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1952-04-16 第13回国会 衆議院 通商産業委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年四月十六日(水曜日)     午前十時五十一分開議  出席委員    委員長 中村 純一君    理事 多武良哲三君 理事 中村 幸八君    理事 山手 滿男君       今泉 貞雄君    小川 平二君       神田  博君    小金 義照君       永井 要造君    福田  一君       佐伯 宗義君    高橋清治郎君       加藤 鐐造君    風早八十二君  出席国務大臣         通商産業大臣  高橋龍太郎君         国 務 大 臣 周東 英雄君  出席政府委員         国益事業委員会         委員     松永安左エ門君         国益事業委員会         事務総長    松田 太郎君         経済安定事務官         (総務官房経済         計画室長)   佐々木義武君  委員外出席者         専  門  員 谷崎  明君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 四月十五日  委員青野武一辞任につき、その補欠として八  百板正君が議長の指名委員に選任ざれた。 同月十六日  委員米原昶君及び八百板正辞任につき、その  補欠として風早八十二君及び上林與市郎君が議  長の指名委員に選任された。     ————————————— 四月十五日  特許法の一部を改正する法律案内閣提出第一  六八号) 同日  電気料金地域差縮小に関する請願宮原幸三郎  君外二名紹介)(第二一七五号)  同(坂本實君外五名紹介)(第二一七六号)  電源開発に関する請願外二件(赤松勇紹介)  (第二一七七号)  同外三件(赤松勇紹介)(第二二一八号)  電気料金値上げ反対請願小林准紹介)(  第二二三三号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  電源開発促進法案水田三喜男君外五十一名提  出、衆法第一六号)     —————————————
  2. 中村純一

    中村委員長 これより会議を開きます。  電源開発促進法案を議題といたし、質疑を行います。質疑の通告がありますから順次これを許します。佐伯宗義君。
  3. 佐伯宗義

    佐伯委員 少しく経営技術上のことにわたりますので、提案者の丁寧な御解説を願いたいと思うのであります。  自由党案電源開発会社と、現電力会社との、開発を行う電源地点の技術的な限界をどのように定義づけられておるであろうか。またこのいずれが優先するのか。たとえば現電力会社電源開発地点を優先せしめますと、その能力の及ばない地点開発するのがこの電源開発会社の特色なのであろうか。また電源開発会社が随意に地点を選んで開発するといたしますならば、既設発電所との水系等による二重施設等の不合理性をどのように調整せられるのであろうか、こういう点を伺つてみたいと思います。
  4. 福田一

    福田(一)委員 お答えをいたします。本法案は御存じのように審議会を設けまして、これによつて電源開発に関する根本的な方策をきめることになつております。従いまして今私が申し上げますことは一応の想定というか、試みと申しますか、そういう意味合いに立つてのことであります。しかし法律案自体にも書いてございますように、今度できますところの特殊法人は、数県にまたがるような大規模地点で、電力会社資金関係その他でとうていできないと思われるようなものを選んでまず第一の開発地点としておる。また治山治水関係におきまして国が公共事業としてやつておりますダムの建設関連して発電所つくります場合に、これは特殊会社でやらす。こういう一つの大きなわくがかかつておるわけであります。そこで今御質問になりましたことは、そういうわくがあつたとしても、水系別考えてみれば、電力会社がすでに着手しようという考えを持つておりますところを取上げてやるようなことになりますと、そこに非常な争いが起るのではないか。また一応水系別発電所計画があるのをこの電源開発特殊法人がそれを乱してやるような場合があつても困るし、また一方この特殊法人がやろうとしても、今度は電力会社の方がこれに猛烈に反対するというようなことがあつても困るのではないかというのが第一点ではないかと思います。しかし私はこの種の問題は、一応私が今申し上げたような法律の趣旨から推して、個々に当つてみますならば一応正常な解決ができるものではないか、そのように考えてこの法案を提出いたしておるのであります。今までもその種の事例はしばしは起つておるのでありまして、そういうようなことで電源開発されなかつたということがむしろ今までの一番大きながんなのであります。そのがんを除くために審議会をつくつてそれを合理的に解決して、国全体といたしまして電源開発を大いに促進しよう、こういうのがこの法律案のねらいになつておるわけであります。  なお質問の第二点になつてつたと思うのでありますが、そういう場合に発電されました電力の系統をどういうふうに使つて行くか、また送電施設等との関連はどうなるのか。この面におきましては、電力会社の方でやることになつた場合はこの問題は非常に簡単であると思いますが、特殊法人でやつた場合にこの電気をどういうふうに流して行くか、送電施設との関係をどう運営して行くかということがあるのであります。これは公共事業令の中にも現在一応の規定はあるのでありまして、公益事業委員会のこの融通規定を適用いたしまして、必要な場合には送電線をつくらせる措置もさせることができるし、また必要あれば、これは両社の関係で最初は相談づくで行くことになるでありましようけれども、あるいは特殊法人の方で送電線つくり、あるいはまたこの会社送電線に託送して行くような行き方になる場合もある。これは発電所を売つた場合と貸した場合と、またやむを得ず卸売をしなければならない場合とでそれぞれ違うとは思いますけれども、しかし大体この点は今言いましたように、融通関係規定もございますので、これによつて解決ができるものと考えてこの法案を提出いたした次第であります。
  5. 佐伯宗義

    佐伯委員 ただいまの御答弁は、何もないところに新たに電力会社をつくるのでありますれば、なるほど妥当な御答弁のように考えますが、現にわが国におきましては、電力事業が再編成されまして、すでに大きな設備建設されておる。そこへ持つて来ましてただ単に審議会において決定されたることによつて既存電力会社の一切を縛ることができるという建前をとつておられるのでありましようが、法の建前といたしましては、このように国民利害関係を及ぼすがごとき場合におきましては、その基準をまず定めなければならぬ、たとえて申しますならば、国家国有鉄道経営する場合におきましては民間影響するところがあつたならばこれに補償をするわけで、いろいろ起つて参りますさまざまな現象に対して、それぞれ一定のわくを定めておかなければならぬと思います。審議会におきまして大規模発電をしろということをおきめになつてみましても、現在におきましては一つの水域におきましても既存電力会社関係せざるものは一つもございません。いわんや現在の電力会社には、政府がねらつておるところの大規模電源地帯水系はことごとく関連性を持つておる。従つてここに特殊会社をおつくりになる場合におきましては、そういうことにおいて影響する場合の基準、準則をあらかじめ国民の前に示さなければならぬ。ただこの法案のように単行法で単純に審議会に一切をまかせておくというがごとき性格というものは、私は今までにかつてないのじやないかと思いますが、この点いかがですか。
  6. 福田一

    福田(一)委員 あなたの仰せられることは、委任立法的な形式において審議会つくり、その審議会が独断専行するようなことであつては、会社もしくは個人の権益を不当に侵害することになるのではないかというように承るのでありますが、この電力事業というものが非常に公共的な意味を持つておるという意味合いからいいましても、すでに九つ電力会社に対しまして、一応地域的独占的な発送電並び配電権利を与えておるというような、非常に広汎な権利を与えておる。なぜそういう権利を与えるかといえば、電気国民生活に非常に重大な関係を持つており、これが非常に関連性が強いというようなことからいたしまして、公共事業として尊重されておるのだと思います。そういう意味からいいまして、国のためにどうしても大きな電源開発しなければならぬ、こういうことが認められることでありますならば、その点がはつきりいたしておるのであれば、これを調整する意味におきまして、審議会において——それが全国で非常にたくさんの地点になればまた問題もありましようが、数箇地点を選んでそれを開発するという場合でありましたならば、そこでだれもが納得することのできる解決案というものが得られるはずだと思います。そうしてその場合において、たとえば今まで電力会社がそれに対してある程度の投資をしておつた、あるいはまたある程度の調査を進めておつたというような場合があつて、これを侵害するような場合が起りましたときには、当然これに対しては補償すべきものだと考えておるのでありまして、これらの点は決して佐伯さんが仰せられるように、両者の間で相談して絶対にまとまらないものである、また不当に電力会社権益を侵害するというようなことにはならないと思います。もしこれがそうなりました場合におきましては、行政訴訟手続もございましよう。あるいは民事関係いたしますならば民事訴訟手続もございますからして、これでもつて十分電力会社権利を保護することができると考えておるわけであります。
  7. 佐伯宗義

    佐伯委員 今のお話は肯綮に当らないのでありまして、私の言うのは、特殊会社をおつくりになるのが悪いというのではなく、また調整できないということではなくして、国家がそういうような権利主体をつくつて行きます場合、国民に及ぼすさまざまな影響のある場合に、それを処理して行く基準をこの法案の中にくつつけて行くべきであるという考え方なのです。今福田さんはこの審議会においてそのときどきの気持で公平に取扱うであろうとおつしやいましたが、そういう意味ではないのであつて、少くとも国家が特権を付与するのでありますから、そういう九電力会社に超越した権利主体が生れるので、従つてそれによつて影響された個々の場合においてどういうようにこれを処理するかという基準が必ず示されなければならぬ。先ほど申し上げましたように国有鉄道法におきまして、国家鉄道経営するという場合のような単純なものではないのです。あるいは必要な場合に買収する、買収するときにはどういうような建設費をどのような計算で買収するかという一つ基準を設ける、あるいは営業の面においてはこれをどのように補償するか、一々明細にして、それらによつて将来審議会が審議する場合におきましては、主観的な考えでなくして一種の客観的な尺度というものを与えなければならぬ。およそ国家経営する場合において、ただ単純な電源開発法案というものによつてすべてのものを委任するということはないことであろうと主張するのですが、また後ほどこの点に触れますから、そのときに御答弁願うといたします。  それから自由党案では現電力会社では急速に電源開発できない、だから特殊会社をつくるというのですが、その不可能とする根拠はどこにあるか。それからこの特殊会社をつくることによつて電源開発資金総体的な増加を来すであろう。たとえば政府財政的資金余裕があるならば現在の電力会社にこれを貸付ければよろしい。この特殊会社をつくることにおいて、日本の国における電源開発資金総和増加が認められる点がどこにあるかということをお尋ねいたします。
  8. 福田一

    福田(一)委員 現在の電力会社に大規模開発をさせるということは不可能である、こういう見地に立つてこの法案を提出したのではないかという御質問と承るのでありますが、私たちは、不可能という言葉意味になるのでありますが、いわゆる普通の言葉でいうできない、不可能という意味でこの法案を提出しているのではないのでありまして、特殊会社をしてやらせる方が適当である、言葉をかえて言えば、電力会社にやらせることの方が不適当である、こういう意味合いでこの法案を提出いたしておるのであります。  もう一つの問題は、私、ちよつと聞きそびれましたので、もう一度お伺いしたいと思います。
  9. 佐伯宗義

    佐伯委員 不適当であるというただいまのお話でありますが、これは非常に重要な問題でありまして、現在の九電力会社は、かつて日発全国一社という大規模電力事業を継承しておる。今ごろのこのこと出て来るような一夜づけの国策会社のごときものではない。技術陣容におきましても、また経営陣容におきましても、あるいはまた現在におけるところの発電所、大送電、この意味から申しましても、現在の電力会社では今後大規模発電所建設するのに不適当であるというがごときお話は、まず第一にどこに根拠があるか、その点をお聞きしたい。現に肝九電力会社は、昭和三十一年までの間において二百五十数万キロという開発計画を立てて、その資金が三千百億になつておる。政府が今度計上されておるのは二百五十数万キロ、その資金が二千六百何十億で、どこから見ましても、現電力会社がその資格がないとか、不適当であるとか、あるいはまた政府よりも大電源開発ができぬとかいうがごとき性格すら、いささかもしのばれない。いわんや、御承知の通り、現電力会社は、一キロ当り約十三万、三千一百億に対して二百五十数万キロになつております。しかるに政府はどうかというと、約十万円でできるという計画を発表しておられるのであります。政府建設予算民間より少いものである、こういうことが報告されておるのであります。従つてただ単にかつて解釈から、現在日本におけるところの電力を現実的にどうにかまかなつておるところの現電力会社を否定して、まだやつたことがないものが、いいかげんな考え方から、観念的に特殊会社はよりよくでき得るのだという早合点は、私どもは合点が行かない。いま少し科学的に、合理的に、現在の電力会社は不可能である、特殊会社は可能であるという説明をわれわれは要望する。  第二にお伺いしたのは、一体何のために特殊会社をつくるのかといえば、結局は日本の国の電力開発資金それ自体が、当面現電力会社ではできぬのである、だからここに新たなるところの電力会社をつくつたならば、電力資金が新たに生れて来るのであるということに私は結論づけられると思うのである。従つて私の聞かんと欲することは、現電力会社自体がすでに計画されているところの電源開発資金を、もし今ここにあるならば、政府が貸してやつたらよいのではないかということです。新たなる特殊会社が生れるがために、日本の国の電源開発資金総体増加するのである。一例をあげるならば、増加するということはおそらくこういうこと以外にはないと思います。特殊会社ができたならば結局外資が導入される。日本電源開発資金総和は限られている。その上に九電力会社では外資が入らないが、特殊会社をつくれば外資が入つて来る。それならば、日本の国における電源開発資金総和増加されると思います。この場合は国民は好むと好まざるとにかかわらず認めなければならぬ。しかしながら国内資本の上において、現在の日本国民力から申しまし、電源開発資金に振り当てられるものは、特殊会社をつくつたからといつて増加するものではないじやないか、こういう点を私はお尋ねするのです。
  10. 福田一

    福田(一)委員 ただいまの不適当であるというのはどういう根拠に基くかという御質問と思うのであります。私たちが九電力会社にやらせるよりは特殊法人をつくつた方がよい、適当であると考えておりますのは、御承知のように、九つ電力会社はそれぞれの地域を持つております。その地域内において発電をし、また配電をするような建前になつておるわけであります。一例をとつてみましても、たとえば只見川のごときものは、東北電力東京電力が両方でこれをやりたがつているというように、いずれも自分の方においてこれをやりたいという気持があるのであります。それからまたこういうような大きな電源地帯になりますと、これに関係するところの地点は数県にまたがつております。従つて一部は東京電力、一部は東北電力というような、数地点にまたがつているので、こういう係争問題が起る可能性のあることは、もうすでに新聞紙上でも十分おわかりだと思うのであります。ましてこういう大電源開発については、国土総合開発見地から見ましても、あるいはまた治山治水その他から見ましても、鉱山にも関係があるし、灌漑にも関係があるし、天然記念物にも関係があるし、あるいはまた公園にも関係があるというふうに、いろいろな面において国の政治に非常に多くの関係を持つていると思うのであります。こういうようなものを一つ地域を独占しておりますところの会社にやらせるよりは、むしろ別個の立場から、これを総合的に調整して、それができるような新しい会社にこれを建設させる方が妥当である、こういう点がまずわれわれがこの特殊法人をつくろうとした一つの大きな理由でございます。     〔委員長退席、多武良委員長代理着席〕  また第二の問題でございますが、これはわれわれといたしましては、どうしてもある程度の外資を導入したいという考えを持つておるのであります。現在までにわれわれが調べたところによりますと、現在の電力会社よりは、新しくそういうような会社をつくつた方が外資が入る可能性が強い、こういう結論を得ておりますので、以上のような点から見まして、私たちはこの特殊法人をつくつたら国のためによいと考えておる次第であります。  なお、御質問の第二点は、こういう特殊法人をつくつたからといつて電源開発に使う金はふえるわけではない、外資が導入されるというはつきりした見通しがつくならば別として、そうでなければ国が電源開発をするために使う金の総体というものはさまつておるはずではないか、こういう御質問と承るのでありますが、なるほど電源開発に使う国の金というものは一応きまつた額はあるでありましようが、私たちは先ほど言つたような理由で、九つ電力会社にやらせるということでは、国の財政資金を出すことは、これはわれわれの見解でありますが、不適当であると考えておるのであります。そこで今言いましたように、特殊法人つくりまして、これによつて電源開発させるということに相なりますれば、一応国民も御納得してもらえると思うのでありまして、この意味において九つ電力会社でやろうとする力よりは、今言つたような国の金も使えるようなものをつくつてやらせつる方が、電気開発資金がふえることに相なると私たち解釈をいたしておるのでありまして、この意味特殊法人をつくるべきであると考えておる次第であります。
  11. 佐伯宗義

    佐伯委員 今のお話で、現電力会社地域間にまたがる重要発電所という御見解は、一応ごもつともな点だと私は考えます。そこで伺つてみたいのは、現電力会社地域を撤廃して一元的に行われておつたのは日発である。しかし日発は必ずしも悪いところのみではない。悪いところだけをとつてよいところを残そうという主張に対して、当時の政府自由党なるものは、現九電力分割案に賛成せられ、すでに議会にも提案された。今福田さんは自由党案として出しておられるのであつて、論理的にはわれわれも首肯できるのでありますが、これはポ勅によつたものであつてわれ関せずと考えられるのであろうか。その責任の点を伺いたい。  第二点は、両地域にまたがる大電源というものは、確かに両会社よりも別個会社をつくつた方がよいということは、私も首肯できるのであります。しかしながらそれは会社のことであつて、現実の発電所あるいは水系というものから申しますと、そこにはおのずと大規模発電所に附帯したものが九つ電力会社の中にある。それを除いて特殊会社をつくるのではなくしてその場合は現にあるところの大規模発電所に付属するものを分離して、それを土台として特殊会社をつくるというのであれば合理的でもあると考えられる。つまり現電力会社には、全国一社の日発という一つの大規模施設設備が分断されて帰属されておる。今もし特殊会社をつくられるならば、一応現電力会社から分離されて、それを土台としてつくられるならばきわめて合理的なものであると考えられる。そういうものをほつて置いては、それに対して当然大きい影響を及ぼすことは言うまでもないと私は考える。  第三番目には、財政的資金民間に貸し付けることは国民が好まないとおつしやるが、現に見返り資金は貸し付けてもおりまするし、ことにまた現在の電力会社は、私どもから申しますと特殊会社である。電力編成令によつて大きな地域に対し、消費社会への電力需給を調整する大きな責任を持たしてある。あるいは区電力料金についても認可制度になつておりまするし、決してこれは単純なる営利会社とはわれわれは認められない。従つて今つくられる特殊会社というものは、政府が過半数の資本を持つておる。それから経営者政府が任命するというこの二つの点だけが違つておるのです。そのかわりこの会社国民の税においてできる会社で、損害がありますと経営者責任を持ちません。これの損害はだれが背負うかといえば、国民が負担するのである。しかるに民間に貸しておいたら絶対に損害をかけません。損害がかかるときにおきましては解散しなければならない。民間会社であつたがために、あるいは電力会社であつたがために資金を貸し付けることができぬのだというごとき臆測は私は早計だと思う。現に見返り資金は貸し付けておられる。そういうことは別問題といたしまして、日本の国の電力資金総和だけはきまつておることは明らかになつたと私は思う。以上第一点と第二点の御答弁を願います。
  12. 福田一

