運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1952-05-16 第13回国会 衆議院 地方行政委員会 第46号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月十六日(金曜日)     午後二時五十四分開議  出席委員    委員長 金光 義邦君    理事 河原伊三郎君 理事 野村專太郎君    理事 吉田吉太郎君 理事 床次 徳二君    理事 門司  亮君       池見 茂隆君    大泉 寛三君       川本 末治君    佐藤 親弘君       大矢 省三君    立花 敏男君       大石ヨシエ君  出席政府委員         総理府事務官         (地方財政委員         会事務局長)  荻田  保君         総理府事務官         (地方自治庁次         長)      鈴木 俊一君         総理府事務官         (地方自治庁行         政課長)    長野 士郎君         総理府事務官         (地方自治庁財         政課長)    奥野 誠亮君         総理府事務官         (地方自治庁公         務員課長)   佐久間 彊君  委員外出席者         総理府事務官         (地方財政委員         会事務局府県税         課長)     柴田  護君         專  門  員 有松  昇君         專  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 五月十六日  委員有田二郎君、大泉寛三君、永井要造君及び  前尾繁三郎辞任につき、その補欠として門脇  勝太郎君、野原正勝君、田渕光一君及び鹿野彦  吉君が議長指名委員に選任された。 同日  委員野原正勝辞任につき、その補欠として大  泉寛三君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  公述人選定に関する件  小委員会設置に関する件  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第  七四号)     —————————————
  2. 河原伊三郎

    河原委員長代理 開会いたします。  この際お諮りいたします。すなわち地方自治法の一部を改正する法律案に関する公聴会公述人は、一昨日その一部を選定いたしたのでありますが、さらに次の方々を公述人として御意見を承りたいと思います。すなわち会社員田村俊一君、大阪市西成区選挙管理委員長刀山万造君、農業桑原源右衛門君、元東京大学教授安井郁君、この四君を公述人とするのに御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 河原伊三郎

    河原委員長代理 御異議なしと認め、さよう決します。
  4. 門司亮

    門司委員 委員の人選に異議はありませんが、そうしますとかなり人員がふえて参りますので、大体この委員会では一日くらいということになつていますけれども、場合によつては、やはり半日ぐらい延ばしてもらわぬと、十分な質問ということになりますと全部終らぬ。あらかじめ委員長から了承を得ておいてもらいたいと思います。
  5. 河原伊三郎

    河原委員長代理 了承いたしました。     —————————————
  6. 河原伊三郎

    河原委員長代理 この際お諮りいたします。すなわち特別市制に関する調査のため小委員会を設置いたしたいと思います。その人数または氏名は追つて定めることとして、本日のところは小委員会を設けるということのみを、とりきめておきたいと思います。御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 河原伊三郎

    河原委員長代理 御異議なしと認めまして、さよう決しました。     —————————————
  8. 河原伊三郎

    河原委員長代理 続いて地方税法の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際地方財政に関する小委員長より発言を求められておりますので、これを許します。野村專太郎君。
  9. 野村專太郎

