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1952-04-01 第13回国会 衆議院 地方行政委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年四月一日(火曜日)     午前十一時二十七分開議  出席委員    委員長 金光 義邦君    理事 大泉 寛三君 理事 野村專太郎君    理事 床次 徳二君 理事 門司  亮君       川本 末治君    橘  直治君       前尾繁三郎君    吉田吉太郎君       藤田 義光君    大矢 省三君       立花 敏男君    大石ヨシエ君  出席国務大臣         国 務 大 臣 岡野 清豪君  出席政府委員         総理府事務官         (地方自治庁次         長)      鈴木 俊一君         総理府事務官         (地方自治庁財         政課長)    奧野 誠亮君  委員外出席者         総理府事務官         (地方財政委員         会事務局府県税         課長)     柴田  護君         専  門  員 有松  昇君         専  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 四月一日  委員小玉治行君、佐藤親弘君及び八百板正君辞  任につき、その補欠として首藤新八君、三浦寅  之助君及び上林與市郎君が議長の指名で委員に  選任された。     ————————————— 三月三十一日  地方公務員法の一部を改正する法律案内閣提  出第一四二号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第  七四号)  地方財政法の一部を改正する法律案内閣提出  第一二二号)  地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案  (内閣提出第一二三号)  地方公務員法の一部を改正する法律案内閣提  出第一四二号)     —————————————
  2. 金光義邦

    金光委員長 これより会議を開きます。  昨三十一日本委員会に付託されました地方公務員法の一部を改正する法律案内閣提出第一四二号を議題といたします。政府より提案理由説明を聴取いたします。岡野国務大臣。     —————————————
  3. 岡野清豪

    岡野国務大臣 地方公務員法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及び内容概略を御説明申し上げます。  地方公務員法は、一昨年十二月第九国会において成立し、昨年二月から施行されているのでありますが、このたび地方行政簡素化趣旨にのつとり、また同法の実施状況等にかんがみ、これに所要の改正を加えることとし、本法案を提出いたしたのであります。  次に本法案内容につき、その概略を御説明申し上げます。本法案におきましては、まず地方行政簡素化趣旨にのつとるものとして、第一に、現在五大市以外の市は、人事委員会を置くことができることになつておりますのを改め、人口十五万未満の市は、人事委員会を置かないで公平委員会を置くことといたしております。第二に、公平委員会事務については、これを都道府県人事委員会に委託して処理する道を新たに開くことといたしております。第三に、現在人事委員会には必ず事務局を置くこととなつておりますのを改め、五大市以外の市で人口十五万以上のものが置く人事委員会につきましては、事務局任意設置といたしております。第四に、人事委員会及び公平委員会委員兼職禁止を緩和すること等といたしております。次に地方公務員法実施状況等にかんがみ、任用及び職階制に関する規定の施行を、さらに六箇月間延長するとともに、公務災害補償審査に関する規定を整備することといたしております。  以上本法案を提出した理由及び内容概略を申し述べたのでありますが、何とぞよろしく御審議のほどをお願いいたします。
  4. 金光義邦

    金光委員長 それでは本案に対する質疑次会に譲ることといたします。     —————————————
  5. 金光義邦

    金光委員長 次に前会に引続き、地方税法の一部を改正する法律案地方財政法の一部を改正する法律案、及び地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案の三案を一括議題とし、質疑を続行いたします。門司君。
  6. 門司亮

    門司委員 地方税法について少し聞いておきたいと思いますが、この前大臣に大体お聞きをいたしましたので、地方税法については、あと逐条のときに、もう少し聞きたいことがあるのでありますが、一つお聞きをしておきたいと思いますことは、大臣のこの前の答弁で大体政府意図もわかりましたし、それから同時に地方税法に関する問題は、少し根本的に改革する必要があると思いますので、この機会に聞いておきたいと思いますことは、例の地方税の次に改正されようとする政府意図も大体わかつておるのでありますが、従来から考えられております道府県税と、それから市町村税との関係でありますが、農山村県と言われております地方の県は、県税が非常に少いことのために、特別のいわゆる法定外独立税が相当多いのでありまして、そうしてこれがほとんど全部といつていいほど農村課税になつておるということであります。それで税種目から申し上げますと、すでに御存じのように牛あるいは馬に税金をかけるというようなことが大部分を占めております。それから場合によつては立木の伐採に対して、税金をかける、あるいは竹材に対して税金をかける。ほとんど都道府県法定外独立税というものは、農村に限られた形を持つて来ておると私は思いますが、これは先ほど申しましたように、市町村税都道府県税との税種目の今日の関係が、そういうものを自然的になしておると思います。従つて当局はこの次に考えられております税制改革の中で、都道府県税市町村税との調整を何らかの形で行われるような意思があるかどうか、この機会に聞いておきたいと思います。
  7. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。都道府県税市町村税を、今後改正機会に何か調整をするような方策を考えておるか。私は都道府県というものは、特に農村県におきまして税金は少いのでありますから、この点においては相当、いろいろ考えなければならぬと思つております。今具体的の構想は持つておりません。しかしながらこれはもう一つ大きな問題といたしまして行政制度調査会をつくりまして、そして都道府県市町村との間の仕事並びにいろいろもう少し広凡なことも考えてみて、それによつて税制を整理してみたいと考えております。まだ何ら具体的な案を持つておりません。
  8. 門司亮

    門司委員 自治庁に何ら具体的な案がないとすると、実は農村課税が非常に重大視されておりまして、御存じのように、今都道府県のかけておりまする例の法定外独立税対象になつております、先ほどから申しておりますようなものは、所得税の中にもやはりこういうものが基準になつて、一応農村にかけられております。牛が一匹いれば、かけるとか、あるいははなはだしいのは鶏の収益にまで、かけられておるのでありまして、所得税対象になつてかけられて、さらにそれが独立税対象になつてまたかけられておる。従つて農村課税というものは、非常に重複された、加重されたものが行われておるのであります。今日の農村経済状況から見ますと、一方に所得税対象として、収益があるというような形で税金をかける。さらにその次には地方税として、財産税的な性格を持つた特別税が課せられておるというようなことになつておりまして、特に農村だけそういうものが加重された形になつておりますので、できるだけそういう特別税については整理して行きたい。それにはどうしても、やはり両方の調整をはかつていただきたいということを申し上げておきたいと思います。  それからもう一つ、最近、これは確実に行われておるわけではありませんが、農村地帯都道府県で、あるいはかけられるかもしれないと考えられております例の昔の反別割のような、いわゆる耕作地に対してある程度の税金をかけたらどうかという意向があるように、われわれは聞いておるのでありますが、固定資産税がかけられて、その上にまたこういう特別税がかけられるということになつて参りますと、農村はいよいよ収益に沿わない過重な税金がかけられるようになつて参りますので、これらのものがもし出て参りました場合に、当局は一体これを許可されるような——これは財政委員会の問題だと思いますが——意思があるかどうかということ、これはこの前石川県の問題の、例の道路損傷負担金という税金をとるというようなことが考えられておりますが、これと同じようなものが次に出て来ると思いますので、そういう場合に対して、あらかじめ大臣の御意思を、ひとつ聞いておきたいと思います。
  9. 岡野清豪

    岡野国務大臣 御承知の通りに、今都道府県では税金が足りませんので、法定外普通税というものをたくさんつくつておりまして、御説のように、家畜税とか牛馬税とか何とかいうようになつております。われわれの方向といたしましては、そういうような法定外普通税というものを、これをほんとうの税目にするという方向よりは、むしろそういうことをしないようにして、何とか調整して行きたい、こういう方針で臨んでおります。  それから反別割とかいうようなものも例におあげになりましたが、二重課税なつたりするようなことは、これは当然避けて行くべきものだ、こう考えております。ただ果樹税というような問題は、あるいは考慮の中に入れてもいいものじやないかとも考えております。まだ十分な検討を加えておりませんから、はつきりしたことは申し上げられません。そういう方針でやつて行こうと思つております。
  10. 金光義邦

