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1952-05-29 第13回国会 衆議院 地方行政委員会 第56号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月二十九日(木曜日)     午後零時十八分開議  出席委員    委員長 金光 義邦君    理事 河原伊三郎君 理事 野村專太郎君    理事 吉田吉太郎君 理事 床次 徳二君    理事 門司  亮君    生田 和平君       今村長太郎君    大泉 寛三君       川本 末治君    佐藤 親弘君       橘  直治君    前尾繁三郎君       鈴木 幹雄君    大矢 省三君       立花 敏男君    大石ヨシエ君  出席国務大臣         国 務 大 臣 岡野 清豪君  出席政府委員         総理府事務官         (地方自治庁次         長)      鈴木 俊一君         総理府事務官         (地方自治庁行         政課長)    長野 士郎君  委員外出席者         専  門  員 有松  昇君         専  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 五月二十九日  委員山口喜久一郎君辞任につき、その補欠とし  て田渕光一君が議長の指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  地方自治法の一部を改正する法律案内閣提出  第一七五号)     —————————————
  2. 吉田吉太郎

    ○吉田(吉)委員長代理 これより会議を開きます。委員長指名により、私が暫時委員長の職務を行います。  地方自治法の一部を改正する法律案内閣提出第一七五号を議題として質疑を行います。本日は岡野国務大臣出席を求めておりますので、総括的に御質疑をお願いします。大泉寛三君。
  3. 大泉寛三

    大泉委員 大臣がお見えになつておりますから、ちよつと伺いたいと思います。  東京都の問題でありますが、東京都の歴史的な発展は、よく私どもわかつておりますけれども東京都の設置されるときに、二つ性格があつて、いわゆる東京府と東京市が合わさつて東京都になつておる、こういうふうに聞いておりますが、この都市部分、元東京市の区域は、いわゆる現在の特別区になつておる。また郡部の方は東京府の性格を持つておる。こういうふうに、二つ性格が合わさつて東京都になつておると私思うのであります。そこで東京都の問題に対しては、いろいろ今日特別区を中心として問題になつておりますが、これはあくまでも二つ性格一つにして、しかもこの二つ性格行政上に現わして行かなければならぬというように私ども思うのであります。そこで政府としては、行政上これを一本の東京都として見られておるのか。あるいは従来府の所管であつたところの郡部を、やはり別個の取扱いとするのであるかということを、大臣に伺つておきたいと思うのであります。
  4. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。東京都というものは非常な沿革がございまして、そしてお説のようにいろいろ変化をして来ておるのでありまして、新自治法といたしましても、何か都そのもの性格が非常にあいまいなものになつておるようであります。しかし私ども自治の本旨から申しましても、それからまた社会的の実勢から申しましても、昔の東京市というものは、首都建設法ができましたごとくに、一つの市として見るべきものだと思います。その点におきまして、いろいろ私は今後東京都そのもの性格というものにも相当深い検討をしまして、元の郡部と元の市というものの性絡を、もう少しはつきりしたいと考えておりますが、これは後日の問題に残しまして、ただいま私が考えておりますことは、元の東京市であるところの二十三区がばらばらのの独立の町として存在して行くというようなことは、首都建設関係から考えましても、また昔の沿革から申しましても、また社会的の今日の存在の実勢から申しましても、一体をなすべきものである、こう私は考えておる次第であります。ですから御質問、御疑念の点なんかは、やはり幾分割切れぬ点がありまして、御説と同じことでありますが、これは後日の研究にまかせたいと思います。
  5. 大泉寛三

    大泉委員 そこで東京都を論ずるには、やはりそうした沿革、歴史的な発展から論じなければならないのであります。戦災をこうむつてほとんど廃墟になつた後は、いろいろまた様相がかわつてつたのでありますが、今日の東京都は戦前の様相に返つております。またそれ以上にいわゆる昔の市の区域から、昔の郡部の方に発展膨脹して来て、かわつて来ております。これは昔の東京府の区域だけにとどまらず、隣県千葉、埼玉、神奈川等に及んでおりまして、いわゆる都民経済的な発展というものは近県にも及んでおります。これに対して政府としては、やはり東京都の性格を昔の市と府下の郡という二つに見る以外に、もう一つやはり東京都の発展過程というものを見なければならないのではないか。従来二つ内容を包蔵しておつたばかりでなく、発展過程における隣県にも及ぶ一つ経済的勢い影響力というものをどういうふうに見られるか。  それからもう一つは、東京都という一つ特殊性、これはいわゆる全国を代表しておる都市であり、首都であります。そういう立場においては、他の大きな市や県と違つた性格において、東京都を見る必要があると思うのでありますが、政府所見としてこれをいかように考えておられるか、その考え方によつては、いろいろこの法案についての自分たち意見もまた違つて来るのでありますが、一応この点に対する御所見を承つておきたい。
  6. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。お説もまた御理想もしごくごもつともでございまして、ただいま東京都はだんだんと元の東京府の郡部方面まで発展し、市部にならんとしております。またなつております。同時に千葉県だとか、近県方面のいわゆるサバーブと申しますか、東京市に隣接しておるところの市町村、そういうものもやはり東京市と少しもかわらないような性格を備えつつありますから、私はこれははたして実現できるか実現できぬかわかりませんけれども東京都というものはお説のごとく日本の国都でありまして、また政治中心であり、同時に経済中心でもある非常に重要なる地位を占めるものであります。そこに住んでおるところの住民というものは日本全国を代表し、また日本全国政治経済に非常に影響を及ぼすような人が住んでおる区域でございますから、これは市川市とか何とかいうように、近県の市でなくて、交通機関も昔と違いまして、ほとんど市内と同じようなことになつておる次第でございますから、そういうものもやはり含めて首都にして行きたいというのが私の理想でございます。そういたしますと、都の残存部分とか、また近県残存部分というものにも、相当の考慮を拂わなければならぬと思います。これは私の理想でありまして、国会に押しつけがましい意見を申すわけではございませんけれども、こういうことがあればこそ、やはり道州制をつくつて、県というものをある程度整理して行つた方がいいのではないか、こういう考えを私は持つております。
  7. 大泉寛三

