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1952-04-02 第13回国会 衆議院 通商産業委員会建設委員会経済安定委員会連合審査会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年四月二日(水曜日)     午後一時四十九分開議  出席委員  通商産業委員会    委員長 中村 純一君    理事 山手 滿男君       澁谷雄太郎君    福田  一君  建設委員会       淺利 三朗君  経済安定委員会    理事 多田  勇君 理事 有田 喜一君    理事 中崎  敏君       荒木萬壽夫君    横田甚太郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣 周東 英雄君  出席政府委員         総理府事務官         (公益事業委員         会事務総長)  松田 太郎君         経済安定事務官         (総裁官房経済         計画室長)   佐々木義武君  委員外出席者         通商産業委員会         專門員     谷崎  明君         通商産業委員会         專門員     越田 清七君         建設委員会專門         員       西畑 正倫君         建設委員会專門         員       田中 義一君         経済安定委員会         專門員     圓地與四松君         経済安定委員会         專門員     菅田清治郎君      ————◇————— 本日の会議に付した事件  電源開発促進法案水田三喜男君外五十一名提  出、衆法第一六号)      ————◇—————
  2. 中村純一

    中村委員長 これより会議を開きます。  電源開発促進法案を議題といたし、質疑を続行いたします。荒木萬壽夫君。
  3. 荒木萬壽夫

    荒木委員 実は本日初めて出席いたしまして提案者並びに政府御当局にお尋ね申し上げたいと思うわけでありますが、今までの審議状況等を存じませんので、あるいは重複にわたる点があろうかと思いますが、あらかじめお許しを得ておきたいと思います。     〔委員長退席多田委員長代理着席〕 はなはだうかつなことで恐縮ですけれども、提案理由を読むいとまがございませんので、提案者より御趣旨の要点だけをかいつまんで簡單に御説明いただければ仕合せでございます。
  4. 福田一

    福田(一)委員 ただいまの日本国民生活並びに経済状況から見まして、どうしても早く電源開発しないと日本国民生活の安定はできない、また経済の復興もできない、こういう見地から、大体昭和三十一年度末において、現在三百二十億キロワツト・アワー発電があるのでありますが、これを四百八十億キロワツト・アワーに増強いたしたいというのがその主たる目的であります。もちろんその後にも続くものがありますが、一応の目標をそこに置いて電源開発促進しようというのであります。それには民間会社、九電力会社に二百四十五万キロワツト、それから公営事業で二十二万キロくらい、自家発で五十万キロくらい、特殊会社で八十四万キロくらいの発電所をつくる、こういうのでありまして、その仕事重点は、やはり九電力会社に置いて仕事をしてもらう、こういうふうにいたすのでありますけれども、九電力会社自己資金だけではこれはとうていできないのでありまして、九電力会社に依頼するというか建設を担当してもらいますところの二百四十五万キロ分につきましても、相当程度政府見返り資金であるとか、資金運用部資金というようなものをまわすという建前で、極力九電力会社にも電源開発をしてもらう、それから公営事業自家発におきましてもそういうような考慮を払うことにいたし、特殊会社は大体政府財政資金資金運用部資金というものを重点にいたしまして、これの開発をいたす、こういうような趣旨で、そういうような内容を織り込んで電源開発促進をやる、この電源開発促進は、質問者電気のことについては特にお詳しいのでありますからもうよくおわかりのことと思うのでありますが、一番難点になつておる水利権の問題とか、各官庁間の調整がうまく行かないと、これが電源開発をやる上における一つの大きな障害となつて来るのであります。こういうものを除きますために、安本審議会を置きまして、その審議会根本案を決定いたしまして、どの発電所はどこの、たとえば民間会社にやらせるとか、特殊会社にやらせるとか、あるいは公営がよいか自家発がよいかというような問題、あるいは資金計画はどういうふうにしてまかなわせるようにしたらよいかというようなことを根本といたしまして、その他の行政面におけるところのいろいろな錯綜した問題をここで取上げて決定するような方法をとる、こういうことをます考えておるわけであります。従つて資金の面あるいは資材の面にわたりまして、ここで相当研究をいたすわけであります。  それからもう一つ特殊会社をつくるのでありますが、その特殊会社全国地点別に数箇所設けませんで、一箇所にした方がいいという建前法案ができております。と同時に電力会社公営事業自家発特殊会社等開発にあたりまして、先ほども申し上げましたように、何といつて資金の面が非常に今はむずかしいのであります。もちろん資材の裏づけのある資金でなければいけませんが、特に資金の面がうるさいので、これについては政府は極力努力して資金面を獲得するように骨を折らせるという一般的義務を負わしているわけであります。大体こういうことを骨子としてこの法案ができているのでありますが、実は今の電力機構は、企業形態は一応このままの形において、極力みんなに電源開発協力してもらうという建前をとつておるのでありまして、企業形態その他につきましてはおのおのの党の立場などから見ていろいろの御意見もあるかと思いますが、われわれといたしましてもう一度企業形態を再編成することを急ぐあまりに、電源開発促進を遅らせるようなことがあつてはいけないという気持で、もちろんその中には若干われわれとしてもいろいろの考え方もあるのでありますが、根本の考えといたしましては、電力の再編成が行われたその趣旨を一応認めて、その上で電源開発促進したい、こういう考え方法案ができているわけであります。はなはだ簡單でありますが以上で御了承願いたいと思います。
  5. 中崎敏

    中崎委員 議事進行について申し上げます。  私次に質問するのでありますが、特に大蔵大臣出席を要求したいと思います。それから公益事業委員会からお見えになつていないようでありますが、ぜひとも出てもらうように委員長の方でおはからいをしていただきたいと思います。
  6. 多田勇

    多田委員長代理 承知いたしました。
  7. 荒木萬壽夫

    荒木委員 重複したことを御説明いただいて恐縮千万に存じます。概略趣旨は拜聴いたしたわけでありますが、今まで政府側といたしましても電源開発促進しなければならないという見地から、安本ないしは公益事業委員会案なるものが新聞、雑誌等に現われているようでありますけれども、承りますとどうやら安本案として伝えられておつた構想に基いているようであります。政府部内の意見不一致等はこの際とやかく申し上げませんけれども、自由党の方々をもつて提案者とされます本法案につきましては、もとより政府側も内容的には御同感のことと存じますが、その点安本長官からお答えをいただきたいと思います。
  8. 周東英雄

    周東国務大臣 お話通りでありまして、内容的に、自由党提案にかかる法案については、政府としても全幅の支持をいたしておるわけであります。
  9. 荒木萬壽夫

    荒木委員 そういたしますると、先年ずいぶん経済産業界をにぎわせ、さらには政治問題としても論議せられまして、当時政府電力の再編成につきまして、国会に法律案を提出して審議させようという御予定であつた御様子ですけれども、どういうゆえか、ポツダム政令をもつて電力編成を断行された。その後幾ばくもなくしてこの電源開発促進法案が、議員提出の形ではございますけれども提出されましたことは、結局この前のポツダム政令に基きまする電力町編成が、現下のわが国内事情ないしは客観情勢等にかんがみまして適当でない、率直に言えば、あれはあまり無理をして拙速をたつとんで失敗であつたということを、いわば補正するためにこの法案提案されたものかどうか。そうとしか考えられないのでありますけれども、その点に関して提案者の御回答をお願い申し上げたいと思います。
  10. 福田一

    福田(一)委員 この法案自体は、電源開発促進という意味合いにおいて、民間公営自家発また電力会社特殊会社というものを含んで立案されておるのでありますが、実は再編成をいたします前後におきましても、大規模な電源開発については、特殊会社あるいは公社をつくつて電源開発をした方がいいではないかという議論が行われておつたわけでありまして、この法案自体と再編成の問題とは、それほど矛盾をしておらない。当時からそういう問題がありました。九つに分割しても、大きな電源開発などはとてもそんなところではできないのだから、その場合においても、やはり開発のために別個に会社をつくつた方がよろしいというような意見も行われておつたのでありまして、自由党内におきましても、そういう意見相当強く、また提案者側政府部内においても、そういう意見を持つておられたようでありますから、その点は大きな矛盾をいたしておると私たちは考えておらないわけであります。
  11. 荒木萬壽夫

    荒木委員 提案者もその間の事情は万々御承知でございまして、こういう点を今押問答することは、実益があろうとはもちろん思いませんけれども、しかしながら、当時再編成直前の姿は、全国一社の日本発送電株式会社というものがございまして、これがひたすら電源開発を第一義として活動しておつた。いろいろな批判はありましても、着々としてその実効を上げておつた。まさに特殊会社があつたわけでありますが、それを解体して既存の配電会社にくつつけて今日の再編成が生れたわけであります。まさしくここに提案されておりまする電源開発促進法案によりまして、生れ出るところの新特殊会社とほとんどその性格使命等を同じくいたしております。日本発送電株式会社の場合におきましては、会社総裁、副総裁は別といたしましても、理事選任等は、やはり株主総会で倍数を選んでその中からやるというふうな形で、この案に比べますれば、むしろ国策会社的、特殊会社的性格は薄かつたくらいのものではありましたが、ともあれ、そういうものはあつた。それをつぶしてまたつくるというところに、一般国民としましては非常な疑問を持つたわけでありまして、そういう意味から先ほどお尋ねを申し上げ、率直な御意向を伺つたような次第であります。このことにつきましては、別にさらにつけ加えての御答弁を要求いたすつもりはございません。  そこでこの法案そのものについて、幾分読んでわからない点もございますので、はなはだ部分的になりますが、一、二お伺い申し上げたいと思います。まず第一に、この法案による会社目的は、電気供給量を増加する点にあつて電気供給業務をも行うことになつておりますが、これは卸売ということ以外に新設会社そのものが直接消費者に対して供給する場合もございますか、その点ちよつとお伺いしておきたいと思います。
  12. 福田一

    福田(一)委員 先ほどの私の説明に若干足らなかつた面があるように思いますので、その点を補足させていただきます。御存じのように、電力の再編、成というのは、敗戰後日本経済集中排除法その他によつて編成する至上命令というものがあつて、その結果いたさなければならなかつたことなのでございまして、そういう意味合いからいつて、政策として自由党としてその案を立ててそれでやつたという意味ではないので、その点はおわかりのことと思いますけれども、どうぞひとつ御了承を願いたいわけであります。  次にただいま御質問がございました卸売の点でございますが、この会社は、建設をいたしますとこれを譲り渡す、あるいは貸し付けるということが主たる目的でございます。荒木さんも御存じのように、建設をいたしておりますと一部発電ができて全体の発電ができない場合もあります。一部発電がありますような場合には、これを発電、しないでほつておくことは損でありますから、当然売らなければならない。そういう場合に卸売をするということ、が含まれておるのでありまして、従つて卸売をするということは建前になつておらないのであります。こういうわけでありますから、小売などということはこの法案では全然考えておらないわけであります。
  13. 荒木萬壽夫

    荒木委員 なお法案のそこここに主務官庁というのが出て来ますが、私の承知しますところでは、電力行政についての主管官庁としてはいろいろあるようでありまして、電気事業運営面等につきましては公益事業委員会、さらに電気料金の価格という立場からの連絡調整等安本長官が御担当になり、さらに施設の保安的な立場からは通産大臣所管大臣である、こういうふうになつておるかと思いますが、この法案主務官庁というのは公益事業委員会であるのか、あるいはまた安本長官であるのか、あるいは通産大臣であるのか、そこら辺がこの法案を見ただけでははつきりいたしませんが、その点をちよつと御説明おき願いたいと思います。
  14. 福田一

    福田(一)委員 この法案に示してあります主務官庁というものは、通産省とわれわれは予定して本案を立案いたしました。
  15. 荒木萬壽夫

    荒木委員 そういたしますと、やはり生れ出んとする新会社も、特殊会社ではございますが、いわゆる電気事業者だろうと思うのですけれども、電気事業者主管官庁公益事業委員会通産大臣で、会社そのもの運営面につきましてもその主管官庁二つにわかれるという結果になるのでございましようか、伺いたい。
  16. 福田一

    福田(一)委員 御存じのように公共事業令によりますと、電力を販売いたしますような場合には、当然公益事業委員会監督を受けるわけに相なりますので、特殊会社が一部卸売をするような場合になりますと、その場合には、公益事業委員会指揮命令というか、監督下に入る面が出て来るわけであります。しかしこの会社自体建設が主たる目的でございますので、その面においては通産省においてこれを監督することが、現在の法理的な考え方からして妥当ではないだろうかというのが、提案者考え方であります。
  17. 荒木萬壽夫

    荒木委員 それに関連しまして行政機構の面について伺いたいと思います。巷間公益事業委員会私益事業委員会、たとも言われております。自由党総務会でもかつてそういう極印を押されたことがあつたやに仄聞するのでありますが、今提案者も御説明通り、この新開発会社と現在あります電力会社主務官庁二つにわかれておる。しかるにこの新しい会社につきましてはいわば二重監督という結果になる。その間考えますのに、電気事業に対しまする政府としてのものの考え方が一貫していない。行政機構につきましても、すべからく一本にすることこそ電気事業発展を期待するゆえんだろうと思うわけであります。従つて政府におかれましては、行政機構改革の機会におきまし現在の公益事業委員会を廃止して通産大臣にこれを一本に統轄してすつきりした形においてやつて行く御意思はあるかないか承つておきたいと思います。
  18. 周東英雄

    周東国務大臣 お尋ねの点はごもつともでありまして、かねがねから電気というものの重要性から見まして、電気行政はこれを統一した官庁行政上の監督指導をなさせることが適当であると覆えておりまして、目下行政機構改革につきましてもその線に沿うて研究をいたしております。
  19. 荒木萬壽夫

    荒木委員 意見にわたるようなことを幾分申し上げて恐縮でありますが、今日の段階におきまする電気事業というのは、港湾建設とかあるいは道路建設というがごとき程度にまで、社会生活産業経済そのものに密着した公益性の非常に高い段階に来ておるかと思うのであります。そういう意味で、電気経済自体を考えてみましても、公益事業委員会みずからが、次々に電気料金の値上げを会社に対して慫慂するがごとき結果を来しておりますことは、そのことだけでもつて公益事業委員会私益事業委員会になり下つたのだと酷評を下すわけには参らぬと思うのであります。と申しますのは電気というものの文化生活あるいは国民経済生活産業そのもの国力そのもの切つても切れない、これがなければ近代国家が成り立たないというがごときところまで来ておりますために、終戰後がた落ちになりました電力需用が、続々として新規利用の増大となり、供給不足になつて来た。これを開発するにいたしましたところで、諸原料の国内的ないしは国際的な逼迫等とのからみ合せから、コスト高にならざるを得ないというような状況であり、それを原価計算的に電気料金に移し植えますれば、他の産業面との採算関係調整がとれなくなつて来るのであります。また港湾建設道路建設にいたしましても、国民生活あるいは産業経済社会公共のために必要なればこそ、ペイするかいなかということを考えることなく、国家資金を惜しみなく投入して建設されるのであります。それと同じとは申し上げませんまでも、ほぼそれに類するがごとき程度にまで電気重要性公共性が増大して来た。従つて先般再編成されましたときの基本理念となつておるようなマーチヤント・ベーシスに立つて電気経済オンリーの立場からものを考えられるやり方が壁にぶつかつて、どうにもこうにもしようがない、今までのいきさつあるいは世評を顧みるいとまもない、そこで自由といたしましては一党一派を離れ、電気事業に対する国家的、国民経済的な要請に応じてこの法案を出されたものだと私は解釈するわけであります。先ほど提案者の御趣旨根本はそういうことかと存じまするし、さらにまたただいまの安本長官行政機構に関して御説明になりました御意見の片鱗を伺つても、基本線としては一脈通ずるものがあるように拝察するわけであります。従つて大体の方向としましては、電源開発にこういうふうな考え方が出ることには、私一個としては必ずしも異存はないのであります。ただ私どもの党といたしましては、基本線は以上申し上げたようなことではありますが、やり方としてはもつと気のきいたものがあると存じます。そういう意味におきましてこの法案を拝見しまして、新会社性格的にいわゆる特殊会社と断ぜざるを得ない理由を一応了解するのでございます。ところが先ほどの御説明にもございましたが、政府資金を思い切つて注入する、そして早く電源開発するという趣旨からの法案でございます。また審議会といたしまして、どういう計画のもとに、どういう地点電源開発して行くか、電気施設を拡充して行くかということは、調査審議するのだという御説明もございましたが、いやしくもこの法案提案された以上、提案者といたしましても、また表裏一体をなしておる政府側といたしましても、電気需給関係の現状に照し、今後五箇年計画について、どういう需給バランスを意図せられておるかということを、資金資材の面と合せて、ごく概略でよろしゆうございますが、一種の見通しとでも申すべきもの、この法案の根拠となつておるところをお示し願いたいと思います。
  20. 福田一

    福田(一)委員 その点につきましては私から御説明申し上げてもよろしいのでありますが、この法案が私たち自由党として考える場合においては、実は安本協力を求めてその資料を使つておりますので、安本側から御説明をいたさせることにいたします。
  21. 佐々木義武

    佐々木(義)政府委員 御説明申し上げます。電気開発問題は長期にわたる問題でありますから、今後の電力需用、すなわち日本経済の今後の発展に対する見通しというものが一番根底になるのではなかろうかと思います。そこで現在日本にあります生産設備の中で、まだ未稼働の部分が相当ございますので、日米経済協力あるいは南方開発問題等考慮しながら極力この未稼働設備を動かして行きたいという観点一つ。もう一つは、なるべく国民生活水準を上昇するという観点から、昭和三十一年度を一応の目途といたしまして、そのときには生産水準を現在の二三六くらいから一九二くらいまで上げたい。生活水準にいたしましても、現在の八二くらいのものを九三くらいまで上げたい。こういう二本の柱を基本にいたしましそれぞれ必要な産業構造を最も合理的に考えまして、それに必要な所要電力量をはじきました結果、三十一年度におきましては、先ほど福田さんからも御説明ありましたように、約四百八十億キロワツト・アワーをどうしてもそれまでに出したいという結論を得ましたので、それを現在の資金あるいは工事能力資材等の点も考慮しながら、極力スピードを上げまして逐年これを建設するように計画したわけであります。  その出力増加傾向を、先ほども若干御説明がありましたが、もう少し詳しく申し上げますと、第一期、第二期というふうにこの計画をわかつておりまして、二十六年、二十七年度に着手するものを第一期というふうに考えまして、それ以後調査等が進み次第着手できる地点を大体第二期と考えまして、とりあえずは第一期に重点を置きながら、第二期分に関しましてはその後の経済状況等をかみ合せまして、次第に着手して行く、こういうふうな建前になつております。  そこで第一期分を御説明申し上げますと、第一期の完成するのは大体三十一年度でございますので、出力全体といたしましては約四百万キロワツトでございまして、それを電力会社が二百四十五万キロワツト公営事業が二十一万キロワツト自家発が五十万キロワツト特殊会社が八十四万キロワツトというようなことになつております。第二期分に関しましては電力会社並びに自家発の方の資材がまだ出そろいませんので、とりあえずは公営事業特殊会社の分のみを計上してございますが、公営事業に関しましては二十五万キロワツト特殊会社につきましては百八十三万キロワツトでございます。  これに必要な資金の面でございますが、第一期といたしましては、電気会社の二十六年度以降における所要資金は約三千百六億でございます。公営事業の方は公共事業費を除きますと、二百十二億、これに公共事業費からダムの建設に大体八十一億くらい予定してございます。自家発電に関しましては三百六十二億、特殊会社の万は八百十二億、そのほかに一応試算上予定しております地点の中で公共事業分といたしまして四十六億程度出しございます。これを全部合せますと、概略四千五百億、これに公共事業分といたしまして百二十七億、これが第一期分の所要資金の内訳でございます。  この各調達の政府資金あるいは民間資金等を可能な限度で逐年割振りしまして、その結果出ます電力量の逐年別の増加傾向を見て参りますと、二十六年度は自家発も全部合せまして三百四十億キロワツト・アワー、二十七年度には三百七十八億キロワツト・アワー、二十八年度には三百九十六億キロワツト・アワー、二十九年度には四百三十四億キロワツト・アワー、三十年度には四百六十四億キロワツト・アワし、三十年度には概略四百八十億キロワツト・アワーを供給いたしまして先ほど申し上げました発展して行く日本経済需用をこれで裏づけようという計画になつておる次第であります。
  22. 荒木萬壽夫

