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1952-02-04 第13回国会 衆議院 通商産業委員会 第5号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十七年二月四日(月曜日) 午後一時五十四分
開議
出席委員
委員長
中村
純一君
理事
中村
幸八君
理事
山手
滿男
君
理事
今澄
勇君 今泉 貞雄君 小金
義照
君
澁谷雄太郎
君 永井 要造君 福田 一君 南 好雄君
高橋清治郎
君 加藤 鐐造君 風早八十二君
上林與市郎
君
出席国務大臣
通商産業大臣
高橋龍太郎
君
出席政府委員
通商産業政務次
官
本間
俊一君
通商産業事務官
(
通商繊維局
長) 記内 角一君
委員外
の
出席者
参 考 人 (
全国繊維産業
労働組合同盟福
井県支部書記局
長)
中島
優治
君 参 考 人 (
商工組合中央
金庫理事
)
門司
正信
君 専 門 員 谷崎 明君 専 門 員 越田 清七君 ――
―――――――――――
一月二十六日
委員田中彰治
君
辞任
につき、その
補欠
として土
倉宗明
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。 一月二十八日
委員河口陽一
君
辞任
につき、その
補欠
として中
村寅太
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。 二月四日
委員金塚孝
君
辞任
につき、その
補欠
として
高橋
清治郎
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。 ――
―――――――――――
二月一日
石油
及び
可燃性天然ガス資源開発法案
(
内閣提
出第二二号) 二月二日
電気化学工業株式会社大牟田工場
旧
自家用発電
所の復元に関する請願(
高橋權六君紹介
)(第 三六一号) 同(
荒木萬壽夫
君
紹介
)(第四〇七号) の審査を本
委員会
に付託された。 一月二十九日 米国まぐろ関税問題に関する
陳情書
(第一二八号)
西日本地帯
における
電源
の
開発
並びに
電力増強
に関する
陳情書
(第一 七八号)
電力料金
再
値上げ反対
に関する
陳情書
(第一七九号)
電源開発
の
促進
及び
電力料金
の
地域差撤廃
の陳
情書
(第一八〇 号) 同月三十一日
輸出物資検査出張所
を東北の
開港場
に設置の陳
情書
(第二七五 号)
電源開発用電気機械
の
輸入防止
に関する
陳情書
(第二七六 号)
中国地方
の
電源開発促進
に関する
陳情書
(第二七七号)
中小企業
の
金融対策
に関する
陳情書
(第二 七八号)
企業合理化促進法制定
に際して
業種指定
に関す る
陳情書
(第 二七九号)
企業合理化促進法案
に関する
陳情書
(第二八 〇号) 綾北川、
南川上流
の
電源開発
に関する
陳情書
(第 二八一号)
電力不足対策
に関する
陳情書
(第二八二号)
暖房用炭
の値下げとその確保に関する
陳情書
(第一八一号)
道南電源開発促進
に関する
陳情書
(第一八二号)
電源開発計画促進
に関する
陳情書
(第一八三号)
公務所
におけるメートル法の
完全実施
に関する
陳情書
(第一 八四号)
長崎通商事務所存置
に関する
陳情書
(第一八五号)
長崎
県
鉱業試験場
の移管に関する
陳情書
(第一八六号) を本
委員会
に送付された。 ――
―――――――――――
本日の
会議
に付した事件 小
委員
の
補欠選任
及び
追加選任
石油
及び
可燃性天然ガス資源開発法案
(
内閣提
出第二二号)
繊維
に関する件 ――
―――――――――――
中村純一
1
○
中村委員長
ただいまより
通商産業委員会
を開会いたします。 まず
委員
の
変更
についてお知らせいたします。去る一月二十八日
委員河口陽一
君が
委員
を
辞任
せられて、
中村寅太
君が
補欠選任
せられました。また本日
金塚孝
君が
委員
を
辞任
せられ、
高橋清治郎
君が
補欠選任
せられました。 この際小
委員
の
補欠選任
及び
追加選任
の件についてお諮りいたします。 一、
電気
及び
ガス
に関する小
委員
。小
委員河口陽一
君
委員辞任
につき
中村寅太
君を
補欠選任
し、新たに
土倉宗明
君を
追加選任
すること。 一、
地下資源開発
及び
合理化
に関する小
委員
。小
委員田中彰治
君及び
河口陽一
君が
委員
を
辞任
せられたるにつき、
神田博
君及び
中村寅太
君をそれぞれ
補欠選任
し、小
委員中西伊之助
君が
委員割当数
の
変更
により
委員
を
辞任
せられ、新たに
上林與市郎
君が
委員
に選任せられましたので、同
委員
を本小
委員
に選任すること。また小
委員橋本金一
君
小委員辞任
につき、
高橋清治郎
君を本小
委員
とすること。 一、
中小企業
に関する小
委員
。小
委員西村榮一
君及び
金塚孝
君
委員辞任
につき、
今澄勇
君及び
高橋清治郎
君を小
委員
に
補欠選任
すること。 一、
工業
に関する小
委員
。同じく
西村榮一
君の
補欠
として
今澄勇
君を選任し、
中西伊之助
君の欠員に伴い、新たに
上林與市郎
君を本小
委員
に
補欠選任
すること。 一、
繊維
に関する小
委員河口陽一
君の
補欠
として、
中村寅太
君を小
委員
に選任すること。 一、貿易に関する小
委員神田博
君
小委員辞任
につき
土倉宗明
君を
補欠選任
し、
西村榮一
君の
補欠
として
今澄勇
君を選任し、新たに小
金義照
君を
追加選任
すること。 以上先ほどの
理事会
で御了承を
願つたの
でございますが、そのように決定するに御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
中村純一
2
○
中村委員長
それではさように決定いたしました。 —————————————
中村純一
3
○
中村委員長
次に去る一日、本
委員会
に付託せられました
石油
及び
可燃性天然ガス資源開発法案
について、その
提案理由
の
説明
を求めます。 —————————————
本間俊一
4
○
本間
政府
委員
提案
の
理由
を御
説明
申し上げます。
石油
及び
可燃性天然ガス資源
の
開発
につきましては、従来、
昭和
十三年に
制定
されておりました
石油資源開発法
によりまして、
試掘助成金
の交付による
探鉱
の奨励を初めとする
開発促進
の
措置
を
実施
して参
つたの
でありますが、同法がその
制定年次
から推察されまするように、
軍事目的
の
ため
の
強行開発
を主眼とする
戦時立法
であります
関係
上、その
内容
には、
事業計画
の
届出強制
、採油の増産または
制限命令等
が
規定
され、いわゆる
石油鉱業
に関する
事業法的色彩
が強く、すでに
帝国石油株式会社法
が廃止されました今日においては、同法に基く
行政
を
実施
いたしますことは当を失するうらみがあるばかりでなく、
技術的見地
から考えますと、
流体鉱物
としての
石油
及び
可燃性天然ガス
の
特性
が無視され、長期的にこれらの
資源
の合理的な
開発
を阻害するおそれなしとしないのであります。すなわち、
石油
及び
可燃性天然ガス
の
開発
は、その
賦存状態
におきまして
流体運動
が行われております
関係
から、石炭その他の
固体鉱物
の
開発
において
労働力
その他
人工エネルギー
の活動をまつよりは、
むしろ地下水
または
ガス
の圧力、
重力等
の
自然エネルギー
の
運動
に負うところが大部分でありまして、その掘採
方法
におきましては、これら
地下エネルギー
をいかに有効に利用するかが
開発
の
重要点
とな
つて
おる
現状
であります。すでに米国初め
世界各国
におきましては、多年にわたる研究の結果この
油層技術学
に基くところの
油層エネルギー
の
浪費防止
を
中心
とするコンサーべーシヨン・システムが
実施
されており、
石油
及び
可燃性天然ガス資源
の
地質的構造
を本質的に
彼我相
同じくする以上は、
わが国
におきましても、
油層
の完全な
開発
の
ため
には、かかる
油層技術学
に基くところの掘採
方法
を
実施
し、
石油
及び
可燃性天然ガス
の合理的な
開発
を
促進
することが、
自立経済達成
の
ため
の
緊急事
であると存ずる次第であります。 以上の
趣旨
によりまして、
政府
といたしましては、昨年来、
石油資源開発法
を廃止し、これにかわり、
石油
及び
可燃性天然ガス資源
の
有効開発
に資すべき法律の
制定
を意図し、内外各方面の御尽力を得まして、その立案に鋭意努力して参
つたの
でありますが、今般ようやく成案を得るに至りましたので、ここに
石油
及び
可燃性天然ガス資源開発法案
として国会に提出し、十分な御
審議
を仰がんとする次第であります。
法案
の
内容
にわたりましては、御
審議
の際、逐次御
説明
申し上げる
所存
でございますが、以下その概要について申し述べますならば、この
法案
は、
石油
及び
可燃性天然ガス資源
を合理的に
開発
し、
公共
の
福祉
の
増進
に資する
ため
、その掘採の
方法
について規律するとともに、
探鉱
を
中心
とする
開発
の
実施
に対しまして
国家補助
を行うことを
規定
しております。すなわち第一には、すでに御
説明
申し上げましたように、
石油
及び
可燃性天然ガス
の
流体鉱物
たる
特性
に応じ、その掘採の
方法
におきまして、
油層
の保護及び
油層エネルギー
の
浪費
の
防止
をはかる
ため
、
最小限度
に必要とされる
措置
を
実施
し、または遵守すべきことを規制いたしました。 第二には、
石油
もしくは
可燃性天然ガス
の
探鉱
または
石油
の
完全開発
に資する掘採
方法
について
補助金
を交付することとし、
補助金
の適正な支出と、確実な還付を期しまして、これに必要な手続その他の
規定
を置いております。第三には、
石油
及び
可燃性天然ガス資源
の合理的な
開発
に資する
技術的事項
に関しましては、高度の
学識経験
を有する
専門家
の
意見
を必要といたしますので、この
会議機関
たる
石油
及び
可燃性天然ガス資源開発審議会
を
資源庁
に
設定
することとし、その
審議会
に必要な諸
事項
について
規定
をいたしました。その他現行の
石油資源開発法
の
廃止等
この
法案
が公布施行されました後において必要とされる
措置
及び
異議
の
申立て制度
の採用を初めとするこの
法案
の
内容
を円滑に運営いたします
ため
必要な諸
規定
を掲げておる次第であります。 なお最後に一言申し上げたいことは、
わが国
における
石油
及び
可燃性天然ガス
の
開発
は、由来歴史的に見ますと、明治三十四年
綱式掘鑿装置
の
導入
、大正三年
ロータリー式掘鑿装置
の
導入
、
昭和
四年
石油試掘補助金制度
の
実施
