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1952-05-23 第13回国会 衆議院 通商産業委員会 第40号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月二十三日(金曜日)     午前十時五十四分開議  出席委員    委員長 中村 純一君    理事 高木吉之助君 理事 多武良哲三君       阿左美廣治君    今泉 貞雄君       江田斗米吉君    神田  博君       小金 義照君    南  好雄君       村上  勇君    高橋清治郎君       加藤 鐐造君    横田甚太郎君  出席政府委員         通商産業政務次         官       本間 俊一君         通商産業事務官         (通商機械局         長)      佐枝 新一君         航空庁長官   大庭 哲夫君  委員外出席者         專  門  員 谷崎  明君         專  門  員 越田 清七君     ————————————— 本日の会議に付した事件  航空機製造法案内閣提出第二二六号)     —————————————
  2. 中村純一

    中村委員長 これより会議を開きます。  本日は航空機製造法案を議題といたし、質疑に入ります。質疑の通告がありますからこれを許します。多武良哲三君。
  3. 多武良哲三

    ○多武良委員 私はまず助成措置ということについてお伺いします。航空機製造が禁止されまして、その後相当の年数がたつておる。その間に国際的に技術的水準が劣つて来たことも事実でありますが、さらにまた原材料、こういう問題でもいろいろ考えなくてはならない。そこで新しく航空機製造会社ができたといたしましても、ただいま申しました技術あるいは原材料の面で劣つておるところを助成してやらなければいけないのじやないかと考えておりますが、この法案には助成について何も書いておらないのであります。政府はこの点についていかようにお考えになつておりますか、まずその点からお伺いいたしたいと思います。
  4. 佐枝新一

    佐枝政府委員 お答え申し上げます。お話通り相当長い空白期間もございましたので、今後日本でいい航空機をつくるということのためには、各種原料素材方面から始めて、政府が大いに助成をしなければならぬということは、その通りであります。この法案には助成措置については法文上現われておりませんけれども、今後いろいろな面で助成をやつて行くことを考えております。たとえば航空機製造のために機械輸入する場合に、これに対する関税上の措置であるとか、あるいは航空機製造に必要な機器をどうしても外国から輸入しなければならない場合の外貨割当はもちろん、ただいま幾多の生産設備合理化のための機械輸入について行われております外貨貸しの制度とか、あるいは各種の税法上の措置その他であります。また七年の空白を補うために技術向上をはかる、このためには現にすでに本年度予算に計上されております各種研究助成金あるいは工業化助成金、こういつたものの運用につきましても、十分航空機の面を考慮して参りたいと考えております。なお原料資材、たとえばジュラルミンであるとか、これらについても、逐次できるだけ戦前の水準にもどし、さらにその後の各国の進歩に遅れないような措置を講じて参りたいと考えております。
  5. 多武良哲三

    ○多武良委員 ただいまの御説明で、政府助成対策というものは大体わかつたのでありますが、この助成策をとるにあたりまして——むろんこれは旧来航空機製造会社が復活する、こういうことは当然でありますが、同時に、ただいまの助成策がとられるということで、新しく新会社ができまして、これがまた助成策に便乗して、何かうまいことをしようということがなきにしもあらずであります。いわゆる旧航空機会社の復活と新会社とが玉石混淆になるようなおそれもあるのでありますが、こういう場合にどういうふうにして具体的に助成措置をやつて行くか。新会社と旧会社との間の調整と申しますか、そういう方面の手心というようなものをいかよう考えておられるか、ついでにお伺いいたしたいと思います。
  6. 佐枝新一

    佐枝政府委員 もちろん旧来航空機をつくつておりました会社もやろうとするだろうと思います。また新設ということも起つて参ろうかと存じます。われわれといたしましてはこれらに対しては公平に扱います。別段その間に差別をいたすということはいたさないつもりであります。
  7. 多武良哲三

    ○多武良委員 次は保安確保ということについてお伺いをいたしたいと思いますが、航空機におきましては、保安重要性にかんがみると申しますか、安全な航空機生産が第一義であります。すでに昨日来連合審査会でいろいろ論議の的になりました航空法案の第一條には安全確保ということがうたわれておりますが、製造法案については安全という文句が抜けております。少くともこの製造法案の第一條には、やはり安全、保安確保ということを入れる必要があるのではないかと思いますが、この点政府いかようにお考えになつておりますか。
  8. 佐枝新一

    佐枝政府委員 航空機製造法案のねらうところは、この條文にもあります通り航空機及び航空機用機器生産技術向上をはかることにより、これらの性能確保し、あわせて航空機工業の健全な発達に資することが目的でございます。安全ということを無視するわけではないのでございますが、私ども考え方といたしましては、安全という言葉をしいてこの中にうたわなくても、よい性能の、よい品質の優秀な航空機なり、航空機用機器が本法案運用によりましてできるということになりますれば、安全ということも自然に確保される。航空庁責任が持たれて、航空機の安全の確保ということについても、その面から自然に十分協力ができる、こういうことになると思います。
  9. 多武良哲三

    ○多武良委員 なお本法案の第三章、第四章に規定されておりますのは、各種検査でありますが、これは航空法の第三章の耐空証明に関する検査と重複するように考えられております。これが企業に及ぼす迷惑につきましてはいまさら申し上げるまでもないのでありますが、航空機の安全を確保するためには、耐空証明に関する総合検査にたまたま合格したというだけで、決して安心されるものではなく、さらに原材料研究はもちろんのことでありますが、製造過程の各段階におきまして、精密検査を必要とすべきものでありまして、この種の試験企業みずからもまた自衛上自発的に行つてしかるべきではないかと考えるのでありますが、政府はどのように考えておられますか。
  10. 佐枝新一

