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1952-05-13 第13回国会 衆議院 通商産業委員会 第34号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月十三日(火曜日)     午後一時四十八分開議  出席委員    委員長 中村 純一君    理事 高木吉之助君 理事 多武良哲三君    理事 中村 幸八君 理事 山手 滿男君    理事 今澄  勇君       今泉 貞雄君    江田斗米吉君       小川 平二君    小金 義照君       淵上房太郎君    村上  勇君       高橋清治郎君    中村 寅太君       橋本 金一君    加藤 鐐造君       田代 文久君    青野 武一君  出席国務大臣         通商産業大臣  高橋龍太郎君  出席政府委員         通商産業事務官         (資源庁次長) 山地 八郎君          通商産業事務官         (資源庁炭政局         長)      中島 征帆君         建 設 技 官         (河川局長)  目黒 清雄君  委員外出席者         農林事務官         (農地局管理部         長)      谷垣 專一君         専  門  員 谷崎  明君         専  門  員 越田 清七君     ――――――――――――― 五月十日  委員龍野喜一郎君辞任につき、その補欠として  小玉治行君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 五月十日  航空機製造法案内閣提出第二二六号)  ドイツ人工業所有権特別措置令の一部を改正す  る法律案内閣提出第一三二号) の審査を本委員会に付託された。 同月十二日  発電用電気機械輸入防止に関する陳情書  (第一七五〇号)  自転車競技法改正に関する陳情書  (第一七五一号)  電気料金値上げ反対に関する陳情書  (第一七五二号)  電気料金値上げ反対に関する陳情書  (第一七五三号)  同(第一七五四  号)  電力料金値上げ反対に関する陳情書  (第一七五五号)  只見川電源開発流域変更案実施促進に関する陳  情書外三件  (第一七五六号)  同外七件  (第一七五七号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  小委員補欠選任及び追加選任  連合審査会開会に関する件  連合審査会開会要求に関する件  臨時石炭鉱害復旧法案内閣提出第一五九号)  航空機製造法案内閣提出第二二六号)  ドイツ人工業所有権特別措置令の一部を改正す  る法律案内閣提出第二三二号)     ―――――――――――――
  2. 中村純一

    中村委員長 これより会議開きます。  本日の日程に入ります前に、小委員補欠選任及び追加選任の件についてお諮りいたします。電気及びガスに関する小委員として淵上房太郎君、佐伯宗義君、中村寅太君、田代文久君、地下資源開発及び合理化に関する小委員として山手滿男君、青野武一君、中小企業に関する小委員として小玉治行君、田代文久君、工業に関する小委員として小金義照君、小玉治行君、淵上房太郎君、青野武一君、繊維に関する小委員として中村寅太君、田代文久君、貿易に関する小委員として小金義照君、小玉治行君、淵上房太郎君、田代文久君を補欠選任いたし、地下資源開発及び合理化に関する小委員として多武良哲三君、淵上房太郎君、今澄勇君、田代文久君を追加選任いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中村純一

    中村委員長 御異議なければさよう決します。     —————————————
  4. 中村純一

    中村委員長 それではこれよります航空機製造法案及びドイツ人工業所有権特別措置令の一部を改正する法律案について、政府より提案理由説明を求めます。高橋通産大臣
  5. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 航空機製造法案提出理由を御説明申し上げます。  航空機製造は、終戦直後連合軍司令官の指令によつて禁止されておりましたところ、今年三月八日付の覚書によりまして生産が認められ、航空機工業再建への道が開かれたのでありますが、さらに平和条約も発効いたしまして、近き将来において航空機工業の全面的な活動が期待されるに至りました。  申すまでもなく、航空機工業は、素材、部品、装備品等多岐にわたる関連生産部門の密な協力によつて構成されるピラミツドの頂点に位する、典型的な総合機械工業であり、設備技術、及び材料の各方面を通じて最高度水準を要求されるものであります。しかるところ、わが国航空機工業は、戦後ただちに賠償工場に指定され、生産のための組織は解体せしめられ、その後七年の間にわたつて完全な空白状況に置かれました。従いましてこの航空機工業を再建し、わが国空白期間に著しい進歩発達を示した諸外国の航空工業水準にまで達せしめることは、その前途はけだし多難の限りと言うべきであります。  しかしながら航空機わが国将来の文化、産業に貢献する大きな意義を考えますとき、航空機工業を振興発達せしめ、その生産技術の向上をはかり、もつて航空機品質及び性能を確保することは、現在における最大の急務と考えられますので、ここに航空機製造法案提案いたしました次第であります。以下この法律案内容の大略を申し述べます。  第一に、航空機及び発動機プロペラ等製造または修理事業につきましては、届出制度をとり、再建しようとするこの工業の実態を常に把握いたしたいと思います。  第二に、航空機工業は、最高度技術及び高性能設備を必要といたしますので、製造または修理設備及び方法について一定技術上の基準を設けてこれを検査し、この検査に合格した設備及び方法により製造または修理を行わせることといたしました。  第三に、航空機及び発動機プロペラ等製造または修理行つた場合には、検査に合格した設備及び方法によつて行われたものであることを通商産業大臣確認または証明いたす制度を設けました。これは製品の良好な品質及び高度の性能を確保するための措置であります。  第四に、確認または証明のための検査につきましては、事務簡素化及び迅速化をはかるため、原則として民間の専門家に委任いたすこととし、重要部分についてのみ国の検査官が検査することといたしました。  なお、ここに事新しく申し上げるまでもなく、新たに生れ出ようとする航空機工業に対しては、各方面の援助と協力とがなくては、そのすこやかな成長が望まれないのは当然なことでありまして、政府といたしましてもこの法律中には明文をもつてうたつてはありませんが、でき得る限りの支援を惜しまない所存であります。  以上がこの法律案提案理由及び内容の概要であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことを切望いたす次第であります。     —————————————
  6. 中村純一

