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1952-02-14 第13回国会 衆議院 地方行政委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年二月十四日(木曜日)     午前十一時二十分開議  出席委員    委員長代理理事 野村專太郎君    理事 大泉 寛三君 理事 床次 徳二君    理事 門司  亮君       門脇勝太郎君    川本 末治君       小玉 治行君    佐藤 親弘君       前尾繁三郎君    吉田吉太郎君       鈴木 幹雄君    藤田 義光君       立花 敏男君  出席政府委員         総理府事務官         (全国選挙管理         委員会事務局         長)      吉岡 惠一君         国家地方警察本         部長官     斎藤  昇君         国家地方警察警         視長         (刑事部長)  中川 董治君         総理府事務官         (地方財政委員         会事務局財務部         長)      武岡 憲一君         地方自治政務次         官       藤野 繁雄君  委員外出席者         総理府事務官         (全国選挙管理         委員会事務局選         挙課長)    金丸 三郎君         專  門  員 有松  昇君         專  門  員 長橋 茂男君     ――――――――――――― 二月九日  地方財政平衡交付金確保等に関する請願野村  專太郎紹介)(第五六〇号)  高等学校定時制分校建築費起債認可に関する  請願竹尾弌君紹介)(第六〇二号)  地方財政平衡交付金法の一部改正に関する請願  (竹尾弌君紹介)(第六二三号) 同月十三日  大阪の特別市制反対に関する請願久保田鶴松  君紹介)(第六七三号)  地方財政平衡交付金法の一部改正に関する請願  外一件(井手光治紹介)(第六七四号)  同外一件(近藤鶴代紹介)(第六八一号)  消防施設に対する国庫補助増額等に関する請願  (山本久雄紹介)(第七一二号)  固定資産税配分に関する請願岡村利右衞門  君紹介)(第七一三号) の審査を本委員会に付託された。 同月七日  平衡交付金増額並びに地方起債わく拡大  に関する陳情書外七十四件  (第二九  六号)  同外十五件  (第二九七号)  地方税制改正に関する陳情書  (第二九八号)  地方税法改正に関する陳情書  (第二九九号)  自動車税増額等反対に関する陳情書外一件  (第三〇〇号) 同月十二日  行政事務配分とこれに伴う財源配分に関する  陳情書(第三八  三号)  地方税法改正に関する陳情書  (第三八四号)  地方税制改正に関する陳情書  (第三八五号)  事業税改正案反対に関する陳情書  (第三八六号)  入場税遊興飲食税等市町村へ委讓すること  に関する陳情書(  第三八七号)  平衡交付金増額並びに地方起債わく拡大  に関する陳情書外二百三十三件  (第  三八八号)  同外二百三件  (第三八九号)  同外百六十六件  (第三九〇号)  同外五十五件  (第三九一号)  公営電気事業起債わく拡大に関する陳情書  (第三九二号)  殉消防団員災害補償に対する特別平衡交付金  支出に関する陳情書  (第三九三号)  特別市制反対に関する陳情書  (第三九四号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する  件に基く全国選挙管理委員会関係命令廃止  に関する法律案内閣提出第七号)  ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する  件に基く警察関係命令措置に関する法律案(  内閣提出第八号)
  2. 野村專太郎

    野村委員長代理 これより会議を開きます。  委員長は都合によりまして御出席がありませんので、その指名により、私が委員長の職務を行います。  ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く全国選挙管理委員会関係命令廃止に関する法律案を議題といたします。これより質疑に入ります。
  3. 床次徳二

    床次委員 過般、米軍占領区域における南西諸島のうち一部が内地に復帰され、これが鹿児島県の一部になつたのでありますが、この俗に言う十島村の選挙区域に関しまして、どういう手続を今日とつておられるか。長い間日本行政下から離れておりましたので、今日までその引継ぎ等をいろいろやつておるようでありますが、選挙に関しまして、法制等が実は当初においてあまり整備しておらなかつたと思うのですが、この際どういうふうにこの法令を整備されておりますか、お伺いしたいと思います。
  4. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 いわゆる十島村のうちの七島村の復帰に関しましての措置は、公共団体としてのいろいろの措置がまだはつきりしておらないわけでありまして、それの報告を待ちまして、私どもの方としては措置をしたいと思つております。
  5. 床次徳二

    床次委員 ただいまの点は、従来連絡が十分なかつたのでありまして、県の方におきましても用意が不十分だと思いますので、どうか管理委員会の方におきましても、地元の方に徹底するようにおとりはからいを願いたいと思います。  それからこの機会にひとつ伺つておきたいのは、過般選挙制度のいろいろな調査研究をしておられまして、将来の選挙運動というものに対しましては、法定選挙運動以外の選挙運動を禁止するという建前をはつきりしておられることは、これは当然そうあるべきでありますが、現在のところ、実際において弊害の大きいのは、法定選挙運動以外の、いわゆる事前運動というものが相当多いと思うのであります。この点に関しましては、管理委員会におきましても、将来政治啓蒙等の働きによりまして、その欠陷を是正したいということをもつて一つ選挙の理想として掲げておられるようであります。現在選挙管理委員会におきましては、この事前運動の指導と申しますか、同時に取締りというものに対しまして、いかようなお考えを持つておられるか。また現実に、各地方において相当いかがわしい記事も新聞に見るのであります。こういう問題は、将来法規をいかにいいものをつくりましても、実は法規の制定をなす前に、実際の選挙の本質を阻害するということになるのでありまして、現在からすでにこういうことに関しましては、選挙管理委員会といたしましても、十分に対策考えられるべきだと私ども考えておるのであります。その点に関しまして、委員会においていかようなる御用意があり、また今日手を盡しておられるか、御説明いただきますればけつこうだと思います。
  6. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 衆議院議員の次の選挙を目ざしてのいろいろの政治的の動きは、私ども聞いております。これが事前運動にまぎらわしいというような話もしばしば伺うのであります。全国選挙管理委員会といたしましては、いろいろそういう事柄を考慮に入れて論議をしておるのでありますが、何分にもやはり国民全体の自覚を促すことが第一である、こういう考えのもとに、昭和十年ごろでありましたか、選挙肅正運動というものがありましたが、まああれと同じような考えで、今後やるについては、粛正というような何か消極的な意味からはよろしくないが、もつと積極的に民主政治確立ということについて努力をすべきではないかということで、よりより協議をしておりますが、まだ具体的にどういうことをやるというぐあいには、申し上げるまでに至つておりません。ただこの前の選挙粛正運動のときの経験に徴しまして、やはりあまり官が先に立ち過ぎたようなかつこうだと、運動自体が上から押しつけられたような感じになりますので、ほんとう国民の中から盛り上つたような気持ちで、民主主義政治確立のための運動なり何なりをやりたいという考えで、協議をしている程度ということを申し上げておきます。まだ申し上げる内容はできておりません。
  7. 床次徳二

    床次委員 事前における選挙粛正運動の根本をなすものは、政治思想徹底にあると思う。この徹底に関しましては、管理委員会においても相当関心を持つていただきたいと思う。たとえばいわゆる政治に対するいろいろ意見発表等の会合に対しまして、積極的な便宜を與えるということによりまして、正しい選挙運動へ移行することができるのであります。今日においては往々にいたしまして、集会あるいは政治に対する意見発表機会が、比較的経費がかかるというような関係もありますのでいきおいこれが他の方法によつて行われておるということは、はなはだ遺憾なのであります。やはり選挙運動そのものも、ああいう事前運動というものにありましても、当然これは言論、思想をもつて行わるべきものだと思う。この点につきまして、管理委員会におきましてもやはり積極的な準備をする。選挙公営そのものばかりでなく、平素における政治運動というものに関しましても、やはり積極的な考えが必要なのではないかと思うのであります。この点、十分ひとつ御研究をいただきたいと思う。なお現在行われておりますいろいろの行為に関しましては、選挙管理委員会といたしましても、その事実をよく認識していただくことが必要だと思います。なおこれに対して必要な処置があれば——いわゆる民間運動を官によつて圧迫することはいけないと思いますが、選挙運動開始後におきましては、不正な選挙運動に対しまして厳罰主義をとつて行かれることは、これは当然だと思いますが、開始してからだけでは、ほんとうの効果も上らないということもよく御承知だと思いますが、この点に関しましては、ひとつよく今から研究をしていただくし、なお、いわゆる民間盛り上る政治意欲というものを阻害しない限度で、むしろ正しい政治意欲は助長する考え方におきまして、ひとつ対策考えていただきたいと思います。  なお、つけ加えてお伺いいたしますが、来年度の選挙運動費用につきまして、多少の経費をお持ちになつておるかどうかということを伺つておきたいと思います。
  8. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 床次委員の御意見、われわれれ同感でございます。そういう趣旨で委員会でも研究しておりますがまだ申し上げる材料がございませんで、はなはだ遺憾でありますが、よく研究いたします。  それから明年度における選挙啓発あるいは政治啓発費用といたしましては、全国選挙管理委員会項目ではございません。内閣官房項目の中に、民主政治徹底のための費用というものが二千万円計上してあります。これはその使い方について、全国選挙管理委員会として使えるかどうか、その辺のところはまだ交渉しておりませんが、われわれの方もそれをある程度は利用できるというように考えております。
  9. 門司亮

