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1952-05-30 第13回国会 衆議院 通商産業委員会 第44号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月三十日(金曜日)     午後二時七分開議  出席委員    委員長 中村 純一君    理事 高木吉之助君 理事 多武良哲三君    理事 中村 幸八君 理事 山手 滿男君    理事 今澄  勇君    江田斗米吉君       小川 平二君    神田  博君       小金 義照君    永井 要造君       福田  一君    南  好雄君       高橋清治郎君    加藤 鐐造君       横田甚太郎君  出席国務大臣         通商産業大臣  高橋龍太郎君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     横田 正俊君         通商産業政務次         官       本間 俊一君         通商産業事務官         (通商局長)  牛場 信彦君  委員外出席者         専  門  員 谷崎  明君         専  門  員 越田 溝七君     ――――――――――――― 五月二十九日  政府資金融資対象部門中に耐火煉瓦事業を指  定の陳情書  (第二〇五三  号)  自転車競技法改正に関する陳情書  (第二〇五四号)  只見川電源開発流域変更案実施促進に関する陳  情書外四件  (第二〇五五号)  同外一件(第二〇  五六号)  佐久間発電所建設促進に関する陳情書  (第二〇五七号)  接収工場における米軍所有、国有並びに民有機  械設備、諸施設等処理に関する陳情書  (第二〇九二  号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  輸出取引法案内閣提出第二三九号)     ―――――――――――――
  2. 中村純一

    中村委員長 これより会議を開きます。本日はまず輸出取引法案を議題といたし、質疑を続行いたします。横田甚太郎君。
  3. 横田甚太郎

    横田委員 委員長にまず第一にお願いしておきます。輸出取引法案の審議に際しましては、御承知のように今中共貿易が非常にやかましく言われておる。そのときに通産省外務省とが、非常に意見が違うように報ぜられておる。おそらく通産省人たちはそんなことはないと言うでしようが、そういうふうに言われておることは事実なんです。ラジオでも放送しているのです。私は官僚というものは大きらいなのですけれども、通産省外務省との見解相違に関する限りにおきましては、通産省を支持しなくてはならないほどのゆがみが見えて来ていると思うのです。だから高橋さんも有力な閣僚でございましようが、高橋さんをいじめる閣僚であるところの岡崎さんをできることならば通産委員会に呼んでもらつて、二人が列席の上で、はつきり意見を聞きたい。このことを後ほど委員皆さん方にお諮りを願つて、そういうことをやつていただきたい。それだけを希望しておきます。  それからきようお尋ねしたいのは、岡崎さんの言葉高橋さんの言葉とに食い違いがあります。新聞に出たところを私たちが一々証拠として言いますと、そんなことはないと言われるでしようが、やはり新聞もまさか根のないことをとらえているのではないだろうと思うのです。特に行政監察委員会なんかは、自由党が一番反共のために使う機関なのですが、それはまず新聞報道から取上げて反共をでつち上げて行く。だからこういうふうなことからいたしまして、こちらは新聞記事を基礎にしてまず伺うのでありますが、この新聞は毎日新聞で、日にちは二十七年五月二十九日であります。たしかこの前日は、岡崎さんは外務委員会に出ておつた。そうして中共貿易のことについて各党の議員から聞かれた。高橋さんはこのとき大阪におられた、用事はどんな用事か知りませんが、非常に違つた見解であるがために、新聞記者が聞いた記事が出ている。それによりますと、岡崎さんは大体現在中共貿易というものはやらなくてもいいという。アメリカのダレスとか、あるいはマーフイーとか、その前におりましたところのもつと小者であつたマーケットとか、その人たち意見代表しまして、中共貿易は不必要だという理論に立つている。そういたしますと、中共貿易をやらさなかつたのはなぜか。そればバトル法を適用されている。欧洲の国々でさえ中共に対しては相当の輸出入をやつてるではないか、また今後もやろうとしているではないか、それに対しましては別に後ほど名前を言つてもいいのでありますが、それはバトル法よりも、むしろゆるやかであると言えるリストがあるんだ、こういうようなことを言われるのですね。だからそのようにやつたらいいじやないかという意見に対して岡崎さんはそうじやないんだ、日本の現在の動きといたしましては、バトル法より以上の戦略物資に対するアメリカ干渉が非常にある。これをゆるめてくれという動きがあるけれども、そのゆるめること自体がいけないんだ、むしろ日本が今受けているような苛酷な條件欧洲人たちにもやつてもらうがために、日本が率先して今までの中共輸出を、ほとんど輸出入禁止というような状態を続けて行くことを、一番先頭に立つてあわてものの役目を果したいと言つているのです。高橋さんはこれに対しまして岡崎外相はどういう発言をしたか知らないが、中共貿易制限緩和通産省だけの考え方で簡単に片づくものではない。しかしバトル法以上にあまり意味のない品目を制限しているものがある。それは国連話合つて緩和の方向に持つて行くのが至当である。こう言つておられます。だからこの内容は後ほど聞くことにいたしまして、こういう言明があつたかなかつたかということを承りたい。言明がなかつたならば、そういうお考えがあるかないかということ、もしそういう考えがあつても、今の政治情勢通産大臣が答えにくいのであるならば、答えにくいということをはつきりお伺いいたしたい。この三点をお伺いいたします。
  4. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 お答えいたします。新聞記事のことは私見ませんので、そういうことではお答えができませんか、私と岡崎君の間に意見が違つていることは何にもないのであります。私としては中共貿易でなくても、貿易が盛んになるということについては国是として必要なことで、盛んになることを希望するのです。バトル法国連加入国が巌重に守つていないじやないかという今のお言葉ですが、そういうことがあるかどうか知りませんが、かりに国連加入国の中である国がそれに違背をしているものがあるから、われわれは違反をしてもいいんだという意見には承服ができないのです。日本政府方針国連に協力しようということか根本方針なのでありますから、海外のある国がどうとかこうとかということで云々という御意見には承服ができないのであります。
  5. 横田甚太郎

    横田委員 意見相違はないと言われましたが、意見相違があつてけつこうなんです。意見相違がないような通産大臣は困るのです。それから中共貿易だけではないんだ、貿易の盛んになることをもつてよしとするという御答弁でしたが、これは言わなくてもわかつている。しかし貿易を盛んにするためには、今輸出入ともに禁止されている地域が問題になつているんです。自由に許されているアメリカの制圧のもとにおきましては、輸出入貿易がうまく行かない。そこに検討が加えられまして、中共貿易が問題になつて来た。そのためにまた日本経済特殊性が問題にもなるのでございましようが、かような意味合いにおきましてまず第一に通産大臣が、私としては中共貿易だけではなくて、貿易が盛んになればいいんだということでありますが、中共貿易を除外して現在の形のままにおいてどういうふうにして中共貿易に対してこれだけの見込みを持つておられるものに対して、納得させるような御計画が立てられるのか、その点を承りたい。
  6. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 私はとてもその問題はあなたを納得できるような説明はできません。それはまあ、そういうことです。
  7. 横田甚太郎

    横田委員 納得できるような答弁ができないとするならば、私は納得するまで聞きます。大体中共貿易に対して民間入側希望を持つこと自体は無理であるというお考えですか、無理ではないとお考えですか、その点はどうですか。
  8. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 貿易が盛んになることは、私も非常に希望しているのですから、そういう希望民間の一部の人が持たれることは不思議でないと思います。
  9. 横田甚太郎

    横田委員 そういうような民間希望がございましたならば、その希望をかなえるようにするのは、日本政治形態のもとにおいてはどなたがするのですか、またどういう手続でやるのでしようか。
  10. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 それは希望がありましても、希望を全部いれることはできぬです。われわれがいれることがすぐにできる問題もあるし、できない問題もあるわけです。
  11. 横田甚太郎

    横田委員 きようの新聞が報じておりますように、民間人であるところの帆足さん、宮腰さん、高良さん、この三人が行かれただけでも三千万ポンドの商取引が可能だ、やつてもいいじやないか、こういうことが言われているのです。これは政治的な、妙なアメリカ人のやきもちがなかつたらできる。アメリカ人がじやまするからできないのです。いわんや日本政府というような、はつきりとしたところの権限を持ち、形を整えたものが代表を送るように努力し、講和條約というものを別にいたしましても、何らかの形において日本代表であるとか、出先機関であるとかいうような……吉田さん自身経済外交つたらやるとか、あるいは私の質問に対して予算委員会では、中共とは経済的な問題で上海あたりにいろいろな経済的出先機関を置いてもいいと言つております。こういう機関があつたならば、三千万ポンドでなしに、六千百ポンド、あるいは九千万ポンドというような、大きなものができるのではないでしようか、その点の御意見はどうですか。
  12. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 新聞で伝える帆足君などの話ですが、三千万ポンドの中共貿易ができるということは、私は信用ができません。
  13. 横田甚太郎

    横田委員 どうして信用ができないのですか。そんな薄情にしないで、答弁したらどうです。
  14. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 あなたのおつしやることは、私は不思議でならないのであります。今中共貿易が阻害されていることは、そのほかにいろいろな問題があります。たとえば中共貿易をやつて保険ができるかどうか、それはできないのです。国内のどの保険会社でも、二、三の人の有力な意見を聞いておりますが、これも保険をするものがない。何かあちらへ日本から品物を送つてクレームがあれば、それをどうして審査するか、それから輸出契約がかりにできたとしても、信用状を出す銀行がどこにあるか、最近東京銀行の役員が香港行つて、せんだつてつて来たのですが、その人の話を聞いてみても、香港から中共輸出をしても、その決済ができない。しかもその金額は一億五千万ドルに達するので、非常に問題になつておるということです。中共貿易というのはそういう欠陷があるのです。それであなた方は政府中共貿易を阻止していると言いますけれども、実際は日本のまじめな商人は中共貿易を避けているのです。
  15. 横田甚太郎

