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1952-05-10 第13回国会 衆議院 地方行政委員会 第41号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月十日(土曜日)     午前十一時三十二分開議  出席委員    委員長 金光 義邦君    理事 大泉 寛三君 理事 河原伊三郎君    理事 野村專太郎君 理事 床次 徳二君    理事 門司  亮君       生田 和平君    池見 茂隆君       川本 末治君    佐藤 親弘君       橘  直治君    永井 要造君       前尾繁三郎君    吉田吉太郎君       龍野喜一郎君    鈴木 幹雄君       大矢 省三君    立花 敏男君       大石ヨシエ君  出席国務大臣         国 務 大 臣 岡野 清豪君  出席政府委員         国家地方警察本         部長官     斎藤  昇君         総理府事務官         (地方自治庁行         政課長)    長野 士郎君  委員外出席者         国家地方警察本         部警視長         (総務部長)  柴田 達夫君         国家地方警察本         部警視正         (企画課長)  桐山 隆彦君         專  門  員 有松  昇君         專  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 五月十日  委員小玉治行君及び小西寅松君辞任につき、そ  の補欠として龍野喜一郎君及び橘直治君が議長  の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  町村警察維持に関する責任転移の時期の特例  に関する法律案河原伊三郎君外五名提出、衆  法第二六号)  市の警察維持特例に関する法律案河原伊三  郎君外五名提出衆法第三八号)     —————————————
  2. 金光義邦

    金光委員長 これより会議を開きます。  町村警察維持に関する責任転移の時期の特例に関する法律案及び市の警察維持特例に関する法律案の両案を一括して議題といたします。前会に引続き質疑を続行いたします。質疑を許します。門司亮君。
  3. 門司亮

    門司委員 先に町村警察関係から質問をいたしたいと思いますが、提案者にまず聞いておきたいと思いますことは、この提案理由説明趣旨をこのまま受取つていいかどうかということであります。これは非常に変なことを申し上げるようでありますが、私は提案者提案されております趣旨と、現実に起つて来る問題が、違つた問題が起つて来るであろうという可能性が非常に強いと思うのであります。従つてまず提案者意思を十分確かめておきたいと思いますので、この提案者は現在でも説明書に書いてあります通りのお考えでおられるかどうかということをお聞きしておきたいと思います。
  4. 河原伊三郎

    河原委員 お答え申し上げます。提案理由説明に申し上げました通り趣旨提案した次第であります。
  5. 門司亮

    門司委員 そういたしますと、私どもが今日まで承知いたしております範囲におきましては、この提案者提案された趣旨と同じようなこと、いわゆる大阪府における一つの問題、さらに愛知県における一つの町の警察廃止住民投票が、法律で定めております十月三十一日までに実際の手続が何かの都合で遅れておる。いわゆる地方議会で一応廃止の議決をし、さらに住民投票に付して、これの廃止のことをきめたのであるが、しかしそれが多少の時間を違えて十月三十一日まで、いわゆる法律できめておりまする日にちに、時間的にいうならばきわめてわずかな時間の食い違いから、遂に住民投票も無効になつておるという今日の現状、これを大体救済するというのが提案者趣旨であるということが、この提案理由説明をずつと見て行きますと、大体私は了承できるのでありますが、これに間違いがないかどうかということであります。
  6. 河原伊三郎

    河原委員 間違いありません。
  7. 門司亮

    門司委員 そうだといたしますと、提案の時期が四月一日になつてつて、そうして法案の内容を読んでみますと、昭和二十六年十一月一日から昭和二十七年五月二十日までの間に、警察法第四十條の三第六項の規定によつて住民投票の結果という文字が使つてあるのであります。従つて私の聞きたいと思いますことは、もし昭和二十六年十月三十一日までに行つたことが食い違つておる、従つて昭和二十六年十一月一日を限度とすれば、この二つの問題は私は救済ができるはずであつたと思う。しかるに法案提出が四月一日になつてつて、その四月一日を越えること一箇月二十日、五月二十日にしなければならなかつたということはどう考えても提案者提案趣旨説明と非常に大きな食い違いを持つておると思う。これが一体どうして五月二十日にしなければならなかつたのか、その理由をひとつはつきりお聞かせを願いたいと思います。
  8. 河原伊三郎

    河原委員 五月二十日という時が長過ぎる、こういうのでありますが、四月二十日ということにすればあまり短か過ぎる、こういうふうに思いましたので、それを越えますれば中途はんぱなことは変なものですから、それで五月二十日、かようにいたした次第であります。
  9. 門司亮

    門司委員 提案者には何らの意図はなかつたと、私は善意に解釈をするのでありますが、しかし問題は先ほどから申し上げておりますように、また提案者がここにはつきり提案理由として書いておりますように——念のために提案者提案理由説明の要旨をごく簡單にここで見ますと、こう書いております。「警察法第四十條の三第八項の規定によりますと、十月三十一日までに警察維持に関する住民投票の結果の報告が、内閣総理大臣に対してなされたときは、翌年四月一日に警察維持責任転移が行われることとなるのであります。しかるところ、十月三十一日までに住民投票を行い、その結果を確定することと予定していたもののうち、手続上その他の都合により、住民投票が遅れました町村もあります。これらの町村住民投票の結果、警察維持しないことと決定したものは、ただいまのところ明年四月一日までは引続き自治体警察維持せられることになるのであります。当該町村住民投票の結果が確定しているにかかわらず、かかる長期間その実現を見ないでいることは、種々の障害のあることも予想せられます。そこでこれらの町村が希望しますにおいては、この警察責任転移の時期を繰上げることのできる道を設けることが適当であると存ずるのであります。」こう書いてあるのであります。従つて当然この趣旨から申し上げますならば、ごく善意に解釈いたして参りましても、四月一日にこの法案提出されておりまするので、その以前におけるこうした住民投票行つたものの救済であるとするならば、私は一応わかるのであります。にもかかわらず五月二十日となつておりまするので、現実の問題を考えてみまするならば、神奈川逗子町におけるこの問題の便乗が、現在起つておるということであります。しかも神奈川逗子町においてこの便乗した問題の起つたという原因の大きなものはどこにあるかといえば、町長はすでにこの法案が出るということを予測し、さらにこの法案国会を通過するであろうということを予測して、臨時町会を招集して、そうして町議会における自治警察廃止の決議を行い、現在住民投票の期間に入つておるということである。少くとも提案者がこの理由書にはつきり書いておりまする通り、また今確かめましたところもその通りであるという御答弁でありますならば、何がゆえに四月一日までのものを限度とされなかつたかということである。少くとも提案するときはそれまでのものを救うということが、私は提案者の最も大きな趣旨であつたと思う。それ以後のものを救おうという趣旨はなかつたと思う。これはおそらく提案者考えの中にはあつてはならぬと思う。もしそれがあつて、そうしてもし現在逗子町に起つておるような事件があつたとすれば、これはたいへんであります。提案者責任はきわめて重大だと思う。従いまして、もしこういう法案が次々に出て参りますることを、私は非常に危惧いたしております。單に私は逗子町の問題だけを取上げて荒立てて申し上げるわけではございません、が提案者趣旨と相異なる結果が出て来て、しかもそれはそのまま受取ることのできない何らかの関連性があつたのではないかというような疑惑を受けるということは、私ども国会としてこれを審議することは非常に迷惑だ。従つてもう一応私はこの五月二十日にきめられた問題について、現在起つておりまする逗子町というようなものの関連性があつたかなかつたかということについて、ひとつはつきりした御答弁を伺つておきたいと思う。
  10. 河原伊三郎

    河原委員 提案趣旨は、提案理由説明にうたいました通りで、いささかもそれには間違いはありません。ところでこの法案が通るとすれば、提案したときと違う趣旨のものが起るのではないかという御質問でありますが、一つ趣旨のことを行いました場合に、それに便乗するとか、あるいは副産物ができるとか、副作用があるというふうなことは注意すべきことではありますが、しかしたまたま起りましたところのその副産物が非常に有害なるものであれば、これは努めて排除しなければならぬのでありますが、しかし早く自治体警察国家警察に返上したいという気持があつて、しかもそれはもうしばらく待つか待たないかの問題の場合には、やはりその住民の大多数が、そういうことを希望するのであれば、あとう限りそういうふうなものをいれるというふうなことは決して悪いことではないと考えます。
  11. 門司亮

    門司委員 提案者がただいまのような答弁でありまして、そうしてもし便乗することがいいというお考えであるとするならば、私どもはこのままこの実態を見のがすわけには参りません。従つて私は委員長にお願いしておきたいと思いますことは、現実の問題を調査いたしまする必要がございまするので、逗子町長さんが、いかなる手続と、いかなる意図のもとにこれに便乗されようと考えておられるか。もし国会においてこういうものが審議されており、さらに国会がこれをはつきり通過した、これには便乗することが完全にできるんだというようなことで、住民投票がなされておるかどうかという経緯を、ひとつ聞きたいと思いますので、証人として逗子町長をここにお呼立てを願いたいと考えておるのであります。私がそういうことを申し上げますのは、逗子の町におきましては、すでに昭和二十七年度の新予算決定しておるのであります。先に私が四月の一日という言葉を申し上げましたのは、四月一日は新予算の発足の日でありまして、従つて四月一日以前における町会あるいは町の住民の態度において自治警察廃止するという決定を見ますることができておりますものは、新年度予算を組みまする上においても、きわめて大きな、というよりもむしろ重要な問題であります。従いまして、それらの問題を勘案して、十月三十一日までにできなかつたもののみを救済するということについては、私どもは、やはり予算編成の上においても、現実の問題としては、自治警察廃止できておらぬから、おそらく予算は組んでおるとは思いますが、しかし住民の十分なる意見を私は忖度する意味においても、四月一日以前において議決されたものについては、そういう処置を講ずることが必ずしも悪いことにはならないのではないかという、きわめて好意的な考えを持つておりますが、しかし現実に四月一日を越えておりまして、町の予算としては、こういうことを予測しないでちやんと自治警察予算は組んであるということである。にもかかわらず、その予算執行年度半ばにおいて、これを変更して行こうというところに、私はきわめて大きな疑義があるのであります。この疑義は、どうしても私どもは解明をしておかなければならない。そういたしませんと、この問題はこのまま通過させるわけにはいかぬと思う。で私提案者に聞きたいと思いますことは、おそらく逗子の町といえども、こうした議員提案が出ない、また出るはずもなかつたというようなことで新しい予算を組んでおると思う。従つて二十七年度自治警察の費用は当然予算の上に現われておる。そうして二十七年度で遂行ができるようになつておるということ、これを提案者はどうお考えになつておるか、この点をもう一つお聞きしたい。
  12. 河原伊三郎

