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1952-06-05 第13回国会 衆議院 通商産業委員会 第48号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年六月五日(木曜日)     午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 中村 純一君    理事 小川 平二君 理事 多武良哲三君    理事 中村 幸八君 理事 山手 滿男君    理事 今澄  勇君       阿左美廣治君    江田斗米吉君       小金 義照君    高木吉之助君       土倉 宗明君    永井 要造君       淵上房太郎君    南  好雄君       高橋清治郎君    加藤 鐐造君       横田甚太郎君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     横田 正俊君         公益事業委員会         委員長     松本 烝治君  委員外出席者         専  門  員 谷崎  明君         専  門  員 越田 清七君     ――――――――――――― 六月四日  特定中小企業の安定に関する臨時措置法案(南  好雄君外二十二名提出衆法第六一号) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  特定中小企業の安定に関する臨時措置法案(南  好雄君外二十二名提出衆法第六一号)  電気事業に関する件     ―――――――――――――
  2. 中村純一

    中村委員長 これより会議を開きます。  本日はまず特定中小企業の安定に関する臨時措置法案議題といたし、提出者より提案理由説明を求めます。南好雄君。
  3. 南好雄

    南委員 ただいま議題となりました特定中小企業の安定に関する臨時措置法案提案理由について御説明いたします。  思いまする中小企業がわが産業構成上特異な重要なる地歩を占めていることについては、いまさら申すまでもないことであります。わが中小企業は、企業者数においても、生産量においても特定産業部門の過半以上を占むる部門が多く、また生産品目においてはいわば普遍的性質を持つた品目生産分野のものが多く、さらに資本構成におきましては弱小にもかかわらず、その従業員数は全産業の七八%を占め、その関係層は広く、その結果は社会問題的性質をも内包していることは御承知のとおりであります  従つてわが国産業経済を考うるにあたりましては、必ず中小企業の問題をあわせ考えねばならないことは当然であります。しかもわが経済は近時朝鮮事変後の異状景気かち逐次平常的というべき今日の事態に復帰いたしまして、これに加えてその根底は深く世界の政治、経済上の複雑なる関係にきざし、また国内的にも経済活動の急激な上昇を期待し得る言葉が少なく、むしろ全般的に耐乏のうちに良質廉価産業鉄則の具現を自標に実力をつちかうべき時期に到達したものど言い得るものの、その影響中小企業にとつては致命的な分野も少しとしないのであります。かかる分野においては、合理化企業努力を妨げざる最小必要限度において、暫定的にその中小企業分野の安定をはかる措置をとることも、前述せるごときわが中小企業の特質にかんがみ、国民経済全般の健全なる発展上必要欠くべからざるものがあるのであります。  本法案根本趣旨は、そこにあるのであります。なお本法案のおもなる骨子をあげますれば次の諸点にあるのであります。  その第一点は、如上の趣旨に基き、本法の適用を受くる中小企業業種は、工業部門に属する業種のうち当該業種総数の三分の二以上が中小企業者であり、かつ過去一年間の総生産数量のおおむね二分の一以上が中小企業者によつて生産せられている業種であつて、しかもその製品の需給が著しく均衡を失し、そのために当該産業及びその関連産業存立に重大な影響を及ぼすおそれがあるものに限つていることであります。なお右指定業種法律によつて指定されるのでありまして、政令に委任するものではないのであります。  その第二点は、かかる指定業種を営む者は、組合員総数がその地区内において指定業種を営む者の総数の二分の一以上であり、かつその組合員の三分の二以上が中小企業者である場合に限つて調整組合を組織することができるということであります。しかして調整組合当該業種にかかる産業における危機を打開するための必要かつ最小限度範囲内において、並びに不当に離別的でない限りにおいて、組合員指定業種にかかる製品生産数量もしくは出荷数量またはその製造の設備に関する制限を定めることができることであります。なおこの制限内容、その実施に関する定めについては、ももろん通商産業大臣認可を必要とするとともに、通産大臣はこれが必要なしと認むるときは、その認可を取消すことのできることとしていることであります。  その第三点は、調整組合連合会が組織され、同一業種に属する事業を営む者の大部分が一つ連合会総合調整計画適用を受けるごとになつた場合において、同一業種を営む者の組合員以外の事業活動連合会自主的調整効果を著しく阻害し、かような事態を放置しては当該業種にかかる産業及びその関連産業存立に重大な悪影響があると認めるときは、通商産業大臣は、連合会の申出に基き、組合員以外の者を含むすべての考に対し、同一基準の制限に従うべき旨を勧告ができること、さらにももし右勧告をもつてしてもなお効果のないときは、同一内容制限を命令することができる点であります。  その第四点は、本法案内容の及ぼす影響重要性にかんがみ、通商産業大臣の行う行政行為重要事項審議するために、中小企業安定審議会を設け、その委員には指定業種を営む者、その製品販売業者消費者指定業者関連業者及び学識経験者を任命することとし、公平性民主性とを保持した点であります。  その第五点は、本法案内容は、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律並びに事業者団体法適用を排除する点であります。  以上のごとく、要するに本法案は、わが中小企業の特性にかんがみ、その合理的発展を意図しつつも、臨時的に必要最小限度において、特定産業の安定をはかり、ひいては国民経済の円滑なる運行を進めるために、必要にしてやむを得ざる最善の措置なりと確信しているものであります。何とぞすみやかに御審議の上、御賛同せられんごとをお願いする次第であります。
  4. 中村純一

    中村委員長 以上をもつて提案理由説明は終了いたしました。本案に対する質疑次会において行うことといたします。     ―――――――――――――
  5. 中村純一

    中村委員長 次に電気事業に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますから、腰抜これを許します。山手滿男君。
  6. 山手滿男

    山手委員 先般の本会議における今澄議員緊急質問の際に、議場が騒然といたしておりまして、松本委員長お話せられることがわれわれにもよく徹底をしてお聞き取りすることができなかつたのが残念であつたわけでありますが、この委員会は、十分詳細に従来の経過なりいろいろなお考えを承つて、この問題の解明に役立ちたいという気持を持つておりますので、まず松本公益事業委員会委員長から、本会議でお述べになろうとした大要でもよろしゆうございますから、経過の詳細を承りたいと思います。
  7. 松本烝治

