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1952-05-09 第13回国会 衆議院 地方行政委員会 第40号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月九日(金曜日)     午前十一時六分開議  出席委員    委員長 金光 義邦君    理事 大泉 寛三君 理事 河原伊三郎君    理事 野村專太郎君 理事 床次 徳二君    理事 門司  亮君       池見 茂隆君    川本 末治君       佐藤 親弘君    永井 要造君       前尾繁三郎君    吉田吉太郎君       藤田 義光君    大矢 省三君       立花 敏男君    八百板 正君       大石ヨシエ君  出席政府委員         総理府事務官         (地方自治庁次         長)      鈴木 俊一君         総理府事務官         (地方自治庁行         政課長)    長野 士郎君  委員外出席者         国家地方警察         本部警視長         (総務部長)  柴田 達夫君         国家地方警察本         部警視正         (総務部企画課         長)      桐山 隆彦君         専  門  員 有松  昇君         専  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 五月九日  委員龍野喜一郎君辞任につき、その補欠として  永井要造君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  町村警察維持に関する責任転移の時期の特例  に関する法律案河原伊三郎君外五名提出、衆  法第二六号)  市の警察維持特例に関する法律案河原伊三  郎君外五名提出衆法第三八号)     —————————————
  2. 金光義邦

    金光委員長 これより会議を開きます。町村警察維持に関する責任転移の時期の特例に関する法律案河原伊三郎君外五名提出衆法第二六号)並びに市の警察維持特例に関する法律案河原伊三郎君外五名提出衆法第三八号)を一括議題といたしまして、昨日に引続き、質疑を続行いたします。立花君。
  3. 立花敏男

    立花委員 議事進行について言つておきたいのですが、委員長の見通しでは、大体この法案はいつごろに委員会を終るような予定か、それをちよつと聞いておきたいと思います。
  4. 金光義邦

    金光委員長 質疑が済み次第採決をいたしたいというふうに考えております。
  5. 立花敏男

    立花委員 質疑はまだ十分やつておりません。十分どころか、ほとんどの人がやつてないのです。質疑は十分おやり願えると思うのですが、委員長にその用意があるかどうか、ちよつと聞いておきたいと思います。
  6. 金光義邦

    金光委員長 議事進行都合質疑を終りたいと思います。
  7. 立花敏男

    立花委員 この法案は非常にお急ぎになつておるようで、きのうなんかは提案者賛成者と二人でおやりになつて反対者もいないし、野党もいないし、困つた審議のなさり方をする。しかも法案もまだ本刷りになつて配られていなかつた。聞くところによると、きのう橋本君が来られてあしたまでに——つまりきのうのきようですが、きようまでにこれをぜひ上げてくれという。なんでこれをお急ぎになるのかわからぬ。今また聞きますと、何かきよう天皇が来られて、消防の会議があるので、二時までに上げなければならぬので、もう三時間しかないから、早くやれというようなことを言つております。なぜこれを急がなければならぬか、非常に重大な法案なので、聞くところによりますと、政府警察制度の改革を閣議で決定なさつて、すぐ法案をお出しになるようですが、そのときにやつても決しておそくはない、それをなぜお急ぎになるのか、その根本的な点を伺つておきたい。私どもはこれはそう急ぐ法案とは思いません。しかも内容は重大なので、十分審議したいのですが、今三時間で上げろ、四時間で上げろと言われましては、私ども非常に迷惑です。議事進行上なぜお急ぎになるのか、それをひとつ承りたい。
  8. 金光義邦

    金光委員長 提出者都合によりまして、できるだけ急いで審議したいと、こういう考えであります。
  9. 立花敏男

    立花委員 委員長の今のお答えによりますと、提案者都合によるということでありますが、どういう都合か、それをちよつと承りたい。聞くところによりますと、橋本君の選挙地盤の町が五月二十日に市になるらしいので、それで非常に急いでおるのだということを承つております。橋本君がここに来られまして、共産党がごしやごしやして困るから、早く通してくれというようなことを言つておられましたが、自分選挙地盤関係でこの法案を通すのに、共産党がごしやごしやするので早く通してくれというのは、どうも私納得できないのですが、委員長の聞いております提案者の急がれる理由を、もう少し具体的に御説明願いたいと思います。
  10. 金光義邦

    金光委員長 これは、この法律案が通過いたしました場合を想像しまして、その場合のいろいろの手続関係しまして、なるべく早く審議してほしい、こういうことでございますので、できるならば早く御審議を願いたい。こういうふうに考えております。
  11. 立花敏男

