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1952-05-21 第13回国会 衆議院 地方行政委員会 第49号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月二十一日(水曜日)     午前十一時十五分開議  出席委員    委員長 金光 義邦君    理事 野村專太郎君 理事 吉田吉太郎君    理事 床次 徳二君 理事 門司  亮君       池見 茂隆君    大泉 寛三君       川本 末治君    佐藤 親弘君       前尾繁三郎君    龍野喜一郎君       藤田 義光君    立花 敏男君       八百板 正君    大石ヨシエ君  出席政府委員         総理府事務官         (地方自治庁次         長)      鈴木 俊一君         総理府事務官         (地方自治庁行         政課長)    長野 士郎君  委員外出席者         参  考  人         (新湊市長)  杉本 兵太君         参  考  人         (東京都議会議         員)      梅津 四郎君         専  門  員 有松  昇君         専  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 五月二十日  五大市を特別市に指定する法律案田中伊三次  君外八名提出衆法第四二号)  地方自治法の一部を改正する法律案田中伊三  次君外八名提出衆法第四三号)  五大市を特別市に指定する法律案松澤兼人君  外七名提出衆法第四四号)  地方自治法の一部を改正する法律案松澤兼人  君外七名提出衆法第四五号)  地方自治法の一部を改正する法律案大石ヨシ  エ君外七名提出衆法第四六号)  地方自治法の一部を改正する法律案前尾繁三  郎君外五十九名提出衆法第四七号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  地方自治法の一部を改正する法律案内閣提出  第一七五号)     —————————————
  2. 金光義邦

    金光委員長 これより会議を開きます。  地方自治法の一部を改正する法律案内閣提出第一七五号を議題といたします。第三條及び第四條に対する質疑を許します。——質疑もないようでございますから、第六條から第九條の二までに対する質疑を許します。
  3. 床次徳二

    床次委員 第七條に関連して伺いたいのでありまするが、市の廃置分合に関しまして内閣総理大臣協議をすることになつておりますが、市となる要件につきましては第八條以下にあげてあるわけであります。しかしこの中におきまして、人口をもう少し大きくするという意見も持つておられたのが、一応三万以上でとどまつたように見えるのでありますが、内容的に申しまして、過般提案されておりました市に警察を置きます場合に、従来でありますれば当然これを自治体警察とするのが市の一つ單位と申しまするか、一つの市たる條件であつたわけでありまするが、今日これに対しまして、あるいは自治体警察を保持しなくていいことにしようという特例も出ておるのであります。しかしながら総理大臣がこの協議を受けました場合に、警察というものは当然その調査内容として考えられておるかどうかをお伺いしたいのであります。法律手続において云々するという意味でなしに、市自体におきまして自治体警察を持つということは、従来は当然の要件であつたのではないかと思うのであります。今後といえどもある程度市というものの実態から見まして、自治行政をやる以上は市はそれぐらいのところまで行くべきだとお考えになつているのではないかと思いまするが、この点伺いたのであります。
  4. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 市となる要件といたしましては、ただいま御指摘のごとく第八條にあるわけでございまして、その要件のうち客観的に当りますのは人口三万以上、それから当該地方団体中心市街地を形成している区域内にある戸数が全戸数の六割以上ある、またその次には都市的業態に従来している者並びにそれと同一世帶にある者の数が全人口の六割以上である、この一、二、三の要件は絶対の要件であるわけであります。四につきましても、もちろん要件としては絶対の要件でございまするが、その内容としては都道府県條例にまかしておるわけでありまして、都道府県條例が市となる都市的施設としてどういう要件を要求しておるかということによつてきまつて来るわけでございます。大体市となりまする要件といたしましては、学校でありますとか官公署でありますとかいうものが一定数なければならないというようなことを規定いたしておりまする條例が多いわけでございまして、自治警察につきましては、警察法規定から、もしも市になれば当然にこれは自治体警察を維持しなければならない。しかし市になる場合に、自治体警察を維持することを四号で特に條例できめているかどうかといいますと、その点はないようであります。もちろんきめられるわけでありますが、それはないようであります。ないと申しますのは、市になりさえすれば、警察法上当然に自治体警察を維持すべきものであるというようになつているものですから、従つて特に四号で規定をしていないのではないかと思います。要するに市になる前に自治体警察を持つていなければならないか、市となると同時に自治体警察を維持する義務を生ずるかという解釈の問題であろうと思いますが、この自治法としましては、第八條の第四号で特に自治体警察を維持するということを要件として掲げていないならば、市になる要件としては必要はない。掲げているならば、その府県ではそれが必要である、こういうことになると思います。
  5. 床次徳二

    床次委員 内閣総理大臣が市の廃置分合について協議を受けますが、この協議を受けたときに内閣総理大臣は、いかようなことを審査するのか、この協議を受ける内容について何か内閣総理大臣が特別のことを考えているかどうか、伺いたい。
  6. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 市になります場合の協議でございますが、これは知事が市制施行の案を立てて議会にかけます場合に、あらかじめ協議してもらうという趣旨でございます。と申しますのは、市になりますと、たとえば今話が出ましたように自治体警察はただちにこれを持たなければならぬ。従つてもし今までの国警地区でございますならば、それを廃止するというような異動を生じますし、あるいは郵政関係機関電気通信関係機関、あるいは裁判所の区域とか、その他各種の国の行政、司法の機関管轄区域等にもみな影響して来るわけです。またその行政機関性格等にも影響して参りますので、国としてもやはり市になるかならないかということには、重大な関心を持つているわけでありまして、あらかじめ協議を受けまして、それによりましてなさなければならない処置を国としても準備を進めよう、こういうことが一つであります。それからいま一つはただいま都市的業態住民が全住民の六割ある。あるいは中心市街地を形成している区域戸数が、全戸数の六割であるというようなことにつきましては、相当認定の要素が入るわけでありまして、場合によりましては、いかがかと思われるような例もないわけではないのであります。そこでこれらの法律の定めでおります要件を正確を励行してもらいたいというような意味で、その点につきましての技術的な助言が可能であるようにもいたしたいというような考え方で、あらかじめ協議を受けようということにいたしたわけであります。
  7. 床次徳二

    床次委員 過般岡野大臣の御答弁もあつたと思うのですが、市において自治体警察を持たない場合を認める。やはりこれが市町村合併一つのいい條件になるのではないかというようなお考えであつたと思うのです。すなわち市という名前を與えて町村合併を奬励するというか、助長するというような考え方も、この間特例法の出ましたときにも、さような見方をしておられたのでありますが、もしもさような見方をすると、今お話になつような御意見とは多少違うのであります。市というものを、むしろ必要な要件を厳守させるという意味において協議させるという考え方とは、相方矛盾するのではないか。むしろ考え方によりますならば、でき得る限り町村を広域的な規模にするという意味において、市という名前にとらわれずに規模を大きくするという意味において、市を安売りするということも考えられるのでありますが、この点政府考え方がいずれにあるのかということを伺いたい。やはり市という態様を持たなければならぬいうことになれば、警察法の問題につきましても、私どももそうゆるやかにすべきものじやない。また内閣総理大臣が市の形態内容について調査するということは、当然なことだと思つているのでありますが、町村合併便法として市を認める、安売りをするということなら、それも一つ考え方ではあるのであります。その点合併奬励のために、市という名前を比較的安売りをすると申しますか、市という名前を與えることによつて合併を促進する道を便法として考えているのだということが、自治庁のお考えの中にあるかどうか、伺いたい。
  8. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 この問題はやはり市と町村、あるいは町と村といいます場合には、一応の名前日本言葉として示しますように、やはり都市的形態になつているところ、あるいは町がかつたところ、單なる村落というふうに区別して考えるのが当然であろうと思うのであります。農村地区でありますのに、これを市と称するということの結果といたしましては、市となりましたためにまたいろいろ都市的の施設を法令上要求されて来るわけでございまして、そういう点から申しますと、これはかえつて市になつたために、よけいの負担がここへ来るというようなこともあるわけでありまして、やはり合併の一助という点は、実際問題としては確かにあると思いますが、合併をいたしましても、農村地区はやはり農村地区であるわけでありまして、やはり市であります以上は、そこにどうしても都市的な形態を備えているという要件が必要であろうと思うのであります。この点は御承知のように、神戸勧告では人口五万にしたらどうかという勧告があつたのでありますが、人口五万ということにいたしますと、現在ほとんど百十余りの市が人口五万未満でございまして、あまりにも実情に沿わない。この考え方はやはり人口五万ということで都市的なものを真に市とする。要するに市というものを真に都市的な団体にするというような考え方従つて市に対してはそれだけの事務配分をまた考えるというような考え方が背後にあつたと思うのでありますが、それがどうもあまりにも実情に合いませんので、人口三万という今の基準はとりますけれども都市としての要件については、できるだけ正確に法律趣旨を励行すべきである、こういうふうに考えた次第であります。
  9. 床次徳二

    床次委員 第七條の第七項に新しく廃置分合の場合等につきましては、告示によつて効力を発するということが明かにされているのでありますが、この点について過般の公述人意見もありましたが、告示によつて効力が出るという形にしますのは、手続上は一つ便法でありますが、本質的には相当議論があることと思います。この点について当局の見解を明かにしていただきたいと思うのであります。
  10. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 これはこの立案の趣旨といたしましては、先ほども申し上げましたように、市町村区域が同時に国の各種行政官署管轄区域になつておつたりいたしますので、境界変更あるいは編入というようなことで、やはり国の行政機関管轄区域も同時にかえて行かなければならない。ところが現在は届出主義でございますので、実際廃置分合処分境界変更処分が行われましてから二月、三月してから届出があり、法律はこのように書いてありますが、実際はそういうふうになつている。またはなはだしい場合には一年も二年も報告があり、こういうようなことでございまして、国がこういうつもりでおつた町村名前が今かわつてしまつている、あるいはそういう町村はもうなくなつてしまつているというようなことで、国の政策の上からも、非常に困る面があるのであります。そこでたとえば不動産の所有権変更等の場合におきましては対抗要件というような考え方から、実際の契約が行われましても、登記しなければ効力を生じない、こういう一つ法律行為方式があるわけでございますが、それと同じように公法上の行政処分につきましても、処分が行わてもこれの効力を生ずるのは官報告示の日からというふうに、一つ対抗要件的な考え方を取入れるとこうことも、あながちさしつかえないのではないかというところで、告示によつて効力を生ずる、すなわち届出を受けまして官報告示してから効力を生ずるというふうにいたしまして、行政の実際が中央と地方で乖離することがないようにしよう、こういう考え方なのであります。
  11. 床次徳二

    床次委員 きわめて便宜的な立場において、考慮されておるのだと思いますが、この点は第二項において総理大臣協議ということによつて事務的には相当救われるのではないか、協議がありまする関係上、所管省仕事につきましても、大体準備ができ得るのじやないか、従つて告示にいたしましても、相当これは期間をつけるなり何なり、ある程度まで確定の時期をはつきりさせるという方法が、当該市町村団体に対しましてはむしろ必要なのじやないかと思うのでありますが、これが官庁の事務都合によつて告示が遅れるということになりますと、迷惑を生ずるおそれがある。この点についてはどういうふうに考えておられますか。
  12. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 この点は日本地理と申しますか地籍と申しますか、それの一番基盤になりまするのは、古くから政府にありまする各府県市町村台帳でございます。これに大字でありますとか小字——小字まででありますが、そういうようなものをそれぞれ記録いたしております。町村名ももちろん記録いたしておるのであります。これが最も有権的な基礎になるすえ置きの永久台帳でございますが、それに登録をいたしますとともに、一方官報告示をいたすわけでございますが、そういうものが実は非常に実際と乖離しておるのであります。そこで政府として日本市町村がこうであるという数が、実は遺憾ながら的確につかめていないのであります。二十四年ごろの市町村廃置分合境界変更でいまだに届出のないものが相当あるというようなことで、これは数百に及んでおると思うのでありますが、そういうような点をやはり調整をいたしまするためには、どうもこういうような便法を講ぜざるを得ないというふうに考えたのであります。
  13. 床次徳二

    床次委員 それから次に第七條の二でありまするが、従来市町村区域に入つておらなかつた区域を編入する手続を、新たに規定したのでありまするが、かかる問題はやはり実質的に市町村をまず中心考えるべきじやないかと思いまするが、この手続によりますと、意見は聞くけれども仕事内閣がこれをきめるようになつておるのであります。これもただいまのような事務的な便宜主義から出て来たのだと思うのでありまするが、一応主体といたしましては市町村を第一にしまして、そうしてその後の手続を前條に準ずるというふうにした方が合うのじやないかと思うのですが、この点はいかように考えられておられますか。
  14. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 日本領土でありまして、しかも都道府県市町村に属しない、言いかえれば地方団体区域に全然属してない地域というものがあり得るわけであります。これは海上に新しく発生をした島でありますとか、あるいは外国から割譲を受けた領土であるとかいうことが、観念上考えられるわけでありますが、そういうようなものは従来勅令あるいは閣議決定等手続で、旧憲法時代においては処理せられて来たのであります。これはその領土をいかなる日本地方団体区域に編入するかということは、非常に行政権行使範囲、あるいは立法権行使範囲裁判権行使範囲関係することでございますから、大きな問題でございまするならば、これはやはり法律で定めるべき問題であろうと思います。そこで七條の二で「法律で別に定めるものを除く外、」というのはそういうような、たとえばどこからか大きな領土割譲を受けたというような場合に、その領土をどの県に入れるか、どういう行政單位にするかということは、これは法律で定めることになると思うのでありますが、そうでない比較的小さな区域の問題につきましては、これは必ずしもそれによる必要がないのじやないか、従つてそれは行政権行使範囲ということに、主として関係をして来る程度の小さい問題でありまするならば、それは従来のそういう方式に従いまして、閣議がこれをきめるということでよくはないかというふうに考えまして、内閣がこれを定めるという方式をとつた次第であります。
  15. 立花敏男

    立花委員 政府町村合併いたしまして、大体町村の数を半分ぐらいにしよう、あるいは三分の一ぐらいにしようという意見があるらしいのですが、どういう理由で、どういう根拠でそういうことをされるのか、その理由をひとつ承りたいのであります。
  16. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 政府としては市町村の数を三分の一に減らすとか、あるいはそういう計画をつくつておるとか、こういうようなきまつたものはもちろん何もございません。個人的な意見としてそういうようなことを発表したような人もあるかと思いますけれども、これは政府といたしましては、何らそのような考え方で推し進めるとか強行するとかいうような考えは、全然持つていないのであります。
  17. 立花敏男

    立花委員 法律の形の上ではそういうふうに強制的には出ておりませんが、大臣の説明の言葉の中にも大体七千から八千ぐらいの人口單位として町村合併して、三分の一あるいは二分の一ぐらいにするのが望ましいというようなことを言つておられましたので、法文の形の上の問題ではなしに、市町村合併をどういうふうに考えられておられるか、そういうことがなぜ必要なのか、これをやはり説明していただきたいと思います。
  18. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 市町村というのは要するに地域団体でございますから、人口の多い少いということだけをめどにして、市町村合併考えるということは純粋に理論的に申しますと、いろいろの欠陥を持つておるわけであります。ただ地方団体規模というものを考えまする場合に、面積とか人口とかあるいはそこの土地の生産額でありますとか、あるいはその他の各種要素、いろいろによつて区分することが可能でありまするけれども、比較的一般的な区分の基準といたしましては、やはり人口に求めるのが一番穏当ではないかと思うのであります。そういう見地から地方行政調査委員会議でも人口七、八千ということによつて表現される町村規模が適正である、こういう表現をしておるわけでございまして、人口七、八千ごとに市町村をつくる、こういうような機械的な考え方ではもちろんあり得ないわけであります。私どもといたしましても、人口七、八千になりますると、たとえば社会福祉関係仕事生活保護関係仕事を担当する職員を一人置くということにいたしまするならば、大体その生活保護関係仕事がその人の手一ぱいになる。ところが人口が二千なり三千のような町村でも、そういう生活保護の対象というものはある程度あるわけでありまして、そうするとそのために特別の人を置けばむだになる、そうすると結局他の仕事と合せて、社会福祉仕事をある吏員にやらせる、こういうことになりますと、どうしてもその吏員の才能というものは分散的になり、専門的になれない。そこで大体主要の事務について一人なり二人なり、切りのいい職員を置き得るような町村にいたしますのには、やはり人口七、八千くらいのところが、おおむね各種仕事の分量の均衡がとれて来る、こういう考え方に立つておるわけでございます。
  19. 立花敏男

    立花委員 きのうあるいはおとといでしたか、公聴会をやりましたが、そこで東京都の問題が問題になりましたが、なぜ政府区長任命制の問題を出して来るのかと尋ねますと、それは結局東京都は歴史的な一体であつて、それが不可分であり、従つて区長任命制がいいので、それをばらばらにするのは、歴史的な自治体を破壞するものであるという意見があつたのですが、東京都を歴史的な一体であるとすれば、地方町村は同じくこれは歴史的な一体なんで、それを二つあるいは三つ結合せしめるということが、はたして歴史的な個々町村伝統を破らないかどうか。非常にこれは政府考え方自体に、法案の中に大きな矛盾があるのではないかと思います。東京都の場合は、歴史的な一体性を主張しながら、町村の場合はそれを蹂躪いたしまして、二つ、三つを併合するということは、あまりにでたらめじやないかと思いますが、その点をどう解釈なさるのですか。
  20. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 それは現在の町村におきましても、ほんとう——ほんとうと申しますと、若干問題がありますが、とにかく従来からのいわゆる隣保共同一つチェーン組織としては、町村の下にさらに部落とか、あるいは大字とかいう形のものがあるわけであります。そういうものが基礎になつて、今の町村というものができておる。これは御承知のごとく、自然村落というものが数個集まつて町村になるわけでございますが、そういうふうにおよそ市町村というものが、明治市制町村制施行の際に、やはり新しく当時つくられた一つ行政市町村になつているわけです。そういう意味から申しまして、市町村というものは、やはりその下に、本来のチエーン組織というものを持つておるわけです。東京の場合におきましても、江戸時代以来、やはりそういう一つの、江戸という意味表現をせられる一つ都市的な地域というものがあり、その下に明治初年におきまして、非常にかつて気ままにおお区とか小区とか、いろいろな区の組織を数十つくつたりしておるのでありますが、それが郡区町村編制法でありますか、その時代に約十五区というものが、だんだんと固まつて来たわけであります。そういう変革がございますが、やはり東京市というものが、それらの都市的な下部組織の上に立つ、それらを包攝するところの一つ都市団体として考えられてしかるべきであろうと思います。
  21. 立花敏男

