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1952-02-26 第13回国会 衆議院 地方行政委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年二月二十六日(火曜日)     午前十一時四十三分開議  出席委員    委員長 金光 義邦君    理事 大泉 寛三君 理事 河原伊三郎君    理事 野村專太郎君 理事 床次 徳二君       小玉 治行君    佐藤 親弘君       前尾繁三郎君    吉田吉太郎君       藤田 義光君    大矢 省三君       立花 敏男君    八百板 正君       大石ヨシエ君  出席国務大臣         国 務 大 臣 岡野 清豪君  出席政府委員         総理府事務官         (全国選挙管理         委員会事務局         長)      吉岡 惠一君         国家地方警察本         部長官     斎藤  昇君         総理府事務官         (地方財政委員         会事務局長)  荻田  保君  委員外出席者         專  門  員 有松  昇君         專  門  員 長橋 茂男君     ――――――――――――― 二月二十二日  委員八百板正辞任につき、その補欠として福  田昌子君が議長指名委員に選任された。 同月二十六日  委員福田昌子辞任につき、その補欠として八  百板正君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 二月二十三日  大須賀町に特殊飲食店街設置反対請願(前田  榮之助君外一名紹介)(第八六六号)  乘合自動車税軽減に関する請願大森玉木君紹  介)(第八八五号)  理容、美容業者に対する特別所得税軽減請願  (野村專太郎紹介)(第八八六号)  地方財政平衡交付金法の一部改正に関する請願  (中山マサ紹介)(第九〇九号) の審査を本委員会に付託された。 同月二十一日  機関委任事務に要する費用全額補助交付に関す  る陳情書(  第五七二号)  地方議会制度改革反対に関する陳情書  (第五七三号)  自治体警察及び自治体消防職員退職手当に関  する陳情書  (第五七四号)  昭和二十六年度地方財政赤字補てん対策に関  する陳情書  (第五七五号)  地方税財政確立強化に関する陳情書  (第五七六号)  地方自治確立に関する陳情書  (第五七七号)  地方公務員給與ベース改訂に対する財源措置  の陳情書(  第五七八号)  特別市制反対に関する陳情書  (第五七九  号)  同  (第五八〇号)  特別区の組織及び運営に関する陳情書  (第五八一号)  平衡交付金増額並びに地方起債のわくの拡大  に関する陳情書外一件  (第五八二号)  入場税軽減に関する陳情書  (第五八三号)  遊興飲食税軽減に関する陳情書  (第五八四  号)  自動車税増額反対に関する陳情書  (第五八五号)  証券取引業附加価値税課税の対象とせざるこ  との陳情書  (第五八六号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する  件に基く全国選挙管理委員会関係命令廃止  に関する法律案内閣提出第七号)  ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する  件に基く警察関係命令措置に関する法律案(  内閣提出第八号)  警察に関する件     ―――――――――――――
  2. 金光義邦

    金光委員長 これより開会いたします。  ポツダム宣言受諾に偉い発する命令に関する件に基く全国選挙管理委員会関係命令廃止に関する法律案議題といたします。本案に対しましては前会において質疑を終了いたしておりますので、これより討論採決を行いたいと思いますが、本案につきましては討論を省略して、ただちに採決をいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 金光義邦

    金光委員長 御異議なしと認め、討論を省略してただちに採決することに決しました。  これより採決いたします。本案賛成諸君の御起立を願います。     〔総員起立
  4. 金光義邦

    金光委員長 起立総員、よつて本案原案の通り可決されました。     —————————————
  5. 金光義邦

    金光委員長 次にポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く警察関係命令措置に関する法律案議題といたします。本案につきましても前会において質疑を終了しておりますので、これより討論採決を行いたいと思います。  これより討論に入ります。河原伊三郎君。
  6. 河原伊三郎

    河原委員 私は自由党を代表して賛成討論を行わんとするものであります。  ただいま議題となつております法案につきましては、先般来の当委員会において詳細なる質疑応答が盡され、その応答によりまして当局が実情に沿う適正なる運営をなす方針を明らかにいたしたのでありまして、私どもはこの当局方針を了といたし、本案賛成するものであります。
  7. 金光義邦

  8. 床次徳二

    床次委員 私は改進党を代表いたしまして、本案賛成するものであります。  しかしながらただいまお述べになりましたが、本案運用に関しては愼重なる留意を要するのであります。すでに占領行政以後事態はまつたく一変しておるのでありますが、今日の治安状況から見ますと、本令のごときものがあることは確かに必要と認められるのであります。しかしながらその運用の問題、特に刀剣類に関しましては、わが国の現状から申して家庭ときわめて密接なる関係を持つておるのでありますから、この取締りに関しては当局としても十分意を盡されんことを望む次第であります。この点爾後の推移に伴いまして、すでに従来とは大分取扱いもかわつて来ておるように見受けられ、この点は非常にけつこうでありますが、今後とも特に御留意いただきまして、しかも半面において不当に銃砲刀劍等を所持する者ができて、このために治安を乱すことがないように、この点は運用の上において十分に御留意あらんことを要望して、賛成意見を述べるものであります。
  9. 金光義邦

  10. 大矢省三

    大矢委員 私は社会党を代表いたしまして、警告付でこれに賛成の意を表したいと思います。  一体ポツダム宣言等この種の命令によつてできた法律案というものは、日本が独立して自由の立場に立つて、初めで新しい法案を制定すべきであつて、この命令によつて発した法案をそのまま継承するということの原則に立つことは私どもとしては反対立場をとつております。しかしながらこの内容から行きますと、日本治安の上からして当然必要でありまするが、先ほど床次氏も言われたように、この内容運営について、相当行き過ぎの感が今日まであつたことは、これは警察当局も認めておるところであります。現に十五センチ、四寸五分以上の刀劍と誓いてありますが、刀劍に等しい、あるいは類似なものについても神経過敏に取締つておるために、二万数千人の犯罪者を出したということは、はなはだ遺憾であります。そこでこの運営にあたつては特に留意されて、万全を期してもらいたいということを強く希望いたしまして、本案賛成意思を表明いたします。
  11. 金光義邦

