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1952-02-19 第13回国会 衆議院 地方行政委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年二月十九日(火曜日)     午前十一時十九分開議  出席委員    委員長代理理事 野村專太郎君    理事 大泉 寛三君 理事 河原伊三郎君    理事 門司  亮君       門脇勝太郎君    小玉 治行君       佐藤 親弘君    前尾繁三郎君       吉田吉太郎君    鈴木 幹雄君       藤田 義光君    大矢 省三君       立花 敏男君  出席国務大臣         法 務 総 裁 木村篤太郎君  出席政府委員         国家地方警察本         部長官     斎藤  昇君  委員外出席者         專  門  員 有松  昇君         專  門  員 長橋 茂男君     ――――――――――――― 二月十五日  委員竹山祐太郎君辞任につき、その補欠として  中村寅太君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 二月十八日  営業用トラツクに対する自動車税軽減請願(  門脇勝太郎紹介)(第七五四号)  市町村民税法人税割額分割の裁定に関する請願  (小西英雄紹介)(第八〇三号)  遊興飲食税に関する請願塩田賀四郎紹介)  (第八〇四号)  同(川西清紹介)(第八〇五号)  三原地区警察庁舎改築請願塩田賀四郎君紹  介)(第八〇六号)  国分自治体警察国家地方警察に切替えの請願  (田中萬逸紹介)(第八二六号)  地方自治法の一部改正に関する請願河原伊三  郎君紹介)(第八二七号)  公職選挙法の一部改正に関する請願鈴木善幸  君紹介)(第八五三号) の審査を本委員会に付託された。 同日  特別市制反対に関する陳情書外二件  (第四  六九号)  地方自治権確立強化に関する陳情書  (第四七〇号)  市民税等改正に関する陳情書  (第四七一号)  公職選挙法公務員立候補制度撤廃に関する  陳情書(第四七二  号)  非常勤消防団員公務災害補償制度財源に関す  る陳情書(第四七  三号)  都市清掃事業に対する財源措置に関する陳情書  (第四七四号)  平衡交付金の増額並びに地方起債のわくの拡大  に関する陳情書外十件  (第四七五号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する  件に基く全国選挙管理委員会関係命令廃止  に関する法律案内閣提出第七号)  ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する  件に基く警察関係命令措置に関する法律案(  内閣提出第八号)     ―――――――――――――
  2. 野村專太郎

    野村委員長代理 これより会議を開きます。  委員長の都合によりまして、その指名によつて私が委員長の職務を行います。  まずポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く全国選挙管理委員会関係命令廃止に関する法律案議題といたします。この際前会に引続き質疑を続行いたします。斎藤政府委員より前会行われました答弁関連をいたしまして、発言を求められておりまするから、これを許します。斎藤政府委員
  3. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 去る二月十四日の当委員会の席上、私が御答弁を申し上げました選挙事前運動取締りにつきまして、少し不十分な点がございましたので、それを補足させていただきたいと思います。  先般申し上げましたのは、立候補届出前、六箇月以上前の選挙運動につきましては、選挙運動取締りの時効が六箇月でありまする関係上、立候補届出後事運動取締りをいたそうといたしますると、六箇月以前における事前運動はもはや取締り対象にならないと申し上げたのでありまするが、これは特定選挙につきまして、立候補意思が明瞭に立証できるということでありまするならば、立候補いたしまする前におきましても犯罪と相なりまするので、従つて捜査、検挙もできるわけなのであります。この点を、立候補前におきましては、特定選挙について立候補意思が十分立証できるということが相当困難であるという関係から、立候補届出前における事前運動取締りが相当困難であると申し上げたのであります。この点は立候補前六箇月以上前における事前運動は、どんなことをやつても全然法律の外に置かれているかのような誤解をあるいは與えたおそれがあるのではなかろうかと後に考えましたので、補足をさせていただきたいと存じます。従いまして特定選挙に対する立候補意思をもつて投票を得、または得させるための行為でありますることが、客観的に立証されるものにつきましては、立候補前でありましても検察官、警察官をもつて十分取締るよう配意をいたしたいと思います。
  4. 門司亮

    門司委員 今斎藤国警長官からのお話でありますが、問題は今のお話にいたしましても、私は非常にデリケートなものが必ず出て来ると思います。本人が必ず立候補する意思がある、たとえば自分立候補するのだから、ひとつこういうことをしてもらいたい、頼むということで、人を集めて饗応したということは、明らかに一つ犯罪になると思いますが、しかしその場合に、もしその本人立候補しなかつた場合、これは実質上の犯罪というものが成立するかどうかということが考えられる。そこで問題になりますのは、非常にむずかしい問題であつて立候補してない、いわゆる選挙をしていないのに、選挙をするという意思があつたからということ、さらに選挙の時期というものが明確になつていない。たとえば今度の衆議院の場合は、来年の一月二十二日で任期が満了になる、あるいは都道府県議員はいつ満了になるというような時期が明確になつておりまするものは、まだ取扱いがいいと思いまするが、それすら明確になつてない。従つて法律の上では一応六箇月というような期限が切られておる。法律をつくるときには、われわれはそういう考え方であつたと実は考えておるのであります。ただ問題になりまするのは、そういうことをすることが、立候補をすれば必ずひつかかるのだ、いわゆる六箇月前であろうと何年前であろうと、選挙をするという意思があつてそういうことをやり、さらにその選挙をするという意思立候補で具体化されて、現実の問題として現われて来た場合には、いずれもそれが犯罪になるのだということでなければならないのじやないかということは考えられる。ただ候補者からいつて現実立候補しない者、おれはどろぼうすると言つてろぼうしない者をどろぼうだと言うと、なかなかむずかし問題が出で来ると思う、従つてどもが今緊急に考えられますることは、国警長官の今の御答弁はそれといたしまして、問題になりまするのは、選挙によつて犯罪をつくることが目的ではございませんで、なるだけ犯罪を少くすることのためだ、そういうことを前会にも申し上げたのでありまするが、選挙の啓蒙の形、あるいは選挙取締り対象の形から、そういうことは犯罪になるんだ、いわゆる六箇月以前でもこういう犯罪になるのだという一つのことが明確になつて行けば、私は自然と矯正されると思うのであります。従つて單に今のお話国警長官だけ、あるいは国警だけにそれが知らされるのではなく、やはり自治警察にも十分そのことが達せられて、そうしてその選挙がさらに選挙管理を行つておりまする全国選挙管理委員会、あるいは都道府県市町村選挙管理委員会、その取締りに当つておりまする国警自治警ともにそういうことが十分示達されて、行き届いて、そうしてやはり選挙を正しい方向に導いて行くというような方法が今とられなければならないと私は思うのであります。従つて国警だけでなくして、私は自治警にもそういう旨をひとつ十分各方面にお伝えを願いたい。同時に選挙管理委員会等に対しても、選挙管理委員会の当然の仕事として、そういうことが行われることがいいと思いますので、ぜひそういう手配をひとつ至急しておいていただきたいということを要望しておきます。
  5. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 ただいまの門司委員のお説はまことにごもつともでございます。ただいま申し上げましたような趣旨自治警の方にも十分連絡をいたしますことはもちろん、ただいま全国選挙管理委員会協議をいたしまして、全国選挙管理委員会の方で、そういつた趣旨全国民によく徹底をさしていただくということが必要である。かように考えまして、今よりより協議中でございます。さよう御承知を願います。
  6. 大泉寛三

