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1952-05-28 第13回国会 衆議院 地方行政委員会 第55号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月二十八日(水曜日)     午前十一時十八分開議  出席委員    委員長 金光 義邦君    理事 河原伊三郎君 理事 野村專太郎君    理事 吉田吉太郎君 理事 床次 徳二君    理事 門司  亮君       生田 和平君    大泉 寛三君       川本 末治君    小玉 治行君       佐藤 親弘君    橘  直治君       前尾繁三郎君    大矢 省三君       立花 敏男君    八百板 正君  出席政府委員         総理府事務官         (地方自治庁次         長)      鈴木 俊一君         総理府事務官         (地方自治庁行         政課長)    長野 士郎君  委員外出席者         專  門  員 有松  昇君         專  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 五月二十八日  委員田渕光一君及び龍野喜一郎君辞任につき、  その補欠として山口喜久一郎君及び小玉治行君  が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 五月二十七日  地方公営企業法案の一部修正に関する請願(石  川金次郎君紹介)(第三二四九号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  地方自治法の一部を改正する法律案内閣提出  第一七五号)     —————————————
  2. 金光義邦

    金光委員長 これより開会いたします。  地方自治法の一部を改正する法律案内閣提出第一七五号を議題として質疑を行います。本日は第三編特別地方公共団体以下、別表の前までについて質疑があれば許します。なお前会欠席の方はそれより前にさかのぼつて質疑していただいてけつこうであります。橘委員
  3. 橘直治

    橘委員 これまで欠席をいたしておりましたので、若干元へもどるかもしれませんが、お許しをいただきたいと思つております。  私が御質問申し上げたいと思いまする点は、主として市町村境界に関し争論がある場合の第九條の箇所であるのでありますが、第九條の第二項に「前項規定によりすベての関係市町村申請に基いて」大体こういうふうに記載をいたしてあるのでありまするが、第一項の際には單に「関係市町村申請に基き、」 かように相なつておりまするので、つまり関係町村のうちのかりに一箇市町村からの申請があつた場合といえども、これを第二百五十一條規定による調停に付することが可能に相なつているよう考えられるのであります。しかし第九條第二項に参りますると「すべての関係市町村申請」、かように相なつておりますが、この点から申しますると二百五十一條規定による調停に付することができましても、あとに書いてあります府県知事裁定をする権限がなくなつて行くのではないか、かように実は案ぜられるのであります。特にこの條項は、市町村境界に関する紛争の場合には、あるいはすべての関係市町村からの申請があるかもわかりません。おそらくあるのが常識として考えられるのであります。しかし最後の第十一項におきまして「市町村境界変更に関し争論がある場合にこれを準用する。」かように相なつておる。この條項と双方勘案して境界変更に関する申請という場合を考えてみますると、おそらくはその境界変更によつて有利なお立場にありまする市町村の方は、これは申請があるかもわかりませんが、その境界変更によつて、いささか不利というふうに考えられまする関係市町村の方は、おそらく申請をしないのじやないか。おそらくはそういう場合が絶対多いのじやないか。ほとんどの場合がさようであるのではないかというふうに考えられるのであります。そうした場合には、実際第九條の改正法案によりまして、果実を求めようとしても遂に果実を得られない結果に相なる。果実を得られないよう法律は、法律じやないじやないかというふうに、私としては考えておるのであります。自治庁におかれましては、この点どのようにお考えになつておいでになるか。一応御意見を承りたいと考えております。
  4. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 市町村境界に関して争論がある場合の問題につきましては、現行法におきましては、御承知のごとく裁判所がこれを処理するように相なつておりまするが、こういう争論解決をいたしますのには、裁判所ような機構よりも、やはり一般調停制度を利用した方が、よりよく適切妥当なる解決を得られるであろうということで、この調停制度を、今回の改正案においては境界争論につきましても、これを入れることにいたしたわけであります。調停に関しましては両者争論があるわけでございますから、いずれか一方の当事者から申請をいたしますれば、調停を開始するということでよいわけでございまするし、またそういたさなければ調停制度が活用されないわけでございます。そういうことで、調停申請があれば、知事としてはその事件のために適当と認められる調停委員を委嘱いたしまして、調停に付することになるわけでございますが、調停委員調停をいたしました調停の結果を、関係市町村勧告をいたすわけでございますが、勧告を受けました市町村が、文書によつてこれをともに承諾をするという場合に効力を生ずる。もし承諾をしなければその調停の効果は生じない、こういう建前に二百五十一條ではいたしておるのであります。ところが、この裁定でございますが、裁定の方は、それによりまして関係当事者を拘東することに相なるわけでございまして、さようになることにつきましては、やはり自治体区域に関する問題でございますから、関係市町村がそういうような結果になつた場合に、それを承服するということを前提として裁定行為に入りませんと、非常に無理な事態を起すようなこともあるのではないかというふうに考えられるわけでございます。従いまして裁定の場合におきましては、関係市町村がすべて申請をした、それによつてなお調停による境界の確定ができなかつた、あるいはすべての関係市町村から裁定申請があつた、こういうような場合に限りまして、裁定をやる、こういうふうにいたしておるのであります。これに関連をいたしまして、市町村境界変更について争論がある場合に、これらの規定準用するというのが、九條の末項にあるわけでございますが、この趣旨につきましては、ただいま橘委員仰せになりましたように、境界変更につきまして、それを非常に熱望いたす関係地方団体、あるいは関係地方団体の一部の区域があるわけでございますが、反面またさようになることにつきましては、市町村自治の安定を害する、こういうような心配もあるわけでございまして、やはり市町村境界に関する争論に関する規定を、境界変更の場合に準用いたします場合におきましては、そのよう裁定の場合におきましては、すべての関係市町村がその裁定を求めるというような場合において、裁定を行うというよう建前にいたしまするほかはないのではないかというふうに考えておる次第であります。
  5. 橘直治

    橘委員 そこが実は問題なのでありまして、私も申しました通り境界に関して争論があります場合には、おそらくは関係市町村が全部裁定申請するかもわかりません。しかし境界変更に関します場合には、有利な場合にあります市町村は当然申請があるとしても、これによつて不利を招く市町村は、絶対に市町村議会議決を経て申請をするという段階には立ち至らないと思うのであります。こういつた場合には、先刻も申しました通り果実を與えられない。何のためにこういつたような第九條の改正をやつたのか、全然意味がないわけであります。客観的に第三者が見て、いずれもこの境界変更した方がいい、その方が合理的であるというふうな見解を表示いたされております問題を、私は存じているのでありますが、あいにくとその変更してほしいと称しております地区は、現在属しております市町村内におきましては、きわめて小さな地域であります。住民数も少い。また議会議員も一名も送つておらないというふうな現在の実情から見ますれば、とうていその市町村議会議決を得るということは、とうてい不可能であります。私が申し上げたいことは、そういつたような場合といえども、何かここに都道府県知事裁定まで持つて行ける道を開いておく必要があるのではないか。そういう点で第十一項のこの政令内容に相当御考慮あつてしかるべきではないか。成規手続によつてその希望しておりまする境界変更希望しておりまする地域内の住民投票の結果をもつて、その当該市町村議会議決にかわるものとするとかなんとがいつたような道を開いておかないと、この第九條の改正によつて果実を求めるということは絶対不可能であります。問題は第十一項の政令内容のいかんにあるわけでありまして、政府といたされましては、今私が申しましたようなお考えがありますかどうか、この点をお伺いいたしておきたいのであります。この第九條の関係で、私といたしましては、あなたの方のお考えを聞いた上で、この法案を若干修正いたしたいというふうに考えておるのであります。
  6. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ただいま橘さんの仰せになりましたような場合をいかにいたすかということでございますが、最近の開拓地、ことにかつての陸軍の演習場でありますとか、その他の用地におきまして集団開拓部落ができた、あるいは深山幽谷と申しますか、今まであまり人跡のないようなところに集団開拓行つた、あるいは湖水とか海面の干拓をいたした、こういうような場合におきまして、従来と事情がまつたく一変いたしましたのにかかわらず、従来通り市町村行政区分をいたしておりますために、せつかく本来一体であるべきその開拓集団部落の共同的な社会生活が破られる、行政区画があまりありますために、集団的な開拓生活が困難になるということが、間々指摘されておるのであります。そういうような場合、あるいはこれらに類するような場合においては、この末項の十一項に関する規定が実益を生ずるのではないかと思うのであります。これらの場合において、橘さんの仰せになりましたように、関係市町村が全部意見が合致するということは、必ずしもすべての場合に期待できないというふうに考えます。しかし少くとも公平な第三者的機関である調停委員調停の結果については、文句を言わないでそれに服従する。こういう関係当事者の間の意見の合致がありませんと、やはり非常な無理なことに相なり、かえつて将来また紛争を起すのではないかというふうにも考えられますので、この政府の案におきましては、ただいま申しましたよう事態の点を主として考慮いたしまして、かよう規定を設けた次第であります。
  7. 橘直治

    橘委員 私の存じておりまする実例は、これは鈴木次長も御承知でもありましようが、一昨年の五月四日改正をいたされました、例の戦時中の強制合併云々といつたような場合、住民投票の三分の二の多数があつて県議会が四合の三の数でもつて承認を與えた場合に分離するというあの改正法によりまして、先般分離されました一つ自治体があるのであります。その分離の際は、非常な紛争紛争を重ねまして、改正をいたします前には、三分の二の多数の分離住民投票を得て県議会に持つて行つた県議会賛成二十一票、反対二十一票の可否同数で、逐に裁断を下し得なかつた。その後におきまして、一昨年五月四日の改正があつた。その改正によつて県議会の四分の三の数でもつて承諾を與えたわけであります。今私の申しますのは、その当時から独立をいたしました自治体の一部の住民が、熱烈にその分離反対をいたして参つておるのであります。経済、文化、教育、あらゆる面から考えてみて、とうてい一昨年分離をいたしました自治体には存在いたしがたい。かつまた昨年八月であつたかと思いますが、この地方行政委員会からも現地を視察いたしております。視察をいたされました御意見によれば、やはりどうも不合理だという御意見が多いのであります。そういうようにたれが見たつて不合理なのですから、住民希望を達成してやるということは、この第二項の「すべての関係市町村」云云によりますと、とうていこれは実現不可能なのであります。こういつたような場合もお考えになつて、私は当局といたされましては、先ほど申しました通り分離希望しておりまする地域内の住民意思を、どういうふうにして尊重し、どういうふうにしてこの住民意思を察知して行く機会を與えるか、要するに住民投票機会を與えて、その住民投票の結果を、どのように重視して行くかという問題を考慮すべきであります。これらの点に関することをこの政令の中に表わしていただけるかどうか、この点をあらためてお伺いをいたしたいと思うのであります。
  8. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ただいま第九條の末項の説明に関して申し上げましたわけでございますが、橘さんの仰せになりましたような事例も若干はあると思います。埼玉県の飯能町というところにも、そういつた実例があるのでありますが、政府におきましてこの法案立案をいたします際に、そういうよう紛争が深刻であれば深刻であるほど、調停というよう行為も、非常にむずかしくなつて来るわけでございます。ことに裁定というような拘束的な方式を適用して、強圧的にと申しますとやはり語弊がありますが、そういうような形できめてしまうということは、どうも自治体区域に、直接関係をいたす問題でございますので無理ではないか。戦時中の古い立法例においては、市町村境界変更につきましては、必ずしも市町村議会賛成をしないでも、知事がこれを処分をするというよう立法例もあつたわけでございますが、現行地方自治法におきましては、市町村廃置分合境界変更ということは、いつでも議会議決あることを前提にいたしておりますので、そういうような点から申しまして、先ほど申し上げましたよう干拓地開拓地、あるいはこれらに類するよう事情のありまする場合以外の一般的な市町村境界変更につきまして、ただちにこの規定を適用いたしまして裁定という行為を行うことは、なお政府としてもいま少し研究を加えて、結論を明確に得られました後においていたしたい。しかしながら、ただいま御指摘ような場合につきましても、一方の当事者から調停申請がございまするならば、公正なる一つ境界変更に関する理想案調停案として勧告をする、こういう道が準用の結果当然にあるわけでございますので、それによつて若干なりとも紛争解決というものに一歩を進めることができるのではないか。目下の段階におきましては、そういう一方の当事者調停申請に基きますところの調停制度の活用によりまして、御指摘ような場合の紛争解決をはかるべきものではないだろうかというふうに考えているのであります。しかしながら、ただいま御指摘になりましたよう事態につきまして、そのままそういう紛争解決する道をつくらないで放置しておくということは、もちろん適当でないわけでございますので、政府としては、将来ともなお研究を重ねまして、妥当なる解決方式考えられましたならば、またあらためて制度上の問題として考案いたしたい、かよう考えておる次第であります。
  9. 橘直治

    橘委員 御苦心の点はよくわかるのでありますが、問題点はやはり住民意思を尊重する機会をどこにおいて與えてやるのか。私の存じております範囲から申しますと、その地域内の住民の多数の意思境界変更希望しております。その区域のかつて住民投票の結果は九八%までが変更希望しておるのであります。でありまするから、ほとんど全部が希望しておるといつてもいいのであります。そういつた地域住民希望いかようにして達成してやる道をあけてやるのか。かつまた、そういつた住民意思尊重機会を、この政令のうちのどこかにはさんでやつていただけるかどうか、この点に関する質問をいたしておるわけであります。
  10. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 第九條の十一項におきましては「前十項の規定は、政令の定めるところにより、市町村境界変更に関し争論がある場合にこれを準用する。」かようにございますので、九條の第二項の裁定に関する規定準用になるわけであります。準用の本文が「すべての関係市町村」と相なつておりまするので、政令規定をいたしまする場合におきましては、やはりその建前を踏襲するという考え方で、これは立案をいたしたものでございます心
  11. 橘直治

    橘委員 よくわかりますが、問題は、私が再三申し上げておるように、境界に関し紛争がある場合には、この第二項の「すべての」云々でもいいと思う。しかし境界変更に関しまする争論の場合には、これがあつては空文化して行くわけであります。この点に関しまして、第九條関係は、境界争論の場合と境界変更に関する争論の場合と二段階にわけて考える必要があると考えておるのであります。この二段階にわける考え方政令の中に盛つていただけるかどうか、ぜひ盛つていただくべきである。そうでないと、せつかく改正をしても何ら果実を與え得ない結果になるのであります。これは政府としても十分考えてやつていただきたい。でありますから、私が先刻申し上げました通り希望いたしておりまする地域内の住民投票の結果をもつて、あるいは三分の二の多数があつた場合にはその三分の二の多数の投票の結果を得て、府県知事に対して裁定申請のあつた場合には、これをもつてその地域内の市町村議会議決にかわるものとするとか何とかいつたような方途を與えてやらないと、これはまつたく空文化して行くわけであります。こういうような点を政令でうたつてほしいのでありますが、どういうようなお考えでありまするか。私はこういう具体的な点に関して御質問いたしたいと思う。
  12. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 末項の十一項で「政令の定めるところにより、」とございますのは、十項の規定準用いたします場合の、そのまま手続的に準用できないような点について政令規定したのでございまして、前十項の規定内容につきましては、準用し得る限り準用をいたしまして、境界変更という性質から見まして準用することが困難であるという点について、この政令で若干の調整をいたしたい、かよう考えておるのであります。従いまして、この政令に委任されておりまする範囲は、手続的な点を相当にしぼられておると、私ども考えておるのでございます。橘先生の御意見は御意見として十分拝聴いたしておきたいと思いますが、市町村境界変更ということにつきましては、市町村議会意思を無視して行われた戦時中の強行合併であつて——あるいは市町村議会の形式的な意見の一致はありましても、実質的にはそうでなかつたというよう戦時中の強行合併につきましては、御承知のごとく終戦後分離方式考えられておるわけでございまして、一定の期限つきでございましたが、その間に処理をする、こういう話であつたわけであります。そのほかに市町村一般的な分離制度は、第七條の本来の境界変更等手続で置きますほかに、いかなる場合にでも、ある地域の者が分離希望する場合に、それがかなえられるよう一般的制度をつくるということになりますると、せつかく合併で一緒になつようなところが、各方面で分離するというようなことになりまして、市町村の規模が必要以上に小さくなりはしないか。また、各所にそのためのいろいろな自治行政上の不安動揺が起つて来はせぬかというような点を私どもは若干憂慮いたしておるのであります。そこでただいま橘先生仰せになりましたような、九八%も関係区域住民分離することを望んでおるというような場合に、はたしてどのよう方式考えたらよいか、そういう事態と、半面、おちついておるのがそういう制度ができたために、いろいろ問題を起すという一面の不利益もあるわけでございます。これら両者を勘案して、しかもこれならば合理的であるという適当な解決の方法が、実は私どもも非常にいろいろ苦慮いたし、十分研究いたしたのでございますけれども、どうもその点についてのきつぱりとした解決策というものが、なかなか得られないのであります。今申し上げましたこの十一項は、私ども主としては開拓地干拓地といつたようなところに、新しくでき上りました部落協同生活というものと、自治団体区域との関係調整をねらつておるわけでありますが、一般的にこの境界変更につきまして、かつて行われておりましたよう投票制度による分離方式を認めることがいいかどうかということにつきましては、どうも私どもまだ最後結論に到達しかねるのであります。それならば、そういうことは全然認めないでいいのか。こう言われますると、これもどうもそれだけではやや足らぬのではないかというふうに考えておるのであります。私ども実はなかなかこの点につきましては、解決名案を得るに苦慮いたしておるのであります。従いまして先ほど来るる申し上げましたよう趣旨で、今しばらく研究の時期を與えていただきたいというのが、私どもの念願でございます。
  13. 橘直治

    橘委員 どうも鈴木さんの御苦もある縫答弁は、よくわかるのでありますが、これを簡單に審査をやつて行つて、大体やつて行けると思いますか。この点もよくおわかりになつていらつしやると思います。と申しまするゆえんは、これは調停委員調停によつて、この境界変更に関しまする問題は絶対に結論を得ないのであります。これは絶対といつていいくらいであります。いかなる名案調停案をおつくりになつたとしても、片一方がこれをのめば、片一方は絶対にこれはのむものじやないのであります。でありますから最後はどうしても県知事裁定に持つて行く以外にはないわけでおります。でありますから私はこの点を強く申し上げておるわけでありまして、もちろんこういつたような場合には、利害相反しまする二つの自治体の中へ入りまして、裁定をいたしまする際には、最も公平、また希望しておりまする地区住民の幸福、安寧が、いかよう裁定によつて達成し得るかというような点を、これは当然都道府県知事としては勘案した上での裁定であろうというふうに考えておるのであります。でありますから、最終的には都道府県知事裁定の線まで持つて行かなければ、問題の解決は絶対できつこないという、この明白なる事実の上に立つて申し上げておるわけであります。  私の質問はこれで打りたいと思いますが、最後関連がありまするからお伺いをいたしまするが、第二百五十一條規定によりますると、調停委員三名でありますが、これは都道府県知事が委嘱をいたしまする場合には、その都道府県内から選ぶのであるか、あるいはまた全国的な広い見地から選定し得るのであるか、こういう点が明白でないのでありますが、どういうふうになつていますか。
  14. 長野士郎

    長野政府委員 ただいまのお話の二百五十一條調停委員の選定でございますが、法文で県内に限るというよう規定を設けておりませんから、これは広く全国から適当なる方を選んで、自治紛争調停委員に任命することができる、そのよう考えております。
  15. 金光義邦

    金光委員長 ただいま二百六十四條以下別表の前までについて質疑を願つております。但しそのほかの部分でも御質疑がございましたらけつこうでございます。
  16. 佐藤親弘

    佐藤(親)委員 二百七十三條の四項を三項と直し、「前項」と記載したのは、第一項と第二項を含めた趣旨か、第二項のみをさすという趣旨ですか。
  17. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 これは第三項を今回削除いたしたのであります。従つて三項の規定がなくなりましたので、前項というふうにいたしたわけでございます。従つて第二項を意味しておるわけでございます。
  18. 佐藤親弘

    佐藤(親)委員 前の一項は意味しないわけですね。
  19. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 そうでございます。  それからなおこの際昨日佐藤さんから、現行法の二百四十三條の中に譲渡という言葉が一項には入つていなくて、二項に入つているのはどういうわけかというお尋ねがございまして、これは昨日印刷の誤りではないかと申したのですが、そうではございませんので、一項の方は競争入札の問題でございますので、譲渡というのは結局当事者間の合意によつて譲り渡します、いわば随意契約の場合に考えられるのであります。従つて一項の方の中には譲渡という言葉をことさらにはずしてあるわけでございます。二項の方には議会の同意を要する場合のことを書いておりまするので、これは譲り渡しの場合、すなわち競争入札に付するような場合以外の場合における譲渡につきましても、重要なものは議会議決を経なければならない、こういうふうに言うておるわけであります。そういうふうな考え方の違いがあるわけでございます。
  20. 床次徳二