等技術的な新方策の
設定
によ
つて
、著しく
向上
して参つたものでありまして、この
法案
がその
内容
に
近代的科学性
を有する
油層技術学
に基く諸規制を採入しておりますことを考えますと、この
法案
が、御
審議
の結果幸い可決され、公布施行されますならば、必ず
石油
及び
可燃性天然ガス資源
の
開発
が
促進
され、
国内地下資源
の
開発
に資し、ひいては
わが国経済
の興隆、
公共福祉
の
増進
に資すること多大なものがあると信ずる次第であります。
政府
といたしましては、この
法案
の成立により、新
会計年度
より新たなる決意をもちまして、充実せる
資源行政
の
実施
に努力する
所存
でありまして、何とぞ、この意図するところを了とせられ、この
法案
につき慎重な御
審議
の末すみやかに、御承認あらんことを切に希望いたすものであります。
中村純一
5
○
中村委員長
以上で
提案理由
の
説明
は終りました。質疑は
次会
にこれを行うことといたします。 —————————————
中村純一
6
○
中村委員長
次に
繊維
に関する件について
調査
を進めます。 この際お諮りいたしますが、本件の
調査
につき
商工組合中央金庫理事門司正信
君及び
全国繊維産業労働組合同盟福井
県
支部書記局長中島優治
君の両君より
参考人
として御
意見
を承ることといたしたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
中村純一
7
○
中村委員長
それではそのように決定いたします。まず
中島優治
君より御
発言
を願います。
中島優治
8
○
中島参考人
それでは御
指名
によりまして、私
ども福井
県下の
繊維産業
、特に絹、
人絹
に従事しております
機屋
の
実態
と、それに従事しております
労働者
の
実態
を申し上げ、これに対する私
ども
の
お願い
を申し上げて御
了解
を得たいと思います。去年の九月、十月ごろから商社が相次いで倒産いたしまして、それに関連する
機屋
もあちらこちら倒産を続けているような
状態
でございます。それで
業者
の方の
協同組合
あるいは
同業会等
におきましては、現在の
原糸
高、
製品安
に対しまするところの
自衛手段
といたしまして、
操短
あるいは同
盟休機等
を行
つて
おりますけれ
ども
、それも
現状
におきましては、十一月におきまして三百三十二
工場
が、約三割が
休機
その他操業を停止しておりますのにかかわらず、逆に
生産高
は戦後
最高
の二千二百五十一万ヤールを織り上げるというような
珍現象
を生じて参りました。このことは正常時におきまして、しかも
経営
の
合理化
によ
つて
少い
織機
でたくさんの
生産
を上げるということにつきましては、非常に喜ばしいことであろうと思いますけれ
ども
、一方におきまして、
自衛手段
としての
操短
あるいは同
盟休機
を
計画
いたしておりますや
さき
におきまして、しかも一方においてはそれが
ため
に安値で
投売り
をや
つて
おるや
さき
におきまして、こういうような
現象
があるという点につきましては、私
ども
まことに残念なことであると思うわけでございます。しかしながらこれに対しまして——その
経営者
に対しましての
警告
を発することはもちろんでございまするが、その
経営者
が現段階におきまして、このような
手段
に出なければならないという
実態
に相な
つて
おるということも
了解
ができることでございます。そこで一方
投売り
等がやられておるや
さき
に、またこういう
休機
をや
つて
おりますや
さき
に、戦後
最高
の
生産高
を上げるということにつきまして、これは
市場撹乱
と、もう
一つ
は
労働者
にと
つて
はただ単にコストの引下げを
賃金低下
のみによ
つて
や
つて
おるというような
現象
もここに現われて来ておるかと思うわけでございます。と申しますのは、十一月の県下約一万の
労働者
の
賃金
を各
機業単位
に按分して
調査
いたしましたところが、十一月分は
最低
が千二百円、
平均
が三千四百六十二円と相な
つて
おります。現
在官公吏
の
賃金ペース等
は一万円以上を見、また低いといわれておる
繊維
の
全国平均賃金
も五千七百円以上を見ておるや
さき
におきまして、
平均
三千四百六十二円というような低い
数字
を示しておるのでございます。また十二月に入りまして
実質手取り賃金
を
調査
してみましたところが、
最低
五百円、
平均
二千七百円というような
低下
の
数字
を見ておるのでございます。なおこの
低下
して行くという
状態
を
失業保険
の
支給額
から
調査
してみましても、これが証明できるのでございまして、昨年の六月には、三万八千名の
失業者
に対します
支給額
は一日一人
平均
百四十二円でございましたが、それが十一月にな
つて
参りますと、
生産
がぐんぐん上
つて
参りまして、この月に
調査
いたしたときには、この
失業者
に払いました
失業保険
の
給付額
は一人一日
平均
百十円というような低い
数字
にな
つて
おることを見ましても、この
生産高
と相反して
労働賃金
が
低下
しておるというような
状態
を見ることができるわけでございます。しかもその
労働
時間は
労働基準法
も何のその、十二時間
平均
ということにな
つて
おるわけでございます。こういうようなことであ
つて
、先ほど申し上げましたように、ただ単に
経営者
が
自衛手段
を決定いたしておりながら、それに対して何ら実行しておらないというような点につきましては、私
ども労働組合
のものといたしましても
警告
を発し、この履行にわれわれは協力しておるものでございますけれ
ども
、それがいかんせん、手形の割引その他
融資
の
返済等
から、俗にいう
自転車経営
というような
実態
の中にありまして、この
状態
がやむなくなされておるというようなことも私
ども
うなずけるわけでございます。そこで私
ども労働組合
といたしまして、従来ならばただ単にこういう低い悪
條件下
にあるところの
労働者
の
労働條件
を
向上
させます
手段
といたしましては、ただ
経営者
に
労働條件
の
向上
を叫び、要求をして参るわけでございますが、これは今申しましたように、
福井
県あるいは北陸の
絹人絹関係
の
経営者
に対しまして、われわれが
労働條件
の
維持向上
を叫びましても、もうないそでは振れない。ただそれ以上に要求いたしますならば、共倒れの結果になるというようなことも私は存じております。
従つて
今まで日本の
労働運動史上
にありませんような、
経営者
が従来唱えて参りましたような問題を私
ども労働組合
の問題といたしまして取上げまして、一月二十七日に
福井
県の
中小企業
の
繊維産業
に従事しております全
労働者
が
大会
を開催いたしまして、
危機突破
の件を決定いたしました。なおその決定を私
ども労働者大会
の代表といたしまして二十三名の
陳情員
が上京して各
関係箇所
に
陳情
に参り、今日なお続けているような次第でございます。 なお先ほど申しましたような
状態
から、
福井
県下の各
飲食店
あるいはまた旅館におきましても、私
ども
各
工場
を教育指導して歩きましたときに知
つて
おります女工さん
たち
が、そこの女給あるいは女中さんにな
つて
いる姿もたくさんあるようでございます。中には子供をかかえた人が
生活
に苦しむあまりに
工場
では
生活
ができないので、
特殊喫茶店
の方に行
つて
いるような
現象
が続出している
状態
でございまして、これはただ単に
労働條件云々
というような問題ばかりでなくして、大きな
一つ
の社会問題であろうかと思います。そこで私
ども
が
陳情
に上りました要旨を簡単に申し上げまして、私
ども
の
立場
を御
了解
願いたいと思うのでございます。 まず一番最初に
経営
が苦しいことになりましたのは、何を申し上げましても
原糸
の
価格
が安定しておらないからだという結果に相な
つて
おります。
人絹糸
が
短期間
に一万六千円のものが三万円になり、あるいはまた
最高
六万三千円というような非常にべらぼうな
価格
に
なつ
たり、あるいはまたそれが二月、三月いたしまして二万二千円にな
つて
おります。そこで
工業者
であるべき
機屋
の
人たち
が、非常に
短期間
に上つたり下つたりしている
状態
でありますので、よい品物をつくり出す腕前というよりも、
相場
の目先の
きく人
ということが
りつぱな経営者
、
りつぱな工業者
ということになりまして、現在なお倒産しております。あるいは整理されておりますような
工場
を再建いたしまする場合におきましても、
工業者
でなくして
金融家
あるいは
相場
に目のきくような人がその
経営者
に迎えられて行くということで、逆に
協同組合等
が指導しておりますような、
工業者
としての建前に逆行しているような
状態
も現在なおあろうかと思うのでございます。 そこで私
ども
は
原糸
の
価格
の安定につきまして、ぜひとも御協力願い、安定していただきませんと、
経営者
がいかに
経営
の
合理化
をはかりましても、またそこの
労働者
がいかにりつぱに働きましても、決して自主的な
経営
は成り立ちませんので、その点特に
お願い
をしたいのでございます。 二番目の
お願い
といたしましては、
価格
が上つたり下つたりする原因は、少い
原糸
をたくさんの者が使うからで、現在二十万台ある
織機
のうち、五万台分の糸が足らないといわれておりますけれ
ども
、それら糸の
使用計画
につきましては何ら法的にも手が加えられておりませんので、そういうことにつきまして
計画
を立てて、足りない糸を使うような
立法的措置
をおとり願いたい。 次には、そういうことをいたしまする
ため
に、大体二十人から五十人までを使用しておりまする
工場
が過半数を占めている
弱小企業
の実体でございますので、現在のこの
経済機構
の中にあ
つて
立ち向
つて
行きまするには、そういうような
弱小企業
をある程度協同せしめて、
経営基盤
の基礎の強化をはからねばならないことで、現在の
中小企業等協同組合
を
中心
とする
経営様式
をもう少し強化するような
方法
をと
つて
いただきたい、かように私
どもお願い
をしたいものでございます。 なお四番目の
お願い
といたしましては、現在
中小業者
に対する
融資
がいろいろ考慮されておりまするけれ
ども
、それは、あまりにも傷が深い
弱小企業
にとりましては、今までの穴埋めにしかなりません。今後の
生産資金
というところまではほど遠いと思われますので、もう少し
生産資金
の
わく
を拡大していただくことが、現在の
弱小企業
の再興の
方法
かと思います。その点私
どもお願い
をしたいと思うのでございます。 なおその次の問題としまして、
労働組合
の
団体保証
による再
生産資金融資わく
の
設定
について
お願い
をしたい。これは今まで唱えられておりません新しい問題でありますので、特に
お願い
