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1952-05-21 第13回国会 衆議院 通商産業委員会運輸委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月二十一日(水曜日)     午後一時四十四分開議  出席委員  通商産業委員会    委員長代理理事 多武良哲三君    理事 高木吉之助君       阿左美廣治君    小川 平二君       神田  博君    小金 義照君       土倉 宗明君    南  好雄君       村上  勇君  運輸委員会    委員長 岡村利右衞門君    理事 黒澤富次郎君       稻田 直道君    岡田 五郎君       尾崎 末吉君    玉置 信一君       坪内 八郎君    川島 金次君       山口シヅエ君    江崎 一治君  出席政府委員         通商産業政務次         官       本間 俊一君         通商産業事務官         (通商機械局         長)      佐枝 新一君         運輸政務次官  佐々木秀世君         航空庁長官   大庭 哲夫君  委員外出席者         通商産業委員会         專門員     谷崎  明君         通商産業委員会         專門員     越田 清七君         運輸委員会專門         員       岩村  勝君         運輸委員会專門         員       堤  正威君     ————————————— 本日の会議に付した事件  航空法案内閣提出第一七九号)  航空機製造法案内閣提出第二二六号)     —————————————
  2. 岡村利右衞門

    岡村委員長 これより通商産業委員会運輸委員会連合審査会を開会いたします。  本日の日程は航空法案及び航空機製造法案でありますが、まず両案について政府より提案理由説明を求めます。佐々木政務次官
  3. 佐々木秀世

    佐々木(秀)政府委員 航空法案提案理由を御説明申し上げます。終戰後におけるわが国航空活動は、連合国最高司令官指令及び覚書により全面的に禁止されるに至り、わずかに昭和二十五年六月に発出されました覚書に基いて、日本国内における航空運送事業営業活動が許されているにすぎませんでしたが、昨年九月サンフランシスコにおいて締結されました平和条約は、わが国航空活動について何らの制限を付していませんので、同条約効力発生の後においては、航空活動について全面的な自由が回復されることとなり、活発な航空活動が期待される次第であります。  しかるところ、航空に関する現行法規としましては、前述の日本国内における航空運送事業について、航空機運航は、外国航空会社で行い、その営業面だけを日本側で行うという変則的な事業形態規定している国内航空運送事業会と、外国航空会社日本への乗入れを片務的に認めた外国人国際航空運送事業に関する政令の二つのポツダム政令がありますが、これらの政令は、今後の事態に適用するには、不適当かつ不十分なものでありますことは説明を要しないところであります。  従いまして平和條約の効力発生の後に適用すべき航空に関する法規としましては、現行の変則的な政令を廃止するとともに、新らしい観点から、航空活動の全般について、所要の規定を設ける必要があるわけでありますので、ここに航空法案提案いたした次第であります。  平和條約は、その第十三條のC項におきまして、日本国は、国際民間航空條約の加盟に先立つて同條約の規定並びに同條約の附属書として採択されている標準、方式及び手続を同条約の条項に従つて実施すべき旨を規定していますので、航空法案は、この規定趣旨に従いまして、航空機の耐空性に関する基準航空従事者の資格、航空保安施設の設置及び管理の基準航空機運航方法などの航空機の航行の安全をはかるための方法を定め、並びに航空運送事業その他航空機運航して営む事業の秩序を確立し、もつて航空の健全な発達を図るため必要な規定内容といたしてあります。  以上が本法律案提案理由及び内容概要であります。何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決あらんことを切望いたす次第であります。
  4. 岡村利右衞門

  5. 本間俊一

    本間政府委員 航空機製造法案提出理由を御説明申し上げます。航空機製造は、終戦直後連合軍司令官指令によつて禁止されておりましたところ、今年三月八日付の覚書によりまして生産が認められ、航空機工業再建への道が開かれたのでありますが、さらに平和條約も発効いたしまして近き将来において航空機工業の全面的な活動が期待されるに至りました。  申すまでもなく、航空機工業は、素材、部品装備品等多岐にわたる関連生産部門の密な協力によつて構成されるピラミツドの頂点に位する典型的な総合機械工業であり、設備技術、及び、材料の各方面を通じて最高度水準を要求されるものであります。しかるところ、わが国航空機工業は、戦後ただちに賠償工場に指定され、生産のための組織は、解体せしめられ、その後七年の間にわたつて完全な空白状況に置かれました。従いましてこの航空機工業を再建し、わが国空白期間に、著しい進歩発達を示した諸外国航空工業水準にまで達せしめることは、その前途はけだし多難の限りというべきであります。しかしながら航空機わが国将来の文化、産業に貢献する大きな意義を考えますとき、航空機工業を振興発達せしめ、その生産技術の向上をはかり、もつて航空機品質及び性能を確保することは、現在における最大の急務と考えられますので、ここに航空機製造法案提案いたしました次第であります。  以下この法律案内容の大略を申し述べます。第一に、航空機及び発動機プロペラ等製造または修理事業につきましては、届出制度をとり、再建しようとするこの工業実態を常に把握いたしたいと思います。  第二に、航空機工業は、最高度技術及び高性能設備を必要といたしますので、製造または修理設備及び方法について一定の技術上の基準を設けてこれを検査し、この検査に合格した設備及び方法により、製造または修理を行わせることといたしました。  第三に、航空機及び発動機プロペラ等製造または修理行つた場合には、検査に合格した設備及び方法によつて行われたものであることを通商産業大臣確認または証明いたす制度を設けました。これは、製品の良好な品質及び高度の性能を確保するための措置であります。  第四に、確認または証明のための検査につきましては、事務簡素化及び迅速化をはかるため、原則として民間専門家に委任いたすこととし、重要部分についてのみ国の検査官が検査することといたしました。  なお、ここに事新らしく申し上げるまでもなく、新たに生れ出ようとする航空機工業に対しては、大方の援助と協力とがなくてはそのすこやかな成長が望まれないのは、当然なことでありまして、政府といたしましても、この法律中には明文をもつてうたつてはありませんが、でき得る限りの支援を惜しまない所存であります。  以上がこの法律案提案理由及び内容概要であります。何とぞ愼重御審議の上、すみやかに御可決あらんことを切望いたす次第であります。
  6. 岡村利右衞門

    岡村委員長 以上をもつて政府提案理由説明は終了いたしました。これより両案に対する質疑に入りますが、まず航空法案を議題とし、質疑を行います。質疑の通告がありますから、これを許します。南君。
  7. 南好雄

    南委員 私は航空法案について、航空機製造法案との関連につきまして、政府当局の御所見を伺いたいと思うのであります。  御承知通り、この航空機と申しますのは、何と申しましても文明の最先端を走つておるものでありますし、またこれをつくる航空機工業と申しますものは、自動車工業と相並んで、非常に高度の工業であります。すなわち総合組立て工業でありまして、何と申しましても機械工業の花といわなければならぬのであります。幸い独立後におきまして国際航空條約に日本が入りまして、日本もまた、民間航空その他について、国際社会の一員として巣立ちますために、航空法案はぜひとも必要な法案ではありまするが、一体この法案の目的が、航空安全性ということについて詳細に規定することが第一義であることは、私が申し上げるまでもないのでありますが、航空安全性と申しますことに関連して、また飛んでおる飛行機そのもの安全性ということも問題になつて来る。こういうことに関連いたしまして、どうも限界がはつきりしておらぬ。結局航空法案ほんとう根本要旨は、何と申しましても航空の安全ということであつて飛行機それ自身安全性と申しますものは、航空法案においては、従的立場にあるべきである。政府全体として見るならば、製造関係につきましては、何と申しましても、製造業そのものに対する所管官庁である通商産業省が持つことは言うまでもないことでありますから、両々相まつて航空の安全、航空機そのものの安全ということを確保しなければならぬ、こういうふうに、法案を読まなくても、私たちはまず常識として考えておるのであります。そこでそういう観点に立つて、いま少しこの空港法案についていろいろのお話を承りたいと思うのでありますが、まず一番先に、航空法案に出て参ります耐空証明と申しますもの、この法案を読んでみますと、あまり内容を持つていないのでありますが、もう少しわれわれにわかるように内容の御説明を願いたいと思うのであります。
  8. 大庭哲夫