    中村委員長 本間政務次官。     —————————————
  7. 本間俊一

    ○本間政府委員 ドイツ人工業所有権特別措置令の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を御説明いたします。  終戦以来わが国ドイツ財産でありまする工業所有権につきまして、ドイツ財産管理令及びこの政令によりその保全及び管理を行つて来たのでありますが、今回の平和条約におきまして、この工業所有権処分する権利を有しまするアメリカ合衆国、英国及びフランスの三国がこの権利処分いたします場合に、わが国はその処分を確実にするための必要な措置を講じなければならないことになつているのであります。  そこで今般、これらの三国がドイツ財産でありまする工業所有権処分を行うにあたりまして、その処分を可能ならしめる手続等必要な措置を講ずるため、ここにこの改正案を上程する次第であります。  以下、この改正案要点につきまして御説明いたします。第一は、三国の決定に基きまして、ドイツ財産でありまする工業所有権を取消すものとした点であります。すなわちこれは三国が特定のドイツ人権利を取消そうとする場合にとるべき措置を定めるのであります。  第二は、ドイツ財産でありまする工業所有権につきまして。その管理を解除いたしまして、ドイツ人が再び権利を行使できる状態にいたしますとともに、その権利につきまして特許料等の納付及び商標権存続期間の更新に関しまする特例を設けた点であります。すなわち現在三国は、ある種のドイツ人権利は、これを没収することなく単にこれを差押えている状態でありますので、これはその権利を本人に返還する場合の措置であります。  第三は、三国がドイツ財産でありまする特許権実用新案権意匠権等を他人に讓り渡した場合も、第二の場合に準じて処理するものとした点であります。すなちわこれはドイツ今の特許権等をその実施権者等に対しまして三国が讓り渡すような場合でありまして、商標権につきましては、この措置は行わないのであります。  第四は、三国がドイツ財産でありまする特許権実用新案権意匠権につきまして、日本人に許諾いたしました実施権も、その特許権等処分に伴い取消すものとした点であります。  第五は、取消された商標権につきましては、特に旧権利者であるドイツ人及び三国の指定する者等に対しましては、その商標につきまして商標権が取得できる特例を設けた点であります。これは商標というものが商品、営業等の信用を表示する消費者保護の性質を持つものであるために、その取扱いも特許権等の場合とは異なつておりまして、前記の者が一定期間内にその商標について出願したときは、これに優先して権利を与えるものであります。  第六は、通商産業大臣が指定する標章につきましては、原則として一定期間は、一般に使用しまたは商標の登録をすることを禁止した点であります。すなわちこれはドイツ財産でありまする商標のうちの一部のものを指定いたしまして、一定期間その使用等を禁止するものであります。  第七は、期間の進行の中断その他ドイツ財産でありまする工業所有権処分を確実にするために、必要な規定を設けたことであります。  以上申し上げました点が、この法律案を提出いたしました理由並びに改正要点であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに可決されんことをお願いいたしす。
  8. 中村純一

    中村委員長 以上をもちまして両案に対する政府提案理由説明は終了いたしました。両案に対する質疑次会において行うことといたします。     —————————————
  9. 中村純一

    中村委員長 この際お諮りいたします。航空機製造法案に関し、運輸委員会より連合審査会開きたい旨の申出がありますので、本案に関し運輸委員会連合審査会を開くことにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 中村純一

    中村委員長 御異議なければさよう決定いたします。  なお運輸委員会に付託されております航空法案に関し、運輸委員会連合審査会開きたい旨申し入れることにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 中村純一

    中村委員長 御異議なければさようとりはからいます。     —————————————
  12. 中村純一

    中村委員長 次にこの際高橋委員より発言を求められておりますのでこれを許します。高橋清治郎君。
  13. 高橋清治郎

    高橋(清)委員 この際通産省並び建設省に対しましてお尋ねいたすのでありますが、わが宮城県の鳴子ダムを建設することがすでにその一部が予算化されて決定したことは皆さん御存じ通りであります。この鳴子ダム埋没地域内にある休山しておつたところの鉱山があるのであります。ある会社の長年休出しておりました鉱山があります。ところがダム建設による賠償目的のために、この休業せる鉱山鉱業権を買い取つて、そこにいろいろな施設設備をなそうとして企てをしているものがあることを私今度帰りましてわかつたのであります。これらに対して通産省並び建設省において何らかの法的防止措置があるかどうか、これをお伺いいたしたいと思います。
  14. 山地八郎

    山地政府委員 ただいまの御質問の点でありますが、私ども現実の問題については存じておりません。一般的にしか存じないのでありますが、鉱山側がそこに鉱山を開始する、採掘を始めるということにつきまして、実際のやり方につきましては施業案認可を受けて仕事をするわけであります。この施業案認可をいたします際に、鉱山保安見地、その他の見地から、あまり不当な影響を起しませんように現地通産局、あるいは現地鉱山保安部等で適宜な行政措置を加える、施業案認可の際に適当な考慮を払うこと、かような措置をとり得るものと考えている次第であります。
  15. 目黒清雄

    目黒政府委員 ダム建設予定地にいろいろな問題が起きて来ますことは御説の通りでありますが、鳴子ダムは本年度から着手をいたすことになつておりますが、まだ不幸にしてこれが継続費というふうにまではなつておりません。従いましてその施工年度が何年にわたるかということも今のところでは予想がつかないのであります。従つて予定地の買収が本年度にかかるか、あるいは来年度にかかるか、あるいはそれ以上延びるかということも実は予定がつかない。そこへそういうふうな鉱山がありまして、これが再び活動を開始するという、その鉱山自身通産省見地から非常に重要であるということに決定いたしますれば、われわれとしてはこれに何ら制限を加えることはできないのであります。一応現地話合いができます程度話合いで行きたいと考えております。さらにこれが地方的に見まして、あまりにその行き方が将来のダム建設補償費目的とするような問題が明らかであります場合は、通産省とも相談いたしまして、河川法適用をして予定地制限というようなこともできるのではないかというふうに考えておりますが、今まで河川法予定地制限をいたしましたのは、たいていの場合家屋あるいはその他の工作物設置制限でありますので、鉱山それ自身制限をしたという例はありません。鉱山それ自身は個人の設置制限とはちよつと違つた目的があると思いますので、十分その内容通産省と御相談いたしませんと、われわれとしては簡単に取扱うということはできないと思います。
  16. 高橋清治郎

    高橋(清)委員 通産省においては施業案認可においてこれをいろいろ手かげんをするというお話でありますが、今後日本において各地にこういつたようなダム建設の問題が起ると思いますから、何らか将来に対してこういう方面に今後法的措置を講じて行く必要があると思うのですが、通産大臣としてそういうようなお考えを今後お持ちであるかどうか、ちよつと御意見をお聞きしたいと思います。
  17. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 お言葉のようにあるいは将来そういう必要が起るかもしれませんが、ただいまのところまだ取上げておりません。よく研究いたします。
  18. 高橋清治郎

    高橋(清)委員 大体今私が見たところによりますと、今のような賠償目的でやる傾向がありますから、この点を現行法に許す範囲内において十分善処することを望みます。また建設省におきましても、これから特に埋没するような地域内に家を建ててある、賠償目的とするような悪意のあるものもないとも限りませんから、この点もよく考慮して善処していただくことを希望して私の質問を打切ります。     —————————————
  19. 中村純一

    中村委員長 次に臨時石炭鉱害復旧法案を議題といたし、前会に引続き第三章以下にわたる質疑に入ります。質疑の通告がありますから順次これを許します。加藤鐐造君
  20. 加藤鐐造

    加藤(鐐)委員 今度の臨時石炭鉱害復旧法案は、前回特別鉱害復旧措置法と違いまして、亜炭を加えておりますが、しかし政府の御説明を聞きますと、現在この復旧事業団をつくる予定地九州及び宇部地区のみを予定しているようでありますが、亜炭についてもはなはだしく鉱害のあつた箇所については、ただちに事業団を置くことを許されるのかどうかという点についてお伺いいたします。
  21. 中島征帆

