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1952-04-24 第13回国会 衆議院 通商産業委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年四月二十四日(木曜日)     午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 中村 純一君    理事 高木吉之助君 理事 小川 平二君    理事 山手 滿男君       阿左美廣治君    今泉 貞雄君       神田  博君    小金 義照君       永井 要造君    福田  一君       佐伯 宗義君    高橋清治郎君       加藤 鐐造君  委員外出席者         参  考  人         (日本産業再建         技術協会理事         長)      久保田 豊君         参  考  人         (東京電力株式         会社社長)   安蔵 弥輔君         専  門  員 谷崎  明君         専  門  員 越田 清七君     ――――――――――――― 四月二十三日  委員風早八十二君辞任につき、その補欠として  横田甚太郎君が議長指名委員に選任された。 同月二十四日  委員横田甚太郎辞任につき、その補欠として  風早八十二君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 四月二十三日  米国の陶磁器関税問題に関する陳情書  (第一四〇六号)  中小企業金融緊急措置に関する陳情書  (第一四一八号)  北陸通商産業局の金沢市設置に関する陳情書  (第一四一九  号)  電源開発促進法案に関する陳情書  (第一四二〇号)  電源開発会社形態に関する陳情書  (第一四二一号)  只見川電源急速開発に関する陳情書  (第一四  二二号)  只見川流域変更案実施促進に関する陳情書  (第一  四二三号)  電力料金値上げ反対に関する陳情書  (第一四二四号)  同(第一四二五号)  同(第一四二六  号)  同(第一四二七  号)  同(第一四二八  号)  同(第一四二九号)  電気料金値上げ反対に関する陳情書  (第  一四三〇号)  同(第一四三一  号)  同(第一四三二  号)  同(第一四三一号)  同(第一四三四  号)  同(第一  四三五号)  同  (第一四三六号)  同(第一四三七  号)  同(第一四三八  号)  同(第一四三九  号)  電気料金値上げ反対及び地域差料金設定等に  関する陳情書外一件(第  一四四〇号)  電気料金値上げ反対並びに料金地域差縮小の陳  情書  (第一四四一号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  公聽会開会承認要求に関する件  電源開発促進法案水田三喜男君外五十一名提  出、衆法第一六号)     ―――――――――――――
  2. 中村純一

    中村委員長 これより会議を開きます。
  3. 高橋清治郎

    高橋(清)委員 さきに地下資源開発の小委員会におきまして、臨時石炭鉱害復旧法案について公聽会を開きたい、また実際委員現地に派遣して調査したいということを決議したのですが、この旨を委員長からお諮りをいただきうたい。
  4. 中村純一

    中村委員長 お諮りいたします。ただいま高橋君より御発言のありましたように、地下資源開発の小委員会におきまして、臨時石炭鉱害復旧法案に関しまして公聽会を開きたいという御希望でありますが、皆様方賛成であればさようにとりはからいたいと思いますが、いかがでありましようか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 中村純一

    中村委員長 御異議がないようでありますから、さようとりはからいたいと存じます。  なお公聽会開会の日時、公述人選定等につきましては委員長に御一任願いたいと存じます。  また、現地調査のため委員派遣をしたいという小委員会の御希望でありますが、この点は議運とも協議をしなければなりませんので、小委員会の御希望委員長から議運協議の上で、いずれにいたしまするか決定いたしたいと存じます。この点委員長に御一任を願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 中村純一

    中村委員長 御異議なければさようにとりはからいます。     —————————————
  7. 中村純一

    中村委員長 本日は電源開発促進法案を議題といたし、安蔵弥輔君及び久保田豊君より参考意見を聽取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 中村純一

    中村委員長 御異議なければさようとりはからいます。  質疑の通告がありますからこれを許します。佐伯君。
  9. 佐伯宗義

    佐伯委員 先般の久保山さんの公述を承つて一、二お尋ねを申し上げたいと思います。新たなる電源特殊会社の御出発にあたりまして、久保田さんの御見解では、九電力会社以外に、全国一社の特殊会社がおそきに失しておるというくらいに御賛成なつように思うのであります。この点につきましてわれわれが技術上の権威として最も尊敬しておる久保山さんの御見解によりますと、大規模電源地点と目されるものは全国でどの地点とどの地点であろうか。全国一社に総合開発いたしまする場合に、経営上並びに技術上において最も総合的有機的に建設されるごとき電源開発地点幾つぐらいありまして、またどのように散在しておるものでありましようかということを、お伺いしてみたいのであります。
  10. 久保田豊