をしたいことでございます。というのは、現在
福井
県下におきまして、先ほど申し上げましたような
融資
の点、あるいは
融資わく
が拡大されましても、現在の
流通面
そのままでありまするならば、
融資
を受ける資格がないというような
状態
に到達しているかと思われるのでございます。どの
工場
を見ましても、第三
担保設定
あるいは第四
担保設定
という
状態
で、もはやこの上に
物件担保等
の能力を持ちません。
従つて融資
の
わく
が拡大されただけでは、この恩恵に浴することはできないような
状態
であり、それが
ため
に生きるところの
工場
が死んでしまうというような結果になるおそれのある
工場
もあろうかと思います。
従つて
そこには、私
ども労働者
は給料が一月、二月欠配にな
つて
も、何とかこの
工場
を生かして行きたいというような
労働組合
があるところもございまするが、そういうところの
労働組合
が、この際私
ども
が絶対的に保証いたしまするから、ひとつ
経営者
に金を貸してや
つて
いただきたいという
方法
に出ました場合におきまして、その
労働組合
が民主的な
労働組合
であるということを
所轄官庁
が認めました場合においては、その
融資
ができるというような
一つ
の
流通面
を
設定
していただきたい、これが私
ども
特に
お願い
をしたいことでございます。 その次の問題は、これは私
どもしろうと
にはまことにむずかしい問題でございますが、絹、
人絹
のうち、特に
人絹
、
レーヨン関係
の
市場
というものは、
ポンド地域
に多く持
つて
おる。その
関係
で今
ポンド
の裏づけになるドルの
不足
から
輸出
がとま
つて
おるというようなことも聞いておりまするが、そういうようなことにつきまして何とかひとつ
お願い
をしたい。ということは、そういうこと
一つ
の問題でなくして、特に
化繊関係
はどうすることもできないのだ、
化繊関係
は行先がもうきま
つて
おるのだという
特殊事情
を特に何とか御考慮願いたい、こういうことが六番の私
ども
の
お願い
の
趣旨
でございます。 大体以上が、私
ども
二十七日に
労働者大会
を開きまして決定いたし、現在
陳情
に参
つて
おります要綱でございます。先ほど申し上げましたように、私
ども
がそういう今まで例のない
運動
をや
つて
おりますので、中には、私
ども労働組合
の動きをあたかも
御用組合
だとかいうふうに誹謗しておる者もありますけれ
ども
、あえて私
ども
は、私
ども
の
労働條件
の
維持向上
は
企業
の防衛からだというような点からこの
運動
に挺身しておりますので、その点くれぐれも御
了解
の上何とぞよろしく処置されんことを
お願い
する次第でございます。
中村純一
9
○
中村委員長
次に
門司正信
君より御
発言
を願います。
門司正信
10
○
門司参考人
ただいま
中島
さんから、
福井
県におきます
繊維産業
の現況につきまして御
発言
がございましたが、その
お話
を承
つて
おりまして私
ども
が率直に感じましたことは、金融問題以外の深刻な要素がたくさんその中に含まれているということであつたわけでございますが、一応御
参考
までに
商工中金
が
繊維産業
に対して行
つて
おります
融資
の実情を簡単に申し上げてみたいと思います。
昭和
二十六年十二月末におきます
商工中金
の
全国組合
に対する貸出しの総
残高
は二百十二億でございまするが、この中で
繊維産業
に対します貸出しの
残高
は四十六億でございまして、パーセンテージにいたしまして二一%強でございます。
中小企業等協同組合法
によります
組合
の中で、
業種別
に見まして中金の
利用高
の大きいものは
繊維産業
と
食料品工業
でございまして、場合により
食料品関係
が
トップ
になることもあり、
繊維
が
トップ
になることもあるというような状況を続けて参
つて
おりましたが、最近に至りましては、
繊維産業
の方が
食料品工業
を上まわ
つて
ずつとトツプを続けているような次第でございます。私
ども
といたしましては、
金融ベース
に乗ります限りにおきましては、いかなる所の
繊維産業
に対しましても公平なる
立場
をも
つて
融資
に努力をいたしておるような次第でございますが、その
融資
いたしております
資金
は、大きくわけまして
運転資金
と
設備資金
ということになります。先ほど申し上げました四十六億の中で
設備資金
が六億八千万円ほど含まれておりますが、ただいま
中島
さんの
お話
を承りましても、問題はやはり
運転資金
に重点があるように存ずるのでございます。
運転資金
につきましては、これを取上げますについて、地元銀行等で
資金
化のできない商業手形を
組合
を通じて
資金
化をするということを第一に取上げておるわけでございますが、それ以外に、実情によりましては、先に糸の購入
資金
をお出しいたしまして、一定の期日を経過した後に製品を販売して得られたところの商業手形を持ち込んでいただくということをや
つて
おるわけでございます。このやり方は
福井
県下におきます数個の
組合
について、すでに相当前から実行中のものでございます。ただその場合におきましても、
組合
の構成、ことに
組合
員の金融機関に対します成績等を考慮いたしますので、どうしても全員に対して総花的にこの種の金融を行うことはできにくいのでございまして、全
業者
の中のある部分の者がこの
方法
によ
つて
幾らか恩恵を得ているということにな
つて
おると思います。なお今後いかなる
方法
によりまして
繊維
工業
に対する
融資
を積極化するかということはいろいろ研究しなければならぬ問題とは存じまするが、それにつきましてやはり一番問題になりますのは、貸出しの
資金
源の問題でございます。昨年末ともかくも二百十二億という
残高
を示し得ましたことは、各方面の御協力のたまものでございまするが、ここ二、三箇月の問題といたしましては、
商工中金
は
資金
繰りに非常に苦労いたさねばならぬ実情にな
つて
おるのでございます。今月の十四日にルース台風の
関係
の二億四千万、月末に澱粉
関係
の農中よりの借入金五億、また三月十日には
政府
の預託金六億五千万、三月の末日にさらに六億五千万、そのほかに各府県の県費の預り金の中からおおむね三億円程度はお返ししなければならないかと思います。かれこれ合せまして二十三、四億というものを確実にお返しをすることになるわけであります。一方これに対しまして二、三箇月でふえまする商工債券の発行による
資金
というものはわずかに八億程度でございます。このままで参りますると、年末の二百十二億という貸出し
残高
を維持することも相当困難であり、全国の
組合
のうち現在の貸出しの
残高
よりもある程度収縮をしていただかなければならぬ分も出て来るかという状況にございますことは、われわれといたしましてば一番懸念をいたすのでございます。
福井
県の問題に対しまして直接御
参考
にはならなかつたかと存じますけれ
ども
、一応中金の
繊維産業
に対しまする
融資
の状況を
お話
申し上げる次第であります。
中村純一
11
○
中村委員長
ただいまの
参考人
の御
発言
に関連して、
参考人
に対しあるいは
政府
に対して何か質疑がありますればこれを許します。
福田一
12
○福田(一)
委員
本日
福井
県の
繊維
関係
から
中島
君が出席されていろいろ
説明
があり、また中金からも最近の金融状況について御
説明
があり、その対策についていろいろ話があ
つたの
でありますが、今日
繊維
問題を取上げて
審議
を進めるという点から見まして、もう少し広く全国的にこの問題を見てみなければならないのではないか、それから推し進めて
福井
県その他の諸問題に移
つて
行くべきだと思いますので、一応
参考人
の方にも質問したいと思いますが、
政府
に対してひとつ対策を御質問してみたいと思うのであります。 私が今ここに申し上げるまでもなく、
繊維
に
関係
いたしましては東北などでは川俣、関東などでは桐生、足利その他中部でも浜松、岡崎あるいは北陸の金沢とか
福井
とか小松、勝山、あるいは関西地方でも西陣とか、泉大津その他の諸地区にわたりまして最近非常に業界の不振が伝えられました。特に昨年の末になりまして、横浜では小泉商会あるいは内外織物、
福井
では西野商会というような
大会
社が倒産をいたしました結果が、直接間接に機
業者
に与えましたところの影響というものは非常に甚大なものがあつたと私
たち
は考えおる。またその
ため
にいろいろと
運動
もありいろいろの
陳情
もありましたが、これに対して事実問題として
政府
はあまり有効適切な救済をすることができなかつたわけであります。 以上のように、今機業が非常に苦しい
立場
にな
つて
おりますが、その機業が苦しく
なつ
た原因を分析して考えてみますると、終戦直後におきましては、日本の機台数は戦争の影響を受けまして非常に減
つて
おりますが、それが最近非常に数がふえて来ておる。一方これに伴
つて
戦争中に相当衣服を消費してしまいましたので、しばらくの間は織れば織るほど売れるといういわゆる糸へんブームが出たのでありますが、その後だんだんこれが飽和
状態
に達して来た上に、一方
輸出
の方は伸びないようにな
つて
来た、こういうことからいたしまして業界に非常な異変を生じて来たのであります。それに拍車を加えたのが朝鮮事変でありまして、朝鮮事変で非常に織物に対する需要がふえるという見通しのもとに、一時盛んに増産をいたしまして、また海外へはどんどん品物が出るというような異常な事態が出たので、
原糸
の値段も
人絹
などでは六百三十幾らというような値段が出て来た。ところがそれが非常な思惑違いになりまして、その後これが二百円前後まで落ちるというようなことに
なつ
たわけであります。こういうような面から考えてみますと、先ほ
ども
中金の当事者が申されておりましたように、今回のこの織物に対する対策というものは、決して金融面だけで解決すべきものではない。私は金融だけではどうにもならないと思う。金融というものは織物
業者
に対するモルヒネ注射のようなものであ
つて
、抜本塞源的な道にはならないと私は考えておるのであります。しかし今苦しんでおる病人をそのままにしておいていいということにはなりませんから、やはりこれは重大な一対策ではあります。けれ
ども
これを要するに、もつと根本的な問題を考えてみなければならないのではないかと思うのであります。そこで今
参考人
も言われたのでありますが、こういうふうに
機屋
が非常に困
つて
来る
一つ
の原因は、糸価が安定しておらないからだ、こういうことを言われておるのはもつともな
意見
でありまして、私
たち
もそれが大きな原因にな
つて
おると考えるのであります。今のところ
人絹
会社は日本に六社ありまして、これがほとんどこの
人絹
製造を独占しておる。こういう独占しておる商社があ
つて
、いかに糸の値段が下るような
状態
になりましても、これを妨げるような事態をつく
つて
おる。たとえば今綿糸の
