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1952-04-16 第13回国会 衆議院 地方行政委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年四月十六日(水曜日)     午前十一時三十四分開議  出席委員    委員長 金光 義邦君    理事 大泉 寛三君 理事 河原伊三郎君    理事 野村專太郎君 理事 床次 徳二君       押谷 富三君    川本 末治君       中山 マサ君    前尾繁三郎君       藤田 義光君    大矢 省三君       立花 敏男君    八百板 正君  出席政府委員         総理府事務官         (全国選挙管理         委員会事務局         長)      吉岡 惠一君         国家地方警察本         部警視長         (警備部長)  柏村 信雄君         国家消防庁長官 新井 茂司君         国家消防庁事務         官         (管理局長)  滝野 好曉君         総理府事務官         (地方自治庁次         長)      鈴木 俊一君  委員外出席者         專  門  員 有松  昇君         專  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 四月十五日  委員八百板正辞任につき、その補欠として上  林與市郎君が議長指名委員に選任された。 同月十六日  委員上林與市郎辞任につき、その補欠として  八百板正君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 四月十五日  固定資産税評価基準及び税率引下げに関する  請願寺本齋君紹介)(第二一五八号)  純舞踊の入場税減免に関する請願深澤義守君  紹介)(第二一五九号)  大阪特別市制実施に関する請願外一件(有田  二郎君外一名紹介)(第二一六〇号)  同外一件(有田二郎君外三名紹介)(第二二〇  三号)  同外二件(押谷富三君外二名紹介)(第二二〇  四号)  売春取締に関する勅令法的措置に関する請願  (堤ツルヨ紹介)(第二一六一号)  地方公営企業法案中に下水道事業加入に関する  請願野村專太郎紹介)(第二一九六号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  国会議員選挙法執行経費基準に関する法  律の一部を改正する法律案内閣提出第三五  号)  道路交通取締法の一部を改正する法律案内閣  提出第一三二号)  消防に関する件     —————————————
  2. 金光義邦

    金光委員長 それでは開会いたします。  この際御報告申し上げますが、昨十五日電気通信委員会より目下本委員会において審査中の地方税法の一部を改正する法律案について、ただいまお手元に配付いたしておりますような一般放逸事業に対する事業税非課税に関し、本委員会に申入れがありましたので、この点御報告申し上げます。なお本申入書会議録に掲載することといたします。  次に道路交通取締法の一部を改正する法律案を議題として、前会に引続き質疑を行います。質疑を許します。立花君。
  3. 立花敏男

    立花委員 私ども共産党は最近道路交通取締法で、非常に逮捕されたり、あるいはその他の活動に制限を受けているわけですが、こういうことを御存じかどうか承りたい。
  4. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 共産党に対しまして、道路交通取締法たて取締りをするという事実はございません。
  5. 立花敏男

    立花委員 実際問題といたしまして、やはりそういう事態が起つておるわけでありまして、たとえば澁谷で起りました学生署名運動に対する彈圧の問題、あるいは地方徴兵反対ビラ、あるいは再軍備反対ビラなどを街頭でまいておりますと、やはり道路交通取締法で処罰されておるわけです。あるいは現に衆議院議員である大阪加藤充君が街頭演説をいたしておりました場合、やはり道路交通取締法で手錠をはめられまして検束をされております。これは去年ですが、こういう形で道路交通取締法という法律が、一方的に共産党運動あるいは平和運動あるいは学生徴兵反対運動、これに対して大きな作用をしておるということは、これは事実の上に明らかなんです。こういうことを御存じないとは私了解できないのですが、そういう彈圧法規として道路交通取締法が使われておるという事態を、もう少し率直に認識していただいてよいのではないか。そうしてそういうふうな彈圧法規として悪用されるような点は矯正されたらよいじやないか、そういうことのないように法的な措置を講じたらよいのではないかと思うのです。事実御認識ないとなればおかしいのですが、実際これは行われておりまして、私どもやられる方ですからよく知つておりますが、こういうふうに道路交通取締法律が、一方的彈圧法律として使われるというに至りましては、非常に法の権威もなくなりますし、法自体の所期の目的が達せられないと思うのですが、そういう点でひとつ意見を承りたいと思います。
  6. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 ただいまのお尋ねの点でございますが、道路交通取締法たてにとつて取締りをする、特に共産党に対する取締りをするということはございません。今お話の集会であるとか、あるいは演説ということで道路を使う場合には、当局の許可を得なければいけないというような條例地方によつてはつつているところがあるように存じますが、これは道路交通取締法とは別個の地方自治体における條例に基くものでございます。
  7. 立花敏男

    立花委員 一般的にだれでもまんべんなく道路交通を安全ならしめるためにこの法律の、あるいはこれに基く條例適用を受けるのであれば、私ども文句は言わないわけなんです。ところがそうじやなしに政治的な意図から、その運動を抑制しようとしておる。これは共産党に限つたことはありませんが、平和運動あるいは徴兵運動を抑制しようという場合に、これが悪用されているという例がたくさんあるわけです。たとえば具体的に申しますと、私どもの神戸には非常に繁華街がありまして、そこでは絶えず路上で商店街ビラあるいは映画館ビラなどがまかれております。それと並びまして、学生が再軍備反対ビラをまき、共産党平和運動ビラをまきますと、商店街映画館ビラをまいているのはそのままにほうつておきまして、同じ並んでまいております平和運動、あるいは再軍備反対運動ビラは、道路交通取締法違反という形でやられておるわけです。こうなつて参りますと、決してこの法律適用が、本来の目的である道路交通の安全というところから、発動されておるのではなしに、政治的な意図をもつてやられておるということは、明白なのであります。こういう事態が非常に多いわけであります。むしろこの法律は、そのためにあるといわれるような状態にさえ見られる場合がありますので、そういう点を改められる意思はないかどうか。あるいは法律の上でなくても、通牒か何か発して、この問題に対して、そういうへんぱな扱いをしないようにするというようなことを、やられる意思はないかどうか、これをひとつ伺いたい。
  8. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 この道路交通取締法、並びにこれに関連いたしまする法令、あるいは地方條例等によつて、この取締りを行いまする場合におきましても、常に今お話のような、政治的な意図によつて、特殊なものを取締るというようなことは、これはよろしくないことであろうと思います。われわれとしても常にそういう点につきましては、法令の命ずるところに従つて、必要なる取締りをするということを注意をいたしておるわけでありまして、特別の団体の構成員であるとか、あるいは特別の政治的意図を持つ者に対するというような、へんぱな取扱いをしないように、常に注意をいたしておる次第でございます。
  9. 立花敏男

    立花委員 その注意をやはり下部まで徹底させていただきたと思います。事実はもうそういう事態がたくさん起つておりますので、そういう注意をやはりはつきりした形で徹底てさせいただきたい。これをひとつお願いしておきます。本日は破防法が国会提出されるといわれておりますが、そういう彈圧法規がないのに、この法律使つて、そういう形でやつておるということが、非常にはつきりいたしておりますので、そういう天下の法律を惡用するというような形を絶対とるなということを、ひとつ下部徹底させていただきたいと思いますが、何か適当なお考えがありますかどうか、伺いたいと思います。
  10. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 先ほども申し上げましたように、そういう点につきましては、警察当局としまして、常に会議その他の機会において、注意を喚起いたしておりまするし、今後も必要な注意を行う考えであります。
  11. 立花敏男