    河原委員 この提案は、全国対象として考えておりまするので、逗子対象として考えておりません。しかしながら逗子もその他の町村もやはり含まれるわけではありますが、逗子予算との関係はどうかというふうな問題は、ここで論議すべきものでなく、その逗子自治体においてしかるべくせられることと考えます。
  13. 門司亮

    門司委員 今の御答弁について、もう一つ聞いておきたいと思います。それなら、この警察法の中に書いてあります、十月三十一日に決定したものは本年の四月一日からこれを廃止することができる。今年のうちにこの手続をしたものは、明年の四月一日から警察維持国警に移管することができるという法律をなぜこしらえたかということです。予算執行関係することでありましよう。おそらく提案者といえども委員会委員であり、ことに長い間自治体関係をお持ちになつてつた人であるならば、そのくらいのことは私はよくおわかりと思う。われわれが法律の中に四月一日ということを限度として入れたことは、予算執行の上にきわめて重大な関係があるから、こういう文字を入れておるのである。もし提案者のようなことになつて参りまするならば、この警察法の中の四月一日から移行することができるという根底をくずして来るということである。地方自治体予算を遂行し、予算編成いたしまする場合には、大よそ一年間の見通しを十分つけて、予算編成されなければならない。先ほどうなるかわからぬというような暫定的な予算では、おそらく市町村の運用はできないと思う。少くとも地方行政に関心を持つておるものでありますれば、当然市町村あるいは都道府県は、同じように一年間の予算というものは十分見通し予算編成をしなければならない。そういう趣旨に基いて四月一日という年度がわりの日を、わざわざ警察法の中に入れておるのであります。私はこの前の警察法の修正のときにさかのぼつて、この四月一日という文字は一体妥当であつたか妥当でなかつたかということを聞きたい。
  14. 河原伊三郎

    河原委員 まずあとの問題からお答えしますが、四月一日という期日は、今御指摘の通り予算関係上きわめて妥当なる期日考えます。予算編成する場合には見通しを立てて編成する。これまたごもつともであります。しかしながら見通し通りに行きます場合もあるし、変化する場合もありまして、予算というものは絶対に更正、補正または追加等をしてはならないという性質のものではありませんので、変更する方がよいと認めました場合には、国におきましても、あるいは地方自治体におきましても適当にかえることができるものであります。
  15. 門司亮

    門司委員 きわめて奇怪な答弁を聞いたのでありますが、質問いたしておりまする私も地方議会に約二十年ばかりおりまして、よく存じおります、予算がいわゆる予算であるということはだれでも知つておる。予算はどこでも変更できるのであるからということでは、予算はでたらめであつてもいいという結論になるのであります。しかし少くとも自治体予算でありまする以上は、これが見通しのついた予算でなければならない。予算予算だからこんなものはどうなつてもいいんだというようなことで、一体提案理由になるかどうか。もし国会審議の上において、予算予算だからどうなるかわからぬというようなことで、ここで審議がなされておることを地方自治体が聞いたらどうなるかということです。国家予算でもそうでございましよう。われわれは予算をいいかげんなものであると思つて審議はいたしておりません。それと同時に先ほどから伺つておりますと、四月一日という文字は妥当であるという御意見でありますが、これが妥当であるという御意見であるならば、この五月二十日という文字をお削りになつたらどうです。むしろ四月一日という文字を削つていつでもやれるということの方が早いということである、この点きわめてあいまいであります。四月一日ということをわれわれが法律できめたときにはそういう趣旨であつて、私はきわめて妥当であつたと考えておる。しかるにこの妥当であつたと考えておりまする法律をくつがえして、五月二十日に持つて行つたというところに問題があるのであつて、もし提案者の今のようなどうなつてもいいんだという御意見ならば、五月二十日も四月一日も削つて市町村警察ではいつ何どきでも手続を終了すれば、自治警察廃止することができるという法律に直しておけば、こういういざこざは起らぬのであります。一体こういうお考え提案者はお持ちになつておるかどうか。
  16. 河原伊三郎

    河原委員 予算はかえることができるからでたらめでよいと考えるかという御質問に対しましては、全然反対の考えを持つております。すなわち予算は慎重な見通しを立てて、なるべくかえなくてもよいように編成するのが常道であります。しかしながら実際にぶつかつて予算執行の途上において、いろいろな変化の必要を生じた場合には、それでも変更のできないものではないということを申し上げたのであります。なお四月一日という文字を削つてしまつた方がいいではないかというお話でありますが、これは法案の名にもあります通り特例を設けたものでありまして、本体はやはり四月一日、十月三十一日になつておりますので、従つて特例という文字を使つたわけであります。
  17. 門司亮

    門司委員 だんだんはつきりして参つたのでありますが、特例であるならば、どこまでも特例でいいと考えておるのであります。その特例という趣旨は、あなたがここにお書きになり説明され、また先ほど私が読みました通りであります。四月一日にあなた方がこの提案をお出しになる前に、そういう事件があつたものを救済しようというのがはつきりした趣旨であつて、その後のものを救済されるという趣旨はなかつたと思う。おそらく四月一日には逗子の町をこうしてやるというお考えはなかつたと思う。もしなかつたとするならば、これは提案者の御趣旨通り四月一日までに、提案者がこの法案提案されまするまでの間に、そういう手続の終つていたものだけは救済しようという御趣旨にお改めになることができるかどうかということを、あらためてお聞きしておきたいと思います。
  18. 河原伊三郎

    河原委員 提案の精神は提案趣旨にうたつておる通りであり、また門司委員考えておられる通り提案したのであります。しかしその後に起りました問題、ただいま比較的詳しく門司委員から承りましたが、その点につきましては提案趣旨にかんがみまして、つまり要約いたしますれば、そこの住民の大多数が欲しておることは、早く実現せしめるという趣旨に反するものではありませんので、別にそれを妨げようという考えは持つておりません。
  19. 門司亮

    門司委員 私はその点がわからぬのであります。便乗してもいいということは、おそらく提案者としてはなかなか言えない言葉だと思います。少くとも提案者が確固とした自信と十分の調査の上に基いて、しかもこれは特例ではありましても法律であります。国の法律として出して来まする以上は、全体の国民あるいは一万有余自治体影響を持つ法案であります。全国一万有余自治体影響を持つこの法案が、かりにも提案者のお言葉のように、便乗して来たものを認めるということになれば、こういう法案が出され、こういう法案が通過し、こういうことができるということを知つておる町村は、これに便乗するでございましよう。もしこれを知らなかつた町村は、住民があるいは町村当局がどんなに自治警察廃止しようと考えておつても、現行法通り翌年の四月でなければできないんだというあきらめのもとに、そのまま過しておる町村が必ずあると思います。そういたしますと、この法案の出たことをいち早く察知し、いち早くこれを利用しようと考え町村だけが、利益を得るということになるのでありまして、きわめて不公平であります。もし提案者にそれほど御親切があるとすれば、なぜ四月一日に、こういう法案を出すから全国町村で五月二十日までにこの手続を終了したものはこれに便乗せよということを、自治庁あるいはその他を通じて全国一万幾らかの町村に通達されなかつたか。その手続はなされておりますまい。抜けがけの、あるいは一部の関連を持つところだけがこれによつて利益を得るということは、きわめて大きな問題だと思う。この点に対して提案者責任を負われるお考えがあるかどうか。
  20. 河原伊三郎

    河原委員 今までの法律案提案の慣例からいたしまして、こういう提案をするということを、一々全国市町村へ通達するという例はないようでありまするから、そういうことはいたさなかつた次第であります。
  21. 門司亮

    門司委員 私はおそらく通達がなされておらないと思いますから、別にそれをどうするというわけでもございません。ただ私の聞いておりますのはそういう不公平のできた現実を、一体提案者責任を持つて解決なさる御意思があるかどうかということであります。そういうことがやれるならばやればよかつたという町村が必ず出て来ると思う。そういうものについての救済策は一体お考えになつていないのでありましようか、お考えになつておりますか。
  22. 河原伊三郎

