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1952-05-20 第13回国会 衆議院 地方行政委員会 第48号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月二十日(火曜日)     午前十一時三十三分開議  出席委員    委員長 金光 義邦君    理事 野村專太郎君 理事 吉田吉太郎君    理事 床次 徳二君 理事 門司  亮君       今村長太郎君    大泉 寛三君       門脇勝太郎君    川本 末治君       佐藤 親弘君    田渕 光一君       前尾繁三郎君    鈴木 幹雄君       大矢 省三君    立花 敏男君       八百板 正君    大石ヨシエ君  出席政府委員         総理府事務官         (地方自治庁次         長)      鈴木 俊一君         総理府事務官         (地方自治庁公         務員課長)   佐久間 彊君  委員外出席者         專  門  員 有松  昇君         專  門  員 長橋 茂男君     ――――――――――――― 五月二十日  委員鹿野彦吉君辞任につき、その補欠として前  尾繁三郎君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 五月十九日  五大市区選挙管理委員会廃止反対に関する請  願(小川半次紹介)(第二八二三号)  同(押谷富三紹介)(第二八八四号)  同(高木吉之助紹介)(第二八八五号)  売春取締に関する勅令法的措置に関する請願  (柄澤登志子紹介)(第二八八三号) の審査を本委員会に付託された。 同月十七日  公民館に対する起債に関する陳情書  (第一八〇八号)  二十七年度地方財政予算の補正に関する陳情書  (第一八〇九  号)  補助額及び起債認承年度初期決定に関する陳  情書(第一八一〇  号)  地方起債わく撤廃に関する陳情書  (第一八一一号)  市職員恩給組合法の制定に関する陳情書  (第一八一二号)  地方議会権能縮小等反対に関する陳情書  (第一八一三号)  同  (第一八一四号)  同(第一八一五  号)  特別市制実施反対に関する陳情書  (第一八一六号)  同(第一八一七  号)  同外一件  (第一八一八号)  同(第一八一九  号)  特別区制度改革に関する陳情書外三件  (第一八二〇号)  同  (第一八二一号)  特別市制反対に関する陳情書  (第一八二二号)  都市清掃事業施設整備に要する財源確保に関す  る陳情書(第  一八二三号)  東京、大阪両警視庁の国警編入反対に関する陳  情書  (第一八二四号)  自治体警察廃止に伴う責任転移の時期に関する  陳情書(  第一八二五号)  自治体警察に要する経費財源措置に関する陳  情書(第一八二六  号)  市町村消防整備拡充費助成に関する陳情書  (第一八二七号)  住民登録法公職選挙法との関連に対する法的  措置に関する陳情書  (第一八二八号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  連合審査会開会要求に関する件  参考人招致に関する件  地方公務員法の一部を改正する法律案内閣提  出第一四二号)  地方自治法の一部を改正する法律案内閣提出  第一七五号)     ―――――――――――――
  2. 金光義邦

    金光委員長 これより会議を開きます。  地方自治法の一部を改正する法律案を議題といたします。逐條的に審議を続けたいと思いますので、五ページまで、改正案の第二條の第十項まで審議をいたしたいと思います。質疑を許します。門司君。
  3. 門司亮

    門司委員 修正案の第一條の今度新しく挿入された一番最後の方に「地方公共団体における民主的にして能率的な行政確保を図るとともに、地方公共団体の健全な発達保障することを目的とする。」こう書いてありますが、地方公共団体の健全なる発達ということは、何を意味しているかということであります。問題は行政だけの健全なる発達意味するのか、あるいは完全に地方公共団体の発展を意味するということになつて参りますと、これはどうしても財政的の裏づけがなければ満足にやれないことは、だれでもわかりきつておるわけです。ここに書かれておりまする「地方公共団体の健全な発達保障する。」という意味は、單に事務行政だけをさしておるのか、あるいは財政もこの言葉の中に含まれているのか、それをひとつはつきりお聞かせを願つておきたいと思います。
  4. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 地方公共団体の健全な発達ということにつきましては、御指摘のごとくひとり行政組織の問題のみならず、財政の問題が同時に考慮されなければならないわけでございます。ただ自治法地方自治制度全体についての基本法でありまして、御承知のように財務の章も第九章としてあるわけでございます。これを基本にいたしまして、それぞれ地方財政法でありますとか、交付金法地方税法という財政関係法律もあるわけでございまして、要するに地方自治全体についての保障ということをねらいとして、この自治法というものは書かれておる、こういう考え方でございます。
  5. 門司亮

    門司委員 今の御答弁だと、その前段だけで事は足りるのである。それから改正の大体の要綱も、これは全体をもう一応よく見直さなければなりませんが、前段には「地方自治本旨に基いて、地方公共団体区分並びに地方公共団体組織及び運営に関する事項の大綱を定め、併せて国と地方公共団体との間の基本的関係を確立することにより、地方公共団体における民主的にして能率的な行政確保を図る」こう書いてあります。従つてこの辺まででほんとうはいいんじやないか、あとの今申し上げました「地方公共団体の健全なる発達保障する」ということは、この地方自治法自体建前から言つて言葉が少し過ぎはしないか、いわゆる保障ということになつて参りますると、これは非常に責任がある言葉でありまして、従つて財政的の裏づけなしで、單に行政事務だけが円満にやつて行けることを保障するということになつて参りますと、自治法本旨はむろんそうでなければなりませんが、この地方自治法という法律に、この言葉をあてはめるということは、あまりにも法律自体責任が大きくなりはしないか、従つてこの法律の趣旨に基いて参りますと、どうしても地方公共団体というものに対しては、財政的の裏づけというものをはつきりしなければならないことになつて参ると考えるのであります。従つて責任が非常に重たくなると考えますので、先ほどから御質問申し上げておるのでありますが、私はこの最後保障という文字のところだけは削つた方がむしろいいのではないか。従つて、こうした行政の能率をはかることをもつて目的とするというだけで、これを地方公共団体の健全なる発達保障するという言葉は削るとか、あるいはこの中にもう少し字句を入れて、そうしてこの自治法自体の明確な線を、私はこの際出すべきではないかというように考えるのでありますが、その点についてのお考えをひとつ承りたい。
  6. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 この地方自治法は、御承知のごとく地方公共団体行政財政という言葉を使いますれば、行政財政に関する組織制度並びに運営基本というものをきめておるわけでございますが、ここにございまするように、地方公共団体区分と申しますか、あるいは種類と申しますか、そういうもの、それから地方団体組織、これは議会でありますとか、執行機関組織でありますとか、それから運営ということになりますと、地方公職選挙の問題、その他の公務員の問題、あるいはそれを動かす基礎になります地方税の問題、その他財政の問題、みなこれが入るわけであります。そういうものの大綱を定めるというのが、地方自治法であるわけであります。従つてそれぞれの特別法は、たとえば公職選挙につきましては、公職選挙法が別に定めるという点も、今度明らかに條文の中に加えておりまするし、その他地方税関係は別に地方税法で定める。地方財政のことは、地方財政法で別に定める、地方公務員のことは地方公務員法で定めるというように、それぞれ基礎を置いておりまして、それに基いて各地方自治制度に関する特別法が出ておるわけであります。そういうふうにこれは地方自治制度全体をにらんでおるという考え方から「地方公共団体の健全な発達保障することを目的とする。」というように広く考えておるのでございます。
  7. 門司亮

    門司委員 大体その條項についてはその程度にしておきます。その次に聞いておきたいと思いますことは、新しく挿入された言葉の中に、三項の九の次に十を加えて、「労働組合労働争議調整労働教育その他労働関係に関する事務を行うこと。」、こう書いてありますが、これを特別に入れた理由であります。従来都道府県にはそれぞれたとえば地方労働委員会その他がちやんとありまして、そうしてその労働委員会処理すべき仕事というものはきまつておるのであります。それをことさらにここに「労働組合労働争議調整労働教育その他労働関係に関する事務を行うこと。」、こう書いてありますが、このように労働組合事務、あるいは労働争議調整労働教育、この三つにわけてあつて、その下に「その他労働関係に関する事務」、こう書いてあります。こうなつて参りますと、労働行政全体に対する一つ考え方が、ここに現わされたと考えておりますが、これには何か特別の御意見があつて、こういうことにされたのか、あるいは現行地方労働委員会その他の程度では満足でないから、市町村地方公共団体に、こういう仕事を取扱うようにするというようにきめられておるのか、その点をお聞かせ願いたいと思います。
  8. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 この点はごもつともなお尋ねでございまして、本来地方労働委員会というものが、労働関係調整法等によつて置かれておるわけでございますが、これがはたして都道府県機関であるか、それとも国の機関であるか、労働争議調整ということが地方団体固有仕事であるかどうかというような点に疑念がありまして、これは国の事務ではないか、従つて地方労働委員会のやることも、国の機関のやることではないかというような疑念について、労働省としてはぜひこの際地方自治法改正する際には、これは地方団体仕事である、機関もそういう意味地方団体本来の機関であるというふうに明確にしてもらいたいという希望もございまして、かたがた地方におきましても若干地方労働委員会性格等について懸念がございまするので、事務としてここに地方団体のやる事務の中に列挙いたしまするとともに、地方労働委員会というものは、都道府県機関であるということを、執行機関の章にさらに書き加えたような次第であります。
  9. 門司亮