    立花委員 手続の点はあとでお聞きしたいと思いますが、手続の点だけならば、この法案の日限、この法案中にあります手続期間の何を延ばすこともできるのですし、私どもはやはりこれは十分に愼重審議すべき問題だと思うのであります。内容から申しましても、全国の市は必ず自治体警察を持たなければいけないことになつておりますのを、そのうちの一つか、二つを特別に自治体警察を持たなくてもいいというような先例を開くことになる非常に重大な法案なので、單に手続の上からだけで急ぐ、それはもう三時間で通してしまえというようなうのみにできる法案ではないはずであります。だからお急ぎになるのを單に手続の上だけでという理由であれば、私どもは絶対に納得できないわけなのであります。これが非常に簡單法案で、二時間か三時間で通せるというならば別ですが、單に手続上から三時間で通せというようなことは非常に困ります。自由党の方も、初めてお見えになつた方がたくさん来ておられるようでありますが、それだけでこの法案を通されることは、委員会としても十分に職責が果せないのではないかと思いますので、愼重に十分時間をかけてもらいたいと思います。  町村警察維持に関する責任転移の時期の特例に関する法律案から質問に入りたいと思います。これは責任転移の時期、責任転移というふうに簡單に書いてありますが、單なる責任転移というような簡單言葉では現わされない内容を持つているのではないか。去年警察法改正されまして自治体警察国家警察に編入される。自治体警察国家警察の手に移りまして、国家警察的な色彩を帶びて来るということに対しましては、やはり当時は重大な問題として扱いましたし、私どもはもちろん反対したわけなのでありますが、あの問題でありました法案でも、大体自治体意思決定されましてから、半年ばかりは十分猶余の期間を置きましていろいろ準備万端できまして、住民態勢にも受入れ態勢ができまして、初めて自治体警察国家警察に移すという処置がとられるようになつておりましたのですが、この法案によりますと、非常に時期が狭められまして、十日間ぐらいしか期間がないわけです。半年と認めておりましたのを十日間ぐらいに縮めておる。総理大臣が五月三十一日承認を與えますと、翌日の六月一日から効力を発生するというふうに、まつたく前の法案趣旨を根本的に否認するような改正の何を含んでおりますので、これは大きな問題であると思うのであります。提案者はこれが單に責任転移というような簡單なものにお考えになつておるのか、それとも警察本来の生命であります住民警察国民警察というものを国家の方に取上げるというような大きな問題を含んでおるというふうにお考えになつておるのかどうか。この点を承つておきたい。最近の警察行政の何から申しまして、やはり一般的に日本の警察制度国家警察方向に行つておる。具体的に申しますと、最近現われております警視庁の国警移管あるいは最近新聞紙上に伝えられております総理大臣警察に対する指示権、あるいは一昨日でしたか、警察予備隊が出動いたした場合は、各警察署をその指揮下に置くというように、警察自体は非常に中央集権化されて、国家警察色彩を帶びて来ておる。その際に町村自治体警察国家警察に移しますことが、單に責任転移というような簡單内容のものではないと私は思う。根本的に国民に與えられておりました警察に対する権限が、国家あるいは政府の方に移つて行くというような重大な内容の問題であると思うのでありますが、責任転移という言葉で現わされております内容をどのように提案者考えておられますか、これを承りたい。
  12. 河原伊三郎

    河原委員 第一の点に関しましてお答えいたします。さきの警察法改正民主主義本義にのつとりまして、住民の多数が希望するならば、その希望するところに従うというので、改正されたのであります。今回の改正におきましても、住民意思がすでに決したものが、長らくの間待たなければならぬ法律のその欠陷にかんがみまして、総理大臣承認を與える。すなわち財政上その他国においてさしつかえがなければ、その住民意思に従うことがよい、こういうような観点からこの特例案を出したわけであります。前の警察法改正の民主的な趣旨と、今回の提案趣旨とは一致するものであります。  なお責任転移という問題でありますが、これは結局はその所属の責任がかわることになるわけでありますから、こういう言葉を用いたわけであります。
  13. 立花敏男

    立花委員 住民意思を尊重する、住民意思によつて警察責任転移を行うのだ、住民自治体警察を欲しないから、国家警察に移管する道を開くのだと言われますが、これがはたして住民意思であるかどうか、私は大きな問題であると思います。自由なる立場に置かれて現わされた意思であれば、これは国民意思であるといたしまして、あるいは住民意思として尊重しなければいけないと思いますが、現在の自治体財政状態から考えまして、決して現在の自治体自治体警察国家警察に移すことを自由の意思決定しておるのではない。財政上非常に大きな圧迫がある、こういうところから自治体警察国家警察に移すという意思が生れて来ておるのでありまして、いわゆるその意思をひずめる條件をつくつておきながら、そこから出て来ました意思国民意思というふうに擬装しようとしておる、ここに私は問題があるのではないかと思いますが、そういうふうにはお考えにならないかどうか。これを伺いたい。
  14. 河原伊三郎

