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1952-03-28 第13回国会 衆議院 地方行政委員会 第20号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十七年三月二十八日(金曜日) 午前十一時二十分
開議
出席委員
委員長
金光
義邦君
理事
大泉 寛三君
理事
河原伊三郎
君
理事
野村專太郎
君
理事
床次 徳二君
門脇勝太郎
君 川本 末治君 佐藤 親弘君
前尾繁三郎
君
吉田吉太郎
君 藤田 義光君 大矢 省三君 立花 敏男君
出席政府委員
総理府事務官
(
地方財政委員
会事務局税務部
長) 後藤 博君
総理府事務官
(
地方自治庁次
長)
鈴木
俊一君
総理府事務官
(
地方自治庁財
政課長
)
奥野
誠亮
君
委員外
の
出席者
総理府事務官
(
地方財政委員
会事務局税務部
府県税課長
) 柴田 護君 専 門 員 有松 昇君 専 門 員 長橋 茂男君
—————————————
三月二十八日
委員鈴木義男
君辞任につき、その
補欠
として門
司亮
君が議長の指名で
委員
に選任された。 同日
門司亮
君が
理事
に
補欠
当選した。
—————————————
三月二十七日
道路交通取締法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣
提出
第一三二号) の
審査
を本
委員会
に付託された。
—————————————
本日の
会議
に付した事件
理事
の互選
地方税法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
第 七四号)
—————————————
金光義邦
1
○
金光委員長
これより
会議
を開きます。 日程に入ります前にお諮りいたします。
理事
でありました
門司亮
君が去る二十五日一度
委員
を辞任されましたので、
理事
が一名欠員にな
つて
おります。この際
理事
の
補欠選挙
を行いたいと思いますが、先例によりまして
委員長
より指名するに御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
金光義邦
2
○
金光委員長
御
異議
がないようでありますので、
門司亮
君を
理事
に指名いたします。
—————————————
金光義邦
3
○
金光委員長
地方税法
の一部を
改正
する
法律案
を議題に供します。初めに
政府
の説明を求めます。
奥野政府委員
。
奥野誠亮
4
○
奥野政府委員
便宜
お手元に配付してあります
改正法律案
と
現行法
との
対照
をごらんいただきたいと思います。その
対照
に従いまして
改正
されております点を御説明申し上げて行きます。 第四條は、
漁業権税
を削除しておりますが、廃止した
関係
であります。 第
五條
も
広告税
、
接客人税等
を廃止した
関係
であります。 第三十
一條
の二は、
附加価値税
の実施を一年延明いたします
関係
上、
加算法
を採用しようとする
法人
がそれを採用したいという届出の期限を一年間ずらそうとする
改正
であります。三十
一條
の三は、これもやはり
附加価値税
を一年
延期
いたします
関係
上、
算定方法
に変更がありました場合に、
固定資産
についての特別な
取扱い
をいたします。場合の
固定資産
の取得の時期も、一年間ずらして行くという
改正
であります。 第六十三條では、
国税徴收法
を
引用
しております
條文
を改めておりますけれども、これは
国税徴収法
が
改正
されまして、前に
引用
しておりました
條文
が
違つた條文
になりましたので、それに合せまして
改正
しようとするものであります。 第七十條は、
附加価値税
に関する
規定
の
適用
の
始期
を一年間ずらすための
改正
であります。 第七十
一條
は、
附加価値税
が始まりますときの計算につきましては、
事業税
との
関係
で
特例
を設けなければならないわけでありますが、その際の時期を一年間ずらすための
改正
であります。 第七十
二條
も
同様附加価値税
一年
延期
に伴いまして、
法人
に関します
事業年度
の
始期
について、一年間ずらして行くだけの
改正
であります。 第七十三條、これも一年
延期
に伴いまして二十七年度分を二十八年度分に改めるだけの問題であります。 七十四條もまつたく同様であります。七十四條の二、これもまつたく同様の形式的な
字句
の
改正
であります。 第百四條は、先ほど申し上げました
国税徴收法
が
改正
されましたために、
引用
されてお
つた條文番号
が
かわり
ましたに伴う
字句
の
修正
であります。 第百三十六條、第百六十九條、第二百
二條
もまつたく同様の
修正
であります。 第六節の
漁業権税
は、これは廃止されることになりますので、二百九條から二百三十
五條
までの
漁業権税
に関する
規定
は削除したいと考える
改正
であります。 第二百五十
五條
は、
国税徴収法
について
引用
いたしておりました
條文
が、同法の
改正
によ
つて
かわ
つて
参りました
関係
の
修正
であります。 第二百八十
七條
も同様であります。 第二百九十
五條
の
改正
は、
不具者
、
未成年者
、六十五歳以上の者または寡婦でありまして、
所得
十万円未満のものにつきましては、
市町村民税
を課することができないわけであります。しかしながら、
所得税法
の
規定
の
適用
におきましては、たとえば父、その
子供
が共同して農業を営むとか、あるいは商売をや
つて
おる場合には、
子供
さんの
所得
がその父の
所得
とみなされまして、
子供
さんの
所得
も父の
所得
として
課税
されて行きます
関係
上、
子供
さんには
所得税
の
課税
の
基礎
となるべき
所得
がない反面、父の
所得
になる場合には、十万円に満たないときは
市町村民税
が課されないことになるわけであります。その場合に、必ずしもすべて不適当ではないのでありますけれども、三十、四十の
血気盛り
の
壯年者
がたまたまその
所得
を父に合算されるために、片方では二十を過ぎた娘さんが工場に通
つて
いる。それが
所得
がございますために
市町村民税
が課される場合と非常に不
均衡
になりますので、そういう場合には事情によ
つて
その
老年者
にも
市町村民税
を課することができるといたしたいわけなのでありまして、実質的には
子供
さんの
所得
であります
部分
について
課税
の
均衡
上必要があります場合には、それを
市町村民税
において捕捉をいたしまして、
市町村
内の
均衡
を保てるようにいたしたい、かように考えているわけであります。 第二百九十六條の
改正
は、
木船保險組合
というものがなくなりまして
船主責任相互保險組合
と
木船相互保險組合
が同種のものとして生れて参りましたのでそれに置きかえて、
森林法
がその後
改正
されましたので
改正法律番号
に入れているだけであります。また
信用金庫法
に基きまして従来の
市街地信用組合
が、
信用金庫
もしくは
信用金庫連合会
というふうにな
つて
参りますので、これを
協同組合
と同じ性質のものとして加えることにいたしているわけであります。 三百四條の
規定
は、
所得税法
の
改正
に伴います
引用條項
の
改正
であります。
内容
は
かわり
ございません。 三百十
二條
の
改正
は、
同様所得税法
の
改正
に伴いまして、
内容
の同じものを
引用
の仕方だけをかえているわけであります。 三百十三條の
改正
は、
税率
を百分の十五の
法人税割
の
標準税率
を百分の十二・五に引下げておるわけでありますけれども、これは従来
法人税
の
税率
は、
法人
の
所得
の三五%であつたものが、四二%に引上げられたわけであります。
法人
の
所得
の三五%に、
法人税割
の
標準税率
の百分の十五を乗じましたものは、
法人所得
の百分の五・二五ということになるわけであります。ところが
法人税額
が増税されたわけでありますので、
法人所得
の四二%という新しい
税率
を乗じましたものに、この
改正法人税割
の
標準税率
の百分の十二・五を乗じましても、やはり同じく
法人所得
の五・二五%ということに、
法人税割
の額がなるわけであります。要するに
法人税
の増税が行われたけれども、
法人税割
の実質的な
税率
、すなわち
法人所得
に対する
税率
は増減しないという
意味
で、この
修正
が行われるわけであります。
制限税率
はそれに伴いまして、若干引下げる方が穏当であると考えられますので、百分の十六を百分の十五に引下げておるわけであります。 三百十四條の二は、
昭和
二十六年度分の
所得税
につきましては、たとえば
基礎控除
が二十七年度からは五万円でありますけれども、三万七千五百円という臨時的な
特例
が定められておるわけであります。二十七年度の
市町村民税
の
所得割
は、二十六年度の
所得税額
を
課税標準
に採用して行くわけでございますので、これらの
基礎
になりますものは、
昭和
二十六年度分の
所得税
の
特例
によりますものを採用して参らなければなりませんので、その
趣旨
において
引用
いたしております
所得税法
の
規定
を、このように読みかえて行く必要が生じて参るわけであります。 三百二十
一條
の五の五項は、
市町村民税
の
特別徴収
につきまして、
特別徴収義務者
が
市町村
の指定いたしました
金融機関
に拂い込んだときに、
納入
の
義務
が完了するわけでありますけれども、この
特別徴収義務者
が国の
機関
であります場合には、まず
納入金
に相当する
金額
を
日本銀行
に交付する。そうして