    野村委員 私は去る十三日地方財政に関する小委員会において協議、決定いたしました地方税法修正案について、御報告申し上げるとともに、同案をもつて、ただいま本委員会において審議中の地方税法の一部を改正する法律案に対する修正案として、採択することの可否につき、御審議を願いたいと思うのであります。  地方財政小委員会決定いたしました修正案につき、その趣旨並びに内容の概要を御説明申し上げます。  現行地方税法に対する修正意見は、同法が法案として国会審議に付せられた当初から、すでに強く叫ばれて参つたのでありますが、遺憾ながら占領下における諸般の制約にはばまれて、その一部を除いてはほとんど実現を見るに至らなかつたのであります。申すまでもなく、同法はシヤウプ使節団の勧告に基き、地方財政自律性の確立を目標として、従来の地方税制度抜本的変革を加えようとしたものでありまして、その方針において、またその体系において、まことに画期的の名に値する立派な税法であつたことは、これを認めるにやぶさかでないのであります。しかしながら、わが国今日の疲弊した経済ないし国民生活の現実に対しては、やや理想的に過ぎ、そのために負担の激変を生じ、また地方団体間に、はなはだしい税收入の不均衡を招いたような面もあつたのであり、さらに一面戰時中の禁止的な高い税率が依然として温存されているために、入場税のごとく住民に不当な負担をしい、かつ事業の健全な発展を阻害し、あるいは遊興飲食税のごとく税の徴收を困難にし、そのため税法の円滑な運営を防げ、ほとんど税法なきにひとしい混乱に陷つている実態も生じて来ているのであります。かような事態は一刻もすみやかに改善されなければならないのであります。  今般ようやく講和條約の発効を見るに至りましたので、この機会においてわれわれ独自の立場から、年来の宿望の一端を実現したいと考え、各党におかれても修正案検討を進めておられたのでありますが、このほど自由党案と改進党案との調整が行われ、さらに日本社会党におかれても、大体において同調意向を示されましたので、一昨日地方財政小委員会において同案を中心として検討を加えましたところ、一、二訂正を加えた上、各委員賛同を得て、これを小委員会案とすることに決定いたしたのであります。以下その内容を簡單に御説明申し上げます。  修正の第一点は、入場税に関するものでありまして、その一は、禁止的税率といわれる現行税率を一齊に二分の一に引下げることとしたことであります。  その第二は、もつばら純舞踊、純オペラ、文楽及び能楽を研究発表する会場に入場する者、いわゆるプロ野球等職業的運動競技を観覧するために競技場に入場する者、並びにアイス・スケート場を利用する学生生徒について、純音楽またはアマチユアの運動競技と同様、軽減税率百分の二十を適用することとしたことであります。  第三は、現行法では、学生団体、PTA、学校社会事業団体兒童福祉施設等が主催して行う催し物については、その催し物を行うものが学生生徒などのしろうとである場合に限り、その純益の全部がそれぞれ学校社会事業兒童福祉施設等のために支出され、かつ関係者が何らの報酬をも受けないことを條件として、條例によつて入場税を免除することができるものとされているのでありますが、催し物しろうとの出演に限ることはあまりにきゆうくつでありますので、主催者に一定の制限を加えた上で、職業的専門家による催し物をも行い得るように改めることとしたのであります。  第四に、入場税徴税確保のために、二、三の規定を追加したことであります。たとえば、ただいま申しました第三の場合、免税條件に違反したものに対しては、入場税相当額を追徴するとか、臨時の催し物主催者入場税を予納するまでは、入場券等を公給しないことができる等の規定を加えたのであります。  第五に、麻雀場たまつき場等娯楽施設の利用に対する入場税については、課税上、むしろ設備の量や施設の大きさ等を基準とすることが合理的である場合もあるので、これ等の外形標準によることができる道を開いたことであります。  次に修正の第二点は、遊興飲食税についてであります。修正趣旨は、今さら御説明するまでもなく、税率を適正にすることによつて、納めやすく、とりやすい税とするためにほかならないのであります。  その第一は、芸妓その他これに類するものの花代を百分の七十に、料理店、貸席、バー等における遊興または飲食料金を百分の二十に、また料金、地域、その他條例で定める標準によつて定あられる特殊な旅館、たとえば近ごろ流行の温泉旅館等宿泊料金も同じく百分の二十に改め、これら以外の一般宿泊飲食料金は、すべて百分の十に改めることとしたことであります。  第二は、純粋に茶菓またはこれに類する軽飲食を提供する店で、地方財政委員会規則で定めるものにおいて飲食する場合、一人一回百円未満はすべて非課税とし、大衆的な飲食物を安価に提供させようというのであります。  第三に、従来会社等の寮やクラブで無税で行われていた遊興飲食、ならびに客の持ち込みと称して課税を免れて来たもの等をも課税対象とすることができるものとし、さらに知事に対して、特別徴收義務者所得税または法人税基礎なつ売上金額に基いて遊興飲食税の税額を再更正する義務を課することによつて課税嚴正適確をはかるなど、徴收確保措置規定したことであります。  修正の第三点は、電気ガス税について非課税品目を追加したことであります。電気ガス税改正は、理想としては、全般的に税率を引下げるか、または廃止する方向に向うべきものと思うのでありますが、市町村税として普遍的でもあり、しかも徴收の容易、確実な税目であるので、今にわかにかような方向に改め得ない実情でありますので、今回は現に存置されている非課税品目の不均衡、不公平を是正し、かつわが国重要基礎産業の振興の上に、いささか寄與するとともに、貿易の発展、物価の安定に資する趣旨をもつて修正を加えることとしたのであります。追加した品目は、工業製品につきましては、おおむね製品原価電力料金の占める割合が五%以上のものを標準とし、かつ国策的に重要な産業を助長育成する意味を加味して、愼重に研究した結果、選定したものであります。工業と相並んで農業用電力をもこれに加えましたことは、食糧生産重要性から見て当然のことと存じます。ガスについては、市販のガス工業用ガスとの混同を避けるための規定を設けることにいたしました。  修正の第四点は、事業税並びに特別所得税についてであります。その第一は、湯屋業業務公共性から見て、事業税より特別所得税対象とすることを適当と考え、第二に、理容美容業を、衛生的役割において医師に類するという観点から、第二種業務となつているのを第一種業務に改めることを適当と考え、それぞれ変更したものであります。  第三は、昨年来各地に発足を見ました民間放送事業について、事業公共性の点、聴取料金を徴しない点、日本放送協会との均衡点等から、事業税非課税としたことであります。  第四は、新聞業についてでありますが、一昨年の修正により非課税なつたのでありますが、政令によりますと、新聞業時事報道の目的をもつて発行される日刊新聞製作業に限られており、昨年春ようやく通達によつて送達業がこれに加えられたのでありますが、新聞業の他の一支柱たる広告取次業が除外されて来たのであります。この点を是正し、かつこれを法文上明確にすることとしたのが、この修正であります。  修正の第五点は、固定資産税その他についてでありますが、その第一は、国鉄専売公社日本放送協会、やがて発足する日本電信電話公社等、現在国またに公共団体に準じて、地方税の大部分につき非課税の扱いを受けて来たものに対して、一般民間企業と同様に課税すべきであるとする見地に立つて、とりあえず直接本来の事業の用に供しない、たとえば発電施設鉱業施設自動車自転車荷車等に、それぞれ固定資産税自動車税自転車税及び荷車税を課することとしたことであります。  次に農業協同組合を保護助成する趣旨から、その所有する倉庫について、農業用に使用するものの固定資産税非課税としたことであります。  以上が内容の概略でありますが、これによつて生ずる地方税收入の異動は、平年度において約百三十二億の減少となり本年度入場税遊興飲食税及び電気ガス税改正を十月から、その他を公布の日から実施するものとして、約五十億の減收が見込まれるのであります。この減收をいかに補填するかは今後の問題でありまして、われわれは目下大蔵当局とも極力折衝いたしておるのでありますが、酒消費税、またはタバコ消費税を創設するか、あるいはやむない場合は、本年度平衡交付金増額によるか、いづれにいたしても補正予算の際に実現を期したいと考えているのであります。従つて実施時期は入場税遊興飲食税、及び電気ガス税は、昭和二十八年三月までの間で政令で定ある日よりといたし、その他の年税公布の日から実施することとしたのであります。われわれは、本修正が十分満足すべきものであると考えているのではありませんが、やがて政府においても自治制度全般にわたり、諸般の改革を計画している次第でもあり、将来根本的な税法改正が予想されるのでありますから、この際はとりあえず、年来の懸案の一部を実現して、国民の輿望にこたえようとするものであります。何とぞ各位の御賛同を得たいと存じます。
  10. 大矢省三

    大矢委員 今御報告になりました小委員会決定に対して、ちよつと二、三お尋ねしたい。固定資産税その他を、民間団体の経営する事業と同様に、国鉄専売公社日本放逸協会にもかけるということでありますが、この点は今本委員会に提出されておるところの地方公営企業、これらに対してもこれをかけるのかどうかということが問題になつたか、そういうことは全然問題にならなかつたかということをお聞きしたい。
  11. 野村專太郎

    野村委員 一応この際は、従来から他との均衡考えられたものだけについて、固定資産税をかけることに修正案考えております。それ以上には及んでおりません。
  12. 大矢省三

    大矢委員 それでは各地方公共団体の経営するところの自動車、軌道その他の事業に対しては、国鉄専売公社並びに放送協会と同様には、かけないということの方針でよろしゆうございますか。
  13. 野村專太郎

    野村委員 この段階では、一番末尾に申し上げましたように、はなはだ満足すべきものではありませんが、多年懸案になつておりましたものを、一応修正に盛り込んだものであります。特にまた地方自治体におきます財政も、相当困難の度合いが痛感されますので、それらの点から考えまして、一応この程度にとどめております。
  14. 大矢省三