    大庭政府委員 お答えいたします。耐空証明と申すものにつきましては、たいへんこまかい項目になるわけでありまして実はここでその大綱を申し上げようと存じます。耐空証明の中には——承知のように本航空法案の主体は、第一章にも書いてあります通りに、国際民間航空條約の規定あるいは標準規則というものにのつとりまして、日本民間航空法を構成いたした次第でありまして、その趣旨といたしましては、耐空証明というものにつきましては、飛行機の類別に従いまして、それの構造、並びに強度性能検査をやつて行く、その検査基準に従いまして、その検査に合格されたあかつきにおいて耐空証明を発行するということになつているわけであります。その構造、あるいは強度、あるいは性能という問題につきましては、各部品多々に及ぶわけでありまして、その部品と申しましても、航空機そのものの対象によつて種々あるとは申し條、たいへんな部数に及ぶわけでありまして、これを一々ここで申し上げることもどうかと存じますが、大綱を申し上げますと、航空機の機体、あるいはその動力装置としての発動機、それについているプロペラ、あるいは装備品というような、個々について、今申し上げました構造性能あるいは強度について全般的な検査をして、その検査基準に従いましてそれが合格になつた場合に、初めて耐空証明を発行するということになるのであります。
  9. 南好雄

    南委員 そういうお答えだろうと思つてつたのでありますが、私の質問が非常に漠としておつたためかもしれぬと思うのでありますが、耐空証明と申しますものは、飛行機が飛ぶに耐える、いわゆる強度と申しますか、安全性と申しますか、そういうものについての一つの証拠たらしめるために、いろいろの標準をきめて耐空証明を與える基準にする。十條の四項に、当該航空機強度構造及び性能、こういうものの安全性を確保するために技術士基準をきめるのだ、こう書いてあるのですが、その通りでございますか。
  10. 大庭哲夫

    大庭政府委員 その通りであります。
  11. 南好雄

    南委員 そういたしますと、そういうものを確保するために必要な基準、こういうことになつて参りましてそれからさらに耐空証明の次に型式証明ということが出ておるのでありますが、この型式証明ということはどういうことか、法案を読んでみれば大体のことはわかるのでありますが、政府委員のわかりやすい御説明を承りたい。
  12. 大庭哲夫

    大庭政府委員 お答え申し上げます。型式証明と申しますのは、航空機を初めて設計をした際に、その設計図面あるいはそれに従つた明細書というものを提出して来ることになりまして、その設計図面と、それに従う明細書によりまして、その航空機がはたしてその設計並びに明細書に書いてある通り性能を持ち、また安全性があるかどうかにつきまして、これを検査する。従いまして、その検査に合格した場合に、初めてそれを型式証明書としての証明を発行することになるわけでありますが、ただここで型式証明というものにつきまして、最初設計でありますために、それがはたして実物としてその性能が出るかどうかということにつきましては、図面あるいは明細書でははなはだ不可能なところがあるために、通例どいたしまして、第一機だけはこれを試作しまして、それの性能がはたして図面通りでありまするかどうか、明細書通りであるかということを確かめた上で、証明書を発行するということになつているわけであります。
  13. 南好雄

    南委員 そういたしますと、航空安全性を確保する、すなわち飛行機そのもの安全性を確保するためには、型式証明をやつて、一機だけは十分に運輸省納得できるような検査をしなければならぬ、こういうことですか。
  14. 大庭哲夫

    大庭政府委員 その通りであります。
  15. 南好雄

    南委員 一応の論理はその通りなのでありますが、同じ政府部内におきまして航空機製造事業法案で、航空機製造について厳密ないわゆる航空機安全性と申しますものを間接的に確保するためにいろいろなことをやつておるのであります。できたものについて型式証明をなさいますと——この書き方を読んでみますと、その一機だけをやるのか、あとから出て来たものに対して、またあと部品証明というのが出て来るのでありますが、その後常にやるのか、そこらへんがどうもはつきりしていないのですが、はつきりお聞きしておきたいのは、型式証明をする際には、初めてできる飛行機だけについてやつてあと通産省の方にまかして、製造証明で行く、こういうのか。それともその後についても安全性ということが心配になりますから、一機一機、ときどき随時に検査する、こういうことになるのですか。
  16. 大庭哲夫

    大庭政府委員 お答えいたします。型式証明につきましては、最初設計図面について型式証明をするわけでありまして、その型式証明に従いました航空機がマス・プロの段階——二機以上の製造に移つたときには、型式証明は発行しない、要するに設計図面検査はしない。しかしながら生産移つた過程におきまして、その構造上の、あるいは性能あるいは強度に対する製品検査は、これを運輸省でやつて行きたい。また運輸省においてその検査基準は設定したいと考えておるのであります。
  17. 南好雄

    南委員 どうもその辺に生産行政を担当している通商産業省行政実態について何か不安があつて、もう少し運輸省製造過程に関与していろいろなことをやりたいというふうに法律もとれるし、御説明もとれるのですが、大体自動車でも航空機でも同じでありますが、要するに、物をつくるのに、それがだめになつて安全性のないような乗り物をつくるわけもないし、またつくろうとしておるのでもない。ただいろいろの製造過程において不注意があつてそういうことになつたり、あるいは工業能力技術が至らずして飛ばぬ飛行機ができたり、航続力のない飛行機ができたり、またこわれやすい飛行機ができたりするということは、両方とも監視して注意しなければならぬと思いますが、型式証明をやつて、そしてその後に流れ作業になつて出て来る——はたして日本航空機がそんなに流れ作業にどんどんつくるほど製造に耐えるかどうか、これは今後の大きな問題でありましようけれども、一応考えられる上においてそういうような場合に、生産関係に深くつつ込んでいろいろなことをやつて行くということは、どうも私には納得ができないのでありまして、同じ政府部内において生産行政をやつている官庁は、生産者の利益だけを考えて、そして飛行機安全性がなくとも、事業者に都合のいいような法律をきめたり、あるいは検査基準をやつたりするというふうに考えられるところに、私は納得の行かないものがあるのであります。自動車につきましても、飛行機につきましても、これは生産部門を担当している官庁であろうが、あるいは消費者立場そのもの安全性を監督している立場でありましようとも、これは要するに同じ観点に立つてやるべきものであつて、そこにいささかも矛盾撞着があるべきはずがないのでありまするが、法案を読んでみますと、どうもその辺にわれわれ納得できないものがあるのですが、これはざつくばらんに申し上げますと、型式証明は一機だけやつてあと通産省におまかせになつて、そうしていわゆる消費者立場において、生産部門を担当している官庁にいろいろの注文をなさる、こういう行き方をなさる方が、ほんとう工業を育てて行く上におきましても最も必要なことであるのではないかと私は思う。つまり一つ技術面に対して、單に安全性ばかりを中心にして製造部門まで入つて行く、隅の隅まで監督して行くというような考え方は、私はどうも行き過ぎるように思うのでありますが、この法律に出ております考え方は、そういう意味か。それとも、要するに飛行機そのもの安全性心配するあまりに、その辺との矛盾のないように行政の運用をするために、多少その面にわたつて行く点があるのだ、こういうお考えなのか、政府委員のお考えちよつとお聞きしたい。
  18. 大庭哲夫

    大庭政府委員 お答えいたします。今のお話によりますと、自動車その他の交通機関については通産省所管であり、製品についても、良好な製品ができるように、あるいは工業がより以上発展して行くように所管をなさつている。これはごもつともだと存ずる次第でありますが、交通機関としてもう少しお考え願いたいことは、自動車より以上に安全性を必要といたします汽車あるいは汽船というものの所管が現在どこにあるか、かつまたそれらの安全性よりもなおより以上高度の安全性を必要とする航空機製作について、これの所管がどこにあるべきかという問題につきまして、私ども運輸省といたしましては、航空機安全性の確保のためには、自分でこれを所管して行かなければ、その安全性は確保できない。かつまた世界各国、あるいは先ほども申しましたように、国際民間航空機構規定を見ましても、それは一貫して規定がなされているわけでありまして、そういう面からいたしましても、世界各国共通的に安全性については一貫した行政機構をとつていながら、日本がなぜその一貫した行政機構がとれないか。戦前においては日本民間航空局そのものが一質して行政をとつていたわけであります。戦後にこれをなぜわけなければいけないか、その点が私たち今の御説明でありますが、納得しかねるところでありまして、この点につきまして、両者間に今日に至るまでいろいろ論争を重ねて来たわけであります。内閣の決定に従いまして、一応その線に沿いまして航空法案を作成いたした次第であります。そういうように御承知を願います。
  19. 南好雄

