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1952-04-22 第13回国会 衆議院 地方行政委員会 第31号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年四月二十二日(火曜日)     午前十一時三十七分開議  出席委員    委員長 金光 義邦君    理事 大泉 寛三君 理事 河原伊三郎君    理事 野村專太郎君 理事 床次 徳二君    理事 門司  亮君       中山 マサ君    前尾繁三郎君       鈴木 幹雄君    藤田 義光君       立花 敏男君    八百板 正君       大石ヨシエ君  出席政府委員         総理府事務官         (地方財政委員         会事務局税務部         長)      後藤  博君         総理府事務官         (地方自治庁次         長)      鈴木 俊一君         総理府事務官         (地方自治庁財         政課長)    奥野 誠亮君         総理府事務官         (地方自治庁公         務員課長)   佐久間 彊君         法務府事務官         (法制意見第二         局長)     林  修三君  委員外出席者         専  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 四月二十二日  委員首藤新八君辞任につき、その補欠として根  本龍太郎君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  日本国アメリカ合衆国との間の安全保障条約  第三条に基く行政協定実施に伴う地方税法の  臨時特例に関する法律案内閣提出第一五七  号)  町村職員恩給組合法案内閣提出第九二号)(  参議院送付)     —————————————
  2. 金光義邦

    金光委員長 開会いたします。  日本国アメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定実施に伴う地方税法臨時特例に関する法律案を議題といたします。昨日本案につきましては一応質疑を終了いたしましたが、質疑があればこの際許します。
  3. 門司亮

    門司委員 少し聞いておきたいと思いますが、この法律は非常に微妙な関係が、実際面に出て来ると思います。連合軍関係しております者が持つているものには、すべて固定資産税をかけない、こういうことなのですが、そうすると、名義だけで、実際は内地人が使用しているようなものは、一体どうなりますか。何かほかにこれを査定したり、きめるようなことができるかどうか。これには地方財政委員会がありますが、地方財政委員会あるいは固定資産調査委員会等が、これを調査するという権限を持つておるかどうか、この点はどうなつておりますか。
  4. 奥野誠亮

    奥野政府委員 固定資産税対象として土地家屋償却資産の三者がありますので、その実態において多少異なるかと思うのでありますが、土地家屋につきましては、土地台帳家屋台帳に登載されております名義者に、固定資産税を課して行くわけでありますので、御心配になりますような問題は、まず稀有ではなかろうかというふうに考えております。償却資産に関しましては、多少そのような形式が整備されておりませんために、問題が生じて来るのではないかと思うのでありますけれども、もとより相手方合衆国軍隊関係者でありますので、場合によつて軍隊に対しまして、直接証明を求めるということも可能でありますので、運用の面においては円滑に実施されることを期待しているわけであります。
  5. 門司亮

    門司委員 もう一つ聞いておきたいと思いますことは、ここにずつと書いてあります契約者との関係でありますが、アメリカ駐留軍その他との契約者アメリカ人である場合においては、一切の税金を免除されるように考えられるのでありますが、これもやはり今と同じようなことで、現実には日本人がやつてつて名義だけがアメリカ人名義になつておるということが往々にしてありはしないかと考えるのですが、こういう問題についてやはりこれを調査するような機関日本政府にできるのかどうか。こういうことをお聞きいたしますのは、現在でも、非常なデリケートな問題にはなつておりますが、たとえば横須賀などに参りましても、かつて疎開したあとなどが私有地になつてつて、それが使用の目的がかわれば、当然前の地主に返さなければならないことになつておるが、しかし現実外国商社が当時の軍の関係から使用しておる。ところが現在は、名前はなるほど一つ外国商社とのとりきめではあるが、実際そこで営業しておるのは日本人である。こういうことで、役所でもちよつと取扱いに困るような問題が必ずできて来ると私は思う。また現実にそういう問題がある。こういうものに対して何か日本側で調査して、そういうものの取消しをするようなことが一体できるのかどうか。どこまでも名義人向う名義人であればやむを得ぬことであるかどうか。こういう点について、取締り、あるいは契約解除等に対する日本側権限が、どういうふうになつておるのか、御説明ができればひとつ願いたいと思います。
  6. 奥野誠亮

    奥野政府委員 この点も、御心配になるようなことは、よほど考えて行かなければならないと思うわけであります。ただ契約者といいますのは、その身分につきまして、合衆国権限のある機関証明がある者というふうにうたつてあるわけでありまして、もとよりこれらの根拠に基きまして、ある場合には証明を求め、ある場合にはその証明根拠につきまして、問い合せて行くことが可能であるというふうに考えているわけであります。
  7. 門司亮

    門司委員 今の証明といいますが、その具体的の問題は、むろん証明もあるし、手続はきちんと行われると思うのであります。もちろん間違つた手続は行われないと思うが、ただ問題になりますのは、さつき言いましたような名義を使用するという形が出て来ると思う。ことに事業などの場合におきましては、名義人向うであつて下請がこつちでなされておるというようなことがあつた場合には、もちろんその下請をしている業者は、この法律適用を受けないで、それは日本人業者として取扱われるかどうかということも、やはり一つの大きな問題になると私は思う。請負つておるほんとうの名義人外国人であれば、たとい日本人下請があつても、それの仕事の一環として全部課税されないのかどうか、こういう点をお尋ねいたします。
  8. 奥野誠亮

    奥野政府委員 契約者行つている事業に対しましては、契約者事業税を課することはできないのでありますけれども、契約者下請仕事をしている者がありました場合には、その下請をしております者が、請負事業をやつておるわけであります。その請負事業下請行つている者に対しまして、事業税を課して行くことは当然でございます。従いまして、かりに名義的にはどうありましても、実体に即しまして、事業行つておりますものが別にありました場合には、実質の事業行つている者に対しまして、そのものの得ております所得課税標準にして、事業税を課することば禁止していないわけであります。
  9. 門司亮

    門司委員 本人所得についての課税は、もちろんそういうことになると私は思いますが、問題は事業の形でありまして、たとえば法人などの場合は、そういうふうに簡單に行くかどうか。それからもう一つは、さつきも言いましたように、課税対象になるのは、一体仕事の上で本人所得というだけで、従つてこれが請負であるという場合には、もとの請負師合衆国人には税金をかけないが、下請には税金をかけるということが、この条文だけで完全であるかどうかということ、それはここに書いてありますように、こういうものについては何にもかけないということが、はつきりここに明記してありますので、もし向うの使用人のような形で、一つ請負ということが行われておりますと、自分のもらつた俸給だけにはなるほどかけられるかもしれませんが、一つの会社や何か、法人利益というようなものは、一体どうなつて来るのか。これが外人名義であれば、その法人利益というものは、ただちに外人所得のようになつて来て、單にそこで働いている日本人は、自分の直接もらつた俸給だけが所得のような形で出て来ることが多いと私は思う。こういうものに対してはどうお考えになつておりますか。
  10. 奥野誠亮

    奥野政府委員 契約者と関連いたしまして、契約者から所得を得ています場合に、その所得給与所得であるか、事業所得であるかということが、ある程度客観的に明確になるだろうと思います。事業所得であります場合には、そのものに対しまして事業税がかけられて行くはずでありますし、給与所得であります場合には、所得税あるいは市町村民税所得割対象になつて行くことになるだろうと思うのであります。しかしながら、いろいろお考えになつておりますようなデリケートな問題が、将来とも起るだろうと思うのでありますけれども、そういうふうな問題につきましては、日米相互合同委員会というようなものを設置して、絶えず連絡をとりながら、個々の問題の解決に当つて行きたいというふうな話合いになつておるわけであります。
  11. 門司亮

    門司委員 話合いといいますが、そうしますと、これに対する委員会か何か、これを査定するようなものをきめる規定が、この法律の中にありますか。ただ漠然と、合同委員会できめて行くという、国全体を目標にしてきめて行くのであるのか、こういう法律の中にきめるなら、地方税に対してはこういう機関地方に設置しなければならないというふうにでも明白になつておれば、その点は安心だと思いますが、この法律にはそういうことは書いてないと思いますが、これはどういうふうになつておりますか。
  12. 奥野誠亮

    奥野政府委員 この事業税に関しましては、契約者に対して事業税を課さないだけのことであつて契約者と関連して事業を行いますものに対しましては、当然事業税を課して行きますので、特に解釈に困難な問題はないのではないかというふうに考えるわけであります。しかしながら、将来單に税制だけの問題でなしに、いろいろな問題につきまして、一体この範囲のものであるか、範囲外のものであるかというような問題が起きました際に、なるだけ円滑に処理して行くために、全般的な合同委員会というようなものが設置される予定である、かように申し上げているわけであります。
  13. 立花敏男

    立花委員 この法案を見ますと、罰則がないのですが、なぜ罰則をおつけにならないのですか。
  14. 奥野誠亮

    奥野政府委員 これは地方税法特例法案でありますので、この部分と抵触いたしませんものは、全部地方税法規定適用されることになるわけであります。
  15. 立花敏男

    立花委員 そういたしますと、この脱税の問題、あるいは税金を納めない場合の問題、あるいは調査等を拒否したような場合は、どういうふうにしてやるわけですか。
  16. 奥野誠亮

    奥野政府委員 合衆国軍隊の使用しております施設区域外では、当然これらの処分は行い得るわけでありますが、その施設区域内におきましても、なお当然この法律が働いて来るわけであります。ただできるだけ円滑にやりますためには、この施設及び区域を管轄する合衆国軍隊司令官事前に話し合つておいた方が、円滑に行けるだろうというふうな考え方をして来ているのであります。
  17. 立花敏男