    大矢委員 それからいま一つ、大体修正案に対しては、われわれも同意いたしたいと思いますが、財源確保です。今最後に御説明がありましたように、これの補填として平衡交付金増額か、あるいは配付税として、あるいはまたタバコ専売の一部を地方に委讓するというような、いろいろな話があつたようですが、これは直接関係のある地方財政委員会並び大蔵省に、小委員会として意見をただし、これの可能性を認めておられるのかどうか。小委員会の希望はこれでよくわかるが、そういうことを確かめたかどうか。そうしないと、せつかくこれが修正されましても、財源処置がなければ何かの形において、また地方法定外課税をしたりして転嫁されるおそれが多分にあるので、その点は仏つくつて魂入れずというか、財源処置が確実に得られ、そうして地方財政委員会もまた大蔵省の方も、よろしい、最高意思決定機関国会できめたことに同意します。またしなければならぬという義務を感じているかどうか、そのことを確かめて最後に小委員会として決定されたのか、この決定の後にそれぞれ大蔵省その他の関係に何らかの形で確認さそうとするのか、その点の経過を、せつかく苦労してこしらえられたのでありますから、いろいろとそこに注意して問題が処理されたと思いますが、この機会にひとつその経過をお聞きしたい。
  15. 野村專太郎

    野村委員 ごもつともの御質疑であつて、われわれ修正案を用意いたしましてこれを立法いたしました以上は、多年の懸案でありますので、この法案が通過し効力を発生すると同時にやりたかつたのです。財源等関係から政令にゆだねたというのはその点にあります。大蔵当局なり、また自治庁なり、地財委関係等も、小委員長としていろいろ交渉し、努力をいたして参つたのですが、しかし地財委は、地財委としての意見を発表されておりますのは御承知の通りでありますが、しかし私は政令にゆだねて、次の国会なりに補正予算なり、また国の税を地方に委讓するなり、方途を講じてやりますれば、十分責任をもつて、この修正案実現するものなりと、こう考えております。積極的な立場からは同調は困難かと思いますが、しかし国会においてこれが通過をしますれば協力することを信じて疑わないのであります。
  16. 立花敏男

    立花委員 この修正案では合計百三十二億の減收が見込まれているのですが、そのうち百三十億が道府県税で、市町村税はほとんど減つていない、一億九千万です。全部が道府県税が減つている。結果においてそうなるのですが、これは入場税遊興飲食税が減つているわけですが、特に道府県税に余裕があるから、減らすという考え方であるのかどうか、立案者にひとつ聞きたい。
  17. 野村專太郎

    野村委員 これは道府県税市町村税目標をつけて、彈力性を見て、この修正案はねらつたのではないのでありまして、この委員会は大分前から懸案になつておりましたものを対象にいたしまして、これをやつたのであります。その結果財源処置では、ただいま御説明をいたしたような段階で、これを補填をするというような考えから格別に道府県税市町村税を、その内容を見てこれをねらつたものではありません。しかしこの処置にあたつては十分それぞれの財源欠陷を生じないように、政府当局協力をまつてやらねばならぬとは考えます。
  18. 立花敏男

    立花委員 その善後措置なんですが、このように道府県だけに減税の大平の負担がかかつて来る、しかもこの修正案を見ますと、財源措置の問題が何らかの形においても現わされていないわけですが、これでは道府県が不安を感ずるのは当然だと思うのです。今埼玉と茨城の知事が来ておりましたが、その点を非常に不安に感じられている。この修正案ではそれが何ら保障されていないのです。もちろん何らかの措置をしなければならぬということは言つておられたようですが、しかしそれをはつきりした形で、單にこういうことを口で述べただけでは、自治体としては困ると思うのですが、その点何か明確な具体的な保障を得られることを考えておられるかどうか、その点をひとつ具体的に御説明願いたい。
  19. 野村專太郎

    野村委員 今の御質疑はごもつともでありますので、できれば確実に予算の上に財源確保してやりたいと思うているのですけれども、今回の税法の提案にあたつては、これらの問題は等閑に付し得ないものであります。そこでやむを得ず実施時期を政令にゆだねたというわけでありまして、これに対しては相当政府側においても協力を得られることを期待しておるのであります。決してわれわれ立法の上において、無責任地方財政考えないでやつたのではなく、そこで不満ではありますが、実施時期を政令にゆだねた、こういうことでありますので、次の国会には必ずや平衡交付金なり他の財源によつて十分これは補填し得て、初めて効力が発生するこういうふうに考えております。
  20. 立花敏男

    立花委員 それはさいぜんお話の中に承つたのでわかつているのですが、その程度ではやはりまだ非常にたよりないのではないか。野村さんは非常に政府措置に期待されているようですが、期待だけでは問題になりませんので、あなたがいくら期待されておつても、政府がやるということは、決してこれは保障できませんので、それでは責任もつ立法とは私は言えないと思う。そうして実施の時期を政令にゆだねてあるということですが、その政令によつて実施の時期を確定する場合の條件です、それを具体的にどう考えておられるか。六箇月たてば政令実施するのか、あるいは補正予算等にはつきりした財源措置規定された後に政令実施されるのか、その点をひとつ明確にしていただきたい。それがありませんと、ただ期待する、ただ実施政令にゆだねるんだということになりましても、これはちつとも地方としては安心できないので、財源措置のできない場合に政令実施されることも、その限りではあるわけですから、財源措置が十分できるまでは実施しないということは、立案者意向に明確になつているのかどうか、その点をひとつ。
  21. 野村專太郎

    野村委員 これは今のお話のありましたように、われわれとしてはただこの立法が決して無責任なものではない、また政府側に対しても期待するだけではない、十分努力し、そうして確実にその財源なり、その段階におきまして、これは一つ一つ実現に移すことになるので、そういう見通しから行きますれば、今お手元に配付いたしました資料そのものに対しても、たとえば例をあげてみますれば、遊興飲食税のごときは、私は今度の修正案によつても、そういう数字をあげているような減收は見られないと思うのですが、しかし確実に穴の明かないように、これはその時期において実施することができる、かように考えております。
  22. 立花敏男

    立花委員 それではやはり無責任立案だと言われてもしかたがないと思う。そのくらいのことでは地方は納得しないでしよう。私どももこれは手放しで賛成することはできませんので、その点はもつと明確になさる必要があるのではないか。これはいくら野村さんに言つてもしかたがないので、ひとつ政府に聞きたいのですが、これは大蔵省が来ていないから、はつきりしたことは言えないかもしれませんが、地方財政委員会としては、この修正案についてどういうお考えを持つておられるか、それをひとつお伺いいたしたい。
  23. 荻田保

