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1952-05-12 第13回国会 衆議院 地方行政委員会 第42号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月十二日(月曜日)     午前十一時三十八分開議  出席委員    委員長 金光 義邦君    理事 河原伊三郎君 理事 野村專太郎君    理事 吉田吉太郎君 理事 床次 徳二君    理事 門司  亮君       池見 茂隆君    大泉 寛三君       前尾繁三郎君    鈴木 幹雄君       藤田 義光君    立花 敏男君       大石ヨシエ君  出席国務大臣         国 務 大 臣 岡野 清豪君  出席政府委員         総理府事務官         (地方自治庁財         政課長)    奥野 誠亮君         文部事務官         (初等中等教育         局長)     田中 義男君  委員外出席者         総理府事務官         (地方財政委員         会事務局府県税         課長)     柴田  護君         文部事務官         (初等中等教育         局庶務課長)  内藤誉三郎君         専  門  員 有松  昇君         専  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 五月十二日  理事大泉寛三君の補欠として吉田吉太郎君が理  事に当選した。     ————————————— 五月十日  警察法の一部を改正する法律案内閣提出第二  一九号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事の互選  地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案  (内閣提出第一二三号)     —————————————
  2. 金光義邦

    金光委員長 これより会議を開きます。  この際お諮りいたします。理事である大泉寛三君より理事を辞任したき旨申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 金光義邦

    金光委員長 御異議なしと認め、さよう決します。つきましては理事補欠選任を行いたいと思いますが、これは投票の手続を省略して、委員長より指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 金光義邦

    金光委員長 御異議なしと認め、吉田吉太郎君を理事に指名いたします。     —————————————
  5. 金光義邦

    金光委員長 地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案を議題として質疑を行います。質疑を許します。床次徳二君。
  6. 床次徳二

    床次委員 ただいま審議中の平衡歩付金法案のうち、教育費に関してお伺いいたしたいのでありますが、今日文部委員会において義務教育費国庫負担の問題について考慮しておられるようでありますが、今日研究しておられるところの負担法と、それから本法に計上せられておりまする教育費測定単位単位費用との関係について、お話願いたいと思います。私の主として伺いたいのは、現在の本法によりますところの測定単位並びに単位費用教育費をもつて、はたして現在所要されておりますところの義務教育実施にさしつかえがあるかないかが第一点であります。  なお今日考慮せられておりますところの義務教育費国庫負担法案なるものの内容について御説明を伺いたいと思うのであります。
  7. 田中義男

    田中政府委員 文部省といたしましては、現在平衡交付金の中において計算されている基準によります場合に、その学校規模従つて教員数算定等において私どもの期待しているところと多少不足がございまして、それでは十分な充実ないし振興を期し得ない点についての心配をいたしておりますので、さらに一層それらの点についての基準引上げを願いたい、かように考えまして、それぞれ折衝を続けておつたのでございます。  それから第二に御質問になりました、ただいま文部委員会の方に提案せられている義務教育費国庫負担法概要でございますが、その提案理由によりますと、一応義務教員費についての教職員給与費教材費に関しまして、その総額の二分の一を下らない額を国庫において負担をする。その配分基準あるいはその他配分に関して必要な事項は、地方税法改正等関連をいたさなければ決定し得ませんので、別にあと法律で定めるというようなことになつております。  それから義務教育学校校舎の建築に関しまして、別に地方債を起すことができるような特例を設けまして、地方財政法の規定にかかわらず、建設事業費について地方債をもつて財源とすることができる。しかもその内容は、大体義務教育学校校舎を五十年で一応更新することができるために必要な額の起債を確保しようというような内容になつております。なおその地方債財源といたします校舎建設事業費その他必要な事項については、これまた別に法律で定める。それからなお義務教育学校戦災復旧災害復旧等に要する経費につきましては、それぞれ二分の一を負担するというふうになつております。なおこれらの内容は、昭和二十八年度から実施するのが適当でございまして、二十七年度につきましては、すでに予算等も確定したことでございますし、地方財政平衡交付金制度の中で、その趣旨になるべく沿つた実施をするということについて、教職員給与費についてはその算定基準特例を設ける、こういうふうな概要となつておるのでございます。
  8. 床次徳二

    床次委員 ちよつと数字がはつきり了解できなかつたのでありまするが、第一の問題といたしまして、現在平衡交付金法案に盛られておりますところの教育費単位測定並びに単位費用に対する文部省側の希望と、今日提案されているものとは食い違いがある。むしろ基準引上げを希望しておるように御答弁がありましたが、しからば大体現在の平衡交付金法案における数字に対して、どの程度の増額を希望しておられるか。何か具体的な数字を持つておられますか。この法案の第十二条に具体的な数字があがつておりまするが、これに対しましてどの程度費用引上げを希望しておられますか。材料があれば御説明いただきたいと思います。
  9. 内藤誉三郎

    内藤説明員 ただいま局長から基準引上げということを申されたのですが、この平衡交付金法算定基準をむしろ合理化をするという意味で、児童、学級学校という三本建になつておりましたのを、実際の学校規模に即応するような算定基準で参りたい。その考え方は、どれだけの教員がいるかというような算定基準の問題でこの問題を解決したい、かように考えまして、地財委の方で単位費用計算された総額が八百六十億になつておりますので、その八百六十億の範囲内で算定基準をかえて、地方実情に即するような配分計画をしていただきたい、こういう意味特例出したのであります。もちろん基準引上げは望ましいのでございますけれども、いろいろと財政との関連もございますので、その点は一応単価を下げまして、二十七年度は調整をはかつたのであります。
  10. 床次徳二

    床次委員 平衡交付金法建前から申しますると、教育に関して、文部省あるいは国家において必要と認めまするものに対しましては、法律または政令によつて大体の基準をこしらえる。それからその必要な施設内容実施するために、所要予算を計上する建前になつておりまして、文部省関係と申しますか、教育側において所要基準を確立する必要があるのですが、今日まで基準がなかつたために、測定単位あるいは単位費用の算出が非常に困難であつたことは事実だつたと思います。今後新たに基準をつくられるのだと思いまするが、今日提案されておりますところの負担法の中にあります基準は、そういう意味において出しておられるのでしようか。どうもちよつと見ますると、やはりこれも一応予算額が出ておるのであつて内容が比較的乏しいかのように思いますが、これは施設内容そのものを今後規定して行くように考えておられるか。この点は地方財政委員会との話合いがどうなつているか、伺いたいと思います。
  11. 田中義男

    田中政府委員 お話のように、将来基準を設定するつもりで私ども用意を進めておるわけであります。
  12. 床次徳二

    床次委員 将来きめられまする基準というものは、来年度からできることになりますか。その大体の計画は今度の案の中に多少盛られておるというお考えでしようか。
  13. 田中義男

    田中政府委員 現在出ております法案は、大体国の負担についての定めでありまして、それぞれの学校についての具体的な事項については、次年度の問題になろうと考えております。
  14. 床次徳二

    床次委員 この機会に地財委の方にお尋ねしたいのでありますが、ただいまお話がありましたような負担法案が提案されますると、現在提案されておりますところの平衡交付金法測定単位、また単位費用に対するさらに修正とでも認められるものと思うのであります。むしろ端的に、平衡交付金法測定単位並びに単位費用をこの際修正した方が早いのではないかと思うのでありますが、これをどういうふうにお扱いになりますか。
  15. 奥野誠亮

    奥野政府委員 二十七年度に関します特例といたしまして、地方財政平衡交付金法で定めております基準財政需要額計算方式とは違つた計算方式にしたいという考え方があるようであります。こういうふうに特定の行政につきまして、個々違つた計算方式を採用いたして参りますと、教育費につきましては文部省系統府県市町村わくをつくる。通産行政費については通産省系統から府県市町村予算わくをつくつて行く、こういうようなことになりかねないわけでありますので、もし計算方式がよくないのならば、測定単位を改める等の方法をとるべきであるというふうな床次さんの御意見には、まつたく同感であります。
  16. 床次徳二

    床次委員 もう一言お尋ねしたいのですが、今日各府県特に僻地の多いところで、分教場その他を多数持つておる学校に対しまして、従来の配分基準でありますと、かなり不公平があつたように聞いておるのでありますが、今文部関係者において立案されております測定単位あるいは単位費用等によりまして配分する場合は、そういう点は実情に即するように考慮しておられるかどうか、お伺いしたい。
  17. 内藤誉三郎

    内藤説明員 ただいま出されております案によりますと、小さな学校、たとえば、二十五人未満学校は二十五人として、一学級として計算をしておりますので、必ず一人の教員が配当できるような措置を講じておるのであります。ですから二十五人未満ですと一人、五十人未満ですと二人、百人未満の場合は何人というふうな算定基準をとつておりますので、僻地学校、あるいは島嶼、山間部学校が困らないように基準をきめておるのであります。
  18. 床次徳二

    床次委員 今文部省において研究しておられるところの方式によつて配分いたしました場合、なお実情と差ができておるかどうか。希望するところの教育水準にはあるいは達しないかもしれないが、現実の問題としまして、赤字を生ずるかどうかという点を、多少疑問に思うのであります。現在与えられたところの平衡交付金の総わくの中の教育費わくの中において、大体本年度処理するようなお考えのようでありますが、現実市町村教育費所要額との間におきましては、赤字を出さずに済むお考えかどうか、伺いたい。
  19. 内藤誉三郎

    内藤説明員 この点につきましては、市町村経費ではございません。教職員給与費都道府県経費でございまして、都道府県配分になりますので、なるべく各都道府県実情に沿うような方針をとつておりますから、各府県とも非常な赤字になるようなことはなく、今よりは少くとも合理化されると思います。
  20. 門司亮