    松本政府委員 ただいまの御質問にお答え出し上げます。一昨夜の議場におきまして、もう少し詳細にかつ明瞭にお答えをしたいと思いましたが、いかなる理由か、議場が今おつしやつたように非常に喧騒をきわめまして、私のような老人の声ではとうてい徹底できない。私がこうやつて見ておると、速記者速記がおそらくできなかつたように見えました。どういうわけか存じませんが、はなはだ遺憾にこのことを感じました。ただいま今回の東京電力総会が中途で終つてしまつたという変なことが起こりましたことについて、われわれ委員会の知つおることについて述べてくれというお話がありましたが、実は一昨々日でございましたか、参議院の方で質問がありまして、その際は議場もきわめて静粛でありましたので、相当述べまして、その速記録が、私けさちよつと見まして、よくは見ておりませんから間違いがあるかないかわかりかねますが、もし必要がありましたら、そういうものをごらんをいただきたいと思います。しかしここできわめて大要を途べまして、さらにご質問に応じて、いろいろ詳細を、述べたいと思います。  ご承知のように電力会社の再編成は、昨年の五月一日にでき上がつた。その際に、旧配電会社九つ日発という発送電会社、この十会社が解散されまして、九つの新しい電力会社ができたのであります。これらの旧会社はいわゆる過度経済力集中排除法で排除さるべく命令されておつたものと思います。伺か私はつきり存じませんで、間違つておるところがあつたら直してもらいますが、そういうふうなわけで、再編成ができたわけであります。当時日発が再編成の結果としまして九つの各電力会社の株を、自己の出資した財産に応じて、非常に大きな株を持つてつたのであります。これをいつまでに日発旧来株主にもどさすかということについては、通常集中排除法によつて、そういうことが起りました場合には、たいがい役員任期をきめますのに六箇月という例が多かつたそうであります。当時も大筒舟でよくはないかという説がありました。たしか私の記憶では、当時アメリカから来ておつた司令部へたちも、ほかの例が六箇月だから、これも六箇月でよくはないかという話がありましたが、これに対しまして、私はどうも今までの会社とは大分違う。実際日発会社は非常に大きい、株主の数も本数万になつておる。そしてそれらの株主が九会社の株をわけてもらうのであるから、大箇月ではあるいはわけ司れぬようなことが起りはしないかと思う、一年あればこれは十分だろうというので、一年ということに任期をきめまして、従つてこの五月の下旬に各会社においてすべての役員任期が満了しまして、これらの人たち改選をすることになつたのであります。この日発清算につきましては、われわれの委員会は何ら権限を持つておりません。これは全部公正取引員会の方で監督をされる。従つて多分順当に進んでおると思つておりました。ところが必ずしもそうでない。なかなかひまがかかつておるようだということも聞きました。五月の初めごろから、たしか各電力会社株式名義書きかえは停止されて、その時分にまだ自発では一株も株主に分配しておらぬ。従つて全部の株を日発一社が持つてつたということを聞きまして、はなはだ意外に考えました。しかしこれはしかたがないことと思いまして、この株主権をもし濫用して行使されることがありましては、電力界の秩序が乱れてしまうということを心配いたしまして、たしか五月十六日付で公正取引委員会の方に私の方の意見を御参考のために書面にして差上げました。その一つの点は、以前から衆議院はもちろんまた参議院等におきましても、どうも新しい電力会社役員が少し多過ぎる、使用人やなんかも多過ぎるという話でありましたが、使用人の方は当時再編成の際に減らさないということにきめられておつて、これは減らすわけに行かなかつた役員はわれわれが指定したのでありまするが、その数が多過ぎる、もう少し合理化した方がいいというお話委員会等でありました。われわれもごもつともと考えて、よい機会があつたらなるべく減らすようにしたいものだということを答えておきました。その趣意を述べまして、どうか今度の役員改選の際に数がふえるというようなことにならぬように御注意を願いたいということ。第二点としては、現在の電力会社役員は私どもの見るところでは大体においてまずうまくやつておる。もちろんその役員は主として配電会社及び自発役員がなつておるのでありまして、これらの仲はなかなかしつくりとは行きかねる。しかしながらすでに一年を経過して、どこも大体においてしつくり行つておる。内紛なんというものも一向ないようです。これをまたさらにいじり直すということがあるとたいへん困りはせぬか。せつかく会社が非常に勉励して、あるいはロスの軽減なんということには目ざましい功績を上げております。また電源の開発につきましても、火力と水力と合せて二十六年度にはたしか四十一万キロくらいの開発をしております。これはあたりまえのことではとうていできぬほどの勉強をしてやつておる。これらの成績から考えて、今役員をいろいろ変更するような議が起つては困るから、そういうことには多分株主総会でならないと思うが、日発議決権行使について監督権を持つておられる公正取引委員会においては十分御注意願いたいという意味のことを書面で申し上げました。それに対しては書面はたしかいただいておらぬかと思いますが、公正取引委員会の方もまあ同意されておるようにわれわれは聞いております。そういうぐあいでありましたが、他の各配電会社におきましては多少の人員の変更はありました。しかしこれらはみな現在の役員日発側人たちとも話合いをして、別にどつちにも異議なく、大体において旧来のままできた。しかるに東京電力についてはそうは行かなかつた、というのは新木榮吉君が東京電力の会長をしておつた。それが最近御承知のように米国駐剤全権大使になられまして一人欠員ができた。私どもの聞くところによると新木大使がたしか相談を受ける前くらいに、東電において電役会を開いて、あとをどうするかということをいろいろ協議をされたそうであります。その際にすべての人の意見は、今重役の間にも別に内紛はなく、大いに成績も上つておる。どうかひとつこのままで行つて1新しい人が一人でも入るということになると、やはりいろいろの心配もありえるから、このままで人を減らしてもふやさないという公益事業委員会の方針からいつても、むしろ一人減つたことがいいかもしれない、だからそのままにしておきたいということが何か東京電力役員会新木君も出席された際に決定されたように聞いております。それで東京電力はそういう考えでおつたようであります。それに対して日発清算人の側からは何とかかえたいような意見があつて、いろいろ交渉があつたそうであります。しかしこれらに対しては、自分の方はかえないで行きたいということにほぼ決定しておるからという返事をしておつたそうであります。そういう状態でありましたところが、突如として二十九日の総会の前日の二十八日に日発清算人の側から、公正取引委員会に、新たに三人の役員を入れたい、全然新しい人を入れたいというので、その名前等を示して請求があつたそうであります。これはこまかくあと公正取引委員長からお話があると思いますが、それに対して公正取引委員会におきましては、現員の数をふやしたくないということについて御注意になつたと見えまして、すなわち新木君の欠員を補充するということにすれば十五人ということになる。十五人以内において今の三人の人を入れるということの議決権行使はよろしいということを、たしか二十八日の午後か何かにお申渡しがあつたように聞いております。そのことをわれわれが聞きましたのは、二十九日の午後もよほどおそくであつたと思います。そのときに私は、おそらくこの三人の新しい候補者というのは、白鷹側全部を入れる考えではない、現在の人たちの上に新木君のかわりに欠員があるから、三人のうちだれかを入れるという魚味だろうと実は思つておりました。そのくらいのことならあるいは大したことでもなかろうかと考えておりました。しかるに二十九日十時から総会が始まるという当日の朝九時半ころに電話で、そういうわけではなく、三人の人を全部入れる、そのためにはどうしても二人現任着々どかせなければならぬ、その二人の現任者をどかす人は安藏社長常務取締役の堀越君、この二人をやめさせて、そうして今前日に言われておつた三人の人を入れたいというような話であつた。はなはだ意外であるがということを聞きました。たいへん意外なことで、そういうえらいことを当日の朝になつて突如として申し出すということは、これは通常の場合ではあり得ない。昔その会社を乗つ取るというようなときにはときどきそういうこともあつたようであるが、たいへん驚くべき話であります。私はその際いろいろ考えました。そういう議決権行使は、たとい公正取引委員会の承認がありましても、これは明らかに権利濫用であつて、そういうことをすれば違法でふると私は考えます。権利濫用につきまして一言よけいなことをお話申し上げますが、権利の濫川の瀧法である、濫用したところには権利はないということの観念は、これは十九世紀の末項、資本主義の欄熟した時代から出て来た観念であります。初めはだだ一、二の学者がそういうことを言い出したにすぎない。しかしながらその学説がだんだんと実を結びまして、最近に至つては方々の国でそういうことになつております。御承知のように、日本民法昭和二十二年に改正されたときと思いますが、第一條にこれを明記しております。民法の第一條では、第一項において「私権ハ公共ノ福祉二遵フ」第二項において「権利行使及ビ義務履行ハ信義二従ヒ誠実二之ヲ為スコトヲ要ス」第三項において「権利濫用ハヲ許サス」こういうことを規定いたしております。こういうような思想は、最近五十年の間にだんだん各国の判例等ででできて来ておるのであります。またそれにやや近いような立法も最近の立法にはあるのであります。しかしこれは十九世紀時代権利思想とは全然違う。十九世紀時代権利思想というものは、権利があればどんなことでもできる。いかに不当に見えるようなひどいことでも、権利権利でできるのだ。たとえば隣のうちの地面を買おうと思うが、どうしても売つてくれぬ。売つてくれないのはしかたがない。そうすると、その境に恐ろしい高い塀を建てて、隣のうちには風も入らぬようにしてしまうというようなこともさしつかえないというように乱れておつた。われわれもそういう実例を東京市中においても見ました。また私ども五十数年前に法律習つた時分には、そういうことでいいということになつておりました。しかしながらそれは全然かわりてしまつた。そのかわりましたいろいろの判例等のことを一々お話すると一時間も二時間もかかると思いますからそれは申し上げませんが、日本でも判例によつて権利濫用は違法であつて不法行為を構成し得るというような観念判例等でだんだんできております。たしか大審院判例で最後に出て来たのは、昭和十年ごろだつたですか、よく覚えておりませんが、それは温泉の水を運ぶための管がある人の持つておる土地の中を断りなしに通つた、これは昔の十九世紀時代権利の絶対性を認めておる原則から申せば、これはもちろんのけさすことができる、当然の話と当時の多くの人は考えたと思います。しかしながらこれについて非常に争いかあつた結果、たしか大審院かと思いますが、これは権利濫用でのけさすことはできない、無断で自分地面にそういうものか入つて来たというか、これは公共のために必要なことである、それをのけさすようなことは権利行使としてはいかぬという判例がたしかあつたように思つております。そういうようなことから、その点を明らかにするために昭和二十二年に民法の改正ができたと私は考えております。今の法律の解釈からいえば非常に明らかなんです。今申したよううに民法の第一條規定があります。だれが見てもひどいじやないかというような権利行使ということは濫用である、そういう行使はできないのだ、それを無理にやれば違法であつて、すなわち不法行為になり得るというように見ることは、これはもう明文によつて法律が明らかに規定してしまつたことであります。私の考えでは、あの際にもしただいま述べたような日発清算人権利行使があつたとすれば、これは明らかに権利濫用で、確かに違法であつて無効であると思います。それはなぜかと申せば、言うまでもなく商法の規定によりますと、解散した会社清算目的範囲内においてなお存続するものとみなすという規定があるのであります。すなわち解散された清算会社というものは、その権利能力清算目的範囲内だけにしか存しておらぬ、それ以上には存しておらない。解散される前の会社であれば持つておるところの株式について株主権を十分に行使できる、そして自分の気に入るような軍役を選んで、これによつてその会社が適当な業務をやつて行くようにしたいということはできましよう。しかしながら解散後の会社は、清算目的範囲内においてのみ存続しているにすぎない。そういう会社自分の持つている株式株主権行使して、他の会社の人事に関与するというがごときは、これは明らかに権利濫用であると私は考えます。しかしそんなことを言つてもしようがない、よく話をしたら何とか清算人も反省するだろうと考えまして、私は昭和二年以来日本工業クラブ事務所を持つておりますので、その事務所行つてひとつよく状況を見たい、電話等ではとうていわからぬというので事務所まで出かけました。ところが清算人自体は出席しておらぬ、清算人代理人としてある弁護士が一人出席しておる、その弁護士がそういうことを言うのであつて、どうにもしかたがない、もう話合いをする余地も何もないという話でありました。それは困つたことだが、もしそういうことで決議ができたら、あとで必ずや決議取消し訴えその他これに基いての新しい役員職務執行停止及び代行者選任というような仮処分の申請というようなものが東電の方の株主等から起されはしないか、そういうことになつてもみ合つてつたらはなはだ困つたことであると考えましたが、いかせん私どもは何ら権限を持つておりませんので、事を傍視しておるのはかなかつたという状態でありました。私どもがこのクラブに参つたときには、役員選任議案だけを残して他の議案はすでに決議され、そこで休憩をしておつたそうであります。大勢株主がそとへ出ておつたように見えました。それはいたし方がない、どうも困つたことだと思つておりました。ところがあと状況を聞きますと、株主中から、この総会は今は流会にして、もう一ぺん総会を開いてそれまでによく協定をしてやつてもらいたいというような議があつたそうであります。多数の株主がこれに賛成をしておつて、そのときにほんとうを言えば決をとるべきだつたと思いますが、しかしながら多数の株主賛成によつて流会宣言をしたそうであります。法律的にこれを見ますれば、この流会宣言正当防衛であつて、よろしいと私は今もそう考えておりますが、何しろそういうことで流会になつて総会終つたそうであります。しかるに目発側の今の代理人ら数人の人が同日の夜八時何十分かに集つて、前の総会後の継続だと号して役員選任か何かを決議したそうであります。かくのごとき決議会社の何ら関知しないところでありますから、もちろん全然無効なものであると私は考えております。そんなようなことではなはだ遺憾なことが起りました。しかし結果から申せばそれによつてこういう不当な行為が遂行されないでしまつた、もしそういう行為が遂行されたならば、あとで非常な騒擾を来し、電力会社事業に大いなる阻害を来したと思うのであります。そういうことなしに済んで、この当否いかんということについては、もし裁判所訴えでも起れば裁判所がこれを決定されることと思います。われわれは関与するところではない、そういうことではなはだ遺憾なことでありますが、非常なやつかいなことにならずに途中で済んでしまつたということはむしろよかつたよう考えております。いずれおそらく近いうちにさらに総会を開いて役員選任決議をするごとと思つております。
  8. 山手滿男

