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1952-05-27 第13回国会 衆議院 地方行政委員会 第54号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月二十七日(火曜日)     午前十一時十九分開議  出席委員    委員長 金光 義邦君    理事 河原伊三郎君 理事 野村專太郎君    理事 床次 徳二君 理事 門司  亮君       大泉 寛三君    川本 末治君       佐藤 親弘君    橘  直治君       前尾繁三郎君    龍野喜一郎君       大矢 省三君    立花 敏男君       八百板 正君  出席政府委員         総理府事務官         (地方自治庁次         長)      鈴木 俊一君  委員外出席者         専  門  員 有松  昇君         専  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 本日の会議に付した事件  小委員補欠選任  地方自治法の一部を改正する法律案内閣提出  第一七五号)     —————————————
  2. 金光義邦

    金光委員長 これより会議を開きます。  地方自治法の一部を改正する法律案内閣提出第一七五号を議題として、昨日に引続き質疑を続行いたします。  本日は第八章給与その他の給付、第二百三条より第二百五十九条までについて質疑があれば許します。なお前会欠席の方は、その前を御質疑いただきましてけつこうでございます。
  3. 床次徳二

    床次委員 きのうのところでありますが、総理大臣に対する協議というのが、府県部局の問題についてあります。そうしてその前の市の廃置分合のところにも総理大臣に対する協議ということがあります。同じ協議を必要とする場合でありましても、協議の内容が非常に積極的な制限になつている場合と、單なる事務便宜のための協議というのと、かなり強さにおいて差があると思います。廃置分合の場合におきましては、もつぱら事務的な便宜のために協議をするというふうな御説明であつたのでありますが、部局の場合になりますると、これが相当大きな制限になるんじやないかという気もするのであります。その点は、むしろ運用仕方いかんによりましては、協議ということが非常に大きな制限になることをおそれておるのでありますが、むしろかかるものは削除してもいいんじやないか、運用幅いかんによりまして制限になるおそれがあるものについては、これは規定からは除くことがいかがかと思いますが、当局の御意見をもう一回聞きたい。
  4. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 都道府県部局の区分の仕方につきましては、日本都道府県処理いたしておりまする事務の性質、性格が、御承知のごとく国政委任事務と申しますか、そういうような考えに立つものが七、八割を占めておるわけでございまして、そういう点から申しますると、それらの事務処理いたしますための部局が、どのようにあるかということにつきましては、もちろん都道府県としては自主的にきめたいという気持はあるわけでございますが、反面、その仕事について責任を持ちまする中央各省といたしましては、その部局がいかように構成されるかということについて、相当強い関心を持つているわけであります。時としては課の設置とか、そういうようなことについてまで通知その他の手段によつて、いろいろ指示をするというような実際上の動きがあるわけでございます。そのようなことはいかにも好ましくないと思うのであります。そういうような点から考えまして、かたがた行政簡素化という政府一つ根本方針に従いまして、政府としまして、どうも地方の部が間々増設される、あるいは時としては濫設という言葉も該当するくらいな状態にもございますので、各部間の所掌事務変更その他につきましては、これは特に協議を要しないということにいたしておりまするけれども、部を標準部よりよけい設けるということにつきましては、これは行政簡素化という根本のねらいから政府としては協議を受けて、またその関係のある各省との間の調節もいたしまして、これを処理するようにいたしたい、かような考え協議に関する規定を設けたのであります。
  5. 床次徳二

    床次委員 その意味におきまして、協議という同じ言葉が非常に強く使われておる。ところが前段の方にありましたところの廃置分合については、総理大臣協議をしなければならぬということは、実質的には單に便宜上の意味におきまして協議を必要とする規定がある。同じ協議という字がさように二重に使われておるということは、今後の運用上においても非常に問題を起すんじやないかということを私は懸念するのであります。かかるあいまいな言葉は、この際やめることがむしろ発展のためにいいんじやないか、特にただいまの機構の問題その他につきましても、一応御意見は御意見として考えられるのでありますが、地方自主性によりまして、それぞれ最善とするところをやらす、そうしておのずからその中のいい結果をあげたものを、今後のモデルとして使うということにもまだ余地があるのではないか、しいてかかる協議の形によつて、これを縛るほどのこともないんじやないかというふうな実際問題も考えられるのであります。なるべくならば、法律上にはあいまいな言葉を省く、同時に自主性を尊重するという意味において、法文の中にまだ協議という文字が数箇所あるんじやないかと思いますが、こういうものについては、なるべくやめる方針をとれないであろうかという考え方を持つたわけであります。ほかにもたしか協議という字が大分あるのでありますが、概して協議というのは軽い意味に使つてあると思います。便宜上の手続から協議をやる、こういうことが一番協議の実質的な意味を持つておるように思うのでありまするが、いかがでしようか、もう少し整理できませんでしようか。
  6. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 市の設置の場合の協議でございますが、これは市となるべき要件について一種の確認といいますか、そういうような性格がございます。その点は床次さんの仰せになりましたような趣旨として考えておるのであります。がしかし、それが同時に国の各種行政管轄区域との関係があるということをお答え申し上げたわけであります。府県部制につきましても、やはり同様な趣旨におきまして、アメリカのような行政の体制をとるといたしますならば、国が直接出先機関をつくるべきでありましようけれども、そうでなく、特に自治体委任をして仕事をやつておるような建前から、日本の、ことに都道府県というような自治体につきましては、その組織を設ける場合におきましても、ある程度中央地方との間の対等者間の話合いというような結果に基いて行われることが必要である、そのことがより適当であるというふうに、私ども考えておるわけでございまして、そういう点から申しますと、協議という言葉は、要するに対等者間の話合い、こういうふうに考えておりまするので、国と地方公共団体という両者関係を、従来のように指揮監督という関係ではなくて、対等者間の、いわば協同体相互の間の関連の問題と考えておりまするので協議というような言葉使つたのでありまして、そういう両者対等立場において話合いをする、こういう気持でおるわけであります。
  7. 床次徳二

    床次委員 なおただいまの部局の問題につきまして、予算の問題におきましても考慮する余地がある。部局を多くすれば、地方ではそれだけよけい負担しなければならぬという結果が出て来ると思います。その点におきましても、各地方団体それぞれが自主的に判断ができるんじやないか、なるべく機構を小さくして簡素に行いますれば、それだけ経費も軽くなつて来るということは当然だと思います。私は、これは自治体自体が自己の責任において考え余地がある。特に協議ということは、それほど重要性を持ち得ないんじやないか、持たなくてもただいまの話合いはおのずからできるんじやないか。なるべくこれを自主的に同じ結論にさせる方がいいのではないかと思うのでありまするが、この点についてはいかようなお考えでありますか。
  8. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 自主的にさせて、その結果固まりました一つの慣行のようなものを標準として、法定されたらどうかというような点の御指摘でございますが、大体今までの部の設置建前は、御承知のごとく必置部を六部法定いたしまして、あとは置き得る任意設置部範囲を限定しておるのが現状であります。これはあまりにも拘束的であるという考え方で、それを緩和いたしまして、部制はそれぞれ条例で設ける。その標準以外の場合には特に型を示しませんで、その団体として適当と思われる部を増設することができる。但しその場合は協議してもらいたい、こういう考え方でございますので、府県の制度に対しまして現在よりさらに弾力性といいますか、自主性を与えたつもりでおるのであります。お話のごとく、これを全然自由にするという考え方もあると思いますけれども都道府県処理いたします事務が、まつたく当該自治体だけの関係でありますならば、そうするのが当然でございますが、先ほど来いろいろ申し上げましたように、都道府県処理しております事務の七、八割というものが、やはり究極においては国の責任、あるいは各省責任において完全に行われることを要する事務でありますので、そういう点から申しまして、やはりこの程度中央地方との間の意思の合致を要求することは、必ずしも不適当でないのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  9. 床次徳二