    立花委員 決して現在の町村は、明治維新に突如としてできて参つたものではありまりせんので、明治維新の際に、そういう行政町村をつくり上げようということがありましたのは事実でありましようが、決してそれはそれ以前にありました、日本歴史の中で生れて参りました町村を、全然別個のものがつくられたというわけではありません。現在の町村は、多分に明治以前からの歴史的な伝統を持つておると思います。さらにそれ以後におきましても、すでに明治維新前後から八十数箇年、百年近く経つております。その間にも新しい町村としての歴史的な性格がつくられておると思います。それをただいま数箇町村を合せまして、一個の自治体をつくり上げて行くということは、あまりに便宜的じやないか。そういう機械的なことでは、ほんとう地方自治というものは生れて参りませんので、單なる人口の多少とか、あるいは地理庭い狭いとか、そういうことだけで自治体をお考えになつては、そこにおる歴史的な一体としての、歴史的な緊密な血のつながりを持つております住民の心を、ちつとも考えておりませんので、これは日本ほんとうに下からの民主主義にとつては、非常に大問題だと思います。しかも政府の言うておるところは、東京都の場合と地方町村の場合とが、完全に意見が違つておるということが現われておりますので、それは政府の今度の自治法を貫いております、まつたく便宜的な、まつたく中央集権的な、機械的な、官僚的な考え方から、そういう歴史伝統を無視いたしまして、町村を併合するという形が出て来ておると思いますが、そこにやはり政府の大きな反省が必要だと思います。特に私ども問題といたしたいと思いますのは、やはり明治維新以前からも、あるいは明治以後におきましても、個々町村自治体として、独自の自主的な活動をやつて来たわけであります。あるいは町村議会の選挙とか、あるいは町村長の公選とかいうことをやつて来ておりますが、それでは合併いたしますと、これらは全然なくなるのかどうか。そういう考え方でおられるのかどうか。こうなつて参りますと、ほんとう意味での地方民主化というものは、根本的に基礎的なところから破壊されて行くおそれがありますので、その点をひとつ伺つておきたいと思います。
  22. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 現在の町村は、先ほど申し上げましたように、七号五千からありました町村を一万三千に、明治二十一年までに合併いたしまして、そして市制、町村制を初めて施行したわけであります。従つてあなたのおつしやるような明治時代以来の自然村落というものは、その合併される前の七万五千の町村に実態があるわけであります。それが今日大字ということになつているわけであります。その大字がその後経済事情の変動によりまして、必ずしもそれ自身が社会生活の共同單位となつているか、これは土地によつて違うと思いますけれども、制度はあくまでも制度でありまして、社会の実際の生活状態というもの、合併が今後行われましても、もしも合併が行われました前の町村地域に、ほんとうの共同生活の單位がありますならば、それはそこに必ずそういうような実際の経済生活の共同單位というものは、残るわけであります。要するに市町村は、法律なりその他で定められましたところの、各種住民共同の福祉施設を維持、管理して行くことが主体であるわけでありまして、それに必要な経費を税金でとり、国なり他から金をもらつて処理して行く、こういうことが一つのねらいになつておる。やはり完全な共同社会といいますよりも、そういう意味では一つの利益社会的な要素を持つているわけでありまして、私ども市町村合併ということは、そういう見地から申しますと、最小の経費で最大の効果をあげる。言いかえれば当該地域住民に一番安い経費で、一番よりよき福祉を與えるようにするということが、理想でなければならぬと思います。そういう意味から申しますと、人口五百とか千とか二千で、一々市町村の役場を持ち、議会を持つ、こういうような姿にいたしますよりも、先ほど来申し上げました行政職員が、十五人から二十人前後おりますような、そういう人口七、八千からあるいは一万くらい、そういう町村の役場組織にいたしますることが、一番経済的である。こういう考え方から出発しているわけであります。ただそれについて、地域的な考え方地理的に当然そういうことが不可能であるというものもございましよう。あるいは経済的にそれもまつたく成り立たたないということもあるでありましよう。ですからそういうものは、それで考えを別にして行くべきであると思いますけれども、原則の問題としては、今申し上げましたようなことを目途として、合併考えて行く。但し政府がこれを何ら強制するという考え方は全然とつていないのは、法文上明白に出ております。
  23. 立花敏男

    立花委員 そういたしますと、政府考えております新しくつくり上げようとする町村は、行政上の必要から、基礎的な自治団体の複合体としてつくつて行こう、その内部における共同社会生活の單位としての現在の町村のようなものは、これはやはり共同單位として認めて行こう。その上に立つ複合体として新しく合併された町村を認めて行こうという考え方なのか、それを最初に承りたい。それからそういうふうな複合体としての新しい町村をつくり上げるつもりであるならば、それに包含されておりました従来の町村、こういうものに対しては、どういう形の自治形態を與えて行こうとされておるか、この点をあわせて承りたい。私どもの見るところでは、政府の出しております法律は、複合体としての方面は規定しておりますが、ほんとう歴史的な一体であり、歴史的な社会共同單位であるところの従来の町村、これに対しては何ら規定はないわけなのであります。それに対して、はたしてどういうな自治組織規定されようとしておるのか、これをひとつ承りたい。そうでありませんと、出されましたこの地方自治法律が、單に一方的に上から規定するだけでありまして、かんじんの最も基礎的な、歴史的、伝統的な共同單位の自治のあり方が、はつきり規定されておりませんので、これは非常に不明瞭だと思う。その点をひとつ……。
  24. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 行政單位としての市町村と、実際の共同生活の單位というものが一致しておることが、それだけから申しますと望ましいことでございますが、昔のように、市町村に対して要求するところの施設が少かつた時代はいいのでありますけれども、今日のごとく各種のいろいろな教育施設その他の施設を要求いたしますると、やはりそれがある程度の規模になりませんと、小学校一つつくるのにも合理的なものができないわけであります。そういう意味から、やはり行政の要請からいたしまして、人口七、八千ないし一万というような標準的な條件を備えた地方の適当なる町村、こう考えるわけであります。その場合に、結果としては、お話のように複合的な共同生活の單位を下に持つ町村になると思いますが、その行政市町村をつくります場合に、共同生活の單位を途中で分割する、こういうようなことはできるだけ避けなければならぬ、できるだけ一体とし包括するようにすることが望ましいと思うのであります。しかしながらその市町村のもとにあります実際の共同生活單位は、複数になつて来るというのが実情でございましようし、これも標準から申しますると、十とか二十とかいつたようなところが、全体の町村自治の上からいつたら望ましいと思うのです。そこでそういう十とか二十という市町村の下にあります下部の單位、これは町内会、部落会というようなことで一時呼ばれたものでありまして、都市についても同様でございますが、ことに農村においては、いわゆる部落というものが昔からあるわけでございます。そこに住民ほんとうの相互扶助的、共同親睦的な生活がある。これを戰時中のように法制化するというようなことにつきましては、法制化の内容にもよりまするけれども、どうも画一的に、むしろ縛りすぎる結果になると思うのでありまして、それこそほんとう住民の好きなようにまかしておいたら、吉凶禍福について相互に助け合うという、本来の意味のいわば原始的な自治の姿になります。これはあまり法律で強く縛りますよりも、むしろ住民ほんとうの意思に基いた自発的な考え方にまかせておいた方がいいのではないか、こういうのが私ども考え方であります。
  25. 立花敏男

    立花委員 東京都の場合は歴史体を主張しながら、町村の場合は行政体を主張しておるのであつて、この点は何といつても否定することのできない政府の矛盾だと思うのです。この点をひとつはつきりしておいてもらいたい。  それから問題を次に移しますが、そういう歴史的な伝統を無視して複合体的な行政体をつくり上げるのは、これは最小の経費で最大の効果を上げることが目的であると言われるのでありますが、それはその町村自体だけの最小の経費を問題とされておるのであつて、大きな観点から見ますと、そういうりくつは成り立たないのじやないか。現在でも町村が困つておりますのは決して町村住民が少い経費を出しておるから、町村の財政が困つておるのではありませんで、町村住民が負担いたしました税金を、国が大部分とつておるから、町村に返つて来ないので、町村が困つておるわけであります。住民からいたしますと、最大の経費を出しておるわけなのです。それを町村に対して政府が還元いたさないで、大部分を国の軍事予算に使つてしまつて、ほとんど町村には返さない。そういうところからあなたが指摘されたような、いろいろな社会施設あるいは福祉施設町村で行われない結果になつておるのであります。住民にとりましては、決して最小の経費というようなことは問題にならない。住民が要望いたしておりますのは、自分たちが最大限に負担した税金、あるいはその他の国家に出しましたものを、地方に還元しろという要求だと思う。そういう問題をほつておいて、今町村が財政に困つておるから、お前たちは伝統を無視して、二、三の町村が一緒になつて新しいものをつくつて、そうしてそこでなるべく経費を節約して、仕事をして行けというのは、あまり虫がよすぎるのじやないかと思う。こういうところから、いくら政府が強弁されましても、やはり伝統的な自治体、最も基礎的な自治体というものが破壞されて行き、結局政府が機械的に上から押しつけました、わけのわからない寄合世帶のようなものが、でき上つて行くのじやなかろうかと考えるのですが、現在の町村の財政状態の困難、そこから来るいろいろな指摘されました事業の困難、それをどう考えておられるのか。それの解決がこういう複合体のようなものでなければ解決できないように考えておられるのか。国家からこれに対する費用をどしどし出すべきだと思うのですが、なぜ出せないとお考えになつておられるのか、この点をひとつお聞きしておきたい。
  26. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 どうもちよつておかしな話で、少し理解に苦しむわけでありますが、最大の経費を出せということではなくて、少い経費でできるだけ住民に対する福祉をよくしようと、そういう意味で効果を上げるようにしよう、こういうねらいであるわけでありまして、国の取上げる、いわゆる国税と、市町村がとりますところの市町村税、あるいは府県のとります府県税、こういうものはそれぞれ、この前あなたも仰せになりましたように、一応別に考えてしかるべきであろうと思うのです。市町村税というものは、その市町村施設のためにとるわけでありますので、できるだけ少い税金で最大の効果を上げるということが、原則でなければならぬと思うわけです。その場合に国が負担いたしますべきものは、結局国税でまかなわれるわけでありますから、住民としては、結局自分のふところからどれだけ金が出て、それが国の施設府県市町村施設として、どれだけ入つて来るかということを見て行かなければ、全体的にわからないわけです。ここで申しておりますのは、要するにその場合の市町村なり、府県なりの地方税と地方施設、サービスというものとの関係をうたつておるわけでございまして、そういう点から申しますと、やはりよりよきサービス、合理的な、近代的なサービスを與えるためには、どうしても人口七、八千から一万くらいが必要である、こういうことになるわけであります。小学校その他にいたしましても、人口千や五百の小さい町村では、りつぱな小学校ができるはずがないのであります。五十人を基準とする理論学級が成り立つはずがないのであります。やはり、七、八千から一万というところが合理的であるということは、この一事でもおわかりになるかと思います。
  27. 立花敏男

    立花委員 今小学校の問題をお出しになりましたが、小学校の問題をとれば、事態は一層明白じやないかと思うのです。数箇町村が集まりまして——現在でも一里も通つて小学校に行つておる不便な町村があるのです。それが三つも四つも集まりまして、幾らりつぱな鉄筋コンクリートの学校ができましても、兒童にとりましては決してうれしくないと私は思うのであります。むしろ今の町村が小さくても、国家がそれに十分な金を與えて、現在のような義務教育費の父兄負担というような形でなしに、十分国家が出すべき義務教育の金を出して、小さくてもりつぱな自分たちの学校として、子供が喜んで行ける学校ができるはずです。それを現在政府がやつていないわけです。今義務教育費国庫負担法が文部委員会で問題になつておりますが、そういう国家の支出が非常に少い。憲法で保障しておりますところの、義務教育は無償とするということが、国家によつて蹂躪されておる。だからそこから現在の町村における学校の問題が鋭く出て参つておりますので、これは町村が小さい責任ではなしに、政府がこれに金を出さない責任なんです。そのことをたな上げにしておいて、町村さえ合併すれば学校がいいのができるというやり方は明らかに間違いじやないか。現在でも国の義務教育に対する支出が少いのは、この間も文部省の役人が来て、そこで説明しておりましたように、学校の維持管理費の三分の一はPTAの寄附でまかなつておるということを、はつきり言つているわけなんです。これでは憲法の條項が何のためにあるのかわからない。しかもこれは文部省のようなお役所計算でそういうふうに出ておりますので、実質上は莫大な義務教育の金を国民が負担しておる。大きな税金を納めながら、その他の大きな負担を国民がやりながら、当然国が出さなければいけない義務教育に対しても、なおこういう負担をいたしておる。これは町村が小さいからこういう問題が起つておるのじやありませんので、あくまでも国が出すべきものを出さないから、国が軍事費を多分に使いまして、教育費を出さないから、これは世界的な教育費の統計を見てもわかるわけなんですが、そこに問題があるわけです。決して町村規模の大小ではないと思う。この点をどうお考えになつておるか。
  28. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 額を動かして考えますと、いろいろ意見が違つて参りますが、かりに十五万の金があるといたしまして、それで教育施設をつくるという場合に、二つ町村がありまして、それぞれ七万五千円にわけて、それをつくるというようなことにいたしましても、それぞれ校長先生もいるでありましようし、小使もいるでありましようし、あるいは便所も別々につくらなければならない。そういうふうにみなばらばらにつくりますよりも、もしも——その区域がはなはだしく離れておるような、そういう例外的な條件のことは私は申しておりませんので、標準的な條件地方団体であります場合には、そういう千と千の二つ町村に別々に小学校をつくりますよりも、それを二千の町村合併して、一つの小学校としてよきものをつくつた方が——十五万円という、いずれにいたしましても町村住民から出ましたところの税金を、最も有効に使う方法である、こういう意味で申し上げておるのでありまして、それを二つ町村のままにしておいて、それぞれ十万円ずつ出せばよくなるにきまつておりますけれども、そのふえた五万円というものはそれぞれの町村住民にやはり負担としてまたもどつて来るわけでありますから、そういうことは問題外のことでございますので、その点を抜きにいたしまして、一定の経費をいかに有効に使うかという問題としてお考え願いたいと思います。
  29. 金光義邦

    金光委員長 午後一時まで休憩いたします。     午後零時五分休憩      ————◇—————     午後一時三十三分開議
  30. 野村專太郎

    ○野村委員長代理 これより会議を開きます。  休憩前に引続き、地方自治法の一部を改正する法律案を議題といたします。本案につきましては、すでに公聴会を開きまして公述人より御意見を承つたのでありますが、さらに昨日の委員会の決定に基き参考人の方々より御意見を承るごととなり、本日参考人として新湊市長杉本兵太君、都議会議員梅津四郎君の出席をお願いいたした次第であります。  この際参考人の方々に申し上げまするが、御多忙中にもかかわりませず、本委員会のために御出席くださいましたことを、本委員会を代表いたしまして、厚く御礼を申し上げますとともに、忌憚なく御意見をお述べくださるよう希望する次第でございます。  それでは、まず新湊市長杉本兵太参考人より御意見を承ることといたします。  なお恐縮ですが、参考人の方々の御意見は、大体二十分程度でお願いいたしたいと思います。それから参考人の御意見に対しまする委員各位の質疑がございましたならば、五分程度でお願いをいたしたいと思います。参考人杉本兵太君。
  31. 杉本兵太

