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1952-03-27 第13回国会 衆議院 地方行政委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年三月二十七日(木曜日)     午後零時三十八分開議  出席委員    委員長 金光 義邦君    理事 大泉 寛三君 理事 河原伊三郎君    理事 野村專太郎君 理事 床次 徳二君       角田 幸吉君    門脇勝太郎君       川本 末治君    佐藤 親弘君       前尾繁三郎君    龍野喜一郎君       藤田 義光君    大矢 省三君       立花 敏男君    八百板 正君  出席国務大臣         国 務 大 臣 岡野 清豪君  出席政府委員         地方自治政務次         官       藤野 繁雄君         総理府事務官         (地方自治庁次         長)      鈴木 俊一君  委員外出席者         総理府事務官         (地方自治庁公         務員課長)   佐久間 彊君         参  考  人         (石巻公平委         員長)    松浦卯右衛門君         参  考  人         (前石巻土木         課長)     今泉 政勝君         参  考  人         (石巻市役所職         員組合委員長) 亀井  晃君         專  門  員 長橋 茂男君     ――――――――――――― 三月二十六日  委員大矢省三辞任につき、その補欠として田  万廣文君が議長指名委員に選任された。 同日  委員田廣文辞任につき、その補欠として大  矢省三君が議長指名委員に選任された。 同月二十七日  委員今村長太郎君及び門司亮辞任につき、そ  の補欠として角田幸吉君及び鈴木義男君が議長  の指名委員に選任された。     ――――――――――――― 三月二十六日  地方公営企業法案内閣提出第一一五号)  地方財政法の一部を改正する法律案内閣提出  第一二二号)  地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案  (内閣提出第一二三号) 同日  地方公務員法附則による單純労務者身分取扱  に関する請願大矢省三紹介)(第一六五一  号)  大阪特別市制反対等に関する請願小西寅松  君外二名紹介)(第一六七九号)  六・三制整備費起債認可に関する請願滿尾君  亮君紹介)(第一六八〇号)  港湾修築費町村負担金全額起債認可に関する  請願滿尾君亮君紹介)(第一六八一号) の審査を本委員会に付託された。 同日  特別区制度改革に関する陳情書  (第九七三号)  大阪市の特別市制実施促進に関する陳情書  (第九七四号)  特別市制反対に関する陳情書  (第九  七五号)  同  (第九七六号)  特別市制実施反対に関する陳情書  (第九七七号)  同外二十件  (第九七八号)  宿泊料に対する遊興飲食税減免に関する陳情書  外二件  (第九七九号)  同  (第九八〇号)  自動車税等減免に関する陳情書  (第九八  一号)  地方自治法改正反対に関する陳情書  (第九八二号)  中央集権化反対等に関する陳情書  (第九八二号)  平衡交付金の増額並びに地方起債わくの拡大  に関する陳情書外一件  (第九八四号)  電源開発資金起債の別わく確保に関する陳情書  (第九八  五号)  地方公務員に対する退職金財源措置に関する  陳情書(第九八六  号)  町村吏員恩給改善に関する陳情書  (第九八七  号)  町村議会事務局設置に関する陳情書  (第九八八号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  地方公営企業法案内閣提出第一一五号)  地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案  (内閣提出第一二三号)  石巻市における自治運営に関する件     ―――――――――――――
  2. 野村專太郎

    野村委員長代理 これより会議を開きます。  委員長指名により私が暫時委員長の職務を行います。  まず昨二十六日本委員会に付託されました地方公営企業法案内閣提出第一一五号)及び地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案内閣提出第一二三号)を一括して議題といたします。これより両案に対し政府より提案理由説明を聴取することにいたします。岡野国務大臣。l1
  3. 岡野清豪

