運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1952-05-22 第13回国会 衆議院 通商産業委員会運輸委員会連合審査会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月二十二日(木曜日)     午後一時五十三分開議  出席委員   通商産業委員会    委員長 中村 純一君    理事 高木吉之助君 理事 多武良哲三君       小金 義照君    土倉 宗明君       福田  一君    横田甚太郎君   運輸委員会    委員長 岡村利右衞門君    理事 黒澤富次郎君 理事 滿尾 君亮君    理事 山崎 岩男君 理事 原   彪君       大澤嘉平治君    岡田 五郎君       尾崎 末吉君    片岡伊三郎君       玉置 信一君    坪内 八郎君       畠山 鶴吉君    飯田 義茂君       山口シヅエ君  出席国務大臣         通商産業大臣  高橋龍太郎君         運 輸 大 臣 村上 義一君  出席政府委員         法務府事務官         (法制意見第三         局長)     西村健次郎君         通商産業政務次         官       本間 俊一君         通商産業事務官         (通商機械局         長)      佐枝 新一君         航空庁長官   大庭 哲夫君         運輸事務官         (航空庁次長) 粟沢 一男君  委員外出席者         通商産業委員会         専門員     谷崎  明君         通商産業委員会         専門員     越田 清七君         運輸委員会専門         員       岩村  勝君         運輸委員会専門         員       堤  正威君     ————————————— 本日の会議に付した事件  航空法案内閣提出第一七九号)  航空機製造法案内閣提出第二二六号)     —————————————
  2. 中村純一

    中村委員長 これより通商産業委員会運輸委員会連合審査会を開会いたします。  航空法案及び航空機製造法案一括議題とし質疑を続けます。質疑の通告がありますから順次これを許します。尾崎末吉君。
  3. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 昨日、航空法案並びに航空機製造法案に関する総括的の御質問から、今度は航空機製造法案の逐条にわたりまして第八条までを御質問申し上げ、第十条について半分質問を申し上げまして、一応それで保留をいたしました。本日特に通産運輸大臣の御出席を煩わした次第であります。質問に先だちまして、御答弁の便宜かと心得まして、きのう質問申し上げました項目だけを申し上げておきます。  昨日質問申し上げましたことは、航空事業安全性というものはいかに大事であり、いかにあるべきか、こういう点についての質問と、それから大臣の代理といたしまして本間政務次官の御答弁、それから今回の行政機構改革には二つのはつきりした目的があつたはずであるが、そのことを堅持しておられるかどうかの御質問、それから航空法案をつくりますに先だちまして、航空法制定審議会というものをつくつて、その審議会においてなされた答申の中には、航空というものは、航空機製造から検査及び運航に至るまですべて一元行政をしなければならない、こういうことの答申であつたはずであるが、御承知でありますかどうかということ。それから二十七年度予算案審議過程におきまして、分科会相当論議をいたしました結果、予算総会に報告せられました航空事業は、生産検査運航行政を一元化しなければならない、こういう趣意の報告がせられておるが、御承知でありますかどうか。それから平和条約第十三条C項におきまして、厳重に実施せねばならないと規定せられておる国際民間航空条約航空に関する諸規定趣意と申しますものは、いわゆる耐空証明についての検査にのつとるところの安全性というものがその中心をなしておるようである。これと今回のこの航空法案並びに航空機製造法案等関係はどうあるべきかということ。それから国際民間航空条約加盟国の米国、英国、フランス、イタリア、カナダ等の主要な国国航空行政においては生産検査運航等すべて一元的の行政をいたしておるというのであるが、このことと現在審議しつつあるところの二つ法案との関係はどうあるべきか。こういう点につきまして質問を申し上げて、本間政務次官のまことに練達堪能な御答弁があり、率直に私ども意見認むべきものはお認めになり、違つた意見については違つた意見の開陳があつた、こういうことでありましたから、御参考までに申し上げておきます。  ここで通商産業大臣に御質問申し上げるのですが、第一番にまことに率直な御質問でありますが、大臣は私どもが主張し続けて参つており、かつ実行しつつありますところの経済自由主義につきましては、御同意であり、その経済自由主義の御思想によつて通産省行政整理に当つておられると思つておるのでありますが、そうでありましようかということを、前もつてお伺いしておきます。
  4. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 その通りであります。例外もあります。
  5. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 例外があると仰せられますと、たとえばどういう場合でございましようか、念のためにお伺いしておきます。
  6. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 今例をあげることもできませんが、原則はともかくも、こういう広汎な通産行政などは、そうでなくても例外なしということでは、方針が立たぬと私は考えております。
  7. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 ただいまの率直な御答弁によつて、こういうふうに了承いたしてよろしゆうございましようか。大部分は今言つたようなことによつてつておるのだが、その中には場合によつては若干の例外がある、こういうふうに了承してよろしゆうございましようか。
  8. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 その通りであります。
  9. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 もう一つ前もつてお伺いいたしておきますが、現在わが国に各種製造事業を規律するところの製造事業法というようなものがありましようか。これは機械局長からでもけつこうであります。
  10. 佐枝新一

    佐枝政府委員 戦前におきましては、相当いろいろなものにわたつて製造事業法というものがございましたが、現在では例外的にあるだけであります。
  11. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 戦前にはまとまつたものがあつたが、現在ではごく例外的の一部のものはあるが、まとまつたものはない、こういうわけですか。
  12. 佐枝新一

    佐枝政府委員 その通りでございます。
  13. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 二つ事柄を伺いましたので、そこでまず大臣にお伺い申し上げるのでありますが、御質問申し上げることの各種理由条件等の中に、ただいま御答弁をいただきました事柄をも加味いたしまして、御質問申し上げてみたいと思います。昨日、さき申しましたように、第八条までを伺つたのでありますが、第十条に移ります前に、第十条と関連いたしまして、第八条のことから伺つてみたいと思います。  航空機製造法の第八条に、製造した航空機については、通産大臣によつて確認を受けなければならないという一項がありまして、この確認とはどういうことかということを昨日質問いたしたわけでありますが、そのことは再び繰返しませんが、この第八条の、製造した航空機について通産大臣によつて確認を受けなければならないという第一項以下四項までは不必要ではないか、こういうことをあらためて伺つてみたいと思います。と申しますのは、この第八条によつて通商産業大臣確認を受けた工場でなければ製造してはならないということを法律できめてあるのでありますから、その製造設備検査を受けて合格した工場でない工場統制時代言葉で申しますならば、一種やみ工場で——簡単なやみ商売ができるような品物ならば別でありますが、飛行機というような五百万ピースから七、八百万というピースを寄せ集めてつくるという複雑な装置で、非常に値段の高いものをつくる、こういうことが一種やみ工場みたいな、通商産業大臣から確認を受けてない工場でつくり得ることがあると思われるのでありましようか。この点についてお伺い申し上げてみたいのであります。
  14. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 生産証明をするという規定は、今のあなたのお言葉のように、飛行機製造というものは非常に複雑しており、重要であるので、通産省としては、いろいろ検討しましたけれども、こういう制度をやるべきであるという結論に達したのであります。
  15. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 そこで御答弁のようでありますならば、あとの問題にも関係がありますから、私の考えておりますことを一応御参考までに申し上げて、それから御質問申し上げたいと思いますことは、すでに御承知のはずであることは万々承知いたしておりますが、この航空機製造法案の第八条並びに第十条、第十二条、第十三条、第十五条、第十六条等、これは私どもから考えますと、全然不必要な各条であるのではないかと思われるのであります。特にこのことを申し上げますのは、この問題については、きのうもしばしば繰返して申したのでありますが、私ども通産省とか運輸省とかいう立場でなくて、いわゆる航空行政がいかにあるべきかという公正な立場から議論をいたしておることをきのうも再々申し上げたのでありますが、そのつもりで申し上げておりますから、どうかひとつ天空海潮なお気持で率直にお答え願いたいと思います。  今申しましたことは、なぜそういうことを申しますかというと、航空法の第三章、航空機安全性という第十条以下第二十一条までにおきまして、耐空証明型式証明耐空証明有効期間耐空証明の失効、修理改造検査予備品証明発動機等整備航空機整備または改造指定無線通信機器、命令への委任等におきまして、でき上つた航空機または修理整備した航空機については、絶対に守らなければならない規定となつておるところの、国際民間航空条約中心として定められてある安全性を確保するため、耐空証明をすることになつておりまして、この耐空証明のための厳重な検査試験飛行等を行うのであります。また発動機、プロペラ、無線通信機器等につきましても、航空庁長官検査による合格の結果をまたなければ、これを使えない、こういうことに相なつておるのであります。そういたしますと、航空機製造法第八条が不必要であることは、昨日も質問を申し上げ、また詳細なる御答弁伺つたのでありますが、あらためてただいま申し上げた、航空法第三章航空機安全性の第十条以下第二十一条までの規定によりまして、航空機製造法第八条、第十条、第十二条、第十三条、すなわち製造確認修理確認製造証明、使用の制限等は、全然航空法に定めたところのものと重複をいたすものでありまして、これは不必要なものだ、こう思うのでありますが、この点についての御見解を承りたいのであります。
  16. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 航空機生産通産省所管であります以上は、航空機工場ででき上りまして、その耐空証明はむろん運輸省でやるのでありますが、通産省としては、各種検査をして、製造が完全にでき上つたというために生産証明をつけることにしておるのであります。また将来日本工場航空機をつくりまして、国内で使用しない場合もできて来ると思うのであります。そういう点を考えても、生産通産省所管である限りは、こういう証明をつける方がよろしいと考えるのであります。
  17. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 ただいまの御答弁の中に、いわゆる通産省航空機製造に関する行政を行つておる、そこでこういう航空機が完全にでき上つた、こういうことを証明する必要があるという御答弁の、前段の方の一点であります。これはさつき申し上げましたように、でき上つた航空機を使う場合におきましては、その耐空証明をなすために十分な検査運輸大臣の方においてなし、特に試験飛行等をなし、そうして耐空証明を出すのでありますから、完全にでき上つたというその証明を必要としない。ということは、いわゆる生産施設におきまして、そういう飛行機をつくるにはどういう施設が必要であるか、どういう方法が必要であるかという、工場の管理に対する証明または生産技術に関する検査等規定が、十分にできておるのでありますから、そこでなければつくれない航空機であります。そこでつくつた航空機については、さつき申し上げましたように、運輸大臣責任において厳重な検査が行われるのでありますから、これに対しまして、通産省が完全にでき上つたという証明をされることは、いわゆる重複をいたすということのほかに、耐空証明安全性についての責任の帰一点というものが、一体運輸大臣にあるのか、通産大臣にあるのかわからない、こういうことになつてしまうおそれがあるから、これを申しておるのであります。これが一つ。  それからあとからの第二点の方の御答弁は、日本航空機工場でつくつた飛行機であつても、日本で使わないで、外国にこれを輸出して、外国で使う場合もある、こういうことでありますが、おそらくこれは、外国に輸出する場合といえども、やはり運輸大臣責任においてその耐空証明なり、あるいは安全性検査というものはなさるべきである、こう思うのでありますが、この二点につきまして、重ねて大臣の御答弁並びに機械局長の御答弁を伺いたいのであります。
  18. 佐枝新一

    佐枝政府委員 ただいまの御質問お答え申し上げます。なるほど運輸省におかれましては、耐空証明を行うための検査をおやりになりますが、これはもちろん製造過程にも及ぶわけであります。しかしこれは、そこまで申し上げると僭越かと思いますが、主としては実際に航空機を飛ばして、その耐空性を検査される、こういうことでありまして、通産省のいたしまする検査なりあるいは製造確認というものは、お話の通り第六条で生産設備等についての検査をやるわけでございますが、その通りに行われておるかどうかということを確認いたしまして、確認のための必要な検査を行う、こういう関係になつてつて、決して不必要なものではないと思います。なお航空機を輸出する場合の問題は、その場合耐空証明が必要であるかどうか、私の方もわからないのでありますが、通産省といたしましては、輸出されるものにつきましても、同じように製造確認をいたすつもりであります。
  19. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 そこでさつき私が冒頭において大臣に御質問申し上げた、いわゆる経済自由主義の考え方によつておもな行政に当つておるかどうか、こういうことが問題になるのであります。一方においては、運輸大臣の方に責任がある検査及び証明というものをなすのだが、その前提として、通産省もまたそれに似たような、むろんその一部でありましようが、こういう検査及び証明をなされるということは重複することであつて、旧時代統制時代においてはさようなことが行われたし、また行われなければならぬが、今日の自由主義経済思想やり方においては、さような複雑なやり方をやるということは民間航空機製造業者に対しましても、煩瑣な手数をかけ、一方においてまた別の経費を要させる、こういうことに相なるから、私はこれを言つておるのであります。特に申し添えますことは、この検査につきましては、昨日政務次官とも質疑を重ねたのでありますが、去る四月二十六日の閣議において決定せられました事項の第三におきまして、生産過程における検査については、イ、生産技術検査通産大臣所管とし、口、安全性検査運輸大臣所管とする、このいわゆる生産技術検査というものはどういうものかということを、きのう本間政務次官にも御質問申し上げ、過日は本委員会において、この問題に責任をもつてタッチせられた野田行政管理庁長官にも御出席願つて質問を申し上げてみたのであります。これはいわゆるどういう工場ができておるか、どういう設備のものがあるか、どういう航空機をつくらせるのか、そういうことに対するところの検査であつて安全性に関する事柄通産省の役人といえども、ことごとく運輸大臣指揮監督をすることができる、こういう答弁をいただいておるのであります。その速記録はありますけれども、読み上げる煩を避けます。でありますから、さつき申し上げますように、このいわゆる航空機製造法の第八条、第十条、第十二条、第十三条は、このことにマッチしておるかどうか、背反しておるのではないか、こういう質問を申し上げておるのであります。重ねて御答弁を伺いたい。
  20. 本間俊一

    本間政府委員 私からお答えを申し上げたいと思います。航空法によりまして、安全性基準がつくられまして、航空機の安全の上から、運輸大臣がそれぞれ検査をせられるわけでございますが、これは航空機運航いたしますべき安全上の最低基準とも申すべきものであろうかと思うのであります。それに反しまして、通産省技術上のいろいろな基準決定いたすわけでございますが、これは御指摘にもありましたように、まず飛行機生産いたします工場設備製造方法というようなものにつきまして検査をいたしまして、それから飛行機の製作にとりかかるわけでございます。その飛行機が、検査を受けました設備及び方法、すなわち製造工程を経て、通産省決定をいたしました技術士基準に合つてつくられておるかどうかということを検査をいたすわけであります。そうしませんと、生産を担当いたします通産省は、良質良性能、しかも均一な生産を確保して、航空生産技術を向上して参りたいという考えを持つておりますから、おのずからその性格が観念的にも違うのじやないかと思いますが、御説のように、実際の問題に入りまする場合には、通産省決定をいたしておりまする技術上の基準なり、あるいは生産工程を経てつくられれば、それだけ製品が信頼性の持てるいいものができるということに相なるわけでございますから、両々相まつて航空機の要求せられる性格でありまする安全が確保せられるものと、こういうふうに考えておる次第でございますから、航空機性格に基きまして、これは当然やるべきものと考えておる次第でございます。
  21. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 大体昨日もほぼ同様の御答弁伺つたのでありますが、御答弁になりましたような、これ以上の、でき得るだけりつぱな航空機をつくらせる、いわゆる航空事業航空機製造技術発達をはかるということにつきましては、でき上つた航空機または部品等製造確認であるとか、あるいは安全性検査に混同するような検査をなすとかいうようなやり方でなくて、助長政策と申しますか、ただいま御答弁なつたような目的を達するためには他にその方法がなければならぬ、こう思うので、その点につきましては最後にこの航空機製造法目的並びに昨日伺いましたこの法案の説明の中にあるところの具体的な問題をもつて質問申し上げたいと存じますので、今の質問はこの程度でおきまして、関連をいたしまして次に移ります。  次に航空機製造法第十五条第十六条は、航空工場検査官及び航空工場検査員規定であります。ところが昨日から御質問申し上げておりますように、航空機に関する限りは通産省の方では航空機製造工場及び生産技術及び生産方法等に関しての行政所管せられるのでありますから、航空機の安全に関するような検査確認等に関する事柄は不必要だ、こう思うのであります。でありますからこの第五章の第十五条第十六条の検査官及び検査員に関する制度は存在の理由がない、こう思われるのであります。もしまたどうしても先ほど御答弁の御趣旨の中にもありましたように、できるだけ正確なりつぱな航空機をつくらせるために検査官制度を置かなければならない、これを必要とする、こういうのでありますならば、安全検査運輸省航空庁所管なのでありますから、運輸大臣は通商産業省の職員といえども指揮監督することができることになつておるのでありますから、検査官及び検査員に関する制度はむしろ航空法の中に規定すべきものである、こういうふうに思われるのでありますが、この点についての御所見を承りたい。
  22. 本間俊一

    本間政府委員 お答えを申し上げたいと存じます。先ほども申し上げましたように、航空機性格に基きまして良質良性能のものをどうしてもつくらなければならぬわけでございますから、その航空機がどういう製造工程を経てどういう検査方法を経てつくられたかということを確認をいたしまして、それをありのままに記載をいたしましたものが確認書でございます。従いまして航空機の基本的な性格にかんがみましてもこれは絶対必要なりと私どもは考えるのであります。御承知のように原則といたしまして生産通産省が担当をいたすわけでございますから、工場とは実際に非常な密接な関係に立つわけでございます。従いまして御説のように工場に対しまして二重監督のいろいろな問題からそういう問題の起らないようにいたしまするためには、生産を担当いたしておりまする通産省職員に、ただいま申し上げましたような製造工程すなわち検査方法がどのようなふうに行われておるかということを確認させる。従いまして御指摘のように航空機は安全を非常にとうとぶのでございますから、その建前上運輸大臣工場にタッチをいたしておりまする通産省職員を使いまして、安全上の検査をすることが最も実情に適するものと考えております。
  23. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 大臣が本会議の方に御出席にならなければならないそうでありますから、大臣に対する質問あと二つくらい簡単にしておきたいと思います。この問題に関しましては御答弁がありましたが、しかし重大な問題でありますから重ねてはつきりいたしておきたいと思いますのは、過日当委員会にこの問題にタツチせられた行政管理庁長官野田国務大臣においでを願つたときの答弁速記録であります。「安全性検査は、これは製造過程においてなされるのでありまして、製造過程において検査される場合においては、安全性という点から疑問のある点は十分チエツクされなければならぬ、これは運輸大臣所管にした私たちの主たる目的なんであります。そういうところを見ずに、通産大臣まかせにするということを主にしているのではないのであります。」こういうふうに御答弁になつております。そうしてさつき私が御質問申し上げた趣旨のことを一応肯定なさつておる、でありますからこれをつくるときの当初において責任のあられる方から御答弁なさつている、そこで私は念のためくどいようでありますが重ねてこの点御質問申し上げたわけであります。今のその点はあとの他の委員からも御質問があると思いますが、大臣はお忙しいことながらどうしても大臣にお伺い申し上げておかなければならない点を一、二質疑いたします。  この航空機製造法第一章の目的であるところの第一条、「この法律は、航空機及び航空機用機器生産技術の向上を図ることにより、これらの性能を確保し、あわせて航空機工業の健全な発達に資することを目的とする。」すなわちこの法律航空機工業の健全な発達に資することを目的にするということがこれは大眼目のようでありますが、この法案の第一条から最後まで見てみまして、この航空機工業の健全な発達に資するという積極的に何らの規定方法も立てられてないのであります。従いましてこの目的から見るときは、この全体の航空機製造法案というものはこれはほとんど目的に沿わないものだ、こういうような感じを持つのでありますが、この点について大臣の御所見伺つておきたいと思うのであります。
  24. 本間俊一