    大泉委員 大臣お話を聞いて非常に心強いと思うのでありますが、大臣理想よりも、現実の方がずつと進んでいるのではないかと私は思う。それは近県衛星町村あるいは都市といわれるような所は、まるで東京都民のねぐらである。いわゆる通勤人をもつて一つの町なり、市なりの大部分を占めておる。この衛星都市といわれるところの町は、金もうけやあるいは働き場所は東京でいいかもしれないけれども、収入のない、いわゆる負担力のない人だけがはみ出されて、何とか東京都の経済的な、財政的な援助をしてもらわなければいけないというようなことを聞くのであります。そこで東京都あるいは近県という一つ行政区域があつて、いろいろ県を通し、あるいは都を通しての問題というものは早急に解決しないと——はり国として大方針なり、あるいはそういう大臣理想をもつておられるならば、現実相当進んでおるのであるから、これに対しては相当進んだ手を打つてもらわなければならぬと私は思うのであります。ただいまこの法案の審議中でありまするけれども、そうした大臣の意図があるならば、私は相当ここに盛り込んでもらいたかつた、こう思うのでありますが、実際はそうでありませんで、国会としてこれに何らか、いわゆる東京都に関する限りは特別な考え方で臨まなければならないと思うのであります。そこでつけ加えますが、現在の東京都はいわゆる一つの地方自治体でありますけれども、この東京都の現状を見ると、ほとんど交通網はなつていない、もうほとんどわれわれは交通のために時間を制限せられたり、あるいは目的を達し得なかつたというような場合が多々あるのであります。これが東京都としては財政上の立場からは、せつかく金をかけて直しても、また道路を狭めて行くような結果に、いわゆる都市計画なり、あるいはいろいろな計画をやつておる。そういうことは東京都市全体がどうも将来行き詰まつて、どうにも動きがつかないような結果になる。こうしたところを見ると、国としてこれは何らかの施策を与えてやらなければならないのではないか。こういうふうに私は思うのであります。東京都は二地方団体として国の首都として、国の施策によつて相ともに助け合い、協力して、そうしていわゆる東京都は真の首都としての面目を形づくつて行かなければならないのではないかと思うのでありますが、これに対しても大臣の御答弁をもう少し飛躍してもらいたいと私は思いますが、御意見をひとつ大臣から承つておけば幸いだと思います。
  8. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。一つ申訳をしておかなければならぬことがありますが、今回出しましたところの改正案は、現状においておもなるねらい簡素化をして行きたい、こういうことが主眼でございまして、ただいま仰せのごとき御趣旨はわれわれもしごく同感でございまして、またその方向に邁進しなければならぬと考えております。その点は大きな問題でございますので、地方制度調査会でそのことを取上げたいと存じております。それからまた御説にありましたところの理想は、これは私ども同感でございますから、できるだけその方向に進むように調査会でひとつ検討したい。こう考えております。今日そういう方面に触れ得なかつたことは、一に今度の自治法改正は、まず第一に現状のままにおけるところの市町村団体に対して、まず事務簡素化をして行きたい、こういう意味から出しましたものでございますから、御趣旨に合わないようなことになつておるかもしれません。これはただいまも申し上げました通りに、ただ現状のままにおいて行政簡素化をするというねらいのものでございます。しかしながら根本の問題は将来これを考えなければならぬ、そうしてその根本的の考え方といたしましては、御説は私ども考えておりますと同じ意見でございますから、十分尊重いたしまして、今後調査会でお練り願つて、実現の方向に進みたい。こう存じております。
  9. 床次徳二

    床次委員 東京都の問題についていろいろ御意見伺つたのでありまするが、東京都の区というものに対しては、将来どのように政府としてはお考えになつておられるか。将来の御方針について大体推察しておられるところがありますれば伺いたいと思います。
  10. 岡野清豪

    岡野国務大臣 東京都の区につきましては、今回自治法改正案で出しましたごとく、大阪とか、名古屋のような単純なる行政区にしてしまうという考えではございませんで、やはり一つ法人格を持つたところの行政区域ということにして考えて行きたいと思います。ただそういうふうにして行くべく考えてはおりますけれども、しかし都並びに元の東京市の区域というものは、これは首都として一体をなすべきものであつて、これがばらばらになるべきものではない。こういう建前からできるだけ一体となり得るような方向に特別区を養成して行つて、そうして広汎な事務でございますから、ある程度の——ある程度と申しますか、限られた、与えられたところの自治権をもつて自治区を養成するけれども、都と一体としての調和というものもまた十分とつて行かなければならぬという意味で、今後もやはり特別区というものは、法人格を持つた一つ自治団体ではあるけれども、限られたる権限を保持するものであつて、都と一体をなすものである。こういうような性格に持つて行きたいと考えております。
  11. 床次徳二