    横田委員 大阪から帰つて来てよくもそういうことがのめのめと言えますね。淀川製鋼の社長はまじめな人です。あなたもビールで功成り名遂げた人かもしれませんが、あの人も鉄で功成り名遂げた人です。そのほか今日の新聞で見ても、大阪綿業界で、ただ年が若いというだけであなたに劣らすりつぱな実業家中共貿易をやりたい。やらさぬというなら一ぺんやつて見せようかという気概さえ示しております。そのことは最近出たエコノミストをゆつくりごらんになつたらよいと思います。あなたがおりしやつた保険の問題もそうです。アメリカ日本の場合でも初めから保険がありましたか。アメリカとの貿易をやろうというときに、幕末のあなたのような頭のかたい人は、吉田松陰さえつかまえたのではないですか。商売が始まつてから保険という問題も考えられるのです。クレームの問題も、帆足さん宮腰さんは話をしている。相互に苦情処理機関を設けたらどうかという話も出ておる。だからそういうことは中共貿易をやることによつていろいろ利害問題が出て来たときに、副次的に出て来るところの問題なのであります。それができてから貿易をやるというようなばかなことはどこにもない。そんなことを言うなら日本アメリカとの貿易は何です。アメリカの高いものだけを押しつけられている。しつこいようですが、米の問題、大豆の問題、鉄鉱石の問題など、アメリカから入つておるもので安いものは一体何がある。何もない。こんなことは理論闘争になりまして、質問するのは他にもたくさん問題があつて非常に損ですから、また立会い演説会のときに、あなたのお好きな地盤でゆつくりやりもしますが、要は人格円満と言われておるところの高橋さんが、大阪から帰つて来て、そうしてどんなにマーフイーに怒られたか知りません。あなたの部下が怒られたか、あなたが怒られたか知りませんが、そういうなまいきなことを言うものではない。そこで政府が阻害しておるのではないと言われるが、貿易の形はあとから事務的にこしらえるのです。まず損得中心です。損得中心にして、いわゆる経済的な観点から日本中国との間の商取引が行われておりますか。バトル法というのは何をさしておるものですか。ここにもありますように、ケム修正案とか、このほかにもパリリストというものがあるということがはつきり言われておる。それからまたアメリカにはポジティブ・リストというものがあるということを言われておる。こういうリストというのはみな禁止項目を置くのが特徴だと言われておる。そのうちの一番ひどい、輸出してはいけない部分だけを、アメリカはもちろんのことですが、日本とフィリピンだけが引受けなければならないのはなぜか。これに対して日本が不服を持つてはいけないのでしようか。これでもあなたは政治日本中国との貿易を阻害しておるというのはうそだと言えますか、その点はどうですか。
  16. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 繰返して申し上げますが、中共日本貿易が現在のように停頓しておりことは、政府の指導、政府方針の結果ではないことを確信しております。
  17. 横田甚太郎

    横田委員 政府方針の結果ではないというが、方針ではない。政府妨害なんです。方針よりももつと悪いのです。政府妨害の結果これができないのです。しかもその政府はわれわれ日本人がつくつた合法的な政府ではなしに、目の王の色の出違う、鼻の高いアメリカ人の集団が日本に強要し、日本の一部の人がそれに屈してできたものです。しかもこの問題に対しましては自由党を支持する人までが、そういう点何とか考えねばならないと言つているほどの不合理なものなんです。だからなるほど政府がやつたのではない。政府がやらされたのです。この点を私はあなたに伺いたい。さきにも申しましたように、バトル法とかケム修正案とかこういうものに対して高橋通産大臣は何かお考えなつたことがありますか。同時にこれがまた日本貿易について何か阻害になるということをお考えなつたこともありますか、また同時にこれが日本中国との貿易を今より以上にスムーズに、政府が干淡しない形においてやらしてくれるとお考えなつたことがありますか。その点はどうなのですか。
  18. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 バトル法とか何とかいう問題は、日本政府根本精神である国連協力、それから来ておるので、やむを得ないわけであります。
  19. 横田甚太郎

    横田委員 国連協力はこの間あなたの好きな次官といやというほどやつたのですが、国連協力というようなややこしいことをやつておるとあなたも李承晩になりますよ。国会議員をつかまえに行つたり、アメリカ軍のおる足下で騒動が起つたり、アメリカ軍部がこういうふうに判断しなければいけないと放透した結果が誤りでしたと謝つてみたり、預つている捕虜を殺してみたり、そういう日本にしたくないから私はあなたに言うのです。だからもう少し政治的なセンスを持つてお答えになる方がよいのではありませんか。大体高橋さんがそういうふうに幼稚で、頑固でそうしてきようは逆襲的に出て来るのであるならば、大体このバトル法中心にして伺いましよう。大体このバトル法というものは非常に評判が悪い。ロンドンのエコノミストにも書いてありますし、あるいは英国シヨークロス商相言つております。エコノミストの場合、自分の国の安全を期するための手段は自分が一番よく知つている。他国からとやかく言われるのは心外だ。たとえソ連圏西欧との貿易をやめた方がかえつて西欧のためだという判断が正しいとしても、その判断アメリカの一管理者にゆだねらるべきではなく、何らかの国際的な機関で行うのが至当だ、こういうことを言つております。バトル法アメリカの議会でできたものではありませんか。それで従わないからここにパリリストというものができたのですね。同時にシヨークロス英商相は、アメリカ日本中共との間の貿易を、極東における正常な状態だとみなしているように、東西両欧の貿易を維持するのはヨーロツパ経済の正常かつ重要な特性だと述べています。つまりアメリカが再三再四にわたつて日本中共との貿易をやつてはいけないと言うことは、裏返しにして、もつと本質をつかめば、どうしても貿易はやらねばならないということを知つているから、それを恐れて彼らは阻害しているのです。これをやらなかつた日本はうまく行かないのではありませんか。だからバトル法というものは、国際連合が当然認めねばならない民族の自決権他国内政干渉しないという原則を破つて経済の分野において明らかに干渉している。その国から出るもの、特にソビエト並びにその政治影響下にある国に出る場合においては報告させる。そうしてそれに対しては出してはいけないとしうことを言う。出すならば金を貸さないというような意地悪をする。その命はそういうふうに貿易形態をゆがめることによつてアメリカだけが得をしてためた金を再配分する、高利貸しのやり方と一つもかわらない。  そこであなたに承りたいのは、どうせあなたはろくな答弁をしないでしようが、このバトル法なるものは内政干渉ではありませんか。それゆえにこそ英国においてもフランスにおいても、西独においても、これではいけないからというのでいろいろ問題になつているのです。日本において今問題になつておりますのは、今アメリカ中国に対して自分品物が売れないために、日本にこういうふうなことをやらしてアメリカの売れないさびしさを日本にもおすそわけしているのだ。そうして状況をごまかしておるのです。しかし現在アメリカ自身日本の商品のすべてを引受けてくれはしないように、また日本に関税でつら当てしておるように、そうしてアメリカ経済の弱味を発揮しておるように、やがてこれが恐慌を伴うようになつたとき、アメリカがどこにも売れなくなつたときには、必ずその逆を行つておるところのソ連圏、その中におりますところの中共、こういうところは大きなはけ口になるだろう、そのときに、アメリカのあり余つたものがどうつと中共に流れるようになつたとき、日本は今アメリカにおつき合いしておつて中共には物を売らずにおるが、そのときになつて一ぺんに物を出そうとしても、アメリカのように大量生産できる国と日本とは太刀打ちができないから、そのときのこともおもんぱかつて、今から少し手でも打つておいたらどうかということの良心的なうずきが中共貿易に対するあなたのお考えになつて現われて来ておるのではないかと思います。それは外務省等もよく知つておる。そこにおる牛場君なんかも、私が聞くところによると、相当努力されたはずなんだ。そうするとマーフイトではない、マーフィーの端つこのやつがえらく怒つたために、日本の良心的な官僚がひつ込んでしまわなければならぬことになつた。それでは独立したとは言えない。このバトル法ほんとうにけしからぬ。化けものそのもののような法律で、日本に対する内政干渉でありまして、日本の将来に対する困りものです。この点に対する考えを述べていただきたい。
  20. 牛場信彦

    牛場政府委員 バトル法につきましての御質問と了解いたしますが、バトル法は、要するにアメリカから軍事的、経済的または財政的な援助を受けようとする国は、これこれのものをソ連圏、いわゆる共産主義圏輸出することをやめてくれと言われるだけのものでありまして、これは内政干渉するという性質のものではないと考えております。
  21. 横田甚太郎

    横田委員 そういたしますと、バトル法に対しましては、われわれがアメリカからの援助さえ期待しなかつたならば、幾らでも物を出してもよいというのですね。ただ援助されるがためにこういうようなバトル法を守らなければならないとおつしやるのですか。
  22. 牛場信彦

    牛場政府委員 そういうことです。
  23. 横田甚太郎

    横田委員 そういたしますと伺いますが、バトル法守つてアメリカ援助にすがつた方が、日本経済自立のために、得なんでしようか。それともまたそうではないのでしようか。ほんとう日本経済自立のためには、バトル法というような、日本を損させる、日本の今後の経済アメリカひざ下に屈せしめて、アメリカの思うようにしてしまう、こういうようなやつを切り離して、いろいろな民間の有力な人が考えておるように、自主態勢を立てた方がよいか。はつきり通産大臣から承りたいのであります。同時にそうであるとするならば、その二つの理由についての具体策がおありでしようか、ないでしようか。その点も聞きたいのです。
  24. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 現在の情勢で、中共貿易のような支払いのあてにならぬ危険な貿易に依存するよりは、アメリカ援助を期待する方が私は有利だと思います。
  25. 横田甚太郎

