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1952-03-18 第13回国会 衆議院 地方行政委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年三月十八日(火曜日)     午前十一時九分開議  出席委員    委員長 金光 義邦君    理事 大泉 寛三君 理事 野村專太郎君    理事 門司  亮君       門脇勝太郎君    川本 末治君       前尾繁三郎君    吉田吉太郎君       鈴木 幹雄君    床次 徳二君       大矢 省三君    立花 敏男君       八百板 正君  出席国務大臣         国 務 大 臣 岡野 清豪君  出席政府委員         総理府事務官         (地方財政委員         会事務局長)  荻田  保君         総理府事務官         (地方財政委員         会事務局財務部         長)      武岡 憲一君         地方自治政務次         官       藤野 繁雄君         総理府事務官         (地方自治庁財         政課長)    奥野 誠亮君  委員外出席者         総理府事務官         (地方財政委員         会事務局府県税         課長)     柴田  護君         專  門  員 有松  昇君         專  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 三月十四日  委員八百板正辞任につき、その補欠として足  鹿覺君が議長指名委員に選任された。 同月十八日  委員中曽根康弘君及び足鹿覺辞任につき、そ  の補欠として中村寅太君及び八百板正君が議長  の指名委員に選任された。     ————————————— 三月十五日  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第  七四号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第  七四号)  地方財政に関する件     —————————————
  2. 金光義邦

    金光委員長 これより会議を開きます。  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第七四号を議題といたします。政府より提案理由説明を聽取いたしたいと思います。岡野国務大臣
  3. 岡野清豪

    岡野国務大臣 ただいま上程されました地方税法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容概略を御説明いたします。  申し上げるまでもなく、地方税制は、都道府県市町村が、その付託された事務を遂行する上に必要な財源を調達する最も有力な手段であります。従いまして、地方税制改正考えます際に、これによつて地方団体は幾ばくの財源を得ることができるかということが、地方財政計画上きわめて大切な問題であります。今日、国民租税負担の重いことを訴えております。殊に高率課税行つております税種につきましては、その引下げを求める声が特に強いのであります。飜つて個々地方団体財政状況をながめますとき、若干の例外を除きましては、ひとしく、戰後新たに課せられた諸制度運営に要する経費や、戰争中放置された諸施設の補修に要する経費財源捻出に苦慮しているのであります。しこうして、昭和二十五年度の決算においては、形式上も、赤字出している団体は、四十六都道府県のうちでは四団体五大市のうちでは三団体、その他の二百六十有余の市のうちでは、約三割に上る八十一団体、一万町村のうちでは約四百の団体に達しているのであります。形式上は赤字決算をいたしませんでも、実質赤字であつた団体は、おそらくこの数倍に上るものと想像されるのであります。もとより、これが原因につきましては、見る人によつて所見を異にするかもしれませんが、地方団体が財政的に異常の窮迫状態に置かれているという事実については、何人もこれを認めないわけには参らないと考えるのであります。よつて政府におきましては、一面地方行政簡素化をはかつて参りますことによつて地方負担軽減を期しまするとともに、他面来年度における地方債発行額の増加をはかるほか、地方税収入の減少を来すような措置は努めてこれを避けようといたした次第であります。  この結果、地方税收見込額は二千九百二十四億円となるものでありますが、なお、本年度地方歳入見込額の総額七千五億円中に占める割合は四二%弱でありまして、地方財政平衡交付金各種国庫負担金補助金を含む国庫支出金は、三九%強の多きに及んでいるのであります。もとより同一に論ずるわけには参らないのでありますが、国の一般会計におきましては、專売益金を含む租税收入が、八九%強を占めていることと比較いたしまして、地方財政自主性に乏しいことを指摘せざるを得ないのであります。  地方団体において、住民の自覚に基いた地方自治の発展して行くことを期待して参りますためには、地方行政運営に必要な経費財源は、可及的に多く住民直接の負担に求めて行くよういたさなければなりません。国税であれ、地方税であれ、ひとしく国民負担に帰することに思いをいたしますならば、国庫支出金を減じても、将来地方財政地方税を主体として運営されて行くよう改善されて行かなければならないと考えるものであります。  以下、地方税法改正事項個々につきまして御説明申し上げます。  改正の第一は、附加価値税実施をさらに一年間延期するとともに、その間、事業税及び特別所得税を存置することといたしたことであります。御承知通り附加価値税は本年一月一日から実施せられることとなつているのでありますが、一面には、いまだ経済界が十分安定するに至つておりませんときに、転嫁を予定するとはいえ負担の激変を来すことは適当でないと認められますのと、他面には、事業税をそのまま実施した場合に比較して相当の減収を来すのみならず、徴税費増高を招き、窮乏にあえぐ府県財政運営支障を来さしめるおそれがありますので、いま一年その実施を延期し、その間事業税及び特別所得税を存置することといたしたのであります。  改正の第二は、市町村民税に関するものであります。その一は、法人税割税率の調整をはかつたことであります。すなわち、さきに法人税税率法人所得の三五%から四二%に引上げられたのでありますが、法人税割標準税率は、法人所得の五・二五にすえ置くことといたしますために、現行の百分の十五を百分の十二・五に引下げることといたしたのであります。これに伴い、制限税率現行の百分の十六から百分の十五に引下げることといたしておりますそ。の二は、老年者等でその前年における所得が十万円以下の者でありましても、これらの者がいわゆる家業專従者として壯年者を有している場合においては、当該老年者等に対しても市町村民税を課することができる道を開いたことであります。すなわち、従来特に農村方面におきましては、老年者等がいわゆる家業専従者を有しております場合、名義上の所得者老年者であるため、市町村民税課税されず、その結果、他の納税義務者との間に負担の不均衡を生じ、税務行政運営上種々支障を生じておりましたので、このような場合には、実情に応じ老年者等に対して市町村民税課税することができることとし、所得者名義のいかんによつて、他の納税義務者との間に、税負担の不均衡を生ずることを避けることとしたのであります。  改正の第三は、固定資産税に関するものであります。その一は、都市計画法または特別都市計画法による土地区画整理施行にかかる土地については、課税台帳面において所有者の変更が行われるまでの間は、換地予定地または換地に対応する従前の土地土地台帳上の所有者を、当該換地予定地または換地にかかる土地台帳上の所有者とみなして、固定資産税を課することができるものとしたことであります。現行法もとにおいては、都市計画法または特別都市計画法による土地区画整理施行にかかる土地につきましても、土地台帳または土地補充課税台帳に登録されている所有者固定資産税が課されることとなつているのであります。しかし、区画整理施行中の土地は、区画整理事業の進行に伴い、将来その土地所有者となる者が、その土地を現実に使用收益することとなつて参りますため、現在のように実質上の所有関係をまつたく無視して課税することは、負担の公平という見地から適当ではありません。そこでこのような場合においては、これらの者が土地台帳所有者として登録されるに至りませんでも、その土地に対する固定資産税納税義務者とすることができるものとしようとするのであります。  その二は、固定資産課税台帳縦覧期間等に所要の改正を加えたことであります。現在の固定資産課税台帳の十日間の縦覧期間は、やや短きに失するため、これを二十日間に延長し、課税の円滑をはかるとともに、これに伴い、審査委員会審査のための会議の開会の期間審査決定期間等をそれぞれ延長いたしまして、徴税合理化に資することといたしたのであります。  改正の第四は、木材引取税に関するものであります。木材引取税は、素材の引取りに対し、価格課税標準として、素材生産地市町村において引取者に課するものでありますが、その課税標準である価格は、時期によつてきわめて変動しやすい上に、その算定が必ずしも容易でありませんので、価格にあわせ、容積をも課税標準とすることができるものとし、徴税簡易化をはかつたのであります。  改正の第五は、国民健康保険税に関するものであります。  その一は、現行国民健康保険税は、みづから国民健康保険を行う市町村がこれを課することができるものとしておりますが、一部事務組合を設けて、国民健康保険を行う場合におきましても、これに加入している市町村は、国民健康保険に要する費用組合分賦金に充てるため、国民健康保険税を課することができるものとしたことであります。  その二は、納税義務者一人当りの最高賦課制限額一万五千円を、その後における物価の変化、受診率上昇等を考慮して、三万円に引上げることといたしたことであります。  改正の第六は、附加価値税実施を一年間延期することとしたことに伴い、その間存続することとなつ事業税及び特別所得税に関するものであります。  その一は、個人事業税及び特別所得税について、従来の二万五千円の免税点制度を改め、新たに三万八千円の基礎控除を認めることにしたことであります。これらの税率はかなり重いものでありますので、その所得免税点をわずかでも越えることとなれば、一躍相当租税負担することとなり、所得免税点以下で租税負担しない者との間に均衡を欠くこととなる結果、徴税上多くの困難を来していたのであります。そこで各人の所得から一律に三万八千円ずつ控除したものをもつて課税標準とすることとし、この困難を打開するとともに、あわせて少額所得者負担軽減をはかることといたしたのであります。  その二は、青色申告法人に限り、繰越損金控除を二年間行うことができるものとしたことであります。現行法は一年間に限り繰越損金控除を認めているのでありますが、法人税税率引上げ等をも考慮し、負担合理化をはかるため、帳簿の記載の信頼できる青色申告法人に限り、特に二年間控除を認めることといたしたのであります。  その三は、二以上の道府県において事業を行う法人昭和二十五年度分以前の事業税及び同附加税について、仮徴収を行うことができるものとしたことであります。御承知通り昭和二十五年度分以前の法人事業税及び同附加税徴收は、現行法と異なり、賦課処分によるものとされているのでありますが、これがためすでに申告納付制度を採用している法人税に比較するときには、その徴收相当に遅延せざるを得ない現状にあるのであります。政府におきましても、かねてからその促進に努力いたして参つたのでありますが、府県財政窮乏は、これ以上放置することを許さない実情にありますため、特に著しく決定の遅延している二以上の道府県において事業を行う法人昭和二十五年度分以前の事業税及び同附加税に限り、法人税申告額決定額または更正額に基いて本年十月末日までに事業税課税標準額または事業税附加税の本税額をかりに定めて、徴収することができるものとし、従来の徴収上の隘路を打開し、徴收の確保をはかり得る措置を講ずることとしたのであります。  改正の第七は、雑税の廃止等に関するものであります。  その一は、漁業権税広告税及び接客人税は、その税額も少く、かつ、普遍的な税源でもありませんので、法定普通税としては、これを廃止することにしたことであります。  その二は、市町村民税法人税割及び法人事業税について徴收猶予が行われる場合、徴收猶予を受けた税額について、徴收される延滯金の額を法人税法改正に準じ、従来の日歩四銭を日歩二銭に減額し、負担合理化をはかつたことであります。  以上が本改正案内容概略であります。何とぞ愼重審議の上、すみやかに議決せられんことを希望する次第であります。
  4. 金光義邦