    床次委員 新聞で見ますと、都と区の問題に関しましては、一応都議会におきまして一つ具体案を得たように見ておるのであります。すなわち知事の推薦しましたものに対しまして、区会がこれを選任するというような案を出しておるようでありますが、この案に対しまして政府としてはどのような考えを持つておられますか。
  12. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。私どもは都と区というものが、別別の地方団体であるというような形に見える今日の現行法は、これは市すなわち二十三区の存する区域一体としてやつて行かなければ、ほんとう住民の福祉というものは増進されない、こういうような意味から、これを一体にしたいと考えまして、そうしてその一体とするという意味におきまして、区長ばらばらの、区民だけの方針によつて出て来るよりは、やはり都全体に、すなわち都知事との間に血の通つた区長であつてほしいという意味から、今回の区長任命制を提案しておる次第であります。しかしながらこれをもし新聞に出ておりますような改正案でお進みになる、すなわち国会でそれでお進みになるということになりますれば、はなはだ不満ではございますけれども、われわれの目標といたしました都と区というものの連絡がつくという道になつたという意味においては、がまんのできない修正ではない、こう考えております。
  13. 床次徳二

    床次委員 大体大臣の御趣旨を伺いますと、都と区の間が、都の一体性というものを尊重した制度でありたいという御趣旨のようでありますが、そういう一体化の目的でありますならば、まだまだほかにも考え方があるのではないか、やはり他の必要な行政につきまして一元性を与えるということができましたならば、そういう制度には別に御反対はないはずだと思いますが、その点はいかがですか。政府の原案だけでなければいかぬということではないということは、ただいまの妥協案でもあるいは賛成されるようなお話がありましたが、それ以外の案につきまして、一体性が維持できるならば、政府としては反対はなさらぬではないかと思いますが、その点はいかがですか。
  14. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。先ほども申しましたように、都と区が一体であつてしかるべきだ、またそうあつてほしいが、これが東京二十三区が一体をなしたところの東京というものの行政が、円満にまた非常に住民に便利な行政ができて行くという意味におきまして、区長任命制としたわけでありまして、その案といたしましてはいろいろわれわれも研究いたしましたけれども、今回提案いたしましたところの区長任命制が一番すつきりして、同時に都と区との間が一体をなし得る最良の方法である、こう考えまして提案いたした次第であります。先ほどお述べになりました新聞に出ておるような案でも、まあ一体をなす、われわれの目的不満ではあるけれども目的を達し得るだろうという考えでございますから、もし国会がそういうことできめるとおつしやれば、いたしかたがないと思います。またほかにどういう方法があるか存じませんが、その方法はいずれその具体案を承りました上で私が勘案したいと存じます。
  15. 門司亮

    門司委員 私はこの機会に大臣にひとつ総括的に聞いておきたいと思いますが、今度の自治法改正案は、主として神戸勧告の案に基いて改正された、こう解釈してよろしゆうございますか。
  16. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。神戸勧告を尊重いたし、またこれは非公式のものでございますけれども政令諮問委員会とか、あるいは税の懇談会とかいうようなもののいろいろな趣旨も勘案いたしまして、今回の自治法改正案を出したような次第であります。
  17. 門司亮

    門司委員 この改正案の中には、必ずしも行政簡素化でなくして、行政上のある一面から見れば、單に政治的に改正されたような面がたくさんあるのではないかと思いますが、神戸勧告に基いて一応なされた、その他の委員会意見を聞かれたというのでありますが、その次の性格としては、主としてこれは行政簡素化を基本とされて、改正されたものであるというふうに解釈してよろしゆうございますか。
  18. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。主なる目標は、行政簡素化目標としていたしたものであります。
  19. 門司亮

    門司委員 行政簡素化が大体主なる目的だということになつて参りますと、この法案内容は、行政簡素化という名前のもとに、都道府県知事並びに内閣総理大臣が諸般のことについて、非常に権限を持つようになつております。たとえば市町村境界変更その他に対しても、関係市町村議決のあつたものを、従来ならば、当該都道府県議会議決を経て、内閣総理大臣ただ通告をすればよかつたのでありますが、これらはやはり事前に協議するようなことになつておる。それからそのほか、境界変更あるいはそういうことをしようと思う場合には、知事はこれを市町村に勧告したり、あるいは計画を立てたりすることができる。さらに内閣総理大臣と、あらかじめこれを協議しなければならないというように、趣旨はなるほど一面行政簡素化のようになつておりますが、役所手続が多少煩雑になつてはいないか、従つて行政簡素化といいながら、実際は中央集権的のものになりつつあるようなきらいを、多分に持つておるのでありますが、そういう意向はないかどうかということ、こういうことを私が質問いたしますのは、この内容をずつと見て参りますと、地方公共団体の持つておりますほんとうの使命、いわゆる住民のサービス・センターとしての役目を十分に果すようにしようというようなことは、ちつとも見えないのであります。行政簡素化といつて、單に議員の数を減らしてみたり、あるいは議会の回数を減らしてみたり、こういうものが減つてみたところで、ふえてみたところで、実際上はそれによつて、直接何ら日常の住民立場からする事務簡素化にはならないのでありまして、いわゆる行政簡素化というのは、役人考えた、役人だけの行政簡素化であつて住民簡素化にはならないと思いますが、この点、大臣は、これで住民自身の生きて行く上における役所との間における簡素化ができておるというふうにお考えになつておるかどうか。
  20. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。先ほど行政簡素化を主なる目標としていると申し上げましたが、これはおもなる目標行政簡素化でございますが、しかしながら過去数年間の経験によりまして、自治行政を円満にやつて行くのには、あちらこちらでいろいろ紛争が起きたり、あるいはぎこちない点があつたりなんかしますから、そういう点もやはりこの際自治行政が、円満に運営されるようにして行くために、いろいろの改正も出ておる次第でありますから、行政簡素化だけでやつているということではございません。
  21. 門司亮