    門司委員 そうしますと、御意見では、結局現在ある労働委員会性格その他を明確にするということ、それから同時に府県には大体労働に関する部のあるところもありますし、あるいは今度の改正でなくなるところもあるかもしれませんが、こういうものを持つておる。これを地方一つ固有事務という言葉を使うことはどうかと思いますが、従来は国の事務一つの延長のようなものであつたと思うのです。地方公共団体一つ事務として、これを取扱うというように、法文で明確化したというだけでさしつかえございませんか。
  10. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 その通りでございます。
  11. 門司亮

    門司委員 そうなつて参りますと、この中にはいろいろな地方條件が備わつて来ると考えるのであります。それで問題になつて来ますのは、おのおのの府県に持つております労働委員会性格が、私は多少かわつて来はしないかということであります。こういうことを申し上げますのは、今は国の一つ機関であり、それからさらに一つ部局を設けるのに、法律で一応指定いたしておりますので、これが割合いに議論をされておりませんが、しかしここにこういうふうに明示されて参りますと、どうしてもこの問題が今より以上拡充されて来る。労働組合に関する仕事あるいは労働争議調整に関する仕事というようなもの、ことにこの中に労働教育という言葉を使つておりますが、従来の県に置いておりますこうした部局に対しましては、割合に労働教育の面が実際から言うと少いのでありまして、多くは組合の紛争その他に対する労働委員会仕事が主となつていますが、この場合は主として労働委員会で行つております仕事が、さらに県庁あるいは都道府県、あるいは市町村もそうだと思いますが、市町村労働教育に対する部門というものが、必然的に私は生れて来ることになりはしないかと考えておりますが、大体こういうふうに考えてよろしゆうございますか。要約して申し上げますと、都道府県市町村労働教育を担当する一つの課ができるようなことになると思いますが、そういうものが必然的にできて来るということはさしつかえございませんか。
  12. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 労働教育関係のことは、現在の労政課等で若干処理をいたしておると思うのでございますが、これは団体事務分量——労働教育に関する事務分量と、他の各行政事務との振合い権衡の問題であろうと思いますので、大きなところはあるいはお話のようなことが必要かも存じませんが、一般的にすべて労働教育ができるというような、そういう主管課を設けるというほどのところまで進みますかどうか、これはそれぞれ各団体考えることになると思います。
  13. 門司亮

    門司委員 もう一つ聞いておきたいことは、ここに言つております労働教育という意味でありますが、労働教育範囲は一体どのくらいまでお考えになつておるかということであります。これは往々にして労働教育範囲を越えて参りますと、平たく言えば、よけいなおせつかいというか、あるいはそういうものが出て来はしないか、これは單に法規の説明の会を開くとか、あるいはその他の会で研究をするとかいうようなことであればよいが、往々にして教育をするということが行き過ぎが多少できはしないかと考えております。こういう面については何かお考えでございますか。
  14. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 これは特別深い意味を持つておるわけじやないのでありまして、この第十号は労働関係に関しますることの例示といたしまして、労働教育ということを掲げておるわけでありまして、これは現在労働者なり、都道府県労政課等処理いたしておりまするのと同じような考え方で、ただそれをこういう文句で表現したということであります。
  15. 床次徳二

    床次委員 この第二條にありますところの地方団体仕事でありますが、「その公共事務及び法律又はこれに基く政令により」地方団体に属する事務というものの範囲であります。地方団体公共事務というものの考え方なんですが、法律または政令規定しておるところの事務も、公共事務のうちに入るか入らぬかということを聞きたいのです。だんだんと地方団体発達して来ると、法律あるいは政令規定しておることも当然公共事務に入るのじやないか。さように考えていいのでございますか。
  16. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 公共事務委任事務というという区分でございますが、こういう区分の仕方につきましては、いろいろ各省の間にも意見があることは御承知通りであります。ただ地方自治法公共事務、こうありますところから、地方団体の当然にやつておりまするいわゆる固有事務と、法律なり、政令によつて初めて地方団体委任を受けてやる仕事と、やはり二通り一応の建前としては考えられるように考えておるのであります。将来の問題といたしましては、たとえば随意事務地方団体がやつてもやらなくてもいい随意事務任意事務というものと、必要事務と申しますか、あるいは強制事務と申しますか、そういう法律政令強制される事務というふうに、事務執行が任意であるか、強制であるかというようなことによつて区分することも、一つの方式ではないかと思うのであります。財政関係から申しますると、法令強制する場合には、その財源を負担をしなければならぬということが自治法なり、地方財政法に書いてあるわけでありますが、そういう点から申しますと、今申したような区分が必要であるわけでありますが、この点につきましては、将来地方制度調査会等においてさらに掘り下げて検討をお願いしたいと考えておるのであります。今お話法律または政令に基いてやらされる仕事は、すべて委任事務であるか、それとも公共事務の中にもそういうものがありはしないかというお話のようでございますが、これは公共事務でありましても、法律なり、政令によつて、今申しましたことを強制されるという種類事務もあり得るわけであります。
  17. 床次徳二

    床次委員 この第二條第三項に書いてありまする事務ですが、この例示されたものは、これはだんだん固有事務に近くなるのじやないかと思うのですが、これは固有事務か、委任事務かというのは、ただいま御説明ありましたように、法律または政令規定してあるのが委任事務だという考え方のようでありますが、この三項に規定してありまするものは、これは大体本来固有事務と解すべきものかどうか。
  18. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 まだ法令の全体の整理ができ上つておりませんから、現行法律制度で申しますと、理論的には固有事務公共事務であつていいと思われるような、たとえば道路関係でございまするとか、河川関係でありますとか、そういうものもあるわけでありますが、これも今のところは、いわゆる機関委任というような形になつておるわけでありまするが、道路法改正河川法改正等が成立いたしますならば、そういうようなものも、これは団体固有事務と申しますか、本来の事務である、こういう考え方になると思うのであります。
  19. 床次徳二

    床次委員 次に適正規模の問題がこの二條の十項にありますが、「適正化を図らなければならない。」ということがあるのであります。この適正化を促進するためには、やはり補助なり、助成なり、特別な便宜が與えられることが望ましいことで、かかるわきからの促進する原因がありまして、初めて適正化が行えると思うのでありますが、政府自体におきましては、この適正化に関して特別な利便を與えるとか、あるいは利益を與えるというようなことを考慮しておられるか、どうかを伺いたい。
  20. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 規模適正化というのは、町村等が他の団体合併するというようなことでございまするから、従つて他協力を求めなければならないということで、ここの第十項はその大原則をうたつたのでございます。なおこの点は後の條文におきまして、規模適正化につきまして府県知事が勧告するような規定を設けておりますが、そこの中にあわせて政府規模適正化ができまするように、十分施策の上で考えて行かなければならない。たとえば平衡交付金問題等が、いつも問題に出て来るわけでございますが、合併したらかえつて平衡交付金が減つてしまう、そういうようなことがないようにこれも考えてもらつておるのであります。地方財政委員会はそういうことで今やつておるわけでございますが、そういうこと、あるいは郵便局でございますとか、そういつたようなものの管轄区域ぐあいが惡いから合併してもらつては困る、こういうようなことを政府機関の中で申し出ておるというようなこともあるわけであります。そういうようなことがないように、政府としては一体となつてそういう合併が円滑に行われるように施策考える。こういうことを後の規定に加えておるのであります。
  21. 床次徳二

