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1952-06-13 第13回国会 衆議院 通商産業委員会 第53号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年六月十三日(金曜日)     午前十時四十九分開議  出席委員    委員長 中村 純一君    理事 多武良哲三君 理事 中村 幸八君    理事 山手 滿男君 理事 今澄  勇君       阿左美廣治君    江田斗米吉君       小川 平二君    神田  博君       小金 義照君    土倉 宗明君       永井 要造君    南  好雄君       村上  勇君    加藤 鐐造君       横田甚太郎君  出席政府委員         外務政務次官  石原幹市郎君         通商産業政務次         官       本間 俊一君         通商産業事務官         (通商繊維局         長)      記内 角一君         通商産業事務官         (通商鉄鋼局         長)      葦澤 大義君         通商産業事務官         (中小企業庁振         興部長)    松尾 金藏君  委員外出席者         専  門  員 谷崎  明君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 本日の会議に付した事件  特定中小企業の安定に関する臨時措置法案(南  好雄君外二十二名提出衆法第六一号)  鉄鋼政策に関する件     —————————————
  2. 中村純一

    中村委員長 これより会議を開きます。  本日は昨日に引続き、特定中小企業の安定に関する臨時措置法案議題といたし、質疑を続行いたします。質疑の通告がありますから、これを許します。今澄勇君。
  3. 今澄勇

    今澄委員 私はこの法案審議を通じて、大体提出者の意図するところを十分了とすることができますが、提出者一言お聞きしたいのは、機械新設制限であるとか、あるいは利子補給であるとかいう本格的な中小企業者を守るべき具体的効果のある問題が、当初議題上つてつたけれども、これがこの法案の中から消え去つたそのいきさつ並びにこれらの問題を実現するには、どういう点において反対意見が出たのであるかというような点について、ひとつ法案提出者から簡単に御説明を願いたいと思います。
  4. 南好雄

    南委員 今、今澄さんからこの法案提出前における経過の話をするようにというお話でございますが、私たちもこの法案をつくる際におきましては、中小企業振興のために少しでも肉づきになるという意味合いにおきまして、調整組合行つた金融事業に対して、政府予算範囲内において可及的に利子補給なりともするのがもつともだ、こういうふうに考えまして、関係方面と十分折衝いたしたのでございます。しかしながら、この法案は二箇年しか期間を持つていない短かい法案でございまして、それが比較的長期にわたるだろうと見られる金融事業行つて、しかもそれに対して政府利子補給をするというのは、法案内容として少しそぐわぬ点があるのじやないか。さらに利子補給内容に参りますと、いかに法案中の規定予算範囲内と申しましても、財政法その他の点から見ますと、計上された予算を、この法律利子補給の基準に従つてわけて行くという行き方をするならば、財政政府を拘束しないと一応のりくつは通るが、そうでない場合においては不確定な歳出についての法律的強制になりまして、財政当局としても立場上非常に困る。もし予算補正がありますならば、その際において実際行つた事業についての確定金額金融事業に対して何ぼ補給するかを大体見当を踏んで、予算をとつてやるという行き方の方が穏当である。こういう意見も出ましたために、利子補給の方はしいてこの際この法案の中に入れなくでも、今後われわれの努力によりまして、中小企業の安定、振興のために予算上の措置をなして、そうしてこの法案を改正して行く。そうなりますと別に法案を改正しなくても、中小企業に対して相当利子補給現実的にできるという見通しを得ましたので、その中から利子補給の面を削除したような次第であります。なお二十七條の通商産業大臣の勧告にどうしても従わず、調整組合の所期の目的が達せられないような場合におきまして、もしも省令をもつて設備制限並びに数量制限等を実施するような場合には、今まで設備のある人でさえも相当制限を受けて、ようやく市場の安定が得られる、そういう場合に、だれでもかつてにまた事業ができるということになりますと、従前の営業者の犠牲のもとにおいて新しい営業者が利益を得る。もし事業現実にする面になりますと、すぐに通産大臣の命令に従つて当然設備制限をやるということになりますが、こういう際にむだな資本をそういうところに投資させまして、新たに営業をなそうという人に不測の損害を与えることにもなるのであつて、理論上当然二十八條あたりに、少くとも通産大臣が業界安定のために省令をもつて一般的制限をするような場合におきましては、その期間限つてでも営業許可制をしくのがあたりまえじやないかという必然的の議論にもなるのであります。現段階においてはそこまで考えなくとも別表に指定せられましたような業種につきましては、すでに今おる業者といえどもへとへとになつてつて、倒産相次ぐという状態でありますから、多少の市況の安定がありましても、その市場を撹乱してまでも新しい業者が出るなどということは、現実の問題としてあり得ないじやないかというような議論も出ましたために、そういう情勢の起るおそれがある場合においては、やはり法律を改正して行きたい。中小企業の安定につきましても、最初から万全を期するような考え方よりも、この法律ができました経過にもかんがみまして、完全を期して進んで行つた方がいい、こういう意見も一部にありましたために、二十八條期間限つて新しい営業者に対して許可制度をしくという條項を落したような次第であります。
  5. 今澄勇

    今澄委員 私は大体この法案の根本的なねらいが不明瞭であると思う。これらの中小企業者を具体的に守るためには、一連的な政府中小企業対策並びに金融機関整備統合をはかるとともに、新設生産設備制限あるいは利子補給等々の財政的な裏づけを入れた法律でありたい、かように私は思います。  次に、この法律案提出者が、るる苦心を重ねてこの法案を今国会に出したことについては敬意を表するのでございます。しかしながら今の説明では、何がゆえに既存業者の企業整備的なことを行い、しかも新設には法的に何ら制限が加わらないのか、これは三歳の童子といえどもわかることである。この法律には提出者考えというよりは、むしろほかから圧力がかかつたものであろうと私どもは思うのであります。この際中小企業庁振興部長から、この新設制限利子補給問題等については政府としてはどのようなお考えであるかお聞きしておきたいと思います。
  6. 松尾金藏

    松尾(金)政府委員 ただいま御質問のございました二点につきましては、提案者御自身からのお話がございました通りであると思います。現実の問題、といたしまして、利子補給規定は、なるほどこの法案と関連いたしまして、そういう意味のことができることはけつこうでありますが、現実の問題として予算措置が十分講ぜられれば、特にこの法律にそういう規定がなければできないという筋のものでもございませんし、そういう関係は今後の問題として残されて行くであろうと私は承知いたしております。  設備制限新規開業制限の問題は、現実の問題としてこういう特定業種についてただちに新規開業が殺倒して来るというようなことは事実上そう予想できないだろう。そういう際に新規開業許可制——いわばかつてありましたような状況と條件は違つておるかもしれませんが、一種の企業許可制を暫定的といえどもしくような形になることは現状において必ずしも穏当ではなかろうというような意見があつたように伺つております。提案者の御説明と私も大体同様の考えを持つておるのでございます。
  7. 今澄勇

    今澄委員 こまかい点については同僚議員質問で大体十分尽しておりますので、私は新設機械設備制限並びに利子補給の問題については、この法案ほんとうの生命を吹き込むという意味において、どうしてもこの二つをこの中に盛り込まなければ、この法律案中小企業安定の法律ではあり得ないという点について納得ができないのであります。ちようど繊維局長も見えておられるが、これについては繊維関係で新たな機械設備制限等政府が命ずるということになれば、どういう方面に具体的な支障を生ずるかということについてひとつ御説明を願いたいと思います。
  8. 記内角一