    南委員 政府委員個人的見解はどう述べられてもけつこうなんでありますが、あなたが自由であるとともに、私の見解もまた自由なんであります。私は外国の例はどうか知りませんが、元来航空機安全性と申しますものについて、通産省なりあるいは他の省があなたの方の運輸省所管を争うているのではなくて、一体飛行機をつくるのに、そんなに安全性のないような飛行機をつくつて売れると思うのですか。またそういう産業が成り立つとあなたは思つていらつしやるか。それは政府委員が非常に誤解していらつしやると思う。飛行機というものでも自動車というものでも、機関車というものでも、なるほど工業自身精密度においては差はありまするが、これはみな総合組立工業であります。アンサンブル工業であります。いろいろの部品等がひつついて一つ航空機になり、機関車になり、自動車になつて来る。そういうものを使つている人たち立場で、全部部品製造部門までおれの方に握らなければ安心して使えないのだというような乱暴な議論は、初めて聞く。外国でもそういう実例はないと私は思う。どこにそういう実例がありますか。そんなことは決してないと思う。使う人の立場で、使う人がどれほどそういうことを要求しても、工業としてついて行けぬ場合がある。どれほどあなたが飛行機安全性を強調されても、外国工業まで干渉するわけには行きませんし、日本製造工業に対して、ただ安全性心配からいろいろ干渉される、こういうお考えだろうと私は思うのでありますが、しかしその場合においても、各省所管従つて相手行政を信用しつつ進んで行く、これが政府機関の各担当部門別の心がけじやなかろうかと思う。私かねがね聞いておりますが、国会にまであるいは農林省と通産省所管争いをしたり、運輸省通産省所管争いをしたり、あるいは建設省が大蔵省と所管争いをして委員会までそれのお先棒をかついでいろいろそういう議論をすることは、まことに苦々しいと思う。しかしそこに常識として持つていなければならぬことは、その主管事項にお互いに忠実の余り、行き過ぎないようにやつて行くことであります。今度は通産省事務当局運輸省事務当局と相当これの所管事項についていろいろ争いがあつたことを私は聞いておりますが、幸いに内閣一つ裁定案というものができて、その裁定案趣旨従つてこの法律両方ともできたんだということを承つておりますから、その通りに行つてるものだと思つて、ぼくは最初からその趣旨であなたに御質問申し上げて、ただそれに念を入れるために話をして来ているのであります。今では製造部門については通産省が全責任を持つて、しかも運輸省の合点のできるように協力して行く。それからまた運輸省におきましても、通産省製造部門に対する監督行政指導行政助長行政というものを多く認めて、その上になお航空機安全性といいますものについての要求を出して、両々相まつてわが国航空機工業を発展さして行くというふうに私は聞いているのですが、今の政府委員答弁では、あくまで航空機の安全を確保するためには、製造事業並びに部品工業にまで完全に行政権を持たなければ安全を期し得られないように私は聞いたのでありますが、それは個人見解でありますか、運輸省当局の御見解でありますか。これは非常に問題になりますから、お聞きしておきたい。
  20. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 ちよつと関連して—ただいまの南委員の御質問関連しておりますから、南委員に対する答弁と私に対する答弁と一緒でけつこうであります。今南委員の御質問を伺つておりますと、先ほどの御質問のうちに自動車航空機と同じようなものだ、こういう御見解が述べられたのでありますが、これはもとより相当の逕庭があり、開きがある、こう私は思うのでありまして、これに関連してもしよくない飛行機をつくつた場合には、それが売れないじやないか、買手がないじやないか、こういうような御意見も質問の中に出たのでありますが、航空機というものはまずいものをつくつてしまつて、これが事故を起すとか、たいへんな問題を起すとか、そういうことになつてしまつたあとで、これはまずい飛行機だ、信用がなかつたんだ、そういうことではおつつかないから、そういうことのないように、生産並びに検査耐空証明、あるいは運航等について安全を期さなければいかぬ、こういうことだと私は心得ているのでありますが、その点がどうであるかということが一点。  それからやはり南委員の御質問の中に、生産過程において検査をしたい、いわゆる航空法で見ると、航空機生産過程において検査をしたいというふうに見えるが……、こういう御質問であつたのでありますが、検査をしたいというふうに見えるのでなくて、検査をせなければならない、こういうのではないかどうか。同時にさきの御質問の中にあつた外国に一体こういう日本でやるような生産かち運航まで一本でやらなければいけないというやり方をやつている国があるか、こういう質問でありましたが、私どもの了承いたしている範囲内におきましては、国際民間航空條約に加盟をいたしております米国、英国、フランス、イタリア、カナダ、そうした主要なる国においては、ことごとく生産から運航まで一本の行政をやつている。ただその中でちよつと違う点は、英国が供給省に対して発注をする。しかしながら供給省に対して発注をしたものに対しては、航空省が検査をやる。検査行政が一元であるというこの点が少し違つているというだけで、大体先ほど申し述べましたように、国際民間航空條約に加盟をいたしているおもな国々は、ことごとく生産から運航まで一本にやつているというように承知しておるのでありますが、そうであるかということが第二点。  第三点におきましては、国際民間航空條約の附属書の第八におきまして——あとから通産省の方々に御質問申し上げるときにこれは詳細に申し述べますが、このうちの一つ国際民間航空條約の附属書第八の三章の中に、三・一・二という項目があります。この三・一・二の項目に「航空機がすべての重要な点で承認済みの設計に合致しており、またその製造及び組立てが良好であることを決定するためには、その国が承認した検査制度従つて製造工程中に航空機検査しなければならない。」これは附属書の第八の中の一項目を読み上げたばかりでありますが、こういうふうにちやんと規定をせられておるのでありまして、さらにこれに関連をいたしますことは、昨年の九月締結になりましたところの平和條約の第十三条のC項の中には、日本国際民間航空條約に加盟する前においても、この国際民間航空條約の規定は尊重しなければならない、守られなければならないということが、平和條約の中にも厳重に規定をいたしてあるのでありますから、さきに申述べましたところのこの検査のやり方というものは、御質問の中にあつたような、検査をしたいというふうにみえるというのではなくて検査をしなければならない、こういうのでなければいけないと思うがどうか、この三点について南委員の御質問と一緒でけつこうでありますから、御答弁をお願いしたいと思います。
  21. 佐々木秀世

    佐々木(秀)政府委員 まず南委員にお答えいたします。型式証明運輸省が出せば、その後に生産される飛行機については、同じ政府部内だから、通産省生産監督でいいじやないかというお話でございまして、われわれがそのために所管争いをしている、お互いのセクシヨナリズムでいろいろやつているのではないかというお尋ねのように承りましたが、われわれは決してそうではないのであります。要するに型式証明を出しまして、一つ性能強度等におきまして、これなら大丈夫だという飛行機型式証明を出しますが、その後におきましてできました製品に対しても、いわゆる耐空証明を出さなければなりません。そうすると耐空証明を出したからには、飛行機運航の全般にわたつての責任を持たなければ、いわゆる耐空証明は出せるものではないのであります。そうして一つの型で型式証明を出したら、あとは全部が同じものができるかということになりますれば、南委員承知通りあらゆる生産物に見ましても、たとえば繊維品に見ましても、必ずそこにロスもできて参るでありましようし、そのときの強度性能というものが、一貫したりつぱなものができるということは保証できないと思うのであります。そういう点から考えましても、やはり一つ一つのものを見なければ、ほんとうの責任ある耐空証明というものは出せません。御承知通り飛行機運航のことにつきましては、航空庁がありまして、それがなかなか運輸省所管なのであります。これが通産省所管にあるのなら、決してわれわれは言わないのであります。だから行政の責任が運輸省にあるのですから、その運輸省がいわゆる細密に、最後までの責任を負う、その責任というものは一貫しなければならないというのがわれわれの思想なのであります。そうでありますから、決して所管争いではございません。ほんとう政府がこの航空、耐空に対するところの一貫した責任を負うというならば、生産させる方に、あるいは耐空証明もあるいは部分の検査もやらせるのだというならば、極端な話だが通産省検査を持つてつてけつこうなんですが、しかし現行行政機構においては運輸省に飛ばす責任があるのですから、その飛ばす責任がある運輸省が、どこまでも責任を負うということで、決して所管争いをしているのではないということを、ひとつ御解願いたいと思うのであります。  それからもう一つ、故障の起きるような飛行機は買わないじやないかということでありますが、要するに民間検査を信用しないのではないかというふうにちよつととつたのでありますが、国際民間航空條約においては、国が検査をしなければならないという規定があるのであります。国が責任をもつて検査をしなければ、飛ばすことはならぬという規定があるのですから、その責任に基いて検査をやらなければならぬ、こういうふうに考えておるのであります。  後段については航空庁長官からお答えいたさせます。
  22. 大庭哲夫