    久保田参考人 お答えいたします。ただいまのお話のうち、電源開発会社ができることがおそきに失するというお話がございましたが、私はさようには申し上げなかつたかと思います。私はこの問題を重点として国がお取上げになるということはたいへんけつこうな、適切な御提案だというふうな意味を申し上げたと思います。おそきに過ぎるというのはそのことでございます。電源開発を促進させるという第一條の目的はまことにけつこうなことと考えるのでございますが、これに対する措置をやつていただくということでございますから、たいへんけつこうだと申し上げたつもりでおるのでございます。なお後段の大規模電源開発に関しましては、こういうことを言及いたしたと思います。このほかの現在やつておられる電力会社自家用電気会社公営、こういうよう幾つもの方がおやりになるのは、そういう機関が自分の力の限りおやりくださることはたいへんけつこうで、それでもつて仕事は進められるだろうということを申し上げております。同時にまた特にお取上げ願いたいのは、自家用電源という、形は悪いのでございますが、もし資金及び建設能力等において十分に力があるものがおりましたならば、こういうようなものをして自家用、むしろ半自家用的のことでもやらせ、できた電気の一部は供出をさせるというようなことにおいて、電源開発の方式も見出されるのではないかという意見も申し上げたつもりでおるのでございます。それにつきましては、北鮮などにおきまして非常な大電源開発の際に、半分あるいは三分の一は供出をさせられたというようなことで、非常にいい開発ができたことの例などにも多少言及いたしたつもりでございます。しかしながら水沒地の処理であるとか、あるいは流域変更であるとか、またはそのほかむずかしい問題を、これは多分電源開発調整審議会が当然やることと考えるのでありますが、やるにいたしましても、住民その他とのいろいろな感情上、あるいはできることがやむを得ないという場合があれば、こういうような問題があり得るかもしれませんが、それは非常に限られた部分である。この公営等においてそういうものは行われるでありましようが、そういうものが行われないというような場合には、さしむき考えられる一つの事柄かもしれぬ。それであればあるいはこういうような問題が起り得るかもしれぬということを申し上げたつもりでございます。  第二段目の、大電源開発に対しましては、わが国内におきまして、まだ相当規模開発する余地を残しております。それも従来の電源開発はまず易きにつく、なるべく簡單に安い資金でできるというようなものを五十年来使つてつたのでありますが、今日はそういうような小規模の、易きにつく方法でやつてつたのでは、わが国の資源を十分に開発することが困難でございますので、日本国として残された重要な資源の大規模開発に向わなければならぬかと考えております。それにつきましては幸いと申しますか、不幸と申しますか、残された相当資源がございますので、それを総合的にすべて大規模開発するということによつて、思い切つた産業振興の道が開けるだろうというふうに考えております。  お尋ねよう場所は、有名な場所になつております只見川系統におきましては、百五十万といい、二百万といい、これは計画の立て方次第でキロワツトが違うのでございますが、おそらく百五十万から二百万キロワツトに至る建設が可能であると考えます。これなどは非常に高いところに、たとえば尾瀬ヶ原であるとか、奥只見であるとかいう、割に高いところに大きな平地を残しておりますので、こういうよう土地にたくさんの水をためまて、水を平均に出すということよりは、渇水期に水を出し、豊水期は出さないというようなあべこべな操作を、高いところの水をもつていたしますればできる。普通の場合では下流の低いところで発電いたしますが、冬になりまして渇水期になりますと、その高いところの水を落すというよう操作などをいたしますれば、完全に火力発電のかわりまでいたすようないい地点只見川は持つております。  ついででございますから申し上げますが、この際ただ尾瀬ヶ原のごときは天然記念物的植物といい、小動物といい、また場合によつては景観ということもあります。そういうようなことで、天下のそういうような宝を水沒させてはいけないというよう文化方面の御議論等がございまして、なかなかこのことの処置については、口やかましい問題が起ると考えられます。こういうよう処置につきまして、この法案による調整機関等が強力な御措置をなさると思います。これは非常に産業振興のためには重大なことで、もちろんその他の問題とも比較考量されることと思いますが、そういう問題がたくさん残されておることと考えます。只見川以外に残つておる大電源地帯として北陸にたくさんの電気を貯蔵しておるところがございます。たとえば黒部川の問題あるいは信濃川の最上流信州地域の問題などが若干考えられるのでございます。同時にまた庄川とか神通川とかいうよう水源地に大きなダムをつくりまして、たくさんの貯水池をつくつて上流地域発電をいたすのみならず、それが下流地域既設発電所を増強いたしまし、ことに季節的に一年を平均させたいい意味電気ができるという地点を、北陸地域においては数箇所見出し得ると考えるのでございます。  中部地域におきましては天龍川、これは有名な地点でございますが、もう計画準備ができておるようでございまして、こういうようなところはもちろん大電源として、考えられると思います。  それからなお問題になつておりますのは、近畿地方では熊野川でございまして、幸か不幸か今日までわずかな開発しかやつておりませんので、これも幸いにして貯水池をつくることのできる場所相当にございます。ことに支流の北山川と申します川等におきましては、相当の高さに水をためることによつて、たいへんいい電源基礎をなし得るものと考えております。ただこれらのうちには、先ほど申し上げました北陸場所によつては同様でございますが、水沒地域の問題、そのほかいろいろな問題が輻湊しておるのでありまして、これらの処置は何とか理解を得て進んでいただく、また場合によつては、国民の権利を侵害するということになるのでありますが、妥当な処置をしていただくことによつて、こういうことができれば、非常にいい資源開発ができるというふうに考えております。  なおまた四国におきましては吉野川初め相当の残された地域がございます。ことに大きいのは吉野川でありまして、これにつきましては、上流部はすでに流域変更をもつて南の方に切り落されておるのでありますが、これにも貯水池の問題がございまして、この貯水池を十分活用することによりまして、相当多量の電気を出すことができるのみならず、この問題は洪水調節下流灌漑、ことに徳島県などにおきましては、従来下流灌漑のために、流域変更その他の処置について非常に御反対で、これはごもつともな話だと考えますが、水を増して十二分の水が徳島県に流れることによつて残つた水は香川県なり、ほかのところなりに分流して、四国のあの旱魃地帯がよくなるということも含まれて、総合的な開発ができるというふうに考えております。これにつきましても、上流部貯水池において、水没地人家等がございますが私どもでいま一応専門的に調べております。一つの思いつきといたしましては、むしろなるべく高い所に、三百何十メートルという一番高い所にできるだけ大きなダムをつくり、なるべく多くの水をためて、高さの技つているエネルギーを下流に及ぼすというようやり方が、非常にけつこうなやり方ではないかと考えます。しかしながら、これもやはり千戸とか千五百戸という水沒地域の問題もございますので、これはどれもこれも困難をはらんでいる問題ではございます。  なお少し規模は小さくなりますけれども中国地方において江川とか九州地方における球磨川とかいうものは同じような問題をはらんでおるのでございますが、今日私の承知しているところによりますと、地方においてこれらの開発熱が非常に起つておりますので、あるいは一般に言われるようなことでなく解決できると思いますが、何とかこういう問題が解決されまして、これに大事な資金とか技術力というようなものがつきまして、早くできるということが国として好ましいやり方ではないかと考える次第でございます。  なお北海道につきまして若干の見解を申し上げますと、北海道は非常に広い土地でございますが、水力等においては非常によいとは申しかねるのであります。しかしながら、北海道の持つ資源電力化によつて工業化をするということが、非常に大事なことではないかと思います。同時にまたほかの意味の利水、治水の問題もございますので、これは北海道重点にかんがみまして、特別なお考えを持つていただくことによつて北海道の残された資源が同時に開発できるということを、特に私ども最近北海道を調べていて感ずるものでございます。残されている問題としては、石狩川の上流にたくさんのダムをつくる、あるいは十勝川の上流にたくさんのダムをつくるということが残されておるのでございます。大雪山の附近の地域をめぐつてそういうことがあり得るのでございます。これらの資金と資材ということが必要ではございますが、重点として取上げるという取上げ方の順序等にもよるのであります。さようなふうに幾つものたくさんの電源が残つているよう考えております。
  11. 佐伯宗義