  12. 立花敏男

    立花委員 共産党反対であります。  一国の政治が反動的である限り、その国の支配階級が最も恐ろしいのは、その国の国民武器を持つということだと思う。進駐軍がやつて参りまして、まず第一に軍隊武裝解除いたしました。これはある意味でやむを得ないかと思いますが、同時に進駐軍国民武裝解除したのであります。おそらくほんとう意味の民主的な軍隊すなわち解放軍的な性格を持つものであれば、私は国民武裝解除しなかつただろうと思いますが、遺憾ながら国民武裝も同時に解除された。その後情勢の変化がありますが、日本の国を民主化するということになつて参りますと、当然政治が民主的に行われまして、国民政府に対する信頼もあり、また逆に政府国民に対する信頼もあつて国民武裝解除というようなことは、問題にならないと思うのですが、遺憾ながら現在では占領下国民武裝解除に対する政令が再び法律として存続されようとしている。ここに大きな問題があるだろうと思うのです。しかも一方におきましては進駐軍がやつて参りまして、武裝解除いたしました軍隊が再び復活されまして、堂堂たる軍隊ができ上りつつあるのでありますが、国民に対する武裝解除の方は依然として存続しようとしている。この三つのことが本国会で並行して行われるということに、私どもは非常に大きな意味を持たざるを得ないのであります。従つて片一方で国民武裝解除しながら、しかも武裝解除されたはずの軍隊が再び復活している。従つてこの復活しつつある軍隊は、決して国民のための軍隊ではなしに、国民武裝解除するための軍隊であるということが当然言えると思うのであります。従つて日本国民利益に合致した国民利益を守るための、いわゆるほんとう意味での自衞の軍隊ではなしに、どこかの国の自衞のための軍隊であるということは明白であると言えると思います。そういう意味で、私どもはこの法案を存続させることに、重大な現在の政治反動性という意味を見出さざるを得ないのですが、これをさらに具体的に申しますと、現在国民は攻撃を受ける立場に立つております。日本警察にいたしましても、あるいは最近市中に横行しております米兵ギヤングにいたしましても、国民は非常に大きな被実の立場に立つている。こういう観点から、国民こそみずから守らなければならない立場に立ち至つているわけであります。米兵ギヤングの問題にいたしましても、まだ依然としてつかまらない。しかも日本警察には逮捕権がない。警視総監が出て参りまして、今、君の目の前にギヤング犯人が出て来たらつかまえるかと言いますと、つかまえられないとはつきり言つているわけであります。日本の国には十二万幾千の警官がおりますが、この警官が一人としてギヤング犯人とわかつてもつかまえることができない。こういう状態では、日本国民はみずからを自分の手で守る以外に方法はないわけであります。しかも引続き米兵による強盗、あるいは傷害事件が続々と起つておりますし、おとといでありましたか、二十五分間に三回のピストルギヤングが行われている。しかも日本警官はつかまえることができない、こういうことでは、どういたしましても国民武装解除に甘んじることはできないわけであります。さらに日本警官にいたしましても、武器を持たない国民に対しまして非常に残虐な行為をやりまして——この間大田区では一人の人間ピストルで胸部を貫通させております。しかもそれをどこへ運んだか、今どうなつているか、どこの病院に收容しているか、こういうことも発表しない。しかも佐藤検事総長は射殺してもよろしい、勇敢に射殺しなさいということを、はつきり言つているわけでありまして、こうなつて参りますと、ほんとう国民はみずから守らざるを得ないわけで、こういう国民武裝解除法案には、国民はおそらく賛成しないだろうとり思う。しかもあの事件は決して偶発的に起つた問題ではなしに、いわゆる反植民地デー人民鬪いとしてやられました行動なんです。憲法で許された国民の当然の権利としてデモを行い、反対の運動をやつたわけです。これを共産党が背後にあるとか、あるいは国民が暴動をやつたとか申しておられますが、日本植民地的な事実がなければ、反植民地デーの闘いが行われるはずはありません。日本の国が実際に植民地状態に陥れられている。さつき言つたギヤングのように、米兵がどんなことをやつても、日本警官はつかまえることができない。日本国民は黙つていなければならない。こういう状態のもとに、まつた植民地的な状態に陥れられている。あるいは賃金の問題にいたしましても、この間国会に人事院が出して参りました賃金は、千九百カロリーで計算をいたしました。一人前の人間であれば寢ておつてもやつて行くことができないような低カロリーで、日本官公吏賃金を計算して、それに準じて日本の全労働者、あるいは全国民生活水準を決定しようとしているのですが、逆にアメリカの連中は三千カロリーから四千カロリーとつている。日本人だけが千九百カロリーで計算し賃金をもらわなければならない。こういう状態のもとにおいて、この賃金がまつた植民地的な奴隷的な、餓死的な賃金である。こういうことは明白なのです。そういうふうな形がいろいろなところに現われて参りまして、現在の日本状態植民地的な状態になつておる。だからこそ世界的な反植民地デーの日に、国民が自国の国民に加えられておる植民地的な圧迫に対して、立ち上るのは当然であると思います。それをやれ共産党のせいだとか、思想的な背景があると申しまして、これに警官が発砲いたしまして、しかもこれを勇敢に射殺してもよろしいというような検事総長の言がなされておるのでありますが、こういうことに対しましては、国民は憤激せざるを得ませんし、またこういう状態のもとにおいては、おそらく国民自分武装解除することをがえんじないと思う。あるいはまた最近起つております学生警官隊との衝突、この問題なども非常に明白でございまして一方的な押しつけによりまして日本の再軍備を強行し、そのために青年を再び徴兵しようとしておるのでありますが、このことは東大あるいは各公立大学等には、すでに学生一人々々に予備隊志願書が配られておりまして、あるいは東大の構内に参りますと、掲示板に予備隊幹部候補生の募集がやはりはつきりと出ておるわけであります。こういう形で日本のすべての若い学生憲法に従いまして、われわれは再び兵隊にならないのだ、戦争はやらないのだという決意を固めておる。目の前でこういう形で政府みずからが予備隊にひつぱり込もうとしておる。しかもひつぱり込まれます予備隊は、この間増原長官が言明されましたように、これは一旦入ればやめることはできないのだ。自由退職を認めないのだというような、まつたく強制的な明らかにかつて東條時代軍隊の強制的な徴兵と同じ形なんです。こういうものに対しまして、やはり労働者学生が立ち上つて反対するのは当然だと思うのです。これに対しまして澁谷の場合のように、あるいは東大学生の集会に、警官がスパイとして潜入しておつたというような事実のように、まつたくめちやくちやな彈圧をやつておると思う。これに対しましてやはり学生自分たちの当然の要求を貫徹するために、甘んじてこういうような武装解除を受ける意思のないことは明白だと思います。しかもわれわれ聞くところによりますと、日本予備隊が持つておりますバズーカ砲は、決して戰車に対して発砲されるバズーカ砲でなしに、群衆に対して発砲される、対群衆用バズーカ砲であるということを聞いております。最近関係方面日本の工場に発注したと伝えられます迫撃砲も、決してこれはほかの国に持つてつて使うのではなしに、日本内地において、日本群衆に対して用いられようとする迫撃砲であるという情報も伝わつておりまして、人民を弾圧する、国民彈圧するところの警察、あるいは警察予備隊ピストルを持ち、機関銃を持ち、あるいは対群衆用ハズーカ砲を持ち、迫撃砲を用意しつつある。こういう状態のもとにおいて、国民のみに対しましては四寸五分のナイフを持つてもこれは取締るのだということは、いかに現在の日本に行われておりますところの国民彈圧の形が、まつたく残忍なものであるかということがわかると思う。国民には四寸五分のナイフを持たせない。しかし自分たちはまさかのときに国民一挙に数百人を葬るところのバズーカ砲を持ち、迫撃砲を持つておる。こういうことでは国民がおそらく納得しないと思います。こういう形が日本に出て参りますのも、これはまつたく世界的に見まして当然のことじやないかと実は思うのです。イランにおきましてもエヂプトにおきましても、外国軍隊は優秀な武器を持つて武器を持たないその植民地の人人に対しまして、大きな彈圧を加えておりますが、これは世界的な形でありまして、日本にもこの形がはつきり現われて来ておると思います。しかし私どもは、おそらくこういうふうな彈圧をいくら加えられましても、日本人が生きようとする限りは、日本人日本の国を外国植民地にしないという気持をなくなさない限りは、いかに武器が貧弱であつても、いかに敵が機関銃を持ち、迫撃砲を持ち、バズーカ砲を持つておりましても、どうしても人民の立ち上るときがあるだろうと思います。たとえば琉球において、琉球人民があらゆる武器を奪われました場合にも、徒手空拳で、いわゆる唐手という方法で、自分の国を奪おうとする者に対して立ち上つておりますが、おそらく日本国民もいかにこういう形で支配階級が強圧を加えようとも、おそらく最後にはこういう法案を出しました政府あるいはそれを利用しようとする勢力に対して立ち上ることを、私どもは明らかに断言することができると思うのです。そういう意味におきまして、共産党といたしましては、七の人民武裝解除ポツダム政令を今後独立後においても存続させるということには、重大な反対意思表示をしなければならないことを言明しておきます。
  13. 金光義邦