    大庭政府委員 尾崎委員からの御質問に対しましてお答えいたします。  第一項の検査につきましては、今政務武官から御説明申した通りでありまして、第八の規定に従いまして、全面的にいわゆる工程検査ひいて飛行検査に至るまでこれは国家の行政においてやらなければいけないというように規定しております。かつまた自動車等その他運輸機関と違いまして、航空は国際的なものでありましてこれが耐空証明というものにつきましては、国際的にこれが認められる。すなわちICAO、国際民間航空機構加盟いたしましたあかつきにおきましては、この検査制度証明というものは、有効に国際的に認められる性質のものでありまして、日本は六箇月以内にICAOに加盟をしその承認を得まして、ICAOの一機構となるわけであります。  そういう性質から申しまして、航空法案にはICAOの標準、方式及び手続を條約の規定に従いまして、先ほども申し上げましたように航空法を制定している次第であります。その他各国の例は尾崎委員の仰せられた通り、各国ともこれを一元的に実行しているのは事実であります。その他尾崎委員のお説の通りであります。
  23. 南好雄

    南委員 私非常に心配して質問しているのを、どうも何か違つた意味でおとりになつているように思うのでありますが、この型式証明一つつてあとできた飛行機をそれで全然検査をせぬというのではなくて、一機々々できれば登録する際に耐空証明を與えなければならない。これは当然登録する際に一つ一つつて行くのでしよう。
  24. 大庭哲夫

    大庭政府委員 耐空証明につきましては、一機々々検査して行くわけであります。またそれのでき上つたものでは検査ができないわけでありまして、その工程検査の成績を見まして、それに従つて実行して行くわけであります。
  25. 南好雄

    南委員 どうも私は非常にわからぬのですが、型式証明をやつて、これは要するに私が例をあげたやつが自動車で、それと飛行機は違う、こう言われた。なるほど自動車工業航空機工業は違う、一緒だとは言つておらぬのでありまして、組立て工業の高度の精密工業だという程度の差はあつても、そういう観念においては同じだ、こう申し上げたのです。そういう意味でただ申し上げただけで、一緒だと決して申し上げておるのではない。それから型式証明をやつて、そうすると一つの試作をやつて、それが何々の型の何式ということができますれば、そうすれば、あとは流れ作業でありますから、そういうようにできて行くが、やはり飛行機というものは安全性が一番大事でありますから、これを一つ飛行機として飛ばす場合においては、耐空証明をやつて行くのではないか、そこでちやんと運輸省としてチエツクできる方法があるのではないか、こう私はただ申し上げたのであつて耐空証明もいるし、型式証明もあり、また一機片々試作から現実のやつまで、全部調べ、さらに部品検査も、自分の思つたままのいわゆる標準でやらなければ安心ができぬというのは、それはいささか生産行政部門に対する行き過罰な考えでないかと私はただ申し上げた、そういうようなことをやらなければ、飛行機安全性が保てぬものだとも私は決して思つておらぬのであります。私がなぜこういうことを心配するかと申しますと、先ほど同僚尾崎さんからも話があつたように、航空機製造事業というものは、日本工業にとつても非常に将来重要な工業であつて、これが運輸省所管であろうが、通産省所管であろうが、一致協力して育てて行かなければならぬ、そういうものでありますから、業者にとつて二元的に働くことを私はあまり好んでおらぬのです。しかし国際航空條約のどこを読んでみましても、各国の手続に従いといつているのでありまして、どこの省に一元化せいとかいうことは何も書いていないのでありまして、その国々の手続に従つてつて行くべきものである。私は通産省航空事業に対する監督の眼目が、運輸省考えていらつしやる眼目と相矛盾するものであつてはならぬということをただ言つているだけであります。なぜ自分がそれを全部手がけなければならぬか、運輸省一つの機関ではありますが、おのおの別々な人がやつておるのでありまして、ただその機関が全部にタッチしなければ安心がならぬというのは、私は少し権限争いが過ぎるような気もするのであります。しかしそれは尾崎さんあたりからいろいろな意見が出すからか、ここで議論してもしまうがないと思いますけれども、その観点に立つてもう少し考えていいのではないか。この法律を見てみましても、これはいろいろ両方が争つて、そうして一つの裁定が出て、その裁定の趣旨法律をつくつてありますものですから、一条々々を見ますと、ときどき妙な條文が出て来る。それをあげまして、どつちが悪い、こつちが悪いということを私は申し上げるのではないが、しかし航空工業に対する日本の国の政府の要請としては、両者は二元的であるべきものではない。それが運輸省所管であろうと、通産省所管であろうと、二元的であるべきものではないということを申し上げた。この観点は何も飛行機ばかりに限らぬと思います。自動車についてもそうだし、船舶にしても同じだと思います。結局そういうように機械工業のごときものは、非常に高度に発達して来て、航空機だけをつくつてそれ以外のものを全然つくらぬというものではないのでありまして、一つ航空機工業を育てるためには、非常に従属産業ができましてこういうふうに山形になつてつているものです。これは工業実態として、汽船についても同じであります。なるほど飛行機と汽船は違つておりましようが、造船所で何から何まで一切できるのではない。自動車についても同じであります。航空機については、もつとこれからの日本においては、まだまだ運輸省所管してない部門にまでも依存したければならぬものだと思つております。あなた方がそれをどんなに主張されましても、航空機に関する一切の製造事業を、運輸省が持つてしまうということは、私は事実上不可能だと思います。御承知通り航空機の資材につきまては、これは非常に大事なものであります。資材をやるためには、全部の軽金属工業を押えなければならぬという議論にもなつて参ります。そういうようになつて参りますと、不当に私は航空機安全性を拡張解釈して行つて、そうして工業部門に対する所管争いをしているようにとれてかなわないものですから申し上げたのです。所管が違つているからといつて通産省航空機安全性を否定するような行政はやり得ないということを私は申し上げたい。そこを運輸省にもよく納得していただきたい。通産省の方もそうであります。製造者の立場に立つて、いわゆる理由なくして業者を保護するような行政をやつたら、これはたいへんなことです。私は御説明を聞かなくてもわかつておりますが、飛行機というものは、安全で飛ばなかつたら意味がないのであります。安全で飛べるような、どこの飛行機にも負けないような飛行機をつくつて行きたい。この観点に立つて運輸省運輸省として、国際條約に従つて規定ができてこれをつくつておる。通商産業省は、その観点に立つて行政を指導して行く、これが当然のことであつて、その間において私は矛盾があるべきものではないと思つたから、そういう御質問を申し上げたのです。今尾崎さんからお話がありましたが、これは、航空証明とか、型式証明をわけでやつているところは外国にないという御説明だろうと私は思う。航空機の一切の部品、素材に至るまでの工業を二元的にやつているとは、私は承つておらぬし、また記憶もしておらぬのでありまするが、そういうふうに広がつてつてはいかぬから私はそういう見地で申し上げたのでありまするから、その意見にもし政府委員の方で反対ならば、はつきり御返事いただければけつこうであります。
  26. 佐々木秀世

    佐々木(秀)政府委員 南委員にお答まいたします。南委員も幾分まだ誤解されているように考えますが、型式証明を出したならば、あとは信用してもいいのではないかというふうな誤解が幾分残つているように私には聞きとれたのです。先ほど御説明申し上げました通り、いろいろ申し上げましたが、要するに部分品がりつぱにできましても、航空機そのものは部分品々々々のいわゆる総合産業でありまして、御承知通りナット一つの締め方にいたしましても、あるいはコードの接続のいかんにいたしましても、微々たる故障でも人命に関係するような大きな責任を負わなくちやならぬのであります。その運航運輸省行政面で責任を担当しておるのでありますから、一機々々やはり自信のある製品、あるいは接続の関係、あるいはナットの締め方、あるいは組立ての状態等を見なければ、いわゆる完全なる、自信のある耐空証明を出せないということは、御了解願えるのではないかと思います。  それからもう一つは、所管争いの点につきましての御意見でありますが、私たちといたしましても、決して監督あるいは検査等の共管をするということによつて航空機生産をはばむ、あるいは助長育成には災いするということは十分考えておるのであります。そのために、どうしても航空機生産検査耐空証明等は一本でなければならないということを主張して参つたのでありますが、閣議におきましてこうしたことになつたのでありまして、決して私たちは、これで十分であるとは考えていないのであります。そういう点につきまして、運輸省としては、とりあえず民間航空あるいはその他の運航の責任を負うものですから、運航の責任を負う立場にあるものが、自信のある検査をしなければ、耐空証明は軽々しく出すものではない。こういうふうに今でも信念を持つて考えているのであります。
  27. 南好雄