    佐枝政府委員 航空庁の方で提出されました航空法案の中には、第十條に安全性確保のために耐空証明を行う、その耐空証明が、單にでき上つた航空機の現状、あるいは飛行試験ということばかりでなく、製造過程にも及ぶという規定はございます。私の方にも第八條で製造確認ということがありますので、これが関係についは昨日合同審査会でもいろいろと御意見が述べられました。われわれの方で生産技術検査だとか、航空庁の方では安全の確保のための検査をやる、一つ航空機について両方から検査をするということになりますので、重複するような感じはありますが、しかしこれはあくまで航空機製造工場に対しては通産省職員、あるいは当該工場技術員、あるいは従業員の中から厳密な試験を受けて一定の資格を有する者にやらせるわけであります。耐空証明のための製造過程検査、あるいは航空機製造法に基く製造確認ということも大体同一の人間でほとんど同時に行われるわけであります。決してそのために航空機製造工業に非常な迷惑をかけるということのないようにいたしておるのであります。もちろんよい航空機をつくるというためには、製造業者自体細心の注意を払つて検査を行うべきでありますけれども航空機というものの重要性から安全検査をすると同時に、より優良な信頼性のある飛行機をつくるというために、一定生産技術上の研究に基く検査をやるその前提として第六條の製造業者製造方法等検査も必要であるということにいたしているわけであります。
  11. 多武良哲三

    ○多武良委員 次に二重監督につきまして御質問申し上げます。これが非常に重要な問題なのであります。本法案の第十七條には「報告徴収及び立入検査」に関するものがございます。ところが航空法案第百三十四條でも報告徴収並び飛行機のみならず、工場事業所等航空庁長官がその職員に立入り検査を行わせることになつております。こういうことでは往年ちようど民間飛行機会社陸海軍の二重監督、これによりまして泣かされた経験があるのでありますが、     〔委員長退席小金委員長代理着席〕 あの言語に絶する苦難と申しますか、それらの苦労を今度は運輸通産両省当局によつて再現せられるのではないかというおそれがあるのであります。元来生産通産省所管でございます以上、運輸省の者が立入り検査をする必要がないのではないか、よしんば多少その理由がありましても、それによつて生ずる弊害の方がむしろ利益よりも大ではないかというふうにも一応考えられるのであります。第十七條規定しておりますこの種の検査官航空法第十條第六項におきまして運輸大臣協議の上任命するものでありまして、さらに第七項によりましてこの種の検査について航空庁長官検査いたします通産省職員指揮監督することができることになつているわけであります。この点この二重監督につきまして通産省としてどういうふうにお考えになつているかお伺いいたしたいと思います。
  12. 佐枝新一

    佐枝政府委員 お答え申し上げます。お話通り七條通商産業大臣報告徴収、立入り検査する権限を与えられておりますと同時に、航空法の百三十四條におきましても運輸大臣航空機製造工場について同様の権限を与えられることになつております。この点お話のような点はごもつともでありますし、また戦時お話のような事例がありまして、われわれ自身も苦々しく感じておりました。この点両省の間で十分申合せをいたしまして、運輸省は百三十四條の規定によりまして航空機製造工場に立入りあるいは報告を徴収するような場合には、事前に十分通産省打合せをいたしましてこれを行うという、実は両省間の申合せがございまして、この百三十四條というものはみだりにこれを用いることなく、また両省が十分に事前打合せの上やることによつてお話のような弊害は生じないように措置いたすことになつております。
  13. 多武良哲三

    ○多武良委員 ただいまのお言葉によりますと、協議の上そういうことがないようにするという御説明でありましたが、それは戦時中の陸海軍共管のようなものでありまして、陸軍監督官のところへ先にあいさつに行くと海軍つむじを曲げる、そしてあくる日海軍の方へ頭を下げて行くと陸軍つむじを曲げる、そういうようにしないという今のお言葉でありますが、同じ部品検査して運輸省検査官はこれはいかぬという、ところが通産省の方の検査官合格したというような場合に、どちらの方が力があると申しますか、ほんとう合格品として認められるか。運輸省航空庁長官が来られるとこの点両省の方からお伺いしたいのでございますが、まず通産省としては片方合格して、片方が不合格というしるしをした場合にはどういうふうに考えられているか、この点ひとつお伺いいたしたいと思います。
  14. 佐枝新一

    佐枝政府委員 お答え申し上げます。実際の検査は十五條、十六條、それから航空法案の方の第十條の第六項、第七項に規定がございますが、当該航空機製造工場従業員一定試験合格した者、あるいは通産省職員運輸大臣協議して任命し、安全性検査については運輸大臣指揮監督を受ける立場にある者がやるのでありまして、運輸省は百三十四條によりまして実際の検査をやるということはないのであります。これは検査官なりあるいは検査員の実際の仕事のやり方がどうであるということを見る程度のものであります。その場合においても先ほど申し上げましたように、あくまで通産省了解を得て参る、こういう申合せになつております。
  15. 多武良哲三

    ○多武良委員 今実際の検査がないというお答えでありましたが、この法案を見ると検査ができるようになつておるのではないですか。
  16. 佐枝新一

    佐枝政府委員 お答え申し上げます。この百三十四條は、もちろん検査検査でありますけれども、個々の航空機なりあるいは航空用機器について個別的な検査を行うというものではないのです。これはむしろ一般的にこういつた製造業者工場なりあるいは事業場行つて監督のために検査ができるという規定でございます。     [小金委員長代理退席委員長着席
  17. 多武良哲三

    ○多武良委員 それでわかりましたが、一昨日の連合審査会での運輸並びに通産大臣の御答弁によりますと、航空機製造から運航すべて運輸大臣が全責任を負うというふうな御答弁に私解釈した。そうして通産大臣はこれに対して、製造についてはとにかく責任を負うというまことにあいまいな御答弁であつたのですが、その責任の分界をひとつここでお伺いいたしたい。
  18. 佐枝新一