    門司委員 私は今の床次さんの質問だけではちよつとふに落ちないのですが、新聞ですでに御承知のように、また実際そうだと思いますが、選挙はすでに始まつておるということが非常にたくさん書かれておりまして、選挙運動というものが、あまりいい形で行われていないようにわれわれも見受ける面が多分にあるのです。これについて全国選挙管理委員会では何らか通達をされたのかどうかということであります。その内容はたとえば選挙粛正に対して、選挙というものをどういうように行うべきであるかということを指示されたことがあるかどうか。今の床次さんに対する御答弁では、何か検討しておるというような御答弁ですが、検討をしておるうちに選挙も終つてしまうということでは何にもならぬと思う。選挙管理委員会では、あれだけ新聞にやかましく書いております事前選挙運動にお気づきにならないはずはないと思います。従つて全国選挙管理委員会に何らかの指示がなされていなければならぬと思う。この問題はなおつき進んで申しますと、選挙法改正されて、今までのようなお祭り騒ぎができなくなるということになると、ことさらに事前運動が必要になるという考え方から、よけい行われる。要するに選挙法改正に伴う事前運動がいろいろ行われておる。それから追放解除その他の問題で、相当激烈な競争が行われるだろうということが予測されておるから、やはり事前運動が起つておる。こういうように考えておりますので、管理委員会は今の床次さんに対する御答弁通りであるのか、あるいはもう少し何か都道府県、市町村選挙管理委員会指示されたことがあるかないかということを一応お尋ねしておきます。
  10. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 現在総選挙ということを考えてのいろいろの動き——事前運動であるか、政治活動であるのか、非常にむずかしいと思います。われわれの方はいろいろのことを聞いておりますが、まだ事前運動であるということの断定をして、そのもとにいろいろ措置をしたということはございません。
  11. 門司亮

    門司委員 今のお話通りでありまして、事前運動であるか、政治活動であるかという境は、私は相当むずかしいと思います。むずかしいと思いますが、巷間新聞紙その他で伝えておりますように、選挙運動政治活動との範囲がむずかしければむずかしいほど、この問題は速急に処理すべきだと考えます。むずかしいからといつて、これは先ほど申し上げましたように、選挙の終るまでわからぬ、裁判の終るまでわからぬというようなことでは、選挙管理委員会はあつてもなくても同じようなことになる。選挙管理委員会選挙事務管理するのか、選挙管理するのか、一体どつちなんですか。その点明確にしておいてもらいたい。
  12. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 今御質問の点は選挙管理であります。ただいろいろの動きに対する解釈について、多少相違があるかもわかりませんが、そう考えて、また先ほど申しましたような考えで、具体的に指示をした事例はないのであります。
  13. 門司亮

    門司委員 私はむろん選挙管理だと考えておりました。選挙管理であるとすれば、少くとも日常そういう啓蒙といいますか、運動が続けられておられなければならないと思います。先ほど申し上げましたように、選挙の期間はきわめて短いのでありまして、その事前運動というものが相当行われると思う。それが政治活動であるか、あるいは選挙運動であるかという見さかいが、ずいぶんむずかしいと思います。政治活動というものは、おのずから限定されておりまして、一つ政党が行うのはおそらく政治活動範囲に入りましようし、個人の行うのは選挙運動に入ると思います。この次に立候補すると考えられる、あるいは議員として政党活動範囲を越えて行つておる選挙運動というものが相当あるから、巷間新聞などに相当書かれているのだと思います。これを選挙管理委員会が見のがしていて、具体的のものが出て来なければわからぬということになれば、さつき申しましたように、死んでしまつてから死人を調べるようなもので、別に人間を助けることじやなくて、死人を調べればいいのだということになる。従つて選挙を完全に行つておるとすれば、日常こういう啓蒙選挙管理委員会を通じて行われるところに選挙管理委員会権威が出て来ると思う。今の状態ですと、選挙管理委員会権威は何もないのであつて選挙事務を処理するだけで、選挙のときだけ届出に来たものを判を押してやることだけが仕事になつておる。ふだんは何をしておるか、ちつともわからぬ。従つて管理委員会としてはそういう臆病なことでなくて、その辺のところを明快とは行かなくても、およそ政党選挙活動個人選挙運動との相違ぐらいは、大体大まかなものでいいから指示して、やはり選挙粛正に対する主体とならなければならない。これは民間から起つて来るといいますけれども民間から起つて来るといつても、なかなかそう簡單に民間から起るものじやないと思う。政党がおのおの自粛して、政党自身選挙粛正に乗り出すということになれば、一応いいかもしれませんが、これもなかなか困難であります。選挙粛正の声が民間から盛りつて来るということは、それの音頭をとる者はやはり選挙管理委員会でなければならないと思う。その音頭をとる全国選挙管理委員会限界がわからぬから一向知らぬ顏をしておる。これでは全国選挙管理委員会の存在を疑うことになつて来る。権威も何もなくなる。もう少し全国選挙管理委員会としては、たとえばこういうことは違反になるとか、事前運動の疑いがあるとか、こういうことはよくないとかいうようなことの指示くらいはして、全国選挙管理委員会がたえず機会のあるごとに、有権者にそういうことを啓蒙して行くという処置がとらるべきだと思いますが、この点についてのお考えはどうでありますか。
  14. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 全国選挙管理委員会考え方についての御意見でありますが、私ども同様に考えておりまして、選挙のときだけにあの仕事があるのだという考えでは毛頭ない、お話のようなつもりで私どももやつております。  それから啓蒙運動の話でありますが、これは先ほど私が申し上げました事柄が、言葉が足りませんために十分私の真意が御理解できなかつたかと思いますが、私が申し上げましたのは、民間から起つて来たようなかつこうの運動から、どうせある程度気持のないところへそういう気持を起させる動きかけが必要であります。そういう民間から起つたようなかつこうで持つて行きたい、こういうつもりであります。そういうふうに理解を願いたいと思います。それから事前運動の問題でありますが、これはわれわれの方で見るべきものは違反と自すべき個々の問題ではなくて、やはり選挙動き全体を見て行くべきもので、個々違反はやはり取締り当局の責任だと考えております。われわれは選挙全体の動きについては、先ほどのお話のようなつもりで見ておるのでありますが、いまだに指示すべき具体的な対象がないということを申し上げます。
  15. 門司亮

    門司委員 その点はちよつと了解に苦しむのですが、指示すべき具体的なものがないというお話ですが、具体的なものをつかんで、そうして指示するということは、私は啓蒙運動ではないと思うのです。選挙啓蒙運動自体から行きますと、いろいろ仮想された具体的なものがあると思うのです。こういうことはよくない、選挙というものはこういうふうに正しくすべきだというようなことは、絶えず国民にしみていなければならないと思います。従つて、私がなぜこういうことを言うかというと、今の選挙法は、実際は改正する必産はないと思うのです。選挙費用限界というものが、完全に守られておるならば、今の選挙法でも第三者の運動も、個人運動も、きわめて常識的に行われるように、それから自由に行われるように、選挙法はできております。しかしそれは選挙費用範囲だということで、大体解決しておるわけです。ところがこういう常識をはずれて、ただ自分だけの事由で、許された自由の範囲を趣えて選挙法を忘れてしまうから真の選挙ができないで、改正が起る、私は具体的に言いますが、去年でありましたか、例の地方議会選挙なんというのは違反を犯さないものは一人もないと思う。全部選挙法を犯しておる。はつきり言えば、選挙費用を超過しない人が一人でもあつたら、その人こそどうかしている。こういうことでは選挙法が全然守られておらないじやないか。明らかにできておる法を守らないことが当り前になるような考え方を起すところに、私は日常啓蒙運動が足りないと思う。ここで許されておる範囲というものは、十分住民が納得して、しかも選挙を行う者がそれを十分知つて、法を守るということでなければ、どんな選挙法を、こしらえても何にもならぬ。法律というものはこしらえても守られなければ、どんな法律があつても何もならぬ。つまり守るようにするには、日常啓蒙ということが相当重要である。従つてこの前のような選挙が行われるということになれば、選挙のときに相当無理をして選挙費用なんということは考えないで、逸脱した選挙を平気で行うでしようが、選挙法相当やかましくなつて来て、いろいろなことを縛るということになると、縛られないうちに事前にひとつ抜け道をこしらえて働いておけということが、やはり今の事前選挙運動一つの拍車をかけておるわけです。従つて選挙啓蒙運動というものは、今の当局お話のように、何か具体的のものがあつて、それに対してきめるということでなくて、日常やはり啓蒙運動が行われておつて選挙というものはかくあるべきだという観念が国民にない限りは、法律ができたたびにこれを啓蒙するのは非常に困難であります。ことしの総選挙でも私はあるいはそうではないかと思うのですが、四月に行われるとか、五月に行われるとか、十月に行われるとかいう人もあるが、新しい改正選挙法はまだでき上つておらない、これが施行された場合、一体何日ぐらい啓蒙の時間があるか、そうするとほとんど啓蒙の時間というものはありはしない、みんなが十分わきまえていないから間違いを犯す。その間違いのあるたびに管理委員会の方に報告をして、管理委員会がこれを解釈して指示しておる間に、選挙は終つてしまつておる、こういうことが今まで繰返されて来たというのが実情だと思う。だから具体的は事実があるというだけでなくて、選挙というものはかくあるべきだということの啓蒙運動をやる以上は選挙管理委員会がせつかくあるのですから、これを中心に何らかの活動をしてもらつた方がいいんじやないか、たとえ民間から盛り上がるというようなことでありましても、それに多少、そういうものの誘発されるだけの原動力といいまするか、選挙管理委員会がそういうことを努めて行くべきものじやないか、こういうふうに考えますので、これは今まで何にもされていなければしようがありませんから、これからそういうことをなさるかどうかということを、もう一度お答えを願つておきたいと思います。
  16. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 何もないからやらないということは、これは事前運動の方の話でありまして、啓蒙の方はお考え通りども考えております。まだ具体的にどういうことをやろうということはやつておりませんが、内々協議はして、大いに常時の啓蒙をやろうというつもりでおります。
  17. 大泉寛三