    金光委員長 ほかに討論の通告がありませんので、これにて討論は終局いたしました。  これより採決いたします。本案賛成諸君の御起立を願います。     〔「賛成者起立」〕
  14. 金光義邦

    金光委員長 起立多数。よつて本案原案の通り可決されました。  この際お諮りいたしますが、ただいま可決されました両法案に対する衆議院規則第八十六条による報告書の作成につきまして委員長に御一任願いまして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 金光義邦

    金光委員長 御異議なしと認め、さよう決します。     —————————————
  16. 金光義邦

    金光委員長 次に警察に関する件について調査を進めることといたします。質疑があれば、これを許します。
  17. 床次徳二

    床次委員 この機会国警長官にお伺いいたしたいと思います。先ほど他の委員からの御発言にもごさいましたが、近時外人による犯罪が非常にふえて参つておりますが、これに対して国警長官の御所見を承りたいと思うのであります。なおこの問題に関連して、われわれが考えなければならぬことは、本日の新聞紙上にも発表されておりますところの日米行政協定によるところの裁判権の問題であります。裁判につきましては今日いわゆる属人主義として発表されておりますが、伝えられるところによりますと、米国軍人、軍属及びその家族が日本国内で犯したすべての犯罪は、原則として米国がこれを裁判するという建前になつておるのであります。なおこの原則は将来において、日本北大西洋条約行政協定の発効するとき、または日米行政協定の発効後一年間を経過したときに云々という形によりまして変更せられることになつておると思いますが、それまでは原則として属人主義によつて行われることになつておるのでありますが、この点は現在の治安状況にかんがみて、私は非常に大きな問題だろうと思う。現在国警長官におかれて、はたしてこの新しい規定によるところの行政協定のもとにおいて、治安に関するところの責任を確保し得るかどうかということについて、私どもは非常に懸念いたすのであります。現在においてもいろいろ問題が増加せんとするやさきにおきまして、かかる行政協定が結ばれた。しかしこれに対しましていかような対策政府は持つておられるかということに対しましては、国民はひとしく心配いたしておる。国警長官としてこの問題に対しまして、いかようなる処置を講じて善処せられんとするか。過去において起りましたところの事件に対する処置並びに今後行政協定成立以後におけるところの国警としてのいろいろの処置についてお考えがあることと思うのでありますが、そういう点について御所見を承りたいと思います。予算その他におきましても、今日特別なことがこれに対して考慮せられているかどうか承りたいと思います。
  18. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 日本にいる外人犯罪に関連して、新聞に報せられております行政協定内容について、なおもし新聞通りのことであるならば、治安の維治上どういう考えを持つているかというお尋ねであつたかと思いますが、行政協定の問題は、ただいままだ最終の段階にはないと考えておりますし、またこれを元にいたしまして、私が所見を申し述べる段階ではないと考えますので、その機会の来るまで御容赦を願います。
  19. 床次徳二