    横田委員 もつとほかによけい聞いておつたのですがどうですか。……それではお答えがないようですから伺いますが、アメリカ援助だけで日本の国の経済を引きつけ、日本の人心をぐつと引きつけるだけの自信があるなら、昭和二十六年四月二十八日に総司令部別表の第一を添えまして、要許可品目としてのくぎ一本を通産行政に対して打込んだことはおかしいと思う。これはバトル法自体が、やりにくいものであるためにやつたのではないかと思うが、その点はどうですか。
  26. 牛場信彦

    牛場政府委員 例の輸出統制令別表のことだろうと思いますが、これは日本政府があの当時自主的にきめた表でございます。そうしてあの表に載つておりますものは、ことごとく輸出を禁止するという意味ではないのでありまして、これはただ輸出の際に許可がいるということだけであります。
  27. 横田甚太郎

    横田委員 たいへんアメリカをかばいますね。アメリカがくさびを打込んでおることは有名な事実じやないですか。それ以上はあなたは言いがたいでしようが、大体他国が物のやりとりをする場合に、そういうような別表を出して、それによつて許可品目をきめたりすること自体が間違いだ。一例を申しますと、アメリカに通じていた結果はどうなつておるかということです。立川の例をとります。あそこはアメリカがかつて気ままに飛行機を飛ばしております。そのために日本法律の面におきましては安全保障條約を結んでおります。今またそれを中心にして、航空法をこしらえようとしております。なぜこれを私が言つたかと申しますと、朝鮮戦争というものが中に介在いたすからであります。この朝鮮戦争が介在するために、バトル法より以上に日本に対する禁輸措置がとられた。立川におきましては、あのくらい日本施設と、日本の金とそうして日本の危険とを伴うところの作業をアメリカ人に許しながら、立川付近は今どうなつておると思いますか。あの付近行つてみなさい。アメリカのあわて者の使うガソリンのために、住民が飲むところの井戸の水はガソリン臭くなつておりますよ。何だつたらあす持つて来てもよろしい。ガソリン臭くなつて飲めばしない。日本石油資源が不足し、通産委員会石油資源のためにいろいろ御考慮せられておるが、アメリカ飛行機が使うところの精製せられたガソリンの古手を日本の古井戸にほうり込んでしまう必要はない。ちようどそれと同じような結果になる。たとえ話を言わなかつたならば、おそらく御老体にはおわかりにならないと思つて申したのであります。だからバトル法なんかは、どこまで行きましてもバトル法としての魅力のないものであります。経済的裏づけのないものであります。さればこそ政治的な強圧が伴う。その強圧が昭和二十六年四月二十八日に総司令部別表を添えて持つて来ましたこの一本のくさびになるのでしよう。これさえもそういうふうにお考えになるのだつたら、私は牛場さんと同時に通産大臣答弁を得たいのです。それではバトル法百三條なるものは一体何を書いてあるのか、何を禁止しておるかというようなことをここではつきりお答えを願いたい。
  28. 牛場信彦

    牛場政府委員 それはここに書いてある通りでありまして、本法の目的完遂のため禁止せらるべき戦争用の武器、弾薬、器具、戦争用の武器、弾薬、器具の生産に用いられる戰略的必要性を要する品目、こういうことであります。
  29. 横田甚太郎

    横田委員 たしかその中にみかんというものが入つていたと思いますが、それはどうなんでしようか。
  30. 牛場信彦

    牛場政府委員 もし温州みかんのことを御指摘でしたら、これには全然入つておりません。みかんが別表に載せられましたのは全然別の理由からでありまして、これはいわゆる価格の投売り防止という意味から入つております。この関係ではございません。
  31. 横田甚太郎

    横田委員 この関係ではなかつたら、その点をもう一回はつきりしてほしいのです。みかんなんかは中共に出してはいけなかつたものでしようか。それとも出してはいけないものであるということをはつきり言われるなら、同時にこれと関係ないと言うなら、何を根拠にしておとめになつたのか。
  32. 牛場信彦

    牛場政府委員 みかんは中共向けにも輸出できることになつております。
  33. 横田甚太郎

    横田委員 次に英国やドイツから出ているところのものがありますね。これによりますと、たしか英国においては、中国に対しまして医薬品、研磨材、ビ二ール製のいすシート、これなんかを出しております。ドイツは肥料、染料、カメラなどを出しております。イタリア、フランスは電気絶縁体、研磨材ですか、オランダはばれいしよを出していますね。こういうような情報が入つておりましようか、入つておらないでしようか。入つておるとするならば、日本もこのくらいのものは出してもよいものでしようか。その点のお考えはどうでしようか。
  34. 牛場信彦

    牛場政府委員 個々の取引に関する情報は、私どもあまり持ち合せておりませんが、全体といたしましては、日本の今やつております統制が欧洲諸国の統制よりもややきびしいということは私どもも知つております。従いまして品日につきまして、多少の調整をいたしたいというように考えております。
  35. 横田甚太郎

    横田委員 やや調整したいという一点をわれわれは支持しなくちやならぬ。これを元気づけなければならぬ。しかしやや調整したいということは、岡崎さんに鼻をへし折られたのじやないですか。その折られ方が足らなかつたというんで、今度マーフイーが怒つのじじやないんですか。その間の事情はどうなつておるか。これは牛場さんでは気の毒だから、高橋さんの方から御答弁願いたい
  36. 牛場信彦

    牛場政府委員 中共貿易につきまして、若干の品目の調整を行いたいということにつきまして、外務省とまつた意見が一致しております。従いましてただいま外務省においてこれを取上げて、しかるべき措置を研究しておるところであります。
  37. 横田甚太郎

    横田委員 そういたしますと、アメリカに忠実な外交をやる人たちが集まつておるところの外務省として、ケム修正案アメリカの議会においてああいうふうに可決されて行つた、こういう情報に対してどういうお考えを持つておられるか。ああいう決定に対して、反対してやろうという勇気を持つておるというようにあなたはお考えでしようか。その点はどうですか。これは牛場さんなんか立たせずに、高橋さんは、さつきから相当悪態をついておるのですから、堂々と答えた方がいいでしよう。答えなかつたら、私は同じことを何回でも聞きますよ。
  38. 牛場信彦

    牛場政府委員 ケム修正案云々の情報につきましては、いろいろアメリカ側に聞き合せております。こちらの大使館でもどういうことか全然わからぬということで、目下研究中でございます。わかりましたら、いずれ御説明できると思います。
  39. 横田甚太郎

    横田委員 わかりましたらお答えいたしますというような、そんな気の長いことがありますか。高橋さんは中共の悪口を言うときだけ元気で、貿易を断るときだけ大きなことを言つて、かんじんの話をどうするかと、うときには、ハイプをくわえているだけだ。そんなべらぼうな大臣がどこにあるか。私はあなたに伺いますが、これはどなたでもいいんですが、特にこの間戰闘的だつた次官でもけつこうですが、バトル法の線まで緩和したならば、今まで輸出できなかつたもので、一体どういうものが輸出できるんですか。
  40. 本間俊一

    ○本間政府委員 先ほど来大臣からもお答えしておりますように、バルト法だけでやつておるわけではないのでありまして、先ほども申し上げました通り、日本政府方針としてただいまとつておりますような方針をとつておるわけであります。ことに商売だけを考えて参るわけに行かないわけでありまして、広く国際的な関係をも考慮いたしまして、日本の政策をきめて行くわけでありますから、この点はこの聞も申し上げましたように、どういう品目はどうなるかということはただいまのところはまだ見当がついておりません。
  41. 横田甚太郎

    横田委員 確かに今の日本政府方針でやつておると言われましたね。これは国際的な政治から判断いたしまして……アメリカ人なんかの政治は、李承晩をかり立てたときと同じでありまして、自分のやりたいことを相手がやるという力を持つたときに初めて独立を許す。ちようどアメリカの兵隊と同じ服を着た警察予備隊が強くなつたときに、アメリカの兵隊は安心してアメリカへ帰るのであつて、それまでは帰りはしない。だから私はもう一回承つておきたいが、日本政府方針でやつておると言われましたね。だから日本政府方針だけでかえられるのですね、これが一点。バトル法だけでやつておるのではないのだ、こういうことを言われますと、よけいしやくにさわる。バトル法だけでもありがた迷惑だ。さきにも申しましたように、ハリ・リストのようなものがありまして、それでやられるならばバトル法よあらゆるいんです、ゆるいから私も満足できるんですが、そうではないのでありまして、バトル法にしてくれと言つておるのに、バトル法以外のより悪いものがあつてバトル法だけではありません。もつと悪いものでやつておりますというごていねいな御答弁でありますと、実際しやくにさわつて来る。その点は覚悟してお答えしてくださつたのでしようか。その二点は一体どうなんですか。
  42. 本間俊一

    ○本間政府委員 前回も申し上げました通り、日本政府日本政府の責任においてやつておるわけでありますから、日本貿易政策なり対外政策を決定します場合には当然日本政府の責任でやつておる。従いまして、あなたがどういう見解を持たれますかはあなたの自由でありますが、ただいまとつております日本の対外政策なり貿易政策なりは日本政府の責任においてやつております、
  43. 横田甚太郎

    横田委員 この間もあなたにいやというほど言つたでしよう。あなたはまだいやにならないのならまたむし返してもよろしゆうございますが、あのときマーフイが言つたでしよう。そんなことを言つてはだめなんだ、とにかくこの許可を要する品目については、アメリカの了解がなかつたらやれないのだということを言つておる。だから通産省人たち日本の業者の意向もよく聞きまして、これではいけないといつて許可を要する品目についていろいろ運動なさつた結果としてのマーフイ声明になつたのでしよう。この点については、見解が違うと言われるならば、これもまた実力抗争まで待たなければしようがない。  それではもう一ぺんその点についてあなたに伺います。いろいろ品目がありますからぼつぼつ伺うなですが、先ほどはみかんのことで牛場さんは上手に逃げておりましたけれども、みかんの次に寒天というのがあるのです。寒天はたしか禁止品目になつてつたと思うのですが、私の思い違いでしようか。またこれはバトルの線まで緩和すれば出る品目なのでありましようか、どうなのでしよう。この禁止品目の中に入つている品物は大体私たちが見ている品物と同じものをさすのでしようか。こういうものを中国に出すと、アメリカ人の臆病者はどうして恐れるのですか。この点も御答弁願いたいのです。
  44. 本間俊一

