運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1952-05-26 第13回国会 衆議院 地方行政委員会 第53号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月二十六日(月曜日)     午後三時二十五分開議  出席委員    委員長 金光 義邦君    理事 河原伊三郎君 理事 野村專太郎君    理事 床次 徳二君 理事 門司  亮君       池見 茂隆君    大泉 寛三君       佐藤 親弘君    田渕 光一君       前尾繁三郎君    鈴木 幹雄君       大矢 省三君    立花 敏男君       八百板 正君  出席政府委員         総理府事務官         (地方自治庁次         長)      鈴木 俊一君  委員外出席者         総理府事務官  岸   昌君         專  門  員 有松  昇君         專  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 五月二十六日  委員鈴木義男君辞任につき、その補欠として門  司亮君が議長の指名で委員に選任された。 同日  門司亮君が理事補欠当選した。     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事の互選  地方自治法の一部を改正する法律案内閣提出  第一七五号)     —————————————
  2. 金光義邦

    金光委員長 これより会議を開きます。  法案審査に先だちまして、この際理事補欠選任についてお諮りいたします。すなわち理事門司亮君が一度委員を辞任されましたので、理事が一名欠員となつております。つきましては、これより理事補欠選任を行いたいと思いますが、これは投票の手続を省略して、委員長より指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 金光義邦

    金光委員長 御異議なしと認め、門司亮君を理事に指名いたします。     —————————————
  4. 金光義邦

    金光委員長 地方自治法の一部を改正する法律案内閣提出、第百七十五号を議題とし、本日は第七章、すなわち百三十八條の二より二百二條の三までについて質疑があれば許します。なお前会御欠席の方は、それより前の條文についても御質疑があれば、これをあわせて許します。門司君。
  5. 門司亮

    門司委員 私はこの前おりませんでしたので、前を少し聞いておきたいと思います。百二條関係ですが、この項はずいぶん方々から話がありまして、大体議論も盡されておるかと思いますが伺います。公聴会でも話がありましたように、市にあつては十日とするということになつてつて会期を非常に短かくしておるのですが、これは例の百五十五條の二項のような大きな市でも十日間ということをお考えになつておりますか、その点をお伺いいたします。
  6. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 これは通常会実例から考えまして、都道府県で現在通常予算を議する定例会は、平均して大体三十日、それから市の場合は、お話のような五大都市あるいは人口三万程度の市までみな含めまして、抽出調査いたしましたところ、平均して十日であります。そこでそういう実際の通常予算を議する定例会会期を基準にして、これを定めたのであります。しかしながらこの法案では「その会期は、都道府県にあつては三十日、市にあつては十日を例とする。」ということで、十日とするというのではないのであります。これは要するに平均十日であるという意味規定しておるわけでございますが、具体的に通常会会期をどうするかということは、これは当該議会が自主的に会期を決定できるように、現在なつておるわけでございまして、五大都市の場合においては、大体二十日から三十日くらいのところが通例になると思います。そういうことで議会自体がきめればいいという考え方でございます。
  7. 門司亮

    門司委員 今のお話でありますが、これはまつたく会期官僚統制でありまして、実際に即さない。自治法の内容から見ますと、やはり百五十五條の市は、いずれの場合にも別に書いてあるのでありまして、これだけが平均して十日になるから「十日を例とする。」と書いてあることになると、私は少し行き過ぎだと思う。やはり実情に合つたように書かないと困ると思う。府県は三十日と書いてありますが、予算関係からいえば五大都市の方が大きいのでありまして、大阪府の予算より大阪市の予算の方が大きいと思う。その他神奈川県と横浜市の場合はほとんどかわらない、あるいは外局を入れれば市の予算の方が大きいかもしれない。また仕事の量も、区域は狭くても実質的には多いかもしれない。こういうことがほとんど同じように考えられておるというところに、非常に無理があると思います。同時に「三月にこれを招集しなければならない。」こう書いてありますが、この三月というのは予算関係で、こういうことになつておるかどうか、この点を伺います。
  8. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 これは「毎年二月又は三月にこれを招集しなければならない。」ということでございまして、いずれでもいいわけであります。お話のごとく予算の成立を年度前にいたしたい、こういう考え方から三月ということにしただけであります。
  9. 門司亮

    門司委員 もしそうだとすれば、予算の編成というものは非常にむずかしいのでありまして、二月または三月ということだけでは、私は法としてはかなり不満だと思う。その一つ実例としまして、神奈川県の寒同時におきましては、本年度予算が三月三十一日に出されておる。三月に出すということで年度一ぱいに出さなければならない。そうして一万二、三千の人口の剛でありますから、三千万くらいの予算でありますが、町会では三月三十一日に予算を出されて、三月三十一日に議決しなければ、四月一日から施行できないというような面が出て来るわけであります。従つて常識的に考えればそういうばかな話はないはずでありますが、もし政府がこういうふうに二月または三月に出さなければならないという規定をおきめになるのなら、大体予算については予算の成立する期限というものを何らかの規定に入れておく必要があるのじやないかというように考えるのでありますが、寒同時のような非常識な町長は、私はそうたくさんはないと思いますけれども、きわめて短かい時間に審議せられるのでは、町会としての機能を十分に発揮することができないということになつて来ると思いますが、こういう点について当局の御意見を承つておきたいと思います。
  10. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ただいま門司さんの仰せになりましたような事例はまことに遺憾な事例一つだと思いますが、現在の規定におきましては「年度開始前に、議会議決を経なければならない。」ということを二百三十四條において予算の項目の中に規定をいたしておるのであります。しかるにもかかわらず三月三十一日に提出するということはいかにも法の運用が適切を得ていないと、私ども考えるのでありますが、この点はまず一般的な制度建前といたしましては、年度開始前に議決を経なければならぬという大原則を、法の中にひとつうたつてございますので、それの実際の運用によつて解決し得るんじやないかというふうに考えている次第であります。
  11. 門司亮

