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1952-03-29 第13回国会 衆議院 地方行政委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年三月二十九日(土曜日)     午前十一時三十一分開議  出席委員    委員長 金光 義邦君    理事 大泉 寛三君 理事 河原伊三郎君    理事 野村專太郎君 理事 床次 徳二君    理事 門司  亮君       門脇勝太郎君    佐藤 親弘君       吉田吉太郎君    龍野喜一郎君       藤田 義光君    大矢 省三君       立花 敏男君  出席国務大臣         国 務 大 臣 岡野 清豪君  出席政府委員         国家地方警察本         部長官     斎藤  昇君         国家地方警察本         部警視長         (警備部長)  柏村 信雄君         総理府事務官         (地方自治庁次         長)      鈴木 俊一君         総理府事務官         (地方自治庁財         政課長)    奥野 誠亮君  委員外出席者         総理府事務官         (地方財政委員         会事務局税務部         府県税課長)  柴田  護君         専  門  員 有松  昇君         専  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 三月二十八日  大阪の特別市制実施に関する請願外一件(押谷  富三紹介)(第一七四六号)  同(押谷富三紹介)(第一八一一号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第  七四号)  地方財政法の一部を改正する法律案内閣提出  第一二二号)  地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案  (内閣提出第一二三号)  道路交通取締法の一部を改正する法律案内閣  提出第一三二号)     —————————————
  2. 野村專太郎

    ○野村委員長代理 これより会議を開きます。  委員長の指名により、私が暫時委員長の職務を行います。  まず、去る二十七日本委員会に付託されました道路交通取締法の一部を改正する法律案内閣提出第一三二号を議題といたします。まず政府より提案理由説明を聴取いたすことにいたします。齋藤政府委員。     —————————————     —————————————
  3. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 ただいま上程せられました道路交通取締法の一部を改正する法律案提案理由並びにその内容について御説明申し上げます。  現行道路交通取締法は、昭和二十二年十一月に制定、翌二十三年一月一日から施行され、昭和二十四年十一月に一部改正を加えられたのでありますが、その後の実情にかんがみまして、交叉点における自動車右折方法例外規定原動機付自転車運転資格に関する規制簡易化、無軌條電車運転用法に関する規定の新設その他現行道路交通取締法規定所要改正を加える必要を認めましたので、本改正法律案提出いたした次第であります。  その内容について御説明申し上げますと、まず交叉点における交通の円滑をはかるため、自動車または無軌條電車右折方法原則である外小まわりに対して、公安委員会交叉点状況により特に必要があると認めて指定した場所においては、例外的に内小まわりをしなければならないことといたし、次に交通機間に対する規制実情に即せしめるため、現在の自動車の中で、命令で定める総排気量または定格出力を有する原動機を用いる小型のものを原動機付自転車として自動車の範囲より分離し、その運転資格付與についても許可申請があれば、運転者試験を行わないで許可証を與える等、運転資格規制簡易化いたしたのであります。  また無軌條電車が各地に運行せられるようになつて参りましたので、交叉点における左折、右折方法、追越しの方法等運転用法規定を新たに設けました。なお、軌道車一般についても運転用法規定を若干加えたのであります。  次に都道府県公安委員会の行う自動車運転免許及び原動機付自転車運転許可に関する事務並びに施設が、地方実情に即して円滑に行われるようにするために、これらの手数料収入関係事務に必要な経費とを当該都道府県に移管することに改めました。  その他細部の点について若干の技術的改正を加えたのであります。  以上がこの法律案提案理由及びその内容の大要であります。  何とぞ御審議のほどをお願いいたします。     —————————————
  4. 野村專太郎

    ○野村委員長代理 本案に対しまする質疑あとにまわしまして、次に、去る二十六日本委員会に付託されました地方財政法の一部を改正する法律案内閣提出第一二二号を議題といたします。まず政府より提案理由を聴取することにいたします。岡野国務大臣。     —————————————
  5. 岡野清豪

    岡野国務大臣 ただいま提出いたしました地方財政法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及び内容概要を御説明いたします。  本法案は、現行地方財政法につきまして、地方行政の責任の帰属を明確にするとともに、その自主的な運営を確保するため、地方公共団体またはその機関が行う事務に要する経費について、国と地方公共団体負担区分に関する基準を改める等の必要があり改正を加えようとするものであります。  以下本法案内容概要について御説明申し上げます。  改正の第一点は、国費地方費負担区分に関するものであります。  従来、住民多数に関係する事務については、それに要する経費を国と地方公共団体のいずれが負担するかということは、その事務が国と地方公共団体のいずれの利害関係するかということから定められていたのであります。すなわち、主として地方公共団体利害関係するものに要する経費については、その全額地方公共団体負担し、主として国の利害関係するものに要する経費については、地方公共団体はその経費負担する義務を負わないものとし、国と地方公共団体相互利害関係するものに要する経費については、法律または政令の定めるところによつて、国と地方公共団体が共同して負担するということにしていたのであります。  しかしながら地方公共団体の行います事務に要する経費につきまして、国が負担金を支出いたします場合には国庫負担金支出計画が必ずしも地方の実態に即さなかつたり、いたずらに事務の処理、当該事務に従事する職員任免等を煩雑ならしめたりして経費の濫費を伴いがちでありますこと等の弊害があります反面、地方財政平衝交付金法の成立によりまして、地方公共団体にゆだねられました行政に要します経費につきましては、どの地方公共団体に対しても所要経費全額は、地方税地方財政平衝交付金とをもつて保障せられることになりましたので、少くとも財政的にはことさら国が特定の経費に対するひもつき負担金補助金の類を支出する必要はなくなつたのであります。むしろ、地方公共団体にゆだねられました事務については、地方住民が進んでその運営をくふうし、民主的な執行及び管理を行うことができる態勢を整える必要があるのでありまして、この点からすれば、国からのひもつき補助金負担金の類は、原則としてこれを廃止することが望ましいことになつたのであります。ことに国からの補助金負担金地方税とひとしく国民負担になるものでありますので、地方公共団体にゆだねられました事務に要する経費は可及的に地方税をもつて充足せしめ、半面これらの経費は、国税としての負担を軽減する方法を講じ、もつて地方住民がみずから負担した地方税の行方を通じて地方財政のあり方を監視し批判する習慣をつちかいながら、民主政治の基盤たるべき地方自治を確立して参りたいと考えるものであります。もとより、この方法を極端に推し進めて参りますと、付託された事務を処理するに要する経費財源としては、地方税が豊富に過ぎる地方団体を生じて参りますのと、その半面地方住民担税力からしていかに地方税を高めましても、そこに負担せられた事務運営に要する経費全額地方税のみもつては充足することはとうていできない地方団体もありますので、税源の少い地方団体に対しましては、その不足額を全国民負担において公平に補填する措置を講ずる必要があるのであります。  しこうしてまた、この趣旨のもとに地方財政平衝交付金制度が存するのでありますが、この地方財政平衝交付金は国から地方公共団体交付されるものでありながら、他のひもつき補助金負担金の額とは異なり、その交付にあたつては何らの條件をつけたり使途を制限したりしてはならないとする等、地方に対する干渉にわたらないよう、多くのくふうが試みられているのであります。  従つて地方財政平衡交付金制度の成立いたしました昭和二十五年度におきまして、すでに国費地方費負担区分に関する規定は、根本的に改正する必要があつたのでありますが、個々の事務につきましては、なお検討すべき多くの問題がありましたため、昭和二十五年及び昭和二十六年度の二箇年度間は、その適用を停止することといたしておつたのであります。  今回、国の予算におきましても、過去二箇年間に設けられておりました地方財政平衡交付金と国から地方公共団体交付される補助金負担金の類との間に適宜移用を行い得る旨の規定が廃止されましたのと軌を一にして、おおむね現行制度に基いて国費地方費負担区分に関する規定整備することといたしたのであります。  すなわち、さきに申し述べました趣旨にのつとり、地方公共団体またはその機関にゆだねられました事務に要する経費は、その事務の及ぼす利害のいかんにかかわらず、原則として全額地方公共団体負担といたしたのでありますが、ただ次の四点については、その例外を認めることといたしております。  例外の第一として、法令に基いて実施しなければならない国と地方公共団体相互利害関係がある事務のうち、まだ実施されて日が浅いため十分地方公共団体事務として同化されるに至つていない等のため、その円滑な運営をはかるためには、その経費全額地方公共団体負担にゆだねないで、国がなお進んで経費負担する必要がある結核予防その他に要する経費については、法律または政令の定めるところによつて、国がその経費の全部または一部を負担することにいたしております。すなわち、これに該当するものといたしまして、そのほか生活保護に要する経費、保健所に要する経費農業改良普及事業に要する経費等を制限列挙いたしております。  例外の第二として、国民経済に適合するように総合的に樹立された計画従つて実施しなければならない法律または政令で定める土木その他の建設事業に要する経費については、国がその経費の全部または一部を負担するものとしております。これに該当するものといたしましては、現行のいわゆる公共事業費失業対策事費等を制限列挙いたしております。  例外の第三として、法律または政令で定める災害にかかる事務地方税法または地方財政平衡交付金法適用によつては、その財政需要に適合した財源を得ることが困難なものを行うために要する災害救助事業その他の経費については、国がその経費の一部を負担するものとしております。これに該当するものといたしましては、そのほか土木災害復旧に要する経費農林災害復旧に要する経費等を制限列挙いたしております。  例外の第四として、もつぱら国利害関係のある事務を行うために要する経費につきましては、地方公共団体はその経費負担する義務を負わないことといたしております。これに該当するものといたしましては、国会議員の選挙に要する経費外国人登録に要する経費等を概括例示することといたしております。  以上のもののうち第一から、第三までに該当する経費の種目、算定基準、国と地方公共団体とが負担すべき割合は、法律または政令で定めるとともに、地方公共団体負担すべき分は、地方財政平衡交付金法の定めるところによつて地方公共団体交付すべき地方財政平衡交付金の額の算定に用いる財政需要額に算入することといたしております。  次に改正の第二点は、割当的寄付金の禁止に関するものであります。  現に地方公共団体住民に対し寄付金を割当てて強制的に徴収するようなことをしてはならない旨を規定しているのでありますが、国の出先機関から地方公共団体もしくは住民に対し、または国もしくは地方公共団体外廓団体を通じて地方公共団体もしくは住民に対し寄付金等を強制的に割当てて、強要する例が少くないように見受けられますので、これらの道も禁止する趣旨において規定整備をはかつたのであります。  最後に右の改正に伴い、所要規定整備をはかるとともに、地方財政平衡交付金法所要改正を加えることといたしております。  以上本法律案提案理由及びその内容概要につき説明いたしました。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに可決せられんことをお願いいたします。     —————————————
  6. 野村專太郎