    大泉委員 門司委員からも発言されたと同じようなものですが、選挙管理委員会は、やはり公正な選挙をするということが、最大の目的でなければならないと思うのです。それがやはり国民良識にばかり期待して、国民りつぱな選挙をやられるようにということは——これは国民をそれほど信頼するのは、けつこうですけれども、やはり過去の実績において、違反実績というとおかしいのですが、とにかく相当違反が現われておるということからこれを考察して、やはり選挙国民のための選挙でもあるけれども、何といつても今日の動きというものは公報じや足らぬのではないか、いわゆる選挙に出る人が、とにかく今日強引に選挙運動を開始して、そうして国民が、いわゆる選挙したがごとく結果においてなるのです。今門司委員が言われた通り選挙運動がすでに始まつておる、こういう事前運動が、はたして妥当であるかどうかということについて、選挙管理委員会としてまつたく無関心でただ国民良識にまかせるということは、私はいけないと思うのです。先ほどお話のように取締りの方は違うというのならば、これは国警長官がおいでになつておられますので、国警長官からこれに対して、選挙事前運動はどういう型のものか、事前運動という一つ限界があるならば承りたい。私ども国会議員議会報告をする、あるいはこういう議案が審議されてこうなつたというような報告的なことは、政治活動としてもよろしいが、解除なつたからみんなにひとつ祝つてもらおうとか、あるいは今後立候補するからよろしく頼むというような事前的な一つ宣言というものは、やはりどうも政治活動範囲じやないと私は思うのですけれども、その限界として、やはり選挙事前運動はどういう立場まで見られるか、その期間的に見ても、おおよそ新聞その他に、もう選挙運動はすでに始まつておるというように見られておるときであるのだから、取締り当局においても無関心ではなかろうと私は思うのです。齋藤長官のお考え方をひとつ承りたいと思います。
  18. 斎藤昇

    斎藤政府委員 選挙事前運動の点でありますが私もただいまここでいろいろお話が出ましたように、社会常識として、選挙事前運動は、すでに実際始まつておる、これは認めざるを得ないように考えます。何が事前運動で何が事前運動でないかという点は、投票を得、または得しめる目的で、ある種のことをやつた場合は、これは選挙事前運動として取締りを受けるべきものであるわけであります。しかしながらこの事前運動は、立候補をして初めて選挙運動をやつたんだということがはつきりいたすわけであるのであります。その関係からいたしまして、立候補をいたさなければ事前運動をやつていても、現在は取締りができないことになつております。立候補してから、前にやつた事前運動を、かつて事前運動をやつたということで、前にさかのぼつて取締りをする、こういう形になるわけであります。従つてわれわれといたしましては、現在の事前運動が、もし本人が立候補したならば、選挙運動になつて、そして取締りを受けるというようになるおそれがあるというので、ふだんからこれは注意をいたしておるわけでありまするが、しかしこの場合に選挙の期日の関係からいたしまして、立候補いたします前六箇月以内でありませんと、これは法の適用がありません。従つて端的に言いますと、選挙期日前六箇月以内にやつたものでなければ、取締りの対象にはなり得ない、こういうことであります。それで今度の衆議院の場合には、来年の一月までは選挙がないという前提であるといたしますならば、なおさらですが、ただいまやつております運動は、取締りの対象には法律上なり得ないということになりまして、これは法律欠陷ではなかろうか、かように考えております。
  19. 大泉寛三

    大泉委員 そういたしますと、六箇月というものは取締り当局の、いわゆる選挙期日から通算されたひとつのさかのぼつた計算になるのだが、国会によつて解散が行われる場合には、それは自動的に計算される結果になるのですが、そういう場合は、やはり選挙の目標が来年の一月であるとか、あるいは二月であるとかいうような立場から、いわゆる六箇月を期間として計算すると、やはり違反と知りつつ、違反行為を事前運動としてやるけれども、六箇月というものは自分が定めるものではないから、結局他に制約される結果になる。こういう場合には、警察はやはり六箇月をあくまでもきちんとやられるか。たとえば八月に選挙がある、あるいは五月に選挙が行われるというような場合には、やはり選挙運動、あるいはまた政治活動をした者が違反に問われるような結果になるわけであります。これに対してはどういうお考えでありますか、やはりあくまでも六箇月というひとつの制約された期間においてさかのぼつた計算で行くのか。あるいはその当事者がそうでないというような見解のもとにやるのか、これはどうですか。
  20. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 選挙期日がはつきりいたしましてから六箇月さかのぼつて、そしてその間に行つた事前運動を捜査の対象に置く、こういうことになるわけであります。
  21. 大泉寛三

    大泉委員 それからこれは選挙管理委員会の方ですが、どうも私どもは、選挙管理委員会委員長を初め委員の方々も、その立場において非常に努力されておることは了としますが、どうも選挙法の根本的な改正ということは、ちよいちよい私どもは承るのですが、こういうことは選挙管理委員会として妥当であると考えるかどうか。私はどうも選挙管理委員会としては、そういう選挙法改正について意見として述べられることはけつこうでありますが、そういう政治的な活動に入るということは逸脱じやないか、こういうふうに思うのですが、今ここに委員長はいませんけれども委員会のどなたでも、もしその意思が代表されるならば、意見を承りたいと思います。
  22. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 選挙制度の問題でありますが、これは一つは、新聞にいろいろ報道されておりますことは、内閣にあります選挙制度調査会における論議が報道されたことと思います。それからもう一つは、われわれの手元で、選挙制度調査会が、内閣総理大臣の諮問がありまして、それに基いた法律案を、参考のためにつくつたことはあります。これはもちろんお話のように意見としてただ発表しただけのものであります。
  23. 立花敏男

    ○立花委員 吉岡さんにちよつとお尋ねいたしますが、今選挙事前運動が問題になつておりましたが、内容的には事後の問題ですが、実は昨年四月の地方選挙のあとに起つた問題ですが、これは全国各地で起つているのです。典型的なものを一つ取上げますと、奥州の石巻市でございます。ここで地方選挙をやりました際に、反対派にまわりました職員をあとで馘首した。これに対しまして、組合の方から提訴いたしまして、第一回の公平委員会で馘首取消しの決定がなされたわけでございます。復職いたしましたところが、その翌日再び懲戒免職にしておるのでございます。こういう事件が起つておるのでございますが、こういうふうになつて参りますと、選挙の公平ということは決して期せられない。特に地方選挙をめぐりまして、全国自治体にこういう問題が起つておりまして、非常に職員の間に選挙に対する忌避の感情が現われておるわけでございますが、こういう問題をどうお考えになつておるか。これは選挙管理委員会としては多少範囲が広すぎるかと思いますが、しかし選挙に対しては重大な問題なので、しかも典型的に、はつきり公平委員会でも扱つた問題なので、ひとつ御意見を承わつておきたいと思います。
  24. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 お話の事件を聞いておりませんので、実際のことについては申し上げられませんが、もしそれがほんとう選挙に反対側に立つたために、そういうことがなされたとするならば、それはよくないことだと思います。
  25. 立花敏男

    ○立花委員 そういうことは当然事件の経過から推測いたしまして、選挙運動の際に、この首切られました、これは土木課長ですが、市長選挙に反対側にまわつて反対の運動をした。ところがそれが就任の後に不当な馘首をした。こういうことで提訴をして、公平委員会が勝利をしたわけです。この公平委員会での結論をごらんになりましても、非常に不当な馘首であつたということがおわかりだと思うのですが、そちらで御調査をなさつてけつこうだと思いますが、こういう事案がありました場合に、選挙管理委員会は、どういう具体的な処置をおとりになるお考えであるか。これは直接選挙管理委員会としては、この問題に司法的な立場からタツチすることはできないかと思いますが、しかし選挙管理委員会として啓蒙の問題なり、あるいは意見の提出の問題なりいろいろあると思いますが、そういう点を具体的にお聞かせ願いたいと思います。
  26. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 ただいまの公務員の政治活動の問題ですが、選挙法として公務員のいろいろ選挙運動等について考えておるのは、非常に限定されております。今お話のような問題は、選挙法としては実際は取上げておりません。それで一般の国民政治活動というような立場から、全然関係がないとは申されませんが、主として地方公務員の問題であります。選挙管理委員会としては、特にどうこうするという問題ではございません。
  27. 立花敏男

    ○立花委員 最初からおことわりしておりますように、選挙管理委員会仕事範囲からは出ておると思いますが、実際的には、選挙管理という面から非常に問題があります。むしろこれは労働委員会なり、地方の労働委員会あたりが処理すべき問題だと思いますが、選挙管理委員会としても、実際は関係が全然ないとは言えない問題だと思うのです。こういう問題が起つて参りまして、これが不問に付されまして、單に不当馘首とかなんとかだけの問題で扱われますと、選挙の問題が無視されまして、選挙にあたり悪影響の面が除かれないのではないかと思いますが、これは十分選挙管理委員会としてもお取調べ願いたいと思うのです。これは地方選挙にはさいぜん言いましたように全国的に起つておりますし、最近衆議院の選挙を控えまして、重大な問題だと思いますので、関係がないというふうなお立場にお立ちにならないで、これはやはり選挙に重大な影響があるのだ、選挙に公正を期するという意味において重大な問題だという意味で、ぜひ御調査を願いたいと思います。その点で意見をひとつ承りたいと思います。
  28. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 今のお話の問題は、われわれとして全然関係ないという問題ではございませんで、やはり関係があります。その点われわれの考えといたしましては、個人的な見解になるかもしれませんが、むしろ公務員が政治活動をやることは適当でないのではないか、こういう私は考えを持つておるのであります。自分の考えを申し上げて恐縮であります。
  29. 立花敏男