    床次委員 今の合併のことに対して、地方財政委員会等は特別な考慮を払つておるというお話がありましたが、これは大体どの程度のことを考えておられますか。
  22. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 合併いたしまして、たとえば役場の事務費というようなものが減つて参りましたり、議会の議員が減つて参りましたり、あるいはそれぞれ別に置かなければならなかつたものが、一つで済むというようなことの結果として、基準財政需要額が減つて来るわけでございますが、それを合併したある期間は、やはり特別交付金等において、その点はおおむね増額を見るというようなことを特に通知を出しまして、特別交付金が結局減るのなら合併してもしかたがない、普通交付金が減るのならつまらないじやないかということから、合併が障害を受けるというようなことがないようにいたしておるのであります。
  23. 門司亮

    門司委員 二條一つの問題は、実は今床次君から聞かれた「規模適正化を図らなければならない。」という條項でありますが、これは一体どういう意味なのか。私はよくわからぬのでありますが、「地方公共団体は、常にその組織及び運営合理化に努めるとともに、他の地方公共団体協力を求めてその規模適正化を図らなければならない。」こう書いてありますが、この意味は、適正規模についてはいろいろの議論があります。当然市町村は、やはり自分で運営のできる適正規模にするというのが望ましいのであつて従つてそういうことを一つ地方公共団体事務として、これをあげられるということになつて参りますと、絶えず合併するか、あるいはそのまま置かれるかというようなことが、事務になつて来ると少しおかしいのじやないかと考えるのですが、これは自主的に町村にまかしておした方がいいのではないか。ここに法律にはつきり書いてしまいますと、適正規模にするように、法律強要するという意味にはならぬかもしれないが、ある程度のこれは強要だと思います。もしこれを單なる啓蒙だというようにお考えになつておるならば、これはまた特別の問題でありますが、従つてただ啓蒙程度の軽い意味一つ條項であるというふうに解釈してよいのか、あるいは一つ地方公共団体仕事として、こういうものをたえず考えなければならぬというようなことでありますか。この点を政府はどの程度まで大体お考えになつておるのか。この辺をひとつお聞かせ願いたいと思います。同時に具体的の実例等がありますならば、お話願いたい。
  24. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 この規定はその前にございまする地方自治に関する規定の解釈が地方自治本旨に基いてやらなければならないというようなこと、それから事務処理に当つては「住民福祉増進に努めるとともに、最少経費最大効果を挙げるようにしなければならない。」という規定と同じような建前で書かれておるわけであります。一つ基本精神というか、そういう考え方をたつたものであります。今の門司さんの言葉でいう強行的の規定、そういう意味でなく、大精神を大きくうたつた。こういうふうにお考えいただいてけつこうであると思います。  どういう実例があるかということでございますが、これの具体化されました規定は、先ほど床次さんの仰せになりました問題に関連して申し上げましたように、九ページから十ページの初めにかけまして「第一項の規定による勧告に基く市町村廃置分合又は市町村境界変更については、国の関係行政機関は、これを促進するため必要な措置を講じなければならない。」こういうふうに書いておるのでございますが、要するに合併は他の団体と一緒にならなければ実現しないわけであります。ある部分の区域変更ということも同様でございますので、そこで特に他の団体協力を求めてということをうたつておるわけであります。
  25. 門司亮

    門司委員 私の聞いておりますのは、二條の中にずつとたくさん書いてあります。これが一つ事務というような形になつて来ることを私は申し上げておるのでありまして、これは国が定めた事務であるということになつて参りますと、ある程度強要力を持つて来ると思う。それからその前の第九項でありますが、ここには「地方公共団体は、その事務処理するに当つては、住民福祉増進に努めるとともに、最少経費最大効果を挙げるようにしなければならない。」とちやんと書いてありますが、これも法律建前として、こういうことを法律の中に書かなければならないかどうかということであります。もとより地方公共団体住民福祉に沿わないような行政措置をやつてよいということは、たれにでも言えない事柄であつて、そこまで政府が世話しなければ、地方公共団体というものが満足にやつて行けないかどうかという点について、実際はこの辺は少し行過ぎではないかというふうに考えるのでありますが、やはり自治庁は今までの経験から、こういう行過ぎと考えられる、言いかえれば、法律である程度自主権を動かすようなことまで書かなければならないのか。そういうふうに私は考えるのでありますが、同時に私はさつきも申し上げておりますように、これを十項でこういう規定をされて参りますと、今説明にありましたように、都道府県知事がこれを企画し、勧告する。この勧告に基いて結局行政官庁がこれを適当に促進するための措置を講じなければならないということになつて参りますと、これは地方公共団体適正規模にすることのために、ある程度強要力を持つて来ると、私は考えておるのであります。決してこれは軽い意味ではありませんで、この法律全体から考えてみますと、当然一つ強制力がここに出て来るのではないかというように私は考えておりますが、そういうふうに大体考えてさしつかえないかどうかということ。ついでにもう一つ聞いておきますが、この四項から五項の中に掲げておりますいろいろの事項について「この法律又はこれに基く政令規定のあるものの外、別表第一」次に「別表第二」と、別表一、二と書いておりますが、この別表はどこに書いてあるのか。これを示していただきたい。
  26. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ここに書いてあります御指摘の各項は事務という意味で書いたのではないのでございまして、訓示規定というか、精神規定と申しますか、そういう意味性格のものでございます。こういうことは書く必要があるかどうかということでございますが、遺憾ながら現在の実際の自治運営の状態におきましては、たとえば町村長が議会を招集しなければならない。しかるにこれを招集しなくてもよいのだといつて、いつまでたつても招集しないという例が間々あります。これはまつたく單なる一例でございますが、そういうふうに何というか、自治意識というか、そういう面が稀薄である、あるいはそれを運用しておるというような事態が、遺憾ながら相当あるのであります。そういうようなこともございますので、一つの自治運営の訓示規定精神規定というか、そういうものの考え方を示したわけであります。なお別表第一、第二というのは、この法律案の八十四ページの附則の改正の次に掲げてあるのでありまして、これは都道府県処理しなければならない事務と、市町村処理しなければならない事務として書いてあるわけであります。
  27. 立花敏男

    ○立花委員 最初にやはり新しく追加されました労働組合に関する公共団体事務の問題でありますが、最近聞くところによりますと、労働省において従来の労政局のほかに新しい労働課というものができたということを聞いておるのでありますが、この地方改正が中央における労働省の新しい改正と照応してなされておるのか。これをお尋ねしたい。
  28. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 大体そのように考えております。
  29. 立花敏男

    ○立花委員 そういたしますと、新しい中央における労働省の労働課の仕事はどういうものなのか、これをひとつ伺いたい。
  30. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 労働省に労働課というのができたということは、私はつきり聞いておらぬのでありますが、先ほど来申し上げましたように、これは労働関係に関する事務の例示の一つとして掲げておるわけでございまして、格別この際に新しい意味を持たせておるということではないのであります。
  31. 立花敏男

    ○立花委員 私どもは今回の中央における労働省の労働に関する新しい課の設置は非常に特殊なものであつて、従来の労政関係仕事だけではなしに、純粹の労働情報の特別の課である。最近の労働攻勢に対処するための政府労働諜報機関と申しますか、そういうものが労働省の中に新しくできたということを聞いておるのであります。この地方団体における改正もそれに照応して、全国的な労働諜報機関をつくり上げようとする意図ではないかと思うのであります。その点ひとつはつきりしていただきたい。
  32. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 この労働課が今お話のような諜報機関という意味を表わすつもりは全然ないのであります。従来からやつて来ております仕事の例示の一つとして掲げたに過ぎないのであります。
  33. 立花敏男

    ○立花委員 最近週刊朝日の暴露いたしておりますように、アメリカの新しい大使であるマーフイー大使は、世界的な諜報機関仕事をして参つた歴史的な男でありまして、そのためにドイツからも追放処分にあつておるというような、まつたく国際的な諜報のヴエテランですが、彼が日本に参りまして、最近非常に大きな全国的な諜報の機関の確立を企図しておるということが伝えられておりますが、労働省における労働調整機関の新設と、地方において特にこういう新しい項目を設けまして、労働組合に関する事務規定しておりますことは、この間に私大きな関連があると思うのですが、それを政府としてはどう説明なさるのか、これをひとつ承りたいと思います。
  34. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ただいま御指摘のようなこととは、全然関係なく、また事実そういう状態のもとにおいて立案されたものでございます。ことにこれは地方団体のやる事務として書いておるわけでございまして、むしろ従来国家機関としての国の事務ではないかという疑念がありましたのを、これはあめくまでも地方仕事であるということを明確にしたわけでございまして、御心配のようなことは、まずないと考えております。
  35. 立花敏男

