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1952-05-23 第13回国会 衆議院 地方行政委員会 第51号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月二十三日(金曜日)     午前十一時三十八分開議  出席委員    委員長 金光 義邦君    理事 河原伊三郎君 理事 野村專太郎君    理事 吉田吉太郎君 理事 床次 徳二君    理事 門司  亮君       池見 茂隆君    大泉 寛三君       川本 末治君    田渕 光一君       前尾繁三郎君    大矢 省三君       立花 敏男君    八百板 正君       大石ヨシエ君  出席政府委員         総理府事務官         (地方自治庁次         長)      鈴木 俊一君         総理府事務官         (地方自治庁行         政課長)    長野 士郎君  委員外出席者         議     員 尾崎 末吉君         参  考  人         (千葉県津田沼         町長)     白鳥義三郎君         参  考  人         (茨城県知事) 友末 洋治君         参  考  人         (千葉県議会議         長)      勝田友三郎君         参  考  人         (宇都宮市長) 佐藤和三郎君         参  考  人         (大阪市議会議         長)      田村敬太郎君         参  考  人         (静岡県富士川         町議会議長)  齋藤 邦雄君         参  考  人         (日本建築学会         会長)     伊藤  滋君         参  考  人         (東京職員労         働組合本郷支部         長)      宮下重一郎君         専  門  員 有松  昇君         専  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 五月二十二日  委員田渕光一君辞任につき、その補欠として寺  本齋君が議長指名委員に選任された。 同月二十三日  委員寺本齋君辞任につき、その補欠とした田渕  光一君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  地方自治法の一部を改正する法律案内閣提出  第一七五号)     —————————————
  2. 金光義邦

    金光委員長 開会いたします。  これより地方自治法の一部を改正する法律案内閣提出第一七五号)を議題として質疑を行います。  まず第十一條より第九十一條までについて、質疑があれば許可いたします。野村專太郎君。
  3. 野村專太郎

    野村委員 この都道府県議会議員定数を、今回大体戰前議員数に一応押えて基準とする。政府側説明によると大体そういうような説明を伺つているのですが、はたしてその通りですか。
  4. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ただいまお尋ねの点でございますが、お説のごとくおおむね戰前議員数に合います程度のものを基準の数として、法律に掲げることにいたしたのであります。しかしながら現在の都道府県議員数というのは、きちつと固定をしておりまして、増減できないように現行法はなつておるのでございますが、この改正案におきましては、その点を議会條例で自主的にきめるようにいたしておるわけでございまして、この基準は、いわば標準でございまして、これで絶対に拘束するという筋のものではないのであります。
  5. 野村專太郎

    野村委員 この議員定足数を減ずるというようなことは、地方自治体財政等関係から見ましても、なるべくこれを少数にして能率的な運営をするということに対しましては、私は反対するものではありませんが、しかし日本の政治の民主化という線に沿つて、いわゆる住民代表であるこれらを、その民主化方向と、議員の数を圧縮するということは、せつかく民主化が軌道に乗らんとするときにあたりまして私はどうかと考えておるわけであります。そこで戰前の数に標準数を押えるというようなお話ですが、例を東京都にとつてみましても、東京都は御承知通り、都になりまする前は東京市と府と二つあつたわけです。市会だけでも百六十、それから府会はたしか八十人になつております。合せると三百に近い数があつたわけです。そういう点から現行はこれを一本にしまして、東京都政がしかれておるわけです。そういう点から見ましても、今百二十人、これを今度は百一人、大体二割を減じて勘定しておりますが、この百二十人でも他の都市から見ますと、相当制限をしておるわけです。そういう点から自治庁説明の、戰前の形に標準を置くということには、現実には当らないと思いますが、これに対するお考えはいかがですか。
  6. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 議員定数をいかように定めるかということにつきましては、昨年地方行政調査委員会議神戸委員会におきまして、議員定数を大体二分の一あるいは三分の一くらいに減らしたらどうかということで、議員数減少の案を出しておるわけでございます。たしか都道府県につきましては、最高六十人くらいであつたように記憶いたしておりますが、そういうような一つ勧告がございまするし、また政令諮問委員会におきましても、やはり同様議員数をその程度に減らしたらどうかというような答申がありました。なお非公式の会合ではございましたけれども、税の懇談会等におきましても、同様な相当強い意見があつたのでございます。地方自治庁に現在ございます地方自治委員会議という地方関係の六団体代表者が中心になつて構成しておる機関がございますが、ここにおきましてもできるだけひとつ議員定数を減らそうということで、先般の地方選挙の前に自治庁の長官の名前をもつて地方自治委員会議の議を経て、議員定足数をできるだけこの際自主的に縮減するようにしたらどうかという勧告といいますか、通知をもつて地方に伝えたようなこともあつたのであります。そういうようなことで、先般の選挙の前後を通じまして、三千余りの地方議員数が縮減をされております。こういうふうにいろいろの経緯がありまして、議員数減少ということにつきましては、御指摘のように地方財政との関係等から、相当方面減少をするようにした方がよろしい。こういう意見があつたのであります。政府といたしましては、そういうことから、たとえば神戸委員会勧告のように、議員数をぐつと減らして、それを法定するということも、一つの案と考えたのでありますけれども、そういうふうに法律議員定数を減らして法定するということは、議会自主性というような点から申しましてもどうであろうか。こう考え、また減らしますにあたりましても、二分の一とか三分の一とかいう程度もいかがであろうか。大体政府で出しておりまするこの法案は一割から二割くらいというようなことに相なつておるのでございますが、その程度議員数を減ずることにいたしまして、それがしかも標準基準である、従つて個々の場合におきましては、当然地方団体実情に応じて條例でこれを定める。標準数が二十人でございましても、これを半減するというようなこともございましようし、あるいはそれをより以上に置くというようなこともあるでありましよう。その辺は一に当該地方団体実情に応じてきめてもらう。こういう考え方で、ただ法律としては現在よりも員数を若干圧縮したところで標準とする。こういうふうにした次第でございます。東京都につきましては、御指摘のごとく、東京都制前におきましては、府市両方合せますると、相当多数の議員がおつたわけでございますが、戰時中の東京制施行の際には、たしかこれは都議会議員は百人ということであつたのでありまして、戰後これを百二十人にして、二十人増員いたしたわけでございますが、それを大体今回はその都制発足時代の数を標準として掲げたわけであります。
  7. 野村專太郎

    野村委員 さらにこの東京の特別区の例を見ましても、今の二十三区は大体従来の行政区域でありました区を、二区ないし三区を併合いたしまして、今の二十三区の自治区ができているわけですが、そういう従来の議員数から比較いたしますると、相当現在でも圧縮しております。私らの居住しておりまする新橋区の例をとりましても、四谷区、牛込区、これには大体三十人前後の議員数がいたわけであります。それから淀橋、大久保、戸塚、落合、こう四つの町から大体二十五人ないし三十人の議員がある。これを合わせますと三、四百人になる。これを現在四十四人でやつているのであります。そういう点から見ますと、自治庁説明のような、いわゆる従来の数に押えるというなことが具体的に当らない、こう思つております。そこでこのことは都道府県條例によつてきめるということなんですから、むしろこの法案の精神によつても、十分その運用に期待をするのでございまして、これは地方條例にむしろこういう標準を置かぬで、まかしておいた方がいい。現在各自治団体においても、相当その自治団体実情に沿うように、必ずしも定数全部は置いておりません。幾分かその内輪でやつておる自治体もあるのであります。むしろそういう標準を置かぬで行つた方が、私はいいのではなかと思います。今回の自治体神戸勧告の第二次勧告基準にしてやるというが、議員定数のごときは第二次勧告はいわゆる五割縮減するということに大体勧告をいたしておるようでありますが「区長任命のごときこの勧告にないものを非常に飛躍してやりながら、議員定数は、むしろ違つた立場において、いわゆる勧告の線を必ずしも尊重しないというような批判もあるわけです。そういう点もありまするが、これは全国都道府県からも実情に沿つたいろいろな請願もありようでありますが、さつき私が質疑いたしましたように、なるべく一人でも制約して、能率的な自治体運営がはかられるということは、これは私らの大いに賛成するところですが、ただ日本民主化を達成するというときに、住民代表であるこの議員数を圧縮するということについては、この民主化方向からして、次長はいかなるお考えを持つておられますか、この点をお伺いいたします。
  8. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ただいまのお尋ねの点でございますが、議員数をいかに定めるかということにつきましては、大体各国の立法例等を見ましても、二通りあるようでございまして、ヨーロツパ方面におきましては比較的議員数が多くあるようであります。従来の戰前地方制度は大体そういうようなヨーロツパ大陸の型を基本にしてできておつたわけでありまするが、戰後現行自治法は御承知のごとくそれを踏襲いたしておるわけでありますけれども、主として学びましたアメリカの地方制度におきましては、御承知のごとく、地方団体議員数相当少いわけであります。大都市等におきましてはことに非常に少い実情でございますが、そういうようなことから、かたがた地方財政の圧縮というような面から、議員数もその一つの問題としてこれの減少についての各方面意見が出て参つたわけであります。それが野村先生の言われますごとく、議員数が多ければ多いほど、これは民主化と言いますか、できるだけ多くの意見を反映するということには確かになると思うのでございます。しかしながら同時に現在の議員数を減じまして戰前程度、要するに一割ないし二割程度現行議員数から標準を落して参りましても、そのことのために民主化という基本方向がくつがえされることはないというふうに、私ども考えておるわけでございまして、多々益々弁ずると申せばそうでありますけれども、他面またできるだけ少い経費で、合理的に行政運営して行くということが住民負担を軽減し、また少い負担でよりよいサービスを受けるというそちらの方のいま一つ民主主義原則とも合するわけでありまして、そういう点からあまりこの後者の原則を強くいたしまして、神戸勧告のごとく五割の減にするというようなところまで参りますのも、民主化の第一の原則から申しましてどうか、こういうことがありますので、まだ多いというそしりは免れませんけれども、このような案を掲げたわけであります。
  9. 野村專太郎

    野村委員 都の例をまた申し上げまして恐縮でありますが、特別区の場合は一割を減ずる、こういうのに対しまして、東京都議会の方は約十九人ですから、二割を減じているのですが、大体私どもの考えでは、都についても、特別区についても、大体同率の考えでいいのじやないかという感じを持つておりますが、これをかえました理由はどういうところに基因いたしておりますか、その点をお伺いいたします。
  10. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 各人口段階におきまして定数を定めておるわけでありますが、これは大体都道府県につきましては、都と道というものは人口が圧倒的に多うございますので、別に規定をいたしましたが、その他は人口段階でわけておるわけであります。たとえばこの九十條の三あるいは四にございますように、人口二百五十方以上の府県あるいは百万以上二百五十万未満府県、こういうところでは大体百万以上二百五十万未満の両端の府県、すなわち人口百万のところの府県の現在議員数と、それから人口二百五十万未満府県の現在議員数、この両者中間にありまする府県基準といたしまして、その基準の県の議員数をおおむね一割減らす、こういうことで上下をそれで調整いたしたのであります。従つて上の方に参りますと一割を若干越えるような定員の姿もあります。都の場合は戰前、先ほど申し上げましたように、議員数が百二十八人であつたわけでございますが、その他は大体戰前程度というような一つの目途と、今申し上げましたように上の方がその他の一割を上まわつておりますので、そういうような点をにらみ合せまして、百一人といたしたのであります。なお百人といたさないで百一人といたしたことにつきましては、可否同数議会においてなりました場合におきまして、奇数でございませんと、現在の議長採決権だけでございまして、いわゆる表決権がございませんので、議長を出した党が、議員数同数の場合には損をするというようなことがございますので、一応法定標準としては、奇数をとつたわけであります。もちろん欠員とかその他によりまして、この原則はしばしばこわされることになりますが、法定基準標準としては奇数をとつたわけであります。
  11. 床次徳二

    床次委員 少し前の條文に帰りますが、ちよつとこの機会にお尋ねしておきたいのであります。九條の一番あと、十一項でありますが、これに「市町村境界変更に関し争論がある場合に」とあるのですが、この「変更に関し」という事柄は、どういうことを言つておられるか、説明していただきたいと思います。
  12. 長野士郎

    長野政府委員 九條の一項の方は市町村境界に関して争論があります場合でありますが、十一項の方は境界線の問題、境界の境目の問題というより、境界変更する、すなわち市町村区域の一部の変更を行うか行わないかということについて意見を求める。こういう場合のことを考えておるわけであります。
  13. 床次徳二

    床次委員 第九條の中にこれが「関係市町村」の意見を聞くというのがありますし、あるいは「すべての関係市町村」、「すべて」という字がついておるのと、つかないのとありますが、これは関係市町村はすべての市町村を意味するのですか、あるいは特に「すべて」という字がついているのだけ、すべての関係市町村ですか。
  14. 長野士郎

    長野政府委員 お話通りでありまして、「すべて」とついてあります場合はすべてで、ついていません場合の関係市町村というのは、一つでもかまわない、こういう考え方によりまして、「関係市町村」というのと「すべての関係市町村」という言葉を使つておるわけであります。
  15. 床次徳二

    床次委員 いろいろ紛争解決方法がありますが、従来から円満に当事者同士において解決がつかなかつたことが、一応九條の方法によりまして解決がついたという場合に結論は出ますが、はたしてそれでもつてほんとう紛争が治まるかどうかということについて、大体採決なり一応の結論が出れば治まるんじやないかというふうに見ておられると思いますが、自治体の本来の立場から申しまして、元来解決がつかなかつたものを無理に結論を出しても、そのまま治まつてしまうというふうにも思われないのでありますが、その点は自治の円満という立場から考えていかように考えられるか。
  16. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 今のお尋ねの点でございますが、これは紛争がありました場合に、調停あるいは仲裁によりまして、紛争解決されることを大いに期待いたしておるわけではございますけれども、勧告調停という場合におきましては、両当事者が文書による承諾をいたしました場合に、初めて効力を生ずるわけでございます。従つて調停の場合におきまして、ほんとう両者の納得が行つた調停案ができ上るということは、たとえば境界変更でございますとかいうようなことにつきましては、こちらを立てればあちらが立たないというのが実情でございまして、その案が実現されるということは、非常にむずかしい場合の方がむしろ多いと考えております。しかしそういう公正な、第三者的な調停委員が間に立ちましてできた案だから、これをのもう、こういう空気がとにかく醸成されまして、今日とうてい解決のしようのないものが、若干なりとも解決できるならば、やはりこれは自治のために喜ばしいことであるというところをねらつておるわけでございます。
  17. 床次徳二

    床次委員 第十一項の場合の「境界変更に関し争論がある場合に」という、この場合は、元来境界自体がすでにあるのでありますから、現状でもつてまかしておいても一応は問題は済む、ただかえんがための争論でありますから、比較的事柄が部分的であるし、わかつた問題だと思います。従つてこの問題を十一項のごとき規定を設けてやるということになりますと、将来個々自治団体の内部において、こういう問題がよけい起きやすくなつて来るんじやないか、一応自治体内の解決を求めておいて処理するという方が建前じやないか、十一項を設けられましたために、ことさらそれぞれの境界変更という問題を提起しやすくなるんじやないかと思うのですが、その点についての御懸念はなさらなかつたのですか。
  18. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 こういう方法によつて、どの程度解決の見込みがあるかというお話に関連をいたすのでございますが、解決の比較的可能性の多いケースといたしましては、たとえば従来陸軍の演習用地等でありましたところに開拓集団部落ができた、それが数箇の町村にまたがつておるというような場合におきまして、それを集団部落にも最も適当な、いいところの区域変更いたしますとか、あるいは山の中に開拓地を設けまして、そこに新たなる、いわばほとんど人跡未踏のところに集団部落ができた、それをどの村に入れるか、あるいは湖水等干拓をいたしまして干拓地ができた。これが両方の町村にまたがつておるというような場合に、それをいずれに入れるか、こういうような場合におきましては、比較的話がまとまりやすくございますし、またそういう実際の社会の実情から申しまして、やはりできるだけそういう集団部落が、一つ生活を営みますように行政單位考える必要があるわけであります。そういうようなところのためには、やはりこういう一つ調停方法を置きまして、調整することが望ましいのではないか、その他の本来の市町村区域に基きます問題について、かねてより紛争のありますような区域変更の問題に関しましては、かりにこのような方法ができましても、それによつて成功ある解決に導かれるということを期待はいたしますけれども、実現はなかなかむずかしいのであります。従つてこういう方法規定を設けておきますことは、さきに申し上げましたようなケース解決する方法としてやはり適当であるし、こういう規定をぜひ設けておきたい、かように政府考えておる次第でございます。
  19. 床次徳二

    床次委員 次にこの定員の問題でありますが、今度規定せられましたものには何人以上、何人以内と相当弾力性があるのでありますが、いわゆる標準財政需要を算出します場合には、基礎をどこに置いて考えられますか。
  20. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 このにつきましては、さらに地方財政委員会と詳しく打合せを要するわけでありますが、基準財政需要額算定につきましては、都道府県についてはたしか百七十万という人口基準にして、それを補正いたしております。すなわち市町村につきましては人口十万でございますか、そういうところを基準にいたしておりますので、そういうところからの調整をして行くことに相なつて参りますが、この点はさらに地方財政委員会当局十分打合せをしたい、かように考えております。
  21. 床次徳二

    床次委員 財政需要標準をどこに置くかということによつて地方の支出の関係が違つて来るのであります。こまかく財政負担考えるに、大体その政財需要標準にきめることになりやすいのじやないかと思うのであります。その点はこういう基準がありますが、むしろ財政需要基準となつたもののきめ方の方が、大きな力を持つのじやないかと考えるのでありますが、本法に新しく予想せられましたものと、それとの間の差がありますと、この規定というものが大分意味がなくなつて来るのでありますが、その点はこれを大体合致させるお考えでありますか。
  22. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 都道府県で申しますと、人口百七十万、たとえば宮城県あたりが基準財政需要算定基礎になります団体に相なつておりますか、都とか道とかあるいは人口百万未満府県というのはどちらかと申しますと、例外的でございまして、この中で最も標準になりますのは、また数の多いのは、この四号の人口百万以上二百五十万未満のこの中間が大体百七十万というものであります。そういうものとにらみ合せて、この基準というものも考えた次第でございます。
  23. 床次徳二

    床次委員 それから議員定数でありますが、これは市町村にいたしましても、県にいたしましても、こういう自治体運営して参りますのに、ある程度までの数の方が話合いが上手にできる、あるいは過去の議会の慣例から申しまして、運営しやすい適当な標準が事務的な立場から結論として出るのじやないかと思いますが、そういう立場から御研究なさつたことがありますか。單に人口割において増減するような、議会というものはこれくらいの数の方がうまく運営できるのだ、あるいは海外その他におきましても、今までの大体の例があるのじやないか、あるいは考え方によりますならば、非常に少数でもつてつておる例もあるにはありますが、この定数というものに対して、どういうふうにお考えになつておりましたか、あわせて御説明いただきたいと思います。
  24. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 お話のごとく、人口基準だけから議員数をきめるということは、やや機械的なそしりを免れない点があると思いますが、ただ一般の客観的な標準といたしましては、地方団体の区分に関しましては、人口をとりますことが一番弊害が少いということで、人口基準でやつておるのでございますが、お話のようにそれ以外の要素といたしましては、たとえば市町村でございますと町内とか部落とか、そういう一つ集団生活單位があるわけでありまして、そういう部落なり川内から、少くとも一人くらい代表が出るように、こういう見地から議員数を定めるという考え方もあるわけであります。それから都道府県につきましては、現在市なり郡等選挙区になつておるわけでありますが、こういう郡とかあるいは市という選挙区の関係とにらみ合せまして、要するにその団体の下にありますところの実際の集団生活單位というものをにらみまして、そこから適度の代表が出られるような数を勘案いたしますことも、これまた議員数をきめる一つ要素であろうと思うのであります。そういうようなところは、この標準に対しまして各地方団体條例で、十分公聴会等意見を聞きましてきめていただきたい、こういうのが政府考えであります。
  25. 床次徳二