    立花委員 内容に入りたいのですが、一般的に申しまして、いわゆる右側通行の問題は、御承知のように、向うからの要請によつて政府の方で従来の左側通行を改められたと思いますが、この問題を元に返して、やはりわれわれが従来やつておりました、ほんとうに習慣的になつております左側通行の形にもどされる意思がおありになるかどうか。あるいはそういう形にもどして、特に大きな故障があるのかどうか。これを承りたい。
  12. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 この対面交通につきましては昭和二十四年の十一月に、従来車馬歩行者とも左側通行にいたしておりましたものを、車馬左側歩行者右側ということで、対面交通に切りかえたわけでございます。この対面交通制度は、欧米各国におきましても、早くから行われておるところでありまして、交通事故を防止するためには、この対面交通が科学的な方法であるということには、結論が一致いたしておるわけであります。ただ、ただいまお話のように、日本人の長い慣習によりまして、左側通行いたしておりましたために、これを左側通行に切りかえるということに対して、なかなか徹底しがたい面が従来あつたわけでありますが、やはり将来長い目で見まして、この対面交通というものは、制度として存続いたし、できるだけ早く各種の啓蒙によりまして、対面交通の実があがり、事故防止に資し得るように努めたいというふうに考えておりますので、現在十分に趣旨徹底しないということによつて、前の制度逆行するということは、考えておらないわけであります。
  13. 立花敏男

    立花委員 対面交通歩行者左側交通とは、両立するのじやないですか。
  14. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 歩行者左側通行を認めて、なお対面交通の実をあげるということのためには、車馬右側通行ということにならなければならぬと思います。欧米各国におきましても、多くの例は歩行者左側車馬右側ということによる対面交通行つておるわけでありますが、日本におきまして、現在の対面交通制度にかえます際に、車馬右側通行を実施するといたしますと、各種施設において非常な変化を加えなければならない。そのために莫大な経費がかかる。人間につきましては、従来の慣習もさることながら、これは教養によつて比較的容易に実施し得るという観点から、歩行者右側通行ということによる対面交通制度にいたした次第でございます。
  15. 立花敏男

    立花委員 どういう費用がいるか知りませんが、私ども聞きますところによると、進駐軍の車の運転台が、左側通行に便利だからそうなつたので、最初説明を聞きましたときは、各種の車を右側通行にかえるごとによつて費用がいるからというような説明は、あまりなかつたように思います。対面交通はなるほど科学的にいいでしようが、日本人本来の習慣である左側通行と両立できるものですから、多少の費用にこだわらないで、日本人習慣を生かしながら、しかも科学的な方法がとれるようにされるのが、一番いい方法ではないか。それをなぜおやりにならないのか。これをそういうふうに直すのが、私は決して逆行でも何でもないと思うのです。それこそ科学的な方法と、日本習慣とマッチさせた一番いい方法ではないか。多少の費用にはごだわれないと思いますが、費用と申しますと、どういう点でどういうふうな費用がいるのか、それをはつきり承りたいと思います。
  16. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 ただいま進駐軍の車が、左側通行に便利だというお話でございましたが、むしろ進駐軍の車は、人が左側車馬右側通行に適した仕組みになつておるわけです。従いまして一時今お話むしろ逆意味におきまして、進駐軍の便宜という点からいたしまするならば、人間左側車馬右側にするという方が、進駐軍の車には便利なわけでありますが、その進駐軍の不便を冒しても、日本の経済上の負担を重からしめないという趣旨から、進駐軍の方には不便を忍んでもらつて人間を右側車馬左側ということにいたしておるわけでございます。
  17. 立花敏男

    立花委員 それから費用の問題、一体どれだけの費用がどういう点でいるのか。
  18. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 ただいまちよつとその総額どのくらいになるかということは、手元に資料がございませんが、車馬通行に対する信号機、それから乗降口の改造というような点からして、莫大な経費に上るものと考えております。
  19. 中山マサ

    中山委員 関連して。日本は右とか左とか、もどるとかもどらぬとかいう話でございますが、これは一般的に、世界的の文明国一般概念はどうなつておるのでありましようか。それを伺つておきたいと思います。今日は日本だけの日本ではないのですから、どこへ行つても通ずるという概念日本人が持つている方向に向つてこういう問題も研究しておいた方が正しいのじやないか。今後いろいろな国へ行つたら、そのところによつていろいろと考えをかえなければならないということは混乱しますから、その基本的の規則はどういうものか一ぺん伺いたいと思います。
  20. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 ただいまのお尋ね世界各国の状況を申し上げますると、対面交通という制度は、ほとんどの文明国においてとられておる制度であります。ただ先ほども申し上げましたように、その大部分歩行者左側車馬右側ということによる対面交通になつておりますのでございますが、日本におきましては、対面交通は科学的であるからとるべきである。しかしながら、先ほどから申し上げておりまするように、車馬の方を右側にするということには非常な莫大な経費がかかるということで、人間教養によつて人に右を通つてもらうということにいたしたようなわけであります。
  21. 立花敏男

    立花委員 それならやはり、中山さんのお尋ねなつたのと私のさつき言つておりますのと合致しておりますので、日本だけが人に右を歩かせておるという形になりまして、しかもそれが日本人の従来の習慣上からして、なかなかやれないということになつて参りますと、これは提案者の言われるように、元へもどすことは決して逆行じやなしに、世界の何にも合致するような方法をおとりになる方がいいのじやないか。問題は費用の点だと思うのですが、これはおわかりにならないということですが、わからないでこういう重大な問題を決定されるということは、やはりおかしいのじやないか。人間習慣国民習慣というものは、そう簡單費用によつてだけ左右されるべきものじやない。しかもさつきから聞きますと、世界習慣でもあるというのですから、この際はつきりと多少の費用にはこだわらずに、科学的な、しかも習慣にのつとつた方法に返されるのがいいのじやないか。ただそれの障害になるのは一体何なのだ。私どもが聞くところによりますと、関係方面の何が強いのだということを聞いておりますが、あなたの説明にはそれがなしに、費用の問題だけなのですが、しかも費用の額もわからないというので漠然たることですが、その漠然たることで、国民習慣にもとり、世界習慣にもとり、しかも実現困難なことを私ども承服できないのですが、その点をもう少し明白にしていただきたい。
  22. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 先ほども申し上げましたように、進駐軍の車といたしましては、歩行者左側車馬右側の方が便利なのであります。しかしながら、今ただちに日本バスであるとか、それから信号機であるとか、乗降口を改正するというようなことは、ただいま手元に持つておりませんが、その当時においても容易ならぬ全額に上るということで、逆な方法ではありまするが、対面交通の実をあげて矛行者を右にするということにいたしたわけでございます。施設を、全部改めて後に初めて行い得る問題でありまするし、人の習慣は確かに長い間の習慣ではございまするが、すでに実施いたしまして二年有余に相なり、特に学童等においては相当徹底をいたして参つておるわけでございまして、この点について大方理解協力があれば、私はそう遠くない将来におきまして、今の制度対面交通りつぱに実を結ぶものであろうと考えておるわけであります。
  23. 立花敏男

    立花委員 世界慣行逆行するようなことを、ことさら努力をして実を結ばす必要がありますか。そんなことはおかしいと思うのです。やはり世界慣行にも従うような、中山さんの言われましたような方向に持つて行くように努力をすることがいいと思うのですが、世界中で日本だけがやるようなことを、何も努力してやる必要は私はないと思うのです。しかもあなたは二年ばかりこれをやつたと言われますが、地方へ参りますと、ちよつともこれは徹底しておりません。これは慣行に従わないから徹底しないので、これからいくらおやりになつても、私こんなことは実現できないと思いますし、むしろ費用の点でおあげになつバス乗降口をかえるとおつしやられますが、日本一体バスが何台ありますか。八千万人の人を慣行を破つて右歩かすよりも、わずかなバス乗降口をかえるくらいのことの方が、これはよほどやるべきことじやないか。しかもそれが世界慣行に従い、日本慣行に従うのですから、それこそやらなければならないことで、バス乗降口をかえなければいけないから、世界慣行を破つて日本人は右を歩かすのだ、それを長年これから努力して行つて実現するのだというようなことは、まつたく非論理的な、そういう簡單なお考えでは、私どもどうしてもこれは納得できないので、やはりはつきりした交通やり方に改めていただくようにしていただきたいのですが、もう一度納得の行くように何か理由がありましたらお述べを願いたい。
  24. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 先ほど一例としましてハスを申し上げたのでありますが、バス乗降口、それから信号機安全地帯、そうした今まで車馬につきましてとつておりまする左側通行に関連した施設というものを、全部改めるということになるわけでございまして、そういう意味人間歩行関係右側にするということにいたしたわけであります。なお徹底しない地方相当あることかと思いますけれども、これはやはり大方協力理解というものによらなければならないものだろうと思うのであります。なお世界通則ということは、対面交通ということにおいて通則でありまして、この対面交通による事故防止ということを中心に考えてこの切りかえをいたしたわけでありまして、この点は立花委員と見解を異にすることになりますけれども、私は現在の制度を今後とも続けて行けば、そう長くない機会において十分に成果を收め得るのではないかというふうに考えております。二年余を経た今日において、また元にもどすということの困難が、やはり相当考えられると思いますので、やはり国民が全体一致して、こうした制度の運営がうまく行くように、協力をして参りたいと考えておるわけであります。
  25. 立花敏男