    床次委員 国警長官としてはまだ正式に意見を言われる段階にない、一応形式的にはごもつともだと思うのでありまするが、しかしながら今日すでに新聞紙上にこれが伝えられておりまして、国民といたしましては非常な不安を感じておるのであります。むしろ行政協定内容修正をも要望しなければならぬときにあると、私ども考えておるのでありまするが、これに対しまして治安に当られる国警御当局が、ある程度までの御意見をお持ちになつて、その意見のもとにおいてひとつ修正なり何なりを、それぞれの関係者に申し込まれることが、私はきわめて必要なことじやないかと思うのであります。なおかかる行政協定が成立した場合におきましては、ただでさえ今日乱れがちな治安に対しまして、一層拍車をかけるおそれがあることを、私ども懸念するのでありますが、この点に関しまして長官はどういうふうにお考えになつておりますか、承りたいと思います。
  20. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 御意見の点はまことにごもつともに存じますけれども、先ほども申しますように、行政協定に関しましては行政協定責任大臣から公式に御説明があつた後に、また必要があるならば、私から意見を申し述べるのが順序であると考えます。どうぞその点御了承いただきたいと思います。
  21. 立花敏男

    立花委員 齋藤さんは床次委員の質問に対しまして、行政協定がまだはつきりしないから答弁できない、これはある意味ではもつともだと思うのですが、私は現実の問題をお聞きしたいと思う。米人ギヤング問題に対しまして、あるいはその他最近頻発しております米人犯罪に対しまして、国警といたしましてどういう捜査方針をおとりになつており、どういう権限でその犯罪捜査に当つておられるかお聞かせ願いたい。     〔委員長退席野村委員長代理着席
  22. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 米国軍人犯罪を犯したと申しましても、犯罪は検挙の段階まで来ませんと、これがはつきりいたさないのであります。米人がやつたらしい犯罪ということでありますから、さような意味からいたしまして、日本警察責任において捜査をいたすわけであります。しかしながらその捜査段階におきまして、容疑者として米国軍人が浮び上つて来たという場合には、その容疑者取調べ追究は、アメリカの軍の方でやられる。そうでない部分については日本側においてやる。従つて米軍日本警察協力をして捜査に当る、こういうことになるわけであります。現実にさようにしてやつておるわけであります。
  23. 立花敏男

    立花委員 どういう協力関係を現在お持ちでございますか。
  24. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 事実上の協力であります。互いに捜査内容を話し合い、打合せをいたし、日本側として捜側をすべき点を捜査をして行く、日本査捜査のできないところがあるならば、米軍の方で捜査をしてもらい、そうしてまたその結果を持ち寄つて話し合うということであります。
  25. 立花敏男

    立花委員 聞くところによりますと、銀行ギヤング事件では、合同捜査本部を持つておるということを漏れ承つておるわけですが、それには国警としては参加されていないのでありますか、また特に国警としては全国的にモンタージユ写眞というようなものまで配付されて、全国的な捜査を展開されておると聞いておるのですが、これはまつたく独自の立場からおやりになつておるのか、あるいはCIDとの間に、いかなる連絡了解のもとにやつておるのか、これも一つ承りたいと思うのであります。それで米人がやつたらしいということ、そういう漠然たる單なる見通しで今やつておられるのか、單に米人がやつたらしいということであれば、私は犯人日本警察でも逮捕できるのではないかと思うのですが、米軍がやつた、あるいは軍属がやつた、あるいはまた向うの家族がやつたというのではなしに、單に米人がやつたという場合の犯罪でも、日本警官はつかまえられないのかどうか、しかも單に米人がやつた軍人でもない、軍属でもない、あるいはそういうことがわからないというような場合にも、日本警官は、検事局へは通報しないで、CIDにだけ通報するのはいかなる理由に基くものであるか、明らかにこれは米人がやつたという想定のもとに、日本警察が動いておると見られてもやむを得ないような動き方しかやつておらないわけですが、その場合でも、米兵がやつたということが確定的ではないので、一般の米人らしい者がやつたということで動いておられるのかどうか、これをひとつ伺いたいと思います。
  26. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 国警は、あの事件は警視庁の管内で発生した事件でありまするから、日本側といたしましては警察庁が主になつてつておるわけであります。しかしながら逃走その他の関係から、地域は全国的に考えなければなりません。さような意味からいたしまして、国警もいろいろな手配その他において協力をいたしておるわけであります。検察庁になせ通知しないかというお話でありますが、おそらく検察庁にも報告をいたしておるはずだと思つております。犯罪が起りました場合に必ず検察庁に報告をしなければならぬというわけはありませんが、事後の公訴の維持の関係上報告するのを通例といたしております。あの事件も報告をいたしておるものと私は考えておるのであります。米人らしいと申しますることは、二名は米人らしい、一名は日本人だ、あるいは二世かわからないというような、当時目撃した者の証言によつて、さように考えておるのであります。これがはたして軍人であるかどうかという点は、もつと捜査が進まなければ断言はできないのであります。さような意味から、らしいと申し上げたのであります。
  27. 立花敏男

    立花委員 これは千住の銀行ギヤングのあつたときにも、相当人心が動揺いたしまして、大きな不安を感じたのですが、その後引続き事件が起つたわけです。あれから一日ばかりたちましたときに、十九になる娘さんが進駐軍のためにからすと間違えられてピストルで射たれた。こういうことがはつきり朝日新聞に載つておりますし、しかもそれが基地の病院の中に連れ込まれまして、その後どうなつたか、どうも命はとりとめるらしいということだけを新聞に発表しておりまして、詳細はわからないのですが、十九になる娘さんがからすと間違えられてピストルで射たれる、散歩の途中で射つたということでありますが、そういうことは考えられないわけであります。いかに外国人といえども、十九の娘さんとからすと間違えることはおそらくありませんので、この背後には重大な問題があるのではないか。しかしこれを日本の官憲が何ら処理されていないようなのですが、これがギヤングの罪滅ぼしくらいに思つている。ところが最近神田では二十五分間に三軒の米兵ピストル強盗が起つている。またその間には三人組の米兵の自動車強盗が起つている。こういうふうにあの千住の銀行ギヤングから、きびすを接して米兵の強盗、あるいは傷害が続々と起つておりまして、これが何ら国民に納得の行くような解決がとられていないわけなんです。しかも齋藤さんは犯罪が起つても一々検察庁へ届けるとは限らないということを言つております。この端をなしました千住の銀行ギヤング事件は、まことに重大な犯罪なのでございまして、正規軍の服装をした者がジープを乗りつけて、しかもピストルを突きつけて数百万円の金を奪つている。しかも逃げる際には市民に発砲しながら逃げている。こういうことを検察庁に連絡せず、CIDだけに連絡して、はたして解決できるかどうか。日本警察官はこれに対して何らの措置を講じなくてもいいものであるかどうか、事実警視総監は逮捕ができないと言つておるのですが、それでは国警長官としての齋藤さんは、今あなたの前にその犯人が現われましたときに、捜査が進んでそれが米軍人であるかどうか、その所属、氏名、位階、勳等がはつきりするまでは、あなたは逮捕しないのかどうか、逮捕できるのかどうか、あなたの今眼の前に犯人が現われたときにできないのかどうか、できないとすれば何を根拠にしてできないのか、しかもできないとすれば、その根拠を突き破る方法はないのかということを明白にしていただきたいのです。
  28. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 犯人が眼の前に現われましたら、逮捕いたします。
  29. 立花敏男

