○石野
委員 ただいまの
大庭長官の御
答弁によりますと、この
法案については、担当する当局者として非常に困難と危惧を持
つておるということをはつきりと申されておるのであります。このことは
本間政務次官からもそれに似通
つた御
答弁があ
つたわけであります。そういうようなことについて、もしこの法律案が成立するということになりますと、われわれ立法者の立場からすると、これは非常な責任問題にな
つて来る、こう思うのでございます。
通産省から出ております
航空機生産行政の
所管についてという項目において五つほどの事情が述べられているのでございますが、この件について私は自分の意見をといいますか、疑義がありますので、二、三お尋ねしておきたい。
まず第一番に、いわゆる
航空機工業というものに対しては、
通産省が
資材行政に対して
所管を持
つているのであるから、これらに
関連をする諾
産業に対する
行政を
当省に統合一元化することが必要だということを言
つておられます。しかし
資材関係の
所管というものは、おそらくそれ以後における第二次、第三次のものについては、そこで一応規格
検査というものが通
つて行けば、
あとはそうたいして責任はないように思います。そういう
意味から必ずしも
通産省がこれを統一して行かなければいかぬというふうには思われない。ことに鉄道だとか船舶の場合は、やはり同じようなことが言えるだろうと思うのであります。
それから第二の
安全性の問題については、
大庭長官がしばしば言われておりますように、やはり
部品検査とか、あるいは
生産過程におけるところの
技術的な
検査をも含める
安全性というものが常に論議されるのでございましようから、そういう
意味でやはり運輸省であろうが
通産省であろうが、
行政の一元化という
意味ではどうしても必要であるということは言うまでもない。
それから
安全性の欠陥を直接こうむるものは
運航者だからというので、
運航者の
所管省である運輸省がこれを
所管するというような
建前は間違いであるという第三のりくつについては、なるほどそういうことは一応うなずけるのでございます。何も無理にそこまで持
つて行く必要はないかとも思いますが、しかしそれだからとい
つて絶対に運輸省でや
つてはいけないのだという理由には私はならないと思う。これは決してそうではなくて、たとえば船舶及び鉄道、車両等のごときは、やはり全部運輸省が
所管して来て、その結果として業界に非常に不便を與えておるとは申すものの、しかし船舶にしても運輸
関係にしても、
世界各国のそれらの同業者に対してそうひけ目をとるような落度を持
つておるとは思われないのでございます。従来軍
関係があるときの艦船の
技術あるいはまた鉄道の
技術は、か
つて軍部がおりましたときにおいてもおそらく運輸省が全部
所管してお
つたのだと思います。その運輸省の
技術というものは世界的にそう劣
つてはいなか
つたと思うのでございます。
従つて私は業者の利不便ということの観点については、必ずしも
通産省が言
つているようには思われない。これは運輸省から言わせれば、やはりまた運輸省でも意見があるだろうと思うのであります。こういうことはりくつにならないと思います。むしろそれよりも、その結果が
日本の同種企業に対して非常に障害になるとか、あるいは世界的な競争に落ちて行くとかいうようなりくつになるならば、これはまた何か思考しなければならぬものがあるかと思いますが、第三の理由からはそういうことも出て来ないようでございます。
それから第四に、各
部品の互関性の問題が論ぜられておるようでございます。しかし互関性の問題ということは、やはり
航空機相互間における三関性の問題かと私は思いますので、
航空機がどちらかに一元化されて
所管されれば、その中での互関性のことでございますので、まさか鉄道の
部品と
航空機の
部品との互関性という
意味ではなかろうと思うのでございます。そういう
意味で互関性の問題を、ここで
通産省がどうしてもそれを持たなければならないのだという
意味の
一つの理由にすることも非常につけたりのりくつのように思うのです。
それから第五に掲げておりますところは、将来の
日本の
航空機はほとんど輸出用に振り向けられるであろうということから、運輸省よりも一般の通産事業を持
つておる
通産省がこれを
所管する方がよいのだというりくつにもな
つておるようでございますが、しかし船舶のごときは運輸省が
所管しておりましても、けつこう
外国からのオーダーに応ずることもできるし、ごとに
外国からの
日本に対する期待も大きいようでございますので、それも必ずしもりくつにはならないように思うのでございます。これも
通産省から出ておりますいわゆる
生産行政の
所管についてこの意見に対する私の意見でございまして、これでは、どうしても
通産省が
航空機生産についておれの方がやらなければならぬというだれでも納得するような理論は
一つも成り立たないというふうに思います。早く言えば、こういうふうにお互いのなわ張り争いのようなことのために、結局は非常に大きな困難と危惧とを予想される法律案をわれわれがここで通して行くということになりますと、これは政治家の良心の上からい
つて非常に大きな問題を将来に残すと思います。
従つて私はやはりもつとくおおらかな気持になりまして、
通産省の方に、そのようにどうしてもおれの方でなければならぬというりくつがあるならば、なぜもつと基本的に、この法律の閣議決定の線をくつがえすぐらいにや
つて行かないのであるか。その点の意見をひとつ聞かしていただきたい。