日本銀行
から所要の
金融機関
に、あるいは
市町村
に
送金手続
をとることにいたしております
関係
上、
日本銀行
に
納入
したときにすでに
納入義務
が完了するということにいたしませんと、さらに
送金手続
を経まして、その先に到着したときに拂い込みがあつたといたしますと、その間に
納入
が遅れたということで、
延滞金
を
徴収
しなければならないというような問題になりまして、不合理になりますので、国の
機関
が
取扱い
ます場合において、
日本銀行
に交付して、
送金手続
をとることにな
つて
おりますので、
日本銀行
に交付して
納入金
の拂込みをしたときには、
市町村
に
納入金
の
納入
があつたものとみなしたいという
改正
であります。また六項は、
市町村
が拂込み先として
郵便官署
を指定いたします場合には、その
取扱い
を定めておきます方が
便宜
でありますので、
郵便振替貯金法
の
関係規定
に基いて行うように
規定
をいたしておきたいと考えておるわけであります。 三百二十
七條
の
改正
は、
徴収猶予
の問題につきまして
市町村民税
の
法人税割
につきましては、
税額
の二分の一以内につきまして、
期間
三月以内は申請によ
つて
当然
徴収猶予
がなされることにな
つて
おるわけでありますけれども、
法人税
につきましてもこの場合の
延滞金
を引下げておりますのと
歩調
を合せまして、一日四銭の
割合
を一日二銭の
割合
にいたしたいというふうに考えるわけであります。元来この種の
部分
につきましては、
納期
を
個人
と同様に四回にわけるべきだという
意見
もあるわけでありますけれども、さしあたりこれをわけませんで、たとえば
事業年度
の六箇月のものにつきましては、やはり
事業年度終了
後二箇月以内に納めなければならない。しかし
会社
の
都合
によりましては、半分だけはさらに三月以内で延納を認める。そういうことにおいて、
会社
の
都合
では実質的に
個人
と同じような四回の
納期
にしようとしておるわけでありますので、そのような
部分
には
一般並
の
延滞金
を
徴収
することは若干苛酷に考えられますので、それを半分に
引下げよう
としておるわけであります。 次に三百三十三條の
国税徴収法
の
引用條文
をかえておりますのは、先ほど申し上げた通りであります。 三百四十三條の
固定資産税
の
納税義務者等
に関しまする
規定
の
改正
は、
都市計画法
または
特別都市計画法
によりまして、
区画整理
が行われました場合、
所有土地
の
交換
が行われることになるわけなのでありますけれども、事実上
交換
が行われまして、そうして新しい
土地
を使用することになりましても、形式上の
所有権
というものの
改正
が遅れて参りますので、
自然土地台帳
の
所有者名義
の切りかえが遅れて参るわけであります。そうしますと、現在は何ら使用していない
土地
につきまして、
固定資産税
が課されて来るということになりまして、
土地
の実質的な
使用収益
ないし実質的な
所有
の
状態
と、
固定資産税
の
課税
の
状態
との間に、乖離を生じて参
つて
来るわけであります。そこでそういうような
部分
につきましては、現に
使用収益
し得る
状態
に着目いたしまして
土地台帳
の
所有者
の
名義
がかわ
つて
おりませんでも、
現実
の
所有状態
に着目して
固定資産税
の
納税義務者
を定めて行くことができるという
改正
をいたしたいわけであります。 三百七十
五條
も、
国税徴収法
の
改正
に伴うものであります。 三百八十
一條
の第七項は、先ほど三百四十三條の第六項で、
土地
の
区画整理
に伴います
土地
の
交換
がありました場合の、
固定資産税
の
納税義務者
を、
便宜
事実上の
所有関係
ないし
使用関係
に着目して、定めることができるのだというふうに、
改正
するということを申し上げたのでありますが、その場合の
固定資産課税台帳
の
登録事項
につきまして、
様式等
も定めなければなりませんので、
地方財政委員会規則
の定めるところによりまして、
土地台帳
の
所有者
にな
つて
いない者に
固定資産税
を課して行くわけでありますから、その新たなる
固定資産税
の
納税義務者
につきまして、住所、
氏名等
を
課税台帳
に登録させる
手続
を
規定
しているわけであります。 四百三條は、
固定資産
の
評価
をいたします場合に、
道府県知事
が
道府県
内のものにつきましてみずから
決定
できる範囲を先の
改正
において定めておりますので、それに合せまして、
地方財政委員会
のみにな
つて
おりましたのを、
道府県知事
も挿入いたそうといたしているわけであります。 四百十四條も同じ
趣旨
の
改正
であります。 四百十
五條
の、
固定資産課税台帳
の
縦覧期間
は三月一日から十日までの十日間を
原則
にしておつたのでありますけれども、これでは短か過ぎるという
意見
がございますので、二十日間に改めようとするものであります。 四百十六條の二は、
昭和
二十七年度分の
固定資産税
にかかわる
固定資産課税台帳
の
縦覧期間
につきましては、七月一日からに
特例
を定めておりますが、この
部分
も十日間を二十日間に改めようとしているわけであります。 四百二十
八條
の
固定資産評価審査委員会
の
審査
のための
会議
の開会の
期間等
に関しまする
規定
も、従来三月一日から四月十日までの四十日間を
原則
にいたしておりましたのを、四月三十日までの二箇月、六十日を
原則
にするように改めようとしているわけであります。できる限りこれらの
審査
につきまして、
内容
を
審査
する愼重な
手続
をとりたいと考えているわけであります。 四百二十九條の二の
規定
は、今申し上げました点に関しまする
昭和
二十七年度分の
特例
に関する
規定
でありまして、この
部分
も四十日を
原則
としておりましたのを、二月を
原則
とするように改めようとしているわけであります。 四百三十
二條
の
固定資産課税台帳
の
登録事項
に関する
審査
の
請求
に対しまして、四百十六條の二を新たに挿入いたしましたのは、四百十六條の二は、
固定資産税
について、
昭和
二十七年度分の仮
決定
の
規定
がこの前の国会で挿入されておりますので、その
條文
をここに
引用
しておく必要があつたわけであります。 四百三十三條は、
固定資産評価審査委員会
の
審査
の
決定
の
手続
といたしまして、
審査
の
請求
を受理した日から二十日以内に
決定
をしなければならないとしておりますのを、さらに慎重な
審査
を遂げます必要上、三十日以内に
審査
の
決定
をしなければならないというふうに延長したいと考えているわけであります。 四百六十
一條
は、
国税徴収法
の
條文
が
改正
されました
関係
に伴う
修正
であります。四百八十三條も同様であります。 四百九十
七條
の二項は、
引用
しておりました
條文
に間違いがありましたので、四百九十四條ではございません、四百九十
五條
でございまして、誤謬の
訂正手続
が適正に行われておりませんでしたために、あらためてここで
改正法律案
にいたしたいと考えているわけであります。 五百十
一條
は
国税徴收法
の
改正
に伴うものであります。 五百四十三條も同様であります。 五百五十
一條
は、
木材引取税
の
課税標準
が
価格
一本でありましたのを、
価格
でも
容積
でもどちらでもよろしいというふうにしたいと考えておるわけであります。その理由は、
木材
の取引のありまするようなところは
山間地帯
でありまして、なかなか変動しやすい
木材
の
価格
を的確に押えて行くことは困難でありますので、大体それと
均衡
をとりながら、
一石当り
何円というふうな定め方をいたしました方が、
課税
にかえ
つて
適正が期せられるというふうに考えられますので、
市町村
の任意によ
つて
、
容積
を
課税標準
に採用することができるようにいたしておきたいと考えているわけであります。 五百五十
二條
は、
容積
を
課税標準
にいたしました場合に、どのように
税率
を用いるかということにつきまして
規定
をいたしたものでありまして、やはり
価格
の百分の五の
税率
による場合の
負担
と著しく
均衡
を失することのないように定めるべきものだという
趣旨
の定を設けているわけであります。 五百七十四條も、
国税徴収法
の
改正
に伴うものであります。 第八節、五百八十
五條
から六百十
八條
まで削除しておりますのは、
広告税
を廃止いたしたいために、これらの
関係規定
を削除しようとするものであります。 六百三十
八條
は、
国税徴収法
の
規定
の
改正
に伴うものであります。 第十節の削除も
接客人税
を廃止する
関係
であります。 六百九十
七條
は、
国税徴収法
の
改正
に伴う
修正
であります。 七百三條の二は、
現行法
で
国民健康保険税
を課することができる
市町村
は、
国民健康保険
を行う
市町村
に限
つて
いるわけでありますけれども、一部
事務組合
を設けて、数
市町村
によ
つて国民健康保険
を行う場合がございますが、こういう場合には、
市町村
が
国民健康保険
を行
つて
いるものではないのでありまして、一部
事務組合
が
国民健康保險
を行
つて
いるということになりまする以上、一部
事務組合
には
課税権
がないのであります。そういう場合に、税で必要な
収入
を
徴収
して行こうとします場合に不
都合
でありますので、一部
事務組合
に
課税権
を與える
かわり
に、
当該組合
に加入している
市町村
に
課税権
を與えて行きたい、かように考えているわけであります。一部
事務組合
に
課税権
を與えて行く行き方も一つの