    本間政府委員 お答え申し上げます。御説はごもつともだと思います。御承知のように航空機工業は非常に厖大な資金設備とを要するのでありますから、従いまして設備におきましても資金におきましても相当巨大なものを必要とするわけでございます。でございますが、何しろ終戦当時御承知のような関係日本航空機工業は解体をせられているわけでございまして、今いろいろな業界に意欲はございまするけれども、今すぐただちに生産に入るという段階には来ておらないわけでございます。その点は御了解いただけることと思います。従いましてさしあたり考えておりますることは、航空事業設備に要しまするいろいろな機械などは相当輸入をしなければならぬと思いますが、これらの輸入機械に対しましては免税の処置をとりたいというように考えているわけであります。それからそのほかに税法のいろいろな特権がございますが、それらの脱法に基きましてこれらの特権をできるだけ活用をいたして参りたい。そういうふうに処置をいたしたいと考えております。  それから御承知のように七年間の空白状態がございましたので、技術の上におきましても非常な立遅れになつておりまするので、鉱工業試験補助金及び工業化試験補助金というのを通産省が出しておりますが、その中で本年度飛行機工業の役に立つ試験補助金及び工業化試験補助金をただいま検討中でございまして、出して参りたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  25. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 ただいまの御答弁の中のあとの方にありますいろいろの御構想、御努力に対しましてはこれを多とするのでありますが、御答弁の前の方の段階におきまして、今ただちに航空機についての助長発達等をはかるような、いわゆる航空機工業というようなものが今ただちにでき上つておるのでもないし、今すぐできるのでもないから、そこで今ただちにこれの助長発達をなす等の方法がこの航空機法の中に定まつてないわけでありますが、法律をつくります以上、今ただちにこれを適用いたしますか、三年後、十年後の将来に適用いたしますか、法律の中にはその法律目的がはつきり出ておらなければならぬ、こういうふうに私どもは考えるのであります。その点から考えてみまして、ただいま御答弁になりましたように、今その段階でないからといつても、法律をつくります以上は、法律の中にその目的をはつきりつけておかなければならぬ。ところが、さつきも申し上げましたように、ただいま御答弁なつたような助長発達に対する御構想をもう少し大きくし、または具体的にしたような条項はこの法案の中に盛られていないで、ただ届出がどうであるとか、あるいは設備検査がどうであるとか、あるいは確認がどうであるとか、こういうところに終始せられまして、運輸省所管の、いわゆる安全性検査に紛淆するような事柄が非常に多く出ておつて、今申しましたような法律目的に沿うところのものが見当らない、こういう点を心配いたしまして、一体こういう点について大臣はどうお考えになつておるか、御所見伺つておるのであります。大臣からひとつこの点についての御意見を伺いたい。
  26. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 政務次官から答弁をした通りであります。なお実際やつてみましてそういう段階に参りますれば、お言葉の点なども研究をして修正をして行きたいと存じます。
  27. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 まことに率直な御答弁で、気持よくこれを伺えますが、そういう段階でありますれば、この航空機製造法というものを急いでつくらずに、これは航空法の方にまかしておいて、適当に案を練つて、それから航空機製造法をつくる、こういうことの方が完璧な、まことにりつぱなものができ上るように思うのでありますが、その点についてはいかがでありますか。
  28. 本間俊一

    本間政府委員 御承知のように、三月の八日に兵器、航空機製造が再開をせられたわけでございまするし、御承知のような経過をたどりまして独立をいたしたわけでございまして、民間の様子を見ておりますと、いろいろな人々が通産省の方にも相談に参つておられるのであります。従いまして、滑空機などはもちろんそうでありますが、軽飛行機でありますとか、ヘリコプターでありますとか、その他民間機の製造事業及び修理事業はすでに再開の機運が相当に濃厚になつて来ております。特に部品等につきましては、本格的な生産に入ろうというような計画も参つておるような次第であります。従いまして航空法が出発をいたしますと同時に、この製造法案をきめておきまして、こういう機運に応じましてできるだけの助成指導をして参りたい、こういうふうに考えるわけであります。
  29. 滿尾君亮

    滿尾委員 製造法の第一条が質問の対象になつておりまするから、関連して一言お尋ね申し上げたいと思います。  私はこの第一条を読みまして、「航空機用機器生産技術の向上を図ることにより、」というところを非常に重く読むのでありますが、これがこの法律目的じやないかと思いますが、生産技術の向上をはかることによつて健全な発達をもたらすのだ、しからば大臣生産技術の向上をはかるいかなる政策をこの法律の背後に用意しておられるか。ただいま政務次官からのお話によりますと、税金を免除してやつたり、試験の補助金を少しやるとか、あるいはそういう主として金融上の操作についての御考慮を現になすつておられるようでありますが、これも私もとより必要だと思う。ただいま同僚尾崎委員からのお話がありました通り、この法律を読んで驚くべきことは、ほとんど何らの助長行政は入つておらない。すべてこれをチエツクする方向のことが盛つてありますから、どうも法律第一条の目的がからまわりをしておるようなきらいがある。そこで第一段の問題は、わが国の航空機製造発達を期するためには、どうしても生産技術を向上せしめる。その技術を向上せしめるについてのそれぞれの御用意がなくてはならぬと思うのでありますが、その点について大臣の御構想を伺いたい。
  30. 本間俊一

    本間政府委員 私からお答えいたしたいと思います。御指摘に相なりました第一条は「航空機及び航空機用機器生産技術の向上を図ることにより、これらの性能を確保し、あわせて航空機工業の健全な発達に資することを目的とする。」とありまして、御指摘になりましたように、飛行機工業は異常な数に上りまする総合的な機械工業でございまするから、日本でそういつたようなものも漸次進歩して行くというようなことがもちろん前提条件に相なろうと思うのであります。そうしてまた、そういう前提条件が漸次拡充をせられることによりまして、航空機の安全もより確実なものになる、こういうふうに私どもは考えるわけでございます。  従いまして素材の面におきましても、また部品メーカーの技術におきましても、今のところ、いろいろ御相談に参られる人のお話を伺つてみますると、資本の提携でありますとか、あるいは技術の提携でありますとかいつたような話も大分出ているようでございまするから、遅れております日本航空機工業でございますから、技術の面におきましても、外国技術をできるだけとり入れまして、この七年間の空白をできるだけ早い期間に追いついて行くようなふうに全般的な指導をいたさなければならぬと考えておる次第でございます。
  31. 滿尾君亮

    滿尾委員 外国技術を相当とり入れたいという御構想も、それは非常に結構だと思う。しかしこの法律をお出しになる以上、通産大臣として、わが国の飛行機生産技術の向上に対して具体的な御用意がなくてはならぬ。少くとも航空機研究所というようなものをお設けになるか、あるいは現に持つておられる工業試験所の中に大きな部門を占めるように航空機の部門を拡充する用意があるとか、もちろんお話のありましたように、航空機製造事業というものが、わが国の一般工業水準の反映であることについては論議はない。しかしそれはすべての製造事業についてそう言えるわけなのでありまして、それは船をつくるにしても、自動車をつくるにしても、いかなる場合でも、わが国の素材工業までやつて船をつくる人はおらぬし、スチールから自動車をつくるわけにはいかぬ。従つてその点はお互いに論議するのはむだなことです。一般工業水準が上らなければものがよくならない。その基礎の上に立つてさらに航空機という具体的な形態をとる製造技術を、どういう過程をとつて進歩するように努力せられるか、その点を伺いたい。外国との提携というだけでは——外国技術はぜひ率直に入れねばならぬけれども、少くとも製造を助長する法律まで出して御関心をお持ちになつておるのでありますから、通産省の部門として、少くともその面についての御用意があろうかと私は考えるのでありますが、その点はどういうことになつておりましようか。
  32. 本間俊一

    本間政府委員 御指摘になりましたように、もちろん航空学と申しますか、そういつたような方面の発達もぜひとも必要な認定条件と存じますので、御指摘がありましたように、研究所につきましてもただいまいろいろ研究をいたしておるわけでございまするし、工業技術庁はさつそくその方面の研究に着手をするようにただいま準備をいたしておるような次第でございます。
  33. 滿尾君亮

    滿尾委員 私は思いますのに、交通機関の技術的な進歩というのは、使う者の立場と最も密接な関連がなくては困るので——もちろん航空機製造に関する基礎理論の発達というものも非常に大事でありますが、結局はそれは、学問上の功績と申しますよりも、具体的に日々使われる品物でありますから、使う者の立場というものが最も大きな要素をなすのであります。そこでわが国の航空技術に関する陣営というものは、一面におきまして、今お話のありましたような通産省の工業試験所等にその陣営が生れ、あるいは航空庁はこれが仕事でありますからその方面において研究をし、技術関係の人の中で二つの陣営に割れまして、ばらばらな行動をするようなことになりますると、これは非常に惜しい現象が起る。これはどうしてもわが国の航空機生産に関する技術関係の人たちが打つて一丸となるようなくふうをして行かなければ非常にまずいと思うのでありますが、それらの面につきましてはどういうような御構想をお持ちになつておりますか。
  34. 本間俊一

    本間政府委員 御指摘のありましたような点ももちろん大いに尊重して行かなければならぬと思いますが、御承知のように、実際問題として私どもが考えて参りまする場合には、文部省が御承知のような研究所制をやりまして、いろいろな学問的な方面に対して全力をあげており、また通産省は御承知のように、工業技術の工業化の方面に対しまして研究費を出しております。また運輸省運輸省所管をいたしておりますいろいろな方面へ研究費を出しておる。これは御構想からいいますと、総合的に行けばいいのでございますが、実際問題といたしますると、予算の関係その他がございまして、わかれておりましても、それがまたいろいろな刺激になりまして、両々相まちまして相当な効果を上げて行くのじやないかと思いまするので、御説のような点ももちろん尊重して参りたいとは思いまするけれども、ただいま申し上げたような実際の面も十分考慮をいたしまして処置をして参りたいと考える次第でございます。
  35. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 大臣はお急ぎのようでありますから、あともう一問で大臣に対する質問を終りたいと思います。さきに滿尾委員からの関連質問が出ます前に質問をいたして参りました、いわゆる航空機製造法目的にかなつた条項というものがこの法案の中に一つもないということを指摘いたしたのでありましたが、このことを裏づけるものは、通産大臣の御説明として、かわつて本間政務次官から御説明になりました航空機製造法案提案理由の説明の中におきましても、このことをはつきり裏書されておるようであります。すなわち前段の方に一通りの御説明をなさつて、そのあとに、簡単でありますから読上げてみますが、「以下この法律案の内容の大略を申し述べます。第一に、航空機及び発動機、プロペラ等の製造または修理の事業につきましては、届出制度をとり、再建しようとするこの工業の実態を常に把握いたしたいと思います。」届出制度によつてこの実態を把握いたしたいというのが第一点であります。「第二に、航空機工業は、最高度の技術及び高性能設備を必要といたしますので、製造または修理設備及び方法について一定の技術上の基準を設けてこれを検査し、この検査に合格した設備及び方法により製造または修理を行わせることといたしました。」すなわちこのところでは検査、その検査も繰返し質問申し上げましたような安全性検査に対する検査ではなくして、製造または修理設備及び方法について一定の技術上の基準を設けてこれを検査するとはつきりわけてあります。これが第二。「第三に、航空機及び発動機、プロペラ等の製造または修理を行つた場合には、検査に合格した設備及び方法によつて行われたものであることを通商産業大臣確認または証明いたす制度を設けました。これは製品の良好な品質及び高度の性能を確保するための措置であります。」昨日以来繰返しこれは必要ないじやないかと御質問を申し上げているものに当てはまることでありますが、ともかくこれが第三。「第四に、確認または証明のための検査につきましては、事務の簡素化及び迅速化をはかるため、原則として民間の専門家に委任いたすこととし、重要部分についてのみ国の検査官検査することといたしました。」これが第四でありまして、これで全部を言い尽しているわけであります。そうしますと元にもどりますが、航空法第一条に規定してあり、かつまた昨日来御答弁になつているような、いわゆる航空機工業の助長発達をはかるということにそぐわない法律である、こういうことになるようでありますが、この点について通産大臣はどういうふうにお考えになりますか、重ねてお伺いいたします。
  36. 本間俊一

    本間政府委員 実は先ほども申し上げましたように、航空機性格に基きまして、安全の上の検査と、先ほど申し述べました製造工程及び検査方法規定基準通りつているかどうかということ、この技術上の検査と相まちまして航空機の安全を確保することができる、こういうように考えておるわけでございますから、一つも紛淆はないと考えます。両々相まちまして、しかも同じ検査官製造工程についても検査して行くわけでありますから、その運用によりまして御指摘になつておりますような航空機の安全が保持されるというふうに私どもは考えております。
  37. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 ただいまの御答弁は、いわゆる航空法との間に紛淆はない、なるべくうまくやりたいという趣旨の御答弁でありますが、私がただいま御質問申し上げておりますることは、いわゆる航空機製造法目的にかなわない法律だ、目的というものに現わしてあるような条項が条文のうちのどこにも現われていないということを言つておるのであります。大臣はお忙しいようでありますからこの辺でおきますが、いずれにしても、こういうようなことでありますから、この目的にかなうようにもう一度練り直して——ということは決して皮肉ではありません。航空事業というものは非常に大事なことでありますし、目のあたりもく星号の遭難等を見まして私どもは戦慄を禁じ得ないのです。でありますから、どうか虚心坦懐に、十年後百年後に悔を残さないように、よく目的に沿うた法律をおつくり願いたい、その方針でやつていただきたい。その空白状態の間におけるやり方というものは、いわゆる航空法の中に規定してあるところによつてけつこうやつて行くことができると思います。また政令等によつて若干の組合せもできると思う、こういうことを考えておるのでありますが、この点について通産大臣より虚心坦懐なお気持での御所見を伺いたい。
  38. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 遺憾ながら御意見に賛成ができないのであります。航空機製造は目前に迫つておりますから、とりあえずこの航空機製造法案だけはぜひ成立させておかなければいかぬと思います。
  39. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 大臣に対する質問はお時間の都合があるそうでありますからこれでおきますが、そこで昨日この航空法並びに航空機製造法の両法案に目を届けていただいたであろうと思われる法制局の方に、ここにおいでを願うように頼んでおきましたが、おいでになつておりますか。——それではその質問あとにいたしまして、同僚議員から大臣質問いたします。
  40. 中村純一

    中村委員長 岡田五郎君。
  41. 岡田五郎

    ○岡田(五)委員 ちようど運輸大臣通産大臣、両大臣お忙しいところおいでをいただいておりますので、ごく簡単に二つだけ両大臣にお尋ね申し上げたいのです。これは昨日朝日新聞でございますか、「航空会社は名ばかり」という記事で、航空機会社に関する記事が出ておるのであります。この第一段はむしろ運輸大臣所管の事項だと思うのでありますが、航空法の施行が非常に遅れた、航空解禁になつたにもかかわらず、航空法が出ない。であるがために国内有力関係者が航空会社を設立したいといつて、希望を持つておるのがすでに二十数社になつておる。また飛行機を持ちたいというものも相当たくさんあるにかかわらず、航空法が実施されないがために、かような航空会社の設立また飛行機運航ということができないというような記事が出ておりますが、私たち日本国民といたしまして、講和条約発効直後にさつそく航空法が実施されまして、航空解禁が即日実施さるべきことを期待しておりましたが、不幸にいたしまして今日御承知のように延びておるのでありますが、はたして新聞記事のごとく、航空会社が二十数社もできようとしておるのかどうか、あるいはまた日本航空会社が国際的に進出しようとして、国際航空会社をこしらえようという記事も出ておるのでありますが、はたしてそういう事実があるかどうか、その事実を承りまして、私たちは航空法の国会審議を急ぎ、一日も早く航空法の成立、実施を希望するのでありますが、はたしてかような事実があるかどうかお知らせを願いたいのであります。
  42. 村上義一

    ○村上国務大臣 お答えいたします。まだ御指摘のように航空法が実施されませんから、正式に書面を受理することはできないのであります。また一方におきまして、この規模におきまして航空交通を主とする会社もありますし、また航空事業を眼目としておる会社の計画もあるようであります。種類はいろいろありまするが、大体非公式に聞いておりまするところでは二十社程度であります。
  43. 岡田五郎

    ○岡田(五)委員 われわれは終戦後七年間、最近の最も文化的な近代的なこの航空が自由になることを希望し、期待しておりました。幸いにいたしまして、講和条約発効とともに、航空機製造事業のみならず、航空会社の世界的な進出、もちろん国内的な、自由な活動ということが許されたにかかわらず、行政上のいろいろないざこざのために、三月初めにすでに草案ができたにもかかわらず、すでに六月に入らんとする現在において、目下国会において審議中であるという不幸な事実をかもしたことにつきましては、はなはだ遺憾に存ずる次第であります。かような過去のことを責めましてもどうかと思いますが、どうか政府当局におきましてはこの航空法の通過を、極力全精力をあげて御努力あらんことをここに質問にあわせまして、御希望を申し上げる次第であります。  次に通産大臣にお尋ね申し上げますが、この記事によりますると、英国、米国、スエーデン等の各国の飛行機貿易会社が東京及び横浜に十数社代理店を設けまして、てんやわんやと中古飛行機でございましようか、新しい飛行機でございましようか、日本輸入しようと思つてえらい競争を始めておるようであります。新聞の書き方は非常にセンセーシヨナルに書いてありますが、飛行機屋の御用聞きというようなものが、この秋ごろになると跳梁跋扈するであろうというような記事が出ておるのであります。この記事をずつと見ておりまして、また先ほど通産次官が言われました日本の終戦後の航空機生産工場の戦災及び機械器具の撤去、転用、その他の元の航空機会社の実情からして、この再起に相当時日を要する。こういう事実をもにらみ合せますと、日本航空会社における飛行機の製作は、これら外国飛行機輸入に抑圧せられまして、強力なる政府の財政的、金融的、技術的あるいはその他の補助がなければ、航空機工業は言うべくしてなかなか実現しないのではないか、おそらくグライダーとヘリコプター程度の一部の航空機と称する生産を微々として行う程度になるのではないか、こういうように私は考えるのでありますが、これら外国飛行機輸入について、新聞記事に現われているがごとき動きがあるかどうかということにつきまして、大臣がもし御承知になつておりますれば、ちようどよい機会でございますのでお話願いたいと思います。
  44. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 外国から飛行機輸入の準備競争云々という御質問でありますが、私はそういうことを聞いておりません。それは大して具体的のものでないと私は思います。ただ外国飛行機製造会社が日本工場を興したいというようなことは、具体的に私の方に話は聞いておりませんが、一、二耳にしております。
  45. 岡田五郎