    床次委員 次に二百四十五条の三ですが、これに情報の提供ということがあるのであります。組織、運営、合理化についていろいろ研究されると思いますが、地方仕事をふやすということに、これが相当濫用されるおそれはないかどうかということについて伺いたいのであります。なおこういう問題について、相当広範囲になりますならば、経費も要するということが予想されますが、特に明らかに規定の中にこうやつて入れなければならぬほどの問題であるかどうか、現実に規定がなくてもこの程度のことはやつて行けるのじやないかとも思いますが、この点いかがお考えになりますか。
  10. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ただいまのお尋ねの点でございますが、この関係は、実は地方自治法が制定されます際に、監督というような表現を用いまして、条文規定するということについては、さらに検討を加えるべきであつたわけでございますが、この点は、昨年神戸委員会におきまして、国と地方団体との基本的関係の立て方といたしまして、権力的な上下の関係ではなく、共同的な関係に置くべきである、こういう考え方が勧告されておるわけであります。しかしながら、共同的な関係でありましても、知識的には中央集権をいたし、権力的には地方分権をする、こういうような一つ考え方がその基盤になつておるように思うのであります。言いかえますれば、地方団体で実際行われております各種行政処理の仕方というようなものについて非常によく行われておるような事例、そういつたものの報告中央の主管の省が受ける。そしてそれを整理いたしまして、最も合理的な、あるいは能率的な、適切なる事務処理方法というようなものを考えまして、それを技術的な助言として地方に伝える、あるいは勧告する、こういう考え方に立つべきではないか、要するに報告という手段によりまして地方から情報を出してもらう。それに基いてまた中央から地方に対してよりよき行政事務処理のための方式を助言する、こういう考え方中央地方との関係を立てるべきであるという根本考え方に基きまして設けた次第でございます。
  11. 床次徳二

    床次委員 二百五十三条の事務はいかようなものでありましようか、お伺いいたしたいと思います。
  12. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員  「都道府県知事権限に属する市町村に関する事件で数都道府県にわたるもの」という点についてのお尋ねでありますか。
  13. 床次徳二

    床次委員 そうです。
  14. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 これはたとえば甲県と乙県との間にある甲県の村を乙県の方に編入するといつたようなことは——境界変更処分知事権限でありますけれども、これが二つの県にまたがる、そういう場合には甲県、乙県の知事協議によつてどちらかの知事がそれを定めるというような適用の方式になるわけであります。
  15. 金光義邦

  16. 八百板正

    八百板委員 前にもどつて恐縮でありますが、感違いしておりましたので、ちよつとお尋ねいたします。  改正案には出ておりませんが、百三十五条に除名処分その他の処分について規定がございます。この点国会地方議会の場合は若干違いますので、出席停止から一足飛びに除名というようなことでなく、調和のとれた自治体にふさわしいような処分方法について、お考えなつたことはございませんか。
  17. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 地方議会秩序維持のための懲罰の問題でございますが、これはただいま御心配のございましたように、百三十五条には四種類の、公開の議場における戒告、陳謝、出席停止除名等懲罰方式が掲げてあるわけでございまして、法律違反あるいは会議規則違反に対して、どういう懲罰を科するかということは法律の上にはつきりうたわれていないのであります。ということから、非常に重い懲罰事犯に対して軽い懲罰制裁が科せられ、あるいは非常に軽い懲罰事犯に対して、重い懲罰制裁が科せられるというようなことが、実際問題としてはなきにしもあらずという状況であると思うのであります。この点につきましては、慣例によりまして、どういう程度懲罰事犯に対しては、どういう程度懲罰が科せられるというようなことが、将来だんだんとでき上つて来ると思うのでありますが、最近までの状態では、まだそこまではつきりしたものができておりませんけれども、法の趣旨といたしまして、私ども運用上の考え方としては、かように四種類軽重を区分した懲罰種類が書いてあります以上はやはりその間に懲罰事犯軽重の度合いに従つて、それぞれ均衡のとれた懲罰を科すべきものであろうというふうに考えておるわけでございます。ただ実際の運用は必ずしもそれにとどまつていない場合がありますので、そういう場合には裁判事犯に相なるわけでございますが、これは将来運用で、だんだんと一つの慣習ができ上るであろうというふうに考えておる次第であります。
  18. 八百板正

    八百板委員 百十八条からそのあとずつと関係するのでございまするが、今の問題と関連いたしまして、議会議決とかあるいは投票とか、そういうふうなものに対する異議の場合、不服によつて議会を被告として出訴する場場合、前々から、青森の問題などをきつかけにして、今問題になつておるようでございまするが、こういう場合の内閣総理大臣のたとえば異議申立てというようなものによつて裁判所決定が阻止されるというふうな考え方に立つておられるのでございますか。現に青森の問題がまだ最終的な決定に行つていないと思うのでございまするがこの異議申立てがあつても、それによつて効力停止しないという考え方があるわけなのでございますが、こういうような点について、もう少し行政訴訟との関連において明確にする考慮があつていいのじやないかと思うのですが、こういうふうな点はどんなふうに考えておりますか。
  19. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 この懲罰事犯に対しまして、議会が一定の懲罰を科しました場合、その懲罰に不服がありました場合において、出訴ができるかどうかということは、ただいまやはり法律論としては一つの問題であるわけであります。と申しますのは、一般に行政事件訴訟特例法では、行政庁の違法な処分に対して出訴ができる、かようになつておるわけでありまして、議会がはたして行政庁であるかどうかという点に、法律論といたしまして若干疑義を存するわけであります。しかしながらこの点に関しましては、先般最高裁判所判決がありまして、議会といえども直接効力を生ずるような議決をいたしますものにつきましては、その限度において行政庁と見るべきである、こういうような判例がございまするので、私どもといたしましても、そういう判例はこれは尊重いたしておるわけであります。そこで懲罰議決がございました場合には、それに対して出訴するということは、今八百板さんの御指摘になりましたような、第百十八条に規定いたしてありまするような趣旨出訴権規定はございませんけれども、実際問題として慣例に基きまして出訴するということがあるわけであります。この点は特に法律上うたいませんでも、目下のところは支障がないてはないかと考えておるわけであります。  それからなおお話の、懲罰議決に対して不服でありまして、出訴がありました場合において、裁判所がその懲罰議決執行決定をもつて停止する、こういうことができるということが行政事件訴訟特例法にあり、そうしてこれに対して「総理大臣異議を述べたときは、この限りでない。」かようになつておるわけでございまして、この総理大臣異議ということにつきまして、いろいろ批判があることは事実でございます。ただ政府考え方といたしましては、地方議会秩序維持というのは、やはり地方議会の自主的な自律権にまかされておる、あるいはそういうものにまかしておるというのが地方自治法建前であつて従つてそういう秩序維持に関しまする措置は、これは議会がすべて自主的にきめるべきものであるというふうに考えておるわけであります。もちろん出訴がございました場合に、最終の判決をもつてその懲罰議決が不当であるというようなことで無効に相なりまするというようなことは、ある程度ございましよう。そういうことは、もちろん司法権の本来の範囲の問題として、懲罰議決が無効だという宣言があつても、これはしかるべきものでございますが、これは事前決定という処分をもちまして、懲罰議決効力停止するというようなことになりますると、これは議会秩序維持ということができなくなるのではないか。国会の場合の院内秩序維持という、そういう問題との関連からいたしましても、地方議会に対してその程度自主性を認めることが妥当ではないかというような考え方から、こういう懲罰議決に対する出訴事件につきましては、このような執行停止ということがないことの方が望ましいというふうに考えておるわけであります。しかしこれを立法的に解決するかどうかということにつきましては、さらに私どもといたしましても、研究を重ねたいというふうに考えておるわけであります。
  20. 八百板正