    大泉委員 大体この間の長官答弁で私どもは満足した形であつたのですが、今のお話によると、まだ何だか移動性があるように思うのでありますが、これはやはり選挙期日中心として計算的にとられるからそういう考えが出る。また候補者中心として考えるから、立候補が確定しないと、やはり法の発動ができないということになるのであつて、これは候補者中心としなくとも、選挙運動選挙運動である。あるいはまた何も選挙期日を確定しないからといつても、多少観測は移動性があつても、やはり犯罪犯罪として、期日にこだわらないで、取締当局としてはこれに当るべきである。こう思うのであります。この考え方がやはりどうも全国の大勢の警察官に対して徹底しないということから、解釈のいかんによつて不統一になるということでは困ると思います。統一した方針によつてつてもらいたいと思います。もし長官のお考えが、私の希望と一致するならけつこうでありますが、もし一致しなければ御答弁を願いたい。
  7. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 先ほど述べました趣旨によりまして、選挙期日の公布がまだない、従つてその立候補届出をしないという段階でありましても、その次の、たとえば衆議院に、あるいは参議院に、またその他の地方議会議員にいたしましても、特定選挙自分立候補するのだということをはつきりし、そのためになしておる選挙運動だということが、客観的に立証されまするような運動でありまするならば、これは現在でも取締らなければならないということになつておるのであります。これは今門司委員の方から、それが立候補しなかつた場合にどうであるかというお尋ねでありましたが、大審院の判例によりましても、そのとき現実にそのことが立証されるならば、これは選挙違反であるという判例もあるのであります。従つて選挙違反であることには間違いがないのでございます。ただ立候補意思の客観的な立証ということが、立候補をいたしまするならば、非常に明瞭になるわけであります。いたします前には立証が非常にむずかしいのでありまするけれども、しかしこれは選挙違反であることには間違いがありませんので、さような場合には取締りはしなければならないということをはつきり徹底させております。今後もさせたいと思います。
  8. 立花敏男

    立花委員 ただいま問題になつております選挙法の問題に関連いたしまして、木村法務総裁がおいでになつておりますので、ちよつと御質問したいと思います。  再軍備の問題ともからみまして、憲法改正が当然日程に上つて来ると思うのでありますが、その際に住民投票等方法選挙法との関係を、どういうふうにお考えになつているか、ちよつと承りたいと思います。
  9. 木村篤太郎

    木村国務大臣 たびたびほかの委員会でも、本委員会でも申し上げましたように、憲法改正ということは政府では考えておりません。従つて住民投票というようなことについては、まだ具体的に何も問題になつていないのであります。
  10. 立花敏男

    立花委員 政府では考えておられなくても、手続の問題として住民投票をおやりになる場合に、選挙法との関連をどういうふうにお考えになつているか、たとえば最近選挙管理委員会等で、あるいは選挙法改正特別委員会等で非常に選挙活動選挙運動の面を制限する形が現われて来ているのですが、予想されます憲法改正住民投票の場合に、そういうふうな制限された選挙法に基準を置いて住民投票をやられるお考えであるか、私どもから考えますと、非常にその疑いが濃厚なんですが、現在の選挙法選挙運動を非常に禁止しながら、たとえば公務員等選挙運動を全面的に禁止する選挙法改正をやつておいて、そのあとで憲法改正住民投票の規定をそれに準じてつくるのではないか、そういうふうな疑念が濃厚なんですが、その点はどういうふうにお考えになつておりますか。
  11. 木村篤太郎

    木村国務大臣 率直に申し上げまして、ただいま私どもは何も考えておりません。あるいは選挙管理委員会の方で、そういうことについて構想練つておられるかもわかりませんが、私どもにおいては何も考えておりません。
  12. 野村專太郎

    野村委員長代理 この際本案に対する残余の質疑は次の機会に讓りまして、この際治安関係担当主管大臣である木村法務総裁が見えておりますので、本案に対しては調査をこの程度にいたします。     —————————————
  13. 野村專太郎

    野村委員長代理 次にポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く警察関係命令措置に関する法律案議題といたします。  これより本案に対する質疑を続行いたします。通告によりまして質疑を許します。鈴木幹雄君。
  14. 鈴木幹雄

    鈴木(幹)委員 私は法務総裁にお伺いしたいのでありますが、新聞紙上に伝えられるところによりますと、占領政策が終了いたしまして後における国内治安を処理いたしますために、治安機構いろいろととりざたをされております。坊間伝えられるところによりますと、木村構想であるとか、あるいは大橋構想であるとかいう名のもとに伝えられておりまして、われわれはどこに今政府政策がきまりつつあるか、あるいはまた具体化しつつあるかということにつきましては、確かな情報を持つておらぬのであります。ただ考えるところによりますと、今後日本国内における治安の処理ということに関しましては、非常に深刻なるものを予想せらるる状態にあるのでありまして、私どもはこの際法務総裁から治安機構に関しまして、どういうような構想をお持ちになつてどういうような治安機構確立を期しておられるかということにつきまして、できる限りの詳細な御説明を承りたいと思うので、まず第一点はそれをお伺いいたしたい。
  15. 木村篤太郎

    木村国務大臣 お答えいたします。新聞紙上でいろいろ伝わつておるのであります。あれはわれわれは責任をもつて言つたわけでもありません。まずそれを御了承を願います。そこでいかにこの治安機構を整備するかということについては、われわれは頭を悩ましておるのであります。私の考えでは、なるたけ権力集中の弊を排除いたしたい。幾つも考え方はありましよう。法務府にあるいは国警を持つて来るとかいうことが、うわさされております。そういうことは私は考えていないのであります。まず第一に考えられることは、現在の特審局国警自警、これのつながりをどうして行くかということであります。もう一つは、御承知通り検察庁関係であります。そこでいろいろ私は考たのでありますが、機構ということはまず別問題といたしまして、第一に考えらるべきことは、この国警なり自警なりあるいは特審局なりの連絡を、どうしてうまくやつて行くか、これであります。申すまでもなく、いかに機構を改革いたしましても、これを動かすのは人であります。そこで急激にこれを改革いたしまして、そうしてこの人の入れかえとかいうようなことをやつて行きますと、その間に遺憾ながら非常な摩擦を生ずる憂いがあるのであります。そこでこの摩擦をできる限り排除いたしまして、自警国警並びに特審局のこの形を、うまく連絡調整をとつて行くなれば、さしあたりの日本治安の維持は守つて行けるのではないか、こう考えております。そこでこの特審局なり国警自警連絡調整というものは、まず人的要素から考えなければならぬ。従来はこの関係はあまり密接でなかつたように少くとも私は考えております。ほかの方は存じませんが、私はそう考えております。それはまず人の配置、いわゆる人員の異動の面からも考えなくちやならぬのであります。人事交流が一番大事と私はこう考えております。それで幸い私は最近御承知通り国警担当を命ぜられたのであります。そこで特審局国警自警——これは自警についてはなかなかむずかし問題がありますが、できる限り人事交流をいたしまして、そうして十分な連絡を整備させたい。それと同時に何といつても、これを動かすについては施設を完備しなくちやいけない、あるいは無電設備だとか、鑑識設備だとか、いろいろな設備が必要であります。これは必ずしも今満足な点に達していないのであります。そこで急速に施設方面整備拡充考えております。それと同時にいわゆる有能な人を養成しなければなりません。この点について全力を注いで有能な人の養成に盡して行きたい。こう考えております。さしあたりの問題といたしましては、今全面的にいわゆる機構の改革ということは私は考えていないのであります。新聞紙上に伝わつておりまするあの構想なるものは、これは一つ考え方でありまするが、今の段階におきましては、そういう根本的なことは私は考えておりません。しかし構想といたしまして、いろいろ考え方がありますので、大いに案を練つてみたいと考えております。
  16. 鈴木幹雄

    鈴木(幹)委員 私の私見もまぜまして法務総裁の御意見を承つてみたいと思うのであります。ただいま国警自警並びに特審局、三者の間におけるところの連絡を密にするということ、これがさしあたりの急務考えられる、こういう御趣旨からいたしまして、人事の円滑なる交流をはかつて、その連絡を密にして行きたい、こういうような第一のお考えのようであります。  さらに第二には、施設というものをお互いに充実をし合いまして、その間に円満なる連絡をとつて行きたい、こういう御趣旨のようでございました。まことにその点につきましては同感でございます。ただ私考えておりますのは、御承知のように国警自警という警察制度が今日のようになりましたのは、昭和二十二年でありますか、マツカーサー書簡が出まして以後の問題であります。もちろんこの自警を創立いたしました趣旨は、警察能率というものをある程度低下させても、大きな民主化という政治目的のためにやむを得ないのだ、こういう趣旨から自警制度というものが出たように、私は承知をいたしておるのであります。ただ今後の日本のあり方というものを考えて参りますと、国内治安の保持という点からいたしまして、警察はあくまでも最後の場面におきましては実力を行使するものであります。実力を行使する警察機構というものは、いかなる場合においても全国的に一つの統制あるものでなければならないということを考えておるわけであります。これが警察能率を高めるゆえんでもありますし、またいろいろな事態に対処いたしまて、全能力を発揮するゆえんであろうと思うのであります。さような意味からいたしますと、私は單なる人事交流だけをもつていたしましては、この問題を解消することができない。これにつきまして私は抜本的なお考えを、法務総裁としてめぐらしていただきたいということを、第一に今考えるわけでありますが、こういうことにつきまして御所見を承りたいと思つております。  それからさらに人事交流の問題でありますが、これは今の制度が存在する限りにおきましては、人事交流と申しましても、これは円滑に行われることは不可能なのじやないかと、実は考えております。制度といたしまして不可能なのじやないか、それをやつて行くならば、この制度はすでに破綻を示したと考えなければならない。その点につきましては、法務総裁はいかようなお考えを持つておりますか、お伺いをいたしたいのであります。
  17. 木村篤太郎