    佐伯委員 非常にごていねいな御説明をいただきましてありがとうございました。仰せの通り、電力の豊富な開発が目下の急務であります。そこでどのようにして電源開発行つたならば、その目的を達成できるかという重要な問題になつておるのでございます。そこで政府全国一社の電源開発会社をつくるということを前提として、権威ある皆様方から私ども参考になる知識を伺いたいということが前提となつておるのであります。技術的に申しましても、経常的に申しましても、いろいろな面から、現電力会社九つある上に、なおさらに強力な全国一社の特殊会社の必要があるか、こういう問題が私ども皆様からお伺いしたいのでございます。ただいまのお話を承つておりますと、あるいは自家用あるいは公営各種各面における機能を十二分に発揮して行く能勢のもとにというお話でありますれば、あえて全国一社ということとは相反するよう考えられるのであります。ところが、この法案の趣旨から申しますと、現電力会社九つ並びにその他自家用は許すといたしましても、全国一社という特殊会社の性格は、技術的の上において、ただいま承りますと、全国の大規模開発すべき発電所は個々に存在しておりまして、これが何か技術的に全国一つにしなければならぬような必要があるのでありましようか。承りたいのは、現在における既設電力会社には、大規模発電所もございますし、また大蓬電設備もございます。重要河川にはことごとく関連した発電所を持つております。これをこのままにしておいて、一地点電源地帯開発する特殊会社というのならば理由がありますが、それを総合いたしまして、全国一つにしなければならぬということについては、何かそこに全国一つにしなければならぬ理由が存在するのであろうかという点を、私ども技術面から見まして承つてみたいと思うのであります。
  12. 久保田豊

    久保田参考人 今のお話の問題は、私は、全国一社でこういうものをつくらなければならぬというふうには、技術的には考えておりません。ただ私の知らない世界で、また知識の及ばないところでございますが、国において金融その他の関係で、こういうようなことが御必要でおきめを願うということがあれば、これは一つ方法だと考えます。私どもの申し上げるのは、技術的には必ずしもそういう機構を持つ必要がない、多種多様のいろいろの機関が、資金的にできておれば、これは競つてつた方がかえつてよいのではないかというふうに考えております。これは技術的な問題でございます。資金的な経営上の問題、こうしたら金がとりやすいとか、こうしたならば国はこの問題に力を入れやすいとかいうような、政治的、経済的な問題については、私は残念ながらお答えする資格がないと思いますので、その点において御検討を願つておきめ願いたいと考えます。それで大部分につきましては、資金をつけることを促進することが非常に重大なことでございますから、はなはだ遺憾でございますが、私の答えは非常にあいまいになつて参ります。
  13. 佐伯宗義

    佐伯委員 それで誤解が解けたのでありまして、せんだつて公述では、私どもは、全国一社が技術的な面から行きまして最もよいというふうにとつたのでございますが、ただいまの御説明で了解しました。  さらにもう一つお伺いしてみたいと思いますのは、政府のねらつておりますところの大規模電源開発特殊会社というものは、大体技術陣容の上においても、あるいは調査研究をする上においても、相当準備期間を要するのではないか、すでに日本発通電技術陣容が分散せられて、九つ電力会社に吸収せられておる。これだけの大事業をやりますには、私ども想像では相当準備期間と、相当調査期間をととのえまして——その準備期間をいうのは相当の歳月を要するのではなかろうか、こういうことこそ国家において全力を注ぐべきでなかろうか。今政府提案を見ますと、あたかも今日不足するところの電力を即日に豊富、低廉にいたしますため、ただちにこの特殊会社をつくつて、すぐ出発して行くというようなことになつておるように思うのでありますが、私ども想像では、とてもこれだけの大規模電源開発をいたしますには、準備期間調査期間がそのうちの最も大部分を占めるものであり、あと実施期間至つては、わずかでできるものである、こういうよう考える。  それからまた技術陣容に至りましても、これは容易ならざることでなかろうかと考えるのでありますが、この点につきまして、今久保田さんの仰せられました日本の残つております大電源地帯開発につきましては、そういう技術陣容並びに調査準備期間、そういうようなものはどのくらいを予想したらよいものでありましようか、ちよつと伺つてみたいのであります。
  14. 久保田豊

    久保田参考人 仕事というものはあしたからくわが入るという状態まで行くのには、相当調査及び仕事が必要でございます。これは残念ながら今日においては、そういうような日をかけることは、日本のほかの一般仕事と同じように、実はあまりかかつておりません。けれどもさつき申し上げました広い地域で、このうちこのものは、あしたからとは言わないが、相当基礎ができておるので、近い日にちにスタートできるというものもございます。またものによつて相当調査をしなければいかぬということもございますが、これは要するに資金をどれだけつけていただくかということが問題なので、今までほとんど資金らしい資金調査に向けておられません。これはむしろ隘路は技術者の問題でなく、資金の問題だと思います。資金を早く相当の量をつけていただくということによつて、この問題はただちにスタート——ただちにとは申しませんが、そう長年月かかるものではないということを、私の見解としては申し上げてよいと思います。それからまたそういうふうにたくさんの技術屋が、たとえば日発については方々に分散されたとかいうことでございますが、これはそれ以外の技術屋もまた見出し得ないものではないということを、私の意見として申し上げてよいと思います。これは決心をしていただいて、費用をつけていただくということであれば、次々にただちに全般の仕事にかかるわけでありませんから、わずかな時間で今申し上げたよう費用と組織で、これは近い時間にスタートできるものもあり、またやつてできる、こういうふうに考えております。
  15. 佐伯宗義