    ○本間政府委員 寒天は輸出できないことになつております。
  45. 横田甚太郎

    横田委員 輸出できないというのは何法によつてできないのですか。日本の自由なる判断においてなんですか。私も大阪の寒天の産地におる人間であります。信州にも寒天の産地があります。こういう人たちは今年の寒天が売れずに困つているのです。せめて中共に売れたならばといつて、ままにならないことを嘆いている。それに、これを出しては困る、出せないことになつておりますなんて言つたら、そこで自由党のばかさかげん、アメリカヘの奉仕ぶりの暴露になりますが、その点はどうなんですか。
  46. 本間俊一

    ○本間政府委員 先ほども申し上げました通り、寒天は輸出貿易管理令によりまして、中共向けには輸出しないことになつております。
  47. 横田甚太郎

    横田委員 その寒天は中共に出なかつただけ、どこに出ておりますか。
  48. 本間俊一

    ○本間政府委員 寒天がどこへ出ておりますか、今その方の政府委員お答えいたします。
  49. 牛場信彦

    牛場政府委員 ヨーロッパとかあるいはアメリカにも少し行つておると思いますが、中国以外にはどこでも行つておるわけであります。
  50. 横田甚太郎

    横田委員 そのヨーロッパやアメリカ行つている寒天の量と中国行つておりました寒天の量と、それから特に意地悪く聞きますが、寒天の質、これを出すときの選別、こういうものをゆつくり承りたいのです。もちろん寒天というようなものは自由党の産業綱領にないのですから、おつぶしになるおつもりかもしれませんが、そういうことは日本人には言えない、議会でだけ答弁できるところの自由党のインチキ産業綱領というのです。私はそう思います。この点はもつと言葉を並べてもよいのですが、まずいらないことを言うのを避けまして、中共に出ておりました寒天がヨーロッパ、アメリカの方へまわるようになりましてからのその品質、量、もうけ、そういうことについてゆつくり聞かせていただきたいのです。
  51. 牛場信彦

    牛場政府委員 今ちよつと数字を持ち合せておりませんので、早速調べてあとからお答えいたします。
  52. 横田甚太郎

    横田委員 それでは大臣に聞くのですが、私は大臣が言わないから、ほかの人では答えにくいだろうと思つて、答えられる寒天まで押し出されて来たのですよ。  アメリカの一九五一年相互防衛援助統制法、特にバトル法と言われるこののろうべき法律は、だれの利益のためにごしらえられたと思われるのでしようか。これの適用を強要される国は非常な損をすると思うのですが、この中に「アメリカ合衆国及びこれと協力する諸外国によるソヴェト社会主義共和国連邦及びその支配下にあるすべての国家を含み、アメリカ合衆国の安全を脅威するすべての国家又は国家の結合に対する輸出の統制その他の目的のため、議会に参集したアメリカ合衆国上院及び下院はこの法律を制定する。本法は『一九五一年相互防衛援助統制法』と称する。」こうなつているのです。これを見てもわかりますように、日本の脅威とか日本の安全とか日本の利益とかいうことは一つも書いてない。アメリカ合衆国の安全と脅威、その必要より百三條を伴つているのです。だからこの点においてバトル法というものは一体何の利益を守つているのかということを承りたいのです。これは特に大臣に御答弁を願います。但しその答弁の場合にも、大臣がアメリカの脅威、アメリカの安全すなわち日本の脅威、日本の安全と害えるほどはらわたが腐つているのだつた答弁はいりませんよ。
  53. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 お答えします。バトル法は世界の自由国家の利益のために制定されたものと考えております。
  54. 横田甚太郎

    横田委員 自由国家の利益といつて、自由国家で利益を守られている国が世界のどこにあるのです。その一番端的なものとして、大きな金と人命と物資を費やしてやつているのが南鮮ではありませんか。南鮮では、高橋さんは年が相当行つておりますからそんなことはお耳に入らないか知りませんが、みなアメリカ人は帰つてくれと言いますよ。日本人なんか、私たち演説会に出まして大衆が一番喜ぶのはアメ公帰れということです。ニュース映画にアメリカの自動車が燃えている写真が出ても拍手喝采です。昔から日本人は弱い者に味方をし、強い者をくじくという気質を持つている。これは占領後にあつても失つておらない。参議院の大山さん……あなたがビール界の長老であり、偉い人であるならば、大山さんも言論界の偉い人です。その人がこの間の共立講堂の演説会でこう言いました。マッカーサーという男は、日本人を十二歳の少年だ、そして強い者にはこびる少年だと言つたが、あれはマッカーサーが日本の国民に接しなかつた証拠だ、日本の国民を押えるところのアメリカの召使どもが政府をつくつている、その吉田政府だけに接して、恥ずべきこの言葉を吐いたのだというのです。だから私はあなたに聞きたいが、自由国家の利益を守つて日本の国が一体どこに得があるのですか。私は政治論争をやつているのじやない。政治論争は岡崎さんとやるつもりでいるが、あなたはきよう自由国家の利益とおつしやるから申し上げる。中国に売れるものを売らないで、日本の業者に損をさしておいて、一方では百ドルの大豆を買わずに百三十ドルの大豆を押しつけ、業界はごうごうとして大豆に対する攻撃をアメリカに加えている。そうすると馬橋さんや吉田さんは日本人のあわて者だからと言いたいでしようが、欧洲の人までがこれにつき合つてアメリカの大豆は困りものだと言つている。これは世界の輿論になつている。こういうような意味合いにおきまして、自由社会といわず共産社会といわず、各人の生活を向上せしめるということが人間天賦の行き方でありまして、その使命を全うせしめるために、われわれ社会に生れた政治界の人たち、あるいは学者、実業界の人たちが苦労して来たのじやないでしようか。高橋さんの過ぎし今までもそういうところに目的があつたのではないか。それとも天野さんのように、大臣になつて、しばらくそのいすにすわつたがために、今までの行き方を忘れたのなら別ですよ。だから自由世界の利益になると言われても、自由世界の利益のためにバトル法とか、あるいはそれ以上のきつい戰略物資に対する要許可品目をきめてもらつて、それに対する反撥さへもようやらずに、自由世界につながることによつて、やがて日本にも利益が来るとおつしやるのか。その点もつとよく答えていただきたい。
  55. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 私は、これは自由国家の利益である、従つて日本の利益にもなると信じています。
  56. 横田甚太郎

    横田委員 高橋さんは非常に年のかげんでお固いから、物の方面から行つたらどうか。先ほど言つたように、ドイツあるいは英国が出した医薬品、この医薬品の場合なんかは、中国のいろいろの情報をわれわれが総合してみますと、中国には日本の学校を卒業して医者になつた者が多い。そして中国には、日本の医薬品がたくさん入つてつた。だから中国人たちは、英国の医薬品ではなしに、日本の医薬品を使いたいということを言つている。ところが、日本では入れておらないが、英国は医薬品を入れている。だから日本も医薬品を入れるくらいはせめて努力したらいい、こういうお考えをお持ちでしようか。しかもその医薬品は日本では許可されない、許可を要する品目に加えられている。それがために許可を広めて出せるようにお考えでしようか、どうでしようか。
  57. 本間俊一

    ○本間政府委員 これは先ほど来申し上げておりますように、朝鮮の事態が解決されますと、いい影響が相当あるのじやないかと思いますが、通産省といたしましては、貿易の取引をいたします相手ができるだけ広くなればいいのですから、そういうような意味合いにおいて、常にいろいろな研究をしておりますが、御指摘の医薬品の問題がどうなるか、今すぐお尋ねにお答えするまでにはなつておりません。貿易を担当しております通産省としては、研究は始終しておるのでありますが、その品目につきましてどうなるか、まだはつきりした見通しは申し上げられない状態であります。
  58. 横田甚太郎

    横田委員 また横道にそれますが、高橋さんはお急ぎなんでしよう。高橋さんに次の四つのことを聞いておきたいのですが、その前に次官がああいうことを言つたからもう一度次官に聞いておきます。朝鮮の事態が解決したらと言われますけれども、朝鮮の事態が解決しなくても、英国が医薬品を出していると言つておるんです。しかもその英国は、朝鮮に兵隊を送つておる。そうしてその兵隊の中には死傷者もあり、英国自身の物資もそこで消耗している。そして日本より以上の援助アメリカから受けておる。その国が医薬品を出している。日本は朝鮮に兵隊を出しておらない。国連にも加盟しておらない。そこを予算委員会でも社会党の西村さんから何回もついたのだろうと思いますが、そういうような英国日本との違いがある。国連に対する関係の薄さがこれほどはつ遣りしているにかかわらず、英国はよけいな物を出して、しかもその物を出したがために朝鮮事変の解決にはならぬと言つている。しかもあなたが恥を知つておれば、こういうことを読むでしよう。きようの新聞では、朝鮮の戦況を心配して、英国の国防相が朝鮮の戦場に行く。日本にはアメリカにごまするとんまな治安大臣がありましても、朝鮮までよう行きはしない。それを薄情に扱われておりますところの十二歳の自由党でありながら、どういうわけで薬を出したらいかぬか、それを聞いておるのです。
  59. 本間俊一