    門司委員 そういたしますと、この問題は、やはり住民を主体とした簡素化でなければ、正しい地方行政簡素化にはならないと私は思う。役所手続だけをいかにかえてみたところで、これは何にもならぬと思う。その中の最も代表的なものは、この中にあります例の二百七十六條でありますか、行政区におきまする選挙管理委員会をなくする、こういうことでありますが、きのうも鈴木君と議論をいたしましたが、行政区はおのおの選挙行つております。大阪においても、京都においても、その区が一つ選挙区單位となつて御存じのように府県会選挙あるいは市会の選挙というものは、区の行政単位行つておる。同時に、区の仕事といたしましては、戸籍事務をここで取扱つておる。さらに戸籍事務に関連いたしております選挙人名簿調製をおのおのの区がいたしておるのであります。この区の選挙管理委員会をなくして、市の選挙管理委員会一本にしようということになりますと、なるほど役所的の行政簡素化はできるかもしれませんが、住民のための行政簡素化にはちつともならないと思う。選挙管理委員会は、実質的に選挙を管理するものであつて事務を管理するものではないということになつて参りますと、やはり選挙の行われます地域には、ちやんとそれを監督し得る権限を持つた選挙管理委員会というものがなければならないと思う。選挙人名簿調製にいたしましても、脱落あるいは重複等がありますならば、それは選挙管理委員会という、一つ権限のある委員会の責任でなければならぬ。人間の基本的の権利に関するものが行政事務の端のように考えられて葬り去られてはならないと思う。そういうことが考えられないで、行政区の選挙管理委員会をなくする、そうしてこれが行政簡素化だということは、住民にとつては迷惑だと思う。單なる役所的の物の考え方であつて大臣の合の御答弁とは少し違うと思う。  もう一つ最後に聞いておきたいと思いますことは、先ほどから各委員から言われておりますが、東京都の区の問題でありますが、今度の改正案で、きのう次長に伺いますと、大体区の事務としてやるべきものとして、従来ありましたものに対して五つあるいは六つの事項が加えられておるのであります。これらが大体区の事務として見るべきものであろうというような御答弁がありましたが、こういうものを区の事務として見るべきであろうということになつて参りますと、必然的に今日の東京都の区は、自治法で指定いたしておりますように、やはり市に準ずる一つの固有の事務といいますか、こういう行政事務を持つことになる。そういたしますと、どうしてもこれはやはり憲法九十三條に基いてその長というものは公選でなければならないという議論が、ますますこの改正案で強くなつて来るのであります。こういう点の矛盾は一体大臣はお考えになつていないかどうか。
  22. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。行政区における選挙管理委員会を廃止するということにつきまして、市は一体をなして、そうして行政区においては、東京都におけるがごとく区会とか何とかいうものがございませんで、区だけの選挙というものはないものと私は考えております。市全体として考えるべき選挙はございます。そういたしますれば、市全体が管理委員会を持つておれば、それでたくさんである。また区に対してそういう仕事があれば、市から区に委任しまして、選挙人名簿の作成とか何とかいうことはやつてよいことだと思います。  もう一つ私が考えたいことは、区の選挙管理委員会というものを、四年に一回あるのに、何も市にもあり、区にもあるというふうにして置く必要はないと考えます。そしてその選挙のときに市全体の選挙管理事務というものを区にも委任し、同時に市の管理委員会が一元的にやつた方が公平に行くんじやないか、こう考えております。  それから第二段の、特別区におきましていろいろ事務がふえて来ておる、それだから公選をしなければならぬ、こういうような御説でありますけれども、私はこの点におきまして、特別区というものは法人格を持つた一つ自治区ではあるけれども、しかし御承知の通りに、警察でも消防でも、また道路でも、みた都が二十三区を一体といたしましてできておるのでございまして、特別区そのものが完全な自治体、すなわち自治法上における完全な市町村と同じようなものではない、私はこう考えております。その意味におきまして、財産区とか一部事務組合とかいうふうな公共団体一体と見ていいように思います。特別区の区長公選しなければならぬということは、憲法に対する何らの違反でもなかろう、こう私は考えております。
  23. 門司亮