    佐伯委員 ただいまのお考え資金前提となさつておいでになるのでありまするが、資金につきましては、日本電源開発に対する資金総和は、この特殊会社ができたからといつて決してふえるものではないと私ども考える。つまり久保田さんのおつしやいました特殊会社が生れた場合の資金云云は、これは現在の電力会社にまわすべき資金特殊会社に集中せられるという日本経済力なんだ。特殊会社ができたから外資でも導入された場合は、日本の国の電力開発資金総和は増加される。つまり政府見返り資金のごときものから現在電力会社に渡しておるものを、それを減らして特殊会社の方にまわすということはあり得るかもしれませんけれども日本電源開発資金総和は、会社がよけいできたからといいまして、よけい増すものではないと私どもは思います。ですから資金関係は、私ども特殊会社の新たなる発生によりまして云々するのではないのであります。お聞きしたいと思いますのは、資金があるといたしまして、現在の九つ会社以外にどういうよう形態のものが生れたならば、その資金の運用をよりよく高めて電力開発ができようか、こういうことが私どもの聞かんとするところなのであります。つまり資金の云々にかかわらず、現在の九つ電力会社形態ではいかぬ。その上に自家用は、言うまでもなくこれはさしつかえないと思います。われわれの今論議の中心になつておりますのは、特殊会社が生れ出なければならぬか、それは全国一社のものがいいか、あるいはまた特定地点電源開発をする会社幾つもできた方がいいかということがねらいでありまして、全国一社の特殊会社ができなければ資金がまわらぬのだということはないのです。これはなるほど現在におきまして、政府特殊会社だから国家財政資金をまわすことが都合がいいとお考えになるかもしれませんけれども、そのことは都合がいいということだけでありまして、別に日本の国力の上におきまして、資金総和が増加されることにはならないとわれわれは見ておる。でありますから問題は資金ということよりも、むしろその経営技術その他の面から、九つに分散されておるようなものではいかぬからこれを五つにしてやらなければいかぬとか、あるいはまた一つにしてやらなければならぬということが論議されまして、そうしてこういう形態においては今後における大規模電源開発ができぬから、全国一社にせなければならぬと言われるのか、こういう点をもう少し技術的に承つてみたいのであります。
  16. 久保田豊

    久保田参考人 私はこの会社がどうしたら資金をつくることができるかという問題につきましては、先ほどお答え申し上げましたように、まつたくそれについてお答えのできる資格のあるものではございませんが、ただ調査を早くし、仕事を早くスタートするという技術的措置におきましては、これは残念ながら今日までどの機関においても調査及び準備が非常に不十分でございます。国はもちろんのこと、各事業会社におきましても非常に不十分でございました。それで大きな地点が残つておるという状態でございます。従いましてそれにつきましては、私どもにおきまして社団法人電源調査会なるものを持つておりまして、これが相当にこの調査問題について活躍したいという存念で仕事を進めておるのでございますが、不幸にしてこれも資金等が十分でないので、思うようには行かない状態でございます。そういうような次の仕事に引移るためのほんとうに強力なる調査機関がございますれば、これは次の仕事に移つて行くだろうと考えております。今の調査技術とか、技術員とかいう問題とともに、資金の出し方、あり方が一番問題だということを申し上げておるのでありまして、これは一社が金がついていい、これならつけ得るということであればけつこうでありますが、数社でおのおの地域を持つてそれをやるということなら、それでもけつこうだ。私は開発本位に申し上げておりますので、資金についてのお話は、どうもはなはだ不得手でございます。
  17. 佐伯宗義

    佐伯委員 もう一つ伺いまして終りといたします。久保田さんは野口先生のもとで大きな開発をなさつたように聞いておりますが、これが事実といたしますならば、かりに今国家財政の予算のわくにはめられた形において資金の集中がうまく行われるかどうか、また民間の総意において資金が集まるものであるかどうか、かような点について現実に伺つてみたいと思うのですが、かつて野口さんは朝鮮における長津江の電源開発をなされた、それに関連して鉄道を堂々と敷かれて、そうして一般社会に公開された、興南から感興にかけては運河をつくられ、鉄道をつくられ、港湾をつくられ、化学工業をつくられ、それに関連して大都市計画をつくられておる、しかもこれらは国営ではございません。こういうものは雄大なる考え方をもつて総合的にやらねばならぬのであつて、無限に発展し多くの資金を要するところの電源開発などというものは国家財政の中の小さなわくでもつて行わるべきではないと私は思う。国家財政には年々制限があるのです。また国で総合的にやれると申しましても、日本には国有鉄道があるからして、野口さんがおやりになつような、事業の一貫性をもつて鉄道を公開されるというようなこともなし得ないでしようし、機能が違つておりますので、そういう点においても今後におきましては必ずしも総合的に開発できるものではないというふうに私は考えるのでありますが、この点につきまして野口さんがかつて朝鮮におられて大事業をなさつたときの経験からいつて、今日の日本ような貧困な国家財政をもつて幾千億幾兆億を要するがごとき大企業をやることが適正であるとお思いになるかどうかということをお尋ねして、私の質問を終ります。
  18. 久保田豊

    久保田参考人 非常にむずかしいお答えをいたさなければならぬのでありますが、今お話をされましたよう仕事をいたしました野口という人の偉さ並びに野口という人が打立てておる基礎産業事業、同時に若干の技術的のスタツフも持つておつたというようなことが土台となりまして、この大きな長津江から鴨緑江に至る一連の仕事におきまして、どれもが若干の基礎を持つてつて、その基礎が互いにものを言つて、銀行からも思い切つた借入れができる、そして事業において有利に利潤を生んで、金を貸してくれた人に迷惑をかけない。同時にまたこれが産業上の利益になるのみならず国家的の利益にもなるというよう説明が民間の金融家に御納得が行きまして、後年は私あとを継いでいろいろ引受けておつたのでありますが、年にその当時の金で二億円の資金、今日ではおそらく三、四千億に当ると思いますが、幸いにしてそういうよう資金をもつて、最初は自家用的色彩で——あとは公共的の色彩でございますが、ほとんど自家用的の色彩で事業が行われて行つたのであります。これはまつたく私どもの力でなく、野口という人の信用とその人の打立てた財産と申しますか、基礎と申しますか、そういうものによるたまものであると考えるのであります。今日わが国で考えられるのは資金の問題でありますから、基礎が浅くてそれに金を貸してくれないというような状態でありますならば、国がそれにかわつて最初のスタートをおとり願うということは、これはやむを得ない次第であります。それによつて基礎ができればだんだん信用を増してやつて行けるだろうと考えます。従いましてこれは私の申し上げる問題ではございませんが、この法案に盛込まれておりますようなことをやるといたしましても、この仕事を起したらほかへ移つて行くというような連続性のないやり方、そういう信用のない、基礎のないことではなかなか金がつきにくいのではないかと考えられるのでございます。要は信用により金が集まるというようなことが土台でなかつたかと考えます。同時にまた野口という事業家が勇敢にそういうようなことに対する責任をとつて行つたということが考えられますので、私どもは一大工、左官として仕事を進めて行つたとお考え願いたいと思います。
  19. 中村純一

