○立花
委員 日本の勤労者に対しましては憲法の二十八條によりまして、
団体行動権が
確保されている。もちろんこれは当然
団体交渉あるいは罷業権をも含むものであることは明白なんでありますが、占領中の事態を奇貨といたしまして、マツカーサー書簡によりまして、日本の
公務員に対しましては憲法で
保障された
団体行動権が剥奪された。このマツカーサー書簡を楯にとりまして
政府は国家
公務員法を制定いたしまして、国家
公務員から
基本的な人権を剥奪する。さらに
地方公務員法を制定いたしまして、同じく
基本的な人権を剥奪する。さらにただいまは
地方公営企業
関係労働法を提出いたしまして、公営企業の
労働者まで
基本的な人権を剥奪しようとしているのでありますが、これは明らかに占領
制度の延長であり、すでに罷免になりまして退去いたしましたマ元帥のマ書簡の悪用であるといわざるを得ないと思う。先月の二十八日に講和が発効いたしました後におきましては、当然こういう彈圧法規——憲法を制限し、
基本的人権を剥奪するところの法案は、一切撤廃さるべきであ
つて、しかもなお講和後において、新しく公営企業
関係労働法を制定いたしまして、新しい人権の剥奪を追加しようとすることは、いかにこの講和が欺瞞的なものであるか、
政府の態度が反
労働者的であるかということは明白だと思う。この根拠といたしまして
政府があげておりますものは、
公務員は国民へ奉仕すべき特殊性を持
つているのだということが唯一の根拠でありますが、しかし
公務員といえども国民であります。しかも国民の向うところは憲法に明示されておりますように、日本の民主化の方向を進まなければいけない。しかもその民主化の大道を進みます国民に奉仕する国家
公務員が、反民主的であ
つてはたしてこの国民の民主化に
協力できるかどうか、これは大きな問題であります。
公務員自身が民主化されない限りは、国民の民主化に
協力することは断じてできないと思う。
従つて公務員自身の
性格を国民の
性格とぴつたり一致させて、国民の民主化の線に沿
つて、
公務員自身が民主化されなければ問題の解決はないと思う。その
意味におきまして、
公務員に対しましても
基本的な民主的な権限を與えまして、憲法に
保障しておりますところの
団体交渉権あるいは罷業権等を当然與えまして、正当に與えられましたところの
組合の
組織権、こういうものも與えまして、そうして
公務員自身を民主化して行く方法がとられなければいけないと思うのですが、
政府の方向はまつたく逆でありまして、
公務員を国民から切り離して、
公務員を奴隷的な植民地官僚にして行くという方向へ進んでいることは明白だと思います。こういうことになりますと、勢い国民と
公務員は敵対
関係になり、対立
関係にな
つて参ると思うのであります。国民の新しい民主主義の社会を求めている解放の闘争に対して、
公務員がそれの彈圧
機関になる、それの抑圧
機関になるということは論をまたないところだと思う。日本を去るにあたりましてリツジウエイが、日本の国民と官僚にだけあいさつを送りまして、日本の政党にあいさつを送らなかつたことは有名な事実でありますが、今や日本の官僚は完全に植民地の官僚化いたしまして、最も先頭を切
つて日本の軍事植民地化に奉仕しておると言わざるを得ないと思うのです。それは最近この
委員会に出されて参りました法案をながめましても明白だと思います。たとえば
地方税法の
改正案を現在出しておりますが、これはまことにひどい軍事植民地化のための
改正でありまして、しかもそれに対して與党の方でかえ
つて修正案を出されまして、露骨な軍事植民地的な
地方税法の
改正案を、ある民主的な扮装をこらそうとしておりますが、こういう点から見ましても官僚の方がむしろ露骨に、純粋に買弁的であることは明白だと思うのです。私どもがただいままで
審議しておりました
自治法の
改正におきましても、この点は明白に現われておるのでありまして、明らかに憲法違反であるところの区長の任命制を採用いたしまして、東京都の軍事基地化と申しますか、外国軍司令部の所在地である横田基地に隣接する東京都の安全の
保障、それに対する支配権の
確保を露骨に官僚がはかろうとしておることは明白でございます。それに対しましてむしろ與党側が、
地方制度調査会に持ち込むとか、あるいは法案の握りつぶしの策動をやるという形で、それの緩和をはかろうという形が出ておると思うのです。こういうふうに日本の官僚は頭の先からつめの先まで、明らかにか
つての満州における官僚のように、まつたく売国的な、植民地的な官僚に成り下
つておると言わざるを得ないと思うのです。これは明らかに国民の敵でありまして、これをどうして是正するかが
最大の問題であり、国民的な課題であると思うのです。これを抑制するには、どういたしましても日本の
公務員全体の民主化以外にないと思うのです。それにはこういう形で国家
公務員法、あるいは
地方公務員法、あるいは今回の公営企業
関係労働法のような、
基本的な人権を剥奪する、憲法に
保障ざれた
団体交渉権を剥奪するという方向ではなしに、当然これを
公務員に與えまして、
公務員自身の民主化をはかる以外には、この日本の官僚の買弁化を防ぐ道はないと思うのです。そういう
意味で私はこの
地方公務員法には断固反対であります。また
公務員法の撤回自身を要求したいと思います。この
公務員法の内容自身について申し上げますと、国家
公務員法も、さいぜん申しましたように
基本的な人権を剥奪するが、そのかわりに救済
機関として人事院を置くことが
規定されておりましたのを、
政府は人事院の廃止を決定し、救済
機関の廃止を決定しておるわけなのです。この形が
地方公務員法にも現われて参りまして、制限は依然として存続し、あるいは強化されておるが、それの救済
機関である公平
委員会あるいは人事
委員会等は、実質的に大きな縮減をこうむりまして、小さい自治
団体においては、そうした救済
機関が完全になくな
つてしまうという形が出て来ると思うのであります。そうなりましては、これは
改正どころか明らかに改悪でありまして、講和後において
改正あるいは撤回するどころか、なお改悪を企てておるところに、
政府の意図が露骨に暴露されておると思います。小さい
団体の人事問題、あるいはそこに働きます
地方公務員の
労働條件等は、他の
地方団体に委託して解決できるような性質のものではありません。これはあくまでもその
団体自身において
責任を持
つて解決すべき問題だと思うのです。これを県の人事
委員会に委託するという方法は、これはまつたく非民主的な、官僚主義的なやり方にすぎないと思うのです。しかも
修正案はこの委託の
制度をさらに押し広げまして、県だけではなしに、他のいかなる
公共団体に対しても委託していいというのでありますから、これも共産党としては賛成できかねるものであります。
以上の
意味におきまして共産党は、この
改正原案並びに
修正案に対して反対であります。