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1952-03-13 第13回国会 衆議院 地方行政委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年三月十三日(木曜日)     午前十一時二十九分開議  出席委員    委員長 金光 義邦君    理事 大泉 寛三君 理事 河原伊三郎君    理事 野村專太郎君 理事 門司  亮君       門脇勝太郎君    川本 末治君       佐藤 親弘君    前尾繁三郎君       吉田吉太郎君    竹山祐太郎君       大矢 省三君    立花 敏男君  出席国務大臣         国 務 大 臣 岡野 清豪君  出席政府委員         総理府事務官         (全国選挙管理         委員会事務局         長)      吉岡 惠一君         総理府事務官         (地方財政委員         会事務局財務部         長)      武岡 憲一君         総理府事務官         (地方自治庁次         長)      鈴木 俊一君  委員外出席者         総理府事務官         (地方財政委員         会事務局調査課         長)      金子 秀夫君         専  門  員 有松  昇君         専  門  員 長橋 茂男君 三月十三日  委員中村寅太君及び藤田義光君辞任につき、そ  の補欠として中曽根康弘君及び竹山祐太郎君が  議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 三月十一日  特別市制反対に関する陳情書外一件  (第八一七  号)  同(  第八一八号)  特別区の組織及び運営に関する陳情書  (第八  一九号)  同(第八二  〇号)  宿泊料に対する遊興飲食税減免に関する陳情書  (第八二一号)  同(第八二  二号)  地方出先官庁等新、増築の際の民間経費負担反  対に関する陳情書  (第八二三号)  地方公営企業法に関する陳情書  (第八二四号)  地方自治法の一部改正に関する陳情書  (第八三五号)  市の監査委員必置機関とすることに関する陳  情書(  第八二六号)  監査委員監査、検査の結果報告に関する陳情  書(第  八二七号)  普通地方公共団体物品規定法制化に関する  陳情書  (第八二八号)  監査委員任期延長に関する陳情書  (第八二九号)  監査委員任期満了後における事務取扱に関す  る陳情書  (第八三〇号)  地方議員地方公共団体に対する請負関係禁止  に関する陳情書  (第八三一号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  国会議員選挙等執行経費基準に関する法  律の一部を改正する法律案内閣提出第三五  号)  地方自治に関する件  地方財政に関する件     ―――――――――――――
  2. 金光義邦

    金光委員長 これより会議を開きます。  初めに国会議員選挙等執行経費基準に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたしまして、質疑を行います。佐藤君。
  3. 佐藤親弘

    佐藤(親)委員 いつも申し上げるのでありますが、選挙の実際というものが、まず選挙管理委員会まで粛正するという趣旨でないと、実際の健全なる選挙はできないという考えを私は持つておるものであります。何となればポスター等の場合において、与党の場合の選挙管理委員与党の方に好意を持つて、そうして三百なら三百という枚数であるのにかかわらず、実際にその管理委員会の職員でなくして、いわゆる小使のような、給仕のようなものが、管理委員会判こを押してしまうのであります。従つて五百も六百も刷つてつて行つておいて、三百という定数ポスター判こを押すような許可願出しておつて、実際は五百も六百も判こを押してしまう。中には実際に張つてつたビラをとらないで、ためしに勘定して見たのですが、はなはだしく多いので、どういうわけで多いのだと聞いたら、今度は偽造したのだというような答えをするのがあるのであります。従つてこのポスター掲示の問題についても、なるべく多くしないで、数を少く刷るという方がいい、こういうふうにとれる趣旨もあるのであります。さようないわゆる偽造のポスターなどはできないように、しこうして費用も少くなるように、これを改良する余地はないかという質問をするのであります。
  4. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 ポスター取扱いについて、不公平のおそれがあるというお話でありますが、これはいろいろ考えられるのであります。現在は大体スタンプを押しているのが普通であります。ところが東京都あたりは打抜きを使つております。これが一つ方法であります。しかしながら今お話のような不公平というのは、それでも同じでありまして、係の者が数を故意に違えるということでありますから、結局最もいい方法としては、特別な用紙を用意をしてそれに特別な何かしるしをあらかじめ刷つてつて、その用紙配つて、そのポスターでなければ掲示ができないというようにするのも一つ方法であります。しかしながらこれをやりますと、結局その用紙を用意しておくのは、選挙の前から用意しておきますが、候補者に渡すのは立候補後でなければ行かない。そうしますと、それから印刷をして検印を受けて掲示をするということになりますと、どうしても時間が相当かかる、そういう不便が片方にあるものですから、一長一短で、なかなか研究すべき問題だと思います。
  5. 佐藤親弘

    佐藤(親)委員 いま一つ、先般もお答え願つたと思うのですが、街頭演説というビラをそちこちに張つておいて、実際にそれを制限なくこしらえて、街頭演説しない場所に張る。街頭演説をする場所に張るのが原則なのでありますが、どこそこにおいてやるというならいいが、ただ街頭演説として張るようなビラ張り方があるのです。そういう場合には、やはり今度取締る場合において、街頭演説をせざる場所街頭演説ということをたくさん張りまわすということは、やはり経費が多くなる。従つて取締りも複雑化する。またかような点については、一齊に街頭演説が終つたら、とりはずすべきものをとりはずさないで、はなはだしきものは一年も過ぎて、なお張つてあるような状況にあるのであります。だからこういう場合においては、街頭演説をする場所に張るのが多いのでありますが、それを全然街頭演説せざるところに、街頭演説というビラを非常に張りまわして、そうして一年もとらないでおくというような状況があるから、経費の節減上並びに取締りの上において、そういう街頭演説ビラ制限並びに取締りについても御考慮をする余地がないか。
  6. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 街頭演説会という文句を入れたビラを張りまわして、事実上ポスターの数の制限をのがれるということが、相当各所で見られるのであります。これは法律上はそういうものは違法だということがはつきりしております。しかしながら実際の取扱いにおきまして、そういう違反があまりに数が多い場合は、選挙管理委員会としても、なかなか取締りのしようがない。ある程度数の少い場合には、撤去命令出しておるのでありますが、あまりに数が多くなりまして、手に負えないという場合にはどうにもしかたがなく、公平を維持するという面から、やむを得ず事実上公認になつておる場合があるのです。この辺はいろいろその対策としては研究すベき問題だと考えます。
  7. 佐藤親弘

    佐藤(親)委員 それから電話でやる選挙運動は違法でないというので、これはよく電話を使うことがあるのですが、その場合に甲という人が電話をかけてくれといつて頼んで、そうして今度は電話受取つた人電話の書取りをして、それを伝達した場合において、電話選挙運動だと見ていいかどうか、そういう方法はいいかどうかということをひとつ承りたいと思います。
  8. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 電話で話をして相手に頼むだけは電話による選挙運動でありますが、それがさらに紙に書いて渡したりいたしますと、それは電話による選挙運動とはあとの場合は言えません。     —————————————
  9. 金光義邦

    金光委員長 次に地方自治に関する件、地方財政に関する件、右両件を一括して調査を進めます。質疑を行います。立花君。
  10. 立花敏男

    立花委員 岡野さんにお伺いしますが、実はきようここの永田町の小学校で、自由党区会議員の方がお集まりになつて区長任命制反対会議をお持ちになつておる。自由党脱退決議をして自由党の本部へ持つて行くということを聞いておるのでありますが、また十七日には、全東京都の区会議員の大会があつて区長任命制反対だというので、非常に大きな運動になつて来ておるわけなんですが、この区長任命制という問題が、やはり地方自治法改正の中にあるように、新聞では発表されておりますが、どういう御方針なのか。また任命制をおやりになる根本的な考え方はどうなのか、これをひとつ聞かしていただきたい。
  11. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。それは先般この席で申し上げたと思いますが、区長任命制にするということも、われわれの頭に往来しておる。しかしこれに対してまだ成案を得ておりません。
  12. 立花敏男

    立花委員 地方自治法改正法案は出て参るそうでありまして、その要綱が出て来ておるわけなんですが、近くお出しになる自治法案そのものは、この問題にはお触れになつておらないのかどうか。
  13. 岡野清豪