    金光委員長 次に地方財政法の一部を改正する法律案逐条説明をお願いしたいと思います。奥野政府委員
  11. 奧野誠亮

    奧野政府委員 便宜新旧対照表で御説明いたしたいと思います。  割当寄付金の廃止に関しまする第四条第三項を削りまして、新たに第四条の二として一条を設けたわけであります。この結果割当寄付金禁止に関しまする問題が、国に対しても義務づけられることになるわけでありますし、さらにその四行目に、直接であると間接であるとを問わず、そういうような行為はいけないと書いてありますように、外郭団体等をつくりまして、外郭団体等行為としてやりまする場合も、禁止するものであることを明らかにしたわけであります。すなわち国という中には、地方出先機関裁判所関係のものを含んでいるわけでありますが、これらは「地方公共団体又はその住民に対し、地方公共団体は他の地方公共団体又は住民に対し、」府県から市町村寄付割当の行われる場合を想定しているわけであります。「直接であると間接であるとを問わず、寄附金(これに相当する物品等を含む。)」で、たとえば住宅を建てて寄付してもらうというようなやり方も禁止する趣旨を明らかにしているわけであります。「を割り当てて強制的に徴収(これに相当する行為を含む。)」は、徴収しないで、物品採納行為のようなものも含んでいる趣旨であります。「するようなことをしてはならない。」一種の訓示的な規定でありまして、これに違反した場合には、どのような措置をとるということは書いていないわけでありますけれども、このような行為に出る機関がありました場合に、国民が勇敢に拒否し得るような明文を示しておくというところに、相当の意義を持つものだと、われわれは考えているわけであります。  第九条以下は、国と地方団体との間の経費負担区分に関する規定を改めたものでありますが、従来は事務性質によりまして、その事務が主として地方団体利害関係します場合には、地方団体経費負担し、主として国の利害関係します場合には、その経費は国が負担し、中間的な性格のものにつきましては、折半して負担するというような趣旨規定しておつたわけであります。今回改正いたそうとしますものは、これらの事務性質いかんにはよりませんで、地方団体が行うということになつている以上は、全額地方団体負担する。そのかわり、それらに必要な経費は、地方税なり、地方財政平衡交付金なりによつて全額保障されるような制度を別途とつているわけであります。このような原則を押し立てることによりまして、事務地方住民意思によりまして民主的に行われて行きますことを確保して参りたいと考えているわけであります。しかしながら、こういうような問題につきましても、若干の例外を設けなければならないと考えているわけでありまして、それらの例外を四つ想定しているわけであります。第九条の改正条文を読みますと、「地方公共団体又は地方公共団体機関事務を行うために要する経費については、当該地方公共団体全額これを負担する。但し次条から第十条の四までに規定する事務を行うために要する経費については、この限りでない。」といたしております。なおその括孤の中で、地方自治法第百五十三条第二項及び第三項の規定により都道府県知事市町村長に委任した事務及び都道府県知事市町村職員をして補助執行させた事務を除くとしておりますのは、都道府県知事市町村長事務を委任した場合、それらの事務市町村事務になるのだから、市町村全額負担すればよろしいのだ、こういうことは、法律で最初から予想されていない事務がたくさんありまして、そのような財源措置をとつておきますことが、困難でありますので、これらの場合には、都道府県が、その場合々々必要な財源措置をしなければならないこととしておりますので、その措置にゆだねることによりまして、経費法律上の負担区分といたしましては、やはり都道府県負担に属するものということにいたしておきたいと考えているわけであります。  二項、三項は、これらの関係から削除することになるわけであります。  次に第十条は「地方公共団体又は地方公共団体機関法令に基いて実施しなければならない事務であつて、国と地方公共団体相互利害関係がある事務のうち、その円滑な運営を期するためには、なお、国が進んで経費負担する必要がある左の各号の一に掲げる経費については、国が、その経費の全部又は一部を負担する。」国も経費の全部または一部を負担いたします第一の例外であります。この例外に当ります事務は、第一には、法令に基いて実施をしなければならない、強制された事務であるということであります。第二には、国と地方公共団体相互利害関係があるということであります。第三には、その円滑な運営を期するためには、なお、国が進んで経費負担する必要がある。言いかえますれば、実施されましてからなお期間が浅い、従つて地方公共団体が十分身についていないので、ひもつきの金でも出さなければ、なかなか円滑にやつてもらえない、あるいはまた必ずしも地方団体が進んでやろうとしないので、どうしてもひもつきの金でも出さなければならない、こういうふうな種類の経費につきまして、負担区分制度を残しておこうとするものであります。従つてここに書いてある事務というものは、非常に重要だから、このような制度にするわけではないわけであります。平たく言いましたならば、まだ地方団体事務として同化していないような事務については、あえてひもつきの金でも出さざるを得ない、こういうふうに考えているわけでありまして、将来こういう事務が同化するようになつて参りましたあかつきには、やはり全額地方団体負担することにいたしまして、不当な干渉、支配が地方団体に加えられるおそれのないような措置を講ずべきものであると考えているわけであります。  次に第十条の二は、例外の第二でありまして、「地方公共団体又は地方公共団体機関国民経済に適合するように総合的に樹立された計画従つて実施しなければならない土木その他の建設事業に要する左の各号の一に掲げる経費については、国が、その経費の全部又は一部を負担する。」いわゆる公共事業といつた式のものは、国の経費をどう持つて行くかという問題ともからみ合せまして、事業分量が定められて来るものだろうと思うのであります。こういうものにつきましては、大体国の計画従つて地方団体実施いたして参りますことが、国の経済の動きを考えて行きます場合に、たいへん必要なことでありますので、このようなものにつきましては、やはり負担区分の道を設けておくことが、計画的な経済運営の立場から考えまして、必要であろうというふうに考えているわけであります。従つてまたこれらの公共事業は大きな工事に関するものであるというふうに御了解願えばよろしいのでありまして、そのような範囲は、法律または政令で定めることにしてあるわけであります。たとえば河川でありましても、準用河川以上のものであるというふうなことになるだろうと考えるわけであります。  第十条の三項は、例外の第三を示しているわけでありまして、「地方公共団体又は地方公共団体機関実施しなければならない法律又は政令で定める災害に係る事務で、地方税法又は地方財政平衡交付金法によつてその財政需要に適合した財源を得ることが困難なものを行うために要する左の各号の一に掲げる経費については、国が、その経費の一部を負担する。」たとえば局地に雨が降りまして、道路が流されたり、堤防が欠壊したりする。それらの復旧をだれが担当するか。たまたま局地に雨が注いだだけであつて、それを地方団体のみの負担にゆだねることは、必ずしも適当でないわけであります。しかしながらこれらを国がやるということにいたしましたならば、それらの復旧につきまして、住民の監視が十分行き届きませんし、また運営について民主的な見地が加えられがたいような問題が起きますので、やはり当該地方団体運営にゆだねているわけであります。しかしながらそれらの財政措置は、地方税法地方財政平衡交付金法では律しがたいわけでありますので、これらの部分につきましては、負担能力とにらみ合せまして、国が必要以上のものは全額負担するというような制度を別途打立てたいというわけであります。ここに掲げてありますような性質のものは、やはり国の負担を求めて行かなければなりませんので、第三の例外事項としているわけであります。  次に例外の第四が第十条の四であります。「もつぱら国利害関係のある事務を行うために要する左の各号の一に掲げるような経費については、地方公共団体は、その経費負担する義務を負わない。」これは地方団体利害関係はない、もつぱら国利害だけの問題である、そういうものについて地方団体負担をさせておきましたのでは、円滑な運営を期待することは困難でありますので、この部分につきましては、事務性質から全額国負担して行くようにして行きたい。こういうふうな趣意のものは、さらに将来なお多く生じて参ることも考えられますので、例示をする、左の各号の一に掲げるような経費については、」というふうな規定の仕方をしているわけであります。  第十一条は「第十条から第十条の三までに規定する経費種目算定基準及び国と地方公共団体とが負担すべき割合は、法律又は政令で定めなければならない。」これらは国が負担するのでありまして、補助するのではないわけであります。恩惠的に金を交付するわけではなしに、国と地方団体とがどのような分担で、経費を支弁して行くかというふうな考え方に立つているわけであります。言いかえれば、国民地方団体租税負担を求め、国庫が租税負担を求める、その場合にどのような分量租税負担を求めて行くかということは、経費負担区分従つて定められなければならないわけであります。そのような基礎に立つて負担区分でありますので、国が恩惠的に地方団体に与えるわけではなしに、義務として負担するものである。地方団体は権利としてこれらのものを受けるわけでありますので、それらの負担割合は明確に定められていなければならないということを、第十一条で規定しているわけであります。  第十一条の二「第十条から第十条の三までに規定する経費のうち、地方公共団体負担すべき部分は、地方財政平衡交付金法の定めるところにより地方公共団体に交付すべき地方財政平衡交付金の額の算定に用いる財政需要額に算入するものとする。但し、第十条の二第四号及び第十条の三第五号に掲げる経費については、この限りでない。」但書はいずれも公営住宅に関する問題であります。二に掲げるものについてはこの限りではない、公営企業的なものでありますので、この部分については算入しないが、その他の地方負担分はすべて地方財政平衡交付金の額の算定に用いる財政需要額に算入することにいたしまして、各地方団体に必要な財源を国において保障するような措置を講じて行きたいと考えているわけであります。いわゆる奨励的な補助金につきましては、地方団体がこれを受けるかいなかは任意であります。また必ずしも普遍的に行わなければならないものではありませんので、このような部分につきましては、あえて財政需要額に算入する必要はないと考えているわけであります。しかしながらこれらの負担区分に基きます部分につきましては、やはり地方団体財源を保障して行かなければならない、こういう考え方をとつておるものであります。もとより負担区分のございませんもので、全額地方団体負担するものにつきましても、普遍的に行われるものでありまして、地方団体が当然実施して行かなければならないものにつきましては、平衡交付金算定に用いまする財政需要額に算入いたして参るわけであります。  第十二条「地方公共団体が処理する権限を有しない事務を行うために要する経費については、法律又は政令で定めるものを除く外、国は、地方公共団体に対し、その経費負担させるような措置をしてはならない。  前項経費は、左に掲げるようなものとする。」この中に新しく加えましたのが三号の「警察予備隊に要する経費」、四号の「海上保安庁に要する経費」であります。  第十四条は、地方職員費につきまして定めておりました負担区分規定を削除いたしまするために改正しようとするものであります。  第十五条は、これらの職員の定員を定め、あるいは予算を配付する部分についての規定であつたのでありますが、前条が廃止されますので、それに伴つてこの部分規定も削除しようとするものであります。  第十七条は、「国は第十条から第十条の四までに規定する事務地方公共団体地方公共団体機関又はその経費地方公共団体負担する国の機関が行うものについて第十条から第十条の四までの規定により国が負担する金額を、当該地方公共団体に対して支出するものとする。」これは従来は事務性質によりまして、国が負担するか地方団体負担するかということを定めておりましたのを、原則として地方団体が行う以上は、全額地方団体負担するのだというように書きました関係上、国の負担金の支出につきまして規定する字句について、若干修正を必要とするようになつ関係から改正するだけのものでありまして、本質的な相違はございません。二項の方は、今申し上げましたような趣旨から、第十一条の方に若干言葉をかえて写しただけのことであります。本質的にこの間には内容相違は生じていないわけであります。  第二十六条は、地方配付税地方財政平衡交付金とかわつて来ておりますので、そのような字句修正をいたそうとしております。  第三十四条は、「地方公共団体又は地方公共団体機関が行う事務に要する左の各号の一に掲げる経費については、第九条の規定にかかわらず、当分の間、国が、その経費の全部又は一部を負担する。」というような中に、二号に「学校の戦災復旧に要する経費」が加わつたわけであります。これらの点につきましては、現に国が一部負担しておるのでありますが、これを制度的に確立して行きたいと考えておるわけであります。二項は「前項規定する経費種目算定基準及び国と地方公共団体とが負担すべき割合は、法律又は政令で定めなければならない。」といたしておるのであります。  第三十五条は、条文が若干ずれて参りましたので、それに伴つて修正しておるだけのことでありまして、本質的な相違はありません。その裏に「第三十六条削除」と書いてございます以下の文は、全部ミス・プリントでありますので削つておいていただきたいのであります。改正はされておりません。  その次に附則の問題であります。二項で「この法律施行の際、改正後の地方財政法第十条から第十条の三まで及び第三十四条第一項に規定する経費種目算定基準及び国と地方公共団体とが負担すべき割合並びに改正後の地方財政法第十七条の二第一項の規定に該当する場合において、地方公共団体負担すべき割合法律又は政令で定められていないものについては、昭和二十八年三月三十一日までの間は、なお、従前の例による。」この種の経費につきましては、国が五割を持つとか、あるいは三分の二を持つとかいうふうな割合が定められて来なければならないのでありますけれども、今このような負担区分を確定しようとしているわけでありますので、定められていないものにつきましては、来年の三月三十一日まで、言いかえれば、昭和二十七年度分に関する限りは、なお従前の例によるようにしておきたいと考えているわけであります。二十八年度から予算と並行いたしまして、すべて法令で定めるべきものにつきましては、法令の根拠によらなければならないということにいたしたいわけであります。三項は、「改正後の地方財政法第十条の四第七号及び第八号に掲げる経費のうち政令で定めるものについては、当分の間、同条の規定にかかわらず、地方公共団体負担とする。改正後の地方財政法第十一条の二の規定一は、この場合について準用する。」「第十条の四第七号及び第八号」といいますのは、「自作農の創設維持その他土地の農業上の利用関係調整に要する経費」「漁業関係調整に要する経費」であります。この種の経費につきましては、国は公共団体に経費負担をさせないことを建前としているのでありますけれども、二十七年度の予算におきましては選挙関係経費その他につきまして、地方団体負担にゆだねているわけであります。予算がきまりましてから後に、これらの問題を話合いで定めたわけでありますので、当分の間はこの規定にかかわらず、政令で定めまするものにつきましては、地方団体負担とすることができるようにしておきまして、すでに国会を通過いたしました予算との間に、矛盾を生じないように暫定的にいたしておきたいと考えているものであります。  四項の地方財政平衡交付金法の一部改正は、昭和二十五年度に地方財政平衡交付金法が生れました場合に、地方財政法規定されておりました負担区分規定が停止されたわけであります。はたして負担区分の観念を将来において残して行くのかどうかというふうな問題が未解決であつたわけであります。従いまして奨励的な補助金に対応するものといたしましては、非奨励的な補助金という言葉を使つてつたわけであります。今回の改正によりまして、やはり補助金というものと負担金というものとは性質が違うものである、やはり負担区分の観念というものは残しておかなければならない、こういうふうな考え方に立つて改正しようとしておりますので、地方財政平衡交付金法で使つておりまする非奨励的補助金を国庫負担金と直したいというふうな意味合いで、その中の字句修正しようとするものであります。  さらに附則を削つておりますのは、負担区分関係規定を適用しないとしておきましたけれども、この改正法が通過いたしましたならば、この改正法を基礎として負担区分規定の適用をしようとするわけでありますので削除するわけであります。
  12. 金光義邦

    金光委員長 質疑を続行いたします。床次君。
  13. 床次徳二

    ○床次委員 ただいまの地方財政法改正案の御説明によりまして、この法規が厳格に実施されましたならば、非常に赤字が出て来るということが予想される。これはもうたびたび質疑いたしておりまするが、これに対しても大臣は、何だか赤字も出ずに二十七年度はうまく行くように見えるのでありまするが、ほんとうに実施されるつもりかどうか。ただいまお話がありましたところの寄付の問題にいたしましても、御説明のような趣旨において励行いたしましたならば、必ずや大きな赤字が出て来ることは明らかであります。これに対して大臣はいかように考えておられるか伺いたいのであります。
  14. 岡野清豪

    岡野国務大臣 寄付金の問題は、地方団体にかえつてよくなるのではないかと考えておりますが、詳しいことは事務当局からひとつ……。
  15. 奧野誠亮

    奧野政府委員 割当寄付金禁止につきましては、従来も地方団体住民寄付割当をしてはならないという規定が入つてつたわけであります。今回は国が地方団体寄付割当をしてはならないというふうな規定を置いたわけでありますが、従来は地方団体が国に対しまして、いろいろな形で寄付しておつた額というものは相当な額に上つていると思われるのであります。むしろこういうふうなものがなくなつて参りましたならば、地方団体負担が軽減されるのであり、かえつて地方団体の財政はよくなるというふうな趣旨に、われわれは考えているわけであります。
  16. 床次徳二

    ○床次委員 その通りでありまして、ただ元来の地方財政法自体におきましては、税以外の寄付金を地方団体そのものがとることについても、これは当然禁止しているわけです。ところが問題となつておりまする教育費の問題、あるいは警察費等におきましても、従来それは励行されておらなかつたというところを、私どもは非常に懸念を持つているわけでありまして、今後これを励行することになりますると、当然これは赤字が予想される。大臣は当分の間これは赤字があるのもやむを得ないという意味において、来年度の予算に当つておられる、いわゆる漸進的に行こうという考えを持つておられるのか、あるいはもう大体二十七年度におきましては一般の寄付もやらなくても済むのだ、大体地方財源として与えられたものだけでもつて必要経費がまかなえるというお考えかどうか、この点どうも私どもは納得が行かないのであります。もうすでに一般から寄付をとつてはいかぬということは、明らかになつているところでありまするが励行されておらない。そのためにさらに申し上げるのであります。
  17. 岡野清豪

    岡野国務大臣 これからはひとつこれを励行して行きたいと考えます。励行して行けばむしろ地方公共団体は、国からいろいろ強要的に寄付をさせられたりすることは少くなり、財政はむしろ安定するのじやないかと私は思います。
  18. 床次徳二

    ○床次委員 まことにそうあるべきなんであります。しかし特に問題となりますのは、義務教育費の問題につきまして、今度は教育費がいわゆる第九条の規定によりまして、はつきりと地方団体事務ということになつているのであります。この場合にこの義務教育の仕事が完全に励行できるようにということに対して、今日国民は非常に心配をしているわけであります。でき得るならば第九条の中におきましても、これこれのものは必ず実行しなければならぬということを実は言いたいくらいなのが現在の状態だと思いますが、しかし地方財政が苦しいばかりに第九条が実は実行できない。むしろ実際の取扱いからいうと、たとえば先ほどお話がありましたが、その次の条項にあります地方自治体における事務としましてまだ同化していない仕事、従つて国がひもつき補助金を出すというような取扱いをしているものがありまするが、義務教育は本来地方におきまして十分これは同化した仕事だと思つておりますが、財源がないばかりにこれに対して実はひもつき論が今日出ているわけなのであります。本来の地方財政法の建前から申しますると、実は第九条に書いてありまするが、実際の取扱いは第十条以下の取扱いをしなければならぬというのが、今の地方財政の現状だと思います。これに対しまして大臣はもつと地方財政の窮状を根本から救うことを考えなければ、実はこの第九条の規定あるいは第十条のこういう負担区分規定ができましても、地方財政法としての趣旨は通らないと思いますが、この点の懸念に対しまして御意見を伺いたいと思います。
  19. 岡野清豪

