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1952-05-17 第13回国会 衆議院 地方行政委員会 第47号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月十七日(土曜日)     午前十一時四十六分開議  出席委員    委員長 金光 義邦君    理事 河原伊三郎君 理事 野村專太郎君    理事 吉田吉太郎君 理事 床次 徳二君    理事 門司  亮君       今村長太郎君    大泉 寛三君       門脇勝太郎君    佐藤 親弘君       田渕 光一君    藤田 義光君       立花 敏男君    八百板 正君       大石ヨシエ君  出席国務大臣         国 務 大 臣 岡野 清豪君  出席政府委員         総理府事務官         (地方財政委員         会事務局長)  荻田  保君         地方自治政務次         官       藤野 繁雄君         総理府事務官         (地方自治庁次         長)      鈴木 俊一君         総理府事務官         (地方自治庁財         政課長)    奥野 誠亮君         総理府事務官         (地方自治庁公         務員課長)   佐久間 彊君  委員外出席者         総理府事務官         (地方財政委員         会事務局府県税         課長)     柴田  護君         專  門  員 有松  昇君         專  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 五月十六日  助産婦に対する特別所得税免除の請願(花村四  郎君外一名紹介)(第二七九九号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第  七四号)     —————————————
  2. 野村專太郎

    ○野村委員長代理 これより会議開きます。  地方税法の一部を改正する法律案を議題として質疑を行います。質疑を許します。門司亮君。
  3. 門司亮

    門司委員 この税法改正案大臣説明は一応聞いたのでありますが、最初に聞いておきたいと思いますことは附加価値税の一年延期のことであります。政府ほんとうにこの附加価値税を一年延期して、来年度から実施される御意思があるのかどうか。これは実施の期間が延び延びになつておる政府は思い切つてこの辺でやめたらどうかと思うのだが、一体どういうお考えになつておるか、その点をひとつお聞きしておきたいと思います。
  4. 荻田保

    荻田政府委員 附加価値税の問題につきましては、数年前から相当論議のあることは、われわれ承知しておるのであります。しかしこれを根本的にやめてしまつたらどうか、今ただちに実行したらどうかという点について問題が決し切れませんので、本年は一年延期するという措置をとりたいというのが、今度の地方税法改正案趣旨なのであります。しからば二十八年度以降どうするかという問題でございますが、これは一応法律建前としましては実施するということになるのでありますが、御承知のように政府といたしましては地方制度調査会をつくりまして、行政、財政税制、全般にわたりまする根本的な検討を加えたいという考えを持つておりますので、この委員会におきましても十分検討してもらいまして、そのあとで結論を出したいという考えでございます。
  5. 門司亮

    門司委員 それ以上私は議論はいたしません。  その次にもう一つ聞いておきたいと思いますが、これは大臣によく政府の所信を聞きたいと思うのでありますけれども、一応当局に聞いておきたいと思いますことは、市町村民税の中の法人所得に対する課税の率でありますが、これが現行「百分の十五」を「百分の十二・五」にしようという案であります。この案はこれだけでありますなら、私は大した問題はないと思うが、政府説明その他によりますと、国税法人税が上つているから、従つて地方税の方でも、必然的にこれを下げなければならなかつたというふうに話を聞いておるのでありますが、その点どうであるかということを、もう一度お尋ねしておきたいと思います。
  6. 荻田保

    荻田政府委員 先般国税の方が増税なつたわけでありますが、地方税につきましては、今法人税割につきまして、これをふやすとか減らすとかいう積極的理由はございません。今まで通りでよいという考えを持つております。それには技術的に現在の百分の十五の税率をそのままにしておきますると、新しい法人税税率課税されることになりまして、自動的に増税になりまするので、これを従来程度にとどめよう、そのままにしておこうという趣旨で、これを百分の一二・五に下げたのでございます。
  7. 門司亮

    門司委員 そうすると法人納税の額は大体自動的にふえて行くから、納税の額を現在のままにしておきたいということで、税率を下げるということは、私は少し食い違いがあると思うのです。当局の御意見は、法人に対してこれ以上税金を納めさせるのは気の毒だから、ここでひとつバランスをとつて行こう、大体こういう御趣旨なんですか。
  8. 荻田保

    荻田政府委員 法人負担から見ましても、あるいは地方団体側收入から見ましても、従来通り実質的負担、実質的な收入、これを確保することがこの際は適当だと考えましたので、税率を下げた次第でございます。
  9. 門司亮

    門司委員 どうも政府考え方は私は非常におかしいと思うのであります。国税が上つたら、そのまま据置けば、それだけ負担額のふえることはわかつておる。国税はふえてもいいが、地方税はふやしてはならないという原則がどこにありますか。
  10. 荻田保

    荻田政府委員 地方税はふやしてはならないという原則はないのでございまして、この際としては、従来の通りにとどめておくことが妥当だと考えております。
  11. 門司亮

    門司委員 私はその次にもう一つ聞いておきたいと思いますが、この百分の十五という現行税率は、これは必ずしも百分の十五ではないのであります。昨年の税制改革のとき、政府の原案は百分の一二・五であつたと私は記憶しておる。あるいはもう少し安かつたのです。それを三派の共同修正で、GHQの了解を得て、これを百分の十五に上げたわけでありまして、その際に上げました理由というのは、個人所得税に対して百分の十八を大体限度としてかけておる、法人だけが非常に安いということは片手落ちではないかというので、これは自由党、改進党——当時の民主党でありますが、それから社会党共同で、この百分の十五に実は引上げたわけであります。そのときの理由はそういう理由であつて税率を百分の十五まで上げて、その財源個人人頭割になつておりますものは百円ずつ下げるということで、大体個人法人の納めます税のバランスをとつて行つたわけであります。こういう歴史を持つておると思う。しかもそれは去年の国会で、自由党、改進党、社会党の三瓶共同修正案で、そういうことになつておる。従つて私は国会意思はいまだにかわらぬと思う。この国会意思を尊重しないで、政府は軍に法人のふところぐあいだけを考えて、税率をことさら下げるということは、国会意思を軽視した政府一つの態度だと思う。これは一体そういうことにお考えになつておるかどうか、この点はあと大臣によく聞かなければならぬが、一体政府は、百分の十五にしたという経緯を十分考慮されて、こういうことをされたのかどうか、この点をもう一つ伺いたい。
  12. 荻田保

    荻田政府委員 一応私からお答え申し上げますが、国会の御意思がどこにあつたかという問題でございますが、われわれといたしましては、法人なり個人実質的負担、この問題から出てるのじやないか、こう考えます。その意味におきまして、先ほど来御説明申し上げておりますように、百分の十五の税率をかりに下げることにはなりますけれども、その面だけから見ますと下りますけれども、実質的に負担は減らない。一方所得割につきましては、御承知のように、百分の十八という市町村民税税率はそのままになつておる。しかるにかかわらず、国税の方はむしろ減税になつておる、従つてその負担は減つておる。実質的負担は減つておる、従つて国会の御意思である法人個人バランスをとつて行こうという御趣旨も、むしろこれで達成されるのではないかというふうに考えておるわけであります。
  13. 門司亮

    門司委員 非常にこれはおかしいのであります。それから今年の市町村民税が去年より一体減つておりますか。市町村民税の総額は去年よりふえております。とすれば、個人のふところから出す金はふえておるわけであります。所得がふえたからふえた。税率は下げましたけれども、所得がふえて来ると、税金はふえる。あなたのりくつとこれは同じことです。もし政府がそういうりくつを言うなら、現実に去年と同じように個人所得割を減らしてもらいたい。去年と同じように納めればいいまで下げてもらいたい。なるほど税法上、机の上では税率は下つておりますが、收入がふえておるので、去年より税金はふえております。従つて去年の市町村民税より今年の方がふえておるはずである。決して減つておりません。もし荻田君の意見が正しいとすれば、一般住民の方も百分の十八を、百分の十五くらいに下げておいでもらいたい。そうしなければバランスがとれない。そういう変な答弁をここで聞きたくない。  それからもう一つ、この問題で聞いておきたいと思いますのは、法人の方が国税がふえたから、地方税税率を下げて、そうして国税のふえるのは認めるが、地方税の方は税率を下げて、去年と同じくらいにしよう、こういうことになつて参りますと、要するに国税地方税が圧迫されたということが明らかになつて来るのであります。一体国税をよけいとつたから、地方税を少くとらなければならないというりくつはどこにあるか。私は少くとも地方財政委員会は、地方財政についての一つの機関である。單に法人のふところぐあいだけを勘案してやつて、そして地方財政はどうなつてもいい——と言うと多少語弊があるかもしれませんが、地方財政には寄與しなくてさしつかえないような法律を改正されるということは、一体地方財政委員会の使命に対して私はおかしいと思う。この点について一体そうお考えにならないかどうか。
  14. 荻田保

    荻田政府委員 もちろん現在の地方財政の姿といたしまして、地方税をこれ以上減らさない、むしろふやす方向向つた方が適当ではないかという考えを持つております。しかしこの問題に関します限り、国税をふやした、それに応じて当然地方税もふやすかどうかということには問題がある。これにつきましては、今申し上げましたように、一応法人税割税率を下げる。しかし税率は引下げましたけれども、法人税としての收入額は二十六年度に比べてずつとふえておるのであります。個人についてもある程度ふえておりますけれども、法人ふえ方の方がずつと多いのであります。
  15. 門司亮

    門司委員 法人の方のふえ方が大きいからと言われるが、市町村民税の中の人頭割の減額ができないということは、これは一種の惡税であつて、税の本質から考えると少しおかしいのでありますが、そういうものを減額しないでおいて、單に法人の方だけ去年と同じような税額をとろうというようなお考えは、地方財政委員会考え方としては、実際の問題としてどうかと思うのでありますが、これ以上事務局長にお聞きしてもしようがないと思います。  次にもう一つお聞きしておきたいと思いますことは、ずつと下の方にあります固定資産税の問題であります。固定資産税評価その他について、ここに都道府県知事という文字を入れられておるのでありますが、これはどういうわけでこういう文字を入れられたのか。その点をひとつ説明が願いたいと思うのであります。四百十四條であります。旧来の條文は「市町村長文地方財政委員会が」、こう書いておりましたのを、市町村長都道府県知事またはといつて、「都道府県知事」という言葉がここに入つておりますが、これはどういうわけで都道府県知事というものを入れなければならなかつたか。これは四百三條にもやはり同じことが書いてあります。この点をひとつ説明つておきたいと思います。
  16. 荻田保

    荻田政府委員 これも一度御説明をしたと思いますが、実は前回改正いたしましたときに、大規模固定資産につきまして、今までは全部地方財政委員会でこれを評価配付しておりましたのを、一府県内のものにつきましては、知事ができるようにしたのであります。実はそのときに修正すべきであつたのでありますが、つい忘れまして、そうして今回これを表わしたのでございまして、つまり前会改正いたしました、ある種の事務府県知事におろしました、それに伴つて当然かえるべき規定を、今回遅れて改正したいというのでございます。
  17. 門司亮

    門司委員 それから固定資産に対しまする算定の基礎でありますが、これを依然として倍数といいますか、賃貸価格その他の何倍だというようなことで考えられておりますが、一体政府はいつごろから新しい、税法に定めておりますいわゆる役場に登記した価格というものが市町村役場に移されて、そうしてそれが基準になつて税金がかけられて行くというような、税法に定められておる通りの施行が、いつごろからできる見通しであるのか、この点をひとつ聞いておきたいと思います。
  18. 荻田保

    荻田政府委員 おつしやいます通り、なるべく新しい方針によりまして、評価をいたさなければならぬと思います。その意味で、二十六年度または二十七年度の方につきまして、この評価基準改善を加えて来たつもりでございます。その中で家屋については、もつぱら従来の賃貸価格による観念を捨てて、現実評価するという考えを持つております。それから土地につきましては、そういう賃貸価格を離れて評価するという分子をなるべく多くする、全部なくしてもよいのでありますが、やはりそこにはいろいろ従来との価格の激変という問題もまた、これは納税者にとりまして、非難の点になつて来るところがありますので、一部従来の賃貸価格というものを要素としてとりまして、むしろ大きな部分を新しい観点から見ました評価基準によつて評価する、こういう方法をとつて行きたい。今後二十八年度以降順次新しい評価を強くして、新法になるべく早く沿つて行くというやり方をしたいと考えております。
  19. 門司亮

    門司委員 これは非常に重要な問題でありまして、税の査定が公平でなければならないということは当然であります。従つて現在賃貸価格基礎としたいろいろな倍率の関係で行つておる、これが一番便宜的ではありましようが、しかし実際法の建前からいえば、いわゆる個々の問題について正しい時価を割出さなければならない。そうなつて参りますと、現在の市町村役場では非常に困難だと思う。実際の調査はなかなかできないと思う。たとえば荻田君も御存じだと思うが、アメリカの税金に関しても、一つの家の問題についても、いろいろ写真があつて、そうしてむしろ本人よりも徴税をする役所の方が詳しい資料を持つところまで伸びて来ておる。そして必ず間違いないように、不公平のないように大体税金がとられておる。日本の場合は、現行は御承知のようにほとんど賃貸価格で行つております関係から、実際の実情と離れておる。あるいは増築が行われたりあるいは改築が行われたりしておつても、賃貸価格というものが変更してなければ、それによつてやはり税金がとられる。従つて税の不公平というものが非常にある。これを是正するためには、どうしても税法に書いております通り、正しい評価というものが必要である。ところが市町村評価委員というものは、きわめて少い人数であつて、そしてこれに対しましては事務員を置くことはできますが、この事務員もあるいは一年あるいは半年のうちに、税法に定めてあります通り徴税は困難である。だから私はこういう徴税をしようとすれば、一応政府は何らかの形で、やはり地方公共団体が公平な税の査定をするだけの人員と、それから資料を與えて行かなければならない。今日の財政規模の中で多くの人員を使つてやろうということは、なかなか困難だと思う。たとえば土地にいたしましても、ほんとうなら実測日本でしようとすれば、帳面の上では今登記されておりますが、これを現実に、そのときどきの値段と合わせようとすれば、われわれが最も大ざつぱに考えて参りましても、大体四、五万人の人員が必要であつて、そして二年、三年あるいは長ければ五、六年くらいかかるだろう。そうしなければ完全な地目は出て来ない。それから家屋においても同じでありまして、家屋については、これを一つ一つ写真をとるなり、あるいは器物等を調べるなり、あるいは建築の年月を記載して行くというような調査をするということになると、私は非常に大規模調査をしなければ、この税金は正しい軌道に乗らぬと思う。従つてこれをやろうとすれば、かなり大きな財源的処置をやらなければならぬ。これに対して、政府は、そういう親切なお考えがあるかどうか。このままの姿で正しい税金を課そうとしたところで、調査はなかなか困難だと思う。この調査方法について、政府は何かおつ考えになつておるかどうか。
  20. 荻田保

