運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1952-06-12 第13回国会 衆議院 地方行政委員会 第68号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年六月十二日(木曜日)     午前十一時四十七分開議  出席委員    委員長 金光 義邦君    理事 河原伊三郎君 理事 野村專太郎君    理事 吉田吉太郎君 理事 床次 徳二君    理事 門司  亮君       池見 茂隆君    大泉 寛三君       門脇勝太郎君    佐藤 親弘君       前尾繁三郎君    龍野喜一郎君       立花 敏男君    八百板 正君       大石ヨシエ君  出席政府委員         地方自治政務次         官       藤野 繁雄君         総理府事務官         (地方自治庁         行政課長)   長野 士郎君         総理府事務官         (地方自治庁財         政課長)    奥野 誠亮君         総理府事務官         (地方自治庁         公務員課長)  佐久間 彊君  委員外出席者         専  門  員 有松  昇君         専  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 六月十二日  委員小川原政信君、黒澤富次郎君及び玉置信一  君辞任につき、その補欠として橘直治君、生田  和平君及び小玉治行君が議長の指名委員に選  任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  地方公営企業法案内閣提出第一一五号)     —————————————
  2. 吉田吉太郎

    ○吉田委員長代理  これより会議を開きます。委員長指名により、私が暫時委員長の職務を行います。  地方公営企業法案を議題として質疑を行います。質疑を許します。立花君。
  3. 立花敏男

    立花委員 公営企業法建前なんですが、これは一応一般会計から切り離して、独立採算制建前経営をやつて行くということなんですが、第三条に「経済性発揮する」という言葉があるのですが、この経済性とは一体どういう意味なのか、承つておきたいと思います。
  4. 長野士郎

    長野政府委員 第三条の「経済性」と申しますのは、企業は、公営企業でありましようとも、私企業でありましようとも、企業一般に通じますところの、近代的な企業経営原則というものがある。そういう企業自体経営原則経営法則というものに着目して表現をいたしておるのであります。従いまして、別な言葉で申しますと、企業合理性効率性というようにお考えいただいてもいいのではないかと思います。
  5. 立花敏男

    立花委員 効率というつのは広い意味なんですが、効率という言葉経済性という言葉で置きかえましたことには、やはり意味があると思うのですが、効率効率でも、経済的な効率であるということには間違いがないので、これは言葉をかえて言えば、営利主義といいますか、経済性本質営利性だ。経済性営利性に通ずると思うのですが、その点どうお考えですか。
  6. 長野士郎

    長野政府委員 経済性と申しますのは、企業は、人あるいは物、そういう両方の要素の結合によりまし、生産活動を行いますところの一つ経済単位であるということが言えると思うのでありまして、その点におきましては、私企業であると、公企業であるとを問いませず、そういう意味での生産活動を行います単位であるということになるんじやないかと考えているわけであります。しかしながら、私企業でありますならば、企業の終局の目的利潤追求とか、そういうことに直接かかわりがあるかと思いますが、ここで申しておりますのは、企業のいわゆる所有と経営の分離ということがよく言われておりますが、その中でいわゆる企業経営そのもの原則をとらえまして、その場合に企業経済性発揮する。生産性を高め、効率を上げる。従つて企業活動自体経済性を全体として発揮する、こういうふうに考えているわけであります。
  7. 立花敏男

    立花委員 効率性とか、経済性とか、非常に上品な言葉が使われておりますが、問題は、やはりもうけた方がいいという、普通の言葉でいうところの経済性考え方にほかならない。経済性発揮するということは、もうけるということ、あなたの言われた利潤追求するということも、経済性発揮の中の重要な部分なんで、そういうことが第三条にうたわれておる。しかもこれが経営基本原則であるということになつて参りますと、自治体がわざわざ経営いたしますところの公営企業が、性格が根本的に違つて来るのではないか。自治体公営企業をやりますのは、それが住民生活に不可欠である。多少の経済性は無視しても、自治体が大きな財政力、あるいは集中された計画力で、それを住民のために遂行し経営して行くというのが、自治体経営する公営企業建前でなければならないと思う。しかもその際には社会性の面も加味されて参りまして、その自治体の中の貧困者生活的困難な者に対しても、それが十分利用できるというふうな社会性まで加味されていなければならないと思う。経営基本原則は、そういうふうな公共性あるいは社会性というものが、まず第一に考えらるべきである。普通の一般経営と同じように、経済性発揮することが基本原則というに至りましては、私は公営企業そのものあり方本質を疑わざるを得ない。ここにこの法案の根本的な性格があると思うのですが、その点どうお考えになつておりますか、承りたい。
  8. 長野士郎

    長野政府委員 地方公営企業一般私企業と異なりまして、いわゆる地方公共団体公共事務一つとして行われる。従いまして、企業経営目的は、公共福祉増進するということになくてはならない。しかも住民日常生活に常に直結して、生活の手段と化しているような事業について、公営企業が行われているということでありますから、一般住民利益増進するという形で行われるのが、地方公営企業の大原則である、こういう点につきましてはお話の通りであろうと思います。ただ地方公営企業法案におきましては、そういう一般原則によりますいわゆる公共性と申しますか、公益性と申しますか、そういうことを強調するために立案するというよりは、そういう公営企業でありますが、しかしながら、ただその企業経営あり方としては、あくまでも能率発揮し、効率性を高めて行くということでなければなりませんので、この地方公営企業法目的は、実にその点にかかつているわけでありまして、企業の合理的な目的に適するように組織を定めますとか、あるいは財務につきましては、いわゆる官庁会計方式を離れまして、企業会計方式をとりまして、企業経営の実績がよく明らかになるようにして参りますとか、あるいは企業に従事する職員につきましては、一般公務員とは違つた特別な労働関係を打立てて行くというようなことを考えているのでありまして、むしろこの法案におきましては、公共福祉増進するというその本来の目的を達成いたしますために、企業経営自体としては、その効率性合理性をあくまでも発揮いたしまして企業能率を高めて行くということを目的にいたしまして、地方公営企業法案をつくろうとしているのでございますので、そこでまずこの法案といたしましては、企業経済性発揮するという点を特に強調しているわけであります。しかしながら、第三条におきましては、それを強調すると同時に、その次におきまして、その本来の目的である公共福祉増進という大目的を、あくまでも追求しているのだということを明らかにしているわけであります。
  9. 立花敏男

    立花委員 本来の目的公共福祉増進にあるのであるならば、その運営基本原則も、経済性に置かれるべきではなくて、公共性あるいは社会性というものに当然重点が置かれて強調さるべきだと思う。本来の目的公共福祉増進するといいながら、企業基本原則利潤追求にあるのだということになつて参りますと、これはまつたくちぐはぐな形が出て参りまして、結局においては公共福祉が実現されないということになるのは明瞭だと思う。ここにこの法案の根本的な矛盾があり、住民利益に反する基本的な性格があるのではないか。多少の利益、多少の経済性を無視いたしましても、公営企業経営は遂行されなければなりませんので、経済性原則であるというようなことは次の次の問題だと思う。この法案が特にこの点を強調したことは、何と申しましても、この法案の根本的な欠陥であり、反国民的な規定だと思う。ある一私企業がそういう原則を立てるのなら、これは当然だと思いますが、自治体がわざわざ人員をさき、あるいは費用をさいて経営いたします公営企業経営原則が、経済性利潤追求にあつては、これはもつてのほかなんだ。私は根本的な公営企業法案性格を疑わざるを得ないのであります。  そこから次に移りますが、公営企業利潤をあげましたときには、その処分は一体どうなるのな承つておきたい。
  10. 長野士郎