    木村国務大臣 ただいままことに剴切な御意見を承りました。理想論といたしましては、警察が一本で強力に推進すべきことは、これは申すまでもないことであると考えております。しかしながら、ただいまの段階といたしましては、これを一本にするということはなかなか容易じやないと私は考えております。そういう方向に持つて行くべきであるという考え方は、私はまことに同感であります。ただ繰返して申しますが、今急激にこれを一本の姿にして強力な形にするということは、まずもつて不可能ではないかと考えますが、方向はさように定めておいても、徐々にそういう形にするということでなければ実現はむずかしい。御説は私もきわめて同感であります。ただ、ただいまの段階といたしましては、いかにこの警察の機能を能力的に効果的に運営して行くかということが一番の急務であろうと考えて、その構想のもとに私は人事交流をはかり、あるいは施設拡充をはかつて行きたいと考えております。人事交流の点につきましては、これはなかなか容易じやありませんが、私はあらゆる角度から考えまして、実現いたしたいと考えております。
  18. 鈴木幹雄

    鈴木(幹)委員 ただいまの警察機構確立という問題につきましては、私の私見が入つておりまして、これは御考慮を願うだけで十分でありますが、もう一つ伺いをいたしたいのは、特審局の問題であります。伝えられるところによりますと、真偽のほどはわかりませんが、特審局国警の持つております警備関係仕事を一括いたしまして、そうしてこれにFBI的な組織を持たせる、つまり拡充強化をして行くというようなことが伝えられるのであります。私はその是非を申し上げるのではなく、そういうことがあるかどうかをお伺いいたしたいと思います。
  19. 木村篤太郎

    木村国務大臣 ただいまの御質問は、今の特審局を拡大強化してアメリカのFBIのようなものをつくり上げる考えがあるかどうかというように承つたのであります。私はなるほどFBIのような姿で行くということは、一つ考え方でありますが、これは御承知でもありましようか、なかなか容易な問題ではありません。そこで私は特審局を拡大強化して、そのようなものに仕上げるという考えは、今のところは持つていないのであります。ただこれはいずれ御審議をお願いいたしまするが、いわゆる団体等規正令にかわるべき法案におきまして、別に特別の調査庁というようなものを設けたいという議があります。おそらく今の特審局はその方向に向うだろうと考えております。
  20. 鈴木幹雄

    鈴木(幹)委員 特別の調査庁と申しますか、そういう制度をお考えになつておるようでありますが、この制度におきましては、現在の特審局国警並びに自警関係は、どういう建前になる御構想でございましようか。
  21. 木村篤太郎

    木村国務大臣 特審庁構想は、いわゆる団体に対する規正をしなければなりませんが、その規正に対する調査機関であります。従つて国警自警はこれに対するある協力は持ちましようが、直接の関係はないのであります。
  22. 鈴木幹雄

    鈴木(幹)委員 これからの治安の問題といたしまして考えられますことは、いわゆる共産主義的な運動が、相当地下潜行的な色彩を帯びて行く。しかも非合法の色彩が出つつあるように考えられるわけであります。さらにまた国家主義的な行動思想の台頭も見受けられるのでありまして、特審局は主としてこういう方面に関するところの思想並びに運動行動に対する調査をやられるという機構であろうと思うのでありますが、この方面につきましては、私は相当突き進んだ非合法的な運動が出て来た場合におきまする深刻なものを、私はお考えを願わなければならぬと思うのでありますが、団体等規正令の今考えられております改正方向と申しますか、これは法案としていつごろ成立をいたし、われわれの国会に提案されますか、またその内容におきましていかなる点を含んでおりますか、この点をお漏らし願いたいと思います。
  23. 木村篤太郎

    木村国務大臣 実はまだその法案をいつ提出するかという確定的なことは申し上られませんが、だんだん整備しつつあるのであります。おそらく近いうちにその結論が出ようかと思つております。この法案の主たる目的は、破壊活動目的とする不法な暴力団体対象にしておるのであります。申すまでもなく講和條約発効後の時局に対処いたしまして、今いろいろな段階が出て来るかと考えております。要は暴力的不法活動を行い、またはこれを行わんことを目的とする団体規正して行きたい、こう考えておるのであります。きわめてその内容は民主的に、いやしくも憲法処定されました基本的人権は、どこまでも尊重して行くという建前をとつておるのであります。
  24. 立花敏男

    立花委員 ただいま民主党の鈴木君の発言には聞捨てならない発言があつたのですが、それに対しまして法務総裁は何らお答えになつていない、この点はひとつ明確にしておいていただきたい。共産党が非合法をやるから、今度の団規法も共産党が対象だろう、調査庁においても共産党調査のやつだろうということを質問なさつた、それに対してあなたははつきり答えていないのですが、その点をひとつ明確にしていただきたい。団規法が共産党に対する弾圧法規であるか、あるいは調査庁が共産党対象調査庁であるか、そういうふうにお考えなのかどうか。
  25. 木村篤太郎

    木村国務大臣 お答えいたします。日本共産党を対象としておるものではありません。今申し上げまする通り、破壊的不法、暴力的団体規正しようといたします。それは右たると左たるとを問わず、そういうことは区別はしておりません。
  26. 立花敏男

    立花委員 もし非合法を行うものを調査庁あるいはこの団規法でやろうとするならば、政府をまず第一にやつていただきたいと思う。政府は現在行われておりまする行政協定で、まつたく秘密的に外国と軍事的な協定をやろうとしておる、それこそまつたく秘密的な非合法的なやり方であつて、これこそ私は取締対象にしていただかなければならぬと思う。この点私鈴木君にひとつ反省を求めておきたいと思うのです。それから法務総裁のさいぜんからのお言葉の中に、これもやはり聞捨てならない御答弁がある、これは根本的に現在の警察制度と逆行するようなお考え方がある、これをひとつ明確にしておいていただきたい。それは理想としては特審局国警自治警を一本にすべきものだということをあなたは言われた、少くとも方向としてはその方向へ進むべきだということをはつきり言われた、現在の段階では非常に困難だから、それはやれないが、理想としてはそれらを一本にすることが理想であり、少くとも現在の警察行政の面においても、それを一本化する方向に進んで行くことが当然だというふうに言われた。この考え方は明らかに現在の警察制度の根本的な方針と反すると思う。法務総裁としては聞捨てならない言葉だと思うのですが、これは根本的な理念だから明白にしておいていただきたい。
  27. 木村篤太郎

    木村国務大臣 聞捨てならないとか何とかえらいことをおつしやいますが、そういうのは私の意を誤解しておるのです。これは私は機能を統一しなければいかぬ、と考える。機構の統一は別に考える。機能の統一でありますぞ、それははつきり言つておきます。
  28. 立花敏男

    立花委員 機能は機構に裏づけられなければ、これは十分発揚できない。機能を十分活用するための機構であらねばならない。ところが、機能が、特審局国警自治警を一本にするということが理想であり少くともその方向へ進むべきだということを、明らかに機構の面においても逆行的な機構をお考えになつておる。また世間体をはばかつて自治警特審局国警を、表面上は一応形の上では別々にしておるが、その実質的機構においては、少くとも一本にしようということをお考えになつておると思う。現在の警察法は、そういう意味において機構の上においても、やはり自治的な警察、民主的な警察、この方向へ少くとも一歩を踏み出し、それを理想としてそれをますますはつきりした民主的な警察にするための方向をとらなければいけないと思う。あなたは機構と機能を機械的に分離することによつて機構は動かしませんが、機能だけは一本にして行くのだ、そういうまつたくごまかし的なことを言つておるのです。しかもその根本的な考え方の裏には、明らかに一本にして行くことが、それは少くとも理想であるということは言つておられるので、これは聞捨てならないと言つたところが、非常にかんにおさわりになつたようでありますが、まつたくこれは重大な問題であるのであります。とくとこの点は御反省を願いたいと思います。私の質問は関連質問でありますので、この程度にいたしまして、あとでお伺いしたいと思いますから、これでとどめておきます。
  29. 大矢省三