    記内政府委員 これはただいまの設備制限を実際行う場合の支障の問題でござ心ますが、一つ法律的に、法律根拠がなければできないということでありまして、これは国会の御審議を煩わすほかに方法がないと思います。もし法律ができた場合に、それを実行に移すことが適当であるかどうかということになつて参るわけでありますが、現在におきましても、たとえば金融措置によつて新しく繊維関係において設備をする場合におきましては、合成繊維でありますとか、あるいは一部の染色繊維であるとか、特殊なもの以外は長期資金を出さないという通達が、一般的ではありますが、特に繊維品も含めて出ておるのであります。自己資金でやる以外は金を借りて仕事をやるという道は現在封ぜられておるのであります。私どもとしては支障がないというように考えておるのであります。
  9. 今澄勇

    今澄委員 それで私は中小企業庁の方にこの際関連的に御質問をしておきたいのであります。この中小企業安定法という法律議員提出法律案になつておるが、私は現在の中小企業現状から見ると、この中小企業安定法繊維を中心にして、一部の最近特に打撃を受けた業種を救うためにスタートをして、それに陶磁器その他があとから加わつたというような、普遍的中小企業の安定には、漸次そのほかの品目が加わつて、大半これに網羅をしたというのがこの中小企業安定法現実であります。率直に申せば、一部繊維業者の売れ行き不振と、いわゆる過剰生産をどうして切り抜けて行くかということがこの法律案根拠になつておる。だがこういう法律ができなければならぬということは、中小企業全般に対する政府施策というものが大体その場主義の場当りではないか。第一番に私は今般の行政機構改革で、中小企業庁内局になることになつて、今参議院にまわつておりますが、内閣委員会で私が通商産業大臣質問したところが、大臣中小企業庁関係職員全部と打合せした結果、中小企業庁内局に移管されても今後中小企業行政については何らの支障を生ずるものではない、そういう結果になつたという答弁内閣委員会において私は承つたのでありますが、私は現下中小企業現状からして、中小企業庁内局になつても、中小企業行政については何ら支障を来さないというような考え中小企業を担当しておられる中小企業庁皆さん大臣に申されたとは思われない。当通商産業委員会においては中小企業庁内局移管絶対に反対である。林野庁やその他の独立庁内局になるのと、中小企業庁内局になるのとは趣を異にしておるということを建前として、実は中小企業庁内局移管反対決議を当委員会全会一致でいたしておるわけであります。このような大臣見解について、少くも中小企業庁として、この中小企業庁の廃止について、どのようなお考えであり、また中小企業庁内局になつて将来中小企業行政の上に大きな支障はないのかどうかということをこの機会にひとつお伺いしておきたいと思います。
  10. 松尾金藏

    松尾(金)政府委員 中小企業行政の実際の運営については、中小企業庁として従来種々努力して参つたつもりでございますが、おそらく各方面からの御批判は、決して十分なものではなかつた、むしろ不十分なことだらけだというおしかりを受けるだろうということは私ども十分覚悟いたしております。同時に、ただいまお話の現在の機構でそういう形であるのに、今後さらに縮小して大丈夫かという御質問のように伺うのでありますが、これらの点は、全体として行政機構縮小という大前提わく内で私ども考えて参つた次第である、こう御了承願いたいと思います。
  11. 今澄勇

    今澄委員 そこで中小企業庁の今後のあり方、その他の問題について質問したいのですか、時間の関係もありますから、私は一点だけ質問しておきます。少くとも中小企業庁あり方については、中小企業のこういう安定法律などを見るにつけても、中小企業関係の一番重要なポイントは、まず当面金融である。それについては現在の商工中金がわずかに大蔵省とあなたのところの共管になつておるのにすぎない。国民金融公庫は大蔵省所管コマーシヤル・ベース興業銀行、あるいは信用金庫も大蔵省所管である。こういう状態で、かんじんかなめのこれらの中小企業者の今日の苦難に対して、金融一つをあつせんするにしても、みな所管大蔵省である。こういうことで、あなた方の方の金融あつせん努力は常に泡沫に帰しておる。私は松尾さんが振興部長のときからしばしば御連絡しておるのであるけれども、それはやはり中小企業行政あり方の問題である。そこで、中小企業庁としては、このような中小企業に対する国家機関半官半民、さらにはそれに引続いてコーマシヤル・ベースに乗るもの、あるいは協同組合、その他信用協同組合等の部門を一体将来内局になつてどのようにごあつせんをされるつもりであるか。さらにもう一つは今日重要な問題になつておるやみ金融、これについては、日本の今日の金融界をほとんどやみの王者として濶歩しておるのであるが、これか非常に高率な利子で、今日の中小企業の壊滅をさらに一歩早めておる現状である。このやみ金融に対する中小企業庁考え方、並びに今の中小企業金融機関差益評価に関する考え方、さらに中小企業庁内局になつて、これらの金融機関に対するあつせんその他が円滑に行くと考えるかどうかという点について、ひとつ御遠慮なく御意見を伺わせていただきたいと思います。
  12. 松尾金藏

    松尾(金)政府委員 お答えいたします。やみ金融の問題につきましては、特に中小企業やみ金融によつてはなはだ蚕食をされ、またしぼられるような形になつております一面がありますとともに、また中小企業の当面の苦しい状態からやみ金融にやむを得ず依存しておるような両面の問題があると思うのであります。これにつきましては、やみ金融そのものを、あらゆる手段を講じて、力をもつてこれの絶滅をはかるということだけでは問題の解決がなかなかむずかしいように私ども考えております。むしろ中小企業金融全体についてもつと正攻法をもつて中小企業金融苦境を打開して行くことの方法をあわせて考えて行かなければならないというふうに考えておる次第であります。また金融のあつせんその他に関連いたしまして、今後中小企業庁内局となつて、はたして業務上さしつかえないかという御質問であると思いますが、これらは現在の行政機構縮小大前提わくの中での考え方でございますから、たとい内局になりましても、一層この点については、中小企業金融あつせんその他に努力を傾注して参りたいつもりでおります。
  13. 今澄勇

    今澄委員 そこで今の中小企業金融国家機関あるいは半官半民コマーシヤル・ベース民間機関、あるいは信用協同組合等のこういつた中小企業機関が分立をしておりますが、それに対して中小企業庁で将来これらの問題を整理統合する、あるいは動産金融はどこ、設備資金はどこ、国家資金の投資はどこというように、体系別整理をされるような案があるかどうか。お考えがありましたならば、御説明を願いたいと思います。
  14. 松尾金藏

    松尾(金)政府委員 中小企業金融の問題については、御承知のように、中小企業はその業種業態は非常に複雑多岐でございまして、そういう関係から、中小企業を主として対象とする金融機関もおそらく、言葉は過ぎるかもしれませんが、いわば自然発生的に各種各態様の金融機関が創設されて参つたように私ども考えております。従いましてこれらを、あまり理論的にのみ走つて、強力な整理統合をするというような体系は、必ずしも中小企業金融のために得策であるかどうか。この辺はもう少し研究の余地がある問題ではないかと思うのであります。しかし現在の中小企業金融のための金融機関が、単に種類が多いだけで、金融機関としての役割を果し得るわけではありません。やはりそこに十分なる資金源政府としてもできるだけつけるようにし、また資金源をつける際になるべく金融体系がはつきりして来るようにという片方に要請もありますので、こういろ点は両方の観点から、あわせて研究をし、逐次実施して行かなければならない問題ではないかと考えております。
  15. 今澄勇