    ○杉本参考人 今回の地方自治法改正案につきまして、市政の責任にあるものの意見をお聞きくださることはまことに光栄に存じまして、厚くお礼を申し上げます。  私は今日は主として改正法律案の第九條の市町村の境界の変更について申し上げたいと思います。第九條第二項に不確実な境界を確定せんがための裁定は、すべての関係市町村の申請に上らなければできないことと規定いたしてありますことは、地方自治体のあり方を深く御洞察くだされたことと拜察いたしまして、まことに感謝にたえない次第であります。  次に同僚の第十一項についてでありますが、境界の変更についての争論は別に政令によつて処理せられることになつておりますが、そもそも自治体の境界は長い間にわたつて、自然発生的にでき上つたものでありまして、従つて普通の自治体にありましては、いまさら境界の変更について、争論があり得ようがないと思います。経済事情の変化やその他のことで境界変更の必要がある場合もあろうかと思いますが、これは関係機関の話合いで解決を見るものであろうと思いまして、決して争論になるものでないと思います。ただ例外的に新しくでき上つた開拓地や干拓地の場合は問題になろうかと存じます。そこでこの第二項の都道府県知事の裁定についてでありますが、これもすべての関係市町村の了解ということが基礎要件になつておりますから、これは現行法第七條規定と同一のものと解されますので、いささか屋上に屋を架したような感じがいたします。しかしいずれの場合も、その関係自治体議会の議決によらなければならぬことは、まことに穏当なことでありまして、自治体の健全な発達はこうした精神から生れて来るものと考えられます。議会主義を貫く心持、これなくしては民主主義の発展はないものと思います。従つてその自治体議会によつて住民の代表者である議員が協議して、なるべく自然を害さない方法で解決するということが、最も賢明な方法であろうと考えます。もし万一この方法によらないで、すなわち境界変更について他に何らか人為的なものが加わるとしますれば、一つの波紋がさらに幾多の波紋を呼び、自治体の内紛は次から次へと起ろうかと思います。ことに悪い指導者の策謀ということなどが加わりますと、まことに心配なことになつて来ようと思います。こうした内紛を阻止するために、関係当局者の了解ということを根本にせなければならないと思いますし、またこれから自治体規模の適正化を推進するためにも、かような考え方が正しいと私は思うのであります。私は先ほど委員長さんから御紹介いただきました富山県の新湊市の市長であります。先年地方自治法の附則第二條によりまして高岡から分離し、昨年三月新たに市になりましたが、その際一部に反対があつたことは事実であります。これを地域的に申しますと、庄西側でありますが、その後市政運営の面から、いろいろと配慮いたしまして、市出張所の設置、公安委員、固定資産税評価委員、公平委員、商工会議所副会頭等の要職を、同区域の方々に就任していただきまして、市制の各方面にわたつて協力を願つておるような次第であります。従つて昨年来、この委員会の皆様方に多大の御心配をおかけいたしましたが、今日の実情では、もはや問題は解消いたしていますので、この機会に皆様に心からお礼を申し、また将来とも何かと御教示賜わりたおお願い申し上げる次第であります。  以上まことに差出がましいことを申しましたが、お許しくださるようくれぐれもお願い申し上げます。
  32. 野村專太郎

    ○野村委員長代理 次に梅津四郎君。
  33. 梅津四郎

    ○梅津参考人 一昨日当委員会におかれては、公聴会をお開きになり、多数の公述人をお呼び出しあつて、その意見をお聞きなされたということを聞きましたので、自分といたしましては、もうおそらく委員各位におかれては、それぞれの立場から述べられた各公述人意見は、十分お聞きとりになられたものだと想像いたしますので、私は都議会議員の立場で、今回の地方自治法の修正に対して、都会でどのような模様であつたかという点に重点を置いて、意見を述べさせていただきたいと存じます。  特に自分は、この地方自治法の中での区長の任命制、及び議員の定数の縮減という点が、憲法九十三條に保障されておるところの地方公共団体の長及び議員の、その住民によるところの直接選挙によつてというこの條項に、明らかに違反するものだ、こういう考えを持つております。なお任命制を主張される側の都側において、またそれに同調される議員諸公の中には、特別区と財産区というものを例に引きまして、財産区においては直接選挙をとらない。そういう意味において、大体特別区の区長も、直接選挙でなくとも違憲にはならない。こういうふうに主張されておるように記憶しておりますが、これは財産区と特別区との本質的な性格を混同されているものだというふうに私は考えますので、こういう意味から言いましても、明らかに憲法違反であるというふうに考えておるので、任命制に対しては賛成いたしかねるのであります。  第二点は、やはりこの直接選挙を規定しましたところの地方自治法は、終戰後新しく生れかわつた今後の日本の行き方を規定した、憲法に基きましてできたものでございまして、終戰前までの任命知事、あるいは任命区長というふうなものは、中央集権化し、またひいて官僚独善化するというこの悪政を排除するということに、大きな意味が含まれておつたものだというふうに解釈いたします。民意の政治面への反映、地方自治の民主化という、このねらいから改正されたものだとするならば、あくまでも区長は公選でなければならないし、また議会のあり方として、民意を政治に、議会に反映させるという建前からいいましても、あらゆる国民の各階層の意見を、議会に反映させるという意味からいいましても、議員の数も、できる限り多い方が、そうした目的に沿うという意味においても、議員定数の縮減に対しては、あわせて賛成しかねるのであります。委員諸公におかれては、東條軍閥時代に、どのような政治のあり方であつたかということを考えていただけるならば、もう私が喋々と、ここで申し上げるまでもないことと存じます。あの当時は、いわゆる任命知事が官僚軍閥の意に隷属させられた、またそういう制度だからこそさせらせやすかつたということ、また議会においても、翼賛議会にした方が戰争政策遂行の上には効果的であつたというこの点からも、そういうふうに制度の変革をなされたことは明らかな事実であります。今新しい憲法の精神によつて日本民主主義を助長し、そしてあくまでも平和を守ろうとする日本のあり方から考えますならば、区長を任命制にしたり、あるいは議員の定数縮減をするということは、むしろ昔に逆もどりする復古調であり、その現われであるということが、はつきり言えるのではなかろうかというふうに存じます。と申しましても、今日の東京都の二十三区の実態は、完全なる自治権があり、主体性があるかと申し上げますならば、そのような姿でない点が非常に多いのであります。特別区の予算を見ましても、二十六年度においては約百億、二十七年度においては八十五億、ところが都知事からの執行委任の予算が、二十六年度においては九十一億、二十七年度においても大体前年と同様な予算が予想されるのでありまして、また事務、事業の面につきましても、直接住民の利害に密接な関係のあるところの保健事務、あるいは福祉事務、税務事務、こういうふうなものが、ほとんど昨年から都に取られまして、区はそうした仕事にタッチしていないというふうなこの姿こそが、都の出先機関であるがごとき現在の特別区の姿でございます。しかしそういう姿が決していいことではない。私たちはやはりできる限り住民の直接利害関係のある、先ほど申し上げましたような事務、事業は、大幅に区に委讓すべきことを主張てしおりますし、二十三区長及び二十三区の各区会議員諸公も、それを望んでおりますとともに、それの裏づけの財源の要求をも掲げておるのでありますが、今でさえそのような、各区が都の出先機関であるような姿を、今回の地方自治法改正によりまして、それを法的にはつきりと仕上げをするというふうな姿になることは、これは十分見通されるのであります。そういう意味からいいましても、私たちは賛成しかねるのであります。  第三点については、地方自治法の改正だけを取上げましても、多くの良識ある識者諸君、議員諸君、都民諸君の中には、区長任命制反対の声が起つておりますが、私はこの地方自治法の改正だけに目を奪われずに、もつと視野を広くしまして、両條約の締結と行政協定を結ばれるとともに、いろいろ議会提出されつつあるところの諸法案、たとえば破壞活動防止法案、労働法の改悪、警察予備隊令の改正、地方税法の改正、参議院を貴族院化しようとするような公職選挙法の改正案、そういうものまで新聞に報ぜられており、事実上程されておる議案もございますが、そのものとともにこれをあわせ考えまするならば、先ほどまで申し上げました官僚独善と中央集権化、そしてフアツシヨ態勢の強化という点が、この客観的な政治動向の上からも、はつきりと確認されるというふうに信じておるのであります。すでに御承知でございましようけれども、安井知事は電車やバスその他要所々々にポスターによつて告示いたしておりまするが、その告示言葉の中に、一部の者の風説に惑わされることなく、冷静に国会の決定を待つていてほしいということを書いてございます。この一部の者の風説に惑わされることなくという言葉こそ、私たちは簡單に見のがすわけに行かない。つまり自分の政治に批判し反対するところのもの、これを一部の者の扇動だ、一部の者の風説であるというふうに、何かしら非常に反逆的な行為のように印象づけようとするそのことは自体が、自分だけの主観によるところの独善主義的な官僚的な解釈ではなかろうか、すでにそういうことがポスターの上に表われているということを考えまするならば、どうしても私たちは賛成し得ない。特に都議会側の言い分を十分聞き、かつ批判することも必要であろうと思うので、私たち今まで聞いて参りました、そのおもなる点は、公述人も言われたことだろうとは想像いたしまするが、要点だけを申し上げますと、都側が区民諸君に対して、任命制にするならば、住民の便利をはかる、つまり窓口を簡素にする、こういうふうなことを極力宣伝されております。もちろん先ほど申し上げましたように、保健所、福祉事務所、都税事務所が区役所の窓口と別個にばらばらにあるということは、住民にとつては非常に重荷でございますし、迷惑することでございます。けれども一体そういう姿にさせた責任はどちらの側にあつたかというならば、これは区長、区会議員、住民の要望をはねのけて別個にした都側にむしろあるというふうに、私たちは解釈しております。そういうふうな点から、これはどうしても区側の要求でもありまた住民の大多数の人々の要求でもあるのでありますから、窓口を簡素にするためには、区側にそういう事務の委讓、その裏づけの財源を付與するということの方に、都の理事者としては努力すべきであるにもかかわらず、それをしないで、その不便を何かしら区側になすりつけようとすることは、まつたく卑劣な行為であり宣伝である。もし法及び都條例の改正によつてなす必要あるとするならば、それならそれで今のような住民の要望にこたえる姿に、早く立ち返らすべきが妥当ではなかろうか、そういうふうに考えております。  その次には、任命制にすれば区長の選挙費用が浮く、こういうことは政治家としては言えない言葉だろうと思いますが、それを言つております。ここで賢明なる委員各位に、私は御説明する必要はなかろうと思うのですが、ただそういうことを主張する都の理事者や都議会議員諸君に対して私は言つたのであります。もしあなた方の論理が正しいとするならば、知事も任命制にする方が同じ結果になるのではないか、また都会議員の定数も縮減し、国会議員の定数も縮減した方が、その意義が大きいではないか。そういうことは希望しておりませんけれども、任命制を主張する側の人の言うその論理があまりにばかばかしいから、そういうことを皮肉つたことがございます。それは国民の税負担を軽くする意味において、不必要な経費の縮減をするということは、これは政治家として絶対考えていただかなければならぬことだろうと思いますが、むしろ縮減をえさにして、任命制に賛成させようと宣伝する側においては、もつと大きなむだがあるのに、臭いものにふた主義でやつております。たとえば東京の予算八百億の中で、約一割近いところのものが彈圧費に使われ、また軍事基地化、軍用道路及び東京湾を軍港化しようとするところの予算、それからお手盛り退職金や宴会費等などを合せるならば、優に二百億近いところのむだが、節減できるのではなかろうかと私たちは考えます。そういうふうなことをひた隠しにしておいて、区長を任命制にして、選挙をしなければ選挙費用が浮くなどということは、おそらく物心のついた子供さんでも、その判断がなし得ると思いますので、その点の批判はこれでとどめたいと思います。  なおもう一つの点、都区行財政の一体化の確立が、どうしても東京都においては必要だと主張されます。もちろん各区においての事務あるいは財政のバランスをとるということは、私たちもその必要性は認めます。であるがゆえに、一昨年まで都側と区側と中立というふうな立場の人から、それぞれ委員をあげまして、都区行財政の調整委員会をつくられ、一昨年において大体その調整がなされておつたのであります。ところがそれが実行に移されなかつたというのは、むしろ都の理事者側の方が、その紳士的な協定案を誠意を持つて実行しようとする熱意がなかつたこと、つまり都側の利己心が強く出た。それによつて紳士的な協定案が、いまなおもやもやしておるという姿であります。その責任についてはむしろ都側が負うべきであると考えておるのであります。  なおその次に、区民が民主的に訓練されておらない。政治的な考え方が民主的にできておらないなどという、これまたばかげた議論をなす人もあるやに聞き及んでおりますが、かつて普通選挙を国民が要望したときに、婦人や青年はいまだ政治に目ざめていない、だから婦人に参政権を與えることも、また選挙権の年齢を低下することも、国を危うくするものであると主張した保守的な人たちもおりましたが、今になつてはそれは昔のおとぎ話化しております。その考え方を今の時代にまたも振りかざすとは、これまたお話にならないばかげたことだと考えます。そういう人が都の理事者や、都政に参與する議員の中にいるからこそ、マツカーサー君から日本は十二歳のボーイだなどという侮辱された言葉をはかれるので、これはあえて無理からぬことであると考えておるのであります。自分が選んだ区長であるなればこそ、その区長が住民のためにどのような区政をやつてくれるのであろうかということの関心が十分深まりまするし、区政に対しても都政に対しても、選挙権を與えられ、かつそれを行使したればこそ、みずからの責任を持つて、政治に目が広く向くのは理の当然でございます。むしろ天くだり的な官僚区長よりも、やはり住民に選挙された区長の方が——十分に民主的な人ばかりが百パーセント選ばれるというふうには期待はできないにしろ、任命区長よりも、よりよく住民の意思を区政に反映させる区長が出て来られ、またそのように運営しなければならぬということ、これはもうはつきりしていることだと思います。都側が主張する点は今のようにまつたく矛盾だらけであります。  もう一つ、実は昨年の十二月二十一日都議会において、神戸勧告案なるものに対しての決議として意思表示をいたしました。おそらくこの点については、委員諸公には議会の方から参考資料として書類が参つておることであろうと想像いたしまするが、要点だけをもう一回考えてみたいと思うのです。十二月の都議会において、行政事務再配分に関する第二次勧告に関する意見書というその中に、「地方自治の本旨とするところは、地方行政地方団体自らの責任と創意に委ねてこれを培し、伸暢せしめることによつて国家全体の福祉に寄與することが根本の要請でありまして、わが国の再建と伸展は一に懸つて地方自治の徹底強化にあると信ずるものであります。然るに最近における諸般のわが国の情勢はわが国の民主化ひいては地方自治の本旨に逆行するが如き懸念が看取されるのでありまして、本勧告の使命とする地方自治確立の趣旨も、その具体的勧告内容におきましては、必ずしも全面的に顯現されているとは解しえない点があり、本勧告に寄せたわれわれの期待に充分副い得なないものがあることは、遺憾に堪えないところであります。」云々という前書きをいたしまして、そうして神戸勧告案に対し、中央集権化、官僚独善の方向を食いとめるためには、都議会といたしましては、全面的に賛成できない、こういつて反対しておるのであります。ただ最後に区長の公選制を廃止するというこの点について同意しておるのであります。この決議案を上程するときに、一応私たちにも相談がありましたので、私たちは都会でかような決議がなされることは前文の意思は時宜に適したものであるということを申し上げたのであります。もちろん今日道州制やあるいは知事の任命制は、これはあくまでも民主政治を守り、地方自治地方分権を守る意味から反対されているのは妥当である。だが区長任命制に賛成されておることは理論的に矛盾でないか。私たちはその点を突きまして、できるならば区長もやはり公選制を存置するように修正してほしいという意見書を出したのでありましたけれども、遺憾ながらそれは取上げられなかつたのであります。そのような矛盾をしておる。最近においては、一昨年でございましたか、警視庁の国警編入、あるいは警視総監の総理大臣……。
  34. 野村專太郎

    ○野村委員長代理 発言中ですが、御了解を願いました時間が経過いたしたものですから、なるべく要項をお述べになつてください。
  35. 梅津四郎

    ○梅津参考人 警視総監の総理大臣の任命制という案に対して、都議会で反対の決議をいたしました。これは趣旨といたしましては、あくまでも地方の自治を守るという点にあつたのであります。これは私どももけつこうなことだと賛成いたしますが、片方に時代に逆行するような任命制を唱えながら、片方にかかる決議をする。この矛盾撞着を強く究明しなければならぬと考えております。また都職労の二、三の幹部諸君は、八十万の署名をとつた——これはとり方において不可解な点がありますけれども、八十万の住民の賛成を得たということによつて、都の理事者側の任命制に対して同調して運動しております。しかしこれは任命制賛成、あるいは公選制賛成という趣旨によつて署名を集めたのではなくして、都の職員を区長の方に移管するという区側の要望があつたのに反対しておる大部分の職員、これはそういうお気持が出て来るのは当然だろうと思うのですが、それは人事権の区への移管反対という署名であつたのです。それを任命制の問題にすりかえて濫用しておる。ところが最近になつて都職労の各二十三の支部長会議においては、幹部のそういうインチキなやり方に対して、非常に鋭い批判がなされまして、二十三支部長の約三分の二くらいは、労働者の立場で、労働組合の立場で、しかも民主主義を守ろうとする立場の性格の組合とするならば、冷静に判断して、任命制に反対すべきであるという声が起つております。また都議会議員の中でも、任命制に賛成してしまつた百二十名議員の中の百十八名の人たちが、今になつて考えてみるならば、まつたくうかつに賛成してしまつたということを言われておる議員もあります。それに対して私は、議員がうかつに賛成するという不見識なことが許されるべきでないと言つたんだが、つい内容を検討しないで賛成しちやつたというとほうもないことを言つております。またある都議会議員などは、自分が任命制に賛成したのは、自分の住んでいる世田谷の区長がきらいだから、任命制に賛成したのだなどと平気で公言されている。こういうふうに不見識な都議会において決定した任命制決議に対しては、十分御考慮願いたいと思うのであります。私は自分自身都議会議員の一人として、こういう内幕をお話するのは、まつたくしのびないことでありますけれども、事は民主主義を守るか、または官僚独善の方向へ逆行するかという大きな観点から、ざつくばらんに具体的なことを申し上げた方が、むしろ皆様方の御判断を正しくしていただくためにもいいと思いまして、あえて申し上げた次第であります。  結論的には、こうした矛盾だらけの論理をもつてなすところの都側の任命制に対しては、多くの都民は反対しておる。現に、都職はそういうインチキ署名で八十万と言つておりますが、区側においてはすでに八十五万が集まつておると言いますし、二十三区長初め二十三区の区会議員諸公は、各党派を超越いたしまして、今まで申し上げました趣旨の制度を残すべきであるというふうにしておるのであります。     〔野村委員長代理退席、委員長着席〕 それがゆえにこそ、知事や都議会議員のリコール運動さえ起ろうとしておるのでありますが、私はこのような頭の程度の、今まで申し上げましたような程度の議員で構成されておる都議会ならば、一刻も早く解散させ、そうして新しい民主的な新鮮な議員によつて入れかえらるべきが妥当であると考えておるのであります。どうぞ、ただいままで申し上げましたところの意見を、十分おくみとりくださいまして、本改正案は次にできるところの地方制度調査会等に持ち込むというふうな引延ばし的なことを考えておられる、またそれを要望しておる人もあるらしいのですが、もうすでに事理ははつきりしておると思いますので、国会の権威のためにも、この委員会の権威のためにも、即時改正案を否決していただくように、切にお願い申し上げたいと思います。  非常に時間が超過いたしましたにもかかわらず、十分に意見を述べさしていただきましたことにつきまして、委員長さん初め各委員諸公に対して、厚くお礼を申し上げまして、私の参考意見を終らしていただきます。
  36. 金光義邦