    中島政府委員 本法案石炭及び亜炭適用することになつておりまして、亜炭に関しましても相当鉱害があり、かつこの法律適用して事業団をつくつて復旧しなければならないと判断される場合におきましては、もちろん事業団を設立することは可能でございます。ただ現実の問題といたしまして、ただいまのところ亜炭鉱害が一番多いのは中京地区でありまして、岐阜愛知の比較的鉱害の多い亜炭地区におきましても、なおかつこれを九州あるいは宇部石炭鉱害地と比べますと、その規模がきわめて小さいのであります。そこでそういう場合に、ここに事業団を設けまして、計画的に復旧することがはたして地元にとつて有利であるかどうかという点に関しましては、相当具体的に、慎重に調査をいたしまして、その結果をまたなければ軽々に判断できないと思つております。先般石炭鉱害に関して全般的な調査をいたしましたときに、一応亜炭地区についても通産局を通じて調査はいたしておりますが、この調査によりますと、岐阜愛知地区亜炭鉱害は全体で約二億という報告が出ております。現在九州宇部における二百三十億に対しましては一%にも満たないということになつております。ことに全体の四、五パーセントを占める宇部地区においても復旧事業団をつくりまして、復旧をする規模としてはほとんど限度に近いというふうな計算もされておりますし、それの半分に満たないような地区において、はたして事業団が成り立つかどうかという点も考えなければならないと思います。  次には亜炭の場合、特に岐阜愛知地区においては、亜炭鉱害を起しました当時の鉱業権者が現在そこにいない、あるいはもう全然行方不明であり、あるいは商売をやめている者が非常に多くて、現在そこで依然として鉱業権者としてとどまつている者がきわめて少い関係で、かりにそこへ復旧計画を立てる場合には、この法律によりますと、その場合の鉱業権者負担すべき負担金というものは地元負担になるわけであります。従つて地元としてはそれだけの負担を覚悟して、なおかつ復旧をしなければならぬということになりますので、農地に関しては、もちろん国の補助が出ますけれども、そういう点を十分検討した上でこれをきめませんと、必ずしも復旧事業団をつくるということが地元にとつて有利であるかどうかという点が疑問でありますから、この法律が成立いたしましたならば、そういうふうな今までの調査がある程度まだ不十分な地区に対しては、さらに一層十分に調査をいたしまして、もしもたとえば中京地区における亜炭鉱害がやはりこの法律適用した方が有利だということになりましたならば、もちろん事業団をつくつて、この法律によつて復旧をするつもりでございます。
  22. 加藤鐐造

    加藤(鐐)委員 岐阜愛知地区亜炭鉱害は、なるほど今炭政局長の言われた通り、いわゆる鉱害金額にいたしますと他の石炭地方金額よりもはるかに少いわけでありまするが、しかしこの地区における鉱害は、私は石炭と同様重視してもらわなければならない理由があると思います。それは、戦争中の強制命令によつて濫掘された箇所鉱害相当大きいわけであります。そういう点からいいますれば、前回特別鉱害復旧臨時措置法適用されなければならない問題であると思いますが、前回石炭に限られて亜炭が入つておらなかつたのと、またこの地区における鉱害調査が十分でなかつたのではないかと思うわけであります。また地元におきましても、最近になりまして耕地の陥没、灌漑水路決壊等が頻発いたしまして、地元被害者として相当大きく問題を取上げて参りまして、外部に現われて来たわけですが、それまでは実は表面的にはあまり問題になつておりません。これは私は一面地方鉱山部における監督が十分ではなかつたのではないかと思います。それからまた調査が十分に行われておらなかつたのではないかと思うわけです。そういう点から考えまして、私はこの問題は特別鉱害復旧臨時措置法適用を受けるべきではないかと思うのですが、法律規定にないのでただちにこれを適用するわけには行きませんけれども、この際政府の御意見を承つておきたいことは、今炭政局長がおつしやつたようないろいろの調査は今後必要でございましよう。しかしこういう戦争中の強制命令による濫掘から生じた鉱害に対しては、特別鉱害復旧臨時措置法修正をして、これを加える必要がありはしないか、そういうふうに思うわけですが、その点についてどういうお考えを持つておいでになりますか。
  23. 中島征帆

    中島政府委員 特別鉱害お話のように石炭だけを対象として成立した法律でありますが、当時亜炭に関しましては、実はお話のような問題が出ておらなかつたのと、その鉱害程度が少いということで除外されたと私、了解しております。あの法律は、施行後何箇月かの間に、いわゆる戦時中の国の強行採炭命令に基く特別鉱害であるという認定をいたしまして、あの法律に基く特別鉱害というものは一応もう洗い出されているわけでありますから、今のままでかりに亜炭追加するということになりますと、亜炭追加する趣旨の修正をして、さらにそういう認定をしなければならぬ、こういうことになるわけでありますが、亜炭に関しましては、すでに大分時間を経過いたしておりますのと、それからあの採炭方法そのものが比較的簡易でありますために、当時の書類等がはたしてどの程度まで完備しているかという点も疑問がありまして、かりにこれから追加をいたしましても、石炭のように敏活に行くかどうかという点については私若干疑問を持ちます。しかしこれは、もし必要があれば当時の特別鉱害のこぼれとして技術的に今後指定できないということはないかと思います。ただ私の判断といたしましては、この際そういうことをする方が適当であるかどうかという点につきましては、いささか疑問を持つのであります。
  24. 加藤鐐造

    加藤(鐐)委員 今も申しました通り、この地区鉱害が今まで比較的問題にされなかつたということは、被害者である農民が非常におとなしくて、今日のさんたんたる状態に立ち至るまでにあまり被害復旧についてやかましく言わなかつたということがおもな原因であると私は思うわけです。また今も申し上げました通り、その地区における鉱山部調査、あるいはまた被害を起すに至りました鉱区等についての監督が不十分であつたことが私は大きな原因だと思うわけです。大体通産省では被害状況について御調査なつておると思いますが、私の聞くところによりますと、鉱山側調査報告被害者側の町村の報告とが、数字の上において非常な大きな食い違いがあるというふうに聞いております。そういう点について鉱山部は独自の立場から調査をしておられるかどうかという点を承りたい。いわゆる鉱山加害者側調査被害者側調査をただそのまま受けておるということにすぎないのか、あるいは鉱山部が独自の立場で十分な調査をしておられるのか、その状況について承りたいと思います。
  25. 中島征帆

    中島政府委員 鉱山部調査によりますと、亜炭鉱害といたしましては、被害者ないしは市町村から出ております被害額が約二億であります。それに対しまして鉱業権者の方から出ておりますのは四百万円そこそこでありまして、そこに大きな開きがあるわけであります。これは石炭の場合も同じように二百三十億の中で鉱業権者から出しておりますのは百四、五十億、残りは鉱業権者が認めておらないもので市町村等から出されておるものというような状況で、そこに相当開きがあるわけであります。その開いております部分がはたして鉱害であるかどうかという点につきましては、やはり十分実地調査をいたしませんと、いずれともきめがたい問題でありますから、石炭に関しましても本法の施行と同時にその点につき十分調査いたしまして、そのいずれかをきめるということになるのでありますが、同様に亜炭に関しましても今の二億のうちのどれだけがはたしてほんとうの意味の鉱害であるかという点も調査しなければなりませんし、また全体的にこの法律適用の分も合せまして、亜炭に関しまして今まで若干置きざりにされておりましたものに対してすみやかに調査をいたしまして、はたしてその鉱害の実情というものはどういうものであるか、あるいは鉱業権者との関係はどうなつておるかということをぜひとも調査しなければならぬと思います。これはこの法律案成立後におきまして、法律適用とあわせてやるべきであろうと思いますので、その時期におきまして通産局を中心といたしまして、一層精密なる調査をいたしたいと考えます。
  26. 加藤鐐造

