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1952-04-17 第13回国会 衆議院 地方行政委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年四月十七日(木曜日)     午前十一時三十四分開議  出席委員    委員長 金光 義邦君    理事 大泉 寛三君 理事 河原伊三郎君    理事 野村專太郎君 理事 床次 徳二君    理事 門司  亮君       川本 末治君    中山 マサ君       前尾繁三郎君    三浦寅之助君       大矢 省三君    立花 敏男君       八百板 正君  出席国務大臣         国 務 大 臣 岡野 清豪君  出席政府委員         国家地方警察本         部警視長         (国家地方警察         本部警備部長) 柏村 信雄君         総理府事務官         (地方自治庁次         長)      鈴木 俊一君         総理府事務官         (地方自治庁財         政課長)    奥野 誠亮君  委員外出席者         專  門  員 有松  昇君         專  門  員 長橋 茂男君     ――――――――――――― 四月十六日  地方自治法一部改正に関する陳情書  (第一三〇〇号)  地方税法の一部改正に関する陳情書  (第一三〇一号)  地方議会権能縮小等反対に関する陳情書  (第一三〇二号)  同(第一三〇三  号)  同(第一三〇四号)  特別市制反対に関する陳情書  (第一三〇五  号)  消防団員公務災害補償に対する特別平衡交付  金支出に関する陳情書  (第一三〇六  号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案  (内閣提出第一二三号)  道路交通取締法の一部を改正する法律案内閣  提出第一三二号)  日本国アメリカ合衆国との間の安全保障條約  第三條に基く行政協定実施に伴う地方税法の  臨時特例に関する法律案内閣提出第一五七  号)     ―――――――――――――
  2. 金光義邦

    金光委員長 これより会議開きます。  道路交通取締法の一部を改正する法律案議題といたします。質疑を続行いたします。——それでは質疑もないようでありますから、本案に対する質疑は終了いたしました。  次会に討論、採決をいたします。  しばらくそのままで休憩いたします。     午前十一時三十五分休憩      ————◇—————     午前十一時四十七分開議
  3. 金光義邦

    金光委員長 休憩前に引続き会議開きます。  去る九日本委員会に付託されました日本国アメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定実施に伴う地方税法臨時特例に関する法律案内閣提出第一五七号)を議題といたします。まず政府より提案理由の説明を聽取いたします。岡野国務大臣
  4. 岡野清豪

    岡野国務大臣 ただいま上程されました日本国アメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定実施に伴う地方税法臨時特例に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容概略を御説明いたします。  すでに御承知のごとく、日本国アメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定が締結せられましたのに伴い、その実施の円滑を確保いたしますため、合衆国軍隊等に対する地方税法の適用につきまして、若干の特例を設ける必要がありますので、ここに本法律案提出し、御審議をお願いすることといたしたのであります。以下、法律案内容につきまして簡單に御説明申し上げます。  まず第一点は、合衆国軍隊等に対する地方税の非課税に関する規定であります。その一は、合衆国軍隊に対するものであります。すなわち合衆国軍隊の所有する自動車自転車荷車及び固定資産に対しては、自動車税自転車税荷車税及び固定資産税を、その使用する電気及びガスに対しては、電気ガス税を、また日本国内において所有し、もしくは使用する財産またはその移転に対しては、法定外普通税をそれぞれ課さないことといたしております。  その二は、合衆国軍隊軍人軍属及びこれらの家族に対するものであります。すなわちこれらの人々合衆国軍隊の直接管理する食堂社交クラブ劇場等へ入場し、またその施設利用する場合においては、その入場等行為に対しては、入場税を、これらの場所において遊興飲食する場合においては、その飲食等行為に対しては、遊興飲食税を、これらの人々が使用する電気及びガスのうち合衆国がその料金を支拂うべきものに対しては、電気ガス税を、またこれらの人々合衆国軍隊に勤務すること等以外の理由によつて発生する所得を有しない場合においては、市町村民税をそれぞれ課さないこととし、さらにこれらの人々合衆国軍隊またはその公認し、かつ規制するいわゆるPX食堂社交クラブ等における勤務または雇用によつて受ける所得及び一時的に日本国内で所有し、もしくは使用する動産またはその移転に対しては、法定外普通税を課さないことといたしております。  その三は、合衆国において合衆国軍隊のために合衆国政府と結んだ契約履行することのみを目的として日本国に滞在する合衆国人、換言いたしますならば、合衆国人である合衆国軍隊請負業者等に対するものであります。すなわち、このような者がその契約履行のために行う事業に対しては事業税を、その契約に基いて受ける所得以外の所得を有しない場合には市町村民税を、またその契約履行のためにのみ所有する償却資産、たとえばブルトーザーのようなもの対しましては、固定資産税を課さないこととし、さらにその契約履行するため一時的に日本国において所有し、もしくは使用する動産またはその移転に対しては、法定外普通税をそれぞれ課さないことといたしております。  その四は、合衆国軍隊が公認し、かつ規制するPX食堂社交グラブ等のいわば軍人用販売機関というべきものに対するものであります。すなわちこのような販売機関等合衆国軍隊軍人軍属等利用に供するためのみに行う事業または業務に対しては、事業税及び特別所得税を、また軍人軍属等利用に供するために行う商品の販売及び役務の提供に対しては、法定外普通税をそれぞれ課さないことといたしております。  第二点は、合衆国軍隊軍人軍属等が個人として所有する自動車または自転車に対する自動車税または自転車税徴收方法に関する規定であります。すなわち合衆国における自動車税は、通常いわゆるライセンス・タックスでありますことにかんがみ、合衆国軍隊軍人軍属等に対する自動車税または自転車税については、当該自動車登録等を行う際、証紙によつて徴收することとし、納税の便宜をはかるとともに、あわせて徴税の確保を期することといたしたのであります。  以上が本法律案提案理由及び内容概略であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに可決せられることを希望する次第であります。
  5. 金光義邦