    門司委員 言葉じりをとるようでありますが、たとえば財産区あるいは一部事務組合というようなことが、今の大臣のお言葉の中にありましたが、財産区というのができましたのは、御存じのように、何も行政的に全体に及ぼすものではありませんで、従来の共同の部落有財産というものの処置を、市町村に寄付いたしませんで、その人たちだけが持つてこれを運営して行こうという一つのものであつて、これは一般の行政とは当然切り離して考えらるべきものである。従つてこれらを運営することのために、便宜的の処置——というと、少し語弊があるかもしれませんがとにかくそれを処置することのために、ああいう法律が設けられておるわけであります。それからさらに一部事務組合におきましては、これは単なる事務を処理することのために、総合的に関連を持つものが行うのでありまして、その事務といえども、やはり従来の市町村が持つておりまする事務の総合的な調整であつて、決して市町村事務から離れたものを、ここでやるわけではないのであります。従つてこれを町村の事務組合あるいは財産区と同じようにお考えになつておるところに、私は大きな間違いがあると思う。財産区の形でありまするならば、区会議員はなるほど選出はいたしますが、しかしその区会議員を選出いたしまするにつきましても、おのおのの財産区の規定により、あるいはそこに居住するのが五年でなければいけないとか、あるいは六年でなければいけないとか、その財産を所有する部落の住民に対しましては、今日選挙法と異なつた規定が設けてある。そしてこれがおのおの選挙されておる。しかもそこには長の選挙をしない。それの管理者は大体当該市町村長かこれに当つておるということが現在までの常識であつて、そういうふうに私ども考えて参りますと、どうしてもこれを財産区というような軽い意味で、今日の東京都の区というものは考えてはならないと考えておる。ここにも書いてありますように、従来三つか、あるいは四つしかなかつた事務が、今度新たにその事務の上に五つの事務が加えられておる。これは非常に私はおかしいと思うのであつて、従来の区であるならば、四つかそこらしかやれないために、今度これが任命制になれば、これだけの仕事をやらせようと法律できめるところに私はおかしいところがあると思う。もし当局のお考えのように、これだけのものが当然固有の事務というか、区の行うべき事務であるといたしまするならば、今の大臣の御答弁では、私どもはさつきも申し上げましたようなことで、非常に大きな考え違いがあるのではないかというふうに考えておるのでございまして、大臣憲法違反ではないというお考えでありまするが、私どもといたしましては、少くとも今申し上げましたような理由で、これは非常に憲法違反の疑いがあるということが考えられるのであります。従つて要約して申し上げますると、これらの問題、それからさらに都道府県あるいは市町村議会の定員を減らそうという考え方、こういうものにつきましても何も特にこれらの人間を法的にきめられなくても、現行法におきましても、市町村の議員というものは自主的に減らすことができるようになつておるのであります。別段こういう法律がなくても私はやれると思う。むしろ民主主義の建前から行くならば、こういうことをお互いが慫慂して、そして住民の自由な意思の上に、これを減少するという形に持つて行つた方が正しいと思う。法律で何でもかでも縛つてしまうということは、法律の行き過ぎだと思う。それからたとえば次の定例会の問題にしましても、今六回ありますものを一回にして、あとは臨時会にする。ことに矛盾もはなはだしいと思うのは、五大市というような大きな市は一律にこれを十日とするというようなことを書いてある。これは広げてもよいという鈴木君の御答弁でありますけれども自治法全体を私ども見て参りますと、五大市に対しましては、いずれも百五十五條の二項の市ということで、特別の市ということは御存じ通りであります。にもかかわらず、右の市会の会期の問題だけは、普通の小さな町と同じようにこれを考えておる。ここにこの法案がいかにずさん——というと語弊がありまするが、神戸委員会の勧告をそのままうのみにされて、あまり自治庁では検討しないで書いたのではないかというようなきらいが多分にあるのであります。従つて、幸いにあとの地方制度調査会の設置法が、おそらくこれも通過するでございましようから、こういう政治的の問題、それから実質的に疑問のある問題等はそこに移して、ここでさらに検討することがいいのではないかというふうに、私は考えるのでありますが、大臣がもしそういうお考えがあるならば、大臣の方でこういうややこしいところだけは削られて、あらためて出し直されるという御意思があるかどうか。
  24. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答えを申し上げます。先ほど一部事務組合とか財産区を例にとりましたので、少し誤解があるようでございますが、私の申しますことは、地方公共団体として自治法に載つております公共団体のうちにも、長を公選しないでもいいというものもあるという例にとつたわけでございまして、少くとも日本憲法におきましては、公共団体というものをつくつて、そうしてその公共団体の長並びに議員は、公選によるという根本原則は定めておるのであります。しかしその地方公共団体のあり方というものは、一に法律にまかしておる次第でございます。でございますから、法律によつて、すなわち社会情勢、またいろいろその地方の事情とかいうようなものによりまして、こういう自治団体憲法上にいうところの自治団体にした方がいいだろう、またこういう自治団体憲法上の自治団体にしなくてもいいけれども、単なる行政区であつては、ぐあいが悪いというようなことは、一にかかつて自治政策上の実際問題でございますから、その自治政策上の実際問題といたしましては、私は特別区というものの長を公選にするよりは、都と一体をなしておるものでございますから、都とよく連絡のつくような選任方法をとつた方が、自治行政の円滑を期する上において非常にいい、こう考え公選制を任命制にかえる、こういう趣旨でございます。でございますから、憲法上にいうところの地方公共団体というものはこういうものであり、そして憲法上にいう地方公共団体ではないけれども、しかし法人格を与えて、今までの伝統とか何とかもありましようし、また事情もありましようし、そういう意味においては単なる行政区というものよりは、やはり法人格をもつてつた方が、今までの伝統にも沿い、また行政の円滑も期し得る、こういうふうな意味において、特別区というものはそういうような意味自治団体にして行こう、これは自治政策上考えたことでありまして、法律でこれを改廃すればできるという考えであります。  それから議員の定数の問題でございますが、これはなるほどお説のように、市町村の議員は自由に條例によつて増減できることになつておりますけれども、都道府県のはそういうふうになつておりません。とにかく規定通りでございますから、これもやはり住民の意思を尊重して、そうして自由にできるようにした方かいいだろうということから、今改正した次第でございます。それで議員の定数を減らせるような情勢に基準がなつておりますが、しかしこれは終戦後の財政困難な場合におきまして、終戦前よりは約十人くらいずつ増しておりますから、せめて国力から行きましても、戦前の状態を基準にした方かいいんじやないかということで割出したものでございます。同時にこれを法律にによつて強制するわけじやございませんで、地方々々の住民の意思によつて、これを増減し得るという道を開いておりますから、これも自主性を地方住民に与えたいという意味においては一つの進歩だと思います。  それから定例会の問題でございますが、これは御承知の通りに、地方自治を確立します上におきましては、地方住民自治の訓練をさせる意味におきまして、定例会も六回ということにしてやつておる次第でございますけれども、過去の現実を見ますと、まず一番大事なのは予算を編成するときの定例会でございます。これは一年間の計を樹立する重要なる定例会でございますから、当然通常国会と同じように一つ残して置く。しかしながら一月おきに重要なる法案があつてもなくても定例会を開いて行こう、こういうことにいたしますと、理事者の立場から申しますと、一箇月おきにしよつちゆう定例会を開いて、そうしてその方に没頭して、ほんとう行政の方に自分自身の力を盡すことができぬというような欠陷もありましたし、また今度の改正法といたしましては、必要があればいつでも臨時会を開いて、そうして定例会にかえることができる。同時に臨時会と定例会と名前は違いましても、開いた以上は同じ権限議会は持つわけでありますから、その意味におきまして何ら私は支障はないというふうに考えておりますので、私はこの点において必要のない定例会——必要のないとは申しませんけれども、重要性が大分違つて来るところの定例会は、必要に応じて臨時会をもつてこれにかえた方が、ほんとう地方行政の実情に即したものじやないか、こう考えて今回の改正案を出したわけでございます。
  25. 門司亮

