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1952-05-16 第13回国会 衆議院 懲罰委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月十六日(金曜日)     午前十一時五十二分開議  出席委員    委員長 眞鍋  勝君    理事 鍛冶 良作君 理事 高木 松吉君    理事 石田 一松君 理事 石川金次郎君       天野 公義君    大泉 寛三君       角田 幸吉君    黒澤富次郎君       佐藤 親弘君    田渕 光一君       牧野 寛索君    梨木作次郎君       猪俣 浩三君     ————————————— 五月十三日  委員有田二郎君、田渕光一君、山本久雄君及び  木村榮辞任につき、その補欠として野原正勝  君、寺本齋君西村直己君及び米原昶君が議長  の指名委員に選任された。 同月十五日  委員角田幸吉辞任につき、その補欠として岡  崎勝男君が議長指名委員に選任された。 同月十六日  委員岡崎勝男君、寺本齋君西村直己君、野原  正勝君、森幸太郎君及び米原昶辞任につき、  その補欠として黒澤富次郎君、田渕光一君、角  田幸吉君、大泉寛三君、天野公義君及び梨木作  次郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員佐藤親弘君、牧野寛索君、天野公義君及び  大泉寛三君辞任につき、その補欠として増田甲  子七君、益谷秀次君、森幸太郎君及び野原正勝  君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  議員川崎秀二懲罰事犯の件     —————————————
  2. 眞鍋勝

    眞鍋委員長 会議を開きます。  議員川崎秀二懲罰事犯の件を議題といたします。本件については数回の委員会において審査を進め、前会をもつて動議提出者柳澤義男君及び本人川崎秀二君に対する質疑は全部終了いたしました。  この際議員川崎秀二君に対して懲罰事犯として懲罰を科すべきかどうか、及び懲罰を科することとせば、国会法第百二十二条に規定するいずれの懲罰を科すべきかについて御意見を求めます。田渕光一君。
  3. 田渕光一

    田渕委員 本件はこれを懲罰事犯として、国会法第百二十二条第三号により、五日間の登院停止を命ずべきものと決せられんことを望みます。  以下その理由簡單に申し述べたいと思います。国権最高機関である国会においての発言、ことに本会議場内における発言については、衆議院規則第百二十三条、第百二十四条において規定があり、特に第二百十七条におきましては「何人も、議長許可がなければ演壇登つてはならない。」と規定いたしているのであります。すなわち本会議場内の秩序は、これによつて厳粛に維持されているのであります。川崎君にはいかなる事情があると申しましても、これを犯したることは断じて許すべからざるところであります。将来の国会の運営上におきましても、将来の議場内の秩序維持の立場からも、断固としてこの処断を望むのであります。
  4. 眞鍋勝