    ○立花委員 いやその問題は別だと思います。その問題は、公平委員会でしよう。こういう問題を裁定する公平委員会に提訴いたしまして、公平委員会として、これは不当な馘首である。だから決定を取消し馘首を取消せという決定をしているわけなんです。この問題は正当な機関である公平委員会で結論が出ているのですから、これは私ども問題にしておりません。この決定を私はもつともだと思つております。だからそういう事態が起つたあとで、さらに今度は、一旦公平委員会の決定に従つて復職させながら、その翌日には懲戒免職にしておるというような形で出ておるので、この問題は公務員が政治活動をするのが正しいかどうかという問題ではないと思うのです。これは一応首切りが不当だつたという決定がなされておるのですから、しかもその決定を無視いたしまして、翌日には一応受入れた形でおきながら懲戒免職という形でやつているのです。だから問題は、公務員が政治活動をするのがいいか悪いかの問題ではなしに、選挙の問題に端を発しましてこういうふうな処置をしたことが、選挙にどういう影響があるかという問題だと思うのです。吉岡さんのお考え方は私の言つていることと少し食い違つているのではないかと思います。そういう意味で私は選挙管理委員会で取上げていただきたい。
  30. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 そのあとの懲戒免職という点が選挙ほんとう関係あるのかないのかその辺がわからないとちよつと申し上げられないのですが、もし選挙関係あるとすれば、やはり選挙にどうこうしたということでやるのは、あまり適当ではないような気もいたします。
  31. 立花敏男

    ○立花委員 だからこの問題は、私百非常に典型的ではつきりしておるので申し上げたわけですが、最初に申し上げましたように、全国的にこの問題が起つております。教職員に対する首切りとか、あるいは地方の公務員に対する選挙の問題に関する首切り、こういう問題が至るところに起つております。これが一番はつきりして、しかも正式の公平委員会という機関で取消しの判定までやつたところが、その翌日懲戒免職にしておる。これは最も典型的な形だからだれが見ても明白なので、選挙管理委員会でもこの具体的な事実をごらんになれば、万般がお察しいただけると思いましてこの問題をあげましたので、ぜひひとつ取上げていただきたいと思うのですが、どうでございましようか。やつていただけますでしようか。
  32. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 よく事情を調査したいと思います。
  33. 佐藤親弘

    ○佐藤(親)委員 やはり選挙管理委員会に関連する質問であります。二番目にポスター関係について、これは選挙管理委員会であらかじめ啓蒙運動に使用する場合、また選挙の実体について使用する場合と両方にわたるのであります。たとえばポスターを使用する場合において、管理委員会の検印したものが何枚という規定がきまつております。ところが管理委員会のいわゆる検印しないポスターが使われる、こういう場合もそれは重要な検印をすべきところを裂いて、ちようど破れたごとく装つて裂いて張つてある。多く刷つておるのであります。そういうような場合の啓蒙運動の方法もなされるかどうか、それが一つ。  いま一つは街頭演説というのを張ればどこでも街頭演説はできるわけであります。ところが、その街頭演説なるものは道中どこでも張つてある。しかしそこでやらない。やらないのに、街頭演説するということで街頭演説のために張つてある。ですから無数に張つてあるのです。そういう場合になるべくその街頭演説のポスターも数を制限する必要なきやいなや。その検印まで必要だということになれば、張つて歩けないことになる。その啓蒙の方針はお立てになつておるか、なつておらないかということを伺います。
  34. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 ポスターの検印のない掲示の問題でありますが、ああいう啓蒙は具体的には府県あるいは市町村でやられますので、実際にやられておるかどうかはわかりません。何しろいろいろな事項が多いものですから、場合によつては抜けておる場合もあるかと思います。ただ、これは候補者あるいは運動員によく知つておいてもらえばいい問題ですから、候補者等には特に集まつてもらつて説明なんかをしているところも相当あるかと思います。  それから街頭演説の問題であります。これは法規上は街頭演説をやめれば、あと撤去しなければならぬ。従つてお話のような、そのままにしておるのは違反であります。それに対する啓蒙の問題は前について申し上げたのと同じであります。
  35. 佐藤親弘

    ○佐藤(親)委員 代理投票も啓蒙関係について必要であります。診断書を用いて代理投票をする。ところが診断書は医者がみな集めて書いてしまう。病気でも何でもないのを診断書をたくさん集めて書いてしまう。そうして病人でも何でもないのにどんどん病人の投票をする、この場合に代理投票の場合の診断書に対する制限関係の規定を設ける必要がなきやいなや。結局不在投票の場合でもさようなことが起つたのであります。
  36. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 今お話の病人の不在投票の問題であります。これは病人が結局自分のうちにおつて、投票用紙を請求して、うちで投票するのが不正が多かつたのであります。昨年の地方選挙相当そういう事例を見たのでありまして、これはやはり制度に欠陷があると思います。従来の選挙までは、それほど欠陷が見えなかつたのでありますが、昨年の地方選挙で非常に欠陷が出ましたので、その点はやはり何らか不在者投票制度自体について改正を加うべき問題だと思います。
  37. 佐藤親弘

    ○佐藤(親)委員 いま一つ不在者投票の場合でありますが、選挙名簿に正確を期してない登録がある。たとえば現に栃木県の宇都宮市で行われているのは選挙無効なりと管理委員会に異議の申立てをした。宇都宮の市会議員の半数以上の当選の有効無効を決するような状態の、無効投票があるわけなので、無効投票はどこから起るか。要するに展示してからの名簿の訂正が完全でない。だから名簿の訂正について完全を期するようなお考えはなきやいなやという質問になるのであります。その趣旨は現に行われた選挙において、米の配給通帳を調査したところが、宇都宮市内において米の配給を受けない人間の数が七百人も出てしまつた。それの投票が行われておる。そうすると有権者にあらざる投票者が七百人も出てしまつたことになつて、七百人とすると、宇都宮の市会議員は大体半分以上、十五人ないし十三人くらい失格するわけなんだ。現に行政訴訟が起きておるということを聞いておる。さような状態であるから、有権者の名簿の確定において遺憾なきような方法を講ぜられるかどうかについて御質問するのであります。
  38. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 選挙人名簿の調査が不完全なために行政訴訟が起きまして、何人かの議員が当選無効になる例が昨年の選挙では相当あつたようであります。われわれの方としてはできるだけ正確な調査を期待しておるのでありますが、なかなか十分に参らぬ点がありまして、ことに選挙直前に補充選挙人名簿をつくりますが、それを締め切つて確定した後の異動等についてやはり問題がございます。これはむしろ制度自体の問題でもあると思つて、われわれいろいろ解決の方法を考えておりますが、なかなか名案がないのであります。それから選挙人名簿の調査の確実を期するために、できるだけのことはやつております。ことに明年度に予想されます衆議院議員の総選挙経費内容といたしまして、つまりあとの資格審査のための費用——特に市については費用を特別にとりまして、なるべく正確な調査をするようにいたしたいと思つております。
  39. 野村專太郎

    野村委員長代理 本案に関します質疑はこの程度にいたしまして、残余の質疑は次の機会に讓りたいと思います。     —————————————
  40. 野村專太郎

    野村委員長代理 次にポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く警察関係命令措置に関する法律案を議題といたします。前会に引続いて質疑を続行いたします。
  41. 立花敏男

    ○立花委員 齋藤さんにお尋ねいたしますが、この間埼玉でB二九が墜落したのですが、そのとき警察も大分出ておられたようでありますが、向うの軍隊が出て参りまして、治安関係は全部向うのなすがままである。日本の警察はおつてもおらないでも同じだというような状態が出たわけなんですが、そういう際には日本の警察は一体役に立たないものかどうか。向うの指揮下に置くのかどうか。日本の警察独自の活動ができぬものか。それをひとつ聞かせてもらいたいと思います。     〔野村委員長代理退席、大泉委員長代理着席〕
  42. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 B二九墜落のときの事情は、私出張中でありましたので、詳しく承知はいたしておりませんが、かりにそういうような実際の警備の状況であつたと仮定をいたしましても、現在はまだ完全に占領下でありますので、従つてアメリカ軍の機密を保持する関係上、必要な指示があれば、その指示に従わなければならないという関係になつておる次第であります。
  43. 立花敏男

    ○立花委員 非常に一般的なことでわからないのですが、占領下だからどういう事態が起つてもいいというわけには参らないと思う。占領下でありますが、日本は独自の法律によつて、独自の行政がやれることになつておりますので、占領下だからそういう事態になつたとおつしやられるのですが、ではどういう根拠でそういう事態になつたのか。具体的にどういう指示が出たのか。どういう機密保持でどういう指示が出たのか。それをお聞かせ願わないと日本の国民はせつかく警察があつても役に立たないという事態には納得しないと思う。たとえば一つの例をあげますと——これは自治庁の次官にもお聞きしたいと思うのですが、その村では村の機能がまつたく停止いたしまして、村会も村の書類がないから開かれない。しかもその書類を取出すために、日本の警察に訴えても取出すこともできない。何ら措置もできない。被害が幾らあつたのか、一体どうなつておるのかまつたくわからぬ。村が二分されてしまいまして、連絡もとれないというような状態なので、そういう事態を今の警官に訴えましても何らの効力がない。そういうことが單に占領下だというだけで許されていいのかどうか。村民はこれはアメリカ軍が帰つてくれなければどうにもならないということを言つておりますので、そういう状態でほうつておいていいのか、これをひとつ明確にしていただきたいと思います。
  44. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 ただいまの点はあるいは通行禁止の措置をとつた区域内の事柄じやないかと考えますが、これは日本官憲が、危険があるというので通行禁止をいたしましたのか、あるいは占領軍の見地から通行禁止になりましたのか、私まだ存じておりません。どちらにいたしましても、そういつた危険があります際には、通行禁止を日本官憲といえどもしなければならない場合があるわけであります。また先ほど申しました占領下であるからといつて、何でも聞かなければならぬのかというお話でありますが、御承知のように占領命令の最初の第一号か第二号かに、全般的に日本官憲及び日本国民は、権限ある占領軍の命令に従わなければならないという総括的な指令の出ておりますことは、御承知通りであります。これは何ら変更を来しておらないのであります。
  45. 立花敏男

