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1952-06-30 第13回国会 衆議院 地方行政委員会 第74号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年六月三十日(月曜日)     午後二時二十七分開議  出席委員    委員長 金光 義邦君    理事 河原伊三郎君 理事 野村專太郎君    理事 床次 徳二君 理事 門司  亮君       大泉 寛三君    川本 末治君       佐藤 親弘君    前尾繁三郎君       鈴木 幹雄君    藤田 義光君       立花 敏男君    大石ヨシエ君  出席政府委員         大蔵事務官         (銀行局資金運         用課長)    高橋 俊英君         郵政事務官         (簡易保険局         長)      白根 玉喜君  委員外出席者         郵政事務官         (簡易保険局運         用課長)    稲増 久義君         専  門  員 有松  昇君         専  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 本日の会議に付した事件  地方財政に関する件     —————————————
  2. 金光義邦

    金光委員長 これより会議を開きます。  地方財政に関する件について調査庁を進めることといたします。質疑の通告がありますのでこれを許します。藤田義光君。
  3. 藤田義光

    藤田委員 私は本日、簡易生命保険郵便年金の問題に集約いたしまして質問してみたいと思います。この問題に関しましては、すでに郵政委員会あるいは大蔵委員会で論議が尽きておると思いますが、私たち地方財政をあずかります常任委員会として、別個な観点から質問をいたしたいと思います。御答弁内容いかんによりましては、来るべき国会におきまして、先般通過いたしました保険及び年金運用に関する法律に関しまして、私たちは超党派的に改正をやりたい所存でありますので、幸い保険局長も見えておりますから、忌憚ないところをお聞かせ願いたいと思います。  まず第一に、昭和十八年以来中止されておりました分離運用を今回企図されました直接の動機はどこにありますか、この点をお伺いしたいと思います。
  4. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 戦前におきましては、簡易保険資金運用は、御承知のようにその当時における逓信省が独立してやつてつたのであります。その後おづしやいましたように、昭和十八年におきまして、簡易保険資金の一部が大蔵省の方へ移管と申しますか、運用をおまかせすることになつたのであります。その理由は、戦争にからみまして事業伸びぐあいその他のことは考慮に入れぬで、ひたすら戦力増強の一点に集中しなければならない。こういう強い戦時中の理由によりまして、そのときにおきましても一部でございましたが、一部大蔵省の方へ移管と申しますか、お預けいたしておつたのであります。しかしその際におきましても、その当時私の方に別に委員会ができまして、その委員会の際におきましても、いかに戦争の必要とはいいながら、保険資金特質からいたしまして、これを大蔵省の方へ移すというのはいけないという説も、相当強かつたのでございます。にもかかわらずそういう理由で移りましたけれども、その際におきましても、大東亜戦争が終つた際におきましては、その当時は逓信省でございますが、逓信省に返すというようなことを、その当時における大蔵当局もお認めになつてつたのでございます。戦時中の理由はそうでございます。
  5. 藤田義光

    藤田委員 今の局長の御答弁によりますると、戦争中の、いわゆる非常事態に処しての措置であつたというふうにお答えになりましたが、しかりとすれば、戦争が済みましてすでに七年になり、非常事態が解消してから七年になるにもかかわらず、どうして今日までこの問題を放置されておつたか、この点をお伺いいたします。
  6. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 ただいままでの経緯は、戦争中における移管のときの経緯であります。従いまして、おつしやる通りに、事業特質からいたしまして、戦争が終了いたしましたら郵政省復元をお願いしようという心組みであつたわけであります。その際におきまして、御承知のようにマーカツト指令が出まして、従来逓信省で約四割程度つてつたのでございますが、それもすべて大蔵省預金部へお預けするようにと、こういうような指令が出たわけであります。出ましたけれども、われわれといたしましては、むろん資金総合管理要請にマツチする方法は考えなければならないけれども事業性質からいたしまして、こちらではどうしても返さなければならないということは、その当時の逓信省時代においてそう考えておりましたし、単に逓信省だけの問題でなくて、その当時におきましてはいろいろの経緯はございますが、ある過渡期におきましては、大蔵大臣もお認めになり、吉田総理からも復元するように、マーカツト指令の撤回を公文書をもつてお願いしたわけでございます。そこでだんだん向うの方も御理解が参りまして、一時は郵政省——今度逓信省郵政省になりましたが、郵政省復元するということにつきまして、大蔵省郵政省との話合いもできまして、そこで予算も組んでおつたわけでございます。そこへ昨年でしたか、ドツジさんがお見えになりまして、ドツジ書簡で、御承知のように資金運用法ができまして、またくぎづけになつたような状況でございまして、その当時におきまして復元するようにという努力につきましては、単に郵政省だけでなくて、大蔵省内閣も、しかもその間におきましては、御承知のように国会におきましても、数次にわたつて運用再開の御決議があつたわけでございます。われわれといたしましては、事務当局はむろん努力をいたしますし、その当時における政府におきましても努力もし、また議会におきましてもそういう御決議があつたのが、その間の経緯でございます。
  7. 藤田義光

    藤田委員 どうも御答弁がはつきりしないのは、マーカツト指令が出たこと、それからドツジ・ラインの確立、それから経済九原則、こういう基盤はいまだに吉田内閣のもとでは全然こわれておりません。正式にこの線を放棄するという声明は、吉田総理はもちろん、国家財政担当大蔵大臣からも出ておりません。従いましてこういう国民の零細な資金を集めたいわゆる国家財政資金の一部に関しまして、新たな構想を立てる客観情勢は熟していない。なるほど国会におきましては院議をもつて数回決議をしておるかもしれません。しかしこれには、もちろん数の政治でありますからやむを得ないとしましても、相当の反対がある。そういう点は私たち一つ資料とは考えますが、一番根本である、この統一運用分離させるための客観情勢は、今の局長答弁では全然熟していない。特に起債わくがありまして、地方自治法の二百五十条という厳然たる規定がありまして、全国一万一千の自治体は、この問題に非常に神経質になつております。しかも私は、この積立金運用に関しましては、全国自治体の貴重な輸血管であるというふうに考えております。この輸血管を持つておる全国自治体——佐藤郵政大臣を出しておる中国地区を除いては、全国市町村長あるいは知事が分離運用に反対しておる。市長会におきましても先般全会一致決議をしております。町村長会におきましては、理事会においてすでに決議しておる。こういうふうな現状からしまして、たとい国会院議をもつて決議されておりましても、執行機関としては、いま少しく客観情勢の熟するを見た上で、統一分離の判決をすることが正しいのではないか、私は冷静にそういうふうに考えておりますが、分離させるに必要な客観情勢が熟していないのに、この分離をやるというようなことはどうかと考えますが、もう一度御答弁を願います。
  8. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 現在の情勢におきまして、資金統一運用必要性はまだある、こうおつしやつておる面でございますが、その統一運用という意味がどういう意味か、見方によつては私も賛成でございます。資金総合的な運用であるという意味でございますれば、賛成でございます。従いまして資金総合的運営をやるために、総合計画を立てるところの、内閣付属資金運用部審議会にお諮りすることに相、なつておるわけでございます。そういう意味におきまして、資金総合運用はやらなければならない、こういうことはわれわれとしても考えて、提出した法律案がそうなつております。ただその資金統一運用が主でなければならないという意味であれば、これは計画総合があればいいんじやなかろうかと、われわれは考えおります。のみならず、市町村関係といたしましては、われわれは現在の市町村における資金需要、その需要に対する供給資源が十分であるかといいますと、これは私は専門家ではございませんからよくわかりませんけれどもしろうと目で考えてみますと、現在市町村における資金需要に対して、供給資源が少いんじやなかろうか、こうわれわれは考えるのでございます。従いましてできれば資金供給財源を増加するというような方途があれば考えてもいいんじやなかろうか、われわれの考え方からいたしますと、現在やつている維持募集維持の面の事業集まつ資金をその省においてやるということになりますと、確かに従業員士気向上をはかり得ると思います。また一面、市町村協力の度合もある程度ふえると思いますが、しかしさればといつて学校を建てるから入つてくれというふうな無理な募集はいたしません。いたしませんけれども、むき出しに、こちらの資金学校が建つたという結果を見れば、あるいは協力度合いもある程度は出るのではないか。その協力度合いはともかくといたしましても、従業員士気向上という面からする資金量の増ということは、常識的に言えばあり得ることではなかろうか。そういたしますると、現在、市町村における資金需要に対しまして、供給の量が足らない——聞くところによれば、とにかくお貸しする金の五倍以上の申請がある模様でございまして、そういう面からいたしますと、資金の量をふやすという意味におきましても、こういうやり方がいいのではなかろうか、事業特質からいたしましても、資金供給量をふやす面からいたしましても、運用復元というのはいいことではないか。ただおつしやるように、現在の情勢におきましてはわくの問題もございます。従つてそのわくの問題は守らなければならない。資金総合的な運営ははからなければならない。こういう面を考えてやつているのが、この成立した法律でございます。
  9. 藤田義光