    門司委員 私はきわめて簡単に少しばかり聞いておきたと思います。平衡交付金法の一部を改正する法律案内容は、主として、当然法律でなさなければならなかつた測定単位法律に直すということであつて、言いかえれば、政令法律にかえるという範囲のものだ、われわれは一応こういう解釈をしております。しかしそれで問題になりますのは、今回のような非常に物価の変動その他があります場合、そういうことが十分考慮されて、この測定単位が出されておるかどうかということに、実は疑問があるわけであります。政府から出されております新旧の状態を見て参りましても、たとえば費用測定単位単価を上げておりますものはきわめてわずかでありまして、実情に沿うていない面がたくさんあると私は思います。政府から出されたものをずつと見て参りますと、約一割ないし二割ぐらいのものが、二十六年度よりも二十七年度の方が測定単位がふえておるように見受けられるのでありますが、実際の物価指数は、御存じのように、昭和二十五年あるいは二十六年の物価指数よりも大きく、これをはるかに越えておると私は思う。従つて二十六年度から一割ないし一割五分ぐらいのものを増額して、ここに測定単位として盛られて行くということになると、それだけ地方財政はきゆうくつになりはしないかと、私は考えるのでありますが、この点について、政府はどういうわけで一体この率をお出しなつたか、何かそれの算定基礎なつたものがありましたら、ひとつ出していただきたい、こう考えておるのであります。
  21. 奥野誠亮

    奥野政府委員 お話のように、二十六年度、二十七年度と比べてみました場合に、物価もかなり上つておりますし、また職員給与費も、給与改訂等が行われました関係上、増加を見ておるわけであります。それらを行政項目ごと内容を検討いたしまして、新たに測定単位を定めたわけであります。各行政項目別単位費用を押えた基礎は、お手元に相当部厚い二百ページくらいの資料を差上げておるわけであります。この程度単位費用を定めて行きました場合には、理想からいえばきりがないのでありますけれども、まず地方団体としても、総合的に円滑な行政が営んで行けるんじやないか、やり方には相当のくふうを要しますけれども、むしろやつて行かねばならないじやないかというふうな考え方を持つておるわけであります。個々行政項目ごとに、どの程度増加になつておるかということは、これも昭和二十六年度及び昭和二十七年度基準財政需要額の比較に関する調べといたしまして、都道府県分市町村分にわけて差上げてあるわけであります。府県につきましては、基準財政需要額総額において一割四分一厘、市町村においては総額において一割五分一厘の増ということになつておるわけであります。
  22. 門司亮

    門司委員 なるほどここにたくさんの資料をもらつておりますが、これには遺憾ながら物価指数というものが、はつきり調査された数字が判然と出ていないのであります。たとえば東京卸売物価中心にされておるのか、あるいはそのほかの何かの資料でお出しになつておるのか、一体この資料は安本から出ておる資料であるのか、通産省から出ておる資料であるのか、これには実際の問題としてそういう内訳はほとんど書いてない。私が聞いておりますのは、具体的なそういうことでありまして、たとえば橋梁を一つ修繕するにいたしましても、一体セメントはどれだけ上つておるのか、材木はどれだけ上つておるのかというようなものが、具体的に出て来なければ、ほんとう数字は出て来ないはずである。ただ行政上のここに書いてあるようなことだけでは、われわれもなかなかのみ込みが悪いのでありまして、今のお話のように、二百ページのものがありますけれども、これにも物価指数単位というものは、ほとんど書いてない。私のおよそ算定いたしましたこの費目はすべてこれに当てはまるのでありまして、たとえば人件費が二十六年度からどのくらい上つているか、あるいはさつき申し上げましたような個々物価が一体どのくらい上つているかということが、行政を行いまする費用算定基礎になるべきであつて、私はその数字を実は聞いているのであります。どこから一体数字をお出しになつているかということでありまして、私ここに資料を持つて来ておりませんが、私の調査をいたしました範囲では、たとえば東京中心とする東京卸売物価指数考えて参りますと、二十六年度平均価格と二十七年に入りまして一、二月というようなものとは相当違つているのではないか、すなわち二十六年の十二月が二十七年の一月になつて参ります場合には、相当大きな開きを持つて来ておるのではないか、これを一年ごとに総合いたして参りますと、たとえば二十五年度、いわゆる暦年の二十五年の十二月までの総平均物価指数、さらに二十六年を一年通過いたしまして二十七年の一、二月の物価指数というものは大体四割くらいは上つているはずであります。従つてこういうものは会計年度でなくして、やはり暦年年度における物価指数というものが、中心にならなければならない。こういうふうに考えて参りますと、ここに一割五分あるいは一割二分の上昇率では町村が非常に困りはしないか、去年よりはこの率は、配付されれば多少ふえるかもしれないがそうも行かないのではないか。  もう一つ平衡交付金との関係でありますが、昨年度平衡交付金と今年の平衡交付金とは総額においてほとんどふえておりません。幾らも違わない。こういうことを考えて参りますとこれにふやしてあるだけのものが、ほんとう地方に配付できるのかどうか、こういう点も実は疑わしいのでありまして、測定単位数がこのくらいしか上つていないということになりますと、去年の総予算でありました地方配付税と、今年の当初予算における地方配付税との間に、数字的の食い違いが出て来るというようなことまでわれわれは考えなければならぬ。従つてもう一応物価指数は何を基礎とされてこれだけの上昇を見られているのか、おわかりでしたらひとつお答え願いたいと思います。
  23. 奥野誠亮

    奥野政府委員 昭和二十七年度地方財政計画を定めますにあたりましては、職員給与については国家公務員についてとられましたと同じ程度給与改訂が行われるものとして、財政需要額を見込んでおるわけであります。また公共事業につきましては、国の予算額基礎にいたしまして、地方団体の必要な額を計算しておるわけであります。こういうふうな基礎のないものにつきましては、地方団体経費内容を分析いたしまして、人夫賃であるとかいうような給与に準じます経費が何パーセントを占めておるか、旅費は何パーセントを占めておるか、また一般物価影響を受ける経費が何パーセントを占めておるか、また通信運搬費系統のものが、全体の中で何パーセントを占めているかというふうなことを調べ、それぞれの必要な騰貴率を乗じて、必要な財政需要額算定いたしておるわけであります。その中で給与費に属しますものにつきましては、三割八分五厘の増、旅費につきましては六厘の増、一般物価影響を受ける経費については三割二分の増、通信運搬費につきましては三割五分の増加を見ておるわけであります。その中で一般物価影響を受ける経費につきましては、日本銀行で調べております昭和二十五年度平均小売物価指数と、昭和二十六年度におきまする四月から八月までの平均、これとの割合をとつてみただけでありまして、それがちようど三割二分の増加になつておるわけであります。この指数使つて地方財政計画を定めたわけであります。各行政項目ごと測定単位当り単位費をきめまするにあたりましては、これとは違いまして机一つ幾らかかるのだというふうな式の計算に具体的な金額を用いて算定いたして参つたわけであります。  なお地方財政平衡交付金総額ふえ方が、一般物価増高と照し合せてみて少な過ぎるじやないかという御意見でありますが、これにつきましてもわれわれとしては、できる限り地方団体の必要な収入というものは、直接住民から地方団体が租税の形において収入とするようにして行きたいというふうな考え方を持つておるわけでありまして、そういう見地から現行地方税法につきましても、税率が高過ぎるというふうな意見もいろいろあるわけでありますけれども、この地方税制によりまして、昨年度二千五百十億円と予想いたしておりました収入が二千九百二十四億円、四百十数億円の増収が得られる、そういたしますならば平衡交付金はさほど増加を必要としないというふうな考え方に立つておるわけであります。
  24. 門司亮

    門司委員 今のお話でありますが、私の聞いておりますのは、今奥野君も言つたように大体卸売物価というものは、東京基準にして考えると三割ぐらい上つておるはずです。二十五年度平均とは確かに四割上つておることも間違いないのです。ところがこの算定基礎になつておるものは、さつきお話のように一割二分か五分しか上つておらぬ。市町村が仕事をするにいたしましても、生活必需物資というものが、これに割合関係をいたす面が少いのでありますから、必ずしも私は生活必需物資が三割上つているから、この測定単位をそれだけ上げなければならないということにはならないと思いますが、しかしその上り方というものは非常に少いのです。この点については私は今までの答弁では実は納得が行かない。これでありますと、地方の自治体は非常に迷惑をすると私は思う。それから同時に、ただいまの最後答弁でありますが、税収の見積りが四百幾らよけいにあつたから、結局平衡交付金を少くしてもいいというようなことは、私は聞き捨てにならないというよりも、むしろ困つた問題だと思う。税収増収があると私が言うことは、予算を編成する場合に、増収がこのくらいあつたから、今年の平衡交付金は少くてもいいという理由には私はならないと思う。平衡交付金算定基礎というものは、御存じのように今日一つわくができておつて、そうして必ずしも徴税との関係は——むろん全然関係がないとは言えませんが、しかしそのためにこしらえた財政需要額基準測定単位というものが重要であつて、この測定単位から割出した本年度交付金であるのかないのかということ、これがさつきから私は問題になると思うのでありまして、今年の千二百五十億という数字はこの測定単位から割出し数字に大体合つているかどうか、この点をもう一応御答弁つておきたいと思います。
  25. 奥野誠亮

    奥野政府委員 御承知のように単位費用は今回法定するわけでありまして、それまでは地方財政委員会規則できめておつたわけであります。従いましてまた昭和二十七年度地方財政平衡交付金金額計算いたします際には、地方財政計画というものを定めまして、それで最後地方税地方債等の額からいたしまして、地方財政平衡交付金の額がどのくらいあつたならばよろしいかというふうなところから定めてやつて参つたのであります。しかしながら単位費用を今回いろいろと計算いたしました結果、単位費用の面から考えましても、地方財政平衡交付金は大体この程度でよろしいのだというような結論になつてつておるわけであります。しかしながら御指摘になつておりますように、今後経済界がどう動いて行くかということによりまして、二千九百二十四億円の税収にも多少の増減を生ずることも考えられますし、また歳出の面につきましても将来若干の増減を要する面が出て来るかもしれませんけれども、その際にはもとよりそれに適合した方法がとられなければならないと考えておるわけであります。そういう意味合いをもちまして、場合によつて単位費用地方財政委員会規則できめる。しかしながらもとよりそれにつきましては、その後に開かれる国会に法律改正案として提出するという地方財政平衡交付金法改正案になつているわけであります。
  26. 門司亮