    荻田政府委員 御説の通り固定資産税を理想通り運営して行くにつきましては、評価の問題が非常に大きな問題だと考えております。これを均衡をとるという点に重点を置くべきことも、私どもまつたく同感でございます。この均衡をとるのにつきまして、一つ個々市町村間の均衡をどうしてとるかという問題でありますが、これにつきましては、あるいはそれを完全にとるには、国の手で評価してしまえばいい、あるいは府県の手で評価してしまえばいいというようなことも言われますが、現在の私の考えといたしましては、やはりこれは市町村の税でありますから、あくまで市町村が主体になつて評価して行くべきである。ただ、上と申しますか、中央から全体を調整するために強い基準を示す、合理的な基準を示す、わかりやすい基準を示す、こういう方向において努力すべきだという考えを持ちまして、二十六年度に比べまして、二十七年度につきましては、相当改善を加えて来た次第だと考えております。それから次に同じ市町村内の評価均衡、これはおつしやいます通り市町村評価員なり、これに従事する者の能力を向上させ、十分の金をかけるという点に求めなければならぬと思います。これにつきましては、地方財政計画としましては、相当程度徴税費を見込んでおります。またわれわれといたしましても、いろいろ評価についての指針等を示すと同時に、講習会とか、訓練の方法考えておる次第であります。何分にもまだ二年目でございますので、十分には行きませんが、近い機会において完璧なものをつくりたいと考えております。なお、家屋評価につきましては、ことしの基準ではまつたく従来の賃貸価格というものはとらない、新しい組み方によつて評価する、その評価基準をはつきりわれわれの方から示しておるような次第でございます。
  21. 門司亮

    門司委員 今の答弁でありますが、市町村間の均衡云々というように言われておりますが、これは役人の物の考え方であります。なるほど国全体から見れば、市町村間にアンバランスがあつてはならないという考え方は一応あるかもしれませんが、しかし正しい評価お互いに行われて行けば、私は市町村の間にそんなに大きな開きはないと思う。市町村の間というものは隣接した市町村というものが問題になるのでありまして、隣接していない市町村は大して問題にならない。従つてさらにお互いが正しい評価の仕方をして行けば、そんなに私は大きな間違いはできないと思いまするし、またアンバランスといいますか、開きがありましても、実際において価格がそれだけであれば、これは住民としては納得が行くのでありまして、何も中央のあなた方が考えているように、地方の町村というものは、必ず同じようなバランスでなければならないというりくつはどこにも成り立たぬと思う。甲の土地が高くて乙の土地が安いということが現実であれば、私はそれでけつこうだと思う。またそれが正しいとり方だと思う。それでもう一つ聞いておきたいと思いますことは、最後にいわゆる徴税費云々と言つておりますが、これは調査費であります。これは徴税費のうちに入れれば入るかもしれませんが、ほんとうの姿を調査することについて、非常に多額の金がいると思います。従つてこれは市町村ではなかなかなし得ないと思う。なし得ないから、事はもう二年になつてつてもいまだに十分のことができないから、地方ではああいうさしずをされておる。一体地方にさしずをするということが正しいことになつておるかどうか、私はどうしても中央から財政的の処置をしてやつて、そうして一年なり二年なりの間に、はつきりしたいわゆる固定資産評価額というものを、正しい見方をした台帳を一応こしらえるということをぜひやつていただきたいと思う。それにはさつき申し上げておりますように、相当多くの財源が必要になつて来るのであります。これに対して当局は一体どうお考えになつておるか、そういう財源を與える必要はないというふうにお考えになつているのかどうか。
  22. 荻田保

    荻田政府委員 おつしやいますように、この土地なり家屋につきましては、特に台帳あるいは実測というようなことが問題になると思います。これにつきまして、去年以来指導して来てやらしておるのでありますが、なかなかすぐには改善できないと思います。ちようど土地の問題につきましては、別途土地調査法というようなものもできまして、他の目的もありますが、土地実測等順次やつて行こうという建前になつておりますので、これらと併行してやらしたいと考えております。それから財源の問題につきましては、国からめんどうを見るということは、あるいは補助金というようなことをお考えになつているのかもしれませんが、われわれといたしましては、これはどうしても市町村義務なのでありますから、新しい地方財政法建前からいいましても、これは市町村で全部持つ。しかしそのための一般市町村財源は、十分確保して行くという建前であります。さしあたりの補助金とかなんとかいうようなことは考えておりません。
  23. 門司亮

    門司委員 国からの補助金その他は考えていない、市町村義務である。市町村義務であることに間違いありませんが、少くとも税法がかわつて徴税方法がかわつて来るということになつて参りますと、これは各市町村義務であると言われても、なかなかやれないと思う。今日の市町村実情というものは、これを町村独自の立場から調査いたしたものを標準にいたしておりません。大体中央から出たものを、あなた方の方でこれは基準であるから、いつもこれにようぬでもいいのだというお考えであるかもしれませんが、地方にこういうものが出て参りますと、どうしてもこの基準基準としてやはりやるということであります。但しそういたしますと、いつまでたつて市町村独自の正しい評価額というものは出て来ない。私はこのままの姿で、もしこれをずつと押し通して参りますと、非常に地方住民の中に不平が出て来ると思う、だから賃貸価格にようないというお話でありますが、私は実際に地方から出たものも、やはり賃貸価格によつておるということが言えると思う。先ほどから申し上げておりますように、賃貸価格自体を中心に考えてみますと、増築であるとか改築であるとかいうような問題が出て来ておる。たとえば土地にいたしましても、現在宅地になつてつても、実際の帳簿面はこれが畑であるとか、あるいははなはだしいのは荒蕪地であるとかいうことになつておる。こういうものを一応調査いたして参りまするには、どうしても何らかのいわゆる財政的処置考えてやる、そうして急速に、一年間あるいは二年間のうちに完全な課税台帳のできるように、ぜひおとりはからい願いたいと思います。  それからもう一つは、これは変なことを聞くようですが、自治庁では、この税法で定められたような方法で、そうして課税台帳のできておる地方の自治体が一体どのくらいあるか、御存じであつたら発表しておいていただきたいと思います。
  24. 荻田保

    荻田政府委員 この税法ではいきなり完備した台帳等を備えつけるということを要求しておりませんので、順次設けて行く。そうしてそれまでの間は今まであります土地台帳家屋台帳をそのまま使つて行く、こういう建前にしております。全部完全な新しいものをつけるというものは、ごく少いものだと考えております。
  25. 門司亮

    門司委員 家屋台帳土地台帳と言つておりますが、従来の家屋台帳土地台帳は、これは登記役場にあるものを全部写して来なければ、ほんとうの何は出ないのでありまして、もし従来の土地台帳あるいは家屋台帳というものは、裁判所に届けてあつた賃貸価格というものが大体基準になつて、そうして税がかけられておることに間違いはないのであります。御存じのように、土地台帳法が修正されて、七條から十三條まで創られて、土地、建物に対しては賃貸価格という制度がもうなくなつておる、     〔野村委員長代理退席、吉田委員長代理着席〕 でありますから、どうしても現在ではこの登記所に届けておりますものが、税法に定めてある通りに、やはり一つの写しが市町村役場に来て、これがその課税の標準にならなければならないことはわかり切つておるのでありますが、この現在あります土地台帳は先ほどから申し上げておりますように、今までの土地台帳価格については、おそらく私は課税をしておつた関係から、税務署に届けた賃貸価格というものが中心になつておつたと思う。登記役場に届けた価格というものは、そう綿密には記載されておりませんし、また登記の時期も非常に違いますから、必ずしも適正なる時価ではないと私は思う。従つて法律に定めておりまするその年度の移る一月一日ということになりますと、これは毎年かえなければならぬことになる、こういうめんどうなことになつておりますので、そういうものが一体どのくらい完備されておるかどいうことは、大体私は地方ではわからないと思います。もしそれがわからなければ、いつまでたつて地方は問題がわからないから、今のような指示をずつと続けて行くことになると思う。集約して申しますが、一体中央から地方に標準額をいつごろまでにお示しになるつもりであるか、地方はいつになればああいう指令をいただかなくても、課税ができるような態勢が整うのか、その見通しをこの際お伺いしておきたいと思います。
  26. 荻田保

    荻田政府委員 評価基準につきましては、どうしても毎年全国的なものを示さなければならないと思います。おつしやいますように、各市町村が正確なものをつくれば、必ず均衡がとれるということは確かにりくつではございますけれども、やはりそれは見方の問題でありまして、やはり見る目を一つにしておきませんと均衡というものはとれませんから、やはり将来もこの基準というものは年々示さなければならないものだと考えております。
  27. 門司亮

    門司委員 私はその点がおかしいのであります。どこまででも中央政府が世話をしなければ、地方の自治体が完全なものができないというものの考え方が、私にはわからないのであります。実際におきましても、地方自治の本体というものが、あくまでも地方の自治でありまする以上は、その土地に即応した価格であれば、それでいいはずでありまして、中央は、隣りの村と近接町村とが非常に大きな開きをもつておるから、それは中央で調整してやらなければならないものではないと思う。おのおの、実情によつて地価も違いましようし、あるいは建築の材料も違いましようし、実情によつてかなり違つておると思います。それを無理に、あるいは府県單位であるとか、あるいは町の單位であるとか、あるいは市の單位で指令といいりますか、標準価格を示しておるようでありますが、そういうものについて、国がどうしてもおせつかいをしなければならぬというものの考え方が、われわれにはわからないのであります。正しい評価ができて、そうして厳正な課税標準ができて参りますれば、これは中央からいろいろな世話をしなくてもやれると私は思う。今その時期がいつごろになるかということを聞きますと、その時期ははつきりしない、中央からやらなければならないということになつて参りますと、ああいう法律はこしらえない方が、年度の移る一月一日に帳簿を改めるというようなよけいな手はかけなければいいと思う。地方にはちやんとそのことのために調査員がおるということです。この調査員がほんとう調査し、あるいは評価員ほんとう評価をして行くという建前をとるならば、中央がこれにむやみによけいな干渉を続けるということは、なるべく早くやめてもらいたい。そうしなければ、いつまでたつても、評価委員会、あるいは調査委員会の自主性を失つておるということである。いつまでたつてもお役目でやつておるのだということになつて来はしないか。実際の時価はこれだけで、実際の評価はこれだけになつているかり、大体これだけにして置こうということに、私はなりはしないかと思う。従つてそういうものの考え方だけは、ぜひ私はやめておいてもらいたいと考えております。  ちよつと、大臣がおいでになりましたので、大臣にこのことだけははつきり聞いておきたいと思いますことは、市町村民税法人所得に対する課税税率が、現行百分の十五でありますものを、百分の十二・五にされております。そうして政府答弁によりますと、これは国税の方も例の法人税が上つておるから、従つて百分の十五にしておけば、国税の上つただけやはりスライドして地方税も上つて来る。従つて法人現行の税額を納めることのためには、どうしても百分の十二・五に下げておかなければならない、こういうふうに私は受取つたのであります。もしそうだといたしますと、私は非常に大きな問題だと思うのです。法人の納める税額というものは、国の法律で守つて行かなければならないというりくつはないと思う。一般住民に対しましても、なるほど所得税税率は下つて参りましたが、所得の額がふえて参りますれば、結局所得税はよけい納めなければならぬということは、わかりきつておる。そういたしますれば、地方住民への所得割政府のお話の通りにするならば、これを下げなければならないのですが、これが下つておらないということ、この点で政府法人に対して、非常に親切だと言えると思います。それからもう一つ、これだけは大臣に御答弁を願つておきたいと思いますが、現行法で百分の十五にしたということは、大臣も御承知のように、去年の税制改革のときに、政府の提案が百分の十でありましたものを、一般住民が百分の十八になつておるので、これは不均衡たからというので、自由党、改進党、あるいはわれわれともに関係方面に出かけて行つて、これの了解を得て、そうして全会一致の建前で、百分の十五に上げて、そうしてそれの財源によつて税法中の最も悪い面でありまする均等割を、少し下げたということであります。従つてこれにはそういう歴史を一つつておるということである。国会の総意で、去年は均衡をとることのために、百分の十五まで上げたものを、政府は單に法人納税の額に相違はないから、これでいいだろうというようなことで、百分の十二・五にこれを下げております。一体大臣国会無視というものをどうお考えになつておるか、この点をまず大臣に聞いておきたい。  それから、大臣は非常に忙しいそうでありますから、ついでにもう一つ聞いておきますが、国家の税收がふえておる、いわゆる法人の税がふえておるから、地方税は、この形から言いますと、税率を下げておりますので、約四十億ばかり私は減つたと思いまするが、百分の十五であれば、四十億ぐらい私はふえておると思う。現実地方税を四十億ばかり少くしておるということになつて参りますと、国家予算の犠牲に地方財政がなつておると申し上げても、ちよつとも私はさしつかえないと思うが、地方行政の主管大臣として、国家財政だけがまかなわれれば、地方財政は四十億減つてもいいというようなお考えであるのか、この点をはつきり聞いておきたい。
  28. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。第一点は、お説の通り昨年われわれが法人税割を一〇%として出しましたところが、国会の御意思によりまして、一五%にした、それをまた、この際国税が上つたから、それを一二・五%に下げるのはけしからんじやないかというようなお説でありますが、国会意思は十分御尊重申し上げまして、国会がその当時一五%で引合う、すなわち地方財政に適当であるという金額は、これを確保しまして、そうして一二・五で、ちやんと、この国税が上らない前の一五%と比べまして、実質上には同じ額がとれるだけに計算してございますから、その意味において、形式上はそうでございましようが、実質上においては国会の御意思を尊重して、一五%並の税金をあげるということにしております。  第二点はこれは税法というものは、同じふところから出るものでございますから、少くともどちらからとつてもいいことなんです。どちらからとつてもいいと申しますのは、少し変でございますけれども、どちらからとられても国民のふところから出るものでございまから、できるだけわれわれといたしましては、国民のふところに過重な負担をさせないようにする、そうして国家財政地方財政というものは相関性のものでございますから、もし今年度非常に地方税收が足りなくて困るというような場合でございますれば、それはむろん国税も上げましようし、地方税も上げましようし、御承知通りに、ことしの二十七年度の予算は、税收二千九百二十四億ですか、それに平衡交付金一千二百五十億、そのほかに国庫負担金が千五百億とか、雑收入とかいろいろなことがござしまて、ちやんとバランスがあつておりますから、私はこの点で、さしつかえないものという感じを持つております。
  29. 門司亮