    藤田委員 ただいまの局長の御答弁を聞いておりますると、資金運用部資金法の第十条に規定するいわゆる審議会があるから、この審議会総合運用のことはよくやつておるということを言われました。もし局長の論からすれば、郵政事務次官審議会委員になつていますから、何も運用分離しなくても、この審議会で十分郵政省の意向を反映させるという努力をされれば、この客観的な基盤が安定せざるうちに分離する必要は全然ないと思いますが、この点はどうでございますか。
  10. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 先生のおつしやることは、資金総合的運営の面だけをおつしやれば、あるいは程度の差こそあれ、まあ同じじやないかということは言い得ると思います。     〔委員長退席河原委員長代理着席〕 しかし私たちのねらうところは、資金総合運営要請が加味されて、なおかつ簡易保険資金の特性に合うような事業運営ができればいいことでございます。また資金の量のふえるという方法もございます。従いまして資金総合性という面からいえば、ある程度は、それは現在でもいいとは言い得ると思います。しかしその総合の面から行けば、逆に言いますと、郵政大臣がこちらの資金設定をいたしまして、大蔵大臣あと残つた資金設定いたしまして、その設定相互総合性資金運用審議会へお諮りすれば、御心配の総合性という面は充足できるんじやないか。それが充足できる以上は、さらに一歩進めて資金の量をふやすという方向にその要請を加味しつつやるということができればそれでいいのじやないか、こういう考え方でございます。
  11. 藤田義光

    藤田委員 総合運用は、審議会郵政事務次官が出ておられるから、それで十分目的を達するということを言われました。わくの問題に関しましては、需要者の便宜をはかつて増加させるという方向に持つて行きたいということを言われました。一応趣旨は了承いたしましたが、もし局長の論からすれば、何ゆえに郵政省関係積立金のみを分離運用しまして、厚生省をそのままにしておくか。この点は局長として関係がないといえばそれまででございますが、この点も局長の理論からすれば非常におかしな結論が出るんじやないかと思いますが、この点はどうお考えになりますか。
  12. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 私はほかの省のことはよく存じませんが、私の個人意見を述べさしていただければ、その点も申し上げてもいいと思います。第一に簡易保険資金と申しますのは、単なる財政資金ではございません。創設以来、これは加入者階級に対する福祉施設その他に対してやるというかつこうになつております。のみならず現在簡易保険法におきましても、余剰金がある限りにおきましては、その余剰金加入者の方に復元しなければならない。年金法にもございます。従いまして簡易保険資金は、いわば加入者に対する信託財産であるという精神は、現行簡易保険法現行年金法にございます。この意味におきまして特別の性質を持つておる、こういうことを私どもとしては言い得ると思います。但し形式上財政資金であるか、政治資金であるかということは、法律上いろいろ議論がございます。今私が申し上げましたのは実質論でございます。なお厚生年金とかいう面につきましては、私はしろうとでございますが、私どもちよつとひもといてみますと、厚生年金につきましては、あれは事務費は相当部分国庫負担しておると思います。そういうような意味で、信託財産的な法律の根拠はどこにもないと思います。あるいはあるかもしれませんけれども、これから先は私はよくわかりませんが、あつてもそれは、簡易保険信託財産的な性質論と比較いたしますと、多少違うのじやないか。このあとの分は私全然しろうとでございますから、これはもう簡場保険局というよりも、白根個人意見と察していただきたいと思います。
  13. 藤田義光

    藤田委員 局長のいわゆる信託財産であるかあるいは財政資金であるかということに関しましては、これは見解相違でございますから、私たちはこの問題を将来再び大蔵省統一運用するかいなかを研究する材料にふさわしい答弁としては、了承しないことにいたしておきます。ただここで私が心配いたしますことは、非常に局長の御答弁はきれいでございます。さすがに郵政委員会大蔵委員会でもまれて来られておるから流暢でございまするが、実際昭和十八年まで逓信省運営しておつたころの実績をひもとけば、ほとんど中味のある問題は、三分二厘の利子を持つてつた大蔵省需要者が参つておる。四分五厘の逓信省は、言葉が極端でありまするが、くずだけを需要者に渡しておつた。これは争えない事実でございます。しかし先般来公聴会等を拝聴いたしておりますると、地元還元ということを盛んに言われております。ところが私は熊本選出でありまするが、少くとも熊本の過去の三十年間の実績資料として集めてみますると、ほとんど還元されておりません。大都市中心に集中しておる。特に約五〇%は東京に集中されておる。今後は完全に地元還元されるという自信のもとに言つておられるのかどうか。これは国会委員会におきまして、政府委員としての答弁が将来現実と食い違つたような場合におきましては、重大な責任問題でありますので、この際はつきりとお伺いしておきます。
  14. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 戦前におきましては、簡易保険資金がほとんど都市に集中しておるというお話でございますが、これは私よく調べた上で御返事申し上げます。私の勘としては、そういうことはないと思いますが、調べた上で御返事申し上げます。それから加入者還元と申しましても、私どもといたしましては、地方還元をやるという気持はございません。従いまして契約料都市が多い。だから都市の方にたくさん流れるというようなことは、われわれとしてやりたくございません。戦前はおつしやるように多少は成績に応じて貸先をきめておつた模様でございますけれども、現在のように資金需要が足りないで、特に農村方面がお困りの面におきましては、これは現状からいたしましても、農村方面に薄くやるという考え方はいかぬ。地方還元というのは、中央集権的でないというとだけの意味において、地方還元ということを言つておるのでありまして、契約募集の高に応じてやるという考え方ではありません。この点はひとつ御了承をお願いしておきたいと思います。
  15. 藤田義光

    藤田委員 地元還元ということは契約高に応じてやるという意味じやないというふうにはつきり御答弁がありましたから、さよう了承しておきます。それからこれは去る月に郵政省の名前で発行されましたパンフレツトの問題に関しましては、私の友人奥村君が大蔵委員会で質問いたしておりますから、省略したいと思いまするが、それを読みまして最も痛切に感じましたのは、やはり地元還元の問題であります。これが今回の分離に対する内容実質を知らざる一般大衆の最も魅力を持つておる点でございますことは、局長もおそらく認めるだろうと思います。ところがこの地元還元をするということをつ一つ看板にされておる郵政省局長が、ただいまの答弁で、過去の実績に対しては詳細な資料を持たぬから、よく調べて答弁するということを言われたように記憶しますが、こういう重要な資料がないのに、どうして地元還元というような看板を立てられたのか、非常に不謹慎じやないか、軽率ではないかというふうに言われることを私は恐れますが、どうでございますか。
  16. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 それは正確を朝する意味で申し上げたのでございまして、その資料をここに持つておらないのでございます。そういう意味でございまして、もし軽率であるといたしますれば取消しいたします。
  17. 藤田義光

    藤田委員 その資料を即時お届け願いたいが、いつまでにお届け願えますか。
  18. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 できるだけ早く、あすでもよろしゆうございます。
  19. 藤田義光

    藤田委員 それではあすお届け願うというふうに了承いたします。  次にお伺いいたしたいのは、貸付手続の問題であります。現在地方債に関しましては、地財委大蔵省許可その他がございますが、今度の分離後の貸付はどういうふうな手続でやられますか、簡単でけつこうですからお伺いいたしたい。
  20. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 現在の取扱い方は、先生も非常に御権威でございまして、申し上げる必要はないと思いますが、現在これは比較になるのは、大蔵省関係との問題だろうと思います。大蔵省関係では、許可の際許可にからむ書類といたしまして、借入れ申請をやつて、しかも単独事業につきましては相当詳しい調査をおやりになつておる模様でございます。その上で起債方針をきめて自治庁と御相談して、それでこの町村には貸すと決定して、決定通知をやつて、さらに借入れ申込みをやつておるようでございます。私どもの方といたしましては起債にからむ書類はちようだいいたしたくない。大蔵省起債関係については、御承知のように自治法の二百五十条、あるいは御承知のように府県と五大都市だけだつたと思いますが、その面に対する許可については、地財委大蔵大臣と協議することになつておるようでございますが、町村全般にわたつてそういうことをやるという条文はちよつと不敏にして見てないのであります。しかし現状におきましては、大蔵省といたしましては、町村にわたりましても、単独事業につきましては、いわゆる事前調査もおやりになり、しかも書類借入れ申込みをやつておるのでございます。しかし私どもといたしましては、できるだけ事務簡素をはかりたい。しかもそれらの面につきましては、地財委の御監督なり、御助言をたよりにしたい。従つて市町村からは、直接に大蔵省の言う第一の書類であるところの借入れ申請書類というものはちようだいいたすまい。できれば府県地方課なり地財委なりから、関係書類をお借りいたしまして、とにもかくにも市町村に特別のロードをかけないような方法によりましてそれをちようだいしたい。しかしこれは将来——今度は地財委で決定していただいて決定通知をいたします。そのときに書類が参ります。その前に事前にどの程度借入れ申込みがあるが、地財委関係はどうかは、調子を見て将来の借入れ承認のときに迅速にやるために、いわばサービスをなるべく早くやるために、そういう書類をとにかく地財委なり地方課からお借りいたしたい。こういう考え方でございまして、第一段階で大蔵省でやられておる地財委にからむと申しますか、その借入れ申込みというのは、私の方といたしましては事務簡素化趣旨も含めまして、ちようだいいたさない方針でございます。
  21. 藤田義光

