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1951-12-15 第13回国会 衆議院 地方行政委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十二月十五日(土曜日)     午前十一時二十二分開議  出席委員    委員長 金光 義邦君    理事 野村專太郎君 理事 床次 徳二君    理事 門司  亮君       生田 和平君    大泉 寛三君       川本 末治君    吉田吉太郎君       河野 金昇君    鈴木 幹雄君       藤田 義光君    大矢 省三君       立花 敏男君  出席国務大臣         国 務 大 臣 岡野 清豪君  出席政府委員         総理府事務官         (地方財政委         員会事務局         長)      荻田  保君         地方自治政務次         官       藤野 繁雄君         地方自治庁次長 鈴木 俊一君  委員外出席者         専  門  員 有松  昇君         専  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 十二月十四日  委員坪川信三君及び久保田鶴松君辞任につき、  その補欠として長尾達生君及び八百板正君が議  長の指名で委員に選任された。     ————————————— 十二月十四日  ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する  件に基く全国選挙管理委員会関係命令の廃止  に関する法律案内閣提出第七号)  ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する  件に基く警察関係命令措置に関する法律案(  内閣提出第八号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  小委員及び小委員長選任に関する件  委員派遣承認申請に関する件  地方自治に関する件  地方財政に関する件     —————————————
  2. 金光義邦

    金光委員長 これより会議を開きます。  この際御報告申し上げますが、昨日委員長より提出いたしました国政調査承認要求書に対し、議長より承認がありましたので、この点御報告申し上げておきます。  つきましてはこの際昨日公報をもつて指名することになつておりました小委員及び小委員長は都合により、これより指名することといたします。  まず地方財政に関する小委員には    生田 和平君  大泉 寛三君    門脇勝太郎君  川本 末治君    河原伊三郎君  野村專太郎君    前尾繁三郎君  藤田 義光君    床次 徳二君  門司  亮君    立花 敏男君  八百板 正君    大石ヨシエ同小委員長には野村專太郎君を指名いたします。  次に消防に関する小委員には    大泉 寛三君  川本 末治君    河原伊二郎君  佐藤 親弘君    野村專太郎君  前尾繁三郎君    吉田吉太郎君  鈴木 幹雄君    床次 徳二君  門司  亮君    立花 敏男君  八百板 正君    大石ヨシエ同小委員長には川本末治君を指名いたします。     —————————————
  3. 金光義邦

    金光委員長 それではこれより地方自治に関する件及び地方財政に関する件の両件について、審議を進めることといたします。まず本国会提出予定法案等につきまして政府当局より説明を聴取いたしたいと思います。
  4. 岡野清豪

    岡野国務大臣 本国会におきまして私ども提出をしたいという希望を持つております法案地方税法平衡交付金法地方財政法地方自治法公務員法、まだ二、三あるのでございますが、そういう法律につきまして改正案を今研究中でございます。これはまだ関係方面ヘアプローチすることもできておりませんで、ただ部内においていろいろ検討しておる情勢でございまして、来春になりましてから、できるだけ早く提出したい、こう考えておる次第でございます。
  5. 床次徳二