    福田(一)委員 九分割とは電力編成ポ勅に基いて行われたのであるが、自由党及び現政府としては、これを主張しておつた建前から見て政治的な責任があるのではないか、こういう御質問だと思うのでありますが、第一点につきましては、私たち電力編成が行われました後において、ほんとうに合理的な経営が緒につくまでにまだ時間的なある程度の余裕を見てもいいのではないかという感じもいたすのであります。それから私たちとしては何といつて企業努力事業の中に入れるということが、党としては一応の考えでありまして、できる限り企業努力を認めさせる、そういう意味で仕事をさせる方がいいという考え方を持つておるわけであります。こういう意味において私は九分割をした当時の政治上の責任云々の問題につきましては、まだこれを決定するには時期が早いのではないか。またそこに若干の欠点があつたといたしましても、これを改廃するにはまだ若干時期が早い、こういうような結論を持つておるものであります。  次の第二点で、同じ水系のものを分離することが無理だとおつしやつた意味は、ちよつと私にはまだよくのみ込めませんから、その点はもう一ぺん御質問をしていただくことといたします。  第三に申されましたのは、開発銀行その他から金を貸しておるじやないか。政府資金というか、財政資金電力会社に貸せない理由がないじやないか、こういうことを申されましたが、私たちはそれのみの理由特殊会社をつくろうとしておるのではございません。先ほども申し上げましたように、数府県にまたがる大電源開発のごときものをやる場合においては、個々電力会社に金をまわすことよりは、一つの新しい電力会社をつくつて、いろいろの法律関係もございますので、そういうものも勘案策定いたしまして、そうして電源開発を急速にやらせるのでなければ、国民が納得しないじやないか。またそれであつて初めて大電源開発ができるので、いかに今の九つ電力会社に金を出したからといつて、それだけで大規模電源開発が順調に、すなわち急速に行われるものではないであろう、こういうふうに考えておる。  もう一つは先ほど言いましたように、外資の導入という面から考えてみましても、ここに無きずな新しい電力会社をつくつた方が外資が導入されやすいという見通しを持つております。こういう面からいたしまして、特殊法人をつくつた方がいい、こういうふうに考えておるわけであります。
  13. 佐伯宗義

    佐伯委員 見解の相違でありまするから、外資性格についてはこれ以上は御質問をいたしませんが、およそ経済人として考えた場合に、国土総合開発関連性を持つた特殊会社性格が、企業性を持つておる外資導入の対象となる、ならないというがごとき判断は、おそらくわれわれは福田さんとは全然反対の見地に立つて、現電力会社こそ、これが現在の国際情勢から申しまして、経済が建て直らないからでありますけれども、建て直つたならば、ただちに外資導入の可能性を持つものである。特殊の会社のごときものは将来におきましても外資の導入の対象とならないし、また外資の対象となるがごときものをもつて国営にすべき性格のものではない。私は今度の特殊会社は当然外資の対象にすべきものではないということについては、見解を異にしておる。しかしながらかような質問はお互いに見解の相違でありますから、避けます。  そこでお尋ねしたいのは、一体国民の欲するところは電源開発などというものじやない。土木業者であるならば、電源開発を欲するかもしれないが、国民は何を欲するかといえば、豊富なる電力それ自体である。それで国民から申しますならば、特殊会社の発生する電力も、現九電力会社が発生する電力も差別がない。平等の見地に立つて、いずれにしろ国民は豊富低廉なる電力の供給をこいねがつておるのであります。でありまするから、ここで国が特殊な電源開発会社に国の資金を総動員して保護しなければならぬというならば、九電力会社それ自体がその資格がなしということでありますならば、電力自体はどちらでも同じでありまして、国民が同一の電力を使うのであるから、現電力会社をも特殊会社にする。もつとも今度の特殊会社は国営ではありません。しかしながら性格の上におきましては国家管理の性格を持つておる。およそ国営というがごとき性格でありまするならば、同一事業は全部平等の原理に基いて、国営にすべきであります。一部を国営にして、一部を国営にしないということは不平等であると私は考えます。従つて特殊の地点における特殊会社をつくるということは、現在の電力会社をも特殊会社にするということが妥当だと考えるのか。これに対する見解はどうであるか。
  14. 福田一

    福田(一)委員 九電力会社電源開発に非常に不適当であるというような見地でこの法案を出しておるのではないか、こういう御質問のようにも聞えるのであります。御説のように、国民は豊富低廉な電気ができればよろしいのでございまして、どの会社がつくろうが、国策会社がつくろうが、とにかく豊富低廉な電力ができることを国民が望んでおることは、これは佐伯さんの仰せられる通りであります。従つてたちといたしましては、九つ電力会社に対しましてもできる限りの便益を供与し、資金その他の面においても政府としては大いにこれを援助する方策を講ずることは本法案の中にもちやんと書いてあるのでありますし、また二十七年度の予算といいますか、電源開発計画の概要及び資金をどういうふうに政府が担当し、また電力会社にやつてもらうかということについてお手元に出してある数字をごらんくださいましても、私たち九つ電力会社電源開発をするに不適当であるという結論でやつておるのではございません。非常に大規模なものであつて、数府県にまたがるようなものは、特殊法人をつくつてやる方が適当である、かように考えて、この法律案を出しておるわけでございます。
  15. 佐伯宗義

    佐伯委員 この問題はこの程度にしておきまして、ところで特殊会社の発生電力は卸売をするということを建前としておるようでありまするが、どの会社に卸売をするのか。発電地点電力会社の供給圏を尊重して、この区域の電力会社に全部卸売をするのであるか。またその地点外の電力会社にも卸売をするのであるかどうかということをお伺いしたい。
  16. 福田一

    福田(一)委員 私たちといたしましては、大体この発電所ができました場合には、できるならば発電所電力会社に譲り渡す、あるいは貸し付けるということを優先的に考えておるのでありまして、やむを得ざる場合、すなわち卸売をするとか貸付をするといつても、相手方のあることでありますから、これができないような場合または建設中に一部卸売をするようなこともできます。そこで卸売規定を入れたのでございますが、その条文がそういう意味に当てはまつておるかおらないかという議論は別といたしまして、こういう意味合いで私たちはこの法案を提出いたしておる次第であります。  そこでそういう場合においてその発電所のある区域外の電力会社にこの卸売をするのであるかどうか、こういう御質問と思うのでございますが、これは電力全体の需給のバランスその他を見まして、おのずから解決がつくものである、大体譲り渡すという場合においては当該地域内の電力会社に譲り渡すということを建前にいたしたい、しかしそれがどうしてもできないで卸売りをせざるを得なくなつたというような場合においては、そのときの電力の需給をよくにらみ合せてこれを決定すればよろしい、こういう意味において公益事業委員会を存置しておるのでありますから、これは十分その建設の途上においても、また建設後においても支障なく運営ができ電力の供給ができるものと考えている次第であります。
  17. 佐伯宗義

    佐伯委員 この特殊会社の本質は貸付、譲渡というお話でありますが、後ほどその問題に触れて御質問申し上げることにして、卸売りをいたします場合に、全国一社という性格から地域外の電力会社に卸売りをしなければなりますまい。その場合に送電線はだれが建設するか、そしてその意義を敷衍いたしますと、全国送電網を張らなければならない。そう考えますとこの特殊会社発電所だけでなく送電線というものが主体になる。そうでなければ卸売りをすることが不可能になるということと、もう一つ全国一社制という性格が無視される。そうだといたしますならばどこに日本送電と違つている点があるかということが一つ、いま一つは現九電力会社にはそういう送電幹線が含まれている、これとの二重機構という点がどうして調整せられるかという点をお伺いしておきたい。
  18. 福田一

    福田(一)委員 そういうような場合におきましても、大体現在すでに送電の幹線があるのでございます。非常に大きなものができますと、その送電幹線自体をもう一ぺん強化しなければならないという問題も起きるでありましようが、大体現在計画いたしております限度においては、この送電幹線にこれを連繋して電力を託送することができるものと考えておるのであります。
  19. 佐伯宗義

    佐伯委員 今のお話は要点をつかんでおらぬと思いますが、この点は避けまして、前にもどります。貸付、譲渡をすることを建前とするとおつしやるのでありますが、福田さんによくお考え願いたいのは、政府の時々の主観的な考え方国民を縛れるものではない。大体法律と申しますものは、そういう場合において貸し付けるときにはどういう基本的な条件である、譲渡する場合はどういう基準によるべきものであるということをきめるのが最も必要なのであつて、そういう問題をただ単に政府の一存にまかしておく、あるいは電力審議会にまかせるというのでは、厖大な税金をもつて数千億という  経費を投下して行く国民こそ、何をもつて準拠するかということになるのであります。先ほども申上げましたように、国家の厖大な投資をいたされる場合におきましては、少くともそういうことが綿密に検討されて法案として出さなければならないということを私は要求している。われわれは公平な頭で時の政府を判断するし、間違いないからおれにまかしておけというような独善的なお考えは法の建前に反する。かつて日本国有鉄道が創設せられますときのあの厖大な規定は何から生れたものであるか。福田さんは電源開発法という簡単な三ページか四ページのものを急造してお出しになつておられますけれども、こういう単純な単行法において厖大な国費を投下するというごときことは誤つておらぬか。電源開発会社をつくる、つくらぬの問題ではないのです。私どもはこういう意味において真に警告を発したいと思いますことは、特殊会社をおつくりになることもいいでしよう、しかし調査機関をうんとおつくりになつて、一切の起つて来る時々の現象に対して適応する基準法案としておつくりになつて、そうしてお出しになるのが妥当だ。何を急いでそういうようにおやりにならなければならぬかということを言いたいのです。特にお伺いしてみたいのは、現在の九電力会社はすでに古くから経営が継承されまして、経営陣容の上におきましても、技術的工学の上におきましても、調査企画におきましても、一通り整備されているということはわれわれは認めなければならない。電源開発などというものは、そういう陣容をそろえるとか、あるいは企画調査ということが大体仕事の半ばなんです。急速に電源開発するというこのときこの際こそ、国家が総力をあげて今すでに緒についている九電力にまずやらせる、昭和三十年度における二百五十万キロの事業を達成せしめるべきである。その間におきまして国がいろいろと調査研究をされ、準備をされ、それからやられても私はおそくないと思う。あわてふためいてこの国会にこういう法案を出さなければならぬということについては、これが急速な電源開発に資し得るという説明をどうしてもわれわれは首肯できない。後ほど大蔵大臣も来られるのであるから資金面からお伺いしたいと思つているが、私どもはこの特殊会社が発生するがために日本電源開発が阻害されるという強い信念を持つているのであつて、この点につきましては、今せつかく提案せられたものを取下げると申しましても、そういうことにはならぬと思いますから、これはさておきまして、そこで伺つてみたいのは、特殊会社は旧日発性格と違つているというものの、ねらつている社会化は同じである。旧自発は豊富な電力国民平等に普遍化すという高度の社会性を持つていたこと存はわれわれは認めなければなりません。なぜ旧日発が悪かつたかと申しますならば、電力もやはり企業である限りにおいては、能率を上げ、その利潤を公益に還元するということが最も必要であるのに、その点に欠ける点があつたと言われているのであります。その著しい例をあげますならば、日発全国一つにした。これはまさに国民平等の社会性ではなるほど政治的観念が成立しております。しかしながら北海道と本州、電力を送達し得ない区域までも一つにしている。ここに経済性と政治性との異なるゆえんがあるとわれわれは思う。何も北海道と本州とを、電気が起ることのできないところまでもごつちやまぜにして一つ事業としているところに企業能率が減殺されている。そこで電力の持つている公益社会性を最高限に発揮いたしますには、電力を送り届ける区域を一つ事業にする。北海道は一つでよろしい。本州とまでくつつける必要はない。四国、九州もなおかつしかり、本州は東西の二つにしていいであろう。ここに私ども日本送電が持つてつた電力国民に普遍化するという社会性を悪いと言うのではなくして、電力を送り届けることのできぬところまでも一つにしているということは、政治と経済と紛淆している。この点が悪いとわれわれが主張いたして、五つにしたらいいだろうと言つたのであります。現在政府特殊会社をつくるということは、やはり旧日発と同じで、北海道と本州とでまだ電気を送り届けることができないところまで一つにしてしまおう、政治考え方から要するに企業性というものを無視しているとわれわれは思う。従つてこの特殊会社一つにしてやらなければならぬということは——当分のところは五つにしてもその社会性の性格を失わぬと思う。そしてあるいは四国が将来中国とか関西とか送電網ができて一緒になつた場合に一つとする。特殊会社の機能を発揮いたしますために私ども全国一社はしばらくおいて、まずとにかく五つにしてということは、社会性と企業性、いわゆる経済と政治の一致する点であると強く考える。しかるにかかわらずこれを一社にしなければならぬということのゆえんのものはどういうところであろうか、いま一応の御説明を願いたい。
  20. 福田一

    福田(一)委員 ただいま御質問に相なりました非常に厖大な金を使つてつくつたものを、基準も設けないで電力会社に譲り渡すというようなことは、国民に対して不信の行為をなすことになりはしないかというお言葉でございますが、私たち考えますところによれば、当然この発電所つくります場合にはどれだけの経費がかかつて、そうしてこれの原価計算がどういうようになるという数字がはつきり出て参ります。これはごまかすことはだれにもできないと私は考えております。そこでその発電所のできました場合に、これがどれくらいの価値を持つか。建設費等は別といたしまして、その価値の面も広いろいろの物価とかあるいは経済状態を勘案してみますならば、一応の推定が出て来るのでありまして、この面と両方を考慮いたしまして、譲り渡したり貸し付けたりいたしますならば、決してこれは国民の金を使つたからといつて国民が納得してくれないような価額で譲渡されたり、あるいは貸し付けたりすることはないと考えているものでございます。  それから御質問の第二点でございますが、この九つ電力会社が今やれるのにそれにやらしておけばいいじやないか、それを急速にやらしたらいいではないか、それで十分ではないかというように承つたのでありますが、私たちといたしましては、提案理由の御説明のときにも申し上げましたが、昭和三十一年度にはどうしても四百八十億キロワツト・アワーの電力を必要とし、またそれを使うように経済を運行して行かなければならない。鉱工業生産も大体その時分には戦前の二倍くらいにいたしまして、国民の生活水準を現在の八〇%からまだ一割か一割五分くらい上げて、国民生活を安定しなければいけないと考えておるのでありまして、この見地からいたしますならば、電力はどうしても相当大規模開発をしなければならない。九つ電力会社に二百五十万キロをやつていただいただけで国民の生活水準がそれだけ高まつて行くという結論が出ますならば、なるほど御説の通りではございますけれども、私たちといたしましてはどうしても電力、いわゆる動力というものをまずつくりまして、そしてこれに基いて国民生活を安定させて行く、こういう明るい面を出したいというのが、これが私たちの根本の理念でございます。  次に第三点といたしましては、自発というものを解体する場合に、五分割を主張された。お説によれば北海道と九州と四国、それから本州を二つにわけてサイクル別にわけるのが一番合理的である。地勢的にもあるいは政治的にも経済的にも非常に合理的であつたと思う。現在においてもその考えを改めておらないが、これに対する見解いかんというお説でございます。私はこの点に関しましては、佐伯さんの仰せられるところに多分に共鳴する面も持つおるものであります。なかなかりつぱな御意見であると考えておるのであります。しかしながらすでに九分割が実現いたされまして、しかも九分割が実現するまでには二年の長きにわたつていろいろと問題があつたのでありまして、分割した後の現在、ようやく会社がどうやら発足し得るような形になつております。佐伯さんはどういうお考えで今の御質問をなさつたか存じませんが、私たち全国を一社にして大電源開発しようという考えと、あなたがお考えになつておられる考えとは、私の見るところでは必ずしも相背馳していない、相矛盾しないように考えておるのであります。旧日発をつくるという考えであればあなたのお考えと非常に相違したことになるかもしれませんが、しかし私たちはこのつくつた発電所を譲り渡す、あるいは貸し付けるということを建前にいたしておるのでありまして、元のような日発をつくろうというような考えはございません。ただ一つにいたしましたのは資金関係、あるいは総掛費等の面から見まして、やはり一つにして安く電気つくりたいという考えで、全国五つにしないで一つにした方がいい、かように考えておるわけでございまして、決して旧日発を復活しようとか、そういうような考えは持つておるわけではございません。しかし先ほど申し上げましたように、電力はどうしても必要でございますから早くこれを開発する、そのために特殊法人もつくろう、かように考えておるのでありまして、今後でき上りました電力、及び既設の電力というものをどういうふうにして運営して行くがいいかという問題に相なりますと、私は大いに研究してみていい問題であると考えておるわけでありまして、お説の通り五分制に私が賛成するということを、ただちに申し上げることはできせんけれども、われわれがそういう問題を考えて行く面においては、一つのりつぱな御意見であるとして、大いに参考にいたす点があるということは、ここで明言してよろしいと思うのであります。
  21. 佐伯宗義

    佐伯委員 なおお伺いしたいことがございますけれども、通産大臣が用があるそうで、通産大臣に関する問題を先に質問させていただきます。  公益事業委員会の問題でありますが、これは通産大臣の所管であるかどうかわかりませんが、どうもこの問題はやはり通産大臣にでもお伺いする以外にはない。そこで今度の電力開発法案の中に、電力審議会というきわめて重要な機関がございます。これは現在の公益事業委員会と重複して、むしろ公益事業委員会というものを否定しておる。ですから公益事業委員会というものを廃止するという政府考え方ではなかろうかということを伺つてみたいのであります。
  22. 高橋龍太郎

    ○高橋国務大臣 ただいま政府で持つております行政機構の改革案によりますと、公益事業委員会は廃止して、電気行政は通産省の所管になることになつております。いずれこれは皆さんの御審議を経て決定することと存じます。ところで、この審議会云々のお言葉でありましたが、通産省に電力審議会というようなものを設けまする意思は、私は持つておりません。ただこの開発法案のうちにそういうことがうたわれておりますが、電力開発の問題は建設省あるいは農林省、いろいろな面に関係がありますので、電力開発のどれを先にすべきか、あるいはどこに重点を置くべきか、そういう審議をする機関は私は必要であると考えております。かえつてその方が行政の面でも円満に進むことである、そういうふうに私は考えております。
  23. 佐伯宗義

    佐伯委員 いつかの新聞紙上であつたと思いますが、吉田総理は、公益委員会は私益委員会であると言つたという記事があります。これは通産大臣にお伺いするということよりも、福田さんなんでありますが、これがもしほんとうといたしますならば、総理がみずから選任した不明を告白しておるものとも言える。もう一つ、これもまたいつかの新聞にあつた総理の談でありますか、政府の任命した者が政府の方針に反するということはよくないということが、伝えられておつたのであります。このことの責任をお伺いするということは私は避けます。これから起つて参ります問題は——民主主義の政治形態と申しますのは、一旦政府が選任した委員でありましても、独自の見解を持つて進むということが、私は民主主義の形態だと考えます。しかるに政府の任命した者が政府の方針にさからうということは間違つておるということが伝えられるごとく事実といたしますならば、官僚的な考え方もはなはだしいと思う。ここに公益事業委員会をせつかくつくつたものを廃止するということは、——私は現在の電力分割、再編成そのものと、公益事業委員会というものは不可分一体性を持つて成立しておると思う。それを単純に廃止するというがごときことは、私は日本の民主化ということにも非常に重大なる影響を及ぼすものではなかろうかと思う。一体日本の国の民主化というものは、観念的にはいろいろに言いましようけれども、現実の上におきましては、やはりこの委員制度ということに特色かあります。日本国民にはふなれでありますから、せつかくつくつた委員制度それ自体の活用ができないため、またもや国家万能に持つてつて、官僚主義に陥るというおそれなしとしない。日本国民に与えられたものは、何としても国民委員制度を育成してみるということが、私は日本の民主主義に適当なことではなかろうかと考えるのであります。ただあの委員制度は、御承知の通り日本の国の政体は、英国の責任政治をとつておるので、この点において多少の修正を加えなければならない。例をあげてみますならば、現在の公益事業委員会は、政府行政の一部を代行しておる。いわゆる任免権を与えておる。そこにもつて来て、政府の任命した五人の委員でもつて行政の一部を代行するということは、私は間違つておると思います。現在の五人の委員というものは、少くとも私から見まするとこれは国民の経済ということを主体にした国民的な代表と見なければならない。そういたしますと、電力行政の上におきましては、それ以外に政治と行政という面から選ばれた者が参加せなければ、完全な政体に合わないと思う。これが、アメリカから日本に来た委員制度の間違つておるところだと思うのです。悪いところがあるからといつて、すぐつつ放してしまうことは間違つておると思う。そこで私ども考えますのに、現在の公益事業委員会の五人を国民的な経済の代表者と見まして、さらに政治の面から国会議員を、衆議院と参議院から三人出す、行政から安本長官とか通産大臣とかいうものが三人出る。政治と行政と経済と、この三つのものがきちつと決議機関をつくられまして、公益事業委員会を完全にするということは、私は非常に大切なことであると思う。そうしてあの委員会をぜひ存続しなければならぬというような強い考えを持つのであります。このことは、政府がきのうまでは占領下のもとにおいて、一もなく易々諾々として信奉して来た忠実なるところの占領軍の行政官であつたかのごとく考えられるのに、独立が目の前に来たからといつて、こういう問題に対しましてはあまりにも不信ではないか。日米協力の線に沿う点におきましても、あるいはまた国際信義の上におきましても、あるいはまた日本の国の民主化の上におきましても、この委員制度を単に廃棄せられるというがごときことは、私どもは重大なる問題だと思うのであります。私はこの問題に対しましては、実はなお電源資金の問題、経済力の問題から関連して、最後にお伺いしようと思つたのでありますが、通産大臣が御用があるということでございますので、所管であるかないかは知りませんけれども、通産大臣といたしまして、この公益事業委員会をそういうように強化して、日本の民主化のために委員制度を守つて行かれるというお考えがあるかないかということを伺つてみたいと思います。
  24. 高橋龍太郎