    藤田委員 そうしますと、大体事前調査はおやりにならぬようでございますが、事後課査はおやりになる予定でございますか。
  22. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 事後調査と申しましてもこれは債権者の建前からいたしまして、信用調査ということは全然やらぬということは申し上げかねるのでございますが、現に地方庁に対しまして平衡交付金でも調整をとつておりますし、それからまた地財委で相当御監督なり御指導もなさつておるのであります。従いまして簡単にいえば、信用調査も全然やらぬかといえば、やるかもしれないという程度でありまして、必ず一つ町村ごと信用調査をやるというようなところまで考えておりません。
  23. 藤田義光

    藤田委員 そうしますと、信用調査をやれば、現在の大蔵省がやつているのと大体同じような手続になるのじやないか、ただ一枚の借入れ申請書というものを出すか出さぬかの違いだけになりまして、実質上はそういう書類を出さぬで、いわゆる祕密探偵社的信用調査をやられると、かえつて公共団体神経戦にかかりまして、むしろ不明朗な事態が起きはしないか、しかも団体によつて信用調査をやるものもある、やらぬものもあるというようなことになりますと、そこに非常に不明朗な結果を招来しはしないか。これはむしろ今の局長の御答弁からすれば、正々堂々と事前調査された方がいいのじやないかというような気がします。
  24. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 信用調査という文字が悪かつたと思います。私の申し上げますのは、事後の監査の問題にはある程度場合によつては、償還金の場合とかいろいろなことがございまして、例外的にはある程度やらなければならぬ場合もあるかと思います。これは例外的です。というのは、現在の平衡交付金なり、あるいは自治庁の御指導現状から見ますと、そこまでやらぬでもよかろうということでございまして、書類はもらわないけれども事前調査はやらないけれども、その代替的な方法といたしまして、信用調査に名をかりて、ほとんど全部にわたつてやるということは、全然考えておりません。
  25. 藤田義光

    藤田委員 そこでお伺いしたいのは、先ほど局長が言われまとた通り、これは信託財産である、大衆の零細な資金を集めた貴重な財産である、従つて大事に運用しなくてはならぬ、それをたとえば民間金融機関が一事業会社に金を貸すにも、非常な慎重な手続をとつております。私の知る範囲内におい七は、大蔵省が現在起債に対してやつております調査に比べれば、数倍、数十倍の綿密な調査の上に貸付をやつておりますが、国民の零細な資金を集めたこの貴重な信託財産運営される当面の最高責任者である局長が、ほとんど事前調査あるいは研究をやられぬで、貸付をやられるというような印象を受けたのでございます。これは今後簡易生命保険あるいは郵便年金等多数契約者にとつては、非常に不安な言動ではないかというふうに考えますが、どうですか。見解相違ではないと思います。
  26. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 私民間投資先と地方自治体とは、確実さの面において違うと思うのでございます。その地方財政の面につきましては、自治庁がすでに御指導なりお取締りなさつております。しかも戦前違つて財政上窮迫のところ等につきましては、私よくわかりませんけれども地方財政平衡交付金を出されております。しかも非常にお得意な大蔵省の方も、地方の債務の調整という意味で、やはりお取締りをやつておられます。そういうような客体、対象を相手にするのでございまするから、これは官庁相互の機構々々の特異性を尊重いたしまして、そこまでやらなくてもいいじやないか、こう考えておるのでありまして、民間企業者が投資する先とは性質が違うのではないか、こう考えております。
  27. 藤田義光

    藤田委員 これはもう局長と私の見解がまるで反対で、これ以上質問しても結論は出ないと思います。私地方財政委員会の執行の内容も実際知つております。しかしあの執行官の執務内容というものは、あくまで地方財政全般を見てはおりますが、現金に関しては非常にうとい関係にあります。従いまして実際に現金を放出する官庁が、よほど綿密な調査をしないと、もし回収不能になつた場合の責任はどうなるかということで、私はこれは相当慎重にやつてさしつかえないのではないか。大蔵省からむりに分離させるから、大蔵省よりも簡単な手続でやる、事務の簡素化をやるのだというような意味のことを言われておりますが、実際局長が今言われた方式で運用された場合には、現在の地方自治体あるいは農村の状況からいたしまして、相当回収不能の資金が出ることは、これはもう必至だろうと思います。農林中金の事業資金の回収現状も、もちろん研究されたと思いますが、こういう現状から見まして、局長はあまりに貸付相手に対しまして、信用を置かれ過ぎておるような御答弁に拝聴いたしております。この点に関しましては、よほど今後研究してもらいたいと思います。と同時に、私たちは次の国会においては、少くともこの点に関しまして徹底的に究明いたしまして、はつきりした結論が出た上で、二十五日に公布されました法律の修正をやりたいと思つております。  次にお伺いしたいのは、団体に貸しつけられる場合に、市町村等の公共団体との関係は、どういうふうになるかということをお伺いしたいと思います。
  28. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 団体貸付は、これは大蔵委員会でも問題になつたのであります。私どもの取扱いといたしましては、契約者貸付というのがございますが、これは法律の六条の根拠に基きまして、約款できめております。その契約者貸付にあたりましては、長期契約でございますので、その年々の特殊の事情によりまして、不時の金がいるというときは、契約者貸付という名目で、もしその当時にやめたとすれば、どのくらい還付金が出る、その還付金を限度にいたしまして、契約者貸付は義務としてやつておるわけであります。団体貸付は、取扱いの面におきまして、郵便局に来るときは連署で来ますけれども、ほんとうの取扱いは地方の保険局でございます。地方の保険局が一個々々の契約者貸付と同じような取扱いをやつておるわけであります。従いまして使途の面については、従来の建前から行けば、干渉しない建前になつております。金が必要であるから貸してください、契約の還付金の範囲内において貸してくださいと言えば、義務として貸すような建前に相なつております。その結果まま——そうたくさんはございませんけれども市町村のある部落の大部分が、やれ病院を建てたいから、学校を建てたいからという動機で、団体貸付を、いわゆる契約者貸付といたしまして、連署関係法律上は個々の貸付でございますが、やつておる場合もございます。しかしこういうのは、現在の建前から行けば、義務としてやらなければならない建前にはなつておりますけれども、いいか悪いかという問題になりますと、相当研究しなければならないのじやなかろうか。場合によりましては約款変更等によりまして、目立つたものは使途の面についても干渉いたしたい。が、しかし市町村に貸すとか貸さぬとかいう問題は、実は書類からはあまり出ていないのでございますが、そこらは運用上そういうことのないようにとりはからつて行きたい、こう考えております。
  29. 藤田義光

    藤田委員 地方公共団体、特に市町村では、現在学制がしかれまして五十年を経過いたしておりますから、全国の小学校等が老朽化しておりまして、相当団体貸付の希望は多いだろうと思います。全国市町村等に関しまして、いわゆる住民の連名による貸付にあらずして、公共団体自体に対する貸付、こういうことに関しましても、何か御研究されておりますかどうか。
  30. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 そういう必要も考えて、この法律をお願いいたしまして、直接学校を建てたいとか、村の病院をやりたいとか、村の何をやりたいとかいうような際には、契約者貸付の一態様である団体貸付というような方法をとるよりも、直接にこのお願いして成立した法律によつて、地方公共団体貸付をいたしたい。たとえば地方債なり、地方公共団体に法の三条でお貸しいたしたい。従いまして私の方で集まつた金は、もうほとんど地方公共団体需要を満たすために、地方債並びに地方公共団体貸付資金に充てたい、こう考えておるのでございます。これは先生は次の国会で改正してこれを殺すとかおつしやるのでございますが、それさえなければ、むしろ地方の需要に対しまして、こちらに集まつた金は、集中的にお貸付なり地方債の引受けなりをいたしたい。こういうことをいたすと、御心配の面のような団体貸付というようなことは、こつちから慫慂したわけではございませんが、相手方も金が足らないために、そういうことで来るのでございますが、そういうようなかつこうで団体貸付を希望して来る要素も減つて参る、減るだけでなく、絶無になるのではなかろうか、こういう考え方で行つておる次第でございます。
  31. 藤田義光