    佐枝政府委員 実は私一昨日終始その席におりましたが、そういう趣旨ではなかつたと存じます。その点につきましてははつきりと航空機製造通産省所管である。運航運輸省責任である、ただ安全性確保ということについては運輸大臣責任を負うから、その限りにおいて製造過程についても安全性検査という面で運輸省が関与する、但しその関与するのは、先ほどのお話のありました昔のABですか、あの関係になるようなことがあつて業者が非常に迷惑をする、そういうことにならぬように一本の通産省職員、あるいは当該工場従業員、これが実際の検査に当る、こういう仕組みになつておる。今度の航空法航空機製造法法案立案にあたつての両者の立場考え方は、そういうふうにはつきりきまつておると考えております。従いまして通産省はあくまで製造について権限を持つ。安全性確保という面に関してのみ運輸省が関与するが、それも実際に対外的に見ますと、大製造工場関係では通産省が窓口になつて一本であるこういうふうに考えております。
  19. 多武良哲三

    ○多武良委員 ただいまの御答弁でありますが、運輸省の方が見えぬので、運輸省の人が見えたらもう一ぺん御質問しようと思いますが、たしかきのうの大臣の御答弁では、運航の安全も製造の方の責任も当然私が責任を持つというふうに言われたように私は解釈したのですが、そうじやなかつたですか。
  20. 佐枝新一

    佐枝政府委員 私はそういうふうに聞いておりません。
  21. 中村純一

  22. 加藤鐐造

    加藤(鐐)委員 航空機製造が終戦以来長い間空白状態になつておりまして、この問題は、国防上の問題は別といたしましても、日本の経済の再建の上に非常に大きな障害となつてつたと思うわけであります。今度航空機製造が許されて、政府もこういう法律をつくつて航空機製造をやろうという意図がはつきり見受けられるのでございますが、私はこの航空機製造法案を一覧いたしまして、はたして日本航空機製造がこの法律だけで急速に回復するというふうには考えられないのでございます。政府はその点について、ただできるように道を開いてやる、そしてそれに伴う検査監督等のみをやつておればいいという考えであるか、またこの法律を見ますればそれだけの考えにすぎないというふうにとられるわけでありますが、しかし私どもはそれだけでは長い間の空白をとりもどして大いに航空機製造を促進するということは実現しないと思うわけですが、この点について政府はどういうふうに考えておられるか。
  23. 佐枝新一

    佐枝政府委員 お話通り、この條文に現われておりますことのみで、航空機事業再建というか復興の対策が盡きるものではございません。今後国内で航空機工業を起すについて一番の問題は、おそらく資金の問題と技術の問題かと思います。資金の問題につきましては、全体のバランスもございますが、今後われわれとしても極力努力して、できるだけこれを確保して行く、あるいは外貨資金等につきましても、必要な機器その他の輸入ということについて十分割当確保ということを考えております。技術につきましても、すでに現在ある各種研究助成金運用につきまして、航空機工業を十分に考えて行きたいと存じますが、それと同時に通産省技術研究機関等の部門の充実ということも並行して考えて行きたい。主としては資金技術の面でございますが、そういつた点を考えて行きたいと思います。
  24. 加藤鐐造

    加藤(鐐)委員 私は非常に遅れた航空機生産については、やはり国が相当力をかさなければできないのではないかと思う。今局長は金融、技術資材等の面においてできるだけ努力をして助けてやるというお話ですが、やはり何らか一つの具体的な方法というものが現われなければ、大したことはできないのではないか。そういう問題についてはまた順序を追つて伺うといたしまして、従来の日本航空機生産は、戰争中状態を見ましても、大きな航空機メーカーのもとにたくさんの下請工場、さらにその下に町工場というものがあつて一つ総合的機械工業となつてつたわけであります。今後の航空機生産がそういう形で再び行かれるのか、あるいは全然そういう行き方ではなくして、大メーカーに一貫的に生産がゆだねられるのか、どういうふうな構想を政府は持つておられるか。ただ自然に起つて来るにまかせて置くという考えでありますれば、やはり戦争中のような行き方になるのではないかと思います。しかし今日の航空機というものは非常に性能度の高い、戰争中よりもさらに高度な精密工業でなければならぬという点から考えまして、従来のやり方ではおそらく今日必要とする航空機ができないではないかというふうに考えるわけですが、そういう点については政府はどういう考えを持つておられるか伺いたい。
  25. 佐枝新一

    佐枝政府委員 お話のように現在の航空機は非常に高度の性能を持ち、従つてその部品その他につきましてもきわめて優秀なものでなければならぬということはお話通りでございます。ただ航空機というものは非常に多数の部品からなつておるものでございまして、かりに全部の部品を一貫してつくることが望ましいにしても、実際問題としては一工場でこれを全部つくり上げるということは不可能でもあるし、また経済的にも成り立たないのではないか。それで通産省として実はそれについてこうだというはつきりした今後の方針は樹立するに至つておりませんけれども、私はやはり航空機製造については、相当多数の協力する工場を持ち、そして協力する工場においては専門的にある種の部品をつくつて行く。そしてそれを集めて優秀な飛行機をつくるという状態になるのではないかと考えます。
  26. 小金義照