    ○高橋国務大臣 ただいまの御質問に私がお答えするのは適当であるかどうかわかりませんが、公益事業委員会を私益委員会だいうような発言をだれかがしたというようなことは私は承知しておりませんが、私自身は現在の公益事業委員会はあくまで公益事業委員会だと認めております。ただ今公益事業委員会の組織に多少の改善を加えるべき必要はあるかと、これは私個人の意見ですが存じます。ただいまのあなたの御意見は非常に私参考になり、また共鳴する部分もあるのですが、それだけ私としてはお答えをしておきます。
  25. 佐伯宗義

    佐伯委員 これから継続いたしますと、なお相当時間がかかりますので、一応打切つていただいて、日をあらためておきめ願いたいと思います。
  26. 多武良哲三

    ○多武良委員長代理 では午前中の会議はこの程度にいたし、午後一時三十分より再開いたします。  暫時休憩いたします。     午後零時十二分休憩      ————◇—————     午後二時二十九分開議
  27. 多武良哲三

    ○多武良委員長代理 休憩前に引続き会議を開きます。  電源開発促進法案を議題とし、質疑を続行いたします。加藤鐐造君。
  28. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 委員長にお伺いいたしますが、私の要求しておりました政府委員並びに公益事業委員会からおいでになる時間をちよつとお知らせ願います。
  29. 多武良哲三

    ○多武良委員長代理 公益事業委員会からは三時までに来ます。それから安本は今経済安定委員会へ出ていますから、その説明が終つてからすぐ参ることになつております。それから農林大臣は、ちよつと来られないそうでありますが、だれかほかの者ではだめですか。
  30. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 私はこの法律案による電源開発の意図というものは、相当重大な意義を持つておると思うのです。しかもこれは議員提出案ではありまするけれども、しかしこれをやるのは政府でございまするので、政府がこの法案の遂行について、相当熱意を持つて当るのでなければならないと考えておるのですが、この委員会の審議の過程におきまして、重要な大臣がおいでにならない。大蔵大臣がまず第一に資金の面において相当重大な役割を果さなければならないわけですが、大蔵大臣はまだこの委員会に一度もおいでにならない、それから総合開発をやるという意義を持つておるわけですから、従つてこの点からまた関係大臣は、安本長官はもとより、建設、農林その他各省に関係があるわけですが、きようは私の要求しておいた大臣が安本長官のほか一人もおいでにならないということは、政府がはたして熱意を持つておるかどうか疑うわけであります。私はそういう点から考えましても、この法律の前途に政府がはたしてどれだけの期待をかけておるかということも疑われるということを、痛切に感ずるものでございます。私はそういう点から各大臣に質問をいたしたいので、私の質問はきようだけで終らないということをあらかじめ御了承願います。  それでまず第一に提案者にお伺いしまするが、提案者の今までの御説明によりますると、いろいろこの法案つて出て参りまする開発会社のいわゆる目的というものは、相当広汎な総合開発をやるというようなこともありまするし、私企業というか、いわゆる普通の電力会社ではやれないことをやるのだというような御説明がありました。その目的の中には、総合開発という目的が含まれておるかどうかということをまず承りたいと思います。
  31. 福田一

    福田(一)委員 提案理由の説明のときにも申し上げたのでありますが、われわれは三十一年度までには四百八十億キロワツト・アワーの電力を必要とする。これによつて工業生産を戦前の二倍にいたしまして、そうして国民生活の水準を引上げて行かなければならないと考えているわけであります。そういたしますと、電気というようなものの建設は長年月を要することと相なりますので、どうしても計画を立てて電気開発をしなければならぬ、こういう意味合いで、なるべく早くたくさんの電気をつくる計画が必要と存ずるのであります。その意味合いでこの法案を出しておりますので、提案者といたしましては、御質問の早くやらなければいけないという意味をこの法案の中に織り込んでおるつもりでございます。
  32. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 電力の下足は現在急を告げておるわけですが、大体この提案者計画は今おつしやつたところでよくわかりましたが、しかし現在急を告げているこの下足する電気の補給をどうするかということが大きな問題であると思うわけです。そういう点から考えますと、この計画によつて見ましても、第一期計画はその金額の点においてもわずかでございますし、重点が第二期計画に置かれておるわけですが、さらにもう一つ考えられることは、新しく開発会社ができましても、いろいろ開発箇所に対する調査あるいは研究というようないろいろの準備がいるわけです。そうしますと、最初の開発箇所の工事にとりかかりますにも、相当の年月を要するわけでございますから、ここ非常に急を告げております電力の不足を補うということは、この計画では間に合わないことになるわけですが、安本の資料によつて見ましても、次体二十八年度でわずか一万一千キロしか完成しない。さらに今おつしやいました三十年度末におきましても、なお第一期計画の四百二方六千キロのうちの大体八割程度で、第三期計画のほんの一部ができるにすぎない。こういう説明になつております。それからさらに安本の計画の内容を見ますと、電力会社の一期計画の二百四十五万五千キロというのはほとんど完成してしまうということになるわけでございますから、特殊会社の八十四万四千キロという比較的わずかな計画もほんのわずかしか完成しないということになるわけであります。そういう点から考えますると、この法案の目的は、当面急を告げておる電力の補給策ということでなくして、大きな将来の日本の産業計画から考え電源開発をやるという比較的長期計画になると思うわけであります。そういう点からわれわれ考えますると、もう少しこの当面急を告げておりまする電力下足をどうして補うかという点に考慮がめぐらされなければならないと思うわけですが、その点は提案者はどういうふうにお考えになりますか。
  33. 福田一

    福田(一)委員 御質問のように、二十八年度には特殊会社としては、まだ非常に少い電力しか出ないわけであります。しかし加藤さんが言われました早期に必要とするのならば、今それに対する対策を考えたらいいではないか、われわれが考えておりまする三年とか四年とかいう時期の計画考えることは、早期対策の中に入らない、こういつたふうにお考えになつておるようでございますが、私は電気というものの特質から見まして、三年や四年はもちろんまだ早期である上、これが十年計画になつても、やはり早期の計画になるだろうと思うのであります。あなたは、この特殊会社をつくる場合において、もつとすべての計画を充実してすべてがそろつてから発足すればいいではないか、こういうようなお考えのようにも承るのでありますが、そうすれば、その経費その他を見ましてどこでそういうことを調査して、どういうふうにしてこの電源開発をするかというような問題を考えてみましても、私はやはり早くこの会社を発足さして、一日も早く電源開発する、発電所をつくるという、そういう準備を進めて行くことの方が早く電源開発することになると考えておるわけであります。もちろん提案者といたしましては、現在ありますところの電力並びに目下工事中の電力をなるべく早く完成するように努力するということを望んでおるのでありまして(この点は法案全体の趣旨を見ていただけば、十分おわかりを願えると思いますが、これと同時に今ある電力、今発電しておる電力をいかに有効適切に使うかというような問題、また送電中のあるいは幹線から需用家に至るまでのロスをどういうふうに軽減するかということについては、政府としても十分その点は考慮を払つております。また公益事業委員会といたしましても、この点には特に力を入れておられるのでありますが、そういうように力を入れてみましても、まだなかなか電力は足りないということになつておるのが現状であります。こういう意味からいつて九つ電力会社にもたくさんの電源開発してもらうばかりでなく、自家発あるいは公営事業等も動員いたしまして、大いに電源開発をいたしましても、国民の生活水準を高めるというところへ持つて行くには、どうしてもこの動力源を充実する意味で 特殊法人をつくつて、八十数万キロの電源を三十一年度までに完成する、こういうことにしなければ、うまく電力の需給が満たされない、こういう考えでおりますので、私たちはこの計画は実はおそきに失しておると思つておるので、早く開発するという意味からいつたら、一日もすみやかにこの法律案が議決せられまして、そうして実施に移るようにいたさなければ、早期の開発が実現できないのではないか、かように考えております。
  34. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 提案者のおつしやるお考えの点はよくわかるのですが、こういう特殊法人つくり、そうして相当大きな政府資金をそこにつぎ込むということによつてどういうことが起つて来るかということを一応考えてみなければならぬと思うわけです。現有安本で発表された電源開発計画を見ましても、すでに一般利用会社計画を遂行しつつあつて、もう年々ある程度の発電所が完成しつつあるわけですが、それに対して水をぶつかけるような結果になりはしないかということと、また特に資金の面においてこの特殊会社に集中する結果になりはしないかということを考えなければならぬと思う。現在不足しておる電力を急速に補うためには、まず自家用発電電力会社にある程度集中するということも、実際の面から考えて必要ではないかと思うのです。きのうも東電社長が、ただ不足しているものは資金のみだ、こういうことを言つておりました。私どもは簡単に東電社長の言葉をそのまま受入れるものではありませんが、しかし資金の面においてはなはだしく不足しておるために、電力会社発電計画がなかなか遂行できない、電源開発が十分できないということはだれしも考えられるところでございます。提案者考えによりますると、あまりにも特殊会社に集中しておるために、こうした自家用発電並びに現在すでに計画遂行されつつあるところの電力会社に対して何ら手を打たない、こういうことにも考えられるわけですが、今そういう点は十分考えておるとおつしやいましたけれども、しかしながら実際にはそういうことになつて来ると思うのですが、その点具体的になお一応承りたい。
  35. 福田一

    福田(一)委員 お手元に差出してありまする資料によつておわかりを願えると思うのでありますが、電力会社に対しましてはこの四年間に二百四十五万キロの電源開発してもらう。四年間にやります分は大体四百二十万キロ前後でございますから、その六割は電力会社にやつてもらわなければならないわけであります。この面においては、政府におきましても全力を尽して資金その他の面で大いに努力をいたすことをこの法律で義務づけておるわけであります。またその資金計画につきましては、大蔵大臣の方から先般この委員会におきまして、十分自信をもつてこれを遂行し得る、またそういう面において電力会社にも大いに骨を折るということを言つておられるのでありまして、私たち提案者といたしましては、その意味で、電力会社発電計画を、特殊法人をつくつたがために阻害するというようなことを考えたことは毛頭ございませんし、またそのようであつてはならないと思うのであります。もちろん電源開発というものは、全国民がみんな協力してやるべきものでありまして、どの人にもできるだけ能力を発揮してもらうというのが、この電源開発促進法案の意図するところでございますから、こういう意味において、政府も大いに努力をいたすことに義務づけられておるわけであります。従つて九つ電力会社が、政府が援助する資金というか、貸し付ける資金といいますか、そういう面以外に自己資金をつくらなければいけないというような面もございますので、これは今度の電気料金の問題にも関連いたすのでありますけれども、こういう面からも一つの大きな興奮剤といいますか、刺激剤といいますか、こういうものも与えて行く必要が起きて来るのではないか、かように考えておりまするが、いずれにしても、この特殊法人をつくつて九つ電力会社発電計画を阻害するというようなことは毛頭あり得ない。現実にどうしてもこの九つ電力会社としては無理だ、あるいはまた関係地点が多いために、九つ電力会社ではできないような所を取上げてやつて行くのでありまして、九つ電力会社が今つくろうとしておる三万キロや五万キロの発電地点をこの特殊法人がかわつてやろうという意図は、この法案には盛り込まれておらないのであります。従つてたちは、この特殊法人をつくることによつて、現在電力会社がやつておりまする工事を阻害したり、あるいは遅らせるというようなことはあり得ないと考えておる次第であります。
  36. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 資金の面で一般電力会社がどういう影響を受けるか、また電力会社の自己資金がはたしてその通りに調達できるかという点については、大蔵大臣あるいは安本長官にお尋ねしてみたいと思いまするから、その問題は一時預けておきます。  もう一つ、これは相当大きな問題が起つて来ると思いますが、それは、こうした無利子でもつて政府資金を貸し出すということになりまして、建設費が非常に安くつくわけであります。その安くできた電力電力会社が譲渡を受けたり、あるいはまた設備を借りたりしてやつて行くということになりますると、営利会社である電力会社が利息を払つた金でやらなくても、簡単にこの特殊会社がつくつてくれたものを借りたり、譲り受けたりした方がいいということになつて電源開発に対するところの熱意が一般の電力会社にはなくなつてしまいやしないか、私は当然そうなると考えられるのであります。従つて予定計画、いわゆる一般電力会社に割りつけられた予定計画というものができなくなつて参りまするが、そういう点はどういうふうに考えるか。そういう結果になつた場合に、その対策はあるかどうかということをお伺いしたい。
  37. 福田一

    福田(一)委員 国がといいますか、この特殊法人電源開発することによつて営利会社といいますか、九つ電力会社開発意欲が阻害されはしないか、こういう御質問と存ずるのでありますけれども、今電気は、実はこれだけコントロールいたしましてもまだ二割足りない。野放しにしたら四割足りないのでありまして、現在の日本の経済の状況、また電気を必要とし、電気を使おうとする国民の意欲から考えてみますならば。多々ますます弁ずというのが電気に対する需用だと思います。そこで九つ電力会社電気をつくるかつくらないかということは、一にかかつて電気を一般が必要とするかしないかということにあると思うのであります。電力会社が今電気を売りたくても、売れない状態であります。もつと売りたいのでありますが、これに応じ切れない状態にあるのでありますから、そこでその数字を勘案いたしまして、全体として三十一年には四百八十億キロワツト・アワーを国民が必要とするであろう。もちろんこれは国民の私生活のみではございません、産業、経済、その方面に使うものももちろん含めてでありますが、そういう意味合いでこれだけの需用がある。需用がありますれば、これをつくれば売れるのであります。売れれば電気会社としては利益が何がしかそこに起きて来るのでありますから——つくつても売れない電力でありますならば、電力会社としては建設をいたさないでありましようが、つくれば必ず売れるという想定がついております以上、私は電力会社がこれによつて建設をやめるとか、あるいはまたこれを遅らせるとかいうようなことにはならないと考えておるわけであります。
  38. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 提案者の言われるように簡単に行きますれば、今まで電力はどんどんできておるわけであります。需用があつてもできないという今までの実情から見ましても、福田君の言われるように、そんな簡単に行かないことはあまりにもはつきりしております。資金の面においても十分でない電力会社が、また営利事業の形でありまする電力会社が、こういう形で電力を簡単に得られるということになりますれば、安易な道を選んで、自分で苦労してやることがなくなることは、これは常識だと思う。需用があるから供給は必ず起つて来るというような簡単なわけには行かない。それが行くならば、今までにもうこんな電力不足にわれわれが悩まされることはないわけである。だからその点はこんなに簡単には行かないと思うので、そのときの対策があるか。もしそうなつたならば、そのときの対策はどうされるか。そんな需用供給の簡単なりくつでこの問題が片づくものではございません。そうなつたならば何か対策がなければならぬ。絶対にないと福田君はおつしやつても、私はそういうことは、絶対にあるとは申しませんけれども——それはそのときの経済事情あるいは資金関係等においていろいろ総合的に考えなければなりませんから、絶対にそういうことが起るとは申しませんけれども、起り得るということは何人も想定できることで、そのときの対策があるかということをお伺いしたわけであります。
  39. 福田一

    福田(一)委員 過去十年間くらいの電力事情を見てみますと、日発ができまして以降は、日本は大東亜戦争に突入いたしました。そうしてそういう戦争という特殊事情が、電源開発をはばんでおつた面も多分にあると思われるのであります。さらにまた敗戦後におきましては、これは占領下という特殊事情もございまして、また日本の経済を復興するという意味で、どの点に重点を置いて行くかというような面から資金の運用をどこに重点的に使うというような問題もありまして、今まで需用があつても、これに供給が自由に応じ得ないような状態があつたことは、加藤さんもよくおわかり願つておることだと思うのであります。私は今後独立国の日本としてやつて行く場合におきまして、九つ電力会社に、とにかく地域をわけてそうして電源開発をさせ、またこれをやらせるという建前に置いておる以上は、需用がありますならば電力会社としてはもうかる仕事にはどんどん投資して行くし、またそういう資金も得られるようになるものだ、こういう意味で私はこの特殊法人ができたことによつ、電力会社が売れる電気を、わざわざ自分のところの電気をつくらないで、ただ国の電気だけをやつて、たとえば需用の八割とか九割だけ売つて、それで済ましておる、こういうようなことはあり得ないと思います。また一面におきましてこれは公益事業でありまして、いやしくも公益事業の首脳部が、国民が必要としており、決して損をしないということがわかつておるにかかわらず、電気をよけいに起す意欲をなくするということでありましたならば、私は株主総会その他においても相当論議が出まして、そういうような幹部は追放されるものではないか、かように考えておる。こういう意味合いにおきまして、私は今度の特殊法人ができたからといつて九つ電力会社電源開発意欲がなくなるものとは考えておらないわけであります。
  40. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 福田君のおつしやるのは、自由主義経済論者である福田君とも思われぬ観念論で恐れ入りますが、電気会社は公益事業だから、公益という点を第一に考え事業経営するとおつしやるけれども、今の電力会社はそうでございません。これは営利会社です。公益事業でありまするが、営利会社でございまするから、利潤ということを第一に考えるわけです。そこで無利息で借りられる政府資金で、安くできた電力を手取り早く買うということに走ることは当然だと思うのです。しかつしこれは福田君がそう考えると観念的におつしやつておるのを、いつまで押問答をしておつてもしかたがありませんから、その問題は一応預けて次に移ります。  私はこの計画を見ましても、電気開発ということだけを考えて、配分の面においては深く考えておらないということがはつきりすると思うのです。配分計画というものを持つておられるかどうか。たとえば発電所の帰属計画というようなもの、あるいはまた現在ありまするところの地域差との関係、そういうようなことについてもう少し計画性がなければならない。国の資本でやりまする以上、そういう計画性がなければならぬと思うのですが、その点についてはどうですか。
  41. 福田一