    河原委員 それらのことにつきましては別に考えておりません。
  23. 門司亮

    門司委員 私は、提案者はそう固執しないで、やはり法律はすんなり通しておいた方がいいと思う。従つて提案者の御趣旨通りに四月一日にお出しになる前に、私ははつきり申し上げますと、自治体で聞いてみますると、一日の違いではなかつたと言つておる。単なる時間的の相違であつたと言つておる。私どもがきわめて好意に解釈しておりまするのはそこであります。わずか一時間か二時間か、あるいはその手続の時間で遅れたというようなものは、きわめて気の毒である。しかも十月の三十一日までに何とかして自治警察廃止して、そうして国家警察にしようといういわゆる住民意思決定までしておるものである。これには私は何らの作為はなかつたと思う。ただ町当局の時間的のずれというか、時間的の関係から来た一つ町当局責任がそこに生れて来ると思う。これらのものはきわめて気の毒だというので、これを救済しようという気持は私はよくわかるのでありますが、嚴密に法の建前から言えば、それは当然時間切れになつておれば、それで葬つてもいいのであります。しかしながら住民意思決定までしておりまするものを、わずか一時間か二時間か、はなはだしい例を聞いてみますと、三分とか五分とか言つております。そういうきわめて短かい時間の間に、これが無効になつたということは気の毒であるし、これだけを救おうとする提案者の御意思には別に反対するものでもなければ何でもない。それで私はけつこうだと思う。しかしながら今のような便乗するものが出て参りますると、この法律だけじやございません、今後いろいろな法案出しまする場合に抜けがけ、あるいは何らかの手づるをもつてこれを知り得て、そうして事前にこういうことが行われれば法の執行のときには予測しなかつたような事態が起るということがもしあるといたしまするならば、国会はその責任を負わなければなりません。われわれはこういうことを考えておりまするので、提案者はぜひ十分提案理由の御趣旨を貫こうといたされまするならば、繰返して申し上げまするが、少くとも提案者の御意思通りに、四月一日に出されました以前のものだけは、この法案特例によつてこれを救つて行くということにお考え直しができれば、私は非常に好都合だと思いまするが、こういう御意思がおありになるかどうかということを、重ねてお伺いしておきたいと思います。
  24. 河原伊三郎

    河原委員 繰返して申しておりまする通り提案趣旨門司委員も了解されておりまする通り、わずかなことでもう一年間待たなければならないというものを救うというので、この提案をいたしたのでありますが、たまたまそれに副産物的に便乗するものが出て来た、それをどうするか、これは排除するのがすつきりした趣旨になるのじやないか、こういうお話でございまするが、その副産物的なものが非常に有害なものであつて、あるいはまたこれによつて特定の地域の自治体が、はなはだしい打撃を受ける、あるいは災いをこうむるとかいうふうな場合には、特段の配慮を加えなければならぬのでありますけれども、これは別段その自治体が特別に不利益をこうむるわけでなく、またその自治体の自主的な考え方でそうしたいというふうなことを思いついて、その自治体を益することになる、そのものに対してまでも、これは副産物的なものだから排除するというふうなことをいたそうとは考えておりません、
  25. 門司亮

    門司委員 それならもう一つ聞いておきますが、先ほどから申し上げておりまするように、この事態を知らなかつた他の町村に対しましては、こういう不公平なことに結果はなるのであります。それでもよいというお考えでありますか。
  26. 河原伊三郎

    河原委員 これは不公平と言えば不公平でありますが、しかし知らないというのが本体であつて、機敏にそれを察知してよいことをしたというのはこれは特別の類に属するものであつてこれを一般に知らなかつた者が不利益といいまするよりも、早く察知して益をせられたというのが正当な言い方じやないか。しかしその益をするということになつたものを、しいて抑圧するとか排除するとかいうことは考えないという趣旨でございます。
  27. 門司亮

    門司委員 実に私は奇怪な答弁を聞くものであります。少くとも国会法律審議いたしておりまするときに、抜けがけの功名をして裏からまわつてよいことをしたものはそれでよいのだということになれば、これは何をか言わんやであります。これ以上私は議論する勇気を持ちません。少くとも国会でこういう議論を聞こうとは考えていなかつた。もしこういうことが平気で議論されて、これはそれでよいのだということになり、法律が通るということになりますと、これは日本の法律をつくる場合に今後絶対に秘密であつて、外に知らせないということにでもしておかないと、私はえらい問題が起ると思う。(「悪いことじやないじやないか」と呼ぶ者あり)今悪いことじやないという御発言がございましたが、私はあまりいい意見じやないと思います。従つて五月二十日という期限を切られたというところに、私は非常に大きな疑問を持つものであります。偶然にきめたというお話でありますが、偶然であつたかなかつたか、これはなかなか簡單にお答えができますまい。先ほどから言つておりまするように、そこまで来れば私は提案者にこれ以上質問する勇気を持たぬのであります。よいことをしたのはそれでよいというお考えでありますが、それがよいということであるなら、私は全国に知らせた方がよいと思います。これをもう少し好意的に解釈するならば、この法案通過後十分のゆとりをとつて、何日までにこういう手続をしたものは年度内でもこういうことができるという法律をつくつた方がよほど親切だ。そうすればこの法案が出て来れば全国市町村はそれを知るでありましよう。その上で私は十分やつて行けると思う。それなら公平であります。しかしながら先ほどからお話がありますように、抜けがけをしたものはりこうであつたということになれば、これは思想上に及ぼす影響はきわめて重大だと思う。従つてもしこのま無修正で——提案者はこれをいいと考えておるから、四月一日ということに改める御意思がないということに私は大体総合して判断をいたしまするが、もしそれに間違いがないとするならば、私どもはあらためてこの法案に対する考え方を別に持たなければならないと考えます。  もう一つ次に聞いておきたいと思いますことは、こういう年度の半ばにおいて、六月の一日という言葉がここに書かれておりまするが、五月の二十日から六月一日までの間は大体十日の期間であります。現行法規によりますると、十月の三十一日から四月の一日までの間には明らかに五箇月の余裕があるのであります。この五箇月の余裕をつけたということは、自治体警察から国家警察に委譲いたしまする諸般の手続関係その他が勘案されて、この長い日にちが持たれておると思いまするが、十日の間で完全に国家警察にこれを委譲するすべての手続が一体十分に完了することができ得るかどうかということを国警長官からひとつ御答弁を願いたいと思います。
  28. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 準備には事欠かないと考えております。
  29. 門司亮

    門司委員 国警の長官は準備には事欠かないと言つておりますが、それなら私は聞いておきたいと思いますことは、前の警察法の改正の際に、五箇月間の余裕を置かれたというのはどういう意味であつたか、これもひとつお聞かせ願つておきたいと思います。
  30. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 国の予算編成都合がありますので、国の予算編成の締切りをするまでの時期を選んで、十月一日ということにこの前としては決定したのではないかと思います。
  31. 門司亮

    門司委員 私もこの前の審議に参加いたしておりますので、大体今のような御趣旨であつたと思いますから、御質問申し上げておるのでありますが、そうすると手続の上においては十日あればできるかもしれませんが、国の予算的措置というものは、これは予算であるから少しくらい増減するかしれないという言いのがれをするかもしれません。そうなつて参りますと非常に迷惑であつて、私は前の五箇月というものを、国の予算編成都合があるからというところにお置きになつたということ、それからさらに四月一日ということを規定しておりますのも、これも予算執行関係であります。こういう予算ときわめて多く関連を持つておりますものを、單に手続だけができるならばそれでいいということになつて参りますと、国警長官の御答弁では少し的をはずれておるのではないかと私は考えます。前に提案されたときのように、今回もこれでいいということにはならないと私は思いますが、一体予算的措置も、さつきから申し上げておるように、予算であるからそれでいいのだというようなお考え国警長官もお持ちになつておるかどうか。
  32. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 この特例廃止される町村はそうないであろうと考えておりますので、格別の予算措置がなくてもやり得るのではないか、かように考えております。最後の五月二十日までにどのくらいありますか、それによりまして内閣総理大臣が承認を與えまする際に、予算措置とにらみ合せて決定をされる、かように考えております。     〔委員長退席、野村委員長代理着席〕
  33. 門司亮

    門司委員 今の御答弁でありますが、どうも内閣総理大臣責任を持つてつて、そうして内閣総理大臣がこれをきめるであろうからということになると、これは内閣総理大臣に出て来てもらつて、一応意見を聞かなければならぬと私は思う。まず聞いておきませんと、せつかく住民投票をやつても、それが無効になるということになれば、これもまた気の毒なことであります。それで委員長はここに内閣総理大臣をお呼びになることができるかどうか。今斎藤長官はこれを申請されたときに、内閣総理大臣予算とにらみ合せてきめるであろう、こういう御答弁でありますから、私は一応内閣総理大臣に聞いておかなければならぬ、内閣総理大臣予算都合でこんなものを認めるかどうかわからぬということになれば、せつかく今住民投票をやつているものが無効になつても気の毒だと思う。これの救済案の特例法を出さなければならぬことになりますから、委員長内閣総理大臣なりあるいは予算に直接関係を持つております大蔵大臣をここに呼んでいただきたいと思います。それができるかどうか。
  34. 野村專太郎

    ○野村委員長代理 後刻これは理事会に諮つて……。
  35. 河原伊三郎

    河原委員 その点につきましては、私より御答弁を申し上げます。内閣総理大臣の承認ということになつておりますのは、これは幾つ出て来るというようなことなら、あるいは財政の関係という点よりいたしまして、そのときの財政の都合が悪ければ、それは承認しないということのできる道があるわけでありますが、大体において大蔵当局との話合いにおきましては、予算の範囲内でそういうふうな申出があつた場合は承認が與えられるであろうという話合いになつております。
  36. 門司亮