    ○野村委員長代理 次にこの際地方税法の一部を改正する法律案地方財改法の一部を改正する法律案及び地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案の三案を一括して議題といたします。  これより質疑を行います。
  7. 立花敏男

    立花委員 国警長官がおられますので、今の地方財政法の問題と前の委員会での長官の発言と関連するところが非常に大きいので、お尋ねしておきたいと思います。今の岡野さんの地方財政法説明最後のところに寄付金の問題があるわけですが、今度の改正の中で寄付金の募集をとめておられますが、今まででもこういう問題は通達あるいはその他の文書で、地方に対してはこういうことは禁止なさつたと思うのです。禁止するようにという旨の意思表示があつたと思うのですが、どの程度なさいましたのか。またそれが効果があつたのかなかつたのか、これをひとつ大臣から承つておきたいと思います。
  8. 奥野誠亮

    奥野政府委員 従来閣議決定をもちまして寄付金を強要してはならない旨の通達があつたと記憶しております。しかしながら今回立法いたしますのは、單に行政官庁に対しまして一定の方針を示すのみならず、広く国民に対しまして、こういうような方法において運営されなければならないということを示したいということで、その方が意義があると考えております。
  9. 立花敏男

    立花委員 大臣がお急ぎのようなので、大臣答弁していただく問題を出します。前の委員会齋藤国警長官が、国家警察建築費地方から寄付を仰ぐのは、今までもやつておつたし、これからもやるつもりだというふうにはつきり言われたのです。今聞きますと、閣議決定でそういうことはしてはいけないということが政府意思としてきまつておるし、それから地方にも通達された。しかるに国警長官は、そういうことはやつて来たし、これからもやるつもりだと言われたのは一体どういう意味なのか。それから岡野国務大臣はその問題に対してどうお考えになつているか。齋藤長官が言われたが、今まで数億に達する寄付金地方からとつておる。特に建築費のようなものも地方から寄付をとつて来たし、とつてもいいということを言つておる。現実閣議決定国警長官が無視して、蹂躙しているわけなんですが、こういうような事態を岡野国務大臣はどうお考えになつておるか。これを岡野国務大臣に先に御答弁願つてあとからひとつ齋藤国警長官答弁を願いたいと思います。     〔野村委員長代理退席河原委員長代理着席
  10. 岡野清豪

    岡野国務大臣 今回提案されました法律では強制してはいかぬということで、住民が非常な熱情を持つてお助けしよう、こういうような自発的に出て来るものを禁止するわけではごぜいません。そういう趣旨でございますから食い違いはないと思います。
  11. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 公共団体からの建築費その他に対する寄付金は、なるべく国費でやるのが建前であります。従つてそういう寄付を強要することの  いけないことはもちろんであるわけであります。政府方針といたしましても、これはできるだけ差控えるように、そして国で十分な費用出したいということになつておるのでありまするが、先般も申しましたように、国費の分では地方としては十分ではない、自分らの方で寄付金を出すから、地方の治安その他の関係で、この程度にしてもらいたいという場合には、これを受け入れると申したのでありまして、決して強要はいたしておらぬと思います。従つて政府方針と食い違つておるとは考えておりません。
  12. 立花敏男

    立花委員 それはまつたく詭弁であつて、私ども地方では一市民として生活しておりますが、警察強制寄付にはまつたく困り果てておる。これは岡野さんの、あるいはあなたの言われるように、自由意思出しておるものでは絶対にありませんから、それは現実を無視し、また故意に目をおおわんとする言葉であつて国警長官みずからが、こういうことは絶対にやつちやいけないという政府の基本的な方針を蹂躙しておる、これは私は重大な問題だと思います。強制寄付ではないと言われますが、全国自治体が、特に県庁あたりが六百万円か七百万円、多いところで一千万円近い金を毎年きまつたように、半ば国警の方から請求されて出しておりますので、こういうものは単なる偶発的な、あるいは特殊な場合における自発的な寄付行為とはいえないと思う。こういう形がはつきり現われておりますのに、それを今までほおかむりして、むしろそれを奨励するような形でやつておられたことは、この間も国警長官言葉で明らかだし、なおそれを強行しようとされておつたのですが、こういうはつきりしたものが出て参りました以上は、私は前の言葉長官はお取消しになるのが妥当だと思うのです。こういうものが出ましても、なお国家警察建築費等は、もし自治体の方で出そうというのであれば、受取つてもよろしいという考え方でおられるのか。そういうものをこの際やはりやめようというお考えなのか。今までとは本質的にかわりまして、法律の上でこういうものを出しました上でも、なおそういうものをとろうというお考えなのか。これをひとつつておきたい。  それから岡野さんにも、今後こういうものをお出しなつた後においても、国警長官の言うように建築費などに対して、地方自治体が莫大な金を出すことを認めるおつもりなのかどうか、これを承つておきたいと思います。
  13. 岡野清豪

    岡野国務大臣 これは私は個々別々の事例について判断しなければいかぬと思います。とにかく国費地方費もみんな足りないのです。そこで、その地方住民の福祉を増進するためにその住民一同寄つて、税金でまかなう仕事はこの程度だ、しかしわれわれのところでは寄付してもいいから、こういうことをしようじやないかということになつてするなら、私は今度出しまた地方財政法改正には触れないと思います。あなたの今おつしやるような、そういうおうわさのごときものがあるとすれば……(立花委員長官が言明している」と呼ぶ)いやいや、あなたは今あつちも一千万円こつちも五百万円強制的に寄付をとつておるとおつしやつたから、それをうわさ言つたのですが、そういうことがありとすれば、この法律が出ました後は、そういうことがなかなかなるだろうと期待している次第であります。
  14. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 私も岡野国務大臣のただいまの御説明とまつたく同様でありまして、従来といえどもただいま提案されておりまするような意床におきまして、強制的な割当寄付はやつておりません。さような事実がありますれば、私の方の監督不行届でありますから発見次第これは巖重に警告をし処置をいたしたいと思います。さようなものは現在はないと考えておるのであります。ただ自発的に県あるいは市町村から好意的な寄付がありまする場合、しかもわれわれの方考えまして、これはその地方のためにどうしても必要不可欠なもので受入れることがかえつて望ましいという場合でなければ、さようなものは受入れないのであります。また公共団体でありまするから、もちろん知事あるいは市町村長及びその議会の同意を得てやることでありますから、非民主的な押しつけがましいことは、事実起り得ないと考えておるのであります。
  15. 立花敏男