    金光委員長 それでは本案に対する質疑次会に行うことといたします。     —————————————
  6. 金光義邦

    金光委員長 次に、地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案議題として質疑を行います。床次君。
  7. 床次徳二

    床次委員 平衡交付金法についてお尋ねいたしたいのでありますが、政府といたしましては、将来平衡交付金の総額というものを、だんだん減らす考えがあるか、あるいは将来増加する考えがあるか、あるいは一定の率をもちまして平衡交付金確保して、そうして地方財政の将来の基準としようというお考えがあるかどうか、承りたいと思います。
  8. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。平衡交付金を将来増すことがあるのか、減らすことがあるのか、または一定しておくのか、こういうような御質問と思いますが、平衡交付金は、御承知通りに、自分自身絶対的の数字を持つておるものではございませんで、財政需要財政收入とを差引しまして、足りないところを平衡交付金で出す、この趣旨は一貫して将来も続けて行きたい、こう考えております。
  9. 床次徳二

    床次委員 ただいまのようなお話でありますと、地方財政立場から申しますと、ある意味において均一化ということに対しては、目的が達せられるのでありますが、独自の財源をもつて独自の仕事をするという場合にありましては、やや適当ではないのじやないか。均一化事業をするという点には、確かに平衡交付金としてはいい効果をあげ得ると思うのです。しかし独自の特色を発揮するという場合には、多少不自由があるのではないかと思うのでありますが、この点は現下の地方財政から見て、いかようにお考えになりましようか。
  10. 岡野清豪

    岡野国務大臣 私の考えといたしましては、地方が今困つておりますのは、過去において金がなくていろいろな仕事を停止しておつたのが一時に出て来た、また新しい仕事が次々と出て来まして、そして非常に財政需要が増加したにかかわらず、地方に與えたところの税源というものがあまりないというような意味において、非常に困つておる次第でございます。私はやはり将来地方税法というものを検討いたしまして、地方に十分なる財源を與えて、そしてだんだんと地方自治を、また仕事を確立して行きたいと思います。その意味におきましては、私は平衡交付金とも関連いたしますけれども、先ほど申し上げましたような法の趣旨趣旨といたしまして、根本の大きな方針といたしましては、できるだけ平衡交付金なんかにたよることをしないで、地方税收入によつて地方仕事をして行かせる、こういう方向に持つて行きたいという考えを持つている次第であります。
  11. 床次徳二

    床次委員 今日地方において問題となつておりますのは、義務教育国庫負担、いかにして義務教育費確保するかという点から、国庫負担の議論も出ておると思うのでありますが、右に関する大臣のお考えを承りたいと思います。
  12. 岡野清豪

    岡野国務大臣 義務教育費国庫負相法とか、かりの名前のものがいろいろ研究されておるのでございます。御承知通りに、もと義務教育国庫負担という制度があつたのでございます。しかしながら平衡交付金法というものをつくりました際に、そういうような負担金とか補助金とか、中央政府からひもつき地方に金を出すというような制度は、中央集権をますます強化する、もしくは地方自治ほんとうに確立できない、こういう趣旨のもとに、できるだけ国家補助金負担金というようなものをやめまして、そのかわり地方財政需要を正確に測定いたしまして、そうしてそれに合わせた一括の資金を地方に流して、自主独立地方財政を営まして行きたい、こういう趣旨からできたものでございます。でございますから、教育に限らず、先ほども仰せのように、いろいろな地方行政につきましては財源が不十分でございますから、その点においては、私ども何とかこれを十分にして行かなければならぬと思いますが、それであるからといつて平衡交付金趣旨を沒却して、また中央から補助金とか負担金とかいう形に直して行くということは、私は考え方としては賛成いたしかねる次第であります。ただいまいろいろ問題になつておりますが、しかしあの国庫負担金がたとい実を結ぶような結果ができましようとも、それは二十八年度以降のことでございまして、二十七年度は何らこれに対して作用するような法案は、ただいまの予算制度のもとにおきましては出て来ない、こういうことを私は考えております。
  13. 床次徳二

    床次委員 二十八年度以降において、義務教育費国庫負担に関係ある考え方を考慮されるやに承つておるのでありまするが、この場合はどういうふうな構想をとられるのでありまするか、承りたいと思います。本年度において義務教育費確保に対する手段は、現在の平衡交付金法をそのまま実施することによつて確保できるというふうにお考えになつておられますか、その点もあわせて承つておきたいと思います。
  14. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。平衡交付金法を今度改正いたしまして、皆様の御審議をこうむつておりますが、あの一項目といたしまして、もし国家が、国全体といたしまして、地方公共団体にこういうことをしてもらわなければならぬという仕事があるならば、法律によつて、これだけの規模施設地方で維持してくれというようなことを書き、その法律によりまして平衡交付金をある程度義務づけるということまでは、われわれとして考えておりますから、今年度もし平衡交付金法に追従しまして、何か地方にやつてもらわなければならぬ中央政府の要請があつて、その仕事に対して、法律を出して、こういうふうに勘定をするというようなことになりますれば、それで平衡交付金法改正と同時に、中央仕事地方に委託してやつて行ける、こういうようになる次第であります。     〔委員長退席河原委員長代理着席
  15. 床次徳二