    八百板委員 この問題は、話をすると長くなりまするから、あまり詳細な点は差控えたいと思うのでございまするが、関係するところは非常に大きいですから、もう少し明らかにしていただきたいと思うのです。そういう場合の行政事件訴訟特例法に基くところの但書による異議というものは、そのあとに、裁判所決定は、「決定に対しては、不服を申し立てることができない。」という項目があるわけなのでございまするが、そういう点から考えて参りますると、裁判所決定に対する異議というものも、当然に決定前に行われる首相異議であつて決定後に行われる首相異議は、その効力停止するものではないというふうな見解を、これは法の建前条文の上からはつきり解釈されるのでございますが、そういうことになりますると、事実上総理大臣異議申立て行為は、意味のないものになるという結論になるのですが、こういうふうな点はどんなふうにお考えになつておられますか。
  21. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 この行政事件訴訟特例法の第十条第二項に、「執行停止公共の福祉に重大な影響を及ぼす虞のあるとき及び内閣総理大臣異議を述べたときは、この限りでない。」というふうにございまして、第五項に「第二項の決定に対しては、不服を申し立てることができない。」とございまするが、この決定をもつて行われた執行停止に対しては、当事者——当事者と申しますか、行政庁とその相手方のもの、そういうものが不服を申し立てることができないというのが五項の趣旨であるわけでありまして、第二項但書総理大臣異議というのは、執行停止の行われまする前に行われるということもございましようし、また事後において総理大臣異議が述べられるということもあると思うのであります。事前において、すなわち執行停止事前異議が述べられた場合に、執行停止を命ずることができないのは、これはもう当然でございまするが、事後におきまして異議を述べた場合においても、執行停止を命ずることができないのであります。従つて一旦命じた執行停止を取消さなければならないのではないかというような問題があるわけでございます。これにつきましては、学者間にも両論あるようでございまして、事後において異議を申し述べたならば、それによつて当然に執行停止効力が消滅するのだ、こういう説をとる学者もございます。またそうではなくて、事後においてはやはり裁判所があらためて第六項の決定によつて取消さなければいかぬというような説と両説あるのであります。この点に対しましては、第十条の第二項がやはり行政権司法権との調節をねらつておる規定というふうに私ども考えておりますし、また総理大臣異議を述べるということを事前に行いますことは、実際問題として非常にむずかしいのであります。従つてこの運用が過去におきましてはいずれも事後において行われておるわけでありまして、そういう場合におきましても、裁判所においては第六項の規定によりまして取消しておるというのが、今までの例になつておるようであります。
  22. 八百板正

    八百板委員 これは自治庁立場として考えます場合には、なるたけ地方自主性にまかせるという建前に立つて物を判断して行くということが当然だろうと思うのでありまして、そういう建前から行きまするならば、自治体に起つたそういうふうな問題が——これはむろん司法的な問題であれば別個な問題でございますけれども、それに対して総理大臣がいわば異議申立てをして、そしてそれをくつがえすというふうな考え方をして——むろんこれは自治体そのもの自律性を尊重するという建前に立つてやられた行為ではございますが、一方において裁判所決定に対して、総理大臣異議をもつてこれをくつがえすというようなことになりますと、それはまたいわゆる中央の権力を地方に押しつけるというような危険もあるわけでございます。ましてや事前における異議手続上正当なものとして、一応解釈せられるにもかかわらず、事後における異議申立てをもつて、第六項の規定を発動させるということになりますと、これはいわば三権分立考え方からいつても明らかにもとるのであつて司法権の発動であり、行使でありますところの裁判所決定に対して、行政官意見がこれを決定後においてくつがえすというふうな作用を与えるということは、三権分立の上からいつても、また憲法の建前からいつても、非常に大きな問題だろうと思うのであります。そういう意味合いにおいて、この六項によつて裁判所はいつでも第二項の決定を取消すことができるということは、裁判所自身判断によつてやる場合であつて、その判断の中に総理大臣異議等考慮せられる、含まれるというようなことになりますと、司法権に対する圧力を総理大臣が加えたというふうな結果になるのでありまして、問題は非常に大きな問題に発展すると、私ども考えざるを得ないのであります。従つてそういうような点について、この首相異議申立てというものは、自治体におけるこういうふうな問題に対しては適用されないのだ、こういうような考え方を持つて行く方が正しいのではないかと私どもは思うのであります。すなわちそういうような点を予想して、この法律ができておつたのではないか、そのために一般的な行政処分に対する異議を対象としておつたのであつて、たとえば青森等に起つた除名というような問題を考慮に入れての立法ではなかつた、こういうふうに私ども考えるのでございますが、そういう点自治庁はどういう見解を持つておられますか。この点もう一度明らかにしていただきたいと思います。
  23. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 私ども考え方といたしましては、やはり地方議会秩序維持というのは、地方自治の一番中心の機関である議会秩序維持の問題でありまして、やはりその議会自主性あるいは自律性というものは、地方自治の観点から申して一番重視されなければならない問題であります。従つてその議会秩序維持についての懲罰議決というものについて、かりに出訴がありまして裁判所に参りました場合におきましては、裁判所の口頭弁論を経た後の終局の判決におきまして違法である、取消すというようなことが行われますのは、これはやむを得ませんけれども、さような手続を経ない、決定という事前手続においてその懲罰効力を失わせしめるというのは、やはり地方議会性格、本質から考えて適当でないのではないかというふうに考えるのであります。そもそもこの執行停止の処置というのは、たとえば知事がある家屋の取こぼちの処分をする。ところが、その処分自身が違法のおそれがある。そこでそういう家屋取こぼちの処分執行停止をするというふうな場合におきまして直接的に適用される場合が、一番多いと思うのであります。ことに議会行為に対しましては、多くそのような対象にならないと思うのでございまするが、その中でも特にこの懲罰議決のようなものは、最も自主性の尊重さるべきものではないか。従つてそういうふうな懲罰議決について執行停止をすることは、むしろそのこと自体が適当でないではないかというふうに考えるわけでございまして、この点はなお私どもも将来十分研究いたしたいと思いますが、ただいまのところはさような考え方を持つている次第でございます。
  24. 八百板正