    立花委員 そうしたら地方税法あるいはこの特例法に違反した場合は向うの軍人、軍属あるいはその家族といえども処分されるというふうに理解していいかどうか。
  18. 奥野誠亮

    奥野政府委員 地方税犯則取締りは、国税犯則取締法を準用しているわけであります。国税犯則取締法につきましては、部分的にはあらかじめ合衆国軍隊司令官等話合いをしておいた方がよろしい部分もありますので、日本国アメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定実施に伴う国税犯則取締法等臨時特例に関する法律案が提出されているか、あるいは提出される予定になつているわけであります。
  19. 立花敏男

    立花委員 だからおそらくあなたの方ではその内容をお調べになつていると思いますが、不正が行われました場合も、どういうふうにそれが究明され処分されるのか、それをひとつ承つておきたい。
  20. 奥野誠亮

    奥野政府委員 実体につきましては何らかわりはないわけであります。ただ特例につきまして司令官との話合いをあらかじめつけるというふうな手続的な面におきまして、特例が定められることになつておるわけであります。
  21. 立花敏男

    立花委員 話合いというようなことは普通法律用語にもないし、内容は非常に不明確なんですが、話合いとは一体どういうことなんですか。
  22. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 その点は昨日答弁を申し上げましたごとく、間接国税犯則処分に相当するような場合、あるいは地方税差押え公売等滞納処分に該当する処分につきましては、合衆国軍隊の使用する施設及び区域内につきましては、当該区域におりまする軍の司令官承認を経てそういう措置をやる、こういうことであり、單に国税質問検査等のために立ち入りまする場合には、別にこれは法律上の用語ではございませんが、便宜その地域の指揮官事前に了解を得て入つて行く、こういうふうに取扱い上いたしたいということであります。
  23. 立花敏男

    立花委員 それじやいくら滞納がありましても、司令官承認がなければ滞納処分はできないということになると思うのですが、そうなんですか。
  24. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 それは滞納の事実ということよりも、そこに入つてそういうことをやることについての承認であろうと思います。
  25. 立花敏男

    立花委員 そうしたら滞納処分をしなければいけないということがわかつておりましても、入る承認が得られなければ入れない。実際はやれないということになるだろうと思いますが、それなら何かほかにやる方法はありますか。
  26. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 それはそういう趣旨の法律が制定せられまするならば、今申し上げましたような方式でやることになるわけでありまして、それにそういうふうに規定されました以上は、それに従つた正当の手続を経なければ、そういうことはできないということになるわけであります。
  27. 立花敏男

    立花委員 しかしその国税犯則取締法等臨時特例法によれば、滞納処分をやる場合にも司令官承認がなければ、事実はやれないということになつておるとすれば、実際上の滞納処分はできないのじやないかと思うのですが、そういう法律がありましては、かえつて滞納処分を禁止するような法律になつて来ますので、非常に困ると思うのですが、そういう法律がつくられて、はたして地方税の徴收すべきものが、完全に徴收できるとお考えになつているのか。滞納処分ということが明白であれば、当然私は司令官承認がなくても、ぼくは入つて行つていいじやないかと思う。これは承認がなければ入れないというようなことになりますと、実際の滞納処分ができないと思います。この臨時特例法がおかしいと思うのでありますが、その点どうお考えになつているか。
  28. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 正当な理由がございまして、そこに立ち入つてそのような処置をいたすことにつきまして承認当該司令官に要求いたしました場合に、その司令官がこれに対して承認を与えるということは、これは常識の上で当然に考えられることでございまするし、そういう前提で考えているわけでございます。もしもそういう特異な事例といたしまして、正当の理由がありまする場合に、また相手方承認を与えないだけの、正当の理由がないような場合において、なおかつ与えるべき承認を与えないということがございましたならば、それはこの行政協定実施につきまして、日米当局間の一切の問題を協議いたしまする合同委員会にかけまして、合同委員会処置をする、そういうようなことがないようにしてもらう、こういうことになるわけであります。
  29. 立花敏男

    立花委員 そういたしますと、日本法律より合同委員会の方が、大きな権限を持つているということになるだろうと思う。法律があります以上、日本国民はやはり法律従つてやられなければいけないので、地方税に関しましては日本法律従つて軍隊といえども、あるいはその関係者といえども処分さるべきだと思うのでありますが、法律規定されている以上のことを、合同委員会がやるということは、私はどうも納得できない。合同委員会できめられましたものが、法律になつて初めて日本人を拘束し、あるいは法規として一般の人に対する拘束力がありますので、ただ單に合同委員会できめるという御返事は、私はどうも納得ができない。それから特異な場合を除いては、大体承認が得られる見通しだと言われますが、滞納処分あるいは脱税等が明白な場合に、それを法に基いて執行するのに、これを拒否するような特異な場合、私どもほとんど納得できないのでありますが、どういうことを予想して正当な日本の法の手続が実行できない場合まで考えられているのか、これをひとつ承りたい。
  30. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 承認は、正当の理由がありますれば、これは当然に与えられるのであろうと予期しているわけであります。両国家間の正式の協定に基いて、そういう措置をいたすのでございますから、これは正当の理由がありますれば、いかなる場合でも承認が与えられるであろうということを、われわれ考えている次第でございます。ただ、今申し上げましたように何か特殊の事由、時期等につきまして、作戰上その他の理由からいろいろ問題があるというような場合におきましては、あるいはそれを実施する時期を、別の時期に選ぶようにせよというようなことが、あるいは出て来るかもしれませんが、まずそういうようなことはごく例外例外であろうと思うのであります。もしも一般的な承認を与える方式について、非常にめんどうであろうとか、あるいは円滑に行われないとかいつたようなことが起りました場合には、その法律に基き承認を与える方式について、よく合同委員会の方に問題として持ち出して行つて、そういうようなことが円滑に行われるようにしてもらいたい、こういう要望を日本側の代表から提示いたしまして、その措置が円滑に行われるようにする、こういう意味で、先ほど合同委員会のことに言及をいたしたわけでありまして、別に法律合同委員会がどうこうする、こういうようなことでは全然ございません。
  31. 立花敏男

    立花委員 特異の場合にのみ承認が与えられるときがある、そういう見通しのようですが、その理由作戰上という理由であれば、基地自体作戰基地なんだから、いかなる場合にも作戰上という理由承認を拒否することはできると思う。そういう場合に、向う側の拒否が正当であるか不正当であるかを、日本側として一体どうして確かめるのか。合同委員会と申しましても、これは日本側機関ではなしに、向うの絶対権限を持つた機関なので、そこへ問題を持ち出しても、私は同じことだと思う。法律の上で、承認がなければ滞納処分もできないとなつていますと、これは日本の主権が非常に制限されたことになりまして、法律で認められた滞納処分権限あるいはその他の徴税の権限が、非常に不当に制約されて来るということになりまして、税法上重大な問題だと思うのですが、この承認は削られた方が私はいいのではないかと思うのです。その点どうですか。
  32. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 これは行政協定一般的な考え方の問題として、それぞれ相当のところに、軍の使用する施設区域内に入ります場合において、そのようなことが定められておるわけでございまして、承認というような形のものがございましても、特にそのために支障を来すというようなことはないと思つております。また事実、軍の施設区域内に入りまして、滞納処分を行うというような事態が起りますことは、まああまりないと思いまするけれども、そういう事態がもし事実起りまして、しかもその承認を得ることについて、非常に困難な事態があるというようなことが、万一にもあるといたしまするならば——先ほど私が申し上げましたのは、まつたく一つ考えとして申し上げたわけでございますが、まあそのようなことが一体起るであろうかとすら思われるのでありますけれども、かりに承認を得ることについて非常にめんどうなことが起り、円滑に行かないというような事態が起りました場合には、この行政協定の二十六条に基いて、日米間の相互協議を必要とするすべての事項に関する協議機関であるこの合同委員会にかけて、そういうものが円滑に行われるようにするように運用すべきであろう。かように考えておるわけであります。
  33. 立花敏男

    立花委員 私は承認と言う言葉は、なるべく今のうちからおとりになつておいた方がいいと思うのです。あとで相談してからとる、あるいはこれを実行するようにするという手続は、もう今からいらないようにしておくのが一番賢明じやないか。承認がなければ滞納処分もできないというようなことは、これは不届きしごくなんで、滞納ということが明白であれば、承認がなくてもやれる、連絡、通告だけでやれるというふうにしておいた方が、これは実際の運営上にも妥当だし、あるいは国民の感情から申しましても、その方が妥当じやないか。私どもが周囲に見ております上海、あるいは香港等で、密貿易が横行し、あるいはやみが横行し、脱税が横行しておりますのは、やはりこういう特権的なものがかつて上海にあり、現在も香港にあるというようなものがやはりがんとなりまして、密貿易が行われ、脱税が行われ、やみギャングの巣窟になつておりますので、この根本的な原因は、一国内にある他国の特権的な存在ということにあるだろうと思うのです。それを今度の法案で明白にしておりますのが、この承認の問題だと思う。基地司令官承認がなければ、脱税が行われておつても、あるいはいくら納めるべき税金を納めなくても、司令官承認がなければ処分できないべらぼうな法律があるから、そういう町が腐敗し、やみギャングのちまたに化すると思うのですが、この承認言葉を取消される必要があると思います。おそらく今後日本の港や基地の周辺にやみが横行し、いろいろな脱税が行われる源となりますのは、この承認の問題にかかつて来るだろうと思う。おそらくこの承認の問題にひつかかりまして、脱税が自由であり、あるいは税金を納めなくても問題にならないというような事態が起つて来ることは、火を見るよりも明らかだと思いますので、これはおとりになるようにひとつお勧めしておきます。  それから税金の問題で法律上の訴訟が起りました場合の扱いは、一体どうなるのか。行政協定にも税金規定がいろいろあるわけなんですが、その場合に、それを裁判する手続は一体どうなるのか、これをひとつ承つておきたいと思います。
  34. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 今の、單にアメリカ人であるというだけでは、特に適用例外は起らないわけでございまするが、軍隊構成員でございまするとか、あるいは軍属というような、そういう意味アメリカ人につきましての一般裁判手続につきましては、これは刑事事件につきましては行政協定に基きます刑事特別法民事事件につきましては、民事特別法一般原則によつて処理せられるわけであります。
  35. 立花敏男