    中村委員長 加藤鐐造君。
  20. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 私は安蔵東電社長にお伺いしてみたいと思います。  まず第一に今回提案になつておりまする電源開発促進法案について、事前に提案者から何かあなたの方へ意見を求めたかどうかという点についてお答え願います。
  21. 安蔵弥輔

    安蔵参考人 ただいまの御質問の提案者というのは政府のことですか、どこのことですか。
  22. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 これは自由党の提案になつておりますが、案のできまするまでは安本が立案しておるようでありますから、そのいずれかから意見を求められたことがあつたのですか。
  23. 安蔵弥輔

    安蔵参考人 自由党、安本その他からこの案については、一つも相談を受けませんでした。
  24. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 それではこの案が提案になりましてから、あるいは提案になるということを聞いて、あなた方の方で電力業者として何らかの協議をせられたことはありますか。
  25. 安蔵弥輔

    安蔵参考人 お答え申し上げます。私ども電気屋としてこういう案が新聞に書かれますと、当然関心を持つのでございます。私どもとしてもこれについては常いろいろ研究をしておりました。しかしながらそれについて九会社が集まりまして相談したことはございませんけれども、ごく最近に集まつて話のついでに相談したことはございます。
  26. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 その相談せられたこと等についてこの案の提案者である自由党あるいはまた政府等にあなた方の意見を進言されたことはありますか。
  27. 安蔵弥輔

    安蔵参考人 進言したことはございませんが、先般この公聴会におきまして公述人として私が述べたことはございます。
  28. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 その公聴会であなたの御意見は承りましたが、あなたは反対であるという御意見であつたのですが、それは他の会社意見も代表しての御意見ですか。それは東電あるいは安蔵個人の意見でございますか。
  29. 安蔵弥輔

    安蔵参考人 先日公聴会で申し述べました意見というのは、九電力会社の代表としてではないということを申し上げておきました。但し大多数の会社が同じよう意見であるということもついでに言つておきました。私ども会社意見としてでもあるが、また私個人としての意見でもあるし、また電力会社のおおむねの意見がそれに一致しておりました。
  30. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 この案の提案者の説明によりますと、この開発会社は九電力会社技術的協力を求めるというようなことを言つておられますが、どの程度の協力ができるのか、あるいはできないのか、その点を承りたい。
  31. 安蔵弥輔

    安蔵参考人 私この特殊会社の内容を、送付していただきましたものについて見ますと、どこを何年にやるかということが具体的に書いてございません。ただ何年に八十何方キロ、しかもキロワツト・アワーが二十億キロのわずかなものと私は認めております。何もこういう大きな騒ぎをやつてやるようなものでないのではないか、実はそう思つたのです。従いまして協力の程度といつても、どのくらいの協力の程度であるか私にはわからないのです。三十年か三十一年までに十三億キロワツト・アワー、これはそんなに大きなものじやないと思いますから、協力の程度も大したものではなかろうと思つております。
  32. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 それではあなた方の意思はどうですか。できるだけの協力はするという考えですか。また協力はできない、余裕がないからできないとか、あつてもできないとか、その辺をひとつ……。
  33. 安蔵弥輔

    安蔵参考人 話が少しこんがらがつて参つたようですけれども、私どもただいま発電計画をやつております。私全国的の大きな地点についてはわかりませんが、ただ私どもの預かつておる会社の水利権あるいは開発地点、これは十分に研究しております。そうして今後の需用に応ずるのには、去年参議院でもそういう開発計画を出して御説明申し上げました通り、私どもの持つておるただいまやつておるところの地点はいずれも小さいのです。もう洗いざらいやつて四十地点くらいです。しかもその総キロワツトは六十万キロくらいです。これでは私たち足りませんので、すでに一部は只見川から一部は大井川及び大龍川から電気をほしい、私どもは水利権をくれますればやりたいというふうに公益委員会の方に申出てあります。すなわち将来の電源開発にはそれが盛り込んであります。従いましてその地点に対するものについては、私どもは一部は応援できると思います。但しその他の大きな地点については私ども一向にわかりません。ただいま天龍川とか只見川のことについては私どもは応援し得ると思います。
  34. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 天龍川の話が出ましたので、もう一つ具体的に承りたいわけですが、天龍川の佐久間地点は中部電力と東京電力との共同ですでに開発準備が進められているというふうに聞いておりますが、現在までの経過並びに今後の見通しというようなものについて承りたいということと、この開発会社はこの地点をやはり予定計画の中に入れておるようでありますから、開発会社でこれをやる場合にあなたの方の計画はどういうふうになりますか。只見川についてもそういう点はあろうと思いますが、その点を承りたい。
  35. 安蔵弥輔