    小金委員 関連して……。先ほど同僚の多武良君及び今また加藤委員からの質問は、きわめて重要な内容を持つておるものだと思います。今機械局長の一存ではどうこうできないかもしれませんが、問題は航空機製造法というものをつくつて日本航空機発達と、航行の安全を期するということが眼目だろうと思います。昨日運輸委員会との連合審査会における質問を私聞いておりましたが、通産省関係航空機製造法をお出しになつておるが、この中にこれはといつて何ら積極的援助または奨励規定がないじやないかということを詰め寄られて、十分な答弁ができていなかつたのじやないかと思う。それは今加藤さんもいいところを突いておられるが、この法律日本航空機制造事業発達させるのであると言われるが、どういう方法があるかということについて、まず第一に資金が大事だ、その次は技術だということは言うをまたぬところであります。その資金をどういうふうにして御心配なさるかということは、一つも具体的に法案にない。それから技術向上ということについても、たとえばエンジンならエンジンについてはこういう奨励方法を持つている、あるいは機械試験場においてこういう試験をさせるのだとかいうことはない。航空機のようなものは数千、数万の部品結合体ですから、まず一番大事なのは材質である。かつて自動車製造事業法を制定するときも、豊田喜一郎君のごときは、自動車製造許可を受けても、平炉から経営さしてもらつてほんとうのいい鉄材をつくらなければだめだということを主張されておりましたが、非常にもつともなことであります。シヤフトが折れたり、途中でボデイがばらばらになつたりしてはたいへんだということで、地上の運輸機関についてもこの通り。ことに空を飛ぶ機械至つては一番大事なことである。そこであなた方がこの法律を出されたことは、具体的に今資金を投じてやる、あるいは技術向上についてどれだけの援助を出すのか、また海外にどれだけの研究者を送ろうということは規定してないけれども、とりあえず日本の十数年間の空白時代を過ぎてなすべきことは、まず製造工業濫立を防止すること、権威ある許可なり認可なりあるいは届出なりによつて製造工場とか製造単位の数量を制限することによつて、非常に消極的ではあるが、技術上の大きな限界を持たせる、そこが一つのねらいじやないかと思う。だからこの航空機製造法は他の法律でももちろんそうでありますが、特にとりあえず技術低下品質低下を防止するために、濫立をまず防いで、必要があればこの法律を改正するなりまた新しい立法をして行くのだという段取りができていなければならぬと思う。私はその段取りを開きたい。今金を幾ら出す、技術的にこういう試験をさせるということは具体的には言えないにしても、次から次にやるのだという方針はつきりさせないと、この法律は不必要なものだ。今加藤さん、多武良さんから指摘されたところだけでも非常にたよりない法律のような印象を与えますから、その点はつきりと通産省あるいは内閣として補いをつけて行くのだ、まず第一段階においてこの程度のことをやるのだということでないと、この法律案をつくつた意味が大半なくなつてしまうのじやないか。私は今にわかにここであなたに答弁しろというのじやない。その心構えをもつてこの法律論議ないしは運営に当つてもらいたいということを一言関連して申し上げておきます。
  27. 多武良哲三

    ○多武良委員 先ほど機械局長からは詳細な御答弁を承つたのでありますが、大庭長官がお見えでありますので、この際伺いたいと思います。航空機製造法案の第十七條航空法案の第百三十四條両案を見ますと、どうも私二重監督のように解釈されるのであります。すなわち報告徴収並びに立入り検査に関する規定がございますが、機械局長の御説明によりますと、製造過程における部品検査までは百三十四條の規定で行わないというふうな御答弁であります。そこで航空法案の百三十四條を拝見しますと、航空庁長官航空庁として製造業者に対しその製造過程におきまして部品検査もできるように解釈されるのでありますが、この点につきまして長官のお考えを承りたいと思います。
  28. 大庭哲夫

    大庭政府委員 立入り検査の御質問だと存じますが、立入り検査につきましては内閣においてきめられた線によりまして、第十條の六項で通産省工場検査官安全性検査を御依頼するということになつているわけでありますが、第七項によつてその指導監督航空庁長官が行うということになつているわけでありまして、打合せの結果その指導監督立場から工場に立ち入つて検査をやつている状況を判定いたすようになつた次第であります。そのように御承知を願いたいと思います。但しそれについては覚書等をつくりまして、工場に立ち入る際には通産省検査官、これはもちろん同一人でありますが、その了解を得た後に立入りをするということになつているわけであります。  それからこれは航空機のアセンブルだけの検査かという御質問でありますが、内閣でとりきめられた線は素材部品にまで及ぶと一応はなつているわけでありまして、さよう御承知をお願いいたします。
  29. 多武良哲三

    ○多武良委員 それでわかりましたが、私は運輸省通産省のどつちがやつてもいいのですが、ただただいまの長官の御答弁によりますと、部品検査もやり得ることになつている。そういう場合に両方検査して、片方合格した、片方が不合格だというようなことが想像されるわけですが、その場合にはどういうふうに取扱つたらよいかということをお伺いしたいのです。
  30. 大庭哲夫

    大庭政府委員 御承知のように、内閣でとりきめられた線は、一つ生産技術に関する検査であり、一つ安全性に関する検査でありまして、おのおのその目的は違つているわけであります。従つて検査両省のとりきめによりまして行われるわけであります。その部面々々によりましてまたその規則によりまして一方が合格になるが一方は不合格になるということは、でき得る限りないように努力することが今度内閣できめられた線に沿う趣旨ではないかと私たちは考えているわけであります。これが今後いかようになるかは、実態を具体的に実施した後でないと判明しない、かつまた規則がきめられた後でないとそういうことがあり得るかどうかということはちよつとわからないわけであります。これは初めての試みでないかと想像しております。ひとつその点は十分御了承願いたいと思います。
  31. 多武良哲三