    ○本間政府委員 私の申しましたのは、化学薬品と申しますか、そういうものでございまして、家庭用の医薬品は一向さしつかえない、こういうことになつておるわけであります。イギリスの例をいろいろ出されたわけでありますが、イギリスは、今御質疑もございましたように、現に兵隊を出しておるわけでありますからそういう必要上からだろうと思います。そのこととこのこととは一緒でないというふうに私は考えております。
  60. 横田甚太郎

    横田委員 時間の関係で大臣が帰られるということですが、また来ていただけますか。
  61. 中村純一

    中村委員長 大臣の都合のつくときには来ていただきます。
  62. 横田甚太郎

    横田委員 それでは高橋さんだけではしようがないから、岡崎さんと一緒に来てもらいたい。このことは通産委員会委員長が骨折つてくださつてもいいものであろうと思う。この点をお願いいたしまして、岡崎さんと高橋さんがおいでになるなら、きようはお帰りになつてもけつこうです。この点委員長にお伺いいたします。
  63. 中村純一

    中村委員長 大臣の都合のつく限り、御希望に沿うようにとりはからいたいと思います。
  64. 横田甚太郎

    横田委員 そうすると今度は本間次宮が中心になるのですね。本間次官が中心になるのでしたら、次官ですから元気がある方がいい、失言するくらいにやつていただきたい。あなたに伺いたいのは、さつきの問題に移るのです。問題がこまかくなつていけませんが、こまかくしないとあなた方うまく逃げるので、つまらないことになるのです。バトル法の線まで緩和すれば、今まで輸出できなかつたものでできるようになるその品目質問をしておりましたね。その品目のうちの寒天とみかんがやや済んだ。寒天はまだはつきり済んでおらない。この中に木材もある。しかし木材のようなものは、私も日本の木材事情を知つておりますから、これは少し無理でしよう、こういうような考えを持つのですが、繊維機械類にいたしましたら、これは出しておいた方が得だろうと思う。肥料にいたしますと、考慮のいるものである。しかし繊維のごときは、出さなければ損じやないのですが。こういうような点であなたに伺いたいのですが、バトル法の線までもし緩和されたならば、繊維とか、紙とか、化学薬品あるいは医薬品それから肥料にさきのような條件をつけまして、そのほかは繊維機械とか、カン詰とか、みかんとか、寒天とか、こういうものは当然輸出できるようになるのではないでしようか、その点を承つておきます。
  65. 本間俊一

    ○本間政府委員 ただいま御指摘になりました繊維類は、これは一向さしつかえないと思います。その他の品目でただいま承認を必要としておりまする品目がどういうぐあいになりますか、これは今ただちにどうなるというようなことを申し上げる段階ではないと思います。
  66. 横田甚太郎

    横田委員 それではカン詰は、一体どういうようなカン詰を中国の側は望むのでしようか。そんなことは売つてみなければわからないと言われるならば、今までの記録から、通産省にも資料がございましようから、中国にはどういうようなカン詰が出ておつたでしようか。
  67. 本間俊一

    ○本間政府委員 戰前でございましようか。……戰前はいろいろなカン詰が出ておつたと思いますが、一番盛んなときで、日本の全輸出額の二十五・六パーセントくらいは占めておつたように私ども記憶しております。
  68. 横田甚太郎

    横田委員 カン詰のうちでアメリカ日本との関係を、日本国民にはつきり教えてくれたまぐろのカン詰のごときは、アメリカがアチソン、トルーマンの思惑がうまく行かなくなつたような場合において、アメリカからあんな扱いを受けましたならば、日本としては、とにかく金にかわつたらいい、また物にかわつたらいいでしようから、中国の方にどんどん努力して出す、こういうようなおつもりはあるのでしようか、ないのでしようか。これを言いますのは、おととい聞きましたときに、あなたはアメリカに対しましても、やはり相当のことを言つておるように言われましたので、相当のことを言う結果として、聞かなかつたらどうなるかということを私は言いましたね。言うだけではだめですから、アメリカが買わなかつたらこつちに売つてやるということで、アメリカに言つたことをそのまま実行させるような結果になるのじやなかろうか、これがすなわちアメリカに対するバトル法の通し返しになるのじやないかと思うのでありますが、その点はどうでしよう。
  69. 本間俊一

    ○本間政府委員 先ほど私がお答えしたのは繊維のことでございますが、ただいまでもカン詰類を無理に押えておるというようなことはございません。話合いができれば、カン詰類を輸出してはいけないというようない限規定はないわけであります。
  70. 横田甚太郎

    横田委員 そういたしますと、かつて以前にはアメリカのさしがねで、私がさしがねと言うのがあなたくやしかつたら、あなたの得意の言葉がございますね、日本の自主的な判断でやつたという言葉ですね。この二つの見解相違を現わすところの一つの内容で聞くのです。それによると、カン詰、みかん、ゆり根、除虫菊というものまでが禁止された記録が過去にございましようか。もしあるならば、最近これは禁止されていない。禁止されてないのであるならば、どういうわけで禁止を解いたのか。アメリカが自主的に解いたのか、日本のあなたたちが努力されて解かれたのか、この点はどうですか。
  71. 本間俊一

    ○本間政府委員 カン詰を無理に禁止したということはないと思つております。みかんとか、そんなものは一向さしつかえないと思います。
  72. 横田甚太郎

    横田委員 ゆり根、除虫菊はどうなりましたか。
  73. 本間俊一

    ○本間政府委員 こまかい品目になりましたので、今調べまわてお答え申し上げるわけでありますが、繊維類とか、みかん、家庭用の薬とか、カン詰類とかいうものはいいわけであります。除虫菊は禁止をいたします品目の中に入つております。
  74. 横田甚太郎

    横田委員 まだ答弁があいまいだが、かつて禁止されたかということを言つたのです。今じやない。しかし、あなたがお答えになりました言葉でけつこうであります。こういうようなこまかい品目だと言われましたね。まさにこまかい品目です。こんなこまかい品目までごしやしややるから、バトル法という大きな名前を持ち、世界を相手ににらんでおるそのアメリカが、あまりこせこせし過ぎるのではないか。これを簡単に聞きたかつたのです。初めから言われたら、そんなこまかいことを言わなかつた。むちやくちやに尊大ぶつて横着なことを言うから、つい時間をとり過ぎた。その点はお気の毒でした。今度伺いたいのは、帆足さんと宮腰さんと高良さんの努力を多とされますか、多とされませんか。ありがた迷惑だと思つておられますか。もしありがた迷惑だと思つておるとすれば、どういうわけで、日本の実業家が日本輸出入貿易のために貢献する、しかもそれは日本の国法、国法といつても間違つた国法だが、旅券法の禁を犯してまで、こういう通商のためにはだ脱がなければならぬという気持になつたのか、しかも入つた人が、あなたが答弁するときにはお気の毒だが、共産党の私たちであれば、あれは根が赤いからあつちへ行くのはあたりまえだと言うでしようけれども、改進党ですよ。しかも高橋さんと同じ会派の緑風会です。なぜこういう人までが、こうなつたか。これは日本の現在人が非常に占領というものによつて相国性を喪失したという答弁にはならないと思う。吉田松陰の例を引きましたときに、日本人にはああいう血があるらしいのです。松陰がああいうことをやりましたのは、直接なもうけにならなかつた。もうけになる試みに手をつけただけです。それをすら今の世の人たちは国士といつているわけですね。だから私はあなたに聞またいのですが、高良さん、宮腰さん、あるいは帆足さんの今度のことについては政府としては……政府として答えられませんようでしたら、あなた個人としては一体ありがた迷惑だと思つておられますか、その点はどうですか。
  75. 本間俊一

    ○本間政府委員 御指摘のお三人がどういう考えで行かれましたか、私承知いたしませんが、私どもの常識といたしましては、やはり禁を破つて行かれるというようなことは避けるべきではないか、こういうふうに私は考えております。
  76. 横田甚太郎

    横田委員 禁を破つてと言われますけれども、日本の憲法によりますと、旅行なんか自由にできることになつているじやないですか。あなた方自身アメリカへ行つたんじやないか。アメリカへ行くよりも中国へ行つた方がずつと自然的なんです。弘法大師も傳教大師もみな中国へ学びに行つたんです。中国へ行つたらいかぬそういうような考えは間違いなんです。法というものは人間のこしらえたものでありまして、国民生活に便利にならないような法だつたらかえてしまつた方がいい。それがために明治維新の改革があつたり、源の争いがあつたりしたんですね。法々と言われますが、法というものは人間が守りたいような内容を盛つたところの法にかえて行くのがあたりまえです。要は帆足さん、高良さん、また宮腰さんのことにつきまして非常によくやつている、こういうことは言いにくいでしようから、その点は追究しません。この人たち日本からの輸出品として、農機具、紡績機、タイプライター、計算器、自転車、トラック、化学薬品、染料、綿織物、綿糸及び人造糸並びに日用品、こういうようなものを出していただきたい。そうすると中国からは、鉄鉱、石炭、大豆、塩、原油、桐油、薬草こういうようなものを日本に出そう、その決済の方法についてはまた後ほどあなたといろいろ質疑いたしまするが、できるようなことを考えようとしている。船の点につきましても日本船の使用及びその他の輸送條件の詳細な点について目下協議中であるといつている。ここに問題があるのです。こういうようにやられているのですが、朝日新聞、毎日新聞、読売新聞日本経済新聞、その他日本のあらゆる新聞が取上げ、ラジオも取上げている。これさえもあなたたちの閣議の中に響かないのか、あなたたち政治に対して一つの指針を与えないのか、私はこの点についてあなた方の政治的な良心を疑うのです。これはいかに日本人が望んでいるかということを実証しているものだと思うんです。これは後ほどあなたとの質疑応答によつてむし返上ますが、この中に掲げられました品目のうちで、日本から制限があつても出せるものはどれどれであるかということを伺いたい。
  77. 本間俊一