    荒木委員 ただいまの御説明計画には、日米経済協力というものがはつきり関係はいたしませんものの、その面からする相当需用増が想像されるわけであります。さらにまた再軍備という名前はつけられませんが、警察予備隊その他の拡充をめぐりましても、相当電力新規需用が予想されるわけでありますが、そういうことも考慮されておりますかどうか。考慮されておるとすれば、どんなふうな構想考慮に入れられましたかを承りたい。
  23. 周東英雄

    周東国務大臣 特に再軍備計画というようなものと関連して何を考えたかというお尋ねでありますが、特別にそういうことを考慮には入れておりません。しかし日本経済が成り立つて行くために、幸いにして今日本にある未稼働の工場、豊富なる労働力を活用し得るならば、ただいまお話がありましたように、別の見方からいたしまして、大体戦前の一九〇近くまで生産力を高めることができる余力を持つておるということがここに一つあるわけであります。それじやこの余力があるからといつて、それだけできるかというと、一面において原材料の獲得ということが一つの要請であり、同時にこれを動かすだけの電力がなければならぬのであります。従つてその面から考えて、ただいま申し上げました電力開発計画ができておりまするし、かくすることによつて当然国民生活の、徐々ではありまするが、上昇をはかつて行けるということであります。しからば原材料の獲得の面をどうするかということでありますが、これは荒木さん御承知のように、その大部分の工業原材料を他国に仰がなければならぬ。その面におきましては、ギヴ・アンド・テークと申しますか、やはりアメリカその他の民主自由国家群からの原材料の獲得を得なければならない。ここに一つ協力の線が出て来ますが、同時にその物を入れるということは、單に軍拡競争に対してするということでなくて、たとえば東南アジア地区に対して英米が供給しておつた民需の供給というものは、最近においてやや手控えになつておるようであります。本国における軍拡競争に影響されてでありましようが、そういう画の供給は手控えになつておる。むしろそういう面に向つて現益及び将来を通じて、日本は各国との経済協力、東南アジア地区に対する協力という面を通じて必要な商品を選り出すという面においての協力を推進して行かなければ、日本経済が立たず、また同時に民主陣営の協力が立たぬことになります。そういう面を主として考えつつ、未稼働工場を動かし、それに必要なる原材料の獲得と動力の拡充ということが裏から見た一つの見方であり、そのことを通じて、あるいはお話のような点についての協力ということが具体的になつた場合には、これについて考慮しなければならぬ場合があるかもしれませんけれども、計画の実態としてあらかじめ日本が再軍備するための計画とか、あるいは軍拡競争に直接協力して軍需品を生産するためにのみわれわれの計画ができているのでないことだけは申し上げておきます。
  24. 荒木萬壽夫

    荒木委員 先ほどの御説明資材お話がございませんでしたが、セメントにしろ電気銅にしろあるいは鉄鋼にしろ、年々相当の量がいるかと思います。一方生活水準を向上するということをおつしやいます以上は、その面からの民需の増大もある。他の産業面経済面を圧迫しないで所要量が確保できるかどうか、圧迫するにしても、それを何とか調整してでも確保できる見通しをお持ちかどうか。全体の量でけつこうですが、詳しくはいずれ通産委員会等で数字的に検討する機会もございましようから、総括的なことを一言承つておきたいと思います。
  25. 周東英雄

    周東国務大臣 お答えをいたします。この区電源開発に対する資材面の計画といたしましては、五箇年計画に基く計画の推進に対しては、セメントとか鋼材等の面においては今後これらの部門における生産増加と並行いたしまして、大体まかないがつけられるのではないかと思つております。銅についてはやや不足のようなかつこうであります。おもなる資材としてはただいま申し上げた通りで、詳しいことはまた資料について御説明した方がいいと思いますが、しかしかくのごとき状態であります。けれども、それらの資材につきましても、資金と同じようにやはりある程度重点的にこの方に向けなければならぬとは思つております。これは今までの八方美人的な、いかなる産業も並行的に何もかもやつて行こうというような考え方が無理でありまして、電気のごとき基本産業については、多少一時的にほかの方に影響してもやつて行けば、次の段階において必要量の動力を多量に使つて産業の推進をすることができるのだから、これはぜひやらなければならぬと思つておりますので、その間におけるできるだけの調整はとりつつも、この方へ重点的にまわして行きたいと考えております。
  26. 荒木萬壽夫

    荒木委員 ただいまのお話を承りまして、自由党の自由経済そのものが頭をつきそうになつていることを発見するのであります。そういう概念論は別とし日本の再建のため、独立国としての繁栄のために、日本経済が特に電気面を通じて一定の見通しのもとに計画的に着々と進展して行き、国力の増進することを期待する次第でございます。  さて現在よりは数割増強されて、五百キロワツト・アワーにも達するがごとき厖大な見通しを持つておられるわけで、新開発会社として大規模なものを取上げられると書いてありますけれども、着手されようと予定されているおも立つた河川名がおわかりでしたらお聞きしたいと思います。
  27. 佐々木義武

    佐々木(義)政府委員 地点に関しましては最後的な結論は審議会できめるという建前になつておりましてまだ未決定でございますが、この会社のコスト等を一応試算する必要上、試みに数地点をとつて研究したのでありますが、その試案の内容を申し上げますと、地点といたしましては石狩川、北上川、只見川、天龍川、庄川、熊野川、吉野川、その七河川を予定してございます。第二期分といたしまして只見川の二期、熊野川の二期、庄川の二期、十勝川、琵琶湖、吉野川の二期、四万十川、球磨川、こういうふうに予定してございます。
  28. 荒木萬壽夫

    荒木委員 これに対して厖大な資金が必要であることはさつき御説明もございましたが、その資金調達の方法はいろいろ予定されているようでありまして、政府が常時二分の一以上の株式を保有するということになつております。政府出資は二分の一以上でありますけれども、二分の一以上最高どれくらいを予定されておりますか。
  29. 福田一

    福田(一)委員 この会社民間資金を導入することができればけつこうでありますが、御存じのように、これは建設利息として五分くらい、配当が六分くらいということを予定しておりますので、多額の民間資金を導入することは非常にむずかしいのじやないかと考えております。従つて公共事業体その他が、その発電所の持つ重要性に基きまして出資をするような場合も一応考えられますが、民間資金は割合にウエートが少い。でありますから大部分が政府出資のような形になるものと考えております。
  30. 荒木萬壽夫

    荒木委員 大部分が政府出資でありましても、小部分は民間出資があるわけです。その民間出資に対しましてはおよそ六分の配当を予定しているというお説でありますけれども、それは政府出資分が高配株になつて、それを適当に操作して六分を事実上保証するという御趣旨ですか。
  31. 福田一

    福田(一)委員 建設が完了いたしました後には、政府の株についても民間の株についても六分、建設中は民間のものは五分、かように考えておる次第であります。
  32. 荒木萬壽夫

    荒木委員 こういう特殊会社民間出資を予定して、政府株に対しても六分の配当、民間株に対しても六分の配当ということで、予定だけはそうでございましようが、必ずしもそうも参らぬこともあり得ることは当然でありまして、政府株としては建設が完了しました後も状況次第で必ずしも配当を要しないということによつて民間の出資を誘致する意味において、六分の配当を実質上保証する、もしくは制度そのものとしても六分配当を保証するというがごとき規定を設ける必要はお感じになりませんか。
  33. 福田一

    福田(一)委員 ただいまの日本経済状況から見まして、六分という配当はあまり高率の配当ではないのでありまして、従つて政府の配当を抜いて、たとえば民間の株には一割とか一割二分にするということを考えるのも一つ考え方かとは存じますが、われわれといたしましては、こういう大規模な地点はやはり国の力をもつてやらなければとうていできないと考えております建前から、大体政府の力でやるというのを根幹といたしておりますので、そこで民間の株については六歩ぐらいでやつて行くということに予定をいたしておるわけであります。
  34. 荒木萬壽夫

    荒木委員 なおこの資金調達に関連いたしまして、新会社は資本及び準備金総額等に比較いたしましての倍数、十倍以内の社債を発行する特権を與えられるわけでありますが、この発行社債そのものにつきましては、優先的に会社財産について弁済を受ける権利を持つという点だけが特色でありますけれども、これに対しましてもこの開発会社の社債の元利に対しては、国として何らか保証するようなことにした方が、社債募集実績は上るかと思います。配当の点も先ほどお話になりましたような程度であればあるほど社債に対する魅力と申しますか、利まわり等が一般の会社の社債よりも必ずしも有利とは言えぬわけですから、従つて安全性を與える意味における元利支払いの保証等は、外債について考えられておると同じような考慮があつてしかるべきと考えます。そのことをあえてそうなさいませんのには、この新会社の社債というものは十分に消化できるという何らかの裏づけがあるという御見解ですかどうですか、承りたいと思います。
  35. 福田一

    福田(一)委員 大体発行限度を実は十倍にいたしておりますのは、これはあるいは余談にわたるかもしれませんけれども、申し上げておいた方がいいと思うのでありまして、われわれはこの会社をつくりますのは、もちろん国の資金をもつて大体電源開発をやることを建前とはいたしておりますけれども、できれば外資が導入されればなおけつこうだ、よりベターだと考えておるわけであります。そういうような意味合いからいつて、外資が社債の形で入つて参りますような場合におきましては、これは十分消化できるというか、吸収できるような形にしておいた方がよい、かように考えましてこれを十倍にいたしておるわけであります。  なお外資が入らない場合におきまして、社債を募集いたします場合に、お説のように国家保証をしておいた方がいいんじやないかというお考えも、ごもつともなお考えと考えるのでありますけれども、御存じのように今は各産業とも大いに資金を必要といたしておるのでありまして、従つて一般の市場から社債をこの会社がたくさんとるというようなことをすることは、これは私の所管外というか、大蔵大臣の管轄かもしれませんけれども、そういう面を圧迫することになりはしないかというような考慮若干われわれとしても考えるわけでありまして、大体資金運用部資金その他によつてこれは十分調達ができる、かような見地に立ちましてこのような規定にいたしておるわけであります。
  36. 荒木萬壽夫

    荒木委員 提案者は総理大臣兼関係各大臣というお立場ですから、ひとつ御遠慮なしにおつしやつていただきたい。ただいまの御説明によりますと、十倍の社債というのは、外資を社債の形で導入するという意味合いにおいて書いてあるということですが、一般市場に社債を売り出して、応募者があつた場合でも外資でなければ受付けないという意味ですか。内国資金といえども、応募者があるならばもちろん社債には応募させるのか、外資以外には応募資格なしという趣旨であるかどうか。
  37. 福田一

    福田(一)委員 外資以外でありましても、民間電源開発に御協力をくださる意味におきまして応募されますならば、喜んで歓迎いたすものであります。
  38. 荒木萬壽夫

    荒木委員 それならば先ほど申し上げましたように、外貨債だけに対して政府が保証する。この保証契約するということは、はなはだどうも独立国としては不見識なことだと思います。のみならず今の御説明のように、国内からも社債の応募を受付けるということであれば当然に内貨債と申しますか、内貸債につきましても同じような規定を設けなければ、これは規定としてははなはだおかしかろうと思うのでありますが、提案者としては修正されるわけに行きませんでしようけれども、委員会におきまして修正することが当然だと思います。あらかじめ御賛成をいただけるかどうか承つておきたい。
  39. 福田一

    福田(一)委員 その点はちよつとお考えを願いたいと思いますことは、なるほど電気事業は公共事業でございます。また基礎産業でもありますので、非常に重要性は持つておりますけれども、電気事業に比すべき、これとほとんどウエートを同じうするような産業会社がありまして、それが社債を募集する場合においても電力会社の方では社債の募集に国家が保証したのであるから、私の方も保証してくれということになりますと、そのけじめをどこにつけるかということが非常に困難でもあります。しかしそこまでやらなければいけないかどうかということは、もう少し質問者の側におかれましても御研究が願いたい。私たちといたしましても、その点は十分研究はいたしますが、提案者といたしましては、ただいま申し上げました理由によりまして、実はこの規定をつくつておるということを御了承願いたいのであります。
  40. 荒木萬壽夫

    荒木委員 先ほど安本長官の御説明によりますと、今後場資材等電力開発促進する意味において限りある資材重点的に、ほかの方は少しは消費規正をしてでも注ぎ込んで行くんだと仰せになりましたが、さらにまた資金の面につきましても、大蔵大臣は機会あるごとに重点的な資金の使用計画を立てるのだ、銀行局長の通達もまさにその線に沿つて金融機関には通達されているようですが、そういうことが今の国の実態でありまして、提案者は何も遠慮なさることはないので、電力開発が急がれねばならない、急げば急ぐほど他の産業も反射的に助かつて行くわけでありますから、他の資金に少しくらいきゆうくつさを與えましても、また国内の一般市場に社債を売出して応募するものがあれば、これを吸収して行くというやり方こそが最も望ましいことではないかと思います。ただ全般的な観察においては外債に依存しなければなかなか急速にはできまいという懸念もあればこそ、むしろ第二義的に外債ということが考えられるので、第一義的にはわれわれ日本人は何としても自分でやるのだ、足らぬときには外貨債に依存するのだという建前であるべきだろうと思います。そういう意味において提案者はもつと心臓強くお考えいただきたい。われわれも御協力申し上げます。  さらに大蔵大臣がおいでになりませんので、ついでながら場資金関係でちよつとお尋ね申し上げたいのですが、見返り資金を今まで数百億電力関係に融通してあることは、申し上げるまでもなく、国民全般知つておる点ですが、この新法案によりまする電源開発につきましても、やはり見返り資金相当依存するという先ほどの御説明でもございましたが、私は昨年の秋の第十二国会で大蔵大臣にこの見返り資金が贈與であるか、借款であるかを伺つたのですけれども、借金だ、返さなければならぬものだという御返事でございました。今これをかれこれ申し上げるのが真意ではありませんけれども、聞くところによりますと、イタリアは、降参した御褒美か何か知りませんけれども、一種の援助費を棒引きしてもらつた。アメリカが債権の請求権を放棄したという形で、棒引きしてもらつたと聞いております。イギリスやフランスは、半々で贈與の部分と債務として残る部分とある。ドイツはいち早く頭を下げて、貿易面でひとつ返しましようということを約束したと聞いておりますが、日本におきましても、イタリアと同じようには行かないにしても、日本の国情あるいは今度の平和條約もしくは日米安全保障條約の趣旨を敷衍して行きましても、何とかしてこれを英仏並に半分くらいは棒引きしてもらうように懇請これ努めたらどうかと思います。これは大蔵大臣でなければいけますまいが、安本長官のお気持、御感想だけでもひとつお聞きしておきたいと思います。
  41. 周東英雄

    周東国務大臣 いずれ大蔵大臣が参りますからお尋ねを願つた方がよろしかろうと思いますが、この点については大蔵大臣も、負債であるがゆえに返すという建前を絶えずとつております。今御指摘のような国の例もありますので、今後どういう形にどういうふうな額をということは、従来からある外貨債の問題もありますし、そういうものとにらみ合せて考慮さるべき問題でありましよう。御趣旨のあるところはよくわかりますが、ただいまどうなるとか、どういうふうに懇請するとかいうことは、日本政府としては、このことだけに限つてまだ言えないのではないかと思います。
  42. 荒木萬壽夫

    荒木委員 それは幾分余談にわたりますので、適当の機会にまたあらためて大蔵大臣にでもお伺いしたいと思います。  昭和二十四年でございましたか、米国対日援助見返資金特別会計法なるものが提案されまして、爾来見返り資金勘定が累積して三千億余りになつていると承知しておりますけれども、この見返り資金勘定はあくまでも日本政府の特別会計としての勘定であつて、それがとりもなおさず独立後におきましても引続き米国から、それを通じて見返り資金の運用そのものについて——借金は借金で返す計画は別途どうせ立てるわけでしようから、見返り資金そのものの運用については、アメリカからかれこれさしずを受けることはないと思うわけです。この点も大蔵大臣でなければいかぬかとも思いますが、安本長官の御見解を承つておきます。
  43. 周東英雄

    周東国務大臣 その点については、おそらく返済は返済、こちらの会計における資金の使用については使用という別々な形に行くのではないかと思います。今日二十七年度の計画におきましても、見返り資金勘定からの返済金がどれくらいあつて、それを新たにどうするかというようなことで資金計画を立てておるわけであります。特別な事由がなければ、御意見のように行くのではないかと思います。
  44. 荒木萬壽夫

    荒木委員 かつて東京電燈、東邦電力という五大電力はなやかなりしころに、ドル貨あるいはポンド貨債の外債を大分持つてつたわけでありますが、その場合におきましては、アメリカなりイギリスの出資者がインデンチヤーを通じまして、いろいろと施設内容ないしは拡張計画の報告等むずかしいことを求めておつたように承知しておりますけれども、この特殊会社が、第二十五條によりまして、先ほど福田さんのお話の外貨による社債が応募になりました場合、どういう契約内容になるかは相談づくですから今からどうこう言えますまいけれども、国の資金をほとんど大部分注入する、言いかえれば国民の税金ないしは税金に準ずるような財政資金を投入して、この会社の社債によつてまかなわれまする会社内容ないしは設備等につきまして、以前のようにいろいろと、干渉とは申しかねるかもしれませんけれども、内容的に関與されるということは、はなはだ心外な意味もございますが、そういうことに関連して、今の見返り資金との関係から、普通の相対づくの外貨社債を募集しますとき以上の苛酷な條件等がくつつくおそれはないか。そういうことを懸念することが杞憂に終ればけつこうでございますけれども、そういうことにつきましては、提案者としてどういうふうにお考えでございますか。
  45. 福田一

    福田(一)委員 そういうような苛酷な條件がついたものでできるとは思つておりませんし、そういうふうな苛酷な條件がつくということになりますれば、われわれとしても、あなたがお考えになりますように、日本の国力で、自分でやつて行くという建前に返つて、これを建設して行つたらいいのではないかと考えております。
  46. 荒木萬壽夫

    荒木委員 この法案によりまして、既存の電力設備とほぼ同じくらいなものが、数年後には予定通りに行けば開発されるわけでありまして、それを通じて供給されまする電力量の影響するところ、国内産業全般はもちろん、一般国民家庭生活にも直接関連を持つて来るわけでありまして、その点は結局電気料金という形で家庭経済にも重大な影響を及ぼすと思います。ただいまの公益事業委員会電気料金に関する根本考え方は、やはりマーチヤント・ベーシスにのつとつた原価主義で料金をはじき出そうという方向に動いておるように思いますけれども、安本長官万般御承知のように、東北方面は電線の十五メートルに電燈が一燈ぶら下るという限度で、関西あたりになりますと電燈線の三メートルに一つぐらいぶら下る程度の集約率である。従つてマーチヤント・べーシスから行きますれば、電気の普及率はいなかに酷にして、人口稠密な所に集中する。これは当然なことでありますけれども、しかしながらさきに申し上げましたように、安本長官も御同感のように電気というものがいわば空気や水のごとき性質にまで近づきつつある状態におきましては、いなか者だから電気の分配には浴し得ない、いなかだから小口動力にしましても思うように引けない、料金も原価主義によつて高いということであつてはならぬ。本来産業の立地條件も、人為的に何ともなし得ない要素もございましようし、ことに家庭生活となりますれば祖先伝来の墳墓の地に一生を終るのが日本人の通有性でございますので、そういうやむことを得ざる、いかんともなしがたい土地との関係において、電気がなければ今人間生活がないというがごとき程度にまで普及しており、実際問題化しておる電気の料金面につきましてはどうしても政策料金と申しますか、集約的に料金収入のあがる所でかせいで、いなかのコストを補つて、いわばプールした政策料金というか、権衡のとれた料金制度でなければならぬと思うわけでございます。ことにこのもくろまれておりまする特殊会社によつて、その内容は数回言及もしましたし御説明もありました通りに、国家資金をほとんど大部分注入して開発するということがごときやり方によつて生まれ来つた電気については、特にしかりと思いますけれども、既存のものと一体をなして、電気料金基本的な考え方としては、その産業自体が絶対に日本の存立のために必要であり、しかも立地條件から見て電気経済面だけからする採算点は低い、あるいはまた家庭生活の電燈、小口動力をとりましても、同じような場合においては、そうでない部面とプールした考え方、いわば均衡のとれた公平な全国均一な料金でなければならぬ。そういうことが本来公共性の高い電気経済として当然であります。この法案でもくろまれるような重大決意を自由党もし、政府もこれに同調してやられんとするならば、まさにそういう方向に公益事業委員会考え方を改善すべきものだと思うわけですが、そういうことについての安本長官の御見解を承りたいと思います。
  47. 周東英雄