    門司委員 私はもう一つ聞いたのであります。さつきのような理由でそういう問題のところは撤回されたらどうかと考えたのですが、今大臣答弁から見ると、どうも撤回されるらしいような気風はないのであります。最後に私はもう一つ聞いておきたいと思いますが、今の大臣の言葉の中で、東京都の区は自治区としての性能といいますか、仕事が比較的少いから、これは法律で憲法に多少疑いはあつても、任命制にした方がいいんじやないかということで、——なるほど憲法を施行いたしますには、どうしても法律でなければならないと思いますが、しかし憲法を曲げて法律をこしらえてもいいということには、私どもにはあまり受取れぬのであります。その点もう一ぺん大臣の御答弁を願いたいと思います。大臣の御意思は、東京都の区は、普通地方公共団体としての取扱いをする必要がないものであるというように、はつきりお考えになつておるかどうか、この点をもう一つ念を押しておきたいと思います。
  26. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。第一点の撤回するかどうかというお話でございますが、私どもは確信を持つて提案をしておる次第でございまして、絶対に撤回をする意思を持つておりません。  それから第二点の、憲法上に疑いがあるというように——私はそういう言葉を使つた覚えはございませんが、もしそういう言葉を使つていたら、速記録を訂正していただきたいと思います。私は違憲であるとかどうとか、疑いはあるけれどもやるという意味じやなくて、絶対に疑いはない、そうして憲法に称するところの地方公共団体は、私は府県市町村憲法に称する地方公共団体であるべきものである、こう考えております。そうして憲法論から申しますれば、憲法に書いてある以上は、憲法に称するような地方公共団体自治法上に一つも書かないでやつて行くことは、これは違憲でありましよう。しかしながら、少くとも憲法の要請するところの地方公共団体自治法にある以上は、ほかの自治団体をいかにつくるかということは自治政策上の問題であつて、実際に即してどういうふうに組織運営をして行つたらいいか、この問題は一にかかつて法律がこれをきめるべき、またきめてさしつかえないものだ、こう確信しております。
  27. 吉田吉太郎

    ○吉田(吉)委員長代理 立花君。
  28. 立花敏男

    ○立花委員 最初に集団示威運動等の秩序保持に関する法律案の提案理由の説明に関して、委員長にお願いしておきたいのです。この問題は重要な法案なので、定足数をそろえてやつていただきたい。  もう一つは、齋藤国警長官が提案理由の説明に参つてつたのですが、これはあくまでも当該の責任者があるわけなんです。あるいは責任者にさしつかえがあれば、国家公安委員もおるわけですから、事務当局からこういう重大な法案を私どもつても何にもなりませんので、やられる場合には、さいぜん申しました通り定足数をそろえることと、責任者がはつきり提案理由を説明をすること、これを委員長に申し入れておきたいと思いますが、委員がどうですか。
  29. 吉田吉太郎

    ○吉田(吉)委員長代理 御意思はよく尊重して善処します。
  30. 立花敏男

    ○立花委員 岡野氏にお尋ねいたしますが、今度の自治法改正によりまして、地方議員の数は大分減るのですが、どれくらい減るか承りたい。
  31. 岡野清豪

    岡野国務大臣 事務当局に計算いたさせまして答えさせます。
  32. 長野士郎

    ○長野政府委員 ただいまのお話でございますが、今回提案いたしております議員定数の基準通りに府県市町村が定数をきめるということで考えますと、府県におきましては約四百四十人程度が減少になる予定であります。市につきましては約千八百六十人、町村につきましては約二万四千二百六十人、総計二万六千五百六十人程度の減少と推定されるのであります。
  33. 立花敏男

    ○立花委員 そういたしますと、大体地方議員は二万六千人ばかり減ることになりますが、それに間違いありませんか。
  34. 長野士郎

    ○長野政府委員 改正法案の基準定数通りにやられればそういうふうになります。
  35. 立花敏男

    ○立花委員 岡野さんにお尋ねいたしますが、地方の議員を二万六千人減らしまして、警察予備隊を三万五千人ふやすことは、一体どういうことなのですか、これが地方の民主化であり、日本国民の自治を進展すると、私ども受取れないのですが、この点御説明願いたい。
  36. 岡野清豪

    岡野国務大臣 ただいまの問題は地方行政とは何らの関連のないことと存じます。
  37. 立花敏男

    ○立花委員 これは地方自治とは関係がないことはありません。片一方で予備隊を七万人ふやす、聞くところによりますとさらにもう七万人ふやすという案があるそうですが、こういうことの必要のために、やはり地方の経費を減らす、そのためには議員を減らすという形が出て参つておりますので、全然別個のものではないはずなんです。政府は個々別々に、まつたばらばらに政策を立てているのではなしに、一つの大きな方針のもとに地方の自治の問題、この自治法改正の問題も私は出て来ていると思う。改正が全然他の問題と関係がないとは、必ずしも言えないと思うのです。事実現在地方の自治あるいは地方の財政、行政等を困難に陥れておりますものの根本は、やはり日本の再軍備なんで、日本の再軍備が日本自治を破壊しているということは間違いないところなんです。自治と再軍備とは関係がないと言われましてもこれは納得できませんし、特にこの自治法改正で二万六千人の地方の議員を減らしながら予備隊を七万人ふやして行くということは、全然関係のないことはないわけなんです。もつと明らかに言いますと、予備隊の七万人をふやすために、地方議会の議員二万六千人を減らしているということが当然言えるのですが、これが関係ないとは一体どういう意味なんですか、承りたい。
  38. 岡野清豪