    床次委員 先ほど御説明にあつたと思うのですが、聞き漏らしたので恐縮ですが重ねて聞きますが、都道府県議会あるいは市町村議会議員定数を現在のように改められました計算のやり方でございます。現行法とこの改正法との割合は、戰前基準にしたというように伺つておるのでありますが、現行法からいうと逆に一定の計数をもつて縮小されておる形になつておりますが、その点重ねて恐縮ですが……。
  26. 長野士郎

    長野政府委員 議員定数につきましては、お話通り戰前議員定数一つ基準にいたしたわけでありますが、提案理由にもありましたように、戰前議員定数のほかに、地方行政調査委員会議勧告におきまして示されたことが、考えの中の一つになつております。たとえて申しますと、地方行政調査委員会議勧告におきましては、議員定数につきまして、県につきましてはおおむね三十人以上六十人以内というふうに勧告いたしております。大都市にありましてはおおむね三十人以上五十人以内、市にありましてはおおむね二十人以上三十人以内、町村については八人以上二十人以内というふうに勧告をしておるのであります。これを現行法の定数との比較において考えてみますと、なるほど調査委員会議考え方によりますところの行政事務の再配分と、これに応じまして地方公共団体が、その組織の運営を合理化し、能率的に運営して行くという点からいえば意味があると思いますが、少くとも現行法との比較ではあまりにもはなはだしく懸隔があり過ぎるという点に、非常に検討しなければならない問題があると考えたわけであります。従いましてそういう考え方による、地方行政調査委員会議の理論通り考え方と、現行定数との間の調整をはかるという考え方が、まず第一に一つ基準になつてつたわけであります。これがちようど戰前議員定数との振合いを考える上に、都合がよかつた考えられるわけであります。まず県について申し上げますと、現在の県で標準的な府県は、大体百七十万を中心にしたところであるということになつておりますが、そこで百六十五万のところについてみますと、五十五人が現行議員定数でありまして、調整委員会議勧告によりますと、これが逆におおむね三十六人程度になるわけであります。従いましてその中間の四十六人というものが一つ考えられたわけでありまして、そういうものを基準にした。そして人口を百万未満、百万以上二百五十万未満、二百五十万以上というように振りわけてみたのであります。そういう調査委員会議勧告現行中間をとるという意味と、戰前の平均的な定数現行定数とあわせて考えまして、同時に奇数主義をとり、もう一点、それについて補正を考える、そういう考え方でこの議員定数ができておるのであります。市町村についても同様でありまして、市町村においては人口十五万の標準的な都市の現行定数が三十六人でありますが、調査委員会議勧告は二十三人でありまして、調査委員会議の計算から見ますとこうなりますが、その中間の三十人程度のものを一つ基準にとりまして、それから戰前の調子とあわせて考えたわけであります。こういう標準を作成いたしまして、さらに議員一人当りの人口という関係考えて参りました。その場合にはやはり戰前における定数と、現在の状態とを中心にして、その当時——昭和六年でありますが、その当時の定数との間の関係と、調査委員会議勧告における議員一人当りに対します住民の振合い、三つのものを考えまして、やはりただいま提案いたしました数くらいが、一番調子が合つておるというふうに考えます。
  27. 門司亮

    ○門司委員 この機会に聞いておきたいと思いますことは、今床次さんからもお話のありました九十一條の改正であります。これは人口数に割当てて議員定数を減らさなければならぬというのですが、これはどうしてもこういうふうに減らした方がいいというお考えであるかどうか、その点を聞いておきたいと思います。どういう理由で一体減らされたか。なるほど外国の例を見ますと少いようであります。ことにアメリカ等の例は割合に少いところが多いのでありますけれども、議員定数をきめようとするなら、やはりその都市の立体的ないろいろな條件が問題になつて来ると思うのであります。アメリカの都市あるいは町村のように、境界その他についてもきちつとものさしではかつたようなわけ方がされており、あるいは行政の内容から見ましても、地方行政内容からいえば完成されたような形で、言いかえれば仕事が非常に少いような事態になつておる。こういうところではあるいは議員の数が少くても、一応間に合うかもしれないと思いますが、日本のように、ことに戰災を受けた都市は、非常にたくさん仕事を持つておる。そしてあらゆる角度からあらゆるものを検討して行かないと、行政が満足にできないだろうということはだれでもわかつておる。そういう機会に議員の数を機械的に、こういうふうに人口に割つて減らすことはどうかと思うのですが、この点についてはつきりした御答弁を、この機会に願つておきたいと思います。
  28. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 先ほどもちよつと申し上げた点でありますが、議員数減少ということにつきましては、ただいま門司さんの御指摘になりましたように、アメリカ等の立法例におきましては非常に少くなつておるわけであります。戰後地方自治法におきましては、大体大陸型をまねた古い地方制度従つて相当議員数の多い地方制度において定められておりました議員数を、さらに一割ないし二割程度それぞれ増して来ております。そういうことで、今日の地方自治法に定めております議会議員数は、相当多いと私ども考えておるのであります。これに対しまして神戸委員会でございますとか、政令諮問委員会あるいは税務懇談会等法定委員会、あるいは非公式の懇談会等におきまして相当批判的意見があり、また二分の一にせよ、三分の一にせよという勧告が事実あつたわけであります。そういうように、現在の議員数を二分の一ないし三分の一に減らすということになると、ただいま門司さんの仰せになりましたように、アメリカの自治体に比較して、日本自治団体というものは、いわば一種の委任事務をやつておることが非常に多いわけでございまして、事務は確かに多いわけでありますが、そういう点もありましよう、しかし事務が多いから必ず議員が多くなければならぬということになるかどうか、これは問題でございますが、とにかく問題が自治体に多いことは事実でございますので、また先ほども申し上げましたように、市町村の具体的な構成というようなもの、部落がどうなつておるか、町内がどうなつておるかという点から、部落なり町内から、少くとも一人の議員が出るようにすることもまた必要でありましよう。また町村の中の職業的な団体との関係考えなければなりませんでございましようし、そういう点から申しますと、二分の一とか三分の一というように、現在の議員数減少いたしますことは、あまりにも大きな議会制度に対する質的の変化をもたらすことになるのではないかというふうに考えまして、これらの勧告の大幅減少の線はとらなかつたのであります。しかしながら、半面地方財政の緊縮の要求ということもございますし、また地方自治あるいは民主主義と申しましても、いたずらに数多くの人が行政に参與するということだけがいいのではなくて、やはり最少の経費で、言いかえれば少い負担でよりよきサービスをして行くという能率主義の要素考えて行かなければならぬのでありまして、そういう点から申しまして、大体現行議員数を、一割ないし二割程度落して行く、言いかえれば、おおむね地方自治法制定前の状態のところに返して行く、こういうのがこの案のねらいであります。しかしながら、これを法定いたしましてきちつときめてしまう、こういう従来の方式はこれを捨てまして、あくまでも人口基準で一応の標準を定めましたけれども、具体的に自分の団体議員数をどうするか、これはそれぞれが條例で定める、こういうふうにしてあるわけでございまして、実際の実情による調整は、條例でこれを定めてやる、こういう考え方にしてあります。
  29. 門司亮

    ○門司委員 そうだとすると、私は現行法でもできないことはないと思う。県会議員だけは、人口がふえればこれにスライドするようになつておりますが、市町村議員現行でも必ず人口で割つた定数でなくてもいいと思う。條例でかえればかえられるという道はあるのでありまして、ことさらに法律できめる必要はない。従つて勧告なら勧告の線は、そういう輿論があるということで行けると思う。何も法律できめる必要はないと思うが、一体現行ではやれきれないという解釈であるかどうか。
  30. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 お話通り都道府県につきましては法律で固定しておるのでございますから、これはどうしても直さなければできません。市町村につきましては、減少の方はできますけれども、増の方はできないのであります。たとえば市町村の合併というような場合におきましても、やはりある程度新たに加わる地域に対して、選挙権がふえるので、またそこにある程度議員数を増すということが、そのこと一つのために合併ができないような場合にも、合併ができる、こういうような長所もあるわけでございまして、減少だけはいいけれども、増は認めないのだ、こういうふうに法律をきめることは、やはり自主的な議会定数を決定するという原則からして、適当でないというように考えまして、都道府県市町村を通じて自主的に増減できる。ただ標準法定いたしたい、こういう考え方であります。
  31. 門司亮

    ○門司委員 私はその解釈はわからぬのです。減少することはできるようになつておりますし、この法律減少が明らかに書いてあります。ちつともふえていない。ふやす場合におきましては、市町村は何も人口がふえたからといつて、必ずしもふやさなければならぬという規定はどこにもないのでありまして、ふやしてもいいという規定であります。従つて市町村の場合は、現行でも私はこういうものはやつて行けると思う。ことさらこれをこうかえる必要はない。それからもう一つ、ここで聞いておきたいと思いますことは、議員定数を全部奇数にしたということでありますが、これはこの前の説明によりますと、どうも議長を出した方が都合が悪いから奇数にしたということですが、そうなつて参りますと、議長が選ばれて参りますと、今の数字が奇数になつて参りまして、過半数にならない危険性がどうしても出て来る、議員全員出席して、半分に割れば同じになる。あとは一体だれがきめるかということになる。議長の向背できめなければならぬことになつて来る。すると議長を出した方がぐあいが悪いということになつて、必ずしも厳正を期せられない。従つて議長議員意見を十分尊重して行こうとするなら、やはり議会において全員そろつて、議案を討論した議員の方で、可否が同数にならないようにして行く。そうして議員意見というものを十分尊重して、議長がその上に立つて公平な処置をとつて行くということがいいのじやないか。これは一利一害でありまして、こういうことになれば、どうしても議長を出した方が都合がいいのであつて議長の争奪戰になる。今でもそのはなはだしい市町村は会あるいは府県会では、議事をそつちのけにして、役員のとり合いを盛んにやつておるようですから、これをますますあおるような形になるのではないかと考えられます。これはどういうふうにお考えになつておりますか。私は当局の説明のようなことであつては、奇数にしたということについての納得が行かぬのであります。この点もうひとつ説明いただきたいと思います。
  32. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 市町村議員数につきましては、人口が増加いたして参りますと、これは現在の規定では、当然にその新しい人口基準によつて議員数を定められることになつておるわけでございまして、ただ特に減少するという措置をとらない限りは、法定の数になるのでございます、そういう点もございますので、先ほども申し上げましたように府県市町村を通じて、同じ原則規定いたしたのであります。それから今お尋ねのありました採決権の問題でございますが、これは先ほどちよつと申し上げましたように、可否同数になりました場合に、議長を出した方では必ず否決されてしまつて損をする、こういうことがあるのでございます。これは現行法の百十六條でございますが、百十六條の第二項に、「議長は、議員として議決に加わる権利を有しない。」こういう規定を終戰後、門司さんご承知のごとく、入れたわけでございます。これは戰前の制度、すなわち当時議会議員数は偶数主義であつたわけでありますが、偶数主義の時代におきましては、議長議員としての一票を行使するとともに、また議長としての採決権を持つ、要するに二票を與えておつたのであります。そのときの制度としては、偶数主義というものが首尾一貫いたすのでございますけれども、百十六條を終戰後改正をいたしまして、議長採決権だけだということになりましたために、最近たとえば長野県の議会でございましたか、その他いろいろ問題が起つて来ておるわけでございまして、せつかく議長を出した方が、当然に損をするような制度の仕組みは、どうもおかしいのではないかということで、奇数主義をとりますならば、甲派、乙派、同数ということでなく、どちらかが多い方が。そこで多い方が議長を出して、可否同数であつた場合には多い方に属する議長採決して、多い方の派が多数決できめられるようにしよう、こういうわけであります。しかしこれはあくまでも原則的な場合だけでありもして、死亡したり、辞職したりいたしもすれば、奇数がたちまち偶数になるわけでございます。それなれば現在と同じようなことが起るわけであります。しかしこれはあくまでも理論の建前の問題でございますが、建前の問題として、採決権だけしか議長に與えないような終戰後のこの制度において、議員数を偶数にするということは、どうも首尾一貫いたさないというところから、奇数主義をとるようにいたした次第でございます。
  33. 門司亮

    ○門司委員 私は鈴木さんの考え方はちよつとわからないのであります、なるほど議長に両方を與えることはいけないということになつておりますが、私の考えでは、これは偶数のときであつても、奇数のときと同じであつて、いわゆる議長採決権しか持つておらないということは、最終の一票の力を持つておるということで、従つて何も奇数にしなくても、議員の方で過半数にわかれてしまう、その場合には、議長の一票で決するということ、それから偶数であつた場合には、議長採決権を持つておれば、議長の方が有利だと思う。一票を投じなくても、可否同数の場合には議長採決すればいい、こういうことだと思います。ことさらにこういうふうにわけておくということは、かえつて混乱に陷れる原因になるんじやないかと思う。こうなつて参りますと、議長を出した方が徳だとか損だとか言うが、現行で十分間に合う。何も両方やらなくともいいのであつて議長はもちろん採決権だけあれば、それで十分私は処理ができると思う。どう考えても今の御説明だけでは、私には奇数にしたということが納得できない。奇数にする必要は毛頭ない。従つてこういうものについても、やはり議員定数というものを自主的にかえられるようにする。もしあなた方のような御意見だとするならば、このように定員の中に奇数ということを入れないで、別個に、議員の数は、議長を除いた数は大体奇数にするという規定を設けて置いた方が、まだはつきり。すると思う。そしてあとは地方の公共団体に自主的にまかしておいた方がはつきりすると思う。数ではつきりきめてしまうよりも、規定が必要だというなら、別の規定をちやんとこしらえておく。議員定数は必ず奇数でなければならないという規定をこしらえておけば、私は問題はないと思う。どこまでも議員数をきめて行くということについては、そういう考え方から私は賛成しがたいのでありますが、さつき申し上げましたように、こういう議員定数をきめないで、もし当局の御意見が正しいとするなら、議員の数は奇数にするというような一項を置いた方が、私は安全だと思う。そういう御意思があるかどうか。
  34. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 問題を原則論として申し上げますと、議員定数同数である。要するに十人々々という場合を想定いたしますと、この場合に甲派が議長を出した、そういたしますと、甲派の方は議員として席におりますのは九人であります。乙の方は十人であります。従つていかなる問題を議決するときでも、乙派は常に十票で多数になりますから、議長を出した甲派は常に否決されるこういうことになります。ところが定数を二十一人にいたしまして、甲派を十一人、乙派を十人にする場合を考えて見ますと、十一人の方が多いですから、これは当然議長が出るわけです。それで議長が出ました甲派では、議席にある者は十人、乙派も十人、そこで問題を出しますれば、これはいつも可否同数であります。そこで甲派の方が議長を出しておりますから、議長採決権を行使する、こういうことになるわけであります。ところが古い制度で参りますと、甲派が十人、乙派が十人という場合の例で申し上げますならば、甲派が議長を出しまして、従つて議席におる者は九人になりましても、議長議員としての一票を持つておりますから、これは甲派乙派、可否同数になるのであります。そして議長は同時に議長としての採決権を持つておりますから、従つて甲派はやはり自分の方にこれを採決することができるわけであります。理論の問題といたしましてはこの点は明確でございます。しかしながら、実際問題としては、定数をいかように定めましても、これは欠員なり死亡なりというようなことで動いて来るわけでございまして、ここでは要するに標準的なものとして奇数主義をとつて書いておりますので、それ以上に特に注意的な規定は設けませんでも、その立法の趣旨というものを、各地方団体が十分に考えられてお定めになつたらよろしい、こういう考え方で立案をいたしておるのであります。
  35. 門司亮

    ○門司委員 私は今鈴木君が言つたようなことを十分了承して、実はお聞きしたのであります。もし鈴木君の言うようなこともあるので、そういうことをしなければならないというのなら、これに議員定数の問題をこういうふうにずつと羅列しないで、さつきから申し上げておりますように、議員定数奇数にするという一項を起しておく。そしてそのあとは、自治団体に現在でもまかしておるのでありますから、やはりまかしておいた方が合理的であり、実際的であると思う。こういうふうに官僚統制のような形で、人口何人以上は幾ら、しかも奇数でなければならないというような非常に官僚的な、複雑な物の考え方はしない方がいい。れれより議員定数奇数にするというふうな一項を入れた方が、むしろ政府に近い考え方になるし、そういうへんな官僚的なにおいをなくして行けばしないか。そうしておのおのの自治体にまかしておけばいい。現行法でもいい。この項をそういう意味で、さらに修正といいますか、改正される御意思があるかどうかということを、さつきお聞きしたのでありますが、その点をお答え願いたい。
  36. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 門司さんの御意見も一応ごもつと宙でございますが、地方団体実情から申しますと、今申し上げましたような例は、いわば非常にまれに起ることでありまして、多くの場合におきましては、甲派乙派同数ということは、実際から申しますと、そういうことは比較的少いじやないかと思います。そういうような心配がないところでは、必ずしも奇数主義に定めなければならぬという実際上の必要はないわけでありまして、特に注意的なる規定定数奇数にせよと定める必要はないと思います。人口段階基準を設けましたことにつきましては、やはり一応の目途と申しますか、自治法の性格というものは、要するに地方団体自治活動をいたします場合の国法による一つのわくでございまして、そういう意味から一つ標準を示しておるわけであります。これの増減は自主的に條例できめられるように相なつておるのでございますから、門司さんの御指摘になりましたように、こういうことが官僚的というふうには、私ども考えていないのでございます。
  37. 門司亮