    ○本間政府委員 ただいまの新聞記事を引用されましてのお話でありますが、いろいろこういう品物を輸入したいという希望がありますことは、私どもも承知いたしておるわけでありますが、ただいま名前を言われました三人の方々がどういう話合いをされて、どういうことになつておりますか、それはまだ一向承知いたしておりません。ただいま禁止されておりまする品目と、禁止されない品目とは、輸出入管理令をお読みになればきわめて明瞭なことでありますので、それに触れておらない品物の取引でありましたならば、これは一向さしつかえない、こういうふうに考えております。
  78. 横田甚太郎

    横田委員 管理令に触れている触れていないということを言われますが、その管理令が問題なんですね。管理令自体が非常にあいまいである。その管理令の親とも言うべきバトル法におきましても、何か百三條には出ておりましたよ。調節することができるのですね。「但し右決定は調査と協議の結果に基いて、不断に現状に適応され、(アメリカ合衆国の援助受領国に対する通報)またアメリカ合衆国の軍事的、経済的又は財政的援助を受けるすべての国家は、右決定に対し常に通報を受ける。」これによりますと、これを見ておつて疑問が起るのは、この決定はアメリカだけでかつてにやつてしまつている。こちらはただ一片の通報を受けるだけじやないですか。その通報には絶対に従わなければならないのですか。従わなかつた場合にはどうなるのですか。そうしてこんなものに従つた結果が、最後にアメリカ合衆国の安全と脅威のために、これがやられるのだこういうふうになつて来るのです。だからあなたがその管理令を読めと言われますが、読みもしました。調べもしました。調べた結果が帆足さん、宮腰さん、高良さんの行動になるのです。そうして日本の一般の人たちは何とかこれをゆるめなければならないというので、今薄情に答弁している大臣さえもが、これではいけないからというので、この管理令をゆるめるべくやつていられるでしよう。だからこの点は答えにくいでしようが、このうち一品目でもいいのです、二品目つたらなおけつこうなんです。どれとどれは現在の管理令によつて出せます。バトル法によつては全部出せます。あるいはそれ以外のものにつきましては、われわれの努力次第によつては全部出せますというように、この三つにわけて答弁が願いたい。
  79. 本間俊一

    ○本間政府委員 今あげられました品目の中でこれは一々私今厳密に検討したのではありませんが、私の記憶によりますと、その中で農機具も品物によりましてはいいものがあります。それからタイプライターがあがつてつたかどうかわかりませんが、これはただいまのところ、いいことになつております。それから繊維もあがつてつたように記憶いたしておりますが、これも先ほど申しました通り、さしつかえないということになつております。
  80. 横田甚太郎

    横田委員 そういたしますと、そこにあげました品目は全部合しまして三千万ポンドなんですが、三千万ボンドにはならないけれども、その中から幾らかの商取引は可能だ、輸出入貿易は可能だとお考えですね。
  81. 本間俊一

    ○本間政府委員 ただいまお答え申し上げましたように、禁止をいたしておらない品目の取引でありますならば、これはさしつかえないのであります。
  82. 横田甚太郎

    横田委員 そこで今度は人が問題になつて来るのですが、そういうようなことをやつた人は好ましくないようですが、そういうようなことをやつている高良さん、帆足さん、宮腰さんだけではなしに、非常にうしろから応援している人たちが多いのですね。ここにも出ておりますように、中日貿易促進会というものがございまして、常任理事といたしましては、安川第五郎さん、これは安川電機の社長でありまして、香川峻一郎さんは啓明交易社長、松宮康夫さんは東京貿易商会社長、佐分利健さんは東西交易取締役業務部長、岡田信治さんは極東物産社長、濱田正信さんは淀川製鋼代表取締役、こういう人の名前がずつと出ているのです。こういう人たち中共行つている三人の方々と内外相呼応して努力しておられるのですが、通産省の当の責任者である高橋さんの意見によりますと、日本の健全なる経済人はこんなものは望まないと言われるのですが、この人たちはただの一回でも税金をごまかしたり、あるいは日本の産業再建のために害を及ぼしたことがあるのでしようか、また当の責任者である高橋さんと、この人たちの間に過去の経歴にどう違いがあるでしようか、次官には気の毒ですが、ここまで来たついでですから、見解をお聞きしておきたい。
  83. 本間俊一

    ○本間政府委員 先ほど大臣が申し上げましたのは、取引をいたします場合の決済の方法でありますとか、あるいはそれに対する保証であるとかいうような関係にも大きな障害があるという意味合いのことを申したと思います。従いまして取引をいたします場合に、決済の方法といたしましてどういうことに相なりますか、これはやはり今日でも相当考慮しなければならない問題だと思つております。今読み上げられました方々は、もちろんそれぞれの立場において、日本経済なり国民経済にそれぞれの分野で貢献せられておる方方でありますが、そういう方々と帆足宮腰高良王氏との間でどういう話合いになつておりますか、それは私ども承知いたしておりませんので、その話合いがどうなつておるかと問われましても、その点につきましては今すぐお答えできないわけでございます。
  84. 横田甚太郎

    横田委員 話合いのことを何も聞いているのじやないのです。話合いがあつたということを私は言つたのです。なぜかといえば、ここにも出ておりますように中日貿易促進会、ここで意見がまとめられているから私はこう言つたのです。私はこれ以上あなたに追究いたしませんが、高橋さんは確かに言つた。私は通産委員会におきましてあまり高橋さんと質疑応答をいたしませんが、二、三回やつたときに、じわじわと問い詰めてとつちめたと思つておりますので、やりにくいと思われたのか、きようは逃げて行かれました。また後ほどゆつくりやりますが、高橋さんは、健全なる、正常なる普通の日本の実業界の方々はそういうことを望みません、こういうことをはつきりつたんです。これはあなたに関係ないことなのですが……。そこで今度はあなたに伺いたいのですが、中共貿易というものは非常にぼろいのです。やれるのです。やれますから、これに対してはやめてはいけない。もつと危険が台湾海峡にただよつておりましたときでさえも、活動しておつた場合がある。それは香港貿易の場合におきまして、ジャーデン・マジソンという船会社があつて、これが非常に活躍しておつた。これは私設保険という意味において、非常にその間の危険を負担しておつた。こういうようなものは、日本がやられなかつたらやるのです。それが、後ほどあなたにも申し上げます数字の点で十分に出ている。ここにも出ておりますように、大体日本が、満洲と関東州、それから台湾を除くところの支那、そういうところを中心といたしました貿易を例にとりますと、輸出の場合におきまして、昭和六年から七年の間においては一五%であつた。十三年にはそれが、もちろん事変の影響もありまして二九・七%に伸び、十四年には三四%に伸びた。その場合の輸入は、これは昭和十四年を比率にとりますと、十四年には一大五%であつて、これが十二年のときには九・二%であつた。この間に非常に大きな開きがあるけれども、輸入は十年間を平均にして一二・二%と出ている。それが戦後になりますと、昭和二十五年には輸出が五・八%、それから二十六年に〇・七%に減つている。輸入の場合におきましては、二十五年は四%であつて、二十六年はわずかに一%になつてしまつている。これを金額に直しまして、輸出の場合においては向うの五百八十三万ドル、日本の金に直して二十億九千八百八十万円、それから輸入の場合におきましては二千二百三十一万ドル、八十億三千百六十万円、こういうような額になつておりますが、そのかわりに、昭和二十六年の香港貿易輸出入を調べてみますと、香港に対しては六千百五十五万ドル、二百二十一億八千五百円出ている。同時にまた輸入の場合には五百八十二万ドル、二十億九千五百二十万円出ています。このうちあるいはこれ以外に、繊維輸出として二千七百二十五万ドルのものが香港から中国に渡つているのではなかろうか。金属製品の場合におきましても九百六十三万ドル、三十四億六千六百八十万円のものが香港から中国行つておるのではなかろうか。これを英国人の手に渡さずに、また英国人以外の各国人の手に渡さずに、日本から面接入れるようにしたいという願いは私は至当だと思う。ここに数字が出ておりますように、平均して一五%から二九%、三四%、こういうようなものを割りましたところの数字が非常に下つてしまいまして、わずかに五%とか一%にも満たないようになつたのですから、せめてこれを二〇%並にしたいというような欲望を持つていいのではないか。世界は非常に貿易市場を求めているにもかかわらず、また日本はそこから閉め出されて遅れているにもかかわらず、むしろ日本は狭いのを喜んで、中国の場合は入れません、アメリカが戦争する場合のお助けをしましようといつて、東南アジアという得体の知れない所から入れるのは不健全ではないでしようか。そういう場合に、こういうような数字、こういう実績を基礎としてやられますところの実業界の人たちに対しまして、よし外国人はどんなに圧迫しましようとも、アメリカ人がどんなに妨害いたしましようとも、日本の役所によつて執務し、日本の人民のために、国民のために服務する公務員であるならば、もう少し努力されるような意思があるのかないのですか。くどいようですが、もう一ぺんはつきり承りたいのであります。
  85. 本間俊一

    ○本間政府委員 戦前の輸出入関係、終戦後の中国との輸出入の関係は、一一数字を覚えておりませんからはたして正確であるかどうか申し上げられませんが、大体私どももそんなような見当で行われておることだと思つております。従つて香港行つておりまする品物の中から、どれだけの部分があるいは今の中共地区の方に流れておりますか、それはようわかりませんが、かりに香港の方から幾分行つていると仮定をいたしますならば、その品物について直接商いをしたいというような希望を持たれることは、これはいいとか悪いとかではないのでありまして、実際そういう希望を持つておられる方々もあろうと思います。あるいは日本は東南アジアの貿易も促進をして参らなければなりませんし、あるいは南米方面の市場も開拓して行かなければなりません。そういう可能性のあるところは、今後も努力いたさなければならぬと私どもは考えております。従つて日本の従来から貿易をいたしておりまする方々の中で、できるならば中国にも品物を売りたいというような希望を持つておられる方も、これはいいとか悪いとかいうことではないのでありまして、寅際上はあろうと思う。それはまた事実であるというふうに私どもは考えております。
  86. 横田甚太郎