    立花委員 長官言葉はまつたく不可解である。地方の不可欠だとする国警施設庁舎、そういうものは出さしてもあたりまえだというふうにとられますが、おそらく私は国が必要だから国家警察を置いてあると思うのです。また地方で必要だと思うから国警が置かれておると思うのです。必要でないと思われるものは置いてあるはずはない。長官言葉から行くと、国警費用は全部地方に持たしてもいいことになる。国警が必要だから国家がその費用を出すという建前になつておるので、地方に不可欠だから地方が出すというりくつは成り立たないと思う。そこに齋藤長官考え方に大きな間違いがあるのではないか。なぜこんな何億という寄付金をおとりになるのか。それだけ国からお出しになる国警費用が足りないのか、一体、その点はどうなつておるのか、国民は大きな疑惑を持たざるを得なかなかなつて来る。数億に達する寄付金をとらなければまかなつて行けないような国家警察費用であれば、それに甘んじておる長官は責任問題なんで、私ども非常に不可解だと思うのですが、寄付金をおとりになる理由一体どこにあるのか。国で十分費用が出ておるとすれば、寄付金をおとりになる必要はないので、とつ寄付金は何にお使いになつたか、国の費用が足りないから寄付をおとりになつたのだとすれば、一体何に使つたかこれをひとつ承りたいと思います。
  16. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 ただいま資料を持つておりませんから、詳しい点は申上げられませんが、何も全国一律に寄付金をとつて、それを国家警察費用に充てておるわけではありませんので、先ほどおつしやいました建築費のごときは、たまたま新しい庁舎をつくるとか、あるいは移転をするとか、そういう場合におきまして地方の方から好意的に申出がある、しかもぜひ新しく設けてほしいとかいうような場合、こちらも考えて受けてもいいと思う場合は、一部を受入れておる状況であります。こちらの方から強制的に当然だから出してくれという考えでいたしておるのではないのであります。
  17. 立花敏男

    立花委員 私はこう思うのです。たとへば警察の方が臨時的な職員の慰安でもやるというときのその費用の一部を自発的に有志から受けるということは、常識的にもあり得ることだと思います。それも大きな弊害があると思いますが、そういうことならば、一応常識的にわかると思うのですが、国家警察の設置がその自活体にとつては不可欠である。しかもその庁舎建築費寄付で出させるというようなことは、国家警察の根本的な問題になつて来るし、その費用にいたしましても、これはもう国家警察費用の中の根本的な費用なのです。そういうものを寄付に仰ぐということは間違いじやないか。ただそれがその地方に不可欠だという理由だけでは、絶対にこれは理由にならない。そういうものをすら寄付に仰ぐということは、根本的に間違いじやないか。しかも今までも閣議決定をやり、今度は法律はつきりこういうものを禁止すると言つております場合に、それが表面は自発的な形式を整えておりましようとも、現在地方財政が苦しく、大きな困難を加えているときであり、それを出す地方住民にとりましては、これはあなたが何と強弁されようとも、いかに形を整えられようとも、国家警察費用住民負担しているということは間違いありませんので、そういうものをすら、なお今後自発的だという重なる表面上の理由によつて続けようとすることは、明らかに法の無視ではないか。法網をくぐるものではないか。これこそ明らかに脱法行為であり、警察権威利用である。こういう脱法行為をやることは絶対許されない。なおそれをお続けになるつもりなのですか。建築費用のような本質的な費用がそんなに足りないのか。何のために一体予算審議して、国で警察費用出しておるのか。本質的な建築費すら寄付をとらなければならないような予算を、あなたは甘んじて承認されておるのか。国から出しておるものを一体どこにお使いになつているのか。きのうあたり日本全国で千八百箇所の共産党関係の弾圧をやつておられますが、そういうところにたくさん金がいるので、建築費の方はどんどん寄付で取上げて行く。そして平和運動の彈圧をするのに金を使つてしまつて、基本的な建築費の方は住民寄付で、形の上では自由だと言いながら、強制的に取上げておる。私どもそう考えざるを得ないのですが、長官の明確な御答弁をお聞きしたい。
  18. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 建築費をまわして、共産党の取締りに充てておるというような事実は、全然ございません。
  19. 立花敏男

    立花委員 そうとしか思えませんので、そうしたらなぜ建築費寄付でとるか、御説明願いたい。足りないのならば、なぜそれをあなたは国会に要求して出させないのか、それが非常に不可解な点だし、現実にきのうのようなことをおやりになると、私どもそうとしか考えられません。現実に私はそうだと思う。それ以外には説明のしようがありません。まあ国家警察の問題はこのくらいにしておきます。  次に地方財政法の問題で、奥野君にお尋ねしますが、ひもつきの負担金補助金等を国家から地方にあまり出さないようにするという建前だと思うのですが、現在でもたとえば兒童福祉法の金などは、平衡交付金の中に繰入れられておりまして、ひもつきとなつていないがために、地方では兒童福祉の方の事業が十分やられない。出るべきはずのものが出ない。かえつて従来のひもつきの方がよかつたので、ひもつきではない平衡交付金に繰入れられましたので、地方でやらなければいけない、また財政上やれることになつておるはずの兒童福祉法の事業が、やられないという形が現われておるのです。ひもつきをはずすということはこういう傾向を助長して行こう、国から地方出しました平衡交付金を地方が自由に使えるようにいたしまして、そのほとんど大部分が軍事道路をつくつたり、基地の施設をつくつたりする方にまわして行こう、ひもつきでは困る、ひもつきでは自由に使えないという点から、こういう措置をおとりになつたのじやないかと思うのですが、その点どういうふうにお考えになつていますか。それから兒童福祉法の問題など、現実に平衡交付金に繰入れられて、かえつてひもつきのときよりも、関係の事業が縮小されたという事実を認識なさつておるかどうか、これを承りたい。
  20. 奥野誠亮

    奥野政府委員 特定の事業に対しまして、国からひもつきの補助金負担金の類を交付いたして参ります場合には、それらの補助金にあてはまつた金を使つただけの仕事をさせることは、これは可能だと思うのであります。その際に国家的な見地から、特定の仕事を府県市町村に行わせたいために、ひもつきの補助金交付する。その際に国家的な意思をだれが代行するかと言いますと、もとより予算に定められている金額の点から規模が出て来るだろうと思うのであります。しかしながらそれだけの金額を使うということは、地方においては一定の仕事をやります際に、必ずしもそれがそんなにいらない、ある場合にはもつと金がいるというような場合もあるだろうと思うのでありますけれども、金額を使わせる行政はできるかもしれません。同時にそれらの補助金負担金の運用を通じまして、国家的な意思が官僚を通じて行われるだろうと思うのであります。言いかえれば、官僚統制の弊に堕するきらいが多分にあると思うのであります。その他これらを通じまして、地方の人事行政機構等に対しまして、国の地方団体に対する干與の機会を與える。あるいはそれらの補助、負担金の金額の配分につきまして、やはり、相当の経費を要するだろうと思うのでありまして、いろいろな面からむだが多くできる。むだが多くできるのみならず、そこに官僚統制の弊害が起きて来るのではないか、こういうような考え方を持つているわけであります。しかしながらもとより全国民の立場から、地方団体にどうしてもやつてもらわなければならない問題はたくさんあるだろうと思います。そういう問題はよろしく国会の議決を経て、府県市町村に対して義務づけて行けばよろしいじやないか。もし義務づけたにもかかわらず、行われない場合には、必要な財政措置もとれるようにしたらいいのではないか、こういうふうな考え方から、昭和二十五年以来の改正を行つて来ているわけなのでありまして、その結果、たとえば兒童福祉の仕事がうまく行つていないところがありはしないだろうかというお考えでありますけれども、これは一体何に比べてうまく行つているとかいないとかいう判断をするだろうかという問題が、一つあると思うのであります。そうしますと、やはり府県市町村は最小限度ここまでやらなければならぬのだという国家意思というものを、法律の形をもつてどんどん府県市町村に示されて行かなければならないだろう、こういうような考え方を持つているのでありまして、もしそれもなお行われない場合には必要な財政措置もとれるように、今回地方財政平衡交付金法改正案によつて提案いたしている次第であります。
  21. 立花敏男

    立花委員 兒童福祉の事業が実際に行われていないというのは、單に推測でありませんので、これは衆議院の厚生委員会自体で問題になつておりまして、厚生委員会では厚生委員会全体の一致した意見として、やはり兒童福祉の金は平衡交付金に入れないで、二十七年度からは元通りにしてくれという要請が、当委員会へ来るように話が運びつつあるというように私聞いております。これは決して私個人の意見ではありませんので、自由党、改進党、社会党も含めて、厚生委員会の大体一致した意見であるというように聞いております。従つてそういう意見がまとまつて参ります背後には、事実上やはり施行されることになつている地方の兒童福祉の事業が施行されていない、その金がどこかにまわつているという事実があるから、こういう意見の一致が出て来ていると思いますので、單に私どもが言つているだけであるというようにお考えにならないで、この事実をはつきりしていただく必要があるのじやないか。しかもこういうひもをはずしたら、こういう事態になつているということは、私は一つの兒童福祉の例だけをとりましたが、やはり全般的にそういうふうな傾向が出て来るのじやないか。そういう場合に全部ひもをはずしてしまいますと、地方出しました金が非常に一方的な方向に使われてしまつて、かんじんのその事業がみんな行われなくなつて来る。そして軍事的な事業だけが行われて来るという形が、どうしても出て来ると思う。だからそういう点は、立案するにあたつてもよほど注意なさらないと、そういう場合にひもつきをはずすというような、何か机上でお考えなつたようなことだけをおやりになると、結局それは客観的に見ますると、そういう地方予算が軍事予算に流れるという点を助長する、その口実を與えるということにしかなりませんので、その点の現実の認識、あるいはそういう問題に対する考え方、これはやはり根本的に検討していただきたいと思うのですが、もう一度意見を承りたい。
  22. 奥野誠亮