    立花委員 どういう根拠で逮捕できるのですか。
  30. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 警察責任であります。
  31. 立花敏男

    立花委員 警視総監の言葉と食い違うのですが、あなたの先ほどの言葉とも食い違うと思うのです。そういうことがはつきりするまでは逮捕できないと言つておられたのが、千住のギヤング犯人がそこに出て来れば今すぐ逮捕できるとおつしやつて、非常に心強く感ずるのですが、全国の国警のあなたの下僚に対しまして犯人が現われたならばすぐ逮捕しろという指示をお出しになつておるかどうか。あるいは全国の自治警といたしましても、いかなる辺郡の町村の駐在所の巡査といえども犯人がそこに現われましたときには、すぐ逮捕できる処置がとれたかどうか非常に大きく警視総監の言明と食い違うので、この点を明白にしておいていただきたい。しかもその逮捕権日本警察にあると断定されましたのは、警視総監の言明されたあと、どういう手続をとり、どういう措置をとつて日本警察逮捕権が與えられたのか、それを明らかにしていただきたい。
  32. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 御質問は現に犯人が現われたという話でありましたから、私は逮捕すると申し上げたのです。またそのことは警察には徹底いたしておるはずであります。しかし実際問題といたしまして、現に犯人であるかどうか疑わしい間は、まだ容疑者であります。取調べなければ犯人であるかどうかはわかりません。さような場合に、軍人であるということがはつきりいたしておりますならば、容疑者のゆえをもつては逮捕できません。
  33. 立花敏男

    立花委員 犯人であるかどうか疑わしいのを捕えられないのはあたりまえだ。しかも犯人日本警官が目撃しておるのです。あなたの方ではモンタージユ写眞まで出しておる。だから今目の前に現われたのはそれに間違いないということがわかれば、逮捕なさるのかどうか。警視総監はその場合にも逮捕できないと言われたので、非常に疑問を持つたわけです。あなたは犯人であれば逮捕するということを言われる。逮捕するとすれば、警視総監が逮捕権がない、逮捕権を請求するりつもりであると言われたのとどう関連があるか、これを承りたい。
  34. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 明瞭に犯人であることがわかりますならば、これは逮捕をして進駐軍に引渡すというのが、私は当然の処置だと考えております。総監が言われたのは、おそらくそういう明確な場合は少いので、それらしいということでは逮捕できないという意味の言葉であると私は考えております。
  35. 立花敏男

    立花委員 総監が言われたのはそうではないわけなんで、現在犯人は逃亡中なので、現行犯ではない。だから犯人であつても逮捕できないのだ、こういうことを言つておられたわけです。しかしCIDあるいはMPからの依頼があり、委嘱があれば、日本の官憲は逮捕できる、こういうことを言つておられた。そうして警視庁の事務当局の談としても、目撃者佐々木部長だけは現在でも逮捕できるが、その他の者は逮捕できないということを新聞に発表されたわけなんです。齋藤さんの言われる逮捕できるというのは、犯人であるとわかれば、MPあるいはCIDの委嘱がなくても、日本の官憲で独自に逮捕できるというのでありますから、大分警視総監と違うのですが、そういう意味で言われたのかどうか、もう一度お聞きいたしたい。
  36. 斎藤昇

    斎藤(昇)委員 ただいま目撃者は逮捕できる、こう警視庁は言つておるとおつしやいましたが、目撃者は最も確実に犯人であるということを断定できるからであるわけであります。確実に犯人と断定できれば逮捕できるということを警視庁の事務当局も言つておるということならば、私の所見と一致しておるわけであります。
  37. 大矢省三

    大矢委員 ちようど岡野国務大臣と齋藤国警長官が見えておりますから、この機会にお聞きいたしたいと思いますが、最近新聞の報ずるところによりますと、治安省を設けるとか、あるいは各事件の頻発に対して、警察のあり方というものに対して討議されておる。そこで東京都のごときも国警に統一すべきだ、特に大都市——大阪のごときも、自治体警察を廃し七国家警察にする、こういう意見もあるし、ことに総理から発言があつて治安に対するいろいろな御意見があつたようですが、せんだつてからの地方の財政の関係から行きまして、約八割という自治体警察廃止なつた。これは事実上存続させたいのでありますけれども、財政上許さないからやむを得ずこれを廃止するというような地方団体がしばしばあるのであります。これに対して日本政府特に自治体に関係のある岡野国務大臣は、日本の民主化のあり方はいろいろあろうが、まず地方自治体がみずからの力によつて治安その他財政上まかなうという建前に立つて日本民主化のためのあらゆる法律が改正されたことは御存じの通りであります。そこで自治体警察のごときは存続すべきが日本の民主化のために必要だとするならば、財政上の問題についてむしろそれを育成し、助成し、これを存続さすことに努力すべきでありますが、最近の政府のやり方、考え方というものはことごとく、いわゆる中央集権と申しますか、地方自治体を弱体化する、さらにまた警察のごときも一本化して、前の警察国家と申しますか、いわゆる内務省の復活をねらつているような感じを国民また私どもも強く受けるのであります。一体政府として、また所管大臣として、地方自治体のあり方について、特に警察関係自治体警察を残そうとするのか、廃止しようとするのか。あるいは新聞に出ておりますように、最近の事件にかんがみて、都市のごときは、一本立ちで国警一本にこれをなそうとするのか。その方針をこの機会に両氏からお聞かせ願つたらけつこうだと思います。なお先ほど申しましたように、閣議で発言があつたということでありますが、その点を、もしさしつかえなかつならば、この機会にお聞かせ願いたいと思います。
  38. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 大矢さんの御質問にお答え申し上げますが、閣議の内容は発表をよういたしません。自治体警察が存続してしかるべきではないかということは、自治確立の意味から御設ごもつとも、その通りでございます。ただ先般警察法を改正いたしまして、自治体が警察を維持する意思がない、住民投票によつてその住民がこれを国警に移してもらいたい、こういう意思があれば国警の方へまわすというような法律の改正があつたのであります。しかし私個人といたしまして考えますことは、自治体は戦後できましたところの新制度でございますから、維持して行くのがほんとうだろうと思います。ただ問題は、ただいまもいろいろ論議になりましたように、国内の治安関係が相当不安定になつているのではないかという情勢が出て来ております。その意味におきまして今後の治安維持に対して、すなわち進駐軍は大きな問題にしか触れないで、今までのように進駐軍の力によつて治安が維持されておるというような情勢は独立後なくなりまして、われわれ日本国民治安の維持の責任に当らなければならないということになります。そうすれば、この混乱した情勢にいかに対処して行くかということについては、相当われわれも考えなければなりません。目下機構の点あるいはいかにすべきかということについては、政府として十分研究中でございますが、ただいまどういう方針で進んで行くかということについては、まだ具体案も成案も得ておりませんから、言明申し上げる段階にございません。
  39. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 ただいま岡野国務大臣からお話になりました通りであります。私はこれにつけ加える何ものもありません。それで十分だと思います。
  40. 大矢省三