    門司委員 私はその考えが実はおかしいのでありまして、国税の方がふえたから地方税はふやさなくてもいい、それは住民のふところから出るのだから同じだ、こういうお考えでありますが、国税地方税が同じように使われればいいのでありまするが、国税は国が使つて地方税地方が使うということが、はつきりきまつております。従つて地方財政が、大体大臣答弁を聞いていますと、ことしは税收あるいは平衡交付金が少しばかりふえたから、これで大体まかなえるというようなお考えのように私には聞えるのでありますが、これは国としてはまかなえるというようなことを、私は言わざるを得ないと思うのであります。それ以上これじやまかなえないということは、私は言えないと思います。しかし地方実情は本年度のこの額では、私はなかなか実際は困難だと思う。従つて地方で困つておりまする財源であるという考え方は、私は大臣もわれわれとそうかわらぬと思う。もし大臣ほんとう地方財政が困つていないとするならば、ことしの地方財政平衡交付金が、一体どうしてふやされなかつたかということである。地方財政平衡交付金のふえておるということは、やはり地方財政が非常に困つておるということである。  それからもう一つ考えを願つておきたいと思いますことは、少くとも理論上、あるいは感情の上から言つても、当然地方に確保しなければならない財源が、国がふえたから、地方はこれだけ減らしてもいいのだというような観念に対しては、大臣地方財政に対する同情というものは、きわめて薄いと申し上げても、さしつかえはないのじやないか。何も地方にこれが百分の十五であつて、四十億の財源を與えても、地方財源が余るからこれをお返ししようというほど、地方財源はゆたかではありません。また同時に、もしそういう地方財源が十分あるとするならば、自分のふところから出る税金で同じだから法人だけ税率を下げてやろうというような考え方でなくて、一般地方住民住民税も私は下げた方がいいと思う。ところが一般住民税というものについては、何らの考慮が払われておらない。しかも地方の情勢は、御存じのように市町村民税は、所得割の百分の十八をとつておりまする町村は、きわめて少くなつてつておりまして、全町村中八五%程度までは同條の第二項を実施いたしております。所得税額の百分の十八ではとうていまかなえないので、同條の第二項の課税所得額に対する一〇%を基準とした徴收の方法を講じておる。地方実情財政が非常に困つておるから、住民のふところからよけいにどうしてもとらなければならないので、市町村民税の第三百十三條の第二項を適用しておる町村が、今も申し上げましたように全町村の八五%を越えておるのであります。それほど地方財政は困難であります。もし大臣がお考えのように、出るふところが同じであるから、法人税金を下げてもいいというならば、地方住民に対しても、第一項に掲げてあるいわゆる標準税率の百分の十八以上はとつてはならない、こういう法律をきめるのならば、私は一応りくつはわかる。しかし地方の方ではだんだんよけいにとるような徴税方法を講じさせておいて、そうして法人だけはよけいにとるのはよくないというりくつは通らぬと思う。この点は納税者の立場からそれでいいと大臣はお考えになつておるのか、もう一つ私は聞いておきたい。     〔吉田委員長代理退席、野村委員長代理着席〕
  30. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。過去一、二年の間地方財政が困つて地方公共団体が赤字だなどと騒いだものでありますから、地方財政のためにはできるだけ税金をたくさんとつた方がいいだろう、こういうお説のように伺いますが、しかしただいま問題になつておりますのは、二十七年度の予算をごらんになればおわかりの通り、二十七年度におきましては、地方財政は一応これでバランスが合つております。そこでもう一つ、そう仰せになればなぜ事業税の基礎控除をして八十億の減收をしたかということもお責めにならなければならないと思います。私はこれは見解の相違だと思います。先ほどのお説によつては、一五%に国会意思をもつて決定したにかかわらず、政府はまた一二・五%に下げたじやないか、これはけしからぬ、こういうことでありますが、それは御承知通り、いつも税法とか平衡交付金とかいうものは、地方財政需要額を見てきめるべきだと思うのであります。そして地方財政需要額において、そうとらなくてもいいというのならば、私はできるだけ減税したいのが希望でございます。しかしながらあれも減税したい、これも減税したいという希望は持つておりますけれども、それができない情勢にあるのでございますから、今回は少くともバランスが合うということになれば、基礎控除をし、法人税割もひとつ下げよう、こういうことでやつたのであります。そうして法人税割は先ほどお話のように、議会が一五%にしてこれだけの税收になるようにしろということを御決議になつたのでございますから、その当時それだけの予算というものをとれるように一五%にしたのであります。その予算を踏襲して行きますと、ことしもそれでやつて行ける。またそれ以上に基礎控除を引き得るというような情勢になつたものですから、両方合せて百二十何億の減税に当るようなことをしたのであります。ですからその点は私は水かけ論に終りはせぬかと思います。
  31. 野村專太郎

    ○野村委員長代理 ちよつと委員各位にお願いをいたしておきたいのでありますが、岡野国務大臣は一時までに宮中に出かけなければならぬそうでありますから、その点お含みの上でお願いいたします。床次君。
  32. 床次徳二

    ○床次委員 この機会に岡野国務大臣にお伺いしたいと思います。本委員会におきましては、過般来提案せられたところの改正法案に対しまして修正の意見を持ちまして、小委員会におきまして提案をせられました修正案委員会として今日持つておるわけであります。政府におきましても、修正案の内容がいかなるものであるかということについては御承知だと思いますが、昨日の予算委員会の席上の答弁を見ますと、岡野国務大臣あるいは池田大蔵大臣は、この点について御了承になつておらないかのような意見を聞いておるのであります。しかしながら今回行わんとする修正は、本年の十月以降およそ五十億に及ぶところの相当広汎なる負担の軽減あるいは負担の公平化を行い、あわせて徴收強化も行つて納税の確実を期そうとしておるものであります。元来私どもは地方財源を確保するということについて努力をしておつたのでありまして、今回減税をしつぱなしでおるということは常識上考えられない、当然この財源を補填すべきであります。私どもといたしましては、むしろ国が徴收しておりました酒税あるいは専売益金をこの際地方に還元するということを、第一に考えておるのであります。しかし今日政府の都合によりまして、これをただちに法案とすることについて御苦心があるように伺いますので、法案として新税を創設する、一方において国税收入を減らすという手続はとらずに、来るべき十月を待つて補正予算の際においてこれを処理いたしたい、なおやむを得なければ平衡交付金によることもしかたがないのでありますが、しかし明年度以降におきましては、やはりこれは確実な新財源地方に付與することが、特に地方財政のために必要と思うのであります。しかし今回修正せられました部分の大多数は、府県税に関係しておるのでありまして、府県としてもこの財源の欠陥をそのまま持つて参ることは非常に苦痛であり、また将来の地方財源といたしましても、確実な見返り財源を持つことを強く希望しておるのであります。かような立場上原則論としては、私どもは新しく税源を地方に與えるということについて、政府として十分に骨を折つてもらいたい。なおその財源の種類といたしましては、酒、タバコを個人負担せしめることなく、すなわち国税收入をもつて還付税あるいは消費税の形式におきまして、これを補填するということを具体的に考えておるのであります。かかる趣旨によりまして、修正案を本委員会においては決定いたそうということになつておるのであります。政府においても、この趣旨に対して十分御考慮をいただきたい。国会においては附帶決議をするわけでありますが、大臣もこの国会趣旨を十分了承していただいて、そうして今後の必要な措置を講じていただきたいと思います。昨日予算委員会において行われた答弁については、私ははなはだ遺憾に思つておるのでありますが、本日すでに提案されておる修正案については、よく御研究になつておると思います。これに対する政府としての立場を明瞭にしていただきたいと思う。なおこの問題は大蔵大臣にも責任があるのでありますが、国務大臣という立場において、この機会に岡野国務大臣から政府を代表してお答えをいただきたいと思うのであります。
  33. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。国会は私がいつも申し上げます通りに最高機関でございますから、国会において法律が通過いたしまして成案になりました以上は、執行機関たる政府はそれに追従することは当然でございます。同時にこの決議案でありますが、これもまた国会の御意思として御決議になるということになりますれば、政府はこれに対して善処しなければならぬという責任を持つております。ただこの内容を見ますと、いろいろあげてございますが、こういうことが諸般の情勢上この通りのまま実現できるかどうか、これは技術上の問題でございます。できるだけ国会の御趣旨を尊重して、それに合うように善処するということは、はつきり申し上げます。
  34. 床次徳二

    ○床次委員 この決議案におきましては、実は趣旨だけ書いてありまして、具体的なことはあげておらない。すなわち金額あるいは字句等につきましては、政令に譲つてあるのであります。しかしいかなる趣旨において行われたかということについては、ただいまの御答弁によつても、すでに御了承のようであります。どうか国会考えておることにつきまして、政府としても十二分の努力をしていただきたい。特に自治庁長官としてはこの点大蔵大臣に対して遺憾のないように交渉していただきたいと思います。先ほど法人税の問題が出ましたが、再びかかる有利な財源地方から持つて行かれるということは、はなはだ遺憾に思う。いわんや今回のごとく必ず地方財源を確保しなければならぬというときにおきまして、必要な補填措置が講ぜられないということになりましたならば、先ほどの法人税の問題以上に、地方としては大きな問題だと思う。特にこの問題については岡野国務大臣の努力を要望する次第であります。
  35. 野村專太郎

    ○野村委員長代理 立花敏男君。
  36. 立花敏男

    ○立花委員 最初に今床次委員から出ました附帶決議に対する政府意見をただしておきたいと思います。今までの質疑応答では非常に不十分なのです。きのうも荻田君に聞きますと、やはりこの法案の中に財源措置ができるまでは、政令等にゆだねられておるところのこの法案の実施をやらないということを、明確にする方が適当である。財源措置がない場合にはこの法案を実施すべきじやない、実施することは適当ではないというはつきりした意思表示があつたわけなんですが、そういう考え方大臣はどうお考えになつておるか、それから今の大臣の御答弁ではその点がやはり不明確なんだ。ただ国会意思を尊重するとか、国会の決議を尊重するとかいう意思表示はありましたが、従来の政府の態度を見ておりますと、平衡交付金の問題に関しましても、衆参両院の一致した決議を、前回の国会では完全に蹂躪してしまつたわけなんです。そういういわば前科が政府にはありますので、私どもは大臣答弁をそのままには受取れないわけです。従つてこの附帶決議をわれわれがやりましても、政府がはたしてそれを文字通り具体的に尊重するかどうか非常に疑問なんで、この際大臣にはつきりした答弁をいただきたいと思います。それはすなわち財源措置が十分にやられるまでは、この改正案並びに修正案は実施しないという確約ができるかどうか、それをひとつ承りたい。
  37. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。財政上のことにつきまして、たとい国会が御決議なされましても、財源措置ができなければ地方財政は破綻に瀕しますから、財源措置ができない以上は、実施に移すわけに参りません。
  38. 立花敏男

    ○立花委員 その点はひとつここではつきり御誓約願つて財源措置が、政府の予算措置あるいはその他できます場合を除いつてやらないということを、明確にしておいていただきたいと思う。  それから一般的な質問に移りますが、政府の今回の修正案考え方が、どうも言われておることと非常に逆な形で出ておるんじやないか、大臣説明によりますと、すでに二十五年度において非常にたくさんの都市が赤字を出しておる。たとえば市などは三〇%近いものが二十五年度において、すでに赤字を出しておる。しかもこれは実質的な赤字を入れますと、この数字が数倍に達するであろうということを、大臣自身が言われておる。すでに三〇%の市が赤字であり、さらにこれが実質的には数倍のものが赤字であるだろうということを、大臣自身が言つておられる。そうなりますとほとんど大半の自治体が実質上の赤字に悩んでおるということは、大臣自身も認められておるのですが、この対策を大臣はどうお考えになつておられるか、これを承りたい。
  39. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 私は赤字がそんなにたくさんあるということを言つた覚えはございません。とにかく地方財政は非常に窮乏しておる、同時に赤字があることも認める、そういうことは言つた覚えはあります。それから先ほど仰せになりましたところの減税案でありますが、これは政府提出ではございませんで、議員提出でございますから、その点を混淆なさらないようにお願いいたします。
  40. 立花敏男

    ○立花委員 まつたく大臣は頭が悪いというか、食言というか、岡野国務大臣説明要旨、あなたが説明なさつた文書の中に私が今申し上げたことがはつきりありますので、私はそれを読んだだけなんです。もう一ぺん読み上げますから、ひとつ失言を取消してください。「昭和二十五年度の決算においては、形式上も、赤字を出している団体は、四十六都道府県のうちでは四団体、五大市のうちでは三団体、その他の二百六十有余の市のうちでは、約三割に上る八十一団体、一万町村のうちでは約四百の団体に達しているのであります。形式上は赤字決算をいたしませんでも、実質上赤字であつた団体は、おそらくこの数倍に上るものと想像されるのであります。」これは印刷してお配りになりました、大臣自身が読み上げられた文書なんです。これを私はそういうことを言つた覚えがないということは一体どういうことなんです。
  41. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。それは二十五年度の統計でございます。
  42. 立花敏男

    ○立花委員 だから私は質問のときに二十五年度においてすでにこれがあるということをあなたは言つたということを言つておる。それは速記をお調べになつたらすぐわかります。だからそういう状態のもとにおいて、しかもこれは自治体としては大問題なんだから、税法を改正するんだ。従つて今後は国庫支出金を減じても、将来地方財政地方税を主体として運営して行かなければならぬ、こういう対策までお出しになつておる。これは決して三十五年度のことを言われたんじやなしに、地方税法の一部を改正する法律案の提案理由説明なんです。まつたく関係がないんなら、こんなものをひつぱつて来る必要はありませんので、この税法改正案自体がこういう客観的な事実に基いて出たということを言つておられる。しかもその対策としては、国庫支出金を減じても、将来地方財政地方税を中心としてやらなければならぬということを明確に言つておる。だからこういう事態のもとで、こういう方針を持つておられるんならば、それが改正案の中ではつきり出ておらなければならないと思うのですが、それが出ていないから、私はここで問題を取上げておるのです。その点は一体どうなんですか。
  43. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 時間がございませんから、端的にお尋ね願いたい。何を聞きたいのか、その聞きたいポイントをおつしやつてください。
  44. 立花敏男