    河原委員 環境がこうだから、従つて現わされた意思が自由な意思でないというような考え方は、実情に沿わないものであつて、それこそ擬装的な言い表わし方だと考えます。
  15. 立花敏男

    立花委員 そういたしますと、町に立つております売笑婦が通行人の袖をひつぱりますのも、あれは正当な意思である。あれはあくまでも正しい。国家として、あるいは社会として悪態助長しなければならない意思であるということも言えると思います。しかし問題は、売笑婦をそこまで陷れた原因をやはり政治としては考えなければいけない。社会としても考えなければいけない。それをそういうひずめられた間違つた意思決定がなされないような條件をつくり出すことが、私は問題だと思う。現在の自治体財政の破綻は、この地方財政委員会から出しました財政白書の中にもはつきりしておりますように、非常に多くの町村あるいは市、ここで問題になつております町村や市が非常に財政的な困難を経験しておる。赤字を出しておりますものが数十パーセントに達しておるということは、政府自身白書で明白なんだ。しかもその責任の大半は政府にある。平衡交付金の過小、あるいは起債の不許可あるいはその他の原因で大部分は政府責任がある。そういうふうに政府責任において自治体財政的な困難、破綻的な状態に陷れておいて、そういうひずめられた條件のもとから自治体警察国家警察に移管するということが、ひずめられた意思として出て参つておりますのを、そういう意思が正しいんだ、それはあくまでも認めなければいけないんだというふうな考え方をしますことは、私どもはどうしても納得できない。警察法趣旨に従いまして、警察を戰時中の国家警察から国民警察の手に移すということは、警察法で明白にうたわれておるところでありまして、国民の主権の組織として、国民の権利の組織として、警察はそのために自治体警察を主体としている。そうして公安委員国民が選びまして、そのもとに警察制度が運営されておる。それを国家警察にし、総理大臣が握つて行くというような形になるということは、明らかにこれは逆行なんだ。しかもそれを住民意思だというふうな脆弁を弄しまして、全国自治体警察国家警察に移管することを慫慂するようなこの法案を出されることにつきましては、私どもはどうしても納得できない。この二つ法案両方ともそういう問題に関連がありまして、非常に私重大な問題だと思う。そういう根本的な点でどうお考えになつておるか。現在の警察あり方というものが、警察の本来の生命であるところの国民警察住民警察から国家警察政府警察の方へ移されて行く傾向があると思うのですが、その点どういうふうに提案者はお考えになつているか、それをひとつ承りたい。
  16. 河原伊三郎

    河原委員 住民警察といい、または国民警察と申しましても、住民国民も同一人であり住民とし、また国民としてよいというところに持つて行くということは、きわめて民主主義の上において妥当なことであると考えます。
  17. 立花敏男

    立花委員 さいぜんから言つておりますように、その住民考え政府がそういう強制的な條件をつくり上げまして、そうしてひずめられた意思として現われて参りましたものを正しい意思だ、正しい條件のもとに置かれた意思であるというふうにごまかそうとされているところに、私は問題があるのじやないか。これはさいぜんからくどくど言つておりますように、地方財政の困難ということが、一番大きな原因自治体警察国家警察に移そうといつておりますので、もし財政がゆたかであり、十分な警察財源があるならば、決して地方自治体警察自分たちの手に與えられました自治体警察国家警察に返還するような意思は私はないと思う。特に今問題になつておりますような大きな町、特に市あたりでは財源さえ十分であるならば、決して私は警察国家に移しまして自治体である市の中に、異分子的な国家警察を置きたいとは、私はおそらく考えないと思う。こういうことを住民の正しい意思であるとお考えになるのは、一体何に根拠があるのか。それでは私は政治とは言えないと思う。政治というものは住民意思を正しくはつきりさして、住民意思を自由に表現できるような自由な條件をつくり上げて行くこと、それだと思うのです。財政の問題を今のような状態に陷れておいて、そこからやむにやまれず苦しいとは知りながら、ちようどわが身を売ることが間違つたことであり、わが身を滅ぼすことであると知りながら、なおそれを要求しなければならないというような問題と同じような形で、自治体自分警察は離したくないが、離さなければやれない、国家が金をくれなければやれないのだという状態のもとで、現われて参りました意思は正しくないと思うのですが、何をもつて正しいとお考えになるのか。單に形だけを見ますと、私どもはわからぬと思うのですが、問題の本質を見なければならないと思う。どういう意味で正しいとお考えになつているのか、それをひとつ承りたい。  あわせて聞いておきますが、新しい警察法の根本的な考え方警察国民の手に返す、国家警察の形から国民の手に返す、警察の根本的な精神をどうお考えになるか、こういうような改正をなさつて、はたしてこれが警察法の根本的な趣旨であり、警察の本来的なあり方でなければならないところ  の国民警察、人民の警察というものの線にこれが沿つているのかどうか。どういう点でこれが沿つているのか。單に形の上だけで賛成があつたから、国家警察にしてもいいのだということで、はたして警察精神が生かされているのかどうか、これをひとつ承りたい。     〔委員長退席野村委員長代理着席
  18. 河原伊三郎