    門司委員 これはこの実例だけでありません。従来たとえば前の自治法によりますと、予算議決は大体年度初めの一箇月前に議決しなければならないという規定があつたわけであります。ところがそういう規定がありましても理事者の方は二月末日に出したのであります。これは議会に出したんだ、議決議会がしなかつたんだから、議会が悪いんだということは、結局議会責任を負わせられることになつて、常識的には一箇月前に審議して、二月一ぱい議決しなければならぬということになつておる。理事者の方がこれを二月一ぱいに提案して来る。そうして審議期間がきわめて短かいものにして持つて来る。従つて市会などはやむを得ず、議案はなるほど二月末日に出されておりますが、その日に議決する、しないならば議会責任だということになつて理事者はこれをのがれておるのであります。これがやはり同じような形であつて、そういう規定があつても、そういうことが実際できるのであります。従つて年度前に議決すべしという規定があつてもなくても、理事者の方はその責任がないのでありますから、いつ幾日に出さなければならぬという規定がないから、出してしまえば議会責任だということで、理事者を責めるわけには参りません。常識上では考えられませんが、実際上はそういうことになつておる。従つてそういうものでなくて、たとえば前の府県制であるなら結局十一月に招集して十二月一ぱいに大体来年度予算議決せられるということになつておりますから、非常によかつたのでありますが、今度の場合はそういうことが規定されていないのであります。私は今の鈴木さんの答弁だけではそういう法の運用の上において、そういう間違いが起る危険性を持つていると思う。従つてもしここでこういうふうに制約をされるとするなら、やはり通常議会予算議会というのならば、これを開く場合には二月なら二月に開くということにすることがいいのではないか、私は法の欠陥はなるたけ法律上補つておきたい、こういうふうに考えておるわけであります。  それから同時に通常会臨時会の問題でありますが、臨時会がいつでも開けるから通常会は一回でいいのじやないかということになつたのでありますが、臨時会にいたしましても、予算発案権を十分に持つていない地方議会では、予算関係するような問題につついては、議員がなくなくこれ提案するわけに参りません。どうしても理事者側が提案するということになつて来て、議員の三分の一あるいは四分の一で臨時議会請求することはできまするが、しかし実際の法案議員が出すことができないということになつて来ますと、勢いその範囲というものは制限されるわけである。当局のお考えになつている臨時会がいつでも開かれるということとは実際の面では違うように思う。この点については当局はどうお考えになつているか。
  12. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 通常会臨時会、こういうように区分いたしましたのは、現在の定例会臨時会制度が必ずしも合理的でないというところから出発しているわけでございまして、現在年六回以上開かなければならないという定例会の中でも通常予算を議する定例会と、そうでない定例会との間に会期の上におきましても明らかにこれは区分があるのであります。こういう定例会臨時会という区別の方式よりもやはり通常予算を議する通常会と、その他の臨時追加予算補正予算その他の臨時案件を議する臨時会と区分することが合理的であるという点から、出発しているのであります。別にこれによつて議会開会を制限しようとかいう意図のものでは毛頭ないのであります。また臨時会開催の要件につきましては、今回非常にこれを緩和いたしまして、臨時の急施の案件がなければ、臨時会開催ができなかつたのでありまするけれども、今回は臨時に付議する必要が生じたならば臨時会を開ける。しかも臨時会に付議すべき事件は、あらかじめ告示したものでなくも、臨時会の開かれておる際に解決を要する事項があれば、いずれもこれを議題とすることができるというようにいたしております。さらにまた長なり議員が改選せられた場合におきましても、これは三十日以内に臨時議会招集しなければならないというようにいたしまして、臨時会一定の場合に法律上当然開かれねばならないというふうに保証をいたしておりますが、今御指摘のように議員の四分の一以上から議会招集要求がありました場合に、一定期限内に必ず臨時会招集しなければならないというようにいたしております。またその半面議会が特に軽易なる事項として知事市町村長専決処分を委任せられたものは別でありますけれども、それ以外の事項は将来議会の議を経ることを要する事項でありますならば、これは必ず臨時会なり通常会に付議しなければならぬ。知事市町村長その他の執行機関の当然の責務である。従つてこういうふうにいたしましたからと申しまして、それによつて議会に付議すべきものを付議しないというような心配は、決してないものと思つております。これは趣旨を誤解して考えておられるような向きがあるのでございますが、これは私どもまだ関係方面への趣旨の徹底が十分でないという点は、はなはだ遺憾に思つておりまするが、これは今も申し上げましたように議会開催制度を合理化するということに出るものでありまして、その他に特別の意味はないのであります。
  13. 門司亮

    門司委員 合理化するということでありますが、実際の面から見てやはり四分の一の議員議会開会要求いたしまする場合に、なるほどここには二十日以内、三十日以内とちやんと日にちを書いてはおりまするが、どうお考えになつておりますか私にはわからないのであります。実際に議会を開こうとする、四分の一以上の賛成を求めようとする行為は私は相当長い間の行為が必要だと思う。それぞれその党をまとめるとか、あるいは同僚をまとめるとかいうようなことで、政治的ないろいろな動きがなされなければならぬ。あなた方役人のように毎日同じところに来て、毎日協議しているわけでございませんので、おのおの居住地におるものの実際四分の一の意見をまとめるということには、私は相当な努力が必要だと思う。これは必ずしも当局考えているようなわけに行かない。ただこういう規定法律がありまするのは、これは議員としての発案権その他、議員に対する一つの権利を特別に認めた法文でありまして、議員要求によつて議会が開けるようにしておかないと、一方の理事者だけで議会招集ができるということではいけないと思う。従つて議会開催請求権だけは認めるということがここに書かれておりまして、これの運用があるから定例会だけでいいのだということは、あまりにも官僚的な考え方であつて、実際的のものではない。これはりくつ上はあるいは鈴木さんの意見のようなことが言えるかもしれませんが、実際上は四分の一の議員請求で、議会が開かれたというような例は少いと思う。過去においても私は少かつたと思う。事実上運営が非常に困難であるというものを、ただりくつだけで、そういう道が開かれておるから、お前たち議会が開きたかつたらやつたらいいじやないかということではいけないと思う。やはり県政全体に対して意見が十分に交換され、さらに問題が処理されるような道は、当然開くべきだと考えておる。従つて私は決して誤解をしておるわけでも何でもありません。実際の運用上はこれでは満足に運用ができないと思う。それから運用しようといたしますれば、非常に煩雑なことをしなければならない。たとえば四分の一にいたしましても、四分の一を一体どこで集めるか、一体だれが発案するか、発案をして四分の一の議員のところをだれが訪問するか、だれがこれを集めて協議するが、こういう点はちつとも考えられておらない。そういう煩雑な行き方をするよりも、むしろ従来のように、年に六回なら六回開くことになつておりますれば、そういう煩雑な手続はなくなりますし、同時に問題になるのは、今最後にお話のありました5のところに、「前項の規定により告示したものの外、臨時会開会中に議会に付議すべき事件」と書いてありますが、これは説明によりますと、非常に都合のいいことが書いてはありますが、しかし最もいけない一つのものが副産物として出て来ることであります。それは、議題は示さずにおいて、そして何か突発的な事件でない既定の事件であつても、議題として取上げて事前にこういうことがわかつて来ると、もめるものでありますから、どさくさまぎれというと悪いのですが、とにかく短かい期間の間にこういうものを出して来る、会期切れのところに持つて行つて、こういうものを出して来る危険性があるのであります。鈴木さんの方では、ばかに親切にこういうものを書いてやつたとおつしやいますが、実際の運営をする面から申しますと、官僚自分都合のいい法案を出すには、実際こういうようにしておいた方が都合がいいと思う。しかし審議をする側からいえば、きわめて都合が悪い行き方であつて、二箇月なら二箇月に一回定例会があるということで、議案が先に示されておれば、十分の心構えもできますし、事前委員会その他で調査ができる。委員会調査もしなければ、十分の審査もしないものを出して、いきなり本会に出て来て議決されるということは、当局考え方と全然反対の実際の運営が行われるであろうということを、私どもは非常に心配するのでありますが、そういう点は鈴木さんは全然ないというお考えですか。
  14. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 臨時会炉付議すべき事件の問題でありますが、この点に関しましては、現行制度におきましては、あらかじめ臨時会に付議すべき事件告示をしておかなければいけない。そうしてこの告示事件以外に、臨時急施を要する事件があつたならば、これを臨時会に付議してもいいというようになつておるのでありますが、この臨時急施の案件というのが、門司さんの御指摘になりましたように、まま濫用と申しましようか、はたして事柄が臨時急施であるかどうかの不明確なものにつきましても、臨時急施と称して臨時会にかける。それがためにこれが違法議決であるということで、悶着を起しておるという例は私どもも承知をいたしております。今回の改正案におきましては、およそ臨時会に付議すべき事件は、あらかじめ告示するのを建前とするけれども、しかし臨時会には同時に議会議決を要する案件がありさえすれば、必ずそこに付議するという制度に切りかえようというのであります。従つて議員といたしましては、臨時会招集通知を受けました場合においては、なるほど臨時会事件としては、こういう事件が出て来ているけれども、それはどういう事件が付議されるかわからぬということで、むしろ臨時会というものには、およそ今までの定例会のごとくに、いろいろな案件があれば必ずかかるであろうという予想のもとに出席考えると思うのでありまして、むしろ臨時急施というようなことで不意打ちにやるということが、なくなるのではないかと私ども考えておりまして、この点からも臨時会制度がむしろ合理的にやれるであろうというように考えておるのであります。
  15. 門司亮