    金光委員長 質疑を許します。立花敏男君。
  37. 立花敏男

    立花委員 新湊の市長さんにお尋ねいたしますが、市長さんが分離に反対なさるのは、どういう根拠があるのか。私ども聞くところによりますと、今あなたの市から分離しようとしております所は、非常に経済的な価値の多い所なんで、工業の発達した所なんで、そこが高岡の方に参りますと、非常に財政的に困るというのですが、そういうお考え方が反対の大きな理由になつておると思うのですが、そうなのかどうか。そうだといたしますと、結局これはあなたの市の財政が苦しいから分離に反対なんで、財政的に許せば分離を認めてもいいのか。その点を一つお答え願いたいと思います。  それから梅律君にちよつと聞きたいのですが、もうすでに現在区長の方へ、知事からいろんな仕事が強制的に命じられて来ておる、あるいは実質上押しつけられておる仕事が大分あると思うのです。たとえば住民登録の仕事とか、あるいは警察予備隊の募集事務とか、こういうものが大分、知事の方から区長に、区の財政の問題を考えないで、どんどんやられておると思うのですが、こういう問題でお気づきの点がありましたら、ひとつ言つていただきたいと思います。
  38. 杉本兵太

    ○杉本参考人 お答えいたします。実は今お尋ねになりましたように、財政上の問題もありますが、従来あの地区は現在庄川の貫流によつて分離されて二つにわかれておりますが、しかし従来は一つ地域でありまして、市街地が連続しておつたものであります。でありますから、経済上の問題、その他姻戚上の関係等がいろいろあるところの同一の自治体であります。それが歴史的にそういうふうになつたものが、無理に離れて行こうとするところに、歴史の自然を害するおそれがあるのでありまして、そのために経済的観点及び姻戚上の関係の不幸を見ることが多いだろうと考えております。以上お答えいたします。
  39. 立花敏男

    立花委員 私ども聞くところによりますと、離れて行こうとするところの住民は、むしろ離れたいのだ。そういうふうに私ども聞いておりまして、これを新湊の方でおとめになるのは、主として経済的な問題で、その離れて行こうとする部分の人たちは、むしろ高岡についた方がいろいろな点で便利なんだ、地理的にもくつついているので、経済的な取引の上においても、高岡についた方が便利なんだということを言つております。ところが新湊の方は、今の部分が離れますと、財政上非常に困るし、住民に相当大きな税金の負担をかけなければいけない。そういうことが大きな問題になつておるということを聞いておるのですが、その離れて行く部分の住民の意向は、一体どうなのか。
  40. 杉本兵太

    ○杉本参考人 それは表面上に現われたことは、そういうふうであるかもわかりませんけれども、現実には公安委員長の就任も承諾しておりますし、また先刻申しました公平委員、固定資産税の評価委員等の就任についても、喜んで市政協力しておりますので、現実の姿は、住民はむしろ高岡よりも二割方、三割方市税が安いという点で、新湊の方におりたいという心持が多いのではないかというふうに考えております。なおおつしやいました経済の取引関係は、新湊の市の方に多くして、高岡の市の方に少いというのが現実であります。これは何かお聞き違いでないかと私は考えております。
  41. 梅津四郎

    ○梅津参考人 ただいま立花委員の御質問ですが、各区に住民登録、あるいは警察予備隊員の募集、そうした事務を、強制かあるいは強制でないかしらぬが、やらせるところがあるのじやないかというふうな御質問ですが、私も全部は調査しておりませんからわかりませんが、聞くところによりますと、確かにそういう事務を扱わしておる。それで住民登録については、これはもうこの七月一日から実施するということになつているのですが、実は新宿区においては住民登録法の施行法がまだ出てもいないのに、そういうことをやれということになると、予算を組まなければならぬ。しかし施行法も出ていないのに予算が組めるかという反対の意見によつてきまらなつた、はねつけたということを聞いております。それからなお、これは名前を申し上げたくないのですが、ある区の支所においては、警察予備隊員の募集のポスターがまわつて来た。ところが世論がこれは軍隊であるというような声が高まつておるために、そこの支所においては、こうした憲法違反の警察予備隊員を自分自身の支所の手によつて募集する——積極的に募集しないにしても、そのポスターを張つて置くことはできないといつて、それを張らずに、そのポスターを弁当の包み紙に使つてしまつたというようなこともあつたことを聞き及んでおります。
  42. 立花敏男

    立花委員 私都政を扱つておる新聞で見たのですが、都に防衛局ができる。防空事務を扱いますために防衛局ができる。すでに都の一部分では空襲が出た所がありますので、そういうことになつて来たのでしようが、防空事務を扱う防衛局を都が置くということを新聞などで散見するのですが、こういうことについて都と区との間にどういう話があるのか、あるいは都としてどういう形でこれを進めようとしておる様子なのか、それをひとつ承りたい。
  43. 梅津四郎

    ○梅津参考人 その点については、新聞紙上で私も見たのでありまするが、各区及び都の理事者側に具体的にそういう意向ありやいなやということについては、まだ確かめておりません。今のところ何ともお答えいたしかねるのであります。
  44. 立花敏男

    立花委員 さいぜんの住民登録の問題、あるいは警察予備隊の募集事務の問題、これは警察予備隊の募集事務を区でやらなければならないという何ら法的な規定も、今のところはないわけなのに、それがやられておる。また住民登録の事務等も、施行法が出ない前に、それを区にやらさせようとしておる。それを区議会が拒否しておる。こういうふうになつて参りますと、もうすでに、区長任命制が行われていなくても、区長に対して天降り的に知事側が強制をやつておるということが、部分的にもうかがわれると思うのです。そういうふうなことをなお一層強行し、かつそれを合法化するために、区長の任命制がやられようとしているのではないか、都政の行き方としてはそういうふうに感じられるのですが、そういう傾向が見られるかどうか、どうお考えになつておるのか、これをひとつ承りたい。
  45. 梅津四郎

    ○梅津参考人 仰せのような不安は確かにあります。私たちもいろいろな点から、その点を憂慮しておるのであります。今の公選区長のもとにおいてさえ、そういうふうな事務がやらされる。幸いに区長公選である限りにおいては、都側の言いなりに、易々諾々として聞かなくても、住民の信頼さえあればいい、こういう区長の誇りといいますか、気持があるうちはまだいいが、もし任命制になりますると、そういうふうな仕事の委任あるいは命令というか、そういうふうなものが出た場合に、それをやらなければ、拒絶するならば、すぐ首の方があぶないということは当然なことでありまして、任命制になるならば、やはり最近の中央政治の動きと相関連いたしまして、不安の念が末端までずつと押しつけられるのでないか。住民はそういう意味においても、どうしても公選制を守らなければならぬという空気が、非常に強くなつて来ているゆえんも、そこに大きな原因があるのではないかと思うのであります。
  46. 立花敏男

    立花委員 それから警視総監の任命制ですが、これに対して、都議会あるいは都側はどういうはつきりした意思表示をなさつておりましたか、これをひとつ承りたいと思います。この前の公聴会のときに、知事あるいは都議会議長も、この点は明確な意思表示がありませんでしたので、はつきりいたしませんが、総理大臣による警視総監の任命制、すなわち自治体警察の長の任命を総理大臣がやろうとしているので、これは自治体にとつては大問題だと思うのです。副知事あるいは議長も、都の統一的な行政を守るために、区長の任命制をやるのだと言いながら、自分たちの警察であるべきところの警視総監の任命を、自分たちがやるのではなしに、総理大臣にやつてもろうのでは、これこそ自治体の破壞ではないか。これほど大きな自治体の破壞はありません。
  47. 金光義邦

    金光委員長 立花委員に申し上げますが、なるべく議題からそれぬようお願いいたします。
  48. 立花敏男

    立花委員 たとえば、治安が重要であればあるほど、自治体の長がその自治体警察の長を任命すべきが当然なんで、あるいは自治体がその警察の長を任命すべきが当然なんで、警視総監の任命制は明らかに、統一体としての、自治体としての東京都を破壞するものではないか。これは区長の任命制とは非常に矛盾すると思うのですが、その点はどういうふうな都議会あるいは都側の意思表示があるのか、はつきりとしたものをお聞きしたいと思います。
  49. 梅津四郎

    ○梅津参考人 この点について、一昨日の都議会において警察法改正反対に関する意見書(請願)、これが出されました。時間の都合で私は省略いたしましたが、大して長くありませんから……。
  50. 金光義邦

    金光委員長 ちよつと参考人に申し上げますが、ただいま議題になつておる範囲で御答弁を願います。御承知のように、地方自治法の一部を改正する法律案内閣提出一七五号について、御答弁を願います。
  51. 梅津四郎

    ○梅津参考人 これは明らかに、今御指摘になりました通りに、警察法を改正することに反対する都側の意図は、国家に吸收されるということ、しかも警視総監が総理大臣の任命制になるというこのことは、民主主義の逆行であるという立場から、改正に反対したのでありますので、その点の意図と、区長任命制の意図とは、まつたく矛盾しておるというふうに私たちも考えます。しかし矛盾はしておるが、いいものはいい。まあこれは賛成すべきであつて、この点については、私たちは全幅的には、文字通りには賛成はいたしませんが、趣旨においては賛成いたしております。しかし先ほど御指摘の点は、確かに矛盾しておるということを申し上げます。それから同時に私たちは、警察制度は現在のあり方のままでいいとは考えておりません。警視総監並びに警察署長は、やはり住民の一般公選、これの方が警察制度の民主化をはかる意味においても、正しいことだと考えておりますが、これは自治法の改正の中の一部ではございませんけれども警察法の改正の場合には、むしろ将来公選制を考えていただきたいということも、あわせて申し上げておきます。
  52. 金光義邦

    金光委員長 ほかに杉本、梅津両参考人に対する質疑はございませんか。——ないようでありますから、これをもつて、両参考人の本法案に対する御意見の陳述は終了いたしました。  この際参考人各位に申し上げますが、御多忙中にもかかわらず御出席くだされ、貴重なる御意見を種々お述べくだされ、本案の審査にあたり多大の参考となりましたことを、委員会を代表し厚く御礼申し上げます。  これより政府委員に対し、本案に対する質疑を続行いたします。休憩前に引続き、第六條より第九條の二までについて質疑があれば、これを許します。
  53. 立花敏男

    立花委員 今の警察の問題を少し聞いておきたいと思うのですが、この警察法が改正されまして、国家警察地方警察になり、すなわち警察が国家のものから自治体のものになつたわけです。そういう意味において、自治警察の建前上、その自治警察の長の任命は、当然自治体がやるのが至当だと思うのですが、警視総監の総理大臣による任命制が行われようとしておる。これは明らかに自治体を破壞するものではないか。自治体の統一を破壞するものではないか。最も重要な仕事一つである自治体警察の問題が、自治体ではきめられないで、他の権力によつて、他の者によつて決定されようとしておる。これこそ大きな自治体の破壞ではないかと思うのですが、この問題をどうお考えになりますか。この自治法の市の條件の中には、警察の問題はありませんが、自治体が完全なる自治体である建前上は、どうしてもやはり警察のようなものは、自治体が任免権をにぎり、名実ともに地方警察自治警察として、人民の警察として育成しなければならないと思いますが、この点をどうお考えになつておりますか、政府意見を聞きたい。
  54. 金光義邦

    金光委員長 立花委員に申し上げますが、今第六條より第九條の二までについての質疑を行つておりますので、その点をお含みになつて御質問願いたいと思います。
  55. 立花敏男

    立花委員 質問の要点がはつきりしないようですが、今議題になつているところには、市の要件があるわけです。三万以上とか五万以上とかいう、その市の要件の中には、自治体警察の問題も当然入つて来ると思います。だから自治体要件というものは、市は完全な自治体だと思いますが、その自治体警察権を持たなくてもいいのかどうか、警察に対する自治権はどうするのか、警察自治体以外のものなのかどうか、自治体が自分たちの警察を当然持つべきであり、当然それを任免すべきであり、管理すべきだと思いますが、その重大な警察署長の任免あるいは警視総監の任免というものが、他の権力、他の機関によつて行われて、はたしてそれで自治体であると言えるのかどうか、そういうことで自治体要件が備わつておると言えるのかどうか、この問題だと思います。決して警察法を問題にしておるのではありませんので、自治体の問題としての警察法を問題にしておるのですから、御答弁を願いたいと思います。
  56. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 この点は、午前中床次委員のお尋ねにお答えしたと思いますが、自治体警察を持つということが、市となるための要件であるかどうかという点につきましては、第八條の一項の一号の人口三万以上を有すること、それから二号の市街地を形成している区域内にある戸数が、全戸数の六割以上であること、第三号の都市的業態住民の数が、全人口の六割以上であるということ、この三つの要件は、これは地方自治法において、法律上絶対の要件として定めておるわけであります。そのほかにさらに四号に、都道府県條例で定める都市的施設、その他の都市としての要件を備えていることというのが加わつているわけであります。これはそれぞれの都道府県において、市の要件として、いかなる都市的施設を定めておるかということによつてきまるわけでありまして、今の自治体警察、あるいは自治体消防というようなものも、これは一つ施設でございますが、これを市の要件として掲げておるかどうかということに帰着するわけであります。一方警察法におきましては、およそ市であるならば、これは自治体警察を持つということが、法律上の原則としてうたわておるわけであります。しかしながら地方自治法におきましては、自治体警察を持つか持たないかということは、これは直接的に規定をしておらない。もしも当該都道府県條例で、自治体警察を持つことが市となる要件ときめておる場合においては、その要件を満たさなければ市になれない、かようになつておるわけであります。
  57. 立花敏男

    立花委員 これは自治体の本質的な問題に、やはり触れて来るのではないかと思います。そういう問題があまり起らなかつたから、警察の問題はここにあげておりませんので、ただいまのように自治体警察自治体にまかせないで、総理が任命するというような形が出て来る限りは、これはやはりそういうことをさせないために、はつきりと自治体自治体警察を持たなければならない。しかもその長は、自治体が任免するという規定を、はつきり入れるべきだと思います。そういうことをするのが、自治の精神にかなつておるのか、あるいは自治体警察の長を総理が任命する方が、自治体精神にかなうのか、その点を根本的な考え方として、どうお考えになつているかということなのです。警視庁の場合は特別だと言われるなら、それは話は別ですが、一般的に自治体警察の長は自治体が任免すべきであるという原則に対しては、どうお考えになつておりますかということを聞きたいのです。
  58. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 この関係の本題とは、やや離れた御質問のようでございますが、自治体機関自治体がみずから選任するというのは、これはやはり自治の大原則であります。ただそういう自治体がみずから機関を選任するという方式を、たとえば今お話がありました警察というような問題について、ことに首都の警察というような問題について、別個の選任の方法をとる、こういうような案、考え方もあるでございましようが、これは要するに自治という考え方と、また別個の立場からの考え方であろうと思うのでありまして、国家全体の制度といたしましては、それら両点をにらみ合して、結論を出すべきであろうと考えております。
  59. 立花敏男