    床次委員 大臣は、他の法令でもつて国が要望する事業について大体の標準をきめますれば、それによつて平衡交付金も義務づけられて、適当に要望する仕事ができるのではないかというお考えでありますが、しからば現在の平衡交付金は、国が要望するところの事業標準というものを考えてつくつておるかどうかということについてもう一度お伺いしたい。
  16. 岡野清豪

    岡野国務大臣 ただいまのお説はその通りでございまして、今そういう方向法律をつくり、また運用して行つているわけであります。
  17. 床次徳二

    床次委員 さようでありますならば、現在の平衡交付金法において認められております單位費用、その他必要と認められる標準経費が大体出て参りますが、この標準経費地方において守らせるということは、国の要望するところの基準地方において実施させるということになるのではないかと思いますが、さように考えてよろしゆうございますか。
  18. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お説の通りでございます。
  19. 床次徳二

    床次委員 今日地方において問題となつておりますのは、現在の平衡交付金法において認められております單位費用が高いか安いかということも、一つの問題になつておりますが、平衡交付金法においてきめられた單位費用によつて計算をいたしましたところの標準費用を、地方がはたして使い得るかどうかというところにも懸念を持つているのだと思います。特に義務教育に関しましては、教育委員会におきまして、平衡交付金法でもつてはじき出した標準費用教育費を、使い得ると申しますか、それだけの標準額確保し得るかどうかに対しましても、懸念を持つているのではないかと思うのでありますが、この点はたして当局はいかように考えておられるか。文部当局におかれましては、どうももらつていないという考え方を持つているのじやないかと思いますが、はたしてこれが誤解であるかどうかを承りたいと思います。
  20. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。これは文部当局の御心配も御心配だろうと思いますが、御承知通りに、單位費用とかいうものを出しますときには、標準団体標準自治行政というものによりまして、勘定して出すわけでありますから、あの義務教育費がむしろ余つておるように見受けられるところの地方団体もございますし、また非常に財政のゆたかなところにおきましては、それ以上の額を自弁で出しておるということもございますから、一概にあれが確保されておるかおらぬかということは私は言えないと思います。全体といたしましては、おそらく国が考えております以上に、地方団体はほかの財源によつて教育費を償つておるような情勢になつておると思います。詳しいことは事務当局から御説明いたさせます。
  21. 奥野誠亮

    奥野政府委員 義務教育費について申し上げますと、地方財政平衡交付金基準財政需要額以上を使つております団体、あるいはそれ以下にとどまつている団体、いろいろございます。それ以下にとどまつております団体は、従来から教育水準が非常に低い。しかしながら、平衡交付金法の理想に従いまして平衡化された水準による財政需要額を、算定しているわけであります。従つてまた水準に到達するまでには、むだ使いしない限りにおいては、若干の剰余が出て来てよろしいと考えるわけであります。また従来から水準の非常に高い団体がございまして、こういう団体には、従来から高いからといいまして、それだけ多く算定しているわけではございませんで、全国的なレベルの算定をしておるわけでありますので、自然算定しております額以上のものを使つているわけであります。将来年月を経て参りましたならば、少くとも平衡化された線までは、レベルがこの財政制度によつて向上して行くであろうと考えているわけであります。従来の国庫負担金制度のもとにおきましては、レベルの低かつたところは、やはり今日なお低いままに置かれただろうと思うのでありますが、この点が非常に救われて来るだろうということを考えているわけであります。なお先ほど国の要請している規模従つて算定しているかどうか、従つてそれだけのものが使われてしかるべきふどうかというお話があり、大臣から、全体としてはそうだという御答弁があつたわけであります。個々につきましては、やはり地方団体実態というものが区区にわたつておりますので、全部国の出先機関予算を配付いたしましたところで、国の出先機関がその地方々々に応じて、ほんとう責任を果して行くということになつて参りましたならば、配付予算が多かつたり、少かつたりするだろうと思うのであります。そういう意味合いにおいて、地方団体基準財政需要額として測定されたものは、やはり実態から見ました場合には、多かつたり少かつたりするだろうと思うのであります。それは地方住民が最も適正なところに、それぞれの金を使つて行くことによりまして、余つている部分につきましては足りない方にまわす、足りない分は余つているところからその金を持つて来る。そうして全体として国が要請しておりますような行政は完全に果して行ける、こういうふうなところに主眼があるわけであります。要するに国民から出していただきました財源というものを、全体にむだなく、最も有効適切にこの制度によつて果して行けるのではないだろうかというような考え方を持つておるわけであります。
  22. 床次徳二

    床次委員 ただいま御答弁がありましたが、標準的な経費標準となりまして、ここに測定單位また單位費用というものができておりますから、一応の標準であることは、お言葉通りであります。従つて全体といたしましては、標準を計算してみれば、大数的には大体これが府県あるいは全体として標準額に達しますならば、国の要望する仕事ができるわけでありまして、個々町村でみると、一応の出入りがあるのは当然かもしれない。しかしながらこの教育費の中にありましても、たとえば兒童数学校数学級数というような、ほんとうに固有の学校経営そのものについて考えてみますと、実際の必要額と、標準経費標準額との間に、どれくらいの開きがあるかというと、この間の開きは比較的少いのではないかと思う。建築その他の問題は、個々の事情によつて大分違いますが、学校経営プロパーのもの——ただいまあげました兒童数学校数学級数というものによつて表現されるところの小学校費中学校費というようなものは、そう著しい差がないと思つているのでありますが、この点は現在使つております教育費支出の額と、平衡交付金法によつて配付される標準費用による額と、どれくらいの開きがあるか、御検討になつているかどうか承りたい。
  23. 奥野誠亮

