運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1952-06-20 第13回国会 衆議院 通商産業委員会 第57号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年六月二十日(金曜日)     午前十時四十五分開議  出席委員    委員長代理理事 多武良哲三君    理事 高木吉之助君 理事 中村 幸八君    理事 山手 滿男君       阿左美廣治君    江田斗米吉君       小川 平二君    神田  博君       小金 義照君    澁谷雄太郎君       土倉 宗明君    永井 要造君       高橋清治郎君    橋本 金一君       佐伯 宗義君    川島 金次君       加藤 鐐造君  出席政府委員         大蔵事務官         (主計局次長) 石原 周夫君         通商産業政務次         官       本間 俊一君         通商産業事務官         (通商機械局車         両部長)    吉岡千代三君  委員外出席者         参議院議員   境野 清雄君         專  門  員 谷崎  明君         專  門  員 越田 清七君     ————————————— 六月十九日  委員淵上房太郎君及び河野金昇辞任につき、  その補欠として澁谷雄太郎君及び佐伯宗義君が  議長指名委員に選任された。 同月二十日  委員澄勇辞任につき、その補欠として川島  金次君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  自転車競技法等の一部を改正する法律案(参議  院提出参法第一二号)     —————————————
  2. 多武良哲三

    ○多武良委員長代理 これより会議を開きます。  委員長が所用のため、理事の私が委員長の職務を行います。  本日は自転車競技法等の一部を改市する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。質疑の通告がありますからこれを許します。小川平二君。
  3. 小川平二

    小川(平)委員 改正法律案の第十條について、前回の委員会において小金委員から御質疑があつたのですが、私はこれに関連をしまして一点ぜひ明らかにしていただきたい点がありますので、補足的にお尋ねを申し上げたいのであります。大体自転車の改良、増産、輸出増加国内需要の充足、算するに自転車産業振興ということがこの法律の第一條の冒頭に掲げておる目的であると思うのでありますが、たまたま自転車産業不況に際会をしておる、かような時期にこの第十條のような改正をなさるということは、いささかふに落ちないと考えるのであります。そこでまず現在の自転車産業状況でありまするが、これはわれわれの知つておりまする範囲では、あるいは仕向け国の輸入の制限あるいはコスト高、こういつた原因による輸出の停滞のために非常な不況に沈淪しておる。申すまでもなく自転車産業は、金額にして生産の八割以上が中小企業によつて行われておる。さきに本院を通過した特定中小企業の安定に関する法律の適用を必要とするような非常に深刻な状態であることは、この法律案審議に際して同僚委員から意見を開陳されておるのであります。こういうふうな状態というものは、まさに今までにも増して、一層積極的な振興策を必要とする状態であるのではないか。新市場の開拓あるいはまたコスト引下げイギリス品に比べまして二割もコストが高いと言われておる。これを設備近代化合理化というようなことによつて引下げて行く。要するにあらゆる手段を盡して、従来にも増して積極的な振興の施策を行わなければならない状況にあるのではないか、かように理解をしているのですが、この点政府においてはどう考えておられるか、まず伺いたいのであります。
  4. 吉岡千代三

    吉岡(千)政府委員 お答え申し上げます。まず自転車生産高について申し上げますと、戰後一時一般製品同様相当に減産をしておつたのでございますが、逐次上昇いたしまして、昨年度におきましては、戦前最高でございました昭和十二年の二百二十五万八千台を越えまして、二百五十六万五千台、戰前最高に比べまして約一割四分の増加を示しておるわけでございます。そこでこの製品消化という点から考えますと、御指摘のように戰前におきましては約五〇%を輸出によつて消化しておつたのでございますが、現在におきましては輸出額生産額に対しまして約一七%でありまして、なおこの面の努力を必要とすることは御指摘通りであります。ただ金額におきましては、一般貨幣価値の変動がらいたしまして、昨年度における輸出額は約一千九十万ドル、一昨年は約五百三十万ドルであつたわけでありますから、一昨年の約二倍の実績を示しておりまして、額といたしましては戰前最高額をやや超過しておるという状況であります。ただ御指摘のように世界最大生産国であり、かつ輸出国でありますイギリス等と比べまして、少くともなお二割のコスト引下げを必要とするという状況でございます。一方国内の消費の面におきましては、戰前保有台数は約一千万台でありますが、戦災その他によりまして、終戰当時約五百万台に低下し、現在は大体九百万台まで回復しております。しかしながらなお戦前保有台数には達しておりませんし、また一方人口当り保有台数という面から見ましても、大体九人当りに一台というような状況でありまして、これを各国の例に比べますと、アメリカにおきましても七人に一台、イギリスは三人半に対して一台、その他フランス、ベルギー、ドイツ、デンマーク、それぞれ一人から三、四人に対して一台という状況でありまして、これはやはりある意味における必需品という性格を持つておりますので、国内におきましてもなお消化の余地がある。ただこれがためには国内におきましてもやはり一段とコスト低下をはかりまして、有効需要を起さなければならぬ。こういうふうに考えております。そこで私どもといたしましては、特に振興費等活用によりまして、生産設備工程、ないしは原材料の仕入れ等合理化をはかりまして、コスト低下をはかりたいと思つておるわけでありますが、現在におきまして最も大きな問題といたしましては、自転車用材料の約四割を占めると言われます鋼材、そのうち特にパイプにつきましては、御承知のように現在は帶鋼から、これを省きまして溶接をしパイプをつくつておる。その間の作業工程等にも非常にむだがありますので、これを一貫的につくります設備を、製鉄メーカーの協力を得まして、ただいまアメリカの方にその機械の発注に行つておる、こういう状況であります。この設備ができますと、とりあえずの能力といたしまして、大体現在の自転車用パイプの約半分の量がこれによつて供給される。しかもこのパイプコストにおきまして少くとも二割の低下ができる。なお仕上げ等もよくなるので、この点を最も大きな問題として考えておる次第であります。その他先ほど申しましたようないろいろの面を考慮いたしまして、でき得る限りコスト引下げをはかり、それによつて国内国外双方有効需要を喚起いたしまして、御指摘のような趣旨に進みたい。かように考えております。この際において振興費は最も重要な原動力としてこれを活用したい。こう考えておる次第であります。
  5. 小川平二