    門司委員 これ以上は討論になりますが、私は鈴木さんの意見にはどうしても承服しがたい。あらかじめこういうことが出るであろうということがわかるはずがありません。臨時会だからおそらく何か出て来るだろうということはわかるかもしれぬが、何か出て来るであろうということでは、審議もできなければ調査もできないことになる。従つてどもは、やはり会議の回数というものは、ある程度定めておいて、十分に事前調査もできるようにする。そのために現行法では議会を開くには相当期間前に、これを通知するようにちやんとしてあるのであります。もしこれが鈴木さんの説明のように、臨時会に何でも出せるということになつて来れば、あらかじめ日にちを置いて議会招集をする必要もなければ、議案の提示をする必要もなくなつて来る。何が何だかわからぬが、いつ何日までに出てくれという通知をもらつて出て来れば、それで事は足りるということになつて来る。そういう行き方をしておりますと、だんだん政策的といいまするか、あまり感心しない法案が出て来て、いろいろ問題を起す種をまくようなものである。従つて公明議会運営をしようとすれば、やはり告示して、そして十分の心構えをつくり、あるいは調査すべきものは調査し、審査すべきものは事前審査しておることがいいのではないか。私はこういうように考えるのでありまして、この点は鈴木さんの意見を誤解しているわけでもなければ何でもありません。これは官僚一つ統制というか、私は官僚の最も悪い面だと思うのですが、自分だけが承知していれば、その他の議員は承知していなくてもいいという考え方では、地方議会はとうてい円満に行くはずはない。始終このことで理事者議員の間に問題を起すということになると思いますが、この点はこれ以上議論はいたしません。  その次に開いておきたいと思いますことは、七章の執行機関の問題でありますが、百三十八條の四の規定であります。これは「普通地方公共団体は、法律又は條例の定めるところにより、執行機関附属機関として自治紛争調停委員審査会審議会調査会その他の調停審査諮問又は調査のための機関を置くことができる。但し、政令で定める執行機関については、この限りでない」と書いてありますが、「但し政令で定める執行機関」というのは、一体どの範囲であり、どういうものがこの中に含まれているのか、あらかじめひとつ御説明を願つておきたいと思います。
  16. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 普通地方公共団体の本来的な執行機関知事市町村長でございますが、そのほかに各種の委員会があるわけでございます。それ以外の調査とか審査とか諮問、あるいは調停というようなことをやりますものを附属機関という形で、そういう機関が置けるということをここに書いたわけでございますが、しかし政令で定める執行機関については、そういう附属機関を設けてはならない、こういう意味なのであります。その趣旨としましては、たとえば公安委員会のごときものにつきましては、警察事務執行、あるいは公安委員会という警察事務の経験のない、ほんとうに地方の住民の参與による運営、管理が行われておるわけであります。そういうような機関については、特に別途に審査とか調査のための機関を置くことは適当でないというところから、こういう例外を設けておる次第でございます。
  17. 門司亮

    門司委員 そういたしますと、ここに書いてありますように諮問または調査のための機関を置くことができるが、そのほかの政令で定めております執行機関についてはそういう附属機関を置くことができない。たとえば教育委員会についてはやはり附属機関を置くことができない、こういうふうに解釈してよろしゆうございますか。
  18. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ただいまのところ予定をいたしておりますのは公安委員会でありまして、これは警察執行務が非常に機動性を要するのと、その性格上公安委員会という一つの組織があるのに、さらにそのほかに附属機関として委員会とか、調査会審査会というようなものを設けるのは適当でない、こういう考え方で、これは国家公安委員会方面から、そういうような要望もございましたので、この点を入れておるのでありますが、その他の点につきましては、特に私ども政令によつて指定をしようということは考えておりません。
  19. 門司亮

    門司委員 そうすると、この機関の中には、私今教育委員会のことを言いましたが、よく問題になりますのは、教育委員会というものが別個にあめつて、そして市会の中に、もう一つ文教委員会といつておるところもありますし、学務委員会といつておるところもありますが、似たような機関があつてつておる。それから警察の場合にも、警察常任委員会というものがちやんとあつて、そして公安委員会のほかに、行政面にはタッチはしておりませんが、しかしいろいろな市との間に権限のあるようなないような、われわれから考えてみても、せつかく委員会があるのだが、そのほかにもう一つ委員会をこしらえてこれを監督する。要するに予算を編成しておるからというので、予算の角度からこれを監督するような権限を持つております。従つて警察公安委員会監督も受ければ市会監督も受ける、こういう形が実は出て来ておるのであります。こういうものの関係は一体どういうふうに考えられますか。
  20. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 これは執行機関付属機関ということでございますので、ただいま御指摘のございましたような市会の中の警察部門を担任いたします常任委員会、あるいは教育関係常任委員会、こういうようなものと執行機関付属機関として設けます審議会調査会というようなものとは直接関係がないわけでございまして、あくまでも執行機関責任に属する事務につきまして、執行機関執行して行く上に必要な審査調査をやらせる、こういう趣旨でございます。法律によつて置かなければならないようになつておりますのは、別表の第七の温泉審議会でありますとか、都道府県優生保護審査会結核診査協議会といつたような二十余りのいろいろな審議会府県に置かなければならないようになつております。市町村にも同様なものが相当数あるのでございます。
  21. 門司亮