    河原委員 国民代表によつて組織されましたところの衆参両院におきましてできました正しい法律によつて警察法が設けられている。この警察法従つて国民投票によつて住民意思を反映してその意思に基いて住民の多数が欲する方向に向うことをきめている、これはきわめて民主的行き方であるが、その民生的な行き方の所産によつて生れたものが、たまたま時期的に長く待たなければならないという問題だけを、時期を短縮して多数住民意思を早く実現するというところへ持つて行くのが、本法案趣旨でありまして、これはきわめて民主的な行き方であると確信するものであります。
  19. 立花敏男

    立花委員 住民意思を尊重されて、住民多数が欲するということを言われておりますが、この法案住民投票を略するという法案である。住民投票をやらないということを規定する法案である。今の警察法住民投票をやらなければいけないとあるのであります。住民投票をやめることの法案であるということとあなたの言われるのとは違うのです。住民投票をやらないことになつているのを、これでやるというのならばあなたの話はわかりますが、現在の法律でやることになつているのをやらないというのならば、あなたの言うのは逆だが、その点どうか。
  20. 河原伊三郎

    河原委員 町村警察維持に関する責任転移の時期の特例に関する法律案におきまして、住民投票がすでに行われているものであります。また市の警察維持特例に関する法律案におきましては、すでに住民投票において警察を置かないことに決したものが寄り集まるか、もしくは従来から自治体警察のなかつたところのものが集まつてできたところの、新しい市の問題でありまして、しかもそれはすでに住民投票を行つたものが含まれている。またおらないにしても、なかつたところであるということになつてつて、現に自治体警察を維持しているものが含まれておつたものは、この範疇に入らないわけであります。また新たに市になつた場合に自治体警察を置くのが本義になつておりますので、それを置かないという場合は、住民代表として設けられましたところの住民意思を反映目する議会において、自治体警察を置かないということをきめる場合は、すなわちこれは住民意思が間接にはつきりと反映しておるのでありますから、この特例に合致するわけであります。
  21. 立花敏男

    立花委員 あなたのように言われますと、明治の初めに一度選挙しておけば、いつまでもその選挙住民意思がはつきりしているので、あらためて選挙を行わなくてもいいということになるのですが、條件が違つて来るのですから、違つた條件のもとにおいては、あらためて、警察法に規定してあります通り住民意思を問うのがあたりまえだと思う。條件が同じであればよろしい。條件が違つて来るのだから、全然條件が違うもとにおいて、前に一度住民投票をやつたからあとはやらぬでもいいというような結論はちつとも出て来ないと思う。そんな民主主義はないと思う。一体どこにそんな民主主義がありますか。條件違つたあとにおいては、條件違つたよう住民意思をあらためて尋ねるというのが民主主義なので、條件の違つたときに意思表示されたことを、自分の御都合主義によつて條件違つたあとにおいてもその通りに認めるというばかなことが一体どこにありますか。そんな民主主義つたらない方がいい。條件がまつたく違うのだから、新しい條件のもとに新しい自治体ができて来る。あなたの言われましたように、今まで自治体警察を持つていなかつたものが集まりまして、新しい自治体をつくり上げて行く、その場合になぜ新しい住民意思を問わないのか、それを略することがなぜ民主主義だ。それを問うことこそ私は民主主義だと思うのですが、その点どうお考えになりますか。
  22. 河原伊三郎

    河原委員 立花委員の御質問は、新たにできた自治体警察において議会意思も何も問わないで、そのまま自治体警察を置かないことにする場合を指しておられるようでありまするが、そうではないのでありまして、市になれば自治体警察を置くのが本義であります。本義であるが、議会意思によつて置かないことができるということになつておるわけであります。ただその場合は、現に自治体警察を置いておるものを含めたところの市である場合はこの範疇に入らない。従つて自治体警察のないものが、つまり本来自治体警察を置かないものが市になつた場合という限られた場合において、その議会意思によつて決することができる。議会意思というものはきわめて民主主義的な意思であると考えるものであります。
  23. 立花敏男

