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1952-06-06 第13回国会 衆議院 通商産業委員会 第49号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年六月六日(金曜日)     午前十一時四分開議  出席委員    委員長 中村 純一君    理事 高木吉之助君 理事 多武良哲三君    理事 中村 幸八君 理事 山手 滿男君    理事 今澄  勇君       阿左美廣治君    江田斗米吉君       小川 平二君    小金 義照君       土倉 宗明君    永井 要造君       南  好雄君    佐伯 宗義君       高橋清治郎君    中村 寅太君       加藤 鐐造君    青野 武一君       横田甚太郎君  出席国務大臣         外 務 大 臣 岡崎 勝男君         通商産業大臣  高橋龍太郎君  出席政府委員         外務事務官         (経済局長)  湯川 盛夫君         通商産業政務次         官       本間 俊一君         通商産業事務官         (通商局次長) 松尾泰一郎君         通商産業事務官         (通商企業局         長)      石原 武夫君         通商産業事務官         (通商雑貨局         長)      徳永 久次君         通商産業事務官         (中小企業庁振         興部長)    松尾 金蔵君         経済安定事務官         (貿易局長)  板垣  修君  委員外出席者         総理府事務官         (公正取引委員         会調査部長)  板根 哲夫君         総理府事務官         (公正取引委員         会調査部調査第         一課長)    丸山 泰男君         通商産業事務官         (通商繊維局繊         政課長)    秋山 武夫君         通商産業事務官         (通商雑貨局雑         貨課長)    中野 正一君         衆議院法制局参         事         (第三部長)  川口 頼好君         専  門  員 谷崎  明君         専  門  員 越田 清七君     ――――――――――――― 六月六日  理事小川平二君の補欠として高木吉之助君が理  事に当選した。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  理事の互選  小委員補欠選任  特定中小企業の安定に関する臨時措置法案(南  好雄君外二十二名提出、衆法第六一号)  貿易に関する件     ―――――――――――――
  2. 中村純一

    中村委員長 これより会議を開きす。  本日の日程に入ります前にお諮りいたします。理事小川平二君より理事辞任の申出がありますので、これを許可いたし、その補欠として高木吉之助君を理事に選任いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中村純一

    中村委員長 御異議なければそうとりはからいます。  なお地下資源開発及び合理化に関する小委員でありました吉野武一君が五月十五日委員を辞任せられ、五月二十八日再び委員に選任せられましたので、青野武一君を再び地下資源開発及び合理化に関する小委員補欠選任いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 中村純一

    中村委員長 御異議なければさようとりはからいます。     ―――――――――――――
  5. 中村純一

    中村委員長 それでは本日はまず特定中小企業の安定に関する臨時措置法業を議題といたし、質疑に入ります。  質疑の通告がありますから、順次これを許します。山手滿男君。
  6. 山手滿男

    山手委員 提案者にお伺いをいたしたいと思うのであります。この法案が提出されました中小企業の育成をはかるという趣旨については何らわれわれも異議をさしはさむ理由を持ち合せませんし、全面的に賛成でございます。趣旨には賛成でございまするが、二、三この法案の中に疑義もありまするし、不徹底な面もあるように思いまするので、お尋ねをしておきたいと思うのであります。  まず第一に、私がお伺いをいたしたいことは、この法案によつて企図されているいろいろな構造というものが中小企業に有効なものであることは一応認めるのでありまするが、中小企業庁を廃止してみたり、いろいろな金融措置そのほか中小企業に対して従来積極的にやるべしという主張をわれわれがして来たのにもかかわらず、そううものは顧みられないのみならず、逆の方向に行つておりながら、こういうものを出して来るということは、どうも表面を糊塗して行くということになるのじやないか、焼石に水ということで、むしろ混乱を助長することになるのじやないかと思うのでありまするが、この点について所見をお伺いいたします。
  7. 南好雄

    南委員 お答えいたします、中小企業庁を内局の中小企業局にする問題につきましては、先般当委員会にも決議があつたのでありますので、私たちとしてはこの問題については非常に真剣に考えたのであります。つまり機構をそのままにしておくという問題と、それから実際それが動くという問題とは区別して考えなければならぬというふうな議論もありまして、一応その方に私個人といたしましては、賛成したような次第であります。  それから第二の御質問金融の点でありますが、中小企業金融につきましては、いずれその方面の政府委員から説明いたさせますけれども、私たちといたしましても、中小企業金融の大事と思い、繰返し繰り返し政府を鞭撻いたしまして、でき得る限りの面で中小企業金融を円滑ならしめるように努力しておるのであります。ただ山手さんも御承知通り中小企業金融と申しましても、どういう方法でその金融を流して行つたならば一番効果的に行くか、こういう問題につきましては、割方大企業の面と違いまして、非常にむずしかしいのであります。そこでずいぶん私たちが努力しておりまするけれども、なおかつ所期の目的を達しておらぬというのが実際の現状ではなかろうかと思つております。
  8. 山手滿男

    山手委員 中小企業庁の廃止については、私はこの法案をおつくりになるような熱意を持つて、断固としてがんばつていただきたかつたし、また金融措置の問題についても、結局大蔵大臣は馬耳東風で受流しておるというよよな実情から、何とか抜け道はないかとというようなことで、こういう法的措置をお考えなつたような傾きがあると思うのでありますが、きわめて遺憾な点でございます。しかしながらこの法律を全体としてながめてみましたときに、私は統制経済復活じやないかという気がするのであります。部分的な統制復活という気がするのでありますが、この点について提案者の方から率直な所見をまずお伺いしておき、ます。
  9. 南好雄

    南委員 お答えいたします。どういう言葉を使つてありましても一種統制でありますことは御趣旨通りだと思います。ただ私たち考えましたのは、今までの統制あり方と違いまて、今度の法案趣旨は、できるだ組合自治統制というものを重んじて行く、それが行詰まつてどうにもならないときに国家権力を発動させる、こういう二段構えにしてあるのであります。そういうやり方は昔はありましたけれども戦命中あるいは戦後にはなかつたように記憶するのでありまして、組合の自治的ないわゆるコントロールとでも申しましようか、それがの法案趣旨である。そうしてこれが中小企業の実際から見まして行届かぬ点が多々ありますので、そういう場合においてのみ国家権力を発動して、このセルフ・コントロール効果を完全に発揮させるようにするというのがこの法案のねらいなのであります。御趣旨通り一種統制ではありますが、従来の統制とは大分その趣が違つておるように考えておるのでありますが、いわば一種統制であるということは私も十分承認する次第であります。
  10. 山手滿男

    山手委員 そこあたりから問題が出て来るわけでありますが、この調整組合あるいは調整組合連合会の行い得ます事業、これは第十五条、第二十四条の問題でありますが、生産数量出荷数量または生産設備に関する制限という事業とは、具体的にはどういうようなことを意味するのか、どういうことをするのか、御説明を願います。
  11. 南好雄

    南委員 お答えいたします。御承知通り指定業種によりまして組合事業の内容は違つて参るのであります。場合によつて設備制限になりましたり、場合によつて出荷制限になりましたり、いわゆる業種々々によりまして最も適当な方法を講じて、いわば一種生産過剰になつております状態を克服して行くというのがその組合事業のおもなる目的になるのではないか、そう考えております。
  12. 山手滿男

    山手委員 今の御説明ではまつたく御答弁になつておらないように思うのでありますが、それは先に行つて明らかにしていただくことにいたしまして、この法案で一番大きな問題になる点は、何といつてもこのアウトサイダーとの関係であろうと思うのであります。このアウトサイダーを縛らなければ、この中小企業安定の法案効果が少い、十分な効果は上げ得ないということで二十七条がつくられておると私は考えるのでありますが、しかしこれはよほど考えなければならたいような気が私はいたします。     〔委員長退席高木委員長代理着席〕 と申しますのは、国際貿易などとの関連において、大企業が受持つております範囲中小企業が受持つております範囲はおのずから私は違うものがあるであろうと思うのであります。中小企業立場から主として輸出をやつておる同じような関係産業国内産業立場だけで縛つて行こうとするところに問題があるのでありますが、この点についてどういうふうにお考えかお伺いいたします。
  13. 南好雄

    南委員 お答えいたします。大企業とか中小企業とか申しますものは、普通の言葉では常職的に私たちによくわかるのでありますが、さてほんとうに法律問題として考えますと、どれが大企業でどれが中小企業かと申しますことはなかなかむずかしいのであります。従つてこの法律におきましても、一応中小企業と申しますものを常時三百人未満の使用者を使うものというふうにして、中小企業等協同組合法と歩調を一つにしているのであります。今山手さんが御質問になりました、大企業中小企業同一業種において利害関係を違わす場合に、この中小企業あり方で大企業縛つてはならないということはごもつともな御意見であります。私たちもそういうことにつきましては別に異論はないのでありますが、この法律のねらいは、生産機構の過半数を占める中小企業が非常に困つているので、それを助けるのが目的でありまして、業種指定の際におきまして、大企業中小企業利害調整ということは十分に考慮した上で業種指定をしなければならないと考えております。本法律のねらいは、主として中小企業が大部分つておりますものをこの法案目的にしている、こういうふうに私たち考えている次第であります。
  14. 山手滿男

    山手委員 抽象論としては一応納得いたしますが、具体的にはそう簡単に参らないのであります。この法案の大きなねらいは、やはり繊維産業関係をねらつておられるようであります。この別表を見ましても、一、二、三は繊維産業でありまして、ほとんど繊維産業がこの目標になつておるかの感がいたします。そうすると繊維産業のどういうものかこの法案の適用を受けるかというと、綿織物、そのほかステープル・フアイバー関係の織物、あるいは絹もある程度あるでありましようが、そういうものが一番大きな問題になつて来るように思うのであります。私は実はこの法案が出たそうでありますので、一、二調査をいたしてみたのでありますが、織布の専業者紡績の織布兼業者、そういうものの輸出及び内需において両者が受持つておりまする役割を詳細に検討して行くと、この法案は非常に重大な意味を持つて行くように思います。数量的に少し具体的に申してみますと、紡績兼業部門数字で申しますと、輸出が八億七千八百万平方ヤード、一箇年でありますが、二十六年はこのくらいやつております。内需がそれに対しまして四千四百万平方ヤード、この比率は輸出が九五%で内需が五%という計算になります。それから織布専業者生産高を同期のものを調べて入ますと、輸出が七億三千三千万平方ヤード内需が四億二千三百万平方ヤードであります。これをさらに掘り下げて調べてみましたところが、織布の専業者の方の輸出は約九〇%は織布兼業者の方の下請負であります。いわゆるチヤップものの下請負でありまして、実際に品分計算においてやつておりますものは、一〇%くらいにしかなつていない。そうすると輸出だけの面から見ますると、綿織物においては、いわゆる兼業者というものは大企業でありますが、大企業がほとんど九十五、六パーセントのものを生産をしておるという計算になつて行くのです。わずか五%くらいの役割しか中小企業は果しておらない。これは貿易の面からだけ見ておるわけでありますが、そういう立場から輸出関係を全面的に抑えて行くということは、中小企業の面から行くと、中小企業では台数が違いますから、高級品はできますが、綿製品のような画一的な平均のとれた製品はできない。綿製品のようなものは画一的な製品でありますから、大企業でやつた方がよろしいのでありますが、そういう役割の非常に少いものの立場から非常に大きなものの立場を縛り上げて行くという結論が出て来る。この法律を通しますと、おそらく織布専業者兼業者との争いを激化して行く結果になり、それが貿易に響いて来るということを心配をするのでありますが、いかがお考えでございますか。
  15. 南好雄