    ○立花委員 質問の要旨がわからぬようでは問題にならない。それではこつちから尋ねます。あなたは何のために提案理由説明をなさつたのか、今読んだような客観的事実をおあげになつた。だから私が申し上げたいのは、そういう基本的方針とは具体的にはどういうことなんだ、ここへお書きになつておる国庫麦出金を減じても、将来地方財政地方税を主体として運営するということは具体的にはどういうことで、今度のあなたがお出しになつ改正案にはどういうふうに現われておるか。
  45. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 事務当局をもつて御報告申し上げます。私はこれで失礼いたします。     〔「何だ、逃げるやつがあるか、責任を回避するのか、情ないやつだな」と呼ぶ者あり〕
  46. 野村專太郎

    ○野村委員長代理 立花君、質疑を続行願います。
  47. 立花敏男

    ○立花委員 実に言語道断だと思う、自分の提案理由説明にあるものを言つたのをそれを言わないという。これを読み上げて二十五年度ということは、ぼくは初めから言つておる。だからこれは決して二十五年度の説明ではなしに、今回出されて私たちが今審議しておる税法の改正に対する説明です。それをああいう形でごまかした、私は実に大臣のあるいは政府の無責任を追究せざるを得ないと思う。  そこで内容に移りたいと思いますが、今言いましたような状態で、地方財政が非常に破綻に瀕しておる、これを地方税を主体とした運営に改正して行こうという趣旨で、改正案をお出しになつたと思うのですが、その点では間違いがないかどうか、それをまず伺いたい、それから次の質問をいたしたいと思います。
  48. 荻田保

    荻田政府委員 二十六年度に比べまして二十七年度の方が、一般財源中におきましては地方税がふえております。
  49. 立花敏男

    ○立花委員 客観的にふえておるということは、私も数字上知つておりますが、そういう御方針で今後ずつと地方財政の問題を処理して行かれるかどうか。
  50. 荻田保

    荻田政府委員 そのようにいたして行きたいと考えております。
  51. 立花敏男

    ○立花委員 そういう基本的な方針に従つて、この改正案をお出しになつたと思う。そこから具体的な問題に入るわけですが、そうであればやはり地方税金が主体になつて行く。平衡交付金を減らしても、補助金を減らしても、地方税金を主体にして行く、そういう場合には地方の主体となつて行つた税金を、どの階級からとるかということが、やはり問題とならなければならぬと思う。改正案でその点を政府の方でどのように考慮されておるか、ひとつ承りたい。
  52. 荻田保

    荻田政府委員 税は国税地方税を通じまして各国民が公平に負担できるように逐次改善を加えて行きたいという方針で、今度の改正案もできております。
  53. 立花敏男

    ○立花委員 一体公平ということはどういう意味だということを、私は聞かざるを得ないと思うのです。公平ということはやはりその人あるいはその法人に担税力があるに応じてとるのが公平なんで、人頭割的にあるいは機械的な平等主義、これは決して公平ではないということは、私が言うまでもなく荻田君も御存じだろうと思うのですが、それが今度の改正案に貫かれているかどうか。これが私は問題だと思う。その点をどうお考えになつているか、ひとつ承りたいと思うのです。具体的に申し上げますと、さいぜんから門司君も問題にしておりましたように、今回の改正案では法人割の率を下げているわけです。しかもこの法人割税の率を下げただけではなしに、いろいろな方面で法人に対する軽減を行つているわけです。たとえば法人の事業税については、法人の損金の控除を一年間だつたのを二年間認める。あるいはこれは政府に言うよりも修正案の提出者に言つた方がいいのでしようが、この法人関係の製品に対する電気ガス税の免税を行つている。こういうふうに今度の改正案を通じまして、法人に対する考慮が特に払われているという点が非常に目立つているわけです。あるいは附加価値税の延期にいたしましても、これは明らかにその責任を中小企業に転嫁いたしまして、法人の実質上の軽減になるということは明らかなんです。そういうふうに地方財政地方税を主体とし、地方税を増加してやつて行こうという基本方針、政府のやつておられる方針が——賦課されます基本となります地方税を、やはり法人の方には軽くいたしまして、一般の方には軽くならないというふうな基本的な方針が出て参りますと、これは大変だと思うのです。そうなつて参りますと、勢い地方税を増加しあるいは地方税を主体とするという政府の基本方針にまで反対せざるを得なくなるのでありますが、今言いましたような点について、政府はどうお考えになつているか。私どもから申しますと、まつたくこれは羊頭を掲げて狗肉を売ると申しますか、表面上は非常にりつばなお題目が掲げられておりますが、内容に至りましてはやはり法人に対する不当な減税が行われている。不当な考慮が法人に対して払われている。一方逆に住民に対しましては非常に苛酷な税金になつて来ている。これはこの法案の中に現われておりますところの六十歳以上の老人、年收十万円以下の者に新しく税金をかけるということに典型的に現われているのですが、そういう形で地方税を主体とする地方財政が行われましてはとんでもないことになる。これは明らかに階級的な改正案であるといわざるを得ないと思うのですが、この点をどうお考えになつているか、どう説明なさるか、これをひとつ承りたい。
  54. 荻田保

    荻田政府委員 初めの租税の公平はどういう原則かという問題、これは昔から租税法上の非常にむずかしい問題でありまして、詳しく申し上げるのにはなかなか時間もかかりますが、簡單に言いまして、大体担税能力に応ずる、しかもその担税は單に所得に応ずるのではなくて、所得の種類あるいはその消費の点等も考えて担税能力に応ずるということが原則であろうと思いますが、このほかにいわゆる応益原則というのもあり、しかもこれは地方税については、相当尊重すべきものだということが大体通説で、世界の例も大体そうなつているのじやないかと考えるのであります。  そこで今度の改正案におきまして、何か特に法人個人とをお比べになつて御議論のようでありまするが、法人の問題につきましては、先ほどから申しておりますように国税地方税を通ずれば、むしろ最近負担がふえているのであります。個々人につきましては、先ほども申しましたように所得税の軽減、それに応じて当然に市町村民税も減つて来る。また均等割のことを申されまするが、これはごらんになつてわかりますように絶対額で書いてある。五百円は五百円なのでありますから、物価が上ればそれだけ相対的には負担は減つているのであります。物価に応じてむしろ均等割をふやすべきであるのをそのままにしてあるということはかえつて減税になつている。その意味におきまして、かりに個人法人ということをあなたのおつしやいますように考えましても、むしろあなたのおつしやる御趣旨に沿うているのでありまして、逆行は決していたしておりません。
  55. 立花敏男

    ○立花委員 国税地方税を通じて、法人の方がやはり高くなつているということなんですが、政府の基本的の方針としては、岡野国務大臣がたびたび言つておられますように、国税を減じても地方税をふやしたいというのが基本的な方針だと思う。この場合だけ国税地方税を通じて減税になつているというのは、基本的な方針と違がつているのじやないか。だからこういうことで決して基本的な方針が貫かれないで、法人の百分の一五%を一二・五%に地方税を減らしているということではどうしてもこれは納得できないし、たびたび自治庁あるいは地方財政委員会が言つておられる基本的な方針と違がつて来るのじやないか。一体地方財政委員会は、国の税金あるいはその他の財源を、基本的に地方に委譲して行くという考え方を持つているのか持つていないのか。これをひとつつておきたい。
  56. 荻田保

    荻田政府委員 原則につきましては先ほどから申している通りでありまして、しかもその原則地方税なり国税を総合して考えるのでありまして、あなたみたいに一税目をとらえてそれだけを局部的に観察するということは考えておりません。
  57. 立花敏男

    ○立花委員 部分においても原則は貫かれなければ何にもなりませんので、部分において実現しない原則というものはないはずなんです。しかもこういう重大な問題で、片方はさつき言いましたように六十歳以上の老人、年收十万円、まつたくそれだけでも食つて行けない者から新らしく税金をとるというようなことをやつておきながら、しかも法人の方は国でとつているから、地方は減らすのだというようなことで、はたしてあなたの言う原則が生きているのかどうか。そういうことを考えているのかどうかということすら疑わざるを得ない。そういう原則をお持ちなら、なぜここではつきりとそれをお出しにならないのか。しかも実際的な問題から申しまして、前の国会で百分の十五ということを決定いたしましたのは、これはやはり当時の特需関係あるいは軍需産業の生態あるいはその他の特殊な業種が非常にもうけておりまして、たとえばパルプ等非常に大きな利益を占め、繊維業者等も非常に大きな利益を占めておりまして、これは日本の産業経済を通じまして、国民のだれ一人疑うところないことなんですが、こういうものに対してやはり税金を増加する、これは国民感情の上から言つても当然なんです。そういう意味からこれは税率の引上げが行われておりますので、こういうものを無視いたしまして、法人税地方税を減じて行く。しかも一方さつきからたびたび言つておりますが、年收十万円以下というような者にすら新らしく税金をかける、こういうことがはたして妥当かどうか。年收十万円以下の者から税金をとるということ自体大問題なんですが、それが六十歳以上の者からもとる。私どもは年收少くとも三十万円くらいは税金をとるべきでないと考えておりますが、年收十万円以下、六十歳になつて十万円以下の者でも、税金をとるというようなことを新しくやるなら、なぜ特需産業あるいは軍需産業で非常にもうけておりますところの法人法人割を減らしたのか。これはどうしても私納得できませんし、政府原則といつておりますこの国税地方税に持つて行くというようなことも、これはお題目にすぎないし、あるいは負担均衡といつておりますことも、これはまつたくごまかしにすぎないといわざるを得ないと思うのですが、その点はどういうふうにお考えになつておるのか、ひとつこれを伺いたい。
  58. 荻田保

    荻田政府委員 結局先ほどから答弁申し上げておるのと、同じことになるのでありまするが、あくまで私は総合して考えて、局部的には考えません。従いまして、地方財政中における地方税の比率というものも、二十七年度は上つております。また国税地方税の比率を考えましても、地方税の方は上つております。原則は総合的に扱うので、局部的には考えておりません。
  59. 立花敏男

    ○立花委員 今まで地方財政をそういう方向へ改正していると言つておられたのは、これはまつたくごまかしなんで、実は国税地方税を総合して考えて、国税をふやした場合、地方税はふやさないのだという方針にかわられたと私理解せざるを得ませんし、いつまでやつておりましてもきりがありませんので、そういうふうに理解して次に進みます。  それから附加価値税の延期の問題ですが、これを一体どういう理由でおやりになつたのか。これは日本国会の上でもあまり例がありません。二年も三年もほつたらかすというような法律は、これは国会の歴史上ないことだし、しかもこれをお出しになりましたときは、これはもう非常にりつぱな税法なんで、これですぐ日本地方財政が確立するのだというふうに説明なさつたのですが、これが三年もほつたらかされておる。この根拠が私どもわからないのです。なぜこの附加価値税を延期なさつたのか、これをひとつ承りたい。
  60. 荻田保

    荻田政府委員 大臣の提案理由の中に、御説明申し上げましたように、現在の経済界の情勢から見て、負担の激変を来すことはおもしろくない。第二に、地方財政の現状から見て、これによる減收を来すことは適当でない、この両点から考えまして、延期するという法案を提出しているわけであります。
  61. 立花敏男

    ○立花委員 多分そんなことだろうと思つたのです。しかも地方財政上、附加価値税にすれば減收になる、だからこれは減收を来さないために事業税として存続するのだということですが、減收になる部分をだれの負担において一体カバーされようとしておるのか、これをひとつ承りたい。
  62. 荻田保

    荻田政府委員 これは事業税と附加価値税との比較の問題でありますが、同じく事業者の中の問題であります。
  63. 立花敏男

    ○立花委員 事業者と申しましてもピンからキリまでありますので、個人的にわらを打つてわらじをつくつてつておりましても事業税をとられますし、未亡人がだ菓子屋をやつておるのも、事業税をとられるわけです。あるいは三井、三菱等の大企業等もとられるわけなんで、同じ業者の中だから、それでよろしいというようなばかげた答弁はやめていただきたい。そういうことが明確になりませんと、税の公平も期せられませんので、しかもあなたの方からお出しになつている数字で、このことは明白なんです。あなたは故意にごまかしておるとしか、私どもには受取れません。あなた方が出しております数字自体、法人個人とを事業税についてもわけまして数字をお出しになつている。だから法人の事業税が軽くなつておるのか、あるいは個人の事業税が軽くなつておるのか、あるいは附加価値税を延期することによつて法人が一体その税金を負わされるのか、個人がその税金を負わされるのか、これは当然私は、あなたの方ではつきりつかんでおかなければ、税の公平な実施はできないと思うのです。その点をどうお考えになるのですか。
  64. 荻田保

    荻田政府委員 これは法人個人と、あるいは事態ごとにどうというような傾向はないと思います御承知のように、事業税はそのまま延期するのではなくて、基礎控除をつくつておりますから、個人につきまして相当の減税が行われているわけであります。従いまして、法人個人と比べて御議論をなさりたいでしようが、これは結果におきましては、むしろ業態といいますよりも、個々の事業者の利益が上つているかいないか、そこで大きな開きがあると思います。
  65. 立花敏男

    ○立花委員 それはそうではない。あなたの方でお出しになつている資料で、附加価値税を実施いたしますと、個人は二百二十三億で済むわけです。ところが従前の事業税によりますと、個人は四百三十億、だから二百億の開きがあるのです。この点を知つておられるのかどうか。
  66. 荻田保

    荻田政府委員 お配りしました資料のことだろうと思いますが、それだつたら存じております。
  67. 立花敏男

    ○立花委員 だからその問題はどういうように考えているのですか。
  68. 荻田保

    荻田政府委員 ですから、これは基礎控除まで入れますと、そう違いはないと考えております。
  69. 立花敏男

    ○立花委員 これは基礎控除を入れた数字だということがちやんと書いてある。しかも基礎控除を——改正案による事業税及び特別所得税にいたしましても、個人は三百四十六億なんです。附加価値税にいたしますと二百二十三億でよいわけです。地方財政が非常に困難だから、せつかくきめた附加価値税を延期すると言われますが、その負担個人の事業主にかかつて来ているということは明白なんです。その点をどうお考えになつているか。
  70. 荻田保