    眞鍋委員長 石田一松君。
  5. 石田一松

    石田(一)委員 私は本件はこれを懲罰事犯にあらずと決せられんことを望む動議提出いたします。  以下その理由簡單に申し述べます。喋々と申し上げるまでもなく、本人議員川崎秀二君、あるいは懲罰動議提案者柳澤君等に対する質問応答の中にも、私たち意見はほぼ申し述べたつもりでおりますから、この委員会においてはごく簡單に一、二の理由を申し上げておきます。私がただいまの動議提出いたしました第一の大きな理由は、本件懲罰動議の取扱いが、明らかに衆議院規則第二百三十六条の規定に違反してなされておるということであります。すなわち去る一月二十六日の本会議場において発生した懲罰事犯であり、しかもその本会議の続行中に、提出者柳澤君はこの懲罰動議を正式の手続をもつて提出しておるということであります。そういたしますと、これは少くとも衆議院規則の二百三十六条、すなわちただいま申し上げました「懲罰動議提出されたときは、議長は、速かにこれを会議に付さなければならない。」、この「速かに」というのは——以下の懲罰規定をそれぞれ検討してみまと、後日の最も近い本会議にこれを提出すべし、しなければならぬと規定してあります条文が中にあるのであります。これは、本会議散会後に懲罰動議提出されたときには、議長は最も近い本会議でこれを諮らなければならないことになつておる。また懲罰事犯が起きたその本会議に出された懲罰動議というものは、これは議院構成に関する重要問題でありますので、ただちに先決問題として、その場においてこれが取上げられて論議されなければならぬと考えておるのであります。その点に関しましては、提案者自身提案趣旨弁明等において見ましても、少くともこれは当日の本会議場において提出されたということが明らかなのであります。ただしかし、本国会衆議院慣例といたしまして、本会議場において出された懲罰動議が、運営委員会等において相当の期間いろいろと論議されたということが、慣行上あることは認めますが、少くとも衆議院規則の本旨は、懲罰動議というこういう議院構成に関する問題は、可及的すみやかに決定するというのが法の趣旨であるというふうに考えます。それに反してなされているということ、このことと、もう一つ大きな問題があります。それは、川崎秀二君が一月二十六日の本会議において議事進行発言を求めましたその根拠は、川崎自身がたびたび弁明しておりま通りに、当然、議長が、当日の議題と直接関係あるものとして、ただちにこの発言を許さなければならなかつたものである。すなわち、私はここで衆議院規則とか何とかいうりくつを言うわけではございませんが、第百二十九条に「議事進行に関する発言は、議題に直接関係があるもの又は直ちに処理する必要があると認めたものの外は、これを許可する時機は、議長がこれを定める。」と規定しておるのでありまして、少くとも川崎君の一月二十六日の本会議場における議事進行に関する発言要求は、ただいま申し上げました衆議院規則第百二十九条の前段の議事進行に関する発言であり、しかも議題に直接関係があるものである。もし一歩を譲りましても、少くともただちに処理する必要があると認めなければならない重要性があつたというふうに私は考えます。要するにこの件は、議長がただちに発言を許し、それを処理する必要を義務づけられていたにもかかわらず、議長の職責に瑕疵があつた、要するに錯覚があつたということに本問題は起因するというふうに考えるのであります。  もう一つ最後に、情状論的にこれを考えますと、少くとも川崎君の議事進行に関する発言予算案関係しているものであるということは、提案者自体がしばしば本会議おいても、あるいはこの委員会においても——これは速記録を調べればただちにわかることでありますが、これを認めているのであります。しかもわれわれの質問の際には、言を左右にして巧みにこれを逃げたようでありますけれども、問うに落ちず語るに答えるというたぐいでございますか、速記録を一見してみましても、こんなことを申しております。「懲罰動議が出ますれば、当然すべての議案に先んじて論議せらるべきでありますが、当日の議題は、国務大臣演説に対する質疑継続という、きわめて重大なる問題でありましたので、交渉委員の間の院内交渉の結果、その質疑が終了し、」その次に「これに関連する予算案審議の終了後に」と、こういうことを言つております。そういたしますと、川崎君の議事進行というものは、予算に関連すること自体は、すでに提案者自身がこれを認めておつた。要するに川崎君の要求が、当日の議題に直接関係があつたということは、提案者がこの委員会においてもしばしばこれを言つておるのであります。そういう点と、もう一つは、この提案者提案趣旨の説明の中に、一月二十六日当日川崎君がとつた行動とか、あるいは発言とか以外に、その後に予算審議過程において、野党的な色彩を濃厚に発揮したということに感情を刺激されて、後日の問題を取上げて、過去の一月二十六日の川崎君の行為にこれをつけ加えて論断していることであります。しかも提案者自身も、その後川崎君に改悛の情というものがあるということを認めたならば、あるいは提案者としてもこの動議を撤回したかもしれない、しかしその後の様子を見ておると、何ら改悛の情がないから、これを撤回する意思を翻して、あくまでもやることにした、こういうことを言つておるのでありまして、結局この問題は、提案者自体においても、その後の川崎君の行動を、感情的にこれを理由として取上げて、一月二十六日の川崎君の行動を不当に罪づけておる、こういうふうに私は考えるのであります。  こういうことから考えまして、しかも川崎君の一月二十六日にとつたその行動が、懲罰事犯にもし相当するものであるといたしましても、今日この際、どなたも御承知のように、四月二十八日以来条約が効力を発生いたしまして、独立国家となり、国会は自主的な判断のもとに行動するという、われわれの希望する線に向つて来ておるのであります。そういたしますと、刑事犯罪人でさえもが恩赦の恩典に浴しまして、出獄あるいは減刑等の恩恵に浴しておる。こういうことから考えましても、私はこうした懲罰事犯等の問題は、少くとも条約発効前のものは、この国会においても一応御破算にしていい、こういうふうにも考えられるのでありますが、これは私の常識的な一つ判断であります。私は先般運営委員会にもこれを発言した事実を持つておりますが、こういう考えから、情状酌量の上からも、また本人自身がそうした罪を犯す意思がなかつた、こういう上からも、また手続の上から申しましても、少くともただいま申し上げましたように、本件はこれを懲罰事犯にあらずと決定されんことを望みまして、私の動議理由といたします。
  6. 眞鍋勝

