といたしまして、このようなところにやはりさまざまの問題、それからその間に論理の飛躍があるのではないかということを考えるわけでございます。  まずこの電源開発の問題が惹起いたしました昨年の渇水の問題でございますけれども会社側ではやれ雨が降らぬ、雨が降らなくて水が出ない、だから火力をたかなければならぬ。今年の電気事業会社の赤字は二百億であるというようなことを呼号した。しかしながら上期の実績においてはわずか九億にとどまつた。出水率を見ましても一番ひどいと言われました八月において月平均八五%程度渇水であつた。このようなことは今までの歴史に見ましても新聞その他が取上げ、またあの一般の人々が口にしましたような、決して伝えられる異常渇水ではない。問題はもつと別のところにあつた。われわれはこのように考えているわけでございます。  その第一は、大体二十六年度の需給計画というような点が問題になるだろうと思うのでございますけれども、大体電気が足りないということは、言いかえますならば、いわゆる需用と供給とのアンバランスということであろうかと思います。そのような意味におきまして、昨年度安本、公益事業委員会で策定せられました需用量の推定というようなそもそもの数字に大きな誤りがあつたのではないかというように考えます。一般民需用は二十五年よりも七%ぐらいは供給力がふえるだろう。だからこれに見合うところの需用量の推定をやる。そうしてそれに引合う火力用炭の裏づけ、それから発電所の補修、整備並びに新増設の計画というようなことが、すべてそのような一つのプランの上に基いてなされて来たわけでございます。このようなことはこの電源開発促進法案にも直接に関連あると思うのでございますけれども、われわれが資金、資材の裏づけがないと言いますと、いや、資金、資材の裏づけはあるというようなことを言われます。しかしながら現実に昨年の渇水期におきまして需用は七%を上まわり、上期において約一八%から二〇%程度需用増であつた。このような点において大きくバランスがくずれて来た。そうして火力用炭においてもやれ石炭が足らぬというようなところから、会社の首脳部はわざわざ九州に飛んで行つて石炭の買付に飛びまわるというようなことまでやつた。そうしてそのような過程からプレミアムつきでもつて石炭を買いあさる。従つてトン当り原価に見込んだ炭価よりも三百円、四百円も高い原価につく。このようなことが簡単に料金の原価構成の上から一般大衆にぶちかかる現実の事態も出て参りました。このような点から申し上げますならば、いわゆる電気が足りないというただ一つの言葉でございますけれども、このようなところにおいてはやはり問題の需用供給の想定、そしてそれに引合う資金、資材の地道な着実なこの数字の引当てというようなことが裏づけにならなければ、いかにどのようなりつぱなプランを次から次につくつても、決して何にもならぬというようなことが昨年の渇水期に如実に現われているだろうと思うのであります。  さてこのような形において需用供給のバランスがくずれる、端的に電気が足りないというようなことになれば、当然その間においてやはり電力需用を増加するためのさまざまな方途が考えられなければならぬわけでございます。そのようなためには、まず電力の融通問題というようなことが大きな問題になるわけでございますが、これは御存じのように昨年の電気事業編成以来、電気事業日発が解体いたしまして、九つの電力会社にわかれました。このようなときにわれわれ電産といたしまして、この電気の特殊性から申しても、このように電気事業を九つに分断するということは実におかしいというようなことを声をからして叫んだわけでございます。果せるかなこの電力需用の融通という面において、これも昨年の渇水で大きくそのようだ矛盾を露呈しております。たとえば端的な表現をいたしますと、これは昨年の上期の収支決算でございますけれども、東北電力におきましては約二億五千万円の赤字を出しました。ところが驚くなかれそのうちの約一億五千万円というものは、この融通契約を満たすことができなくて補償料に取られているというような事情は、なぜかと申しますれば、やはり各電力会社は各自分の需用家がかわいいという観点から、自分のところに起つた電気は自分の需用家に売り渡す。そしてそのような協定というものが誠実に履行されない、このような点から各地において需用のアンバランスというものにさらに拍車をかけられるという現実が起りました。このようなところにおいて一番極端なのは、たとえば中国とかあるいは関西においては、中小企業の方々が関西電力の前でハン・ストというようなことをやられたことは、これは新聞その他ですでに御存じのことだろうと思うのであります。あるいは東北地方においては、三十分停電すれば三十分つけるというような、三十分ずつの輪番停電というような現実の事態まで追いつめられております。あるいはまた片一方においてはネオンがついておるのに、片一方ではネオンがつかないというように各地方において電気需用のアンバランスが出て来る。このようなことが電力融通の点から起つて来ておるわけでございます。もう一つは、従つてこの新規開発というような点が問題になつて来るわけでございますが、これは当然各九つの電力会社にわかれたこの電力会社が主体となつて、開発ということを推進するというような点に相なりますれば、電気事業に使われる資金の関係で、この資材事情は限定され、そしてそのようなことからやはり資金の効率は悪くなるし、それから資金の入手が悪くなり、入手の手配もなかなかつかないといようなことになつて来れば、やはり必然的にこの配当をはつきり公約しなければ金が集まらぬというようなことも出て来る。そしてこのようなところに、たとえばこのたび発表されました電力料金の値上げの問題でございますけれども、株主の配当命というようなことがはつきりと原価構成の中に入つている。そしてそれがとりもなおさず一般需用家に転嫁されるというような形になつて来るわけでございます。このような観点に立つて電気事業の実態ということを考えてみますならば、簡単に電気が足りないということの中にはさまざまの問題がある。たとえばその前にいわゆる需用供船の策定、そしてそのようなことをめぐつて電力行政がはたして十全な組織であるかどうかというような点についても、われわれは率直な疑点を投げかけざるを得ないと思います。これは午前中の公述人の中にも、この点に触れられる方が二、三ございましたけれども、われわれはこのような電力行政の不円滑、特に電気事業の公益性という点に立脚いたしまして、この政治権力によつて、右、左するというような、そのような不安定なものではなく、これからまつたく隔絶したところの電力行政機構の一元化ということをわれわれは一つのスローガンに掲げておるわけでございますが、このような点からはつきりした形において、この需用を想定するようなことが考えられなければならぬという点も考えるわけでございます。  