    ○立花委員 ただいまのところでは、政府にはあるいはあなたの言葉通り、そういう意図はないかもしれませんが、客観的にはこれがそういう役割を果して来るということは、火を見るより明らかだと思う。何となれば、きのうの公述人の言葉の中にありましたが、現在自治体における総務課の中で、特審の活躍が行われておる。総務課が団体等規正令の届出等の事務を扱うことを奇貨といたしまして、特審局がそれを利用いたしまして、まつたく地方の総務課の一部が、特審局の下請機関になつておるということが、公述人の言葉から明確に暴露されたのでありますが、そういう形で、こういうふうな特に労働問題を扱う一項を設けまして、自治体にそういう仕事を押しつける政府の意図あるいは客観的な役割というものは、当然私はそうなるように理解するのですが、現実の問題として、きのうの公述人の特審局の地方機関への侵入と申しますか、地方の自治団体に特審局の仕事をさせておるという問題について、政府はどう考えておるが承りたいと思います。
  36. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 地方団体法令で定められました事務以外に、今御指摘のような、そういう仕事処理いたしておるというふうには、私ども考えていないのであります。
  37. 立花敏男

    ○立花委員 こういうふうに仕事を明確にいたしました以上は、そういう実質的な中央機関の下請、特審の下請のような形が地方に行われておりました場合には、具体的事例がわかりますれば、違法として処理される用意があるかどうか。
  38. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 それはあくまでも地方団体法令に基く正式な行為ではなくて、もしそのような行為を行つておる事実がありといたしますならば、それはその人個人の問題であると思います。
  39. 立花敏男

    ○立花委員 さらに問題にしなければいけませんのは、こういうこまごまとした規定をやります場合には、門司君も指摘いたしましたように、当然これは強制的な傾向を帯びて参りますし、最近の平衡交付金法の改正によりましても、法律に定められました一定の事務を遂行しない場合は、平衡交付金の返還を命じるというような規定がありまして、明らかにこれは平衡交付金法と並びまして、非常に大きな強制力を地方に持つて来るわけであります。しかもそれに対して政府は、平衡交付金の十分なる交付に対する責任はちつともとられていない。こういうところから、こういう規定をいたしますことは、明らかに地方責任だけを転嫁いたしまして、しかも政府責任は何らとられていないという結果になりまして、ただでさえ困難いたしております地方財政が、非常に困難を来すと思うのですが、その点どうお考えでありりますか。平衡交付金法の改正とあわせて、ひとつ御答弁願いたいと思います。
  40. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 別表におきまして事務を列記し、あるいは置かなければならない機関組織等をいろいろ列挙いたしておりますが、これは現在すでに行われておるわけであります。こういうふうに法令によつて地方団体が現にいろいろと拘束されておるわけでございますが、こういうようなものをできるだけ少くしよう、これを別表に掲げることによりまして、これほど地方団体というものは、いろいろ国から仕事を要請されておるのだというような批判、反省の声を逐次高め、そしてできるだけ地方団体がそういう拘束を離れて、自主的に必要な事務を行うように持つて行こうという一つ考え方をもつて掲記いたした次第であります。
  41. 立花敏男

    ○立花委員 私は当然政府がこういう形で地方事務法律規定し、しかもその法律規定を無視する場合は、平衡交付金の返還を命じるというのであれば、政府財政的な全責任を負うべきだと思うのです。その意味において、第一條に規定してありますところの、地方公共団体の健全な発達保障するためのものであるということが初めて生きて来ると思うのですが、この点をどうお考えになりますか。地方財政平衡交付金の場合にも私指摘したのですが、出すべき平衡交付金を出さないということは、もう疑う余地のない、政府の不当なる処置なんでありまして、平衡交付金法違反といわれても、これは過言ではないと思うのです。しかもその事実をあげろといえば、具体的に幾らでもあげますが、そういうことに対する政府責任は何ら追究されていないで、一方的に地方の行わなければならない事務規定されて来る。こうなりますと、第一條の「保障」という言葉は、まつたく無意味な空文になつて来るということになると思うのですが、政府はその責任を明確にされるお考えがあるかないか、これをひとつ承りたいと思います。
  42. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 先般御通過願いました地方財政法改正法律でありますが、これの中に御承知のように、地方団体あるいは地方公共団体機関のやる仕事は、原則として地方団体の負担であるという建前規定をいたしまして、ただ例外的な事務については、国が全部または一部を負担する、それ以外のものは地方団体が負担をする、こういうことになつておるわけであります。これは半面、地方税によりまして自主的な負担が行われますわけでありますが、それによつてなお不足いたします部分——要するにこの法令で定められました各種の事務というものは、基準財政需要額の中にみな掲げられるわけでありますが、その基準財政需要額を基準財政收入額でまかない得ない部分というものは、御承知のごとく、平衡交付金として計算をせられなければならぬわけであります。交付金の総額の算定に、問題はかかつて来るわけであります。これはそれぞれ年々の予算において、政府としては地方行政運営できますようにやらなければならぬ、法律上の責任があり、またそういうふうに努力をいたして行かなければならぬと考えておる次第であります。
  43. 立花敏男

    ○立花委員 先般の警察予備隊令の改正によりまして、予備隊の募集事務が、市町村長に法律責任を負わされておる。本日の新聞によりますると、約十万近い者が応募しておるということが出ておるのでありますが、この事務は今どういうふうになつておるのか。この自治法改正は、そういう予備隊の募集事務、新しい徴兵事務をどのように処理されようとしておるのか。見たところではそういうものはないのでありますが、それは現実にはどういうふうに法律処理されようとしておるのか、ひとつ明確にしていただきたいと思います。
  44. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 もしも今の予備隊に関する事務が、知事なり市町村長に対する国の委任事務といたしまして、法律によつて規定せられる、こういうことに相なりますと、これは別表には掲記してございませんが、第二條の、「法律又はこれに基く政令」によつて地方団体に属する事務として地方団体処理する、こういうことになるわけであります。将来別表はしかるべき機会に改正しなければならないということになります。
  45. 立花敏男

    ○立花委員 その募集は現在約三万五千ですか、そしてそれの応募者は十万に達するらしいのですが、その募集事務がどういうふうに具体的に、町村で、地方自治体の中で進行しておるか、地方自治体はこれに対して、どういう事務的な活動をやり、その費用はどういうふうに支弁されておるかということを、詳細に御報告願いたい。
  46. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 自治庁は予備隊の募集に関します事務を所掌いたしておりませんので、もし御必要があれば、所管の方からお聞きとりを願いたいと思います。
  47. 立花敏男

    ○立花委員 これはまことに無責任言葉なんで、地方自治体の新しい重大な事務としてそれが目下進行中である。これは日本にとつても画期的な問題であるし、自治体にとつても、私はまことに重大な問題だと思う。しかも新聞の伝えるところによりますと、非常に募集が困難である。三倍に満たない応募であつて、それからいろいろなものを除きますと、ほとんど補充しなければならない予備隊員の数とあまり違わないというような、非常に困難な状態なんです。そういう場合に、法律で自治体に対して募集事務強制されておる。しかもそれは全然新しい、しかも国民の、あるいは地方住民のあげて反対しております徴兵事務なんで、こういうものが新しく押しつけられていることに対しまして、自治庁は所管でないから、その成行きは知らないというのでは、ここにお出しになりました地方自治規定というものは、まつたく机上のプランなんで、実際はほとんど無益だと思うのでありますが、そういう態度ではたして自治法改正、あるいは地方事務規定ができるかどうか、その点をどうお考えになつておりますか、承りたいと思います。
  48. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 募集に関する具体的な行政事務の指揮監督という、ただいまの法律案にあります言葉を使いますれば、予備隊募集に関する指揮監督ということは、これは御承知のごとく、予備隊本部が直接所管しておるわけであります。自治庁といたしましては、自治の制度としての全体の面は考えておりますけれども、個々の募集の実務につきましては、私ども何らそういう情報を持つておりませんし、集まるはずがないのであります。
  49. 立花敏男

