運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1952-05-24 第13回国会 衆議院 地方行政委員会 第52号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月二十四日(土曜日)     午後二時五十七分開議  出席委員    委員長 金光 義邦君    理事 河原伊三郎君 理事 野村專太郎君    理事 床次 徳二君       池見 茂隆君    大泉 寛三君       佐藤 親弘君    前尾繁三郎君       龍野喜一郎君    鈴木 幹雄君       大矢 省三君    立花 敏男君       八百板 正君  出席政府委員         総理府事務官         (地方自治庁次         長)      鈴木 俊一君         総理府事務官         (地方自治庁行         政課長)    長野 士郎君  委員外出席者         專  門  員 有松  昇君         專  門  員 長橋 茂男君     ――――――――――――― 五月二十四日  委員門司亮君辞任につき、その補欠として鈴木  義男君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 五月二十三日  講道館に対する固定資産税免除に関する請願(  苫米地英俊紹介)(第三〇五七号)  地方公営企業法案の一部修正に関する請願(門  司亮紹介)(第三一三二号)  主要都道府県建築部存置に関する請願(前田  種男紹介)(第三一三三号)  茶屋町自治体警察国家地方警察に移管の請願  (星島二郎紹介)(第三一三四号) の審査を本委員会に付託された。 同日  地方議会権能縮小等反対に関する陳情書  (第一九三一号)  同(第一九三二  号)  同(第一九三三号)  五大市区選挙管理委員会存続に関する陳情書  (第一九三四号)  特別市制実施反対に関する陳情書  (第一九三五号)  特別区制度改革に関する陳情書  (第一九三六  号)  大阪市の特別市制実施促進に関する陳情書  (第一九三七号)  同外十八件  (第一九三八号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  地方自治法の一部を改正する法律案内閣提出  第一七五号)     ―――――――――――――
  2. 金光義邦

    金光委員長 これより会議を開きます。  地方自治法の一部を改正する法律案内閣提出第百七十五号を議題として質疑を行います。本日は第十一條より第百三十八條までについて質疑があれば、許します。
  3. 床次徳二

    床次委員 ちよつとその前に議員定数の問題についてお伺いしたいのですが、大体将来の標準需要として議員定数考える場合に、大体この間の標準のものを考えられるのか。実際の町村にありましては、町村具体的定数基準として、標準需要を算出されるのであるか、その基礎をもう一回聞きたいのです。今度のは、以上、以内というように書いてありますから、将来どの辺をつかまえて標準需要基礎にされるのであるか、あるいは大体の標準というのは、数個の標準によつてこれを決定して行くつもりか、あるいは具体的の数字によつて決定して行くつもりか、町村財政に及ぼす影響を、もう少し具体的にお話願いたいと思います。この間将来の方針につきましては大体抽象的な御答弁があつたのですが、具体的にどうされるかということがわからなかつたので、お伺いしたいと思います。
  4. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 府県なり市町村の場合で、それぞれあるわけでありますが、府県の場合に例をとつて申し上げますと、この間申し上げましたように、大体の標準的な人口は今百七十万というところを押えております。そこで百七十万の場合における基準的な平均議員数を出しまして、それに対して人口に応じて補正をして行く、こういうことで、具体的の議員数いかんにかかわらず、基準財政需要額を算定する、こういうことになると考えております。従いまして、議員数を非常に減らしまするならば、それだけ財政需要の上では楽になる、こういうようなことだろうと思います。
  5. 佐藤親弘

    佐藤(親)委員 ちよつと次長にお聞きしたいのですが、十三條の第三項をお加えになつたんですが、これを第十三條の第二項の「公安委員会委員」の下に加えるとか、何か條文操作関係で、できないでしようか。第三項を加えないで、第二項の「公安委員会委員」の下に「教育委員会委員」というのを加えてもさしつかえないのじやないか、こういう條文操作をなさつてはどうかということをお聞きしたいのであります。
  6. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 この点はお尋ねのような御疑問が生じますのはごもつともでございますが、十三條の第二項は、この法律の定めるところによつて解職請求する場合を書いてあるのでありまして、今回新しく加えました第三項はこの地方自治法の中にはない。すなわち教育委員会法の中にありますところの教育委員会委員解職請求権というものが、住民にあるのだということを「この法律」と「法律」とで、「この」という字がある、ないで示している、その違いだけです。
  7. 佐藤親弘

    佐藤(親)委員 了承しました。
  8. 床次徳二

    床次委員 現在各地方公共団体で開いております実情が、どの程度になつておるかということについて伺いたい。定例会臨時会開きぐあいはいかような状態であるか、特に今回のは市の通常会十日というふうになつておりますが、やはり市の大小によつて非常に違うのではないかというような気がするのでありますが、この点も過去の実例によつておわかりではないかと思うのですが……。
  9. 長野士郎

    長野政府委員 今のお尋ねでございますが、現在府県につきましては、通常予算を審議いたします定例会は、府県によつてまちまちでございますが、平均をとりますと、資料に出ているのから行きますと、昭和二十五年度で平均が十九日になつております。その他の定例会につきましては平均が七日になつております。臨時会につきましては、これも県によりましてまちまちでございますが、二十五年度におきましては一・四日というような数が出て参ります。これは全然開かないところがあるからでございます。それから市については、実は全部の市が明らかでございませんので、はなはだ恐縮でございますが、わかりましたところの長野県の全部の六つの市、福井県の四つ、三重県の三市、兵庫県の九市の平均をとりましたもので考えますと、定例会につきましては平均が六・一日ということになります。臨時会につきましては四・四日でございまして、通常予算を議する定例会平均は十日になつております。その他の定例会は四日でありまして、臨時会平均四日であります。町村につきましてやはり同様の府県長野県における三百七十二町村福井県の百四十八町村三重県の二百六十九町村兵庫県の町村平均というものを合せますと、通常予算を議する定例会平均は三日でございます。その他の定例会が二日でございまして、臨時会平均一日ということになつております。
  10. 床次徳二

    床次委員 それから開会度数がどの程度になつておりましようか。
  11. 長野士郎

    長野政府委員 開会度数府県におきまして平均いたしまして、定例会平均が六回でございます。臨時会平均一回でございます。市におきましては臨時会平均が四・四ということになります。町村におきましては臨時会開催平均が四ということになつております。  以上でございますが、市におきましての定例会開催度数は六・一回でございます。町村におきましても六・一回ということになつております。
  12. 床次徳二