    荻田政府委員 附加価値税につきましては、たびたび申し上げております通り、これは本人が負担するというのではなくして、むしろ流通税的に考えております。従つてその負担は消費者、簡單に法人個人と、單なる納税義務者であるか、法人であるか個人であるかによつて、最終の負担を比較するのは間違いだと思います。
  71. 立花敏男

    ○立花委員 流通で税金は解決しないのです。転嫁できるからいくら税金をかけてもよいということには私はならぬと思う。もしそういう議論が成り立つのであれば、大企業の方が事業税を他に転嫁し、あるいは流通税に転嫁する可能性が多いのでありますが、個人の場合、中小企業の場合は、事業税を他に転嫁する可能性が非常に少いのであります。この点から申しましても、あなたの説明はまつたく逆なんで、そういう意味であれば、むしろ法人の方に事業税を転嫁いたしまして、それを流通税に転嫁するというならばわかるのですが、個人の方の事業税を法人よりも重くしておいて、それを流通の過程で吸收されて行くのだということでは、説明にならないと思うのです。だからさつきから申しておりますように、明かに今度の改正案は、階級的な性格を持つております。この附加価値税を取上げましても、附加価値税の延期の負担を中小企業に転嫁していることは明白だと思うのです。こういう点でやはり政府の大きな反省が必要だと思うのですが、この問題は、あなたは今の答弁のように、あくまでも事業税を流通課税で吸收されるのだ、これはその方に転嫁すればよいのだというふうに、簡單に考えられているのかどうか、その点を承つておきたい。
  72. 荻田保

    荻田政府委員 附加価値税につきましては流通の過程において転嫁されるということを、法の建前としては意識しておりますが、現実にそうなるかどうかはそのときの経済事情によつて違うと思います。
  73. 立花敏男

    ○立花委員 一般的に申しまして、いかなる変動がありましても、法人の方が事業税を流通過程において吸收させやすいか、中小企業の方が吸收させやすいかは明確なことです。あなたがいかに強弁されても、あなたの説明は通用しないわけです。そういうことで、法人に転嫁しないで、中小企業に転嫁したというに至りましては、これはまつたく理由にならないことを理由にして、個人附加価値税延期の負担を負わしつていると言わざるを得ないと思う。  それから次に移りますが、国民健康保険税の問題ですが、国民健康保険の経営の実態をどういうふうに把握するか承りたいと思います。
  74. 荻田保

    荻田政府委員 国民健康保険が必ずしもうまく行つておりませんのは、財政基礎が確立しないからであります。それにつきまして、少くとも組合員の負担するものをはつきりととる、割付けたものは必ず出してもらう、そこに滯納がありますれば財政を危うくする、そういう意味におきまして保險料よりも税にした方がよいというので、先年改正になつたのであります。またことし一万五千円であつた個人の制限を三万円まで上げましたのは、大体その間におきまする物価の上昇、所得の増加等から、一万五千円という絶対数で押えているのは必ずしも高くない。全体的に国民健康保險の税收入額はふえておる。そのときに上を押えておきますことは、そのためにかえつて下層の所得者に対しまして負担が重くなつて来る、そういうことがございますので、この際一万五千円を三万円に引上げたいという考えでございます。
  75. 立花敏男

    ○立花委員 国民健康保險の行き詰まつておりますのは、やはり医療費が上るにつれまして賃金が上つていないということが基本的な問題だと思う。その点で政府はどういう賃金対策を持つておるか。これはあなたにお聞きしてもわかりませんが、一般的に申しますと今国会中はペースの改訂を行わないということをはつきり言つておりまして、賃金ストツプの考え方がはつきりしておりますが、こういう状態のもとで掛金だけを強制力のある税金として取上げることが、はたして妥当であるかどうか、これは私非常に大きな問題だと思う。御承知のように統計上もはつきり現われておるのですが、労働者の病気が非常にふえております。公務員で申しますと、学校の先生の結核罹病率が非常にふえておる。あるいはこの間神戸の三菱造船所で千五百人ばかりの赤痢患者が発生いたしておりますが、これは神戸市の統計によりましても、大体一般市民の十六倍の赤痢患者が出ております。一つの工場で千五百人の赤痢患者が出るということは前古未曽有だと思う。日本の歴史が始まつて以来こういうことはないのですが、こういうことが出て参りますのは、やはり一般市民、一般労働者の病気が多くなつているということであると思う。病気が多くなる、しかも薬代が上つて来ている。片方賃金は上らないで物価が上つて来ておる。こういうはさみ打ちに合いまして、そこから結局国民健康保険の財政上経理上の困難が出て来ておるのですが、それを解決するのに税金でだけ解決しようということは非常に困ると思うのです。その点で地財委としてはどういう他の対策をお考えになつておるか。
  76. 野村專太郎

    ○野村委員長代理 立花委員にお願いいたしたいのですが、今の御質疑のことは関連はいたしておりまするが、また他の機会もあろうと思いますので、なるべく本案に現われた問題について御質疑を願いたいと思います。
  77. 荻田保

    荻田政府委員 一般的な対策は私からちよつとお答えいたしかねますが、ただ国民健康保険自体の財政をよくして行くという面におきまして、地方税法においてこの程度の改正を加えることが、問題解決の方向に行くものだと考えております。
  78. 立花敏男

    ○立花委員 事業税の問題を聞きますが、政府基礎控除したから事業税が非常に減税になつておるんだと言われますが、二十六年度と二十七年度の事業税の絶対額をひとつお示し願いたい。
  79. 荻田保

    荻田政府委員 二十六年は七百二十億、二十七年度は八百六十億であります。
  80. 立花敏男

    ○立花委員 結局二十七年度の方が非常にふえておると思う——今の数字は違うのではないですか。二十七年の八百六十億には法人の方も入つておるのですか。
  81. 荻田保

    荻田政府委員 法人個人合せてでございます。
  82. 立花敏男

    ○立花委員 そうしますと、やはり二十六年度より二十七年度の方が事業税は非常にふえておるわけです。だから幾ら基礎控除をしましても、絶対額がふえておりますので、これはいわゆる水増しによりまして、基礎控除を相殺しておるということが明らかなんですが、この点をどう御説明なさるのですか。私のところへ相談に参りました業者が申しますには、去年は十一万円であつたものがことしは十五万円に上げて来ておる。結局基礎控除は三万八千円になつておるが、税金はよけい納めなければならないので、これでは何もならないと言つておりますが、そういう非常に巧妙な方法で、税法上の減税を行いながら、実質上は二十六年度より二十七年度をふやしておる。これは個人の事業を見ましても明らかなんですが、この問題はどう政府はお考えになつておりますかお伺いいたします。
  83. 荻田保

    荻田政府委員 事業税は所得に対する課税でございますから、所得が多くなればそれだけえふる、同じ税率でふえる限りにおきましては、われわれは増税考えておりません。しかも、その上に基礎控除を行いましたので、それだけは、ことに小所得者に対しまして非常な減税になつておると考えております。
  84. 立花敏男

    ○立花委員 最後に政府に聞いておきますが、最近政府地方税を主体にして行く方針で、地方への国庫支出を制限しております。ところが地方税金があまりふえない、ふえる場合も個人の場合がふえまして、法人の場合があまりふえないという形が出て参りまして、地方で特別税が非常にふえて来ておる。しかもそのほかに、寄付等が非常にふえて来ておる。文部省の説明によりますと、学校の維持管理費の三分の一が寄付である。PTAの寄付で、学校の維持管理費の三分の一をまかなつておる関係で、地方財政政府の施策の誤りの結果、特別税とか寄付の形が非常に強く出て来ておるのですが、このまま放置していいとお考えになつておるかどうか。これは当然改正すべきであるというふうにお考えになつておるのか。改正すべきであるとお考えになつておるのであれば、その具体的な対案をお示し願いたい。
  85. 荻田保

    荻田政府委員 この寄付の問題につきましては、すでに御決議になりました地方財政法御審議のときに申し上げましたように、われわれといたしましては、これを還元する方針でございまして、しかも立法までいたしまして、この方針を貫いて行きたいと考えております。
  86. 野村專太郎

    ○野村委員長代理 本案に対する質疑がほかにございませんければ、質疑は終局をいたすことにいたしたいと思います。御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  87. 野村專太郎

    ○野村委員長代理 御異議なしと認めます。質疑はこれをもつて終局いたしました。  これより本案に対する討論採決を行いたいと思いまするが、小委員会修正案が提出されております。すでにこれに対しましては、趣旨説明を聴取いたしておりますので、ただちにこれより原案及び修正案を一括して討論に付します。討論を許します。床次徳二君。
  88. 床次徳二

    ○床次委員 本案並びに修正案に対しまして、改進党としては賛成の意を表するものであります。しかしながら、この機会に一言いたしたいのですが、政府地方税法に対する考え方そのものについては、はなはだ遺憾の意を表する。私は異論を持つておるので、その点をいささか申し上げてみたいと思います。  政府が今回提案しました改正案は、きわめて事務的なものでありまして、なおこれに修正案をつけ加えました関係上、従来から懸案となつておりましたところの負担公平の問題、あるいは徴收強化によつて負担を均一にせしめるというようなこと、徴税を正確にするという点を期し得たのでありまして、事務的には大分よくなつたと思うのでありますが、しかし地方税の根本問題については、今度の改正においては実現を見ていないのであります。地方税を実施いたしました過去の経験によりますると、地方財政の自主性がきわめて乏しいのでありまして、ほとんど大部分が平衡交付金に依存しているということについては、地方財政の見地から見て、きわめて遺憾の意を表したいのであります。特に従来平衡交付金等の金額の決定にあたりましては、とかく標準歳出を小さく見、歳入を大きく見がちでありまして、このために平衡交付金額が少い。しかも反面において、予算の上から平衡交付金がすこぶる圧縮されるのでありまして、地方に赤字を増して来る。地方にはもつと弾力性のある財源を與える必要を痛感されておるのでありますが、今回の地方税の改正におきましては、かかる措置が許されておらないのであります。政府は本年度の地方財政の計画において、一応間に合うと言つておりまするが、私どもはきわめて危惧の念を持つておるのであります。地方に赤字を生じさせないよう、他の措置においても十分考慮していただきたいのであります。この点において、かねがねわが党といたしましては、酒税、タバコの専売益金のごとき、国庫において收入いたしておりました財源を、地方に還付すべきものであると考えておるのでありまして、政府においてもこの点については、すみやかに実現されることを要望しておつたのでありますが、残念ながら、この措置ができておらないのであります。かかる見地におきまして地方財政を見ますると、今回の税法政府案におきましては、非常に遺憾な点があるのであります。すなわち法人税に対しましては、国税の方におきまして、かつてに三五%から四二%へと増徴をいたしておるのに反しまして、地方税中の法人税割は現状を維持せしめておる。すなわち税率におきましては、これを低下せしめておるのであります。約五十億弱の財源地方から国家の方へ取上げておるのでありまして、この点は先はど申し上げました地方財政の自主性を確保するという立場から見ますと、きわめて遺憾な措置であつたのであります。この点に関しましては、われわれ地方財政の立場から見ましても、政府の措置がきわめて不適当であつたということを認めざるを得ないのであります。  次に附加価値税の問題でありまするが、今回の案におきましては、一年延期を政府はいたしておるのでありますが、本来附加価値税に関しましては、われわれといたしましても、当初よりその創設に反対いたしておつたのでありまして、延期せられた点につきましては、政府もその実情をだんだん了解して来たことと思うのでありまするが、むしろ今後この附加価値税なるものにつきましては、事業税並びに特別所得税等を十分検討いたしまして、よりよいところの事業税あるいは特別所得税によりまして、附加価値税を補うことをやるべきではなかろうかと思うのであります。若干の修正が事業税において行われ、基礎控除を拡大されたために、小規模事業の負担軽減も行われておりますが、まだ不十分だと思うのでありまして、今後かかる負担の軽減並びに各事業間の負担の公平をはかる意味におきまして、なすべきところは大分残されておるということも、この際指摘いたしたいのであります。  次に入場税並びに遊興飲食税に関しましては、修正案によりまして軽減を見ておるのであります。特に入場税に関しましては、これが文化の普及に影響する点が多いのであります。特に委員会におきましてもこれを審議いたしたのでありますが、この点は單に入場税が軽減されるということではなしに、入場料そのものも当然低下を予想しておるのでありまして、簡單に申し上げますると、映画の入場料はやつぱり十円以上は下るものと、私どもは期待しておるのであります。これは政府も、直接ではありませんが、当然今回の修正に関連いたしまして、その筋に対しましては十分な注意をされたいということを要望いたす次第であります。なお今回の修正によりまして、税率を引下げて、しかも租税の徴收を励行することを期しておるのでありますが、これに対しましては、政府は十分遺憾のない措置をとつていただきたい。従来は税が高いという理由をもちまして、納めることができないという意味において、納税を怠つておる者が少くない。結果におきましては、正直に税を納めた者が高い税を負担し、ずるい者がこれを免れておるという欠陥を生じたのでありますが、その点を今回の修正案におきましては、是正することを諮つておるのであります。政府におきましては、執行上において十分この修正の趣旨をひとつ徹底するように努力をせられたいのであります。  次に市町村民税におきましては、個人の均等割を、われわれはもつと検討しなければならない、高きに失すると思つております。また固定資産税におきましても、その評価につきまして議論のあることは、御承知通りであります。なおその固定資産税課税対象につきましても、もつと非課税範囲を大きくすべきものだと考えておるのであります。この点につきましても、特に政府に考慮してもらいたいし、地方財政委員会規則等におきましても、これが実施上において遺憾のない措置をとつていただきたいと思うのであります。法律に書いてありませんで、これは地方財政委員会に委託されておりまする関係上、公の論議を受けるということが少いのでありまするが、この点はきわめて地方税制上重大な問題でありまして、評価に関しましては、遺憾のない努力を続けられたいのであります。  次に電気ガス税でありますが、今回は一応業種間の均衡ということを考えまして、減税を行つたのでありまするが、今日予想せられておりまするところの電気料の値上げ等がありました場合におきましては、根本的に電気ガス税というものは考え直す必要があろうと思うのであります。この点は政府におきましても十分研究せられまして、次会に案を提示せられたいのであります。  以上いろいろ申し上げたのでありますが、特に本年度におきましては、修正案によりまして相当の税收入不足、およそ半年間今後実施いたしますと、税額につきまして五十億円の歳入不足を生ずるおそれがあるのであります。これに対しましては、当然財源を確保すべきでありまして、私どもといたしましては、これに対しまして酒税あるいは専売益金の一部を地方に還元いたしまして、これの不足に充てることを考えておるものであります。なお新税の創設が今年度において間に合わなければ、平衡交付金によるのもこれまたやむを得ないと思いますが、でき得べくんば、先ほど申し上げましたように、地方財政の自主性を確立する意味におきまして、でき得る限り新税という形式において、これが行われることを期待いたしておるのであります。この点ひとつ政府におきましても、この趣旨を十分了解せられまして、遺憾のない措置をやつていただきたい。今日地方におきましては、この修正の趣旨に対しまして誤解がありまして、財源を付與せずして、修正案を決議したというような誤解を持つておるものがあると思うのでありますが、かかる誤解を生ぜしめることになりましたならば、まことに遺憾であります。政府は適当な時期におきまして、なるべくすみやかに、いかなる方法をもつて措置するかということを明らかにしていただきまして、地方財政当局をして、財政の運営に懸念を持たしむることなきを期していただきたい。特にこれは本年度においてかかる補填策をいたすのでありますが、来年度におきましてはぜひとも確実な新財源によりまして、将来の地方財政が少しずつでも自主性を高め得るように、交付金によらずして、自己の財源によりまして、地方財政を運用し得るように、ひとつ努力をしていただきたいのであります。  以上、地方税制の根本に関しまして、政府に対しまして特に要望いたしまして、今回行われましたところの改正並びに修正案に対しまして、賛成の意を表する次第であります。
  89. 野村專太郎