    周東国務大臣 今日非常に不足しておる電気のもとに電気経済を立てて行くというマーチヤント・べーシスに立つた現在までの行き方において、やむを得ぬとはいえ、国民生活上均等にということは、理論的に正しいかもしれませんけれども、政策料金を認めない形に今日まで来ておりますことについては、私もあなたのおつしやることに同感であります。将来電気が豊富になるに従つて、おのずからそこに政策料金と申しますか、あるいは産業相互間においても政策料金の設定が望ましいし、また一般国民生活に使う電燈というものと、相当大きな電気を使う重工業方面とにおいての区別ということがなされてしかるべきものと私は考えております。戰争前においては、そういうような形において、別に電気会社需用岩間に結ばれた契約もあつたようでありますが、中ごろ日発が統制した当時においてはたとえば灌漑排水の農業用電力には特別な料金割引制が行われておつたことは、私は正しい行き方であつたと思います。今日やむを得ずそれが一時消されておりますが、今後においては十分考慮されてしかるべきものと考えます。また今日巷間伝えられておる値上げ問題について、公益事業委員会も態度を決しておられませんが、今度の問題についてもその片鱗を私どもは表わしたいと連絡をしておる次第であります。
  48. 荒木萬壽夫

    荒木委員 先ほど只見川その他の開発河川のことを概略つたのでございますが、只見川だけでも最大三百万キロワツト出るとか聞いておりますが、それぞれ大規模の地点開発される。その開発された電気が貸付もしくは譲渡の形で既存電力会社に移りましようとも、また卸売という形で行きましようとも、せつかくできたその厖大な電力量が所期の使命を発揮し、日本経済の復興、国の再建に有効に具体的に役立ちますためには、これを送電する送電線がございませんければ何ともならぬわけであります。もちろんこの開発会社は送電線の建設もやられることになつてはおりますが、別々に送電線を建設するということはよもやなさるまいと思います。現実問題としてやるべきじやないと思うわけですが、そうしますと、既存の送電線にのつけるのであります。従いまして東北方面から関東に来るにしましても、さらにそれは中部ないしはリレー式には関西にも来る余力があろうかと思いますが、そういう場合に、先般の電力の再編成の結果分断されました別々の会社の持つておりまする送電線でリレーされて、完全に消化されるということになる。そういうことでは、今日まですでに経験しましたがごとく、相互融通すらも思うように行かないのに、せつかくの只見川の開発の三百万キロワツトの発送電力が、いたずらに水を流すことがあつてはもつたいないことだし、かつまた資金資材重点的に流し込み、国家資金までも注入してつくつた大事な電気が、本来の使命には使われないで妙なところに使われるという結果になるおそれもある。従いましてまず第一に送電線を、二十五万か三十五万か知りませんが、既存の送電線よりも相当厖大なものを——これは送電連繋を十分考えてでないならば、ただ地点だけを開発しましても送る方法がない。既存送電線では送り得ない、容量以上のものになることは必至だと思います。そういうことについても先ほど計画の御説明のときに御説明があつてしかるべきものと思つたのですが、承つておりません。そういう点についてはどういう考えを持つておるか。送電連繋の関係、それを既存の電気会社の供給区域内だけで消化し得ない場合のリレー式の消費の仕方ということ、さらに三百万キロワツト発電が只見川にできまして、これを中部、関西に送ろうとしましても、サイクルが違うためにどうにもならぬ、サイクル・チエンジが必要だということにもなつて来ましようが、そういうことについては一体どういう構想のもとに編まれましたか、概据的でけつこうですから承つておきたいと思います。
  49. 福田一

    福田(一)委員 先ほど安本側からの説明ではその点に触れておりませんでしたが、われわれはその点も十分考慮をいたしておるわけでございまして、御説のように二重施設をいたすことは非常に不利であり、また足りないということになれば、送電線も大きなものをつくらなければならないということも事実でございます。こういう点はもろちんその場合におきまし電力会社とできる会社との間におきましても調整を協議する、あるいはこれに対して監督官庁としていろいろの指導をするということは起り得ることを想定しておるわけでありまして、これをむだに使うようなことには相なるまいと思つておるのであります。只見川につきましては非常に厖大な数字を申されたのでありますが、もちろんこれは電力需給関係その他を推定して参りますので、それほど大きな数字の建設予定にはなつておらないと思います。いずれにいたしましても御説はごもつともなことでございまして、その点は今後考え、またわれわれといたしましても十分考慮いたしておるわけであります。ただ今のお言葉の中にありますように、将来の電力をどういうふうにしていろいろの産業にわけて行くかという問題につきましては、いろいろのお考えもあることと思います。こういうことにつきましては、これは政府というよりは提案者自由党といたしましては将来皆さん方と大いに研究さしていただきたいという考えを持つているものであります。私たちは今電気が不足をいたしておりますのでどうしてもこれを早くつくるという建前でこの法案を出しておるのであらましつくつた電気、また現在ある電気をどういうふうにしてうまく使うことが国民のためになり産業経済のためになるかという面につきましては、みなそれぞれ考えもあることと思いますが、もちろん党としても将来大いに研究をするつもりでおるわけであります。
  50. 荒木萬壽夫

    荒木委員 公約をなさると何でもがむしやらにやつつけようとおつしやる方から今のようなお説をいただきまして、安心いたしました。せつかくこういうものができます以上は、むだのないように、最も日本の再建に役立つようにやりたいものと存じます。つきましては松田政府委員がおいでですが、元日発で設置しておりました小石川の給電指令所は今公益事業委員会の御所管のことと存じます。聞くところによりますと、先年来の電力不足の場合、電力編成後のあの混乱に際しまして地帯間の融通がなかなか思うように行かなかつた、そのためにおそらくは北陸電力の管轄区域内の発電力量に匹敵するくらいのロスがあつたのだろうという説をなす方もあります。その真偽は私どもよくわかりませんが、いずれにせよ地帯間の融通がなかなか思うように行かぬということは、せつかく時々刻々の各発電所所在地の天候の状況、降雨量、あるいは発電所が動いているかどうかまで瞬間的にとらえ得る施設がありながら、その施設を活用して、どこが故障だからどこがかわつて発電してどうする、どこの電気をどう送るという指令が思うように行かぬ、またそういうことを具体的に時々刻々指令するような職権をお持ちでないものだから、あたら宝の持ちぐされになつているということをよく聞かされるのでありましたとえば今の只見川の厖大なる発電ないしは熊野川だ何だということが続々出て来ました場合、今のままの姿で行つた場合には、同じようにせつかくの電力がその給電指令がうまく行かないために、いたずらにロスとなつて現われるということがありせば、はなはだ心もとない次第ですが、この給電指令所を通じての地帯間の融通等は公益事業委員会としてどんなふうにやつておられますか。巷間伝えられるがごときそんなロスがあるのかないのか承りたいと思います。
  51. 松田太郎

    ○松田(太)政府委員 お話のように、本来の理想から申しましたならば、再編成趣旨からいつて早く九ブロック別に電源開発を行い、あまり地域間の融通をしなくてもそれぞれの地域でまかない得るようにすることが何よりの理想と思います。しかしながら再編成をしてまだそう日にちもたつていない今日において、実際問題としてなかなかそういう理想にのみ走るわけに行かない。従つてこの電力の融通の問題につきましては、御承知のように現在の公共事業令の上においてもお互いに融通契約をし得る道がありますし、また必要に応じて公益事業委員会として融通命令を発するようになつております。しかしながらこれをただお互いの契約にまかせ、あるいは委員会で命令をすると申しましても、実際に各地域間の電力状況がその日その日においてどういうぐあいになつているかという現実の姿がはつきりわからなければ、いくら命令を出そうにも出せない。そういう意味で、特に昨年の秋以来の異常渇水といわれたような、ああいう事態にも直面いたしまして、お話のような従来の日発に置かれていた配電指令所にかわり、その時から当現在の九電力会社のうち北海道と四国を除いた七電力会社の責任者を特に配置いたしまして、その間に給電連絡会議というもりを設け、従来の日発の指令所を十分活用することにして、その間の情勢に応じてお互いの間で十分融通措置を議して行こう、特に昨年の際にも、こういう事態が起きた場合にはどの程度まで各社間で思い切つて融通をするかという一つの基準もつくりまして、さらにその上にわれわれとしてはどうしてもそれが守られない、またそれ以上に電力状況が悪くなつた場合には、融通命令を下す方針で、実際的には、委員会の方から命令権はございませんが、いわゆる指示をいたしたのであります。それに対しまして各電力会社としましては、その措置をまさに講ぜんとするときに例の台風等が参りまして、その措置は講ぜずに済みましたが、今年の二月ごろの渇水状況のときにはその方針で各社間で融通をいたしております。ただ日発時代に全国一本でやつておりましたときに比べて、それほど円滑に融通が行われたかどうかということにつきましては、私率直に申しましてそこまでは行つてないと思います。しかしながら今後只見川の開発であるとか天龍川の開発であるとかいうような大規模の電源開発が行われましても、お話のようにせつかく開発されてもかんじんの電力が必要なときに必要な所にまわらなければ何にもならないのでありますから、そういう場合には、公益事業委員会といたしましては、今の給電連絡会議性格を一層強いものにし、また融通命令等の措置もございますので、どうしても円滑に行かぬ場合にはそれを適宜下すようにはいたしたいと思いますが、できるだけそういう強制的な措置を講じなくても、今の大きな開発された発電が十分各社間にまわるように、各電力会社の自主的な気持で大事な電力の需給面のバランスをとるように強く指導いたしたいと考えております。
  52. 荒木萬壽夫

    荒木委員 大体わかりますが、うまく行つてないことと思います。思いますが、それは松田事務総長の罪でなくて、本来電気というものは一瞬にして流れる刹那的のものである。それをもうけ本位で区域をわければ、自分の所にある火力発電をたくよりも、たとえば関西から見れば、三浦の貯水池というものはなるべく温存して都合のいいときに使おうとするのも当然だし、猪苗代の湖水にしても一年に三べんくらい満水して放流するくらいに有効に使つていたそうですが、このごろなかなかもそれできない。石炭にして数十万トンに匹敵するものをほとんど効率的に使つてないというようなむだは、これは制度の罪であつて電気の本質に立脚しない再編成の仕方をしたところに起因すると考えられるのであります。これは概念の論争で公益事業委員会をかれこれあげつらつてみたところで解決しないので、電気の実体、現在の電気に関連する国民経済そのものの密着性ということに立脚した考え方で、何も全体主義とか統制経済とかいうような概念論にあらずして、そのものらしき姿にしないことによる必然の結果でございますから、そういう意味からこの特殊開発会社が生れることは、もちろん十全とは申せませんが、ある程度根本考え方を本来の姿の方向に少し引きもどしたという意味においては、好感が持てると思うのであります。願わくは新規電源開発に関連して、送電連繋をもつと大容量のものをずつとぶつ通して、雨の降るところと降らないところを調整し、石炭のあるところとないところとを調整し、均質の電力を常に安定して送るということを第一義としてやるような構想をさらにこれに加えるならば、画龍点睛かとも思うのですが、少し神経衰弱ぎみなところが難点でありまして、提案者の御苦心はわかりますが、もう少し心臓強くやつていただきたかつたと思うわけであります。要するに国会において理想的に改正してみたいと考えておる次第であります。  なお収支目録その他についてお尋ねしたいこともございますが、與えられた時間が来て催促を受けておりますから、さらに詳しいことは通産委員会等で私なり、同僚からまたお伺いすることにして、以上で私の質問を打切ります。
  53. 多田勇

    多田委員長代理 中崎敏君。なお中崎君に申し上げますが、先ほど御要求の大蔵大臣は外出中で出席できませんので、帰り次第出席を要求してございます。公益事業委員会委員長は病気、他の委員は今旅行中で出席できません。公益事業委員会からは事務総長が出席しておりますから、御了承願います。
  54. 中崎敏

    中崎委員 電源開発の必要なことについては、私たちとしても当然認めるわけでありますが、いかにして電源開発するかという方法等が相当検討されなければならないと思うのであります。そこで私としては大蔵大臣に対する質問を留保して、周東長官が見えているようですから、主としてそこらに質問をしてみたいと思うのであります。  まずこの法案の内容を見ますと、一つの特別の会社をつくつて、そこで大きい電源開発する、そしてこれを調整するために必要な法規がこれに附帶して書かれているように見えるのであります。いずれにしても電力開発について考えてみたいのは、企業体の問題であります。これについてはすでにしばしば質疑も行われましたが、私はまた少し違つた角度からこの問題を見たいと思うのであります。いわゆる電力の九分割、再編成案がすでに実行されたのでありますが、これがはたしてよいか悪いかということについて、この案が出たときに相当国会においても論議され、さらに一つの政治的問題にまで発展し、いわゆるポツダム政令でこれを政府側考え方で一方的に実行されたのであります。政府側の主張としては、まず自由主義の考え方の上に立ち、またこれを民間にまかしてそうして民間の総意と自由な考え方の上に立つてやるならば、豊富なる電力の確保もできる、さらにまた料金の上においても、安い電気料が確保できるのだというふうなことが大体大きな眼目となつておりました。ことにまた資金の面についても、今後外資の導入を得ることが日本経済再建の基礎要件であるが、電力のごとき相当多くの資金を要するものについては、当然外資の供給を受けることによつて電力開発促進するものになるのだという、大体この三つが主眼となつて編成が断行されたものと思うのでありますが、この三つの点について一々こまかく論議するのは避けまして、簡單質問してみたいと思います。  料金の点につきまして、昨年の八月ごろに大きな輿論の問題をはらみつつ電気料金の値上げが断行されましたが、今回またまた電力会社側において電気料の値上げを策して、ほぼその実現の一歩手前にあるようなことになつております。今回の電気料の値上げははたして実際にどの程度にまでなるかということは、まだ決定的のものではないのでありますが、一体政府ではどの範囲に考えておられるのか、今度の電気料値上げについての政府のお考えをお聞きしたいと思います。
  55. 松田太郎

    ○松田(太)政府委員 私からお答え申し上げます。お話のように電気料金につきましては、昨年の八月に電気料金の改訂がございまして、その後ことしに入りまして、三月十五日付で各電力会社の方から電力料金の改訂の申請が再び参つております。大体その理由といたしましては、本年度の電力需用に対して極度に供給力をふやします関係上、一つには相当高価な石炭を大量に消費しなければならないという点とか、あるいは人件費の高騰に伴う点とか、あるいはいろいろの電力施設の補修、修理をさらに強くに進めて行かなければならぬ、そうしてできるだけキロワツト・アワーの供給を多くしなければならぬというような意味で、修繕費についてある程度の増加をしてもらいたいという点をおも立つた理由として、電力料金の改訂の申請が出ております。各社の出して参つております申請によりますと、平均いたしまして三割二分程度の申請になつていると思いますが、電力の供給を増強して行きます上において、今申しましたようないろいろな措置を講じなればならない。また将来、先ほどからお話のように、電力会社としましても、できるだけ民間資金の確保にも努めなければならぬ。そういう意味において増資の問題でありますとか、あるいは社債の問題、借入れの問題というようなことからして、一層電力会社の経理の内容を堅実にして参りたいというような意味も多分に加わつているようでありますが、委員会としましては、大体その内容を検討いたしまして、いわゆる聴聞会にこれを付しまして、聴聞会を通じ、また国会等におけるいろいろな御審議を通じまして、承つた意見を十分に尊重して結論を出したいということにいたしておりますために、今日においては、会社の申請して来ているものをどういうぐあいにするかという方針についてまだ何もきまつておりません。三割何分というものをどの程度認めるか、その率をどの程度にするかというようなことも、何も決定しておらぬのでありまして、そういう点につきましては、いずれ最後的に決定します場合には経済安定本部とか、あるいは物価庁の方とも十分検討いたしまして、最後的の結論を慎重にきめたいと思つております。今日の段階におきましては、今御指摘のような点について確たる御回審を申し上げる時期に立ち至つておりませんことを御了承願いたいと思います。
  56. 中崎敏

    中崎委員 そこで周東長官にお伺いしたいのでありますが、まず電気電力料金の値段につきましては、これは民営に再編成されて、民営に移されたために、特に安くなつておるということをお認めになるかどうかということをお聞きしてみたいと思います。
  57. 周東英雄

    周東国務大臣 お話でありますが、私は原則的にいつて、九分割された会社が自由に開発ができ、そうして豊富に電力を供給する順序に運んで行けば、私はこの形態が電力料金に及ぼす影響等もよかつただろうと思います。今の御質問でありますが、九分割すれば電力は豊富、低廉になると言つたが、実際はそうなつてないじやないかというお含みの御質問だと思います。まああなたの立場から言えばそういう御質問は当然と思いますが、私は今日の状態においては、目的目的として九分割されたが、その後の実績は今後に現われるものだと思います。今日の値上げは、この前ありましたのは、げに戰争前から終戰後における長い間ほとんど補修も増加もされずに来つた電気というものが、その後における資材の価格の高騰なりあるいは電力危機等においてこれを救済するために高い石炭を買つたというところに基因しておるのであつて、これは別に九分割したから、せなかつたからということから起つて来ておる問題ではないと思つております。従つて私は、今から言えば、物価の高騰率に比較しましては、まだまだ電力料金はそうえらく高いところに上つて来てはおらないと思いますが、しかし九分割前と今と言えば、なるほど表現されておる価格は上つておることは事実であります。
  58. 中崎敏

    中崎委員 この電力料の価格の位置の問題でありますが、これにつきましては、一応政府の考えておるようなふうに行くとすればという仮定條件をつけられておりますが、当然行くということを前提として、必ずそこに行くものだということが言われなければ、また考えられなければ、そうした主張はあり得ないのでありまして、そういう幾多の困難な條件があるために、物事は必ずしもりくつ一点張りには行かないぞということをむしろ含んで考えられなければならぬ。言いかえますと、自由主義というものがただ机上の一つの空理空論であるといいますか、机上のプランにすぎない一つの観念論的なものであるということを是認される場合においては、それは正しいと思うのであります。しかし経済の実体というものは千変万化で、自由主義だからといつて必ずしもすべてがそういうふうに一つの目標に理論通りに運ばないのだというこの現実もまた考えて行かなければならぬと思うわけであります。そういうような意味合いにおきまして、私たちはこの料金の問題についても、自由党の主張して、しかも強力にポツダム政令までやつてやらなければならなかつたというその効果というものについて、その理論的根拠について、非常な疑念を持つておるのでありますが、この点もあまり深くこれ以上お聞きするのはやめておきたいと思います。  そこで今電力をすべて民間の九つの会社を中心にやられて、そのほか自家発電なりあるいは多少公共団体等においてやつておるものもあるのでありますが、いずれにしても電力基本というものはこの九つの会社を中心として確保され、運営されて来ておるのでありますが、それがこの際それだけではどうもうまく行かない、こういうことをお認めになつてこれをお出しになつたのか。あるいは現在のままでも行くのだが、さらにこれを急速にやらなければならぬという、いわゆる時期を早めるというふうな意味においてお出しになつたのか。そこの点をひとつお尋ねしたいと思うのであります。
  59. 福田一

    福田(一)委員 電力の不足は非常なものでありまして、それを急速に充実いたします場合には、再編成いたしました九つの電力会社の全力をあげましてもなおかつ足りないのであります。そこで再編成当時においてもそういう話があつたのでありますが、大規模な電源開発につきましてはこのような特殊法人をつくりまして、そうして九つの電力会社、それから公営事業自家発、特殊会会社、この四つでもつて国民が一体になつてこの電力問題を解決して行くという方向に持つて行くことが一番正しいと思つてつておるのでありまして、先ほど質問者が申されました電力編成のときの理由などとからみ合わし、あるいはこれが間違つてつたから、こういうような意味合いでこの法案を出しておるわけではないのでございます。
  60. 中崎敏

    中崎委員 それではさらにお尋ねしますが、そういうことがすでにその当時からあつたということならば、何ゆえその当時にやらなかつたか。言いかえれば、電力開発が絶対的な使命である、しかも九つの会社だけでは十分でないということを認めたならば、電力はその当時には必要でなかつた、こういうことがあるなら別だけれども、その当時から必要だと考えて、しかも公社なんかもつくらなければならぬということがあつた。それを論拠にされるならば、なぜそのときにやられないで今日まで荏苒日にちを延ばしておられたかということを、お聞きしたい。
  61. 福田一