    ○岡田(五)委員 通産大臣がおいでになりますので、ちよつとお尋ね申しますが、航空機製造事業法によりますと、航空機製造事業は届出でよいということになつているのであります。またこの法文のどこを見ましても、外国人または外国法人が航空機事業をやつてはいけないという規定はないのであります。外国人といえども外国法人といえども、いかなる人種の人といえども日本国内において航空機事業を始めようと思えば通産大臣に届け出ればできるように、この法文から見ますと考えるのであります。さように考えてよろしいかどうか。
  46. 佐枝新一

    佐枝政府委員 この法律では別段外国人がわが国において航空機製造をやつてはいけないという規定はございません。
  47. 岡田五郎

    ○岡田(五)委員 大臣にお尋ね申し上げたいのでありますが、これは古い考え方であつたかもしれませんが、たとえば鉱業権あるいはその他の重要な日本の基本産業に関しましては、外国人または外国法人の設立を認めない、また資本の持ち方もおのずから制限する、こういうことがあつたのであります。最近は大分思想がかわつて参りまして、比較的自由になつたようでありますが、航空機というものから行きまして、いろいろと今後の国際情勢の変化、その他の情勢から行きますと、航空機製造会社については、外国人、外国法人については制限を加えるという議論をする人もあるし、また制限を加えなくてもよいという議論もあると思うのでありますが、この問題について大臣はどうお考えになつておりますか、御意見のほどをお聞かせ願いたいと思います。
  48. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 飛行機製造工場のようなものを外国人に許すか許さないかにつきましては、いろいろ議論があります。これはよほど慎重に考えなくてはいけませんが、現在私が考えておりますのは、この法案ではそれは禁じておりませんけれども、それなれば外国人がただ届け出れば実際に生産工場ができるかというと、そうではないのです。外資委員会の方で問題にいたしますから、実際にはなかなかむずかしいと思います。簡単に私はこの問題は考えておるものではありません。
  49. 岡田五郎

    ○岡田(五)委員 大臣の私見をお聞きいたしまして恐縮に存じますが、なるほど外資委員会その他によりまして、かような方面から制限を加えようと思えば加えられるというお話で、私はごもつともだと考えるのでありますが、大臣はこの航空機会社に対して、外国法人なり外人の場合はどういうようにお考えになりますか。大臣の今の御答弁を聞いておりますと、いいのか悪いのか、どつちだかよくわからないのでありますが、はなはだ恐縮でございますが、御私見をお聞かせ願いたい。
  50. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 現在のところ、修繕という立場からいいましても、国内にこういう工場は必要なのです。私見としては、これが日本の資本で——技術は入れなければいけませんが、日本の資本で、日本の法人で、そういうものができることを希望するのであります。しかし実際面にあたつて、そこまで考えるのは少し考え過ぎかもしれませんが、日本の法人でそういう計画がなくて、外国資本の方でそういう計画があつたとしますれば、その内容をよく検討して、それを許すとか許さぬとかいうことに持つて行かなければいかぬのではないかと私は思つております。これは私見であります。
  51. 中村純一

    中村委員長 坪内君。
  52. 坪内八郎

    ○坪内委員 私は質問通告を昨日来しておりまして、きようも質問することにいたしておりますのですが、何か先ほど来同僚議員のお話によると、大臣は非常に急いでおられるということですが、大臣は何か都合があつて委員会に長くおられないのかどうか。それによつてわれわれは質問やり方をかえなくてはならぬし、これは重大な問題ですから、そのことを一応委員長にお尋ねしたい。大臣はすぐ出られますか。
  53. 中村純一

    中村委員長 時間の都合は相当つくそうであります。
  54. 坪内八郎

    ○坪内委員 それではひとつ能率的に、結論的に御質問申し上げたいと思います。通産大臣運輸大臣にお尋ねいたしますが、まずこの航空機製造法案につきましては、この法律があらゆる角度から検討、研究されて、国会に提案されたことは、よくわかつておりますが、この法案の一番大きな欠点は何かというと、将来の民間航空に対しての助成、育成の面が考慮を払われてないということが、大きな問題だと思うのであります。この航空機製造法につきましては、提案理由にもあります通り、講和発効後の日本民間航空界を円満に、しかも健全に、国際的な水準まで飛躍させるためには、ただ単なる所管庁あるいは一民間業者にこれをゆだねておつては発展しないということは、私が申すまでもないことであります。従つてアメリカの民間航空にいたしましても、その助成方法におきましては、その国の軍事、あるいは経済、あるいは政治というような問題に関連いたしまして、いろいろと助成、育成の方法をとつておる。従つて将来一つ航空機を購入いたすにいたしましても、これは国家がある程度強力なる政策をもつて育成して行かなければ、わが国の民間航空発達しない、かように考えておりますので、この点に考慮を払わないで、この航空機製造法を提案されたということにつきましては、これは少し考え方が違うのじやないか。この点につきましては、所管大臣を初め、大蔵大臣などにも関連があることでございますけれども、この点についてまず通産大臣の御意見を拝聴し、さらに運輸大臣の御意見を拝聴して、次の質問に移りたいと考えます。
  55. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 航空機発達のためには、相当の助成をする必要があるじやないかという御意見でございますが、私も同感であります。航空機製造に対しても、あるいは航空機そのものについても、そういう話は前からずいぶんあります。ただ今日ではまだ予算も伴つていない航空機製造法でありますので、それには触れておりません。将来はそういう点は十分研究したいと存じます。
  56. 村上義一

    ○村上国務大臣 ただいま御質問の点について申し上げたいと思いますが、御指摘のように、航空機というような総合工業、きわめて高度な技術を要する、しかも一貫した安全性を最大の目標として確保して行かなければならぬというような工業におきましては、政府はもちろんこれを助長、育成して行かなければならぬと深く信じておるのであります。今日までも、船舶生産につきましては、あるいはまた機関車、電車、客貨車等の鉄道車両工業につきましても、長年一貫した方針で助長行政を主としてとつてつて、今日に至つておる。幸いにして、両者とも世界の最高水準を行つておるということを申し上げてさしつかえないと思うのであります。特に航空機生産、またその部品の生産等につきましては、何分七年の間の空白時代もあつたことであります。一層必要を痛感いたしておるのであります。  しこうして今私にお尋ねになりましたから、申し上げるのでありますが、航空法は四月二十六日に、いろいろの紆余曲折を経まして、内閣裁定と申しますか、裁定案ができまして、これが認められたという結果を見ました。今国会の正規の会期の最終日に、国会の方にようやく提出することを得たような次第であります。その後航空機製造法案が、私にとつては突如として出たのであります。当時瞥見してみますと、製造確認の問題であるとか、あるいは製造証明、あるいは使用制限といつたような事項についての規定がありまして、ただいま申しました閣議裁定の線を若干越えているのではないかという疑いを当時持つたのであります。それからいま一つは、せつかく製造法をきめるならば、もう少し完璧を期することが必要じやないかというようなことも、その後において考えたのであります。その当時は、実は私初めてお目にかかつたのでありますが、本格的な製造事業はまだしばらく期間的に余裕があるのではないかという見通しを持つて、私としましては、しばらく本案を保留して、慎重に検討する期間を与えてほしいという希望を述べたのでありますが、これまた諸般の情勢上、決定をしまして、提案するに至つたという次第であります。とにかく本案を御審議くださいまして、通過し、施行せられたあかつきにおきましては、でき得る限り政府は本法律目的を達成し得るように努力をして行きたい、こう考えておる次第であります。
  57. 坪内八郎

    ○坪内委員 この航空機製造法の内容に、わが国の民間航空に関する補助育成の面が盛られてないという点について指摘いたしたのでありますが、両大臣からそれらについての心構えと申しましようか、方針のほどは承つたのでありますけれども、この問題は、具体的に検討いたしますと相当時間がかかりますので、この程度にいたしたいと思います。  ただいま運輸大臣からお話がございましたが、その中に私が御質問申し上げようと思つておつた点をお話になりましたので、その点についてもお尋ねいたしたいと思います。実は質問の順序をかえるわけでありますけれども、ただいまの大臣のお話によりますと、この航空機製造法案というものは、突如として大臣の手元に出された。もちろんこれが国会に提案される以上は、閣議で了解のもとに円満に決定を見て、そうして初めて国会に提案されたわけで、いろいろ順序なりそういつたことにつきましては、私ども十分承知いたしておるのであります。しかし運輸大臣が知らない間に、突如として現われた。想像するに、閣議決定の際には、不服のまま、泣きの涙でのんだようなかつこうに相なつたのではないか。しかもわれわれが目下当運輸委員会で審議いたしております航空法と相関連して、もし航空法が父であれば、航空機製造法は母であり、あるいは兄であり、弟であるという重大な関連があると思う。しかも航空法については、航空機全般の大局的な立場から、いろいろな基準もうたわれた。そういう関係にある重大な法律案であるにもかかわらず、突如としてこれが出されておる。しかもわれわれ運輸委員会に事前において何ら大臣から打合せもなくして——こういう関係で、いろいろ前からいきさつがあつた問題でありまして、両省の所管の争い、あるいは生産部門の担当面の関係、その他からいろいろ複雑な法案であつたので、われわれも十分承知いたしておりますけれども運輸大臣が突如としてこれを聞いて、そしてわれわれ運輸委員会に何らの御相談もなく、しかもその困難な審議を、われわれ委員会にあたかも責任を転嫁したようなかつこうになつておることは、まつたく遺憾なことである、かように考えておる次第であります。従つてこの法案の閣議決定に至るところのいきさつを運輸大臣からややお話がございましたけれども、そういう点につきましてはわれわれは遺憾に考えておる。従つてその点を運輸大臣責任を感じられないかどうか、しかたなくこういうふうになつたとお考えになつておるのかどうか、その点をもう一度お尋ねしておきたいと考えております。
  58. 村上義一

    ○村上国務大臣 ただいま御指摘なつた突如として云々という点でありますが、実は閣議の前日に私は承知いたしたのであります。前日の夕方承知いたしましたので、実は突如としてという言葉を用いたのであります。しかし閣議でも十分発言の機会は与えられておるという次第であります。それで先刻申しましたような趣旨で、自分も疑義を持つものでありますがゆえに、しばらく保留して、慎重に審議をしたいという希望を述べたのであります。しかし閣議といえども、常に完全に一致して処理せられる問題もありますし、また一部の少数意見のある場合もあるのであります。閣議の内容を申し上げることは遠慮申したいと思いますが、やはり全体の多数意見と申しますか、全体の空気によつて、円満に進むということがもちろん必要なのであります。そういう趣旨のことを先刻申したのであります。ただ政府としましては、航空法についてもそうでありますが、またこの法律の直接の運用は通産省において運用せられるのでありますが、関連して運輸省においても無関係とは言えない。本法並びに航空法の今後の運用につきましては、両省の当事者が緊密な協力をして進まなければならぬと考えておる次第であります。また緊密な協力をして処理して行くならば、将来航空事業及び航空機事業の発展に寄与できると考えておる次第であります。
  59. 坪内八郎

    ○坪内委員 その点のことにつきましては、また運輸委員会でお尋ねする機会もあろうと思いますので、その程度で了承いたすことにいたします。     〔発言する者あり〕
  60. 中村純一

    中村委員長 お静かに願います。発言中であります。
  61. 坪内八郎

    ○坪内委員 そこで通産大臣にお尋ねいたしますが、これは簡単でけつこうであります。この法案を国会に提案されたのでございますから、すみやかに慎重審議されて国会通過を望んでおられることはよくわかるのでありますが、国会で審議をしてもらつて、この法案をいつごろ通すようなお考えであるか、その点をちよつとお伺いしておきたいと思います。
  62. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 私としては本法案が一日も早く通過することを熱望しております。なお一言つけ加えて申し上げますが、先刻運輸大臣が、航空機製造法を突如として云々というお言葉がありましたが、実は私も航空法の成案は閣議のときに、突如として拝見したわけなのであります。しかしこれは事務次官会議などにはいつごろからか、もう一箇月以上前に出まして、あそこで討論された問題でありますので、その方と運輸大臣との御連絡が悪かつたのであろうかと私は考えております。
  63. 坪内八郎

    ○坪内委員 両大臣の御言葉によりますと、運輸大臣航空機製造法が突如として出たと言い、通産大臣は、これまた航空法案が突如として出たと言い、まつたく奇怪千万な法律だと思う。しかし、その間におきまして、関係事務当局の責任者が、いろいろ一箇月にわたつて慎重審議をしておつた。検討を加えておつたということはわれわれも了承しておりますけれども、かかる重要なる法案を、最高責任者である両大臣にそれぞれの立場で連絡をとらないということは、これは責任重大だと思うのであります。この点につきましては、時間がないので、あとからまた適当な機会に御質問を申し上げることにいたしたいと思います。  そこで、想像の通り通産大臣は、一日も早くこの法案を通したいという御答弁をなさるだろうと思つたところが、その通りでございましたが、そういつた突如として現われた法案かどうかというと、特にこの航空機製造法におきましては、荒削りのままこれが出て来たというようなことが前後の事情から推して判別できます。そこでこの法案の附則の第三章、及び第四章の規定は、この施行にあたつては、九月一日だということに相なつておる。さらにまた、航空機の引渡しの制限を規定した第八条第四項、及び航空機引き渡し、使用の制限を規定した第三章の規定は、十一月一日からこれを施行することに相なつておる。こういうふうに相当、期間があるにもかかわらず、しかも、事務当局は何ら最高の責任者である大臣に連絡をするいとまもなきがごとく荒削りのままでこれを国会に提案して、しかもこれを施行するにあたつては、また数箇月の余裕があるという法律の内容になつておるにもかかわらず、こういういきさつでこれをすみやかに国会の通過をはかるということは、まことにもつて奇怪千万なやり方だと思うのでありますが、その点について私は通産大臣意見をお伺いいたしたい。
  64. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 突如云々という言葉で何か誤解があつたかと思いますが、私が突如と言いましたのは航空法であつて、この法案については私の所管でありますから、二箇月前から省内で検討し、私も承知しておるのであります。ところが、施行期日までまだ相当時日があるのであるから、今急いで通過させる必要がないのではないかという御意見のようでありますが、こういうものは業者の方へ、こういう方法で、こういう法律通産省で指導するのだということで、一日も早く知らす方がいいのであります。ことに九月には臨時国会がどうとかこうとかいうことは聞きますけれども、あるいはないのかもしれませんし、ぜひこの機会に通過せられるようにおとりはからいをお願いいたします。
  65. 坪内八郎

    ○坪内委員 そこでその点につきましては、まだ御質問申し上げるいろいろな点があるのでございますけれども、時間がないし、他の同僚委員との関係もございますので、両大臣にお尋ねしたいと思うのであります。この航空機製造法につきましては、どうもわれわれにもふに落ちない点が多々あるわけでありますけれども、この法案の内容を詳細に調べてみると、その底に流れているものは、いわゆる自由経済の取引の自由を拘束しておるというような関係がいろいろと現われておるのであります。従つて、あの基準を示している航空法に基いて、政令なり、あるいはそれらの規則、あるいは両省において政令をつくられる、それに基いて、あらゆる安全な運航のできるような関係に運んだら私はいいのではないかと思うのでありますけれども、この航空機製造法を見ますと、何かわが自由党なり、あるいはわが政府なりの関係において、自由経済を建前としているところの、政策に逆行するようなにおいと雰囲気があるように思います。これは自由経済に逆行することであり、さらにまた私どものかねて主張しておるところの統制経済をなるべく整理をして、自由に経済を助長させようというような理念にも、これは相反するものである。かように考えるのであります。たまたま両大臣はわが党の閣僚でありますけれども、そろつて緑風会の御出身でございますというような関係から、どうもそういつたわが党の主義政策に徹底していないのではないかというきらいがあるように思うのでありますが、通産省政務次官である本間政務次官は、かつてわが党の副幹事長として、わが党の主義政策には徹底しているわけでありますが、まつたくこの点について私は了解に苦しむのであります。この点につきまして、どういう見解を持つておられるのか、両大臣の御見解を承つておきたいと思います。
  66. 本間俊一

    本間政府委員 坪内委員の御質問お答えいたしたいと思いますが、生産を担当いたしまする通産省飛行機の特別の性格に顧みまして、この程度のことをやりますことは、何も経済自由主義に反するものとは私は考えておらないわけでございまして、しかもこの確認書と申しましても、先ほど申し上げましたように、この航空機がどういう経歴を持つておるかという——簡単に申しますれば、つくられました飛行機の経歴書をつけまして、御承知のごとく、この法案で取引そのものを禁止しておるというようなわけでないのでございまするから、飛行機の安全を保持しなければならないという基本的な性格に基きましてこの程度のことはしなければならぬというふうに考えておりまするから、自由党の経済政策に反するものとは私ども考えておらないわけであります。
  67. 村上義一

    ○村上国務大臣 大体先刻通産大臣がお話になりましたことと同じでありますが、私も自由党の政策は相当よく理解しておるつもりであります。また、私の考えとまつたく一致しておると思つております。原則としては自由主義に移行して行く。現在でも相当の分野において統制経済がまだ行われておる、できる限りすみやかに自由経済に移して行くべきだと考えておるのであります。ただ、例外が今日あるということだと思つております。
  68. 玉置信一

    ○玉置(信)委員 通商大臣にお尋ねいたしますが、私ども運輸委員会におきまして、航空法案の審議過程において、いろいろと質疑応答の中に、航空法に対する裏づけどもいうべき製造行政の面について非常に関心を持つて進んで来たのであります。たまたま今回製造法案通産委員会に出されまして、特に今日、こうして両委員会が合同審査をしなければならぬということに至つた。ところが先ほど来、各委員からの質疑応答の内容によつて明らかなごとく、航空法製造法とは二元的にこれがまたがつて行くというところに第一に安全性の確保ということと、さらに国際性を持つところのこの航空事業という点において、法律の全きを期せんがためにこうした質疑をかわしておることもこれまた先刻御承知通りであります。そこでこうした二元的に行政が運行されることによつていろいろの疑問を生じて来るのでありますが、私はこの場合通産省であるとか、あるいは運輸省てあるとかいうことを一応離れて、大所高所からながめまして、この航空製造行政は一元的に行つた方がいいのではないか。かように思うのでありますが、この大所高所からながめてこの行政をいかに考えるか。まず第一に通産大臣の御所見をお伺いして、質疑に入りたいと思います。
  69. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 私は遺憾ながら少し意見が違うのでありますが、当初から生産通産省所管すべきだ、航空運航というものは運輸省所管であるべきだ、これが私の意見であります。
  70. 玉置信一