    立花委員 ひとつ一般原則でなしに、具体的にこうこうこういう場合には、こういう手続というふうにお答え願いたい。たとえば行政協定の十五条の一項のb号規定のごとき、新聞頒布の問題で、基地以外に頒布する場合には、租税その他類似の管理に服する、日本国管理に服するという場合があるわけなんであります。基地でつくりました宣伝用新聞などを基地外で販売いたしますような場合に、この租税の問題がからんで来るわけなんですが、こういう場合には、もし彼らが租税を納めなかつた場合、どういう法律上の手続でそれが裁判され、あるいはその最終決定がなされるのが、これをひとつ具体的にお聞かせ願いたい。
  36. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ちよつと御質問意味がよくわかりませんが、合衆国軍当局が公認し、かつ、規制する新聞が、一般の公衆に販売されるときは、当該新聞は、その頒布に関する限り、日本国の規制に服するものとする、こういうことでありますが……。
  37. 立花敏男

    立花委員 服さなかつた場合にどうするか。
  38. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 これは租税でありますならば、租税一般滞納処分手続による、こういうことであると思います。
  39. 立花敏男

    立花委員 一般手続によるとなると、そういう責任者日本の法廷にひつぱり出して、日本法律で処断するということができるということを言われておるのか。
  40. 奥野誠亮

    奥野政府委員 臨検、捜索、差押えにつきまして承認を受けなければならない範囲を、かなり広く解されておるのではないかと思いますので、念のためにその点をもう一度明確に申し上げておきたいと思います。合衆国軍隊の使用する施設及び区域内におきまする臨検、捜索または差押えにつきましては、合衆国軍隊権限ある者の承認を受けて行うことになつております。しかしそれ以外のところにおきまする臨検、捜索、差押えにつきましては、何ら承認を要しないのでありまして、ことさらにこの点を明確にいたしますために、合衆国軍隊構成員軍属または家族の身体または財産につきましても、臨検、捜索または差押えができる旨を規定しているわけであります。言いかえれば、区域外だけについては直接執行することができる。区域内にありましては、やはり合衆国軍隊の都合等もありまするので、随時收税官吏の欲するがままに行政権限を発することが適当ではない、だから承認を受けて行うことにするというような建前になつておるわけであります。
  41. 立花敏男

    立花委員 私の質問とは大分違うのですが、行政協定十五条の一のbの問題で聞いておりますので、その場合に租税に関しては日本国の規制に従う、管理に服するものとする、とあるので、これに服さなかつた場合にはどういう手続でそれを決定し、その責任を明らかにするか、どういう裁判手続によるのかということを聞いておるわけであります。
  42. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 先ほども申し上げましたように、合衆国軍隊並びにその構成員に関しまするいろいろの民事訴訟あるいは刑事訴訟につきましては、政府としてはそれぞれ別個に法案を用意いたして提案をいたしておるわけでありまして、この租税に関しまして訴訟を必要といたしまする場合におきましては、それらに定められておりまする一般原則によるわけでございます。ただいまここでそれらの訴訟手続がいかように相なるかということにつきまして、正確なる資料を持つておりませんので、申し上げかねまするが、それぞれ別個の委員会におかれまして、この点の御審議を願つておるわけでございます。
  43. 立花敏男

    立花委員 しかしやはりこれはお調べになつて、どういう手続でこの租税の問題を解決されるのかということを十分お知りの上で、この税法特例法をお出しにならないと、これは少し怠慢ではないかと思う。そういうことを知らないで、ほかの委員会でやつている、だからそんな手続はおれは知らねえんだというのでは話にならぬと思う。私ども聞くところによりますと、日本法律に服するのだが、この十五条のbにも日本管理に服する、日本国の規制に服すると書いてあるのですが、しかし裁判は向うの裁判所でやるのだというようなことになつておりまして、実際は空文になつておる。日本の規制に服するといいながら、まつたく空文になつておるというふうに理解しておりますし、そういう空文化された法律を無条件で、私ども承認することはできないので、これは国民を欺瞞することになりますし、私ども国民の意思を代表するものとして、そういう空文化された法案をうのみにすることはできないので、そういう点もやはり立案者の方で明確にして、法案の説明に当つていただきたいので、いくらここで法文の上で、日本国の規制に従う、租税その他類似の日本国管理に服すると書いてありましても、それの実現方法がなければ、まつたくごまかしなので、ばかを見るのは日本人だけなので、滞納が明らかになつても、承認がなければそれをとることができない、脱税をやつていることが明らかでも承認がなければ使用する施設及び使用建物の中へも入つてはいけない、裁判をすることになつておるけれども、それの実施手続は何もないということになりますと、まつたくこれは国民に対する愚弄もはなはだしいと思いますので、そういう点をやはり明確に調べて、法案の説明なり審議に協力していただきたいと思うのですが、もう一度ひとつ御意見を承りたい。
  44. 金光義邦

    金光委員長 立花さん法務府の人を呼びましようか。
  45. 立花敏男

    立花委員 呼んでください。
  46. 金光義邦

    金光委員長 立花さんそれでは見えるまでほかの点をひとつ……。
  47. 立花敏男

    立花委員 その点が明らかになるまで審議を延ばしてください。
  48. 金光義邦

    金光委員長 それではただいまの法案に対する質疑は、後刻また続けることにいたします。     —————————————
  49. 金光義邦

    金光委員長 次に町村職員恩給組合法案を議題といたします。質疑を許します。床次君。
  50. 床次徳二

    ○床次委員 地方公務員に対しまする恩給あるいは退職等に対しまして、将来の恒久的な方法を考えておられるようでありまするが、さしあたり町村職員恩給組合がここに法制化されるわけでありまするが、町村関係者以外の市あるいはその他の地方公務員に関しまして、現在どのようなことを考えておられるか、現行について御説明いただきたいと思います。
  51. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 地方公務員の恩給制度と申しますか、退職金及び退職一時金の制度でありますが、これにつきましては、地方公務員法の中に、第四十四条におきまして、職員が相当年限忠実に勤務して退職し、または死亡した場合においては、退職年金または退職一時金の制度が実施されなければならない、こういうふうに規定をしておるわけであります。これらの制度が合理的に公平に行われまするということは、地方公務員の職務執行の能率を維持する上におきましても必要でありまするので、できるだけ合理的な恩給制度が施行されることが望ましいと考えておるわけであります。ただ現在国の公務員の恩給制度につきましても、御承知のように目下人事院におきまして案を研究中でございまして、これらの国家公務員の恩給制度というものが、近き将来において改革せられることを、われわれは予定をいたしておるのでございますが、そういう恩給制度の改革に並行いたしまして、あるいはそれと相前後いたしまして、地方公務員につきましても、できるだけ同様の趣旨の合理的なる恩給制度を施行するようにいたしたい、かように考えておるわけであります。ただいたずらにその時期を待つておりましては困りますので、現在都道府県の職員あるいは市の職員につきましては、それぞれ条例によりまして恩給の制度が実施されております。また府県の職員の中の、従来雇用人と言われておりましたクラスの人たちにつきましては、国家公務員共済組合法の中に、地方公務員共済組合のことがございまして、それによりまする長期給付の制度が、ちようど恩給制度に相当するものとして施行せられておるわけであります。市につきましては、若干まちまちでございますが、いわゆる市吏員につきまして一般の恩給制度が施行されておりますほか、雇用人等につきましても同様なことを、あわせ規定しておるようなものもあるわけであります。これに反しまして、町村職員につきましては実は法的の根拠が今までなかつたのでございますが、今回提案をいたしましたような町村吏員恩給組合というのが、事実上の政府の従来の指導によりましてでき上つておるのでございますが、これをさらに今回は法制化しよう、こういうわけでございまして、いずれも一応の退職金、退職一時金制度というものが、定まつておるのでありますけれども、将来さらに国家公務員の恩給制度との関連におきまして、さらにこれを改善して参りたい、また地方公務員相互間の人事交流、あるいは国家公務員と地方公務員との間の人事交流というようなことが、警察官なりあるいは消防の職員なり、あるいは教育職員なりその他の職員等につきましても、相当に行われますので、そういう場合の恩給の通算等というような措置につきましても、将来これを考えて参りたいというふうに考えておる次第であります。
  52. 床次徳二