    藤田委員 そうしますと、局長の御答弁によれば、相当公共団体貸付希望も多いという認定でございます。先ほど中央集権云々ということも言われましたが、現在地方公共団体起債手続は、県の地方課と財務局を通じまして、大蔵省地方財政委員会の監理課という二本建のすつきりした姿でやつております。中身は、現在大蔵省地方財政委員会でやつておるのとまつたく同様な団体貸付を、新たな国家機関が一部運営するという結果になりまして、地方自治体のいわゆる自主性というものが、全国郵政省の出先機関にさらに大きな制肘を受けるという結果になるわけでございます。この点に関しましては、どういうふうな方式で民主的に運営されようとしておりますか、この点をお伺いしたい。極端に言えば、今までは二箇所でよかつたのが、今度は三箇所に地方債の問題を持ち込むという必要が起きて来る。地元公共団体にとつては非常に迷惑な面がふえるという結果になると思いますが、この点どういうふうにお考えですか。
  32. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 この点は大蔵委員会でもたびたび御心配で、御質問があつたわけでございます。しかし先ほど申し上げましたように、起債にからむ書類は、私の方でちようだいいたさない。その点は事務簡素になる。事務簡素になつても、債務の償還を確保することができないという点が、先生の御心配になつていることですが、これは意見相違でございます。借入れ申請書は、郵政省大蔵省には来ると思います。しかし起債許可決定通知書は、地財委から出しますけれども、そこで借入れ申込みのときは、大蔵省とこちらに来ると思います。しかしそういう面から見ましても、一つふえるじやないか、こういうお話でございますが、これは結局起債の際におきまして、決定通知が来れば、どこから借りるということがわかるわけでございます。従いまして、わかつた借入れ先を指定すれば、そこへ申請して来ればいいのでございます。観念的に言えば、窓口が二つと言われぬこともございませんが、実際問題としては、決定通知によりまして、どこから借りるということははつきりするわけでございまして、窓口がその意味においては、二つと言えば確かに二つになりますが、そこは実際問題として、そう市町村の方方が御心配になることはないのではなかろうか、なるほど本年には町村長会等におきましては、決議とまで行かなくとも、理事会で御反対なされました。それから府県においてもある程度ございます。しかしまた町村におい、ても賛成の向きもございます。先生は西の方とおつしやいましたが、しかし府県の方は賛成の向きも相当ございます。市の面におきましては、議決機関は賛成の方が多うございます。執行機関は反対しておる。これも同じところでございます。そこにはいろいろ言うに言われぬ面もあるのではないかと考えられます。従いまして、とにもかくにもわれわれといたしましては、御心配の面にならないように、運用上考えて行きたい、こう考えておる次第であります。
  33. 藤田義光

    藤田委員 局長の御答弁を聞きましても、事務の簡素化にならぬということは、はつきり是認されておる。結局迷惑がかからないようにするということを言われる。これはあたりまえのことでございまして、この点に関しましては事務の簡素化ということを言われながら、やはり事務は複雑になるということを、一応是認されたというふうに了承しておきます。それから事務の簡素化に関連してお伺いしたいのは、現在の従業員をそのままにされまして、増員されずにやられる予定でございますか、どうですか。
  34. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 それより前に、事務の簡素化に逆行するものであるということを認めたようにおとりになつておりますが、私はそういう意味で言つたのではございません。これは片一方町村の側から見ますれば、借入れ申請の際に、相当調査もおやりになります。書類も相当複雑なものを大蔵省はとつております。そういうものをとらない意味から申しますと、事務の簡素化になるのでございます。あとの面は、決定通知が行けばそれは借入れ申込みはしなければならぬことになるのでございますから、この点はひとつ御了承を願います。  定員の面でございますが、われわれといたしましては先ほど申し上げましたように、資金運用復元できますと、従業員士気も上ります。いろいろ募集しいい環境にもある程度なると思います。従いまして新たに定員を要求するということではなしに、内部の定員の操作で何とかなることであろうと存じます。
  35. 藤田義光

    藤田委員 局長は、七十五円の月給取りからとんとん拍子で局長にまでなられまして、実際の地方自治の執行機関の苦労を知らぬから、そういう安易なことを言われる。これは来年の四月から実施してみれば、すぐ局長がうそを言つたことがわかります。実際地方自治体の事務の簡素化ということは、一片の書類をよけいつくるということでは、ございません。監督官庁あるいは認可、許可を届け出る官庁が、あまりに多くて、そのために事務が煩雑化しておるのであります。従いまして新たに郵政省分離運用されれば、今ですら二箇所に手続をしているのが、三箇所にしなくてはならなくなる。これは局長が何と申されましても事務は複雑化しておるのじやないか。もう御答弁の必要はございません。これは全然局長の育ちが違うから、そういう認識のもとに、こういう答弁大蔵委員会やあるいは郵政委員会にされまして、ほかの連中はそれで納得したかもしれませんが、この委員会はそうは行きません。われわれは一万一千の自治体情勢に関しまして、最も真剣な論議をしておりますので、局長答弁はまつたく事実を歪曲した答弁であるというふうに私は解釈します。これに対しては答弁をもうこれ以上求める必要はございません。  それからいま一言局長が言われたことで、非常にふしぎに考えましたのは、この積立金分離運用すれば、従業員士気が上ると言われた。しかもこれは現在の従業員の配置転換によつて、増員しなくて何とかやつて行けるということを言われました。この答弁をそのまま受取りますると、現在の郵政省従業員士気沮喪しておる、士気が低下しておるというふうな結論になりますが、これは重大な発言でございました。従業員組合等もこの局長答弁を聞きましたら、非常な憤激をいたすだろうと思います。運用課長はかつて東京の従業員組合の支部に行つて、えらい大演説をぶつておるのでありますが、実際その運用課長の上司である局長が、こういう答弁をしたということがわかりましたら、大問題じやないかと思いますから、この点は御答弁を伺つておきます。
  36. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 士気が上るということは、士気が上るということでございます。その士気が普通の公務員の現在の士気の水準より低いという意味において申したのでは毛頭ございません。われわれの従業員は、事案を愛する意味におきましては、ほかに劣らないところの事業愛の精神に燃えております。ことに保険のごときは、こういうなかなか食いつきの悪い仕事やつておりますけれども、現在のところまで行つたのは、従業員があなたが御心配なさるような程度より以上にいいということが、前提でございます。その前提に立つた水準以上に士気が上ると申したのでありまして、これは従業員に言つても私しかられることは毛頭なかろうと思います。
  37. 藤田義光

    藤田委員 どういう意味士気が上りますか、その理由をお伺しておきましよう。
  38. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 これは例を引きますが、われわれのいなかの特定局に従業員がおります。そこであなたたちのおかげで学校が建つた、そういうようなことで、やはりプライドを持つております。われわれの仕事をやつ結果についてこれは地方還元というよりも、量的にやる意味じやないけれども、結果において学校が建つた、橋ができた、隣りのおじいさんからよくやつてくれた、おかげさまと言つてくれれば、これは村のため、事業のために、従業員はぜに金を離れて、事業を愛する意味からいたしまして、いわゆる事業人としての矜持の意味から、士気が上るのでございます。
  39. 藤田義光

    藤田委員 そうしますと地元民を現在以上に喜ばせるような新たな権限が従業員にできるから、それで士気が上る、局長の本職たる官僚らしい答弁でございます。権限がふえたから士気が上る、これは非常に軽率な判定でございますので、実際上は労働強化じやありませんか。現在の陣容でこれだけやるとすれば、賃金ベースの引上げの方針がございますか、どうですか。現在の陣容で、配置転換によつてこれをやるということになれば、士気は沮喪するじやないかというふうに考えております。この点に関しては、社会党の門司君からも質問があると思いますが、いま一度お伺いしておきます。
  40. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 私が申し上げますのは、なるほど学校が建つた。建つた結果によつて、これを私ども募集に対しまして相当実情を把握しておるつもりでございます。従いましてどこから来たかわからないような金で学校が建つよりも、保険の金で学校が建つた。これは別に学校を建てるから募集するという意味じやございません。そういう事実がまざまざと来ることによつて、これをいなかの方々はやはり喜ぶにきまつております。そういう喜ぶ顔を見れば、われわれが事業に精進したために、こういうこともできたということで、士気が上るにきまつております。また決して学校を建てておあげするから、従つて募集に応じてくださいということは申しません。しかし結果においてむき出しに簡易保険資金から学校が建つた、橋ができたということになりますと、それはやはりある程度協力度合いが違うと思います。従つて、やはり何かもやもやしたような気持でいるよりか、すつきりした調子で事業を遂行することができれば、これはほがらかなところにやはり能力も出ることでございまして、募集しいい環境にも、ある程度なると思います。現在私の方では、運用関係で五十名程度でございますが、ふやすにつきましても、来年度は百人程度をふやせばいいのではなかろうか。と同時に、御承知のように、ほかの面につきましても、郵政省は有機的な連絡の組織体になつております。そういう組織体を利用するというのも、これは総合利益と申しますか、他の事業、三事業が一緒になつてつておる状況でございまして、組織が現にできておるわけであります。そのできておる組織体を利用したりすることは、総合的な面においてはプラスになります。従いまして、むろん相当量の事務がふえて参りまして、五年なり三年なり先になりますれば、これはある程度ふやさなければならぬと思いますけれども現状におきましては、募集しいい環境によつて、内部の差繰りでできるのじやなかろうか、こう考えております。
  41. 藤田義光