    福田(一)委員 そういうような大電源開発をする場合には、そういう特殊会社なり公社なりをつくつた方がいいではないかという議論が院の内外にあつたということを申したのでありまして、これは私の説明があるいは間違つてつたかもしれませんが、そういう意見もあつたということを私は申し上げたわけであります。いずれにいたしましても、その後朝鮮事変その他の事態が出て参りまして、また日本経済の運行から見ましても、あるいはまた異常渇水が起つたというようなことによつてなおさら電源開発を急がなければならないという状況がしきりと強くなつて参りましたので、そこで私たちといたしましてはできるだけ早くこれを出したいという考えで、昨年も今議会が始まる前からいろいろと調査研究を進めましたが、問題が非常に重大であり、また関係方面ともいろいろ関係がございますので、そういう意味合いで実は遅れたのでありますが、提案者といたしましては、実は中崎さんがおつしやつたようにもつと早く出したいという気持で努力をいたしておつたということを申し上げます。
  62. 中崎敏

    中崎委員 そうしますと、たとえば今九分割された電力の業者、しかもその専門的角度においてでなくてむしろ自分たちの方でもやれるのだということをこの人たちは言うておるわけです。それがすなわち今度の公益事業委員長を初めとして主たる幹部のいわゆる自由党側の案との間の大きな食い違いの原因になつておるのだが、一つのこうした大きな電力開発については、国家が主導的立場をとつて、そうして一社としてやつて行かなければならぬというのか、あるいはまた九つの電力会社を網羅して、強力にこれらの会社が相互いに協力して、そうしてここにさらに現在のこの計画を拡充して、政府の考えておるような線まで、この案の考えておるような線まで持つて行こうとしておるという、そういうやり方がいいのかという問題になつて来ると思う。言いかえれば、一社案と言つても、九つのものが中心となつて一社になるという考え方もあり、あるいは四社程度のものになるという考え方もあるかもしれないし、政府が主導権を持つて、ほとんど政府の事業としてこれをやつて行く行き方がいいのか、あるいは民間電力業者を網羅して、こういうものを中心として行つた形態がいいのかということが問題になると思うのであります。  そこで前に返るのでありますが、いわゆる九分割案を断行したところのこの政府としては、民間にまかしておいた方がいいのだという考え方を持つて来ておるのだから、この際においても、やはり民間側に対して、一社なら一社で行つたらどうだという考え方をもつて勧めたらどうかということの議論も起るのでありますが、その点はいかがですか。
  63. 福田一

    福田(一)委員 先ほども申し上げましたように、九つの電力会社に対しましては、四百二十万キロのうちで二百五十万キロ、半数以上の発電所をつくつてもらう計画に相なつておるのでありまして、しかもその場合におきまして、国としても見返り資金あるいは資金運用部資金等を極力融資するような方法を講じております。しかし九つの電力会社自己資金相当程度つくつてもらわなければこれの開発ができない、そこで電力会社の方で自己資金をつくることはなかなかむずかしいのであるから——実はこれは電気料金の値上げともからむのでありますけれども、電気料金を大幅に値上げし非常にもうかる会社にしてもらえばどんどん電力開発ができる、そういう方法も一つ考えてもらわねばならぬというような意見もあり、あるいはまた、政府資金をまわしてもらえばわれわれでできるのだというようなことを言われる向きもありますけれども、御存じのように電気料金というものは、食糧と同じように国民生活と非常に離れることができないものであります。そういうものを大幅にすぐここで値上げいたしますことは、日本産業経済に及ぼす影響、国民生活に與える影響を考えますと、なかなかそう簡單に参らないことは事実であります。といたしますれば、会社といたしましては、自己資金でこういうものをやれないような会社が幾つ集まりましても、自己資金でやるというわけには行かないわけでありますから、どうしても国家資金にたよらなければならないということになるわけであります。そこでその国家資金を出す方法でございますが、その場合においては、これは議論のわかれるところと考えるのでありますけれども、私たちといたしましては、大電源開発するために多額の経費を要するようなものについて、政府財政資金、いわゆる税金をもつてこれをやつて行くというような問題は、再編成日なお浅くして、電力会社自体に対しましてもいろいろ世評があるような、そういう電力会社国家資金をただちに融通するのがいいかどうか、またこれが国民感情において納得するかどうかというようなことを考えますと同時に、監督その他、こういうような資金を出しました場合において、これが適当に使われておるかどうかというような経理内容を調べて行くような意味合いにおきましても、国の金をそういう電力会社に融通するようなやり方をすることよりは、やはりこういう特殊法人をつくりまし一応嚴重なる国家監督のもとに置いて、国民に疑惑の念を生じさせないような立場に置いその意味で大いに開発をやつてつた方がよろしいということが一つであります。  いま一つは、先ほど来いろいろ安本長官からも御説明があつたことでありますが、私たちといたしましては、外資を導入するというような面につきましてもいろいろ研究を進めたのでありますけれども、既存の今の電力会社に対しては、外資導入は非常にむずかしいということであります。私たちは、この電源開発について外資導入が絶対條件ということは言つておりませんけれども、外資を導入いたす場合におきましても、こういうような新しい会社をつくりまして受入れ態勢をつくる方が外資が導入しやすいという見地も含まれて、今ここに提案になりましたような特殊法人で電源開発をして行くがよい、かように考えているわけであります。
  64. 中崎敏

    中崎委員 私は資金の問題に関係して大蔵大臣に尋ねてみるつもりでありましたが、今外資導入の意見が出ましたのでちよつと申し上げておきます。マーケット声明と政府との間にやりとりされた例の外資導入に関する問題は、世間一般の知つている通りであります。この外資導入ということについ何らの期待を持てない、いわば暗やみの状態に置かれているというのが今の私たちの気持であります。もう一つはGHQとの間のこの電源開発促進法案の経過から見ましても、こうした姿では外資導入ができないだろうというようなことは、新聞にも書いてあるし、われわれもそう想像するのであります。この点は、この間有田君からも質問しており、意見も述べておるところであつて、要するに電力設備をやるのだ、やつてしまつたら売るんだというようなものに一体だれが金を出すか。私もいろいろ事業に関係しておるが、私としてもこれには金を出さない。そういう意味合いにおいて、これは国家的な使命を持つておるから日本政府がどういうふうに責任をもつてやるかは別として、少くとも一つのコマーシャル・ベースの上に立つてこれに対して外資をどうということは期待できない、むしろこういう会社は外資導入の道をふさぐものだ、こういうことになると私は信じておりますが、この点については大蔵大臣なんかにも質問してみたいと思います。  そこでそのほかの問題として資金の問題があるのでありますが、こういうような形態のものに政府資金を出さないということは一つもないのであります。鉄鋼にしても、石炭にしても、そのほか重要産業はもちろん中小企業に対しても、ごくわずかのすずめの涙ほどではあるが政府資金が運用されている。ことに電源開発して電力を確保することは至上命令である。そういう重大な国家的使命を持つた事業に対して、政府資金であろうと民間資金であろうと出すのは当然なことなのだ。そういう意味におい政府が今度つくろうとする会社であるからといつて特別にこれによけい金を出して、そうしてそうでない民間電力会社には金を出さないというような考え方は間違つている。そういう意味において、金の出し方についてはどちらであろうと当然出すべきであるから、資金の問題については、特にこの会社ができるというので解決するとは思つておりません。この会社についてはとかくの批評があるというのでありますが、こういう重要な国家的使命を持つた電力会社に対しては、国家的な強権、権力をもつてこれを監督して行つたらよいのです。かつて電力国家管理法というようなものがあつた。あれは戰争中のものであるから、実際においては細目にわたるものが正しいとは思わないが、必要ならばどこまでも管理すればよい。そういう意味において、従前の民営に移したその姿が間違いであるならば、言いかえれば、自由にやらしたらよいという考え方にはとかくの批評が起つて来るが、ここに欠陷がある。電気料を値上げしなければならぬ、あるいは電力も足りなくなる、開発も怠つて行くというふうな結果になる。だからそれをあらためて元に返すというか、強力な国家管理、国営でやつたらいい。むしろ構想をかえて、ちぐはぐなことをやらないで、一本で電力行政はこうするんだ、こうして確保するというすつきりした姿に持つてつたらいいのではないか。そういう意味において、とかくの評があるということでもつてこれを一つ理由にされることはない。これは新しい開発会社をつくらぬにしても、この重要な電力を少くとも担当しているんだから、それをそのままほつておくことは間違いじやないかということを提案者質問したい。そういうことでは重要な電力、しかも今後において担当すべき国家的使命を果せないじやないかということを心配する。それをいかに是正するかということを聞きたい。
  65. 福田一

    福田(一)委員 私たちといたしましては、企業は創意くふうをいたして行くような面も大いに取入れて行くのが正しいと考えておるのでありまして、あなたがおつしやいましたような、いわゆる国家管理の形態で電力行政をやるのが国民の利益と一致するというふうには今のところ考えておりません。従いましてあなたがおつしやつた根本的な改編をした上で、そのものにやらせるようなくふうをしてはどうかということには、にわかに御賛成をいたしかねるのであります。
  66. 中崎敏

    中崎委員 重要な国家的使命を持つている、いわゆる独占事業としての形態を持つている電気事業に対して、とかくの評があるというと信用できぬ。そこで産業並びに勤労階級に大きな犠牲と混乱を来すような状態をほつておいていいかどうかということをお聞きしたい。
  67. 福田一

    福田(一)委員 そういうような問題をあなたは御質問になりますけれども、私たちの言うところは、今の電力会社にやらせるということは、一部には賛成もありますけれども、一部には反対があるという意味を申し上げておるのでありまして、国民全体としてこの電力会社にやらせるのは非常にけつこうだというような考え方にはなつておらないだろうということを、私は表現いたしたのでありまして、その表現の言葉が違つてつたならば、訂正するにやぶさかでありませんが、私の言つておるのはそういう意味であります。
  68. 中崎敏

    中崎委員 もう少しお聞きしたいが、それではたとえばほとんど国家が主導権を持つた会社、かりに一社案をつくることができたとして、これについてとかくの評がなくなるかどうか。たとえば現在あらゆる面において政府形態の機関というものが腐敗堕落している。どこへ行つても問題を起している。私は情報をたくさん持つておるのでありますが、たとえばこの間も建設省においても四億数千万円の疑獄がすでに問題になつておる。そのほか警察予備隊にしてもあるいは海上保安庁にしても、ありとあらゆるものがことごとく腐敗堕落し切つている。そうしたものを根本的に粛正して行かなければ、これは何をつくつても同じなのである。でありまするから、これは民間の事業に限らぬ、政府の役人も、政府の事業に関係している人たちもことごとくこうした問題のないように拔本塞源的な一つのことが実行されて行かなければならぬと私は思う。こういう意味において、とかくの評があるというようなことによつて、これを新しい会社をつくるという理由にされることは当つていないと私は思う。  今度は問題をかえてみたいと思います。この会社民間の方へさらに電源開発について一歩進めてやるということになれば、今度はうんともうかるようにしてくれ、これは当然のことであります。すなわち民営にして行けば、自由主義によつて利益を得られるからこそ、民間事業が成り立つ。だから言いかえると、そういうことを言うから、これはぐあいが悪いという理由になるならば、先ほどつたように、民間にまかしておくべきでない。この点について公益事業委員会としても一つの案を持つておるはずなんだが、一体どういうふうな利益を與えるつもりで新しい事業の計画、いわゆる二本会社案なるものをしているのか。その具体的な案を簡単でいいから、示してもらいたい。たとえば利益をどの程度に見、償却をどの程度に見込んで、二本会社案というものを考えておるのか、それを示してもらいたい。
  69. 松田太郎

    ○松田(太)政府委員 公益事業委員会といたしましても、まだ委員会全体として、最後的に決定したものではないということは、ひとつお含みおきを願いたいと思いますが、この電源開発の問題を急いでやりますることにつきましては、これはどこにも異存のないところで、またそうしなければならぬわけであります。しからばこの電源開発をどういうぐあいにすることが最も迅速に効率的にできるかということについては、いろいろ意見があり得ると思いますけれども、お尋ねでございますので、公益事業委員会としての大体の構想として考えておりますことについてお話を申し上げます。要するに、公益事業委員会といたしましては、いわゆる電気事業編成というものが、少くともいかなる形においてにかかわらず行われた以上は、やはりその精神にのつとつて進むべきではないか。そういう意味で現在の電力会社というものをどこまでも育成して行くという建前で行くべきではないか。その際に先ほどいろいろお話がございましたように、一番大きな隘路になつておりますものは、資金関係でございます。従つて電力会社としてもできるだけ、この民間資金については努力をしなければならぬことは当然でありますが、しかしながら巨額の資金を必要とする際に、やはり従来見返り資金等によつて国から支援をしてもらつたと同じような意味で、今後も財政資金と申しますか、国家資金を援助してもらう必要があるのではないか。ぜひそういう意味でその資金を借りたい。またそういうぐあいにすれば、現在の電力会社としても相当思い切つた開発ができるのじやないか、こういうのが一番の根本建前であります。ただその際に、お話のような只見川でありますとか、あるいは天龍川でありますとか、あるいは熊野川であるとか、四国の吉野川であるとかいうような、相当大きな規模につきまして、現在の電力会社がそれぞれ従来もくろんでおります地点について開発もし、それからまたそういうような大規模地点についても同じところでやるということになりますと、二兎を追う者は一兎をも得ずということにもなつて参りますので、従つてそういう大規模地点については、やはり従来のいわゆる民営形態で参つておる、またそういう方針で進んで来た再編成の精神にもどらないように、現在ございます電力会社二以上、あるいは電力需用者としての大きな化学工業とか、あるいは金属工業の方面の御参加も得ることができるならば、そういう方の参加も得て、そうして従来持つております水利権とか、あるいはいろいろな事業施設であるとか、あるいは資材であるとかいうものをそれぞれ出資をし、そうして国からの借金と一緒にして会社をつくる。そうしてその会社はあくまでも建設すると同時に、それから出て参る電力というものは現在の電力会社の方に売つて参る。要するに、その考え方で参りますと、その数社の会社というものはやはり相当長期間に存続するものであつて、そこから出て来る発生電力というものはどこまでも既存の電力会社に供給して行くんだ、それによつてその電力会社としても相当の利益を得る。またそれによつてある程度の配当もし、また今後の建設もして行く、あるいは借りた金を返して行くという考え方のもとに、今申しましたような会社をそれぞれの大きな水系別に立てまして、従来の考え方によれば自由競争的な考え方のもとに、お互いに競争し合つて資材の面あるいは資金の面を最も有効に活用して行くということが、やはり電気事業編成を行つた本来の精神に沿うのではないかという構想で、また今申しましたような意味で利益を上げ得るという建前で進んで行くべきではないか、大ざつばな構想でありますが、かように考えております。
  70. 中崎敏

    中崎委員 利益の問題については、これはべらぼうな利益をとらなければ民間会社側においてもやらないというのか、あるいは通常の利益、たとえば八分程度の配当をしてあとは資産の償却に充て、さらにあすに備えるためにある程度の留保をするという程度考え方を持つておるのか。この程度、すなわち利益の範囲に関する事業委員会側の意向を聞いておきたい。
  71. 松田太郎

    ○松田(太)政府委員 現在の電力会社についてももちろん公益事業であります以上、いかようにも利益を上げ得るということはとうてい許し得ることではないのでありまして、かりに今の電気料金の問題にいたしましても、また利益金処分の問題にいたしましても、すべて公益事業委員会の認可を受けてやつておるのであります。従つて同じような性格電源開発会社である以上は、利益と申しましても今後電源開発をやつて参ります上に最小限度必要な、また将来社債を発行するとか、あるいは借入れをするという点につきましても、現在の電力会社と同じような意味で必要最小限度の利益にとどめなければならぬということは、公益事業の性質から申しまして当然のことではないかと考えております。
  72. 中崎敏

    中崎委員 ただいまの答弁で明らかになりましたが、大体この内閣が民間にまかすという意味において九分割をやつた趣旨がそのままの姿において反映しておるにすぎないので、やたらに多くの利益をむさぼるという考え方の上に立つて今後の電源開発に対処するという考えはないというのでありますから、今提案者の利益云々の問題は主張する根拠を失つているということが言えると思いますが、それ以上この問題をつつ込んで話をしてみたところでそう満足な答弁も得られないと思います。  さらに進みますが、この新会社案について提案者側計画しておられる第一期工事、第二期工事、ともにこれは相当電源開発の意義を持つものでありますが、しかしこれについては公益事業委員会の方でも、言いかえれば従前の九電力会社側においても、開発をすでに計画し、あるいは実行に移しておられる場所もあるのではないかと思います。そういうものもあるのでありますが、それをまた取上げるというか、それと競合して行くようなことがあるのではないかということを心配しておるのである。一体その間の調整をどうするかといえば、何か審議会だとかをこれからつくられるというのでありますが、実際審議会をつくられても、企業体が違うというか、むしろ一方は民間であり、一方は政府がやつているというふうなことになれば、かえつてその間における調整が複雑困難になつて、円滑に事業の目的を推進し得ないのではないかということも考えておるのであります。  そこでお尋ねしたいのですが、第一期計幅並びに第二期計画としておよそ提案者側で考えている地点、あるいは安本でもそうでありますが、その地点は、たとえば石狩川とか、北上川とか、最上川とか、こういう類のもの、第二期工事の只見川とかいうものについて、一体どういう点において、あるいはどういう箇所において競合するようなことになるのか、そこをひとつお示し願いたいと思います。
  73. 福田一

    福田(一)委員 先ほどの利益の問題で、もう答弁は必要ないという切捨てごめんのような御説明でありました。しかし実際はそれは論点にならないのでありまして、私が利益の問題と言うのは、一社でやる方が数社でやるよりは経済的に行くという利益を言つたのでありまして、利潤の問題を申し上げておつたのではないということを明らかにいたしております。また利潤の問題についていいましても、松田事務総長からも御説明がありましたが、すでに今回の電力料金の値上げにつきましても会社側は一割五分の配当をすることを電気料金の中へ織り込んで請求いたして来ているような次第でありまして、私たちが考えておりますのは、せいぜい六分くらいの配当しかできない程度において電源開発をやろう、民間会社としては今のところ一割五分くらいではまだ低いのでありまして、電力会社としては二割も三割もやらしてもらわなければ資金が集まらないというのがほんとうの希望だと思うのであります。この点だけはあなたもひとつその御認識の上で本案を御検討くださることをお願いいたすわけであります。  次にただいま御質問になりましたところの地点の競合の問題でございますけれども、北海道の地点とかあるいは北上川の地点とかいうのは、これは治山治水の関係からダムを建設いたしておりますので、そういうところで発電所をつくるのは公営事業でやつておるものと関連いたしますので、やはりこの企業体でやつた方がいいのではないかということに相なつておるのであります。もちろんこれにつきましては県その他と若干競合する場合もありましよう。県その他といつてもそれはむしろ県の場合が多いのでありますが、しかしこれも資金の面において実は金を持つておるわけではなくどつちにしても国の金でなければやれないようなものでありますから、これはこの会社でやつた方がよろしいということにいたしております。その他の大電源地帶におきましては、水利権を持つておる会社はございますけれども、いずれの会社にいたしましても現実に今そういう大規模なものを、たとえばことしのうちに着手するというような計画を持つておるところはないと了承いたしておるわけであります。
  74. 中崎敏