    床次委員 ただいまのは一応開きました回数でありますが、この回数につきまして議員側から言うと、決して多過ぎることはないという意見がある。理事者側から申しますと、この程度日数から言うと、少くてもいいという意見を述べておる。ただこれが自治立場から申しまして、市民の立場から言うと、市町村民立場から言うと、はたしてどういうふうな意見を言つているか、この点御調査なつたかどうか、あまり議会が少いと市町村民の声が議会に反映しないということもあり得ると思うのでありまして、一般の声も聞くことがいいと思いますが、何かそういう方面の調査があれば伺いたい。
  13. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 直接の住民の声として、特に調査いたしたものは持ち合していないわけであります。
  14. 床次徳二

    床次委員 なおこの定例会につきまして、今回各理事者定例会を開くために、ことさら議案を繰延べなんかして六回の回数を無理して開いておるというような傾きがあるかということも聞きたい。
  15. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 この定例会制度につきまして、條例で何月に開くということがきめてあるわけでございますので、議案があるなしにかかわらずこれを開く、それは議論を越えて民主主義の訓練という意味で必要である。こういうようなことで定例会を必ず六回以上開く、こういうことになつておるのでございます。従つてお話のございましたように事例が絶無とは存じませんけれども、特に定例会がわかれているために、ある議案を次の定例会に残しておくというようなことは、まずあまりないのではないかというふうに考えております。
  16. 床次徳二

    床次委員 なお今度の改正案についてでありますが、臨時会招集をいたしまする場合に、それぞれの手続がありますが、やはり必要が感ぜられましてから招集開会に至りますまで、相当日数がかかるのでありますが、こういう点はいわゆる市町村においては卑近の問題もやはり時期を失つてしまつて市町村民の興味の対象から逸する場合があるのではないかと思うのでありますが、この招集について懸念をお持ちにならないかどうか。議員側から申しますと、招集いたしましても、理事者の都合によつてこれが引延ばされるおそれがあるのじやないか。だんだん問題の関心が薄くなつてから開かれるというようなことがあるということも懸念しておるのでありますが、この点いかように考えておりますか。
  17. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 定例会制度を今回通常会にかえようといいますことは、原案趣旨といたしまして、特に議会開催度数を減らすということをねらいにしているわけではないのでございまして、通常予算を議する定例会というのは、今日においても、やはり他の定例会と違いまして、府県等の場合におきましては、大体三十日、普通の定例会の二倍ないし三倍の会期を使つているわけでございます。従つて定例会と同じ言葉で言つておりながらも、実情は、通常予算を議する議会と、しからざる議会——臨時会を含めまして、通常予算を議しない議会というものは、相当差があるのであります。そういう意味で、定例会臨時会という区分の仕方よりも、通常会臨時会という区分の方が、合理的であるということで、この区分をいたしたのが趣旨でございまして、通常会が一回であるからして、従つて議会会期を制限するのが趣旨であろうということは、やや政府案趣旨誤解していただいているのではないだろうかというふうにさえ、私ども考えておるのでございまして、別に議会会期を減らすということがねらいではないのでございます。現在でも定例会が、たとえば五月なら五月に開く、その五月に開きます定例会を五月一日に開くか、それとも五月の三十一日に開くかということは、理事者がきめ得るようになつておるわけであります。臨時会の今度の改正案によります招集でございますが、これは都道府県の場合には、招集請求がございましたら三十日以内に開かなければならぬ、こういうことになつておるわけでございまして、現在でも最大限度においては、招集自由裁量の範囲は三十日でありまするが、この改正案におきましても、請求があつたら三十日以内に開けと、こういうことでございますので、私どもは、そう現有法とこの改正案とは実質において差異がない。むしろ実際の府県会性質開会度数というようなもの、今期というようなものを勘案いたしまして、やはり通常会臨時会という方がより合理的な制度であるというふうに考えて立案をしたものでございます。
  18. 床次徳二

    床次委員 改正趣旨は、回数を制限する気持はないというお話でありますが、どうも誤解をされているということで、私どももそういうふうな気持で実は受取つたのでありますが、臨時会招集するにつきまして、やはり相当招集手続を要するので、勢いこれが開かないことになりやすいのじやないかということをおそれておるのでありますが、この点はいかがでございましようか。招集して付議するところの件名いかんによりましては、招集しなくてもよろしいということになるのじやないかと思うのでありますが、全体から申しますると、現在よりも大分減る可能性があり得ると思いますが、いかがでございましよう。
  19. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 議会執行機関、ことに知事市町村長との関係におきましては、御承知のごとく、あらかじめ議会議決をいたしまして、知事市町村長専決処分ができるものとして委任をいたしましたものでありますならば、これは専決処分ができまするし、これはまた議会専決処分してもよろしいということで、軽易な事項として委任をしてある事項でございますので、この点については、現在の制度におきましても、当然専決をいたしておるわけでございまするが、それ以外の事項につきまして、議会議決を経べき事項を、議決を経ないで専決処分をするということが許されますのは、まつたく緊急の必要がある場合に限るわけでございます。緊急の必要があるということは、まず災害等の場合におきまして、応急対策のための臨時経費応急に出すというようなことはあるかもしれませんけれども、その他の場合におきましては、やはり法律上当然に知事なり市町村長は、議会の議を経て処理しなければならぬものが大部分でございまして、そういうものは、これを専決処分でやることは、違法になるわけでございますから、どうしても臨時会を、知事側から申しても招集しなければならぬわけでございます。私どもはそういうふうに法律委任し得るものは、軽易なる事項に限つておるのと、議会議決すべき事項は、臨時緊急の必要のあるものに限つておるわけでございまして、議会が成立していない場合は、これは別でございます。成立していない場合というのは、解散等議会が存在しない場合で、そういう場合は別でございますけれども、そうでない場合は、やはり臨時会招集してやらなければ、適法な措置ができないわけであります。それでこの点は、議会側の代表の各位は、やや心配し過ぎているのではなかろうかと、こういうふうに考えでおるのでございます。
  20. 床次徳二