それからまたこの新規開発や何かの点につきましても、あるいは融通の問題につきましても、いわゆる電力事業の再編成というような矛盾がはつきりとここに露呈されているというような点が考えられで来るわけでございます。  それからもう一点次に強調いたしたいことは、要するに政治に対する一つの不信と申しますか、このようなこともはつきりと表明ぜざるを得ないのを遺憾に思います。と申しますのは、たとえば公益事業委員会というものが再編灰と同時にできました。この設立の趣旨というものは、これはすでに御存じのように、いわゆるレギユラトリー・ボデイといいますか、電気事業のほんとうの公益性に基いたレギュレーシヨンが根本的の目的であるといいながら、たとえば昨年の電気料金値上げにからみましてわれわれはこれに反対し、そうしてその決定に基いて異議の申立てをやる。そのような経過一つだけをとつてみましても、きわめて官僚的である。そうしてきわめて非民主的な運営をやる。たとえば公共事業令並びにその規則の繁文縟礼と申しますか、手続の煩瑣は言うまでもなく、たとえば昨年の八月の十三日に実施されました料金値上げに関する一般大衆の反対の声、このようなものが、もちろん料金の認可決定の次に異議申立てとして提出されているのでありますが、公共事業令によれば認可決定後六十日以内に異議の申立てをやらなければ失効である。そのような限りにおいて二箇月以後において出された異議申立てはいかなる手続が行われたか、その辺の事情は知りません。しかしながら異議申立ての公聴会の開かれましたのは、東京は十二月の十日でございます。しかもその陳述に基きまして、この最後の決定書というものが陳述人に送付されましたのは、ちようど次の五月一日に予定された料金値上げのプログラムが現実に着々と進んで、もう会社側が三月十五日には認可申請書を出すというようなことが新聞に大きく取上げられた、そのころのことでございます。このような専務処理の緩慢さ、それからまた非民主的な運営というような点から申しますならば、この電気事業というう公益事業にわれわれ一般需用家の意思というものをいかなる形で意見を反映したらよろしいのか。たとえば参議院におきましては、電力特別委員会あるいは通産委員会、あるいは衆議院におきましても公聴会、こういう委員会が持たれまして、なるほどこのような形においてわれわれの意見陳述の機会はございますけれども、遺憾ながら議員の方はきわめて少数で、どの程度われわれの意見をこの審議にお役立ていただくかというような点についても、われわれは端的に不信を表明せざるを得ない、このように考えるわけでございます。その他電気事業に関しましては、たとえば水力関係では建設省とか、需給策定は安本とか、石炭は資源庁とか、あるいは資材関係は通産省とか、このような関係におきまして窓口が多過ぎる。先ほどの公述人の御意見もございましたけれども、まずこのところをはつきりしなければ、たとえばこの法案に盛られました電源開発調整審議会というようなりつぱな一つ組織もあるようですが、このようなものといわゆる関係各省との関連、並びにそのようなところにおけるところの意見の反映というような点につきましても、われわれははつきりと不信を表明せざるを得ないのであります。  それからこれはその間の事情はつまびらかにいたしませんけれども、たとえばこのたびの電気料金値上げの公聴会でも、安本の意見というものが出されない、あるいは農林省の意見というものがはつきりありながら出されない。伝えるところによりますれば、安本、それから公益事業委員会側というようなところには、電源開発をめぐつてのはつきりした意見の対立がある。そうしてこのようなことから公益事業委員会わが国情に沿わないというような理由でもつて改廃しようというような意見が出されている。そうしてそのような考え方がある程度具現化し、また今年の予算の中では電源開発調査費が、この公益事業委員会の費目の中から削られているというようなことを聞いておりますけれども、このようなことがもし事実とするならば、やはりこの点についてもはつきりと電源開発問題が端的にわれわれが感ずるように、電気が足りない、そうして純粋に経済的あるいは社会的な問題のつかまえ方をやる。そうして議員諸先生方の純粋な意欲で問題が処理されて行く、こういう形において問題の展開が進められて行くというようには、われわれはどうしても思えないのでございます。この点電源開発をめぐつて、たとえば今日の公述の際におきましても、新潟の県知事さん、あるいはまた福島の県知事さんからさまざまな意見の御開陳がございました。このようなことを聞きまして、われわれといたしましては、まつたく一言で申しますれば、悲しいことだと思います。要するに新聞の記事をそのままうのみにするわけではございませんけれども、とにかく只見川の開発をめぐつて、ただ飲み川というようなことが言いふらされておる。事の真偽は知りませんけれども、われわれはともかく言葉だけを聞いて何かその間をめぐつてさまざまないきさつがあるのではないかという点を考えざるを得ないのでございます。  以上長々と申し上げましたけれども、今具体的に一つ一つ申し上げましたような観点から、電気が足りない、だから電源開発をしなければならぬ、しかも一社の形態でやらなければならぬというようなきわめて簡単な三段論法で電源開発問題を処理されるということは反対でございます。われわれは電気事業経営形態はどこまでも電気の特質に基き、日本最大の水力資源は、やはり全国民が平等に恩恵を享受しなければならない。それからまた電気の技術的な性質に基いても、やはり電気事業の徹底的合理化という点から申しましても、また正しい料金政策の具現というような点から申しましても、あるいは資金、資材の合理的な運用という点、あるいはまた真に電気事業責任体制の明確化というような点から申しましても、やはり電気事業は全国一社の形態で運営されなければならぬと確信いたします。  それからまた電力行政機構というようなものは、時の政治権力から独立した電力行政の一元化という点について、すみやかな御処置がとられなければならぬ。そうしてまたわれわれ一般大衆、需用家意見というものを公正に、敏活に、また幅広く電気事業の運営の上に取入れられ、さまざまの機構、電源開発調整審議会というようなせつかくの構想をお持ちになるならば、やはり電気事業全般に対する運営についての民間意見の反映としての機関の設置も当然御考慮あつてしかるべきであると考えるわけでございます。  