方法
でありますけれども、
現実
に他の
市町村税
を
徴収
しておりますのは、一部
事務組合
ではございませんで、
組合
に加入しておる
市町村
でございますので、これらとはずを合せまして、
徴収
の
便宜
を期しまするためには、むしろ
組合
に加入している個々の
市町村
に、
国民健康保険税
の
課税権
を與えた方が穏当であろうと考えまして、その
趣旨
にのつと
つた改正
をしようとしているわけであります。
従つて国民健康保険
に要する
費用
に充てるためというよりは、これらの
組合
に加入している
市町村
の場合には、
国民健康保険
を行う一部
事務組合
に加入している
市町村
が、その
組合
から分賦を受けます
費用
に充てるためということにせざるを得ませんので、その
趣旨
の
字句
の
修正
を行おうとするものであります。 第二項も同じ問題でありまして、
国民健康保險
を行
つて
いる
市町村
の場合には、
費用総額
の
見込額
の百分の七十に相当する額、爾余のものは給付を受けます者の
負担金等
によ
つて
まかな
つて
行くわけでありますけれども、
組合
に加入している
市町村
の場合におきましては、分賦を受けました
金額
の全額を
国民健康保険税
で
徴収
できるようにいたさなければなりませんので、その
趣旨
の
字句
の
修正
を行おうとするわけであります。 五項で
国民健康保険税
の
課税額
の一人
当り
の
最高限度
を一万五千円に押えておるわけでありますけれども、
受診率
が向上して参りましたり、あるいはまた
医療單価
が高騰して参りましたりした
関係
上、一万五千円にそのまま
最高限
を押えておくことは適当でございませんので、
倍額程度
の三万円に引上げたいというふうに考えるわけであります。 七百三十條は
国税徴収法
の
改正
に伴うものであります。 第六章は
附加価値税
が実施されますまでの間において、行われる
事業税
と
特別所得税
に関する
規定
なのでありますが、
附加価値税
がさらに一年
延期
されました
関係
上、
昭和
二十七年度においても、これらの税を存置する必要から、その
趣旨
の
字句
の
修正
を行おうとするものであります。 七百四十條は、二十七年度分につきましても、
事業税
と
特別所得税
を
徴収
して行くということをうた
つて
いるわけであります。 それから七百四十
二條
に、
証券投資信託法
が新しく生れました
関係
から、この種の
信託財産
について生ずる
所得
について
特例
を定めておく必要がございますので、
規定
を挿入しているわけでありますが、
証券投資信託法
に基く
信託財産
につきましても、
合同運用信託
の場合の
信託財産
と同様の
取扱い
をする旨の追加をいたしたいわけであります。 七百四十三條の第六号は、先ほど
信用金庫法
に基きましてできました
信用金庫
、
信用金庫連合会
も、
協同組合
と同じ
扱い
をしたいという
意味
の
改正
であります。 七百四十四條は、
事業税
をさらに一年延長して存続させることになりました
関係
上、時期を一年ずつずらす
意味
の
修正
であります。 六項は
合同運用信託
のほかに、
証券投資信託
を同じ
扱い
にするために加えている
改正
であります。 七項と八項とは、商法について
改正
が行われましたので、拂込み
株式金額
というふうな
趣旨
のものがかわ
つて
参りました。それと
歩調
を合せまして、前と同じ
趣旨
における
改正
にいたしたわけであります。実態には
かわり
はないわけであります。 九項は
事業税
がさらに一年延長されるに伴います
改正
のほかに、
個人
の
事業税
につきましては、新たに
基礎控除
の
制度
を採用することにいたしました
関係
上、その最後のところに総
収入金額
から必要な経費及び十二月分として三万八千円を
控除
した
金額
を
課税評準
にするのだという
規定
をいたしたいと考えているわけであります。その
趣旨
は現在は
免税点
の
制度
を採用しておりまして、その
免税点
の
金額
を二万五千円と定めているわけであります。二万五千円までの
所得
の
人たち
は、
事業税
を一文も納めなくて済むわけなんでありますけれども二万五千一円の人は、二万五千一円に
事業税
の
税率
をかけた
金額
を納めなければならないことになりますので、その人の
所得
が二万五千円までであるか、以上であるかということによ
つて
、一度に税金がゼロか三千円以上かというふうなことにな
つて
参りまして、かなり少
所得者
に苛酷な
扱い
にな
つて
おりますので、もつぱら少
所得者
の
税負担
の軽減をはかりたいという
趣旨
から、
所得
の大小にか
かわり
ませず、
一定
の
金額
を
控除
して、
控除
した残りの
金額
に
税率
を乗じて
税額
を算定する
方法
をとろうとしているわけであります。
所得
に
一定
の率を乗じた額を
控除
するわけではありませんで、
一定額
を
控除
するわけでありますので、おのずから少
所得者
に対して
負担
が軽減されて行くということにな
つて
参るわけであります。 十三項の
改正
は、すでに
法人税
につきましては繰越し
損金
の
控除
を五年間について認めているわけでありますが、
事業税
につきましては、従来
法人税
についてと
つて
おりましたと同じように、繰越し
損金
の
控除
の
期間
は、一年しか認めておりませんでしたのを、
改正法人税
に合せる
意味
におきまして、さしあたり二年にこれを延長するという方針をと
つて
来ているわけであります。具体的に申し上げますと、
昭和
二十五年度において
会社
が相当の
欠損
を出した、その場合もとより
欠損
を出しておるのですから、
事業税
を納める必要はございません。かりに二十五年度に百万円の
欠損
を出したといたします。二十六年度においては九十万円の
利益
をあげたといたします。そうすると二十五年度に
欠損
をいたしました百万円を、二十六年度へ繰越すことを認めるわけであります。そうしますと、黒字の九十万円から
赤字
の百万円を引きますと、なお十万円だけ
赤字
でありますから、
事業税
を納める必要はないわけであります。従来の
規定
でありますと、この
赤字
の十万円は二十七年度への繰越しは認められなかつたわけであります。かりに二十七年度は
利益
を十万円あげたといたしますと、やはり十万円に一二%の
税率
を乗じましたものを、
事業税
として納めなければならないわけであります。これを繰越し
損金
の
控除期間
を二年間にしておるわけでありますから、さらに二十六年度で総益金からいまだ
控除
されておりません十万円だけは、さらに二十七年分の
所得
から
控除
を認めようとするわけであります。 〔
委員長退席
、
河原委員長代理着席
〕 これをもし
法人税
のように五年にも、一ぺんにいたしました場合には、二十二年、二十三年、二十四年の
期間
において出しました
欠損
金で、まだ総益金から
控除
されておりませんものまでも、過去にさかのぼ
つて
控除
を認めるということになりましては、穏当を欠きますので、二十五年の
欠損
金以後の
欠損
金につきまして、このような
取扱い
をしたいという
意味
合いにおいて、さしあたり一年を二年に延長するという方針をとろうとしておるわけであります。 七百四十
七條
の2の
規定
は、新たに
事業税
の
課税標準
として、
特別所得税
につきましても同じ
趣旨
の
規定
を置いておるわけでありますが、三万八千円の
基礎控除
をすることになりました
関係
上、たとえて申し上げますと、薬剤師業を営んでおる人が別途に物品販売業を行
つて
おれば、薬剤師業としては
特別所得税
が
課税
され、物品販売業としては
事業税
が課されるわけであります。
特別所得税
の
課税標準
の計算につきましても、
所得
から三万八千円を
控除
したものに
税率
を乗じて
特別所得税
を計算する。物品販売業の
所得
からも三万八千円を
控除
しましたものに
税率
を乗じて
事業税
を計算する。そういたしますと、一般には三万八千円しか
控除
されないものが、七万六千円
控除
されるということになるわけでありまして、
均衡
を欠くことになりますので、このような場合には両者を通じて三万八千円しか
控除
しないのだという建前をとりたいと考えておるわけであります。その場合は、それぞれの総売上
金額
にあんばいしまして、物品販売業からと薬剤師業の
所得
のそれぞれから
控除
する計算
方法
を選びたいと考えておるわけであります。七百四十
八條
は、
免税点
制度
を
基礎控除
制度
に改めました
関係
上、削除したいと考えるものであります。 七百四十九條は、
事業税
がさらに一年延長されます
関係
上、
期間
の延長を行おうとするものであります。 七百五十條の問題もまつたく同様の
趣旨
であります。 七百六十
二條
の三は、同族
会社
の行為または計算につきまして、たとえば同族
会社
が
個人
有の財産を不当に高く買い入れまして、必要な経費を多額にして、
事業税
の
税額
の減少をはかろうとするというふうな場合におきましては、
法人
の計算としてはそういう行為を否認いたしまして、反面
個人
に対する
税額
の計算
方法
をとることによ
つて
、不当な行為を否認したいと考えるわけであります。
法人税
についてすでにこの
趣旨
の
規定
が挿入されておるのでありますが、
事業税
につきましても、まつたく同
趣旨
のもとに同様の
規定
をここに挿入しておきたいと考えたわけであります。 七百六十三條の三は、先ほど
市町村民税
の
法人税割
の場合に申し上げましたと同じように、
税額
の二分の一以内において、さらに
期間
三月以内において延納を申請した場合に認められる延納分についての