    ○床次委員 二百八十一條の東京の区の問題でありまするが、区の事務としてあげましたもの、この列記事項が、従来の区の事務に比しまして、増減が行われておるかどうか、伺いたいのであります。
  21. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 その点は第二号に「主として当該特別区の住民の使用する公園、運動場、広場、」というのがございますが、その点は現在よりさらにつけ加えた点でございます。  それから第三号の社会教育に関することでございます。これも新しくつけ加えたものであります。第四号の「主として当該特別区の区域内の交通の用に供する道路を設置し及び管理すること。」これまた新しくつけ加えた点であります。今までこれは機関委任という形であつたのでありますが、これを区の仕事にしたわけであります。それから第五号におきましては、街路樹、道路の照明施設、それから道路の清掃事業、これはいずれも新たに区の事務として規定をしたわけであります。それから六号の公益質屋、公衆浴場、公共便所、このうち公益質屋は先般区に移管をしたようでございますが、従来はなかつた点であります。公衆浴場、公共便所も、これはこの案において新しく区の事務として規定をしたのであります。それからその次の七号の公共溝渠、これも新たに区の事務として移管をしたのでございます。
  22. 床次徳二

    ○床次委員 なお従来の法令によりまして市長、都知事の管理しておりましたものでありまして、これは区長に渡すのを適当と認められたものもあつたのではないかと思いますが、ただいまの修正によりまして、大部分そういう点が解決しておるのでありましようかどうでしようか。特に伺いたいのは、過般都区の調整議会におきまして、一つの妥協案と申しまするか、一つ結論を出しておつたのでありまするが、その結論現行法規のもとにおきましては実行できないという理由のために実施せられなかつた部分も相当あつたのでありまするが、今回の権限の付與によりまして、区の方にその未解決のものが與えられておるかどうかということを伺いたいと思います。
  23. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ただいま床次さんの仰せになりましたように、従来都から区に移管するということで話合いのついておりましたものにつきまして、なお移管ができなかつたというものがあるのであります。特にこれはいろいろ司令部との間の関係等もございまして、たとえば社会福祉事務所というようなものは、その社会福祉に関する仕事は、区において処理せしめ、あるいは区長に処理せしめて当然いいことのよう考えられたのでございますが、これらのことにつきましては、いろいろ司令部その他の関係の非常に複雑な事情もあつたようでございまするし、また児童福祉施設に関しましても同様なことで、問題があつたようでございまして、これらはいずれも法律改正いたしませんと、社会福祉関係ないしは児童福祉関係の事務移管はできないのであります。これはぜひそういうふうに将来して行くべきであるというふうに、今考えておるのであります。その他の問題につきましては、大体神戸勧告の線に出ておりまするところを基調といたしまして、それを若干修正をいたし、ある程度拡張いたしまして、区に移管する、こういう形をとつておるわけであります。
  24. 床次徳二

    ○床次委員 ただいま例としておあげになりましたところの社会福祉事務所並びに児童福祉施設の問題でありますが、これは住民とは非常に密接な関係が多いのでございまして、この取扱いについては、現行法につきましても問題があるのであります。ただ司令部の問題がありましたために、むしろ一般の要望がいれられなかつたのではないかというようなことが予想せられるのでありますが、今回司令部関係がある程度までかわつて参りますると、この点は新しい観点において処置できるのではないかと思うのでありまするが、もしさようでありまするならば、この問題につきましては、本法の施行におきましてもあるいは処置してよろしいのではないかということも考えられるのでありますが、この点当局としてはいかよう考えられておりますか。
  25. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 今御指摘のありました社会福祉事務所の設置管理に関する事務、あるいは兒童福祉施設に関する事務、この二つは社会福祉事業法及び兒童福祉法の改正を必要とするのでございますけれども、二百八十一條の第三項によりまして、條例で特別区に委任する、こういう方式を書いておりますし、それから二百八十一條のこの第三項でございますが「都知事はその権限に属する事務の中で主として特別区の区域内に関するものについては、都の規則により、これを特別区の区長に委任して管理し及び執行させるものとする。」こういう改正案規定の活用によりまして、法律上は都なり都知事の権限になつておりますものを、特別区あるいは特別区の区長に委任するという方式も、一応は可能になるわけであります。
  26. 床次徳二

    ○床次委員 ただいまおあげになりました二つの事例、すなわち第三項並びに二百八十一條の二の第三項の問題にありまするこの二つの項の適用によりまして、権限の委任が行い得るわけでありますが、この権限の委任を現行法において認めることができるかどうか、現行法におきましてかよう趣旨改正を行う必要があるか、あるいは規定がなかつたならば、かよう趣旨改正を行うかということに対しての御意見伺いたい。
  27. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 この点は、私どもの解釈といたしましては、他の法律が当該事務処理の一般的制度といたしまして、知事なり市町村長の権限、あるいは都道府県なり、特別区の権限にいたしておりますものにつきましても、この組織法でありますところの自治法の根本規定において、知事の権限を委任できる、あるいは都道府県の権限を委任できるというふうに書いてございますならば、その規定を根拠にして委任できるというふうに私ども考えているのであります。しかしながら特別の社会福祉事業法あるいは兒童福祉法におきまして、これらの点につきましてもさらに具体的な手続規定を設けるということになることがより望ましいわけであります。その点を将来これらの法律改正の際には、関係の所管の政府当局に改正手続をとつてもらうよう自治庁としても要望いたしたいと考えているのであります。
  28. 床次徳二

    ○床次委員 今日都と区の問題に関しましては、新しい今度の改正法が実施せられましたならば、すなわち任命区長が実現いたしたならば、都知事は任命区長に対して大幅な権限委譲を行うのだということを考えているようでありますが、ただいまの権限委譲は、今問題となつておりますこの二つの規定によつて実施することになるのでありますか。
  29. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 その通りでございます。
  30. 床次徳二

    ○床次委員 都の性格というものを改正するしないは別といたしまして、ただいま新たに規定ようとするこの二つの規定現行法に加えて、そうして現在の区長が行うということに対して、特別な支障がありまするか、どうですか、伺いたいと思います。
  31. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ちよつと御質問趣旨がわかりかねたのでございますが、特別区の事務の配分といたしましては、二項に書いておるわけでございますし、また特別区長の仕事といたしましては、二百八十一條の二の第二項に書いてございますが、そういう根本の規定のほかに、制度上都なりあるいは都知事の権限になつておりますものにつきましては、さらに主として特別区の区域内に関するものについては、これは都の條例なり都の規則でできるだけ区長に委任する、こういうことを明確に現わしますために、これらの三項の規定を設けたわけでございまして、これは單に委任することができるとかなんとかいうような根拠の権限規定を書いたと申しまするよりも、さらに一歩進みまして、委任するものとする、執行させるものとするということで、主として特別区の区域内に関するものについては委任することを建前とする、こういう考え方でございます。
  32. 床次徳二

    ○床次委員 現行法をまだ十分に研究しておりませんが、現行法におきましては、具体的に区の仕事というものがあがつておらないのでありますが、ただいまのような新しい二つの規定を加えますならば、現在の特別区長といたしましても、相当広汎な仕事ができることになるわけであろうと思われますが、いかがでしようか。
  33. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 その点は御説の通りでございます。
  34. 床次徳二

    ○床次委員 次に伺いたいのは二百八十一條の第一項であります。従来は「都の区は、これを特別区という。」というふうになつておつたのを、「都に区を置き、これを特別区という。」ということになりまして、非常に変更があると思いますが、この規定変更というものに含まれております事柄は、どういうような事柄が含まれておるか、御説明いただきたいと思います。
  35. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 この点は第二項なり、第三項なりにおきまして、この特別区の処理いたしまする事務の範囲というものを限定的に書いておるわけでございますが、そういうふうなことに若干関連があるわけでございまして、この区というものの性格は、やはり都と離れてある本来存する区というよりも、やはり都と一体になつてあるべき一つの機能的な地位を持つどころの区である、こういう考え方であります。現行法の「都の区は、これを特別区という。」これはその点を特に明確にうたつていないのでありますが、「都に区を置き、」という言葉にこれをかえることによりまして、区というものはやはり都と一体になつて仕事をすべきそういう性格のものである。従つて都に置かれる区である、こういう考え方を持つておるのであります。現行法の「都の区は、」というのは、その点が明瞭でないわけであります。しかし特別区の規定を全体として通観をいたしますれば、市に関する規定をたとえば適用するというふうになつておりますけれども法律なり政令なりで、それに対して特例が設けられるというふうになつておりましたり、あるいは都の條例で、特別区については必要な規定が設けられるということで、非常に広汎なる都の特別区についての制限規定があるわけでありまして、そういう点から申しますと、都の区というものは、やはり相当一般の地方公共団体とは異なつておる、そういう本質的な性格が現行法においてはあるわけであります。  さらに今回の改正案においては、事務の範囲、権能というものを、正確に限定をした形において規定をいたしておりますので、それらの点とにらみ合せまして、「都に区を置き、」というふうにいたしたのであります。
  36. 床次徳二

    ○床次委員 ただいまの御説明によりまして、大体輪郭はわかるわけでありますが、特別区は従来の性格で申しますならば、特別地方公共団体であるわけでありますが、ただいまの御説明のような形になりますと、これがいわゆる行政区という性格が、相当濃厚になつて来ておると思うのであります。かかる性格の変更というものが、ただいまの第二百八十一條規定の書きかえによりまして、効力を発するものかどうかという点について、相当疑問があるのではないかと思います。特別公共団体というものを廃止し、別の性格を持たせるというためには、さらにもつと別な手続がいるのではないかと思うのでありますが、この点に関する御意見伺いたい。この点に関しましては、あるいは学者などにおきましては、憲法に反するのではないかという説もあるのでございまして、地方自治庁の方の御意見を、もう少し詳しく聞かしていただきたいと思います。
  37. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 区の問題でありますが、これは特別区の性格といたしましては、地方自治法なりあるいはその他の各種の法律なりにつきまして、これを総合的に判断をいたしまして、その結果として特別区というものが現行法律制度上、どのような性格を與えられておるかというふうに、判断をいたすべきものと思うのであります。国法全体の特別区に関する規定を総合的に観察をして、その性格を判定すべきものと私ども考えておるのであります。従来地方自治法の特別区に関する規定におきましても、先ほども申し上げましたように、都の條例による規定というようなものがございますし、また特別区に市に関する規定を適用すると言つてはおりますけれども、同時に法律政令でその特例が設けられる、こういうふうにもうたつておりますし、また自治法以外の各種の法令におきましては、公職選挙法において、選挙権の住居期間について特例を定めておりまして、各特別区ごとに住居期間を計算するのではなくて、特別区の区域全体を通じて三箇月という住居期間を計算するというふうになつておりますし、その他税法なり、平衡交付金法なり、各種の国の法律におきまして、さような普通の地方公共団体と異つた特殊な性格を與えております。そういうような点を通観をして考えますると、現行制度におきましても、特別区というものは、これは普通の地方公共団体とはもちろん異なりまするし、また特別地方公共団体の中におきましても、特別市のような府県、都市という普通地方公共団体をあわせた性格の一般的な地方公共団体とは、やはり本質的に違うと思うのであります。そういうような点から申しますと、現行法建前におきましても、特別区につきましては、一般の地方公共団体とは異なつ制度上の性格が現に與えられておるわけでありまして、改正案におきましては、その点を都と特別区との関係において、より明確にいたそうというのがこの二百八十一條の「都に区を置き、これを特別区という。」こういう規定趣旨でございます。
  38. 床次徳二

    ○床次委員 当局の御意向も大体わかつたのでありますが、都と区の間において、一審重要なことは、都の一元行政に対して、区がそれに従うということが大事なんじやないか、それ以上にこの際、区に対して要求する必要はないじやないかと思うのでありますが、政府は一元行政を主張するのあまり、区の性格そのものもかえて来ているというところに問題があるのだと思います。一元行政を実施するために、区の性格をかえなければならぬかどうか。かえずして一元行政をなし得る道があるのではないかと思うのでありまするが、どうしても性格をかえないと一元行政にならぬかという点について伺いたい。
  39. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 区の性格をかえるといいましても、別に政府の案におきましては、特別区を行政区にしたということではないわけでございまして、自治区ではありまするけれども、その自治区としてのいわば程度におきまして、現在でも相当普通の地方公共団体と違つた特殊性格を持つておるものであると思うのでありまするが、その点をさらに制度上一歩進めて規定をいたし、事務の範囲というものを明確に規定をした。こういう意味において性格がかわつたというふうに申しておるのであります。性格がかわつたという言葉は、必ずしも適切な表現ではないかとも考えられるのでありますが、とにかく行政区にしようという政府考え方ではないのであります。都と区一体の一元的な行政を行う、要するに能率的な合理的な自治事務の処理をいたして、少い経費でできるだけ多くの福祉を住民に返す、こういう自治一つのねらいから申しますれば、やはり他の五大都市の制度等から比較して考えて参りますると、行政区という制度も理論的には考えられると思うのでありまするが、そういうような形は東京の区の従来からの深い伝統的な沿革にかんがみまして、行政区にすることは適当でない、こういうような形で都と区との関係がやはり性格上機能的にもつながりがある、こういう点を明らかにいたしたいというのがこの第一項の趣旨であります。そういうふうにすることによりまして、今仰せになりましたような都と区の一体的な行政がより促進される、より円滑に行い得るということをねらつておるわけでございます。
  40. 床次徳二

    ○床次委員 終りにもう一つつておきたいのですが、従来市町村の財政に関しましては、特別平衡交付金その他平衡交付金制度の運用によりまして、相当の事業実施に対して一応の財源を確保しておるのでありまするが、東京都内の区に対しまする事業執行のために、必要な財源というものに対しましては、特に明瞭な規定を設けてないのであります。従つてこれが都の條例によりまして、都で適当にこれを動かしておるわけでありまするが、特別区という区の維持経営のために、必要な財源を確保するという措置に対して、政府としてある程度まで考えておられるかどうか。これを全部都の方の任意にまかせ過ぎるのではないかという疑いを持つのであります。もとよりこれは條例によりまして都の権限でありまするから、都の自由であると言えばそうであります。しかしそのために特別な形でありまするが、区という一つの団体の発展というものを妨げる傾向もながつたではないと思うのでありますが、この点に関していかようにお考えになつておりまするか、政府意見伺いたい。
  41. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 この点は都と区との関係いかよう制度的に結びつけるかということが、一つのやはり行政の一体的運営の上から申しまして必要なわけでありまして、その一つとして議会方面においては、各特別区の区域が都議会議員の選挙区になつておるというようなことから、そこに一種の地域代表的な関係によつて、区と議会との関係はつながつておると思うのでございますけれども、執行機関の面におきましては、その点が必ずしも従来の建前におきましては密接な連絡がない。そういう点から考えまして、政府の案といたしましては、特別区の区長の選任の方式を、知事が都議会の同意を得て選ぶ、こういう方式にかえたわけでございまして、これは先ほども触れました特別区の性格という点から考えまして、そういうよう方式が憲法との関係においても特に違憲ではない、こういう結論に到達いたし、さような案を提案いたしたわけでございます。
  42. 金光義邦

    金光委員長 大泉寛三君。
  43. 大泉寛三

    ○大泉委員 きようの新聞で見ますると、青森県の県会議員の問題ですか、あれが青森の地方裁判所において総理大臣の意思が不明瞭である、いわゆる理由が成り立たぬというので、却下になつようでありまするが、総理大臣が地方議会意思とどういうつながりを持つて異議を申し立てて、あるいはまた今日に至つておるか、また今後において拘束されるのかどうかということをお聞きしておきたいと思います。
  44. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 青森県議会の懲罰議決につきまして、先般内閣総理大臣が行政事件訴訟特例法の第十條第二項によりまして、異議の申立てをいたしたのであります。これは青森県議会から総理大臣に対してそのような申出がございました。総理大臣はその事案を相当と認めまして異議を申し立てたものでございます。その総理大臣の異議を申し立てました理由といたしまするところは議会の懲罰議決というものは、地方自治法上議員の懲罰事犯に対しまして、あるいは戒告、陳謝あるいは出席停止あるいは除名というような四通りの懲罰の種類を設けまして、それぞれの懲罰事犯に対して、相当の懲罰を科するという権限を地方議会に認めておるわけであります。これは議会の秩序を議会が自主的に維持する。従つて本来ならばそういうような制裁というものは行われないわけでありますが、特に地方自治という建前から、また地方自治の中心の機関であるところの地方議会の自主的な自律的な秩序維持、こういう見地から、議会に対して特にそういう懲罰議決の自主的な権利を與えておるわけでありまして、そういう権限の行使につきまして、議決が違法であつたというようなことのために、その議決裁判所において取消すというようなことは、これは裁判権というものの存します限り当然でもあると思うのでありまするが、そういう口頭弁論を経た終局の本来の判決によらないで、單なる決定をもつてその事前の段階において、議会の懲罰議決の執行停止を命ずるということになりますると、議会の懲罰権というもの、それによる議会秩序の維持ということが行われなくなる。そこでそういう懲罰議決につきまして、常に執行停止をし得るということになりますと、これは地方自治の本旨がひいては維持できなくなるというよう考え方から、これは單なるあの事件という問題よりも、行政権全体のいわば責任者というような立場から、自治制度上あるいは自治政策上、議会の懲罰議決に対して執行停止をするということは不適当であるというよう趣旨で、異議を申し述べたわけであります。これにつきましては、裁判所の方でどういう御見解で、この異議の申立てを処理せられましたか、最近の新聞に、その異議の申立てに基く取消しをしない、こういうことを裁判所の方で表明されたように出ておるのでございますが、政府としましては、今申しましたような理由に基くわけでありまして、ことに懲罰議決につきましては、議決によつてただちに執行されるといいますか、効力を生じてしまうわけでありまして、執行を停止する余地は、法的にもむしろないのではないかとさえ考えておる次第であります。はなはだ遺憾でありますが、従来の総理大臣の異議につきましては、各裁判所におきまして、いずれもそれに基いて取消しをして来られたのでありまするが、今回取消しをしないということを表明されたことにつきましては、なおよく具体的な事情を調査しなければならぬと思いますが、どうもこの結果につきましては、はなはだ遺憾に考えておる次第であります。
  45. 大泉寛三

    ○大泉委員 総理大臣の名において異議の申立てをされることは、私は当然な処置と思うのであります。上級裁判に再びこれを提訴されるかどうかということも聞いたわけであります。どうも地方議会といえども自治を尊重している建前から行きまして、その内容に立ち入つておる問題に対しては、おおよそ議会全体の立場からこれを見た場合、あるいは個々の議員の身分保障という立場から見た場合、やはり司法権の発動はむろん司法当事者自体でこれをやるでしようけれども、少くともわれわれ議会人として許しがたい一つ行為ように思われる。あくまでもやはり自治制というもの、その議会議決というものは、他に容喙をされない尊厳なものであると私は思うのであります。そういう場合に、総理大臣の名においてそれを提訴されるということは当然である。その当然なことが踏みにじられた結果になつたという報道を受けておるということはきわめて奇怪千万である。これに対して当局はやはり何らかの手段に訴えられるか、これを聞いておきたいわけであります。あまり当然なことを、行政部と司法部がこういうところに、いわゆる対立の形を表明したということは、われわれとしてどうしても明確にして、今後において議会の権威のためにあくまでも解決しなければならぬ、こう考えておるのでお伺いしたわけであります。
  46. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 総理大臣が異議を申し述べることは、行政事件訴訟特例法の第十條第二項にあるわけでございまして、裁判所が執行停止を命ずる事前に、総理大臣が異議を申し述べました場合におきましては、執行停止を命ずることができないわけであります。しかしながら裁判所がいつ執行停止を命ずるかということはわからないわけでありまして、問題はいつも執行停止が命ぜられてから起つて来るわけです。ですから事前に総理大臣が異議を申し述べるということは事実不可能でございます。過去の例におきましても、いつも事後において総理大臣が異議を述べておる。事後において述べた場合には、はたして執行停止の効力がどうなるかということは解釈上若干異見があるのでございますが、事前に総理大臣が遮れば執行停止ができない、事後において総理大臣が述べたら執行停止は取消し得ないのだということは、これはいかにもおかしいことでありまして、およそ総理大臣が事前に異議を申し述べて執行停止ができないのならば、総理大臣が事後支障ありとして述べた場合におきましても、裁判所においてこれを取消してしかるべきであるというふうに考えておるのでありまするし、また学者の中には総理大臣が異議を述べたら、当然に執行停止の効力を失うのだ、こういう説をされる人もあるのでございます。私どもはこの点やや立法上の問題といたしましても明確を欠いておるよう考えまするので、この点でき得まするならば明確に法律規定をしていただきまして、行政の運用において混迷を来すことのないようにお願いいたしたいというふうに考えておる次第であります。
  47. 大矢省三