    小川(平)委員 この自転車産業振興ということがこの法律の第一の目的である。申してみれば、この賭博の公認にほかならないところのこういう法律を根拠づける、ジヤステフアイする、これが唯一の目的であろうと考えておるのであります。それで現行法の十條は、この目的に照応しておるものであることは言うまでもないと思うのでありますが、現行法のもとにおける国庫納付金は、過去の実績を見ますると、売上げ金額の平均四・六%になつておる。これは頂戴しておる資料で明らかなのでありますが、改正法律案の十條三項は、車券売上げ金額の百分の四に相当する金額を納付することというふうに修正をされておる。それからさらに四項によりまして、国庫納付金が一定の場合に減免されることになつております。その上いわゆる振興費を計算する基礎が歳入予算額に置かれておる。こういう点もはたして適当であるかどうか問題であると思うのであります。従来の実績を見ますと、予算額国庫納付金額との間には非常に大きな開きがある。かりに車券売上げが今後もだんだんとふえて行く、累増して行くということがはつきり予想されるならばともかくといたしまして、いろいろの事情から考えまして、まずまず最近の状態、この辺のところがピークではないかと考えるのが常識的な見通しというべきであろうと思うのであります。もちろん反面においては、ほかの競走法規とのつり合いということも考慮されたかもしれない、あるいはまた通産省予算の中に占めるところのこの振興費のプロポーシヨンというような点もお考えなつたかと思うのであります。さらにまたさかのぼつて考えますならば、現行法が制定をされた当時においては、競輪が今日のような隆昌を見ることがほとんど予想されておらなかつたというふうな事情もあると思うのであります。しかしそれらの点を考慮に入れましても、なおかつかような、この法律冒頭に掲げておるところの目的従つて自転車産業振興に一段積極的な助成策を講じなければならぬこの時期において、まさにかような改正が行われることははたして適当であるかどうか疑いなきを得ないと思うのであります。思うに提案者におかれましては、おそらく現状において可能な、精一ぱい努力をなさつたことであろうと想像しておりまして、むしろその御努力を多としなければならないかと思うのでありますし、そのことは前会の小金委員質疑に対する御答弁からも十分うかがわれることでありますけれども、われわれといたしましてはどうもこの改正には満足できない。提案者もこの改正に十分満足なさつておられるとは思えないのでありますが、その点いかがでございますか。
  6. 境野清雄

    境野参議院議員 ただいまの小川さんの御質問趣旨は、提案者といたしまして私どももまつた同感なのであります。まつた同感なのでありまして、その過程におきましても、私どもといたしましては何とか全額自転車産業のために使い得るということを希望しております。現行法によりまするならば全額自転車産業に使い得る、こういうような方法になつておるのでありますが、たまたま当時におきましてはその筋のきつい要望によりまして、大体一産業に対しては五億円くらいが程度じやないだろうかというようなお話がありまして、そのまま今日まで踏襲して参つたのでありますけれども、現実の問題としては、過般通過いたしました企業合理化促進法にいたしましても、あるいは現在参議院におきまして審議中の特定中小企業安定法案、ともにこの二つ法案から見ましても、私どもとしては全額くらいをもらいましても、それ自体企業合理化に役立ち、あるいは中小企業の面に使い得るということは強く希望しておつたのでありますが、現段階におきましては、どうしても大蔵省自体が三分の一でとめていてくれないか、なおかつ三分の一というものも三分の一以内というような点を強く要望されましたので、その点につきましては通産省当局大蔵省が三分の一以内というものでも決して五億円は下まわらないという申合せをしておられたので、やむなくこの線に私ども讓歩したのでありまして、必ずや御期待に沿うよう近い機会におきましてこの法案改正の際にやりたい。それには大蔵省自体を何とか私の方で説得いたしまして、そうしてできるだけ全額自転車産業のために使用したい。もしでき得ませんでも二分の一の線までには持つて行きたい、こういう強い要望を私どもは持つておるのでありまして、ただいまの小川さんの趣旨とは私どもつた同感なのでありますが、その経過におきましてはそういうような関連から実現し得なかつた。これははなはだ申訳ないのでありますが、私どもといたしましては今後ともこの点については十二分に大蔵省との折衝をやりたい、かように考えておる次第であります。
  7. 小川平二

    小川(平)委員 御答弁の御趣旨は十分に了承いたしました。今のお言葉にもありますように、本来でありますならば、現行法全額出せるという建前なつおるのであつて、われわれといたしましてはこういう修正を全然行わないか、あるいは修正するといたしますならば、二の予算額のせめて二分の一くらいに引上げるのが適当ではないか、こう考えておるのであります。しかしそれが困難であるといたしますならば、その根本的な改正は遠からざる機会にやらなければならないものといたしましても、さしあたりの措置としてせめて実収がこの予算をはるかに越えるというような場合には、当然に何らかの適当な措置をとらなければならぬのじやないか、こういうふうに考えておるわけでありますが、この点提案者においては何らかの御用意があるでありましようか、この点を承りたい。
  8. 境野清雄

    境野参議院議員 その点に関しましては、過般来小金さんからも御質問があり、衆議院総体の御意向としてそういうような点が強く要望せられておるということも私ども感じまして、通産当局がこの予定よりも余分に入りました金額に対しましての再配分と申しますか、通産省への還元を折衝いたしましたところ、大体折衝自体も成立したと思いますので、この点については通産当局から詳細に御報告があることと思います。
  9. 小川平二