    金光委員長 質疑がありますれば許します。
  5. 立花敏男

    立花委員 根本的な点についてお尋ねしておきたいと思うのです。今御説明なつた三ページのところに、国庫支出金を減じて可及的に多く住民の直接負担でやるようにしたらいいという御説明があつたのですが、この意味は一体どういう意味なのか、ちよつと理解ができません。これは地方税をふやして行つて国庫支出の方は減らして行くというふうに理解していいのか、ちよつと大臣にお尋ねいたしたい。
  6. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。これは仮定でございまして、私ども考えますことは、地方自分自身自分のことをやつて行く、すなわち自治の本旨に沿うてすべてのことをやつて行きたいと存じます。主要点はやはり地方税によつて地方行政をまかなつて行つて国庫からもらうものはできるだけそのウエートを軽くして行きたい、こういうような方針を根本的に考えているわけであります。
  7. 立花敏男

    立花委員 そうなりますと、国庫から今まで出しておりました平衡交付金とか補助金とかいうようなものは減らして、直接の地方税でその足りない部分を補つて行くようにしたいという建前で、今度の地方税改正案がつくられておるのかどうか。
  8. 岡野清豪

    岡野国務大臣 今度の改正案がそのように立てられておるというわけじやございませんで、将来の方針といたしまして、私ども地方行政地方自治を確立いたしますために、でき得るだけ地方住民の出すところの納税によつて自主独立行政をして行きたい、こういうことが一番いいことだろう。今まで国庫負担金とか、平衡交付金とかいうようなもので大部分をまかなつてつた。これはいつも国家予算という関係が出て参りまして、地方自治というものがその独立性をそれだけ失うというわけでもございませんが、独立性が少くなりますから、われわれといたしましては、地方独立性を尊重する意味におきまして、地方のことは地方でやる、でございますから、将来地方財政窮乏を建て直すということをやりますときには、できるだけ地方住民負担をかける、そうして地方住民の自弁において、地方行政を確立して行きたい、こういう考えを織り込んでおるわけでございます。
  9. 立花敏男

    立花委員 これは提案理由の中に書かれております重要な部分なので、決して今度の地方税法改正考え方とは別な考え方ではないと思うのです。やはりこういう考え方から今度の税法改正案をお出しになつておると思わざるを得ないのであります。もし関係がないなら、これはお省きになつた方がいいのではないかと思うのです。国から出しております平衡交付金を減らして、地方税でまかなつて行くという考え方がやはり貫かれておるじやないか、足りない部分地方税を増徴することによつてまかなおうという考え方があるじやないか、こう思います。住民直接の負担に求めて行くのが一番いいとおつしやつておられますが、国税にしろ地方税にしろ、これは国民直接の負担なので、平衡交付金もこれは国民直接の負担であり、国税の変形したものなのです。国民から考えますと、これは平衡交付金の形で地方財源入ろうと、あるいは地方税の形で地方財源入ろうと、直接の国民負担であることにはかわりはないのです。そういうことで、どうも考え方かおかしいじやないか、その結果平衡交付金がだんだん毎年減らされて行く傾向にありますが、これが減つたやつをやはり地方税でまかなつて行けという考え方が今度の地方税改正ではひどく出て来ているのじやないかと思います。その具体的な例は、その次の次のページにあります所得十万円以上の老年者に対しても、新しく住民税をかけることができることになつたという規定などは、その一つの端的な現われなんで、六十、七十になつておりますじいさんがむすこの嫁をかかえて働いておりましても、その嫁が壯年であるという限りにおきましては、やはり六十、七十のおじいさんおばあさん税金がかかつて来るということを新しく認めようとされておる、これは明らかに国から出る金がなくなつて来れば、減つて来れば、これを地方税で直接補うのだという形が、端的にここに現われているのじやないかと私は思う。非常に重要な考え方がやはり三ページの言葉の中に現われておるのじやないかと思うのですが、そういうお考え方かどうか、もう一度お聞きしておきたい。
  10. 岡野清豪

    岡野国務大臣 国税にいたしましても、地方税にいたしましても、お説の通り国民ふところから出るものでございます。ところが今までの制度といたしましては、国民ふところから出ましたところの国税を一旦国家徴收しまして、そうしてそれが形をかえて国庫負担金とか、平衡交付金とかいうものにかわつて来るわけであります。もしかりに国民ふところから出たものが、間接でも、まわりまわつてでも地方行政費として使われるということになるならば、いつそのこと、これを国税にプールせずに、地方税として取上げて行く。そうして地方自分自身で場出したものは、自分自身の福祉幸福のために使われているというような形にもどした方が、自治というものの精神をますます向上するもの、こう考えまして、われわれといたしましては、御説の通り国税でとられるものであつても、これが純粋に地方行政のために使われる費用になるというような額がありますれば、それはいつそのこと地方税税源を移しかえて、そうして地方税でとつて行つた方がいいと思います。  それから第二版の老年者の問題でございますが、これは実情といたしまして、非常な老年者名義で仕事をやつておられる農家なんかがありますが、しかしながら事実上はその人はあまり働かないで、ほかに働き得る人がその農業をやつておる。そういたしまして、その農家だけは市町村民税がまぬがれる。そうしてほかの方面老年者がなくて若い人が働いていて、市町村民税を払つているという人との振り合いを考えますと、やはりそういう家庭でも市町村民税払つた方がいいだろうという考え方から、負担均衡という意味からこういう改正をいたした次第でございます。
  11. 立花敏男