    床次委員 私はこの機会政府災害に対する対策についてお尋ねいたしたいと思います。過般のルース台風に対しまして、政府は一応の対策といたしましてつなぎ資金を五十億融資することに決定されたのでありますが、今日正式に追加予算決定しておらないことは、まことに残念に思います。これにかわるべきものとしてとりあえずつなぎ資金を出された趣旨は了とするのでありますが、実際に災害地方といたしましては、つなぎ資金決定を受けたものにおいては、本格的の復旧工事というか、応急仕事に対しましても、工事を進めるのに非常に困難を感じておるように聞いておるのであります。その実情につきましては、まだ現地を見ておりませんのでわかりませんが、融資を手にすること自体に、相当困難があるのではないかということと同時に、予算編成ということに対しまして、つなぎ融資におきましては予算編成をすることはできない、従つて事業の執行におきましても、いろいろと困難があるように考えております。これに対しまして自治庁当局においては、いかように指導して必要なる災害復旧工事を、しかもその中の緊急部分を実施するように何か便法を講じたり、あるいは積極的の方策をとつておるかどうか、お尋ねしたいのであります。往々にいたしまして今のようなはつきりした予算上の裏づけなしに交付せられました金が、結局一時の地方財政の窮乏の方に流用されるような形になつたのでは、ほんとうつなぎ資金の意味にならないと思うのであります。またもう一つ、一応のつなぎ資金という形において本年度実行すべき工事総額に対して、はたしてどれだけの割合をそれが占めておるかどうかということに対しましても、あまり明瞭な目途がないように思うのであります。従つて同じ応急仕事でありましても、実際に本年度内において実施する量が決定しがたいために、かなり姑息的な仕事に終るのではないかと、私どもおそれておるのであります。これに対しまして、いわゆる地方財政の立場から、いかように予算上あるいは経理上の処置を指導せられておるかということについてお尋ねする次第であります。
  6. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。ルース台風に対する災害の窮状につきましては、実は補正予算をつくりまして、早く決定をしようと思つて極力努力したのでありますが、いろいろの事情でそれができなかつたのでございますが、先般閣議決定いたしまして、五十億のつなぎ資金を出すことにして、とりあえず速急に資金地方に出まわるようにという手当をしたのでございます。なおこれはもしできますならば、補正予算によりまして、しつかりした裏づけのある資金にしたい、こう考えております。もしできませんでも、十分これがルース台風に対する対策の金であるというふうに伝えるようにしますために、地方財政委員会大蔵省事務当局間において十分協議して、今やつておる次第でございます。その後どういうふうに具体的にその作業が進められておるかということは、私まだよく報告を受けておりませんから、もし何でございましたら事務当局から説明させていただきたいと思います。
  7. 荻田保

    荻田政府委員 ルース台風さしあたりつなぎ資金は、先般第一回におきまして五十億のうち、金額は忘れましたが、大体三分の二程度きめまして、来年になりましてからあとのものが出るわけであります。これはわれわれといたしましては本年度内ほんとう補助金なり、あるいは長期債なりに振りかわることを考えておるわけであります。かりにこれができませんようでございましたら、来年に持ち越さなければならないわけでありますが、その際におきましても、やはり地方予算といたしましては、五月三十日までは二十六年度の出納が続くのでございますから、そのうちに、つまり四月から五月までの間に、補助金なり長期債に借りかえることができましたら、それで本年度内処置がつくわけでございます。そういう目安を持ちまして、ただいま大蔵省と折衝中でございます。
  8. 床次徳二

    床次委員 ただいま政府委員からのお言葉がございましたが、つなぎ資金融資されたという、いわゆる行政上の話合いでありますので、予算措置——いわゆる市町村におきましては、予算措置として事業を受継ぐことができないんじやないか。これを収入としてあげます場合に、あるいは見込みがありますならば、公債なり費目をはつきりして計上することができるのでありますが、今のつなぎ資金だと計上しにくい。従つて支出の方におきましても、予算科目を出すことができないので苦しんでおるのではないか、そのために実際上の融資を受ける手続においても、支障があるかのように聞いておるのであります。実際は金が来ているはずなのでありますが、受取る場合において非常に困る。またその金を支出する場合におきましても、正当な支出ができないというところに、今日のような状態におきまては、いろいろの難点があるのではないか。なおいろいろ財政紊乱等の問題も出ておりますが、とかくこういうことをやりますと、正しい経理方法ができずに、往々にして間違いやすい原因にもなるのではないか、その点を私ども憂えておるのであります、できる限りすみやかに正式な予算経理方法地方に示していただく必要があるのではないか、公債としてとりあえず計上することがよければ、公債として収入を受けて、そうして支出させる。すなわちその点は政府としてははつきりとした責任を持つて地方に見通しを与えていただきたいというのが、私ども希望なのであります。なおでき得べくんばできるだけすみやかにこれを正式の補正予算によりまして、事業費補助あるいは起債として交付せられんことを要望するわけでありますが、ただいま要望いたしましたことは特に考えていただいて、何か政府の方におきまして予算処理上の便法がありますならば、その点もはつきり地方に指示していただきたいと思うのであります。
  9. 荻田保