    岡野国務大臣 まだ成案を得ておりませんから……。
  14. 立花敏男

    立花委員 しかし私ども要綱というものはいただいておりまして、これの説明も受けたわけですが、そういう重大な問題で成案が得られてないとすると、要綱そのものもあまり信憑性がないのじやないかと思うのですが、ではいつごろそれに対する態度をおきめ願えるのか、またその問題は全然お触れにならないつもりなのか。実際騒ぎが起つておりますので、承つておきたいと思います。
  15. 岡野清豪

    岡野国務大臣 先ほど申し上げました通りに私の頭にそういうことが往来しておりまして、それを事務当局をして検討させております。
  16. 立花敏男

    立花委員 それからこの問題とまつたく逆の方向考えられますのは、特別市制の問題なんですが、片一方でそういうふうにせつかく与えられております自治縮小するという方向をとりながら、逆に特別市制を実施しようというふうな動きが、政府の中にもあるように私ども見受けるのですが、特別市制の問題については、どういうふうなお考えをお持ちになつておるか、それもあわせて承りたい。
  17. 岡野清豪

    岡野国務大臣 特別市制につましては、自治法にせつかくできておる条項でございまから、これをわれわれとしては無視するわけには行きません。しかしただいしま五大市を初めその五大市を含んでおる府県が、両方とも相反するいろいろな説明をしてまわつておるようでありますが、政府といたしましてはまだ静観の域を脱しません。
  18. 立花敏男

    立花委員 どうも今言いました二つの問題、区長任命制の問題と、東京都以外の五大都市特別市制認めようという動き方、これは非常に矛盾しておる動き方で、どうも一貫性がないように思うのですが、自治という問題に関して、やはりはつきり一貫した方針でおやり願わないと、非常に大きな混乱が起ると思うのです。大臣も今お認めなつたようにすでに五大都市、あるいはそれを含む府県では大きな運動になつておりまして、もちろん大臣のところにも何人となく、また何回となく陳情あるいは請願が参つておると思います。私どもの方にもたくさん参つておるのですが、こういう動きに対しまして、やはり即時適切な基本的な政府方針をお示しになるのが妥当だと思うのですが、すぐそういうふうなはつきりした方針をお示しになるお考えがあるのかどうか聞いておきたいのです。
  19. 岡野清豪

    岡野国務大臣 政府方針をきめろ、また示せ、こういうことは私の思想といたしましては反対でございます。と申しますことは、政府が指導して一般の人の運動を阻止するとか、意思を曲げるとかいうことは、私は反民主的だと思います。でございますから、地方自治法に特別市の条項がある、それに対して特別市になり得るところはなろうとする。またそれに対して利害関係があつて、そうしてもらつては困るという方面は、それの反対運動を起す、これは民主主義ですから、各住民の忌憚ない意見をよく発表して、おのずから住民意思がどういう方向に向つておるかという動向を察しまして、われわれはそれに追随して政治をするのが民主主義政治じやないかと思います。でございますから、政府で早く意思をきめて、それを強行してよいじやないかというようなおぼしめしだと私は反対でございます。
  20. 立花敏男

    立花委員 政府意思をきめてそれを下に押しつけるということを私は申したのじやありません。政府意見なり見解なりはどうかということを聞いたわけなので、ひとつ率直にお答え願いたいと思う。岡野さんのお言葉を聞いておりますと、政府意思表示をすることが、非民主的であるというふうに承りましたが、そういたしますと、地方自治法改正案をお出しになるのは非民主的なので、これは下から意見が出てきめるのが当然なのでありますが、そうでなしにやはり政府では地方自治法改正案をお出しになつておられる。そうしたらこれこそ非民主的の典型じやないかと思う。だから私は決して政府で独断的にきめたものを地方に押しつけよとは申しておりませんで、こういうものに対する政府見解なり態度方針を発表してもらいたいということを言つておるのです。多少その間に私の言葉に対する誤解があるのじやないかと思います。たとえば改正地方自治法案をあなたがお出しになつておる。地方自治法要綱の中には、政府地方に対する勧告権をやはりお認めになつておる。勧告権などは地方は今決して必要といたしておりません。完全なる地方自治をこそ望んでおれ、政府地方に対する勧告権などは地方は望んでいないはずです。それをあなたは今度の地方自治法改正の中に入れられておる、こういうことこそ非民主的じやないか、今地方で起つておる特別市制の問題については意見をお出しにならない、あるいはきよう自由党脱退決議までやろうとする区長任命制については、意見をお出しにならない。意見を求めますと、そういう意見を発表するのは非民主的だと言いながら、地方自治体が望んでいない勧告権をお出しになつている。こちらこそ、私は非民主的じやないかと思う。今度の自治法改正の中では、勧告権の問題は非常に重大な問題です。これは区域の変更の問題の項目の中にあるわけですが、こういう部分的なものでも勧告権認めるということは、非常に大きな問題であり、部分的に認める以上は、全体的に認めざるを得ないような場合も予想されますので、この勧告権の問題をどういう意味で、今度の自治法改正の中に入れられたか、中央地方を統制して、かつて中央集権的なやり方で、勧告権使つて地方を統制して行くという基本的なお考え方から、この勧告権が出ておるのかどうか、これは根本的な問題なので承つておきたいと思います。
  21. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 御配付いたしました地方自治法改正要綱の中に、都道府県知事あるいは総理大臣勧告権のことを書いておりますが、これは先般の地方行政調査委員会議の第二次勧告の中に、中央政府地方団体との関係というものは、中央が全体の立場から地方からの情報の提供を求めて、その情報に基いて、全国的な一つの傾向、方向というようなものをつかんで、地方行政が合理的に運営されますように技術的な助言をし、あるいは技術的な勧告をする、こういう建前勧告しておるわけです。地方行政調査委員会議勧告というものは、法律政府は尊重いたさなければならないようになつておりますし、そういう地方行政調査委員会議勧告に基いて、国と地方団体との関係を明らかに規定をいたそう、こういう考え方でありまして、現在の地方自治法の中には、依然監督という章が残されておりまして、いわゆる指揮監督という従来の方式規定、文言が残つておるのでありますけれども、それを今申しましたような新たなる形の国と地方団体との関係に切りかえて行こう、こういう考え方でありまして、今立花さんの御懸念せられますような、そういう従来の監督方式をまたここで確立したのだ、こういつたような方向では全然ないのであります。その点特にひとつ誤解のないようにお願いしたいと思います。
  22. 立花敏男

    立花委員 勧告権は一体どういうふうな強制力自治体に対して持つのか。勧告を拒否した場合には一体どうなるのか。地方議会決定勧告権との関係はどうなるのかということをひとつ承りたいと思うのです。鈴木君は、これは地方行政調査委員会議勧告の中にあるのだから、そのまま取入れたのだとおつしやられますが、今度の地方自治法改正全般を通じて、決して調査委員会議勧告をそのまま受入れているとは考えられない面が多数にあるわけです。たとえば区長任命制、あるいは特別区制の問題にいたしましても、この調査委員会議勧告とは違つておる面があるのでございまして、この勧告だけを取入れられまして、神戸委員会勧告にあるのだから、当然だと言われるのは、これは少し我田引水じやないか。必要なものだけは取入れて、必要じやないものは取入れない。区長任命制など、自治体権限縮小勧告の中にはないはずなんで、そういうものは取入れられるが、勧告などのようなものは、そういうことを口実にして、神戸委員会勧告にあるのだから取入れるのだということでは、納得行かない。何かもつとはつきりした基本的な方針があつて、その上でその方向従つて勧告から必要なものをとつて来たと考えざるを得ないと思うのです。そういう意味で、私はこの勧告を非常に重要視するわけなんですが、最初に言いました勧告権は、地方に対してどういう強制力を持つのか。これを拒否した場合に、地方は一体どういう罰則が中央からあるのか、あるいは地方議会決定とこの勧告とどういうように競合するのか、これをひとつ承りたい。
  23. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 勧告権はもとより勧告でありまして、勧告に対しては、これを受諾するしないは相手方の自由であります。先ほども申し上げましたように、都道府県知事あるいは中央政府としましては、全体の各市町村あるいは府県で、どういうふうに行政運営が行われておるかということを、報告その他の方法によりまして、状況が逐一わかるわけであります。わかりました場合に、そのわかつた結果、合理的な行政運営事務処理というようなものは、それをできるだけ広く普及し、広めて行つて、そして最小の経費で最大の効果が上るように行政運営をしてもらうということが、これはやはり民主主義的な原則から申しましても、必要であると思うのであります。そういう意味で、せつかく集められました情報に基く新たなる合理的な行政処理方式というものは、これは勧告とか、技術的助言というふうな方式によつて、できるだけ各地方団体に普及して行くことが必要であるわけでありまして、そういう根本的な考え方から、おそらく神戸委員会におきましても、こういうことを勧告しただろうと思うのであります。政府も、もとより勧告があつたから、それをそのまま受入れるというだけのことではなくして、やはりそれにはそれだけの合理的な理由がございますので、そういう方針考えまして、今度の法律案の中にそれを盛り込みたいという考え方であります。  また特別区の問題にいたしましても、今政府考えておりますのは、事務の配分ということでございますが、要するに、行政合理化能率化簡素化というような見地からの改正を行いたい、こういう基本の考え方に立つておるわけでありまして、勧告権の問題、その他いずれもそのような根本方針に出ずるものであります。
  24. 立花敏男