以上のような観点においてこそ、初めて本格的な電源開発というものは開始されると思うわけでございます。法案自体には数字部面についても意見はございますけれども、やはり四百億キロワツトの電源開発、それを大幅に、いわゆる電力会社あるいは特殊会社あるいは公営というような形の会社にそれぞれの開発計画を振り向けているようでございます。そしてそれに対する資金需要の振当てもあつたようでございますけれども、そのような形においては、われわれは機会あるごとに、今の電力会社のいわゆる補修の整備とか、あるいはロス電力の軽減とかいうような点において、絶えず会社側に拍車をかけているし、会社側もそのような意味においては、やはり十全の努力をなしているだろうと思われるのでございます。あの計画で拝見いたしますと、このような電源開発方式において本格的に一キロワツトの電気が出て来るのは二十九年度以降でございます。われわれは今一キロワツトアワーの電気がほしい。このような意味から電気事業  におけるところのさまざまの矛盾を指摘いたしまして、このような観点でわれわれの意見は尽きるわけでございます。  以上、長々しくやりましたけれども、このような点から、われわれは電源開発促進に対しては決して反対ではございません。われわれはむしろこれを促進するという決定は持つておりますけれども、それを開発するにはさまざまの矛盾がある。そのような観点からまず問題を処理しなければならぬという意見でございます。
  30. 中村純一

  31. 大森真一郎

    ○大森公述人 御紹介にあずかりました日本農民組合の大森であります。私は時間の制約がございますので、まず本案の内容につきましては、主として農民の立場から農業との関連において申し上げたいと思います。ただ事業主体の性格あるいは行政組織等についても基本的な問題があるのでありますが、それらにつきましては、簡単に問題点を指摘するだけにとどめたいと思うのであります。  まず最初に基本的な私どもの立場を結論的に申し上げますと、第一点といたしましては、電源開発の促進については、その趣旨においては賛成であります。しかしながら若干問題はあるのでありまして、先ほど来の公述人公述の中にもそういう声があつたのでありまするが、ただ拙速でもよいから電源開発せよという考え方には、十分反省しなければならぬ面があると思うのであります。特に知事側からの発言を聞いてみましても、県民の過半数を占める農民が電源開発によつて受ける犠牲、また農業と電源開発との関係について一言半句も言われなかつたということは、私はなはだ遺憾でございます。本案の全体を通じまして、農業の立場を十分取入れていないということを私は強く申し上げたいのでありまして、電源開発促進そのものについては賛成でありまするが、問題点が多々あるということを申し上げたいのであ参ります。また本案が想定いたしております電源開発の構想につきましても、私ども遺憾ながら全面的にこれに賛成することはできないのでありまして、その点について、二、三問題点だけを指摘申し上げますと、第一点といたしましては総合開発の構想の上に強く貫かれた案でないというふうに考えられます。電源開発に片寄つた見解が強く出ておりまして、総合的な観点が欠けておるのではなかろうかという点を第一点として私ども取上げざるを得ないのであります。第二点といたしましては、電力会社が九分断されたままの現状にありまして、これらの総合と合理的な運営という問題が前提されていない。すなわち九分断には私反対でありまして、このような公益性を持つた電力につきましては、やはり電力会社は一社化さるべきであると同時に、単に一社化されるだけではなく、この公益性を十分考えまするときに、これはやはり公益事業体にその性格を変更すべきであるという主張を持つものでありまして、その点において、私は本促進法案の中にこの問題に触れていない点について反対せざるを得ないのであります。第三といたしましては、この案に盛られております特殊会社事業内容を見ますと、これは半永久的な施設を必要とするようなダム建設等が主体になるわけでありまするが、それにもかかわらず、この事業内容が短期的な性格を帯びておるように思われます。と申しまするのは、この事業が完成いたますると、これを譲渡あるいは貸与するという形がとられるのであります。ことに譲渡という形がとられるのでありまして、半永久的な施設を建設するところの電源開発特殊会社が、短期的な事業内容であるということに矛盾を感ぜざるを得ないのであります。というのは特にこういう性格でありますと、半永久的な施設をやる場合、これは土建事業の企業的な利潤を追求することが、やはり問題として起るのではなかろうか。すなわち真にその事業と取組んで行くということでなくして、企業利潤を追求することが優先される危険性がありはせぬかということを私は考えるのであります。そのような結果の生ずることを恐れるのであります。第四点といたしまして、総合開発上重視さるべき農業開発の面が著しく軽視されておるという点が、私どもの指摘しなければならぬ点であります。第五といたしまして、それならば今後どういう性格のものが考えらるべきであるかという点を大ざつぱに考えますると、やはり総合開発基礎とするような大電源開発については、原則としては国営ないし公営でやられるべきであるという考え方をとりたいのであります。少くとも今後の開発会社は、単なる事業会社という性格を持たずして、やはり将来の国営あるいは公営という方向を目指すような、発展的な性 格を持つたものでなければならぬのではなかろうか、こういうふうに考えら れるのであります。これに対応する行政組織の問題がありまするが、現在の審議会の内容等によりますれば、これでは十分ではないのでありまして、やはり電力行政の一元化に対応するところの行政組織が十分考慮さるべきでなかろうかと存ずるわけであります。あるいはどういう形になるかわかりませんが、一本化された行政機構を考えていただきたい。ことに問題が起つたときに、中央で、しかも電源開発を促進するという面からのみでの開発調整審議会というような性格では、これは電力開発も、電力行政の適正も十分にはかり得ないというふうに考えられるのであります。こういう面から言えば、中央の審議会と同時に、地元を考えた地方の審議会というようなものも十分考えて行かなければならぬのではなかろうかと存ずる次第であります。  時間の関係もありますから一般論はそれぐらいにいたしまして、直接本案につきまして、農業面からの関係を申し上げてみたいと思うのであります。  第一点としましては今触れました電源開発調整審議会の機構の問題でありますが、これは前々からの公述人から指摘されておりますように、非常に実情に沿わないものであるばかりでなく、政府の一方的な考え方によつて運営せられておるという結果になるというこの二点から、こういう機構の審議会には私は賛意を表しがたいのであります。