    ○立花委員 私は指揮監督のことを申しておるのではありませんで、自治庁が地方行政全般に責任を持ち、財政全般に責任を持つというのであれば、そういう中央から新しく地方に與えられました、強制されております予備隊の募集事務が、はたして現在の地方制度の円滑なる運営を阻害しないで行い得るかどうか、あるいは現在の困難な地方財政のもとに、そういうことがはたして遂行できるかどうか、こういうことを検討されるのは当然の責任ではないか。指揮監督権がないから、そういう問題は全然関知しないのだというに至つては、これは論外だと思うのであります。そういう官僚割拠主義と申しますか、セクシヨナリズムと申しますか、そういう考え方はお捨てになつて、当然これは自治体の重大問題であり、地方住民の重大問題であり、また地方行政上からも、財政上からも重大問題であるというふうにして、愼重に検討していただきたいと思うのでありますが、そういう御用意があるのかどうか承りたいと思います。
  50. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 国会におきまして、今の法律が通過したかどうか、私はつきりいたしておりませんが、おそらくまだ通過していないだろうと思います。もし通過いたしまするならば、これは当然自治体としては、あるいは市町村といたしましては、処理しなければならない仕事になるわけでございますから、その場合の、これに必要なる財源、それを処理いたしまするための行政組織といつたものについて、これは十分国の方の財源措置を期待しておるわけでありますし、また事実その辺のことはそれぞれ連絡いたしておりますが、先ほど募集の状況を詳細に説明しろ、こういうお話でございますが、それは私どもの全然所管外のことである、こう申し上げたわけであります。
  51. 金光義邦

    金光委員長 立花さん、御質疑中でありますが、緊急に理事会を開きたいと思いますので、しばらく休憩いたします。     午後零時二十八分休憩      ————◇—————     午後零時二十九分開議
  52. 金光義邦

    金光委員長 再開いたします。  この際お諮りいたします。ただいま文部委員会において審査されております義務教育費国庫負担法案は、当委員会としても重大な関心を持たざるを得ない問題でありますので、この際文部委員会に対しまして、連合審査の開会を申し入れたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  53. 金光義邦

    金光委員長 御異議がないようでありますから、さよう決定いたします。つきましては、連合審査会の日時等は、文部委員会委員長と打合せて決定いたします。
  54. 門司亮

    門司委員 もとより今の義務教育費の問題には異議はございませんが、この委員会と非常に関連を持つておりまする例の地方公営企業労働関係法案でありますが、それが今労働委員会にかかつておると思います。従つてこれの審議は、でき得れば、やはり連合審査の形がいいと思いますが、委員長の先日からのお話では、なかなか向うで議案が多いので、時間の関係からうまく行かないということでありましたが、これについては、ひとつ委員長から、もし連合審査会ができなければ、ここにひとつ労働省の人に来ていただきまして、やはり審査の時間を與えていただきたい、こう考えておりますから、しかるべく善処を願いたいと思います。
  55. 金光義邦

    金光委員長 御趣旨ごもつともと考えますので、理事会に諮りまして、ようにいたしたいと思います。     —————————————
  56. 金光義邦

    金光委員長 それでは休憩前に引続きまして、立花君の質疑を継続いたします。
  57. 立花敏男

    ○立花委員 鈴木君の答弁は、最初とただいまとかわつてつておりますので、募集事務は、別表ですか、それには規定はないが、法律または政令というところにあると言われましたが、まだ法律が通つていないのです。そうなりますと、現実に行われております問題は、こういうふうな明確な規定をいたしました場合には、これはまだないのだから、明らかに違法だと思うのですが、それをどうお考えになりますか。
  58. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 これは御承知のように、ポツダム政令で、今の事務関係規定をせられておりまして、それが法律上、條約発行後百八十日まではそれだけで効力を持つような形になつておるわけであります。予備隊員の募集に関します法律が通過いたしますならば、今度はそれによつて募集する、こういうようなことであろうと考えております。
  59. 立花敏男

    ○立花委員 市町村長に対する責任の問題は、予備隊令ではないわけでありまして、この法律によつて規定されておると思いますが、その法律が通らないとなると、その法律の根拠がないのだから、これは地方団体で扱うことができないと思うのですが、その点をどうお考えになりますか。
  60. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 実際の事務処理は、いかようにいたしておりますか、私も明確に承知いたしておりませんが、都道府県知事から下の処置といたしましては、知事が適当な方法をもつて、自己の所管に属する機関等を用いて処理しているのではないか、かように考えております。     〔委員長退席、吉田(吉)委員長代理着席〕
  61. 立花敏男

    ○立花委員 そういうまつたくあいまいなことでは困ると思います。知事が適当な処理をして行く。適当という言葉は非常に便利でありまして、何ら法的な根拠はないと思うのですが、そういうことで、この重大な事務が、自治団体強制されてしまつては、たいへんだと思うのです。だからこそ私は最初から言つておりますように、この事態を重視して、やはり実態を調査すべきであるというふうに言つているのですが、なぜそういう実態を把握なされないのか。尋ねておきますが、そういう強制的な募集事務が、市町村で現在行われておるのですが、それを違法とお考えになるかどうか、あるいその財政措置はどういうふうに考えておられるか、これを承りたい。
  62. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ただいまのポツダム政令におきましては、お話のように、市町村に関する予備隊募集の事務のことについては規定がないと思いまするが、知事がその事務委任を受け、知事はその所管に属する地方事務所その他の機関を利用して、その募集の事務に当らしておると思いますし、あとはむしろ便宜的な問題で、町村がもしもその事務を事実やつておるといたしますならば、おそらく掲示板等に募集のビラを張るとかいつたような程度のことであろうと考えております。
  63. 立花敏男

    ○立花委員 たとい掲示板にビラは張るだけと申しましても、決してそれはそういうことじやないと思うのですが、何ら市町村としては、責任のない事務を、そういう便宜的な形で押しつけられまして、しかもその事務をやらなければいけない。しかもそれには当然経費を伴うことで、そういうことをはたしてやつていいのかどうか、問題だと思うのですが、そういう事実がありとすれば、政府はどういうふうに処理されるつもりでありますか。当然これは市町村といたしましては、これを拒否すると同時に、もしそれに費されました費用に対しましては、当然国家に補償を要求すべきだと思うのですが、その点に対する態度を明らかにしていただきたいと思います。
  64. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 もちろん市町村あるいは市町村長といたしましては、法令に基いておらない事務については、これを負担する必要もありませんし、処理する必要もないのであります。ただおそらくそういう事務が事実行われておる。事務と申しますよりも、ビラの掲示等の処置が行われておる。あるいはビラを役場の窓口に並べておく。こういうような処置がもし行われておるといたしますならば、おそらくそういうものは、国が印刷をし、配付しておるものであろうと思います。その程度の事実上の便宜の措置市町村がやつておるということは、これは必ずしも他に例のないことではないと思います。
  65. 立花敏男

    ○立花委員 あなたは実態を知らないと言いながら、ビラを張つていることだけはなかなか主張されるのですが、それはどうもおかしいと思います。全国的に十万人の応募者を処理しようとしているのに、これは單なるビラの問題ではないと思うのです。非常に大きな負担が自治団体にかかつておる。基礎的な団体である市町村にかかつておるということは、明白なんです。これがしかも便宜的であり、違法ということになりますと、これは大問題です。こういうことが許されていいものかどうか、これをひとつはつきりしておきたいと思います。
  66. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 市町村なり市町村長が、そういうことを納得の上でやつておる以上は、一向さしつかえないと思います。
  67. 立花敏男

    ○立花委員 市町村行政あるいは財政と申しますものは、市町村長の独断で行われることではありませんので、これはあくまでも法律に基き、あるいは市町村の條例に基いて行われなければいけないので、そういうことで規定されていないものを、一方的に市町村長が請負つて来る。しかもそれに対しては国民的な反撃があり、大きな国民の憤激の的となつておりますところの、いわゆる新しい徴兵事務なんです。そういうものを單に市町村長が請負えば、それでいいのだ、市町村長が承諾すれば、それでいいのだということに解釈されておるのかどうか。それでは何のために法律があり、あるいは條例があるのかわからぬと思うのです。ただいま予備隊の問題に関しましては、最高裁判所で憲法違反の訴訟さえ行われておりまして、国民的に見ましても、明らかにあれは憲法違反であり、新しい軍隊であるということは明白であります。こういう問題を何ら法的な根拠なしに、市町村長の独断で引受ければ、それでいいのだというようなことで済ませれば、これはたいへんなことだと思いますが、その点どうお考えになつておるか。
  68. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 市町村長が自己にまかされておる範囲内において、自己の意思に基いて処理をいたしますことは、これはさしつかえないと思います。
  69. 立花敏男