    ○門司委員 物の考え方の相違ですから、これ以上私は追究いたしませんが、法案のていさいとしては、こういう官僚的の法案よりも、もう少しくだけた法案の方がいいと思います。それからもう一つ聞いておきたいことは、議員定数をきめておりますが、現行法によりましても、非常に人口の少い村等に対しては、何も議員を置かなくともいいと思います。それからこういうふうにきめてしまうと、何でもかでも置くようになつてしまう。たとえば東京都にあります宇津木村のような、人口がわずか六十人しかなくて、有権者が三十人内外、こういう村に十人の村会議員を置こうとしても、これは置けないのであります。おそらく今宇津木村には村会議員はおりますまい。現行法でもそういうものができておるのであります。私はやはりどこまでも地方自治体に対しては、議員定数その他にしても、現行法で十分そういうことは自主性にまかしておりますので、必ずしも人口できめて割当てるという必要はないのじやないかということでありまして、これ以上私はもうこの項についこの質問は避けたいと思います。  それからもう一つ聞いておきたいと思いますことは、この項の中に「一般選挙を行う場合でなければ、これを増減することができない。」と、はつきり書かれております。こうなつて参りますと、合併その他の問題が起つて参りましたときに、一応議会というものを解散する形をとつて、そうして新しい選挙を行うことにならなければ、公平なものにならないと思うのですが、そういう規定がこの中に入つていないのであります。もし新しく改正されているように、一般選挙の場合でなければ議員の増減をすることができないということになつて参ると、そういう問題が出て来やしないかと思うのです。この点はどうお考えになつておるのですか。
  38. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 今のお尋ねの点でございますが、これは原則は一般選挙の場合でなければ定数変更しないということでございますが、例外の場合といたしましては、合併の処分によりまして、著しく人口の増減があつた市町村においては、特に議員の任期中でも、條例で、議員定数を増減することができると、こういうふうに現行法でいたしておるわけでありまして、この規定の活用によりまして、たとえば甲の町に乙の村を編入合併をいたすというような場合におきまして、甲の町の議員はそのまま存続しておりまして、乙の村の方に選挙区を設けて議員数を増して選挙する、こういうことが可能になるわけであります。
  39. 門司亮

    ○門司委員 今聞いておりますのは、なるほど今の御説明通りでありまして、現行法の第七條の第二項の規定によつて当然増減のあつた場合には、できるということが書いてあります。従つて私はここであらためてこういう字句を入れなくても、増減のあつた場合はやはりこれも自主的にやらせればよいのであつて、何も無理に「一般選挙を行う場合でなければ、これを増減することができない。」というような規定は私はどうかと思う。現行法で何もさしつかえはないのであります。ことさらにこういうものをむやみやたらに入れて来るというようなところに、私はこの自治法改正全般を見て、どうもあまり世話をやき過ぎるような気持がするのでありますが、現行法で一体どういう不都合があつたかということを、何か実例でもありまするならば、一応お答えを願つておきたいと思います。
  40. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 この点は現行法と何ら考え方において変更をいたしておるわけではないのでありまして、現行法では「議員定数変更」という文字を使つておりますが提出改正案においてはそれを「増減」と申しておるのでありまして、「増減」も「変更」も同じでありまして、要するに一般選挙の場合でなければこれを行うことができないということにいたしますのが、やはり選挙は任期をもつて一つの契約期間と申しますか、それを更新されるわけでございますから、その任期のときから新しい制度に切りかえるのが原則である、こういうのが今までの選挙に関する各種規定基本原則でございますので、その考え方を踏襲して来ているわけでございます。
  41. 金光義邦

    金光委員長 それでは質疑は次会に続けることはいたしまして、一時まで休憩いたします。     午後零時四十四分休憩      ————◇—————     午後一時五十二分開議
  42. 金光義邦

    金光委員長 休憩前に引続き再開いたします。  休憩前に引続き地方自治法の一部を改正する法律案内閣提出第一七五号を議題といたします。本案は申し上げるまでもなく、区長任命制、議員定数に関する問題等、きわめて一般的関心を有する重要なる法案でありまして、すでに本委員会におきましては、公聴会を開き、あるいはまた参考人の方々より種々御意見を承りまして、本案審査に遺憾なきを期しておるのでありますが、さらに委員会の決定に基き、本日八名の参考人の方々より御意見を伺うことといたしました。  この際参考人の方々に申し上げますが、遠路かつ御多忙中にもかかわらず、本委員会のための御出席くださいましたことに対し、委員会を代表し、厚く御礼申し上げますとともに、あらゆる角度から忌憚なく御意見をお述べくださることを希望する次第であります。  それではこれより順次参考人の方々より御意見を承りますが、その発言時間は約二十分以内でおまとめをお願いいたします。まず千葉県津田沼町長白鳥義三郎君よりお願いいたします。参考人白鳥義三郎君。
  43. 白鳥義三郎

    ○白鳥参考人 本日自治法の改正につきまして、私たちの意見を聴取くださいますことは、まことにありがとうございます。今回の自治法の改正案につきましては、私どもといたしまして、どうも納得が行かない点がございます。それが本日の私の意見結論にもなるのでありますが、その点をまず第に申し述べさせていただきたいと存じます。  自治庁ではかねて地方行政の再検討をするために、地方制度調査会というのを本年度にお設けになる予定だそうでございまして、あるいはその設置法案が当委員会に付託されているかもしれませんが、いずれにいたしましても、戰後次々とでき上りました地方行政の再検討をする時期に到達しているということは私にもよくわかります。そしてこの際根本的に検討をし直すという自治庁のお考えも、よく納得できるのでありますが、そういう企てのあります矢先に、このきわめて広汎にわたる地方自治法を改正しなければならないかどうか、これが私にはどうも納得が行かないのでございます。もしも今回御提案になりましたように、広汎にわたつて自治法の改正を御計画なさいますならば、むしろ地方制度調査会に付議なさいまして、そうしてたくさんの権威ある方々の御検討を待ち、そうしてしかる後に結論をお出しになつてしかるべきじやないか、それをわずか半年かそこらの間を早めて、今国会にこの法案を提出しなければならないほどの必要性があるかどうか、私はまずそれに対して納得が行かないのでございまして、その点が先ほど申しました通りの本日の私の結論でございます。  なお一、二の條項を仔細にわたつて点検いたしますと、その中には私たち自治体といたしまして、まことに歓迎すべき点もあることは確かでございます。たとえば協議会をつくつて、今まで一部事務組合をつくつて執行できたような仕事を協議会でやつて行ける、非常に簡素化されるということは、私たちかねて念願しておるところでありまして、従つてその点自治庁の御計画になりましたものも、私たちは決してすべてがすべて反対意見を持つのだということではないのでございます。しかし條項の中には、私たちとしてどうしても今回の改正法案を御審議なさいます場合には、十分御検討いただきたい点が二、三あるのでございます。その点を一、二申し上げたいと存じますが、その中の一つ市町村区域変更をする場合に、従来でございますと、県議会の審査を経て県知事の許可があればよかつたのでございます、それで効力が発生したのでございましたが、今回はそういつたようなことでなしに、内閣にそれを報告し、内閣総理大臣がこれを官報に掲載したときに、初めてその区域変更の効果が発生するというようなぐあいになつたのでございますが、一体これはどういうことを意味するのでございましようか。自治庁の方の御説明を承りますと、それには相当の理由がおありになるようでございます。たとえば現在の報告すべきところから報告が来ない、従つて全国にわたつて町村数というものが、はつきりしていないというようなことまでもお聞きするのでございます。しかし一旦報告の義務が課されている以上、それを励行させるか、させないか、それは自治庁の手腕一つにあることなんでございまして、それが励行されないからといつて法律でもつてこれを縛りつける、そうしなければいけないのだということにはならないと考えております。区域変更はその地域を最もよく知つている府県議会の審議に待ち、そして知事がこれを決定するということにすれば、効力がそのまま発生してさしつかえないことで、それを中央までわざわざ持ち来さなければならぬということは、煩雑な手間をかけることばかりだと考えております。それからまた町村を合併しあるいは町が市になるという場合に、知事は総理大臣にあらかじめ協議をしなければならないというふうな規定になつているようでございますが、これも私たちといたしますと、まことに了解に苦しむ点でございます。今まで町村合併をやられて参りました実例を見ますと、任期の最末期に至りまして、非常に数多く町村合併が行われるわけでございます。ときによりますと、最終の県議会に間に合うぎりぎりに協議がととのつて、県議会の方に書類を提出いたします。そして御審査をいただいて四月一日なら四月一日から発足するというときに、もう三月の月末になつてからそういう手続をすることがよくあるのでございますが、これが事前に総理大臣と協議をしなければならぬということになつたら、いついつから新しい市を発足しようというときに、とうてい予定通りには進行しないんじやないか、たとえば意義ある五月一日なら五月一日を期して新しい市を発足しようとか、新年度の始まりの四月一日から発足しようという場合に、その手続がひまどつて、遂にそういうような地域の住民が最も希望している日に、新しい市を誕生させることができないというようなことになる。従つて結局これが市町村の合併を阻害する一つのもとになりはしないかというように考えているわけでございます。ぜひこれらの点は改正原案によらない今まで通り規定におまかせ願いたい、そのままにしておいていただきたいというふうに念願する次第でございます。  それからなお一、二、これは現在の改正案には漏れている点でございますが、私たちが町村行政を担当いたしまして、非常に困る例がたくさんあるのでございます。そういうような点について、自治庁の方でもつとよく御調査をいただき、それらの私たちの要望をお取上げいただければ、まことにけつこうでございますが、そういつたようなことになつていない点に、私たち今回の改正案につきましては、不満を持つているわけでございます。その一、二を申し上げますと、助役の選任でございます。助役の選任は、今までのところによりますと、議会の協賛を経なければならぬ、承認を得なければならぬということに相なつているわけでございますが、自分の女房役を選ぶ場合に、これは決して町村のふためになるような人間を連れて来る道理はないのでありますから、ぜひこれは女房役として市町村長の選任にまかせ、そして議会にこれを報告するにとどめておいていただきたいというふうに、念願する次第でございます。もちろんそういうふうに申し上げますのは、今までに何回となく、幾つかの市町村におきまして、この助役の選任をめぐつて議会と執行者の方との意見の対立を来し、そのために町村行政がかえつて円滑を欠いたという実例がたくさんございます。そういつたようなことの弊害を除くためにも、女房役の選任につきましては、市町村長におまかせを願い、議会にそれを報告するという程度に改正していただきたいと考える次第でございます。  なおまたもう一つ私たちが、かねて考えておりましたことは、社会福祉事業でございます。この社会福祉事業は、現在のところ府県の業務とされて府県の仕事に移つているわけでございます。私たち町村では関係のないことになつているのでございますが、実際の仕事の運行を見ますと、結局県に社会福祉事務所ができましても、実際の仕事は市町村がやつているわけでございます。たとえば生活の困窮者ができたというときに、どこへ行くかというと、県の事務所へはわれわれ汽車賃をかけ、電車賃をかけては参りません。結局これは町村の役場に泣きついて参るわけでございます。またこれを一々取次ぎをいたしましたり、あるいは調書をしたためたりして、県の社会福祉事務所に提出するわけでございますが、この書類の作成は、決して今までの町村のやつていた仕事を減らすことになつておりません。今までよりももつと煩雑な手続が町村役場でいるわけでございまして、この点ぜひ御改正願いたい。これはまた実際に補助金を支拂うという段になりましても、ときによりますと、社会福祉事務所から町村に出頭命令が参りまして、いついつ町村長の判こを持つて出て来いというので、金を取りに行かなければならぬ。そしてとりに行つたその金が、現金であればいいが金券で参ります。その金券をとりかえて、一々小銭にわけて封筒に入れて、これを各保護者の方に渡す仕事を町村がやつているわけでございますから、そうなりますと、社会福祉事務所というのは一体何をしているのか、私たちにはてんで見当がつかないくらいでございます。事務の分量が軽減される、そしてまたそれがいいんだということになれば、まことにけつこうでありますが、事務の簡素化からいつても、現在の規定によりますと、少しも事務の簡素化にはなつでいません。町村の事務量を軽減することにはなつてはおりません。ぜひこれは今まで私たちが市町村の社会福祉事務を取扱つていたと同じように、今回もぜひ元に復していただきたいと念願する次第でございます。  いずれにいたしましても、先ほど申しました通りに、そういうふうな町村でとり行うべき事務はどれがいいか、あるいは区域変更その他について、どういう制度をとつたらいいかということは、これは冒頭に申し上げました通りに、後ほどやがてできるべき調査会にかけて、そこで十分案を練つて、しかるべく決定した方がいいんじやないかというふうに考える次第でございます。まことに粗雑でございますが、私たちがかねて考えておりましたことを、御参考に供する次第でございます。
  44. 金光義邦

    金光委員長 白鳥参考人はお急ぎのようでありますので、特に御質疑がございましたならば、お一人五分以内におとりとめいただきまして、この際伺つていただきたいと思います。質疑を許します。
  45. 床次徳二

    床次委員 町村議会の数は、定例会と臨時会が開かれることになつておりますが、実際の実際の町村事務を今日までおやりになりました経験からいいまして、改正がどの程度でよろしいか、現行法では多過ぎるというお考えでありますかどうか。
  46. 白鳥義三郎

    ○白鳥参考人 これは町村によつて、いろいろ実情は異なるんじやないかと考えております。と申しますのは、私のところなんかでも、最初議会が成立いたしましたときに、議案があつてもなくても、とにかく皆さんの御意見を承る方がけつこうだから、毎月一回ずつ開きましようということで、毎月一回ずつ開いております。私の方で提案する事項のないような場合もございますが、そういたしますと、議員さんの方で、どこの道が悪いからあれを直したらどうかというような、そういういろいろな注文が出まして、私たちの方でも事務の執行上非常に参考になるところが多いと考えております。従つて議会は何回開かなければいけないというようなことは、これは私自身としては考えておりません。それからまた、これは町村実情にもよるでございましようし、村によりましては年に六回の規定でございますが、実は六回開いていないで、しかも円満にやつているところもあるように聞いております。従つてこれを一律一体に何回開かなければならぬということはないというふうに私は考えている次第でございます。
  47. 金光義邦

    金光委員長 ほかに御質疑はございませんか。——それでは茨城県知事友末洋治君にお願いたします。友末参考人。
  48. 友末洋治

    ○友末参考人 茨城県知事の友末でございます。地方自治法の一部部改正案に関しまする意見を申し上げまする前に、現在施行されておりまするところの地方に関する制度全体に対しまする知事側のまとまつた態度、意見というものを申し上げさせていただきたいと思います。これは一部改正と相当関連する問題であり、また昨日の全国知事会議で決定いたしましたところの態度でございますから、皆さんの御了承をいただきまして、あらかじめそれに関しまする態度をまず申し上げさせていただきたいと思います。  御承知のように地方制度に関しましては、終戰後民主主義の線に沿いまして、次から次へとやつぎばやに各種の改革が行われて参つたのでございます。私どもといたしましては、これらの各種改革が、はたして適当であるかどうかということについて、相当の疑問を持つた者もかなりあつたのでございまするが、これに対して批判はかつては許せなかつたのでありまして、しやにむにこれを実行するところの責任を負つてつたのでございます。この改革を実行いたしましたあとを振りかえつて見ますると、これらの制度の中には、日本の国情にぴつたりと合つていないものもございまするし、また日本の国力から考えてどうか、多少行き過ぎではないかというものも、かなりあるわけでございます。また地方の各種制度の相互間にも、統一と均衡を欠くものもかなりございます。また地方制度地方制度との相互の間にも同様に統一を欠いたり、また非常に不均衡であるというものもあるように、実際感じているわけでございます。  そこで現在行われておりまするところの地方制度については、いま一応慎重に再検討をいたしまして新しい日本の姿にふさわしいように一大修正をやらなければならぬということは、今日の緊急の要務になつていると思うのでございます。一大修正をいたしまする際におきましては、行政事務全体、また地方の税制、財政、これらについて総合的に検討する必要があるわけでございます。事務の面から考えてみましても、次から次へと折重なつてつておりまして、その中には国の委任事務であるか、あるいは地方の固有事務であるか、どちらかわからないといつたようなものも錯綜をいたしております。この国政に関しまするところの委任事務と、地方の固有事務との線を、それぞれはつきりせしめる必要もあると思うのであります。すなわち行政事務の再配分が徹底的に行われる必要がある。同時にその事務に即応いたしましたところの財政と申しまするか、費用の負担関係とい亀のも、もつともつと明確にする必要があると考えております。  さらに税制の面におきましては、御承知のように農村県は今日非常に困つております。そこでもつと地方に実質的な税源を與えて、まず地方でやらなければならない仕事は、地方の独立税源でまかなえるようにすべきである、かように考えております。  財政の面におきましても、今日御承知のように平衡交付金に大幅に依存している姿は、やはり地方自治の確立の建前から申しまするといかがかと、かように実は考えるわけであります。そこでかように全面的に、総合的に、いま一応再検討いたしまして、憲法できめられておりますところの地方自治の育成、強化、確立という線を強く出して行きますることが、民主政治の基盤を確立するということになることは、申すまでもないわけであります。そこで今日御承知のように、あるいは義務教育費国庫負担法であるとか、あるいは地方税法一部改正案というものもいろいろと出ておりまするが、これら部分的な改正をやつただけでは、とうてい根本的な地方自治の確立は期して待ち得ないと考えられるわけであります。そこで中央におきましても地方制度調査会というものを設ける案が進められておりますが、これもかような趣旨で考えられていると思う。従いまして知事会といたしましては、これに大いに賛意を表し、またこれに協力いたしまするがために、知事会に地方制度調査委員会というものを設けて、諸般の事項を慎重に検討することを進めているわけでございます。  そこで今回提案されておりますところの地方自治法の一部改正に関する問題でございますが、これにつきましては、はつきり知事会全体として、かくきまつたという程度のものではございませんが、知事会の大体の空気を申し上げまして御了承をいただきたいと存じます。  今回提案に相なつておりますものを検討いたしてみますと、従来行政調査委員会議が設置せられまして、各方面の権威者専門家が相当期間にわたりまして、検討に検討を重ね、また政令諮問委員会その他税制懇談会等で各種の問題について、かなり検討を遂げられ、政府に向つて勧告も行われているのでございますが、その中から常識的にあそこには早くやらなければならぬ、あるいはまた従来地方が事務的に相当つているといつたような問題を引抜いて、改正案を中央でつくられたように、私どもは見ているのでございます。     〔委員長退席、河原委員長代理着席〕  各県といたしましては、さように常識的にまず改正をされても、大きな根本的な問題でもない、また地方として事務的に困つている問題もございますので、おそらくこれはどんどん進行するものだという前提に立ちまして、今日まで財政の面からも、また人員配置の面からも、着々実は準備を進めて参つているわけでございます。地方財政委員会におかれましては、二十七年度の財政計画に人件費の五分減をせられまして、財政計画をせられているというような関係もございまして、地方地方といたしましては財政の緊縮あるいは行政の簡素化という線から、相当の準備も実は進めているわけでございます。さように相当検討された問題でもあり、また地方の私どもといたしましては、かなりの準備もいたしている問題であり、さらに地方制度全般的な根本的の改正の問題とは、そう深い関係考えられないといつたような次第でございまして、この線に沿うてできるだけ実現するようにいたしていただきますることが、府県側といたしましては希望するところでございます。もちろん個々の問題を取上げ、立場々々に立つてこれを検討いたしますると、いろいろと議論もあることとは存じます。しかし地方自治全体として考えまする場合におきましては、一歩前進のような方向に進んでおるというふうに、私どもといたしましては見ておるわけでございます。知事側の大体の一致いたしておりまするところの空気、意見等を申し上げまして、御了承をいただきたいと思います。
  49. 河原伊三郎