    藤田委員 局長のあげ足をとるようで恐縮でございますが、先ほど局長は、この分離運用によつて事務の簡素化をするということを言われまして、数分後には、来年は増員する、現在の五十名を百数十名にするというふうに、いわゆる行政を複雑化することを是認されております。私が先ほど別の理由から行政の簡素化にあらずという結論を出したことが、ますます自信を深めた結果になつております。  それから従業員保険金を集めて、それで学校ができたということになれば住民が喜ぶ。これは局長の頭の中が、地元還元ということでこの問題に取組んで来られた関係上、そうなつているから、かかる答弁が出たと思いますが、局長答弁からしますと、保険はかけたが何ら還元されないという地元も、全国ではおそらく無数に出るだろう。一部の町村は喜んでも、大多数の自治体が非常な不平不満を持つということも言われるわけでございます。今局長の言われました従業員士気高揚に関する御答弁は、こういう大きな矛盾をはらんでおるのでありまして、これは局長が何と答弁されるか、お答えがありましたら拝聴しておきます。  それから次にお伺いしたいのは、民間保険事業に関しましては、今局長が言われたように、保険に加入すると学校ができてうれしかつた、過去においてこういう例があるということを言われるだけで、これは利益の提供であります。ところが一般の保険会社は、そういう利益提供をやれば、保険募集の取締法の第十六条によりまして罰則がございます。ところがこれは官庁保険事業なるがゆえに、全然罰則の適用がない。一般民営の事業に対しまして、政府事業が非常な極端な優遇を受ける、こういう矛盾した結果が起きますが、これはどういうふうに解決される予定でございますか。
  42. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 それより前に実情を申し上げますと、民間保険資金と官の資金とは調和をとらなければならぬと思うのでございます。そこでわれわれのところは、本年度はどうかと申し上げますと、前年度は二百七十億円でありました。それを百億ふやしまして、三百七十億であります。その三百七十億の資金をとらなければ、おそらく本年度の資金計画に穴が明くのじやないかと思うのであります。従いましてわれわれとしては、単に事業の面からだけ見て、資金量をふやそうという考え方だけでなくて、何とかして資金計画に齟齬を来したくないという観点もあることを、先生にひとつ御了承をいただきたい。  それからいま一つは、われわれは先ほど申し上げましたように、学校を建てるから入つてもらいたいという考え方ではないのでございます。今まで資金還元とか、地方還元とかいうことは、これは戦前においても簡易保険は言つておりました。しかし簡易保険は、今まで始まつて以来、たとえば貯金のリンク制のようなことをやつたことはごません。ただわれわれといたしましては、なるほど地方にある程度還元いたします。けれども科学的に還元しないということだけでございます。中央集権的に、たとえば金融債とかいうところにやるくらいなら、市町村を潤したい性質の金でございます。     〔委員長退席、野村委員長代理着席〕 従つてそういう意味合いからやつたのでございまして、しかも民間保険の場合と違いまして、加入者に対して直接利益をやるわけではないのでございます。公共団体に対して投資するわけでございます。公共団体について投資して、その公共団体は公共の利益のために、御承知のように、事業の本質はやつておるわけでございます。そういうところへお貸しして、たまたま結果において区域の住民が何らかの利益を得るということは、民間保険に対する今おつしやつた面とは、筋が違うのじやなかろうか、しかもわれわれとしては、学校を建てるのだから、入つてもらいたいということを言うのではありません。結果においてある程度協力してくれるだろうということだけでございます。そういう意味からいたしますと、民間保険会社の方々は、たびたびそういうことをおつしやつております。しかしそのおつしやることは少し筋が違うのじやなかろうかと思いますが、先生の言うことはよくわかります。
  43. 藤田義光

    藤田委員 民間保険事業とわれわれの保険事業とは違う、民間保険会社に大衆がかけております保険金と、同じ日本の円でも、いわゆる官庁たる郵政省に出しておる金とは違うというような意味にとれるような御答弁でございました。これは何だか局長が少し自分の立場と申しますか、官僚本位の御答弁のように私は解釈いたしております。次に専門家の門司委員の質問がありますので、私はこの程度で打切りたいと思いますが、一時間余にわたる質問の結果、私の結論として局長答弁から得ましたことは、零細な資金を集めた結果として、学校ができた、病院ができた、結果論として喜ばれるということを言われましたが、この点は現在の地方債でもまつたく同様な結果でございまして、これは国民の零細な金が集まつ資金運用部の資金でこれができたということで、大衆は非常に喜んでおります、——これは小さい郵政省という節の穴から、あなたが従来過去の甘い夢を見られておるから、こういう答弁をされたのであります。  これを要するに、結論としましては、今ただちに、客観情勢が熟しないときに、分離運用をするということに関しましては、遺憾ながら私は、時期尚早である、いましばらくたちましてから、この問題は具体化すべきである、具体化するに際しましても、今回の運用法律案のごとき安易な法律案ではいけないという結論を得ましたことを申し上げまして、速記録に残しておきまして、来年の四月一日にこの法案が実施される前に、必ず国民大衆の納得の行くような修正を、政党を超越して試みるということを、はつきり申し上げて、私の質問を終つておきます。
  44. 野村專太郎

    ○野村委員長代理 門司亮君。
  45. 門司亮

    ○門司委員 私はこの機会に、今藤田君から大分聞かれておりますので、大体意向はわかつておりますから、そう聞く必要もないのでありますが、ただ今までもしばしば言われたことでありますし、私のまだ十分聞き足りない点を一つ、二つ聞いておきたい。  一つは、この問題は、大蔵省との間には、今まで一体どういう話合いがなされておるかということであります。これは両方の間で意見相違があつて、なかなかうまくまとまらなかつたというような話を私は聞いておるのであります。従つて、これだけのものをはずしては、国の財政に対する影響がかなりあると思うのでありますが、いわゆる国が地方に対しまする起債わくでありまするが、そのわくの中にこれが含まれるのか、あるいはこれだけのものはわくの外に含まれるような話合いがついたのか、その点をひとつつておきます。
  46. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 簡単に御説明申し上げますと、大蔵省あと残つた資金と、こちらの資金を足して、地方債に対する総額は出る建前でございます。従いまして、これは来年度から実施するのでございますが、来年度におきまして、地方債に対する貸付総額は、たとえば七百億あつたといたしますと、その中で私の方の資金が集まりぐあいが四百億でございますれば、四百億だけは私の方でやつてあとの三百億は大蔵省のほかの資金から出す建前になつております。  それからこの法案の取扱いにつきましては、大蔵事務当局と相当な意見の齟齬がございました。ございましたけれども、閣議の調整によりまして、この法案自体につきましては、大蔵事務当局もこちらもみな判を押しまして、閣議を経て、政府当局といたしましては、一致した意見として提案されたことは間違いないと存じます。
  47. 門司亮

    ○門司委員 そうすると、こう解釈してよろしゆうございますか。たといこういう案が出て参りましても、地方債の総額自体には何ら関係がないということ……。
  48. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 差向きにおきましては、総額のわくには関係ないことと思います。しかし先ほど申し上げましたように、まあ学校が立つとか、士気の高揚によりまして、こういう運用復元しないときと、したときと、相当の開きがかりに出たとすれば、資金源がふえる点については、ある程度相当あるのではなかろうか、そういたしますと、次年度以降には、やはりある程度の影響があると考えておる次第であります。
  49. 門司亮