    立花委員 私警察法の精神も、自治に貫かれておると思います。建前として地方自治ということは、決して單なる行政上の形式問題でありませんので、実質的にやはり自治体を主体として、自治体住民の生活を主体として、そこのすべての問題を自治体で決定して行く、当然警察の問題も自治体が決定して行く、そういう意味で国家から地方警察が移されたと思うのです。そういう意味におきまして、その警察の長の任免は、当然やはり自治体が行わなければならない。それが総理によつて行われておる。これは明らかに警察法の本旨にももとりますし、また地方自治というところからも、根本的に間違いじやないか。自治というものは、決して自治法だけが自治ではありませんので、警察法も明らかに地方自治法の精神に貫かれまして、制定されておるということは、これは自明の事実なんです。そういうところから、広い意味における自治という問題と、今回の自治体警察の長の総理による任免という問題と、矛盾しないとお考えになつているかどうか、それをお尋ねしたいのです。と申しますのは、警視総監と申しましても、大阪にも警視総監があります。これは決して東京だけの警視総監の問題ではなしに、大阪の警視総監にも及んで行くことは当然なんです。あるいは特別市制ができようとしておりますが、そこにも、おそらく警視総監ができるでありましよう。この五大都市の警視総監の任免にも及んで行くわけです。こういうように考えますと、東京の警視総監だけの問題ではなしに、ずつとやはり広く他の大都市警察署長の任免の問題になつて来る。そういたしますと、結局地方自治ということが問題になつて参りますし、自治体自治警察という基本的な点が、当然問題になつて来るわけです。そういう大きな問題としてこの警視総監の任命制、それと地方自治の問題とを、根本的にこの際はつきりしておく必要があるのではないかと思いますので、その意見を求めているわけですが、狭い意味における自治ではなしに、憲法で規定しておりますところの、日本の政治の基礎は、地方の自治になければならないという大きな意味から申しましても、地方自治体の警察の長の総理の任命が、根本的に矛盾であるというふうに考えられるかどうか、これを聞いているのです。
  60. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 原則論といたしましては、先ほど申しましたように、自治体機関は、自治体住民がそれだけで選任をして参るのが、だれも異存のない大原則であろうと思います。しかしながらたとえば現在教育公務員に例をとつてみますれば、これは法制的には、市町村の教育公務員であります。にもかかわらずこれは都道府県の教育委員会が人事権を持つております。これは要するに便宜の問題、また実際の実情から、さような結果に相なつておると思うのであります。そういうのはまず例外でございます。府県なり市町村職員は、これはそれぞれ府県知事なり、市町村長なりの任命権者が任命するというのが大原則であります。また選挙によることを建前とするものは、これはそこの住民が選挙するというのが大原則であります。しかしながら職能、今の警察とか教育とかいうような、そういう一つの職能に従事いたします職員につきましては、たとえば英国等におきましても、警察職員の任免については、地方団体政府との合意で選ぶというような形が行われているようであります。これは必ずしも民主主義だから、あるいは自治だから、必ず絶対に住民が選ばなければならぬ、それ以外の一切の選任の方法は非自治的であり、非民主的である、こういうことは原則論としては言い得るでございましようけれども、それぞれの機能を営みます職員については、それぞれの機能に最も適合する公務員を得られるような、そういう選任方法を考えるということも、これまた必要であります。そういう民主主義の要求あるいは自治の基本的な要請と、実際の必要とを十分調整して考えて行くべき問題だと思うのであります。今の首都警察というのは、自治体警察全般の問題とは、私ども聞いておりませんので、東京の首都警察について、どうするかという問題であろうと思います。この点については、今まではやはり自治体機関である公安委員会が当然選ぶべきである。こういう建前で今来ているわけでありますが、それを今回どういうような御改正のことになりますかわかりませんけれども、その点を検討しようというのが、今出ておる案であろうというふうに私ども承知いたしておるのであります。
  61. 立花敏男

    立花委員 警察の問題はそれくらいにしておきます。町村合併の問題ですが、大体見通しとしては、現在の町村の数がどれくらい減る見通しなのか、これを承りたいと思います。
  62. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 これは午前中にも申し上げましたが、特に三分の一に町村の数を減らすとか、あるいは五百減らす、千減らすとかいうような計画をあらかじめ立てて、それを割当てて減らすとか、そういう上からの考え方ではないわけでありまして、大体府県單位ごとに、自分の自治体規模をどうするかということをみなで研究し合つて、そして一つのまとまつた計画をつくつてもらう。こういう考え方でございますので、あらかじめどういうことが目標である、ねらいであるというところまでは考えていないのであります。
  63. 立花敏男

    立花委員 岡野国務大臣の話によりますと、大分見通しがはつきりしているようなんですが、今の鈴木君の答弁では、法律をつくるだけで、そういう見通しも何も立つていないということなんですが、それでは何のために法律をつくるのかわかりませんので、やはりはつきりした目標があつてつくられるものと思うのです。しかも法律を見ましても、非常に政府が積極的に市町村合併を促進しようという形が、この改正案の中にもはつきり現われております。それは第八條の二ですか、知事が計画を立てて、これを関係市町村勧告するという言葉がはつきりあるわけです。これは非常に重大な改正だと思うのですが、すでに知事が市町村合併あるいは区域の変更に計画を立てて、これを市町村勧告するのいう形が出ておりますので、これは鈴木君の言うように、決して市町村が自主でやつて行け、ほつておくのだということにはなりませんので、知事がやはり勧告するという形が出ているわけです。しかも政府では、大臣あたりが七千あるいは八千にして行くのだ、あるいは何十パーセント現在の市町村を減らすのだというようなことをはつきり言つているのです。しかも知事がこういう法的な勧告権を持つて参りますと、おそらく全国の町村は非常に大幅に減少され、消えて行く町村が出て来るのではないかと思うのですが、鈴木君の言われる、そういう積極的な意図はないのだ、だから計画も見通しもないのだと言われることと、ここに書いてありますところの、知事に勧告を與えまして、知事が計画を立てまして、市町村に奬励促進するという改正案とは、大部矛盾すると思うのですが、率直に政府はどれくらいの町村合併が行われ、現在の町村がどれくらい減少すると思つておられるのか。あるいはこれは單なる見通しとしてではなしに、希望としては、政府はどういう希望を持つておられるか。これをひとつ承りたいと思います。
  64. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 合併について、積極的意図を持ていないということを、私ども申し上げたわけではないのでありまして、かくのごとく法律案の中に、合併が円滑に行われますようないろいろなことを考慮いたしておりますのは、合併に大いに期待をいたしておるからであります。ただどれだけ減らすかというようなお話でありますので、さような機械的な数字をもつて合併を勧奨する、こういうようなことは考えていないという意味で申し上げたのであります。世上いろいろ話されておりますのは、現在、たとえば人口七、八千という、地方行政調査委員会議勧告をとるといたしますならば、それに達しないような町村が非常に多数、数千あるわけでございまして、そういうものが、七、八千になるということを前提にすれば、三分の一とかいうようなことに相なるわけでございますが、それはまつたく数字だけを見ての話でありまして、そういうものが、ただちに具体的の計画の基礎になるということはないのであります。これは特に県によりまして、同じような状況でありながら、非常に町村の数が違うのであります。岡山とか、鳥取とか、島根とか、あるいは山梨というようなところは、小さい県ですけれども、非常に町村の数が多い。鹿児島とか、宮崎は非常に町村の数が少いというふうに、県によつてやはり明治以来の合併の実際の結果が違つて来ているわけでございまして、これはやはりそれぞれの県々で、十分県の町村会、県の市長会、あるいは議長会というようなものと話をいたしまして、具体的な計画を立てる方が、実情に即するというふうに考えておるのであります。
  65. 立花敏男

    立花委員 そういう積極的な意図があるのであればそういう意図の目標はおのずからなければならないと思うのであります。何らの目標なしに、積極的な意図があるはずはありませんの、はつきりした積極的な意図があるのならば、その意図するところの目標は、当然私はなければならないと思います。だからそれをやはり率直に言つていただく必要がある。そういうことが実現するかしないかは別問題として、どういう目標を持つて、そういうことを積極的に推進して行くのだということは、これはなければ論理的にもおかしいので、それはやはり明確にしていただきたいと思います。  それから知事が、市町村合併を決定し、区域の変更を決定して、計画を決定するのですが、その知事の計画の決定が何に基いて行われるのか。これは市町村にとりましても大問題なんで、かつてに、お前のところと隣りの村とひつつけと言われましても、これは簡單にひつつくわけには参りませんので、知事は何に基いて、何を基準にして、この合併計画を定めて、これを市町村勧告するのか、この基準を承りたい。そうでありませんと、市町村はまつたく知事の一方的な意図によつて、粘土細工のようにひつつけられまして、とんでもない迷惑をこうむると思うのですが、この知事の計画の決定は、何によつて決定されるのか。さらにこの勧告は、市町村に対してはどういう強制力があるのか、これは拒否できるのかできないのか、拒否するとなるとどういう規定があるのか、これを承りたい。
  66. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 合併の計画は、各都道府県ごとにつくつてもらうわけでございますが、これは第八條の二の二項にございますように、まず関係市町村意見を聞くということが第一の要件であります。しかも関係市町村意見というのは、当然その議会の議決を経て意見をきめる。また府県議会あるいはその府県区域内にある市町村議会とか、あるいは市町村長の連合組織その他関係あるもの、それから学識経験者、こういうものの意見を必ず聞かなければならぬというふうにいたしております。要するにこれだけの手を盡して合併の計画というものをつくるわけでございますして、これだけの人の意見に基いてでき上ります合併計画というものは、その地方実情に十分即するものであろうと思うのであります。しかしながら勧告はあくまでも勧告でありまして、これに従う義務はまつたくございません。法律上そういう義務を生ずるものではないのであります。勧告に基いて、具体的に合併をし、境界変更をやろうという場合には、その関係市町村の方から申請をして、初めて知事がその府県議会にかけて議決する、こういうのでありまして、これは要するに、合併したらいかがですか、ということを公式に表明するというにすぎないわけであります。
  67. 立花敏男

    立花委員 そこのところは少しあいまいだし、ごまかしがあると思うのですが、なるほど第八條の二には、市町村意見を聞かなければならないとありますが、これはあくまでも聞かなければならないであつて意見に基かなければならないではない。だから聞くことだけが問題なんで、その意見を尊重して、それに基いて府県の決定をやるのでなしに、ただ意見を聞くだけが規定されておるだけなんです。これでは決して実情に即するという形が出て参らないと思うのです。計画の決定あるいは勧告にあたりましても、聞くだけでは、決してこれは実情に即するということが保障されていないと思う。意見に基いてというふうにここがなつておりますと、意見に基いて勧告をやり、計画を定めるのだから、それは実情に即したものが出て参るでしようが、單に意見を聞かなければならないというこの改正案の規定では、決して実情に即したものが出て来る保障はどこにもないと思う。今政府の言われたように、実情に即するものをつくり出すのだと言われるのであれば、この改正のこの字句は、少くとも意見に基いてというふうに、はつきり書き直すべきだと思うのですが、その点をどうお考えになつておるか。  それから申請されてから許可するのだから、それは問題じやないと言われますが、勧告の前に申請が出て来るのじやないはずである。勧告されてから申請が出て来る。だから勧告は申請以前のものなので、むしろ申請を促進し、申請にある上部の力を加えて行くのが、私は勧告の目的だろうと思います。そうなつて参りますと、申請があつてから許可するのだから、これは実情に即するとは決して言えませんので、政府の意図もかつてに申請を出しては困るので、それ以前に知事が決定して勧告するのだという建前で、改正されているのでしようから、申請と勧告の間には何ら実情に即する保障がありませんし、むしろ勧告によつて、その次に出されて来る市町村の申請をある程度規制して行こうというのが、ここに勧告権を規定した趣旨ではないかと思います。そういう意味政府ほんとう実情に即した併合あるいは区域の変更を考えるなればこれはあくまでも市町村の自由なる意思に基いてというふうにすべきだと思うのですが、そう改正される意思があるのかないのか、ひとつ承りたい。
  68. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 そのような考えは持つておりません。
  69. 立花敏男

    立花委員 そうすれば、このままで実情に即するものができるという保障が一体どこにあるのか、答弁によりますと、実情に即するものをつくるのが建前だと言われておりますが、この改正案ではその保障がないわけなのです。どういうところから実情に即するものができるというふうにお考えになつておるのか、これをひとつお伺いしたい。
  70. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 先ほど来くどいように申し上げております通り、申請というのは相手方に法律上の義務を生ずるものではないわけであります、しかも合併の計画に基いて甲の村と乙の村とが合併したいというふうに意思がきまつたならば、そこで初めて第七條によつて議会の議決を経て、市町村が知事に申請をして来る。知事はそれを議会にかけてこれをきめる、こういうことでありまして、勧告がございましても、合併の普通の手続は当然にとられなければならぬのであります。計画というものはやはり計画でございますから、これはある程度理想的に行われるでありましよう。従つて関係町村意見が常にそのまま組み合わさるということは、必ずしもあり得ないと考えております。そこにやはり関係の当事者以外の全体の立場からの町村長会とか、議会とかあるいは公平な学識経験者の意見も聞け、こういうことになつておるわけでありまして、その計画を具体的に町村がとるかとらないかは自由であります。
  71. 立花敏男

    立花委員 今までのしきたり上、知事の勧告あるいは総理大臣勧告というものが、市町村に與える影響というものは、決して自由というふうには参りませんので、非常に大きな規制力を持つて来ることは現実の問題だと思います。そういう意味で私はこの勧告という言葉は適当でない、これは当然改めるべきだと思うのでありますが、そういう意味で、もう一度これは考慮していただきたいと思います。  それから現在の町村においては、一つの学校を移動させるにも、あるいは役場を移動させるにも、問題が起つておるわけであります。ところが現在あります市町村を廃止いたしまして、二つ、三つの町村一つ町村にまとめて行く、そういう場合に、今までの自治体としての町村が空白状態になり、新しい町村をつくつて行くわけなのですが、その際にそれへの移行が円滑に行くとお考えになつているがどうか。実際上そういうことはおそらく大きな摩擦と抵抗が起ると思うのですが、その点をどうお考えになつておるか。それからあわせて、現在の町村自体は、すでに非常に大きな努力と長い経験の結果、一つ自治体としてまとまつておりますので、それを一切御破算にしまして、新しい自治体をつくつて行くということについては、歴史的あるいは社会的なつながりがそれを許さないと思うのですが、そのことについては何ら考慮を拂われないのかどうか、全然新しいものだけで議会を選び、議員を選んで行けばいいのか、現在あります町村で他に吸收されますものについては、何らそういう行政上の考慮を拂う必要がないと考えられておるか、その点をひとつ承りたい。
  72. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 市町村合併にあたりまして、いろいろの行政下の問題が起るわけでございますが、お話のような従来二つ單位のものが一つになる、あるいは数個のものが一つになるというところに、いろいろ問題があるわけであります。そこでまず編入をされるという場合を考えますと、町村長とか町村議会の議員というものは法律的に申しますと、その町村が全部吸收されてなくなるのだから、これは当然に失職する、こういうことに相なるわけでございますが、そういうことのために町村合併が非常に行われがたいということがあるわけでございますし、またその町村が財産等を持つておる、部落有と申しますか町村有の財産を持つておる、そういうものはやはりその区域住民のみによつて共同使用して行きたいという場合には、その区域一つの財産区をつくりたい、こういう希望もあるわけであります。そうして従来の地位を継続したい、あるいは少くとも従来と同じ程度の議員を出したい、こういうようなことを合併條件にいたし、あるいは従来から持つておる町村有の財産を財産区として保持したい、こういう合併條件を出した場合に、それが入れられないために合併が成立しないというようなことはいかがかと考えるのでありまして、そういうようなことも、條例によつて議員定数に若干調節を加える、あるいは財産区の創設といいますか、それを認める、こういうようなことで合併も行われ得ると思うのであります。そういうようなことも、やはり合併を容易ならしめる一つの方法として考えて行つてしかるべきであろう、こういうように考えでおります。
  73. 立花敏男

    立花委員 次の質問は次の條項でやりたいと思いますが、きのう鈴木君は、おとといの公聽会で杉村東大教授あるいは安井前東大教授等が、区長の任命制は憲法違反であるという公述をやつたということについて、どう思うかと質問いたしましたところ、そういうことは杉村氏は言わなかつた、あるいは安井氏は言わなかつたということを言われたのですが、これは速記録にもはつきりしておることだと思いますし、現に私どもがこの耳で聞いたわけです。特に問題が重要なので、発言されたあとで私は、では憲法違反であるということを確認していただけるかということを念を押しまして、杉村氏に確認をしていただいておりますので、鈴木君の、杉村氏はそういうことを言わなかつたという言葉は穏当じやないと思いますし、公聴会の権威にも関しますし、公述人に対する冒涜にもなると思いますので、その点どうお考えになつておるか。鈴木君が憲法違反ではないという議論を持つておられるというのなら、話はわかるのですが、言われたものを、言われないというふうに言われることは大問題だと思います。しかも公聴会政府の責任者としておいでになつてつて、そういうことを言われたのでは、これは問題が重大だと思いますので、もう一度念を押しておきたいと思います。
  74. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 この点は宙に申し上げましてもいかがかと思いますので、速記録を見ました上で、さらにはつきりいたしたいと思いますが、立花さんが杉村さんに御質問になつたときはあ、ちようど私は所用で席を立つておりました。ここにおりました公務員課長から、爾後において報告を受けたのでありますが、そのときの話では、今の建前のままで区長の公選を廃止することは違憲である、こういうふうに言われたそうであります。それ以上私詳しく報告を受けておりませんが、その点が明らかであつたように聞いておりますので、そう申し上げたのでありますが、なおこの点は速記録を見ました上で、はつきりいたしたいと思います。
  75. 立花敏男

    立花委員 今の建前で憲法違反であるということは、明らかに憲法違反だということを言われたので、憲法をかえてから憲法違反だとは言われないわけです。今の建前のままでは憲法違反だと言われることは、憲法違反だということと同じことだと思う。憲法を改正してから、憲法違反だということは成り立ちませんし、條件をかえてから憲法違反だということは成り立ちませんので、今のお出しになつている法案が、憲法違反かどうか、現状のままで尋ねておりますので、今のままでは憲法違反であると言われたのは、憲法違反だと言われたことと同じだと思うのですが、何かその点御弁解があるようですから、承つておきます。
  76. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 今の建前のままという意味は、現在地方自治法に定められておりますその建前のままでは特別区の性格その他に変更が加えられた場合はいざ知らず、現行の特別区のままでは憲法違反である、そういう意味でお話があつたというふうに私は聞いております。憲法改正の問題ではありません。
  77. 立花敏男