    小川(平)委員 しからば今御答弁のありました点について、通産省大蔵省から少しく具体的に承りたいと思います。
  10. 吉岡千代三

    吉岡(千)政府委員 法律全額というのが、事実におきまして三分の一ということになつております経過につきましては、先ほどお話通りでございます。そこで今回の改正法におきましては三分の一以内ということになりましたので、文字の上ではいくら少くてもいいというふうな形にもなりますので、私どもといたしましては大蔵省打合せをいたしまして、歳入見積額に大きな変化のない限りは従来の五億二千万円程度は維持して行きたいという程度方針で御了解を得ておつた次第であります。しかしながら衆参両院におきまして委員各位からこの点につきましてきわめて強力な御意見がありましたので、最近におきまして、さらに本年度以降年度中におきましての歳入額予算額を著しく超過することが確実となつた場合において、その超過額のほぼ三分の一相当額支出額に追加するようにお願いするということにつきまして、大蔵省打合せが成立したような次第でございます。この点につきましては、昨年度におきましても補正予算において一億円の追加が認められており、なお両院における委員各位の御意見によりまして、こういうような趣旨において大蔵省通産省当局の間に公文書を交換するということになつております。要するに全体において実際の歳入額のほぼ三分の一程度振興費として支出できる、特にこういう危險性の多い事業につきましては、相当安全率を見込んで歳入予算を立てられるというようにも聞いております。またそれ自体としてはごもつともであると思いますので、年度途上において増収が確実になつた場合には、それのさらに三分の一程度は追加できる、こういうことになつておる次第でございます。
  11. 石原周夫

    石原(周)政府委員 今車両部長から申しましたような趣旨におきまして、先ごろ通産省機械局長大蔵省主計局長との間に覚書をとりかわしておつたのでありますが、ただいま車両部長が読上げましたように、年度中に歳入増加が確実に見込まれる場合につきまして、重ねて主計局長機械局長との間に文書のとりかわしをただちにいたすつもりであります。
  12. 小川平二

    小川(平)委員 さような御了解ができたということは今の御答弁で了承いたしましたが、今の大蔵省お話によると、歳入額予算額を非常に超過をするような事態が生じたときに初めて覚書のようなものを交換されるというふうにとられるのですが、そうでございますか。あるいは覚書そのものは今からとりかわしておいて、著しく予算額超過するような場合には適切な措置を講ずる、こういうことにあらかじめとりかわされておくのでしようか。
  13. 石原周夫

    石原(周)政府委員 文章はただちにとりかわすつもりでおります。
  14. 小川平二

    小川(平)委員 それではその文案等がもし確定をいたしておるようでしたら、この際お聞かせを賜わりたいと思います。
  15. 石原周夫

    石原(周)政府委員 前段は御承知であろうかと思いますので、今度つけ加えようという点を申し上げます。「追つて本年度以降年度中においても歳入額予算額を著しく超過すること確実となつた場合においては、その超過額のほぼ三分の一相当額支出額に追加するよう考慮する方針である。」というのでございます。
  16. 小川平二

    小川(平)委員 御答弁を了承いたしました。この措置はもちろんさしあたつて必要な最小限度措置にすぎないのであつて、近い将来にこの十條というものは根本的に再検討をして改正をしなければならないことかと思うのであります。ただいまのところはこの御答弁を了承いたします。なお先刻通産省のお言葉にもあつたのでありますが、限られたお金のことでありまするから、これを最も有効に効率的に活用をしていただくという点に今後とも一層の御留意を願いたいと思うのであります。私の質疑はこれをもつて終わます。
  17. 多武良哲三

  18. 高橋清治郎

    高橋(清)委員 自転車競技法等の一部を改正する法律案が出た際に、競輪というものに対してわれわれはここに新たなる考えをもつて競輪を存置するか、ここで廃止するかという問題を振わかえつて考えてみる必要があるのじやないかと私は思うのであります。吉田首相は、ドツグ・レース賭縛思想を奨励するということを新聞紙上で見る通り言つておりますが、むしろ競輪よりかもドツグ・レースの方が、ヨーロツパその他アメリカ等において行われにいるが、弊害が伴わない。自転車あるいは小型オートというものは非常な弊害が伴うのであります。今通産省関係当局説明を聞いておりますとへ競輪によつて金が得られるために自転車産業が非常に振興するということですが、一体自転車産業というものは、競輪によつて賭博思想を発達させ、そして金を得る二とによつてでなければ振興しないものかどうか。競輪によつてのみ振興ができるということであるならば、私は当局があまりにも無能であるといわざるを得ない。そこで私どもは、どうしても弊害が伴う、監督を嚴重に強化しなければならぬというようなやつかいなものでするならば、この際これを再検討して、存置問題まで立ち入つてこれを考えてみたらどうか、こういう考えを持つておる。一体競輪によつて金を得なければ振興ができないのかどうであるか。提案者及び当局に対して一応お伺いしたいと思う。
  19. 境野清雄

    境野参議院議員 ただいま高橋さんからお話がありましたドツグ・レース競輪の比較というものは別問題にいたしまして、いずれにいたしましても私どもは、現行法における競輪場監督というものははなはだ不備でありますので、何としても現行法のままで競輪運営に当つて行くことには相当危險があるのじやないかというふうに感じました。そこで参議院のわれわれ同志が集まりまして現行法による不備を何とか除去しなければなもぬという考えから起りましたのがこの法案であります。そういうよう点から罰則の強化あるいは最近大阪で起つておりますのみ屋制限というものに重点を置いてあるのでありまして、自転車産業に対する振興費競輪以外にないのかという点に関しましては、通産省かち答弁を願いたいと思います。
  20. 吉岡千代三

    吉岡(千)政府委員 自転車産業はもともとイギリスと相並びまして世界における最大生産国であることは御承知通りでございます。従いまして私どもといたしましては、單に競輪の収益による振興というもののみならず、一般的にこのわが国の代表的の産業である自転車産業につきましては、あらゆる努力をしてこれの振興をはからなければ相ならぬ、かように考えている次第であります。なお自転車競技法につきましては、先ほど境野先生からもお話のように、現行法ではほとんど監督規定を欠いておりまして、行政運用上において不自由な点がございます。ただ実情といたしましては、競技法実施当時におきましては、いろいろ騒擾事件等の不正な事実があつたわけでございますが、最近におきましては、関係者努力と、観衆等もこの競技相当になれて来たと申しますか、大体におきまして平静に運営されているようにわれわれは考えております。従いまして私どもといたしましては、現行法不備の点を是正していただきまして、なお一段とこの運営健全化をはかるという方向で進んで参りたいと考えている次第であります。
  21. 高橋清治郎