延滞金
は、一般の
延滞金
が百円について一日四銭の
割合
であるものを、二銭に引下げたいという
趣旨
の
改正
であります。 七百六十九條は、
国税徴収法
の
改正
に伴いますものであります。 七百七十
七條
は、
特別所得税
がさらに一年
延期
されます
関係
上、それに伴いまして
期間
だけを延長しておきたいという
改正
、及び第三項では、
事業税
について申し上げましたと同じ
趣旨
で、新たに三万八千円の
基礎控除
の
制度
を採用するための
改正
であります。 七百八十條は、
免税点
の制限がなくなりますので、削除しようとするものであります。 七百八十
一條
は、
特別所得税
がさらに、一年延長されます
関係
上、
字句
の
修正
を行うものであります。 八百條は
国税徴収法
の
改正
に伴うものであります。 附則は、この法律の
規定
の
適用
の時期を定めているわけでありますが、
法人税割
については二十七年一月一日の属する
事業年度
分から、その他の
部分
については
昭和
二十七年度分の地方税からとしたいわけであります。 二項は、従前の地方税についての
取扱い
は、やはり従前の例によりたいといたしますほか、この三項で多少こまかい
改正
を行
つて
おりますのは、
現行法
によりますと、二十七年の一月からは
附加価値税
の計算が行われることにな
つて
いるわけであります。しかしながら、
事業税
から
附加価値税
に切りかえられます間において、多少これらの計算に習熟しない点がありましたり、あるいは法律の公布の時期との
関係
上、若干余裕を置いた方がよろしいというような問題がございますので、
昭和
二十七年一月一日から三月三十一日までの間において、
事業年度
が終了いたしますもの、あるいはこれに類するものの
事業税
の
納期
限は五月三十一日までとする
特例
を置いているわけであります。この
附加価値税
について置いております
特例
は、
改正
案によりますと
事業税
が継続されることになるのでありますけれども、これらの
事業税
の
納期
限も、この
附加価値税
の場合の
納期
限と同じにしたい、言いかえれば、一月一日から三月三十一日までの間において
事業年度
が終了しますものは、
事業年度終了
後二月以内を
納期
限とするのが普通であります。従
つて
三月三十一日に
事業年度
が終了いたします
法人
は、三月三十一日までに
事業税
を納めなければならないのでありますけれども、
附加価値税
の場合と同じように、五月三十一日まででよろしいという
趣旨
の
改正
をしたものであります。 四項は、二十六年から
法人
の
事業税
について申告納税の
制度
をとることにして参つたわけであります。しかしながら二十五年度以前の
事業税
につきましては、府県が一々
税額
を
決定
いたしまして、徴税令書を交付して参るわけでありますが、府県が
決定
いたしますにあた
つて
は、その
法人
の
所得
が幾らであるかということについて十分なる調査をし、一たび
決定
した以上は、任意にこれを増減するわけには参らないわけであります。そういたしますと、国税の
法人税
において、一応
法人税
の申告納付を受けておりましても、それが適当でないと考えられます場合には、後日これらを更正するわけであります。
法人税
について更正
決定
の済んでおりません
部分
につきましては、府県が單独で
税額
を
決定
して参ります。後に
法人税
がかわ
つて
参りました場合に、府県の
決定
額が少な過ぎた場合には、さらに増額して他の
法人
と
均衡
をはかるべきでありますけれども、それができなくなります等の
関係
上、ことさら
決定
を
延期
したりしている向きが非常に多いわけであります。これがために府県の
収入
を確保する面からも、支障が生じて参
つて
おりまするのみならず、企業自身といたしましても不安定な
状態
に置かれておりまして、
会社
経理の上にも若干不
都合
があるようであります。そこでこのようなものにつきましては、さしあたり仮
決定
をすることができる。そして二十八年十二月三十一日までに仮
決定
をしておきました
部分
について、本
決定
をしなければならないというふうな態度をとりまして、今申し上げました
課税
団体側における現在起きております困つた
状態
、あるいは企業者に起きておりまする困つた問題、そういうものをこういう
方法
で解決して参りたいと考えているわけであります。五項、六項、七項、八項まで、同じ問題につきまして
市町村
が附加税を課する問題もございますので、これらについての
手続
を定めているわけであります。それから九項の税理士法を
改正
しておりますのは、試験科目につきまして、二十七年度から
附加価値税
になりますものを、やはり
事業税
にいたします
意味
の
改正
であります。
河原伊三郎
5
○河原
委員長
代理 通告順によ
つて
質疑を許します。床次徳二君。
床次徳二
6
○床次
委員
ひ
とつ
市町村税
について伺いたいのですが、
固定資産税
あるいは
木材
取引税等につきまして、一つの町村でも
つて
課税標準
だけをとらない、従
つて
業者の立場からいいますと、その分だけをほかよりも軽い
負担
をしているというものが相当あるのじやないかと思いますが、さようないわゆる過剰といいますか、余裕にな
つて
いる、取残しにな
つて
いるところの
市町村税
というものが、どのくらいにな
つて
おりますか、見当つきますか。ほとんど各
関係
町村で配分してお
つて
、とるだけのものは
固定資産
においてもと
つて
いるかどうか。発電所所在地の
関係
町村に税を配付します、その場合に取残しがあるかどうかということです。
奥野誠亮
7
○
奥野政府委員
地方財政委員会
が配分するものについてのお話だろうと思うのでありますけれども、
地方財政委員会
におきまして配分いたしましたものは、まずほとんど全部と
つて
いるのじやないかと思います。あるいは若干の例外があるかもしれませんけれども、反面にまた、配分いたしましたものにつきましては、一・六%の
固定資産税
の
税率
を若干引上げて
課税
している団体もございます、でありますので、大体配分した額が
標準税率
で計算された程度のものは全体的に
収入
にな
つて
いるのだろうというふうに考えております。
床次徳二
8
○床次
委員
木材
取引税につきまして、私ちよつと事実をはつきり記憶しないのですが、営林署のありまする所でありましたか、相当多額の
木材
を置く所にありましては、
徴収
額と申しますか、当然入るべき
収入
を実はとらずに来ている。できるならばひ
とつ
県税として
徴収
してもらいたいというくらいな希望が出ているように思うのです。これなんかはある程度まで、地域いかんによ
つて
不当に安い
木材
取引税を納めているという結果になると思うのですが、こういう具体的の問題が実はあるわけなのでただいま伺つたのですが、どのような対策を考えておられるか承りたい。
奥野誠亮
9
○
奥野政府委員
私
固定資産税
の問題と思
つて
お答えしたのでありますけれども、
木材引取税
の問題につきましては御指摘の問題がたくさんあると思います。実はこれは地方財政平衡交付金の
金額
を計算いたします際に、個々の
市町村
別に税
収入
を測定するわけであります。税
収入
の測定にあたりましては、それぞれの
市町村
がどれだけ
現実
に
収入
をあげておるかということにはとらわれませんで、通常の努力を抑えばどれだけの
収入
をあげることができるはずであるかということを客観的に定めて行きたい、こういうような方式をと
つて
いるわけであります。
木材引取税
につきましても、農林省等について調べました二十六年度における
木材
の伐採量、それと現在の
価格
等からいたしまして、それぞれの
市町村
においてこれだけ
徴収
できるはずである、こういうようなところから個々の
市町村
の
木材引取税
にかかる基準財政
収入
額を測定したのであります。ところが、ほとんど大多数の
市町村
におきまして、
木材引取税
はそんなに
徴収
できないということで、喧々諤々たる反対を受けました。その後よく
内容
を調査して参りますと、従来
木材
について検査が行われておりまして、自然
木材
検査の際に取引量というものを的確に把握できる、また検査の際に同時に税金も
徴収
できる。こういうことがなく
なつ
たものでありますから、
木材引取税
の
課税
客体の捕捉に非常に困難を来しておるようであります。それともう一つは、やはり今まで府県が直接
税額
を
決定
して参りましたので、
市町村
は附加税という形において、言いかえれば県の努力によ
つて
収入
を確保しておつた面も多いだろうと思います。それが
市町村
みずからが
課税
の態勢を整えて行かなければならない、この切りかえがそう簡單に参りませんために、
課税
態勢を整える場合の時間的なずれという問題も若干あるだろうと思います。第三には、そのほかにやはり強い力を持つた団体に押されがちであるというような問題も事実あつただろうと思います。しかしながら、
木材引取税
につきまして、もし
収入
されるべき額を確保しなかつた場合には、それだけその団体の地方財源が全体として不足して来るのだ。少くとも交付金は、それだけとれなかつたからとい
つて
よけい與えられるものではない。交付金が少くな
つて
来る。そういうようなところから、この道を打開しようと思
つて
、近来非常に努力を始めておるだろうと思います。従
つて
これらの基準財政
収入
額の測定を通じまして、
市町村
の
木材引取税
課税
態勢というものが、漸次改善されて来るのではないだろうか、こういうような期待を持
つて
いるわけでありまして、なお一年間それらの推移を眺めながら、適宜必要な対策を講じて参りたいと考えております。