    長野政府委員 先ほどの経済性という字句に関してでございますが、この経済性と申しますのは、繰り返して申すようで失礼でございますが、利潤追求ということでございません。これは公共性追求する公企業におきましても、利潤追求する私企業におきましても、企業としての生産活動を営んでおります経済単位につきましては、そのもの自体としては、最も合理的に、技術的に行われて行かなければならないということについて、経営原則というものは私企業公企業を通ずる近代的企業経営にはあり得るということを明らかにしておるのであります。  それから剰余金処分、これは三十二条の方にありまするが、いわゆる公営企業利潤がありました場合に三十二条に剰余金処分という規定がありまして、これは欠損がありますときには欠損補填に充てる、それから資本準備金事業積立金として積み立てて行くということも、一つ原則にしておるわけであります。そうして利益準備金あるいは資本準備金として積み立てましたものは、企業債の償還その他条例で定める支出に充てる場合を除くほか、処分をすることができないのです。まず利益剰余金がありました場合は、そういうものはすべて企業自体建設改良でありまするとか、従業員厚生施設でありますとか、料金の引下げでありますとか、あるいは欠損がありました場合は、まず欠損補填をいたしますというようなことに、予定しようとしておるわけであります。
  11. 立花敏男

    立花委員 その残りはどうするのですか。
  12. 長野士郎

    長野政府委員 この残りにつきましては、それでもなおかつ余剰があるということになりまするが、これは議会議決を経て定めるということでありますから、一般会計へ繰入れられるということも、それはものによつてはあり得るわけであります。しかしながら要はあくまでも独立採算制によりまして、十七条によりまして経営に伴う収入をもつて充てて行くということでありまするし、企業建前といたしましては、公営企業一般住民に広く利用されるものでございまするから、公営企業において収益を上げましてそれによつて一般財源をカバーして行くというような行き方は、これは公営企業原則からいいまして適当のものじやない、こういうふうに考えております。
  13. 立花敏男

    立花委員 適当なものじやないと考えるなら、なぜはつきりここに書かない……。
  14. 長野士郎

    長野政府委員 この企業につきましては、一般会計から特別会計へ繰入れることを行つておるものもありまするし、建設改良等に基きましてあるいは災害復旧等関係によりまして、一般会計から特別会計に繰入れまして、事業を興して行くというようなものもたくさんございますので、業種を必ずしも一律にどういう場合にはどうしなければならぬということを規定いたしますよりは、やはり剰余金につきましても、原則としては企業自体改良でありますとか、企業に従事する職員についての厚生施設なり、企業の引上げという点に使うことを原則としております。けれども地方団体の要求がありますれば、他の私企業等建設改良のために、これを繰入れて行くということも、あえて敬遠すべきことではないものと考えております。
  15. 立花敏男

    立花委員 そこに非常にあいまいさがあるわけです。さいぜんから第三条の問題で経済性というものは利潤追求ではない、営利主義ではないと言つておられますが、さて出て参りました利益剰余金につきましては、一般会計に繰入れるということをあなたは言つておる。しかもそれに対しまして何らの制限規定もここには書いてないわけなんです。ほかのことに使つてはいけないということを、はつきり言つておられながら、法文の上ではそういうことはちつとも出て来ていない。こういう公営企業から上つたものは一般会計に繰入れたり、あるいはそういうことは原則としてはしてはならないというふうな規定は、当然私はここに書き入れるべきだと思う。しかも一般会計から特別会計に繰入れましたものにつきましては、返済を明確に規定しておる、ところが逆に特別会計から一般会計に繰入れましたものについては、返済規定がないわけなんです。これだと自治体一般会計公営企業を利用いたしましてその利潤は吸い上げる。そこで得られました利益剰余金は、一般会計へ幾らでも無制限に吸い上げる。それに対しては返還も何も規定しない、しかし逆に一般会計から私企業に貸し出しましたものは必ず返済規定する、こういうことが明白になつておる。ここに第三条と三十二条との関係があるのでありまして、自治体がどういう立場で公営企業を利用しようとしておるかということは明白だと思うのですが、その点をひとつ承りたい。
  16. 長野士郎

    長野政府委員 第三条の経済性という言葉は、利潤追求意味しているものであつて従つてその規定は当然にこの利益剰余金処分とかそういう規定と、関連性を持つて規定をされているというような御意見であると思いますが、第三条の経済性と申しますのは、経済的な単位としての企業自体効率を高めるということでありまして、これが当然に第三十二条の剰余金処分と、密接不可分関係があると考えているわけではないのであります。利益剰余金につきましては先ほどもお話申し上げましたように、まず事業自体の建設なり、あるいは改良拡張工事というようなものに用いられるのが当然の趣旨であります。それ以外になお剰余がありました場合に、他の公営企業建設のためにその資金を使うなり、あるいは特殊の事情によりまして、一般会計から補填を受けているような場合に、それを一般会計に繰りもどすなり、そういう措置を講ずることは適当でありますし、なお事情によつて必要がありました場合に、地方団体一般会計財源としてこれを譲渡することも、これは認めざるを得ない場合もあるのでありまして、企業自体剰余金処分は、その企業自体に限るのであるということを規定することもしていないわけであります。
  17. 立花敏男

    立花委員 ここに大きな矛盾がありますので、これだけを切り離して考えましても、その企業赤字になりました場合に、一般会計から借りましたものは必ず返さなければいけない、しかしその企業利益ができました場合は、それは無制限一般会計に繰入れる、これを矛盾とお感じになりませんか。しかもその企業利益金というものはどこから出て来たのかといえば一般利用者、すなわちその自治体住民負担したものである。これを一般会計へ繰入れまして、しかもそれに対して何らの制限もなしに返済規定もない。赤字が出ました場合は一般会計から繰入れたのは必ず返済するという規定は非常に矛盾しておると思う。この点を矛盾とお感じにならないのかどうか、これをひとつ明白にしていただきたい。
  18. 奥野誠亮

    奥野政府委員 第三条の企業経済性発揮するというふうな言葉から、何が収益的に事業行つて、そうして  一般会計特別会計から繰入れることを期待しているのではないだろうかというような考え方を持つておられるのじやないかと思うのであります。それでこの第三条でうたつております「企業経済性発揮する」というふうな意味について、若干敷衍させていただきたいと思います。  御承知のように一般会計の場合には必要な財源租税負担でまかなわれるわけであります。従いまして一般会計支出というものはできるだけこれを切り詰めてやつて行かなければならない。行政費が多ければ多いほど、租税負担を多くしなければならないわけであります。ところが企業予算考えて参りまするならば、たとえば水道のごときは需要が多い、あるいはまたバスのごときも需要が多い、その場合には収入も多くなるわけであります。半面水道拡張工事をやる、あるいはバスをたくさん運転できるようにガソリンをたくさん購入する。言いかえればそれだけ多く支出もせられるわけであります。その限りにおいては必ずしも歳出の増大を心配する必要はないわけであります。そういうふうな建前から考えて参りますると、一般会計の場合には、できる限り歳出を抑制して行かなければならぬ。特別会計の場合には、歳出の抑制を必ずしも考える必要はない。収入はふえる、あるいはサービスを増加できる限りにおいては、むしろ歳出を多くするように努力してもよろしい、こういうふうな考え方に立つこともできるわけであります。そういうふうな意味から、また一方においては現金の面を非常に強く考えまして、すべて現金支出をもつて決算をするようにいたして参つて来ております。ところが企業会計の場合においては、現実に金を払いませんでも、すでに買つたものはやはり費用として計上して行かなければなりませんし、また現金を受取りませんでも、すでに収入されるものと権利が確定いたしましたものについては収益に計上して行く、こういうようなやり方をして参るわけであります。そういうところに現在行政部について行われますような予算決算運営と、企業会計について行われておりますような予算決算運営とには、非常な違いがあるわけであります。一方は極端に租税負担を少くするような方向において運営されて行かなければならない。他方はそこに書いてありますような意味経済性発揮ということを念頭において、予算決算運営に当つて行かなければならない、そういうことを考えているわけであります。しかしながら、これらの企業会計におきましては、特別会計で、言いかえれば独立採算制ということを建前にしておりますが、独立採算制ということを建前にしているということは、言いかえれば特別会計から一般会計へ繰入れることを建前にはしていないわけであります。元来公企業によりまして利益を受けますものは特定のものでありますので、それを使用した人においてそれらの費用を支弁さして行こうというふうな建前、それがひいては独立採算制建前をとつている考えであるのであります。従いまして、一般会計から繰入れられたものについては、原則的に繰りもどしをしなければならない。特別会計から一般会計へ繰入れるというようなことは、原則的には予定していないわけであります。原則的には予定しておりませんので、そのような趣旨規定はことさら置かなかつたのであります。それから立花さんは第三条との関係から、特別会計から一般会計へ繰入れることを建前にしておるのではないかという懸念を持つておるようでありますが、ただいま私が申し上げましたような趣旨で、この法律案を立案しておるわけでありますし、独立採算制建前は、特別会計から一般会計へ繰入れることは原則とすべきものではないというふうに考えておるわけでありまして、またその趣旨でこの規定も設けておるつもりであります。
  19. 立花敏男