    立花委員 あなたのように、議会が非常に民主主義的で、議会決定すればそれで民主主義的な決定なのだと言われるならば、前の警察法でなぜこの議会のほかに住民投票というものを認めたのかわからないじやないですか。認めなくてもいいということになるじやないですか。議会民主主義的で決定すれば、それ以上の民主的な手続はないので、警察を置こうと置くまいと、自治体警察にしようと国家警察にしようと、議会決定すればいいのだ、それが民主的なのだと言われるならば、なぜ住民投票という金のかかる手数のかかる制度をしいたのか。あなたは根本的な警察民主化——警察国民の手に渡すという根本的なことをお考えになつていない、ちつとも理解していない。だから、住民投票をやらなければいかぬということはあつてもなくてもいい盲腸のようなものだとあなたは考えておる。ここに根本的な頭の古さがあると私は思う。そういうことでやられるなれば、警察法自体住民投票を認めていることがいらないことなのです。議会ですべてやればいいということになると思うのです。そうではなしに、あなたが言われるように、今まで自治体警察を持つていなかつた町村が集まりまして、新しい市というものをつくり上げる、これは自治体としてはまつたく新しい出発なのです。今までは遺憾ながら自治体警察も持てなかつた財政関係上あるいは自治体の規模が弱小であるという関係上、どうしてもこれは持とうと思つても持てなかつた。それがみんなで集まつて新しい大きな市をつくり上げた、そうしたらやはり自分たちの新しい市ができるのだ、自分たち独自の行政をやつて行きたい、その場合には警察十分自分たち意思で運営できるような警察を持ちたい、その財政的な裏づけも十分ほしい。そうしてこそ初めて私はりつぱな自治体ができると思う。その場合になぜ住民意思をお問いにならないのか、住民意思を問うのはあたりまえじやないですか。それこそ警察法の根本的な考え方なんだ。それでこそ初めて東條時代警察国家考え方を改め、国民本位の、住民の手に警察を渡すというこの精神が貫かれると思うのですが、議会でさえきめればいい、住民投票にする必要はないということは、明らかに警察法根本精神の蹂躙であり、警察民主化の基本的な行き方から完全にはずれていると思う。これがその線に沿つておるということを何をもつてあなたは立証されるのか、これを承りたい。
  24. 河原伊三郎

    河原委員 住民投票によるのも、議会によつてきめるのも、ともに民主主義行き方であります。ただそれは問題によつて議会によつてやる方がよいという場合と、または住民投票に訴えなければならぬという場合と、それぞれの場合により、その程度により異なるのでありますが、今の場合は議会によつてきめるということがきわめて妥当である、こういうふうに考えまして、同じく民主主義行き方でありますが、議会においてきめ得る行き方をとつた次第であります。
  25. 立花敏男

    立花委員 警察法をつくりますときにおいても、その問題は問題になつたのであります。だから、こういう警察の問題は重大でありますので、議会だけできめないで住民投票に付するということが、基本的な問題として警察法で規定されているのであります。あなたの言われるように、議会できめるのも民主主義的な行き方であり、住民投票によるのも民主主義的な行き方であるとするならば、なぜ警察法でこんな複雑な、議会決定して住民投票に付するというような手続を規定したのか、この趣旨が解せないでしよう。議会だけできめるべき問題ではない、議会できめて住民投票に付するのだということは、非常に徹底した民主主義を特に警察法の場合はとつているわけなんですが、その精神があなたにはちつともわからない。あなたは、この精神を今度の市というものの場合に特に蹂躙されようとしている。町村の場合でもそういう手続をとつているのに、市のような重大な大きな自治体においてもそういうことを——むしろそれよりも民主主義を制限した形でやろうとしている。これは何といつても私は解釈ができないわけです。日本中の市が自治体警察を持たなければいけないというのが、警察法の原則であります。小さい町村の場合は、やむを得ない事情がありました場合は住民投票によつて持たなくてもいい場合があるが、市のような大きな自治体はぜひとも持たなければならぬ。警察民主化の方針や基本的な考え方からいつても、自治体を完全な自治体にするという意味からいつても、市というものは、市であるべき資格において、当然その自治体固有の警察を持たなければいかぬというのが原則なんです。この原則を、特例を認めてやろうとするのであれば、町村の場合に認めたよりも、もつと徹底した民主的な方法がとられなければいけない。だから、町村の場合においても住民投票を認めておるのに、市の警察国家警察になる場合に、なぜ議会決定だけでやろうとするのか、これはどうしてもりくつが合わない。市のような大きな場合には住民投票をやり、町村のような小さい場合には住民投票をやらなくても議会できめてもいいというならば、ややりくつは通ります。しかし、町村の場合にも住民投票を認めておいて、市のような重大な場合に、全国の市が持つている場合に、一つ二つの市をはずす場合に、議会だけで決定するというようなことは、何と申しましてもこれは論理が逆です。これをしも民主的ということであれば、何をもつて非民主的というのかわかりませんが、こんなことは警察法の根本的な精神から申しまして、完全に誤りだと思う。その点をどう説明なさるか。町村のような小さいところですら、自治体警察を廃止します場合は、住民投票によらなければいけない。ところが市のような場合に、どうしても持たなければならぬとなつておる、それが原則となつております市のような場合に、自治体警察国家警察にします場合に、この住民投票を略するということは、どうしてあなたはこの論理上のつじつまを合せられるか、これを承りたい。
  26. 河原伊三郎