特にここで問題になりますのは、第三条と第四条の関係でありますが、電源開発と農業水利とその他水利及び治水との関係の調整について私どもは異見を持たざるを得ないのであります。御承知のように、今後できまする電源開発にあたつては、いわゆるダム式によると思うのでありますが、このダムそのものは単なる電源としてのみ利用さるべき性質のものではないのであります。非常に多くの目的を持つたものであろうと思うのであります。ことに農業関係における利水上の問題は軽視することができないのでありますから、あくまで国土開発との総合調整という立場から、単に一方的に電源開発の促進のために必要な場合のみ調整するというような考え方でなく、広く総合開発の角度から運営されて行かなければならぬというふうに私どもは考えざるを得ないのであります。  第二点といたしましては、この審議会の内容を見まして、所管事項等につきましても問題があるのでありまして、これもやはり特別に申請のあつた場合、申立のあつた場合に限つて審議するというような形をとつておるのでありますが、少くも電源開発をする場合には、農業関係その他から見まして、これは治水関係——治水工事とかあるいは利水工事というようなものが並行的に行われなければならぬ場合が相当多いのであります。従つてこういう面からいたしますると、農業上必要な場合あるいは総合開発上必要な場合には、当然こういう審議会が十分の調整をはかるという権限を持つていなければならぬのではなかろうかというふうに考えざるを得ないのであります。  第三点といたしまして、私ども農民としての立場から最も黙視することができないのでありますが、電源開発によつて農民の受ける利益面のみが指摘され、損失の補償については本案は何ら明確な規定がないのであります。これは少くも、今後の電源開発は相当奥地であるといたしましてもそれに対しましてはやはり水没する農家のあることをわれわれは考えざるを得ないのでありまして、少くも二十戸なり、多いところでは千戸近い農家が水没するというようなことがたくさんあるとわれわれには考えられるのであります。この点からこれに対する明確な補償ということを私はこの規定でうたわなければならぬと思うのでありますが、遺憾ながら本案では損失補償について明確な規定を置いてないという点でわれわれ農民の立場を無視しておるというように考えざるを得ないのであります。  この電源開発の問題で一番の紛争になるのは、単に農民が金銭の補償だけでおつばらわれてしまう、しかもこれは土地収用法を用いると思うのでありますが、きわめて零細な金で追い払われてしまうという点に問題があるのであります。農民と土地とは離れがたいものでありますから、紛争の原因の多くがそういう面にあるということを強く考えますれば、少くもそういう水没農家に対しましては土地を保障するようにしなければならぬと思うのであります。単に金銭的の補償だけではこれは十分でないのでありますから、替地等の問題あるいは総合的に開発された場合には有利な農地を農民に与えるということが第一に考えられなければならぬというふうに思います。  もう一つここで問題になるのは、これが直接に農業に及ぼす影響というものは、電源開発に伴うていろいろな形で現われて来るということであります。すなわち二、三の点を指摘上ますれば、今後のダムにおきましては、やはりトンネル式で下から水をとると思うのでありますが、これが利水の面から見ますと、いわゆる温度の低下した水を使わなければならぬという形が出て来るのでありまして、これは直接的に目に見えてどれくらいの損失ということははかり得ないかもしれませんが、ことに日本の農業は水田が中心になつておりますので、水稲の収量を低下させるというような結果を生ずることも考えなければならぬと思うのであります。  第二の点といたしましては、ダムをつくりますれば土砂を防ぐ関係から河床が変化するというようなことを考えなければならぬと思うのであります。少くとも河床は低下して参ります。そうしますと現在の取入れ品がみな高くなつてしまいますから、結局において取入れ口の改修につきましては農民負担なつてしまうのであります。すなわち電源開発によつて受けるそういう間接的な影響損失におきまして、これが一切農家負担に置かれるというような結果になるのでありまして、この点に対する補償について十分考慮しなければならぬと思うのであります。すなわち非常に緩慢な損害が広範囲にわたつて起つて来るのでありますから、直接的な被害と同時にこのような間接的な被害に対しまして、本案に関し国家補償の線につきまして考慮すべきであるということを強く申し上げたいのであります。おそらくこのままで進んで参りますと、農業関係の予算もほとんど電源開発のしりぬぐい予算になつて  しまう、そういう形になりますれば、現在食糧問題が重要な際におきまして、農業政策の一貫した実施が困難になるということを私どもは考えざるを得ないのであります。その点について特に御考慮いただきたいというふうに考える次第であります。  なお一番重要な問題として私ども考えるのは、大規模なダムがつくられて、その水利権の管理が一電力会社の手にゆだねられるということは、これは農業ののど元を絞めることでありまして、私どもとしては黙視できないところであります。すなわち水利権の管理が一電力会社にゆだねられるというような本案の内容につきましては、農業関係者といたしましてはただちに賛意を表しがたいのであります。すなわちわれわれ地元の農民の要求によつて水の必要なときに水をもらわなければならぬのであります。これは単に農業ばかりでなく、その他の関係もありますが、ことに農業の立場からは水が致命傷でありますから、水を左右することを電力会社によつてやられるというようなことは私ども農業者としてうなずきがたい点であります。でありますからいわゆる水利権の管理につきましては、民主的に直接関連のある、ことに農民の声が直接反映するような形の機関を設置して、合理的に管理されなければならぬということを申し上げたいのであります。  結論といたしまして、以上のように農業関係から見ますと、非常に複雑な問題、また重要な問題を含んでいる本案に対しましては、さらに十分の検討をいただき、電源開発事業主体の性格の問題につきましても、行政組織の問題につきましても、電源開発の農業に及ぼす影響という面から考えましても、私は本案をさらに練り直していただいて、適正な案によつて総合開発の見地から電源開発がその一環として合理的になされるような処置をお願いいたしまして、私の公述にかえる次第であります。