    ○床次委員 この地方公務員の恩給に関する負担歩合でありますが、地方団体が負担するものと職員が負担する歩合に関して、これは都道府県あるいは市あるいは町村という関係が大体同じであるか、あるいは相当の差額があるかどうか。また支給額そのものに関しまして、三者大体いかようなる扱いになつておるか伺いたい。
  53. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 この支給額につきましては、府県の恩給条例あるいは市の退隱料条例、あるいは町村吏員恩給組合、いずれも大体国の恩給法に準じていたしております。たとえば町村吏員恩給組合の退隱料条例でございますと、国の恩給法によります一時恩給と同様に、満十七年勤務いたして退職いたした者に支給をいたしております。それから恩給の種類につきましても、町村吏員恩給組合におきましても、あるいは市の退隱料条例による恩給にいたしましても、府県恩給条例による恩給にいたしましても、退隱料条例、遺族扶助料、退職給与金、死亡給与金、いずれも国の一時扶助料に相当するものがございます。ただ町村の場合におきましては、国の増加恩給、傷病年金に相当するものがないという点が違つておりますが、その他の点につきましては、給付の条件なり給付の金額につきましては、大体恩給法に準じております。  次に負担でございますが、これも本人の負担につきましては、国が現在百分の二でありますが、町村の一般吏員におきましても、百分の二の負担をいたしております。それから府県の恩給条例に基く恩給でございますが、これも本人が百分の二の負担をいたしております。それから市の場合におきましては、これは大都市と小都市と、市の事情によりましていろいろかわつておりますが、あるいは百分の一以下のものもありますし、また本人の負担がないところもありますが、大体百分の一、百分の二が普通でございます。  次に使用者側の負担でございますが、これにつきましては府県の恩給条例による恩給の場合におきましては、先ほど申し上げました百分の二以外のものは府県が負担をいたしております。それから市の場合におきましても百分の一あるいは百分の二以外のものは市が負担をいたしております。町村吏員恩給組合の場合におきましては、その百分の二以外のものにつきまして、従来この法律が施行になりますまでの制度におきましては、町村と府県と両方で分担をいたしております。町村が百分の六・七、府県が百分の八・八ということになつております。この町村の分担分と府県の分担分につきましては、それぞれ町村の財政需要、府県の財政需要に見込みまして、平衡交付金等による財源措置をいたしておるわけでございます。この法律の第五条におきましては町村の負担とするということになつておりますが、従来府県の百分の八・八負担をいたしておりましたものを、町村の百分の六・七にプラスいたしまして、全額町村の財政需要に見込みまして町村に交付をして行こう、こういう改正の趣旨でございます。  以上大体金額あるいはその財源の負担について御説明申し上げます。
  54. 床次徳二

    ○床次委員 少し問題がかわつておるかもしれませんが承りたいと思うのでありますが、従来国庫から直接こういう恩給の方に補助がされたという形になつておるが、あるいは間接に府県を通して地方団体に補助になつておつたわけでありますが、これが交付金によつて地方の財源になる、あるいは財政需要の中に計上されるという形になつて参りましたので、大分町村の收入の方の面からも性質がかわつて来たと思う。これは平衡交付金に基く当然の現象ではありますが、かかる変換と申しますか、補助金が交付金にかわつたということに対しまして、町村財政にどういうふうな影響を与えておるかということについて伺いたいのであります。比較的財源の豊富なところにおきましては、結局恩給に関する限りは国から何らもらわないということになるのじやないか、市のごときもいいところはもらわないということになつて来るのでありまして、当然地方の必要費としてむしろ地方が負担するという考え方にかわつて来る。本来はある程度まで国が負担するという考え方から、実際におきましては地方の負担になるということになると思うのでありますが、この点はどのように当局としては考えておられるのでありますか、伺いたい。
  55. 奥野誠亮

    奥野政府委員 お話のように恩給組合に対しまして、大体従前国も負担し、府県も負担し、市町村も負担しておつたわけでありますが、国の負担しておりましたものを最初に廃止いたしました。その際には地方団体の必要とする一般財源の総額の中に国から交付しておりました負担金を加えたものとしたわけでありまして、それを充足するに必要な地方税なり地方財政平衡交付金なりの額を定めたわけであります。今回府県が恩給組合に対して負担いたしておりまする部分を、市町村が直接負担するようにするわけでありますので、府県、市町村を通ずる所要の一般財源の総額にはかわりはないわけであります。ただ府県の必要とする主要財源の総額が、負担金の部分だけ少くなりまして、半面市町村の必要とする一般財源の中に、それだけ追加しなければならなくなるわけであります。これらの措置につきましては、府県なり市町村なりの財政需要額を算定いたしまして、平衡交付金を交付する場合の基礎にするわけでありますけれども、市町村の分に多く見込み、府県の方にそれだけ少く見込んで参りますならば、必要な財源がそれだけ市町村に与えられて行くことになるわけであります。個々の市町村につきましては、従来地方財政平衡交付金を受けていなかつた団体、こういうふうな団体におきましては、別段財政需要を多く測定されましたところで、平衡交付金が参りません限りにおいては、その団体の財源は増加しない。自然府県が負担しておつた部分を、市町村が負担しなければならない額だけが、実質的にその団体の財政負担の増加になると思います。しかしながら財政需要を多く測定されただけ平衡交付金が多くもらえる団体におきましては、実質的な財政負担には増減がないということになるわけであります。また財政需要の測定が多くなる結果、交付金としては必ずしも負担分が多くなつ部分だけ多くなるとは限りませんので、その団体におきましてはその差額だけが、財政負担が多くなるというわけであります。しかしながら一万余の市町村を通じまして平衡交付金を受けていない団体は四、五百であります。それらの団体につきましては、実質的に財政負担がふえるわけでありますけれども、税收入が非常に多いわけでありますので、その程度のものはそれらの市町村で負担してもらつた方が、むしろ適当であるということが言えると考えております。
  56. 床次徳二

    ○床次委員 ただいまのような状況でありますので、結局恩給問題に関しましては、大体市町村が自分の財政力でやつているという解釈をしていいときになつているのじやないかと思うのでありますが、これは財政需要の立場から、やはり国の方から補助を出して行くという考え方で、この問題を扱つておられるのか。あるいは町村独自の固有事務と申しまするか、固有財政需要に対するものとしてお考えになつているのか、その考え方を伺つてみたいと思います。
  57. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 町村の職員の給与につきましては、退職一時金というものも含めまして、これは町村の自己の組織の構成員でありまするから、それの必要なる経費を町村が自己負担をするというのは、やはり考え方として、大原則としてとらざるを得ないと思います。従いましてこの町村職員の恩給に関する経費というものは、町村の税その他の一般財源によつて、これをまかなつて行くべきものであるというふうに考えておるわけであります。ただ従来、戰時中から町村に対しては、国家事務が相当多く委任されておつて、また財政状態も苦しいというようなところから、特に恩給組合に対しましての補助金を交付して来たわけであります。そういう沿革と、今申し上げました根本の考え方との間に若干の食い違いがあるわけでございまするが、先般のシヤウプ勧告に基きまして、負担的補助金を整理するというところから、恩給組合に対する補助金というものは整理されたわけであります。ただ府県からも同様な趣旨におきまして町村恩給組合に従来補助をして来たその部分が、今日までずつと引続いて残つて来たわけでございますけれども、これもどうも先ほど申し上げましたような町村職員に対するそれ自体の給与であるから、町村が一般財源でまかなうべきであるという理論から考えまして、やはりこれを町村の一般財源に負担を求めるということにいたしたわけであります。しかしながら一般財源でまかなうことにいたしましても、平衡交付金の一般財政需要の中には、当然にこれは組み込まれて行くべきものでございますので、先ほど財政課長が説明いたしましたように、若干の負担上の増がありまするが、原則的にはさほどの影響はない、かように考えておる次第であります。     〔委員長退席、河原委員長代理着席〕
  58. 立花敏男

    立花委員 ちよつと聞いておきたいのですが、市の方は本人の負担が一文もいらない。あるいは百分の一くらいでもいいというようになつておりますのに、なぜ町村は百分の二に規定されたのか。この点が非常に私は不可解だと思う。できれば本人の負担は全廃した方がいいと思うのであります。現在市の方で全廃しているところはあるのですから、町村の方で全廃できないということには、何らの根拠もないと思いますが、その点をひとつ明白にしていただきたい。と申しますのは、現在の町村職員の給与からやはりこの掛金をかける。ところが毎日の生活は非常に困難であるということは統計上、事実上明白にされておるところなのであります。それを百分の二の本人負担を認めるということは、どうも非常に酷だと思いますし、しかもそれが市の方において実現されているのに、町村で新しく百分の二をきめるということはどうも納得できないのですが、その点をひとつ明確にしていただきたいと思います。
  59. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 市につきましてはそれぞれの市がそこの条例をつくりまして、それで年々所要額を予算に計上いたしまして支出をして、恩給の給付をやつておるわけでございます。従いまして市の財政需要その他によりまして非常に違うのでございます。本人の負担をやらないでおるところは、正確には今手元に資料がございませんが、これは財政事情の非常にいいところでございまして、それだけ市の一般財源でよけいな負担をやつてやれるところではやつておるわけでございます。小さな市におきましてはやはり町村と同じような事情で、財政状況等から、できれば今後はやはり組合のようなものをつくりまして、そうして合理的な運用をやつて行きたいというような希望を持つておるところもあるのであります。市も全体といたしましては、大体百分の二程度のものが多い状況でございます。町村の場合は、これは従来から国の恩給に準ずるという建前をとつて参りましたので、百分の二の負担を続けて参つたわけでございます。ただ将来の問題といたしましては、国の恩給制度につきましても、ただいま人事院が中心になりまして根本的な検討をやつておられるようでありますので、それの検討に基きまして根本的な改革が行われるときには、それと歩調を合せまして、本人負担の額なり給付につきましては、もう一度検討することになろうと予想いたしておるのであります。現在のところでは地方公務員法の四十四条におきましても、地方団体の退職年金及び退職一時金の制度を定めるにあたつては、国の制度と権衡を失しないようにしなければならない、こういう規定がございますので、従来通り国の恩給法の建前に準じてやつておりました建前を、今回はそのまま維持をしておるというわけでございます。
  60. 立花敏男