    立花委員 そういたしますと、お尋ねいたしますが、今度の地方税法改正で、地方税が増徴になる部分は、国税の方でそれだけ減税になつておるかどうかという問題です。大臣のお説によりますと、国税でとつてまわりまわつて地方に来るよりも、直接とつた方が理想的じやないかとおつしやられるのであれば、国税の方を減らして、それを地方税にまわすというのであればわかるのですが、そうではない形がたくさん現われておるわけなんで、大臣のお考えはこれは少くとも形の上では実現されていないのじやないか。ただ地方税を増徴する部分だけが出ておりまして、決して国税を減らす部分は出ていない。国税が減るのとは無関係地方税だけが増徴されておる、こういうことになつておりますのでまつたくこれは不可解しごくだと思うのです。たとえて申しますと、今言われました老人課税ですが、老人の方にはたして国税の方でそれだけ免税になつておるか。老人国税の方で免税したから、今度は地方税でとるんだという話ならわかるのですが、老人国税の方で免税しておるか。そうではなしに、ただ老人地方税が今度はかかつて行くので、これでは大臣のお言葉とは違うと思う。こういう例はたくさんあります。たとえば固定資産税が非常にたくさん今年はとられておる。北海道あたりでは前年度の二倍以上の固定資産税がとられておる。はたして固定資産税国税が前年度の半分以下になつておるか、これは問題だと思う。あるいは北海道では家畜税金がかかりまして、北海道だけで七千万円ばかりの家畜税をとつておる。あるいは鳥取県では教育税をかけようとしておる。こういう形で新しく出て来ております地方税の形が、国税の方で減らしたものを地方税でとるという形ではなしに、国がくれないからやむを得ず地方税を増徴するという形で出て来ておるわけです。今度の税法改正でもやはりその形が現われて来ておるのではないか。来年度にいたしましても、平衡交付金はおそらく十分に出ないでしよう。しかし今まで累積されました地方赤字を埋める金は、中央からとても行かないから、それを埋めるのはやはり地方の直接の負担だ、こういう形がずつと私現われて来ておると思うのですが、この問題は一体大臣はどういうふうにお考えになつておるか、これは重大な問題だと思いますので、はつきり考えを承りたい。
  12. 岡野清豪

    岡野国務大臣 今回提案いたしました地方税法の一部改正案につきましては、むしろ軽減するという形の方が多く出ておりまして、地方税を増税するという形のものは出ていないはずであります。たとえて申しますれば、事業税特別所得税のごときも、今年度通りに継続いたしますならば、百七十六億の増收が出て来るわけでありますが、これを非常に少い收入の人に対しては、なるべく軽減して行きたいという考えから、今まで二万五千円の免税点であつたのを、基礎控除の三万八千円にした。と申しますことは、二万五千円で免税点でございますならば、二万五千一円の收入がある人は、二万五千一円に対して税率がかかるわけであります。しかしながら今回の基礎控除三万八千円にいたしますならば、三万八千円まではすつかり免税になりまして、三万八千一円からスタートをいたしまして、その三万八千一円以上に対して累加しは税率がかかるわけでございますから、私はこれは少額所得者に対しては、非常な減税になつておると考えておる次第でございます。そのほか法人税割にいたしましても、一五%を一二・五%にいたしまして、これも減税しておるわけであります。この税法改正に伴います結果といたしましては、むしろ減税率という方面に主力を注いでいるわけであります。固定資産税が高過ぎるというようなお話でございますが、これは固定資産税は、御承知通りに二十六年度は賃貸価格の九百倍というようなことで計算しているのでございますが、法の規定するところによりまして、来年度からは時価によつてこれをかけて行く。その時価に対する何パーセントということになる。これは法の規定する通りでございます。その意味におきまして、何ら増税を考えていない次第であります。  それから老年者に対する問題を先ほどの点と関連して御説明でございましたが、私は性質は違うと思います。老年者に対するところの税金をかけるということになりましたことは、これは提案理由で申し上げました通りに、負担均衡化をはかるという意味において、公正なる徴税をして行きたい、こういうことでございますから、今あなたのお説の趣旨とは、まるでかけ離れた二つの別のものをつけて織り込みましたと私は考えております。
  13. 立花敏男

    立花委員 大臣にお尋ねいたしますが、地方税は全体として去年よりは四百億ばかりふえていることになつております。そういたしますと、大臣の言われる減税というのは税法上の減税なんで、実際はやはり二十七年度は二十六年度より四百億ばかりよけいとられる。これは地方財政委員会がお出しなつ地方財政白書なんですが、やはりそういうふうになつております。市町村民税におきましても、二十六年度より二十七年度はずつとやはりふえておる。百五十億ですかふえておるようです。そうなつて参りますと、二十七年度の税金は決して二十六年度より減るとは言えないわけなんです。さつき言いましたように、地方は苦しくていろいろな税金をとり出しておる。とてつもない税金がとられ出しておりまして、ミシン税がとられております。牛や馬が子供を生みますと税金がとられておりますし、あるいは果樹が植えてありますと果樹も税金がとられる。こういうような税金がどんどんとられております。法定外独立税というものがどんどんふえております。こうなつて参りますと、決して地方の税の負担は減りませんので、現実の数字の上でもふえておるということを認めざるを得ないわけなんです。そういうふうな形で中央から出す金が減るから直接の負担では増すのだという考え方は、やはり具体的にはこういう形でお考えになつておると考えざるを得ないと思うのです。これは地方民としてはまことに重大な問題なんで、中央から出すべきものを出さないで減しておいてそれを地方の直接の負担にして行く。牛や馬が子供を生んでもすぐ税金をかける、果樹があれば税金をかける、ミシンがあればミシンに税金をかけるというのではたまらないと思うのでありますが、やはりそういうお考えかどうかはつきりつておきたい。
  14. 岡野清豪

    岡野国務大臣 今年度に比べまして来年度四百億円の増收になつております。これは増税じやないかというお話でありますが、それは今ここでそういうことを申し上げることもいらぬことと思いますけれども、御承知通りに、税というものは收入とかいうようなものに対して、一定の率をかけて出すものでございます。そういたしますと、收入がふえればそれに対して増税があるのは当然のことであります。でございますから、法人事業税とか、また市町村民税とか、また市町村民の法人税割というようなものは、元の収入がふえて來ればそれに対してふえるのはこれは当然のことであります。これを取上げて、そして地方を苛斂誅求するというのは私は当らぬと思います。
  15. 立花敏男

    立花委員 私のあげました例をひとつよく思い出していただきたいのです。北海道において家屋を持つておる者が、家屋を持つておることによつてはたして去年より二倍の收入があつたかどうかということです。北海道では現実に固定資産税が二倍に上つておる、あるいはミシンを持つておるからその收入が二倍になつたという根拠はどこにもないと私は思うのです。ミシン税をとり出しておるところがある。あるいはさつきいいましたように、牛や馬が子供を生むと税金をかけておる、こういうふうなとり方をされておるのが現実なんです。單に国民所得が五兆億に上つたから、一般的な收入がふえたから、地方税金收入がふえるのだというふうに機械的には解釈できないで、実際上はそういう面がどんどんふえて來て、苛斂誅求が非常に地方で行われておる。その結果地方税收入がふえておる。これは地方財政委員会でもお認めになつて、この点は非常に憂慮されておる。このままでほつておけば地方の苛斂誅求が増すのではないか、法定外独立税が増すのではないか、あるいは標準税率を超過してとる部分がふえて来るのではないか、こういうようなことが地方財政委員会自体で問題になつておると思うのです。これは朝日新聞でもはつきり発表しておりますが、このこと自体が問題になつておるので、大臣が言われるように手放しで地方徴税がうまく行く、税制がうまく行つておるということは言えないと思います。こういう欠陷を十分認識されることが必要だと思うのですが、地方財政委員会が指摘されております地方税の苛斂誅求の面につきまして、大臣はどういうふうにお考えになつておるか。
  16. 岡野清豪