    立花委員 私は、独立採算制そのものを承認しておりません。独立採算制が不承認であると同時に、さらにそれを経済性という言葉で強調しておる。しかも三十二条に、利益剰余金一般会計へ繰入れるという規定はつきりある。原則ではないと言われますが、三十二条に議会議決を経て繰入れることが当然予想される規定があるわけなんです。これは何と申しましても独立採算制をとり、さらにその経済性を強調し、できて参りました利益剰余金一般会計に繰入れるという規定であります。これは否定することができないと思う。しかも逆に、一般会計から繰入れましたものは必ず返済するということになつておりますので、ここに大きな矛盾がある。しかも私どもが公営企業というものをながめます場合に、それは住民生活と密着いたしましたもので利用せざるを得ないものなんです。たとえば水道あるいは電気、ガス、あるいは都電等をながめましても、これは太陽の光線、空気と同じようなものなんで、利用せざるを得ないものです。独立採算制をとつて一般会計がこれのめんどうを見ないという建前自体私は間違つておると思う。ここに問題があると思います。しかも利益剰余金一般会計へ繰入れるが、そういう企業に対する赤字補填は、必ず返還しなければいけないというような規定は、これはいたずらに料金をつり上げまして、料金負担において、公営企業全部をまかなつて行こうという考え方なんです。さいぜん三条で指摘しましたように、公営企業の持つ公共性あるいは社会性というようなものは完全に無視されて、経済性だけが強調されておる結果が、最も明白に暴露されておると思う。だから公営企業とは、多少の利益を無視いたしましても、公共福祉増進であれば、利益を無視してやらなければならぬ場合がある。あるいは住民生活状態を考慮いたしまして、料金はやはり一定の社会的な見地から決定されなければならないものである。こういうことを完全に無視されて、経済性だけが経営基本原則になる、しかも利益金一般会計へ繰入れられて、赤字返済しなければならぬ。これでは公営企業ということはできません。一般私企業と同じである。そこらを走つております各バス会社バスと、都の経営いたしますバスと何の区別もないわけである。あるいは私鉄都電との区別もなくなつてしまうわけで、そんなややつこしいいらないものなら、都はもうそういう公営企業をやらないで、バス会社私鉄会社にまかしてしまえばよい。何を好んで仕事の多い自治体が、こういう公営企業経営しなければならないかという理由がちつともわからない。都民自治体公営企業をやらしておりますのは、料金が社会的な性格を帯びて、一般庶民階級が十分利用できるようなものであり、しかも都民の必要に応じて不便なところも、経済性を無視して自治体経営いたします公営企業利益に均霑し得るという建前こそが、自治体公営企業でなければならないと思う。ここに私はこの法案の大きな矛盾があるのではないかと思うのです。その点どう説明なさるか、もう一度承りたい。
  20. 奥野誠亮

    奥野政府委員 三十二条の三項の「議会議決を経て定めなければならない。」という言葉を、特別会計から一般会計へ繰入れることを念頭に置いて規定しておるように解釈されておるようで、実は私驚いたのであります。これはまつたくそういう意味ではないのでありまして、利益剰余金処分については、予算でこれは使い方をきめて行くものであります。しかしながら、予算規定いたしませんでも、処分の方法として議会議決があるということを書いているだけのことでありまして、たとえば毎年度の予算をつくりますときに、最初からある程度利益の生ずることを予定する。その利益の一部をもつて建設事業をやる。言いかえれば、建設事業財源最初から利益剰余金を予定してかかる場合がございます。こういう場合には、予算ですでに利益剰余金建設事業にまわすということを予定しているわけでありますから、それでよろしいわけであります。予算では利益剰余金処分を何ら考えていない場合、そういう場合につきまして、たとえば利益剰余金が出ますと、これを職員厚生費に持つて行くとか、あるいは地方債が十分でなかつたので、建設費の方へ持つて行くとか、そういうようなことを、予算にのつかつていませんでも、議会議決を経て定めることができるというふうな考え方のもとに、この規定を置いたわけであります。やはり利益剰余金といいましても、企業会計の中で使うことを前提にしているわけであります。それをやはり予算で定めて行くことが穏当なんだけれども、予算で定めませんでも使える。しかしその場合には議会議決を経なければならないということを、ことさら断つているのであります。一般会計から特別会計にまわします場合には、特別に第十八条の規定を置いているわけでありますけれども、特別会計から一般会計に繰入れるにつきましては、特段の規定を置いていな  いのであります。もちろん禁止規定も置いていないわけであります。そういう筋道は別段この法案の中には予定し  ていないのであります。もとより公営企業経営に当りましては、その中に産業政策を加味いたしましたり、あるいは社会政策を加味したりするような方法がとられなければならないし、またこういう公営企業によつてとれるということを考えているわけであります。たとえばかつて東京で配電事業経営しておりましたときに、生活保護を受けておりまして、定額燈をつけているような人の料金はとらない、あるいは安くした。あるいは都電の利用者にしましても、早朝の利用者については割引をするとかいろいろ社会政策的な見地を加味しているのでありまして、収益的な見地で考えているわけではありません。三十二条の三項はそういう意味は全然ないことを特に御了解願つておきたいと思います。
  21. 立花敏男

    立花委員 君の理解の問題じやない。それでは特別会計から一般会計へ  繰入れることは全然ないと言われるのかどうか。三十二条の二項では私は当然できると思うのだが、あなたはできないと言われるのかどうか。できるのかできないのか、どつちなんです。
  22. 奥野誠亮

    奥野政府委員 私は、禁止していないと言つたわけです。禁止していないが、この規定議決を経て定めなければならないということは、何を前提に考えているかというと、特別会計の内部で処分する場合のことを前提において考えている。しかしながらもとより例外的に、一般会計へ繰入れようと思えば、議決を経たらできましよう。できましようが、この規定建前は、これをすらつと見ていただいたらわかりますように、利益剰余金処分一般的には予算に組み入れないでやつておるのであります。しかしながら公営企業としては、原則としてはやはり予算に定めさせよう、しかしながら予算に定めさせないものにつきましては議会議決を経させよう、こういうような考え方であります。一般に会社等の経理をごらんになりました場合に、利益剰余金というものをどういうように処分しているか、これはやはり予算に入れないで別途にきめて処分しておるのが普通だろうと思います。その場合におきましても、公営企業においては議会議決を経て行う、こういうような立場から来ております。
  23. 立花敏男

    立花委員 はつきり答弁を願いたいのですが、三十二条の三で、特別会計から一般会計へ繰入れることができないのかできるのか、その二つでいい、どつちなんですか。
  24. 奥野誠亮

    奥野政府委員 特別会計から一般会計へ繰入れますことについては、禁止していないからできる、かように答えるわけであります。しかしながら三十二条の三項は議会議決を経たらできましよう。できましようけれども、それを建前には書いてないのだということを言うておるわけであります。
  25. 立花敏男

    立花委員 できるかできないか答弁すればいいので、あなたできると言つておるからそれでいいのだ。しかもあなたは企業のわくの中でやるという建前だと言つておりますが、そういうことはどこにも書いてないじやないか。それならそれで特別にはつきり書いたらどうですか。
  26. 奥野誠亮

    奥野政府委員 三十二条全体を考えていただきましたら、これは全体的に一応公営企業のわく内の問題として書いてあることを、御了解願えると思うのであります。三十二条第一項から第五項までを全部読んでいただきまして、特別会計の方から一般会計にわたるような規定は、この中には原則的にはどこにも現われていないはずであります。そういうところから、この三項の規定を書きますときの前提には、やはり企業内部において処理することを建前にしておる、しかしながら禁止はしていないのだから、議会議決があればそれはできるでしよう。しかしもとより一般会計に繰入れます場合には、三項の規定によつて議会議決を経なければならない、かように答えておるのであります。
  27. 立花敏男