  32. 中村純一

    中村委員長 次は全国農民組合事務局長佐野正友君。
  33. 佐野正友

    ○佐野公述人 お呼出しにあずかりました全国農民組合の佐野でございます。  電源開発の促進に関する法律案に対しまして、私ども電源開発ということそれ自体につきましては、むろん賛意を表するのにやぶさかではないのであります。しかしながら電源開発がもたらすところの農業水利、あるいは農民の利害関係に面接影響を及ぼす点を深く考えますときに、種々の前提条件がこの法案を促進する上において欠けているのではないかという印象を私ども強く受けておるのであります。たとえばこの法案の立案者であるところの自由党の電源開発に関する構想あ中に、この電源開発は単に発電の効果のみならず洪水の調節とかあるいは早害とか、その他利水上の問題等との効果をよくにらみ合せましてやつて行かなければならぬ、こういうことをうたつているのですが、しかしこの法案をよく検討いたしました場合に、そういう構想が少しもこの法案の中に具体的に現われてはいないのではないかという点を私どもはここに指摘いたしたいと思うのであります。それは私の前の公述人の日農の大森君からも指摘されたのでありますが、たとえば実際水没地帯やあるいは開発に伴つて発生して来ますところの水温低下から受ける農民の生産の減退とか、その他河床の低下によつて起るところの下流水域の農業水利の問題、そういう問題に対する損失の補償という規定が全然欠如しておる。またこの開発施設に対する管理をどうするのかというような重大問題について、今まで行われている電源開発地帯において、農民とそれからこの開発を行う者との間において深刻なる紛争を巻き起している事実が多々あるにかかわらず、これらについての明確な規定を欠いているということについて、私どもは二、三の実例をもつて御説明いたしたいと思うのであります。たとえば鳥取県の佐野湾の電気事業開発について開発については、その地元の水利組合が渇水期におけるところの水量の放流をどうするかという問題でどうしても話がつかないで、その事業はとりやめになつた。その間において一つの刑事事件までも惹起しておる。こういう実例もあります。それからまた只見川におきましては、相当大きな電源開発地帯でありまするために、多くのつぶれた土地ができて、多数の農民が離農しなければならぬ。それに対して代替地をどうして補償してやるかという問題については、何らの解決も見ていない。また水利権の補償という問題についても、なお現在までこれらの問題について交渉が継続されておつて、具体的な解決を見ておらないという点があるのであります。従つてそういう直接こうむるところの損失の補償を明確にしてもらわなければならないということを私どもは強く要望したいのであります。  さらにまた、この施設に対する管理をどうするかということについても、ここにいろいろな紛争が起きておるのです。たとえば木曽川の上流の今渡というところの堰堤は、これは特に灌漑用水を確保するためにつくられたのでありますけれども、その上流に発電所ができて、その発電所発電本位に水を流すために灌漑用水が全然得られない。渇水期なつても十分に得られないというので、——これはおそらく私が申し上げるまでもなく御存じかとも思いますけれども昭和十七年にはこの堰堤の操作規定を、厳重に守るということでつくつたのです。しかしながらそれが実現されなかつた。そうして農民側から取入れ品を上流に移動させてもらいたいという交渉が再三行われた。しかしながらそれもなかなかうまく行かないというような例もあるわけであります。その間においてこの電力の再編成によつて今度、丸山という両ダムが中部電力から関西に移された。従つて遠方に水を放水しなければならないので、よけい下流水域における農民諸君は、水の利用に非常に不便を感じて、しばしばそれに対して交渉をしたけれども、それについての具体的な解決が得られない。電力会社と農民代表と県の三者で一つ委員会をつくつてやつたけれども、公益事業委員会では、関西に帰属するにあたつて、そういう問題を具体的に取上げて指令していないというような事例がやはり現にあるわけであります。かようにただ単に直接の被害を受けるという影響だけではなしに、そういう間接的な影響というものもずいぶん受けるのであります。先ほど大森さんからの話でも、水温低下による減産ということが言われましたけれども、ある学者の説では、日本がやがて千キロワツトの電力発電できるようになつた場合に、それによつて失われる水稲の減産額は五百二十万石ではないかという計算を立ております。五百二十万石といいますと、全体の生産米からいうと、約一割になんなんとする量であります。わずか三百五十万石の補正をするかしないかで、二十六年産米について政府と農民代表あるいは知事との間で深刻な問題を惹起したというなまなましい事例を私どもは知つておりますけれども、そういう水温低下によつて受けるところの水稲の減収というような問題もここに重視しなければならない点であると私どもは考えております。従いましてこの電源開発にあたりましては、農民の立場から申しますならば、できるだけ損失の補償を明確に規定してもらわなければならない。また施設の管理に対しても、やはり具体的な規定をしてもらわなければならぬ。しかもその施設の管理にあたつては、私がただいま申上げましたように、長い間の紛争を重ねて岐阜県木曽川の上流等では、県と農民代表電力会社との三者で一つの協議会をつくつてやつておるのです。それも農民は、水利組合というものがあつて交渉するのですが、電力会社とはつきりと団体交渉する権利は何ら与えられていない。従つて取入れ口をかえてもらうとかいうようなことを交渉しても、何らそこに法的な保障がないために、農民の権利が十分に主張されないという点が多多あるのであります。私が目頭に申しましたように、この法案電源開発を促進するにあたつては、いろいろな多くの前提条件が欠けている。この電源開発については、私どももむろん賛成するのであります。その開発によつて受けるところの治山、治水上の利益をむろん私どもは十分考慮に入れてはおりますけれども、それが拙速によつて十分な利害の調節をなさらないで、ただ発電の効果のみをねらつて電源開発が行われますならば、農業に及ぼすところの影響はまことに深刻なるものがあると考えざるを得ないのであります。  まずその前提条件を満たす一つとして、農民の立場から申しますならば、この最も公共性のある水という資源について、これに関連のあるいろいろな事業面の調節をはからなければならない。今河川法があつてある程度その面の要求を満たしてくれますけれども、河川法はいわゆる洪水を防ぐことが主となつている法律であると思います。