    ○大矢委員 私は木村法相に対してお尋ねいたしたいのですが、先ほど来お伺いしますと、治安関係は全部木村さんの責任にあられるようであります。自治体警察が発足の当時は、御承知のように予備隊警察まで入れていなかつた。予備隊警察が七万五千から今度三万五千が増員になりまして十一万という、いわゆる軍隊であるかないかということは問題になりましたが、ことほどさように大きな組織を持つて参つたのでありますが、この自治体警察ができた当時には軍隊というものが日本にはなかつたのであるから、特にこの大都市の治安というものは重要であるから、そこで数の按分にいたしましても、特に戦前の倍近い定数を持つた自治体警察が、大都市にはできているのであります。東京その通り、五大都市ことごとくその通りであります。最近地方自治体の財政がきわめて困難になつておりますために、この警察費というものを、何か削減しようとする傾向があるのであります。こういうふうに十一万からの警察予備隊、すなわち治安を維持する重要な役割を持つ自治体警察の上に、さらに予備隊警察ができたのでありますから、この定員というものを何らかの形においてこれを変更する、行政的、財政的な、あるいは今申しました警察予備隊が生れた実情からいたしまして、そこで総裁としては命令権は持つておらないことはよくわかりますけれども、少くともこういう実情において地方財政その他治安においては、予備隊警察ができたから、いわゆる万全を期している。従つて定員等は多少減らしてもいいという意向があるということは、非常に地方自治体警察行政に影響が多いことと思います。一体あの当時と今日の情勢が、今申しましたようにかわつているのでありますから、それについての法務総裁の御意見というものを、私はこの機会にお聞きしたいと思うのであります。この点を御答弁願います。
  30. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 便宜上私からお答えいたしますが、自治体警察の定員は先般の臨時国会で、自治体が必要と思う数に自由に変更することができるように相なつたのであります。従いまして当該自治体におかれまして、現在の治安の状況から考え、その当該自治体の定員が不十分であると考えられる場合には、増員が実際にできます。またいろいろな事情から、自分のところは減じてもいいという結論に達したところは減じてもよろしい。自由になることになつたので、自治体警察の本質に従いまして、その当該自治体における治安の状況の判定を自治体にまかせ、またそれによつて定員を自由に考える。こういう制度になつております。国の方から増員したがいいであろうとか、あるいは減らしたがいいだろうというような意見は、これは差控えた方がいいのではないかと、かように考える次第であります。しかし警察全体といたしまして、絶えず連絡をとりながらやつておりますので、各自治体警察下の治安というものと、その周辺の治安というものは、密接な関係を持つております。従いましてそれらにおきましてもお互いに連絡をとりながら遺憾のないようにいたしたい。かように考えている次第であります。
  31. 木村篤太郎

    木村国務大臣 ちよつとこの際委員各位に御了解願いたいと思いますが、本案に関しまして最近の治安状況につきまして、田中警視総監から参考人として実情を聴取することにいたしたいという御要望があるのですが、本日は都合によりまして、御出席ができないとのことでありますので、後日適当な機会に参考人として招致いたしたいと思いますので御了解願つておきます。
  32. 大矢省三

    ○大矢委員 定員をかえることは自由であるということはよく承知しておるのです。私が木村総裁にお伺いしたいことは、今申しましたように、警察予備隊がまだできない以前であつたから、できた後においては治安は安心しておる。定員がかりに半分になつても、予備隊ができたから安心してよかろう、そういう心構え、そういう意見であれば減すことができると思う。そこで私は斎藤さんに聞くのでなしに、木村さんに、それは定員を少くしても今度は警察予備隊ができたのであるから安心しろという、その言明があれば定員を減すことも考えられるから、むしろそれは斎藤さんよりか木村さんの言明を私は望んで特に名ざしをしたのですから、この機会にぜひ御意見を聞きたいと思います。
  33. 木村篤太郎

    木村国務大臣 その点についてはよく考慮して、何したいと思います。
  34. 大矢省三

    ○大矢委員 それでは今議題になつておるところに関係するポ政令の問題でありますが、これはせんだつての本会議において、日本講和條約の効力が発生した後においては、六箇月は有効であるという議決を見たのであります。昨年の十月の四日、それから十一月一日をもつて施行されました出入国管理令、これは聞くところによりますと、今、日韓並びに国民政府との間に折衝があるので、早晩三月中ごろか、それともおそくとも末ごろには新しくこの法案がポ政令でなしに出るということでありますが、これははたしていつごろ出るか、何かそういう構想でもあるなら、この際お聞きしたいと思います。
  35. 木村篤太郎

    木村国務大臣 これは法務府の所管事項でないので、外務省だと思います。おそらくかわるべき法案が出ることだろうと思います。三月中ごろに出ることだと思います。
  36. 大矢省三

    ○大矢委員 このポ政令が出て後、ここ数箇月において、各地方で自治体警察並びに国警、特に渉外関係の人たち——昔の特高でありますが、そういう人々の間に、強制送還、国籍の問題で相当脅迫的な事実がたくさんあるのです。これは私時間がありませんから後日総裁その他の関係に文書をもつて出したいと思いますが、この国籍の強制の問題、送還を強制するようないろいろなできごとに対して、その実情をもしお知りならばお聞きしたいと思うのです。と申しますのは、このポ政令を出した直後、私どもは非常にこれは日本について重要であるし、また朝鮮、台湾の人々にとつても重要な問題であり、非常な動揺をしておりますために、関係当局に対して、一体これは二十年、三十年、多くは六十年近く日本に居住されておるところの朝鮮の方方、また台湾の方々に対して、これは領土も日本であつたし、日本人民として扱つて来て、徴用その他軍までも進んで応じた人たちに対して、ただちに外国人として取扱うことはどうか、これは多少区別をするべきではないかということについて、私どもがいろいろ事実をただしに行つたところが、これは附則の十二條にあります通りに、終戦前にいた人たちにはこれを適用しないのだということを明らかにしておる。ところが出先の方では、君たちはすぐ返すのだ、特に共産党に属しておる人たちは、ただちに送還するのだとか、いろいろ口実をもつて、これは実例をあげれば限りがないのでありますが、特に病院に入つておる人あるいは生活保護を受けておる人たちに対して、これを送還するという條項が二十四條にある。そのために特にそういう療養中の者、あるいは生活の保護を受けている人、この人たちを送還の対象としていろいろな流言飛語を飛ばしてある。ここではこの人たちは適用しないと言つておる。ことに私の手元に約三十名ばかりの癩病患者の人たちの陳情がありまして、こういう入院しておる人たちも送還するのかどうか、これは絶対にしないと病院の院長あるいは事務長まで通告してある。そういう人に安心して療養するようにということを言つておつたが、せんだつての香川県の癩病の療養所においては、君たちはすぐ送還するのだから入院する必要はない、こう言つたというので、非常な不安を持つておるそうであります。これは実例をあげれば限りがないのでありますが、関係当局では前におつた人は適用しないのだということを言い、さらに現在おる人も六箇月以内にこれを登録すればいいのだ、こういうことを言つておるにかかわらず、出先ではそういうふうないろいろなことをやつている。こういうことについて、これは事実間違いでありますから、国警はもちろんのこと、あるいは自治体警察関係治安の責任者である大臣から、特別に前におつた人には適用しないのであるということの通達を出す必要があるのではないか、今申しましたように六十万、あるいは華僑、台湾人を入れると相当になりますが、その中には日本人の女を奥さんに持つておる人が約十二万からある。子供もおるし孫もある、こういう人たちに対して、お前たちは強制送還をやるのだということを強制することは、日本治安についても、またその人たちの気持も想像できるのでありまして、これは大問題だと思う。そういう通告を新たに出す御意思があるかどうか、それからそういう事実があるかどうかということを調査される御意思があるかどうか、必要ならば今私が申しましたように、いくらでも事実を文書をもつて出しますから、この点は至急通達してもらうことをお願いしたいのでありますが、やる御意思があるかどうか。
  37. 木村篤太郎