    眞鍋委員長 ただいま田淵君より、本件はこれを懲罰事犯として、国会法第百二十二条第三号により五日間の登院停止を命ずべしという動議、及び石田君より、本件懲罰事犯にあらずと決すべしとの動議がそれぞれ提出されました。これを一括して討論に付します。通告順によりまして、発言を許します。鍛冶良作君。
  7. 鍛冶良作

    鍛冶委員 私は自由党を代表いたしまして、ただいまの田淵君の動議賛成の意を表明するものであります。  まず懲罰事犯となつた川崎秀二君の行為について検討いたしまするに、川崎君は去る一月二十六日の本会議場において、午後一時二十五分、議長が開会を宣し、ただちに「川崎秀二君より議事進行に関する発言を求められております。」と言わるる間に、議事進行と叫んで演壇に登り、いまだ議長許可がないにかかわらず、神聖なる演壇占拠したのであります。そこで議場が騒然となつたことは、諸君のごらんになつた通りであります。議長は「その内容は、予算書の違法に関する問題とのことであります。本日の議題国務大臣演説に対する質疑継続でありますから、この議事進行は適当な時期に許します。」と宣言して、ただちに「国務大臣演説に対する質疑継続いたします。小川半次君。」と言つて小川半次君に発言を許しました。従つて川崎君の発言を許した事実もなく、またこれを許すいとまもないわけであります。しかるにもかかわらず、川崎君はなお演壇占拠して降壇しなかつたがために、小川君は登壇することができず、議長より小川半次君、小川半次君と前後五回登壇を促されて、ようやく登壇いたしました。この不法占拠はまさに九分に及び、ために議場が騒然となつたことは、いまさら申し上げるまでもない事実であります。憲法第五十八条は「両議院は、各々その会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を定め、又、院内秩序をみだした議員懲罰することができる。」と規定しております。すなわち、議院秩序を保持するために内部規定を設くることと、並びにその規則を破り、かつ議院品位秩序を乱した者は、懲罰に付すべきことを明定いたしております。しかして衆議院規則第二百十一条には、「議員は、議院品位を重んじなければならない。」と規定し、第二百十七条には「何人も、議長許可がなければ演壇登つてはならない。」と規定しております。この厳然たる規定があるにかかわらず、川崎君はこの規定を破つて議長許可がないにかかわらず、演壇に登り、あまつさえ九分に及んでこれを占拠したために、議事進行を妨害せられ、議場秩序を乱されたことは、議員周知の事実でありまして、まさに議院品位を汚したものとして、これを懲罰に付すべきことは、言をまたぬところだと信じます。  しかるに川崎君は、一身上弁明において、発言許可があるものと信じて登壇し、單に身をそらして発言許可を待つてつただけで、演壇占拠したものでない、と強弁しておられますが、議長許可がないのに登壇したことは、同君自身も認めておるところであり、さらに横を向いておろうが、まつ正面を向いておろうが、演壇からおりなかつたことも、みずから認めるところでありまする以上、これを占拠でないと言えるものではありません。さらにまた、私が正式の手続をもつて議長議事進行発言要求し、当然発言を許されると思つて登壇をいたしたことは、議会の規則を守り、また国会法律を遵法いたしておる、正しい行為といわなければならぬ云々、「これは議長の方で国会法並び衆議院規則百二十九条に背反する行為を犯されておるのであつて、」云々、と抗弁しておられます。しかし衆議院規則第百二十九条は「議事進行に関する発言は、議題に直接関係のあるもの又は直ちに処理する必要があると認めたものの外は、これを許可する時機は、議長がこれを定める。」とありまして、この規定に基き、議長は、川崎君の求められる発言内容は、予算書の違法に関する問題とのことでありますが、本日の議題国務大臣演説に対する質疑でありまして、すなわち議題に直接関係があるもの、またはただちに処理する必要があると認められないから、「この議事進行は適当な時期に許します。」と宣言されたもので、少しも違法はありません。なおまた議長の処置が適不適にかかわらず、議長許可なくして演壇に登ることの不法は、言うをまたぬことでありまして、かような強弁を、神聖なる議場において吐露することは、まさに罪を加重するものと断ぜざるを得ません。しかるにこの懲罰動議提出自由党の陰謀であるとか、数の暴力であるとか、テロによつて自由党くつがえるときが来ると暗示するような言辞を弄せられるに至りましては、若気の至りと言えば言えぬでもありませんけれども、まことに議員として許すべからざる暴言と申さなければなりません。  なおただいま石田君の言われた、懲罰動議が出てからただちに本会議にかけられなければならぬのに、相当日数があつたことは違法だとの議論もありますが、法の精神はさようであることは言うまでもありません。しかし事実提案できない事情があれば、これはいたしかたのないところであります。しかもその事情につきましては、私の説明するまでもありません。これに関係ぜられたる議員諸公の最もよく知つておられるところでありまして、いまさらさような抗弁は出されないはずだと思うのであります。  以上によりまして、川崎君を懲罰すべきことは明白でありまして、その行動並びにその後の言動等からしまして、国会法第百二十二条第三号の登院停止を言い渡すべきものと信じます。しかしあまり長い間の停止ではお気の毒でありまするから、五日間くらいとして、その間十分謹慎せられて、爾後再びかかることのないよう戒慎せらるることを望むものであります。よつて田淵君の動議賛成する次第であります。
  8. 眞鍋勝