    高橋(清)委員 いろいろこの改正條項は並べてあるようであります。審議会の問題その他お尋ねはしたいと思うけれども、私ども競輪というものを一回ものぞいたことはないのであります。はたして実際にどのようなぐあいに運営されておるか実地調査をしてみたいので、これをひとつお願いします。それからいま一つ公聴会を開いてあまねく輿論を聽取してみたいので、この二つをお取上げいただくことを希望いたしまして、私の質疑を終ります。
  22. 多武良哲三

    ○多武良委員長代理 次は加藤君。
  23. 加藤鐐造

    加藤(鐐)委員 私も今高橋さんがおつしやつたように、競輪というものを見たことはございません。競輪場を見たことがあるくらいで競輪はみたことがない。従つて車券も買つたことはないので、実際のことはよくわからないわけであります。よくわからない者がいろいろ審議するのは僭越かもしれませんが、審議権を放棄するわけには行きませんからお尋ねするわけですから、ひとつしろうとにもわかるように御答弁を願いたいと思います。  この法律を見ますと、現行法に比較して非常に内容がふえているわけであります。現行法は大体自主的に施行者にやらせるという建前であつたのが、この改正法によりますと、非常に官庁権限が強化されているわけであります。この許可條項あるいは命令條項あるいは政令によつて定めるところによるというような委任事項も非常に多いわけであります。この点については、先ほど提案者から今までいろいろ弊害があつたからとおつしやいましたが、大体私の聞くところによりますと、従来大体法律に定めてなくても、たとえば競輪場許可等についても法律では許可となつておりませんが、実際には通産省了解が得られなければ設置できないというようなこと、そのほか運営上においてもいろいろそういうようなことでやつて来ておるようであります。そこで、先ほど提案者あるいは車両部長のおつしやいましたように、最初のうちはいろいろと騒擾事件もあつて非常に弊害伴つたが、最近は大分よくなつて来ておるという際に、官庁権限を強化したこういう法律をつくらなければならないという理由について、具体的にお伺いしたい。
  24. 境野清雄

    境野参議院議員 今のお話のように、従来に比較して静穏な形態になつておる競輪場、なおかつ現行法において監督規定その他が非常に少いのでありますが、それによつても現在のように運行されておる。だからそれ以上に強化することに対しての具体的な説明というようなお話がありましたので、一つの例を申し上げますならば、御承知通り最近非常に問題になつております関西方面におけるのみ屋の行為、こういうような問題に関して競輪法の中にその規定がない。これは私の方から申し上げるまでもないと思うのでありますが、いわゆるのみ屋と称するものが大阪市内だけに約二千軒ある。そして一日に一千万近い売上げをしておる。こういうような話でありましてこれに対してはもちろん衆議院の方へも相当陳情が参つておると思うのでありますが、これが従来の結果におきましても、大体犯罪が成立せないというような形態になつております。その点のこまかいことは通産当局から説明していただくことにしても、私どもとしてはこういうようなものを何とかして法律化せなければなかなか問題が解決せないのではないかというようなことから、十八條、十九條におきまして、この問題を十二分に押えられるというような面を出しましたこと、その他におきましても、振興会というような問題に関しまして、とかくのうわさがありますので、そういうようなうわさのある問題にも、帳簿の立入り検査なり何なりを強化した方が、通産省としてこれに対して完全な監督権が行使できるのではないか。こういうふうに考えまして、この法案の罰則その他を強化した次第でありまして、その点よろしく御了承を願いたいと思います。
  25. 吉岡千代三

    吉岡(千)政府委員 ただいま提案者から御説明がございましたように、いわゆるのみ屋と申しますか、私設の場外車雰売場の監督あるいは国庫納付金の減免に関する規定、ないしは罰則の強化、これらは当然法律上の根拠を必要とするわけでございますが、その他一般的の通産省監督につきましては、従来ほとんど監督規定を欠いておつた。ただ御承知のように、競輪法のできました当初は占領下にございましたので、司令部との関係におきまして、たとえて申しますと競輪場の設置につきましても、その都度承認を受けるというような形で運営されておつたわけでございます。これは適当でないということになりまして、昭和二十四年であつたと思いますが、この点に関する処理を日本政府にまかしてもらいたいということを通産省から申入れまして、それに対して司令部側からは、競輪場の新設その他競輪運営について、政府監督のもとにこれを実施するということを條件にされて日本政府側に権限が委譲されたという経過になつております。従いまして、従来しいて法律的の根拠と申しますと、司令部の覚書に根拠を持つてつた、こういう形で参つたわけでございますが、講和條約もでき、かつ実際上の監督行政をやる上におきまして、法的根拠を欠いた形の運営をするということでは、本来法律的にも適当でございませんし、また内面指導と申しますか、話合いでやつておるわけでございますが、一部においてどうしてもそれに従わない者がございました場合に、それがために結局全体の統制ができない。具体的に申しますと、現在限られた競輪場をなるべく多数の施行者活用していただくということで、施行者各位ともお話合いをいたしまして、通牒等によつて実行しておるわけでございます。その場合に一部の施行者にどうしても貸さないというような場合におきましては、やはりこれは法的の根拠を必要とするかと思います。また振興会等につきましても、いろいろと世間の批判もあり、われわれもこれに対して一層巌正な態度をもつて臨まなければならぬと思いますが、同時にこれらにつきましては法的の責任を明らかにし、明確な形においてこの仕事をやつて参りたいという考えを持つております。従いまして通産省といたしましては、法律の根拠に基きまして、十分の責任を持つてはつきりした行政をやつて参ることを期待しておる次第でございます。
  26. 加藤鐐造