    中崎委員 今私はことしのうちの計画だけを聞いておるのではないのです。少くとも立案者は五箇年間の電力確保の計画の上に進められております。たとえば安本でもすでにこの会社案を考える前に、公益事業委員会を中心としていわゆる民間電力会社を主体とする五箇年開発計画を持つておられる。その際において少くともここ五箇年間の計画の中に織り込まれている範囲のもので競合するものは一体どういうふうなものかということをお聞きしたいのです。  それからもう一つは、民間の、ことに公共事業であり独占事業的な性質を持つ会社が一割五分の配当というのは何といつても高い。あるいは海のものか山のものかわからぬような投機的な、純民間の、影響力の少いような会社なら一割やろうと二割やろうとこれは税金を払つた後においてやるのでありますけれども、電気の場合におきましては、少なくとも税金を払いさえすればあとはいくら配当をしてもいいというふうなことはもちろんいかぬので、たとえば料金をとうするかというようなことは政府が握つておるのだから、その料金の面においても十分のアジヤストはできると思う。だからしてこの一割五分案をかりに持つて来たとしても一割五分でなければいかぬというのかどうか、そこの問題がむしろ問題なんであります。私が言うのは、いずれにしても、ある程度利潤があれは配当をするということが当然民間の事業の本質なのであるから、その問題はすでに分断するときに当然約束づけられた問題である。だからそれを大きく取上げて言うということになりますれば、むしろ元へ返して——先ほど荒木君が言いましたように、発送電会社であつたものを、ことさら民間に九つに分割したという姿を元に返すというような構想を持つならば、これでも純民間会社ならばあるいは利潤という問題も依然としてつきまとう。そこで私は、むしろ徹底して国営なり国家管理のところまで行つたら問題は解決する、そこまで行つたらとうかということを言いたいのでありますが、それは一応それまでとして、利潤の問題について私の考えておるところは、今の提案者の主張をそのまま了承するわけには行かぬので、依然として私はそれが正しいという考えを持つておる。これ以上議論を進めても始まらぬから、先ほど質問した例の五箇年計画の中に織り込まれようと予定されておる、その部分について、競合しておる範囲をひとつ示してもらいたいのです。
  75. 福田一

    福田(一)委員 おおむねの発電地点につきましては、みんな会社水利権を持つておるのであります。水利権をとるときには、事業をやろうというのが目的であります。事業をやらないつもりで水利権をとつておる会社はないのであります。そういう意味からいえば、みんな将来いつかは時代が来たらやろうと思つておるたけで、ただ金がない、また資材の裏づけがないからできないという実情なんです。そこで電気の問題は、あなたがおつしやられたように、ある意味においては公共性が非常に強い。私たちは国家管理をやるほどまでに推し進めるべきかどうかについては、疑点を持つておりますが、これは非常に公共性の強いものであるから、全国民の利益においてこれを開発して行くという気持は、電力会社も持つていなければならない問題であるし、われわれも持たなければならない問題である。そういう意味合い調整をして行くのでありますから、その点では、あなたの御趣旨にちつとも反しておらない。もし一方が工事に着手をしておるのに、それを取上げて国家がやるということになると、そこに二重投資というか、非常に摩擦が起きたり、むだなことが起きましようけれども、ただそういう意図を持つておるたけでありまして、それが十年後に実現するのか、二十年後に実現するのかわからないような状態に置かれておるものであるということを申し上げておきます。
  76. 中崎敏

    中崎委員 どうもまだ適切な答弁を得ておらないのであります。  そこで公益事業委員会の方へお尋ねしたいのでありますが、例の二十七年度から五箇年間、いわゆる三十一年度までに公益事業委員会の側におい九会社を中心として開発されようとするところはどことどことであるか。現在の計画の中に盛り込んでおるその川の系統をひとつお示し願いたいと思います。
  77. 松田太郎

    ○松田(太)政府委員 大体ただいまのところでは、私どもの方として一応考えておりますのは例の只見川と、それから中部地区の大龍川、関西地区の熊野川、それから四国地区の吉野川、この四河川であります。
  78. 中崎敏

    中崎委員 そうしますと、それは上流もあり下流もあり、いろいろ場所もあるのでありまして、具体的にどの場所が競合するかは問題でありますが、いずれにしても、一つの川をさしはさんで、少くともこの四つの川については提案されている一社案と競合するものと思うのでありますが、水利権の問題にしてもこれらの業者が納得しそして話合いが進んでいるとも思えないので、相当困難な問題もあると思うのであります。これが審議会か何かで調整されるというふうな考えもあると思うのでありますが、いずれにしても、少くともこうして公益事業委員会側において考えておられる。同じ水利権まで持つておるのに、それに持つてつて食い込んで行かなければ計画は立たぬというふうな、こういう考え方が適正でないというふうに私は考えておるのでありますが、この点いかがですか。
  79. 佐々木義武

    佐々木(義)政府委員 ただいまの御質問でありますが、この特殊会社をつくりました主たる理由といたしましては、福田さんからお話があつた通りでございますけれども、若干附加いたしまして御説明を申し上げますと、根本の態度といたしましては、従来やつております電力会社、あるいは自家発あるいは県営等でやり得る範囲のものは極力これに出資という形でなくて、融資その他の方法を通じまして政府資金等も応援しながら、できる範囲のことはやらせて行きたい。これを根幹にして開発をさせて行きたいという趣旨は、わからないのであります。ただ大規模の地点であつて、しかも総合開発的な任務を非常に大きく持つている地点、今申し上げましたような大きい地点でありますが、こういうものは水資源のいろいろな多様性の面から——たとえば洪水調整とかあるいは灌漑用、漁業用、工業用、水道用等、いろいろの多元的な目的がございます。あるいは最後に残された所でありますので、土地家屋に対する補償の問題も非常に複雑多岐な問題がありまして、とうていこういう多目的のダムの建設というものは、一つ会社等をもつてしては困難ではなかろうか。同時にまた従来こういう多目的なものは、県で主として公営事業を中心といたしまして国からの金でダムを建設いたし、そのできましたダムに電力装置をくつつけるというかつこうでやつて来たものでございます。そこで今度やろうという大きいものはどちらかと申しますとこういう多目的目的を持つた地点でありまして、数県にまたがるような非常に複雑な権利関係を持つておるのであります。そこでそういうものを調整する際に、従来からの各県民の空気等を考えましても、営利会社にこれを渡すということに関しましては非常に問題が多いのでございます。そこでできますれば数県にまたがるこういうふうな地点は、特殊な国の機関で開発した方が早く行くのではなかろうか。どちらがやつても、できないということは絶対ございません。しかし早くやるということになりますれば、国でやつた方がそういう権利の解決に関しましてやりいいのではないか、こういう趣旨一つございます。もう一点は、そういう大きなものに対して金を出す際に、国が出資するということに相なりますと、どうしても普通会社に出資するということは許されません。従いまして出資ということになりますと、どうしても特殊会社というかつこうになりますので、特殊会社という際には、今申しましたように一社形態で強力にやつたらどうだろうというふうな結論になつた次第であります。従来電力会社でやろうとしている地点、少くとも二十七年度で予定している地点に関しましては、ほとんど全部、去年の倍ぐらい資金を見まして極力やるようには組んでございます。
  80. 中崎敏

    中崎委員 この水利権とか、あるいは土地の収用とか、あるいはダムに関連しているとかいうふうな問題が、複雑をきわめておることはよくわかるのです。しかし今日国民としては、政府がやるのだから易々諾々として自分の土地を取上げられるというようなことに、必ずしも賛成するものではないと思うのであります。要は法の裏づけによつて、やはり昔の土地收用法みたような、ああいうものがあつてこそ、初めてこれがすみやかにできると思うのです。そういうことになれば、やはりこうした法律をつくつて、それによつてこれを励行すればできるわけです。法の裏づけによつてやる意味においては何らかわりない。むしろ趣旨としてはこういう九分割という不徹底なものをやつて——電源開発の方は国家でやるのだという別なものがあるにもかかわらず、九分割をやつたのが間違いだということを言つておるのです。たから間違いを改めるにやぶさかならずということで、社会党の言うように一挙に国営に持つて行けば問題は解決する。どつちにしても一つの道を歩いているからつ困難がある。それを私は言つておるのだが、今は皆さんになかなか急に賛成していただけないから、これは一応主張は主張として行きたいと思うのですが、たとえば資金の面についても、政府出資で民間会社ができぬのはわかり切つておる。しかし半官半民で、民間に指導力というか、政府出資で民間重点を置くような行き方の会社もつくれる。そういう意味において、形態はどういうふうにもできる。また多くの場合、たとえば預金部資金であるとか、見返り資金とか、そのほか社債の発行にしてもいろいろな裏づけを持たしあるいは政府保証とか、こういう方法がいろいろあるのですから、資金の面において今までの会社でできないのは、政府の怠慢です。今庄では電力の方に十分金がまわせなかつたのを、今度は電力の方に金をまわそうというふうに考えがかわつたにすぎない。むしろその考えを民間に持つてつてもできないことはない。そういう意味において、私は資金の問題をかれこれ言うのは理由になつていないと思う。むしろ国家の治山治水の問題に関連してやられる仕事を、さらにこれと関連を持たして有意義にやつて行こうという意味においては、その理由は一応認めて行くわけです。そういう意味において、これは徹底的にすつきりした形でやつた方がむしろ電力の確保においても、国家の行政の運用の上においても都合がよいということを私としては申し述べておきたいと思うのです。  それからこの電源開発計画構想というのは、一体どこでつくられたものですか。
  81. 福田一

    福田(一)委員 この構想自体は自由党が立案いたしたものでありますが、それに裏づけをするというか、肉づけをする意味において、私たち安本協力を求めて、これをやらせましたので、このパンフレツトを刷つたのは、たしか安本だと思います。
  82. 中崎敏

    中崎委員 私は不勉強であまり読んでいないのですが、ざつと見たところでも、どうも納得の行かない面が多々あります。第六ページの中ほどからちよつと行つたところですが、「その政府資金について差当り利息を支払う問題は起らないから電力会社に融資し開発に当らせる場合に比して当面経理上の負担を気にしないで済む。」こうあるのですが、これでは問題の解決にはならない。政府出資といつても、政府のその金は一体だれが出すのかということです。結局ことごとくこれは国民の血税を持つてつて、その金が使われるにすぎないのであつて、これだつて金を貸しておけば利息を生んで行くのだから、これは一つ理由にならない。外国の方からただで金を持つて来るというのならわかるが、国民から取上げた税金をもつて政府出資をして、それに利息がいらないから、これで問題が解決したという理由には一つもならないと思う。  次に「電源開発に必要な長期、低利な外資を導入するためには政府機関よりの外資に依存しなければならないと思われる。」こういうふうな問題だつて、私は一つも問題を解決していないと思うのであります。その次に、「この場合特殊会社の方に政府の元利保証をするということについては各方面とも異論がない。」これは外資に対して政府が保証するというのでありますが、民間会社つてかりに外資が得られるということになれば、政府が保証したつて一向かまわない。要するに電源開発は国家の重要なる政策の一つであるという観点に立てば、これは民間会社にだつて保証してかまわない。たとえば民間の普通銀行に対して、政府から中小企業の金をかつて貸したこともある。その保証は全額国家でとつたような前例もある。でありますから、このようなことは決して理由とするに足りない。すべての点を通してみて、政府が事業会社をこうして起してやらなければならぬという根拠は私はきわめて薄弱だと思うのであります。この問題についてはたくさんありますが、大蔵大臣にまだ質問が残つておりますので、これだけにして、最後に一つお聞きしておきたい。  電力料金について、電力料金が安いというのは、たとえば肥料のごとき、あるいは化学工業の相当電力を使う面においてはそういう政策をとられているようでありますが、むしろ国策に関連した場合、たとえば肥料というものが相当電力を使うのは常識でありますが、そういうものについて電力料金を上げれば肥料の値が上るから、電力料金を押える。従つて電力会社はそれだけ今度はほかの方を高くしなければならないから、結局電燈を使うところの大衆あるいはそのほかの電力を使うところの事業が犠牲になつている。でありますからこういうものについては、いわゆる国策のために必要な電力料の政策というものはある程度是正して行つて、そういうものが必要な場合においては別途補給金を出す、あるいは肥料については別途肥料の確保の手を打てばいいのであつて電力料だけにしわ寄せして料金政策を立てることは間違いだと思うのですが、この点については提案者よりもむしろ安本の方にお聞きしたいのです。
  83. 松田太郎

    ○松田(太)政府委員 私でよければ……。
  84. 中崎敏

    中崎委員 一応それではお願いします。
  85. 松田太郎

    ○松田(太)政府委員 この問題につきましてはいろいろの見方があると思うのでありますが、公益事業委員会としての考えを一応申し上げますと、いわゆる公共事業令の上にもその精神が載つておるのでありますが、要するに各産業といわず、一般の需用者といわず、公正な、しかもその間に不当な差異をつけるような行き方をしてはいかぬというのが、私どもの根本方針になつておりまして、従つて少くとも現在におきましては、いわゆる原価主義によつてできるだけコストをはじき出しまして、これを今お話のような産業面につきましても、またその産業のうちでも化学肥料とか、あるいは鉄鋼とか、その他いろいろな業種別等につきまして、これをその業種々々によつて、今申しましたような、鉄鋼とか、機械とかいうような業種によつてわけずに、大体三千キロワツト以上とか、あるいは三千キロワツト未満というような電力の使用量に応じて、それからまた一般の家庭等につきましても、そういつた電燈関係なら電燈関係というような、いわゆる事業種別によつて一般のコストをさらに個別原価計算と申しておりますが、それではじいて、その線に沿つて電力料金というものをそれぞれの需用者に負担していただくということが、実は根本の精神なのであります。ところが実際問題といたしまして、先般の電気料金の改訂の際にもいわばお話のような政策的な見地も多少加味されたと申していいのかもしれませんが、特に率直に申し上げまして、その際司令部の方からも相当強い指示がありまして、結局家庭の電燈に比べて、一般産業用の電気料金の料率の方が低かつたのであります。その点は今度の電気料金改訂の申請におきましては、電力会社の方としても十分輿論を徴したと見えまして、その辺の料率についてはできるだけ元にもどるように、言いかえれば、両方の料率が——料率と申しますか、絶対の額というのもが、だんだん同じような線に近づくような意味で改訂の申請を出しておるのであります。従つて私どもといたしましても、個別原価計算というもので参ります以上は、そういう原価主義というものをできるだけ基準にして参りたいと思つておりますが、たとえば先ほどお話したような化学肥料の問題でありますとか、あるいは鉄鋼関係でありますとか、アルミ関係でありますとかいう問題につきましては、電気料金の制度は御承知のように、別に電力の割当制度というものが現在ございます。これは供給力が需用に十分合うだけ大きくなれば、何らそういうような割当的な統制式なものはやらなくてもいいようになると思うのでありますが、また当然そういうぐあいに向けて行くのが電源開発促進法の大きなねらいだと思いますが、少くとも現在需給のアンバランスの関係上そういう電力の割当をしておる。そうして割当をされました電力というものは、比較的安い標準料金というもので料金を納めればよい。しかし割当以上使つた場合には、相当高い火力料金と申しますか、追加料金式なもので支払わなければならぬというようなことで、いわゆる化学工業とか特に肥料工業等につきましては、今お話のような国際価格の関係とか、あるいは米に対する影響とかいうような点からしまして、できるだけ多くの割当をする。言いかえればできるだけ標準料金、安い料金で行けるような建前を、現在これは経済安定本部の方で、全部そういう作業的な点はおまかせしておるのでありますが、そういう線でやつておりますので、むしろ料金自体につきましては今申しましたように、個別原価計算主義でやつております割当制度の関係からいたしまして、相当政策料金的な面が産業、なかんずく大口の産業、特に化学肥料というような点については行われているというのが実情であります。しかしながらこういう点につきましては、今後電気料金というものを検討して参ります場合に、先ほど来いろいろお話のような点も十分考慮いたしまして、料金自体についてそういう政策的な観点から考えていいかどうかについては、よほどこれは愼重に考えて参りませんと、そこに一つの大きな国策の線でも出まして、また法律的にそういう点で重点的に考えて行かなくちやならぬというような線が一方において出ません限りは、公益事業委員会といたしましては、一応料金をつくり出します基礎といたしましては、できるだけ原価主義によりそれぞれの業種別に実際かかるコストをちようだいするというような現在の制度というものが必要なのではないか、かように考えておるのであります。
  86. 中崎敏

    中崎委員 大蔵大臣に対する質問は残して、私はこれで終ります。
  87. 多田勇

    多田委員長代理 横田君。
  88. 横田甚太郎

    ○横田委員 だれに質問するんですか、おらぬぢやないですか一人でやるんですか——政府側の答弁を聞いておりましたが、雑誌を読んでもようわかるようなことばかり答えている。簡單に言いますと、私たちが知りたいのは電源開発計画した政治的意図、それからその間にやられるスキヤンダル、これをわれわれはあばきたいのです。だからいわゆる政府の大官の御出席を要求しているのです。特に金はおれが引受けたというような大きなほらを吹いた大蔵大臣に来てほしいんですね。そうでないと、気のきいたことを聞けぬです。
  89. 多田勇

    多田委員長代理 ちよつと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  90. 多田勇

    多田委員長代理 速記を始めてください。
  91. 横田甚太郎

    ○横田委員 それでは一、二点質問をしますが、自由党としてはこの法案を一体どう思つておられるのですか。
  92. 福田一

    福田(一)委員 どういう意味の……。
  93. 横田甚太郎

    ○横田委員 どう思つておられるかということを聞いただけです。あとはあんたたちが判断して答えられればいいのですよ。
  94. 福田一

    福田(一)委員 私たちは急速に電源開発することが国民のためにも、経済の再建のためにもどうしても必要だ。そういう意味合いでこの法案が今の状況において最も適当な法案である、こう考えて出したわけであります。
  95. 横田甚太郎

    ○横田委員 重要さは一体どの程度ですか、それを聞いておるのです。
  96. 福田一

    福田(一)委員 御存じのように、敗戦後の国民生活は非常に窮迫しておつたのであります。その後大分回復はいたして参りましたけれども。なおかつ戦前の八〇%前後にしかなつておりません。その根本原因を尋ねて行くと、何といつて日本産業経済をもつと有効に動かして行く必要がある。産業経済を動かして行くということになりますれば、ただいまでさえ電力が不足いたしておりまして、動力源がないのでありますから、その動力源を充足するということがまず根本になる。この意味電源開発をしなければいけない、こういうふうに考えておるわけであります。
  97. 横田甚太郎

    ○横田委員 それはあなたが質問者にはこう答えなければいかぬといつて用意して来られた質疑応答集の一部ではないですか。私の聞いておるのは、自由党としてはこの法案が重要であるか重要でないかと聞いておるのです。それだけ聞いたらいい、あとのことは私たち質問したとき、ゆつくり答弁にはこう答えなければならないと用意してある、今替われたようなことを一ページ一ページめくつて答えてくれればいいのです。
  98. 福田一

    福田(一)委員 重要だと考えたら提案いたしたのでございます。
  99. 横田甚太郎

    ○横田委員 それでは自由党としては重要な法案は一体どういうふうな審議をやつたらいいのですか。議員が欠席し、からつぽでやるのが一番秘密の保たれる重要法案審議だと思つておるのですか。委員がいないということは、秘密を保つために必要なんですか、それとも重要な法案はいろいろ審議しなければいけないのですか。もし重要な法案だとするならば——あなたたちがくれました資料があります。またいろいろ書かれた本があります。そういうものを見てみますと重要なんだそうですね。重要であるならば、重要であるように白熱的な論戦があつて初めてそこから重要さが理解されて、それに対してみんなが飛びつくような勢いで力を集中して行くのではないか。その点は自由党は一体どう思つているのですか。自由党内で重要さがわからないのだつたら、それが十分党内でわかるまでこの法案をひつ込めて、まず党内において啓蒙活動をされた方がいいんじやないですか。その点はどうですか。
  100. 福田一

    福田(一)委員 委員出席が悪いということで、横田さんからおしかりを受けておるわけでありますが、委員が今出ておらないというのは自由党だけではないのでありまして、あなたお一人でありまして、議場の空気では共産党だけが重要であるように考えておるという結果になつてしまうのであります。それはまことにお説の通り委員が出ておらないということは遺憾だとは思いますけれども、私たちとしては、この法案が重要だと考えておる点においては間違いないのでありまして、委員の方々は予算委員会その他いろいろの都合で、今のところ出ておられた人も退席されておるものだと考えております。
  101. 横田甚太郎