    立花委員 まだそういう何か誤解があるのじやないか。私は対面交通をやめろと言つてはいない。対面交通左側通行とは一致するのではないかということを最初お尋ねした。しかもそれが世界慣行であり、日本人慣行であつたわけなので、対面交通をやりながら、しかも慣行を生かして行くという方法がとれるのではないか。あなたは最初からとれないというお考えなのですが、とれるのではないかということをお伺いしたのです。実は私は決して対面交通をやめろとは申しておりませんので、対面交通世界慣行であり、日本慣行である左側通行をともに生かしたらよいのではないか。多少の費用の問題はこの際こだわらない方がいいのではないか。あなたの言われるところによりますと、バス昇降口とか、信号機とか、安全地帯とかいうものは、ほとんど大部分これは都市のもので、日本のほとんど大部分を占める町村、田舎にはこういうものはないわけであります。都市におきましても、安全地帯とか昇降口のつけかえの問題は、そう莫大な費用でもないと思うのです。こういうもののために慣行を破つて、しかも不徹底なものをこれから努力してやつて行かなければならぬということは本末転倒ではないか、そう私は思うのです。だからこの際やはり根本的に道路交通取締法を改正されて、世界あるいは日本慣行に合致し、しかも科学的な方法をおとりになる方がいいのではないか。そのための準備期間をお置きになるのは私はいいと思います。そういう方法でおやりになるのが、やはりどこから見ても正しい方法ではないか。日本だけが多少の費用のために、世界慣行にはずれ、日本人習慣を無視してそういうことをやるということは、あまりこれは理性的なやり方ではないのではないかと思うので、根本的な意見をひとつ承りたいのですが、今後どうあつて日本だけのそういう形を、努力して実現して行こうというお考えなのか。これは当分やむを得ないのだが、そういう形にはいつか直そうというふうにお考えになつておるのか。それをひとつ……。
  26. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 ただいま御指摘の点は、この制度切りかえのときにずいぶんと論議された問題であります。私の考えを繰返して申し上げるようでありますが、対面交通をぜひやりたい、しかもできるだけ経費のかからない方法でやつて行くというためには、歩行者右側車馬左側ということによらざるを得ないということのために、こういう制度に切りかえたわけでございまして、われわれといたしましては、この制度をかえるという考えは持つていないわけでございます。
  27. 立花敏男

    立花委員 政府の内部ではそういう意見がかわされたかもしれませんが、あまり国民一般意見ではなかつたように私は思うのです。あのときも、やはり関係方面の意向が強く反映いたしまして、こういうものが何か出ましたので、国民一般はそういう論議はやはり聞かされなかつた。やはり一方的に決定されたといううらみが非常にあると思う。しかもこの問題に関しましては、反対相当にありました。議会でも私ども慣習にもどるじやないかということで反対したことを覚えております。もう講和の日も近づいておると言われておりますので、こういう問題こそ、はつきりとやはり国民意見も聞いてお直しになるのが、私は適当ではないかと思う。今、政府の方で強調されております費用の点なんかも、これが論議されます場合には、そういう問題はあまり出なくて、やはり関係方面の慫慂だということの方が強く出まして、費用がかさむから右を通さすのだというような点はあまりなかつた。しかも対面交通ということは非常に強く出ておりまして、対面交通のためにはやはりどうしても右を歩かなければいけないのだというふうに私は聞かされました。左側通行対面交通は両立するということが初めからわかつていましたら、おそらくこういう方法はとつていなかつたと思う。費用がこのくらいのことで済むのなら、対面交通を続けながら左側通行をさすべきだと思う。今になつてそういうことを聞かされても、国民はやはり納得できませんので、今からでもいいのですから、やはり慣行を生かしながら、そういう科学的な方法を取入れて、費用の方はまかなえるだけまかなつて行くということの方がいいのではないか。これはさいぜんからたびたび意見を伺つておりますので、これ以上申し上げる必要はないと思いますが、ひとつ意見として聞いておいていただきたい。
  28. 大矢省三

    大矢委員 自治体警察ができまして後に、免許証その他取締りについて、自治体警察が主として條例をつくつてつておる。このために業者はいろいろなことで非常に不便がある。これを今の府県でなしにさらに広げるか、あるいは少くとも全体を府県で扱う。そういうふうに統一して扱えないかどうか。たとえば道管なんかで扱うことと、それから府県交通局で扱うことと同一のことを扱つて業者は非常に迷惑している。これは道管で一手に扱うか、それとも道管の仕事を、府県交通局か何かで扱うようにして、やはり事務の簡素というか、二重監督、二重行政というものを廃止するのでなければ、これは非常に地方の人が迷惑している。それから自治体はいろいろ條例をつくつて、その地方に適応した條例取締りをやつておる、こう言われますが、取締られる方から参りますと、ただ事故のみを防止するために、自転車なんかも通さない区域が方々にある。このために産業を阻害し、それから一般の不便はおびただしいもので、取締る方からいうと、ただ部分的なものだけを見て、件数が減つているから、これで能率が上つているのだ、効果が上つているのだということを大分聞くのでありますが、むろん自転車も通さなければ事故が起らないのは当然です。そういう不便の点、損失の点をひとつも考慮されていない。今まではしばしば取締るという立場からのみものを考えているが、今度無軌道電車が方々通つたりいろいろすることについての條例なり、そういうものを規定し、こういうものを改正する場合に、そういう民意といいますか、一般の声を聞くという一つの機関をつくる必要があるのじやないか。今二つの問題ですが、いわゆる道管と府県との今日のこういうものに対する取扱いを一本にする必要がある。それから自治体警察というものは、もつと大きい機関で、道管なら道管でもよろしい、もつと地域の広い区域で扱うということにしなければ、こういうものができるたびに、地方では非常に迷惑しますから、そういうようなものを、もつと検討される——それが今までそういうことで不自由はなかつたかどうか。これにも書いてありますように、県に統一するとありますが、自治体警察の持つておる取締りというものを統一して、府県なら府県でやる、道管なら道管でやるということにしてもらつて免許証のごときも、五十人か三十人の自治体警察でもらうのは簡單で、今度は書きかえると、そんなところで簡單にもらつたのだからといつて、根性悪く厳重にやつて書き直してくれないということがあるのですが、こういうことも何とかここで改正して統一できないか。
  29. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 最初の道管と警察の取締りの問題でございますが、道管におきましては、自動車については主として車体検査を行つている。いろいろ関連がございますので、十分警察とも連絡をとるようにはいたしておりますが、どちらにかこれを一本にするというところまでは、今考えておらぬわけであります。それから自治体警察のいたしておりまする運転免許でございますが、これにつきましては、六大都市を除きまして、運転者の試験は全都府県の公安委員会でこれをいたしておりまして、その試験に通過した者に対して免許証を與えるということについて、自治体の公安委員会が關與するわけでございますので、非常に危険な者について簡易に出すというようなことはいたしておらないわけであります。なお自治体警察等において、事故防止のためという名のもとに、取締りが嚴に過ぎるというお話でございますが、取締りの行き過ぎということはよろしくないことで、十分改めて行かなければならぬと思います。われわれの方として自治体警察に対してこうせい、ああせいと言うことは、今の制度上いたしかねますけれども、必要なる機会において十分連絡をとつて趣旨に沿うようにして参りたいと考えております。
  30. 大矢省三