    ○玉置(信)委員 ただいまの大臣答弁からいいますと、私は非常に疑義を持つておるのです。ということは、先ほどの坪内委員質問に対する御答弁で、この法案はあらかじめ関係事務当局で立案をしておつた。こういうお話でありますし、さらに尾崎委員質疑に対する答弁の内容に至りましては、ほとんど重要部門をはずされて政務次官によつて代行答弁が行われておる。この実情から見まして、私は通産大臣にはたして確信をもつてこの法律案を支持されたかどうかということを私は非常に疑問に思うのであります。そこでこの法案の立案にあたつての基本的な考えは、ただ単に大臣の言うごとく、製造部門は通産省によつてやつた方がいい、ただいいという、これだけのことによつてやられたのであるかどうか。もう少し理論的の根拠をお示し願いたいと思います。
  71. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 私は生産行政原則として一貫して通産省でやるべきだ、そういう信念を持つております。
  72. 玉置信一

    ○玉置(信)委員 生産行政の面において通産省所管するということは、これはあらゆる産業部門をながめて、私もそれに対しては異論はないのです。しかし先刻より特に尾崎委員が詳細にわたつて指摘されておりまする安全性の確保の面から見まして、私はただ単にこの資材であるとか、本案の説明にありますように、申すまでもなく航空機工場は資材、部品、装備品等多岐にわたる云々というこうした説明のみをもつてして、従来の関連的な通産行政によつてこれを行うということは、私は納得行かない。安全性を確保するということにつきましては、あくまでも一貫した行政でなくてはならぬと私は確信を持つておる。それはどこに一体理論的な根拠を持つかといいますと、すでに大臣も御承知のごとく、かつては第五、第六国会でありましたか、造船管理の面におきまして、通産省と農林省、すなわち水産庁との間におきまして、この所管争いが起つたこともあります。そこで漁業を営む漁船製造業者の方面から見ますと、一応船をつくるだけはもちろん運輸省にまかしてもよかろうが、しかし一定の型でなければだめだ、こういう自己の型式というか、やはり船にも型式があります。設計があります。この設計のみをもつてしてだけでは納得の行く漁船はつくられない。従つてその道の通りのいい、権威のある一貫したいわゆる漁船の構造からながめましてつくられた船を業者が使う場合において、さらにあらゆる検討を加えまして、真にこれが漁業に適するかどうかということをあらためてまた業者が試験をして使つておる現状なんです。その他漁業——あらゆる漁業がありまするが、時間の関係上省略いたしますが、すべての専門的な部面からながめて、製造から漁獲まで一貫した仕事をやらなければ、安心して仕事ができない。漁獲の面におきましても、あるいは船に人を乗せる人命の点におきましても、安心がならぬといつて、あの簡単なる漁船の点においてすらかような論議が非常にやかましく闘わされたのであります。いわんや飛行機におきましては、高度な安全性を確保しなければならぬということは、これはもう世界共通の観念であります。こうした点から見て、私は今日のこの製造業法に対する二元的な行政というものは、非常に私は不安である。これは何としても理論的に、ただいいのだ、あるいは資材の面を担当しておるからそれだけは分離していいのだという簡単なものではないと思うのですが、もう少し具体的な御意見を聞かしていただきたいと思います。
  73. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 私の信念は、生産面は通産省所管であるべきだという信念でありますが、ただいま漁船云々のお話がありましたが、これは船だとか、航空機に限らない。すべての機械にしても使用者が満足しなければ、それはいくら生産してもしようがないわけであります。漁船についても、運輸省所管の造船所でこれができて来て、少しもさしつかえなく漁船として役立つておるわけであります。生産面まで所管にしなければ航空安全性、耐空力証明による航空の安全を信ずることができないという意見はときどき聞きますけれども、しからばアメリカのダグラスなり何なり、アメリカの飛行機日本輸入しまして一国内で使用するときには航空庁でむろん耐空試験をして、納得の結果を得て許可されるのだろうと思うのですが、そういうものの生産についてはこの法案製造法に示しておるほど運輸省検査はできないのです。それでもりつぱに耐空証明ができるわけなんです。     〔委員長退席、黒澤委員長代理着席〕
  74. 玉置信一

    ○玉置(信)委員 私はただいまの大臣答弁はとても奇怪だと思います。今日の日本の置かれている現状は飛行機をつくつておらない。しかも今後精密なる飛行機をつくろうとするアメリカその他の先進国の技術発達したところから技術を取入れてやろうというので、今日そういう製造はまだ日本にはない。あれだけいいものであるから、安心して向うの耐空証明だけでこつちは使つている。あれより日本の方が現状においてまさつているとお考えになつているのかどうか。あなたは確信を持つて断言できるかどうか、一旦事故があつた場合は、しからば大臣は確信をもつて責任を負えるかどうか。まずその点をお伺いしたい。
  75. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 私はあなたの御質問が理解できないのです。日本航空技術がアメリカの技術に今日劣つていないという自信があるかとおつしやるが、それは当然ございません。現在航空機ができていないのです。しかしながら必ずしも生産工程検査をしなくても、耐空証明の試験というものは運輸省でりつぱにできる、そういうふうに考えております。
  76. 玉置信一

    ○玉置(信)委員 耐空証明はもちろんできるようになるが、その耐空証明を出すのに一貫してやつて、初めて安心のできる耐空証明ができるというところに今日の理論闘争の根拠があると思う。それがあるないということは、結局水かけ論に終るといえばそれまでなんですけれども、私の申し上げることはその点はおわかりでしようね。
  77. 本間俊一

    本間政府委員 私から……。もちろん玉置委員はよく御存じのことと思いますが、飛行機をつくります場合には、工場自身でも安全性を確保いたします場合に、型式承認をいたします場合でも、御承知のように試作をいたしまして、それから飛ばしてみまして、さらに分解をいたしまして、素材あるいは部品のいたみぐあいなどを十分に検討いたしまして、それから型式承認の行為があるわけであります。従つて需要者側を監督いたします運輸省の方で、型式承認の行為をいたされるわけでございますから、もちろん先ほど申し上げましたように、生産そのものの方にも関係をいたして参るわけでありますので、通産省の方の意見も徴されるわけであります。従いまして需要者側の要望と申しますか、需要者側の考え方というようなものは、やはり絶えず製造者の方へ流れて参りまして、いろいろな現実に即したくふうが行われるであろうと思うわけであります。  それから先ほど尾崎委員のお話にもありましたように、パーツが五万あるいは七万というような非常な数に上るわけでございますから、工場でも一々非常に精密な機械を使いまして、いろいろな検査をいたすわけでございます。従いましてつくりました者と、それを運転いたします者と、もちろん人が違うわけでございますから、今日の文明ではやはりそれらの技術者と申しますか、技術と申しますか、そういうものを信用いたさなければてんで問題にならぬわけでございますから、生産通産省が担当いたしましても、その検査をいたします人の資格あるいは基準、能力というようなものにつきましても、運輸大臣の方と十分協議をいたしまして、決定をいたすわけでございますので、御心配のような事態は起らぬのじやないかというふうに考えております。どうぞ御了承を賜わりたいと思います。
  78. 玉置信一

    ○玉置(信)委員 私はただいまの本間政務次官の御親切な御答弁で、大体内容はよくわかりましたが、ただ遺憾に思つているのは、二元的にわかれた閣議内容というものについて、私の確実なる筋から聞いておるところによりますと、通産大臣運輸大臣は、過去においても相当論争を闘わされた、顔を赤くして論議のつつぱり合いがあつたということを了承いたしておる。その主張がそれぞれの立場において、はたして今日のこの国際民間航空条約と並び合せ、あるいは国内の今日の民間航空を将来助長発達せしむべき段階において、この二元的行政がいいか悪いかということについて、はたして責任ある大臣が信念を持つて論議を尽されたかどうか。聞くところによりますと、けんか両成敗というような形で、両大臣の顔を立てて、まあまあこのところでひとつ妥協をしてもらいたいということで、この二元的な案ができたということを、私は確実な情報によつて聞き及んでおる。でありますから、それぞれ自信を持つておるからそこまで熱心に論議をされたことでありましようが、しかし先ほどの通産大臣の御答弁からいたしますと、表現の仕方によつて——あるいは私の聞き方も悪かつたかもしれませんが、どうも御答弁の内容から行きまして、また事務当局におまかせのようなことにも拝聴できます。また本間政務次官の御答弁を聞きますと、本間政務次官が主としておやりになつているようにも見えるのであります。どうもこの点私は通産省が——これは私が運輸委員会に所属しているから運輸省の方に肩を持つわけではありませんが、運輸委員会における深刻なる質疑応答に対して、大臣は先頭に立つて非常にこまかな答弁をし、事務当局もやつておるのです、政務次官大臣を代表してこういうような答弁をするということは、私今日初めて経験いたしたところでありまして、運輸委員会には実はそういうことはないのです。私は先ほど非常に疑問を持つてお伺いしたようなわけでありまして、これは表現の仕方がはなはだ失礼に当るかもしれませんが、私は大臣に率直に申し上げますが、実は疑念を抱く面がそこにあるわけです。今日まで二元的にやつた、そうでなくても、過去において官庁セクシヨナリズムというものがあつて、非常になわ張り争いをしておつたが、ここで機構改革によつてできたことが二元的な行政に非常に拍車をかけるのではないかということを私は心配いたしておる。かつて本間政務次官はわが党の副幹事長として機構改革あるいは政府のいろいろな施策の面において雄大なるまた綿密なる構想をいろいろと示されたこともありますが、そうした点からながめますと、今度の機構改革というものはいかにも改革せんがための改革である、なわ張り争いのための機構改革であるやに私にはどうしても思われてならぬ。でありますから、私が劈頭に御質問申し上げましたごとく、将来はどうしても一貫的、一元的な行政でなくちやならぬ。これはあながち運輸省に置くという絶対必要条件でもなかろう、将来はあるいはこの内閣に直属したものの外局として置いてもいいじやないか。ともあれ近き将来これを一元的な行政に復元する御意思はありませんかどうか、両大臣にお伺いしておきます。
  79. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 お言葉の中に、運輸大臣委員会での質問には卒先してその衝に当つておられる、私は政務次官にまかしておるというようなおしかりでありますが、これは運輸大臣と私とは考え方が違うので、私の頭が運輸大臣のように鋭敏でない、はなはだ恥じる次第でありますが、私は政務次官を非常に信頼しておりますので、この委員会だけでなくて、その他の委員会でも始終できるだけ政務次官に頼んでおるのです。しかし政務次官は私に隠して越権的にはからつて行くというような人でないということも知つておりますので、私安心し、信頼しておるわけなのです。  なおもう一つ言葉の中に、運輸大臣と私が閣議で顔を赤くして論争をやつた云々、しかもこれは確実な点から聞いたのだというようなことがありましたが、私は村上君とは古い友達で非常に仲がよく、いまだかつて顔を赤くして接したことはない、おそらく村上君もそう言われるだろうと思います。閣議でいろいろ意見の違つた点はありますけれども、私も村上君もにこにこと論争をしたので、あなたの確実だというお言葉は私はいかにも不思議に思う、村上君とはそういう仲じやないのです。
  80. 玉置信一

    ○玉置(信)委員 近き将来の見通しはどうですか。
  81. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 その御答弁は私はなはだ困るが、こういう結論を得て提案したのでありますから、今から修正することを期待して提案したのではないのでありまして、むろん将来これで行つてみて修正を要するというときになればそれは善処しなくちやいかぬ。これは運輸大臣も同じお考えだろうと思います。
  82. 村上義一

    ○村上国務大臣 ただいま閣議で顔を赤くして云々というお話があつたのでありますが、高橋通産大臣からそういうことはないというお話、これはまつたくそうであります。私の意見はときには他の大臣と齟齬を来す場合もありますけれども、この年になつてまつ赤になつて争うというのは年がいもない話である。特に高橋大臣とは以前からお互いに胸襟を開いて話合つている間柄でありまして、ただ運輸大臣立場から運輸大臣の村上としまして交通機関のあり方ということから自分の意見は生れて出て来ております。将来についてどうかというお話でありますが、将来の見通しはちよつと今のところ私つきかねております。けれどもこうあるべきだという信念はいささかもかわつておりません。しかし先刻もお話がありました通り、緑風会に籍を置いている二人の大臣が今お互いに異なつ意見を主張している、あるいはまたあなた方と通産省政務次官と同じ党に籍を置かれる方々で、お互いに話をしておられる。これについて裏面に深い理由があることはあなた方はよく御承知のことだと拝察するのであります。これ以上申し上げる必要はないと思うのであります。
  83. 滿尾君亮

    滿尾委員 第八条の通商産業大臣確認を受けねばならないというその確認ということの意味でございまするが、政務次官のお話によりますると、何か飛行機の履歴書を書くだけだというようなきわめて卑俗的な御説明があつたのでありまするが、私はこの確認という言葉法律的意義についてお伺いいたしたい。どういう御解釈を持つておられるか。私の聞きたい要点といたしましては、この法律の用語としてここに確認を受けねばならぬと書いてある。そうしてその先の第四項を読みますと、その製造にかかる飛行機を他人に引渡す場合には前項の確認書とともに引渡さねばならぬと書いてある。従つて先ほど、私聞き違いかもしれませんが、政務次官はもし確認がなくても売買にはさしつかえないのだというようなことを言われたようにふと思つているのでございまするが、私この第八条をすなおに読みますと、この確認書がなければ売買の対象にはならない、かりにこれを外国に輸出する場合でも、この法律の精神とするところは通産大臣確認しない飛行機を売ることはできない、こういうふうに解釈できる。この点が一つ確認の意味についての内容になると思う。  もう一つ私が伺いたいのは、この確認というのはどういう意味か。つまり粗製濫造の飛行機外国に売りたくない、これも一つの見方である。しかしもう一つの見方で行きますと、この確認は、りつぱな技術基準で、りつぱな設備で、そうしてきめられた部品を使つてつくつたのだからこの飛行機は間違いはないぞという保証をしておられるのじやないか。してみると、この飛行機について将来製造上の理由によつて事故が発生した場合に、通産大臣は当然責任を負われるという意味が私はこの確認の字の中に入つていると思いますが、どういうふうに御解釈でありまするかお伺いいたしたい。
  84. 本間俊一

    本間政府委員 先ほど私どなたかの御質問で申し上げたのでございますが、御指摘のように確認を一機ごとにやることにいたしておりまするから、その確認書をつけて取引をいたすのであります。あるいは言葉が足りなかつたかと思いますが、取引自体をまつたく縛つているという考え方ではないという意味でお答えしたつもりでございますが、私どもの方で製造を担当いたすわけでございますから、もちろん製造いたしまする工場設備方法等につきまして前もつて計画をいたします。先ほど尾崎さんからも御質問があつたのでありますが、届出制になつておりまするところをここで一応チェックするという考え方をしております。そしてできました飛行機につきましては、どういう設備でどういう過程を経てどういう検査を経てでき上つているかということをありのままに記載をいたしまして、そうして決定をいたしました型式通りのものができているかどうか、通産省がきめました技術上の基準に合つているかどうかということを確認いたしまして確認書をつくるわけでございますから、その確認書が先ほども申し上げましたようにいわばその航空機の生い立ちというようなものでございますから、売買をいたします場合にもそれを信用されて取引をされることと思うわけでございます。従いましてその製造工程によつて事故が起るというようなことになりますれば、もちろん製造を担当している者の責任になるというふうに私どもは考えております。
  85. 滿尾君亮

    滿尾委員 今の政務次官の御答弁でありますが、私は確認書のできました飛行機に、製造過程においてあやまちがあつたことが将来立証されたような場合には、製造業者の責任はもとよりでございますけれども、これを出しました通産大臣にも責任があるというふうに確認の字義を読むのでございますが、その点はどういうことになつているのでございましようか。
  86. 本間俊一

    本間政府委員 ちよつと私言葉が足りなかつたかと思いますが、もしその確認の仕方にあやまちがあればこれは当然御説のようになると思いますが、なお法制上の解釈につきましては機械局長から一応御説明を申し上げたいと思います。
  87. 佐枝新一

    佐枝政府委員 政務次官の御答弁がありましたが、若干つけ加えてお話申し上げたいと思います。先ほどお話がありましたように、この確認と申しますのは、耐空証明における製造過程検査が、航空機製造過程において強度、構造、性能ですか、そういつた安全を確保するために必要な最小限度の基準に合つているかどうかということを調べるわけでございますが、この航空機製造法確認は、第六条によりまして、製造設備等につきましてあらかじめ検査をいたします。これは製造設備なり製造方法なり、あるいは検査設備なり検査方法なり管理の方式というようなものが、一定の基準、一定の生産技術に合致するかどうかということを調べます。そうして次に、今度は実際の生産に入つた場合には、その実際の生産がその設備により方法により行われているか、検査も合格した行き方によつて行われているかということを見ます。これを実際に行われた通りに記録するわけでございます。その記録するということは確認なのでございまして、そこから、政務次官からもお話がありましたような、航空機製造過程製造履歴書のようなものが出て来るわけでございます。それで実際問題といたしましては、昨日も申し上げましたが、この確認行為というものは、結局は第十五条、第十六条によりまして置かれる工場検査員なり検査官がやるわけでございます。単に安全性検査ばかりでなく、十五条に「検査又は確認に関する事務」として、十六条にそれを受けて、「前条第二項に規定する事務に従事させることが出来る」とあるように、これらをやるわけであります。しかし実際問題といたしまして、自動的に検査も行われれば確認も同時に当然行われるわけでありまして、あらためて一々通産大臣の方に書類をその都度出して、新たに確認書をもらうというような手続はほとんどいらないのであります。当然飛行機ができれば検査もでき、確認も行われるというわけであります。従いまして、取引を非常に拘束するということは行われないわけであります。
  88. 岡田五郎

    ○岡田(五)委員 ちよつと議事進行について動議を出したいと思います。先ほど来の議事の進行ぶりを見ておりますと、関連質問と称して飛入りが入りまして、非常に混乱を来すのであります。私どもは昨日から質問の通告を出しておるのであります。しかも先ほど、通産大臣が本会議に出られるから時間がない、だから大臣質問する人は、早く大臣に対する質問を整理して質問をしようというわけで、坪内委員質問された。幸いにいたしまして、大臣が時間があるといつて延べられましたが、あるいは坪内委員大臣及び政務次官に対して、自由経済主義を放棄しているのではないかという質問をされましたときに、関連質問として玉置委員質問されました。(「それは違う」と呼ぶ者あり)それは違うかもしれませんが、とにかくほかの委員質問されました。その前に、御承知のように尾崎委員が法制局の人を呼ばれて、質問される事項を保留のまま坪内委員に譲られた。ところがまた、玉置委員質問に次いで滿尾委員が各条の質問に入られた。私どもは、かような質問は昨日から準備して、そうして通告しておる。私が質問しようと思つたのは、これは自由経済主義を放棄しているのではないかという坪内委員質問に関連して質問しようと思つたらとられてしまつた。とられてしまつたと言つて言葉が悪いが、横へすべつて行つた。こんな質問をされるのでは、いつまでたつても、昨日から通告いたしました私の質問の順位が参りません。私は何のために質問の通告をしたかということを疑いたくなるのであります。従いまして、議事の進行は、その事項に直接的に関係ある関連質問から行つていただいて、そうして通告順に行つていただくことが至当だと思います。すでに時間も四時になつているのでありますから、ぜひかようなふうに議事を進めていただきたいと思います。
  89. 玉置信一