    横田委員 簡単にその努力の内容を聞かせていただきたい。努力を要する相手方がある。そして妨害があるのです。妨害の正体と、努力の内容を承りたいのです。
  87. 本間俊一

    ○本間政府委員 これは以前からも申し上げておりますように、いろいろな国際的な事情を勘案いたしまして、そうして国が太い線をきめて行くわけでありまするから、前会にも申し上げましたような事情を勘案いたしまして、ただいまのような現状になつておるわけでございます。従つて私どもといたしまして、貿易を担当しておる者としては絶えずそういつた国際的な状況を勘案いたしまして、努力なり研究なりを常にしなければならぬ問題であるというふうに考えております。
  88. 横田甚太郎

    横田委員 そういう点は特に大事なところですから聞いておきたいのですが、国が国際的な諸情勢考えて、そうして国際的な太い線を打ち出して行かれる、こう解釈していいのですね。そういたしますとただいまの線は太い線だと思つておられるのですか、細い線だと思つておられるのですか。その点はどうなのですか。
  89. 本間俊一

    ○本間政府委員 前会からもたびたび申し上げておりまするように、日本の対外政策の中で、国連に協力するという線はいろいろ見方はございましようが、現政府のとつております政策としては太い線だと考えております。
  90. 横田甚太郎

    横田委員 そんな国連協力という逃げ口上を聞いておるのではない。それでは昔の天皇政治の時代の答えと何にもかわらない。その内容を聞かなければならない。国連協力ということで逃げてしまわれるのですが、現在の貿易政策なるものが、太い線ですか、細い線ですかということを聞いておるのです。しかもこれが具体化するとどうなるのか。またもとにもどりますが、国連協力の範囲においても、英国の場合にやつておること、ドイツ、フランス、イタリアの場合にやつておることが、日本の場合においてはなぜやれないのですかということです。しかも英国の場合においては、日本より以上に朝鮮に対して深入りを強要されておる。日本もやがて遅れておつた朝鮮に対する深入りを、遅れておるからというので、アメリカ人にしりをたたかれて、英国人、フランス人より以上の残忍な仕事のために深入りさせられることをわれわれは認めておる。それに対してわれわれ共産党は反対して、それが平和擁護運動となるのです。だから国連協力ということだけでなく、国連協力の範囲内においてやられておるところの線、その線が日本の現在の貿易の太い線か、細い線か。緩和することがよいのか、悪いのか、それを私は開いておるのです。
  91. 本間俊一

    ○本間政府委員 先ほど大臣もお答え申し上げましたように、行先どういうことになつて参りますか、私どもとしてはできるだけ輸出を増進したいと研究しておりますが、これがどういうふうに、具体的になりますか、そういう点はただいままだ何とも申し上げられない段階であります。これは横田委員と私どもの考えとは基本的に立場が異なつておりますから、とうてい御満足の行くお答えはできないかと思いますが、どういうことになりますか、どうも先の見通しを今明確に言えと言われましても無理だと思います。
  92. 横田甚太郎

    横田委員 意見が違う違うと二言目には逃げられますが、今中共と三千万ポンドの取引ができたからといつて何も私の意見が満足したのではない。私の意見自由党政権が崩壊し、アメリカ人日本から帰つてしまい、日本は何国よりも干渉しない。独立国として日本の今後の繁栄のためにできるところの人民政府、いわゆる国民の政府の樹立が簡単にいえばわれわれの念願なんです。しかしそこを言つておるのではない。そんな論争をするのではない。ますさしあたり三千万ポンドの話合いができたこの貿易を成立させるために、非常にじやまになるものがある。それがすなわち細い線だ、こういうのですね。だからその細い線を太くさせるところの何かがあるかどうかを聞いておるのです。そこで今の御答弁を分析してみますと、貿易を振興させたいというお考えは非常にあるのですね。それは確かに言われたと思います。もし貿易を増進させたいという考えがあり、それが正しいと思つておられるのであれば、何とも言わないで済ますのではなく、何とか覆うことにおいてそれが増進できるのだと私は思う。ところがあなたの御意見によりますと、やはり以前の古い政治の形で、岡崎君にまかしておけ、あるいは反対してもやがてぼつぼつと日本流の太い線に帰つて来るだろう。これが日本的のレジスタンスだ、こういうことをさしているらしい。ちようど自由党の代議士でこういうことを言つておる人がある。廣川さんがとんでもないときに朗報をあげる。理由は言わないが言つたことを実行しない。親分として、何とか院不実行居士とか何とか名前をもらいましたね。それに対して私がひやかしたときに、自由党の代議士がそうじやない、できないことを知つていても、アメリカ人をいやがらすためにアドバルーンを上げるのだ、アドバルーン政治家だと言われた。それと同じようにあなたも默つてつてくれ。増進させたいという意向はあるから、黙つて今のままでやつて行く過程において少しは輸出入貿易もできるようになる。これが太い線の現われだ、こういう内容を持つた答弁をされたのでしようか。その点はどうですか。
  93. 本間俊一

    ○本間政府委員 三千万ポンドの取引の話が出たということを横田委員はきめてかかつておられるわけでありますが、私どもはまだその話を伺つておりませんし、そういう計画が出ておりませんので、それがどういうことになつておりますか、これは承知をいたさない。それからこれはもう前会以来申し上げておりますように、私どもは貿易の増進ということを目標にいたしまして、普段からいろいろな研究もし、努力もいたしておるような次第であります。それはどうかその言葉通りに御解釈を願いたい。それで御指摘の日本中共との貿易につきましては、これも先ほど来申し上げておりますように、経済的な理由だけではなかなかめんどうでございまして、いろいろ国際的な政治上の要素をも考慮いたしまして、政府としてやつておるわけでございます。その方は岡崎さんなどが担当してやつておられますので、私どもはいろいろなことにつきまして外務省とは事務上緊密な連絡をとりましてやつております。
  94. 横田甚太郎

    横田委員 あなたの場合には考慮はあきらめですね。この三千万ボンドのことについて私が言いますと、これが大きいとも小さいとも言わないが、まるでこつちが鬼の首でもとつて責め立てるように言われますが、これはそうではないのですよ。こんなものは共産党の連中がどんどん向こうに行きまして、これと商取引をやりましたら、これに十倍も百倍もする商取引をやりますよ。また共産党員が中共に参らなくても、日本の国民が満足するところの人民政権ができまして、焼かれるような不必要なアメリカの弾圧自動車がなくなるような状況のもとにおいては向うから商売を持つて来てくれる。何も外資を借りなければならないような情ない国にはならないと私は思うのです。しかしこんなことはあなたの答弁に対するこちらの反発ですから、もうそれ以上は申しませんが、要はこういう條件のもとにおいて確かに日本で立てられておりました貿易の当初計画、輸出において十六億ドル、五千四百億円、輸入におきまして二十億四千万ドル、七千二百十四億四千万円の貿易という当初計画が実現可能なのでしようか。おそらくこれが実現できることを見越して日本の予算は細まれておる。その予算が組まれた結果として、税金をとられる人がある。とられる人はもうけていなければならない。ところがもうかりそうにもない。その一つのあせりとしてこういうふうになつて来たと思うのです。だから中共との三千万ポンドの商取引のごときは何も共産主義者が喜ぶ問題ではないのであつて、簡単にいいますと、改良主義的な社会民主主義者が喜ぶところの経済的な問題なんです。日本の国民生活の安定問題は何の解決もついて来ない。この点はわれわれはよくわかつている。だからあなたに伺いたいのは、先のことを抜きにいたしまして、要は当初お答えになりましたところの貿易計画というものは確かにやれるのか。やれるのであれば計画は三月から四月までとなつておりますから、もはやその間約一月を過そうとしておる。その間の実績は一体どうなんですか。
  95. 本間俊一

    ○本間政府委員 日本の国の予算は御承知のようにいろいろなデータを勘案してございますが、私どもが一応立てました輸出入貿易計画がそのまま行かないから国の予算は成立しないというようなことは、そうきゆうくつに私どもは考えておりません。それから輸出入の関係がどうなるかということでございますが、御承知のように昨年は相当輸出入ともに規模が拡大をいたしたわけでありまして、昨年の実情を基礎にいたしまして、貿易計画を立てたわけでございますが、その後いろいろな国際的な状況もありまして、最近約三、四箇月の趨勢を見ておりますと、計画通りには進んでおりません。従いまして本年度の貿易計画、輸出入計画というものは、どうしても再検討しなければならないというふうに考えております。
  96. 横田甚太郎

    横田委員 再検討の目標とか内容はまだ明らかになつておらないのでしようか。
  97. 本間俊一

    ○本間政府委員 これは御承知のように見通しが基礎になるわけでありますが、その見通しを立てます場合には、いろいろな事情なりデータなりを基礎にいたしまして検討しなければならないわけでありますので、まだどの程度の規模にすべきかという点はきまつておりませんが、先ほど申し上げたようにもう一ぺん検討し直さなければならないというような考えを持つております。
  98. 横田甚太郎

    横田委員 そういたしますと今年の四月、五月と去年の四月、五月との間の実績は一体どういうことになつておりましようか。あなた方はどういうことを基礎にして言うのか知りませんが、特需が過ぎて新特需になる、その新特需の間において非常に損をする、特に加工賃、手間賃を切つてまで出さなければならない毛布事情があるということを言われておりますね。そのときマーケットがあわてて一億五千万ドルのえたいの知れない日本に来るか来ないかわからないようなものを特需で持つて来ると言つたが、こういうものを唯一の頼みにして待つておられるのでしようか。私はこの点で聞きたいのですが、去年の四月、五月と今年の四月、五月との間を考えまして、今年の方が有利なんでしようか、心配なんでしようか、その点はどうですか。
  99. 本間俊一