    床次委員 議会権能によりまして付議しなければならぬということにつきましては、お話通りだと思うのです。しかしながら現実議会におきましては、やはり議会の都度、しかるべく公共団体の問題について議論が鬪わされる、検討を加えるということがあると思うのです。かようなことが地方自治の発展のためには、相当役立つているのじやないか。直接議案といたしましては議決を要すべきことでないにいたしましても、議場において論ぜられることが、地方自治上非常によいのではないか、この点が今後問題として残される。やはり開会度数が多い方が町村行政を検討する、府県行政を検討する機会が多くなる。その回数が確保されることに、議会側としては非常に希望を持つておるのだと思うのでありますが、この点に対して相当有力な意義が認められるとも思いますが、当局はその点をお考えになつていないのじやないかと思いますが、いかがでございましよう。
  21. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 法律議会議決を要しない事項について、実質的に非常に問題であるというような場合におきましては、やはり全員協議会というもので、今日におきましても相当事前にいろいろ協議をして、知事の方からも出席をして、議会の了承を求めるということをやつておるのが、しばしばあるのでございます。これは臨時会招集するという方法でなく、むしろそういう形式的な拘束を離れて、実際上の話合いということで、議員の事実上の招集をお願いして、協議会を開いているというようなことがあるのでございまして、そういうような事柄につきましては、事実全員協議会等方法を活用いたしまするならば、十分処理できるのではないか。ことに都道府県の場合におきましては、相当広範囲から議員が集まつておるのでございまして、これは従来とてもそうしばしば開くことはなかつたと思うのでございますが、市町村におきましては、大体従来からも相当度数があると思うのでございます。これは集合にも便利でございまするし、全員協議会というようなものの開催につきましても、むしろ気軽に集まつておるわけでございまして、そういうような実際上の処置によりまして、何ら支障がないのではないか。むしろ定められたときに議案の有無にかかわらず、必ず開かれなければならぬということの方が、どうも行政の上から申しまして不便な点もあると思いまするし、また議会側にいたしましても、現実に具体的な問題が起つておるときに集まつてこそ、いろいろの意見も出て来るわけでございまして、さしあたつて特に問題がないのに、定例会だから集まるということは、どうも議会運営制度開会制度といたしましても、議会自身が英国のように執行機関にもなるというのならば、定例会制度もわかると思うのでありますけれども執行機関としては別に知事市町村長というものがおりますから、定例会式に集まるということは、どうも理論上首肯しがたいというようなことで、原案を立案した次第であります。
  22. 床次徳二

    床次委員 ただいまいわゆる協議会式のものについての効用をお話になりましたが、実はそういう全員協議会的のものは、いわゆる定例会等がありますので非常に開きやすい。全然そういう会がなければ、なかなか協議会も開きにくいというのが地方実情なのじやないか。そういう点はいわゆる実際の運営において、差が出て来るのではないかというふうに考えておるのであります。  なおこの問題に関連して一言承りたいのは、條例によりまして将来通常会回数をきめておくというようなことが考えられるかどうか。そのことに対して御意見を伺いたいのであります。
  23. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 議会会期は現行の法律におきまして百二條「普通地方公共団体議会会期及びその延長並びにその開閉に関する事項は、議会がこれを定める。」こういうふうに相なつておりますので、会期議会自身がこれを定める、こういう建前でございます。あらかじめ條例できめておくということは、條例議会がむろん提案をして成立いたしておるわけでございますが、條例という形を用いましても、別に不適当ではないと思いますけれども、しかし議会だけのいたしますもので、長のいたしませんものでもございまするから、むしろこれは会議規則できめておくというようなことでいいのではないかというふうに考えております。この改正案におきましては、通常会会期都道府県は三十日、市は十日を例とする。こういうふうに書いてありますが、この例とするというのは、やはりそういうようなものを通常の通例といたしまして議会がきめる。しかしながら会期をきめるのは議会が自主的にきめる、こういうことになるわけであります。
  24. 床次徳二

    床次委員 ちよつと言葉が明瞭でなかつたので誤解を来したのではないかと思うのでありますが、その通常会開催度数をあらかじめ條例でもつてきめておくということに対してはいかがでありましようか。
  25. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 現在定例会開会度数法律で六回以上ということになつております。従つて六回以上何回開くということ、あるいは六回にするということをきめなければならぬ。それからいつ開くということをきめなければなりませんので、そういうことは大体條例で各都道府県ともきめておると思います。今回の改正案におきましては、通常会でございまして、これは法律案の上では二月または三月、こういたしておりますので、また開会度数通常会という性質から申せば一回でございます。特に條例で規定いたす余地が、今回の案ではないと思います。
  26. 床次徳二

    床次委員 はなはだ言い違いまして恐縮ですが、臨時会はあらかじめ度数を予定しておくことはできませんか。
  27. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 これはいかなる臨時案件がどれほど数多く起つて来るかわかりませんので、あらかじめ臨時会を幾らというふうに限定をしておくということは、これは適当でない。多く限定いたしましても、少く限定いたしましても、いずれにいたしましても、臨時会という性格から申しますに、これは適当でない、かように考えております。
  28. 大矢省三

    大矢委員 今度定例会通常会に改めて、都道府県は三十日、市にあつては十日となつておりますが、市と称するものに、百五十五條のいわゆる五大都市というものはのけてあるのか、はまつておるのか。
  29. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 この点は先ほど行政課長から床次委員に御答弁申し上げましたように、大体市の抽出調査によりまして、市の通常予算を議する会期平均が十日ぐらいであるというところで、十日というふうにいたしたのであります。その平均抽出調査をいたします場合には、兵庫県、従つて神戸市すなわち五大市も含めて抽出調査をいたしておりますが、五大市につきましては、この十日というのは、私どもも少い、大体二十日前後くらいが適当であろうと考えておりますが、これはあくまでも例とするという標準でございますので、五大市のようなものは今までの実情等からその程度に定めたらよい。また町村に近いような人口三万程度のところでは、十日というのは長過ぎるというふうにも考えます。その辺はそれぞれの議会が適当に定めたらよいかと考えます。
  30. 大矢省三

    大矢委員 それでは十日を例とするというのであるから、都道府県のように三十日にしてもよろしい、それは條例か何かできめて任意にやる。それといま一つは大都市常任委員会議会との関係はどうか。こういうことになりますと、これは通常会でよろしいということになつて来ますと、せつかく常任委員会がいろいろな問題を審議しましても、それを議会にかけることができないような非常な不便が起きる、従つて通常会が一回となりますと、勢い常任委員会を必要としないという建前からして、これの関連についてはどういうようにお考えですか。
  31. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 最初のお尋ねの三十日というふうにいたしますことは、これは市の議会が自主的におきめになればいいわけであります。特に條例等であらかじめきめておかないで、議会会議規則なり、あるいはその都度きめられて一向さしつかえないのであります。  それから二番目のお尋ね常任委員会と今度の議会開会回数との関係でございますが、常任委員会は、議会開会中におきましては、もちろん付託されました議案を審議いたすわけでございますけれども議会閉会中におきましても、特に付議されました事件につきましては、閉会中もなおこれを審査することができるということになつておるわけであります。また特別委員会につきましても、同様な規定があるわけでございまして、これらの議会委員会活動というものは、閉会中におきましても、もちろんやり得るわけであります。常任委員会に特に付議されました事案が結論を得まして、これを正式に本会議できめるべきであるという時期に至りますならば、知事市町村長に対して臨時会招集請求いたしますなり、もしも知事市町村長がこれに応じないという場合におきましては、正式の招集請求権を活用して開いて行くということでいいと考えておるのであります。
  32. 大矢省三