    ○立花委員 だからさつきから尋ねておりますので、そういう一般的なことは承知しておりますが、そういう一般的なものに基いて、今回B二九が落ちました場合に、日本の警察はまつたく無能力になりましたのは、そういう一般的な規定に基いての具体的な指示が出たのかどうか、それをお尋ねいたしたい。
  46. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 日本の警察が無能力であつたとは考えません。しかしそのときの警備関係が、どういう指令関係で、どういうように行われましたか、私承知をいたしておりません。必要に応じまして十分取調べてからお答えをいたします。
  47. 立花敏男

    ○立花委員 これは重大な問題で、こういうことを御存じないということはもつてのほかだと思う。戦争が終りまして、日本の国民の上には再び爆弾が落ちて来ることはないと思つておりましたら、火の玉になつたB二九が、爆弾を多数持つて落ちて来る。こういうようなことがたびたび起つておりますので、これは日本の国民にりましては重大な問題なんです。その治安の責任者であるあなたが、その場合日本の警察が何に基いて行動しておるのかということを御存じないことは、これは責任問題だと思う。しかも何がゆえに村会の書類が取出せなかつたということも御存じないと思うのですが、村会を開いて善後措置をしなければいけないのに、村会の書類が出せない。しかもあなたは、これを立入り禁止したのかどうかも御存じなのいですが、一体自治体というものをどういうふうにお考えになつているか。こういう場合に自治体が機能を十分盡して罹災者を救済する、災害対策をやるということをやらなくて、一体日本の自治体の住民はどうして安心して生活ができますか。あんまり怠慢だと思う。そういう際には日本の警察は一体どうしたらいいのか。あなたは立入り禁止だと言われましたが、しかしこれは日本の警官に言つてもらちが明かないで、向うの歩哨に言いますと、向うの歩哨が家まで案内して書類を持ち出さしておる。日本の警官は訴えに行つても何の役にも立たない。向うの軍隊の歩哨に話して初めて村会の書類が持ち出せた。日本の警官は取次すらできない。こういうことではまつたく無能だと思うのですが、こういう点について日本の警察の活動の基準について御説明願いたい。
  48. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 警察の活動の基準は、先ほどから申し上げておりました通り、これ以外御説明することはないと思います。
  49. 立花敏男

    ○立花委員 具体的にちつともお示しがないのでわからぬわけです。だから結局盲目的に、あなたが再三言われた占領下だからしようがないのだという意味にしか、B二九が落ちた場合に活動していなかつたと考えるより私ども考えのしかたがありません。これでは日本の国民が警察に不信の念を抱くのも無理がないと私は思う。  それで一般的なことを、これは自治庁の次官にお聞きしたいと思うのですが、B二九が落ちました場合に、村の機能がまつたく活動停止になつておりますが、自治庁はこの問題を調査されましたかどうか。  もう一つお聞きしておきたいのは財政の問題ですが、この村は大体年に九百万円ばかり予算を組んでおります。損害は一千四百万円ばかりに達しております。八日と九日の二日だけで八十万円出しております。それでもう救済も何もできないという事態が起つておるわけです。年九百万円の予算で千四百万円の被害があつたのですから、これは当然だと思うのです。これに対して何か国家の方で処置をお考えになつているか、自治庁の方では対策をお立てになつているか。厚生省の所管だといえば、形の上ではそうかもしれませんが、地方自治体としては、まつたく一つの町村が破滅するかどうかの問題なんです。自治庁としては当然調査なり対策をお持ちだと思うのです。あるいは他の政府機関に対しての交渉がおありだと思うのですが、この自治体行政の麻痺の問題、それから財政の負担の問題、これに対しての政府の対策と御意見を聞きたいと思います。
  50. 藤野繁雄

    ○藤野政府委員 ただいまの問題は、ごもつともな問題でありますけれども、今のところ私の方でどういうふうな調査をしているかということは存じませんから、あとで調査した上で御返事いたします。
  51. 立花敏男

    ○立花委員 これは実にとんでもないことなので、一回や二回じやないわけです。B二九が落ちまして、一つの自治体が非常に大きな損害を受けたということは、これはこの前にも横田で落ちております。この間は埼玉で落ちております。九州でも二、三回落ちております。こういう問題をどう処理するかということは、当然政府の方で方針があつてしかるべきものだと思う。しかも今度は一番大きくて、十数名が即死し、数十戸の家が燒かれておるというような事態なので、今に至つて次官が何らの意見対策も持ち合せないということになりますと、これは政府不信任といわざるを得ないと思うのですが、もし調査がないとすれば、ただいまでけつこうですから、今言いましたような事態について、おそらく次官も新聞紙上を通じてB二九墜落の具体的なことは御承知だろうと思うのですが、それに対してどういう意見を今お持ちになつているか、対策をどういうふうにお持ちになつているか、これをお聞かせ願いたいと思います。
  52. 藤野繁雄

    ○藤野政府委員 まことにお気の毒なことでありますから、何とかすみやかにしなければいけない、こう考えております。
  53. 立花敏男

    ○立花委員 すみやかにと言つても、もう日が幾らたつていると思うのですか。なぜ今までやらないのか、どうしてやれなかつたのか、それを明白にしてください。政務次官の言葉は言いのがれにしかすぎない。すみやかに対策を立てると申しましても、B二九が落ちてから今何日になつているか。東京の民主団体すらたくさん調査に行つているのです。それを責任の官庁が行かない、今になつて追究いたしますと、すみやかに対策を立てると言う。これは私は責任問題だと思う。これは数字まで明白なのでございまして、新聞にも発表しておるのですが、千数百万円の被害がある。それに対して村の予算は九百万円である。一日数十万円ずつの支出が必要だ。こういうことはもう非常に明白なことなので、常識的なことである。これになぜ対策をお持ちになつていないのか。單なるすみやかに対策を立てるという程度のものじやなしに、もつと責任のある御答弁を願いたいと思うのです。
  54. 大泉寛三

    大泉委員長代理 立花君、この問題は各委員会で論議されておるのですが、その程度でどうですか。
  55. 立花敏男

    ○立花委員 これは特に今申しましたように、自治体の機能が麻痺し、自治体の財政が破壊されるという問題なので、地方行政委員会の重大な問題なんです。これは一回や二回や三回ではありません、たびたびこういう問題が起つておる。今行われております行政協定で日本に軍事基地ができまして、火の玉になりましたB二九が爆弾を積んで落ちて来る、こういうことになりますと、これは重大な問題なんです。この問題だけでも、自治庁としてはさような意見を行政協定の中に織り込む努力をしなければいけないと思うのです。自治庁が今に至つて意見を持つておらないということは、行政協定もまつたく向うまかせである、自治庁として、自治体の財政を守るべき意見を、行政協定の中に織り込むことを何ら考えていないということの明らかな証拠だと思う。他の委員会で取上げておりましても、私はこの地方行政委員会こそこれに責任があると思う。次官はどういうふうにお考えになつておりますか。
  56. 藤野繁雄

    ○藤野政府委員 ただいまお答えいたしましたように、現在私どもの方でどうするという決定の案が出ておりませんから、あとでよく打合せて御返事いたします。
  57. 立花敏男

    ○立花委員 齋藤さんにちよつとお聞きしたいのですが、最近治安機構の問題が非常に問題になつておりまして、国警と特審の協力関係、あるいは一本にするという問題が出ておりますが、そういう点は今どこまで進んでおつて、どこまで齋藤さんは御存じなのか、お聞かせを願いたい。
  58. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 ただいまの段階では、まだ申し上げる結論に達していない、かように私は申し上げておきます。
  59. 立花敏男

    ○立花委員 話ができないと申されます理由をひとつ承りたい。
  60. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 まだ結論を得ないと申し上げております。
  61. 立花敏男

    ○立花委員 さいぜんもB二九の際に申し上げましたが、齋藤さんは、占領下だからしかたがないとおつしやるのですが、占領が終りまして後の駐屯軍との協力関係、これにただいま行政協定が進行中で、日本側としては向うの案にそのままサインをするのではなしに、日本の案を持つてつておるということを、盛んに政府あたりでは言つておるわけなんですが、駐屯軍と警察との協力関係につきましては、日本側としてはどういう案を持つており、特にまたその中で警察の問題に関しましては、日本側の協力に関するどういう案をお持ちになつておるか。おそらくこれは岡崎未来の外務大臣だけがお知りになつているのじやないと思いますので、治安の責任にある齋藤さんが具体的な意見をお持ちになつて、それが反映されておると思うのですが、その点はどういうふうにお考えになつておられますか。
  62. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 行政協定につきましては、私は何も申し上げるものを持つておりません。
  63. 立花敏男

    ○立花委員 そういたしますと警察機構の問題と、警察と駐屯軍との協力関係などにつきましては、警察側では一切知らない。何も意見を求められてもいないし、また出してもいない。ただ今行われている行政協定の会議出席している者に、全部白紙委任してあるというふうに理解していいと思うのですが、そうでございますか。
  64. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 私は関係当局の方々を信頼いたしております。その内部の関係はどうかという点は申し上げることは差控えます。
  65. 立花敏男