    立花委員 そんなことは言い訳なんで、あなたが認められているように、一般会計へ繰入れることができる規定なんだから、もしあなたの説明と、そのできるということと矛盾するというなら、できないようにされたらどうですか。できないようにされるのが、あなたの趣旨に沿うのではないですか。
  28. 奥野誠亮

    奥野政府委員 私はたびたび申し上げておりますように、特別会計剰余金を出しまして、一般会計へ繰入れることを建前にしているかどうかという問題についてお答えをしているのであります。だから私は建前にしていない、しかしながらしようとすればできるかという問題であれば、それはできます、かように答えているわけであります。建前の問題だと思います。
  29. 立花敏男

    立花委員 建前ができないのにできるようになつておつたら困るじやないですか。
  30. 奥野誠亮

    奥野政府委員 建前一般会計から特別会計へ繰入れをしないわけであります。しかし特別の場合にはできるわけであります。また同様に特別会計から一般会計へ繰入れることは建前はしないということであります。しかし特別の場合にはこういうことは禁止していない。
  31. 立花敏男

    立花委員 建前ができないならできないようにしなければだめだ。特別の場合だけそういう措置が必要なら、特別の場合をはつきり規定しておいて、特別にこういう使途に充てるために繰入れるということを、明確に規定すべきである。あなたの言うことは矛盾しているんじやないか、建前はできないけれども、特別の場合にはできるのだという、そんなばかなことがあるか。しかもこの三十二条の中で、建前特別会計だけに使つてほかへは出さないのに、繰入れることができるという相矛盾する規定を置く必要はないと思う。そういうことであれば、その項は別の項ではつきりと、こうこうこういう特別の場合には、こうこうこういう特別の規定でこうする、しかもそれは、剰余金は元来が企業内部において使わなければいけないのだから、これには返還するとか、あるいはその条件を明確にすべきである、こういうあいまいな規定でやるべきではないと思う。だからこういうあいまいな規定でやる以上は、私は第三条と関連して指摘いたしましたように、利潤追求に、この公営企業が使われようとしているといつても、これは弁明のしようがないと思う。
  32. 奥野誠亮

    奥野政府委員 利潤追求の問題は、第三条のどこに力を入れて読むかという読み方の点から、多少かわつて来るかもしれませんが、これをすらつと読んでいただきましたら「その本来の目的である公共福祉増進するように運営されなければならない。」と、ことさら断つておりますので、御了解願えると思います。経済性の点につきましては、先ほど申し上げた通りであります。なお地方公営企業特別会計の点につきましては、独立採算制建前にしているわけでありまして、単にこの地方公営企業法のみならず、地方財政法の第六条にも同じような趣旨規定を設けてあるわけであります。そういうふうな規定の配列から考えまして、当然この企業会計運営原則というものは、明瞭になつているというふうに私たちは解釈しているわけであります。ことさらにこまかな問題をあげませんで、個々の地方公共団体住民の同意を得て、これらの運営に当るわけでありますから、住民の良識というものはわれわれは十分に信頼できるであろうというふうに考えております。
  33. 立花敏男

    立花委員 その考え方が根本的に間違いなんで、私どもが国鉄等が独立採算制をとりました際に反対いたしましたのも、独立採算制の結果、料金が上つて国民の負担を増し、逆に労働強化が起つて来るという建前で反対したのですが、現実にはやはりそうなつて来ており、この形を都電あるいは水道、電気ガス等に及ぼしますことは、私どもは実際の経験から見て、これはやはり都民あるいは市民の利益に反することであり、終局においては公共企業目的に沿わないことであるという観点から、私はこの問題を取上げておるわけです。十八条の問題にいたしましても、そういう企業がほんとうに社会公共的な必要から赤字が出たり、経費がかさんだりいたしました場合には、これを一般会計から補填いたしますことは当然なんで、何を苦しんで、それを特別会計から返済しなければいけないという規定をつくる必要があるのか。公共企業というものはそういうものなんだ。あなたは税金のことを言つておられますが、税金はとれるところからとればいいので、一般会計からその自治体にとつて必要な、住民に不可欠なことをやつて行くのが、公共企業体の建前だと思うので、それを一般会計から特別会計に繰入れたら、必ず返済しなければならぬという、これこそ矛盾していると思うのです。一体返済する基礎はどこにあるか。返済する基礎は料金の値上げしかないわけで、一般会計から繰入れたものは、料金の値上げで返済しなければならぬということは、これは都民負担でやるしかしかたがないことなんで、そういうやり方は間違つておるということを、私は指摘しておきたいと思います。  それからこの問題がやはり労働問題に関係して来るということを、私は指摘しておきたいと思います。こういう利潤追求、しかもあげられました利潤一般会計が吸収し、補填されましたものは必ず返済するというような、こういうわく内で、そこに働いておりますところの労働者の賃金が決定されて参る、労働者の賃金も独立採算制のわく内で決定されるのだから、ここに大きな労働者の問題が出て来るわけなのであります。しかもここに働いております労働者諸君は、地方公務員というわくで縛りつけて、地方公営企業労働関係法でストライキ権まで禁止して、そうして賃金をかつてに決定し、しかもその賃金の決定のわくは、今言つたような経済性から出発したわく内で処置しようというんだから、ここに大きな問題があると思うのですが、独立採算制の形あるいは経済性追求の形と賃金との問題をどう考えておるか、これを承りたい。これは私ども非常に重大な問題なんで、こういう形でやられますと、公営企業に働いております労働者が賃上げを要求いたします場合には、必ず料金の引上げが伴つて参らざるを得ないので、ここに公営企業の労働者と公営企業を利用いたします市民との間に、重大なる対立関係が生じて来るわけなんです。これはやはり労働者と市民とを分裂さすところの重大なやはり陰謀的な計画だといわざるを得ないと思うのですが、こういう問題をどう考えておられるか。故意にこういうことをおやりになつたのかどうか、ひとつそれを承りたい。
  34. 奥野誠亮

    奥野政府委員 前段の問題といたしまして、公営企業赤字を出すようであれば、一般会計から補填することを原則的に考えてよろしいじやないか、それは当然のことではなかろうか、こういう御意見があつたように思うのであります。そこで私は一例を申し上げたいのでありますが、かりに水道事業で大穴をあけた。その水道事業はどこに給水しておるかといいますれば、大工場にもつぱら給水している。そこで大穴をあけたものを、なぜ勤労大衆からの租税負担補填して行かなければならないか、こう私はむしろお考え直しを願いたいのであります。同じような問題は電気事業でありましても、あるいは自動車事業でありましても、すべてについてそういうことが言えると思うのであります。しかしもとよりそういうことも時と場合によつては、必要だろうと思うのでありますが、原則的にはそうあるべきじやないと答えたいのであります。企業を利用する者は特定の者でありまして、特定の者がそれから特別に利益を受けるわけでありますから、受ける利益の程度において、相当の費用負担をして行くということこそ、建前考えて行かなければならないのじやないだろうかという考え方を、私どもはいたして参つておるわけであります。ことにまたこれらの公営企業のものは、私営になりました場合には、独占的な形態をとるものであります。私営企業であります場合には、どうしても利潤追求ということが先頭に立つて参るわけであります。反面に公営企業であります場合には、公共福祉ということがむしろ主眼になつて行くわけであります。そこから私たちは、公営企業につきまして、立花さんは逆におつしつやるわけでありますけれども、そこに社会政策も加味できるので、料金についても社会政策的な運営が現実に行われているのではないかということを指摘したいと考えておるわけであります。もとよりこれは労賃等につきましても、議会等が十分にそれらの問題につきまして、公正な判断を下すことができると思うのでありまして、住民全体がかような方向に、すべての問題というものを処理して行かなければならないだろうというふうに、期待しているわけであります。
  35. 立花敏男