    大矢委員 こういうように地方議会会期を短かくする、あるいは回数を少くするというねらいは、一体どこにあるのか。それと、こういうことがやがては国会の上にも影響して来ることを考えられておるかどうか。
  33. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 これは先ほども申し上げました通り、特に会期を短かくするとか、あるいは開会数を減らすというところにねらいを持つておるのではないのでございまして、通常会すなわち通常予算を議する議会と、そうでない、その他の追加予算補正予算その他の臨時案件を議する議会というふうに、議会開会性質から申して二つに区分したのであります。定例会臨時会制度というものは、どうも実際から申して適当な区分でないということでかえたわけでございまして、従つて特に議会開会度数を減らすというところにねらいはないのであります。先ほど来申し上げまするように、実情から申して会期に一応の標準を定めましたけれども、これはいずれも当該議会の自主的な会議規則その他議決によりまして、これを定め得るのでありまして、何ら制限しようという趣旨ではないのであります。これと国会との関係は、もちろん何ら意図いたしていないのでございます。
  34. 大矢省三

    大矢委員 次に区の選挙管理委員会の五大都市における廃止は、一体どういうわけで廃止をしたのですか。
  35. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 五大都市の区の選挙管理委員会でありますが、これにつきましては、現在の選挙管理委員会制度は、知事とか市町村長というものが、直接選挙事務を管理いたしておりません。しかし古い地方制度では、これが直接選挙される者ではなかつたので、知事市町村長が選挙事務を管理しておつたわけでございます。ところが現在は知事市町村長は直接選挙ということになりましたので、選挙される者が自分で選挙事務を管理するということは、適当でないということから、選挙管理委員会というものを置くことになつたわけでございます。そういう趣旨から申しますと、都道府県あるいは市町村におきましては、知事なり議員なりその他の選挙があるわけでございますから、どうしても選挙管理委員会を置くことが、選挙事務を公正に執行する上において必要でございますが、五大都市のものは御承知のごとく行政区であるわけでございまして、従つてここには区長の選挙あるいは区議会議員等の選挙というものがないわけでございます。いずれも市会議員の選挙あるいは市の教育委員の選挙あるいは国会議員の選挙というようなことでございますので、その選挙管理事務の主体は、市町村であつていいわけでございまして、区にはその市の選挙管理委員会の指揮、監督のもとに選挙事務に従事する公務員を置いて処置いたしまするならば、これは公正に行い得るというようなところから、今回区の選挙管理委員会制度を廃止することにいたしたのであります。
  36. 大矢省三

    大矢委員 選挙管理委員会の主たる目的は、申すまでもなく公平な選挙を行うためであり、またいろいろな選挙立会人、投票管理者あるいはまた危險防止、その他あらゆる選挙に対する責任を持つておるのでありますが、もしこういう場合はどういうふうにお考えですか、現職の市長がまた次のときに立候補した場合に、区が選挙の單位になつておりますから、事務ではありまするけれども、やはり自分の任命した区長、その下の事務員あるいはいわゆる公務員が、この事務を一切取扱うのであります。それから投票管理者、立会人、開票管理者というものを任命するのは実質上、これは鈴木さんよくわかつておられると思いますが、決して市の四人の選挙管理委員がするのじやない。結局その市長の推薦によつてなすのでありまして、これはほんとうに選挙管理委員会の精神からいつても、その選挙は公平に行われるとは私ども考えられない。たとえば大阪なんか二十一区ある、その二十一区で二百数十万の人口を擁する、そこでたつた四人の選挙管理委員で、そういうことが十分行われて、立会いが決して心配ない、こういうふうにお考えになるかどうか。特に最近の選挙においては、絶対警察官は立ち入らないのであつて、自主的にその選挙管理人が行つておる。重なる事務を担当しておるところの区役所の吏員が、はたして数箇所に行われる演説会において、責任を持つて選挙の公正が期せられるかどうか、そういうことを考え、また実際に事務を取扱つておるところの当事者である市の管理委員会意見を徴して、この原案をつくられたか、まあ少い方がいい、ただ事務の簡素化だということで、こういうことをしたのならば、現実のわれわれの常識で想像できない乱暴なやり方である。これは私が今尋ねたような矛盾や心配なく公正にできると考えておるか、普通の二十何万を擁する区のごときを町村のような考えで、あるいはそれ以下に扱われるということでは、私は選挙に対して非常な心配を持つのでありますが、それについてどういうふうにお考えですか。
  37. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 御心配の点はまことにごもつともでございますが、この区の選挙管理委員会制度を廃止いたしました趣旨並びにその過程の問題といたしましては、この案の立案にあたりましては、政府部内に昨年の秋以来設けておりました地方行政簡素化本部、またその以前の政令諮問委員会でありますとかから、いろいろな意見が出ておつたわけでありまして、そういうような意見を参酌いたしまして、政府部内において、この自治法の改正案についても、今のような点を含めた案が用意された次第でございます。要するに一つは簡素化の趣旨でございますが、現在の選挙管理制度建前に、根本的には触れないような限度においての簡素化ならば、これは大いにやるべきであるというところで、先ほど来申し上げたように、東京の特別区でございますと、これはそれ自体選挙区でありますので、当然に選挙管理委員会が必要であるけれども、五大都市の区は行政区で、それ自体の選挙をする要はないんだから、これは選挙管理委員会は置かないで、市に選挙管理委員会があれば足りる、こういう結論に到達して、このような案を設けたのであります。選挙管理の事務は大矢先生も御承知のごとく、選挙会あるいは開票所あるいは投票所というところで、一番基本的な事務が行われるわけでございますが、ここにはそれぞれ投票管理者あるいは各候補者が届け出る投票の立会人あるいは開票管理者、選挙長、選挙立会人という公職選挙法に基く機関ができるわけでありまして、これがそれぞれ法定の手続従つて処理をする。その結果に対しては選挙訴訟などの訴訟によつてこれを争うというふうに、画然と手続がきまつておるわけでございまして、そういう点から申しましても、私どもといたしましては、今御指摘のごとく、かりに区におりまして実際の選挙事務に当ります者は、市長が任命した市の吏員でありましても、従来の例から考えまして特にそういう地方公務員が自分の任命権者のために有利なる決定をした、そのために問題を起したというようなことは、私どもあまり耳にいたしていないのでございます。
  38. 大矢省三