    ○立花委員 これはまつたく意見がなくて、白紙委任ということだろうと思います。それでは具体的問題でお聞きしたいのですが、最近非常に弾圧の形が鋭く出て来ておるのです。——これは地方行政委員会でありますから、自治体の問題で申しますと、長野県田口村の事件、これなどは非常に小さい部落である。そこをその部落の人口に数倍するような警官で包囲いたしまして、村の出口四箇所に査問所を設け、出入りを一々調べる。小学校の中で子供まで捜査尋問する。子供の弁当箱の中までひつくり返す。女の人は下着一枚にまでするということで、そのために全村の機能が麻痺するようなことをやつておる。これは私どもの兵庫県でもこの間ありまして、兵庫県の高砂の木曽町、これは戸数が八十戸くらいのところですが、ここで朝鮮人の間に正月の祝酒を飲んでけんかが起きた。これをきつかけにいたしまして戸数八十戸ばかりのところへ六百人ばかりの警官が動員いたして参りまして、全戸至るところへ土足で上つて、令状も何もなしに捜査逮捕をやつているということで、ささいなる事件をとらえまして、全自治体機構を包囲いたしまして、自治体機構の機能を麻痺させるような形で警察権を行使しておる。しかも何ら正当な理由もなしにやつているのです。こういうことが最近至るところに起つておるのですが、具体的に例をとりまして、田口村のような場合に、国警の方ではどういう報告をおとりになつて、どういう見込みをお立てになつておるのか。あるいはさいぜん申し上げました兵庫県の木曽町の場合はどういう問題だつたのか、これをひとつ聞きたいと思います。
  66. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 兵庫県の場合は私まだ報告をよく受けておりませんので、必要がありましたら調査の上お答えをいたしたいと思います。  田口村の事件はただいまおつしやるような、全住民に御迷惑をかけるようなやり方はいたしておりません。また事件が起りまして後に、警察官が翌早朝検問所四箇所を設けまして、警備及び被疑者あるいは被疑者の発見のために活動をいたしましたことは、なるほど事実でありますが、しかし人数もただいまおつしやるような多いものではありません。この村及び周辺の村と合せまして、百二十七名が従事をいたしたのにすぎないのであります。人権の尊重につきましては、十分配慮をいたして捜査を続けておるわけであります。軽微な事件とおつしやいましたが、私の方といたしましては決して軽微な事件とは考えておりません。
  67. 立花敏男

    ○立花委員 どういう意味で軽微な事件でないと御判断なさるのですか。
  68. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 本村における従来のいろいろな関係及び当日警察官が暴行を受けました状況から考えまして、これは単なる偶発的な、そしてとるに足らない暴行事件、かように考えるわけには参らないものであります。
  69. 立花敏男

    ○立花委員 どういう報告で、どういう事実で、単なる偶発的なものでないと御判断になつたのか、私は不可解なのですが、地元の警察では、これは決して計画的な暴動でも組織的なものでもないということを言つておりまして、自然発生的なものだと言つているわけなんで、長野県からはるか離れておられる国警長官が、これは偶発的なものじやないという御判定をなぜなさつたのか、それをひとつ聞かしてもらいたいと思います。
  70. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 この日に警察官を組織的に襲撃しようとしてやつたという、そういう組織的な事件とは考えません。事件はそのときに偶発的に起つたのでありましようが、偶発的にああいう事件が起り得るということにつきましては、われわれといたしましてはいろいろ重大に考えなければならない点が多々あると考えます。
  71. 立花敏男

    ○立花委員 ちよつとこれは重大な問題ですが、事件は偶発的に起つた。しかし起つた背後には何かあるのじやないか、そういうふうに齋藤長官の言葉は解されるのですが、あなたの言葉の通り地元の警察では偶発的だと言つているわけなのです。しかもそれを齋藤さんは背後関係があるとおつしやつているのですが、何に基いて偶発的な事件を背後関係と結びつけておるのか、それをお聞かせ願わぬと私どもは納得できない。実はきのうも衆議院の法務委員会で松阪事件をお取上げになつて、警察から市役所から、消防団から新聞社まで、全部呼びましてやつたのですが、何でもないという結論が出ておるのです。あの事件なんか、犯人が逮捕されまして、まつたく何でもないということが明白になつております。ところが当時は検事あたりまでが、共産党の背後関係で、第二の三鷹、松川事件だと言つたということが新聞に載つておりました。これは東京の新聞でもでかでかと載つております。しかも法務委員会がきのうまで取上げているわけなのです。單に退校されました学生の恨みのための放火事件であれば、法務委員会で取上げる必要は何もないと思うのですが、やはり背後関係が何かあるというふうな誤つた方針で、きのうまで衆議院を騒がしておるわけなのです。こういう問題と関連いたしまして、長野県の偶発的な事件が、何か背後関係があるというふうにお考えの上で、いわゆる見込み捜査と申しますか、まつたく政治的な偏見から出ますところの捜査で騒がしておるということは、あなたの言葉からどういたしましても明白だと思うのです。現地に行つて調査して参りますると、やはり事件の発端はそういう国警の誤つた見込み捜査、これが偶発事件の発端をなしておるようです。たとえば国警の方で、信州のこの方面に、追放幹部の某が潜入したから警備を固めよというようなことを発表されておりますし、事件が突発いたしました三、四日あとでは、その某共産党幹部は東京方面に逃走したというような新聞記事まで出しまして、まつたくでたらめな情報で人が騒せをやりまして、事件をでつち上げておる。むしろ警察の方が事件をでつち上げておる。ここに私新聞を持つておりますが、地元の新聞でもこういうことを報道いたしまして、そういう空気の中で、ああいう突発事件を起しておいて、しかも突発事件がこじれて参りますと、その手配した男は東京方面に逃走したというようなことまで新聞に出しておる。そうなつて参りますと、事件の背後に何か組織的なものがあるということよりも、むしろ事件の背後には、国警の政治的な偏見に基く意図を含んでおるということの方が明白なんですが、たまたまそういうことが今の齋藤さんの言葉で暴露されたと思う。事件は偶発的である、しかしその背後には大きなものがあると考えるということを発表なさつたのですが、ではどういう具体的な事実で、偶発的なものが背後のものと結びついておるとお考えになつておるのか。これを明確にしていただかないと、私どもは納得できないし、またそういうことを明白にしないで、ありもしない背後関係を振りまわして、警察の行政をやられるとすると、これはたいへんなことになる。この点をひとつ明らかにしていただきたい。
  72. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 私は背後関係という言葉は使つておりません。また、ただいまは捜査の途中でありまするから、ここでお答えのできない点がありまするので、御了承願いたいと思います。ただ警察官が職務質問をしたということから端を発しまして、数名の警察官がああいう暴行を受けるということは、相当重大な事件と私は考えております。
  73. 立花敏男

    ○立花委員 あなたの今お認めになつた職務質問自体が、何か問題があつたから職務質問をやつたのではなしに、さつき私が言いましたように、国警の方から、根も葉もない、共産党追放幹部がこの地方に潜入した、だから捜査を厳重にしろということで、要所々々にスパイを放ちまして、それが執拗に職務質問をやつた。道を通つております善良な地元民をとらえまして、そういう間違つた国警の捜査方針に従つての執拗な人権を無視した職務質問をやつた。ここから問題が端を発しておるのです。あなたのお認めになつておるように。だとすれば、問題の端を起したのは、さつきからたびたび言つておりますように、国警の政治的な偏見から出たところの、間違つた捜査方針に基いて事件が発生しておるということは、明白だと思う。この点に対しては国警の方に責任があると私は思うのです。單なる職務質問ではない。共産党の某幹部がその方面に潜入したというふうな方針に基いての、人権を無規した職務質問であつたということはお認めになるかどうか。
  74. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 さような点は、ただいま認めるような材料を私ども持ち合せておりません。いずれ捜査が進みまして、全貌が明らかになりました際には、すべてが明らかになるであろう、かように考えております。
  75. 立花敏男

    ○立花委員 とにかくそんな間違つた捜査で、何も知らない善良な地元民が山の付近を通つておりますのを、令状もなしに逮捕するというようなことをやられましては、いくらおとなしい地元民でも黙つておれないと思う。今後そういう方針をお続けになるのかどうか。
  76. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 ただいまおつしやつたような、むちやなやり方をやつているとは考えておりません。具体的に調べまして警察官の職務を逸脱する、しかも人權蹂躪的なことをやつておるという事実があるなら、十分これを戒飭いたしたいと存じます。私はただいまのところ、さような事実は認めておりません。
  77. 立花敏男

    ○立花委員 そんなことを言つたつて、ぼくたちはちやんと地元の人たちから報告を受けておる。また林君が地元まで行つて調べておる。令状なしに何でも逮捕しておる。しかもさつき言いましたように、小学校の子供まで捜査しておる。小学校の教室の中で、弁当をひつくり返しておる。こういうことがはたして許さるべきことか。これこそまつたく人權蹂躪の捜査だ。国警は責任をお持ちになるなら、そこにおつてそういう事実はないとおつしやるよりも、現地に行つて地元の声を聞いて、はつきり人權蹂躪の事実を捜査されるくらいの行動はとつてもいいと思うのですが、おとりになる意思があるのかどうか。
  78. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 昨日法務委員会で林委員からそういう御質問がありましたので、ただいま調査いたしております。
  79. 門司亮

    門司委員 これは簡単でいいのですが、警察予備隊の増強の問題です。齋藤国警長官は警察予備隊を増強しなければならぬやうな、治安上の国内的な必要があると認められるかどうか。もしお認めなつておるとすれば、具体的にお話願いたいと思います。
  80. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 予備隊の増強問題は、私の所管でありませんので、逃げるわけではありませんが、私からお答えをいたしますることは、適当ではなかろうと考えております。
  81. 門司亮