    ○玉置(信)委員 ちよつと、今の岡田委員の言われたことで、訂正さしていただきたいと思います。時間がないから大臣に対する質問を先にやろうということで、坪内委員への答弁を終つた大臣に対する質問をしてよろしいということで、通告順によつて私がやつたのであります。人の質問を横取りしたということは、私に関する限りはありません。通告順は、岡田委員の次に私がきようはやることになつていたのであります。昨日の通告順位は、坪内さんが二番目で、三番目が岡田さん、その次が私。きのうときようを通じて私の通告順位はかわりなく、順序に応じて私は発言していることをこの機会に宣明いたしておきます。
  90. 坪内八郎

    ○坪内委員 先ほどから議事進行がまことに円滑に行かないのでありまするけれども、事の原因は両大臣にも責任があろうかと思うのであります。昨日、大体当通産運輸委員会大臣を招致して、そうしてこの重要なる法案の審議を慎重審議するというような建前で進んだにもかかわらず、両大臣の御都合がいろいろございまして、大臣に対する質問がずつとつかえておつたためにかくのごとき状態に相なつたのでございますので、その点も十分ひとつ御考慮に入れまして、昨日の分まできようは十分ひとつ時間をとられて慎重審議をされるよう、この際特に要望いたします。  そこで、先ほど来岡田君からお話がありました通り、私はあと二点で終るのでございますが、この法案がわれわれのかねて主張しておりまするところの自由経済に逆行するきらいがあるのではないか、むしろあるところの点も見受けられる。すなわち、取引の自由を極度に抑制し、しかも経済界の自主性を無視しているようなこういつた法案については、まつたくこれは自由経済に逆行するものであるというようなことを私お話申し上げたのでありますが、そういう気持はないし、またそういうことではないというような御答弁があつたのであります。この点は私は了解に苦しむのであります。私どもは、わずかな期間ではございますけれども渡米いたしまして、この航空関係の、全アメリカにおける関係をつぶさに調査して参つたのでありますが、すでに政府におかれましても十分その点は調査あるいは研究をなさつておることで、十分だとは思いますけれども、アメリカの今日までの民間航空発達した原因におきましても、あらゆる角度から慎重に、安全な運航を期するためにいろいろの点を政府が抑制をし、その反面、助成、育成、補助というものを強硬に断行いたしまして、今日の安全なる運航を期しておるのであります。たとえば、その一例を申し上げますると、飛行場のごときは九十九年間もこれを州なり都市が民間航空会社に貸与して、その助成をはかつているという現状であります。そういう面とにらみ合せて行くということが最も大事な点ではないかと思うし、さらにまたエンジンにつきましても、たとえ完全無欠なエンジンであつても、使用の基準に達したところのエンジンは、それを分解整理してあすに備えるというような建前をとつておりますので、十分そういう育成の面もにらみ合せつつ、取引の自由を制限し、あるいは国家で干渉して行うという行き方でなければならないというような観点から御質問申し上げたのでありますけれども、その点は意見の相違であるように思われますので、次に譲ることにいたします。  そこで、あと二問お尋ねいたします。両大臣にお尋ねいたしますが、先ほど来私が申し上げております通り、究極においてわが国の民間航空発達させ、あるいは国際水準までにこれを引上げるということは金の問題だ、財源が問題だということに相なると思うのであります。従つて、その財源をどうするかということについて、これは相当検討を加えて行かなければならぬことは御承知通りでございまして、私が申し上げるまでもないことであります。航空機を一台購入するとしても莫大な金がかかる。従つてこういう問題については、単なる円資金のみによつてこれが融通をはかるということでは事足りない。航空法の第四条におきましても、この外資の関係は三分の一までにとどめておるけれども、将来外資の資金の割当とか、あるいは外資導入の建前から、円資金という関係とにらみ合せて為替対策というものを考えて行かなければならぬということが大事な問題であると思います。従つて、こういう重要な問題を両大臣は将来どういうふうにしようとお考えになつているのか。この点は大蔵大臣あたりとも早急に御相談なさつて、そうしてそういう対策を練らなければならぬと考えております。さらにまた、巷間伝えられるところによりますと、内閣はやがて改造されるだろうというようなことを言われておる。賢明なるしかも聰明な、責任のある両大臣は、たとえ内閣が改造になつても御留任になるだろうとは想像いたしますが、行政事務の引継ぎの面からいたしましても、この点はかりに更迭が行れるといたしますならば、次の大臣に十分引継ぎをしていただかなければならぬ重大な問題ではないかと思うのであります。たまたま衆参両院議員が航空議員連盟というものを発会いたしまして、今日その総会がございましたが、その総会の席上でも私が申し上げたように、財源の問題ということがもつぱら問題になつて、今後日本民間航空発達させるためにはどうしても、そういつた強力な補助政策をとつて行かなければ簡単に行かない。乗組員なり、あるいは航空施設なり、あるいはその他いろいろな関係もございましようけれども、要はそういつた財源の問題が問題になるので、その点を大蔵大臣あたりともよく折衝せられて、今後民間航空のそういつた財源の面にどういう強力な対策なり御所見をお持ちであるかということを両大臣にお尋ねいたしたいのであります。  それから最後に、外貨貸付制度による外貨資金は、私が申すまでもなく貸付の対象は日本経済の再建あるいは産業の開発に寄与するところの設備、たとえば造船とか車両とか、こういうものに限られておる。従つて航空機材が対象になるかどうかということはまつたく不明確である。講和条約発効後こういう問題を明らかにすべきであると思いますので、この際両大臣は外資貸付の対象となるようにこういう問題を検討すべきではないかということを考えておりますが、その点についてどういうお考えを持つておるのか、この二点を両大臣にお尋ねしたいと思うのであります。
  91. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 今の航空機の将来の発展のために資金面が非常に重大であるという点は、私も全然御同感でございます。私退任の際は十分後任者にその意見を引継ぐつもりでおります。  なお第二の御質問の点でございますが、これも大事なことでありますが、航空機製造に着手するようになつた場合と、修繕の程度である場合と少し事情がかわつて来るかと思いますが、御趣意に沿いまして十分研究努力するつもりであります。
  92. 村上義一

    ○村上国務大臣 航空事業を盛んならしめ、健全なる発達をもたらすというために資金面が重要であることは、まつたく御説の通り私も同じ感を持つておる次第であります。御承知のように、まさに日本の会社あるいは個人としましても、航空機を所有し得ることに相なつたのであります。従いまして、今現に認めております、また事業を開始しております日本航空に対しまして、日本航空の計画を実現すべく、運輸省としては先日来協議を進めておるような次第であります。御承知のように今幸いにドル資金の蓄積もあるのであります。さしあたつてまず私の考えとしては、しばらく使用した飛行機DC4を購入する、また新規の注文を発する。大体これで五百万ドル必要なのであります。その手配を急速に進めて政府の意見をまとめたいと考えておるような次第であります。但しこれは運輸省の範囲内だけのことでありまして、まだ内閣全体としての議はまとまつておらないのであります。その点お含みおきを願いたいと思います。
  93. 坪内八郎

    ○坪内委員 先ほど私のお尋ね申し上げた点につきまして、大体了承いたしました。ただ最後の外貨貸付制度の対象に、航空機関係資金面がなつていないから——いないというよりも、不明確だから、講和発効後日本がこんな状態になつた今日において、航空機関係もそういつた外貨貸付の対象にすべきではないかということについて両大臣にお尋ねしたのでありますが、その点御答弁がないようでありますから、あらためて御所見をお伺いしたい。
  94. 村上義一

    ○村上国務大臣 方針としては、御指摘のように明確になつておりません。これを明確にして、購入についてドル資金の支出をすることにしたいと考えておる次第であります。
  95. 坪内八郎

    ○坪内委員 この問題は、大蔵省にも申すまでもなく関連があるのでございますが、聞くところによると、外務省から外貨割当審査委員会ですか、そういつたものが今度大蔵省に所管が移されるというようなことを聞いておりますが、この委員会において外貨の問題を取上げて、いろいろコントロールするようなことを承つておるのでありますが、その委員には通産あるいは運輸の両省から、責任者でもだれか出ておるのでございましようか。
  96. 本間俊一

    本間政府委員 お答えをいたしますが、外資委員会と外資の貸付の管理経営はちよつと違つておりますので、今度大蔵省の方へ参りますのは、外資委員会のことだと思います。従いまして外貨の貸付の問題は、産業の合理化に役立ちまする機械ども主たるその対象となつておりますので、私の方で所管をいたしておるわけでございます。従いまして航空機製造になりますか、あるいは修理になりますか、そういう機械輸入したいという場合には、もちろん御説のように外貨の貸付の対象になるようにしなければならぬと思いますので、そういう方向に努力をして参りたいというふうに考えております。
  97. 坪内八郎

    ○坪内委員 政府側の御答弁で了解いたしましたが、結局先ほど来申し上げます通り、将来民間航空を大いに発展させるためには、どうしてもそういつた財源の問題が最重要な問題ではないかと思いますので、この点大蔵省とも関連があることでありますので、両大臣におかれましては、十分積極的にこれらの連絡をおとりくださいまして、われわれの要望を満たしてくださるよう強く要望いたしまして、私の質問を終りにいたします。
  98. 原彪

    ○原(彪)委員 議事進行について——先ほどから見ていますと、議事の進行状態が非常に遅々として進まないようであります。委員長の手元に質問の通告をしておる人が五、六名ありますが、関連質問が非常に多くて、また関連質問の時間が非常に長くて、通告した人は順番が遅れて間が抜けてしまいます。坪内君もおそらくは通告があるでありましようが、通告して順番がまわつたときに十分やつていただいて、通告順が全部終つた後に一般の質問をやらせるように委員長ははからわれたいと思うのであります。先ほども私は委員長に通告したのでありますが、委員長は十分くらいにしてくれというようなことを私に言つております。ところが今見ておれば、関連質問を十分以上もやつておられる。そのような状態を見ますと、私は何だかあまりこの法案を急ぎ過ぎておるのが、かえつて進行を遅らしておるような原因になつておるのではないかと思うのであります。承るところによると、二十六日にはこの法案を上げるというようなうわさがあります。大分質問がたくさん残つておるのでありますから、一、二日くらいお延ばしになつても、十分審議されるがしかるべきだと思います。委員長はいかが考えておられますか。
  99. 黒澤富次郎

    ○黒澤委員長代理 了承いたしました。これより通告順によつて順次質疑を許します。なお時間の関係がありますので、関連質疑は御自分の発言の時間の際にお願いいたします。それでは尾崎末吉君。
  100. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 先ほど質問につきましてのまとめをいたします前に、大臣に対する質疑を他の方に一時お譲りいたしました関係上、昨日以来本日質問をいたしましたことのあとのまとめと申しますか、これに重要な関係がありますので、法制局の方に御質問申し上げてみたいと思うのであります。  先ほどからお聞き願つております通りに、この航空機製造法案につきましては、その目的におきましても、あるいはまた各条項の規定の中におきましても、いろいろ行き過ぎがあり、また航空法重複するような点もあることを私ども発見いたしておるのでありますが、その点に関しまして、ひとつ率直な、と申しますことは、大体今まで私ども承知いたしております範囲内におきましては、政府部内のこうした違つた省から出て参つた法案等に対する解釈については、こういう委員会等の席では法制局の方々はあまりはつきりした御意見をおつしやらない、こういうことが今までの慣例であつたように記憶いたしておるのでありますけれども、他の問題と違いまして、この航空法並びに航空機製造法は、お聞きの通りきわめて重大な意義を持つものでありまして、もしこれに間違つたことが出て参りますならば、将来非常に大きな事態を生ずることを真剣に憂えるのでありますから、どうか私が御質問申し上げる点につきまして、率直な御見解をお聞かせ願いたい、このことを前もつて切にお願いする次第であります。  そこで御質問申し上げます点は、この航空機製造法の第八条並びに第十条、第十二条、第十三条、第十五条、第十六条、これと航空法案の第三章、航空機安全性に関する第十条以下第二十一条まで、この間に相当ダブつている点や、摩擦、行き違つておる点が相当あるように私ども思うのでありますが、この両法案について一通りお目をお通しになつたことと思いますので、率直な御見解を伺わせていただきたいと思うのであります。
  101. 西村健次郎

    ○西村(健)政府委員 この両法案の成立までのいろいろないきさつにつきまして細大御承知尾崎委員から、きわめて私に痛い御質問を受けたわけでございます。率直に申し上げまして、先ほど運輸大臣からもお話がありましたように、いろいろこの法律案の成立の過程におきまして議論がありましたことは承知しておるのであります。私ども法案審議の責任者といたしまして、その間におきましていろいろ審議いたしましたが、終局におきまして、これを私どもは政府の一員としまして、内閣の決定に従いましてこういう両法律案を審議、作成したわけであります。その間に率直に申し上げて、どこがどうだということを申せというお話でございますが、これはよほど政策的な面がこれにかかわるのではないか。なおただ一点申し上げますと、法律的に申し上げまして、規定の仕方は非常に難渋であるとかいう点は大いにあるかもしれぬ、この事実は根底に横たわつておりますので、私どもとしてはできるだけ法律的には矛盾がないようにしたつもりではございますが、才が至らないために、そこは混乱を来しておるかもしれません。
  102. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 法制局における御意見としては従来と異なつた、まことに含蓄のある、そして私どもの方でよく推察することのできる御答弁でありますが、ただいま御答弁通りに、去る四月二十六日の閣議決定のこの事柄によつてでき上つたのが航空法及び航空機製造法の両法案でありますから、ただいまの御答弁は、閣議決定の線に沿つてこの二つのものを御検討なさつた、こういうことでありますか。
  103. 西村健次郎

    ○西村(健)政府委員 さようでございます。
  104. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 そこでただいまの御答弁を伺いますと、一つ一つ具体的にあげにくいが、この両者の中にはなかなかどうかと思うような点が相当あるだろうと思う、こういう御答弁伺つたのでありますが、その通り了承してよろしゆうございますか。
  105. 西村健次郎

    ○西村(健)政府委員 どうかと思うという意味は、私どもが法令を審査する際におきまして、時間的な関係等もありましたので、表現として、法令の形式として、あるいは私たちの才が至らないためにどうかと思う点があるということを率直に申し上げたつもりでございます。政策的にこの規定がどうだということを私は申し上げる筋ではないと思うのであります。御了承願います。
  106. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 政策的には、これはむろん運輸通産両省の間におけるその政策の立て方について、そこまで法制局として御関与になるわけはないのでありますが、この法律の立て方そのものについては、非常にやりにくい点、どうかと思う点があつた、こういうことでありますか。
  107. 西村健次郎

    ○西村(健)政府委員 わかりやすくはつきり申し上げますれば、この両法案関係が非常にわかりにくいのではないか。しかし法律的には一応筋が通つておるつもりではおります。
  108. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 非常に苦心をして、一応筋の通つたような形にまとめ上げたが、ほんとうのところは両法案関係はわかりにくい、こういうことでありますか。
  109. 西村健次郎

    ○西村(健)政府委員 私の説明がはなはだまずいので、尾崎委員は了解得られないようですが、わかりにくい法律というのは、たとえば昔の法律を申し上げて恐縮でございますが、現行の自作農創設特別措置法だとか、あるいは独占禁止法だとか、非常にわかりにくい法律がある。これはまたそれとは違つた意味におきまして、両方読みますと、やはりそういう面からわかりにくい点がある、こういつたことを申し上げたつもりでございます。
  110. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 御説明の要旨は大体わかりましたから、この程度でおきまして、あとは御説明の中から私どもが最も公正に判断をいたしたことによつて今後審議を進めたい、こう思うのであります。つきましては、この際通産運輸大臣に御所見伺つておきたいと思いますことは、今のようなことで、私どもこれは近来にない精根を傾けてこの法案の審議研究に当つて参つたつもりであります。私も六年来予算委員等をして参つて、いつも相当の議論はいたしておるつもりでございますが、今回のこの問題につきましては、相当根深く研究をいたして参つたつもりであります。ひとり私のみならず、私どもの同僚委員もそうだと思います。従いまして、そういう建前から最もこれを公正に判断をいたして、そうして私どもの方でかくなければならない、こういう姿に私どもがこれを直して行くということがあつた際、両大臣はそのことについてどういうふうにお考えになりますか。むろん内閣におけるこういう閣議決定と申しますことと、私どもが国会において審議をいたしまする審議権とは、おのずから別個のものでございますから、私ども議員としての独自の立場において審議、修正またはその他否決等をなすことは自由なのではありますけれども、何を申しましても私どもは与党であります。与党の内閣でおやりになることなのでありますから、非常に愚問のようでありますが、最も公正に、最もこれがまとまつた法律だ、こういうことにいたしますために、最善の努力をいたしたい。そうしてきまりました際において、両大臣はどういうふうにお考えになりますか。このことは愚問のようでありますが、両大臣にお伺いしたい。
  111. 村上義一

    ○村上国務大臣 今もお話のように、最も公正に、よりよく、また最もわかりやすくまとまつたものに修正した場合に、どう考えるかという御質問だと拝承したのでありますが、ベターになることは、非常にけつこうであると思うのであります。
  112. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 その修正の内容がわからずに、白紙で御答弁することはたいへん苦しいのですが、皆さんの審議権は十分尊重する精神であります。
  113. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 両大臣の御所見はよくわかりましたから、私の質問は、こまかいところはたくさんありますが、一応他の委員にお譲りいたしまして、これで本連合委員会における質問を終ることといたします。
  114. 黒澤富次郎

    ○黒澤委員長代理 岡田五郎君。
  115. 岡田五郎

    ○岡田(五)委員 質問申し上げます前に、簡単に先ほどの動議を申し述べました間に、同僚議員に対しまして、不当の言葉があつたようでございますので、一応取消しをさせていただきます。その不当の言葉を使いました心理的状況につきまして、一応釈明をしながら言葉を取消したいと思うのであります。実は尾崎委員から、自由主義を放棄しておるのではないかという質問に対しまして、私は、その政府委員答弁に関連をいたしまして質問をいたそうと思つて、手をあげたのであります。ところが玉置委員質問に立たれまして、御質問をなさいましたことは、私どもと同じ意見であります生産運航とを一元にすべきではないかという御意見のものかと推察いたしますが、両大臣の御意見を徴されたのであります。そういうことから関連性の問題をちよつと考えましたので、先ほど横取りしたとか、とられたとかいう過激な言葉を使つたのでありまして、これは私の行き過ぎた不当な言葉であつたということを、ここにつつしんで取消しますから、何とぞ御了承願いたいと思うのであります。  次に質問に移ります。先ほど尾崎委員から、大臣並びに政務次官に御質問になつておられましたが、大臣及び政務次官は、自由経済主義を原則としてとつておるが例外もある、こういう御答弁でございました。また尾崎委員から機械局長への、何かほかの業種に製造事業法的なものをこしらえた業種があるかという質問に対しまして、あります、こういう御答弁でありましたが、まずありますと言われるその業種は、どういう業種であるかということを、私たちは一応参考のために、具体的に御明示を願いたいのであります。
  116. 佐枝新一