    河原委員 立花委員に納得してもらうように説明するのは、なかなか骨が折れるようでありますが、民主主義の理想からいえば、議会のごときも国民有権者が全部一堂に会して何事もきめるというのが、一番理想的でありましよう。また議員の数も多いほどよいでしよう。しかしながらそれらを衆議院で四百六十六名というふうなことになつておりますのは、いろいろな実情に即してこのくらいがよいというところできまつておるのであると思います。この問題におきましても、民主主義というのに直接に民意を問う場合、その代表者によつて民意を表わす場合、いろいろあるのでありまして、今のこの場合はその民意の代表的表現機関である議会で扱うのが最も妥当である、こういうふうに考え提案した次第であります。
  27. 立花敏男

    立花委員 私民主主義一般をあなたに聞いているのじやないわけです。町村のような小さいととろですら、自治体警察を持たなくてもいいということを決定いたします場合には、議会で諮りまして、その上で住民投票に付することになつておるわけです。ところがさらに町村よりも大きな完全な自治体でなければならない市、しかも現行の警察法では市は必ず自治体警察を持たなければならないという原則がきめられております市、この市において自治体警察国家警察にいたします場合に、なぜこの住民投票を略するのか、この問題なんです。いわば比較の問題です。町村のようなところですら住民投票に付しておるのに、なぜ市の場合に住民投票に付さないのか、このことです。
  28. 河原伊三郎

    河原委員 新たにできた市は、すべて議会で持つか持たないかを決してよい、こういうのでなく、現に持つておらないところが寄り集まつてできたところというふうな限られた、自治体警察を持つことを欲しないことをさきに住民投票によつて意思表示したか、または今まで持つておらないところ、こういうところが寄り集まつてできたところの新しい市という特別な状態にあるものを扱う場合の規定でありまするから、この場合議会意思によつて決するというのが、その程度において最もよい、かように考えて本案を提出した次第であります。
  29. 立花敏男

    立花委員 これはあなたの選挙区の問題ですか、滋賀県の問題ですね。今当面なろうとしている一つや二つの市だけをお考えになつて、この法案を通過させようとされては、これは問題がやはり混乱して来るのじやないか。この法案は御承知のようにあなたの選挙区である滋賀県の、今市になろうとしている市だけの問題じやないわけなんです。これはほかの町、新しくできて参ります市、これにみんなあてはまる法案なんです。だからいろいろな條件があるわけです。滋賀県の場合が全国の例になるわけではありませんで、いろいろな形の市ができて来るわけです。それにこれがみんなあてはまるわけなんです。だからさつきから言つておりますように、小さい村や町がたくさん集まりまして新しい市をつくる、その場合にもあてはまつて来るわけなんです。だから單に一つや二つの滋賀県の今市になろうとしている町だけをお考えになつて法案を説明されていただくと、私ども審議いたしますのに非常に困りますわけなんで、全然新しい市を数箇町村が寄りましてつくります場合には、まつたく今までとは違つた新しい自治体、しかも最も完全な市という自治体ができ上りますので、その場合はあらためて住民意思を問うのが私当然だと思うのです。前に住民意思として決定されましたものは、違つた條件の小さい村や町の場合におきます意思表示なんだ。決して新しい完全な自治体としての市のような場合の、市の住民としての意思表示じやないわけなんです。どうしてもこれは新しい條件のもとにおける新しい市民としての——町民や村民としての意思じやなしに、新しい市民としての意思を問うのが当然だと思うのですが、この点をどうお考えになつておりますか。
  30. 河原伊三郎

    河原委員 本案は全国的な観点から提案いたしたものでありまして、滋賀県のために提案したものではないのであります。私は寡聞にしてこの両案に関係のある地方が滋賀県にあることを知らないのでありますが、立花君は滋賀県にこの案に関係のあるところがあるように言われましたので、今度発言されます場合に、滋賀県のどの町村がこれに該当するので、さような発言をされたかを明確に示していただきたいと存じます。
  31. 立花敏男