    南委員 その御所見に対しては、私別に反対しているのではない。飛行機一つ一つ国籍を持つて行くためには、ナットの締め方一つにも注意なさつてそうして耐空証明をなさる。つまりどんな型式の証明であつても、ただそれは、ほんとう航空機として飛び出されるまでは、要するにそれは一つの商品でありまして、それがいよいよほんとうにあなた方の主張なさる安全性を持つた飛行機として御認定になるまでには、ちやんとした耐空証明という非常にやかましい、そういう規則を持つた——これはどんなにやかましくてもけつこうであります。乘つて落ちるような飛行機では困るのでありますから、その責任をお持ちになる運輸省が、耐空証明をやかましく言われるのは一向かまわないと思います。またそれをくぐつて飛び出してすぐ落ちるような耐空証明をなさつても困ります。あれはどんなに厳重になさつてもよいと思う。しかし型式証明をやつて流れ作業に出て来るものが、もう一ぺん耐空証明という大事な関所を通つて行くのであるから、それを一機片々型式証明のようなことをやらなければならぬ。またその飛行機を組み立てておる部品一つ一つについても検査して運輸省がどうしても安全なものにしなければならぬ。そういうところまで広げて行くと、私は少し航空機安全性ということを拡張して行き過ぎるような気がするのであります。事実そんなことをいくら主張されても、実際問題としてできない。あなた方が一つの規則をこしらえて、ただ運輸省の人間が検査するというだけのことであつて、それでただ満足するというだけなんです。そうしてやつたら、飛行機がめつたに故障を起さぬかといえば、やはり不幸にして故障を起す。なるべく故障を少くするように努めておられることは私は了といたしますが、そういうことと所管とは違うと私は思う。ただそういうことのやりやすいような所管にしたいという気持はよくわかります。それから先はお互いに個人見解になりますからこれを申し上げない方がいいのでありますが、繰返して申し上げますが、要するに、航空機のような高度の精密工業においては、最後の検査を十分なされば、その事前の検査については同じ政府都内である通産省あたりがあなた方とよく相談してやつた検査でいいのじやないか、検査を不当に広げて参りますと、非常に煩雑になつて参りますから、あるいは二元的になつて参りますから、そういう趣旨において考え方が一緒であるならば、そういう意味の所管争いはせずに両々相まつて航空機事業の発展に資せられた方がいいのではないか、こう申し上げたのであります。
  28. 佐々木秀世

    佐々木(秀)政府委員 大体南委員考えもわれわれの考えも同じことでありますが、ただ所管争いという点に誤解があるのであります。先ほど私が申し上げましたのは、決して所管争いではないのでありまして、いわゆる飛ばす責任を持つとこうにいわゆる検査責任を負わせるということでありますから、あらためてお答えいたします。
  29. 南好雄

    南委員 そこでその点は私これ以上議論してもしようがないと思うのですが、この航空法案にいたしましても、航空機製造法案にいたしましても、閣議裁定を基準にしてやつておりますから、生産関係についてはこれは通商産業省がやる。それから航空関係については航空庁がやるというふうに私は聞いておる。その趣旨においてできておるように思うので、この航空法案を読んでみますと、何と申しますか、個々の飛行機構造部内についての素材、部品検査についてまで、安全性に名をかりて強いいわゆる所管の主張があるように思えるのですが、それを閣議決定に従つて両省が十分に協議なさつて、あまり業者にめんどうをかけぬように、法案運用の際に特に御注意をお願いしたいと思います。  まだいろいろこまかな点について御質問申し上げたいのですが、私ばかりがやつてもどうかと思いますから、この程度で一応打切つて、もし必要であるならば、またあとでお伺いいたしたいと思います。  次に航空機製造法案を議題とし質疑に入ります。質疑の通告がありますから、これを許します。尾崎君。
  30. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 航空機製造法案に対しまして質疑を申し上げるのでありますが、前もつてちよつと伺つておきたいと思いますことは、本日のこの連合審査会に通産大臣並びに運輸大臣が御出席にならなかつたのは、どういう事情であつたか、あらかじめ責任上そのことを伺つておきます。
  31. 岡村利右衞門

    岡村委員長 現在におきましては、運輸大臣も院内においでにならぬそうですし、また通産大臣もおいでにならぬそうです。他に用があるらしいのです。
  32. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 おいでにならなければこれはやむを得ませんので、かわりに運輸、通産おのおの政務次官が御出席になつていらつしやるようでありますから、質問申し上げることの事項の、いわゆる機構等にわたる大局的な問題につきましては、それらの大臣に対する質問を政務次官から御答弁を伺いたい。なお技術的な問題その他の具体的な問題につきましては、その他のそれぞれ政府委員から御答弁をいただきたいと思います。  まず第一に通産大臣に御質問申し上げてみたいと思いますことは、ややまわりくどいようでありますが、今回の行政機構の改革にあたりましては、行政機構改革の目的が第一に行政事務の複雑多岐なのを簡素化して責任の所在を明瞭にし、その上で能率を上げるということ、第二には行政事務簡素化によつて人員を縮小し、そうして経費の節約をはかるのだ、この二つの大きな眼目によつて今回の行政機構改革が進められつつあるのだ、こういうふうに了承いたしておるのであります。もとより違つた場合におきましては、今申しましたことと異なつたやり方による行政機構の改革があることは承知をいたしておりますが、今回、今申しました二つの重大な線に沿つてその改革が進められつつある、こういうふうに了承いたしておるのでありますが、そういうふうに了承してよろしゆうございますか。
  33. 本間俊一

    本間政府委員 原則としてそういう趣でやつておると私も解釈いたしております。
  34. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 そういたしますと、航空機製造法と、今御質問申し上げましたこととに関するその御質問は最後に譲りまして、その次に伺つておきたいと思いますことは、今回の航空法制定をなすに先だちまして、運輸省において航空法制定審議会というものが設けられ、その道の権威者二十五名の審議委員が委嘱せられまして、この問題について愼重審議をせられた結果、航空事業及び航空機生産事業に関する行政は一元化すべきである。それは、航空事業において一番大事なことは貴重な人命に直接の関係があるから、航空機安全性ということが第一であるのだ、そういう趣意であります。そこで航空機生産から生産過程における検査、またでき上つた後の検査及び試験飛行、それから国際民間航空条約の中心をなす耐空証明の趣意に沿うこと、そうして航空機運航をするというところまで、その行政を一元化しなければならない。こういう趣意によつて答申をせられておるのでありますが、そのことを御承知になつておられましようかどうか、この機会にお伺いいたしたいと思うのであります。
  35. 本間俊一

    本間政府委員 運輸省にできました審議会において、御指摘になりましたような答申が出ておりますことを聞いております。
  36. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 そこで第三にお伺いいたしますことは、先ほどちよつと南委員からの御質疑の中にも出たようでありますが、国際民間航空條約の加盟の主要な国である米国、英国、カナダ、フランス、イタリア等を初め、ほとんどの国が、航空行政は先ほど私が関連質問いたしましたように、生産から運航まで一元化いたしておる。こういう事実を御承知でありましようか、どうでしようか。
  37. 本間俊一

    本間政府委員 お答えをいたします。アメリカにおきましては、御承知のような関係になつていると思いますが、アメリカの飛行機生産に関しまする役所は、商務省の所管になつているというふうに承知をいたしております。イギリスの場合は供給局でありましたか、そういうようなものがございまして、運航いたしておりまする方と、生産を担当いたしておりまする方と、二つにわかれておるように承知いたしております。
  38. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 それに関しまして御質問申し上げますが、アメリカにおいて商務省に生産から運航までの行政権がある。と申しますのは、アメリカには航空省というようなものがないために、商務省しかないから、商務省の中に航空局というものができまして、その航空局の中で生産から運航まですべての行政を一元化しておる。こういうことを御承知でありましようかどうかということと、それからただいまお述べになりました英国におけるところのやり方は、さき関連質問においても申し述べたのでありますが、いわゆる供給省というものがあつて——私は供給省といつておりますが、向うの原語をどう訳するか知りませんが、供給省というものがあつて、これに対して発注する。その発注したものに対する製造、これに関連したすべての検査航空省がやつている。これは他の主要な国々と例外でありますが、少くとも検査に関する行政はことごとく一本化してやつておる、こういうように了承いたしておるのでありますが、さきのアメリカの商務省の航空局の事実と、今申し上げましたことについてのその問題について、私が御質問申し上げましたように御了解になつておるかどうか、その点を伺いたいのであります。
  39. 本間俊一