    岡野国務大臣 ただいま本委員会に付託されました地方公営企業法案について、その提案の理由と内容の概略を御説明申し上げます。  近代国家のもとにおきましては、地方公共団体の処理いたします事務は、権力行政及び非権力行政の両分野にわたり、いよいよ複雑多岐を加えて来ているのでありますが、住民に対しよりよいサービスを提供し、それによつて住民の福祉を増進いたしますことが、地方公共団体の固有の存立目的の一であることは、あえて申すまでもないところであります。水道事業自動車運送事業等各種公益事業を公営することにより、低廉、適切なサービスを住民に提供いたしますことが、地方公共団体の重要な事務と考えられて来たゆえんも、ここにあると存ずるのであります。  現在、地方公共団体が経営しております水道事業軌道事業自動車運送事業地方鉄道事業電気事業及びガス事業を概観いたしますと、これらを経営する地方公共団体は、数にして約五百以上の多きに及ぶのでありますが、これらの事業は、一方において水道條例軌道法道路運送法地方鉄道法公共事業令等の適用があり、他方において、地方公共団体自体の組織及び運営に関するものとして、地方自治法地方財政法等の規制のもとにあるわけであります。水道條例軌道法等各種事業法は、原則として私企業、公営企業の別なくおしなべて適用されているもので、これらの法令は、地方公共団体の経営する企業を、いわば外から規制しているのに対し、地方自治法地方財政法等は、地方公共団体の経営する企業を内部から規制している、ものであります。  地方公共団体の経営いたします企業は、公共の福祉の増進をはかることを第一義とすることは申すまでもないところでありますが、一方、それが企業として持つ性格にかんがみ、常に企業としての経済性を発揮するように運営されなければならないことはもちろんであり、この点に関する限り、私企業に類似する原則に立脚すべきものであると考えられるのであります。しかるに、前述いたしましたように、地方公共団体の経営いたします企業については、内部的には、原則として地方公共団体の処理しております他の一般行政事務と同様に、地方自治法地方財政法等が一律に適用になり、遺憾ながら企業経営特殊性に対応する措置は、何ら講せられていない現状であります。一般の官公庁の行政事務を規制するのと同様な法規のもとにある限り、企業の能率的経営を促進し、その経済性を発揮させるためには遺憾の点少しとしないのでありまして、本公営企業法案を提案いたします理由もここに存するのであります。すなわち、企業経営組織に関しては、地方公共団体内部において特別の経営組織を設け、企業の管理者に対し企業の業務執行について相当広汎な権限を與え、企業の経理に関しては、従来の官庁会計を排して、発生主義の原則に基く企業会計を採用し、企業に従事する職員の身分取扱いについても、国鉄、専売等国公共企業体の職員に準ずる身分取扱いを認め、企業の能率的経営を図はかり、その経済性を高め、もつて公共の福祉を増進し、地方自治の発達に資せんとするものであります。  すでに昭和初年以来官民の間に地方公営企業法制定の機運が醸成せられ、政府としても鋭意調査研究を続けて参りましたが、一昨年御審議を願つた地方公務員法の附則においても「……公営企業に従事する職員の身分取扱については、別に公営企業の組織、会計経理及び職員の身分取扱に関して規定する法律が制定実施されるまでの間は、なお、従前の例による。」とされているのであります。以上の見地から、政府においては、調査研究の結果を各方面とも協議折衝をいたし、今日ようやくここに成案を得、今期国会の御審議を煩わすことに相なつた次第であります。  次に本案の内容につき、その概要を御説明申し上げます。  まず、本法律案は、地方公共団体の経営する企業の組織、財務及びこれに従事する職員の身分取扱いその他企業の経営の根本基準を定め、地方自治の発達に資することを目的とするものであり、地方公営企業は、常に企業の経済性を発揮するとともに、その本来の目的である公共の福祉を増進するように経営されるべきことを企業経営基準原則として打立てております。  第二に、この法律の適用を受ける企業の範囲についてでありますが、本法案が企業に管理者を置くことを原則とし、相当な熟練と知識を要する企業会計を採用し、企業に従事する職員の身分取扱いについても特例を認めている点にかんがみ、一定の職員数を有し、従つて一定の規模を持つ水道事業軌道事業自動車運送事業地方鉄道事業電気事業及びガス事業に適用されるものとしておりますが、他方、本法案の直接規制対象外公営企業についても、地方公共団体が自主的にこの法律の規定の全部または一部を適用し得る道を開いているのであります。  第三に、本法案と、地方自治法地方財政法及び地方公務員法との関係でありますが、本法案は、これらの法律の特例を定めるものとし、地方公営企業の経営に関し本法案に特別の定めがないものは、すベてこれらの法律によるものとしているのであります。  次に地方公営企業経営組織について御説明申し上げます。  