    立花委員 提案者から質問がありましたが、滋賀県にあるというふうに聞いているがどうかということを私はあなたに聞きましたので、答弁はあなたから承りたい。委員長から聞くところによりますと、これはやはり河原委員にも関係がある法案だ、河原委員選挙区にも関係がある法案だということを私聞いておりますし、橋本元厚生大臣の選挙区の問題だということも聞いておりますので、私質問したわけなんですが、橋本さんの選挙地盤の中で、新しく市になる町があるところにも関係があるというふうに私委員長から聞いておりましてそれをあなたにお尋ねしたのですが、その点あなたの方が詳しいと思うので、あなたから一つ詳細な御説明を承りたいと思います。  それからこの法案は、そういうふうな重大な警察制度の根本的な問題に関する法案なんで、私どもはこれは十分慎重にしなければいけない。特に最近の傾向として、警察あり方が中央集権的になつて来るということを特に憂えまして、私どもはこの法案に対して愼重な態度をとりたいと思うのです。政府の方が来ておられるようですが、最近政府の方で警察法改正等の考え方があるようですが、どういう趣旨で、どういう方法で警察あり方をかえようとされているのか、この法案と非常に大きな関連がありますので、承つておきたい。
  32. 河原伊三郎

    河原委員 提案いたしましたのは本員でありまして、政府提案したのでありませんから、提案理由としましては、政府にお聞きになるのは……。     〔「提案理由じやない」「参考意見を聞いているのだ」と呼ぶ者あり〕
  33. 柴田達夫

    ○柴田説明員 警察法関係のこの議案を離れまして、どういうふうにやるかというお尋ねに対しましてお答えいたします。先般閣議におきましてきまりました要綱に基きまして、警察法の一部改正案を目下準備をいたしておる状況であります。準備が整いました上は国会に御提案になることであろうと思つております。
  34. 立花敏男

    立花委員 これは警察あり方がどうなつて行くかということと非常に大きな関連があるわけです。自治体警察でありますと、自治体として警察の運営を掌握できるわけですが、これを国家警察に移しますと、やはり政府国家警察に対する考え方というものが、非常に大きな関連があるわけなんで、議会意思決定いたします場合も、住民投票をいたします場合も、政府警察に対する考え方というものが大きな要因になりますので、私はぜひこの際政府警察制度に対する考え方、閣議で決定したという警察制度改正方向を明示していただきたいと思うのです。それがはつきり言えなくては、この法案は軽々に通過することはできないのじやないか。政府が新聞に伝えられておりますように、非常に警察に対する政府の権限を強化しようとしておる。国家警察を非常に強化して行こうといたすような場合には、住民自治体警察国家警察簡單には移すことはできないと思います。そういうことを明白にしないでおいて、自治体警察財政の困難から国家警察に吸收して行く、吸收したものを非常にフアツシヨ的な中央集権的な警察にして行く。そうなりましてはこれは住民を欺くことになります。私ども住民がみすみす政府のわなにかかつて自治体警察を奪われて行くような法案には賛成できない。この際政府は当然警察制度に対する根本的な考え方を明白にする責任がある。特にそれが何ら巷間に伝えられていないならともかく、新聞紙上でほとんど毎日のように警察制度の問題は伝えられておるわけです。どういうふうに政府警察制度の根本的な改正考えておるのか、これをひとつ明白にしていただきたいと思います。
  35. 柴田達夫

    ○柴田説明員 ただいま準備しておりますところの警察法の一部改正案の内容につきまして、きよう御説明する時期でないと思いますので、これは御了承いただきたいと思いますが、民主的な現在の警察制度を前提としたものであることは間違いないのであります。またここで今議案になつておりますような事項とは全然関係はございません。現在の国家地方警察自治体警察というものの建前というものを前提にいたしましての改正でございます。それから現在ここで議案になつておりますところのものは、この国家地方警察自治体警察を建前といたしておりますところの制度に基きまして、万やむを得ない場合の特例を認めよう、こういう議案であるわけであります。この両者を必ずしも関連せしめないで、御審議をいただいたらいかがかと思います。
  36. 立花敏男

    立花委員 そうは行かないと思うのです。新聞に伝えられるところによりますと、総理大臣が警視総監を任命する。これは総理大臣自治体警察の長である警視総監を任命するのですから、これは非常に大きな問題なんです。ここに私は政府警察制度改正の基本的な考え方が出ておるのじやないかと思う。こういうことで政府警察制度改正考えております場合に、自治体警察は安心して国家警察に渡すわけには行かない。私ども自治体警察国家警察にするこういう法案簡單に通すことはできないと思う。あなたが関係がないといくら言われましても、実際の問題上これは非常に大きな関係があるわけなんで、その内容が明らかにならないと、この法案責任をもつて審議することもできませんし、もちろんとうてい賛成することはできないわけです。自治体警察の長である総監を総理大臣が任命するというようなものを、あなたの言われるように、警察民主化の線に沿つているなどと、一体どこからそういうことが言えるのか、新聞でも公安委員会は骨抜きになるということを、はつきり言つておる。総理大臣自治体警察の長である総監を任命するようなものを、あなたはどうして警察民主化の線に沿つていると言われるのですか。そういうことが言えるのですか、これをひとつ承りたい。
  37. 柴田達夫