    木村国務大臣 ただいま御質問の問題につきましては、私の聞き及んでおるところでは、日韓会談でいろいろ折衝中だということであります。そのうちに、やはりあなたの仰せになりましたように、終戦前から引続いて内地におられる人については、永久居住権を認めるとかいうことを聞き及んでおります。その会談の結果がいかようになつたかということは、まだ何らの通報に接しておりませんが、おそらく結論には達していないだろうと考えております。お説のような問題が事実起つておるといたしますと、それはまことに気の毒でありますから、十分調査いたしまして適当な措置考えることといたしましよう。
  38. 大矢省三

    ○大矢委員 適当な処置ということが、どういうふうに解していいか、これは今後現われて来ることでありますから、私は信頼いたしますが、ただ一つ、今仰せの通りに日韓交渉あるいはまた国民政府との間の交渉がありますから、この点は最も重要だと思いますが、台湾は日本の領土であつた。今国民政府と交渉しておる場合に、一体台湾人であつた人あるいは華僑の人で、日本に長らくおつた人に対して国籍をどういうふうにするか、これと同様に、今韓国政府——韓国政府というか李承晩政府といつていいかどうかしりませんが、今交渉される相手は北鮮とは別であります。御承知の通りに二つの政府がある。今戰つておる。国連がこれに対して休戦のために努力しておる。近く統一しようとする国連の意向もあつて、いろいろ苦慮されておるようでありますが、この際に南鮮と北鮮を割ろうとしたり、国民政府と中共政府を割ろうとするような、内政干渉にひとしい、国籍の問題もいずれかに強要するということは、私はこれは大問題だと思う。たとえば今朝鮮の人々で、韓国に希望する人、北鮮に希望する人と、今戰つているからいずれにも希望をしない、いずれかに籍を置くことによつて、今度のいわゆる北鮮南鮮の戦いの巻添えを食うからそれまで待つてもらいたいという、これまた私はもつともだと思う。そういうような、いずれかに属することを希望しない。しかしいずれかを強制すれば、いずれかの政府を支持しろということを命令すれば、これは内政にまで干渉が及ぶのですが、そういうことについて、四日の毎日新聞を見ますと、非公式の会談によつて、いわゆる韓国に籍を置くことについて妥協が成り立つたとか、あるいは内容が一致点を見たとかいうようなことが書いてありますが、これは特に法務関係でありますから、この国籍の問題について、これは自由にまかし、いずれも強制しないという本質の問題を総裁はどう考えておられるのか。これは重大な問題であります。特に本人にとつては——私どもかりに日本が名古屋を中心にわかれておつた場合に、お前どつちへ行くんだということと同じことなんです。しかも二つの政府があることは事実ですから、それをいずれかに強制するということは重大問題でありますから、これは單に国籍を強要するという部分的な問題ではない。日本と中共、台湾、朝鮮の、将来の日本のアジアにおけるまた民族的な、いろいろな歴史的なつながりから見ましても、こういうことは重大な問題でありますから、総裁の確固たる信念といいますか、これに対してどういう考えを持つているか、今現に交渉しつつあるのでありますから、ぜひひとつこの点を明らかにしておきたい。
  39. 木村篤太郎

    木村国務大臣 私の聞き及んでいるところでは、まだその国籍問題には触れてないようであります。私は何も率直に申して聞き及んでおりません。御趣旨の点はよく了解しておきたいと思います。
  40. 大矢省三

    ○大矢委員 きまつてないから、なおさら総裁の御意見が非常に重要だと思う。私はそういうことはいかぬとかいいとか——今交渉している、妥結したと言う、どうも政府がきめたんだからいたし方なかつたというようなことをされたのでは、これはもう総裁の意見というものは、非常に重要なのでありますから、強制をしないのかするのか、その点をひとつ。これはせられる本人にとつても、あるいは交渉の過程においても重要な問題でありますから、この点はいずれか明らかにしていただきたい。これについて総裁の考えでいいのですから、その後の交渉の結果これがどうなるか私はわかりませんけれども、この機会にぜひお聞きしたい。
  41. 木村篤太郎

    木村国務大臣 これはいろいろ国際関係もありましようから、愼重に考慮いたしましよう。今ただちに私は結論をここで発表することは、差控えたいと考えます。
  42. 大矢省三

    ○大矢委員 ただ私は強制するかしないかというだけでいい。たとえば今の新聞によりますと韓国政府に籍を持つことを望むということが、日本政府との間に妥結ができた、こういうのでありますから、この点を、強制しない、自由意思だ、いやそれは強制するんだということになると、今申しましたようないずれかに籍を置くことをいやだと言つたらどうしますか。具体的な問題になつて参りますから、ただ考えてみましよう、考慮しましようでは——この問題は今現に交渉しつつあるので、国民政府ともやつている。一体台湾の人々を国民政府に籍を置かすのか、中共が好きだといつたら中共にやらすのか、どつちかにするということは、必ず具体的に問題になりますから、その点の方針を……。これは籍をいずれに置くかということは外交問題ではない。日本の法理的に必ず事前にきめなければならない問題である。今日本には七十万近い人がおりまするが、これは日本独立の結果当然離脱すべき結果になる。それがいずれに籍を置くかということは本人の自由であるのか。あるいは日本政府がこれに韓国並びに台湾国民政府の籍を強要するのか。この点はこれはこう考えるべきものであるということを、すぐ明らかにしていいものである。私はかように考える。
  43. 木村篤太郎

    木村国務大臣 これはまだ政府の統一意思がきまつておりませんから、ここで私の意見を述べることは差控えたい。
  44. 門司亮

    門司委員 私は今の問題は非常に重要な問題だと思います。その前の段階ちよつと総裁にお聞きしたい。先ほどから大矢さんから申し上げられましたことは、総裁は何らか考慮するというような、あるいは善処するというような御意見だと思いますが、大矢さんからお聞きされました趣旨は、現在ああいう出入国管理令が出ておりまして、その二十四條には、総裁御存じのようなことが書いてある。従つて朝鮮の諸君がたとえば少し犯罪を犯すとか、あるいは少しでも思想的にでもいろいろなことがあつて参りますと、警察当局では、あの出入国管理令をたてにとつて、頭からお前たちは送還するんだ、お前たちはこうするんだということを言うのであります。附則の最後には、御存じのように、九月二日以前に日本に居住しておつた者には、これを適用しないということがはつきり書いてある。にもかかわらず出先の官憲といいますか、警察官というものがよくそういうことを言うておどかすのであります。これは事実であります。従つてそれを善処するとか考慮するというようなことでは、ちよつと受取りにくいのであります。だから私からお願いをすることは、出先のそうした自治警察にいたしましても国警にいたしましても、そういうことのないように、いたずらに刺激をしないように、ことさらにトラブルを当局が起させるようなことをしないように、ひとつ嚴重に警告をしておいてもらいたい。そういたしませんと、末端におります者は、警察官民主化されたと言いましても、なかなかまだあなた方のお考えになつているように行きませんし、私ども考えているようなわけにも参りませんので、ことさらにああいう政令をたてにとつておどかしているのでありまして、それにおびえるというような事例が、今方々で起つておりますし、問題を起している原因なのであつて、神奈川県の大和でも大きな問題を起しました。朝鮮人がああいう問題を起すことは政府が種をまいていると思う。ああいうことを言つておどかすから、片一方では生活扶助を受けている者も、癩病患者も皆追い返されるのだ、皆国難をよくても悪くても韓国に併合されてしまうのだというようなことで、そうした逆な宣伝に乗りやすい、デマに乗りやすいようなことを官憲と言いますか、警察当局みずからが私はやつているような気がする。これは治安の上に非常に大きな影響を持つておりますので、ひとつ考慮するというようななまぬるいことではなくて、この機会にひとつ厳重にそういうことのないように、通達をしておいていただきたいということを、この際私は願いたいと思います。この点はひとつ国警の方もあわせて十分警告しておいていただきたいと思います。
  45. 立花敏男