    大矢委員 かなり楽観しての御答弁ですが、私はこれでは必ず次の選挙は、われわれの経験から行きましては、めちやくちやになる。それから今の区で選挙がありました場合、行政区だがらそこには選挙がないから金がいらぬ。ところがこの衆議院あるいはまた市長、知事、その他の選挙が行われる場合に、これは区が單位ですから、ただ一つその区の選挙が少くなるというだけで、ほかの選挙は全部区でやることになる。従つて選挙された委員が任期中その責任がある。それから自分の任免したものであるなしにかかわらず、管理委員がおるからそういう不公平はないだろうということですが、地方の推薦する人をその事務なり、あるいは管理委員に使うということに相なるのです。ことにまた区長というのは始終更迭されまして、ずつと長くいない、そこで土地の実情を知らぬために、いろいろ地方の有力者から推薦するということになりますと、この管理委員会の規定にある同一団体、同一政党から二人以上出してはならぬ、こういう場合に、同一政党から各区でそういう者を推したりした場合に、非常に管理委員の精神にも反し、結局選挙が公平に行われない。しかしながら行われるとか行われないとかいうことは主観であり、これで公平に行きます。いや行かないと言つたつて水かけ論になりますから、今現に管理委員は市の議会で承認され、選挙によつて出られると思うのですが、その期間中という——これは選挙によつたものは任期までは一つの権利として当然尊重される。しかしながらこの間選れた者がこの法案が通過すると、ただちにやめなければならぬ、こういうことはほかに例があるかどうか。それでは選挙されても次から次へ制度をかえて行つたならば、その人の責任はなくなるという、しかも選んだ市会なり、あるいはその管理委員個人にしても、非常に責任感の上から私どうかと思う。そういうものもこれで制度を廃止したんだから、もうそれで責任がないんだ、こういうことになるのか、それからあまり長くなりますから私は多く申しませんが、管理委員を廃止すれば必ず問題があると思う。これは演説会でもあるいは投票のときでも、選挙権があるとかないとかいうことがいつも起きている。管理委員がおればこそ、これは地方実情も知つておるし、あるいは三人の管理委員の中には党関係の人もそれぞれありますから、問題が処理されますが、これが單なる事務的ないわゆる区の吏員では、私はとうていこういう問題の始末はできないと思う。ことに警察官が立ち入らないような演説会を、一体どうして最後まで全うすることができるか、これが起らないと考え、あるいは起きた場合に一体こういうものを廃止した責任は、だれが持つか、だれが保障する、起きぬだろうということでこの一回しか行われない重要な選挙——これは大問題になると思うのですが、私はこういうものを廃止することを簡單によくやれたと思うのです。しかし何がこれに対して代案があつて、こういうふうにやるから安心ができるのだということでなかなか、ただなくするということばかりを考えて、こういう処置をとつたということに対して、どうしても納得がいかぬ。しかしなから立案者において責任をもつて、そういう心配は御無用ということで、私の杞憂になれば幸いと思いますが、この点私ども経験を持つておる者から見ますと、とうてい選挙の公平は得られないし、いわゆる事務をとるところの、責任のない單なる事務的な区役所の吏員によつて選挙をやるということを考えますと、この二百数十万を擁する市が、四人の管理委員で完全に行われるかどうかということについて、あらためて御意見をお聞きしたい。
  39. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 選挙事務の管理につきましては、公職選挙法自体ができるだけ公正にかつ公平に行えますように、配慮をしておられるようでございまして、たとえば立会人の届出等につきましても、これは投票立会人でございますならば、十人に達するまでは届出せられた者が当然に立会人になるし、それを越えた場合にはふるい落すときにはくじにてふるい落す。そういうふうに選挙につきましては抽籖主義というものを用いたりいたしまして、物の順序を定めたり、前後を定めたりするような場合は、何らそこに私意が介在するような配慮が行われておらぬことは先生御承知の通りであります。そういうふうに法律自体において十分配慮しておられますし、また区の選挙管理委員会の廃止にいたしましても、別に独任制の市長あるいは区長が選挙事務を管理することになるのではなくて、これはやはり市の選挙管理委員が全体の責任者になるわけであります。従つてその選挙事務、ああいう機械的なことこそは、できるだけ一本の指揮系統のもとに的確に公正に行われることが必要であります。そういう意味から市の選挙管理委員会の指揮のもとに、全市の選挙事務が公正にまた統一的に管理されることになると思います。こういうことの可否につきましては、政府の立案に際しまして、ひとりわれわれの事務的な意見だけではございませんで、全国選挙管理委員会という今日の選挙管理事務についての最高責任者があるわけでございますが、この全国選挙管理委員会にも十分お諮りいたしまして、全国選挙管理委員会もその決定をもつてそれを廃止して支障ない、こういうふうな御意見であつた。そういうようなことから、このような案を用意いたした次第でございまして、私どもといたしましては、これによつて選挙の実施の上に万々支障がない、かように考えておる次第であります。
  40. 大矢省三

    大矢委員 先だつての公聽会の公述人の意見によりますと、これは結局地方財政の上から来ておるのだろうと思います。むしろこれは自治庁がそういうことの意見で、逆に選挙管理委員会の方では、それでは選挙できないから、承知しないと言つた。それでそういう地方財政の上からこういう制度をなくするということでありますならば、われわれは実費というか、報酬というか、そういうものがなくてもよろしいということを、公述人自身が言つておつた。そういうふうにしてせつかく民主主義基礎たる公平な選挙を行おうとする熱意のために、そういう主張があつたと思うのですが、もし地方財政の上から考慮されたことなら無報酬で、その選挙管理を公平にやろうという場合は、これは規定があつても市に独自に置くことができるのかどうか。これは公述人からも特にそういろ発言がありましたから質問いたしたい。いやそれでもいかぬ、こう自治庁は言われるのか、これをひとつ聞きたいと思います。
  41. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 選挙事務の管理は、事柄の性質上、できるだけ画一的に公正に行われることが必要であると思うのであります。たとえば投票の効力の決定を、開票所において開票管理者が開票立会人の意見を聞いていたします場合におきましても、ある投票の効力の決定が甲の開票所と乙の開票所と異なつ基準によつて行われるということなりますると、その選挙はもうそれだけで違法のそしりを免れないので、無効という問題が起るわけであります。そういう点から申しましても、やはりこれは市の選挙管理委員会の統一的な指揮のもとに行われますることが望ましいと思うのであります。そういうふうな考え方でございまして、公職選挙法なり、あるいは地方自治法によりまして定められました規定の通りに、選挙事務、投票事務というものが行われませんければ、これは違法の選挙であるということになるわけでございます。従つて法律の上に区の選挙管理委員会というものの権限を定め、その組織を定めて、それに基いてそこに選挙に関するある部分の事務を割当てておかない限りは、任意に條例で区の選挙管理委員会を設けて、選挙事務に関與せしめるということになりますと、これはやはり違法のそしりを免れない。従つてそういうことはまたやるべきでないというように考えるのであります。
  42. 立花敏男