    ○立花委員 自己にまかされておると言われておりますが、決して自己にまかされていないと思います。何によつて、だれによつて、どういう方法でまかされておるのですか。憲法違反の疑いのある予備隊の募集事務を、市町村長がだれに、いつまかされておるのか。それは詭弁だと思います。
  70. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 先ほどから私が申し上げておりますのは、ビラを張りますとか、あるいはビラを窓口に置くとかいうような、要するに事実行為でありまして、これは市町村長の、その限度においては、役場の庁舎の管理権の一部に当然属することであろうと思いますので、その程度の事実行為をいたしますることは、違法であるとかないとかいうことはないと思います。
  71. 立花敏男

    ○立花委員 さつきから言つておりますようにあなたは知らないと言われておるが、ビラの問題だけを取上げられて、これは庁舎の管理の問題であると、すりかえられてはたいへんです。もつと大きな問題を見るべきである。さいぜんから言つておりますように、最高裁判所で違憲問題さえ起つておる問題です。これを庁舎にビラを張る問題とお考えになつては、政治的な感覚、あるいは行政的な感覚はどうかと思います。そういうふうに問題をごまかさないで、やはりこの問は重大な問題であるという観点から、根本的な態度を、ひとつおきめ願いたいということを要求しておきます。  それからさいぜんの答弁の中にも、知事がきめて市町村におろして行けば、市町村が当然それに従うべきであるというような、市町村府県との関係を、非常に段階的にお考えになつているようでありましたが、この規定の中にも、やはりそれがあるのです。この点今言つたようなお考え方があるとすると、問題だと思いますが、第二條の六、新しい方の十一と十二に、「市町村及び特別区は、当該都道府県の條例に違反してその事務処理してはならない。」「前項の規定に違反して行つた地方公共団体の行為は、これを無効とする。」ということがありまして、一方的に都道府県市町村に対する上位を認めているわけですが、これはなぜこういうことにされたのか。これは自治法精神とも違うと思いますが……。
  72. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ただいま御引例なさいましたのは、現行法の二條の六項でございますか。
  73. 立花敏男

    ○立花委員 そうです。六と七です。
  74. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 これは「地方公共団体は、法令に違反してその事務処理してはならない。なお、市町村及び特別区は、当該都道府県の條例に違反してその事務処理してはならない。」と現行法にあるわけでございまして、今回新しく入れようというわけではないのであります。
  75. 立花敏男

    ○立花委員 それはわつておるのですが、ただいま言われたようなあなたの態度で、知事が便宜的に市町村仕事を與えて行くのだというふうな観点から、この項目が悪用されますと、これはとんでもないことになると思いますから、これは当然改正する必要があると思いますが、どうお考えになつておりますか。
  76. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 地方公共団体はやはり法令なりあるいはみずから定めます條例とか、規則というようなものに従つて事務処理しなければならないわけでありまして、ここでは特に国との関係においては法令とか、それから府県市町村との関係においては、都道府県の條例というものに違反して、その事務処理してはならないということをうたつておるわけであります。都道府県市町村との関係は、地方公共団体としては同じような規定をいたしておるわけでございまするが、都道府県は御承知のごとく、市町村を包括するという複合的な地方団体でありまして、そういう意味から、同じような性格になつておるとは申しながら、この二條の第六項におきまして、やはり若干府県市町村との性格の違いが、現在も現われておるわけであります。神戸勧告等におきましては、この点をさらに明確にすべきである。府県というものは、市町村処理できないようなことを補充的に処理いたし、あるいは広域団体として調整的な機能を行うという、そういうことだけに自治機能を限定すべきである、こういう考え方であります。その一端がここに現われておるというふうに私ども考えておるわけでございまして、こういう考え方は、むしろ将来の方向にも合うものであるというふうに考えております。
  77. 立花敏男

    ○立花委員 ここではあくまでも市町村に対する都道府県の上位を認めておるわけなんです。これでは市町村都道府県の同等の態度が認められていないわけなんで、こういう規定を置くのであれば、同時に逆に都道府県は、市町村の條例に違反する規定をしてはならないとか、そういう都道府県の立場を尊重するだけではなしに、やはり市町村の自主性を保障する規定を設けるべきだと思います。その点をどうお考えになつておりますか。
  78. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 その点はさらに十四條をごらんいただきますと、「都道府県は、市町村行政事務に関し、法令に特別の定があるものを除く外、條例で必要な規定を設けることができる。」こう書いてあります。これはやはり都道府県市町村事務調整連絡といいますか、そういう統制をすることができる。普通これは統制條例といつておりますが、都道府県の統制條例に違反した市町村の條例が無効であるということを、さらに十四條の四項で言つております。これは二條ではそういう行為の点に着眼をいたしまして、そういう條例に違反した行為も無効である、こう言つておるわけであります。これは地方自治法全体の考え方といたしましても、都道府県市町村とは同格の団体考えておりますけれども、やはりこれらの統制條例が設けられるというような点においては、性格が違うのだというふうに考えておるわけであります。
  79. 立花敏男

    ○立花委員 私はどうしてもやはりこの規定は、十四條にあると言われますが、もつと明確に入れるべきだと思います。何と申しましても、基礎的な自治団体市町村でありまして、そこに初めて民主主義の最初の段階があると思います。市町村における民主主義こそ、ほんとうの民主主義の基礎だと思いますが、それをやはり保護育成して行くという意味において、市町村の條例に違反して、都道府県があらゆる規定をしてはいけないということを明確にうたうべきだと思います。それがありませんと、全国の市町村あるいは東京の特別区というものは、非常に不安になるだろうと思います。最近府県に対しまして、あるいは知事に対しまして、中央の権限が強化されて参りましたし、あるいはいろいろな権限が知事に集中されて参りまして、これがそのまま市町村の條例等を無視いたしまして、市町村強制されるような場合が当然予想されますので、私はこの際ここにそういうはつきりした規定をつくるべきだと思いますが、それをどうお考えになりますか。
  80. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 市町村が自治の基本であるということについては、まつたく同感であります。しかしながら都道府県市町村とまつたく同じような性格団体である。従つて市町村について、今統制條例と普通申しておりますような、そういういわゆる行政事務についての統制條例が設けられないということになりますと、これはやはり府県というものは、市町村から構成されておるわけでございまして、そういう一つ府県の中の行政事務についての調整が困難になつて参りますので、それでそういうことは認めなければならぬと考えるのであります。むしろ都道府県市町村と違つた性格団体であるというふうに考えて行くべきでありまして、同じような自治事務府県市町村もやるということになるというところから、いわゆる二重行政という弊が出て来るわけであります。市町村がやれることは全部市町村にまかせて、市町村がやれないようなことを補充的に仕事としてはやる。あるいは市町村相互間の行政事務についての調整というようなことを、考えて行くべきであろうというふうに思つておるのであります。
  81. 立花敏男