    眞鍋委員長 石田一松君。
  9. 石田一松

    石田(一)委員 私は先ほど田淵君の動議と全然相反する、これを懲罰事犯にあらずと決定されたいという動議提出した当人であり、その自分動議賛成討論をし、しかも田淵君の提出された動議に反対の討論をするというところに、何か一人二役といつたような感じがありまして、自分としてもこれは本懐ではないのでありますが、遺憾ながら私たちの党からこの委員会に出ておる委員がただ私一人でございますので、この点は御了承願つておきたいと思います。  ただいま鍛冶委員からるると、川崎秀二君を懲罰に付して五日間の登院停止にするという動議賛成討論があつたようでありますが、その討論を聞いておりましても、私が先ほど動議提出にあたつて簡單に申し述べました私の主張を、鍛冶自身自分討論で承認してくだすつた、私はこういうふうに聞いておるのであります。と申し上げますのは、当日議長の「川崎秀二君より議事進行に関する発言を求められております。」という声を聞きながら、議事進行言つて川崎君が登つたということであります。要するに、その次に議長発言した、小川半次君の発言を許すからということを聞いて登つたのではないということであります。「川崎秀二君より議事進行に関する発言を求められております。」と言つたときに、議事進行言つて壇上へ行つた。こういうことであります。しかもそのときに、川崎君がほとんど壇上登つてから「その内容は、予算書の違法に関する問題とのことであります。本日の議題国務大臣演説に対する質疑継続でありますから、この議事進行は適当な時期に許します。」こう言つております。しかしながらこの予算書の違法に関する問題、こういうこと自体、この予算が、国務大臣演説に対する質疑と直接に関係を持つておるということの証明は、先ほど私が一つの事実をもつて申し上げました。本懲罰動議提案者柳澤自体が、本会議の席上、あるいはこの委員会における質問においては、言を左右に逃げましたけれども、そのわれわれの他からする質問に対しては、はつきりとこのことを申しておるのであります。それは速記録ごらんになれば明らかにわかることでありまして、ただちに本会議でこれを取上げたいと思つたけれども、その日の議題国務大臣演説に対する質疑だから、それで、これはそれに直接関連性を持つところの予算審議終つてからにしようということに、話がまとまつた、こう言つておるのであります。そういたしますと、当日の議題であつたところの質問というものは、これは三段論法的に言つても、予算に直接関係のあることである、こういうことに相なるのであります。要するに議長自身の、川崎君の発言を適当な時期に許すと言つた言葉の中にも、これが予算書と直接に関係があるということを裏書きしておると言つてもさしつかえないと思います。  それから私はもう一つ、この際先ほどと同じようなことを繰返すことを避けたいと思うのでありますが、特にこれはただいまの鍛冶委員のお言葉もありましたので、つけ加えておきたいと思うのであります。川崎君が一身上弁明に立ちましたとき、一応ちよつと言い過ぎではないかというような言葉があつたことは、私たちとしてもこれは認めます。しかし川崎君を、いやしくも一人の議員懲罰にしようという動議提出なさろうとする——要するに本人言葉を借りて言えば、何も本人が憎いのではない、議院品位を保ち、国会の尊厳を守ろう、こういう意味で、心を鬼にして川崎君に対する懲罰動議を出したというほどのお方が、しかも法律には精通していらつしやるはずの、法学博士でいらつしやるはずの柳澤君において、一月二十六日の事件以来、その後の問題、予算審議の経過における川崎君の野党的敢闘ぶりが気に入らないというので、この問題を取上げて、本会議において、あるいはこの委員会において、るるとしてこの川崎君の一月二十六日の行為にさかのぼつて、これを悪質なものと断ぜられているということに至りましては、私はまことに遺憾と思うのであります。その提案者挑戰的な、しかも言わでもがなの発言が多々あつたことに対しまして、議場心理と申しますか、今まさに懲罰動議に付せられようとする本人が、一身上弁明の域を越えて、与党自由党側感情を刺激するような言葉があつたということは、おのずから顧みて、提出者側提案理由に行き過ぎがなかつたかということも、一応これはとくと考慮しなければならぬ問題ではないか、こういうふうに考えるのであります。