    門司委員 それから前に返つて百三十八條の二であります。この最後に「義務を負う」となつておりますが、特別にこういうものを入れなければ、今まで執行機関責任の所在が明確にならなかつたので入れられたのか。この條項は、なるほど明確に書いてあるようではあるが、今までそれなら責任を負つていなかつたかというと、私はそうではなかつたと思う。要するに、地方議会議決に基く事項について、理事者が必ず責任を負わなければならぬということはわかり切つておる。私はこの條文はいらないものと思うのだが、どういうわけで入れられたか、もう一回聞いておきたいと思います。
  22. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 この点は、議会常任委員会制度というものが導入されて参りまして、ただいま門司さんからもちよつと常任委員会の問題に関連して御発言がございましたが、とかく議会常任委員会執行機関の当該部局との関係におきまして、相互に円満に協力し合つていると申せばそうも申せるわけでございますが、時といたしましては、本来執行機関責任に属しますようなことに関しましても、常任委員会が関與する、あるいはむしろ、今度は執行機関の側から、あらかじめ常任委員会の方に相談して、責任常任委員会にかぶせたような形において執行する。こういうような運営を行われている例が少くないのでございます。そういうことの結果といたしまして、やはり執行機関の側におきましては、自己の責任について明確にこれを意識せずして行うということになりまして、どうも執行機関としての本来の職責を果すという点において欠けるような事例も、間々見受けるのでありまして、そういうような見地から、執行機関執行機関としての立場から、団体の事務を誠実に管理し、これを執行しなければならないと明確に規定し、そういう心構え執行の任に当つてもらう、こういう考え方であるのであります。
  23. 門司亮

    門司委員 私の考え方からしますと、この規定は、さつき申し上げましたように、どう考えても行き過ぎと申しますか、常任委員会執行機関との間のいろいろな関連は、私はなつたとは言いませんが、この規定をここまでしなければ十分にやれないかどうか。もちろん市の理事者が、市会に対して責任を負うことは当然であります。そうなつて参りますと、市の理事者の行いますことが一面から考えて来ると、ここにこういうように規定して、そうして「誠実に管理し及び執行する義務を負う」ということになつて、今鈴木さんのお話では「義務を負う。」というように明確にした方がよいというのでありますが、これでは実質上の問題として、さつき申し上げましたように、当然わかり切つた理事者権限を、もう一度ここで再確認するというような形が出て来ておりますが、今まででも理事者議会議決に基く事項については忠実であつて、これを誠実に管理し、執行する義務のあるのは、地方自治の建前の上からいつて、当然でなければならぬのに、ここにこういうものを入れられたことは行き過ぎであり、あまりにも世話をやきすぎる形ではないかと思うのであります。従つて次の三に「普通地方公共団体執行機関の組織は、」「系統的にこれを構成しなければならない。」とありますが、系統的に構成しなければならないということになつて参りますと、市は非常に複雑な関係を持つて来るところができはしないか。たとえば大都市と中都市あるいは小都市、さらに町村の機構とではかなり大きな幅がありますので、これを一本に系統立てて行くことは、私は非常に困難じやないかと思う。ある場合におきましては衛生関係の問題が、非常に重要な都市もございましようし、また建設関係が非常に重要な都市もある。そういうようにおのおのの都市で、各局課の所掌事務については多少の軽重があると思う。同時に機構におきましても、おのずから別の——別といいまするか、複雑な機構を持つておる団体がたくさんあると思います。これをこういうふうに法律で一本化しなければならないときめてしまいますと、その間に系統づけることのためになかなか骨が折れることができやしないか。従つてこれを系統づけるために、今より以上の機構の拡張のようなことができやしないかと考えるが、その点についてはそういうことはないというお考えでありますか。
  24. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 百三十八條の三の規定趣旨でございますが、今日普通地方公共団体、すなわち都道府県、市町村には各種の行政機関がございまして、知事市町村長がその主体ではございまするが、そのほかにもいろいろ委員会、その他の執行機関があるわけでございます。結局知事なり市町村長は、議会に対する條例の提案あるいは予算発案ということによつて、これら全体の執行機関の所轄といいますか、そういうふうな関係に立つわけであります。その他の各種委員会との間におきまして、やはり相互に密接に協力し、円滑に仕事を運営して行くという、いわゆる協同性が必要でございまするが、同時に、たとえば教育委員会におきましては教育委員会の系統、あるいは知事、市町村の本来の部局におきましてはその系統というような、それぞれの委員会なり、執行機関の内部における系統的な構成は、これはやはり、行政組織、行政能率の向上というような原理から申しまして、当然であろうと思うのであります。ただそういうそれぞれの執行機関知事市町村長との間におきましては、先ほど申し上げましたように、條例なり予算発案というような関係において、一つの協調といいますか、協同といいますか、調整が行われ得るわけでございまして、そういうふうな長の所轄という関係と、各執行機関の系統におきましての上下の一体的な関係、こういうようなものを別に立てることが必要である、こういう一つの行政組織につきましての原理的な考え方を明らかにいたしたのであります。
  25. 門司亮

    門司委員 これはあとにもどりますが、疑問の点が一つありますので、聞いておきたいと思いますことは、百三十八條の中に「都道府県議会事務局を置く。」こう書いてありまして、そのずつとあとのものところに「定数は、條例でこれを定める。但し、臨時の職についてはこの限りでない。」こう書いてありますが、この「臨時の職」とはどういうものを意味するわけですか。これは今の地方公務員法の関係から言うと「臨時の職」というものは取扱いに非常に困つているのじやないかと思う。こういう制度地方公務員法の中に認められておるかどうか。
  26. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 「事務局長、書記長、書記その他の常動の職員の定数は、條例でこれを定める。但し、臨時の職についてはこの限りでない。」この「臨時の職」と申しますのは、職自体が臨時のもの、こういう考え方でございまして、ここでは職のことを特に指摘をいたしておるのであります。地方公務員法の中では、臨時の職につきましてはこれを特別職にするように、今回の政府提案の法律案の中には書いてございますが、なおそのほかにいま一つ、例の臨時的任用というのがございます。これは任用につきましての一つ考え方でありますが、ここで申しておりますのは職が臨時である、従つてその職におります職員の定数は一般の定数の中には入れない、こういう考え方であります。
  27. 門司亮