    奥野政府委員 お話のように、昭和二十五年に今まで出ておりました補助金負担金が整理されまして、大幅に地方の一般財源に振りかえられたのであります。その際に最も大きな金額を占めておりましたのは、義務教育関係経費と兒童福祉関係経費であります。一般財源に繰入れられた直後から、文部省、厚生省、あるいはそれらの関係者から、従来通りひもつきの補助金負担金にしてもらいたいという意見が、常に繰返されて参つております。また国会におきましても、文部委員会や厚生委員会において、盛んにその意見があげられておるわけであります。昭和二十六年度の国の予算審議にあたりましても、そういう意見が委員会において熱心に表明されました。私は現に府県市町村に行われておりますそれらの行政が、国で考えております行政の規模を、みんな完全に維持しているという意味で申し上げたわけではございませんで、もちろん水準を下つているところもあるかもしれません。しかし半面に水準を越えている面もあるということをわれわれは見のがしてはならないだろうと思います。しかしながら特定の水準を下つています場合に、下つてつてよいのかどうかという問題があるわけでありますから、これは全国民の立場から要請しなければならない水準でありますならば、そのことを国会の議決を経て、府県市町村に対しまして義務づければよろしいのじやないか。もし義務づけても、なおかつ行わない場合には、半面に行わなかつた結果不要となつた金額だけは、その団体の財源を国に返してもらう。そういうような間接的な強制の方法を講ずることによつて、あくまでも地方団体にゆだねられている以上は、地方団体住民がその運営をいかにくふうして能率を上げて行くかということに努力されなければならないのじやないか、かような考え方を持つておるのであります。今立花さんは、補助金負担金の類をはずしてしまえば、軍事的な方面に大いに地方団体が支出することになるのじやないだろうかとおつしやつたのでありますが、私はまつたく反対の見解を持つております。国が軍事的な態勢をととのえたいと考えますならば、むしろ補助金負担金の類を復活し、地方団体の財政運営に対しまして、国家統制を強力に加えるような方法を講じて行けばいいと思います。しかしながら昭和二十五年以来とつておりますところの地方財政制度の改正はそのような方向とはまつたく別な方向をとつていることも、御了承願いたいと思います。
  23. 立花敏男

    立花委員 国が中央ではつきりと地方の軍事費の補助金として出すことは、形式上はつきりいたして参りますので、そういうまずい方法はとらないと思うのです。やはり平衡交付金で一般財源として出す。それを地方で自主的に使つたのだから、これはやむを得ないのだというふうな形をとろうとしておる。その一つの現われが、やはりひもつきをはずしている。そうしてまつたく自由に地方で軍事予算が組めるようにして行くということになると私は思う。  この問題はこれくらいにしておきますが、きのう問題にしました公共事業費の問題、それから災害対策費の問題、こういう問題がここでは例外としてあげられておりますが、やはりきのう私が述べましたような見解から、こういう問題に関する費用は、非常に基本的な費用なんで、こういう費用はやはり住民が一般的に法定外負担税の形で負担するということは、好ましくないという理論と一致した何だと思うのですが、この地方財政法改正案の趣旨と、奥野君がきのう答弁なさつたことと、一応私は考え合せておいていただきたいと思う。それは意見として奥野君に申し上げておきます。  それから地方財政法現実に無視するような形が非常にたくさん出て来ております。それは住民登録の費用の問題です。住民登録の費用については一体どうなつたのか。自治庁あるいは地方財政委員会としては、この間住民登録法施行法が通りましたが、あの費用一体どうするつもりなのか、地方負担をどうするつもりなのか、どういう財政措置を講じようとしているのか、この地方財政負担の問題が、具体的に解決されないと、單に紙の上だけで財政法を修正いたしましても、私は何にもならぬと思うのですが、住民登録の地方負担財源措置をどういうふうにお考えになつているか、これをひとつ答弁願いたい。
  24. 奥野誠亮

    奥野政府委員 住民登録の費用の問題につきましては、この前当委員会で御説明申し上げたと思うのでありますが、重ねて申し上げておきます。住民登録の計画にあたりましては、これを行います結果、寄留関係の仕事がなくなる。あるいは世帯台帳の作成がこれによつて不要になる。こういう関係から、経費はむしろ減少するであろうというような見解が、一般的だろうと思うのであります。もちろん個々の地方団体におきましては、その事情は一律に論ずるわけには参らないだろうと思います。そこで法務府との間におきまして、臨時的な経費は全部国において負担するということで、この法律の施行を考えて行きたい、こういう話合いになつております。従つてまた昭和二十七年度の国家予算には、住民登録費でありますとか、あるいは戸籍の費用でありますとか、そういうものは国で各地方団体に配布する、あるいはまた調査員の手当は国で負担して行く、こういうことで予算に計上されているわけであります。こういうふうに市町村経費負担しないで、全部国で持つて行く、こういう建前になつておるのであります。それから経常的な経費の面においては、特に全体としては増加するわけではございませんけれども、しかしながら地方財政平衡交付金の配分の問題といたしましては、それでは産業経済費で世帯台帳の部分が減つて来るから、これを落したらいいではないかというふうな問題もあるわけでありますけれども、さしあたり市町村財政需要全額市町村基準財政需要額で把握しておるわけでもございませんので、戸籍事務費を戸籍住民登録費といたしまして、この部分に市町村分として十億内外の追加をするようなことにしたい。それだけのものは、市町村に平衡交付金の配分にあたりましては、税と交付金とをもつて新たに財源が與えられる、こういうふうな運営にして参りたいと考えておるわけであります。
  25. 立花敏男

    立花委員 平衡交付金は追加予算であり組んでお出しになるのか、現行のわくの平衡交付金からこの十億をお出しになるのか。現行のわくからだとすると、これはおそらく他の部分が減りますので、全体としては地方ではふえたことにならぬと思います。ほんとうにこれをお出しになるつもりならば、追加予算等で出さなければならぬと思いますが、そのお考え一体どうなつているか。それから十億ではおそらくこれは燒け石に水なんで、これだけの厖大な事務量を地方の責任にゆだねておきまして、わずか十億では私とても足りないと思います。奥野君の言われるように、全額国庫負担建前だとすれば、これをはみ出て要しました費用を、もし地方団体から国家に請求がありましたならば、お出しになる用意がなければならないと思いますが、それの措置についてお尋ねいたしておきます。
  26. 奥野誠亮

    奥野政府委員 それらの部分はこの前御説明申し上げたのでありますが、またただいま申し上げました点からも御了解いただけると思うのでありますけれども、地方団体の使用財源がこれがために全体として追加しなければならないというような考え方は持つていないわけであります。従いまして地方財政計画を立てるにあたりましても、臨時的な経費は国が持つのだから、経常的な経費としてはふえない。従つて住民登録法の関係地方財源を追加しなければならないというような計画はしていないわけであります。ただ地方財政平衡交付金の配分の問題として、どこにどれだけの金額の必要額を考えて行くかという点においては、戸籍関係経費におきまして、従来、世帯台帳などは産業経済費で見られておつたということになるだろうと思います。しかしながら住民登録の仕事は、やはり戸籍関係の仕事の方で計算すべきでありますから、この部分に十億内外のものを追加して、市町村基準財政需要額を測定して行きたいのだ、かように申し上げているわけであります。さらに具体的に申し上げますと、現在市町村の戸籍事務費といたしましては、十二億八千万円くらいのものを見ているわけであります。これを人口で測定しているのでありますけれども、住民登録法が施行されるようになりますと、この部分を世帯数をもつて測定するようにして行きたいと考えております。現在見ております中には、寄留関係経費も見ているわけでありますが、この部分はいらなくなりますから、十二億八千万円が九億五百万円に下りまして、世帯数で見て行きますものが十四億三千二百万円くらいになるわけであります。合計しますと二十三億三千六百万円くらいになる。この総計二十三億三千六百万円から、もし住民登録法が施行されませんでしたら、戸籍と寄留を合せまして、戸籍事務費として測定することにいたしておりました十二億八千万円との差額の十億五千万円くらいのものが追加されることになる、かように申し上げるわけであります。反面また住民登録法の仕事としましては十四億内外のものを昭和二十七年度の所要額として考えておるということになるわけであります。
  27. 立花敏男