    立花委員 私どもは今度の地方自治法改正全般を通じまして、地方自治の伸張の方向ではなしに、地方自治縮小方向行つておるのではないかと思う。これは現在の情勢から、現在の政府としておとりになる必然の方向で、そういう形がやはりはつきり現われて来ておるのではないか。その一つとして勧告が出て来ておるのじやないか。それを立証いたしますのは、その逆に、地方の民主的な権限が非常に制限されようとしておるのが、今度の改正案一つの特徴だと思う。それは地方の民主的な自治の基本的なものであります地方議会に対するいろいろな面からの制限だと思う。地方議会の定員を縮小する道を開き、さらに地方議会開会制限する道を開いている。こういうことは、ここに説明されておる文書の上では非常に幅のある規定になつておりますが、やろうと思えば、やれる形をはつきり出しになつて定数の縮減、あるいは議会開会制限が少くとも可能になつておるということについては明らかだと思う。さいぜんの勧告の問題、中央地方にひもをつけて行くという線をはつきり法文化し、逆に地方議会権限を縮減する可能性を開いて行くということは、非常に大きな意味があると思うのですが、議会に関するこの民主主義的な権限を縮減する可能の道を開いたということについて、これは基本的な問題だと思いますので、岡野さんの御意見をひとつ聞かしていただきたい。
  25. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 議会の問題でありますが、これも実は法案がまだ政府としては最終決定になつておりませんので、どういうような具体的なことになりますか、立花さんは御承知ないわけでござまし、われわれもまだ研究過程でございますので、この要綱の表現存から、ただちにいろいろ御批判をいただくことはどうかと思うのです。今私ども研究過程考えておりますことを申し上げますれば、一つ議会開催方法でございます。これは現在毎年六回以上定例会を開かなければならぬということになつているわけでありますけれども、これは議会が、たとえば英国のごとく議決機関でありますと同時に、執行機関であるということでありますならば、定例会を開いてやつて行くことが、一つの理論的な帰結に相なると思うのでございますけれども、現在の地方自治制度建前は、御承知のごとく執行機関議決機関が両々相まつて行く、いずれも住民が直接にこれを選挙する方式になつているわけでありまして、執行機関執行についての全責任を持つ、ただ執行機関決定をし、執行いたします意思、あるいはその中のことに重要な事項について、議会決定をするという建前になつているわけでありまして、その中の最も重要な問題は通常予算議決であるわけでありまして、年々の通常予算議決をいたしまする議会と、そうでない臨時の案件を議決いたします議会とは、そこにおのずから区分があると思うのであります。そういう意味で、これを通常会臨時会区分をしよう、こういうことでございます。もちろんその反面におきましては、臨時会開催方法は、現在の規定は若干きゆうくつでございます。そこで議員から開催の要求がありまするならば、一定期間内に必ずこれを知事市町村長は招集しなければならないという制限を付して、臨時議会開催というものを合理化しようと考えておりますし、また議決機関が総辞職なり、解散なり、任期満了なりによつて更新をする場合、あるいは執行機関選挙によつて更迭をしたというような場合においても、これは当然に臨時会を開かなければならぬというようなことをあれこれ考えまして、臨時会開催方式をさらに合理化したい、かように考えておるわけであります。また議員定数の問題でございまするが、これにつきましても、要するに地方財政力あるいは現在日本の国情のもとにおける財政力をもつていたしまして、執行機関議決機関も、あるいは地方団体の構造もできるだけ簡素能率的なものにすることが適当である。こういうような考え方から地方団体の各種の機関につきまして可能な限り、いわば同艱共苦の考え方から、それぞれの機関について合理的な簡素化の形を考えて行きたい。こういうような考え方に出ているわけであります。ただしかし自主的に議員定数自治団体決定できる、こういうような考え方にいたしておるわけであります。いずれ法案の上におきまして、さらに詳しく御説明いたします。
  26. 立花敏男

    立花委員 いずれまた鈴木君が言われましたように、法案が出てから詳しくやりたいと思いますが、基本的な考え方については、やはりここでただしておきたいと思います。今言いましたように、地方の民主的な本質の根本的な地方議会、そういうような職権の可能性を開いて行く。しかもそれが財政上から主として鈴木君の説明によりますと、財政が苦しいからやはり議員定数や回数を減らした方がいいのだろうというようなお考え方ですが、財政が苦しいからそういう民主的な基本的なものを減らすということは、非常にこれは逆の行き方ではないか、財政が苦しいのはやはり地方議会がほんとうに民主的に運営されていないから、こういう財政の苦しさが起つて参るので、このときこそ地方議会をほんとうに民主的な形にし、ほんとうに地方住民のための財政が確立できるような方向に持つて行くのがいいのじやないか、財政が苦しいから地方の民主的な権限縮小するということは話が逆だと思う。この動き方の証明になります一つの同じようなケースといたしまして、やはりこの地方委員会、民主的に運営される建前になつております委員会が、やはり今度の改正で、非常に縮小あるいは廃止されておつて、これはこの形がやはり出て来ておると思うのです。たとえば教育委員会の問題、あるいは労働委員会の問題、こういうふうな今まで地方自治的な、民主的な運営にまかされており、その方向に行く可能性がありましたものを、やはり今度は非常に制限されておるという形が出ておりまして、これは議会権限縮小あるいは区長任命制の問題とからんで、やはり今度の地方自治法改正の中には、そういう地方の民主的なものを抑圧し、制限し、縮小して行くという根本的な考え方があるのじやないか、これは非常に重大な問題だと思います。それを政府では財政が苦しいからというような表面的な口実を設けておられますが、この背後にはやはり地方の民主化を喜ばない、日本の自治体が民主化されて行けばじやまになるというふうな大きな力が作用しておるのではないか。こういうふうに思わざるを得ないのであります。今度の自治法改正は明らかに地方の民主化の抑制であるというふうに考えざるを得ません。今言いましたような例から言いまして、明らかにその方向をたどつておる。しかもこれは自治法改正だけではなしに、今七つか八つかお出しになつている地方自治関係法案全般を通じて、はつきり私は言い得ることだと思うのです。これは他の法案の問題が提起されましたときに、具体的に申し上げたいと思いますが、少くとも自治法では明らかに地方自治権限縮小と言い、あるいは民主的な委員会の廃止、縮小と言い、あるいは東京に現われております区長任命制と言い、逆に中央地方に対する勧告権を持つということと言い、あわせて非常にこれはいわゆる逆のコースの尤たるものではないか、こう思いますので、これは今お聞きしますと、法案は今作成中だ、はつきりした案がない、特に区長任命制の問題も頭にはあるが、まだ法案にはできていないと岡崎さん言つておられるのですが、これはそういう過程であれば、まことに幸いだと思いますので、そういう逆コースをとらないように法案をおつくりになるように勧告しておきます。     〔委員長退席、河原委員長代理着席〕  それからそういう動き方が出て来る根本的なものが中央の機構改革の中にやはりあるのではないか。今度の中央の機構改革によりますと、自治庁あるいは地方財政委員会等が単なる総合企画庁の一セクシヨンとして吸収されて行くというようなことを承つておるのですが、中央における機構改革と自治庁あるいは地方財政委員会あるいは選挙管理委員会、こういうものとの関係岡野さんから説明していただければ幸いだと思うのであります。
  27. 岡野清豪