    安蔵参考人 只見川並びに天龍川について申し上げます。まず天龍川の地点につきましては、地点自身については詳しく私どもは研究しておりません。但し電気がほしいということは申出てあります。地点としては、ちようど五十サイクル、六十サイクル両様に使える最もいい地点と私は存じております。関東方面に送るにしても中部方面に送るにしても、最もいい地点と思つております。またすべて水力電気というものは、そう短日月の調査であつては危険と思います。過去の実例もいろいろございます。猪苗代にしても信濃川にしても、私どもは小さいときから関係しておりました。その猪苗代あるいは少し大きくなつて関係さしていただいた信濃川その他の地点においては、すべて十年、二十年の長きにわたつて調査しております。只見川についてもその通りであります。ただいまでも東電、この前の信越あるいは東京発覚、その時代からずつと調査しております。皆さんの御承知の通りアメリカのボウルダー・ダムなんかでも、工事は短期間でできましたけれども、その調査は完全にやつております。それでなければ危いところであります。天龍川の方はおそらく大正の初めごろだと思いますが、それ以来研究に研究をしております。一朝にできたものじやないと思います。私その研究の主といいますか、天龍川の主とか木曽川の主というような、とても長い間研究しておる人を存じ上げております。この人たちが工事がいかに安くできるか、いかに早くできるか、どうしたらいいかえ十分研究してでき上つております。それで私先ほど申し上げました通り電気は足りないのでございます。なるほど特殊案ができるとかできないとか、そんなにぐずぐずしておつたのではとてもいけないというので、私どもは一番いい地点であるから中部の方に申し上げまして、電気を一応もらいたい、向うも一緒にやろうじやないかという話なのです。私どもとしては水利権を持つておりませんが、私どもの業務区域であります。従いまして私どもはあちらにお願いをいたしまして協力をしてやつてはどうか、幸いにして中部の方面におきましても東京電力というのが一枚加われば一層有力ではなかろうかというので、たまたま私どもの相談に応じてくれましたので、ただいまいかに会社をつくり、いかに工事が早くできるかということをやつております。幸いか不幸かこの特殊案ができたときには、私ども国家の法律には全然服従いたします。しかしながらここに武士の情というものを申し上げたいと思うのであります。それはこんなによく調べてこんなに採算がいい、ただお金さえ注ぎ込めばできるものも、特殊会社ができたために特殊会社がやろうというようなことはおとりにならぬ方がいいのじやないか。それでなければ工事は遅れるだろうと私は思つているのです。こういう例が前にあります。日発ができるとき、私どもはちようど東京電燈におりまして、猪苗代の湖面低下という大きな仕事をやりました。あの猪苗代湖というのは、おそらく貯水量において日本一であります。日本貯水池の大きいのはたくさんありますが、猪苗代湖が何といつてもず抜けております。人工的につくつた大きいのでは三浦のダムがございます。これなどは貯水量を電気に換算して一億キロワツトであります。それから琵琶湖というのがございます。これは水が非常に多いのですが、やはり一億くらいのものです。私どもの猪苗代の貯水量というものは四億で、四倍もございます。これは猪苗代だけの発電所ですが、その下流に阿賀野川の発電所がございますから、これを考えますと五億ほどの大きなものでございます。その他北海道にあろうがどこにあろうが、みな小さなものでございます。大体五千万程度のものでございます。九州のごときは何といつたつて、いずれも一千万とあるようなものはございません。そんなわけですべて調査には非常に時間がかかる。これを一生懸命やつて行くということで、私どもが湖面低下をやつたときにたまたま日発ができました。日発はすべての工事を取上げるということでございます。私たちが長年非常に苦しみました湖面低下というものは、大正八年ごろから仙石貢さんあるいは白石直治さんというような方が計画したので、なかなか実現困難でありました、非常に調査も要しましたが、遂に昭和十何年かにやることになりまして、いろいろ問題を片づけてとうとう工事を請負つてつておつたそのときに、日発がとりに来ました。私どもは黙つておりましたが、当時の逓信省に呼び出されまして、私と日発の人が出ました。どうだと言うので、私は、できた以上はいつでも日発がほしければ差上げます。どうぞおやりくださいと答えました。すると当時の管理課長の大野さんという人が立ち会つておりましたが、もつともだ、しかしこの工事はどつちがやつたら早く行くだろうというので、それはむろん今までやつた人が早くできるに違いない。それならやつたらいいじやないかという話がありまして、とうとう東京電力で無事に、また安くやつて全部自発に引継いだという例もございます。とかく新しい会社ができますと功をあせる、何か仕事をしてこうだというところを見せたい、そういうことのないように私は希望しておりますが、しかし法律は法律、国家がきめたものには絶対に服従するつもりでおります。
  36. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 大体お考えはわかりましたので、これ以上この問題についてつつ込んでお聞きするのはどうかと思いますが、今お話になりました天龍川その他の地点でいろいろ苦心して調査研究しておられるその技術を、新会社に提供するという協力があなたの会社としてできるかどうかという点をもう一つ伺いたい。
  37. 安蔵弥輔

    安蔵参考人 ただいまお話の天龍川については、先ほど御返事漏れをいたしましたが、只見川についても大体同じでございます。そしてそういう国家特殊会社ができてそれに引継いだときに、人が応援するかしないかということでありますが、私はできるだけ応援したいと思います。が、これは人のことですから私には保証はできません。しかし国家がやる以上はできるだけのことは——資材なり人間なり、できるだけ応援したいと思います。
  38. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 もう一つ承りたいことは、あなた方の会社電力分断によりまして設立されて以来、発電計画を立てて今日までやつて来られ、ある程度の実績を上げておられると思いますが、その計画と実績とがうまく行つているかどうかという点。それからせんだつてもほしいものは資金だけだとおつしやいましたが、今までの資金の面においてどうであつたかというその状況と今後の計画について、概略でよろしいから承りたい。
  39. 安蔵弥輔

    安蔵参考人 私ども電源開発計画は、二十六年度では火力が二箇所、水力地点が五箇所と思いますが、お金の方は幸いにして見返り資金の方から心配いただきましたし、また私ども相当の困難はございましたけれども、自己資金でもつて調達しまし、その全部の工事に着手する用意はできました。それですでに工事に着手しているのが二つございます。最近また請負が乘り込んで見積りをしようというのが二つございます。残つている一つがまだ地方問題が片づかないので着手できませんけれども、大体五箇所のうち四箇所は着手できる段取りになつております。あとの一箇所も交渉が済みさえすればできることになつておりまして、満足とは言い得ませんが、まず八割以上九割までは進行したと思います。火力については問題ありません。これはお金さえあればできるのでございまして、すべて予定通りやつております。それから本年度のことでございますが、本年度の方も着々着手したいとせつかく手配をしております。それからお金の点でございますが、なるほど私どもはお金がないので困つております。ただいま外部からの応援は見返り資金だけであります。私どもはむやみに政府にお金を出してくれというけちくさいことは申し上げたくないのであります。ただ私どもは今の電力経営では力がないのでございます。これにはどうしても料金を適正に上げてもらうよりしかたがないのでございます。但し私どもは配当は一割五分してくださいと極力言つております。今の一割配当では、皆さんも御承知と思いますが、増資なんかとてもできません。私どもは一割五分はぜひお願いしたい。そうすればどんどん増資もできるのではなかろうか。こういうことの手段を講じていただきますれば、むやみに国家にお願いしなくてもいいのじやないか。自分で調達はできるだけやろうという考えを持つております。先ほど加藤さんのおつしやつた通り、人の信用も大事ですが、事業の信用がなければこれまただめであります。私ども経営がうまく行つて事業の信用ができさえすれば金は集まりやすいのであります。また外国の社債なんかも容易ではなかろうかと存じております。
  40. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 もう一つ承りたいことは大体数万キロ程度の発電所開発をやるのにどれくらいの人員が必要かという点で、あなたの御意見を承りたいと思うのです。それは今度の開発会社計画説明で、大体開発会社仕事をして行くのに最大大よそ五百人くらいでよかろうという御説明でありましたが、それでは少し少な過ぎはしないかと思うのでございますが、その点についてあなたの御意見はどうですか。
  41. 安蔵弥輔