    南委員 お答えいたします。ただいまの御質問は、今別表規定されております。もののうちで一番問題になるものじやなかろうかと考えております。従つてたちこの法律を立案する際におきましても、日産協に参りまして、紡績連合会方々と十分懇談したのであります。お説の通り輸出という点から見ますると、確かにそういう数字になるのでなかろうかと思いますけれども、全体といたしまして、この法律のねらいは、やはり二条に書いてありまするように、単に過去一年の生産数量の半分とか、それから中小企業が三分の二以上あるというだけでなくて、その業者のつくつておるものが長期にわたつて非常に不況で、そしてその不況が簡単に回復する見通しがないとい、場合に限つて調整組合がつくられて、いわゆる生産調節ということを始めるのであります。ですから、今山手さんか御質問にたつたような場合におきましては、調整組合をつくつても、実際問題としては調整規定とか、あるいは二十七条を発動するようなことになつて行くまいと私は思います。ただこういう法律があるために、中小企業の方は大企業に対して一つの団結したよよな形になるのでありまして、それか無言の圧迫を与えるかもしれませんけれども、そういうことによつて大きな企業に対して実質上の利害関係を及ぼすというようなことはこの法律ではねらつておらぬのであります。従つてそいう場合の法律運用について、どうしても通産当局の慎重なる行政運用が必要でなかろうかと思つております。そのことをよく説明いたしましたところが、紡績連合会方々も、現在の中小企業窮況から判断いたしますると、この程度のものはつくつてやる必要があるのじやないか、こういうような結論なつたやに承つております。その席上のことは、堀さんが伝えられるような、世上に伝わつてつたようなそういう法律でなくて非常にけつこうだ、こういう法律ができれば非常に因つておる中小企業は、かえつて一つ安定感をつくつて行つて、結局私たちの方にもそれが利益を多くもたらして来るのじやないか、こういうような御意見も積極的に開陳されたほどでございまして、山手さんが御心配になつているようなことは、実際の運用面においてはないじやないか、こういうように私は考えております。なお評しい数字の点とか、あるいはどういうふうにして組合をつくつて行つて、そういうよりないわゆる大企業中小企業との問に起る摩擦をなくして行くかについては、その実際の衝に当ります政府側から御説明させます。
  16. 山手滿男

    山手委員 今の問題について、繊政課長の方からもひとつ願います。
  17. 秋山武夫

    秋山説明員 繊維局繊政課長秋山であります。御指名によりまして、ただいまの問題についてのお答えを申し上げます。大体これは提案者であられます南委員からお答えがあつた通りでありまして、この問題は、本質的には専業者対論業者の対立的な衝突はあり得べきはずのものではないというふうに考えております。ただそれが現在の経済情勢下において非常に全体の生産なりあるいは輸出なりのわくが小さくなつているということのために、当面多少の摩擦ということが考えられるわけであります。この点につきましては、今後も執行の上におきまして、またアウトサイダーに対する命令等の発動の場合におきまして十分考慮いたしまして、できるだけ摩擦を起さぬ方法法律目的達成に努めるべきであろうと考えております。
  18. 山手滿男

    山手委員 提案者の方はきわめて楽観的な御説明をされ、繊政課長も大体においてそうであるが、当面の問題としては相当深刻な問題を起すかもしれないというお話をされましたが、私は問題を起すと思う。こういう法律が出ますと、絶えず専業者兼業者との問に大きな問題を起す。今提案者の方で、この二十七条は実際には適用するところまでは行かないであろう、またこういう法律が背後にあつて威力にはなるであろうというお話がありましたが、この中小企業者の方の立場からいいますと、そんなにお上品に言うておられる段階ではない。それだからもうどこへでも食いついて行くという心境にすぐなつて来る。そこに必ず争いが起きますので、そう楽観的なことは申しておれないと私は思う。そういうことは輸出産業界に非常に大きな部分を占めております綿布の輸出にまたいろいろ影響を及ぼして来る。日本製品海外商標が通つていて、非常に海外信用のある商標のものを、伝統のある会社が自分の工場で丹念に精密にこの仕事をやつて多年海外に築いて来た信用を守ろうとする。ところがそこへ中小企業者で五台、十台、三十台という織機を持つている何人という人が押しかけて行つて、おれの方に仕事を渡せということになつて製品は必ずしも良質なものではないというふうな事態が起きて来たりあるいはそのためにいろいろ支障が起きて来て、日本繊維産業の今までの信用をこれ以上維持して行き、あるいは輸出貿易をさらに推し進めて行く上において、重大な支障が起きるかもしれぬという気がいたします。この点についてもう一度繊政課長からはつきりした御説明を願いたいと思います。
  19. 秋山武夫

    秋山説明員 私の前回のお答えがやや不十分であつたかと思いますが、ただいま当面の摩擦ということを深刻なというふうに表現せられましたが、私はそういうふうに申し上げたつもりはないので、ございまして、多少の摩擦という表現をいたしたのでございます。この問題につきましてはすでに紡績業者と織布業者との間に数回話会いが行われておりますし、また私どもにもそれぞれの意見は通ぜられておりまして、両者実情は大体承知しておるつもりでございます。これははなはだ不幸なことでありますが、よしんばアウトサイダーに対する命令が万が一発動されたといたしましても、それで織布専業者の言い分がその通りに発効されるかいなかは、そのときの情勢によるわけであります。決して玉突きの玉のように正確に反射される性格のものは私ども考えておりません。諸般の情勢十分考慮に入れて、適切なる勧告なり、最終的には命令なりを出すべきものだと考えておる次第であります。一方的に織布専業者の入の利益を考慮して、紡績業者利益を全部無視するということは、われわれの立場してなかなかできにくいと考えております。これはそのときの情勢によつて具体的な問題について考えませんと、今仮定の問題としてどういう態度をとるかということは、ちよつと私としては申し上げかねます。その点は御了承を願いたいと存じます。
  20. 山手滿男

    山手委員 この法案の第十六条の調整規程認可の問題でありますが、今の御説明にもありましたように、そのときの情勢によるというきわめて弾力性のある当局考えであります。第十六条の第二項の一号に、「当該業種に係る産業における危機を打開するための必要且つ最小限度範囲をこえる」云云ということが一応ここにも基準としてあげられておるのでありますが、この組合生産設備制限あるいは出荷数量生産数量制限などを具体的に発効する場合、そういう非常に重人な事態、あるいは重大な影響を及ぼすおそれがある場合はどういう場合であるか。これは提案者繊維局の方から御説明をお願いいたします。
  21. 南好雄

    南委員 調整規程認可の際においては、これは今申しましたいろいろの見地から、通産大臣として公益的な立場に立ち、あるいは専業者兼業者利益調整立場、こういうような両方のの相反する利害がありました場合におきましては、そういうことを十分頭に置いて――こういう生産数量調整といいますことは、業者自体にとつて安易に流れがちなものであります。その反面におきまして、消費者利益が不当に侵害されるというようなことが起きて奉りますので、そういう点を勘案して、必要にして最小限度の場合に調整規程認可する。第二号におきましては不当に差等をつけて小さいものをいじめるとかあるいは大きいものをいじめるとかいうようなことのないようにして、調整規定を発効しなければならぬ。十六条の規定趣旨はそこにあるのであります。実際に具体的に調整規程ができました際に、その調整規程具体的事項従つて判断をし、大臣公正取引委員会と十分に協議をして認可して行く、こういうことになつて行くと思うのであります。なお実際にどういう形でやるか、やりますことは、まだ組合もできておりませんし、またどの程度に内地の市況あるいは輸出市況が悪くなるかということは、私たち様子がわかつておりませんので、政府当局の方から説明いたさせます。
  22. 秋山武夫

    秋山説明員 あらためてつけ加えて申し上げるほどのこまかい研究がまだできていないのであります。ただいま南委員から御答弁がありました通り、おそらく将来業種により時期によりいろいろのケースが起つて来ると考えるのであります。前のお答えを繰返すようでありますが、私紡績業者を織布業者利害は根本的に対立しておるというふうには考えておりません。おそらくこれで輸出は相当伸びて来る、内需はふえて来るということになれば、両方利益し、それは沈滞すれば両方ともに衰えるのはやむを得ないと思います。その間にただ力の差あるいは業態の規模差等によりましてでこぼこが生じて参ります。そういう意味でそれを利需の対立と考えますならば、織布序業者の中にもそういう問題があるわけであります。また一概に紡績と申しましても、昔の十社と最近の新々紡というようなところは、織布業者閲規模の差以上の差であります。従つてそれぞれに非常に複雑であり、それぞれの関係において、さらに複雑であるという問題は、そのときの具体的妥当性を求めるということより方法がないと現在のところは考えております。
  23. 山手滿男

    山手委員 提案考及び政府の方の今の御説明では、私どもは納得できないのです。立法者といたしましてはこの法律の条文に書いてあることをどういうふうに当てはめるか、あるいは当てはめた場合にはどういう影響があるかということを明らかにしてやりませんと、私はとんでもないことになるであろうと考えます。そこで第十六条の認可をする場合というのはどういう場合か、あるいは第二条の第二項の「その製品の需給が著しく均衡を失し、そのために当該業種に係る産業及びその関連産業の存立に重大な影響を及ぼす虞がある場合において、」ということはどういう事態をさすか、明らかにしておかなければいかぬ。ただ単に、そのときのケース従つて判断をしなければいかぬ、そういう場合のためにあらかじめこういう規定をつくつておくのだという説明では、われわれはこの法案賛成するわけには行かないのであります。そうすると現在の状況においてはどういうふうにやるのだとか、あるいはどういうふうな状況になつた場合には第二条の第二項に該当するのか、私は具体的に御説明を願わなければいけないと思います。
  24. 南好雄

    南委員 お答えいたします。きわめて重要な御質問でございます。法文の体裁上、あまり具体的なことは書け大かつたので、抽象的になつておりますが、私たち考えでは、需給のバランスがくずれまして、供給過多になる、つまりコストを割るというよ、な現象が相当長期にわたりまして、これを放置しておきましてはその業種自体の経営が困難になる、つまり倒産が相次いで行くというような場合に、業種指定をやつて調整組合をつくらせる。そうして、それを放置しておきますと、ひいてはその業種だけが困るのではなくて、関連産業もあおりを食つて、またそれが非常に困つて行くというように考えられる場合、たとえて申し上げますならば、人絹業種が、今日福井や石川におきましては一匹の人絹織物が原綜代よりも安くなつておるのが実情であります。そういうことがそう長く続くもので大いと私どもは商売の常道として考えまするが、そういうことを放置しておきましては、健全なる業者まであおりを食つて行く。結局不当廉売とでも申しますか、不公正な競争が継続して、健全な分子までもそのあおりを食つて業界全体が非常に不健全な状態になつて行く、そうなつて参りますとこれに原料を供給しておりし帯する化繊のメーカーも貸しておいた金がとれなかつたり、あるいは現金でこれを、要求しても、買い得る力がなくなつて、化繊メーカー自身も非常な大きな影響を受けて行く、こういうような場合に、調整組合をつくらして、そうして需給の調整をはかりたいというのが私どものねらいであります。できれば、第二条の第一項、第二項を――前第一項は相当客観的になつておりますが、二項におきましてもつと詳しく、今山手さんが疑問をお持ちになられたのでありますが、少くともある程度、どういう場合にこういうことが起きるのだ、どういう場合に業種を指定して調整組合をつくらせるのだということをほぼ推定できるように明らかにしたい、こういうように考えております。
  25. 山手滿男