    ○立花委員 ただいま衆議院の公職選挙法の改正委員会におきましても、公職選挙法の改正が論ぜられておりまして、少数党の選挙運動が非常に制限される形が出て参つておるわけです。特別委員会委員長である水田氏は、御承知のように自由党の政調会長ですが、この方がこの間イギリスの小選挙区制による選挙を視察に行かれまして、帰られて参りまして言われますには、イギリスだけではなしに、ヨーロツパ全体の選挙法の改正の眼目は、いかにして共産党を議会に置かないようにするかという点にあるというふうに、委員長自身が感慨を漏されておるのです。そういうふうに、資本主義国家と申しますか、反動的な国家では、どうして共産党を初め革新的な少数党を、議会から締め出すかということが大きな眼目であり、その線に従つて選挙法の改正が行われておる。その結果、フランスあるいはイギリスにおきましても、得票は多数をとりましても第二党になり、得票が多数でも当選者が少いというような結果が現われております。民主主義の原則とは背反するような形が、ひずめられた選挙法によつて、ひずめられた結果が現われているのですが、こういうことが片方にあるわけです。また現在国会で問題になつております破防法におきましても、革新的な党に対する彈圧がねらいであるということは明白です。こういうふうに現在反動化して参ります資本主義の政治が、いろいろな形で革新的な少数党の議会よりの締め出し、あるいは活動の制限というところにあることは明白だと思うのです。  ところが今審議されております地方自治法の條項をながめますと、それがはつきり現われておるのじやないか。これは鈴木君個人は意識されるかどうかはしりませんが、客観的にははつきりその役割を果すのではないか。と申しますのは、まず第一に定員の問題ですが、たとえば小さい村等におきまして、定員が非常に減つて来る。村会議員の数が十人を割るということになつて来る。そうなつて参りますと、少数党の出て参る余地は、非常に制約されるのは明白だと思う。これはいなむことのできない客観的な事実であつて、小さい農村、山村等における革新陣営の進出は必然的にはばまれて来る。そういう役割をこの定員の縮減の條項が果すのではないかと思うのですが、こういうことを意識されておるのかどうか。意識されておらないにしても、こういう客観的な結果が生れて来るということについてどうお考えになりますか。これはもうりくつなしに現実の問題として、村会等における少数党の進出が制約されて来るのは明白なんだ。この明らかな事実をどういうところから正当化されるのか。これが民主主義の線に沿つているとはどうして言えるのか。現在の日本においては多数の横暴が行われておりますが、この政治情勢から見まして、こういうことをやることが、はたして進歩的であるかどうか、その点をどうお考えになつているか、ひとつ承りたい。
  43. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 選挙の結果に多数代表の率が出て参るか、あるいは比例代表、あるいは少数代表の率が出て参るがということは、ひとり議員の定数の問題だけではなくて、選挙区の制度をどういうふうに定めるかということに、密接に関連すると思うのであります。市町村の場合におきましても、選挙区を小さく区切るということになりますと、その結果として少数派が出にくくなるでございましよう。これはむしろそういう選挙区構成の問題の方が、立花さんの心配されるような点では主として関係があると思うのでありまして、私どもこの案をつくります場合に、立花さんのお話のように、非常に深謀と申しますか、遠いおもんぱかりのもとになそうというようなことは、遺憾ながら全然意識しておらなかつたのでありまして、またそのような結果を期待して立案したというものでは全然ないのであります。
  44. 立花敏男

    ○立花委員 客観的には少くともそうなりますので、そういう点からこれはぜひ改めらるべきである。少くとも現行通りにすべきものである。定員を大幅に縮減して少数党の進出を阻止するという客観的な結果になることに対しては、ぜひひとつ配慮願いたいと思う。  それから臨時会回数の制限の問題も同じ問題なんで、たとえば臨時会に対する開会招集請求権は少数党にはなくなる。現在のままで参りますと、県会等における発言の回数は、少数党には少くとも年六回與えられているわけです。ところがこれが改正されますと年一回しか與えられない結果になるということをどうお考えになりますか。少くとも自分のイニシアチーヴによつて、発言の機会が六回あるものを一回に制限されるという結果になるわけですが、この点をどうお考えになつておるか。これは非常に非民主主義的であり、少数党の地方議会における発言を制限するものであると言わざるを得ない。これも定員の縮減の場合と同じように、明らかに非民主的であり少数党の進出を阻害することを企図したものである。少くとも客観的にはその役割を果すものである。従つて客観的には反動的な現在の日本の政治の促進をはかるものであると言わざるを得ないと思うのですが、そういう事実についてどう弁明なさるか、これをひとつ承りたい。
  45. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 臨時会招集請求権は、御承知のように議員数の四分の一以上から請求をすれば、府県の場合は三十日、市町村の場合には二十日以内にこれを開かなければならない、こういうことに今度の改正で定めておりまするが、四分の一と申しますのはこれは少数であります。臨時会を開こうという議案につきまして、少くも四分の一の議員の人たちがそれはもつともだということで招集請求をいたしますならば、これは招集の義務を生ずるのであります。今まではそういう臨時会招集請求がございましてもいつまでに開かなければならないという期限的な制限がございません。そのうちに結局定例会になつてしまうということで、臨時会請求というものはやりましても、ほとんど役に立たなかつたのでありますが、今回の改正案によりますれば、臨時会請求が実を持つて来ると思うのであります。昨日の参考人の公述の中におきまして、自由党に例をとつて話をしておられましたが、自由党の知事は数人しかいない、ところが自由党の議長は三十何人かいる、知事はどうしても党派の違う者が多いから、議会招集しないであろうということの心配をある議長がお述べになつておりましたけれども、そういう例はまず絶対にないというふうに私考えているのでありまして、少くも四分の一以上の賛成が得られる。これは少数派でも連合して四分の一を得るということは可能であろう。またそれだけの賛成を得られない案件でありますれば、それだけのことをやる必要はないであろうというように考えております。
  46. 立花敏男