    今澄委員 今の中小企業庁答弁はまことにおざなりであるが、一応私はその程度にしておきましよう。そこでこの法案提出者にお伺いをしなければならぬのであります。過ぐる二十四年一月の衆議院選挙において、自由党公約として、少くとも中小企業対策に関する限りは、中小企業に関する国家機関、すなわち中小企業金融金庫の設立は、これらの中小企業者国家金融のめんどうを見るであらう。その中小企業金融金庫は、独自の中小企業金融機関として、その下にいろいろな中小企業金融機関整理統合するのである。もう一つは、中小企業に対しては、弱体で非常に信用状態が弱いから、中小企業信用保険制度を確立して、中小企業に関する限りは、金融機関の危険を国家が保障するがごとき態勢をとるということは、選挙対策として堂々と時の自由党が天下に公表して、二十四年一月の選挙をやつたことは御承知通りであります。しかるに今日再び解散が真近になろうとしておるのに、自由党並びに現在の中小企業庁の今の責任者答弁から考えてみても、信用保険制度については形ばかりの中小企業信用保険制度ができたけれども、これの利用率とその運用は御承知通りである。国家的な中小企業金融機関というものは単なるから公約終つて、何ら実現を見ておらない。しかも中小企業金融機関整理統合は全然なされておらぬ。中小企業庁内局に移管して、その行政措置を大きく縮小しようとしておる。ここに議員提出法律案として自由党皆さんがこの特定中小企業の安定に関する臨時措置法案を出されるならば、なぜ選挙公約したそれらの中小企業国家機関あるいは中小企業信用保険制度完備拡充、さらには中小企業庁内局移管実現するというようなことを放置して、この法律案だけを国会末期において出されたのであるかということを法案提出者に私は一言お伺いしておきたいのであります。
  16. 南好雄

    南委員 お答えいたします。だんだんの今澄さんの御意見は一部、ごもつともに私たちも拝承いたしました。私はこの特定中小企業の安定に関する臨時措置法案におきまして、現在の中小企業中いわゆる特定中小企業の本法案によつて指定せられるがごとき業種につきましては、何と申しましても独禁法なり事業者団体法の例外をつくつてつて、それに一つ法的根拠を与えて、その苦境を打開せしめるのが、まず当面の最も重要な施策でなかろうか、こういうふうに考えたために、この法案提出したような次第なのであります、私はこの法案中小企業対策が万全を期せられるということは考えたこともありませんが、これも中小企業現下窮境を打開する一つの非常に効果的な方法でなかろうかと思うて、本法案を提案したような次第であります。これに加えて中小企業等協同組合法による中小企業等協同組合積極的活動並びにこの積極的活動ほんとうに内部から充足さして、金融各般措置をなすことは、今澄さんの御意見のように、中小企業対策としては最も大事なことであり、またこれらの実現のためにいわゆる超党派的に努力しなければならぬものでなかろうかと私たち考えております。  御承知通り日本はこの間独立したばかりでありまして、去る二十四年の総選挙におきまして、党といたしましていろいろと中小企業対策について考慮しておりましたことについても、御承知通り占領治下におきましては、十分意に沿うようなすつきりとした施策ができなかつたことは、今澄さんもよく御承知通りであります。中小企業対策につきましても、今後お互いにこれからが最も力を入れるべき時期であります。今後におきまして、信用保険の七割五分を全額国庫補償にして持つて行き、二割五分を金融機関に補償さして、しかもコマーシヤル・ベースに乗せて、それが中小企業金融対策一つのおもな柱になるというようなことは私といえども考えておりません。この法律を改正いたしまして、漸次中小企業本格的金融に関する施策にもいたしたいと考えております。しかしそれはこの法案提出の以外の理由でありまして、私一個の見解であります。今澄さん同様に中小企業対策につきましては十分に御協力申し上げて、中小企業の直面しておりまする現下窮境を打開して行きたいものと考えております。
  17. 今澄勇

    今澄委員 これで私は質問を終りますが、この特定中小企業の安定に関する臨時措置法案についてはまずわれわれ野党側としてはどうしてもこれには利子補給的な財政的考慮をめぐらして、たといこの法律案に明文がなくても、そういつた具体的な援助をしなければ、この法律案は何ら救済意味がないということ、それから金業整備的な設備の淘汰を行うような法案でありながら、新設を阻止することができないというようなことでは、私はたとい二箇年といえどもこの法案にはほんとう画龍点睛がないということ、これらの点についてはわれわれはこの法案についてこれが修正並びに附帯決議その他をもつてこの法案に筋を通したい。  なおもう一つは、こういうような法案独立後の日本国会に出る前に、私は先ほど申し述べた中小企業金融機関整理統合する国家的な中小企業金融機関の確立並びに信用保険法の改正、その他ありとあらゆるまず先になさなければならなかつた法律案が出ておらないというところに法案提出者反省を求め、なお中小企業庁内局にするというようなことで、どのような中小企業救済法律案を出してみたところで、これが行政を担当する役所が縮小されて、中小企業の今後の救済などは断じてあり得ない。私はこの法案提出には一部の要望にこたえたことは認めるけれども中小企業全体の対策からするならば、それは本末転倒した最も末端的な、応急的な措置であるということを申し述べて、ぜひ今後十分なる反省を望みたいと思います。
  18. 中村純一

  19. 阿左美廣治

    阿左美委員 私は提案者の一員といたしまして別段質問をする事柄もないのでありますが、ただ一言振興部長に確かめておきたいと存じますのは、第十五條に「調整組合は、左に掲げる事業を行うことができる。一、組合員生産(製造又は加工をいう。)をする指定業種に係る製品生産数量若しくは出荷数量又はその生産設備に関する制限組合員事業指定業種にかかるものに限る)の経営合理化に関する指導及びあつせん、次は組合員に対する生産調整及び経営合理化のための資金貸付並びに組合員のためにする借入れ」こういう條項があり、また二十四條に連合会事業として、「連合会は、左に掲げる事業を行うことができ、る。一、会員たる調整組合が行うその組合員に対する指定業種に係る製品生産数量若しくは出荷数量又はその生産設備に関する制限について総合調整計画の設定及びその実施、会員たる調整組合が行う経営合理化に関する事業総合調整、次は会員たる調整組合及びその組合員に対する生産調整及び経営合理化のための資金貸付並びに会員たる調整組合及びその組合員のためにするその借入れ」とあるのですが、一体とれは協同組合法とダブるのではないか、二本建になるようなきらいがあるという御意見があるように伺つているのですが、提案者といたしましても一応はそういうような考えもないではありません。しかし、もしかりに調整組合がこの事業も行えないということになれば、何のために組合法をつくるのかというようなことになるのでありまして、もちろん協同組合法が元の工業組合法のような完全なものであるならば、あえてこの法案をつくらなくても、協同組合法において各自の事業の調整も執行でき得るのでありますけれども、現在の協同組合法から参りましてはとうていでき得ないのであります。やむを得ず本法案をつくつてこの調整をせざるを得ないというような結果になるのでありまして、どうしても二本建になるようなきらいはあつてもこの際やむを得ないのではないかと考えます。従つてこの法案はあくまでも臨時立法でありまして、私どもわくは一日も早く協同組合法が戦前の工業組合法というようなものに改善せられることをこいねがつておるのであります。しかし現在の段階においては  そういうことはでき得ない現状でありまして、やむを得ず本法案提出しなければならぬわけでありますが、これに対する御見解をただしておきたい。
  20. 松尾金藏