    立花委員 今問題になつております出入国管理令の問題ですが、これは明らかに国際法違反だと思う。国籍選択の自由というものは、国際的に認められているので、それをまだ朝鮮あるいは中共と講和もできない間に日本が一方的に政令を出して、国籍を強制するということは、まつたく明らかに国際法違反です。この点は今まで大矢君あるいは門司君がたびたび追究されたのにかかわらず、政府ではまだ方針がきまつていないというような逃げ口上で、しかも片つ方では日韓会談あるいは日台交渉が行われているわけなんです。どういう基準で一体政府はこういう会談に臨んでいるのか。政府の方針がないというようなことでは、これはまつたく国民を愚弄するものであるし、あるいはこの委員会自体を政府が愚弄しているのだと思う。そういうことは私どもはとうてい納得できないから明らかにしていただきたいと思う。それからこの出入国管理令の問題では、まつたく法律的な措置ではなしに、法律によらないで行政的な一方的な認定で身柄の拘束もできるし、あるいは捜査逮捕もできる、こういうふうになつておりまして、まつたく法務総裁の行政的な見解で、生殺與奪の権が握られている。單に国際法違反でなく、内容的に見ましてもまつたくフアツシヨ的な、国際信義を無視し、わが国に住んでおります他民族の人権を無視した法律なんです。こういう悪法を私どもは見逃すことはできませんので、ただいままで問題になつております国際法上の違法的な問題とあわせて内容もひとつ十分検討しておいていただきたいと思う。  問題を別に移しますが、きのう起りました米兵のギヤング事件、この問題は非常に重大だと思います。法務総裁は、今までにどういう報告をお受けになつており、どういう方針をお立てになつておるか、この問題についてどういうふうにお考えになつておるか、これを承りたい。
  46. 木村篤太郎

    木村国務大臣 昨晩の新聞記事を見まして、私は実に驚いたのであります。そこでさつそく事務当局の方の調査の結果の報告を待つておるのでありますが、今まだ詳細な報告は参つておりません。十分にこれを捜査いたして国民の疑惑を解きたい、こう考えております。
  47. 立花敏男

    立花委員 さいぜんからもお話が出ておりますように、治安対策は共産党が対象だと言つておられますが、おひざ元にこういう治安を乱す重大な事件が起つておるにかかわらず、まだその報告もお受けになつてない。方針も意見もここでお述べになれない、こういうことでは治安というものを、一体だれが乱しておるのかわからぬと思うのです。私はきのう銀行へも行つて参りました。現場の人にも会いましたし、警察署長にも会つて参りましたが、付近はまつたく人心動揺しております。しかもこれはきのうだけ起つた問題でなしに、きようの新聞にもはつきり書いてありますように、去年の十二月から同じ連中とおぼしい者が二つの質屋を同じ手口でやつておる、ガソリン・スタンドをやつておる。こういう去年からの一連の事件なんです。こういうことを見のがしておいて、こういうことを問題になさらないでほつておくからこそ、きのうのように白晝公然と四名のアメリカ兵がピストルを擬して、銀行ギヤング事件をやるというような事態が起つておる。事の重大性を御認識にならないからまだ報告を受けてない。意見を徴しても意見がない。こういうことで、日本治安がどうして守れますか。しかも署長に会いますと、署長は逮捕していいかどうかわからぬと言つている。なぜ逮捕できないのです。白晝公然と銀行へ入つて来てギヤングをやつて、二百数十万円の金をとつてつて、集まつておる群衆に発砲しながら逃げたのをどうして逮捕できない。しかもその目の前で部長と巡査が見ておつたということを、きようの新聞ではつきり書いてある。署長もはつきり言つておつた。それに対して何らの措置も何らの抵抗もしてない。非常ベルが鳴りましてかけつけました消防隊員が、何分間かホールド・アツプしてじつと見ておつた。こういうことでどうして治安が保てますか。こういう重大な問題に対して何も意見がないということでは、法務総裁、一体どうしておるのです。
  48. 木村篤太郎

    木村国務大臣 この点についてはまことに遺憾に存じております。至急に何とか手を打ちたいと考えております。私はそれより申すことはできません。
  49. 立花敏男

    立花委員 それ以上申すことはできないというのは一体どういうわけなんです。警察署長は逮捕できないと言つている。逮捕していいか悪いかわからぬと言つている。一体そういう場合はだれが捜査命令あるいは指揮命令をやるのです。
  50. 木村篤太郎

    木村国務大臣 警察官はさような場合に逮捕できないことはないのであります。それを逮捕しなかつたことが、どういういきさつであつたか、まで報告を受けてない……。
  51. 立花敏男

    立花委員 署長は逮捕していいかどうかわからぬとはつきり言つている。あなたたちは一体警察官に対して、どういう教育をなさつておるのか。日本人であれば、きのうの澁谷の騒動のように、徴兵反対の署名運動を求めておりますと、警察官が五百名も出て行つて東大の学生を弾圧しておる。しかるに白晝公然と行つたギヤングに対して、逮捕していいかどうかわからぬということは一体何ということです。米兵であれは何をやつてもいいというような警察官に対する教育をやつておるのかどうか。
  52. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 ただいまのは警視庁管内のできごとでありますけれども、しかしどういう者を逮捕していけないかどうかというような事柄につきましては、これは法律上きまつておるのでありますから、自治体警察にも十分徹底しております。たとい国籍がどこの人でありましても、さような現行犯は逮捕できることになつておりまするし、このことはわからないはずはないと思います。従いまして署長が逮捕できないのだと言つたということにつきましては、私は不審の念を持つております。さような事実があつたかどうか今調べております。
  53. 立花敏男

    立花委員 署長が申しましたことは、私と都会議員と、私の秘書と、もう一人国会の秘書と四人で参りまして聞きましたので間違いございません。その前に私は交番に寄りまして、一体向うが市長に対して発砲しておる場合に、君たちは腰にさげているピストルをなぜ撃たなかつたかというと、撃つてはいけないと言われていると、はつきり警官は答えているのです。日本人に対してギヤングが発砲しております場合に、なぜ警察官は腰のピストルを使わないか。しかもピストルを撃ちながら逃げているやつを、すぐ銀行の前にある交番で巡査と部長が見ておつて、なぜほつておくのか。あなたは、十分徹底している、わかつているはずだと言いますが、署長といい、警官といい、あるいは目撃した警部といい、何らその場で直接適切な措置を講じていない。この事実が何よりも明白に、あなたたちの教育が、日本人を弾圧するために警察を使つてつて、外国人はしたいほうだいということを物語つていると思う。徹底しているかおらないかは事実が証明しております。この問題を至急調査される意思があるかどうか。
  54. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 ただいまも申し上げました通り、これは警視庁管内の事柄でありまして、自治体警察の事柄でありますから、責任を持つては、都の公安委員なりあるいは警視総監が答弁せられると思いますが、調査の結果わかりましたことは、かわつて御報告申し上げてもいいと思います。
  55. 立花敏男

    立花委員 だから警視総監の出席を求めているのですが、所用だと言つて出て来ない。しかも法務総裁は、まだあなたはお忘れになつていないと思うが、特審と自治警国警を一本にすると言つたじやないか、それが理想だ、その方向に進むのだと言つた。そうしたら自治体警察、警視庁がきのうの事件でどういう機能を果したか、あなたは責任をお持ちだろうと思う、今言われのだから……。どうなんです、この点は……。
  56. 木村篤太郎

    木村国務大臣 私は一本にするということを言つていない。それが理想だということを言つたのです。これは自治警、公安委員会が責任を持つてあなたに答弁をするのが、至当であると私は考えます。
  57. 立花敏男

    立花委員 法務総裁は責任を持つて答弁なさらないというのですか。
  58. 木村篤太郎

    木村国務大臣 いや、責任を持つて答弁しないと申しません。詳細のことはそれにお聞きになるのがよかろう。私も責任を回避しないのでありまして、極力捜査の手をゆるめないで捜査して行こうと申しておるのであります。
  59. 立花敏男

    立花委員 あなたはさいぜん自治警国警も機能を一本にすることが理想である、少くともその方向へ進もうと思つておると言つた。そうしたら現実警察の事件だつて、毎日々々機能を果しておるのだから、この機能をあなたは行政官として毎日々々監督されて、関心をお持ちになり責任をお持ちになるのが当然だと思う。その場合に、機能の中に徹底しておると思つていることが何ら徹底してない。やらなければならぬことをやつてない。これに対して責任をお持ちになるのが当然だと思う。だからこれは私は徹底的に法務総裁の責任だと思うのですが、どうですか。
  60. 木村篤太郎