    立花委員 そういうことは出ていないから問題にしている。第三条では経済性基本原則だといつておる。だから社会性とか、公共性は第二の問題になつているのです。だから私はあなたたちの目的とは、根本的に矛盾しているということを指摘している。あなたの言われた大工場へ給水して赤字が出た、それを勤労者の負担で埋めるというばかなことは、私は言つていないのです。大工場へ給水して赤字が出たら、これは水道経営者の責任なので、それはそれで処理すればいい。しかもそれを一般会計から埋めるということは、必ずしも勤労大衆の負担ではありませんので、これはあなたたちの提案された税法が悪いので、そういうものに賛成した連中が悪いので、一般会計からそういう公営企業費用を出すということは決して矛盾しない。それは現在の制度そのものがいけない。建前としては自治体経営する公営企業は、自治体一般会計がその責めに任ずべきである。独立採算制の形は、これは現在政府あるいは地方自治体等がとろうとしておりますが、それは財政の破綻からやむを得ずそういう方向をとりつつあるので、これが本来あるべき公営企業経営あり方ではないと私は思う。そういうことをはつきり認識なさらないと、とんでもない役割をこの法案が果すことになり、公営企業で働いております労働者と市民とを対立さす結果になるということは明白なんです。何となれば、賃金の値上げには料金の値上げを伴わなければいけないので、こうなりますと、賃上げを要求する労働者と、料金の引下げを要求する市民との対立、摩擦は、必然的なことであり、ここに重大な問題がある。こういう形態をとる以上は必然的にそういう結果になる、あなたの主観的な意思いかんにかかわらず、客観的には市民と労働者を対立さす結果になる、こういうことを言つておるのですが、あなたの答弁には市民と労働者の対立の問題はなかつたのですが、その点はどうお考えになりますか。
  36. 奥野誠亮

    奥野政府委員 先ほど申し上げましたように、これが私的な企業形態をとりました場合には、むしろ独占形態になつて来る結果、利潤追求は、あなたが心配される問題とは逆な方向をとることもあるだろうと思うのであります。国民の意思から遊離した運営形態が行われるという問題もあるだろうと思うのであります。しかし今御指摘になりますように、料金を上げなければ待遇改善ができない、そういう意味において市民と遊離するじやないかというような御心配もあろうかと思います。しかしながらこういう問題につきましては、水道事業でありましても、自動車事業でありましても、あるいは電気事業でありましても、他の料金というものがあるわけであります。やはり私的な企業形態をとつておるところの料金というものもあるわけであります。おそらく国民は、自分たちだけが不正な利益を享受いたしまして、不当に安い料金でまかなうようなことを要求しないと思うのであります。やはりそこに合理性というものが入つて来ると思うのであります。企業に従事している人たちも、やはり住民だろうと思うのであります。それらの人を一丸とした全体の住民が、議会においていろいろと審議して行くわけでありますので、不当な料金に押えまして、そうして待遇を安くするというようなことについては、私は納得されないと思うのであります。民主的に決定されながら、しかも私的独占形態の弊害というものを防止して行くことができる、そういうところに公営企業としての優位性があるのじやないかというふうな考えを持つているわけであります。
  37. 立花敏男

    立花委員 公営企業の優位性なんかそういうところにありませんので、何ぼ言つてもわからないと思いますから、その次に伺いますが、現在東京都ではバス料金の値上げをたくらんでおりまして、それはバスの新しい路線の設備費、こういうものまで料金の値上げでまかなう計画を立てているということを私どもは聞いております。総司令部が市ケ谷に移りまして、水道あるいは新しいバス等の要求が出ている、あるいは最近三多摩の方で井戸水が全部ガソリン臭くなつてしまいまして、井戸水が使用できないので、水道を至急に引く必要がある、人心を収攬いたしますためにも、石油臭くなつた井戸水を水道に切りかえる必要があるというところから、至急水道を引く必要がある。あるいはあの周辺のキャンプ、あるいは基地等に対しまして、新しいバス路線をつくる必要がある、こういう形がずつと出て来ているのですが、そういうものの費用も実は企業内部だけでまかなわなければいけないとなつて参りますと、これは料金の問題が当然起つて来るわけであります。現実に東京都では、さいぜん言いましたように、そういう費用に充てるために、バス料金の値上げを計画しておるというようなことが言われておりますので、そうなつて参りますと、とんでもない負担が、料金を通じて一般利用者におつかぶさつて来るということは、いなみ得ないと思うのであります。この点もどうお考えになつているか、これはそういう新規の施設に対しましては、起債が認められていると言われておりますが、この起債は、ただすることができるというくらいの規定なんで、それに対する確固たる保障がないわけで、最も手取り早くやろうとすれば、料金の値上げしかないわけで、こうなつて参りますと、利用者はとんでもない負担をこうむらなければならないと思うのでありますが、この点をどう考えているか、伺つておきたい。
  38. 奥野誠亮

    奥野政府委員 これらの企業地方公共団体が営まれますことによつて、それらの経営の上に産業政策、社会政策のみならず都市政策等も加味することができると考えるのでありまして、立花さんは違つた例をお引きになつていますけれども、さらにたとえば電気事業を営みながら街路照明に力を入れる、あるいは水道事業を営みながら、共道水栓の事業に力を入れて行くという方法も立ち得るわけであります。また企業の特別な、一般行政の中でまかなうような仕事も、積極的に営まれます場合は、当然それらの企業につきましては、一般会計負担して行くというような場合も生じて来ると思うのであります。企業費用の内容いかんに応じまして、御指摘のように経費の負担方法というものにつきましても、検討を加える必要があると思うのでありまして、そういうようなことを頭に置きながら、第十八条の規定は置いているわけなのであります。第十八条で、地方公共団体は、特別の事由により必要がある場合においては、一般会計または他の特別会計からの繰入金による収入をもつて当該企業の経費に充てることができるとあり、しかもまた第二項で、繰りもどしをしなければならないわけでありますが、その末尾の方に、特別の事由による繰入金については繰りもどさないことができる、こういう規定も設けておるわけであります。今後どのような運営方針をとるかということにつきましては、週去のことは知りませんけれども、将来においてやはり議会で十分論議をいたしまして、住民の納得する方向に運営方針の重点が定められて行くだろう、こういうふうに期待しているわけです。
  39. 立花敏男

    立花委員 十八条の問題をお出しになりましたから聞いておきますが、十八条には、あなたが故意に除かされたんだろうと思うのですが、「地方公営企業について災害の復旧その他特別の事由」とありますが、これは一般に私が指摘いたしましたように新設路線の費用を出すということは含まつておると思うのでありますが、それは含まつてないとあなたは言われるのかどうか、この点ひとつ明白にしておきたい。
  40. 奥野誠亮

    奥野政府委員 これは別に限定はいたしておりません。しかし私は新設路線でありましても、ことさらに不採算路線をやらなければならない、たとえば学校との間に、生徒が通うのに非常に距離が遠い、従つてそこにスクール・バス一般の自動車事業経営の一環として運営して行く。そういう場合にその種の費用はやはり一般会計から繰入れることも、私は必要であろうと思うのであります。そういうものを二つにするよりは、こうして一つにして経営して行つたらよろしい、自動車路線を延長することの方がよろしい、不採算路線なのだが、そうすることの方が教育内容が充実するし、しかもまた経費の面においても別段高くならないから、一般会計から特別会計へ繰入れをいたしましても、何ら支障はなかろうというふうな考え方を持つているわけであります。
  41. 立花敏男

    立花委員 そういう費用をなぜ料金負担させなければいけないのか。学校があつて、そこへ特別の必要があつてバスの路線をつくらなければいけない、道路の工事あるいはバスの購入、こういうことをやります場合に、その費用をなぜ料金負担させなければいけないのか、これこそ私は一般会計負担すべきである、これは決して料金に転嫁すべきものではない。そういうふうなことを考えるのですが、その点がやはり非常に混乱して考えられておる。しかもこの繰入れましたものに対しましては、必ず返さなければいけないのだから、当然その施設費、バスの購入費、こういうもの全体がやはりこの料金に転嫁されて来る、こういう建前になつているのです。だからそれでは料金社会性、公営事業社会性というものは、完全に無視されておるということを言つておるのですが、そういう新路線、特別必要な新路線の費用まで一般会計では出さない、出した場合でもそれは全部料金から吸収した特別会計剰余金から穴埋めする、返済するという建前をとつておられるのかどうか、明白にしてもらいたい。
  42. 奥野誠亮