    ○大矢委員 今のに関連して……。鈴木さんは青森の県会議員の件について内容を御存じなのかどうか。どういう理由でこれを懲罰にしたか。しかもその裁判の経過を御存じでしたら、ひとつこの機会にお聞かせ願いたいのであります。
  48. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ちよつとここに具体的な資料を持つておりませんので、正確に申し上げるわけに参りませんが、某議員が県議会におきまして発言をいたしました発言が、非常に不適当な発言であつたということを理由といたしまして、議会が除名の議決をいたしたわけであります。除名の議決は、御承知ように三分の二以上の議員が出席いたしまして、四分の三以上の議員でなければ効力を生じないのでありますが、それだけの多数を得まして除名の議決をいたしたのであります。私ども考えておりますのは、そういう不適当な議員の言辞に対しまして、どういう種類の懲罰を科するのが適当かという具体的な判断は、これはあるいは裁判所で最終の判決をもつて決定されるのがいいと思うのでありますけれども、その口頭弁論を経ない中間の決定をもつて、いきなりさよう議会の特別多数議決によつて適法に行われた懲罰議決の執行を停止するということになりますと、議会の懲罰議決というものは、いつもさような方法によつて停止されるということになります。そうなりますと、議会が秩序維持のために認められておる自主的な懲罰権というものは、意味をなさないことになつてしまうという点を私どもは非常に憂慮するのでありまして、そういう見地から、懲罰議決について、裁判に行きました場合には、終局の判決において取消すとか無効宣言をするというようなことはいいのでありますが、中間の、ただ当事者の申立てだけで、ただちにこれを決定をもつて執行停止をするということは適当でない、かよう考えておるわけであります。
  49. 大矢省三

    ○大矢委員 私はよく内容はわからないのですが、その懲罰事犯に対して行き過ぎがあるとかなんとかいうような、もつと詳しい、裁判所が下した判決について、あるいは執行停止のことについて、詳しいことを御存じでしようか。
  50. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ちよつと今ここに具体的なり資料を持つておりませんのと、事柄が非常に重大な問題でありますので、具体的な問題として今ここで申し上げるのはいかがと思いまするが、自治庁としては、たださような具体的な問題というよりも、およそ、議会の懲罰議決について執行停止という、裁判所にあります行為ではありますが、内容は行政処分でありまして、そういう行政処分によつて議会議決が失効せしめられるということは、地方自治の本旨、ことにその中心の機関である地方議会の自主性という点から申して不適当である。従つてむしろ議会の懲罰議決につきましては、行政事件訴訟特例法によりますところの執行停止の命令というものは適用しない。またそうなれば当然総理大臣が異議を述べるというような必要もなくなるわけでありまして、裁判所もまた総理大臣もそういうものには触れないで、ただ違法であるかどうかということの最終の判定を裁判所がやり、それによつて取調べの結果違法であるという場合に、取消す、こういう本来の裁判だけでいいわけであるというふうに考えておるわけでございます。
  51. 大矢省三

    ○大矢委員 これは單に青森県の簡單な問題ではないと、私はこういうふうに考える。これは地方議会議決権を非常に重要に見る自治庁考え方と、それからいわゆる民主主義の原則たる住民意思によつて選ばれた議員の身分というものをどこまで保障するか、これはどういう発言があつたか、あるいはまた判決の内容は私は今聞きましたがわからぬようですが、懲罰にしてもいろいろある。それがもし多数を擁して無理をした、はなはだ非常識なことを多数の力によつてやつたとしますならば、それはせつかく選んだ住民意思というものはたえず無視される。     〔委員長退席、野村委員長代理着席〕 これは今後議会の運営上、あるいは反対党の数を少くするために、多数をかりて除名するということが簡單にできるようならば、一体住民意思によつて選挙された代表者の身分はどこで保障されるか。そこで私は自治体議会の懲罰の内容、それからその判決がそういう行政上の問題となりまして、議会の権能の問題ではなくして、行き過ぎがあるということにしておるのか、その点がよくわからないからお聞きしたのですが、わからぬようですから、これ以上お聞きしてもいたしかたがないと思います。もちろん内容がわからなければ、仮定に立つては判断ができないのでありますが、もしそういう場合に、一体住民意思を尊重するのか、あるいは議会議決というものを尊重するのか、いずれを重要視するかということの自治庁のその根本の考え方が、この問題を処理するポイントではないか、それはいずれも大事だとおつしやるかもしれませんが、こういう場合に懲罰でなくして、何らかの方法が、あるいは住民意思も沒却されることなくできると思いますが、これは自治庁考え方、それが一つと、こういうように総理大臣の名において取消しの要求をしたその裁判が却下になつた、いわゆる敗訴になつた、そういう場合に一体どうしますか、今後どういう態度をとられるか、これは大臣に聞かなければわからぬが、これはどうせ鈴木さんも相談にあずかつたことと思いますから、これに対するきようの新聞の却下されたあとの対策について、御意見をお聞きしたいと思う。
  52. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 総理大臣が異議を述べるということは、裁判行為の中の問題というのではありませんで、裁判所に訴えがありました場合に、裁判所は、申立て、あるいは職権によつて決定で、処分の執行を停止することができる、こう書いてあります。たとえば租税の滞納処分といたしまして、財産を差押えて公売に付するというよう事件がございまして、それが違法であるというようなところで、その滞納処分を取消す旨の訴訟を提起した。そこで裁判所が決定をもつてその公売処分を停止する、こういうことはわかるのであります。差押えまでやつたが、まだ公売がないという場合に、公売処分を停止する、これが執行停止の本来のケースであります。ところが議会の懲罰というのは、議会議決によりまして、ただちに効力を生ずるものであります。だから執行を停止するという性質のものではなくして、議決によつてただちに効力が生じておるわけでございます。そういうものに一体執行停止ができるというこの規定が適用されるかどうか、法律上私ども非常に疑義を存しておるのであります。しかし裁判所はそれができるという建前でありましよう。そういう建前で執行停止をやつたわけなんです。ですから性格上非常に問題があるのでありますが、第二点といたしましては、私ども先ほど来申し上げますような地方の議会の自主性という点から、議会の懲罰議決が秩序維持のための手段として有効に働き得るようにしたいと思います。しかしその懲罰議決が違法であるという場合におきましては、これは訴えの最後の裁判、要するに両当事者を呼出しまして、口頭弁論を経て、最終の判決であるいは無効である、あるいはそれを取消す、こういうことはいいのでありますが、そういうことをやらない前の決定の段階で、執行停止をするということは、どうもこれは行き過ぎではないかというふうに考えておるわけでございまして、また現行法は、そういう決定について行き過ぎがある。行政権との間に調整しなければならぬという場合のあるであろうことを予想いたしまして、「執行の停止が公共の福祉に重大な影響を及ぼす虞のあるとき」という場合には、執行停止ができない、こう書いてあります。それからさらに総理大臣がおよそ異議を述べたときには、異議の内容のいかんにかかわらず、理由を明らかに示してやるならば執行停止はできない、こう書いてあります。そういうことでこの但書の規定はいわば司法権と、行政権との一種の調整の作用をする規定であると、私ども考えておるのでありまして、今のよう議会の懲罰事件につきましては、これは裁判所が本来の裁判をもつて判決を下すのが当然でありますけれども、判決に至らない事前の段階において、決定でその効力を失わしめてしまう、こういう規定を適用することは不適当であります。従つてこれは総理大臣が異議を述べ、制度上も自治制度の保障をしなければならない、かよう考えたわけであります。今回そういう異議の申立てを裁判所が認めない、こういうことにつきましては、私ども先ほど申し上げましたように、非常に不満に存じておりまするが、これをいかように今措置いたしますか、私事務当局といたしまして、かようにするということは申し上げかねますので、御了承願いたいと思います。
  53. 大矢省三

    ○大矢委員 その前はどうですか。議会住民意思は……。
  54. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 この点は今それについてのお答えのつもりで、いろいろ申し上げたわけでございますが、議会議決住民の選挙した議員の地位というものは、これはいずれも重要なものでございまするけれども、そういう他の、当該除名をされた議員と、そういう除名の議決行つた議員は、これはいずれも住民の代表として選ばれた人たちであります。そこでそういう議会において秩序維持のための方式として、今の特別多数の議決、三分の二以上の出席で、四分の三以上の多数によつて除名できる、こういう法律になつておるわけでございまして、これは除名された議員も、除名する議決に加わつた議員も、いずれも住民代表であるという点においてはかわりはないわけであります。やはり議会の秩序維持という見地を第一義的にこの場合においては考えるべきものではないか。しかしながら裁判所が口頭弁論を経て、その除名の議決が違法であるという判定を下しました場合におきまして、その除名議決を取消すということは、これは裁判権の作用として当然であるというふうに考えておるわけであります。
  55. 大矢省三

    ○大矢委員 先ほど来の異議の申立ての内容はよくわかりましたが、それが却下されたですから、その後における態度というものは——これは大臣に聞かなければわからぬと思いますが、却下された場合に、法的に何かさらに打つ手があり、またそういうことを考えられておるかどうか。
  56. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 新聞に、異議の申立てが却下と書いてありますが、そういう法律上の手続はないのであります。普通の裁判の場合の、総理大臣がいろいろ異議を述べるというような意味の異議ではないのでありまして、行政権の首長としての総理大臣が、執行停止をしては困るという異議を述べたらば、執行停止を命ずることができないという規定があるわけであります。従つてこれは一種の行政行為でありますから——裁判所がやりましても、相当いろいろな行政行為があるわけであります。裁判所が本来の司法権の行為としてやるのは、口頭弁論を経て、裁判をもつてやるのが、本来の実質上の司法行為であり、また機関的にも裁判所のやる行為、それが本来の司法でありますが、そのほかにいろいろ非訟事件手続でありますとか、そういつたものは、性質としては別に裁判行為ではないわけでありますが、便宜裁判所がやつておるわけであります。この執行停止もやはり性質は行政処分でありますけれども裁判所にそういう権限を認めておるわけであります。そこで裁判所のやることが不適当である場合には、総理大臣が異議を述べたら、そういうことをやれないとも書いてあるのでございます。しかるにかかわらず、裁判所が総理大臣の異議を無視する、こういうこともはなはだ私ども遺憾と考えておるのであります。異議の申立てを却下するなんという権限は、裁判所には全然ございません。そういう法律上の根拠は何もないのであります。ただ総理大臣が異議を述べた場合に、裁判所がどんな根拠に基いて一旦行つた執行停止を取消すか、それとも法律上総理大臣が異議を述べれば執行停止は当然失効する、こういう解釈上の問題がありますが、ことに裁判をもつて却下するというようなことはないのであります。総理の異議があつたけれども、執行停止の取消しをしないのだということを、何らか事実上表明されたものが非公式に新聞記事に出たのであろう、かよう考えております。
  57. 大矢省三

    ○大矢委員 却下とかそういう言葉じやないのです。実質上裁判所で執行停止をした。それが行政上非常にさしつかえがあるといつて総理大臣の名をもつて異議の申立てをした。それが相ならぬ、こうなつた。執行停止されたものに効力が発生するならばそのままになり、やはり大臣の異議の申立てはそれは相ならぬということになるのですか。その場合には裁判所の執行停止に効力があるのですか。そうなると、裁判所の言う行政に対する考え方が、執行できるというのは結局どういうことですか。
  58. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 法的な手段といたしまして、総理大臣が異議を述べた場合に、裁判所が執行停止を取消さない、こういつた場合において、それは事実行為でございますから、法律的にそれを取消すとか、あるいはそれに対して裁判に持ち出す、こういつた具体的な規定を欠いておるのであります。裁判所が執行停止を決定をもつて行います前に、総理大臣の異議の申立てがありました場合においては、これはもうできないことは明瞭であります。執行停止を命じた後に総理大臣が異議を述べた場合において、執行停止が当然失効するかどうかということについて、法律上の解釈はややわかれております。私どもは当然失効するものであろうというふうに考えておるのであります。そういう説をとる学者もあるのでありますけれども、この点について、おそらく裁判所は見解を異にし、事後において総理大臣が異議を述べても、執行停止は効力を失わないのだ、かように解釈しておるのではないかと思うのであります。この点はいかんせん裁判所でございますから、行政権といたしまして、これに対して法的に適切な措置をとることはむずかしいというふうに考えております。
  59. 大矢省三

    ○大矢委員 ぼくにはよくわからぬのです。執行停止の命令がすでに来ておる。それを無視して執行してよいのかどうか。停止は尊重すべきものか。しかも法律的根拠がそこにあるのかどうか。それは行き過ぎだから執行停止は聞かなくてもよいのだ、議決によつて執行するのだという法律的根拠があるのか。執行停止を尊重するのか。簡單でけつこうですから……。
  60. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 法律上の問題と事実行為としての問題、これは問題をわかつて考えなければならぬと思います。当該の除名を受けました議員が議会に出席をした場合に、議会側の方においては総理大臣の執行停止の異議によつて、当然執行停止が効力を失つたのだ、こういう考え方で事を運ぼう、こういうよう考えをとりますか、それとも総理大臣の異議はあつたけれども裁判所が取消さなければ執行停止効力が、そのまま存続しているのだ、こういう考え方議会が当該議員の出席を取扱うか、実際問題としては青森県の議会がこれをどういうふうに解釈し、どういうふうに処理をするかということにかかつているわけであります。私どもといたしましては、先ほど来申し上げましたように、異議の申立てによつて当然執行停止の効力が失われたというふうに解釈いたしたいと思つているのでございますが、この点はなお研究をいたしたいと考えております。
  61. 立花敏男

    ○立花委員 同じ問題ですが、では除名の決定を受けました議員は、現在資格がないというふうに政府の方では断定している、こういうふうに理解してはいのですか。
  62. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 私ども考え方といたしましては、執行の停止に対する総理大臣の異議がありますれば、当然執行停止の効力を失うではないかというふうに考えておるのであります。
  63. 立花敏男

    ○立花委員 そういたしますと、まことに重大なんで、それこそ官僚主義ではないかと思う。現在東京都では東京都の公安條例が違憲であるという問題が起りまして、裁判所の方にも大体そういう意向がある。京都ではやはり京都の公安條例が違憲であるというように、裁判所意見が明かになつておりまして、地方の議会がきめましたものが違憲であるというようなことが、たびたび出て来ておるわけなんです。それから、これは昭和二十四年から二十五年のいわゆるレッド・パージのときですが、地方の公務員が多数占領当局の指示に従つた政府の指示によつて、強制的に職場から追われて行つた。これに対して提訴いたしまして、裁判所で無効であるという判決が出た場合があります。しかもこの場合に、それまで待てなかつたこのレッド・パージされました者に対しまして、裁判所が執行停止をいたしますと、やはり総理大臣が異議の申立てをやりまして、そのまま不当なる首切りを総理大臣の権限で強行したことがあるわけです。これはもうすでに過去のことなんで、歴史的に非常にはつきりいたしております。明かに首切りが違法であると、裁判所ですら判決を下しているところがある。しかもそれを途中において、総理大臣が裁判所の執行停止に対して異議の申立てをやつて、違法の首切りを強行したという例があるわけなんです。こうなつて参りますと、この規定は当然必要なんで、それを無視して総理大臣の異議の申請が却下されましても、なお効力があるということであると、これは大問題であると思う。この点をよく認識して考えていただかないと、問題が非常に発展して来るではないかと思います。とにかくそういうことで、これは單なる個々の問題ではなく、制度上の欠陥である。この執行停止をやること自体、問題なんだと言われるのであれば、それに対して法律改正をお考えになつているかどうか、当然そこまで結論が来なければならないと思いますが、法律改正までお考えになつているのか、これをひとつ聞いておきたい。
  64. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 私どもは、議会の懲罰議決というものについての執行停上の命令を及ぼすということにつきましては、不適当であるというふうに考えておりまして、でき得まするならば、この点は現行法律改正していただきたい、かよう考えているのであります。しかしながら今お話のありましたような、たとえば議員の懲戒処分というような問題でありますが、これのことを私ども今とやかく申しているわけではないのでありまして、議会議決はいつでも自主的でありますけれども、なかんずくこの懲罰議決につきましての執行停止制度の適用ということは不適当である、従つてその点について法規の改正をいたし、執行停止というようなことのないように、そういう制度を排除すべきである、かよう考えておるのであります。
  65. 立花敏男

    ○立花委員 それからこれは現実の問題なんですが、私どもがただいま審議いたしております地方公営企業労働関係法の中に、やはりこれと重大な関連のある問題があるのですが、あの法律によりますと、公務員の首切りが地方の自治体の長の権限によつて自由にできる、正常なる業務運営を阻害する一切の行為、あるいはこれをそそのかしたり、あおつたりという言葉がありますが、こういうことをやつた者は首を切ることができる。しかもこれに対しては一切の救済機関の救済規定を適用しない。公平委員会とかあるいは人事委員会の救済規定を適用しない、いわゆる切捨ごめんの條項があるわけです。そういたしますと、一方的な長の見解によりまして、しかもそれがあおつたり、そそのかしたりとかいうようなことそれ自体が問題になるような形で、地方の公務員が一方的に首を切られる。それに対して何らの救済規定がない。そうなりますと、公務員は裁判所に訴えるよりほかにしかたがないど思うのですが、その場合にやはりこの総理大臣の異議の申立てが出て参りまして、公務員がもう何もできない。救済規定すら剥奪され、最後裁判所にすら総理大臣の執行停止に対する異議の申立てでやられて参る、こうなつて参りますと、公務員の基本的人権というものは何ら保障されないわけなんです。この点をどうお考えになつておるか。この執行停止もできないというよう改正を、今なさろうと言われるのですが、そういうことになつて参りますと、まつたく公務員は奴隷的な存在なんで、一方的な断定で一方的に首を切られて、しかも救済規定は何ら適用されない。裁判所すらこれがもう扱えないということになつて参りますと、これは基本的人権上大問題であると思うのですが、この点をどうお考えになつていますか。
  66. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 執行停止の制度を適用しないということと、裁判所による救済を受けられないということは別であります。執行停止という制度を懲罰議決の場合に適用しないと申しましても、今の裁判所によりまする判決による救済ということは、これは当然認めなければならぬ、かように懲罰議決については考えておりまするし、また今御指摘の懲戒処分、免職処分等の不利益処分につきましては、これはただいまの制度におきましても、執行停止を命ずるよう規定は、むろん適用になるように相なつておりまするし、また懲戒処分が違法であるということを理由といたしまして出訴いたしまするなら、これは当然に裁判を受けられるわけでありまして、そういう御心配は全然ないと思います。
  67. 立花敏男

    ○立花委員 そういう御心配はないと言われますが、実際私のところには、待つておれば勝てたものでも、総理大臣のそういう干渉によつて、泣寝入りで首を切られた実例があるわけです。しかも裁判といいましても二年や三年はかかりますので、公務員が首を切られまして職を失えば、そこまで待てる余裕はないわけです。だからそういうことも考えて、裁判所は執行停止をやるわけなんですが、それをやらないようにするというのは、これは形の上では残つておりますが、公務員の基本的な人権を実力をもつて剥奪することになると思うのです。その点はやはり形の上でなしに、実質上で考えていただく必要があるのじやないかと思うのです。  それから、時間がないようですから、当面の問題を聞いておきたいのですが、この間新聞に出ておりました東京自治区の問題です。鈴木君のさいぜんの説明によりますと、自治区の性格をかえるのではないと言つておられるわけであります。自治区の性格をかえるのではないとすれば、新聞に出ておりますような間接選挙の形も、私は明らかにこれは違憲ではないか、直接選挙が憲法に規定されておりますので、自治区の性格をかえない以上は、間接選挙にすることも明らかに違憲ではないかと思う。この間まで鈴木君の説明では、自治区の性格をかえるのだから、選挙をやらなくてもこれは違憲にはならないのだということを言つておられたのですが、きようは、性格をかえないのだ、自治区である性格を決してかえないのだが、それは程度の差であつて自治区であることにはかわりないのだとおつしやられるのであれば、間接選挙にいたしましても、これは憲法の違反ではないかと思うのですが、なぜそういうふうに性格をかえると言つておつたのが、かえないように説明がかわつて来たのかということを説明していただきたいと同時に、自治区である限りにおいては、明らかに違憲ではないかと思うのですが、その点を説明していただきたい。
  68. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 性格をかえるということを、自治区から行政区にするという意味で性格をかえると申したのではない、こう申したのです。自治区の中でも、自治性の厚薄によりまして段階があるわけでありまして、そういう意味で将来の自治区である特別区につきましても、都区一体という考え方から、さらに都区一体の行政が可能であるように、自治区としての性格をかえた、これは言いかえれば、従つて自治区としての自治性の程度を変更した、こういうふうに解釈していただいていいかと思います。自治区の長の選任の方法をいかにするかということは、これは憲法の関係におきましては、先般来申し上げておりますように、府県的な基礎的な地方公共団体の長の選出方法は、これは憲法九十三條の規定によつて、当然に直接選挙でなければならぬけれども、そうでない自治団体の長の選任の方法というものは、あの憲法の規定は適用がないのだ、こういうふうに考えておるわけであります。また一部事務組合にいたしましても、財産区にいたしましても、これは自治団体であり、あるいは自治区と申してもいいでありましようが、その選任の方法は、組合の議会で選んでいるわけでありまして、これは特別区につきましても、そういう各種の制限を受けた制限自治区でございまするから、その長の選任の方法を直接選挙による必要はない、都区一体の行政の関係から、できるだけ合理的な方式によつて選任することが望ましい、こういう考え方であります。
  69. 立花敏男