    岡野国務大臣 まあこれは義務教育ばかりでなくして、今国家も地方も財政が非常にきゆうくつになつておりますから、いろいろ地方公共団集施策をして行きます上において、いろいろ財源の困難があると思います。しかしいろいろうわさに上つております義務教育の国庫負担と申しますか、世間に伝えられておりますようなことをやりまして、それで一体資金がふえるかと申しますと、やはりふえるわけではないのでありまして、今までの実績によつてただそれを文部省が一手で自由にして行くというような立場になつて来るだけのことでございます。もしあれで資金がふえるという見通しでもあれば、また考えなければならぬということもありますけれども、在来あるところの税収とか平衡交付金とかいうものをわかつただけの趣旨らしゆうございますから、私はその点においてあの案が地方の教育費を確保するというには少し足りないのじやないかと思います。しかし地方財政法を設定いたしまして、同時に各省が自分の主管の事務を、これだけの金は平衡交付金並びに地方税の収入というもので確保することに、地方財政委員会が立てました財政需要額というものをぴつたりと見すえまして、そうして法律でこれだけのものを確保してやれ、こういうことになつて出て来ますれば、それだけはやはり地方の行政としまして、少くとも割当てられた仕事だけは地方はしなければならぬということを義務づけられますからこれはいいと思いますが、しかしそれにいたしましても、やはり問題は十分なる法律の検討といいましようか、それから法律にきめられたところの財政収入というものを他面においてくふうして充足してやる、こういう処置をとらなければうまく行かないと思います。まあいろいろ不足の点も地方財政並びに地方行政の点にありましようけれども、漸を追うて整備して行きたいと私は考えております。
  20. 床次徳二

    ○床次委員 繰返していつもお尋ねするのでありますが、大臣もすでにただいまの御答弁によつておわかりになつているように、地方財源がないというところが現在の大きな欠点だと思います。地方財政法がはつきりいたしますると同時に、地方財源に対してもつと余裕をこしらえるという措置を講じなければいけないのじやないか。それで先ほど御提案になつております地方税法におきましても、現在の地方税法の限度におきましてはもう限りがある。あれではまかない切れない。しからばあとは起債なり交付金に久らなければなりませんが、これまた現在の予算においては限られておる。そういう実情を見ますると、実は地方財政法を着実に履行しようと思えば思うほど、今日財源の不足が感ぜられるのであります。この点、私ども地方税法を審議しておりますると、もう少し地方税法において弾力性を設けざるを得ないのじやないかという気持に、今日迫られておるわけであります。従つて、その財源について多少苦しいけれども、このまま地方財政法の建前を果して行くということになりますると、実は地方財政法がほんとうに履行できないことになるんじやないかという矛盾に陥ると思います。この点に関しまして、私、率直に申しますると、地方財源をもつと積極的にお考えになる。交付金をふやさないならば、少くとも地方財政法において財源をもつと付与さしておいて、そうして足りないものを地方公共団体で補うだけの気持を持たせる。そうすれば地方財政法というものが根本において生きて参る。私はさように考えますが、大臣はもう少し積極的に財源を与えるというお気持をお持ちにならないか、どうも地方財政法がはつきり確立されればされるほどその財源と税法をお考えにならなければいけないのじやないかと思います。
  21. 岡野清豪

    岡野国務大臣 これはしごくごもつともで、その通りでございまして、むしろ私の申し上げたいことを床次委員からおつしやつてくださつたことを、非常に力強い感じを受けます。これを実際励行して行き、同時に地方が十分仕事をやつて行くためには、ただいまの弾力性のない税法並びに税源が足りないという点もその通りでございます。それにつきましては、われわれも御趣旨の通りに考えておりますから、いずれ地方税法の根本的な改正をいたします場合に、そういうふうな御趣旨によつて税法の改正をいたしたい、こう考えております。
  22. 門司亮

    門司委員 今床次さんから大体お聞きになつておりますので、この地方財政法自体についての質問は別にないのでありますが、ただこの際に一点聞いておきたいと思いますことは、改正される部分だけではありませんで、地方財政法の中にいろいろ規定されております、たとえば起債関係で当然国が何らかの処置で起債を認めなければならないようなことが、実は二、三あるわけであります。たとえば警察あるいは消防の施設であるとか、あるいは学校の施設であるとかいうものについては、特別の考慮をするように書いてありますが、そういう問題が実際上の問題としてはあまり円滑に行つていないように聞いておるのでありまして、もしこの地方財政法自体が全部認められ実行されて行くなら、私は地方財政というものは今日のようにきゆうくつなものではない、多少のゆとりを持つているというように考えておりますが、これがななかうまく行つておりませんので、これらの点に対して、これは岡野さんにお聞きするよりも、あるいは大蔵大臣に聞いた方がいいかしれませんが、地方財政法全体が十分守られるような施策が将来とられるかどうか。私こういうことを聞きますのは、この出ておる改正を見て参りましても、もし改正されたものが全部この通りに実行されて来れば、私は寄付金その他の面を除いたほかでは、かなり地方の財政というものは明瞭なものになつて来る、こう考えるわけでありますが、起債その他について、この地方財政法に掲げられておりますことが、一体忠実に行われて行く見通しをお持ちになつているかどうか。  もう一つつけ加えて申し上げておきますが、六・三制実施に対する問題であるとか、あるいは消防の施設に対する問題であるとかいうようなことを政府に持つて参りましても、なかなか十分な起債額が得られない。得られないから、他方の予算を組みます場合には、しかたがないからこれが次年度に繰越されるような関係を持つて来るというようなことで、地方予算を審議する上においても、私は相当困つていると思うのであります。こういうものについての御意見をこの機会に承つておきたいと思います。
  23. 岡野清豪

    岡野国務大臣 この法律を施行いたしまして、厳格にやつて行けば、地方としては大分助かることと私も考えます。同時に、これをやるとすれば、やはり資金の面でいろいろ心配しなければならぬことはお説の通りでございます。そこで、これは大蔵大臣と協同して考えなければならぬことでございますが、私自身といたしましては、起債なんかのことにつきましても、これから相当大幅に地方に許して行かなければならぬ、こう考えております。そうして先般も参議院の方で申し上げたのでありますが、今年から公募公債というものを一応取上げまして、そうして公募のできるような信用を持つているものに対しましては、できるだけその方面において金を集めさせて、そうして公募のきかない、貧弱と申しますか、そういうような府県市町村に対しては、今までの預金部資金をまわす、こういうことで調整をとつて、全般の地方財政といたしましては、資金的に充実して行きたい、またそういうことを努力して行きたい、こう考えておる次第であります。
  24. 門司亮

    門司委員 それからもう一つ聞いておきたいと思いますが、第三十四条の問題であります。これは非常に疑義がある。これは私の考え方が少し間違つているかもわかりませんが、一体この条文の通りに実行されるといたしますと、地方の財政といいますか、従来からの行きがかりについて、私はかなり疑問が出て来るのではないかと思うのであります。ここに書いてあります「第九条の規定にかかわらず、当分の間、国が、その経費の全部又は一部を負担する。」その中に「義務教育年限の延長に伴う施設の建設費」、こう書いてありますが、これはすでに建設されたものには適用しないのか、あるいはこれから建設しようとするものにこれが適用になるのか、その点を明確にしておきませんと、地方の公共団体が困るのではないか。先にやつたものは非常に苦んでやつても、やつたのだからしかたがない。これから先にやるものはこれで何とかしてやろうという考え方になると困ると思う。それで先ほど質問しましたように——これは地方財政法の中にさらに明確になつておりまして、従来の十二条だつたかと思うのでありますが、こういうもののほかに消防や警察などにも起債を認可しなければならない、これは大体起債で片づけられておつたと思いますが、今度これが明確になつて参りまして、そうして全部または一部を出さなければならない、こうなつて来ますと、必然的に先ほど申しましたような問題が起つて来るのではないかと思います。これに対する御見解はどうなんですか。
  25. 奧野誠亮

    奧野政府委員 義務教育の年限延長に伴う施設の建設費は、御承知のように新制中学の建設費でありまして、現在生徒一人当り〇・七坪までの建設を完了するということで、その経費の三分の一は国が負担し、残額は各地方団体負担するということで進められておるわけであります。これらの計画が完了するまで、このような負担区分関係で行くというふうに考えておるわけでありまして、御意見のような点もありますので、新しく二項を加えまして、「経費種目算定基準及び国と地方公共団体とが負担すべき割合は、法律又は政令で定めなければならない。」というふうにいたしておりますので、明確にいたして参りたいと考えております。
  26. 門司亮

    門司委員 この理由のところに明確にするというふうに書いてありますが、いつごろ明確にされるのか、これは相当重要な問題になつて来ると思います。すでに起債やその他で補助金以外のものをまかなつて、みな建築をいたしております。その点をひとつ、大体いつごろこの法律が出されてこの問題が明確にされるか、大よその見通しがつきますから御説明を願いたいと思います。
  27. 奧野誠亮

    奧野政府委員 附則の第二項に書いてありますように、昭和二十八年三月三十一日までの間は、現在予算のないものにつきましては、従前の例によることにいたしておりますので、遅くとも来年の三月三十一日までには明確にされるということになるわけであります。
  28. 門司亮

    門司委員 それからもう一つ。さつき床次さんから聞かれておりますので、私はそう聞かなくともいいと思いますが、寄付金の問題であります。これは非常に大きな問題でありまして、国から地方寄付金を割当てるというと語弊があるかもしれませんが、一応割当というような形で地方の公共団体から——いわゆる市町村から県に対するもの、あるいは県から国に対するものというように、必ず寄付金が実は今まで行われているわけであります。実例をあげて申しますれば、たとえば国の機関である税務署ができる場合に、やはり何らかの地方負担は必ず伴つて来ております。こういうことがあるのでありまして、こういうものがこの法律によつて拒否することができるということになりますか。その点をはつきりしておいていただきたいと思います。それから、たとえば地方の学校でも同じです。市町村に参りますと学校を建てる場合に、地元の寄付によつて敷地なら敷地の寄付があれば、そこに割合に学校が早くできるのでありますが、もし敷地を提供しなければ、なかなか予算の関係で学校ができない。これは法律を設けても自然にそういうものが出て来ると思うのでありますが、そういうものを一切なくしようというお考えであるのかどうか。ただ法律だけができて、体裁だけつくつておいて、実際はやはりそういうものが行われてもやむを得ないというようにお考えになつているのか。その点をひとつ明確にしておいていただきたいと思います。
  29. 鈴木俊一

    ○鈴木(俊)政府委員 強制的な割当寄付金禁止の問題についての御意見でございますが、私どもといたしましても、国がたとえば税務署をつくり、あるいは裁判所をつくるといつたような場合におきまして、それに要する経費を、それに関係のある地方公共団体に強制的に割当てて金をとるというような事例が、過去においてないわけではなかつたのでありまして、そのために当該の地方団体といたしましては、非常に財政上相当の重圧を感ずる、こういうようなことが確かにあつたのであります。今後におきましては、さようなことをできるだけなくし、さらに進んでこれを禁止しよう、禁圧しよう、こういうような趣旨から、いわば財政運営一つの基本原則としてこのようなものをとつてはいけない、こういうことを明確に国法をもつてうたつていただきたい、こういうのがこの原案の趣旨なのであります。ただいまのような事態の場合におきましては、何といいますか、当該地方団体にも、誘致というような気持からそこに弱みがございまして、そこにつけ込んで強制的な割当というようなかつこうのものが、事実上生れるような例がなきにしもあらずなのでございますが、そのようなことができるだけないようにしたいというのが、この法案趣旨なのでございまして、要するにこういう法案に違反をした措置が、公務員によつて行われることがないようにいたしたい、こういう考え方でございます。
  30. 門司亮

    門司委員 その点はつきりしないのですが、これを拒否することができるかどうかということです。むろんはつきりしたそういう気持の上でできた法律であれば、拒否してもさしつかえないと思いますが、そういうことができるか。  それからもう一つ。私はこういうことをほんとうに徹底させようとするならば、地方財政法というような法律の中にこれを織り込まないで、単独法で出した方がいいと思います。それの方がむしろはつきりすると思いますが、そういうお考えはないかどうか。
  31. 鈴木俊一

    ○鈴木(俊)政府委員 もちろんこの法律規定が成立いたしまするならば、当該の地方団体といたしまして、これは禁止されていることであるから寄付することはできないといつて拒否することは、当然にできるわけであります。そういうことが行われることをできるだけ望みたいという趣旨を、法律ではつきりうたつていただきたい、こういうことであります。その趣旨を明確にいたします方法として、これを別個の単行の法律で出したらどうかというのも、一つの御意見であろうと思いまするが、ただ実体はやはり地方の財政当局に直接関連を持ちまする問題でございまするので、地方財政運営の他の各種の規定とともに、あわせてその中に規定をするということも一法ではないか、あるいはそういう点から申しますと、むしろその方がいいのではないかということで、他の財政関係規定とともに規定をするということにいたしたわけであります。ことに現在第四条の三項に、同じような趣旨でありまするが、なお若干徹底してない点がありまするが、そのような規定があるわけでございまして、それをさらに改善をいたし、趣旨を明確にうたおうというわけでございまするので、地方財政法の一部改正案として提案いたした次第であります。
  32. 立花敏男