    立花委員 あとの質問に対する答弁はなかつたのですが、それで足りない場合は全額国庫負担建前であれば、国が当然出さなければならぬのですが、その問題は一体どうなんですか。
  28. 奥野誠亮

    奥野政府委員 全額国庫負担という問題は、臨時的な経費についてであります。これについてもこの前御質問があつたのでありますが、法務府では国庫予算に計上されたものでやるということを言つておられるわけでありますから、あるいは記載事項にいたしましても、あるいはこれらの運営方法につきましても、その経費のわくでまかなえるように法務府で計画を立て、施行されて行くことになるだろうと、われわれは期待しておるということを申し上げておるわけであります。
  29. 立花敏男

    立花委員 その費用で足らなかつた場合は、地方でやらなくてもいいわけでありますか。
  30. 奥野誠亮

    奥野政府委員 たびたび申し上げておりますように、予算というものはあくまでも見積りであります。しかしまた予算を計上するものはだれであるかということも、はつきりしておるわけであります。もし適当でなかつたならば、責任を負つている者が必要な措置をとつて行かなければなりません。その際に責任をとる方法として、全額を追加する方法もございましようし、事務を簡素にする方法もあるだろうと思います。すべてこういう問題につきましては、計画を担当する者が責任をもつて当らなければなりませんでしようし、また他の者はその責任をもつてつてくれるであろうということを期待してかからなければならないというふうに、われわれは考えておるわけであります。
  31. 立花敏男

    立花委員 そういたしますと、地方は事業の遂行についても、予算についても何ら責任を持つ必要はないということになると思うのですが、それでいいですか。
  32. 奥野誠亮

    奥野政府委員 ただいま申し上げましたように、国から来るところの予算が少い場合には、住民登録の仕事などは、国の予算交付をまつて、進めるということになるだろうと思います。
  33. 立花敏男

    立花委員 カードだけでは仕事ができませんので、カードに記入する人がいなければならないと思うのですが、人が足りない場合、人の手がまわらない場合、この調査員の費用が少くて人が雇えない場合には、仕事はとどめておいてもいい、それは地方の責任ではない、中央の責任であるというふうに理解していいかどうか。
  34. 奥野誠亮

    奥野政府委員 国も十分できるような予算の配付を試みて行かなければなりませんでしようし、地方団体もまたそのわくの中で達成できるように、できるだけ知恵をしぼつて行かなければならぬだろうと思います。しかしながらどうあつてもできないものについては、国が負担するという建前をとつております以上、法務府が国会に相談されまして、必要な措置がとられるものだろうとわれわれはお考えておるわけであります。
  35. 立花敏男

    立花委員 その費用地方が一時立てかえました場合、あるいはあとで計算をして国から参ります費用より超過いたしました場合の措置について考えになつておるかどうか。
  36. 奥野誠亮

    奥野政府委員 住民登録法の施行に当りますものは市町村であります。市町村であります以上は、事務の事項は義務づけられておるわけであります。反面に経費は国がそれだけのものを持つて行くことになつているのでありますから、国の算定がよくなければ、国会においてしかるべく修正があるものだろうと、われわれは期待しておるわけであります。
  37. 立花敏男

    立花委員 国会では十分の審議はなかつたわけで、この委員会審議をやるはずだつたのが一方的に拒否されまして、やられてないわけです。私どもは責任を持てないのですが、しかしあなたがさつき言われたように、事業ができなくなればそれは立案者の中央で何とか措置する、それは地方の責任ではないということを言われましたので、地方はほうつておいてもいい、金が足りなくてやれなければ、ほつといてもいいということになるだろうと思う。だからその際に必要な仕事をやらなければならないというのであれば、それに必要な費用は必ず国家で保障する、立てかえた場合でも、あるいは赤字が出た場合でも、それは国家で補償するという建前はつきりしておきませんと、これが地方にいたずらに事務を押しつけることになりまして、せつかく地方財政法改正案をお出しになりましても、現実の上で崩れて行く。だからむしろ私はこういう改正案をお出しになるよりも、そういう現実の問題ではつきりした態度をおとりになる方が効果的ではないか、現実的ではないか、そう思うのです。これは住民登録だけの例をとりましたが、その他徴兵事務の問題もあります。聞くところによりますと、十一万と申しましたのが十八万になるそうですが、こうなつて参りますと、自治体の徴兵事務は非常に多忙を加えるでしようし、九月には予備隊が満期なんで、それ以前の数箇月には、もうすでにこの準備がなされなければならないのですが、こういう費用一体どういうふうに今お考えになつているか、ひとつ具体的にお伺いしたい。
  38. 奥野誠亮

    奥野政府委員 すべての事務は、国がやるのか、府県がやるのか、市町村がやるのかということは、原則として国会において決定されて行くだろうと思うのであります。また事務に伴いましてそれぞれの経費をだれが負担するかということも、やはり原則として国会においてきめられて行くだろうと思うのであります。従いましてそれらの事務をだれがやるかということがきまり、また経費はだれが負担するかということがきまつて参りましたならば、国会において十分に適正に行われるように御監視をお願いして参りたいというふうに考えるわけであります。
  39. 立花敏男

    立花委員 国会でやるのはこれはあたりまえのことなんですが、今までのやり方を見ますと、政府提案して来ている。政府が国会に意思表示をして来ている。政府が案をつくつて国会で審議をしてくれというふうに出して来ている。そうすると政府の方で徴兵の問題に対しても、そのやり方についても、あるいは費用の問題についても意見がなければならない。それをきめるのはあなたの言われるまでもなく私どもがきめるのですが、第一案を出して来るのは今までの建前政府なんです。しかも十八万の予備隊の増強にいたしましても案を出しておりますのは国会ではなしに政府で、この問題をどういうふうにお考えになつておるか、国会できめる、きめないはもちろん最後の問題なんで、どういう意見を持つているか、あるいは政府部内で今どういう話合いが進んでおるか、大橋国務大臣地方町村に委嘱するということを明らかに言つておるので、この費用は莫大な額に上るだろうと思うのですが、これらについて話合いがないはずはないと思う。大橋国務大臣がそういう意見を発表しているのであれば、むしろ自治庁の方から地方の財政をお考えになるのであれば、それではこの費用はどうするつもりなのかということを尋ねられなければならない。そういうことをただ国会でおきめになればいいのだというだけでは問題は解決しない。政府自身がその責任を回避しているのではないか、地方財政のことを何もお考えにならない。こういうものをお出しになつているが、現実の問題としての住民登録あるいは徴兵の問題、あるいは防空施設の問題、こういうような問題については、費用を具体的にお考えになつていないということを暴露しておると思う。徴兵の問題について、政府内部でどういう意見があるのか、どういう話合いがまとまつておるのか。これをひとつ承りたい。
  40. 奥野誠亮

    奥野政府委員 現に提案しております地方財政法の一部を改正する法律案の中に、警察予備隊に要します経費については、地方団体負担義務を負わないのだと書いてあります。また現在国庫予算に計上されております警察予備隊に必要な経費の中には、当然募集に要します経費も包含されておるものと考えるのであります。従つてもしこれらの募集に必要な事務市町村に行わせるものと仮定いたしますならば、それらの事務市町村に委託するわけでありますから、もとより経費全額国が持つことになるわけであります。まだ最終的な決定は聞いておりませんけれども、もし委任されるもりとするならば、経費関係においてはそうなるわけでありますから、警察予備隊に要しまする経費の中に、宣伝に要しまする財源を十分見込んでいないならば格別、国会において審議された中には、当然募集に要しまする経費というものは論議されておるのだろうと思うのでありますから、それが委託を受けた先において使われるか、あるいは警察予備隊が直接使つてそれらの仕事をやつて行くことになるかというような関係になるだけのものだと考えております。しかしながら将来におきまして、警察予備隊の問題に限りませず、すべての事務につきまして負担の区分を乱り、あるいは事務を行うのに與えられている財源が少な過ぎるというふうな場合には、地方財政委員会設置法に定められておりますところに従いまして、必要な意見というものは国会にも逐次提出して参りたいというふうな考え方でおるわけであります。
  41. 立花敏男

    立花委員 防空の施設費用はどうなりますか。
  42. 奥野誠亮

    奥野政府委員 防空に要しまする経費は、現在のところ地方団体の方としては、予定していないわけであります。
  43. 立花敏男

    立花委員 なぜ予定しないんですか。
  44. 奥野誠亮

    奥野政府委員 現実地方団体が、それらの仕事をやらなければならない場合には、それらを国がまかなつて行きますなり、あるいはどういう形において負担して行くなりきめなければならぬだろうと思うわけでありますけれども、現在さしあたつてそういう事態に直面しているとは考えていないわけであります。
  45. 立花敏男