    岡野国務大臣 地方財政委員会事務局長から御答弁申し上げます。
  17. 荻田保

    ○荻田政府委員 北海道の固定資産の評価がふえたというお話でございますが、これは御承知のように、先ほども大臣がおつしやいましたように、二十五年度はかりに従來の賃貸価格を使つてつて、二十六年度においてこれを新しく時価に法律通りに評価した、その結果ふえたところもありますし、下つたところもあるわけです。これは全体的にどうという問題ではなくて、今までの負担が不均衡であつたからこれを直す。従来の古い賃貸価格でなくて、新しい評価による時価によつて課税するのが適当だ、負担の均衝を得るゆえんだ、ゆえに大きな事業でございますがこれをあえて行つたのであります。かりに同じにするのでありましたならば、そういうめんどうなことをする必要はない。  それから法定外独立税でありますが、なるほどおつしやいましたように二十六年度までにおきましては、相当地方財政がきゆうくつでございました。しかも財源が不足だというような意味におきまして、種々の新しい法定外の支出も出たのでありますが、今後二十七年度におきましては、幸いにいたしまして大体今度の平衝交付金によりまして財政需要をまかなうことができますので、その意味におきまして法定外独立税がそうふえるとは思いません。しかし地方自治を認める以上は、税をとつて普通以上の仕事をするということは、これは何もとがめるべきことではなくて、むしろ地方自治で自由にやらせるべき問題でありますから、普通以上の仕事をするということにつきましては、標準率以上の超過課税をやるとか、あるいは法定外独立税をとるということは、これはあえて憂える必要のない問題だと思います。
  18. 立花敏男

    立花委員 だから問題は大臣考え方にあるのじやないか、中央の支出減つたやつは地方の直接の負担でまかなつて行くのが建前だというような考え方になるから、固定資産税につきましても、地方で時価で評価する建前になつておるのだから、時価でどんどんやつたらよろしいということになりますから、現在の形といたしましては北海道のように二倍半にもなつて來る。固定資産税の問題は決して北海道だけではございませんので、全国的にこれは問題になつております。去年よりも非常に大幅に上つたということで、全国的に問題になつておるのですが、やはり中央の金を渡さない部分は、地方でとるのが建前だというような考え方をお持ちになつておるから、苛斂誅求が実際の面で起つて來る。今局長のお答えのように、それは税法だからしかたがないと言つておられますが、それではやはり済まないので、実際起つております地方の苛斂誅求を現実的に御認識になつて、そして中央からどうして金を出さすかということもあわせて考えていただきませんと、あるいは中央の財源地方にどう移讓するかということを考え合せていただきませんと、この問題はいたずらに地方の苛斂誅求になるだけだということを言つておきます。  それからこれとあわせて聞きたいのですが、行政協定と合せまして進駐軍関係免税の規定が行われまして、それによりまして地方税が数億円の減収になる。そのために政府では特例法をお出しになるということが、きようの読売新聞に発表されておりますが、ただいま申しましたような地方の苛斂誅求をやつておいて、老人にも新しく税金をかける、あるいは牛や馬が子供を生んでも税金をかける、こういうふうなとり方をしておいて、進駐軍だけはなぜ数億円の免税措置をやらなければいけないのか。はたして政府は読売に発表されているような方針で、日本人にはこういう苛斂誅求を強化しながら、進駐軍だけは免税するという方針をとるつもりなのか。これをはつきり承りたい。
  19. 荻田保

    ○荻田政府委員 読売新聞に出ております記事は何もこちらが発表したわけではございません。従つてまだ正確ではございません。しかし行政協定というものが、あるいはその主体になります安全保障条約が日本とアメリカとの間にできた以上は、これに基きましての措置は講じなければなりませんのでいずれこれは地方税法に関しまする特例として出して御審議を乞うことになります。この駐留軍に対して免税するかしないかということはこれは行政協定なり、安全保障条約において定まつている具体的内容は別といたしまして、ある一定の免税があるということは当然のことでありますから、これに対する御論議は別といたしまして、一応国としてきまつております以上は、当然これは免税措置を講じなければならぬと存じます。
  20. 立花敏男

    立花委員 これは非常に重要な答弁だと思うのです。行政協定できまつておるから、進駐軍の免税は、これはもう当然だと言つておられますが、現在でも行政協定につきましては、参議院におきましては外務委員会で逐条審議を始めておりますし、衆議院におきましても本日、前の委員会から引続き法務委員会におきまして逐条審議を始めております。きのうの参議院の予算委員会あたりでは、大学の教授あるいはその他の参考人を呼びまして、陳述を聞いておりますが、やはり行政協定は国会で審議すべきである、内容に違憲の部分を含んでおると、これは三人の参考人が口をそろえて言つておるわけです。そういう行政協定を一方的に政府が解釈いたしまして、地方税免税まで広げて行こうというのは、これはやはり行き過ぎじやないかと思うのです。さつきも言いましたように、地方税が円滑に行つており、苛斂誅求が行われないで、地方に担税力がたくさんあるという場合でも、これは非常に問題だと思うのです。たださえ苛斂誅求が行われておる際に、なぜ進駐軍にそういうような免税の親定を設けようとするのか。しかも行政協定の問題について国会自体でまだ問題がある場合になぜこれを強行しようとするのか。これは不可解し、こくだと言わざるを得ないと思う。しかも行政協定は政府が承認したと言われますが、それであればやはり自治庁の意見も政府の一部の意見として、地方は現在担税力がない、税源に困つているから、この際進駐軍の免税はすべきでないというはつきりした意見を出しまして、たとえばフランスあたりでは駐屯軍に対して税金をとつておるのですから、日本が何も免税しなければならぬ義務はありませんので、地方実情に即した意見を、はつきり言われるのがあたりまえである。進駐軍に対して免税はこれは既定の事実だというふうなやり方には、私ども絶対に納得できないのです。だからそういうお考えであるのかどうか、もう一度聞いておきます。     〔委員長退席、野村委員長代理着席〕
  21. 荻田保

    ○荻田政府委員 行政協定は一応成立しておるのでありまして、これに基きまして、国民に直接働くところの免税、これは先ほど申しましたように、これに基いて、はつきりした法律の形によつて、国会の御審議を受けるということを申し上げたのであります。
  22. 野村專太郎

    ○野村委員長代理 ちよつとお諮りいたしますが、本案に対しまする本格的の質疑は次に讓りまして、財政白書が先般の委員会におきましてお手元に行つておりますので、地方財政に関する調査を進めることにいたしたいと思います。昭和二十六年度の地方財政の状況に関し、地方財政委員会説明を求めることにいたします。荻田政府委員
  23. 荻田保