    岡野国務大臣 まだ中央行政機構の改革案は成案を得ておりませんのでただいま御説明申し上げる段階に至つておりません。
  28. 立花敏男

    立花委員 この問題は、やはり政府地方自治に対する根本的な態度決定する問題だと思いますので、私ども非常に関心を持つております。総理府に非常に重大な権限が集中されまして、その中にかつての総動員本部的な総合企画庁ができまして、その中の一つのセクシヨンとして財政委員会自治庁あたりが吸収されて行く。しかもその総理府の中には、予算の編成権まで委譲する云々の話がありますが、そういうふうに地方自治を確立して行く方向ではなしに、総理府の中の総動員本部的なもののセクシヨンになつて行つて、そこで地方自治決定されて行くということになりますと、まことにこれは重大な問題なので、今おわかりならないとおつしやつておられますが、これは至急ひとつ明白にしていただくことを希望しておきます。  具体的な問題に移りたいと思うのですが、私は実はきのう都庁に行つて参りましたが、都の道路、都道についての問題です。進駐軍が都の道路などを使用いたします場合、専用いたします場合、あるいはこれを廃止いたしましたりする場合に、一体どういう手続でやられるのか。都がちつともこれを知らないうちに都道がなくなつたり、都道が変更されたり、都道の交通が減らされたりしていいものかどうか。非常に具体的な問題をきのう聞いて参りましたのでお尋ねしておきたいと思うのです。この問題は前回の委員会鈴木君に特に質問いたしました行政協定と地方自治という問題と非常に大きな関連がありますので、その具体的な問題で御意見を承つておきます。
  29. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 大事な質問だと思いますけれども大臣はたまにしか御出席にならないから、大臣に対する質問だけを、他の委員諸君の希望もあるようでありますから、先にやらしていただいて、今のような事務当局の答弁の問題は、あとにまわしていただけるようなことはできないものでしようか。
  30. 河原伊三郎

    ○河原委員長代理 それでは今のだけ答弁してもらつて、そのあとはそうします。
  31. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ちよつと具体的なお話がよくわかりませんですが、軍の新たなる駐屯地の変更に伴つて、都道が減らされるということでありますか。
  32. 立花敏男

    立花委員 具体的に申しまして、この間B二九の落ちました砂川村のできごとなのですが、そこに都道が走つております。これは都の五日市の方へ抜ける道路でございまして、この幹線が走つておるわけであります。ところがそれがB二九が落ちました前後から閉鎖されました。その以前から夜は閉鎖されて、昼だけは通行を許されておつたそうですが、その以後は終日閉鎖されまして、都道が使えなくなつた。今行つてみますと、その都道が二千メートルばかりずつと迂回道路がつくられておりまして、その二千メートルばかり迂回して通らなければいかぬということになつておるわけです。この問題は非常に重要なので、都の方に聞きますと、都は全然知らないというわけです。そしてその費用は一体どうしたのだというと、もちろん費用も都からは出ておらない、村でも知らないということで、これはまつたくだれがやつたのかわからない。都の都道が知らない間に閉鎖され、知らない間に二千メートルばかり変更されておるということになると、これは重大な問題なので、今後基地ができ、区域ができ、施設ができます場合に、こういう問題が起つて参りますと、これは地方としてもたいへんだと思うのです。地方自治体が管理しております公道が、そういうような形で遮断されたり、変更されたりいたしますと、まつたく迷惑しごくな話なんで、しかも行政協定によりますと、区域ができますと、その隣接地近傍におきまして、駐屯軍はその出入する道路あるいはそういうものに関する権利、権力、権能というものを有しまして、かつてにこういうことができるような条文になつておるのですが、こういう問題をどういうふうにお考えになつておるか。都に具体的に現われておる実例なんでありまして、これは私委員会でも実地検証された方がいいんじやないかと思うのでありますが、こういう問題が続々と全国に起つて参りますとたいへんなことだと思う。具体的な例はあとでやるといたしまして、こういう問題について国務大臣はどういうふうにお考えになつておるか、どういうふうに処理されようとしているか、基本的な御意見をひとつ聞かしておいていただきたいと思います。
  33. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 今お話を承りますれば、これは不可抗力に出るもののようであります。その不可抗力に出ました処置をいかように処置するかということは、これは都道の管理権者であるところの東京知事において、それぞれ関係方面に連絡をいたして、適当な処置をされるだろうと思いますし、それはまた都知事として第一義的な責任を確実に持つておるわけでありますから、いずれどういうふうにいたしますか、具体的な問題としてこれは処置をとられることだろうと思います。
  34. 立花敏男

    立花委員 関連してちよつと。何か誤解があると思う。不可抗力とおつしやいましたが、私は時期的にB二九が落ちた前後と申しましたので、今に至るまで引続いて道路の閉鎖と変更が行われておるわけで、これを現在都が知らないということなんで、B二九が落ちたから閉鎖されたのではないわけです。この点ひとつ誤解のないように、実地検証をやつていただきたい。そういう意味で一般的な問題だということを申し上げておりますので、何か不可抗力の事件があつたために、こういうふうに閉鎖されたということを言つておるわけではありませんので、この点ひとつ御了解をしておいていただきたい。
  35. 河原伊三郎