    門司委員 齋藤長官としては、おそらくそういうことを言われるかとも思いますが、しかし少くとも国警長官ですから、日本の国内の治安状況というものが、どういうものであるかというくらいのことは、おわかりになつておると私は思う。またそれがわからないで、私の所管が違うからといつて、ほかでどんなことをしようと、それに関しないというりくつは立たないと思う。たとい所管が大橋さんにありましても、事の起りが国内治安の関係でありまして、国内治安に関しましては齋藤さんに全然責任がないということはない。むしろ私は齋藤さんの方から、国内治安を確保する上に、今の国警と自治警だけでは非常に困難であるから、これについて何らかの処置を講ずべきである、それには今ある警察予備隊だけでもまだ不安だ、従つてこれの増強ということを、齋藤さん自身の方からむしろ要請なさるべきであつて、主管大臣であるからといつて、これが大橋さん独自の関係だけで行われるということは、私は少しおかしいと思う。これは齋藤さんが国警の方として、警察予備隊の増強はこれ以上必要ないのだという見解があれば、大橋さんといえども、かつてにこんなものをふやすわけには行かぬと思う。国の機構というものは、そういうふうにばらばらであつてはならない。ことに治安関係国民の大きな負担を伴うものでありますので、この点一貫した政治の方針というものがなければならない。その方針の基幹をなすものは、やはり何といつても治安の状況であつて、その治安の状況について、一方の責任者である国警長官から答えられないというりくつは、私はどう考えてもないと思う。一体そういうことでかりにあなたがおやりになつておるとすれば、日本の治安というものは、あなたにおまかせするわけには参らぬと思う。自分自身が責任の立場にあつて、治安状況がどうなつているかわからぬというのでは、まるつ切りむちやくちやだと思うのですいろいろないきさつがあると思うのですが、何も私は国警長官と大橋さんとけんかさせようと思つてつているわけではありません。そういうことでなく現実の問題で、今の国警の力と自治警察の力だけでは、国内の治安というものを維持することは困難だという点と、さらに現在までの警察予備隊だけでも困難だという、何らかのはつきりした根拠をひとつお示しを願いたいのであります。そういたしませんと、大橋さんに聞くにいたしましても。やはり水かけ論となつて、事実をつかむことができないと思うのです。私たちは警察予備隊の増強も事実に基いた要求だと考えております。決して架空なものであつて、ただおもちやの兵隊をこしらえたというわけではなかろうと私は思うのです。従つて事案に基いたその根拠を、ひとつあなたの立場から率直にお話を願いたいと思います。
  82. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 予備隊については大橋国務大臣が責任を持つておられるわけであります。同時に警察担当大臣としておられるのでありまして予備隊増強に関しての国内の治安の行き方という問題につきましては、大橋国務大臣のお考えとまつたく同様でありまして、その間に何も齟齬を来しておりません。従いまして予備隊増強について大橋国務大臣が御説明になりました点は、私が申し述べたのと同様であります。さよう御承知を願います。
  83. 門司亮

    門司委員 そうするとどうしても大橋さんに来てもらわなければならぬことになるのですが、大橋さんに来てもらいましても、大橋さんは單に行政上の責任者でありますして、実際上の、これに指揮をし、あるいは命令をするということもできるかと思いまするが、現地の責任者は何といつて国警長官であります。その国警長官が、ここで大臣の意見と私の意見がまつたく同じだと言われただけでは、われわれ承服することはできないわけであります。それは少くとも第一線の報告がなされて、これが大臣の意見になつて出て来ていると私は思う。おそらく大橋さんは齋藤長官ほど実際の具体的のものは御存じないと思うのです。もし掘り下げてこれが一つの警察のことであるならば、私は警察署長の方が国警長官よりもよく知つていると思う。従つてその実際の状況をよく御存じになつておる長官の意見というものが、私は大橋さんの今度きめられた基礎的の意見であることに間違いないと思うのです。従いましてもう少し詳しく、どうしても予備隊をふやしてもらわなければ、現状では国警長官としての責任が持てないという具体的の事実を、ひとつ遠慮なく言つてもらいたいと思います。
  84. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 御承知のように警察の担当いたしておりまする部面は、普通の警察力で治安を維持する点を担当をいたしておる次第であります。従いまして現在の普通警察の力にはおのずから限度のあることも御承知通りだと思います。将来現在の警察の力で処理できない事態が起り得るということは、私はこれは大橋国務大臣と所見を一にするのであります。さような場合におきまして、今の予備隊の現在の勢力で将来いかなる場合においても確保できるかどうかということに相なりますると、これは予備隊自身を担当しておられる責任者の方々の所見に従わなければなりません。さような段階があり得るかどうかということは、私たちの担当しておりまする面からも考えられます。またそれ以外の面からも考えられましよう。その場合において、はたしてそれでは力が足りるかどうかという点は、これはその方の専門の方で考えていただかなければなりません。従つて人数がどれだけいるかどうかという点は、これは私の方の專門外で、これは逃げるわけでも何でもございません、そういう意味で先ほどから御答弁をいたしておるのであります。
  85. 門司亮

    門司委員 私もう一つ聞いておきたいのですが、今の答弁の中に少しありましたが、こういう事態が起り得はしないかという一つの予測のもとに問題が考えられておる。その予測の仕方は、長官の予測の仕方と主管大臣である大橋さんの予測の仕方との間に、あるいは相違がありはしないかというように、われわれは多少考えるのであります。そういう予測というのは一体どういうことを考えられておるかということであります。警察予備隊といつても何も今までは軍隊であるとか、軍隊でないとかというようなことで、おたまじやくしであるか、かえるであるかというような議論であると思います。おたまじやくしは、あるいはかえるになるかもしれません。しかしそういうことでなくて、そういうものが必要だという具体的の、あなたの立場から言つて、そういうことがあり得はしないかと思われるようなことが、一体治安上あるかどうかということであります。警察予備隊は軍隊でないという以上、やはり国内治安の問題だと思います。そうすればあなたの関係もやはり国内治安の関係である。国内治安を維持するために、あなたの力で足りない部分を、かりに警察予備隊が補うといたしましたならば、一体今の七万五千より以上これを増強しなければならないようなことが、あなた自身お考えになられるかどうかということであります。これは決してかつてに大橋さんがふやされておるものとは考えられない。その基本になるものは、やはり日本の国内の現在の治安状況というものが基本である。その基本を今つかさどつておいでになりますのは、何といつて齋藤長官であることは間違いないのであります。従つてその基本を、さつき言いましたようなことで、かりにどういう事態が起るかもしれないということになりますると、それを想定される何かの事実がなければなりません。決してこれがただ失業救済で、警察予備隊をふやされるわけでもありますまいから、何かはつきりした根拠がおありと思います。その根拠をもう少し具体的に、こういうことがあるだろうという点、従つてその場合にはこれだけのものでは国警の長官としての立場から見ても不都合というようなことが、必ず私はあると思うのです。その点をもう一つつつ込んで私はお聞かせ願いたいと思います。
  86. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 国内治安の問題であるとはいたしましても、国内治安は、日本が完全に外界から遮断されて、何も影響を受けないという場合でありまするならば、国内だけの情勢で判断ができるわけでありますが、御承知通り国際関係が非常に国内に影響するところが多いのであります。従いまして、そういつた国際情勢を考慮に入れて考えまする場合に、国内治安は日本が孤立しておるという考えだけからでは判断できません。これは申し上げるまでもないと思うのであります。ただそういうものを考慮に入れましても、今三月、半年の間にどうかというような点になりますれば、これも見通しはまた簡単になつて参りますけれども、しかし将来、一年、二年、三年、あるいは五年後のことを、考えなければ、予備隊も募集をしてすぐに役立つわけでもありませんし、長い期間を計算に入れ、そして国の内外の関係を考慮に入れますると、私もやはり予備隊は増強する必要がある。その方が望ましいと、かように考えておる次第であります。
  87. 門司亮

    門司委員 その点がわからぬのですが、もう少し具体的にはつきり言えませんか。国内の治安の関係で国際情勢があるということなら、国際情勢があつてけつこうです。その国際情勢はどういう形で、一体国内治安に影響を持つて来るかということ、こういうことはもう少し明確に言えませんですか。大橋さんにここへ来ていただいてお話をしていただいてもいいのですが、あなたのはつきりした腹がわかつていなければ、いつまでたつても問題は解決しないと思うのです。もう少し外国の諸情勢というものがこういう形になつて来て、そのために治安が撹乱されるおそれがある、従つてこういうことが必要であるということは、大体わかつているはずだと思う。その見当が現在国内治安の責任者であるあなたにわからなくて、それがきめられるという基礎はどこにも私は見つからぬと思うのです。その点もう少し明確にお答え願つておきたいと思います。
  88. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 予備隊関係の責任大臣なり、責任当局からお聞きをいただきまして、足らないことがありましたら、補足する点があればいたしたい。私がまつこうにこの問題についてお答え申し上げるのは、私の立場としては適当ではない、かように考えます。
  89. 藤田義光

    ○藤田委員 私齋藤長官の御答弁を聞いておりまして、警察予備隊令の第一条には、私ここに法文を持ちませんから正確を期し得ませんが、警察予備隊というものは、国警、自治警に公共の福祉を維持するために応援するということで、あくまで国警、自治警が中心になるような規定になつております。ただいまの御答弁からしますると、どうも国警はやや受身のかつこうにあるような印象を受けました。この点予備隊令第一条の目的の規定からしまして、ちよつと奇異の感じを受けましたが、この第一条の解釈はどういうふうにお考えでございますか、お伺いしておきたいと思います。
  90. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 私も条文を今ここに持合せておりませんが、それは自治警及び国警を応援するというのではなくて。自治警及び国家地方警察の力の足りないのを補う、こうなつておる。従いまして、この自警、国警が主であつて、そして自警、国警に対して応援をするというのではなしに、予備隊自身が力の足りないところを補つてみずから活動する、こういう関係でございます。
  91. 藤田義光