    ○本間政府委員 お答え申し上げます。今三、四月の輸出入の数字をはつきり記憶いたしておりませんが、二十七年度の輸出入計画よりは下まわつております。従つてその事実に基いて再検討をしよう、こういうわけであります。
  100. 横田甚太郎

    横田委員 下まわつておるというのはどのくらい下まわつておるのでしようか。
  101. 本間俊一

    ○本間政府委員 正確な数字は持つておりませんが、私どもの立てました計画よりは下まわつております。従つてそれだから新特需、新々特需というようなものに期待をするかしないかという先ほどのお尋ねでありましたが、これはまだ別に考えておりませんので、輸出入の関係だけをいろいろなデータなり資料を基礎にいたしまして検討したい、こういうことでございます。
  102. 横田甚太郎

    横田委員 日本の産業の構造の問題になるのでありますが、中共貿易におきましては、たしか中小企業でできたところのものが出ておつたと思うのです。アメリカの場合におきましてはそうではないのでありまして、資本を蓄積いたして工場の内容をかえて、労働者の賃金を合理の口実で切り下げ、そうして搾取機構を強化するためにいわゆる諸設備をかえて行く、こういうような行き方にかわつておりますね。その関係から見ましてアメリカとの貿易中心として考えて行きますと、中小企業の危機が叫ばれ、通産委員会においてもこれをいかに救済するかということが議論さて、やがて来月の五日か六日には全国の中小企業の人たちが集まり大会を開いて自由党に発破をかけるのだというようなことも言つておりますね。議会を取巻いて自由党を一ぺんひつくり返しちやろうというようなことを言つておりますね。また今言われました去年と比べて下まわつておるという問題は、このごろの新聞にも出ておりますように、日本の労働者が失業にさらされておる問題と密接な関係があるのじやないですか。その点におけるところの関係を承りたいのです。要約いたしましてアメリカの指導下における輸出入貿易の産業の形、それから中共貿易中心としたところの中小企業、そういうようなものにおける産業構造の形、これを私は承りたいのであります。
  103. 本間俊一

    ○本間政府委員 先ほど申しました日本輸出入の関係が計画の線まで届いておらないということは、御承知のように日本輸出の大宗は何といつても繊維でございますが、これらが世界的ないろいろな事情によりまして、輸出の方がはかばかしく行かないで業者が苦しんでいるという事情はまつたく御指摘の通りでございます。そして産業構造をどうするかということでございますが、日本のただいま持つております産業構造は、それ相当の歴史を持ち、それ相当の理由があるわけでありまして、これを今一ぺんにどうするということはとうていできないわけでございます。しかし日本の今後の産業は、勢い重化学工業に相当なウエートを置かれて来るであろうことは想像されますけれども多少輸出が振わないからといつてただちにどうするというようなことはなかなか困難でございます。輸出にいたしましてもいいときもございまするし、悪いときもあるわけでございますから、その点よほど腰をすえまして今後努力をしなければならない問題だと思います。  それによつてただちに今日本の産業構造をどうするかというような考えは持つておりません。
  104. 横田甚太郎

    横田委員 それではもう一回バトル法についてはつきりつておきたいのですが、先ほどからの答弁を総括してみますと、ほかの党に対するときはそうでもないが、私の答弁に関する限り、バトル法日本にとつて非常に妨害になると言つたにもかかわらず、あなたは妨害になるように思つていないという答弁でありました。しかもバトル法以上のきつい管理令がある、こんなものはすぐやめなければならない、少くともバトル並にして行かなければならない、このことを中心にして日本で今論議されている、だからその点に対する努力はしたのかどうかということを私は聞いたのです。それに対して一向いい返事はもらえませんでした。そして日本の自主的な意見でやつておると言つてみえを切られました。こういうような次第ですから私は疑いを持つのです。疑いを持つから聞いて、るのです。しかも寒天まで含んでいるところの、こまかい禁止品目を含んでおります管理令に対しまして、日本政府からただの一回でも総司令部に対して、これはむちやですから、もう少し幅を広げてくださいといつて交渉されたことがありますか。もしあるならばいつごろで、どういう形で交渉されたか、どういうような返事をおもらいになつたか、なければないでいいのですが、その点を承つておきたいと思います。
  105. 本間俊一

    ○本間政府委員 中共地区に限つたことではありませんが、東南アジア等の貿易の問題に対しましても、南米貿易の問題にいたしましても、いろいろ話合いをいたしたのでございまして、今までそのことについて話合いをしなかつたことはもちろんないのであります。日本貿易全体の問題につきまして随時いろいろな話合いをすることは、これは常識であろうと思います。
  106. 横田甚太郎

    横田委員 そこを確かめておきますが、話合いをされたことはあるのですね。話合いをされた場合におきましては、拒否された方が多いのですか。聞かれた場合が多いのですか。間かれた場合が多いというなら、なぜみかんはその点まで行かなかつたのか、私はふしぎなんですが、話合いをされたのか。された結果、断られた方が多かつたのですか、どうですか。
  107. 本間俊一

    ○本間政府委員 その問題に限定してどうだとか、話合いをしたとかどうとかいうことになりますと、なかなかお答えがしにくいのでありますが、先ほど申し上げましたように、そういう日本貿易の問題につきましても、あるいはその他の問題につきましても、いろいろな話合いをいたしますことは常識でございます。その辺のところは常識をもつて判断くだすつてよかろうかと思います。
  108. 横田甚太郎

    横田委員 バトル法アメリカが守つておると思われますか。あの岩波から出ておりますところの「死の商人」、これは古い話ですが、最近岡倉さんが出しておりますところの「日本の死の商人」、これなんか見ますと、資本主義国の貿易商はそういうものは絶対守らないとして、その標本に英国商人とアメリカ商人が出してあるのです。今日においても守つておらないのです。だからバトル法なんかはアメリカは守つておらないと思うのですが、その点についてあなたはどういうふうなお考えをお持ちですか。
  109. 本間俊一

    ○本間政府委員 アメリカの実際のこまかな実情は承知をいたしませんが、バトル法は守られておるものと私どもは承知をいたしております。
  110. 横田甚太郎

    横田委員 それでは次のとき大臣が来ましたら質問をするために、資料を要求しておきます。中国日本に対して工業原料を非常に供給しておりましたね。そのうちの重要なものをあげてみますと、日本輸出入のうち、戰時を基準にとりまして、大豆は九六%、油かすは九七%、石炭の場合においては七九%、鉱石の場合においては二七%、銑鉄は四六%、こんなものが中国から入つてつて日本はこれに依存しておつた。ところがそれが今入らなくなつておる。これのかわりにアメリカのものが入つて来ておる。その数字とその利害得失については、きようはおそらく御答弁は無理でしようから、次の機会に資料としていただきたい。  それで、こういうことを今聞きたい。こういうことが言われておりますね。たとえば中共貿易を望む人たちが、今中国に繊維品を入れなければならないと言うのです。日本昭和十年に輸出総額といたしまして二十七億ヤードの繊維品を外国に出しておつた、そのうち、インド、アルゼンチンにも出ておつたけれども、インド、アルゼンチンは、今は綿製品の輸入国ではなくて、輸出国にかわつておる、だから中国の場合もかわつておるのではないだろうか、それで日本の綿製品は中国に入れるということでなく、インドネシア、パキスタンに入れた方がいいのじやないかということに対しまして、そうじやないのだ、中国においては、なるほど綿製品もできておる、できておるけれども、需要がふえておる、だから入るのだ、これを生み出す紡機の場合は非常に重要である、こういう意見もあるのです。ここに一つの意見相違があるのですね。中共貿易に対しまして、今綿製品なんかの特約をとつておかない限りにおいて、英国なんかにとられましたら、今日一メートルの遅れが、やがて十メートルの遅れになるのじやないでしようか。この点はどうでしようか。
  111. 本間俊一

    ○本間政府委員 日本の繊維品の売先につきましていろいろな見方がございましようが、人によつて違うかと思います。これはもう十人集まれば十人の意見が違うかもしれません。日本の繊維品が今後どこへ行くかというような見方につきましても、いろいろあろうかと思つております。
  112. 横田甚太郎

    横田委員 最後に今までの質問をまとめて申し上げておきます。日本の完全独立については、経済の自立を伴わなければならない。そのためには、中共貿易の障害を排除しなければならない。この点については徹底的に追究したい。次には、中共日本との今までの輸出入貿易を阻害している二つの要因についてであります。もつとはつきり言いますと、それ以外に中国側から二つ、日本側から二つのいろいろな要因があると言われておる。それに対して、それを打開するように、モスクワで開かれた世界経済会議のソビエト代表の発言によると、中国貿易政策を輸入先行から輸出先行にかえた、現在においては非常に幅を広げて来た、こういうことが言われておる。それから今日の世界の貿易は人為的な障害によつて狭められておるけれども、これではいけないからやがて広げられなければならない、大為的な障害は取除かれなければならないというところの努力が、非常に各方面においてなされている。これは必ず実を結ぶと思いますが、その点についての政府側の見解と、それから経済的に社会的に制度の違うところの二つの社会が現存するから、それが解決されない限り、国際的な経済関係を拡大するについての障害になるかならないかということに対するところの通産省のまとまつた見解、これらを中心に今度の機会にもう一回外務大臣と通産大臣質問したいのです。きようはこれで終ります。
  113. 中村純一

    中村委員長 本日はこの程度にいたし、次会は六月二日午前十時より運輸委員会と連合審査会を開会いたし、午後一時より委員会を開会いたしますから御了承願います。本日はこれにて散会いたします。     午後三時五十七分散会