    荻田政府委員 まことにごもつともでございまして、われわれも今度正式にこちらから一時融資をするという五十億の額につきましては、できれば本年度内、できませんでしたら先ほど申し上げましたように、来年度初めに正式の長期債あるいは補助金にかわるものでございますから、当然今年の予算面におきまして、補助金なり起債に計上してさしつかえないものでございます。もしそれが一般に徹底しておりませんようでしたら、その点徹底するように何らかの措置を講じたいと思います。
  10. 門司亮

    門司委員 大蔵当局に先に聞いておきたいと思いますが、大蔵当局おいでなつておりませんので、一応主管大臣から経緯だけをお聞きしておきたいと思います。  例の両院で議決いたしております地方財政平衡交付金増額の問題について、その後の情勢でありますが、これについてどういう形にこの決議が実行されようとしておるのか、一応お聞きをしておきたいと思います。
  11. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。これは主として関係方面との了解でございまして、大蔵大臣が今せつかく努力中でございます。詳しいことはまだよく報告を受けておりません。催促だけはいつもこちらからいたしております。
  12. 門司亮

    門司委員 これについて大蔵当局おいでなつておりませんので、これもはつきりわかりませんが、これは地財委に一応お聞きしておきたいと思いますが、大蔵大臣のよく言われることであり、またわれわれも一応そう考えておることでありますが、平衡交付金増額がどうしても間に合わないという場合には、預金部資金短期融資等考えられておることは、一応われわれにもうなずけるのであります。この預金部資金短期融資にいたしましても、実際の問題は大蔵省等に参りますと、ほとんどそういうわくがないというようなことで、地方要求というものはしりぞけられておるということが現状だと考えておりますが、これについて地財委として何らかの手を打たれたことがあるかどうかということ、それから大蔵省にどういう交渉が進められておるかというようなことがもしございましたら、この機会に御報告を願いたいと思います。
  13. 荻田保

    荻田政府委員 本年度地方財政平衡交付金なり、あるいは長期債総額が足りませんことは、たびたび私ども意見を表明しておるところでありますが、それが実行できませんと、どうしても本年度の歳入が不足をいたしますので、さしあたりそれを一時融資によるということに、大蔵省とも打合せをして、そうなりました。従いまして問題になる個々の各市町村を通じまして、どこでどれだけの金が不足するかということを、具体的にただいま調査中でございます。これが府県五大都市等につきましては、大体この二十日ごろにわかります。ほかの多くの市町村につきましては、来年早々これも判明します。これに対しまして地財委責任を持ちまして額をきめて、大蔵省に普通の融資と違う形におきまして、一時融資を受けるということに今相なつておりまして、ただいま申し上げましたように、手続進行中でございます。
  14. 門司亮

    門司委員 もう少しつつ込んで聞いておきたいと思います。それの額というものは、大体今調査しているというお話でありますが、大体大蔵省総額はどのくらい出すということをお話合いなつたことがあるかどうか、それを伺いたい。
  15. 荻田保

    荻田政府委員 ただいま申し上げましたように、個々具体的の団体の赤字を積み上げるという考えを持つておりますので、この調査ができるまでは、総額につきましても、まだ見当をつけることについて、大蔵省とわれわれとはつきり話をきめておりません。
  16. 門司亮