    山手委員 ただいま松本委員長から経過を承りまして、日本産業を左右するところの電力界において、かくのごとき不祥事が起つてつて、あたかもいなかの三流会社お家騒動をやるまねをしでいるのではないかと思われるような醜態を天下にさらしておることはきわめて遺憾でございます。しかしこれは単に今度の総会において問題がこういうかつこうで現われたというにすぎないのでありまして、根は深いものがある、こういう気がしております。それは別といたしまして、ただいま委員長から承りました経過の中できわめて重要な点が二箇所あると思う。一つは、旧自発清算が非常に遅れたことは、何かためにするその背後の考えが動いておつたから、こういう事態になつたのだという御所見のようにも承りましたが、この点が一点、もう一点は、権利濫用というお話がありましたが、これは横田公取委員長がおいでになつておりますから、対決ということでもないわけでありますが、あとから双方の見解をただしてみたいと思います。清算に入つておる日発が、この段階において株主権行使することは権利濫用であると松本委員長はおしやつた。同じ政府機関である公取の委員長は、これは許した方がいいということでお許しになつた。両政府機関において見解の対立があるわけでありますが、この二点が非常に重要な問題点であろうと思います。ところで、日本の商法の大家である松本先生から、日発清算が進まないでああいうことになつた。この清算が非常に遅れたということは通常状態であるか、やむを得ない状態であるのか、あるいはやろうと思えば、今まで幾らでもやれたような事態であつたかどうか、そういう点を御説明願います。
  9. 松本烝治

    松本政府委員 ただいまの御質問にお答え申しますが、私は日発清算について内容をさつぱり存じません。これについてもつと早くできたろうということを言うことはむずかしいと思います。ただ株式をわけるというのは、残余財産自体を分配するという最後の段階においてやるのではない。私の知つておるところによりますと、各会社において清算の際株式をまずわけてしまう。それはどういうことかと申しますと、あとになつてこれだけの財産は十分ある、つまりあとで金をわけるのが残余財産のほんとうの分配である。そのわけるべき金について一まず適当と認めるだけの株式を事実においてわけてしまう。これは多くの会社は解散をすると早い間にやります。そうしませんと、今の集中排除法のごときものによつて会社がだめになつてしまつたというときに、三年も四年も清算がかかる、その間に訴訟もできる、たいへんなひまがかかります。そういう間新しい会社株式というものはまつたくもらえないということになつては、株主は非常に迷惑です。そういうことにならぬために、解散すると同時に株式の分配を適当な範囲においてきめ、そしてあと株主に払う金をかたにして、株式の方はまず分配してしまう、しかる後におもむろに清算をやる。その清算の方は場合によつて訴えでも起されますとずいぶん長くかかります。小さい会社でも二、三年くらいかかつた例はあると思います。その間株主はすでに株をもらつておる、その株をもらつたかわりにあとでもらう金はもらえない。差引計算いたして、残つただけの金はさらに追加して残余財産分配としてあとでもらいます。集中排除法の適用でできたような場合には、おおむねそうやつております。そういうことになれば、株式の分配ということはそんなに長いことはいらないのじやないか。私の知つておる範囲においてはどこでもやつておる。今度日発株式を分配するそうでありますが、これもやはりそういう方法でやるのであつて清算が結了するのはおそらくはまだ二年やそこらかかるのじやないかと考えております。そういう方法を今度とるのだと私は考えております。そうなればそういう方法はもつと早くきたと私は考えておるのであります。
  10. 山手滿男

    山手委員 松本委員長清算に関する御説明は一応よくわかるのでありますが、この点に関して公取の委員長から、何百万株というようなもの、しかも零細な株主がたくさんあつて、それを寄せ築めるためにひまがかかつたというような説明を先般私承つたのでありますが、公取の見解はどうか。また清算に関して過度集中排除法のごときものによつて清算に入らざるを得なくなつた会社清算監督を、公取の委員長はどういうふうにしていらしやつたか、まず承りたいと思います。
  11. 横田正俊

