○
門司委員 私は、
地方自治法の一部
改正に関する
法律案に対して、
社会党、
社会党第二十三
控室、並びに
社会民主党各派を
代表いたしまして、
修正の
意見を申し述べたいと思うのであります。
この
修正案を
提案いたしました
理由は、今回の
地方自治法の一部
改正の法案中、
政府の説明その他を聞いて参りますると、あまりにも机上のプランに基く、いわゆる
行政の
簡素化を中心とし、さらにこれに伴う
事務整理のような、一応の形は示しておりまするが、この
考え方は実際の実情に沿わない
考え方がたくさん盛り込まれておりまするのと、同時に
日本の
民主化は
地方自治体の真の
民主的運営でなければならないことは、
憲法にもはつきり示している
通りであります。
従つて地方自治法を
改正しようとするならば、単に
事務上の問題、あるいは形式的の
機構の
改革だけでなくして、
現状に即応した
日本の
民主化をいかにするかということを基盤にして、この
地方自治法の
改正は行われなければならないと考えておるのであります。従いまして、私
どもはこの線に沿うて、
修正の案をここに
提出いたしましたゆえんであります。その
修正をいたしました
部分をきわめて簡単に御説明申し上げまして、
各位の御賛同を得たいと考えておるのであります。
修正の第一は、第七条の二項の
改正に関する
部分を削除するということであります。第七条の第一項は、その本文において、
市町村の
廃置分合または
市町村の
境界を
変更いたしまする場合に
当該地方公共団体が
議決いたしましたものを、さらに「
当該都道府県の
議会の
議決を経てこれを定め、直ちにその旨を
内閣総理大臣に届け出なければならない。」あるいは「
所属未定地の
市町村の区域えの編入も、また、同様とする。」ということを受けておる
条文ではございまするが、私
どもはこの
改正案の
内容にありまする「
前項の
規定により市の
廃置分合をしようとするときは、
都道府県知事は、予め
内閣総理大臣に
協議しなければならない。」というこの
規定は、すでに前文において
市町村の
自主性を十分に認め、なおそれを是正し、あるいは匡正することのために、私
どもから言いまするならばよけいなものだとは考えておりまするが、とにかく
当該都道府県の
議会の
議決を経てまで、これがきまらなければならないというふうに
規定をはつきりいたしておりまする以上、その
廃置分合等に対して、これがいいか悪いかということを「予め
内閣総理大臣に
協議をしなければならない。」というこの
規定であります。もし
内閣総理大臣がこの
協議に応じなかつた場合は、一体
市町村の
議決はどうなるかということに
なつて参ります。同時に
都道府県議会の
議決をこれが拘束する結果が来ると思うのであります。こう
なつて参りまするならば、必然的に
地方の
自治体の
自主性というものは失われて、そうして
中央政府が、
市町村の
住民の
自由意思決定にもかかわらず、これに容喙するようなことは、いわゆる
地元自治体を再び
中央集権化をはかるものだとして、私
どもはこの条項を削除したいと考えておるのであります。
治に第八条の二の
改正部分を私
どもは削除しようとするのでありますが、第八条の二の
改正案によりますると、「
都道府県知事は、
市町村が第二条第十項の
規定によりその
規模の
適正化を図るのを援助するため、
市町村の
廃置分合又は
市町村の
境界変更の
計画を定め、これを
関係市町村に
勧告することができる。」以下ずつとこれが第六項まで、この
条文に基いて書かれておるのでありまするが、
都道府県知事が
市町村の
適正規模に対してこれを
計画し、あるいはこれを
勧告するということは、今日の
地方自治体の
おのおのの
市町村の持
つておりまする
自主性に、きわめて強い
知事の
干渉権が入
つて来るということであります。私
どもはもとより
都道府県あるいは
市町村の
適正規模の問題は当然考えられなければなりませんが、この
自治法の
改正によりますると、
都道府県に対しまする
適正規模に対しては、何らの
規定を設けないで、
市町村だけにこういう
知事の
計画権あるいは
勧告権を認めておるのであります。こう
なつて参りますると、
地方の
自治体が自主的に
廃置分合をしようというのに、また再び
知事の
意見がここにさしはさまれて来るということに
なつて参りまして、前の第七条の第二項が
中央集権になると同じように、やはり第八条の二におきましても、この
改正案そのものを認めますならば、
知事の
権限が
市町村の
住民の
意思決定の上に、非常に大きく反映するということに
なつて参りますので、私
どもはそれらの
中央集権を避けたいと考えて、この
改正の
部分を削除しようと考えておるのであります。
次に第九条第七項の
改正規定を削ることにしたのであります。第九条第七項の
規定は、これは六項あるいは五項、四項の