    ○立花委員 最初簡単なものから聞いておきますが、奇付の問題です。これは国警長官がこの間同席されて言われた言葉で、あれは非常に重大だと思いますし、あの場合に岡野さんの態度も明確じやなかつたと思いますが、この規定従つてああいうものが今後やはり許されていいのか、また岡野さんとしてはこれを許される方針なのか、ああいう方針が許されるとすると、これはまつたく空文になると思うのですが、その点どういうふうにお考えですか。
  33. 岡野清豪

    岡野国務大臣 まつたく空文になるというような割切り方を、私は世の中のことはすべきではないと思います。地方で非常に関心を持つて、その場合何とか自分のところに来てもらいたいからというようなこそ、いろいろな犠牲も払つて自発的に寄付しよう、こういうものはわれわれはとめることは考えておりません。しかしながら国がこれを強要してはならぬということにきめておりまするので、その辺にゆとりがございます。
  34. 立花敏男

    ○立花委員 奥野さんの説明によりますと、これは非常に念入りに規定がいたしてございまして、「直接であると間接であるとを問わず、」また括弧をいたしまして、「これに相当する行為を含む。」というふうに非常に念入りに規定されてございまして、しかもこれは非常に、具体的に申しまして警察の寄付、あるいは学校の寄付、あるいはその他の官庁の寄付行為、こういうものがあまりに横行いたしまして、住民が非常に困る。現実の形では、警察の寄付が非常に権力をもつて押しつけられて来ておる。こういう現実の姿から出て来ておると思う。ところがその中でも特に不可解だと思われる警察の建築費などについて、名目は自由であるにしろ、実質的には明らかに強制であり、実質的にはある程度制度的になつているような寄付の形をそのまま認められるということは、この改正案が決してまじめに実施しようと思つてつているのじやない、最も大きな警察の寄付行為、最も弊害を及ぼしている寄付行為、こういうものを何ら取締りの対象に置かない、制限の対象に置かないというのであれば、これは私ども空文と考えるよりほかないと思うのですが、国警長官の言われた国家警察の庁舎の寄付まで、もしそれが自発的だという形をとれば、今後もとつて行くのだということを自治庁としてもお認めになつて、この条文がそういうものは制限しないのだという建前だということを、岡野さんはこの際やはりはつきり断言なさる方針かどうか、これはこの条文を生かすか殺すかの問題だと思いますので、はつきりひとつ御答弁を願いたいと思います。
  35. 鈴木俊一

    ○鈴木(俊)政府委員 この第四条の二という規定は、今お話の国の警察の庁舎でありましようと、あるいは裁判所の庁舎でありましようと、税務署の庁舎でありましようと、その適用の対象については何らかげんをいたさない性格のものでありまして、先ほど来説明を申し上げました各種の趣旨は、その対象のいかんを問わず適用されるという考え方で立案をいたしております。
  36. 立花敏男

    ○立花委員 これはあとにも出て参ります、十二条の中に「地方公共団体が処理する権限を有しない事務を行うために要する経費については、法律又は政令で定めるものを除く外、国は、地方公共団体に対し、その経費負担させるような措置をしてはならない。」という十二条の明文がはつきりありますし、しかも今度この寄付行為禁止をなさろうとするのですから、当然国家警察の庁舎などの費用は最も最初にこの制限の範囲内に入るべきである。それを何を苦んで自治庁はそういうものを認めようとされるのか。まつたく不可解しごくだと言わざるを得ない。そういうものをお認めになるくらいなら、そんな条文はおつくりにならない方がいいと思う。それからそういうものを認めておいて、しかもこの条文によりますと、自治体が住民に対する寄付の方は制限していない。かつてなところだけは国の寄付から自治体の寄付にまわそうということでしかなくなると私は思う。ほんとうに国の寄付禁止なさるなら、長官がずうずうしくもそこで言明したような、ああいうやつをなぜ取締らないのか。なぜそんな必要があるのか。私はおそらく必要がないと思う。寄付をするから国警を置くというようなものではない。庁舎の寄付をするから国警を置くというようなばかなことはないと私は思います。それは治安の必要上お置きになるのでしようが、庁舎の寄付をしたところが国警が置かれて、庁舎の寄付をしないところは置かれないということになると、国警は私物化せざるを得ないし、金で置かれる国警になりますので、そういうことがないようにするために十二条の規定もあるし、国家警察として独自の予算を地方からおとりになつている。これはまつたく不可解だと思うのですが、これは具体的な問題で条文がはつきりいたしませんと、私どもは言葉の土だけ聞いておりますと非常にごまかされますので、ああいうものをお認めになる方針かどうかということを最後に聞いておきます。
  37. 鈴木俊一

    ○鈴木(俊)政府委員 寄付の問題でございますが、先ほど申し上げました第四条の二あるいは今御指摘の第十二条等におきましては、国家地方警察に関する経費は、国が負担するものであるという大原則から出発しておるわけであります。これは国家の機関でございますから、その維持運営に要しまする経費を国が負担するのは当然の事理であります。そういうものにつきまして、地方団体に対して国が強制的なる寄付割当てるということはしてはならないというのが第四条の二あるいは第十二条の規定趣旨であります。ただ前回どのようなお話がございましたかよく承知いたしておりませんが、純粋自発的なる寄付、こういうようなものがもしありました場合におきましては、これを否定をする必要はないのではないかというふうに考えられるわけでありまして、事は当該具体の場合におきまして、はたしてこの法律に該当するやいなやということが客観的に正しく認定され、正しく運用されるということを望む次第でございますが、その具体的の決定は、その寄付ならば寄付をなさんとする当該市町村長、あるいは知事、あるいは当該の地方議会におきまして、具体的に認定をされることになるだろうと思います。そういうような実際の地方団体関係者、あるいは国の関係者がこの法の精神を正しく理解して運用されることを期待しよう、こういうわけであります。
  38. 立花敏男

    ○立花委員 どうもはつきりしないので最後に尋ねなければならないのですが、ここには外郭団体ですら、いけないという言葉がありまして、直接であると間接であるとを問わず、そういうふうに非常に広い範囲に規定してあるわけです。だから直接国家警察が庁舎の建物の金を寄付でとるというようなことは、もちろんこの条文からいいますと、外郭団体ですらいけない場合に、直接国家警察が庁舎の金をとるというようなことは不穏当きわまるので、当然入ると思いますし、しかもこれは地方の財政負担をかけている重大な問題ですから、もう少し誠意をもつて具体的に実施なさることをお考えになつてつてもらいたいと思う。それから今問題になつておりますのは、そういう個々の場合の寄付もありますが、実際各府県が警察協力費という金を予算にも組んでおるわけです。何百万円か組んでおります。これを直接であると間接であるとを問わずという形に当てはめる精神が、この四条の二に含まれているのか、自治庁の見解としては一体どういうお考えなのか。この金は府県の予算にありまして、国家警察に参つている金なんで、これは明らかに私どもはこの四条の二に当てはまると思うのですが、こういうものもこの条文で今後は全部出さなくするという英断的な気持をお持ちなのか、これをひとつお聞きしたい。
  39. 鈴木俊一

    ○鈴木(俊)政府委員 寄付割当てて強制的に徴収する主体が、当該の地方公共団体でありましようと、あるいはそれに関連する外郭団体でありましようとそれは問わないという点は、直接、間接であるとを問わずという点で現われておるのでありますが、この条項に該当する具体的な要件としては、寄付金を割当てるということが第一の要件で、第二には強制的に徴収するということであります。この二つの要件に該当する寄付というものは禁止するというのが第四条の二であります。そこで今具体的な問題になりました警察協力費なるものが、これに該当するがどうかということでございますが、名前はどうでありましようと、おそらく府県でありましようが、府県が自主的に予算を組んで、それを自発的に支出して行く、こういうものでありますならばこれに該当しないわけであります。万一国家地方警察本部が、各府県に対して警察協力費として幾らかを割当てましてそれを強制的に徴収する、こういつたようなことにもしなりますならば、それはまさしくこれに該当すると思いますけれども、ただいまの事態におきましてそのような点は見当らないと思うのであります。また臨時的な経費等につきまして、たとえば国家地方警察の庁舎をつくるというような場合におきましては、国としては当然標準的な経費は予算で組むわけであります。ただそれを越えるようなものについて、地元の市町村にひとつ善意なる寄付をお願いしたい、こういうようなことがありました場合におきましては、これは地元の市町村と当該の国家地方警察との具体的な相関関係の問題でありまして、もしそういうようなものをあるいは県下関係市町村割当ててとるということになりますと、これまた四条の二に該当するようなことになりますが、そうでないものにつきましては、これは当然該当しない、かように考えます。
  40. 立花敏男

    ○立花委員 この四条の二は単に抽象的に机上でおつくりになつたものではないと思う。やはり地方の財政の困難から考えまして、特に払うべきものでないものを払つておる、国の権力を背景といたしまして地方負担をかけるべきではないものを払つておる。こういうことの実情をお考えになつて、この四条の二をおつくりになつたと思う。だから現在府県が払つております警察協力費、全国で莫大な額に上ると思うのですが、こういうようなものに対してどう処置するか、こういうものに対してこの条文をどう当てはめて行くかということを、何ら具体的にお考えにならないで置くということだとすれば、これはまことに机上プランであつて役に立たないし、自治庁のやり方は現実から遊離したまつたく机上の条項をもてあそぶということになると思うのですが、鈴木君の答弁では、現在この警察協力費は自発的であればいいということだけなんで、これではまつたく無誠意きわまると思うのですが、具体的にはこの条文ができましても、現在各県が出しております警察協力費を、そのまま存置するという方針なのかどうか、あるいはこの条文によつて徐々に改められて行くのだという方針なのかどうか、これをひとつ承りたい。
  41. 鈴木俊一

    ○鈴木(俊)政府委員 先ほども申し上げましたように強制的に割当てて、国家地方警察が各府県から寄付金を徴収するということは、もう当然に禁止されているところでございますが、自発的な警察協力費というものを、当該府県の議決によつて自主的に支出して行くということは、禁止しておる趣旨ではないと思うのであります。ただこれは財政上の政策といたしましては、およそ国家地方警察の維持運営に要しまする経費は、国が全部負担するということが望ましいには違いないわけであります。ただそういうような関係経費が、従来の沿革等もありまして、府県においても自主的に、それでは何とかある程度は考えてやろう、そうして治安をひとつよくやつてもらおう、こういうようなことは実際の慣行として、自主的なる寄付という形で行われているということは、今あると思うのでありますが、これはできるだけ将来は漸減をして行く。また将来はそういうことがまつたくないようになることが望ましいというふうに考えております。
  42. 立花敏男

    ○立花委員 そういうことを最初から言つていただけば、非常にわかつたのですが、何だかあいまいなことを言われたのでお尋ねしたのであります。とにかく国家地方警察の費用の問題に関しては十二条がありますし、特に今度四条の二をお設けになつたのだから、警察に関する費用、特に庁舎を建てるというような基本的な費用は、寄付では絶対にとらないということを、やはりこの場で大臣から明言していただきたいのです。そうでないと、せつかくお出しになつたこれも、実は有名無実になりまして、警察がとるのだから消防もとろう、いやどこそこもとろう、税務署もとろうということになりまして、これはもう収拾がつかなくて、結局空文化すると思いますので、私は最初にこれは空文化するおそれがあるということを申し上げたが、大臣がこれを空文化させたくないとおつしやるのであるならば、やはりこの際具体的な問題について、庁舎の建設費あるいは現在府県が出しております警察協力費、こういうものは、この四条の二で、今鈴木君の言われたように、漸減する方針だ、これはこの四条の二にやはり抵触するのだということを、はつきり明言されるのが、大臣の誠意ある態度だと思うのでありますが、この点どうでございましよう。
  43. 鈴木俊一

    ○鈴木(俊)政府委員 立花委員は、私が申し上げた趣旨を誤解いたしておられるのではないかと思うのですが、四条二の適用があるのだから漸減するのだ、こういうことを申し上げたのではなくて、四条の二は適用がないけれども、国家機関の維持運営に要する経費は国が全部、警察であろうとその他のものであろうと、これを負担するということが、財政原則からいつて望ましいことであるのみならず、当然なことである、従つつてそういうものについて、地方団体経費負担しないで、自主的な負担がなくて済むようにして行きたい、こういうことを希望しておるわけでありまして、将来の地方財政の運営としては、そういうことがないようにあつて欲しい、こういうことであります。しかし現在の警察協力費は、それでは四条の二に該当するから当然禁止されておるのである、こういうふうになるかというと、そうは考えていない、この点をひとつ先ほどの答弁に補足して申し上げておきます。
  44. 立花敏男