    山手委員 問題はそこあたりにあるので、私は、中小企業庁の廃止をやつてみたり、金融措置に対して大蔵省や日銀がそつぼを向いておるのにもかかわらず、なぜこういう法律をつくるのか、そつちの方をなぜもう少し強力に提案者諸君もがんばらないのか、こういうことを一番初めに聞いておいたのでありますが、繊維製品がこの二月からコストを割つておりましたのは、必ずしも私はこの法律のねらつておるような事態によつてああいうことが起きたのではない。それは例の備蓄輸入あたりから来ておる政府の一連の貿易政策、輸入政策、あるいは金融措置というようなものが、必要以上にああいうものをそとから、――企業体自体の責任ではなくて、金融措措置あたりが非常にきゆうくつに仕組まれておりますために、業界全般が投げなければいかぬというような事態が起きた、そのためにああいう事態が起きておるのであつて金融措置や、いろいろそれをあと押しするような中小企業庁というものの存在をもう少し強化をし、あるいは措置を強化して行くというような手が打たれてもなおかつこういうロスがある、穴があるということで、中小企業が困るというならいいのでありますが、これは大企業中小企業もひつくるめて縮小再生産へ追い込む結果になるある意味においては悪法だ。しかし中小企業は背に腹はかえられぬということで、この法律をおつくりになることは、私はさき言つたように何ら異議はなく、大賛成でありますけれども輸出の面から見るとこれはいろいろな問題がある。これは単に抽象的な適用の場合の説明がこの法案には書いてあるのでありますが、中小企業立場のみならず、国民経済全般からこの法律を再検討しておかなければ国会としてはいかぬのじやないかという気がいたします。その点について、提案者なり企業局長、それから貿易関係の方からも少し所見を承りたいと思います。
  26. 南好雄

    南委員 お答えいたします。御質問通り私はこの法律が万全であるとは考えておりませんが、中小企業安定のための一助になると私は考えておるわけであります。なぜこういう法律がいるかと申しますと、山手さんも御承知通り日本の中小企策と申しますのは、世界の産業構造と違つて非常に数が多いのであります。しかもそれが大企業と比較いたしまして、調査とかいろいろなことを十分にやれぬような状態にありします。だれか少しその事業をやつてもうかりますと、それを見ならつてどんどん数がふえて行く、そして滅亡の淵に自分で歩いて行く、こういうのが日本中小企業の実際の状態であります。大企業になつて参りますと、相当資本がかかりますし、なおその上に世界経済に対する状況、あるいは内地の商品市況に対する調査機構というものはそれそぞれ十分行き届いてはおりますが、中小企業になつて参りますと、経営者の勘で動いているというのが実情であります。従つてこの法律中小企業の安定が十分に尽し得るのだ、それほどうぬぼれた考えを持つおらぬのでありますが、今の日本中小企業の実態から申しますならば、この程度の団結を認めさせてやつて、大企業の持つておるよき面を均霑させてやつてもよいのじやないか、その意味におきまして、非常にシヴイアに働いております事業者団体法なり独禁法の除外例を与えてやるのが至当ではないかと考えまして、この法律を立案したような次第であります。
  27. 石原武夫

    ○石原(武)政府委員 お答えを申し上げます。私はこの法案に直接の関係はないのでございますが、一応今の御質問に対してお答え申します。ただいま南委員からもお話がございましたように、中小企業につきましては、中小企業の現状から見ましてある程度保護助長は当然必要であり、そのために大企業と違つた意味の措置が考えられることはこれまた必要かと思います。従いまして、中小企業立場からいたしまして、かように、この法律にございますような調整措置を講ずることは必要であると考えます。ただ調整措置が適切であるかどうかという点は、運用のいかんにかかることでありまして、運用はもとより慎重を期さなければならぬと思いますが、かような調整措置はもちろん認めてしかるべきではないかと思います。ただ、それが一般的にアウトサイダーに及びまして、たとえば今お話がございましたように輸出面に悪い影響が現われやしないか、あるいは調整措置は主として生産者の立場から考えられがちでございますので、それに対応いたします消費者利益の問題も常に考えなければならぬ。また大きく申し上げますれば国民経済上はたしてそれが最も合理性があるかどうかということは常に検討しなければならぬ点でありまして、このような意味で、アウトサイダーにさような調整措置を講ずる場合が最も問題があろうかと思いまするが、この法案におきましても、中小企業調整組合調整規程をつくります場合には、当該産業における危機を打開するということで、主として当該産業の維持安定のために調整措置が誘ぜられるようになつておりますが、二十七条では必ずしも当該産業に限らず、その関連産業における存立に重大なる悪影響があるときということになつておりまして、さらに広く国民経済上さような調整措置を一般にとることが必要だと思われる趣旨から、アウトサイダーに対する勧告なり命令が出し得るような規定趣旨に私は考えております。かような観点からながめますれば、これまたかような規定が必要な場合もあるいはあり得るのではないか。もちろん運用のいかんにもよりますが、運用の適正を得ますならば、これもまた国民経済上、現在の日本経済状況では必要な規定ではないかというふうに考えております。
  28. 山手滿男

    山手委員 そこで承つておきたいと思うのでありますが、附則でこの法律は昭和二十九年三月三十一日まで効力を有するということになつてつて、きわめて短期間だけをねらつておられる。さつきも将来いろいろなケースが出るというふうなお話がありましたが、一、二年だけの期間を目標としておる。これはまたどういう意味か私どもには了解がつかないのであります。ほんとうに中小企業のために恒久的な安定法をつくるということであるならば、こういう附則で施行期限を切るというふうなことは私はどうも了解ができない。これはどういうことなのですか。
  29. 南好雄

    南委員 お答えいたします。中小企業者に対しましては、中小企業等協同組合法中小企業の団結をはかつて、積極的に事業をさせて、大企業の持つている利益を均霑させるようにするというのが、今までの政府考え方であります。御承知のように、戦争前におきましては、日本経済が持つている特異性から、重要物産同業組合法あるいは各種工業組合法あるいは商業組合法とか、貿易組合法とか、ちようど私たちが今考えておりますような法律があつたのであります。ところが山手さんも御承知通り、戦争に負けて以来、独禁法あるいは事業者団体法という法律ができまして、組合の結成につきまして、非常に制肘を受けておりました。率直に申し上げますと、いずれそのうち日本の経済自立が進むにつれまして、日本の持つておる産業形態の必然性から、独禁法なりあるいは事業者団体法が直されて、このような構想が中小企業等協同組合法の中に盛り込まれて行く、かように私は信じておりますが、現実の事態におきましては、不幸にしてそうなつておらぬものですから、各産業における不況を一時切り抜けるために、独禁法に穴を明けるこういう意味合いにおいて、短期間の臨時立法を考えたような次第であります。
  30. 山手滿男

    山手委員 それはこういうふうにわずか一年や二年を区切つた理由にはならぬと私は思う。やはりほんとうに中小企業の安定法たらしめようとするならば、もつと腰をすえた法律であるべきであろうと思います。  ところでこの法律の適用を受けるもの、いわゆる中小企業者とは、常時従業員三百人以下の事業者を言うということになつておりますが、私はこれあたりにもいろいろ問題があるであろうと思います。というのは、その仕事の性質によつては、人はいろいろ違うのであります。資本金とかあるいは設備の実態とかいうものを取入れないと、中小企業者の定義がきわめてあやふやになつて来るのではないかと思われるのであります。化学繊維などにおきましては、人は少くても、実態は非常に大きなものがあります。資本金が非常に大きく、大企業と目されるようなものでも、三百人以下の人を使用しておるものがたくさんあるのであります。ただ単に従業員の数だけで押えられた点は、従来のいろいろな立法例からいつても特異な事例であろうと思いますが、これは何か意図があつたのかどうかお伺いをいたしておきます。
  31. 南好雄

    南委員 お答えいたします。特別に意図があつたわけではないのでありまして、最初御質問に答えましたように、中小企業等協同組合法で、常時三百人未満の使用者を使つているものを中小企業ということに一応なつておるのであります。そこでその組合法と歩調を一にしてやつたにすぎないのでありまして、お言葉通り、人間は少くても資本の非常に大きなものもございまするし、資本が少くても案外人聞がたくさんいるものがあるのであります。しかし一応中小企業と申しますものは、常時三百人未満の人を使つているんだ。しかしながら調整組合をつくる際におきましては、そういう人間が三分の二以上あつて、一年間の生産実績が半分以上あれば、大きな人たちもその調整組合へ入つて行くことは一向さしつかえないのであります。その際において調整組合に入つて、お互いに業界の安定に協力される面においては拒否しておらぬのであります。そこら辺に独禁法あるいは事業者団体法の例外になつているこの法律のみそがあるのであります。そうお考えおき願いたいと思うのであります。
  32. 山手滿男

    山手委員 こまかいことはあとまわしにいたしますが、この法律によりまして独禁法なんかの一部適用が除外されるわけでありますが、この生産制限なんかをこの組合によつて関連産業そのほかが受けるということになつて、従来からそれに投下をいたしておりまする資本、施設あるいはいろいろ設備が遊休設備になるというふうなことになると、これは損害を具体的に受けます。その場合にこの安定法によつて生産制限による損失を受けた組合員あるいはアウトサイダーというようなものにはどういう補償をするのか、あるいはどういう救済があるのか、その点を御説明願います。
  33. 南好雄

    南委員 お答えいたします。そういう場合には、この法律では、救済と申しますか、補償はないのであります。間接的に業界が安定して、今まで損をしておつたものがカバーできるということで満足していただくということであります。もちろん、この種立法は、この法案だけでなく、他にもあるのでありまして、今の状態ではそういう場合に一々補償するというようなことはちよつと困難かと思つております。
  34. 山手滿男

    山手委員 これは公取の方にお伺いをしておきたいのでありまするが、独禁法の適用を排除いたしたり、いろいろこういう法律の措置によつて新しいそういう生産制限による損失などという事態が起きました場合に、すでにそれが政府によつて合法的に許可され、投下資本が莫大であるようなものが動かなくなるという状態になつてしまうことについては、公取あたりはどういうふうにお考えになつているか、公取の方から御説明を願います。
  35. 丸山泰男

    ○丸山説明員 お答えいたします。損失補償の問題につきましては、これは独占禁止法の問題とは直接関係のない問題でございまして、私どもといたしましては、この点についていいのか悪いのかということについてはお答えいたしかねるのであります。
  36. 山手滿男

    山手委員 この問題は私はあとからもう少し法制局の方の意見も聞いて調べてみようと思つておりますし、時間もないのであまり詳しい話はいたしませんが、第二条の第一項による別表によりますと、一から五までの業種の指定があります。私は別表によつて法律が直接指定業種を決定しているということは一つの進歩であろうと思いますが、陶磁器なんというものは、ひもやマッチ、ゴムの製造業などの関係からいたしましても当然この中に加えなければいかぬ。ほかにもいろいろあるだろうと思うのでありますが、これは実際にはどういう基準でおきめになつたのか。また五の「ゴム製品製造業で政令で定めるもの」というのはどういうものであるか。あるいは一の場合、二の場合にも「政令で定めるもの」というふうなことが書いてありますが、これは具体的にはどういうことであるか御説明願います。
  37. 南好雄

    南委員 お答えいたします。御質問通りこれは客観的標準だけできめて業種を拾つて行くのだと非常に簡単であつたのでありますが、相当コストを割るような市況が生じ、かつまたそれが当分回復の見込みのないというような場合においてのみこういう業種の指定が法律で行われるということに考えておりましたために、陶磁器についても当初私たちは案としては別表に害いておつたのであります。ただ陶磁器にはいろいろ種類がある。輸出もあれば国内だけのものもありますし、それらのものについて実際に現在どうなつているのか、まだいろいろ調査しなければならぬ点があるという話であつたものでありますから、その調査が完了いたしまして、実質上この法案の二条の規定の各号を充足するような調査ができましたならば、ぜひとも別表に掲げたい業態であると私は考えております。なお政令と申しますのは、絹一人絹糸をもつて織物を製造すると申しても非常に範囲が広いのでありまして、今山手さんが御質問になりましたように、輸出の場合にはどうなるのか、内地の小幅の場合にはどうなるのかといいまして、そう簡単にいわゆる産業小分類の業種指定というようなわけに参りかねたものでありますから、政令でそういう面の摩擦を除いて、的確にこの法の目的としているような業種を救うように調整組合をつくつて行きたい、このように考えまして、政令でもう一ぺんしぼつていただくというように考えた次第であります。
  38. 山手滿男