    ○立花委員 憲法の規定の適用がないと言われるのは、あくまでもあなた個人の考え方であつて、法文上はそういうことはどこにもないわけであります。明らかにすべての地方公共団体に、あの憲法の規定が適用される。普通地方公共団体ということはどこにも書いてありませんので、地方公共団体全般にあれは適用される、そのことは自治法からいいましても憲法上からいいましても、疑いのないところなんです。これはどうも私は説明が間違つておるんじやないかと思う。  次の問題に移りたいと思いますが、道州制の問題を政府はやはり考えておられる。総理からもそういう意見があつたということを、岡野国務大臣が言つておられるのですが、この自治法の改正の中にその問題が現われて来ておるのではないか。その準備的な形が出ておるんじやないかと思うのですが、それは府県が協議会をつくりまして、いろいろな仕事を数府県が一緒になつてやれという規定をつくつておられることなんです。こまかい点には時間の関係上入りませんが、そういう意図からこの協議会をおつくりになつているのかどうか、その点を聞いておきたいと思います。
  70. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 今回の改正案の中に書かれておりまする普通地方公共団体の制度は、事務の一部を共同して管理及び執行する、あるいは事務の管理、執行についての連絡調整をはかる、こういう趣旨からの協議会でございまして、これと道州制とは私ども直接に結びつけては考えていないのであります。この協議会はひとり都道府県の間の協議会だけではなく、市町村なりその他の地方公共団体の間におきまして、適宜事務の簡素化というような見地から処理し得る方式考えたわけでございまして、あるいは御指摘のごとく、たとえばブロツクの中の都道府県が一緒に連絡調整のための協議会を設けるというようなことはあるでありましよう。あるでありましようが、将来そういうことが道州制の母体になると考えられないことはございませんけれども、そういうことを特に意識して改正いたしておるわけではないのであります。
  71. 立花敏男

    ○立花委員 もちろん直接これは道州制じやないでしようけれども、どうもそういう方向に行くんじやないか。数府県の事務の共同処理あるいは数府県の連絡調整、こういうことがやはり道州制の基本的な仕事になつて行く、その前提としての、あるいはその準備段階としての、この協議会考えられているのではないか。少くともそういう方向にこの協議会を運営し、あるいは発展さして行く意図があるかどうかということなんです。  それからもう一つは、各種委員会の事務局の職員の問題ですが、この改正案によりますと、これがやはり一般自治体の職員と同じように長がやることができることになつておりますが、こうなつて参りますと、仕事の性格上非常に困つて来るのではないかと思う。委員会を、執行機関の中で、一般に長がやりますものと、委員会が分掌いたしますものとわけましたのは、それぞれ執行する内容が違うから、わける必要があるからわけたんだと思う。その場合には、やはり職員もはつきりとわけておかないと、問題の混淆が起るのではないか。たとえば人事委員会の職員等ですが、これは長が一般の職員の首を切り、それを人事委員会に持つて参る。そうした場合に長が掌握しております職員が、その提訴の事務を扱うこととなつて参りますと、首を切つた者が自分でその首切りが当か不当かを審理調査することになりますので、非常に問題が生じて来ると思うのです。必要があつて執行部をそういうふうにわけておりますのを、事務の面だけで統一して参るということはおかしいんじやないか。特に人事の問題に関しましては問題があると思うのですが、この点を改められる意思はないかどうか。
  72. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 知事市町村長という地方団体の長のほかに、特に委員会を執行機関として設けておるのは、その事務処理につきましては、独立の性格の機関が当ることが適当であるという建前に立つておることは、当然のことでありますけれども、その下の事務処理——意思の決定あるいは指揮監督というものは、あくまで独立の委員会がやることは当然でありましようが、事務の処理につきましてはその命を受けてやりまするならば、必ずしもその委員会所属の職員でなければならないということはない。むろん所属の職員がやることが原則でありますが、小さな団体におきましては、町村の部局の職員が委員会の事務を補助する、あるいはその職員を兼ねるということは、行政の実際の運営の上から申しまして、むしろあつた方がいいわけでありますし、また職員の能力を十分有効に使うことにもなると思うのであります。しかもこれは別に委員会がいやだというのを無理にやろうというのではなく、委員会の同意を得てやる、あるいは委員会の申出に基いてやるわけでありますから、その点は御心配はないと考えております。
  73. 立花敏男

    ○立花委員 これはやはり上から下までの官僚支配の強化を、職員の面を通じて意図しておるのではないか、少くとも私はそうなつて来ると思うのです。現在の教育委員会、人事委員会、公平委員会、公安委員会、監査委員会というようなものは、長がそれにタツチしない方がいいという建前のもとに置かれてありますので、事務を扱うのだから、それは統一してもいいという考え方は出て来ないのではないかと思う。こういう形で地方の官僚組織の統一化をはかつて参る、そこから実際上委員会を骨抜きにして行き、終局的には各種委員会に対する長の統制を強化して参る少くとも第一歩ではないかと思えますので、この点はぜひ改めていただきたいと思うのですが、そういう官僚統制の強化を改める意思があるかどうか伺いたいと思います。
  74. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 私ども一向にこういうことが官僚統制に関係があるとは考えておりませんで、このことがかえつて行政の実際の運営上当を得ておると考えておりますので、特にこの点を修正する必要を認めておりません。
  75. 野村專太郎

    ○野村委員長代理 この際暫時休憩いたします。  午後は二時から再開いたしまして質疑を続行いたします。     午後一時十九分休憩      ————◇—————     午後二時五十三分開議
  76. 野村專太郎

    ○野村委員長代理 再開いたします。  委員長の指名により暫時私が委員長の職務を行います。  それでは休憩前に引続き、地方自治法の一部を改正する法律案内閣提出第一七五号を議題として質疑を続行いたします。休憩前におきまする逐條、別表、附則を含めての残部について、一括しまして質疑を続行願いたいと思います。
  77. 門司亮

    ○門司委員 きようは大臣がおいでになつておりませんので、條文についてだけ質問をしておきたいと思います。午前中のどなたかの質問の中にもありましたが、この中に新しく協議会を設けるように書いてありますが、一体これは町村の事務組合で事が足りるのではないかと思うのですが、特別にこういう協議会を設けなければならない理由を、もう少しはつきりしておいていただきたいと思います。それはこの協議会の中に含まれておりまする事項というものは、大体一部事務組合のような形で、これが終るのではないかというよう考えられますので、そういうことでどうしていけないかということ。  それからついでにもう一つ聞いておきますが、一部事務組合でないこの協議会は、法人的な性格を持つかどうかということです。
  78. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 今回の案にございまする協議会制度でございまするが、現在ございます一部事務組合は、たとえば水道の事務を協同で処理する、こういうことに相なりますると、そのための組合の管理者あるいは組会議会というものを、必ず設けなければならぬわけであります。水道などについてはそれでけつこうでございますけれども、たとえば町村が現在電気ガス税を協同して徴収をしておりまして、これは電気会社との間に、いろいろ契約をやつておるのでありますが、大体県の町村会で電気ガス税の徴収の実際の事務をやつておりまする根拠というものは、実は法的にきわめて不明確でありまして、これらの点につきましては、かねて町村会の事務当局からも、この点は何か法制的な根拠を與えてほしいという要望があつたのであります。その他にも、わざわざ組合の管理者あるいは組会議会というようなものを設けないで、協議会というような、もつと簡便な方式で協同して事務を処理することができないものであろうか、こういうような要望があつたのであります。なおそのほかに、そういう行政事務の処理をいたしませんで、いわゆる連絡調整のために協議会を設ける、ある事務についてお互いにどういうふうに処理したらいいかということを研究する、あるいは人事の交流等について連絡調整のための協議会を設けるといつたような、相談をするための協議会というものがあつてもいいのではないか。御承知のごとく、当初の地方自治法におきましては、地方公共団体の協議会という制度が書いてあつたわけであります。それを、協議会制度はやめた方がよかろうというよう関係方面の指示がございまして、その規定を削除いたしたのでございますが、各種の市の団体、町村の団体の連合会というようなものが、やはり一種の協議会でありまして、そういう何か根拠のようなものを書いてくれぬかというような意向も相当あつたのであります。そういうようなことがございまして、今回の案におきましては、組合のように管理者とか議会を設けないで、ただ、いわば協同の事務所、協同の執務場所を数団体が共同して設け、そうしてその職員も事務の経費も各団体持ち寄つて行く、こういう簡便な方式ができないものか。電気ガス税の徴収というようなことは、結局そういうような各団体が同じ場所で電気ガス税をとる、こういうような協同執務場所を設けて行くという姿でありまして、そういうものを一つ考えたわけであります。従つて議会の性格といたしましては、事務を協同して処理すること、言いかえれば協同執務場所を設ける、こういうぐあいに軽く考えていただいてもいいのではないかと思うのであります。従つてこの協議会自体については、もちろん法人格を認めません。協議会が執行機関の名においてした事務の管理及び執行は、それぞれの地方団体の長が管理、執行したものとして、効力を有するということでございまするので、さような共同したそれぞれのものが執務をするというくらいに考えていただいたらいいと思います。
  79. 門司亮

    ○門司委員 二百五十二條の四から二百五十二條の五でございますが、これが今の御説明のように執行機関の長の名においてやるものはむろん責任があることになりますが、それ以外の單に協議会という名前でもし仕事をすることになつて参りますと、それには法人的性格を持つていないとすれば責任がないということになつて参ります。われわれが心配しますのは、きわめて軽い問題であつて、便宜的に協議会をこしらえた方がいい、協議会制度があつた方がいいというようなことだけでは、先ほどの御答弁のような、たとえば税に関するような問題には、やはり何か責任性がないと問題を起す原因をこしらえるようなものではないかと考えておる。従つて議会というような軽い名前でなくて、手続は少しめんどうでも事務組合なら事務組合として、それにある程度の法人的な性格を持たして行く方が、実際の取扱いの上において私はいいのではないかと考える。もう一つこういうことを聞いておきたいと思いますが、この協議会の名においてもしかりに仕事をしてあつたとすると、その場合には、それの効力は当然その協議会を形成している各種の公共団体の長の責任ではないと解釈してよろしゆうございますか。
  80. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 今申し上げましたように、協議会は特定の事務を共同して一緒の執務場所で処理する。従つてそのために関係のあります地方団体から、それぞれ職員を派遣して共同の執務場所をつくる。そして共同の執務でございますから、事務処理の方針につきまして、協議会においてどういう方式で処理するというようなことにいたすわけでございます。従つて議会は法人格を持つておりませんし、協議会自体の事務というものもないわけでございまして、それぞれ構成するところの地方団体の事務であります。そういう事務を協議会に集まつて参りました職員が共同して執務をして、それぞれの団体の事務として効力を生ずる、こういう考え方であります。
  81. 門司亮

    ○門司委員 ちよつと前にもどりますが、二百四十五條の三であります。これは従来の第十章の規定が全然かわつて参りまして、新しい條章になつております。その中の三項の中に「内閣総理大臣又は都道府県知事は、普通地方公共団体の組織及び運営の合理化に関する情報を提供するため必要があると認めるときは、普通地方公共団体に対し、その作成に要する資料の提出を求めることができる。」こう書いてありますが、このことが少しわからぬのであります。「運営の合理化に関する情報を提供する」と書いてありますが、これは総理大臣に提示する必要があるから、その調査を市町村に命ずることができると解釈するのかどうかということです。この條文ではちよつと受取れぬのですが……。
  82. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 この点は神戸勧告にも、都道府県知事市町村に関しまする勧告助言というような点の勧告があるのであります。今門司さんの仰せになりましたような、知事が総理大臣に対して情報を提供するという意味において、市町村から情報をとることもあり得るわけでございますが、しかし知事の立場におきまして、市町村の事務の組織及びその運営というような措置の合理化に資するための資料の提出を求めることもあるという考え方であります。
  83. 門司亮

    ○門司委員 私の考えは少し違つておるのかどうかわかりませんが、この條文をそのまま読みますと、「内閣総理大臣又は都道府県知事は、」と書いてある。そして「普通地方公共団体の組織及び運営の合理化に関する情報を提供するため」こう書いてある。この「情報を提供するため」というのは一体どこに情報を提供するかということであります。もし内閣総理大臣または知事が自分の参考にするということになると、提出先をもう少し明確にしておかないと、何かはかに提出をするに必要なためにこれを要求するのかどうかということがはつきりわからぬのであります。ここは内閣総理大臣または都道府県知事は、内閣総理大臣または知事市町村の組織及び運営の合理化に関する資料が得たいから、これを作成させて提出させることができる、こういうふうに解釈すればそれでいいのでありますが、ところがここには字が二つ重なつておりまして、「情報を提供するため必要があると認めるときは、普通地方公共団体に対し、その作成に要する資料の提出を求めることができる。」と書いてある。従つて後段の方は情報を提出させるということでありますが、問題は提出先であります。内閣総理大臣及び都道府県知事が必要な場合に、この條文を適用するのかどうかということであります。
  84. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 この点は内閣総理大臣にいたしましても、都道府県知事にいたしましても、組織及び運営の合理化に関する情報を、技術的な助言もしくは勧告の形において、地方公共団体に対して提供するわけでございますが、そういう技術的な助言もしくは勧告という形で、情報を地方公共団体に提供するために必要ありと認むるときは、地方団体に対してその作成に要する資料の提出を求めることができる。言いかえれば総理大臣が各府県知事から府県の部制なら部制について、あるいは他の編成等についての情報の提供を求めるということは、それは府県なりに対しまして、そういう技術的な助言をする、それの材料によつて全体の考え方なり、あるいはもつと合理的と思われる組織編成というようなものを、その情報を基礎にしてつくりまして、そういうものを一つの技術的な助言として勧告をする、こういう関係であります。要するに技術的な助言勧告の資料として、こういうものの提出を求める、こういう考え方でございます。
  85. 門司亮

    ○門司委員 そうすると、ここに書いてあります「提供する」というのは、知事みずからに提供するものを、こういうふうに表わしたわけでございますね。そういうふうに解釈してよろしゆうございますか。知事の参考資料のためにこれを提出させる、こういうふうに解釈してよろしゆうございますか。
  86. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 総理大臣といたしましては、主として関係いたしますのは府県でありますが、場合によりますれば市町村の組織、運営の合理化に関する情報を求めることもあり得るわけであります。府県知事の方は、市町村についてさようなことが考えられるというふうに考えております。
  87. 門司亮

    ○門司委員 それからその次に書いてあります四の條項には「主務大臣又は都道府県知事若しくは都道府県委員会若しくは委員は、普通地方公共団体に対し、その担任する事務の運営その他の事項について適切と認める技術的な助言若しくは勧告をし、又は当該事務の運営その他の事項の合理化について情報を提供するため、必要な資料の提出を求めることができる。」こう書いてあります。この場合の主務大臣というのは、ここに書いてありますように、「その担任する事務の運営その他」となつておりますが、そういたしますると、各省大臣はそれぞれの担任する事務について、こういう資料の提出を命ずることができる、これはそういうふうに解釈してよろしゆうございますか。
  88. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 これは大体お話の通りでございまして、厚生大臣は都道府県が担当しておりまする厚生行政の事務運営について、適切と認める技術的な助言勧告ができる。またそのための必要な資料を都道府県から提出を求めることができる、こういう趣旨でございます。
  89. 門司亮

    ○門司委員 それからその次に書いてあります條項も、大体同じようなことが書いてあるのであります。これは「普通地方公共団体の長又は普通地方公共団体の委員会若しくは委員は、主務大臣又は都道府県知事若しくは都道府県委員会若しくは委員に対し、その担任する事務の管理及び執行について監督を求め、並びにその結果に基く技術的な助言又は勧告を求めることができる。」こう書いてあります。これは相関的に一方は勧告することができる、一方はその勧告を求めることができる、こういうふうに義務づけられております。そうなつて参りますと、この中に「監査を求め、」と、こう書いてありますが、今までの場合でありますると、国は地方にいろいろな補助金その他を出しておりまする場合は、これについては会計検査その他等が行われておりまして、今度は都道府県あるいは市町村は、自発的にその監査を求めなければならないと義務づけられたようにこれを解釈してよろしゆうございますか。
  90. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 これはそういう意味ではありませんで、それぞれの特別法に基きまして、主務大臣が監査をする、あるいは調査をする、あるいは会計検査院が会計検査をするということは、別の法律に基いてあるわけでございますが、この自治法におきまして、ここに特に加えたいと思いまするのは、自治団体の側から、たとえば知事なり、あるいは市町村長が、選挙によつて更迭したというような場合におきまして、その全体の財政運営について、どうも前任者のやつた点がはつきりしない、そこでこの際ひとつ中央の所管の省、あるいは知事等にいわば一種の自治診断をやつてもらつて、はつきりとどういう点が従来どういうふうでなかつた、今後この点をこういうふうに改善したらいいというようなことを、特に依頼し要求をして監査をしてもらう、その監査の結果に基いて改善をすべき技術的な勧告を求める、こういうよう一つ方式、言いかえれば一つ自治診断でございますが、そういうよう方式をここに考えておるわけであります。私がただいま申した知事、町村長等が交迭したというのは、一つの引例でございますが、必ずしもそういう場合でなくて、ほんとうにどういうふうにすれば、組織の最も合理的なものが求められるかというようなことについて、まず現状について診断をしてもらつて、それについての適切な処方箋を求める、こういう方式考えていいではないかということが、この第五項の立案趣旨でございます。
  91. 門司亮

    ○門司委員 そうしますと、今までの自治体のあり方というものは、こういうふうにお互いが義務づけられた問題、いわゆる情報その他を必ず提供しなければならないというように義務づけて参る、さらに最初の鈴木さんのお話のようなことだとすれば、この場合の監査などということは必要はなかつたのではないか。むしろこの條項は国と地方公共団体との組織の関係その他について必要だということで、この條文は新しく設けられておりますが、この條文全体を見て参りますと、国かあるいは都道府県市町村に、あるいは国は都道府県に対して、何か非常に義務づけるような形が出て来はしないか、それから同時に市町村は非常に卑屈になるよう関係が出て来はしないか、こう考えるのであります。  それともう一つ従つて私の聞いておきたいと思いますことは、こういうふうに材料を提供しなければならないということになつて参りますと、今日の町村の実体からいいますと、たくさんの仕事を持つているにもかかわらず、実際の規模というものは非常に小さいのであつて、満足に材料がとれてないということは、私どもしばしばそういう例に実はぶつかるわけであります。これを解決して行こうとするには、こういう一つの仕事を新しく義務づけて行くということにすると、やはり私は財政的の何かの裏づけがなければならないと考える。これはいずれ大臣に総括して質問ようと思つておりますが、改正法案については、地方においては簡素化にならないで、相当複雑になると考えておる。従つて財政的の裏づけを自治庁としては、一体考えておられるかどうか。これによつてそれだけ事務が煩雑になるという関係が、必ず出て来ると思う。それは第四にありますような、各省大臣がおのおのの立場から、こういう技術的なものを助言したり、あるいは事務の監査を依頼されるというようなことになつて参りますと、今の事務がますます複雑になつて来ると思う。こういう点について、自治庁としてはこういうことをやつても、事務は輻湊しないというふうにお考えになつておるのかどうかお尋ねいたします。
  92. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 私どもといたしましては、国と地方公共団体との関係は、いわゆる協同的な関係である、従来のように上下指揮監督の関係ではなくて、国と地方公共団体が相携えて協同的に、日本の住民全体の福祉の増進のために努力して行くべきである、こういうふうに考えておるわけでございまして、従つて一万有余の地方団体が、それぞれ国の法律その他に基きまして処理しておりまする事務というものは、できるだけ合理的にかつ能率的に処理せられるということが望ましいと思います。これが一万の中の当該の一つの町村だけで、合理的な方法を考えるというよりも——むろんそれも考えてもらわなければなりませんけれども、全国の町村あるいは府県の区域の中にあります市町村の最も合理的なる方法というものをできるだけ普及して、普遍化して行く。そうして地方自治庁の運営方式が、全体として合理的なものに、かつ少い経費で処理できるようなものにして行くということが望ましいわけでありまして、そういう意味でいろいろ学者なども、最近は知識の中央集権、こういうことを言つておるわけでございまして、そういう意味から、やはり情報の提出ということは、国全体の行政の水準を引上げるために、どうしても前提として必要なわけであります。そして同時に、それが今度はまた再び各地方団体に帰つて参りまして、地方団体の行政運営の水準も向上して行く、こういう国と地方団体が相互協同の関係に立たなければ、自治行政の水準は上つて行かない、そういうことが新しい自治行政と国の行政との関係のあり方であろうというふうに、私ども考えておるわけでございまして、この二百四十五條の三の規定は、そういう根本の考え方から出発しておるわけであります。これによつて事務が特に輻湊する、煩雑になるというようなことは私ども考えておりません。むしろこれによつて大いに地方の行政事務の処理がより合理化され、より能率化され、よりよきサービスを返すことができるようになるということを期待しておるわけであります。
  93. 門司亮