    立花委員 あなたは知らないかもしれぬけれども、日本の政府はリツジウエイから防空体制を急速に整備せよということを言われておるではないか。しかも現実に立川では空襲警報が鳴つておるではないか。そして進駐軍から防空に関する協力を要請されておるではないか。これで現実の問題ではないとおつしやるのですか。しかも行政協定によりますと、日本全国に基地ができまして、その基地の周辺はそれに協力しなければいけないということが規定されておるじやないですか。きのうはもう米軍の機密を守る法律が出て来ておる。こういう場合に、地方財政に重大な圧迫を加える防空費の問題について、何らお考えになつていないとは、私どもは納得できない。来年度の予算は、四月から向う一箇年間の予算なんだ。その中に当然これは含まれておらなければいけないと思う。
  46. 奥野誠亮

    奥野政府委員 防空体制を整備するかしないかということは、きわめて重大な問題であります。そういうふうな他の地方団体に與える影響、あるいは全国民に與える影響の非常に重要な問題につきまして、一つの市町村が適宜の判断に基きまして、防空体制を進めるというようなことは、穏当ではないと考えるのであります。むしろ国会がしかるべき指導方針をお示しになりました場合には、その範囲内において市町村はしかるべき措置を講ずればよろしいと考えるのであります。いまだ国会がそういう方針をお示しになつていないと考えているわけであります。
  47. 立花敏男

    立花委員 非常に重大な答弁だと思う。そうすれば、全国的にできました基地のアメリカ軍から協力を要請されましても、これは拒否してもいいということになると思うのでありますが、そう思つていいですか。
  48. 奥野誠亮

    奥野政府委員 占領下に置かれております関係上、ものによりましては占領軍の指揮に従わなければならない場合があるでありましよう。しかしその問題と、国全体が防空体制を整える経費をどうするかという問題とは、別の問題ではないかと考えるのであります。占領軍の指揮に基きまして、いろいろと地方団体が行わなければならない問題は、事防空だけには限らないだろうと思うのであります。ことに事防空の問題につきまして、そういうさしずが行われたということは、私は知らないのでありますけれども、その問題と同一に論ずることは差控えるようにお願いしたいと思います。
  49. 立花敏男

    立花委員 今立川では、実際に協力が要請されておる。しかもあなたは占領下で協力が要請されるのはあたりまえだと言われますが、そうすればその費用は地元が負担すべきか、国家的な立場から負担すべきか。これは当然問題にされなければなりません。しかも占領下でなかなかとも、独立の後におきましても、行政協定によりますと全国に基地ができて、それに協力しなければいけない建前になつておりますので、当然そういう問題は起つて参ります。それを何らお考えになつていないということは、これは地方財政を頭から無視しておると言わなければならぬと思う。
  50. 奥野誠亮

    奥野政府委員 占領軍の命令に基きまして、あるいは労務を提供する、あるいは宿舎の整備をする、こういう場合もあるわけでありますけれども、こういう正規の命令に基きまするものにつきましては、終戦処理費で処理されることになつているわけであります。言いかれば、国費で処理されることになるわけであります。しかしもとより、占領軍が特に道路を使用する、また住民を使用する、そういう道路の整備などにつきまして、協力的な意味の希望の表明があるかもしれないと思うのでありますけれども、こういうものにつきましては、その内容によりましてあるいは国が一部を補助する、あるいはまたものによりましては、地方団体全額負担するというような問題もあるだろうと思うのでありますけれども、そういう関係にある性質のものだと考えておるのであります。しかしながらそれらの範囲を越えて、それ以外に特別なさしずが占領軍から行われておるということは、私は承知していないわけであります。
  51. 立花敏男

    立花委員 私はそれらの範囲を越えてとは言つていない。あなたが言つておられるように、現在の占領下においては、国費負担するということはきまつておる。そうであれば、講和が発効いたしました後において、来年度においては一体どういう形で負担するのか。それをどう政府考えておるのですか。これは当然私は現在と同様に国会で負担すべだと思うが、それを一体おきめになつているのか、いないのか。その額をどれほど見積つておられるのか。こういうことを聞いておる。
  52. 奥野誠亮

    奥野政府委員 講和発効後どのような体制になりますかということは、行政協定の内容も明らかになつて参りましたので、それらに従つて措置されなければならぬだろうと思うのでありますけれども、これらの行政協定に伴います細則の問題も、まだ今後の打合せをし、なお検討して行かなければならぬ問題が、たくさんあるだろうと思うのであります。しかしさしあたつて、講和発効後地方負担が特に増加するというふうな事態は、われわれは今のところ考えていないわけであります。
  53. 立花敏男

    立花委員 東京都では、すでに防衛局をつくらなければならないということが日程に上つておる。そうしてあなたが言われるように、行政協定では全国に基地ができまして、その所在いたします自治体は協力を要請されて来る。これは必然なんです。それをどうしてあなたは現実の問題ではない、政府ではそれほどの問題にする必要はないとおつしやるのか。あなたが言われるように、検討しなければならぬ問題、あるいは打合せなければならぬ問題が残つておるということを認められるとすれば、その内容はこの問題でなければならぬと思う。それを何ら具体的なお考えを持つていない。打合せなければいけない、あるいは検討しなければいけないと言つておられるが、具体的には何ら考えていない。これはまつたく責任の放棄だと思う。これはもつと言葉をかえて言えば、自治の問題、地方財政の問題を根本的には何らお考えになつていない。だから、さいぜん申しましたひもつきの財源をはずしますと、こういう方面の財源政府考えていないから、兒童福祉法の金でも、学校の金でも、衞生の金でも、どんどんこういう方面に流れて行く。こういう問題に対する財政措置を政府は少しも考えていない。さつきの徴兵の費用すらあなたは考えていない。十八万にしなければいけないという。それは当面迫つております問題ですら費用考えていない。あるいは住民登録の費用考えていない。こういう費用考えないで、今までひもつきで出しておりました金を全部はずしてしまいますと、こういう方向に地方財源か流れざるを得ないと思う。これは私はさつきから地方予算の軍事予算化ということを言つておる。こういう改正案をお出しになりますと、いやが応でもその方向に金が流れざるを得ない。中央が何ら財源措置を考えていない、責任を持とうと言つていない。その場合にひもつきの金をはずしますと、どうしてもそうならざるを得ないと思うのですが、そういうお考え地方財政改正案をお出しになつたのかどうか。これを最後に念を押しておきます。
  54. 奥野誠亮

    奥野政府委員 東京都に防衛局を設置するかしないかということが論議に上つているではないかというお話でありますけれども、私は承知いたしません。またかりに防衛局を設置しなければならないような事態が参りましても、一東京都の意見でそういうことをすべきものではないと考えるのであります。そういう体制をとるか、とらないかということは、まず国会がいろいろの面においておきめになつて、その後において地方団体が行うべきであるということを、先ほど申し上げたわけであります。従いまして、国会がそういうような施設地方団体に対して希望されるならば、また立法されるならば、それに伴いまして財政措置をしたいと考えるのであります。財政措置がこういう問題に先行すべきものではない、先立つて財政措置でそういうものを考えるべきではないと考えておるわけであります。現在の自治体につきましても、いちいち問題があるだろうと思うのでありますが、少くとも国がそういう方針をきめられまして、並行して問題を決定して行かなければならないと思うのであります。ことに警察予備隊の経費について考えていないとか、あるいは住民登録の費用について考えていないとかいうお話があつたわけでありますけれども、それぞれについて私は先ほど御説明申し上げたわけでありまして、警察予備隊の経費全額国が持つわけであります。そういう地方財政法規定になつておるわけであります。募集に関する経費も自然国が持つわけであります。しかしながら、国が特定の事務をだれかに代行させる場合がございましよう。しかしその場合は、代行を命ぜられたものが行います経費というものは、当然国がそれだけのものを交付して行かなければならないということになるわけであります。
  55. 立花敏男

    立花委員 私は事態の発生する以前に財政措置をやめてしまえということを言つているのではないので、どういう財政措置に対する考え方を持つておるかということを言つておる。それは私は政府の責任だと思う。何となれば、行政協定は政府がきめた。だからそれに関して要する経費は当然政府考えていなければならない。あるいは予備隊増強の問題につきましても、再軍備の問題につきましても、現在の政府は独断的にきめておる。それに対する措置は当然考えていなければならない。政府は片一方の増強の問題、あるいは行政協定にはかつてに判を押すが、その費用は国会の責任だという、これは言いのがれだ。政府自身がそういう行政協定に判を押し、あるいは増強の問題を考え、あるいは徴兵の問題を考えるならば、当然それとあわせて予算の問題、財政の問題も考えていなければならない。しかもそれが地方財政に非常に大きな負担となつて来るのだから、政府の中で地方問題について責任のある者たちは、当然これは考えていなければならぬ。ところがそれはちつとも考えていない。そうして国会がきめるべきだ、国会がきめるべきだといつて、国会に責任を転嫁しておるのですが、そういうことを全部国会に責任を転嫁するならば、行政協定をなぜ国会で審議させなかつたか、増強の問題をなぜ国会で審議させないのか。政府が一方的になぜきめるか、こういうことになるわけです。     〔「相手が違う」と呼び、その他発言する者あり〕
  56. 河原伊三郎