    山手委員 きようはこのくらいにしておきますが、どうもこの法律を全般的に見ますと、部分的な統制復活であるという気がいたします。中小企業を真に安定させようと思えば、やはり金融措置が一番先である。それからいろいろそのめんどうを見て行く機関の整備をもつとして行かなければいかぬ。もちろんこういう法律もけつこうでありますが、そういう根本になるものはいいかげんにして、政府は単なる口頭禅だけやつてつて、枝葉末節的なものにのみ力こぶを入れてお茶を濁す。しかもこれは一年か二年の短期間の法律ということになると、世評にいわゆる選挙対策法だということを言われる可能性が多分にあるのであります。ほんとうに自由党の諸君が中小企業心配し、安定させてやろうとおつしやるのであるならば、現在の状態においてできることをまず徹底的におやりを願いたい、こういう気がいたします。ことにこの法律輸出産業関係において将来非常な問題が起る可能性があると思う。日本の過剰人口をささえて行きまするには、どうしても輸出産業を振興して行かなければいかぬ。それが中小企業の安定ということと矛宿するものであつてはならないのでありますが、中小企業の現在の窮況だけから見て輸出産業中小企業の面まで引下げて行くということであるならば、これはたいへんな不幸であると思う。中小企業を堅実な輸出産業としても立つて行けるような、大企業に伍して太刀打ちできるような大きな実力のある産業にまで仕上げて行くというのが政策でなければいかぬ。輸出産業なんかが非常にはなばなしくやつておるから、それを引下げて中小企業の面まで押し下げて行くという政策は、これは縮小再生産の政策である。これには反対をしなければいかぬ。中小企業を安定さす方法は、今の大企業にも劣らないような実質的に強力な中小企業に仕上げて行くという政策でなければいかぬ。それは大企業の割前をもらうという考え方でなしに、大企業の中に中小企業が食い込んで行くという政策でなければいかぬ。私はそういう面においてこの法律には多分の疑問もあります。ありますが、とにかく中小企業を大いに育成強化して行くという建前からは毫も反対をするものではありません。こまかいことについてはまた次会に御質問したいと思います。
  39. 高木吉之助

    ○高木委員長代理 加藤君。
  40. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 時間もありませんし、なお同僚今澄議員からいろいろ質問することになつておりますので、私はきわめて簡単に二、三の点について質問いたしたいと思います。  今山手委員からいろいろな点について御質問になりましたが、私も山手委員質問に対してはことごとく同感でございます。この法案提案者としては、要するに中小企業の救済策は、独占禁止法あるいは事業者団体法の適用が大幅に緩和されなければ救われない、しかしそれが今日の段階においてできないからこういうもので間に合せたというお話でございますが、その独占禁止法を、なお中小企業者を救うために、日本が独立した現段階において、中小企業者に限つて大幅に適用を除外することはできないか。     〔高木委員長代理退席、委員長着席〕 この根本の問題について本日は十分お伺いしたいと思いましたが、公取委員長が来ておられないようでありますので、あまり論じないことにいたさなければなりませんが、この法律趣旨が、要するに特定の業種に限つて特にその企業がいろいろな面において危機に直面している場合に、生産の数量、もしくは出荷の数量を制限するということだけにとどまつておりますが、一体その数量の制限生産制限ということだけで中小企業の危機が救われるかどうかという問題でございます。私は決して救われないと考える。もちろん場合によつてはそういうこともしなければならない問題でありますが、それによつて救われるという考えをもし提案者がお持ちになつたならば、これは大きな聞違いであると考えるのである。それだけのためにこんなぎようぎようしい法律をつくられた提案者の意図を疑うものでございます。先ほど提案者は、もちろんこれでは満足できないとおつしやいましたが、しかしどこまでその努力をせられたかという誠意を私どもは疑わざるを得ない。その点についての提案者の信念をまず最初にお伺いしたいと思います。
  41. 南好雄

    南委員 先ほど山手委員の御質問お答え申し上げましたように、私はこの法律中小企業の安定が万全の措置であるというように決して考えておりません。中小企業安定のための一つの手段として考えたような次第であります。金融問題につきましても先ほど山手さんにもお話申し上げましたように、もつと積極的に中小企業のめんどうを見るように今までも努力して参つたつもりでありますし、今後も努力して行くつもりであります。政府の預金を中小企業の方にまわるように預託させたりするのも一つ方法でありますが、何を申しましてもやつている中小企業そのものが安定せずに、いつも損をしているような状態では、どれほど努力いたしましても私はなかなか金融ベースに乗らぬと思います。従つてほんとうに中小企業が安定して参るような措置をとつて行きますならば、政府の努力しておりますのも相当効果を上げて行くのではないか。そういうためにもこの法案は相当役に立つのではないかというふうに考えております。機構の問題につきましては先ほど山手さんにお返事申し上げましたと同じ考えを持つておりますことを繰返して答弁にかえる次第であります。
  42. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 中小企業の危機というものは今日全面的にあるわけでございます。特殊なものに限つてあるわけでもありません。従つて少くともこれが中小企業等協同組合法の改正によつて、もし提案者がおつしやるように非常な制限を受けておりましても、中小企業者全体を救うために中小企業等協同組合法の改正によつて行うべきではないかと考えるわけですが、その点それができなかつた理由についてお伺いいたしたい。
  43. 南好雄

    南委員 先ほど山手さんからの御質問の中にもお答えいたしましたように、私は将来はこういう臨時立法が中小企業等協同組合法の中に取入れられて行くものとかたく信じております。しかし現在の状態におきましては加藤さんがおつしやられるように、そう簡単にも行きかねるように見受けられましたので、とにもかくにも中小企業安定のために、一つは事業者団体法なり独禁法の例外をつくるために、こういう法律をつくつたというようにお返事申し上げたのであります。
  44. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 私は先ほど来こうした努力をいかにせられたかということについてお伺いをしているわけでありますが、その点については全然触れられておりません。ただ見受けられたというようなことを言つておられますが、私はその点を先ほどから繰返して質問しているわけでありますから、その点についてお害えを願いたいと思います。  それから第十五条の事業目的の中の問題ですが、今申し上げました通り要するに生産制限だけを行うということでございますが、しかし生産制限をしただけでは目的をほとんど達成することができないと思います。同時に価格の問題にも触れなければならぬ。生産制限をいたしましても、ストックか相当できてからします場合は、恐慌のために相当深刻な事態に陥つた場合でございますので、この際相当なストックがあることになろうと思いますが、そのコストを切つて投げ売りをするということになれば、そのことだけで多くの業者が破滅の状態に陥るということは当然考えられる。なぜ価格の点に触れられておらないかという点でございます。
  45. 南好雄

    南委員 努力の点につきましては私提案者の一人といたしまして、一生懸命に今までも中小企業のために尽して参つたわけでありまして、その程度しか申し上げられないのであります。  なおこの組合事業の中に、生産制限だけでなくて価格の協定という御質問でありますが、指定業種によりまして、必ずしも格協定の必要でないものもあつたのでありますから、価格の協定と申しますことをとつてつたようなわけでありまして、考え方によつて価格の協定が必要な場合には、またそういうときに法律を改正して、その組合事業の中に加えて行つてもいいんじやないかと私は考えております。しかし現段階におきましては、まだ価格を協定して行くというところまでやらなくとも、生産設備制限ということで目的を達し得るのではないかと考えた次第であります。
  46. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 提案者は長い間中小企業のために努力して来たとおつしやいますが、努力せられたといたしますならば、現在の中小企業の状態はよく御承知のことと思います。価格の点に触れないで業者を救い、共同の利益を守るということはとうていできません。生産の数量を制限しただけでこの法文の表題のごとく安定するということは絶対不可能です。価格の問題は先ほど私が申しました通り、こうした生産制限をしなければならないような状態におきましては、当然コストを切り下げて投げ売りするというような事態が起つて来る。それを防止しないでこの目的を遷するというようなことはとうてい不可能なんです。     〔委員長退席、多武良委員長代理着席〕 提案者はその必要が起つて来たならば、法律の改正をするとおつしやいましたが、現在その必要が起つて来ております。あなたの認定では必要がないとおつしやるかもしれませんが、それだつたらあなたは非常な認識不足で、中小企業者の危機云々を論ずる資格がない。この委員会においてその点をあらためて認識してもらいたい。その場合に価格の問題をこの中に盛り込む意思があるかどうかということをもう一ぺん承ります。
  47. 南好雄

    南委員 価格の協定は中小企業等協同組合法ではできるのであります。それはいわゆる組合員だけで価格を守つて行こう、そういう行き方であります。この組合は、御承知通り全国的になりまして、場合によつては二十七条のように一種の強権を発動する統制状態にもなり得るのでありまして、そういう場合に、この組合に価格の協定をさすと申しますことを事業の中に入れて参りますことは、一種の価格公定ということにもなりまして、現在の段階においては、非常にむずかしいのではないか、私はこういうふうに考えたから、価格協定と申しますものをこの組合事業の中に入れなかつたわけでございます。
  48. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 現在の協同組合法で価格の協定ができるとおつしやいますならば、その範囲においては数量のいわゆる生産制限の協定もできるわけです。現在の協同組合法では罰則がないから、いわゆる強制力がないから、実際に必要な場合に価格の協定ができないということになるわけです。おそらく数量の制限についても、そういう観点から、こういう罰則を設けて法律をつくられたものであると思う。現在の協同組合法にそういう強制力を持つところの規定が何かありますか。
  49. 南好雄

    南委員 中小企業等協同組合法には、従わない場合には過怠金というような程度で、それがこの組合法のように強制力を持つておるとは考えておりません。ただ組合員の申合せによつて、価格の協定をするという程度であると、私考えております。
  50. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 その程度ではいけないから、こういう法律をつくられたのだと思うのです。だから私は、同時に価格の協定までこの法律事業目的の中に入れるべきだということを主張しておるわけなんです。あなたにお尋ねしておるのはその点なんです。それができない理由がおそらくあろうと思います。それをもう一ぺんおつしやつていただきたい。
  51. 南好雄

    南委員 現在の段階におきましては、私は、価格の協定まで行く必要はなくて、生産設備制限あるいは出荷数量制限、そういうようなことで、間接的に価格の安定をはかつて行くということでいいんじやないか、こういうふうに考えて、組合事業をそういうふうに限定したのであります。
  52. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 提案者の認識がその程度ならば、この問題はそれくらいにして次に移ります。  先ほど来、山手委員も問題にされましたように、いわゆる中小企業者は、資金の面において非常に制約を受けておる。ことに一たび恐慌に襲われた場合には、中小企業者は、金融の面においてまつたくたよるところがないので、非常な苦境に陥るわけであります。それを救う道は、私は協同組合が共同販売をやる以外にはないと思う。すなわち共同販売を実際にやつておりますならば、ストック融資等の道も開けるのでありますが、現在のように、価格の協定も実際にはできない。また共同販売も、やれることにはなつておりますけれども組合自体が強制力を持つておらないためにやれない。その面において何ら金融機関の力を借りることができない。こういう事態になるわけであります。従つて私は、中小企業が一旦不況に見舞われた場合に、一番威力を発揮するものは共同販売だと思います。そういう点については捉業者は全然考えておられないかどうか、伺いたい。
  53. 南好雄

    南委員 お答えいたします。共同販売、共同購入というようなことは、何と申しましても、組合を組織しておるその組合員相互の間の申合せで行くべきものであつて、これをアウトサイダーにまで及ぼして行くというようなことは、こういう組合には私は不適当でないかと思つております。
  54. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 もちろんこういう組合の行き方としては、それはそのままではできないでございましようが、私は根本の問題として、中小企業者の危念を救う方法について論じておるのであります。いわゆる生産制限ということだけでは、ほとんど目的を造成するわけに行かないという点を論じておるわけですが、その点について提案者の見解が違いますならば、この問題を追究しておつてもしかたありませんが、今提案者は、なるべく自主的な統制で行くべきだということをおつしやいましたが、自主的な統制ができないから、きわめて限られた範囲においても、こういうものを考えられたわけだろうと思います。従つて自由主義経済だということが、根本のあなた方の考えだといたしますならば、先ほど山手君の言われたように、その考えが根本的に間違つてつたということを、今日自白されたと同様でございます。従つてそういう考えを、根本的にあなた方が是正されなければ、中小企業者の問題は解決しない。わずかな生産の数量の制限というようなことをやりますために、こうしたぎうくしい法律をつくつて、一時を糊塗しよう、中小企業者の歓心を買おうというような考えでありましたならば、根本的に間違つておるということを申し上げておきます。  それから二十九条の検査制度の問題ですが、通産省の職員が、組合事業所もしくは事務所に立ち入つて、いろいろな検査をすることができるようになつております。これは組合事業所もしくは事務所だけであつて業者個個の営業所に入つて検査するということではないのですか。
  55. 南好雄