    ○荻田政府委員 この地方財政の状況報告は、法律に基きまして毎年国会に提出しなければならないものでございます。本年度の分をここに出したわけであります。非常に大部にわたつておりますので簡單にどこにどういう趣旨のことを書いておるかということを申し上げておきたいと存じます。  この序説に書いてありますことは、われわれとしまして地方財政の問題につきまして、今種々論議が行われておりますが、その論議の基礎に数学的のものがはつきりしておりませんために、無用の混乱を起しておるというふうに考えますので、この白書自身も一つのそれの資料になりますように、これによりまして正当な地方財政の論議かできますようにということを念願して書いております。この二十六年度までの地方財政の状況は、ここにも書いておりますように、二十五年度におきまして相当数の団体赤字出しております。また二十六年度においても、ただいまの予定では相当のものが赤字を出すことになつております。この意味におきまして、一般的に地方財政相当つているということは、全体として申されることだと考えております。  次に二十六年度の地方財政を説く前に、二十五年度の決算が大体わかりましたのでこの第一には、二十五年度の地方財政決算の状況がございます。二ページから三ページにかけての表によりまして、大体都道府県、特別区、五大市市町村等をわけましての歳入歳出の総額を掲げております。その表の一番最後にございますように、都道府県では百億程度の黒字を出しておるのに対しまして、五大市では十二億の赤字出し、ごくわずかの市と特別区はある程度の黒字を出しております。町村は七十四億の黒字を出しております。この総計は百八十三億というものが一応繰越金になつております。この繰越金を従来の繰越金と比較いたしました表が四ページに出ておりますが、二十四年度におきまして二百五十億ありましたものが百八十三億に減つております。つまり六十六億だけの減少になつております。これはとりもなおさず、地方財政が二十四年度に比べて二十五年度は相当苦しかつたということを物語るものだと思います。この繰越金は、いわゆる純剩余ということにはならないのでございまして、御承知のように継続費と事業の繰越しがございますので、それに伴いまして当然に持つて行かなければならない歳出がありますので、ここに出ました数字そのものが純黒字ではございません。そういう意味におきまして、さらにその純赤字というものを計算いたしますと、もつと多くのものが出るのじやないかということは考えられるのでありまするが、その数字を次に出しております。ます五ページの表は、これは一応決算上の形式上の赤字をここに掲げたものでありまして、都道府県以下市町村は段階別にわけまして、どれくらいのものが赤字出したかということが書いてあります。六ページの表におきまして、先ほど申し上げました実質赤字とされております。つまり決算上の赤字は、都道府県で六億、五大市場で十九億、市で十九億というものでございまするけれども実質的のただいま申しましたような意味におきまする赤字は、都道府県が七十二億、五大市が三十五億、ほかの市が四十一億、このように増加しておるのでございます。あと七ページ以下に、個々団体につきましてできる限りの表をつけてございます。十三ページ以下に決算の分析を出しておりまするが、まずこの地方税改正收入がどうなつたかという問題でございます。これは二十五年度におきましては御承知のように画期的な改正が行われましたので、その結果につきましていろいろ憂慮もあつたのでございまするが、まずこの十三ページから十四ページに出ておる表によりまして、調定額に対しまする徴收額が府県で七四・二%市町村で八〇・二%、両者を合計いたしまして七七・七%という徴收率になつております。これは二十四年あるいはその前に比べますと、ある程度の減少を来しておるということになつております。  それから次に税收入の増減でございます。税制改正によります増減でありまするが、十六ページに表が出ておりますように、大体四百二十億の増加、これは当初の目標が大体四百億でありましたのでその通りであつたわけでありまするが、四百二十九億というものが二十四年度に比べて増加になつております。これがたくさんふえたところ、少ししかふえなかつたところ、あるいはむしろ減少したところ、いろいろあるわけでありまして、地方の各団体につきましては相当財政上の変化を来したのであります。十六ページの表によりまして、都道府県におきましてはほとんどふえてない、七%、市町村におきまして大体三〇%のふえ方になつておるわけであります。十七ページにおきまして、府県の中の税がふえた減つたをパーセンテージによりまして段階ごとに府県をわけたのでございますが、上欄の方の一番左の三〇%以上ふえましたのは大阪、愛知というようなところ、それに次ぐのは二〇%以上の東京、京都、石川等であります。逆にひどく減收のありましたのは、青森、茨城、島根の三〇%以上も減收したというところもあるわけでございます。  それから次に十八ページにおきましては、こういう趣旨によりまして市町村の増減の状況を調べております。十八ページ、十九ページ、二十ページ、これをごらん願いたいと思います。  それから次に二十一ページにあります法定外独立税及び標準税率、超過課税実施状況でありますが、これは二十四年度に比べますと、法定外独立税は非常に整理されたわけになるのでありますが、しかし二十五年度におきまして、二十一ページから二十二ページにかけましての表、特別法定独立税があつたわけであります。それから次に標準税率超過課税につきましては、二十三ページの表のように府県におきましては事業税特別所得税において六県だけが超過課税行つております。市町村におきましては固定資産税について標準率超過課税ができませんので、二十五年度は市町村民税だけの問題でありますが、これにつきましてはここに出ております程度のものが標準率超過課税行つております。  それから二十四ページに平衡交付金のことを書いておりますが、これは二十五年に新しくできた制度でございますので、これの結果いかんということが相当問題でございますが、この二十五ページ以下には平衡交付金の交付状況が書いてございます。  それから二十九ページには税、平衡交付金を加えまして一般財源の増加、これがひつきようこのシヤウプ勧告によります地方財政、税制の改正の主眼でありました地方税財源を増加するということがこれによつて達せられておるかどうかという比較でございますが、以下書いてあります通り、大体都道府県におきましてはあまり増加になつておりません。市町村におきましては相当財源が強化されたという形になつております。これを各人口段階等につきまして比較いたし、団体について調査してございます。これは三十四ページまでであります。  次に三十五ページにおきましてはこの増加いたしました一般財源を何に使つたかということが書いてございます。大体におきまして給與の改訂であるとか、新たに法令によつて地方団体負担なつ事業というようなものの経費また臨時的な経費では公共事業費の増加というようなことに充当されまして、あまり余裕のあるような額は少なかつたわけでございます。従いまして最後に二十五年度の赤字が二十四生度に比べて、むしろふえたようになつておるわけでございます。  三十八ページには自主財源と依存財源の割合でございますが、これは先ほどもお話のありました地方みずからの財源と国からもらう財源と、この状況を調べておるのでありますが、二十四年度と比べまして二十五年度は大して変更はなかつたのでございます。これは四十二ページまで書いてあります。これが大体二十五年度におきましての地方の状況でございます。  四十三ページ以下には二十六年度の地方財政の状況を総説として書いております。これはこの前数回の国会におきまして地方財政委員会出します数字と政府の数字との食い違いというようなことからいたしまして、地方財政財源が不足だということをいろいろ申し上げて來たのでありますが、それを当初以来最後までのことをまとめて四十三ページから五十一ページまでに書いてございます。その結果五十二ページに書いてございますように、二十六年度の決算見込みは、先般調査したところによりますと、五十三ページに出ておりますような結果になりまして、相当の歳入不足が予定されるのでありまして、これに対しましては今回起債を増加するというかつこうにおきまして、八十億程度のものを措置することになつておるのでありますが、いまだ確定いたしておりませんが、いずれ確定いたしたら御報告申し上げたいと思います。  次に五十五ページ以下は歳出の状況をしるしてあります。この歳出が何ゆえふえて来たかというようなこと、給與の問題であるとか、政府の施策に伴う経費の問題であるとか、公共事業費の増加、物価騰貴による増加というようなことによりまして項をわかちまして書いております。これはこまかくなりますので省略させていただきます。  七十六ページには歳入の状況が書いてございます。これにつきまして八十ページに地方税、一番中心になつております地方税についてその見込み等を書いてあります。  それから八十四ページには地方税の収入状況、最近におきまする大体地方徴税成績というものを書いております。われわれこの数字から考えますところでは、二十五年度に比べまして、相当徴税成績は改善されたものと考えております。  八十八ページにおきましては二十六年度の法定外普通税を都道府県及び市町村について書いてあります。九十ページには標準税率超過課税の状況を都道府県について調べております。  それから九十一ページ、市町村におきまする市町村民税所得割の課税方法、これについて三つの選択方法がありますが、これが現実どのようになつておるかということを調べたのであります。  以上で税は終りまして、九十二ページに平衡交付金の問題を書いてございますが、これには二十五年度に比べまして二十六年度改正いたしました交付基準等につきまして詳細に書いてございます。そうしてその結果單に費用の額とか、あるいは各団体別の交付額というようなものを百八ページまでの間に記してございます。  それから百八ページから地方債の問題でありまするが、今年の地方債五百億につきまして、その許可の状況あるいは地方から申請して來ましたものに対しまする許可の割合というようなことを書いてございます。百十六ページまでそれであります。百十七ページ以降は、使用料、手数料その他の雑收入の問題を書いてあります。  それから百二十一ページに公営企業——電車、自動車、電気、水道、ガスというような公営事業の会計について書いてございます。  それから百二十四ページに收益事業すなわち競馬とか競輪等の事業についきましてその結果をしるしております。これが大体二十六年度の地方財政の状況であります。  それから百二十九ページから二十七年度の地方財政の展望を書いてありまするが、これにつきましては先般平衡交付金等を含みます国庫予算御審議の際に、御説明申し上げましたことが書いてあるわけであります。百四十七ページまでが二十七年度の以上の見通しを書いております。  百四十八ページに、法律をもちまして地方財政について改善すべき方策をこの報告書に付記することになつておりますので、それに対する意見を書いております。四つのことを考えておりますが、第一は地方団体赤字の解消の問題であります。これは地方財政におきまして先ほど来申し上げておりますように、赤字出します団体が多いということは、地方財政上あらゆる意味におきまして適当でないと思われます。これにつきましては国の方らの財源措置ということも十分考えなければならないとともに、地方団体自体の財政運営につきましても、相当気をつけてもらわなければならないところがあるのではないかという感じを持つております。いずれにいたしましても、この赤字を解消することが焦眉の急であると思われますので、この際二十六年度につきまして地方財政委員会より、財源不足について国会に意見が提出され、国会は衆議院、参議院ともに御決議をなすつておられます方針に基きまして、この際何らかの形による現在出ておる赤字についての財源を増加付與すべきものであるという考えを持つております。一応この赤字を消しまして、それからあとは国も地方団体もともに協力して、将来赤字を出さないようにという強い目標をもちまして、財政、ひいては行政自体を運営する必要があるという考えを持つております。  第二には、根本の問題としましてまず行政経費の縮減の問題であると思います。現在の地方団体自体のやり方につきましては、あるいは濫費というような言葉をもつて表現するのに当るような経費支出もあると思いまするが、それは額としてはそう大きなものではない。国民感情の上から申しますれば好ましくないことでありまするが、額の上からは、大きなものではない。むしろ行政事務が非常にふえておる。これを縮小しない限り地方経費は縮小できないのじやないか。従つて地方財政も健全にならぬのじやないか、こういう感じがしております。従いまして国、地方を通じての租税負担ということをよく考えてそのして行政内容決定して行く。過去のものにつきましてはもう一度再検討を加えて、いい仕事ではあるけれども、現在の財政事情からできにくいというものは何らかこれを整理する、いわゆる地方行政簡素化の問題を強く推し進める必要があるのではないかという感じがしております。  第三は適正な財源付與の問題でありますが、これは今申しました通り地方事業分量、行政の分量というものがきまりまするならば、それに必ずマツチして、十分その仕事をやつて行くに必要な財源は、何らかの形において地方団体に付與されなければならぬ。それは地方税あるいは平衡交付金国庫補助金地方債というように内容はいろいろありましようけれども、とにかくそれだけの事業分量をまかなうだけの財源は付與されなければならない。ことに新しい法律、施策等によりまして、新しい仕事が地方団体に命ぜられて、しかも財源がそれに伴わないということが、今まで地方財政を圧迫して来た大きな原因でありまするので、今後新しい仕事をする場合には、特に財源措置は必ずそれに伴うということを考えなければならぬのじやないかということでございます。  最後に地方債の増加の問題でありまするが、その財源付與の問題としては、地方債の問題がもう少し重要視されなければならないのじやないか。過去における地方債の状況あるいは地方団体自体の財政運営形式等から見ましても、国庫とは非常に違うのでありまして、この際地方債をもう少し増加する必要があるのじやないか。もちろんこれは国、地方を通じまして大きな財政金融政策として、いろいろ問題はありましようけれども、とにかく今の地方団体の財政にとりまして、地方債がもう少しわくがふえることが必要であるのではないか。以上四点について地方財政につき改善をする方策をここに掲げたわけであります。  以上簡單でありましたが、地方財政状況の報告書の説明を終ります。
  24. 野村專太郎