    ○門司委員 私はそこがわからぬのです。総額がきまつておれば、今の御答弁だけではふえないと私は思う。それはなるほどあなた方の仕事の量はそれだけふえて来るかもしれぬが、地方の公共団体わくは大体政府の意思通りきまつているはずです。ただそのわくの中で、あなた方の取扱う分が多いか、大蔵省の取扱う分が多いかということで、地方の公共団体には何らかわりがない。そうなると、今藤田さんの言われたように、手続が二重になつただけで、これだけのものをここがやる、これだけのものをここがやるということになつただけで、私は大してプラスにはならないと考える。従つてこの際聞いておきたいと思いますことは、こういう法律をきめられるならば、一体なぜこれだけは地方の起債わくの外に置かなかつたのか。大蔵省起債わくの外にそれだけのものが置かれているならば、今あなたのお答弁になるようなことは当てはまると思う。また地方の公共団体もあなた方に協力して、地方債を起すかわりに、国の方の簡易保険なり何なりに入つてくれぬかということも、地方の公共団体が勧誘するわけにも参りますまいが、しかしそういうことができると思う。だからどうしてわくの外にはずせなかつたか。地方の公共団体の立場から考えて参りますと、国の起債の外にこれだけがはずされて、そうして地方の公共団体がこれによつて国の財政面からはずされるということになれば、それだけ地方の公共団体の財政的な基礎というものは確立ができるのであります。ところがこれがこの中に一緒にされているのでは、地方の公共団体の財政の確立ということには実際上ならぬと思う。ただ手続がふえたということだけである。従つて先ほどから申し上げておりますように、これはどうしてはずせなかつたか、この点をもう一度聞かしていただきたいと思います。
  50. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 まずその前に、わくは全然ふえないというお話でございますが、大体国家資金がどのくらい入るかということは、御承知のように前年の三月末までに見当をつけるわけであります。その際に私の方の資金復元しなければ三百五十億になる。ところが復元すれば二十億ぐらい増になるという見当がつきますと、三百七十億になるわけでございまして、それは総わくの面にある程度いい影響を持つのではなかろうか、これが一つであります。  それからあとの面でございますが、これはおつしやるようにそこまで行けば徹底いたすのでございます。しかし現在の資金の増加という意味で、御承知のように地財委大蔵省関係のお話合いによりまして、私はよく存じませんが、地方自治法等におきましてある程度わくがございます。そのわくはあの法律によりますと「当分の間」という字が入つております。従つてその「当分の間」がいつまでかという問題があると思います。従いまして、そういう状況ができるまでは、先生のおつしやるように、わくをはずせばもちろんプラスの度合いは強いのでありますが、その情勢がまだそこまで行かないのではなかろうか。この点について私の方だけの考え方では無理でございまして、地財委なり大蔵省御当局との話合いの上で、そこまで行くか行かぬかというような問題でもございましようし、当委員会の方でも御議論があろうかと存じますが、私の方といたしましては、そこまで行くというところまで現状においては考えておらない次第であります。
  51. 門司亮

    ○門司委員 さつきから聞いておりますと、徹底されていない部分が非常に多いというよりも、むしろ全部そうなんであります。ただこういうことによつて地方の預金なり保険なりの加入者がふえて来る、それだけが地方債わくの中のプラスになるのではないかというお考えのようでありますが、私はこの点は非常に疑問があるのでありまして、私どもが地方の財政を非常に心配いたしておりますのは、国家財政との関係でありまして、この国家財政との関係をにらみ合せて参りますと、今のような日本の財政の規模といいますか、財政の計画を立てておりますときには、地方の財政というものは圧縮されるのであります。これはだれが何といつても圧縮されるのであります。原則的には軍備でないと言われておりますが、軍備にひとしいような財源を必要とする。要するに生産に還元しない消費の面だけの財源が非常にいるということになりますと、どうしても中央に資金が集約されるような形になることは、戦争中から御存じだと思う。日本が現在こういうように移行しつつある段階においては、少くともこういう法律が出ます以上は、これによつてある程度地方の財政というものが、起債の面だけでもみずからの手で立てて行くという形にならなければ、今の御答弁のようなことは当てはまらぬと思う。これは非常にむずかしい問題であるように考えられておりますが、実際の面から言えば、非常に簡単に答えは出て来るのであります。今のお話のように、一方において自分たち努力学校ができたからということは、ただ観念だけの問題であつて、私は実質的にはそういうことは現われて来ないだろうと思う。私が聞いておりますのは、そういうお考えであるとするならば、簡易保険あるいは郵便年金等が今お話のようなことで増加して参りました分は、一体どこへこれを算定するか、そしてそれだけの分はどこへ地方債わくをふやして行くかというと、その境はつかないだろうと思う。地方債の全体のわくをきめることを、大蔵大臣がにぎつております以上は、国家財政の犠牲になるのはさまつている。ふやされればふやされるほど、中央の財政を潤すだけであつて、地方の財政にはまわつて行かないだろうと思う。そこに私の意見とあなたの意見の食い違いがあるのでありますが、あなたの方は、ふえただけは地方債わくがそれだけプラスされるということを確信をもつてつておられるのか。あるいは形式上そういうことを言つておられるのか。あるいはもう一つつつこんで聞きますならば、大蔵省との間に、大体そういう了解ができているのかどうか。その点をもう一つ聞いておきたいと思います。
  52. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 地方債わくを別わくにすれば、おつしやる通りになると思います。しかしその点は現状から見まして、これはむろん大蔵省と話合いができておりませんが、しかし国家資金の総わくがふえれば、これはふえた度合いによりまして、地方債に対する関係も、ふえないときに比較して増になるのではないか。そういう点までしか現状では行かないと思います。自治法の二百五十条に「当分の間」とありますが、そこらの辺をどうやるかということは、実は郵政省だけでは考えられないことでございまして、その点はただいまのところではその時期ではないけれども、やがてはそういう時期も来るのではなかろうかという気持を持つておる次第でございます。
  53. 門司亮

    ○門司委員 希望的の御意見であつて、それ以上は聞きませんが、これに関連してもう一つ聞いておきたいと思いますることは、自治庁の岡野国務大臣は、これについて一体どういう御意見を持たれておるか。私は岡野さんにはこの問題を聞いておりませんので、はつきりわかりませんが、あなた方と岡野国務大臣との間にどういう話がされて、岡野国務大臣も大体これに閣議で賛成されたということですから、反対されたとは言えないでしようが、御意見がもしおわかりでしたら御発表願いたい。
  54. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 その点は事務当局でございますので、ちよつと私からの返事も差控えたいと存じますが、先ほどおつしやいましたように、閣議では御了承して提案したのでございまして、それから先のことは——決してマイナスという意味で言わないのではございませんが、こうこうおつしやつたということは、私からはちよつと申し上げかねます。
  55. 門司亮

    ○門司委員 自治庁の長官の意見が十分わからぬということになりますと、はつきりしたことも言えませんが、少くとも閣議できまつた以上は、自治庁の岡野さんに多少の不平はあつても、あるいはこれに承服されたかもしれない。私どもから考えて参りますと、これは非常に中途半端な案でありまして、ただ単に役所のなわ張り争いのような感じがするのであります。従つて、さつきも申しましたように、もう少し徹底した案ができなかつたかどうか。  この点はこれ以上聞きませんが、その次に聞いておきたいと思いますことは、地方の起債に寄与するということ、今のお話から考えて参りますと、どう考えても、地方がどういう区画になつておるか知りませんが、一つの地方公共団体の行政区画の中における成績が、その地方団体起債に影響を持つて来なければ、今までの藤田君との間のお話のようなことはできないと思いますが、一体そういう影響を持つようになつておるのですか。
  56. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 科学的には影響を持つところまでは行き得ないのでございますが、考え方といたしましては、そういう線にある程度行けると思います。中央集権的でなくて、こちらでできた金は、地方公共団体等にお貸しするのでございまして、その率等を科学的に契約の量に応じてやるというところまでは参りませんが、中央集権的でなくて、地方に分散する、資金還元と申しますか、そういう意味合いにおいてはその効果がある、かように存じております。
  57. 門司亮

    ○門司委員 今の御答弁非常に不徹底であつて、私は結果が逆になりはしないかと思う。実際問題として総わくがきまつておるということになつて参りますと、地方の公共団体で、個々の資金の中に払いもどししたものが考慮される、考慮されないにかかわらず、大体きまつたものについてはさまつただけの起債ができるということになれば同じことだと思う。地方の住民はここに預け入れることのために、あるいは保険に加入することのために骨を折つただけで、実質的には何のかわりがないということに結論的になりはしないかと思う。そうなつて参りますと、今お話になつたような結果に必ずならないと思う。従つて、もう一つ聞いておきたいと思いますことは、もしそういうことになつていないとすれば、たとえば地方公共団体の区域内におけるこれの資金は、大蔵省があまりやかましいことを言わないで、あなたの方の裁量で、優先的に起債認めることができるということにでも取扱いができるのかどうか。
  58. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 これは大蔵省並びに地財委との将来の起債方針等に対する御相談でありましてただいまのところでは大蔵省とまだ御相談がきまつておるわけではございませんが、しかし私ども町村の方へ相当重点をおきたい、こういう考え方を持つております。これはしかし地財委なり、それから大蔵省との話合いの結果によらなければならぬと思いますが、町村の方へ重点をおきたい気持は持つておる。法案も通りましたので、あと大蔵省なり、地財委と御相談をしなければならぬと思います。     〔野村委員長代理退席、委員長着席〕
  59. 門司亮