    ○横田委員 そういうふうに言葉を飾られますと、本論に入る前のことをたくさん聞きますよ。今委員会をやつているのは予算委員一つくらいのものでしよう。厚生委員会は終りましたし、ほかの委員室はからつぽですよ。予算委員会でも、自由党の方はつき合い程度しか出席しておられませんよ。そうなつて来ますと今共産党が出ているから、共産党だけが重要視しているような議場の空気に見えると言われますけれども、そういうふうな見方ではないのでありまして、法案審議には国会法の規定があるでしよう。ここに国会の審議を要する法案の例があります。行政協定は国会審議を必要とせられない、議決を必要としないとかつてな解釈をされるほどアメリカ好みの自由党なんですからそれ以下と思うこういう法案に対しては、一人出ておつたらたくさん出ておるように満足しておられるかもしれませんけれども、国会法四十九條に「委員会は、その委員の半数以上の出席がなければ、議事を開き議決することができない。」と書いてある。この発言があつて後の委員会の議事は全然無効になるのではないですか。ここで私が質疑したことも、それから後に採決したことも、こういうふうなことがあつたら、結局議決が無効になつてしまうのではないですか。もし正しく解釈すればこうなるのでしよう。人殺しの道具をぶらさげて町をぶらぶら歩いておる人がたくさんあつても、これは軍隊ではないと言うような詭弁家を法務総裁にしておる自由党ですから、解釈の点はあなたはまた別の解釈をしておるのでしようが、なお念のためにあなたの御見解は一体どんなものでしよう。聞いておきます。
  102. 福田一

    福田(一)委員 実は私はそういう方面を担当しておるものではないのでありまして、提案者でありますから、お答えするのがかえつて不適当であつたかも存じませんが、私の言つた真意をあなたが何かやじつたようにおとりにならないで、法案審議をしていただければけつこうだ、またそうしていただけないかということを申し上げておきます。
  103. 横田甚太郎

    ○横田委員 やじつたようにとつたとらないくらいじやなくて、やじつた以上に扱つたのですよ。これは引揚げ問題を扱つた岡崎さんと一緒じやないか。何もおらぬゼロの所から引揚者が帰つて来る。それをふしぎがつておらないのと同じじやないか。岡崎さんのお仕込みそのままをあなたたちは強要している。やじる、やじらぬの問題ではなくて、からつぽでだれもおらないこの委員会を議員がおるものと見て討議せよということは非常に不愉快です。しかもこの法案を見ておりますと、小さい罰金ですけれども人に罰金を科ぜるような規定もあるんですね。三十万円でしたか、人に罰金を科したりするようなことに対しまして、それを議決するところの委員が出て来ない。しかも自由党は、われわれに都合の悪い、あなたたちに都合のいい法案を通すときにはあなたたちの数を構成する議員をいつでもそろえることができるのです。私たちがこういうふうにやじつたような質問をしたならば、懲罰動議を出すぐらいの元気をもつて審議をされる方がいいのではないですか。そういう雰囲気になるまでこの法案審議はやめておいたらどうでしようか。
  104. 多田勇

    多田委員長代理 横田君に申し上げますが、連合審査会は委員会と違いまして定足数の規定がございません。従いまして、委員会でなしに連合審査でございますから、出席者の方によつて御審査を願うということになつておりますから、その点御了承願います。
  105. 横田甚太郎

    ○横田委員 それでは一人でもいいんですね。それをはつきりしておきたいのです。私の言うことをそう解釈できましようか。一つ委員会にさえなつていないようなものを三つの連合審査とかいうようなものにして三つの委員会を合同してやつたというような解釈をする法規は一体どこにはつきり明示されているか。もしそういうことを言うのだつたら聞きたい。こちらは今までのひやかしは軍にあなたたちに対してもう少し反省を促すという意味合いのもとに私は言つてつた。それをやちこばつて連合審査会だから人数はどうでもいいなどと言われますと、そういう法規の明文は一体どこにあるでしようかと開き直らざるを得ないんです。その点はどうなんですか。委員長がさきの言葉を取消すということをはつきり言われるのだつたらまた考えましよう。
  106. 多田勇

    多田委員長代理 横田君の御意見ですが、連合審査会については、委員会は連合して審査会を開くという規定一條しかないようであります。
  107. 横田甚太郎

    ○横田委員 さきに中崎さんから問題になつたのですが、昭和二十七年の二月の日付で「電源開発計画構想」というものが出ております。これは経済安定本部でつくつたということをきよう初めて伺つた。この間も私は個人的に聞いたのですが、この一番初めに、「砂上の楼閣というたとえがある。いかに金の瓦に銀の柱で目のさめるような宮殿を建ててみても、土台がしつかりしていなければ、それは一夜のあらしに跡形もなくくずれ去つてしまうおそれがある。」実にどうもりつぱな文章だと思う。自由党の方でもこういう文章はやはりお好きなんですね。それから次に、「わが国の資源の状況からいつても、生産手段の一般的趨勢からいつても、電源開発に大きな努力を注がなければなるまいということは、」とあつて、それから「民主自由主義諸国との経済協力のために、生産規模の拡大が強く要請されるにもかかわらず」云々とある。これがわれわれの一番いやがるところなんです。これをまず第一間として聞きたい。  その前に福田さんにはつきり断つておきますが、きのうわが党の風早氏の質問に対しましての答弁に、実に逆襲的なあなたの言葉があつたと思う。共産党は電源開発決議案には賛成したが、それが具体化されたこの法案には反対ですかということを言われた。私はこのことを覚えておる。そこで私はあなたに第一に聞くんです。電源開発というようないわゆる電気文化というものは、共産主義者だけがやり得ることなんだ。世界が電気を非常に要求している。今後の国民経済は電化政策をとらなかつたならばやつて行けない。しかも資本主義社会として一番困るのはその電気をどこに持ち込むかということで指導力を失つてしまうことです。それは世界平和のためには、兵器生産ではなくて農村に持ち込まねばならぬ。日本農村の現状では電気が高くて使えないのです。それにもかかわらず電気を農村に持ち込み農業改革をやらねばならない。そうして都会と農村とのひどい利害対立をの差をなくして行く、このゆえにこそ電化政策がとられて、いわゆる都市と農村の不均衡な文化、不平等な報酬というものがなくなつて行くと思うのです。だから電源開発はどうしてもやつてもらわなければならないし、やらなければならないのです。ところが自由党がこれをやられる場合におきましては、こういうことはおそらくやり得ないことであろうし、やられるのには何かはかのことが目的であろう、こういうことが私たちには言えるのです。そのことをいよいよ明らかにしますが、その前にまずここで問題にしておかなければならないのは、なるほど侵略を意図し、人をしぼりとることを念願にし、あらゆる政治的な罪悪の上に立ちました悪い政権でも、ダムの建設はできます。発電所建設はできます。ちようど日本の天皇制政権のもとにおいて、北鮮にりつぱな電源開発されたようなものだと私は思う。しかし北鮮に開発されました電源電力、これは天皇制政権のもとにおいては明らかに日本を滅ぼすためのものであり、世界に害をなすものであつたのです。ところが今日これが北鮮人民の手に入つたときに、これはアメリカの進攻に対し平和を守る大きな一つの防波堤になつておる。そしてこれは平和をたたえている。こういうことが言われているのです。だからこの際われわれは態度をあいまいにしておいて、自由党のもとにおいて電源をたくさん開発してもらつて、豊富な電力を持つた形のまま、日本に革命を超してあなたたちから電力設備を全部もらつた方がよいのではないかという日和見的な結論も出るだろうと思うのですが、われわれはそういうふうな考えは間違つておると思うのです。なぜかと申しますと、自由党電源などを開発するようなりつばな政党ではないのです。このことは明らかに言える。現にこの電源開発案のごときは、三年前からごちやごちややつていて、しかもその間にほとんどといつてもよいほど、何の効果も現わさずに、最近になつてようやくこのやろうかという法案が現われて来たのです。私の調査によりますと、日本電気事業は、電源開発それ自体よりも、電気のロスが大問題になつておるわけです。これは専門家の福田さんはよく御承知のことだと思うのです。配電ロスの問題は、昭和十三年には〇・九であつたものが、二十五年には二八・三になつた。だから日本電源開発をやるよりも、電力の問題を云々するのであれば、ロスの防止を考える方が、むしろ実際的でなかろうかとまでいわれているのです。だから自由党としては、こういうふうなことをやられるというのは、既存の電気の供給や使用、あるいはあり方そのことを無批判的に受入れられて進めて行こうとするのか、それとも今までのあり方のどこがどう悪いから、この点を改めて行こうという、一つの腹案でもあるか、その点をひとつ承りたい。
  108. 福田一

    福田(一)委員 ロスの軽減その他の面も非常に重要でありますからこれもやらなければなりません。電源開発も必要でありますから、これもやらなければなりません。
  109. 横田甚太郎

    ○横田委員 それではここに出ておりますところの「民主自由主義諸国との経済協力のために、生産規模の拡大が強く要請されている。」この生産規模を拡大して、この要請にこたえて一体何をこしらえようとされるのですか、この点をもう一回はつきりと承つておきたいのです。
  110. 福田一

    福田(一)委員 あなたのおつしやることは、これは日本経済を自立させて、国民生活を安定させて行く上で必要だと考えております。
  111. 横田甚太郎

    ○横田委員 自立というのはあいまいな言葉でありまして、その言葉の内容をはつきりと承つているのです。自由党の方は行政協定が結ばれてますます日本の自由が狭められてしまつた現状においても、自由が返つていると宣伝しておるではありませんか。何が自由が返つているのです。その自由さえもそういうふうに解釈されるのですから、この自立ということをはつつきり承つておきたいのです。そういたしませんと、あなたたちの大将であるダレスとかあるいはドツジなどというものが言つておることは、あなたたちがここでうたつている国民生活の向上のためにという言葉と非常に違つて来るのです。たしかこれは風早氏に対するあなたの答弁にあつたと思いますが、アメリカがどうあろうと、日本がどうあろうと、日本国民の生活向上のために必要なのであつて日本はアメリカのことなどどうでもよいというようなけんか腰の、りつぱなことを言つておられるのですが、自由党がそんななまいきなことが言えますか。あつちのダレスやドツジやトルーマンの言つておることとは非常に違うのですが、その自立経済の内容とはどんなものなのですか。
  112. 福田一

    福田(一)委員 あなたは先ほど私が言つたことについて御引例になつたようでありますが、自由党がアメリカの手先になろうと考えておるわけでもなければ、またあなたが崇拝されておるソビエト・ロシアの手先になろうとももちろん考えておりません。私たちとしては国民の生活を安定して行く、そうしてそのためには多くの仕事を持たなければならぬ、そういう意味合いにおいて仕事のできる社会をつくり出さなければいけない、そういう意味の自立をしなければならないということを言つておるのであります。
  113. 横田甚太郎

    ○横田委員 国民生活の安定というのはあなたの言われる構想で行けるというのですね。ここに書いておりますような日米経済協力というのはそれとはまた逆だと思うのです。仕事が一番たくさんありましたのは、あなたも御存じのように侵略戦争のまつ最中です。よその娘さん、すし屋のおやじ、散髪屋のおやじまでつかまえて軍需工場で働かした。あれほど仕事のたくさんあつたときはなかつたのですよ。人的資源のたくさんあると言われた日本において、人が足りなかつたのはあのときです。あのときが一番苦しかつた仕事がたくさんあつたからといつて国民生活の向上にもならない、この点をはつきりしていただきたい。あなたは自由党はアメリカの手先になろうとはしておらない、国民生活の安定のための仕事をたくさんこしらえるのだと言われましたけれども、仕事の内容をふやすのに、人を殺すための爆弾ばかりつくつておるのなら何にもならぬ。七年たち十年たちましても、百年戦争だと言つてつたのをそのまま信じて南に北に戦いましたために、いまだに南の島で百年戦争をしておるのだからまだ降参しなくてもいいといつてがんばつておる日本兵士があるのでしよう。仕事が多いということは、そういう形において人の頭に入つて来るととんでもないことになる。だからあなたに聞きたいのはどういう形でどんな仕事をくれるのでしようか、その点です。
  114. 福田一

    福田(一)委員 利潤のある仕事であります。
  115. 横田甚太郎

    ○横田委員 それでは戦争中たくさん仕事があつたということはお認めのようでございますが、あの仕事相当利潤があつたのでしようか、なかつたのでしようか。その点はどうですか。
  116. 福田一

    福田(一)委員 仕事という意味は、利潤のある仕事というのでありまして、戦争中の仕事には利潤のあつたものもあるでしようし、利潤のなかつたものもありましよう。
  117. 横田甚太郎

    ○横田委員 欲張つて仕事をしました者はたいがい損するものですよ。だれももうけようとしておるが、損をする場合が多いのです。繊維のことをよく考えて、そんな口幅つたいことは言わないでほしいのです。今日本の繊維は苦境に陥つておる。これも仕事をしていたが、しかしもうかつておらなかつたというのが事実です。これは利潤のある仕事としてやつたのではないですか、その点はどうですか。
  118. 福田一

    福田(一)委員 私がこういうことを申し上げるのはいかがかと思いますが、なるべくひとつ法案の内容に触れた面で御質問を願いたいと思います。  ただいまの御質疑でありますが、もちろん私たちは自由経済というものをやつておるのでありますから、自由経済の中には利益を得る場合もあるし、損をいたす場合もあるのは当然でありまして、いくらやつてみても利潤が出る見込みの全然ない仕事もあるでありましようし、また利潤が出て来る仕事もあるでありましよう。そこで私は利潤を生み得る仕事という意味に解釈いたしておるのであります。
  119. 横田甚太郎

    ○横田委員 利潤を生み得る仕事ちよつと譲歩してもらつたのですから、利潤を生み得ない仕事もあると認めたのですね。この場合、利潤を生み得る仕事をするのですか、利潤を生み得ない仕事をするのですかということを聞くのです。だから日米経済協力で要請されておるものは——これは私が言うのじやないのですよ。ひがんで聞こうとどう解釈しようと、それはあなたのかつてですが、これには日米経済協力とは、極東米軍の必要とする物資の一部を現地調弁することであるというふうに書いてある。これは大阪毎日新聞の見解です。そこでこの際あなたに伺つておきたいのは、日米経済協力によつてやるところの仕事の内容、この仕事の内容のためにわれわれは血道をあげて、ない金をしぼつて電気をこしらえなければならない。その結果としてどうしてもうかるのか、この点を伺つておきたい。法案の内容に触れてとおつしやいますが、法案趣旨を一貫いたしますものはやはり日米経済協力の要請に応じたところの日本のもうけ、そのための電源開発、こういうことになつておるのですよ。だからその大綱を聞いておるのです。まして私は経済安定委員会に所属しておるのですから、こういう点をはつきり聞いておかないとあとがややこしいのですが、どうですか。
  120. 福田一

    福田(一)委員 日米経済協力という面も一つの面でありますが、それだけではございません。
  121. 横田甚太郎

    ○横田委員 それでは日米経済協力というものは一体どのくらいの部面を占めておるのですか。そしてそれ以外の部面はどれくらいあるのですか。戦争経済というものは、初めは平和的な意図を持つ一面を残しますが、一たび戦争になりますと、血道をあげて全部を戦争経済のらち内にさらつてしまつて、一切のものをつぶしてしまうのです。これはあなた戦争中によく御経験のことだと思いますが、その点はどうですか。
  122. 福田一

    福田(一)委員 私たちは戦争を意図しておりません。
  123. 横田甚太郎

    ○横田委員 自由党に非常に卑怯ですね。経済安定委員会周東長官に聞きましても、そういうことを言うのですが、戦争を意図しておらないというけれど、私はこういう点から考えておるのです。アメリカは軍拡をやつておるのです。軍拡は必ず戦争になる。あなたは、仕事は常にもうけを対象としてやらなければならないと言われますけれども、その過程においてもうからないものもある。しかしその仕事をやる骨子になるのは現在の社会においては資本です。資本とはあくなく利潤を追求する強欲なものです。日米経済協力で兵器をこしらえます。これは一体何をもたらすのですか。何をこれからもうけさせるのですか。だから兵器生産で軍拡のために使いました金がある程度たまつてつた場合においては、もうけを要求する性格を帯びて来るのです。そうしない限りにおいては広い置き場あるいは莫大な維持費がいつて来るのであります。これはたいへんなことになつて参ります。だからそういう意味合いにおいて、アメリカの軍拡につながるところの——アメリカ人に言わせますと四等国から一等国に日本を上げてやるのだというのですが、そういう意味におけるところのアメリカの出店としての兵器廠に日本はなる、私はそう思うのです。こういう点からいたしまして、日米経済協力というものをもつとはつきりしてもらいまして、これは戦争を意図しておらないのだということがどうして言えるのかということも明確にしていただきたい。そうしないと質問が進まないのです。
  124. 福田一

    福田(一)委員 それは見解の相違であります。
  125. 横田甚太郎

    ○横田委員 見解の相違というものを明らかにするのが議会じやないですか。そうでなかつたら選挙なんかやる必要はない。見解が一緒だつた自由党も共産党も一緒になつてしまう。共産党が質問したときに、吉田ワンマンがそれは共産党の宣伝だなんて言つて怒らなくともよくなつてしまうじやないですか。見解の違うところの党がここへ来ておるのです。その党があなたたちから見ますと議会ではおとなしいのですが、今外では元気があるのです。今日の国内情勢から見まして日本の政党は沈滞しておる。気の気なことにただひとりわが共産党のみが毎日新聞種になりまして、各所において沈滞を破つて、活動しておる国民の党になりつつある。見解の相違をはつきりせなかつたならば議会はいらないのじやないですか。だから見解の相違があつたならば、その見解の相違をどしどしとはつきりしてもらうように私は要求するのですが、その点はどうですか。
  126. 福田一

    福田(一)委員 議論いたすべき点はいたしますが、見解の相違がありました場合においては数においてこれを決定して行くのが民主政治であります。従つて議会政治がこれで意味をなすのであります。
  127. 横田甚太郎

    ○横田委員 その数は人格を持つておりますか。それは人格を持つていないじやないですか。ただ自由党のワンマンがきめて、さあ立てといえば立つ、すわれといつたときにすわるだけでは、あとほつておけばどこへ行くかわからない。人格を持つていない数で何をきめて行くのですか。あなたに言うのは気の毒だけれども、あなたはかつては考査委員会の猛者でありました。あるいはあの方面における相当の知謀者であつたのだし、また風早氏に聞きますと、通産委員会においては理論的な代表者なのだそうで、しかも共産党に対しては時には進歩的ないいことを言い、時には反動的のことも言われておりますので、この点におきまして、まさかと思つてはつきりしておかなかつたのです。今一番問題になつているのは日米経済協力です。「エコノミスト」「中央公論」「東洋経済新報」であろうと、どの新聞記事を見ましても、しやくにさわるほど日米経済協力というものがある。日米経済協力というものから生れた要請としての電源開発というように解釈して理論を進めて行こうではありませんか。その点はどうでしよう。
  128. 福田一

    福田(一)委員 あなたがそれほど「エコノミスト」や新聞をお読みになつておれば、日米経済協力というものはどういうものかよくおわかりになつているだろうと思います。私たちが理解するのは、先ほど安本長官も言いましたように、日本といたしましては、あなたのお言葉に従えだこまかく説明しなければいかぬが、とにかく利潤を得るためには原料を必要といたしますので、それを買う場合にアメリカとの交渉も出て来る、しかし原料ができましても、これを生産いたします場合において動力が必要で、その動力が不足しているから、そこで動力を急速に補強するためにこの法案を出した、こういうことになるのであります。
  129. 横田甚太郎

    ○横田委員 そこがはつきりしなければいけないところであります。利潤から原料、それから生産、動力、こうなるのです。文字だけを見ておりますと非常にいいのですけれども、生産が問題になります。だから聞くのです。あなたの言われる公式は是認している。しかし公式の内容を見なくてはならない。生産するとは一体何を生産されるのですか。大綱は日米経済協力であつて日米経済協力のためには物をこしらえるし、それ以外のもののためにも、日本の必要なもののためにも物をこしらえる、こういうように思います。だからもう一回聞きますが、そのパーセンテージは一体どのくらいになるのでありますか。それはどうなのでしよう。そういう論議は必要ではないのでしようか。
  130. 福田一

    福田(一)委員 そういう意味合いから解剖してみますと、二十七年度の電力が三百二十億キロワツト・アワーです。そのうちで百五十万キロワツト・アワーというのは三千キロ以上の大口電力、もちろんその中には民需用のものもたくさんありますから、そのウエートをここではつきり数字を示せと言われましても、この数字は原料の入りぐあいとか、その他いろいろなことでむずかしいと思いますけれども、大体四分一になるか、全体の五分の一になるかそこのところの数字は申し上げられませんけれども、一つのウエートを持つていることになると思います。
  131. 横田甚太郎