    大矢委員 今の免許証の問題を六大都市に限つて、両方で扱うということでありますが、御承知の通り道路は一貫しておるので、毎日のように六大都市の外、それから中で運転しておるのです。免許証は外で持ち、あるいはまた市側でもらつているということになつて、これは厳密に言うと両方で持つていなければならぬことになるが、それなかなか困難である。免許証のごときは道管で扱うことが当然じやないか、そういうことにすると何か不便がありますか。車体の検査はやるのだし、一切技術をそこで公平に試験している。地方自治体の仕事ばかりでなしに、道管なら道管でやつて、どこでも通用する——本人の住居がかわれば別ですが、毎日運転しているのですから、道管で免許証を渡すということにどういう不便があるか、その点まつたくのしろうとでありますから一応伺つておきます。
  31. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 先ほど申し上げましたように、運転者についての試験は、六大都市のように十分その施設も整い、試験する能力もあるところを除きましては、全部府県でやることにいたして、この免許証の交付だけを各公安委員会がやつておるわけでございますが、公正なる試験の結果免許証を受けた者は、一箇所で受けておりますれば、現在の制度におきましては、全国どこででも運転することができる。一々地域を限つてあれするということはいたしておりませんので、その点は今の制度でも支障ないものというふうに考えておるわけであります。
  32. 大矢省三

    大矢委員 道管でやるということの不便は、どうですか。
  33. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 交通取締りに任にております警察において免許証を與え、そして違反等の場合におきましては、免許の取消しというような行政処分とも関連する問題がありますので、やはり現在のところ警察で免許の事務を行うのが、適当であろうというふうに私は考えておるわけであります。
  34. 野村專太郎

    ○野村委員 この際踏切りの事故防止につきまして、お尋ねをいたしたいと思います。現在の交通取締法によりますと、踏切りに関しましては車馬関係だけを規制いたしておるようですが、現在一日八名、年間三千名になんなんとする尊い人命の死傷が起きているようです。これにつきまして、施設においても全然踏切りの設備のないところが相当あるようです。車馬事故以外歩行者事故が多いようで、こういう点は歩行者自体が踏切りに至つたとき、自発的に歩行を停止してこれに協力するような習慣を持つならば、非常に事故が防止されると思う。この点現在の取締法は車馬だけを制限いたしておるが、歩行者もやはりこれに準じて行かねばならぬと考えます。これに対する御当局のお考えを、ちよつと伺いたいと思います。
  35. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 ただいま御指摘のように、踏切りにおきまする事故は非常に多うございます。しかもそれが車馬の過失による場合もありまするが、矛行者の不注意による場合も非常に多いわけであります。この踏切りにおける各種施設については、堂々鉄道当局とも連絡をとつて施設の完備について慫慂いたしておるわけでありますが、ただいまお話のように、歩行者について法律上一時停止する義務を課していないということ、これは、そういうことを規定することも私は一つの考え方であろうと思いますが、何分にも自分の命にかかわることでありますので、やはり自分を守るという意識を持ち、個人について法律にまで規定して義務を課するということをせずに、むしろ事実上の指導慫慂によつてそういう事故防止をして行つた方が、いいではないかという気持で、今回の改正にあたり内部的に今お話のような意見も強く出たわけでございますが、特別にこの規定をするということはいたさなかつた次第であります。御趣旨はまつたく賛成であります。
  36. 野村專太郎

    ○野村委員 実際の指導によつて法律によらずにそうなればたいへんけつこうですが、たとえば二十四年度の状況を見ましても、四百八十二件のうち、歩行者事故が百九十四件を算しているわけであります。そういう点から、やはり一応人命を尊重し、歩行者の保全を保つ上からいつて車馬と同じに法規できめて、そういう習慣を馴致することが一番適切であろう、こう思うのです。これは先ほど委員各位からお話がありました。対面交通にしてもそうでありまして、日本自体の習慣もありまするが、現在の状態においては適切に行われておらない。法律をこしらえた以上は、やはりそれに馴致して行かねばならぬと思うのでありまして、この際これは何らか法文の上に明記すべきであると私は考えておるわけです。それからもう一つ、これは今の考え方とは反対なんですが、取締りの面はどういうぐあいになつておりますか、この機会にお伺いしたいと思います。今車馬がメイン・ストリートに出る場合には一応停車して、それから曲るわけですが、歩行者も、規制すると同様な手段において、いかなる場合でもそういう習慣を持たねばならぬと考えておるのです。視野も十分きいて支障のないようなところでも、たまたま罰則を相当手きびしくしているところもあるようですが、今日はスピード、能率の時代であります。前の考え方とは違つていて矛盾を感ずるのですが、現在の取締りの罰則はどういう方法でやつておりますか。閑散なところでもパトロールの人が出てやつていて、こういうような面でも非常な矛盾を感ずるのです。むろんいかなる場合にも一応停車する習慣をつけなければならぬとは思いますけれども、罰則を適用する場合には、実際の運用としてはどういうことになつておりますか、実情をお話願いたいと思います。
  37. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 法律の第十八條に「車馬又は軌道車は、狭い道路から広い道路に入ろうとするときは、前二條の規定にかかわらず、一時停車するか又は徐行して、広い道路に在る車馬又は軌道車に進路を譲らなければならない。」こういうふうになつておりまして、原則的に一時停車するという建前でございますが、明らかに安全であるということが、はつきりしているような場合にまで、この取締りを行き過ぎるほど適用して行くということは、これは適当でないと考えております。そういう点について、もし現実に行き過ぎの取締りがあるようでありますれば、十分に今後注意して参りたいと考えております。
  38. 野村專太郎

    ○野村委員 私は、法律としてきまつておるからそういう習慣を無視してやつてもいいという考え方ではないのですが、警察官も非常に手が少いのですから、そういう場合にはなるべく訓戒をして、あまり行き過ぎのないように幅を持つてやるべきである。そういう事例が非常に多いのでありまして、この注の運用につきましては、十分そういうことを馴致すると同時に、そういうような事故に対しては、やはり適切にこれはやらるべきであると考えております。そこで対面交通のことですが、せつかく対面交通を取上げた以上は、やはりこれが十分に板につくよう熱意をもつて努力すべきである。そしてそれがどうしてもいかぬということであれば、そのときに日本独自の考えで根本的に考えたらいいと思うのですが、これに対してどの程度の努力をいたしておりまするか、この点について御説明願いたいと思います。
  39. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 対面交通につきましての指導奨励でございますが、これは警察官の直接の指導ももちろんでございまするが、学校、団体等に対しましても、十分趣旨徹底をはかつておる次第でございます。なおこの四月下旬の全国におきまする交通安全旬間におきましても、特に対面交通趣旨徹底、踏切における事故の防止、この二つを重点事項として取上げまして、全国的に安全運動を展開して行こうと考えておるわけであります。もちろん今までも努力はいたして参つたのでありますが、至らない点も多々あつたと思いますので、今後はお話の御趣旨に沿うように、十分注意をして参りたいと考えます。
  40. 野村專太郎

    ○野村委員 この問題は将来ともそういつた当局の指導によつて完成される見通しがあるかどうか、その点もう一ぺん伺います。
  41. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 私ども考えといたしましては、長い間の慣習でありまするので、相当に困難な問題もあろうと思いますけれども、すでに学校その他の指導を通じまして、若き世代の人には相当趣旨徹底して参つて来ておるというふうにも考えておりまするし、先ほどからも申し上げまするように、この際さらに馬力をかけまして、この制度の円滑なる運営をはかることに努力をいたし、また大方理解協力を得るようにいたして参りまするならば、必ずや遠からぬ将来におきまして、りつぱな実を結ぶものであろうというふうに考えておるわけでございます。     —————————————
  42. 金光義邦