    加藤(鐐)委員 復旧事業団を置くかどうかということは、今後の調査によつて考慮されるということでけつこうでありますが、ただこの際申し上げておきたいことは、先ほど申しました通り、最近農地あるいは灌漑用水等の被害が続出しまして、地元の町村といたしましてはやむを得ずいわゆる町村が借金をしてどうしても直さなければならぬ箇所についての復旧をやつておるわけであります。最近も学校が陥没によつて非常な被害を受けておるというようなことも起つております。それから耕地の陥没はひんぴんとして次から次へと現われつつある状況でありますので、これはどうしても今回の法律適用して、できるだけすみやかに調査をせられ、復旧事業団を置くというふうにお考えを願いたいと思います。  それからなおお伺いしたいことは、今局長は打切り補償が非常に多いように言われましたが、打切り補償のやり方を見ておりますと、非常に補償金額が少いのであります。この点は鉱山部があくまで十分な監督をして、監督官庁の立場としていわゆる新しい鉱業法の立場から必要な措置を十分講じてやつておられるのかどうか。あるいは聞くところによりますと、当事者間でわずかの金額で決定されておるというような事実も相当あるように聞いておりますが、その点についてどういうふうにお考えでありますか。
  27. 中島征帆

    中島政府委員 打切り補償の問題は、ただいままでのところは大体当事者間の話合いでやつておるのでありまして、その間に監督官庁が介在しているという例はほとんどまれであります。現在の鉱業法におきましては、中介の制度がございますけれども、中介の制度を利用されている向きは非常に少いのであります。従つてこれは加害者と被害者との関係で片づけられて行く、その結果におきまして、被害者側が比較的不利な関係をしいられている事実もおそらくあろうかと思いますが、この点に対しましては、今度法律適用を受けるようになりますと、現在の鉱業法だけに依存している亜炭の場合には、被害者側がどうしても不利な条件を適用される結果になつておるところが多い実情であります。但しこれに対しまして、国が積極的に現状において関与する余地がございませんので、中介なり何なりの申出等が出て来た場合におきましては、ある程度関与もできますけれども、本来任意的にゆだねられておりますので、その点については今のところ消極的な態度でやつておるわけであります。
  28. 加藤鐐造

    加藤(鐐)委員 補償額を決定する場合に被害者と加害者のみの話合いできまるというような点では非常に疑義がある。大体炭鉱の場合を見ましても、大手筋炭鉱は被害の実情に沿つてある程度の納得の行く補償をしておるようでありますが、中小炭鉱以下になりますと、その点がまつたく能力がないとかいうような理由で、被害者側の納得の行かない方法において行われて来ておるようであります。これが亜炭鉱になりますと、さらに小さな鉱業権者ばかりでございますから、ほとんど被害者側の言い分が受入れられておらないことになるわけであります。そこでもし現在鉱業法によつて監督立場にありまする鉱山保安部等が十分タツチできないとしますならば、その点はやはり鉱業法の修正が必要であればこの点を考慮してもらわなければならない問題であると思うわけであります。  それから加害鉱業権者の納付する事業団の経費に対する納付金でありますが、トン当り五円以下ということになつて、いろいろの地区によつて多少金額が大きくなつたり少くなつたりするというようなお話を伺つておりますが、その点についてどういうふうに考えておられるか、特に亜炭地区については、もしやるとすればどのくらいが適当であると考えられておられますか。
  29. 中島征帆

    中島政府委員 トン当り五円と申しますのは、一時事業が初まりますまでの間暫定的に賦課する金額でありまして、これは事務費の負担の基準にはなつていないわけであります。実際の基準はその前年度におきまして復旧をいたしました事業費に応じてとる、事業費の何パーセントをとる、こういうことできまるわけであります。それを現在におきまして、この法律では最高百分の七と押えておりますが、七以内で押えるような事業団でなければ経費倒れになつて、むしろ不合理なことになりはしないかということで、七で押えたわけであります。実際九州等におきましてはそこまで行かないで十分まかなえます。それから宇部の場合は全体の鉱害の量が小さい関係で、いささかその点が苦しくなりまして、七に近い数字になる。それからたとえば亜炭地区考えました場合に、宇部と比べて少くとも半分以下の経費ではないか。そうしますと規模としては、宇部事業団の人員が十四、五人でありますから、七、八人で事業団の仕事をしなければならぬということになりまして、はたしてその程度の人間でやれるかどうかということもありますが、その辺から経費が計算されなければならないと考えております。
  30. 加藤鐐造

    加藤(鐐)委員 それから公共施設の復旧の場合は、前の特別鉱害と違いまして、国の補助金を出さないということになつておりますが、これはなぜであるか。この場合に、たとえば道路については公共事業費の補助金等によつてやるとか、学校については文部省の補助金によつてやるとかいうふうに考えられておるのか。
  31. 中島征帆

    中島政府委員 公共施設については補助金は一応出ますが、返還するということになつております。これの考え方としては、本来鉱業権者は鉱業法上責任がある賠償額を全部納める。そういう基礎の上に立つて、必要な場合には、不足部分を国ないし地方公共団体で補助する、こういう考え方をとつておるわけであります。農地に関しては年々賠償いたしております金額を換算いたしました金額が、普通の賠償の限度であるということになるわけでありますが、道路等についてはどれだけが鉱業権者の賠償責任になるのか、道路の損害額いかんということは判定が困難であります。従つて道路を鉱害以前の状態復旧するための費用というものは、鉱害金額鉱業権者の責任額である、こういうふうに言わざるを得ないのであります。従つて道路等に関する復旧費は、金額鉱業権者負担すべきものだ。だからかりに一時的に国が補助金を出しましても、あとは国として責任が全然ないものでありますから償還させる。ただその場合に、実際面におきましては相当破損した道路を復旧いたしますと、鉱害による破損部分と、そうでない本来の用途による破損部分と二つありますから、あとの方の部分につきましては鉱業権者に責任がない。従つて復旧費の中のあとの部分相当する金額だけは鉱業権者として免れるということになりますので、かりにある道路を復旧いたしましても、現実復旧金額負担しなければならぬということにはならぬわけでありまして、理論上鉱業権者の責任に帰すべき額だけが鉱業権者負担になる、こういうことになります。
  32. 加藤鐐造