    福田(一)委員 ただいまの御質問の中でありまするが、私が非常に観念論的だという御批判をいただいて恐れ入るのでありますけれども、簡単なことに例をとりたいと思います。たとえば私のところは実は小さな本屋をしておるのです。その場合本をAの本屋からとりますと掛値が八割でとれる。ところがBの本屋からとりますと、掛値が九割でりしかとれないということになれば、八割の方からとつた方が非常に利がいいわけであります。しかし本がどんどん売れるということになりますと、たとい掛値が八割であろうが、九割であろうが、これはどんどん買つて売るようにいたしておるのであります。営利の関係から見ましたならば、売れるということであれば、必要なものを購入する、あるいは建設するということは当然なことでありまして、私は決して観念論的に申し上げたつもりはないということをお断り申し上げたいと思うのであります。  それからもう一つ、ただいまの御質問でありますが、配分関係について考慮が払わられておらないじやないかというお考えのようであります。この点につきましては、すでに公共事業令というものがございます。これがもしなくなりまするような場合におきましても、国といたしましては電力行政というものについて何らかの部局を設けることは当然でありまして、その部局におきまして当然このような問題は考慮を今もいたしておりますし、将来もいたすわけであります。しかし建設されました発電所をどこに帰属さすか、どこに譲り渡すか、どこに貸し付けるかということに相なりますると、なるべくならその地域にある電力会社に譲り渡す、あるいはまた貸し付けるということになるのが、一番順当というか、筋道に合うと思いますが、そういう場合におきましても、全国の需給の関係その他を見た上で、十分この点を勘案いたしまして、その電力をどういうふうに使用して行くかということをきめることができると思うのであります。現に九つ電力会社は先ほども営利会社だと仰せられましたけれども、これに対しては相当な監督、特に電気の需給関係におきましては監督をいたしておるのでありまして、そういう面から見ましても、私は電源開発されるに従いまして、これをどういうふうに全国的にうまく配分することが必要であるかということは、総合的に計画が立つものと考えます。またこれを建設する前に、調整審議会がこの法律によりできるのでありまして、この審議会が、こういう計画を立てます場合には、この点は十分勘案いたして計画を策定すると考えるのであります。従つてその面であまり大きな不合理が起きるということはあり得ないと考えておる次第であります。
  42. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 大体その地区で消化するようにするという考えのようですが、午前中の佐伯委員質問にもありましたが、やはり配分の面における十分なる計画というものは、いわゆる公益的な見地に立つてでなければならぬと思うわけであります。特に現在地域差によつて非常に料金の高い地域におきましては、この会社による発電計画というものはあまり考えておらないようですが、そうなりますると、今地域差の多いところがますます多くなるということになるのであつて、私は国民の税金から取上げた資金を投ずるこの会社のあり方としては、国民に対してはなはだ相済まぬわけだと思うわけです。だからその点についてはやはり大きな送電線を持つて、公平な送電計画というものがなければならぬと思うわけです。その点についてもう一応お考えを承りたいということ。  それからいわゆる譲渡あるいは貸し付ける場合の代金あるいは料金というものは、それぞれの発電箇所におけるコストに従つてきめるのか、あるいはこの会社によつて開発するところは全部プールするのか、そういう点も承りたい。
  43. 福田一

    福田(一)委員 あとの御質問からお答えいたします。そういう場合には建設のコストというものははつきり出て来るわけであります。そうすると建設のコストに利用価値といいますか、そういう面を加えましたもので譲渡したり貸し付けたりいたすことになりますことは、従来日発つくりました場合あるいはその前に発電所などを譲渡した場合の慣例があるのでありまして、この慣例に従つてやりますれば、それほど不合理はないと考えているわけであります。  なお第一点の送電幹線をつくつてこれを全国的に配分することでなければ、地域差をますます増加するのではないかということでございますが、一番地域差の高いのは九州とか、あるいは中国であります。こういう点については四国の電源開発いたしまして、これを瀬戸内海を横断する送電線をつくつて中国、九州の安い電気を起してまた豊富にいたしますならば、地域差も若干は修正することができるとわれわれは考えているのでありまして、これはコストの面から調べていただきましてもおわかり願えると思うのでありますが、このような意味で私たちはこれによつて地域差が増大するものとは考えておりません。しかしながら冒頭私が申し上げたことでございますけれども、私たち電気が足らないからまず電気をつくるという面に重点を置いてこの法案を提出いたしているのでありまして、そのつくつた電気を、今までにある発電所並びに九つ電力会社が運営しているやり方をこのまま全部うのみにして行つていいという建前で、この法案を出しているわけではございません。この点は将来大いに皆さん方とも研究をしたいと考えているのでありまして、私たちはとにかく今電気が絶対量として足りない、どういうように配分しても足りない、だから早くこれを充足するためにこの特殊会社をつくつて、全体でもつて日本電気が十分あるところまで持つて行く。こういうところをねらいとしてこの法律案を提案したような次第であります。
  44. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 電気を早くつくらなければならないという目的が第一であるから、配分計画は第二の問題であるというような御説明ですけれども、しかし私は、いかに今電気が足りないからといつて、つくることだけを考えればあとはどうでもいいという——どうでもいいとは極論されませんが、そういうような考えでは国民の税金から投資した事業としてははなはだ片手落ちで、また国民に対しましても誠意がないと考えるわけであります。そういう点から配分計画というものは明確に立てて行かなければならないというふうに思うわけですが、この点はなおあとでいろいろ承ることにいたします。  次に移りまして、安本長官に承りたいことはやはりこの問題ですが、申し上げるまでもなくいわゆる国民の血税でつくつた電力であるわけです。従つてこれは今言つたように全国民に公平に配分しなければならぬ。もちろん国の計画はございます。また自立経済達成の線に従つて、あるいはまたいろいろ国民の各階層に、やはりその必要に応じて公平に分配するということでなければならぬと思うわけですが、できたものを簡単に電力会社に譲渡してしまつたのでは、結局そういう目的が達成できないのではないか。もちろん電力会社も需要に応じて電力を売つているわけですけれども、しかし今、電力会社電力を売つているという範囲はきわめて狭いわけなんです。たとえば採算を第一にいたしますれば、消費量の比較的少い、そして設備資金の比較的多くいるというような農村はなかなか送電しないというような事実もあるわけです。それでは今言つたような国民の税金によつてつくつた電力考えますときに、はなはだ国民に対して相済まぬというようなことが考えられるわけです。そこでこうした電力は、できたものを簡単に会社に譲渡してしまつて会社がかつてにお使いなさいというのではなくして、やはり国の計画従つて農業用あるいは治山治水関係、あるいはその他いろいろ広汎な採算上不利なところでも配分するというような計画を持ち、それに従つてこの電力を使用しなければならないのではないかというように思うわけですが、その点はどういうふうにお考えになりますか。
  45. 周東英雄

    ○周東国務大臣 お話の通り、国の税金等から出る金等を投資して開発するのでありますから、その開発された電気国民の間に公平に分配して行くということは、もとよりそうなくてはならぬと思つております。しかし先ほど福田君からお答えになつたように、今どの部分に何をといつたような、具体的なはつきりした割当はできていないことは当然であります。しかし今日においても、すでに電力というものについて三千キロワツト以上どの程度持つて行くとか、あるいは全体の点燈用にはどうするというような割当基準は、すでに今日示してやつておるわけであります。おそらく完全に電気が豊富になるまでは、そういう形はどの官庁にか持たせて、割当や基準を示し、そういう方向に無理のないように持つて行くということになると私は思います。しかし私のほんとうに願うことは、割当をきちきちやかましく言わぬでも、豊富になるように電気を持たなくてはならないのであつて、先ほど福田君からたびたび説明のありましたように、戦夢前、戦争中、戦争後ほとんど開発されていない。それに対して需用が極度にふえて来ておる。やむを得ず今のような形になり、昨年の夏でありましたか、御承知のようなちよつと渇水があると停電をしたり、あるいは節約をしなくてはならぬというような形に追い込まれて来る。こういう消極的な立場においての割当よりも、そういうことがないようになるように豊富にしたいと思つております。これが今度の計画全体に当てはめて、できるだけ早く第一期第二期と計画が推進されて、豊富になることを望む、これが目的の第一であります。
  46. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 安本長官にはもう少しお待ちを願つて、もう少し福田君にお伺いいたします。これはいろいろの場合を想定して考えなければなりませんが、今は電力が非常に不足しておりますから、できたものはどこにでも消化はできるわけですが、もし余つた場合にはどうなるかというようなことも考えてみなければならない。従つて電力会社開発会社でできた電力を譲渡あるいは貸与する場合に、それはあくまで割りつけてやるのか。いわゆる強制的にやるのか。あるいは会社側の要求に応じてやるのか。これは余つた場合でなくても考えなければならぬことですが、特にそういう場合も想定いたしますと、いわゆる選択の自由があるのか、強制的にやるのかということも考えなければならない。また余つた場合に、電力会社以外の大口需用者にも売電するのか。たとえば国鉄その他大きな工場等の大品需用者にも売電するのかという点をお伺いいたします。
  47. 福田一

    福田(一)委員 この特殊法人つくりますところの電源は主として大規模電源でありまして、ダム式によつて発電所をつくることに相なつておるわけであります。そういたしますとダム式発電所の特性といたしまして、これは火力代用になるのか、これが御質問でございまするから、そこで万一電力が余つたといたしましても、現在のごとき火力料金というものと比べましたならば、このダム式発電所電力というものは非常に安いものになります。石炭が相当程度下りましても、このダム式発電所が持つ特性からいたしまして、このダム式の発電所を使用し、またこれを譲り受け、あるいは貸し付けられまして、そうして運営した方が電力会社としても得であるし、国民といたしましても、そういう場合には高い電気料金を払わないで済むことになるわけでありますからして、この点では私は万一電力が余るというようなことを御想定になりましても、日本の石炭資源が不足しておる現状から見てみますと、なるべくこれを温存するという意味合いにおいても、水をただで流さないように、大きなダム式の発電所つくりまして、そうしてただで流れておる水を金にして行く、あるいは資材にして行くという考え方が、国全体、国民全体の経済を向上する意味において非常に有効である。かように私たち考えておるわけであります。  なおこの電力をどういうふうに配分するかという問題でありますけれども、これは安本長官も今御説明になりましたけれども、現にその配分につきましては、ちやんと国のそれぞれの部局においてある程度の統制というか、割当というものを行つておるのでありまして、これは順次続いて行くわけでありますが、これをどこに割当てたらいいか、どこが買うようにしたらいいかということになりますれば、なるべくその現地の電力会社に払い下げる。     〔多武良委員長代理退席、委員長着席〕 あるいはまた貸し付けるなりする、こういうことになると思います。しかし御存じのように電力というものは、各発電所において発電せられましたものは一本の送電線に乗つて需用の末端まで参りますから、東京なら東京において電力が多くなつたということであれば、今まで中部からとつてつた電力は東京へ持つて来ないでもいいということになります。また中部の電力が豊富になりまするならば、これは北陸から持つて来ないでもいいということになりきて、順次押せ押せの形においても、この電力需給というものはある程度調節されるというか、緩和されて行くということになりまして、要は電力全体が足りるようにするということが一番大事なことで、それさえできますればその当時の一応の経済の流れに従いまして電気が流れて行くようになる、かように考えるのであります。これを想定して、今ここで配分計画をどうするかというようなことをお考え願うことは、非常に将来のことをお考え願うという意味ではけつこうなことではありますけれども、私はそういう面で、大体支障は起きないでうまく運営されて行くものである、かように考えておるわけであります。
  48. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 しかしこれだけはお考えになつておると思うのですが、そういう割当は、電力会社側の求めに応じてやるのか、大体国の計画従つて割りつけるのか、その場合に選択の自由があるのかどうかということは当然お考えになつておると思うのですが、この点はどうですか。
  49. 福田一

    福田(一)委員 私たち電力総体的に足りないと考えておるのであります。従つてその当該の発電所ができているところの会社が、当然この発電所を譲り受けたり、あるいは貸し付けてもらいたいということを申し込むと思いますので、一応電気というものは遠くへ送れば送るほどロスが多くなりますから、この原理から考えてみましても、国家的な見地からいつても現地の会社に買わせる、あるいは貸し付けるというような形に相なるのは自然だと思うのであります。またそういう意味で今度つくります大電源というものはダム式でありますから、どの現地の電力会社もそういうものはつくつておきたいという希望が多いわけでありますから、当然これを買うことになる、あるいは貸し付けてもらいたいという意思表示をされることになると考えておるわけでありまして、これはどこへは何キロ、どこへは何キロワツトわけるようにという条件をつけるべきかどうかということは、建設ができました当時における経済状態を勘案いたしまして、政府の部局において決定することによつて完全に運営ができるものと考えているわけであります。今からその配分を考えるということは非常にむずかしいのではないか、特に御承知のように季節によつてもずいぶん電気の需給などというものは違つて来るのでありまして、そのときどきの事情を見まして適当にこれを必要なところへ流すようなくふうを政府において調整して行くということで、運営ができるものだと考えているわけであります。  それからその場合にこの電力発電所をおれのところに譲つてもらいたいということが二社から申し込まれた場合においても、電気のロスという面から見れば、やはりその発電所があるところの電力会社に譲り渡すのが一番合理的ではないかと思います。
  50. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 私の言いましたのは、地元の電力会社に譲渡または貸与する場合に、かりに電力が余つた、あるいはまた会社側の建設によつていらなくなつたという場合に選択する自由があるかどうかということです。
  51. 福田一

    福田(一)委員 私たちはそういう事情を想定いたしておりませんで、どうしてもそれだけの電力が必要である。今の日本国民生活を向上させるという意味でも、また文化生活の水準を向上させて行くという意味から言いましても、今までにずつと電気国民から需用されておつた面から見ても、実を言えば四百八十億キロワツト・アワー程度では間に合わない、もつと大きく発電計画をつくらなければならなかつたのではないかということを恐れているわけでありますので、加藤さんの恐れるようなことは全然あり得ません。またあり得たとしても、選択の自由ということを言われるのでありますが、選択の自由は買うか、買わないか、あるいは貸付を断るかという問題があるだけであります。その場合におきましては、そういうような国の状態が電気を必要としないような状態になつた場合においては、これは卸売をその会社がするということになります。その場合にコストを割つてまでも卸売をするのかということをあなたがお聞きになるならば、そういう場合も想定されないわけではございません。しかしそういうようなことは私たちは想定しておらない。コストを割つてまで電気を売りなければ売れない、特殊会社のつくつた電気が売れないなどということは、全然想定しておらないことは、この電力会社つくりますところの電気というものか割合に割安であります。既定の電力会社電気料金と比較いたしましても割安でありますから、それを買うことを拒むというようなことは、当然考えられない、かように考えているわけであります。
  52. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 こういう計画がある場合には、いろいろな場合を想定して考えなければならぬと思うわけです。そういう場合は想定しないということで、起り得る問題を考えないということは、私ははなはだ不用意ではないかと思うわけです。しかしこの点は押問答になりまするから、次の問題に移りまするが、今までの御説明によつても、あるいはこの説明書によつても、三十五、六年ですかで、この会社の使命が終るわけですが、そうすると大体この会社の寿命は十年ぐらいと見られるわけですが、それでこの会社は解散するのか——大体するというような御説明があつたように思いますが、そういうふうではこの会社によい技術者や従業員が集まつて来ないのではないかということも考えられます。かりに今はいい技術者も外地から引揚げて来た人等が余つてつて来るといたしましても、だんだんとほかにかわつて行くというようなことで、いい従業員が得られないという結果になるのではないかと思います。それからまたできたものもそのまま他に譲渡してしまうということになりますると、工事をやるについてもはなはだ無責任になりはしないかということも考えられるわけです。無責任な工事をやつた結果、将来に災いを及ぼすというようなことも考えられるわけですが、その点はどういうようにお考えになりますか。
  53. 福田一

    福田(一)委員 技術者が特殊会社性格から見て集まらないのではないかというような御質問でありますが、実は今は人が非常に余つてつて仕事がない状態でありまして、非常に困つておる。しかも外地から引揚げた人たちも相当おりますし、会社をつくつて必要とする人員が得られないとは、現在の状態から見て私たち考えておらないのでありまして、十分有能な技術者を集め得ると考えておるわけであります。なおそういうものが集まつたとしても、その後よそへ行つてしまいはしないか、こういう御心配のようでありますけれども、私は、一応集まられた人がよそへ行くといえば電力会社に行くということになるのではないか。ところが電力会社は実は今あまり人をふやさない、また将来もあまりふやしてもらいたくないという建前である。また株主その他の面から見ましても、電力会社がそう新しい人を入れるということはないだろうと思う。株主総会あたりでも問題になります。また電産自体が持つておる性格から見て、そう人をふやす、技術者をどんどん入れるということはあり得ないと思います。これは加藤さんがよくおわかりであろうと思うのでありまして、そういう意味合いで、人が減つてそれの補充ができない、従つてこの会社がうまく運営されないというようなことはあり得ないと考えておるわけであります。なお発電所つくりました場合において、その発電所に帰属しておる、その工事に関係しておる職員の一部は、譲渡もしくは貸付をするというような場合におきましては、発電所とともに動かなければならない面の人が相当あるのでありますから、そこで今後十年くらいたつて、思うような建設ができたという場合においては、この会社としては譲渡あるいはまた貸付ができますれば、清算法人の段階に入るかもしれませんけれども、その場合においても、そうたくさんの失業者ができるなどというようなことも考えておらないわけであります。  それから工事が無責任になりはしないかということでありますが、これは会社首脳部並びに会社関係した人たち考え、運営のいかんによる問題でありまして、特殊法人をつくつたからそうなるというわけではないだろうと私は思う。特殊法人をつくつて電気をつくるということになつた場合に、無責任な工事をしようなどというようなことを考える首脳部もおらないし、またそういうような日本人は私はおらないと思う。またそれがあつたとした場合におきましては、なお監督官庁というものがありまして、常に工事の状況その他をよく見守つておるわけであります。現在においては公益事業委員会また通産省の資源庁その他でそういうことのないように十分監督をいたしておるわけでありますから、そういうような無責任なる仕事をして、いわゆる食い逃げをする、こういうようなことは私は考えておりません。
  54. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 質問が多いのでどんどん先へ進みますが、次に、提案者の御答弁によりますると、従業員は大体多いときで三百人ぐらいになるというようなお話であつた承知しますが、これだけの大きな計画に対しては少し少な過ぎはしないかということを考えるわけです。只見川その他七箇所、しかもそれが相当大規模発電所開発ですから相当の人員がいると考えられるわけですか、その点から割出して、三百人は少な過ぎはしないかということが考えられます。そういう点から私が想像いたしまするに、これは、仕事は大体ほかでやらせる。たとえば設計や調査は審議会にやらせる、あるいは工事は全部請負人にやらせて、会社はただ金を貸すだけだ、こういうような考えではないか。すなわち新聞に出ておりました白洲構想というようなものに大体一致するのではないかというふうに考えますが、その点はどうですか、
  55. 福田一

    福田(一)委員 この会社は自己の責任において工事をいたすということを建前にいたしておりまして、いわゆる金融会社的な性格になるということは私たち考えておりません。その場合におきましてどれくらいの人数を必要とするかということでありますが、私は、既設の電力会社の人たちでもしこの新しい電力会社に協力してもらえる人があつたならば、なるべくこういう人たちにも協力してもらうような形におきまして、この会社の総掛費といいますか、経費といいますか、これを極力少くいたしまして、国民の税金によつてつくるところの発電所でありますから、なるべく安く、むだがないようにしてつくる、こういうやり方をとるべきだと考えておるわけであります。私が先般の委員会で申し上げました数字は一応の想定を申したのでありまして、これは首脳部になられた人のお考えによりまして、あるいはまたそのときにほかの電力会社がどれくらい協力するかということによりまして、よほど異動が起きて来るものだろうと考えておるわけであります。
  56. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 次に安本長官に少し資金の画でお尋ねしますが、二十七年度の産業資金計画は大体どれほどになつておりますか。運転資金設備資金にわけて、おわかりでしたらひとつ……。
  57. 周東英雄

    ○周東国務大臣 詳しいことは政府委員の方から説明いたさせます。
  58. 佐々木義武

    ○佐々木(義)政府委員 お答え申し上げます。二十七年度でありますが、設備資金は四千四百五十億、運転資金の方は五千四百一億という計画になつております。
  59. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 こまかい点は承らないのでわかりませんが、設備資金が四千四百五十億ということになりますと、昨年度よりも——大体昨年度は三千億だつたと思います。少し切れておつたようですが、そうするとことしは設備資金が千四百五十億ふえておるわけです。これはいろいろ物価の騰貴というような点もあろうと思いまするが、この四千四百五十億という設備資金の中で、本年度の電力関係設備資金が大体千三百三十七億かになるわけですが、こういう相当大きな金額を電力関係にとられるということになりますると、相当他の産業に影響しはしないかというふうに考えるわけですが、その点はどうですか。
  60. 周東英雄