  50. 勝田友三郎

    ○勝田参考人 私は改正地方自治法法案のうちで二点につきまして、全国の都道府県議会議長会議におきまして決定した点を申し上げまして、各位の御了承を得たいと思います。  第一点は、議員定数の縮減でございます。議員定数縮減には、全国都道府県議会議長会議においては反対でございます。この反対の理由を簡單に申し上げますが、現在の制度は、御承知のごとく七十万人までを四十八というべースをきめまして、五万ごとに逓増をさしております。そして百二十人という限度をきめておりますが、改正案は古い府県制の昔に返り、七十万の人口に対して三十人というベースの上に立つて数を逓増させております。そうしてその数をきめる最後の場合におきましては、これを府県條例にゆだねてありますが、その場合に公聴会を開いて意見を聞けということが規定されております。そこでまず定数の問題でございますが、この改正案によりますと、千葉県は大体十人減少することになつております。議員定数を幾人にするかということの科学的な根拠と申しますか、あるいは政治学的な根拠というものは何もないのでございます。七十万に対して三十人というベースを古い府県制がきめておりますが、これは見積りでありまして、この見積りの上に立つた古い府県制の三十人というものに十人を加えまして、新しい自治法においてはこれを四十人としたまででございます。代議制度の本旨から申しまして、私どもは、理論としては多いほどいいという議論をとりまするが、もちろん能率であるとか、あるいは経費というような点を考慮しなければなりませんので、そこに適当の歩どまり定数というものが、おのずから生じて来るであろうと思うのです。しかしながら、今ようやく民主政治がわかりかけて来たときに、定数を減らすというような打撃を、地方の民衆に加えることがはたしてどうであろうか。そういう観点に立ちまして、私どもは、民主政治の習熟の日の浅い今日、レベルのまだ低い今日においては、縮減の段階ではない、少くともかような挙に出ることは早計ではあるまいか、かように考えております。改正案の中で、條例をもつてきめる場合には、公聴会を開いてやれということになつておりますが、これは改正案といたしましては、地方自治性にまかしたのでありまして、いかにも進歩的でございます。進歩的であることは私どもも同意するにやぶさかではございませんが、ただ、民主政治の現段階では、これが実際の運営の上で、いろいろな支障が生ずることを考えていただきたいのであります。選挙区の定員を配当するときに、この公聴会の意見は、おそらくまちまちであろうと思います。また最後には議会がこれをきめるのでありますが、議会において非常な紛糾を予想されるのであります。かような政治性の多いもので、しかも客観性の多分にあるものは、これは進歩的ではあるが、今の段階ではまだ法律できめておいた方が無難ではないか、従つて現行の制度の方が安定的である、かように考えます。それから議員を減らすことが経費節減ということにひつかかるのでございましようけれども、経費の節減ということには大してなりません。例を千葉県にとりますと、二十七年度の議会費の予算は三千五百六十二万円であります。議員一人当りが五十七万円、これが十人縮減されますると五百七十万円節減されることに一応はなりますが、議員が減つても、議員が減つた場合に減る費目は報酬と旅費だけでございます。そのほか印刷費であるとか、備品費であるとか、若干は減りましようが、報酬と旅費がおもなものでございまして、報酬一人一箇年十八万円、旅費一人一箇年七万円でございますが、これを合せて十人分といたしましても二百五十万円の節減にしかならないのであります。県の総予算は七十三億四千二百万円でございまして、この数字に比べましてまことに微々たる数字であります。議員減少するというような深刻な打撃を地方自治政治の上に與えておいて、そうしてしかも節減される額は、きわめて少いということを私どもは考えるのでございます。  第二点は、地方議会の定例会廃止についてでございます。これも全国都道府県議会議長会議におきましては、絶対反対を決議いたしております。理由を申し上げます。定例会の制度を設けた精神は、会期の短い議会に——地方議会は三日ないし七日でございまして、全国の数字を見ましても三日ないし七日でございます。非常に短い期間の定例会をたくさん開いて、一般住民議会を通じて民意を反映せしめるという機会を多くする、かような意味で年六回開かなければならないという現行自治法の精神は、非常にけつこうなことだと思つております。これを年一回定例会というものをやめまして、年に一回翌年の予算を審議する通常会というものを設けて、これを三十日会期を置くという改正案でございますが、これは地方自治を進展せしめるという自治法の立法の精神に反するのではないだろうか、議会住民との結びつきを非常に疎隔せしめるものではなかろうか、住民代表である議員の発言の機会を、非常に減殺することになりまするので、これは私は自治体議会のあり方ではない、かように考えます。  事務的に申し上げてみますと、現在の地方財政は、先ほど茨城県の知事さんから申し上げましたように、国の財政に依存することがきわめて大でございます。千葉県の例をとりましても、歳入の六五%は国に依存しております。平衡交付金が三三%、国庫支出金が一七%、起債が一五%、合計六五%というものが国に依存しておるのであります。そこで国会が三月の末にいろんな仕事を終つて、予算を確定いたします。地方は二月もしくは三月に議会を開きまして、見込額を予算に組んでおります。そこで国の方が確定するのがおそいのでありまして、これが追加更正を必要といたしまして、どうしても年一回の通常府県会というようなことではやり得ないのであります。平衡交付金も年に四回にわけて地方に参ります。特別平衡交付金というやつが、さらに一回参ります。かような次第で、回数が多くなければならないという事務的なこともあると思います。起債の面から申しましても、毎年七月に県の單独事業、十月に公共事業が決定されますから、これだけでも二回を必要といたします。もちろん平衡交付金の確定の時期と必ずしも同一でなく、あるいは同一の場合がありますから、これを合わせただけの回数が必要ということを申すのではございません。また国庫支出金でございますが、これは年四回にそれぞれ政府から内示がありまして、予算の措置をすることになります。政府は中途において省令などで一方的に地方に事務を委任いたしまして、事業費の何分の一かのきわめて少額のひもをつけまして、しかも実施の時期を指定して参ります。強要して参るとでも申しますか、指定し強要して参るのであります。これはどこの府県でもお困りだろうと思いますが、これを県といたしましては、予算措置をしなければなりません。予算措置をしなければ、政府自身がお困りになるのでございます。以上は千葉県の例でございますが、どこの府県でも似たようなものではなかろうかと考えております。代決機関を設けないで——代決機関といたしまして、府県制の時代には、参事会というものがございました。この参事会を設けないで、定例会を廃止してしまつて、そうして通常会を年に一回しか開かせないというのは、改正の意図がどこにあるか、まことに解釈に苦しむのでございます。そこで臨時会があるじやないか、臨時会はいくらでも開けるじやないか、必ずかように御指摘なさるであろうと思います。しかしながら臨時会は、招集権はもちろん知事にございます。この招集権は知事の一方的な見地に左右される公算がきわめて大でございます。議員の三分の一で臨時会の開催を請求することができますが、これは議員の発議権のある者に限られております。議員の発議権のない者は、請求ができないのでございます。臨時会の招集をめぐつて議会と執行部の間にいたずらなる摩擦を招くおそれが多分にあるのではなかろうかと考えております。いやしくも知事さんは、公選で出られた知事さんでありますから、十分議会と協調する手腕、力量を持つておられることを私ども疑いません。しかしながら大体において、全国的に見まして、議会は自由党が現在多いところが多いようです。私どもと同職の議会議長を見ましても、三分の二は自由党である。知事さんはどうかと見ますと、自由党で知事さんというのはきわめて少いようです。私どもの現実を申し上げますと、自由党が絶対多数ですが、知事さんは反対の側から出ておられます。かような県がなかなか多いのでありまして、こういう臨時会を開けばいいではないかというようなことでぽんと投げ出されてしまうと、なかなかこれは議会と執行部の間にトランブルが起るのではなかろうか、摩擦を招くおそれが多分にある、かように考える次第であります。必ずこういうことを申します、定例会は六回あつて、そのうち大部分は会議を開いても大した仕事をしていないじやないか、かようなことを言われる方が多いのです。これがまた非常に宣伝されておりまして、皆さんの方のお耳にも、六回なんということをやると、おそらくそのうちの何回かは、何にも議案がなくて、むなしく過しておるのが多いのだというようなことが伝えられるのは、はなはだ遺憾であります。そこでこれも千葉県の二十六年度の実際の例をとつて見ます。千葉県では通常会を法律通り六回開いております。しかもなお臨時会を三回開かざるを得なかつたのでございます。この内容を申し上げてみましても、臨時会では、昨年五月の臨時会には三つの重要な案件が付議されております。九月の臨時会は議長改選の議会でありましたが、しかしなおかつ、重要案件が二つ付議されております。三月の臨時会は、十一の議案が審議されております。六回の定例会におきましては、大体五回は会期が五日間でありまして、付議された案件は、六月が十七件、七月が二十六件、九月が二十件、それから十一月に定例会を開くべきでありましたのが、政府の方針がきまらないことがあつたために、予算額がわからないために、十一月の定例会を十二月に延ばしましたところが、三十三件の議案を付議せざるを得なかつたのでございます。この間三箇月を経過いたしておりますが、三箇月ほうつておくと、三十三件もの議案が軍なつて参るのであります。一月の定例県会は、十二月に三十三件を付議したために、わずかに五件を付議しただけであります。二月の定例県会は二十日間にわたる長い、二十七年度予算を審議する県会でありますから、これは六十一の議案を審議しておることは当然でございましよう。こういうふうな次第でありまして、六回は多過ぎるということは実際的ではないのです。そのうち一回くらいはどこかの府県で、あるいは数個の府県で、議案がなくつてつたというような所はございましようが、大多数のところでは、これをうまく按分いたしまして、うまくこれに議案をはめまして、そうしてすこぶる順調に会議をやつているというのが現状でございまして、むだな回数というものは非常に少い、かようにお考えを願いたいと思います。  以上の理由によりまして私は定例会を廃して、そうして通常会一回にして、あとは臨時会にするというこの改正案は、地方制度に対するはなはだ虐待である、民主政治に逆行した、しかも議会の弱体化を招くものである。議会の弱体化以外の何ものでもない、かように申し上げまして、現行法の通りを主張しまして、改正には絶体反対を、全国都道府県議会議長会の名において申し上げる次第であります。議会を弱体ならしめることが執行部の望むところであるというならば、また何をか言わんやでありますしかしながら民主政治の選手であられる国会議員の各位におかれましては、どうぞこれらの事情に深い御省察をたれ賜りまして、よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  51. 河原伊三郎

    ○河原委員長代理 宇都宮市長佐藤和三郎君。
  52. 佐藤和三郎

    ○佐藤参考人 私、宇都宮市長佐藤和三郎であります。一言御参考までに申し上げてみたいと思います。  今度の地方自治法の一部改正でありますが、これは従来とも各国会ごとに随時改正はされて参つております。今回は特別な、また重要な点につきまして改正案が出ておるわけでありますが、まずもつて現在の自治において、はたして完全自治ができるかどうか。しかしこのままで行くならば、地方自治は結局へびの生殺しという程度に終るのではなかろうか。何といいましても、事務の簡素化をやらねばならないのであります。しかるにまだまだこの程度のものでは、事務の簡素化はできておらぬ。現在地方自治が財政的に困つておることは、すでに国会の皆様におかれまとては、十分おわかりのことであります。これを事務を簡素化し財政をゆたかにしないことには、何をやるにいたせ、地方住民の福利を求めることは、とうてい困難な情勢にあることは、すでにおわかりの通りであります。でありますがゆえに、いずれ今回設定されんとしております地方制度調査会等においては、十分この問題は論議されるであろうと存ずるのでありますが、ただ今回提案されております点だけにつきまして、一応意見を申し上げておきたいと存ずるのであります。  まず地方自治は、あくまで自治であります以上、従来のような中央集権化を防がなければならぬということであります。ところが今度の自治法一部改正によりますと、多少これに逆行する感を與えておるわけであります。これは先ほど白鳥参考人からもお話がありました通り市町村の廃置分合、あるいは境界変更というような問題につきましては、従来都道府県議会の承認をもつて都道府県知事がこれを許可しておつたわけであります。今回は、総理大臣の協議を経て告示をもつてこれをやるというぐあいに言つておるわけであります。それからなお二百四十五條の三の第一項等におきましては、内閣総理大臣または都道府県知事は、地方公共団体の組織及び運営について技術的な助言または勧告ができる。好意的なものはけつこうでありますが、一応これを悪用されるおそれも、もちろんあるわけであります。その他情報作成の資料を当然提出しなければならぬと義務づけられておる点もあります。その他第四項等も、全部かような点において新しくここに盛られておるわけであります。これは一応内閣総理大臣、都道府県知事の監督権あるいは干渉権を復活させるように意味づけられておるということは、市町村といたしましては、ただちに賛意を表すというわけには参らないと存ずるのであります。  次に議員定数の問題でありますが、これはおのおの立場を異にしております関係上、またただいま県会議長からもお話がありましたように、県会の立場、あるいは市町村会の議員立場というものも考慮しなければならぬと思いますが、率直なお話を私申し上げます。経費を節約して行くということは、これは当然すぎるほど当然であります。議会が現在ぜいたくをしておるという意味ではありません。しかし現在の定員を減じても、決して地方自治の進展を阻害することがないというふうに考えます。しかも今度の自治関係改正案は、一応の基準を定めておる。その増減は條例でどうにでもなる、非常に幅が広過ぎると私は思います。減らすことは反対であります。ふやすことは賛成である以上は、基準をもう少し下げてもいいじやないか、私はさように考えております。これはアメリカのような議会にせよとまで申し上げるのではないのでありまして、大体現在の三分の一程度は減じても運営ができるということを申し上げておきたいと存ずる次第であります。なお今回の改正関係につきましては、大体都道府県あるいは市が処理しなければならない事項、あるいはその他区分をいたしておりますが、これはまことにいいと存じます。しかし問題は法律または政令によつて事努の委任はいくらでもできるのであります。ただここで考えられることは、かような場合におきましては、いずれにせよ財政負担が伴うのであります。これに対する処置というものは、当然その場合には処置を講じなければならぬということにしていただかなければならぬと存じます。ややもすれば財政処置を講じないでどんどん事努を委任し、あるいは義務的に処理させるという法律が出ているのです。ことに議員提出議案として、もちろん議員の皆様の非常な民主的な進歩的な議案を出していただくことは、非常にわれわれとしては感謝にたえないものが多々あるのであります。ただそれに財政的な処置を完全に講じてもらうということでなければ、現在の市町村は仕事だけふえて、自分の足らない金でやらなければならぬのであります。それは平衡交付金に入つているのだ、かようなことを結局言いのがれされるわけであります。平衡交付金はわくがきまつている、しかもその大半は御承知通り都道府県に大体行つておる。ただいまも千葉県会議長さんからもお話がありました通り、とにかく補助平衡交付金、起債方面で、大体七割も国に依存しなければならないというような現在の府県立場というものは、非常に同情せざるを得ないのであります。市町村においても同様でありまして、現在の少いわくで起債なり、平衡交付金を都道府県側に配当されると、それだけわれわれの立場というものは、なお苦しくなるわけであります。でありますがゆえに、市長会といたしましては、一昨年自治体としての府県は廃止すべきである。現在のように七割も国庫に依存しなければならぬという、人から金を借り、あるいはもらわなければならぬ自治体があろうはずがないのであります。それによつて十分に自治体としての府県を廃止して、もつてこれを運営する場合においては、もちろんいろいろの異論がありましよう。これは市長会としても一応は修正として出先機関を統合するというような意見も出ておるわけでありますが、それに基く地方民の負担というものは、当然軽減されるわけであります。でなければいつまでたつてもいたちごつこである。これは根本的に自治法の改正ということが必要であるわけでありますが、これは大きな問題でありますので、十分御検討を願いたいのであります。いずれにせよ、さうなことにおきまして、今回の自治法改正については、市に関する問題については大した関係はないと思いますが、一、二感じたことを申し上げまして御参考に供した次第でございます。
  53. 河原伊三郎