床次徳二
10
○床次
委員
ただいまとは同じようなケースがやはり鉱産税についてもあるのではないか。基準財政
収入
としまして大体妥当な調査ができておりますると、それに対する努力目標がわか
つて
、いかにも将来だんだん改善をされるのではないだろうかと思いますが、これはもう少し経験をしてみないと、いずれとも言えないのであります。あるいは県税にした方がこういう種類のものは妥当な結論になる、地方によ
つて
はそういう
意見
もありますが、今日までの実施の状況から見て、
政府
としてはどちらの方に処置を考えておられるか承りたい。
奥野誠亮
11
○
奥野政府委員
木材引取税
や鉱産税は、府県と
市町村
が共同して
当り
ました態勢から、どちらかの一本建の
徴収
にと改めましたときにも、やはり両論はあつたわけであります。正直に申しましてやはり両方の立場の主張はできるだろうと思います。しかしせつかく
昭和
二十五年の八月から今のような態勢に切りかわつたばかりでありますので、なおしばらく、地方財政平衡交付金の運用にあたりまして、別途
徴収
が確保されるような指標も與えながら改善をはか
つて
行きたい。その推移を見た上で、検討を加えても遅くはないであろうというふうに考えております。
床次徳二
12
○床次
委員
それから次に
広告税
が今度整理されるように
なつ
たのであります。雑税はなるべく整理する方が望ましいわけでありますが、
広告税
の性質から申しまして、ある程度の
負担
力はあるのではないかというふうに考えられまするし、また現在の
広告税
の
徴収
の
方法
如何によりましては、税としてはむしろ悪い税ではないということも言えるのではないかという点も、議論があるのであります。また最近非常に立看板その他の大きな広告が出ておる、これに対しまして、依然としてこれが放置されるという場合にありましては、確かに
課税
いたす相手に問題があると思う。あるいは広告そのものに対して、——
意味
は多少違いますが、別個の制限を付するというような
意味
におきましても、便利な税ではないかと思うのでありますが、この点に対していろいろ当局においても議論があつたと思うのでありますが、ひ
とつ
意見
を聞かしていただきたい。
奥野誠亮
13
○
奥野政府委員
御承知のように、昔国税に
広告税
が設けられてあつたのです。その当時は雑誌による広告にも
課税
されておりました。今日ラジオ放送による広告もずいぶん盛んに行われるようにな
つて
来ているわけであります。広告の主体を占めるものは、やはり新聞、雑誌、ラジオによる放送だろうと思うのであります。現在
地方税法
に
規定
をしております
広告税
は、ちらしの類でありますとか、あるいは看板の類による広告が中心にな
つて
おるわけであります。非常に零細な広告だけをとらえまして、
広告税
を
課税
するような形にな
つて
おるのであります。従
つて
徴収
される
税額
も、きわめて微々たるものであります反面、徴税には非常に煩瑣な
手続
を要して参
つて
おるわけであります。そう考えて参りますと、一律に
広告税
を
徴収
しがたく、強制的なかつこうになる法定税目の
規定
のごときは、やめた方がいいのではないかというような考え方を持
つて
おるわけなのであります。もとより今後
市町村
がどうしても
課税
したいというものを拒否する理由もないと思うのでありますけれども、少くとも法定税目からは除外した方がよろしい、かように考えたわけであります。
床次徳二
14
○床次
委員
それから次に
個人
の
市町村民税
の非
課税
の範囲の
改正
が言われておるのでありますが、この今回の
改正
に対しましては、むしろ地方の実情から申しますると逆である。零細農家におきましては、この
改正
によ
つて
かえ
つて
負担
が多くなるという
意見
も出ておるのであります。この点私もよくわかりかねるのですが、
政府
が今日まで研究された程度において、どの程度までの
改正
による変動というものがありまするか、
意見
を聞きたいと思います。
奥野誠亮
15
○
奥野政府委員
むしろ
課税
団体であります
市町村
側から熱烈な
改正
の要望が出て参りましたので、それにこたえまして、もし
市町村
の
課税
の
均衡
上必要があるならば、その
部分
については
課税
することができるのだという
趣旨
の
改正
を行つたわけであります。従
つて
どの範囲にまでこの
規定
が
適用
されるかわからないわけでありますけれども、極端に公平を欠いておるというふうな面についてだけ、この
方法
が選ばれて行くと思います。またそういうふうな指導もや
つて
参りたいと考えておるわけであります。先ほど具体的に申し上げたわけでありますけれども、三十、四十の人が六十五歳を越えたお父さんと一緒に商売をや
つて
いる場合に、扶養
控除
の問題もありまして、いろんな点から、
所得
額が十万円を若干切れる。そうな
つて
来たら、血気盛んなむすこさんたちまでも、
所得
がないものとみなされまして、
市町村民税
は課されない、またその
部分
の
所得
に対しては、
所得割
は全然課されない。六十五歳以上の人が働いて得ている
所得
でしたら、これは当然あの法の
趣旨
にのつとりまして、
課税
すべきではないと考えるわけであります。しかし実質的に
所得
を得ている者は、その血気盛んのむすこさんたちであるにかかわらず、
所得税
の
課税
の
取扱い
において、たまたま世帯主の
所得
にされるものでありますから、それが十万円に達しないために、
所得割
が全然
課税
されないということになりますと、
市町村
内におきまする他の
所得者
との間において、
均衡
を欠く場合が多いわけであります。そのような
均衡
を欠くと認められます
部分
につきまして、実質的にはその
老年者
の
所得
でない
部分
につきましてのみ、
所得割
を課そうと思えば課することができる、こういうふうな
改正
をいたしておるわけであります。
床次徳二
16
○床次
委員
次に社会保険税の問題について伺いたいのでありまするが、前回社会保険税の最高額につきましては、一万五千円の制限に対しまして、この制限を撤廃する、ないしもつと高く定めるという
意見
が当
委員会
にもあつたのでありますが、今回の
改正
におきまして、三万円までに直されておることにつきましては、了解できるのでありまするが、先ほど御説明のように、大分診療
内容
の向上その他によりまして、額が増しておるという理由もあつたのですが、これはこの前の一万五千円が適当だと思つたものが、物価その他の高騰によりまして、これが三万円にまで
なつ
たというのか、あるいは従来のわくが少くていろいろ
均衡
を欠いておつたためにこの際その分も合せて範囲を広くしたのか、両方を
意味
するのか、その点をひ
とつ
伺いたいと思います。
奥野誠亮
17
○
奥野政府委員
お話のように両方を
意味
しておるわけであります。
受診率
を見て参りますと、二十六年から二十七年にかけまして、一割四分三厘増加を来しております。一件あたり点数が一割九厘の増加を来しております。診療報酬單価が二割三厘の増加を来しております。これをかけ合せますと五割二分の増加になるわけであります。十割の増加でありませんで、五割二分の増加になるわけであります。しかしながら前国会におきましても、今床次さんのおつしやつたような御
意見
もあつたので、一万五千円を五割の増加じやありませんで、十割、ちようど
倍額程度
にしたい、かように考えたわけであります。
立花敏男
18
○立花
委員
法定外普通税の問題をちよつと聞きたいのでありますが、大体許可を求めて参りました場合の基準ですね。
政府
の方でお認めになる基準はどういうふうなものであるか。
奥野誠亮
19
○
奥野政府委員
地方税は、その地域内の
課税
客体から
徴収
して参るものでございますので、地域の住民が、そういう税金を課したいのだという場合には、
原則
としてこれにゆだねるべきであるという建前をと
つて
おるわけであります。しかしながらやはり国全体といたしまして、地方団体間における物の流通に重大な障害を與えますとか、あるいは国の経済政策に照しまして適当でないものがありますとかいうふうな場合におきましても、放任いたしますことは適当でございませんので、こういうふうな特殊な事由があると認めます場合に限
つて
許可することができないのでありまして、それ以外には許可しなければならないという税法の
規定
にな
つて
おりますし、その建前を適当だろうというふうに考えておるわけであります。
立花敏男
20
○立花
委員
今御説明に
なつ
た、特に国の経済に支障があるというのはどういう
意味
でありますか。
奥野誠亮
21
○
奥野政府委員
たとえば国全体として特殊な生産の発展をはか
つて
行かなければならぬというものを考えて、それに対して助長政策をと
つて
おる、ところがその発展を阻害するように、そうしたものに対して逆に法定外普通税を考えて行くというふうな場合には矛盾するわけでありますので、そういうことは避けたいという考えを持
つて
おるわけであります。
立花敏男
22
○立花
委員
たとえば非常に一般的な大衆的な税金、これを住民税とかあるいは
固定資産税
とかいう形でかけまして、その他にこういうものをおかけにならない
意味
は、やはり大衆の
負担
となる税金をあまりたくさんつくるのはよろしくないという考え方から出ておると思うのですが、そういうふうに御理解にな
つて
おるかどうか。
奥野誠亮
23
○
奥野政府委員
ちよつと御質問の
趣旨
がわかりにくかつたのでありますけれども、法定外普通税を起します場合には、法定された普通税は
徴収
してなお財源がない場合に、あるいは増税しなければ得られないという場合に、いずれを選ぶかというふうな問題になるだろうと考えております。