    ○多武良委員 今の御説明で、将来のことはそのときになつてみなければはつきりしない、とりきめができないということでありますが、事実私どもがかつて陸海軍両省の共管によつてそういう検査の場合に非常な迷惑をこうむつておるわけです。たまたま今度運輸通産両省でやることになつてもこんなことを繰返すのではないか。あるかないかどころではなくて、われわれはそのために非常に迷惑をこうむつた経験があるわけです。そこでただいまの御答弁だと、運輸省の方の検査の対象は安全性である、通産省の方の検査の対象は技術ということだそうですが、飛行機をつくるからには検査の対象は安全性ということが一番重要なことであつて通産省としても安全ということを考えてやらなければいかぬ。素材検査もむろん安全性ということが第一の要点になるわけで、もし後になつて協議してとりきめるというのならば、愼重に御協議くださつて二重監督にならないようにお願いいたしたいと思います。  それからついでにもう一つ、昨日の連合審査会運輸大臣通産大臣責任の分担について御答弁があつたのですが、運輸大臣の御答弁によりますと、飛行機の安全を確保するためには製造過程から全部自分が責任を持つてやらなければいかぬ、むしろ自分は耐空証明以後でなく、その前からも責任を持つてつておるというような御答弁であつて通産大臣責任はないようなふうにも解釈されたのですが、きのうの運輸大臣の御答弁の意思というものを、長官はよく御存じと思いますが、ここでひとつ御答弁願いたいと思います。
  32. 大庭哲夫

    大庭政府委員 昨日大臣が御説明申し上げた真意というものにつきましては、私は大体想像されるのでありますが、従来運輸省が主張いたしました点は、製造事業につきましては、運輸省は今まで何ら主張をしているわけでなく、ただ航空機の安全という方面から考えまして、型式証明から、製造工程、でき上つた品物の飛行試験を完了して初めて耐空証明を発行し得る、認可ができ得ることになるわけであります。耐空証明についての権限耐空証明についての責任運輸大臣にある以上、型式証明から、工程検査、あるいはそれができ上つた飛行試験というものに及んで、その構造、性能、あるいは強度というものを安全の面から検査することによつて、初めてその責任がとり得る。従つてその責任は、一貫してそれらの順位を追いまして検査をする必要があるということを申し上げたのではないか。従つて検査をする以上、それの責任運輸大臣、また内閣できめられた線にしましても、御承知のように型式証明は運輸大臣安全性検査運輸大臣耐空証明を発行する責任運輸大臣、従いまして航空機の安全という面につきましては、運輸大臣の一貫した責任である。但しその工程検査の面におきましては、通産省のいわゆる総合工業技術の発展という面からしまして、検査官通産省に御依頼をする。しかしその検査の様式、規則は運輸省の方できめ、かつまたその検査官指導監督運輸省でやる。従つて安全については一貫した責任性が現われているわけでありまして、運輸省としましては、そのきめられた線に沿いまして、でき得る限りの努力をして、航空の将来の安全をはかつて行きたいと考えている次第であります。
  33. 多武良哲三

    ○多武良委員 ただいまの長官の御説明でよくわかりましたが、そうすると通産大臣責任技術向上というふうに解釈されるのでありますが、それでよろしいのですか。
  34. 佐枝新一

    佐枝政府委員 私が先ほど申しましたことは、大庭長官お話と、言い方は違つておりますが、大体同じじやないかと思います。もう一度申し上げますと、航空機製造はあくまで通産省の問題である。軍に技術ということばかりでありません。要するに航空機製造に関することはすべて通産省責任であります。運航運輸省責任であります。ただ安全性確保という面から、運輸大臣の方で製造過程等についても関与して来られる、こういうふうに考えております。
  35. 高橋清治郎

    ○高橋(清)委員 どうも今の運輸省通産省両方の御答弁を聞いておると、われわれにちよつと解しがたい点があるのです。安全を目的とするということを大庭長官はおつしやつておる。一方では、技術本位から安全に飛べるような飛行機をつくることが目的でなければならない。そういう安全でない、そうして安心して飛べるような飛行機をつくらないような技術陣であるならば、そは何にもならぬと思うのであります。結局つくる方がすべての責任を持つて安全に飛べるような飛行機をつくらなければならぬ。しかるに何らかそこに言葉のあやで、どつちに責任があるのかわけのわからないようなことで、はなはだ不明瞭きわまると思うのですが、そういう点を何とか修正して、もつとはつきりと、安全に飛べるような飛行機をつくる責任通産省で全部負う、運航に関してのみ運輸省がやるというふうに修正する意思があるか、通産省及び運輸省の御意見を伺いたい。
  36. 佐枝新一

    佐枝政府委員 少しくもやもやしているというお話でございますが、われわれとしては先ほど申し上げましたように、製造通産省でやる、運航運輸省でやる。ただ検査について、安全性確保の面からの検査運輸省が関与される。結局はわれわれ航空機生産技術の面からこれを検査したい、あるいは確認したいということでございますが、生産技術と申しましても、結局は品質の優良な、信頼性のある航空機をつくることがわれわれのねらいでございます。そういうものができれば、自然に安全性確保されることになりますし、その面で通産省運輸省に十分御協力する、こういう立場にあると考えております。
  37. 大庭哲夫

    大庭政府委員 御質問の点でありますが、先ほど多武良委員にも御説明申し上げたような次第でありまして、運輸省としましては運航の安全をとる以上は、その飛行機が安全なものであるということを十分確認した後でないと、飛行機は飛ばせられない。従つてそれが耐空性にマッチするかどうかという検査運輸省でやりたい。それのためにはでき上つた航空機を見るのでは、ああいうふうに何千何方という部品がアンサンブルされて一つの機体とつておるわけでありまして、見たいためには、翼もはがしてみなければいけないし、胴体もはがしてみなければいけないというようなことで、いわゆる製作会社に御迷惑をかけるわけでありますので、そういうような行政はやつて行きたくない。従いまして業者の便利上、いわゆる製造過程におきましても、重要な部分につきましては、十分それがこちらの検査規格に合格しているかどうかを判定したいというように考えているわけでありまして、この安全性という面から、型式、製造工程、耐空証明に及びまして一貫した行政がとり得るように、運輸省としてはどこまでもこれは主張して行きたいと考えているわけであります。但し御承知ないかもしれませんが、この法案が出ました前の法案には、今の高橋委員の御質問のようなことは盛られていたわけであります 現在アメリカがやつている方式というものはマス・プロでありまして、従つてマス・プロの段階に移つて、その工場の施設あるいは検査機関というものが良好なものになつたあかつきにおいては全部の検査を省いて行こう、それで最後の飛行試験だけに移して行こうというので、運輸省としましては生産施設証明というものを出しまして、その生産施設証明を発行した会社に対しては法定検査を省こう、またアメリカがやつている方式もそれであるわけです。私たちはその理想的形態をとつて、できる限り工場責任においてやつていただく、また日本工場は今後立ち上るわけでありますが、戰前あれほど世界の水準にまで達し得ていた各工場でありまして、それが今後立ち上つた段階におきましても、それらは相当自信のある、また世界の水準にマッチする工場ができ上ることと存じます。従つてそういうように私は法案をつくつていたのでありますが、その生産施設証明という面におきまして、通産省の管理しておられる工場の一部分に侵害を及ぼすということから、生産施設証明はとれということで省いたわけでありますので、さよう御承知をお願いいたします。
  38. 高橋清治郎