第一に、地方公営企業の業務を執行させるため、地方公共団体の長の指揮監督のもとに、企業の管理者を置くことを原則とし、管理者は、予算の調製権、各種議案提案権等地方公共団体の長に固有のものを除き、企業職員の任免、事務分掌のための分課の設定、企業管理規程制定等を通じ、企業の日常の業務を執行する権限と責任とを有するものといたしているのであります。  第二に、以上のような企業の管理者の地位と責任の特殊性にかんがみ、管理者について就職及び在職に関する禁止條項を設けるとともに、他方その地位の保障についても考慮を拂うごとといたしております。  第三に、日常の企業の業務の執行は、管理者の専行するところでありますが、企業の経営の基本計画に関すること等、当該地方公共団体事務処理あるいは当該地方公共団体の住民の福祉等に至大な影響があります事項につきましては、地方公共団体の長が指揮監督権を発動し得ることとしているのであります。  次に地方公営企業財務関係について御説明いたします。  企業の経理については、特別会計を設け、独立採算制を堅持し、企業の能率的な運営をはかるため、一般会計経理方法に対する特例を相当広汎にわたつて認めることとしているのであります。  第一に、計理の方法は、一般会計における現金主義に対し、企業会計と同様の発生主義を採用して経営成績及び財政状態を明らかにすることとし、従つて従来の官庁会計と異なり、出納整理期間を設けず、複式簿記の計理を行うこととなるのであります。  第二に、予算につきましても、一般会計予算様式を排除して文言形式を採用することといたし、日本国有鉄道予算等と同じくいわゆる弾力條項を挿入いたすこととしております。  第三に、企業の建設、改良等に要する資金に充てるための地方債については、償還期限を定めないことができるものとし、利用者である住民の出資に基く地方公営企業の発展を期待することとしております。  第四に、企業の出納については、出納長、収入役の権限からはずして管理者の権限とするとともに、企業会計方式の採用に伴い、予算より決算に重点を置いて経営成績を検討する必要がありますので、決算は、損益計算書貸借対照表等をもつてすることといたしております。  以上のほか、資産の再評価をし、減価償却の計算をする等のことを規定しているのであります。  次に地方公営企業に従事する職員の身分取扱いについてであります。  第一に、企業の管理者及び企業職員のうち管理または監督の地位にある者、機密の事務を取扱う者、すなわち労働組合法にいう労働組合を結成し、加入し得ない者に相当する者の身分取扱いについては、原則として、地方公務員法の定めるところによるものといたしております。  第二に、右以外の一般の企業職員身分取扱いについては、この法律に特別の定めのあるものを除き、別途提案予定企業職員労働関係に関する法律案の定めるところによるものといたしております。すなわち、職階制及び給與についてこれらの基準規定を本法案に設けるとともに、地方公務員法の規定中、任用に関する部分を除く人事機関に関する規定、勤務條件に関する措置の要求及び不利益処分に関する審査の請求の規定、職員団体に関する規定等の適用は、これを排除いたすこととし、従つて、これらの職員のいわゆる狭義の労働関係については、別途今国会に提案の予定にしております地方公営企業労働関係法ともいうべき法律案の定めるところに譲ることといたしているのであります。  最後に、この法律の施行期日は、この法律公布の日から六月を越えない範囲内で、政令で定めることといたしておりますが、これは、企業資産の再評価等この法律施行のためには、相当な準備期間が必要であろうと考えられたからであります。  以上地方公営企業法案について、その概要を御説明いたしたのでありますが、何とぞよろしく御審議のほどを御願いいたします。これをもつて提案理由の説明といたします。  次にただいま提出いたしました地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及び内容の概要を御説明いたします。  地方財政平衡交付金制度は、地方団体自主性をそこなわずに、地方財源の均衡をはかるとともに、すべての地方団体に対し、それぞれが合理的かつ妥当な水準において地方行政を行う場合に要する財源を完全に保障することによつて、地方における行政の地方住民による民主的な運営を確立することを目的として、昭和二十五年の地方税財政制度根本改革に際し創設せられたものであります。  これが制度の運営にあたりましては、この制度のとります均衡化の方式が漸新かつ画期的なものでありますだけに、種々の技術的な困難を克服しながら、絶えず各般にわたる研究調査を続け、漸次完全なものに発展せしめて行かなければならないものと存じておるものであります。  本法律案は、この制度の運営の実績に徴し、交付金交付額の算定上、是正を加うべき事項につき、必要な修正を行いますとともに、現在の段階において得られました研究調査の成績を法定いたしました。