    ○立花委員 だから私も十一条をわざわざ例に引きまして、あなたは地方財政の基本的な考え方だと言われますが、だからこの地方財政法の四条の二を特に修正なさつたのだろうと思うのですが、十三条と四条、この地方財政法の精神を貫いて、そういうものはなくして行くのだ。特に四条をおつくりになつたのは、そういう意味をより明確にするために、四条とも牴触するかどうか機械的な質問はいたしたくありませんので、そういう精神でやはりこの四条の二は改正なさろうとしておるのだということを明確にしていただきませんと、具体的にそういう問題は全然タツチしないのだ、そういう問題とは関係ないのだ、そういうものをどうするかということについては、四条の二は何ら関係はないのだというような、ほおかむり主義では、現在の地方財政の確立もできませんし、地方に横行しております寄付行為もとどまらないと思う。だからその点を私は明確にしていただく必要があると思つたのですが、そういう包括的な意味でも明確になつたということは、何よりだと思います。  それから基本的な問題に入りたいと思うのですが、九条で地方公共団体全額負担する経費というのがありますが、これは非常に一般的な規定でありまして、その他例外的に国が全部または一部を負担する事業が、その次に四つばかり並べてあるわけなんで、九条で、一般的に、地方全額負担するものを出してあるわけであります。こうなりますと、私は非常に大きな疑問が出て来るのですが、とにかく地方でやる仕事は、地方公共団体全額負担するのだ、しかしこれとこれとは例外だとあつて例外の項目だけがあがつているわけです。そういたしますと、建前は全額負担で、項目があがつておるものだけは国が一部または全部を負担する、こうありまして、それ以外のものは全部やはり地方公共団体全額負担するのだとなつて参りますと、これは従来よりも地方負担が増すおそれがあるのじやないか。例外として認められておりますもの以外の新しい仕事がどんどんふえて参ります。あるいは社会情勢の変化によりまして、新しい施策が必要になつて参りますが、その場合には、第九条によりまして、やはり地方公共団体全額負担しなければいけないのだ、国の方はそれに対しては知らん顔をしておればいいのだ、例外以外のものは知らん顔をしておればいいのだということになるおそれがありまして、地方公共団体の財政をますます窮迫化させるおそれがあるわけなんですが、その点についてどういうふうなお考えを持つておられるか。
  45. 鈴木俊一

    ○鈴木(俊)政府委員 第九条の「地方公共団体又は地方公共団体機関事務を行うために要する経費については、当該地方公共団体全額これを負担する。」これはやはり地方自治の原則から申しまして、地方団体のやる仕事あるいはその機関のやる仕事は、地方団体負担をするのが大原則であることは当然であります。ただ日本の現状におきましては、地方団体が必ずしも自己が選択した自主的なる事務をやるわけではなくて、そういう仕事の多いことが望ましいのでありますけれども、今日法律政令によりまして、相当多くの事務地方団体なり地方団体機関がやることを要請されておるわけであります。そういう種類の仕事につきましては、やはりそこにある種の国からの財源の付与、こういうことが考えられなければならぬわけでございまして、それが新たに地方財政法改正によりまして、例外として四項目加わつておるわけであります。そういうように負担の非常に重くなるものにつきましては、それが自主的な事務でございましても、一般の地方財源をもつてしてはできないという点がございますので、そういうものも例外的に規定をいたし、国が全部または一部を負担する、こういう建前にいたしておるわけであります。この原則が無理であるかないかということは、要するに地方財政平衡交付金法によりまして、地方団体負担いたしまする部分は、基準財政需要額として見込まれ、それについての一般的な財源措置が、地方税なりあるいは平衡交付金によつて行われて行くわけでございますから、特にこのためにどうこうということはないのではないか。要するに一般の地方財源措置というものが、適正に確実に行われまするように努力しなければなりませんけれども、現在の財政制度の建前といたしましては、地方団体負担になりましたものが、それぞれ平衡交付金制度によりまして、基準財政需要として捕捉せられ、それが税あるいは交付金によつて補填されるわけでありますから、特に御心配はない、かように考えております。
  46. 立花敏男

    ○立花委員 簡単に心配はないとおつしやいますが、現在の地方財政は、御承知のようにあなた方の報告によりましても、非常に心配な状態にあります。この際に、全額地方団体の責任である、ただ次々の例外だけは、これは国が一部または全部を負担するのだ、というような簡単な規定の仕方では、なおさらこの心配が増大するのじやないか。地方は現在のままにおいても非常に心配いたしておりますのに、全額地方の責任だ、地方負担するのだというような規定を置かれまして、その他のものは例外的にだけしか認められない、こういうようなことでは、この心配がますます増大するのじやないか。しかも、平衡交付金は、総体的に減少して参る。その他起債のわくと申しましても、あるいは融資のわくと申しましても、そう簡単には参らない。こうなつて参りますと、国から支出を受けます事業の種類は限定されておりまして、それ以外は全部地方公共団体負担だというようなはつきりしたものがつくられて参りますと、地方は非常に困窮する。しかも、さつき言いましたように、いろいろな財源措置あるいは資金の面で拘束されて参りますと、どういたしましても、地方は非常に事業が困難になる。これは争われない事実だと思うのでありますが、こういう情勢の中で、こういう一般的な規定地方全額これを負担するのだということだけでは、これは地方財政をかえつて混乱さすものだと思うのですが、それに対する適当な救済措置と申しますか、そういうものは何もお考えになつていないかどうか。ただ心配する必要はないというような楽観的な、希望的な意見だけで、こういう条文をおつくりになつたのかどうか、もう一ぺん聞いておきたい。
  47. 鈴木俊一

    ○鈴木(俊)政府委員 今の地方団体あるいは地方団体機関がやります仕事は、原則として地方団体がこれを負担する。その地方団体負担部分は、地方財政の基準財政需要額の中に見込んで行つて、税及び交付金によつてこれを充当して行く、こういう原則であるわけでありまして、この根本の建前については、私は心配ない、こう申し上げたわけであります。その運営の実際の問題といたしましては、年々の交付金はいかがなるか、あるいは地方税の収入額はいかがなるか、あるいは今お話のごとく起債額はいかがなるかという主要な地方財源につきまして、これを全般的に考察をして、その年々の財政計画を立てて行かなければならぬと思いますが、これは要するに、そういう根本的な制度に関する法律案でございます。従つてこの制度に関するものとしては私は心配ない、かように申し上げたわけであります。
  48. 立花敏男

    ○立花委員 根本的な制度だから、なおさら私は問題にしておきたいと思う。平衡交付金が十分に与えられ、一般財源地方のあらゆる事業をまかなうに足るだけのものが与えられておりますならば、こういう一般的な基本的なものをおつくりになつてもいいのですが、やはりそれが非常に資金の面でも不足している。しかも逆に地方税金門司君がさつき言つておりましたように、牛や豚、果樹にまで税金をどんどんかけて苛斂誅求をやつておる。そういう情勢の中で、こういう一般的なものは全部地方負担するのが建前だ、但しこういう例外だけは国が一部または全部を持つのだというようなきめ方は、これはまつたく実情にそぐはないところのやり方であつて、こういう地方の財政では地方理事者としても安心できないと思う。地方住民も安心できないと思う。その点はやはり改善していただく必要がある。しかも私どもが非常に不安に思いますのは、そういう地方の立場に立つて今まで発言をいたしておりました地方財政委員会というものがなくなる。だから地方の財政がどういう立場で今後扱われようとしておるか。少くとも地方財政委員会があつたときとは、一歩後退した形で地方財政が扱われようとしておる。地方財政委員会があつたときですら地方は非常に困難であり、非常に不安を感じておつたにもかかわらず、地方財政委員会がなくなつたあとで、全部その事業は地方負担するのだというようなことをおつくりになることは、これを利用いたしまして、あらゆる新しい仕事、あるいは例外的に認めたもの以外は、全部地方負担さすのだということに、私は現実にはならざるを得ないと思う。でありますから、やはり方針ををお出しになるのは、現実の姿の上に立つて、しかも現在どういう方向地方財政が持つて行かれようとしておるかということを、はつきりお考えになつておやりにならないと、いたずらにこれはためにする者に利用されるばかりでありまして、決して地方財政を確立する方向には行かない。民生の安定にはならないと思うのでありますが、そういう問題もお考えになつておるかどうか。あるいはどういう御意見を持つておるか伺いたい。
  49. 鈴木俊一

    ○鈴木(俊)政府委員 地方団体なり、地方団体機関がやります事務は、要するに地方自治の事務でありますから、そういう仕事を処理いたします経費は、地方団体がこれを負担するということが原則でなければならぬのは当然だと思います。ただそれについて十分国家全体としての財源措置がなければならぬ、こういうことが言えるわけでありまして、財源措置が具体的の場合に必ずしも適当でないというようなことがあつたために、ただちにそういう地方団体が自分の仕事をやる経費負担するという大原則がけしからぬ、こういうように逆に論法を進めて参ることはいかがかと思うのであります。とにかく地方団体のいたしまする事務でありますから、それを地方団体負担するというのは、これはいわば自治の大原則であろうと思うのであります。今年度の編成成立いたしました予算におきましても、この第十条以下の国の負担をいたしまする部分等につきましての原則が、実はそのまま当てはまつておるわけでございまして、この原則は現在の実情も十分考え合せて立案いたしたものでございます。一つ一つの問題として当つて参りまするならば、必ずしも——必ずしもと申しますか、まつたく実際から離れているような点はない、まつたく実際に合致いたしました立て方である、さように考えておるわけであります。
  50. 立花敏男

    ○立花委員 どうも抽象的にしかお考えになつていないので、具体的な例をあげなければ納得していただけないのじやないかと思いますが、たとえば例外的に国が一部あるいは全部を負担しなければならぬという特例をお認めになつておるようですが、こういう費用はやはり国が見なければ、地方ではまかない切れない、またはまかなわすのは無理であるというように考えられたから、こういう例外をお置きになつたと思うのですが、しかもそういう特例をお認めになつたものについても、実は地方が非常に無理算段をして負担をしておるという実例があるわけです。こういうようなものについて、はつきりした御意見を持つていない。だから特にあなたたちが特例として、国が負担しなければ地方ではまかなつて行けないのだという問題ですから、現実に地方では国の負担が足りなくて——国にたよらなくて地方住民に転嫁しておるという場合がたくさんあるわけです。だから、なおさら私はこの法案に疑問を持たざるを得ない。具体的に申し上げますと、たとえば十条の二で例外として認められておる公共団体の建設事業ですが、石川県では道路補修税を県民から一般的にとろうとしておる。こういうことが石川県から出て来ておるわけで、特に例外として国が全部または一部を負担しなければならないと規定するような精神とは、まつたく逆な形が現実の姿の上では現われて来ておる。しかもこういうことはやはり自治法では問題にされていない、地方財政委員会の奥野君に聞きますと、それはとつてもしかたがないだろうというようなことを言つているわけで、特に例外を認めて、これは国でやつた方がいいだろう、地方負担さすのは無理だろう。特に例外として法律条文でさえ認められようとする建設事業費、こういうようなものが県民の一般的な負担として法定外独立税としてとられようとしておる。こういうことになつてつております。あるいは北海道の災害費の問題も数十億の金が税金として北海道でとられようとしておる。これもこの例外で十条の三の災害に係る事務である。災害はやはり特例だ。これは部分的な、自治体で解決すべき問題ではない、国が全部または一部負担すべき問題であるというふうに特例として認められておるのに、北海道の場合はやはりそれを税金でとろうという議が起つておる。あるいは鳥取県では教育税すらとろうとしている。こういうような形で、あなたたちがこの例外として認められたやつですら、地方税金としてとろうとしておる形が現われておるわけなんです。こういう場合に、そういうやつだけは例外で国で持つが、他のものは全部地元の負担だというふうにされますと、これはどこまで負担が重なつて来るかわからない。例外で認めたやつですら、地方でとらなければならないような金の出し振りしか中央でしないので、その他のものは全部地方負担だということになりますと、これでは地方財政はまつたく行き詰まる。その結果地方民の負担が非常に増して来る。石川県の道路税、鳥取県の教育税、あるいは北海道の災害復旧税、こういうものがどんどんふえて来るんじやないか。これではいくら鈴木君が安心しておれと言われましても、地方では安心することはできませんので、そういう傾向に陥つて行く、あるいはそういう傾向を助長する、そのわながこの法案の中にあるのじやないかと思うのですが、そういう点はどういうふうに了解されておりますか、伺いたい。
  51. 鈴木俊一

    ○鈴木(俊)政府委員 ただいまのお話でございますが、要するに地方団体負担をいたしまするものは、税及び平衡交付金によつて財源が得られる、こういうことになるわけでございまするし、この四項目の国が全部または一部を負担しまする経費につきましては、これは国の負担金あるいは補助金というようなものでまかなわれることになるわけであります。そのようなものにつきましては、いわゆるひもつき補助金といいますか、そういう性格のものになるわけでありまして、財政運営上はいわばきゆうくつな、ゆとりのないものになるわけであります。これに反して、平衡交付金なりあるいは税——税はもちろんでございますが、平衡交付金によつて補足せられる部分につきましては、これはやはり一般的なる交付金でございまするから、そういう意味の地方の自主性に対する拘束は少い。従つてそういうものが多いということは、財政運営上もまた自治の上からも望ましいことであります。そのことは、先ほど来自治の上からそういうことがむしろ当然であるということを申し上げたわけであります。今御指摘の、たとえば道路の建設補修の経費でございまするとか、あるいは災害経費、こういうようなものにつきましては、やはり国が全般的な計画をもつてやりまするような、そういう国民経済上の要求に基きまするものは、国が負担する。災害につきましても一定の財政需要をもつては処置しがたいようなものは国が負担する、こういうふうに一定の水準以上のものを、特にこれが当該地方団体だけの負担でやるのは困難であるので、全部または一部を負担しよう、こういう原則にしておるわけでありまして、それ以外の通常の経費につきましては、災害なりあるいは建設補修につきましても、どうせこれを負担いたしますのは個々の住民であり、国民であるわけでありまして、その住民負担をいたしまする税、あるいは一般平衡交付金によつてまかなおう、こういうわけでありまして、この建前はかねて大臣から提案理由説明で申し上げましたごとく、地方財政平衡交付金制度の根本の建前に由来するものでありまして、私どもはこの案が適当であると目下考えておる次第であります。
  52. 立花敏男