    ○野村委員長代理 河原伊三郎君。
  90. 河原伊三郎

    ○河原委員 戰後のわが経済界は非常な疲弊をいたしておりました関係上、税は高いのがあたりまえだ、国情やむを得ないといつたふうな関係で、高い税金に対して、徴收側においてはこれが普通だといつたふうな気持を持つきらいがあり、また一面におきまして、こういう平常でない時代には、とれる所からとるよりしかたがないというふうな点などからいたしまして、戰後の税制は非常に平静を失つておつた感じがあります。従いまして、わが自由党におきましては、税制全体における軽減ということと、そして平静を失した非常時的な税に対しては、大きな修正を加えるという二つの方針を持つて日本の独立回復の日を待つておつた次第でございます。従いまして、相当な期待を持つて、この税制を改革もしくは修正したいというふうに考えておつたのでございます。しかしながら、一面また地方財政の窮乏は相当深刻でありまして、大幅にこの税を軽減いたしまして、これを政府の手によつて一挙にかわり財源を求めしめるということは、きわめて困難であります。こういうふうな観点よりいたしまして、理想的な点よりいいますれば、この地方税の軽減ははなはだ少いので、満足とは言えないのでありますが、諸般の事情よりいたしまして、一応この程度でという点よりいたしまして、今回の地方税法の一部改正案に対する三党共同しての修正案に、わが自由党を代表して賛成いたしますとともに、修正部分を除く他の部分に対しまして、政府原案に賛成するものであります。
  91. 野村專太郎

    ○野村委員長代理 門司亮君。
  92. 門司亮

    門司委員 私は社会党を代表いたしまして、政府の原案に対しまして、反対の意思表示をするものであります。従つてきわめて簡單ではありますが、反対の理由を申し述べたいと思うのであります。  この地方税法の一部改正法律案の内容、というよりも、むしろ私は性格について非常に不満を持つものであります。と申しますのは、この内容にも現われております市町村民税の徴收の方法でありますが、これについては、御存じのように、法人税所得割現行百分の十五でありますものを下げて、百分の十二・五にしようという政府の原案であります。これは当局説明によりますと、国税における法人税が上つて参りますので、従つて法人の納めます税金の状態を考えてみるときには、国税で上つただけは、やはりどこかでこれをカバーするということになれば、勢いこれを地方税の方に持つて参りまして、そうして地方税の方の税率現行百分の十五を百分の十二・五にするということ、その理由は先ほど申し上げてあります通りで、これにいたしましても、昨年度と同じ税額の徴收ができるというお話でありますし、また答弁でございますが、これは非常に私は政府のお考えは間違つておる考え方である、当然地方税でありますものと国税でありますものは区別をして考えるのが、およそ地方税国税に対するものの考え方でなければならない。国税がふえたから、地方税はそれだけ減つてもいいのだという理由は、どこにも成り立たぬのであります。これをもしこのまま自由党考え方で推移いたして参りますと、御存じのように、地方財政は一体どうなつて来るかということであります。これは少しこの税法と離れた考え方になるのでありますが、私どもが警戒をいたして参りますものは、中央財政がだんだんふえて参りまして、地方財政がこういうふうに圧迫されて参るということになりますと、結果は一体どうなるかということであります。しばしば申し上げる言葉でありますが、わが国の地方財政中央財政とは、御承知のように、日本の国において平和の最も最後の年度でありました昭和十一年度におきましては、国の財政が一〇〇の場合には地方財政は一三五%になつておるのであります。それが昭和十二年に支那事変に突入いたしましてから、大東亜戰争に入つて、その戰争の最後の年度でありました昭和十九年度、昭和二十年度になりましては、御存じのように、国の財政の一〇〇に対して、地方財政は二五%に下つておるのでありまして、平和であります場合におきましては、非常に地方財政が国の財政の面から見て比重が重くなつております。非常時の財政になればなるほど、地方財政は疲弊して来るのであります。私はこの事実を考えて参りますときに、中央財政を集めて、地方財政をこういう形で圧迫して行くということは、明らかに政府の方針が非常時財政に移行しつつあるということが、このたつた一つの問題からも私どもうかがい知ることができるのであります。非常時財政は、申し上げるまでもなく、これは軍事的の予算に多くの費用を見ることのために、私はこういうことを想像しないわけには参りません。従つて税全体のバランスの上から見て参りましても、そういうことが言えると思います。同時にわれわれが考えなければならないことは、地方財政が昨年度の税額と同じようにとれると言つておりますが、それなら、市町村民税の中の一般住民の納めます税金は一体どうなつておるか。これも中央における所得税率を下げたからと言うことができるかもしれませんが、所得税は下つて参りましても、所得が増加して参りますならば、当然自分のふところから出す税金は多くなるはずであります。政府考えております通りにするならば、私はやはり地方住民所得割も、去年と同じだけ納めればいいというような方法をぜひ講じてもらわなければ、実際つじつまは合わないと思う。ところが地方住民個人所得割に対しましてはそれが講じられておらない。従つて現実の問題から申し上げますと、御存じのように、市町村民税所得割に対しましては、昭和二十五年度の当初年度における所得税額に対します百分の十八は、本年度はほとんどこれがやめられて、一万有余の町村の中で八五%以上のものが、第二項の課税所得金額に対する百分の十を基準とした徴税方法を講じておるということである。いわゆる税の増加をはかりますことのために、法律で許されております第二の方法をとつて徴税を行つておるという事実は、われわれは政府といえども見のがすことはできないと思う。地方税におきましては、同じ住民税でありましても、こういうふうによけいの税の徴收をはからなければならない。中央においては、法人だけは昨年度と同じ税額であるから、税率は下げてもいいというようなりくつはどこにも成り立たないと私は思う。こういう点はこの市町村民税の徴收の上において、私ども納得のできない一つの非常に大きな問題でありますのと同時に、大臣答弁によりますと、地方財政がやや充実したかのように言われておりますが、実際はそうではございますまい。その一つの大きな実例といたしましては、御存じのように、法定外独立税が非常にふえつつあることであります。法定外独立税はことに農村地帯において多いのでありますが、所得税の面でかけられております牛馬というような家畜その他に対しまして、ほとんど例外なしにこれがかけられるというような実情に向いつつあり、現在におきましても、十三府県というものが、現実にこの家畜その他に対します法定外独立税をかけておる。市町村においては非常にたくさんな市町村——私ども一々例を申し上げるわけには参りませんが、非常にたくさんの市町村がやはり同じような法定外独立税をかけておるということであります。従つて決して地方財政はゆたかになつたとは言えないのであります。こういうことが私どもには現実に言える。同時に、先ほどの委員会でも問題になつて参りましたが、石川県その他に設定いたしております道路損傷負担税というものが出て参りました。しかもこれは道路の損傷に何らの関係のない個人所得に対しまして、均等の税金をかけようとしておる最も惡い税金である。こういうものが地財委において許可されておるということである。もし地財委の言葉のように、あるいは大臣の言葉のように、地方財政が充実されておるから、法人税金は去年と同じ税額だけ確保すればいいのだとすれば、私はこういう現象に対しても政府は何らかの手を打つべきではなかつたかと思う。惡税であると言われておりますこの道路損傷負担税のごときも、地方財政委員会において許しているということである。従つて政府答弁は、まつたく私は実態に即さない答弁であると考えておるのであります。  なおこの問題について現政府の性格上の問題であります。現在の政府の性格は、資本主義を奉じております自由党から成つておる政府でありますから、おそらく法人に対してこういう非常に優遇する処置をとり、一般個人に対しましてはこれに反して、先ほどから申し上げておりますように、法定外独立税を設定しなければならないような窮迫な状態に追い込んでおいて、そして同じ市町村民税に対しましても、これの税率を何ら考えておらないというようなことに対しまして、私どもきわめて大きな不満を持つものであります。こういう点は、きわめて簡單ではありますが、税法上の問題といたしましては大きな問題でありまして、性格上の問題といたしましては私ども許すことのできない問題であります。  なおこれを道義的の問題として考えて参りますときに、現行法人税の百分の十五——昨年政府原案によります百分の十の原案を百分の十五に上げたということは、法人の納めます所得割個人の納めます所得割との間に、非常に大きな開きのあるということは不均衡であるとして、自由党、現在の改進党あるいは社会党と三党が共同してこの不均衡を是正することのために、政府原案であつたところのたしか百分の十と考えておりますか、これを百分の十五に上げるように関係方面に交渉して、これを上げて、その得ました財源約二十四億ばかりのものによつて市町村民税の均等割を下げて、そして法人個人との祝のバランスをとつて来たということは、歴史的のごく新しい過程であります。従つて政府が道義的に物を考えて来るといたしますれば、当然この税率を改革することはできなかつたはずである。もし政府がこの税率を、先ほど、から申し上げておりますように、下げるという見通しがあれば、そのときの道義を考えて、当然個人負担いたします市町村民税の軽減をなぜはからなかつたかということである。まつたく政府国会意思を尊重しないで、一方的にただ法人だけのためにこういう処置とつたと、私どもは言わざるを得ないのであります。言葉をかえて申しますならば、きわめて国会を無視した政府の態度ではなかろうかと申し上げても、私は決してさしつかえないと思うのであります。  そのほかこの改正法案の中には、政府の申されておりますようないろいろな点はございますが、こうした税法全体を通じて、先ほどから申し上げておりますような諸点に対して承服はできませんので、反対いたしますとともに、先ほど床次委員からも申されました附加価値税の問題でありますが、世界にかつて類例のない附加価値税が昭和二十五年に一応制定されながら、二十八年までこれの徴收を延期しなければならないというところに、いまだ政府においても十分なる成案がないから、こういうことになつていると私は思う。従つて法律はきわめて権威のあるものでなければなりませんので、昭和二十五年にこれを決定しておきながら、昭和二十八年までこれを延期しなければならない、しかもその延期の方法は、何らの確固たる方針がなくして、年々これを一年ずつ小刻みに延ばしているという現状であります。こういう法の権威にも関するようなことはやめていただいて、そしてこういう問題は研究の余地があるならば研究の余地があるとして、これを法の中から抹殺して、そして法を権威づけることにすることが、国会の体面から申しましても、当然でなければならないと考えているわけであります。国会で一旦可決いたされましたものが、何年たつても、実行に移されないというような法案に対しては、賛成するわけには参りません。従つて原案に対しましては一応反対の意思を表示するものであります。  それから出されております修正案でありますが、修正案に対しましては、私は私どもの意見を多少申し述べまして、なお不十分な点だけを明確にいたしまして、これに対して賛成の意を表したいと思うのであります。今出ております地方税の一部改正に関する法律案修正案に対しましては、この内容その他については私は申し上げませんが、われわれの観点からみて参りますれば、今日たとえば入場税の問題にいたしましても、私どもの観点から言うならば、入場税というものはいわゆる入場する一般の大衆が納める税金でありますので、従つてその興業価値あるいは観賞価値というものが当然大きな重点になつて考えられなければなりません。ところが、この修正案の中にはそういうことが比較的考えられておりません。ただ一率に税率を下げるということである。税率を下げることには私どもは反対をするものではありませんが、なおそういうことが勘案さるべきではなかつたかと考えているのであります。それと同時に、同じ入場税にいたしましても、今日非常に高額な、百円以上の入場料金をとつておりまして、税ともに二百円以上になつているような観覧料を見て参りますと、これには必ず割増金がついておつて、あるいは五百円になり、はなはだしきは八百円くらいでも、その入場券が売買されているというような現状を見まするときに、これらの面に対しましては、何も入場税は下げなくてもいいのではないか。それよりも、引下げようとするならば、やはり私どもはきわめて低廉な入場料でなければ支払うことのできない人たちに対する入場税の引下げを行うことが、今日妥当ではないかと考えているのであります。  さらに遊興飲食税の問題でありますが、遊興飲食税に対しましても、大体半分くらいにこれが下つているのでありますが、なおこの中で一点われわれが社会的に考えなければならないのは、芸者の花代の問題であります。これの現行百分の百が、修正案によりますと、百分の七十に下げられているのでありますが、これは今日の日本の置かれておりまする国際的の地位から申し上げましても、また国民生活の水準から申しましても、芸者の花代等に対しましては、この際これを軽減することは実際の実情に沿わないものではないかと考えておるのであります。  なおこの機会に、私はこの修正案に対して賛成をする者の一人として申し上げておきたいと思いますることは、過去のこれらの税率を下げて参りました場合におきましては、入場税におきましても、入場料金は税を含めて実際におきましては下らぬのであります。また遊興飲食税につきましても、税金だけは下げたが、しかし一般住民負担する額は同じだということが今日までの現状であります。従つて、少くとも国会において税金を下げました以上は、遊興飲食税におきましても消費者の税金であり、あるいは入場税におきましても観覧者の税金であります以上、当然遊興飲食をする者、あるいは入場をする者が税の下つただけの恩惠に浴さなければならぬことは当然であります。従つてこの税の施行にあたりましては、当局はこの税金の本質に沿うよう税金の下つただけは一般住民負担が軽減されるように、ぜひ善処していただきたいということを、私どもは強く主張いたしたいと思うのであります。  次に事業税の問題でありますが、事業税の問題にいたしましても、修正案による湯屋業あるいは理容業とかいうような、法律によつてそのいろいろな事業に対して制約あるいは義務づけられておるものには、こういう処置を講ずべきだと思いますが、それと同じように、この中で法律によつて最も多く制約を受けておりますものは、今日の医師の問題であります。医師はいわゆる医師法という一つ法律によつて、夜は夜中でありましようと、いかなる場合でありましようとも、その要求がありまするならば、当然これの要求に応じなければならないというふうに義務づけられております。従つてこれらの諸君は、その事自体、たとえば健康保険の問題にいたしましても、健康保険の問題で点数がわずかに六十円くらいしか一点当りもらわないものでも、夜中に起されれば起きなければならぬ。それに手伝いの看護婦も起きて、これに応じなければならないという問題である。これらの問題は、まつたく財政上の問題から考えますならば引合う筋合いではありませんが、しかし医師法において義務づけられておる以上は、これを断るとやはり罪になつて来るということであります。こういう法律によつて縛られておると申しますか、非常に制約を受けておる、あるいは指示を受けておる業種に対しましては、一般と同じように特別所得税を課することはいかがかと考えまするし、同時に医師の問題に対しましては、つい最近起つた問題でありますが、いわゆる健康保険に対する例の一点單価の引上げ等の問題も、こういう面から起つて来ると私は思う。従つて社会政策的に申しましても、あるいは社会保障制度の一翼から申しましても、これらのものに対しましては、当然やはり特別の処置が講ぜらるべきだと考えておるのであります。  さらに市町村民税でありますが、これに対しましても、原案において、あるいはここに掲げられております修正案におきましてはこれに触れていないのでありますが、しかし私は先ほど原案に対して反対をいたしましたように、この市町村民税を原案通りに施行されるとするならば、当然われわれの要求すべきものは、この法人所得割一般住民と同じように、百分の十八までこれを引上げるということであります。もし今日法人所得割個人と同じように百分の十八まで引上げて参りまするならば、その財源は八十三億三千三百万円という大きな数字が出て参ると思うのであります。この大きな数字が市町村民税の減税に振り向けられて来るということになつて参りますならば、税の建前から行つて、均等割というような、いわゆる頭割というきわめて不明朗な、かつ不均衡住民税の中の人頭割というものを、非常に大幅に軽減ができるであろうということを申し上げても決してさしつかえはございませんので、われわれはここの財源を、八十三億三千三百万円という財源によつて市町村民税個人割はもとより、その他の市町村民税の軽減の財源といたしたいと考えておるのであります。従つてこれの拡張いたしまする範囲においては、固定資産税の中にやはり農業用の生産に使いまする機械、器具であるとか、あるいは医療用の機械、器具でありますとかいうようなものに対しましては、当然これが考慮さるべきであります。ことに農業生産用に使う機械、器具のごときは季節的に使うものでありまして、たとえば脱穀調製機一つを見て参りましても、農村におきましては、麦あるいは米の收穫時期にこれを使用するといたしましても、一年を通じて二十日以上は、おそらく使用されていないと思います。従つてこれに使うモーター等のごときもそうであり、あるいはタバコの乾燥のために使つておりますところの倉庫のような建物も、タバコの乾燥は一年に二十日以上はなされないものでありまして、大体二十日使えばそれ以上は使わないのであります。養蚕に使います大きな養蚕用の建物でも、春、夏、秋の三回に養蚕をやるといたしましても、六十日以上は使うものではないのであります。これらのものは、その税の本質に書いてありますように、固定資産税の償却資産に対しましては、事業の用に供する機械、器具ということになりますれば、性格上から申せばこれは当然收益税の性格を持たなければならない。従つて收益税の性格を持つということになつて参りますと、当然利用効率ということが、大きな問題にならざるを得ないのであります。従つて利用効率に応じてこの税を徴收することが、やはり正しいと思うのであります。そういう観点から申しまするならば、現行の百分の十六を半分の〇・八にぜひ下げることが、税の均衡の上から当然であると私は考えているのであります。そのほか、たとえば修正案によりますと、農業用協同組合の倉庫に対しましては、これを非課税にするということになつておりますが、單に日本の都会を除きます農村——これは農村だけではありませんで、ここに漁村を忘れてはならないということでありますが、いわゆる農業協同組合あるいは漁業協同組合のごとき政府の補助を受け、あるいはそのほかの生活協同組合というような政府の保護政策のもとに行つておりますこれらの組合の所有しておりまする固定資産に対しましても、私は当然非課税にするか、あるいはこれに対しましては税率を下げることが当然でなければならない。それは販売の範囲がきめられ、あるいはその收益の限度が定められておりまして、一般の自由に販売し、自由に利潤を得るということのできない制約を受けております関係から申しまするならば、当然税金に対しまして私は何らかの処置を講ずべきだと考えているのであります。こういうことをきわめて雑駁ではございますが、私は修正案に賛成いたすにあたりまして、なおこれらの問題が当然これに含まるべきではなかつたかと考えているのであります。  さらにこれの財源の措置でありますが、財源措置といたしましては、先ほど床次委員からも申されましたが、私は市町村民税に対しましては、先ほど申しましたように、今日の法人所得割を百分の十八に上げるか、あるいは上げないで、百分の十五の現行法にいたしましても、約四十億ないし五十億の財源はあるはずでありますから、これらを十分確保すれば、市町村民税に対しまして、市町村にかけられております固定資産税あるいは電気ガス税というようなものを下げて参りましても、財源的な措置は十分とり得ると私は考えているのであります。  その次に問題となつて参りますのは、この財源の措置として、たとえば修正案によりましても、百十七億の減收を見るのでありますが、これの補填方法といたしましては、酒税、あるいはタバコ、塩、しようのう等の專売益金等の一部を配付税の形において、これをもつて補うことは当然でなければならないと私は考えているのであります。  この機会にさらにつけ加えて申し上げておきたいと思いますことは、私どもはかつて酒の税金に対しましては、昭和二十四年度におきまして、これも同じ各党共同によりまして、地方財政を充実することのために、酒の消費税を地方にまわすことが肝要であるという考えのもとに、酒の最終小売価格の百分の五を、地方財源として與えた実例があるのであります。これが自由党政府になりますと同時に、二十四年度一年だけこれを実行して、二十五年度の税制改革のときに、これがとりやめになつておるのでありまして、この酒の消費税の一定割合というものが地方に還元されておつた実績のあるということだけは、ひとつこの機会に各位に御承知つておきたいと思います。こういう意味におきまして、ここにつけ加えて申し上げまして、修正案に対しましては賛成の意思を表明するものであります。最後につけ加えて申し上げておきたいと思いますと同時に、政府に対して十分の反省を促しておきたいと思いますことは、先ほど原案に対して反対いたしましたように、こういういわゆる地方財政が国家財政の犠牲になるというような態度は、ぜひ私はやめていただきたいということを強くこの機会に要望いたしまして、原案に対して反対し、修正案に対して賛成の意見を表明するものであります。
  93. 野村專太郎