    ○河原委員長代理 竹山君。
  36. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 私が大臣にごく簡単に伺いたいのは、実は地方財政白書の説明を伺つてから質問をするのが、順序と考えておりましたが、事務的にそういう心配が間に合いませんから、あとになることをおそれて先に伺うのですが、詳しいことを伺おうとするのじやないので、あの地方財政白書を発表された大臣のお考えからして、率直に私の感じを申せば、地方財政というものは、もう一年もこのままで持つのかという感じなんです。要するにああいうものを出されている以上は、もう部分的な修繕くらいではもたない、根本的に地方財政の問題について考えなければならぬと私は思うのでありますが、大臣はどんな感じを持つておられるか。
  37. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。これははつきり私の立場を御了解を得ておきまして、それから私の考えを申し上げます。  御承知の通りに、地方財政委員会というものは、政府の総理府の機関ではございますけれども地方財政を担当する意味におきまして、独自の立場を持つておりまして、あの報告というものは、地方財政委員会が、地方財政について、内閣並びに国会に対して報告しなければならぬ義務を持つております。そうして出したものであります。それで私もあれに干渉することもできませんし、むろん実情を実情として報告を受ける立場におります。そうしてあれを受けるということは、そういう立場から受けておるわけであります。そこでこれは私が議会に対して、地方財政委員会の代弁をすると同時に、これを担当しておるわけでありまして、その点から行きまして、過去一年半以上私は地方財政の方を見ておりますが、率直に申し上げまして、今の地方財政というものは非常にきゆうくつである。窮迫しておる。ことにこの二十六年度に至りまして、そのきゆうくつの程度が、あの報告書に書いてあります通りに、非常に極度といいますか、何とかしなければならぬという立場まで、追い込まれておると私は考えております。そこでここに到達いたしますまでに、われわれといたしましては、もう昨年、一昨年の夏あたりから平衡交付金の問題をめぐりまして、政府が何とか考えなければならぬという立場もよくわかつております。その後また地方財政を検討して行きますると、このままでは地方財政はうまく運営して行けないのじやないかということまで考えたこともございます。そこでわれわれといたしましては、地方財政の基礎をなしますところの税法を適当に改正し、同時にまた中央地方との関係上平衡交付金の問題で、財政委員会ではこれだけほしい。しかしながら国家財政としてはどうしてもこれが出せぬ、こういうようなことで、いつも私中に立ちまして非常に苦しんでおるわけでございます。これでは平衡交付金の制度も、もう少し何とか考えなければならぬじやないかかいう考えを持つております。しかし一面におきまして、御承知地方自治が終戦後いろいろ確立されたのでございますが、その間におきまして一貫した理論と方針に基いて、いろいろ自治法公務員法なり、税法なりができたわけでございます。これが時を異にしてできております。同時にまた地方事務の再配分というものも、先ほども話が出ました神戸委員会が十分検討しまして、こういうふうに地方公共団体事務を配分しなければいかぬということを勧告しております。これもまだその緒についておりません。しかしながらこの事務の再配分ということは、結局税法をつくるときに、地方の公共団体のあり方をこういうふうにするということを頭に置いて、税法ができたものでございますから、それが調査委員会議出しました報告によつて地方の公共団体のあり方というものを確定しません以上は、どんないい税法でも、これが地方の公共団体にぴつたりと合つた税法にはならない。それでわれわれといたしましては、この際地方公共団体のあり方というものをはつきりと早くきめて、同時にそれに伴つて財政の措置も十分検討し、解決しなければならぬ、こういう考えでありますから、私は独立後になりまして、この地方制度というものを十分抜本塞源的に研究し、同時にそれに伴つて財政の基礎を確立する、こういうことを考えておりまして、先般、まだ提案はいたしておりませんけれども、国会に地方制度調査会というものの設置法を提案しまして、それで皆様方の御承認を得ますれば、その地方制度調査会というものに、私がただいま申し上げましたような、すベてを一括しまして、総合的に地方制度を研究し、同時に、地方制度、地方自治が確立できるためには、どういうふうな財政状態になつて行かなければならぬかということもあわせて、制度並びに財政の面をすべて完璧なものにして行きたい、こういうような方針を持つておる次第でございます。
  38. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 いや、御趣旨はよくわかりますが、私は、問題は、政府あるいは与党を含んでと思いますけれども、この事態の認識の問題だと思う。私の地方の例を引くまでもなく、繊維工業は壊滅の状態でありまして、地方財政も何もあの報告よりも現実はもつと悪い状態、しかもポンド対策を誤まつて、ここ当分国内の景気は出やしません。そういう事態になつて来ますと、国家財政は何とかやりくりできます。しかし地方財政というものを、このまま見殺しにしておいたのでは、そんな悠長なことでは、たいへんなことになる。従つて順序、方法等はいろいろありましようけれども、私は率直に申し上げますと、政府自体の認識というものが非常に不十分だという感じを持つております。同時にもう一つつておきたいのは、平衡交付金を増す問題もわれわれはやりました。主張をいたして参りましたが、もうここまで来ると平衡交付金の若干の増額というような問題で事態の収拾はできない。もつと抜本的な、大きな地方財政のバツク・ボーンをかえなければならないと私は思う。そういう意味において義務教育費の国庫負担というような問題も、今までの平衡交付金の中のわくのとり合いというような感じは、私は非常に末梢的だと思う。ですからこういう財政の大きな仕組みかえをするお考えがあるのかどうか、要するに私から見れば附加価値税をあのままやらされたらば、たとえば材木のごときはただになつちやうということで、われわれは政府にもしばしば申入れをして、また一年延ばしましたけれども、この間一年この事態というものを、ゆつくりと見過して済むというような悠長な事態でない。従つて独立にあたつて少くとも根本的な地方財政のやり方の仕組みかえをしなければならない、私らはそう思うのであります。それに対して現在の状況においてでも、大臣のお考えの一端でもけつこうですが、伺えれば幸いだと思います。
  39. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お説はしごくごもつともでございまして、私も同感でございます。ただこの間出ました地方財政委員会の報告と申しますのは、二十六年度の財政を報告したものでありまして、あれは一番悪い時期の状況示したものであります。ただ二十七年度の地方財政の予算としましては、ただいま私といたしまして大体来年度は二十六年度の赤字は抜きにしまして、二十七年度だけを見ますればどうにかつじつまが合つた財政計画ができておりますから、これで私は幾らか安心しておるわけであります。しかしながらお説のように財界の情勢もかわつて来ますし、また地方のあり方も大分かわつて来ておりますし、赤字がかさんでおるという現状におきましては悠長には考えておられない、これもお説力通りでございますから、悠長ではございません。十分急いで研究をいたしておるわけでございますが、この問題は、大きな声では申せませんけれども、今まではいろいろな制約がございまして、われわれがこうしよう、ああしようと思いましても、そう思う通りに参りません。でございますからもう少し自由がきくようになれば即座にいたして行きたい、こう考えております。
  40. 大矢省三

    ○大矢委員 この機会に私はぜひ大臣にただしておきたいと思いますが、最近いろいろ法案を通じあるいは勧告を通じまして、どうも日本の民主化が逆行しつつある、逆コースをたどりつつあると思う。そこでこの与えられた日本の民主化というものを完全に運営し、これを持続するためには、容易ならざる努力とある一定の期間を要することは申すまでもないのであります。そこで今日まで政府はいろいろなことを行つて来た、それは今大臣のおつしやる通り、地方税法あるいは幾多の改革が行われて参りましたが、それをまた最近は逆に、いわゆる従来の中央集権的な、もつと悪い言葉で言うと独裁的な方向に進みつつある。それは先ほど来立花君も言われたように、幾多の実例を見てもそうであります。こういうふうないわゆる事務簡素化能率化という言葉によつて、だんだんと簡単にするということは、民主化の手続は複雑であるから、勢い従来の方向に持つて行こうという考え方であります。私が具体的に大臣に聞きたいことは、せんだつて政務官に聞きますと、五大都市の大きな区に対しての選挙管理委員会を廃止するということ、一例をあげますと、大阪市のごときは百八十万円の節約になるからぜひ廃止したい、一体財政が許さぬからということで、せつかく地方議会の基盤といいますか、その基礎をなすべき議会政治に対して、公平に扱うべき選挙管理委員会を廃する、人口十七、八万、二十万近い区の選挙管理委員会を廃して、一体どういうふうにして選挙をやろうとするのか、私ちよつと想像もつかない、そういうことは今まだきまつてないという答弁がせんだつてあつたのですが、これは必ずや選管から地方自治庁なり大臣に対して相談があつたはずです。これを廃するか廃せないかということの決定がなされておる、そういうことについての相談があつたのか、しかも財政上廃するというなら、これからなんぼでもしなければならぬが、先ほど大臣が言うように、日本の地方財政というものは画一的であつて、今試みにやつたのだというように、いろいろな白書を出すほどに欠点が多い。でありますから、そういう財政面が許さぬからといつて、ただちにこういうふうなせつかく民主化のために設けられた委員会を廃止して、中央集権的なごく少数の者によつてなそうとする考え方であつてはならぬ。財政上何らかの口実でカバーいたしましても、こういう制度は残すべきものだというならば残す。あるいは先ほど申すように、全体をにらみ合せて根本的に改正すべきだというならば、地方制度調査会といいますか、そういうものを設けてそれに検討を加えるというならば、その検討の結果を待つても遅くはない、なぜこういうことだけをそう急いでやろうとするのか。どうも最近のいろいろなできごと、考え方の基礎にそういう方針があるのではないかということを、私ども憂慮するのであります。具体的な問題として事務簡素化あるいは能率化という言葉によつて、従来の中央の命令一本で行き、あるいはまた府県が中心となつて自治体監督するというようないわゆる監督政治に返るのではないかということをわれわれはおそれる。全体を通じての大臣方針は、せつかく民主化したものを、また元にした方がよいのだという考え方が国民の中にも相当あると思う、それを得たり賢しとしてやるのか、困難ではあるが、日本の民主化のためには、どうしてもこれをやらなければならぬというのか。私どもは高い代価を払つて敗戦の結果、日本の民主化を施行されたのでありますから、われわれはどうしてもいかなる努力を払つても、これはなし遂げなければならぬと思います。最近ややもするとそういう傾向が多いのであります。これは特にこの機会に大臣から先ほどの具体的な問題とあわせて根本方針、それから調査会にこれをゆだねる必要がないかということを、この際にお聞きしておきたいと思います。
  41. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。私は事務簡素化をするために、地方行政簡素化本部というものをつくつて、簡素にしております。しかしその方針としては、民主化というものをはばむとか、もしくはこれを中央集権的の方に持つて行くということは、これは私がいつも非常におそれておることでありまして、私は御承知の通りに、地方自治の方を担当しておりますもので、自治ますます確立し、同時に地方団体の自主性を増して行くという方面には、根本精神として取扱つて来ておるわけであります。でございますから、簡素の中にはいろいろございましよう。住民にいろいろな迷惑をかけるとか、先般も話が出まして、一つの許可認可を得るためには、判を十も十五も押さなければ通らぬということは、どんどんやめてしまつて、もう少し簡素にする、同時に責任を明らかにして行つたらよい。これは住民に対する地方行政の民主化のあり方だと思います。そういう意味で簡素にしておるわけでありまして、中央集権にして行こうとか、もしくは民主化をこわして、せつかくできた民主化をまた元の中央集権の政治に直すということには、むしろ反対意見を持つて事に当つておる次第でございます。選挙管理委員会のことは私よく存じておりませんから、事務当局からお答えいたさせます。
  42. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 五大都市の区の選挙管理委員会の問題でありますが、これも目下法案の立案中でありますが、全国選挙管理委員会とも御相談をいたし、同委員会におきまして、これは五大市の区は市の行政区であつて、市の選挙管理委員会が全責任をもつて全市全体の選挙に対する管理をするならば、何もあえて各区ごとに選挙管理委員会を重複して置く必要はないであろう、こういうふうに決定をせられておりますので、私どもの方におきましても、そういう考え方はけつこうである、こういうような考え方で区の選挙管理委員会は廃止したい、かたがた行政簡素化をはかりたい、こういうことで今研究中でございます。
  43. 大矢省三