    加藤(鐐)委員 もう一点聞いておきたいことは、復旧事業団以外に復旧工事の施工者があるわけでありますが、先ほどの説明によりますと、たとえば土地改良区であるとか耕地に関しては農業協同組合、そういう団体が復旧工事の施工者となるわけですが、その場合の復旧事業団と施工者との関係について御説明願いたいと思います。たとえばこれを委託して施工させることになろうと思いますが、その場合の工事費等の決定について当事者間の話合いで決定するのか、紛糾が起きた場合にはだれが裁定するのかということについて伺いたい。
  33. 中島征帆

    中島政府委員 事業団復旧工事をいたしますのは、この法律ではむしろ例外的な場合を予想しておりまして、通常の場合はほかの法律できめられております。あるいは復旧基本計画できめられておりますものが工事の施工を担当するわけであります。従つてそれは土地改良区である場合もあれば府県あるいは市町村というような場合、さらに鉱業権者が施工者になる場合もありますが、そういう事業団以外のものが工事の施工を受持つ場合が多いのであります。その際事業団との関係は、基本計画に載せられました事業団復旧費の負担部分を、鉱業権者から徴収して工事施工者に払つてやる。工事施工者としてはそのほかに国並びに地方公共団体からの補助金をもらいまして工事費に充てることになります。従つて事業団と工事施工者というものは、請負の関係でも何でもなくて、ただ金をもらう、あるいは払うというだけの関係でありまして、工事費そのものの責任は工事施工者が負うわけであります。もしもその工事が設計通りできない、あるいは未完成であるというような場合には、事業団の責任でなくて工事施工者の問題である。かつ工事施工者が請負に出した場合には、請負業者との関係になります。
  34. 加藤鐐造

    加藤(鐐)委員 なお各条項について質問いたしたいのでありますが、きようは一応これで打切つて、保留しておきます。
  35. 中村純一

    中村委員長 淵上君。
  36. 淵上房太郎

    ○淵上委員 本委員会は大分重要法案を持つておるようでありますし、先ほど来小委員の選任もできまして、詳細にわたつては小委員会で本格的に練つて行くということになるかと思いますけれども、この法案の重要性にかんがみまして、この機会に全面的に重要な問題について、根本的な問題を政府当局に質問いたしたいと思うのであります。  第二章までは一応済んで、第三章以下についてきよう要点だけ御質問したいと思います。四十八条の家屋等の復旧に関する問題は、前会三十一条の場合にも聞きましたが、これは五十七条等にも影響いたしますので、これは根本的に構想を立て直して考え直す必要があるやに思うのでありますが、きようはこの問題は一応保留いたします。地区の選定について、必要かつ適当と認められる地区を定める、このきめ方いかんによりまして、七十八条の不適地と認定される土地が非常に多くなるという重大問題が起るのでありますが、この地区の選定については大体どういう構想を持つておられるか、この機会に一応お尋ねいたしておきたいと思います。
  37. 中島征帆

    中島政府委員 これは鉱害地帯の一般に及ぼしております緊急性にもよりますが、第一に鉱害程度ということが問題になると思います。でありますからその地区がすでに安定しておるかどうかという点、それからさらにその地区復旧いたしました経済効果というものと復旧費が、大体バランスがとれるかどうか、こういう点を考え地区をきめるわけであります。この地区をきめるやり方によりまして、不適地がたくさん出るか出ないかということになるわけであります。しかし不適地をたくさんつくるということは、本来の趣旨ではございませんで、本来大きな地区が不適地だというふうに判断される場合には、これはむしろそのまま放置いたしまして、従来の賠償制を年年続けさせるということも可能であります。復旧基本計画に入れて全体を一貫した復旧計画を立てますが、統一性がないという場合において、初めてその中で復旧できない土地が復旧不適地だということになるわけでありますけれども、この土地のきめ方によつて不適地をやたらにつくるということは、少くとも私どもは考えておらぬわけであります。
  38. 淵上房太郎

    ○淵上委員 次に本条に関連してもう一つお尋ねいたしますが、基本計画をつくる、これはきわめて簡単に基本計画は作成できるとお考えになるかのごとく感じられるのでありますが、加害者と被害者の主張が著しく違つた場合に、事業団が計画作成に手をやいて何年たつても基本計画が立たない場合が現実にたくさんできるのじやないかと想像するのであります。そういう場合、被害者保護の立場あるいは利害関係者から、少くとも復旧工事施工の適否の裁定を主務大臣に申請する道くらいはこの際つくつておく必要があるのじやないか、かように私は思うのでありますが、この点に対してどうお考えになりますか。
  39. 中島征帆

    中島政府委員 ごもつともな点でございまして、なるほどこの計画を立てることは非常にむずかしい問題がございます。ただ現在におきましては、農地に対してもあるいはその他の公共施設に対しても、いわゆる公共事業として各省が工事を実施しているわけでありますが、その中に特別鉱害も入つております。そこへさらにこの一般鉱害が同様な形で大体入るわけでありまして、従つて各主務省といたしましては、ある地区の工事の中でどれをまず取上げるべきかというような大体の腹づもりはあるわけであります。それがだんだん都府県あるいは市町村に行つて、大体事業団が計画を立てる場合には、当然に地元の公共団体と十分連絡の上で案を立てるわけでありますから、中央の主務官庁が考えている考え方と、地元事業というものがそこで合うことになる仕組みであります。それにいたしましても、細部に関してはいろいろな問題が起きると思いますが、その場合には評議員会におきましてその点の利害関係的な立場から御検討を願います。またその結果につきましては、主務大臣がこれを認可しなければならぬことになつておりまして、その際に主務大臣が適当と考え修正をするようなことができることになつておりますので、大体救済方法はそういう形で考えられているわけです。
  40. 淵上房太郎

    ○淵上委員 次に五十一条に参ります。これもたいへんやつかいな条文でありますが、まず第一に、特別鉱害復旧がすでに実施されておるのでありますから、その実績に徴しまして、農地復旧費は大体どのくらいになるか、お尋ねいたします。
  41. 中島征帆

    中島政府委員 最近の一応の平均は六万四千円くらいになるそうであります。ただ実際面におきましては若干それと違う数字も出て参りますが、一応そのような数字が出ております。
  42. 淵上房太郎

    ○淵上委員 私の聞いているところでは、農地復旧費が十二万七千円、それから農業用施設の復旧費がこれに関連して一万三千百二十円、合計十四万百二十円という数字があるのですが、これは否定されますかどうか、それをまず伺います。
  43. 中島征帆