    奥野政府委員 二十五年度の実績では、十数府県基準財政需要額以下の支出にとどまつている。爾余の団体においてはそれ以下の支出をしている。全体としては基準財政需要額と、大同小異ではなかろうかというふうに考えております。しかし今床次さんがおつしやいました、やはり各府県については標準的なもので測定されているのだから、その程度の額がどうしても義務教育水準を維持するために使わなければならない額ではなかろうかという趣旨の、御意見があつたように思います。府県でありましても、たとえば平たい言葉で言いますと、従来代用教員が非常に多い、一挙にこれを全部正教員にかえてしまうということはできないわけであります。そういたしますと、全部正教員にかえられますまでの過程の間においては、やはり給與費は少くなるだろうと思うのであります。あるいはまた現在中学校というものは、非常に小さい規模で濫設されております。大体三学級くらいの学校が大多数であります。一体三学級構成学校で、ほんとう中学教育ができるだろうかということは、私は門外漢でありますけれども、非常に憂えております。これをもつと学校統合を積極的にやりまして、その結果は、あるいは教員数も少くて済むでありましよう。反面に教育内容は充実して来ると思うのであります。こういうふうに、学校の設立というものをどういう規模考えて行くか、これも教員数の多い少いに、非常な関連を持つて来るわけであります。従いまして、将来平衡化されましたあかつきにおいては格別でありますけれども、現状におきましては、平衡交付金で平衡化された基準財政需要額が、そのままその団体支出を強いて、適正であるかどうかということになりますと、問題は非常に多いと思うのであります。
  24. 床次徳二

    床次委員 ただいまのお言葉は、財政面からのお言葉としては一応理由があると思う。しかし政府といたしまして義務教育実施いたしております場合に、過去において無方針でこれを実施せしめたということはないはずだと思います。やはり当然これは財政的のことも考慮しながら、義務教育実施せしめたと思う。従つて現実において実施しております中学校、ただいま非常に小さい学級学校が乱立されているというお言葉もありますが、地方財政立場から言うと、一概にそうは言えないんじやないかと思う。はたして中学校を新没しますときに、適当な指導をやられたかどうかということも考えなければならない問題だと思います。今になつて見まして、そういう学校があるから経費がよけいかかる、統合すればもつと合理的に使えるのだ、そう簡單には私は言えないと思います。やはり現実にありますると、現実学校というものを一応必要なだけには充実させることは努めなければならないというのが、町村当局立場じやないかと思うのですが、この点に対していかにお考えになりますか。
  25. 奥野誠亮

    奥野政府委員 学校が濫設されておりますと、経費がよけいかかるわけであります。そういう団体においては基準財政需要額以上のものを必要とするわけであります。従いましてこういう団体については、床次さんのお考えが特に矛盾を生ずるというふうなことはないだろうと思うのであります。半面に非常に合理的に経営されている団体につきましては、あるいはもつと能率的に金を使つて行けるというふうなことになるだろうと思うのであります。地方財政平衡交付金基準財政需要額を算定して行きます場合には、大体現在中庸を得たところで測定しているわけであります。中庸を得たところから合理的に進んでいるところでは、むしろ経費はもつと少い金で足りるようになりましようし、合理化が進んでいないところにおいては、もつとたくさん金を要するというふうなことになるだろうというふうに考えております。
  26. 床次徳二

    床次委員 ただいまのお話がありました中庸を得たところで出してありまするので、これを標準として各地方団体教育を行いましたならば、大したはずれはないのじやないかというのが私の質問趣旨なんであります。なお中庸を得させることについて、当然いわゆる支出基準というものが、法規によつて定められるべきであろうと思うのでありますが、これが今日まで定められないというのは、むしろはなはだその点教育関係者の怠慢じやないか。地財委関係とは別でありますが、政府自体としてはこの点に関しましては、責任を負わざるを得ないのじやないかと思いますが、この点いかがですか。
  27. 奥野誠亮

    奥野政府委員 床次さんの御意見にまつたく同感であります。ただ一部の意見として、基準財政需要額で測定されたものの支出を義務づけるというふうな考え方があるのでありますけれども、これには反対であります。基準財政需要額はその団体財政運営に使用さるべきものである、かような考え方を持つているわけであります。
  28. 床次徳二

    床次委員 基準財政額の支出を義務づけるということは、これは適当なことは明らかだと思います。なお財政法等によりましても、必要以外の経費支出することは適当でない。いかに予算がありましても、かかるものを支出しますことは濫費である。適正なる経費支出すべきでありまするが、予算標準といたしましては基準財政額と申しますか、最も均衡を得たところの平均化されたものを、予算基準として採用することについては不当はないはずだと思うのですが、この点ひとつ御意見を伺いたい。
  29. 奥野誠亮

    奥野政府委員 予算基準となるという点については、私も同感であります。しかしそれだけのものを予算に計上することを、国が義務づけるというふうな考え方になつて来れば反対でありまして、そういう御意見ではないだろうと思いますけれども、念のためにつけ加えておきます。
  30. 門司亮