    立花委員 御承知のように地方公務員は、国の公務員よりも給与が高過ぎるというわけで減らされたわけなんですが、給与の面ではそういうふうに地方だけ減らしておいて、恩給の掛金だけを一率にするというのはどうも納得できない。一体現在の地方公務員の給与と、この掛金の問題をどういうふうに検討されてどういうふうな結論をお出しになつておるのか、これをひとつ承りたい。
  61. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 この恩給につきましての本人負担の問題につきましては、大体現金を年々積み立てて参りましてそれから支給する方式と、それから足らないところは年々その団体なり、国の予算で補つて行くという現金主義の方式と二つあるわけであります。それらの方式との関連もございますけれども、先ほど来公務員課長からるる説明申し上げましたように、本人の負担というのは、国の恩給制度につきましては、昔からの原則として百分の一でありましたのを、その後百分の二に増額いたしまして以来、いかなる階級の国家公務員におきましても、これを負担しているわけであります。そういう一般的な原則を町村の場合に推し進めて参りましても、それでさしつかえないのではないかというふうに考えておるわけでありますが、ただ将来の問題として先ほども申し上げましたように、教育、警察、消防等の職員につきましては、相当地方公務員相互間におきまして交流がございますし、また国との間にも交流がございますので、そういうようなことになつて参りますと、やはり恩給制度自体についてある程度の調整をいたし、同じようなスタンダードに立てなければならぬようなことになるだろうと思うのであります。これは社会保障というような趣旨から申しましても、この恩給制度があまりにもアンバランスでありますことは適当でございませんので、将来これはやはり全体的に調整を加えて行く必要があろうという一つの理想を私ども持つておるわけでありまして、それまでの間におきましては、若干ふぞろいの点がございましてもやむを得ないというふうに考えておるわけであります。
  62. 立花敏男

    立花委員 給料との関係が説明されなかつたのですが、その点を説明願いたいのと、人事の交流等からだけ恩給の本人負担の率をきめられてはたまらないと思う。やはり問題は実際の生活の問題なんで、負担能力と給与との関係を、十分検討される必要があると思う。しかも今度の法案によりますと、これは強制加入というように聞いているのですが、本人の負担がない場合は強制加入もいいでしようが、本人の負担が伴うものを強制加入にするということは、これは問題だと思うのですが、その点考慮されたかどうか、承りたいと思います。
  63. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 給与の関係は、これはその地方団体個々におきましても若干の食い違いがございますし、それとこの本人負担との関係というものを、一律の原則で押して参るということは、これは困難だろうと思います。従つてやはり恩給制度という一般的な原則から、現在において何が最も普遍的な本人負担の額であるかというようなことから出発して参つていいのじやないか。一方また給与につきましても、それぞれ自主的に各地方団体につながることではありますけれども、大体のベースというものを基準にして、交付金の算定等をいたしておるわけでございますから、これも大きな意味から申せば、そうはなはだしい不均衡はないというふうに考えておるわけであります。  それからいま一つ強制加入の点は、個々の町村が県單位の恩給組合に加入することを強制しているわけでありまして、個々の町村の職員がその恩給組合に入るか入らないかということは、それぞれの団体の組合の条例できまつておるわけであります。
  64. 立花敏男

    立花委員 それからこの法案の設立の意図を見ますと、やはりこれは戰時中ですか、昭和十八年の内務次官の通牒等で、各県ごとに恩給組合を設立せしめたというような、まつたく戰時中内務省がありましたときの気持が、そのまま法案に出て来ておるのではないかと思う。そういう考え方でこういう恩給組合をつくられましては、組合の自主性がまつたく無視されるのではないか、その現われが今度の町村組合に対する知事あるいは総理大臣の指揮監督という問題となつて現われておると思うのですが、何を好んでこういう恩給組合等に対して、知事あるいは総理大臣のそういう監督権が必要なのか、これはまつたく私は自主的にまかしておけばいいと思う。理事者が参加するといたしましても、当該町村の理事者が参加すればいいのであつて、知事あるいは総理大臣が、町村の恩給組合にまで参加する必要は私はごうもないと思う。こういうところにこの恩給組合の考え方が、戰争中の昭和十八年の内務省の通牒に非常に大きな源を持つており、官僚的な中央集権的な考え方が残つておるのではないかと思う。町村の恩給組合に対する知事あるいは総理大臣の監督権をなぜお入れになつたのか、これをとればどういう弊害があるのか、これを承りたい。
  65. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 今の町村職員の恩給組合につきまして、何か昔のことをお話しでございますが、そういうような考え方に立つて立案をいたしたものではありませんで、町村職員恩給組合は公法人でありますので、地方自治法の一般規定に基く町村組合ということであるわけであります。その一般原則をただこの場合にも持つて来ておるにすぎないのであります。また町村職員の恩給組合連合会につきましても、これは民法の原則に基いて行政官庁の認可によつて設立されるということになつておるわけでありまして、そういうような法人を設立いたします場合の国家の公認という意味で、総理大臣の認可を受ける、こういうふうに書いておるだけでありまして、何らお話のような意図から出発するものでは毛頭ないのであります。
  66. 河原伊三郎

    ○河原委員長代理 この際申し上げます。法務府の政府委員が出席されておりまして、時間があまりないそうでありますから、その関係質疑を許します。
  67. 立花敏男

    立花委員 法務府の方にお聞きしたいのですが、私ども、日本国アメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定ですか、調印されましたについての地方税法臨時特例に関する法律案を審議しておるわけですが、それに関しまして、この法案には脱税あるいはこの法律に違反した場合の処理の手続、こういうものがないので、その点をひとつお尋ねいたしたいと思います。
  68. 林修三

    ○林政府委員 それは行政協定第十六条でございますか、合衆国の軍人、軍属、家族は日本の法令を尊重しなければならないということになつております。また行政協定第十七条によりまして、日本の法令違反に対する犯罪につきましては、一応裁判権がアメリカ側にあることになつておりますが、アメリカ側といたしましては、日本の法令違反の犯罪につきましては、向う側で処罰するということになつており、またそういう事件の刑事手続につきましては、行政協定第十七条を受けまして、今国会で御審議を願つております刑事裁判権の特例に関するいわゆる刑事特別法というのが出ております。これに刑事手続についても規定しておるわけでございまして、こういうものによつてその事件の処理をなされることになるだろうと考えております。
  69. 立花敏男

    立花委員 アメリカ側が日本法律を尊重して違反者を処断する。十七条に基いてそういうことがやられるのだと言われるのですが、それはもつと具体的に言いますと、どういうふうにされるのか、なるべく詳しくひとつ御説明を願いたい。
  70. 林修三

    ○林政府委員 これはいろいろな場合があろうかと存ずるのでありますが、今これも国会に提案されて御審議を願つております国税犯則取締法行政協定に伴うものが出ております。これは地方税の点についても、国税犯則取締法は準用があるわけであります。この国税犯則取締法によりまして、脱税事件があると思われます場合には、日本の官憲が一応一定の手続によりまして臨検、捜索等もできるわけであります。あるいはそういう手続もまたずして、検察庁等が、あるいは警察が、ただちにそういう違反、嫌疑事件を調べまして、一定の条件のもとに捜索等もできるわけであります。この行政協定十七条に基きました条件のもとにおきまして、刑事特別法規定されました条件のもとにおきまして捜索も、あるいは犯人の逮捕もできるわけであります。犯人等を逮捕いたしました場合に、あるいは事件をそういうことで調べました場合には、向う側にその犯人なり、事件を送付いたしまして、向う側の軍事裁判所において違反事件について裁判をする、こういうことになるのであります。
  71. 立花敏男

    立花委員 国税犯則取締法臨時特例法ですか、現在あれは通過したと思うのですが、あれが軍人、軍属、その家族に適用されるというふうに理解していいのですか。
  72. 林修三

    ○林政府委員 国税犯則取締法特例法が、御承知のように国会に提出されまして、今参議院で御審議を願つておると思いますが、これは当然に適用されることを前提といたしまして、適用されます場合の臨検、捜索、逮捕等につきましての特例を定めたものでございます。この特例で定めました範囲適用されて行くわけであります。
  73. 立花敏男

    立花委員 そういたしますと、脱税をやつた場合、あるいは納めるべき税金を拒否した場合、こういうものは日本法律従つて日本の裁判所において処断されるというふうに理解していいのですか。
  74. 林修三

    ○林政府委員 その点は先ほども申し上げました通りに、その国税犯則取締法に基きました捜索、臨検、あるいは逮捕、これは一定の特例法で定めました手続によりまして日本側官憲が行うわけでございますが、その裁判権の問題につきましては、一般刑事事件でございまして、刑事事件の裁判権はアメリカ側がやることになつております。従いましてそういうことを調べました結果、犯人を逮捕したような場合、あるいは犯罪事実があるとわかつた場合には、向う側に通報いたします、あるいは犯人を向う側に引渡しまして、向う側で向う側の軍法によりまして処断するわけでございます。向う側の軍法によりますれば、日本側の法令違反というものはすべて罰することになつております。従いまして間接に申しますれば、日本の法令違反が向う側の軍法によつて罰せられる、向う側の軍事裁判所によつて罰せられる、こういうことになると思います。
  75. 立花敏男