立花敏男
24
○立花
委員
具体的な話を進めた方がいいだろうと思うのですが、たとえば鳥取県で教育税を考えられているというような場合に、これは單なる目的税ではなしに、一般の大衆
課税
の形をと
つて
来るということが考えられます。あるいは今度北海道で震災がありまして、それの莫大な損害を埋めますために、全道的な税金をとろうとしておる。こうな
つて
参りますと、目的税であるという
意味
を非常に離れまして、全般的なその地方の大衆
課税
となる性質を帯びて来るのですが、こういうものまで目的税としてお認めになる方針なのかどうか、さいぜん
奥野政府委員
の言われました特殊な経済、特殊な産業を助長しなければいけない場合に、それを除外するような目的税は許可を與えないのだというふうな單なる消極的な
意味
じやなしに、積極的にこれ以上の大衆
課税
を禁止して行く、目的税の名をも
つて
、目的税のわくからはずれて大衆
課税
にな
つて
行くようなものは禁止して、積極的に民生を安定するという考え方からの考慮を携われないものかどうか、これをひ
とつ
……。
奥野誠亮
25
○
奥野政府委員
法定外普通税を許可するかしないかということにつきましては、先ほど申し上げましたようにかりに民生の安定を阻害するかしないかという問題がありましても、それを認定するものは
地方財政委員会
でありますよりも、むしろ当該地方団体の住民である方がよろしいのじやないか、あるいはそれらの税金を
負担
する
人たち
の方がよろしいのではないか、こういうふうな考え方を持
つて
おるのであります。現在の建前ではそれらの認定をするものは地方団体の議会であります。議会が議決すれば一応地方団体の住民は納得しておるというふうな判断をせざるを得ないのじやないかという考えを持
つて
おるのであります。
立花敏男
26
○立花
委員
私は議決の
手続
を聞いておるのじやありませんので、国法として
地方税法
があり、
地方税法
の精神というものは中央の主務官庁がよく御存じのはずなんです。そういう精神から見て、目的税あるいは法定外普通税というようなものがそういう立法の精神からはずれて、名目だけは一致しておるようですが、本質的には一般的な大衆
課税
になるようなものがつくられようとする場合に、その
手続
の問題ではなしに、そういう実質的な
評価
について、どういうふうにお考えにな
つて
おるかという
意味
なのです。
奥野誠亮
27
○
奥野政府委員
地方団体がすべき事務を行いますに必要な財源というものは、
標準税率
で得られます法定普通税の
収入
と、地方財政平衡交付金、その他によ
つて
確保されるものだとわれわれは考えておるわけであります。さらに法定外普通税を起そうとする場合には、通常の財政需要を越えた何らかの施策を行おうとする場合ではなかろうかと思うのであります。従
つて
法定外普通税を
負担
いたしまして、さらに道路をよくする。あるいは教育の
内容
を高めるために、そういう
方法
を選ぶか、あるいは道路は荒廃のままにゆだね、あるいは教育の施設はそれほど向上しない反面に
税負担
は引下げる、法定外普通税は
負担
しないという、そのどちらを選ぶという問題としてわれわれは考えて行きたいのでありまして、そういう
趣旨
においては、それらの法定外普通税を起すか起さないかということは、当該地方団体の住民が判断すればよろしいじやないか、非常に大きな住民
負担
の増加になります場合は、それは
地方財政委員会
といたしましても、必要な
意見
を発表して行かなければならない場合も生ずるだろうと思うのでありますけれども、そうでない限りにおきましては、ささいな干渉にわたるようなことはなるたけ避けまして、反面その地方団体にいろいろ異論があります結果、混乱が起きるかもしれませんけれども、それらの混乱を通じながら、住民による政治の運営というものが確立されて行くのではなかろうかというふうな考え方をしておるのであります。
立花敏男
28
○立花
委員
どれくらいがささいか、どれくらいがささいでないかということはあとでお聞きしたいのでありますが、
奥野
君の立論の
趣旨
は大体確保される建前にな
つて
おる。しかし確保されない
部分
は、特別の事業を起す場合には
課税
してもよいのじやないか、それが過分でなければ
課税
してもいいのじやないか、そういう考え方だと思います。大体今のところ全般的に
赤字
だということは、これは建前なので、確保されるということはないわけなんです。だから何か事業をするとなると、これは当然大衆の
負担
に求めて行かなければならなくな
つて
いるのが通常なので、こういう場合に教育税とか、道路税とか、あるいは北海道のように震災の復旧税まで一般大衆
課税
としてとるということにな
つて
参りますと、これはもう税法で
規定
されております精神が根本的につぶれて来るのじやないか、何か特殊な事業に
関係
のある者だけからとるというならわかりますが、教育税というようなものを一般の住民全体からとる、あるいは道路補修というような基本的なものを、道路補修税という名前で全般住民からとる、あるいは北海道のように、これは数十億に達する税金にしようと言
つて
おるようでございますが、こういうものを全道民からとるということにな
つて
参りますと、地方税の体系がつぶれて参りまして、
赤字
は全部新らしい大衆
課税
で地方が自由にとるということになるほかはないと思うのです。こういうようなものを自治庁としてどうお考えにな
つて
おるか、こういうところをほ
つて
おいて、それで十分
地方税法
の精神が守られているとお考えになり、また地方の住民がそういう
負担
力があるとお考えにな
つて
おるのかどうか、これをひ
とつ
伺いたい。
奥野誠亮
29
○
奥野政府委員
先ほど通常の規模は確保さるべきであるということを申し上げましたのは、大体それぞれ似通つた団体と同程度の規模が確保されるという
意味
において、御了承願
つて
おきたいと思うのであります。なおたとえば鳥取の例で申し上げますと、教育の充実に充てるために特別な税金を起す、そういうふうな特別な税金というものは、それぞれ受益者から
徴収
するような建前をとるべきではないかという御
意見
も一つの筋の通つた御
意見
だと思います。ただ、しかしながら現在それでは土木費にはどの税、教育費にはどの税というふうな建前をと
つて
おるかといいますと、そういう建前はと
つて
いないわけであります。
事業税
とか、入場税とか、遊興飲食税とかいうふうなものを全部集めまして、それぞれ教育、土木、衞生等の仕事をや
つて
おるわけなのであります。ところがここにたとえば先生の員数をもつとたくさんにしたい、たくさんにするためには何か財源がなければならない、その財源を何に求めるか、
事業税
の増税に求めるか、あるいは
特別所得税
の増税に求めるか、あるいは自動車税に求めるか、配分の問題としてどこから
徴収
するのがよろしいかという問題があるわけなのでありまして、それを法定外普通税をつくりましてどの範囲から求めるか、いろいろ議論があるだろうと思いますけれども、そういう
方法
において
徴収
をして行こうとしておるのであります。でありますから教育費に充てるため、結果的にはそういうことになるわけでありましようけれども、全体として教育をそこまで上げるためには、全体としての財源がそれだけ足りないということにすぎないわけであります。それを説明の
便宜
上、法定外普通税で得られた
収入
は教育に充てるのだ、だから先生の数をふやすか、あるいは減して、税金はその
かわり
新しく起さない、こういう判断を住民に求めているのだろうと思います。目的税というわけではないのであ
つて
、やはり普通税であろうと思うのであります。ただどの範囲から税金を上げて行くかという問題につきましては、配分の問題として、公平になるように、全体をよく検討して行かなければならぬと思うのでありますが、大体住民の納得する
方法
であれば、それにゆだねるべきである。あるいはそこに不穏当な場合が生ずるかもしれませんが、不穏当であるがゆえに、自治があるいは混乱するかもしれませんけれども、その混乱が混乱しないようにと思
つて
、中央が一々おせつかいをやいたのでは、いつまでた
つて
も地方団体は独立しない、大悟徹底し、地方団体にまかせるべきである、ささいな干渉を加えるべきではないという考え方をいたして参
つて
おるわけであります。
立花敏男
30
○立花
委員
奥野
君がお考えにな
つて
いる点は少し端の方だけお考えにな
つて
いるのではないかと思います。私尋ねておりますのは、もう少し根本的な問題として、やはりお考えになる必要があるのではないか、あなたは先生をふやすのに財源がいるから、その財源を埋めるために、税金を考えるのはやむを得ないじやないか、その税金をどういう形でとるかは地方の議会にまかせればいいじやないか、住民の意思にまかせればいいじやないかとおつしやられますが、その前にやはり問題があるわけで、その前の問題をお考えにならなければいけないのじやないかということを言
つて
いるわけです。教育を普通のレベルまでに引上げる、憲法で保障されております文化的な生活を住民が送れるような教育の程度まで引上げて行くということは、これは決して法定外普通税や目的税、形はいろいろあるでしようが、こういうものでそれをやるべきものじやない、ただそれに必要な財源の場合には、ただちに地方の税金でまかなうということには、必ずしも結論が参らないわけです。しかもそれを大衆
課税
で行くというところまでは、必ずしも結論が参らないと思います。それをその道しかないのだ、その道しかないので、教育のレベルを引上げようとすれば、もう大衆
課税
でもやむを得ないじやないか、しかもそういう
方法
を地方自治体が最近特に目立
つて