    ○立花委員 市町村都道府県は違つた性格であるということは、これはあたりまえのことなんです。だから違つた性格であるから、二つの違つたものであるから、お互いの立場を尊重する。だから市町村都道府県の條例に違反することはしないと同時に、都道府県市町村の條例に違反しないという規定をすることこそ、私は違つた二つの団体性格をそれぞれ自主的に認めることじやないか、こう思うのです。だから違つた性格ということは、これは当然なんです。だからこそ私はそういう規定をする必要があると主張しておるのにすぎない、この点はひとつあらためて考慮を願いたいと思います。  それから最後にきのうの公聴会の問題でお聞きしたいと思いますが、公聴会はなるほど議員のための公聴会でありますが、提案者が自治庁でありますから、自治庁の出席も特に求めておいたわけなんで、御出席になつておつたようでありますが、きのうの公聴会の中で、特別区の区長の任命制は憲法違反であるというはつきりした意見が杉村氏あるいは安井氏あたりから出ておる。これは両方とも東大の教授で、法律的に権威のある意見だと思うのです。これについて政府はどうお考えになつておりますか。
  82. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 昨日の公聴会の際の公述人の公述につきましては、ただいま立花さんは憲法との関係において区長の今回の選任の方法は違憲であると、はつきり公述人が申したというお話でございますが、私はそのようには聞いておりません。地方行政調査委員会議においてはいろいろ意見があつて、憲法九十三條に違反するようなおそれがあるというような意見もあつたから、あえてその点は勧告の中に入れなかつた、こういうふうに聞いております。その点は私もさように承つておるのでありますが、私どもの考え方といたしましては、憲法九十三條の地方公共団体と申しますのは、要するに普遍的なあるいは基礎的な地方公共団体をさしておるものでありまして、現在の地方公共団体の中からそれを拾つて参りますならば、都道府県とか市町村とかいうものが、これに相当するものであるというふうに考えておるのであります。これは地方自治法上は普通地方公共団体と申しておりますけれども、そのほかにいわゆる特別地方公共団体というようなものもあるわけでありますが、特別地方公共団体の中では特別市、これはまさに憲法九十三條の原則の適用されるものであろうと考えるのであります。と申しますのは、特別市というのは府県と市が一緒になつてできる地方団体でありますから、これはそのような考え方になるのであろうと思うのであります。     〔吉田委員長代理退席、委員長着席〕 しかしながら憲法の九十三條等の、原則は刑事訴訟等に関するいわゆる基本的人権に関するような各種の規定のごとく、絶対拘束的な規定と申しますよりも、地方自治基本精神をうたつた規定であるというふうに、私ども根本において考えておりますとともに、従つて地方公共団体という憲法の言葉と、この地方自治法にいつております地方公共団体という言葉とは必ずしも一致していない、これは美濃部博士等も、地方公共団体の中には、この地方自省法にあります特別地方公共団体といいますものを含めて、昔から地方公共団体、こういう言葉で表現をしておられますが、地方自治法は大体その考え方で分類をし、列挙しておるわけでございまして、憲法が地方公共団体と申しておりますのは、その最も普遍的なるもの、基礎的なるものを言つておるというふうに、私ども解釈しておるのであります。これはやや余談でございますが、憲法の今の規定が日本側に示されました際におきましては、課税権を有する団体府県市町村、こういうような言葉が使われておつた時代もあるというふうに私ども聞いておるのでありまして、要するに基礎的な、普遍的な地方公共団体ということが、この九十三條の根本の考え方であろうと思うのであります。またそれでありませんと現在の地方公共団体の中で、きのうもいろいろお話の出ました財産区なり、一部事務組合というものの管理者という関係をいかように解釈するか非常にむずかしくなつて来ると思うのでありまして、それらの現行法と憲法との間に、合理的な呼び方をいたすといたしますれば、今申し上げたような憲法九十三條の地方公共団体というのは、普遍的な、墓礎的な団体である、こう言わざるを得ないと思うのであります。そこで特別区でございますが、しからばこれがはたして普遍的な、基礎的な地方公共団体であるかということになりますと、この点は昨日の公述人のいずれの方々も認めておりますように、完全なる独立したものではない、やはりこれは大都市社会の一つ基礎的な構造の中の一分子である。特別区が自主的な権限を非常に強く持つておると主張される方でも、それは一般の地方団体とは違うんだということを言つておられるわけでありまして、事実かさように示しますごとく、制度におきましては、これは地方税法平衡交付金法あるいは警察法でも、教育法でも、消防組織法でも、いろいろな法律で、東京都を例にとりますれば、やはり今の二十三区というものは一つ団体という建前考えられているわけであります。あるいは公職選挙法の中におきましても住居期間というものは、各特別区ごとに計算するのではなくて、二十三区を通じて計算する、二十三区の中に三箇月おればいいんで、杉並区には一日しかおらなくても、杉並区長の選挙権があり、区会議員の選挙権がある、こういうことになつておるのでありまして、これは制度上もそのようなことは無視できないわけであります。これによつてわかりますように、特別区というのは基礎的な普遍的な地方公共団体ではないというふうに、考えざるを得ないのであります。そういう見地から九十三條の規定はそのままに適用されるものではない。要するに九十三條の基本原則からはずれた、そこまでこまかく憲法で定めなくてもよろしいところの問題であるというふうに、私ども考えておるわけであります。従つて特別区の区長の選定の方法をどうするかということは、どうすれば一番大都市社会の住民福祉増進に寄與することができるかという見地から判定を下して行くべき問題であるというふうに考えておるのであります。
  83. 立花敏男

    ○立花委員 ごまかさない方がよいと思う、聞いておられなかつたら聞いておられないでよいと思う。憲法違反だと杉村氏が言われたことも明白であり、安井氏が言われたことも明白である。しかもこれは客観的に申しまして、本日の新聞が憲法違反であると陳述したということを、明白に標題をつけて発表しております。これは私ごまかしておるのでも何でもありませんし、これは速記録にも明白なことです、お聞きになつてないならお聞きになつてないでよいのですが、言われなかつたということは、これは明らかに公聴会に対する自演であり、公聴人に対し失礼だと思う、そういう態度は私断固排撃いたしたいと思います。明らかに憲法違反であると言われました。そういう事実を認められて、しかもそれに対しては政府としてはこう考えておると言われるならよいのですが、言われたことを言われないと言われる。しかも私は杉村さんに対しましては再度立ち上りまして、確認を求めたわけでありますし、それを確認するということをはつきり言われました。そういう明々白々なる事実を否定される態度はおやめになつていただきたい、こういうことを言つておきます。そういうふうにきのうの公聴会におきましても、地方自治の問題については、政府の側に見解の重大な誤りがあるのじやないかということが明白だと思うのです。今の鈴木君の答弁によりましても、特別区は基礎的な普遍的な自治体ではないと言つておられますが、それは言葉の行き過ぎです、本質的に特別区は基礎的な団体ではあるが、まだ十分ではないという表現の方が当つておりますので、特別区は基礎的な普遍的な団体ではないということは完全に言葉の誤りだと思う、不十分ではあるが、普遍的な基礎的な団体である。従つて特別区が主張いたしておりますことも、完全な普遍的な基礎的な団体としての完全自治を主張しているのではありませんので、そういう不十分さを認めながら、なおかつ普遍的な基礎的な団体であるから、それに相当した制限つきの権限を認めろということを言つているので、それを歪曲いたしまして、特別区は普遍的な基礎的な団体ではないというような断定を下すことは、これは完全に私誤りであろうと思います。そういうふうにこの一條二條を見ましても、地方自治本旨とか、あるいは地方公共団体の本質的な問題が規定されておりますが、こういうところに政府地方自治本旨に対する考え方に相当の狂いがあるのじやないか。これは故意にひずめられているのかもわかりませんが、少くとも表面に現われました意見を聞きましても、そういう故意に歪曲しているという部面があることを、一つ指摘しておきたいと思います。そういう問題で答弁があれば、答弁をいただきたいと思う。
  84. 金光義邦

    金光委員長 それでは地方自治法改正案に対する質疑は次会に続けることにいたします。     —————————————
  85. 金光義邦

    金光委員長 地方公務員法の一部を改正する法律案を議題といたします。本案につきましては、すでに一応質疑は終了いたしておりますが、どなたか質疑があればこれを許します。質疑はありませんか。——なければ本案に対する質疑はこれをもつて終了いたしました。  これより討論採決を行いたいと思いますが、自由党、改進党及び日本社会党の委員より共同して修正案が提出されておりますので、本修正案の趣旨説明を聴取いたします。門司亮君。
  86. 門司亮

    門司委員 ただいま議題になつております地方公務員法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正したいと思います。  すなわち第七條第四項の改正規定中「当該都道府県」を「他の地方公共団体」に改める。第九條第九項の改正規定中「都道府県」を「地方公共団体」に、「当該都道府県」を「他の地方公共団体」に改める。かように修正いたしたいと思うのであります。修正の趣旨は、原案によりますと、十五万以下の地方公共団体で人事委員会あるいは公平委員会を持たない団体に対しましては、一部事務組合等によつて、これを処理することができる規定は設けられておりまするが、事務組合をなお持たない地方公共団体は、その処理都道府県の人事委員会にこれを委嘱するということに相なつているのであります。しかしながらその府県にありますすべての地方公共団体が、当該都道府県の人事委員会にこれを委嘱するということになつて参りますと、この問題は人事権その他が多少関係を持つておりますので、これをやはり中央に集約するというようないわゆる中央集権的な感じを非常に持たせておりますので、法で許されております十五万以上の市で、当然人事委員会を持つ能力があり、また持つている団体に対しましては、いずれの団体にその事務を委嘱するも、これを各公共団体の自由にまかせた方が、私は法の運用上あるいは実際に即する行き方ではないかと考えられますので、一面においてややともすれば中央集権的になりがちでありますものを是正すると同時に、地方の実情に即したこれらの人事委員会に所属いたしております事務の公正を期して行きたい、こう考えているのであります。これが大体修正案の概要の説明でございます。
  87. 金光義邦