    横田(正)政府委員 日発株式の分配に関しましては、特に御要求がございましたので、先般本会議ではなはだ簡単ではございましたが一応アウトラインを申し上げたわけでございます。それに附加して申し上げさせていただきますが、株主が非常に多うございますことと、分配すべき株が約六百万株にも及びますこ乏と、新会社の額面株が十倍の五百円というような関係からいたしまして、決定指令で一応きまりました率だけによつてやりますと、非常に小さな株主に不利益を与えると同時に、一人の株主にあまり欲しないところのいろいろな会社の株が形式的に分配せられるということになりますので、その点を調整いたしますために、日発清算当局におきましてはいろいろの構想を練りまして、公正取引委員会にも密接な連絡をとりつつその案を立てまして、たしか八月になりましてやつとこの案が立つたのであります。その間に自発株主総会がたしか二回あつたと思います。その株主総会も今申しましたような問題について、清算当局の善処を要望し、小株主の保護並びに欲する株式をなるたけ割当ててほしいということは株主の強い要望であつたことにかんがみまして、いるいろ案を練り、八月に至つて一応の案かできました。その案に従つて日発株主十五万のうち、十株未満のものは金銭で決済せざるを得ないわけでありますが、それ以上のものにつきましては、一々その意見を聞きまして一約十三万四千何人かに対しまして意見を徴しまして、これに対して、ほとんどその七割五部に当る十万人がいろいろ希望を述べて参つたわけでございます。その希望に基きまして、株の集合あつせんといつておりますが、片寄せと申しますか、その手続をとりまして、やつと五月に至つて最後の決定ができたわけでございます。その結果五万六千人の失権株主が出るものが、わずかに二万幾らで済み、しかも株主総数か本来の手続によりますと新会社で五十八万人になるはずのものがわずかに二十万人、あるいは株券にしましても、百五十万の株券が出ておるが、その半分以下の大十八方ぐらいの株券で済むということで、この集合あつせんは、時期の遅れた点は遺憾でございましたが、非常に結果的にはよいことになつたわけでございます。この株の分配はやはり、残余財産の分配としてというふうに書いてあつたと思います。がこれは先ほど松木委員長の言われます通り、そのほかのいろいろの残余財産の分配とは切離しまして、なるべく早く本来の株主に配当せられるべき趣旨のものであることは私も了承いたします。そうしてやつと五月になりまして、つまり名義書きかえ停止期間後でございますが、たしか五月の二十二日でありましたか、になりまして、最終案が決定して、これによつて株主に通知を出し、なおその後の定時総会において正式の報告かおつたかに聞いております。こういうようにいたしまして、私の見ますところでは、先般の東電総会までに株式が分配せられましたことは、まことに遺憾ではございますが、しかしこういう清算事務の処理の諸般の事情から考えまして、決してこれは故意に引延ばしたものではないということは、先般の本会議で申し上げた通り、確信いたしておる次第でございます。  なお日発清算事務全般につきまして、公取はどういうふうに考えておるかというお話でございますか、目先の清算事務につきましては、ただいまの株式の分配のほかに、現在の債権を取立てる問題、あるいは債務を弁済する問題、ことに御承知のように特別交付金というものがありまして、たしか六億円だと思います。が、それを株主に今の株のほかに金で、配当することになつております。この手続あるいは留保しました財産の処分に対する手続、いろいろなものが残つておるのでございますが、その全般に関しましては、特に公正取引委員会の中の調査部の第三課と申しますものが、ほとんどこの日発の仕事にかかりきりで非常に注意をいたしております結果、比較的この清算の仕事の進行状況はよろしゆうございまして、たとえば先ほどの特別配当金は九八%で、わずかに株主のはつきりいたしませんものが残つておるくらいで、ほとんど完了をいたしておりまするし、あるいは税を払います関係等、も七十%ぐらいは済んでおる。その他の財産の処理の問題が、まだこれらの問題でわずかに一部が処理せられただけで残つております。これか将来の問題でございます。この財産の処理につきましては、一々公正取引委員会認可を必要といたしまするし、なお毎月毎月詳細な報告を徴して、不当な清算事務の行われませんように、監督いたしておる次第でございます。なおいろいろ日発清算業務を引延ばし、清算費用を濫用しておるのではないかというような疑い、あるいは財産の処理について何かおもしろくないことがあるのではないかというような疑いを持つておられる方もあるそうでございますので、この点は今後とも十分に任意をいたしまして、そういうことのないようにいたしたいと考えております。
  12. 山手滿男

    山手委員 今の御説明松本委員長のお考えと正反対の御説明でありますが、これは非常に問題であろうと思います。これは事実に基いていろいろ調査してみなければならないわけでございますが、松本委員長の言われる残余財産の分配と切離して、株式を本来の株主に返還をどんどんして行つたらいい、それが通例のやり方である、こういうお話がありました。今横田委員長は一部それを認めておいでになるような御説明であつたと思いますが、この点はどうであるか、はつきりお伺いをいたしてみたいと思います。  それから私か日発清算についてどういう監督をせられたかという御質問を申し上げましたのは、ほかの各配電会社などの清算はすでに三、四箇月で全部完了している。ただ日発のみが一年余りかかつて今日なおこういう状態で紛争の種をつくつている。そういうことについて非常に遅れているけれども、もう少し清算を促進せよとか、あるいはこういうことはどうだということで、監督を厳にせられておつたかどうか、その点を私は伺いたいというのであります。まずそれだけ御説明を願います。
  13. 横田正俊

    横田(正)政府委員 二点ございますが、最初の、ほかの普通の残余財産の分配とは別個に株の配当をすべきであるという点は、先ほど私はその通りであると申したのでございまして、この点は松本委員長のお考えとまつたく一致しているわけでございます。ただその実際の運びといたしまして、先ほど申しましたようなきわめて複雑な手続を必慶といたしましたために、やつと一年たちましてどういうふうに配当すべきかということか決定いたしました。五月の二十二日にそれが決定いたしまして、それから後は株主の申出に従いまして、他の残余財産の分配とはまつたく別個な手続において急速に問題か処理されるというふうに私は考えております。それから日発について清算事務を監督しなかつたのかというお尋ねでございますが、これは他の旧配電会社につきましては比較的問題は簡単でございまして、いわば旧配電会社が各新電力会社にかわつたようなものでございまして、この関係はきわめて明白になつております。口発だけにつきましては、九つの新電力会社へ日尾かわかれて入つて行くというような形になりますので、ただいま申しました株の関係にいたしましても、その他の関係にいたしましても、そこにいろいろな複雑な関係があるわけでございます。もちろん、先ほど申しましたように、この複雑性は認めながら、この清算事務の処理につきましては株式の分配問題を初め、その他非常に督促はいたして来ております。なお今後も私ども監督ぶりを御期待願いたいと思いますが、日発のしていることを私どもただじつと見ているわけではございません。今後も大いに清算を促進し、一日も早く清算をするように持つて行きたいと考えております。
  14. 山手滿男

    山手委員 莫大な国民、すなわち株主が待望しているのにもかかわらず、一、二の清算人の手に株式が長い間握られておつた。しかもこの実際を聞いてみますると、総会の直前まで押えておつて、二十二日にようやぐ引きかえの通知をして行くというふうな事態は私はどうかと思う。今公取委員長からお話がございましたが、二十二日になつて総会に間に合うように株式の引きかえの通知書が出せる状態であるならば、こういう重大な総会でありまするから、もう一月前あるいは二月前に切上げて旧日発清算人がこの株式を本来の株主に返還することは、私は努力次第でできたと思う。しかしそれをあえてやらなくても、株式の名義の書きかえも停止されて総会の直前に本来の株主に返還する手続を始めたという点が、私は相当に疑義のあるところであろうと思います。これは今後さらに解明をして行かなければいけないだろうと思います。  それから第二の点でありまするが、さつき松本委員長から権利濫用である、すなわち清算目的範囲内においてのみ旧日発清算人は行動し得るのだという見解に基いて、今度の旧日発清算人の重役選任要求の行動は権利濫用である。こういうふうにはつきりいろいろ蘊蓄を傾けて所信の吐露があつたのであります。がその点について公取の委員長の御裁定とは全然逆なんです。この点が非常に重大ですので横田さんの御説明をお願いいたしま
  15. 横田正俊