    門司委員 私はこの警察法の建前からいつて内閣総理大臣がこれを認可するということは、御存じのように国の治安のすべての権限を内閣総理大臣が持つておりますし、同時に国家非常事態の場合に、やはり内閣総理大臣の手に国警あるいは自治警全部が移されることになつておりまして、自治警、国警の総合されたものの最後の責任者が内閣総理大臣でありますから、従つてこの警察の移動については、やはり内閣総理大臣意見を聞くということが法の建前からいつて正しいのであります。そこでこれは善意に私は解釈しておきたいと思いますが、斎藤長官の答弁も必ずしも財政の問題を内閣総理大臣考えてやるということは、今の警察法に書かれております内閣総理大臣の許可の條件ではなかつたと私は思います。従つて今の問題については、できれば総理大臣にひとつ来てもらいたいと思うのです。それからさらに提案者説明によりますれば、大蔵省と何か了解があつたようなお話でありますが、了解があつたかなかつたかということも、そうなつて来ると実情を確かめなければならぬ。従つて大蔵大臣にここに御出席を願いまして、こういう了解があつたかなかつたか、この点についてお聞きしたいと思います。ひとつこの機会に大蔵大臣の出席を私は要求いたしたいと思います。
  37. 河原伊三郎

    河原委員 今の御発言に関連して私より進んで発言いたしたいのでありますが、この私が直接それを申しておるのでありますから、十分御信用くださつてよいと思います。
  38. 門司亮

    門司委員 提案者の人格その他につきましては、十分私は信用を申し上げております。間違いのない人であることは、十分信用を申し上げております。しかし一つ法律をきめます場合には、多少念には念を入れておきませんと困ると思います。重ねて委員長に大蔵大臣の出席をこの機会に私は要求いたしておく次第であります。  それからもう一つ聞いておきたいと思いますことは、何度も繰返すようで恐れ入りますが、この法律を出された趣旨現実とが食い違つておる、しかもそれは悪いことではないから、ひとつこれを善意に解釈して、それでよかろうではないかというようなお話でありますが、それも先ほどから聞いておりますように、またあるいは答弁になりましたように、これから来る世の中の不公平もまたやむを得ないのだというようなことに提案者は申されておるのでありますから、これ以上この法案について、私といたしましてはもう申し上げませんが、予算的措置その他について、ひとつ大蔵大臣の出席を求めて、私は一応この問題だけを確かめてみたいということを申し上げます。  それからもう一つ自治庁の岡野国務大臣がおいでになりましたので、この関係をちよつと聞いておきたいと思いますが、自治警察国家警察に委譲いたしまする大きな原因となつておりましたものは、例の経費の問題が一つある。さらにもう一つはあまり小さな自治体警察では、実際上の運営の場合に、治安の確保はきわめて困難な事態を引起す、従つてある程度やはり警察は財政的にも行政的にも自立ができるようなことでなければならないということが、大体警察法をこの前改正いたしましたときの趣旨ではなかつたか、こう私は解釈しておるのであります。従つて岡野国務大臣のお考えは、今もその通りであるかどうかということを聞いておきたいと思います。
  39. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。大体その通りに私も心得ております。
  40. 門司亮

    門司委員 そうだといたしますと、財政的の措置の問題でありますが、町村警察維持しておりまする町村におきましては、ある場合においてはきわめて貧弱な町村であり、しかも現実にただ法に定められてあるように——五千以上の連檐戸数といいますか、市街地の形をもつておるというような町村が形式的に自治警察を持たなければならないということがきめられておる。従つて財政的にほとんど考慮はされていなかつたというような欠陥が現われて参りまして警察法の前回の修正になつたのだと私は思うのであります。ところがその町村の実態によりましては、必ずしもそうではない。やがてその町村は市になり、あるいは人口が急速にふえて行つて、非常に大きくなるというようなことが考えられる。そういう、特別の過程にあるといいまするか、町村があると思う。従つてそれらの町村に対しましては、もし町が非常に発展をいたして参りまして、そうして人口の増加、あるいは施設が完備いたして来るような町村には、必ずしも財政的の面だけを見るわけにはいかないと思うのであります。もしこれらの町村がほんとうに財政的に困ると思うならば、その財政に対しましては、当然自治警察を持つことのできる資格と客観的の情勢を備えております以上は、それらの町村の財政的の処置に対しては平衡交付金その他の処置で、財政的の救済は私は十分できると思う。しかしこういう問題に対して、自治庁といたしまして、あるいは地方財政委員会といたしましても、こういうきわめてデリケートな関係に置かれておる町村の財政に対して——これはこの次に出て来ます問題がありますので、私はあらかじめ聞いておきたいと思いますが、何らかの財政的処置を特に講じてやるというようなお考えはないかどうかということであります。重ねてもうひとつ、先に申し上げておきますが、これを私が聞いておりますのは、この前の改正のときに、私どもといたしましては、財政上の処置から困るということは、国の法律で定めた以上は当然国が財政的の援助をすべきである、しかしその法の中で、治安力その他についてきわめて貧弱なものであつて、治安の確保が十分できないということは、十分考慮しなければならないという、この点にわれわれは大きなウエートを置いて、大体警察法の改正ができておると思いますので、財政的の問題は、一つ理由ではあつたが、実際は警察法改正のとき、そう重要なものではなかつたようにわれわれは考えるのでありますが、岡野国務大臣はこういう町村に対する財政的の裏づけというものは、十分お考えになつておるかどうか、この点をもうひとつ聞いておきたいと思います。
  41. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。私の立場といたしましては、財政のことは非常に敏感に頭へ来る立場におるものでございますから、財政の豊かでないところ、また非常に困つておられる各地方公共団体に対し、これではどうも警察も持てないという場合には、国警の方にとつてもらうということも思つております。ただ私自身はいつも申し上げましたる通りに、ただいまの地方町村の規模というものは、いささか小さ過ぎるというような感じを前々から持つております。また仕事の分量とか性質とかいうようなものも、まだ、御承知の通りに事務再配分の勧告は出ましたけれども、これが十分徹底しておりません。そこで私は、もう昨日提案いたしましたけれども地方制度調査会というものを設置しまして、この際独立後の日本の民主主義政治をもつと完全に確立して行きたい、こういう立場から、まず地方の事務を十分、神戸委員会の勧告に合せて整備することを急ぎ、同時にその整備と合せて、地方の公共団体の規模というものをもう少し大きくして行きたい。そうしてどれもこれも総合的でございますが、いわゆる財政が過去二年ほどの間非常に困つておる、この救済策考えなければならぬということで、税制もまた事務の再配分も、合せて一挙にこれを御検討願つて解決して行きたいと存じます。そういうような考えを持つておるものでございますから、私自身といたしましては、ただいまいろいろ地方で財政的に困つておれば、その過渡的の措置としては適当な処置をとつておられてもよろしゆうございますが、しかし今お説のように法律にきめられておるところの自治警というものは、民主化のある一つの一翼をになつておるものでありますから、これもやはり法の精神を生かし得るような制度調査会の結論を出していただきたい、こう念願をしておる次第でございますから、本年内あたりには、そういう趣旨に合つた地方の行政が——完璧とまでは行きませんけれども、ある程度もう少し改善された形で現われて行くことを念願しておる次第であります。
  42. 門司亮

    門司委員 この機会に委員長に聞いておきますが、私は木村法務総裁の出席を昨日要求しておいたのでありますが、おいでになりますか。
  43. 野村專太郎

    ○野村委員長代理 ちよつと今の状況では出席がむずかしいようです。
  44. 門司亮

    門司委員 それでは、次に聞いておきたいと思いますことは、木村法務総裁がおいでになれば法務総裁にお聞きをすることがいいと思いましたが、これも提案者からは少し無理だと思いますが、木村法務総裁がおいでになりません以上は、この機会に一応聞いておきたいと思いますことは、警察のあり方であります。警察のあり方は、日本の警察制度というものが自治警察を中心とした——中心というと語弊が多少あるかもしれませんが、主体とした警察制度にすることがいいのか、あるいは国家警察を中心とした警察制度にすることがいいのか、この点についての見解を表明していただきたいと思うのであります。
  45. 河原伊三郎

    河原委員 これは見る人によりいろいろ議論もあろうと思いますが、現段階におきましては、現在行われておりまする国家地方警察自治警察の二本建てが、最も適当であると考えております。
  46. 門司亮

    門司委員 私の聞いておりますのは、その問題をもう一つ掘り下げて考えなければならないことであります。いわゆるこの問題自体が、先ほどから申し上げておりますように、手続上におきましても非常に無理なことまでして、しかも提案者はいいことであるという発言をされておる。それは自治警察国警に移すことであります。警察制度の基本に触れることであります。警察制度の基本に触れておりまするこのことが、提案者はいいことであるから、これを追加があつても、割込みがあつても、認める方針だというお考えでありまするので、私は聞いたのであります。私はこの点は、日本の警察制度の将来におけるきわめて重要な問題である。少くとも私どもが日本の警察制度を改革いたしまして、当時警察法審議に当つて参りました私どもの——従来日本の内務省に持つておりましたいわゆる国家に集約された警察権を自治警察にし、さらに自治警察を十分持つことのできないものを国家警察にしておくという制度を設けて参りましたときも、警察法の直接審議をいたして参りました私ども気持の上から考えて参りますと、日本の民主化のためには、やはり住民責任の上において、みずからの治安を確保するということが正しいのである。これが国家権力において同じように住民の治安を確保すると言つても、そこには往々にしてかつての日本の警察のように行き過ぎができ、あるいは政党その他にとらわれて間違いを起すことがきわめて多いのである。従つて民主主義の建前から、主権在民の建前から申しますならば、住民はみずからの手でみずからの治安を確保することが正しいのであるという見解に立つて、かつて国家警察で、国家一本立の警察でありましたものを自治警察にし、さらに国家警察に対しましても、国家地方警察という地方という文字を入れておるのであります。そうしてこれの全責任内閣総理大臣が持つて、しかも現在御存じのように、これに対しましては、国のいずれの機関といえども、この自治警察その他に対して指揮、命令をすることができないようにちやんとこしらえておる。こういう立法をわれわれがいたしましたゆえんのものは、先ほどから申し上げておる通りでありまして、これをたとい国家地方警察と言つて地方という文字を使つてはおりまするが、少くとも住民がみずからの手で、みずからの治安を守るということをやめて、そうしてこれを国家に移して行こうということがいいという断定が下されますならば、日本の警察制度の上において、きわめて重要な問題であります。従つて私はこの点だけは、ひとつごく近い将来に警察法の改正が行われるというようなことを聞いておりますが、それと相関連いたしておりますので、この法案審議の過程において、ぜひ木村法務総裁にここに出ていただきまして、主管大臣としての御意見を私は十分承らなければ、この法案審議というものはこれ以上私は進められないと思います。  それから幸い岡野大臣もおいでになつておりますので、もう一言聞いておきたいと思いますことは、自治庁の長官として、主管大臣としての建前から、地方自治の基幹であります市町村が、みずからその財政規模の上に立つて警察を持つということについて、自治庁の長官として一体どういうお考えをお持ちになつておるのか、その点をひとつ自治庁の長官からお伺いしておきたいと思います。
  47. 河原伊三郎