その点におきましては、本委員会において川崎君の一身上弁明が再びなされましたときに、本人はつきりと、あの議場ではちよつと言い過ぎたことがあつたかもしれない、これは提案者自身言葉の中に挑戰的言葉があつたので、つい若気の至りそうした言葉を用いた、しかしこの委員会では、そういうことは言うべきことでないと信ずるので、ただ当日の模様や一身上弁明の範囲だけに限つてこの際申し上げておくという、正しい川崎君のあり方をこの際表明しておるのであります。そういう点からもこれは判断しなければならぬ、こういうふうに考えます。  それからこの事案が一月二十六日に起きたものを、二箇月も経過した後に問題とした。私はもしこういう行き方が今後とも国会慣例として残されるといたしますと、あるささたる事件でも、懲罰動議ありとしたならば、これはおそらく四百六十六人——今日は欠けておるかもしれませんが、全員に対して、いついかなる場合でも、すぐ衆議院規則を無視した、違反したということで懲罰動議は出せるし、みな知らず知らずの間に犯しておるのであります。(「そんなことがあるものか」と呼び、その他発言する者あり)そう言いますけれども、それでは私はここにへりくつを言うわけではございませんが、議員としてわれわれはそんな衆議院規則を犯してはいない、もしそうおつしやるのだとするならば、たとえば今鍛冶自身が読み上げられた衆議院規則の二百十七条ですか、「何人も、議長許可がなければ演壇登つてはならない。」このことが非常に強調されました。これはもちろんでありますが、それをごらんになるのでしたら、もう一条飛ばした二百十九条もついでにごらんになつた方がいいと思います。「散会に際しては、議員は、議長が退席した後でなければ退席してはならない。」こういう規定をどの議員一人が守つておるか、こういうことであります。要するにその一事だけでも、議院品位を乱し、衆議院規則を蹂躙し、少くとも無視しておるということに相ならぬとは限りません。これはどちらも衆議院規則であります。お互いにこういうことが知らず知らずの間になされておる。こういうことも一応考えて、もしこれを理由にして、だれにでも懲罰動議を出しておいて、しかも数人にわたつて出しておいて、自分たち提出した重要な議案の通過に際して、あと数人の議員の差によつて採決の可否が決定するというような場合に、これをいつでも問題にして、本人たち国会から締め出して、登院させないようにするという、政略的な意味にこの懲罰動議が利用されるおそれも多々あるということであります。私は何も本件に関して、ただちに自由党の方々がそういう気持でおやりになつたとは言いませんが、自由党の方もいつまでもいつまでも永久に多数党であるわけではありません。少くともどの党が多数党になるかわからぬけれども、そうした時代になつたときに、過去にそうした慣例が残つていたのでは、国民の代表の、しかも国権最高機関である国会審議慣例において、相当不明朗なものが生れるのではないかと思います。(発言する者あり)それは高邁なる自由党の先輩諸士であり、法律には明るい皆さんでございますので、私の申し上げることは、もちろん鼻であしらつてお聞きになつておる程度のものでございましよう。まつたくしつこいとお考えになつておるでございましよう。まことにさようでございます。あなたたちはまことにおえらい方であると、私ほんとうに尊敬しておるから、これだけのことを申し上げるのでありまして、もし御意見がおありになるのでしたら、法律を御存じなんですから、発言をお求めになりまして、それで堂々と御発言になつた方が、法律家らしい態度であると、この際一言だけよけいなことを申し上げておきます。  そういう意味でありまして、私はこの懲罰動議は非常に不明朗なものを持つておる。しかもこの過程においても割切れないものを持つておる。この点につきましては先ほども申し上げましたが、理由はたくさんあります。証明もできます。しかしこれは本会議での討論に譲るといたしまして、私は先ほど私の出しました動議にみずからこれを強調し、賛成し、しかも田淵君の提出された動議に対して強く反対の意思をこの際表明しておきます。失礼いたしました。
  10. 眞鍋勝