規定を受けたものでありますが、その
条文は「
前項の
規定による
告示があつたときは、
関係市町村の
境界について第七条第一項又は第三項及び第六項の
規定による
処分があつたものとみなし、これらの
処分の
効力は、
当該告示により生ずる。」とこう書いてあります。
従つてこの
市町村の
境界の
変更について、やはり
内閣総理大臣の
告示をまたなければならないということに
なつて参るのであります。ところがこの
条文の
前項の六には「
前項の
規定による届出を受理したとき、又は第十項の
規定による通知があつたときは、
内閣総理大臣は、直ちにその旨を
告示するとともに、これを国の
関係行政機関の長に通知しなければならない。」と、こう
規定いたしておりますので、この
効力の発生に対しましては、当然これは
内閣総理大臣が六項の
規定によ
つて、その旨を
告示するときは直ちに発生するということにぜひしておかなければ、この第七項を生かして参りますと、この六項と七項との間に時間的余裕がありますれば、ここに何らかの
政治的動きがあるというようなことに
なつて参りまして、一応
市町村並びに
都道府県の
議会で
議決いたしましたものが、
内閣総理大臣に
告示され、さらにそれが
内閣総理大臣のこの
告示の
効力の間に、そういう政治的の
取引等があるということに
なつて参りますと、いたずらに物議をかもします原因をこしらえて参るように考えますので、私
どもはこの
規定は六項でたくさんだ、こういうふうに考えておるのであります。
従つてこの項を削りたいと思うのであります。
次に「第九条の二第六項の
改正規定中「及び第七項」を削る。」と書いてありますが、これは先ほど申し上げました第九条の七項を削除いたします
関係から、第九条の二の中に、その六項に、「第六項及び第七項の
規定」とこう入れておりまするから、当然この第七項を削除する
一つの
経過規定であります。
次に「第九十条の
改正に関する
部分を次のように改める。第九十条第二項中「
前項」を「前二項」に改め、同項を第三項とし、第二項として次の一項を加える。
前項の
議員の
定数は、
条例でこれを減少することができる。」こう書いておりますのは、この
改正案で見ますと、
都道府県の
議員の
定数は大幅に削減いたしておるのであります。これは
現行法をそのまま認めまして、ただ
現行法の中で非常に
都道府県の
議員の
定数に対して不備な点を、
人口に一応スライドいたしまして、そうして最高の
議員の
定数は百二十名に
規定いたしておりますが、しかしながらその間における
人口の増加に伴いましては、必然的に
議員の
定数がふえて来るように
なつておるのであります。
従つて私はここに「
前項の
議員の
定数は、
条例でこれを減少することができる。」という
規定を設けまして、そうしてその
地方の
都道府県の
自治体の
自由意思に基いて、その
定員を減少することができるというようにした方が、機械的に画一的に
法律でこの
定員を定めるよりも
自主性があると私
どもは考えまして、これらの点は
地方の
都道府県の
自主性にゆだねたいと考えておるのであります。
次に「第九十一条の
改正に関する
部分を次のように改める。「第九十一条第二項中「特に」を削る。」こう書いてございますが、これは第九十一条の中には御
承知のように、
市町村の
議員の
定数は、特に必要ある場合はこれを減少することができるという
規定を設けておるのであります。しかし特に必要あるという
字句は、何らかの
理由がなければこれを減すわけには参りませんし、またこの
規定を設けましたものは、従来の
都道府県の合併その他に
関係をしてこういう
字句を使
つておりますので、われわれはこの「特に」という
文字を削除いたしまして、そうしていつでもこれが減少できるという
規定にいたしたいと思いますと同時に、前九十条の
条例と、これを
条文上
文字を一致させることのためにこの「特に」という
字句を削ることにいたしたのであります。
次に「第百二条の
改正に関する
部分を削る。」ということに
なつておりますが、これは先ほどのお話の中にもあつたかと思いますが、
都道府県の
会期の問題であります。
会期の問題につきましては、いろいろ今日まで議論はあ
つたのでございますが、しかし今日の
地方自治体というものと戦争前の
自治体と、非常にその趣を異にいたしておりまして、非常に多くの
仕事、非常に広汎にわたる
仕事をして行かなければならないのと同時に、
地方の
公共団体が真に民主的にやろうといたしますならば、どうしてもやはり
議会は相当回数開かれて、そうして
住民の
意思に基いて出て参りましたその
代表者である
議員が、一々これを
協議するということが正しいあり方である。この
会期の数を減らとて参りますならば、必然的に
理事者の一方
的事務処理が行われて参りまして、ここに
理事者に対しまして非常に強い
権限を与えますと同時に、