    河原委員 私に関する御質問に対してお答えいたします。自治体警察国家地方警察へ移管することはよいことである。よいことは早くするのがよいからこういう提案をしたのだ、こういうふうに御解釈のようでありますが、私はきようには考えておりません。自治体警察国家警察へ移管することがよいか悪いかということでなくて、その住民の大多数が希望するならば、その希望がはつきりきまつておるならば、それは何も長く待たしておくことが能ではない。あとうべくんば早くその希望を実現するというふうに持つて行くことが民主政治のあり方であり、民衆に対する親切な行き方である。しかしながらそれを無制限に今やれば、すぐあしたからということは、いろいろな都合上そうは参りませんが、あとう限り早く民衆の希望を実現するということがよいことである。この趣旨によつて提案をいたした次第であります。決して国家警察自治体警察がどつちがいい、悪い、いい方から悪い方に移行することを早くという気分でないということを、この際はつきり申し上げたいと思います。
  48. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。自治庁長官としての考えといたしましては、地方自省の精神から申しましても、好條件に惠まれますならば、私は自治体警察というものは存置すべきものであると思います。ただ不幸にしていろいろ地方の情勢が悪條件に満ちておりまして、今度出ますこの法案でもやはり過渡的なものでございましようが、しかしただいまの段階においては、私はやむを得ないものと考えております。
  49. 野村專太郎

    ○野村委員長代理 ちよつと委員各位にお願い申し上げたいのですが、岡野国務大臣は他の会議に出席しなければならない時間が迫つておるそうですから、なるべく岡野国務大臣に対する質疑がありましたら、そのお含みでひとつ御質問願いたいと思います。
  50. 門司亮

    門司委員 それ丈は岡野さんがこれからお出かけになるということになると、私は次の市の警察維持特例に関する法律案につきまして、特に岡野さんに聞きたい面がたくさんあるのでございますが、これは委員長どうお取扱いになりますか。ここでこの市の警察に対する法案も一緒に岡野さんに聞いていいかということです。一括してやつてよろしゆうございますか。さつきの委員長の御発言では、何か町村警察の方のように聞いておりましたが、議題を一緒にして、市警察を一緒にやつてよろしゆうございますか。
  51. 野村專太郎

    ○野村委員長代理 今一括して議題に供せられておりますから、その上に立つて質疑を願います。
  52. 門司亮

    門司委員 それでは今の町村警察の方と一緒にいたしまして、市警察関係をちよつと大臣に聞いておきたいと思いますが、これは提案者ではありませんで、大臣の方に……。間違わないようにしてください。  この提案された條文を読んで見ますと、最後のこれの目的といたしましては、いろいろ書いてはございまするが、町村自治警察でありましたときに、これを廃止した町村は、市に昇格いたしました場合におきましても、大体市の議会の議決を経ればそれでよろしい。いわゆる市になつて自治警察でなくてもよろしい。これが大体この法案提案されたきわめて大きな趣旨だと私は解釈しますが、こうなつて参りますと、自治法に定めておりまする市と町村との事務の関係あるいはこの取扱いが違つて参りまするいわゆる資格といいますか、そういう問題にこれは触れて来るのであります。現行法によりますると、市は全部自治体警察でなければならないことになつておりまするが、この法律で行きますると、先ほどから申し上げておりますように、町村のときにこれを返上しておけば、市になつてもそれが住民投票でなくしていわゆる議会の議決だけで国家警察でいい、こういうことになつております。そうなつて参りますと、これは自治法で定めた、いわゆる市というものに対する観念が非常に私は違つて来ると思う。具体的にいえばわずか三万以上住民がありますならば、現在三万であつた町がただ名目だけを市にかえて、そうしていろいろな市としての條件を備えて来る。従つてそこには権利義務が自然的に違つて来るというようなことがあると思いますが、そういう場合には、実質的には人口その他に大した異状もございませんで、ただ形式的の権利義務というものが、多少違つて来るわけでございますが、これがこのまま見のがされて参りますと、この市はどんなに大きくなつても依然として国家警察でいいという結果が出て来ると思う。こうなつて参りますと、さつきから申し上げますように、どこまでも国家警察に移行するという一つの大きな穴をあけておくということになつて参ります。市というものを特別に町村と切り離した考え方のもとにつくられた自治法に、私はひびを入れるようなことになりやせぬかと思う。この点に対して大臣はどうお考えになりますか。
  53. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。私はこの法案は過渡的なものと思つております。と申しますのは、今地方財政はたいへん困つておりまして、町村自治警察を返上しなければならない。これは私はいいこととは思いません。財政的の見地から維持できないというような情勢にあることは、私は直して行かなければならない、こう考えております。しかるにその財政を直して行くことがなかなかむずかしいのでありまして、われわれもせつかく苦心しまして、今後相当税法とか、平衡交付金とかいうよりなものを整備いたしまして、地方財政が十分立つて行くように期したい、こう考えております。そこで考えられますることは、今の段階におきましては町村が自治警を維持することができない。そうして国家警察にでもとつてもらわなければならぬ、こういうような情勢になつておつたから、すなわち返上したものが幾つ寄りましても、やはり実質はマイナスでございますから、これが市になりましても自治警察を持つという力が出て来ぬ。そういう出て来ぬようなものがある。しかし一方には、われわれの方針といたしましては、町村の規模を大きくして行きたい、こういうことは自治の確立の上から非常にいいことだと思つてそれを促進しております。私はこの法案を御提案なすつた方のれ考えを想像いたしますれば、自治確立のために町の規模が大きくなる、しかしながら財政の立場上もし必ず自治法に書いてあるごとく市になつたら当然自治警を維持しなければならぬということに義務づけられており、ほかの條件がいろいろそろいましても、その一点だけでも合併できないというようなこともあるかもしれません。でございますから過渡的にこれをひとつ今返上して立つて行かなかつたようなところは、まあ当分は警察を置かなくてもいいだろう、こういうことにやられたらいいだろうという親心から出た法律だと私は思つております。先ほどから申し上げておりますように、私の考えといたしましては今後町村の規模をだんだんと大きくして行きたい。またそれに対しては相当な手段も講じてやつて行きたいと思いますが、その場合には一般的に税制とかいろいろの面の事務の再配分とかいうものを総合しまして、そうして自治の精神に沿うたような市であるならば、市が自治警察のできるように、そういう状態のものをつくつて行きたい、これは地方制度調査会にお願いして十分検討していただいて、そういう方針で進んで行くつもりでございます。でございますから今回の御提案というものは、おそらくそういうような親心から出たものと私は考えております。
  54. 門司亮

    門司委員 大臣の答弁は主管大臣としては非常に矛盾が多いと思います。少くとも町が市になるということは、なるほど自治法の文面そのものから見ますと、三万以上ということになつております。しかし市になる権利義務が、おのおの行政上の立場から異なつて参りまして、市としての資格を備えているから市になつてよろしいということだろうと私は考えております。ところがその場合に市になつてもいいという資格を持つているときに、財政的には警察を持つことがちよつと困るということになりますと、これは資格條件にはずれると思つている。資格條件にはずれた市が一体あつてもいいのかどうかということでございます。私は市というものは自治法の中で町村と特別の取扱いを受けておるということは財政的に見ても、あるいは行政的に考えて来ても、その町村の規模から考えて来てもあるいは外観的に見ても町村と異なつた一段と高い——というと語弊がありますが、まあ一段異なつた行政をなし得る力を持つものを市として、そうして町村事務以上の行政事務というものが市には行われて来ておる。国から委譲されまするもの、あるいは国から委託されまするものが、いろいろ市というものは條件を持つていなければならない。ところがその中でたまたま警察だけは、自治警察を持たなくていいということになると、私は市としての資格條件が欠けているということの取扱いが当然起らなければならないと思う。一体大臣はそういう資格條件を持たないものでも、将来申請があればこれは市として許可される方針をお持ちになつておるか。あるいは届出があればそれを認められる方針であるか、この点を承りたい。
  55. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。地方自治法の精神から申しますれば、警察を市が持つということは自治法上の資格要件じやないのです。ただ警察法によつて市というものが持つということになつております。でございますから私の自治庁長官としての立場から申しますれば、警察を持たないから市の資格がないということは言い切れないと思います。
  56. 門司亮