この電源開発とか、そういう利水の面におけるところの、これをもつぱらつかさどる基本的な法規が、この電源開発にあたつてはつきりと制定されておらなければ、電源開発はうまく行かないのではないかという点を私どもは痛感するのであります。従つてどもは、どうしてもこの水に関する基本法を制定して、審議会等によつて単なる調整をするというのではなしに、それに対して、もつと執行権を与えた、もつと職権を持つたものとして、紛争を具体的に調停することができるような法的措置がその裏づけとなつて講ぜられなければだめではないかと考えます。それともう一つは、先ほどから例をもつて説明いたしましたように、起つて来るところの紛争を処理するにあたつて、やはり農民が電力会社なり、その他県なりと交渉できるところの交渉権を与えられるような措置が他の面において講ぜられなければならない。この二点を私は農民組合の立場から、この法案の審議にあたつてぜびとも取入れていただきたいと希望したいのであります。その他のいろいろな条件、たとえば電気行政の一元化という問題一もむろんなさなければならぬ問題である、かように考えるのであります。繰返すようですが、電源開発ための調整審議会というものを見ましても、単なる発電効果のみをねらつてはいけないと自由党は申しておりながら、この内容を見ますと、これは単に発電効果だけをねらつたとしか受取れないことは、たとえばただ電源開発促進の立場からその申出があつた場合にのみ審議するというようなことになつておつたり、従つてその他の権利調整に対しては、むしろ逆にその要求を押えて行くというような考えの方が非常に強いのであります。かように私は感ずるのであります。従つてこれらの点をもつと具体的に処理するいような機構にして行つてもらいたいと思うわけであります。なおこの会社形態をどうするとか、あるいは資金導入をどうするとかいろいろむずかしい問題がありますけれども、それらの点については、私は今意見を述べることは差控えたいと思いますのは、要するにこの法案を促進するにあたつて、前提とするところの条件が満たされなければ、この法案通り実施されるごとに対しては賛成できないからであります。従つてこの電源開発の促進に対しては、私どもとしてもそのこと自体には依存はないのですが、この法案の促進にあたつて  は、まず水に関する基本的な法制を制定する、そしてそれによつて生じて来る種々の紛争を積極的に調停してもらう。あるいはまた農民の利益をもつと法的に擁護する措置を講じてもらいた  いという点を、私はこの法案実施にあたつての前提条件として提案いたしまして、こういうことがあわせ考えられれば、これ対してわれわれも賛成いたしますけれども、これが考慮されない限りにおいては絶対に賛成できないという点を強調して、私の意見にかえる次第であります。
  34. 中村純一

  35. 今井熊五郎

    ○今井(熊)公述人 私はただいまお呼び出しをいただきました滋賀県指導農業協同組合連合会会長、並びに全国農業委員会議会の副会長をおあずかりしておるものでございますが、みずからは自宅において一町六反の水田を耕作しております。そうした一介の農民、すなわち耕作農民の立場から、今度の電源開発促進法案についての意見公述申し上げたいと思うのであります。何せ農民でございますので、技術的また科学的な面からの意見は申し上げかねますので、農家の立場からこの問題に対しまして意見を述べてみたいと思うのであります。  わが国経済自立の基盤をなすものの一つといたしまして、動力源たるところの電源開発は絶対に必要であり、急速かつ重点的、効果的な建設を促進する面から、極力合理的な開発を行うためにふさわしい強力な機関の設立についても賛成をいたすものであります。電源開発がただ単なる発電効果のみにとらわれるごとなく、これに併設して当然実施さるべき総合的、経済的な効果が没却された電源開発であつてはならないことを切に望むものであります。過去の建設地やその下流におけるみにくい係争あるいはまた政治問題化等が今なお続けられ、農民の苦悩と経済的な累加負担は、ますます食糧の増産と農業経営圧迫を加えまして、耕作の放棄あるいはまた転換等、直接間接に至大の影響を与えているところの現実の姿を見逃すことのできない数多くの事例が残されておるのであります。しかも今後その規模は大となり、また急速にその効果を求めんとせば、補償問題あるいは水利権その他の権益はもちろん、電源開発と並行いたしまして食糧の増産確保がなし得られる農業経営の体制が講ぜられない限り、農民といたしましては絶対に承服ができ得ないのであります。かかる点を無視した電源開発であるとするならば、国家的に見ても大なる損失であると言えます。しかるに今回意図されておりますところの電源開発促進法案の内容を検討いたしますると、農業や農家の立場がまつたく考慮されていないように見受けられるのであります。立案者の意図は、ネオンサインがつけば食糧がなくてもがまんができると思つておられるような感じを抱かせるのであります。われわれは少くとも電源開発即食糧の増産に役立つように、利水保全のみならず、積極的に農地の開発、作柄の安定に貢献され得るように、農民の立場を十二分に考慮し、かつ民業を圧迫しないものであることを念願するものであります。かかる観点から、法律案について農民の立場から率直に意見を申し述べる次第であります。  第一点は基本的な考え方であります。電源開発計画を定めるにあたりましては、治山治水、利水の各種計画を総合調整し、もつて電源開発の促進ばかりでなく、食糧の増産、洪水の防禦等をはかる必要があるのであります。またその開発の結果は、食糧の生産、農地の維持保全に対する影響もきわめて重大であります。従いまして計画の作成及び決定には各種の意見はもちろん、農民の意見が反映し、かつ公正な判断により施行さるべきであると思うのであります。なお電源開発によりまして造成された施設は、大規模かつ多目的なものが多くなり、公益性がまことに大でありますから、その水利権の管理は性質のいかんを問わず、いずれにも偏せざるところの独立機関で行い、もつて治水、利水その他水利との間の調整をはかるべきであると思うのであります。  第二点といたしまして申し述べたいことは、本法律案の条項につき、これから述べる諸点を修正と追加をされたいのであります。第一点において述べた基本的な考え方からいたしまして、第一条の目的は単に電源開発を促進するのみでなく、同時に農業水利開発、奥地林道開発等、多目的の総合的経済効果を大いに発揮するように運用すべきであります。  