    荻田政府委員 この修正案を拜見いたしたのでありまするが、これによりまして相当地方税收減少を来しますので、現在の地方財政の状況といたしましては、これをそのままで済ますことはできませんので、税の減りましたことでありますから、税をもつて補填されるか、あるいは次善的にほかの財源をもつて補填されるか、それがなければならないものだと思います。個々の内容につきましては、現在一般からもいろいろ論議になつております問題でございますので、それを取上げてありますから、大部分においては財源さえあればいいとは思いますが、中に数点、他の税負担等とからみまして適当でないと、われわれ自身は考えておるものもあるのでございます。
  24. 立花敏男

    立花委員 その数点の箇所をひとつ御指摘願いたいと思います。それからそのほかに、これはわかる範囲内でけつこうだと思いますが、地財委なり大蔵省として、これの財源的な措置ができる見通しがあるかどうか。これは国会できめればよいのだということにもなると思うのですが、実際上政府としてこの財源措置ができるのかどうか、この見通しを承りたい。野村さんの説明によりますと、政府補正予算を組むだろうと言つておられますが、補正予算に計上される見通しがあるかどうか、あるとすれば、いつごろの時期にどのくらいの額でやられるのか、それを一つ具体的にお答え願いたい。
  25. 荻田保

    荻田政府委員 まず最初に、この案につきまして二、三われわれが疑問に思います点を申し上げますと、遊興飲食税につきまして、いわゆる軽飲食免税規定が出ております。その中に、一人一回の価格百円未満のもの、こういう規定になつておりますが、この点は、おそらく課税の実際にあたりまして、徴税する側と、納税する側とにおきまして摩擦が起る。見解の相違等からして相当問題になる。従つて結果的に脱税を引き起して、他との負担均衡上おもしろくない点があるのではないかと考えます。従いまして、もし軽い、いわゆる庶民的な飲食について免税しようというのでありまするならば、大体一品の価格というような点で押えまして、それも三十円くらいのところで線を引いたらいいのじやないかという考えを持つております。  それから次に電気ガス税免税品目相当多くふえておりますが、元来この規定自体につきまして、むしろ制定当時の情勢と、物価統制等がはずれました結果、違つておりますので、あまりこれを拡張して行くことは好ましくないのでありますが、しいてこれを拡張するとしても、中に含まれておりますアルミナであるとか、苛性ソーダ、硫酸、合成繊維等につきましては、これは他との均衡もありますから、入れない方が適当じやないかという考えを持つております。  次に事業税につきまして、湯屋業、理容業をそれぞれ一段階ずつ安い方の税率にかえておりまするけれども、これらにつきましては、これと同じような、いわゆる相当公共的なものであり、しかも勤労を主とするというようなものが、普通の税率であるにかかわらず、このような業態で、相当固定資産等も使つてやらなければならないというものに軽くするのは、適当でないという考えを持つております。  それから民間放送事業非課税にしたり、あるいは新聞業免税の範囲を広げるということは、このような税は、同じく国税、法人税対象になつておるのでありまして、これについて何らの措置も講じない。国税はとりつぱなし、しかるに地方税だけ免除するということは、むしろこういう地方税は、いわゆる応益的な原則を主体に考え従つて国税は免税になつても、地方税はとつてもいいという原則はむしろ考えられますが、国税はとつて地方税をとらないというようなことは、適当でないという考えを持つておるのであります。  それから次にこの減收補填の問題でありますが、これにつきましては、私ども、ただいまといたしまして、これをどうするという考えは持つておりませんが、修正案もやはりそれをにらみ合せて、施行の時期を政令できめるとございますから、この点は今後政府部内におきまして折衝して、適当な措置を講じた上で、政令を制定すべきものだと考えております。
  26. 立花敏男

    立花委員 そういたしますと、財源措置ができない場合は制定しない方がよいというお考えでありますか。
  27. 荻田保

    荻田政府委員 もちろん、これは財源措置がありませんでしたら、制定すべきでないと考えます。
  28. 立花敏男

    立花委員 そういたしますれば、やはり法案の中にそれを明確にうたつておく方がいいのじやないかと思いますが、その点どうですか。
  29. 荻田保

    荻田政府委員 法案には施行の時期がはつきりしておりませんから、それまでの間においてできるか、できないかをきめればよいものだと考えております。
  30. 立花敏男

    立花委員 この施行の時期は政令にゆだねられているだけで、はつきりしない。従つて財源措置ができなくてもやられる場合がありますので、それでは非常に困ると思うのですが、その点をどうお考えになりますか。
  31. 荻田保

    荻田政府委員 財源措置ができない限り、政令を出すべきものではないと考えております。
  32. 立花敏男

    立花委員 その点の保障がこの法案ではありませんので、何かその点を保障しておいた方がよいのじやないかと思うのですが、その点を……。
  33. 荻田保

    荻田政府委員 もちろん、これは法律的にはつきりした方がよりよいと思います。しかしいずれにいたしましても、この年度内におきましては、財源措置をしてから政令を出せば、その処分におきましても、財源的に欠陷を生じないことができるわけであります。もちろん四月以降におきまして、来年度の問題といたしましては、これはどうせ一般予算決定するときでありますから、この趣旨を織り込んだ上で地方財源計算をしまして、適宜な措置がつくものだと考えております。
  34. 立花敏男

    立花委員 それから、この案で不適当と言われた中でもう少し聞いておきたいのは、要するに湯屋業あるいは理容業等をやることは、他の同じようなものとの不均衡が生ずるので、適当でないと言われたのですが、具体的にどういう同じようなものをお考えですか。
  35. 荻田保

    荻田政府委員 湯屋など、相当大きな資本をもつてしか成り立たぬのでありますが、それに対しまして小さな工業、たとえば、とうふ屋にしろ、洗濯屋にしろ、もつとはるかに小さな資本で、ほとんど勤労本位でやつて行ける、そういう仕事がたくさんあるのでありまして、こういうものとの均衡がとれないという考えであります。
  36. 立花敏男

    立花委員 提案者にお聞きしたいのですが、今言われましたように、湯屋業などについては、そういう大きな不均衡が生ずるおそれがあるのですが、その点をなぜ省かれて湯屋業だけをお入れになつたのか。理容業も同じだと思うのですが、その点を調査されたのかどうか、あるいは陳情に参つたものだけをお取上げになつたのか、この点をひとつ……。
  37. 野村專太郎

