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鈴木(俊)
政府委員 この
執行機関というのは、
議決機関に対して
執行機関ということでありますが、この
地方自治法において、従来
執行機関として特に掲げてありますのは、
知事、市町村長等のいわゆる長と、選挙管理
委員会、監査
委員の三つでございます。今回の法案におきましては、その他に
地方団体の
執行機関としてありまする
各種の
委員会を、
あとの方に列挙してございますが、これはそれぞれ特別法があるのでございますけれ
ども、自治に関する基本法である
地方自治法と、それらの
各種の
法律との
関連を書いているのであります。そういうふうに
執行機関が、いろいろの
法律よ
つてばらばらにできて、しかもそれがはたして国の
機関であるか、
地方団体の
機関であるかというようなことについて、非常に疑問を生じた例が少くないのであります。たとえば
都道府県の公安
委員会は一体国家
機関であるか、自治
機関であるか、あるいは
地方労働
委員会は国家
機関であるか、自治
機関であるかというふうな点について、過去においてしばしばいろいろ
意見があ
つたのであります。今日におきましては、これはわれわれいずれも自治
団体の
機関というふうに理解をしておりまするが、そういうような点がございまして、
執行機関全体を通じての
一つの通則というものを自治法の中に掲げ、そしてそれぞれの
執行機関の根拠を、自治法の中に置こうというのがこのねらいでございます。そこでこの通則の一番最初におきましては、
執行機関が誠実に
団体の
事務を管理し、
執行しなければいけない、こういう点を書いております。その上に「自らの
判断と
責任において、」ということをうた
つておりますが、これは
議決機関と
執行機関との
関連を主としてうた
つておるわけであります。昨日もちよつと申し上げましたように、
議会の常任
委員会と
執行機関との
関係が、最近はしばしば混迷をしておる
状態にな
つております。常任
委員会の方が本来
執行機関の方の職責に属すべきことにつきまして関与をいたし、あるいは
執行機関の側がみずからの
責任においてやるべきことを、
議会の常任
委員会にかけて、その
責任において
処理するというような、何というか、
両者の
権限の配分、
責任というものを紛淆するような事態が、ございまして、そのためにいろいろ
議会と
執行機関との間に問題もあるのであります。そういう点からはつきりした
執行機関というものの地位をここに書こうというのが、百三十八条の二であります。百三十八条の三は
執行機関の
組織の原理のようなことを書いたわけでございます。第一項は、そういう系統的に構成しなければならぬということでございますが、
執行機関が各
知事、市町村長、すなわち長というもののほかに、
各種委員会があるわけでございますが、長は
議会に対して条例の発案権を持
つておる、あるいは予算の編成発案の権利を持
つておるというような、条例なり、予算の発案によりまして、他の
執行機関との間の連絡調整あるいは所轄ということがあるわけでございまして、そういうもとに各
委員会、教育
委員会なら教育
委員会が、自己の
関係を明確に系統づけて
組織を設けろという
意味であります。ただ二項におきましてはとにかく
知事、市町村長と教育
委員会との間におきまして、あるいはその他の
各種の
執行機関相互の間におきまして連絡が不十分である、協調の精神に欠けておるというような点もありますので、そういう点を特にうた
つております。そうして三項につきましては
執行機関相互の間の
権限について疑義があつた場合は長はその間に立
つて調整せよ、努力せよということをうた
つておるわけであります。要するに自治
行政の
執行ができるだけ合理的かつ円滑に行えるようにすべきであるという
考え方が、ここに特に書いてあるわけであります。