この制度をして、ますます合理的かつ客観的な基礎の上に置くことを企図せんとするものであります。  以下改正案の内容の概要について御説明申し上げます。  改正の第一点は、交付金普通交付金特別交付金の三種にわかち、特別交付金を恒久の制度といたしますとともに、その総額を、交付金総額の八%の額とすることであります。特別交付金は、特別の事情が存するとこによりまして、普通交付金の算定に用いる基準財政需要額または基準財政牧人額算定方法によつては捕捉されなかつた特別の財政需要や過大に見積られた財政牧人があり、あるいは、交付金算定期日後に生じた災害等のため、特別の財政需要の増加や財政牧人の減少があること等のため、普通交付金の額が財政の実態に比して過少であると認められる地方団体に対して、当該事情を考慮して交付する交付金であります。従来交付金総額の一〇%に相当する額をその総額とし、昭和二十五年度及び二十六年度の暫定制度として存じておつたのであります。しかし、交付金制度地方自治との調和をはかり、地方財政の健全性を保持するためには、交付金の算定に用います財政需要額または財政収入額の測定はあとう限り、客観的かつ間接的な資料に基き、画一的に行う必要が生ずるのであります。従つてまたこの結果は、千差万態の各地方団体の実情に即して、その財政需要額財政収入額を的確に測定いたしますことにはおのずから技術的な限界があるわけでありますので、この欠陥を補うため、恒久の制度として、特別交付金を存置する必要があると認めたのであります。ただこの特別交付金制度は、ともすれば地方団体としていたずらに中央政府に対する依頼心を増大せしめるおそれがありますのみならず、二箇年間の経験により地方団体財政需要額財政収入額客観的測定の技術の進展により、漸次その測定を実態に適合せしめて行くことが可能となつて参りましたので、その総額を、現行の、交付金総額の一〇%の率から八%に引き下げることといたしたのであります。  改正の第二点は、普通交付金の算定に用いる基準財政需要額算定のための測定單位につきまして、厚生労働費について認められておりました昭和二十六年度までの特例が廃止されることと相まちまして、既往の実績に徴し、一層その測定の合理化並びに簡素化をはかりますため、道府県においては社会福祉費外四費目、市町村においては警察費外五費目につき、必要な改正を加えますとともに、社会福祉費生活保護費及び兒童福祉費、衞生費中保健所費につきましては、これが測定單位になお検討の余地が存しますので、とりあえず暫定的な特例を存置することとしたのであります。  改正の第三点は、基準財政需要額の算定に用いる各測定單位ごと單位費用を法律に定めることといたしたことであります。單位費用は、標準的な條件を備えた地方団体が合理的かつ妥当な水準において、地方行政を行う場合または標準的な施設を維持する場合に要する一般財源所要額の各測定單位当りの額でありまして、基準財政需要額算定上最も重要な要素であるばかりでなく、その内容は、地方行政の個々につき一定の水準を示すとともに、この内容に盛られた基準を通じで、地方行財政効率的運営の指標ともなるべきものであります。  本来法律をもつて定めるものを暫定的に地方財政委員会規則の定めるところにゆだねられておつたのでありまして、單位費用に関する調査研究の進捗に伴い、逐次これを決定して行くという方法をとる必要があります関係上、あらかじめこれを公表するというわけに参りませんでしたため、地方団体交付金交付額の決定前に交付せられるべき交付金の額の予測が困難となり、財政の計画的運営を阻害されるばかりでなく、ひいては交付金制度全般の運営に安定感を失わしめる因をなしておつたのであります。しかし、幸いにして、ようやく單位費用を法定することができるようになつて参りましたので、この欠陥は除かれることとなるものと考えているのであります。  今般法定しようとする單位費用算定方法の概要を申し上げますと、先ず各行政項目ごとに、一定の標準的規模を備えた団体または標準的な施設を想定いたしまして、当該標準団体または施設について、それぞれの行政項目に定められた測定單位によつて測定されまする行政事務の明細を調査し、これら行政事務細目ごとに、合理的かつ妥当と認められる水準における行政の量と質とを定めました上、当該行政に要する経費の額を算定いたします。この場合において、合理的かつ妥当な水準における行政とするものは現在わが国の置かれております経済社会文化の程度並びに一般住民公共需要の動向によつて定めるべきものと存じますので、従来法令または行政指導によつて示されております行政の規模内容等をあとう限り参酌いたしますとともに、地方財政の状況等をあわせ考慮の上、おおむね現況を基礎として定めることといたしたのであります。  次に細目ごとの経費から、この経費支出に伴つて収入せられる使用料、手数料、国庫補助金等のいわゆる特定財源の通常の牧人額を控除した残額の合算額を、標準団体または標準団体標準施設における測定單位の数値で除して算定いたしております。  