    加藤(鐐)委員 私は法律をこうした非常にきゆうくつなものにしなければならない理由を具体的にお伺いしたのでありますが一、二の例しかおつしやいませんでした。いわゆるのみ屋を禁止しなければならぬということは、私も大体わかる。この條項はけつこうだと思いまするが、今車両部長のおつしやいました、いろいろ話合いでやつても話合いがつかない場合もあつたというふうにおつしやいましたが、私はこの法律は、話合いのつくものもつかないものも、とにかく今度はひとつ思い切つて通産省権限を強化しようという考えでできておるのではないかと思うわけであります。私は従来日本の政府のつくる法律は、常にやらなくてもいいことまでこまかく規定して、命令とか政令で定めるようなことをやつておるという通弊があつたと思うわけであります。その点については、実は競輪のことはよく知らないので、一々こまかく具体的に話していただきたいと思いましたが、それは非常に時間もかかるし、煩瑣なことでありますから、これはまた別にひとつわれわれがこういうことを十分調査する機会をこの委員会でつくりたいと考えております。  そこでもう一つお伺いしたいことは、この法律を見ますと、「命令の定めるところにより、」という通産省に委任する事項が非常に多いわけでありますが、これを調べてみましても、大体この法律の中に具体的に記載できるような問題ばかりじやないかと思うのです。なぜ法律に大体記載のできるものをこういうふうに、命令で定めるところにより、というふうに、いわば通産省がどんなことでもわれわれの承認を経ずにやれるような規定を多くつくられたかという点について承りたいと思います。その場合に、この省令の内容はことごとく今日われわれの前に示すことができるかというような点についても承りたいと思います。
  27. 吉岡千代三

    吉岡(千)政府委員 改正法中命令に委任しました事項につきまして御説明いたします。  まず第三條におきまして、競輪場の新設の場合において、命令の定めるところにより、通産大臣の許可を受けなければならないということになつております。これは許可申請に際して添付すべき書類、その手続、方法を規定するわけでございまして、これは先ほどもお話のありましたように、従来におきましても大体通牒等できめておる関係のものを規定する考えでございます。なおその際の重要な点につきましては、法文に掲げておく考えでございます。  それから同じく三條の第三項、許可申請につきましては、当該府県知事が公聴会を開かなければならないということになつておりまして、その公聽会の開催の手続規定、並びに「利害関係人」と書いておりますことの実例、たとえば治安関係、教育関係、婦人代表、一般輿論代表というような幾つかの例を示しまして、その他府県知事の必要と認めるものというような形におきまして規定いたしたいと考えております。  それから第四條でありますが、第一項につきましては、場外車券売場の許可申請について命令の定めるところによりとなつておりますが、これは第三條の場合と同様に、單に手続を定めるという趣旨でございます。  なお第二項におきまして、許可の基準を命令で定めるということになつておりますが、これはあとの方の運営審議会に諮りました上で決定するということでございますので、その運営審議会意見等を十分伺いました上で、基準を命令でもつて定めたい、こういう趣旨でございます。  次に第五條の二でございますが、開催回数の調整の問題でございまして、これも従来は通牒によりまして関係の施行者等とお打合せいたしまして定めております。具体的に申しますと、一競輪場当り開催回数は一箇月一回、年間十二回、それから一施行者当りの開催回数は、地方財政委員会等の意見などを聞きまして、なるべく広く活用をはかるという趣旨において限度をきめております。一般的に申しますと、本年度におきましては、一施行者は通常は八回を限度にいたしまして、あとの四回は少くとも他に貸していただくというのが一般の基準になつております。それから一回の開催日数は現在六日ということでやつておりまして、これもそのままを省令におきまして規定しようという考えでございます。一日の競走回数は現在十二回を限度としておりまして、これもその通りでございます。これらの点は、施行者にとりましても、地方財政の收入上非常に重要な点でございますので、その点につきましては従来ともそうでございますが、十分に関係施行者等と打合せをいたしまして、その内容について省令で規定いたしたい、かように考えております。  次に第九條の末項の交付金の算出方法でございますが、これは計算方式等を命令で定めたいという趣旨でございます。  それから少し飛びますが、第十一ページの終りでございますが、国庫納付金の納付の手続規定を命令で定める、これは一般の会計法規等の例にならいまして、その納付の手続を定める、こういう趣旨でございます。それから減免に関しましては前回の委員会で御説明申し上げたわけでございますが、従来の実績によりまして売上額二千五百万円未満の場合には国庫納付金を免除する。一回の売上げが六千万円以上の場合には四分を徴収する。その中間を一分、二分、二分五厘、三分、三分五厘というふうに刻みまして減免の関係を定めることになつておるのでございます。  それからずつとあとの方になりますが、附則におきまして、施行期日を政令で定める、これは先ほどもお話のございました、ことに関西地方におけるのみ屋が、一刻も放置を許さない状況でございますので、でき得れば七月一日から施行いたしたいと考えましてただいま法制局等と手続を進めておる次第でございます。大体命令に委任しております内容につきましては以上の通りでございます。
  28. 加藤鐐造

    加藤(鐐)委員 国庫納付金の基準が今度はかわつて予算総額の三分の一ということになりましたが、これは前と非常にかわつて来たわけです。国庫に入る金が多くなることはわれわれ大いに歓迎しますが、前のは経費を差引いた残額の三分の一ということですから、これは合理的だと思います。それが今度は一率に納付金を納めなければならぬということになりますと、やはり理論上不合理があると思います。その点は、先ほど車両部長でしたか、大体非常に余裕のある予算を組んでおるからということでしたが、それは実際問題から割り出されたことですが、私はこれは理論上少し不合理になる、非常に利益の多いところと低いところとあるわけですが、それが一華に三分の一を納めるということは支障ないのかどうか、また理論上の根拠等について承りたい。
  29. 吉岡千代三