    門司委員 今の答弁でありますが、それなら私ははつきり聞いておきたいと思います。地財委出しております地方財政赤字は、一体あの数字が正しいのであるかどうか。地財委は、今年の千二百五十億の地方財政平衡交付金では少いということをしばしば言つていると思う。今の奥野君の答弁のように、大体この数字と合つておるのだということになれば、一体地財委意見はどこにあるか。私はこの点がおかしいと思う。地方財政が非常に困つていることが事実であるとするならば、その地方財政の八十億を基準にしてやつております以上は、当然昨年よりも、実際の運用の面におきましては、地方財政平衡交付金の占める率がふえて来なければならない。にもかかわらず、地方財政赤字赤字だと言いながら、この平衡交付金の額が大体この測定単位と合つておるのだということになれば、地財委の言つております地方財政赤字だという理由は、われわれにはわからなくなつて来る。それならもう少しこの点をはつきりしておいていただきたい。と言いますのは、今の法律説明はその通りであるし、またそうでなければならぬと思いますが、一応法律になつてこういう測定単位が出て来た以上は、これと、さつきから何度も申し上げておりますように、地方財政平衡交付金とが、数学的に合うということだけをこしらえられておるとするならば、地方財政平衡交付金中心として逆算した一つのものの考え方で、実情に沿つたものではなく、数字のつじつまだけを合せたものであると思います。地財委はしばしば平衡交付金をふやしてもらわなければならぬと言つて来ている。     〔委員長退席、野村委員長代理着席〕 もしこの測定単位が正しいものであつて平衡交付金と同じであるということになれば、地財委は、自分みずからの算定したものに間違いがあつたということを暴露しておることになります。私はその点がおかしいと思う。従つて地財委の言つておりますこの地方財政赤字というものは、一体あるのかないのか。この測定単位でやれば、ほとんど物価に変動がない限りは、地方財政平衡交付金をふやさないでもよいという地財委意見であるかどうか。
  27. 奥野誠亮

    奥野政府委員 昭和二十五年度昭和二十六年度地方財政に関する限りにおきましては、地方財政委員会の見解と内閣の見解は不幸にして食い違つて参りました。しかしながら昭和二十七年度地方財政計画につきましては、幸いにして両者の意見は合致しておるわけであります。これでやらなければならないというような考え方を持つているわけであります。しかしながら二十五年度、二十六年度につきましては、現実地方財源が足らなかつたと、地方財政委員会では考えておりますし、またそういうふうな点を建て直したいというような意味合いから、さらに八十億円だけ赤字融資的な地方債が承認されたことも御承知の通りだと思います。こういうふうな措置によりまして、赤字を生じておりまする団体の赤字の額というものも、かなり緩和されて来たのではないだろうかというふうに考えておるのでありまして、昭和二十七年度、現在考えておりまする地方財政計画をもつてすれば、現に赤字を生じておりまする地方団体赤字も、漸次解消して行けるものだというふうに期待しておるわけであります。
  28. 門司亮

    門司委員 端的に言いますと、ことしの地方財政計画について、地財委から野村さんの意見が、しばしばわれわれの手元に出て来ておりますが、要約して、今の奥野君の答弁をそのまま受取るということになれば、大体平衡交付金だけで、起債もすべてふやさなくてもいいという結論になると解釈してよろしゆうございますか。
  29. 奥野誠亮

    奥野政府委員 二十七年度に関する限りは、現在の措置でよろしいと考えております。
  30. 門司亮

    門司委員 これは非常に重大な問題だと思いますが、それなら一体今まで国の予算を編成するときに、いろいろ地財委意見というものが出て来て、そうして起債をふやしてもらいたいとか、あるいは平衡交付金を増額してもらいたいというようなことは、まつたく今になつて考えれば、間違つてつたというふうに解釈してよろしゆうございますか。
  31. 奥野誠亮

    奥野政府委員 先ほど申し上げましたように、二十六年度につきましては、新たに八十億円程度地方債わくが広げられたわけであります。従いましてこういう措置を通じまして、今後地方団体財政緊縮の努力とも見合つて建直しが将来行われて行くだろうというふうに期待いたしております。ただ昭和二十七年度地方財政の問題につきまして、今後起る問題がいろいろあるわけでありまして、そういう結果、あるいは地方財政がより以上に——今そういうことを言うのは少し言い過ぎかもしれませんが、わが国の経済界の動きいかんによつては楽になることも考えられるわけでありますけれども、反面また減収を来すのじやないかというふうに憂えられている点もあるわけであります。何分財政は動いておるものでありますので、そういう点からなお将来措置を要する点が出て来るだろうと思いますけれども、現在は地方財政委員会といたしましても、この財源措置をもちまして、地方団体が健全なる財政を運営できるように努力して行かなければならないというふうに考えておるわけであります。もとより国におきましても、補助金あるいは負担金の配分にあたつて、もつと重点的にやりまして、千万円も二千万円もかかるものに数十万円の補助金をくつつけて、それぞれの事業をやらせるというようなやり方も改めてもらわなければなりませんし、地方団体は歳入と見合つて事業計画を執行して行くというふうにやつて行かなければならない。そういうふうに努力すべき問題はたくさんあるということは、私どもも御意見と同じように考えておるわけであります。
  32. 門司亮

    門司委員 それではもう一つ聞いておきたいと思いますが、二十六年度予算といいますか歳出、歳入は別といたしまして、二十七年度地財委出して参りました資料に基きますると、歳出の総額の見積りは七千六億であつて、歳入総額の見積りは六千八百六億という数字が一応出ております。そうして大体二百億の財政不足額というものが実は出ておるのであります。この二百億というものは、その当時間違つてつたと解釈してよろしゆうございますか。
  33. 奥野誠亮

    奥野政府委員 ちよつとお話の歳入の関係がよくわからないのでありますけれども、歳入もやはり七千億余りあるというふうに考えておるわけであります。あるいはお持ちになつております資料が、地方税制の面において附加価値税を実施するときにつくつてつた資料ではないかと思いますが、その後現行事業税を踏襲するということになりましたし、また地方債の面におきましても増額が決定されましたので、バランスは合うことになつているはずであります。
  34. 門司亮

    門司委員 私が聞いておりますのは、最後に出て来るものとしては、おそらくバランスの合うように逆算されていると私は思います。われわれが見て参りましても、ただ政府数字のつじつまを合せて逆算してものを考えておるところに、私は大きな間違いがあると思う。ことにこの平衡交付金法の一部改正の問題は、測定単位をきめる問題でありますので、ことさらに私はその点をさつきから申し上げておるわけでありますが、わずかに一割二分あるいは一割五分程度測定単位上昇率では、おそらく私は地方財政の運営はできないと思う。ことに政府から提出されているこの資料は、二百ページありましようとも三百ページありましようとも、一つ一つの項目について、これは全部物価指数その他との関連性が書いてないのであります。ただ単に項目別にたくさんあげておられるだけであつて算定基礎になるべきものが一つもないということ、こういうものだけの書類では、この測定単位をきめる資料にならないと私は思う。むしろもう少し明確なものを出してもらいたい。  それからもう一つ聞いておきたいと思いますことは、大臣の説明書の中にありまする市町村の復興費が、きわめて少くそのパーセンテージを見積られておる。この問題は非常に重要な問題でありまして、わずかに戦災復興あるいは徴税及び戸籍事務費というようなものが八%しかここに書かれてないのでありますが、一体日本の今日の市町村、いわゆる地方の公共団体というものは、戦災復興というようなことについては非常に大きな費用がいる。これは実際問題としてわかり切つたことであつて、ことにこの問題は測定単位の中にどういうふうに織り込まれておるかということが、実は問題になるのであります。財政需要額と言つておりますが、これはたとえばすべて完成されております都市行政を行う場合には、あるいは町村等にいたしましても、大した問題は起らぬのでありますが、日本のように戦災で非常にいためられ、さらに戦災は受けなくても十年あるいは十二、三年というように戦争が続いておつた間何も地方の仕事をしておらぬ、こういう町村に対しましては、財政需要額測定単位にはそういうものがやはり多分に織り込まれていなければならない。これが地方別に一体どのくらいの割合考えられておるかというと、わずかに八%かそこらしか大臣の説明書の中には書いてないのでありますが、現在までそういうものしか使つてなかつたということになれば、これは財政の都合で復興が非常に遅れておるということであつて、この点もう少し財政需要の平衡交付金測定単位の中には考慮が必要ではなかつたか。単に項目別にずつとわけて参つておりましても、これはこれとして、そのほかに地方の戦災状況というようなものが、かなり大きな役割を演じて行きませんと、そう簡単には行かない。ことに従来測定をいたしまする単位は七〇%であつたものを、この前の国会でたしか八〇%に上げておると思うのでありますが、そうなつて参りますと、国が公然と地方財政需要というものはこのくらいであるということで、範囲が広げられれば広げられるほど、地方の自治体というものが自主的に行わなければならない、おのおのの都市で、状況がそれぞれ異つておりまする戦災復興その他の仕事ができにくくなつておる。この面が平衡交付金の中にどれだけ考えられておるかということでありますが、個々市町村の持つておる戦災復興の割合に対して、平衡交付金がどういうふうに出されることになつておるのか、当局の方でもしおわかりになつてつたら、お答えを願つておきたいと思います。
  35. 奥野誠亮

    奥野政府委員 差上げてあります資料では、算定基礎が必ずしも十分判明しがたいというような御意見でございます。これは個々の物件について一一件数をあげて行きますと、非常に厖大なものになりますので、この程度資料にいたしたわけであります。しかし御意見によりまして、あらためて門司さんの手元まで全部の資料をお届けいたします。ただたくさん印刷するということになりますと、またいろいろ困りますので、若干の資料でごかんべんを願いたいと思います。但し特定の経費について御要求がございましたら、それらは印刷して配付するようにしたいと思います。  その次に戦災復興の経費について十分ではないという御意見でございます。私も必ずしも十分ではないと思うのでありますけれども、国民全体の租税負担なり、現在の財政事情などから考えてみますと、戦災地ばかりにあまり大きな財政需要を見込むこともできませんので、この程度にしておるわけであります。その基礎は国が戦災地に対して復興計画に関しいろいろと助成をしておるわけであります。それらの結果、地方団体負担額が幾らであるかということがわかつておりますので、この地方負担額を被災地の面積で除して、単位を定めておるわけであります。二十五年度の場合よりも若干引上げたのでありますが、引上げた結果が戦災地に対して優遇し過ぎるじやないかというような御意見が非常に強く言われたわけでございますので、まず総合的に考えてこの程度が適当ではないかと思つておるわけであります。パーセンテージは低いわけでありますが、戦災地の地方団体は限られた地方団体でありますので、その団体にとりましては、かなり優遇されておるということが、この程度でも言えるのじやなかろうかと考えておるわけであります。
  36. 野村專太郎