次は第三条、第四条の条文でありますが、本法案では、電源開発促進ため、調整を要する場合にのみ電源開発の立場から、電源開発調整審議会にその調整が申し出られることになつてお肥りまして、農業水利、治水その他の水利の調整をめぐる点や既得権の保証並びに権利存続等をはからねばならない調整問題については考慮されていないのであります。この点まことに遺憾とするものであります。今後の電源開発はその規模、その利用度は多目的と半永久的施設に移行されるものでありますから、関係者の申出を広く認め、その調整を十分はかるべきもので、ただ電源開発促進の立場のみならず、農業水利その他水利及び治水の立場から調整が審議会に申し出られるよう改正すべきであると思うのであります。  次は第八条の電源開発調整審議会の所掌事項でありますが、かかる事項は申出のあるといなとを問わず、すべて審議会において慎重審議すべきは当然であります。なぜならば、前に申し述べたごとく、電源開発の影響は農業経営の上からいたしまして深刻かつ重要問題であるのに、一方的に電源開発促進の立場からの申出の場合にのみ審議することは絶対的に承服できないのであります。治水、利水等の立場から申出があつた場合も審議し得るように修正することを望むものであります。  次は本法案に欠如されておりまするところの重大な問題点たる損失補償の事項であります。電源開発のごとき大規模な、しかも半永久的な施設をなさんとするに、損失補償事項を削除しておくことは農民として絶対に黙視することはできないのであります。農民は、御承知のように、零細なる農地と山林によつて生計を維持し、この依存度は奥地に入るにつれ高まり、それだけに複雑な問題を包蔵しておるのであります。かような事情でありますにかかわらず、本法案から除外されていることは、かえつて農民に与える精神的影響はきわめて大であると同時に、これが補償のいかんは農家経済に、はたまた国民経済にも至大な影響を与えるもので、いまさら具体的な説明を要しないと思いまするが、念のために申し上げますから、御参考に資していただきたいのであります。  電源開発施設に伴うピークの発生は必然的であります。灌漑期に水が枯渇する場合も予想される。かかる場合の調節と優先度は開発地の下流になればなるだけこの問題に対する補償が大きくなつて参るのであります。一例を本県にとつて申し上げまするならば、琵琶湖におきましては、洪水で琵琶湖の周囲約数千町歩の水田が毎年数十日間水没いたしまして、稲作は全滅に瀕しつつあるを見ながら、淀川水域に一時的に放流することが可能であり、それを行うことによつて稲作の安定化が望まれながらも、傍観する以外は許されない現況であります。また早魃の場合は湖面水位の低下を来し、琵琶湖逆水灌漑並びに湖辺数千箇所の用水ポンプに事欠きながらも、京都市への飲料水、淀川水域の用水として放流し、県民は多大の損害を毎年こうむつておるのであります。このようなことが起きることは当然予想されるのでありますから、補償問題が必要となるわけであります。  なお電源開発に付随いたしまして起る問題点は、先ほどの公述人がお話になりましたように、水温低下による稲作収量の減産であります。山間地、寒冷地帯あるいは冷水地帯における稲作収量の低い原因は、八月の水温が平坦地水温より主ないし四度低いことから来ておるのであります。それがために単作地帯、山間地、高冷地の稲作栽培を見れば、よく御了承願い得るごとく、温水ため池や迂回水路を設けて、冷水を暖めることに非常な努力を払つておられるのであります。かかる苦労をして食糧増産をなしつつあるに、一つ電源開発によりまして、幾百千町歩に冷水を導入せなければならないことになれば、農家の死活問題にまでも影響する。従つて一時金的な補償でなく、温水ため池等の施設を設けて補償することを考えてもらわなければならないのであります。  また河床低下から、下流農業水利に対しては、従来でも多大の損失を与え、紛争を惹起していたのでありますが、電源開発促進によりましてますます紛争を惹起するおそれが多分にあるのであります。よつて電源開発を促進するためには、既得権に与える損失はすべて施設をもつて補償するように明記することが必要であると思うのであります。  次は施設の管理機構の点であります。電源開発施設は大規模かつ多目的で公益性が大きく、なおその操作による各種利水並びに治水に対する影響も大なるにかんがみまして、施設は会社、水利は国の直接管理等合理的、民主的な管理の基本的な事項を明記していただきたいと思うのであります。  次は第六条と第九条に対する改正意見でありますが、第六条では、河川、湖沼または道路に関しまして国または地方公共団体が施行する工事電源開発等と密接な関係を有する場合は、委託施行ができることになつておるのでありますが、より一層関連が深く、しかも損失をこうむるのは農地並びに奥地林道であります。かかる点から農地の拡張、林道の新設拡張も委託施行がなし得らるるごとく改正していただきたいのであります。また第九条の審議会に直接間接関係を有する農民が参画していないことは片手落ちであると私は申し上げたいのであります。審議を円滑にし、しかも完全な調整のもとに開発せられることが目的であるとするならば、電源開発に関し学識経験を有する者と同一人数を農民代表として組織員に加えるとともに、さらに本審議会を補完する目的で関係地域ごとに審議会を臨時に設けるなどして、その地元の意見も十分徴する方途をあわせ講ずべきであると思うのであります。  最後にいま一つ申し述べたいことは、固定資産税の税率特例であります。電源開発地区は生活文化の水準がきわめて低く、施設後も恵まれる機会はまことに少いのであります。かかる貧農に対し、なお一層大衆の犠牲において関係農民が苦しまなければならないような政策は絶対にやめていただきたいのであります。そして固定資産税は現行法を適用することとせられたいのであります。  以上のごとく、水は今後ますます利用開発しなければならないのでありますが、それとともに利水相互間及び治水と利水との調整はますます必要性が増加して参るのであります。従つてこの際水をどう処理し、国民経済に役立たせるかという問題とともに、開発地区はもちろん、それら地域の恵まれざる農村に対していかに生活文化の水準向上をなさしめ、もつて近代的な農業に切りかえしめるかの解決策でなければ、将来に対する影響はきわめて重大なものがあると考えるのであります。従いましてこの場合の水に対する問題点は、河川法でも解決が困難視されるので、本法案と並行して水に関する基本的な法制を整備し、しからざるものは本法案において必ず実現が得られるよう特段の御考慮が払われて、これが法案の上に実現化されますなれば、この電源開発法案に対しては農民といたしましては絶対協力をし、賛成をいたすものであるということを申し上げて、私の公述を終ることにいたします。