    大矢委員 最近治安に対して憂慮されて、そういう問題の起きていることは私も承知しておりますが、一体治安の乱れるという原因が——單に警察を統一してそれを取締つたらいいというのではなしに、もつと一歩進んで、どうしてこういうように治安が乱れるか、このことについて、いろいろ観点がありましようが、大臣として一体どう考えておられるか。私は自治体が完全になり、そういう精神が徹底し、またこれは單なる取締りその他の方面でなくして、財政上その他国民生活の上に、そういうゆとりができれば犯罪はなくなると思う。ただ警察だけを統一して、取締りの対象ばかりを研究されないで、一体何がゆえにこういう問題がひんぴんと起きるかということについて、もつと対策があるべきだ。その原因はどこから何が持つて来るかということは、これはその人によつて見方が違いましようけれども、今政府なりその他関係されている人たちが、ただ取締りだけを自分責任とせずに、そのよつてつて来る原因をもつと糾明し、それを除去することをしなければならぬと私は思いますが、一体何のためにこういう治安が乱れるか、原因がなへんにあるかということについてどういうふうなお考えか、その点をお尋ねいたしたいと思います。
  41. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。概括的に国務大臣としてお答え申し上げますれば、これは日本が戰後非常に窮乏しておる、個人の財政といわず、会社の財政といわず、国家の財政といわず、地方団体の財政といわず、すべて財政が非常に窮乏しているということが、国民不安の原因になつておると思います。しかし今日こういうような治安の情勢は。われわれが非常に心配しなければならぬこともありましよう。そういうことになつているということにつきましては、治安関係の担当大臣からひとつ詳しくお聞取りを願いたいと存じます。
  42. 立花敏男

    立花委員 岡野さんは、やはり国家の財政的な窮乏あるいは日本全体の経済的な窮迫が治安の乱れるもとであると、非常に良心的な答弁をなさつたのですが、具体的に自治体の問題として今年度の予算を見ましても、いろいろ地方の治安が乱れるような形が、やはり国家予算を通じまして、地方の予算に影響しているという点をおつかみになつているかどうか。たとえど失業対策費などの対象といたします失業者の人員数が、去年より減つているわけです。こうなりますと、今まででも地方で職業安定所などに、失業者が相当賃金を上げてくれ、あるいはあぶれをなくしてくれという形で運動いたしておりますが、ことしは去年よりも人間が減るのですから、よけい問題が起つて来ると思います。私はこういうところに地方の治安がよけい乱れて行く原因があると思うのです。あるいはやはり中央で組んで地方へ渡します援護費というものも、対象人員が減少しておる、これも重大な治安の乱れになるだろうと思うのです。食うために生きるためにはいろいろな犯罪も出て来るでしようし、国家から出ておりましたものが減らされるのですから、これに対しては何らかの方法で補給しなければならぬという問題が起つて参りまして、治安の乱れるのは当然だと思う。たとえばこういうはつきりした形でなくても——先般の国会の厚生委員会でも各党一致で決議しようということを私聞きましたが、国家から平衡交付金の中に含まれて出しております児童福祉関係の金、こういうものが地方ではほかの事業に使われまして、ちつとも児童福祉の金にまわらない。従つて青年の完全な教育と申しますか、社会的な何ができない、こうなつて参りまして、そこからやはり青少年の犯罪が増加して来る。こういう直接の形が、すつと国家予算を通じまして地方予算に現われているのですが、こういう問題は十分検討なさつておられるかどうか。こういう問題こそ、私はただいま言われました国務大臣の良心的な御答弁の具体化として、ぜひひとつ検討していただきたいと思うのです。もちろん私が申し上げるまでもなく検討していただいておると思いますが、こういう問題をどういうふうにお考えになつておるか、この際意見を承らしていただきたいと思います。
  43. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。一言にして申し上げますれば、先ほど申し上げましたように、国家財政並びに地方財政が窮迫しておるという点で、そういう費用が出ないということでございます。今児童福祉の問題とか、失業対策にお触れになりました。これは児童福祉また失業対策を所管しておる厚生大臣あたりの意見もいろいろありましようが、これもやはりただいま私が申し上げました国家財政と地方財政というものを勘案して、国のこの財政状態ではこれ以上のことはできないのだという大局的見地かち見まして、皆様方の御希望に沿うような十分なる予算が組めないのでございます。
  44. 立花敏男

    立花委員 こういう問題、岡野さんは非常に話がわかつていただけるのでけつこうなのですが、治安大臣の方になりますと、木村法務総裁のように、これは共産党の煽動だ共産党の暴動の準備だというようなことを言つておるのです。岡野さんとまつたく違つた意見で、治安の乱れる原因を研究し、またその対策を立てようとされておるのですが、こういう問題について岡野さんの明確な御見解を承つておきたいと思います。
  45. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 私は不幸にして治安大臣の職責を帯びておりませんから、治安の維持に対しては治安大臣の御所見を承つていただきたい。
  46. 野村專太郎