    南委員 それは、調整組合に入つております者が、組合であります場合には、その組合に参りますし、調整組合に入つておりますものが個人の場合には、やはり常業所に入つて行けると私は考えております。「者」は個人または組合をさしております。
  56. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 生産制限をした場合に起つて来る業者の救済については、山手委員から御質問になりましたが、この場合に一番大きな問題は、従業員の失業の問題でございます。この問題についての救済方法は、通産省が考うべきではないというふうにおつしやるかもしれませんが、通産省の所管でなくとも、この点についての考慮がなかつたならば、重大な問題が発生して来ると思いますが、この問題についてはどういう考えを持つておられるか、これは政府両方にお伺いします。
  57. 南好雄

    南委員 お答えいたします。それは生産制限などをいたします際には、従業員のいわゆる失職というようなことは、これは起ると思います。しかしその場合においても、労働基準法その他の適用を受けまして、この法律のために特別に労働者の利益をそこなうというようなことはないと思います。
  58. 石原武夫

    ○石原(武)政府委員 私からお答えするのは適当でないかもしれませんが、ほかの担当者がおりませんから私から答えさせていただきますが、生産制限関係からいたしまして、おのずから就業者の人数が減つて来るということは事実でございまして、現にやつております紡績操短その他によつて、さような事実も生じておるようでございます。それに対しましてどうするかという問題でございますが、これは根本的には失業対策と申しますか、労働対策というようなことで解決する以外にないと思います。さような状況下におきまして、もしこれを放置いたしておきますれば、さらにその業界の安定が害されまして、むしろまず第一に賃金の、不払いでありますとか、あるいはそれが積つてだんだん解雇というようなことに進みますわけで、かような安定措置を講じます方が、大局的に見てはさような犠牲は少いだろうというふうに考えております。従いまして、かような措置をとることによつて失業問題が特に激化するとは考えませんが、もしかような状況が相当継続的に操短を実施せざるを得ないというような状況になりますれば、お話のような失業問題が生ずると思います。ただわれわれといたしましては、かような操短というものをそういつまでも無制限に長くやることは原則として望ましくないので、たとえば現在向うのやつておりますような操短にいたしましても、適当な機会に、だんだん業界の安定とともにかようなものをそう無制限に続けたくないということで考えておりますので、短期的にさような措置で進みます場合は、むしろかような措置をやるということによりまして業界の製品の価格が安定いたしますれば、その分だけある程度労働者の賃金を払つて行く、あるいはそれに必要な金融をつけるというようなことは業界の安定によつてさらに一段とやりやすくなると思いますので、さような意味におきましてはこの措置をすることが労働者に対する対策としては措置がしよいと考えております。ただこれが非常に長期にわたつて操短をせざるを得ないというときには、これは根本的に運用の対策ということで考えざるを得ない、さように考えております。
  59. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 石原企業局長の考えは根本的に間違つていないと思います。ただこの生産制限によつて完全に失業者になれば、それは労働基準法によつて失業手当も一定の期間もらえるわけです。また場合によつては、それが多数になれば失業救済事業政府の措置によつて起し得ると思うのですが、今企業局、長がおつしやつたように、おそらくこういう場合に、中小企業者でございますから賃金の不払い、遅払いが相当起ると思います。今企業局長は、こういう法的な措置が講ぜられておると、そういう場合には解決が楽であるとおつしやいましたが、私はむしろ逆に、こういう法律によつて生産制限をするのであるからやむを得ないということで、これがやはり遅払い、不払いの口実になるのではないかというふうに思います。従つて私は、この法律業者を救うためのものであるということでありますけれども、しかしながらその生産制限によつて工場からどんどんと優良な職工が離れて行くということは業界にとつても重大な問題でございますので、その点について何らかの法的な措置が必要ではないか、その場合の資金の融通ということがやはり特別に考えられなければこの問題は解決しないと思いますが、その点どういうふうにお考えになりますか。
  60. 南好雄

    南委員 お答えいたします。組合事業を単に生産の調節からこれに附帯するということに限定をいたしましたので、今加藤さんの御不満があつたのだろうと思います。この点につきましては、私はもう少し組合事業を広げてやつたらいいのではないかと考えておるのであります。結局中小企業の安定と申しましても、中小企業者のほんとうの気持はやはり長くその事業をやつて、それによつて自分のいわゆる生計を維持して行くというのが建前でありまして、生産制限のために優良な職工等をすぐ職場から出すというようなことはないものと私は考えておるのであります。しかも今石原政府委員答弁いたしましたように、元来生産制限などというものは万全な措置ではないものであつて、一時のいわゆる方便であります。従つて業界が安定すればまた生産を増して行くということになりますので、多少のいわゆる失業問題は起るものと思いますが、御質問のように根本的には起きて来ないのではないか、かように私は考えておる次第であります。
  61. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 どうも私は時間が足りないけれどもそういう蒔のがれの答弁をしておられたのでは質問せざるを得ないわけです。今そういう事態はあまり起らないとか、それから長期にわたつて生産制限をするようなことはないとおつしやいましたけれども、しかしそういう実例が今までだつてずいぶんあつたことは御承知だろうと思う。たとえばこの春深刻な問題を起しました福井地方の人絹の非常な不況の問題につきましても、あの当時労働組合からいろいろな陳情があつたことをお聞きになつたことと思います。職を離れて、そうして女工はカフエーの女給になるというような者がたくさん出ておる。男工は失業保険が十分に支払われないので、路頭に迷つておる。こういう深刻な事態はこの最近の実例であなた方が十分承知しておられるわけであります。だから今おつしやつたような、これはほんの特別な場合で、そういう場合はしまく起るのじやない、あるいはまた長期にわたつてこういう事態が起ることはないというような考えは、これはもしそう考えておられるとしまするならば、非常な認識不足だと思うのです。今日この独立後の日本の経済というものは、しばしば非常な経済的な恐慌に見舞われるということは、今日予想しなければならぬ、そうしてその不景気の循環というものは非常に早いという問題、しばしば襲つて来るというような問題も当然考えなければならぬと思うのです。ただ今のような、そういう事態がないから考えないという考えでなくて、そういう事態が起るということを予想して何らかの措置を講じなければならぬと思うのですが、その点もう一度お答え願いたいと思います。
  62. 南好雄

    南委員 お答えいたします。この法案目的から、先ほど御説明申し上げましたような御返事を申し上げたのでありまするが、私も御質問と同じような心配を持つております。日本経済が世界経済の一環として、これから狭い島にともかく過剰人口をかかえてやつて行くということになつて参りまするならば、いろいろ議に望むずかしい問題が起きて来る。労働問題や何かも、その一つであるということは御質問通りだと思います。もちろん政府においても、そういう問題についてはおそらく積極的に解決するように努力することと思いますが、この法案考え方は、繰り返して申し上げますが、ほうつておきますならはみなつぶれてしまう、あるいは心要以上につぶれる。そうしますと結局無用の出血が起きますから、そういうものを避けるための一つの方便として生産制限をやるのだ、こういうところに意味があるのでありまして、その問題から起きて参ります労働関係の点につきましては、私はまあ加藤さんか今そこで収上げられましたようなそういう大きな問題にならぬためにこういうことをやつて行くのだ、この御返事申し上げるほかないのでありまして、できるだけ最小限に食いとめるためにこういうことをやるのだということを御返事申し上げたのであります。
  63. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 答弁の十分でない問題は、またあとの機会に御質問するとして先に進みます。二十八条の問題ですが、第二十七条の第二項の問題はいわゆる独占禁止法に抵触する問題で、そこで公取委員会に協議しなければならないということになつております。公取の委員会としては、この問題をどういうふうにお考えになりますか。協議を受けた場合には、どういう方針でこの問題を処理せられるかという問題と、それから協議がととのわないというような事態なつたならば、これはどうなるかということについて、公収の方と提案者とからお答え願いたい。
  64. 板根哲夫

    板根説明員 お答えいたします。協議がございます場合には、十六条の二項に認可基準がございますが、それを公正取引委員会といたしましても考慮いたしまして認可に同意したい、こう思つております。それから協議がととのわないということになりますれば、これはよくいろいろ事情を勘案いたしまして、独上禁止法の建前から見まして、その認可の内容が不当に差別的である、あるいはそこに書いてありまする「最小限度範囲を越える」というような点をよく検討いたしまして、この点につきましてはよく通商産業省とも話合いをして、なるべくそういう事態の起らぬようにと考えております。
  65. 南好雄

    南委員 お答えいたします。これは、こういう組合の性質上、独禁法なり事業者団体法の大きな例外になつて参りますので、この場合の協議のうちにはいろいろ種類があると思います。調整規定認可、変更というような場合あるいは二十七条の勧告というような場合には、公収のむしろ積極的な、協議のうちの一番強い同意がなければこれはやるべきではないのじやないか、こういうふうに考えております。その意味におきまして、もし疑いがあるならば法案を訂正してもいいのじやないかというふうに考えております。
  66. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 もう一つ最後に承りたいことは別表の問題ですが、今山手委員からもいろいろ御指摘になりました第二条に該当する中小企業というものは、私は相当あると思います。しかも一方において、山手君も指摘されたように非常に問題のありまする綿織物等を入れて、はつきりしたものが実際には、入つておらないと思いまするがそういう点は十分調査されたのかどうか。たとえば先ほど山手君も指摘された陶磁器の問題ですが、陶磁器などというものは明らかにこの範疇に入るものです。そういうものが入つておらないようなことから見ましても、私はこの二条の規定に該当するものがほかに相当あろうと思いますが、一体その点十分調査されたのか。どういう機関によつて調査されたのか、提案者伺いたいと思います。
  67. 南好雄

    南委員 お答えいたします。御承知通り二条の規定の仕方は、客観的標準の上に、もう一つ客槻的標準を基礎にして主観的判断が入つておるわけであります。そこで私たち考えました場合におきましては、別表に掲げるようなものが中小企業の面で、しかも相当長期にわたつてこれをやつて、しかもこういうような不況が当分の間回復の見込みがないというふうに考えて掲げたのであります。私ども法案をつくる際におきまして、提案者はみな、陶磁器などもそういうもののうちの一つではなかろうかと考えておつたのですが、なお陶磁器の中にはいろいろな問題があるということで、調査がこの法案を提出するまでに完了しておりませんので、疑いを避けるために掲げなかつたのであります。法案審議の途中におきましてその問題がはつきりさえすれば、これを載せることにつきましては、提案者としてはいささかも異存がないのであります。
  68. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 そういう問題を十分調査せずしてこの法律をつくられたということに、私は不備があると思うのです。一体、陶磁器にはいろいろな問題があるとおつしやいましたが、どういう問題がありますか。
  69. 南好雄