    ○野村委員長 大泉君。
  37. 大泉寛三

    大泉委員 今文部委員会に付託されておる議員提出の法案がありますが、この法案に対してどんな考えを持つておるか伺いたい。私の意見を申し上げては恐縮ですが、自治体に任せられた財政運営に対して、義務教育費国庫負担などということは二重の負担にもなり、また自治体の性格に大きな変革を起すようなきらいがあるという観点からお尋ねするのですが、文部省としてはどのような考えを持つておられますか。
  38. 田中義男

    田中政府委員 文部省といたしましては、義務教育費国庫負担法案が、ただいま文部委員会に提出になつておりますが、その内容等については相当程度低いものでございまして、必ずしも満足いたしておるわけではございません。制度そのものについてどうかというお話でございますが、義務教育の問題は国の事務であり、また同時に地方の事務でもあり、従つてそれは地方において全面的にその経費負担をして、単にその費用を国が補助するといつたような考え方でなしに、国も当然みずからの事務としての責任を感じて、それに対して保障する責任がある、かような観点もございますのと、同時に実際問題として地方においてこれに相当関心を持ち、みずからその程度において経営すべきものでもございますので、両々相まつてこれを経営すべきものだという理論的な考え方も持つておるわけでございます。なお現状において、いろいろ数字が示しますように、義務教育費自体が地方財政においてはなはだ重要な地位を占めております関係から、非常に困難をいたしておりまして、現状のまま放任するわけに参らない事情だと私ども考えております。そこでいかにすべきかということになりまして、根本的な考え方とあわせて実情を見る場合に、別に国が保障をする。その方法として国庫負担法を制定することが必要であろう。なおそのことはかつて標準義務教育費等について御批判を受けましたような意味において、地方を束縛するものでは決してございませんので、かような制度はぜひ必要ではないか、こういう教育的な立場に立つて、これに一応同意しようかと考えておるわけなのでございます。
  39. 大泉寛三

    大泉委員 義務教育の問題は、義務という言葉にとらわれて、とかくまぎらわしい問題が起つて来ると思うのです。義務教育を受ける方と受けさせる方と、いろいろ立場によつてつて来ましようけれども、税の負担のような義務ならば、これははつきりわかる、あるいは昔の徴兵制度のような義務なら、これは当人が負うということで、また国家も負わすということになりますが、教育に関する限りは、どうも国が義務を負う、あるいはまた教育を受ける者は負わなければならないけれども、各個人々々の利益のために義務づけられておる、あるいは国家が国民をりつぱに教育する一つの義務を負わされておる。各個人々々がこれを忌避することはあり得ないと私は考える。だからお互いにこの義務という観念は、国でも地方団体においても、あるいは個人においても、あるいは扶育するところの父兄においても、みんなこれはその立場において負わなければならぬ。そこでこの財政上の問題からいつたならば、そのよるべきところは義務教育を受けるところの子弟あるいは父兄に対して最も接近したところの地方自治体の団体生活の上からいつて、受ける方の立場にあるものが財政上の負担を責任を持つて負うということが私は一番妥当だと思う。国が受ける国民に直結するということは、むしろ私はあまりにもしやくし定規にとらわれた一つの義務観念じやないかと思う。あくまでもこれは地方自治体の総体の義務として、あるいは受けるところの個人あるいは父兄に対して、私は連帯性を持たすべきものだと思う。そういう立場からいつたならば、これは当然財政平衡交付金で行くべきだ。そうして地方財政において、みずからの責任において義務教育を完遂することが必要だと思う。こういうふうに私ら考えておる。この法案に対して、私と同じ自由党の立場を代表して出された提案者の趣旨でありましようけれども、もう一ぺん文部省の側の意見を聞いて、なおそれにつけ加えて地財委の方から御意見を承りたい。
  40. 田中義男

    田中政府委員 この義務教育の問題は憲法の条文を引くまでもなく、これは国民の義務とされておりまして、すでに日本におきましては昔から三大義務と言われております。すなわち徴兵、納税、義務教育というものが昔は三大義務として、われわれのよく教えられたものでもございます。この教育、ことに義務教育については、特別に国家としても相当深い関連を持つた義務でございまして、そういつたような意味において、他のもろもろの事柄とはおのずから違うと、私ども考えておるのでございます。現在においては昔以上に義務教育の重要性は増しておるとすら考えておるのでございます。さような考えからいたしまして、現実にまことに困つておる教育の窮状に対しまして、ここに新たな制度をこの法案において考えておるようなわけであります。
  41. 大泉寛三

    大泉委員 今国内には相当義務教育を受けていない例外的な人がありますが、こういう義務を怠つた人に対して、何か制裁を加えられたとか、あるいは制裁を受けたとかいう資料がありますか。これは参考のために聞いておきたい。
  42. 田中義男

    田中政府委員 教育上の問題についてはきわめて倫理的な規定をもつて望んでおるのでございまして、その義務を怠つたがために、これに制裁をするというようなことについては私どもその実例は承知をいたしておりません。
  43. 大泉寛三

    大泉委員 それでは地財委の方から……。
  44. 奥野誠亮

    奥野政府委員 地方財政委員会としてただいまお述べになりました御意見に対しまして申し上げてみたいと思います。  一つは憲法上の義務であるということを非常に強調されております。しからばそれをどう具現するのかというような御意見をまだ承つていないのでありますけれども、もしそういう思想を推し進めて行くならば、小学校も中学校も全部国立小学校、中学校にすべきだという意見になるのじやないだろうかと考えております。  第二に、現在地方団体にまかせておいたんでは、義務教育の水準が維持されないというふうに考えられるのではないかと思いまするけれども、そうすれば一体義務教育費の額というものを、ふやそうと考えられておるかどうかという問題であります。もし現在財政事情を増そうといたすならば、やはり国民の租税負担を増さなければならないんだ、これを根本的に考えていただかなければならないのであります。何かあの制度ができれば、ただちにPTAの負担が軽減されるというふうなことが、宣伝されておるようでありまするけれども、PTAの負担を租税負担に切りかえない以上は、PTAの形における租税負担はなくならないと思うのであります。しかもまたPTAの負担の性質というものも、なお検討する余地があるのでありますが、それは私はさしおきたいと思います。ただ昭和九年ないし昭和十一年における国民所得に対する租税負担割合というものは一三・九%程度でありましたものが、現在におきましては二〇%に達している。しかも国民一人当りの実質所得は低下しているこの事実だけは強く申し上げておきたいのであります。しかもまた終戦後地方行政地方財政は非常に混乱いたして参りました。さらにそれらの原因がどこにあつたかと言いますと、いろいろ問題がございましたけれども、一番大きな原因の一つとして、やはり教育制度の改革というものが、地方財政事情を非常に大きくしたということが言えると思うのであります。しかもまた市町村にありましては、新制中学の建設は国と地方が折半して負担するということになつておりまして、文部省が二分の一国庫負担の運用をしていただいたわけでありまするけれども、その二分の一の中には職員室は入つていない、廊下は入つていない、机やいすあるいは黒板は入つていないということがあつたようでございます。現在そうなつておると思います。しかもまた土地の購入費も入つておりません。そこに非常に問題があつたわけであります。それじやそれで足りたかと言いますと、やはり地方団体は必要経費というものを調達しなければならないわけだつたのであります。幸いにして今日新教育制度がようやく安定しようとしていますることは、非常にけつこうでありまするけれども、さらに今自由党から出されている案を見ますと、やはり義務教育費をさらに増額したいという考えがあるようであります。たとえば職員につきましても相当数の増加が見込まれておるということが言えると思うのであります。  第三に問題になりまするのは、終戦後のわが国の政治行政の運営の目標というものは、国民の考え方に基いて政治行政を運営して行こう、民主政治を打立てて行こうというところにあつたように思うのであります。そういたしますと、なるたけ国民は自分の身近な問題は、自分たちで処理して行かなければならない。そのことから民主政治の基礎というものは確立されて行くと思うのであります。何もかも国が地方団体の世話をやいて、その予算額まで国がきめるというようなことになつて参りますと、自分で真剣にどういうような行政のやり方をやるかということを、考えられなくなつて行くと思うのであります。せつかく民主政治の基礎を確立しようという原則において、地方自治を拡充強化して行こうという方向に逆行すると思うのであります。  ことに第四の問題として申し上げたいことは、一般負担金制度がそうでありますけれども負担金を運用する面におきまして、いろいろな方面に干渉が加えられやすいという点であります。もし義務教育の水準を維持しようということだけに考え方があるならば、私は義務教育施設を維持管理する主体に対しまして、八千万国民の立場からどのような維持管理を希望するのかということを、国会の議決を経て個々地方住民に要請すれば足りると思うのであります。個々地方団体に国が法律の形をもつて基準を示しまして、なおやらないということは想像できないのであります。もしやらないのならば、それは全体としての地方財源が足りない。その場合には個々行政につきまして、これを簡素にして、国民の租税負担を少くする、あるいは財政需要を少くするという面からの検討が加えられなければならないと思うのであります。このような法律をつくらないで、ただちに負担金、補助金を持ちたいということは少し行き過ぎだと思います。まず法律基礎をつくる。それでも国が考えているような方向に行かないならば、また第二段の方法考えればよろしいのでありますけれども、前提条件が第一にできていないのじやないかということを言いたいのであります。ことに負担金ということになりますと、個々の事案につきましてまず負担金の申請をいたします、調査をいたします、それから交付の事務を行います。しかもまた主管の行政官庁や会計検査院が、負担金を支出する以上は特定の仕事に経費が与えられなければなりませんので、そのように使われておるかどうかという検査を行います。あるいはまた負担金をめぐつて陳情等もございましよう。非常に事務費を食つて行くものでございます。これは個々負担金制度について十分考えられる点であります。私は民主政治をやつて行こうといたしますならば、国会闘争をやつてもらいたい、法律でいろいろな基準をおきめになればよろしいのじやないか、何も政府官僚に補助金、負担金を運営させる必要はないというような考え方を強く持つているものであります。
  45. 田中義男