    ○門司委員 その点が私は非常に懸念されるのであります。御存じのように、起債は非常にむずかしいのでありまして、国の総わくがきまつております。ところが地方公共団体起債は、おのおのかつてにきめるというわけではありませんが、大体このくらいの金がいるから、このくらいの起債にしようということで、地方公共団体は任意起債申請をしているが、これが大蔵省に参りまして、あるいは地財委に参りまして削減せられるということが常道でありまして、場合によつてはこれが申請額の三分の一になつたり、あるいははなはだしいときには二分の一になつたりして、地方の公共団体事業計画の上で非常に迷惑している。そして地方公共団体が中央に出て参りまして、起債の増額あるいは獲得運動にうき身をやつさなければならぬという悪い形が出て来ている。幸いにしてこういうものができて、優先的にこれの活用ができる——自分のところでは、郵政省にこれだけのものがあるから、これだけの起債が当てになるのだということになれば、まだ多少の望みがないわけでもない。そうなつて参りますと、容易に起債のめどがついて参りまして、優先的に取扱われるということによつて、地方の予算の組み方も非常に楽になると思う。そういうことがなければ——この郵便年金あるいは簡易保険をふやすことには一生懸命努力するが、ふやしてみたところで最後の決定がわくの中できめられて、それが地方の公共団体に何らの影響を持たぬということになると、今御答弁のようなわけには、なかなか行かぬではないかと思う。目の前に現われて来るということになれば、やはりそういうようにはつきりと、自分のところにはこれだけの預金した金が置いてあるのだ、従つてこれだけのものは必ず自分の地方に還元されるという目安がついておれば、起債の総わくがきまつておりましても、地方々々非常に励みになつて、これがふえて来るかもしれない。しかしそのめどがついていない限りは、さつき申し上げたように、そう簡単には行かぬと思う。従つてそういう話合いを進めて参りまするために、あなた方の方ではどういう心構えをお持ちになつているか。その点あまりはつきり言われることは、さしさわりがあるかもしれませんが、さしさわりのない範囲で、腹だけを聞かせておいていただきたいと思います。
  60. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 ただいま御答弁するのに非常に弱つているのは、現在地方の起債総額に——私の方に入つて来る金が足りない。これが余るようになると、突き抜けて行くと、ふえて来ることは当然であります。本年度で言えば六百五十億のうち、予算の面では三百七十億であります。従つて六百五十億のわく以上ではないわけなんで、従つて残余は貯金なり、ほかの大蔵省資金の方からプラスしなければならぬから、御説明がつらいのであります。つらいけれども、現に本年度の資金計画のときに郵政省としては、三百七十億にしてくれと、大蔵省に強い要求をしたわけです。その強い要求で、三百七十億のところをわれわれ少し大事をふんで、いや三百二十億だとか大分やつたわけなんです。もしあれが三百二十億で行きますと、あとは金融業者に全部大蔵省が持つてお行きになれば、何の影響もないと思いますけれども、おそらく大蔵省といえども地方債現状から見れば、増の分だけはある程度比率によつて増に行くだろうと思うのです。そういう意味からいたしまして、翌年度の資金計画を立てる際に、こちらから吸収する資金の増が、復元より以上にプラスになり、しかも予想だけでなくして、決算上プラスになると、資金計画の方もプラスになりますし、また資金計画には齟齬を来さない、こういうことに相なるのでございまして、実は今のところでは地方債資金総額をはねて行くところまで、こちらの資金が増にならないから、ある程度おつしやるようなことになりますが、復元によつて増になるかならぬかによりまして、やはり資金に対して齟齬も来しますし、また資金計画を立てるときにプラスの面で行くか、この線でやつたというときに、上の線で行くか、下の線で行くかというところに影響がある、こう考えておる次第でございます。
  61. 門司亮

    ○門司委員 もう時間もありませんので、私これ以上聞きませんが、今までの答弁を聞いておりますと、これは非常に半端なものであつて、徹底しておらないのであります。むしろ冒頭に申し上げましたように、あなた方の方でほんとうに地方の公共団体のことをお考えになつて、そして同時にこれを奨励するためには、こういう形がいいというようにお考えになつておるというならば、当然これは国の起債の外にはずさるべきである。そしてほんとうに地方公共団体とあなた方の方との密接な関係のもとに、ここから地方住民の財政的の援助が、やはり自主的に行われるような形にすることが、私は望ましいと思う。またそうでなければ今お話のような軍は、なかなか上らぬと思う。  それでもう一つ聞いておきたいと思いますことは、法律の中に、「政令で定める公共団体に対する貸付」、こう書いてありますが、政令で定める地方公共団体というのは、一体どういうものがこの中に含まれておるのか伺いたい。
  62. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 土地改良起債、水利組合債のようなものを予定しておりますが、これは御承知のように現在資金運用部におきましても、そういう融資の規定はございますけれども、例の農林漁業融資特別会計一本で流れて行つております。従いまして農林政策の面からいたしまして、直接こちらから貸すということが向うの方がいやだといえば、ちよつとこれは動かない条文になるのでございます。
  63. 門司亮

    ○門司委員 そこが非常に問題でありまして、この法律の中にこれを入れてしまいますと、先ほどの御答弁のように、農林関係あるいは漁業関係というような、いわゆる公共団体と称しておるものの資金の流れ方というものが、なかなか判然としなくなつて来ると同時に、また先ほどから私どもが話しておりますように、これが地方債に一体どのくらい影響して来るかということがやはり問題になつて来る。地方債だけの問題を先に聞きましたときには、いろいろ御答弁もありましたが、さらにこの貸付が、地方債だけではなくて、地方公共団体、さらに政令で定めたさつきのような公共団体に流れて来るということになりますると、一体この貸付というものがどういう範囲でわけられて来るか、この点私は非常にむずかしい問題だと思つております。従つてお聞きしておきたいと思いますことは、地方債に充てられる額と、それから第三番目にあげられております地方公共団体その他政令で定める公共団体に対する貸付との比率あるいは割合というものを、大体おきめになつておるわけでありますか。
  64. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 御承知のように、この運用計画につきましては、やはり大蔵省の面と総合的にやるわけなのでございまして、この法律は来年度四月一日から実施するわけであります。従いまして地方債はどのくらい、地方貸付はどのくらいということは、今確定的には相なつておりません。しかし御説のように地方債の割合は非常に少く、大体が地方貸付になると思います。
  65. 門司亮

    ○門司委員 どうもこの法律はそういう点が一体あいまいであつて、もう少し整備された法律にならなければならぬじやないか、こう私は考えております。もしこの法律がこのまま通つてしまいますと、来年の四月には、さつき申し上げましたようないろいろな、大蔵省あるいは自治庁とあなたの方との関係についての疑義がたくさん残されておつて、そうしてそれを政令か何かで出さなければ、なかなかこの運用はうまく行かぬと思うが、一体どうしてこういうずさんな法律になつて出て来たか。これは先ほどから藤田君が言つておりましたが、もう少し精密な、正確な、われわれの納得の行く法律をどうして出せなかつたか。私はこれ以上聞きませんが、当局はそういう面を十分考慮されて、そうして次期国会にそういうものの話合いのつきましたものについて、法律的に直すものは法律で直す、あるいは政令でできるものは政令でいいでありましようが、これよりももう少し整備された法案を、一体用意される御意思があるのかないのか、その点をお聞きしておきたい。
  66. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 非常にずさんというおしかりをこうむりましてたいへん恐縮でございます。この程度の法条は、資金運用法におきましても大体この程度の法条になつております。またこの点の根本方針につきましては、先ほど御説明申し上げましたように、閣議の線で決定いたしまして、それを事務当局もさらに関与しまして、両省一致の法律案として、一部は資金法の一部改正なり、会計法の一部改正は大蔵委員会に参つております。この法律は御承知のように二十五日に国会を通過いたしたわけでありまして、ずさんとおつしやれば私ども恐縮でございますが、そこの改正をさらにやるという考えは、ただいまのところは持つておりません。
  67. 門司亮