    立花委員 それでいいのです。だからお出しになつている自治法の特別区の性格は、現在の自治法の特別区の性格を全然かえるものではないはずです。行政区にしようとは言つておられないわけです。だから特別区のままで区長を任命するという形で出しておられますれば、憲法違反であるということは、当然言えると思うのです。政府の提案が現在の特別区を行政区にするというのであれば、憲法違反ではないと言えるかもしれませんが、お出しになつている法案自体が、自治区のままで特別区を存続さぜて、しかも区長の任命制を行おうというのだから、それは憲法違反であると杉村氏が言われるのは、憲法違反だと言われることと同じ言葉なんです。決してこれは憲法違反であると言われなかつたということにはならないと思うのです。
  78. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ちよつと念のために申し上げておきますが、特別区の性格を変更しておるという政府案の意味は、自治区から行政区に変更したという意味ではないのです。行政区であるならば、憲法など適用の余地がないわけであります。地方公共団体ではないのでありますから。そこで自治区である、要するに地方公共団体という自治法上の団体ではあるが、憲法九十三條の適用があるかないかといえば、問題であるわけであります。私ども政府案におきましては、特別区は都の内部的な構成団体である、都を構成する部分団体である、こういう考え方であります。ところが、現行地方自治法ではどうなつているかというと、特別区が基礎的な団体である、その特別区が集まつて都をつくる、都は複合的な団体である、こういうふうに今わかれております。それをこの改正におきましては、都というものは單一な基礎的な団体で、それを構成している特別区がある、そういうふうにかえた。そこは根本的に性格がかわつて来たわけであります。
  79. 立花敏男

    立花委員 決して根本的に性格はかわつておりませんので、憲法で規定しております地方公共団体という性格においては、ちつともかわつていないわけです。住民がその議員並びに首長を公選しなければいけないと規定しております憲法の地方公共団体とは、決して性格はかわつていないわけです。その解釈の仕方あるいは規定の仕方が複合体であるか、基礎的なものであるかということで、多少かわつているわけであります。そのいずれにいたしましても、たといあなたの言われるような変更を認めたといたしましても、それは決して公選をしなくてもよいという基本的な性格のものにはならない。そういう意味で、憲法違反であるということは明白に言われておりますので、その点誤解のないようにしていただきたい。政府の方で基礎的な公共団体である、部分的な公共団体であると認められましても、それは地方公共団体であることには間違いありませんので、その意味で、憲法の規定している九十三條の首長の公選という問題に反して来るというふうに、杉村さんははつきり言つておられると思う。その点誤解のないようにしていただきたい。複合的であり、あるいは部分的であるから、首長の公選を行わなくてもよいということは、憲法上出て来ないと思うのですが、その点どうですか。
  80. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 速記録を基礎にせずして論じ合いましても意味ないことでありますが、お尋ねでございますから申し上げますけれども、私ども考え方といたしましては、地方公共団体の中に一部事務組合あるいは財産区というようなものがあるわけです。この一部事務組合あるいは財産区というものは、地方自治法地方公共団体と言つているわけです。これは憲法九十三條に書いてある地方公共団体と、言葉としてはまつたく同じ言葉でありますが、それでは、たとえばその組合の管理者というものは直接選挙になつているかと申せば、直接選挙になつていない。国会でおつくりになつたこういう法律と憲法との間に、いかに合理的な御説明をなさろうとするおつもりか。私どもは、地方公共団体の中でも、その性格によつて非常に例外的な制限自治区というようなものでありますならば、これは憲法九十三條の普遍的な基礎的な地方公共団体に適用される原則が必ずしも適用されない。ただその首長を選挙にするかしないかということは、自治制度として大都市下部組織の首長をどう選任するかという問題で、最も合理的な方法で選べばよいのだ、こういうふうに考えている次第であります。
  81. 立花敏男

    立花委員 大分理由が違つて来たと思うのですが、基礎的なものではない、複合的なものである、あるいは部分的なものであるから、任命制にしてもいいのだと言われたと思うのですが、そういうことでは、特別区である、自治区であるということには、決してかわりはありませんので、そういう理由では任命制が出て来ないではないか、そういう意味でやはり憲法違反ではないかということをお尋ねいたしましたので、それに対する答弁として、一部事務組合あるいは財産区というようなものと比較されておりますが、これは当時の公述人でありました大田の区長代田氏もはつきり言つておられましたので、一部事務組合あるいは財産区のようなものにつきましても、おそらく全国に一つもそういうものに対する任命制はないだろうということを言つておられます。従つてそういう理由は成り立たないと思うのですが、やはり財産区とか、あるいは一部事務組合とは、東京の区は本質的に違いますので、その点はお認めにならなければいけないと思うのです。單なる一部事務組合ではありませんし、單なる財産区ではないわけです。現に区役所の窓口では、区民の日常の問題を大量的に扱つておることは、現実の問題なので、そういう問題と、單なる一部の財産を管理する区とを混同されて論ぜられては、これは話にならないと思うのです。その意味におきまして、政府の方で解釈をどうかえられようと、東京都の特別区が基礎的な地方公共団体性格を持つておるということには、私は間違いがないと思いますので、それをその性格をかえないで、單なる行政区にしてしまうとか、区長の任命制をやることは憲法違反である、こういうふうに私も考えますし、杉村氏もそういうふうに言われましたので、これは速記録をぜひ調べていただきたい。そうしてそれに対して意見があるというのなら話がわかりますが、そう言われなかつたというに至つては、まつたく言語道断だ。その点はひとつ明確にしておいていただきたいと思います。杉村氏の所論に対して意見があるというのなら話はわかるのですが、そういうことは言われなかつたということは、これはあくまでも取消しを願いたいと思う。
  82. 門司亮

    ○門司委員 この機会にちよつと聞いておきたいと思いますことは、九條の新しく挿入された中に、「市町村の境界に関し争論があるときは、都道府県知事は、関係市町村の申請に基き、これを第二百五十一條の規定による調停に付することができる。」こう書いてありますが、第二百五十一條の問題であります。これはいずれ二百五十一條のところで議論すれば私はいいと思いますが、九條のところで出て来ておりますから、一応申し上げておきたいと思いますが、現行の二百五十一條というのは削除されております。従つて條文がありません。條文がないから、これを新たに挿入しようということはずつと先の方に書いてあります。ところが、先の方に書いてあります新たに挿入しようとするところは第十章でありまして、ここに、こういう調停あるいは裁判に関するようなものを入れるということは、法律の各章を分断いたしまする場合において少し矛盾がありはしないか、実はこういうふうに考えるのであります。従つて私は、この條項はいずれ先で議論してもいいと思いますが、できればこれはやはり雑則のところに入れることが正しいのではないか。雑則のところにはそういうものがいろいろ入つておりますし、この第十章は監督という章になつておるのであります。従つてこういう調停あるいは訴訟というようなものが、監督という章に入るということは、私はどうかと考える。この点についてひとつ当局のお考えをお伺いしておきたいと思します。
  83. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ただいまのお尋ねはごもつともでございますが、第十章の監督、今まではそういう言葉を使よておつたのでございますが、それを今回「国と普通地方公共団体との関係及び普通地方公共団体相互間の関係」というふうに、「監督」という表題をかえようというわけでございまして、今の調停というようなことは、結局府県の場合におきましては、国と府県との関係でございますし、また府県市町村との間におきましては、普通地方公共団体相互間の関係一つ形態とも考えられますので、お話のごとく補則に入れまするのも一つの御意見と思いますけれども、表題をかえましたことに関連して、たまたま條文も明いておるのでありますから、ここに挿入いたした次第であります。
  84. 門司亮

    ○門司委員 それはあまり便宜主義的の考え方であつて、今お話のありましたように、「国と普通地方公共団体との関係及び普通地方公共団体相互間の関係」こう書いてありますが、実際十章の監督というものを、こういうふうに置きかえたところで、これはほとんど同じでありまして、ただ監督といういかめしい文字が、いかにも民主的にかわつたというだけでありまして、性格的にはほとんど違わないと思う。性格上違わないところに、たまたま一章明いておつたからこれを入れたということになつて参りますと、法律がいかにも便宜的にできているようであつて、これは條文の整理の問題でありますから、法律直接の効果はないと思いますが、しかし法律を制定いたします場合には、やはりそれぞれその條文の序列にいたしましても、大体何人も理解のできるようなところに入れておきませんと、将来この法律を議論いたしますときに、いろいろな性格上の問題が、ここから出て来はしないかというふうに考えるのであります。従つてこの方は今の御答弁がありました以上に追究はいたしませんが、私どもといたしましては、これはやはりどうしても補則の方に移すべきであつて、二百五十一條にこれを挿入することは不適当だと考えておるのであります。  それからその次に聞いておきたいと思いますることは八條の二でありまするが、八條の二の中に、先ほど立花君も聞いておりましたが、境界の変更の計画を知事が定めて、そうしてこれを勧吾することができるという、これまでは、いろいろな議論もあると思います。その次にもう一つ書いてありますものの中に、四の條項に「都道府県知事は、第一項の規定により勧告をしたときは、直ちにその旨を公表するとともに、内閣総理大臣に報告しければならない。」その次には「内閣総理大臣は、前項の規定による報告を受けたときは、国の関係行政機関の長に対し直ちにその旨を通知するものとする。」こう書いてあります。知事は都道府県の中にあります市町村合併問題あるいは廃合の問題を、市町村にこれを境界の変更として計画を定めて勧告することができるというようになつておりますが、この勧告をいたしましたことを内閣総理大臣に通知しなければ一体いけないのであるかどうかということであります。これを内閣総理大臣に通知をして、そうしてその旨を公表するというときには、やはり私どもといたしましては、ここに一つの大きな圧力がかかつて来る危険性がありはしないか、こういうふうに考えるのであります。この点に対して当局は一体どういうふうにお考えになつて、こういう字句を入れられたのか、この点をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  85. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 これは地方合併の場合におきまして、たとえばある村とある村が合併するという場合、郵便事務の集配区域に非常に異動を生じて困る、郵便のいろいろな手続上どうしてもぐあいが悪いというようなことで、合併をしてもらつては困るというようなことを言う国の行政機関の例などもあるのであります。これは一例でございますが、そういうふうに合併自体に対して国の行政機関が、合併趣旨を知らずどういうふうにやるかということがわかりませんために、反対をするという場合もございますし、また国の側から申しますと、むしろこことここは合併してもらつた方が、国の行政機関管轄区域としても非常に都合がいいのだというような場合があるわけです。また合併計画については、こうしてもらつた方がいいということもあるわけです。そういう点を調整いたしますために、内閣総理大臣が一応窓口になりまして、知事から勧告をいたしました場合にはその計画の報告を受けて、そうして関係機関に知らしてやる、こういう意味でございます。
  86. 門司亮

    ○門司委員 もつともらしい意見のように聞えますが、そういたしますと従来の市町村合併あるいは分離の際にはそういう規定はなかつた。今まで長い間日本規定の中にそういうものがありませんで、しかも日本自治体は、私よりも鈴木さんの方がよく御存じのように七万幾つかあつたものが、今やつと一万四百ばかりに減つております。従つて七万幾つの地方自治体が一万になりますまでの間にはいろいろの過程を踏んでおります。そうして合併が行われ、あるいは最近は分離の行われた町村もありまするが、その場合にはそういうものについての不都合は今までなかつたと思う。そういう規定がなくても従来合併も行われれば分離も行われて来ている。この際一体こういうことがなぜ言われなければならないかということ、これは何か国に意図があるのじやないかということを、われわれは疑えばだんだん出て参ります。御承知のように管轄の問題は国の行政上の問題からいえば、重要な問題かもしれませんが、しかしながら日本の現行法の上から行きましても、たとえば農林省の持つております営林署の管区、あるいは郵政省の持つております郵便の管区、それから裁判所の持つておりますいわゆる高等裁判所の管区、それからもう一つ国家地方警察の持つております管区というものは、必ずしも一致いたしておりません。大体こういう行政の管区等も、もし政府意見が大体こういう條項を市町村合併分離にまでも入れなければならないということになつて参りますと、それよりも大きな国のもう一つ機関というものの管区は必ずしも一致しておらない、こういう面から考えるならば私はもう少しはつきりしたものにする必要があるのではないかということ、従つてこれを裏から申し上げますと、政府はやはり何らかの意図のもとに、政府として行政機構をやりいいようにこれをお考えなつたのではないか。住民がたまたま合併を欲しまして、どうしても併合しなければならないということで、おのおのの議会の議決を経て、そうして何も勧告を受けなくてもこれを申請して来た場合には、こういう手続一体とられるかどうかということであります。この点をもう一つ聞いておきたいと思います。
  87. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 市町村が具体的に合併手続を進めますことは、これとは全然法的には関係がないわけでございまして、知事が関係市町村の申請に基いて合併処分を、当該府県議会の議決を経て行うわけでございますから、その場合にはそれだけで処分は終るわけでございます。あとはただ中央への届出、こういう問題になるわけでありまして、具体的の合併手続が進行して参ります場合には、これは何ら関係はないわけであります。
  88. 門司亮

    ○門司委員 実におかしいのであります。具体的に何もこういう知事から勧告を受けなくて合併するのも合併であります。知事から勧告を受けて合併するのも合併でありますし、同じ合併でありますが、一方の合併行政上の指示があるというので、総理大臣が他の官庁に告示をしなければならない。しかもそれは合併前であります。知事が勧告したという点でだけであります。片つ方はすでに当然の住民の意思決定として合併が決定された場合には、そういうことの必要がないということになりますと、これはつじつまが合わぬことになる。そこで知事に、合併勧告することができる権限を與えたのは、多少無理をして市町村合併させるというような意図がここに含まれていやしないか、こういうことが私は懸念されるのであります。何らの意図がなければ、單に勧告することができるだけでたくさんでありまして、それ以上は必要ないと私は考える。もう一言お聞きしておきたいと思いますことは、そういう意図がなければ、必ずこれにはこういう矛盾した規定はできないわけであります。住民が自主的に行う合併に対しては、先ほど政府が心配しているような行政管区が違つたり、あるいはいろいろな問題ができて来て不便があるといたしましても、住民の意思決定があれば、それに対しては総理大臣は何らの処置を講じないでこれの合併を許される。知事の勧告したものだけにこういう権限が置かれるということになると、非常に私は不公平な取扱いができると考えておりますが、この規定は知事の合併強要の規定ではないかと考えておりますが、そういう意思が一体おありになるかどうか。
  89. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 この点は府県ごとにつくられます市町村合併計画というのは、一つの理想的な計画であります。そうなることが望ましいわけでございますが、具体的の合併という問題は、これはそれぞれの行政行為と申しますか、行政処分であるわけでございまして、これはその基本が勧告に定められた計画にのつとつた合併である場合と、あるいはその計画からずれているという場合とがあるわけであります。あるいは計画には全然ない合併というものもあり得るわけであります。そういういかなるものでございましようと、とにかく市町村から合併をしたいという申請がありました場合において、法定の手続を経ておりますものは、その通り手続を進めて処理して行くべき建前のものである、かように考えているわけであります。この勧告は先ほど来申し上げておりますように、そういうような意味におきまして、強制的な意図は政府の立案の考え方としては全然持つていないのであります。
  90. 門司亮

    ○門司委員 強制的な意図はない、とこう言つておりまするが、これらの問題を強制的な意図がなければ先ほどから申し上げておりますように、内閣総理大臣に申告したりあるいは内閣総理大臣は各関係の官庁に対して、これを告示するというような手続はいらないはずである。やはり勧告勧告だけにとどめておいて、あとは当該市町村の自主性にまかせることが、民主的の行き方ではないかということであります。懸念いたしますのは、もし自治庁意見がそうだといたしますと、自主的に合併しようということをおのおのの町村で認めて、そうしてこれを申請した場合に、行政管区その他の関係から各省の意見がある場合に、それを合併することに対して、何らかのさしずをしたり、あるいは露骨に言うならばその合併をしてはならないというようなさしずをすることのできるような一つの伏線ではないかというように考えられるのでありますが、そういう意図はありませんか
  91. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 全然逆でございまして、市町村が自主的に計画にのつとつて合併をいたしたいという場合におきましても、先ほど申し上げたようにこれを国の末端の行政機関の不案内のことから、それに反対するというような事態もあつたわけでございまして、そういうことがないように国の機関にもそれぞれその趣旨を伝えて、合併にできるだけ協力をし援助をするようにしよう、こういうわけであります。この点は第八條の二の第六項をごらんいただきますと、「第一項の規定による勧告に基く市町村廃置分合又は市町村境界変更については、国の関係行政機関は、これを促進するため必要な措置を講じなければならない。」とありまして、国はこれらの市町村がやはり自主的におやりになろうというのを阻害しないで、積極的に援助しよう、こういう考え方であります。
  92. 門司亮

    ○門司委員 そういう総合的な問題が問題になるのでありまして、この六項は私もこれはちやんとしるしをつけておいたのでありますが、今鈴木さんが読んだからその通り読んでおきますが、最後の六項にそういう規定が書いてある。そうするならば全部この項はいらぬのであります。自主的に市町村合併するということを決定した場合には、国の行政機関はこれを援助しなければならないというほどの親切さがあるならば、何を好んで内閣総理大臣にこれを報告して、内閣総理大臣関係官庁にこれを告示する必要があるかということです。合併したときにその障害を除去するように政府は努めればよろしい。政府の意図がそういう意図であるならば、私どもはそういうものはいらないと考える。これ以上私は申し上げません。  もう一つ、ふちに落ちないので申し上げておきたいと思います。今の質疑応答の中で、私の意思と多少違つております点について聞いておきたいと思いますこと、将来政府市町村合併分離に対しまして、いわゆる境界の変更に対しましては、その当該市町村の自主的の決定を尊重されるのか、あるいは知事の計画に基く合併あるいは境界の変更を一体尊重されるのか、どちらを尊重されるのか、その点をはつきり聞いておきたいと思います
  93. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 この合併の計画は、ここにございますように、まず当事者である市町村なり、その県内の市長会なり町村会なり、あるいは区長会というような地方団体の全面的な組織の代表の人たちの意見を聞いてつくるわけでありまするし、またその学識経験者のいわゆる第三者としての立場の意見も聞いてつくられるわけであります。ですからこの計画に基く合併が一番望ましいわけであります。しかしながらそれにもかかわらず、当該の市町村としては別に合併したいということでありまするならば、それはそういう自主的な意思というものは尊重されなければなりませんし、また法律はそういう合併手続を、ちやんと規定しておるわけでございますから、それは当然尊重される、こういうふうに考えます。
  94. 門司亮