    ○野村委員長代理 藤田義光君。
  47. 藤田義光

    ○藤田委員 齋藤長官にお尋ねいたします。まず第一点は行政協定はいつごろから効力を発生すると想像されておりますか。
  48. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 先ほど床次委員にお答えいたしましたように、行政協定の問題は協定の責任担当大臣から聞いていただきたい、私からは申し上げる立場ではございませんので、御了承を願います。
  49. 藤田義光

    ○藤田委員 意外な御答弁でございます。これは全国民が非常な関心を持つておる重大問題です。しかも予算委員会等におきましては、行政協定関係ない閣僚が真劍な答弁をされておる。予算分科会におきましても、たとえば増原予備隊長官は非常に懇切丁寧な答弁をいたしております。国家警察長官が全然関係ないから答弁できないということは何か誤解じやないかと思います。行政協定の中には、警察に関連する重大事項があります。協定に関連する警察の重大事項に対しましても、まだ何ら研究されておりませんかどうか、この際お伺いしておきます。
  50. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 研究はいたしております。しかしいつごろから効力を発生するかというようなことは、私が憶測をしたりしてお答えをする問題ではないと思います。
  51. 藤田義光

    ○藤田委員 研究されておる内容を発表願いたい。
  52. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 これはまだ私として公に申し述べる段階にない、先ほど床次委員に対する答弁と同じであります。
  53. 藤田義光

    ○藤田委員 研究されておる内容も具体的でないということになりますと、結局研究されていないということになります。国内の治安の任を背負う国家警察の事務の最高責任者が、そういう答弁をされたということを速記録に残すことは、非常に残念であります。私は長年の警察のエキスパートである長官なるがゆえに、相当思い切つた発言をこの察お願いしようと思つて、御質問しておるわけでございます。たとえば国際法上前例のないような行政協定によりまして、進駐軍軍人はもとより軍属及び家族までその施設内におきましては、われわれは裁判権を失わんといたしております。そうしますると、日本に来ておりまする進駐軍関係の家族にあらざる白人の識別の問題、あるいは無税で輸入したものを持参しておるものと脱税をしたものとの鑑別、私は国家警察としてはいろいろ重大な問題を背負わされると思います。従いましてこの点に関しましては、具体的な研究がなければお尋ねしてもやむを得ませんが、もし行政協定が成立した際におきましては、進駐軍関係日本に刑事裁判権の移譲された部門の取締りは、何部でやられる予定でございますかお伺いいたしておきます。現在の国家警察本部の部制の中にはそれはなくて、新たに機構改正で考えられますかどうか、この点をお伺いしておきます。
  54. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 犯罪はいろいろな態様によつて行われますので、従つて人を対象にして別の部局を設けるということはただいま考えておりません。
  55. 藤田義光

    ○藤田委員 現在の警備部が所管をいたしますか、あるいは刑事部が所管いたしますか、その点をお伺いいたします。
  56. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 たとえば窃盗を警備部で所管いたしましてもできません。
  57. 藤田義光

    ○藤田委員 所管の問題に関しましては割合はつきりした御答弁をされるようでありますが、予算の中に、四月一日に四十六署九百九十一人の増員を見込んでおられます。これは自治警の廃止だけを見込まれたものでありますか、あるいは講和条約の効力発生を見越した点もあつての増員であるかどうかをお伺いいたします。
  58. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 それは自治警の廃止の分であります。講和条約発生後の分をも含みまして、昨年の臨時国会で五千名以内の増員を認められたわけでありまして、予算といたしましては二千六百人の増員を見たわけであります。これは今後の治安情勢、日本が自主独立した後における関係をも勘案いたして、その通りになつたわけであります。
  59. 藤田義光

    ○藤田委員 先ほど来立花委員の質問もありましたが、昨今重大な治安問題が起きておりますが、日本治安問題の大半を解決する警視庁の機構問題に関しまして、国家警察当局で何か研究されておりますかどうかお伺いいたします。
  60. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 私の方ではかねてからいろいろな研究をいたしております。
  61. 藤田義光

    ○藤田委員 警視庁の警察を首都警察にいたしまして、現在の国家警察とは別個の国家警察にしようという案と、現在の国家警察に編入しようとする案が、累次新聞に報道されております。これは仮定の問題でありますが、もし二つの案がある場合に、長官個人の御意見として、この際どちらを採用したいお考えであるかお伺いいたしておきたいと思います。
  62. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 具体的な警視庁の機構問題ということになりますと、影響が非常に微妙であります。何らかの結論を得てこれで行くという政府の決定がなされますまでは、これがよいあれがよいということはこの際申し上げない方が、私は治安確保の点からよいと思います。
  63. 藤田義光

    ○藤田委員 非常に答弁が愼重でございまして、質問をしてもむだと思いますから割愛いたしますが、現在長官の耳に入つております行政協定の報道が事実とすれば、それに伴いまして国家警察として何か法律案あるいは予算案と早急に考える必要がありますかどうか、その点をお伺いいたします。
  64. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 予算等早急に要するものは、私はないと思います。
  65. 藤田義光

    ○藤田委員 実は斎藤国警長官のスタツフの中にはいろいろ優秀な人がおりまして、たとえば総務部等においては行政協定実施に伴ういろいろな問題、あるいは首都警察の問題も研究されまして、一応長官の腹はもうきまつておるころじやないかというのが常識でございます。この点に関しまして影響するところは微妙でありますが、その機構改革に伴ういろいろな方針を発表することによる影響よりも、差迫つた治安の問題は重大でありますから、この重大なる治安問題のために、機構の発表を遅らせるということもどうかと思います。先ほどこちらの委員から質問がありましたように、自治警察のイデオロギーとかその他の問題もありまして、なるほど微妙な問題であります。しかしこの問題をはつきりさせない限りは、日本治安問題は解決しないということはもう常識でございます。この点に関しましていま一度お伺いいたしておきますが、これは新聞の報道でありますが、公安委員制度に対しまして、その中の一名を国務大臣にするというようなことが言われておりますが、その点に関して長官に何か御連絡がありましたかどうかをお伺いいたします。
  66. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 そういう案も考えられると思いますけれども、ただいま政府におきましても、そういう案でやろうという方針は何らきまつておりません。むしろ現状で最も有効に活用するようにして行きたいということは、担当の法務総裁もあらゆる機会に述べておられるのであります。
  67. 藤田義光