かようにして算定いたしました單位費用を基礎といたしまして、昭和二十七年度の基準財政需要額を概算いたしますと、その総額は約三千六十億円中道府県千六百八十億円、市町村千三百七十億円でありまして、各行政項目ごとの内訳は、道府県にあつては、土木費七%、教育費六一%、厚生労働費一一%、産業経済費八%、戦災復興及び徴税費四%、その他九%、市町村にあつては警察消防費二〇%、土木費七%、教育費二四%、厚生労働費一一%、産業経済費四%、戦災復興、徴税及び戸籍事務費八%、その他二六%となる見込みであり、またこれによつて算定いたしました各地方団体基準需要額基準財政收入額を超えると認められる額の合算額既定交付金予算額をもつて、おおむね充足し得る見込みであります。  次に單位費用の法定に関連いたしまして、現在委員会規則をもつて定めることとなつております測定單位の数値、補正係数及び基準財政牧人額算定方法は、これをもあわせて法律で定めて明確にいたしますことが、單位費用法定の実効を収めます上におきましても、将来制度全般の運営を円滑ならしめる趣旨におきましてもともに必要であると認めまして、あらためて、これを法律で定めることとし、十分な研究が遂げられますまでの過渡的な措置として、昭和二十七年度及び昭和二十八年度に限り委員会規則で定めることといたしたのであります。  かくのごとくにいたしまして、交付金の算定に用いる基本的な事項は、逐次法律に定められることとなり、交付金制度はますます客観的な基礎の上に立ち、その円滑な運営は期してまつベきものがあると信ずるものであります。  改正の第四点は、新たに交付金制度の運用にあたり、地方団体はその地方行政について合理的かつ妥当な水準を維持することに努め、少くとも法律または法律に基く政令により義務づけられた規模と内容とを備えるようにしなければならないこととし、地方団体が法律または法律に基く政令により義務づけられた規模と内容とを備えることを怠つていると認める場合には、関係行政機関は、これを備えるべき旨の勧告をすることができ、地方団体がこの勧告に従わなかつた場合には、一定の手続により当該地方団体に対し交付すべき交付金の額の全部もしくは一部を減額し、またはすでに交付した交付金の全部もしくは一部を返還させる方途を講じ得ることとした点であります。  申すまでもなく、地方団体は、国とそれぞれ行政の分野をわかち、ひとしく、国民の公共需要の充足を職分とするものでありまして、地方住民の福祉の増進を旨とする地方団体が担当する行政について、合理的かつ妥当な水準を維持することに努むべきは、当然の責務であり、ことに国が全般の立場から、地方団体にゆだねる行政のうち、義務教育の確保、国民生活の安定等のために、法律または政令に基いて、一定の規模と内容とを備えることを要請するものにつきましては、地方団体として、これが負託に適実にこたえて行くことが肝要であることは言うをまたないところであります。従来、国は、各種の行政につき国庫負担金を支出し、この負担金を通じて地方団体の行政を実質的に支配し、その行政の推進確保をはかつておつたのでありますが、このことはややもすれば地方行政に対して不当の干渉を加える結果となり、地方団体自主的発展を阻害するおそれなしとしなかつたのであります。この欠陥にかんがみ、政府は昭和一十五年の地方税財政制度の改革に際し、国庫負担金の大幅な整理を行い、別に地方税制の改革と地方財政平衡交付金制度の創設とにより、地方団体に自主的な財源の増強をはかるとともに、交付金制度の持つ財政均衡化の機能を通じて、すべての地方団体に対し、それぞれ合理的かつ妥当な水準において地方行政を行うための財源を保障することとしたのであります。かくて大いに地方団体の財政の均衡化と独立性の強化が期せられることとなつたのでありますが、これとともに、国民全体の立場からその的確な遂行の要請される事務については、これと地方団体自主性との間に適切な調和をはかりながら、その遂行を確保するための適当な方途を考慮する必要があるのであります。  すなわち、国は全国民の立場から緊要と認める行政については、法律または法律に基く政令により、その行政に備えるべき規模と内容とを示すこととし、このようにして示された行政に限り、地方団体が特別の理由なくして、これが義務を怠つた場合には、国は交付金の減額または返還の措置を講じ得ることとし、もつて、地方団体自主性と、主要な委任国政事務の遂行確保との間に調整をはかることといたしたのであります。  これら主要な改正のほか、交付金の交付時期の改正、都道府県知事が市町村の基準財政牧人額を算定する場合における国税に関する書類の閲覧等に関する規定の整備その他、この制度運営の経験に徴し、必要と認められる若干の改正を行うことといたしたのであります。  以上が、本法律案提案理由及び改正の内容の概要であります。何とぞ愼重御審議の上すみやかに可決せられんことをお願いいたします。
  4. 野村專太郎