    八百板君 その問題はいろいろ問題が残ることでありますから、この際結論づけるまでには無理があろうと思うのでありますが、それと関連いたしまして、いろいろ混乱、混合が起るおそれがありますので、関連して少しお尋ねしておきたいと思うのでございます。地方自治法の中に、長の専決処分というものは、事後において承認がなくても法律上その効力には影響ないというふうな内容が盛り込まれておつたように思うのでございますが、その通りでございますか。
  25. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 この点は、自治法の百七十九条あるいは百八十条にいわゆる専決処分の場合が規定をしてあ  るわけでございまして、この百七十九条の場合は、議会が成立していないとき、あるいは一身上の利害関係者があるために、議会会議を開くことができない、あるいは緊急を要して議会を招集するひまがない、あるいは一定の議決をすべき期限があるのにかかわらずそれが議決しない、こういうふうな場合に専決処分ができるということであります。それからなお百八十条では、議会があらかじめ軽易な事項として指定したものを専決処分できる、こういうことになつているわけであります。百八十条の軽易の事項の専決処分の方は、これは議会報告するだけで、そもそも議会機関委任をしているのですから問題はないのでありますが、百七十九条の方は、緊急の認定について問題があるというふうなこともあるでございましよう。従いまして、報告を長がしなければいけない。そしてその承認を求めなければいかぬというふうなことになつているわけであります。しかしながらすでに処分が行われているのでございますから、その行われました処分事後において失効せしめることは、法律上は当然参りませんので、もしも報告をいたしましたのにかかわらず議会が承認しなかつたという場合においては、結局長はその議会議決を尊重いたしまして、今まで行いました処分を取消す、あるいは将来に向つてその処分をやめること、こういうような取消しまたは行政行為の廃止というようなことを行うことになるであろう、と思うのであります。
  26. 八百板正

    八百板委員 そういうふうに、専決処分について、その効力事後において議会の承認を得なかつた場合といえども法律上の効力を持ち、第三者に対抗できるというふうになつて参りますと、ここで考えられます点は、議会議決については司法的にその取消しをする道があるわけでございますが、申すまでもなく、議会団体の意思決定機関でございますが、団体意思の決定機関である議会決定は司法的に取消されるが、行政行為をなす権限を持つておる団体の長の行為は、その団体の意思決定機関である議会の承認がなくとも、独立して法律上の効力を持つて第三者に対抗できるということになりますと、むろん第三者の保護という立場から見ますならば、一応考えられない点ではないのでございますけれども、その点だけを見ますと、長を重く見るというような形にならざるを得ないのでございます。この長の執行だけを第三者に独立して対抗力を持たせるということになりますと、たとえば専決処分によつて行われましたところの財産の取得とか処分などというような問題も起つて来るであろうと思うのであります。そういう場合には、当然に専決処分によつて行われる長の行為は、議会の承認がなければ効力がない、あるいはまたさらに言葉を重ねて申し上げますならば、意思決定力のないものの行為は、取消すことができるというふうに考えて行くのが筋ではないかと思うのであります。もしまたそれがやむを得ずそういう行為をやらなければならぬという場合には、その長の専決せられます行為についての効力を何か留保するとか、そういうふうな考慮が払われて行かないと、長の方の権限を重く見て、事実上の団体意思決定機関である議会の意思の比重が軽くなるというふうな考え方がされるのでありますが、こんな点はどんなふうにお考えになつておられますか。
  27. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 八百板さんのようなお考え方も確かに一つ考え方であると思うのでありますが、現行法の建前といたしましては、ただいま八百板さんの御発言の中にもございましたように、やはり取引の安全と申しますか、その専決処分を受けましたその相手方の地位も一面考えなければならぬわけでありまして、許可によつてある土地を取得した、それが議会議決を経なかつたために無効であるというようなことに相なりますと、やはり取引の安全を害するというようなことにも相なりますので、そういう見地から、自治体執行機関が行つた行為であるから、これを一応適法の処置として見る、こういう建前になつておるのであろうと思うのでございます。事後において議会がその行為を承認しなかつた場合に、それをはつきりと、当然に効力を失うというようなことも立法上はやれないことはないと思います。そういたしますと、今申し上げましたように、長の責任においてやりましたことが、第三者に対して不利益を与えるというような問題がございますので、この現行法におきましては、そういう緊急の専決的処置をとつた長が悪いのである。むしろ長の政治的な責任という面に現行法はまかしておるわけでございまして、承認を得なかつたのにかかわらず、その処置について何ら善後措置を講じないという場合には、長はあるいは不信任決議の対象となる、あるいは違法の対象となる、こういう政治的な責任による解決を期待しておる、それがむしろ実情に合う、こういうのが、現行法の建前であると理解しておるのであります。
  28. 八百板正

    八百板委員 第七章の執行機関関連いたしまして、第一節に通則というものを新たに加えておりますが、この執行機関というものは当然に長を含むものだと思いますが、執行機関は長を含むものというのは当然でございますね。そこでこの第一節の通則についてでございますが、この通則をずつと見ますと、新しく加えましたこれらの条項は、いずれも額面通りに見ますと、加える必要のないもののように私ども考えられるのでございますが、どこからこの改正の必要性が起つたかという改正の動機と申しますか、必要性というふうな点をちよつとお伺いしたいのあります。いわば訓示みたいなものでありまして、いまさらここに入れる必要のなさそうなものが、わざわざ通則というような形で割込んでいるのは、法案の体裁としても、ちよつとうなずけないのでございますが、どうしてこんなところにしやにむにこれを割込ませる根拠があつたか、これをひとつ伺つておきたいと思います。
  29. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 この執行機関というのは、議決機関に対して執行機関ということでありますが、この地方自治法において、従来執行機関として特に掲げてありますのは、知事、市町村長等のいわゆる長と、選挙管理委員会、監査委員の三つでございます。今回の法案におきましては、その他に地方団体執行機関としてありまする各種委員会を、あとの方に列挙してございますが、これはそれぞれ特別法があるのでございますけれども、自治に関する基本法である地方自治法と、それらの各種法律との関連を書いているのであります。そういうふうに執行機関が、いろいろの法律つてばらばらにできて、しかもそれがはたして国の機関であるか、地方団体機関であるかというようなことについて、非常に疑問を生じた例が少くないのであります。たとえば都道府県の公安委員会は一体国家機関であるか、自治機関であるか、あるいは地方労働委員会は国家機関であるか、自治機関であるかというふうな点について、過去においてしばしばいろいろ意見があつたのであります。今日におきましては、これはわれわれいずれも自治団体機関というふうに理解をしておりまするが、そういうような点がございまして、執行機関全体を通じての一つの通則というものを自治法の中に掲げ、そしてそれぞれの執行機関の根拠を、自治法の中に置こうというのがこのねらいでございます。そこでこの通則の一番最初におきましては、執行機関が誠実に団体事務を管理し、執行しなければいけない、こういう点を書いております。その上に「自らの判断責任において、」ということをうたつておりますが、これは議決機関執行機関との関連を主としてうたつておるわけであります。昨日もちよつと申し上げましたように、議会の常任委員会と執行機関との関係が、最近はしばしば混迷をしておる状態になつております。常任委員会の方が本来執行機関の方の職責に属すべきことにつきまして関与をいたし、あるいは執行機関の側がみずからの責任においてやるべきことを、議会の常任委員会にかけて、その責任において処理するというような、何というか、両者権限の配分、責任というものを紛淆するような事態が、ございまして、そのためにいろいろ議会執行機関との間に問題もあるのであります。そういう点からはつきりした執行機関というものの地位をここに書こうというのが、百三十八条の二であります。百三十八条の三は執行機関組織の原理のようなことを書いたわけでございます。第一項は、そういう系統的に構成しなければならぬということでございますが、執行機関が各知事、市町村長、すなわち長というもののほかに、各種委員会があるわけでございますが、長は議会に対して条例の発案権を持つておる、あるいは予算の編成発案の権利を持つておるというような、条例なり、予算の発案によりまして、他の執行機関との間の連絡調整あるいは所轄ということがあるわけでございまして、そういうもとに各委員会、教育委員会なら教育委員会が、自己の関係を明確に系統づけて組織を設けろという意味であります。ただ二項におきましてはとにかく知事、市町村長と教育委員会との間におきまして、あるいはその他の各種執行機関相互の間におきまして連絡が不十分である、協調の精神に欠けておるというような点もありますので、そういう点を特にうたつております。そうして三項につきましては執行機関相互の間の権限について疑義があつた場合は長はその間に立つて調整せよ、努力せよということをうたつておるわけであります。要するに自治行政執行ができるだけ合理的かつ円滑に行えるようにすべきであるという考え方が、ここに特に書いてあるわけであります。
  30. 八百板正