  36. 中村純一

    中村委員長 次は飯田務君。
  37. 飯田務

    ○飯田公述人 ただいま御紹介にあずかりました飯田でございます。会社員でございますが、一般公募公述人として一般投票を一票入れておきたいと思います。ごく簡単に要旨を申し述べまして私の公述にかえる次第でありますが、問題であります一電源開発促進法案趣旨とするところにはだれしも異存がないものと思います。私も異存はありません。しかしこの法案の賛否を問われるならば明らかに私は反対と申し上げます。爾後申し述べますことは、この観点に立ちまして意見を申し上げる次第でございます。  午前中からの公述において大よその問題は述べ尽されたようでありますので、私は逆説的に反対の理由を申し上げるわけでありますが、再編成された後の電気事業に対し、国民のすべてが非常にこれを盛り立ててやろうという感じにならない。どういうわけでそういう気持を起さないかと申し上げますと、おそらく御編成後第一に取上げられたあの電気料金の値上げ問題であろうと思う。そういうことでなく、私たちは民主化するために再編成したこの電気事業を、勘定をはずして盛り立ててやらなければならぬと思う。こういう観点からほんとうに責任経営をやらせるならば公益事業一本で行くか、あるいは利益採算を織り込んで企業を推進さして行くかというところに問題があるのであります。公益事業一本でやらせるならば、これはもう問題なく採算をはずして国家管理したらいいのです。この企業を健全企業として成立たしめるためには、どうしても採算を考えてやらなければならぬ。そうすればもう少し国民電気事業を理解すると思う。もしその上でこの事業が運営を誤るとするならば、電気事業の首脳部をとりかえてしまうべきである、この首脳部の運営が今円滑に行かないがゆえに国民に稗益するところが少いのではなかろうか、こう考える次第であります。  具体的に法案の中から例をとつて意見を申し上げますと、全国一社的な独占開発会社にはどうしても納得が行かないのである。問題とするところは、国家資本開発をやるということが、どうしても政府の手による官僚組織特殊会社をつくらなければならぬという理由には承服しかねる。特殊会社をつくつて官僚機構にし、しかもこれが従来の経験から見ますと非常に非能率的なものであります。こういうものに、かかるだけの金をかけて開発させるということには、われわれ一般人としてはどうも納得が行きかねる。私たちが会員として持つております会は、関東全県下におそらく数十万の会員を擁しておりますが、この問題につきましては、この特殊会社でなくてはならぬということに納得の行く者は少かろうと思います。こういうことを考えて来ますと、いかにも本法案に量るがごとく、開発されるものは開発後の姿におきまして出力の一〇%程度のものを特殊会社で持つようになるようでありますが、これを総合融通の観点から見ますと、おそらくキャスティング・ヴオートになるだろうと思う。そうすると電力はまた官僚の手に統制されるという姿が考えられる。統制電力行政に逆行することは、私たちが終戦後あの電力事情の混乱に著しんで来たことを考えますと、そういうことには絶対に賛成しかねるのであります。しからば現在の九電力会社が意欲をそそられて開発するだけの技術陣営を持たないということを考えてみますと、私はむしろこの電力会社を十分監督して、その持つている経験と技術とを生かしてやつたならば有効な開発ができはしないかと考えるものであります。どうか各産業階層といえども、一般人といえどもこの電力会社を十分創意くふうせしめて開発させて、国民経済の上に離れて行かない電力会社電力事業というものにしてやりたい、こう考える次第であります。  次に開発会社は、資金の調達をするため特殊会社を持たなければ外資導入ができないというようなことを伝えておるようでありますが、まず私は電源開発するため外資導入を筆頭第一に考えるべきではないと思う。国内のあらゆる資本を動員いたしまして、健全なる電気事業が発達して行くがごとくするならば、午前中の公述にもありましたように、しかもその電力がいかに産業に肩がわりして行くかという姿がはつきりして来るならば、自然に外資導入は期して待つべきものがある。外資導入を忘れることもできないが、筆頭第一にこれを考えなければならぬという理由はないと思います。  次に巨大なる電源地帯開発は、国家資本政府がこれをやらなければならぬという考え方についても私は同調しかねる。巨大な地域が今の地域会社の幾つかにまたがるとするならば、これも幾つかの地域会社の提携によつて開発することは決して不可能ではないと思う。ここにおいて初めてこの審議会が考えられたるがごとき水利権の問題、あるいは利用の損害補償の問題等を十分考えておやりになることだけで、私は電源開発促進の目的を達し得ると考えております。電気事業が常に国民経済とともにあつて、ひとり電気事業だけが超然たるものであつてはならないということは言をまたないのでありますが、それとともに事業経営には国家国民経済の上から十分考慮した観点から支援を惜しんではならないと考えております。  最後に開発された電源がどういうように帰属されるかということについて需用者の立場から私は非常に関心を持つております。先ほども申し上げましたように、この開発された特殊会社電源が、いわゆる相互融通の面から、統制をもたらすような姿に置かれることは、はなはだ好ましくないのでありまして、どこまでもこれは地域電力会社に長期、しかも低利で還付すべき姿に置いてもらいたい。そうすることによつて、料金が開発後著しく上るがごとき姿に置かれることははなはだ困るのであります。そんなことのないようにどうか御考慮願いたい。いかにここで私が反対の意見を申し述べましても、おそらく風を巻いてまかり通るであろうこの法案が、自由経済を理念としておる自由党の線から出ておるということについて、私は自由党のために惜しむものであります。  はなはだ短時間に意を尽しませんところがありましたが、一言公述とする次第であります。
  38. 中村純一

    中村委員長 以上をもちまして公述人の御意見の御開陳は全部終了いたしました。  この際一言ごあいさつを申し上げます。公述人各位にはきわめて御繁忙の際にもかかわらず、長時間にわたつて貴重な御意見の御開陳をくださいましたことを厚く御礼申し上げます。  なお当委員会におきましては本法案審査にあたりまして、各位の御意見なり御趣旨の存するところを十分参考に供し慎重審議を期したいと存じます。この席から委員会代表いたしまして委員長より厚く御礼を申し上げます。  明日は午前十時より委員会を開会いたすこととし、本日はこれにて散会いたします。     午後四時三十五分散会