    ○立花委員 鈴木君は四分の一は少数党だと言われますが、現在の実状では四分の一は決して少数党でございません。現在の少数党はまだ地方議会では四分の一よりもつと少いのが多いわけです。しかも私が言いますのは、たとい一人であつてもあるいは二人であつても、この現在の規定によりますと、少くとも年六回の発言の機会はあり、あるいは審議に参加する機会がある。ところがこれで参りますと、四分の一に達しない場合はほとんど年に一回しか発言の機会が與えられないわけです。臨時議会が開かれれば特別ですが、その場合には四分の一の何を持つておりませんので発案権もありませんし、これは開かれないわけなんです。そういう場合には完全に年一回に制限されて参る。こうなりまして、少くとも現在のこの規定よりは明らかに少数党にとつて不利であることはいなむことのできない事実だと思う。そういうことがなぜ民主的であるのか。そういう制度をなぜとらなければいけないのか。單に費用の問題からだけで、そういうことがやられようとすることに対しては、国民といたしましては絶対に反対せざるを得ないと思うのです。民主主義と申しますものは決して金で買えるものではありません。あくまでも少数党の発言を最大限に許して行くということでなければならないと思うのですが、それがかえつて縮減されて参るということは、決して民主的とは言えないと思う。今の答弁はその点に触れておられませんが、その点をどうお考えになるか。
  47. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 この通常会臨時会制度は單に経費を減らすということのみを目的にして立案をしたものではないことは、かねて申している通りでありまして、地方議会制度の合理化ということがねらいなんであります。この結果必ずしも臨時会が、今の定例会の数より少くなるかどうかわからぬのでありまして、臨時の事態が起れば、今の定例会以上に臨時会を開かなければならないことにもなるでありましよう。そういうことは別に何らさしつかえないのでありまして、議会開会の数を減らすということをねらいにはしていないのであります。先ほど床次委員お尋ねにお答え申し上げましたように、知事市町村長その他の執行機関は、法律で定められたことは自己の権限に基いて執行できるけれども、言いかえれば少くとも議会から専決処分をしてよろしいという軽易なる事項については、みずから執行できますけれども、その他の事項は緊急な案件でなければ、災害の場合の応急措置といつたような緊急の問題でなければ、それは議会議決を経なければやれないのであります。これはその議会定例会制度から通常会臨時会制度にかわつたからといつても、その点はちつともかわらない、同じであります。従つて知事議会議決を要する事項が出て参りまするならば、どうしても臨時会招集しなければ仕事ができないのであります。その点は何ら私どもは心配しておりませんし、このことが反民主的であるなんということは、つゆさら考えておりません。議会制度の現状の、何と申しますか、やや暴力的な、理論を越えた形でゆがめられましたある考え方につきまして、むしろこれを合理的に調整をして行くという考え方でありまして、私はこの方が地方議会制度としては、より合理的であると考えている次第でございます。
  48. 立花敏男

    ○立花委員 合理的であるということを盛んに言われますが、この合理的は多数党の合理的であつて、少数党の合理的ではないと思うのです。四分の一以下の少数党の場合を考えますと、臨時議会招集の提案もできないわけで、そういたしますと、結局自分たちの持つている意見が、通常議会年一回以外は他党との妥協をやらない限りは、ほとんど発言権がないのは明らかなので、そういう点から考えますと、これは決して少数党の合理的な何ではないわけなんです。現行法で行きますと、議会が開かれました場合は、たとい発案権がありませんでも、いろいろな形の発言ができまして、自分たちの考えている意見は述べられるわけなんですが、遺憾ながらこの改正案によりますと、そういう機会がほとんどないということになりますので、これは明らかに革新陣営、革新少数党の議会における発言を封じ去るものである。少くともこういう結果になることは火を見るよりも明らかなんで、それを單に合理的であるとか、臨時会回数は今までよりも多くなるとかいうことでは決して事態は改善されないと思う。鈴木君の見ておられるのは自由党あるいは改進党あるいはその他の現在の反動的な多数党の立場をお考えになつて、合理的であると言われておりますので、地方議会に一人あるいは二人しかいない少数党の立場からは、決してこれは合理的でないということを、事実の上で認識しておいていただきたいと思う。  それから鈴木君からお出しになりましたので、きのうの参考人の意見の中で、自治庁の意見をただしておきたいと思いますのは、地方議会に席を置いておられるきのうのある参考人が、この改正案を出す場合に、地方自治委員会議に相談がなかつた、地方自治体の方に相談がなかつたということを言つているわけなんです。こういう重大な法案、しかも地方自治の根源に触れるような法案、しかも地方自治体としては、きのうの参考人あるいは前の公聽会におけるように、憲法違反とまで言つているような改正案に対して、せつかくあります地方自治委員会議の意見を、なぜお求めにならなかつたか。そういう手続がはたして民主的と言えるのかどうか。この点をひとつ承りたい。
  49. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 昨日の公聽会と申しますか、参考人の公述は私も傍聽いたしておりました。本日もまた昨日こちらで述べられました人たちが、参議院の参考人として公述をされたのでありますが、その席におきましても、ただいま立花さんが言われましたことと、やや異なる意味の発言がありました。事実を明らかに申し上げますと、現在の地方自治庁設置法におきましては、地方自治庁が法律案あるいは政令案の立案をいたしまする場合におきましては、これは必ず地方自治委員会議にかけなければならぬようになつています。現にこの地方自治法はもちろん地方自治委員会議にかけました。單にこの法律を突然かけたのではなかなかして、その前に何回も要綱は相談をいたし、またさらにその前に、單に自治委員の人たちだけに話をすることは適当でないということで、事務局の局長諸君にも集まつてもらつて自治委員会議に正式に提案いたします前に、これを十分連絡しております。これは先ほどもちよつと申し上げましたように、地方行政簡素化本部で、いろいろ立案をいたしたわけでございますが、その立案の過程におきまして、その都度一々の案を一々公表するということになりますと、こういう事柄の性質上、それはなかなか困難であります。これはひとり地方自治法だけの問題ではございませんで、行政機構の改正に関する法律案等につきましても、あるいは労働法等についても同様と思いますけれども、昨日お述べになりました公述人の方々は、やはりそれぞれ自己の主張を持つております。自己の属する団体の立場というものがおありになるわけでございまして、そういう見地からの発言は必ずしもみな取入れられていないわけであります。そういう意味では各地方団体の代表者の方が不満を持つておられるということは、私ども十分承知いたしております。承知しておりますけれども、そういう不満を全部解消するような案というものは、これはもう神様でない限りはできないのであります。そういうことで、私どもはやはり一つの理論に立つて、それを追うてできるだけ合理的なる案として調整をいたしたわけでございまして、しかもほんとうの理論から申しますと、この政府案自体も相当に筋のまがつた点があると思う。徹底していない点もあろうと思います。しかしながら、可能なる限りそういう地方団体の人たちの意見、あるいはその他の方面の意見も取入れて、そしてしかも全体として一つのまとまつた案にいたした次第でございまして、昨日の参考人の意見につきましては、やや感情的な発言といいますか、事実の公述があつたように思いますので、その点は私ども今申し上げたことに誤りがないということを、ここに申し上げておきます。
  50. 立花敏男