    吉岡(千)政府委員 お話のように従来は運営の純益を計算いたしまして、その三分の一を国庫に納付する、こういう規定になつてつたわけでございますが、一般のオート・レース、モーター・ボート等、他の競走法規におきましては、すべて売上げ金額に対して一定の比率を納付するという形に規定されております。そこで実際問題といたしましても、従来の規定でございますと、その都度この売上げ収支の報告をとり、かつその支出等を一々査定いたしまして、純益を割出さなければならないので、事務としても非常に煩瑣でございますし、またその間に万一の誤りなきを保しがたいという関係もございます。なお過去三年間の計算によりまして、売上げ別に考えますと、大体売上額によりまして、この程度売上げの場合には、こういうふうな計算になるという実績が、ほぼ売上額別に一つの比率を示して来ておるわけでございます。これは平均いたしますと、現在、売上げ金額に対しまして四・六%ということになつておりまして、売上げの多い場合には五%、六%というふうにもなります。また少い場合にはそれよりも低い。そういうふうな実績が大体把握できる状態になりましたので、事務をできるだけ簡素化し、かつ従来に比べまして、ある程度施行者としても負担の軽減になるという形におきまして、また先ほど申しました売上げの低い場合におきましては、減免の措置を講ずる、こういうことでございまして、大体一般の例にならい、また従来の実績等に比べましても、これでもつて大なる支障はないというふうに考えております。
  30. 加藤鐐造

    加藤(鐐)委員 先ほどちよつとお話がありました、振興会等に対して立入り検査をするというようなことになつたわけなんですが、私は、こういう場合にお役所がその監督をするもの、あるいは検査をし得る相手に対して、非常な行き過ぎがしばしば起つている実例を知つております。そういう場合に、法律できめられた範囲を逸脱した行為が起るのではないかということを考えるものです。たとえば、人事権について命令する。この振興会長はやめさせなければならないとか、この次の振興会長はだれにしろ、そういうようなさしずまでされる場合があるように聞いておりますが、そういうことはどういうふうにお考えになりますか。
  31. 本間俊一

    ○本間政府委員 お答えを申し上げたいと思います。ただいま御指摘になりました立入り検査をいたしまするような場合は、そういう必要が起りましたときの規定にいたしているわけでございます。従来行き過ぎのような点も、あるいはあつたかとも思いますが、その執行にあたりましては、十分注意して参りたいと思つております。人事の問題でございますが、これは、御承知通り、なかなか微妙な関係にあるわけでありますが、私どもといたしましては、法の建前を厳守いたしまして、できるだけさような場合を避けたいと考えているわけでございます。ただ、振興会運営と申しますか、経営がいろいろな意味で乱脈になりましたり、あるいはその他のいろいろな弊害がございました場合なども、まつたく皆無だとは申し上げられないと思います。そういう場合には、そういう問題にも触れまして、御相談を申し上げるようなこともあろうかと思いますが、あくまでも、御指摘になりましたような行き過ぎのないように、十分配意して参りたいと考えております。
  32. 加藤鐐造

    加藤(鐐)委員 従来は、自主的にやつて行くことができたから、やはり役員の運営のいかんによつてはそういういろいろな問題が起つて来たことであろうと思うわけであります。しかし、今度法律でこういうふうに非常にこまかく監督官庁権限が強化されて、立入り検査まですることができるということになれば、私は大体間違いが起るわけはないと思うのであります。そういう点を考えて、こういう厳重な法律をつくられることになつたのだろうと思います。従つて、私はこの法律が施行された以後においては、もしそれによつていろいろな不在事件が起つたならば、これは監督官庁の責任の方がむしろ強いといわなければならないと思うわけでありますが、そういう場合に、監督官庁の怠慢をたな上げにしておいて、役員が悪いんだというようなことで口を出されるとするならば、これは私は、非常な越権であり、怠慢であるといわなければならぬと思うのですが、今後でもやはり人事権には、場合によつては、くちばしを入れる考えであるかどうか、その点をお伺いしたい。
  33. 本間俊一

    ○本間政府委員 御指摘のように、権限も明確になつたわけでございますからそれに伴いまして責任もまた強化されたものと、私どもも正直に考えておる次第でございます。従いまして、この法案で、御指摘のような関係等から、今後振興会運営その他につきましても、いろいろな意味でのいい結果が生れるだろうと、私ども考えております。従いまして、振興会が健全な運営をせられて行かれるという場合は、私どもといたしましても、それを期待いたしておるわけでございますから、さような場合によけいなおせつかいをやるということは、嚴につつしんで参らなければならぬと考えております。もちろん御指摘にもありましたように、権限も強化いたしましたが、責任もまたそれに比例をいたしまして強化いたしておるわけでありますから、十分その責任を痛感いたしまして善処して参りたいと考えておりますが、人事の問題につきましては、先ほどもお答え申し上げましたが、乱脈な関係その他の事情がございまして、やはり人をかえなければならぬというような場合が、将来まつたくないということもただいまから予想することもいかがかと考えております。従いまして、そういう必要がありました場合には、あるいは人事の問題につきましても、話合いをするというようなこともあろうかと思いますが、御指摘趣旨は十分尊重いたしまして、できるだけ自主的に健全に運営をせられまして、明朗な競輪が施行せられるよう、十分な留意をして参りたいというふうに考えております。
  34. 加藤鐐造

    加藤(鐐)委員 政務次官が人事権容喙の点を固執せられることは、どうも私は臭いところがあると思う。私が先ほど言つたのは、ここまでこまかく監督を嚴重にすることになつてつて、間違いがあつた場合には、私はむしろ監督官庁の責任だということを申し上げたが、なおそういう場合でも、役員のいろいろな不手ぎわができて来る場合がある。こういうお話で、あくまで場合によつて人事権に容喙するということを言つておられるが、こういうものができると、従来お役所が監督官庁の立場から監督が容易にできるために、あるいは連絡が十分できるために、その監督官庁の立場にあつた役人を振興会その他の役員に入れるということがしばしばあつたと思います。私は競輪関係においてもそういう場合がおそらく出て来るだろうと思う。もつと極端に言いますれば、通産省では今度だれを入れようかというようなことまで腹案を持つておられるのじやないかとすら私は考えるのであります。そういうことはよくないと思う。監督官の立場にあつた者が監督される側にすぐ入るということは、非常な弊害を生むわけなんです。そういう点についてはどう考えられるか。それは場合によつては、適当な人物があれば入れるかもしれぬということを言われるかもしれない。そこまで露骨に言われないでまあそんなことはできるだけしないつもりだとおつしやるかもしれませんが、私は必ずこういうことが起つて来ると思う。その点について政務次官はどういうふうにお考えになりますか、御答弁を願います。
  35. 本間俊一