    田中政府委員 先ほど御質問になりました点に対するお答えで、ちよつと私申し落しましたので、もう一度つけ加えて申しますと、そんなに国が重要視する事務ならば国が直接やつたらいいじやないか、しかし教育義務教育等についてはむしろ地方にまかしたらいいじやないかというお話でございましたが、私どもはその両面を考えまして、義務教育については特にその予備費等について、国と地方とが半分ずつ負担をするのが大よそ適当ではないか、そういう意味において考えているわけでございます。なおこの義務教育費国庫負担法等について、私どもは非常に熱心にこれを考えておりますのは、特に講和後の事態をいろいろ考えてみます場合に、教育、特に義務教育については十分国家的に考慮する必要がある、この際その基礎を確立する必要がある、かような観点からやつておるのでございまして、つけ加えて申し上げておきます。
  46. 大泉寛三

    大泉委員 局長ちよつと私の話を聞き違えておられるように思います。私はそれほど重要なものならば国が直接やつたらいいじやないかということは言つてないのです。これは国がやるよりも地方公共団体に一切をあげて、その教育を受ける個人をひつくるめてまかした方がいいというのであります。私の言葉が不適当であつたか知らないが、とにかく私はそう言つたのです。そこでどうも局長は国あるいは政府というようなことを考えておられますが、民主政治の行われている今日、国の意思は国民の意思であり、その国民の意思がやはり国という大きな組織のもとに集約されている。そこで義務教育をするのに直接に響く地方自治体が出せば、一番責任の義務を果すのに適当ではないか、こういう観点から、地方公共団体が同じ一つ国庫財政上の負担金を預かるならば、やはり平衡交付金国庫負担と同じではないか、そこで責任を負う地方自治体が一番国民と密接な関係があるし、財政上の責任も負う、こういう見地から私は申し上げたのでありまして、国が直接ということは言つておりません。
  47. 野村專太郎

    ○野村委員長代理 立花君。
  48. 立花敏男

    ○立花委員 文部省にお聞きしておきたいのでありますが、この問題で地方財政委員会との間に、非常に大きな意見の対立があるというふうに聞いておるのですが、その問題は完全に解消されておるのかどうか、これをお聞きしたい。
  49. 田中義男

    田中政府委員 この問題は、文部省といたしましては、かつて地方義務教育費以来非常に関心を持つて、今まで努力して参つたのでありますが、ことに国庫負担法の問題におきましては、昨年末以来いろいろ努力いたしまして、関係官庁方面とも十分連絡をとつて、これを進めたいと考えておつたのでございますが、十分なお話合いができ得ませんうちに自由党において取上げて、現在のように文部委員会に提案された、かような実情でございます。
  50. 立花敏男

    ○立花委員 そうするとただいま議員提出として提案されております義務教育費国庫負担法については、政府部内で文部省の方と地財委の方との意見が十分調整されない間に自由党が出した、従つてこの案については両方とも不満があるということなのかどうか、これを承りたい。
  51. 田中義男

    田中政府委員 大体ただいまお話の通りでございますが、ただ自由党の政務調査会においては自治庁あるいは大蔵省、文部省等をそれぞれ招いて、意見等もお聞きになつておりますので、その内容等についてどんな意見の差異がありますかなどは、私どもとしては承知いたしておりません。
  52. 立花敏男

    ○立花委員 私はあなたに自由党の意見を聞いておるのではなしに、文部省としてはこの案についてどういう意見を持つているのか。あるいは財源の措置の問題がありましようし、あるいは絶対額の問題がありましようし、あるいは行政の管轄権の問題があるでしようし、そういう問題でこの案について文部省としてはどういう意見を持つておるのかということをお聞きしたい。
  53. 田中義男

    田中政府委員 私ども当初考えましたところからは、相当現在の案は低いものになつておりまして、必ずしも満足しておりません。
  54. 立花敏男

    ○立花委員 低いとおつしやられますのは額の問題でしようが、財源の措置の問題とか、あるいは義務教育に関する指導権と申しますか、管轄権と申しますか、そういう問題についてはどういうふうにお考えになつておりますか。
  55. 田中義男

    田中政府委員 それらの点については、本案によりますと二十八年度以降において措置することになつておりますので、これは今後の折衝の問題だと考えております。
  56. 立花敏男

    ○立花委員 この法案で大きな問題になつておりますのは、教育について地方に対して中央集権的な指揮権を持つか。あるいは地方の自治にまかすかというところが大きな問題なんで、さいぜんから地方財政委員会からも意見の開陳があつたのであります。そういう点でどうかということです。
  57. 田中義男

    田中政府委員 私どもは中央集権にならないように、できるだけ努めたいと考えているわけであります。
  58. 立花敏男

    ○立花委員 一般的にお聞きしたいのですが、憲法にありますところの義務教育を無償とする趣旨が、現在ほとんど無視されていると私考えるのです。この問題に関する認識がやはりこの法案の根本的な性格を決定するのではないかと思いますが、その点で文部省はどういうふうに認識なさつておられますか、御説明願いたいと思います。
  59. 田中義男

    田中政府委員 私どもは憲法に言う義務教育無償の原則は、これは非常に広い意味考えております。従つてこの法案も単に従来とかく義務教育無償というのは学校教育法等によつて、あるいは教育本法等によつて授業料のみだという考え方もありますが、そうでなしにもつと広く考え、その立場から本法案もそれに接近するものだと考えているわけでございます。
  60. 立花敏男

    ○立花委員 具体的な問題をお伺いしたいと思います。私は文部省の方が、地方財政委員会よりも、そういう意味において義務教育費の確保の問題で、より積極的ではないかと思うのです。しかし積極性がまだ非常に足りないということと、その積極性に具体性があまりないのではないかということを痛感するわけですが、二つの点にわけて質問いたします。  第一が財政の問題です。財政の問題で義務教育を無償とするという憲法の原則を貫きますために、こういう法案をお出しになつて確保されようという積極的な意思はわかりますが、その財源の見通しについて具体的なものをお持ちになつておらない。その点がやはり法案を非常に弱いものにしているのではないかと思うのですが、ひとつ具体的な意見をお聞かせ願いたいのです。特にこの法案をお出しになつておりますが、財源措置としては何らなくて、やはり平衡交付金わく内操作でしかないということは致命的だと思いますが、二十八年度以降についても、具体的にどれだけの財源を要求し、その財源をどこから捻出するかということについて、はつきりした見解が承れないと、こういう一般的なものでは私どもは反対も賛成もできないわけなんです。その点でどれだけ具体的な御意見を持つておられるか。さいぜんのあなたの御説明の中には、地方税の増徴というふうな言葉も出て参りましたが、税金を増加されましてこういうことをやつていただくのでは、むしろ地方財政委員会意見の方がいいのではないかというふうにも私は考えますし、とにかく出されました案についての財政的な積極的な意図はわかりますが、具体的なものがはつきりいたしませんので、私ども判断に困るわけですが、これをどういうふうにお考えになつているか。二十八年度について具体的にひとつ数字をあげていただきたいと思うのです。あるいは二十七年度につきましても補正予算等の要求がありますので、二十七年度でも必ずしも今のままでいいとは私言えないと思うのですが、二十七年度についても当然私はこの趣旨に従つて適当なる財源措置をすべきだと思うのですが、そういう用意があるのかどうか。二十七年度は全然わく内操作で、ほおかぶりで済まされようとしておるのか。この点をひとつ承りたい。  それから財政の問題は以上ですが、行政の問題についてもさいぜん御質問いたしましたが、地方財政委員会の方、地方自治庁の方では地方自治を尊重いたしまして、地方の自治の中に特定の行政わくをつくることは反対だと言つておるのです。この法案ではそういう危険性が多分にあるわけでありまして、しかもそれをあえてやはりなさろうとするわけなんですが、しからばそういうことをこの地方自治庁、地方財政委員会の反対を押し切つてまで強行して、中央で一定のわくをはめて行こうとなさる、その裏づけとしての根拠があるか。具体的に現在の地方行政わく内では義務教育が確保されないという例証と申しますか、現在の地方自治行政の具体的な欠陥、これを示していただきたいと思うのです。現在の義務教育がまつたく不備である、父兄に多数の負担をかけ、児童に多大の迷惑をかけておるということは疑う余地のないことなんで、それが現在の地方自治行政の中では、完全に克服することができない。現在の地方行政における教育行政では、それが補えないという具体的な例証をひとつおあげ願いたい。
  61. 田中義男

    田中政府委員 第一点でございますが、もうすでに二十七年度においては、予算の確定をいたしております実情ではございますし、一応現在の平衡交付金の中において操作をすることになつておるわけでございます。  なお二十八年度以降については、税法の改正等と密接な関連を持たなければなりませんので、それらの点についてはいかなる措置になりますか、それまで待ちませんと、ただいまでは私ども見通しをつけかねるわけでございます。配分の問題については、この法案の第二条ないし第五条においていろいろ規定しておりますので、それらによつて措置をして行きたいと考えておるのでございます。義務教育を大いに国家的に考えてこれを強化するという点でございますが、たとえばこの案によります教材費、これらは大体御趣旨に沿つたような意味において、その線を一歩進め得る内容であると考えて、ぜひとも実現されたならばと望んでおるのでございます。  それから第二点の御質問でございますが、統計をとつてみますと都道府県の一般財源に対しまして——義務教育費は大体都道府県給与費でございますが、一般財源に対しましてはそれが四五%、地方税収入に対します場合に七五%の重きを占めておるのでございます。二十四年度からどういうふうにそれがなつて来たかと見ますと、二十四年度におきましては、給与費の全体に対する割合が六五・七%、これがだんだんふえまして二十七年度において七五・五%、一般財源に対します場合でありますと二十四年度が三五・八%、それが二十七年度においては四四%を予想されるのでございます。これに対する国庫補償を見ます場合に、二十年度においては六五・九%でありましたものが、二十七年度においては四八・八%と五割以下に低下することが予想されるのでございます。教育費そのものはふえますのに、逆に現在の制度においては国庫の補償率は非常に低下しておる。このために地方財政従つて教育費自体に非常に困難を来しておりまして、その間PTAの寄付等がなくてはならない現状でございまして、学校の維持運営費のうち三分の一は、父兄の寄付を仰いでおる次第なのでございます。かようなことでございますので、私どもは、いろいろな理由はございましようけれども、現在の制度をかえて、別に新たな制度を設け、しかもそういうことはすべてなるべく最大限度、国会で定められた法律によつて運営して行く。その間専擅のないように十分民主的な運営をしておるような次第でございます。
  62. 立花敏男