価格
を見ますと一梱十一万円前後と考えるのでありますが、これを
人絹
の建値であるところの
ポンド
の値段に引当ててみますと二百七、八十円になります。今の
人絹
の
相場
は先物が二百八十円前後でありまするからして、
人絹
と綿糸とはほとんど同値ということにな
つて
おります。ところがわれわれが実際に主として織物を古い昔からの習慣によ
つて
使
つて
おります場合に、大体綿糸に対しましては
人絹
というものは六掛か七掛くらいの値段が相当した値段でありまして、それ以上にな
つて
おるということは大体不つり合いなのであります。しかも綿糸はアメリカの
生産
並びに世界中の消費をにらみ合せて考えてみましても、織物というか、綿糸の値段が今後そう上るとは私は考えられない。たとい上つたにしましても、今のところ比率が同率であるというところに、非常に疑問な点がまず第一にあるのでありますが、一体
政府
は
人絹糸
の原価の計算を調べられたことがあるかどうか。またこれをどれぐらいに考えておられるかということを、まず第一に承りたいのであります。
記内角一
13
○記内
政府
委員
ただいま
人絹糸
の原価の計算の
お話
がございましたが、現在糸の
相場
はいろいろ変動がございますけれ
ども
、統制はまつたく廃止にな
つて
おります。従いまして
相場
はもつぱら需給のバランスによ
つて
きま
つて
来るかと思うのであります。綿糸とのバランスの問題もございますけれ
ども
、とにかく
機屋
の数が非常に多い。
従つて
競
つて
原糸
の買付をするというようなことで、糸の
相場
が相当強気になりがちであるというのが実情かと思います。ただ現実の問題としましては、相当強気に
価格
の安定をはか
つて
おりましても、その
相場
が日々低落するというのが最近の実情でありまして、これは
人絹
会社が故意に
相場
を引上げておるというふうにも必ずしも考えられない点が多分にあるのではないかと思
つて
おります。
人絹
の原価の問題につきましてはいろいろな見方がございます。ことに主原料でありますパルプの
相場
ということも多分に影響して参ります。昨年のちようど朝鮮ブームのはげしい時代におきましては、
人絹糸
を押える意味において勧告
価格
というものが、過去の売値の
相場
並びに原価とにらみ合せまして出たこともありますけれ
ども
、それが毎週のように値上りする。
最高
に至りましては、以前の三倍にもなるというふうなことにまで
なつ
たわけであります。それが朝鮮問題が解決するということになりますと、にわかに暴落するという、非常な不安定な
状態
にあるわけです。これでは原価を計算しましても、需給の
関係
から見合
つて
相場
がきま
つて
参りますので、単に原価のみによ
つて
これを決定することは困難ではないかというふうに考えておる次第であります。
福田一
14
○福田(一)
委員
私はさようなお答えでは非常に不満足であります。なぜかといいますと、なるほど需要供給の
関係
によ
つて
、
価格
の変動の起ることはだれにもわか
つて
おる。しかしこの対策というものを一応考えてみる場合においては、一体
人絹
はどれくらいの値段が原価にな
つて
おるかということを、通産省の
繊維
局で一応調べておかないということははなはだ怠慢だと私は考えるのでありますが、その
調査
がしてあるのかないのか、それを承りたい。
記内角一
15
○記内
政府
委員
大体の見当はつけております。
福田一
16
○福田(一)
委員
それは幾らぐらいになりますか。
記内角一
17
○記内
政府
委員
大体の見当はつけておりますが、今の
相場
と非常にデリケートな
関係
を持
つて
おりますので差控えたいと存じます。ただ今の状況は
相場
が下る状況であります。糸価の安定ということは、
価格
を下げることよりも、むしろ下げないようにするのが当面の問題かと思
つて
おりますので、その御答弁は差控えたいと思います。
福田一
18
○福田(一)
委員
そこが非常に問題になるので、大体
相場
は、最近暮れには二百四十円から二百二十円まで一ぺん低落して、今のところは二百八十円までもどした。その二百二十円並びに二百四十円のときに
機屋
さんはどうであつたかというと、どうしても糸が手に入れられない。現金を持
つて
行
つて
も二百二十円や二百四十円ではなかなか売
つて
もらえない。二百六十円なり二百七十円出さないと
人絹
会社は糸を出さない。それだから手に入れられないという意味で倒産したところもずいぶんたくさんあ
つたの
でありまして、そういう点が私は非常に疑問を持たれることになるのではないかと思う。たとえば原価計算は二百円でできる、あるいは二百二十円でできるということになりましたならば、これに適当なマージンを加えた二百三十円とか二百四十円で
機屋
に売り渡し、どんどん織れるような
措置
をと
つて
やることが非常に大事なことだと私は思う。これによ
つて
一応糸価が安定するのであります。今
繊維
局長が言われたようなことでありますと、原価は非常に安いのだが、
相場
の方が上
つて
おる。糸価の安定というものは値段を上げることにあるといいますと、実勢以上に上
つて
おることを認めた結果になるのでありまして、この原価計算を発表しなくても、これはもうそれだけで言われなくても言つたと同じ効果にな
つて
しまう。もしそういうことであつたとするならば、いわゆる糸価がそういう割安にできるということであつたならば、これに適当なマージンを加えたところでこれを
機屋
に渡すような方策を勧告するとが、あるいはまたその程度に安くできるものであるならば、何かほかの
方法
を講じてでも
機屋
に糸が渡るようなくふうを考えてみてやる、こういうことが非常に大事なことではないかと私は思うのでありまして、実勢と違つた値段につり上げておこうということが私は
一つ
の大きな問題だと思う。これは議論のわかれるところでありまして、たとえば
輸出
を
促進
して大いに金をもうけようということになれば、なるべく高い値段で売つた方がいいのでありますから、そういう見地から見ればなるほどそういう点も考えられないわけではないけれ
ども
、そういうことをした結果が昨年の大暴落にな
つたの
でありまして、どんどん糸の値段をつり上げて、これにつれて
機屋
がどんどん買い進んだ。買い進んで一番
最高
値まで行つたところで今度は暴落に転じ、そうして三分の一以下まで下るくらいの
相場
を出してしまつた。これでもう全国の
人絹
関係
の
機屋
はみんなぺしやんこにな
つて
しまつた。それが今回方々の商社で倒産を出した非常に大きな原因にな
つて
おる。そういうことを考えてみますと、私は今の通産省の
繊維
局長の答弁ではどうも納得が行かないのでありまして、私の言うところは、
人絹
商社が四割も五割も六割も配当をしておる。非常に金をもうけておるということは、全国でだれでもみな知
つて
おるのであります。そんな配当ができるくらいならば、もう少し採算のとれる値であつたならばこれを売る、またそうすることによ
つて
今度は
輸出
の
関係
でもう少し高い値段で外国に買
つて
もらいたいというふうに、
人絹
会社同士で減産をするなり、何か別途の
方法
を講じて
輸出
の
促進
をはかり、
輸出
値段の維持をはかる、こういう行き方にしませんと、今ここで二百八十円というような実勢に沿わない
相場
であるといたしますならば、これでまた
機屋
が織つたものが今度は売れなくなる。売れなく
なつ
た場合にまた暴落する。暴落したときには
機屋
は結局みんな損をして、また二百円か百八十円の値段の糸でも
つて
それが全部海外に買われてしまうということになるならば、
輸出
促進
とか金もうけをしようというその考え方とも相反することになるのでありまして、これは
政府
委員
も出ておられるようでありますから、もつと抜本塞源的にひとつこの問題を検討してみてもらいたいのであります。これについて
政府
委員
の答弁を求めます。
本間俊一
19
○
本間
政府
委員
お答えを申し上げます。御承知のように暮れごろになりまして
繊維
界が非常に不況になり、いろいろな倒産
関係
な
ども
出したのでございますが、私
ども
といたしましては、暮れにはいろいろの恒久的な制度を再検討いたしましてもなかなか急に効果があが
つて
参りませんので、とりあえず金融面で個々の会社についてできるだけの
措置
をいたしたのでございます。その後御説のように、単に金融面ばかりではなく、制度そのものを再検討しなければならない環境にな
つて
おりますので、ただいま御説のような点も含めて検討をいたしているような次第でございます。 最後に申し上げたいのでございますが、実は
繊維
関係
のただいま当面いたしている問題は二つあるのでございまして、
繊維
全体の問題と、もう
一つ
は
中島参考人
の御指摘に
なつ
たような、北陸、関東地帯の比較的小規模な
経営
をいたしている方々の当面の苦境の問題、こういうふうにな
つて
おりますので、これらの点をあわせまして、制度全般にわた
つて
の結論を得たいというので、ただいませつかく研究をいたしているような次第でございますから、御説を尊重いたしまして結論を急ぐようにいたしたいと考えます。
福田一
20
○福田(一)
委員
ただいまの御
説明
によると、今大いに研究されているということでありますから、そういう根本的な問題について、ひとつよく研究をしてもらいたいと思うのであります。 そこでもう
一つ
、その根本論に入るのでありますが、何とい
つて
も
人絹
織物というものは大
企業
でなく、小さな
企業
でできるのであります。百姓をしながら二台か三台の機を動かして織物をつく
つて
いる、あるいは一方において商売をしておりながら——タバコ屋さんをしてお
つて
裏では
機屋
さんをや
つて
いる、こういう例も多いのでありまして、必ずしも専門に
機屋
をや
つて
いる者だけではないのでありますが、しかし先ほど申しましたように、このよ
つて
起つた問題というものは、需要に対して機台数が多いということが一番大きな原因であります。そこで各
組合
なり、あるいは各地におきまして、自治的な減産をやるような組織をや
つて
おるのでありますが、この
企業
家のいわゆる自衛的
措置
といいますか、むやみにどんどんつく
つて
値段を下げたのでは、自分で首を絞めることになるから、これではいけない、何とかしてそういうようなことをなくする、その
ため
にいろいろみなで相談をして減産をして行くというような問題がある。これは独占禁止法の問題その他にからみまして、当面強力にこれを実行することができないというような問題があるいは残
つて
いるかもしれませんけれ
ども
、しかし日本の唯一の産業であるこの織物がつぶれてしまうということにな
つたの
では、これはもう背に腹はかえられないという問題でありますから、こういうような
企業
家の自衛的
措置
、いわゆる
組合
組織その他の
方法
によ
つて
休機
をさせるようなことを
促進
する意図があらわれるかどうか。これに対して
政府
はどういう考えを持
つて