    野村委員 この事業税におきまして、湯屋業については、国民保健衛生の上から、しかも料金国民の実生活に即応するように、ある程度まで規制されておるような状況でございます。そういう点から考えまして、この地方税修正に対しては長くこの委員会考えられておつたことでございますから、一応国民保健衛生の上と、その料金の現実という点から考えて、これを一段階進める。それから理容業につきましては、他の方に類似のものもあろうと思いますが、これもそういう観点から特に勤労を中心にするものでもありまするし、保健衛生の上から、その施設においても非常に期待するところを持ちながら、これを取上げたわけです。
  38. 立花敏男

    立花委員 野村さんにお聞きしますが、もう少しこの精神を拡充されて、類似の業種全体をやられる意図はないのかどうか。  それから財政委員会の方にお聞きしますが、そういう類似の業態を全部あげていただけるかどうか。せつかく自由党の方でも、こういうものは免税にしようという意図があるのだから、この際それを徹底して、同じ業種のものは不均衡にならないように、やつた方がいいと思うのですが、そういう資料をお出し願えるかどうか、これを聞きたい。
  39. 野村專太郎

    野村委員 このほかにも相当考えなくちやならぬ業態はあろうと思いますが、しかしさつき御質問のありましたように、これに対する財源とか、そういう点もいろいろ考えながら、一応最小限度やむを得ざるものとしてこれを取上げたのです。ほかに他意はないわけです。
  40. 荻田保

    荻田政府委員 これはいろいろ考え方もありますが、小さな労力を主体とするような業態につきましては、一般的に税の軽い方がしかるべきだと思いますが、しかしそれにつきましては、政府原案で出しております事業税改正案に基礎控除の制度をつくるということによりまして、小さい規模の事業者は相当軽減になるのでありますから、今回はこれをもつて十分であつて、これ以上に税率について差等を多くする必要はないと考えております。
  41. 立花敏男

    立花委員 それから電気ガス税の問題ですが、地方財政委員会の方も意見があるようですが、ちよつと提案者にお聞きします。かん水沃度というものはどういうもので、何に使うものですか。
  42. 野村專太郎

    野村委員 この電気ガス税非課税の範囲の拡大に対しては、さつき提案理由の説明でも申し上げました通り、いろいろな考え方、全体に課税をして税率を下げる、こういうような方途も考えられるのですが、一応従来から不均衡なものを是正する。今の御指摘の方面には実は私はしろうとでしてわからないのですが、これは従来化学工業会なり、あるいは通産省なり、自治庁等のいろいろな意見を徴しながら、一応この業態を追加することが妥当であるという見解のもとに、委員各位にもお諮りをいたして一応きめたわけです。
  43. 立花敏男

    立花委員 よくわからないものが妥当であるというのはちよつとおかしいのですが、わからないのに妥当だということは言えないと思うのです。かん水沃度とか、かん水臭素とか、これは私ども見たこともないし、聞いたこともないし、ちよつと困るのですが、野村さんもお知りにならない、こういうものを免税することが妥当だと言われるのは、すぐに私ども納得できないのですが、この点をひとつ明確にしていただきたいのです。  それから地財委の方にお尋ねいたしますが、情勢の変化があつたから、こういう電気ガス税免税はやらない方がいい、もちろん全体ではありませんが、言われたのですが、その情勢の変化とはどういうことをさしておるわけですか。
  44. 荻田保

    荻田政府委員 情勢の変化と申しましたのは、物価統制というものがなくなりまして、いわゆる公定価格がありましたものにおきましては、この原価をふやすというようなことは避けた方がいいというので、ある程度免税品目をあげたわけですが、大体それがなくなりましたから、すでにその存在価値がなくなつた、こういうことを申し上げたのであります。
  45. 立花敏男

    立花委員 合成繊維を特に指摘なさつたのですが、合成繊維については特に何か適当な理由があるわけですか。
  46. 荻田保

    荻田政府委員 合成繊維につきましては、原価の中に占める電気料金の割合があまり高くありませんので、どういうところで線を引くかということは問題でありますが、一応そういう面から線を引きますれば、合成繊維など入れる必要はない、こういう考えです。
  47. 野村專太郎

    野村委員 このかん水沃度は、これは通産省の方から意見も徴し、それからその占めるパーセンテージも一〇・六となつておりますので、そういう点から、委員各位の意見も徴してその中に加えたわけです。
  48. 立花敏男

    立花委員 單に一〇・六とか何とか言われましたが、そういうことで減税をやられるなら、減税をやらなければならぬものはほかにたくさんありますので、どうも根拠が薄弱で、わからないものがずつと並べてあるような気がするのですが、この点、根本的な態度として、もつとほかにもやる必要のあるものがあるのではないかと思うのですが地財委の方にもいろいろな意見があるようですし、納得できる意見もあるので、こういう工業製品に要するところの電気ガス税免税するということは、あまり適当でないのではないかと思う。最近電気料金が二割、三割上るというような情勢のりもとに、こういう工業製品、資本家の製品がどんどん免税になつて行く。委員も十分わからないようなものを免税にして行くということは、これは国民感情の上からいつても納得できないんじやないか、こういうことをどうお考えになつているか、ちよつとお聞きしたい。
  49. 野村專太郎

    野村委員 わからないと申し上げたのは、謙虚な気持で申し上げたので、私といたしましては、専門のいろいろエキスパートとか、また所管の通産省なり、いろいろ減税するについては、先ほど申し上げたように、化学関係なり、こういうような生産関係に対して、これを奨励助長するという意味で、従来の均衡のとれていないものを追加をいたしたので、そういう点から、われわれの足らざるところはいろいろな各方面の意見を徴しまして、これが妥当なり、こういう観点から追加をいたしたのでして、どうかその点で御了承願いたいと思います。
  50. 立花敏男

    立花委員 私は決して野村さんの知らないものを追究するという意味でありませんで、これは私も知らない。問題は、均衡をとるために追加されたと言われますが、均衡をとるために減らす場合もありますので、その考え方の相違だと思うのです。今までの電気ガス税免税が、とらなければならぬものまで免税しているものがありますので、それをとるようにすればいいので、あらためてとらないものをふやす必要はないじやないか。むしろそういうものをどんどんとつて、大衆課税を減して行つた方がいいのではないか。均衡だけを理由にされるなら、とる方へ均衡化されればいい。とらない方へ均衡化されれば、今度は全部とらないようにずつと並んで、ほとんど工場生産品はとらなくてよいという、とらない方の右へならえが出て来て、その穴埋めを大衆課税でやられるという危險があるわけです。だから財政委員会言つておりますように、情勢の変化がありまして、今までとらなくてよいものでも、やはりとつた方がよいという情勢が出て来ていると思いますので、その点の根本的な考え方を承つておきたい。
  51. 野村專太郎