    ○横田委員 これは電源開発されて電気になつてから言つてもらつた方がいい。私が聞いているのはまだ電気になつておらない、そういうような内訳によつてきめられたもので何をこしらえるのかというのです。こういうことを聞くとお困りのようですから、非常に残念ですが福田さんに他のことを伺いますが、政府提出資料のこの電源開発計画構想というのは質問の材料になるでしようか、どうでしようか。法案に関係のないものを私が聞いているようにあなたはお考えなのですが、私は至つて法案に忠実に聞いている。この聞法案を出されたときに初めて私は書類をもらつて、この書類を見てわからないところが出て来たし、またあきれることが出て来たので、一々それの解釈について今まで私は聞いたのです。この青い表紙の無署名の政府提出のこの怪文書は質問の材料になるでしようか、ならないでしようか。
  132. 福田一

    福田(一)委員 一つの材料としてお使いくだすつてけつこうであります。
  133. 横田甚太郎

    ○横田委員 そういたしますとここに、「日本経済はしばしば底が浅いと言われることでもわかるように」、こう書いてあるのです。底が浅いというようなことは、日本の現在の政府がかつて日本経済の底を浅くしておるのじやないですか。かつて日本は世界のまるい地球の上のどこへでも物を売つたり買つたりしておつたのです。しかも敵国をあまり持たなかつたはずなんです。だから戦争前は、中共に対しましても、あるいはソビエト領海に対しましても、かにをとりに行つたような例もあり、中国からたくさんの原料が来ておつた。それがアメリカのダレスにそそのかされて、片一方と取引してはいけない、片一方と取引してはいいと言う。いいと言われた片一方は非常に遠いし、高いのです。そういうことをやつておるから、日本経済は底が非常に浅いものになつてしまつた。こういうような見解を持つておるのですが、ここに現われておりますところの日本経済は底が浅いとしばしば言われるようにというような、底の浅い云々に対する見解を聞いておきたいのです。
  134. 福田一

    福田(一)委員 御存じのように、日本が戦争によりまして国家の資源をたくさん失つたことは、非常に遺憾であります。しかし現実はその通りでありまして、資源を失い、また生産資材を失つておるのでありまして、どうしても生産設備重点を置いて、これを新設したり、回復したりするようなことになりましたその結果、運転資金というようなものも少くなり、あらゆる面におきまして、まだほんとうの戦争前のような回復もいたしておりません。また世界経済自体も戦前とは大分違つておるのでありまして、二大陣営が対立しておる中において日本経済を運営して行くということになつておる点等も加味されまして、日本経済というものは結局まだ底が浅いといいますか、脆弱性が多いといいますか、回復が十分でないといいますか、こういう意味合いで底が浅いという言葉を使つておるものであります。
  135. 横田甚太郎

    ○横田委員 二大陣営の中で日本経済を今後運用して行く、こういうような御答弁ですか。その点はどうでしようか。
  136. 福田一

    福田(一)委員 二大陣営が対立されておる中において、日本は今まで独立はしておりませんけれども、その間において日本経済が運営されなければならないという、一つの運命的な立場に置かれておるということを言つたのであります。
  137. 横田甚太郎

    ○横田委員 だんだん答弁がややこしくなつて来ましたね。私は、対立する二大陣営の中で日本経済を運用して行く、こういう結論に出られれば、これから非常に好意的な質問をするのですよ。そうであるのか、ないのかわからないような言葉になつて来ますから、ますますわかりにくくなつて来るのです。もしこれが、対立する二大陣営の中において日本経済は運用して行く、こう言われるのだつたら、自由党政策の大転換なんです。そうであるかないかということを第一に確かめて、そうであるなれば、自由党はいかなるわけでそういうような方向にかえられたかということを承つておきたいのです。そうしませんと、底の浅い云々の論議の本筋に入つて行けないのです。どうでしようか。
  138. 福田一

    福田(一)委員 先ほど説明申した通りであります。
  139. 横田甚太郎

    ○横田委員 説明がわからないのです。対立する二大陣営の中において日本経済を運用して行きたい、こういう意味ですか。
  140. 福田一

    福田(一)委員 運用して行きたいというのではありません。そういうふうな立場において運命づけられておると言つたのであります。
  141. 横田甚太郎

    ○横田委員 運命づけられたら、そういう運命のままに従うつもりなんですか。運命にさからつてアメリカの命のままに別の方向に行くつもりなんですか。その点はどうですか。そうせぬと電気はたくさん出て来たが、働くところがない、しかたがないから、ネオンサインをつけて、一生懸命キヤバレーで人を呼んでモナコの繁栄の中にいなければならなくなるのですよ。その点どうですか。
  142. 福田一

    福田(一)委員 先ほど申し上げた通りでありますけれども、これはあなたの御質問に沿うかどうかわかりませんが、私たちとしては、その二大陣営の中において日本経済を運行して行かなければならないことになつていることは明瞭であります。
  143. 横田甚太郎

    ○横田委員 底の浅さはどういうふうにしたら深くなりますか。日本経済の弱さはどうしたら強くなりますか。ここに出ておりますのは、簡單に申しますと電力をつくるのですね。しかしこの電力をつくり、発電所をこしらえたところが、材料がなかつたら人が余つて非常に困りますね。人に仕事を與えないで警察予備隊で人殺しのけいこをさせるようなことでは、あまりもうけにならぬと思いますが、底の浅ささを認められるのですから、これを深くする意思があるかないか、深くするのだつたら、その方法はどういうふうな方法を考えているか、それを聞きたいのです。
  144. 福田一

    福田(一)委員 先ほど言いましたように、生産設備資材等を充実し、また貿易その他を振興して行くことがこの底の浅さを取除いて行く方法だと考えているわけであります。
  145. 横田甚太郎

    ○横田委員 次の質問に入る前にもう一回確かめておきますが、それは日米経済協力の線に沿つてですね。
  146. 福田一

    福田(一)委員 日米経済協力もその一つの要素になつております。
  147. 横田甚太郎

    ○横田委員 日米経済協力を中心にということを言つて、まつこうから振りかざして勇ましくやつたらどうですか。経済安定本部長官とか、吉田さんなんかは、そのことをはつきりと言つておるのではないですか。だからこれを大体中心と考えて伺つてもよいのですね。ドツジという人がおりますね。このドツジという人が言つたことに対しては、どのくらいあなたの党は聞いて行くつもりですか、聞いて行かないつもりですか。電源開発のこの法案にしたところが、提出される前にアメリカに参りまして、アメリカにオーケーをもらつたとかもらわなかつたとか言つて、あさましい争いをして出て来た売国奴のような法案でしよう。だから聞くのですよ。
  148. 福田一

    福田(一)委員 もう一度。どういうことですか。
  149. 横田甚太郎

    ○横田委員 ドツジさんです。これは御存じですね。このドツジさんの言うことは、日本経済に、今まではもちろんのこと、今後においても相当影響を與えるのでしようか。その点どうですか。
  150. 福田一

    福田(一)委員 政治家といたしましては、いかなる人の言葉もこれを参考にして、正しい意見があればこれを取入れたいと思います。しかしながら今までは占領下にあつたという特殊事情があることをお考え願いたい。
  151. 横田甚太郎

    ○横田委員 そのことは何回も聞いておりますよ。三年間議会で聞いたことはそのことだけです。よいことは聞くのですね。そのよいことというのはアメリカのことばかりですね。ソビエトとか中共側の言うことは何でも悪いことだと言うのですね。しかしはつきり言つておきますが、中共なんかはもつと見習うべきですよ。日本に侵略されておつた中共が、自分の領土外の朝鮮まで行つて朝鮮を守り、しかもそこでアメリカと互角の勝負をしておるではないか。アメリカがこの争いでよたよたしておるではないか。この中共のような気概えがなければだめだ。あなたの言われる、よいことだつたらよいことは何でも聞くというのはうそであつて、アメリカの言うことばかり聞いておるではないか。だからその点におけるあなたの見解を確かめてあらためて答弁を求めたいのです。私の質問に対して決して迎合される必要はないから、どうぞ気ままに答弁してもらいたい。ドツジさんがこういうことを言つておりますね。このことは非常に気になることですよ。いやらしいことですよ。これはあなたの党にも関係する。電気をいよいよ起します、そうして仕事をします、人はあります、資材は入れなければならない、その点は大体アメリカのドル圏につながつておりますから向うを中心にして考えるべきでしよう。そこでドツジさんの言つておるのを昭和二十六年九月六日サンフランシスコ発のAP電報において日本の共同が報じておるのです。これによりますと、「世界の工業諸国のうちで日本は、ここ六年間懸命の努力を続けてもなお原材料資源は著しく貧弱だ、従つて米国は今後も綿花、鉱産物などを初め、必要原材料はできるだけ供給し続けるであろう。」こう書いてあるのです。こういうことは自由党としては喜ばるべきだろうと思うのですが、私は電気開発されて電力になつて仕事をするときにも、おそらくこういうふうな見解でおつたら間に合わないのではなかろうかと思うのです。ここにも出ております。鉱物資源を入れるといつたところが、アメリカはこの間稀少物資に対しては統制せよ、五つのものは使用制限せい、こういうようなけちなことを要請しておるじやないですか。それから日本でしつかり鉄をこしらえろといつてつたのが、二十七年三月二十八日の朝日新聞の報ずるところによりますと、日本はアメリカから薄鉄板を買わぬか、こういつて来ておるじやないですか。鉄をこしらえろ、製鉄をやれといつて勧めておつて、今度は薄鉄板を買わぬかとは一体何ですか。だからあんなふうな国と一緒にやつて来たらろくなことはない。しかも綿花は一体どうなんですか。綿花はここにも出ております。これは二十七年四月一日の朝日新聞でありまして、すでに読んでおられるだろうと思うのですが、なお念のために、「今の米綿相場は一ポンド四十二セントだから、これを日本に運んだ場合一梱の原綿代だけで七万八千円近くになる、従つて八万円を割つたということは、原綿を糸にする加工賃がほとんど出ないことになる、加工賃は普通一梱一万五千円かかるというのだから、八万円を割るという意味は非常に深刻だ。」こう書いてあります。しかもここで気をつけなければならないのは、繊維は日本の国内でできておりますが、しかもアメリカがここに大きな望みを託しておるということ、だから日米経済協力で一生懸命「やれといつておるところの目標が一々くずれて来るのではなかろうかと思うのです。そういたしますと、やる仕事の内容というものはもうかるための仕事をやるのだといつておられますけれども、今日においてさえこういうような世界の経済の大変動があるのです。こういうふうな点に対する提案者とし」てのお考えは一体どうでしようか。電気はせつかくこしらえたが、こしらえたがために恨まれるということでは非常に困るんじやないのですか。
  152. 福田一

    福田(一)委員 日米経済協力といいましても、協力という言葉が示しておりますように、協力というのは相互の意思に基いて協力するのでありますから、どうしても日本に不利になつたような場合においてまで協力する意味は、私はその中に含まれておらないだろうと思う。それが初めて日本が独立したという意味でありまして、今後日本が独立してやつて行きます場合には、そういう建前において、政治が運行さるべきものだと信じており、その見地に立つてこの法案を出しておるわけであります。
  153. 横田甚太郎

    ○横田委員 そういう答弁をしておりますと、委員会ではりつぱですけれども、あなたのほしい外資が入つて来ませんよ。自由党としては外資が入るような答弁をせなければいけないのじやないですか。自由党電源開発目的でなくて外資がほしいのでしよう、自由党の正体はそうじやないですか。入つて来た外資をどう配分するかということまできまつておるじやないか。それ以上は申しませんが、機会をこしらえてまたゆつくりそれは暴露資料として出します。だからあなたが言われましたことは言葉であり、から元気であります。反対党に対しては、あなたの答弁に説得されて、反対党が次の句が継げないような答弁をしていただきたい。  それから伺いたいのですが、安本計画を見ておりますと、電気機具の例をとつてみますと、電気機器工業は大体戦前日本の輸出しておつたのが一千数百万ドルだと言われておりますが、それが二十五年度にはいろいろな影響があつて八百万ドルに下つてしまつた。これが二十八年度においては二千五百万ドル輸出するのだ、こういつております。その機器をこしらえるためにはもちろん材料の輸入も必要でしようが、これを売り出す相手方は、東南アジアであつて、東南アジアというところは非常に中共の影響を受けるところですよ。こういう計画を伸ばすために電源開発をやられてもおそらくうまく行かないでしよう。しかももくろんでおつた数字だけはたくさんあるので、これが悩みの種になつておる。しかし実際においては日本の貿易は振わぬということになるのじやないかと思いますが、その点に対する安本計画とかこれに対する見通しについて、くどいようですがもう一回聞いておきたい。
  154. 福田一

    福田(一)委員 私たちといたしましては、そういうような輸出が一応できるものという想定をいたしておりまして、あなたのようにあまり先のことばかりお考えになりますと何もしないでいなければならないということになるでありましよう。
  155. 横田甚太郎

    ○横田委員 そんな御心配はいらないのです。たとえば今火炎びんを投げて治安の対象になつて、あなたたちが困つておるところの人たちが天下の政権を握れば、その人たちは一番先に電源をこしらえますよ。だから治安費を使うようなばかな政治をやらなかつたら、電源開発の費用は幾らでもあるのです。やれなくたつてやらなければならないという経済的な要請があるにもかかわらず、電源開発ができないような政党が、日本においては自由党という名前において、絶対多数の上にあぐらをかいて議会にふんぞり返つて政権を握つておる、壟断しておる、それが問題なのです。こちらが取越し苦労をしておるのではないのであつて、あなたたちがあまりに先のことが見えないし、今日のことさえも見えないのです。アメリカに金を借りに行かなくても、電源開発にまわし得る金は日本に幾らでもあるじやないですか。アメリカの兵隊に金を出すとか出さないとか大蔵大臣が言つた、それをアメリカの政治家がほんとうだとかうそだとか言つた、そんなことで日本の議会でごたごた論議しておる、アメリカの兵隊を帰してしまつたら駐留費がいらぬじやないですか。電気開発されて行く過程においても資材が必要になる、これはドツジよりもあなたにはもつとこわいおじさんが言つておるのです。名前はダレスといいますが、この人が、日本の工業が必要とする生産財、レール、機関車、クレーン、トラック、ジープ、灌漑計画を進めるに必要な設備及び港湾施設等、これらの平和的生産財を日本から東南アジア諸国に向けて輸出し、これと交換に従来非常に多量にマレーから云々ということをいつておるのですが、これらの生産品は中共に出した方がよく売れるのじやないですか。そうするとかえつて日本電源開発のためにもなるのじやないでしようか。今の向米一辺倒から、対立する二大陣営の中において、うまくその中を歩んで行くところの産業経済につながる行き方をするというような要望を採つておるのが電源開発経済面じやないのですか、その点はどうですか。
  156. 福田一

    福田(一)委員 御意見としては承つておきます。
  157. 横田甚太郎

    ○横田委員 承つた結果どうしてくれますか。少しはやつてくれるのですか、それともそのまま聞き流してくれるのですか。いつも問題になるのは答弁に困つたときは御意見としては承つておきますなのです。その御意見として承つた結果を相当つてもらつたならば、日本の政争もこんな激烈なものにならぬのです。国内が非常に乱れて来る、非常に騒がしくなつて来る、これは御意見を承つてもやらない結果にあるのじやないですか。委員長大蔵大臣は来ないのですか。
  158. 多田勇

    多田委員長代理 予算委員会をやつておりますので……。
  159. 横田甚太郎

    ○横田委員 それでは大蔵大臣が来るまで続けます。大体私たち電源開発自由党案に反対します点を明らかにしておかなくちやならないのです。電気は公共の福祉のためであつて、これを番するものは公益事業委員会とまで日本では名前をつけられておる。ところが、この公益という名前は世間一般の常識とは非常に違うということを皮肉られておりますね。これはなぜかといえば、電気料金を上げるというような問題が起つたときに、公益という名前が非常に大きくなつて公益事業委員会の存在価値がはつきりしたといつておる。こういうことで皮肉られている。だから電気というものは社会公共福祉のためのものであり、それがわかつておるから、公益事業委員会にまでいろいろ監督さしておるのだと私は思う。ところが電気の番の仕方、あり方が非常に悪い、一方的だ。自由党にいたしましても、電源開発を、もうかるだろうか、もうからないだろうかという営利を対象にしてやつておられる。しかし電気はお気の毒なことに、もうかるだろうか、もうからないだろうかというような営利を主体にやつておりますと、これはやりきれるものではない。電気は万人に文化を保障しなければならないものでありまして、求める人に與えなければならない性質のものであります。だからこれはどうしても開発しなくちやならないのですが、自由党と共産党との相異はそこにあるのでありまして、自由党電気を單なる商品として売ろう、もうけようとする。その売り方が非常に市場を狭めてしまつて、狭めた結果として、電源開発資金まで困つてしまうということになるのだと思う。だからこの点は、風早さんとあなたとの論戦に対して、私の方からあらためて見解を明らかにしておきます。だからわれわれは、電源開発それ自体は共産党こそがむしろやるべきものと思うのでありまして、これを共産党は決議案としていつでも出したいのです。出しますと、この前のサンマータイムのときと同じような争いになりまして、共産党として、こういうようないい問題を出せば、自由党はこれをつぶしてしまう。そうして自由党が先に出したんだというふうなことで、この前のように議場であさましいけんかになる。  その点はそれだけにしまして、さらに質問を続けますと、今度は外資の問題であります。こじきか売国奴のように外資を求めなくとも、われわれは米軍に帰つてもらつたならば、非常に多くの資金が浮くと思うのです。だからかような意味合いにおきまして、今治安費とか、米軍のために使われておるむだな費用を、電源開発に熱心なこの法案に名前を連ねられた水田さん、神田さん、そのほか小西さんもまじえて志田さんからたくさんおりますね。こういう人たちは、その金をこういう方面にほしいという御意見があるでしようか、ないでしようか。もしあるとすれば、そういうような米国軍隊のための金を使うならば、電源開発のために使つてくれというような決議案でも出されるような御意見があるかどうかということを承つておきたい。
  160. 福田一

    福田(一)委員 アメリカとの安保條約に基きまして、アメリカ軍に日本に駐留してもらうことは、現在の情勢において日本国民のために一番正しい方法だと考えておるものであります。従いまして質問者のような趣旨を持つておる党員は、だれもおらないということを明言しておきます。
  161. 横田甚太郎

    ○横田委員 政治答弁はそうなんですが、私は金の点を言つておるんです。こういう米国軍隊のためにまわす金があるんだつたら、電源開発の方にまわしてもらつたらいいな。簡単に言えば、アメリカ人が使う金はアメリカが負担してくれて、日本が負担するその金は、電源開発に使わせてくれたらいいというような要望があるかどうかということを言つておる。その方が外資導入より手取り早いではないですか。どうですか。
  162. 福田一

    福田(一)委員 いやしくも独立をいたしまして、国際連合に入るという政治過程を踏んでおる今の日本の状態といたしましては、そういうような建前においてアメリカ軍が今は駐留をいたしておるのでありますが、私は、そういう方面に金を出すということは、独立して自分の国を守るために、国民がある程度の負担をいたすということは、当然な義務だと考えておるのでありまして、そういう方面に今仰せられたような問題は起きて来ないと思います。
  163. 横田甚太郎