おられるか、
政府
委員
の御答弁を願います。
本間俊一
21
○
本間
政府
委員
御説のように設備が非常にふえまして、ここにも大きな問題が横たわ
つて
おることは私も同感でございます。そこでこの非常にふえた設備に対しまして、実際に沿うようにして行くという業界の自主的な動きを
促進
いたしますると同時に、新設の設備につきましては法的に処置をしなければならぬということで、あわせてただいま考慮をいたしておるような次第でございます。
福田一
22
○福田(一)
委員
ただいまの点は私と同
意見
のようでありますから非常にけつこうであります。これは根本的な問題でありますから、真剣に取上げて研究していただきたい。 次にもう
一つ
根本的な問題というか、日本経済の持
つて
おる悩みということでありますが、先ほ
ども
中島参考人
から言われたのでありますけれ
ども
、今日本は
ポンド地域
に対しては
輸出
超過になり、ドル地域に対しては輸入超過にな
つて
いる。こういう
状態
において世界経済につながりを持
つて
いるわけであります。そこで
ポンド地域
に対しましては織物というのは非常にお得意先が多いのでありまして、そのお得意先の多い
ポンド地域
にはあまり
輸出
を奨励しない。もちろん
輸出
をしてはいかぬというわけではありませんが、
輸出
を奨励しないという建前をと
つて
いる。これでは織物業界が立ち上るということはとうてい困難な問題であると思います。そこで
ポンド地域
に対する
輸出
の
促進
ということについて
政府
はいかなる考えを持
つて
いるか、通産大臣より御
説明
を承りたい。
高橋龍太郎
23
○
高橋
国務大臣 ただいまの御質問は非常にむずかしい問題でありまして、現在
ポンド
がだんだんたま
つて
来る、この対策をどうするかということを簡単に言えば、ドル区域の方の
輸出
を奨励してスターリング・ブロックの方を押えて行く、輸入の方はそれと反対にする。これはだれも言うことで根本の対策であろうと私も思うのですが、さてこれを実行面に移すとなるとなかなか支障がある。要するに根本的に考えますと、
ポンド
の信用が低落した
ため
なんです。これに対応して日本の力で策を立てるということはなかなか困難なのであります。ただいまの御
発言
の中にありました
ポンド
区域の方の
輸出
を押えるという
意見
も
政府
部内にあります。しかし原則としては私はこれには賛成をようしないのであります。原則としてはやはり
輸出
は奨励すべきものだと思
つて
おります。というのは、二十六年度は相当
輸出
がふえて来ました。ただ残念ながらドル区域よりも
ポンド
区域で
輸出
が
増進
したのでありますが、日本の自立経済の
立場
からいうと、まだまだこういう程度ではいけないのであ
つて
、もつと
輸出
がふえなくちやいけない。
ポンド
への昨年の
輸出
の程度がようやく各地に日本の商品の足場ができたのであります。それを日本の国内事情の
ため
に都合が悪いからもう
輸出
はその地方にはしない、あるいは三年先に日本の国内事情が違
つて
来てまた買
つて
くれ、それは商売ではないと私は思う。商売というものは、ある場合にはある地方では赤字が出ても、その足場だけは何とかして確保して行かなければいけないのだ、私はそう考えております。しかしそれは要するに原則であ
つて
、ちようど今、現在もイギリスから鉄を十一万トン買いたいとい
つて
交渉が起
つて
おりまして、民間ではもう約束ができたのであります。鉄は御承知のように許可制にな
つて
おりますので通産省としてこれをどう扱うか、私はこの場合ただ無條件でこれに許可を与えるべきでないと思う。鉄というものをイギリスでぜひ必要だというのであるから、それに対しては少くともわれわれが欲しいものをよこせ、そういう方針で今交渉をしているのですが、イギリスのいろいろな
立場
からいうと、それもなかなか困難な様子であります。結論はどうなりますか、まだ見通しがつきませんが、そういうふうで、原則としては
輸出
を制限すべきではないが、それは原則であ
つて
、
一つ
一つ
の場合には鉄のように原料の大部分をドルで払
つて
いるものを、ただ無條件で
ポンド
で売るということは考えて行かなければいかぬ、そういうふうに私は考えております。
福田一
24
○福田(一)
委員
政府
のお考えはわかりましたが、私が申し上げたのはそういう足場ができたのをやめてしま
つたの
ではいかぬから
現状
維持程度にしておくのだ、こういう御方針のようでありますが、私が言
つて
いるのはそうではなくて織物についてはもつと足場を広げてもらわなくては、糸価の安定といいますか、織物業界の不振は救われない。だから織物については逆のことをして行かなければならぬのだ。こういうことを実は申し上げているのであります。しかし
政府
としてはいろいろの点も考慮をされているようでありますから、この問題についてはそれ以上追究はいたしませんが、私が
発言
している意味を十分御
参考
に供せられて施策の決定を行
つて
いただきたいと思います。 そこで今通産大臣から
お話
があ
つたの
でありますが、
ポンド
が非常に信用を失いつつある、こういうことが世界の経済から見て大体推知されるということを今申されたのでありますが、われわれの心配いたしますところは、そういうふうに
ポンド
の価値が下落しているということになると、いわゆるスターリング地域に対する今後の
輸出
というものは、今の日本はだんだん失われて行く傾向になりはしないか。特に恐れますことは、
ポンド
の切下げが行われたという場合には一大打撃を受けることになると思います。この場合に、
ポンド
の今度切下げがあつた場合に、この前に切下げがありましたけれ
ども
、日本といたしましては何ら
措置
をしなかつた。いわゆる為替は
現状
維持のままでしのいで参
つたの
であります。当時の日本の経済情勢は輸入が多くて
輸出
が少い状況であつたから、一応そのりくつも成り立
つたの
でありますが、しかし今は当時とは状況もかわ
つて
おると思いますが、
ポンド
がもし切下げに
なつ
たような場合には
政府
としては今度は抜本塞源的な
措置
を考えておられるか、これについてひとつ通産大臣のお考えを承りたい。
高橋龍太郎
25
○
高橋
国務大臣 今の前の御質問に対しての私の答弁が少し言葉が足りなか
つたの
で誤解をなさ
つて
おるように聞えるのですが、私が言いましたのは
輸出
はますますふやさなくてはいけないのだ、そういう対策を講じなくてはいけないのだというあなたのお言葉には全然賛成なんです。ただ私が言いましたのはある区域で、ある品物で日本がそれを
輸出
すれば赤字になるのだ、そういう場合にも、少くとも
現状
維持でその足場を確保することに努力しなければいかぬということを申し上げたので、その点はあなたとまつたく同じ
意見
なのだろうと思います。 ところで次の御質問の
ポンド
の切下げが起つた場合にどういうことを考えるか。これは非常にむずかしいことでありまして、デリケートでもあるし、しいて御答弁をしいられますれば、
政府
はまだ今日では何も対策を持
つて
いないと御答弁をするよりほかしようがないのです。これは非常にむずかしい問題でございますから……。
福田一
26
○福田(一)
委員
今の大臣の御答弁は無理からぬことで、今責任のあることを言えという方があるいは無理かと思いますから、その程度で私はこの質問を打切
つて
おきます。 そこで根本の問題としてはそういうことだと思うのでありますが、次にこれは先ほど中金からもいろいろ
お話
があ
つたの
でありますが、とにかく昨年来非常な打撃を機業家は受けておりまして、立つことができないくらいの痛手をみんなこうむ
つて
おる。そして手形の書きかえとか切りかえというようなときに、いつも悩まされておりまして、昔は
機屋
さんに対しては糸屋というのが非常な力を持
つて
お
つたの
でありますが、最近はむしろ銀行家が
機屋
さんに対して力を振うというような状況にまでかわ
つて
来ておるのであります。それほど金融面が機業をやる上においてウエイトを増して来たということでありまして、何とい
つて
も非常に金融面は苦しいのでありますが、
政府
として国民金融公庫だとかあるいは
商工中金
、あるいは農林中金というようなものを通じて国庫の余裕金の貸付をこれらに行
つて
おるのでありますが、これを急激に引揚げてしまいますと、先ほど中金の当事者が言われたような問題が起きて来る、また割引商工債券その他の問題も同じでありますが、いずれにしても、こういうような国民金融公庫、
商工中金
、農林中金等を通じてもう少し機業家に対しての
融資
を楽にする、これは単に機業家のみではありません。
中小企業
全般にわたる問題ではありますけれ
ども
、こういう金融面に対して
政府
当局はいかなる考え方を持
つて
おられるか御答弁願いたい。
本間俊一
27
○
本間
政府
委員
お答えいたします。通産省が所管をいたしておりますのは、御承知のように
商工中金
でございます。
政府
が預託いたしております金を返す期限が来ているものもあるのでございますが、とりあえず今まで預託いたしましたものは引揚げないということで、大体話合いがついております。それから新しく
政府
の
資金
もさらに預託をふやしたいということで、ただいま大蔵省の方と話合いを進めておるようなわけでございます。 それから一般の
繊維
関係
の金融の問題は、御指摘のように非常な苦境にあるのでございますが、貿手の決済の期限も来ておるのでありまして、これらの点もあわせ考えまして、御承知のように綿花借款の
関係
もございますので、これらも何とか活用して、苦境打開の
ため
に役立たしたいという方向で、ただいま
関係
方面と折衝いたしておるような次第でございます。
福田一
28
○福田(一)
委員
この問題につきましては、二月危機とか三月危機ということが伝えられておりまして、業界も非常に関心を持
つて
おる。また日本国民全体といたしましても、ここで経済的な何らかの破綻が起きるということになりましては一大問題でありますので、非常に関心を持
つて
いる問題であります。従いまして、ただいまの
政府
の御答弁によりますと、これについては真剣に今対策を考えておられるということでありますが、どろぼうを見てからなわをなうということにな
つたの
では——まあ、そういうふうにはな
つて
おりますけれ
ども
、しかしどろぼうが逃げないうちになわがなえるならば何とかなるのでありますから、なるべく早くこの対策を強力に推進していただきたいということを特にこの席上を通じて希望を申し述べておきます。 次に
委員長
にひとつ申し上げたいのでありますが、先ほど
中島参考人
から
福井
が非常に困難な状況にある。
労働者
が一箇月に千円とか千円以下の
平均
収入にしかならないようにな
つて
おる。これはもう大問題であります。何となれば
人絹
の
生産高
の約四割は
福井
県が占めておるのでありまして、日本の
繊維
工業
の中でも
福井
というところは非常なウエートを持
つて
いるところであります。そのところで