    ○本間政府委員 御指摘のように、従来関係をいたしておりました者があとでまた振興会などに関係をいたしますような場合は現在もあり、また過去もあつたと思いますが、これは御承知のように官吏の退職後の制限があるわけでございますから、その制限はあくまでも守つて参らなければならぬと思つております。そのことによりまして、無理やりに人を押しつけるとか、あるいは振興会が非常にいやがつているような場合に、監督官庁権限を利用いたしまして、それをたてにとつて無理押しをするというようなことは嚴に愼んで参らなければならぬかと考えておりますが、それに関係をいたしておつた官吏が将来退職をして一般の禁止の期間を経過いたしました後に、やはり経験を持つているわけでありますから、振興会の方からぜひほしいというような御相談がある場合もあろうかとも考えるわけでございます。従つて今関係いたした者は将来一切そういうことに関係することはいかぬということを私が明確に申し上げることはどうかと考えるわけでございますが、御趣旨の点は十分尊重いたしまして、無理に押しつけるというようなことはひとつ嚴に愼んで参りたいと考えております。
  36. 加藤鐐造

    加藤(鐐)委員 私がこういうことを申し上げるのは、実際今まであつたのです。自転車振興会の場合は無理に押しつけたかどうか知りませんが、ほかの団体の関係で無理に押しつけて、いやだと言うのをどうしても引受けろというようなことで、官吏の姥捨山にせられた場合が実際にしばしばあつたのです。具体的な事実を示せとおつしやれば今でも示しますけれども、こういうことが私はいかぬと思うのです。今政務次官が言われたように、相手から懇請された場合はやむを得ない、それはけつこうだと私は思う。これは自転車振興会にぜひほしい人だからよこしてくれという懇請があつた場合はそれはけつこうで、そこまで私はいかぬと言うのではないのです。しかし従来そういうことがあつて、こういう民間団体を官吏の姥捨山と考えておられるので、そういうことは絶対にしないように愼んでもらいたいと思うわけであります。政務次官は今その点言明せられましたので、私はそれを信用してこれ以上追究いたしません。  それからこの競輪運営審議会、こんなものはいらぬのではないかと私は思うのです。従来いろいろな民間産業振興というような法律ができる場合に、こういう審議会ができました。われわれもやはりこれは民主的な法律の運用というような場合に必要だと思つて主張しましたが、私は競輪のような単純なものについては、お役所がこれだけの権限を持つておやりになるときにさらに諮問機関というようなものが必要だとは思いませんが、政府が必要だとお思いになる理由について伺いたい。
  37. 境野清雄

    境野参議院議員 大体今お話のありました運営審議会に対しましては、従来競輪に関しては御承知通り衆参両院の通産委員長と地方行政委員長の四名と、あと業界人が入られましたものが一応審議会形式をとつておりまして、新設許可その他に対しては十分な意見を闘わしておつたような形にありましたことと、今後この競輪場の新設というようなものに関しては、必ずや国家警察なりあるいは建設省なり大蔵省なりと相当打合せすべき問題が多いのではないか、こう考えまして運営審議会委員に国家警察なりあるいは建設省なり大蔵省といつたような関係官庁の方に入つていただく二とが、新設を許可するようなときに公平な裁断が一番早く下せるのではないか、こういうふうに思いまして私どもとしては審議会を設置したような次第であります。
  38. 加藤鐐造

    加藤(鐐)委員 そうするとこの運営審議会の構成について、ここに「関係行政機関の職員及び学識経験のある者」となつておりますが、学識経験のある者というのは、今提案者がおつしやつたような警察側の人とかその他の人の範囲ですか、どういう人を学識経験者と言うか、もつと具体的にはつきりお示しを願います。
  39. 境野清雄

    境野参議院議員 大体考えておりますものは、関係官庁としては通産省、文部省、建設省、大蔵省、地方財政委員会、国警本部等でありまして、学識経験者としては国会議員、教育関係、地方公共団体、婦人評論家、新聞界等の代表というふうに考えております。
  40. 加藤鐐造

    加藤(鐐)委員 そうすると学識経験者というのは全然この競輪の施行に直接関係のない人ばかりのようですが、私は、この競輪を施行する場合には、やはりもつと直接経験を持つているような者も必要じやないか、たとえば選手というようなものが入るかどうか、いわゆる通商産業大臣の諮問機関として競輪運営の上に直接経験を持ち体験を持つております選手というようなものも入れるべきではないかと思うわけですが、その点はどうでございますか。
  41. 境野清雄

    境野参議院議員 お説の点に関しましては、参議院自体におきましても質疑の過程において再度起つた問題なのであります。そういたしまして大体競輪を完全に運営するというような建前からいたしますれば、どういたしましても施行者自転車振興会、選手会というものが三位一体にならないことには、私どもといたしましても競輪の完全な運行はでき得ない、こういうふうに十二分に承知いたしておるのであります。たまたま現在の情勢におきましては、選手会そのものが見ようによりましては相当冷遇されている、あるいは選手会自体というものに対しましての雇用関係と申しますか、そういうような関係が相当あいまいになつている。こういうような点からいたしまして、私ども審議の過程におきましても選手会を一応法文化しまして、法文化した選手会そのものによりまして、選手の社会的、経済的な地位の向上をはかる、あるいは出場等に関する條件に対しましてもそれぞれ自主的にやられたらどうか、こういうような問題も起つたのでありますが、たまたま審議の途上におきまして、現在の選手会自体の構成というようなものを見ましても、これは幾分時期尚早ではないか、こういうような考えからいたしまして、急遽私の方は法文と離れまして、参議院競輪に関する小委員会を中心といたしまして、施行者振興会並びに選手会、この三位一体をはかるために再度の協議をしているような形でありますことと、あわせて選手会に対しましては、局長通牒その他の方法をもちまして選手会を維持育成する方策を立てる、こういうようなことにいたしておりますので、私どもとしては運営審議会にただちに選手の代表が入るということは、先ほど来申し上げましたようにまだ幾分時期尚早ではないか。しかしながら選手会自体が完全な発達をいたしますならば、そのときに入つていただくことは当然であろう、私はかように考えておる次第であります。
  42. 加藤鐐造