    ○門司委員 その点が非常に重要な点でありまして、法律にはつきりこういうふうに書いております。「都道府県知事は、市町村が第二條第十項の規定によりその規模の適正化を図るのを援助するため、市町村廃置分合又は市町村境界変更の計画を定め」こう書いてありまして、そうしてこれに対しましてはちやんと計画をする一つ委員会と申し上げまするか、そういうものができて参りますると、それがやはり府県の総合的の廃置分合に関しまして計画を立てるわけであります。従つておのおのの市町村の独自の立場における廃置分合、境界の変更というものは、私はなかなか容易になされてないと考える。どうしてもこの條項は、知事に管轄内の、当該都道府県町村合併あるいは境界変更の権利までも非常に大幅に與えようとするように、われわれはどうしても考えざるを得ないのであります。従つて市町村の自主性というものは、その辺から必ず私は失われると思う。この点に対して当局は必ずしもそうでないという御答弁を、私はこの機会にはつきり承つておきたいと思います
  95. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 これは都道府県知事がいわば一つのまとめ役というくらいな気持でございまして、先ほど来申し上げますように、この計画の設定、変更にあたつては当事者である市町村と、それから当該都道府県議会、それから市町村の連合組織というような人たちの意見を聞いてつくるわけでありまして、むしろこれはそういうような意見の総合された結果できるもの、すなわち知事は執行機関としてまとめ役をやつておるという程度の意味、そういう気持でございます。従いまして知事が一方的に物事を押しつけるというような考え方の立案ではないわけでありまして、実際上はここに掲記せられておりますような人たちの委員会のような会議体が構成されまして、そこで合併の計画というものができ上る、あるいはそういうここに書いてありまするような人たちが、実際の調査に当るといつたような実際上の結果に相なるのであろうといよふうに考えてるのであります。
  96. 門司亮

    ○門司委員 そうだといたしますると、この三項に書いてありまする「前項の関係市町村意見については、当該市町村議会の議決を経なければならない。」こう書いあります。こうなつて参りますると、すでに知事が計画を立てたこと自体が、関係町村にこれが反映をいたしまして、そうして関係町村におきましては、議会を開いて意思決定をしなければならないということになつておる。これは非常に私は無理な相談だと思う。私どもは少くとも知事が勧告をする程度でありますならば、やはり意見を聞くというときに、当該市町村の意思決定のもとにこれが行われるということになつて参りますると、私は非常にそこに大きな矛盾があると思うので——矛盾というよりむしろ混乱があると思う。知事は甲と乙との合併、あるいは丙との三つの合併を望んでおりましても、その中の一つ自治体が意思決定としてこれに反対の決議をするということを——すでに反対の決議をして、この委員会に持ち込むわけでありますから、この反対の意思決定というものは、なかなかそう簡單に私は解消するわけには行かぬと思う。争いのもとをつくるようなものである。従つて私が心配いたしておりますのは、こういうふうに強制的にお前の方で意思決定をして来い。それから一応協議をしようじやないかということの行き方、私は知事の権限としては少し行き過ぎではないか。むしろ総合的に計画を立てるならば、そういうものでなくして、知事の一つの県内における自由なる意思の諮問機関というようなものにかけて、一体一つ府県の中において、府県の適正の規模というものは、どのくらいであるかということの参考的に、これが諮問機関としての役割を果すならば別でありまするが、ここに意思決定をしなければならないということになりますると、これは非常にきゆうくつな問題になつて来る。そうしてこれはむやみに変更するわけには行きますまいし、また議決をして持つて来たものでありますから、これを会議の席上で変更するわけにも参らないでありましようし、なかなか私は困難な問題が出て来ると思います。従つて條文は、先ほどの解釈によりますると、軽い気持だというお話でありますが、実際はなかなか軽い気持で市町村は出て来るわけには参りません。こういう点に私は非常に大きな強制力が伴つておると思うのでありますが、もう一応はつきりお聞かせを願つておきたいと思うことは、強制力は断じてないかどうかということであります。それと同時にこれの意思決定をするということだけは、取消された方がいいと思います。その点のお考えはどうでありますか。
  97. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 何回も申し上げますが、強制をするという考え方で立案をいたしたものでは絶対ございません。意見を述べる際に議会の議決をとらせることはどんなものであろうかという御意見でありますが、やはり具体的に合併の計画の対象になりまする市町村としては、その計画がどういうふうになるかということについては、非常に大きな関心を持つわけでございまして、その計画について、たとえば市町村長だけの一存で、自分の方はそれでよろしい、こういう計画を出すということについては、やはりどうであろうか。やはり村といたしましては、合併については甲派も乙派も、賛成派も反対派もあるでございましようし、また合併をいたします際には、隣の甲という村に合併をするか、乙という隣の村に合併をするか、方法もいろいろあるでありましよう。そしてやはり第一案は自分の村としてはこつちに合併をしたい、第二案としてはこれに合併したいというような、あるいはどう合併されてもよろしいというような合併の方法につきまして、あらかじめ議会の議決を経て、そうして市町村長が意見を出すというくらいの、やはり慎重な手続をとつた方がいいのではないか。これはもちろん後において具体的に法律処分として行われまする合併の際の議決ではないわけでございまするから、そういうふうなかた苦しいものではありませんけれども、どういう合併についての方針をとるかということについては、やはり市町村議会の議決をあらかじめ経て、関係市町村の方に言つてもらつた方がよろしい、こういう配慮から加えたわけであります。
  98. 門司亮

    ○門司委員 大体話はわかりましたが、私はこれは議決でなくて、せいぜいこれはいわゆる全員協議会程度のものであつて意見をあらかじめまとめるという必要はあるいはあるかもしれませんが、議決ということになつて参りますると、相当重要な取扱いをしなければならないということになつて参りまするし、そうたびたび市長村議会の議決が変更されては迷惑いたしますし、またそういう不見識なものであつてはならないと考えておりますので、この辺は私といたしましては、かえた方がいいのではないかと考える。  それからさらにあとに返つて参りまして、七條の二項の規定でありますが、町村が自主的にこの合併をしたりあるいはこの境界の変更をいたしまする場合には、ただちにその旨を内閣総理大臣届出をしなければならない、こう書いてある。あるいはその所属の未定地の市町村区域への編入もまた同様とする、こう書いてある。そうして改正條文として「前項の規定により市の廃置分合をしようとするときは、都道府県知事は、予め内閣総理大臣協議しなければならない。」こう書いてあります。これは一体あらかじめ都道府県知事が内閣総理大臣協議しなければならないということになつて参りますると、市町村廃置分合関係市町村が申請して来たときに、これを現行法によりますると、都道府県議会の議決を経なければならないということになつておりまするが、われわれは都道府県議会の議決を経るというのは、実は行き過ぎだと考えておる。当然市町村合併しようとするものを、一体会議員がその県の議決においてこれを阻止しようということは、まつたく自治体の自主性を破壊するものであつて、私はこれは県知事に届出るだけ、行政上の処分だけでいい、こう考えております。現行法は、少くとも当議会の議決を経なければならないということになつていて、これを私は行き過ぎだと思つている。その行き過ぎの上に、もう一つあらかじめこれを内閣総理大臣に報告しなければならないということになつて参りますと、内閣総理大臣は、そのあらかじめの報告について、これが当該市町村の意思に反する何らかの指示をする場合に——これは報告を受けたからにはあると思う。あらかじめ報告しなければならないということになりますと、どうしても意思を聞くということになりますが、こういう意図をこの中に含んでおるかどうか、この点をお聞かせ願つておきたいと思います
  99. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 市の設置ということがございますと、ただいまの制度におきまして、たとえば先ほどから問題になつております、自治体警察を今まで持つていない場合においても、必ず持たなければならぬとか、その他町村としてあります場合と、両者の間に相当制度上の違いがあります。国の方におきまして、国警の地区を自治警に切りかえるとか、あるいは税務署、郵政機関、電気通信機関等の昇格でありますとか、その他各種行政機関側におきましても変更があるわけであります。そこでそういうような措置を同時にできるだけ併行して行いたいということが、この協議規定いたしました第一の理由でございます。またさらにそれよりも、——むしろこれの方が第一の理由でありますが、根本的な問題としましては、第八條に市となるべき要件がございます。この要件につきまして、たとえば人口を五万にしたらいいというような神戸委員会勧告もあつたわけでございますけれども、五万にいたしますることは、あまりにも実情に反する。五万未満の市が百あまりもあるわけでございまして、そういうふうにして人口だけから市の要件を定めて、都市らしい市だけにしようという神戸委員会勧告は、そのままとることは実情から申し適当でないという考え方で、現在規定されておりますこれらの要件を、できるだけ法律に忠実にやつて行きたい、こういうことで真に都市らしい市になりまするように、市の要件につきまして、中央といたしましては、全国の市制の施行の要件というものをにらんでおるわけでございますから、そういうようなことを基礎にいたしまして、具体的の市の設置の場合に、その條件がはたして満たされておるかどうかということにつきまして、できるだけはつきりいたしたい、こういう考え方でこの第二を設けた次第であります。
  100. 門司亮

    ○門司委員 私は今の答弁の中にもふに落ちない点があります。これが市になれば、現行八條法律の上でも問題になりますのは、国との直接の関係になりますのは、先ほどお話のあつた、警察を維持しなければならないという問題が、直接国との予算上の関係を生ずるわけであります。しかしながらこれも私どもから考えて参りますならば、予算をふやすわけではありませんで、市が自治警察を持つということになりますと、それだけ予算は減るわけでありまして、同じ予算に関係があるといいましても、そう政府が何も気に病まなくてもいいのではないか。自治警を国警に委譲するということについては、予算上の関係でふえて参りますならばやつかいでありますが、その点は鈴木さんが心配しているような問題はないと思います。ただ私どもが心配しておりますのは、先ほどから申し上げておりますように、現行法でも、市町村合併に対して当該都道府県議会の議決を経るというようなことは行き過ぎだと考えております上に、なおこれに輪をかけて、あらかじめ内閣総理大臣協議しなければならないということになつております。従つて今の答弁の中には、私の聞いておることは聞き取れませんので、もう一度聞いておきます。  そうしますと、このあらかじめ内閣総理大臣協議しなければならないということは、單に通知をするということだけであつて、この場合に内閣総理大臣から、それはいけないとか、あるいはそれはこうしなさいとかいうような指示をするというふうなことは、この中に含まれていないということが、はつきりしておるかどうかということです。
  101. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 内閣総理大臣といたしましては、先ほど申し上げましたように、市となるべき要件を備えておるかどうかということについての協議、また具体的にその団体が市になるということについての協議を受けるわけでございまして、具体的にこの規定から指示をするとか指揮をするとかいうようなことは、生まれて来ないわけであります。
  102. 門司亮

    ○門司委員 どうもおかしい。協議をされれば、意見が必ずあると思うのです。その意見が当該市町村の申請と異なる意見があつた場合には、これは一つの指示になりはせぬかと思う。内閣総理大臣はそう考えるということになつて、それを押し切つてこの合併ができるかどうか。私はこういう点は、この條文の書き方が非常におかしいのでありまして、あらかじめ内閣総理大臣に、もし政府意見のようだとするならば、届出をしなければならないということになつておりますならば、私は鈴木さんの意見はわかるのでありますけれども協議するという言葉が使つてあります。協議をすれば、必ず意見が言われるということになる。意見と言われれば、それは反映しないではいないということになります。もし総理大臣協議をされた場合に、その意見の中で、合併をしては困るという意見があるならば、一体その処理はどう解決をつけるかということであります。この点をもう少しはつきりお聞かせ願つておきたいと思います。
  103. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 協議と申しますのは、要するに対等者間の相談でございますし、こういうことで市を設置したい。総理大臣としましては、決定の要件を満たしておるかどうか、これに対して意見を申すでありましよう。その間両者の間に対等の意見の合致ということがなければならぬと思うのでありますが、それは指揮とか指示とかいうことではないのであります。
  104. 門司亮

    ○門司委員 どうも私にはその点がわからないのでありますが、いいとか悪いとかいう意見でないといたしましても、意見があれば、必ずそれは反映するものである。そうしてその意見が、総理大臣がたとえばこれはいけないと言つても、一体強行することができるかどうかということである。総理大臣の意思で住民の意思決定がくつがえされるということがありはしないかという私の心配であります。こういう心配がなければそれでいいのでありますが、もしそういう心配があるとするならば、この協議という字句は、あらかじめ届出をしなければならないというようなことで、政府の心構えだけを一応考えさせておく。こういうふうに合併案が出されて、市が新たにできれば、これに対していろいろ政府との間に問題があるから、これに対してはこういう心構えでいてもらいたいということであれば、これは届出だけを要するのでいいのではないか。こういう協議をすれば、必ず意見が出て来る。その意見に対して尊重することができるかどうかということになつて来ます。その場合に具体的に現われて来るのは、総理大臣の意思を尊重するのがいいのか、あるいは地方の公共団体の自主的にきめた意見を尊重されるのか、一体どちらが尊重されるのか、その点をはつきりお聞かせを願つておきたいと思います。
  105. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 これはあくまでも対等の立場の意見の合致でありまして、要するに第八條の各号に定められておりますものが、当該都道府県知事の認定だけで、要件を満たしておる、こういうふうな考え方につきまして、全国各府県からの報告を受けて、こういうものがたとえば中心市街地の形成、あるいは都市的業態住民の六割以上というようなものに該当するかどうかという点についての意思の協議でありまして、その問題について法律の認定を、両者の意見の合致においてより正確にいたそう、こういうところにねらいがあるわけであります
  106. 門司亮

    ○門司委員 そういたしますと、現行法に当該都道府県議会の議決を経なければならない、こう書いてありますが、この議会の議決との関連はどうなりますか。
  107. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 これはそこにあらかじめと書いてあるわけでございまして、都道府県知事が議案を議会提出する前に、これが法律に定めておりまする要件を満たしておるかどうかにつきまして、協議をいたしまして、その結果、これを議会に委任する、こういうことになるわけであります
  108. 門司亮

    ○門司委員 そうすると、こう解釈してもよろしゆうございますか。当該市町村合併を望んでおつて合併してこれが市になろうとする。その場合に、現行法では、その都道府県議会の議決を経なければならない、こうなつておりますが、これにもう一つ上に、内閣総理大臣というものを置いて、そして内閣総理大臣の意思決定によつて、それが都道府県議会に反映して、そうしてその反映したものが、さらに住民の意思決定にまた反映する、こういうふうになつて来ると考えて参りまと、これはますます中央集権であつて、われわれは先ほど申し上げておりますように、第七條の当該市町村住民の意思決定を県会でこれを左右するというようなことすら、これは民主主義に非常に反することであつて、当該市町村住民の意思決定を県会議員がこれをくつがえすということは、私は非常に非民主的であると考えております。それがもう一つ内閣総理大臣がその上に立つて、その意思決定をする前に意見を申し述べて、これを圧力——と言うと言葉が少し強過ぎるかもしれませんが、意見都道府県議会にさしはさむということになつて参りますと、これは実際地方住民の意思決定というものは、非常に軽んじられることになるのでありますが、当局はそうはお考えになりませんか。
  109. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 自治というものが、全然国家を離れたそこだけの自治でありまするならば、これはもうまつたく自由にその団体機関だけで、事柄を決していいわけでありますけれども、やはり自治というものも、国法の基礎において行われるわけでありまするし、またその自治団体区域が、御承知のごとく同時に国の各種行政区画の区域にもなつておるわけでございまして、そういう意味から、自治団体区域については、従来から自治体だけで事柄をきめるというふうにはなつてないわけでございます。この市町村廃置分合境界変更という事務は、これは国の事務である。それを都道府県知事に法律で国が委任をしておる、こういう考え方であるわけであります。この考え方については、必ずしも府県知事にそういうことをやらせないで、国の非常に重要なことであるから、国がぜひやるべきである、府県というような中間機関にそういうことをやらせるのは、市町村の自主性から言つてもどうかと思う、というような意見があることも、私ども聞いております。しかし実際問題といたしまして、やはり当該府県の中に存在しておる地方団体なのでありますから、それは当該府県知事が一番よく知つているわけであります。しかし府県知事は、これはやはり国家機関という意味において、主管大臣のもとにおける一つの委任事務として、こういうことを処理しているわけであります。そういう意味から、知事が市制を施行いたすという処分を決定して、議会に付議して行くという前に、あらかじめ総理大臣協議をしてもらう、こういう考え方であります。
  110. 門司亮