    ○野村委員長代理 ただいまの御説明に対しましてこれより質疑に入ります。通告がございますので床次君。
  25. 床次徳二

    ○床次委員 大臣に伺いたいと思うのでありますが、政務次官でお答えができることはお答え願いまして、足らないところはあとで大臣からあらためてお答え願いたいと思います。  今税法改正案並びにいわゆる財政、白書ともいうべき地方財政の大要について報告があつたわけでありまするが、これを拝見しておりますると、地方財政におきましては少くとも過去二年間においては赤字を続けて参つた。但しこの当時いわゆる池田大蔵大臣の財政方針におきましては常に均衡財政と言つておられたのであります。中央におきまして均衡財政をとりましたあげくが、地方において非常な赤字を来したという事実につきましては、私どもその当時から非常に警告いたしておつたのでありまするが、今日までの結果から見まして、明らかに私どもが心配しておつたようになつたと思うのでありますが、これに対しまして当局はいかように考えておられますか。
  26. 野村專太郎

    ○野村委員長代理 ちよつと御了解を得ますが、大臣は参議院の予算委員会の方に出席を求められたので、あちらの方に出たものですから、きようは、今の財政白書の説明に対する御質疑を願いたいと思います。いずれ大臣の出席を求めますから、その点については次会に大臣から直接承つてはいかがでしようか。
  27. 床次徳二

    ○床次委員 了承いたします。
  28. 門司亮

    ○門司委員 この機会に事務局長にお聞きをしておきたいのですが、二十五年度、二十六年度、特に二十六年度ですが、この財政白書の中に公共事業費に対する詳細な報告がないのでありますが、公共事業費が、国からたとえば住宅の資金であるとか、その他の公共事業費の補助を受けることになつてつても、地方財源がないために、それを返しておる傾向がたくさんあるのです。具体的に言うならば、これは住宅の問題で、私ははつきり調査をしておりませんが、東京都のようなのは、本年度おそらく住宅資金を二億円くらい返しておる。また横浜市は七千万円くらい返しておる。これは地方の財政が枯渇しておつて、せつかく政府からの補助金があつても、全額を受入れることができないという建前でこういう結果になるのですが、事務局の方ではこういうものを全国的に調査された事実があるかどうか。もし事実があれば、その計数をひとつ知らしてもらいたいと思います。
  29. 荻田保

    ○荻田政府委員 当初各公共事業費についての主管省から割当てられまする補助金につきまして、地方団体で受入れられるかどうか、特に今おつしやいましたような地方債のそれに対するわくと見合いまして、なかなか決しかねたのでございますが、当初割当額に対してはお受けできないと言つて返したものが相当あるようであります。これは全体的に調査したわけではございませんが個々団体としては私どもは聞いてよく承知しておりますが、一応それぞれ主務省に返しますと、それから他の、もう少しそういう事業が必要であり、しかも財源措置できるというような団体に再割当になつておりますので、おそらく全体の総額としては、全部補助金を使わないで、そのままにしてしまつたという額は、そう多額には上らない、ほとんどないくらいの程度だろうと思います。ただ当初に内示と申しますか、そういうものがありました。ところが必ずしもその通りお受けできなかつたという団体は、相当あるように考えております。
  30. 門司亮

    ○門司委員 私は今の答弁は非常におかしいと思うのです。一体地方財政がほんとうに困つておるという面を調査されれば、やはり非常に大きな問題であつて、せつかくここに公共事業費として、ことに住宅の問題、住宅が非常に足りないときに、住宅の補助金として出しているものを、受入れられないと言つて返しておるということでは、住宅は建てられない。それで住民は非常に迷惑している。そういうものはあなたの方で十分調査ができているものと考えておりますが、そういう調査はされておるのかどうか。されていないならば至急それを調査していただきたいと思う。これは地方自治体の行政の上に非常に大きな問題でありまして、公共事業が満足に行えないということについて、もし調査ができていないとすれば、至急調査をしていただきたいと思います。
  31. 荻田保

    ○荻田政府委員 ただいまはつきりした調査はございません。ただ先ほど申しましたように、非常にむずかしいのは、補助金の割当は、はつきりぴしやつと初めにきめてしまうものではなくて、その団体と交渉しながら、これくらいはどうだ、これくらいはどうだというような交渉の過程がございますので、どこからどこまでが返上した額かということは、非常に調査しにくいと思いますが、御希望に沿うようにできるだけ至急に調査いたしたいと思います。
  32. 床次徳二