    松尾(金)政府委員 本法案が議員立法として出て参ります際に、私からあまりこれに対して批判的な意見を申し上げる筋ではないと思いますが、ただ実際にこれを運用するにあたりまして、先ほどお話のございましたように、現在中小企業者の相互扶助的な意味の組織化の線の基本的なものとして中小企業等協同組合の制度があるのであります。しかしこの協同組合法自身は、現在の中小企業者の組織化のわくといたしましても、最近のような経済情勢の際におきましては必ずしも十分でない点も多いのであります。そういう意味におきまして、今回の立法によつてこの足らない部分を臨時的に補うという意味であろうと私どもは推察しておるのでありますが、そういう意味から申しましても、協同組合調整組合が相補つて行くという意味では、確かに二本建になる結果になるわけであります。その二本建というのは、私ども実際に運用いたします際には、やはり協同組合による中小企業者の相互扶助的な組織化の線で足りない点を、この調整組合が補つて行くという意味の二本建であつてほしいという希望を持つておるのでありますが、また実際の運用にあたつては、おそらく結果的にそういうことになろうという期待を持つている次第であります。ただ実際問題といたしまして、実際問題というよりもこの法案考え方の問題であるかもしれませんが、この調整組合が調整事業だけやるというのでは、あまりにさびしいのではないかというお考えの向きもあろうかと思いますが、しかしこの法律の目的が第一條において明確にうたわれておりまして、「需給が著しく均衡を失した場合において、適切な需給調整措置を講ずることができるようにし、」というここにこの法案の一番大きなねらいがあるといたしますれば、調整組合といたしましても当然こういう点に最大の、またむずかしい事業があるはずであります。それ以外の事業につきまして実際上何か経済事業的な、あるいは協同事業的な事業をやろうといたしますれば、やはり調整組合というだけでなくて、協同組合的な、出資金を持ち、資産の基礎を持ち、また中小企業者の固い団結がこの背後に必要であろうというふうに考えております。そういう意味から申しまして、りくつの上から申しますれば、やはり調整組合調整組合として第一條の目的に掲げられておるようなことにねらいをつけて運営をされ、その集団が協同事業的なことをやる場合には、同時に協同組合としての基礎においてやることが理論的にはすつきりした考え方ではないかというふうに考えております。しかし実際の法案の立案につきまして私からこれ以上どうこう申し上げる必要はないのでありますが、おそらくこの法案の條文の問題といたしましてはそういうりくつ上の問題があるであろうということを御参考までに申し上げるような次第であります。
  21. 中村純一

    中村委員長 他に御質疑はございませんか。——他に御質疑がなければ本件に対する質疑は一応打切ることに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 中村純一

    中村委員長 御異議がなければさよう決定いたします。  午前の会議はこの程度にいたし、午後一時より再開いたし、鉄鋼政策に関する件を付議いたします。暫時休憩いたします。     午前十一時一分休憩      ————◇—————     午後一時五十六分開議
  23. 中村純一

    中村委員長代理 休憩前に引続き会議を開きます。  鉄鋼政策に関する件について調査を進めます。発言の通告がありますから、これを許します。小金義照君。
  24. 小金義照

    ○小金委員 鉄鋼政策の基本問題についてお伺いいたしたく、きようは外務省及び通産省当局の御出席を願いまして、両方からお答えを願いたいと存じます。  まず私がここで伺いたいと存じますのは、先般日本独立をいたしまして、逐次アジアの諸国、すなわち日華平和條約、目印平和條約というものもそれぞれ調印を終つております。また国会の承認を求める手続もいたしておるようでありますが、私は日本の製鉄業の本質から言いまして、今後どうしたらよろしいか、従来のような、原料をかつて予想しなかつたような方面から入れておつて、世界の製鉄事業が復興し、さらに拡張しておる際に、はたしてこれで日本の基礎産業中の基本的なものだという鉄鋼業がやつて行けるかどうかという非常に大きな試練の時代にぶつかるのではないか、またすでにそのときが来ておるのではないかと考えますので、ここで根本問題についてお伺いをする次第であります。  御承知通り十九世紀の終りに日本で初めて近代製鉄事業を官営で起しまして、爾来いろいろな経過をたどりましたが、進歩発達の一路をたどつて参りました。ところが昭和二十年及び二十一年にはほとんど壊滅に近いような状態にまで落ち込んで、今後どうなるか、非常にわれわれは心配いたしておりましたが、幸いにいろいろないい條件ができまして、そうして鉄鉱石及び原料炭をかつてあまり予想されなかつた遠方アメリカ地域から入れて、その復興をはかつた。そうしてその生産額も逐次増加いたしております。昭和十七会計年度を基準にいたしますると、当時日本では原料炭は約八百九十三万トン余り、そのうち内地炭が四九%強、あとは中国炭が約三百五十万トンで三九%強、そのほか満州及び樺太炭——これは北樺太でありますが、樺太炭ということになつております。原鉱石の方を見ますると、十七会計年度によりますと六百三十数万トン、そのうち内地で約百九十六万トンで三一%、中国からは三百五十四万トンで五六%の鉱石を入れております。朝鮮が約六十万トンで九・六%、そのほか二十一、二万トン、これが三・四か五パーセントということになつております。壊滅後復興した日本の製鉄業の原料の姿を調べてみますると、二十六年度はまだ推定の域を脱しませんが、大体原料炭が五百六十数万トン使われておるはずであります。そのうち内地炭が約三百六十万トン強、すなわち六十三あるいは六十四。パーセントくらいになつております。米国炭が百三十五万トンで約二十三、四パーセントというようなところになつておりまして、インド炭が四十五万トンで八%、残りがその他から入つて来る、こういうことに相なつております。これが原料炭の姿であります。  原鉱石の方の二十六年度の推定の数量を申し上げますと、鉄鉱石の使用量は約四百九十二万トンということになつております。内地鉱石が約百万トン、二〇%強、米国が百六十万トン、三二%半くらい、フイリピンが九十五万トン、一九・三%くらいになつております。それからマライからの鉄鉱石が七十五万トンで一五・二%、インドの鉱石が三十八万トンで七・七%、香港が十七万トンで三・五%、その他が約七万トンで一・四%というような状態に相なつております。かつて日本の製鉄業は、昭和十七印度におきましては銑鉄で五百四十七万五千トン出しております。昨二十六年度では、三百十九万七千トンという推定の数字が出ております。粗鉱で申し上げますと——これは鋼塊ばかりではありません、そのほかのものを一切含めまして、昭和十七年度においては八百七十万トン余り、昨二十六年度では約六百九十万トンくらいの粗鉱をつくつております。戦後の再建された日本の鉄及びはがねの原料は、このような姿で今後押して行けるかどうか。輸入原料をどうしても海外に仰がなければ、日本の鉄鋼業は成り立つて行かないという宿命であります。しかもその宿命を今までみごとに克服いたしまして、かような数字に上る生産を上げております。海外から非常に多量な、しかも重い原料を、鉄鉱石にいたしましても原料炭にいたしましても、運んで来て、日本で製造することになると、産業の合理化が非常に大事であることのほかに、人件費の節約、ことに原料費はもう動かすべからざるものになる。山元では非常に安い鉄鉱石、原料炭でありながら、運賃が非常に高い。この運賃が世界の経済界の動きによつて左右される。従つてこの運賃をいかにして節約するか、また支払わないで済ませるかということが製鉄業の大きなフアクターになつている、私はかように考えております。原料の占める価格を一瞥いたしましても、鉄鉱石で申しますと、昨年十月の実績を見ますと、ズングンの鉱石を買うのに、FOBでは七ドル九十八セント、船賃が十一ドル二十セント、合計して十九ドル十八セントという鉱石の値段が出ております。従つてどういう所から鉱石を買い、幾らの船賃を払うかによつて日本の鉄鋼価格がきまるわけであります、ズングンは今の通りでありますが、カルカッタの場合を見ますと、FOBが八ドル十セントに対して運賃が十三ドル六十セント、合計すると二十一ドル七十セントというような数字になります。もつとも鉄鉱石はパーセントが大事でありまして、ズングンの方は約五五%くらい、カルカツタの方は六三%くらいのものになつておるようでありますが、アメリカから来ている——主としてユタの鉱石だと思いますが、ユタの鉱石のF ○Bは十ドル五セント、船賃が十四ドル、合計して二十四ドル五セント、これが五八%くらいの鉱石である。こういうぐあいになつておりますから、運賃は相対的のものでありまして、品位がよければ相当高く払つてもかまいませんけれども、われわれの国がかつて製鉄業を盛んにせしめたその時代のことにさかのぼるまでもなく、アジアの近所には、中国を初めとして東南アジアには非常に多量の鉄鉱石が埋蔵されておるのであります。しかもこの鉄鉱石は、インドを除きましてはみずから鉄にする工場を持つておらない。どうしても日本に売らなければ、まつたく石ころ同然になるのであります。こういうような観点からいたしまして、どうしてもわれわれの方で粗野な原鉱石を買いまして、そうして鉄の製品その他わが国の工業製品を売り出してやる。これがアジアのほんとうの経済的な独立の本筋だと私は考えておるのであります。こういう見地から、日本の鉄鋼業について、政府独立とともに一体どういう御注意をお払いになつておるか。また通商航海條約というような基本的なものができておらないといたしましても、日本の今度の講和は友好と信頼であるとか、あるいは和解と信頼、友情であると言われておる。これは私は国際間にかけひきはないと思う、その友好関係だとか、信頼関係にかけひきがあつてはたいへんなことである。だからそれを百パーセント信じて政府には相当の御努力を払つていただかなければ、今まで十年あるいは十数年の間杜絶しておつたアジア諸国との国交の回復はできないと思う。だから平和の実現とともに、政府がこの方面に対してどういう注意を払つておられるか、私はここで外務当局と通産当局に大筋を伺いたいのであります。
  25. 本間俊一