    ○門司委員 どうも政府の答弁はわからぬのであります。町村規模に対しましては、大体自治法ではあまりはつきりした規模は與えておりません。現在村の規模というものがどれだけでなければならないという規定は、與えておりません。ところがこの場合に問題になりますのは、市の場合でありまして、市の場合につきましては、第八條に大体市になり得る條件というものを法律で定めております。従つてこの法律に定めておりまする以上は、この法律の條項に合致しておるかどうかということは、おそらくどんな市町村におきましても、ちやんとこの法律に定めた——ここに要件は大体四つの項にわかれておりますが、この四つの項にあてはまつた條件が備わらなければ、市になれないということは、当然である。あたりまえだと思う。従つて市に限られた問題が、私はこういう問題になつて来ると思いまするが、その場合に、先ほどから申し上げておりまするように、どう考えてみましても、ちやんと法律規定してありまする以上は、これ以上内閣総理大臣が、この規定にあてはまつておるかどうかというようなことを、あらかじめ協議を受けて、そうしてこれを都道府県議会の開かれまする前に知事と協議をして、その内閣総理大臣の意向が都道府県議会に友映する、都道府県議会は、反映した意見を聞かされた以上は、無視するわけには参りますまい。それを基礎として判断がされるということになつて参りますと、私は第八條規定というものはやめた方がいいと思う。第八條に、市になる條件というものが法律に書いてある、この中に單に條件を備えなければならないと書いてありまする以上は、私はおそらく自主的にまかしておいてもそういう間違いはないと思いまするし、これは今まででさえ私どもは行き過ぎであると考えておつたのを、もう少しこれに輪をかけて、内閣総理大臣議会の前に意見をさしはきむ——と言うと、少し語弊があるかもしれませんが、事実上はそういうことになるのでありまして、ここの條文だけはひとつそういう意味で、政府はこれを削除されるような御意思があるかないかということを、一応聞いておきたいと思います。
  111. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 この協議関係のことは、これも神戸委員会勧告に出ている点でありまして、政府としては原案が適当であると考えている次第であります。
  112. 金光義邦

    金光委員長 八百板君。
  113. 八百板正

    ○八百板委員 今の関係なんですが、どうも政府の答弁がますますはつきりしなくなつて来るのですが、やはり考え方が非常に問題じやないかと思うのです。自治体というものを、中央の上からの御指示を受けて、いわゆる国家機関の指示を受けてやる、何か一部の機関であるというふうな考え方に持つて行ころとするのか、それともほんとう自治体に定めたような方向に自治体を持つて行こうとして、そういう面から改正をされるのか、その点にはつきりしない点があるから、ただいまの第七條の問題なども、はつきりしなくなつて来るのだと思うのです。そういう点どういうふうにお考えになられますか。
  114. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 この点午前中も申し上げたわけでございますが、市となり、あるいは町となり、あるいは村であるということは、日本語の言葉意味が表わしますごとく、都市的なところに市という実質を與え、制度を與える。また町がかつたところに町という制度を適用する。村落はあくまでも村落としておくということがいいわけであります。いいという意味は、町になり、市になるに従いまして、これは制度上いろいろの負担がかかつて参ります。ことに町村から市になりますと、各種施設を維持して行かなければなりません関係から、負担がふえて来るわけであります。ところが農村地区でありながら、市という名称を課せられまするために、制度上市としての扱いを受けて、非常に負担が重くなつて来るということが、ままあるわけでありまして、ことに最近は実に市が急激に激増しております。これにつきましては、やはり市の設置の要件というものについて、法律の定めておりまするものが、必ずしも正確に励行されていないというふうに、私ども考えておるのでありまして、やはり村落地区にかかわらず市となるというようなことは、いたずらに住民の負担のみをふやす結果になるのではないかというふうにも考えられるわけでありまして、やはりその社会の実態に即した制度が適用せられるようにいたすべきである。そういう意味で、市となる要件法律の定めておりまする通り、明確に適用して行くべきであるというような考え方から、このような規定を置いた次第でございます。
  115. 八百板正

    ○八百板委員 市の場合につきましては、今のお話のように、村落などの意思が必ずしもこれを望まないにもかかわらず、形式的に市に持つて行くような場合が往々にしてあるのですから、そういう点についての考慮も、われわれはこれを御答弁のように了承するわけでありますが、七條全体の改正の考え方として、この際はつきり伺つておきたいと思うのであります。ここでまずお聞きしておきます点は、市町村廃置分合市町村の境界の変更の決定については、県議会の議決によつて決定する、こういうことになつておるわけであります。さらに今度は効力の点になりますると、効力の発生は内閣総理大臣告示によつて発生する、こういうことになるわけです。そうしますると、実質的に決定権の所在というものは一体どこにあるのだ、この点が非常に不明確になつて来るわけであります。決定権はあたかも議会にあるかのごとく、しかしながら手続的には告示をまつて効力を発生するということになりますと、決定権の所在と効力発生の点が、非常にかけ離れて来るのですが、こういう点についてはどういうふうにお考えになつておられますか。
  116. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 市町村の配置分合、境界変更処分は、それぞれ都道府県知事が決定権者としてこれを定めるということで、法律表現されておるわけでございますが、その処分が具体的に効力を生じまするのは、お話のごとく官報告示されてからである、こういうふうにいたしておるわけであります。これはやはり、現在内閣総理大臣にただちに届け出るということに相なつておるのでございますが、これが実際問題といたしましては、二十四年に行われた処分が、いまだに届出がないというようなものもございます。二十五年のものにつきましては、相当多数にあるのでございます。そういうふうに、日本政府の一番基礎になります市町村の台帳が、そういうふうな届出が励行せられませんために、有権的な市町村台帳というものもできない。のみならず、また国の各種の施策につきましても、そういう町村はすでになくなつておるのにかかわらず、たとえば各種管轄区域の方ではそのままになつておるとか、あるいは同じ名前ではあるけれども、実は境界変更で、その区域が非常にかわつておる。いろいろあるわけでございますが、そういう国の各種行政機関管轄区域も、自治体区域の変更と同時にこれを調整しなければならぬ。台帳も同時に直さねばならぬ。そういう手続を行いまして、国の区域としても自治体区域としても、同時に効力を生ずるようにしよう、こういうのがこの考え方であります。これは、たとえば不動産の売買契約をいたしまして、それで法律行為としては完了しておるが、一応第三者に対する対抗要件としては、登記が必要であるというのと同じような考え方でいたしておる次第であります。
  117. 八百板正

    ○八百板委員 財産権の登記などの場合には、條件がととのつておれば登記を拒むことができないのでありまして、当然にそれぞれの法律行為は、單なる手続として残るだけでございますが、この場合に、先ほどもお話が出ましたように、この場合の告示というものが届出の後、相当政府の方針というものがそこに加味されて、しかる後効力を発するというような形に考えられるところに問題があるのでありまして、そういう点では効力の発生というものを、告示によつて発生するというふうにしなくてもいいんじやないかというふうに私どもは思う。もちろんこの区域の変更とか、そういうふうな問題は、国の行政区域の変更でありますから、国政に直接に大きな影響を與えるということは、もちろんわかるわけでございますが、しかしながら内容そのものには変化がないのでありまして、たとえば、国政の事務扱いの対象の名称がかわるとか、あるいは所在がかわるというような、ほんとう事務上の変更でありまして、国政の対象である地方公共団体の実質的な内容には変化がないのでありますから、従つて、そういうふうに総理大臣告示によつて効力を発生するというような実質上の支配権を、総理大臣告示に持たせるというような行き方は、結果において、自治体の自治権を侵害するというふうな形になるおそれがあるだろうとぼくは思うのですが、そういう点はそういうふうに考えられないですか。
  118. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 これはあくまでも、処分の行為をいたしますその決定権者は、当該都道府県の知事でございまして、総理大臣はその届出を受けた場合においてこれを告示をする、こういう手続をとるだけでございますから、御心配のようなことはないと考えております。
  119. 八百板正

    ○八百板委員 こまかい点まだありますが、第九條の関係関係市町村の意思の決定ですが、関係市町村の意思の決定というものは、その議会の意思によつて決定されるというような考え方が、前提になつておるだろうと思いますが、もしその場合に、関係市町村の部落とか、ある部分の意思が議会の意思と一致しなかつた場合に、部落の意思を取上げると申しますか、救済する、そういうような方法については、どういうふうにお考えになつておられますか。
  120. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 御指摘のような事態がままあるのでございますが、第九條では、境界に関して争いがあるとき、甲村と乙村の境界について、甲村と乙村の主張がそれぞれ違う場合の調停の方法でございますが、ただいまのお話の問題は、先ほどもちよつとお話が出ました新湊の庄西地区の問題でございます。これはその区域を高岡市に編入してもらいたいという考え方と、高岡市には行きたくない、こういう考え方と両方あるわけであります。そういう区域の中の、一部のものの境界の変更という意思をどの程度尊重するか、こういう問題になつて来るわけであります。この点は、非常に政治的にも実際的にもむずかしい問題でございまするが、第九條の第十一項というのがありますが、「市町村の境界の変更に関し争論がある場合にこれを準用する。」と申しますのは、大体今お話のような、部落がよその市町村区域に入りたいというような場合にも、こういう原則が大体適用されるというふうに考えております。
  121. 佐藤親弘

    ○佐藤(親)委員 私はこまかい字句について伺いたいと思います。第八條第四号「前各号に定めるものの外、当該都道府県條例で定める」と切つて、「都市的施設」の内容、「その他の都市としての要件」の内容等、御腹案がありましたならば御説明願いたい。都市的施設内容その他都市としての要件としての内容です。
  122. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 これは各都道府県條例で定めておるわけでございますが、たとえば水道を持つておりますとか、あるいは高等学校を幾つ持つておりますとか、あるいは郵便局とか税務署とか、その他都市にあるような行政官署を持つておりますとか、あるいは停車場の乗降客がどの程度ありますとか、そういうようなのが、都市的な施設あるいは都市としての要件というようなことで、従来いろいろきめておるようであります。これは大体どの府県でも大同小異であります。
  123. 佐藤親弘

    ○佐藤(親)委員 第八條の二の第二項の後段、「その他の関係のある機関」というもののおおよその具体的の事実は、どういうものでありますか、教えていただきたい。「当該都道府県区域内の市町村議会又は長の連合組織その他の関係のある機関」というのは、どういうものをさすか。こういうことです。
  124. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 この「関係のある機関」と申しますのは、地方団体のいろいろな連合組織が、その前の方に書いてあるわけでありますが、そのほかにたとえば農業協同組合の連合会とか、そういうようないろいろな地域基礎にしておりまするような団体というようなものを考えております。
  125. 佐藤親弘

    ○佐藤(親)委員 第九條の八、九項中の「受けた日から」とは、その日からの起算ということに承知してよろしいですか。九十日または三十日とあるが、その日から起算してですか。
  126. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 これは自治法の大体の原則といたしましては、たとえば申請を受けた日からと申しますならば、受けた日の翌日から起算をいたします。
  127. 金光義邦

  128. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 鈴木さんにお尋ねいたしますが、あなたのお話を聞いておりますと、すぐ自主的々々々ということをおつしやいますが、市町村民の自主的とは何をさしておつしやつていますか。私はちよつて教えていただきたいと思います。
  129. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 非常にむずかしい質問でございますが、自主的と申しますのは、市町村が要するに自主的にやる、こういうことでございます。
  130. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 実は自分の郷里の舞鶴が、分離する分離せぬで、非常に紛糾を来しまして、実は私も弱つたのです。ただいま自主的々々々とおつしやいますが、市長さんとか村長さんがおつしやることが自主的なのですか、大衆の声が自主的なんですか。ただいま鈴木さんがおつしやいましたことは、私はぼんやりしておりますから、わからないのですが、どうかもう一度その辺をはつきり教えていただきたい。
  131. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 市町村がある行為をするという場合におきましては、意思を決定いたしますのは議会でございまするし、その決定された意思を執行するのは市町村長であり、あるいはその他の委員会が執行機関である場合もありますが、原則は市町村長がやる、これが建前であります、ただ議会の権限に属しないことについては、市町村長が意思を決定して、みずから執行ずる、こういう場合もあるわけであります、ただそういうことは要するに法律上自治権として認められ、自治運営の機関として定められた議会なり、市町村長がやるわけでありまして、これはやはり自主的と申すことができると思いますが、根本は当該市町村住民であるわけでありまして、住民が最高の意思決定をするわけでございますが、しかし住民は常に大勢ですから、意思をきめてみずからやるというわけにいかぬわけでありまして、結局住民がみずから意思を決定するというのは、自治法の上で住民投票で事柄をきめるというような場合に、初めて法的に住民がこれを行う、こういうことになるわけでありまして、それ以外の場合は、原則は議会がきめて市町村長が執行する、こういう建前になつておるわけでございます。
  132. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 実は御参考までに申し上げたいと思うのですが、私の方の舞鶴は三つあるのです。東舞鶴、中舞鶴、西舞鶴と三つありまして、この西舞鶴の方がわかれようようとして、指導者がわかれる方に持つて行くと、大衆はそれについて行くのです、そうするとあなたがおつしやいます自主的とは、リードする人が裏におつて、その人の演説を聞いたり何かして、大衆が愚であるために指導者について行く。私はそれについて最も苦い経験を得たのでが、今になるとその三つの舞鶴がわかれなかつた方がよかつた、やはり幸福であつた。それではその真相を尋ねて究明してみると、京都の府会議員が裏からからくりをしておつた、こういうようなことがあります。自主的自主的とおつしやいますが、私はどうもさつきからずつと聞いておつたのですが、いかなることをさして自主的というかということを、もう一度私は再確認したいと思いますから、賢明なる鈴木さんの御返答を望む次第です。
  133. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 やはり今申し上げました地方議会、あるいは市町村長というような自治体機関は、憲法の十五條にもございますように、あくまでもこれは全体の奉仕者であつて一部の奉仕者ではない。従つてもし舞鶴市なら舞鶴市の市長であり、あるいは舞鶴市の議会でありますならば、これはあくまでも全体の奉仕者、こういう考え方で行動をすべきものであろうと思います。そういうことから結果において、多数の住民の意思が尊重せられる。そこに自治体の自主性というものがあるというふうに思うのであります。
  134. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 それからお尋ねしたいのは、第九條の境界変更についてでございますが、この境界変更につきましては、自治法の第七條によつて自治体議会の議決によつてなし得るということが明記してございます。しかるにこの十一項には議会の議決を離れてなし得るがごとき規定がありますが、これは自治法七條の精神と私は相矛盾するものと思いますが、あなたはどういうふうにお考えでございますか。詳細なる御返答をお願いいたします。私はこまかく言うてもらわぬと、わからないのです。
  135. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 この市町村の境界の変更に関し争論がある場合には、九條に書いてますいろいろな原則を準用するということ、その点についてのお尋ねでありますが、これはたとえば甲という町の中に乙という部落がございまして、その乙という部落が甲という町からわかれて、隣の丙という町に移りたい、こういうような場合が一つあると思いますが、その場合は境界の変更ということになるのです。そういう場合に、その乙という部落と甲という町、それから隣の丙という町、こういう三つの当事者があるわけです。これらの当事者の中で、三者ともなかなか意見が一致しない、乙の部落の者は丙の町に入りたい、丙の方はよろしいけれども、甲の方はやりたくないというような問題があるといたしますと、その場合に乙の部落の住民としてはどうしてもわかれたい。そこで乙の部落の住民から境界の変更について意見を申し出る。そういたしますと、この九條の規定によりまして、知事にそういう意見が出て参りますれば、知事は調停委員を委嘱しまして、調停委員にその紛争の調停をしてもらう、こういうことになるわけであります。そうしてその結果、調停案として境界の変更の案がつくられるわけであります。もし乙の部落を丙の町に入れることがよいというような調停案ができたとすれば、乙の部落がそれを承認をし、甲の町も承認をするという場合には、その分離が可能になりますけれども、乙の部落は承認してわかれたいのだが、甲の方が反対だという場合には、その分離はできないことになります。そういうふうに、要するに市町村の境界の変更について紛争がございまする場合に、この調停の制度を利用して行くというのが、この十一項の問題であります。ただこれは、この関係のものの承諾を前提としておりまするので、もしも承諾をしない場合には、その調停案は成り立ないのであります。それからまた裁定という方法も一つあるわけでございますが、この裁定と申しますのは、今の例ではしますと、甲の町も乙の部落も丙の町もみんながその裁定に同意したという場合に、初めて裁定が行われるのであります。裁定が行われれば、その裁定の結果をみんなが承服をする、こういう建前にしておるのであります。従つてどこかの当事者が反対であるならば行われないけれども、みなが賛成すれば行われる。そういう一つの調停制度あるいは裁定制度を市町村境界変更に利用しようというのが、この十一項の趣旨であります。
  136. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 しかしこういうことは、私は弁護士ではありませんので、佐藤先生のように詳しいことは知りませんが、ごく常識で考えますと、もしそこに自由党の代議士さんがおつて、調停委員にその代議士さんの子分ばかりがいる。また今度は社会党の代議士さんが、自分の子分ばかりをその調停委員に入れるということになると、これは一体どういうふうになるのでしようか。いわゆる先ほどあなたがたびたびおつしやいました自主性というものはなくなるのですが、これは、私は何もわからないのですが、この自主性というものはそこでなくなるが、この点どうであるか、ちよつとお教え願いたいと思います。
  137. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 今の調停の例で申しまと、知事が自分でいろいろな調停をする、裁定をする。あるいはその調停委員、裁定委員になるということになりますと、そこにはいろいろな問題が起つて来るわけでございますけれども、この調停委員は二百五十一條の方にございますように、政党の制限をいたしておりまして、それぞれ事件ごとに任命する、事件ごとに最も適当であると思われる人を委嘱して調停をしてもらう、こういうふうにいたしておるのでありまして、同一政党から二人出るということがないようにいたしておるのであります。二百五十一條の七項に「第百八十二條第四項の規定は、自治紛争調停委員にこれを準用する。」これは同一政党の者が二人以上委員になつているのはいかぬ、というような規定であります。そういうふうに、公平な第三者に調停をしてもらうということでございまして、紛争ということになりますと、自主的に関係の当事者だけで事柄をきめるということができないために、第三者に調停なり、仲裁をしてもらうというわけでございますから、これはいわゆる自主性がないことになりますけれども、これはまあやむを得ないと思います。
  138. 金光義邦

    金光委員長 本日はこれにて散会いたします。     午後四時二十九分散会