    ○立花委員 きのう来られました参考人は決して個人の資格において、あるいは單に個人としてこちらがお呼びしたのではございませんので、それぞれの機関の代表として、しかも全国的なそれぞれの連合組織の代表として意見を述べていただいたわけです。また意見も徴したわけです。そういうことを明白にして意見を述べられたと思う。特に静岡県の富士川町議会の議長の齋藤さんは、自治委員会議の委員でもあり、しかもその人が公述された中に、この案件に対しては、自治委員会議に相談がなかつたということを明確に言つておられます。決してこれは個人が感情的に申した言葉ではないと思う。これをしも個人が感情的に言つたのだというふうに否定し去ることは、大きな問題なんです。明らかに地方自治委員会議の委員であり、しかも全国的な連合会の代表として述べられた意見が、そういうふうに歪曲されたのでは、私は問題だと思うのです。やはり事実は事実として認められ、論旨を進めて行く必要があると思うのですが、この点鈴木君自身非常に感情的で、客観的な気持で述べられておらないではないかと思うので、反省を促したいと思います。  それはとにかくといたしまして、前回の公聽会におきましても、あるいはきのうの参考人の陳述におきましても、この案には反対の意見の方が多いのです。明らかに憲法違反であるというようなことも申しておりますし、中央集権であり、官僚統制であるということもはつきり申しておるわけです。しかもなお政府がこれを一方的に押し切らなければいけない——政府自身がおつくりになつ地方自治委員会議の完全なる了解もなしに、こういうものを強行しなければならぬ、そういう根拠が一体どこにあるか。しかもそういう手続が、はたして民主的と言えるかどうか、ただいままで述べました定員の縮減、定例会年一回の制限、こういうことをなぜそういう非民主的な手続でおやりになるのか。そこに私は非常に大きな問題があると思う。しかもこの結果民主的なる地方自治が確立されると申されますが、そういうことでは自治が確立されないで、破壊されるばかりです。何をもつてそういうやり方で自治が確立されるという確信をお持ちになるか、これをひとつ明白にしていただきたい。
  51. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 手続論の仰せでございますが、昨日ここでお述べになりました町村議長会の会長が、本日参議院の公聽会におきまして発言されましたが、その場合には、昨日ここで言われましたような点についても触れておられまして、自治庁では自治委員会議に案をかけたと言われるかもしれないけれども、ということでお話を進めておられました。事実われわれは、法律に定められておりますことをやらないで、案を進めるというようなことは絶対にいたしません。私どもといたしましては、十分に論議をしていただいたつもりでおりますし、また事前に事務局長にも集まつてもらいまして、話を申し上げた次第であります。ただそれが、全国津々浦々の町村長あるいは町村議会に全部この案を流しまして、その意見がはね返つて来るということになりますと、これはとても不可能であります。そこで各団体の意見は、常任委員会なりあるいは政調会等の御意見としてまとめられたのであります。それらの御意見は私どもも十分拜聽いたしまして、反面また学識経験者として参加しておられる田中一郎教授あるいは井藤半彌教授、財政、行政両方の代表の自治委員会議の方々の意見も十分聽取しているのでありまして、私どもといたしましては、自治委員会議に参加しておられる方々の形式的な議決というようなことは、大臣が議長をしておりまして、そういうようなことはいたしませんで、それぞれの意向はできる限り入れたつもりでおるのであります。私どもは、これは決して非民主的なものとは考えていないのであります。これが單なる自治庁あるいは地方行政簡素化本部の立案でできたものであるということでありますれば、いろいろ問題があろうと思いますけれども、御承知の神戸博士を委員長とする地方行政調査委員会議あるいは政令諮問委員会、あるいは税の懇談会というような三種類のそれぞれの機関から、大同小異の意見が出ておるわけでありまして、ことに神戸委員会の勧告というものに、きのう来いろいろ論議のございました、たとえば市の設置の場合の総理大臣の協議の問題にいたしましても、自治紛争の問題にいたしましても、いずれも皆勧告の中に出ているのでありまして、私どものとりました案というものは、大体そういうような考え方に立つておるのでありまして、定例会の問題、あるいは議員数の問題にいたしましても、特に目新しく始めたわけのものではないというふうに考えているのであります。
  52. 立花敏男

    ○立花委員 手続の問題がそういうように官僚的に行われておりますので、結局その結果といたしまして、少数党の発案権あるいは議会の参画権を否定するような反動的な、非民主的な結果になつていると思う。諮られたと申しますが、諮られた本人がここへ参られまして、諮られないと言つております。あるいは参議院におきましても、政府は諮つたと申すでありましようが、というふうにはつきりとより具体的に申しております。少くとも民主的な協議は行われていない。官僚的な協議は行われたかしれませんが、納得さすような十分な、あとで論議が出ないような民主的協議は、決して行われていないということは、参議院においても、ここにおいても十分証明されていると思う。そういうことで手続が完了している。だからこれは民主的なんだというふうなやり方で参りまして、こういうとんでもない案が出て参りますので、そういう官僚的な協議をおやりになるなら、もう自治委員会議というようなものは、おやめになつた方がよいと思う。案ができてからそれを形式的に渡して、この通り出すのだから納得しろという形では、これは子供扱いをされたも同じで、全国の町村会議長の代表が怒るのも無理はないと思うのです。そういうところにこそ、この案を貫いておりますところの官僚主義が、はつきり現われておるのじやないか。だからこそ公聽会やあるいは参考人の公述の場合にも、明らかにああいう意見が出て参りますので、その点は鋭く政府の反省を求めておきたいと思います。時間の都合がありますので、これくらいにいたします。
  53. 金光義邦

    金光委員長 本日はこれで散会いたします。     午後四時二十一分散会