労働者
の収入が月に千円や二千円、しかも
失業者
が続出しておるということは非常に大きな問題だと思うのであります。
中島参考人
は本席ではこういうことは述べられませんでしたけれ
ども
、何かそういう実情をよく
調査
してもらいたい、今は議会開会中ではあるけれ
ども
、だれか人をよこしてこういう点までよく
調査
して、そうして対策を立てる上の
参考
にしてもらいたいという希望を持
つて
おられるようでありますから、この問題についてはこの
企業
において
福井
県が占める重要性を特に考慮せられまして、何らかの善処方を
委員長
に希望いたしまして、私の質問を終ることといたします。
中村純一
29
○
中村委員長
加藤鐐造君。
加藤鐐造
30
○加藤(鐐)
委員
先ほど来
中島参考人
の陳述で、
福井
地方の
繊維
工業
、特に
人絹
工業
の極端なる窮状はよくわか
つたの
でございます。しかしこれは単に
福井
地方ばかりではなくして、おそらく全国的な、特に
繊維
工業
の非常な窮状であるということが新聞紙上にも日日伝えられまするし、われわれは今の
中島参考人
の陳述によ
つて
一層それが明確に
なつ
たような気がいたすのでございます。そこでこれらに対するところの応急処置ついては、いろいろ福田
委員
の御質問にもお答えになりましたし、また
商工中金
の
門司
理事
からも
お話
がありましたが、私はこの応急処置について、特に金融処置についてはなかなか困難な問題があろうと思うのであります。
門司
理事
からは特に
福井
地方の処置についての
お話
がございませんでしたが、おそらく
商工中金
としても、この地方に対しての特段な応急処置を講じてはおられないのではないかと思うのであります。私は先ほどの
門司
理事
の
お話
を聞いてお
つて
もわかります通り、
中小企業
に対しては先ほど
お話
のモルヒネ注射的な応急処置ではどうにもならない
状態
にな
つて
来ていると思うわけであります。しかしそうかとい
つて
応急処置を怠つたならば、倒産者が続出することは火を見るよりも明らかでありますので、できるだけの応急処置は講じてもらわなければならないと思います。しかし私はまず根本対策から考えてみて、
政府
当局の御
意見
を承りたいと思いまするが、第一に
人絹
工場
がこうした
状態
に陥つた直接の原因は、
輸出
の梗塞であろうと思いまするが、先ほど来も
お話
のありましたように、
ポンド地域
が主たる
市場
であつた
関係
で、
ポンド
の過剰ということが
一つ
の大きな原因にな
つて
おります。そこで私は、
ポンド
過剰の
ため
に
輸出
が梗塞されている、これを打開する道はいわゆるドル地域からの輸入の
促進
であろうと思いまするが、これについても
政府
はしばしば輸入の
促進
をはかるということを声明しておられます。しかし私
ども
はどういう
方法
において輸入の
促進
をはかるかという具体的な
方法
については、
政府
当局から承
つて
おりません。この
委員会
においても私はか
つて
質問をしたことがありまするが、抽象的な御答弁だけであ
つて
、具体的な御答弁はありませんでした。たとえば従来ドル地域から輸入しておつた原材料を
ポンド地域
に切りかえるというような
方法
がとり得るかどうか、一々事例を申しませんけれ
ども
、そういう
措置
がとり得るかどうかという問題について具体的に承
つて
みたい。たとえば鉄鉱石であるとか、綿花であるとか、あるいはその他の金属というようないろいろな原材料について、そういう処置がとり得るかどうか、あるいはまたそういう切りかえの
方法
でなくとも、
促進
し得る
方法
が考えられるのではないかとも思いまするが、そういう点についての御
意見
を承りたい。 それから最近新聞紙上で伝えるところによりますると、インドネシア
政府
においては、日本から輸入する、特に雑貨類については大体従来に比較して二割五分くらいの制限をするというようなことが伝えられております。これが事実といたしまするならば相当大きな影響を与えますので、これに対して何らかの対策を講ぜられたかどうか。それからさらに中共
関係
においては、
繊維
についてはほとんど無制限に
輸出
してもいいという承認が与えられたようでございます。しかしその以後において中共に対する
繊維
の
輸出
があまり進んでおらないようでありまするが、この点の状況等について、そうしたいわゆる
輸出
の
促進
対策というものについての具体的な問題について、直接担当官がおられないからあるいは御答弁が詳しくできないかもしれませんが、もしできなかつたならば特に呼んでいただいて詳細に御答弁を願いたい。
本間俊一
31
○
本間
政府
委員
お答えを申し上げたいと思います。スターリング地域の方が伸びまして、ドル地域への
輸出
がそれに比較いたしまして思うように出ないということは御指摘の通りでございます。そこで先ほど大臣からも
お話
がありました通り、私
ども
といたしましては、スターリング地域への
輸出
はできるだけ制限をしないという方針で進んで参りたいと思うのでございます。御指摘のようにせつかく日本の品物が入るようになりました地方で、
輸出
を制限するというようなことをいたしますると、すぐフランスでありますとかイタリアでありますとかいうような商社がおつつけ伸びて来るのでございまして、大臣が申し上げましたように、私
ども
といたしましてはできるだけ
輸出
はスターリング地域へでも
増進
をする、制限をしない、こういう考えでおるのでございます。それからドル地域から入れておりまする原材料をできるだけスターリング地域から入れたい、また入れるようにしなければならぬということは御指摘の通りでございます。たとえば綿花にいたしましても、パキスタンから綿花を入れるということにいたしますと、
価格
の面、品質の面、こういうような面からまたいろいろな問題が出て来るのでございます。鉄鉱石にいたしましても、インドの方に何とかその原材料を求めたいということでせつかく努力はいたしておるのでございますが、思うような——
開発
もまだそこまでは進んでおらぬ、こういう状況でございます。それから御承知のようにただいまのドルの
不足
、スターリング地域への
輸出
が伸びておりまするのは、一面は濠州の昨年の農産物が不作であつたというようなことも大きな原因かと考えておるのでございます。そこで濠州の食糧につきましてもできるだけ数量をふやしたい、こういう努力をして参りたいと考えておるような次第でございます。それからインドネシアの問題でございますが、これは新聞で拝見をいたしたのでございますが、まだその実情が、本日
調査
をいたしたのでございますが、まだ判明をいたしませんので、事態が判明をいたしましたならば対策を講じたい。その際に御
説明
をいたしたいと思うのでございます。 中共の
繊維
の
関係
につきましては
繊維
局長から答弁をいたさせたいと思います。
記内角一
32
○記内
政府
委員
中共の方面に対しましては、大体
繊維
の
輸出
に関しまする限り自由にいたしております。もつともバーターということでなければ代金の決済ができにくいということで、一応バーターということで進めておるわけでございます。しかしながら現実の問題といたしましては、決済
関係
が明確にきまらないということで話が十分に進捗しないというふうな実情にな
つて
おりまして、現実に
繊維
関係
が出るということは、直接の取引としましては非常に少い。但し香港あるいは澳門というふうなルートを通じて相当出向いて行
つて
いるのではないかということは、十分考えられるところでございます。
加藤鐐造
33
○加藤(鐐)
委員
ポンド地域
からの輸入
促進
の問題は、これはむずかしい問題であることは私
ども
承知しております。しかしこれをやらなければ、日本の自立経済の上から考えましても、あるいは日本の
輸出
貿易という点から見ましても、日本の経済自体が非常な窮状に陥
つて
来ることは明らかでありますので、これはひとつ真剣に考えていただきたいと思うわけであります。この問題は、おそらく日米経済
開発
の問題ともからみ合せて、いろいろむずかしい問題を解決しなければならないと思います。きようこれ以上この問題について具体的にいろいろ追究してお伺いしてみても、御答弁はむずかしいようでありまするから、これ以上お聞きしませんけれ
ども
、ひとつこれは
政府
としても真剣に考えてや
つて
いただきたいと思います。 それからもう
一つ
の問題を、これは大臣にお聞きしたいのですが、日本の
中小企業
をもう少し
政府
が保護し育成しなければ、日本の
中小企業
というものは倒れてしまう、朝鮮ブーム等、一時的な景気によ
つて
一時的に太ることはありましても、結局はこれは野放しにしておいては日本の
中小企業
は育つものではない。そういう観点から、もう少し保護育成する
ため
に、まず第一には中小商工
協同組合
法を改正して、いわゆる共同販売、共同購入ができるようにしなければならない。それからまたさらに
輸出
の面においては、それと同時に
輸出
組合
法を
制定
して、ある程度の統制をしなければいけないのではないか、特に中小
協同組合
法が共販制を積極的にやられるかどうかということは、これは金融の面にも
関係
して来るのでございます。先ほど来、
中小企業
者が実際には信用がないから、窮状は見るに忍びないけれ
ども
、希望通りにはなかなか
融資
できないというようなふうにも御
説明
が聞き取れたのでございまするけれ
ども
、私はこれは当然だと思う。やはり
協同組合
自体がもう少し実力を持たなければ、金融の問題も解決しないと思うわけであります。それからしばしば申し上げますように、小さな貿易
業者
が雨後のたけのこのようにできて、そうして業界を撹乱し、あるいはまたその相手のバイヤーの乗ずるところとなり、これがまた
価格
にも影響するというような問題を考えますと、どうしてもこの問題を解決しなければならないと思うのです。ところがこれは独禁法にも
関係
し、あるいは事
業者
団体法第四條の改正も伴うということで、いわゆる
関係
筋の
了解
が得られないというようなことで、大臣もしばしばできるだけ早く実現をはかりたいということを私に対して答弁をせられました。前回の御答弁によりますれば、この通常国会の劈頭においては、この問題が解決して出されるというような答弁でございましたが、今日まだこの問題は解決しておらないようでございます。私はこの問題が解決して、今言つたように
協同組合
がほんとうに実力を持
つて
、そうしてこの
中小企業
者の強固なる団結の力で
企業
をや
つて
行けるようにしなければ、
中小企業
というものは結局において滅びる運命を迫る以外にない。要するに、いわゆる自由主義経済の中に野放しにしておいたのでは、
中小企業
はや
つて
行かれないと思うわけであります。この点について大臣は今日どういうふうにお考えにな
つて
おるか、か
つて
私に御答弁に
なつ
たように、あらゆる努力を続けておられるかどうかという点を承りたい。
高橋龍太郎
34
○
高橋
国務大臣
輸出
組合