とろうとしておりますのに、それは地方の自治にまかせておけばいいので、中央は干渉すべきじやないというようなことは、中央の責任のがれだと私は思います。やはりこの問題は本質的な問題なんで、そういう本質的な問題として取上げていただきたい、これは最近特に現われて参
つて
おります、北海道の場合にはさつきも申しましたように、災害復旧を約七十億か八十億と聞いておるのですが、こういうものを何とか道民の
負担
でや
つて
行こう、そんなことまでい
つて
いるくらいで、鳥取県の教育税の問題がありますし、石川県の公共事業の
課税
の問題がありますし、こういう形が最近非常に地方で出て来て、これは地方財政の大きな混乱から来ているだろうと思うのですが、そういうものをほう
つて
おきますと、結局国から出すものを出さないで、地方は税金でそういうものをまかな
つて
行けばいいんだ。教育費などは
義務
教育費が大
部分
なんで、
義務
教育費を国庫が
負担
しないで、これを大衆
課税
でまかな
つて
行くというような方針は、これは国の財政計画、あるいは地方の財政計画としても、本質的な問題なんだ、そういう問題として今現われておりますような教育税の問題、道路補修税の問題、あるいは北海道の災害復旧費の問題、こういう問題を
課税
技術の上のあるいはそれの審議
決定
の上の技術の問題に限定しないで、もつと本質的な問題としてお考えになる必要があるじやないか、そういう点をどうお考えにな
つて
いるかということを聞いているのです。
奥野誠亮
31
○
奥野政府委員
御指摘になりましたようないろいろな問題があるだろうと思います。ただしかしながら
地方財政委員会
で、地方税について許可いたします場合には、
地方税法
に明記されておりますように、税
収入
を確保できる税源があること及びその税
収入
を必要とする財政需要があることが明らかであるときは、これを許可しなければならないと書いております。だから
地方財政委員会
は法律で定められました
規定
に準拠して、それぞれの行政処分はしなければならぬだろう、こういうことを考えているわけであります。しかしながら御心配になりますように、財政需要があることが明らかであるかどうかという問題、こういう点につきましては、たとえば鳥取県が教育に充てるために特別税金を起すのだ、その教育に充てるのだという額が、他の府県においても維持されている程度の教員数、あるいは他の県においても給付されているような程度の給與の額、これを支出するために特別な税金を起すのだということは、これは不穏当だろうと思うのであります。他の府県において維持されているよりも、若干上まわつた規模で行きたい、それがために財源がいるのだ、こういうことなら明らかに特別財政需要があるのだ、こういうように行かなければならないだろうと思います。そういう
意味
合いにおきまして、それぞれの地方団体が法定外普通税の新設を計画いたします際には、それらの財政状況につきましては、今申し上げましたような
趣旨
における
内容
の検討はいたしたい、かように考えているわけであります。
立花敏男
32
○立花
委員
そういう法定外普通税等の申請書が出て来た場合において、それをどう取扱うか、
奥野
君の場合、いつも技術的な問題に限定されているのですが、そういうものはもうすでに石川県の県会で決議をされておりますから、これはすぐ出て来ることでありますが、そういう情勢を控えてそういう問題が起
つて
来る。そういう申請書も出て来る。それをどういうふうに理解されているか、そういう問題に対処してどういうような地方財政政策を地方がとるべきであるか、こういう申請書をどう扱うかという技術的な問題に限らずに、そういう問題が一体どこから出て来るのだ、どういう方針を
とつ
たらいいのだというような基本的な問題としてお答え願いたいと思います。これはさいぜんから言
つて
おりますように、たとえば石川県の場合でも、石川県が特別な道路を敷かなければならぬはずはないと思います。ところがやはり道路補修税というものをこれは二億円だそうですが、大衆
課税
として、一般県民から
徴収
して、單に自動車業者、運送業者だけじやなしに、一般県民から二億円の道路補修税をとるということが県会できま
つて
おりますので、こうな
つて
参りますと、やはり問題は本質的な問題にな
つて
来ると思う。だからそういう問題としてそれは地方財政の現状からして、そういう方向へ行く方が、
地方税法
の建前上いいいのか、あるいは大衆の生活にと
つて
、地方自治にと
つて
、そういう方向へ行く方がいいのか、あるいはそうじやなしにもつと他に解決
方法
があるとお考えにな
つて
いるのか。財政需要があるという問題も、財政需要があつたからさつき言いましたように、税金で必ずとらなければいかぬということは決してありませんので、起債の
方法
もあるし、あるいは平衡交付金の
方法
もある、北海道のような場合には、特別平衡交付金の問題もあり、あるいは災害対策費の問題もありますので、決してそういうふうな大衆
課税
の方向へ行くのがいいのだということに、私は参らないと思うのでありますが、そういう本質的の問題としては、これは当然考えていただく必要があると思
つて
、その点からの見解をお聞きしておきたいと思うのであります。
奥野誠亮
33
○
奥野政府委員
私たちは地方税がまつたく画一的な
税負担
になるということを理想には考えておりません。もとよりある団体においては、若干増税が行われるというふうな事態があ
つて
もよろしいではないか、しかして国全体の経済がよくな
つて
参りました場合には、その反面若干の団体においては
税負担
を軽減する団体も、相当出て来るだろうと思うのであります。そういう
意味
合いにおいてたとえば道路は多少悪くてもよろしいから
負担
を下げたい、いや
負担
は少し多くてもよろしいから、道路はぜひよくしたい、こういうふうな姿があ
つて
いいのだろうと思います。極端にそれが行われる場合は適当ではございませんけれども、多少そういう差があ
つて
こそ住民による自治というものが、ほんとうに住民によ
つて
営まれて行くことになるだろうと思うのであります。ただ立花さんがお考えにな
つて
おりますように、地方財政が全体として窮乏し過ぎておるのじやないか。これは私も地方財政はかなりきゆうくつだろうと思います。しかし地方財政がきゆうくつだからということだけで、問題が発生するのだというように、われわれは考えたくないのであります。国民経済が必ずしも楽じやございませんので、国家経済も地方財政も非常にきゆうくつであります。きゆうくつでありますけれども、また国民の
負担
も重いわけでありますけれども、ある団体においては教育をよくしたい、ある団体においては、他の府県の道路よりもよくしたい、こういうような動きがあ
つて
もよろしいのじやないか、それをどの範囲から
徴収
するかということは、住民が判断すればよろしいのじやないか、こういう考え方を持
つて
おります。もとより根本的には国の富を増加して行かなければならない、国の富を増加さす反面、地方財政はゆたかにして行かなければならない、こういう連関は、また忘れておるものじやございませんけれども、地方財政の運営の仕方というものは必ずしも一律的なものではない。そう考えることは、われわれはむしろ穏当ではないというぐあいに考えておるわけであります。
立花敏男
34
○立花
委員
これは担税力の問題にな
つて
来るのだろうと思うのですが、この石川県のようなところは、これは日本でも相当辺鄙なところに属しておりまして、特に県の財政も非常にゆたかじやないというようなところで、しかもこういう道路補修税というような公共事業費を、税金で二億円も一般住民に
負担
さすというようなことが、現在の国民の一般的な担税力から言
つて
、これはやはり非常に無理じやないか。事業の性質上、そういう公共事業費を、一般地方の大衆
課税
でまかな
つて
行くというようなことは、非常に無理じやないか。それが地方議会で議決されたから、そのまま認めるべきであるというふうには、必ずしも参りませんので、こういう形で地方の税金が
決定
されて行くことは、非常にまずいのじやないか。しかも、最近特にこういうことが目立
つて
来たということに、私たちはやつぱり注目しなければいかぬ。これは單に石川県だけで突発的に起
つて
来た問題ではなくして、そういう傾向がやはりずつと出て来ておる。たとえばこの間
地方財政委員会
がお出しに
なつ
た地方税の調査書によりましても、いろいろなひどい法定外普通税がとられておる。これが今度は特徴的に、石川県あるいは鳥取、あるいは北海道などに現われて来ておるのじやないか。こういう傾向が、はたして地方の自治を進める方向になるのか、地方の民生を安定さす方向にな
つて
行くのかということが、やはり根本的に解決されなければいけない。これに対する考え方が明確にな
つて
いないと、こういう個々の問題に対する
扱い
方も非常に違
つて
来るのじやないか。こういう点で基本的な考え方を明確にしておいていただかないと、私は困ると思うのです。これは大臣あるいはもう少し偉い方に、基本的に考えてもらうべきことだとは思いますが、しかし
奥野
さんは何とい
つて
もこういう事務は直接第一線でおやりにな
つて
おられますので、
奥野
さんの
意見
も、やはり相当重要な
部分
を占めて来るのじやないかと思いますので、こういう問題が特に最近きわだ
つて
出て来ておる、しかも本質的な問題とまで私どもは考えておるのですが、そういう問題に発展して来ようとしておる、これをやはり、單に技術的な問題として解決なさらないで、地方財政の本質的な問題としてお考えくださるように、私はお願いしておきたいと思う。私ども今税法を審議しておりますが、
法人税割
を百分の二・五減らすとかふやすとか、こういう問題も重大でございましようが、もつとさかのぼ
つて