    南委員 お答えいたします。陶磁器につきましてはその種類が非常に広いというようなこともありますし、それから生産制限をする、出荷数量制限をすると申しましても的確にそういうことができぬ種類もある、こういうこともありました。それでいろいろな種類に従つてもう少し調べていただいて、そうして実際上別表に掲げる必要があれば修正して別表に掲げたらいいというつもりで、会期も非常に迫つて参りましたので、急いでこの法案を出したような次第であります。
  70. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 いろいろ種類があるとおつしやいましたが、たとえば食器類のほかに衛生陶器であるとか、碍子であるとかいうようなものがあるからというお話であろうと思います。もしそういうものがあるために該当しないとしますならば、衛生陶器であるとか碍子であるとかいうようなものは、企業の形態においても、比較的中小企業ではございません。大企業でなければできないものでありますし、またいわゆる需要の関係におきましても食器熱とは全然わかれております。ただ陶磁器という点で同一業種としてつながつているだけでありますからして、場合によつては政令でそういうものを切り離して食器類にのみ隈つてもよいのではないかと思うわけです。今非常な不況にあるという点は陶磁器も他の業種に劣らない。しかも非常な長期にわたる不況でありまして、その点はおらそく皆さん御承知と思う。しかもその調査が十分できておらないというならば、どこで調査されておるのか。おそらく通産省であろうと思いますので、その点について、なぜ通産省がこれに同意されなかつたのか。同意されなかつたとするならば、その点を承りたい。
  71. 徳永久次

    ○徳永政府委員 お答え申し上げます。結論として私の感じを申し上げますと、陶磁器についてはいま少し時期をかしていただいた方が適当ではなかろうかというふうに感じたのであります。どうしてさような考え方をしたかということを申し上げたいと思います。御承知のように陶磁器業界は輸出依存度も非常に多い業界であり、また業界の内部構成も非常に複雑な業界であるわけであります。最近の陶磁器業界の非常に困つておる問題点と申しますものは、御承知通りインドネシヤ貿易がストップの状況にあるという影響が大きく響いておりますし、また対米輸出の問題につきましては、アメリカの消費部門の景気の若干の後退ぎみ、あるいは目先の問題としては、現実化しておりませんけれども、関税の引上げ問題が、陶磁器業界を脅かしておるような状況になつております。そういう問題が、陶磁器産業のうち輸出依存度が過半数を占めておるという状況から、その成行きの方が陶磁器業界については非常に大きな問題であるという実態にあるわけであります。その状況に対しまして、この法案生産調節という対症療法を考えておるわけです。原因がさようなところから大きく来ておる業界に、この生産調節という形が適当な対症療法になるかという点に、若干の疑問を持つたのが根本であります。私どもとしましてその根本的な輸出の障害を取除くためにはあらゆる努力をしておるつもりでありますし、関税問題なりあるいはインドネシアとの通商再開の問題につきましては、陶磁器について特別の配慮をしていただくようにできるだけのことはしておりますから、当面その問題に主力を置いて行けば、その成行きは必ずやある程度よい影響が現われるというふうに考えております。     〔多武良委員長代理退席、中村委員長代理着席〕 そのよい影響が現われた結果の陶磁器業界の姿、その姿を前提としてさらに生産調節という問題が必要になつて来ると思いますので、そういう輸出の障害が取除かれてよくなつた、その影響が業界にある程度浸透した姿において、本法による調整組合というような方策が行われるのが適当である。今の大きなインドネシア貿易がストップしておる状態のもとにおいての業界の組織化ということは、むしろ先になつた場合に、マイナスの面も起りはしないかということも、私どもとしては考えられるわけです。なお最初に申しましたように、陶磁器業界全体としても、本法について十分の理解を持つてもらいまして、この法案をよく考え、主として陶磁器業界の現実の姿と照し合せて、この法案の意図しておる目的行動範囲についても必要があるというぐあいに、全体の機運もまとまつて来るというようなことを前提として、この業種の追加というようなことも考えた方が適当ではないか、そういうことを私ども考えさせますほどに、陶磁器業界は複雑な要素を含んでおるわけでございますが、さような点も、現状は少くともまだそこまで至つていないという感じでございまして、かれこれ考えてみますと、若干の時間をかしております間に、インドネシア貿易の通商打開の問題も目鼻がつくと思いますし、対米貿易影響、関税問題等も目鼻がつくと思いますし、若干の時間をかす洲にその前提条件が整いますれば、その整つた場合の事態において、本法を適用すべきかどうかというふうに考えることの方が適当ではないだろうかというのが、事務当局としましての考え方であります。もちろん本法は議員提案でありますので、国会におきまして、お前たちの言つておることは少し気をまわし過ぎておるというようなことになりますれば、入れられたあとにおける運用の明輝として私ども考えてみたいと思いますけれども、私ども事務当局に、今すぐこれを入れるがいいかどうかというお尋ねに対しましては、私どもはもう少し若干の時間をかしてきめていただいた方がいいのではないか。もちろん陶磁器は、基本的には国の援助によらなければ安定しがたいむずかしい業態であることは、十分私どもも感じておるわけであります。現実の目先の問題としては、先ほど来お話し申し上げましたように考えておる次第であります。
  72. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 輸出関係で今日の陶磁器の不況は近く打開できるというような今の雑貨局長のお話ですが、私はそんなものならは問題ではないと思うのです。たとえばインドネシアとの通商会談がうまく行けばとおつしやいましたが、私はインドネシアとの通商会談というものは非常にむずがしい問題を含んでおりますし、それが成功しまして、インドネシアヘの輸出がある程度できれば陶磁器の不況は打開できるというような簡単なものではないと思うのです。その数量はきわめて限られた数量にすぎないと思つております。東南アジアの市場のポンドの問題、ポンドの信用下落の問題と、また自立経済の影響を受けたいわゆるポンド圏のいろいろな不況の問題を考えますときに、南方貿易、雑貨貿易というものはそんなによくならないと私は思います。これはおそらく何人もそういう結論に到達すると思います。  それからアメリカの関税の引上げがうまく解決するというようなお話でありましたが、これは私もおそらく関税引上げの事態にならないで済むであろうという見通しを持つておりますが、しかしながらアメリカに輸出される陶磁器というものはほとんどディナー・セツトに限られ、その他の中小メーカーのつくります陶磁器というものは幾らも行つておらないので、その影響というものはそんなに大きな問題ではないわけです。現在まだ関税が引上げられておらないのにこうした不況にあるわけですから、私は今徳永局長のおつしやつたような問題が陶磁器を入れることの困難な原因ではないと思います。複雑な事情とおつしやいましたが、一体何が複雑な事情かということを承りたい。これはおそらく大メーカーから横やりが入つて、あらゆる条件に合致しておるのにそういうものに制肘されておるのだと思います。そうして法律の条文以外の制肘を受ける、まつたく法文の表面には現われておらない陰の制肘を受けるということは実にけしからぬ話だと思うわけであります。だから複雑な事情とおつしやいましたが、私にはその複雑な事情というものはわかりません。徳永局長自身は御承知になつておるかもしれませんが、私にはわからないのです。もし大メーカーの横やりが入つていたとしてもそれ以外には陶磁器界には複雑な事情はないと思います。私はそういう点からこの際陶磁器のごときものは当然代表的な中小企業として入れるべきだと考えております。大体そういうものはほかにもあろうかと思いますが、先ほどの山手君との質疑応答を見ておりましても、ここに規定されたものが単に陳情を受けたというようなことで入れておるのではないかというような疑いを持つわけでありますが、提案者調査不十分とみずから告白された点から考えても、そういうようなことでこういう法律を適用すべきではないと思うわけです。その複雑な事情ということをもう一度徳永局長から具体的に御説明願いたいと思います。
  73. 徳永久次

    ○徳永政府委員 お答え申し上げます。陶磁器の業界が複雑だと申しましたことは私の感じでありますが、御存じのごとく昨年の八月私雑貨局長になりましてからいろいろと問題が起つております。たとえばインド貿易の問題等にしても、業界の複雑さということは、全体の組織的な意思が表明されるような形になつていないところにわれわれの扱い上のむずかしさがあるわけであります。そういう過去の経験からも来ておるわけでありまして、本法に関します限りにおきましてはただいま加藤先生からお話のありましたように、大企業からの本法を適用すべからずというような発言もあつたように思います。また中小企業からの入れてくれという発言も、実は私どもきのう初めて聞きましたようなわけであります。実は私ども先月上旬に名古屋に参りまして、陶磁器界の業者といろいろな問題について二日間にわたつて懇談会をやつたのであります。またその二週間ほど前には私の方の雑貨課長、窯業課長が現地に参りましてこういう方々とお会いしているわけであります。そういう際には一つも問題は提起されておりません。私の複雑さと申しましたのは、陶磁器業界が輸出の面で市場を興にし、従つてその関係でメーカーも異なり、あるいはメーカーにも生産の分野がいろいろと異なりまして、素地の段階、染つけの段階というようなこと、あるいは輸出内需というような段階とか、おのずから用途が広汎である関係に基因すると思いますが、それだけに陶磁器業界の一種のまとまりというものに非常にむずかしさがあるのでございます。さような面で陶磁器に関しまするある種の業界の意見というものが、実情に即した意見であるかという判断においては、非常に慎重を期さざるを得ないという過去の経験からの感じを申し上げたわけであります。それ以上何ものでもないことをお答え申し上げます。
  74. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 どうも徳永政府委員のおつしやることは抽象的でよくわかりません。あなたの経験は二年だそうですが、私どもはもう陶磁器業界の中に三十数年は少くとも関係しておりますのでよく知つております。あなたのおつしやるように複雑な事情はございません。ただしばしば愛知県の業者と岐阜県の業者との意見が対立する場合、大メーカーと小メーカーの意見が対立する場合、そういうようなことをときどきあなたのところへ持つて来て、あなたをてこすらせているのではないかと思います。そんなことは大して問題ではないと私は思うのであります。輸出が過半を占めているとおつしやいましたが、それならばほかの綿織物でもその他のここにあげられている業種にもそういうものはたくさんあると思います。そういうことが理由になるとしますならば、私は提案者の方から輸出内需との関係、それから二条に合致するところの三分の二以上が中小企業であるという問題、生産数量が三分の一以上であるというような問題、その他いろいろの危機に直面しているという問題を数字をもつて示してもらいたいと思います。そういう漠然としたことで一つ業種を入れないというようなことをせられるならば、私はこの法律というものはむしろ大きな弊害を生ずると考えるわけでありし面す。徳永局長ははなはだ自信のない態度で今御説明なつたと思いますので、その考えを改めていただけると黒います。先ほどの山手君も陶磁器のことはよく知つておられるので、この問題を主張されました。ここにおられる多武良君もやはり陶磁器の関係者でありますからして、強く主張しておられます。私ども業界をよく知つているものは各委員ともこの問題については意見が一致しておりまするし、また業者からの陳情がないとおつしやいますが、陳情がないから入れないということ自体が私ははなはだどうも――提案者はとにかくといたしましても、その所管の通産省としてははなはだ不見識であると思います。しかも業界からはわれわれのところには陳情が来ております。陶磁器がはずされたというので、これはたいへんだと岐阜県、愛知県、三重県の各業者の団体からぜひ人れてもらいたいという陳情が来ております。だからそういうような問題はこれは一々検討しておればあなたの御心配の点はなかろうと思います。私は町間もありませんので今日はこの程度にしておきますけれども、どうも徳永局長のおつしやつた理由というものは、はなはだ抽象的でよくわかりませんが、おそらくこれはあまり深い根拠のないものであろう、ただいろいろ最近問題が出て来ておるので、局長が非常に心配しておられるにすぎないと私は思います。そういう問題は、この法律を施行する上において大した障霊となる問題ではないということを、局長もあらためて認識していただきたいということを申し上げまして、私の質問を打切ります。
  75. 中村幸八

    中村委員長代理 午前の会議はごの程度にいたしまして、午後は一時半から再開いたします。暫時休想いたします。     午後一時十一分休憩      ――――◇―――――     午後二時三十二分開議
  76. 中村幸八

    中村委員長代理 休憩前に引続ぎ会議を開きます。  貿易に関する件につき調査を進あます。質疑の通告がありますから、これを許します。山手滿男君。
  77. 山手滿男