の件でありますが、私が昨年あなたに御答弁をしたのが一向に実現していないではないかというお言葉で、はなはだ恐縮するのでありますが、私は今日なお努力をしております。通常国会の劈頭にそれが
提案
できなかつたことを非常に残念に思いますが、今日なおぜひこの通常国会にはそういう
提案
ができるように解決したいと苦心をいたしております。なお
協同組合
をもつと強化しなくちやいかぬじやないか、これも御同感であります。漸次
組合
法は修正改善をして行きたいと存ずるのであります。臨時国会に
提案
しましたのも、実は通産省としては、遺憾ながら満足のできない程度の
提案
であ
つたの
で、残念に思
つて
おる次第であります。なおいろいろまた御
意見
を承りまして、この強化方を熱心に取上げたいと存じます。
加藤鐐造
35
○加藤(鐐)
委員
努力はあくまで続けておるという
お話
でございますが、これは実に急を要する問題でございます。ここらで
協同組合
を強化しなかつたならば、今の
福井
の
人絹
工業
が最も適切な例でありますように、おそらく
中小企業
者がばたばたと倒れて行くということを思うのであります。私は急速に実現をはかるように御努力を願いたいと思う。その際気をつけていただきたいことは、
政府
は
輸出
組合
法の
制定
に全力を注いでおられるようでありますが、私は
輸出
組合
法を
制定
して
輸出
組合
をつくらせる前に、
協同組合
法の改正をして、
協同組合
が共販あるいは共同購入をやれるような態勢をつくらしてから、
輸出
組合
法を
制定
するのが順序である。そうしなかつたならば、結局
中小企業
者が
輸出
業者
に食われてしまうという結果になりますので、この点は十分御注意願いたい。あくまで
協同組合
法の改正が前提であるということでございます。 それからもう
一つ
応急対策の問題でございますが、これは先ほど来
中島参考人
がいろいろ御
陳情
に
なつ
たような点を実現することが急務であると思います。その点については、これは
商工中金
に対しても、私はあら
ため
て
福井
地方にどういう具体的な処置を考えておられるかということは御質問しませんが、やはり
商工中金
の本来の使命というものを考えて、できるだけこういうものに対しては、ある程度の大きな腹をも
つて
対処していただきたいという強い希望を申し述べておきます。 ただこの際ひとつ
政府
の
意見
を承りたいことは、先ほど
中島参考人
が述べられた
一つ
の新しい問題でございます。すなわち今日、
中小企業
者は、実は担保力も薄弱であるし、
従つて
今日の窮状に至るまでにはあらゆる手を打
つて
おりますので、もはやここに従事するところの
労働組合
のほんとうに身体を張
つて
の共同責任における人的の保証ということが、最後の
手段
であるということを述べられました。これは最後の
手段
でありましようが、また
中小企業
にとりましては、一番大事なことではないかと思うのであります。
中小企業
が資産の担保によ
つて
借りられる額というものは、きわめて範囲が狭い。そこでこの
中小企業
、ことに非常な苦境に立つたところの
中小企業
が生きる道は、
労働組合
の積極的な協力ということが非常に大事なことだと思う。私
ども
はそういう点についての二、三の実例を知
つて
おります。倒産しかけた
工場
が、
労働組合
の積極的な協力によ
つて
、またある程度
労働組合
が犠牲を払うというような点において、そこまで
労働組合
が腹をきめて協力して、もはや倒産以外に道がないと考えられた
工場
が復活して、今日非常な成績を上げておるという実例を私は知
つて
おるのであります。具体的にあげて見ろとおつしやれば、あげることはできます。私
ども
の
関係
しておる
工場
にも、そういう実例が今日までありました。私は、今
労働組合
の諸君、ことに
人絹
の
労働組合
の諸君が、この窮状に立
つて
労働組合
が先頭に立
つて
、この問題の打開に努力しておられるということは、
一つ
の大きな力であると思うのであります。
従つて
私は、今日応急処置としての
方法
は、金融の道を開く以外にはないと思いますので、そういう点で
一つ
の新しい道を開く。そうして
労働組合
も全責任を負
つて
、その保証の地位に当る。
労働組合
には何も保証するだけの力がないじやないか、そういうふうに物質的にこの問題を見れば、それまででございます。しかしながら苦境に立つたときの人間の力というものは、非常に大きな力を発揮するということは、何人も考えられるところでございます。
従つて
今日機業
関係
の方が来ておられませんけれ
ども
、機業
関係
の方も、そういう
立場
に立
つて
労働組合
の積極的な協力を求めるという考えになられることが必要でございます。
中小企業
の諸君は、はなはだ失礼ですが、そういう点の認識が、今日まで欠けておるように私は思う。そういう点で、
中小企業
が苦境に立
つて
生きる道の、また最大の力は
労働組合
の協力を求めるということでございますから、そうした従業員の人的保証ということも、
一つ
の考えなければならない道ではないかと思う。またこれは、その
労働組合
がほんとうに民主的な
労働組合
でありますならば、またその
組合
の指導者がほんとうにそういう点を自覚しておる
人たち
でありまするならば、私は最も誤りのない道であると考える。そういう点について
政府
はひとつ積極的に考慮される必要があるのではないかと思いますが、
政府
の御
意見
を承りたいと思います。
本間俊一
36
○
本間
政府
委員
お答えいたします。
中小企業
の育成に関する御
意見
につきましては、私
ども
もまつたく同感に考えておるのでございます。あくまでも協同の力によりまして打開をして行くという御指摘の点はまつたく同感でございます。例の
福井
の問題でございますが、できるだけ
協同組合
の組織化されました機構を活用して参りたいということにつきましては御指摘の通りでございますが、調べてみますとまだ
組合
化されておらない面も多々あるようでございます。そこで中金でかりに金をつけましても、それが必ずしも思うようなところに流れるようにはただいまのところではな
つて
おらぬような面もございますので、これはぜひ県当局とも御相談をいたしまして、ひとつ実効の上る
方法
を考えたいということでせつかく努力をいたしておるのでございますが、御指摘になりましたように、
労働組合
の各位が苦境に立
つて
おります機業の
実態
を認識せられて、いろいろ奮闘せられ、努力をせられまた保証もしようということでございますが、これは
一つ
の力でございますので、この面も考慮に入れつつ実効の上る対策を考えて行く、こういうつもりでおります。
加藤鐐造
37
○加藤(鐐)
委員
今政務次官より、
福井
地方の機業家がまだ組織化されておらない点が多分にあるという
お話
でありますが、この
一つ
の原因は、やはり商工
協同組合
法の欠陥から来ておると私は思う。今の商工
協同組合
法では一人の人が
組合
の統制に従わずに、この
組合
をつぶそうと思えばつぶせるような
状態
にあるわけです。これはやはりある程度
組合
に強制力を持たせなければならないということと、いろいろ
資金
の面においても力を持つ
ため
に、またその
価格
の維持、あるいはまた一朝好景気が来れば
業者
が雨後のたけのこのように出て来るというような点もある程度防がなければならないと思うのです。
従つて
やはりそういう
人たち
を組織化する
ため
には、ことに聞きますれば、二十人以下の
工場
が非常に多いという
お話
ですが、そういう
工場
の
経営者
というものは、失礼ですが、無自覚の人が非常に多い。これは自覚させなければならないと同時に、それを自覚させる
方法
は、商工
協同組合
法の改正というものが伴わなければならないというふうに考えますので、やはり商工
協同組合
法の改正ということに急速になり得るように御努力を願いたい。 私の質問は以上で打切ります。
中村純一
38
○
中村委員長
次は山手
滿男
君。
山手滿男
39
○山手
委員
大体言い尽されたような気がするのでありますが、あえて重複をして少し質問をしてみたいと思うのであります。 先ほどから御答弁がありましたように、
織機
の台数も絹、
人絹
だけでなしに全般的に過剰にな
つて
来ておるという事実があります。ところが
織機
だけでなしに紡績あたりでも、今日では中小紡績はもう整理統合の段階に来ておるというふうな実情が新聞紙上などに報ぜられておるのであります。私は、先ほどからの
政府
の御答弁を聞きますと、終戦後、あれだけの
計画
的な統制経済を現
政府
が一ぺんに野放しにされた結果がこういう実情に立ち至つた、徐々に、段階的に、もう少し現実を見きわめた統制の解除なり業界の指導がなされなければならなかつたにもかかわらず、一ぺんに無
計画
に手放しなされたということからこれは来ておると思うのであります。今
本間
新政務次官から、機械設備、台数が多過ぎるからこれを法的に制限して行く、縛
つて
行くというふうな
方法
を研究してと
つて
行きたいという
お話
があ
つたの
でありますが、このことはかなり重要なことであろうと私は思う。それで今ちようど大臣もおいでになりますので、このことについての大臣のお考えをもう少し掘り下げて、どういうふうに指導し、どういう
措置
をと
つて
行くつもりであるかをまずお尋ねいたしたいと思います。
高橋龍太郎
40
○
高橋
国務大臣 この問題は非常に大きな問題でありますので、まだここで御答弁をする段階に参
つて
おりません。研究中であります。ただ簡単に私の考えを申しますると、
織機
にしましても紡績にしましても、あるいは近ごろ問題にな
つて
おりますビルデイングのようなものにしましても、日本が現在資材も乏しい、
資金
も乏しいその際に、不要不急の設備がふえて行くことは望ましくないと私は考えるのであります。
織機
の問題、あるいは紡績の問題というようなことでなしに、もつと大きく考えて、不要不急の施設を新しく起す、あるいは増設するというような場合には、業種によりまして、いくらかの制裁が必要だと考えられます業種には、たとえば許可制をとりますとか、何かそういう法的の
措置
ができるようなことに持
つて
行くべきだと私
ども
は今考え、研究しておるのであります。
山手滿男
41
○山手
委員
許可制にするとか法的に縛るとかいろいろ
手段
はあろうかと思うのでありますが、日本の経済組織の中で
繊維産業
は特に早くから世界的な発達をいたしましたし、力もある産業であります。それが今日大ゆれにゆれて、大きな経済のがんにな
つて
おるのでございますが、上から下まで
業者
自体の何とか自衛的な
方法
で
措置
を講じようというふうな自主的な動きも非常にたくさんある。これを私は見のがすわけには行かないので、今日の段階に来るまでは、むしろ法的に縛
つて
おつたものをある程度漸進的に解いて行くことが私はよろしかつたと思うのでありますが、今日のような
状態
にな
つて
お
つて
また法的に縛
つて