    ○藤田委員 自警、国警の力の不足を補うための予備隊ということになりますると、予備隊の増強に関しましては、国警の事務当局が特に精細な資料を備えて増員の具体的な数字を予備隊と相談するということでないと、非常にずさんな計画ということになるわけでございます。この点に関しまして、今回三万五千の増員ということには、当然国警の事務最高責任者である斎藤さんは関與されてなくてはならぬと思いますが、先ほど来の答弁では、その点に関しても、あまり関連がなかつたような印象を受けております。この点に関しまして、いま少しくお伺いしておきたいと思います。新聞の報ずるところによれば、数字ははつきりいたしておりませんが、私たちの調査した範囲内におきましては、関係方面が十五万人、現在の予備隊を倍に増加せよという命令を出して、それを吉田総理大臣の決断によつてやつと十一万、三万五千の増員に食いとめたというようなことも言われております。これは一部新聞まで報道しておる点であります。こういう報道からしますると、国警長官も何ら關與されずに、関係方面の意向が、そのまま数字的に押しつけられたという印象を、国民は受けております。それからこれは巷間のうわさで信憑性は疑わしいのでありますが、この問題に関連して国警長官は全然関與されておらぬ。大橋国務大臣がほとんど独断專行されておる。相当有力なスタツフである警察の幹部、部長、長官等を無視して、関係方面あるいは予備隊との折衝をやつておられるというようなことも言われておりますが、この点に関しましても何か長官お気づきの点がありましたならば、この際お伺いしておきたいと思つております。
  92. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 予備隊の増強の可否、またその程度いかんということについて、私が直接関係しておるかおらぬかというお話でありますが、私は直接にはこれに関係をいたしておりません。またそれは当然だと考えております。先ほども申しますように、警察の力の限度というものは、おのずからわかつておるわけでございます。その点は十分これは承知をいたしております。しかしそれ以上の点において、どれだけの力を備えたものがあれば実際、役に立つかということは、予備隊自信を運営しておる者の責任でないとわかりません。そういう意味で、私はそういうことに関與をすべきものではないというように考えます。
  93. 藤田義光

    ○藤田委員 この予備隊の増強に関する質問に対して、長官の認定がわれわれと多少食い違つておりますが、私は講和条約が効力を発生いたしまして、進駐軍の威力というものが非常に減殺されれば、当然現在の予備隊、国警、自治警の機構では、国内の治安に完璧を期し得ない、ある程度の増強は絶対必要であるという認定のもとに、国警長官として職務を遂行されておるというふうに想像いたしておりましたが、先ほど来の御答弁によれば、その点がどうもはつきりしない。この点もう一回念のためにお伺いして、大橋大臣の御出席を後日仰ぎたいと思つておりますが、講和条約効力発生という重大な国内治安の転機に際しまして、予備隊の増強は特に必要であるというふうに、われわれは思つておりますが、この点もう一度お伺いしておきます。
  94. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 その意味におきましては、先ほども申しますように、私は国内治安の面から考えて、予備隊を今までよりも増強していただく必要がある、かように考えております。はたして内容いかんということになりますと、予備隊の力を実際に知り、実際に運営している方でないとわかりませんから、その御判定が必要だ。お前の方はそんなに言つたつて、力がそれだけではないかというそういう測定は、われわれにはできません。またすべきでないと思います。
  95. 藤田義光

    ○藤田委員 新聞の報道でも御存じの通り、近く日米合同委員会ができます。この幹事にはおそらく国警長官も加わられると思いますが、ぜひとも自主性のある観点に立つた折衝を、国内治安の問題に関しては徹底的にやつてもらいたいというふうに、私はこの際要望いたしておきます。一昨年の八月できました警察予備隊令、これをおそらく国警長官も御存じなかつたと思うポツダム政令でつくつたというところに、今日の予備隊のいろいろな欠陷が暴露されつつあるのでございます。国民の総意を反映した法律を用いずして、政令でつくつたというところに、日本の敗戦後の歴史に一大汚点を印しまして、このなじりが今日相当深刻に続いている。まして予備隊内の顧問の問題その他に関しましても、今後日米合同委員会において、相当に日本は不利な立場に立つのではないか。部隊以上に全部アメリカの兵隊が顧問として入り込んでおります。こういうことでは、予備隊はアメリカの傭兵になることははつきりいたしております。従いまして、この際予備隊に日進月歩の兵器に対する新知識を授けるところの本部の顧問は、ある程度月給をやつて雇う必要はありましようが、その他の顧問は全部引揚げる必要があるわけでございます。こういう問題に関しましても、私は国内治安の一番重大な枢機におられる国警長官相当思い切つて、日本独自の立場から立案折衝されるように、この際要望しておきたいと思います。  最後にお伺いしたいのは、機構の問題——時間が非常に遅くなつておりますから、一言お伺いしておきますが、新聞にいろいろ機構問題について報道されております。この機構問題に関しまして何か長官の所見がありましたならば、あるいは国警当局としての案がありましたならば、この際お伺いして後日の審議に資したいと思つております。
  96. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 私といたしましては、もちろん所見も意見もございます。しかしそういつた所見や意見は、いろいろ研究中でありますので、その結論を得る前にいろいろなことを申し述べますことは、かえつてよくないと考えます。結論を得ますまでは、ひとつごかんべんを願いたいと思います。
  97. 藤田義光

    ○藤田委員 それに関連してお伺いしておきますが、これはわれわれの誤解であれば幸いでございますが、この治安機構の改革の問題に関しまして、国警長官以下の意見というものがほとんど考慮されず、担当大臣のみでこの問題が推進されておるというようなことがありますかどうか、この際お伺いをしておきます。
  98. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 さようなことは、私はないと思つております。
  99. 藤田義光

    ○藤田委員 担当大臣だけで機構改革が推進されているというようなことはないという御言明がありましたので、参考にいたしたいと思いますが、新聞の報道によれば、相当重大な変革が計画されている。しかも連日のように関係閣僚の会議が開かれております。この際国会にその間の経過につき詳細御説明がある方が、あらゆる立場からむしろ有利ではないかというふうに思いまして、長官の腹案でもあればと思つてお伺いしたわけでありますが、この点は後日に讓りたいと思つております。まだ質問者もあるようでございますから、私はこの辺で打切つておきます。
  100. 門司亮

    門司委員 簡単に聞いておきたいと思いますが、今までの答弁を聞いておりますと、ちよつとわれわれのふにおちないことがありますので、一応聞いておきたいと思います。そうすると、齋藤長官のお考えでは、国内の治安力というものと、国の警備力というものは別に考えていられるのかどうかお伺いします。私がこういうことをお聞きしますのは、国内治安の関係から来る警察予備隊の増強でありますれば、国際情勢がいかがでありましようとも、先ほど藤田君からも話をされましたように、あるいは長官もお答えになりましたように、やはり国内の警備力というもの、治安を維持する力というものは、どこまでも今までの国警ないし自治警でなければならないという解釈ができるのであります。しかしそれらの責任者であります齋藤さんの意見というものがあまり取入れられない、あるいはあまり関與されないで警察予備隊が増強されるということになつて参りますと、国内治安と日本の国の警備力というものと別のような感じを、われわれに持たせるのですが、その点はどういうふうにお考えになつておりましようか。
  101. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 これは全然別個のものとは私も考えません。その点は御意見通りだ、かように考えます。しかしながらその国内の治安を守るにつきまして、普通の警察とそれから予備隊、この二本で守ろうという現状になつております。予備隊につきましては、私は全然所管外であります。従いまして、普通警察で可能な限度というものは私の方ではわかつております。それ以上の限度になりました場合には、どうしても予備隊が出動し、鎮圧をはかる必要があるわけであります。そこでその予備隊の力というものは、われわれも全然わからぬというわけではありませんが、皆さんも大体おわかりであろうと思いますけれども、やはりこれを運営しておる当局でありませんと、ほんとうの力というものはわかりません。その当局の見られるところで判断をしなければならぬということは正しい。しかも現在よりも将来の治安を考えますと、先ほど申しますように、内外いろいろの点から考えまして、今日の状態では十分でないという、これは抽象的でありますけれども、その程度は私の方もまつたく同じ意見であります。実際の実力測定というものは、その方の専門でないとわかりませんし、横合いから私が言うべきものとは考えません。
  102. 門司亮

    門司委員 あとはいずれ委員長にお願いいたしまして、大橋さん、あるいは木村法務総裁においでを願つてお伺いすることといたしまして、最後に聞いておきたいと思いますことは、機構の改革であります。問題は現在の特審局と警察との関係でありますが、これが何か形の上でかえられるように、われわれは拝聴しておるのでありますが、これは伝えられますように、特審局が何らかの形で今の警察、いわゆる国警、自治警の中にその力が入つて来るような、警察機構の改革が今考えられておるかどうか。その点について、もし斎藤さん御存じだつたらお聞きかせ願いたいと思います。
  103. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 たびたび申しておりますように、これにつきましては、まだ政府といたしまして、まつたく結論が出ていない、かように私は申し上げざるを得ないのであります。まだ研究中の問題につきましていろいろ申し上げますことは、ひとつ遠慮をさしていただきたいと思います。
  104. 大泉寛三

    大泉委員長代理 本日はこの程度で終了いたしまして、次会は公報をもつてお知らせいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後一時十八分散会