住民の
代表であります
議員が、少し言葉を悪く申しますれば、
行政に対してつんぼさじきに置かれるような結果に相
なつて参りまして、
地方自治体の
民主化のために、非常に大きな悪影響を及ぼすと考えますと同時に、これはやはり今日
民主化されたとは言いながら、いまだに
官僚色の非常に強い現在の
都道府県並びに
市町村の
行政の状態から見て参りますならば、この
官治行政を排して、やはり
民治行政に切りかえることのためには、私は
現行法が
日本の
現状においては適当だと考えて、この百条の
改正に関する
部分を削除いたしたいと考えているのであります。
次に「第百五十八条第一項の
改正規定中「第一 都」の
局部のうち「二
財務局」の局の
分掌事項(一)中「、税」を削り、同局の次に次のように加える。」といたしておりまして、「三
主税局(一)
都税及び
都税に係る
税外収入に関する
事項」「同条同項の
改正規定中「第一 都」の
局部のうち「三
民生局」を「四
民生局」に、「四
衛生局」を「五
衛生局」に、「五
経済局」を「六
経済局」に、「六
建設局」を「七
建設局」に改め、「六
建設局」の局の
分掌事項(四)中「
港湾その他」を削り、「七
労働局」を「八
労働局」に、「八
建築局」を「九
建築局」に改め、「八
建築局」の局の次に次のように加える。」といたしまして、
港湾局を挿入いたして、さらに「
港湾に関する
事項」といたしておるのであります。
それから「同条同項の
改正規定中「第三
人口二百五十万以上の
府県」の
局部のうち「七
土木部」の部の
分掌事項中「(三)
住宅及び
建築に関する
事項」を削り、「(四)
港湾その他
土木に関する
事項」を「(三)
港湾その他
土木に関する
事項」に改め、同部の次に次のように加える。」といたしまして、「八
建築部 (一)
住宅及び
建築に関する
事項」と改めて参
つたのであります。
この改めました
理由は、
御存じのように、
東京都は約八百億の
予算を組んでおりまして、国の約一割に相当する非常に多額な
予算を組んでおります
関係から、これらの
予算処理をいたしますることのために、やはり従来の
財務局というものを
主税局というように改めまして、そうしてここに都の
財政すべてを管轄いたしまする
局部を設ける必要があると考えて、これを挿入したわけであります。
次に
港湾局を設定いたしました
理由は、
日本の
現状から、
港湾の
維持管理というものは、主として
市町村にこれがゆだねられておりますが、
東京都は
御存じのように都でありまして、市を持
つておりませんので、横浜あるいは神戸、
大阪等は当然市の
機構の中に
港湾局あるいは
港湾部を設けて、これが
行政管理に当
つておりますが、
東京都はこれと比較いたして参りますと、非常に広汎な水域を持
つて参りますので、
東京都におきましては
港湾局の一局を設けて、この
港湾行政に関する
仕事をさせることがいいと考えて参りまして、ここに
港湾局を一局挿入して参
つたのであります。
次に
建築部を、
人口二百五十万以上の
府県にこれを設置するということにいたしておきましたのは、今日
日本の
現状は、
住宅いまだ三百五、六十万戸不足をしておりますときに、この
建築事務はきわめて
重要性を持
つております。同時にまた、大きな
都道府県におきましては、
防火建築、あるいは
耐火建築、あるいは
耐震建築等のいろいろな
建築技術の
問題等も含まれて参りますので、当然これは
建築部という
一つの部を置きまして、そうして
住宅及び
建築に関する
事項を掌握させることが適当ではなかろうかと考えて、ここに設けた次第であります。
次に、第二百七十六条の
改正に関する
部分を削
つたのでありますが、第二百七十六条の
改正案によりますと、
行政区の
選挙管理委員会を廃止するという案に
なつておるのでございますが、少くとも今日の
選挙管理委員会は
選挙の
事務管理でなくして、
選挙自体を管理する
委員会でありますので、
選挙の行われまする
行政区画に対しましては、これを管理する
選挙管理委員会があることは当然だと考えております。御
承知のように、五太市にありまするいわゆる
行政区の長は、
都道府県会議員、あるいは
市会議員等の
選挙は、
おのおの区の
行政区画においてこれを施行いたしておりますので、先ほど申し上げましたように、
選挙を行いまする
行政区画に必ず
選挙管理委員会を置くことが、
選挙の公正を期する上に、あるいは
事務の煩雑を避けることのためにも、必要かと考えて、この
改正部分を削除いたしたのであります。
次に、第二百八十一条の二の
改正に関する
部分を削るということでありますが、これは
東京都のいわゆる特別区の
区長を、
政府原案によれば、
都知事の
任命によ
つて、そしてこれに対して
区議会が
同意を与えるというような形式に
なつておりますが、これは今日の
東京都の特別区は市に準ずるということは、