    八百板委員 私は御説明とは何か逆なようにこの条文を読んだのでございます。誠実にやれというようなことが書いてあるわけでございますが、この管理執行を怠らないで誠実にやるということは当然でございます。あらためて言う必要もないもののように思われるのでございます。ただ百三十八条の規定はむしろ国の上からの仕事に対しても、誠実に、管理執行を怠つてはならない、こういうふうなことを明らかにするために、書かぬでもいい、自治体が一生懸命やれということをひつぱり出して来て、そうして暗に天くだりの国家事務の下級機関としての自治体の心得規定みたいなものを持ち出して、伏線をしくような条文のように私には判断されるのでありますが、そういう意味では何か自治体をばかにしたような感じを、私はこの条文から受取るのであります。たとえば「自らの判断責任において、誠実に管理し及び執行する義務を負う。」と言つている。実際はむしろ責任をもつてやれというのであつて、みずからの判断の方はついでにくつつけたのだという感じが強いのでありますが、そういうふうなものでないということを、もう少し明らかにしておいていただきたいと思います。  それから百三十八条の三でございますが、あとの方もそうでございますが、この長の所轄のもとに連絡をはかれとか、行政機能を発揮しろというようなことは、これはもうあらためて法文に入れなくてもよい事柄であつて、さらにまた附属機関が主たる機関に従属するということも、これまたきまつた事柄であつて、何も事新しく通則などというふうにここに入れなくても、それぞれあるいは公務員法の中にもありまするし、いろいろな意味ですでに心得規定というものができておるのでありますから、必要がないように私は思うのでございます。その点もう少しはつきりお答え願いたいと思います。  それから百三十八条の四の方の「普通地方公共団体委員会は、」云々という二項もございまするが、「その権限に属する事務に関し、規則その他の規程を定めることができる。」というこの「規則」というのは、一体だれを拘束する規則なんでしようか。これをちよつとつけ加えてお答えを願いたい。
  31. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ただいまのお尋ねの点でございますが、まず第一に百三十八条の二の点でございますが、これはみずからの判断責任においてというのはつけ足りで、あまり重点がないのではないかというような御趣旨お尋ねでございますが、これはその第一行目の初めの方をごらんいただきますと、「当該普通地方公共団体の条例、歳入歳出予算その他の議会議決に基く事務」というものを一番先に取出しておるのであります。そういう事務を「自らの判断責任において、誠実に管理し及び執行する義務を負う。」ということで、このねらいは先ほども申し上げましたように、常任委員会制度の導入等によりまして、ともすれば議会執行機関との関係が、非常に紛淆しておりますので、執行機関はみずからの判断責任において行うべく、議会議決に基く事務を行わなければならぬ、誠実に管理執行する義務を負う。こういう点を特にうたつておるのであります。その点は先ほど来御説明申し上げている趣旨にかわりはないのであります。  それからその次の条文の「普通地方公共団体執行機関は、普通地方公共団体の長の所轄の下に、執行機関相互の連絡を図り、すべて、一体として、行政機能を発揮するようにしなければならない。」この点につきまして特に書く必要がないではないかというお話でございますが、この点も委員会の相互の間において、あるいは知事、市町村長と委員会との間等におきまして、従来まつたく相反したことで、ことさらに反目し、嫉視するというような例もなくはないのであります。やはりそういうことがないように、ひとしく地方団体執行機関であるという立場から、一体として行政機能を発揮するようにしてもらいたい、こういうことをうたつておるわけであります。これは要するに一つ法律の上に、国法において地方団体の自治運営につきましての一つ考え方というものをおきめ願つて、それに基いて地方が自治の運営をして行くということが、いいのではないかという考え方であります。国家行政の運営について国家行政運営法という案を、国会が御準備だということを私ども聞いておりますけれども、これもやはり同じような考え方によるものであろうと存じまして、新しい制度でありまするだけに、ほんとうに自治の確立ということを望みます場合におきましては、ある程度基本的な考え方、原理というものは法律の中にうたわれておる方が、適正な自治運営をいたします上においていいのではないか、こういう考え方を持つておるわけでございます。それから百三十八条の四の第二項のところで、委員会が規則その他の規定を定めることができるという点についてのお尋ねでございますが、これはたとえば人事委員会が人事委員会の規則をつくりますとか、そういうふうに法律の定めるところによつて、規則その他の規定を定めることができる、こういうことであります。人事委員会が自己の権限に属する限度においては、法律によつて権限を与えられておるわけでありまして、必要な事項の規定を定めるということは、これはむし当然といえば当然であると思います。
  32. 八百板正