    ○高橋(清)委員 先ほど大庭長官お話によりますと、文書としての検査通産省検査官に一任するということを申されたようであります。通産省検査官に一任するというならば、それはただ形式上運輸省がやつたということで、そんなまどろつこしい、手数のかかるようなことは省いて、簡潔に一方的に全責任を負つてやるというようにしたら私は一番いいのではないかと思うのです。あまりになわ張り争いみたいなことばかり日本の官庁がやつているような傾向では、はなはだおもしろくない。今度七月から自由に買える外車を得るために、運輸省運輸省の方へとりたい、それに対して通産省の方で認可権をとるということをきのう運輸省の幹部から聞きましたが、なるべくそういうことのないように善処していただくことをきようは希望だけ申し上げて、私はこの次にいたします。
  39. 加藤鐐造

    加藤(鐐)委員 先ほど小金委員かしら、私がこれから順次お伺いして行きたいと思う点について総括的に御意見がありましたが、小金委員の言われた通り、この法律だけで実際どれだけの航空機生産ができるかということが非常に危ぶまれるということは、先ほどの機械局長の御答弁によつて大体明らかになりました。大体御答弁によりますると、戦前のように大メーカーのもとに協力工場があり、またその下に町工場式のものができて行くであろうというお話でございましたが、私ども、中小企業を中心として組み立てられておる日本の産業から見まして、おそらくそういうふうな形で行くであろうと思うわけであります。またそれは一面非常にけつこうなことでございますが、しかしこの飛行機製造を始めまして、戦前のものが残つておるものは何かと申しまするならば、技術のある部分が残つておるでございましよう。それから設備のある部分が残つておると思います。しかしそれは私は非常な時代遅れなものであろうと思うのです。いわんや協力工場、その以下の工場に至りましては全然残つておりません。こういう状態の中で日本航空機製造を始めようということは、これは百年河清を待つの感があると私は思うのです。日本飛行機工場が今日どこに転換しておるかというと、これはいろいろな面に転換しておるでございましよう。たとえば自動車工業等に転換しております。その自動車工業が一体どういう状態かと申しますと、トラックの生産等におきましては相当成績を上げておりますけれども、しかし乗用車のごとき特殊な金属、特殊な精密な技術を要しまするものに至りましては、幼稚きわまるもので、おそらく世界の市場に伍して行かれない状態であると思うのであります。そういうところで一体何ができるか、私はおそらく部分品ができる程度ではないかと思います。政府は一体今日の段階において部分品ができればいいと考えておられるのか。やはりできるだけ早く組み立てられた飛行機そのものができることを望んでおられるかどうか。それから現在ではどういうような会社飛行機生産をやろうとしておるか、その工場が一体どの程度のものができるであろうか、こういうような点についてお考えがありましたら承りたい。
  40. 佐枝新一

    佐枝政府委員 お話通り乗用車の例をとつてみますと、あれは生産再開を認められてからちようど二年になります。なかなか世界的な水準のものができにくい状態であります。自動車は大分長い禁止期間がありましが、やれるようになつてからすでに二年間であります。航空機はさらに二年空白状況が長く続いたわけであります。いろいろお話のような條件下に、ただちに完成したいいものをつくるということは非常な困難があるかと存じます。われわれとしては、もちろん国内で部分品だけをつくつておるということでは満足できない、目標としては完成したよい航空機ができるように持つて行きたい、こう考えておりますが、今ただちにその状態に到達するということは非常に困難であります。やはり段階を追うて進んで行くということが必要であろうと考えます。今計画しておるものはどういうものかというお話でございますが、これは三月八日でございましたか、航空機生産が当時の総司令部から認められまして、それと同時に戰争中航空機をつくつておりました各会社は、大体すべて再び航空機製造を再開したいという意図のもとに計画を立て研究を進めておるという状況でございますが、具体的にどこの会社のどこの工場かということは正式にはまだわれわれの方に話を持つて来ておりませんので、公式に御発表する時期ではないかと思います。
  41. 加藤鐐造

    加藤(鐐)委員 具体的にどこの工場がどういう計画を立てておるかというようなことがわからないということでは、われわれどうも納得行かないものがあるわけですが、いやしくも政府が今日こうした法律をつくつて航空機生産一つの目標を与えられるというならば、やはりそれくらいな調査ができておらなければならない。また事実やつておらないから調査ができないということになりますと、やはり私が先ほど申しましたように、航空機生産というものは前途遼遠であるというふうな推定が得られますが、一応この問題はあとにしておきます。  次に承りたいことは、航空機生産は先ほど来話がありましたように、技術資金と資材の面においてでありますが、まず第一に資材、原材料をどういうふうにして確保するかという問題であります。そこでボーキサイトの入手の方法ですが、おそらくこの原料の大部分は国外に仰がなければならないと思いますが、一体どういう見通しをつけておられるか、どういう生産計画を立てておられるか。アルミニウムあるいはジユラルミン等についての生産計画というものは、ある程度政府の構想の中にあろうと思いますが、それについて承りたい。特に南方資源開発の問題がしばしば頭を出しております。ボーキサイトの開発という面が日本技術と資力によつて行われるという話がときどき出ておりましたが、いつのまにか立消えになつております。そういう問題についての一応の御見解、あるいは国内資源、たとえば礬土頁岩というようなものについて開発が行われるかどうかということについて承りたいと思います。
  42. 佐枝新一