    金光委員長 次に、国会議員の選挙等の執行経費基準に関する法律の一部を改正する法律案を議題として質疑を許します。
  43. 立花敏男

    立花委員 この間六区の補欠選挙がありました場合に、入場券が約二割、枚数にいたしまして約三万枚配付されなかつたという問題が起つておるのですが、選管はこれを御存じかどうかお尋ねいたします。
  44. 吉岡惠一

    ○吉岡政府委員 最近、東京都へ聞きまして、やや事情は承知しております。
  45. 立花敏男

    立花委員 どの程度……。
  46. 吉岡惠一

    ○吉岡政府委員 入場券の配付されなかつたのは、今お話されたほどの数はないと思うのですけれども、事実上東京都では非常に住所の移転が多うございまして、入場券が有権者に行かない場合が相当ある。しかしながら、これは入場券がなくても投票はできるというふうに扱つておりますし、またそういう宣伝も相当つておりますから、そう実際の投票にさしつかえを来したことはないと思います。今お話のような数があるということは、伺つておりません。
  47. 立花敏男

    立花委員 これは江東区の選挙管理委員長の森さんの談話として出ているのですが、ひどい所は、高橋方面ですが、五割以上も配付できなかつたと言つておつたわけです。そういうように相当多数の者が配付漏れになつておつたことは、事実だと思うのですが、そのことについて、都の選挙管理委員会あるいはあなたの方で、その原因はどこにあつたか、なぜそういう間違いが起つたのか、その当時の状況をおつかみになつておられましたら、お聞かせ願いたい。
  48. 吉岡惠一

    ○吉岡政府委員 そういう具体的のお話は、まだ聞いておりません。お話の点は、江東区の選挙管理委員長お話だということでありますが、よくその点は調べて、あとでお答えを申し上げます。それからもう一つ、ついでに申し上げておきたいのですが、右巻の問題でお話がございましたが、あれを調べましたところ、解職の理由には、選挙運動をやつたということはなつていないようでございます。
  49. 立花敏男

    立花委員 表面の理由としては、選挙運動が理由には出ておりません。そういうように形の上では、何ら関係のないという形をとつておりますが、公平委員会が無効の裁定をくだすような形式上、違法の形をとつて行かなければならなくなつた本質的な原因は、やはり選挙の問題に端を発しておることは、疑いの余地のないところなので、それがなければ、どうしてああいうむちやなことをやつたかという理解がつかないのです。そういう本質的な点まで立入つてお調べを願つて、それに対する適当な措置をお考え願いたいという意味で申し上げたのです。それはもう地方へ参りますと、公然の事実となつて地方公務員の人、また石巻の人々が、みなそう認識しておりますので、二の点を明らかにしていただきたいという意味のことだつたのです。それから今の問題ですが、今この委員会では選挙費用が問題になつておりまして、六区の選挙が始まります前にも、費用が足りないのじやないか、六区の選挙に間に合うように、費用をお出しになつたらいいのじやないかということを私は申し上げたのですが、やはり選挙管理委員長がその理由としてあげておられますのは、補欠選挙だから非常に費用が少くて、三分の二に削られたということを言つておつたわけなんです。だからこういう配付漏れも出て来たのだ。人手もないし、配付もできないから、二業地、三業地には一括配付したのだ。あるいはこの三月、雪が降つたりなんかして、人手が少くて配付ができなかつたから、やむを得ず五割も残つたのだということを言つておられまして、やはり費用の問題が非常に大きな原因になつておるわけなんですが、これはやはりあなたの方としても、一部の責任があるのではないかと私は思いますし、こういうことがほんとうに原因であるとすれば、これは至急対策を立てなければいけないのですが、一体費用の問題は、六区の選挙ではどうであつたのか、お尋ねしたいと思います。
  50. 吉岡惠一

    ○吉岡政府委員 六区の選挙の費用は、現行法で計算をして配付をいたしました。従つて実体とはやや差異があると思います。
  51. 立花敏男

    立花委員 向うの選挙管理委員長の申しておりますの、総選挙のときの三分の二しかなかつた。補欠選挙だから非常に少かつたということ言つておるのですが、そういう事実があつたかどうか。
  52. 吉岡惠一

    ○吉岡政府委員 補欠選挙の際の選挙執行の費用は、法律で三分の二ということをきめております。これはやはり補欠選挙の場合は国民投票が一緒にないとか、その他いろいろなことで、少くて済む場合がありますので、そういうことにきめておるわけでございます。
  53. 立花敏男

    立花委員 そうなつて参りますと、やはりこの入場券がそれだけ配付されなかつたという事実の原因は、選挙管理委員長言つておりますように、費用が非常に少かつたということが、根本的な原因になつておるのじやないかと思うのですが、そういう事実、今度の問題の原因は、費用の問題にあつたということを、お認めになるかどうか。
  54. 吉岡惠一

    ○吉岡政府委員 今のお話の問題は、よく事情を調べてから意見を申し上げます。
  55. 立花敏男

    立花委員 それから入場券の問題ですが、入場券については、法的には規定も何もないと思いますが、しかし実際上は、個々の選挙民になりますと、特に六区あたりの労働者の多い地区になりますと、法的に規定があるかどうかということは、選挙民はほとんど関心を持つておりませんので、やはり入場券がなければ入場できないととるのは当然だと思う。そういうものをこういう扱い方をして、混乱を起さしていいのかどうか、その点どういうふうにお考えになつておるか。
  56. 吉岡惠一

    ○吉岡政府委員 入場券を配付するという規定は、政令にございます。それで入場券を配付するかどうかという問題は、これは非常にむずかしい問題でありまして、入場券を配付した場合に、かえつて不正の投票があるということも考えられます。それで大阪でありましたか神戸でありましたか忘れましたが、あの辺は配付していないのがあります。東京は配付しております。その辺は、その土地土地の実際の事情にまかせておるような状態でございます。大部分は配付をしております。
  57. 立花敏男

    立花委員 政令には、しなければいけない、とありますか、してもいい、とありますか。一体どういう規定になつておりますか。
  58. 吉岡惠一

    ○吉岡政府委員 公職選挙法施行令の二十一條の第一項でございますが、「市町村の選挙管理委員会は、特別の事情がない限り、投票の期日の前日までに選挙人に投票所入場券を交付するように努めなければならない。」「特別の事情がない限り」という例外を設けて、原則としてはやるんだという考えであります。
  59. 立花敏男

    立花委員 そういたしますと、二業地三業地の組合のおやじに一括交付するというようなことは、やつてもいいものかどうか。
  60. 吉岡惠一

    ○吉岡政府委員 一括交付は適当でないと思います。
  61. 立花敏男

    立花委員 そういう事実がありとすれば、それはどういうような結果になりますか。
  62. 吉岡惠一

    ○吉岡政府委員 それは具体的の場合をよく検討しないと、どうということは申し上げられないですが……。
  63. 立花敏男

    立花委員 だから、適当でないとおつしやるのは、法律の建前上そういうことをやつちやいけない、従つて違法であるという意味なのかどうか。
  64. 吉岡惠一

    ○吉岡政府委員 これはその程度によりまして、違法の場合もあるし、問題になり得ない場合もあるし、いろいろ違うと思います。
  65. 立花敏男

    立花委員 今言いましたように、二割、約三万といわれておるのですが、しかも向うの委員長の話によつても、高橋方面は五割も配付できなかつたと言つているわけです。それから二業地の組合長ですか理事長ですか、その談話を読み上げますと、組合へ一括交付されて迷惑した、三業地の方も一括だという話を聞いておる、こういうふうにあつて相当多数のものが、やはり二業地三業地の組合のおやじさんに一括配付されているのですが、この程度だと、どういうふうにお考えになりますか。
  66. 吉岡惠一