    佐枝政府委員 私の申し上げましたのは、戦前におきましては、現在廃止になつております製造事業法というものは多数ございましたが、現在はそうした戦前製造事業法で残つておるというものはございません。その後新しい見地から終戦後つくられましたもので、厳密に製造事業法という戦前の形のものは、私は通産省関係では全然ないのではないかと思いますが、ただ戦前製造事業法とやや似たもので、たとえば火薬の製造、これは火薬取締法というかつこうですが、火薬の製造事業についてまで規制した法律がございます。もし私が、戦前製造事業法と同じ形のものを現在通産省で、何かの業種についてつくつておるというふうに申し上げたと御了解になつておられるならば、御訂正願いたいと思います。
  117. 岡田五郎

    ○岡田(五)委員 多少尾崎委員の御質問に対する場合の御答弁と今の御答弁と違つておるようでございますが、この点はあまり追究いたしません。ただ戦前には製造事業法的な法律がたくさんあつたというお話でありまして、私も寡聞ではございまするが、かようなことを経験いたしております。現に配付になりました航空機製造事業法案添付資料に添付されております航空機製造事業法は、昭和十三年になつておりますが、この法律を見ましても、製造工業の許認可あるいはその他につきましていろいろ規制してありますが、製品につきまして、生産技術検査と称して、非常に細密な検査をしておられたことは、戦時中においても戦前においても、私は今回が初めてだ、かように考えるのでありますが、機械局長は長く通産省におられまして、重要機械類の生産事業に関係されただろうと思いますが、かような法規が他にありますかどうか。簡単でけつこうでありますから、お聞かせ願いたいのであります。
  118. 佐枝新一

    佐枝政府委員 お答え申し上げます。もちろんこの法律は、目的にもうたつてありますように、あわせて航空機工業の健全なる発達に資するということを目的にいたしておりますが、この法律戦前製造事業法というものとは違うのであります。戦前のは大体重要な産業につきまして、その産業を立たせるため、いろいろな強力な事業構成の規定を置いておつたわけであります。戦前の、この資料にございます航空機製造事業法というものも、他の、当時ありました自動車であるとか、工作機械であるとか、いろいろございましたが、そういうものと大体同じような考え方で、主としてはこの事業そのものを非常に強い政府の規制下に置くということを主たる内容といたしております。従いましてその製品の品質の向上、製造の確保、生産技術の向上というものをねらつた検査あるいは製造確認というような規定は置いておらぬわけであります。その点性格が大分違つておるのではないかと思います。
  119. 岡田五郎

    ○岡田(五)委員 今の御説明は一応承つておくといたしまして、次にだんだんと段階を踏んで行きたいと思います。  政府委員も御承知のように、船につきましては船舶安全法というものがあり、また一方造船法というものがございます。船舶安全法はもちろん航空機と同じように、海上の非常に変化の多い所を運航いたします船舶そのものの安全をはかるために、船舶安全法というものが国際条約を基礎としておるのであります。この船舶安全法に基きまして、いろいろと国家の官吏が検査をいたしますその検査も、実は船舶の安全に関する限度においてのみ、検査をいたしておるのであります。それ以外の生産過程における検査は、事業者の自主的、創意的、良心的な製品を期待いたしておるのであります。おそらく政府委員は船舶よりも航空機の方が精密性と安全性をより以上に要求するがら、より以上にこまかく、生産技術検査と称して、五万ピースでございますか、七万ピースでございますか、あるいはそれも抜取り検査をされますかどうかわかりませんが、あらゆるものについて検査をされ、またこれに証明書を発行せられるようになつておりまするが、この辺のところを、なぜ船舶と航空と違つて、これ以上このようにこまかなことをしなければならないかということを——質問の中に答えを申し上げておつたかもしれませんが、御答弁を願いたいと思うのであります。
  120. 本間俊一

    本間政府委員 お答えを申し上げます。岡田委員の御質疑の中にもありましたように、航空機性格に基きまして、ぜひともこの程度の検査をいたしたい、またいたさなければならぬという建前で、この製造法をつくつておるわけでございます。御承知であろうかと思うのでありますが、戦時中は陸海軍がございまして、飛行機工場に双方からいろいろな人がそれぞれの任務を持つてつておりまして、これがまたいろいろな問題でもあつたわけでございます。従いまして、その点を排除いたしまして、今回の政府提案のような法律になつておるわけでございます。従来通産省がいろいろな生産を担当いたしておりまして、そう発達を阻害するような、あるいは事業者が非常にめんどうだ、うるさいというような指導検査は従来もなかつたわけでありますので、この製造法によつていたして参りまする場合にも、御指摘のような点は十分尊重いたして参るつもりでおりますが、いずれにいたしましても、この航空機工業は、船と違いまして相当マス・プロの階段で行きませんと、その成立というような点も考慮しなければならないような関係に相なつておりますので、この程度の規定にいたしましたけれども、それが製造者の非常な負担になるとか、非常にめんどうにお感じになるというようなことはできるだけ避けて参るつもりでおりますから、御心配のようなふうにはならないのじやないかという気持が実はいたしておるわけであります。
  121. 岡田五郎

    ○岡田(五)委員 それではお尋ね申し上げたいのでありますが、こうやつて航空機製造事業法が通りますと、現在巷間におきましては、もとの航空機製造業者が、航空機製造事業を開始いたしたいと、いろいろと動いておられるようであります。たとえば航空機製造事業としてお届出になりまた事業を開始される方は、おそらくもとの中島航空とか、あるいは三菱航空とか、あるいは川崎航空とかあるいは川西航空とかあるいは新扶桑とか、いろいろなもとの大会社であろうと私は考えるのであります。これらの大会社には、私から申し上げるまでもなく、こう言つてははなはだ失礼でございまするが、通産省のお役人の先輩であり、またお役人の方々が敬意を表されておる優秀なる過去の航空技術者その他がおられると思うのであります。私は日本にしてこれらの大きな会社の技術を信用せずして、どこの技術が信用できるか、かように考える。私はこの航空機製造法に基いておそらく届出られる会社はどの辺の会社があるか、まずその点を承りまして、私の今質問したことが合うのではないかと思うのでありますが、大体航空機製造事業を開始したいといろいろ動いておられる会社の名前を、次の質問に移りますためにも、参考にお聞かせ置き願いたいと思うのであります。
  122. 本間俊一

    本間政府委員 御指摘になりましたような会社は、いろいろな技術なつながりその他もあるしいたしまするので、ぜひ航空機工業の方に進みたいという希望があるようでございますが、技術あるいは資本面で外国会社などとも話合いをいたしておるようでございます。従いまして今私どもの方へ参つていろいろな御相談をいたしておりますのは、御指摘になりましたような会社が多いようでございます。
  123. 岡田五郎

    ○岡田(五)委員 そういたしますると、私はこれらの優秀な会社の技術力を十分御信頼になりまして、ただ航空機安全性を確保するためにするお役人の検査というものは残すべきじやないか。ここに初めて私は善良にして優秀なる自主的経営と、自主的な技術の向上が期待できるのではないか。そこに自由主義のいいところがあるのではないか、かように私は考えるのでありますが、かような予想せられる現実の姿を無視いたしまして、一品々々製造検査をされる、しかもそれは安全性耐空証明を与えるために何ら参考にならない。これは極端な言い方かもしれませんが、運輸大臣通産大臣が与えられた製造確認書を何ら、法律上からいえば、耐空証明を与える根拠とはしておられない。事実上はあるいはされるかもしれませんが、何を好んでかようなことまでされるかということについて、先ほど御答弁がありましたが、私はこの航空機につきましては、不当に官僚化と言つて言葉が強いのでありますが、役人が民間の事業に干渉しているのではないか、航空機製造法をずつと見まして、かように私は痛感いたすのであります。私はかような法規が、この技術の向上あるいはこれらの事業の健全なる発達の名のもとに、ほかの事業にどんどん及ぼしに行かれるならば、知らず知らずのうちに統制経済の状態に入つて行くのじやないか、かように私は懸念するのでありますが、この点につきましての政府委員のお考え方をお尋ねいたします。
  124. 本間俊一

    本間政府委員 御承知のように、生産通産省生産工場関係をいたして行くわけでございます。従いまして先ほども申し上げましたように、航空機耐空証明運輸大臣がなされる場合に、確認書というものは何ら役に立たないのじやないかという御意見であつたようでございますが、あるいは法制上ではそうなろうかと思いますが、私どもの発行いたします確認書というものは、実際の耐空証明を出される場合には、やはりその一つの基礎になる重要な資料になると私どもは考えております。従いまして生産を担当いたしまする役所の人が、先ほど来申し上げたように、航空機の特別の性格にかんがみまして、重要な検査をするという制度はどうしても必要だと考えるのであります。しかし私どもの考えの根底に、お示しのような会社の技術をまつたく信用しないというような考えはまつたくないのでございまして、もちろん会社の技術あるいは会社の検査制度と申しますか、検査方法と申しますか、あるいはその会社でそれらの製造及び検査にタツチいたしておる技術者の技倆を、十分尊重いたして参るわけでございますけれども、どうも今日の段階におきましては、この程度の検査は最少限度必要なものである、こういうふうに考えておる次第でございます。
  125. 岡田五郎

    ○岡田(五)委員 この問題につきましては、いくら伺つても、本間政務次官は同じような御答弁をなさることと思いますので、あまり追究いたしませんが、もう一つ私は具体的に追究と言つて言葉が悪いのでありますが、御質問申し上げたいのであります。先ほど来あげられました川崎航空、三菱航空、あるいは中島航空その他の航空会社は、現在はいろいろな転換工場になつておりますが、少くとも戦時中におきましては、航空機につきましては世界的水準にまで達した航空機生産技術を持つた工場であると私は思うのであります。現在もまた、これらの生産技術者が、あるいは職を転じておられるかもしれませんが、厳然として残つておると考えるのであります。一方私は、こういつてははなはだ露骨になりまするが、通産省におきましては少くとも航空機生産事業につきましては、不幸にいたしまして終戦後航空機生産事業が杜絶された、あるいは航空庁が逓信省、その他に分離したというようなことにつきまして、私は具体的に実際的に、航空機生産技術の人的配置は、法文は非常にけつこうにできておるのでありますが、実際は非常に少かろう、かように考えるのであります。かように現実に民間の方において優秀なる技術者を持つて一優秀なる知識を持つた者が豊富にある。しかも官庁側においては、不幸にしても非常に薄いにもかかわらず、この飛行機安全性の問題を離れて、さらにさらに、深く深く生産技術検査と称して、一品々々まで検査をし、指導をされるということは、私は少し行き過ぎではないか、かように考えるのでありますが、この点につきまして、またいくら質問いたしましても、政務次官の御答弁は御同様であろうと思いますので、言いつぱなしにいたしまして答弁を要求いたしません。  それでは私は次に具体的にお聞き申し上げたいと思うのでありますが、国議決定によりまして生産技術通産大臣だ、安全性検査運輸大臣だ、こういうように出ておりました。この閣議決定の線に沿つて生産技術検査製造方法検査だといつて製造方法という字句を使つておられるかと思えば、また生産技術基準に合つているかどうかという検査で、生産技術基準生産方法で同意語だと私は解釈いたしておるのであります。ところが問題は、この生産技術検査安全性検査を含んだ広いもののように私は解釈するのであります。そういたしますと、閣議決定ではせつかく一生産技術通産大臣だ、安全性検査運輸大臣だといつておきながら、生産技術という広い範囲の言葉のもとに、安全性検査をも包含してしまつておるがごとき傾向が現われておるのでありますが、この点はつきりと御答弁願いたいのであります。
  126. 本間俊一

    本間政府委員 お答えを申し上げたいと思いますが、この閣議の裁定案によりまして、安全上の責任運輸大臣が負うことになつております。従いまして運輸大臣がその安全性の見地からいろいろな検査をせられるわけでございます。御承知のように航空機の安全は、素材そのものにもきわめて重要な関係を持つておるわけでございますから、それらのものが総合せられまして、いわゆる安全というものが出るのであると私どもは解釈いたしております。従いまして通産大臣といたしましては、その飛行機なり、あるいは航空機用機器がどういう基準でつくらるべきかという基準を、もちろん決定をいたしますが、運輸大臣の方は岡田さんも御指摘になりましたように、安全を確保するために最低の必要な基準をつくられることと思いまするから、そのつくられました基準に従いまして、検査に従事する者が検査に当るということになろうと思いますが、これは両々相まちまして、御主張になつておられるような航空機の安全が確保せられるものだというふうに私どもは考えております。
  127. 岡田五郎

    ○岡田(五)委員 なるほど本間政務次官の御答弁は一応素材という例をあげられますとわかつたようでわからないのであります。ボディーをつくりますアルミニウムだとかあるいはその他の品質検査もせられるでしよう。これは技術検査の部分にあるかもしれません。また安全性検査という点からいいますと、この機材のアルミニウム検査もまたあるいは安全性検査という名のもとにおいて検査をされるかもしれないと思うのであります。ことに一番重複いたしておりますることは、航空機製造法に基きますと、航空機及び航空用機器全部を検査されることになつている。また本間さんの言われるように安全性の必要最小限度において運輸大臣検査する、こういうことを必要最小限度と解釈して、プロペラ、発動機だとか、あるいはその他の重要部品とかりに限りましても、この点においては重複いたすわけであります。しかも航空法検査規定によりましては、航空長官はまた通産省検査官指揮監督することもできる。その場合は通産大臣監督するという、一応通産省職員をもつて検査官を任命する、こう出ておりまして、次に航空庁長官は必要がある場合には通産省のお役人を指揮監督する、こういうように出ている。またこれはいずれ運輸省設置法が改正せられますならば、航空庁長官運輸大臣、こういうことになると思いますが、そうしますると運輸大臣通産省職員を使用して指揮監督することができる、こういうように実はなつておるのでありまして、この重複する部面が、航空庁長官あるいは運輸大臣が必要と認める場合は、通産大臣の所属になつております通産省職員を指揮するわけである。ところが一方航空機製造法に基きまして通産大臣生産技術検査、こういう面からしてまた同じ人間を指揮するわけであります。かようにひとつのお役人に対して二重監督をされるのであります。かような点から行きまして非常に私は検査監督につきまして重複をいたすと思います。さきの閣議決定にもありますように、安全性運輸大臣責任だ、こう言つておきながら、運輸大臣責任であるがごとく、ないがごとき状態に両法案をつき合せますると、なつているのでありますが、この点については政務次官の明確なる御答弁を承りたいのであります。
  128. 本間俊一

    本間政府委員 お答えを申し上げたいと思うのでありますが、なるほど生産技術上の基準でありますとか、あるいは安全を確保をするための基準でありますとかいうような両省に関係いたしますものは相談をいたしまして、両方の共同省令で出すことになつております。従いまして安全を確保するという意味から申しますならば、非常に複雑なことになつていると思います。しかしその検査の実際に当りますものは、何と申しますか通産省の役人がいたすわけでございます。またそれぞれ製造いたして参りまする過程に応じて大事なところを両省のきめました基準に従いまして検査いたすのでありますから、何と申しますか、実際の運用の面におきましては御心配の点が調和されて行くものと私は考えております。
  129. 岡田五郎

    ○岡田(五)委員 これは昨日来尾崎委員がいろいろ質問をしておられたのでありますが、管理の能率化、行政事務の簡素化ということと私はまつたく背馳していると考えるのであります。行政事務の簡素化という点からいいまするならば、同じ部面につきまして運輸省耐空証明を出す、同じ意味の不必要な製造証明、何とかいう証明をたくさん出されるというような手続が非常に煩雑になつている。もう一つは官吏の事務能率の向上という面におきましてまつたく遺憾なことは、運輸大臣の命令を受けていなければならぬし、通産大臣の命令を受けてみたり、二元的にその工場検査官は命令を受けなければならない。お役人で一番迷惑なことは、頭が二人も三人もあるということが一番迷惑なことなんだ。これが一番能率を阻害することだ。ところがこの法案を照し合せますと、明らかに頭が二頭式になつておるのであります。この点につきましてまた御意見を拝聴いたしましても、御答弁は大体想像できますので、私は答弁をいただかないで、次に質問を進めたいと思うのであります。  第三条の事業の届出でございまするが、航空機及び航空機用機器製造または修理の事業を行おうとする者は、届出書を通産大臣に提出しなければならないということになつておる。つまりこれは航空機製造事業者がその製造事業とあわせて修理をする場合は届出を要するということになつておるのであります。一方閣議決定にも文字が出ておりますように、航空運送事業者または航空機使用者が行う自家修理は、運輸大臣所管するということになつておるのでありまするが、これらの航空運送事業者または航空機使用者の行う自家修理につきましては、届出を必要としないのか、必要とするのか。またこれらの修理につきまして、航空機製造法に定められた検査または証明というものをされるのかどうか。この点につきまして御説明を願いたいと思うのであります。
  130. 佐枝新一

    佐枝政府委員 自家修理の場合は、この法律による届出は必要ございません。
  131. 岡田五郎

    ○岡田(五)委員 それでは運輸大臣の権限になるのでございまするか。また航空法にもきめてないのでありますが、そういう修理事業は一体どうなるのでございましようか。どちらの方からでもけつこうでございますから、御答弁いただきたいと思います。
  132. 村上義一

    ○村上国務大臣 責任をもつて検査をし、証明を出す航空庁長官が参つておりますから、直接にお聞き取りを願いたいと思います。
  133. 岡田五郎

    ○岡田(五)委員 私はこの法律は政府提案の法律だと思うのでありますが、どうも見ておりますと、通産省提出の法律のようであります。自家で修理しようが、製造工場修理しようが、その修理の重要性は、いずこの所管であろうとかわりはないと思うのであります。事業の届出制をとつたところは、通産大臣の専管だから、通産大臣だけに届出すればいいというのでしようが、運輸大臣所管については届け出ないということになつておるのでありまして、むしろ、これが政府提案の法律であるならば、その条項を入れて、運輸大臣所管に属するこれこれの事項は運輸大臣に届出をしろ、こういうように条文を入れられてこそ、政府提案の法律であり、通産省提案の法律でないということが明らかになると思うのでありますが、その点はいかがでありましようか。
  134. 大庭哲夫

    ○大庭政府委員 運輸省といたしまして、責任の範囲内は、自家用修理、あるいはそれに属する修理ということになつておるわけでありまして、運輸省としましては、届出の必要はない。私としましては、安全検査の面から検査することによりまして、またそれに耐空証明を出すことによりまして、十分の責任は果し得ると考えているわけであります。
  135. 岡田五郎