    野村委員 この電気ガス税に対しては、まだ追加を考えられる向も相当あつたのですが、いろいろの方面から意見を徴して——今立花君のお話のように、電気ガス税に対しては将来また再検討せなければならぬ時期もあろうと思いますから、一応現在行われております非課税品目に対してのある線を引いて、これがバランスをとつたという以外に何物もない。私の知らないところはまたいろいろお教しえをいただければ、非常にいいのじやないかと思います。
  52. 立花敏男

    立花委員 最後に——電気ガス税最後でちよつと聞いておきます。こういう工業製品ばかり電気ガス税免税をやらず、庶民の電気ガス税免税、あるいはさいぜんから問題になつております小さい労力を用いて電気を使つているパーマネント屋さんとか、洗濯屋さんとか、パン屋さんとか、こういうところの電気ガス税免税はお考えにならないのですか。
  53. 野村專太郎

    野村委員 これはごもつともでありまして、財源が許すなり地方財政が充実をいたして行きますならば、これを広げて行くべきであろうと思います。今お話のありましたほかにも、教育関係、大学や何か、あるいはパルプの関係とか、業態が希望しているからといつてこれを考えて行つているのではないのでありまして、衆知を集めて、財源の許す限りなるべく均衡をとりながらこれに集約いたしたつもりなのです。美容関係の方は一応理容業の方で落して参ります。なるべく地方財政を充実しながら、将来はむしろ撤廃できればけつこうですが、今の段階では一応やむを得ざるものとしてこれだけを考えたのであります。
  54. 立花敏男

    立花委員 やむを得ないことはないと思うのです。こんなにたくさん工業製品電気ガス税免税をやるならば、この前も文部省ですか、東京大学の研究室で使いますものの電気ガス税免税言つて来ておりましたが、ああいうものはこういうものよりも、もつと優先的に免税されるべきだと思います。こういうところを免税する財源があれば、そちらの方へおまわしになればいいと思う。ただ前にこういうものを免税しているから均衡上これをやるのだということだけでは私ども納得できません。これだけの工業製品免税をやるならば、教育に使つている東京大学の研究室の電気ガス税、こういうものは当然免税すべきじやないか。だから財源の問題は理由にならないと思う。これだけの免税をやる財源があるのだから、それならば当然優先的に東京大学あるいはその他の教育施設の、研究に使つているものの電気ガス税免税すべきだと思う。その点はなぜおやりにならなかつたか。
  55. 野村專太郎

    野村委員 教育関係、大学や何かに対する御意見はごもつともなのです。しかしこの税対象は約四億に近いので、これはさつき御指摘のありました財源措置ができる段階におきまして、われわれとしてはそういう面まで拡大すべきであろう、かように考えておるわけです。決してこれを冷視したのではないのですが、一応従来この委員会として、中島委員長時分から考えておつたものを中心にして取上げたわけです。
  56. 立花敏男

    立花委員 電気ガス税免税は主として工業製品、こういうものが四億七千九百万円ですか免税されまして、大学の研究に要するものの電気ガス税免税は、文部省の持つてつておりましたのは、全体で約一億であるというのですが、これがやれないはずはない。一部分を削つても一億くらいの大学の研究に要するものの電気ガス税免税はできるはずなのです。私は当然これを入れるべきだと思う。そういうものを入れないでこれだけやりますと、この修正案は明らかに産業資本本位のにおいが高くて、ちつとも文化性が盛られていないということが言えると思います。この点やはり考慮された方がいいのじやないか。  それから遊興飲食税ですが、会社が脱税をやつております会社の寮、クラブ等の遊興飲食税をとるというのですが、一番よくやつておりますのはお役所です。これをなぜ省かれたか。これは堂々たるものをやつておりまして、東京には地方の各県の料理屋がありますし、市の料理屋があります。これはたいへんなのですが、会社の寮やクラブだけおとりになつて、官庁がそういう脱税をおやりになつているのをなぜとらないのですか。
  57. 野村專太郎

    野村委員 今度の修正案においては文化性に対してはかなり盛り込めたと思うのです。たとえばいろいろの入場税関係におきまして、文化的なものを相当取込んでおります。ただ消費関係ばかりでなく、生産関係、厚生関係、そういうようなことをにらんで、財源見通しのつく範囲内において、修正案に盛り込んだつもりです。ただ欠けておりますところは、今御指摘になつた文教関係、それから医療関係、こういうところが欠けていると言えば欠けていると思います。しかしこれは財源等の心配もありますので、一応今度の修正案としては最小限度に集約いたしたようなわけです。  それから従来問題となつておりました会社の寮等の持込み飲食は、今度四億に近いものをこれで捕捉するつもりで、これは相当飛躍したつもりです。もちろんこれと類似の、今御指摘の官公庁のものが、かりにあるといたしますれば、これは捕捉の対象になる、かように考えます。
  58. 大矢省三

    大矢委員 ちよつと、先ほど聞き漏らしたので一点だけお伺いしたいのですが、今度の入場税改正によつて、平年度は五十八億六千万という相当の値下げになりますが、前に率を下げたときにはこれと並行して入場料を下げるようにということを希望して、一部それが実施されましたが、その後物価指数の値上りによりまして、それが私どもの希望を十分満たし得なかつたのは、はなはだ残念であります。今度こういう厖大な値下げにおきまして、業者の困難なことは私どもよく知つておりますから、一般入場料に対して減税したこのままの率を下げろということは無理かもしれませんが、これだけの大きな値下げに対して、そのまま業者に入るということはどうかと思う。と申しますのはほかにたくさん減税の希望のあるのをとりあえずということで、これだけをこういうように特にしたのでありますから、一般にもそれが影響があるように、入場者に対して現在の率を下げるか何かしないと、このままで行きますと、これだけ全部ではありませんけれども、業者に対して相当な増收になる。そこでそういうことに対する注意と申しますか、希望付と申しますか、條件付と申しますか、そういうものによつて率を下げて、全額とは言わぬが、減税になつた分が一部は大衆のためにもなるというようなことをやる御意思があるのかどうか。これはここまで改正したのだからそこは業者の良心にまかすということですか。  それから今長い間議論があつたのですが、小委員会立花君のような熱心な議論がかわされてこれが出て来たと思うのですが、今までの希望があつたものをそのまま寄せたのか。小委員の一人である立花委員と、こまかい問題にわたつて長い間議論されているが、小委員会で議論されずにこれは出て来たのか。賛成反対は別でありますが、この案は小委員会案として出て参つたのですから、相当委員の間に議論が盡されておると私は思つておつたのです。それが今いろいろ議論しておるところを見ると、ほんとうに議論されなかつたのですか、その二点です。
  59. 野村專太郎