    ○吉岡政府委員 実際に配付された結果、不正があるかどうかということが、結局問題になると思うのです。
  67. 立花敏男

    立花委員 それは別問題じやないですか。配付自体が問題なんで、その結果どうなつたか。これはまた別の問題にさるべきであつて、配付自体が、あなたの言われたように、程度によつていろいろ違うということを言われたのだから、今言いましたような程度だつたら、どういうふうにお考えになるか、法令に定められておりますらちを越えておるとお考えになるのかどうか。
  68. 吉岡惠一

    ○吉岡政府委員 それは配付の方法として、やはりそういう人を通して配付する場合もあるし、それから郵便による場合もありましようし、そういう方法をやつたからといつて、それがいかぬとは言えないと思います。
  69. 立花敏男

    立花委員 しかしあなたは、適当でないとおつしやりましたでしよう。その不法か不法でないかは程度によるとおつしやつたのだから、今のような程度だつたらどうだということを聞いているわけです。だから、問題の焦点はそこにありますので、具体的に話が出ておりますので具体的にひとつ御答弁願いたいと思います。
  70. 吉岡惠一

    ○吉岡政府委員 二業地とかそういうところで、代表者の人へ配るということは、不正のおそれがあり得ると思うのです。それで適当でないということを申し上げたのですが、もしその代表者が不正をやるおそれがないものであれば、私はそういう方法をとつてもさしつかえないと思います。いかぬと申し上げたのを、違法であるというぐあいにおとりになつたかもわかりませんが、実際正確に本人へ到達すればいい、ただ入場券をそういう代表者が、場合によつては悪く利用して、本人に渡さないで、自分なり、場合によつてはほかの人にそれをやつて、かわりの投票をやるという事例が、相当東京等では見られましたので、適当でないと申し上げたのです。それが完全に有権者に届くようなことであれば、私は一向さしつかえないと思います。
  71. 立花敏男

    立花委員 東京で不正の事例が見られたというのは、今回の選挙ですか。
  72. 吉岡惠一

    ○吉岡政府委員 昨年の地方選挙の際です。
  73. 立花敏男

    立花委員 それから政令によりますと、やはり選挙人に渡さなければいけない、渡すように努力しなければいけないとありますが、そうなりますと、やはりそういう二業地三業地のおやじさんに渡すということは、非常にこれは危険だ。あなたの言われる不正投票の危険もあるし、しかも政令で定めた趣旨にも反すると思うのですが、こういう点で今回行われたやり方に対しては、非常に問題があると思うのです。だから、こういうことが今後行われていいのかどうか。この点についてどうお考えになつておりますか。
  74. 吉岡惠一

    ○吉岡政府委員 それはやはり、郵便等で配ることの方が正確は期し得ると思います。しかしながら、郵便で配りますのは相当費用もかかりますので、不正のおそれがあるなしもよく検討いたしませんと、そういうふうな配り方の事例が相当あるようでありますが、それをすぐやめるということはできないと思います。
  75. 立花敏男

    立花委員 それで先ほど読み上げましたように、一括配付をされた、委託された組合の方で、非常に迷惑だということを言つているわけなんです。そういうところへ單に費用が足りないから、費用の節約になるから、どんどん上から持込むのだということになりましては、これはあまりに選挙をもてあそぶものではないか。單に費用の点から、ほんとに選挙民にとりましては、それがなければいけないと思つている入場券を、そういうふうに扱うことは、選挙が公平に行われない最も大きな原因になるのじやないか。六区の補欠選挙が低調だつたのは、やはりこういうやり方をやつておられて、ひどいところは五割も入場券が行かないというようなやり方をされているところに、問題があるのじやないか、根本的な原因があるのじやないか。だから今後も費用の点を口実にされてこういうことをするなら、むしろ入場券を廃止された方がいいじやないか、廃止された方が間違いが起らないし、費用がかからないし、選挙の公正がかえつて保障されるのじやないか。ラジオでも放送しておりました。同じ法被を着た人が何回も投票所に出入りをするという諷刺的なことを、娯楽版ですか何かで言つておりましたが、こういうことが公然と行われておりますので、それを助長するような、カフエーのおやじさんに一括交付するというような形を、費用がないからやむを得ない、今後もそういうことはあまり改める考えはないと言われるのでは、こういうものはおやめになつた方がいいじやないかと思いますが、その点もう少し御意見を承つておきたいと思います。
  76. 吉岡惠一

    ○吉岡政府委員 入場券は、厳格に考えれば、ある程度弊害のある面もあります。しかしながら、全般的に考えまして、選挙人名簿に載つているか載つていないかを、実際縦覧に供しましても、見に来る者がない。そういう場合に、入場券が参りますと、載つているということを知らせることにもなりますし、また投票がいつあるということを知らせることにもなるし、棄権を防止する意味からいつて相当効果があることで、相当の利点がございます。従つて利点と弊害と比較考量して決定しなければならぬ問題であります。まだその程度の弊害のためにやめるということは考えておりません。
  77. 立花敏男

    立花委員 しかし六区の選挙にその弊害がはつきり現われて来たじやないか。あなたの方で数ははつきりおあげになりませんが、私の方で聞いております数は約二割、三万という数が配付されていない。しかもそのうちの多数のものが一括配付されておる。こうなつて参りますと、弊害が非常に大きくなつて来たじやないですか。ここでやはり政府の方でも考えなければいけないのじやないか。あるいは選挙管理委員長はつきり言つておりますように、金がなくて配れないという、その金を十分お出しになるなら、あなたの言うこの制度のいい面が生きて来るでしようが、金を出さずに、弊害がこれだけはつきりして来ておるのに、今後続けるということは、選挙の公正をかえつて入場券によつて破壊して行くのじやないかと思う。もちろんあなたの言われるように、選挙権があるかないかを知らせる便益は、理論的にはあるでしよう。しかし逆に言いますと、入場券が来なかつたから、選挙権はないんだと考える面が出て来るじやないか。入場券が来るべき建前になつておるのに来ないから、おれは選挙権がないのだと考えるのは当然だと思う。そういう弊害が、三万票、三割も出ておる。ひどいのは五割も出て来ておるとなりますと、あなたの言われる理想的な入場券の効果の面よりも、弊害の方が多くなつておるのじやないですか。こういう現実の姿に立脚して対策をお考えにならないと、実際の選挙の公正が期せられないと思う。理論的に入場券が有効かどうかという問題よりも、六区の選挙に現われた現実の姿をどういうふうに解決したらいいか。費用を十分にお出しになるか、あるいはこういう混乱を起す弊害が強く現われて来た入場券をおやめになるか、これははつきりする必要があると思うのですが、そういう点をお答え願いたいと思います。
  78. 吉岡惠一

    ○吉岡政府委員 相当たくさん入場券の配付がなかつたというお話でありますが、この点はやはり事実をよく調査した上で意見を申し上げたいと思います。それからこの問題は多分訴訟に出ておるという話を聞いておりますので、そういう点は訴訟ではつきりされることと考えます。
  79. 立花敏男

    立花委員 訴訟ではつきりしますが、私ども制度の上で問題にしたいと思いましてお話しております。やはり財政の問題とか制度の問題は、訴訟では出て参りませんので、やはりここで討論するしか仕方がないと思います。訴訟の問題が出ましたからお聞きいたしますが、この入場券の不正配付の問題と選挙の効力との問題で、一般的にどういうふうな関係があるとお考えになつているか。
  80. 吉岡惠一

    ○吉岡政府委員 入場券は法律的にぜひ出さなければならぬということにはなつておりませんし、入場券が配られなかつたから投票ができないということでもありませんので、その結果選挙の無効を来すというようなことはないと考えております。
  81. 立花敏男

    立花委員 そうしたら入場券がいくら不正な配付をされておつても、不正投票の事実が確認され、それによつて裏づけられない限りは、入場券の不正投票は選挙の効力に対しては、全然無関係だというふうな御意見ですか。
  82. 吉岡惠一