    ○岡田(五)委員 この点、政府間において非常に意見の重大な齟齬を来しておることを、偶然に発見したのであります。これらの事業を届出させ、いろいろいたさせることは、第一条にいわれました生産技術の向上をはかるという趣旨のもとに、事業の届出をさせたり何かしたという御説明を聞いたのであります。ところが同じ修理でも自家用修理だから届出もいらぬという運輸省の御意見ですが、たまたま製造工場のかたわらの修理だから届出を必要とするのだ、また証明も出すんだということになりますと、はなはだこの点は齟齬を来しているようでございますから、この点につきましては、できるだけ早く政府間において意見を調整せられまして、われわれは国会議員としての態度に出たいと思いますが、御注意を喚起いたしまして、この点について質問はやめます。  次にごく簡単にお尋ね申し上げたいのであります。航空機製造、その他部品の生産、あるいは修理その他につきまして、通産大臣製造証明とかあるいは製造確認書を交付されることになつておるのであります。この製造確認書その他を置く必要につきましては、先ほど来るる本間政務次官から申されましたので、立案された趣旨は納得いたしますが、一応お尋ね申し上げたいのであります。この製造確認書は大体どういう順序をもつて通産大臣から交付を受けられるのか。具体的に例を申し上げますと、たとえば、工場検査官が受取つて、それを通産局が受取つて、それから通産省機械局に行つて、——おそらくこんなものは通産大臣には行かないだろうと思うのであるが、それからまたおそらくその順序を経て、製造者のところに下るのだろうと思うのでありますが、そういう順序を経るものでありましようかどうか、お尋ねいたしたい。
  136. 佐枝新一

    佐枝政府委員 その点につきましては、要するに現場の検査官に相当の権限をまかせてやつて行くということでいいのではないかと考えております。といいますのは、工場従業員をとるときには、厳密な試験を経るということになりますと、検査官も十分資格を備えた仕事のできる人を当てまして、相当の権限を与え、できるだけ迅速にそういつた処置ができるようにいたしたいと考えます。
  137. 岡田五郎

    ○岡田(五)委員 今の御答弁は御答弁として承つておきますが、こういう法律に書かれますと、おそらく私は少くとも地方通産局長のところまでは行くだろうと思います。そんな必要がなければ、せつかく工場検査官という官名をお置きになつておるのでありますから、工場検査官が交付すること、こうお書きになつてもさしつかえないと私は考える。なぜかといいますと、先ほど来承つておりますと、航空機生産につきましては、部品について一々検査をし、組み立てた飛行機についても検査をする。そして製造証明を出される。この製造証明書というものは、履歴書、経歴書だというお話であります。しかも安全性検査で厳重な検査をする。履歴書、経歴書でありまするならば、りつぱな工場検査官なら、法律に堂々と工場検査官と出ている以上は、むしろ、工場検査官が交付するようにされる必要があるのではないか、かような点につきまして、せつかく飛行機はできたとしても、その履歴書を書くだけに各官庁をずつと通すだけで、また様式が非常にやかましいだろうと思うのでありますが、通すのにさえも非常に手間がかかるのに、出したら最後、官庁の機構に基いて判を十も二十ももらわなければ交付されない。そうしてやつていると、飛行機がりつぱにできたにかかわらず、三十日も一箇月もたつてからもらつたものは履歴書である。一方、耐空証明をもらわなければならぬのだから、こんなことに日にちを費やすよりも、むしろ耐空証明を先にもらつて、どんどん飛行機の引渡しもできるということにすることこそ、最近いわれる行政事務の簡素化、また行政事務の能率化を来すものではないか。こういうところを見ますと、この法案は非常に官僚の行き過ぎが点々と私には見られるのであります。かように見られまするがゆえに、先ほど来質問いたしまするように、自由経済主義の思想は堅持しておると言われますが、あまり航空機の精密性と、安全性を必要とするというりつぱな言葉に眩惑をされまして、知らず知らずのうちにお役人の方が行き過ぎをされた法規をつくられておるように私は考えるのであります。これについての御答弁を求めましても、あるいは意見の相違になるかもしれぬと思いますので、以上で私の質問は打切ります。
  138. 本間俊一

    本間政府委員 ちよつと非常にいい意味の御注意がございましたが、確認書の交付の手続その他につきましては、いろいろ実情に即して考えたいとは思つておりますので、御指摘になりましたような、飛行機ができまして二十日も一箇月も確認書ができないというばかなことのないように処理をいたしたいと思います。
  139. 岡田五郎

    ○岡田(五)委員 御答弁を求めませんでしたが、せつかく御答弁がありましたのでつい申し上げなくちやならないのでありますが、本間次官なり通産省のお役人の偉い方々は、そういうお気持でそういうようにお進めになるだろうと思いますが、たとえば製造確認してもらいたいという申請につきましても、おそらくむずかしい様式がきまると思うのであります。そういうようなことで、とかく非常に安易に考えがちでございますが、実際において事務が非常に長くなつておるのが行政事務の現在の多くの実態ではないか、かように私は懸念いたしましたがために御質問申し上げたのでございますが、通産次官がおつしやいますように、現実の姿としてなるべくそういうようにできますように、最善の御注意をくれぐれもお願いいたしまして、私の質問を打切ります。
  140. 黒澤富次郎

    ○黒澤委員長代理 坪内君。
  141. 坪内八郎

    ○坪内委員 相当時間も経過いたしましたので、簡単に結論のみを二、三点お尋ねいたしたいと思います。その第一点は、ただいま同僚岡田君より航空機検査行政についていろいろ御質問がございまして、結論を得ずして質問が終つたようでありますが、航空機検査行政については、航空法でその基本精神なり、いろいろな規定が設けられておることは御承知通りであります。しかるにそのほかに、さらに製造設備あるいは修理設備及び個々の航空機、あるいは航空機用機器について検査を必要とするように相なつております。従つてそれらのことについて、岡田君と別な観点から、こういうことについてなぜそういう立法措置をしたのか、その立法趣旨についてお伺いしたいと思うのであります。
  142. 本間俊一

    本間政府委員 御承知のように、製造をいたしますもの、あるいは修理をいたしますもので、通産省が許可をいたしますものは、一応届出主義にいたしておりますので、その工場がどういう設備を持つておるか、どういう工程でやつておるか、その設備及び方法はどうしても一応検査をしておく必要があろうかと思いまして、お手元に配付いたしておりますような立法措置にいたしたわけであります。
  143. 坪内八郎

    ○坪内委員 その点はどうも納得行かないのであります。昨日来の通産省側の御説明によりますと、検査行政につきましては、安全な運航を期するために、そういつた生産部門におきましても、完全な、厳密な検査をするのだという趣旨でありますが、この航空機製造法の罰則の規定を見ますと、二十二条にはそれぞれ罰則の規定がありまして、「第六条第一項、第九条第一項」以下述べてあるのでありますが、昨日来の通産省側の御意見によるいわゆる精密な、厳選主義的な検査規定で臨むのだということになりますと、この罰則の規定はまことに軽い罰則規定になつておる。私どもはいろいろな関係から罪を犯した場合に、いろいろそれに対する罰則規定を設けることはよくわかつておりますが、ただこの罰則規定に基くところの、第一条の第一項を拾い上げてみましても、製造設備等につきまして、通商産業大臣検査を受けて合格したものを使わなかつた場合は十万円以下の罰金、あるいは一年以下の懲役というようなことに相なつております。しかるに航空飛行というものは一旦飛び立ちまして、もし事故を起したならば、まつたく待つたなしである。そういうことになりますと、こういう検査も受けない、しかも合格しない、製造関係あるいは修理設備等の関係、あるいは十三条にありますところの製造証明もない航空機器を使用した場合等の関係を考慮いたしますと、飛行機においても、あるいはいろいろな関係で救助される場合もありましようし、あるいは不時着する場合もありましよう、しかし大体今日の世界の航空の事故をながめますと、ほとんどこれは墜落と同時に死んでしまう。先般のもく星号の事故にいたしましても、一名も生存者がない、そういうようなことになりますと、これは明らかに殺人行為以上のことである。従つてこういう合格もしない、あるいは検査もしないということに対する罰則が、一年以下の懲役あるいは十万円以下の罰金というようなことでは、昨日来厳密な検査を行うと言つている通産省側の御意見と、まつたく矛盾しているじやないかということを痛切に感ずるものであります。従つてこの辺の関係はどういう考えのもとにこういうことになつたのであるか。あるいはこういつた検査なりあるいは合格しないものを使用するような事態が、現実の問題としてあるのかどうかという点をお伺いしたいと思います。
  144. 本間俊一

    本間政府委員 お答えを申し上げます。私ども検査をいたしまする技術上の基準は、昨日から申しますような良品質、良性能、しかも均一性を確保したいという趣旨から決定するつもりでおりますが、御承知のように法制の建前といたしまして、罰則を決定いたしまする場合には、いろいろな罰則の基準がございまして、その基準に従つておると私は了解をいたしております。飛行機をつくりあるいはその他のいろいろな製造工場に従事をいたしまするものは、隠れてやるような性質のものでございませんし、実際の問題としては、御心配のような工場でつくりました飛行機はだれも買う者はないわけでございますから、そういう御心配はないものと考えております。従いましてこの罰則は一般の法制の例にならいまして決定しておるように了解いたしております。
  145. 坪内八郎

    ○坪内委員 そういうふうなお考えであれば、むしろこういう罰則は必要ないように感ずるのであります。現在飛行機を一台つくるにも一億や二億かかる。それにわずか十万円以下の程度の罰金、あるいは一年以下程度の懲役だつたら、むしろ違反を犯してでもやるようなことが、往々にしてちまたにあります。たとえば道路使用の違反の科料がわずかだから、科料をとられても道路を使用した方がいいじやないかということで、あえてこれを行うようなこともございます。今のような御答弁でございますれば、法三章に基いて、むしろそういう複雑な規定を設ける必要はないという考えもいたすのであります。しかるに航空法に基く罰則によりますと、航行中に飛行機を墜落させ、あるいは転覆させるようないろいろな事故を起したような場合には、無期とかあるいは三年以上の懲役に処するような考え方になつております。こういう点と関連して考えますると、むしろこういうふうに飛行機生産の許可もなく、あるいは合格検査も受けないでやることになると、これは死刑にも値すると思うのであります。そういう航空法の罰則と航空機製造法の罰則の関係が、あまりにも極端な開きがあるのを発見するのでありますが、この点につきましては法制意見局の方がおられますから、簡単に御答弁願いたいと思います。
  146. 西村健次郎

    ○西村(健)政府委員 お答えいたします。航空法の第何条でありますか、今ちよつとわかりませんが、飛行機を落した場合の罰則が非常に重いというお話がありましたが、これは刑法にあります列車の転覆、あれと同じようないわば一つの自然犯であります。たとえば航空機製造法案の六条の罰則が軽いじやないかというお話でございますが、そもそもこの六条の制度は、航空機の量産を前提とした制度である。ここにいつている但書で試験的に製造する場合、その他通産省令で定める場合は、除外されておるということもございまして、いわばこの六条の違反ということは、行政罰であるわけであります。坪内委員のおつしやるように、しからば罰則なしでもいいじやないかということも、もちろん一つの立法論として十分傾聴に値する議論であろうと考えております。
  147. 坪内八郎

    ○坪内委員 了解いたしますが、私が申し上げたのは第六条のみによらず、第九条、第十一条、十三条、十四条、いわゆる罰則の二十二条の観点は、もう少し慎重に、厳罰主義で当るということのみが目的ではないのでございまして、十分考慮していただきたいということを要望いたします。  そこで先ほどお尋ねいたしました検査行政関係につきまして、航空法案にそういつた規定があるから、こういうふうな複雑な検査規定を必要としないじやないかということについては、岡田議員も御質問なつたのですが、そういうことであれば、その検査規定につきましては、工業標準化法、あるいは精密な工業規格を制定すれば十分であろうと思いますが、その点どういうふうにお考えでございますか。
  148. 本間俊一

    本間政府委員 御指摘のような工業標準規格、その他ももちろん部品の性格によりまして活用して参りたいと思つておりますが、大事なところは、何と申しましてもこの法案で企図しておりまするようなふうに取扱つて参りたい。しかし技術上の基準決定いたします場合には、もちろん役所だけで決定できるようなものではないのでございまして、審議会が役所にできることになつておりますので、そこで民間の専門家の意見も十分に練つていただきまして、そうして技術上の基準決定したいと考えております。
  149. 坪内八郎

    ○坪内委員 そこでこの際両大臣にお尋ねをいたします。航空事故ということが予想されますが、航空事故が生じた場合に通産大臣運輸大臣は、その責任は、どういうふうに負うのか。たとえば検査規定検査証明、あるいは製造証明、配付証明は、通産大臣がやる。そうすると通産大臣は、自己の所管に基いて証明を出したら、そこまでで責任が終つて、そして運輸大臣航空証明を出して運航した、しかも飛んだ飛行機が墜落したというような場合は、両大臣のうち、どちらが最終的な責任を負うのかどうかということが一点。それからこれまた刑法上の問題になるのでありますが、また航空法案あるいはこの航空機製造法案の罰則にも関連をいたすのでございますが、結局検査とか耐空証明は最も科学的な慎重な建前をとつて発行されることは、予想されますけれども、不幸にして航空機が事故を生じ、しかもその原因が耐空証明なり、検査証明の発行に当つての疎漏に原因があつたということになりますと、これまた刑法上の問題によつて、両大臣が刑法上の処分を受けるようなことにも関連して来ると思いますが、このあとの刑法上の問題については、法制局関係の方の御説明を願いたいと思います。両大臣が、刑法上においてそういつた責任を負うものであるかどうか、あるいは行政的な責任のみとるかということが第二点であります。
  150. 西村健次郎

    ○西村(健)政府委員 たとえば耐空証明なり、あるいはほかの証明の不備によつて航空機が落ちたという場合に、一体航空機を墜落さす、転覆さすということを運輸大臣なり通産大臣がしたことになるかどうか、これは刑法の理論でございますけれども、因果関係がそこまで及ぼしたというふうには、ちよつと通常の場合は見られないのではないか。もう一つ、これは大臣の方からお答えになるかもしれませんが、やはり耐空証明というものが飛行機安全性、英語でエアウオーシネスと申しますが、やはり運輸大臣が最終的に出される。法律的に申しますと、よしんば航空機製造確認書がありましても、耐空証明を出さなければならないということはないわけであります。
  151. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 今の答弁で尽きておるように思いますが、通産大臣責任は、確認書を誤りで出したということに対しては責任があると思うのです。それから墜落した場合のことは、私は法律上のことはわかりませんが、刑法上の問題で私に責任があればあくまで責任を負います。
  152. 村上義一

    ○村上国務大臣 型式証明につきましても、またそれに関連する検査等につきましても、また耐空証明及びこれを基礎づける検査にしましても、すべて運輸大臣責任を持つてやるのであります。今御指摘のような耐空証明型式証明の不適当があつたために事故が起きたという場合には、むろん運輸大臣責任があると私は信じております。従いまして先刻もお話になりました製造証明製造確認書というものは、耐空証明の基礎にはできないと私は考えております。
  153. 坪内八郎

    ○坪内委員 ただいまの御答弁了承いたしました。あと一、二問で終りたいと思いますが、諸外国において、本法のごとく航空機製造法というような法律があるのかどうか、あるいは外国の法令などを参照にして、これをつくつたものであるかどうか、その点をお尋ねいたします。
  154. 佐枝新一

    佐枝政府委員 いろいろ外国の例等も研究いたしたのでありますが、必ずしもこれは外国の立法例によつてつくつたというものではございません。
  155. 坪内八郎

    ○坪内委員 さらにお尋ねいたしますが、この法案は、国際民間航空条約と何か関係があるかと思いますが、どういうふうにお考えでありますか。
  156. 佐枝新一

    佐枝政府委員 これは直接的には関係は持つておりません。つまり国際民間航空条約との関係は、安全性検査ということになつておりますので、直接には関係は持つておりません。
  157. 坪内八郎

    ○坪内委員 最後にもう一点、この法律案は先ほど各同僚議員からるる言われたように、もし事故が生じたならば、待つたなしの関係でもあるし、またわれわれ当運輸委員会で審議しておる航空法案と密接な関連がございますので、私どもは実にこれは慎重審議を要すると思うのであります。しかしながら講和条約の効力発生後すみやかに航空法案が通過しなければ、その間空白ができておることもよく承知いたしておりますので、できればすみやかにこの法律案の通過することを期待いたすものでもございますけれども、いろいろな観点からこの法案については慎重に慎重を重ねて審議しなければならないという考えを持つております。そこで先ほど私が申し上げました通り、この法案は、あまりずさんなかつこうで出されたような印象をわれわれに重ておる点もございますが、これはあるいは九月一日、あるいは十月一日以降に施行されるような法案でありますので、さほど急ぐ必要はない。むしろ八月に予想される通常国会でもいいのではないかというふうにも考えておりますが、この点は本間政務次官はどういうようにお考えでございますか。
  158. 本間俊一

    本間政府委員 先ほどどなたかからの御質問にも申し上げたのでございますが、三月の八日にすでに定期航空機製造が開始されております。従いまして私どもといたしましては、できるだけ早く態度をきめたいと思います。施行の期日を条文によりまして幾らかずらしておりますことは、その間に、何と申しますか、相当準備を急ぎましても、やはり技術上の基準決定いたしまする場合には、相当民間の専門家の意見も聞かなければならぬわけであります。こういつたものはどうしても相当の期間がかかりますので、ぜひ先ほど大臣が申しましたように、本国会でできる、だけ早く成立をして出発をして行く、そうしてこの基礎の上に立ちまして御要望のようないろいろな助成措置その他もあわせてひとつ考慮して行く、こういうふうに考えております。
  159. 坪内八郎

    ○坪内委員 そういうようなお気持でこの法案の通過に努力されることはけつこうでございますが、それでは、私先ほどお尋ねいたしましたことでありますが、この法案の通過と同時に助成策を、補助政策をとつて進むことが、私はほんとうにいいことじやないかと思うのであります。従つてまた、国内でいろいろ要望があるところのローカル線の関係につきましても、いろいろこれは予算措置をしなくちやならぬ点もございますが、この法案の通過と同時に、近き将来においてそういつた補助政策を、立法的な処置を何か準備されておられるかどうか。そういつた方針については、先般来お話を承りましたけれども、具体的なそういつたお考えがあるのかどうか、あるいは何か予定しておることがあるのかどうか、その点もあわせてお尋ねしたいと思います。
  160. 本間俊一

    本間政府委員 御指摘がありましたように、これはどうしても必要なものでございますから、そういう方向でいろいろなものを準備しなければならぬと思いますが、ただいまこういつたようなものを出すというところまでまだ話合いが進んでおりませんので、この点は御趣旨に沿いましてできるだけ早く着手いたしたい、こう考えております。
  161. 滿尾君亮

    滿尾委員 私が先ほどお尋ねいたしました第八条の確認の点でございまするが、ちようどいろいろもたもたいたしまして最後の締めくくりがつかなかつた。ただいまの両大臣の御答弁で大体わかるのでありまするけれども、これは法律的にもただ製造過程確認する字義通り事実行為のレコードであるというような意味で考えておるのであるか、法制局の方ではどういうふうにお考えになつておりまするか、この確認という行為の効果について御説明をお願いしたい。
  162. 西村健次郎