  54. 田村敬太郎

    ○田村参考人 ただいま御紹介を受けました全国市議会議長議長大阪市議会議長の田村敬太郎であります。今回当常任委員会におかれましては、地方自治法の一部を改正する法律案を御審議相なるにあたりまして、全国市議会の連合組織の代表者といたしまして、意見を申し述べる機会をお與えくださいましたことは、私の深く感謝にたえないところであります。御礼を申し上げます。  さて、国政の基盤たる地方自治民主化は、新憲法によりまして保障され、地方自治法において具体化され、樹立されておるのでございますが、自治法を一貫して流れておりますところの精神は、中央集権的官僚主義を拂拭して、市町村を基盤とする地方分権主義を確立し、わが国の民主化を推進するにあると存ずるのでございます。今回政府が提出し、本委員会におかれて御審議に相なつておりまする地方自治法の一部を改正する法律案を、主として地方議会立場から拝見してみますると、新地方制度本来の趣旨を没却し、むしろ過去の中央集権的な制度に逆行するの感を深くするのでありまして、まことに遺憾にたえない次第でございます。かかる地方制度の重大なる改正を政府において企図されるに際しましては、積極的に地方自治体意見を聞き、地方自治体をしてこれに関與するの機会を與えるべきが当然であると存ずるのであります。しかるに政府は独断的にこれが手続を進められたのでありまして、かかる立案の手続に対しましては、きわめて非民主的なる傾向を示されたものと、深き遺憾を禁じ得ないのであります。幸い国会におかれましてはこれが法案審議にあたりまして、その参考に資せられるために、われわれ地方自治体意見を御聴取いただきますることを欣快しごくに存ずるのであります。さて本委員会におかれましては、それぞれの機関の関係の方の意見を御聴取に相なることと存じますので、私は地方議会立場から、この法案に対しまして抱懐する意見の要点を率直に簡潔に申し述べたいと存ずるものであります。  まず法案の第九十一條議員定数の問題であります。改正案におきましては相当程度定数の縮減を企図いたしておるのでありますが、これは民主政治の本質に反するものであり、少くとも現在におきまする民主主義政治に対する一般選挙民の自覚におきましては、早計であると断ぜざるを得ないのであります。すなわち政府定員縮減の意図は那辺にあるか分明でないのでありますが、今かりに経費の節約にその理由を求めるといたしまするならば、その縮減によつて生ずる経費は、実際問題といたしましてはとるに足らざるものでありますし、また議会機能のより効率的な発揮を意図するものであるといたしまするならば、民主政治の原理と相矛盾するものでありまして、まことに思わざるもはなはだしいものと存ずるのであります。議会政治の本旨は輿論の完全なる反映によりまして行われるのが、その理想であると存ずるのでありますが、理論といたしましては、むしろ住民代表者たる議員の数の多い方が適当であるとさえ申し得るものでありまして、これをみだりに縮減いたしますることは、輿論政治としての議会制度の本来的の趣旨にもとるものであると考えるのでございます。  次に法案第百二條の定例会制度の廃止と会期に関する問題であります。そもそも地方議会を定例的に開催することに法定されました趣旨は、地方住民の意思機関たる議会をして、常に民主的に運営せしめんとしたものにほかならないのでございまするから、この制度を廃しまして戰前のような通常会制度に変更せんといたしますることは、第一に市政と住民とのつながりが薄弱となり、第二に住民代表する議員の発言の機会が減殺され、勢い市政に対する民意の反映が署しく阻害されるに至りますることは、火を見るより明らかなことであるのであります。この結果は事実上議員の発言権を弱化することになり、執行機関によりまする専決処分を助長することは明瞭でありまして、民主政治の本質に背反することのはなはだしいものがあると存ずるのであります。考えまするに、審議会制度は地方自治の本旨にのつとりまして、議決機関と執行機関の調和をはかりまして、互いにその独裁化を防ぎ、特に議決機関におきましては、従前の批判的機関を脱しまして、真の意思機関としての独立性を尊重し、かつその積極性を促進する建前がとられたものと確信いたしておるのであります。この意味におきまして、定例会制度の廃止を通常会年一回開会というがごときことは、新憲法におきまして確立せられました地方自治原則に反するものと断定せざるを得ないのであります。  さらに市議会の会期を十日間と規定せんとしておるのでありますが、これはおよそ市議会運営実情に即せざることはなはだしいものでありまして、一例を申しますれば、私の属しております大阪市会におきましては、昭和二十七年度の予算審議の三月定例会は、同月二日に開会いたしまして、同月三十日閉会いたしたのでありまして、この間文字通り連日各常任委員会を開会し、しかも深夜にわたることがしばしばあつたのでございます。中小都市におきましても、十日間というがごとき短期間は、当初予算その他重要案件を議了し得ることはまことに至難でございまして、これをもつて足れりと考えております政府の認識は、地方議会の実態を正確に把握していないことを、みずから暴露しておるものでありまして、われわれはその認識の足らざることに一驚を喫しておるのであります。これはまさに意思機関たる議会の権能を圧殺せんとする意図の現われでありまして、このような措置には断じてくみすることはできないのであります。  次は法案第二百四十五條の三の内閣総理大臣、主務大臣及び都道府県知事の強力なる監督権、協議権の規定でございます。この規定市町村に対する政府と知事の監督権の強化をはかるものであります。條文の表現は一見まことに消極的に感ずるのでありますが、実際の問題といたしましては、市町村行政に対する政府及び知事の強力な干渉を激化することに至ることは明らかなところであります。地方自治法の精神は、原則として地方公共団体に対する国の公権的監督を排除いたしまするとともに、特に基礎地方団体たる市町村自治権の強化をいたしまして、国政の民主化を推進するにあると存ずるのであります。しかるに現状におきましても、地方公共団体の長を国の機関として強力な国の監督下に置かれておるのでありますが、さらに市町村におきましては、国の機関としての府県知事の強い監督を受けている実情なのでありまして、このような状態は新憲法の明示する地方自治の根本原則がはなはだしくゆがめられておるものとして、これが是正はわれわれ日ごろ念願といたしておるところでございます。しかるに政府及び知事の監督権を現在以上に強化せんとするようなことは、その真意が那辺に存するのか、われわれとうてい理解し得ないところであります。われわれは二重監督の弊害を排除し、地方自治確立のために府県の廃止を基本理念として邁進することを決意いたしておるのであります。すなわち本月の九日鹿児島市におきまして開催いたしました全国市議会議長会総会におきまして、わが国政の基盤たる市町村自治の完璧を祈願するわれらは、複雑多岐にわたる行政組織を整理するとともに、なお知事に関し、二重行政、二重監督の弊を蔵する府県をすみやかに廃止して、わが国の現状に即する明快、適正なる組織の自治行政を確立することを期する旨の決議をいたしておる次第でありますから、地方自治の本旨に逆行して、中央集権化を意図する政府及び知事の監督権強化に対しましては、もちろん反対せざるを得ないのでありますが、特に知事の監督権強化に対しましては、絶対に承服し得ないのであります。  以上申し述べましたところを要約いたしますれば、政府が提出いたしておりまするこの地方自治法改正案の主たるねらいは、行政の簡素化に便乗いたしまして、地方公共団体、特に市町村自主性を低下させ、反面中央集権化を助長、地方自治の進路をはばむものでありまして、せつかく軌道に乗りつつありまするわが国民主政治の発達を阻害し、旧体制へ逆行するものでありまして、その影響するところきわめに広汎かつ重大であると存ずるのであります。  国権の最高機関たる国会におかれましては、かかる政府の不当なる地方自治法改正案に対しましては、十分御審議を賜りまして、わが国民主主義政治の確立のために、本委員会皆様方の御明断を仰ぎたく、心よりお願いをもたしまして、私の公述を終りたいと思います。
  55. 河原伊三郎

    ○河原委員長代理 静岡県冨士同時議会議長齋藤邦雄君。
  56. 齋藤邦雄

    ○齋藤参考人 私は町村議会議長をいたしておりまするのと、同時にただいま全国の町村議会議長会会長をいたしておりますので、町村議会代表という意味で、本日の参考人として二、三の意見を皆さんに申し上げまして、御配慮を煩したいと存じます。  ただいままで府県及び市のそれぞれの参考人の諸君からお話のありました通り、今回の自治法の一部改正法律案につきましては、先般私が委員をいたしておりまする地方自治委員会議において、岡野大臣から御諮問を受けたわけでありますが、その際にわれわれ委員は期せずして地方自治法の改正という地方自治行政に関することは、これはひとつ地方団体意見を十分に聞くべきところは聞き、取入れるべきところは取入れて、しかる後に改正案をおつくりになつて、ひとつ国会にぜひとも地方自治の育成強化のために通過をさせてもらうように持つてつてもらいたいということを、くれぐれもわれわれ自治委員は異口同音に申し上げたのであります。ただいままでの皆様の、お話を要約して申し上げますならば、政府の一方的のお考えによつて改正案をつくつたというところにも、一つのわれわれ地方団体側における意見の相違があります。私もそういう点については、かねて憂慮いたしておりました。しかるに今日までのこの地方自治法改正案の問題が、政府が国会にお出しになり、国会において御審議をわずらわすという過程において、期せずしてかような地方団体側がこぞつてそれぞれの分野における立場から、反対の意思を表明しておられるということは、私は国政と地方行政のつながりに考えましたときに、はなはだ遺憾だと思う。これは少くとも地方自治に関することは、地方側の意見を十分にひとつ入れてやつていただきたいということを、いつも繰返し私は言うておるのであります。そこでそのときに政府の方の一部のお考えには、地方制度調査会をつくつて、そうしてその地方制度調査会の設置法案を国会に出して、地方自治行政に対するいろいろなる権威者をお集めになつて、根本的の改正案をつくるつもりだというようなお話がありました。そこで私どもはこれはまずそれをひとつ先にやつていただいて、そうして地方制度調査会というものができて、そしていろいろなる、国会の方々も加わるでありましようし、われわれ地方団体側の人たちも加わるのでありましよう。あるいは学識経験者の権威者も加わるでありましようが、これらの各界の人々が寄つて地方自治の根本的の改正案をおつくりになつて、次の国会あたりにお出しを願うというように持つてつてもらうということが一番いい。こういうことを私はまず第一点に申し上げて、皆さんの御明察を得たいと思うのであります。  第二は、個々の問題にわたりますが、私の方の全国議長会におましても、この自治法の改正を政府が御決意になられて、国会にお出しになるという空気が強く出て参りましたので、しからばわれわれこれに対して町村会議議長会として、お互いに町村議会議会人としては、いかにこれに対して臨むべきかということにつきまして、慎重に会議を開いて討議をいたしました。その結果の結論は、先日書面をもつて皆さんのお手元に差上げてあると考えますのでそれは省きますが、要するに地方制度調査会をつくつて、そうして根本的の改正案をつくるまでは、現行地方自治法のもとにおいてそれぞれ改正をすべきような、たとえば議会議員定数を減らすということは、現行自治法のわく内においてもできることでありますから、これは一面において、政府のお考えになつておるように、行政の経費の節約であるとか、あるいは事務の簡素化であるとか、同時に事務の能率化をはかるというような観点から、要するところはわれわれ地方議会議会人としても大いにこれを考えて、戰後七箇年間の歩みにおいて、あるいは行き過ぎのこともあつたでありましようし、あるいは足らざるところもあつたであろうと思いますが、これらはみずからひとつ顧みて、そうして日本の国情に沿うように、ひとつわれわれが今日までの経験を生かして、改正をすべきところは改正をしなければならぬとは思いますけれども、今日のように中央だけの、ただいま大阪の議長さんも強くお申し述べになりましたが、ああいうように政府が今回一方的な考えによつてつくつた改正案に対しては、必要以上に地方側を刺激しておる、こういうことをは私言い得るのであります。それでありますから、どうかそういう意味において、今回の改正案に対しては原則としては私は反対の意を表明いたします。  第三には、市町村の優先ということが、戰後この地方行政民主化の線に沿つて叫ばれておりますが、これは日本の再建をはかる上において、その基礎になるべく——ただいま大阪の田村議長さんからもお話があつた通り、われわれ市町村がまず第一に基礎政治をしつかり形づくる上におきまして、市町村優先ということを取上げておるのでありますから、それに対しては政府におかれましても、また国会の皆さんにおきましても、はなはだ僭越なことを申し上げるようでありますが、地方自治の育成強化ということに対して、地方議会政治、住民政治というものをもつと徹底をさせ、強化をさせるように私は持つてつてもらうべきものだと思う。しかるにこの改正案を要約して申しましたならば、議員の数を減らす、会議の回数を減らすというようなことが答えとして出て来ますると、これはいわゆる縮減というか、機能を縮小して、その住民政治を住民政治にならないようにするような一歩手前の案になつておるということが、私は言えると思うのであります。そういうような点から行きましても、個々の問題はすでに多数の参考人の方々から申し上げたことと、大同小異の意見を私どもは持つておりますが、われわれ議長会におきましても、議員定数を縮減するということ、会議の回数を減らすということのこの二点は、特に議会人として慎重に考慮をいたしました。議員定数を減らすということは、その減らした結果が少数精鋭主義ということになりませんと、議員定数を減らすという目的はこれは達し得るものではありません。しかるに選挙というものはさように理想の通りばかりには参らぬのであります。これはわれわれが常に苦慮しておりますることは、どうか現在の議会議員の素質を向上し、そうして住民代表者として遺憾のないような立場に行くというように、お互いが勉強をせなければならぬ。こういう観点から、私は余談ではありますが、われわれ全国町村議長会は昨年十一月九日の臨時大会において、自治意識の高揚ということを取上げて決議をいたし、ただいま私はみずから東奔西走して、この自治意識の高場にいささか微力を盡しております。そういうような観点からいたしましても、これは議員の数を減らすだけが單に地方自治体の強化にはならぬと思います。それからまたわれわれの方の立場から申し上げましても、議会の費用が縮減をされるということは、これはけつこうなことであります。われわれもそれは考えなければなりませんが、私どもの関係いたしておりまするところの町村議会のごときは、もう説明を要するまでもなく、議会費のごときはきわめて少いのであります。むしろほとんど名誉職のような立場において、手弁当でやつておるというのが全国一万町村実情であります。これより以上議会の経費を減らすといいましても、これではむしろ全然なくてやる以外にはないとも言えるような状態でありますからして、二人や三人の定員を減らしたところで、これがまず議員定数を減らしても、町村議会に関する限りは大して効果のないことだ、むしろふやすということも、ある一部においては言われておりますが、ふやすということについても、これはいろいろ議論もありましようが、これはまず現行法を基準といたしまして、必要があるならば、今の制度のもとにおいてそれぞれの町村がこれを縮減できるのでありますから、そういうようにいたしてもらいたいというのが、議員定数を減らすことに対するところの反対の意見であります。  第二の会議の回数の問題については、これも皆さんからお話がありましたので、繰返すようであり、重複をするようでありますが、私もさように考えておりますることは、この会期のきわめて短かいところの地方議会は、国会とは違うのでありまして、年に六回の定例会と、あるいはそれだけで事足らずして、臨時会を開いておるところの町村相当にありますが、一番最初に白鳥町村会長が参考意見を述べましたが、これは私は会議の回数を減らすということよりも、むしろ適当なる回数は必ずやつて、そうして住民政治というものの上に、執行機関とともに反映して行くということが、町村行政の育成強化の上にきわめて役立つことである。もしこれを今回の改正案のように、通常会を一回あるいはそのほかに臨時会ということは、この自治法の規定の上ではこれでよろしいかもしれませんが、さて実際の町村行政の面に行きましたならば、とかく執行機関の方が専決処分をする事項が多くなる、あるいは事後報告を受けるような機会が多くなるというような一つの見通しも持つておるわけであります。こういうような観点からいたしまして、議員定数の改正問題あるいは会議の回数のことについては、私の方の議長会においても意見が一致をいたしまして、すでに皆さんのお手元へその意見及び要望書を差出してあります。  さようなわけでありますから、ただいまも申し上げました通り、皆さんと同じように、地方団体側がきわめて今回の改正案に対しては不満の意を表し、反対の声が盛んに起つておるのでありますから、まずもつて私はこの機会に地方制度調査会を急速にひとつ皆さんの御審議によつておつくりくださいまして、それをもつて国政と地方自治のつながりにおいて遺憾のないような改正案を、相当の時間をかけてつくつていただきたい、こう思います。  最後に、私の方の静岡県の一つの例を申し上げて、ここに御参考にいたしたいと思います。私どもの静岡県におきましても、静岡の地方制度議会というものをつくることにかねて計画をしておりまして、去る二十日、委員十三名をつくりまして、私も委員の一人に加わるよう一昨日県から通知をいただきました。来る二十七日に第一回の会合を開いて、県政と町村政のつながりにおいて、静岡県内の地方制度全般にわたつての審議をすることになつております。私はでき得るならば、全国各府県におきましても、かような県政と町村政とのつながりを考慮していただくことを望んでおる次第でありますが、中央においてもひとつ地方制度調査会を急速におつくりくださいまして、これによつて十分に検討し、地方制度の遺憾のないような改正に持つてつていただくということを念願をいたしております。原則論を申し上げたようでありますが、皆さんがすでに繰返し具体的なことは申し上げましたので、この程度で私の参考意見を終ります。
  57. 河原伊三郎

    ○河原委員長代理 全国建築学会会長伊藤滋君。
  58. 伊藤滋

    ○伊藤参考人 御訂正を願いたいと思いますが、私どもの学会の名前は日本建築学会であります。これはプリントの間違いでございます。  これから申し上げたいと思いますことは、今度の地方自治法の一部改正法律のうち、第百五十八條及び都道府県に置かれます局、部の置き方に関することでございますが、それにつきましては、全国建築学会それから建築士会を初め、建築に関します四団体から委員長あてに意見を具申させていただいております。結論を先に申し上げますと、御承知のように都道府県におきまする建築部あるいは建築局というものは、戰災によりまして、日本の住宅及び都市の建設の問題が非常に重大であるということで、第二国会で改正されまして、建築部というものが任意部として都道府県に置かれるということになつたわけでございまして、その後その必要を認めまして、全国十の都道府県に建築局及び建築部が置かれておるわけでございます。ところが今度の改正案を拝見いたしますと、今申しました任意部というものは消えてしまいまして、人口その他によつて非常にこまかくわけられ、その県の大きさによつて置くべき部局をきめておられます。このことは現在の住宅問題の実情から申しまして、非常に私ども以外に感ずるところでございますので、結論としい人口二百五十万以上の都道府県には建築部というものを標準部として載せていただくように改正を願いたいということが、私の申し上げたいことでございます。  御承知のように、住宅問題はもちろん戰後日本の重大な問題でございますが、ほかの問題と違つて人間生活に関しますものは、その苦しみの現われというものが非常に潜在的でありますために、いつの間にかうつかりいたしますと、表から消えやすい状態にございます。御承知のように、建築問題は戰後世界各国における一番大きな問題となつて取上げられておるわけでございます。日本における住宅問題も、戰後非常な勢いでバラックながら家がたくさん建つて参りましたが、この一両年次第にその建築戸数が減つて参りました。おそらくこれは全体の経済事情によるものだと思いますが、昨年あたりの数字はまだ正確に報告されておりませんが、私の見解では、住宅の建設は全国で三十万を切つておるだろうと思います。ところで私ども専門の立場から人口の増加とか、あるいは既存の建物災害その他による消耗を勘定に入れますと、三十万円を切つておる限りにおいては、次第に住宅不足の状況は進む勘定になるのでありまして、見かけ上焼け野に家が建つたということで御安心なすつては非常に困るのでありまして、このままで住宅はますますその不足を増して行く状態であることを、どうぞ御承知おき願いたいと思います。そのために国会を初めとして、住宅の増加のためにいろいろ手を打つてくださいまして、補助金の問題とかあるいは金融の問題とか、あるいは税の軽減問題とか考えていただきまして、次第に住宅の建設の基本的な條件がそろい出して来ておりますので、私に言わせれば、住宅の問題は今までよりもおぜん立てができまして、これから本格的にかかつて行かなければならない時期だと思うのでございます。それにもかかわらず、今度の地方自治法改正において、住宅部というものが法律の面からむしろ逆に消えて行くということは一体どういうことなのか、私はそれを非常に残念に恐ろしく思うのでございます。  さらに建築の問題としては、御承知のように、日本の都市の火災は世界に類例のないものでございまして、一箇年に火災だけで燒失いたします住宅戸数が五万戸を下らないのであります。先ほど申しましたごとく、三十万建つて行く住宅に対のて、一方において五万に達する住宅を失つて行くということをお考えくださいますだけでも、その間の事情がおわかりと思います。従つてこれに対しては防火地区の設定とか、最近において御採用になりました防火帶の設定とかいうことも、また法律的に整備されましたが、何とかして日本の都市の火災燒失を防がなければならないので、これからますます整備して行かなければならないのであります。  そういうことでぜひこの際建築部というものを、都道府県基本の部として認めていただきたいのでありますが、しかし一方において行政簡素化のこともございますので、全部の都道府県に置いていただこうとは思いません。ただいまございますものが十でありますので、都市の数とか人口の数とかいうものと比べて、また建築戸数から見まして、私の案といたしましては、人口二百五十万以上の都道府県においては、この建築部を基準部として置くことを御採用願いたいと思うのであります。  このことにつきましては、建築部と同じ條件にございました都道府県の労働部が、やはり以前には建築とともに任意部であつたわけでありますが、今度の改正におきまして、他の基準部の数はわかりませんが、この労働部が任意部から基準部にかわりまして、今度は法律の上に明らかに載るようになつております。労働と住宅問題は、日本にとつて両方ともきわめて重大な問題でございますので、労働部だけ載りまして建築部が逆に消えて行くということは、今後の建築行政及び建築政策の遂行に非常に支障になると思われるのでございます。さらに今後の法律で、地方で置く必要があると認めるならば、そういう條例を出して、そうして総理大臣の承認を得れば置けるじやないかということも言えるように思いますけれども、しかし、それは今申しましたように、労働部も同様でありまして、それなら労働部もやはり地方條例で置けばいいわけであります。つまり私どもに言わせれば、建築の今後の行政あるいは政策の重大な程度を逆に軽く考えていることに問題があると思うのでありますし、また実情といたしまして、今後都道府県に置かれます部のうち、おそらくこの法律に現われていない部で置かれるものは、建築部だけだと思いますので、そういうことが都道府県におきまする建築部の立場を、従つてその働きに対しましてどんな支障になるかということは、その辺の事情にお詳しい皆さん方がよくおわかりのことと思います。  それからもう一つ、土木部が基準部にございますので、それだけの規模のものを土木部の中に置けばいいではないかということも、一応言葉に出るべきと思いますが、御承知のように土木の仕事は、国の金によりまして土木工事を実施いたします機関であります。ところが建築師の仕事は、一部には国及び公共団体の金によります事業もございますが、全国で二千六百億にも達します民間の建築事業の指導推進ということが主な目的であります。つまり自分で仕事をする部と、民間の仕事を助成するという点におきまして、非常に性格的に根本的に違う点がございます。そういう理由によりましても、この二つを相当大きな県におきまして同時にやることは、仕事の量から申しましても、性格の上から申しましても、これはどうしてもわけて考えなければ、ほんとうの仕事ができないと思うのでございます。  以上のようなことでございまして、どうかこの際皆様方の十分な御審議と御理解によりまして、建築部を今度の改正案におきまして基準部として載せていただきたい。そうしてその程度は、人口二百五十万以上でいいというふうに考えますので、どうかお考えを願いたいと思います。  特に最後に申し上げたいのは、土木につきましては、全国に地方建設局でございますか、つまり政府の出先機関がございますし、労働につきましても、それぞれの県に労働に関する出先機関がございまして、その上にさらに各地方に土木部、あるいは労働部があるわけでありますが、建築に関しましては、国の出先機関が地方に全然ないのでございますので、もしも建築部が置かれません場合には、どういう形においてもこの行政のしつかりした機関がまつたくないことになるのでございますので、そのこともあわせてお考え願いたいと思います。以上のような理由によりまして、ぜひ御考慮願いたいと思います。
  59. 河原伊三郎