    八百板委員 私が百三十八条の二の問題について聞いておる点は、お話のように「議会議決に基く事務」そういうものはこれは当然だと思うのでございまするが、あとの方が問題なのでございまして、「国、他の地方公共団体その他公共団体事務」という、あとの方に重点がかかつておる。それを出すために前の方をつけたりに出したのではないか。そういう意味で問題としておるわけでございます。それから百五十五条の関係でございまするが、百五十五条の5に「支庁若しくは地方事務所、支所若しくは出張所又は区の事務所若しくはその出張所の位置及び所管区域にこれを準用する。」ということが出ております。これはもどつて恐縮でございまするが、第四条第二項の規定が、ここで準用されるのでございますが、こういう場合はよろしいといたしまして、四条の2についてでございまするけれども、「住民の利用に最も便利であるように、交通の事情、他の官公署との関係等について適当な考慮を払わなければならない。」これはこれでけつこうだろうと思うのでございますが、これだけで割切れない問題が、当然起り得るだろうと思うのです。たとえば長い間必ずしも住民の利益、交通の事情等によつて割切れない所に、たとえば県庁なりその他の公共団体事務所が、長い間存在しておつたというふうな場合には、これだけで割切れない問題が出て来ると思うのでございまして、そういう点も考慮に入れて、この百五十五条の準用の場合には、この程度でよろしいといたしましても、第四条そのものの改正の場合には、もう少し広い範囲考慮が払われなければならないのではないかと私は思つております。議会に対する拘束規定という意味ではございませんけれども、たとえば伝統とか、その他諸般の事情について総合的な考慮を払う必要があるというふうな点も、この際ちよつとつけ加えておいた方がいいのではないかというふうに私は感ずるのでありますが、こういう点について考慮をせられましたかどうかをひとつ……。
  33. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 地方団体事務所、市役所であるとか、町村役場の位置を定めまする場合に、あるいは府県等の出先機関である地方事務所なり、あるいは支所というような各種行政機関事務所の設備にあたつては、もつぱら合理的という点だけから考えますれば、住民の便利な所、区域内の住民が一番そこに行きやすいような所、一部の者にはなはだしく不便をかけるようなことのないように、中心の所に置かれる。さらにまたそういう役場の事務所があつちこつちに散在しているということになりますと、これまた非常にめんどうなので、東京であるならば区役所の中に、いろいろ出先機関がありまして、一緒に雑居しておる。一緒におるということが非常に住民の側からいえば便利であります。そういうふうな交通の事情、その他の官公署との関係、こういうことを、事務所の設置変更については第一義的に考えてもらいたいというのが第四条第二項の趣旨なのでございます。しかしながらただいま八百板さんの御指摘になりましたような従来の沿革、伝統というようなものも、もちろんそれを無視するわけには行かぬわけでありますが、特にその点は法文の中で、それを強調するということはいかがかと考えたわけでございまして、それらの関係等について適当な考慮を払つてみたが、どうもそういう沿革、伝統等から、そうするわけに行かぬのだというなら、これはやむを得ないわけでございますので、合理的に考慮してもらわなければならぬ要素だけを特に書き上げた。こういうわけでございます。
  34. 八百板正

    八百板委員 たとえば、県庁の所在地としていずれこういう問題が予想されるだろうと思うのでありますが、福島県の県庁所在地は福島市にございますが、單に地図の上から見てみますと、県民全体の利益、交通の事情というふうな点から申しまするならば、まず地図をながめて福島でない方がよろしいというような問題が起つて来ることは、必ずしも予想されないことはないわけでございます。そういう場合には議会議決によつて、条例によつて変更せられるということになるのだろうと思うのでございまするけれども、しかしながら單にそれだけでもつて割切れない、長年のそれに関連するいろいろの問題が起つて来る危険があるのでございまして、そういうような点も十分考慮に入れて、いわゆる総合的な判断余地条文の中から汲みとれるような改正を、この際にせられておくことが、将来のためにいいのではないか。こういうふうな考えを私は持つわけでありますが、そういう意味お尋ねをしたわけでございます。この点もう少し、單に関係等というふうな漠然たるものでなく、もつと立体的に総合的な判断の上にすべきだというふうな明らかな規定があつた方がよろしいのではないか。こういうふうな意味お尋ねしたのでございます。
  35. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ただいまの点でございますが、具体的に事務所の位置が定められ、あるいは現在あります位置を変更するという場合におきましては、ここに書いてありまする交通関係、他の官公署との関係だけでなく、従来の沿革あるいは伝統という点が、むしろより強く考慮される。これはもう規定のいかんにかかわらず、従来はその点が一番強く考えられておるというような実情であろうと思うのであります。その点を特に法の上で強調する必要はむしろいかがかと考えられますので、他の合理的な要件のことについて、こういうものについても、適当な考慮を払わなければいかぬのだということを、ここで念のためにうたつたというふうに、御了解をいただきたいと思うのであります。そこで条例で定めまする場合におきましては、普通の過半数議決ではないのでありまして、三分の二以上の者の同意がなければならぬというように、特別の多数決を要求しておりますので、そう無理な事務所位置の変更というようなことは行われないんじやないか、ことに、ただいまお話のございました福島県あるいは長野県あるいは埼玉県というようなところでは、従来県庁の所在地につきまして、若干の紛争がございましたことは、私ども承知いたしておりまするが、これは従来の伝統、沿革というようなものが最も強い、第一考慮条件になつておるわけでございまして、なかなか変更ということは、実際問題として困難だろうと思います。ここでは、そういうものの考慮の際に、こういう合理的な条件というものもあわせて考慮してほしい、こういう意味でうたつておるわけであります。
  36. 八百板正

    八百板委員 これでよろしいです。
  37. 金光義邦

  38. 野村專太郎

    ○野村委員 百五十八条の道府県の局部の機構に関してお尋ねいたしたいと思います。この東京都については原案はお認めになつておりますが、他の道府県につきましても、今住宅の問題が政治の面におきましても、非常に大きな地位を占めておりまして、大体土木部の中に含めてこれを処置するように考えております。私らといたしましても、地方行政を簡素にするということに対しては、全幅の了解をいたしておるものですが、しかしこの住宅の問題は、非常に深刻な問題でありまして、特に多くの戰災都市等においてはなおその度が深いので、この点に対して、これを土木部の中に含めるということが、必ずしもこの問題に適当であるかどうかということを考慮せねばならぬ、かように考えております。そこで少くとも二百五十万以上くらいの都市については、七部として考えるのは当然である。建築の問題は、他の土木の事業などと違つて、民間の施設なり、あらゆるものを包含いたします。そういう面と、住宅の問題とあわせて考えるごとにつきましては、相当お考えになつてもいいんじやないか、こう考えておるのですが、この点に対して自治庁の御見解をひとつ承りたいと思  います。
  39. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 都道府県の建築行政を所管する部局の問題でございますが、これにつきましては、昨日もちよつと申し上げましたが、大体建築行政事務の分量も非常に多く、責任も重いというのは、大都市を控えておるようなところが比較的多いというふうに思います。戰災を一番多くこうむつておりますので、そういうことで建築行政の比重が重いと思いますが、この建築行政の主たる問題は、建築基準法に基きます各種行政事務が、その中心であろうと思うのでありますが、この建築基準法の施行に関する事務は、建前としては市町村がやるようになつておるわけであります。五大都市その他大きな都市等におきましては、建築主事というようなものを置いて、そこで手近に処理ができるということを考えて行くべきであろうと思いますし、また建築基準法あるいは消防法の建築規則との関連もございますので、それらの間の調節もはかる必要があるだろうと思いますが、もしもそういうような建前で参りますと、やはり建築行政の比重は、どちらかと申しますと市町村、ことに都市の方に移るべきでありまして、大都市のあります府県においては、必ずしも建築行政は将来のものとしてはそう重要でな——と言うと語弊がございますが、責任が相当市の方に移るのではないかというふうに考えておるのであります。しかしながら、現在の実情においてはまだそういうふうになつておりませんで、若干の大都市あるいはその他の戰災都市等において、建築行政が市に移つておる程度でございますので、目下の状態においては、この建築行政におきまして事務分量の相当多いようなところ、非常に比重の大きいようなところにつきましては、ある程度今後考えて行く必要があると思いますが、ことに人口なんかで区分をいたしましたような段階の規模によつて政府において建築部を標準部として一般的に規定をする必要はないじやないか、個々の都道府県の実情に応じて、具体的に考えて行つたらいいのではなかろうかというふうに考えておる次第であります。
  40. 野村專太郎