    岡野国務大臣 えらいところにひつかけられまして、どうも非常に恐縮でございますが、国政と申しますものは、大局から行きますればこういうことが必要である、でございますから必要の点においては必要なことをし、不必要なときには不必要とする、こういうことが私は原則だろうと思います。そこで私ども立場といたしましては、地方の議員は戦前におけるよりは約三十人くらいふえている。そういたしますと、国力の点から申しますれば、戦前よりはよほど落ちているのでございます。でございますから少くとも戦前程度まで地方の議員を減らすということは、私は国力にまだ相応していないと思いますけれども、そのくらいの程度にとどめておいて行政をやつて行きたいと思います。  それから予備隊をふやすということでございますが、これは私は見地がすつかり違うと思います。地方の自治と何らの関係のないことである。国家的要請として予備隊を置かなければ治安の維持ができないという見地から、予備隊を置くことになつたのでございまして、私はそれはまた別問題で、これを地方行政簡素化とか、議員の定数を減らすということに連絡をおつけになることは、私は少し考え方が違うのではないか、こう考えております。
  39. 立花敏男

    ○立花委員 東京都になぜ自治区を置いたのか、基本的な考え方をひとつ……。
  40. 吉田吉太郎

    ○吉田(吉)委員長代理 立花委員に申し上げますが、今岡野国務大臣は本会議出席の要求がありますので、今説明をされてすぐ……。
  41. 立花敏男

    ○立花委員 それではほかの質問をやります。自治区を置いた理由がわからないらしいのですが、それはおいておきまして、区長任命制になりました場合に、どういう区長を任命する予定なのか。都知事がやるのでしようか。政府としてはどういう考え方なのか。私どもが聞くところによりますと、すでに四十名ばかりの戦犯関係の内務官僚の古手の配置が、もうきまつているといううふうに聞いているのですが、そういう計画があるのか承りたい。
  42. 岡野清豪

    岡野国務大臣 大分論理が飛躍いたしますが、これをごらんの通り今まで区長をしている人は、そのまま任期までそこに置くということですから、いろいろな昔の追放解除の人とか何とかいう者を配置をしているということは私聞いたこともございませんし、これは三年か四年先の問題であるから、今からそんな予定はつかぬことと思います。
  43. 立花敏男

    ○立花委員 それからもう一つ聞いておきますが、地方自治団体が外人等を雇う場合の規定はどうなつているか。これをひとつ……。
  44. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 それは地方公務員法の関係の問題でございますが、地方公務員法の中におきましては、特に外国人が公務員になるということについて、明確な規定がないのであります。その点は国家公務員法におきましては、たしか個人的な契約の基礎におきまして、たとえば学校の講師というようなことを嘱託いたしますことについては規定を置いておりまするが、地方公務員につきましてはそういう規定がないのであります。従いまして外国人が外国の政府の職員になるというようなことになりますと、自国の国籍を失うというような建前になつている国が多いと思うのでありまして、そういうような当該外国人の属する国の国籍法等との関係上、実際の支障があるのではないかと思つておりまするが、地方公務員法自体としては、現行法におきましては特にこの点につきましての制限的な規定は設けてないわけであります。
  45. 立花敏男

    ○立花委員 それはぜひ私は設けるべきだと思う。現在すでに司法機関には有名なアメリカ人が四、五人来ておりまして、司法行政にアメリカの指導がこういう形で入つて来るのは事実なんですが、地方機関にやはりこれから続続と外人が入つて来る可能性がありますので、この点は明確にして置く必要があると思うのですが、この点どうお考えになつているか。地方公務員法の改正をおやりになる意思があるのかどうか、承りたい。
  46. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 外国人が地方公共団体の公務員として続々入つて来るというような情勢は、ちよつと私ども理解に苦しむのでありまして、もしさような実際上の問題が起りましたならば、起りましたときに処置をいたしたい、かように考えます。
  47. 立花敏男

    ○立花委員 起つたときにどういう処置をするのですか。追い出すのですか。
  48. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 日本人につきましては、憲法十四條に「すべて国民は、法の下に平等」でありまして、日本国民については憲法上そこに差別を設けることはできないわけでありまするけれども、外国人につきましてはその者が地方公務員になりまする場合におきましては、人事委員会におきまして受験資格あるいは選考なり、採用の場合の方式によりまして、法律上特別な規定がございませんでも、当該地方団体は任用しないという措置をとることは可能でありまするし、また実際において、たとえば語学等の関係で必要になる場合におきましては、そういうものを拒否する必要はないと思うのでありまして、これは特に立法措置を講じませんでも、実情に即した適切なる措置がとれると思いますけれども、もしもさような措置をもつては不適当な問題が起つたといたしますならば、そのときにしかるべき措置を考えたい、こう思います。
  49. 立花敏男