    ○河原委員長代理 東京都事務吏員、東京職員労働組合本郷支部宮下重一郎君。
  60. 宮下重一郎

    ○宮下参考人 議員の皆様方には、よりよき国の政治のため、並びによりよき地方行政確立のために、日夜をわかたぬ並々ならぬ御健闘に対しまして、国民の一員といたしまして衷心より感謝を表する次第でございます。実は本日突然のお招きを受けましてこちらへ参つたのでございまして、皆様にはつきり私の申し上げます意見が御了解できるかどうかという問題につきまして、内心おそれをなしておるものでございます。  ただいままで各参考人の方から、地方行政の改正点、並びによりよき地方行政の問題につきまして、るる御発言がございましたことにつきまして、私といたしましては、すでに皆さんも御承知通りと存じますが、区長公選制の問題と任命制の問題に局限いたしまして、公務員の立場並びに一労働者の立場から皆さんに申し述べてみたい、かように考えるものでございます。私たちは公務員たる一労働者の立場より見て、現在の都区の紛争につきましては、もちろんいずれの側にも加担するものではございません。私たちの現在の願望は、勤労條件の維持改善と、経済的地位の向上以外には何ものもないと信じております。但し国民の一員といたしまして、政治の面については重大な関心は持つております。終戰以来六箇年有余、講和の発効せられました今日、私たちの生活は、まだ最低生活さえも確保できないような状態でございます。ただ公務員即国民の一員であります立場より思いをいたしますとき、よりよき地方政治を待望してまやないものでございます。現在の東京都区間の昨年来の熾烈な紛争を一日も早く円満解決できますよう、議員の皆様方の特段の御配慮を、公務員の立場より、また都民的な立場より、ぜひとも御懇願申し上げる次第でございます。従いまして、現状においては、私たち区の職員も東京都の職員でございますが、これが地方自治法の改正によりまして、われわれの身分をただいまの状態で区に移すんだということでございますならば、相当難点があるのでございます。われわれを現状のまま身分だけ移管されますことは、区の財政権の確立ができておりませんので、さような点につきまして、現在将来とも非常に職員が不安を感じますので、この点は先般衆参両院に向いまして八十万名の署名をとりまして、請願を申し上げたのでございます。それはただ現状におきましてわれわれの身分移管は、われわれの経済生活に重大な脅威がある、かように考えまして、衆参両院に向いまして署名請願をいたしたような次第でございます。もちろん区長公選並びに任命制が是か非かという問題につきまして論評すること、地方公務員法上の、公共団体の執行機関を支持し、また支持しないというようなこと、すなわち公務員が政治的な問題に入ることは、皆さんも御承知通り、憲法第十五條の「公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。」また地方公務員法第三十條あるいは三十六條の立法の精神にかんがみまして、こういつた問題には触れたくない、かようにも考えておるのでございます。一たび公務員として政治問題に入りますと、公務員みずからが法律違反を国民の前に披瀝しておるような結果に相なりまするので、この問題につきましてはわれわれとしても、努めて自粛自戒をしておるような次第でございます。また下部組合に向いましても、そのことのないように特に慎しんでおるような次第でございます。ただ私たちは現在将来とも、不安状態の中唇の執務は困るというだけの気持で署名いたしたような次第でありまして、区長の公選あるいは任命制の点には絶対に関知をいたしておりません。地方公務員法上の三十六條の精神にかんがみまして中立の立場であり、またさような措置をとつておるような次第でございます。  以上簡單でありますが、ごく直面した問題について意見を表明いたしました。
  61. 河原伊三郎

    ○河原委員長代理 これをもつて参考人の意見は全部終了いたした次第でございます。参考人の意見に対して御質疑があればこれを許します。ただ時間も相当長くなりておりますので、参考人の御都合もありますことですから、一人十分以内程度に簡潔に願います。
  62. 門司亮

    ○門司委員 地方議会議長の齋藤さんに、ちよつとお尋ねしたいと思います。齋藤さんの御意見をずつと拜聽いたしておりますると、結論としては結局地方制度調査会を早くこしらえて、これに付託することがいいという意見のようです。それからこれと同様だと考えていいのは大阪の市会議長さんの御意見で、大体この改正法案は少し時期が早過ぎる。要するに行き過ぎているという意見でありますると、それからなお白鳥町長さんの意見も大体似たような意見でありまして、総合いたして参りますると、結局ごの法案は行き週案である、こういうことになり、さらにこれを地方制度調査会に付託して審議をした方がいいというふうな御意見のように大体拝聴するのであります。今地方制度調査会設置法案が出て、内閣委員会でこれを審議をいたしておりまするが、問題はこの調査会の構成の範囲であります。われわれが端的に考えて参りますると、たとえば、各地方公共団体の長であるとか、あるいは議会代表者を加えて、むしろそれらのへたちのみによつてこれらが行われ、さらにこれに若干の学者というような人が加わつて、これを審議することになつておりますが、私はやはり直接事務に携わつております、ほんとうに仕事をしている人の意見が、現実の問題として響くと思うのでありまして、理想の問題は学者その他の方々が十分御承知だと思いまするし、また現実の行政上の事務その他のことについての仕方は、それらの責任者によつて十分だと思いまするが、現実に仕事をしておりまする者が、それでやりいいかやりにくいかということ、その点については非常に議論があると思います。集約して申し上げますると、この調査会の構成のメンバーの中に、働いておる者の代表者を当然加えて、議論すべきではなかろうか、こう考えております。私が聞きまするゆえんのもう一つの理由は、この法案の内容はほとんどそういうことが考えられていないのであります。ただ單に事務を簡素化して、そして費用を減らして行くということが考えられて、窓口のことが考えられておらない。従つて地方行政の最も重要なサービス・センターという気持がだんだん忘れられて行つて、そして権力の官庁のような機構になりつつあるような傾向なのであります。どうしても自治の本旨であるサービス・センターとしての役所とするには、そうしたほんとうに窓口の行政に携わつておる人の意見を聞くことが正しいのではないか。従つて構成メンバーの中に、そういう入を加えることが妥当であるとお考えになつておるかどうかということであります。
  63. 齋藤邦雄

    ○齋藤参考人 お答えいたします。門司さんの地方制度調査会の委員はどういう人たちをメンバーとすべきかというお尋ねでありましたが、その前に一言お断り申し上げておきますが、実はもうすでに地方自治法改正案が国会の俎上に上つております。地方制度調査会をまずもつてつくつてもらいたいということを、先ほども申し上げましたが、そういうふうな意味からお聞き取りを願いたいと思います。  そこでメンバーとして私の考えておりまする点は、すでに政府の方からこの設置法案の要綱が出ておりますが、大体これでいいのじやないかと私は思います。たとえば国会の皆さんの代表者の方々、中央における関係各省の行政機関の職員、それから地方公共団体議会議員及び執行部の職員の代表者、それからさらに地方制度に関する学識経験のある者のうちから内閣総理大臣が任命するもの、こうありますが、私はこういう線で大体適当な人を選んでいただきましたならば、こういう範囲でよくはないかと考えております。こういうように国会及び各省の職員、地方公共団体の——これは特に議決機関と執行機関と、両方から相当数の人たちを入れていただく。それからさらに、それらの人たちは地方のいわゆる経験者という立場から出ておりまするので、学識の方面から学者の相当なる方に入つていただく、こういうことがよくはないか、そう思つております。そういうことによつて完璧な制度を一つつくりあげて、それからそれに基いてわれわれがサービス行政をする、こういうように行くことがいいのじやないかと思つております。
  64. 門司亮

    ○門司委員 この設置法の内容の中に、実は働く者の代表者が抜けておるのであります。これは非常に重要な問題でありまして、ただ議決機関と執行機関のみでは、サービス・センターとしての役目が十分果されません。やはり直接窓口の業務をやつておる者、現場で働いておる、市民たちと最もつながりのある者の意見を、この中に相当入れなければならないというように実は感ずるのであります。従つて地方制度調査会の設置法の要綱の中に、そういうものが落ちておりまするので、特に御意見を承つたわけであります。
  65. 齋藤邦雄

    ○齋藤参考人 私はもちろんそういう直接に仕事に当つておる者が、委員としてお入りになることはいいと考えますが、別にその中に臨時委員という制度なども入つておりますから、そういう方面でお入りを願つて、実際問題の御意見を出していただくというような線でやつたらどうか、こう考えます。
  66. 門司亮

    ○門司委員 それからもう一つ日本建築学会の会長さんにお尋ねしておきたいと思いますことは、今人口二百五十万以上の府県に対して建築部を必置部としてもらいたい、こういう意見であります。現行法におきましてもまた改正法におきましても、部局を設置すれば設置できるのであります。ただ従来のように條例だけでこれができないで、内閣総理大臣に事前に相談するというような中央集権的なものになつておりますが、しかし一応置こうとすれば置ける。ただ私がお聞きしておきたいと思いますことは、この内容といいますか資格の問題でありますが、よく官僚は自分の資格と地位というものを非常に重んずるのでありまして、従つて必置部であれば他の部局長と同じような立場でものが言える。任意部であればお前の方はあつてもなくてもいいということになるので、とにかく必置部にしたいという考え方が官僚の中に強い。従つてそういう角度から必置部でなければ困るという御意見であるのか、そういうものが含まれておるのかどうか。私はおそらく都道府県の部課長の代表者ではございませんから、そういう御意思はないと思いますけれども、あるいはこの二百五十万ということに切られた一つ要素の中に、そういうものが含まれているかどうか。  もう一つ私はお聞きしておきたいと思いますことは、二百五十万以上の府県ということになりますと、福岡、広島は入ると思いますが、東京都を除きますと、あとは五大府県のほか新潟が入りますか、せいぜい十ぐらいしかなかろうと思います。それだけのものにあればいい、その他については任意部でもいい、こういうお考えでございますか。私はこの点に疑問があるのでさらにお聞きしておきますが、今のお話のように建築のことは、非常に重要な問題でありまして、従つて府県の情勢によつて建築を非常に重要視しなければならない府県、ことに住宅の拂底しております府県等があるのでありまして、必ずしも人口だけでこれを割るというわけにはいかないと思う。もしこれを区別しようとするならば、むしろ人口よりも業務が多いとか少いとかいうことが一応議論にされて、あるいは予算上の面から見てもわかるのでありますが、どのくらいの建築その他を必要として常時取扱つておるかというようなことは、計数的には大して困難ではありません。従つて、こういう角度からこの建築を必置部にするということの方がいいのではないかと考えておりますが、その点に対する御意見を承つておきたいと思います。
  67. 伊藤滋

    ○伊藤参考人 一番初めのお役人の立場と申しますから、私は全然そういう役人の世界の外部におりますから、そういうことは頭にございませんので、今おつしやられてそうかなと思つたのでございますが、ただ私がいつも仕事の上やいろいうことで、県庁のそういう部局の方と接しておりまして、それらの周囲の空気を多少でも知つております立場から申すと、建築の行政の仕事が、先ほど申しましたように自分で工事するのではなくて、要するに建築の認可を與えるとか承認をするとかいう受身の仕事が非常に多いために、関係の方とも接触が非常に多いわけでございます。従つてそういう仕事の上の問題と部局の改廃というものとが、非常にしばしば関連を生ずることがあることを私は想像されるのでございます。これは私ども官庁の外におります者としては、少と推察が過ぎるかもしれませんが、そういう意味から申しましても、そのことは何も官吏の立場ということでなく、建築行政をしつかりした立場に置く上においてぜひ必要じやないか、そういう考えでございます。  それから第二の設置します基準と申しますか、わけ方については、おつしやる通りだと思います。そのことは同時に建築ばかりでなく、労働につきましてもほかの部局におきましても、本来はそうあるべきだと思うのでございます。ただ私が二百五十万以上ということを申し上げたのは、今日の改正案がそういう形式をとつておりますので、そういう形式に乗せるのであればということであるわけでございます。
  68. 門司亮

    ○門司委員 時間が来ておりますので、もう一点だけ聞いそおきたいと思いますが、これは大阪の市会議長さんからでも、宇都宮の市長さんからでもけつこうだと思います。それは議員定数の問題と会期の縮小の問題でありますが、先ほどの公述の中にもありましたように、議員定数の問題にいたしましても会期の問題にいたしましても、昔にもどそうという考えであります。今回の改正法案は、明らかに新しい日本の憲法にのつとつた行き方と、まつたく逆行しておるわけでありまして、悪くいつたならば明治二十二年の町村制あるいは府県制のしかれたときの形にもどそうという、非常に古いものの考え方であります。現行法によれば市町村長は市町村議会議員を減らすことができるようになつております。これはふやす場合におきましても、おのおのの市町村議会の議決を経ければなりません。また減らそうと思えば減らせるのであつて、私は何もここで法律できめて定員を少くしなければなければならないというような、きゆうくつなことはしなくてもいいと思ろ。この点現行法で十分であるとお考えであるかどうか。  それから会期の問題にいたしましても、先ほどから申し上げておりまするように、何も昔にもどさんでも現行法で行き過ぎはない、またそういうことでなければ非常に事務がたくさんありますのと、それから将来国政事務が地元に移管されることはわかり切つておるのであるから、事務のふえることははつきりしております。従つて議会の回数を少くすることは私どもとしてはどうしても納得が行かないのですが、こういう点についても、もう少し率直に御意見を承つておきたいと思います。
  69. 田村敬太郎

    ○田村参考人 ただいま門司先生からお尋ねがありました定数の問題でございますが、おつしやる通りでありまして、一例を大阪市会にとりますれば、昨年の改選におきまして、定員八十四名であるところを議会の議決を経まして七十二名に限定いたしたような実例があるのであります。それから会期の問題でございますが、先ほども陳述いたしました通り、本年の予算市会におきましては、三月の二日に開会をいたしまして、終了いたしたのが三十日の午前三時五十分ころでありまして、その間はほとんど毎日のように常任委員会を開会し、あるいは実地調査をやり、また委員会におきましては深夜に及んだことも、数限りないほどあつたのであります。そういたしましてようやく三十日の午前四時前に決定を見たような次第でありますので、十日間ではどうにもならないと思うわけであります。従つて十日間の会期に対しましては、われわれ承服することができないのであります。
  70. 立花敏男

    ○立花委員 茨城県知事の友末さんにお伺いいたします。大体の参考人の方はこの改正案に反対の意向が強い。県会議長さんたちは大体反対の意向なのですが、どうも知事さんだけは賛成の意見のようなんで、この間も知事さんが来られまして、早く通してくれというようなお話があつたのですが、ちよつとふに落ちないのです。知事さんだけが非常に本自治法に賛成である。しかも府県議会の意思に反して賛成であるということが、どうもふに落ちない。政府自治法を貫く精神、あるいはその他の自治関係法案を見ましても、知事の権限が非常に強化されておる形が出て来ておることは、これは疑う余地はないわけであります。いろいろな法案が出ておりますが、その考え方が、参考人の方は皆さん反動的だ、中央集権的だと言つておられる。その政府の方針とが一致しているような形が見えるのですが、その点を御説明願いたいと思います。
  71. 友末洋治

    ○友末参考人 今日の地方自治の現状は、御承知のように、その組織におきましても、またその事務におきましても、非常にふくれて参つております。一方これに伴いますところの財政は、さわめて貧弱でございます。特に府県においてその傾向がはなはだしいのであります。すなわち構えば相当広く、地方自治が擴大強化されたようなかつこうはいたしておりますけれども、実質におきましては、その裏づけをなしますところの金がきわめて不十分である。かような片ちんばの状況に相なつております。そこで今後の地方自治を確立いたしますためには、名実ともに地方自治にふさわしい姿に、行政機構、行政事務、また行政財政というものを、総合的に均衡のとれるようなかつこうに持つて行きますることが根本であろう、かように考えております。これをやりますためには、もつと時間をかけてゆつくりおちついて、総合的に検討した後において、案を立てるべきだ。ちよつとした思いつきでやりますことは、むしろ地方自治の総合運営を阻害するというふうな危険すら、われわれは考えるものであります。村方自治は実は生きものでありますから、よほどその実態を見きわめてやりませんと、形は整いましても、実際の地方自治の実績は上らないというふうなことを、われわれは身をもつて体験いたして、今日まで参つておるわけであります。そこでこの根本問題を徹底的にやる必要があるのでありますが、今回政府が提案されておりますところの一部改正法案は、先ほどちよつと申し上げましたが、地方行政調査委員会議で、またその他の委員会で、しばしば検討された大体専門家の結論であり、私ども実際家から見ましても、事務上困つておりまする点、その他を常識的に拾い上げて、一部改正をせられるわけでございます。そこで根本的な問題に触れておりませんけれども、まずやらぬよりはやつた方が、少しはプラスになる、多少進歩的に進んでおるという程度のものと、私どもは認めざるを得ない。また一面かようなものならば、先ほど申し上げましたが、この線に浴つて行政の簡素化あるいはまた能率化という面について、各県とも事務的にもかなり準備をいたしており、また財政計画もこれに伴つておるわけであります。今後これをやらないで、財政計画をさらに立て直して、平衡交付金をふやすとか、あるいは税でもつてこれを補うとかいうようなことも、なかなか実際問題として容易でないのではないかと思う。せつかく苦心して提案されておりますから、さような程度のものであれば、しいて知事側としては反対する必要がないという程度のものでございますから、さように御了承願いたいと思います。
  72. 立花敏男

    ○立花委員 大分ほかの方と意見の相違があるようですが、ほかの方は県会議長さんまで含んで、根本的な地方自治の逆行である、中央集権化であり、官僚化であると述べられております。それを友末さんが、この程度のものなら早く通した方がいいだろうと言われるのは、少しおかしいと思いますので、この点よく他の方の意見をごしんしやく願いまして、もう一度考えていただきたいと思います。  それから千葉の県会議長さんにお尋ねいたします。非常に重大な発言をなさつたようですが、とにかく今地方は財政的に非常に困つておる。しかるにかかわらず中央からひもつきのわずかの金を出して、しかも期限を切つて早くやれという仕事を押しつけて来る。これでは地方はたまらないということを言われましたが、ここに私は地方の現在の財政、行政の行き詰まりがあると思う。そういう意味において、この発言は非常に重大なんで、具体的にどういうものを中央から地方にひもつきで、期限つきで押しつけて来ておるかということを、二、三実例をお示し願いたいと思います。
  73. 勝田友三郎