    横田(正)政府委員 日発議決権行使は、株式が分配せられない状態のもとにおきましてはこれを承認しなければならない。つまり日発株式をほかにいたしましては、新電力会社株主総会は有効に成立をいたさないわけであります。従いまして日発株主権行使すること自体は何人も否定し得ない、それが法律上正しいものであるということは、これを否定し得ないと思います。ただその行使の方法と申しますか、その内容が問題になるわけでありまして、これがわれわれの委員会において先ごろから、昨年の七月でございますか、特に指定会社株主権行使につきましては当委員会の承認を必要とするというふうな制約をいたした理由でございます。つまり株主権行使は認めながら、それを適当な範囲に制約するということになつてつたのでございます。今度の東電総会につきましても、その制約をいかに行うかということが問題になりまして、他の八つの電力会社につきましては、その点につきまして大した問題がなく、われわれ完全に日発株主権行使することを承認いたしたわけであります。東電につきましてはあいにく重役の候補者の問題につきまして、東電の当局側と日発側との間に相当長い期間にわたりますいろいろないきさりがあつたようでありまして、われわれもその他の新電力会社と同じように円満なる解決ができ、おそらく株主総会においてお互いに表決を争うというようなことにならずに済むことを希望いたしておつたわけでございますが、残念ながら東電側におきまして新木会長を除きました現在の役員を全然変更する意思のないという線で徹底的にがんばつておられたようでありますし、なお公益事業委員会につきましては、先ほど松本委員長からもお話がありましたように、五月十六日でありましたか、当委員会に対しまして先ほど申し上げたような線の申出がございました。つまり役員数をふやすことは諸般の事情から絶対に認めないようにしてくれ、なお役員の顔ぶれについてもこの際はいささかたりともこれを変更することは妥当でないということの相当強いお申出がありまして、われわれといたしましては実は一年後に開かれます総会というものは、初代の役員と申しますのは要するに官選の役員でありまして、これを株主総会において再検討するということが一番大きな問題であつたと思うのであります。つまり決定指令で商法の規定を除外いたしまして、最初の役員を一年とし、なお定款にもそれに沿うた規定があつたと思います。その趣旨から申しますと、この際東電側の意向一つでもつてこの役員がどうしても変更できないということは非常におかしいのでございます。その点われわれはいろいろ検討いたしまして、ある範囲内において日発の申出はそれが筋の通つたものであるならばこれは認むべきである。しかしそれはなるだけ話合いでやつてほしい、こういうことを期待しつつやつてつたわけでございますが、承認申請が参りましてなお当事者間で折衝中でございましたから、われわれの最後の結論は実に総会の前日の二十八日まで持ち越して様子を見ておつたわけでございますが、二十八日に至りましていよいよむずかしいということがわかりまして、なお三名の新しい役員をこれに追加するというはつきりした日発側の申入れもありましたので、あらためまして東電の安藏社長を招きまして、これについての意見及び今後なお日発と折衝して、適当な線を出す御意思があるかどうかということをお尋ねしたのでございますが、安藏社長自分はこの問題については自分一個の責任においてずつとやつて来たことであつて、ほとんど話合いの余地はないと思うが、一度帰つて集められるだけの者で相談してみるということで帰られました。それからそのあとすぐ公益事業委員会の方へ連絡をつけまして、先ほど申しましたような相当きついお申出もあつたことではございますが、しかし問題はきわめて重要でございますので、あらためましてただいまの自発の申出についての御意見、及びこの問題について何とか適当な打開策を講ずるために、この両者間の調停に何らか手を打つていただけないかということを特にお願いいたしたのでございます。その後安藏社長から返事がありまして、考慮の余地はない、もう絶対話し合うこともしないというきわめて強い返事がありまして、なお五名の重役につきましては、その人柄その他について何もこれを批判するこどはない。ただ今の十四人以上ふやすことは困るじやないか、その一点張りで遂に話がつかない。さらに重ねまして公益事業委員会から、東電の人事に関しては、公益事業委員会としては何ら関与しないのだ、そういう方針なんだということをはつきり言つて参られたのでございます。これはいささかどうも最初のお話とも違うように思いましたが、しかしそういうふうに申されますし、ごあつせんの余地も全然ないように考えましたので、そこでわれわれといたしましては、先ほど申しましたような観点に立ちまして再検討を必要とする。一応三省の方につきましてはしいてこれを拒否すべき理由もないように考えましたので、東電側から申し出られました十四名に、この三名を加えた方、十七名のうちから役員をふやさないという意味におきまして、十五名の方を選任する議決権行使することについては、公取として承認したという決定を下した次第であります。もちろんこの線を出すといたしましても、この十五人の選び方はいろいろあるわけでありまして、この点につきましてはなおその後の折衝を実は私としては期待しておつたのでございます。これを決定いたしましたのが夕方でございましたが、そうしてそれを東電及び公益事業委員会にお伝えいたしましたところが、はたせるかな安藏社長はただちに私のところへ見えまして、前の態度とは打つてかわりまして、ぜひこの問題については日発話合いをしたいから、私にそのあつせんをしてくれ、橋渡しをしてくれという申出がありましたので、私はただちに日発にそのことをお伝えいたしまして、日発も快くこれを聞き入れまして、翌日の朝に至る間にいろいろ御折衝があつたようでございますが、その結果私が聞いておるところでは、大体ある線でお話がつきまして、たしか費副社長が安藏社長の代理として免えてお話がつき、そうしてその線で総会に臨むということで総会が開かれたというふうに実は聞いておるのでございますが、どういう関係でございましたか、総会がたいへん乱れまして、遂にああいうようなことになつたわけでございます。それで先ほどの法律問題でございますがこれは具体的にそれが権利濫用になるかならぬかの問題は、これは最終的には裁判所の決定することと存じますが、私の見解を申し上げますれば、先般の本会議で申し上げた通り公正取引委員会の承認いたしました以上は、その範囲内における権利行使するということは、私としては権利濫用にはならないというふうに考えております。
  16. 山手滿男

    山手委員 あなたの裁定がこの問題を爆発的なところまで持つて来たわけでありますが、念のためにここで一言横田さんに申し上げておきます。がこの委員会、あるいは国会において電気の問題をいろいろ審議をいたしておりますが、今日各電力会社が電気料金をたびたび引上げてくれということを申し出ておりますが、これについては国民の側から非常な批判があつて、国会としてはすみやかに機構の簡素化を行い、役員、人事そういうものをできるだけ簡素にし、少数なもので精鋭主義でやつて行くようにしなければいかぬ、こういうことを強く要望いたしておりまして、役員が十人も、十五人も十七人もおるというふうなことで、いたずらに官僚的な組織の上にあぐらをかいておるというようなことは断じて許さるべきじやないということが、この国会の全部の空気であります。そういう意味からこれは公益事業委員会の方でもいろいろ所望であつたであろうと思うのでありまして、この点は念のために一言申し上げておきます。  それからこれは私はよく知らないのでありますが、新しい商法上どうなんですか。日発の今の清算人の持つている百三十三万株というふうなものを日発清算人総会に持ち込まなければ総会は成立しないものかどうか。私はちよつとその点成立するとこう思うのであります。がこれは今の公正取引委員長考えと私はちよつと逆なのでありますが、その点あとから御答弁を願いたい。  それから今横田さんのお話があつた点でありますが、一年余り前に任命した役員はいわゆる官選の重役である。今日この段階まで来たならば、全部これを再検討することが必要であろう。そういう見地からこの日発側の要望をいれた、こういう仰せでありました。しかしこれは私は一応の議論であろうと思うのでありまするが、しかしながら株主総会ですでに株がわけられておつて、旧日発というものか完全に解体されて本来の株主株主権が移つておれば、民主的にこれは選ばれることは当然であります。今日のいわゆる官選の役員についてもこれは吉田総理側近人事であるとか、いろいろなことが世論に悪評ごうごうであります。ところがなるほど公取の委員長の再検討するというお考えは正しいとしても、再検討する人が、旧日発の総理側近の人によつて百万株も、二百万株も握られておつて、自由に人事を左右して来るということになると、また官選を再現して、さらに改悪して行くことになるのではないか、旧日発清算を完了して本来の株主に行きわたつてつて、それが民主的に表決するならばなるほど横田さんのおつしやるような、民主的な、いわゆる官選でない、国民の前に出してはずかしくない、公明な軍役の更新が行われるであろうと思うけれども、たつた一人の小城旧日発総裁というようなものに全株主権が握られておつて、しかもこれは吉田総理の側近の重要な二人であるといわれている人が人事を左右して来るということになると、どうなるか、これは法律論ではありません。政治論であろうと思いますが、横田委員長はどういうお考えであるか、御説明を願いたいと思います。
  17. 横田正俊

    横田(正)政府委員 初めの日発議決権を除いたら、総会が成立しないのではないかという問題でございますが、これはあの会社の定款はたしか普通決議は出席株主の過半数ということでできるようになつていると思いますが、役員選任につきましては、三分の一以上の株式出席者によつて持たれていなければならぬことになつております。その意味におきまして目発を除いた他の株主が全部出席しておりますれば、実際問題としては必ずしも成立しないわけではないのでございますが、しかしこの間の二十九日の総会などを見ますと、他の株主によつて代表せられている株式というものは、実に微々たるものであつたようでありまして、結局日発をして株主権を、行使せしむるということは、これは認めなければならぬと思うのでございます。  なお再検討はけつこうだが、これは再検討をする人間が違うのではないかという点は、まさに私も半分御同感なのでございます。それはつまり一年後に株式が正当なところへ渡り、その株主によつて検討されるということが、おそらく最初の考え方であつたと思うわけでございます。ところがあいにくなことにそういうような状態において再検討をすべき時期が来てしまいまして、これに対して対処する方法は役員選任を延ばして、将来本来の株主の手に渡るその時期に役員選任をもつて行くということになるのでありますが、これはやはり決定指令でも、定款でも、役員は一年ということになつておりますし、なお役員選任しないで、定時総会を終るというようなことはきわめておかしなことでございます。しかも東電の方はそういうことも検討されたかと思いますが、あるいは別にその点をお考えにならなかつたか、どうしてもこの際役員改選を断行するという態度に出ている以上は、やはり日発にある範囲内の株主権行使させることにならざるを得なくなつたわけであります。これは余談になるわけでありますが、ここで東電側の言う通りの役員選任せられますと、あるいは本来の株主総会の臨時株主総会、あるいはその後の定時総会の形で開かれましても、現在の役員を解任するためには、非常に多数の決議、特剔抉議がいるというような関係もありまして、実際問題として考えますと、一年前に出られました東電役員がその後二年、つまり合計三年そのままいるということを承認することになるわけでございまして、これらの点は私どもは今度の役員改選につきまして、そういう点も実は慎重にしたいと考えているわけでございます。日発行使いたしますことは、ほんとうに変則的でございまして、この点は仰せの通りでございます。しかしそれは私自身そこに一つの制約のもとにおいて行使することによつて、先ほど申されましたような怪しげなる人事はある意味においてチエツクし得るのではないかという観点に立ちまして承認をいたした次第でございます。実は場合によりましては集排法の規定によりまして議決権行使公正取引委員会において取上げることもできることになつてつたのでありますが、しかしそこまで行きますことは、私どもの役所の性質上もどうかと思いましたし、なお当事者の良識をわれわれは信用いたしまして、あの程度の決定をいたした次第でございます。
  18. 山手滿男