    ○吉岡政府委員 入場券が間違つて本人に行かないで、ほかの人が使つて投票をした、いわゆる不正投票、詐欺投票と申しますか、この結果による選挙の無効、有効は、これはまた別であります。
  83. 立花敏男

    立花委員 だから入場券の不正交付が行われておつたことが明らかになつても、それは選挙の効力には関係ない。それが不正投票によつて裏づけられない限りは、不正投票を確証されない限りは、入場券の不正交付だけでは選挙の効力には関係がないということなんですか。
  84. 吉岡惠一

    ○吉岡政府委員 不正交付によつて、ただちに選挙に影響を及ぼすのではございませんで、不正交付の結果不正投票が行われたかどうか、それによつてきまる問題であります。
  85. 立花敏男

    立花委員 だからあなたの言われることは、言葉をかえて言えば、不正投票はいくら行われても、選挙の効果とは別問題であるとおつしやられるのかどうかです。
  86. 吉岡惠一

    ○吉岡政府委員 それはそうでありません。不正投票が行われておりますれば——一人有権者でない人が、ほかの人の入場券を利用して入つて投票したということになりますと、その一票は、専門的に申しますと潜在的無効投票ということになりまして、一票無効にしまして、得票者からおのおの一票ずつを引いてみて、場合によつては当選無効の結果を生ずるということになります。
  87. 立花敏男

    立花委員 あなたの言葉がはつきりしなかつたのですが、それでは不正交付の場合でも、不正交付が行われてない場合でも、選挙の効果に影響を及ぼすことがあるのですか。
  88. 吉岡惠一

    ○吉岡政府委員 不正交付の結果、不正投票がなければ、大体原則として選挙の結果には影響がないと思つております。
  89. 立花敏男

    立花委員 不正投票があるかないかはどうして立証するのですか、立証されなければ不正交付がいくら行われておつても、それは選挙の効果とは無関係だとおつしやるのがどうかということを聞いておるのです。
  90. 吉岡惠一

    ○吉岡政府委員 それは投票に来た人と、それからだれが来たということは投票所の方でつけますから、それと照し合せて不正投票があつたかどうかということを調べるわけであります。
  91. 立花敏男

    立花委員 だから不正投票の確証がなければ、不正配付はいくら行われてもいいのだ、不正交付がいくら行われても選挙の効果には影響を及ぼすことはないのだということが言えるのかどうか。私ども法律できめてあります以上、不正交付が行われれば、やはり選挙の効果にも影響があると思うのですが、あなたは不正交付はいくらあつてもいいのだ、不正投票が確証されなければ、それは選挙の効果には関係ないのだという御意見のようなんですが、そう解釈していいのかどうか。
  92. 吉岡惠一

    ○吉岡政府委員 私は不正交付があつてもいいとは申し上げていないのです。結局不正交付の結果、不正投票があつたかということをよく立証して、調べなければ結果の判断はできません。
  93. 立花敏男

    立花委員 だから不正交付と選挙の効果を結びつけで質問しているわけなんで、不正投票が立証されなければ不正交付がいくらあつても、選挙の効果には関係ないのだとおつしやられるのかどうかということです。
  94. 吉岡惠一

    ○吉岡政府委員 選挙の結果に異動を及ぼす不正交付というものは、これは相当な不正交付でなければいけないと思う。そういう不正交付というのは、ほとんど考えられないことであります。
  95. 立花敏男

    立花委員 考えられないでここに二割、三万票も不正交付があつたら、私は相当な不正交付だと思う。あなたの言われる相当なというのは、一体どのくらいなんです。
  96. 吉岡惠一

    ○吉岡政府委員 不正交付といわれるのは、それは配られなかつたものです。私が不正交付と申し上げるのは、ほかの人へ入場券を故意に配付した、そういう不正交付です。今お話の入場券を配らなかつたのは、私の申し上げた不正交付には入りません。
  97. 立花敏男

    立花委員 それでは政令できめてあります「選挙人に投票所入場券を交付することに努めなければならない。」というのはこういう配られて迷惑するような一括交付をやつても、いいということなのかどうか、私はこれが不正交付だと思う。配られた責任者が、こんなものを配られて迷惑した、しかもそれを配らぬでほつぽらかしてある。こういうところへ交付しておいて、これが正当な交付と一体言えるのですか。法令できめた正当な交付とこれは言えますか。これこそ私は不正交付じやないかと思う。名あてが間違つて行つたことが不正交付ではなくて、配られて迷惑をする。それをほつぽらかしておく。あるいはそれを悪用したかもしれない。こういうようなところへ配つてつて、それが不正交付でないと言えますか。これも何万にも上つておるということになると、これは不正交付が相当多数に上つておるといわざるを得ないと思うのです。あなたはやはりこういうものは不正交付ではない、正当な交付なんだ。しかもこれくらいでは相当の数だということはできないのだというふうにお考えになつておるのかどうか。それからもう一つは、あなたは相当な不正交付があれば、やはり選挙の効果に影響を及ぼすとお考えになつておるのか。今度の問題は相当の数ではないから、迷惑を及ぼさないとお考えになつておるのか。その点はどうなんですか。その点はさつきから聞いておる根本問題なんで、不正交付が選挙の効果に影響を及ぼすことがあるかどうか。この問題なのです。
  98. 吉岡惠一

    ○吉岡政府委員 私が申し上げているのは、言葉が悪いかもしれませんが、不正交付でないものは正当な交付と申し上げているのではないのです。これは適当でない交付ということを申し上げているのです。また不正交付がどの程度だつたら選挙の結果に変化を及ぼすかということは、これはほんとうに具体的の事例を申し上げぬと、いわゆるどういう選挙規定の違反が選挙無効の結果を生ずるかということは、一概には申し上げられません。
  99. 立花敏男

    立花委員 私は特定の問題を一概に答弁してくれと言つているのではない。この入場券の不正交付の問題が、選挙の効果に影響を及ぼすことがあり得るのかどうか。具体的にどういう場合でもけつこうです、そういう場合があり得るかどうかということを聞いているのです。あなたはそうではなしに、不正交付があつてもいいのだ、これが不正投票によつて裏づけられない限りは関係ないのだということを言つておられるのか。ある場合には不正投票がなくても、不正交付だけで、あるいはあなたは不当交付だと言われるかもしれませんが、不当交付でもいいのですが、そういうこともやはり選挙の効果に影響する場合があると言われるのか、全然ないと言われるのか、ある場合あると認められるのか、どつちか。
  100. 吉岡惠一

    ○吉岡政府委員 ちよつと考えられませんが、入場券の不正配付のために選挙無効を生ずるということは、おそらくないのではないかという気がいたします。
  101. 立花敏男

    立花委員 それじやまあはつきりしないわけですね。
  102. 吉岡惠一

    ○吉岡政府委員 はあ。
  103. 立花敏男

    立花委員 そういたしますと、私どもはやはりもつとよくお調べ願いたいと思うのですが、こういう重大な事態になつて来ますと、やはり対策をはつきりしていただかないと、いくら不正交付をしても選挙の効果に影響ないのだということになると、どんどんこういう形で行われて、とんでもない選挙になりはしないかということを、私は現実の問題としておそれますので、この点ひとつ次の機会でもいいから、はつきりしていただきたい。ついでですから一つ聞いておきますが、きのうの新聞ですか、参議院の全国区を廃止するという案が、選管の方にあるという委員長のなにか発表されておるのですが、あれについてお知りの範囲でけつこうですから伺いたい。
  104. 吉岡惠一

    ○吉岡政府委員 きのうの読売新聞に出ました記事は、あれは選挙管理委員会意見でも何でもない。近く選挙制度調査会を開きまして、参議院議員の選挙制度と、それから憲法改正の国民投票の問題を審議したいという意向があるのです。それに関連してああいう記事が出たことと思います。そういう意見は全然ございません。
  105. 立花敏男