    門司委員 その点でありますが、たとえば今のまま地方公務員法を改正して特別職になるということになれば別でありますが、現在この問題は各市町村で非常に困つている問題であります。現在失業救済その他の面からいいますと、市の予算がない。臨時職というと予算が出せない。現実的には失業救済その他についても、やはり職員にひとしいものが必要であるが、これの給料は市費の一般公務員の費用の中から出ないで、失業救済の費用の中から出ておる。従つて給料も一般の公務員と非常に大きな開きを持つているということで、各都市も相当困つておると思う。それを今ここにありますように「臨時の職」であるといつても、この「臨時の職」についておる者は、必ずしも臨時の職員でない。いわゆる職だけが臨時であつて、職員の身分は普通公務員であると解釈してよろしゆうございますか。
  28. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 失業対策事業のために、公共職業安定所から失業者として紹介を受けて地方団体が雇用する者は、地方公務員法上特別職ということになつておりまして、これにつきましては地方公務員法は適用されない。従つてお話のごとく給與も失業対策関係の経費から出るという形に相なつておりますが、ここにございます「臨時の職」と申しますのは、そういうものとは別個でございまして、職自体が臨時に置かれておるもの、従つてそういうものについては特に一般の定数條例の定数の中には入れない、こういう考え方であります。
  29. 金光義邦

    金光委員長 大矢委員
  30. 大矢省三

    ○大矢委員 部局の方ですが、建築局を持つておるのは東京都だけでありまして、あとは全部建築部は土木部に入つております。それから労働部は二百五十万以上のところにはありますが、それ以下のところにはないのであります。これはどうしてこういうことになつたのか。いかに建築、労働を軽視しておるかという傾向を見るのでありますが、この理由を伺いたい。それからついでに二百五十万と切つたのはどういうわけでありますか。
  31. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 都道府県の部局制でございますが、現在御承知のごとく東京都におきましては七局が必置になつております。また府県におきましては六部が必置になつておるのであります。今回百五十八條におきまして、部局を定めます場合におきましては、そういう今までの必置部を主として考慮に入れまして、規定いたしたのであります。現在の都道府県の必置部が六部でございますが、そのほかにたとえば鳥取とかいうような小さな県におきましても、たしか九部くらいの部を設けておりまするし、一番多い所では十二部設けておるというようなことでございまして、終戰後確かにいろいろと事務が膨脹いたしておりまするけれども、それにいたしましても、従来の仕組みに比べましてもどうにも多過ぎるというようなことから、先般神戸委員会におきましては、総務、社会、経済、土木というような四部制を一律に勧告をしておる次第なのでございます。政府におきましては、さように一挙に四部制というような立て方をとるのもいかがであろうかと考えまして、この案におきましては、適当な段階に都道府県を区切りまして、そうして各段階の都道府県にふさわしい適度の規模を標準として、法定したらどうであろうかということで法定をいたしたのであります。それで、ただいまお尋ねの労働部と建築部でございますが、労働部は現在ではいわゆる任意設置部ということになつておりまして、これを置く置かないは各都道府県の任意になつておるのでございます。また建築部でございますが、これも同様に、建築はいわゆる任意部局でございまして、必置の部局ではないのでございます。そこでこの二つをいかがいたすかと、いろいろ関係の方面等とも協議いたしたのでございまするが、やはり労働部は、人口の相当多い、いわゆる大都市等を控えました府県に置きまして——労働行政は相当複雑多岐にわたつて、相当事務量も多いし、責任も多いというようなところから、二百五十万以上の大府県につきまして労働部というものを置くという建前にしたのであります。すなわち従来任意設置部でありましたものが、この関係では必置部というような関係に——必置部と申すとあれでございますが、標準部局として置かれるというようなことになつたわけであります。それから建築部は、現在の建築基準法の建前によりますると、一応市町村が建築基準法等の施行に関する事務の第一次的責任になつておりまして、市町村が建築行政を処理しない場合におきまして、都道府県が建築事務をやる。たとえば建築主事というようなものは、市町村がそういうものを置いて処理しないというような場合に、都道府県がこれを処理するという形になつておるのであります。従つて五大都市等のあるような大きな府県におきましては、建築行政は本来ならば市において処理いたすべきものなのであります。そういたしますると、かえつて、そういう大都市を控えません府県よりも、大都市を控えました府県の方が建築行政では本来事務が簡素化されるはずなのであります。ただ実際の運用におきまして、どういうものか、大都市等におきましても依然として市の方に建築行政事務が移管されませんで、府県において処理しておる例が多いようでございますが、これは建築基準法等の建前で申しますならば、むしろ五大都市等に委譲せられてしかるべきものと思うのであります。そういうような関係もございまするので、建築部の方は特に法定いたさなかつたのであります。しかしながら、東京におきましては、都が同時に市に関する仕事も処理するという建前になつておりますので、東京につきましては、建築局というものを標準局の中に特に掲げたのであります。大体さような考え方に至つておるのでございます。  それから、人口をどうしても二百五十万で区切つたかというお話でございますが、これにつきましては、大体府県人口段階等を考慮いたしまして、百万未満、二百五十万未満、それから二百五十万以上、あとは都と道、こういうような五段階に——都、道を一段階ずつ別にいたしまして、あと残りは三段階にいたしたわけであります。これは都道府県の標準規模が、人口百七十万というのが一つの標準でございまして、百万、二百五十万の中間ならば百七十万。その辺のところを中心にいたしまして、あと百万未満と二百五十万以上、こういうふうに区切つたわけでございます。
  32. 大矢省三

    ○大矢委員 二百五十万以上のところには、労働部というものを設置するということになつていますが、これは一体数でどのくらいありますか。  それから建築部は、現に市町村がやつておるし、また建築基準法においてやれるから、かえつて任意にしたということでありますが、それでは、市町村で建築主事を持つて、その建築に対する監督をやつているという町村は一体幾つあるか、参考に聞きたい。
  33. 岸昌

    ○岸説明員 お答えいたします。二百五十万以上の府県は東京都を含めまして、六都道府県でございますが、この大都道府県はいずれも労働部を設置いたしております。労働部を設置いたしております都道府県は、都を含めまして全部で三十一都道府県でございます。そのうち二百五十万以上の都道府県が六都道府県でございますが、六都道府県はいずれも労働部を設置しておるわけでございます。  なお建築主事を置いておりまする市町村に関しましては、まだ資料が整備いたしておりませんので、後ほど調べてお届けいたしたいと思います。
  34. 大矢省三