    ○本間政府委員 お答申し上げたいと思います。小金委員から御指摘がありましたような立地條件と申しますか、基本的な條件のもとに、日本の鉄鋼業はだんだん盛んになつつたわけでございますが、お話の中にもありましたように、どうしても設備を近代化いたしまして、世界における競争力を強めるということは最も大事でございますが、御指摘もありましたように、原料の占めまする割合が相当に高いのでございますから、できるだけ近いところからいい鉱石を大量に輸入する、日本の今後の鉄鋼業の国際的な競争力を強化して参ります上におきましては、どうしてもそういう方向に努力をいたさなければならぬというふうに私ども考えておるわけでございます。御承知でもあろうと思いますが、昨年から三箇年の計画を立てまして、製鉄、製鋼、圧延、こういう設備方面につきまして合理化のためにいろいろな施策を集中しておるわけでございますが、原料は御指摘のありましたように、東南アジアにあるのでございますから、これらの原料をできるだけ開発いたしまして、日本の鉄鋼業の原料にしたい、こういう点ではまつたく同じような考を持つておるわけでございますが、ただいまのところでその東南アジアの鉱石に対しまする手当がどういうようなぐあいになつておるかと申しますと、すでに御承知でもあろうと思いますが、インドのゴアにおきまして、今年度以降三箇年の間に百五十万トンの鉱石を日本へ積出しをするという計画を見返りにいたしまして、昨年から百五十万ドル相当設備の投資を行つておるわけでございます。それからフィリピンのララツプ鉱山に対しましても百万ドル相当の投資が具体化して、これに対しましてもことしの六月以降から大体日本へ輸出をいたします量を五十万トンペースから七十五万トンペースへ引上げるようにいたしたいという考えで進んでおるわけででございます。  それから御指摘もありましたが、マレーではズングン鉱山が資本へ鉱石を出しておるわけでございます。あとでお話に出るかと思いますが、タマンガン鉱山の開発につきましてもいろいろな話合いがございまして、まだ具体的にはなつておりませんが、大体概括して申し上げますと、東南アジアの鉱石に対しまする手当はただいま申し上げたような事情になつておるわけでございます。政府といたしましては御指摘のありました通りこれらの日本に近い土地でいい鉱石が多量にあるわけでございますから、資本、設備の投資、あるいは技術援助というような形でできるだけ開発をして日本に入るようにいたしたい、こういう考えでせつかく努力しておるというのが現況でございます。
  26. 石原幹市郎

    ○石原(幹)政府委員 ただいま通産政務次官の方からいろいろお話がございましたが、外務省といたしましても大体通産省の基本政策に沿いまして、その間外務省としての立場からできるだけ御協力、御援助したい、こういうつもりでおるわけでございます。御案内のごとく平和條約を初め、日華條約、日印條約等、すべて通商航海関係の條約もできるだけ早く結んで、これらの国々との通商経済の両開を期待しておるわけでございます。アメリカとの通商條約はただいますでに検討を加えられまして、やがて本格的折衝に入ると思います。これに引続きまして、さらに講和のできた世界の各国との間に通商航海條約の商議に入ると思います。ことにインドあるいは東南アジア等の国々とも交渉が始まると思います。インドネシア、フイリピンにつきましては、まだ平和條約の調印を見ておりませんので、こういう問題について公式の話合いは困難でございますが、先ほど通産政務次官からお話になりましたような点につきましては、できるだけの協力をいたしたいと思つております。また当然あとでお話が出ることとは思いますが、マレーに行きます調査団というか、この入国許可申請の問題につきましても、ただいま英国大使館等とせつかく折衝中でございます。まだ最後の決定を見ておりませんが、できるだけの努力をいたしたいと考えております。
  27. 小金義照