    ○床次委員 ただいまの問題に関連いたしまして、先ほど決算の御報告の中にも事業繰越し、あるいは事業中止になるものが、半面においては当然できるのじやないかというようなお話がありましたが、私はこれは相当多いと思うのであります。その実態はただいまの公共事業の延期ばかりではなしに、一般の町村事業におきまして、実際やることを予想したにかかわらず、財源がないためにやむを得ずこれを縮小、中止、繰延べというようなものがあると思うのですが、その方のお見込みも一緒に見ていただきますと、決算の状況としては非常によく町村財政窮迫の状況がわかると思いますが、この点をどんなふうに御調査になつておりますか、なければ調べてお答え願いたいと思います。
  33. 荻田保

    ○荻田政府委員 一般的に財源がないから事業を繰越したというような意味で調査することは、非常に困難だと思います。と申しますのは、どれだけの仕事を必ずやらなければならぬかということが、はつきりきまつたものではありません。金があればこれだけをやるという性質のものもあります。われわれがここへ出しております決算の純赤字というものを出す基礎に使つておりますのは、一つの法令的の義務がある、たとえば恩給費の支払いをいつやらなければならぬ。ところが金がないために翌年度に繰越した。もう一つは先ほどからお話の出ておりましたように、補助金はもらつてしまつた。しかしそれに伴う起債なり何なりの財源が足りないために、その年度では消化せずに、補助金はもらつたままで翌年度に、形の上では繰越した、こういう性質のものもある。またそれ以上に、たとえば学校を建てなければならぬ時期に來ておるのだけれども、金がないために建てられなかつたというようなことになりますと、主観的に考えますと相当開きがございますので、どれだけが財源不足で延期されたかというのは、ちよつと調べにくいと思います。
  34. 床次徳二

    ○床次委員 ただいまお話がありましたが、当初予算に計上しまして、当然実行すべく予想したものが、実は決算面において落さざるを得なかつた、こういものがあるのじやないか。これが中止になるのでありますから、やはり赤字に見るべきものであると思うのですが、その点の数字があるかどうかお伺いいたします。
  35. 荻田保

    ○荻田政府委員 まだそういう数字はございませんが、それも先ほど申しましたように、たとえば当初予算には起債をどれだけもらつて、これだけのことをしようということで予算を立てるわけでありますが、起債がない場合に、それをほかの財源でやる場合もございますし、それをやらずに済んでしまうものもございますから、どこがぎりぎり一ぱいの繰越し事業と見るか、非常にむずかしい問題と思います。
  36. 門司亮

    ○門司委員 もう一つ聞きたいのは、この白書の中の問題は、これは起債だけだ、こう解釈してよろしゆうございますか。
  37. 荻田保

    ○荻田政府委員 その通りでございます。
  38. 門司亮

    ○門司委員 もう一つ聞いておきたいと思いますことは、各地方自治体が市中銀行から短期融資を受けておる額が、このほかに相当あると思いますが、これは一体どれくらいになつておるかお調べになつたことがあるかどうか。この問題は非常にやつかいな問題でありまして、たとえば茨城県の古河市のごときは、市が借りてさらに市長が個人保証をしておる。そうしないと市の財政のやりくりがつかない。それで市長がやめたらこの個人保証はどうなるかということを心配しておる。そういう事実があるのですが、こういうものはこの中に見積られておるのですか。さつきは見積られていないという話でありますが、見積られてないとすれば、市中銀行から借り入れた公共団体の債務というものはどれくらいあるか、もしおわかりになつておれば、その数字を知らしていただきたいと思います。
  39. 荻田保

    ○荻田政府委員 御存じと思いますが、法律上は許可された起債でなければ、借りられないわけであります。自治体で借りておりますのは一時借入金といつて、その年度内に償還するという趣旨で借りたものであります。それはもちろん年度内に償還するのが法律上の建前でございますが。それが返せないで年度を延ばしてしまつて実質上の地方債なつたもの、あるいはたとえば外郭団体——PTAならPTAで借りて、償還を地方団体でやつて行くというような形をかえたもの、こういう種類のものが相当あることは、われわれも承知しておりますが、今これを計数的に全国的に調べたものはございません。ただ現在正規の意味におきまする一時借入金につきましては、最近も府県及び五大市等につきましては調査したものもございますので、いずれお手元に出したいと思います。
  40. 門司亮

    ○門司委員 それでつけ加えて、もう一つお聞きしたいのでありますが、この経済白書の中には全然触れてないと思いますが、短期融資の場合の例の個人保証の市中銀行からの借入金等については、相当高い利息で借りておるわけですその利息等もこの赤字の中に含まれておるかどうかということなんです。これは全然別個の考え方になつておるのか、その利息なども市町村経費赤字の中に含まれておるのですか。
  41. 荻田保

    ○荻田政府委員 それは含まれております。
  42. 立花敏男

    立花委員 百四十七ページの収支見込みというところに平衡交付金は五十億ふえる、地方起債が百五十億ふえるとあるのですが、これは財政委員会の勧告なさつた千三百億にまたあともどりをした形になると思うのですが、これは政府決定だけで国会にはまだ了解も何も得ておられないのですけれども、それはどういうふうに処置されるのですか。
  43. 荻田保

    ○荻田政府委員 これに出しております数字は、政府決定して、今国会で御審議中の予算に組まれておる数字であります。当初われわれの要求しました額と五十億違いますが、これはその後税法改正を行うことにいたしましたので、それによりまして措置して行くことになつております。
  44. 立花敏男

    立花委員 收支見込みのところに書いております五十億というのは、今の千二百五十億を元の財政委員会の勧告通りの千三百億にするということではないわけですか。
  45. 荻田保

    ○荻田政府委員 これは二十六年度と比較しまして五十億ふやすということでございますから、千二百五十億であります。
  46. 立花敏男

    立花委員 これのいきさつにつきましては、私ども非常に財政委員会のとられました態度に不満があるわけで、ここに政府決定したと、こうお書きになつておるが、あれはやはり勧告通りお直しになるのかと思つていたのですが、そうではないとすれば、これはやはり地方財政委員会の千三百億の勧告を貫徹し得なかつた態度については、私ども地方財政委員会の責任を追求せざるを得ないと思う。正当な勧告権を持ちながら、総理が手紙をよこしますと、すぐ五十億減らした。こういうような態度はまつたく夜店のバナナ売りと同じで、まつたく権威も何もないやり方だと思う。その減らしました五十億の穴埋めにつきましては、まつたくその場限りのでたらめの態度をとつている。ここにこう書いてありますから、その態度を反省くださつて、千三百億に直すと思つたのですが、そうでないとすれば、地方財政委員会のあの問題についての態度を、あらためてもう一度追求せざるを得ないと思うのですが、その間の事情について、どういう意見を持つておられるか、承つておきたいと思います。
  47. 荻田保

    ○荻田政府委員 当初勧告いたしましたときは、附加価値税を実行するとしての基礎で出しておりますが、その後附加価値税はやめて事業税となりましたので、それによりまして五十億が処置されたのです。
  48. 立花敏男

    立花委員 総理の手紙に対しまして、五十億くらい減らしましようという地方財政委員会の返事、またそれをカバーします方法といたしましては、今荻田君の言われた、附加価値税実施することを延ばしたという理由では決してなかつたと思う。地方財政の節約をしろ、それから首切りをやれとかいうふうな形での穴埋めであつて、決して今荻田君の言われたような、理由はつきりしておつたから総理大臣の勧告に従つたのではないという形が、はつきりと文書の上に現われておりますが、どちらが正しいのか、ひとつ聞いておきたい。
  49. 荻田保

    ○荻田政府委員 初め内閣あてに出しましたこの五十億を、どう処置するかというこちらの御意見には、今おつしやいましたほかに、地方税法改正ということもあつたわけです。全体で四項目あつたわけでありますが、それに対しまして、内閣側からすみやかに成案を得るように考慮したいという返事があつたのでありますが、その後数日しまして、附加価値税を延期して事業税を存置することになりましたので、第一の地方税法改正ということがただちにできましたので、それではつきりしたわけであります。
  50. 立花敏男