    金光委員長 それではこれより原案並びに修正案を一括して討論に付します。討論を許します。立花敏男君。
  88. 立花敏男

    ○立花委員 日本の勤労者に対しましては憲法の二十八條によりまして、団体行動権が確保されている。もちろんこれは当然団体交渉あるいは罷業権をも含むものであることは明白なんでありますが、占領中の事態を奇貨といたしまして、マツカーサー書簡によりまして、日本の公務員に対しましては憲法で保障された団体行動権が剥奪された。このマツカーサー書簡を楯にとりまして政府は国家公務員法を制定いたしまして、国家公務員から基本的な人権を剥奪する。さらに地方公務員法を制定いたしまして、同じく基本的な人権を剥奪する。さらにただいまは地方公営企業関係労働法を提出いたしまして、公営企業の労働者まで基本的な人権を剥奪しようとしているのでありますが、これは明らかに占領制度の延長であり、すでに罷免になりまして退去いたしましたマ元帥のマ書簡の悪用であるといわざるを得ないと思う。先月の二十八日に講和が発効いたしました後におきましては、当然こういう彈圧法規——憲法を制限し、基本的人権を剥奪するところの法案は、一切撤廃さるべきであつて、しかもなお講和後において、新しく公営企業関係労働法を制定いたしまして、新しい人権の剥奪を追加しようとすることは、いかにこの講和が欺瞞的なものであるか、政府の態度が反労働者的であるかということは明白だと思う。この根拠といたしまして政府があげておりますものは、公務員は国民へ奉仕すべき特殊性を持つているのだということが唯一の根拠でありますが、しかし公務員といえども国民であります。しかも国民の向うところは憲法に明示されておりますように、日本の民主化の方向を進まなければいけない。しかもその民主化の大道を進みます国民に奉仕する国家公務員が、反民主的であつてはたしてこの国民の民主化に協力できるかどうか、これは大きな問題であります。公務員自身が民主化されない限りは、国民の民主化に協力することは断じてできないと思う。従つて公務員自身の性格を国民の性格とぴつたり一致させて、国民の民主化の線に沿つて公務員自身が民主化されなければ問題の解決はないと思う。その意味におきまして、公務員に対しましても基本的な民主的な権限を與えまして、憲法に保障しておりますところの団体交渉権あるいは罷業権等を当然與えまして、正当に與えられましたところの組合組織権、こういうものも與えまして、そうして公務員自身を民主化して行く方法がとられなければいけないと思うのですが、政府の方向はまつたく逆でありまして、公務員を国民から切り離して、公務員を奴隷的な植民地官僚にして行くという方向へ進んでいることは明白だと思います。こういうことになりますと、勢い国民と公務員は敵対関係になり、対立関係になつて参ると思うのであります。国民の新しい民主主義の社会を求めている解放の闘争に対して、公務員がそれの彈圧機関になる、それの抑圧機関になるということは論をまたないところだと思う。日本を去るにあたりましてリツジウエイが、日本の国民と官僚にだけあいさつを送りまして、日本の政党にあいさつを送らなかつたことは有名な事実でありますが、今や日本の官僚は完全に植民地の官僚化いたしまして、最も先頭を切つて日本の軍事植民地化に奉仕しておると言わざるを得ないと思うのです。それは最近この委員会に出されて参りました法案をながめましても明白だと思います。たとえば地方税法改正案を現在出しておりますが、これはまことにひどい軍事植民地化のための改正でありまして、しかもそれに対して與党の方でかえつて修正案を出されまして、露骨な軍事植民地的な地方税法改正案を、ある民主的な扮装をこらそうとしておりますが、こういう点から見ましても官僚の方がむしろ露骨に、純粋に買弁的であることは明白だと思うのです。私どもがただいままで審議しておりました自治法改正におきましても、この点は明白に現われておるのでありまして、明らかに憲法違反であるところの区長の任命制を採用いたしまして、東京都の軍事基地化と申しますか、外国軍司令部の所在地である横田基地に隣接する東京都の安全の保障、それに対する支配権の確保を露骨に官僚がはかろうとしておることは明白でございます。それに対しましてむしろ與党側が、地方制度調査会に持ち込むとか、あるいは法案の握りつぶしの策動をやるという形で、それの緩和をはかろうという形が出ておると思うのです。こういうふうに日本の官僚は頭の先からつめの先まで、明らかにかつての満州における官僚のように、まつたく売国的な、植民地的な官僚に成り下つておると言わざるを得ないと思うのです。これは明らかに国民の敵でありまして、これをどうして是正するかが最大の問題であり、国民的な課題であると思うのです。これを抑制するには、どういたしましても日本の公務員全体の民主化以外にないと思うのです。それにはこういう形で国家公務員法、あるいは地方公務員法、あるいは今回の公営企業関係労働法のような、基本的な人権を剥奪する、憲法に保障ざれた団体交渉権を剥奪するという方向ではなしに、当然これを公務員に與えまして、公務員自身の民主化をはかる以外には、この日本の官僚の買弁化を防ぐ道はないと思うのです。そういう意味で私はこの地方公務員法には断固反対であります。また公務員法の撤回自身を要求したいと思います。この公務員法の内容自身について申し上げますと、国家公務員法も、さいぜん申しましたように基本的な人権を剥奪するが、そのかわりに救済機関として人事院を置くことが規定されておりましたのを、政府は人事院の廃止を決定し、救済機関の廃止を決定しておるわけなのです。この形が地方公務員法にも現われて参りまして、制限は依然として存続し、あるいは強化されておるが、それの救済機関である公平委員会あるいは人事委員会等は、実質的に大きな縮減をこうむりまして、小さい自治団体においては、そうした救済機関が完全になくなつてしまうという形が出て来ると思うのであります。そうなりましては、これは改正どころか明らかに改悪でありまして、講和後において改正あるいは撤回するどころか、なお改悪を企てておるところに、政府の意図が露骨に暴露されておると思います。小さい団体の人事問題、あるいはそこに働きます地方公務員労働條件等は、他の地方団体に委託して解決できるような性質のものではありません。これはあくまでもその団体自身において責任を持つて解決すべき問題だと思うのです。これを県の人事委員会に委託するという方法は、これはまつたく非民主的な、官僚主義的なやり方にすぎないと思うのです。しかも修正案はこの委託の制度をさらに押し広げまして、県だけではなしに、他のいかなる公共団体に対しても委託していいというのでありますから、これも共産党としては賛成できかねるものであります。  以上の意味におきまして共産党は、この改正原案並びに修正案に対して反対であります。
  89. 金光義邦

    金光委員長 八百板君。
  90. 八百板正

    ○八百板委員 私は日本社会党二十三控室を代表いたしまして、政府原案に賛成し、修正案に賛成の意を表するものであります。この地方公務員法の一部改正案を見ますと、当然政府がやらなければならない地方公務員の権利を広げる措置について、たとえば單純労務に雇用される職員の身分についての二十一項の措置のごとき、先にやらなければならない権利を広げる方をあとまわしにいたしまして、そして権限を縮小するかのごとき、こういうふうな措置を簡素化の名のもとにやろうという態度に対しましては、われわれは賛成することはできないのでありますが、実情を見ますときに、小さい公共団体が現実に公平委員会、人事委員会仕事を進めて行きます場合に、ボスの支配のもとにその公正を期しがたいという実情もございますので、そういう部分について公正を期し得られますならば、ほかの上級の団体に委託するということも、現状においていくらかよくなる部分があるのではないかという期待のもとに、この改正案に対して賛成をするものであります。なお修正案についても大体同じような意味において賛意を表する次第であります。
  91. 金光義邦

    金光委員長 ほかに討論の通告がありませんので、これにて討論は終局いたしました。  これより採決いたします。まず修正案について採決いたします。本修正案に賛成の諸君の御起立を願います。     〔賛成者起立〕
  92. 金光義邦

    金光委員長 起立多数。よつて修正案は可決されました。  次にただいまの修正部分を除く原案に賛成の諸君の御起立を願います。     〔賛成者起立〕
  93. 金光義邦

    金光委員長 起立多数。よつて本案は修正議決されました。  本案に関する衆議院規則第八十六條による報告書の作成については、委員長一任に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  94. 金光義邦

    金光委員長 御異議なしと認めさよう決定いたします。     —————————————
  95. 金光義邦

    金光委員長 この際お諮りいたします。目下審査中の地方自治法の一部を改正する法律案につきましては、公聴会を開会して公述人の方々より意見を承つたのでありますが、さらに理事会の申合せにより都道府県知事代表、都道府県議会議長代表、市長代表、市議会議長代表、町村長代表、町村議会議長代表、その他若干名より参考人として御意見を承ることにいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  96. 金光義邦

    金光委員長 御異議なしと認めさよう決しました。なおその日時人選等につきましては、委員長に御一任をお願いいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後一時十九分散会