    山手委員 ただいまのお話の通り、私は公取の方で株主権を代理行使するか、あるいはこれを停止するという措羅をとられた方がむしろ公正であつたのではないかという気がいたしますが、あの場合ああいう事態が起きたのでありますから、いかんともいたしかたいところであります。どちらにいたしましても、私ども考えますのに、一年前の再編成にいたしましても、また当時の人事にいたしましても、これはなるほどとかくのことはありましたし、議論をして行けば際限のないことであろうと思いますが、とにかく一応従来の役員もおちついて電力の問題を腰をすえてやれるような状態なつだときに、ただ単に旧日発株主を代理して清算人がこうせいといつてつて行くことは、しかも話合いがつくのならいいけれども、つかない状態で強行することはどうも平地に波瀾を起すのではないかという気がいたします。もちろん公益事業委員会とあるいは政府、旧日発というものの見解の相違が大きく電力の問題になつておりまして、この一つの現われであるというふうに片づけてしまえばたわいのないことでありますけれども、実際には私はたいへん不幸なことであつたと思いますし、早急にこれを収拾をしていただかなければならないと思います。いろいろまだ伺いたいのでありますが、時間がありませんし、同僚議員が質問をしたいそうでありますから、私は一応この程度にいたしておきます。
  19. 中村純一

  20. 今澄勇

    今澄委員 私は一昨日の本会議質問をいたしましたけれども松本委員長の答弁の時間が長くて、しかも与党側のやじでほとんど答弁が聞き取れない、こういう情勢で、ございましたので、二、三の点についていま一度お伺いをいたします。大体この問題は私にわせると合併以来九会社の中において元日発側の職員が非常に冷遇を受けておるというような事実もある。しかし公取委員長がとつた態度はただいまの答弁で私は了解いたしました。確かに三名の人物については全幅的な賛意を表しがたい人物もある。しかしてこれにはやはり吉田さんの側近であるいろいろな力も加わつておるということになれば、これは電気事業をめぐる一つの勢力争いであつたということをただいまの両委員長の答弁は立証したものと私は思うのであります。  そこで松本公益事業委員長に伺いたいのは、東京電力において十二、五名事務課長がおるが、その中で旧日発系がわずか四人しかおらぬ。九州電力に至つては二人しかおらぬ。課長の端々に至るまでこのような旧目発側の人間の冷遇を受けておるようなことについては、どのような御見解でながめておられるのか、それは日発から入つた重役が無能であつたからということで御放任になつておるかということが第一点。  第二点は東京電力の経理状態であります。私は紳士的な道義その他の関係からごごで明確に申し上げませんが、東京電力の経理状態は少くとも何がしかの含みがありそうである。しかもそれは電気の料金の値上げをやらなくてもほかの電力会社ほど困りはしないということは、公益事業委員長も御承知だと思う。かつて電力会社の政治的な献金、その他電力会社から流れて来るところのいろいろな政治活動は、われわれも九分断のときにその活動ぶりをよくながめて来たのであります。それらの問題からすると、東京電力の経理をもつと明らかに、これを国民の前に公示し、そうしてなるほど電力会社はこれだけの赤字に苦しんでおる。だから電力料金をこれだけ上げてもやむを得ないのだと納得させるような努力が、公益事業委員会としては十分なされておらない。私は東京電力の経理、その収益並びに一般交際費、あるいは予備費あるいは機密費等について公益事業委員会がどのような御見解を持つておられるかということを第二点として松本委員長にお伺いしたい。  第三点として伺いたいのは松永氏はあなたの代理をする公務員である。しかも今度の東電総会の開かれた工業クラブには、あなたこそ事務所を持つておられるけれども松永さんやそのお隣りにおられる松田さんは関係がないのである。その公務員たるあなたも松永さんも松田さんも、あの東電総会の際サロンにその姿を見たということ、しかも腰の弱かつた藏社長流会戦術を打合せた形跡があるのであります。その法律的な解釈やあるいはこれらの問題に対する決定は別としても、一体あなた方が公務員としてそういうことに動いてよいのかどうかということについては、大きな批判が国民の前にあると私は思う。これらの点について公益事業委員長として、そのときのあなた方の行いというものは一体公務員として妥当であつたかどうかということを聞きたい。  第四点に、松永さんは委員長代理の公務員であるが、名刺の端に、この電源開発法案を通すということはお前たちの炭鉱にもこういう影響があるぞというような脅迫的言辞を並べて参議院において運動したり、あるいはこの法律が通ればたとい公益事業委員会が廃止になつても断じて私どもは水系別開発で闘うのだというあの松永氏の発言などを見ると、私はほんとうにこれが公務員のあり方かどうか考えざるを得ない。しかも当の松永さんはかつて関配の高井社長から百数十万円の献金をもらつておる。これは病床尋問の答弁に明らかである。しかも銀座電力会社と言われた銀座の事務所は、今日電源調査会というものを設けられたが、この電源調査会の門をくぐらなければ電源開発の下請の仕事をやることが困難であるというこの事態至つては、公益事業委員会はこのような大きな一つの個人的な利権のために電気事業をやるものであるという酷評を、国民の一部がしてもやむを得ないのではないかと思う。今度の東電事件の法律的な論争、あるいは商法的な結論というものについては、私は裁判当局なり専門家にゆだねます。ただその背後にあるこのような問題について、本会議席上における私の質問に対して、松本公益委員長の御答弁のなかつたことを私は遺憾といたしますので、もう一度ここでこの四点についてあなたの御見解をぜひひとつ簡明に伺わしていただきたいと思います。     〔委員長退席、高木委員長代理着席〕
  21. 松本烝治