行くことはどうかというふうに考えるのであります。業界の方では、さつき加藤
委員
から話がありましたけれ
ども
、糸価の安定などを含めて、どうしても
価格
の安定をする必要からは、紡績は紡績で
操短
をしようじやないか、あるいは
人絹
もいろいろな
措置
を講じようということで、各社が自衛的な
措置
というものを共同して協議しようとしておる。これは日本のような経済界の実情においては非常に考えなければいかぬことで、場合によ
つて
は大いにや
つて
もらわなければならないと私は思うのであります。さつきの
お話
のように、事
業者
団体法とか独禁法にひつかか
つて
しまうということで、
業者
の方からもこれが早急に廃止ないし緩和をするように、そうして業界の安定に少しでも自分
たち
が自衛的に
措置
できるように配慮を願いたいという
陳情
が
政府
当局にもあり、通産大臣もおやりにな
つて
おられるそうでありますが、私は法的に縛り上げてしまう前に、
協同組合
法の改正という問題もありましようが、もう一ぺんそういうものを十分考えてや
つて
行かなければならないじやないかと考えます。大臣にお伺いしたいのは、そういう自衛的な
措置
を十分とらしめ得るような事
業者
団体法あるいは独禁法の改正について、国会の再開劈頭に出すことはできなかつたが努力をするという
お話
でございますが、現在の段階としては、それをまつこうから改正するということでなしに、運営そのほかで手心を加える余地がないものかどうか。現にこういうふうに経済界が混乱するようになりつつあるのでございまするから、急いで運営の面そのほかで手心を加える余地はないものであるかどうか、そういう点についての御所見を承りたいのであります。
高橋龍太郎
42
○
高橋
国務大臣 その点は私もいろいろ研究し、心配してみましたけれ
ども
、独禁法と事
業者
団体法がありますと、その運用の手心でそれを是正して行くということは非常に困難であるし、現在ではほとんど不可能です。御承知のように、公正取引
委員
というものがありまして、非常な権力を持
つて
おり、われわれが運用に手心を加えてくれというようなことを言
つて
も、なかなかやらないのです。根本的に両
法案
の修正をしますか、あるいは特別法を出しますか、それよりほかに
方法
がないと私は考えております。
山手滿男
43
○山手
委員
公正取引
委員会
の行動についても、関西の財界あたりでもいろいろ批判が起きておると私は思います。業界人のまじめな会合がありまして、そのまじめな会合で、みんなで自主的にひとつ自粛しようじやないかというような軽い申合せが一、二されたような場合でも、すぐつつかか
つて
、それの詳細を半ば強制的に罪人扱いのように調べ上げたりするという行き方がなされておりまして、必要以上に刺戟しておる事実を私はたくさん知
つて
おります。今大臣の
お話
を聞きますと、それはむずかしいという
お話
でございますが、しかしやはり私はそこに
政府
の権威があろうと思うのでありまして、このことについては、公正取引
委員会
というものが
政府
のらち外に立
つて
、どういうことをやるのか
政府
の関知できない問題だというふうにお考えにならずに、ぜひひとつ御研究を願
つて
、実際に混乱しようとする日本の
繊維
業界の
ため
に活を入れてや
つて
いただくことが非常に大切ではないかと思うのであります。 それから
福井
の問題が出ましたが、この
福井
の問題は、やはり朝鮮事変後の備蓄輸入そのほかから来た昨年来の危機の
一つ
の現われであろうと思うのであります。
福井
の問題もさることながら、大阪においては商社と紡績というふうなものが、今日二百五十億余りの厖大な売掛金を、どつちがどういうふうに背負
つて
行くかという問題で話がもつれております。大蔵大臣もこの前の本
会議
の答弁で、これはみんなが負担をするのだ、みんなが責任を感じなければいかぬという答弁をいたしております。あのときの質問は、
政府
が備蓄輸入を奨励したことによ
つて
巻き起され、それが問屋からさらに
中小企業
へとずんずんしわ寄せをされて行
つて
、今日いろいろな問題が起
つて
おる、それについて
政府
は責任をどう思うかという質問に対して、みんなが責任を負わなければいかぬという答弁であつたと私は思
つて
おります。これはなるほどと思うのでございまするが、私は単に貿易商社がどうであるとか、あるいは紡績がどうであるとかいうことでなしに、やはり
政府
もこれについては積極的に、二百五、六十億もの資産をどういうふうに棚上げをして行くのか、どういうふうに金融をして行くのかということについて、もう少し積極的に一役買
つて
この問題を解決してや
つて
いただかなければいかぬのではないか。日銀もある程度今日乗り出して行くかのごとく見えておりましたけれ
ども
、これも全然ケース・バイ・ケースで行くのだというようなことで無関心の
状態
に立
つて
おる。やはりこういうところから二月危機説とか、三月危機説というものが深刻に出て参るのでありまして、ぜひとも私は通産大臣がもつと積極的に
措置
を講じていただきたいと思うのでありますが、その点もあわせて御所見を
お願い
したいと思います。
高橋龍太郎
44
○
高橋
国務大臣 御
意見
はよく承
つて
参考
にいたします。なかなかこれは私の力で解決するような問題ではない。私も非常に苦心をして、
業者
の方あるいは銀行の方、いろいろの人に会
つて
意見
を聞いておりますが、みんなが責任を負
つて
解決するのだというような、答弁としてはうまい答弁かもしれませんですが、そういう簡単な問題でないと私は思
つて
おります。非常に私は苦心しております。
山手滿男
45
○山手
委員
みんなが責任を負うということは、
業者
だけの話合いで済まないようなこういう問題については、
政府
も責任を感ずることであろうと私は思うのでありまして、今の通産大臣の御答弁は、私はきわめて不満足でございます。
福井
の問題あたりも、やはりこういうところからずつと下に危機が押しやられて、その危機の
一つ
の現われにな
つて
おることを私は知らなければならないように思うのであります。 それからさつきからいろいろ問題が出ましたが、
ポンド地域
との貿易の問題でございます。その節加藤
委員
から、輸入も
ポンド地域
からの輸入というものを大いにやらなければいけないのではないかというふうなことを申しました。
本間
さんからの答弁では、非常に高いからとかなんとかいう
お話
がございましたが、私も案はこの問題については一、二研究をしてみております。研究をしておるのでございますが、まだまだ私は十分余地があると思う。たとえて言えば、
一つ
の例をと
つて
みますると、今日砂糖あたりを六十万トンばかり輸入する
計画
でおやりにな
つて
いらつしやる。この二月、三月あたりの輸入が、十一万トンばかり砂糖の輸入だけでもおやりになる。ところがその大半はどこから輸入しておられるかというと、キューバから輸入しておられる。十一万トンのうち、六万四千トンばかりはキューバからの輸入である。残りの約五万トンをフィリピンと台湾で半々輸入しておられる。ところで今日インドネシアのジヤバ島は、もう世界で有数の
生産
地で持てあましておる
状態
です。今日日本から賠償を払う払わぬということが非常に大きな問題とな
つて
おるにもかかわらず、インドネシアの砂糖を日本
政府
はちつとも積極的に切り開いて行こうと努力をされていない。今日インドネシアは、やはり外貨が非常に足りなくてギルダー貨の切下げを数日前にやりました。ギルダー貨の再切下げをやつた今日、私は対インドネシア貿易は一段とここらあたりで好転をして行くと考えるが、砂糖などのように、インドネシアあたりが厖大な施設を持ち、厖大な
生産
力を持つものについては、キューバ島あたりの輸入を半分以上ここに振りかえるというような
措置
ができないものかどうか、そういう研究がなされておらないのであるかどうか、私は非常に疑問に思
つて
おります。そのほか例をあげるとたくさんございますが、東南亜諸国との貿易の問題は、
輸出
も大切でございますが、輸入の面を、ただ
繊維
に限らずうんと切開いて行く努力を
お願い
をしなければいかぬと思
つて
おりまするが、その点についてどういうふうにお考えでございましようか。
本間俊一
46
○
本間
政府
委員
砂糖の問題は御指摘のような事情にな
つて
おりますので、
政府
としては御指摘のような線でただいま話合いをいたしております。その他の品物につきましてもいろいろ話合いは進めておるのでございますが、大臣が先ほど申し上げましたように、期待いたしましたような効果があるかどうかわかりませんけれ
ども
、ただいまの日本の
輸出
入の
関係
から申しましては最善の努力をしなければならぬのでございますから、御
趣旨
に沿うように努力をいたしたいと考えております。
山手滿男
47
○山手
委員
もう大分時間が遅くなりましたから、いろいろ聞きたいことはありますが、他の機会に譲りまして、ちようど
商工中金
の
門司
さんがいらつしや
つて
おりますから、さつきの御
説明
について一言だけお聞きしてみたいと思います。
商工中金
はできるだけ金融をするという
お話
でございますが、そのときに
金融ベース
に乗る以上は金融をして行くのだという御
説明
があつたように思
つて
おります。
金融ベース
に乗るという抽象的な御
説明
でございますが、これはどういう意味であるか、非常に不動産がたくさんあるとか、あるいは取引を十分してあるとか、信用があるとかいうふうなことは
一つ
の條件になるであろうと思いますが、
金融ベース
に乗るということについて、
中小企業
者はこれが念頭から離れない、よく使われる言葉であろうと思いますから、少し具体的に御
説明
を
お願い
しておきたいと思います。
門司正信
48
○
門司参考人
お答え申し上げます。私
ども
が考えておりまする
金融ベース
に乗るか乗らないかという問題は、
融資
いたしまする
資金
の使途が適切妥当であるということはもちろんでございますが、この
資金
が一定の貸付期間内に償還できるであろうという見通しを持つことも大切でございます。裏づけの問題といたしましては、
中小企業
の金融について信用保証制度あるいは信用保険の制度なりが設けられておるのでございまして、われわれといたしましては、貸付額に対して、これを完全にカバーし得るだけの物的担保がその裏になければならぬというような、きゆうくつな考えは毛頭持
つて
おりません。その点は信用保証なり信用保険の制度を十分に活用いたしまして処理をいたす考えでございます。
中村純一
49
○
中村委員長
他に御
発言
はございませんか。それでは
参考人
に一言申し上げます。
参考人
におかれては御多忙中のところ本
委員会
に御出席くだされ、種々貴重な御
意見
を開陳せられたことに対し厚く御礼申し上げます。本件の
調査
につきましては、十分各位の御
意見
を
参考
といたしたいと存じております。 本日はこの程度にして散会いたします。
次会
は公報をも
つて
お知らせいたします。 午後四時六分散会