    門司委員 きわめて詭弁だと思います。少くとも警察法改正の際にどこでどういう線を引くかということは、きわめて重要な問題ではありましたが、少くとも市としての権限あるいは市としての行政上の処置をすることのできないような町村に対しましては、あるいは財政上これは無理があるかもしれない、あるいに警備力の関係から申し上げましても、多少の無理があるかもしれないというようなことで、現行法律の修正が行われたと思つている。ところが今のように、これは警察法できめたのだから、自治法とは違うのだということになつて来ますことは、私は大臣の議論としては少し行き過ぎだと言わざるを得ないのであります。一体自治警察を持つか持たないかということは、自治体関係ないことではない、きわめて大きな関係を持つている。それに対して自治庁意見が、警察法で現にきまつているから、おれの方は知らぬということになると、これは私どもは自治法全体を審議する場合に、重要な問題を引起す可能性が非常に強いのでありまして、私の聞いておりますのは、少くとも警察法できめたことに対しましても、市というものはやはりそれらの資格を持つものであるということの認定のものとに、警察法ではこれが定められていると思う。従つて自治体の資格條件とこれが関係ないのだということは私は言われないと思う。私は大臣がそうお考えならば、もう一つ聞いておきたいと思いますのは、なるほど自治法によりましても三万人以上は市になり得る資格を持つものである。これが強制をされておらないということは事実であります。現在町の中で人口七万を擁しております町が日本にあることは、私ども存じております。しかし七万の人口を持つておりましても依然として町制を施行している。しかしその中には市としてのいろいろな施設というもの、あるいは市としての行政というものは行つていないのであつて、少くとも市としての行政を行うものは、財政的に見ても行政的に見ても、やはり市としての條件が備わらなければ、私は市とは言うわけには行かないと考えている。しかるに警察法でございましようとも、警察法一つの條件として市に対しては自治警察を持たなければならないということになれば、これはやはり自治法にはそういうことは書いてないというが、自治法には先ほど申しましたようにむろん人口三万以上は市になることができるということしかない。それ以上市になる資格條件は與えてないと思う。しかし明かな一つの資格條件であつたということに間違いはないと思う。これを大臣が警察法できめたからおれはそういうことは知らないというに至つては、これは実にどうかと思いますので、さらにもう一つつつ込んで聞いておきたいと思いますことは、こういう市の資格條件に関係するような重要な法案が、これが警察法において、市以上にあつて自治警察を持たなければならないという條文を定めておりますときに、一体市議会の議決だけでこれをしなくてもよろしい、従前通り国家警察でいいということの権限を、一体地方議会に與えるということがいいか悪いかということであります。この点をひとつ大臣からお答えを願つておきたいと思います。
  57. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 むろんこの法案が施行されません以上は、そういうことはできないと思います。しかしこの法律案が通過して施行されますれば、これは国家法律でございますから、いくら地方団体と申しましてもその法律に従うことになると思います。でございますから私は何ら異論はないと思つております。
  58. 門司亮

    門司委員 これは岡野国務大臣にしては珍しい乱暴な答弁だと思う。法律ができればそれに従うことは当然であります。いくら悪法でありましても日本国民はそれに従わなければならないことは当然である。しかし悪法であれば私どもはそれを直して、なるたけ全部の国民が納得して行く法律にするということが、国会の論議のきわめて重要な問題でありますので、実は大臣の御意見をお伺いしたのでありますが、私は法律を守つていいか悪いかということを、大臣にお聞きしたのではない。そこで重ねて大臣にお聞きしておきたいことは、少くとも一方の法律で市以上においては持たなければならないということになつているこの国家の基本法を、町議会だけでくつがえす、くつがえすということは表現が大きくなりますが、それに従わなくもいいということをきめることを、町議会だけにまかせるということが、自治体の運営上、あるいは法律の施行上、いいか悪いかということを、私は大臣にお聞きしているのであります。ひとつ重ねて御答弁を願いたいと思います。
  59. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 私はいつも申し上げます通りに、日本は法治国でありますから、地方議会というものは、地方住民の公選によりまして、その住民の福祉を増進するためにあつて、この地方議会は、国家に対して国会があるごとく、地方に関する限りはこれが一番最高機関だと思つております。それでその最高機関は、この法律がなければそういうことができないことは、もう御承知の通りであります。しかしこの法律をおつくりになれば、地方議会はそれでできるはずです。あなたのお説のように、理想に走つて今の自治法の精神に非常に反するのじやないかというようなおぼしめしがあるならば、この法律を通さないことがいいと思います。しかしまあしかたがないからやつてみろということになれば、結局法律できめれば、日本の行政はその法律に従わなければならぬ。そうして地方議会は、地方の事務を整理することのできる一つの権能を持つておるのでありますから、それがこの法律によつてまかされるならば、私は一向さしつかえないと思います。
  60. 門司亮

    門司委員 私が聞いておりますのは、大臣のお考えと少し違うようであります。基本法たる警察法の中には、市以上は自治警察を持つようにとちやんと出ておる。その基本法であります警察法にあるにかかわらず、ただ議会の議決だけで、それをやらなくてもいいというようなことが、自治の運営の上に、あるいは国の法律の運営の上に、一体いいか悪いかという大臣の御意見を伺つておるわけでございまして、きめられるならばその通りにするということはあたりまえであります。  もう一つつけ加えて申し上げますと、町議会に委任されておるものの範囲はおのずからきまつておるのであります。こういう新しい法律ができたから、これもその事務の中に入るのだと、大臣はおそらく言われると思いますが、そう言われるならば、この問題はそういうことで片づくのであります。しかしながら、現在では警察法ではつきりきめておるところを、こういう法律で、單に町議会だけがこれをやらなくてもいいということをきめて行けば、それでいいのだということにするということは、非常に大きな弊害を持つことがありはしないかというので、大臣にその意見を承つておるのであります。  もう一つ立つたついででありますから、大臣に聞いておきたいと思いますことは、それなら市がどんなに大きくなつて参りましても、この法案の第二條に、自治警察を持とうとするときは住民投票によつて持つようにと書いてありますごとく、自治警察を持つときは非常に慎重な態度をとつております。住民投票自治警察を持つことができると書いてありますので、自治警察を永久に持つてはならないという法律ではないと思います。住民意思によつてということで、きわめて合理的に二條に書いてあります。しかしもしそういう議決が行われなければ、先ほどから申し上げておりますように、おそらく何年でも自治警察にならないで、そうして国家警察のままに置かれるということになつて来る。そうなつて参りますと、私の心配いたしまする最後のものは、岡野国務大臣の先ほどのお話のように、自治警察がいいということを考えて参りますのには、住民の良識が非常に大きな問題になつて参ります。さらにその次に問題になつて来るのは財政であります。従つて財政を非常に多く要求いたしておるこの自治警察を持つということは、いずれの町村におきましても、実際現在の日本の民主主義のいまだ完全になつておりません段階におきましては、私はかなり苦痛だと思う。そこで問題になりまするのは、二條にこういう救済策は書いてありまするが、実際はいつまでたつてもなかなか自治警察にはしないのではないかということです。自治警察にすればこれだけ費用がよけいかかる。国家からこれだけの警察費用をもらつて治安を確保しておいてもらえば、住民の負担がこれだけ軽くなるということははつきりしておる。従つてこれは自治警察国家警察に委譲をして行く一つの段階だと考えてもさしつかえないのではないかと思う。従つてこれは警察法の基本に触れる問題である。同時に自治体のあり方としても不公平な市ができる。一方においては自治警察を持たない市ができ、一方においては自治警察を持つておる市ができて、財政上きわめて不均衡な都市行政が行われる欠陥がここから出て来るのではないかと考える。従つて大臣はそういう欠陥が出て来てもさしつかえないというお考えであるかどうか、この点をお伺いしておきたいと思います。
  61. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 私は先ほど申し上げましたように、この法案は過渡的なものである。それと同時に私の構想といたしましては、地方における事務を再編成いたしまして、自治法の精神に従つて自治警察維持して行けるような方向に進んで行きたいというので、それを地方制度調査会に依頼しまして、そうしてこういう御趣旨通りの方向に進めて参りたいと考えておるわけであります。これが永久にこの市は自治警察は持てないというような情勢に置かれることは、私は国家として悲しいことだと思いますから、そういうことのないようには考えております。しかし今度の法律は実質的にそうなるのではないかというあなたの御想像は御想像でありましようから、どうなるかわかりませんが、われわれの念願といたしますところは、自治警察というものはあつてしかるべきものだ、同時にまた持てるように、財政的立場も、また事務の分量も区域も、いろいろ適正にこれをつくつて行きたい、これを将来制度調査会で検討してみたいと考えておりますから、私はお説の通り考えておりますし、また御心配の点はなかろうと思います。ただこの際の過渡期の法案だと考えております。
  62. 野村專太郎

    ○野村委員長代理 この際暫時休憩いたします。     午後零時五十六分休憩      ————◇—————     午後三時四十二分開議
  63. 金光義邦

    金光委員長 再開いたします。  町村警察維持に関する責任転移の時期の特例に関する法律案を議題として、質疑を続行いたします。本案に対する質疑を許します。——ほかに質疑はございませんか。——なければこれをもつて本案に対する質疑は終局いたしました。  これより討論に入ります。大泉寛三君。
  64. 大泉寛三