    ○勝田参考人 具体的に申し上げろというお話でございますが、衛生行政に関する方面相当あるようでございます。それから民生行政に関する方面、具体的にこれありということは、この席でなしに書面で申し上げます。ただ抽象論としては、期限を付して、しかもわずかの予算の裏づけをしただけで、これをやれということを府県に要求しているのが大分多いのです。今非常に困つておる。これはここの席ではつきり申し上げないで、具体的な点はで文書で申し上げます。範囲は民生行政、衛生行政方面に、非常に多いということをお知らせいたします。
  74. 立花敏男

    ○立花委員 そういう形で民生関係、あるいは住民に直接関係のある衛生関係、こういう仕事を政府が責任を持たない。その責任と経費とを全部地方にまかせてしまつて、中央の仕事は軍事的なものに集中して行くという形が、はつきり現われておりまして、ここから地方の財政の困難、行政の行き詰まりが出て来ておると思います。その最もいい例だと思いますので、ぜひ文書で具体的なものをお出し願いたいと思います。
  75. 勝田友三郎

    ○勝田参考人 承知いたしました。
  76. 立花敏男

    ○立花委員 それから大阪の田村さんにお尋ねいたしたいと思います。現在地方は非常に財政的に困つておるということが、いろいろの地方の問題の原因だと思います。私今神戸におりますが、地方の市役所等に対しまして市民が一番不満を持ち、地方の産業自体が不満を持つておりますのは、今地方の産業は、特殊のものを除いて、ほとんど破産状態にあります。ここから市の財政というものが非常に困難を感じて来るということがあると思うのですが、この問題を市としてはほとんど扱つていないようなんです。扱りておるとしても、非常に部分的にしか扱つていない。財政的な支出も非常にわずかであるというふうな形で、自分の市の財源である市の産業、郷土産業と申しますか、そういう地方産業が、政府の施策でどんどんつきれて行く。これは市としてはわが身を削られるような思いだと思うのです。これに対して市が何ら権限も対策もないということは、問題だろうと思うのですが、そこから市の財政の困難が起つて参り、従つて市の財政が困難だから、市会の定員も減らせということになつて来るのではないかと思いますが、地元の産業の問題について、市の理事者として、あるいは議長とされて、もう少し何か市として打つべき手をお考えになる必要があるのじやないか。政府からもつと権限を委譲させて、市自身で、市関係の産業を保護育成する方法を十分とられるような手を打つべきじやないかと思いますが、この点どうお考えになつておりますか。
  77. 田村敬太郎

    ○田村参考人 お答えを申し上げます。ただいまのお尋ねは、大体理事者に対するお尋ねのように思われるわけでありますが、大都市の財政が困つておるということは、仰せの通りであります。そこで私どもは常に、たとえばタバコ税、あるいは遊興飲食税、あるいは入場税の一部を、われわれの方に委譲してもらいたいという強い要求をいたしておるのであります。すなわち地方税制の改正を、われわれとしてはお願いをしておるようなわけであります。そういうような状態でありまして、議員定数を減らしたからといつて、これが財源的に見まして、大阪の場合にはそう大した影響もないわけでありまして、先ほども申し上げました通りほんとう日本民主化させるにつきましては、地方公共団体の強化擴充にあるという固い決心を持つておりますので、われわれはいま少し地方公共団体に権限を委譲してもらいたい、こういう強い信念を持つて、請願、陳情をいたしておるような次第であります。税制の問題につきましては、以上の通りでありまして、今のところは大阪市といたしましては、固定資産税が主なる財源になつております。御承知通りインフレが高進して参りますと、延びがありますところの税金は、全部府の方に納めなければならない。延びのないもののみにたよつておる。そういうふうな現状であります。もしこれが旧法によりますならば、大阪の場合は、この差額が昨年度にいたしまして約四十億あると聞いておるのであります。こういうような状態でありまして、特に大阪は財政上困つておるような実情でございます。何とかひとつ考えを願いたいと思うわけであります。
  78. 立花敏男

    ○立花委員 私ども聞いておりますのは、大阪の産業は、主として大陸関係の産業が多くて、中日貿易を非常に望んでおられる。あるいは中日貿易だけではなくて、いろいろな海外の貿易の問題を望んでおられる。ところがその貿易が非常に不況でございまして、あるいは中日貿易の禁止等がありまして、非常に大阪の財界の困難があり、破産状態が続とておる。そうなつて参りますと、言われましたような固定資産税ももちろんとれないのですが、産業の破壊というものは住民の担税能力にも関係して参りまして、議長さんが言われましたように、ほんとうに確固たる地方自治体の確立をお望みになるのであれば、地方産業の問題とは切り離して考えられないと思います。ところがこの結びつきが非常に薄い。しかも中央の政府の一方的な、独断的なやり方によつて地方の産業は壊滅的な影響を受けて行く。これに対してやはり市というものが、自己の自治体を確立する方向へ進めば進むほど、やはり地元の産業というものを、自分らの力で保護育成して、地元の産業を破壊するような政策に対しては、断固として闘つて行くということでなければならないと思うのですが、その点をひとつ、大阪の具体的な実情で、市としてはそういう問題をどういうように扱われておるか、御答弁願いたいと思います。  時間がありませんから、次の質問をいたしたいと思いますが、東京都の宮下君にお尋ねいたします。地方公務員法が、地方自治法反対の国会の陳情を、禁止しておるというふうに言われておりますが、こういうことは私地方公務員法にはないと思うのですが、その点明確にしていただきたいのと、それからこの間原島副委員長が来られまして、組合として自治法改正反対を決定した。あるいは二十三区の区長公選制廃止に賛成した。そのにめに八十万人の署名をとつたのだと言われましたが、これはその通りであるかどうか、それをひとつ承りたいと思います。
  79. 田村敬太郎

    ○田村参考人 ただいまの重ねてのお尋ねでございますが、よく調査いたしまして、後日文書で申し上げたとと思います。
  80. 宮下重一郎

    ○宮下参考人 ただいま立花先生からの御質問に対しまして、お答え申し上げます。実は私たち労働組合が、この地方自治法の問題につきまして、八十万名の署名をとつた問題でございますが、これは当初から地方公務員といたしましては、先ほど私が申し上げました通り、政治の面に介入するという、まことに複雑微妙な関係にございます。これは都の組合の本部の原島君にいたしましても、よく存じておるはずでございます。もちろんわれわれが機関決定いたしまして、八十万名の署名をとつて、衆参両院に請願いたしましようという問題は、現状において、われわれの身分が区に移ることは、われわれの給與即生活の問題が不安であるというような観点について、署名をとつたにすぎないのであります。もちろん先般の公聴会におきまして、原島委員が出席なされまして——私はある新聞で見たのでございますが、区移管の反対の署名の問題は、即区長の任命制に賛意を表しておる署名であるというような新聞記事を見ました。この新聞記事が真実であるならば、われわれの実際行いました署名と、まつこうから相反する問題でございます。このことは先ほど申しました通りでございますが、私たちといたしましては、少くとも二十三区に職を奉じております職員そのものは、この区移管反対の署名なるものは、政治的な問題には少しも触れていない、かような点につきまして署名をいたしたような次第でございます。
  81. 立花敏男

    ○立花委員 ただいま日本の労働者は、破防法反対の第三波ストライキをやろうとしておりますが、あなたのお考えによりますと、自治法反対の陳情運動さえできないとおつしやられますことは、あなたと同じ他の労働者が、すでに破防法反対のゼネストまでやろうとしておるその際に、一部の都職労の人たちが、自治法反対の陳情さえできないと言つておられることは、これは大きに全体の労働者の闘争意欲を削減するのじやないかと思いますが、そういう点でここでお答えを求めようとは思いませんが、地方公務員法によつて、そういう運動がやられないのだというような考え方は、やめていただきたいと思います。これだけお願いして質問を終ります。
  82. 宮下重一郎

    ○宮下参考人 ただいまの御質問に対しましてお答えいたします。ただいま私が申し上げましたことは、そういう政治的の分野に介入する問題が、即破防法の問題に入つていないじやないかというような関係はございますが、破防法そのものも、よく解剖してみますならば、われわれ労働者としての生活、要するに経済的の地位の向上の面、それから勤労條件の維持改善の面に、重大なつながりを持つておりますので、一労働者の立場から私も、その点について大いに破防法は現状のままでは絶対反対をとなえておるのでございます。その点ひとつ御了承願いたいと思います。
  83. 八百板正

    ○八百板委員 時間がおそくなつて参りますので、簡單に要点だけお尋ねいたしたいと思いますが、まず第一に茨城県知事の友末さんにお伺いしたいのでありますが、あなたはこれはやや進歩的なものだという意味で賛成であるという御意見を述べられておるのでありますが、言うまでもなく、この中には区長の任命とか、議会定員を減らすとか、一連の執行部の強化、議会の権限の縮小弱化、こういうようなものを内容としておるものでありまして、いわば執行権を強くして専決処分を多くするという方向を含んだものであります。そういう考え方がやや進歩的なものであると言われますならば、そういう形において、もつとやや進んだ形として、知事公選ということが、今やめられようとする意見が出ておるのでありますが、あなたは知事の任命制に対しても、やや進歩的なものとして御賛成せられる意思であるかどうか、この際ちよつと御参考までに伺つておきたいと思います。
  84. 友末洋治

    ○友末参考人 知事の公選制廃止につきましては、まつた意見を異にいたしておりまして、これを進歩的なものとは考えておりません。ただ都の区長任命制の問題でございますが、これと知事の任命制とを同一に取扱うことはいかがかと考えます。すなわち常識的に考えまして、東京都の区というものは、東京都全体の一部であると、われわれは公平に考えて、さように実は判断をいたしておるのでございます。そこで区というものを独立の自治体にすることは、むしろ従来の行き方がふしぎであつたのではなかろうかとさえ考えておるぐらいであります。今度の一部改正が多少プラスになるというふうな考えを持ちまする点は、今後民主政治の進歩向上と並行いたしまして、行政の総合運営をさらに強化して参る一面、行政の組織を簡素にいたしまして、行政事務費というものを極力少くする。重い税金ができるだけ多く住民の福利にはね返つて来るということが、一つの進歩的な行政のあり方ではなかろうか、かように考えるのでございます。そこで議員定数をどの程度に押えるかということは、非常にむずかしい問題であります。しかし現在の数は少いとは申しがたい。民主政治の向上発展とともに、漸進的にできるだけ少くして参る方向が正しい行き方ではなかろうか、かように考えております。  それから県の行政機構につきましても、まつたく同様でございます。  さらに議会の回数でございますが、現行法は御承知のように六回以上と限定されおります。かように限定をいたしますことは、地方自治体に対しますところの不当の干渉とすら私は考えるのであつて、この回数は、年によつても違いまするし、また府県の状況によつても違うのであります。そこで相当弾力性のある回数にすべきである。今日知事といたしましては、議会方面とよく協調連絡をいたしまして、議会の日取りあるいは回数等をきめて参つております。一年に何回必ず開かなければならぬと、さようなきゆうくつなことでなく、必要々々に応じて、回数もきめられ、またその日数もきめられるような、相当弾力性のある措置が、むしろ中央として地方に対する親切ではなかろうか。今回提案になつておりまするところの通常会、これは各県とも年に一回三十日ぐらい開いております予算議会で、あとの定例県会は大体五日ないし一週間というものでございます。これが今回提案になつておりますところの臨時会だと思うのであります。そこでこの臨時会を県会とよく協調いたしまして、開会いたしますれば、運営上何ら支障のない運営ができるのではないか。かように実は考えておる次第であります。
  85. 八百板正

    ○八百板委員 時間もございませんから、なるたけ簡單に御答弁の方も、していただきたいと存じます。大部御意見が加わりましたので、私もちよつと意見を述べておきますが、知事さんのお話は、何か議会の権限が縮小されますと、その部分だけ自治体の長としての知事の方に加わつて来るようなお考えがあるのじやないかという感じもするのでありますが、結局今日問題になつておるのは、自治体の権能が全体として縮小せられるという傾向に問題があるのでありますから、従つて議会の権能が縮小せられるような傾向は、やがては自治体の長としての知事の権能も弱められて行くという傾向と共通のものだというふうに、お考えいただかなくちやならぬじやないかと私は思うのであります。そういう意味で知事の任命につながるものである、こういうふうな考え方を私どもは持つておるわけであります。これは意見になりますから、これ以上申し上げません。  次に千葉議長さんにお尋ねしたいのであります。今日県議会の常任委員が、現状において十分に綿密な審議が  できるかどうか。かような点について御意見を承つておきたいと思います。先ほど大阪の市会議長さんからは夜通しもしなくちやならぬほど忙しいというふうなお話があつたのでございますが、それは大阪市のような場合だけであつて、一般の府県の場合には、それほど忙しくない、現在の常任委員会の数人で綿密な審議をするに十分だというふうに、お考えになつておられるのかどうか。その辺を比較してお答えいただきたいと思います。
  86. 勝田友三郎

    ○勝田参考人 ただいまのお尋ねでございますが、委員会の審議ぶりは、大体私どもはあの程度ならば、まず相当熱心にやつておると概括的に申し上げることができると思います。大体私どものやつておるのは、五日間の会期といたしますと、最初の日が開会で、知事の説明があります。一日議案審査のため休みまして、第三日と第四日を委員会に振り向けております。そしてこの二日間に、委員会と申しましても、非常に忙しい委員会と比較的忙しくない委員会とございまして、議案によりまして全然委員付託のない委員会もございますが、とにかく二日間割当てますと、大体深更に及ぶというようなことはございませんが、夕食過ぎくらいまでやることが非常に多いのであります。委員会の審議の模様につきましては、打明けたところ、こういうことになるのじやないかと思うのです。たとえば事業をやる委員会は特別委員会であるとか、あるいは農林委員会というような、直接民衆につながりの多い、道路をつくるとかあるいは土地改良をやるとかいつたような委員会では、大体その議員の要望するところが、県会を開いて提案する前に県の当局と話合いが若干行われますから、従いましてその委員会では割合に波瀾がなく行くようであります。それは、道路を改修するという提案をしたものを否決するというわけには参りませんので、こういう事業をやる委員会は、比較的スムーズに行つておりますが、たとえば総務委員会のような、人事とか予算とかいつたようなものを主として取扱う委員会は、非常に紛糾をきわめまして、これはもう非常にほかの委員会とはバランスがとれないくらい、夜遅くまでやることが多いのであります。しかし、御承知のように、委員会は会期中だけでございまして、会期中以外には何もございませんから、どうしても参事会のような制度のないのに、ただ一回しか定例会を持たないということには、われわれは承服できない。だからこれは御質問とちよつと離れておるようでございますが、よろしうございますか……。
  87. 八百板正

    ○八百板委員 わかりましたいろいろ御懇切なお答えをいただきまして恐縮に存ずるわけですが、皆さんに少しずつ問題点をお尋ねしたいと存じますので、できるだけ簡單に要点についてだけお答えをいただきたいと存ずる次第であります。  次に宇都宮の市長の佐藤さんにお尋ねしたいのでございまするが、御意見を伺いますると、一般的には、執行権の集中に反対し、いわゆる総理大臣の協議とか、告示とか、あるいは助言、情報の提供というような、あるいは監督、干渉権の復活というような傾向に対して、一般的には反対しておられるのが市長さんの立場でございます。ところが市の場合になりますと、一般的には、そういう傾向に対して反対しておられながら議員定員を減らすという点について、現在の三分の一程度でもやれるというふうな御意見でありますが、これを両方合せますと、何か非常に便宜的な御意見のように感ぜられるのでございますが、何か特殊な事情というようなものを考慮に入れての御意見でございますか。その点ちよつと明らかにしていただきたいと思います。
  88. 佐藤和三郎

    ○佐藤参考人 問題は、今度の改正案に対して意見をというお話でございますので、感づいたことを申し上げただけでありまして、あくまで市町村優先で行くという建前において、知事あるいは政府——政府というか、わざわざ権限を中央に持つて来る必要はないじやないかということになるわけです。あくまで地方行政自治で行くべきだ。それから定数の問題等についての今度の案が出ておりまするから、三分の一にしていいという意味ではない。現在の定員より約三分の一減じても運営がつく、こういうことを申し上げたわけで、三分の一にしろという意味ではないのでございます。しかもこれは、減らすことには、御承知通り皆全部反対、増加することには賛成であります。でありますから、これは標準でありますから、三分の一を減じて、現在の定員の三分の二程度標準を置いてもさしつかえないじやないか。最小限度の標準といつては申訳ないが、最低限を定めておくという程度で、結局地方においては、ふえてしまうわけでいいじやないかということを申し上げたわけであります。
  89. 八百板正

    ○八百板委員 大阪の市会議長さんにちよつとお尋ねしたいと思うのですが、大分大阪の場合はお忙しくて、なかなかこれでもやりきれないというふうな御意見でございまするが、その場合の救済策として、まず議員の質を向上するというような方法で救済し得るか、それとも回数をふやすというような方法で可能か、それとも大阪のような場合は、もつと定員数をふやさなければならぬというような御意見か、この点をちよつと簡單にお答え願います。
  90. 田村敬太郎

    ○田村参考人 先ほど門司先生にお答えいたしました通り、大阪の場合は、ほんとうなら八十四名の定員のところ、いろいろ勘案いたしまして、市会は、現在七十二名に減じておるわけであります。
  91. 八百板正

    ○八百板委員 それから市会議長さんの御意見の中に、府県会の廃止という御意見がございましたが、この府県会の廃止という御意見は、二重行政、二重監督の廃止ということを申されておりますが、これは、中間機関を置かない、たとえば道州制というようなことを考えてのお話でございますか。それともそういうものを全然置かないで、自治体基礎市町村だけに置くというお考えでありますか。
  92. 田村敬太郎

    ○田村参考人 お答えいたします。私どもの強い信念といたしましては、国の政治の基本自治体に置く、この信念を持つて進んでおりますので、もしかりに自治体においてでき得ないところの仕事があるとするならば、それは中間的な機関を設けて、その機関においてやるべきであるというように考えておりますので、二重行政、二重監督の廃止を叫んでおるのであります。
  93. 八百板正

    ○八百板委員 おしまいに宮下さんにちよつとお尋ねしたいのですが、御意見によりますと、政治活動には触れてはならないから、区長任命の問題についての意見を含まない署名であつたというふうな意味にとるのでありますが、この前の、あなたの同僚の職員組合の方の御意見では、あれは区長任命の問題に触れての、それを含んでの署名であるというふうな御意見であつたのでありますが、そうしますと、区長任命の意味合いを含んだ署名ではなかつた、間違いだ。ある意味ではあなた方の直接の経済上の問題だけを取上げた署名を逆に利用されたのだ、こういうふうに受取れるのですが、そう考えてよろしうございますか。
  94. 宮下重一郎