    奥野政府委員 これは元来一般会計負担すべきようなものを、特別会計で行うことが便宜である場合がある、またむしろそうしてもらわなければならない場合もあることを予定して、第十八条に一般会計から特別会計に繰入れる、またそういうものについては必ずしも繰入れを必要としないのだという規定を設けているのだということを私は申し上げているわけであります。
  43. 立花敏男

    立花委員 そういうことは大体もう都民としては実際上納得できないのです。料金というものは、そういう設備資金の費用や、バスの道路の改装費用に使つたものを含めて決定さるべきものじやないので、たかだかバスの維持運営費くらいを料金として市民が、利用者が負担すればいいのであつて、そういう巨大な金額を要するものにつきましては、特別にこれは都の一般会計の責任において、あるいは起債をするというのであれば、明確なる起債の保障をやつてつくるべきであつて、そういうものを私は料金でやるべきではないと思うのであります。これは利用者の市民も一致して私は納得のできない規定じやないかと思う、こういうことを言つておきます。  それから同じ十八条で「特別の事由に因る」とありまして、特別の事由によつて一般会計から特別会計に繰入れるということがありますが、これは給与の改善も含んでおるのかどうか、この点をひとつ聞いておきたい。
  44. 奥野誠亮

    奥野政府委員 特別の事由は別段限定しておりません。しかしながら過去の例についてみますと、物価統制が極端に進められておりました場合には、やはり料金の引上げを極度に押える、その反面に待遇改善費等が出ない、そういう場合には一般会計から繰入れられるという場合がございましたように、将来もあり得ると思います。
  45. 立花敏男

    立花委員 その問題と関連してもう一つ聞いておきますが、先般も鈴木君に聞いてはつきりした答弁がなかつたのですが、行政協定第七条によりますところの、占領軍による公益事業の優先的利用という問題を、この問題と関連して、どうお考えになつておるか承つておきたい。
  46. 奥野誠亮

    奥野政府委員 地方公営企業をどのように利用して行くかということにつきましては、もとより地方公共団体議会が基本的な方針をきめて行けばよろしいと思つているのでありまして、地方公共団体考えるところに従つて、場合によつてはアメリカ軍の便宜をはかる場合もございましようし、ある場合には他の方面の便宜をはかる場合もあり得るだろうと思つているのであります。
  47. 立花敏男

    立花委員 あなたひとつ行政協定の条文を見て答弁願いたいと思います。ある場合はやつてもいい、ある場合にはやらぬでもいいというような規定ではないわけなんです。優先的に利用する権利権力、権能を持つておるということをはつきり規定してあるのです。
  48. 奥野誠亮

    奥野政府委員 問題はどのような程度において要求され、どのような程度においてそれらの要求に応じて行くかというふうな問題に帰着するのだろうと思います。ただそういうふうな考え方がとられるということは、今日のアメリカ軍と日本側との関係におきましては、当然だろうと思うのであります。問題は良識をはずれたような要求がされることがあるかないかという問題でありまして、ここはやはり相互に信頼し合つて行くよりいたし方ないのだろうというふうに考えるわけであります。
  49. 立花敏男

    立花委員 なぜ当然なんです。公営企業は一体何のためにある、だれの負担においてやられておるのです。そういうものが外国軍に優先的に利用されるということを、一方的に規定することが当然だとは、一体どこから言えるのです。
  50. 奥野誠亮

    奥野政府委員 公営企業は、もとより公共福祉はかつて行かなければならないと思いますが、広い意味においていろいろと治安を維持して行く、それに対して協力して行くというふうな場合に、それらに対しまして、また地方公共団体といたしましても、できるだけ便宜をはかつて行きますということが、やはりその立場から考えまして当然であろうというふうに考えているわけであります。問題は要求の分量とか程度とか、そういう問題にかかつて来るのではないだろうか、こういうふうに考えているわけであります。
  51. 立花敏男

    立花委員 適当に協力して行けばいいというような規定じやないわけなんです。最も優先的に利用する権利を有すると、はつきりあるのです。住民に十分利用さした上で、余力があればこれは協力してもいいというような規定じやないわけなので、住民よりもあるいは自治体よりも政府よりも、最も優先的に占領軍が、そういう公益事業を利用し得るという規定なんです。
  52. 奥野誠亮

    奥野政府委員 相互に協力し合う原則を書いたのだろうと思うのでありまして、おそらくそれ以上非常識な要求等というものもないことを期待いたしたいし、またないようにお互いに力を尽さなければならないというふつうに考えております。
  53. 立花敏男

    立花委員 これ自体が非常識な要求なのです。特にこれが非常事態の場合であるとか、あるいはそういうことが制限されてあるならばまだしもですが、一般的にそういうことができる、優先的に公共事業を全部利用することができる、優先的になんです。日本国民よりも日本国会よりも優先的に利用することができる、こういう規定があるわけなのです。これはまさに私は非常識な規定だと思うのです。しかもそれについてあなたは非常識なことは言わないだろうと思う、互いに協力して行けばいいのだと言われますが、それでは地方公営企業は安心して行うことができませんし、また利用者の市民といたしましても、心から納得して料金負担することもできなくなつて来ると思いますし、そういうものを経営して参りますいろいろな他の費用は、租税で負担しているのですが、そういうものを私どもは払いたくないという気持が出て来るのは当然だと思う。だからあなたの言われるように非常識な要求は出て来ない、話合いでやつて行けばいいのだということでは済まされないので、政府としてはこれを明確にする必要があるし、あるいは自治庁としては、それじや公営企業については行政協定の第七条は、具体的にはどういうことなんだ、それはどういう機関でどういうふうに処理するのか、どういうふうに処理されたらいいと考えているということを明確にしないと、私はこの公営企業法案はいたずらに市民の負担において、占領軍の欲する路線、水道、ガス、電気、こういうものをつくらされる道具になつてしまうと言わざるを得ないと思うのですが、その点はどうお考えになつておるか。
  54. 奥野誠亮

    奥野政府委員 一応公営企業の将来の問題については、御心配のないように、もしかりにも心配しなければならないような事態が起きましたときには、十分に努力いたしまして、そういう問題を防止いたしたいと考えております。
  55. 立花敏男

    立花委員 もう少し具体的にひとつ答弁願いたいと思いますが、こういう公営企業自体が……。     〔「そんなばかなことを聞いてもしかたがない、それは関係ない」と呼ぶ者あり〕
  56. 吉田吉太郎

    ○吉田委員長代理 簡単に願います。
  57. 立花敏男

    立花委員 委員長、雑言をひとつ整理していただきたい。  自由党の方ではこれは関係ないと言つておりますが、これは行政協定には明らかに、公益事業及び公共の役務を優先的に享有するとありますので、あなたたちがつくろうとしておりますこの公営企業も、当然この規定の中に含まれて来るわけであります。でありますから、私たちはこの行政協定に規定する内容がどういうものであるか、これによつて今つくられようとしている公営企業がどういう影響を受け、どういうふうに利用されようとしているか、これは当然問題にしなければならない問題だと私は思う。これは関係ないとは断じて言えませんので、行政協定は単に公営企業だけではなしに、今の日本の行政あるいは政治全般にわたつて影響しておりますので、この点は私は明確にしておく必要があると思うのです。しかも現在やはり行政協定自体の実施の問題、あるいはその他の問題で、非常にアメリカ側と政府側に意見の食い違いがあるということも聞いておりますし、現実にその下請業者の取引につきましても、非常な摩擦が起きまして問題になつておる。あるいは民事上の裁判権の問題にいたしましても、非常にこの問題が起つておる。ある商社は二百六十万円ばかりの返済金まで要求されておるという事態が起つておりますので、私どもは特にこの公営企業のような行政協定に明確に規定されたものにつきましては、やはり明確にしておく必要がある。特に私どもが関心を持ちますのは、地方の住民が、住民利益のために住民負担においてつくられました公益事業が、彼らに何よりも優先的に利用されるということは、一体これはどういうことなんです。この問題は経費の問題にも関連いたして参りますし、あるいはまた運営の問題にも関連して参りますし、あるいは新設の設備の問題にも関係いたして参りますし、重大な問題だと思いますので、具体的にこの点をどうお考えになつておるのか、そういうことを全然考慮なしに、こういうものをおつくりになつたのか、考慮されておるとすれば具体的にどういうふうに考慮されておるのか、これをひとつ承りたいと思います。
  58. 奥野誠亮