    ○立花委員 これは具体的に話をしないとはつきりしないと思うので、具体的に話をしたいと思いますが、道路税は石川県の県庁で決定をいたしまして、おそらく政府に持つて来るだろうと思うのですが、石川県の道路税についてどういうふうな意見を持つておられるか。
  53. 奧野誠亮

    奧野政府委員 この問題につきましては、この前に十分お答えしたつもりでありますけれども、重ねてお答えをいたしますと、国全体の経済力その他から考えまして、国全体としてのある程度の道路計画を立てるだろうと思うのであります。しかしながら地方団体としては、それだけでは十分ではない、なお進んでやりたいという場合に、その財源をどこに求めるかということになつて参るわけであります。その際に現行税目につきまして、税率を引上げるという場合もございましようし、あるいは新たなる税目を設定して、それらの仕事をやろうとする場合もあるだろうと思うのであります。こういうことはやはり地方住民の希望するところにまかせてよいのではなかろうか、かように考えているわけでありまして、従つてまた特定の県におきまして、法定外税目をつくつて他の地方団体における水準以上の行政を営もうとする場合は、税目に対する特段な支障のない限り、地方財政委員会としては許可しなければならないというふうに考えております。
  54. 立花敏男

    ○立花委員 そうすると石川県の道路税は、さいぜん言いましたように、地方議会で決議をしておりますので、これはそのまま自治庁としては、あるいは地方財政委員会としては、認められる方針だというふうにお伺いしてもいいですか。
  55. 奧野誠亮

    奧野政府委員 まだ地方財政委員会に正式に許可申請が来ていないそうです。参りましたならば内容を検討して、従来答弁申し上げておりますような趣旨に合致するものならば、法律上許可しなければならないというふうに考えております。
  56. 立花敏男

    ○立花委員 非常にこれは地方財政委員会としては手落ちだと思うのです。あれは石川県全体が非常に問題にしておりまして、金沢市では市が全体として反対である。これは市会で決議をいたしまして、市出身の県会議員八人はリコールをやるというところまで参つておりまして、これは国会とは逆に、改進党が県会を握つておりまして、自由党がこれに反対しておるわけなんで、石川県全体の大きな政治的問題にまでなつておる問題である。これがしかも今言いましたように、道路税というような、今回の法案では特別に国が負担しなければいけないというような原則を立てようとしておる種類の税金なんです。そういうふうな大きな問題になつておるものを、何ら具体的に知つてもいないし検討もしていない、具体的な意見もここに出せないというに至つては、私は地方財政委員会としては怠慢じやないか、問題はやはり発生の過程において見なければいけないので、向うから出して参りました申請書だけを見るのは、これは最後の手段であり、それだけによつて決定するのは下の下の手段じやないかと思いますので、その点なぜこの重大なる道路税の問題を地方財政委員会として関心を持つて成行きを調査されていないのか。これは全国的にも重大な問題で、今後この道路税が各県で県議会を通りまして、どんどん道路税がとれるとなつて参りますと、これは全国民の大問題です。特に道路の問題は、最近国としても何か異常な努力を払われておりまして、道路関係法案はこの議会にもたくさん出て来ておりますが、その道路関係の費用がこういう形で県民の負担になつて来る。それも石川県を前例といたしまして全国的に波及するおそれがある。こういうような場合に、なぜもつと具体的に地方財政委員会は、この問題を真剣に調査されていないのか、これをひとつつておきたい。
  57. 奧野誠亮

    奧野政府委員 具体的な意見として、この前からたびたび申し上げているつもりであります。全国的に波及するとか波及しないとかいうことをおつしやつているわけでありますけれども、今日国民経済が必ずしも十分でございませんだけに、地方財政もその運営に困難していることは事実であります。しかしながら国民所得と見合いまして必要な財源を与え、ある程度その範囲内において地方団体運営するようにくふうして行かなければならないということも当然であろうと思うのであります。ただこの程度が適当であるかどうかということにつきましては、いろいろ見解の相違もあるだろうと思うのでありますけれども、昭和二十七年度に関しましては、この程度でやつてもらわなければならないだろうというふうに考えているわけであります。しかしながら将来また新たなる財政需要が起りまして、それに必要なる措置として財源をふやさなければならないような問題が起きれば、これはまた格別の問題だろうと思うのであります。ただ石川県における法定外普通税の設定の問題につきましては、もとより賛否両論はあるだろうと思います。しかし自治を認めておりまする以上、また現行地方税法改正いたしません以上、あの条文従つて地方財政委員会は行政処分をしなければならないだろうと思うのであります。それ以上に干渉にわたるような行為に出ることは、穏当ではないだろうと思うのでありまして、現在石川県がいろいろと時々話に参つております点におきましては、別段特に中央において干渉を加えなければならないようなことはないというふうに考えておるわけであります。石川県議会はやはり石川県民を代表しているというふうな考え方に立たざるを得ないだろうと考えておるわけであります。
  58. 立花敏男

    ○立花委員 私は地方自治庁に直接石川県の方に干渉してくれとは申してありませんので、現在の地方税法あるいはその他の関係法令の建前から申して、そういう事態が起ることについては、どういう意見を持つているか、またそういう重大な問題に対して、自治庁としてはどれだけの用意と調査をされておるかということをお尋ねしておるので、もちろん地方自治庁が石川県の問題について直接的に干渉してくれというようなことは、私は申しておりません。直接干渉すべきでないことは、聞くまでもなく明白なことなんです。しかし自治庁地方財政委員会としては、この問題に対する基本的な見解としては、こうだというものがなければならないと思う。それを私はお伺いしておる。道路税というふうなものを法定外普通税として認めること自体にも問題がありますし、現在の地方財政の困難から申しまして、こういうものがひとたび一つの県で許されますと、全国的にどういう影響を与えるかということも、当然地方財政委員会としては検討されなければならない。これは鳥取県の教育税の場合でも同じですが、鳥取県でひとたび教育税がとられたということになりますと、全国的に大きな波及力を持つことになるだろうと思う。ですから、こういう動きに対して自治庁としては、どういう見解を持つておられるかということは明白にしていただかないと、この地方税法の立案者として、あるいは地方税法の施行者として、これはやはり仕事の上の怠慢であるといわざるを得ないと思う。私が奥野君に聞いておりますのは、直接干渉するか、しないかということを聞いておりませんので、自治庁地方財政委員会の根本的な考え方、見通しはどうかということを尋ねておる。これはまたあとで答弁をいただいてもけつこうです。  それから岡野さんにちよつとお聞きしたいのですが、私ども地方財政法あるいは平衡交付金法、税法を今審議中なんですが、これはやはり、さいぜんちよつと述べました地方財政委員会の廃止の問題と、非常に大きくつながつておるのじやないか。地方財政委員会は、地方財政に関する基本的な機関であつて、特にその重要性が認められてつくられたものなのですが、これを廃止するということは、やはり政府方針の中に大きな変革があるのじやないか。地方財政に関して政府方針がどういうふうにかわつたか、この根本的な見解を承ることは、こういう三つの法案を審議する上にとりまして、まことに重大な関連がありますので、なぜ地方財政委員会を廃止されるのか、どういう考え方から地方財政委員会を廃止されるのか、地方財政の問題に関しまして、政府としてはどういう考え方の変化があつて地方財政委員会を廃止されるのか、おそらく、廃止するのは、これは何も基本的な考え方に変化があるのではなくて、ただ事務の整理のためにやるのだというふうな御答弁があるかもしれませんが、それにしてはあまりに重大な問題なので、考え方にかわりがないとすれば、地方財政委員会を廃止する理由はまつたくないと私は思うのですが、どういう理由地方財政委員会を廃止され、どういう基本的な考え方の変化が地方財政委員会に対する考えの中に生じて来たか、これをひとつ承りたい。
  59. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答えします。地方財政委員会を廃止するか、しないかということは、まだ未定の問題でございますから、それに対する政府方針を今申し上げる段階ではないと思います。
  60. 立花敏男

    ○立花委員 これは確かに問題になつておりまして、新聞紙上でありますが、廃止するという方針は、政府の見解として出ておつたわけです。少くともこれは問題になつているのは当然なんで、これは大臣としてはどういうお考えを持つておられるか、これは大臣のお考えであるか、他の方面の意見であるか、少くとも大臣としては、この問題について、廃止するのが可と考えておられるか、あるいは不可と考えておられるか、あるいは岡野国務大臣は従来でも、地方財政平衡交付金制度については根本的な修正を要する、地方財政平衡交付金自体が地方財政の確立の障害になつているとまで言われたことがありますので、相当つつ込んだ改革意見をお持ちだと思うのですが、そういうものとどう関連するのか、地方財政委員会の廃止によつて、何を岡野大臣は考えておられるのか、やはり問題が非常に深刻ですし、地方の財政に及ぼす影響が大きいのですから、率直にお答えを願いたいと思う。
  61. 岡野清豪

    岡野国務大臣 未定の問題については意見を申し上げるわけに参りません。
  62. 立花敏男

    ○立花委員 未定の問題だとおつしやられますが、これはすでに私どもこの法案を審議いたしておりますので、そういううわさがあります以上は、どうしても聞かしていたただきたいと思うのですが、未定の問題でも、岡野大臣の意見が発表されないことはありませんので、これは他日でもよいですから、ひとつお答えを願いたいと思います。  それから十二条の中に、警察予備隊、海上保安庁が特に加えられているのですが、警察予備隊の募集の費用の問題につきましては、きのう多少聞きましたが、海上保安庁に要する経費は一体どういうものなのか。警察予備隊と同様に、やはり海上保安庁の募集についても地方自治体が事務を行うのか、これは具体的にどういうものを予想して、十二条に警察予備隊と並べて海上保安庁の経費を挿入されたのか、これをひとつ伺いたい。
  63. 鈴木俊一

    ○鈴木(俊)政府委員 海上保安庁に要する経費と申しますのは、国家機関としての海上保安庁に要する経費でありまして、海上保安庁の各種の警備上の艦艇でありますとか、あるいは庁舎でありますとか、要員の募集でございますとか、そういうような関係経費一切を包含しておるのであります。
  64. 立花敏男

    ○立花委員 警察予備隊の方は七月から着手する、その事務をやるといつておりますが、海上保安庁ではそういう具体的な計画があるのかどうか。
  65. 鈴木俊一

    ○鈴木(俊)政府委員 地方財政法が二十三年に制定せられ、爾後改正を経ておりますが、海上保安庁と申しますのは、最近の改正後に設置せられました機構でございますので、新たに加えたわけであります。具体的に海上保安官の募集、そういうふうなことにつきましては、これはやはり当該所管の行政機関からお聞きを願いたい。
  66. 立花敏男

    ○立花委員 これは具体的には何も当面の仕事の見通しはないわけですか。
  67. 鈴木俊一

    ○鈴木(俊)政府委員 そうです。
  68. 立花敏男

    ○立花委員 それから、奥野君が専門だから、ちよつと聞いておきたいのですが、この間から問題にしております行政協定による地方税の免税の問題ですが、これは独立後ということがいわれておりますが、現在非常に大きな問題が起つておる場所があるわけで、これがやはり府政協定の形で、今後も存続されるのではないかと思いますが、これをひとつ具体的にあげますから、自治庁考え方なり方針を聞かしていただきたい。河合良成がつくつております相模原工業株式会社ですが、ここが一文も固定資産税を地元の相模原町に入れていない、地方の自治体もこれをとりに行こうとしない。これをとつていいのか悪いのかわからない。そうして工場なんかに行つて見ますと、旋盤から工具にまでUSAという判が押されておりまして、これはアメリカのものなんだから税金を払わなくてもいいのだ。建物にまで判を押してあるかどうか知りませんが、非常に巧妙な脱税の方法がとられておりまして、自治体としては非常に困る。おそらく五千万円ばかりの固定資産税が、入るべきものが入つていない。何とかこれをとれるようにして地元の負担を軽減してくれと言つてつておりますが、こういう事態を調査なさつたかどうか、またこういう事態を調査なさる意思があるかどうか、またこういう事態があつていいのかどうか。日本人がつくつております日本の株式会社が、アメリカの判を固定資産に押しまして、それで税金を納めないというような事態があつていいのかどうか。五千万円と申しますと、自治体の死活に関する重大な影響を与える金額でございまして、これはまことに問題だと思うのです。しかもこういう工場は全国にはたくさんありますし、行政協定によりますと、こういうものが今後どしどし地方税の免税を受けることになるのですが、現在起つておりますこういう問題を、具体的に解決しないと私ども明白にならないと思います。この現実の問題をどういうふうにお考えになつておるか。
  69. 奧野誠亮