    中島政府委員 それはただいままでの不毛田で最高の額でありまして、その例として十二万八千円という数字が出ております。
  44. 淵上房太郎

    ○淵上委員 そうするとこの不毛田の場合を例にとつて申しますと、政府はまだ九十一条の国庫補助の額について大蔵省との協議決定がまとまつていないかに聞いておりますが、かりに国庫補助が五割、県の補助が一割としますと、五十一条の場合、不毛田においては四割が賠償義務者負担になる。これが五万六千円であります。それから七十四条の超過費用とかあるいは超過労力の三、四箇年分の費用がありますが、これを大体二万円くらい見るべきじやないかと思います。しかして七十七条の復旧工事による用排水の施設維持管理費、これをまず二万円くらい見るべきじやないかと思います。合計すると九万六千円であります。福岡県の例によりますと、福岡県の賃貸価格の平均は十七円四十六銭になつております。この間の公聴会の供述で鉱業権者代表の方は二十円と言われましたが、それは私は信用できない数字で、県の調査によりますと平均が十七円四十六銭、この十七円四十六銭という数字でただいまの九万六千円を割りますと五千四百四十倍というふうになります。そこで問題は、先般から問題になつている二千以上五千を越えない範囲内というふうに五千で区切られることは著しく不当になる場合があるのでありますが、この不毛田の場合に関する当局の所見はいかがでありますか。
  45. 中島征帆

    中島政府委員 ただいまお示しになりました例によりますと、鉱業権者負担が九万六千円、あるいは復旧費の負担が五万六千円という話でありますが、これに対しては実はただいままだ話合いを進めておりますので詳細な数字は省略させていただきますけれども、大体の考え方といたしましては、鉱業権者が二千以上五千以内という倍率をかけました一応の理論的な納付金を負担するわけでありまして、この負担額から先ほどお示しになりましたポンプの維持管理費あるいはその後の補償金というものを差引きました残りが復旧費に充てられるわけであります。それと工事費を幾らに見るか、これを最高十四万円程度に見ておりますが、それと鉱業権者負担金額との差額、これを国と地方公共団体とで持とうということにつきましては、大蔵省並びに地方財政委員会も了解しております。その負担区分がまだ確定しておりませんけれども、大体の金額といたしましては、今私どもが予想しております工事費に対しまして六割五分くらいになります。大体その程度のものが国と地方公共団体の負担になる。従つて鉱業権者は三割五分しか負担しませんけれども、そのほかにポンプの維持管理費と復旧しない部分に対する補償金という負担が残るわけでありまして、その残りを国と地方できめる。従つて復旧費に対しまして何割補償するかという率をまずきめるのでなくて、結局復旧費の最高限を幾らと押え、それから鉱業権者負担すべき限度を幾らと押え、その差額を持とう、こういう考え方につきましては、大体意見が一致しておりますので、その率が多少増減いたしましても、金額は多少かわりましてもその辺を穴埋めするということについてはただいままでの経過におきまして心配ないというふうに私は考えております。
  46. 淵上房太郎

    ○淵上委員 わかりました。  なおこの機会に伺いますが、開発鉱業部でおつくりになつております一般鉱害全般調査報告書によりますと、復旧できる農地の反当り平均復旧費は十万五千五百円、大体その程度と見てよろしゆうございますか。
  47. 中島征帆

    中島政府委員 これは昨年の夏ごろの調査でありまして、しかも各関係者が出されました数字をそのままとつて集計したものであります。従つてこれは全然実地に査定もいたしておりませんし、こまかい調査もいたしおりませんし、当然かわるわけでありますが、そういうような査定ないしは物価の変動ということを考えませんでも、実際面におきましては、この調査におきます前提をそのままとれば、これよりもう少し下まわるということになるわけであります。それはなぜかと申しますと、この場合にはすべての復旧費を入れておりますので、たとえば復旧費があまりに高くて、当然復旧費から経済性の少いというゆえをもつて除外されるようなものはここから除かれるわけであります。そういうような非常に復旧費の高いものを除くということになると、実際にこれから行われる復旧費の平均といたしましては、十万何千円よりもう少し低いものになるとわれわれは考えております。
  48. 淵上房太郎

    ○淵上委員 この際にもう一つ関連してお尋ねしておきたいのでありますが、鉱業法の百十二条に、地方鉱害賠償基準協議会に諮問して損害の賠償の範囲、方法等についての公正かつ適切な基準をつくる。そうして第二項には、何人も拘束しないという規定があるのであります。これはたくさんの実例があるかと思うのでありますが、鉱業法百十二条の大体の御方針はどういう方針でやられておるか。私がこれをお尋ねするのは、鉱業法の賠償の範囲、方法ができると、これが一般鉱害の基準に援用される結果にならないかという一応の心配を持ちまして、まずこの鉱業法百十二条の場合をお尋ねしたいと思います。
  49. 中島征帆

    中島政府委員 この規定は、すでに実施されてから相当になると思いますが、実を申しますと、まだ賠償基準協議会をつくつて研究中というわけでございまして、それぞれ検討いたしておりますが、まだ具体的な案が出るところまで行つておりません。
  50. 淵上房太郎

    ○淵上委員 それは小委員会でさらに協議もし、検討もいたしますが、私はこの五十一条の末項に、必ず鉱業法に入れるものは関係ないという一項を加えておかぬと、鉱害地の被害者は非常に迷惑する場合があるので、それをひとつ問題として提起しておきます。  次に例の五十二条であります。これはすでにたびたび公聴会でもお話が出ておりますが、公共施設等の場合におきましては、よく筋の通つた規定であります。たとえば従来の木橋が何らかの機会に鉄筋コンクリートの永久橋にかわつたという場合におきましては、受益者負担もけつこうでありますが、個人の家屋等の場合におきましては、もつてのほかの規定である。申すまでもなく、非常な負担、犠牲、不自由を長年受けて、鉱業権者から、何年目かにいよいよ住まわれぬようになつて危険が身に迫るようになつてやつてもらつたものを、とりこわすときより多少よくなつたからといつて、これを受益者負担というのはもつてのほかだ。従来のような損失負担を一体どう認めるかという問題があると思いますが、この点をお考えにならなかつたかどうかをお尋ねしておきます。
  51. 中島征帆

    中島政府委員 この第五十二条は、家屋には関係ありませんで、農地と公共施設だけにつきましての規定でございます。従つて家屋の場合に、こういうふうな受益者負担を出させるということは、この規定では考えていないのであります。ここで考えておりますのは、主として農地等につきまして、打切り賠償をしておるような場合に、その部分だけは復旧工事をすればまた元へもどるわけでありますから、返すというようなことを考えてつくつた規定でございます。公共施設につきましてはただいまの御指摘の通りであります。従つてこの規定をむやみに広く援用いたしまして、たとえば農地につきましては年々賠償しておるものまで返させるというふうなことは全然考えておりません。
  52. 淵上房太郎

    ○淵上委員 よくわかりました。次に第五十三条に行きます。これもすでに公聴会でたびたび論議されたのでありまするが、これは九十一条とも関連があります。きようは時間がなくてせくようですから、簡単に申し上げますが、たとえば福岡県におきまして、年々の税の減収が四億四、五千万円である。これは先般の知事の公述にも申されておりました。それから鉱害関係のための特別支出が四千九百八、九十万円、合せて年々五億くらいの金がかかつておる。一面鉱区税は二千二百九十余万円の年収がありますけれども、差引四億七千万円くらいの年々の負担がある。これは、石炭は何も生産地だけで使うのでない。東京、大阪で使つておる。ところが鉱害石炭生産地でできておる。その生産地の鉱害の費用をその土地の地方公共団体に持たせるというのは、実に筋の通らぬ話である。これはある程度地元をよくするがために、事業団の維持のための事務経費を出させるというのならまだ通るが、この五十三条そのものをとうていこのままうのみにできないのです。申すまでもなく、近来地方公共団体の、ことに府県あたりの地方財政の逼迫は御承知の通りであります。地方財政委員会あたりともこれは御協議になりましたかどうかということを一応伺つておきたい。
  53. 中島征帆