    ○藤田委員 公安委員制度というのは、民主警察の最後の一線だろうと思います。この制度を庭止してしまえば、終戦後大混乱した警察制度の改正を、何のためにやつたかわからないことになると思います。この民主警察の最後の一線である公安委員制度のとりでにこもられまして、身をもつて民主警察の実を示されました斎藤長官であります。つまり政府の退職要求を毅然として新しい制度のもとに拒否した民主警察の具現者である齋藤さんでありますから、私は公安委員制度に対しまして、あくまで存続の毅然たる態度で臨んでもらいたいと思います。首都警察の問題も、公安委員制度の問題も、具体的な質問になりますと御答弁がないと思いますので、本日は遠慮したいと思いまするが、首都警察、国家警察という現在の区別を撤去いたしまして、民主警察という建前からすつきりした姿にする必要があるということを要望する向きも非常に強くなつております。つまり名前の問題でなくて、本質的に民主警察であれば、現在の最大の欠陥である自治警と国警の連絡調整を強化するために、これを一本にしようという声が大分出ております。先ほど社会党の大矢委員からは、内務省の復活その他ということで、この点に関してはやや反対的な意見がございましたが、私は擾乱事件等に対して、治安の衝に当る警察も統一せる態勢で、しかも民主警察の真面目をそこなわないような態勢のものが必要ではないかと、私自身も考えております。国警とか自治警というセクシヨナリズムの問題でなくて、真に治安を強化するためには、何とかはつきりしたものが必要であることは、おそらく関係者はもちろん一般国民考えておるだろうと思います。この点に関しまして忌憚ない御意見を伺つておきます。
  68. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 まことにごりつぱな御見識で、拝聴いたしておきます。ただいま岡野国務大臣からもお答えになりました通り、今日の警察の大綱を動かさないで、現在はその実をあげるように努力すべき機会だと考えております。
  69. 床次徳二

    床次委員 先ほど来委員諸君から、行政協定に関して国警長官立場について伺つたのでありますが、具体的の御答弁がなくてはなはだ残念に思います。しかしながらこれはきわめて重大な問題でありまして、私ども意見から申しますならば、いわゆる属人主義的な行政協定が結ばれることは、わが国の警察の現状にかんがみましてまことに適当でない。なお今後の独立日本としてのあり方から申しましても、これは障害になると思います。この点に関しましては、長官自体十分御研究になつておるのでありますから、さような結論を持つているものと思うのでありますが、この際われわれの意見を十分御了解いただきまして、警察当局治安維持の責任者という立場において、今日行政協定を折衝しておられる担当者に対して、十分ひとつはつきりとその意見を述べられまして、治安の万全に遺憾なきことを期していただきたいと思う。これは国民として切実な問題でありまして、直接治安関係考えるばかりに、行政協定に対しましても懸念を持つており、その他の問題につきましても問題は多いのでありますが、日常生活においてわれわれはこの点に懸念を持つておるのでありますから、国民のかかる杞憂と申しますか、心配いたしておりますことに対して、当の警察責任者として、長官は特別なる措置をやつていただきたいと思います。     〔発言する者あり〕
  70. 野村專太郎

    ○野村委員長代理 静粛に。
  71. 床次徳二

    床次委員 当委員会といたしましても、多数の委員は必ずやそういう意見だと思うので、この点ひとつ十二分の御努力を要望しておきます。
  72. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 十分御趣旨に沿うように努力をいたします。
  73. 立花敏男

    立花委員 関連して。齋藤さんのさいぜんのお話では、犯人とわかれば逮捕するということですが、国警ではモンタージユ写眞まで出し、犯人の人相まで出してそれを下部の全国警察官に持たしてありまして、それに似たような者が来れば処置をしろ、こういうことだろうと思いますが、その場合に、あなたの方では、警官はどういう処置をするように手配をされておるのか。犯人と断定するにはどういうふうな手続が必要なのか。現在まで逮捕されない原因は、そういう問題で日本警察ではやはり犯人と断定するに何らの資料もなく、手続上も非常に遅れるというようなことから、逮捕できないのではないかと私は思います。そういうことからやはり具体的な行政協定と結びつけられると思いますが、あなたは、犯人と断定できれば逮捕する、しかしそれが目の前におりましても、断定できないならば逮捕できないのだというふうに言つておるわけです。だから断定が、どういう手続でどういう条件を具備すれば逮捕できるか、それをひとつ明らかにしていただきたいと思います。現在でもまだ日本警察は、犯人の身分もあるいはその他の詳細なことも、ちつともおつかみになつておらない。ただ漠然たる白人という程度のものしかおつかみになつておらない。どういうわけでそれが日本警察に知らされないのか、これをひとつ知らせていただきたい。この問題が解決されませんと、いくら警視庁を国警に編入いたしましても、いわゆる機構いじりと新聞が言つておりますが、機構いじりをやりましても、問題はちつとも解決しないのではないかと思う。やはりここがキー・ポイントではないかと思いますので、どういう意味で現在に至るまで、非常に捜査範囲も狭いと思うのですが、あの重大な犯罪を犯した者をはつきりと逮捕できるような段階に至らないのか。なせ犯人をもつと明確につかめないのか。これをひとつ聞かせていただきたい。
  74. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 なぜ長引いておるかというお尋ねでありますが、今までも重大な犯罪で、これが検挙されますのには相当の時日を要しておるものが多いのであります。さように速急に解決いたしますことは望ましいし、またわれわれも努力いたしておる次第でありますけれども、ただこの事件のみならず、相当の日子を要するものが多いのであります。さように御承知を願います。
  75. 立花敏男

    立花委員 そうしたら日本警察は、犯人の所属、氏名、年齢というようなものは、わからないのですか。
  76. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 まだ明瞭にはなつておりません。
  77. 野村專太郎

    ○野村委員長代理 大体警察に関しまする調査は次の機会に讓りまして、本日の委員会はこれをもつて散会いたします。次会は公報をもつてお知らせいたします。午後零時五十五分散会      ————◇—————