    加藤(鐐)委員 選手会の代表を入れることは時期尚早だとおつしやいましたが、私は、これは競輪のみに限りませんが、選手の社会的な地位を高めて経済上の地位を保障するというようなことが考えられ、それが実行されなければならぬと思うわけです。私が聞くところによりますと、選手会を社団法人にして、今言つたような目的を達成したいというような意向があると聞いております。これに対して通産省はどういうようにお考えになつておられるか、これを認めるつもりかどうかというような点を承りたい。それから境野さんに伺いたいのは、そういうふうに社団法人等が設立されて、選手会というものの一つ意見としてまとまつて出て来る、そうして社会的、経済的な地位も高まつて行く一つの基礎ができたということになれば、選手会の代表をこの審議会に入れることが適当だというふうにお考えになりますかどうか。
  43. 本間俊一

    ○本間政府委員 私の関係いたしておることにつきましてはお答え申し上げたいと思います。ただいま、前に御説明があつたかと思うのでございますが、選手会の全国の連合会が一つできまして、その支部というようなものが、各府県別にできますかあるいはブロツク別にできますか、その辺は選手の方の自由でございますが、いずれにいたしましても、全国の選手の連合会のような形のものが一つでき上ることを考えております。それに対しましてはできるだけの助成をいたしまして、健全な発達をいたしますために十分な努力をいたしたいと考えております。競輪運営あるいは選手全体の経済的な問題、あるいは社会的な地位の向上の問題等いろいろな問題について、今後できます全国單一の選手の団体とできるだけ話をいたしまして善処いたすようにいたしたい、こういうふうに考えております。
  44. 境野清雄

    境野参議院議員 ただいま加藤さんからお話がありましたように、公益法人としての選手会が認められた、そしてそれが完全に運行する状況になる、こういうふうに相なりますれば、私は運営審議会に入れることに決してやぶさかでないというふうに考えております。同時に先ほど申し上げました通り、私どもの小委員会といたしましても、そういう形態に一日も早く持つて行くように、私どもとしてもでき得る限り側面的な協力は惜しまない、こういうふうな考えでございます。
  45. 加藤鐐造

    加藤(鐐)委員 それから選手の傷害問題ですが、選手が出場中に傷害を受けた場合には補償の道があるそうでございます。しかしその出場外、たとえば練習中に傷害を受けたという場合には補償の道が講ぜられておらないということですが、これは競輪選手としての立場で傷害を受けたわけですから、こういう場合にもやはり補償の方法を講ずる必要があると思うのですが、この点はどういうふうにお考えになりますか。
  46. 吉岡千代三

    吉岡(千)政府委員 特定の地区の競輪に参加いたしました選手につきましては、練習中といえども補償することに打合せができております。なお補償額につきましても、従来やや薄いのではないかというようなきらいもございましたので、ただいまこれが増額方につきまして施行者等と打合せ中でございます。参加中以外の練習中の件につきましては、施行者の立場からいたしますと、具体的にその公共団体と関係を持つていないというような関係もございまして多少難点があるようでございますが、これらの点につきましてはなお今後でき得る限り話合いをいたしまして、私どもといたしましては、なるべく御趣旨の意に沿うようにいたしたいと、ただいま考えておる次第でございます。
  47. 加藤鐐造

    加藤(鐐)委員 今大体補償の道を考えているということでしたし、また出場外の、たとえば練習中の傷害に対しても補償の道が講ぜられつつあるというお話でありますが、具体的にどの程度の補償が講ぜられつつあるか、また今後の構想ということをおつしやいましたが、その構想を具体的に承りたい。
  48. 吉岡千代三

    吉岡(千)政府委員 従来の制度で申し上げますと、現在競走中に死亡いたしました場合につきましては、施行者振興会、それから選手相互の間において互助会と申します共済制度をとつておりまして、総額におきまして二十万円ないし最高三十万円程度の補償をいたしております。なおこの互助会の制度をとりましたのは、先ほども申しましたように施行者が公共団体である関係上、これらの場合における支出につきまして、いろいろ手続等にも問題がございますので、この制度を実施いたしますと同時に、賞金の増額をいたしまして、そのうち幾分かを集めまして、形においては選手の負担というわけでございますが、実質におきましては賞金の増額という形において、施行者等の負担によつて措置して参つたわけでございます。しかしながらこれは形としても非常におかしな形でございますので、今回は少くとも参加中の災害につきましては、施行者振興会が面接負担をするということにいたしまして、現在施行者等で考えていただいております案によりますと、最高五十万円ということでただいま考えておる次第でございます。なお参加中以外の練習中の災害につきましては、この面については従来の共済制度を活用し、これに施行者ないしは振興会等の協力をさせて、やつて参るというようにいたしたいと思つておりますが、この点につきましては、ただいま具体的に打合せ中でございます。
  49. 加藤鐐造

    加藤(鐐)委員 私はきようは大体この程度質問を打切りたいと思いますが、最初にも申し上げました通り、私は自転車競走というものは、全然しろうとで、こまかい点でまだわからない点がたくさんあります。それをこういう委員会の席上で一々お伺いして御答弁を願うということもどうかと思いますので、こういう点について、十分われわれが納得の行くまで調査し得る機会委員長の方でお考え願いたいということを一つ條件といたしまして、きようは質疑を打切ります。
  50. 多武良哲三

    ○多武良委員長代理 ただいまの加藤君の御発言、委員長において適当にとりはからいます。  ほかに御質疑はありませんか。——御質疑がなければ、本日はこの程度にいたします。会期は本日で終了でありますが、多分延長になると存じますので、延長の場合は明日午前十時より開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時十三分散会