    ○門司委員 これは法案の内容から離れてでありますが、平衡交付金の問題は始終やかましくなつておりまして、そしてこれは従来あつたような何か配付税的な性格を持たした方がいいという議論が、大体多くの人から言われていることだと思いますが、この機会に聞いておきたいと思いますことは、平衡交付金の算定は一体大蔵省がするのか、あるいは地方財政委員会から出て来たものに対して、自治庁がどういうこれのバツク・アップをされているのか、この点私どもは非常に疑いを持つのであります。地財委ではこれだけの財政平衡交付金をもらわなければ、地方団体がやつて行けないと言う。大蔵省はこれでいいと言う。そうしていつも議論をしているのでありますが、一体これの主管はどつちに移るのか。そして今度の平衡交付金法の修正あるいは改正で、財政需要額の算定の基礎というようなものが、法律化されなければならないようになつておりますが、一体これは権威があるのかどうか。今までもちやんとはつきりしたものがあつて、そうしてこれだけの財政需要額に対して、これだけの收入しかないからアンバランスはこれだけだ、これだけはぜひ平衡交付金から地財委が出すという、これを大蔵省から削つてこれは多いとか少いとかいうことを毎年やつている。一体これはどつちに権威があるのか。大蔵省がきめるのが筋合いなのか、あるいは自治庁あるいは地財委の数字が信頼できるのか。一体責任の所在はどつちにあるのか。この点をひとつ明確にしておいていただきたい。
  31. 鈴木俊一

    ○鈴木(俊)政府委員 平衡交付金の総額の算定並びにその決定の問題でございますが、これは地方財政平衡交付金法の第六條でございますように、「総額は、当該年度において基準財政需要額基準財政收入額をこえると認められる地方団体の当該超過額の合算額を基礎として定める。」、こういうふうになつているわけであります。そこでまず計数として出て参ります超過額というものは、これは地方財政委員会が調べるわけでございまして、その基礎になります数字はそれぞれ府県分、それから市町村分は府県知事がこれを整理しまして、これを地方財政委員会の方に送つて来るわけであります。それであの資料に基きまして地方財政委員会基準財政收入額と基準財政需要額を調べまして、そうしてその団体の超過額を合算いたして、当該年度の不足と認められます要するに基準財政收入額を越える基準財政需要額の超過額というものの総計を出しましてそれを基礎にして今年度の当該年度の交付金をいかにして出すかということになるわけであります。それにつきましての意見委員会内閣に出すわけでありまして、内閣委員会が勧告した交付金の総額を幾らにするかということを、最終的に決定するわけであります。自治庁といたしましてはこの交付金の算定については、法律上直接には関係がございません。ただ岡野国務大臣地方財政委員会担当の国務大臣とせられまして、内閣において今の総額を最終的に決定をいたします場合に、地方財政委員会意見を基礎にいたしまして、決定を主張せられ、また決定をすることになるわけであります。大蔵省というものは全体の予算の編成という意味におきましては、もちろん関係がございますけれども、最終の決定は政府部内におきましては、内閣ということに法律上なつているわけであります。
  32. 門司亮

    ○門司委員 法律上なつていると言つても、事実上そういうように行われているので、それでどうにもならぬのですけれども、もう一つ私の聞いておきたいことは、今度改正をして、そうして法律基準財政額というものの算定の基礎を割り出すものをきめるわけですが、法律ではつきりきめてしまつて、なおかつ大蔵省の責任のないところに責任があるようなことで、大蔵省に持つてつて削られるようになると、法律をいくらこしらえられても何にもならぬ。大蔵大臣はこれを拒否することができないというような法律でもこしらえてもらえば別ですが、そうでない限りにおいては、いくら審議してここでこれでよかろうという法律をこしらえても何にもならぬわけです。私はそれを心配するのです。毎年々々繰返しておつて地方では少いとし、国会では取上げて決議案だけで決議のしつぱなしでは実行できない、あとでいろいろな事態が起るということでは、非常に迷惑する。従つてこの際この法律改正して、当然法律に基いた算定の基礎になるべき標準規定をこしらえるわけでありますが、今私が申し上げましたように、一応法律できめた以上は、これをいいとか悪いとかいうことは別の問題としまして、それに基いて算定されたこのアンバランスだけは必ず大蔵省、国が保障しなければならないというような強い改正意見を入れる御意思が一体あるかどうか。
  33. 鈴木俊一

    ○鈴木(俊)政府委員 地方団体のいわば経常的経費と認められまするすべてのものにつきまして、一定の測定單位を設け單位費用をつくりまして、そうして全体の財政需要あるいは財政收入を測定するということは、わが国におきましても、また世界におきでましても、こういうような方式はまつたく新しい試みであるわけであります。それを一万有余の地方団体に対して要求いたすわけでございますから、実際問題としては正確なる資料が集まり、従つて正確にこれを算定する——何人も疑いを入れる余地のないものが最終的にでき上るというまでには、漸次改善されては来ておりますが、また相当な努力を要すると思うのであります。交付金制度が、ほんとうに理想のごとくそこに何らの調整を加える余地がないように、ぴちつと数学的に各団体の超過額をはじき出して参りましたものが、そのまま当該年度の平衡交付金の総額になるというふうな制度になつておりますならば、いろいろ地方財政委員会と大蔵省との間のやりとりはなくなるわけでございますけれども、まだ何と申しましても、そこまで明確に固まつた資料がないわけであります。そこで一応この現在の法律におきましても、超過額の合算額を基礎として定めることになつておるわけでありまして、合算額そのものをただちに交付金にするというわけではないが、そういうものを基礎にして定める。そこにいろいろ地方財政委員会と大蔵省との間に、やりとりが現実問題として起つて来るわけであります。財政需要の測定が経験を積みまして合理化せられて参りますならば、そういうようなこともだんだんとなくなるのではないかと考えておるわけでございまして、われわれといたしましては、でぎるだけ経験を積み研究を重ねて、年々このような交付金総額の算定につきましての意見の齟齬を来さないように努力して参りたい、かように考えておる次第であります。
  34. 門司亮