  11. 石川金次郎

    ○石川委員 私は社会党を代表いたしまして、ただいまの石田委員提案賛成し、田淵君の提案にかかる川崎議員懲罰に付することに反対いたします。  懲罰動議趣旨弁明を承りますと、川崎議員の一月二十六日本院の本会議における行動は、議院品位を傷つけ、秩序を紊乱するものであるとの御主張であります。川崎議員一身上弁明を聞き、また当日の会議録に示されたところを見ましても、さらに私の当日における状況について記憶をたどつてみましても、川崎議員行動は、議院品位を傷つけ、秩序を紊乱するものであるとは認められないのであります。議員、特に少数党の議員は、できるだけの機会をつかまえまして発言をなさんとすることは当然であります。そのために努力することは、むしろ野党議員の任務ではないかとすら考えるのであります。川崎君の当日の行動は、あるいは反対党の感情を刺激する遺憾の点はあつたかもしれませんが、これが議院品位を傷つけたものとし、あるいは秩序を乱したるものとして罰するほどの行動であつたとは、とうてい思われないのであります。議長またこのわれわれの見解と同一でありましたがゆえに、いわゆる不問に付したものと信ずるのであります。私は、本懲罰動議提案者は、真に議院品位保持と秩序維持を願うがゆえに提案せられたものである以外に、他意はないものであるということを信ずるものでありますが、懲罰に値するものであるとの御主張に対しては、見解を異にするものであります。また自由党懲罰として五日間の登院停止を主張されたのでありますが、私が事実を見るに、これと異なるのでございまするがゆえに、これに反対し、川崎議員懲罰に付することに対して反対するものであります。
  12. 眞鍋勝