    ○門司委員 私は必ずしもそうは思いませんが、それでは次に二百五十一條でありますが、二百五十一條は削除してあつたものを、新たにここに二百五十一條が挿入されたということについては、條文の配列の上から見ても、あまり当を得ていないのではないかということで、当初に私は質問をいたしておきましたが、その内容をさらに聞いておきたいと思います。この二百五十一條は、自治庁設置法の第二十二條を受けておるものである、こう考えておりますが、自治庁設置法の第二十二條には、これがただ條文といたしましては、「自治庁に、自治紛争調停委員を置く。」それから二項に「自治紛争調停委員の権限、組織、任命その他の事項については、地方自治法第二百五十一條の定めるところによる。」こう書いてございます。そこでこの自治庁設置法の第二十二條には、ただそれだけしか書いてありませんが、これを受けて、ここに挿入された第二百五十一條を見てみますると、「自治紛争調停委員は、三人とし、事件ごとに、学識経験を有する者の中から、内閣総理大臣又は都道府県知事がそれぞれこれを任命する。」こう書いてあります。そうして「この場合においては、内閣総理大臣又は都道府県知事は、予め当該事件関係のある事務を担任する主務大臣又は都道府県委員会若しくは委員に協議するものとする。」こう書いてあります。そうしてこの委員の構成については、ほとんど何も書かれていないのであります。これは親法とも言うべき自治庁設置法案の第二十二條の中にも、この問題は何も触れておらない。それで問題は紛争でありまするから、必ず私は当事者が二つあると思う。そういたしますと、その中から委員を三人選ぶのでありますが、やはりこの場合は普通の委員会を設置いたします場合にありますように、あるいは公安委員、あるいは教育委員会等の委員ような形で、同じような政党あるいは利害関係のあるような者から選ぶことは避けるというような條文がこの中に入つておりませんと、ただ單に学識経験のある者ということになつておりますと、その学識経験のある者が、どういうふうに選ばれるか私はわからぬと思う。この組織の中に何も書いてありませんが、一体これはどういうわけで、そういうことが書かれなかつたのか、その点をひとつお聞かせを願つておきたいと思います。
  94. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 その点は條文を準用いたしておりますので、ちよつと明確でございませんで恐縮でございますが、第二百五十一條の第七項に「第百八十二條第四項の規定は、自治紛争調停委員にこれを準用する。」第百八十二條第四項と申しますのは、今の門司さんが御懸念になつておりまする同一政党の者が二人以上委員になつてはいけない、こういう趣旨規定でございます。選挙管理委員につきまして、そういう同一政党の者が多くなることを排除する規定が百八十二條の四項でございます。それを準用いたしております。
  95. 門司亮

    ○門司委員 百八十二條の規定というよりも、私はこの場合に、三人の学識経験を有する者ということになつておりますので、これについては必ずしも政党その他というものが、これに介在しないと思う。いろいろの利害関係が私はたくさんあると思う。たとえば選挙管理委員会であるとか、あるいは教育委員会であるとか、それから公安委員会であるとかいうような比較的政治的色彩を帯びたものでなくして、行政的な紛争があると私は思う。そういう場合には一体今のような單に百八十二條の規定にあるから、それを準用するというだけでは、問題はそう簡單には参らぬと思う。ことにこれは先ほどから申し上げておりますように、政党的な色彩というようなものでなくして、やはりここにはつきり利害関係のないものからこれを選ぶというようなことが、この中になければならぬと私は考えておりますが、そういう点については、私どもといたしましては、この百八十二條の規定だけでは、この條項に私はあてはまらぬと思う。それから同時に自治紛争調停委員会は、第九條の境界変更紛争等に対しても、多少関係を持つのかどうかということ、この点をもう一つ伺いいたしておきます。
  96. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 自治紛争調停委員調停は、二百五十一條の第五項にございまするように、当事者調停案を受諾して初めて効力を生ずるわけでございまして、またことに自治紛争調停委員は、紛争調停を要する事件ごとに任命するということにいたしております。これはやはり自治紛争調停委員会というものを常置制にいたしまして、事件のいかんにかかわらず、そこにかけるということになりますと、やはり具体性と申しますか、当該の具体的な事件について、最も適切な調停をし得る立場にある者を選べないという点も心配いたしたわけでございまして、事件ごとに選考いたしますことは、かえつて事件調停ということについては、有利な條件になると考えておるのでございます。しかも当事者が文書によつて承諾をして、初めて効力を生ずるわけでございますから、知事なり総理大臣といたしまして、調停の受諾の見込みのないような、そういう調停委員の選定の仕方というものは、まずあり得ないということを、私ども考えておるわけであります。  それから九條の関係でございますが、これは九條の方に境界に関する争論につきましては、「第二百五十一條規定による調停に対することができる。」かようにいたしておりまして、二百五十一條調停方式が、市町村境界争論に関しましても用いられることになつております。
  97. 門司亮

    ○門司委員 そうなつて参りますと、ことさらに私はこの百八十二條の四項というものだけの適用では、実は安心ができないのであります。当然に政党に何らの関係ない者を入れておきませんと、これがそれでないということを明確にいたしておきませんと、この百八十二條の四項というものは、「同一の政党その他の団体に属する者は、都道府県委員会にあつては三人、市町村委員会にあつては二人以上同一の委員会委員又は補充となることができない。」こう書いてあります。従つてこれは明らかに政党だけをさしておるものでありまして、直接利害関係のある者をさしておるわけではないのであります。従つてこの百八十二條の四項の適用だけでは、不公正を除去するわけには行かないと思う。この点は私はそう考えておりますが、当局はそれでいいというお考えなら、それでもよろしゆうございます。従つてこれが調停委員は三人として、そうして事件ごとにこれをきめるということになつておりますので、私は事件ごとにきめればきめるほど、こういうものは明確な線を出して置くということが正しい、こう考えておるのであります。しかし当局がそういう意見であれば、私どもといたしましては、これをそのまま承認するわけには行かないということだけを、ここに申し上げておきます。  それからその次に聞いておきたいと思いますことは、ずつと先になつて参りますが、第二百五十五條の二の問題であります。二百五十五條の二のうちに、「普通地方公共団体における直接請求の署名簿の署名、」というのをずつと消して参りまして、そうして新しい「市町村境界に関する裁定若しくは決定又は市町村境界の確定、普通地方公共団体」こういう赤字で直されておりますが、これはどういう意味で、こういうふうに書かれておりまするのか、ひとつ御説明を願つておきたい。
  98. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 この点は第九條の市町村境界に関する争論規定改正関係があるのでございます。第九條の市町村境界争論につきましては、従来は現行法におきましては、裁判所が確定の訴えの提起を受けて処理する、かようになつておつたのであります。しかしながら境界争論というのは、法律問題と申しまするよりは、やはり実際の行政の運用によりまする調停による妥結、解決ということがより実情に即するわけでございまして、旧法におきましてもこの点は行政機関のそういうような作用に依存をしておつたわけであります。その後の実際の運用から考えまして、裁判所がさような事実についての問題について関與いたしまするよりも、やはりこれは第三者的な調停委員というような機関を設けまして、そういう調停委員の公正なまた訴訟法規に直接にこまかく拘束されません自由なる調停方式によりまして、適当な解決案を案出するということが適当である、かよう考えたわけでありまして、そういうところから市町村境界につきましては、調停あるいは調停がうまく行かない場合の裁定というよう方式考えたわけであります。そこでそういうふうに調停委員裁定に基いて市町村境界に関する裁定が行われた、あるいは決定と申しますのは同じく九條の二によりまして、これは争論のない場合の問題でございますが、知事が決定をするというような場合、それから市町村境界調停案が両当事者によつて承諾されまして、確定をした場合、そういうようなものにつきましては、一応今申し上げましたように、調停委員なり、知事なりによりまする裁定、決定、確定というものがあるわけでございますが、それに不服がありますれば、出訴ができるようになつておるわけであります。     〔野村委員長代理退席、吉田委員長代理着席〕 九條の八項、九項等にそれがあるわけでありますが、そういうような訴訟の規定を新しく入れましたので、その関係を特につけ加えただけでありまして、特別の意味はございません。
  99. 門司亮

    ○門司委員 次に聞いておきたいと思いますことは、例の二百七十六條の削除であります。これはもうすでに各委員からかなり強く聞かれておると思いますので、これ以上聞かなくてもいいかと思いますが、当局の考え方をもう一言だけ聞いておきたいと思います。一体選挙管理委員会というものの使命、今度は選挙管理委員会がなくなりまして、そうして中央選挙管理委員ですか、選挙管理委員というような名前に、自治庁設置法の中には書いてありますが、新しく性格がかわつて参りますので、こういうことになつておるのかどうかという疑問であります。そういう疑問を持つておりますのは、従来の選挙管理委員会であるならば、当然選挙の行われる行政府に対しては選挙管理委員会がなければ、私は選挙の執行は困難だと思います。当局は二百七十一條の行政区というものについては、御存じのようにおのおの選挙区を持つております。そうして独立した選挙をやつておる一そこに選挙管理委員会がなくてもいいという一つの理論的の根拠を、私ははつきり聞かしていただきたいと思います。
  100. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 選挙管理委員会制度は、従来選挙事務を管理いたしておりました地方公共団体の長すなわち知事市町村長というようなものが直接選挙になつて参りまして、自分自身が選挙される、こういうことになつて参りましたので、そういうものがみずから選挙事務を管理するということは適当でないというところから、選挙管理委員会制を導入されることになつたわけであります。その選挙管理委員会は、従いまして直接選挙を執行いたしまする地方団体すなわち言いかえれば、当該地方公共団体において、みずからの選挙のありまする地方公共団体におきましては、これはどうしても選挙管理委員会がなければならぬと思うのであります。市町村長なり市町村議会の議員の選挙ということがあります市町村、あるいは同様な選挙をやります府県においては、当然これはやらなければならないと思うのでありまするが、五大都市の区あるいは特別市の中の行政区におきましては、今回の案によりますれば、何ら選挙がないことになるわけでございまして、この当該区に選挙がありませんならば、そこに特に選挙管理委員会を置かなければならぬ絶対の必要はないのではないか。と申しまするのは、市に選挙管理委員会がありまして、この選挙管理委員会が公平なる立場から、選挙事務全体を管理しておるわけでございまするから、その市の選挙管理委員会のもとに、その指揮監督に従つて働くところの選挙事務の従事者が各行政区におりまするならば、それで事が足りるのではないか、かよう考えるわけであります。中央の全国選挙管理委員会を廃止いたしまして、その他の地方自治関係の機関と一緒に統合するという点でございますが、この点につきましても、全国選挙管理委員会がたとえば選挙に関連をいたしまする予算の要求をいたしますとか、統制時代におきまして、物資のわくの要求をいたしますとかいつたようなことが、相当にあつたわけでございまするが、そのほかに直接選挙事務自体を管理している点としましては、全国区選出の参議院議員の選挙だけでございまして、そういう直接の選挙管理事務自体につきましては、これはやはり会議制の機関の存することが必要であると思いまするけれども、それ以外の予算の要求、物資のわくの要求、その配分、こういうようなことにつきましては、特に改正を必要としないというところに出ておるわけであります。
  101. 門司亮

    ○門司委員 鈴木君の考え方に非常に大きな間違いがあると私は思いますが、選挙管理委員会は選挙の事務管理をやつているのではありません。選挙の管理をやつておるわけであります。従つて私は聞いておきますが、それなら今度の地方自治改正法案で、たとえば五大市の区は、おのおの市会議員あるいは府県会議員というものの選挙区にならないということに解釈してよろしゆうございますか。
  102. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 市の選挙の投票区、開票区あるいは選挙区というのは、御承知のごとくそれぞれ法律で定まつておるわけでありまして、それぞれの投票区、開票区、選挙区に、投票管理者、開票管理者、選挙長が置かれ、また立会人が置かれるわけでございます。そういう管理者は、御承知のごとく市の選挙管理委員会が任命するわけであります。従いまして、そういう会議制の委員会によつて任命されました投票管理者、開票管理者、選挙管理者が処理をいたすのでございまして、直接に行政区にありまする選挙管理委員会が、その事務を処理するわけではないのでございます。従つてどもといたしましては、特に行政区に選挙管理委員会を置く必要はない。行政区自体に選挙がございまするならば別でありますけれども、行政区は市会の選挙あるいは府県の選挙、国の選挙をやるわけでございますから、最小の行政單位の機関として、市に選挙管理委員会がありまするならば、その選挙管理委員会の指揮のもとにやれば、公正に行える、かよう考えておるわけであります。
  103. 門司亮

    ○門司委員 私はこれは非常に鈴木君の考え違いだと思いますが、鈴木君は選挙管委員会というものを、選挙の事務管理委員会というようにお考えになつておると思います。選挙管理委員会の仕事は、選挙事務管理委員会ではありません。選挙管理委員会であります。これは過般も委員会において選挙管理委員会の事務局長から、私ははつきりその点は念を押して実は聞いておるのでありまするし、また当局もそう答えておるのであります。これは選挙管理委員会は選挙自体を管理する委員会だということになりますると、当然選挙を行いまする地域には、やはり管理をする者がいなければ、私はその執行は困難だと思う。具体的に申し上げましても、一つの選挙区で選挙を行いまする場合に、その選挙区の選挙管理委員会があつて、選挙一切の執行をいたしておりますので、選挙法の疑義、あるいは選挙運動につきましての違反になるかならないかというようないろいろな疑点が起きて参りまするが、これらに対しましても、それが選挙違反になるかならないかということは、選挙管理委員会自身がそれを管理すべきである。従つてその選挙管理委員会が当該選挙を行いまする地区、行政区に対しましても、私は当然これがなければならないと思う。何も地方の選挙だけが選挙ではございませんので、従つてこれを公平無私に行つて行こうといたしまするには、やはり各選挙区ごとに、選挙の執行されまする地区ごとに、おのおのの選挙管理委員会があつて、それが選挙自体を管理して行くという建前が私は正しいと思う。もし今の次長のお考えように、選挙管理委員会が選挙事務を管理するのであるというよう考え方であるといたしまするならば、私は選挙管理委員会に対する認識が非常に間違つておると考える。選挙管理委員会の任務自体が、それではもう全然問題にならないと思う。もしこれが事務の整理だけであるならば、何もそこに選挙管理委員会など特別なものを設けなくとも、これは選挙事務の事務屋だけおればいいのであつて、特にそういうものをこしらえる必要は毛頭ないと思う。事務の管理においては不公平の行われる道理もありませんし、みずから選挙を執行して——そうして具体的に言うならば、さつき申し上げましたような、選挙の執行にあたり生じまするすべての疑義であるとか、あるいは違反の事項であるとかいうようなものについて、これに判断を下しておりますので、選挙自体を管理いたしております関係から、この委員は、公平であり、従つて政党政派に所属しない、いわゆるさつきの百八十二條の四項に規定されておるよう委員でなければならないということを明記しておるのであつて、事務管理だけであるならば、私は選挙管理委員会なんかいらぬと思う。この点は一体鈴木さんの考え方が正しいのか、あるいは選挙管理委員会考え方が正しいのか、その点を私はもう少し明確にしておかぬと、ただちにこれを削除するわけにいかぬと思う。鈴木はどこまでも選挙管理委員会は事務管理だけだというようにお考えになつておりますか。
  104. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 たとえば府県会議員の選挙区というものを考えてみますと、これは市なりまた郡單位になつておるわけであります。市の方には、これは最小の行政単位でありますから、選挙管理委員会がございまするが、各郡ごとには選挙管理委員会はないのであります。しかしながら府県会議員の選挙といたしましては、府県の選挙管理委員会の管理のもとに、郡部の府県会議員の選挙というものが行われておるわけであります。それと同じことでありまして、行政区におきましては、市の選挙管理委員会というものがございまするならば、その下にありまする選挙区において選挙が行われる場合においては、その市の選挙管理委員会が、これを指揮監督してやつて行つたならば、一向さしつかえないと、こういう考え方に立つておるわけであります。  それから門司さんがいろいろ選挙事務という点にたいへんこだわつてお尋ねでございますが、私が申しました意味は、いわゆる普通行政事務という場合の広い意味の事務でございます。選挙管理委員会は申すまでもなく、門司さんのお話になりましたように、選挙に関する法規等につきましての疑疑の質疑回答をやつております。しかしこれは各種の行政機関が、いずれも所管の法律についての質疑回答をやつておるわけでございまして、そういうことであるならば、各省の法令の質疑回答についてはいずれも会議制をとらなければならぬかというと、そういうことは必要はないのじやないかと思います。そういうようなことで、予算の配分、あるいは物資の配給、あるいは船車等の乗車券の問題、あるいは放送関係、あるいは今お話の質疑回答とか、こういうような問題につきましては、いわゆる行政事務でございますので、特に選挙管理委員会という会議制をとる必要はないのではないか。しかしこれに反しまして、全国選出の参議議院員の選挙の管理という問題になりますと、これはその選挙自体の直接の管理責任ということになりますので、その点については中央選挙管理委員会というものを設けて、それに処理さして行く、こういう考え方によつておるわけであります。
  105. 門司亮

    ○門司委員 私はその点が非常におかしいと思うのです。今なるほど郡にないと言つておりまするが、郡は行政区画ではありません。郡は選挙のために便宜にこしらえた一つの郡でありまして、従つてその郡の中の町村には、みなおのおの選挙管理委員会を持つております。もし郡が日本で行政單位であるというなら別でありますけれども、日本には幸いにしてか、あるいは不幸にしてか、行政単位は持つておりません。ただ便宜上一つの区画を選挙の際にきめただけであります。これを行政單位とお考えになるなら私は少し違うと思う。従つて行政単位でありませんから、これは何ら行政機関を持つておりません。郡に行政機関があるというなら、どこかひとつ自治法の中で見つけてもらいたい。私は今お話のような郡にないから、それでいいという筋合ではございませんで、県会議員を出す場合には、一つの郡あるいは二つの郡が一つの選挙区としてこれを行われておるのです。しかしこれは選挙区でありまして、必ずしも行政単位ではございません。横浜市が国会議員の場合には一つになつてつておることもあるし、あるいは京都の場合には一つ半くらいにわかれております。おのおの選挙区というものと行政単位、行政区画というものは別の問題でありまして、行政区画がこうなつておるから、ことに郡の、行政区画の中にないからなくてもいいというようなことは、私は暴論だと思う。市町村の選挙を行います場合には、おのおのの市町村には市町村ごとに選挙管理委員会というものを持つておりまして、そこでその地域で起つた事件等に対しましては、おのおのちやんと処理をしておる。従つて私は選挙の事務管理の面から行けば、当然こういうものを削除すべきでなくして、やはり一つのこの行政区画を持つておりまする行政区の中で、府県会あるいは市会の選挙が行われておりますので、これは当然やはり独立の機関として認めるのが正しいと思う。それを裏書きするものは、同時に全国選挙管理委員会を別につくるということであります。一体全国選挙管理委員会を別に置く必要がどこにあるかということであります。参議院の選挙は、たとえば府県でありまする場合には、府県に選挙管理委員会を置いてこれが処理をしておる。あるいは全国区参議院議員の選挙の場合には、何も全国選挙管理委員会というものがなくたつて、選挙管理委員会でありましても、私は全国区参議院議員の選挙というものは、これによつて十分やつて行けると思う。ただ率直に私が言えば、おそらくこの削除された原因というのは、事務の簡素化ということがこれの中心ではないかと考える。今鈴木さんはいろいろのことを言つておりますけれども、私はやはり鈴木さんの選挙の事務管理という考え方だけでなくして、この中には費用が相当省けるのではないかというようなことが考えられるかと思いまするが、これも私は大体当らないことでありまするし、大したことでないと思います。  もう一つお答えを願つておきたいと思いますることは、具体的に申し上げておきまするが、それはかりに選挙を行つて参りまする場合に、一つの区画、あるいは横浜であるとか、大阪であるとかいうような非常に広いところで、実際上の公営選挙の場合に、おのおのその選挙を管理し得る権限を持つた四名の選挙管理委員が、選挙管理委員会から、その公営の演説会等に出張することができるかどうか。もしできないといたしまするならば、その場で起つた事件は、一体だれがこれを処理するかということであります。これは市長が任命した区長がこれを代行するということになつて参りますると、区長は何らの権限も持つておりませんし、單に市長の代理であるということになつて、私はむしろ鈴木さんのお考えになつておるよりも、逆な方向に進むのではないかというよう考えられる。従つておのおのこの公営の演説会等に対して、あるいは県会においても演説会を行うことができるのであります。その場合に、五つの市では、一体責任を持つた選挙管理委員というものが、おのおの演説会場に出張して行つて、そういう問題の処理に当ることができるというようにお考えになつておるかどうか。
  106. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 選挙管理委員会が選挙管理事務を管理するにあたりまして、一々委員が現場に出て行つてやらなければならぬということはないと思います。これは選挙管理事務を執行いたしまする職員を、どういうふうに配置するか、またどういう手腕、力量、どういう経験の者を選ぶかという、選挙事務に従事いたしまする者の選任なり、配置という問題であるわけでございまして、公営の選挙演説会を管理する事務は、御指摘のごとく相当むずかしい事務でありましよう従つて真にそういう行政事務が確実に行い得るような人を選び、そういう人にその公営の管理を行わしめたらいいのであります。それは市の選挙管理委員会が、その責任においてこれを選任したらいいだろう、その点は私どもは何ら支障はない、かよう考えております。
  107. 門司亮

