○
村上国務大臣 多角的な
質問でありますので、せいぜい御
質問に
従つてお答えしたいと思いますが、あるいは聞き落しがあるかもしれませんから、そういう場合には
あとから御
指摘願いたいと思います。まず私申し上げたいことは、私の信念のよ
つて来るところを
お尋ねになりましたから申し上げたのであります。今日国会で御審議を願
つておりますこの
航空法案につきましては、
生産は
通産省でや
つていただく、またその
検査の一部分も
通産省でや
つていただくことにな
つて、それを前提として、言いかえますれば、四月二十六日の
裁定を前提としてこの
法案ができ上
つておるのであります。ただ先刻来いろいろ御
質問があ
つてお答えいたしましたのは、私の信念を
お尋ねになりましたので、そのよ
つて来るところを申し上げたのであります。なお今御
質問にな
つたのも、その信念のよ
つて来るところの事柄に関連しての御
質問であ
つたように思うのであります。この
航空機を
生産するような
工場には、もちろんりつぱな技術家でおられることはもとより当然であります。
工場におられる
責任ある技術家の技術を信頼するということは、もとよりなくてはならぬと思うのであります。またそういう精神においてこの
法案にも盛り込んであるのであります。なお
飛行機は、でき上つたものを試験してよければ買う、もし悪ければ買わなければよいじやないか、でき上つたものについてのみ
検査さえすれば使用者はよいではないか、こういうような御趣旨の御
意見があつたと思うのでありますが、これは私は
考えなければならぬことだと思うのであります。自動車のごとく
マス・
プロの性質のものでありますれば、チヨイスが購入者の方にあ
つてよろしいのであります。また
工場側の
生産者側の方で多数の
製品を羅列して、使用者というか注文者というか、購入者に選択の自由を持
つてもら
つてさしつかえないものだと思います。しかし船舶にしましても機関車にしましてもその他の車両にしましても、特に
飛行機のごときは全部注文
生産の
品物であります。注文者が気にいらないからとい
つて引取らないということになりましたならば、ことに一機で数億円を要するような
航空機を受取らないということがありますと、そこにトラブルが起りまして、
生産業者としては非常な迷惑しごくなことであり、そういうことが結局航空の健全なる発達を阻害することに相なると思うのであります。
航空機といえ
ども将来の発達いかんによ
つては
マス・
プロということに相なるでしよう。しかしながらここ当分は注文
生産によることは認めなければならぬと思ふのであります。かるがゆえにでき上
つてから気に入つたら購入すればよいという
考えでは、
航空行政の完璧、言いかえれば航空
事業の健全なる発達は期し得られないと思うのであります。またでき上つたものを
検査して、それで一応さしつかえなければ、
耐空証明を発行してもよいじやないかというような御趣旨のように拝聽いたしましたが、今日高度な技術をも
つて複雑な組立てを要する
航空機については、でき上つただけではいかぬということは、私の一家言ではないのでありまして、国際民間航空条約が明瞭に示しております。すでにわが国も平和条約におきまして、その締結当時において国際民間航空條約に加入するということは、
政府としても宣明いたしておる次第であります。この国際民間航空條約の示すところによりましても、
耐空証明を発行するのには、これこれの段階において
検査、試験をせなければならぬということが、條約上の義務として課せられておる次第であります。これをただ
航空法案に盛り込んでおるにすぎないのであります。なお、私の信念について
お尋ねになれば、今申し上げる
通りにお答えするよりしかたがないのであります。しかし私の信念を
主張することは、今日許されない段階にな
つておるのであります。要するに民主政治はいろいろな
意見がそこにあり、多数で進んで行くものであることは申し上げるまでもありません。
閣議といえ
どもまたしかりであります多数の
意見に従うということは当然なことであります。四月二十六日の
裁定が
決定しました上は、この
裁定に立
つて今御審議を願
つて参おる
航空法案を立案いたした次第であります。この点ひとつ御了承おきを願いたいと思います。