    立花委員 非常に重大な点を抜かされております。今初めて説明でわかるように、あの文書だけを見ますと、総理大臣の手紙によつて、まつたく勧告権を放棄して、かつてに数字をかえまして、そしてその穴埋めは首切りで補え、地方の財政の緊縮で補えというような、まつたくその場限りの態度であつたと思うが、今後そういう態度をとられましては、地方財政委員会に対して信頼が全然私ども持てませんので、今後そういうことのないように注意していただきたい。それからこれと並べて書いてあります地方公務員の給與の問題でありますが、この給與が問題になつて大分たつております。その当時も財政委員会は調査すると言つておられた。ところが調査するどころではない、財政委員会の責任者がここに来られまして、決して地方は中央より高くないということを、木村さんが明言されたわけです。ところがここにも非常にあいまいなことが書かれておりまして、給與調整額は調査の結果によつては変更があるものとされているというように、非常に客観的な傍観者的なことが書いてあるのですが、一体中央と地方との給與の問題について、どういう調査をされて、どういう結論を得ておられるのか。何か結論を出すことに都合が悪いことがあるのか。これを承りませんと、もうすでに給與の問題が問題になつておりまして、昨日の新聞を見ますと、中央の官公庁労働者の給與の引上げの要求が政府に出されておりまして、当然地方でも給與の問題が問題になつて来るのですが、その責任の官庁である地方財政委員会が、こういうふうな態度でおられて地方公務員はまつたく仕事が手につかないと言わさるを得ないと思うのですが、大体どういう調査をされてどういう結論を得ておられるか、承りたい。
  51. 荻田保

    ○荻田政府委員 この問題につきましては、地方自治庁が主体になりまして、大藏省、文部省あたりと共同して調査をしておるのであります。これは大分調査も進行しておりまして、そう遠くない時期に結果が発表できるのではないかと考えております。
  52. 立花敏男

    立花委員 最近の委員会に、その調査の結果を中間報告でもいいから、ぜひひとつつていただきたい。それから財政の問題ですが、税法改正だけで数億円の地方の収入減になるわけですが、その他に行政協定の関係で、今度は出費の面で非常にたくさん地方負担になる部分があるのですが、そういうものをどういう項目でどれほどお見込みになつているか。これをひとつ承りたい。
  53. 荻田保

    ○荻田政府委員 数億とおつしやいますけれども、まだわれわれの方では数字を出しておりません。いずれその法案を出しますまでに、正確な数字を調べまして出したいと思います。
  54. 立花敏男

    立花委員 そのことを尋ねているのではないので、今日の読売によりますと、税金が三億円の減収になると出ておりますが、それはその程度でいいといたしまして——いいというのは、説明はそれくらいでいいといたしまして、そのほかに進駐軍との行政協定による地方負担があるわけですが、この問題は、どの項目がどれくらいの額だということをどういうふうにお見込みになつているか。それに対してまた独立の法律をお出しになる用意があるのかどうか。そういう問題を拔きにしてこの二十七年度の地方予算は考えられないのではないか。また考えたといたしましても、相当大幅の修正が必要になつて来るのではないか。そういうことを自治庁としては当然考えておらなければならないと思う。ただ向うさんの免税になる点だけをお考えになつて地方負担になるものをお考えにならないというのは、これはまつたく困つたことなんで、その辺をどのくらいにお見込みになつているのか、これをひとつ聞かせていただきたい。
  55. 荻田保

    ○荻田政府委員 従来から占領軍に対する種々の経費があつたわけでありますが、この経費につきましては別に削減しておりませんので、この程度でもつて十分まかなえるものだと考えております。
  56. 立花敏男

    立花委員 駐屯の体制に切りかえられまして、演習場が設定され、あるいは道路がつくられ、あるいは防空の協力費の問題が起つて来るが、こういうことにつきましても、何ら今までよりは増加されないと考えになるのですか。
  57. 荻田保

    ○荻田政府委員 ただいまの情勢ではそう考えております。
  58. 立花敏男

    立花委員 一体ただいまの情勢をどうお考えになるのか、私わからないのですが、もう現に新しい基地がどんどん接収されまして、全国では三千万坪の基地が接収され、それから建物も新しいところへ移る、そのための道路もしく、宿舎も建てるということになつておりまして、地方のそれに対する負担はおそらく莫大な額に上るのではないか。もうすでに東京都では防衞局を設置しました。そうして現実に横田の基地、立川の基地付近では防空に対する協力を求められておる。三鷹ではもう防空水槽がつくられ始めている。現状のままだと言われることは、まつたく二十七年度の地方予算はずさんな考え方だと思うのですが、もう一度念のために聞いておきますが、何にも地方の新しい負担になるものはない、これに対して政府は、何の考慮も払つていないし、何の措置もする考えはない、そういうお考えですか。
  59. 荻田保

    ○荻田政府委員 原則といたしまして、今以上ずつと多くなる経費は、国費で支弁さるべきものだと思います。
  60. 立花敏男

    立花委員 これは地方にとりましては非常に喜ばしい御言明なんで、これ以上経費がふえる場合は、一文も地方負担しなくてもよろしいということを、政府としてはつきりここで明言なさるのですか。
  61. 荻田保

    ○荻田政府委員 個々団体が一文もとかなんとかいうことを申しているのではないので、全体の財政計画として、これ以上の負担が起る場合には、これは国庫支出すべきものだ、こういうことを申し上げておるのであります。
  62. 立花敏男

    立花委員 そういたしますと、たとえば東京都の場合を例にとりますが、防空施設をつくる、横田基地に対する協力態勢を整えなければいけない、こういう場合には東京都が負担をするのではなしに、国庫から出す建前だ、一文も東京都は負担する必要がないというふうに理解していいですか。
  63. 荻田保

    ○荻田政府委員 いずれにしましても、東京都にそういう事態が起れば、それに対する財政措置をわれわれは考える。それが現在のわくで十分かどうか、これ以上だつた国庫をもつて国から適当な追加財源措置をしなければならぬ、こういうことを申しております。まだ具体的にどうということは考えておりません。
  64. 立花敏男

    立花委員 大分言葉が違つて来たのですが、財源措置ということは、地方に新しい財源を與えて、それで地方として負担するということなのか、さつき言われたように、一文も地方は出す必要がないということなのか、大分違いますので、その点をはつきりつておきたい。
  65. 野村專太郎

    ○野村委員長代理 ちよつと立花委員にお願いしたいのですが、この委員室は次に使用する予定があるようで、今御質疑になつておるのは、次の機会もあろうかと思いますので、この答弁を求めましてから、あとは次にお讓り願いたいと思います。
  66. 荻田保

    ○荻田政府委員 地方財政全体の計画のことを言われましたから、これ以上ふえる分については考慮しなければならぬということを申したのであります。
  67. 床次徳二

    ○床次委員 ただいま御説明のありました報告書の中の第三番までは大体昭和二十七年度の見込みが書いてございますが、第四に改善すべき方策が書いてあります。この第四の改善すべき方策が、第三の二十七年度の予算編成、あるいは二十七年度の地方財政にいかような考え方に附いて織り込まれておるか、十分織り込まれて、さらに第四として依然として残つておるのかどうか、この点を承りたいと思います。
  68. 荻田保

    ○荻田政府委員 この四項目は、二十七年度におきまして一部は実現されているものであります。たとえば赤字解消の問題につきましては、先ほど申しましたように、ある程度のものはこの際措置できる。行政経費の縮減も、地方行政簡素化の作業が相当進んでおります。それから財源の付與の問題につきましても、これは全体の問題でございますが、二十七年度におきましては、一応地方の收支が合うという計算であります。第四の地方債の増額も、これは百五十億程度のものを増加しております。
  69. 床次徳二

    ○床次委員 さらにこまかい点はこの次に伺いたいと思います。ただいま一部は解決されているというお話を伺いましたが、昭和二十七年度においては問題が残つているということをお考えでありますか。
  70. 荻田保

    ○荻田政府委員 ある程度残つております。たとえば赤字措置の問題でも、おそらく八十億をもつてしては全部を解消したということにはならぬと思います。
  71. 野村專太郎

    ○野村委員長代理 本日の委員会はこれをもつて散会いたします。次会は公報をもつてお知らせいたします。     午後零時四十四分散会