    ○門司委員 今の鈴木君の答弁は、まつたく今の日本の実情だと思います。日本の地方の公共団体が適正なる規模でないことは御存じの通りであります。従つて適正規模でない関係から、自治体といいましても、非常に小さな村もあり大きい村もある。小さな村などでは、村長さん以下五人ぐらいの村がたくさんある。はなはだしいところへ行けば、実際は村の役場があるのかないのかわからぬようなところもあるのであります。人口六十人ぐらいの村もあれば、百二十人ぐらいの村もあります。日本の自治体の複雑性といいますか整理されておらない過程において、今のお話のような世界にもまだないような珍しい進歩した法律をこしらえたところに間違いがあるのではないか。遅れた国は遅れた国なりに、何とかそういうものがはつきりするような制度が必要じやないか。できないことを無理に押しつけて、集まつた集計は必ずしも正しいものではない——正しいものである方が現在ではおかしいと思う。そういう二百も三百も書いてありまするすべての條項にあてはめて、その村の基準財政を調べるというようなことは、おそらく今日の村では困難だ。かなり大きな町村であつて、十分そういうことに堪能な吏員のいるところは一応できると思いますが、普通の村ではなかなかできない。今でも。このくらい町の費用がいるが、このくらいしか財政收入がないから、アンバランスはこれくらいだろうということで、科学的な根拠に基かない見込額で来ているのがたくさんあると思う。政府の方でもはつきりした資料がないということで、勢い両方が見込みでものをきめるから、権力を持つているものが勝つことになる。大蔵省の意見が通らざるを得ない。こういう形が出ていると思う。従つてさつき申し上げておりますように、もし必ず大蔵省が出さなければならないという修正ができないとすれば、この問題については、ただちにこれをきめて、これをもとに押しつけるというような方法を避けておかないと、今までは法律でありませんで、政令のような形で出ておりましたから、法律ほどの権威はなかつた。今度はわれわれが審議して、大体これくらいでよかろうということで法律できまつてしまう。それがさつきも申しましたように実行に移されないというようなことでは、法の権威の上からいつても、はなはだまずいものができますし、また地方の公共団体も非常に困ると思います。  そこで次にお伺いしておきたいと思いますのは、測定單位をきめまする場合、地方の実情というものが、この法案の中に組み入れられる形が必要ではないか。こう申し上げますのは、先ほど床次さんの御意見の中にもありましたが、適正な町村財政が行われておるかどうかということは、かなり疑問だと思います。中にはいろいろのものもあると思いますが、しかし中央らら考えて、この村でこれだけの人口で、こういう学校がたくさんあるのはけしからぬと考えておつても、それにはやはり立地條件というか地形の関係から、いろいろな問題が出て来て、中央では測定することのできないような実情にあるところもかなりあると思う。こういうものもできでて参りまして、地方の実情は必ずしも中央考えておるようなものではないと私は思います。従つてこれをなるたけ正確なものにして、大蔵省の国の予算の都合で、左右されることのないようにするには、やはりはつきりしたものにしなければならないと思いますが、その点について調査の方法あるいはまとまつた資料を提出する方法として、国で一貫した一つの方法をとれるようなことが何らかの形でできるかどうか。今までの例はそうでありまして、大蔵省の地方課で調べた資料と、自治庁で調べた資料と、さらに地財委で調べた資料と三つつき合せると、三つとも違つておる。どれがほんとうか一向わからないというのが現実である。従つて何か大蔵省と自治庁と地財委とが一貫された調査をされるような具体的な方法が講ぜられるかどうか、この点について何かお考えがありましたら、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  35. 鈴木俊一

    ○鈴木(俊)政府委員 地方財政関係の各種の資料について、関係機関の間に必ずしも統一ができでていないという点は、確かに今までの問題といたしましては、御指摘のように若干給與その他の問題につきまして、そのようなことがなきにしもあらずという状態であつたのでござまして、これはわれわれも非常に遺憾に存じておるのであります。平衡交付金法の今回の改正案におきましては、従来のように主観的要素をできるだけ排除いたしまして、客観的なものといたしましても明確になり得るもの、たとえば人口などは国勢調査によつて明瞭になつております。そういうものをできるだけ基礎にする、こういう考え方測定單位をできるだけ簡單明瞭にいたしまして、これがさらに法律化されて参りますると、これによつてそれぞれ基準財政需要額が測定されることになりますから、この法律の根拠によります教育費なら教育費、あるいは土木費なら土木費というものは、いずれも関係の政府機関を拘束するわけであります。そういうような意味で少くとも基準財政需要として見られまするものが法律化して、その法律に従つて計算せられるということになりますと、まずそういう齟齬はだんだんとなくなつて来るであろうと思うのであります。なおそのほかにいろいろの具体的の問題が起つて参りました場合におきましては、たとえば給與費というようなものにつきましては、現在も政府の関係機関の間で連絡の協議会をつくりまして、それぞれ調査中でございまして、そういうふうに政府が施策を立てまする基礎になりまする数字その他のものは、できるだけ一本にするように政府としても努力をいたしておる次第であります。
  36. 門司亮