    ○宮下参考人 ただいまの御質問に対しましてお答え申し上げます。確かにその通りでございます。この署名をとりますときは、先ほど申し上げましたような條件のもとに、ただいまの区の財政の不確実な状態におきまして、われわれが区に移管されたらどうなるか、まず給與の問題その他が不安であるというようなことのみに限定いたしまして、われわれといたしましては、署名したのでございます。そうしてこの政治問題の分野に入るとか入らないとかいう問題になりますが、現状においても、地公法そのものは、われわれとしてはアメリカ式の地公法であつて、この日本の公務員としては、少し実情に沿わない点もあるのではないか。もちろん昭和二十五年の十二月地方公務員法が、アメリカからの指示によりましてできたたことと私は聞いております。こういつたような公務員法の中で、われわれの手足を縛つて、政治活動はいかぬということに相なつております。もちろんそれ前は、労働組合法によつて、われわれ官庁に勤める職員に対しましても、そういうようなことでもつて労働組合法の中で、一般労働者と同じような態勢のもとに、いろいろな政治問題その他の問題に対して、一応邁進をして来ましたことは、皆さんも御承知通りであると思います。もちろん皆さんのお力によりまして、この地公法が生れたのでありますが、これは地公法にも絶対反対しておつたのであります。それがこの法律通りましたために、やむを得ず、われわれもくやしいけれども、とにかく歯を食いしばつて今がまんしているような状態であります。これが日本が独立いたしまして一本立ちになりましたのですから、この地公法をわれわれの言う通りに御改正願いますように衷心からお願いする次第でございます。
  95. 河原伊三郎

    ○河原委員長代理 大石ヨシエ君。
  96. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 それでは第一点宮下さんにお尋ねします。私しつこいの大きらいですから簡單に言つてください。私も簡單に尋ねます。あなたは区長任命制に賛成ですね。いかがですか。この点はつきりお答えいただきたい。賛成か、ノーかイエスか言つてください。
  97. 宮下重一郎

    ○宮下参考人 中立でございます。どちらの味方もいたしません。
  98. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 じやあなたは区長が任命されようとされまいと、自分の生活さえよくなればどつちでもいい、ごうとりましてよろしいですね。
  99. 宮下重一郎

    ○宮下参考人 それはただいま申し上げました通りわれわれは縛られております。その観点によりましてあくまでも中立で行きたい、かように考えております。
  100. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 わかつている。じや署名というものは心にもないことを署名したとでもおつしやるのですか。いらぬことを言わないではつきり言つてください。
  101. 宮下重一郎

    ○宮下参考人 心にあつたことでございます。それはわれわれが現状においては不安でたまらないというような角度から署したにすぎません。
  102. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 あなたが区長任命制に賛成であるか、賛成でないか、それを尋ねておるのです。じやあなた区長が任命制になつてもならなくてもどつちでもいいのですね。それを私は尋ねているのですよ。あなた中間なんということはないですよ。
  103. 河原伊三郎

    ○河原委員長代理 大石君に申し上げます。そのことはすでに中立であるという御答弁がありましたから、何べんお聞きになつても同じだと思います。
  104. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 それをはつきり私たち参考になるために聞いている。中立の人の意見は聞きたくない。あなたが区長任命制に賛成であるかいなかということを聞きたい。
  105. 宮下重一郎

    ○宮下参考人 私は個人の立場から区長任命制には地方分権の問題ともからんで絶対反対でございます。
  106. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 区長任命制は反対で、公選に賛成ですね。それを尋ねているのです。  それから第一点知事さんに、友末さん、あなたのこと私途中から入りましてよくお聞きいたしませんで、はなはだ失礼ですが、どうもあなたの頭が古いと思うのですが、一体政党は何でございますか。ちよつとお尋ねします。
  107. 友末洋治

    ○友末参考人 党籍はございません。
  108. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 それでは無所属でございますね。それでは区長の任命制は都の問題であるからどういうふうになつてもいいというようなお言葉のように聞きましたが、その区長の任命制、公選が任命される、やがてはあなた方の首の問題になつて、あなた方もやがて総理大臣から昔のように任命制になることを、あなたは御存じでございますか。それをちよつとお聞きしたいと思う。
  109. 友末洋治

    ○友末参考人 区長の任命制と知事の任命制は、まつたく無関係のものと私は判断をいたしております。
  110. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 無関係とおつしやいますけれども、これは前奏曲でだんだんと区長の任命制から、それからあなた方の首の問題になり、そうしてまた府県議員が問題になりかけておつて、そうして府県議員定数を減らそうというような問題になる。それからまた選挙の年令を切り上げる。こういうふうになつて、だんだんとあなた方の県会議員の点、かつまた市県知事を任命制にしようとしている。この区長の任命制がその前奏曲であるということを、ちよつと頭に置いてお考えを願いたいと思うのでございます。  それから私は次に伊藤さんにお尋ねしたいのですが、日本に建築部を置かれております府県は、一体どことどこでございますか、私存じ上げませんのでちよつとお教え願いたいのであります。
  111. 伊藤滋

    ○伊藤参考人 今置かれておりますのは東京都に建築局、それから部が置かれているのが大阪、京都、愛知、神奈川、兵庫、北海道、福岡、広島、山口でございます。
  112. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 そうすると十でございますか。
  113. 伊藤滋

    ○伊藤参考人 そうでございます。
  114. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 私たちしろうとは、その道のエキスパートでございませんので、よく土木と建築なら一緒のようなものと思うのでありますが、土木と建築といかに違うかという点を、あなたはエキスパートでございますから、お数えを願いたいと思います。
  115. 伊藤滋

    ○伊藤参考人 それは非常にむずかしいことだと思いますが、ただこういう誤解があると思います。土木と建築の工事をやる組織というものが、いわゆる土建屋さんという言葉がありますが、建築をやり土木をやるという工事者でございますね。コントラクターというのがそうであります。そのため一緒だと思うことが非常に多いわけであります。ところがそれは工事をやることが非常に類似しておるということであつて、計画とか行政とかいうものまで同じものだとお考え願うことは、そこによく誤解が起つておると私は思います。
  116. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 その誤解の点が私たちにはわからぬので、ちよつと教えていただきたい。
  117. 伊藤滋

    ○伊藤参考人 道路も人間が使いますし、それから電気も結局は人間が使うものですが、土木の計画とか、われわれのいわゆる技術の専門から申しますと、土木というものは自然を相手にするものでございます。それから建築というものは人間の生活を相手にするもの、そこに根本的の差があると思います。
  118. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 そうすると電気の発電の問題などは、それは土木に関係するのですか。
  119. 伊藤滋

    ○伊藤参考人 そうでございます。
  120. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 それからただいま大阪の市会議長さんの田村さんにちよつとお尋ねいたしたいと思うのでありますが、あなた方は特別市制に非常に御賛成の方と思うのでございますが、ちよつと二重行政、三重行政とおつしやいましたが、その二重行政、三重行政というものは大阪の市長さん、その他あなた方の知事さんとお互いに話合いが、何とかつかないものでしようか。その点ちよつと聞かしていただきたい。
  121. 田村敬太郎

    ○田村参考人 不幸にいたしまして、その話合いがつくかつかぬということは私は今わかりません。
  122. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 実は私は特別市制—ちよつと大阪の人聞いておつてください。私は特別市制には実は反対なのです。それは大阪市という大きなものと、農林というものが一つになつて、これで初めて一体化するのですが、それが弱いものをいじめて強いものばかりこうして行こうとする。そうして府税は親代々から、昔から取立てておいて市がよくなつて、道路、学校、水道等すべて市の方へとつておいて、それから後もうお前たち役のがれで、農林の方はこかされるという、こういうような非常に薄情のあなた方のお気持を、私は義憤を感じているような次第でありますが、お帰りになりましたなら、よく市長さんとも御相談の上、何なりと御一考を煩わしたいと思うのであります。
  123. 河原伊三郎

    ○河原委員長代理 この際お諮りいたします。議員尾崎末吉君から委会外の発言を求められております。これを許すに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  124. 河原伊三郎

    ○河原委員長代理 それでは御異議なしと認めて、尾崎君に発言を許します。尾崎末吉君。
  125. 尾崎末吉

    ○尾崎末吉君 時間がないようでありますから、ごく簡單に建築学会の伊藤さんと齋藤さんに二、三お伺い申し上げてみたいと思います。  今委員長から話がありましたように、私は本委員会の委員でなく、予算委員をやつておるのでありますが、毎年国会の休会中各地方自治団体の財政の事情等を調査に参つておりますので、そういうところからお伺いしたいことを二、三お尋ね申し上げます。  まず建築学会の伊藤さんに伺つてみたいと思いますことは、建築面の行政を強化したいという御意見がありまして、私も非常に同感なんですが、日本の従来の都市計画というものが、土木の面からばかり主として考えられて、土木による都市計画が定められたあとに、さて建築はどうするかというような行き方があつたために、災害等の場合に非常に大きな災害を来した。従つて今後の都市計画等については、建築ということを非常に重きを置いた行政にしたいということを始終聞かされ、私もそう思つているのですが、これらの点についてごく簡單に御意見を承りたいと思います。
  126. 伊藤滋

    ○伊藤参考人 ただいまの御質問は、私どもが非常に責任を感じ、重大に考えている点で、お説の通り考えております。日本の土木建築に関する技術のうち、土木が先行いたしまして、かり非常に優秀な方々がおられたために、日本の都市計画というものは、土木の専門というがごとくになつております。従つて日本の都市計画は地応でも中央でも大体土木の専門の方の手によつて行われておりますが、都市は人間が住み働くところであり、住み働くためには家が建つ。その家を建てるためにどういう通路が必要であり、どういう交通が必要であるということを考えるべきだと私どもは思つております。しかしこの点につきましては、漸次土木と建築との提携が発達しておると思います。その証拠には、過日都市計画学会というものが成立いたしましたが、これは土木と建築の専門家が共同いたしまして、一つの専門学会をつくりまして、その学会の会長には建築を専門とする内田祥三博士がなつておられるのを見てもわかる通り、今後この提携はだんだんよくなつて行くと思います。またそうすることが私どもの責任と考えております。
  127. 尾崎末吉

    ○尾崎末吉君 今御説明つたように、都市計画の中に建築のことを考えられなかつた結果、風水害とか火災とかいうものが、非常に多く出るようになつたと聞かされているのですが、実績の上から見てそういうことがあるのですか。
  128. 伊藤滋

    ○伊藤参考人 風水害につきましても多少はあるかと思います。ことに都市の火災につきましては、建築的な意味からの防火、耐火という問題と、過去の都市計画における防火、耐火という問題とが、必ずしも一致していなかつたための欠陷は、随所に見られると思つております。
  129. 尾崎末吉

    ○尾崎末吉君 では齋藤さんにちよりと簡單に。さつきお述べになつたことを伺つたのですが、これはお述べになつたことに反対とか賛成とかいうような意見を申し上げるのではなくて、私の耳に入つていることについての内容からお伺いするわけであります。  あちこち私どもが地方をまわりますと、県会議員にいたしましても、あるいは市町村議員にいたしましても、数が多過ぎるという声は、相当に聞いておるのであります。それは必ずしも知事とか市町村長とかいう理事者だけではなくて、たとえば懇談会の席上等でひざを交えて話す場合に、実は公開の席われわれの立場としては言いにくいが、ほんとうのところは数が多過ぎる。これはさつきどなたかお述べになつたような、半分にしてもいいというような声が、よく私どもの耳に入つているのであります。そこでそういう点について特に何かお考えになつているかということが一点と、もう一つは、議員の数が多いと、もちろんその地方自治体民主化ということにはためになるのでありますが、ただ逆の結果もある。数が多過ぎると、府県にしても同様でありますが、町村の例をとつてみますと、部落議員というものが出て来る。他の部落のことは考えないで、部落から一人というようなことで出て来る結果、自分の部落のことだけに努力する。従つて山辺の部落議員と、海辺の部落議員と、商業地の部落議員とが入り乱れてけんかをやつて、それらの市町村の内部が長年見られなかつたような不仲になつている。こういうような非常に深刻な例を聞くのであります。でありますから、多数の議員を持つて民主化するということは一面においていいことではあるが、一面今言つたような弊害が相当つているということは、これは声だけではなくて、私どもこれを認めているのですが、この二つの問題について何か御所見を伺いたい。
  130. 齋藤邦雄

    ○齋藤参考人 第二の点の方から先にお答えしたいと思います。議員が多数であると部落根性が分るという御意見を尾崎さんはお述べになりましたが、私は必ずしもそうではないと思う。少数になつてもそういう部落根性が起るところは起ると思う。要は少数、多数ということではなしに、その議員部落根性とか個人感情とかいうものを一掃して、自治行政に当るというように、お互いが手を取合つて行くのが一番都合がよかろう、こういうように考えて、私どもの方の町村議会議長会では、自治意識の高揚運動にとりかかつて、現に私どもが各地へ行つてつております。それからもう一つ議員定数が多いという声があるということはお説の通りでありまして、私どもの方の町村議会というものは、全国に一万ばかりありますから、一部には多いという声もあることは私も耳にいたしております。ただ今の自治法のわく内においても、それぞれ多いと思うところの町村は、條例を改正して定数を減らすことができるようになつております。これを北海道の端から九州の端まで一定の線できめるということは、地方自治の上においては、戰前はとにかくとして、戰後の民主行政をやる上においては、これは地方自治体自主性によつて解決するように、われわれはひとつつて行かなければならぬと考えております。確かにお説のように、全部が全部現在の議員を妥当とは考えておりませんで、一部には多いという考えもありましようが、これを一定の線できめるということはよくないことだと私は考えます。
  131. 尾崎末吉

    ○尾崎末吉君 実はこれは私の私見でありますが、私見を御参考に申し上げてさらに伺いたいと思います。  私は最近五、六年来議員に出て参つておりまして、最近こういうことを言い出しておる。国会議員にいたしましても、御承知通り委員会ができまして、別々に専門的にやる。そのためにその専門のものについては各議員が非常によく勉強しております。この点については昔の解除組と言われる議員の方々と、今日の議員とははるかに違う。ところが逆の弊害の方を見ますと、政府の各省間のなわ張り争いの中で、その委員会が、専門のその省に属する方の肩を持ち過ぎるような傾向が、非常に強くなつております。であるからそういう行き方じやなくて、国会における委員会も、一人が一つ委員会の義務を持つのではなくて、現在の委員会の数を三分の一くらいに減らしてしまつて、一人でそれらの行政部門の三つなり四つなり、たくさんを受持つ、そうするこそれの受持つておる行政部門に関する問題が公平に見えて来る。であるから似通つたような、たとえば経済各省にしましても、建設とか農林とか通産とか、そういつたものを合せてやつておりますれば、ここの省はこれがいかぬ、ここに欠陷がある、だからこれを取捨しようじやないかというように公平に見えて来る。国会においてもこういうやり方をやつたらいいのじやないか、これは私見でありますが、そういうふうに考えておるぐらいであります。だからさつき申しました市町村における議員の数が多過ぎて、人物がよかれあしかれ、一部落から一人ということになりますと、お話のように、よく教育をしてよく提携をしてやつて行きたい、こういう行き方がまことに望ましいことではありますが利害関係になつて最後になりますと、やはり自分の部落の方を主張して行く。血は水よりも濃しであります。そういう建前から考えてみると——あながちこれは結論ではないけれども、そういう点から見て、今言うような数を減らすということにも、肯綮に当る問題があるのじやなかろうか、こういうことを伺つておるのであります。その点について何かお考えがありましたら簡單に……。
  132. 齋藤邦雄

    ○齋藤参考人 ただいま尾崎さんは国会の委員会の例をおとりになりましてお述べになりましたが、私の方の町村会にも今常任委員会という制度ができております。私個人といたしましては、少くも市もしくは県の議会は、非常に議員の数も多いので必要であると考えておりますが、町村会あたりはむしろ常任委員会という制度はなくてもいいのじやないか。十八人か二十人、多くて二十六人、一番多くて三十人くらいが町村会の定員でございますから、その程度ならば、これは必ずしも委員会がなくても運営はうまく行くのじやないか。そこでたとえば土木委員が土木行政のことについて肩を入れるというようなことも、これは町村委員会の運営といいますか、運用の妙味のところだと思いますが、その運営を誤ると、とかくそういつたお説のようなことになる町村もあります。これはいけないことであるから、そういう点についても、せつかくできておる制度であるから、委員会の運営をうまくやつてもらうように、お互いに勉強しようじやないか、こういうふうに考えたのであります。私個人としては、町村あたりは常任委員会という制度を置くほどのことはないじやないか、こういうふうに一応思います。これは一つの制度としては悪い制度ではありませんので、私どもはそれの運営に万全を期するように今やつてはおります、大体そんなふうに考えております。
  133. 尾崎末吉

    ○尾崎末吉君 たいへん今参考になりましたが、最後にもう一つだけ聞きたいと思います。議会の経費の内容でありますが、さつき名誉職みたいな気持で、非常に安い手当等で、手弁当みたいなことでやつておる、こういうことをお述べになりました。むろんそういうところもあるでありましようが、やはり議員たちの手当が相当にかさむし、あるいはまた御出張になると出張の経費がかさむ。それに申すまでもなく一人当りにつきましての直接の経費以外に、間接の費用も相当出ておりますから、そういう点で市町村当局におきましても議会の経費には悩んでおる、こういう点があるのじやないかということが一つと、それからどんな小さい町村に至るまでも、大きいところをまねして事務局をつくつておる。前の時代であれば役場の庶務係か何かで済んだものが、事務局機構をつくる。局長がおりその下に職員がおるということでやつております。さつき申しましたように、私どもが予算委員として全国をまわつて歩いている間に、そういう実例を聞かされるのでありますが、そういう問題についての御見解を伺いたいと思います。
  134. 齋藤邦雄

    ○齋藤参考人 議会費の点でございますが、これは私が先ほど申し述べました通り個々町村の財政状態に比較すれば、議会費がきわめて多いなどとは思いません。私の知つております限りにおいては——今日に資料を持つておりませんから数字をあげて申し上げるわけに行きませんけれども、市や県の議会と同じ地方自治体の中において考えたときに、その個々町村立場から考えましたならば、議会費というものはきわめて少い、こう考えております。それから多少余分の費用が出るという場合もございますけれども、これは見方にもよるのでありまして、私どもの見る限りにおいては、町村議会議会費なんというものは——地方自治庁あたりでは十分お調べくださつておると思いますが、ほかの費用から見れば微々たるのだ。大体表に現われておる費用以外に、われわれ議員は、中学校の建設にしても、あるいは土木工事にしても、手弁当で、しかもあちらこちらかけずりまわつてつておるということが、大体において全国町村実情だと思つております。これはひとつ御了承願いたいと思います。
  135. 尾崎末吉

    ○尾崎末吉君 どうもたいへんありがとうございました。
  136. 河原伊三郎

    ○河原委員長代理 この際参考人の方々に申し上げます。  本日は長時間にわたつて地方自治法の一部改正法律案につきまして、あらゆる角度から、きわめて真摯、熱心に、種々貴重なる御意見を承ることができまして、本案審査にあたり多大の参考となりましたことを、委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。  明日は文部委員会との連合審査でございます。  本日はこれにて散会いたします。     午後五時七分散会