    ○野村委員長代理 立花敏男君。
  94. 立花敏男

    ○立花委員 大体政府税金に対する考え方が問題だと思うのですが、御承知のように二十七年度におきましては、国税で七百七十九億、地方税で四百十四億、合計千二百億の大増税を行つておるわけです。しかも千二百億という大増税の数字が、ふしぎなことには、米軍の駐屯費、それから安全保障費、合せて千二百億という数字と、完全に一致しておることでありまして、この点から見まして、政府が何のために増税しておるか、どういう意図をもつて増税しておるか、政府の税政策がどういうものかということが非常に明白なのです。従つて当然政府考えております地方税に対する考え方、今度の改正案もその点から貫かれておりまして、あくまでもこれは行政協定に基くところの日本中央地方を通じての財政的な裏づけにすぎないということは明白なのです。ところが政府の提案理由説明を見ますと、まつたく逆の美辞麗句が並べてありまして、まことに言葉の上ではきれいな形が出ております。政府の提案理由説明によりますと、二十五年度においてすでに府県四十六のうち四団体、五大都市の三団体、あるいは二百六十の都市のうちで約三割に上る八十一団体、あるいは一万の町村のうちで四百の団体が形式上の赤字を出しております。実質上の赤字はこの数倍に達するであろうということを政府は明白に言つておられる。ところが今度の改正案によりますと、これが改正されるどころか、一層破綻に陥つて行くということは明白なのだ。しかも政府はこの事態を收拾いたしますために、国庫支出金を減じまして、地方財政地方税を中心としてやつて行く。言葉をかえて言いますと、国家の税金は減らしても、必要な財源地方に與えて行くという基本的な方針であるということを言つておられますが、私はここから問題が出発すると思うのです。政府の、地方税金を増加し、あるいは地方の税を中心として地方財政をまかなつて行くという方針は、実は大衆の負担において地方財政をまかなつて行くということでありまして、決してこれが政府の言つておりますように、負担の公平とか、担税力に応じての真に公正な税の負担均衡化にあるのではなくて、まつたく階級的な財政制度をとろうとしておることが明白だと思うのです。その点を二、三あげますと、実は今回の改正案によりますと、さいぜんからも指摘しておきましたように、法人の税が非常に軽減されておる。すなわち社会党の方からも指摘がありました住民税における法人税割の軽減、これはまつたく私は言語道断だと思います。現行法がきめられました趣旨は、あくまでも現在の日本の経済界、産業界を見渡しまして、ほんとうに利潤が上つておりますものは特殊な産業である。特に軍需関係法人に多いということを認められまして、その結果といたしまして法人税割が引上げられたのでありますが、それを今回は逆行させまして、法人税割を引下げるという結果にいたしましたことは、今回の改正案が非常に反動的な、反階級的な、もつとはつきり申しますと、軍需産業育成の方向に向つておることは明白だと思うのです。しかも法人偏重の形はここだけではありませんで、地方税の面におきましても、法人の損金を一箇年しか認めなかつたものを、二箇年間認めることにしておる、こういう問題があります。あるいは修正案におきまして、電気ガス税の免税を五億ばかり行つておりますが、このすべてが法人の生産費、特に軍需関係の生産費であるというに至りましては、今回の改正案あるいは政府與党が考えておりますところの税の改正が、明らかに軍需産業の促進、日本の軍需工業化の奨励にあるということは明白だと思うのです。そういう形で今回の改正案が貫かれておるということをはつきり私は指摘しておきたいと思います。  さらにこれが明白でありますのは附加価値税の延期の問題です。政府は、附加価値税の延期は、地方財政が困難であるから、附加価値税を実施すると、地方財政がますます大きな赤字を生ずるから、これを延期するのだと申しておりますが、実はその負担は明らかに資本家あるいは法人の側に転嫁されるのではなしに、中小企業の面に転嫁されておる、これは明白だと思うのです。しかもこの転嫁はどこから行われたがと申しますと、地方財政委員会国会に勧告を出しまして、地方財政負担を、赤字を補いますために平衡交付金の増額が必要であるということを主張いたしました場合に、総理大臣がこれに対しまして、それは国家財政上まかなえないのだから、何とか再考慮するようにという書簡を地財委に送りますと、地財委はそれを受取りまして、法的な根拠のある、しかも地方からの多数の資料によつて作成いたしました権威ある勧告だと思つておりましたのが、一本の書簡によつて撤回されまして、地方財政委員会の講じました措置が、この附加価値税の延期になつたわけです。それとあわせてとりましたのが、これは結局地方公務員の首切りになつて現われる点が多いのでありますが、地方財政の縮減と附加価値税の延期であります。ところがこの附加価値税の延期によりまして負担を転嫁されますものは、明白に中小企業であります。たとえば具体的に数字をあげますと、附加価値税になりますと、中小企業の方は二百七億税金現行法よりも減るわけです。だから附加価値税をやつてもらえば、中小企業は二百七億の負担の減になる。ところがそれは政府はやらないで、あくまでも附加価値税を延期する、これはあまりにひどいから、何とかしなければ、中小企業の反抗が増大するであろうということで、三万八千円の基礎控除を考え出しました。そしてなお改正案によりましても、附加価値税を実施するよりも中小企業の負担は百二十三億増大するわけです。附加価値税を実施すれば、百二十二億納めなくてもいいものを、政府が吉田総理の書簡一本によつて附加価値税を延期いたりしました結果、百二十三億の減るべき負担が減らないという結果が出ておりまして、明らかにこれは地方財政の穴埋めを中小企業に転嫁していると申しても間違いではないと思います。  さらにそれを裏返して申しますと、この面におきましても明かに法人、大経営の擁護をやつておる。具体的に申しますと、附加価値税を延期することにまりまして、法人は三十一億の支出の減があるわけです。従つて中小企業においては百二十三億の減るべきものが減らないにかかわらず、法人の方では三十一億というふえるべきものがふえないという形が、はつきりと政府の数字によつても出ておりまして、ここに附加価値税延期の根本的な原因があると思うのです。従つて附加価値税の延期が示しますものは、この軍事予算の中小企業への転嫁であり、同時に軍需資本の奨励であるということは明白だと思うのです。こういう形が今回の改正案を通じて貫かれております。  その逆に、さいぜんの質疑の際も申し上げておきましたが、逆に大衆への税の増加が現われておる。それは絶対額において四百十四億の大増税を、しかもそれを水増しの形でやつておるということは明らかなのでありますが、個々の場合におきましても、六十歳以上の老人、年收十万円以下の者に新しく税金をとるという典型的な形で、大衆への負担の増が現われておるわけです。この二つを対比して考えますと、明かに今回のこの改正案が階級的な性質を帯びており、大衆への負担を増大し、法人、軍需産業方面への利益を擁護しておるということが明白であろうと思うのです。  さらにそれを明白にしておりますのは、国民健康保險税の徴收であります。国民健康保險は、物価の値上り、特に医療費の値上りと低賃金の板ばさみにあいまして、明らかに行き詰まつておるのでありますが、しかも政府は軍事予算に圧迫されまして、社会保障制度の費用の縮減を行つております。多少のすずめの涙ほどの金は出しておりますが、それはあくまでも燒石に水でありまして、それが今回の国民健康保險税の改正によりまして、明らかに政府の方針が、社会保障制度に出しております金はごまかしであつて、こういう強制力を持つた税金として社会保障制度の金を取上げて行こうということは明白になつておると思うのです。こういう点で私どもはこの法案には断じて、賛成することはできないのです。  さらに修正案について申しますと、修正案につきましては、私ども非常に不満があります。第一に、この修正案が小委員会の案という名目を打つて出されておりますが、小委員会は一回しか開かれておらない。しかも本委員会で二回開かれたと委員長は申しておりますが、一回は審議しなかつた。実質的に審議いたしましたのは一回なんです。しかもそれは本会議が開かれており、私どもが反対討論をやつておる最中に開かれましたので、実質的には協議されていない。そういうわずか一回の小委員会で、こういう厖大なことがまとまるはずがありません。それが非常に不十分であつたということは、きのうの質疑からいたしましても、提案者、説明者がこれは何だかわからないというものに対して減税を行つておりますので、これはまことに手続上にも不備があつたと思いますが、内容的に申しまして、やはりこの修正案はまつたく寄せ集めの、でたらめの修正案であるといわざるを得ないと思うのです。それを個々に申し上げますと、たとえばさいぜん申し上げました電気ガス税、これが総額五億に達する免税を行つているわけですが、このすべてが、たとえば金属ソーダであるとか、あるいはセメント、アルミナ、苛性ソーダであるとか、あるいはビニロンとか、塩化ビニールとか、アルコールとか、こういうまつたく近代的な化学工業あるいは金属工業等のいわゆる軍需産業が製造いたします品目に限られております。ただそれだけなんです。こうなりますと、まことに私は大問題だと思います。私どもが陳情を受けました中には、たとえば東京大学の研究に要しますところの電気ガス税の免税、全国の学校のそういう研究施設等に使います電気ガス税の免税は、わずか全国で一億でありまして、今回の五億の免税を行えるのであれば、それが行えないはずはありませんのに、こういう軍需産業の税金を主体といたしまして電気ガス税の免税を行つておる。ここに今回の修正案の非常に軍事的な性格が現われております。同時に非文化的な性格が明白に出ておると思うのです。  それから事業税等の免税の修正でありますが、これもたとえば手当りばつたりに陳情して来たやつは、得をしておるという形が出ておりまして、風呂屋さんと理容屋さんはたびたび小委員長にも会つておりましたが、この陳情に来たものだけが免税されており減税されておる。これは国会が法案を出し、決定いたす態度といたしましては、まつたくでたらめでしかない。こういう減税をやるのであれば、たとえあ公衆衛生業というふうに一般的に規定いたしまして、全国漏れなく公衆衛生に関係するものの減税を行う措置をとるとか、あるいは理容屋さんをやるのであれば、これは家内労働を主体とするところの小規模の経営に対しては減税を行うというふうにいたしまして、それの全国的な公平な減税を行うべきでありまして、こういうふうに委員長に会つたものだけが得をするような法案というものは、私は断じて賛成ができないのであります。  それから、これは地方財政委員会も言つておりますが、民間放逸、新聞等に対しましては、国税を取つておるにかかわらず、地方税は免税する。こういう考え方はやはり国税を尊重主義でありまして、地方税はどうでもいいのだという考え方が貫かれておりまして、これも政府が従来から美辞麗句で言つておりますところの、国税を大幅に地方税に移して行つて、それを主体として地方財政をまかなつて行くという基本的方針と根本的に違うと思いますので、この点も私は重大な問題だと思うのです。  それから入場税、遊興飲食税の問題でありますが、これも大問題があるのであります。社会党の方も指摘しておりましたが、この減税は、その部分だけ大衆の負担を軽減するという基本的の方針が、大眼目だと思うのでありますが、これによりましてはその点が必ずしも保証されていない。たとえば前回の入場税の減税の場合には、私どもはそういう意図によつて減税をいたしたのでありますが、たとえば映画の入場料などは、五十円のものが依然として五十円であつて、業者の税負担が軽減されただけであつて、大衆の払う入場料は一文も減らなかつたという苦い経験を持つております。