    ○立花委員 さいぜんも申しましたように、すでに中央の司法機関でももう起つておりますので、地方自治体にも外人が入つて来るだろうと思うのです。こういうことは当然予想されます。と申しますのは、地方機関に対する占領軍の要求は実に多く、かつ強烈なものがありますので、これを実現いたしますためには、どうしても地方機関への外人の就職、介入ということが当然私は出て来ると思うのです。たとえば東京都におきまして、横田等の軍事基地、あるいは軍事工場等に対するいろいろな都の施設、バスを引けとか、あるいは水道を引けとか、あるいは道路をつけろとか、こういう要求は非常に多く起つて参ります。あるいは羽田の飛行場の問題もあるでしようし、東京港の問題もあるでしよう。こういう問題に対して、彼らにいたしましたならば、東京都の機関の中に外人を入れておくことは、はなはだ便利なのです。これは私は非常にたくさん入つて来るだろうと思う。こういう問題に対して何ら措置を講じてないということは、これは日本自治行政をアメリカに売り渡すものである。アメリカに門戸を開放している。そういう形にならざるを得ないと私は思う。今そういう危険がないから、そういうことをしないのだということは、あまり事態を見ていないからじやないかと思います。この点は地方公務員法の中ではつきりと、外人は地方機関に入れないようにしておく必要があると思います。日本の軍閥が大東亜戦争をやりましたときを思い出しますと、司政官という形で各州に日本の軍閥が参りまして、そうしてその地方々々の政治を牛耳つた、これは忘れがたい事実なのです。こういう形が必ず地方にも出て来るのじやないか、さいぜん言いましたように、地方の自治体に対する占領軍の要求が種々雑多であり、非常に強烈であることを考えますと、この形は必ず起つて参りますので、これに対する措置は当然とるべきだと思うのですが、その点どうお考えになつておるか承りたいと思います。
  50. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 軍の駐留に伴いますことにつきましては、日米合同委員会におきましてそれぞれ協議をいたし、円滑なる調整を行い得るようになつているわけでありまして、今立花さんが心配されるような事態は、私どもはまつたく起つていない。将来そのような事態が起りましたらというような仮定の事実に基きまして、今ここでそのことについていかがいたすということは申し上げられないと思います。
  51. 立花敏男

    ○立花委員 私どもはB・二九が三多摩に落ちましたときも、すでに地方の自治機関が外人の手によつて麻痺してしまつたことを知つておるわけであります。あるいはあの基地の周辺の自治体に対しまして、この基地における人夫、あるいはM・Pの補助者等の要求が殺到しているということも聞いておりますし、あるいは防空に関する直接の指示もあるということも承つております。そういう形で、特にこの東京都におきましては占領軍関係の要望が強いわけです。おそらく東京都の機関の中に外人を入れて来ることは、明々白白な事実だと思うのです。そういう場合にアメリカ人を入れないという規定をつくることは、ぜひとも必要だと思うのです。そういう措置をおとりにならない考え方だと思うのですが、これは事実を誤るもはなはだしいと思うのです。  それから道州制の問題ですが、現在の地方自治法改正案を見ましても、地方議会権限を非常に縮小するという形が現われておりますし、現在規定しております府県等の協議会等も、議会の形式をとつていないことは事実なのですが、道州制をお考えになる場合に、道州制では議会をおつくりになるのかどうか。これはこの法案にはありませんので、多分構想にとどまるだろうと思うのですが、そういう形で議会を持つております府県をなくしまして、議会を持たない道州制で、協議会の形で自治体を支配して行くということを考えておられるのかどうか、これを一つ伺いたい。
  52. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 道州制の問題は重要な問題として検討いたしたいということは考えておるわけでございまして、地方制度調査会において検討してもらいたいと考えておりまするけれども、その具体的内容については、まだ何ら政府としての案は持つておりません。私どもといたしましては、やはり道州というものは自治体という形において、少くとも議会は置くべきであるし、その方が適当であるという考え方を持つておりますが、しかし政府としてはあくまでも地方制度調査会の答申にまつて問題を勘案したい、こういう考え方であります。
  53. 床次徳二

    床次委員 この機会に伺いたいのですが、東京都の性格が漸次かわりつつあるという、多少変更する趣旨においてこの提案がされておりますが、区の性格変更した場合に、区の構成員たる区民に対して意思表示その他の手続を要するかどうかという点について、御研究になつておるかどうか、従来村が町になり、あるいは市になりまする場合は、それぞれの手続を経ておるのであります。自治体がある程度までの変化をいたしましたときに、法律でもつて規定せられたからというので、それでいいかどうかという点であります。特に本法におきましては、明瞭に区の性格変更を書いてない。区長その他の手続あるいは所管事務変更は書いてある。一番本質的なものは「都に区を置き」云々という表現によつて、実際上の変化が示されておるのが今度の規定なのでありまして、こういう規定によつて多少の公共団体性格変更というものが、そのまま効力を生じていいものかどうか、手続上の問題につきまして御研究になつておるかどうか、伺いたいのであります。なお従来かかる性格変更がありました場合の取扱いがいかがになつてつたか。單に法律にこの程度の規定があることで、効力を発生しておるかどうかという点について伺いたいと思います。
  54. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 私どもといたしましては、特別区の自治に関しまする性格あるいはその程度というものを変更いたしましても、そのことにつきましてただちに当該の特別区民の意見を徴するとか、その他の実際上の措置を講ずる必要はないというふうに考えておるのであります。と申しますのは従来の例におきまして、たとえば市制第六條に「市ノ区」と昔申しておりましたが、京都、大阪の区というのは自治法が施行されますまでは、自治区であつたのでありますが、それが行政区になりました。その際もちろん特に当該区民に対しまして、特別の措置はとつておりません。一般的な制度といたしまして、地方公共団体に関しまする法律制度を設けまする場合におきましては、そのことについて特に憲法九十五條の規定によります特別投票を要する場合におきましては別でありますけれども、一般的な制度として規定をいたしまする場合には、その必要はないと考えておるのであります。
  55. 吉田吉太郎

    ○吉田(吉)委員長代理 本法案に関する質疑は、これをもつて一応終了いたすことにいたします。  暫時休憩いたします。     午後一時三十一分休憩     —————————————     〔後は開会に至らなかつた