    ○門司委員 まつたく選挙の実態を鈴木さんはよく知らぬじやないかと思う。選挙の演説会場で妨害をする者がある、あるいは多少の違反行為と疑わしいものがあるというようなときに、これを整理しこれを判断する者は一体だれであるか。單なる事務員ではやれないと思う。選挙管理委員という一つの権限と職責のある者でなければ、私はそういうことはやれないと思う、権限のない一事務員が、会場がどんなに混乱していましようとも、それを整理することはできないと私は思う。それを整理し得る者は、やはり選挙管理委員会の選挙管理委員である。そうしてこれがもし法に違反するようなものがあるならば、それはそこでやはり、処断をして行くというと、少し行き過ぎるかもしれませんが、一応判断を下して行くという、判断を下し得る権能を持つた者がここに出張しなければ、私は事実上運営はできないと思う。何らの権限を持たない單なる事務員を、事務になれておるからといつたところで、私は管理はできないと思う。事務管理でなくして、選挙を管理するのである。  それならば、私は鈴木さんにお聞きをいたしておきまするが、その場合に、もし選挙演説会で権限を持ち得る者が、当然裁定をしなければならないよう事件が起つたときには、何によつてこれを処理されるか。
  108. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 その点につきましては、選挙管理委員でありましても同じであります。個々の選挙管理委員法律上何らの権限を持つておりません。先ほど来申し上げまするように、公営の演説会場におきまする事務の管理につきましては、従つて選挙管理委員会から何らかの権限の委任というようなものを受ける必要があるでありましよう。しかしこれは選挙管理委員でありましても、あるいは嘱託あるいは事務職員でありましても、そういうことを委任してさしつかえないと思います。そうして現在におきましても、おそらく公営の演説会場は数箇所あるでありましよう。そこに選挙管理委員がすべて常に配分されておるというわけには参らないと思います。おらないところだつてあるであろうと思うのでありまして、そういうことがありましても、とにかく公営が行われておるわけでございますので、要するに公営演説会場を管理する能力あるいは力量のあるような人を管理者に嘱託する、こういう問題になろうと思います。そういうような地位にある人、そういうような人にお願いをするということでもよいでありましようし、あるいは公務員の中の錬達堪能の者に、そういうものをお願いするということでもよいと思います。
  109. 門司亮

    ○門司委員 私は、鈴木君はまつたく選挙の実態を知らないでそういうことを言つておると思う。選挙の実態はそういうことでやられておるものではありません。おそらく選挙というものは選挙管理委員会の職責とさらに責任の上において、公平にやらなければならぬことはわかり切つておる。従つて選挙管理委員会というものは別個の組織であつて、やはりおのおの選挙というものを嚴正に、あるいは公平に管理して行くということが正しいのであつて、選挙管理委員会からこれを委嘱を受けた者ということになりますと、その委嘱の方法はどうするかということである。権限の委讓がそう簡単にできるとは私には考えられない。もしこれが考えられておるように区長がこれを行うということになると、それは一つの市長の代行機関である。市長が今日のように政党あるいは政派によつて選出されておりまする以上は、その政党の色彩を持つ市長のもとに、区長はやはり忠実でなければならないということはわかり切つておる。そういたしますると、選挙というものが公平を欠く危険性を多分に持つておると私は思う。そういう危險を冒してまでも、何もこの條項を削除する必要はないと私は考えておる。私はもう少し自治庁はこの選挙の実態というものを知つてもらいたいと思う。権限があるとかないとか、法律上権限がないと言われておりますが、私は選挙管理委員会には選挙を管理する権限が與えられておると思う。警察でやりまする取締りでありまするが、これは法に直接触れておりまするものは、警察がこれを取締つて行くことが容易にできまするが、疑義のある場合その他におきましては、選挙管理委員会が責任ある処置をしなければならないし、従つて選挙管理委員会の判断に基いて警察は行動をしておるということが実態だと思う。同時に選挙演説会場における取締りというものは警察官ではございませんので、従つて選挙管理委員会がこれを取締つておる。今日は選挙演説会場その他に警察官の臨検を求めてはおりません。警察官が取締ろうとはいたしておりません。これは当然選挙管理委員会がこれを取締つておる。その取締りの権限を管理委員会の吏員にこれを委任して、それをやらして、しかもそれは吏員のだれでもいいということになつて参りますと、選挙はまつたく不公平に行われる。従つて行政区画ごとに選挙を現在執行いたしておりまする五大市の選挙管理委員会というものを削除することは、選挙の実態に沿わないものであると同時に、選挙の公平を期しがたい措置だと考えておりまするので、もう一つだけ最後に聞いておきまするが、これを削除するということは、私にはそういう意味で納得ができないのでありますが、次長はそれでも選挙演説会場のいかなる混乱も、権限も何も持たない吏員にこれを取締ることができるというようなお考えであるかどうか。
  110. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 選挙に関しまする事務は、御承知ように、公職選挙法並びにその施行令等におきまして、非常に詳細緻密にわたつて規定をされておるわけでありまして、選挙に関する事務は、いわば最も機械的な手心を加える余地のない事務とむしろ考えてもいいと思うのであります。ことに問題のようなところにつきましては、必ず立会人を立会わしめるような仕組みをとつておりましたり、あるいはいずれを先にしていいか問題が起りますような場合には、くじ引きによつて前後の順序をきめるというようなことで、それぞれのところに実にこまかい配慮をしてお定めになつておるわけでございまして、従いまして、この点は、公平の問題につきましても、これこそ非常にいろいろの問題のあるものでございまするだけに、非常に緻密なる配慮のもとに規定を設けられておるよう承知しておるのであります。従いましてこの公営事務の管理にあたりまして、選挙の職員が処理いたしますることに関しましても、御承知のごとく、これは事前にずいぶん各種の事務処理の手引きのようなものをつくりまして、十分訓練をし、研修をし、講習をして、誤りなきを期してやるのが、一般の選挙管理委員会の例であると思うでありまして、選挙に関する事務は、單なる一方的な指揮監督によつて処理できない。それぞれの法律上の職責がきまつておるわけでございますから、その権限に基いてやりましたものについては、それを争うのは訴訟によつて争うという建前になつておるわけであります。さように最も厳正公平に機械的に行われる事務でありまするし、今申し上げましたような実際の運営におきましても、選挙事務の責任者といたしましては、実に周到な配慮をいたしておると思うのでありまして、私どもは、この原案によりまして何ら選挙の執行に支障は来さないと考えたわけであります。また、この点は全国選挙管理委員会におきましても、五大市の行政区にある選挙管理委員会を廃止することにつきましては異議はなかつた、この点は明瞭でございます。
  111. 門司亮

    ○門司委員 それならば、この選挙の行われる、たとえば公営の選挙会場、いわゆる選挙管理委員会が当然行うべき会場についての責任は、一体だれが持つのかということをお答えを願つておきたいと思います。
  112. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 五大市におきましては、市の選挙管理委員会が責任者であります。
  113. 門司亮

    ○門司委員 その場合に、責任者のいなかつた場合の事故は、一体だれが処理しますか。
  114. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 責任者と申しまするのは、要するに行政上の責任者でありまするから、責任者が一々現場に出向いて管理するということは不可能であります。またそういうことを当局が要求しているとは考えられないのでありまして、その責任者の指揮監督のもとに、責任者の任命いたしました管理者がおつて管理をすれば、それでよろしい、かよう考えております。
  115. 門司亮

    ○門司委員 その委任された——私は管理者とは申し上げませんが、管理者の委任を受けた者に一体どれだけの権限があるかということであります。鈴木さんは選挙の実態をよく御存じないと思いますが、それでは選挙の会場でこれを妨害しようとする者がありました場合には、だれがこれを取締る権限を持つておるかということ、委任を受けた者が権限を持つかということです。これは行政上の措置でありまして、実際上の問題として取扱わなければなりません。それから同時に、選挙は訴訟によつてと言われておりまするが、訴訟するいとまのないのが選挙でありまして、かりに選挙妨害をされたからといつて、それを行政訴訟に持つて行つてもこれの解決のつくまでには選挙が終るのであります。演説会場の妨害その他等がありますれば、その場その場でこれを妨害のできないように、いわゆる選挙管理委員会というような責任と権限を持つたものがこれを監督して行く、あるいはこれを制止して行くというよう規定がなければ、單に訴訟があるからいいというようなことは、私は受取れぬと思う。その点で、鈴木さんは選挙というものをよく御存じないと思う。御存じないからこういうものをこしらえるのだと思う。選挙管理委員会というものの実態を知らないのじやないかと思う。もしそういうことで、選挙妨害その他の事態が起つて参りますと、委任を受けた者にその権限があるかどうかということであります。私は選挙管理委員会委員であれば、当然それは責任をもつてやらなければなりませんし、またそれを制止することができると思いますが、その他の者がこれを制止することができるかどうかという問題であります。
  116. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 選挙のことは御存じないだろうというお話でございますが、私は門司さんのように何回も衆議院に御当選なさつた方とは違いますので、遺憾ながらそういう側からの体験はないのでございますけれども、選挙の事務の管理につきましては、実は役人になりましてからずつと関係を持つておりますので、そういう方面のことは、私どもも若干経験をいたしております。ただいまお話の点でありますが、市の選挙管理委員会が指定いたした者と申しますか、先ほど来お答え申し上げておりますような選挙管理委員会の定めた管理者は、今の公営演説会の秩序維持の権限がございまするし、また自己の力をもつて処理できないということでありまするならば、警察官あるいは警察吏員の処分を求めることができるという規定があるようでございまして、そういうものによつて処理できると思うのであります。
  117. 門司亮

    ○門司委員 この点は私これ以上議論はいたしませんが、私ども考えておりますのは、先ほどから申し上げておりまするように、こういう選挙を行いまする行政区画には、必ず選挙管理委員会というものを置いて選挙の公正を期すべきだと思います。何らの理由なくしてこれをなくしては混乱に導くだけでありまして、今の鈴木さんの御答弁のように、あるいは依嘱することができるとかいろいろ言われておりますが、それよりは混乱の弊害の方がよほど大きいと思う。もしこういうことができるならば、おのおのの市町村にありまする選挙管理委員会等についても、私はさらに検討を加えるべきであると思う。こんなものは全国に一つあるいは県に一つの選挙管理委員会があれば事足りるのでありまして、県は県に選挙管理委員会を持ち、おのおのの市町村市町村に選挙管理委員会をちやんと持つておるのであります。もし鈴木さんのような御意見ならば、市町村の選挙管理委員会はみなやめたらいい。県の選挙管理委員会一本にしておけばいい。それも悪ければ、国の選挙管理委員会一つにしておけばいい、それでけつこうだと思う。今の選挙管理委員会が選挙を行う行政区の單位にあるということは——その中からことさらにこれを除くということは、先ほどから私が申し上げておりまするような理由で、実はいたずらに混乱を導くだけであつて、決して利益にも何にもならないと思う。もし当局がねらつておるような事務の簡素化を、せめてこの辺の事務の簡素化でお茶を濁しておこうというならば大きな誤りだと思う。経費としても大した経費にはなりません。五大市全部を集めましても、せいぜい一千万円かそこらです。一つの市で二百万円内外だと考えるのであります。しかもその間における帳簿の整理というようなもの、いわゆる名簿の整理というものは非常にめんどうでありまして、これも一つの行政区單位におのおの選挙人名簿をこしらえておるのであります。先ほど郡のお話がありましたが、郡單位には選挙人名簿というものをこしらえておりません。やはり市町村單位に、選挙を行います定まつた行政区画ごとにちやんと選挙人名簿というものを作成しておる。従つてその責任は、その行政区画における選挙管理委員会が当然負うべきであると考えておるのであります。  その次に聞いておきたいと思いますことは——これも明日大臣がおいでになれば、大臣にもう少しよくお聞きするのでありますが、やはり最後に書いてあります特別区の問題であります。特別区の問題について事務上のことでお聞きをしておきたいと思いますことは、この二百八十一條の一から九までずつと書いてありますが、この法律で定めておりまする九つまでの行政事務といいまするか、これと現行の各区が行つておりまする行政事務の間に相違があるかないかということであります。
  118. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 この点午前中に申し上げた点でありますが、第二号に「主として当該特別区の住民の使用する公園、運動場、広場」その他というものがございます。これも内容的にはあまりかわりませんが広場という点が一つであります。それから三号の社会  教育の関係、これも新しく言つておる点であります。四号の、「主として当該特別区の区域内の用に供する道路」、これも新しい点であります。五号の「街路樹及び道路の照明施設」、「並びに道路の清掃事業」、これも新しい点。六号の「公益質屋」、これは先般——たしか四月からだつたと思いますが、区に移管になつようでございまするが、それまではこれもなかつたようでございます。その次の「公衆浴場及び公共便所」、これも新しい点であります。それから七の「公共溝渠」、これも新たなる点でございます。
  119. 門司亮

    ○門司委員 区長が任命制になれば、こういう事務がふえるように書いてありますが、この点について、この法律をきめまするまでの間に、都知事とお話合いになつたことがあるかどうか。
  120. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 この点は、地方日治委員会議というものが、自治庁に付置されておるわけでございまして、地方自治委員会議には、全国の都道府県知事会の会長として都知事が出ておりまするし、また都道府県議長会の会長として都議会の議長が出ております。従つてこの問題はそういう方面の意見も聞いておるわけでございます。
  121. 門司亮

    ○門司委員 そういたしますると、現在の区長にはこういう事務は委任できないが、区長が任命制になればこういう事務を委任してもいいというように解釈してもよろしゆうございますか。
  122. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 政府改正案は、特別区に関しまする全体の問題を考慮いたしまして、かように一面において大体神戸委員会勧告の線をとつて、これは事務の配分を法定いたしたものであります。従つて政府といたしましては、都区ができるだけ一体に行政が行い得るようにいたしたいという考えのもとに、一面において都区の事務配分を明らかにいたし、また他面区長の選任方法につきまして、あのよう改正案を提出いたした次第であります。
  123. 門司亮

    ○門司委員 そういたしますと、この新たに加えられた事務は、行政上の事務として、これを区の固有の事務というようにお考えなつたのか、單なる権限の委譲というようにお考えなつたのか、その点を明らかにしていただきたい。
  124. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 御承知のごとく、都の特別区の区域内におきましては、都と特別区とがともに市の仕事を処理する権能を與えられておるわけであります。そこで両方それぞれの権限がある建前になつておりまするので、この点を明確にいたしませんと、二重行政あるいは二重行政機構の現われることを防ぐことができませんので、従つてそういう意味で事務の配分をもつと明確にしなければならない、こういうふうに考えたわけであります。
  125. 門司亮

    ○門司委員 そういたしますると、大体與えられた事務は、自治法に定めた東京都の特別区は市に準ずるというよう考え方で、おおよそこれを固有の事務と解釈してさしつかえございませんか。
  126. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ここに定めました事務は、特別区の本来的に処理すべき事務ということで書いたわけでありまして、このほかには、都からさらに特別区に委任をするということを考えておるわけであります。
  127. 門司亮

    ○門司委員 それでは、今の鈴木さんの答弁で、大体こういうものが自治法に定めた市に準ずる一つの事務として、これを列記したということになりますると、これは当然私は区の固有の事務であると考えてもさしつかえないと思います。そういたして参りますると、こういうふうにたくさんあつた固有の事務を、今まで都が区にやらせない、そうして條例で都の方の仕事に取上げるというと少し語弊がありまするが、これを処理しておつたということについては、私どもは、自治庁としては従来こういう問題について指揮も監督もできなかつたのでございましようが、しかしたとえば行政調査委員会議その他等でこういうものを勘案して、東京都に対して何らかの示唆をされたようなことはあつたかどうかお聞きしたい。
  128. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 この点についてはごもつともの次第でございまするが、都区調整委員というのを、都と区の間の事務調整、財源調整のために、先般都において設けたのでありまするが、そのことの起りは、やはり自治庁と申しますか、自治委員会議におきまして、当時国会議員の方も加わつておりましたが、そういう委員会におきまして、いろいろ意見が出まして、国会の代表の方々と学識経験者とが集まつて、公正にひとつ都区の間の事務の配分ないし財源の調整をしよう、こういうようなことが話の起りでございまして、そういうことから都区調整委員会も設けられたわけであります。自治庁といたしましては、そういうものの成果に期待をいたしておつたわけでありまするが、その結果につきましても、これはひとり都がそれに応じなかつたという、それだけの原因と申しまするよりも、やはりいろいろ社会事業関係、衛生関係の事務につきましては、御承知のごとく関係方面に非常に強い各種の意見がありまして、どうしても区がこういうことを処理することを容認しないというようなことがございましたために、せつかくの配分もうまく実現しなかつたというような点があるのであります。自治庁としましては、その後は神戸委員会勧告の出ますのを待つておつたわけでございまして、それに基きまして今回この案を提案いたしたようなことで、一方において特別区の区長の任命等につきまして調節をいたしまするとともに、他方事務の配分についてかような調節を加えまして、都区が一体となつて行政ができるようにしたい、かよう考えたわけであります。
  129. 門司亮

    ○門司委員 それでさらに聞いておきたいと思いますことは、ここでこういうふうに固有の事務と目されるものが、ずつと列挙されて法制化されて参りますと、私は二百八十二條の規定が大体いらなくなるのじやないか。同時にこれに対しては、ここに「特別区相互の間の調整上必要な規定を設けることができる。」というよう改正をされておりまするが、しかしこれは特別区相互の間の調整ではありませんし、実際の問題はこれは都と区の相互間の調整上必要だというふうに直すのが、私は正しいのではないか、こういうふうに考えておりまするが、この点はどうお考えですか。
  130. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 これはたとえば主として特別区の区域内の交通の用に供する道路の設置管理は、今度特別区の責任になるのでありますが、そういうような道路につきまして、やはり甲の特別区と乙の特別区との道路の幅員が違う、あるいは構造がはなはだしく違うというようなことになりますると、やはり困りまするので、そういうような場合に特別区の相互間の調整上必要な規定を設けるということは、必要があるのではないか、またその他公共便所にいたしましても、公衆浴場にいたしましても、あるいは公共溝渠等につきましても、構造なり企画等につきまして、ある程度の特別区の間の調整的な規定を設けるという必要があるのではないか、かよう考えてまだこの規定を存置する実益がある、かよう考えておるわけであります。
  131. 門司亮

    ○門司委員 問題は、今度の問題もやはり二百八十二條の「都は、條例で特別区について必要な規定を設けることができる。」となつておるのが、大体この問題の主因をなしておるのでありますし、同時にそれの特別区の事務について、特別区相互の間の調整上の必要な規定、こうなつておりまして、今までの紛争の種をまいた一つの條例がなくなつて、そうして今度は区相互間の調整の上だけに必要な規定を設けるというように書かれておるのですが、これは一応今の御説明を承つてみますると、それでいいように聞こえるのでありますが、実際上の問題としては、私はこの二百八十二條の規定というものはもう少し明確にして、そうして單に特別区相互間の調整上の必要のあつたときには規定を設けるという言葉でなくして、この間に区の意見というものがやはり相当取入れられる條項を何か入れておかないと、また今のお話のようだと非常にけつこうでありまするが、都が都自身の立場から、区の意見というものを尊重しないで、あるいはこれもただ字句にかいてありまする調整上必要だというようなことで、私は無理押しをするようなことがありはしないかと思いますが、その辺の懸念はこれで大体なくなるというふうにお考えになつておりますか。
  132. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 これはやはり都の特別区の間におきまして、一方が納得しないものは、條例を設けて行政的に行わせると、こういうようなことは過去の変におきましても、法律規定上は條例で一方的に必要な規定を設けられるようになつているものでございますけれども、実際はそうでない区長会議等において了承を得て処理をしておるようでございまして、やはりかよう建前に相なつておりましても、運営の上においてはさほどの心配はないのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  133. 門司亮