    佐枝政府委員 お話のように航空機原材料としてのジュラルミン、それをつくる原料としてのアルミニウム、その原料としてのボーキサイト、これは非常に重要なものであります。現在アルミニウムの生産は、私直接の関係の者でありませんから間違いがあるかもしれませんが、年間約四万トンであります。前年度の実績は三万二、三千トンかと思つております。航空機生産再開に関連しまして、もちろん製造される航空機の量いかんによつて、その使用量も非常にかわつて来るのでございますが、今日アルミニウムは現在の生産で国内の需要を一応まかないまして、若干輸出等も行われておるというような状況でございます。非常に大量の航空機生産ということにならない限りは、なお余剰の設備もございますし、大体航空機生産に即応してもらえるのではないかと思います。またアルミニウムの生産については電力の問題が非常に重要な問題でございますが、これも電源開発が行われますから、それに即応して現在休止している設備を動かすことは可能ではないかと思います。なお原料のボーキサイトの問題でございますが、大体現在の生産が将来逐次増加して行くといたしましても、ビンタン島のボーキサイトもそれに応じて入手可能ではないかと存じております。  また海外での資源の開発に対する技術的な援助の問題については、私も一、二新聞等で見ておりますけれども、具体的には存じておりませんので御了承願いたいと思います。
  43. 加藤鐐造

    加藤(鐐)委員 この原料の問題は当然技術の問題に関連して来ると思いますが、たとえば現在のジュラルミン、アルミニウムが純度において世界的な水準にあるかというような問題、それから技術全体として、先ほども申しましたように戦前の技術水準は今日の世界の水準相当開きがあるだろうと私は思います。そういう点について今後急速に世界の水準に達し得る見込みがあるか、また外国からの技術輸入と申しますか、外国の技術を借りなければならないというような点について総括的に御説明願いたいと思います。
  44. 佐枝新一

    佐枝政府委員 最も重要な素材であるジュラルミンの純度、さらにその原料であるアルミニウムの純度ということにつきまして、世界的な水準に到達し得るかというお話でございますが、終戦までのアルミニウムあるいはマグネシウム、ジュラルミンの純度は大体当時の世界的な水準に達しておつたと私は存じます。また現在におきましても輸出等で非常に品質のいい大体世界の水準に到達しておる製品をつくつております。  なお航空機製作の技術につきましては、お話通り長い間の空白期間がございましたので、いろいろと世界の最近の水準に追いつくために努力はしなければならないと思います。そのためにはたとえば海外の航空機製作の状況も視察を行う、また具体的にはつきり決定した話は聞いておりませんが、一、二の旧航空機製造会社等でも海外との技術の提携の話を進めておるようでございます。もちろん通産省といたしまして、直属の研究機関においても十分研究を進める努力もいたしたいと思います。こういう点につきましては各種の学術機関あるいは民間と十分協力して、航空機製作の技術を進めるようにいたしたいと考えております。
  45. 加藤鐐造

    加藤(鐐)委員 私は技術の点は全然しろうとですから、しろうと談義はやめたいと思います。おそらく今日高性能航空機は、特殊合金技術というものが非常にむずかしい問題であろうと思います。そういうような点で技術の導入ということは今局長がおつしやつたいわゆる外国技術との提携、それは当然外国資本との提携という問題になつて来ようと思います。現在日本の産業全体がやはり外国技術との提携、これが要するに外国資本との提携という形になつて現われて来ているようであります。たとえば化学繊維というような問題が特に顯著な実例を示しております。そういう場合に、外国資本の入れ方が一つの大きな問題になつて来るだろうと思います。航空機生産の資本の問題は、私はこれから承りたいと思つておる問題でありますが、特に外国資本との提携の場合に、製造工場が、特許であるとかいうような問題に相当大きな資本を投じなければならない。また自己資本が足りない、国内において調達できない場合に、外国の民間資本を入れますとき、会社の実権を外国資本の手によつて握られる、こういう問題が起つて来ると思います。特に最近のアメリカ資本の日本の産業に投資するやり方を見ておりますと、従来のような、いわゆる利潤さえあればいいという行き方ではなくして、実権を握ろうとするような傾向が相当顯著に現われて来ております。こういう問題については、われわれは、将頼の日本の産業構造の上から、相当重視しなければならないと思うのであります。特に航空機は、将来日本の国防にもやはり関係して来る問題であります。これが一たび外国資本の手に握られるということになりますならば、これはゆゆしい問題であるというふうに考えるわけであります。特にこの法案の中には、かつて航空機製造法の三條の規定にありますような、外国資本に対する制限がございませんが、そういう点については、何ら考慮を払つておられないのかどうか、これもひとつ総括的に御答弁願いたい。
  46. 本間俊一

    ○本間政府委員 お答え申し上げます。昨日も実は御同様の議論が出たのでありますが、御指摘にありましたように、七年間空白になつておりますので、しかも特許その他技術の面においても、いろいろ提携をしなければならぬような場面も実際に起つて来るであろうと思うのでありますが、この法案の中では、外資に対します特別の制限は設けておりませんが、御指摘に相なりましたように、将来の非常に重要な問題とも関連いたして参りますので、通産大臣が昨日答弁をいたしましたのは、まだ政府部内でどういう範囲ならいい、こういう場合ならいいということをきめてはおりませんけれども、御趣旨に沿うように、日本の将来の航空機製造工場が、外国資本によつて支配権を握られるというようなことはあつてはならぬと考えておりますので、十分御趣旨を尊重して参りたい、こういうふうに考えておる次第であります。
  47. 加藤鐐造