    ○河原委員長代理 門司亮君。
  57. 門司亮

    ○門司委員 私が先に聞いておきたいと思いますことは、この前要求しておきました資料は、大体いつごろお出しを願えるかということです。それは奥野君はよく知つていないかと思いますから、もう一応話しておきますが、地方財政法にいたしましても、地方税法にいたしましても、平衡交付金法にいたしましても、大体地方財政全体に関係することでありまして、一つは公共事業費政府への返還が相当行われておる、こういうふうにわれわれは考えておりますので、これは一体どのくらい行われておるか。これの理由はせつかく公共事業費として政府付與することになつてつても、これに見合う地方財政がないために、やむを得ずこれが返されておるところがある。それからまた一部で、こういうものが受け入れられて、予算上は一応処置がされておるが、実際の仕事をしておらない、いわゆる事業の繰延べにおいて、このつじつまが合わされておるというものが相当あると思います。これも地方財政の上からいえば当然一つの赤字であつて従つてこういうものが一体どのくらいあるかということ、これら二つの問題、それからその次には、警察に対する民間からの財政的協力でありますが、きようここに国警の方からは、ごく簡單な資料でありますが、一応資料をもらつておるのであります。これは地方の自治警察についても、一体どのくらいのものが、たとえば防犯協力会というような名前で出されているかということ、こういうものをひとつ調べていただきたい。これは警察ばかりではありませんで、各地方団体の消防に対する民間からの財政的協力、これも私は相当額なければならないと思う。これをひとつ調べていただきたい。その次にはPTAの負担の総額であります。これは小学校、中学校あるいは高等学校まではあると思いますが、高等学校までに対する地方負担の総額は一体どのくらいになつておるか、それだけをひとつ至急に調べていただきたい、こう考えております。  私どもがこういうものをなぜ要求するかといいますると、実際上の問題として、これらの費用は当然地方公共団体の支出すべき費用ではないかということであります。こういうものが隠されておつて、そしてただ表面上の数字だけでわれわれ議論しておりましても、住民負担というものは一向軽くなりませんので、ほんとうに一体地方団体の今要求されておる財政規模はどのくらいであるかということを知るために、こういうものを全部至急に出していただきたい、こう考えておるわけであります。この額は私はかなり大きな額に上るだろうと思う。たとえばPTAの負担額にいたしましても、昭和二十四年度の累計を見て参りましても、百三十三億という数字が出て参つておるのでありまして、従つてこれはかなり大きな影響を持つておるので、この問題がはつきりしないと、地方財政法をどういじくつてみましても、あるいは地方税法をどう改正してみましても、地方住民負担というものは一向軽くならない。これをひとつ至急にわれわれの審議する資料として出していただきたい、こう考えるわけであります。  それからもう一つ、これも大臣がおいでになりませんので、事務的なことだけをお聞きしておきたいと思いますのは、地方税法改正でありますが、この改正は、これだけのものをなくしても、相当税の軽減が行われております。これは自然増徴という言葉を使つておりますが、自然増徴のような形でこれだけのものがカバーされる見通しがあるかどうかということであります。私どもが心配してりおりますのは、国税から地方税に何らの移管がされておらない、いわゆる財源的の措置が十分でないときに、地方税をこういうふうに下げて行くということで、一体ほんとうに地方財政をまかなえるかどうか。ここでこういう措置をとつて参りますと、必然的に、さつき申しましたような方面でまたふえて来るのではないかという、われわれは心配を持つているのであります。これは関連して一応この際御説明を願つておきたいと思います。  もう一つは、これも大臣でないとよくおわかりにならないかと思いますが、教育費の問題について一体地方自治庁としては、どうお考えになつているかということであります。いわゆる全額国庫負担に対する考え方であります。一部にはこれを地方財政平衡交付金の中に織り込むという意見もありますし、またこれを全額切り離した法案を文部省が出そうというような考え方を持つているというお話でありますが、一体地方財政に一番大きな関係を持つております教育費の問題をどう考えているか。もしこれは奥野君でぐあいが悪ければ、大臣がおいでになつたときにお聞きしてもけつこうです。
  58. 奥野誠亮

    奥野政府委員 第一点は、地方財政の現状から考えて城收を生ずるような措置は、穏当でないではないかという意味の御質問だろうと思います。今回提案いたしておりますような改正を行いまして、その結果得られる地方税の收入が二千九百二十四億円であります。昭和二十六年度の地方税收入の総額が二千五百十億円程度でありますので、なお四百十億円内外のものがふえて参るということになるわけであります。反面、経費の面でも、給與費の増額あるいはその他の物件費の自然増加等もありますので、税収入も当然伸びて参らなければならぬわけでありますけれども、大体この程度の税收入が得られますならば、他の国庫負担金等の金額、あるいは地方財政平衡交付金、あるいは地方債等とにらみ合せまして、地方財政は一応のバランスがとれるのではないだろうかというような考え方をとしておるわけであります。  第二の義務教育費の問題は、大臣が出られましたときに、またお話があると思うのでありますけれども、現在文部委員会その他の動きもいろいろございますので、簡單に申し上げておきたいと思います。  小学校なり、中学校なりをだれが維持して行くかということから、私たちは経費をだれが負担するかということをきめて行くべきであると思うのであります。小学校や中学校を国立の小学校、国立の中学校にして参りますならば、当然これらのものは国で負担して行くべきであります。しかしながら、これらは全部市町村立にする、あるいはその小学校、中学校の施設につきまして、義務教育の水準を維持向上して行き得るだけにふさわしいものを整えて行く責任を地方団体に課しますならば、それらの経費の支出も、府県なり市町村なりがして行くべきである。要するに、仕事の責任と経費の支出の責任とは、やはり同一にして行くべきではなかろうかというふうな考え方を持つておるわけであります。現に一部に考えられておりますような、国が府県、市町村義務教育費の額のわくをつくりまして、そのわくの部を国が負担するのだというふうなことになつて参りますと、千差万態の地方団体につきまして、義務教育費の額が幾らであるということを的確にきめてしまえるものではないと思うのであります。たとえば建築單価が、かりに全国平均いたしまして二万三千円といたしましても、二万五千円も二万六千円もかかるところもありますれば、二万円も必要としないような団体もあるだろうと思うのであります。そうしますと、わくをつくられた額では足りない団体もありましようし、それでは余つて来る団体もあるだろうと思います。足りない団体では、義務教育の施設を維持して行きます責任は地方団体にあるわけでありますから、必ずそれだけのものはやはり経費をつぎ足しをいたしまして、施設の維持をはかつて行かなければならない。もしそれらの責任が国にありますならば、もちろんわくが適当であるかないか、そのわくの範囲内で仕事が済ませればよろしいと思うのでありますけれども、責任の主体が地方団体に置かれておりました場合には、つぎ足しだけはしなければならない。足りない部分につきましても、国が負担金として出して行くわけでありますから、当然国がわくをつくりました額だけは、支出して行かなければなりません。法律上も事実上も、そういうふうな姿にならざるを得ないだろうと私は思うのであります。そうしますと、そこにむだが生じて来るのではないだろうか、こういうふうな財政的な欠陷を考えるわけであります。ことに先ほども議論がありましたように、負担金補助金の額というものは、しばしばむだを伴いがちでありますし、不当な干渉を伴いがちになつて参るわけであります。しかしながら、不当な干渉を伴うものでありましても、地方団体にまかしておいたのでは、なかなかやつてくれぬ新しい仕事でありますとか、またいやがられる仕事であるとか、こういうものについては、官僚統制の弊を伴いましても、あえて国がひもつきの金を出さなければならないだろうと思うのであります。しかしながら、すでに地方団体に十分同化しておる仕事、多年にわたつてつておる仕事である、いわんや進んで住民がそういう仕事には力を入れるような問題にまで負担金補助金の類を支出いたしまして、いたずらに官僚統制の弊害を加えるようなことは避けるべきである。しかしながら全国民の立場から考えまして、どうしてもこの程度の先生の人数を置かなければならない、この程度の教材を置かなければならないという問題につきましては、国は国会の議決を経まして、その意思というものを地方国体に明確にして行けばよろしいではないか。しかしながらそれを整えるためには、経費があまりかからないでやる方法もありましようし、たくさんの金を使う方法もあろうと思います。しかしながらそれだけの施設がわずかな経費で維持されるならば、それはほむべきことだと思うのでありまして、ことに経費の額をきめる場合には、使い方を見てきめらるべきだと思います。能率的に使つているなら幾らふやしてもいいと思いますが、むだな使い方をしておれば、むしろ経費は大いに削減すべきものであろうと思うのであります。そういう性格のものであろうと考えております。また義務教育の問題につきましては、住民が積極的にこれらに関心を持ち、熱意を傾けて行かなければならない問題だと思いますので、経費の支出につきましても地方団体の責任に委ねて行かなければならないのじやないかという考え方をしておるわけであります。
  59. 門司亮