    ○門司委員 大体お話はわかりましたが、ただ努力をしているだけだと、こういうお話でありまするが、今まで一向努力をされなかつたので、始終問題を起しておるのであります。従つてもう一つ聞いておきたいと思いますことは、今度測定基準をはつきり法律できめてしまいますと、そのものについては今度きめたその測定單位に基く調査を大蔵省もあるいは自治庁もみんな同じようにやるというようなことができるかどうか。よくここで問題になりますが、さつきも言いましたように、どうもいろいろな問題が出て来るので調べてみると、大蔵省の意見というものは、大蔵省の方ではおれの方で調べたのはこういう範囲であつて、これだけの町村を調べたらこういうものが出て来たというので、やはり資料を持つて来る。自治庁で調べた資料も出て来る。地財委で調べた資料も出て来る。いずれもうそではないと思いますが、実際はほんとうでない。どれがうそだかわかりませんが、結論的にはわからないので困つております。  もう一つついでに聞いておきたいと思いますのは、これを基準として、必ずしも大蔵省なりあるいは地財委なり、自治庁の方も大体調査をするものであるというようなことが、はつきり言えるかどうかということであります。私はもしこれを基準として調査をするなら、どの役所で調査したのも大体同じでなければならぬと思う。そうなつて参りますと、法をこしらえた意味が多少出て来るのでありまして、権威あるものになると思いますが、従つて調査の方法等はさつきは努力するというお話で、ありましたが、もう一つこれに基いてこれを統一して行くというような御意思があるかどうか。
  37. 鈴木俊一

    ○鈴木(俊)政府委員 平衡交付金の総額算定の基礎になりまする基礎財政需要額が、幾ばくになるかということにつきましては、この法律にそれぞれその資料の提出の方法、その他の規定がされておるわけでございまして、それによつて正式のルートを通して出て参りました資料を基礎にして地方財政委員会が算定をする。その算定の基礎は、これまた測定單位費用あるいはさらに補正係数も将来法律化する、こういうことになりますると、これは動かす余地がなくなるわけであります。ただその基礎になりまする数字の中で、もしそこに誤りがございますとか、計算の間違いがありまするとかいつたようなことがありますると、これは当然調整しなければならぬわけでございます。それから若干中には純客観的な資料でないものも二、三の資料があろうと思います。そういうものにつきましては、いずれをとるかという問題がございますけれども、そういうものは非常に少くなるわけでありまして、人口とかその他の客観的にきまつて来た数字を基礎に、單位費用法律で定められたものを使い、補正係数もさらに将来法律できめる、こういうことになりますると、まつたく機械的に出て来るわけでございますから、それはいずれの政府機関においても、それを前提として判断をしなければならぬ、かようになるわけであります。
  38. 床次徳二

    床次委員 もう一つ伺つておきたいのは、今度の改正によりまして特別交付金の制度をさらに存続されておるのでありますが、この特別交付金に関しましても、でき得る限り主観的要素から客観的要素にかわるべきものと思うのでありますが、これが規則に定めるところにつて、いろいろ今後できることと思いますが、当局においてはどの程度まで、客観的要素を取入れるように考えておられるか伺いたいのであります。
  39. 奥野誠亮

    奥野政府委員 特別交付金はその年度における現象のいかんによつて、多少違つて来るかと思うのでありますけれども、現在項目として二十数項目にわけてあります。それらをどうして計算したか、たとえば幼稚園に要する経費につきましては、測定單位として現わしておりませんので、園兒数を使います。小学校兒童一人当りの大体半額程度のものを乗じまして計算しているわけであります。そういうふうに計算方式は通達で現在示しております。将来少くともそのように明確な計算のできまする部分は、全部規則にかえて行きたいというふうに考えております。ただ特別交付金の問題になつて参りますると、災害によつてどれだけの減收を来したか、あるいは災害によつて救助費その他にどれだけの財政需要を生じたかというような問題につきましては、判断を要する問題がたくさんございまして、機械的に計算できない部分が生じて来ると思うのであります。そういう部分につきましてはやむを得ませんので、そのような程度にしか書けないと思うのでありまするが、機械的になるべく計算をして行きたい。またそうできるものにつきましては全部規則に書き上げて行きたい。現在通達で示しておりまするものを、漸次規則にかえて行きたいというように考えております。
  40. 床次徳二

    床次委員 でき得る限り客観的なものによりまして、特別交付金を交付されることはけつこうでありまするが、実際から申しますると、災害のごとき非常に金額の移動のはげしいものが加わりますると、従来もらつておりました他の特別交付金の要系が、非常に減額されるおそれがあるのではないかと思うのてす。従つて普通であれば当然毎年特別交付金としてもらえるべきものが、偶発的な條件によつて多額の金がそつちへまわされますると少くなつて来るというおそれがある。従つて特別交付金の中でも毎年継続するもの、しかも客観的要素を持ちますものはでき得る限りこれを確保する、すなわち別の言葉で言えば、普通交付金の方へ振りかえるというか、あるいは特別交付金の中におきましても、一定額を確保することが必要じやないかと思うのでありまするが、これに対して何か考えておられますか、承りたい。
  41. 奥野誠亮

    奥野政府委員 災害に要しまする復旧費でありますとか、税の減收額でありますとかいうものは、かなり多くなつておりますので、床次さんがお考えになつておりますように、でき得る限り普通交付金で算定して行くべきものであると考えております。ただしかしながら現在技術的にこれを解決する段階に立ち至つておりませんので、なお将来研究しながら御期待に沿うようにいたして参りたいと思つております。ただいまのところは、御承知のように地方債でまかないました災害復旧費に関します元利償還費を基礎として、それらの部分につきましては、大体全額に近いものを基準財政需要額に算定して行くことにいたして参つているわけであります。将来もその他のものにつきまして研究を重ねまして、できる限り普通交付金で算定したいと思つておりますけれども、特別交付金制度の中におきましても、災害に関する要素というものが一番大きな部分を占めるものだと考えております。これを減額して他の財政需要を重点的に見るというようなことは考えておりません。これを最も優先的に特別交付金制度で補足して行くべきであるというふうに思つております。
  42. 床次徳二