    立花委員 犯人かどうか裁判しなければわかりませんので、おそらく容疑者であつて、犯人とは私は確定できないと思います。容疑者の範囲じやないかと思います。それが日本の裁判所では確定できなくて、向うに渡さなければいけないということになりますと、国税犯則取締法適用されるということはないのじやないか。どういう点で国税犯則取締法か、あるいはその臨時特例法か、日本税法に違反した者を処分できるのか、私はできないのじやないかと思いますが、どういう点で日本税法違反者、日本地方税法違反者に対しまして、国税犯則取締法、その臨時特例法適用されるのか承りたい。
  76. 林修三

    ○林政府委員 先ほど犯人と申しましたのも、もちろん容疑者でございまして、その犯罪事実ありと思料するに足る証拠を持つた場合にもちろん逮捕できるわけであります。これはそういうことでございまして、その点はおつしやる通りでございます。それから国税犯則取締法関係でございますが、御承知のように税法違反の実体の刑罰規定は、地方税法なりあるいは所得税法なり、法人税法にあるわけでございます。その違反事件につきましての調査の手続国税犯則取締法規定しておるわけであります。その違反事件がありました場合に、どういう手続によつて、税務官吏、收税官吏が、その国税なり、地方税の違反事件を調査できるのか。一定の場合においては強制調査もできるということを、この国税犯則取締法規定しておるわけでございます。この手続規定は、先ほど申しましたように、この国税犯則取締法特例法の定めるところによりまして適用があるわけでございます。臨検、捜索あるいは差押えということは、結局日本側の官憲ができるわけでございます。ただ先ほど申しましたように、刑事裁判権は、行政協定の第十七条によりまして、裁判権を行いますのは軍人、軍属及び家族につきましてはアメリカ側になつております。従いましてその事件向う側に引渡しまして、向う側が裁判する、こういうことでございます。国税犯則取締法手続適用があるわけでございます。
  77. 立花敏男

    立花委員 しかし国税犯則取締法適用があると申しましても、非常に限られたものになるのであつて、決定的なものではないのじやないか。事実私ども非常に遺憾だと思いますのは、東京都を騒がしましたギヤングが二人とも船に乗つてつてしまつた。それは何も処分されていない。それに関連いたしました、関連しなかつたかもしれませんが、日本人だけが日本法律処分されまして、ギヤングの主犯で、日本人に対してピストルを打ちながら金を何百万円か握つて逃げたやつは、船に乗つてつてしまつたという事実があるわけで、いくら国税犯則取締法適用されると申しましても、臨検とか捜索だけであつて、かんじんの犯罪の決定、あるいはその処分が、日本国税犯則取締法あるいはその臨時特例法でやられないとすると、これは当てはめるということは言えないと思うのですが、その間の関係は一体どうなるのか。
  78. 林修三

    ○林政府委員 これは行政協定によりまして、日米両国間で一応協定しておるわけでございます。行政協定をごらんになりますと、十七条の第四項でございましたか、一応向う側はそういう犯罪事件につきましては処罰することを約束いたしております。またその結果につきましては、今後この行政協定が発効いたしました後は、向う側から日本側にその結果を報告してくれることになつております。従いましてこれはやはりアメリカ側といたしまして、十分に日本側が証拠を提示したものにつきまして、そうルーズな取扱いはできないものと考えております。お示しの千住のギヤング事件につきましての経過も、私よく存じませんけれども、今後の行政協定の運用上、行政協定につきましても、当然日本側から処断を要請いたしました事件につきましては、結果の報告をくれることになつております。従いまして日本側が十分な証拠を提供いたしましたものにつきまして、そうルーズな取扱いはされることはないと考えております。
  79. 立花敏男

    立花委員 そういうルーズな取扱いはされることがないと考えておるということだけでは問題にならないので、実際ギヤングは帰つてしまつたじやないですか。しかもその結果があなたはどうなつたか知らないと言つている。そういうことでは私どもは安心して法案を審議することができないと思います。いくら国税犯則取締法適用されると申しましても、実際としてギヤングが帰つてしまつたという状態では、しかも日本の政府の法務府の責任者が何もそのことについて知らないというような状態では、私はそれは納得できない。だから行政協定で、日本法律を尊重すると約束しておるということになれば、具体的にどういう手続でどういうふうに尊重するのか。税金の問題で脱税の問題、あるいは税金を納めない問題については、具体的にどういうふうに日本法律を尊重するのか、それをひとつ具体的に御説明願いたい。そういうルーズなことが行われないだろうというあなたの主観ではなしに、具体的にどういう手続で、われわれが審議しております地方税法に違反した場合に、やつらを処分することができるのか、やつらをふん縛ることができるのかということを、はつきりしていただきたい。
  80. 林修三

    ○林政府委員 初めの、千住のギヤング事件につきましては、私は法務府でございますが、法令の立案審議の当局でございまして、その結果につきましては、あるいは検察当局の方の政府委員からお答えした方が適当であろうかと考えます。その結果を知らないと申しましたのは、私は実は直接の所管でないので、さよう申したのであります。今後の行政協定の運営につきましては、これは今具体的に示せというお尋ねでありましたが、これは具体的の事件につきまして、どういう手続がとられるかということにつきまして、今から一々申し上げることは不可能であろうと思うのでございますが、これは当然この行政協定をごらんになりましてわかります通りに、日本側から要請した事件、あるいは日本側から要請しないでも、向う側として当然に犯罪事実ありとした事件につきましては、軍事裁判所において裁判をするということを、はつきり約束しておるわけでございます。またそういう事件につきまして、向う側としてそういう能力があるということは、一九五一年の軍事裁判統一法によりまして、当然それは処断できるということになつております。そしてまたその結果を日本側に当然報告いたすことになつております。こういうことから考えまして、当然にこれは十分な証拠があります事件は、向う側といたしましても、もちろん向う側は十分な裁判制度を持つた国でありますから、当然にこれによつて適法な処断がされるもの、かように考えておるわけでございます。具体的なことを示せとおつしやいますが、それは具体的な事件になりませんと、ちよつと申し上げられないのでありまして、一応の手続を申せばそういうことでございます。
  81. 立花敏男

    立花委員 そんなことは手続にならないので、具体的な手続を私は聞きたいと言つているのです。決して個々の問題の個々の結論を聞きたいと言つておるのではありませんので、具体的な手続を聞きたいと言つておる。あなたの言つておるのは、手続じやなしに、あなたはそうされるだろう、向うは約束を果してくれるだろうということだけしか言つていない。決して具体的な手続について向うの裁判所でこういう法律適用して、こういうふうにやるんだというようなことは、ちつともあなたはお話になつていない。具体的な場合は明らかにされると言つておられますが、ギヤングのような具体的なものでも、向うが何ら誠意のある態度を示さなかつた。日本法律では明らかに処分されるべきものを、向うが船に乗せて帰してしまつた。報告すると言つておりますが、何らの報告も受けていないということでは、あなたのような手放しのノー・ズロースの楽観論では、これは行かない重大な税金の問題なんだ。日本人が多少税金滞納いたしましても、すぐ現在では軒並に強制執行されておる。ところがやつこさんたちは、国税犯則取締法に従うと言いながら、その具体的な手続が何にもない。結果においてはギヤングと同じように船に乗つてつてしまう。これでは日本国民国民感情としてもおそらくこの法律には納得できないので、もつと具体的な手続を、個々の場合でなくてもいいのだから、手続の具体的な方法をひとつ示していただきたい。
  82. 林修三

    ○林政府委員 その点は先ほどから申し上げたつもりでございましたが、この行政協定によりまして、十六条によりましてアメリカ側は日本法律を尊重することになつております。十七条によりまして、日本の法令に違反した者は処断することになつております。これに基いてこれを具体化する法律は、向うの一九五一年の軍事裁判統一法というのがございまして、これにはその駐留地の法令に違反した事件は、一切軍法違反として処断するということが書いてあります。それによりまして、向う側は処罰をするということを約束しておるわけであります。この千住のギヤング事件につきましては、これはいずれまた機会がありましたら、法務府と別な検察当局の方の政府委員から答弁した方が適当かと存じますが、その手続の違いは、行政協定が発効いたしまして後と占領下におきましての違いは、おのずからそこにあるわけであります。行政協定の発効後におきましては、当然この行政協定によりまして、向う側といたしましては裁判の結果を日本側に通知する義務を持つておるわけであります。行政協定が平和条約の発効とともに発効いたしますれば、当然にそういう義務を負うわけであります。その点は占領下とはもちろん事態は多少違つて来るわけであります。先ほど申しましたように、向うが処罰する根拠は、この行政協定十七条及びそれを受けました一九五一年の軍事裁判統一法、こういうものがありまして、これによりまして向う側は軍法会議の軍事裁判によつて処罰する権利を持つている。あとは個々の事件につきましての証拠と、犯罪事実があるかないかという問題だと存ずる次第であります。
  83. 立花敏男

    立花委員 だから国税犯則取締法適用されるのでもなしに、あるいは日本法律が尊重されるのでもなしに、向うの軍法会議で向うの軍法に照して処分するのだ。その点が非常に不明確である。だから向うの自由なんで、それは日本法律従つて裁判するのではなしに、向う法律従つて向うが裁判するので、決して私は国税犯則取締法、あるいは臨時特例法適用されるということにはならないと思うのですが、その点一体どうなんです。
  84. 林修三

    ○林政府委員 この国税犯則取締法並びに臨時特例法は、先ほど申しましたように手続法規でございます。この手続は完全にこの臨時特例法によりまして適用になるわけであります。それから向う日本の法令を尊重し、日本の法令によつて処断するわけでありますが、その手続は今申しましたように、間接に向う側といたしましても、駐留軍の兵士を——アメリカといたしましても、もちろん罪刑法定主義をとつている国でありますから、自国の法令の違反でなくしてこれを罰することはできない。自国の法令として日本の法令違反をすべて罰するということを、包括的に規定した軍事裁判の特例法があるわけであります。これによつて日本の法令違反に当つた事件をすべて処罰する、こういうことになつているわけであります。
  85. 立花敏男