    ○小金委員 大体お答えはその程度だろうと想像しておりましたが、かつて、戦争前あるいは支那事変といわれたころに、鉄鋼の需要はますます盛んになつて来る。世界各国あげて軍備の拡張その他で鉄の需要がふえて来る。どうしても日本は五箇年計画か何箇年計画を立てて鉄鋼の増産をしなければならぬというときにぶつかりまして、原料をどうするかという問題がやはり一番の悩みでありました。この原料を取得する場合においては、鉄鋼であるならば、品位、すなわちパーセンテージ、それから値段、もう一つは運賃、これは高かろうが安かろうが、航海日数ということが相当大事なフアクターになるのであります。いくら安くとも日数が非常にかかつては困る、結局高いものにつく。大量の鉱石、あるいは原料炭を早く運ぶということが非常に大事であります。運賃と品位と、原料炭で申し上げればカロリーと粘結度といつた参ものが入るのでありますが、これと航海日数、これが結びつきのいかんによつては非常な変化をなすものであります。こういう点をお考えくださいまして、通産省あるいは外務省の非常に強力な立案並びに実現を私どもは期待するものであります。今外務政務次官の石原さんからお話になりましたが、フイリピンとかインドネシアにはまだ平和條約の調印ができてない。けれどもこれはもう常識的に見て戦争状態は打切られておるのでありますから、何とか平和條約あるいは通商航海條約ができるのを待たずに、ほんとう意味の両国間の国交の調整、あるいは和解、信頼というような意味から御努力願いたいと思います。さらにマレー半島に至つては、日本の歴史的な原料供給地でありまして、かつては石原産業を初めとしてたくさんの日本業者がそこで鉄鉱山の開発に当つた、またボーキサイトの採掘並びに輸出をしておつた、こういう関係のあつた土地でもありますから、イギリスとの間にはりつぱな平和條約ができたのでありますから、何とかこれは具体的な方法を講じてもらう。たとえばズングンならズングンの会社が独占するような状態ができては困るのであります。双方とも困る状態でありまして、マレー半島の国民からいえば、石ころを日本に売つてお金になるのでありますから、いろいろ有利な條件が発見される意うのであります。なおまたフイリピンでは今おあげになつたほかにスリガオとか大きな鉄鉱山もあるし、さらに私の考えでは揚子江沿岸の鉄鉱石とか、あるいは北支那方面の原料炭というような問題もありますが、具体的にいろいろこまかい一つ一つの鉱山については今政務次官にお尋ねをいたしましても、無理にお答えをしいるようなことになるのでやめておきますけれども、目をアジア及び東南アジア方面に十分向けられまして、原料の供給と製品の供給というようなところで経済関係を密接にすれば、おのずからここにアジアにおける経済上の安定、従つて思想的の安定も得られるのではないか、私はこういうふうに考えておるのであります。同僚からの御質問があるので、この程度で私は一応打切つておきます。
  28. 中村純一

    中村委員長代理 小川平二君。
  29. 小川平二

    ○小川(平)委員 私は小金委員の質問に関連をいたしまして、一つの特殊な問題についてお尋ねをいたしたい。これは特殊な問題でありますけれども、これから先いわゆる東南アジアの開発計画がだんだんレールに乗つて進捗して行く途上に、こういつた同様の事例があるいは次々と出て来るのじやないか、そういうことになるとまことに憂慮にたえないことであると考えますので、いささかお尋ねをいたしたいのであります。  最近新聞等にも報道されておりますが、鋼管鉱業とアメリカのメタル・エクスポート・インコーポレーテツド会社とが提携して、この両者の間にマレーのケランタン州のタマンガン鉱山を開発する計画ができた。すでに正式に契約書もでき上つており、開発の具体的な計画もでき上つているということを聞いておるのであります。そこでこの計画が実施に移されますと、これは言うまでもなく相当なドルの節約になる。年間五十万トンの計画だそうでありますが、これが実現する場合には大体一千万ドル程度のドルが節約される、あるいはまた運賃の点においても非常に安くなる。アメリカから持つて来ます場合には、バンクーバー渡し、あるいはサンフランシスコ渡しで十ドルとか十ドル五十セントといつた運賃でありますが、タマンガンから持つて来ます場合には大体六ドル見当で運んで来られる。コストの点においても、見通しとしてはCIF十二ドル程度で入手が可能である。アメリカから十九ドルあるいは十九ドル五十セントという高いものを持つて来る場合に対比して、これは非常に有利な計画になつて来ると思うのであります。さらにまた船にいたしましても、この場合はロイド規格でなくともいいために、運賃をさらに節約し得る可能性がある、こういうふうなさまざまの利点を持つところから、この計画の成行きが各方面から非常な期待を持たれているというふうに聞いているのであります。ところがこの計画を実施に移して行く前提として、どうしてもアメリカ側並びに日本側から一定の人数の調査団を派遣しなければならないということで、先方の当局と折衝を重ねているが、今に至るも入国の許可が出ない。この間通産省並びに外務省方面に対しましても、業界から再三陳情をしているが、今日に至るも一向にらちがあかない、こういうことが関係方面から非常に憂慮されているように聞いておるのであります。そこでまず通産省に伺いたいのですが、かような事実を知つておられるかどうか、またこれに対して今日までいかなる措置をとられたか、それらの点について伺いたいのであります。
  30. 本間俊一

    ○本間政府委員 お答え申し上げます。タマンガンの鉱山は日本と非常に縁故が深いのでありまして、御承知と思いますが、戦前鋼管鉱業の前身であります南洋鉄鋼株式会社が開発に当つておりまして、昭和十二年度には五万トンを日本に最初に運んで参つたのでありますが、昭和十五年度には二十三万トンくらい日本へ積み出しているわけであります。お話のようにアメリカ系のメタル・エキスポート社の方から全面的な開発の契約の申込みがありまして、この話が具体化しているわけでございます。大体の開発計画の構想を申し上げますと、年間五十万トンの生産を目当といたしまして、所要資金約十億円くらいと思いますが、設備資材は全部日本側より持つて参りまして、それを鉱石の代金によつて償却するという開発計画でありまして、さらに鋼管鉱業と日本の製鉄三社の間にも具体的に話合いがついているわけでございます。そういう状態でありますので、ぜひ調査団を出して現地の事情を調査するとともに、いろいろな具体的な話もしたいという考えで、外務省の方と協力をいたしまして手続をいたしたわけでありますが、マレー政庁の方から治安上の理由で許可がおりなかつたわけごございます。従つてどもといたしましては、非常に縁故の深い所でありますし、また鉱石そのものも非常によく、大体六ドルくらいで持つて来れるのじやないかというような有望な所でもありますので、この計価をできるだけ実施に移して参りたいという熱願を実は持つているわけであります。先ほど申しましたように、マレーの方の治安上の理由によつて調査団がまだ行けずにいるわけでありますが、何とかして調査団を派遣いたしたい、そのために外務省ともできるだけの協力をいたしたい、こういう考えを持つているわけであります。
  31. 小川平二

    ○小川(平)委員 外務省からも御意見を伺いたい。
  32. 石原幹市郎

    ○石原(幹)政府委員 ただいま本間次官から大体のお話はあつたのでありますが、調査団の入国の問題に関しまして、たしか二箇月半くらい前だつたと思いますが、英国大使館を通じましてビザの申請をしたのでありますが、マレー当局から治安の理由で拒否して来ておるのであります。その際英国大使館の方からも外務省に対しまして、理由は治安不良ということからである、決して日本の開発を阻止するという意味からではないということを特にわざわざ申し出て来ておるのであります。その後さらに一箇月ほど前に再び外務省から英国大使館に本件につきまして交渉したのでありますが、やはり同様の回答でございまして、ただいまのところ水かけ論みたいな形になつておるわけでございます。しかしながらこれは通産省でも熱願されており、われわれといたしましても、産業開発のためにぜひともやりたいと思いますので、今後とも折衝を続けて行きたいつもりでおります。
  33. 小川平二