    ○大矢委員 過日来全国の町村長会議において、また全国の市の議長会議において、地方自治のあり方についてのいろいろな今度の改正に伴う施行において、どうも府県監督があまりにも強過ぎる、ほんとうの日本の自治体のあり方というものは、市町村を基礎にして、そこに発達しなければならぬということを言つて、あらゆる決議行つております。これは先ほど大臣住民意思を一番尊重し、その上に立てられたのが民主主義だと言われましたが、私もまつたくその通りだと思います。そこでその自治体の基礎というものは府県が中心か、あるいは市町村が基礎になつておるのか、このものの考え方があらゆる部面にわたつて来ると思う。地方財政改正にしてもそうだと思う。地方財政改正は画一的になされたのでありまして、大阪府のごときは三十数億円の黒字を出しておる。そうかと思うと、逆に市の方はそれだけ三十数億円の赤字を出しておる。これは府政なり市政の上に、もし欠陥があれば別ですが、この地方自治の基礎を一体どこに置かれておるのか、府県なりあるいは市町村いずれも同一だというならば、これは私はほんとうの民主主義のあり方ではないと思う。私は最近こういうことを考え、またぜひそうなければならぬと考えていますが、市町村自治体の基礎でありますならば、府県市町村の連絡、あるいはまた一町村の及ばないところを府県がやる。昔は別でありますが、最近は非常に交通、通信その他が完成いたしまして、飛行機で大阪から約一時間半あれば東京へ着くようになつておる。あるいはまたすぐ世界のことが電話で来るようになつておるから、これは前の府県のあり方と最近の府県のあり方とは根本的に考え直し、また再編成すべき必要があるのではないかと思う。府県は、道路とか河川とか、あるいは治水治山、そういうものについてだけ、あるいはまた調査、前の内務省の出張所と申しますか、最近農林省の出先がありますが、ああいう一つ調査、あるいはまた一市町村でできないことを府県がやつて、ほんとうは市町村が土台となつてみずからの実力、くふうによつてみずからの住んでおるところをよくして行くということが、自治精神であると思う。今は平衡交付金というものは、全部府から監督を受けて、全部府がやつておる。税金もその通り。地方制度を改正するというならば、まず市町村の税法を確立するならばこんなことは起らぬと思う。金が余つたところは、知事選挙市町村が引きずりまわされたりするような、こういう町村というものは、いつまでたつて府県の犠牲になる。どんなに改正してもそこは三重行政になるから、そういうことでは私はほんとうの自治というものは確立しないと思う。この府県のあり方——一体民主主義地方自治体とは、市町村を言うのか府県も同一に扱うのか、この根本方針はこれから将来も大きな影響がありますから、この点をひとつぜひこの機会に——考え方でありますが、なかなかこういうことは簡単にできないでしようが、もし今度の地方行政調査会の設置ができまして、それらのような根本的な問題をも検討する御意思があるのか、今のままの税制あるいはその他事務関係で研究するのかどうか、これは大臣個人の御判断でもいいが、政府方針ならばなおけつこうですが、そういうこともあわせて、これは根本方針の問題ですから、この点はひとつ大臣からお伺いしておきたいと思います。
  44. 岡野清豪

    岡野国務大臣 まず第一に申し上げたいことは、私は市町村地方自治団体の根幹にしたいという考えであります。これは個人の考えでございますが、その方向で行きたいと思います。  それからお説の通りに、今の府県のあり方は相当検討を要する、これは同感でございます。でございますから、その点におきましては、私は地方制度調査会にかけて、皆さんの御審議を願いたい、こう考えております。
  45. 大矢省三

    ○大矢委員 これは簡単ですから鈴木さんに最後に御質問いたします。石巻市長のとつた態度ですが、私どものところにたくさん陳情が来ております。土木部長を解任した、それを公平委員会に異議を申し立てて、そうしてそれは市長が公平でない、取扱いに無理があるということで取消しが、やられたが、その五時間の後にまた首を切つておる。それで今市会で問題になりまして、どうも市長のやり方はよくない、よし不信任だ、解散しろというので解散して今選挙をやつておる。私どもは公平委員会は民主的な機関であつて、十分調査して決定したと思いますが、その決定の五時間後に、そういう乱暴なことをやるような市長についてどんな調査行つておられるか。それから地方公務員がほんとうに身を挺して自治体のために尽そう、こういう場合に、市長が公平委員会できまつたことに対して、こういう取扱いをするということについて、これは市長にも理由があろうと思いますから、私はこの際委員長にぜひお願いしたいのですが、最も近い機会において市長なりその他の関係者に来てもらつて、その真相を私は聞きたい。そこで今度理事会にそういうことを諮つていただくように委員長に私からお願いしたい。それから鈴木さんに今どれほど調査されて、どういう結果になつておるかということを聞きたいと思います。
  46. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 今の石巻の問題につきましては、先般もお話がございまして、ただいま照会調査中でございます。できるだけ早い機会に資料を整えまして御報告を申し上げたいと思います。今ここで具体的に申し上げるまでに至つておりませんから、次の機会まで延ばしていただきたいと思います。
  47. 門司亮

    ○門司委員 一つだけ聞いておきたいのですが、この資料の普通地方公共団体に関する事項の(三)に書いてございます「市町村の規模の適正化をはかるため、都道府県知事は、市町村の廃置分合又は境界変更の計画をたて、関係市町村勧告することができるものとすること。」こういうことが書いてありますが、これは非常に大きな問題です。これは明らかに自治権の大きな侵害になる危険性を持つておると思います。知事市町村の合併を計画して、それを勧告するということなのですが、これは勧告権の強弱にもよるでしようけれども、当局は一体どうお考えになつてこういうことをされておるか。もちろん地方自治体の適正規模の問題は、非常に大きな問題でありまして、われわれは何らかの形で行わなければならぬと考えておりますが、しかし知事市町村の計画を立てて勧告するということになりますと、住民意思がかなり曲げられた勧告が行われる危険性を持つておると思いますが、こういうことこそ、自治体相互の間で十分理解と納得の上で、合併が行われるということが必要だと思うのです。この点について一体当局はどういうふうにお考えになつておるか、勧告権の力というものがどのくらいあるのか御説明つておきたい。
  48. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 要綱に出ておりますことは非常に骨子だけでございまするので、いろいろ御疑問がありまのはごもつともと思いますが、目下法案の内容として考えておりますることを概略申し上げてみたいと思います。地方行政調査委員会議勧告には御承知のごとく合併を大いに勧奨するという方式が示されておるわけでありますが、これをいかなる形で実現に移して行くかということに、非常に問題があろうと思うのであります。全国の町村関係の団体等におきましては、相当思い切つて、たとえば明治の時代におきまして行われました町村合併と同じくらいの決意をもつて、これをやらなければならぬという決意をしておる団体もあるようでありますが、まあ法案の上で考えておりますのは、まず何と申しましても合併に直接関係する市町村の意向を聞くということが絶対必要であります。そういう意味で、合併せられる計画の中に入る市町村意見を第一に聞くということが一つございます。それからさらに法律上の手続として、具体的な合併の処分は知事議会議決を経てやらなければならぬということになつておりますから、都道府県議会の意向を聞くということも、一つの要件にいたしたいと思つております。ことに合併の対象になりますのは町村でございますが、県単位の市町村の団体等の意向もやはり聴取したい。そのほかに真に第三者的な立場からのいわゆる学識経験者の意見も聞くようにいたしまして、そういう意見を聞いて知事一つの合併計画をつくり、それを都道府県勧告をいたしまするとともに、反面中央にもその計画を報告をしてもらいまして、中央といたしましてはその報告を受けますれば、その計画ができるだけ実現しやすいように、政府の各省の政策全体を通じて、合併に対して推進して行くような措置を講じなければならない、こういうことを法律の中に書き加えて、政府としても全面的にこれに協力するというような形にしたらどうかと考えておる次第であります。
  49. 門司亮