    ○大矢委員 今御答弁になりましたように、現在三十一の都道府県にある労働部を六つの都道府県に減らすということでありますが、先ほどの答弁によりますと、部局は任意制にした、従つて、必要のあるときはこれを置けるのだという。なるほど、「局部の数を増加するため條例を設け又は改正しようとするときは、都道府県知事は、予め内閣総理大臣に協議しなければならない。」と書いてありますが、協議した結果、同意を與えられなかつた場合は、一体とうなりますか。
  35. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 これは特に局部の数を増加する場合の問題でございまして、局部を増加いたしまする場合におきましては、條例案を議会に提案をいたしまする前に、あらかじめ知事が総理大臣に協議をしてもらいたいというのが、この第三項の趣旨でございます。協議は、いわゆる対等者間の相談でございますから、そこで相談をいたすわけでございますが、たとえば労働部というようなものにつきましては、労働行政の運営ということと非常に関係があるものでございます。それで、この労働部を二百五十万以上の府県について、標準部局として法定いたすということにつきましては、私どもは労働省とも十分打合せをいたしたのでございますが、他との権衡と申しますか、行政の簡素化というような面も考え合せまして、大体二百五十万以上の府県に限つて法定をいたしていいのではないか。その他は、特に労働行政について複雑な事務事情のございますようなところについて、この三項の運用によつて処置できるのではないか、かように考えておるわけであります。
  36. 大矢省三

    ○大矢委員 今答弁のありましたように、そうすると、結局協議というのは必要ないということです。そういう調査の結果これが規定されたとすれば、一体協議するという、この言葉はただもう字句だけであつて、必要な場合に建築部を置くということで協議をしたが、しかしその協議した結果というものはちつとも書いてない。ただ協議だけ書いて、協議のまとまらない場合には、一体どうするかというようなことについては規定がない。だから協議すればそれでいいのか、協議をして協議がまとまらなければどうなのか、これはなかなか重大だと思うのです。この点はあとから質問しますが、こういう字句でずいぶん迷惑しておるのですが、こういう字句をしばしば使つておる。ただ協議さえしたらいいのか。まとまらなかつた場合のことがちつとも書いてない。これは労働部はもちろんのこと、特に大都市の戰災復興のためには、建築部というものが重要である。それを削除している。その削除の理由は、今言つたように、市町村にあるからということであるが、その建築部の出ていないことでいかに困難しておるかという実例は、あとで説明しますが、こういう協議しなくてはならぬという言葉が、実質上いかに効果があるのか、協議をしてまとまらなかつた場合にはどういうことになるのか、地方條例できめましても、この協議がまとまらなかつた場合には無効になるのか、この点どうですか
  37. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 これは、総理大臣は協議を受けまするならば、ほかの都道府県と比較いたしまして、労働部を置くことがいかにも不適当であると思われますようなところについては、それは労働部を設けないようにしてほしいという意思を表明すると思います。知事側におきましても、そこで話がつきまするならば、それでいいわけでありますが、もし両者の間に意思の合致がありませんければ、これは協議が成り立つたことになりませんので、そういう場合にはそういうことはできない、かように考えておるわけであります。
  38. 大矢省三

    ○大矢委員 先ほど申し上げました、戰災都市においては、人口にかかわらず、建築部の重要性というものは、いまさら申すまでもないところでありまするが、法律第二百一号の建築基準法ですか、これによりますと、この四條にこういうことが書いてある。「市町村は前項の規定によつて建築主事を置こうとする場合においては、あらかじめ、その設置について、都道府県知事と協議しなければならない。」これはちようで今の文句と同じでありますが、「市町村が前項の規定による協議がととのつた場合において建築主事を置くときは、市町村の」云々と書いてある。この協議がまとまらなかつた場合——これはあくまでも府県知事がその建築に対する権限を持つて置こうとするために、市町村ではできない。従つて協議しても、結局今言つた通り、いかに建築部を必要とする府県にあつても、大臣がいわゆるこの自治法の原則に立つて、必要がないと言えば、地方でいくら要請しても置けない。特に先ほど言つた、市町村に建築主事を置くことができるからなくなしたのだと申しますが、現に私の調査によりますと、日本全国で八つしかない。それは横浜、金沢、函館、札幌、仙台、塩釜、川崎、広島で、現に大阪、京都、名古屋、こういうところはどうしても離さない。そこでその次にこういうことが書いてある。第十四條に「建築主事を置く市町村の長は、都道府県知事又は建設大臣に、都道府県知事は、建設大臣に、この法律の施行に関し必要な助言又は援助を求めることができる。」そこで、どうしても知事が聞かないからして、建設大臣に実情を報告して、その必要な助言と援助を求める。求めたけれども、しない。だからこういう規定がいくらあつても、戰災都市の住宅復興というものは非常な障害を受けております。しかし建築主事を置く場合には、あらかじめ協議をすることができるのだからして、その任意にしておる。従つて必要なものは大臣に協議したらいいじやないか。一応文章がそうなつてつても、実質上はない。現にこの「建築主事を置くことができる。」という、このことから、建築復興に非常な支障を来して、困難をしている。そういう実情をこの機会に話しておきますと、こういうことになる。一軒の住宅を建てるために、まず第一に確認届を出す。都市計画に関係があるかないか、道路法に関係があるかないか、これは市が管理しておるから市に持つて行く。そこでいよいよ建築をすることになると、その設計を持つて行つて府県に届け出る。そうしてそれに対して今度は消防の厳重な審査を受ける。これは防火建築その他の取締法によつて審査をする。その消防は御承知の通りに府県が持つていない。市町村が持つている。従つてこれは二十七、八の判をもらわなければ、一軒の家が建たない。それが府と市とにまたがつている。しかも府県庁の所在地にある市というものは割合に交通その他で便利でありますが、戰災地で、相当に離れておる市町村というものは、このために一体どれだけ迷惑をしておることか。地方で苦い経験を持つておる。それにいくらこんな法律をこしらえても、実際は置けないし、また離そうとしない。そういうことのために二重監督、二重行政の弊害が問題になるが、とにかく離さないことが常識的になつている。だから自治庁はこういうものの部分的な修正をやる場合には、明らかに建築部なら建築部を戰災都市には置くべしとか——そういうことが書いてなくして、それでますます困るようなことを規定しているということは、私どもははなはだ了解に苦しむのでありまして、今申しました建築基準法の、建設大臣が助言もしくは援助をすることができるということがあるにかかわらず、それを聞かない府県知事がおります。それと同様に、府県の方でいくら必要と感じて建設部なり労働部を置こうとした場合にでも、協議しなければならぬというので協議しても、それがまとまらないことになりますと、この規定が無意味になつてしまうから、協議してもまとまらなかつた場合には地方民の意思によつて議決によつてそれを行うという、自治を尊重する規定を入れなければ、これは死文になつてしまうのではないか、かように考えるのでありますが、その点はどうですか。
  39. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 お話のごとく建築行政につきましては、確かにいろいろ問題があることは、私どもも承知いたしておるのであります。御指摘のように建築基準法によりまする各種の確認その他の届出の手続事務がございまするとともに、消防法に基きまする條例によります各種の建築規制もございまするし、さらに進んでは労働基準法に基きまして労働上の安全というような見地からのこれまた各種の建築上の制限があるわけであります。これらの建築制限に関しまする各種の規制の間に、もつとできるだけ調整をとりまして、できまするならば住宅を建てる者としては、一箇所に届出をすれば、それで用が足りるようにすべきであるというようなことを、私ども行政簡素化の見地からも、非常に必要なことであると考えておりまするけれども、まだこれにつきまして成案を得るに至つておりませんので、この点はなはだ遺憾でございまするが、今後ともなおこの点は関係の各省と十分連絡いたしまして、御心配のようなことのないように、できるだけ努力いたしたいと考えておるのでございます。建築部でありますが、この建築部につきましては、御指摘のように本来ならば大都市におきましては、建築基準法によりまして大都市にこの事務を移管しても、十分やつて行けるものと考えておりますけれども、実際問題としてはまだ多くの大都市におきましてもその移管を受けていない事情でありまして、そういう場合におきましては、この建築部の設置につきましては、十分考慮いたしたいと考えております。
  40. 大矢省三