    ○小川(平)委員 東南アジアの地下資源の開発はどういう意味を持つておるか、これについては先ほどの小金委員の質疑、これに対する政府側の御答弁を通じてきわめて明らかになつておることであると思うのであります。そこでその途上に横たわるこういう障害を除去するためには、よほどの熱意を持つて事に当つていただく必要があるのじやないか。この問題が発生してから、すでに相当の月日が経過しておるように聞いておるのでありますが、この間よもや荏苒むなしく時を過して来られたものとは思いませんけれども、願わくはもう一層の熱意を持つて、何とかこの障害を打開するように努力をしていただきたいと私ども考えておるのであります。今治安云々というお言葉でありましたけれども、最近現地に渡航して帰つて来た人の報告、そのほかあらゆる情報を通じて見ますると、治安が悪いどころか、むしろ非常によい。ことに日本人がやつて来て、開発をしてくれるということに対しては、非常にこれを歓迎したい、こういう気持を持つておるというふうに聞いておるのであります。はたしてしからば、治安の関係で入国が許可できないというイギリス側の言い分は、何ら根拠のないものであるといわなければならない。こういうふうに私は考えるのであります。思うにイギリス政府の真意が那辺にあるかということは、想像にかたくないところであるかもしれませんけれども、しかし東南アジアの経済復興に協力をして行くということは、講和條約が締結されて、この條約の締結に伴う、いわば日本の経済がどうしても進んで行かなければならない必然のコースである。日本の経済のただ一つの出路である、こういうふうに言つても過言ではないと思うのでありまして、イギリス政府といえども、もし大局的な観点に立つならば、これに積極的に協力をすることが、とりもなおさずいわゆる民主主義陣営を強化するゆえんであるということは、ただちに了解できるに違いない、私どもはそう考えておるのであります。こういう意味におきまして、今後なお一層の御努力を願いたい。鉱業権にも期限がついておるのでありまして、聞くところによれば、本年の暮れとかには消滅をしてしまうというふうにも聞いておりますので、かような意味で、何とかこの際この障害を打開していただきたいと思うのであります。聞くところによりますと、最近イギリスの東南アジア駐在の総弁務官が日本に来ておるというようなことを聞いておりますが、その事実はありませんですか。
  34. 石原幹市郎

    ○石原(幹)政府委員 来ることにはなつておるそうでありますが、まだ到着してないと思います。
  35. 小川平二

    ○小川(平)委員 この総弁務官——マクドナルドという人だそうですが、このマクドナルド氏にあてても関係者から再三交渉しておる。最近では長文の陳情書を送りましたところが、秘書のところから、今マレーにおらないから、帰つて来たならば、陳情の御趣旨をただちに伝えようという返事が来たように聞いておるのであります。もしそうだとしますならば、今の御答弁によりますと、最近本人が日本に来るそうでありますので、その機会を逸せずに、願わくは強硬に交渉をして、この問題をぜひとも打開していただきたい、こういうふうに考えるのであります。この問題については日本側だけではなしに、アメリカ側でも非常な熱意を持つて再三マレーに人を派して交渉をしておる。中には例の戦犯裁判の弁護人であつたローガン氏等もマレーに渡つて極力折衝を続けておる由であります。何としてもこの機会に問題を一歩でも進展させたいとわれわれは熱望いたしておるわけであります。そこで今申し上げましたマクドナルド氏も遠からず日本に来るのでありましようから、強硬に折衝をされて、その結果等につきましては、次の機会に本委員会でまたあらためてお尋ねをいたしたいと思いますので、その機会にぜひとも御報告を願いたいと思います。
  36. 小金義照

    ○小金委員 私は日本の鉄鋼業を取上げる以上は、どうしても今私ども小川君とともにお尋ねいたしました東南アジア地域を眼目にしたいのでありますが、これと並行して、支那大陸の資源を考慮に入れざるを得ないのであります。ところが、これは今聞きただすべき時期であるかどうかということは相当考慮を要するのでありますが、しかしながら岡崎外務大臣が外務委員会において説明されたということを聞いておりますが、日本では民主国家群の先頭に立つて、バトル法で禁止しておる品目以上の品目を中国に出さない方がいいのだということを強調されたということを私は新聞で承知したのであります。これは日本の大きな立場からどういう見解が立つかわかりませんけれども、わが国の製鉄業を中心にして考えますと、ほかに使い道のないと一応断定される粘結度の高い北支方面の粘結炭、また北支方面の鉄鉱石、あるいは揚子江沿岸の鉄鉱石、これらをどうしても考慮に入れなければならない。ところが国交上の大きな立場からこれらの輸入原料を獲得するわけに行かないということになつた場合には、どうしても東南アジアの鉄鉱原料を中心として日本の製鉄計画を進めて行かなければならない。御案内の通りに、日本は最近一、二年間の鉄鋼生産高から見ましても、世界の二流国には入つております。そうなるとどうもまだ国際関係な規律する通商航海條約ができていない、あるいはいろいろなとりきめが進んでいないという外交上の問題と、わが国の切迫した経済上の問題とがここでかち合つておるわけであります。今小川君の言われたケランタン州のタマンガンの鉄鉱山にいたしましても、支那大陸から原鉱石が出ないという場合にはどうしても放置できない問題である。同時に軍部あるいは軍部の経営する会社が単独で日本にマレー半島の優良鉱石を入れるということになりますと、これは立場が非常に悪くなる。これは何も向うに損をさせる。あるいは向うをたたくとかいう意味ではありませんか、旧来の因縁あるいは旧来からの関係と、日本の製鉄業の構成状態から見ましても、どうしてもこれはほつておくわけに行かない。ユタの鉱石だけでは、あるいはアメリカの鉱石だけでは日本の鉱鋼業は成り立たない。アメリカは日本独立を認めるためには非常に努力しております。これは日本の経済自立が可能なりと判定をしたから平和條約の奔走までされたわけであります。そこで日本が平和條約を締結したアメリカに対して、友好国としてどういうことをお願いしたらよいかということもおのずから判明して来るわけであります。ただアメリカとイギリスとは経済上も、また外交の方針も東南アジアについてはまつたく違うのでありまして、その間に処してずいぶんお骨は折れることと思いますけれども日本の基礎産業の生きる道から考えますと、これはどうしてもほつておけない問題である。ことに外国において外国人がリースといいますか、許可権といいますか、そういうものを持つているのに日本が参加して行くような状態、きわめて弱い立場にあります。これはここで私が申し上げるまでもなく、一応は御了承だと思いますけれども、切実な日本の、基礎産業の要求としてお取上げを願いたいのであります。この点について私は外務当局の再確認といいますか、さらに十分御認識あるということの御言明を得たいと思います。
  37. 石原幹市郎

    ○石原(幹)政府委員 これは先ほどもちよつと申し上げたのでありまするが、ただいまの日本の置かれている立場からいたしまして、東南アジアとの提携といいますか、開発に協力をいたしまして、日本の産業の興隆をはかるということは、これはもうただいまとして当然行くべき道であろうと思います。そこで先ほどからお話のありました鉄鉱資源の開発その他の問題につきましても、外務当局としてできるだけの努力をいたしまして今後進みたいと思います。  それからフイリピン、インドネシアとまだ條約が結ばれないから漫然日を送つておるというふうにお考えいただくと、これは非常に誤解でありまして、御承知のごとくインドネシアに対してもすでに貿易支払い協定のためにただいま使節団が参つております。平和條約あるいは通商航海條約がなくてもでき得る可能の範囲においてここいらの調査なり、あるいは取引等の問題について協力をしたいという気持は申し上げるまでもないところであります。
  38. 小川平二

    ○小川(平)委員 一言ちよつと補足を申し上、げますが、本月の十二日付の日本タイムスを見ますと、ロイターでありますが、シンガポールでイミグレーシヨン・デパートメントがこれから先日本人の入国に対する制限を緩和する、こういうふうにとれる意味の声明をしたという記事が載つております。もしそういう機運が実際に動き出して来ておるとすれば、この時期こそ何とか強く折衝して、解決をして行くのによいチャンスではないかと思います。もちろん外務省等においても十分な情報をお持ちのことだと思いますが、御参考のために申し上げます。
  39. 石原幹市郎