    松本政府委員 ただいまの御質問の第一点は、たしか日発から行つた人は、配電会社の方から行つた人よりも非常に冷遇されておるというお話のようですが、私はそうは思つておりません。というのは日発は一社であります。一社が九つの新しい会社に人員を振り出しておる。それからして東京電力旧来いた人は、あの時分は関東配電株式会社ということでありましたが、その一社の人が、実質においては同じ会社ができているのでありますから、そこで大体においてみんな入るということはあたりまえです。しかして日発の方は日本全国の九会社に人員がわかれておるのでありますから、その旧発の方の人員が少いということは、数からいえば何ら怪しむべきところはない。先ほども申しましたように、新しい会社に再編成ができまそ、いろいろな不平は両方の側にあるようです。その結果いろいろな声は聞いております。しかしながらその声を聞いても、それに対して不平の声全部を取上げて、それを事実と思うことは私はできない。適法なことをみんなやつているつもりです。しかして人事の問題につきまして、たとえば非常に繁乱したようなことがあるとか、非常に騒動があるとかいうようなときはもちろん監督いたします。そうでない限り、だれをどこにやれ、どうせいというようなことを干渉することは、われわれの委員会の職務権限を逸脱することで、私は断じてそういうことはいたしません。  それから第二の御質問東電の経理状態については、すべて明瞭になつております。こまかいことは、必要がありますればすぐこつちから行つて調べますし、経理長も来ておりますから、特にこの点はどうだというようなことがあればお答えいたさせます。しかしただ紊乱しているとかなんとか、世評のようなことに対しては、私はお啓えする必要を感じません。  それから値上げについても、こまかい計算でやつておることで当時委員会においていろいろなご質問があつたと思う。その際にごまかに答えておると思います。それを今むし返していろいろお答えする必要はなさそうに考えます。  もう一つ、工業クラブに松永氏とか、松田事務総長が行りておつたということは、これはあたりまえのことです。私の事務所があつて、そこにおることが一番早く結果等の報告を受けられるので、そこに行くのはあたりまえの話です。それも何かのさしずでもするというような意味で行くのであつたならば、朝早くから行つております。ところが私どもの行つた時分には、もう半分以上済んでしまつて、第二議案だけが残つて休憩されておつたが、そういうことも知りませんで行きました。なるべく早く報告を聞きたいというので行つたにすぎないのであつて、何らわれわれがさしずなどする権限もありませんし、やることでよありません。もしありというようなことがあつたならば、証明をしていただきたい。もしそういうことがあつたのなら責任を負います。何ら関与するわけかない。また権限も何もない。早く報告を聞きたいという意味で行つておりました。それで最後の報告を聞いたときには、昼に外国人を呼んでおりましたので、すぐ帰りましたから、こまかい報告を聞かないで帰つてしまつた。そのこまかいことは晩方になつて聞いたにすぎないのであります。  第四のお話は、松永氏のことでありますから、これはむしろ松永氏に聞いていただきたい。われわれの委員会は五人の委員が寄つておるのであります。委員長はただ委員の一人であります。委員会の議事をいろいろやります。それから外に対しての代表のようなかつこうはあります。これは別に何ら法規上の根拠はない。たとえばわれわれの委員会で私の説に対して三人の反対者があつたら私の説はつぶれる。そういうことにすぎないので、委員のこまかい行動については、何ら監督すべき筋合いはありません。しかして私どもが聞知しておるところによると、何か東電から金が来たとかなんとかいうことは、公の機関によつてある程度調べられて、何らそんなことはない、それは公益事業委員会始まつての話ではない、昔の話であるということで、片がついておるように聞いております。  それから何か名刺に書いてどうとかいうことも私は知りません。知りませんが、友人の間で名刺に書いて何か言つてあるというようなことはあり得るだろうと思う。私はそういうことがあつたかどうかも松永君から報告を得ておりません。しかしもしも何か不都合なことがあれば、それこそ法律訴えてちやんとなさつたらどうですか。ただ道聴途説的なことをこういうところの質問でおつしやつても、私は御答弁する材料もありません。
  22. 今澄勇

    今澄委員 今の松本委員長の答弁を聞くと、公益事業委員会の責任者としてまことに無責任の至りであると思う。そういう無責任な監督九つの各電力会社にやつておられるから、公正取引委員会あたりにおいて、株主議決権行使をある程度認めてやらなければならないという結論を生ずるのではないかと思う。公正取引委員会はこの株主議決権を認めるについて、どの人物がよくどの人物が悪いかという点については、電力界のことに詳しくないから、新井さんはともかくとしても、その他のほかの人がああいうふうに入つたと私は見ざるを得ない。公正取引委員会が、吉田総理並びにその側近の圧力でこのような人事を強行せしめるべく議決権を与えたというふうには、いろいろきようの御答弁商いておつても受取れません。私は野党であります。野党であるけれども、われわれはものを正しく、そうして正確な一つの批判をしなければならぬ。東電総会のときにおいても、あなたの事務所に皆が集つたのはあたりまえではないかと言われるけれども、あなたの事務所におられたわけではないと当時目撃をしておつた者の話を聞いております。一旦流会を宜したときは、東電社長はまことに元気もなくて意気沮喪して流会を宜したのであります。それが今度再開したときには、まるきり張り切つて自信満々としてやつたということに対しては、いろいろとその裏で打合せがあつて、おそらくあなた方がよろしいと言うたに違いなかろうと思う。これについてはこれから調査して材料を出します。今あなたが言つたそういうことがあつたら責任を持つという一言はいつまでも覚えておきます。公益事業委員会は、こういう人事の問題などについては、公平にこれらの問題を処理しなければならぬのに、あなた方の態度はまことに不審であるという私の見解は、今の御答弁では何ら氷解いたしません。  第二点としては東京電力の経理であります。もうからなくて赤字心々といつて電気料金の値上げをやらせておいて、一割五分の配当をして、さらに無償株もつけて四倍の増資をするというようなことをすぐ発表して、株価も五百円から一気に八百円までのし上げて行くというような状態は、東京電力の経理状態が非常に悪くて、電気料金を値上げしなければ電気会社はやつて行けないという経理状態にないということを一々経理長から詳細説明を聞かなくても常識でおわかりのこととと思う。少くともそのような経理状態において、これで電気料金の値上げをしなければつぶれるというようなお考えで一体よいかどうか。現在三割程度の株主の配当をやつている肥料会社その他の会社の株は七百円見当である。一割五分の東京電力株式は一株に直して八百円見当の値段であるということは、いかに株式市場においてこれが批判を受けているかということがおわかりでなければならぬ。公益事業委員長は、このような東京電力の株価の値上げ及び無償株あるいは増資ということについては、十分おわかりでなければならぬ。われわれは電源開発法に反対したのであるが、一本の電源開発に対して、民間なり現電力会社の手で電源開発をするための資金をこのような姿によつて求めるという一つの挑戦的なそういうあり方を、一体公益事業委員会は黙認をしておるのか、それともそれでよいとお思いになるのかどうか、これらの点についてもう一度御答弁を願いたい。  さらに私は松永公益事業委員長代理の問題については、松永さんに聞いてくれというお話でありますが、私はきようここに松永さんに出てもらいたかつた。私個人としては、信念的な松永さんの電源開発のあり方については敬意を表します。少くともそのかわらざる個人の信念というものはりつぱなものであるけれども、その公益事業委員としてのあり方については、委員長であるあなたが、やはりこれに対しては何がしかの忠告を与え、これに友情をもつて引きとめるべきところがなければならぬ。それが私は松本委員長の責任であると思います。それらの点についてもう一ぺん御答弁を煩わしたい。
  23. 松本烝治

    松本政府委員 ただいまのは御質問とは思えませんで、御議論のように感じます。私はすべてあなたとは違つた見解を持つております。私どもは正しいこをして、すべてそういう間違つたことは一つもないと思つております。何かあるならもう少し具体的に事実をちやんと言つていただきたい。道聴途説的のことに基いての御議論に対してはお答えのしよがないということを私は申し上げます。
  24. 今澄勇

    今澄委員 松本委員長、それは失礼であろう。おくは国案袋して、国会の審議権に基いてあなたの答弁を求めておるのである。私の述べたことは決して抽象論ではない。東京電力株式の四倍増資、そうして一割五分の配当を約束して、八百円もの株価になつておるのに、なぜ電気料金の値上げをやつてやらなければならぬのか。そういう具体的な問題について、それはこうである、これはこうである、公益事業委員会は四倍増資を認めておる、いやそれは行き過ぎである、それらの見解があなたは説明できなくて、道聴途説というようなことで一体済みますか、これは、今澄が聞いておるのでなくて、議員に与えられた審議権に基いて、この東京電力の経理、並びにそのような株式操作、そのような増資というものが電源開発に対するあなた方の一つの大きな資金調達であるかどうかということを聞いておるのである。それはどういうところに使うのだ、四倍増資したなら、ば一体それはどういうふうに処理するか、その将来はこうなるんだということを説明ができなくて、廃止されるとはいいながら、公益事業委員長と言われますか。私はあなたより若輩で失礼であるけれども、議員としての私の御質問に対して、ひとつ明確なお答えを願いたい。これは具体的な問題である。今申し上げた三つの点はいずれも具体的な問題であるので、東電総会の問題とは別に、電気行政並びにその将来についてのあなたの御見解を承りたいこう言つておるのです。
  25. 松本烝治

    松本政府委員 ただいま四倍増資をする、一割五分の配当をするとかいうお話がありましたが、そういうことは何らまだありません。これから先どうなるか。これから先の天気とか、いろいろなことで決定されることで、何もそういう話はまだ聞いておりません。四倍増資なんていうことはほとんどできまいと思います。そういう話はあなたから初めて伺つたので、そういうことがどこにあるのか、どこの会社でそういうことを決定したのか。役員会でいつそういうことを決定したか、そうしてついこの間初めて、前期の、かろうじてちよつとした黒字の残るだけの決算報告があつたにすぎない会社が、次の期においてどういう配当をするかということはわかりません。一割五分の配当をすることにきまつておる、四倍の増資をする、そういうことこそ、これはだれか株価をつり上げるとか、いろいろのことのためにする者が言うことであつて、何らそういう事実については私は聞知しておりません。そういうことがあるかないか先の話で、一つもわかりません。従つてお答えができないということを言つておる。
  26. 今澄勇