  13. 梨木作次郎

    ○梨木委員 私は日本共産党を代表いたしまして、ただいまの川崎秀二君を懲罰すべしとの田淵君の動議に反対し、懲罰すべからずとの石田君の動議賛成するものであります。そもそもこの懲罰の対象となつておる川崎君の一月二十六日の本会議における行動は、昭和二十七年度の予算案が、いまだ改正されない財政法に基いて編成されておる、法律に違反して編成された予算であることが明らかとなり、この予算に対する質疑が開始されようとしておつたのでありまして、この法律違反を抗議し、これを是正するための発言を本会議において求めたのであります。これは当然であり、もしも国会法衆議院規則に基いて国会の運営がなされなければならないという立場をとるものである限りにおいては、この発言は認めなければならなかつたのであります。しかるにこれを、ただいま動議提出者の言うところによれば、議長は認めなかつたというのであります。許可しなかつたというのであります。許可しなかつたのに登壇したからけしからぬ、こういうことになつておるのであります。しかしながら、これはこの川崎君の発言許可しなかつた議長の方が、法律を無視し、国会の法規に基く運営をやらなかつたということをわれわれは指摘しなければなりません。この点が本件を検討する上にきわめて重大であると思うのであります。しかしながらこの点に関して、議長発言を許したか許さないかについては、議長川崎君との間の意思の疏通を欠いたかのことぐであります。しかし私は、現象面に現われたものだけについて論議するということは、事の本質に触れ得ないと思うのであります。それよりも問題は、国会の運営の本質的な観点から、この懲罰事犯というのをわれわれは評価し、検討しなければならないと思います。  そこで私は、自由党国会運営の実情をつぶさに検討いたしまするに、まつた自由党のやり方というものは、多数党にあぐらをかいて、憲法や国会法や、衆議院規則を無視した運営をやつておる。こういうやり方というものは、実際国民の負託に著しく反するやり方であるといわなければなりません。事ごとに反対党、少数派の言動を圧迫しておることは、何人も否定できません。(発言する者あり)私は、具体的に例をあげましよう。昭和二十七年度の予算委員会のやり方をごらんなさい。本年度の予算が、諸君が言うように講和発効第一年度の予算であるといたしますならば、これは野党のたださんとするところ、聞かんとするところの、その機会を十分に与えてやらなければならないにもかかわらず、数にものを言わせて、質疑の打切りを強引にやつたではないか。しかも、こういうようなやり方をやつておきながら、このごろの本会議のあのありさまは何だ。この間の刑事特別法の本会議にあたつては、二百有余名を持つておる自由党の諸君が、議場の中にはわずか四、五十名しかおらなかつたではないか。このため定足数がないために本会議が流れたではないか。こういうやり方を諸君はやつておる。しかもわが党の議員の緊急質問は、ことごとくこれを禁止しておる。こういうやり方をやつておる。さらに本会議におけるところの議員発言を、実に乱暴に削除しておる。こういうやり方というものは、まつたくアメリカの政府の政策や、自由党吉田政府の政策を批判し、これを追究し、非難するところのあらゆる言論というものを、国会速記録から抹殺いたしまして、われわれ野党の国会における政府批判を、国民の目からおおい隠そうとするものである。このようなことを平気でやつておるではないか。国会へ傍聴に来ておるのは、せいぜい入れても二千名ぐらいのものであるとすれば、国会の中の言論と国民とをつなぐものは速記録であります。従つてこの速記録には、事こまかに、国会内におけるところの各議員意見発言というものが記録され、これを通じてのみ、初めて国民の多数が、自分たちの選んだ議員国会における行動を検討することができるのである。しかるに諸君は、この速記録から議員の重要なる政府攻撃、政府非難の言論を削除することによつて国会と国民とを切り離そうとしておる。これは国会の自殺行為ではないか。そういうことを諸君はやつておるのである。しかもはなはだしきは、今日国会の中へ警視庁のスパイが入り込んでおる。きのうも私は地方行政委員会においてこの事実を摘発いたした。しかもこれをわれわれは議院運営委員会におきまして問題にした。ところが、自由党の諸君はまつたくこれに冷淡な、無関心な態度をとつておる。こういうことは、国会の中における議員の活動というものを、警察官の監視のもとに置くことであり、こういうようなことで、どうして自由なる論議ができるか。(「何を言うか、また懲罰にするぞ」と呼び、その他発言する者あり)諸君が議会の歴史を考えてみましても、かつて政友会が少数党のときにおいて、警官が国会の中へやつて来たときに、これが非常に大きな政治問題になつたことを諸君は知らないのか。(「共産党だつて傍聴に来ておるじやないか。」と呼ぶ者あり)共産党の傍聴と警察官の傍聴とを同じように考えておるのか。こういうように与党諸君が無関心な冷淡な態度でやつておる中に、国会の自殺行為があるのじやないか。(「ほんとうに懲罰にするぞ。」と呼び、その他発言する者多し)何でもやりなさい。  こういうように国会の最近の自由党の運営の仕方というものは、まつたく戰時中の翼賛議会そのものである。時の政府の政権を維持するための傀儡化されて来ておる。かような国会の運営のやり方をいたしますならば、次第々々に国会というものは、まつた自分たち意思を代表するものではなくなつて来る。少数者の権力維持のため、特に最近においては單独講和と行政協定を結び、明らかに日本はアメリカの従属国にされておる。こういう従属国たる政権を維持するための道具になつて来ておる。このことを国民がはつきり知り始めて来ておる。でありますから、かようなことをそのままにしておきますならば、これは結局国民によつて国会が無視される時代が来る。これをなくするために、あくまでも国民と国会とを直結し、国会の民主的な運営——民主的な運営ということは、いうまでもなく、国民の意思を最も忠実に代表した言論が国会の中で保障されるということなのだ。国会が真に法律に従つた運営がなされるということなのだ。ところが諸君のやり方というものは、明らかに国会法法律を無視したことをやつて来ておる。こういうことを諸君が多数にものを言わせてやろうとするときには、少数派のとるべき行動は何か。ここに私は、川崎君の今度のこういう行動についてのほんとうに正しい評価というものがなされなければならないと思う。これは、自由党によつて運営されているところの、こういう傀儡的な国会の運営を、最も民主的に、国民の意思に合致した運営をしようとする努力の現われが、川崎君のあのやり方ではないか。従つて私はこの観点からしまして、川崎君の懲罰には絶対に反対するのであります。
  14. 眞鍋勝