    ○大泉委員 本案に対しては、自由党を代表して賛成の意見を申し上げます。従来町村住民意思を取上げて、これは警察維持に関する責任国警転移するというのでありますが、これはわずかばかりの時間的もしくは時日の差異によつて、その住民意思が実現できなかつたというのでありますが、また一面においては財政上にもきわめて手痛い立場にもなりますので、また本問題の性質はいわば経過規定の類似のようなものでありまして、当然にこれは町村の希望をいれてやらなければならないものと思いますので、本案に対しては賛成の意を表する次第であります。
  65. 金光義邦

    金光委員長 床次君。
  66. 床次徳二

    ○床次委員 改進党といたしましては、本案に対して賛成の意を表するものであります。しかしながら特に委員長にも意見を申し上げておきたいのでありまするが、本案の趣旨については、まことに適切と思うのでありますが、しかしその内容におきまして、期間が少し長過ぎたと申しまするか、期間の規定関係上、予想以外のものが新しく加わりましたという意味において、いささか本案に公明を欠くかの印象を與えたことは、はなはだ遺憾であります。この点におきましては、委員長におかれましても善処いたされまして、本法案審議におきまして、それが公正に行われたものであるということに対しましては、十分ひとつ明らかにしておいていただきたい。かかる不公明な印象を残さないように、ひとつ善処されたいと特に希望を申し上げておきます。
  67. 金光義邦

  68. 門司亮

    門司委員 ただいま提案されております町村警察維持に関する責任転移の時期の特例に関する法律案に対しましては、社会党といたしましては、反対の意思表示をするものであります。  反対の理由をきわめて簡単に申し述べたいと思いますが、本案が提出されましたこの動機につきましては、私はきわめて純真に、常識的にものが考えられたと思うのであります。それはこの提案者理由説明の中に書かれております通りでありまして、かつてわれわれが警察維持に関する問題を取上げて、いろいろ協議をいたしました場合において、本来自治警察でなければならないいわゆる人口五千以上の戸数を持つている、いわゆる市街地の様相を備えております人口五千以上の町村に対しましては、自治警察を置かなけばならないという法律は御承知の通りでありまして、その法律町村に限つてその住民意思によつてこれを廃止することができるという改正を見ました趣旨は、主として財政的の観点と、さらに少数の警察官においては十分なる治安の維持ができないであろうという、こうした二つの観点から、いわゆる財政の問題と行政の面から、実質的にこれを考えたときに、町村においてはこれを住民意思によつて国家警察責任を移転することができるということになつておつたと思うのであります。その趣旨に基いてできた法案の改正ではありまするが、その内容は昭和二十六年の十月三十一日までに、その警察維持に関する住民の投票の結果を総理大臣に報告して、それの許可を受けなければならない。そうしたものが翌年の四月一日から警察維持責任自治警察に移転することができるということであります。この十月三十一日という日にちをきめたことは、少くとも自治体予算を組み、さらに国家予算を組みまする場合に、自治体警察国家に移転されて参りまするならば、国家予算は必然的にそれを見込まないわけには参りません。従つてその国の予算編成あるいは国の予算国会提案されまする以前にこれらのものを決定して、そうして予算執行に当りまする四月の一日からこれを実行するということが、この趣旨であつたと思うのであります。またそれでなければならないと思うのであります。従いましてその時期に際して当然改廃の住民意見決定というものが定められなければならなかつたはずでありまするが、幸か不幸か大阪府における一件と愛知県における一件は、きわめて短かい時間の食い違いから、いわゆる当局の私は勘違いではなかつたかと思いまするが、手続の蹉跌から、この十月三十一日までにその住民投票意思決定の結果というものが、内閣総理大臣に対して報告されていなかつた、いわゆる許可が遅かつたということで、せつかく四月一日の年度がわりから廃止することのために努力はしたが、きわめて短かい時間のうちにこれが施行ができなかつたということ、これは何らの作為もなければ、私は陰謀もなかつたと思う。いわゆる理事者の素朴なる考えと、住民のきわめて常識的なものの判断の上に、国家警察に移転することがよいという結論が出たが、單なる事務上の手違いから、これが法規上実施ができなかつたということについて、これを救済するということがこの案の趣旨であるということは、提案者趣旨弁明を読んでみますると、はつきり伺い知ることができるのであります。従いましてこれをそのままの姿で私ども法案受取つて、そうしてこれらのきわめて気の毒な過程にありまするものを救済するということは、自治警察がよいか悪いかという議論は別にいたしまして、われわれといたしましては、当然日本の民主国家のあり方といたしましては、自治警察が本旨ではあると考えておりますが、しかしながら一旦できておりまする法律に準拠して、そうして住民意思決定であるものを、單にわずかの時間の違いでこれをむだにするということは、住民意思にやはり反するあまりにもしやくし定規的の解釈ではあるとこう考えまして、この法案はまず私はこの提案趣旨通りであるとするならば、一応私は了承をしてもよいかとこう考えておるのであります。ところが法案趣旨の前段にはこう書いてあります。「昭和三十六年十一月一日から、昭和二十七年五月二十日までに」と書かれておるのであります。昭和二十六年の十月三十一日までに手続を完了しなかつたものを救済するとするならば、その救済に必要な時日だけを延期すればよいのでありまして、あるいは十一月の一日とするか、あるいは十一月の五日とすれば事は足りるのでありまして、その目的とする二つの自治体救済ができるのであります。しかるにこれが五月二十日までの間に届出をしたものに対しても、これが適用を受けるということが記載されておるところに、私は実は多大の疑問を持つものであります。  先ほどから申し上げておりますように、十月三十一日にしたいということが予算的措置の関係から、自治体においてもこれを廃止して、翌年からその経費を少くして予算を組むことができるし、国家もそれを受入れて二十七年度予算を組むことができる。この予算的措置の関係から十月三十一日というものをきめたにもかかわらず、これを年度半ばでありまする五月二十日までこれを延長するということは、きわめて私は不可解なことだと考えておるのであります。これはまつたく提案者の前段の趣旨と相反する法文になつて現われておるのであります。この点はいかに提案者が申されましようとも、五月二十日でなければならぬという理論はどこにも見出せませんし、また私の質問に対しましても、提案者から明確な答弁はなかつたのであります。ただ最初は四月三十日と考えたが、五月二十日まででよかろうということでそうしたということだけで、何らの理論的根拠を持つていないのであります。しかも理論的根拠のないものに対しまして、私どもは撤回を要求いたしましたが、これに応じられないということに対しましては、私はそこに何の関係があるかということを見出すことに、現在でも非常に苦しんでおるのであります。  なおこれが具体的に現われて参つておりますものが、五月二十日と書かれておりまする関係から、この法案提出は四月一日になつておるということは御存じの通りであります。にもかかわらず、四月一日に法案提案されまするときの提案者の御意思は、先ほどから申し上げておりまする通りである。二つのものだけを救わなければならぬという趣旨に出ておつたことだと考えますが、これが五月二十日と書かれましたことのために、現在一地区におきましては、いまだ住民投票に向いつつある自治体があるということであります。この自治体の様子を私ども調査いたして参りまするならば、国会においてこういう法案が四月一日で提案されるであろうから、しかもこの法案国会提案を受付けておりますところには一応出ておつたのでありますが、議員に配付されたのはそれからはるか後であります。議員に配付され、そうしてお互い国会議員が知らされる以前において、この法案提出されるであろうというようなことが、すでに予測された一地区におきましては、御承知のように緊急町会を招集して、そうしてこれに便乗して——いまだに意思決定はされてはおりませんが、私はこの提案者が良心的にものを考えられ、提案されたときの気持をそのままお考えになるならば、四月一日までにはお出しになることは予測しなかつた。この新事実に対して、しかもいまだこの法案は通過はいたしておりませんし、また住民意思決定もいまだに行われておらないものを、どこに救済する必要があるかということであります。この点については提案者は何らの説明をいたしておりません。ただ悪いことでないからよかろうというような、きわめてあいまいな答弁でありまするが、私は少くとも法律を施行いたします場合には、日本の全国民が同じ権利と同じ立場に立つて、これを享受し得る機会を與えなければならないと考えておるのであります。一部の人だけがこの法律の恩恵を享受して、多数の人がこの法律の恩恵を享受しないというようなことは、法治国としては許すことのできない問題ではなかろうかと私は思うのであります。しかるに提案者抜けがけにそれを知つた者は得だというような御答弁であるに至りましては、まつたく奇怪千万であります。しかも先ほどから申し上げておりまするように、その地区においてはいまだに住民意思決定は見ておりません。住民意思決定を見ていないものまでも、一体この中に含まれるというようなことは、提案者提案された四月一日にはお考えになつていなかつたのである。そういたしまするならば、当然提案者はその提案趣旨通りに、その副産物であります便乗者に対しましては、先ほど床次委員からもこれに対して善処せられたいという御発言がありました。私は提案者みずからが、いさぎよくこの日付をかえられることが私は至当だと思う。五月二十日とされたことに何らの理由がないのであります。私はこの五月二十日でなければならないという答弁は聞いておらない。提案者は少くとも答弁をすることのできないような問題を、無理に多数を頼んで押し通そうとするならば、一体法律の権威はどこにあるかという問題です。私はこういう諸点を考えて参りまするときに、こうした法案自体を、そうした観点からただちにここで通すわけには参りません。もしこの法案が通つて、そうしていち早く法案ができないうちに、あるいは過程において、そういうことをした者が得だというようなくせをつけて参りますならば、まつたく法律の権威というものはなくなるのであります。提案者は、少くとも国会議員として法律をここにお出しなつた以上は、やはり法の威厳を保ち、法の適用が住民全体に享受できるような建前にされることが、私は良心的に正しいと思う。その良心を曲げてなぜ一体五月二十日がどうしても動かせないかというのです。これを私どもが臆測して参りまするならば、必ずしも私はそういうことはなかつたと思いますけれども、しかし現在この法案に便乗しようとするところとの何らかの関連がなきにしもあらずという疑いを持たれても、やむを得ぬことではなかろうかということさえ申し上げることができるのではないかと私は思うのであります。幸いにして本法案のごときは、さしたる利権の問題でもございませんし、地方の行政に関する問題でありますから、私どもは疑うことを避けたいとは考えてはおりまするが、もしかくのごときことがこの法案でなくして、他の多少なりとも利権を伴うがごとき法案でありますならば、ゆゆしき問題を惹起するということをわれわれは予想しなければならない、こういうことを私ども考えて参りまするならば、本法案に対しましては、五月二十日までにされたということについて、的確なる御答弁のなかつたこと、さらに前段の御趣旨とまつたく結果が相反するものが、ここに出て来ておること、この二つの問題が提案者から明快に答えを私はいただかなかつたことにつきましては、きわめて遺憾の意を表せざるを得ないのであります。こういう立場に立つて、私はまず反対の意思表示をしたいと考えておるのであります。  次に問題になつて参りまするものは、国警長官の答弁から出て参りました予算的処置に対しまして、私は予算的処置の関係から大蔵当局の出席を求めたのでありまするが、この大蔵当局の説明並びに私の質問に対する答えを聞くことができない機会において、これが現在処理されようとする一点であります。これらも——話が元にもどるのでありますが、十月三十一日にこれをきめたということは、国及び地方予算関連を持つ行為でありますから、そのことのために特に十月三十一日という日にちをきめる、そうして翌年にこれを繰越すことになつておる。おそらく自治警察廃止しようとする町村がありまするならば、この十月三十一日までの間に、これが決定をされれば、翌年の四月一日には当然これが廃止されることになるのでありまして、これもやはり予算関係からそういうことが行われるのである。何がゆえに本年に限つてこの特例を設けなければならないか。言いかえまするならば、この法案は、現在住民意思決定をいまだにしておらない町村のために、これが行われると極言いたしましても、あえて反駁の余地はございますまい。私は予算の中途においてこういう問題が行われたということについて当然この予算的処置は、大蔵省に、こういうことをしてもいいかということを一応聞きただした上で、大蔵当局が、予備費その他の関係もあるし、一つ町村国家警察なつたからといつて、大して私は予算上のくるいがないとは、現実には思いまするが、しかし形の上においては、当然その差異を生ずるであろうということは言い得るのであります。従つてその処置を大蔵当局から拝聴しなければ、この予算のすべての審議というものは、私は終らなかつたと思うのであります。この点がいまだに私には明確になつておらない。しかも私どもは本日ここでその問題を申し上げまする段階をすでに越えておりまして、討論の段階に入つておりまするが、私はいまだこの問題について審議が十分ではないということ、従つて要約して申し上げまするならば、警察法に書いておりまする十月三十一日というこの日付の変更をされたということについての大蔵当局の財政的の説明、さらに、五月二十日にされたということが、先ほどから申し上げておりまするように、撤回ができないとするならば、きわめて気の毒な自治体救済することのためにとは言いながら、現実の問題としては、現在住民意思決定をしておらない町村救済であるということを申し上げても、あえて私は過言ではないと思う。もしそれが私の言い過ぎであるとするならば、提案者は、いさぎよくこの五月二十日を訂正さるべきものであります。  この問題が解決をしておりません現状に対しましては、以上の趣旨はきわめて簡單ではございました。いわゆる警察の本来には触れておりません。ただ單にこの法案だけの問題を取上げて討論をいたしたのでありまするが、以上の観点をここに社会党といたしましては披瀝いたしまして、本法案に対しまする反対の意思表示をしたいと思うのであります。
  69. 金光義邦