    ○大矢委員 この法文を見まして、衣食住に非常に重要な関係のある建築その他復興に対する政府の熱意が足りないというふうに、印象づけられるのではないかということで独立後の地方行政に対して非常な心配を持つておるのであります。  それからもつと具体的に尋ねまするが、そういうことの必要に迫られて建築部を従来通り置いてもらいたいという申出があつたときに、一体今日の情勢において総理大臣は協議した場合に承認するか。これは具体的なことであります。ここに協議しなければならぬと書いてあるが、特に今申しました戰災都市なんかは、必要のために当然この問題が起つて来ると思うが、現状において総理大臣はこれに対して承認を與えると思うかどうか。具体的にひとつ……。
  41. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 戰災都市等を控えまして、非常に建築行政の事務分量が多く、責任量も多いまうな場合におきましては、その協議に応ずるようにいたしたいと考えております。
  42. 八百板正

    ○八百板委員 先ほど来質疑がございました第百一條と二條関係でございます。第百一條の招集の点についてでございますが、議員定数の四分の一によつて臨時会招集がせられるというのは、通常われわれの常識では、長がこれを招集しない場合でありまするから、当然その場合には何らかの対立抗争の場合が多いということは、団体生活の会議の経験からいつて、当然判断されることだろうと思うのでありますが、こういう点について長の招集にかかる場合と、四分の一の請求にかかる議会の場合との例は何か資料がございますか。
  43. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ただいまの点につきましては、取調べました上で、後刻御通知申し上げたいと思います。
  44. 八百板正

    ○八百板委員 数字的なことは数字を見なければ言えないと思うのですが、四分の一の請求によつて開かれるという場合は、おそらく非常にまれな場合だと思うのであります。しかしながらそういう場合こそ、非常に自治体にとつて重大な時期であろうと思うのであります。議員の四分の一の請求によつて開かれなければならないような事態の方が、かえつて通常の場合よりも重大な案件のおる場合だと私は理解する。ところがこの扱いを見ますと、そういう請求があつた場合においては、都道府県にあつては三十日、市町村にあつては二十日以内に開かなければならないというように非常に日を長くきめておるのであります。前の規定によれば、当該普通地方公共団体の長はこれを招集しなければならないとなつております。これを招集しなければならないということになれば、これは当然に通達などの間に合う程度に、すみやかに開かるべきだと解釈し得ることは、そのあとの二つの都道府県市にあつては七日、町村にあつては三日までにというふうな告示についての規定があることによつて考えられるのであります。ところが今度の改正案の扱いのごとく、議員の方から請求のあつた場合には、ゆつくり開くように規定し、長の請求の場合にはもつと短い期間招集するようにしたことは、明らかに議会権限を弱化するというねらいの具体的な現われだ、こういうふうに私ども判断せざるを得ないのであります。これに議会権限を弱化するものでない、合理的なものにするための改正だという御説明であつたのですが、この点どういうふうに理解なさつておりますか、御説明いただきたいと思います。
  45. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ただいまの御疑問ごもつともでありますが、現行法におきましては臨時議会招集請求があるときは、長はこれを招集しなければならないと相なつております。そのために今八百板さんの仰せになりましたようなこういう請求がありまするときこそ、その自治体にとつては重大な問題である、これは確かにそうでございまして、そういう重大な問題がある場合であるにかかわらず、四分の一の議員請求をしたのにかかわらず、議会をいつまでたつて招集しない市町村長があるのであります。そういう実例を私ども承知いたしておるのでありまして、今回はそういうことのないようにいたそう、要するに招集請求があつたならば、一定期間内には必ず議会招集しなければならないようにいたそうということで、この期限府県の場合に三十日、市町村の場合は二十日にいたしたのであります。しからばなぜ三十日、二十日にいたしたかと申しまするならば、これはやはり予算を編成する期間を見なければなりません。追加予算等でございますれば、そういうものも考えなければなりませんし、あるいは條例の案を議するような場合には、その準備のための日数が必要でございます。さらに告示府県の場合は七日、市の場合も七日、町村の場合は三日までにしなければならない、こういうことでございまして、この七日の期間も三十日の期間あるいは二十日の期間の中に見込んで行かなければならないのであります。従いましてそういう議案の準備とか、招集告示期間というものを見込みますと、やはり大体三十日以内あるいは二十日以内で準備ができ次第にこれを招集するということの方が実情に合う、そうでないとちよつと無理であるというところから、三十日以内あるいは二十日以内ということにいたしたのでございます。
  46. 八百板正

    ○八百板委員 私は今の御説明のような傾向よりも、むしろ時日を延ばすことによつて、問題の重要性を冷却させて、いわば時効にするような形に持つて行つて、結果において自治体の長の専決処分にゆだねるという傾向を助長することになりはしないかという意味で、長過ぎるのではないかという意見を持つておるわけなんでございまするが、この点についてはなお御考慮をいただきたいと思うのであります。  それから百二條の場合でございますが、会期都道府県にあつては三十日、市にあつては十日を例とするという言葉を使つておりますが、例とするということは、例外もあり得る。その例外というのは会期を詰めてもよろしい、延長をやつてもよろしい、こういう意味に解してよろしうございますか。
  47. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 これはまさに御指摘の通りでございまして、会期をきめまするのは議会自体でありますので、議会会期をきめます場合の標準として、ここにこういうことを例として書いたのでございまして、大都市等におきましては十日というのは短かいでございましようし、人口三万前後の市では十日というのはむしろ長過ぎる。そういうのは、それぞれ議会がその実情に応じて会期を、こういうものを例として定められたらよい、こういうことでございます。
  48. 八百板正