    ○周東国務大臣 この点はどなたも一応御心配になる点で、私もごもつともだと思います。しかし政府計画としては、何としても産業の合理化に関する基本産業である電力増加されなければ、他の産業の伸びようがないのでありますから、そういう点を考えれば、極端にいえば、多少の影響はあつてもまず重点的に電気とか石炭とか、鉄とかいう問題に対しては資金を向けて行くべきではないか。そういたしませんとあつちもさしつかえがある、こつちもさしつかえがあるというので、八方美人にやれば、結局帯に短かし、たすきに長しというのが普通の言葉ですが、たすきにも帯にも短かくて仕事ができないことになる、こういう考え方で重点を置いております。しかし今の考え方では、来年度あたりの資金計画としては電力に千二百億前後来ましても、その他の方に影響なく行けるのではなかろうかとは考えておりますが、しかし心持としてはむしろ他に多少の影響はあつてもまずこれをやる。電力ができれば当然それによつて他の産業は伸び得るのでありますから、その点は初めから考えて行く方がよいのではないかと考えております。
  61. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 特に財政資金から特殊会社だけでも百十億というものが出されるので、これだけは確かに膨脹するわけですが、そうなりますとやはり予算の面においてもいろいろ無理奮て来るのではないかと思うのです。どういう点で削られておるか、他の面におしては少しも削らないでこういうものが出て来るのかどうかという点を伺いたい。
  62. 周東英雄

    ○周東国務大臣 財政資金の面についてはおそらく予算審議のときに十分加藤さんも御研究になつたと思いますが、大体五十億を財政資金から電力会社の出資に充てるべく、開発銀行を通じて出しております。あとの六十億は貯蓄債券の形で出して、それを持つて行くという意味で、これくらいの程度のものについては予算の執行上他の面を押えねば行けぬというかつこうではないようであります。
  63. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 「電源開発計画の構想、」これは大体安本でおつくりなつたようですが、この中にもインフレの誘発という言葉をしばしば使つて、それを押えるためには、重点的に緊急産業部門以外は抑制しなければならないということを言つておられます。そういたしますとやはり通貨の面においても相当な影響を来すので、特にいつもこういう場合にインフレ抑制のために犠牲になるところの中小企業に対する金融の面において、相当抑制されて来はしないかという点を考えるわけですが、その点どういうふうにお考えになりますか、一応伺います。
  64. 周東英雄

    ○周東国務大臣 ごもつともでありますが、百十億程度のものを電力にまわしましても、金融上中小企業を特に圧迫するようなことはないと思います。ただいま数字の適確なものを持つて来ておりませんので、後ほど出してもよろしいと思いますが、二十七年度の中小企業方面への金の計画につきましても、たとえば見返り資金等におきましても、まだ相当額中小企業金融へ出せることになつております。それはたしか三十二億ほどであります。しかもこれは二十六年度においての残りも実はあるわけでありまして、それを合せますとまだ相当に出ます。しかしその他に中小企業金融とは異なりますが、農林中央金庫を通じて二百億円近くの金もある。また国民金融公庫に対して三十億出資を増加いたしますのも、すべて中小企業の方にまわる金であります。もとよりその中には設備資金等が多いのでありますから、望むらくは少し運転資金がほしいという考え方はあるようであります。しかし中小企業金融画への貸付について、電源開発へ百十億円程度まわつても、それが非常に圧迫になるものとは考えておりません。また私どもとしては、中小企業に対しての金融の処置に関して、政府資金あるいは資金運用部資金の運用を十分考えて並行的に行きたい。またそういう考えから、今申し上げた一、二の例でわかりますように、金のことを考えておる次第であります。
  65. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 中小企業にまわす金が余つておるとおつしやるのは、おそらく見返り資金の二十億何ぼではないかと思いますが、それは実際は中小企業としては、借りたくても銀行が協力しないために借りられない金ですから、そういうことを一つの例にとつて金が余りでおるというふうにはお考えにならないようにしていただきたいと思います。  それから次に外資の導入の問題について考えてみたいと思います。一体提案者としては、先ほど来外資の点についても相当入れたいというようなお考えでしたが、大体外資が入つて来るという想定のもとにこういうことをお考えなつたのか、あるいは入れば入つたでけつこうだ、入らなくてもこれはやつて行く、外資が入らなくてもこの既定計画は遂行できるというふうにお考えなつたかどうか承りたい。
  66. 周東英雄

    ○周東国務大臣 お尋ねごもつともでありますが、外資を借りるということは相手方のあることであります。従つて初めからまだきまらぬ未確定の資金の導入を考え計画を立てるということは愚な話で、これは加藤さんもおわかりだと思います。本格的にやり始めて外資が入らぬということでは困るのであります。先ほど来たびたび私たちが申しますように、電気日本産業復興のためにも国民生活の安定のためにもふやさなければならぬ。これは絶対的に不足なのであります。戦争中あるいは戦後において電源開発が少しも行われなかつたというぐらいにふえておらぬ状態で、それに対する需用が多くて、これはどうしてもやらなければならぬのであります。そういうものを開発する計画を立てるときに、人のふんどしを当てにして計画を立てるようなことは政府はいたしませんし、また自由党も当然それはしていないと思います。その意味において先ほど私は極端な場合、多少他の方に影響があつてもこれはやらなければならぬと申した点もそこにあるわけであります。しかし今日の日本の産業経済の状況から見まして、苦しいことは苦しいだろうと思いますので、外資についてあの手この手でできるだけの努力をいたしておりますことは事実でございます。それが入りますれば他の産業にもうんとゆとりを持つことができるわけであります。それはわれわれも願つておるところであります。
  67. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 私の聞くところによりますれば、一昨年の十二月でしたか、アメリカから日本電源開発についてのいろいろな問合せがあつたことから、いわゆる援助資金が来るのではないかという想定のもとにこういう計画が立てられておるということであります。こういう一社案の構想を立てた理由について今までいろいろお述べになりましたけれども、やはりいろいろなそうした問題から想像いたしまして、あるいはまた巷間いろいろと伝えているところを総合いたしますれば、やはりこういう形でなければ外資が入らないというふうに考えて立案されたものであると考えられるわけですが、その点は提案者福田君のお考えをひとつつてみたいと思います。
  68. 福田一

    福田(一)委員 ただいま安本長官から答えられましたように、われわれといたしましては外資が入らない場合におきましても、電源開発はどうしても必要である、日本の産業並びに国民生活等を考慮いたしまして、電源開発しなければならないという建前でございますからして、そこで政府とも十分その面では打合せもし、調査もいたしたのでありますが、この意味における財源は確保できるという建前において、この法律案を出したわけであります。従つて質問のように外資が入るということを予定いたしまして、この法案を出したわけではございません。しかしながら先ほど安本長官も言われた通り、基本といたしましては産業の復興をはかり、その他の面から考えてみまして外資が入る方がいいと考えておりますので、もし外資が入つて来ればけつこうだとは思つておりますけれども、しかし入らないからとの計画を放棄するというような考えは毛頭持つておらないわけであります。
  69. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 安本長官はお急ぎのようですから、安本長官の質問だけを早く済ませますが、外資の問題についてわれわれが考えられることは、今まで日本の産業の資金の中で、特に設備資金の面においては見返り資金というものが相当大きな役割を果して来たわけであります。見返り資金はおそらく本年度ではわずかになり、この計画を見ましても来年度に多少残る程度ですが、この見返り資金がなくなつた場合に外資は全然入つて来なくても、設備資金が十分まかない得る状態になつておるとは考えられません。その点安本長官は具体的な数字で御説明を願いたいと思うのです。そうこまかい説明でなくてもよろしいけれども日本の産業がいわゆる見返り資金が入らなくなつても、外資の助けを借りなくても十分まかない得るという根拠を御説明願いたいと思います。
  70. 周東英雄

    ○周東国務大臣 ごもつともなお尋ねです。見返り資金の問題でありますが、お話のようにだんだん減つてはおりますが、将来もまだ回収資金というものがあるわけであります。二十七年度におきましては三百億はその方へ持つて行く、これに加えて政府の金融債引受けの方面で二百億、それから財政資金及び貯蓄債券の引受け、合せて百十億円、まあ六百十億円の政府関係資金が出るわけであります。もちろん見返り資金がなくなればそこにきゆうくつさの出ることは当然でありますが、一方、追つかけごつこで関連はありますが、日本の産業もとにかく徐々には伸びて行つております。その関係において国民所得等の増加も年々あるわけであります。従つて資金運用部の資金の面も相当にふえて参るわけであります。また民間における資本蓄積の方面から見る資金関係も決して減るわけじやない。これは年々ふえております。その点は来年における産業計画資金として約一兆近くのものを見ておりまして、しかもその内容を分析してみますと、かなり自己資本というものがふえており、社債、株式というようなものがふえておる現状であります。この趨勢は今後なお続き得るのではないか、しかも電源開発に関する資金計画は三十年度までですが、来年は千三百億ぐらい、その次は八百余億、その次が五百億ぐらいになつておりますので、私はその程度のものならば極端に言つて外資関係がなくてもやれ得るのではなかろうか、またやらなければならぬ、こういう立場にある。だから誤解のないように申し上げたいのは、それはある場合においては他の産業に影響を及ぼす場合があると思う。それで私は一番初めにそれを申し上げておる。そういうあこぎ攻めにならぬようにという用心じやないのですけれども日本の立場としては今日身を切つてもやるという気魄がなければ電源開発はできない。これをやつて初めて他の産業は伸びるから、その心がけで計画を立てつつ、やはり影響があるのを避けるためには外資をお願いして行くことが一番よろしい。しかもその場合における外資なるものは必ずしも金でなくて、物がほしいということです。これはインフレの防遏のためにそうなくてはならぬ思う。いろいろ加藤さんからまたあとで話が出るかもしれませんが、今資金の面についてお尋ねでしたが、ほんとうをいえば資材の面について問題がある。これについても電源開発というものをまず第一に見る以上は、セメントでも鉄でも鋼材でもまず優先的に考えて行くという腹でなければ、こういう大きな仕事はできないという立場に立つております。しかも、もし外資が仰げなければやめるということでは困るので、その最小限度においてやり得る計画を立てつつ、他の産業にも影響を及ぼさず、インフレも起きぬようにして、並行的に何とかして外資を仰ぎたい、こういう努力は続けているということを申し上げておきます。それが入つて来るならば、先ほど福田君も申しましたように、もつとスムーズに、もつと早く行けるのではなかろうかという考えは持つております。万一それがうまく行かない場合においてもやり得るという最小限度の案は立てて進んでいるということを申し上げておきます。
  71. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 周東長官の説明は抽象的ですから、私は日本の企業の資本蓄積という面において、それがあまりふえていないというようなところから非常な不安が起つて来るという点をもう少しお聞きしたいのですが、御用がおありだそうですから、もう一、二点だけ簡単にお尋ねいたします。外資が入つて来るということは、これはもう私が申し上げるまでもなく、こういう企業に対して入る外資の形というものは援助資金以外にないと思うのです。従つてその援助資金が入つて来るということが一体期待できるかどうかという問題ですが、この点は過日のマーカツト声明においても、日本は現在援助資金を必要とする状態ではないというふうに明確に言つております。従つて援助資金を受けなければならない状態になつたときが外資が入つて来るときだ、こういうふうにも考えられるわけです。このマーカツト声明というものは今日の状態において出されたものであつて、将来いつまでもこれが原則となるということも考えられませんけれども、しかしながら私は日本の自立経済が達成せられる過程において、援助資金というものはよほどの状態でなければ入つて来ないと思いますが、その点はどういうふうにお思いになりますか。
  72. 周東英雄

    ○周東国務大臣 その援助資金という意味がよくわかりませんが、従来のガリオア的な資金政府から持ち込まれる見込みがあるかどうかということについては、私は今答弁の自由を持ちません。しかしこの間通産大臣がマーカツトさんに会われたときにも話し、その後私行つてあの話はどういう意味かと言つて尋ねたのは、例の国際通貨基金等に入りました後において向うの輸出入銀行か開発銀行か、そういう方面から借款でもやるとすれば、まず電気が先であろうと総裁が言つたと新聞に出たのであります。それについで通産大臣が、そういう点については多少の疑問があるのではなかろうかという話をされたのが新聞に載つております。そういう意味において、これは確実であるかどうかは別として、アメリカの開発銀行総裁の話をされているところを見て、やはりこれは日本電源開発について、かなり真剣にいろいろなことが調査されていることの一つの証左ではないかと私は思う。従つて加藤さんのお話のように援助資金と申しますか、政府資金と申しますか、そういうものの形で来るのか、あるいは民間資金の形で来るのかは別として、何か日本外資が入つて来るということがあれば、私は電源開発がもつと他に影響なく進めることができる、そういうことを希望いたしております。しかしこれは答弁にならぬと思います。政府資金が来るか来ぬか、見込みがあるかないかというあなたのお尋ねでありますが、これに対して、私は今何とも申し上げることはできません。
  73. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 この会社計画では、いわゆる企業性がないと私は考えます。そういう企業性のないものに外資が入ることは、援助資金以外にはないということを申し上げたのであります。開発銀行等がこういう企業性のないものに貸すかどうかという問題ですが、今の長官のお話だと、開発銀行も貸すかもしれないということです。しかし私はこういういわゆる企業性のない企業に対して、開発銀行等が貸すことはあり得ないと思う。開発銀行も一種の援助資金の種類に入るかもしれませんが、その点はどうですか。どういう形の企業に対してアメリカが金を貸すか。政府の直接軍事援助以外にアメリカが金を貸す場合には、民間融資あるいは開発銀行等の融資の場合どういう形のものに貸すか。受入れ態勢とでも申しますが、そういう点について簡単に願います。
  74. 周東英雄

    ○周東国務大臣 それはまだ具体的になつておりません。どういう形になるかはつきり申し上げることはできませんが、今申し上げたのは、向うの開発銀行の総裁でしよう、それが日本に対する外資導入というような問題が研究されるとすれば、一番最初は電源開発資金であろうということを向うの新聞に載せておられるわけです。だからこういうことが実際問題になつておるであろうということを私は申し上げた。それに対して通産大臣がマーカット氏に会つたとき、この裏づけであれが研究されておるとすれば、あるいはそういうこともあるかもしれない、そういうことを言われたのが日本の新聞にも載つている。だから今私がその例を引いたのは、政府資金でなければならぬとか、あるいは民間資金は来ないというふうな断定を一概に日本からするのは早いと思う。日本の条件がそろつて日本の受入れ態勢さえしつかりすれば、何もこの会社だからといつて、来ないことはないではないか。それは金利とかあるいは保証とかいう問題がいろいろあると思いますが、それは具体的な問題であります。直接にそういうものが貸すか、あるいは日本の特殊銀行を通じて貸すか、それは今後具体的になつたときに、初めて取上げられるべきものであろうと思う。だからあまり日本の方から、こういう民間は入らないであろうとか、これはこうであろうとかいうことを言うのは少し早過ぎはしないか、こういうことを申し上げるのであります。
  75. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 もちろん私は外資を入れる場合に、こういう所で公々然と論議してやることでなくして、政府が最善を尽してやられることが一番いいと思うわけであります。しかし受入れ態勢なくして外資が入るというようなお考えではないか。この法律考えから見ますと、そういうことが考えられるのでお伺いしたわけです。それでは時間をお急ぎのようですから、最後に一点資材の問題についてお伺いして、放免することにします。  そこで先ほど周東長官がおつしやつた資材の問題です。大体この資料でわかりまするが、これは日本のこれらの資材の需要から考えて、相当のパーセンテージを占めるものだと思うわけです。しかしまかない得ない数量ではないと思いますが、これを国内資材にのみ求めまするときには、やはりいろいろ物価騰貴を来すという心配もあるわけです。それで大体どのくらい輸入するというような考えですか、その点を承りたい。まず輸入する場合はどこの国かということを承りたい。
  76. 周東英雄

    ○周東国務大臣 もしこまかいことになりましたら、政府委員がおりますからその方からお答えしますが、大きく見まして、必要な鋼材、セメント、銅線あるいは機械というような問題になります。これらについては、ただいまのところ、外から輸入しなければ日本で間に合わぬというようなものはないようであります。鋼材、セメントについては、今後の増産計画とにらみ合せてみまして、そうえらく、この方に取上げられる数量の影響が及ぼされるものとは考えられないようであります。ただ銅線等については、かなりきゆうくつでありましよう。こういう関係からそのきゆうくつな銅線については、多少今後の増産ということについて特殊な努力をしなければ、かなり困難な事情があるようであります。機械については、日本のメーカーの生産によつて、そう間に合わぬということはないように思います。
  77. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 資材の点についてはなおこまかいことがございますけれども、お急ぎのようですから、また別の機会に伺うことにします。  それではもう少し提案者に承つて、それから公益事業委員会からお見えになつたようですから、松永さんに承ることにします。さきに話を途中で他に移しましたので話が前にもどることになりますが、私はこの説明を見ましても、大体特殊会社資金政府がまかなうのであつて、一部は電力会社が負担することになるかもしれないというふうな御説明であつたと思いますが、その点はどういうふうですか。出資は、政府の半額出資のほかは、どこに求めるかという点です。
  78. 福田一

    福田(一)委員 大部分は政府出資と考えておるわけでありまして、一部分公共団体とかあるいは電力会社等から、あるいは個人からの出資があり得ることを想定いたしておりますけれども、大部分は政府の出資によつてやるという考え方であります。
  79. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 もう一つ承りたいことは、この全体の開発計画から見まして、特殊会社に投ずる資金というものはわずかなわけですが、結局一箇年二百億足らずだというふうに思います。この金をわざわざ特殊会社に投じてやるという考えについては、いろいろ御説明になりましたが、私どもはこの程度の金でしたならば、一般私企業からこういう一部の開発だけをわけて、そうして政府の金を投ずるというようなことでなく、思い切つてこれを一つの統一された会社にして、電力会社一つにしてしまつて開発するというならばわかるわけですが、こういうふうに一部のものだけを切り離してやるという、それがしかも全体の計画から見ればわずかであるというようなことでありますれば、これはむしろ電力会社に何らかの形で融資してやつた方が、かえつて能率的ではないかとすら思うわけです。無理して開発しなければならぬということも考えられないわけで、昨日も東電の社長は、利息は出しても金さえあればいいというふうなことを言つておりました。私は何もそれに賛成するわけではありませんけれども、しかしこういう中途半端な考えでやるよりも、現在やりかかつておるものに、ある程度の力を貸した方がよくはないかということを考えることは、先ほども申し上げた通りです。そういうところから巷間いろいろな想像が生れて来るわけで、結局会社の首脳部も政府が選ぶのであつて、政党の食い物になりはしないかといううわさすら飛んでおるわけです。そういう点について提案者としてはそうではないということを明確に答え得るところの資料というものがなければならない。先ほど来いろいろ御答弁になりました、また他の質問者にも御答弁になりました。しかしあれだけではまだ実際に提案者がこういうものをことさらつくつた理由というものが天下に明確にはならないというふうに思うわけですが、その点もう一応お答え願いたい。
  80. 福田一