    山手委員 貿易の面について、外務大臣及び通産大臣にお伺いをしたいと思うのでありますが、まず外務大臣にお伺いをいたします。  先般来例の中共貿易の問題が具体的にいろいろ議論をされておるのでありますが、外務委員会における外務大臣答弁と、この通産委員会そのほかにおける通産当局のいたしております説明と食い違つております。例のバトル法の線を日本がどういうふうに歩んで行くかということなのでございますが、中共貿易に対してどういうふうな考えでおられるか、外務大臣は、日本としてはさらにあれ以上強化して行くのだというようなお考えのようにも一部伝えられておりますが、もう少し詳細に御説明をお願いしたいと思います。
  78. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 元来中共地域に対する貿易制限は国際連合の勧告によつて行われたものでありますが、その目的とするところは、朝鮮の事変を早く終らせるために中共側に戦力となるべきものをできるだけ与えないという方針であります。われわれとしては朝鮮と最も近い地域にあるのであつて、朝鮮の事態の変化はただちに国内の事態にも変化を及ぼすような状況にあるのでありますから、朝鮮の事態の一刻も早く収まることを希望するのは当然であります。その趣旨からいえば、でき得る限り中共側に戦力となる要素を与えないようにすることが適当なのであります。すでにこれは国連できめているのであります。従つてわれわれの立場からいえば、この中共に対する輸出制限はできるだけ強化すべきものはするのが適当であろうと考えます。一方において日本の対外貿易をどうするかという問題はむろんありますけれども、これはこれで別個に考えて、できるだけのことをすることが必要であり、地方においては、日本の国の安危にもかかわる重要なる問題でありますから、かりに多少の犠牲は忍んでも輸出制限は強化すべきものであると私は考えておるのでありますが、しかし、れは自由国家群の足並がきらんとそろつたところで値打があるのでありますから、もしでき得ば自由国家群にも強化するように足並をそろえてもらいたいというくらいに思つておりますけれども、実際問題としてどうなるかは別問題であります。中共に対する輸出制限は緩和し大いということが政府の原則でありまして、この点は通産大臣とも意見の相違は全然ありません。その緩和しないという大きなわくの中で、現行の別表による輸出制限品目にでこぼこ等がありますれば、これを調整することは通産当局として適当にやられてしかるべきと思いますけれども、緩和する目的をもつてこういうでごぼこを調整するのではないという点も通産当局意見は一致しております。
  79. 山手滿男

    山手委員 よくわかりました。中共に戦力を与えないことが望ましいという外務大臣お話はよくわかりますが、それでは何が戦力になるのか、何が戦力を向うに与える物ではないのかということになると、非常に議論の余地があろうと思います。そういう一つの判定の基準になるものが私はバトル法の線であろうと思います。アメリカの議会においては例の修正案が上程されましたが、バトル法をさらに強化して禁止を拡大して行く必要はないという線がアメリカにおいても取上げられている。自由国家群の中核であるアメリカの議会がそういう決定をいたしたわけでありますから、これは大体世界の線であると考えてもいいと思うのです。ところが日本の通産省でやつている別表による制限を見ると、私どもはバトル法の線をさらに強化した例のケム修正案くらいのところまで行つているのではないかという気がするのでありますが、外務大臣の御理解を伺いたいと思います。
  80. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 ただいまのお話も一理あることでありますが、しかし法案品体の意味から申しますと、バトル法制定の目的はアメリカの軍事援助と受けている国を対象としている。中共に対する輸出制限は、これとは別個に、アメリカの軍事援助を受けている国であつてもなくても、いやしくも国連に加盟している国及び加盟はしてないが国連の憲章に賛成している国々に対して、でき得る限り朝鮮の事態を早く終らせるために輸出制限を中共地域に行うべしという勧告をし、これを実行してもらつておるのであります。趣旨においては非常に似たような結果が実際に出て来ましようが、直接の関係は非常に薄いのではないかと思います。またバトル法もありますが、北大西洋条約締結国の中にも別個に相談してきめる禁止品目等がありますし、われわれの立場からいいますれば、朝鮮の事態にかんがみていろいろの見方はありましよう。標準もいろいろあろうと思いますが、これは関係各国と相縫いたしまして、これこれの物は出さぬ方がいい、あるいは場合によつたら、これこれの物は、この程度なら出してもいいが、これ以上はいかぬというものもあるかもしれない。品物で禁止するのではなくて、量で禁止する物もあるかもしれない。これは実際上の個当な措置を講ずればいいし、また時間がたつに従つて、そういう物の神類がかわる場合もあるかもしれないと思いますが、その方の研究は通産省に適当にお願いして、最も事態に適応するような方法を講じてもらいたい。要は中共貿易は、政府としては緩和しない方がいいと考えておるのであります。
  81. 山手滿男

    山手委員 お隣の朝鮮の動乱と関係があるために、この問題を日本が非常に真剣に考えて行くということは私どもも同感であります。しかし同時に、日本経済をしつかりしたものにして行く、動揺を与えないとい、立場からいたしましても、貿易をしつかりした本台の上に置くということが非常に人切なことになつて来るし、そのために中共貿易会々という言葉が必要以上にやかましくなり、一部の者に利用されておるという事態になつておるのだと私は思うのであります。今の大臣の話を聞いておりますと、いかにも日本が指導権をとつて、そういう立場を各国に勧誘することが望ましいような御発言であります。しかしさつきもお話のありました、でこぼこの調整通産大臣の方でやつてもいいという話でありますが、私はバトル法の線までは出てもいいのじやないか、それから英国あたりが現にやつておる限度のことは日本もやることがむしろ適切じやないかというふうな気がするのでありますが、日本がただ一国で力んでみても、英国だとか、フランスだとか、ドイツだとかいうところが底を抜かしておりましたら、何の役にも立たない。どうもその辺の調子が合わないのでありますが、英国その他の自由国家群が、実際に出しておる程度がはつきりすれば、当然バトル法の線までは出てもいいというお考えなのか。さつきにのでこぼこの調整という話とからんで、もう一度お伺いします。
  82. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 これは実際の適用になると、なかなかむずかしいと思いますが、例を引いて申し上げると、はなはだ妙な例で恐縮ですが、終戦後汽車が非常に込んでおるときに、窓から入り込む人がたくさんあつた。あれを見ておつて、自分は窓から乗るべきでないということを考えておるか、みんなか乗つたらしかたがない、自分も乗つてしまえということをやつたので、非常な混乱を起しました。あれを思い出すのでありまして、ほかの国がかりに多少日本より緩和したことをやつてつても、日本はできるだけ正しい線を守つて行つて、むしろほかの国に反省を求めるというくらいの気持で行かなければ、民主主義国家の足並はそろわないと思います。ほかの国が多少やつておるからこつちもやれということでない方が、私はいいと思つておるのであります。なお一部には、こういうことを言う外国の人たちもあるのであります。それは、日本は今正常の貿易関係からいえばむしろ赤字にたるのに、朝鮮事変のために、あれ以来特需等ができて、貿易か非常に黒字になつておる。いわば朝鮮事変のおかげで、日本の経済が立ち直つたようなところへもつて来て、そつちの方からも利益を得るし、さらに中共貿易の方からも利益を得るということは、虫がよすぎるではないか。これは当つておるか当つていないか別といたしまして、そういう感じもあるくらいであります。特に日本といたしまして、先ほど申したように、国内の治安も直接朝鮮の事態によつて影響を及ぼされる点においては、ほかの自由主義国家の立場とはよほど違うのでありまして、このために多少の犠牲ありとしても、これは忍ばざるを得ないと政府としては考えておるのであります、
  83. 山手滿男

    山手委員 先般例の高良とみ女史、宮腰、帆足王氏が中共に入つて、個人的な会談ではありまするが、協定をいたしておるようであります。今の大臣お話からすれば、こういうものは当然はなもひつかけないということになるであろうと思うのでありますが、これはよく検討して入て、何もこういう不自然なことでなしに合理的に、このバトル法の線をくずさないし、しかも互いにお隣同士だから、政治の主義と経済問題とは違うというふうな考え方で、一応バトル法の線で容認してもいいというものがあれば取上げる御意志はないものか、その点をお伺いしたいと同時に、この中共に入つた王氏は十日前後に日本に帰つて来るようでありますが、帰つて来たら政府はどういう態度で王氏に臨まれるか、あるいはそういう取扱いなどについてお考えになつていることがあれば、この際承つておきたいと思います。
  84. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 これは衆議院の本会議におきましても通産大臣からお答えした通りでありまして、北京で結んだと伝えられる協定はむろん輸出禁止品目をたくさん含んでおります。そういうものは政府としてはたとい引合いがありましても、輸出制限を緩和する意思がないのでありますから、これを許可する意向は毛頭持つておりません。従いまして制限品目でないものについては、何もわざわざ北京でやらなくても、日本で話もできまするし、またブローカー的なものがたくさんおつて、香港を通じ、その他いろいろの方法でやろうとしていることは私も仄聞しております。要するに許可品目になればどこでもできる、しかし輸出禁止品目であればこれはできない、これだけのことと私は考えております、また旅券法に違反してソ連等に潜入しました人たちにつきましては、法にそむいていることは事実でありますが、法に跡則がなければできない。罰則があればこれを適用する。しかしそれは事情をよく聞いてみないとわかりません。今ここでこれをどうするということは言えません。
  85. 山手滿男

    山手委員 中共貿易の問題はそのくらいにしておきまして、今日本とインドネシアとの協定をする会談がジャカルタで開かれようとしておつて日本からも代表がおいでになるようでありますがこの日本、インドネシア会談で私が一番心配をするのは、政府が意図しておられる貿易量よりも、実際にはドル支払いそのほかの関係で小さくなつて行くのではないかということであります。日本の一番いい輸出市場としてはインドネシア地域が最適なものであろう、国民感情からいたしましても、非常に良好な友好関係にあると私は考えておるのでありますが、あまりこちらの方からボンドの過剰などに眩惑され過ぎて、支払いの条件などをきびしく言い立て過ぎるということになると、貿易の数量において非常な不利を招くおそれもあるのでありますが、外務大臣はこれらの代表に対して、どういう方針で臨むように指示をされるつもりであるか、外務当局の御方針を承つておきたいと思います。
  86. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 これはなかなかむずかしい問題で、ひとり外務省の問題でありませんので、通産省とも経済安定本部とも相談いたしまして、政府の方針をきめて、これを代表に訓令として渡すわけであります。おつしやる通りで、一方はに今までの貿易じりといいますか、これが日本輸出の方が非常に多かつたために、たくさんの金が受取り勘定になつておるわけであります。これは本来ならドルで精算してもらうべきでありますけれども、向うもそうドルは持つておらない、これをいかにして片づけるかという問題が一つと、それから今後の貿易量をどういうふうに定めるかという二つになるわけでありますが、政府としても一方においては貿易の伸張はぜひはかりたいが、同時に受取り勘定のものがたくさんたまつてしまうということは――国内において資材なり労務なりの金がたくさん出る、その金を引上げるべき物資か入つて来ないということになりますと、これはまたインフレを助長することになりますし、またポンドの過剰が至るところでそういうふうにふえるということは、日本貿易からいいましてもなかなか重大なことでりますので、それをどういうふうに調整するかということに苦慮しておるような次第でありまして、これはさらに代表が向うに行きまして、向うの実情もよく話し合つてみて、こちらの状況も話し、そうしてなお輸入すべき品物等がどの程度あるか、これを現地においてよく調査して、その報告を待つて決定的な意見をきめたいと思つておりますが、貿易量をただ減らそうという考えではなく、むしろふやしたいのでありますが、ただその受取り勘定の増加ということが非常に心配になりますので、調整の問題に苦しんでおるような次第であります。
  87. 山手滿男