    ○門司委員 今の御答弁でありますが、事務当局としては、ずさんでございますか、さようでございますかとはなかなか言えぬだろうと思います。従つてこの次の委員会でぜひ大蔵大臣に出ていただきまして、そうして一体そういう腹なのかどうか、それから自治庁の長官にも出ていただきまして、これでいいのかどうなのか——ども、こう言うと少し言い過ぎかもしれませんが、観念的の法律だけをこしらえて、それでいいという筋合いではありませんので、地方の財政をこれによつて多少なりとも運営が楽になるようにしてやろうとするために、もう少し根本の腹のことを聞いておかないと、結果においては手続が二つになつただけであつて、地方の総額のわくはちつともふえてないということになれば、ただふえる分はきわめて希望的な観測であつて、よけいに加入する者が多くなつた場合にのみ、これにプラスになるのじやないかということだけであつては、こういう法律では、政府の言うように地方公共団体のためにならない、単に官僚のなわ張り争いだけではないかというように考えられるのでありますから、この次の機会には大蔵大臣あるいは自治庁の長官に出て来ていただきまして、そうして運用について、地方財政の建前から十分お聞きしておきませんと、地方公共団体がこれによつて迷惑をこうむる、地方の公共団体では安易に、こういう法律ができたから、自分のところへ借りられるつもりでやつてみたが、結局借りられることが少かつた起債の面もちつともかわりはなかつたというようなことになつて、せつかくの法律が実はあまりいい結果にはならぬと思いますから、その点について両大臣の出席をお願いいたしまして、きようはこの質問は打切つておきます。
  68. 金光義邦

    金光委員長 門司委員に申し上げます。ただいま大蔵省銀行局資金運用課長の高橋さんが見えておりますが、御質問はありませんか。よろしゆうございますか——それでは、前尾君。
  69. 前尾繁三郎

    ○前尾委員 ただいま藤田、門司両委員からだんだん御質疑がありましたので、私は簡単に、ただいまお話の点を確かめる意味でお聞きいたしたいと思います。  まず第一点は、先ほど来聞いておりますと、郵政省としては、ただ資金源だけをきめて、そうしてこれは自治庁でいかようにでもお使いください、地方債であればけつこうですといつてお出しになつてあと決定通知を出す——決定通知だけはあるいはあなた方の方でお出しになるかもしれませんが、そういうふうに受取つたのですが、その点は確かでありますか。
  70. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 簡易保険資金地方還元という意味からいたしまして、事業にふさわしいような方面に投資したいということは事実でございます。しかし私どもの方といたしましては、地方の起債許可というものにタツチする気持はございません。これは事実できないと思います。しかし起債方針なり、起債総額の決定等につきましては、これは三者で御相談にあずかるのが当然ではないかと存じております。その起債方針なり起債総額の決定によりまして、具体的な起債許可をする際におきましては、中央におきましてわれわれの意見をある程度聞かしていただきたい、こう考えておりまして、その考え方が御了承いただきますと、起債許可が決定いたしましたら決定通知をいたしまして、それから書類をもらう、こういう考えであります。
  71. 前尾繁三郎

    ○前尾委員 起債許可方針についての協議ということはもちろんでございますが、その方針をきめられてあとは、具体的には自治庁におまかせになるつもりか、あるいは個々の事業についていろいろ具体的も意見を言われるつもりか、その点についてはつきり確かめておきたいと思います。
  72. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 具体的に中央操作のときには、市町村の側からいたしますと、郵政省から借りたいとか、また大蔵省から借りたいというものも出て参ると思いますが、しかしそれは両省の総額の範囲を、お互いに越えたり越えなかつたりする場合もあろうと思います。そういう場合におきましては、中央で操作するのでありますから、その決定の際には私どもも参画——起債許可という意味でなく、金の面については、ある程度の希望を入れさせていただくといい、こう考えております。起債許可には絶対タツチし得ないのでございますから、必ずこつちの言う通りにやつていただきたい、個々的に三者にらみ合して行くというところまでは行けないかもしれませんけれども起債方針なり、起債総額の決定につきましては、参画はむろんさせていただきたい、こう考えております。
  73. 前尾繁三郎

    ○前尾委員 同じ事業について、大蔵省資金を使う場合と、簡保の資金を使う場合とあるわけでありますが、その選択はだれがやるのですか、それは自治庁が決定するのですか。
  74. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 形式上におきましては、自治庁でございます。
  75. 前尾繁三郎

    ○前尾委員 実質はだれがおやりですか。
  76. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 自治庁は間違いでございまして、地方の許可権は、地財委だけであると存じております。それは地方自治法の二百五十条では、府県なり、五大都市で五百万を越えるものにつきましては、地財委許可をする際におきましては、大蔵大臣に協議せよという建前になつておることは事実でございますが、どこを探してみましても、府県なり五大都市以外の町村につきまして、大蔵大臣に協議をしなければならないという条文は、不幸にして見当らないのでございます。しかも地方の許可をする際におきまして、大蔵大臣が協議するということでございまして、私は間違つておればおわびいたしますが、形式上の起債許可権は、地財委であると思うのでございます。しかし許可に関する限りにおきましては、私の側からいたしますれば、地財委が決定するのではないかと思います。しかし先ほど申し上げました大蔵省地財委との関係を、私あまりよく知らないのでございまして、あるいは間違つておるかもしれませんが、そういうような考え方を持つております。
  77. 前尾繁三郎

    ○前尾委員 申請書については、どちらを借りたいとかいうような申請書を出させるのですか。決定するのは地財委にきまつております。お問いするまでもなしに、決定権は地財委にありますが。
  78. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 これは実際問題として地財委なり、関係の向きと御相談をしなければならぬと思うのでありますが、こちらの方の資金を借りたいか、あるいは大蔵省資金を借りたいかということを、市町村の意思を付度してやる方がいいか、あるいは向うの方で特にそういうことを言わない限りにおきましては、選択権を地財委にまかせるというようなかつこうにいたしていただきますと、地財委で詮議方針なりにのつとりまして、これはむろん大蔵省も私の方も相談にあずかるだろうと思いますが、地財委で決定して、決定通知によりまして処理して行く。だから申込書に希望先を書かせるがいいか悪いかということにつきましては、地財委その他の関係の方と御相談して今後やりたい、こう考えております。
  79. 前尾繁三郎

    ○前尾委員 もちろん決定権は、貸付条件につきましても、たとえば貸付利率というような問題にしましても、その決定権は地財委だとおつしやるかもしれません。しかし実質貸付利率等をきめるのは、だれなんですか。
  80. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 この貸付利率等は、御承知のように、実質上とおつしやいますと、資金計画によりまして、現状におきましては、大蔵大臣資金運用資金運用審議会に諮りまして、貸付条件をきめておるようであります。従いまして、この法案ができる際におきまして、大蔵事務当局からの御希望によりまして、貸付条件とかいうものは向うと同一にしてもらいたいという申入があつたわけであります。その申入につきましては、私どもといたしましては、了承いたしておる次第でございます。従いまして、実質上の面からいたしますと、これは両者の話合いによりまして、同一条件でやらなければならないということは、話合いはきまつておりますが、これはどちらが実質かということになりますと、大蔵大臣だけか、郵政大臣もその中に入るか、郵政大臣も形式上入るのではないか、運用計画を立てる面におきましては、そうなるのではないかと思いますが、但しその条件は両者同一にしなければならないということにつきまして、両者の話合いはついておる次第でございます。
  81. 前尾繁三郎

    ○前尾委員 大体お考えになつておるところはわかつたのでありますが、結局において、先ほど来藤田君も申しておりましたように、あるいはかつこうは簡素化という形をおとりになるかもわかりませんが、実質上、具体的な問題についていろいろ注文を出される、あるいは詮議方針なりその他について、いろいろな注文を出されるということになると、結局また大蔵省地財委とあなたの方と、三者の意見が違い、あるいは借りるにいたしましても、三箇所に行つて話をしなければならぬというような問題が起つて、何と申されても、私は非常に複雑化すると思う。結局単なるなわ張り争いのために、非常に市町村が迷惑をこうむるという感じがするのであります。これは先ほど来の話を繰返して御答弁つてもむだだと考えるのでありますが、一応御意見を伺つて、私の質問はこれでとどめたいと思います。
  82. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 今のお話に対しましては、たびたび御説明申し上げたことに尽きるのでありまして、さらに御説明することはございません。御了承願います。
  83. 門司亮

    ○門司委員 あと郵政省からおいでになるかどうかわかりませんから、もう一つ聞いておきますが、先ほど申しました第三条ですが、貸付起債と二つにわかれております。第一の加入者に対する貸付、これはやむを得ぬことと思いますが、地方公共団体及び公共団体に対する貸付、これは削除したらどうなんですか。これは当然、先ほどからのお話のように、資金運用部の貸付については、大蔵大臣が持つておるのでありまして、資金運用資金にいたしましても、そのほかに郵便貯金などもありますし、従つてこの中から削つてしまつて、これを起債だけにとどめておいた方が、すつきりするんじやないですか。
  84. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 はなはだ残念でございますが、それは抹消しかねます。
  85. 金光義邦

    金光委員長 ほかに御質問はございませんか。——白根局長には、長時間御答弁をいただきましてありがとうございました。  次回の委員会は公報をもつて御通知いたします。暫時休憩いたします。     午後四時十分休憩     —————————————     午後四時十分休憩     〔休憩後は開会に至らなかつた