    眞鍋委員長 猪俣浩三君。
  15. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 日本社会党第二十三控室を代表いたし季して、田淵君の提案に反対し、石田君の懲罰に付すべからざる説に賛成いたします。  第一点は、この柳澤君の提案理由の説明を見ましても、川崎君の弁解を見ましても、川崎君は発言許可せられたものだと思つて登壇をし、そうしてやつたところが、何かどうもごたごたがあるので、あるいは間違つたのかしらということで、静かに待つてつて許可を得て発言をしたというのでありまして、そこに誤りがあつたといたしましても、犯罪意識がない。そういう意味において、これは懲罰に付すベからざるものだと思います。  第二点は、この提案者でありまする自由党の諸君の考え方を見ますと、柳澤君のこの提案理由の説明を見ましても、懲罰々々と言うておどかしておいて、さてどういう行動をやるか見て、そこでどうもおどかしに乗らないで、盛んに活発にやつておるので、いよいよ本腰をかけた、こういうふうに見られるのでありますが、これはどうも懲罰ということで、多数を背景にいたしまして、一種の威嚇じやないかと思う。そうやつて議院内における野党の活発なる言論を制圧せんとする野望があると考えまして、提案者の方に悪意があると私は考える。その意味においても相殺すべきものである。  なお第三点といたしましては、提案者諸君も、自分たちが野党であつた時分のことを回顧いたされまして、あまりに峻厳なる態度をもつて臨まれないことを希望いたします。なぜならば、いわゆる片山内閣、芦田内閣時代の自由党諸君がいかなる行動をやつておられましたか、静かにひとつ反省していただきますと、よくわかる。炭鉱国管案が上程されましたときのものすごい態度、あれを懲罰々々と今日のように言いましたならば、自由党諸君のほとんど大半が懲罰にかかつてつただろうと思う。それを思い起して、世間にも相見互いということがありますから、こんな懲罰などはおやめになつた方がいいと思います。  以上三点をもつて反対いたします。
  16. 眞鍋勝

    眞鍋委員長 これにて討論は終了いたしました。  採決いたします。本件につきましては、これを懲罰事犯として懲罰を科すべしとの意見と、本件懲罰事犯にあらずと決すべしとの意見がありますので、まずこの点について採決いたします。本件懲罰事犯として懲罰を科すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  17. 眞鍋勝

    眞鍋委員長 起立多数。よつてまず本件懲罰事犯として懲罰を科すべきものと決しました。  次に、本件について国会法第百二十二条第三号により、五日間の登院停止を命ずべしとの動議賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  18. 眞鍋勝

    眞鍋委員長 起立多数。よつて本件については国会法第百二十二条第三号により、五日間の登院停止を命ずべきものと決しました。  なお本件に関する委員会の報告書の作成は、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 眞鍋勝

    眞鍋委員長 御異議ないようですから、さよう決します。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時四十四分散会