    山手委員 通産省の方は貿易についてはもちろん積極的でありますが、外務省の方が――大蔵省もややそういう傾きがあるのでありますが、消極的だと考えられる立場をとつておられる。これは日本産業経済の上からは非常に重大なことであります。たとえて言えば、今度の日本、インドネシア会談においても、これは非常に重大な会談でありますから、業界人あたりもオブザーヴアーでも随行員でもよいから参加させてほしいという申出があつても、通産省の方は何とか骨を折つて業界人の意見を反映させ、いろいろ向うの業者とも懇談するチャンスをつくつてやろうというような考え方を持つておるか、大蔵省あたりは、これは支払い協定だけだ、そういう手続の問題だけだから行つてもしかたがないのだということで、非常に手がたくというか、小さくお考えになる、万事がそういうふうでありますが、こういう点についてもつとオープンに、外務大臣が積極的な態度をとられることが果ましいように思うのでありますが、この点についても外務大臣から所見を承りたい。  それからあまり貿易じりが不均衡になつて来るために、日本とインドネシアとの貿易は困難だ、量が少くなつてもしようがないというふうなお考えのようでありますが、     〔中村委員長代理退席、高木委員長代理着席考え方によれば、私はこれを打開して行く道は幾らでもあるように思います。私がこの際お伺いしておきたいと思うことは、これは産業燃料政策とも関係があるのでありますが、先般からインドネシアの前外務大臣日本にやつて来ておるはずでありますが、北スマトラのメダン付近の油田が向うのBPMの権利になつておりましたのが、期限が来て権利が消滅をいたしておる。そのために比較的向うは反爽というか、反オランダというふうな雰囲気もあつて、戦前日本の帝国石油あたりが向うに進出をして、現に日本人が管理してうまくやつてつた関係もあつて、できれば日本業者に北スマトラの油田の権利の切れたものを開発してもらいたい、こういう希望を向うからも述べて来ておるようであります。これはいろいろな関係から今日まであまり表ざたにはならなかつたようでありますが、私はこの際日本から大いに輸出もする、そうして日本人のプラント輸出や何かの意味を含めて、日本にはない物資を経済協力の建前からも推し進めるということが非常に大切だと思うのでありまするが、この点についてどうお考えか。実際に向うの意思もあれば外務大臣は推進をしてもいいというお考えかどうか、通産次官もおられますので、御両方からこの点についての御説明を願いたいと思います。
  88. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 初めの御質問でありますが、外務省は決して消極的というわけではないのでありまして、これは各省によつおのおの立場がありますから、通産省はできるだけ貿易の伸張ということを考えるのは当然でありますし、大蔵省側ではできるだけボンドの累積を防ぎたいという気持もよくわかるのであります。外務省はむしろその間に立ちまして何とか調整をいたしたいというつもりでいろいろ考えております。貿易の伸張ということもむろん重要視しておりますから、私もいろいろだめしてみればまだ貿易量の増大の方法はあると思つて、そう頭からだめだと考えているわけではありません。今度の代表の首席で行く者は外務省の者でありますが、よく申し含めまして、できる限りあらゆる方法であらゆる方面に研究を進めて、何とか貿易量の増大をはかるように努力して行きたい。これは工として輸入の問題になつて来るのでありますが、そういうことを言つておるのであります。  経済協力の方の問題は、これは先般インドネシアの代表が賠償問題で来たときも、政府の方針として先方に伝えておいたのでありまして、でき得る限り経済協力は賠償とは別個に推し進めてみたいと思つておりますし、またあらゆる努力をわれわれはしてみるつもりでおります。このために日本政府に一時多少の負担があつてもこれは承知の上だ、というのは和平の国が繁栄すればそれによつてまた貿易量が増大して日本利益になるのでありますから、一時金がかかつても、日本の犠牲か多少あつても、できるものは推し進めて行くべきだと考えて、先方に話したのであります。ただ気をつけなければなりませんことは、戦争前から戦争中の余波でもありましようけれども、いわゆる日本の経済的侵略といいますか、エコノミツク・イン、ヴエイシヨンとかエコノミック・インピアリアリズムという点であらぬ誤解を招いている点もありますので、あまりこちらから積極的に旗を振りまわして進むということは考えものなのであります。なるべくこの点は受身になりまして、先方の希望がありますれば、あらゆる努力をしてその希果に応ずるような措置を講ずるという実際的の方法でやつて行きたい。日本政府の意向はインドネシア政府もよく承知しているものと考えておりますし、賠償交渉の段階における話合いについては、インドネシア側も非常にこれを弄んでおります。機会かあればこの点は推し進めたいと考えております。
  89. 本間俊一

    ○本間政府委員 ただいま岡崎外務大臣から御答弁がありました。それで尽せておるかと思いますが、担当の官庁でありまする通産省といたしましても、いい話でもありしますので、できるだけ推進をして参りたいという考えを持つております。
  90. 山手滿男

    山手委員 まことに私どももそうありたいものだと思います。石油の話は向うの方としても非常に希望をいたしておるようでございますし、特に通産省、資源庁を中心にして、外務省に積極的に援助をしてもらつて、片貿易を修正するような処置をこの際おとり願いたい、こう思います。  さらに私は具体的に、また個人的にもよく聞いておりますが、ジヨクジャカルタのサルタンが日本から紡績機械約五万錘を買い入れて、ジヨクジャカルタにすえつけたいということを言つて来ております。戦前にもジャワのガルー方面には日本からも持つて行つてすえておりますし、日本産業経済、工業の実態をよく承知しておりますので、まじめにやつて来ておると私は考えておりますが、こういう面についてもこの際日本、インドネシア会談を利用してぜひ向うの意向を確かめていただいて、向うがほんとうに積極的にやつて来る意思があるならば、日本業者も協力しやすいようにひとつ処置をしたいと思うのでありますが、その点について外務大臣及び通産大臣の御答弁をもう一度お伺いしておきたいと思います。
  91. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 私もお考え通りの気持でおりまして、この点は今度行きます者にもよく申し含めてあります。
  92. 高橋龍太郎

    ○高橋国務大臣 まことにごもつともな御意見であります。この春参りました賠償問題の使節団――これは使節の資格ではなく個人的にでしようが、あるとき私に話しますのに、自分の国の開発はどうしても日本にたよるのが一番有利になつて来る、賠償もほしいけれどもそれ以上にそういうことがほしいということおつた。むろんわれわれ日本としてもそういうことにはできるだけ努力してあなたの国の開発をはかることは日本としても果ましいのであります。また何か一種の義務さえ感じておると申しました。そのときの人の話に、日本との間に合弁会社のようなものをつくつて、その経営とか技術とかいうものは実際のところわれわれの方はとてもかなわないのだから、資本は普通の場合には五十対五十ということにして社長だけはひとつ自分の方から出すことを認めてくれ、実際の経営は全部日本の方でやつてもらう方が有利なんだからというような打解けた話もあつたのです。だんだんそういうことが実現するようになると、私は非常に期待しておるわけであります。
  93. 山手滿男

    山手委員 日本、インドネシア会談の問題はそれだけにいたしまして、今経済界で非常に注目しておりますのは綿業会談であります。この綿業会談は日本輸出貿易の大宗である繊維産業の問題であるだけに、この初秋に行われる綿業会談は日本にとつては重大なものであると私は考えております。外務省の方もいろいろ御協力になつて、陣容の点そのほかについても着々とその準備が進んで、おるように聞いておりますが、この点についてひとつ政府のお考えをお伺いいたしたいと思いますのは、これは純民間会談で政府はあまりタッチしない建前で行くのだというお考えで外務省あたりは臨んでおられるようです。ところが英国におきましては、ランカシアあたりを中心にしてこの綿業会談に臨む態勢を整えております。これは官民一致してこの日本繊維産業をどういうふうにして抑えるかということで、表面は業者が立つておりますが、その裏面を見るといろいろな情報が入つて来ておりますが、政府が中心になつてこれを推進しておるということがよくうかがわれるのです。これは日本繊維産業とランカシアとが真正面からけんかをするようなことに持つて行くのでなしに、うまく話合いをつけるという友好国同士の関係でありまするし、私は単に業者だけが手前みそに動いて行くというよりか、もう少し政府当局が積極的にお動きになる建前をおつくりになることが好ましいと思いますが、その点についてどういう方針で行かれるのか、外務大臣通産大臣から所見をお伺いいたします。
  94. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 これはいろいろ御意見もあろうかと思いますが、今のところこれは業者間の話合いということになつおりますので、われわれはその建前で進んでいるのであります。イギリス側でどういうことをやつておりますかこまかくは知りませんが、日本でも決してただ業者のかつてにまかせているのではなく、外務省も心配しております。通産省は特に心配していろいろ話合いを進めております。国内の設備その他の関係もありますので、実際に合うような、そして日本立場を誤解しないような資料等もできるだけ備えて行くつもりでおります。むろん業者を主といたしておりますけれども政府が全然知らぬ顔をしているわけではないのであります。
  95. 高橋龍太郎

    ○高橋国務大臣 今度のことは民間の話合いとして起つたのでありますが、むろん私どもは綿業業者とは密接な連繋をとつております。業者の代表はようやく数日前きまつたのでありますが、昨日も多分団長になるだろうと思います阿部氏に会いましたのですが、近いうちに役所の方へ見えまして、阿部君たちが会談について十分打合せをするということでおわかれしております。やはり現在のとこるでは民間の業者が主体あることがいいと思うのですが、政府としては必要な場合にはむろん幾らでも援助する決心を持つております。
  96. 山手滿男

    山手委員 私はこういうことをお聞きいたしましたのはほかでもないのでありますが、日英支払い協定の満期は八月には参りますし、英国が非常に悩んでいるところのポンド対策あたりが非常に手きびしいものでもありまするし、この綿業会談の成行きというものは、日本政府の支払い協定に対するドル・クローズなんかの基本的な考え方、あるいは日本が向うに市場を求めて進出して行きます場合の行き方というふうなものに非常に大きな関係があるわけでありまして、政府業者の方からの申出に対して受身でなしに、積極的にそういう基本的な地固めになるような問題を早く片づけて行くように処置をしていただきたい。ことにドル・クローズをどういうふうにするかという問題がこれから大きな日興貿易の問題になつて来るし、それが日本繊維産業輸出の面に響いて来ることになるだろうと思いますが、これについても通産当局と大蔵当局とそれから外務省との見解が必ずしも一致しておらないのではないかと考える。向うの方にも、日本考え方があやふやで一致していない、いわば弱腰ながあるということを見透かされておつて、この綿業会談あたりには非常に支障か来るおそれもあろうと思うのでありまして、従つて早く業界などの意見を積極的に聞いていただいて通産、大蔵、外務ごの三省が一体となつた態勢を推し進めていただけることが非常に重要であろうと思うのでありますが、その点について両大臣から御意見を承りたい。
  97. 高橋龍太郎

    ○高橋国務大臣 ごもつともな御意見であります。昨日の阿部君との話では、今度の会議では、あまりむずかしい問題は、おそらく出さないのじやないかというような予想をしております。いずれにしても、この諸君が出発前に十分懇談いたしまして、日興支払いなどに関する問題についも、考えを十分打合せておくことは、きわめて必要だと存じます。
  98. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 意見が齟齬しておるというようなことは、私は曇もないと思います。もつとも、こういうものに限らず、何ものについても、きまるまではいろいろの意見を述べて検討するのは当然であります。たとえば、通産省の通商監も通商局長も、実は外務省出身の者が行つておりますし、またロンドンには有力な大蔵省の者が大使館付になつて行つております。そんなようなわけで、東京でも通産、大蔵、外務というところで、意見が合わないできまらないということは、今までは一つもない。今後も、むろんそういうことに努めますが、私はそういう点はまず御心配ないじやないかと思つております。
  99. 山手滿男

    山手委員 意見が違つてきまらないで困るということでなしに、積極的に早く統一した意見を出して、業界に一つの方向を与えてもらう、そういう行き方が、政府が業界を鞭撻していただけることになるのではないかと思うのであります。支払い協定が満期になりまして、その後の方針がいつまでもきまつておらないということになると、やはりいろいろ影響して来ることが予想されるのでありますから、そういうことをお伺いしておるわけあります  いろいろございますが、約束の時間が参りましたので、私は、貿易の点についての質疑は、この程度で打切ります。
  100. 高木吉之助

    ○高木委員長代理 他に質問はございませんか。他に質問がございませんければ、本日はこの程度にいたし、次会は来る十日午前十時より開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時十五分散会