    ○野村委員 この問題は今の御答弁の点もわかるのですが、これは市街地以外の方が、むしろ住宅問題の対象に多くなる。ともあれ、住宅の問題の解決にあたつても、道府県全部ということには行かないでしようが、特殊の規模の大きい府県については、相当考慮をすべきである、かように考えておるわけです。  それから東京都については、前にこの委員会におきまして、議員立法として港湾局と主税局、この二つを局として七局としたのです。東京都は、御承知のように他の道府県と違つて、予算の面からいつても国の一割以上に当る大きな予算を持つ首都であります。そういう点から特にこの東京港というものの使命、七百万の人口を擁する東京都の港湾局の使命は相当大きい。しかも他の都市においては上に府県があるのです。本法では東京都は八局に押え、他の道府県については八ないし六、七部を考えておるようですが、東京都の規模から行きますと、局部を減らしたから、行政能率が上るとも考えられないのであります。特にこの港湾局また主税局については、非常に厖大な人員を擁して相当大きな事務があるのでありますが、これらに対するお考えを伺いたいと思います。
  41. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 都の港湾局あるいは主税局でございますが、これはただいまお話のごとく、任意に置き得る局として掲げてあるのでありますが、都道府県部局の制度につきましては、終戰後非常に事務が膨脹いたしましたので、その関係もございまして、戰前の府県部局数に比較いたしますと、非常に膨脹いたしておりますけれども、それにいたしましても、若干膨脹し過ぎておるように私ども考えておるのであります。これは神戸委員会の勧告等にも、四部ないし六部というように、都道府県部局をいたすべきであるというようになつておりますし、またかたがた政府といたしましては、中央行政機構の簡素化もいたしておるような次第でありまして、そういう中央地方を通ずる行政機構の簡素化というような考え方から、かような府県部局の改革の案を立案をいたした次第であります。東京都に対しましては、お話のごとく確かにこれは一番大きな地方団体であるわけでありまして、また首都であるというような点から、組織について若干の特例は当然考えられてしかるべきものと考えるのでありますがしかしここではひとり東京都というだけの問題ではなく、都制という一般的な制度として考えております。そういたしますると、港湾局あるいは主税局というようなものは、やや特殊な事務になつて参りますので、これは特に標準部局として法定をしないという考え方にいたしたのであります。港湾局は、港湾行政監督をするものというよりも、むしろ港湾の経営自体とも考えられるわけでありまして、公共事業の経営に関する事務処理するために、条例で必要な組織を設けることができるということが、現在自治法の中にもございますので、そういうような港湾経営のための必要な組織として、港湾局等を設けることは可能であろうと思うのであります。主税局に関しましても、扱います事務が非常に多いことも、私ども十分承知いたしておりますが、これらは、自治体の本来の事務でありまして、他の標準部局として掲げております各種のいわゆる行政事務というものとは、やや性格が違う関係もありまして、特に並記いたさなかつたのであります。これらの点は、具体的には東京都におきまして、全体の事務のバランスを考えて、適当に考えていただきたいと思つておる次第であります。
  42. 龍野喜一郎

    ○龍野委員 時間もありませんから、ごく簡單にお伺いいたしたいと思います。それは第九十条の二項に関連しての質問であります。本項は各都道府県議会議員の定数を定めた条文で、「前項の規定により条例で議員の定数を定める場合においては、第二条第九項及び第十項の規定趣旨に適合するようにこれを定めなければならない。」とありますが、との問題に関連いたしまして、まずお伺いいたしたいと思います。  この地方自治法というものは、憲法の規定を直接受けておる地方自治に関する基本法であるというふうに、われわれは考えるのであります。すなわち自治体内における住民の権利義務の関係並びに自治体内における各機関権限分配の関係等を定めてある法律であると私は解しております。しかるに今度提案されました改正案を見てみますと、非常に訓示的規定というものが多い。先ほども質問があつたのでありますが、守つても守らぬでもどうでもいい、親には孝行しろというような道徳的な規定が多い。見方によれば、むしろ地方自治体を侮辱しているような規定さえあるようにも考えるのでありますが、私ども法律である以上は、その関係はあくまで法律的な関係規定するものであると考えるのであります。従いまして、單なる見解の発表でもなければ、意見の発表でもない、または單なる勧告でもないというふうに考えるのでありますが、この地方自治に関する基本法である地方自治法規定に反し、あるいはまた明瞭に規定の精神に反するような条例その他の行為に対しましては、いかなる法律関係を生ずるか。この規定の第二条の九項に、「地方公共団体は、その事務処理するに当つては住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない。」と書いてあります。それから十一項に、地方公共団体は、法律またはこれに基く政令に違反してその事務処理してはならない、違反した場合は無効であるというふうに書いてありまして、この基本法である地方自治法規定に、明らかに違反した場合は無効であると書いてあるのでありますが、本法の特徴ともいうべき訓示的規定に類するような規定に、明らかに違反した条例等のごときは無効と解すべきかどうか。これは私が九十条について質問するゆえんは、この第二項にもありまするが、第二条第九項の精神によつて定めなければならない。従つてこれに従わずして、その条例において、府県側からいえば正当でしようが、この法律の解釈からいえば明らかに不当であると思われるような定数を定めた場合は、その条例は無効と解すべきものであるかどうか、その辺の点をお伺いいたしたいと思います。
  43. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 この二条の第十二項には「前項の規定に違反して行つた地方公共団体行為は、これを無効とする。」とございますが、「前項の規定」と申しますのは、「法律又はこれに基く政令に違反してその事務処理してはならない。」ということでありまして、これはいわゆる能力規定と申しますか、効力規定と申しますか  そういう行為の有効無効を左右するような法令なり、条例に違反した行為が無効である、こういう趣旨でございまして、今お話の出ましたように、精神規定あるいは訓示規定という部類に属します法令に違反したものは、その行為が無効ということにはならぬのであります。ただいま御指摘のありました二条第九項の規定は、その意味で精神規定でございまして、従つてこれに違反したからと申しまして無効ということにはならないわけであります。
  44. 龍野喜一郎

    ○龍野委員 憲法の規定は御承知の通りに、別に憲法に違反したからといつは罰則はございません。しかしながら、憲法の精神に従つて立法せられるということは当然でありまして、国会  においては常に法律が憲法に違反しておるかどうかという問題を、中心に論議されておるわけであります。しかるに地方議会において決定された条例が、地方自治の基本法である地方自治法規定に違反し、あるいはその精神に反するような場合において、何ら責むべき方途がないということになれば、この地方自治法のごときは、あつてなきがごとき法律のようにも考えられますが、これらに対する当局のお考えは、本法の規定もしくは精神に違反する条例等のごときは、どういう観点において論議せらるべきものであるか、お尋ねいたします。
  45. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 それらの問題は、結局法律問題と申しますよりも、政治問題、自治の実際の運営上の問題に相なるわけであります。法にそういう精神的な規定が加えられておりまして、さような精神規定に違反をした行為につきましては——たとえばそういう行動をとつた議会の議員を考えますと、その議員に対するいろいろな批判が起るでありましようし、あるいはそういう規定に違反した措置をとる執行機関の構成につきましては、またそういう見地からの住民の批判が起つて来ることによつて、究極には住民の自治意識と申しますか、そういうものによつて保障せられておるというふうに考えるわけであります。
  46. 龍野喜一郎