    本間政府委員 私参りまして実は調査いたしたわけでございませんから、こまかな点につきましては承知をいたしておらないのでありますが、大体御説のように、その国のいろいろな事情を勘案いたして、その国の事情に適応するような機構になつているかと思うのであります。アメリカの場合も、イギリスの場合も、おのおの役所の構成その他で事情がございますから、それらの事情を勘案いたしまして、その国の事情に適合するような制度になつておるのだというふうに承知いたしております。
  40. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 これはくどいようでありますから重ねて申しませんが、少くとも省の役所の名前や数が違いますために、さき御質問申し上げましたようなやり方をアメリカ、英国ではやつておるが、少くともその行政というものは一元化されておる、こういうことを御了承になつているようでありますから、その次に移るのでありますが、交通事業におきまして一番大事なことは、交通機関安全性を持つておるかどうかということである。たとえばさつきも南委員の御質問の中に例が出たようでありますが、汽車や電車は運輸省においてその製造行政もつかさどつており、かつ運行の行政もつかさどつておる。あるいはまたこういうやり方がなぜ必要かと申しますと、これらの交通機関というものは、人命を最も尊重しなければならない、こういう建前においてこういうやり方をやつておる。いわゆる製造から運行に至るまでのその行政を一元化するということは、その事業の性質が非常に安全性をとうとばなければならないものである。だから生産から運行に至るまでの行政を一元化してやつているのだ。そのやり方がまた現在では非常にうまく行つておる、こういうふうに思つておるのであります。ただ一つ自動車については例外でありますが、少くとも人命や貨物等の貴重なものに対する大きな責任を持つところのこういう交通事業におきましては、この生産から運行に至るまでの一元的の行政をやつておるのだ、こういうことにつきましては大体お認めになりましようか。
  41. 本間俊一

    本間政府委員 お答えをいたします。御指摘の汽車及び船に対しましては今までいろいろな経緯があり、歴史がございまして、御指摘のようになつておると思います。自動車生産通産省で担当いたしておる、こうい今ふうなことになつておるわけでございます。従つて私は今御指摘のような仕事でやつております日本の汽車及び船の生産に、今日の機構が一番いいというふうには考えておりません。従つていろいろな歴史あるいはいろいろないきさつがございまして、御指摘のようになつておりますが、これが日本における安全を確保する最上の制度であるというふうには考えておりません。
  42. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 その点につきましては、時間がありましたら、あとで御質問申し上げるごとといたしまして、そこで汽車や汽船、電車等におきましては御質問申し上げ、御答弁なつ通りでありますが、航空機と申しますものは、交通機関の中でも、その速度等においても急速度をもつて飛ぶ、しかも飛ぶところの距離も非常に遠い、しかもレールとか道路とかいうもののない空を飛ぶものである、だから航空機安全性というものは、汽車や汽船やあるいはその他の交通機関というものよりも、はるかに安全ということについて重要性を持つたものであるのだ、こういうことについては、大体同じような御見解でありましようか、どうでありましようか。
  43. 本間俊一

    本間政府委員 御指摘の通り考えております。
  44. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 そこで私どもの了承いたしておりますことは、こういう安全ということについて重要性があるのみならず、さらに先ほども質疑応答の中にありましたように、国際性を持つておるものが航空機である。こういうような点から考えまして、国際民間航空條約におきましても、その條約の中心をなすものは航空機の耐空性、耐空証明、こういう点であるように思うのであります。国際民間航空條約第三十一條にこれが掲げてあるように思うのであります。そこでこの耐空証明ということをしつかりしたものにして、航空機及び航空機運航安全性を持たせるためには、いわゆる行政の一元化が絶対に必要だ、こういうふうに考えておるのであります。つけ加えて申し上げますが、私はこの問題にタッチいたしました当初から、運輸省通産省という言葉を使うのはきらいでありまして、航空庁に生産から運航に至るまでの行政を一元化せよ、その航空庁の所属がどこであろうが、これは別問題である。こういう建前において、私は最も公正な立場から議論をいたしておるのでありますから、ただいま申し述べましたような、いわゆる生産から運航に至るまで一元化した行政でないといかぬ、こういうように私は考えておるのでありますが、御所見はいかがでありましようか。
  45. 本間俊一

    本間政府委員 お答えを申し上げたいと思います。御指摘のように飛行機は非常に安全が大事な工業でございますから、その安全を確保するためのいろいろな努力をいたさなければならぬと思つております。しかし私どもは、日本の場合においては運輸省がやつてはできない、あるいは通産省がやればできるとかいう見解に実は立つておるのではないのであります。御承知のように、飛行機工業は素材、部品が非常に多いのでございまして、典型的な総会的機械工業でございますから、その生産は素材その他の機械工業所管いたしております通産省にやらせる方がいいのではないか、こういう見解の上に立ちまして、生産通産省の方におまかせを願いたいという主張を実はいたして来ておつたわけであります。従つて、もし尾崎先生のような御意見を敷衍いたして参りますならば、素材その他の機械工業所管いたしております通産省航空庁が参りまして、そこで一切やるということになればそれが一番いいかと思いますが、今日の日本の現状におきまして、運輸省所管いたしております航空庁に一元化いたさなければならぬというふうには考えておりません。
  46. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 ただいまの御答弁の中にありました、素材、部品等のいわゆる資材行政の面を通産省が担当いたしておるのだから、従つてその通産省の方に生産行政をまかせた方が非常に便利である、こういうことにつきましては、一応そういうふうにも思えるのであります。本間政務次官はこの道の練達堪能の方でありますから、こういうことを私から質問するのはかえつて失礼かとも思いますけれども、これが統制経済の時代でありましたならば、素材、部品等を管轄いたしておる、いわゆる資材行政を行つておる通産省がやることが最も便利なはずでありますが、ごく若干のものがその統制管理に置かれておるというにすぎない今日におきまして、資材行政上便利であるから、その航空機及び航空事業というものの最も大事にすべき安全性、そういうものまでもいわゆる資材行政の中に持つて行かなければならない、こういうことについては私ども十分これを納得することができないのであります。と申しましてもまた、さき申しますように、航空庁が通産省の所轄になりますこともたいへん私どもけつこうなことだと思う。あるいはまた、これが運輸省のままで行くのもけつこうなことだと思う。要するに航空庁というものの中に生産から運航に至るまでの行政を一元化しなければならない、こういう考え方でありますが、少くとも必要なる資材というものに対する行政、これを通産省がやつておるといたしましても、卑近な例を申しまするならば、さき申しました運輸省の船や汽車をつくるのと同様なやり方であつて、別に通産省の資材行政権を侵さなくても適当に生産の仕事はできて行くのではないか、こういうふうに私は考えておるのであります。この点についてもう一ぺん御所見をお述べ願いたいと思います。
  47. 本間俊一

    本間政府委員 御指摘になりましたように、統制経済の場合でありますと、私が先ほど申し上げましたような趣旨も非常に幅広くなろうかと思います。従つて今日では、御指摘のようなふうにも考えられるかと思いますが、御承知のように、ただいまでも国際的な稀少物資その他につきましては、やはり一部でございますが、統制を継続いたしておりますし、その素材の品位をよくする、質をさらに掘り下げて行くというような観点から考慮いたしま正するならば、今日の段階においてもやはり素材及びその他の機械工業所管いたしております通産省生産をやる方が好都合である、こういうふうに考えております。
  48. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 ただいまの御答弁を要約して申しますと、要するに航空機製造に関しては資材行政を主管しておる通産省の方でやつた方が便宜なんだ、こういうふうに了承してよろしゆうございますか。
  49. 本間俊一

    本間政府委員 御指摘のように私考えております。従つてこれは通産省でなければ絶対できないとか、運輸省ではその資格がないというふうには考えておるわけではないのでありまして、先ほど申し上げましたような理由によりまして、日本の今日の状態から考えまして、通産省生産を担当する方がよりよい、こういうふうに考えております。
  50. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 その問題に対するもう一つ突き進んだ御質問あとまわしにいたしまして、次に移ります。  これは財政の面について非常に堪能な政務次官でありますからお尋ねいたしますが、昭和二十七年度総予算の審議過程におきまして、予算委員会の分科会においても航空行政の問題が相当論議せられました結果、航空安全性航空の一元化はほとんど結論づけられたのであります。このことが分科会から予算委員会の総会に報告をせられておるのでありますから、これは御承知であろうと思いますが、いかがでございますか。
  51. 本間俊一