    奥野政府委員 われわれは行政協定というものは、相互に信頼を基調として設けられている協定だろうと思うのであります。従いまして信頼を裏切るような問題が、かりそめにもありました場合には、日米合同委員会というものも設けられておりますので、できる限りそういうことが起らないように、そういう機会その他を通じまして努力したいと思います。ただいまのところ別段不安になるような問題は起きておりませんし、われわれとしては予想いたしておりませんので、特別な規定は設けておらないのであります。そういうおそれが生じました場合には、すみやかに必要な処置をとりたいと思います。
  59. 立花敏男

    立花委員 おそれが生じない、——あなたは自治庁におられるからおそれを知らないだけなんで、最近GHQが市ケ谷に移りまして、新しい水道の要求があり、バスの要求があるのでありきす。あるいは横田基地におきまして、新しい水道の要求があり、バスの要求があるのであります。ところが東京都はすでにバス料金の値上げを行わなければならぬという計画を立てているわけです。現実の問題になつて来ている。その問題を地方自治体としてはどう処理すればよいのか。政府としては自治体に対してどういう方針を出すのか。これを明確にする必要がある。しかも初めから言つておりますように、住民料金負担し、それによつて自分たちのためのこういう公益事業をつくつているのですから、それが今言つたようりな形で料金が自分たちの必要からではなしに、占領軍の必要から料金が上つて来るということは納得できないし、これを目の前に控えまして、住民の不満が大きく沸き上つているのですが、この問題を解決する必要があると思うのです。あなたは信頼をもつて合同委員会が解決するだろうと言われておりますが、合同委員会が最終の決定をするのではありませんので、日本の国民はあくまでも日本の法律によつて、あるいは日本の自治体は日本の法律によつて、こういう公益事業運営するのであります。それなしには合同委員会の決定だけが自治体を拘束し、あるいは住民を拘束することにはならないことは御存じの通りなんです。だから合同委員会で信頼をもつてお互いに相談するというのはそれはよいのですが、どういうことを相談し、どういう結果になる予想であり、どういう法律をつくろうとしているのか、これをひとつ明確にしていただきたい。
  60. 奥野誠亮

    奥野政府委員 立花さんが御心配になるような事態であると、国民の多数が認識しておりますならば、国会においてわれわれは必要な処置がとられるであろうというふうに考えるわけであります。まだ措置がとられておりませんし、同様に国民がやはりその必要はないというふうに考えているものだというふうに理解いたしたいのであります。また住民が住居をかえました場合には、それに応じてバスの路線をかえましたり、水道の布設を計画することが必要だろうと思いますが、アメリカ軍の場合でありましても、そういう便宜を供与することは、これは企業として当然やるべきことだと思います。また東京都のバス料金が高くなり過ぎるのではないかというような御心配もあるようでありますけれども、他の企業と大体同じ程度の料金を決定しているようでありますし、将来におきましても、大体同じような方針をとつて行かれるものであるというふうに考えております。
  61. 立花敏男

    立花委員 それはごまかしなんで、東京都の都民はすでにそういう理由で、バス料金が上ることに反対している、知らないのはあなただけです。しかもあなたは一般的にそういう需要が起つて、それを敷く場合と同じように扱えばよいと言われますが、決してそうではありませんので、一般と同じように扱つていない。料金一般よりも非常に低い。利用も優先的に利用するというような規定が明確にありますので、一般の必要と比べることができない。一般の必要がありましても、優先的に向うにまわさなければいけないのだ、都民が必要といたす場合がありましても、それの設営をやめまして向うの必要に応じなければいけないという規定があるわけでありますから、これは当然問題にすべきではないか、こういうことが問題にされないで、何か一般的な問題とこんがらかしてごまかそうということは、私は許すことのできない態度だと思う。しかも東京都民の間にはそういう問題が起つている。これをあなたたちはほおかむりで国民の間に意見が起きていないのであるから、国会でも問題にならないのだし、自分たちも提案しないのだという態度はけしからぬと思う。何となればこの行政協定は政府が一方的に調印し、一方的に押しつけたものでありますから、一方的に押しつけたものに対する責任は当然あなたたちがとらなければならない。これは国民は承諾していない。これは政府が一方的に行政協定として調印したものです。だからそれに伴うところの国民の負担の増大は、これは当然国民が言わなくても、政府自身がやらなければいけない、その点はどうなんです。
  62. 奥野誠亮

    奥野政府委員 もとより国民の中にソ連に接近することを期待する人もおりましようし、あるいはアメリカに接近することを期待している人もおりましよう。私は東京都においてどういう問題が起きているかということにつきましては、一人も共産党の人たちが考えられるようなことを考えている人がないと申し上げているわけではない。私たちは多数の意向というものを基調にして考えて行かなければならないと思うのでありまして、東京都の場合におきましても、別段東京都議会が、どういうふうな意思決定をしたということも承知しておりませんので、さように申し上げておるわけであります。
  63. 立花敏男

    立花委員 それと関連いたしますのは、第十五条の補助職員の問題ですが、こういう公営企業に管理者が補助職員を任命することができるのですが、これは外人を任命することができるのかどうか、これをひとつ承りたい。
  64. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 外人を地方公務員に採用することができるかどうかという御質問のようでありますが、地方公務員法には、別段禁止をしている規定はございませんので、採用することはさしつかえないかと思います。ただ地方公務員法には服務の規定がございますので、その服務の規定を全部遵奉して行く上に、外人が適当であるかどうかにつきましては、具体的にいろいろ問題があろうかと思います。
  65. 吉田吉太郎

    ○吉田委員長代理 立花委員に申し上げます。まだ質疑の通告がありますので、大体あなたは一時間以上おやりになつておりますので、簡単に願います。
  66. 立花敏男

    立花委員 今の答弁で明らかになりましたように、企業全体が占領軍の優先的な利用にまかす、しかもその職員の中に外人を雇い入れてもよろしいということになりますと、まつたくこれは外人のためのバスを引いたり水道を引いたりする公営企業になつてしまうわけなんです。私はこういう規定は禁止しておいたらよろしい。行政整理とかなんとかで、日本人の職員の首をどんどん切りながら、なぜ好んで外人を雇わなければいかぬのか。今言つたように、当然向うの要求が出て参りまして、日本人の要求よりも優先的に向うの要求が満たされなければいけない、そのために料金も上げなければいけないという状態にあります場合に、何を好んで日本人の労働者の首を切つて、外人を雇わなければいけないのか、そういう道をなぜ開いておかなければいけないのか、これは私は当然禁止しておくべきものだと思うのですが、その点どうですか。
  67. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 これは公営企業職員についてだけの問題ではございませんで、地方公務員全般についての問題だと思うのでございます。地方公務員全般についての問題といたしますると、日本の国籍を持つていない者を地方公務員として任用してはいかぬという規定はどこにもないわけでございます。しかしながら、先ほどもちよつと申し上げましたように、服務の体制初め日本の法令、条例あるいは地方団体規定従つて忠実に職務を執行しなければならない義務はございますし、そのほかの服務の規定趣旨から考えまして、禁止はいたしておりませんけれども、仰せのように外国人がたくさん公営企業職員として採用ざれることは、現実の問題としてはないと思うのであります。またそういうことをこの条文が積極的に強要しているという趣旨にもとれないというふうに、私どもは考えているのでございます。
  68. 立花敏男