    野村委員 この入場税につきましては、前回十五割から十割に下げました。これはいわゆる大衆観覧者のためにというので、この委員会としては下げただけ料金を下げるということを期待し、業者も一部においては値下げを実行したようですが、全体においては満足すべきものがなかつたようです。そこでこの問題も相当各党の間でも御論議になり、委員各位でも関心があつたところですが、しかしそのときにおいても、経営なり映画製作なりにも相当無理があつたのです。そういつた点から作品もいろいろ相当低俗なものができたり、そういう点からも委員会としては考えなければならぬと思つております。しかし今回は相当な減税ですから、この料金についても、関係の業界において、われわれとしては大衆の料金にも好影響を持つようなふうに強く期待いたしておるわけでありますが、しかしこの入場料金は、地方においては、遊興飲食税的な性格に堕してしまつておる面も相当ありますので、またこの料金を下げることによつて、良心的な作品、経営の上にもいい面と同時に、観客の動員数なども増加することも期待し、自治庁考えているほど減收がないのではないかと思います。むしろ悪徳の業者は料金を下げること、税金を下げることは好まない向きもあるようですが、しかし私どもは業者の希望によつて、これを取上げているのではないのです。健全なる文化というものを期待しながら、いかに考えても入場税の五割というものは非文化的である。こういう見解からこういうような修正案が、小委員会としては、回数は必ずしも多いとは言えませんが、これは長い間の問題でもありますし、各党においてもこの小委員会の結論を得るまでに、相当御論議を盡していただいたようですから、十分これを補うことができると思います。そういう点からわれわれとしては、この減税をすると同時に、料金の上においても十分これを大衆のためにもいい結果を実現するように期待をいたしておるわけであります。
  60. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 私荻田さんにちよつとお聞きしたいのですが、私途中から入つて参りましてはなはだ御無礼いたしますが、ここに軽減税率百分の二十のうちに純舞踊、純オペラとありますが、この言葉について詳細に御説明を願いたいと思います。
  61. 荻田保

    荻田政府委員 われわれ提案したものではありませんので、この提案者の真意を御説明申し上げられるかどうか保証できませんが、この言葉から受取れます私自身の見解を申し上げて御参考に供したいと思います。これはおそらく前の改正案のときに純音楽という言葉が、この軽減税率適用の方に入りましたので、それとの均衡上純舞踊とか純オペラとかいう言葉が入つたのだろうと思います。おそらくこの純ということには二つの要素があるんじやないか。一つは純舞踊といえば舞踊だけ、舞踊の中へお芝居が入つたりほかのものが入つたりしない。純オペラもそういうオペラだけ、こういう意味で純という字を使つたのだろうと思います。それからもう一つの意味は、おそらく文学の言葉に純文学とか大衆文学とかいう言葉があつて、いわゆる大衆的といいますか、大衆的というと語弊があるかもしれませんが、享楽的なものではなくて、純芸術的な作品であるとか、そういう意味で、興業的な舞踊、オペラじやなくて、純粋に芸術的なものである、こういうふうに規定されておるんじやないか。これは私が想像するわけであります。
  62. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 しからばお尋ねしますが、藤原義江がオペラをかりに開演したとする。そうすると藤原義江のオペラは純オペラというような名前はつけぬのですか。こういう法文にしておきますと、衆議院の権威に関するのです。それでは芸術、つまり純舞踊とは何をさして言うか。オペラはこれはオペラです。オペラに純と不純はないはずなんです。オペラはこれはオペラ。そのオペラに純がつくことはどうかと思う。それから音楽というものは、歌謡曲と、それから純音楽と称していらつしやるのは、つまりクラシツクのもの、それをここにはつきりしないと、専門家が見たらどうかと思うと思うのです。あなたのお考えはどうですか。
  63. 荻田保

    荻田政府委員 実はおつしやる通り純音楽の解釈でも、相当実際に運用いたしますものは、いろいろ見解の差があつて、徴税上やりにくいところがあるのでございまして、ことに純舞踊、純オペラという言葉が入りますと、相当問題になると思います。こういう立法ができました以上は、先ほど言うたような解釈で押して行けばいいんじやないかという考えでございます。
  64. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 それだつたら、これはオペラはオペラに違いないのでございますから、世界中どこへ行きましてもオペラはオペラなんですから、私は純という字をお抜きになるのがあたりまえだろうと思います。それから純舞踊とは何をさして言うか。非常にこれは広範囲なものでございますから、この点において脱税の憂いがありますから、どういうものをさして純舞踊と称するかということを、ここに精細に私は入れる必要があると思う。それから荻田さんにお聞きするのですが、ただいまダンス・ホールへ行きますと、とにかくどこへ行つても税金が非常にかかつて高い。しかしダンスの教習所へ行けば無税で踊ることができる。それでダンス・ホールが、ホールとせずに、ダンスの教習所として営業したら脱税ができる。こういうようなことがあるらしい。そういう辺も皆さん方お考えなくして、地方税が非常に軽減した軽減したとおつしやいますが、こういうような脱税の見地を脅さんよく御存じありませんか。この点についてどういうふうにお考えになつておりますか。それを私に教えていただきたい。
  65. 野村專太郎