    奧野政府委員 固定資産税を課することのできない範囲は、地方税法で明確に規定されているわけであります。しかしながらそれを越えまして公益上の必要があります場合には、当該地方団体の条例に基きまして、減免の範囲を拡張することができます。これらのいずれの範囲にも入つていないものに対しまして、固定資産税を課していないとすれば、それはもとより怠慢であり、これはとがめて行かなければならないと思います。しかし御指摘の問題は、私今想像するのでありますけれども、国の所有する固定資産になつているのじやないかと思うのであります。そうであれば、さきの改正になりまして使用者に課税する条文も削除いたして参りました以上、法定外普通税を設けなければ固定資産税を課することは地方税法上できない、こういうことになるのだろうと思います。これらの事情につきまして、もし当該地方団体に疑問がありました場合には、当該地方団体から事情を具して意見を求められました場合は、十分調査いたしましてすみやかに意見を伝え、適当な指導を行わなければならないと思います。
  70. 立花敏男

    ○立花委員 地方団体は実はもう萎縮してしまつておりまして、問題になし得ない状態なんです。五千万円とれるものを一文もとつていないのです。非常に萎縮しておりまして、問題にすらなし得ない。しかも工場へ参りますと、USAの判を押しておりまして、これは進駐軍のものだから、手を触れることができないとおどし上げられまして税金もとつていない。私はそこに非常に大きな権力が動いておつて、そういう結果が起つているのじやないかと思うのです。あなたの言われるように、おそらく国有財産にはなつていないと思うのです。この間つくられました河合良成氏の会社なんで、明らかにこれは国有財産ではないと思う。あなたのお言葉によりますと、市町村から申請がないと、何ともいたされないというようなお考えのようですが、この問題は非常に重大なんで、やはりこういう問題がある以上は、出かけて行かれて、あるいはお呼びになつて、はつきり調査をなさるのが適当ではないか。さつき言いましたように、もう目の前にあります工場へ行つてそれを調べることすら、自治体はなし得ない状態でありますから、出て参りまして自治庁地方財政委員会の門をくぐるということは、おそらくなし得ないと思います。私どもも調査いたしたいと思つておりますが、自治庁としても問題が非常に重大であり、特に行政協定とからみ合いまして、影響するところが大きいのでありますから、即刻調査していただきたいと思うのですが、これはどういうふうにお考えになつておるか承りたいと思います。
  71. 奧野誠亮

    奧野政府委員 相模原にある工場だと伺いますと、昔航空隊のあつたところでありますので、あるいは国有ではないかと思うのであります。しかしながらいずれにいたしましても、きよう初めて立花さんから伺つた問題でありますので、国有であるか国有でないかという事実を、明らかに教えていただきますならば善処いたしたいと思います。
  72. 立花敏男

    ○立花委員 国有という場合には、一体どういう形で国有になつておると想像されておるのか。村民の申しますには、工場へ行きますと、さつきから言つておりますように、アメリカの判が押してあるのだから、これは税金はとれないのだと言われておるのです。国有だからとれないのだというふうには、村民は理解してないわけです。国有であるとすれば一体どういう形で国有になつておるのか。これはさいぜん申しましたように、ごく最近株式会社として河合良成氏がおつくりになつた相模原工業所なんです。これは国有財産ではないと思うのですが、どういう観点から、どういう方法で国有になつておるとお考えになつておるのか、聞かしていただきたいと思います。
  73. 奧野誠亮

    奧野政府委員 課税の問題は法律の定めるところによつて行うべきだと思うのでありまして、国有物件であれば課税できない。そうでなければ占領軍が使用しておるものでありましても、所有者に対して固定資産税を課して行くことができるわけであります。従つてそれらの事実によつて運営を行いたいと考えております。
  74. 立花敏男

    ○立花委員 今の言葉の中に占領軍の町有のものであつても、使用者に固定資産税を課することができるという言葉かあつたと思うのですが、そうですか。
  75. 奧野誠亮

    奧野政府委員 私は占領軍の所有ということは申し上げません。地方税法規定しておりまする以外の、地方税法課税禁止しております以外の者が所有しております場合につきましては、現行地方税法の定めるところに従つて課税して行くことができる、かよう申し上げておるわけです。
  76. 立花敏男

    ○立花委員 具体的なものを調べてからという意見も委員から出ておりますので、さいぜん奥野君から言われました国有かどうかということを調査いたしまして、そちらへ知らせますから、自治庁の方でもこれはすぐ御調査願いたいと思うのですが、さようはからつていただけるかどうか。
  77. 奧野誠亮

    奧野政府委員 もし適当でないような事情がありましたならば善処いたします。ただ先ほど来たびたび申し上げておりますように、国に対して固定資産税を課さない、また法律上の納税義務者がかりに占領軍になるといたしました場合に、所有者が占領軍である場合、占領軍に対しまして地方税法が適用されないことも、これも占領治下においてやむを得ないだろうと考えます。それ以外の面につきましては、これは特に課税を怠つておるような問題がありましたら、適当な指導を加えて参りたいと思います。
  78. 立花敏男

    ○立花委員 向うではUSAの判を押して、これは占領軍のものだから、税金を課されないと言つておるのです。それじやあなたはそれを肯定なさるのですか。占領軍の判を押してあつて、占領軍のものだからと言つておるのです。そうして工場をつくつて、どんどん生産をして利潤を上げておるという場合でも、判が押してあつて占領軍のものだからということになれば、これは税金は課さないのですか。
  79. 奧野誠亮

    奧野政府委員 事実を調べてお教えいただきましたならば、よく研究いたしたいと思います。
  80. 門司亮

    門司委員 ちよつと聞いておきたいと思うことがあるのです。この中の国の負担地方負担との負担区分の問題ですが、「全部又は一部」と書いてありますが、これの算定の基礎をどうお考えになつておりますか。よく二分の一とか三分の一とか法律できめられておりまして、それだけもらつて地方公共団体はやつて行けないと思う。どうしてもそれ以上の追加がいることになつて来る。従つてこれはきめ方が非常にむずかしいと思うのです。たとえば税法にありまするような言葉を使つて、適正なそのときの時価というふうにきめられれば、これはある程度カバーされると思いますけれども、ただ一定の国の基準だけでは、地方負担の方がどうしても多くなりがちで、地方の財政はそのためにかなり困つていると思う。この点は法律をつくられるときはどういうおつもりであつたのか。  もう一つ委員長にお願いしておきたいことは、例の公立病院の払下げの問題が大蔵委員会に出ていると思いますが、これは地方の公共団体に、かなり大きな影響を持つものでありまして、無償で払い下げるといたしましても、それの維持、管理その他で地方の団体で、かなり迷惑をする団体が出て来ると思う。従つてこの審議にあたつては、われわれも多少意見を持つておりますので、できれば大蔵省関係の人を呼んでいただきまして、話を聞いておきたいと私は思いますし、なおできますれば、連合審査会に持つてつていただけばけつこうだと思います。それをひとつおとりはからいを願いたいと思います。
  81. 金光義邦

    金光委員長 理事会にお諮りいたしまして、適当にはからいます。
  82. 岡野清豪

    岡野国務大臣 国が全部負担するか一部負担するかという問題は、国と地方公共団体利害の差というものを基準にしましてきめたい。これは将来これをきめます場合に、相当むずかしい問題になるかと思いますけれども、根本原則としましては、国がやらなければならぬというパーセンテージと、それから地方がそれに対してある程度の利害を受けるというパーセンテージと、それからまた国の負担力、地方負担力というようないろいろのことを想像してやらなければならぬと思います。災害のとこもいろいろ問題がありましたが、相当にむずかしい問題であろうと思います。その方針については、ただいま申し上げました利害を中心にして、その間の基準をきめて行きたい、こう考えております。
  83. 金光義邦

    金光委員長 それでは地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案につきまして、逐条説明を聞きます。奥野政府委員
  84. 奧野誠亮