    ○門司委員 最後に聞いておきたいと思いますことは、一番しまいに書いてありまする「都知事は、特別区に対し、特別区の存する地域における都の事務の処理との調整上、特別区の事務の処理について必要な助言又は勧告をすることができる。」と書いてあります。法律改正されれば別でありますが、現行法によりますと、当然区の区長は一つ自治体の長としてありますので、この長の行つておりまする「特別区の事務の処理」と書いてありますので、特別区が当然行わなければならない事務の処理について、「必要な助言又は勧告をする」ということになつて参りますと、これはある程度の見方によつては、自治権の侵害のような形が私は出て来ると思う。しかしそういう点については、他の都道府県市町村にこういう助言あるいは勧告というような言葉と同じように、これを取扱つても、私はこの場合はさしつかえないと思うが、しかし問題は都の仕事と区の仕事との間に、十分の連絡がとれていない場合には、こういうものからおのおのトラブルを起す原因になりはしないかと私は思う。これが他の市町村でありますれば、仕事がおのおの別でありますから、ちつともさしつかえはありませんが、この都と区の場合には以たような仕事を両方でやるようなことが私はあると思う。たとえば道路の問題にいたしましても、まかせられた範囲の道路については、ここでは明確になつておりませんが、「当該特別区の区域内の交通の用に供する道路を設置し及び管理すること。」こう書いてありますが、この区道というものが、言葉をかえて言いますれば、区道と都道と国道というものにわかれると思いますが、これの範囲の査定というものはなかなかむずかしいと思います。従つてこういうものを設定いたします場合には、知事勧告をしたり、あるいは助言を與えることになつて参りますると、この辺からまた都と区の間に私は問題を起しはしないかと考える、従つてごの道路の問題等については、一体主として区民の使用する、こういうことになつておりますが、これはどのくらいのところを考えておられるか。
  134. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 この二百八十一條の第一号から第九号までの間に、それぞれ事務を列記いたしておりまして、御指摘のごとく道路等につきましては、国道あるいは都道というものと、主として区内交通の用に用いる区道という形のもの、その間の分界の問題があるわけであります。またたとえば道路の清掃というような問題、あるいは公共便所というふうな問題、こういうものにつきましても、国道との関連がございますし、また都の処理いたしておりまする汚物処理、屎尿処理といつたような問題との関連もあるわけでありまして、都知事が特別区の処理いたしまする事務につきまして、ある程度の調整上必要な助言、勧告ということをすることが必要であろうと思う。そういうことで特にこの点を明確にうたつたわけでございます。どの程度のものを区道とするかということでありますが、今一応ここには主として区内交通の用に供する、こういう表現で考えておりますので、各区相互間を連絡する道路は、都道あるいは国道に属するわけでありますが、区内において起点を持ち終点を持つようなもの、これは区道と考えてよいと思うのでありますけれども、そこでぽつんと切れているのではなく、それがまた他の区の方にもつながつているというのが実際であろうと思う。これらの点は若干ただいまの門司さんの御心配のような都区の間で協議して、円滑な処理ができることを私ども期待をいたしております。
  135. 門司亮

    ○門司委員 時間もおそくなつておりますのでこれ以上聞きませんが、最後別表であります。この別表には非常にこまかくたくさん書いてありますが、これは総括的な議論であります。今までこの別表にたくさん書いてそうして仕事を実はやつておりませんで、大体こういうものは事務的の処理でなされていると思いますが、これから相当私は行政機構の改革が行われると思いますが、そういたしますと、この別表せつかくできておりましても、この別表は少しかえなければならぬようなことになりはしないかと考える。従つて法律でこれほどこまかい別表が必要であるかどうかということを実は疑うのでありますが、こういうことにしておかぬと、今までにこれで何か支障がありましたか。
  136. 長野士郎

    長野政府委員 この際別表をつけましたのは、提案理由の説明等にもございましたように、まず第一に現在各地方公共団体で行われておりますものにつきまして、それぞれ規定しておりますところの法律なり制度なりが根拠を異にしておりまして、従つて地方団体としてどれだけの仕事をしなければならないとか、あるいは地方団体の機関か、どれだけの仕事を背負わされているという点が、実は地方団体自身から見て明らかでございません。この点をまず明らかにするということが、第一に考えられておつたのでありますが、それと同時に地方団体に対します事務委任につきまして、とかく非常に便宜的にそれ自身の立場から地方団体に事務を委任させるというようなことが、現在までの移譲の状態でございますが、これを地方自治という立場から考えまして、これについて批判を加え検討して行くというようなことがどうしても必要である。今回の別表につきましては、現在の地方団体に義務づけられております仕事そのものについて、新たに整理を加えましたり、変更を加えましたのではございませんで、ただ現状を並べたという点では、新しくかわつたことがないという意味で問題があると思いますけれども、このようにいたしまして、一応ここで整理をしておきまして、将来地方団体に対する事務をこの中から除いたり、あるいはこれをさらに追加いたします際に、やはり検討を加えるという機会を持ちたいということがあるわけであります。  それからまたもちろんお話のように、このような各法律自体は、事務の実情からそれぞれ内容的に変更を加えられるということがございます。そのような場合に、必ずこの別表自身についても修正を加えるという問題が起きるわけであります。従いまして、別表に掲げます際に、それぞれの法規において要求をしておりますところの一番重要なるフアンクシヨンだけを中心に、概括的な考え方規定を加えまして、一部改正等によりまして、ただちに手を加えなければならないというような煩を避けるように配慮いたしたつもりでございます。
  137. 門司亮

    ○門司委員 私はこの機会にもう一つ聞いておきたいと思いますことは、この別表はなるほど事務のことは非常に詳しく書いてありますが、これだけを見たのでは、都道府県あるいは市町村の当然行わなければならない事務と、それから国から委任されております事務が、一体どれだけあるかということがなかなか明瞭にならぬのでありますが、これだけの別表をおつくりになるという御親切な気持があるなら、都道府県なり市町村の固有の事務とよく言つておりますが、当然行わなければならない事務と、国の委任事務というものを明確にわけていただいた方がよかつたと思います。それで四の国の委任事務が一体どれだけあるか、それから市町村の固有の事務というものは、一体どれだけあるかというようなことを、明確にわけられる御意思はございませんか。これは私は財政上の問題とも非常に関連を持つておりますので、わけられるならば、ぜひひとつそういうふうにわけていただきたい、こういうふうに考えております。
  138. 長野士郎

    長野政府委員 お話しの通り、現在の地方自治法建前といたしまして、地方団体のいわゆる固有事務と申しますか、公共事務というものと、それから事務自体は本来国の事務であるが、これを地方団体をして行わしめておる、すなわち法律とか政令によつて地方団体をして行わしめておるという意味で、いわゆる委任事務と申しておるものがあるわけでありますが、元来この固有事務、委任事務、行政事務というふうな区別の仕方が、はたして適当かどうかという問題は、むしろ義務的な処理に属する事務、あるいは地方団体がその創意によつて行い得る事務というふうに区別するような仕方の方が、実益があるのではないかというような、いろいろな議論がありますことは、お話の通りでありますが、さしあたつてのところといたしましては、この公共事務とか委任事務という区分が行われておりますので、この別表に掲げるにつきましては、地方団体をして義務的に、ともかく処理させるというように、法律なしは政令によりまして、地方団体に義務づけておりますもの、これは主として団体委任といわれる範囲の事務でありますが、その事務をまず掲げることにいたしておるのであります。その次には、機関委任事務、すなわち、いわゆる国政事務を地方団体の機関をして処理させておる、こういう仕事を掲げることにしたわけであります。それ以外の本来地方団体が、いわゆる固有事務として行い得るし、また当然地方団体の存立目的として行うべき事務につきましては、これは元来それらのものにつきまして、法律ないしは政令によりまして、一定の強制をとらぬということが、本来の建前であります。従つて、そのような公共事務についてそういう観念、義務的に処理させるという観念をとつてしまうということについては、なお検討する余地もありますし、むしろ公共事務については、そういう規制の仕方そのものを排除すべきであるという考え方があるわけでありまして、現在この第二條の第三項に、地方団体の事務を例示すれば、次の通りである。但し、法令で特別の定めがある場合には、この限りでない。というふうに書いてありまして、随意に地方団体がその本来の存立目的として行います事務を法律で取上げましたり、あるいは法律でその事務処理を強制するということは、むしろそれによつて公共事務という性質からはずれて来るものとも考えられます。従つてこれは今回の別表の中へ取入れる場合に、さらに突つ込みまして、本来公共事務、委任事務というわけ方自体は、もはや考え直さなければならぬのではないかという問題までは、今回は検討を進めることをいたさなかつたわけでありまして、改正法におきましては、義務的にいやしくも地方団体に義務を課し、負担を課するという事務につきまして、地方団体に負わせましたものと、機関に負わせましたものとを分類をいたしまして、掲げることにいたしたわけであります。
  139. 吉田吉太郎

    ○吉田(吉)委員長代理 佐藤親弘君。
  140. 佐藤親弘

    佐藤(親)委員 細かいことを聞いて恐縮ですが、二点だけお伺いします。二百五十二條の十四ですが、この私の持つているのは、あるいは印刷の違いかと思いますが、ここに「当該普通地方公共団体の長又は同種の委員会若しくは委員をしてこれを管理し及び執行させることができる。」と切つてあるのです。そして「前項規定により委託した事務を変更し」というように、ずつと書きつ放しになつております。これは前項というのだから、項を別にした意味であると思うのです。それで「第二百五十二條の二第二項及び第三項の規定は、」云々とありますが、これは第三項になると思うのですが、これはずつと織り込んだ意味の條文の配列と承つてよろしいかどうかということをお聞きしたいと思います。
  141. 長野士郎

    長野政府委員 お話の通りであります。今赤、黒でお話があつたと思うのですが、この赤、黒の力は、はなはだ申訳ないのでありますが、これはミスプリントでありまして、お話の通り前項規定により」というところは、実は第二項になるのであります。それから「第二百五十二條の二第二項及び第三項」云々と申しますのは、これは実は第三項になつておるのでありまして、こちらの方の政府の提出した改正法律案は、そのようになつております。御了承願います。
  142. 佐藤親弘

    佐藤(親)委員 いま一つお尋ねします。二百五十二條の九でございますが、その中の第二項中、第四項中、第五項中、それから二百五十二條の十の第一項中に、おのおのこういう文句があるのですが、これは私の解釈が違うのかどうかしりませんが、教えていただきたいという趣旨で聞くのですが、この中に、「共同設置する委員会委員若しくは委員」こうていねいに書いてあるのですが、この趣旨はどういう趣旨であるか説明してもらいたいと思います。
  143. 長野士郎

    長野政府委員 この「共同設置する委員会委員若しくは委員」と繰返しましたのは、初めの方は共同設置する委員会委員でございまして、共同で設置をいたしますのは、何々委員会というものを設置するわけです。従つてその場合の委員会を構成いたしております委員を、どう選任するかということになるのでありますが、下の方の「若しくは」の方は、共同設置する委員でございまして、委員会という委員会制度をとつておりませんで、委員それ自身が共同設置機関になる場合があるのです。
  144. 佐藤親弘

    佐藤(親)委員 了承いたしました。
  145. 吉田吉太郎

    ○吉田(吉)委員長代理 立花敏男君。
  146. 立花敏男

    ○立花委員 最初委員長にちよつと聞いておきたいのですが、どうも自由党の委員が出て来ないのです。しかも都区の問題があります。重大な問題があるのに出て来ない。しかも大臣も出て来ないのですが、こういう形で最後までおやりになるのかどうか。逐條で都区の問題まで行つておるのです。これは当然政府側も自由党側ももつと熱心にやらなければいけない。こういう形でずつと続けられるのかどうか聞きたい。
  147. 吉田吉太郎

    ○吉田(吉)委員長代理 できるだけ能率よくやつていただくようにいたします。自由党はたくさん出ておりますが……。
  148. 立花敏男

    ○立花委員 あすはひとつ大臣に出てもらいたい。総括じやない、部分的な質問もたくさんありますから、大臣が出ていただくことを要求しておきたい。  それから今後の問題ですが、警察法あるいは集団デモ取締法、これが出たままたな上げになつているんですが、これはこのままお流しになるんですか、これを聞いておきたい。
  149. 吉田吉太郎

    ○吉田(吉)委員長代理 一応理事会に諮つて、適当に審議を進めることにいたしたいと思います。
  150. 立花敏男

    ○立花委員 審議をお進めになるならば、ひとつ要求を出しておきたいんですが、警察法についてはぜひ公聴会をやつていただきたい。これは警視庁にも大きな関係がありますが、国警にも大きな関係がありますので、国家公安委員会あるいは都の公安委員会それから警視総監、都の理事者、都議会、こういうものをぜひ呼んでいただきたいと思うのですが、その点どうですか。
  151. 吉田吉太郎

    ○吉田(吉)委員長代理 御意向の点はよく理事会に諮りまして善処いたします。
  152. 立花敏男

    ○立花委員 それからもう一つ要求しておきたいんですが、集団デモ取締法なんですが、朝も少し言いましたが、これは全国的でありますところのウイロビー書簡に基く公安條例の統一的な法案であることには間違いないんですが、この公安條例について憲法違反の裁判所事件が京都で出ているわけですが、集団デモ取締法をおやりになる場合は、この裁判所の決定を資料として出していただきたい。それを出していただけるかどうか。
  153. 吉田吉太郎

    ○吉田(吉)委員長代理 その点はひとつ当局に申し入れて……。
  154. 立花敏男

    ○立花委員 当局がおりますから……。
  155. 吉田吉太郎

    ○吉田(吉)委員長代理 いずれ当局に申し入れますから……。
  156. 立花敏男

    ○立花委員 そこで申し入れてください。  私から当局に要求いたしますが、この資料を出していただきたいと思います。お出し願えますか。
  157. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 これは私ども関係だけでないよう考えますので、よく相談をいたしまして処置いたしたいと思います。
  158. 立花敏男

    ○立花委員 質問に移りたいと思いますが、さいぜんからも大分問題が出ておりますが、今度の改正最後の部分で重要なのは、やはりこの情報を地方に責任を持たせて提出さすという問題である。この情報並びに資料、これは私非常に重要だと思う。これは部局の設置の場合に従来とほとんどかわらない規定都道府県でやつているわけでありますが、その中で特に新しく規定してありますのは統計であります。統計だけが特に都の場合も道の場合も府県の場合も、気まで取上げていなかつたものを特に取上げて統計を規定している。これがやはり情報資料の提供の規定と結びついて来るだろうと思いますが、これは非常に重要だろうと思う。最近特に徴兵事務の問題がありますし、その他の国家総動員的な計画に必要な統計資料が、特に地方に要求されて来るじやないかと思うのでありますが、そういうふうに私どもは情報資料の提供を特に部局の中で統計を規定したことを重視したいと思うのでありますが、この内容をひとつ承りたいと思います。
  159. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 都なり道府県の総務局あるいは総務部の中の、他の主管に属しない事項というのが従来あつたわけでありますが、その内容がやや明確を欠いておりましたので、その点を今回明らかにしようといたしたのであります。この中に従来考案をして考えておりました業務でありますところの統計、広報、それから條例の立案、こういうようなものを例示いたしまして、他の主管に属しない事項の内容をできるだけわかりやすくしようという趣旨でございまして、そういう特別の意図を持つていたしたものではありません。
  160. 立花敏男

    ○立花委員 特別な意図がないとは見えない。ほかの点はほとんど全部同じだ。しかもあなたの言われるように不明確なのを明確にするというのならば、ほかにも不明確なのはたくさんあるので明確にしなければいけないが、この統計という点を特に抜き出して書いてあるわけである。これは特定の意図があるのじやないということにならないと思う。わかつているのはこれだけです。しかも最後の方には情報並びに資料を提供さすことができるとありますのは、これは明白に政府の意図が暴露されているのである。情報につきましては現在の日本の情勢から、さつきも言いましたように再軍備計画に対する資料、情報が必要である。あるいは世界的な諜報家であるアメリカのマーフイー大使が参りまして、日本の情勢をつかむための情報が必要である。こういうことから特に今度の自治法の改正で、部局の規定を統計だけを明白に規定し、さらに最後のところで総理大臣は地方に対して、あるいは知事は地方に対して、こういう情報なり資料を要求することができるとありますのは、これは明らかにそういう意図があつて改正されたと、言わざるを得ないのでありますが、その点どう御答弁があるかどうか。
  161. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 たいへん立花さんは深く推測されましての御質疑でありますが、この規定をかえました趣旨は、先ほど申し上げた通りでございますが、なおそのほかになぜこのところをかえたかという点につきましては、統計委員会の方から総務部において統計を主管するということを明確にしてもらいたいという要望があつたのでございまして、また半面統計につきましては、今度の国会におきまして統計報告調整法と申しまして、すでにこの法律が成立し、公布されているわけであります。統計それ自体が非常に重要であるということは事実であります。さような点で統計という点をうたつたのでありますが、広報につきましても地方の広報主管課長会議等において、どうも広報という点が特にうたわれていないために、非常に広報事務が軽視されている、この点もぜひ明らかにしてもらいたい。こういう要望がありまして、いたしましたわけであります。そういうような点から特にこれらのことを明示いたしたわけであります。
  162. 立花敏男

    ○立花委員 政府が統計に奔走いたしておりますことはわかるのですが、その統計が何のために使われる統計であるかということもこれまた明白なので、それはやはり地方にこういう形で押しつけるということは、客観的には明らかにこれは国家総動員計画のための統計事務を地方に負担さすのだということになると思う。しかもこれに対して課長も大した事務の増加にはならないと言つておりますが、そういう保障が一体どこにあるのか、事務がふえないという保障はどこにもありません。おそらく莫大な事務が資料あるいは情報の収集のために必要になつて来ると思う。その点どういう見通しを持つておられるか。地方に対して負担になるよう規定はやらないと言つておられるし、また財政法にもその規定はあるわけなんですが、そういう規定をつくつて地方に義務を負わしながら、しかも財政的な裏づけがないとすると非常に困ると思うのですが、事務の内容はどういう見通しでおられるか、これを承りたいと思います。
  163. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 要するに、各部の所掌事務の範囲をきめたものでありまして、これによつて新たに事務の内容を負担として定めたものではございません。統計事務の内容としていかなるものがあるかということは、先ほど申し上げました統計報告調整法とかいうよう法律によりまして、できるだけ統計の重複を避け、正確を期するというような一面の配慮もあるわけであります。またその他各種の事務の執行に関します統計なり報告につきましては、それぞれの実体法におきまして規定が設けられており、あるいは設けられるわけであります。今後設けられますものにつきましては、十分財政事情を測定をいたして処理いたさなければなりませんし、過去のものにつきましては、少くとも本年度の予算編成時までに明確になりましたものにつきましては、地方財政委員会において処理いたすように、地方財政法にもうたつてあるわけであります。ただその後国会におきまして議員の御提案等に基いてできました新しい法律があるわけでございますが、それに基くものにつきましては、また次の機会において財政事情を測定いたし、処理いたさなければならぬと思います。
  164. 立花敏男

    ○立花委員 ここにあらためて規定しても、地方はこの規定によつて何ら義務を生じないのかどうか、情報、資料の提供を拒否することができるのかどうか。法的の強制力、拘束力と申しますか、そういうものを承つておきたいと思います。
  165. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 どの点をさして仰せでございますか明確でございませんが、今私が申し上げましたのは、百五十八條の統計という字を加えたことの結果といたしまして、特に統計事務を処理する、そういう負担をかけたものではない、こういうことであります。
  166. 立花敏男

    ○立花委員 さいぜんから申しておりますように、その部局の設置の問題と、二百四十五條等に規定しております「情報を提供するため必要な資料の提出を求めることができる。」あるいはその前に「普通地方公共団体に対し、その作成に要する資料の提出を求めることができる。」その前に「情報を提供するため必要があると認めるときは、」こういうふうに情報と資料の提出を要求することができると、はつきり規定しておるわけなんです。総理大臣と知事市町村に対する要求権が規定されておるわけなんで、これを市町村が拒否できるのかどうか、どういう拘束力があるのか、これを承りたいと思います。
  167. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 この点は、今立花さんの仰せになりましたように、一つの権限の根拠を與えておりますので、提出を求められました場合においては、それに応ずる義務が法律上生ずるわけであります。
  168. 立花敏男

    ○立花委員 それに応じなかつた場合はどうなるのですか。
  169. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 特に法的な処置の方法はございません。
  170. 立花敏男

    ○立花委員 法的な処置がないとすれば、政府の財政的な裏づけがない以上、地方がこういう事務分量のふえることを拒否するのは当然だと思う。法的な強制力がないと当然地方は拒否すると思うのですが、政府はこの点どう考えておられるのか。
  171. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 国と地方公共団体との関係は、先般来申し上げましたように、あくまでも共同的な関係、かよう考えているわけでございまして、これらの規定の根本の考え方は、政府は全国の地方団体の事務処理等に関しまする報告を受けまして、それによつて最も能率的な、合理的な事務処理の方式というものを探求いたし、その探求せられたる合理的な事務の処理方法を助言としてまた地方に返して行く、こういうことによつて地方の行政水準がだんだん向上して行く、またそれによつて住民の負担が軽減されて行く、またサービスの内容がそれだけ向上して行く、こういうことを期待しているわけでありまして、いずれもこれは善意に基く義務に対する即応の考え方をもつて、処理してもらえることを期待しているわけであります。
  172. 立花敏男