    立花委員 それは内容的には決して日本法律適用されるのではないということは、やはりあなた確認されなければだめだと思う。包括的にはあなたの言われるように、日本法律に違反したものは処分するということになつているかもしれませんが、その内容に至りましては、まつたく日本法律とは別個の向うさんの法律なんで、どういう裁判をし、どういう罪刑に処するかということは、まつたく向うのかつてなんだ。だから日本法律適用されるものじやないということを一つ確認していただきたいと思います。あるいはそうでなければ、そうじやない。日本国税犯則取締法あるいは臨時特例法適用されるというのであれば、どういう形で向うの軍法会議で日本法律が生かされて来るのか、あるいはそういうことを向うがどういう形で日本に約束しているのか、日本法律を尊重するというような一般的な、ごまかし的な約束じやなしに、もつと具体的に向うはどういう約束をしているか、これを示していただきたい。これが示されませんと、やはり日本法律適用されないで、向うはかつてなことをやつてもいいんだという結論をくださざるを得ないと思うのですが、一つ御答弁を願います。
  86. 林修三

    ○林政府委員 それはあれになりますが、これは日本側といたしましては、日本の法令を尊重する、行政協定の中で特別な特例を認めない限りは、日本の法令に当然に服するということが前提でございます。その服さない場合の特例行政協定でいろいろきめているわけであります。従いまして国税犯則取締法なり臨時特例法は当然に適用になる。こう日本側としては考えているわけであります。ただ裁判権は向う側に属するわけであります。裁判権をいかにして行使するかということは、向う側の軍事裁判統一法によつてやることであります。その点におきましては、行政協定によつて向う側に裁判権がある関係上、当然こういうことにならざるを得ないと考えるのであります。しかしながら先ほど申しましたような手続規定とか、実体規定は、当然日本側法律がそこに適用になるという前提でできている。その点はわれわれはそう考えているわけであります。特例がない限りは日本側の法令は適用になると考えております。
  87. 立花敏男

    立花委員 どうもおかしいじやないか。日本法律は通用になるのですか。向うの軍事法廷で、日本法律適用になるのですか。そんなばかげたことがありますか。私はアメリカ人じやありませんが、アメリカ人なら憤慨するだろうと思う。自分の国の軍事法廷で、自分の国の法律でない法律適用されるというようなばかなことがありますか。
  88. 林修三

    ○林政府委員 それは先ほど申しました通りに、裁判権を行使する場合におきましては、その裁判権を行使する根拠は、向う側の一九五一年の軍事裁判統一法というものがあるわけでありますが、それを通じて日本側の法令違反の行為を処罰するということの根拠向う側は得ておるわけであります。それによつて向う側は処罰するわけであります。その点は先ほど申し上げました通りでございます。しかしながらこのいろいろな実体規定で、税の課税を受けるとか、一定の場合に免除されるとか、あるいは一定の課税義務のあるものについて脱税をしておるとか、あるいは納めないということにつきましての実体規定手続規定は、日本側の法令が適用になる。これは行政協定によりまして向う側は日本の法令を尊重するという義務を負つている関係からそうなるものと、こう考えておるわけであります。
  89. 立花敏男

    立花委員 実体日本法律適用せられるということを、何か具体的な話合いがあるのですか。あるとしましても、私これはあなたが言われますように、日本法律を尊重するという程度で、明確なものはないと思います。尊重するということは、日本法律適用するということじやなしに、これは儀礼的な外交的な辞令なので、実際上は向う側の軍法会議は、向うの軍法によつて運営され、裁定されるのであつて、決してこれは日本法律適用されるのじやないと思うのですが、実体日本法律適用されるというのであれば、それに対する具体的な両国の話合いあるいは協定をお示し願いたい。それが單に尊重するという言葉で表わされておるというのであれば、私どもは納得行かない、これは單なる外交的な辞令であつて、決してあなたの言うように実体向うの軍法会議に、日本法律適用されるという根拠は、ここからは出て来ないと思うのでありますが、その点をひとつ明確にしていただきたい。
  90. 林修三

    ○林政府委員 それは先ほどから何回も申し上げたと思いますが、この行政協定十六条及び十七条の四項におきまして、日本の法令違反の事件について処罰する意思及び能力を有し、かつそれを約束するということをはつきり言つておるわけであります。これは両国間のとりきめで、お互いの行政府間でとりきめたものでございまして、これによりましてお互いの政府は義務を負い権利を持つておるわけでありまして、はつきりとアメリカ政府としては、自分側の方として日本の法令違反の者につきまして処罰をするということを、約束したわけでございます。これ以上確実な証拠は実はないものと考えておるわけであります。その処罰の根拠については、先ほど申しましたように、向う側としては軍法がございまして、日本側の法令違反の一切の事件につきまして、処罰できるということを書いておるわけでございます。
  91. 立花敏男

    立花委員 だからそれは單に約束だけであつて、この行政協定全文を通じましても、日本側にはこれに基いている立法的な義務がありますが、アメリカ側はちつとも立法的な義務を負つていないと思います。ただ紙の上で約束しているだけである。尊重するとかなんとかいつて、あなたをごまかしているだけであつて向うは具体的裏づけの立法措置をやつていないわけであります。だからこちらの法律に違反いたしましても、あるいは犯罪を犯しましても、やはりそれは向う法律処分される以外には、何ら手がないということになるわけなので、従つて尊重するとかなんとか申しましても、あなたが信用されておる、約束しておると言われましても、それは何ら裏づけのない約束、裏づけのない尊重なので、結果においてはアメリカは立法的な義務を負つていない、立法措置をやる責任はないのだから、結局どうされてもやむを得ない。ただ向うの約束をひたすら信用しているだけであるということにならざるを得ないと思うのですが、これは問題は、あなたが信用するかしないかは問題じやなしに、国民が被害をこうむるのですから、これはとんでもないことだと思うのです。もうすでに国会でも行政協定に伴う法令が、何十となく出て参つておりまして、日本人は非常に大きな制約を受けるわけです。私どもが今審議しておりますこの地方税の免税の規定にいたしましても、日本人税金で弱つておる、地方税にも弱つておる、ところが外国人だけは免税にするという法律を、ちやんと日本人は約束を守つて法律を出して来ておるのですが、アメリカの方は何ら法律を出さない、こういうものに違反した者を取締る法律も出さない。ただ一般的な軍事裁判で片づけるだけである。それも簡單に包括的に日本法律に違反した者は、何とかするということがあるだけなので、決して具体的には向うは拘束されないわけです。その一番いい例はギヤングが帰つたということなんです。これは占領下に講和成立後とは違うと言われますが、本質的には同じなんです。本質的に同じだということは、向うは何ら罰則規定をつくらない、あるいはこの罰則法律をつくらない、こういうことで私明白だと思うのです。決して占領後はかわらないということは、こういう手続の上からも明白に言えますので、その点はそうでないと言われるのであれば、單に向う言葉を信用し、あるいは尊重するというごまかしの言葉に満足するのじやなしに、もつとはつきりした、日本法律を破つた者はどうするのだという具体的なひとつ立法を向うにやらすように、これは政府として努力されるのは当然だと思うのですが、このままでいいと考えておるのか、そういうものがあつた方がいいと考えておるのりか、これを最後に明白にしていただきたい。
  92. 林修三

    ○林政府委員 これは行政協定上におきましては、日米両国とも、一応この行政協定実施するための立法義務を負つているわけでございまして、アメリカ側といたしましても、行政協定を実現する上に立法措置をとるべきものにつきましては、立法することを約束しているわけでございます。ただいま申し上げました十七条関係日本の法令違反を処罰するにつきましては、むろんアメリカといたしましても、これは立法措置も必要であろうと思います。その立法措置が、先ほど申しました一九五一年の軍事裁判統一法によつて実現されており、日本国の法令違反事件につきまして一切処罰できる。日本国の法令違反の事実は処罰するということになつております。これは向う側としては立法措置ができている、かように私どもは今のところは考えているわけであります。もちろんなお不備な点があれば、日本側として向う側へ合同委員会等を通じて今後要請するということは、もちろん考えられるわけであります。一応ただいまのところは、それによつて向う側としての措置向う側がやる。行政協定は処罰をする意思を有し、かつ能力があるということを約束しておりますし、こちらといたしましては、今の法律によつてできるものとわれわれは考えているわけであります。具体的な事件につきまして、今後運用上不備な点がありますれば、これは両国間の交渉によりまして、合同委員会等を通じて向う側に日本側の要請をするということは、もちろんこれはできるわけであります。これは今後の運用によりまして、結果を見ました上で日本側政府として判断して、日米両国で交渉すべきことであろうと、かように考えているわけであります。
  93. 立花敏男

    立花委員 そういう誠意があるのであれば、一つ注文を出したいのですが、先ほど来から地方財政委員会の方との質疑応答によりまして明らかになりましたことは、たとい滞納が明らかになつても、あるいは脱税が明らかになつても、基地司令官あるいは建物の責任者向う施設責任者、こういうものの承認がなければ処分できないという特例法になつているということなんですが、政府の方で日本法律に違反する者を適当に処分することが妥当だという誠意があるならば、この司令官承認がなければ、日本法律に反した者を処分できない。明白に滞納者であり、脱税者であり、処分しなければいけないということが明らかであつても、基地司令官のあるいは建物の責任者承認がなければ執行できないというのは、非常に遺憾だと思うのですが、これを改められる意思があるかどうか、これを伺いたい。
  94. 林修三