    安蔵参考人 先ほども申し上げました通り、この電源開発計画の構想あるいはこちらの電源開発の数字を見てみますと、どの地点をどういうふうにやるのか一向にわからない。従いまして工事の最盛期はどの程度かということが具体的にわかりません。またただいま御質問の、何方キロの発電所にどのくらいか、この地点についても具体的ならば見当はつきますが、水路式、ダム式いろいろございます。ただ私どもいささかながらの経験で申し上げたいと思います。私どもやつた工事といつてもそんなにたくさんではございません。ごく最近といつてもこの統制前でございます。いわゆる東京電燈の最後のときに、数年間にやつたのが秋元に六万キロ、小野川に二万六千キロ、猪苗代の拡張、湖面低下三万キロ、それから信濃川という日本では一番大きいのですが、朝鮮なんかに比すれば小さなものでございますが十七万五千キロ、それに火力を十万キロほど、合せまして四、五十万のものを四年くらいにやつたのですが、そのときに私ども建設部というものを置きまして、一切をそれにまかせました。この建設部の人が百人から百三十人、それから現場でございますが、秋元の六万キロのときには百人くらい、信濃川のごときは百五十人か二百人、その間だと思います。それだけでさえも五百人くらい、但し、本社的機能は含んでおりません。それ以外に庶務とか経理とか、会計とか、資材とかいうものがありますから、これらを入れると相当大きな数字だと思つております。これは私の記憶ですから、詳しいことは別に調べて出してもいいと思います。ただいまの御質問にしつくり合わないことを遺憾に存じます。
  42. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 今度の開発会社の施設は、完了次第電力会社に貸付または讓渡するということになつておりますが、これに対してあなた方は何か希望條件があるかどうか。たとえば買受け資金の問題、あるいは讓渡、貸付のいずれを選ぶかというような問題、発電所の帰属の問題、そういうことについて、何か希望條件があるかどうかという点を承りたい。
  43. 安蔵弥輔

    安蔵参考人 私は、この特殊会社反対しておりました。従いましてまだ、讓渡するときはどうだとか、あるいは帰属がどうだということは、研究しておりません。ただ私どもふだん考えておりますことは、できるだけ電気は安くあるべきである。高くてはいけないということを言つております。その場合にどうしたらいいか、標準の値段がないのであります。アメリカの例を、私ちよつと見たのでありますが、ボウルダー・ダムというのは大きなダムで、これは政府がつくりました。この電気は大体いろいろな会社に売つております。そのうち一番大きく買つておるのは、ロスアンゼルスにある南加州エジソン会社で、これが自分の邊電線をつくつてつております、このときの値段というのが標準がある。ロスアンゼルスにおいて火力発電所をつくつて、その原価が幾らだ、それになるよう政府が心配しております。契約が十五箇年と思います。そのときの政府の金利が、逆算すると二分くらいのものです。そのときに條件がついております。その標準の値段が、どうせ将来かわるのだ。火力ですから発達すれば安くなります。十五年たつたらなるほど安くなりました。政府はこれに対して値下げした。その値下げはどうするかというと、金利を四分のものを三分に下げた。私ども、もしもできればそういうことにしてもらいたいということを思つております。また讓つてもらう場合には、何百万という金はとうてい一時に拂うことはできません。従つて年賦であるとか、政府から出資か借入金か何かしてもらわなければならないだろうと思います。これも、どうも御質問にピントが合わないことを遺憾に存じております。
  44. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 安蔵さんに対する質問はこのくらいにしておきまして、久保田さんに一点だけ承つておきたい。  先ほど来、佐伯委員の御質問で大体久保田さんのお考えはわかりましたが、しかし、久保田さんも何かかんじんのところをわざとおつしやらないような気もいたします。先ほど来、この一社案には賛成しかねる、そういう必要はないというお考えでございます。しかし、資金の問題もあるから、そういう点はわからないとおつしやいましたが、資金の問題になりましても、電力の専門家である久保山さんに、大体の見当がつかないことはなかろうと思います。そこで技術者としての久保山さんが、そういう問題をも含めて、どういう企業形態開発促進の最良策であるかという点を、ひとつ具体的に承つてみたい。それから、この開発法案について、どういう点が賛成で、どういう点が賛成しがたいか、こういう点について具体的に承りたい。
  45. 久保田豊

