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風早委員 私は別に資材の必配をしておるわけではない。心配するにはあまりにずさんであ
つて、心配する必要もない。そういう点はひとつ誤解のないようにお願いしたいと思う。
さて、きわめて基本的な問題に触れて来たと私は思うのであります。この
電源開発については、わが党も、これは
日本の社会の発展、
日本の生産力の発展の面から当然に要求されるところの至上命令であると
考えておる。われわれはそういう
意味において
電源開発を必ずやらねばならないし、われわれやろうと思
つておるわけだ。現にわが党においても、徳田書記長は、利根川の水系を中心に大規模な
電源開発の具体的な、技術的にも技術者とも協力して検討した大きな
開発計画というものもすでに発表し、これはパンフレットにもな
つておる。しかしながら、これはもちろん一国の生産力の発展、その場合においては工業だけでなく、農業もきわめて大規模に発展する。農業と工業との均衡がとれる。つまり、工業が、農業を犠牲にして発展するというような、そういう
意味でなしに、農、工業が均衡のとれた発展をする。そうでなければ
国民の生活水準の向上というようなことは、とうてい望むべくもない。この
法案でも
提案理由の中には、たしか
日米経済協力による
国民生活の水準の向上ということがありますが、これはとんでもない話である。実際あなた方が今までや
つて来たことを見ればわかる
通り、
国民生活の水準の向上というものと、あなた方のや
つて来た実際の
政策というものとはいつも
矛盾しておる。われわれはそういう
意味でなしに、真に
国民の生活水準の向上と農、工業の発展というものとをマッチさせる、そういう
意味において、その基礎としての大々規模の
電源開発というものは、これは当然社会主義の前提
條件でありまして、その
意味においてわれわれはあくまでこれを実現しようと
考えておるわけであります。でありますから、たとえばレーニンな
ども、一九一七年の大革命が終つたら、もうその第一声は
電源開発なんです。しかしながらあいにく担当する
当局が違うわけであります。
自由党ではお気の毒ながらこの
電源開発というものはやれません。やつたならば必ず
国民生活は破壊される、そういう
矛盾をあなた方は持
つておる。これに対してわれわれは、真に
国民の
立場に立つた
国民の連立政権、こういうものによ
つて初めて
電源開発というものはできると
考えておるのであります。われわれが
電源開発に賛成する場合においては、常にこの
根本的な
立場に立脚して賛成しておる。
現実に出て来るこの
電源開発問題、これは
自由党から出た場合はなおさら、われわれは
自由党の今までや
つておる一切の
政策とこれだけは切り離して抽象的に
考えるわけには行かない。また事実
考えられないようにこの
法案ではできておる。これには
安本の
根本方針、言いかえれば
アメリカの
根本方針、対日
政策というものが露骨に出ておる。でありますから、せつかくあなた方が大きな看板をかけて
電源開発をやる、まことにけつこうなはずであるのに、なぜ
農民はこれに反対するか。事実
農民は反対しておる。それはこの
電源開発によ
つて農民は必ず水を奪われ、
土地を取上げられる。それは今まで残念ながら
電源開発で発電所ができると、必ず何かその近所に大きな騒ぎが起
つておる。最近の
実例をあげますならば、たとえば西多摩郡小河内村に
ダムをつくるというので、附近の
農民は総立ちにな
つてみな反対し、闘
つておる。なぜそうなるかといえば、あなた方のやる
電源開発というものは必ず
土地、そして水に大きな被害を與えるのです。
土地の問題や水の問題を真に解決し得るものでなければこの
電源開発はやれません。やる資格はない。あなた方がもしもほんとうに
電源開発をやろうというならば、この水の問題、
土地の問題に対して確固たる
立場を持たなければならぬ。
農民の
立場を持たなければならぬ。そういうことを同時に総合的に解決する自信があり、それが
法案に盛られる場合においては、これはまた
考える余地もありますが、そういうことを無視したこの
電源開発というものは
意味をなさない。あなた方がせつかく