    立花委員 あれはそれでは委員長個人の意見ですが。
  106. 吉岡惠一

    ○吉岡政府委員 あの記事は、よく見ますと、委員長個人の意見でもないようで、ただこういうことが問題になるという記事のようでございました。     —————————————
  107. 金光義邦

    金光委員長 それでは次に消防に関する件について調査を進めます。ただいま国家消防庁より長官及び監理局長が出席されておりますので、質疑を許します。川本君。
  108. 川本末治

    ○川本委員 時間も大分経過しておりまするし、きようは地財委関係が来ておられませんので、私の質問する趣旨に沿わない点がたくさんあると思いますが、せつかく国家消防庁から長官も来ておられまするので、ごく簡單に二、三の例だけを申し上げて御意見を承つておきたい。その他の問題は次の機会に譲りたいと思います。まず最初お尋ねしたいと思いますのは、ごく最近に大都市の消防機構を次々に縮小して行つているような感じが見受けられるのでありまするが、特に大阪市のごときは次長制を廃止したり、また職員を三百数十名も整理することを、すでに発表しておるようでありまするが、治安の現段階から行きまして、消防の機構を拡大することはむしろ必要であると考えられまするときに、こういうことが次々に行われておりまするが、国家消防庁としましては、こういう点について地方から詳細な報告を受けておいでになるか、または受けておいでになりましたらこれに対処する方法として何かお考えになつておりますか、まずその一点を最初に伺つておきたいと思います。
  109. 新井茂司

    ○新井政府委員 ただいま御質問のように、二、三の都市におきまして消防機構を縮小し、また特に消防職員を減員するというような話を耳にしております。しかし正式に報告を受取つておるというわけではございませんが、さようなことも耳にしておるのであります。しかし一方におきましては、これと反対に消防機構を充実して、また消防の人員も増しておるところもあるのでありまして、一般的な傾向として消防の弱小化をはかるというような一般的な傾向はまだ見受けられておりません。しかしながら御指摘になられましたように、消防の重大性、特に火災の件数も、昨年度におきましては一昨年度に比較いたしまして、約二千件もふえておる状況であります。また燒失いたしました建物坪数にいたしましても、昨年度は七十一万坪、またわれわれの方に報告せられました損害額をとりまとめてみましても二百二十二億というような莫大な額に上つております。この二百二十三億の損害額は、われわれがとりまとめた数字でございますが、燒失いたしました坪数等に比較いたしてみましても、これは非常に内輪な数字になつているのでありまして、おそらくはこの二百二十二億を相当上まわるのが、実際の損害額であるというふうに見受けられますので、かような経済的な損失が莫大でありますのみならず、特にこの損害というものは非常なる市民の不安感の中に、治安の乱された中において起る事柄でありますのでわれわれは現在の消防機構を縮小したり、あるいは消防職員を減員するというようなことは、嚴にこれを愼しまなければならぬことだと考えております。
  110. 川本末治

    ○川本委員 そこで今のお答えについて、もう一つ突き進んでお尋ねしたいのでありますが、現下の実情はよく御承知のことでありますが、国家消防庁として、今のままで放任しておかれる考えか、それとも地方の中小都市に国家消防庁としての権限の及ぼす範囲において、今後火事がないから消防がいらぬというような考え方をしておりますのが、地方の中小都市理事者の大方考えだと思いますが、これに対して消防庁として特に大阪などの問題これは私の推測に過ぎませんが、おそらく財政難だということが、向うの言い分だろうと思いますが、一方から考えてみても、今の長官の御説明の中にありまするように、すでに内輪に見積つた損害だけでも、一年に二百二十二億円にも及んでおる。地方ではそれを非常に軽視しておることは、いつか一度御質問申し上げたこともありますが、小田原の火事を見ましても、松阪市の火事の現状を見ましても、全部が消防に対しまして、非常な理事者の認識不足から、あの大きな損害ができて、しかも国会でこれに対して応急の処置を講ずるような法案をつくらなければならない現状になつておるのに、一方そのことがあるかと思うと、すぐ大阪のような大都市がこういうことをしておる。今の消防の現有勢力をもつて、今日同時多発の謀略的な放火がやられるかもしれないというようなときに、これで十分備えることができるかということについて、十分であるというふうに国家消防庁ではお考えになつておりますかどうか、この点の御意見を承りたいと思います。
  111. 新井茂司

    ○新井政府委員 ただいまの御質問に対しまては、われわれまつたく同一の意見を持つておるのでありまして、現在の消防の勢力というものが、ほんとうに消防に対して責任を持ち得るまでの段階に立至つておらないという感を、常に持つておるのであります。特に都市におきまする有給の消防職員の数が、まだ不足しておるということを痛感をいたしておるのであります。この消防職員の充実につきましては、もちろん地方財政に重大な影響を與えるものではありますけれども、治安の面並びに火災による経済的な損害ということをあわせ考えますると、相当に財政的な負担にはなりますけれども、なおかつ消防を充実することによつて、得る方の利益が大きいということを確信しておる次第であります。従いまして、現在有給の消防職員は、全国におきまして約三万一千名ございますけれども、この三万一千名の現員を減らすことは、一般的に申しまして非常に不適当だと考えます。もちろん消防は市町村の自治にまかされておりますので、都市によりまして、消防の職員が割合に充実しておるところ、またはなはだしく足りないというようなでこぼこはありますけれども、全般といたしましては、この三万一千名の職員をもつていたしましては、まだまだ不足の状態でありまして、これをさらに充実せしめることが、結局経済、財政的な見地からも、必要であると考えておるのであります。従いまして、常にこの消防の設備並びに人員の充実を、われわれの権限内において勧奨しているのであります。あるいはまた通牒によつて一般的な注意を喚起いたしますとともに、場合によりましては、会議等において詳細にこれが説明をし、また個々の都市につきましては、都市の等級化ということを行いまして、消防の職員等については、重大な関心を持つてその充実をはかるように、欠陥は指摘いたしまして、その弱小化を防止いたしますというよりは、その充実を期待している次第でございます。なお大阪の問題につきましては、さようなこともごく最近に耳にいたしましたので、これはさらに検討いたしました上で、適当な措置を講じたいと考えております。
  112. 川本末治

    ○川本委員 よく趣旨は了承できますが、最近政府は行政機構の改革に手をつけておりますが、その中には当然この消防機構についても、何らかの方法が講ぜられると思つております。これは今まだ発表されておらない問題でありますから、その内容等につきましてはお尋ね申し上げる必要もありませんし、またお答え願わなくてもよろしいが、これを検討されております間において、国家消防庁としては行政簡素化本部の方に、現在の消防の実情を十分述べられて——現在でも国家消防庁の機構は非常に弱体なんですから、これがさらにまた縮められるようなことになりますと、非常に大きな問題になりますので、この点については十分御検討をされまして、より以上機構が強化されるように努力をしていただくように、この機会に特にお願いを申し上げておきたいと思います。それからお話の中にもありましたように、何をいいましても財源の問題で、国家消防庁としては非常に苦しい立場に立つておられると思います。さらに消防は自治体のものであつて、国家消防庁の権限としては、いろいろな面について十分な活動のでき得ないことを十分了承いたしておりまするが、この場合に特に地財委方面などに向いまして、国家消防庁としても現在の欠陥が少しでも補えるように、これまた一段の御努力を願つておきたいと思います。今日は地財委方面の人がおりませんので、最初申し上げましたように、いずれ次の機会にまたおいでを願いまして、国会としては、地方財政委員会の方に向つて、消防財源の裏づけの問題については、起債その他の点も十分考慮してもらうように、私どもの方からも主張するつもりでありますが、本日はすでに時間もありませんので、非常に遅くなりまして御迷惑だと思いますから、これだけのお願いを申し上げまして、私の質疑は打切りたいと思います。
  113. 金光義邦

    金光委員長 午前中の会議はこの程度にし、午後は二時半より再開することにいたします。暫時休憩いたします。     午後一時十八分休憩      ————◇—————     〔休憩後は開会に至らなかつた〕