    本間政府委員 ただいま御指摘になりました点は、私うかつでございまして報告を受けておらなかつたのでございます。なお帰りまして調査をいたしてみたいと思います。
  52. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 次に伺いますことは、先ほど関連質問ちよつと述べたのでありますが、昨年九月サンフランシスコで締結をせられまして、去る四月二十八日に効力発生いしました平和條約の第十三條C項において、日本国際民間航空條約に加盟する以前においても、同條約の規定並びに同條約の附属書として採択せられておる標準、方式及び手続等を同條約の條項に従つて実施せねばならぬ旨規定せられておるのであります。その国際民間航空條約の第三十一條には、航空機はその国が認めた耐空証明書がなければ飛行してはならない、こういう厳重な規定があり、航空機の安全第一を最も重視しておるということがこれによつてはつきりいたしておるのでありますが、ここで念のために、この国際民間航空條約の附属書の第八にあります事柄を数項目ここに読み上げてみますと、「第八附属書航空機の耐空性」——前の方の一章二章を抜きまして、  第三章 当該の耐空性要件に合致していることの立証  第三・一 耐空証明書は、その航空機が当該の耐空性要件に合致しているという充分な証拠に基いて、その航空機を承認する締約国又はその国の権限ある代表者が発給しなければならない。耐空証明書が三・二によつて発給される場合以外は、その国又はその国の権限ある代表者は、三・一・一、三・一・二及び三・一・三に規定された方法でその証拠を入手しなければならない。   三・一・一 その航空機が当該の耐空性要件に合致していることを示すに必要な図面、仕様書、報告書及び書類上の証拠より成る承認済の設計がなければならない。記録類は、その航空機をその航空機の承認済の設計で識別するために、保存されなければならない。   三・一・二 航空機がすべての重要な点で承認済の設計に合致しており、またその製造及び組立が良好であることを決定するためには、その国別承認した検査制度従つて製造工程中に航空機検査しなければならない。   三・一・三 航空機は、当該の耐空性要件に合致していることを示すために、その国によつて必要と認められる飛行試験を受けなければならない。あとの三・二・一はやや縁遠いので省略をいたしますが、こういうことに相なつておりまして、この航空機と申しますものは、航空運航とあわせて耐空性ということが最も必要であり、耐空性の証明ということが最も大事なことだということが、国際民間航空條約にも規定されておるのでありますから、このことはもとより通産大臣におかれましても、通産省におかれましても、十分に御承知になつておることと思いますが、あらためて御所見を伺いたいと思います。
  53. 本間俊一

    本間政府委員 ただいま御指摘になりました点は承知をいたしております。十分に研究をいたしております。従いまして原則として製造を担当いたします通産省が、飛行機製造いたします工場の設備及び方法についても検査をいたしまして、     〔委員長退席、多武良委員長代理着席〕  それから御指摘の型式承認を得ました設計通りに、飛行機が製作せられておるかどうか、その製造の課程につきましても、ただいま御指摘の国際條約の精神を十分に尊重いたしましてやる建前で、製造法案提案をいたしておりますから、運輸省協力をいたしまして同條約が企図いたしております、あくまでも安全を確保するために十分なる努力をいたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  54. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 ただいまの御答弁によつて通産省側の御意向は大体わかつてつたのでありますが、念のためにただいままで御答弁なつたようなことを総合し、さらにつつ込んで御答弁を願つておきたいと思いますことは、今申しましたように、航空行政というものは、その安全性を確保するという建前から一元化しなければならない。こういう必要性は認めながら、通産省運輸省との二つにわけられたということ、このことはただいま御答弁なつた以外に、何か事情があつたかどうか、重要な事情があつたといたしますならば、そのことも念のために伺つておきたいのであります。
  55. 本間俊一

    本間政府委員 先ほど来私は見解を申し上げておつたのでございますが、その見解の中で尾崎委員が御承知をくださつておる範囲でございまして、ほかに特別の事情はなかつたものと承知をいたしております。
  56. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 それならば生産から運航までの行政を一元化しなければならない、こういうことを——まだ私が五十歩讓つたというわけではありませんが、かりにここに五十歩を讓つた、こう仮定をいたしまして、その仮定のもとにこの航空機製造法について若干質問を申し上げてみたいと思うのであります。閣議によつて行政機構改革の責任者として努力をせられた行政管理庁長官である野田建設大臣に、先般私ども委員会に来ていただきまして、御答弁を願つた際に、航空機生産するという見地からの行政通産省所管とし、航空機運航安全の見地からの行政運輸省所管せしめるという建前によるとした場合、この二つの行政の重複は極力避けなければならないのであるか、こういう質問に対しまして、その通り、その線に沿つて極力配慮いたしたのだ、こういうふうな答弁を得ておるのであります。ここに速記録の写しもそれぞれ持つてつておりますが、時間の関係上読み上げますことをなるべく遠慮いたしますが、そこでこういう建前から考えてみまして、そうしてこの航空機製造法を見てみますと、いわゆる一番根本原則とせられたところの航空機生産するという見地からの行政通産省所管とし、航空機運航安全の見地からの行政運輸省所管せしめる、こういう建前と大分食い違つておる点があるのであります。あるようであるのでなくして、あるのであります、その中のおもな点を指摘いたしてみますと、航空機製造法案の第六條の二項に、「通商産業大臣は、前項の検査の申請があつたときは、申請に係る製造設備等が通商産業省令で定める生産技術上の基準に適合するかどうか検査し、適合すると認めるときは、これを合格としなければならない。」こういう項目があるのであります。ところがこの製造設備検査に関しまして、生産技術上の基準に適合するかどうか。生産技術上のその技術の問題というものは、実際に飛行機を飛ばす運航技術にも関連があれば、あるいはまた安全性ということにも関連をむろんいたしておるはずであります。この大事な問題について、これが何ら航空庁の方の面が顧みられずに、生産技術上の基準に適合するかどうか、現在適合すると認めるときは、これを合格としなければならないということを通商産業省だけにこれが規律されておる、こういうものは一体どういうところからこういうふうになつておるのであるか、との点についてできるだけ具体的の御説明をお願いいたしたい。
  57. 本間俊一

    本間政府委員 御指摘のような太い線で両方法案が貫かれておると思うのでありますが、御承知のように、裁定案の中で生産技術検査は通産大臣の所管とし、安全性検査は運輸大臣の所管とする、こういう裁定になつておるわけでございまして、その線に沿うて実はただいま御指摘の條文ができておるわけでございますが、概念的に申し上げますならば、安全性基準とは、個々の航空機の具有すべき安全上の最低基準であろうかと思いますが、生産技術上の基準と私ども考えておりますのは、優良な性能を持つ航空機をつくる上の基準考えておるわけでございます。しかし概念的、観念的には、ただいま申し上げたように私どもは解釈しおりますけれども、ご指摘のような安全は両々相まつて、双方が組み合いましてでき上るものと実際は考えられるわけでございます。従いましてこの裁定の線に沿いまして、お手元に差上げておるような條文になつておるわけでございます。
  58. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 これも質問の半分ほどはあとに残しまして次に移りますが、第八條の製造確認の項目であります。一通り読んでみますと、「第八条航空機製造をする者は、その製造に係る航空機について通商産業大臣確認を受けなければならない。但し、第六條第一項但書に規定する場合は、この限りでない。2 通商産業大臣は、前項の確認の申請があつたときは、申請に係る航空機が第六條第一項の検査に合格し、又は同条第三項の承認を受けた製造設備等により製造されたものであるかどうかについて確認をしなければならない。3 通商産業大臣は、策一項の確認をしたときは、申請者に製造確認書を交付しなければならない。4 航空機製造した者は、前項の製造確認書とともにするのでなければ、その製造に係る航空機を他人に引き渡してはならない。但し、第六條第一項但書に規定する場合は、この限りでない。」こう第八條に規定されてあるのでありますが、この航空機製造確認するということは一体どういうことであるのか。この通りこの飛行機ができましたという証明をするための、勘定をとる、数えてみるという現実を示すためのものであるのか。製造確認についての問題をできるだけ具体的に御説明を願いたい。
  59. 本間俊一

    本間政府委員 先ほども御指摘がありましたように、航空機は安全を確保しなければならないのでありまするから、いろいろな点で嚴密な検査を要するものと考えております。従いましてその飛行機製造いたしまする工場の設備等々につきましても検査をする。それからそこの工場でつくりました製造の過程についても一々検査をすることになつております。通商産業大臣が申請者に製造確認書を交付いたします場合には、その航空機がどういうぐあいにして、どういうふうな経過をたどつて、どういう道行きをたどつてできたかという、わかりやすい言葉で申し上げますならば、その航空機のありのままの事項を記載いたしました履歴書のようなものになろうかと思いまするが、そういうものを出しまして、耐空証明を出す場合の重要な参考になるようにいたしたい、こういう考えにいたしております。
  60. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 ただいまの御答弁によりますと、それはちようど航空法に、規定をいたしますところの、航空庁でやる、でき上つた飛行機に対する試験飛行及び耐空証明のためにする検査と全然重複するようであります。この重複するようなことをやるということは、いわゆる安全性検査安全性確認、こういうものと紛淆して参つておるように思うのでありますが、その点についてはどうでありますか。
  61. 本間俊一