    野村委員長代理 両案に対する質疑は、次会にまわすことに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 野村專太郎

    野村委員長代理 御異議ございませんければ、質疑は次の委員会でやることにいたします。  午後二時まで休憩いたします。     午後一時五分休憩      ――――◇―――――     午後三時二十四分開議
  6. 野村專太郎

    野村委員長代理 休憩前に引続きましてこれより委員会を再開いたします。
  7. 立花敏男

    ○立花委員 午前の休憩前の委員会並びに理事会では各派の話合いがありまして、石巻市の問題は休憩後に取上げようということでございましたが、しかしその前に一応理事会で各派の意見をまとめようということで、私ども了承したのですが、その理事会が開かれずに本委員会が開かれておるわけなんですが、委員長はその間の事情をどういうふうに御理解になつておるか。理事会が開かれたとすれば、どういうふうに結論を得ておられるのか。あるいは全然理事会なしにお開きになつたのか。お聞きになつたとすれば、どういう方針でやろうとされておるのか。これをひとつ審議に入る前に、委員長から御説明を願いたいと思います。
  8. 野村專太郎

    野村委員長代理 お答えいたします。ただいま立花委員の御発言ですが、午前の委員会におきまして、本問題に関しましては二回にわたりまして理事会を開いて、この具体的のことに対して討議をしたわけですが、結論にまで至りませんで、委員長といたしましてこれから皆さんにお諮りをいたしたい、かように考えております。
  9. 立花敏男

    ○立花委員 この委員会の再開前に理事会をやつたが結論に至らない。再度理事会を開きまして結論を得る手続を経ないで、すぐ委員会でそのやり方について審議する、そういうことなんですか。
  10. 野村專太郎

    野村委員長代理 そういうわけです。  それではちよつと休憩いたします。     午後二時二十八分休憩      ――――◇―――――     午後三時十六分開議
  11. 金光義邦

    ○金光委員長 再開いたします。  これより石巻市における自治運営に関する件について、参考人より実情を聴取することといたします。本日御出席になつております参考人の方々は、前土木課長今泉政勝君、公平委員長松浦卯右衛門君、石巻市職員組合委員長亀井晃君の三名であります。なお出席を求められておりました石巻市長清野源助君よりは、病後健康すぐれず、医師より長途の旅行を禁せられているので出席し得ない旨の申出がありました。  この際参考人の方々に申し上げますが、御多忙中にもかかわらず遠路わざわざ御出席くださいましたことに対し、委員会を代表し、厚く御札を申し上げますとともに、長時間お待たせいたしましたことを深くおわびいたします。  公平委員長松浦参考人より石巻市における前土木課長今泉政勝君の件につき実情を聴取いたします。松浦参考人。
  12. 松浦卯右衛門