地方自治法で明記されておりまして、
従つて当然固有の
事務があるということを考えて参りますならば、われわれは
憲法の九十三条の解釈から、当然これを一個の
自治体と認めるということに
なつて参りますと、そこの
自治体の長は必然的に公選でなければならないということが、理論上正しいと思うのであります。
従つて今日の段階におきましては、
知事がこれを
任命し、そして都
議会がこれを承認するというような形に
なつて参りますと、固有の
事務を持
つておりまするその長は、
都知事の
意思のままに
任命されて、その
区長が、
任命権者である
都知事に対して責任を負うということに
なつて参りまして、区民と
区長との間が非常に疎遠に
なつて参るのであります。
区議会というものが区民の
意思決定の機関であるにかかわらず、区民の
意思決定の機関である
区議会の
意思を尊重しないで、
都知事の
意見を尊重して、これに責任を負うというようなことは、これは
運営上の非常に大きなトラブルが起る危険性もありますし、同時に政治の取引その他のいろいろな問題を起すことを考えて参りますと、これは当然
憲法九十三条の
規定を尊重いたしまして、私
どもは
区長の
任命制に対しましては反対をいたします
関係から、二百八十一条の二の
改正に関する
部分を削除いたしたいと考えておるのであります。
次に、「第二百八十二条の
改正に関する
部分の次に次のように加える。第二百八十二条の次に次の一条を加える。第二百八十二条の二 都は、特別区の
処理する業務に要する
財源について、特別区との
協議により、充分な
財源を確保できるように
財源措置を講じなければならない。」と
規定しておりますものは、先ほど申し上げましたように、都の特別区は自治区であります
関係から、その与えられておりまする
行政事務を遂行いたしますには、どうしても
財源の裏づけが必要であるために、特にこの一項を挿入いたしまして、これが十分なる
財源の確保の措置をした次第であります。
さらに
附則第七項を次のように改めました。「
改正後の
地方自治法第百五十八条第一項から第三項までの
規定にかかわらず、
改正前の
地方自治法第百五十八条第一項から第三項までの
規定により設けた
都道府県の
局部のうち、道における
建築部並びに
府県における農地部、労働部及び
建築部については、なお、従前の例により存続させることができるものとし、
都道府県におけるその他の
局部については、この
法律施行の日から起算して五月以内に限り、なお、従前の例により存続させることができるものとする。」こういう
規定をいたしましたのは、
改正法案によりますと、
都道府県の
局部の中に、
建築部は先ほど申し上げましたように、
人口二百五十万以上のものには、すべてこれを残すことにいたしましたが、二百五十万以下の
府県におきましても、今日当該
府県が必要であると認めておりまする
建築部に対しましては、なおこれを存続することが、先ほど申し上げました
理由と相合致する道だと考えておりますので、これを存続することにいたしました。同時に
府県におきましては、農地部あるいは労働部が廃止されておりますが、わが国の現下の情勢は、特に農地に対しましては、一応農地
改革が終了したかのごとき形は示しておりますが、実際におきましては農地の
廃置分合等はいまだ完全にこれを終了いたしておりませんし、また将来
日本の農村を完全なる農地
改革の線に基いて行おうといたしますならば、当然今日の山林原野、牧野等の開放もまた行われなければならないことは、必然的の運命を持
つておりますので、それらに備えまするためにも、やはり現在農地部を必要として存置いたしておりまする県に対しましては、農地部を存置させるということが、私
どもは妥当ではないかと考えて、挿入いたしたのであります。次に労働部におきましても、今日
日本の自立経済の観点から申し上げましても、また
日本の国内情勢から考えて参りましても、労働問題はきわめて重要な問題であるということは、皆さんもよく御
承知の
通りであります。従いまして、この労働部が現在置かれておりまする
都道府県におきましては、これの必要性を認めて労働部を設置いたしておりますので、
改正案のようにこの労働部をなくするようなことは、時代に対しましてもきわめて認識不足であり、言葉をかえて言いますならば、やはり時代に逆行した
一つのものの行き方ではないかと考えておるのであります。従いまして、社会的に、現実的にきわめて重要な労働部を現在存置いたしておりまする
府県におきましては、なお従前
通り労働部を存置することができるという
規定に改めようとして、この
附則七項をさつき申し上げたように
改正いたしたような次第であります。
以上が私
どもの
提案いたしました
修正案の概要であり、さらに
修正条文のすべてであります。何とぞ十分御
審議の上、御賛同あらんことをお願い申し上げる次第であります。