    本間政府委員 御指摘のように飛行証明と申しますか耐空証明と申しますか、いずれでもよろしいのでありますが、それを出します場合に、この飛行機はどういう工場において、どういうような工程で、どういうふうにつくられておるかということを、やはりありのままに承知をする必要がございます。先ほども申し上げましたように、飛行証明を出します場合に、いろいろな検査なり試験なりをなさると思いますが、その場合にその飛行機の履歴と申しますか、ありのままの事実を記載いたしておりますので、それを参考にいたしまして飛行証明なり耐空証明なりを出すということになれば、より安全性が確保される、こういうふうに考えておるのであります。飛行証明をするからそれはいらぬのじやないかというふうには、私ども考えておらないわけであります。
  62. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 ただいまの御答弁によりますと、責任の帰一点、責任の所在が非常にあいまいになつて来ると思うのであります。いわゆる安全性をより確実にいたしたいためにこの製造確認をするのだということになりますと、さき申しましたように、でき上つた航空機の試験飛行をやる、あるいは耐空証明をやる、こういう航空庁がやるところの嚴密な試験と重複して参る。ただいま御答弁の要旨によりますと、できるだけ安全性をしつかりするものにしたい、こういうことになつて参りますと、その安全性というものに対するところの最終の責任は、運輸大臣にあるか通産大臣にあるかわからない、こういうことになるようでありますが、その点について重ねて御答弁をお願いいたします。
  63. 本間俊一

    本間政府委員 その点は野田建設大臣の方が適当かと思いますが、何と申しますか、安全の方の最終の責任は運輸大臣が持つておられるように私は聞いておりますが、もし間違つておりましたら訂正いたします。
  64. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 ただいま御答弁になると、やはり第八條の三項までは航空機製造法案の中から削除すべきものだ、こういうことになると思うのであります。  ついでに第四項を見ますと、さつき読み上げましたように「航空機製造した者は、前項の製造確認書とともにするのでなければ、その製造に係る航空機を他人に引き渡してはならない。但し、第六條第一項但書に規定する場合は、この限りでない。」この事柄を考えますと、これはでき上つたものを引渡しましても、引渡された航空機につきましては、運輸省航空庁の方で、さき申しますようなやり方によつて嚴密な検査が行われるのでありますから、その耐空証明がなければ航空機を飛ばすことはできないのであります。だから何も通産省確認書がなければこれを引渡すことができないということをしなくてもけつこうであると思うのでありまして、無理にこういうことをやることは、現内閣が持つておる経済の自由主義の基本政策に根本的に相反する、こういうように解釈せられるのであります。この点についてはどういうふうにお考えになりますか。
  65. 本間俊一

    本間政府委員 私どもはそう解釈しないのでありまして、飛行証明を出します場合いろいろな試験をいたすわけでございますが、その場合に、その飛行機はどういう製造過程を経て、どういうふうな道行きでつくられておるかということを承知する必要がどうしてもあるわけでございます。生産を原則として担当いたしまする通産省といたしましては、そういう一々の航空機につきまして、いわば履歴書のようなもの、詳細に記載をいたしました確認書を出しまして、その確認書を参考にいたしましていろいろ重要な試験、検査なりをやりまして証明が出る、こういうふうに考えまするので、その点はどうしても必要なものと私ども考えております。
  66. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 ただいまの御答弁の範囲では、さき申しまする最終の試験飛行による検査並びに耐空証明による検査、これとどうしても重複いたし、いたずらに製造業者あるいは発注者に対して複雑な手数と多くの経費をかける、こういうことにとどまるのでありますから、私どもはこの第八條の四項は必要ではないのではないかと考えられるのであります。  そこで次に移りますが、第十條修理確認であります。「航空機について通商産業省令で定める修理をする者は、その修理に係る航空機について、通商産業大臣確認を受けなければならない。但し、前條第一項但書に規定する場合は、この限りでない。」第二項では「航空機修理(前項の通商産業省令で定めるものを除く。)をする者は、その修理に係る航空機について、通商産業省令で定める資格を有する航空検査技術者の確認を受けなければならない。但し、前條第一項但書に規定する場合は、この限りでない。」第三項には第八條第二項から第四項までの規定は、前二項の修理確認に準用する。」こう書いておるのでありますが、この第十條の今読み上げましたすべての事柄は、航空法第十六條の修理改造、検査安全性を確保し得るというのとダブつておるようであります。従いましてこのこともまたここには必要でないと思われるのであります。特に検査行政をさき申しますように非常に重複さして行く、こういうやり方で民間業者の負担を非常に過重にし手数を大きくする、こういうことの結果はやがて事業発達を阻害する、通産省が本来の航空機製造法の目的とせられるところの航空機製造の助長発達を促されるという趣旨に反することに相なつて来るのではないかと考えられるのでありますが、その点について御所見を伺いたい。
  67. 本間俊一

    本間政府委員 こまかな点でございまするので、私から大体の御答弁を申し上げて、詳細はまた機械局長から御答弁を申し上げさせることにいたします。第十條で「航空機について通商産業省令で定める修理をする者」となつておりますが、これは大体大修理をする場合というふうに考えております。それから二項へ参りまして「通商産業省令で定める資格を有する航空検査技術者の確認を受けなければならない」、これは中修理程度というふうに考えております。もちろん小修理は別に規定したいという考えを持つております。従来通産省でいろいろな産業を育てて参つておるのでありますが、非常に煩瑣な検査規定によつてその業界が非常な迷惑をしたという事例は、今までもなかつたわけでもないのであります。しかし航空機という特殊な性格にかんがみまして、この程度の確認はぜひとも必要と考えております。そのことによりまして業界が非常に事務上、技術上の迷惑をすることにはならないと考えております。
  68. 佐枝新一

    佐枝政府委員 若干補足説明を申し上げたいと存じます。ただいまは修理の点についての御質問でございましたが、結局は何度もお話の出ました先般の内閣の御方針によりまして通産省製造を担当する運輸省運航を担当するという大原則のもとに、検査につきましては、安全性についての責任は運輸大臣がとられ、製造過程における修理ももちろん含むのですが、生産技術上の検査通産省が行う。これは航空機のような非常に高度の製品に属するものにつきましては、あくまで優良な、形式にぴつたり合つた信頼性のあるいい製品を使わなければならない、これについての生産技術上の立場からの検査通産省がやる。それから安全性の面については、運輸省が責任を持たれるわけでありますが、ただいまお話のありましたように、運輸省通産省との両方が工場に当るということでは、まことに業界が迷惑をするわけでありまして、そういう点を避けるために、航空法案の第十條第六項、第七項の規定、それからこの法案の第五章の第十五條、第十六條の規定、こういう相表裏する規定を置いたわけであります。すなわちこの法案においては航空工場検査官、それから航空機等の製造修理工場の従業者であつて試験に合格したものに実際の検査事務の大部分は委任するとなつており、航空法案の第十條六項、七項においては、運輸大臣は、この検査製造過程については通産省 の職員で運輸大臣と協議して任命したもの並びに一定の資格を持つ当該工場の従業員にやらせる、そうして安全性の問題については運輸大臣は通産省職員を特に指揮監督することができるとなつております。つまり実際問題としては、航空工場に対しては二本でなく一本で当るという建前であつて、結局一人の検査官が同時に安全性の見地からも検査いたしますし、生産技術上の検査なり確認なりもいたす。またごく重要なものを除いては、実際問題としては航空工場の従業員で両省共同に行います試験に合格したものに行わせるということで、役人がむやみに入ることなく、一本で工場に当る、こういうふうになつておるのであります。その点十分御了解願いたいと思います。
  69. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 この点につきましては、四月二十六日の閣議決定の五項目は私も持つておりますが、これで見ましても、ただいまの程度の御答弁ではどうも納得が行きかねる点が非常に多いのであります。そこで本間政務次官にこう申してははなはだどうかと思いますが、閣議決定の問題でもありますので、明日通商産業大臣の御出席を願つて、この問題に関してもう少しつつ込んだ御質問を申し上げてみたいと思いますが、委員長いかがでしようか。
  70. 多武良哲三

    ○多武良委員長代理 けつこうです。
  71. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 それでは本日は私の質問あと保留いたします。
  72. 多武良哲三

    ○多武良委員長代理 本日はこの程度にいたし、明日午後一時より通商産業委員会運輸委員会連合審査会を開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時四十分散会