    久保田参考人 たいへんむずかしい御質問でございますが、要は電源開発の急務だということかと考えます。これに対し、本法案に盛つております内容は、開発をできるだけすみやかにやつて、供給を増加するということを目的としておられまして、それに対する措置をとつておられるのでございますが、この法案が認めておるところによりますと、今までの事業会社自家用公営というようなものに一対して、そういうものを排除するというよう意味はないようでございます。またそうあつてはならないと私も考えております。ただ要は資金の問題でございまして、いかなる事業でも資金がつき得るということが一番重大なことでございます。今日の状態で、今まで行われておる会社資金がつき得るのであれば、それでもつてやり得るだろうと考えております。しかしながら、今までの形態において資金はつき得られない、つけることが困難だ。こういう形態にした方が国内資金を、政府資金としておつけになりやすいというような御認定であるならば、それはその方向にお取上げ願うほかない、こういうふうに考えております。でありますから、この法案を通じて拝見しますところによりますと、この法案が旧日発ような、唯一の機関でないということは十分に拝見しておりますので、その一つ方法として、こういう方法でなければ国家資金はつけられないというようなお考えであるならば、私は当然、どういう方法かで資金がついて仕事ができることを非常に希望しておるのでございますから、要は資金のつけ方をどういう形態でおやりになるかという、国の御意思を十分に御研究を願いたいというだけのことであります。
  46. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 もう一つ承りたいことは、かりに国家資金開発するとしましても、全国一社でやらなければならぬときまつておるわけではないと思います。各社でやつて行くという方法もある。技術者として全国一社の必要はないとおつしやつたあなたとして、どういう形態がいいか、国家資金を使う場合においてどういうやり方が、いいかというようなことは、お伺いできると思いますが、いかがですか。
  47. 久保田豊

    久保田参考人 資金のつけ方を一社に限るか、数社になさるかというようなことは、むしろ資金をつける方の技術上の問題じやないかと思います。ですから技術者としてもそれをお答えをするほかない。一社にしたがいいか、数社にしたがいいか、資金のつけ方は、どちらがいいかというようなことは、どこまでも資金が主になるのでございますので、どういうやり方資金としてつけやすいかというような問題がやはり主となるだろうと思います。先ほど申しましたように、この事業が非常に大きな組織を持つて、ほかのものを排除するよう意味を、持つておるとは毛頭考えられませんので、資金のつけやすい方向を一つきめていただけば、その方向によつてつて行くほかない、こういうふうに考えておるわけであります。
  48. 中村純一

    中村委員長 次は山手滿男君。
  49. 山手滿男

    ○山手委員 この問題についてお聞きすることはさつきから大体同僚議員によつて明らかにされておりますので、私は一、二点だけお伺いしておきたいと思うのであります。提案者の方からの説明もいろいろ聞いておりますが、只見川ような大電源地帯の問題にからんで、東北あるいは東京、各電力会社において、争いというほどじやないが、お互いにわが田に水を引くような、非常に困つた問題がないことはない。さつき東電の社長さんのお話によると、積極的に協力をしてやるのだというお話でありましたけれども、これを逆に見れば、相互にとり合うというかつこうで、開発問題そのものについて、なかなかきめがたい点が出ておるのではないか。そういう関係からいたしましても、全国一社というふうなもので総合的ににらみ合してやつた方が、工事を進めて行き、あるいはいろいろな計画を推し進める上において便利じやなかろうか、こういうことがこの法案提案一つ理由になつておるように思うのでございますが、その点について、東電の社長の御意見を承りたいと思います。
  50. 安蔵弥輔

    安蔵参考人 只見川の問題につきましては、そう複雑な問題はないと私は思つております。先ほど久保田さんが言つた尾瀬原のいろいろの天然植物とか何とかいろいろなことがありましたけれども、これは旧自発時代に片づいておるはずでございます。あの尾瀬原の問題は、貯水池にしてもよろしい。但しあの上の方に尾瀬沼がございます。尾瀬沼と尾瀬原とは同じような性質がございまして、しかもその間には尾瀬原にあるようなものが大体存置しておるというので、その問題は片づいております。それからダムの位置、その他については十分に研究してあります。それは私どもの手ではございませんけれども、旧日発、東北電力でやつております。私どもこれについて競合をし、競争をしようとは思つておりません。東北の幹部とも私ども相談をしております。一緒にやろうじやないか、どうだろう。やるについてはどうしたらいいだろうということで相談しております。ただあそこの問題は、新潟案、福島案というものがありまして、これは何とか大所高所から見まして、国家的に一番いい開発方法を見出せばいいのでありまして、これはなかなかむずかしいでしようけれども、すべて土地の人は開発に熱心でございます。開発反対している者は全然ございませんから、私はそんなにむずかしくないと思います。また天龍川についてはもう長年の研究を積んでおりますから、一社でやらなければならないという理由はちつともないと思います。私ども、話がつきますれば中部と東京とで片づく問題であるだろうと思います。只見川についても同じだろうと思います。一社でなければならないという理由は、私はちつともないと思うのでございます。
  51. 山手滿男

    ○山手委員 先般東電の社長の公述をお聞きいたしておりまして、私はもつともであるという印象を受けたのであります。その中で、この電力開発ような経済的な活動に政治が介入をする結果になるということで強く反対をしたいという御意見がございました。いわゆる政治と経済の紛淆を来すということは、私どもももつともであるような気がいたすのでありますが、ただやはり資金を導入する、しかも財政資金を導入するということになると、幾分政治というものがこれをにらんで行くという結果になるのではなかろうかと私は思うのでありますが、さつきもお話がありましたが、あなたの方で政府にあるいは日銀、開発銀行そのほかに要求をされておりまする資金で、非常に最近こういうふうに困つておるのだという実情があれば、私はこの際率直に少しお聞きをしてみたいと思います。
  52. 安蔵弥輔

    安蔵参考人 私どもは、去年からことしにかけ、また来年にかけて開発計画に盛つてあるところのもの以外に、変電所、邊電線、配電線拡張に莫大な金を使つております。たしかことしは百七十億ぐらい使うと思います。そのうち一部は見返り資金から出していただきます。その他のものについては私どもが全力をあげて銀行、社債借入れに十分努力し、まかなえるつもりであります。但しただいま申し上げました天龍川とか只見川とか、これを完成するのには容易でないと思いますが、着手早々の金は、これも相当困難はありましようが、私どもで打開し得ると存じております。
  53. 中村純一

    中村委員長 他に御質疑はございませんか。——他に参考人に対する御質疑がなければ、本日はこの程度にいたします。  参考人の方々におかれましては、御多用中にもかかわらずわざわざ当委員会のために御出席くだされ、種々貴重な御意見をお述べいただきましたことを、委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。  ちよつと速記をとめて。     〔速記中止〕
  54. 中村純一

    中村委員長 速記を始めて。  明日は午前十時より長期信用銀行法案について、大蔵委員会と連合審査会を開会いたし、午後一時より臨時石炭鉱害復旧法案について通商産業委員会を開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時十五分散会