    ○立花委員 今御説明の中で、現在でも父兄の寄付に仰いでおるのが、学校の維持運営費の三分の一だということを言われたのですが、そういうことがはつきりわかつておりながら、なぜ二十七年度においてそれを改めようとなさらないのですか。二十七年度予算がきまつたからという御説明がありましたが、補正予算方法もありますし、せつかくこの法案をお出しになるのならば、なぜそういう措置をおとりにならないか、特に不審にたえませんのは、二十八年度の具体的な予算の措置を聞きますと、はつきりした数字説明がなかつたわけなんですが、こういうふうな維持運営費のうち、三分の一を寄付に仰いでおるということをはつきりおつしやりながら、二十八年度には、少くとも見通しとしてはこれくらいの要求をするのだということをなぜお出しにならないのか。私はそれが非常に不可解だ。それが出ませんと、自治庁の考え方と実質的には同じなんで、名前がいくらかわりましても、あるいは自治庁から文部省に移りましても、平衡交付金から負担金という名目に移りましても、それは実際の教育には何の役にも立ちませんので、そういう単に名目上、なわ張り上のことはおやめになつて、これだけは絶対に現在の教育を改善するのに必要なんだ。憲法で保障しておる義務教育の保障、あるいは人民の基本的権利である教育の機会均等、これを貫くためにはどうしてもこれだけの金がいるのだという具体的なものをお出しにならないと、せつかくお出しなつた法に魂が入らない、具体性がないと思うのですが、その点をどういうふうに数字上お考えになつておるか。これはこの案をお出しなつた、あるいはこの案と同じような義務教育費国庫負担考えておられる文部省としては、ほんとうに誠意をもつておられるかどうかの判断の基準になると思うのでありますから、具体的にひとつお示し願いたいと思います。
  63. 内藤誉三郎

    内藤説明員 ただいまの二十八年度の見通しについてですが、従来教員給与費都道府県負担になつておりまして、昭和二十四年度までは義務教育費国庫負担法で半額を負担しておつたのでございます。そこで平衡交付金になりましてからも、従来の算定は、小学校五十分の一・五、中学校五十分の一・八、結核教員としまして教員総数の一・三三%を見込んでおつたのであります。その算定基準がそのまま平衡交付金をとるときに、財政需要額の中に見込まれたのであります。そこでただいまの法案によりますと、従来の一・五、一・八という方式をそのままとりまして、さらに教員の結核の分といたしまして、最近結核が非常にふえておりますので、結核の率を二・四四六%に引上げたのでございます。ですからこの引上げに要する分は、当然新たなる国庫負担の対象になるわけであります。  もう一つは事務職員の分であります。事務職員教員総数に対して三十分の一となつておりますが、現在府県負担している職員数と若干開きがございますので、その分は当然新たなる国庫負担の対象になると私ども考えております。  それから市町村経費は、維持運営費は市町村経費でありますが、これは一応党の案によりますと、教材費だけに限定されまして、教材費給与費の百分の十というふうになつております。給与費が大体一千億近くかかりますので、これに対して百分の十といたしますと、百億程度考えなければならぬ。その五十億の分が国庫負担の対象になるのですが、従来PTAの寄付金が、昭和二十四年度の調査によりますと百六億であつたのであります。百六億のうち、教材費と認められる分が約四十七億、そのほかに教員旅費とかあるいは校舎の分がございますが、四十七億が教材費関係でございますので、この教材費にPTAが寄付している教材費相当額というものは、新しい国庫負担の対象にしたい。ですから市町村関係については、市町村税あるいは市町村平衡交付金関係なく、新たに四十七億なり五十億程度国庫負担を要求する考えであります。  先ほど局長が、地方税法の改正と関連して、と申しましたのは、これは配分の問題でございまして、予算の問題ではないのであります。配分をどうするか、裕福な府県と貧弱な府県あるいは市町村間にどう配分するか、二分の一ずつ必ず配分するという方法考えられるわけでありますが、この点につきましては、地方税法の改正とも関連がありますから、後に法律で定める、こういう意味でございます。それから二十七年度の補正予算をどうするかというお話でありますが、二十七年度については、この法案によりますと、給与費だけに限定されております。ですから市町村の方の経費には算定基準特例がございませんので、二十七年度の今後の補正予算引上げでもございますならば、市町村教育費——これはただいまのところ平衡交付金の中で考慮されておりますが、その場合には、その市町村教育費を上げていただくようにお願いをして行きたいと思つております。
  64. 立花敏男

    ○立花委員 その財源的な措置ですが、四十七億の教材費に関する寄付金は、どういう財源でまかなおうというお考えであるのか。地方税の増税ということは言わなかつたとおつしやられますが、その点がはつきりしませんと、提案がはつきりしないと思うのです。その点をどうお考えになつておるか。
  65. 内藤誉三郎

    内藤説明員 ちようど給与費の百分の十が教材費に相当するのですから、約百億であります。その百億の半分、五十億に相当する分を国庫負担するようにしたい。だから財源は新しくとつて来る、こういう考えであります。
  66. 立花敏男

    ○立花委員 そういたしますと、現在の教育費を含めました平衡交付金と新しい負担金とでは非常に大きな差が出て来るわけですが、そういうものの一般的な財源——御承知のように、国民の担税力は限界に来ておりますが、これがはたして可能性があるかどうかという問題について、どういうふうにお考えになつておるか。
  67. 内藤誉三郎

    内藤説明員 この点について私どもも相当問題があると思いますが、党の方で政調会長と大蔵大臣とである程度話合いを進められておりますので、もちろん国民の担税力には限界がありますが、国の方の自然増収等もありますので、これは何らか調整されることを私どもは強く期待しておるのであります。
  68. 立花敏男

    ○立花委員 自然増でまかなうということが、政府考えておられる唯一の財源措置らしいのですが、そういうことでは非常に困るのじやないかと思うのです。自然増と申しましても、税金にかわりはありませんので、寄付金が多いから何とかしようといいますのは、名前をかえて税金でとられるだけで、これではこの案の進歩性は何にもないと思うのです。その点はどうお考えになつておるか。自然増という名前を聞きますと、何か余つた金のように考えられますが、国民のふところから出る税金には間違いありませんし、その自然増自体が純粋には自然増ではなしに、水かけの自然増ということがはつきりしておりますので、この点が、表面は進歩的なこの案の本質に入つて見ますると、結局進歩的ではない。増税によつてそれをまかなおうとしておることは明らかであるが、この点をもつと具体的にお考えになつておられないかどうか。日本の全予算から見ましても、教育費の占めるパーセンテージは他の民主国家に比して非常に少いのです。特に二十七年度から二十八年度にかけて、軍事予算は非常に増嵩することは見えすいておりますので、その中で自然増でまかなつて行くというようなやり方は、決して進歩的な立案だとは言えないと思います。その点はどうお考えになつておりますか。
  69. 内藤誉三郎

    内藤説明員 自然増と申しましたのは、自然増収等の方法もあるということでございまして、これは大蔵大臣がどこからひねり出されるかということは、私どもとしては推測する余地はないのですが、ともかく国全体の財政の中で、義務教育の重要性をお考えいただきまして、ともかくひねり出していただきたいというのが希望であります。そこでただいまのようにPTAで出すということは、私どもは反対でありまして、義務教育という大事な経費は公費で支弁するのが当然だ、公費で支弁しますならば、税金でまかなわれる以外には方法はないと思いますが、現在のようなPTAで裕福な者も貧しい者も同じような方式で一律に、まるで授業料のような形でとるという行き方がむしろ反対なのであります。これがもつと合理的な方法で公費で支弁されるようにするのが望ましいと考えておるような次第であります。
  70. 立花敏男

    ○立花委員 合理的な方法と言われるのですが、なるほど今のPTAの寄付は子供泣かせでありまして、子供に寄付の用紙を画一的に渡しまして、一口五十円、百円ということでとつておりますので、これは最も悪質な税金じやないかと思います。その点においては同じだと思う。しかしだからといつて現在の日本の税制が合理的だということにはちつともならないと思う。逆に最近の税制は非常に改悪の方に行つております。地方税あたりでも六十以上の老人から新しくとるというようなことを言つておりますので、決して税制自体が合理的じやないと思う。その税制でまかなつて行くという考え方は、やはり再考されなければいけないのじやないか。この点をやはり文部省としてははつきり決意をお持ちにならないと、結局国民の負担である点にはちつともかわりがないという結果になると思いますので、これは文部省の決意を促しておきたいと思う。やはり何と申しましても、再軍備費を削るというところに持つて参りませんと、この法案の進歩性は出て参りませんので、その点をはつきりしていただきたいと思います。  それから義務教育だけ問題になつておりますが、日教組あたりでは教育費国庫負担法という形で、幼稚園あるいは高等学校も含めての教育費国庫負担考えております。これはほんとうに人民の権力ができましたところでは、実際にやつている問題なんですが、こういう教員組合の考え方については、文部省は一体どう考えておられるか、今の教育費義務教育以外に非常に金がかかりまして、教育の機会均等ということが完全に失われまして、たとえば慶応大学では二万円も月謝をとつている。最近それを値上げしようとしている。こういうことになつて参りますと、大学へは、まさに選ばれた人々だけしか行けませんので、当然教育費全体をお考えにならなければいけないと思う。高等学校へ入学させるにしても一万円や、二万円の金はかかるということは常識です。そういう問題をどうお考えになつているか。特に最近の学生の運動といたしましては、徴兵反対、授業料の値上げ反対ということが切実な問題になつております。メーデーで学生が騒いだと言つておられますが、学生にとりましては、学業のほかにほとんど余暇は全部アルバイトに捧げなければ勉強もできないという苦痛を毎日々々なめさせられておりますので、この授業料値上げ反対の要求が非常に大きく、それをやはり政治的に要求するという気持が強かつたと思うのです。ですから、こういう問題について、やはり根本的なお考えがなければならないと思うのですが、義務教育だけでなしに、日教組の要求しております幼稚園、高等学校費用の問題、あるいは一般の教育費の問題について、どうお考えになつているか承つておきたいと思います。
  71. 内藤誉三郎