    ○石原(幹)政府委員 十分参考にして協力したいと思います。  それから先ほどのマレー入国の問題でありまするが、これはかつて向うにおりました人たちからの通信では、治安関係はそれほど悪いわけではないということは言つて来ておるのであります。しかし向うの英国大使館等の話ではマレー領内にただいま相当治安を乱る分子の掃蕩戦等が行われておるようでございまして、そういう事情から治安関係も不良だということを言つて来ておるようであります。ちようど水かけ論のような形になつておるのでありますが、本日承りましたようないろいろなお話をさらに資料として今後一層の努力をいたしたいと思います。
  40. 小金義照

    ○小金委員 東南アジアあるいは中国との貿易問題について、関連してちよつと伺いたいのでありますが、きようは公報が鉄鋼政策ということに限定してありますので、私はその点はきようはやめまして、鉄の問題についてさらに、これは鉄鋼局長からでもけつこうですが、お答えを願いたいのであります。インドから原鉱石や原料炭を持つて来ることはしばしばわれわれ話にも聞いておりますし、また承知いたしておるのでありますが、先般来高碕達之助君が中心になつて、日印合弁の製鉄業をどうするかというようなことが出ておりました。それについて今日まで当局が承知しておられる範囲のことを、骨子だけをここで御説明願いたいと思います。
  41. 葦澤大義

    葦澤政府委員 今日までの大体の経過をお答え曲上げたいと思います。高碕さんがインド中央政府の側と話を始められまして、インド政府といたしましてはインドの国内における鉄鋼需給の関係から特に銑鉄の不足を政府として緩和いたしたい——このインド国内における銑鉄の需給の緩和につきましては、御承知のようにあそこにタタ銑鉄会社あるいはインド鉄鋼会社というような私企業の会社ですでに銑鉄をつくつておるところがあるのでありますが、現在のインド政府といたしましては、私企業による会社の増産計画よりはみずから進んでと申しますか、政府事業とじて銑鉄の生産を助長して行きたいという意向が強いのであります。そこで政府みずから事業をするにつきまして、インドとしましてはそれに所要な技術なりあるいは資金に不足をしておるのであります。これを海外との提携に求めたいという際に、友好国と申しますか、友好を相当強く感じておる日本の技術並びに資金の導入にまつてその計画を達成したいというインド政府の大体の意向によつて高碕さんとの間に話を進められ、かつ相当具体的に、と申しますのは、まず高炉をつくる、高炉も一基か一基というところまではつきりは言つておりませんが、千トンないし千二百トンくらいの高炉をつくりたいということで話が進んだのであります。ただこれのためには、日本から資金を出すにつきましては国内の製鉄業界の意向というものがやはり重要な結論を与えて来ることになりますので、高碕さんとされましては国内製鉄業、特に富士、八幡、鋼管の高炉三社の現在の社長にもそれぞれお話になりまして、内容をひろうされたのであります。国内製鉄業者といたしましては銑鉄のインドにおける需給というものに寄与するということ以外に、さらに日本の高炉メーカーとしては向うから鉄鉱石をほしいという希望も出ておりまして、高碕さんはそういう意味から、インド政府の希望いたしますインド国内における銑鉄の需給の緩和、従つてそこに投じます設備並びに資金の見返りとして、若干の銑鉄を持つて来るということのほかに、国内の高炉メーカーの要求希望でありますインドの鉄鉱石の増送というものを兼ね備えた一つの開発計画を提唱されまして、これをインド側に伝えられておるのでありますが、この案をインド政府側において現在検討しておると思います。通産省といたしましては、大臣その他といろいろ協議いたしまして、一応インド政府側とのネゴシエーシヨンには応じようという態度を決定いたしておるようなわけでありまして、インド政府側から日本に参ります使節団の来朝を待つておるような状況になつておるわけであります。概略の御説明を申し上げました。
  42. 小金義照

    ○小金委員 かつて昭和七、八年ごろだつたと思いますが、今葦澤さんの御指摘になつたタタの銑鉄が日本に入つて来た。そのとき日本では、満州に昭和製鋼所をつくつて、ここで相当大規模な銑鉄及び鋼材の製造をしようという際だつたので、タタの銑鉄に対して関税問題が非常にやかましくなつた。私は今日インドのあの豊富な鉄鉱石と原料炭とで製鉄事業をさらに拡張しようという計画が起るのは当然だと思います。その場合に将来についていろいろなことが想像されるのであります。鉄は御承知のように戦争だとかあるいは軍備とかいう方面に非常に多量に使われますが、今日非常な勢いで生活の向上文化の発展に伴つて鉄の需要量はふえております。だが世界の各国が今日つくつておる鉄が、軍備の制限だとかあるいは戦争がまつたくなくなつたということを予想すると、これは非常に行き過ぎた考えでありましようが、たとえば軍備の拡張あるいは戦争というような、鉄を大量使用する事態がなくなる、あるいは衰えるというようなことを仮定すると、世界で一億六千万トンの鉄を生産しておるという際に長い将来を見越すことはこれは無理だと思いますが、一体原鉱石あるいは石炭のような日本に少い原料を持つて来るということだけで安心ができるかどうか。今のところインドでは、新たな計画から当分の間銑鉄の不足は強いだろう、こういう見通しでありますが、この銑鉄が日本に入つて来た場合、あるいはこれをスクラツプのかわりに使えばけつこうでありますが、そういうようなことをいろいろ考え合わせまして、ただ日本資金とか技術だけでインドに相当厖大な製鉄事業を起すということについては、ネゴシエーシヨンはけつこうでありますが、よほど私は細心に近い将来にわたつての事態の検討を要するのではないかと思います。たとえば原料鉱石あるいは原料炭だけの輸入でよろしいか、できた銑鉄の半分とかあるいは三分の一とかを日本がコントロールできる状態にしておかなければならないのではないかなど、いろいろな状態考えられるのでありますが、そういうような点について向うが政府であるならば、こちらも民間に放置するわけに行かない。おそらく政府は最小限度においてオブザーヴアーとして加わらなければならないと思いますが、それらの点について十分な用意と方策を必要とするのではないかと考えるのであります。この点について本間政務次官の御所見を伺いたいのであります。
  43. 本間俊一

    ○本間政府委員 御指摘のありました点は当然考慮をいたさなければならぬ点だと私ども考えているわけでございます。従いましてただいまの話が具体化いたしまして、かりにインドの銑鉄の不足を補うばかりでなく、その銑鉄を日本に持つて来るというような場合には、十分考えなければならぬと私は考えております。ただこちらへ持つて参りまして、輸出用に出しまする場合の採算がとれるかどうかというような点も当然検討いたさなければならぬと思いますが、この話合いが将来どういうぐあいになりますか、今明確な見通しは申し上げられないわけでありますが、当然そういう段階になれば、政府の方も日本の将来の鉄鋼生産あるいは鉄鋼の輸出の問題と密接不可分の関係として取上げて参らなければならぬと考えております。
  44. 小金義照

    ○小金委員 インドの鉄鉱石、石炭あるいはインドにおける製鉄事業の計画等について高碕君が相当ありせんされている。高碕君みずからは銑鉄メーカーでも何でもないのですが、その方面では非常な経験者でもあるし、また知識を持つておられますので、十分政府とは打合せをされると思いますので、その点に対しては心配いたしておりませんが、相当この問題は日本にとつてもことに製鉄事業にとつては画期的な問題になりますので、朝野をあげてよく慎重御審議、お打合せをなされることを切望いたしまして、私の質問は打切ります。
  45. 中村純一

    中村委員長代理 ほかに御質問はありませんか——なければ本日はこの程度にいたし、明日午前十時より理事会、十時半より委員会を開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後二時五十八分散会