    ○松浦参考人 委員長のお許しを受けまして発言さしていただきます。  私は石巻市公平委員会委員長松浦卯右衛門でございます。一昨日電報をもつて委員会から招集されましたが、その文面によりますと、地方自治事情について聞きたいから出て来いというような仰せでございましたが、私は公平委員長でございまして、地方自治事情ということについては深く知らないのでありまして、ただ公平委員の仕事をさせていただいております。ただいま議題になつておりまする石巻市の前土木課長今泉政勝氏の罷免問題に関する不利益処分の提訴がありましたので、それを取扱つた経過について申し上げたいと存じます。  昭和二十六年十一月二十九日石巻市長が職員であるところの石巻土木課長今泉政勝を地方公務員法第二十八條第一項、第一号、第三号に該当するものとして免職処分をしたのであります。それによりましてその処分を受けました今泉政勝氏から、昭和二十六年十二月四日職員の意に反する不利益処分審査請求書が、石巻市公平委員会に提出されたのであります。そこで石巻市公平委員会はそれを受理することに決定しまして、その事案を受理いたしたのであります。爾来その事案を審査いたしまして、石巻市公平委員会規則に基きまして、昭和二十六年十月二十六日に第一回の口頭公開審理をすることに決定いたしまして、両当事者にそれぞれ通知をいたしまして、当日午後一時から石巻市議会議事堂で、口頭審理を開会いたしたのであります。その審査の結果、石巻市長の、いわゆる任免権者の行つた処分は、いまだ石巻市において地方公務員法第二十八條第三項によるところの免職処分の手続効果の條例が制定されておらない。であるからその地方公務員法第二十八條を適用して罷免することは不当である、違法であるというような審理の結果に基きまして、石巻市公平委員会は、決定に基いて、昭和二十七年一月八日判定を下したのであります。その判定は、地方公務員法第二十八條の第三項によるところの免職処分の手続効果に関する條例が、いまだ制定なくして、その條文を適用したということは違法である。従つてその処分は無効であるという判定を下したわけであります。その旨その判定によつて両当事者に通知をいたしました。なおそれに付随しまして、その措置といたしまして、不利益処分を受けた者に対するその間の給料その他の給與、こういうものを支給するように指示しております。ところがその指示に対して、石巻市長は、公平委員会の判定は了承した、こういう書面があつたのであります。私たちはその公平委員会の判定で、一応けりがついたのであるというふうに考えておつたのであります。しかるに昭和二十七年の一月十一日また今泉政勝氏に対して、地方公務員法第二十九條によるところの懲戒免職を言い渡したのでありまして、その説明書も添付いたしておるのであります。その懲戒免職の事由は五つございますが、ここで内容を申し上げることはさしつかえると思います。いまだこの問題は審理中でございまして、まだ第二次の問題は判定いたしておりません。目下審理過程中にございます。ところが三月四日になりまして、石巻市公平委員会の二人のうち、一人が辞任をしたのでございます。一身上の都合によつて辞任をいたしたのでございまして、その結果二人になつてしまつたので、これは三人の会議体の委員会でございますから、一人欠けるとその委員会の構成がなつていないのであります。新たに公平委員を指定されなければ、会議を開き議事を進行することはできない状態になりましたので、右事案は目下延期されて、審査が一時停頓しておるような状況に相なつております。以上のような状況でありまして、第一次の不利益処分に対する審査は、本年の一月八日に判定を下して、一応けりがついておることになつております。それに対する第二次の審査請求は、最初書面審理で請求して参りましたが、途中におきまして口頭審理を要求して参つたのでありまして、口頭公開審理をすべく目下準備中でございます。但し今申し上げたように、公平委員の一人が欠員でございまして、会議を継続することができない状態に相なつておるのであります。以上のような状況でございまして、第一次の不利益処分に対する審査請求は結末を見ておるのであります。すなわち処分者が違法な処分であつて、それは無効であるという判定を下して、その旨通知をいたして、また両当事者もこれを了承しておつたのでございます。以上のような経過に相なつております。それだけ申し上げておきます。
  13. 金光義邦

    ○金光委員長 これより委員会といたしまして秘密懇談会に入りたいと思いますが、御意見は……。
  14. 立花敏男

    ○立花委員 議事進行について。今委員長は秘密会とおつしやつたのでございますが、この委員会の慣例といたしまして、委員会の持ち方は、大体各派の了解を得て、理事会の手続をとつてつて行くということになつておるわけですが、秘密会ということが、いつどこできまつたのか、お答え願いたい。それから秘密会をなさる委員長としての根拠を私としては承りたい。
  15. 金光義邦

    ○金光委員長 それではただいま立花君よりお申出の件もありますので、暫時休憩いたします。午後三時二十八分休憩     〔休憩後は開会に至らなかつた〕