    内藤説明員 幼稚園から高等学校まで国庫負担の対象にするという考え方も、一つ考え方だと思うのであります。ただ現在のところ、憲法で国が保障している義務教育についても、十分な措置が行われておりませんので、ともかく義務教育が最も教育上重要な立場になつておりますし、特に義務教育地方財政で大きな地歩を占めておりますので、そこを安定させますならば、幼稚園と高等学校経費は、非常に身軽になるのではなかろうかということを考えておるのであります。幼稚園、高等学校についても、文部省は等閑に付しているわけではないのでありまして、現在のところ平衡交付金制度の中で、一応考慮されておりますので、その方で見ていただき、当面の重要問題である義務教育を根本的に解決したいと思つておるわけであります。
  72. 立花敏男

    ○立花委員 地方自治庁、地方財政委員会のこの案についての反対の一つは、やはりこれが他の地方行政の非常に大きな圧迫となつて来るのではないかということなんですが、その点どうお考えになつているか、地方財政はやはり全般的な地方行政をまかなうには現在非常に不足しておりまして、困つておりますのは、義務教育ということだけではなしに、児童福祉の問題も困つておりますし、失業問題も困つておりますし、いろいろな点で地方行政の中に行き詰まりがあるわけなんです。それがさらに圧迫されるということになると、非常に困るという考え方を、地方財政委員会あるいは自治庁あたりは考えておるのですが、そうはならない、あるいはそうはしないというはつきりした見通しがあるのかどうか、その点を承りたいと思います。
  73. 内藤誉三郎

    内藤説明員 この点は、私どもとしては、現在の平衡交付金制度にも、ある程度の欠陥があるのではなかろうかと考えるのであります。と申しますのは、私ども従来国庫負担の当時、昭和二十五年度平衡交付金に入れたときに、義務教育費は約二百五十億あつたのであります。この二百五十億が、現在は少くとも国庫負担でございますと四百五十億を越えておると思います。ですから二百億の増額というものは、義務教育費だけであつたはずであります。ところが平衡交付金全体を見ますと、平衡交付金は当初千五十億、二十七年度は千二百五十億、わずかに二百億しかふえていなかつた。従来ですと、義務教育費の半額国庫負担のほかに、配付税として所得税、法人税の一定割合というものが配付税の特別会計に納付されたわけであります。そういう点から考えまして、今の平衡交付金が伸び悩んでおることも事実である。ですから義務教育費国庫負担にした方が、かえつて地方財政は身軽になるのだ、逼迫した地方財政を現在の平衡交付金制度の中に置く方が無理ではなかろうか、義務教育費のような大きな経費ですから、これだけを別に取出して保障した方が地方財政は楽になるだろう、その方が義務教育も振興するし、地方財政も安定するだろうと私ども考えておるわけであります。  それから中央集権というお言葉も出ましたが、この点は、中央集権にならないように、配分基準等をすべて法律に書いておきますならば、行政官庁の裁量の余地をできるだけ少くしておくことによつて、目的が果せるのではないかと考えております。
  74. 立花敏男

    ○立花委員 地方財政委員会から、今の意見に対する意見を聞きたい。奥野君はさいぜん、二十七年度平衡交付金は千二百五十億で十分なのだと言われたのですが、今の文部省意見では、あれは義務教育費がふえただけしかふえていない、ほかの費用はちつともふえていないので平衡交付金の欠陥であると言つておるのです。地方財政委員会の方は、あれはあれでよい、非常にりつぱな制度だ、財政もあれで十分まかなつておるのだというような、文部省と正反対の見解を持つておるのですが、こういう意見の相違が政府部内の両方にあつては非常に困る。私どもとしては不審にたえないのですが、地方財政委員会の今の文部省考え方に対する意見を伺いたいと思います。
  75. 奥野誠亮

    奥野政府委員 地方財政平衡交付金が、昭和二十七年度において千二百五十億円でよろしいということは、閣議で決定しておることであります。内藤君が言われたのは内藤君個人としての意見だろうと思います。政府としての意見ではないはずだと思います。ことに義務教育費国庫負担制度が続けられておるならば、それだけでも二百億円内外増額をしておるはずだという御意見でありますけれども地方自治を確立して行きたい、民主政治の基礎を築いて行きたいという考えから行きますならば、地方団体で使う金は、原則としては住民から直接地方団体収入としてとつて使わせて行つて、自分たちの納めた税金を通じて、地方行政のあり方を批判させて行きたい、こういうような考え方を持つております。従いまして義務教育費国庫負担制度のありました最終年度昭和二十四年度における地方税収入は千四百億あまりであります。ところが二十七年度には二千九百億円を越えております。言いかえれば、税収の面においては二倍以上になつて来ておるわけであります。国庫負担金でありましようとも、これはやはり同じ住民の納めた税金であります。住民の納めた税金を一旦政府のふところに入れまして、官僚の手を通じて配分するがよろしいか、あるいはまた直接使うところの収入にしまして、住民からきびしい批判を加えさせた方がよろしいかという考え方につきましては、私たちは地方税こそ充実して行くべきものであるというふうな考え方を持つておるのであります。  もう一つ、第二の問題として地方自治の障害にならないように、配分方法考えて行きたいということでありまするが、しかし負担金制度をとる以上は、国の考え方負担金の方法を通じて地方団体に実現させて行きたいということであります。もしそうでないならば、負担金制度をおやめになつた方がよいと思うのであります。負担金制度をとる以上、地方財政の将来に負担を感じさせないということは矛盾した考え方だと思います。むしろ国が地方団体に対してほんとうにこういうことをやらせたいという考えならば、私は法律基準を設定するだけで十分だと思うのであります。ことに地方財政が混乱している、地方財政が不足していると言われますが、新制中学の建設費の二分の一を国が負担することになつておりながら、先ほど申し上げましたように机やいすは出さない、階段や職員室は出さない、図書の購入費は出さない。一体新制中学の教材費の不足していた責任、困難をしていた責任というものは、市町村にあるのかあるいはその他のところにあるのか、私はよく検討していただかなければならぬ問題であると考えておるのであります。もし正確に二分の一が出されていたならば、今日ほど混乱を見なかつたであろうということを確信しておるものであります。
  76. 門司亮

    門司委員 この機会に、もう一つ聞いておきたいと思います。これは大臣に先に聞いておきたいのですが、大臣がしばしば申されたお言葉の中に、地方財政平衡交付金に対する問題は、根本的な改正が必要ではないかという御意見があつたのであります。内容は、やはり何といつても従来のような配付税的の性格を持つて、そうして当然国が地方に配付する額というものをきめて行くことがいいのではないかというような御意見であつたように聞いております。今度の地方財政平衡交付金法の一部改正案の中にそれは出ておりませんが、これは何か理由があつたことでありますか。
  77. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 平衡交付金の改正につきましては、私がいつも申し上げます通り、今度できますところの地方制度調査会で平衡交付金といわず、地方税法並びに他面において地方行政機構とか、制度の問題を総合的に研究して、そしてやろうと思つております。今回の平衡交付金改正案は、御承知の通り地方財政委員会の規則で実はやつてつたものを——これは二十五年度、二十六年度に限つて地方財政委員会規則でやり得る、しかしその後はやはり法律でやらなくちやならぬということになつておりますから、法律出して、そうして法の初め所定した通りの希望に沿うような改正をするにとどめた次第であります。
  78. 門司亮

    門司委員 どうも地方制度調査会というものは、法案が出ておりますからでき上ると思いますが、すべてがここに逃げ込んで、政府の責任逃れのような形になつております。私は大臣がもしそういう御意見であるとするならば、こういう測定単位をきめます場合には、非常に重要な問題であるから、これを法案の中に入れていただけば非常によかつたと思つております。  それはそれとして、次に伺つておきたいと思うことは、今立花君から議論され、あるいは大泉さんからもお聞きになつておりました例の義務教育費国庫負担に関する法律案が出て参つております。そうしてこの法律案提案理由の一番最後に、義務教育費国庫負担法が通過いたしますならば、当然平衡交付金算定基準について、特例を定める必要があるということが書いてあります。そこで問題になつて参りまするのは、この平衡交付金を私どもがここに審議いたしておりまするが、実はこの義務教育費国庫負担法が出て来るまでの様子を見ておつたのが、この委員会の今日までの状態であります。幸いにして出て参りましたところが、やはりわれわれが危惧いたしておりましたように、当然地方財政平衡交付金法に対しては特例を設けなければならないということが現われて参つておるのであります。従つてこれに対して当局はどういうお考えをお持ちになつておるのか、その辺がもし御答弁ができるならば、この機会にお願いしておきたいと思います。
  79. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 この義務教育費国庫負担法が委員会に提案されましたことにつきましては、私どもとしてはまだ財源措置について十分なる成案を得ておらぬわけであります。むろんこういうものが通りますれば、この次にあります平衡交付金法の改正に、一応議題として考慮しなければならぬものと思いますけれども、私はもともとこれには反対でありますから、私の考えておりますところの将来における平衡交付金法改正案については、今まで何ら考慮したことはありません。
  80. 門司亮