    福田(一)委員 その点につきましては、今までしばしばお答えをいたしておりますので、それで御了承願えるものと思うのでありますが、再三の御質問がございますから申し上げますならば、大きな電源で数府県にまたがるようなものでありますと、これは電源開発という見地からだけではなく、総合開発として治山治水あるいは灌漑あるいは天然記念物の関係でありますとか、その他いろいろ法律上の関係が多いのもあるのでありまして、一つ電力会社に金を貸しただけでこういうように大きな電源が順調に開発されると私たち考えておらないのであります。またそれが国のためにもなると考えておらないのであります。こういう規模のものはやはり一つ特殊法人つくりまして、政府において調整審議会のごときものを設けて、この地点だけはこういうものにやらしたらよいというものは、この審議会においてそういう面も調整いたしまして、そうして早く電源開発させるようにするがよいと考えたわけであります。もう一つは、これは考え方の相違になるかもしれませんけれども、私たち既存電力会社に対するよりも、ここで新しい電源開発会社を起した方が、外資の導入が容易ではないだろうか、こういう考え方を持つておるわけであります。こういう面からして、電力会社の方から言わせますと、金さへあれば何でもできると言われますけれども、金だけがありましても、両県にまたがるような問題で両県当局がけんかをしておるというような場合に、国家としてこれに相当な調整権を発動しなければ、そういう問題はなかなかきまらないと思うのであります。今の九電力会社ではそういう問題をきめるのはちよつとむずかしい。そうすると早く電源開発するということが遅れてしまいますから、こういうふうな特殊法人をつくつて電源開発を急いだ方がよいと私たち考えておるわけであります。またほかの九つ電力会社がいたします面は、何度も御説明をいたしましたけれども、今までにすでに百六十万キロ着手しておりまして、残りまだ八十万キロ以上はこの四箇年間くらいに着手してやつてもらうということになつておるのであります。こういう面においては資金の面においても、あるいは政府資金を出すというような問題もありますが、実は自己資金をつくるという面も相当考慮して大いに協力をしてあげなければいけない、かように考えておるのであります。電力の料金の面等もございますけれども、こういう面もあわせ勘案して、電気料金の問題等も一応考えてみる必要がある、こういうふうに私たち考えておるわけであります。
  81. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 福田君のおつしやる点にときどき矛盾があるようですが、福田君は先ほど電力会社といえどもいわゆる営利会社であるけれども、公益事業であるから公益的な見地に立つて事業を遂行するであろうとおつしやいました。そういう点から考えますならば、私は総合開発をする場合に、この計画の中に、公共事業関係の支出ということがありまして、やはりそういう点から総合的に政府で出すべきものは出すというようなことで総合開発がやれないことはないというふうに思うわけです。そういう点で福田君のおつしやることはどうもときに自分の都合のいいようにおつしやるのではないかというふうに思われるわけですが、そういうことはできないのかどうか。その点は建設省からも来ておられると思いますが、一応承りたいと思います。  そこでもう一つこの際福田君に承つておきたいことは、この特殊会社の首脳部を政府が任命するわけですが、その人選が非常にむずかしい。私は松永さんもおいでになつておりますからあとで承りたいと思いますが、九電力会社をつくつたときに重役の任命が行われた。それがはたして電力の専門家ばかりであつたかと申しますと、どうもそうでないような感じを持つ人があるのでございます。たとえばせんだつて白洲氏をこの委員会に参考人として呼んでいろいろ聞いてみましたが、電力のことは少しも知らないというような答弁でした。委員会をばかにしておつしやつたのかもしれませんけれども、しかし過去の日発の状態と今日の状態の比較もできなければ、現在自分が会長をしておる東北電力会社の状況についてもほとんど御答弁なさらなかつた。これは正直に解釈しまするならば、白洲氏が電力についての専門家でない、専門的な知識に欠けておるというふうに考えられる。白洲氏が今日財界の裏面においていろいろな動きをしておられるというようなことを新聞でしばしば見るのですが、白洲氏の特色がそういうところにある。裏面の意見工作というものに天才的な手腕を持つておられる人であるということで会長に選任されたといたしまするならば、これは重大な問題です。政府特殊会社の首脳部を任命いたしまする場合に、しばしばそういう適材でない人が選ばれる場合があるということを考えるのですが、その点については福田君は決してそういうことが起らないというふうに断言されるかどうか、承りたい。
  82. 福田一

    福田(一)委員 まず第一点の質問でございますが、電力会社というものは公益事業である。公益事業であれば何をやつてもいいじやないか、やれないのはおかしい、私の言つておるところに矛盾があるというような御質問でございますが、しかし公益事業といつてもずいぶん質も幅もあるものでありまして、たとえば県とか市町村とかいうようなものも一つ事業体として公共性を持つたものであります。しかし県だから何でもできる。国でできることなら県でできないことはないじやないか、あるいは市でできないことはないじやないかというようなお考えでありますならば、これは少し矛盾が起きはしないかと思いまして、公益事業であるから何でもできる、こういうふうには私は急に結論は向いて行かないだろうと考えるのであります。  なおまた人選の問題でございますが、お説のように、この人選は非常に大事でありますから、もちろんこれにつきましては設立委員会等が設けられまして、慎重に手続が進められると存ずるのであります。しかしそれだからといつてあなたのお考えのように、でたらめな人選が行われるという意味ではないのでありまして、この点はあなたのお考えは十分政府の方に対しましても申達いたしまして、りつぱな人材が登用されまして、この電力会社がうまく運営できるように、その点とくと注意をすることを申し伝えることにいたします。
  83. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 私が言いますのは、福田君の筆法によれば、政府との共同において総合開発が公益事業であるがゆえにできないことはない、こういうふうに結論がなつて来るのではないか。そこでいわゆる治山治水というような面においても、やはり政府電力会社との協力によつてできないことはない、そういうふうに私は結論を出したわけです。その点について今少し極端だとおつしやいましたが、あなたの筆法をもつてすれば、そういうふうになると思うわけです。  それから松永委員長代理がおいでになりましたから、少し松永さんに質問をいたしてみたいと思いまするが、まず第一に、この自由党の案によります方法について、松永さんの意見は賛成であるか、賛成でないか、並びにその理由というようなことについて承りたいと思うのです。
  84. 松永安左エ門

    ○松永政府委員 今の御質問は、自由党の案に対して——案というのは多分電源開発法案という意味であろうと思います。それに対して松永はどう思うかという御質問であつたと思いますが、正直に申し上げますと、公益事業委員会はまだ正式にその案なるものを受取つておらないようであります。私旅行しましたので、あるいは留守に来ておつたかと思つて、今松田事務総長にお尋ねいたしましたが、まだ来ておらぬようであります。私は旅行から帰つて来たばかりで、まだ自由党案そのものがどういう内容、どういう状態にあるかということは詳しく存じませんので、そのものに対しての賛否を理由づけて申し上げるまでにはなつておりません。いずれ自由党案を拝見し、あるいは自由党の皆さんの御意見を伺つた上で、また私の意見なりあるいは委員会の意見なりをはつきり申し上げることができると思います。そのほかについて御質問があれば、御遠慮なくお尋ねくだされば、何なりとも申し上げます。
  85. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 松永さんとしても言いにくい点もあるかもしれませんが、三月二十五日に自由党のこの提案者にあなたは会つておいでになるということを新聞の記事で見ました。まさかまつたく会つておいでになつておらないのに、新聞にそういう記事が出るとも思われません。それは水田政調会長と神田代議士とがあなたに会われたという記事ですが、そのときにあなたはこの自由党案に反対して、公益事業委員会としては、独自の構想に従つて電源開発を促進して行くというふうにおつしやつたと新聞記事で見ましたが、その間の事情について隠さずおつしやつていただけないか。
  86. 松永安左エ門

    ○松永政府委員 日にちは多分おつしやつた日にちであろうかと思います。公益委に水田新政調会長と櫛田代議士とお二人でおたずねになりました。委員長はたしか不在でありました。私が一人お目にかかりました。その事情は別に秘密にすることもなければ、隠し立てすることも何もありません。ありませんけれどもお話のようにあるいは新聞のようなことであつたかどうかということは申し上げかねますが、御両人から、こういうふうになつたことはお聞きの通りであろうと思う、ひとつ了解を得ておきたいという話がありましたから、きようは委員長もお留守であるし、また私ども委員会の意見というものはすでに内外に向つてはつきり申し上げておる、いまさら私があなた方お二人にさようなことを申したところが、いわばやぼな話である。お聞きであれば、意見を申し上げたいけれども、今日は申し上げぬ方がよかろうと言うて、ともかく自分たちはあいさつに来たのだというようなお話があつてお帰りになつたと記憶します。いろいろ雑談はあつたかと思いますけれども、本案に関する基本的な意見の交換はせなかつたように記憶いたします。あるいは記憶違いがありましたらまた訂正いたしますが、さように記憶いたしております。これが全部でございます。
  87. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 それでは水田、神田両氏が訪問せられたときには、自由党案の構想については何らお話にならなかつた、松永さんはそれを聞かれなかつたということに解してよろしゆうございますか。  そこで公益事業委員会の案というものは私大体非公式に承つております。これがあるいは今公益事業委員会としてまとまつた案であるかどうか知りませんが、いわゆる松永さんの独自な構想で行くというのはその案ではないかと思われますけれども、もし今自由党案が国会において通過いたしますと、結局この案が実行されることになります。自由党案の内容は何ら知らないとおつしやつておりますけれども、松永さんは電力界の権威者であり、また公益事業委員会委員長代理でありますれば、関心を持つて新聞の記事等は見ておいでになると思いますが、松永さんはあくまで公益事業委員会案を主張して、その実現をはかられる御意思ですかどうですか。自由党案が通つた場合にいろいろな摩擦が起つて参りますし、いろいろ問題が起つて来るわけですが、一応あなたの御決意としてはあくまでそれで行くという考えですか。
  88. 松永安左エ門

    ○松永政府委員 あるいは加藤さんの御質問意味を聞き違えて御返事するかもしれませんが、その際にはどうぞもう一ぺん質問はそうでなかつたというふうにお教えを願いたいと思いますが、私のただいま承つたところでは自由党案が国会で通つた場合はお前はどう思うかという御質問であつたと了解しまして、これに基いて一応御返事を申します。  私は現在の日本の憲法のもとに、国会が日本の主権者であり、ことに立法において最大の権威であり、動かすべからざるものであることをよく存じております。不肖松永安左エ門国民の一人であります。国会の決議を尊重し、ある意味において御助力ができるならば御助力もするということは国民の当然の義務であります。これは一般論としても間違いなく、部分論としても自分は常に国会の御意見を尊重する精神は、すなわち国法を守るという意味において何ら違反はありません。ただ電気開発がその案であればいいのか悪いのかということはこれは別の議論でありますけれども、ただいまの御質問は、国会を通過した場合はお前はどう思うかという御意見でありましたことに対して、国会の決議を尊重し、国民の一員としてこれを守り、これを助けるということは、私個人としても当然の義務と心得ておりますから、それだけははつきり申し上げておきます。
  89. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 松永さんはこの自由党の案が国会で通つた場合は、これに協力するとはつきりおつしやいましたが、電力会社が松永さんのように虚心坦懐に国会において通つたときには協力するという態度に出るかどうかということをはなはだ疑問に思うものです。昨日の公聴会においても、東電社長ははつきり全国一社案には反対するとおつしやいましたが、私ども聞くところによると、全国一社案に対して各電力会社は反対であるという意思表示をしておられるようであります。その場合にこれが通つたからといつて虚心坦懐、あらゆる面において電力会社が協力されるかどうかということをわれわれは疑問に思うわけです。その点は松永さんはどういうふうに思われますか。
  90. 松永安左エ門

    ○松永政府委員 その点についてははなはだ心配しております。と申しますのは現在の段階において電力開発は非常に必要であります。しかも資材も不足し、資金も不足し、組織もようやく昨年の五月各会社ができたばかりで、すべて組織等も十分整わぬ際に、各社がこの困難な事業と取組んでおります。しかも最近つくります電力のごとき非常に高い電力であります。これを売りこなすについても各社は相当苦心しておると思います。しかし事公益事業に関し、ことに独占を国家から許され、自己の責任において計算をとり、自己の責任において電源開発する義務も負うております。電源開発と相当なサービスを積んで行くというこの二つのことは、電気事業会において明確に定めてありまして、各社は創立当時よりその義務を担当しております。でありますからこの義務を遂行するために容易ならぬ苦心をしていることは想像するに余りあるのでありますけれども、幸いに各社とも調子がつきまして、昨年五月から、国民にあるいは無理なと申してよろしいかもわかりませんが、値上げもお願いし、政府からも多大な見返り資金そのほかもお借りし、また電源調査についても、公益事業委員会を通じて多大の調査費用を交付しました。各社はこの電源開発を必要なりとし、また自分の独立採算を遂行するためには、やはり電源開発をまつにあらずんばどうにもならぬという合理的かつ論理的結論に達し、ようやくその意欲を発揮しつつあるときであるのであります。いわば仕事が板につきかかつたときであります。この板につきかかつたときに再編成当時の心持と自分たちは違つたと思うようなことが法律できまり、あるいは自分の方で金をつくらぬでも政府の方は自由に政府の金でつくつて、それに楽につくつたものはあてがつてもらうというようなことになりますと、ここにおいて独立採算の基礎についてやや動揺、混雑を来すことは当然であります。従つて精神的にもこの企業意欲を沮耗することがありはしないかということを非常に心配しております。これは単に私の心配というばかりじやなく、昭和十四、五年における国家管理において私どもはその当時独立して仕事をやつておりましたが、国家が補助の手を伸べ、国家の権力が一つ会社に仕事を委託するのだというとき、初めて私どもの企業意欲は失われ、その当時ようやく一信濃川電力が最後に残つて東京電力開発されたのを最後として、私ども計画した開発は全部中止して、遂に国家の清算事務に移り、われわれの電源開発はそれで幕をとじたのであります。爾来十数年そのことがいかに日本電力開発に大なる支障を来しているかということは、単なる空念でもなければ単なる理論でもなくして事実がそれを証明しているのであります。もつともこの間に戦争もあり軍閥の跋巵もありましたので、ひとりその当時の日発創立ということのみに今日の結果を帰するということも、ものは言い過ぎでありましようけれども、私自身の経験において日発のことがきまつた前後から、私自身企業意欲を失つてあまたの工事を中止したことは、いまだに歴然として私どもの頭にこびりつき、血液に入つてども関係している部下すべてそれを了承しております。でありますからこれはひとり私の関係のみならず他の会社もみな同様であつたことは推測するに余りあるのであります。そのおもな人たちが今日やはり電力事業に参加しているのでありますから、同じ人間たち性格がわからざる限り、政府が公営あるいは国営ということをその当時と同じような意識で推進されるということがもしありとすれば、私ははなはだ杞憂にたえざることであるということだけははつきり申し上げてさしつかえないと思います。それ以外のことは一つの観念論あるいはへりくつに陥りますから、この程度で答弁を打切つておきたいと思います。
  91. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 松永委員長代理はこの自由党案の内容は詳細に知らないとおつしやいますから、質問が非常にしにくいわけですが、大体今おつしやつたことでこの案に対する松永さんの考え方、あるいはまた電力会社側の考え方というものを想像できるわけですが、そこで私はもう一つお伺いしたいことは、公益事業委員会案というものは、大体この自由党並びに安本案よりも少し計画が大きいようですが、この案を遂行して行くにあたつて、国内資金だけでやつて行ける、この計画が完全に遂行できるとお考えになりますか。ある程度外資を当てにしなければできないとお考えになるか。その点を承りたい。
  92. 松永安左エ門

    ○松永政府委員 加藤さんの御質問電力開発ということについて、日本の内地資金のみでまかなえると考えるか。それではどうしてもいかぬように考え外資が必要であると思うかというお話でございますが、私はわれわれの計画、すなわち九会社の五箇年計画案を遂行いたしますについては、外資の必要を認めておる一人であります。
  93. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 そこで自由党案の立案者も外資の必要は認めておられます。もつとも外資が入らなければどうしても遂行はできないとはおつしやいませんが、必要は認めておられるようですが、松永さんはどういう形が外資を入れるに最もいい形であるとお考えになりますか。やはり自由党案全国一社でもつて開発するという案であるし、公益事業委員会の案は数社にわけて開発するという案ですが、そこで外資を入れる場合に、まず外資の形式、いわゆる民間融資というものを考えておられるのか。あるいは政府の直接融資、あるいは援助資金というような形で入つて来る、そのいずれが大体日本に入つて来る形であるかというようにお考えになりますか。それらの点について伺いたい。
  94. 松永安左エ門

    ○松永政府委員 不肖ではありますけれども外資の入り方について相当公益事業委員会委員となつて以来、外資導入の方法、それからいかにアメリカの資本等が外国の電力に投資されておるものの事情等について、できるだけ資料を集め、できるだけ研究したつもりであります。もし機会がありましたら詳しく御報告申し上げたいと思つております。もつとも、私どもの資料だけでは完全だということは言えないのでありますけれども、その詳細なことを今日申し上げることは省略させていただきまして、ただいまお尋ねの政府資金というような形で来るものか、あるいは民間的金融の資金として来るだろうかというお尋ねについて簡単にお答えを、自分の考えだけを申し上げてみたい。私はアメリカ政府が了解して、日本政府が相当保証するという形が、もし外資が今回入るとすれば、電力に入る形の一つであろうと思います。しかしそれは全部ではないということであります。これをもしも全部なりという誤解をした場合は、たいへんな間違いが起りはせぬかということを、自分のわずかな材料においても、また外国から参つております通信関係においても、政府から政府に金が来るのだ、そして受入れ態勢というものは日本政府が引受ければよいのだということは、一つでありますけれども、それが全部であるとか、それがおもなるものであるとかいう考え方と、私はまつたく反対の考えを持つておるということだけをはつきりここに申し上げておきます。しからばお前はどういうふうにしたらば次の段階である外国資金電力事業に入るだろうか、考えを言うてみよと仰せられれば、簡単に一応申し上げてみたいと思います。今日も、最近アメリカに立ちまして、長く外債及び財務に関係した人の私信をもらつております。私信でありますから、申し上げるわけに行きません。しかしその要点を申し上げますると、自分の立つときにぼやつとしておつた問題がある。それを相当いろいろの有力なる政府当局者にも話したけれども、どうもはつきりしてもらえなかつた。ところが、今度アメリカに自分が来てみると、まことに自分の考えたことが少しも違つていなかつた。というのは、アメリカが、政府を通じて出そうとも、日本政府が保証しようとも、いかなる場合でも、もし電力事業外資が入るというならば、それは確実なる受入れ態勢が整わなければならぬ。その受入れ態勢のおもなものは、その開発される電力地点の有利性である。つまり開発して無益なものであるかいなやの検討である。次にはそれはどういう採算があるかないかということである。第三に、それは貸しておる間に金額が必ず返せるかどうかということである。次にどうして返すかという保証の方法である。これがはつきりしない限りは、話はできないのである。だからこれをやるためには、必ず貸す方面から日本に相当な人をやり、あるいは日本におる人を呼び寄せて、つぶさに検討を加え、点検をした結果において金を出す、このくらいの割合で出すというようなことをきめるのである。このきまつた後に、アメリカ政府の御了解を得、日本政府の保証をもらつて、その会社に対する直接の貸付をするのであつて日本政府にアメリカ政府が貸す、あるいはワールド・バンクが貸して、開発会社そのものに向つて何ら責任をとらせぬというようなことはないのである。この点自分が出発のときにも、そうでなければならぬものであるということを、過去の経験から相当言うたけれども、どうも日本政府当局は、その点はなはだぼやけておつた。今度新たにそういう認識を強めたから、お前さんたちからもそういうことを懇意な人たちによく話して、なるべく過ちのないようにしてもらいたいというような私信を今日も受けております。それは今日のことでありますが、もうほとんど毎月数回財界の方面、そのほかの方面、そのほか雑誌「ライフ」、「タイム」なんというものは、盛んにアメリカの外国の電力会社に対する補償の率、貸付の年数、金利、契約の内容というものは、すでにパンフレットにも、材料にも出ておる。おそらくは委員会でも御研究になつておりましようし、大蔵当局あるいは外務省も御承知のことでありながら、それがまだ一般の言論界にも浸透していないというのは、はなはだ遺憾に思うのであります。これは私の外債に対するそういうあり方だということを、寡聞ながら、自分の見解において申し上げるのであります。なお、だんだん材料も寄りましようし、自分の見聞もさらに広くなろうと思つておりますから、目下私どもは、五箇年計画に基く天龍川、只見川、または熊野川、これは一方の呼名では北山川とも申します。また四国電源、これらのごときはすみやかに、さような要請に合うように、こまかな数字を調べ、そうして開発担当はだれが当るか、いかなる力をもつて当るか、いかなる組織をもつて当り得るのか、それを一々各会社に諮つて、そうして横では電源開発調査会でこれを研究せしめ、電力事業委員会においては電気顧問五人を招聘しております。これは技術部と協力してそれらのことも検討してもらい、さらに外国から参つておりますOCIの連中が目下続々参つておりますので、これらの人についても、この四つの地点についてとりあえずわかつたものから急いで完全なる収支決算表及び組織、資本、収支の状態等をでき得られるだけ早く作成するようにしております。これは自由党お話に別に矛盾もしなければ妨害にもならず、むしろさようなことをしておきます方が、国会でもしそういうことをおやりになる場合の非常な参考にもなることであり、むしろ国家的にやらなければならぬと思うて急いでおるわけであります。なお……。
  95. 中村純一