    中島政府委員 もちろんこれは地方財政委員会と協議いたしております。ただこれにつきましては、先ほども申しましたように、国と地方公共団体がどの程度の割合で分担するかということにつきましては未定でございまして、その点なお折衝しなければなりませんが、考え方といたしましては、特別鉱害の場合におきましても、たとえば農地に関しましては、特に国が責任を持たなければならぬ性質のものでありますから、国が八割を負担し、地方が一割を負担する、こういうことになつておりますが、今度のものは本来の性質からいえば、国としてはそこまで責任を持つ理由はない、むしろこれは復旧することによつて地方団体が利益を受けることも多いはずであるから、地方団体としては特別鉱害以上に持つべきだ、こういうのが大蔵省の主張であります。それに対しまして地方財政委員会としては、特別鉱害以上の負担をすることは事実上不可能だということで、今なお話合いがついておりませんが、しかし事実問題の解決策といたしましては、地方負担に対しましては、例の平衡交付金の配分の際にこの点も考慮してやることによつて、ある程度片づくのではないか。この点につきましては、大蔵省もそういうふうにやるということを言つておりますので、そういうようなことに手がかりをつけまして、われわれといたしましてもできるだけ地方負担は少くしたい、そういう方法で解決したいと思つております。
  54. 淵上房太郎

    ○淵上委員 この問題は六十六条にも関連を持つのでありますが、地方公共団体が非常に財政に窮迫して、六十六条二項にいうところの、同意ができなかつた場合には一体どうなさるか。そういう場合には結局被害者は泣寝入りになるというような規定のようになりますが、そういう場合を御想像になつておりますかどうかを伺つておきたい。
  55. 中島征帆

    中島政府委員 この六十六条の規定は、地方としてはかなりつらい規定でありますが、実際上この全部を国が負担するという理由も成り立ちませんし、またほかの方に転嫁する方法もありません。従つてそこで間接ではありますが、一番利益を受ける地方においてそれを負担してもらうという以外にないわけです。しかしこれをやる場合には、あらかじめ地方市町村等の同意を受けることになつておりますから、この負担が困難である場合には同意をしない、これは非常に消極的なことになりますが、そういうことで負担をのがれ得る方法はあります。
  56. 淵上房太郎

    ○淵上委員 先ほどにちよつと逆もどりしますが、軍用接収農地の場合についてお伺いしたいのであります。これは替地を世話してやる、ところが鉱害地における農地は、なかなか替地がない。しかも父祖伝来の田地、農地であつて、そこに個人的な問題もあるわけですが、軍用接収農地の替地を世話してやるといつて、よい条件をつけたときの値段は、大体どのくらいでやつたらよいとお考えなつておりますか。
  57. 谷垣專一

    ○谷垣説明員 軍用地を接収いたしました場合の農地の替地、これは今までのところ軍用地を接収されたからすぐ替地を出すということにはなつておりません。普通の開拓入植の中に含めましてやつております。それからそれに対する補償は、現在までのところ非常に不備であります。最近の分でありますと、反当二、三万では非常に安きに失しますので、講和条約の発効しました以後においては、当然に農民が得べかりし利益を完全に補償する、また新しい開拓地においてそれと同じ条件のところまで、地方の回復をする限度に至るまでの完全補償をする、こういう建前で目下農林省では大蔵省あるいはまた関係方面と折衝いたしております。しかしその折衝の結果は、まだ決定いたされていない状態であります。
  58. 淵上房太郎

    ○淵上委員 引続いて農林省関係に関連して伺いますが、七十三条の場合に熟田化の期間が問題なのでありますが、熟田化の費用——これは期間にもよりましようが、普通農地の場合にどのくらいに見たらよいものでしようか。
  59. 谷垣專一

    ○谷垣説明員 これは非常に困難な問題でありまして、ここで端的にお答えすることは私にはできません。それは個々の土地の条件によつて違います。従いましてこれがどの程度の元の地方に回復するまで復旧するかということを一般的に申し上げるわけに行かないのでありますが、たとえば盛土をいたしまして、心土は心土で別に入れて、上の表土はほかの耕地にあつた表土を持つて来る、こういうようなことをいたしましても、なおかつそれが従来の効用回復をするまでには相当期間と、またそれに対していろいろな資材あるいは労力の投入が必要であろうと思います。その経費が個々具体的な場合でありますので、はつきり申し上げかねると思いますが、やはり反当二万以上の金がかかるのではないか、これも一般的な言い方でありますので、はつきりいたしませんが、そういうふうに考えております。
  60. 淵上房太郎

    ○淵上委員 さらにお伺いいたしますが、七十四条三項のこの額を変更する場合、これがどうも安心ができないのです。農林省はよくお考えだろうと思いますが、どういうおつもりであるか、ひとつ農林省の御意見を伺つておきたい。「変更する必要がないと認めるときは」云々、「必要があると認めるときは」云々とありますが、何か御方針があるだろうと思いますが……。
  61. 谷垣專一

    ○谷垣説明員 これも工事ができましてすぐに一応の判定をいたすわけであります。と申しますのは、工事を実施する当初におままして、この工事をいたせばこの程度の効用の回復はできるという大体の予想をいたして、工事の実施計画その他を認可いたすわけでありますが、それは工事ができましてすぐに一応の効果回復の認定をいたすわけであります。しかしただそれだけでは実は土地の問題ははつきりいたしません。数年の間その後の状況を見まして、たとえば工事が行われたその当時において水が流れるか、あるいは土漏れがないかというようなことが見られなければならないのであります。これは三年がいいかあるいは六年がいいかあるいは二年で判定ができるか、いろいろ問題があろうかと思いますが、まず私たちとしては、三年ぐらいの期間があれば大体において確実な、公算の多い判定ができる、こういうようなつもりでこの三年の余裕経過をとつたわけであります。
  62. 淵上房太郎

    ○淵上委員 もう一つお尋ねしたい。七十八条ですが、これは一番悪法ともいう条文で、これは私は将来は削除してもらいたいという考えを持つております。農林大臣が、農林省令、通商産業省令で定める算定基準に従い、支払われる金額をきめられる。これはきわめて重大問題ですが、どういうつもりでおられるかをこの機会にはつきりお示しを願いたい。
  63. 谷垣專一