    ○龍野委員 私も本法の精神に反して制定せられた地方の条例そのものが無効とは考えません。しかしながら、その条例に基いて住民の権利義務に影響を及ぼす事件に該当したような場合 は、行政訴訟の対象になり得る。また九十条の第二項の規定に反して、府県におきまして法律の予想する数以上の定員を置いた場合には、県民の福利に重大なる関係を及ぼすゆえをもつてその定員の無効を主張した場合は裁判の対象になり得るのじやないかというふうに考えますが、当局はどういうふうにお考えになりますか。
  47. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 そういうふうな、条例自体がいわゆる精神規定に違反をしておるというような場合におきまして、何によつて出訴するか問題がございますが、条例に基きます具体的の行為がございました場合に、その根拠になつておる条例が違法であるということを理由として裁判所出訴することはあり得るであろうと思うのであります。しかしながら、裁判所に出ましても、根拠になります規定が精神規定である。従つて、それに触れておりましても効力を左右するものではない、そういう点は第二条第十二項の趣旨といたしまして明瞭でございますので、裁判所に出ましてもその条例が無効になることはないというふうに考えられるのであります。
  48. 龍野喜一郎

    ○龍野委員 そうすると、この自治法の中にたくさんございます何々しなければならないとか、何とかというような規定は、これは法律としてはあつてもなくてもよい規定だというふうに解釈さるべきものでありましようか。それとも争いのあつた場合には、法の解釈の基準になるものであるというふうに解釈されるものでありましようか、もう 度お伺いいたしたいと思います。
  49. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 この点最近の立法におきましては、龍野さんも御存じのごとく、しなければならないとか、するものとするとかいう式のいわゆる精神規定、訓示規定というようなものが、各立法に相当たくさんあるわけでありますが、自治法の中にありますような規定につきましては、これは法の効力として、法律的問題として個々の行政行為を左右するものではないのでありますけれども、自治運営の場合の政策上の問題として、やはり法律をもつてそういうことが要求されておるという意味において、効果があると思うのであります。従つて、それに違反をいたしましても精神規定の違反でございますから、法律行為には影響いたしませんけれども、やはり政策的な問題として相当の効果があると期待をいたしておるのであります。
  50. 金光義邦

    金光委員長 佐藤親弘君。
  51. 佐藤親弘

    ○佐藤(親)委員 二百四十三条の第二項には「財産の売却、譲渡及び貸与」とあるが第 項では「財産の売却及び貸与」となつて「譲渡」がないのですが、特に「譲渡」というのを除かれたのはどういう趣旨でありますか。
  52. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 それは現行法でございますが、ちよつと今ここで正確に確認できないのは残念でございますが、項と二項は同じ言葉を使つて規定をいたしているものと思います。印刷の誤りではないかと思います。特にかような区別をする理由はないわけであります。現行法でございますからよく調べてみます。
  53. 佐藤親弘

    ○佐藤(親)委員 第二百五十 条の第五項の調停の受諾に関する点。受諾して両当事者が受諾を記載した文書を総理大臣または府県知事に提出したとき成立するのは当然ですが、その当事者の受諾の時期が違つた場合に、受諾の最後の文書から効力を生ずると拝承してよろしいかどうか。
  54. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ただいま仰せになりました通り、両方の文書の提出が完了したそのときからというわけであります。
  55. 佐藤親弘

    ○佐藤(親)委員 二百五十二条の三の第二項に関係したその他の条文から見ると、この協議会の会長及び委員というのは相当広いと解釈されます。第二項に「普通地方公共団体協議会の会長及び委員は、規約の定めるところにより常勤又は非常勤とし、関係普通地方公共団体の職員の中から、これを選出する。」と、職員と特に限つてしまつたのでありますが、そういうふうに限らないで、議員もしくは何とかいうのをつくつて、そういう人を入れる御意思はなかつたのか。
  56. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 この協議会の制度は組合の制度というようなやかましい制度に至らない、むしろ簡易な協議方式によつて共同して事務処理をしようというところをねらつておるわけでございます。そこで、たとえば甲、乙、丙の三つの村が協議会を設けて、種痘なら種痘の事務を緒にやる、こういうふうにいたしますると、やはり甲、乙、丙の団体の中の一般の職員の中から、そういう事務処理をする者をつくりまして処理をして行くことがいいのではないかと考えておるわけでございまして、非常に簡便な方式でございまするので、地方公共団体の一般の事務処理に当つておりまする職員——これは職員でございまするから、必ずしも部課長以下の者だけではございませんで、その上の特別職の委員とか長というような者であつてもかまわないわけでございますが、執行関係をするという意味で、執行機関の職員という考え方で、特に職員というようにしておるわけであります。
  57. 佐藤親弘

    ○佐藤(親)委員 もう一つ、ちよつともどりますが、二百四十五条の三、第項と第二項と第四項中に「技術的な助言」という言葉があるのですが、その内容はおおよそどういうことを考えておられるか。
  58. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 「技術的な助言」と申しますのは、たとえば町村の合併という計画をつくります場合に、人口七千ないし八千ぐらいのところが一番合理的である、こういう原則的な考え方地方行政調査委員会議で出しておりますが、これは、たとえば生活保護に関する事務処理するのには、一人の職員が大体六十世帯から八十世帯ぐらいのものを処理できる、こういう一つの大数観察、経験の結果そういう一つ考え方が出て来る。そうすると六十から八十世帯の要保護者のあります人口というのは、七千とか八千ということになります。そこで七千とか八千とかが一人の職員を十分に使える——これが二千ぐらいになりますと、生活保護の事務に従事するには五分の一人前の職員でいいということになる。そういたしますと、そういう人は生活保護の仕事もやり、ほかのいろいろな仕事もやるということで、専門の仕事として従事できないわけであります。ほんとうに能率的に行政を専門化してやるというのには、やはり人口七、八千がいい、また生活保護法の世帯として一人の職員が担当するものが、どのくらいの数があるといつたようなことを一つの資料として通知をする、それが結局技術的な助言ということになるわけであります。
  59. 金光義邦

    金光委員長 ほかに御質疑はございませんか——それでは質疑は次会にいたします。     —————————————
  60. 金光義邦

    金光委員長 この際消防に関する小委員補欠選任についてお諮りいたします。すなわち小委員大泉寛三君、前尾繁三郎君及び門司亮君が、それぞれ一たび委員を辞任されましたので、小委員が三名欠員となつております。つきましてはその補欠選任を行いたいと思いますが、これは投票の手続を省略して、委員長より指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  61. 金光義邦

    金光委員長 御異議なしと認め、大泉寛三君、前尾繁三郎君及び門司亮君を小委員に指名いたします。  この際暫時休憩いたします。     午後一時八分休憩      ————◇—————     〔休憩後は開会に至らなかつた〕