    ○立花委員 期待はよいのですが、一体どれだけの量を期待しているのか、どういうことを期待しているのかこれだけではわからぬと思うのです。おそらく厖大な資料と統計が要請されて来るではないか。こういう規定はその見通しがなければつくるべきではないと思う。しかもそういうはつきりした見通しのもとに、具体的なそれに対する措置が考えられていなければ、こういう規定はつくるべきでないと思う。鈴木君に言わせますと、現在でも徴兵の事務はビラを張つているだけというのでありますが、単にビラだけでは済みません。その自治体の中における適齢者の調査、あるいはその他資料の収集等徴兵事務だけでも、莫大なものになつて来ると思うのです。そのほかに、各中央機関が要求いたします資料は厖大になつて来る。特に日本では農業統計などが非常に少いので、戦時食糧の確保というような面におきまして、専門的な非常にこまかい資料が、地方の自治体に押しつけられて来ると思うのですが、その点何ら具体的にお考えになつていないのかどうか。そういうことでこういう規定を置くことは困ると思うし、地方自治体の破壊になると思いますが、その点どうなんですか。
  173. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 私どもは、先ほど来申し上げましたように、各主務大臣なり知事におきまして、自治行政の能率向上、水準の向上のために技術的な助言が、情報の提供を前提として円滑に行われて行く、かよう考えているわけでありまして、この結果非常識な厖大な資料の提出を要望するというようなことは、毛頭考えておらぬのでありまして、これらの運用については十分適切な、妥当な方針をもつて処理して行きたい、かように思つております。
  174. 立花敏男

    ○立花委員 要求は君がするのじやありません。自治庁だけの要求ではありませんので、この規定によりますと、中央のあらゆる機関があらゆるものを地方に要求することができるわけなんです。この点どうなんです。
  175. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 そのような非常識なる資料の提出を要求することは、少くとも政府、中央各省といたしましては考えていないと思います。
  176. 立花敏男

    ○立花委員 非常識かどうかはわかりません。必要があればやるだろうと思うのです。政府が再軍備のために必要があれば、これは常識か非常識か言つておられません。再軍備そのものが非常識なんで、再軍備をやらないとは保障できません。政府のあらゆる機関のあらゆる資料要求が、地方に集中して来る危険が多分にあると思う。そういうことがないという保障は、ここには一つもないわけなんです。元来が非常識なことをやる連中なんだから、非常識な要求をしないとは、保障できないと思う。資料とか情報とかいうのであれば、これ單に地方自治に関する問題だと限つたら、話はわかりますが、一般的に、中央で扱いますあらゆる事務についての情報や資料の収集なんだから、これはとんでもないことになると思います。しかもその認識については、鈴木君もそう言つておられますし、課長も言つておりますが、大した事務はふえないと言つておられますが、ふえないという見通しは何らないではないですか、なぜふえないかということは何らないわけで、これでは私は話にならぬと思う。しかもその本質はさいぜんから言つているように、再軍備の資料と情報の収集であり、しかも世界的な、アメリカのための諜報機関の役割を果すということは間違いありませんので、これはぜひひとつ除いていただきたい。  それから、大体これでこまかい点は済んでおりますが、政府意見によりますと、これは大体神戸勧告とか税制審議会とかの今までの結論を集約したものである、それで出したのだということを言つておられます。そういたしますと、新しい地方制度調査会は何をおやりになるつもりなのか、何のために新しい地方制度調査会をおつくりになつたのか、どういう地方制度改革を企図して地方制度調査会をおつくりになつたのか、そういうような具体的なものがなければ、私こういうようなものを置く必要はないと思うのです。大体今までの各地方自治関係委員会等で集約した結論が出ているのだから、これ以上何を企図して、どういう具体的な目的のために地方制度調査会をつくるのか、これをひとつ承つておきたいと思います。
  177. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 現在提案をいたしておりまする地方自治法の一部改正は、御指摘の地方行政調査委員会議、政令諮問委員会、税の懇談会というような各種の諮問機関、答申機関におきまして、愼重に熟慮された結果のものを総合いたしておるものでございまして、こういうような問題について、重ねて朝野の御審議を願うという煩わしいことをする必要はない、かよう政府考えておるのであります。それらの点につきましては、政府部内においては別に地方行政簡素化本部を設け、そこでこれらの各種勧告なり、答申を総合的に審議いたしまして、かような案を提案いたしたのでございます。今後の問題として、地方制度調査会を設けます理由といたしましては、たとえば府県の性格をいかようなものにするか、あるいはこれに関連して道州制というようなものについて、どのよう考え方に立つかというような、地方公共団体の、ことに上部の地方公共団体というようなものの扱い方を、どうするかというような点が一つの問題だと考えられますし、地方税法あるいは平衡交付金法等、いろいろ問題がございまするが、地方財政の基礎を確立するというような見地から、あるいは国税との間の税配分の調整といつたような問題がございます。これらの地方財政に関しまする問題を、さらにここで再検討する必要がある。また地方の出先機関と申しますか、こういうものと地方公共団体との間の関係を、どうするかというようなことがございます。またさらに今国家のやかましい問題になつておりまする大都市制度、なかんずく特別市制という問題をいかように処理するか、こういうような問題がやはり一つの問題であると思います。また地方公務員に関しまする制度につきまして、さらにこれが再検討をする余地はないかということを考えておるわけでございます。これらの問題につきまして、従来は、ともいたしますると、一部々々、一局々々の問題が、平面的に申してばらばらにとりあげられておるのみならず、時間的にも非常にばらばらに取上げられておりますために、制度改正の場合におきまして、一貫した、統一した考え方、方針のもとに行われていないわけで、全体としてはなはだ調子の合わない、不均衡な地方制度になつておるわけであります。ことに今申し上げました組織なり財政なり、公務員なりに関しまする制度のほかに、地方団体が処理いたしまする実質的な行政事務、教育なり、民主、社会、保健衛生あるいは農業といつたような、そういう行政の処理の仕方につきましても、非常に不均衡があるのであります。そういう行政事務処理の組織につきましても、これは総合的に統一的に考える必要があると思うのであります。それらの点をひつくるめまして、全体として合理的な、また日本の実情というものを加味いたしました制度につくり直す必要がある。しかしこれはなかなか一朝一夕にはできないわけでありまして、国会の方面とか、学識経験者の方、あるいは地方団体関係の人、あるいは中央の各行政官庁の者、こういうものの総力、すべての知恵を結集して、またすべての人が納得できるような、そういう地方制度につくり上げて行く、かよう考えておるわけであります。従つてこれは相当かすに長年月をかけなければできないというぐらいに考えておるわけであります。従つて今回はそういう長期にわたる、根本的な改革に先立ちまして、さしあたつて政府が昨年来中央、地方を通じて行政の簡素化をするという約束をいたして参りました、その方針に基きまして、一面、中央の行政簡素化を行いまするとともに、地方の行政簡素化を、まず地方自治法改正によりまして、骨格において簡素化を行う、こういうのが根本の考え方でございます。
  178. 立花敏男

    ○立花委員 今あげられました地方制度調査会の仕事の中で、財政の問題とかあるいは平衡交付金法をどうするとか、出先機関をどうするとか、こういう問題は現実の問題なんだから、これは話はわかるのですけれども、その中にふに落ちないものが一つあるのです。それは上部の地方公共団体をどうするかという問題であります。これはやはり道州制の問題につながると思うのですが、行政簡素化を言つておられるのに、こういう制度をおつくりになるとすれば、その中でお扱いになるのは、これは当然現実の問題から出発したものが扱われなければいけないと思うので、單に夢のような問題を扱つてもしかたがないと思うのです。道州制の問題は、一体具体的にはどういう不便があり、どういう要求があつて、あるいはどういう意図のもとに、こういう問題を地方制度調査会で研究されようとしておるのか、これをお聞きします。
  179. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 地方団体区域、規模というものは、やはり社会経済情勢の変化、交通事情の変化というようなものに基きまして、一つの地方公共団体が合理的な規模及び能力を有するものであるよう考えて行かなければならぬと思うのであります。そういう見地から、市町村につきましては、かつて昨年神戸委員会からも、地方の合理化のための勧告があつたのであります。府県につきましても、神戸委員会は、人口二百万を基準としての府県の合理化を行えという勧告があつたわけでありますが、この点はどうも、そういうふうな簡單な結論には行かぬのじやないか。しかしいずれにいたしましても、現行の、廃藩置県のときできました府県を、数個合併いたしましてできております、四十六の都道府県につきましては、非常に不均衡になり、また経済、交通の点から申して適当でない点があることは事実であります。そこで何らか府県の規模の合理化というものを考える必要があるのではないかと理論的に考えられるわけであります。しかしながら、半面、現行府県は、従来の藩という一つの封建制度時代の長い伝統の基礎に必ずしも立つていない、そういうところもありますけれども、藩を分割して府県をつくつたというようなものもございまするし、従つてどちらかと申せば、これは明治以後造成されました行政区画自治団体であります。そういう意味で基礎的には、必ずしも合理的な理由が今日ではなくなつておるのであります。しかし府県設置以来、数十年をけみしておるわけでございまして、その間にいわゆる県民性というようなものもでき、県に一つの伝統というようなものができ上つておりまするから、そういう実情と、一面行政の欲求としての団体規模の合理化、こういうものの間に適切なる調和点を見出して、できるだけの行政の実際と、地方の実情とに合致したように、上部の地方公共団体の区域というものを考える必要があるのではないか。またそういう場合の地方公共団体の基本性格というものを、どういうところに持つて行くのが適当であるかというようなことは、あるいはこれは重要なる研究課題であろうと思うのであります。かりにそれらにつきましての適切な解決が得られましても、さてこれを実行するという段になりますと、またここにいろいろ問題があるわけでございまして、それらの具体的な解決並びにそういうものの実施案というものにつきましては、やはり各方面の意向を総合して、これを考えて行かなければならぬというふうに考えておるわけであります。
  180. 立花敏男

    ○立花委員 行政機関は決して大学の研究機関ではありませんので、單に理論的な問題から出発して、机上の研究をやらしておるものじやないと思う。だから地方制度調査会で扱われる府県の合併の問題、あるいは道州制の問題は、もつと具体的に、行政上のいろいろな具体的な問題から出発して行かなければならないのじやなかろうか。そういうものを持つておられるのかどうか。私はどうもそれがないのではないかと思う。吉田総理の何か思いつきのような一言によつて、こういうものが調査される。そういうために地方制度調査会がつくられるというのでは、これは国民が納得できませんし、政府自身が言つております行政簡素化とは、おそらく縁が遠いものじやないか。しかも政府では、大体今までの調査の結論が出て、地方自治法改正案を出しておるのだからということを聞きますと、なおさら私は地方制度調査会が必要ないのじやないかと思いますので、その点をもつと具体的に明白にしていただきたいと思います。社会情勢の変化、交通機関の変化とか言われますが、交通機関はあまりかわつておりません。飛行機もほとんど使えないのですから。社会情勢の変化によつて、なぜ道州制が必要なのか。どういう社会情勢の変化が出ておるから、道州制が必要であり、府県の廃合が必要であるということが、具体的に出て参りませんと、何か漠然たる見通しで、個人の思いつきで、こういう制度がどんどんつくられましては、政府機関の私物化と言わざるを得ないと思いますので、この点は十分御考慮願いたいと思います。  それから、時間の関係上、他の質問は明日に譲りまして、重要な点だけをひとつ聞いておきたいと思います。  行政協定の問題ですが、地方自治法にもあります、また私どもが審議しております公営企業の問題ですが、行政協定にあります地方の公営事業を占領軍が優先的に使用するということについては、政府内部にも異論が出て参つた。一体向うが優先的に使用するというのはどういうことなのか、そういうことを許していいのかどうか、しかも行政協定の規定では、非常の場合でもありませんし、また特に問題が起つた場合でもありませんので、彼らは日本におります以上は、繕えず彼らがいついかなるときでも、優先的に利用するという規定なのか。こういうことは非常に困るんじやないか。日本の政府あるいは日本の地方公共団体の利用を越えて、さらにそれよりも優先的に向うが利用できるということは、これはおかしいと思いますし、地方の住民も、これには納得できないと思う。しかもその費用が地方住民から主としてまかなわれて行くという形になつておる。独立採算制がとられまして、その費用はほとんど住民の負担によつてまかなわれておる。しかもそれを外国軍隊が優先的に利用することができるとなつて参りますと、これは問題だと思う。しかも聞くところによりますと、東京のバスなんかは、最初に投下いたします固定資産、設備資金、こういうものも実はバスの料金でまかなつて行こうというようなことがとられておりまして、おそらく独立採算制になり、そういう基本的な固定資産に対する投資が、料金でまかなつて行かれますと、バスの料金あるいは市電の料金、水道の料金は莫大に値上りせざるを得ない。しかもそういう市民の負担において経営しております自分たちの企業が、外国軍隊に優先的に使われることになつて参りましては、これはだれのために金を出しておるのかわけがわからぬと思いますが、この問題は政府で問題になつておるのかどうか、あるいは自治庁としては、こういう規定に対してどうお考えになつておるか、その点を明白に承つておきたい。
  181. 吉田吉太郎

    ○吉田(吉)委員長代理 ちよつと立花委員に申し上げますが、逐條審理はこの程度にして、ただいま御質問よう内容は、いずれ総括的にまた質問をやりますから、そのときに言うていただきまして、できるだけ逐條に、簡單にひとつ……。
  182. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ただいまの問題の、行政協定に基きまして、具体的にその優先使用というような方法をどうするかというようなことにつきまして、一般的に制度をつくるということになりますれば、どうしても立法化が必要でございまするが、目下の状態におきましては、そのような必要がないのじやないか。駐留軍が軍隊としてある地点からある地点に移動するというような場合におきましては、これは主として国の交通機関、国鉄等が利用される場合が多いと思いますけれども、駐留軍の一部が、ある市町村の経営しております公営企業を使用する、こういう場合におきましては、もちろんその使用の対価というものは、当然いわゆるどんぶり勘定と申しますか、そういうところから支払わるべきものであります。従つて地方の独立採算制という原則を侵すということはないと、私ども考えておるわけであります。また優先使用ということでありますけれども、たとえば交通機関でありますならば、さような場合に、特定の車両をその方面に特に供給する、こういうことでありましようし、また電気とか水道というような、地方の住民か使用いたしますものにつきまして、同時に駐留軍が使用する、こういう場合におきましては、大体これは今までさようなものをやはり同様な方式で利用しておつたわけでありまして、特に将来駐留軍の数が増加いたすというようなことがあれば格別でありますけれども、そのようなことは私どもないように聞いておりまするし、むしろだんだんと減少しておるように聞いております。今までの関係におきまして、さほどの問題が起つていないよう承知しておりまするので、今後同様な状態におきましては、さような特に問題が起るというようなことはないのではないか。しかしながら、もしも万一この優先使用に関連いたしまして、特別な問題が起りましたら、これは日米合同委員会等に持ち出しまして、そこで円満なる妥結を見るようにいたしたいと思つております。
  183. 立花敏男

    ○立花委員 この問題について最後質問をしておきますが、そういたしますと、あなたの答弁ではこういう協定があつても立法化されない限りは、これは有効じやない、少くとも地方の自治体はそれに従うことはない、もつと言いますとこれは拒否できるというようなことになると思うのですが、それでいいのですか。
  184. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 私は行政協定に基きますることにつきまして、地方団体が拒否できるということを申し上げたのではないわけであります。行政協定にありまする趣旨従つて、優先使用せしめるようなことを考えなければなりませんが、それはその個々の場合の問題として、現在の段階においては解決できるのではないか。もし一般的に何か特に強く競合しなければならないというよう事態でもあれば、そういう場合には特に立法できる措置が必要である。今までの状態においては、特にそのような措置がなくても、——要するに言いかえまするならば、住民一般使用というものを特に害せずして、優先使用ということが成り立つのではないか、かよう考えております。
  185. 立花敏男

    ○立花委員 今までの場合と同じだつたら、これは講和ができたとは言えないと思う。これはおかしいと思う。しかも占領軍がふえないとはどこにも規定がありませんので、幾らでも無限にふえることもできますし、期限も幾らでも伸びることができますので、この点はやはり大問題だと思います。政府の中でそういう異論が出ておるということを聞きましたのでお聞きしたのですが、そういうことはないようなので、この問題はあらためて問題にしておきたいと思います。  それから各種委員会の規則の問題ですが、私ども公務員は人事院規則によりまして、憲法で保障されております政治活動を禁止されました非常に苦い経験を持つております。違憲だということは明確であるし、違法であるということも明白なんですが、しかもそれが強行されたという経験を持つておるわけです。ところがこの地方自治法規定の中で、各種委員会が規則をつくり、規程をつくることができるとあるわけなんですが、これがいかなる拘束力を持つておるものなのかという問題、これは重大な問題になつて来ると思うのです。特に地方の人事委員会などが、変な規則をつくりまして、それで中央の人事院のように変な拘束をやられましては、たいへんだと思うのですが、これはいかなる拘束力を持つておるのですか。それからこの問題は地方の議会の権限とどう関連しておるのか、あるいは地方の條例とどう関連しておるのか、この問題をひとつ明白にしていただきたい。
  186. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 普通地方公共団体の委員会は、法律の定めるところによつて、條例なり規則に違反しない限りにおいて、その権限に属する事務について、規則その他の規程を定めることができる、こういうふうになつておるわけでありまして、具体的に人事委員会なり、教育委員会なりが、いかなる規則を定め得るかということにつきましては、法律の定めるところによるのであります。これは人事委員会につきましては、地方公務員法の定めるところにより、教育委員会については教育委員会法の定めるところによる、こういう意味合いであります。今お話の出ました地方の人事委員会でございますが、これについては地方公務員法の中で、人事委員会規則を設けることができる、こう書いてあるわけであります。またこれらは法令はもちろん條例に違反できないわけでございまして、この規定はいわば全体の根拠的な規定でございまして、具体的にいかなる種類の権限に基いて、いかなる種類の規則を制定し得るかということは、個々の特別法の内容によつて、きまるという問題であります。
  187. 立花敏男

    ○立花委員 しかし現実において中央の人事院が、憲法の基本的な問題まで蹂躙して人事院規則をつくつたということは明白な事実なんで、ここにいくら條例あるいは法律の定めるところに違反しない限りにおいてと書いてありましても、それを認定いたしますのは、あくまでも各種委員会であります。一方的な断定にすぎないと思うのです。そういたしますと、やはり地方の人事院で起りましたようなことが起らないとは必ずしも言えません。でありますからして、こういう規則あるいは規程は、あくまでも内部的な規定であつて、他に対して拘束力がないというふうにすべきが当然だと思う。しかもそういうことでは間に合わないので、他に対して拘束力を持つというのであれば、私は少くとも地方の議会に当然かけるべきであり、審議しあるいはそこの決定に従つて、こういうものはつくられなければいけない、そういう点が非常に不明確で、私どもは單にりくつの上ではなしに、過去の苦い経験によつて、こういうことになりますと、とんでもない人権の蹂躪、自由の拘束が起ると思うのですが、その点の危惧を抱かないのは私ふしぎなんですが、その点どうなんですか。
  188. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 地方の人事委員会につきましては、さような御心配は毛頭ないと思います。これは地方公務員法の中に、いかなる事項といかなる事項について、地方の人事委員会が人事委員会規期を制定できるかということを、明らかにうたつておるわけでありまして、法律上人事委員会の権限に属する事項についてのみやり得るわけであります。ただそれを個々の処分としていたしまするか、あるいは一般的な規則という形において、処理いたしまするかという違いだけであります。とにかく法律上人事委員会の権限になつており、また規則そのものについて制定してよろしいということになつている限りにおいて、規則が制定できるのでありますから、御心配なことはない、かよう考えております。
  189. 立花敏男

    ○立花委員 それはあくまでも建前なので、地方の人事委員会つて規則に違反して、ああいう規定をつくつたのだとは申していないわけであります。あれも合法的であり、適法であると言つておるわけです。しかも本質的には憲法を蹂躪しておるということは明らかであります。そういう形式的な問題は問題にならない。だからそういうことが実際起るおそれがあるし、実際起つたのだから、それと同じようなこういう規定はつくるべきじやない、つくるべきであるとすれば、それは内部的なものである、決して他に対する拘束力を持つようなものをつくるべきじやない、こういうわけなので、この点は單なる條文や形式の問題ではなしに、実質上こういう規定はつくるべきではないと思う。
  190. 吉田吉太郎

    ○吉田(吉)委員長代理 逐條審議はこれをもつて終了いたします。  本日はこれをもつて散会いたします。     午後五時二十九分散会