    ○谷垣説明員 第七十八条の復旧目的とならなかつた農地の判定は非常にむずかしい問題であろうかと思いますが、私たちは、実施計画におきましてできるだけ復旧目的とならない農地がないような実施計画をいたしたいつもりでおるわけであります。ただ、一つの計画をいたしました場合に、陥没の結果地表が変化をいたしまして非常にくぼ地ができる。従つてそれが現在の状況としましてはかなり深い水たまりになつておる、こういう状況が出て来る場合があろうかと思います。そこでその所に排水工事をして、そうして復旧工事をするという場合に、その地区全体といたしましては全部の水を排水しなくともいい、というよりもあまり排水をいたしますと、でこぼこになりまして、高くなりましたところの土地が乾燥し過ぎるというような問題が実は工事の技術的な面から生じて来るわけであります。そういうような場合に、そこの地区を最小限復旧目的とならなかつた農地というようなことにいたしたい。つまりくぼ地の水分をほしますけれども、五メートルの水深があるのを三メートルまでほしまして、そうして干上つた土地を多くつくりますけれども、それ以上やりますと費用の関係と同時に、それ以外のレベルの高い土地に対する悪影響が起る、こういうような状況があると認められました場合には、なお残つておる二メートルの水没地のところは復旧目的とならなかつた農地ということになろうかと思います。ただこういうような状況で打切りにするということにつきましては、いろいろ問題があろうか思いますし、実施計画を考える場合にそういう土地ができてまた異議の申立てがかなりあります場合には、この実施計画は変更する必要が生ずるのではないかと考えております。
  64. 淵上房太郎

    ○淵上委員 私はたびたび申しますように、これは非常な悪法で、将来これは削除してもらつたらどうかと思いますが、ただいまの説明でだんだんわかつて参りましたが、私はいわゆるため池とか遊水池であるとか、そういうような程度のものだけを不適地に決定するというくらいにすべきではないかと思うのでありますが、ことに法文に「著しく困難」という言葉が出ておりますが、これではとてもわからないのであつて、よほど慎重に省令でお定めにならないとたいへんな問題になりますことをこの委員会で一言申し上げておきます。  第七十三条の問題でありますが、二月以内に検査を行わなければならないとあるが、効用が回復されたかどうかということはもちろんわかるはずはないので、効用が回復される状態に適応しておるかいなかということを検査するというようにした方が正確な法文の書き方じやないかと思いますが、工事の評価基準みたいなものをおつくりなつてその基準のどれに当てはまつておるか、何かそういう基準でもおつくりになる方針であろうかと思うのでありますが、これではいわゆる形式的の外形的の検査ですから、その点について伺いたいと思います。
  65. 中島征帆

    中島政府委員 これはもし文字通りやるとすれば今おつしやるように書くのがあるいは正確であるかもしれませんが、この効用を回復したかどうかというその基準は復旧基本計画によるわけでありまして、これはどういう工事をしてその結果において結局この程度まで効用が回復するのだというような見通しが書いてあるわけであります。従つて契約通りの工事ができておれば一応そこに載つてつた程度まで効用が回復したということになるわけでありますが、それをさらに実地検査をしまして、はたしてそれ以上のものであるかどうかということをこの際一応判断するわけであります。それが今度実際に収穫を見た上でどういうふうになるかということは、さらに三年以内に再検査をするという道も開かれておるわけであります。
  66. 淵上房太郎

    ○淵上委員 同じく第二項の効用の価額の算定の問題でありますが、これらは省令ではつきりおきめになるだろうと思いますが、大体の御方針をお示しできないでしようか。
  67. 中島征帆

    中島政府委員 その評価基準の細部につきましては十分打合せをいたしておりませんので、ただいま申し上げかねると思います。
  68. 淵上房太郎

    ○淵上委員 まだほかの同僚委員の御質問もあろうかと思いますが、五十一条、七十五条、七十八条の法文はどうも鉱業権者の保護規定みたいに感じられるのでありますが、七十八条の方で私は冒頭から憲法論を持出して、国民の自由あるいは生活、居住の自由とか基本的人権の問題をお尋ねしておつたのでありますが、七十八条によりましては、復旧目的とならなかつた農地と決定される場合には、地主あるいは専有者の同意を必要とする。これは人権蹂躙にひとしいのではないかと思いますが、この点に関して何かお考えなつていることがございますか、お伺いいたします。
  69. 中島征帆

    中島政府委員 法律的に申しますと復旧するということは現在鉱業法では鉱業権者の義務でない。従つて鉱業法が違憲でない限りは、復旧をしないということは憲法に抵触するわけではないのでありまして、その意味におきましては復旧不適地で処理をすること自体が不利益ということには鉱業法を前提といたします限りは言えない。それも復旧をいたしませんでも、それに対して鉱業法の原則に基く金銭賠償はいたしますから、その間において被害者が経済的な不利な取扱いを受けるということにはならないと言えるのでありまして、復旧をされればもちろんそれに対してさらに国の補助等がありますので、一層良好な状態になりますが、とにかく現在以上に被害者が不利な取扱いを受けるという結果にはならないと思います。
  70. 淵上房太郎

    ○淵上委員 金銭賠償をするから不利な立場被害者はならないということを言われますが、それは根本的にわれわれの考え方と違うのであります。金と父祖伝来の農地との比較の問題でありまして、これはもう少し慎重にお考え願いたいと思うのであります。金はいらぬ、どうしても土地は放したくないというのが鉱害地のみならず全国の農民の心理ではないかと思うのですが、通産省としては金さえ払えば不利はないのではないかと言われるが、農林省としては別にこれに御賛成はできまいと思います。この点は今日は問題として置いておきますけれども、お考え願う必要があると思います。八十三条の第三項に「被害者の責に帰すべき」というのがありますが、これはいろいろ想像もし得るのですが、大体どういう場合をお考えなつておりますか、お尋ねいたしたいと思います。
  71. 中島征帆

    中島政府委員 つまり家屋が傾斜したりあるいは破壊しました場合に、もしも専有者ないしは所有者としてそれにある程度の手当をすればそれが一層大きくならなくて済む場合においてその軽微な手当すらしない、その他ほかの理由でもつて何らかの行為をしたためにその損害が大きくなつた場合、それを考慮するという趣旨で、普通の場合におきましてこういうことを一々計算するということはあり得ないのであります。
  72. 淵上房太郎

    ○淵上委員 七十八条ですが、これはさらに審議しあるいは検討したいと思いますが、このまま読んでおりますと濫掘奨励規定であるかのごとくも見られる。これはひとつ虚心坦懐に、提案者たる政府としてはさらに御検討を願いたい。またこれから御折衝申し上げる機会がありますが、小委員会等におきましても、さらにわれわれも勉強、研究いたしますから、ひとつ立場にこだわらずに、もう一ぺん御検討願うことを特にお願い申し上げます。相当広汎にわたりましたけれども、小委員会で検討するという方針に大体きまつたようでありますので、本委員会における私の質問はこの程度に一応打切りまして、必要があれば後に機会を得て質問いたしたいと思います。なお、大蔵省の関係は、小委員会で大蔵大臣を呼んで審議しますから、留保しておきます。
  73. 中村純一

    中村委員長 本日はこの程度にいたし、次会は明日午前十時より開会いたします。なお、本案に関し、明日午後一時より農林委員会連合審査会を開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時二十二分散会