    ○門司委員 やはり地方知事が計画を立てるという考え方は、あまりよくないと思うのです。法律はどうなつているかわかりませんが、この要綱だけを見ますと、いかにも知事の自由意思で計画が立てられる、そうして町村に合併が勧告されるということなのです。この問題はいずれ法律が出てから、法律の内容についてもう少し議論したいと思いますが、私どもはこういう知事に特権を与えるようなことはしてはならないと考えます。もう一つつつ込んで聞いておきたいと思いますが、日本の地方団体の規模の適正の問題は市町村ばかりではありませんで、都道府県にも及ぼすべきだと考えておりますが、都道府県の問題については、今政府はどういうふうにお考えになつておりますか。
  50. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 都道府県の規模の合理化につきましても、地方行政調査委員会議には一応の勧告案がございまするが、これはああいう一定の人口何万というような都道府県の標準的な規模を想定いたしまして、市町村の場合の合併と同じような考え方で、府県の合併をはかるということにつきましては、やはり相当まだ検討する余地があろうと思うのであります。先ほど大臣の御答弁にもございましたごとく、府県の性格というような問題とも関連をいたしまするし、府県の区域としていかなる単位をとるかということについては、もつと広い見地から検討する必要があると考えておりまして、これは地方制度調査会というものが、もし将来設置を許されまするならば、そういうところで検討を加えて行くべき問題ではないか、かように考えておる次第でありまして、今回はこの問題に触れていないのであります。
  51. 門司亮

    ○門司委員 もう一つ聞いておきたいと思います。そうすると当局の意見は、今度はそういうことは考えていないということになつておりますが、この地方制度調査会というものができれば、それで検討して行くというのなら、私は、それのできたあとでいわゆる適正規模の問題を総合して考えて行くべきだと思う。市町村だけが、しかも県知事勧告してするということになると、まつたく県知事は何の権限を持つて地方の公共団体にこういうことをするかということになる。ことに区域の境界の変更ということは、自治体においては最も大きな問題であり、そう簡単に片づけられる筋合いのものではない。従つて、こういうものが知事の一方的の意見で計画が立てられ、しかも勧告をせられると、その勧告権がどの程度かということが、はつきりわかつておりませんから、自治体の持つておりまする機能というものは、このことで非常に大きな制約を受ける危険性がありはしないかと思います。たとえば、もし政策的にこういうものが行われるということになつて参りますると、これは問題を起すのであります。御承知のように市町村は現在でも分離問題、あるいは合併問題等非常に大きな問題を計画しているところがたくさんあるのであります。しかも知事が一方的にこういう計画を立て、政策的にこういうことが行われるということになると、今の紛争に知事がもう一つその中に入つて来るという形になり、抜き差しができないということになりはしないかと思いますが、こういうことを当局は考えておるかどうか。たとえばその実例を申し上げますと、この間の埼玉県の飯能の元加治事件、ああいうものは非常に大きな問題でありますが、ああいう問題の中に知事が入つて行くというようなことができはしないかと私は思う。それからもう一つは、こういうことが悪いといつて、たとえば戦争中に合併をしいられたものについては、これの分離ができる法律をこしらえて、そうして、自由意思でなくて合併したものは、自由の意思でこれを分離することができるような法律さえこしらえて、これは無理をして合併をしたのだからそれがいけないというので、ああいうような法律をこしらえたのであります。ところが、あの法律によりましても、適正規模の問題から考えれば、必ずしも全部が全部間違つておつたとは思わない。住民意思というものを非常に尊重して、戦時中に無理に合併さしたものについては、住民の自由意思で再び分離することができるような法律もこしらえて、今度は逆に知事勧告してやることができるということになりますと、戦時中の法律とそうかわらないようなものができはしないかと思う。そういう危険性がこの中に含まれていると思うがどうか。
  52. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 知事が合併の計画を立てまして、それを勧告するということは、まず第一の考え方として、これは任意にしているわけであります。強制的に合併計画をつくつてやるとか、必ず合併計画をつくらなければならぬということは考えておりません。従つて知事が公選されておりまする民選知事という立場からいたしまして、町村の合併については、むしろ非常に消極的にかつ慎重になるだろうと思いますが、しかし今の法律上の地位といたしましては、合併の具体的の処分権を持つておりまする者が、都道府県知事であります。都道府県知事がそのような合併の第一次責任者でございまするので、そういう責任を持つておりまする者が一応計画をつくる、こういう建前をとつておりまするけれども、これは先ほども申し上げましたように、この都道府県議会の意向をもちろん徴さなければならないようにいたしておりまするし、また関係市町村意見は、もちろんこれを徴すべきようにもいたしております。また県の町村会でございまするとか、その他学識経験者の意見も、これを聞くことを絶対の要件にして計画をつくるようにしたいと考えておるのであります。しかもこの計画がかりにできまして勧告せられましても、これはまつたく勧告でありまして、何ら相手方の市町村に対しましては強制力のあるものではないのであります。またおそらく関係市町村府県議会も、みなが一致したものでなければ合併の計画というものは、なかなか実現しがたいものであると思います。従つてでき上るものはみなの納得できるようなものになるであろうと考えまするし、もしみなが納得できないような場合におきましては、計画そのものが成り立たないのじやないかというふうに考えておる次第であります。
  53. 門司亮

    ○門司委員 説明を聞いていると、ますますおかしくなるのでありますが、自治庁がよくそういうことを了承しておいて、そうして要するに最後の執行権といいまするか、それを知事が持つて、それからさらに行政権まで持たしてしまうと、知事はわがままするにきまつておる。今の鈴木さんのお話だと非常にスムーズに行くようでありますが、実際執行権を持つておる知事にさらに行政権を与えて、これに勧告させるということになれば、結果はどうなるかということであります。たまたま知事が計画を立てた合併が困難になつた場合には、知事勧告が入れられなかつたというような感情から来る問題が必ず起つて来て、たとえば三つの市町村の合併を知事は計画した。ところが地元は三つの合併はいやだ、二つに合併したというときには、知事はどういう態度をとるかということが、この問題にからんで来る。ことに市町村長が公選でありますから、やはり市町村長の立場を考えなければならない。知事執行権を持つておるのに、さらに行政権を与えて、行政権と執行権と両方握らせるようにすれば、間違いの起る大きな原因になると思います。同時に何といつても問題は中央集権が非常に強くなつて来て、現在知事が最後の決定権を持つておると言われておりますけれども、これは一つの手続上の問題であつて市町村が合併した場合に、どこがこれを承認するかといえば、おそらく都道府県議会がそれを議決するのを知事が承認するという形をとつておるのが法律の精神だと思う。本来いうならば、自治をそのまま尊重して行けば、相手方が合併することがいいと思つて、自主的にきめたものについては、私は単なる届出程度で、現在の段階ではいいのではないかと思う。法律自身が古いのではないか。知事に査定権を与えたときには、地元の意見と相反する結果を見るような場合ができはしないか。そういう古い考え方の上に立つて、それをなお強行しようという行き方はどうかと思う。当局はトラブルが起らないという確信がおありになるかどうか。もう一つは、さつき申し上げましたように、地方の公共団体の自主性は、やはり市町村に単位を置かなければならないと思う。一体当局は、市町村行政の単位としようとするのか、あるいは府県制を中心とした地方行政を行おうとされるのか、その点をお聞きします。
  54. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 今回の地方自治法改正の骨子といたしまして、地方団体自治の基礎をいずれに置くかという点について最初に申し上げますと、これは先ほど来大臣が申し上げておりまするように、あくまでも市町村を基盤にしておるわけであります。市町村にこそ完全なる自治体というものがある。自治の本旨がそこに一番濃厚に現われていると考えておるわけでございます。そのためには調査委員会議勧告にもありますように、町村の基盤をやはり強固にして行かなければなりません。そのために合併をできるだけ実現しやすいような状態に置かなければいけないというところから出発いたして考えておるのでございます。合併をいたしますことは、結局一つの縁結びであるわけでありまして、だれかが世話人にならなければ、なかなかうまく行かぬわけであります。そういう意味都道府県知事に世話人の地位を与えようというのが、今の法律案考えておる考え方でございまして、決定権限をもつてこれに臨むというような考え方では全然ないわけであります。そういう考え方からいたしまして、先般来地方団体の代表者の人たちとも、いろいろ御相談をいたしまして、大体こういうような方針ならばよかろう、こういう了承を得ておるような次第であります。
  55. 河原伊三郎