考えますと、
地方財政委員会
が廃止されようとしておる、こういうところから問題にして行きませんと、百分の二・五をどうするかこうするかの問題では、もう解決のつかない大きな問題が起
つて
来ておるのじやないか。その一つの現われが、こういう地方における大衆
課税
、こういうふうにな
つて
来ておるのじやないか、しかもそれに対して、自治庁あるいは
地方財政委員会
は、そういう本質的な問題を明確にしないで、これはもう地方の議会が
決定
すれば、それで万事オーケーだというふうな態度をおとりにな
つて
いるのは、これはやはり責任の回避であり、ごまかしであり、地方の民主主義というものを、いわば中央の御
都合
で利用しようという考えとしか私には受取れませんので、あなたたちのような若い方は、もつと本質をつかんで、そういう傾向が現われて来たときには、これはこう判断すべきものだ。これはこういうふうに対処すべきだとして、やはり地方自治の根本的な問題をここで明確にしなければいけないのじやないか。地方財政、地方自治が、今、私非常に危機にあると思うのですが、これを明確にすべき最も具体的な材料として、積極的に取上げていただく必要があるのじやないか、こういう
意見
を私は持
つて
いるのですが、これで終りにしますから、ひ
とつ
御
意見
を承りたいと思います。
奥野誠亮
35
○
奥野政府委員
地方財政の進む方向につきまして、いろいろご心配いただいております点は、感謝にたえないのであります。本質的に私と立花さんとの考え方の間において、食い違いがあるからという
意味
で申し上げるわけではございませんので、御了承を願
つて
おきたいと思いますが、道路をよくするために、特定の県で住民の
負担
を引上げて行くことが穏当ではないのじやないだろうか、こういうふうな
趣旨
の御発言がございました。その
趣旨
は、必ずしも私が言うような
意味
で、御発言にな
つて
いるとは思わないのでありますけれども、われわれは地方団体にゆだねられておりまする仕事というものは、道路の仕事でありましても、あるいは教育施設の確保でありましても、
原則
として地方税でまかなえるようにして行きたい。地方税でありましても、国税でありましても、ともに国民の
負担
でありますから、できる限り地方において行われまする仕事に必要な経費というものは、地方税でまかな
つて
行きたい。住民が地方税の面を通じて行政を監視し、批判するような態勢を確立して行きたい、こういうふうな希望を持
つて
いるわけであります。もとより国税地方税を通じまして、国民の地域間の租
税負担
の
均衡
をはか
つて
行かなければならないことは、言うまでもございませんので、税源の少いところにつきましては、地方財政平衡交付金を交付するというようなやり方をしているわけでありますけれども、地方財政平衡交付金の交付を受けなければならないような地方団体というものが、できる限り少くなることをわれわれは期待しながら、地方財政
制度
というものを打立てて行きたい、かような考え方をしているわけであります。そこで、たとえば石川県におきまして、道路の
費用
にさらに住民の
負担
を上げる、こういう場合には、住民の
負担
はふえるが、その
かわり
道路の施設というものは、他の県よりも若干よけいに経費を投ぜられている、こういうふうな姿でなければならないと考えているわけであります。そういう
意味
合いにおいて、かりに法定外普通税の許可の申請がありました場合においても、それじや道路に充てられるとするならば、他の府県における道路の施設費よりも、より多くその府県においては、投じようとしているのかどうかということは、これは検討されなければならない。そういう
意味
において、道路は他の県よりも多くするのだ、その
かわり
住民の
負担
はふえるのだ、そういうことを住民自身が納得するのならば、これは当然許可しなければならないのじやないだろうか、こういうような考え方を持
つて
いるわけであります。しかしながら、根本的に地方財政が窮乏しているのじやないか、これを建て直して行かなければならないのじやないか、これはたいへん御同情のある言葉でして、われわれも将来一面には事務の経費の経減をはかりながら、できる限り地方税を充実するというふうな方向で、地方財政を確立して参りたいという考えでおるわけであります。
立花敏男
36
○立花
委員
私神戸ですが、この神戸の町は、御承知のように、細長い町なんですが、その細長い町に、縦に何本も、何十メートル幅の道路が走
つて
おるわけなんです。これは何のために走
つて
いるか、市
会議
長も知らないのです。私議長に会
つて
びつくりしたのです。議長の家もとられてしまつたそうですが、何十本となくそういう道路が走
つて
おる。その理由を市
会議
長も知らない、そういう道路工事が一般的なんです。その場合にそういう
費用
を大衆
課税
でと
つて
もいいのだというような端緒が、やはり石川県で開かれて行くのじやないか、
奥野
君は地方の仕事は地方税でまかな
つて
行きたいとおつしや
つて
おられます。それは理想だと思うのです。しかしこれはそうな
つて
行ける建前には今な
つて
いないのです。現在の地方税がそうな
つて
いないわけです。だからこそ石川県では法定外の普通税でとろうとしておるわけです。法定しておるものではまかなえない、地方税の現在の段階で、今の
政府
が理想とされております形は、現在の地方税に現われておるのでしようが、それではまかな
つて
行けないから、法定外の普通税でこういう道路補修税をと
つて
行こう、
費用
をまかな
つて
行こうとしておりますので、これはやはり現在の税金ではまかな
つて
行けないから、やむを得ず現在の法定外の税金としてと
つて
行こうというので、やはり無理があるわけなのです。
奥野
さんの言われるように、地方の事業が全部地方税でまかな
つて
行けるようにするために、建前を税法の方からはつきり現わしてから、こういうものをおとりに
なつ
たらいいのですが、今のままでこういうものをと
つて
行くということは根本的に間違いじやないか。中央の財源を地方に委讓しまして、十分地方で地方の必要なだけの財源が得られるような形にしておいてや
つて
行くということならいいのですが、中央の財源を與えずにおいて、法定外普通税でとらなければいけないような形にしておいて、地方の事業は地方税でまかないて行
つて
も、やむを得ないじやないかというふうなことは、これは詭弁なんで、いたずらに地方の住民に新しい大衆
課税
を課して行く、もうたえがたくな
つて
いる地方住民に対して、新しい
税負担
を課しで行く。それを中央が黙認するということにな
つて
行くのじやないか。しかもその道路というものが、さつき言いましたように、神戸のような大都会におきましても、市
会議
長すら何のために敷かれたか、わからないような道路がどんどんつくられておりまして、その
負担
は非常に莫大な額に上
つて
おる。こういうような場合に、こういう石川県の事例を容認なさり承認なさることは、やはり全国の自治団体に対して、非常に大きな悪影響を與えるのじやないか。これは教育の問題にしても同じだし、災害の問題にしても同じだと思う。そういう点でもう少し根本的に考えていただきたいという希望を最後に申し述べておきます。これはいくらここだけで議論しましても片づかないと思いますので、そういう
意見
だけを申し述べておきます。 それからきのうも岡野国務大臣にお尋ねしたのですが、さいぜんあなたの御説明のあつた
法人税
を、国税の方は引上げたのだから、今度地方税の率は下げたのだ、引上げたものにこの率をかければ元通りになるのだから、それでいいのだというふうに言
つて
おられますが、これもやはり根本的に
地方税法
の
改正
、地方財政の確立という方向から申しますと逆の方向じやないか。元々通りなんだからそれでいいのだということは、これも苦しい言いのがれなんで、やはりこれはいわゆる逆コースじやないかと思うのですが、そういう点からお考えにな
つて
おられないのかどうか、理想的な地方観法をおつくりになり、地方財政の確立を理想とされておりますのに、こういう行き方が今度の
改正
法案に出て来たというのは非常に遺憾なんですが、そういう点と関連してお考えに
なつ
たのですか、ならないのですか。中央の率が上つたから地方の率を下げても、上つたものに下つたものをかければ元通りなんだというふうに、簡単な考え方からこれを出しているのじやないか、それを伺
つて
おきたいと思います。
奥野誠亮
37
○
奥野政府委員
第一には、
法人
の
負担
をどの程度まで引上げることが可能であるかどうかということを検討して、
法人税
の
税率
なり、
市町村民税
の
法人
割の
税率
なりを定めるわけであります。
法人税
の
税率
を
法人所得
の三五%から四二%に引上げるにあたりましては、
市町村民税
の
法人税
制の
法人所得
に対する
負担
はかえない、こういうような見地から引上げが行われているわけであります。でありますから、
法人税割
の
税率
を一五%から一二・五%に下げます問題は、
法人税
の
税率
を三五%から四二%に引上げます際に、同時に考えられておつた問題であります。 第二に、地方財政の問題から考えて行きました場合に、
法人税割
の
収入
というものは、非常に偏在するのであります。偏在する財源をどんどん増額して行きますよりは、やはり増額し得る財源は、他の形において各地方団体に分配する
方法
を講じた方がよいのではないか、こういうふうな考え方を持
つて
おるわけであります。
河原伊三郎
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○河原
委員長
代理 質疑は次回の
委員会
に持ち越すことにいたしまして、本日はこれにて散会いたします。 午後一時五分散会