    ○横田委員 一々違つたことを言いますね。日本を守るのは、日本人が守るんです。アメリカ人がおつたら、かえつて乱れますよ。なぜ私がこんなことを言うかといえば、たしか大蔵大臣が言つたですよ。アメリカの金が日本に入つて来るか入つて来ないかということを、たしか改進党の有田さんだと思いますが、聞いたときに、外資は努力次第で入つて来るんだと言つておるんですよ。この考え方が私は間違いだと思う。アメリカの金なんか、日本で何ぼ努力しても入りますか。世界をよく見てみなさい。アメリカの外資が喜んで入つて来るところは、電源開発のために十億ドル貸してくれと言つておる日本ではないですよ。この間のアメリカの発表によりましても、こういうことが出ているじやないか。朝鮮における戦費として、陸軍費のみについては、三月二十九日下院歳出委員会において米陸軍省予算課長の発表したものがあるですね。それによれば、動乱勃発以来陸軍は約七十億ドル、月額にいたしまして三億八千万ドル費消した。これは米軍の維持費及び国連軍その他軍要員に提供した物資の総額です。こういうことがはつきり言われておる。これは国連により支払われた費用の総額ではないということまで、私たちの調べではつきりわかつておる。だからアメリカの金は、電源開発のために十億ドルの金を貸してくれということをダレスさんに頼んだ吉田さんを振り切つて、そつぽを向いておりながら、朝鮮には七十億ドルの金を入れる。台湾にはたくさんの金を入れる。そうしてアメリカの提督に言わせると、国府軍が本土に進攻するならば、援助する。もし中共軍が台湾に攻めて来るならば、妨害する。だれが聞いてもわからぬような、ギヤングの親分のようなことを言つておる。これは世界のどこでもそうであります。だからアメリカの金は、ほしい日本に入つて来ない。努力しても入つて来ない。朝鮮のように騒動が起つたら、七十億ドルも入つて来る。中国が内戦でもめておる間は六十億ドルも入れていた。それからイギリスにいたしましたところがソ連を相手に騒動を起すだけの元気があつたら金を貸したろう。フランスはどうだ。兵隊をこしらえたら、金を貸したろう。あるいはイタリアはどうだ、戦備のためになら貸そう、こういう形で入つて行く。だからイランとか、エジプトとか、ギリシヤとか、予期もしないところへアメリカの金が皮肉にも入つて行く。外資導入ということは、アメリカに頼んだり、そういうことを考えるだけではだめだ。そういう考えだからトルーマン大統領も、今度の選挙には勝目がないから立候補せぬといつて、兵隊さんの古手に大統領の選挙を譲ろうということになつておる。そんなことで外資が入つて来ますか。入れようと思つて努力すれば、入つて来るというが、どんな努力をしますか。朝鮮のように人を殺し合いするのか。朝鮮は三千万人の人で七十億ドル入つた日本はその三倍の八千四百億になりますから、二百十億ドルの金が入つて来るとでも思つているのですか。アメリカの外資はこんな所以外に入らない。これはアメリカ人がはつきり言つておる。資料にはつきりありますね。それによると、米人の考えでは、ドルは国民の血潮でしか得られない。だからアメリカのために血潮を流すところの地点だけにしか外資は入れないということをアメリカ人は考えておる。特にここで伺つておきたいのですが、あなたは大蔵大臣じやないと言われるかもしれぬけれども、大蔵大臣が言われました、努力いかんによつては外資が入つて来るという、その努力の内容は一体どんなことですか。
  164. 福田一

    福田(一)委員 私は大蔵大臣と同じ意見でありまして、努力という意味は、日本として借りた金を返すという誠意を十分示す。またこれに対しましては、損をかけないというような基礎を明らかにいたしまして、そうして交渉をいたしますならば、入らないとは言えない。大蔵大臣も入るとは言つておらないのでありまして、入る可能性が十分にあるということを言つておられる。私もそういう意味合いで努力をいたしますならば、入る可能性があると考えておるのであります。
  165. 横田甚太郎

    ○横田委員 ふしぎとその点は一致したですね。だが入る額が違う。私もやはり外資は少しは、入ると思う。それはやがて日本の家を焼かねばならぬ。日本人を殺さなくてはならない。武器と基地、足がかりとしての拠点をつくるために、わずかの買収費は入つて来る。それはありますよ。しかし、そんなものが入つたら、ありがた迷惑である。  それから私の聞きたいのは、もし電源開発がされましたならば、開発されて電気が起る場合に、今の電気のあり方と少しかわるか、かわらないかということです。今の電気を扱つておりまして非常に不愉快に感ずる。それはなぜかと申しますと、電気はみんなでもり立てて行かねばならぬところの重要な産業の中心である。産業の動脉であるにかかわらず、この電気問題に対しまして、政府が一言ものを言えば、非常に対立する委員会があるじやないですか。しかもその対立する委員会が、何か発表すると、非常に国民が騒ぐじやないですか。騒ぐのはあたりまえで、電気料金を値上げしますというときだけものを言う公益委員会なのですから、これに対しましては、国民は非常に怒ります。ですから日曜娯楽版をお聞きになつたろうと思いますが、もし聞かなかつたならば、あらためて言つておきますが、今度電気料金が上るのですつてね、それは間違いない、そうすると今度は電圧が下ります、こう言つている。国民感情はこうなんです。大事にもり立てて行かなければならない電気が売国政権のためにおもちやにされている。それから私はモスクワ放送や北京放送を聞きます。これは日本の法規では聞いてもいいのでしよう。そうであるにもかかわらずこのときに電波をあずかる者がガーガーと雑音を入れてじやまばかりしている。だから放送というものはだれにでも聞かすような形になつておらない。こういうものは、もし電源開発された場合においては、どういうふうな形において、公正なる公共事業、公共福祉のためにやるにふさわしい形にかえて行かれるような法的措置をおとりになるかということを一応提案者伺つておきたいと思います。
  166. 福田一

    福田(一)委員 その問題は党と政府との間におきまして一応行政機構改革といいますか、そういう面でも取上げておりますが、今後も公正妥当に電気を使つて行く方法については研究を進めて参るつもりであります。
  167. 横田甚太郎

    ○横田委員 それでは政治的な問題をお聞きしようと思うが、大臣は来ないし、今度は福田さんのお得意の方をちよつと聞かしていただきます。私が承りたいのは、電源開発するために電源開発株式会社というようなものをおつくりになつた。中崎さんに対する答弁では、これは特殊法人であつて、こういうふうな形において国家の嚴重なる監督をすると言われる。そしてこの総裁、副総裁理事及び幹事は内閣が任命するのですね。これは間違いないですね。こういう荷やつかいなばかなものをこしらえて、こんなものが電源開発に非常に役に立つと考えておられるのは一体どういうわけですか。なぜかと申しますと、公社と名がついたり配炭公団と名がついたり、政府ちよつとでも手を出した団体あるいは開発事業のためのこういうものは、汚職と濱戦の巣窟であつて、事業が上らないことおびただしいと思うが、その点に対する御見解を承りたい。
  168. 福田一

    福田(一)委員 それは運営の問題であり、人の問題であります。
  169. 横田甚太郎

    ○横田委員 それでは運営はこんなにようなつたということが言われるような材料を出して説明していただきたいのです。人も、今生きている人がそのときに総裁になるのでしよう。悪い時代に育つた人が総裁になるのですよ。それはちようど天野さんというような、哲人をふれ込む人を拾つて来て自由党政権の大臣にして大臣にしたつて、哲人がボロを出して物笑いになるばかりだ。だからこの特殊会社にどういう人を拾つて来るかわかりませんが、それは結局だめになるのだし、第一そんな人はいませんよ。だからこういうふうな形においてやられるについて何か成案があるのですか、その点はどうなんですか。
  170. 福田一

    福田(一)委員 人を得る場合につきましては、政府は適当なる人選を行うために会社設立の委員会をつくるとかあるいはその他の方法によりまして、りつぱな人を縛るように極力努力させるつもりでおります。
  171. 横田甚太郎

    ○横田委員 人じやない、機構なんですよ。だからこんなものをつくつてだれが入つても、悪いことをする以外に動けないような人にしてしまうのです。それがすなわち政府が強権を持つて監督するところのこういうふうな形のものに、今までの例から見ると悪いことがたくさんある。それを一々言いますとちよつと的はずれのようになりますが、一番近いことから申します。これはきようの朝日の天声人語、四月二日です、これにこういうことが書いててある。これは確かに鉄道のことを言つている。あそこで駅売りされている専売制といいますか、あの妙な形におけるところの独占を笑つている。「菓子屋のメイカー仲間では弘済会向けといつて安く納めるためにアンパンやビスケツトの斥量に手加減を加えるのもあるそうだ。キヤラメルでもローラーのネジを締めて薄くしたのがあるという。貸売りのない日銭収入で現金仕入れの強味があるので敵いませんと告白していた。」こういうふうなものを買わなければならぬところのりようけんは、「汽車は出て行く煙は残るで乗客は外で買うすべもないままに、この独占事業の横着にも黙つてつているのだ。」こう言つているのですよ。だから電源開発をこの会社一本に押えてしまうと、こういうふうな形になるのではないかということが私は言われるのではないかと思う。その次にあげたいのは、あなたも御存じのように配炭公団の問題です。これも政府が厳重に監督するという形においてやつてつたが、これは考査委員会であなたがお調べになつたように非常にあきれられた内容のものだつたですよ。油糧公団はどうだつたか、これも大豆増産のためには何にもならずに、結局社会党の和田さんに疑いがかかつて出て来なければならないほど会計がややこしかつたでしよう。それからここに出ているところのものは議会の中から拾つた事実なんですが、公社、この公社のうちにおきましても国有鉄道資材横流し事件として取扱われたところの国鉄公社事件、あるいは専売公社事件、こんなことはよく御存じでしよう。だからこういうことを考えて行きますと、こういうふうなものとどういう点が違い、その違うために、どうしてこういうふうなものに対して起つたところの心配が再び起るのかというような質問をしてはいけない、安心していなさい、こういうふうに言わなくちやならぬとお考えになつているその内容を承りたいのです。
  172. 福田一

    福田(一)委員 汚職事件とかあるいはいわゆる社会の秩序を乱すような問題、また党内の秩序を乱すような問題からいえば、あなたの党の中にもそんなものがたくさんあつて、いろいろそういう問題が起きていることも新聞等で伺つておりますが、しかしそういうことは別としても、こういう機構をつくつたらそれはそういうものが必ず出る、もう人間は全部悪人だという考えでものをお考えになるか、あるいは中にもいい人がおつて、またそういう人をなるたけよくして行くのが政治だとお考えになるかによつてその問題はきまつて行くだろうと思います。
  173. 横田甚太郎

    ○横田委員 妙なところに飛びましたね。それを全部聞くまでに、あなたにもう一回私は党に関することを聞いておきたいのですが、私の党にどういうふうな形において、どういうふうなものがあつたということを言われたのか、その点をもう一回はつきりしてください。それからあらためて本論の質問をいたします。それはどういうことであつたか、その点私は聞かなかつたのです。
  174. 福田一

    福田(一)委員 やはりあなたの方の党員の中の人で、何といいますか、いわゆる刑法に触れるような問題を起した人もある。そういうことは新聞紙面にも今までに出ておつたことがあると覚えております。具体的に今ここで例を示せと言われれば、一両日待つていただけば出しますけれども、そういうことも出ておつたことがあるように思いますので、それを申し上げたのであります。
  175. 横田甚太郎

    ○横田委員 それが政府の厳重な監督のもとにやられるこの電源開発株式会社が今までの公団と同じような弊害を生みませんかということに対する御答弁ですか。それとは別に共産党に対して、さつきから檜たらしいことを言つているから反撥してやれという答弁ですか、どつちですか。あなたこそ大分答弁がそれていませんか。
  176. 福田一

    福田(一)委員 私はそれは例として言つたのでありまして、自由党にもそういうのがあるのであります。どこにもある問題であつて、それを是正して行くというのが一つの政治である。またどこにも悪人もおるし善人もおるだろうと私は考えておるのでありまして、全都を悪人と考えてそういうふうに結論づけられないで、善人もおるのですし、また善人をつくるようにして行くのが政治だろうと考えております。従つてこういう機構をつくつたといたしましても、あなたのような結論は出て来ないということを述べたわけであります。
  177. 横田甚太郎

    ○横田委員 それなんですね。是正して行く、そして善人をつくる、それはいいことですね。だからそういうものに合致しているというのはどういう点で言われるのですか。それを聞いているのです。それに対する答弁なしに、是正して行くとか善人をつくるとか言つておられますと、まるでいい言葉だけを拾い集めまして、これで解決せいというような漢文の解釈になりますよ。だからこの特殊会社はどうなんですか。前のような汚職の対象にならないのでかか。なる材料をこれからあげようと思つているのですが、どうですか。
  178. 福田一

    福田(一)委員 私は特にほかの機構をつくつた場合において汚職の対象にならず、この機構でやつた場合には必ず汚職の対象になる、かようには考えておらないわけであります。
  179. 横田甚太郎

    ○横田委員 今度は委員長に伺いますが、何かそこで福田さんと今こそこそ言つて来ましたが、大蔵大臣はきようは来ないのですね。
  180. 多田勇

    多田委員長代理 大蔵大臣は何か用事があつて出席できないそうであります。
  181. 横田甚太郎

    ○横田委員 そうすると今度通産委員会でやるとき、委員外発言とかいろいろな形で質問を許してもらえますね。
  182. 多田勇

    多田委員長代理 その点は連絡しておきます。
  183. 横田甚太郎

    ○横田委員 きようは福田さんと憎たらしいやつだといつて言い合いしただけじやないですか。大臣は来ていやしない。だから言うておきますじやなくて、それははつきり確約してもらわなければだめですよ。それからもうちよつと福田さんに聞いておきますが、そういたしますとこういうふうなところでは、私が心配するようなものをこしらえないようにされるのですね。それがためには待遇が悪いといけないと思うのです。待遇は今の公務員の給與で自由党はいいと思つておられるのでしようが、公務員の給與はわれわれはいけないと思うのです。それがいけないために勇気のある人はストライキをやり、勇気がない人は汚職をやるのです。だから今度できますところの善人をこしらえ、悪い人と是正するという、まるで官庁の出店機関の見本になるようなこの会社は、どういうふうな待遇にされるのですか。給與なんかは、一体何によつてきめられるのですか。
  184. 福田一

    福田(一)委員 現在の電力会社並の給與をベースとして一応考えております。
  185. 横田甚太郎

    ○横田委員 現在の電力会社は、非常に待遇が悪いからいろいろあるのですよ。これも考査委員会の例をとりますと、青写真の紙をたくさん使いますね。あの紙を買うのにも、非常にからくりがある。だからそれが非常に金を生んでいて、給料の足りないところを重役がこれのごまかしで補つていると言われているのでしよう。こういうことがはつきり現われている。これこそあなたも承認されるのでしようが、高級従業員が電気をただで使つているという例がたくさんある。こういうことが言われている。だから現在の電力会社に勤めている人の待遇では、こういうような役得、利得に走らざるを得ないと考える。しかもここにも出ておりますダイヤモンドの統計によりますと、この電源開発のためには、たくさんの物がいるのですね。鋼材にいたしまして一万八十六万トン、銅は十七万五千トン、それからセメント、木材というようなものが、ずいぶんいるのではないですか。こういうようなものがいつて、物が足りなくなつて来ますと——何といいますか、これがいるということは他にはいらなくなるのではないのであつて、こちらへ使うのですから、これを横流しするというような形がたくさん出て来るのです。だから私があなたに聞きたいのは、現在の電力会社に勤めている人たちは、非常に給料が悪いからほかの収入に頼らざるを得ない、だからその点に対する御見解はどうか。と同時に、これよりももつといい待遇を考えられる余地があるかどうか。この点を聞いておきます。
  186. 福田一

    福田(一)委員 日本の国の富というものは一定の限度があるのでありまして、今の日本の生活といたしましては、その富を考慮して、国民生活をやつて行かなければならないということになるわけであります。そういう意味合いから、賃金ベースというものもこれを基準にして、一応合理的な数字が出て来るわけであります。そのためには、そういう意味での法制がちやんとつくつてあるわけであります。従いまして今いろいろの悪い問題というか、背徳な問題が起きてますけれども、そういう人たちは、なるほど今の社会制度自体が完全にいいかどうかという問題は別といたしましても、そういうような日本の財力、日本の富というものを認識いたしまして、そのベースの上に立つて生活をしなければならないという自覚を持たない人が悪いことをしているのでありまして、あなたが指摘されたことを私が電産の人に言つたら、ずいぶん電産の人は怒るだろうと思う。電産のお方でもまじめに給料だけで一生懸命にやつて、そして国のためにお勤めになつている方も多々あると私は信じておるのでありまして、そういう意味合いで、何も私は罪人をつくる会社を別に一つつくるという考えを持つておるわけではありません。
  187. 横田甚太郎

    ○横田委員 このごろの新聞を読んでいるのですか。ゼネストで労働者は闘うといつているのですよ。電産の者は、給料に満足してそれでやつているのではない。もう一ぺん新聞を読んでもらいたい。あなたの方の閣議で問題にしているのは十二日と十八日のゼネストでしよう。そこに回答が来ておるではないですか。だから私の言うことにあなたがそういうふうに答弁されるのならば、今度は、あなたがほしい人の方から言います。これは二十七年四月一日の東京新聞の報道するところなんですが、新木東電会長が談話を発表しております。「技術者の協力を求められてもむしろ現場は足りないくらいだ。私にいわせれば政府特殊会社に出資する資金を、開発銀行などを通じてわれわれ九社に低利で融資してくれることが最もよい方法だ」。こういうふうな状態で、技術者は簡單に出せないと言われている。それから引抜くのですから、そのときに今の配電会社の給料ではとても足りない。しかもそれでがまんして入りたい人は、技術の劣つた人である。技術の劣つた人でも、生活できなければ結局公務員並の汚職の中に、勇気のある人はストライキの中に投げ込まれて行くのではないでしようか。こういうことを聞いているのですが、その点をもう一度明らかにしていただきたいと思います。
  188. 福田一

    福田(一)委員 技術者の面につきましては、必ずしも電力会社から協力を得なくても、私は集めることが十分できると考えております。なお先ほどあなたはゼネストの問題を申されましたけれども、ゼネストをするということは現存の法制において許されておるのでありまして、ゼネストをする人が悪い人、いわゆる今の社会通念におきまして刑法上の罪を犯していると断定することはできないでありましよう。
  189. 横田甚太郎

    ○横田委員 そんなばかなことがありますか。ゼネストは憲法や刑法を度外視してやるのがゼネストですよ。日本でのゼネスト論議はそういうものにとらわれて、そのわく内でやるために活字のゼネストになるのです。ゼネストをやるときには憲法がどうであろうと、刑法がどうであろうと、政治的な性格なんか問題でない。自由党のワンマン政権をつぶしてやる、これをつぶすというのでやるのですよ。そんなことは労働運動の本質ですそんなことは私の扱うことで、あなたはいらぬことは言わぬようにしておいてください。  それからそういう技術者のことで言えるならばこの際承つておきたいのですが、日本には、北鮮を開発したときに水力発電建設された非常にすぐれた技術者がたくさんおりますね。こういうような人たちは、今どういうふうな環境にありましようか。こういうような人たちに対しまして、新しい会社はどういうふうな形で迎えられるものでありましようか、それともほつておかれるつもりでありましようか。その点はどうですか。
  190. 福田一

    福田(一)委員 私は一般論を述べたのでありまして、技術者を集めるような問題は、会社首脳部——政府の任命いたしました総裁、副総裁理事等がこれに当ることになるだろうと思います。
  191. 多田勇

    多田委員長代理 横田君に申し上げますが、六時までということの申合せになつておりますので、申合せ時間が参りましたから、簡單に願います。
  192. 横田甚太郎

    ○横田委員 申合せといつたつて、あなただつて約束を守らないで委員会を開いている。だから大臣が来ないから今度来たときにやつてくれと、その点だけ確約してくれたらやめます。今日は結論的に一つだけ言つておきます。電源開発というものは、日米経済協力のためにやられるものだということが言われるのです。しかしこれは文字なのです。私が言葉をもつてこれを聞こうとすると、みな逃げられるのです。これはどこの委員会でも共通のことであります。だから日米経済協力でアメリカ一辺倒で行くということは、経済的にも軍事的にも、非常に日本にとつてあぶないということを感ぜられた政府側の大臣並びに自由党の代議士がある。このことが一つ私はわかつたのであります。それはあぶないはずなんです。日米経済協力をやられると、とんでもないことになるのです。アメリカがこしらえるために、アメリカの電力を使うやつを、日本が負担して日本でこしらえますと——アメリカは自国の電力で原爆をこしらえるんです。原爆はよその国民は受けたことがなくて、初めて日本人が受けたのですから、こういうふうなものは世界のどこに対しても、もう一回落すことには日本人として非常に反対なのです。だからアメリカの一つの軍拡を手伝うということは、アメリカにおいて原爆をこしらえさす結果になる。しかも簡単な最新兵器なんかをおそらく日本で新しくできた電気からつくるのだろうと思う。だからそういうふうな意味合いにおきまして、アメリカの要請のためにこしらえられる、野望であるところの電源開発に対しましては、私たちは非常に反感を持つているのですが、自由党の人たちは、そういう要請の本質を知つている人でもはつきり言わないし、名乗らない、知らない人までが提案者として名前を連ねておる。こういう情ない電源開発法案に対しましては、反対賛成と言いますと反対討論になりますが、これは大臣にもつとゆつくり尋ねなければ解しかねるので、今度大臣に尋ねる機会を留保して今日は質問を終ります。
  193. 多田勇

    多田委員長代理 本日はこの程度にいたし、明日は午前十時より開会することにして、本日はこれで散会いたします。     午後五時五十九分散会