    加藤(鐐)委員 私は、それは将来の問題でなくして、この法案の中に当然考慮されなければならない問題だと思います。先ほど来、局長の御答弁によりましても、やはり完成した飛行機生産考えておるということでありますならば、外国の資本並びに技術の提携ということが、すぐ目の前に現われて来る問題であろうと思う。従つてこの航空機製造会社に、外国資本の導入に対する制限を設けるか設けないかということは、現在はつきりと方針を立てておかねばならない問題であると思う。その点から考えて、大体戦前航空機生産をやつてつた会社が当然やるであろう、現在準備をしておるであろうと言われております。しかし、それらの会社は今日、たとえば三菱重工にしても三つに分割されておつたりして、小さくなつておりますし、また資本の力においても、まだ十分に回復しておらないというところから、資本をいかにして獲得するかということが、根本の問題であると思います。先ほど来、他の委員からも御質問があつた問題ですが、局長の御答弁は、できるだけ政府として援助をするということでしたが、一体今日の状態において、ただ單に政府のあつせんというようなことで、これができるかどうか。航空機一機つくるのに相当な資本がいる。B二九が十二億円かかるというような話も聞いております。もちろんわれわれは、兵器としての航空機を今日考えるべきではありませんけれども、しかしながら、旅客機一つつくるにいたしましても、相当な資本がいるわけです。初めからそんなものはできないでございましようけれども、しかしながら相当の資本がいることは事実でございます。われわれは、国内においてできるだけそうした製造工場に対する資金確保の道を考えねばならないと思いますけれども、ただ、できるだけあつせんするというだけでは——たとえば開発銀行にいたしましても、そうしたものの需要に応じ得るかどうか、いわんや、民間の銀行がこうした設備資金に対して融資が十分できると思いません。そういう点について、本間政務次官はどういうふうにお考えになりますか。
  48. 本間俊一

    ○本間政府委員 前段の御質問に先にお答えいたしたいと思います。この法案には、外資の特別の制限を設けなかつたのでございますが、御承知のように、外資委員会の方でケース・バイ・ケースでただいま処理をいたしておりますので、この運用によりまして御趣旨を十分に尊重して参りたい、こういうふうに考えておるわけであります。それから御指摘もありましたように、いろいろ技術上の問題その他の問題がございますけれども、何にいたしましても、資金の問題が一番重要かと考えておるのでございますが、ただいまのところを正直に申しますと、滑空機などはもちろんそうでございますが、軽飛行機でございますとか、ヘリコプターでございますとか、その他民間機の製造をやりたい、あるいは修理工場をやりたいというような機運が漸次濃厚になつて来ておるのでございますが、部品の方から始まりますか、どうなりますか、まだ的確な予想はつかないわけでございます。これはどういたしましても、お説のように、單に資金をあつせんするというだけではとうてい解決する問題でございませんので、制度ができまして、レールが敷かれるように相なりますれば、御趣旨に沿いまして、どういう助成をするか、あるいはどういう資金のめんどうを見るかというような点も、実情に申しまして研究をして参りたい。こういうふうに考えておる次第でございます。
  49. 加藤鐐造

    加藤(鐐)委員 時間が大分たちましたので、一応ここらで質問をとめておきたいと思いますが、もう一つ承りたいことは、飛行機生産については、通産省所管することは当然だと思います。そこで非常な技術を要しますいろいろな認可、検査、こういうような仕事をするのに、一体どういう機関をつくられるか、当然独立した局とか外局というものができるのではないかと思いますが、その点についてどういう構想を持つておられるか、非常に高度な技術と豊富な技術陣営を要する機関についての大体の構想を承りたい。
  50. 本間俊一

    ○本間政府委員 御指摘の通りでありまして、非常に広汎な部品関係いたしますし、素材もまた非常に重要な問題でございますと同時に、非常に高度な技術をどうしても要しますので、行く行くはそういう機構にいたさなければならぬと考えておりますが、ただいまのところは機械局でいろいろな機械工業をやつておりますし、機械工業に練達の人々もおりますし、幸い軍需省時代に飛行機関係した人もおりますし、また民間におつて実際に飛行機生産に従事したような人も役所に入つて来ておりますので、これらの人々の技術に基いた意見を尊重してやつて来ておるわけであります。御説のように実際技術を持つている人々は分散しており、そう数はないかと思いますが、どうしても必要がありますればそれらの人々に役所の人になつてもらいまして、もつとも製造工業をいたします事業者の側でもそういういい人を集められると思いますけれども、どうしても御指摘のようにしなければならぬと考えております。
  51. 加藤鐐造

    加藤(鐐)委員 大体今までの御答弁からして、この法案というものは、政府が今日飛行機生産について一つの計画と見通しをつけて考えたものではない、單に航空機生産に探りを入れた程度にすぎない、ということが判断できるわけであります。許されない時代においてはやむを得ませんけれども航空機生産が許された今日におきまして、政府日本の経済確立の上から一つの計画と見通しを持つてそれを大いに育成する法律案考えなければならぬと思うわけであります。そういう点から考えまして、この法案にはなお幾多検討しなければならない問題を持つておりますので、きようはこの程度質問をとどめておきまして、あとの質問を保留しておきたいと思います。
  52. 中村純一

    中村委員長 他に御質疑はありませんか。——他に御質疑がなければ本日はこの程度にいたし、次会は来る二十七日午後一時より開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時二十五分散会