    立花委員 それから労働者と管理者との関係ですが、管理者は当該地方公共団体を代表するという規定があります。管理者は地方公共団体を代表しておる。しかも九条では、管理者は職員の任免、給与、勤務時間その他の勤務条件、懲戒、研修、身分取扱い、こういうもの全部が管理者の権限に属しているわけです。管理者が地方公共団体を代表し、しかもその権限が任免、給与、その他の一切の労働条件にまで及んでおります場合には、当然私は、管理者は団体交渉の当面の最初の当事者にならなければいけないと思うのですが、その点明確に法律で規定しておく必要があると思うのですが、なぜそれを規定されないのか、承つておきたいと思います。
  69. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 第九条におきまして、職員の任免、給与、勤務時間その他の勤務条件に関する事項を掌理することということは、御指摘のように、規定をいたしておるわけでございますが、第九条は、管理者の通常担任をいたしております事務を列挙いたしたものでございまして、具体的にいかなる職員の任免が、管理者の権限に属しているかということは、たとえば先ほどの第十五条におきまして、主要な職員については、あらかじめ長の同意を得なければならないというような、それぞれの他の規定によつて、その内容は具体的にはきまつて来るわけであります。  後段の労働協約の相手方を管理者にしていいではないか、その規定はつきり書いてないのは、どういうわけだというお尋ねでございますが、私どもは、この法律の提案をいたしますにつきましては、労働協約の相手方につきましては、昨日も他の委員の御質問に対しまして、お答え申し上げましたように、たとえばその協定の内容が予算の更正を要するような問題でありますとか、あるいは条例に抵触するような問題でありますとかいうことになりますと、それらは長が議会に対して、その議案を提出することになつておりますので、そういうような内容の協約を、管理者を相手方として締結いたしましても、それでは問題が解決されないということになりまするので、特に労働協約をだれと結ぶかということを書いてございませんでも、それぞれの協約の内容によりまして、その内容を実現いたしますために、その権限を持つておる者を相手方にする、従つて長の権限に関係いたしますものは長を相手方にするし、管理者だけで解決できるものについては管理者を相手方とする、このように解釈いたしておるのであります。
  70. 立花敏男

    立花委員 さいぜんからるる言つて参りましたように、この公営企業はその内部で経理がまかなわれまして、しかもその長である管理者が給与の決定権を持ち、地方公共団体の代表者であるのですから、当然私は管理者が団体交渉の当面の責任者でなければならないと思う。これがあいまいになつておりますと、交渉をやります場合に、おれは責任がないのだという逃げを打ちますことは、実際の問題上非常にしばしばでありますので、この点はやはり明白にしておく必要がある。今言われましたような意図を持つておられるなら、やはりその点を明確にしておく必要がある。何と申しましても、その企業の管理者は、そこに従属いたしておりますところの労働者の当面の交渉相手であるということを明白にしておく必要があると思う。しかもさいぜんから言つておりますように、この企業全体の経営が、その労働者がかせぎ出して参りましたものでやられているのだし、一般会計の世話を受けない建前になつておるのだから、当然当面の責任者としては管理者が当るべきであるということを、明白にする必要があると思うのですが、なぜそれを明白にしないで、そういうごまかしのはつきりしない条項にされたのか、どこにそういう必要があるのか、それをひとつ明白に承りたい。
  71. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 ごまかしというお言葉でございますが、ごまかしというふうには私ども考えておりませんし、そういう意図で特にあいまいにいたすという趣旨ではございませんで、労働協約と申しましても、協約の内容は、勤務条件に関するいろいろな事項にわたるわけでございまして、当該協約がどういう事項を内容とするかということによりまして、相手方も、先ほど申し上げましたような趣旨でいたしますことが、実情にも適すると考えておるのであります。従いまして、その協約の内容のどういうものが長に専属した権限になるか、どういうものが管理者が単独でできるかということが、他の条文におきまして明確になつておりさえいたしますれば、労働協約につきまして、特にどういう内容のものはだれを相手方とするということを書いておりませんでも、さしつかえないじやないかというふうに考えたのでございまして、それ以外に、特に意識的にあいまいにいたしておるというような趣旨は、全然ないわけでございます。
  72. 立花敏男

    立花委員 労働関係法第十条によりましても、予算上資金上不可能な資金の支出を内容とする協定を結んだ場合の規定がありまして、たとい管理者がそういう協定を結ぶといたしましても、十条でそれの救済規定はあるわけです。だからその点はあなたの言われるように、何もごまかし規定をする必要がありませんので、一般的に管理者は団体交渉の当面の責任者であり、また労働協約を結ぶことができるのだ、そういう権限を有するのだということを明確に規定しておく必要があるので、その点をごまかしてと言いましたのは、不明瞭である、不明確であるということです。そういうことを不明確にする必要は少しもないのではないか、こういうことを明確にしておかないと、弱いものである労働者は、当面の責任者がわからないで、あつちに行つてくれ、こつちに行つてくれ、こういうふうにごまかされる危険がありますので、この点は明確にしておく必要があると思う。どうしてもこれをお入れにならないのか、どうなのか、これをひとつ聞いておきたい。
  73. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 お説のような考え方も、まことにごもつともな点もあろうかと思いますが、政府の提出いたしました原案の考え方を先ほどから申し上げておるのでございます。
  74. 立花敏男

    立花委員 最後に、この法案はただいま参議院で審議中の地公労法と非常に大きな関係がありますので、その関係を少し聞いておきたいのですが、なぜこんなものを分離してお書きになつたのかりという問題があるわけです。労働三法に対する労働者の攻撃が、主として労調法あるいは労働基準法に集中されておりまして、この法案に対する闘争がごまかされる危険が非常にあるわけです。政府もそれをねらつておるのだろうと思うのです。ところがこの法案は非常にひどい規定を持つておりまして、もちろんこれはストライキを禁止している点がありますが、「正常な運営を阻害する一切の行為をすることができない。」「このような禁止された行為を共謀し、そそのかし、又はあおつてはならない。」というふうな非常に峻烈な規定がある。しかもこういうことをやりましたものに対しましては、第十二条によりまして一切の労働関係法による救済規定を拒否しておる。これだとまつたく言葉通り切捨てごめんなんで、共謀し、そそのかし、あおるというような非常に不明確な、だれでもひつかけられるような規定をつくり、しかもそれは正常なる運営を阻害するというような、これまたあいまいな規定にそういうやつをくつつける。そしてそういうものに違反したものは、一切の労働関係法の救済規定を無視して馘首するということは、まつたくこれは人権蹂躙、基本的権利の侵害だと思うのです。しかも最近青森の場合に、自治庁が進言いたしまして、内閣総理大臣から執行停止の申請を出しましたように、こういうもので首切られたものに対ししまして裁判所に訴えまして、裁判所が執行停止を命じますと、それを総理大臣の権限においてストップするというようなことが行われますと、まつたく労働者は奴隷的な首切りの状態に陥らざるを得ないと思うのですが、この点をどうお考えになつておるか。しかもさいぜんから検討のうちに現われて参りましたように、企業自体は、まつたく私企業と何らかわりはないところの利潤追求する機関になり下つておる。ところがそこに従事いたします労働者だけは、地方公務員というわくを着せられまして、しかも地方公務員という着せられたわくによりまして、こういうまつたくひどい取扱い、切捨てごめんの取扱いを受けるわけです。この点をどうお考えになつておるのか、これをひとつ承りたいと思います。
  75. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 まず前段の、地方公営企業労働関係法と二つにわけたのは、どういうわけかというお尋ねでございますが、これにつきましては、この法案の内容といたしておりますところが、国会で御審議を願います場合に、一方は労働委員会、一方は地方行政委員会で主として御審議になることになつております便宜もありますし、政府部内におきましても、他方は労働省、一方は地方自治庁を主体にして立案をいたしております関係もございまして、別個の二本建の法律案といたしておるのでございまして、それ以外に別に他意があるわけではございません。  後段の争議行為の禁止の規定でございますが、これは現在地方公営企業労働関係法が、大体その建前を踏襲をいたしております公共企業労働関係法の規定と同じ趣旨規定を設けたのでございまして、やはり御指摘のように、民間の労働者と同じような労働をいたしておるものでございますけれども、一方地方公務員といたしまして、住民全体の奉仕者という形をとつておりますので、従いましてこのような公共企業労働関係法にありますような規定を置きますことは、当然であろうというふうに考えております。     〔「飯を食わせろ」と呼び、その他発言する者あり〕
  76. 立花敏男

    立花委員 飯を食わせろという要求が出ておりますので、休憩にして、質問はまた継続したら……。
  77. 吉田吉太郎

    ○吉田(吉)委員長代理 暫時休憩いたします。     午後一時十八分休憩      ————◇—————     〔休憩後は開会に至らなかつた〕