    木村国務大臣 かるがゆえに私は、国警自治警も特審も機能を発揮させるように連絡調整を将来とつて行きたい、こう言つているわけであります。
  61. 立花敏男

    立花委員 話をそらしてはいけません。きのうの問題を私は言つているので、きのうの問題についてどうしても法務総裁に責任を持つていただいて、事態を明白にしていただきたいと思う。もう一つ法務総裁に聞いておきたいのは、私が警察署長に会いましたのは十時過ぎです。ところがその時まで検事局の方はちつとも行つていない。なぜ検事局はこの問題を問題にされなかつたのか、またなぜ現場を調査ざれなかつたのか。
  62. 木村篤太郎

    木村国務大臣 その後検事局は行つておるはずであります。
  63. 立花敏男

    立花委員 その後いつ参りましたか。
  64. 木村篤太郎

    木村国務大臣 私には何時何分ということは言えません。
  65. 立花敏男

    立花委員 少くとも十時までには行つていなかつた。しかも警察署長に聞きますと、検事局へ報告していないと言う。なぜ報告しないんだと言いますと、検事局へ直接署長から報告する問題は、強盗殺人事件ぐらいなんだ、だから、この問題はそう大した問題でないと思つたから報告しなかつた、こういうことを言つておる。現場の警察署長はこういう認識程度しかない。あなたたちは現場の署長たちをこういう教育をされているのか。こういう問題を、検事局へ通告するだけの価値のない問題として、あなたたちは警察を教養されておるのか。
  66. 木村篤太郎

    木村国務大臣 私はその直接の責任者ではありません。これは警視総監がやり、また自警の公安委員でやるべきであつて、私は直接の指揮監督もできないのであります。
  67. 立花敏男

    立花委員 だから私は、あなたがそういう警察官の態度を容認するような教養をなさつているのかどうかということを聞いておるのです。しかも警視庁は、そのときまでには、警視総監も行つておりませんし、あるいは部長級も行つておりませんし、課長級も行つておらないのであります。そのときに警察におりましたのは、捜査一課の者が一人おりましただけで、これではたしてこういう重大な問題を捜査ができるかどうか。北海道で白鳥事件が起りますと、田渕君も来ておりますが、国警長官が飛行機で飛んで行つた。一警官が殺されますと、北海道まで国警長官斎藤さんが飛行機で飛んで行つた。ところがおひざ元で、自動車があれば十分で行ける所に、白晝公然と米兵によるギヤング事件が起つておるのに、警視庁からは課長も行つていない。あるいは検事局においても、十時までにまだたれも行つていない、こういう状態では、治安行政のあり方が、はつきりと外国の勢力に対しては何ら手を施す道がないと考えざるを得ないと思うのですが、こういうことであつていいかどうか、法務総裁どうお考えですか。
  68. 木村篤太郎

    木村国務大臣 繰返して言つております。私はこの事件に対して直接の指揮監督の命はないのであります。しかしできる限りにおいてこれを連絡調整して、捜査を十分に緊密にして行きたい、こういうことであります。
  69. 鈴木幹雄

    鈴木(幹)委員 ちよつと関連して。昨日の千住におきまする米兵の事件に関しましては、まことに帝都の治安保持上重要な問題でありまして、一刻も早く犯人が逮捕されまして、事態の真相を明らかにしていただきたいと思いますが、この問題に関連いたしまして、ただいま同僚立花君から法務総裁の責任が追究されておるのでありますが、私はこの問題に関連いたしまして、木村法務総裁がどれだけの責任を負わなければならぬか、限界をひとつ明らかにしていただきたいと思います。それは実は今の警察制度から考えますと、警視庁管下において発生をいたしました事件に関しましては、執行の面においては警視総監、同時に管理運営教養、人事を含めましてこれに当る者は、都の公安委員会であると承知をいたしておりますが、その関連法務総裁とがどういう関連を持つておられるか。従つて責任はどこまで持つべきものであるかという点を明らかにしていただきたいと思います。所見によりますると、同僚立花君は、むしろ自治警についても法務総裁が責任をとるべきである、こういう御意見のようでありますが、現行制度からそういうことが出て来るものであるかどうかということをお尋ねいたしたい。
  70. 木村篤太郎

    木村国務大臣 現行制度からは法務総裁には責任がないと私は考えております。御承知の通り自治警は、これは都の公安委員が全部運営に当つておるのであります。私は何らそれに対して指揮監督の命令権はない、こう考えております。
  71. 立花敏男

    立花委員 それではもう一ぺん確めておきますが、法務総裁は何ら責任がない、これは警視総監の責任である、治安担当大臣である法務総裁は、この重大な治安問題に関しては、何ら責任がないとはつきりおつしやるのですか。
  72. 木村篤太郎

    木村国務大臣 この問題に限つてはそうであります。私は直接の責任者じやないということであります。
  73. 立花敏男

    立花委員 直接の責任者なくとても、間接の責任者であるという場合もあるのですが、どういう面においても責任はないとおつしやるのですか。
  74. 木村篤太郎

    木村国務大臣 かるがゆえに私は、自警国警の調整を今後十分にとつて行きたい、こう申しておるのであります。
  75. 立花敏男

    立花委員 さいぜん、責任がある、調査して答弁するとおつしやつたのは、あれは間違いですか。
  76. 木村篤太郎

    木村国務大臣 それは責任者としての何ではありません。法務総裁として十分な調査をして行きたい、こう考えておるのであります。
  77. 立花敏男

    立花委員 ますますわけがわからない。責任者としてというのは、一体何に責任を持つのか。
  78. 木村篤太郎

    木村国務大臣 私は犯罪捜査についての検察庁を握つております。その検察面における捜査を私はやりたいと思つております。
  79. 立花敏男

    立花委員 だからさいぜんもあげましたように、これは軍に警視庁の問題ではなしに、検察庁の方も十時までに何ら適当な措置をしていない問題もあるし、また一般的に申しまして重大な治安問題なんです。だからそれについては、責任が当然おありだろうと思うのです。鈴木君への答弁のように、警視庁管下だから警視総監というような、そんな機械的な問題ではないと思う。しかも最近行政協定が進んでおりまして、きのうの朝日新聞に書いておりましたが、その行政協定によりますと、講和成立後も、基地以外での米駐屯軍の犯罪は、日本法律では取締れない、治外法権にするということがはつきりいわれております。これはまことに重大な問題なんで、きのうのような問題も、講和後におきましても何ら日本法律が適用できないという問題があるわけなのであります。こういう大きな政治的な問題としては、当然法務総裁の責任だと私は思う。この点、どうお考えになりますか。
  80. 木村篤太郎

    木村国務大臣 繰返して申しません。この事案に関する限りにおいては、私は直接の責任者でないということであります。
  81. 立花敏男

    立花委員 それと関連いたりしまして、実は同じ時間に西北の方の澁谷では、道路交通取締法を適用いたしまして、徴兵拒否署名運動を断圧しておりました。この問題は法務総裁はどうお考えになつておるか。大橋前法務総裁は、この徴兵拒否署名運動取締ることができないというふうに答弁なさつたと思うのです。新聞に、断固取締るとありましたのは誤りなんで、取締ることはできません。政府はそれに合法的に対抗するとおつしやたと思うのですが、きのうのこの澁谷での東京大学の学生の署名運動を道路交通取締法で弾圧いたしましたのが、あれが大橋国務大臣の申しました政府の合法的な対抗措置かどうか。あなたはどうお考えになるか。
  82. 木村篤太郎

    木村国務大臣 私はその点について何らの報告をまだ受けておりません。従つてあなたのおつしやるそれが道路取締法に違反しておるかどうかということについても、私はここで意見を申し述べることはできかねます。
  83. 立花敏男