電源開発をやられるのに、さつそく進歩的な小市民、労働者、また
農民、全
国民が非常な疑惑を持つのは何だ。必ず
電源開発問題で
電気料金が上るだろう、それから資金の問題、これはきようは十分にこまかく論ずることはできませんでしたが、この資金の面でも、千二百億の中で半分以上も
政府資金を出すというが、これはみんな税金である。またその他の資金についても結局行く行くは
電力会社の
電気料金の値上げにな
つてしわ寄せされることはきま
つておる。その料金はまた
中小企業、そして一般の
電燈消費者に大きくかぶさ
つて来ることは、これはもうきま
つておる。でありますから、そういうことは一々りくつをたど
つて行くわけではないけれ
ども、これはおかしい、これは困るというのでみんな反対するわけであります。そういう点を
考えないで、ただ
電源開発ということを抽象的にわれわれ取上げることはできない。ましてや今日
日米経済協力あるいは
行政協定によ
つて、
米軍のアジア侵略
作戦の足場に
日本がせられているということは、われわれがしばしば指摘して来た
通りであ
つて、とうとうそういうふうにな
つて来たのです。もうどうすることもできない。他面におきましてきようの新聞を見ても、
日本の
産業も兵器生産というものが当然許可せられる、ポツ
ダム宣言は一体どこへ行つたか、これでいよいよ
日本がまた再びあの硝煙のにおいをその辺じゆうに立ち込めさせなければならぬようにな
つて来た。こういつた状況のもとで、そういう
條件をとにかく全然度外視してここにかりに
電源開発というものを出した場合においては、それは空想にあらずんば
まつたく正気のさたではないと思う。先ほど
福田提案者は、確かに
電源開発というものは
国民の必要から生じたものであ
つて、全
国民にこれを均霑させるんだ、こう言われますが、そんなことを言
つてみたところで、今この前提
條件を無視して言われておる限りにおいては、だれもこれに対して信用する者はないわけであります。これはむろん
自由党の諸君だけが自画自讃して総選挙を前にしてこれを出され、これをまた多数でも
つて通す。それは通るでしよう。通るでしようが、その結果はいかなるものであるか、これだけは少くとも
提案者はよくひとつ
考えられる必要があると思う。
提案者においては、この
法案についてそういうめんどうくさい問題は
考える必要はない、あるいは意識しておらない、それは見解の相違だ、こういう
お話であるが、そういうことに気がつかないで出したということになれば、なおさらこの
開発法案というものは問題にならないと私は断言せざるを得ない。これはちようどこの
電源開発というものをめぐ
つてあなた方と
国民大衆との
関係は、卵の殻と中の黄身のような
関係でありまして、
電源開発というものはかりにこれを暖める親鳥の熱とたとえてみますと、親鳥の熱によ
つて結局この卵の中からひよこが飛び立つのです。あなた方のその殻は破れてしまう。そこから出て来るもの、つまりひよこになるものがほんとうにこの
電源開発をやれる。私は繰返して申しますが、
自由党が退陣して、そしてここに真に
国民の利益を死守するところの
国民政権というものが出て来る、その手によ
つてのみこの
電源開発はできる。私はそのときはもはや
日本というものは社会主義建設に一歩を踏み出すときであると
考えるのであります。今こういう
米軍の
作戦の足場の上で、しかも
自由党が持ち出すような
電源開発というものはせいぜい腐敗と汚職、そういうものの培養地にならなければ幸いだ。これは石炭国管反対運動の例の場合もあります。
昭和電工事件の例の場合もあります。私は
福田氏が言われるいわゆるインフレなるもの、あるいはインフレとは言われないにしてもデフレに対する薬、こういうものがどこの何の薬になるかということは、これは御想像にまかせたいと思うのでありますが、そういう
意味においてこの
電源開発促進法案の
提案者にさらによくお
考え直しを願いたい。われわれとしてはこういう
電源開発法案に対しては
国民の
立場から絶対に受入れることはできないと
考えるのであります。こういうこまかい点がいろいろ残
つておりますけれ
ども、これはまた次会に讓
つて、きようの私の
質問はこれで終りたいと思います。