    ○河原委員長代理 門司さん、ちよつとだけというのであなたに許したのです。大泉さんが先にあるのですから、その辺をくんで簡単にやつてください。
  56. 門司亮

    ○門司委員 問題は市町村をやはり自治の基本といいますか単位にする、そうして行うということになりますと、自治体意見知事の計画によつて曲げられるようなことがあると思う。同時にそうなつて参りますと、地方自治体についての合併問題は、知事の最終的の決定というものをとつてのけて、むしろ知事勧告することができるというのなら、知事勧告をさせて、合併したものは届出だけでいいのではないか。要するに執行権の上にさらに行政権を持つて来るという形にすることは、非常に無理ができる原因をつくることになるのではないか。市町村自治の基本単位とするのならば、今のお話のように世話人は世話をするが、その世話によつて合併したものは、自主的に届出だけでいい、これを知事が認可するという権限をとつてのければ、無理はできないと思う。今の当局のお考えよりも、そうすることの方がいいと考えるのですが、この点に対する御意見を承りたいと思います。
  57. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 現在の合併の手続は、門司さんも御承知の通り知事関係の町村の申請に基きまして、都道府県議会議決を経てやることになつておりまして、都道府県議会議決が、実質的には合併の最終決定の形になつておるわけであります。都道府県議会は、その県内の各方面の代表の人が集まつておるわけでありますから、関係市町村の具体的の希望と、県下全体の町村をにらみ合せての見地からの都道府県議会議決、この二つが相まつて実現することになつておるわけでありまして、結局知事は一応意思をきめて議会に提案をいたしまするけれども決定議会がやる、こういう形であります。従いまして、実際の問題としては御心配はないのではないか。戦前のような状態におきまして、知事が一方的に内務大臣の許可を得て合併をすることができるということになつておりますと、そこに非常に問題があるわけでありますが、単に議会意見を徴するだけでは問題がありますが、府県議会が最終的の議決権を持つておるわけでありますから、御心配になるような結果には相ならないと思つております。
  58. 河原伊三郎

    ○河原委員長代理 大泉寛三君。
  59. 大泉寛三

    ○大泉委員 私の聞かんとするところは、門司さんからたいへん詳しく聞かれたので、私はその点非常に感謝しております。ただ昨日も大臣から地方自治の発展は、市町村を完全自治体方向に持つて行くのだというお言葉がありましたし、また鈴木さんもそういうようにおつしやつておられてけつこうでありますが、何か法案を出されるたびに政府がめんどうくさがつて府県にばかり権限を委譲して行く傾向がはつきりわかるのであります。政府としては二万何千もある市町村に対して、一々相手になつておつたのではたいへんだから、なるたけ府県にこれを代弁させた方が都合がいいのだろうけれども、おつしやる通りの方向に持つて行くというのならば、むしろ政府権限府県に委譲するということでなく、地方々々によつていろいろ違いましようけれども市町村政府から直接あるいはまた府県の持つておる許可認可権で、市町村で完全に誤りなくできるようなものは、市町村に委譲するような方向へ持つて行かなければならないと思うのです。そこで現在府県が持つておるあらゆる認可許可権で、市町村ででき得るものは委譲する意思があるかどうか、また政府から府県に委譲する権限を、市町村に直接委譲するお考えがあるかどうかということをお伺いいたします。
  60. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ただいま仰せになりましたことにつきましてはしごく御同感でございます。中央政府の持つておりまする権限を、でき得まするならば、市町村まで委譲して行く。また府県のいろいろ持つておりまする権限を可及的に市町村に委譲して行く。こういう根本方針行政簡素化というものは考えて行かなければならぬというふうに考えておるのでございます。ただこの許可認可という問題は、地方自治法の問題といいまするよりも、いわば自治の実際の作用の問題、行政の働きの問題でございまして、これはそれぞれ各省の所管をしておりまする各種の法律関係のある問題でございます。これをできるだけ政府としては、市町村なり、あるいは市町村まではどうしても行かぬというものは、府県なりに委譲するようにしたいということで、方針をきめまして、それぞれ今各省において検討中でございます。
  61. 大泉寛三

    ○大泉委員 やはり何といつても権力を持つているものが、財政権までも指示慫慂するということも、結局許可認可権という具的体な一つの力がものを言う場合が多いのであります。それでありますから、なるたけ支障のない限りは、そういう方向に持つて行つてもらいたい、こういうふうに私は希望しておきます。そこでちよつと誤られるといけませんから申し上げますが、今東京都の特別区に対して、いろいろ区会議員等あるいは有志等を中心として運動されておりますけれども、私どもはいまだ区民みずからの、この区を行政区にしてもらいたいという意見は、あまり聞かないのであります。どうも区会の当事者あるいは区政の当事者が運動をしておるように見受けられまして、私は各種の区民の立場からの声を聞いていないのであります。政府としても、東京都は日本全体の首都であるという立場から、ただちに東京都民あるいは区民の要望からばかりは考察しないだろうと私は思いますけれども、何といつても都が自治体である以上、あるいは区が自治体としてある以上は、区民の声をまずまつ先に聞かなければならない。そこで政府はどんな考えをもつてこれに臨んでおられるかということを聞いておきたいのです。今関係の有志が大会をもよおしておられるということでありまして、この地方行政委員会として無関心でもいられませんから、解決策とかあるいはまた結論というような意味でなく、現在政府がとられている態度というものを聞いておきたいと思います。
  62. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 地方自治法の立案にあたりましては、もちろんただいま仰せになりましたような、関係地方団体の中心の意向というものを、可能なる限り、適当なる方法によつて発表しなければならぬと思つておりますが、ただ意向と申しましても、全体としての意向というものが一つにまとまつて表明されるということは、なかなか困難であります。従つてそれぞれのいろんな会合等において出て参りました意見というようなものは、できるだけ傾聴いたさなければならぬと存じますが、なお同時に今日までの状況においては、地方行政調査委員会議勧告というものが、最も貴重な努力をしてつくられました勧告であるわけでありまして、そういう勧告というものを、立案の一つの有力なる基礎として考えておるわけでございますが、それを同時に地方自治庁に付置されておりますところの、全国の地方団体の代表者で構成しておる地方自治委員会議にかけまして、そこで十分意向を承りまして立案を最終的にきめる、そうしてさらにそれを政府は閣議で決定して提案するという手続にいたしておる次第であります。
  63. 大泉寛三

    ○大泉委員 それはそうでありますけれども、先ほども申し上げた通り、どうも区会議員あるいは区長、区に関係の深い方々が運動の急先鋒になつておられる。いわゆる当事者が運動者であるということはもちろん区民の代表だから、また信頼されて区会議員に選ばれたんだから、その人の意見というものは、そのまま区民を代表しておるという形になつているのでしようけれども、実体はそうじやない。いわゆるその人に信頼があるから、区会議員なり区長なりになつた。区民の要望する考え方というものはおのずから別であるということを、まず念頭に置いて考えなければならぬ。区民はあくまでも税金を安くして、サービスがよくなればいいわけです。どうも議員なり区長なりというものは、自分の職務の権限とか、あるいは面目、あるいは自己の力というようなものを伸張したいという考え方から動きやすいと思う。あくまでも区民、住民の福利増進、税金を安くしてやるというような方向にまず努力しなければならぬと思う。もう一つは、東京都は他の都市と違つて、いわゆる帝都である。日本全体の自治体のあらゆる力を集めたところの、経済活動、政治その他一切のものを集めて成り立つた中央都市であります。こういう見地から東京都の問題はやはり考えなければならないと思う。ただ昔からのしきたりがどうとか、自治権が発展してこうなつたのだとかいうようなことでなく、現在の日本全体の力から、あるいは市民の構成、あるいは経済活動の構成から、実際を検討してこれに当らなければならないと私は思う政府においては、どうかそうした考え方から、これを慎重に検討していただきたいということを希望しておきます。御返事はいりません。
  64. 河原伊三郎

    ○河原委員長代理 本日はこれにて散会いたします。  次会は公報をもつてお知らせいたします。     午後一時八分散会