    中村委員長 松永さんに申し上げますが、時間も大分たつておりますから、御答弁はなるべく簡潔にお願いいたします。
  96. 松永安左エ門

    ○松永政府委員 簡潔にもう一言申し上げます。これは政府案が出たから天龍川をやる、只見川をやるというようなことを、別に想定してやつているわけではないのでありまして、昨年四月、われわれ九電力会社の担当者を集めて、開発会議をしましたのが第一回、それから昨年十二月いつぱいかかつてやりましたのが第二回、その後引続いて調査したうちにこの四つの地点電源開発資金と材料と、それから電力バランスの上について、どうしても急いでやらなければならぬという表をつくつて、それは当通産委員会にもあるいは参議院の方にもお出ししております。その中にもちやんと明記してありますから、にわかにそういうものを急いでやつているわけではありませんが、電源開発がいかにも急務でありまして、しかもダム式のものをやらざる限り、石炭事情に左右されて電力が安定を得ませんために、この点を熱心にやつております。しかもそのやることそのことが、すなわち外資に連絡のあるということの確信も持つておることを申し上げておきます。  はなはだくどいことを申し上げたようでありますけれども、私どもは誠心誠意国家のためにやつております一端をただ申し上げただけであります。
  97. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 それでは簡単に質問をいたしまするが、今の松永さんのお話から推定いたしますると、大体政府の援助資金という形では入つて来ないという問題と、それから企業性のあまりない会社には外資が得られないというふうに解してよかろうと思うのですが、そこでこの今提出されておりまする全国一つ会社開発して、そうして開発したものはそのまま他の会社に譲渡し、あるいは貸与してしまう、そうして会社の使命は大体十箇年ぐらいで終り、消滅するという、そういう企業性のない会社に対しては外資の導入は見込みがないというふうに思われるかどうかという点をもう一度お伺いしておきたいと思います。
  98. 松永安左エ門

    ○松永政府委員 返事がどうもくどくなりがちなようでありますから注意しまして、できるだけ簡単に申し上げますから、足らざるところは再質問をお願いいたします。  私の知つておりますこと、及び確信におきましては、電力に対して外国の資本が入りますのには、返す気があるのか、どうして返すかというと、これは政府が返すからいいということでは満足しないで、そのプロジエクト、すなわち開発地点日本の力によつてどうして返すかということの具体的方法がしつかりしなければならぬと思います。また借りる方から見ましても、五年や十年ではなかなか返せるものではないのでありますから、少くとも今日ワールド・バンクなり、あるいは開発銀行なり、そのほかアメリカの現在やつておりますのは、約二十五年でありますから、少くとも二十五年存続する、相当な電力を消化し得る状態のものをつくり上げることが必要であるかと考えております。
  99. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 私のお聞きしましたのは、電気をただ開発して、それを他の電力会社にそのまま譲渡し、あるいは貸してしまうというような、いわゆる企業性のない、しかも寿命の短かいものに対して外資が入ると思われるか、入らないと思われるか、その点を簡単にお答え願います。
  100. 松永安左エ門

    ○松永政府委員 簡単にお答えしますが、自由党案をよく拝見しないのはその点でございまして、自由党案がそう独自性のない、経営性のないものをただ一時的におつくりになるようには、私自身の常識で考えられませんので、もしおつくりになるとしても、そういう恒久性のあるもの、そうしてそれが自営力を持つているものをおつくりになるものと考えるのであります。ただ資金を出す方法についてどういう方法をおとりになるか、まだ承つておりませんが、外資に関する限りにおいてはやはり私どもの今やつているのも、あるいは自由党でお出しになつているのも、営業性があり、自立性があり、存続性がある有機的な一つの営業体でなければならぬものであろうかと考えておりますが、まだ自由党案なるものを十分承つておりませんから、批評的のことは一切申し上げられません。
  101. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 それでは時間も大分おそくなりましたから、最後に一つだけ承つておきたいと思いますことは、世間よく公益事業委員会が非常に無力だ、無力のところからいろいろ公益事業委員会解決すべき問題が解決されないと批評する者があります。あるいはまた公益事業委員会はいわゆる公益事業委員会でなくて、私益事業委員会だ、こういう批評をする人があります。これは吉田総理がかつて言われたことも、午前中佐伯委員からも言われましたし、私どももしばしば公益事業委員会会社の利益を代弁する私益委員会でないかと思うこともあるわけであります。そういう点松永さんはどうお考えになりますか。あくまで公益事業委員会公益事業委員会としての役割を果している、会社の代弁者ではないという確信を持つておいでになりますか、また巷間公益事業委員会がはなはだ無力であると言われる点についてはお認めになりますか、お認めになるとすれば、その原因がどこにあるか、お答えを願いたい。
  102. 松永安左エ門

    ○松永政府委員 お答えをします。公益委員会が有力であるとか無力であるとかいうことは、自己批判にわたりますから差控えておきます。ただ有力ならしめるのには、やはり皆さんの御援助をまつて、われわれは有力に働きたいと思うて、日夜努力しておるだけであります。今後とも力の足らぬところは、あるいは間違つたところは、どうぞ議会でも常に御教示を願いたいと思います。それについて御参考までに、公益事業委員会の廃止論が吉田総理の口から出た、あるいは高橋通産大臣の車中談で出たということを新聞で拝見しておりますが、これは新聞だけの話でありまして、一向そうおつしやつたという確証は何も出ておりませんので、これについて何ら弁明もあるいはお話も差控える方がほんとうだと思つております。ただ大阪で関西電力の聴聞会を十一日にいたしました折に、利害関係者の聴聞の中に、二人ほど発言なすつた方があります。時間をとつてはなはだ申訳ないと思いますけれども、御参考にお聞きを願いたいと思います。その二人は同じようなお話でありました。公益委員会は余命幾ばくもないものであると新聞が書いておる。で、お前方は値上げを会社のために置きみやげにして、それでお前たちの幕をとじるつもりだろうというお話が、言葉は違いますけれども意味は同様に、二回利害関係者の陳述がありました。これは御必要があれば議会に提出します。私は議長として一々御討論するわけに行きませんから、黙つて聞いておりました。で、閉会のあいさつをしたときに、聴衆にわざわざ御参集、御討論くださつてたいへん参考になつたということを申し上げたときに、どうも一つ御了解を得ておかなければたいへんだと思うことを私は感じましたから、その点をあいさつにかえて申し上げたい。決して意見を申し上げるわけではない。それは余命幾ばくもなしというのは、この議長である松永安左エ門個人のことで、私はもう余命幾ばくもない。けれども公益委員会が余命幾ばくもありやなしやということは、何ら私が言うべき筋のものではありません。しかし松永安左エ門が余命幾ばくもないから、電力会社のために置きみやげに値上げをしたと言われるのならば、私は何とも御返事の仕方はない。私がさような人間と思われておれば、これは私の不徳であり、それをつべこべ言訳すべき筋のものではないから、あなた方の御判断にまかせます。いたずらに自分の不徳なることを嘆ずるのみであります。けれども決してさような考えをもつてこの料金問題の聴聞会に臨んでおりませんということだけははつきり申し上げました。しかしお話の公益委員会が余命幾ばくもなしということを、もしも聴衆が御希望であるとすれば、それはたいへんな間違いじやないかと思う点だけを私は今日申し上げておきます。これがあるいは皆さんに私の置きみやげになりますか——。というのは、およそ社会というものは相当な平衡が保たれなければならぬ。政治の権力と社会の相当な輿論の動きとの間には、始終相当な食い違いがある。この食い違いをそのままに放棄するわけに行かぬのであります。でありますからアメリカのごときでも、二十何年間公益委員会をやつておりながら、ややもすると、あるいは大統領の選挙そのほかにおいて、公益委員会すなわちレギユラトリー・ボデーというものが実際においてはその機能を発揮することが非常に困難な場合に始終あうことを憂慮して、そのために三、四年前にフーヴアーを委員として最大改良を加え、そうして政権に動かされぬ一つの組織をつくろうじやないかというので、電気事業を含む公益委員会以外のものを十九新たにアメリカでつくつたのであります。これはアメリカでつくつたばかりではなくて、マーシャルプランにおいて金を貸すイタリアに向つても、その当時、ここに来ているパーカー中佐のごときは、直接イタリア政府に忠告して新たに公益委員会をつくつてもらつて政府の動きによらず、民衆の声をはつきりよく聞いて判断するものが必要であるということで、フランスもイギリスもややそういう方向に向つて日本もようやく最近それが行われておるのであります。ただ電力事業者の要請によつて電力の値上げを一応認めて、それでこれをもととして利害関係者の意見を聞くために、ほとんど委員は手わけして九地域においてそれぞれ聴聞会を開いて、それぞれ長時間にわたつて利害関係者の意見をことごとく聞いております。けれども他日もし電力会社がその利益を壟断し、サービスを怠り、社会民衆に向つて迷惑をかける場合は、必ず事業者を相手にとつて——需用者のお方民衆のお方から公益委員会に向つて料金の値下げの御要求がある。あるのにきまつておる。またさようなときが来ることも必要である。その場合に公益委員会事業者に耳をふさぎ、あなた方の議論に耳をかして、そしてこれを妥当なりと認めた場合は値下げに向つての聴聞会をまた今の通りに各所に開いて、そうして今被告であるべきような人たちを逆に反対の被告にとつて電力会社の人たちに向つて値下げの正当な理由を——あなた方の話を聞いて、その適当なるところによつて聴聞会を開いて決定せなければならぬ組織であります。この組織を、ただ今値上げするために困る、こんなものはつぶしてしまえ、余命幾ばくもなしと言われるようなことは、これからの民主政治の前途に向つてあまりに気が短か過ぎる。日本復興の前途は多事多難であります。幾多の政治的勢力の変化が行われる。これに対して公平を維持する組織をお残しになることは民衆諸君にとつて必要でありますから、これだけは私松永自身が余命幾ばくもないがために、大阪の最後の聴聞会においても、置きみやげにごあいさつをしますということを申し上げました。これは御参考に申し上げます。のみならずそれは速記をとつてありますから、ほぼこの言葉は違いないと信じております。
  103. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 私の質問したいと思うことを先に答弁していただきましたから、あとは一括してもう一回だけお伺いしますが、私ども公益事業委員会が廃止になつて、現在公益事業委員会がやつておることを全部政府がやるということになりますれば、そこにいろいろな弊害が起つて来ることも十分認めるわけです。しかし今公益事業委員会が非常に評判の悪いのは電力料金の値上げを認めておるからだというお話でしたが、その電力料金の値上げについても納得の行かない点が非常に多いと思う。今度来月一日から二割八分とか値上げを実行されるということを聞いておりますが、そういうふうにきまつておりますかどうか、それから一体それだけ値上げをしなければならぬ根拠がどこにあるかということも十分納得できないわけです。石炭代が高くなつたからとか、労働賃金が上つたからということが理由ですが、それだけでこれほどの値上げをしなければならぬかどうか。さきの値上げのときも輿論の反対にあつてある程度公益事業委員会としては値上げを押えられたようですが、その当時来年度を見越して約五割を上げる必要があるというのが公益事業委員会の意見であつたということを聞いております。来年度を見越した五割から、さらに一割近くも上まわるということは、昨年度の五割値上げという想定、見通しが誤つてつたかどうかという点とともに納得できない。また会社自体が一体経営の合理化をどれだけやつておるかということも、実は世間では少しもわからない。はたしてやつておるかやつておらないか、世間ではやつておらないと見ておるわけです。そういう点を十分に納得させる資料がないということが、今日公益事業委員会が、いたずらに会社側の利益を代弁する利益代表であると一般世間から断定される理由であると思うわけです。私ども公益事業委員会がほんとうに公益事業委員会としてその使命を全うされるならば、この電力の統制を政府が一手にやることを国民が歓迎するようなことはあり得ないと考えるわけです。そういう点について一言でよろしいから、その値上げの根拠とどれだけ引上げようとしておられるかという点を承りたい。
  104. 中村純一

    中村委員長 簡潔にお願いいたします。
  105. 松永安左エ門

    ○松永政府委員 簡単にということでありますから概論的に一、二、三ぐらいを簡単に申し上げます。大体今日公益事業委員に向つての批判も、あるいは電力値上げの不合理性の攻撃等も、要するに事態全部の了解が不十分であるのでありますが、そのよつてつた問題は、さきに当衆議院通産委員会で申し上げましたように、再編成が非常に遅れて、水力の開発がないために、特殊需用そのほかの増加に対してやむを得ず石炭電力をもつてこれを補うております。従つて火力、水力の間の料金の較差が非常に大きく起つて参ります。これを調節するために水力地帯より火力地帯に相当補給金を前回よりも今回はさらに大幅に増加しまして、そうして火力地帯の料金が上らぬように各社の協力を求め、公益事業委員会としてもできる限り尽力をいたして今回の需給想定表をつくり、水火調節表をつくり、その上に立つた電力原価を、今やこれが妥当なりと認めてやつたのでありますが、その基くところはいかにも火力依存に片寄つておること、水力開発が非常に遅れたことが原因でありまして、再編成が遅れ、従つて会社の努力がようやく昨年の五月以後に行われたというようなことが今日の事態をますます困難ならしめておることは、さきに当衆議院通産委員会で申し上げております。これは速記録にも書いてあると思います。そういうことが一つであります。  一つはその水火調節以外にもこの経済安定本部並びに通産省自体が日米協力の線に沿うて、今われわれのところで供給し得る力は約三百億キロワツト時でありますが、それに大幅に約二十億キロワツト時を何とかして三千キロ以上の特定の方にまわしてくれという御注文がありましたけれども、ないそでは振れない。できないことをお受合いして混雑を来すことはとうていできないと言つてお断りしたにかかわらず、何とかしてもらわなければ、アルミニウムのごとき、あるいは水道そのほかの事業のごとき、肥料工業のごとき、特定産業は何とかして電力を二十億、むずかしければせめて十五億でも、十二億でも出してくれということで、そこで各社に行つてどうも安本がああ言われる。三千キロ以上の割当は安本のつかさどるところである。われわれ公益事業委員では何ともしようがないから、あなた方が行つてできるだけ努力をしてきめてくれということで、各社直接に経済安定本部に行つてできるできぬの議論をして来ましたけれども、数回の折衝を終えてようやく約八億だけ水力の利用率を高めること、それから火力をよけいにたくこと、しかもこれは輸入炭及び輸入石油によつてやらなければならぬ。そうして火力をできるだけフルに働かすことに努力しなければならぬというようなことで、ようやく需給想定を安本とお話合いをしてきめました。そうしてそれに基いて各社間の融通電力をきめ、水火の補助調節をきめて、今日ようやくそれを基礎とするところのものによつて、各社の原価計算による地域差なからしめるだけのことを考え、中小工業に対して迷惑のないようにすること、大体これらのことを公益事業委員会としては主なるねらいとして官庁その他とも交渉をし、九会社の御奮発を願つて今回の案ができたのであります。このことについては本日は時間もありますまいから、またあらためて当局から数字等をもつて申し上げますが、必要なる資料はその前に御要求があれば委員長のお手元に差上げておきたいと思います。
  106. 中村純一

    中村委員長 次は風早八十二君。
  107. 風早八十二

    風早委員 時間もずいぶん経過いたしておりまして、私も朝十時からたつた一人大いに協力しておるわけでありますが、実は明日午前中に私の質問時間が割当てられておつたのであります。ところが公益事業委員特に松永さんの御都合があるというのでこれから私の質問を始めるわけでありますが、念のために明日午前中もしくは午後のしよつぱなに松永さんがこちらに御出席願えるかどうか、その点ちよつとお尋ねしておきたいと思います。
  108. 松永安左エ門

    ○松永政府委員 明日は午前午後ともむずかしいようでありますから、今日できましたら風早さんの御質問をお願いできれば私ども委員会としても都合がよろしいのであります。
  109. 風早八十二

    風早委員 私の質問の段取りがありまして、私としてはあまりありがたくないのでありますが、しかし今日先ほどからの加藤委員と松永さんとの質疑応答を承つておりましてもいろいろ問題があるように思いますので、この際ひとつ特に立ち入つて松永さんの御所見をただしたいと思います。  今回の自由党提案にかかる電源開発促進法案に対して、先ほど松永さんは、内容は詳しく知らないかという前提でありましたが、いろいろ御所見があつたと思います。これは私の了解するところでは、結局この政府資金があてがわれ、あるいは政府がこの電源開発のいろいろの運営に関与するというような仕組みでは企業意欲というものが失われる。従つてそうなればこれは賛成しがたい、こういうふうに了解したのでありますが、その点は別に間違いないわけですね。
  110. 松永安左エ門

    ○松永政府委員 お答えします。間違いございません。
  111. 風早八十二

    風早委員 そこで公益事業委員会性格でありますが、公益事業委員会というものもやはりこれは政府でありまして、特に各省からも独立した非常に強力な権限を与えられた電力行政の最高の政府機関であるとわれわれは了解しておるわけであります。従つて今松永さんが言われましたようなことは、すでにそれは公益事業委員会の手によつて今日まで行われて来たことであつて公益事業委員会の権限なりあるいはまた運営なりに対する企業性から見たいわゆる自己批判というようなものと承つてもさしつかえないわけですか。今回のこの法案の中にうたつてありますこの会社はともかくといたしまして、電源開発調整審議会はほとんど経済閣僚を網羅してつくられる。ところが公益事業委員会も非常に強力な電力行政の絶対の権限を持つたところのやはり政府機関である。政府のあてがいあるいはまた政府の運営によつて電力経営が左右せられるということにおいては、大体性格としては大同小異であるように考えられるわけです。従つて先ほど言われましたことは、公益事業委員会に対する自己批判にもなるのかということを聞いているのであります。
  112. 松永安左エ門

    ○松永政府委員 風早委員は非常に学者であり、私は無学の老人であり……。
  113. 風早八十二

    風早委員 よけいなことを言わずに……。
  114. 松永安左エ門

    ○松永政府委員 これはよけいなことではないのです。それでどうも聞き違いをして答弁を間違えていかぬのでありますから、お断りをしながら答弁申し上げますが、最後に風早さんの言われたことは、今度審議会つくり、その審議会電源開発についてさしずをする、あるいはその政策や方針を決定する、そういうものができることも、あるいは公益事業委員会が大きな権限を持つておることや、それが政府機関だというようなことがいかぬということならば、公益委員会をも自己批判しているのではないかというふうに承つたのですが、その通りだと仮定してそれによつてお答えをいたしますから、もし間違つていたら御訂正くださればその点についてはつきり私は申し上げたいと思います。  公共事業令並びに再編成令、この二つのポツダム勅令によつて生れた政令の内容は、むろん風早委員はよく御精読になつておると思います。少くとも開発について最高のアドヴアイスを各会社に与える権限を持つのみならず、公共事業に対しても、あるいは自家用の人たちに対しても、電気開発するということについては、公益委員会が、その緩急の程度及びその必要性を判断する最高権限を与えてありますばかりでなく、同時に公益委員会は、一種の義務を負うております。それは、国家の要請に従つて電力会社を鞭撻して、そうして国民の必要なる電力を適当な場所に開発するようにお前方努めねばならぬという一つの義務も同時に負つておるのであります。この見地からいたしまして、他にこれと同じような、あるいはこれ以上の権限を持つものがありとしますれば、それは国会でそういうものをおきめになることはむろん国会の御意思であり、通過すれば私どもはひつ込むだけの話でありますけれども公共事業令が存立する限りにおいては、二重な統制機関というものはいたずらに混雑を来すものと心得ております。こういうことで御質問に沿いますか、もし沿いませんならば、私の聞き違いでありましようから、もう一ぺん御説明を願います。
  115. 風早八十二