    ○門司委員 それで大体地方団体全額を委譲するということになつて参りますと、地方の財政の基礎の上に非常に大きな影響を持つて来ると思いますが、大体教育の問題が、国庫負担といいますか、いずれの形におきましても、これを全額地方が責任をもつてやるということになつて参りますと、一体どのくらいの教育費が必要になつて来るかということであります。現在われわれの危惧いたしておりますのは、平衡交付金の中に織り込んで来るということを言つておりますけれども、平衡交付金の中にこれが入つて参りましても、ひもつきにして、はつきりこれはこれに使いなさいということになつておれば別でありますけれども、今の平衡交付金の中には、今度新しく基礎が定められて参りましても、その基礎は必ずしも適正であるかどうかということも疑わしいのであります。従つて当局のお考えでは、大体どのくらいの教育費が必要であるか、国の総額の費用がどのくらい必要であるか、もう一つは平衡交付金の中に織り込まれる額というものは、一体どのくらいが予想されておるかということを、この機会に承つておきたいと思います。  そういうことを私聞いておりますのは、ことに重要な問題は、今国が行おうといたしておりますいろいろな問題で、非常にデリケートな問題がたくさんできておりまして、單に教育施設といつておりますが、給食の問題にしても、農林省の所管になつて、きわめてわずかな費用だけでは、とうてい学校では持続することが困難である。これもやはり何らかの形で、多少なり地方財政に影響を持つて来ると思われますし、そういういろいろな問題が地方に起つて来ますので、大体今まで文部省との間で、いろいろ議論がかわされておりましようから、平衡交付金の中にかりにひもつきにするようになつて来ると、一体どれくらいの額がひもつきとしての教育費にとれるかということが、もしおわかりになりましたら、この際聞いておきたいと思います。
  60. 奥野誠亮

    奥野政府委員 小学校費、中学校費につきまして、都道府県、市町村を通じて、地方財政平衡交付金基準財政需要額として見ておりますものは、千百十億内外であろうかと思います。お手元にそれらの資料はお配りしてあるだろうと思います。問題の主体は、義務教育の水準を維持向上して行くかどうかという問題なんだろうと思うのでありまして、おそらく経費負担について、一番心配されている問題の焦点は、義務教育の水準の維持向上が、はかられているかどうかだろうと思うのであります。それなら、義務教育の水準をどこにおくかという問題でありまして、先生をどんな資格の者を何人置く、あるいは各学年ごとにどれだけの教材を備える、こういうような問題だろうと思うのであります。従つてこれらの水準をどこにおくかということにつきまして、やはり法律が必要だろうと私は思うのでありますが、これと比較いたしまして、なるほど地方団体にまかしておいたのではよくないとか、あるいはよいとかいうようような意見も言えると思うのであります。またこれらの水準を考えます場合には、国民負担能力とあわせて考えて行かなければならぬだろうと思うのであります。理想を言えば切りがないと思うのであります。現在国民負担を求め得られる程度とにらみ合せまして、水準の法定を必要とするのではないだろうか。ところが、現在これらの水準の法定されたものがないわけであります。だから国民負担能力とにらみ合せまして、これらの水準を法定する。反面また、これらの水準の維持がはかられません場合には、どういう措置を講じたらよいかということも、あわせ考えるべきでありまして、現在提案いたしております地方財政平衡交付金法では、法律義務づけられた施設を維持しなかつた場合には、所管の各省から勧告する。勧告して聞かなかつた場合には、維持しない結果不用となる額だけは返還させることができる、こういうような立法をいたしているわけであります。従いまして、それぞれの施設につきまして守らるべき水準というものが法定されるならば、必ずやそれらの施設は維持されて行くだろうと思うのであります。現に義務教育費について考えられますように、金さえ使えばよろしいのだということは、地方団体にむだをしていることになるだろうと思うのであります。こういうことはあくまでもわれわれとしては反対せざるを得ないというふうな考え方を持つておるわけでありまして、金を使うことに問題があるのではないのであつて、多くの金を使つても、わずかな施設しかできない、バラツクならばこれはほむべきことではありませんで、責むべきことであります。しかしながら少い金しか使わなくても法定されている水準以上のことをやつているならば、これはほむべきことだと思うのであります。ところが現在問題の性格を正しく把握されていないと私は思うのであります。何をねらつているのか、水準の維持をねらつているんじやないか、それなら水準を法定で守られるような措置を講ずればよろしいんだ。水準を維持しても維持しなくてもよろしい、金さえ使えばいいというような財政制度は絶対につくるべきではない、こういうふうに考えております。
  61. 門司亮

    ○門司委員 それはそれでいいですが、もう一つこの問題で聞いておきたいと思いますことは、これについて地財委の意見といいますか、一つ伺つておきたいと思いますことは、今審議されております全額国庫負担の千百十億を今は平衡交付金の中に入れているというお話ですが、一体自治庁の意見としては平衡交付金の中にこういうものを織り込んだ方がいいのか、あるいは国が義務教育費というものは、文部省かどこからか一本にして出してしまつて、平衡交付金からはずした方がいいとお考えですか、これは非常に大きな関係を持つておるのでありまして、義務教育費の総額は三千七、八百億ぐらいいるというお話を聞いておりますが、この点について一体当局はどうお考えになつているか、今までのように平衡交付金の中に織り込んでやつた方がいいのか、別にこれを法律費用を支出して行く、平衡交付金から切り離した方がいいかどうかという問題であります。
  62. 奥野誠亮

    奥野政府委員 義務教育費の関係について、幾ら地方団体が支出しなければならないかということは、地方財政計画をつくりますときにも測定しておるわけであります。地方団体の財政全体がどれくらいになるだろうかという問題を考えます際には、義務教育の関係が幾ら、土木費の関係が幾らというような計算をするわけであります。反面地方税の收入見込み額でありますとか、地方債の発行可能額とかいうふうなことを考えながら、地方財政平衡交付金の額も考えて行くわけでありまして、地方団体が必要とします経費全額は国が補償する、もし地方財政平衡交付金の額が少ければ、地方財政法改正して増額をはかる、あるいは地方債のわくをふやすということになることは、十分御承知のところでございます。この義務教育費の額を幾らにするかということにつきましては、今までのところ別段文部省との間におきましても、大蔵省との間におきましても争いがないわけであります。従いましてこれを抜き出したからといつて地方財源が全体としてふえるわけはないと思うのであります。争いの多い問題につきまして、これを抜き出して別途に計算しました結果、あるいは増減が生じて来ることもあるだろうと思うのであります。しかしながら地方財政計画を立てます際に、争いのない数字を割り出したところで、地方財政は全体として何ら増減にならないと考えるわけであります。現に文部省が考えております問題も、地方財政計画に盛られたものをそのまま各府県市町村別に金額として割振りたい、こういうような考えを持つておるわけであります。その際先ほど申しましたように、過大に算定された団体につきましては、それだけは使うことになるでしようけれども、過小に算定された団体につきましては、やはり施設を維持して行きます責任が府県市町村にあります以上は継ぎ足しをしなければならぬ。自然過大に算定された部分だけが、言いかえればむだに使つた部分だけがむだになつて行くというわけであります。
  63. 門司亮

    ○門司委員 そういうことを聞いておるのではない。私の聞いておるのは、平衡交付金の中にこれを織り込んで支給するということがいいか悪いかということであります。この問題を聞いておりますのは、町村長会で平衡交付金の中にこれが入つておる、しかもこれを教育費として別に離してあるいは離さなくても、これがひもつきで来るということは困るという反対の陳情が出ておるわけであります。それを日教組その他の団体では、現状ではやはりひもつきの方がいい、できれば文部省が今考えているような、別個の独立案として財政処置をしてもらつた方が安全だ、こういうことになつていると思う。従つて両方の所管を持つておる自治庁としては、どつちにした方がいいかということです。いわゆる町村長の案をおとりになる方がよいとお考えになつておるのか、あるいは教育団体その他の案をおとりになる方がいいか、どちらが一体いいとお考えになつておるのか、それを承りたい。
  64. 奥野誠亮

    奥野政府委員 もちろん地方財政平衡交付金制度の中で見て行くべきである。はずしますといろいろなむだが生じますし、他の面の弊害が非常に大きいと考えておるわけでございます。
  65. 河原伊三郎

    ○河原委員長代理 質疑は次回の委員会で続行することにいたしまして、本日の会議はこれで閉じます。     午後一時五分散会