    立花委員 この徴兵問題は非常に重大な問題なんで、法務総裁の言葉によりましても、ことし六万人の徴兵をやる——六万人と申しますと非常に過少な見積りなんで、現在の予備隊が三分の一しかやめないという見通しなんですが、私どもは、おそらく兵隊にとられるから、ほとんど大部分はやめると思つておりますから、この六万人は十万人になるだろうと思うのです。しかもこれだけではなしに、今後引続き——来年度は三十数万に達する増員をやるとおつしやつておられます。大体数十万に達するものが、われわれ国民の中から選抜徴兵されて行くであろう。しかもそれが二十歳から二十四、五歳の年齢でございまして、全国でこの年齢に該当いたしますものは三百五十万ばかりですが、それに対して数十万の徴兵をやらなければいけない。そうなりますと、該当年齢のうちの十人あるいは七、八人に一人が徴兵されるわけなんですが、これは私そう簡單には参らないと思うのです。何となれば、きのうの学生もはつきり示しておりますように、日本の若い人たちは、兵隊に行くことを心からは望んではいないわけなんです。これを数十万も新しくとらなければいけないということは重大な問題なんです。これに対して、政府が道路交通取締法というような、まつたくこじつけの法律で弾圧するというやり方では、問題は解決されない。この問題に対して、政府は根本的にはどういうお考えを持つておられるか。あくまでもそういう末梢的な法律を利用いたしまして、ほんとに正しい要求である徴兵拒否運動——これを断固取締るという言葉は訂正されましたが、やはり断固取締る方針なのかどうか。日本の徴兵制度は、大体アメリカの選抜徴兵制をまねてつくつたといわれておりますが、あの選抜徴兵制の中にすら、正しい良心に従つて徴兵を拒否する者は許可するという條項があるわけなんです。現在の日本の民族的な自覚に燃え、あるいは平和を愛する人たちが徴兵拒否運動をやるのを、政府はあくまでも取締る方針なのかどうか、これを明らかにしていただきたい。
  84. 木村篤太郎

    木村国務大臣 合法的にこれをやる限りにおいては取締りません。しかし、これは法律の範囲に限られたものでありまして、逸脱した行為があれば取締つて行くのは当然であります。
  85. 河原伊三郎

    ○河原委員長代理 お諮りいたします。きようは富士銀行のギヤング事件で、警視総監に来てもらつて報告を受け、そして質問もしようというのであつたのですが、さいぜん御報告しました通り、今日は見えませんので、本日の会議はこの程度で……。
  86. 門司亮

    門司委員 一つだけ……。委員長に直接要求しておきたいと思いますことは、建設委員会にこれはかかると思いますが、今政府が予測いたしておりまする法律案の中で、水道に関する問題、それから道路の建設に関する問題、河川の統制に関する問題というようなことで、おそらく今議会に法案が提案されると思います。これらの議案はいずれも地方自治体に非常に大きな影響を持つておりまする法案でございますので、もしこの法案が建設委員会等にかかつて参りました場合は、委員長のおはからいで——われわれも気がつけば、そのときにお話はいたしますが、ひとつ合同審査会なり、あるいは当局の人にこちらへ出て来ていただいて、こちらの委員会でこれをただすということに、ぜひとりはからいをこの際願つておきたいと思います。  木村さんがおいでになりますから、一つだけ聞いておきたいと思います。これは大橋さんの管轄でありますから、法務総裁には別に直接関係のないことでありますが、本会議法務総裁答弁されたことがあります。それは警察予備隊は兵隊ではないとはつきりお言いになつて、その理由として今日原子爆弾を持たないようなものは軍隊とは考えられないというようなお話であつたのですが、あれは今でもそういう信條ですか。これは非常に大きな問題でありまして、私に言わせれば子供の言うようなことだと思うのですが、今でもそういうことをお考えになつておるかどうか、これはあなた御自身のために、この際心境をお聞かせ願いたいと思います。
  87. 木村篤太郎

    木村国務大臣 えらい誤解をされております。私は決して原子爆弾あるいはジエツト機を持たなければ軍隊ではないと申し上げたのではないのです。現在ジエツト機を持ち、原子爆弾を持つておる国はあまたあるではないか。こういう国と比較すれば、日本の予備隊は比較にならない。かるがゆえに日本警察予備隊は憲法第九條第二項の戦力に相当しないものだと申し上げたのです。
  88. 門司亮

    門司委員 それが問題で、そうすると木村さんはやはり軍隊ということを一応肯定された上で、今の議論をされたのだと思う。軍隊として肯定しなければ、軍隊の規模あるいは軍隊の能力との比較検討はできないはずだと思う。どうも今までの木村さんの言葉を拝聴しておりますと、警察予備隊は軍隊にあらずという一つの理由の中に、軍隊ではあるのだが、しかし戦力の大きいと小さいとによつてこれが認められる、そうなつて参りますと、警察の定義が非常にむずかしくなつて参ります。一体どこからどこまでが警察で、どこからどこまでが軍隊か、その定義が非常にむずかしくなつて来る。警察予備隊はどこまでも治安関係だけをやるのだということになつて参りますと、今の警察予備隊は少し大き過ぎると思いますし、ああいうものが必要かどうか、認識の相違にもなりますが、私ども警察予備隊の範囲ではないと思います。今の木村さんの御答弁から考えても、やはり心の底では軍隊ではあるが、他の国の軍隊と比較検討してみて、小さいので、ものにならないのだというように考えておるのではないかと私は思うのですが、それに対する心境をひとつお聞かせ願いたい。海上保安庁にいたしましても、あれがアメリカのコースト・カードであるという解釈になつて来ますと、コースト・カードはアメリカでは海軍ではないといつておりますが、歴史を見ますと、全部戦争に出動して軍力の一部を担当しておるのは事実であります。とにかく、そういう問題も出て来ますので、隠された軍隊というようなことでなく、もう少しはつきりこの機会に御答弁を願いたいと思います。
  89. 木村篤太郎

    木村国務大臣 そこで問題は警察予備隊は、いわゆる憲法第九條第二項の戦力に該当するかどうか、御承知の通り戦力に該当することになりますと、憲法改正しなければならない。そこで何が職力なりや、憲法第九條第二項には陸海空軍そこ他の戦力と書いてある。そして第一項を見ますと、国際紛争の手段としては武力を行使しないと書いてある。ここに非常な含蓄があるのであります。そこで自衛力というものは、決して否認されておるわけではありません。国際紛争の手段として戦力を使わないという建前、新憲法ができました根本理由は、再び太平洋戦争のような愚をさせたくない、これが根本原因であります。戦力を持てばあるいはまた戦争を起すような危険が起るかもしれない。そこで陸海空軍その他の戰力を持たせないということが、憲法の建前になつておることは御承知の通りであります。そこでこの戦力というのは、いわゆる国際紛争の手段として、近代的の戦争をし得るような能力と解すべきが、普通の解釈であろうと考えております。いわゆる戦争遂行の有効適切な能力、こう考えております。そこで、今の警察予備隊は戦争を遂行し得る有効適切な能力を持つておるかどうか、これが根本問題でありまするが、警察予備隊の範囲では、戦争を有効適切に遂行し得る能力はない、かるがゆえに今の警察予備隊は憲法第九條第二項の戦力にあらず、こう解釈いたします。
  90. 門司亮

    門司委員 今の木村さんのお話だと、憲法を全部お聞かせ願いたいと思います。国際紛争という文字が使つてありますが、その下に、国際紛争解決のために、という文字が使つてあると思う。そして問題は、木村さんが今国際紛争と言われましたが、国際紛争解決のために戦力を使わないということになつて参りますと、木村さんの今の解釈だけでは、解釈がしかねるのであります。国際紛争を起さないために軍隊を置かないということと、国際紛争の解決のために軍隊の戦力を使わないということは、デリケートな問題だと思う。木村さんの今までのお考えだと——その下の解決のためにということを今言われなかつたが、国際紛争のために使わないと、侵略的な軍隊ではないということになりますが、他から侵略を受けた場合に、これを一つの国際紛争と見、その解決のために戦力を持たないということが書いてあるはずであります。従つて憲法に基きますると、どうしても国内治安だけでなければならないという解釈が出て来るのであります。その点をもう少し先生にお聞かせを願うならば、憲法全文を読んでいただいてこの解釈をしてもらわぬと、都合のよいところだけを読まれては迷惑いたします。そういう点をもう少し明確にしておいていただきたいと思います。
  91. 河原伊三郎

    ○河原委員長代理 本日はこれにて会議を閉じます。     午後零時五十一分散会