    ○林政府委員 その点はこれは行政協定の建前上施設区域におきましても、いろいろの日本側の行政権の、あるいは刑事手続上、民事手続上、裁判手続上、あるいは行政事件につきましての日本側権限の行使につきまして、施設区域の特殊の性質上、ある程度行政協定に伴います制約がありますことは、これはやむを得ないことと存ずるわけであります。ただここにそういう関係で、この犯則取締法等の特例におきまして、基地司令官なり、あるいは権限のある者の承認を受ける。これは刑事手続法、刑事特別法におきましても、さような規定をしているわけでありますが、これは一方そういう意味事前承認をとつてそこに入つて行くということでございます。もちろんこれは両国間の話合いによりまして当然すぐ承認を与える。もちろん日本側として不当な要求をしない限り当然すぐ承認を与える、こういう実際上の運用のとりきめは、合同委員会等を通じ、あるいはその他の予備作業班を通じ了解をお互いにやつて行くことは、可能であろうと存じておるわけであります。こういう手続をとる必要のあることは、行政協定に基きまして、日本側が提供しております施設区域というものの特殊の性格、あるいはそこにおります駐留軍の性格から考えまして、ある程度やむを得ないことだと考えておるわけであります。
  95. 立花敏男

    立花委員 私は税金の問題なんか脱税が明らかになり、滞納が明らかなものを処分できないような法律は、これは日本国民感情からも許せない法律だと思う。これは決して作戰上の問題とかいう問題とは衝突する問題でもございませんし、滞納あるいは脱税の問題は、日本の経済を撹乱する非常に大きな要素でもあるのですから、こういう問題を特に司令官承認がなければ処分できない、押えられないというようなことは、これはまつたく困つたことだと思いますので、一般的にそういう規定がありましても、こういう問題だけは特に私は納得ができない。講和成立後、今一番日本の商売人あるいは業者向うとの関係で動揺を感じておりますのは、日本の産業あるいは商売が、税金の問題とか何とかでハンデイキヤツプをつけられまして、非常に苦境に追い込まれるのであります。そういう疑惑を持つておりますし、国民といたしましても税金に今非常に困つているときなんで、滞納とか何とかが向うだけに許されぬと明らかになつた場合も、司令官ががんばつて、そういうことをさせないということになつて参りますと、これは非常に大きな問題だと思うのですが、そういう地方税法あるいは国税等の犯則につきまして、なぜそういう司令官の特に承認がいるのか。私は執行してもよいではないか、執行したあとにおきまして向うに異議があり、問題があれば、そのあとでその異議なり問題を合同委員会なり、あるいは政府なりに提出すればよいのであつて、当然日本法律はその違反が明らかである場合は執行されてよいではないかと思うのですが、なぜこの問題で司令官承認を特に必要とするのか、根拠をひとつ明白にしていただきたい。
  96. 林修三

    ○林政府委員 これは税法のあるいは更正決定等をする権限は、当然日本側にあるわけでありまして、これは何も向う側の承認を一々得る必要はないのであります。税自体の賦課につきまして、日本側がなし得る範囲につきまして、これについて一々承認を得る必要はもちろんないのでありますが、ここで差押えなり、あるいは捜索について、向う施設区域内においては、承認を得ることが必要だということは、要するに行政機関の職員が默つて施設区域の中に入つて来ては困る、という施設区域の特殊性からいたしまして、一応そこに日本側の行政機関の職員がどういう身分であり、どういうことのために入つて行くという意図を明らかにする意味におきまして、承認をするということであります。実体につきましてその滞納がどうこう、滞納処分をしてはいかぬとか、あるいは税金をとつてはいかぬとかいいとか、そういうことを承認したり、あるいは不承認をする意味ではないと考えております。その施設区域に入つて来る者をチエツクする、どういう者が入つて来るか、默つてつて来られては困る、こういう意味のチエツクである、かように考えております。実体の問題について触れていないと考えております。
  97. 立花敏男

    立花委員 それならば私は通告だけでけつこうだと思います。承認を得なければ何もできないし、滞納処分もできない、脱税も取締れないというのであれば、これは困るので、あなたの言われるような意図で、こういう承認を求めるのであれば、私は通告だけでけつこうだと思います。だから承認がなければできないということになりますと、その承認が非常に濫用、悪用されまして、脱税あるいは密輸入の根本になるというおそれがありますので、そういうあなたのお考えであれば、この承認はお取消しになつて、通告というふうにされた方が適当だと思いますが、そうされる意思があるかどうか、最後にひとつ承つておきたい。
  98. 林修三

    ○林政府委員 その承認となつておりますのは、やはり向う側の施設区域の特殊の性格からかようになつたわけでございます。これは刑事特別法も大体さような取扱いをしておるわけでございますが、これはもちろん予備作業班なり、合同委員会におきましての両国側の話合いによりまして、この承認の与え方等につきましての運用方針はきめ得ると存じます。その内容につきまして、実体につきましては、たとえばとやかく言う。もちろん日本側があるいは相当の要求をしたというような場合は、これはまた別でございますが、普通の場合におきまして、そういうことが行われるということはないものと考えておるわけであります。
  99. 門司亮

    門司委員 ほんとうに一つだけですが、この法律の中の「家族」というところの定義の問題ですが、この中に「二十一歳未満の子並びに父母及び二十一歳以上の子でその生計費の二分の一以上を当該合衆国軍隊構成員又は軍属が負担するものをいう。」こう書いてありますが、この家族の定義ですが、子供の方はこれで私はよいと思いますが、父母は一体生活の能力というものが、ちつとも考えられていないようでございます。そういたしますと、この税法関係から言いますと、軍属の父母である人は実際において営業上の能力を持つている、生活上の能力を持つている人がたくさんあると思います。それを家族として取扱うかどうか、子供は生活能力のある者を除いております。父母の方は生活能力があつてもこの中に含まれております。この間の事情はどうなつておりますか。
  100. 林修三

    ○林政府委員 これは第二条の第五号の読み方でございますが、これは行政協定の第一条と同じでございまして、この「並びに」以下でありますが、「並びに父母及び二十一歳以上の子で」が、その下の「生計費の二分の一以上」というのにかかつているつもりでございます。そのために初めの「合衆国軍隊構成員又は軍属の配偶者及び二十一歳未満の子」これまでは、あとの「生計費」云々というのにはかからない。「並びに」以下の字句は全部「その生計費の二分の一以上」という字句にかかつております。そういう意味であります。
  101. 門司亮

    門司委員 子供の分はよくわかるのです。認定も非常にしやすいと思うのですが、私の聞いておりますのは、「二分の一」とこう書いてありますが、はつきりした制限がないと、親というものはなかなか簡單に行かないのではないですか。これはどういうところで認定するつもりですか。子供の方はいくらかわかると思うのです。
  102. 林修三

    ○林政府委員 これはほかの国税の問題につきましても、あるいはいろいろの問題につきましてみな同じ問題があるわけでございますが、この行政協定の第一条の定義の関係でございます。これは一応は向う側といたしましても、いろいろその事柄の内容によりまして、おのおの目的が違つてくると思いますが、アメリカ側といたしまして、こういうものは大体自分の方で家族と考えるというような一応の判断があると思います。日本側といたしましてそういうものにつきましては、どうも家族としてはこの条件に当らないということの判断の材料もあろうと思います。こういうことにつきまして、また紛争があれば、もちろん合同委員会なり予備作業班で解決されることになると存じますが、一応アメリカ側といたしまして、こういうものは大体自分の方では家族の範囲に入るものと考えるというような判断があると思います。日本側といたしましてそれに対する反証があれば、またそれによつて話合いがし得る、こういうことになるのではなかろうかと思います。
  103. 門司亮

    門司委員 委員会の問題ですが、この法律を全部を通読してみまして、そういう判定のことに対する規約はないわけであります。これは先ほどから自治庁の諸君にも聞いておるわけでありますが、たとえば問題が合衆国の人間であつて合衆国仕事請負つてつておる。それからその下の下請日本人がやつておるという場合に、一体どこからどこまでが、合衆国の人間がやつておるのであつて、それから下は日本人がやつておるということ、これは給与所得の場合は簡單に出るのでありますが、事業所得の場合はなかなか査定がむずかしいものが出て来はしないかと思う。そういうものに対する救済策は、この法律の中では何も考えてない。そういうさつき申し上げましたようなことの認定をする機関委員会のようなものが、この法律の中に必要ではないか、こう考えるのですが、あなた方の方ではそういう必要がないというお考えでございますか。
  104. 林修三

    ○林政府委員 この行政協定実施法律につきまして、たとえばその家族であるとか、軍属であるとか、あるいは契約者でありますとか、こういうものの範囲につきましては、具体的なケースに当りますれば、いろいろな問題のあるものもあろうかと存じます。こういうものにつきましては、結局具体的な問題につきまして、日米両国で、合同委員会のもとに、下部のおのおの分科会があるわけでございますから、そういう分科分料できめて行くことになろうと考えておるわけでございます。
  105. 河原伊三郎

    ○河原委員長代理 日本国アメリカ合衆国との間の、定全保障条約第三条に基く行政協定実施に伴う地方税法臨時特例に関する法律案につきましては、さきに一応の質疑を打切るということになつてつて、残余の質問あとに、こういうことでありましたが本案並びに町村職員恩給組合法案に対する質疑は次会に譲ることといたします。それでは次回の委員会は公報をもつて通知することといたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後一時三十三分散会