    奧野政府委員 やはり新旧対照表に基きまして説明させていただきたいと思います。  第二条の改正は、条文が多少動きました関係で込み入つておりますのと、第六号で「交付金」を「普通交付金」に改めておりますのは、現行法では特別交付金を二十五年度と二十六年度の暫定措置として規定いたしておりました関係上、普通交付金という言葉がなかつたわけであります。しかしながらここに規定しておりまするのは、普通交付金の性格のものでありますので、特別交付金と普通交付金の二種類にわけまする観点から、このように改めたわけであります。七号の単位費用の経費を若干詳しくいたしておりまするが、本質的には何ら従来の考え方相違を加えたものではないのであります。他の条文の中に規定しておりました言葉を、便宜この中へ合せて規定することにしたわけであります。すなわち「道府県又は市町村ごとに、標準的条件を備えた地方団体が合理的、且つ、妥当な水準において地方行政を行う場合又は標準的な施設を維持する場合に要する経費基準とし、補助金負担金、手数料、使用料、分担金、地方債その他これらに類する収入及び地方税の収入のうち基準財政収入額に相当するもの以外のものを財源とすべき部分を除いて算定した各測定単位の単位当りの費用(当該測定単位の数値につき第十三条第一項の規定の適用があるものについては、当該規定を適用した後の測定単位の単位当りの費用)で、普通交付金の算定に用いる地方行政の種類ごとの経費の額を決定するために、測定単位の数値に乗ずべきものをいう。」その趣旨基準財政需要額に計算いたしまするものは、大体地方税の標準税率で計算いたしましたものの七割に相当する財源、これと平衡交付金の普通交付金との合計額で維持されるような種類の部分だけを測定するのだという趣旨が織り込まれておるわけであります。もう一つ括弧の中に書いてありまするものは、たとえば高等学校の単位費用は高等学校の生徒測定単位にしておるわけであります。しかし普通科の課程でありますとか、あるいは工業科の課程でありますとか農業科の課程とかによつて、生徒一当当りの経費の所要額は違うわけでもります。普通科の課程の経費を一といたしました場合には、農業科や工業科の課程の経費は、それより多くなつて来るわけであります。ここでは普通科の課程の生徒の一人当りの経費を基礎にして単位費用を定めておりますので、従つて農業科とか工業科の生徒の員数は、普通科の課程に経費の面から見ました計算で引直しまして数値を出す、それで所要額を除することによつて、単位費用を算定するのだという趣旨をうたつておるわけであります。なお単位費用のこまかい計算の仕方は、単位費用の額を法定しまする条文のところで御説明いたしたいと思います。  第三条の第五項を新しく加えたわけでございますが、「地方団体は、その行政について、合理的、且つ、妥当な水準を維持するように努め、少くとも法律又はこれに基く政令により義務づけられた規模と内容とを備えるようにしなければならない。」とかく国におきましては、ひもつき補助金負担金の類を交付することによつて、国が期待するような行政を行わしたいような希望が強いのですけれども、そのようなやり方におきましては、とかく官僚統制の弊が加わつて参りますので、地方団体に対しまして国が要請したい場合には、よろしく法律規定に基いて行うべきであろう、こういうふうな考え方をとつているわけであります。半面に、要請されたものはなるだけこれにこたえるようにして行かなければならないという規定を設けておきまして、もしこれらの期待にこたえないような場合には、どうするかという措置を、あとの条文でうたつておるわけであります。  第四条で三号に第十五条、第十九条、第二十条の二というふうなものを加えておりますが、第十五条は特別交付金を加えました関係であります。また第二十条の二は、国が要請する仕事を行わなかつた場合に関しまする規定であります。こういうような規定に基きまして変更、減額、返還の場合が生ずることをうたつているわけでございます。第五号に異議の申立ての問題につきまして、第二十条の二の場合を含めるようにいたしておりますが、これも国が要請するものを行わなかつた場合の制裁的な規定に対しまする異議の申立てをも、この中に規定しようとしているわけであります。  第五条は、地方団体側が資料を提供する場合に、特別交付金というものが新しく加わりましたので、特別交付金の額を算定する資料も提出しなければならないということを書こうとしているわけであります。二項も同じ趣旨であります。五項の改正は、若干言葉の使い方を改めているだけのことであります。  第六条で、「交付金の種類は、普通交付金及び特別交付金とする。」ということにいたしまして、特別交付金の制度を恒久の制度といたしたいと考えるわけであります。第三項で、「毎年度分として交付すべき特別交付金の総額は、普通交付金の総額の九十二分の八に相当する額とする。」というふうに規定いたしております。この趣旨は、交付金総額を基礎として考えました場合には、特別交付金の総額は交付金総額の百分の八とするということであります。基礎を普通交付金に置きました関係上、九十二分の八とするような煩わしい書き方をしたのでありまして、言いかえれば、交付金総額を普通交付金に九十二%、特別交付金に八%を持つて行くということになるわけであります。  次に第十条は、従来規定しておりました交付金は普通交付金の趣旨だということで、言葉を修正するだけのことであります。  第十二条は、若干測定単位のとり方をかえましたのと、新たに単位費用を法定としましたところに改正の主眼があるわけであります。測定単位をかえましたのは、衞生費のところで食品関係営業者数を使つておりましたのを、その部分財政需要がきわめて少いものでありますから、特に取立てて採用しなければならないほどのものでありませんのでこれはやめました。反面、労働費の点につきましては、新たに失業者数を加えまして、失業救済対策事業等に要する財源が円滑に確保できるようにいたしたいと考えたのであります。また産業経済費の林野行政費におきましては、民有林野の面積だけにいたしておりまして、従業者数をやめておりますが、従業者数だけでは必ずしも林野行政を的確に把握できない。林野行政に携わります従業者の中には、たとえばきのこの栽培等に従事する者がありまして、あまり行政費に響かないような面も多いからであります。また警察消防費につきまして、従来警察吏員数を使つておりましたのを人口を使うようにいたしたいと考えております。それは従来でありましたならば、警察吏員の定数は国において政令で定められておつたのでありますが、地方団体の任意になりましたので、任意に定める吏員数を基礎とすることは穏当を欠きますので、客観的な人口を基礎とすることとしたのであります。消防費につきましては、従来家屋の床面積を使つておりましたのを人口を基礎にすることに改めたいと考えております。その趣旨は、戦災地等におきましてはバラツク建で人口一人当りの家屋面積が少いのでありますけれども、消防費はかえつて多くを要するというようなことがありまして、均衡を欠く点が考えられますので、人口に改めようとしているわけであります。  おもなものは大体その程度でありますが、単位費用をどうやつて計算したかということにつきまして、一例を引いて御説明申し上げておきたいと思います。お手元に「各行政項目別単位費用算定基礎」という二百ページ内外の印刷物をお配りいたしておりますが、そのうちの六十五ページを広げていただきたいと思います。衞生費に例をとつて説明さしていただきたいと思います。その六十五ページは道府県の衞生費の測定単位は人口ということになつておりますが、どういうふうな行政事務に要する経費を、この部分で測定しているかということであります。左の端の細目のわきに細節、行政事務内容、根拠法令とうたつてあるわけであります。法定伝染病予防費、精神衞生所費、結核予防費、食品衞生費等のものがあるわけであります。  これはさらに次のページに入りまして、六十七ページに一定の標準団体を仮定いたしまして、所要の経費がどれだけあるかということを計算するわけであります。それでは標準団体行政規模をどういうところに求めているかということでありますが、たとえば法定伝染病予防費でありましたならば、伝染病予防の関係で二級の職員が標準団体行政規模では三人いる。全国行政規模では百三十八人、従つて平均をとれば三人になるんだ、こういう趣旨であります。それからたとえば三番目の結核予防費になりますと、予防職員数は五人である、結核患者数は二万二千九十人、レントゲン自動車は一台有している、こういうふうな関係になるわけであります。五番目の性病予防費になりますと、性病病院診療所費として、性病病院診療所数のうち病院は一つある、併設されているものは十四ある、こういうような規模を想定いたして出て参つておるわけであります。  さらに裏へ参りまして六十八ページの七番目の医師病院診療所取締費になつて参りますと、標準団体では病院の数が七十四、診療所費が九百七十四、歯科診療所費が三百二十五、あんま、はりきゆう一千七百三十五人、こういうふうなものを想定いたしまして、所要の経費算定いたして参つております。  次に六十九ページに行きまして3として経費細目細節別職員配置表というものを掲げております。これらの衞生行政を行うために、どのような職員がどのように配置されておるかということを書いてあるわけであります。法定伝染病は二級が四人、三級が七人、雇用人が三人、計十四人の職員を要すると算定してあるわけであります。それがずつと七十ページに至りまして、所要の職員を想定いたしております。  次に七十一ページに参りまして、このような仮定のもとに単位費用が幾らかかるかということをきめておるわけであります。まず法定伝染病予防費の中で、消費的な経費では総額が二千六十万二千百一円、これらの財源としては国庫支出金が百七十七万余円、雑収入が二万六千余円、これらのものを差引きますと、一般財源としては千八百八十万五千五百二円必要とする半面に、投資的な経費として五十四万円いる、これらには特定財源がないわけだから、五十四万円をそのままプラスする、こういうふうになつて参ります。  最後の七十五ページのところに計の金額が出ております。七十五ページの右の端の数字を見ていただきますと、一億一千二百二十九万二千六百九十七円となつております。標準団体の測定単位の数値、これは百七十万人の府県を予想して計算いたしております。この一億一千二百二十九万二千六百九十七円を百七十八万人で割るのであります。そういたしますと一番下の単位費用の欄に六十六円となつて出て来るわけであります。これが単位費用として法定したいというわけでありまして、これらの基礎は今申し上げましたような標準団体の行政規模を想定し、また標準団体における職員の配置を想定するというようなところから、これらの金額が算定されて来るわけであります。  ここに消費的経費と投資的経費と二つにわけてあります。消費的経費というものは、職員の給料あるいは薪炭代であるとか、毎年繰返される経費であります。これに対しまして投資的経費と申しますのは、病院を一旦つくりますと、三十数年間はその病院を使つて行けるわけであります。こういうふうな毎年繰返されない臨時的な経費につきましては、再取得額を計算いたします。それでたとえば病院などでありましたならば、三十数年使いまして最後にそれでは価値はゼロになるかというと、古材の価格として一割程度のものは残存価格としてあるだろうと思うのであります。従つて残存価格を控除いたしましたものを、耐用年数三十数年といたしますならば、三十数年間で除しましたものを毎年の経費として算入して行く、こういうふうに考えているわけであります。これらの計算の基礎にいたしました単価は、何を使つているかといいますと、これもすでにお手元に「地方財政平衡交付金法改正関係参考資料(第一集)」というものをお配りしております。その中にこれらの単価を人件費であれば幾らに見たか、建築費であれば幾らに見たかというような基礎をお示ししておりますので、それで御了解を願つておきたいと思うのであります。  次に条文にもどりまして、ただいま申し上げておりました条文の第十二条の第三項であります。「地文行政に係る制度改正その他特別の事由に因つて第一項の単位費用を変更する必要が生じた場合においては、国会の閉会中であるときに限り、規則で特例を設けることができる。この場合においては、政府は、次の国会でこの法律改正する措置をとらなければならない。」現に住民登録法が問題になつております。この住民登録の仕事を七月から実施した方がいいか、あるいは延ばした方がいいかということにつきましては、いろいろ議論があるようであります。しかしまだきまつていないものを最初から予定してかかるわけに参りませんので、もしこれらの法律が成立いたしまして、七月から現実に適用されるようになりました場合には、これらの経費基準財政収入額に織り込んで行かなければならないことになるわけであります。そういう場合には国会閉会中でありました場合には、法律改正の手続をとることができませんので、さしあたり地方財政委員会規則できめておく、しかし次の国会で法律改正する手続をとろうというようにいたしたいわけであります。なお二項のところで測定単位の数値の算定方法は規則で定めることになつておりましたのを、法律で定めることに改めたいといたしております。  第十三条は、前段の測定単位の数値は、「面積、高等学校の生徒数、道府県税又は市町村税の税額その他の測定単位で、そのうちに種別があり、且つ、その種別ごとに単位当りの費用に差があるものについては、この法律で定める方法により、その種別ごとの単位当りの費用の差に応じ当該測定単位の数値を補正することができる。」ということにいたしております。これは従来の五号に記載されておりましたものを、別途第一項に記載することにいたしたわけであります。先ほどの高等学校の生徒数をとりましても、普通科の課程であるか、農業科や工業科の課程であるかということによつて、生徒一人当りの経費には差が生じますので、そういう場合にはその差によつて補正するんだということをうたつておるわけであります。二項は従来からありました補正の事項でありまして、ただ二号の中で人口密度だけにしておりましたのを、同じような種類を例示として掲げることに改正してあるのであります。「人口密度、自動車一台当りの道路の延長、工場事業場一所当りの工場事業場労働者数、納税義務者又は特別徴収義務者一入当りの税額その他これらに類するもの」というようなことで、補正の事由にいたしたいと考えておるわけでございます。  第十四条は、先ほど単位費用の点で申し上げましたように、あの単位費用の定員のところで規定することにいたしました関係から、この場所では削ることにいたしておるわけであります。  第十五条を第十四条にいたしまして、「基準財政収入額は、規則で定める方法」と書いてあります部分を「この法律」に改めようとしております。第十五条は新たに特別交付金の額の算定に関する規定を加えようとしております。「特別交付金は、第十一条に規定する基準財政需要額算定方法によつては補そくされなかつた特別の財政需要があること、前条の規定によつて算定された基準財政収入額のうちに著しく過大に算定された財政収入があること、交付金の額の算定期日後に生じた災害(その復旧に要する費用が国の負担によるものを除く。)等のため特別の財政需要があり、又は財政収入の減少があることその他特別の事情があることに因り、基準財政需要額又は基準財政収入額の算定方法の劃一性のため生ずる基準財政需要額算定過大又は基準財政収入額の算定過少を考慮しても、なお、普通交付金の額が財政需要に比して過少であると認められる地方団体に対して、規則で定めるところにより、当該事情を考慮して交付する。」というふうに、特別交付金を計算する基礎を明らかにしておこうとするわけであります。二項もこれらを「二月末日までに決定しなければならない。」ということにいたしますとともに、三項でこれらの額を決定、変更したときには、当該地方団体に対する通知の義務地方財政委員会に課しているわけであります。  十六条は、交付の時期を若干早めますために改正をいたしたわけであります。それともう一つは、道府県市町村への交付の時期を違えておつたのでありますけれども、事務をなるたけ簡素にするという意味で、道府県市町村とには同じ時期に交付金を交付しようと考えておるわけであります。  第十七条の二には国税に関する書類の閲覧または記録に関する規定を挿入しておるわけであります。市町村基準財政収入額を測定いたします際に、府県知事が国の税務機関につきまして、市町村課税の基礎となりますような所得税の税額等を調査する必要が生じますので、この種の規定を挿入したわけであります。  十八条は、十五条の第三項を挿入しておりますが、特別交付金に関する制度を新たに恒久化いたしましたので、その部分を加えているだけであります。  十九条は「交付金」を「普通交付金」と改めていますのと、三項に「当該事実を発見した年度若しくはその翌年度において当該地方団体に交付すべき交付金の額からこれを減額し、又はその減額すべき額が交付すベき交付金の額をこえるときはこれを減額し、又は返還させなければならない。」というふうに、減額または返還の時期を明確にいたしますために、若干の修正を施そうとしておるわけであります。  第二十条は特別交付金の制度を十五条に書いた関係から挿入しようとするだけであります。  第二十条の二は関係行政機関の勧告等に関する規定でありまして、一項は「関係行政機関は、その所管に関係がある地方行政につき、地方団体法律又はこれに基く政令により義務づけられた規模と内容とを備えることを怠つているために、その地方行政の水準を低下させていると認める場合においては、当該地方団体に対し、これを備えるべき旨の勧告をすることができる。」というようにありまして、ひもつき補助金を交付しないでも、国会の議決を経た法律さえ設けるならば、国の要請する行政は地方団体に勧告をして行くことができるのだというふうなことにいたしますと同時に、二項ではこれらの「勧告をしようとする場合においては、あらかじめ委員会に通知しなければならない。」とし、三項で地方団体が勧告に従いません場合には、関係行政機関委員会に対しまして交付金の減額、返還を請求することができるものとしているのであります。四項で委員会は、この請求があつたときは、当該地方団体の弁明を聞いた上、災害その他やむを得ない事由があると認められる場合を除き、当該地方団体に対し交付すべき交付金の減額、返還等の措置をとらなければならないことを規定しているのであります。もとよりこれらによりまして減額、返還させまする額というものは、第五項で「当該行政につき法律又はこれに基く政令により義務づけられた規模と内容とを備えることを怠つたことに因り、その地方行政の水準を低下させたために不用となるべき額をこえることができない。」としておるわけであります。減額、返還の最高額を不用となるべき額に押えているわけであります。  第二十条の三では、減額しました額は、当該年度の特別交付金の総額に算入することに規定いたしておるわけであります。附則では不要となりました従来の条項を削除いたしておりますだけでありますので、説明は省略いたします。  なおこの法律の附則の二項におきまして、社会福祉費につきましては、人口だけで測定いたしませんで、当分の間は児童福祉施設入所者数と生活保護法の規定に基く被生活保護者数を加えて行きたいと考えております。これらにつきましては人口だけで測定することも穏当でない面もありますし、なおさらにどのような測定単位を、今ただちに使用することが適当であるかということにつきましても結論を得ませんので、さしあたりは従来通りこれらを当分の間測定単位に使つて行きたいと考えておるわけであります。衞生費につきまして、保健所数を昭和二十七年度に限り測定単位にいたしたいと思つております。保健所はまだ整備の段階にありますので、二十七年度だけは現実の保健所を測定単位に使いますことにいたしまして、整備の促進をはかりたい。地方財政平衡交付金の本来の趣旨から反するかもしれませんけれども、さしあたり年度だけはなお整備の状況に応じて財源の配分を考える、そういうことによつて整備の促進を期するというふうな考え方をとろうとしておるわけであります。  なお附則の三項で「改正後の地方財政平衡交付金法第十二条第二項、第十三条及び第十四条第一項中「この法律」とあるのは、昭和二十七年度及び昭和二十八年度に限り、「規則」と読み替えるものとする。」というのは測定単位の数値の算定方法、補正係数の算定方法それから基準財政収入額の算定方法の三つも、今までは地方財政委員会規則できめればよかつたものを、法律できめようとしておるわけでありますが、しかしながら今ただちに法律できめるような段階に立ち至つていませんので、二十七年度と二十八年度だけは規則できめるようにしておきたい、しかしながら研究が進みました場合には、二十七年度中に全部法律できめるような段階にまで持つて行きたいというように考えているわけであります。
  85. 金光義邦

    金光委員長 本日はこれにて敢会いたします。     午後二時一分散会