    ○八百板委員 ということになりますと、きめない方がいいのではないかというような感じがするのでありますが、次に三の点について古い方を見ますと、「臨時会は、必要がある場合において、その事件に限りこれを招集する。」となつておりますが、立法当時の事情は私よく存じておりませんが、その事件に限りこれを招集するということは、何ゆえにこの事件に限るということを表示したのか。これはおそらく臨時急施に名をかりて割込んで来るということをさせないようにという意図からではなかつたかと思いますが、これはどうでございますか。
  49. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 現行法趣旨は、臨時急施と申しますか、臨時議会にかけなければならない案件がありました場合に、その案件に限つてこれを招集する、こういう趣旨でございます。この案におきましては、そういうふうに特に臨時会を開きまする場合には、あらかじめ事件告示をしなければならないけれども臨時急施の事件だけしか告示後においては付議できないというふうにいたしますと、せつかく議会の成立があるのにかかわりませず、一方議会に付議すべき事項があつても、それはあらかじめ告示しなかつた事後において生じたことだというようなことで、また別に議会を開かなければならないというようなことは、いかにも不自然でございますので、およそ臨時会というものは、あらかじめ告示した事件について開くのが建前であるけれども、しかしそのほかに、臨時会開会中に付議事項が出たならば、これをかけてもよろしい、こういうふうに臨時会の性質をかえよう、こういう考え方なのであります。従つて臨時会招集がありました場合におきましては、告示された事件のほかに、臨時の必要を生じたものがあれば付議される、こういうふうにいたしたのであります。こういたしませんと、その後臨時急施を要する事件というようなことで無理にかけまして、それが違法である——外部に対して処分が行われてしまつてから、議次が無効であるというようなことで、いろいろもんちやくを起しておるのが非常に多くございますので、そういうようなこともこれによつて救われるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  50. 八百板正

    ○八百板委員 御説明によりますと、古い方の場合の考慮の中には、やはり臨時急施の形において予定したもの以外が、割込んで来ることを防ぐような形にきめてあつたと了解されるのでございますが、それが今度の改正で、できるように——いわば臨時会開会中に、ほかの予定しないものを付議することができるように改めたということは、何といつても、その間いきなり伏せておいて出して、これを一拠に通すというふうな形に運用、利用される危険が非常に多かろうと思うのですが、この点はかえつて合理的だというふうな御説明でありますが、そうでないようなふうな感じはどうも抜け切れないのです。この点もう少し御説明いただきます。
  51. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 臨時会に付議される事件は、あらかじめこれを告示しなければならないということでございますので、臨時会招集通知をいたしますまでに、あるいは招集告示をいたしますまでに、付議すべきことを決定しております事項については、あらかじめ告示をしなければならぬのであります。その後に生じた事項については、今までは臨時急施のものしか、かけられないということでございますが、これはそうでないものも、およそ議会議決を要するものならば、せつかく開いておるのであるからこれに付議する、こういうことでございます。そこで八百板さんが御心配されますように伏せておいていきなり出すようなおそれはないかという点でございますが、今も申し上げましたように、招集告示前に生じております問題につきましては、あらかじめ告示をしなければならぬのでございますから、さような事件をあらかじめ告示しないで、いきなり出すというようなことになりますと、どうせ議会においてそれが問題になるでございましようし、また事柄の実体が不適当なものでございますならば、臨時会に付議いたしましても、そこで可決されるということは困難だと思います。そういうようなことで、実際の運営においては心配がなく、しかもかえつて簡便に、合理的に行くのではないかというふうに考えた次第でございます。
  52. 八百板正

    ○八百板委員 今の答弁の中に、その後の発生という言葉がございましたが、言葉をつかまえて言うわけではございませんが、それは時間的に言つてそのとき以後に起つた案件というようなふうになつて参りますならば、問題はなかろうと思うのでございますが、時間ではなくして、その後に思いついた案件ということになりますと、ここにまたいろいろな問題が起つて参りますから、それはお話のように、時間的にその後に発生した現実の事態、このように考えてよろしゆうございますね。
  53. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 そういう趣旨で立案をいたしたものでございます。
  54. 佐藤親弘

    ○佐藤(親)委員 ちよつと鈴木さんにお聞きしたいのですが、第五款に規定してあつて、なお第六款の付属機関を設けてあるようでありますが、第六款の付属機関は第五款の後段に編成されては都合が悪いというふうな趣旨でありましたろうかということであります。人事委員会、公平委員会公安委員会地方労働委員会、農業委員会その他の委員会として五款はあげて、第六款へ附属機関としてあげて、附属機関の重要部分は、要するに組織関係をちよつと言つて、非常勤というのを入れただけであるから、第五款のあとに編成されては都合が悪いという趣旨であつたのかどうかということでございます。
  55. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 この執行機関附属機関という関係でございますが、第六款に特に附属機関という款を設けて書きましたのは、執行機関の方は特に団体の事務執行する、すなわち行政を執行するところの機関というわけでございまして、第一款の通則のところにずつと列記してありますようなものを執行機関、かようにいたしまして、それ以外の各種の審議会とか、審査会とか、調停関係委員会、こういうものは普通の執行機関と違う、執行機関のいわば附属機関——ある執行機関事務を処理します場合に、そこの調査を経てやる、そこの審査を経てやる、あるいはそこの調停に付してやる、こういうような性格のものでございますので、純粋の執行機関とは性格が若干違うわけであります。そこで特に附属機関というふうにいたした次第でございます。執行機関附属機関ということでございますので、これは国家行政組織法におきましても、附属機関というものを区分いたしておりますので、そういうような考え方を踏襲いたした次第でございます。
  56. 佐藤親弘

    ○佐藤(親)委員 その点はそれで了承しました。そうすると、この附属機関の中の庶務というものは、やはり執行機関でつかさどつた部分のうちの庶務をさすというふうに承ればよろしいですね。
  57. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 今のお話の点でございますが、附属機関の庶務でございますが、附属機関の庶務は、附属機関はそれぞれいずれかの執行機関に属しているわけでございます。教育委員会に属するかあるいは知事市町村長に属するかその他の執行機関に属するか、必ずその所属機関がございますので、その所属する執行機関の方で、附属機関の、たとえば俸給でありますとか日当を支払うというような、そういう庶務あるいは物を印刷したりするような、そういう庶務を、その属する執行機関の方でお世話をする、こういう考え方でございます。
  58. 金光義邦

    金光委員長 本日はこれにて散会いたします。     午後四時五十二分散会