    ○西村(健)政府委員 お答えいたします。この八条の第二項にありますように、確認という行為はどういうことかと申しますと、承認を受けた製造設備、あるいは製造工程、これはおのおの技術上の基準に合致しております。それによつてできたということをただ字義通り確認するだけであります。
  163. 滿尾君亮

    滿尾委員 そういたしますと、その確認行為の事実のレコードにすぎないというものであれば、これに罰則があつたりなんかするのはずいぶんきつすぎる。おそらくそういうことはいらぬのじやないかというような気がするのでありますが、またこの確認の行為を非常に強くとれば、耐空証明とダブつたことをやつている、こういうことになりますし、ここらに非常に問題があると私は思います。  別なことをお伺いしますが、いろいろな通商産業省令で技術基準もきめる、その他いろいろありますが、この省令の大体の大綱というようなものは、すでに法律案になつておりまするかどうかをお伺いしたい。もしあればその大綱をこちらへまわしていただきたいということをお願いします。
  164. 佐枝新一

    佐枝政府委員 目下せつかくわれわれの方の技術陣によつて研究をしておるのでありまして、まだ事実内容について具体的に御説明するという段階にまで来ておりません。
  165. 滿尾君亮

    滿尾委員 これは法律をお出しになるときに重要な事案を省令に譲つておられる場合に、省令の個々の条文までは私ども要請しませんけれども、大体の要綱と申しますか、そういうものは当然御用意にならなければ、われわれはほんとうに表面だけのことに尽きてしまうのですが、特に技術水準の制定なんというのは非常に大きな問題だと思うのです、先ほど政務次官のお話によりますと、技術基準の制定については審議会をつくつて民間意見をいれるとありましたが、この条文の中にそれが出ていないように思うのでありますが、私の見落しでございましようか、もし出ていなければなぜお入れにならないか、当然入れるべきものではないかと思います。
  166. 本間俊一

    本間政府委員 私が先ほど申し上げましたのは、法令による審議会という意味を申し上げたのではないのでありまして、当然これはそういう、何と申しますか、人を任命いたしまして、そうして民間のエキスパートの意見も十分に聞きまして、そしてこれは決定をしなければならぬというふうに考えております。
  167. 滿尾君亮

    滿尾委員 これは法令による審議会をお設けになることが当然じやないか。その法律の条文の一部分にそのことを御規定になるべきものではないかと私は考える。これはつまりわが国の将来の飛行機発達という方向をきめる最も大事な問題であつて、もし通産大臣飛行機製造工程に何らかタッチされようとするならば、この点は私は核心になると思うのです。これはただ政府当局が自分の一存でかつてな人間を集めて、すきなように審議会をつくつて、すきなようにやるのだというのでは少し軽過ぎるのではないか、これはぜひ法律の中に一項を起されてしかるべき要点だと思うのでありまするが、特に大臣の御答弁をいただきたい。
  168. 本間俊一

    本間政府委員 先ほどの関連がありますので、私から申し上げますが、設置法をかえましてその法案のしまいの方にございますが、航空機生産審議会というものをつくるということをいたしております。
  169. 滿尾君亮

    滿尾委員 設置法の中で御用意があるそうでありまするから、その点は満足いたしました。今度は航空法関係になりますが、航空法の第十条に、耐空証明を出します場合に航空長官が検査をいたしますときに、その検査員に対しまして、通産大臣運輸大臣に協議して指定する通産省職員に行わせるものとするということ書いてあります。これはせんだつての閣議の妥協案と申しますか、この中に大体出ている思想が盛られておるのでありまするけれども、私はこの規定は少しおかしな規定だ、第一、この規定のかつこうからして、これは政府の職員たる立場において行えばいいのであつて、それを特に通産省職員に行わしめるというような表現をすることは、これはいかにもおかしな表現であると思うのです。さらにまた実体に触れて考えてみますると、この検査をする通産省職員というものは、身分関係はもつぱら通産大臣に隷属する。運輸大臣の方は人事に関しては発言の権限がないのだというふうにとられるのでありまするが、さように解釈するものでありましようか。
  170. 本間俊一

    本間政府委員 耐空証明検査はこれはもう私ども所管ではないのでありまして、運輸省運輸省の人でやられると思います。製造過程におきまする、何と申しますか安全上の検査と申しますか、そういうものは工場に直接私どもの人間が行つておるものでありますから、その人間を使つてやる、こういうことになるのであります。
  171. 滿尾君亮

    滿尾委員 ただいまの点、私が耐空証明と申しましたのはちよつと読み違いでございまして、製造過程でありました。いずれにしましても、この検査は、職員につきましては通産大臣運輸大臣に協議する、協議に対しまして、運輸大臣は協議でありまするから、当然拒否権があると解釈してよろしゆうございますか。
  172. 本間俊一

    本間政府委員 御承知のように、どういう資格を持つてどういう技能を持つておるかというような点が一番実際は問題になると思うのでございますが、そういう検査官の資格を決定いたしまする場合には、どういう点をどういうふうにきめなければならないかということは、もちろん通産大臣の方で運輸大臣の方と十分協議をいたしまして、そうして一定の基準がきまるわけでございます。そうして決定をいたしまして、試験なり何なりに合格しまして、通産省の人間に相なると思いまするが、あの人が、検査規則と申しますか、あるいは検査標準と申しますか、そういうものができ上るわけでございますが、それによつて安全上の検査をする、こういうことになるであろうと思います。
  173. 滿尾君亮

    滿尾委員 ただいまの私の質問はちよつと不十分でございましたが、これは航空庁長官に伺いますが、この第十条の今私のお尋ねしました「第四項の検査のうち、製造過程について行うものは、」と書いてありますが、これはつまり第四項をよく読んでみますると、これは耐空証明の一部分としての製造過程における検査だと解釈いたしますが、さような意味でございましようか。
  174. 大庭哲夫

    ○大庭政府委員 さように解釈してけつこうだと思います。
  175. 滿尾君亮

    滿尾委員 そういたしますると、先ほど政務次官と私との間に、耐空証明でなかつたという了解のもとに論議せられました話は、これは間違いであつたと私は思うのでございます。従つてこれは耐空証明の一部分を構成する製造過程に対する検査である、そういたしますると、通産大臣のプロパーの製造過程確認という問題とダブつて来るわけでございますが、この辺の調整ということはどういうふうに相なるものでございましよう。
  176. 本間俊一

    本間政府委員 先ほど私が間違つて答弁申し上げましたが、今航空庁長官の申された通りだと考えます。
  177. 滿尾君亮

    滿尾委員 その間の調整をお伺いしたわけです。
  178. 本間俊一

    本間政府委員 生産通産省が担当いたしますわけでございまするので、たびたび問題にもなりましたように、できるだけ製造事業者の方にめんどうを少くしたいというような考慮から、閣議の裁定案では製造過程における耐空証明通産省職員を使つてやる、こういうふうに閣議の裁定がなつておるものと私は解釈いたしております。
  179. 滿尾君亮

    滿尾委員 今度は大局的に一言お尋ねをしてみたいと思いますが、同僚議員の熱心な審議によりまして、いろいろな点が明確になりまして、結局するところ最後の締めくくりとして、大臣にお伺いいたしたいのであります。  まだ通産大臣飛行機製造事業に対しまして、その公の立場においてこれにタッチして行かれるというお立場は、大体二つあるだろう。一つは公益上の見地からこれにある程度干渉する、利用者その他の安全性を確保するという意味の公益上の干渉が一つ立場だと思うのであります。第二の立場は、私はわが国の産業構成の建前からいたしまして、飛行機製造事業というものを大いに推進して行きたいという助長政策的な見地からのお立場二つあると思うのでありまするが、大体さように心得てよろしゆうございますか。そのほかにも私どもの気のつかないお立場がおありなのでしようか、お伺いいたします。
  180. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 お言葉通りであります。
  181. 滿尾君亮

    滿尾委員 そういたしますると、第一の公衆の利益を確保する公益上の見地からする問題は、大体運輸大臣の行いまする耐空証明の線で確保できると思うのです。問題は第二のわが国の産業構成の建前からして、航空機事業というものはどうしてもこれを盛大にして行きたいというその立場二つあるわけです。ところが今回のこの法律を考えてみますると、公益上の見地の安全性の確保は大体航空機に譲つて十分だと考えられる。航空機製造事業というものは、第二の助長行政の見地にもつぱらその分野を求むべきではなかろうかと思うのでありまするが、実際の法案を拝見してみると、この法律の中に盛られておることは、その点の二つの見地が互い違いになつております。あべこべになつておりまして、ここに書いてある条文は、ことごとく業者の仕事をある程度国がチェックして確認して行くのだ、お前あやふやな仕事をするのではないかというわけでチエツクをする。国家の公益上の立場に立たれる条文だけが出ておつて、これを助長して行く、わが国の産業構成をりつぱにして行きたいというお立場のことは一つも出ておらぬのです。先ほど来同僚議員からいろいろその点についての具体的な示唆もございましたが、結局今回の法律二つの重大な立場をはすかいに互い違いにとり違えている感が非常に深いのでありまするが、通産大臣はさようなふうの御感覚にはごらんにならないかどうか、お伺いいたしたいと思います。
  182. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 今の助成方面に欠けておるというあなたの御意見、先刻ほかの委員諸君からも何回かお尋ねがありましたが、その点は私は率直に認めます。これは先刻も私が申し上げましたように、その面は今非常に熱心に研究いたしておりますので、将来そういうふうに持つて行きたいと存じます。
  183. 滿尾君亮

    滿尾委員 私は別に統制経済を謳歌するものでも何でもないのでありまするけれども、わが国の戦前におきまして、重要産業について相当いろいろな許可制をとつた、事業法をたくさん制定しておつた。戦後になつていろいろ情勢はかわりましたけれども日本経済を推進する立場から、これらの産業に対する政府としての積極的な動きをやろうということは、一概にこれは非難すべきではないかと思つておるのです。しかしながら戦前に石油でもそうだつたし、いろいろなものがあつた。ところが特に飛行機だけ取上げておやりになる。他の産業についても同様のお考えを持つておられるか、特にお出しになるお考えなのか。当然飛行機製造事業法案というものをおつくりになつて、たとえばほかの戦前にあつたような他の業種に対しては、当分おやりにならない御意思なのか、その点を伺つておきたい。
  184. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 他の事業については今事業法を出す考えは持つておりません。
  185. 滿尾君亮

    滿尾委員 そういたしますと、先般来御説明を伺つておりますが、なぜ飛行機製造事業だけ特にたくさんあつた中からこの際お取上げになつたかがよくわからぬのであります。また事業の規模というものはほとんどできていないし、ちよつとやそつとで製造事業が誕生しようとも思われない客観情勢でもございまするし、かりにそういう基礎があつたにいたしましても、他の産業と比べて飛行機だけを先に通産大臣が取上げねばならぬという立場はない。もちろんその助長行政の面をお盛りになつて、これに補助金をやるとか、新しい型式を考えるときには奨励金を交付するとか、いろいろそういう意味の純粋の助長行政の内容のある法案なら、私何とも思わぬのでありまするが、このようなチエツクするかつこうのものだけが先行するような法案を、なぜこの飛行機製造事業だけ優先にお取上げになるか、どうもそこに納得の行かないものを感ぜざるを得ないのであります。
  186. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 その点は先刻来皆さんの御質問のうちにも繰返されましたが、航空機性格から行きまして、われわれは重要性を感じて、ことにこういう非常に技術の遅れている航空業が起るのでありますから、生産保護で行くべきだという考えなんです。
  187. 滿尾君亮

    滿尾委員 ただいまの大臣の御答弁通り一ぺんで、何ら納得しきれない。はなはだこれを遺憾とします。  もう一つお尋ねします。今度は全然角度をかえまして、私はこの航空機製造事業というものをこういうぐあいに、あれもいかぬ、これもいかぬというようにチェックする角度でなしに、積極的な法案をおつくりになることは大賛成です。そういう角度から考えて参りますと、届出主義というようななまぬるいことはやめた方がよろしい。これははつきりと許可制にして、そのかわり国は徹底的に腰を入れてこれを助長せられることが、有効にして適切だと私は思うのでありますが、大臣は将来そういうようなお考えをお持ちになるお考えはないかどうか、伺つておきたいと思います。
  188. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 そこは非常に意見が違うのです。許可制で行くべきか、届出制で行くべきか、これは省内でもいろいろ検討したのですが、届出制にして、監督を厳重にして行くべきだという結論に達したわけなんです。
  189. 滿尾君亮

    滿尾委員 それは監督のことばかりをお考えになるから、届出制にして監督を厳重にしようということになるのだが、私の考えでは、この産業をほんとうに腰を入れて育成して行きたいと思えば、届出制では、めんどうを見ることの方が多かろうと思う。届出制である以上はどんどん出て来るのを制限することができない。そうして出て来たものを、ピンからキリまでいろいろと手をひつぱり、足をひつぱりすればするほど結局不徹底な政策になるという点が一つと、それからもう一つ大臣は前に言葉を濁しておられたが、将来のわが国の行くべき道を考えまして、わが国のいろいろな面に対する航空機製造事業というものの立場から考えてみましたときに、私は外国資本の取扱いというようなものも、これははつきり腹をきめてかかるべきでないかと思う。もちろん外資をある程度導入することはよろしい。しかし少くとも日本の指導権を失わない限度というようなぐあいに、一応の目安を明確にしておくことが必要でなかろうか。どうも御答弁が思わせぶりで、まだわからぬがという程度で、非常にあいまいです。わざとあいまいな御答弁だつたかもしれませんが、むしろ率直に、将来の航空事業に対するわが国の政策はこれこれ、外国資本との提携、あるいは提携の限度はかように考えているのだと言われる方がよろしくはないかと私は思うのでありますが、あえて大臣にお伺いいたしたい。
  190. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 将来外国資本との提携をして航空機製造が起るというような場合も起るかもしれません。これは私まだ個人の意見でありますが、そういう場合にも、資本関係を、外国資本の指導権が及ぶような組織には私は賛成をようしないのです。これはまだ政府の意見がそこにあるというのではなくて、私個人の意見であります。
  191. 本間俊一

    本間政府委員 先ほど滿尾委員から例の届出制に対する御批判があつたのでございますが、これは御承知のように、非常な資本と設備がいりますので、届出主義にいたしましてもそう濫立するというようなことは実際上ないのであります。今日許可主義にいたしまして、そういう意欲のあるものを一方において押えて行くということもいかがかと思いまして、一応届出制にいたしまして、そしてそれをやろうとする事業設備方法につきましては検査を要するということにいたしたのでありますから、この主義で参りまして、めんどうを見ることが不徹底になるという心配はないのではないかというふうに実は私考えておりますので、考えております意見だけを率直に申し上げまして、御了承を得たいと思います。
  192. 滿尾君亮

    滿尾委員 終ります。
  193. 黒澤富次郎

    ○黒澤委員長代理 横田君。
  194. 横田甚太郎

    ○横田委員 航空法案航空機製造法案と連合審査で、通産運輸、これについて相当の質問があるのです。私は通産委員会に所属しておりますから、航空機製造法案の方は通産委員会でやるように了解を得ておつた。しかし航空法案については大体十七問あるのです。それは非常に時間的にできないような条件に追い込まれている。従いまして、これは後ほどにもう一回連合審査を開いてもらえるかもらえないかということをまず委員長に伺いたい。と同時に、航空機製造法案の審議に際しまして、まず八項目の資料がほしい、それを要求しておきます。これも返事をいただきたい。それの一つは、昭和、川崎あるいは中島、川西、三菱、愛知等、いわゆる航空機五社と言われておりますが、今読んだのは六つありますけれども、こういうようなものは最近どうなつているか、この現状を知りたい。二番目は、資本的にはどこが一番有利であるかということ。三番目には、設備はどこが有利であつて設備として残つている現況は一体どうなつておるか。それから四番目には、これらの会社のうちで技術的にはどこが有利であるか。それから五番目には、さきの昔航空機五社と言われたもの、あるいはそれ以外にあるところの親工場から下請工場に出しておつたその下請工場の現状はどうなつておるかということ。それからその当時親工場並びに下請工場において使用されておりましたところの被用者、いわゆる工員、そういう人たちは一体今どういうようになつておるかということ。それから七番目には、設備、建物にはどのくらい今後かかるかということ。この設備、建物とは、今あるものをやりかえる場合、あるいは今のものがだめであるならば、新しく建てる、新しく建てるとすれば、一体どういうようにやつて行くのか。そういうふうな場合には、今あるものだけではだめだから、これに対してはこれだけのものをこしらえなければならないというものがあるのかどうか。それからこれらの中に再使用に耐えるものがあるかどうか。これで大体八つです。これについて資料をもらいたいのですが、資料を出してもらえるかどうかということと、それから連合審査をやつてもらえるか、もらえないかということが、私が今第一に委員長に聞きたい点であります。
  195. 黒澤富次郎

    ○黒澤委員長代理 資料の点に対しましては、関係政府間に申し入れまして、出させるようにいたします。本日は連合審査会でありますので、通産委員長と協議の上決定いたしたいと存じますから、さよう御了承願いたいと思います。
  196. 横田甚太郎

    ○横田委員 これから質問しますと——よその人が時間を食つてしまつて、こつちが当然質問すべきことを、与党以外の党として質問しておられないので、妙な時間的な割合に追い込まれまして、ほかの人に迷惑をかける。ことに速記の人たちや、事務の方に迷惑をかけるから、私はやりたくない。だから、これは必ず次の機会にやつていただきたいということを私はお願いしておくのです。お願いする場合に——聞くところによりますと、運輸委員会はあす、あさつて、金曜日と土曜日には東京近郊に視察に行かれるということを聞いておる。そういたしますと、来週になる。ところが、これも聞くところによりますと、この法案は来週の月曜日か、火曜日に上げたいと言つておる。これは実際上やれるわけはない。しかしこれは法案を見ておりますと、また審議の状況を聞いておりますと、与党の坪内委員の御発言の中にもありましたように、これは別に急ぐ法案ではないのですから、どうして月曜日、火曜日に上げなければならないかということが疑問になつて来る。だから、ゆつくりとやつてもらいたい。しかも今度の質問に対しましては、国会の法案の審議のうちにおいてまれに見るほど与党自由党議員の質問が盛んであつた。これは共産党を弾圧する法案の自由党の力づけの質問ならともかく、それ以外の法案についてやられたところの自由党のその緊張ぶり、慎重ぶりにはわれわれは驚き入つている。だから、ぜひとも連合審査をやつてもらいたい。これは共産党だけの意見じやありませんから、ぜひやつてもらいたいということをお願いします。そうでなかつたならば、きようの委員長は非常に不手ぎわなので、与党議員の発言を押えずにずるずるとやつたのですから、その責任委員長代理であるところの黒澤氏が負うべきである、これはひとつはつきり言つておきます。
  197. 黒澤富次郎

    ○黒澤委員長代理 なるべく御趣旨に沿うようにいたしたいと思います。大分時間も経過いたしましたので、本日はこの程度で連合審査会を散会いたします。     午後六時一分散会