    門司委員 大臣は反対であるという御意見でありますが、しかしこの法案の提出は政府与党であります自由党の有志代議士の方から出ております。従つておそらくこれは自由党の総務会、あるいは政調会それぞれ所定の機関を経て出て来たものだと私は考える。内閣と政党とは、あるいは議会とは全然別だということも一応考えられまするが、しかし私どもといたしましては、それを全然別なものだというふうに考えるわけには参らぬのであります。おそらく何らかの了解がなければ、政府と与党が全然相反する法律を出すはずはないと私は思うのでございます。こういうところから考えて参りますと、今大臣が反対だというお話でありますが、もう会期はわずかしかありませんし、もしこの法案が通過いたしますれば、提案理由の批判をしてはおこられるかもしれませんが、提案理由の中に地方財政平衡交付金法基準を変更する必要があると書いてあるのでどうかと思いますが、いずれにしてもこれが通ればこの測定単位というようなものが多少わからなければならないことになつて来ると私は思う。そこで地方財政委員会としましては、やはりこれに対処される必要が必ずあると私は考えております。ただ大臣が反対だから、わしはそういうものは知らぬというだけでは済まされぬと思いますが、もしかりにこれが通過したといたします場合におきましては、この平衡交付金法算定単位が大体どういうふうにかわつて参りますか。その点をひとつ事務当局からでもよろしゆうございますから御説明を願つておきたいと思います。
  81. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。もし万一この法案が通過することがありますれば、むろんわれわれとしてはこれを考慮しなければいけないという立場に置かれることは事実であります。
  82. 門司亮

    門司委員 もしそういうことになるといたしますと、今出ております地方財政平衡交付金法の一部改正に対する法律案の審議を、一応待たなければならないような結果が来るのではないかということを私は考えておる。そういたしませんと、もしこの義務教育費国庫負担法が通過いたしますと、また算定基準をかえるというようなことで、もう一回改正案を出さなければならないようなことになつて来はしないか。その場合は規則あるいは政令にこれを譲るということで、事務的な処理はできると私は思いますが、理論的には処理できても、法案を審議するわれわれといたしましては、みすみす行政措置にそれをまかせるからよいということで、これをそのまま通すわけにも行かないような気がするのであります。従つてこれが通つた場合の算定基準が大体どのくらいになるかという、アウト・ラインだけでも、この機会にひとつお聞かせを願つておけば、これを審議する上に非常に好都合だと思います。
  83. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 事務当局から説明いたさせます。
  84. 奥野誠亮

    奥野政府委員 義務教育費国庫負担法の基本的な態度は、二十八年度から国庫負担制度をつくろうというのでありますから、二十七年度に特に特例を定めなければならないことはないと考えております。二十七年度平衡交付金法特例であつて、新たに義務教育費国庫負担制度をつくろうとしておるわけではありませんので、二十七年度にぜひつくらなければならないという理由はないと思います。ただ二十八年度以降の問題と関連して来ました場合には、二十八年度以降において義務教育費については一定の算式によつてわくをつくつて行きたいという考え方がもしありまして、そのような姿だけを二十七年度において確保しておきたいということなら、あの負担法の附則に現われておるような改正の仕方があり得るだろうと思います。     〔野村委員長代理退席、委員長着席〕 しかしながら二十七年度算定方法の中には、補正係数等を政令で定めることになつております。その政令の定め方によりまして、財政需要額は相当増減するのだろうと思うのであります。しかしながら職員数だけをとつて考えてみました場合には、小中学校をとりまして現在の職員数よりも三万六千人内外多くなつておるわけであります。従いましてあとの算定係数を現実に即したものとして考えますならば、数十億円義務教育費わくを拡げなければならない、それだけのものを他の行政費を圧迫して行かなければならないということになるわけであります。しかしながらただいま申し上げましたように、政令で定めた方に一つの問題が起きておるわけでありますから、今私が申しましたようにただちにそうなるのだというわけにも参らぬだろうと思つております。
  85. 門司亮

    門司委員 この提案の理由にはこう書いてあります。提案理由最後の方に、「なお、昭和二十七年度においては、差し当り、地方財政平衡交付金により右の趣旨の実現を図るため、教職員給与費算定基準について特例を定める必要がある。」こうはつきり書いてあります。これは提案理由が間違つておるのだということに解釈してよろしいですか。
  86. 奥野誠亮

    奥野政府委員 私はさように考えております。
  87. 内藤誉三郎

    内藤説明員 この点につきましては提案者に聞いていただきたいと思いますが、私がかわつてお話申し上げておきたいと思います。ただいま奥野課長から、この案によると三万六千人ふえるのだというお話があつたが、そういうことは私ども考えておりません。この附則で考えておりますのは、教員数の現実の食違いはせいぜい一万五千か二万程度以内であります。それは給与単価の方が非常に低いのです。実際の給与費が大蔵省の財源単価よりは三百七十五円上まわつていると言われてわります。給与単価の方が国の学校基準によつておりますから、実際の府県給与単価よりは、はるかに低いのです。一万五千ないし二万人の定員と実員の差によつてこの給与単価の差額を操作する、こういう考え方でございまして、附則に書いておりますのは二十八年度考えておるような数字よりは、はるかに低いのであります。地財委では義務教育費総額において八百六十億と踏んでいらつしやいます。その八百六十億の範囲内で算定基準をより合理化したいという気持だけでございます。ですから先ほど床次議員からもお話がありましたように、今の党の案によりますと、学級学校、児童というふうなわけ方でありまして、これではたして義務教育がうまく行くかどうか、私どもは非常に疑問に思つております。なるだけ地方実情に即するような算定基準を考慮したい、こういうことでございます。
  88. 門司亮

    門司委員 今のことですが、大臣は何か御用があるそうで、私は測定単位についてはいろいろな疑問を持つておりますのでこれから聞きたいことが、まだたくさんあるのでありますが、それは具体的に言えばやはり今度の測定単位の事務費とかなんとかいうものは、全部現況が見られておるのか、あるいはこの間大蔵省が出したいわゆる地方給与が非常に高いということによつて基準が出されておるのか、その辺をはつきり知りたいと思いますが、これはあとまわしにいたしまして、大臣がお急ぎのようでありますので、大臣に一応お聞きしておきたいと思います。これは政府提案でありませんから、閣議においてこれが決定されたとは申し上げませんが、大臣だけが反対なのか、政府全体が反対なのか、その点を一応お伺いいたしておきたいと思います。
  89. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 私は、閣議にかかつておりませんから、政府全体が反対であるかどうかわかりません。しかし少くとも、先般大蔵大臣と私と加りまして、この案についていろいろお話を伺いましたときには、大蔵大臣も私も、同じように、財政措置はできないのだから、とにかくこれはなかなかむずかしい問題だなということで、まだしつかり話がついておりません。こういうような情勢でございます。
  90. 門司亮

    門司委員 課長さんに文部省意見を聞くのはどうかと思いますが、文部省としては、この問題はかなり連絡があつたと思うのです。文部省意見はこれを支持される御意見ですか。
  91. 内藤誉三郎

    内藤説明員 文部省としても、当初の案から相当後退しておりますので、必ずしも満足しておるというわけではございません。
  92. 立花敏男

    ○立花委員 後退しておるから賛成じやないので、だからもつとこの案よりも進歩的な案であれば賛成だという意味で、この案は支持されるのですか。自治庁の人や岡野国務大臣、大蔵大臣が反対される理由は、根本的に違つた立場からの反対であると思いますが、その点どうですか。
  93. 内藤誉三郎

    内藤説明員 満足でないと申し上げたので、反対ということは申し上げてありません。
  94. 床次徳二

    床次委員 ただいまの問題は、政府としてもなるべく早く態度を明瞭にしていただきたいと思います。  第二の問題として、この際大臣にお尋ね申し上げたいことは、平衡交付金の問題は、基準財政需要と収入との差引によつて平衡交付金の額がきまるのでありますが、その算定実情を見ておりますと、先ほど門司委員からも指摘されたのでありますが、必ずしも実情に合つていないように思うのであります。二十七年度からは必ず地方に迷惑をかけないように期しておるのだという御答弁でありましたが、その点は、私ども疑いなきを得ないのでありますから、特にこの点は考えていただきたいと思うのであります。この材料になりました中に、実は予備費の問題がある。地方でいろいろ新しい要求額がありましたときに、これに対処するだけの財源地方では持たなければならない。これが今日予備費に入つておると思いますが、現在のところ割合に弾力性が少いのじやないか。従つて地方は必要な仕事ができないばかりでなしに、かなり赤字も来しておるというのが、今の実情かと思いますが、地方自治という立場から見ますと、平衡交付金わくでもつて完全に地方が押えられるということでは、実はほんとう地方自治ができなくなる。平衡交付金地方財政を確実に行わせる一つの手段であつて地方の自治というものは、これよりももう少し弾力性のあるものであつてよろしいのじやないかと思うのでありますが、この点について大臣にお伺いしたい。地方にできるだけ弾力性を与える意味において、基準財政需要額をゆるやかに算定するということは別といたしまして、予備費等の形において、地方財源に余裕をとるというお考えをお持ちになつておるか、伺いたい。
  95. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。お説しごくごもつともでありまして、われわれといたしましても、そういう方向に進んで行きたいと思つております。少し専門的になりますから、私、はつきりおわかりになるように申し上げられぬかもしれませんが、足らぬところは事務当局から御説明申し上げます。ただいま政府といたしましては、基準財政需要額を八割と見ておりまして、二割は余裕をとつております。あとは徴収者、すなわち地方公共団体が非常に気持よく意気込んで税をとれば、それだけ自分の仕事がよくできるようになるという余裕を残しておるような制度であります。今後とも、お説のように、平衡交付金にあまりたより過ぎるということは、私はあまりよくないことと思います。今後は地方の税源を十分裕福にして、そのうちに予備的もしくは余裕的のからくりのできるように仕向けて行きたいと思つております。これは一は地方税法の改正にまつところが多いと、私は考えております。
  96. 金光義邦

    金光委員長 この際暫時休憩いたします。     午後一時四十六分休憩     〔休憩後は開会に至らなかつた