    風早委員 その点も実は次にお聞きしたいと思いますが、ただいまお聞きしたのは、あなたが先ほど加藤委員質問に対して答えられた場合のこの企業性あるいは企業の意欲、これは血汗のにじんでおる松永さんのみずからの何十年の体験から出たお言葉として、企業意欲というものと、こういう国家的な統制というものとが一致しないというよりも、これで明らかに企業意欲をそぐということを松永さんが答えられたのだ、この企業意欲をそぐ、つまりあなたは、どこまでもこの企業の精神、企業者の精神、企業意欲の立場から、やかましく国家統制というもので一々電源開発なり、その運営なりあるいは電気料金なりというものまでもさしずして来るということであれば、電力の企業者としての意欲はそがれる、こういう点から非常な反感、反対を示されたものであると私は了解して、その点はあなたも了承になつたと思うのです。従つてそういう意味においては、実は公益委員会自身が、今あなたがお答えになつた通りに、絶対な電力行政の権力を持つておるわけです。今言われた通り、再編成は同時になされたのでありますが、実際どこの電源開発する、また電気料金についても電力会社の申出に対しては、公益委員会が一々最終的に査定してきめる、こういうようなとことんまでの統制権を持つておるわけです。従つて公益委員会の存在というものが、同時に同じような意味において企業意欲というものをそこなうということと了解してさしつかえないのかということを聞いておるわけです。
  116. 松永安左エ門

    ○松永政府委員 先刻加藤さんに申し上げたことは、今の風早さんの御質問のことと違つた意味において企業意欲を損ずるということを申し上げたつもりであります。これはどうぞ速記録についてお調べを願いたいと思います。繰返して申し上げますと、私の申した企業意欲を損ずるということは、幾多の理由もありましようが、今風早さんの言われたような意味において申したのではなくて、せつかくこの電源開発する責任を持ち、その担当者となつている人が一生懸命電源開発をやつているのに、政府が安易な資金をもつて別に政府的な公営または半公営あるいはそのほかの方法でまずい一つ政府設備をもつておやりになる場合は、私の過去の経験において、ちようど日発ができたときに私どもが企業意欲を失つたのと同じようなことになるのではないか、そのことを今でも実際に痛感するということを申し上げたのでありまして、今お話の監督権が盛んにあれば、企業意欲を失うとか失わぬとかいう議論には私は触れなかつたつもりであります。もしそのことの御質問であれば、今日は時間がありませんから他の機会においてそれに対して企業意欲があるかないかはまた御質問いただきますが、どうぞ加藤さんに対する企業意欲の速記録について、私の答弁を再検討願いたいと思います。
  117. 風早八十二

    風早委員 速記録も速記録でありますが、大体今お話なつたところで問題は明らかではないかと私は思います。結局そういたしますと、この同じ性格の権限、権力を持たされても、松永さんがこれを運営せられる場合におきましては企業意欲にはこれはさしつかえない。松永さんも実は政府機関です。これはお忘れになつては困る。これはもう絶大なる権力を持つた政府機関なんです。その政府の権力を松永さんが運営せられる場合においては企業意欲は失われない、しかしながらこの閣僚等によつてできるその他の機関が同じ性格のこの権力を運営する場合においては、これは大いに企業意欲をそこなう、こういうふうな心証か持つておられるわけですね。これは言いかえれば、つまり今回のこの法案に対しては、公益事業委員会があつてこれがやつておるのに、さらに屋上屋を架すというか、あるいは横からひさしが突き出して来るというか、とにかくそういうよけいなものが、しかもなれないものが、同じようなことをやるということでこれははなはだ望ましくない、こういうような意味であると大体考えられると思いますが、その点はそれはそうだというなら、率直にひとつお答えを願いたいと思います。
  118. 松永安左エ門

    ○松永政府委員 風早委員には、加藤委員にお答えした以外に、企業意欲の問題については繰返し申す点はないようであります。しかし風早委員の御意見がよいとか悪いとか私は今それを討論しようとも思つておりませんが、御意見はつつしんで承つておきます。
  119. 風早八十二

    風早委員 それはもちろん松永さんのような練達の電力業者、つまり電力業界というものをもうすみからすみまでみずから体験を持つてつておられる人としては、しかもその方が電力業界をある意味では代表して国家機関に入り、これが実際にその権力を駆使して運営しておるという場合に、電力業界からいつてもこれは理想的である、そういうふうに松永さん自身が少くも考えられる、あるいは電力業者の相当な者が考えられるということは一応よくわかります。大体松永さんの御趣旨は、公益事業委員会があるのによけいなものをつくるのはけしからぬ、簡単に言えばそういうことであると私は考えます。今日はお互いにもう時間もないのでありますからあまりこまかいことを応答はできませんので、ごく根本的な問題についてさらに松永さんの所見を一応ただしておきたいと思います。  今日日本がここまで来ておる段階で、一体企業性あるいは企業意欲というものが、どういうふうな意味のものになつて来ておるか。これはアメリカから何か手紙があつて、その中にも日本に投資をするというふうな場合において、特に電力に投資をする場合に、有益性である、あるいは採算性である、あるいはまたその債務の弁済、その保証、こういうふうなことが確実であるということが条件であるということを言われた。これは何も電力に限らないのでありまして、現在の企業に対してもちろん投資家はその基準でもつて投資をすることはあたりまえのことだと思います。しかし事いやしくも電力の場合におきまして、この企業性あるいは企業意欲、そこまではいいのでありますが、それをさらにつつ込めば、結局企業利潤というものと、電力の社会的な性格というものとの間には明らかに矛盾がある。少くも現在非常な矛盾がある。これは電気料金の問題を一つつてもわかるわけです。この企業の利潤という面と電力企業の社会的な性質という面と、この二つの間に矛盾があるという点について、松永さんは一体どう考えられるか、私は若干お尋ねしてみたいと思う。  そこで今まで電力企業というものは、あたかも非常な企業精神、企業意欲に従つて独立採算でやつてつたというふうに、先ほどからの御答弁では聞えるのであります。そうして今度初めてこの案が出て国家資金というものがかつてに入つて来るというふうに言われたように私は受取つたのでありますが、実際問題として今まででも電力というものはすでに独立採算ではない、独立採算というような大きなことは言えないのです。多額の国家資金、言いかえれば税金負担による国家資金というものが数百億にわたつてこの電力会社には投ぜられております。これは見返り資金を含めて実に莫大なものです。こういうことから見ましても、いやしくも電力に関する限り、もはや独立採算とか独立の企業とかいうようなことは成り立たなくなつておるということは、今までの事実からしてもお認めになる。あるいはまた今後はますますそうなるからこそこういつたような案が出て来たのだということは、その事情として望まれるか望まれないかは別として、事実認められたものでありますか、この点はどうです。
  120. 松永安左エ門

    ○松永政府委員 簡単に御返事申し上げます。風早さんは非常な学者であられると同時に、その御関係の政党としても、われわれ現在の自由企業段階、並びに必要なものはある程度統制して行かなければならぬという矛盾の間を動いておるということについては、あるいは御不満があるかも知れぬと思います。けれども日本の現実の事情として、日本を再建する立場において、各企業者に、企業意欲を持たして、独立採算の責任を持たして国民に奉仕するということは、どうしてもしなければならない段階だと私は信じております。議論のいい悪いは自分でわかりませんから適当なときにまた御意見を承ることにします。ただ一言お話の中で多少お考え直しを願いたいのは、電気事業国家の税金のもとに、保護のもとに再出発以来動いておるというお話は、少しく事実が誇張され過ぎていないかと思われる点であります。それは要するに私ども編成後数百億の金を見返り資金によつて政府の融資を受けてやつておりまするが、これは御承知の通り七分の金利をもつてある一定の年度において償還するということで、各会社責任をもつてつております。現に日発以来継承した資金について、すでに政府に御返還した金もあります。これには七分の利息を附加して返してあります。その数字は詳しくはただいま持ち合せませんけれども、決して国民の税金を食つて電気事業開発はいたしておりません。私の憂うるところは、もし風早さんの言う通りに、国民の税を食つてそれによつて開発するというようなことがあれば、いわゆる企業意欲を失うことを憂うるのだということを申し上げておるので、やはり自由企業の今日の段階において、一面においては非常に民衆のために統制をはかり、一面に企業の合理化及び発達を促進しなければなりませんが、国民の税金を食つて電気事業開発するというごときはいまだ私の考えにはないことだけをはつきり申し上げて、このくらいのことで御質問をかんべん願えましたら、けつこうですが、まだありますかしら。どうぞお手やわらかに……。
  121. 風早八十二

    風早委員 まだまだたくさんありますけれども、お疲れでもございましようから、大体あと二、三にとめて、また他の機会に保留します。  今見返り資金について利子を払つておるから、これは別に税金を食つておるわけではない、こういう御答弁でありますが、これは私はどうかと思います。見返り資金を、たとい七分の利子でも、あるいは一割の利子でも、これを貸してもらいたい他の産業は幾多あるわけであります。特に中小の企業なり、他の平和産業のごときはみんなのどから手が出るくらい欲しがつているわけでありますが、これが非常に多額に電力に注がれておるために、他の産業はそれだけ犠牲になつておることは、これは間違いないわけです。そういう他の全体の産業との割振りから考えてもらえば、どれだけやはり国家資金というものが特別優遇的に電力に流されておるかということはわかるわけでありまして、これはもちろん税金を食つておるわけです。しかし私は税金を食つているから、ただちに悪いというようなことを言つておるのじやないのです。税金をいくら食つたつてかまわない。この電力の社会的な性質というものをほんとうに貫いておれば、つまり電力というものが真に社会的に実際に恩恵を与えておれば、これは当然国民の税金からとつて、これを運営してもさしつかえないのです。その点は何も遠慮することはないのです。問題は、そのでき上つた電力が一体どういうふうに配分されて、これでもつてだれが実際に利益を得、まただれがさつぱり利益を得ないし、たいへん高い電気料金をとられておるかというところに、問題があるのでありまして、この問題がはつきりすれば、何も税金からとられるということを私はとやかく言つているのじやありません。問題はこの電力の社会的な性質というものがはたして生かされているかどうか。またそのことが、特にこの電力のいわゆる企業利潤というものと、独立採算制——どうでもこうでも一割なり一割五分なり、最低それだけの利益を上げなければ独立採算とは言えないのだ、そういう建前とこの社会性というものとが今日の事情のもとで、実際一致するのかどうかということを私は問題にしておるわけです。  それから一つは、あなたは電力の神様でありますから、電力ということばかり考えておられるようでありますが、電力開発一つとりましても、これはほかの水利の問題なり、あるいは土地の問題なり、こういう問題と常に関連しておる。国土総合開発計画というようなものが建設省ででき上つておる、また安本もこれを考えておる。近く明日あたりからこの国土総合開発法案というようなものが審議せられるという段階でありますが、こういう場合におきましても必ず水利の問題やその他の産業の問題、こういうものと電力の問題がやはり総合的に考えられて行かなければならぬわけです。でありますから、社会的性格というものは今日電力だけではない。土地もありますし、水もあります。また特に電力関係に携わつておる労働者の問題があり、そのほか今の土地や水に関係しておるような農民の問題もあります。こういう問題をすべて総合的に取上げて、均衡のとれた関係が打立てられるところに真に電力の社会的な性質というものが生きて来ると考えるのであります。ところがあなたは、今までの過去一、二箇年のわれわれとの質疑応答をずつと見ましても、そこに貫いておるのは電力、しかも電力企業の利潤、その意味においての独立採算制、これだけしか頭にないように私には受取れるんです。そういう意味で今日の新しい時代の感覚というか、新しい時代の要請というものに対していささかずれがあるのではないかということを率直に考えるのでありますが、そのいう点はお考えになりませんか。
  122. 松永安左エ門

    ○松永政府委員 最後の、時代感覚のずれがありはしないかということは、大いにあるんじやないかと思つております。日夜その点苦心しております。というのは、年齢もあります、時代も違います、また学問もありませんために、すべてをキヤツチする力が弱くなつておることも間違いありません。幸いに私一人でやつておるわけではなく、五人の委員、それから五人の技術顧問、そのほかに財政顧問、電源開発調査会、外国から来る通信及び聴聞会あるいは各地をまわつてそのほかのことに気をつけて、なるべく遅れぬようにしたいと思います。電力オンリー、電力さえよければ、あとは全部犠牲でよろしいというほど感覚は古くないつもりでありますけれども、なるべくずれがないようにしたいと思いますが、それはときどきこちらに伺つて、御教示を仰いで反省したいと思います。
  123. 風早八十二

    風早委員 きようは時間もありませんから、私は具体的な問題をいろいろ尋ねたいんですが、それはこの次に譲りますけれども、時代感覚と申しましても、今時代の感覚というものは大きく二つにわかれております。  その一つを代表するものは、日本ではおそらく安本が最も露骨にこれを表わしておると思うのです。安本は大体この日米経済協力なるものの線に従つて、先ほどからもお話があります三千キロワツト以上の大口丙に対する特殊な配分の扱い方、これを公益委員会に対しても、電力会社に対しても要求されております。これはもつと具体的に言えば、先ほどもお話がありましたように、アルミでありますとか硫安であるとか、第一級のアルミの場合におきましてはただちにこれがB三六にもなる、こういうはつきりした目的をもつてこの増産を日本が要求せられておる。また硫安の場合でもこれは間接には同様であります。こういう特殊のものに対して、またこれが一番おそろしく電力を食うものである。これに対して電力はどんどんと要求せられる。実は開発そのものもそのためになされる。多額の資金を要し、たいへんな犠牲を払つて電力をつくるが、そちらへまわさなければならないその電力料金なるものは、場合によつてはコストも割らなければならない、こういう点についてはあなたはかねがね企業性の立場から、特に独立採算制の立場から非常な矛盾を感じておられることは、あなたの御答弁の中からも明らかであります。私はその点では幸か不幸かあなたの時代感覚のずれ——ずれと申しては失礼でありますが、企業性、独立採算制と言われるものが、実はわれわれの最も排撃してやまないところの安本の方向というものに対して、これが一つのレジスタンスと言つてははなはだ誤弊がありますが、非常に微妙な関係にあるわけです。あなたはその点について一体どの程度まで独立採算制、企業性を守る確信を持つておられるのか、こういう点についてひとつ答弁願います。
  124. 松永安左エ門

    ○松永政府委員 お答えいたします。大分安本の問題にわたつているようでありまして、私の答弁を差控えなければならぬ問題が多々あるようであります。だから今日は他省にわたつたことは省略させていただきます。ただ、ただいまこちらへ来る前に参議院で申し上げておいたのですが、やはり安本なり通産省なりの局に当つておられる方は、幾らかその方面に重点を置かれ、他の一般電力のあり方あるいは分配の方法について重点的でないことは、これはその職場におる方々の職場意識と申してもさしつかえないことで、その点は私どももやはり免れない一つの人間性でありますが、今回のように特に大口に向つて大きな割当をすることが事実不可能な場合でも、その割当の権限というものが三千キロ以上は経済安定本部が握つておられるということには、私どもの職務の実行上非常に苦しい立場に立つのであります。この点はただいま参議院においても、どうかそういうことは一本にまとめていただいて、国民全体のバランスの上に立つて需給の調節をはかり、そして公平に——公平といつても完全なことは人間に望まれませんけれども、聴聞会に聞き、あるいは皆さん方の意見を聞いて、これならばまず無理がなかろうというような判断の資格を公益事業委員会に与えていただかない限り、三千キロ以上の割当の権限が私どもにない限り、多少の矛盾は起りますということを本日申し上げておきました、これは速記もあることであります。お尋ねに対しても同様な遺憾を感ずることを率直に申し上げてはばからぬのであります。これに対して風早委員自身に、それはいいとか悪いとかいろいろ御意見もありましよう。私もまた御意見を聞きたいと思いますけれども、今日はあまり時間もありませんから、ただ参議院で申し上げたこと等をお答えの材料として申し上げておきます。
  125. 風早八十二

    風早委員 この企業性ということはコストを正常に下げるという意味におきましては——つまりコストを下げるといいましても、電気労働者の賃金を下げるという意味でなしに、真に能率的な設備の改善、増強によつてコストを下げる、あるいはまた労働者の労働能率を増進するという意味においてコストを下げることは、きわめて大事なことでありまして、これは社会主義生産の場合におきましても今最も重要視せられている問題です。ソビエト等におきましても、やはり今日企業の原価の切下げということは社会主義建設途上において一番大きな問題になつております。そういう意味においてこれはもちろん非常に大事なことであると思うのです。それに対してそういう外在的な政治的な圧力によりましてこれが一方的に撹乱せられる、その結果望むと望まないとにかかわらず、他の広汎な平和産業、中小企業、また家庭の電燈消費者、こういう人たちに対してそのしわ寄せがやつて来る、これが実際今までの実情であつたわけです。またこれからはますますそうなる危険性が見えているわけです。そういう場合に、電力会社は別問題としまして、少くとも松永さんのおられる公益事業委員会として、はたしてこのあらしの前に立つて行くものであるかどうか、われわれはこういう点で、むしろ失礼ではありますが、松永さんのがんこさを高く評価して来たわけであります。しかしながら結局公益事業委員会はあなた一人でもないし、そういう意味においても押し流され押し流されて来ている。また今日いよいよそのどたんばになりまして、結局は三千キロワツト以上は安本の管轄であるからというようなところへ逃げ込まれることが最後の結着ではないかと、私は残念ながら考えるわけであります。そういう意味において、われわれから言いましても、公益事業委員会の任務としてこの電力問題、ことに電力問題の社会的な性質をほんとうに発揮させるというようなことは、これは木によつて魚を望むようなものだ、こういうような感を持つものであります。その点は、松永さんがまだおられる限りは、もちろん大いに孤塁を守つてやられると思いますが、今後のこともありますから、この電力問題は企業性というようなものによつて貫かれるものではない。もし貫かれるとすれば、その企業性は私が今申し上げましたように真に合理的な意味での、つまり原価を切下げて行くという技術的な意味で言うことはできます。しかしながらやはり企業利潤というようなことをその企業性の中心にされる限りにおいては、もう自己撞着——結局何のかんのといつても、また向うの方からいろいろな案がある。ここへはどうしてもこれだけまわせ、料金もこれだけ下げろ、これに対してそのかわり、ほかへまたそれだけの負担はぶつかぶせて行くということで、結局企業の採算が何とかとれればそれで一応治まる。こういうところへ行かれるのが落ちではないかということを私は苦言を呈して、一応今日の質疑は終ります。これは公益委員、といつても特に松永さんに今後も御答弁を願いたいのでありまして、そういう機会をひとつ努力してつくつていただきたい。実はまだこの続きがあるのです。今回の法案によりまして、あなた方が今までせつかくやつて来られた電源開発とどういう接触、関連、矛盾が起つて来るか。こういうことについても具体的に伺いたいし、われわれもまたいろいろ指摘したい点があるのでありますが、そういう点については、またこの次の機会に譲ります。今日はいろいろ失言もありますが、そういう苦言を呈して、私の質問を終りたいと思います。
  126. 中村純一

    中村委員長 本日はこの程度にいたし、明日は午前十時より開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後六時二十四分散会