    床次委員 それからもう一つ重ねてお願いしておきまするが、従来の測定單位によりまして交付しました実績が、実情といかように相違があるかということについては、御研究になつているかと思うのでありますが、私が聞いておりまする範囲におきまして、はなはだしい不公平の一つとして考えられるのは、いわゆる級地の問題であります。級地が比較的高いところにありましては、悪いところに比して非常に他の方面にも交付金がよけいになつて来るというところがあると同時に、いわゆる僻地のものでありますと、これに対しましてはさらにマイナスがよけい響いて来る。実際教育の点について申しますと、僻地のところにおきまする教育費は、市街地よりも案外教育費がかかつているということが言えるのでありまするが、今の算定方法によりますと、僻地におきましては非常に割損になるという結果を来していると思うのです。これは私どもの県におきましての調査によりましてはつきり出ているのでありますが、漸次これは修正していただくことがよいのではないか。根本的に申しまして、いわゆる俸給に対する級地の問題は、本質的に疑問があると思うのでありますが、ああいう級地の取扱い方がある間は、平衡交付金におきましても、これを是正するところの考え方も必要なんだと思うのですが、御意見を伺いたいと思います。
  43. 奥野誠亮

    奥野政府委員 従来の地方団体の歳出の実績というものと、基準財政需要額で測定されたものとが、どういう変化があるかということにつきまして  は、これは府県につきましては、それほど大きな差はないと思いますが、市町村におきましては相当大きな差がございます。しかしながら漸次接近して来る傾向が出て来ておるわけでござい  ます。具体的な例で申しますと、町村によりましては、人口一万内外の町村で、土木費を一万内外しか出していない、こういう極端な例もあつたのでありますが、そういうのはそれでは金を使つていないのかといいますと、結局住民の負担としてやはり行われておるわけであります。そういうものが歳出に計上されている。あるいは町村によりましては、産業経済費をほとんど使つていないところがある。労働関係なんかをどんどん町村費でやつているところがある。非常な差があるわけであります。しかしながらある程度のものは町村におきましても、産業経済費で支出すべきものだと思います。反面で非常に多く使つておるところもあるわけなのでありまして、基準財政需要額というものは、大体平衡化された姿におけるものとして現われて参りますので、これを参考にしながら予算が編成されて行く。そういう意味において町村財政運営合理化には、非常に役立つて来ているのではないかというふうに考えております。ただいまお話になりました僻地の問題は、昨年度は特別交付金の中で計算をしたわけであります。しかしながら僻地におきます給與費なんかにつきましては、現実の僻地手当が支給されることになつておりますので、二十七年度におきましては、できる限り補正係数の中にこれを拾い上げて行きたい、そういう研究をする予定をいたしておるわけであります。
  44. 大矢省三

    ○大矢委員 特別交付金の算定について、例の競輪、競馬をやつたところで、收入のある場合にはそれを差引いております。これは競輪を当時立案するときには、これを戰災の復興のために特別に大都市を指定したのであつて、当時著しく戰災の被害をこうむつた都市においてこれを行う、こういうことになつておつたのが、最近では小さい都市も至るところでやられておる。そこに弊害が相当あるのでありまして、立法当時の事情と今日では非常に違つておりますので、小都市で被害をこうむつていないところには許可をしない。そのかわりに今言つた平衡交付金を差引くということをしないて、これを支給するということに願えぬものかどうか。結局住民からしていろいろ入場料その他收入を得るのであつて大都市と違つて周囲の者が負担することになる。結局それをやらすして、国から平衡交付金をもらつた方が地方においてもいいのではないか。従つてそれを中止し、いわゆる立法当時にさかのぼつて、大被害を受けた以外の小さなところにはこれを許可しない。そのかわりに平衡交付金は従来通りつて差引かない、こういうことに願えぬものかどうか、方針を一応お聞きしたいと思います。
  45. 奥野誠亮

    奥野政府委員 根本の考え方においては、あまり相違はないと思うのであります。二十六年度の特別交付金を計算いたします際に、普通交付金の算定においては捕捉されなかつたような財政需要かある。ふるいは過大に算定されたような財政收入もある。こういうふうなものも全部機械的に計算したわけであります。そういたしますと、たとえば人口数万の団体におきまして、競輪をやつているために收入は一億円を越している。そういう団体にも特別交付金を交付するということになりましたならば、やはり公平を欠くと思うのであります。そこで競輪收入が特に著しく大きい、これを一定の計算方式で計算をいたしまして非常に大きい部分だけはこれは特別交付金の計算におきましてマイナスの要素として立てる、こういうふうな計算のしかたをいたしたのであります。この競輪收入を見る見方につきましては、御意見のような見方を基礎にしてやつたわけであります。もしその計算方式が過大に過ぎるというような御意見でありましたならば、なお一層研究いたして参りたいと思います。しかしながら趣旨といたしましては、やはり競輪を行えば、それだけ特別交付金が少くなるのだというようなやり方はしなかつたつもりでありまして、著しく過大の部分だけをマイナスの要素として立てたわけであります。
  46. 河原伊三郎

    ○河原委員長代理 次回の委員会は公報をもつて御通知申し上げることにいたしまして、本日はこれにて散会いたします。     午後零時四十六分散会