    今澄委員 この問題は公益事業委員会の代理としての松永さんの速記録をひとつお読みを願いたい。私がこの点を質問したときに、松永さんは、一割五分の配当ということは大体妥当であるので、これわれわれも認めておる。が、増資は大体倍額増資見当がいいであろう。無償交付つきで、四倍ということはまことに行き過ぎであるということはわれわれも忠告しておるけれども、計画としてはそのようなことが行われておるということが速記録に残つておる。だから私は公益事業委員長としてのあなたに質問しておるのである。あなたはそれを荒唐無稽と言われるが、委員長代理、公益事業委員の一人が言つておることをあなたは公益事業委員長としてどう思うかということを聞いておるということを御了承願いたい。
  27. 松本烝治

    松本政府委員 ただいまお話の松永さんがどういうことを言つたということについては私は承知しておりません。しかしそういうことは先の話で、本年の十一月ころにどうなるかわからぬ、さようなわからぬことについて私は何ら聞知しておりません。それでお答えができぬということを申したのです。その点はあたりまえのことと思います。
  28. 今澄勇

    今澄委員 ただいまあなたの御答弁を承つておると、松永委員長代理のいろいろな公務員としての行動についてもわれ関知せず、さらにまたそういう松永委員長代理が将来の見通しについて、公益事業委員としてこの委員会で申し述べておることについてもわれ関知せず。結局あなたは公益事業委員長としてはシャッポにすぎないので、その現実は全部松永氏が一人で牛耳つている、あなたはただお飾りにすぎないものであるということをみずから認められた答弁にしかなりません。私はこの東京電力の紛争は、少くとも電気事業界の一方の雄であるところの松永さんと、電気事業界において長い間たたき上げて来た小坂さんの二人がしのぎを削るところの大きな一つの争いである、かように見ておる。日本の重大な産業の中心であるべき電源開発や、日本の大きな電気行政が、このような一個人の争いのために大きく足踏みするということの不幸を、公益事業委員長としてのあなたが嘆かないとすれば、国を思わざるもまたはなはだしいものである。その当時小坂さんが公益事業委員に松永さんを推薦されたいきさつや、推薦された松永さんが自己の信念通りに公益事業委員として電気会社を牛耳つて来たその現実や、自分が知つておるところの、いわゆる松永流の人間を電気事業関係に全部配置しておる現実や、これらのことは国民はちやんと知つておるのである。全国民をばかにしてはいけません。そういう底流の上に今度の東電事件が現われたということについて、私は公益事業委員長としてのあなたに、もつと善処すべき道はなかつたかということを御質問申し上げたので、何を聞いてもそれはまだ将来のことであるというような御答弁であるならば、私は、将来公益委員会も廃止されることであるし、それらの問題も通産省に移ることであるから、もはや聞く必要はございません。ただ一言、このような個人の争い、さらにその個人の背後にある政治勢力、それらのものが葛藤して今日このような事件が現われておるということは、公益事業委員長としての職務が正常に行われ、公益事業委員会電気事業に関する職責を十分に果したものでない、かように断ぜざるを得ないが、あなたはりつぱに職責を務めて日本電気事業はまことにスムースに行つたとお思いであるかどうか、一言答弁を承つておきたいと思います。
  29. 松本烝治

    松本政府委員 ただいまの御議論に対して、お互いに議論することはこの委員会目的ではないと私は思う。私は自分の職務を十分に尽し、日本電気事業はこれでこれからどうやらやつて行けるような状態になつたということを信じております。それについて御議論は幾らでもありますが、ここで政府委員と議員との間で議論をするということはこの委員会の御趣旨でないと思いますから議論はいたしません。あなたの御見解、よく伺いました。しかし私は違う見解を持つておるということだけを申し上げておきます。
  30. 今澄勇

    今澄委員 私は以上東電関係については、非常に不満足であるけれどもこの辺で打切ります。  もう一つ松本さんに伺いたいのは、ポ勅令による公益事業委員会並びに電気事業編成令の再法律案としての認定については今審議しておりません。そこで政府の行政機概改革によると、公益事業委員会が通産省の公益事業局に移つて、あなた方の方は解散ということになります。こういう状態のもとにおいて、今度は電気の復元の法律が出て参りますので、それが自由党政調会できまつたような原案で出て来ると、九つにわけた電気事業会社の中から、関西電力のごとく中には配電系統がなくなつて経営困難を来すような会社も出て来るであろう、こういう状況を見通されて、あなたとしては、公益事業委員会が廃止になつたためにどのような矛盾が生ずるか、並びに電気事業編成で九分割した今の電力会社にさらに復元等のことを行われるならば、一体どのようなことが電気事業としてもたらされるかという見通し、また今後の電気事業行政はどうあるべきかということについて、ひとつあなたの御教示を受けておきたいと思います。
  31. 松本烝治

    松本政府委員 ただいまのお話は本日ここで論ずるにはあまりに大きい問題であります。かつ政府が発案をして、その議案はすでに衆議院は通つたように私は聞いております。その衆議院をすでに通つてしまつたわれわれの委員会の廃止ということに対して、いまさらここで議論をするとか意見を述べる必要は私はないように思うので、そのことはそれだけにしておきたいと思います。  もう一つ復元の問題は、私はああいう議案がもしそのまま通つたならば、電力事業のためには非常な阻害を来し、よろしくないというふうに考えております。そのまま通るかどうかということについては私は疑問も持つております。しかしこれもまたその方の委員会等で必要があれば意見を申し述べたいと思います。
  32. 今澄勇

    今澄委員 いろいろまだ聞きたいことも山ほどありますが、松本公益事業委員長の答弁については、私は大きく意見を持ち、公益事業委員会の責任者としてまことに不十分であると思いますが、本日はこれで松本さんに対する質問を終ります。  最後に横田公取委員長に対してこの際伺いたいのは、今いろいろ御意見がございましたが、あなたの方で議決権行使を許したのは、ただいままでのあなたの答弁で大体私は了承いたします。しかし名前をあげては失礼であるけれども、この五名の候補の中の二名はどう考えても電気事業の経営者として非常に不適格であると私は思う。そこで公益事業委員会が、九分断のときこれらの人事について最初に公表したときに責任を持つてやるべきであつたにもかかわらず、一部に非常な不満があつたものを強行したのであるが、それに対して公取委が議決権行使を与えたことは、人事の上に、何か一つりつぱに納まるべき会社経営としての姿を実現したいという努力も私はあつたことであろうと思う。しかるに電気事業にあまり関係のなさそうな二名の人を入れた十七名のうちから十五名の議決をするように行使権を与えたということはいささか軽率ではなかつたか。そこで公益事業委員会東京電力それからあなたのところとの交渉の経過を今伺いましたが、あなたの方のほんとうの腹はどういうところにあつたのか。それからもしこの次にこの問題が妥協できて、東京電力側も取締役に新井さんを就任せしめて話がまとまるということで円満な総会ができれば仕合せであるが、その際においてもできれば人員を少し整理して、国民の負担による公益的な電力事業としては十五名の軍役は多過ぎると思う。松永委員長代理はこれをうんと減らすということをわれわれの前で約束したけれども実現しておらない。公益事業委員会はそれらの問題については約束されるけれども、全然口約束でだめなんだ。東電の人事についてここまで公取委の立場から立ち入つた以上は、将来の人事についても、少くとも日発清算株を持つておる以上は、何らかもう一骨折つてこれを円満に妥結せしめることが電気事業界、産業界のためにもプラスであると思うが、あなたの所信とお見通しを伺つて私の質問を終ることにいたします。
  33. 横田正俊

    横田(正)政府委員 新たな三人の方の問題につきまして今ここではつきり申し上げられることは、もしあの三名の方について公取委がきわめてはつきりした自信を持つておりましたら、おそらくこの五名の方を必ず入れて選任決議をするという決定をしたであろうということをお答えいたしまして、あとは御想像におまかせしたいと思います。  なお今後の問題については、こういう結果になりましてたいへん国民にも御心配をかけておることと思いますが、幸い関係の方々がだんだん冷静になられておるようでありまして、中間に立つてそれをあつせんするというような動きも具体的に見えておるようでございます。公正取引委員会として私たちだけで何らかの手を打つというようなことはもちろんできないことでありますが、その現実の流れに沿いまして、公正取引委員会としてやつてよろしい範囲内におきまして、妥当な解決に持つて行くために最善の努力を尽したいと考えております。
  34. 高木吉之助

    ○高木委員長代理 本日はこの程度にいたし、次会は明日午前十時より開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時三十七分散会