    金光委員長 立花君。
  70. 立花敏男

    ○立花委員 共産党といたしましては、もちろんこの法案には反対であります。  去年ですか、警察法の改正を行いまして、自治体警察国家警察に編入する道を開いた。その法案に対しましても、私どもは強く反対いたしたわけでありますが、今回この法案は、その改悪されました警察法を、さらに一段とその改悪を強化するという点において、明らかに再改悪の法案でありまして、もちろん私どもは賛成できないのであります。昨年の改正におきましては、六箇月の猶予期間を置いておりましたものを、今回はそれを縮めまして、五月三十一日までに総理大臣の承認が得られれば翌日から、六月一日から警察責任転移が行われるというような、まつたく前回の改悪されました警察法を、さらに大幅に改悪するということは、今申し上げました内容から明白でありまして、こういうような点からも私どもは賛成できないのであります。より本質的に申し上げますと、昨年の警察法の改正にも現われておりました自治体警察国家警察への編入ということ、これは明らかに終戦後民主化され、政府の警察から人民の警察になりました警察を、さらに逆転させまして、再び集中的に警察権力を政府が握つて参ろう、戦時中の警察国家を再現しようという現われでありましたことは明白でありますが、この法案は、さらにそれを一歩進めまして、一日も早く集中的な警察国家を再現しようという意図であることは、間違いがないことだと思うのです。提案者といたしましては、まつたく個人的な利害の関係からお出しなつたようでありますが、客観的に見ますると、やはりそういう本質的な日本の警察国家の再現、警察の中央集権というところに、そういう流れに便乗いたしまして、個人的な利益を、利己的な立場を貫徹しようといたしておりますところの、まことに卑劣なる法案であると私は思う。で、実はきようも私この委員会で、早大事件の報告を要求しておつたのでありますが、それがないのでありますが、最近の日本の警察制度のあり方は、まつたく人民を守る警察が、人民に暴虐を働く警察になつておりまして、しかも制度の上から申しましても、本日新聞の伝えるところによりますと、この暴虐的な警察国家警察的な性格にせんとするところの警察法の改正が国会に出されておるというようなことでありますが、そういうふうな動き方から見まして、この法案は、明らかにそういう反動的なフアシヨ的な警察制度の一歩前進であるという意味において、われわれは断じて賛成することができないのであります。こういう事態が起りますのは、明らかに今までとられて参りました、日本の国民の意思を無視いたしまして、ただひたすらアメリカの要求とアメリカの利益に従いました政策がとられて来た結果でありまして、その結果今日本の国に起つておりますいろいろな困難もあるいは苦しみも、あるいはいろいろなできごとも、すべてがそういう日本の国民の意思に反し、日本の政治をアメリカのための政治にし、日本の国土をアメリカの墓地にする、日本の人民をまつたくアメリカの奴隷にし、日本の国民の血をアメリカの傭兵としてささげるというふうな政治がとられて参つた結果でありまして、そういう七年間の政治に対する国民の憤懣が非常に最近大きく沸き上つてつております。四月十八日の全国三百四十万に達しますところの労働者の実力行使、あるいは五月一日の全国約三百万に達するメーデーの大会の決議、あるいは東京都におきましても約五十万のメーデーの大衆が集まりまして、そうして再軍備反対、両條約破棄、行政協定の反対を決議いたしました。そういう人民の、あるいは労働者の愛国の運動を不当に弾圧いたしましたところの、メーデーの会場である人民広場の奪還を決議いたしております。そういう当然日本国民が要求する権利のあるところの日本国民の自由、あるいは日本の独立、こういうものに対して警視庁がとりました態度は——裁判においても、はつきりと結論が出ておりますところの、当然日本国民が使われるべき人民広場の使用を、武装警官をもつて拒否しておる。しかもこれを使用いたしました者に対しましては、いわゆる毒ガスとピストルで多数の死傷者を生ぜしめておる。こういうふうな警察のあり方が、今の政府のとつております警察考え方であります。こういうものをさらに前進するような今回の法案には、私どもはもちろん納得することができないのであります。しかし私どもから言わせますと、こういう反動的な警察法を政府が出すことによりまして、あるいはメーデーを契機として警察法の改正をお出しになることによりまして、国民はいよいよはつきりとこの反動政府の正体がわかりまして、まことに私はけつこうだと思う。本日提案されておりますような反動的な警察法案、あるいは国会に本日出されたと伝えられますところの警察法の改正、こういうものはメーデー、あるいは政府がでつち上げました火焔ビン、そういうものをネタにいたしまして、一挙に警察法の改悪、警察国家の再現をねらつたものでありますが、そのあとに生まれました早稲田大学の事件は、明らかに警察側に責任がある、警察側に手落ちがあつたということは、ただいま私どもが経験して参りました本会議の法務総裁の言にも明らかでありまして、今こそ吉田政府に良心の一片でもあるならば、こういう法案は撤回すべきだと思うのでありますが、なおそれを無視いたしまして、敢然としてこういう悪法を出して来ておりますことにつきましては、まことに私どもは憤懣にたえないのであります。しかし私どもは、こういう反動的なやり方こそ、ますます国民の怒りを集中的に大量的に結集させまして、そうして最後にはああいう悪法を国民が必ず粉砕するであろうということを確信いたしておるものであります。そういう国民の憤りと憤懣を代表いたしまして、私はこの警察法をさらに改悪するこの法案には、当然反対の態度をとるものであります。
  71. 金光義邦

    金光委員長 ほかに討論の通告がございませんので、これにて討論は終局いたしました。  これより採決いたします。本案に賛成の諸君の御起立を願います。     〔賛成者起立〕
  72. 金光義邦

    金光委員長 起立多数。よつて本案は原案の通り可決されました。  この際お諮りいたします。衆議院規則第八十六條により、報告書作成の件は、委員長御一任に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 金光義邦

    金光委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。この際暫時休憩いたします。     午後四時十五分休憩      ————◇—————     〔休憩後は開会に至らなかつた〕