今回の場合も同じ形がとられておるのでありまして、私ども委員会といたしましては、前回の失敗を今回は訂正しなければならないと思うのですが、その点が何ら明白になつていないわけなのであります。この点も非常に私は疑問があると思うのです。しかも今回の入場税あるいは遊興飲食税の減税措置によりまして、各業者は五十億、六十億、数十億の負担の軽減があるわけなので、これが彼らのみのふところに入りまして、結局は大衆の負担の軽減にならないということは問題だと思いますし、しかもそういう大衆の負担軽減の保証をやらないで、われわれがこういう法案を通すということは、業者とわれわれとの間の関係が、非常に大きな疑惑の目をもつて見られる余地があると思いますので、この点を当然明確にして、この減税部分は大衆の税金部分であるのだから、大衆を免税するという保証を私ははつきり出すべきであると思う。そういう意味におきまして、修正案に対しては非常に大きな不満があるわけですが、しかし税率を約五割ないし四割引下げた点においては、しかもその対象である業者が主として中小業者であるという点を考慮いたしまして、党としてはそういう基本的な考え方では賛成でありますが、さいぜんから申しましたように、案の作成の経過あるいは案自体に非常にでたらめな、無原則的な、しかも疑惑を招くような点があるので、その点は強く御注意申し上げておきたいと思うのであります。そういうふうに結局今回の原案あるいは修正案を含めまして、非常に大きな疑問の余地があるわけなんですが、この改正案等をめぐりましてはつきり明らかになりましたことは、やはり政府考えておりますことは、地方財政の確立とか、あるいは税の負担の軽減とかいう問題にあるのではなくして、あくまでも中央の軍事予算の確保、それの地方へのしわ寄せにあることは私は明白だと思う。こういう政策をとります以上は、たとい税の形には現われませんでも、いろいろな形で地方負担あるいは国民の負担が増加いたしますことは明らかなのでありまして、それはすでにもう全国をながめてはつきり出ておりますところの特別税の増加——いろいろな種類の特別税がとられようとしておりますが、たとえば石川県での道路損傷負担金あるいは鳥取県で企てております教育税等の、まつたく中央負担であるべきものが、地方の特別税の形でとられようとしておる。こういう政策がとられます以上は、二十七年度におきましては、より一層増加の傾向にあることは必至だと思いますが、そのほかに寄付金あるいは学校、消防等に対する寄付金が増大することも必至であります。さらに国民に対して直接の勤労奉仕の形が出て来ることも私は必至だと思う。それはすでに消防組織法の改正あるいは水防団等によりまして、強制的にそういつたものをつくらせまして、それの活動を奨励する形が出て来ておりますが、こういう形でこういう反動的な税制度をとります以上は、そういうふうな国民の負担が非常に増大するであろうということは明白だと思う。そこでこういう政府の税政策に対する根本的な対策といたしまして、われわれの考えておりますのは、やはりどういたしましても、この中央の軍事予算を減らしまして、国が大幅に財源地方に譲渡するという形をとらなければ、根本的な解決はない、これが第一点だと思う。  それからこの法案に現われておりますように、この税の階級的な收奪をぜひ改めますために、高度累進の所得税を中心とした高度累進課税地方でもやらなければ、地方住民負担は絶対軽減されない。それでなければ地方の自治体の財政の確保はあり得ないと思いますので、第二番目にはやはり高度累進課税を主張したいと思います。これは第一に述べました国が再軍備予算をやめまして、この所得税等を大幅に地方に委譲いたしまして、その所得税のとり方を高度累進でやらなければならないということになると思うのです。  それから第三番目は、生活困窮者あるいは小額所得者、こういうものに対する大幅な免税措置をやりませんと、これはたいへんなことになる。現在におきましても、この国民の中に生活困窮からの自殺や何かがふえておりますが、やはり政府改正案に出ておりますように、年收十万円以下でも——年收十万円と申しますと月に八千円ですが、これぐらいの者からも税金をとる。月八千円で食つて行けるはずがありませんので、しかも六十歳以上の者でも年收十万円以下でも税金をとるというような考え方ではこれは非常に大問題だと思いますので、この際は小額所得者にはあくまでも税金をとらないということを明確にいたしますために、年收四十万円以下は免税にするという基本的な対策を出すべきであると考えます。結局こういう根本的な税政策を要望いたしたいと思うのでありますが、おそらくこれは現在の政府の能力ではできないと思いますので、私どもは現在の政策を根本的に改正いたしまして、日本の植民地化、軍事化という基本的な政策を改めまして、あくまでも日本人のための日本の自治体、それの財政を確立するという意味で、根本的に出直していただきたいことを要求しておきます。
  95. 野村專太郎

    ○野村委員長代理 八百板正君。
  96. 八百板正

    ○八百板委員 私は日本社会党二十三控室を代表いたしまして、政府の出しました改正案に反対し、またほかに出ておりまする修正案に対して賛成の意を表したいと思います。簡單に述べたいと存じますが、今日問題は、一体自治体をどういうふうに持つて行こうかというのが、今日の地方自治の大きな問題であろうと思うのでありまして、そのように考えて参りますならば、地方自治体をどうするかという問題は、同時に今日の困難なる地方財政をどうするかという問題であります。今日自治体の危機ということが言われておりますが、それは同時に地方の自治体財政の危機でありまして、これは同時に自治体を基礎にして、日本の民主主義政治が考えられております以上、日本の民主主義の危機であると考えることができるわけであります。従つてこういう前提のもとに地方税法というものが改正せられるのでありますならば、当然にこの自治体の危機でありますところの自治体財政の根幹に改正を加えるという改正でなければならないわけであります。ところがそういう根本的な点について、何らの考慮が払われることなくして、軍に負担均衡という名のもとに、実質的には先ほど門司君及び立花君によつて指摘せられました通り法人税率の調整をはかるという名のもとに、現行の百分の十五を百分の十二・五に引下げるというような法人に対する税の引下げをやつておるということは、負担均衡を言いながら、実質的において負担均衡を破壊する結果になるものだと、われわれは考えるのであります。こういうものを含む政府案は、その他の部分について幾らかよくなるような部分があつたとしても、これを打ち消すに十分であろうと思うのでありまして、これをもつて私どもはこの案に対して反対する次第であります。なお修正案につきましては、先ほどほかの委員から述べられましたように、いろいろと不満な点がたくさんあるのでございますが、しかしながら不満の部分についても、その他のよくなる部分を阻止するものではないという意味合いにおいて賛成をするのであります。
  97. 野村專太郎

    ○野村委員長代理 ほかに討論の通告がございませんので、これにて討論は終局いたしました。  これより採決いたします。まず小委員会修正案について採決いたします。本修正案に賛成の諸君の御起立を願います。     〔総員起立〕
  98. 野村專太郎

    ○野村委員長代理 起立全員。よつて修正案は可決されました。(拍手)  次にただいまの修正部分を除く原案に賛成の諸君の御起立を願います。     〔賛成者起立〕
  99. 野村專太郎

    ○野村委員長代理 起立多数。よつて本案は修正議決されました。  次に床次徳二君より附帶決議を付するの動議が提出されておりますので、まずその趣旨説明を求めます。
  100. 床次徳二

    ○床次委員 この機会に附帶決議を提案いたしたいと存じまして、提案者、すなわち改進党、自由党社会党を代表いたしまして御説明申し上げたいと思います。  まず朗読いたします。    地方税法改正案に対する附帯決議   将来地方財政の自主性を確保すると共に行政事務の再配分に対処するため、国税その他国庫の收入を大巾に地方に移譲又は還付することを必要と認める、政府は宜しく其の実現に努力すべきである。特に本年度の国会の修正に当つては補正予算提出の際には地方財政平衡交付金を増額するか或は酒煙草の消費税又は還付税を創設する等地方の減收に対し確実に其の財源を補償し以て今回の改正が地方財政を不当に圧迫することのないよう考慮して居るのであるから政府も此の主旨により善処せられたい。  簡單に御説明いたしまするが、決議の前段は、でき得る限り地方財政に自主的の財源を與えるべしという意味でありまして、先ほどの討論にもありましたごとく、法人税割国税法人税として持つて行かれるということはもつてのほかである。今後国税あるいは国庫收入、たとえば酒税あるいは専売益金のごときものを地方に委譲、あるいは還付税として支出すべきである。これにおいて平衡交付金もできる限り減らす必要があると思うのであります。政府はこの方針に沿つて努力すべきであると思います。今回の税法の提案においても、政府説明はさよう考えておるようでありますが、実際においてこれに対する力が足らなかつたということは認めざるを得ないのでありまして、強くここに決議としてこの一点を国会意思として明らかにし、政府の善処を要望しておる次第であります。  後段の点につきましては、過般の改正案に対して修正案が提案せられましたが、この修正は十分に財源を考慮しつつ修正を行つたのであります。すなわちこの財源に対しましては前段に申し述べましたごとく、国庫にありまする收入あるいは国税地方に委譲あるいは還付するという精神のもとに、財源措置をいたしたいというわけでありまして、すなわち補正予算の際におきましては、平衡交付金の増額あるいは酒、タバコの消費税あるいは還付税という形によりまして、大衆の負担増加を来さずして、財源を補充するところの措置を講じていただき、もつて地方財政当局に対しましても、経理上不安の念のないように善処せられたいのであります。国会意思が、絶対に地方財政を窮迫に陥れない、必ず財源措置をするという企図の上に行われておりますことをよく政府も了承せられ、この際この対策を研究の上、でき得る限りすみやかにその措置を発表せられたいのであります。大体この減税につきましては、われわれは十月より実施いたしますとして、五十億円の財源を必要とすると認めておるのであります。なおこの補充措置につきましては来年度におきましてどうするかという問題もありましようが、これは前段に申し述べましたところの原則によりまして、当然これは国の收入あるいは国税等より地方に委譲せられるのが建前であるというふうに、私ども考えておるのであります。  この点ひとつ御了承の上、皆様方の御賛成を得たいと思うのであります。
  101. 野村專太郎

    ○野村委員長代理 ただいまの動議に対しまして採決をいたします。賛成の諸君の起立を願います。     〔総員起立〕
  102. 野村專太郎

    ○野村委員長代理 起立全員。(拍手)よつて動議のごとく附帶決議を付することに決定いたしました。  ただいまの附帶決議についての字句の整理は委員長に一任を得たいと思いますが、御了承願います。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  103. 野村專太郎

    ○野村委員長代理 本案に関する衆議院規則第八十六條による報告書の作成については、委員長一任に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  104. 野村專太郎

    ○野村委員長代理 御異議なしと認めさよう決します。  それでは本日の委員会はこれをもつて散会いたします。     午後二時三十六分散会