    野村委員 どうもまことに恐縮ですが、最近音楽、純音楽を前回参議院の方で取上げてから、こういつたようなことは間々言われておるようですが、純舞踊の方はやはり興業的なものでない意味のことをねらいまして、この舞踊のうちにも都おどりですとか東おどりとかありますが、しかし大体において興業的な演劇とは別な舞踊を表現するために、純音楽というものを前回に税法上にあげたものですから、ここに純舞踊という表現をいたしたほかに他意はないのです。このオペラというものは今高邁なお話を伺いましたが、これはその内容に対しましては、いずれ政令なり通牒等をもちまして、明確にいたして行きたい、かように考えております。提案者といたしましては、純ということを、御指摘の通り委員会の権威といいまするか、そういうことのためにこれをとりますことには決して異議はございません。
  66. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 それからバレーとストリップ・シヨウとを皆さん方どういうふうにお考えになりますか。ちよつと考えると、浅草あたりでバレーとストリップ・シヨーは同じように裸でやつている。そうするとストリツプ・シヨウもいわゆる舞踊の中に入るじやないか、こういうような考え方をすると、非常にまたこの際脱税の手助けをこの法文ですることになりますから、ストリップ・シヨウというものはこの限りにあらずとか何とか、その辺の限界を明らかにしないと、これは石井漠さんのようなほんとうにバレーをやつておる人は、こうした百分の二十にしてもよろしいのですが、浅草、銀座あたりでやつておるようなストリップ・シヨウとバレーとの限界をどういうようにして区別するかということを、法文ではつきりしておきませんと、脱税されるおそれがあると私は思うのですが、荻田さんどういうふうに思われますか。
  67. 荻田保

    荻田政府委員 先ほど申しましたように、純音楽の定義も現在多少あやふやで非常に困つておるわけでありまするが、なおこのほかにこの軽減税率の適用を受けますについては、純舞踊とか、純オペラということだけではなくて、研究発表とか普通の興行的にやつている場合には、全然適用がないのでありますから、そういうところと関連してみますと、おのずからこれをやる人、それからふだんのやつている状態とか、あるいはその劇場の場所とか、あるいはその興行の形式というような点から、ある程度は線が引けるのではないかと思います。もちろんおつしやいますように、その限界点に行きますと、非常にあやふやなところが出て来まして、困るところもあると思いますが、現在の純音楽というものを準用している程度には、やつて行けるのではないかという考えを持つております。
  68. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 それでは荻田さんに質問しますが、従来の歌謡曲は純音楽でないのでしよう。そうしたらここへ音楽とはクラシツクものをさすという段落をつけて書かないと脱税します。歌謡曲はどうなるのですか。歌謡曲を歌う人はこれで脱税行為ができるじやありませんか。やはり段落をつけて純とはクラシツクものを言うということをちよつと明記しておかなかつたならば、歌謡曲を歌う人はやはり脱税するじやありませんか。その点あなたの見解をお聞きしたい。
  69. 荻田保

    荻田政府委員 おつしやいますように、原則としましていわゆる新しい歌謡曲、民謡等を歌いますのは純音楽ではないわけでありまするが、同じ佐渡おけさを歌いましても芸術的に歌いますと、これは純音楽になるものもあります。それからまたおけさをおどりましても、やはりバレーの人がやりますとこれは純舞踊となるというものも例外的にあるわけであります。
  70. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 ではお尋ねしますが、なくなつた三浦環さんが歌つたああいうものこそクラシツクもので、ほんとうの純音楽です。じや佐渡おけさや炭坑節を歌う、これも音楽と言えば脱税するじやありませんか。その辺をはつきりしてほしいと私は言うのです。そうでないと、こういう法案をつくると笑われるのです。そして純舞踊心々々といつても、あのストリップ・シヨウと石井漠のおどる舞踊とを一つにする、そうして裸でおどるもるは純舞踊、バレーと同じである。これを区分しないと彼等が脱税を考える余地を多分に残すということを私は申し上げるのですが、脱税しないようにしてほしい。それからダンスホールヘみな行かない。なぜ行かないかと言えば料金が高いのです。それが教習所へ行けば安く上る。やはりその辺にも脱税の拭け穴があるのです。税金が足りぬ、税金が足りぬと言つておるが、脱税している者がたくさんあるじやありませんか。そうするとダンスホールと教習所をどういうふうにお考えになりますか、それをお聞きしたい。
  71. 荻田保

    荻田政府委員 この点につきましては、われわれとしましては、もちろん立法される以上は、はつきりしていただきたい。先ほど申しましたように純音楽で、ある程度限界がはつきりしませんので、相当運用について摩擦の起る面もありますから、もしあらためて立案されるなら、はつきりした言葉を使つていただく方が、もちろんわれわれは好ましいことと考えております。  第二のダンス教習所の問題でありますが、これは事実の判断の問題でございまして、ほんとうの意味におきまするダンス教習ならこれはとりませんが、ダンス教習所でダンスホール類似の行為を行つておる場合は、これはダンスホールとみなしてとるという方針をとつております。
  72. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 大体今の教習所というものはダンスホールなんです。脱税のためにダンスホールというのを小規模にして、そうして脱税目的のためにダンス講習所にして、おどる者はダンスホールへ行かずに、やはり安い方へ行つておもしろくおどつた方がいいのではないか、こういうことになる、それで脱税しておるのです。この点もここに私ははつきり明示していただきたいと思います。どうぞ野村先生、この点まことに私は相済みませんけれども、お考え願いたいと思います。  それからさつき立花先生が会社の寮、クラブ等における遊興云々とおつしやいましたが、それについて私たちの知つておる厚生省とか運輸省とか、いろいろな官庁の方のおとまりになるところが京都にずいぶんございますが、あの人たちは全部脱税して盛んにそこへ芸者が入つておりますが、これはどんなものでありますか、お答え願いたい。あなたもそういうことをなさるかどうか知りませんが……。
  73. 荻田保

    荻田政府委員 これはただいま事務局の方からお配りしました修正の法文を見ますと、はつきりと「会社の寮、クラブ等における遊興飲食及び持込飲食に対しても課税することができるものとする。」と書いてありますから、別に会社に限りませんで、役所にそういうものがありとすれば、もちろんこれに該当するものだと考えております。
  74. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 それでは会社の寮クラブと並べて各官衞の寮ということを入れていただけませんか。それを入れなかつたならば不明瞭じやありませんか。会社やクラブの者は税金をとられて、そうして官僚の遊ぶところは税金をとらない。これじやあんまりへんぱじやありませんか。ゆえにこの中に運輸省その他のいわゆる官庁の寮に対しても課税するということを、ここに入れていただきませんと、私は納得いたしません。あなたはどういうふうにお考えでございますか。
  75. 荻田保

    荻田政府委員 この法案の方には会社とも役所とも書いてないのです。要綱の方に出ているだけです。それから現にもうすでにたとえば熱海、箱根にあります役所の共済組合とか、役所の職員の宿屋、こういうところではちやんととつております。
  76. 河原伊三郎

    河原委員長代理 本日はこれにて散会いたします。     午後四時十分散会