    ○柴田説明員 今後御提案いたしますところの準備中の新しい法案内容につきましては、きようお答えする時期ではないと思いますので、御了承を願  います。
  38. 立花敏男

    立花委員 もう一つ聞いておきたいのでありますが、大橋国務大臣は、警察予備隊が出動いたしました場合は、警察予備隊総理大臣の命令があつて行動するのだ、警察予備隊が出動した場合は、自治体警察等はその指揮下に入るのだということを、この間新聞で言われておりますが、あの談話はほんとうなのかどうか、ほんとうであるとすれば、警察予備隊自治体警察を指揮監督するということは、どの法律に基いてそういうことが言えるのか、何に根拠があるのか、これを明白にしていただきたい。
  39. 柴田達夫

    ○柴田説明員 ただいまの大橋国務大臣の予備隊についてのお話につきましては、国警本部の方からちよつとお答えいたしかねます。
  40. 立花敏男

    立花委員 警察予備隊総理大臣の命令によつて行動するということになつておりますが、警察予備隊が出動いたしました場合に、自治体警察との関連はどういうふうになるのか、出席されている政府の方でおわかりになる方は、ひとつ答弁願いたいと思います。
  41. 柴田達夫

    ○柴田説明員 これは関係ございません。
  42. 立花敏男

    立花委員 関係ないとはどういうことです。何が関係ないのですか。
  43. 柴田達夫

    ○柴田説明員 警察予備隊指揮下に入るということはございません。
  44. 大泉寛三

    ○大泉委員長代理 門司亮君。
  45. 門司亮

    ○門司委員 この機会に全体の質問は明日なり後刻いたすことといたしまして、一応審議をいたしまする順序として、この問題は警察法にきわめて大きな関係を持つております。ことに警察法で自治警察でなければならないものが、この法律改正することによつて自治体警察を議決で、しかも当該自治体の議員の議決によつて、これが行われようとしておるというところに、先ほどから立花君が言つておりますように、民主政治あり方については非常に大きな問題が残されておると思うのであります。従つて、こういう警察法改正に対して、政府当局はこれを十分了承しておるかどうかということの意思を、私は十分確めておかなければならないと思う。従つて警察関係責任者でありまする木村法務総裁に、ひとつぜひ出て来てもらいまして、そうして現行法との関連に対する責任者の答弁をひとつ求めたいと考えております。なおその際に実際問題を扱つておりまする国警本部長官も、ひとつ委員長からお呼び願つておきたいと考えております。  それからもう一つ問題になりまするのは、この問題は非常に重大な問題でありまして、特に市の警察維持特例に関する法律案内容を見てみますると、さらに今までの質疑応答を聞いて参りますと、自治体あり方についてきわめて大きな関連を持つておるのであります。それで自治法では御存じのように、明らかに市の事務と、町村の事務というものは区別されておるのであります。従つて町村のころ自治警察を、町村の建前において廃止したのが市になつた場合に、これを当該地方公共団体の議会の議決だけで、これが市になつてもなおかつ自治警察にしなくてもいいという決定をすることになつておりますことは、自治法の建前から申しましても、きわめて重大な関係を持つておりますので、私は岡野国務大臣の御出席を要求しておきたいと思います。委員長においてしかるべくおとりはからい願いたいと思います。
  46. 八百板正

    ○八百板委員 それからこの特例によつて、どれだけ対象となるかということ、相当時日まで切つてあるのですから、五月二十日までに申請とかいうこともあるのですから、そういう具体的なものを出されております場合におきましては、大体においてこの特例の対象になるものは、どういう自治体が予想せられておるという資料があると思いますので、その資料をひとつ御用意いただきたいと思います。
  47. 河原伊三郎

    河原委員 町村警察維持に関する責任転移の時期の特例に関する法律の件は、この点につきましては、私の聞いておりまするのは、大阪府の国分町というのと、そのほかに二、三……。(「提案者がそれがわからないでどうする。」と呼ぶ者あり)それは全国的な問題でありまして、一つの自治体もないのに出したのではありません。しかしそれと同じものがあれば出るわけであります。とにかく地方的なことに主眼を置いて出したのではありませんで、こういつたものは、こういうふうに扱つた方がいいという観点から出たものであります。
  48. 八百板正

    ○八百板委員 ですからこの法律によつて具体的にどれだけの自治体が対象になるかということの、今日予想される資料を要求いたします。
  49. 大泉寛三

    ○大泉委員長代理 委員長から一言申し上げます。先ほど門司亮君から御提案になりました趣旨に対して、委員長といたしまして、各責任大臣の出席を求めるよう、要請いたします。  それから今河原伊三郎君から、資料のことについて釈然となつていないそうでありますから、暫時休憩いたします。     午後零時五分休憩      ————◇—————     〔休憩後は開会に至らなかつた