    門司委員 ぎよう大蔵当局がお見えになつておわりませんので、これ以上地財委の方にお聞きすることは無理だと思いますが、今岡野大臣から言われました本国会提出を予定された政府提出法案でありますが、これらの内容がほとんどわかつておりません。ただ単に地方財政法修正をする、あるいは自治法修正をしたいということだけでは、われわれはつきりしないのでありますが、この点について一体どういう方向で、たとえば地方財政法修正されるのか、あるいはこれに伴う地方税法修正されるのかということがもしおわかりでございましたら、時間もございませんししますから、長く説明を要しないとは思いますが、一応アウトラインだけでもお話を願えればけつこうだと思います。
  17. 岡野清豪

    岡野国務大臣 事務当局考えております大体のアウトライン次長からお答えを申し上げます。
  18. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 もし政府部内の意見がまとまりかつ関係方面了解も得られますれば、事務当局として今度の国会に一応提案いたしたいと考えております法案といたしましては、地方自治法の一部改正法律案一つございます。これは終戦後自治制度改革か次々に行われて参りまして、今日地方行政をもつと合理化して、自治実質的強化をはかるという点から考えまして、改革を要する点があるように見受けられますので、またこの点につきましては地方行政調査委員会議とか、その他の各種の機関等からも勧告等がございますので、そういうようなものについての改革を用意いたしたらどうかと考えておるのであります。次に地方公務員法でありますが、これも施行後まだ一年でありますが、若干の点につきまして、さらに合理化を要するような点もございますので、それらの点を若干改革をしたらどうかと考えております。  それから地方税法につきましては、まだ政府としての具体的の方針は何らきまつておりませんが、もしも改革をいたすということになりますれば、これも提案をいたすということになろうかと思います。  それから地方財政平衡交付金法につきましては、測定単位とか単位費用法律をもつてきめるということは、どうしても必要になつておりますので、これらの点の改正法案提出いたしたいと考えております。  それから地方財政法につきましても、地方財政平衡交付金法ができました結果として、いわゆる負担区分に関する諸規定が現在停止されておる状態でございまするが、それらの点につきましての是正等に関するものをあるいは提案することになろうかと存じます。  それから公営企業法でございますが、地方公務員法の通過の際に、いわゆる公営企業の会計、経理、組織、身分取扱いというようなものに関しまして法案提出することを政府として言明いたしておりまするので、そういう関係でこれも用意いたしたいと考えております。なお地方公務員の中で、単純労務に従事しております者につきましての、地方公務員法の適用上の特例を考えました法案を提案いたしたいと考えております。  それからなお、できまするならば、町村吏員恩給組合という制度が今日事実上の措置としてあるのでございますが、これをさらに法制化いたしまして、法的根拠を与えて基礎を強固にいたしたい、かような考え方で今案を用意いたしております。  なお現在地方公務員共済組合と申しますものが、国家公務員共済組合の一環としてあるのでありますが、これ一は従来内務省時代におきまして、地方事務官とか属官とか、いわゆる官吏でありました関係上、国家公務員共済組合にそのまま入つておるのであります。府県職員が大体地方公務員共済組合のメンバーになつておりますが、これは学校の先生、あるいは警察消防自治体に入りましたような職員これらにつきましても、それぞれ国家公務員共済組合単位団体なつておりますが、そういう地方公務員関係共済組合が、国家公務員共済組合から独立をして行くことはどうであろうかということも研究中であります。これはまだ成案は得ておりませんのでいかが相なりまするかわかりませんが、もし用意が間に合いましたならば、これらのものも提案いたしたい。大体事務的に考えておりますものは現在のところ以上のようなものであります。
  19. 門司亮

    門司委員 私はもう少し内容を詳しく聞きたいと思いますが、一応アウトラインだけ伺つておきます。この機会にもう一つ聞いておきたいと思いますことはこの間の十二月六日の朝日新聞に出ておりましたが、新都市開発法案というようなものを政府で用意されているということであります。その内容を見ますると、きわめて複雑な、一体河が何だかわからないようなことが書いてありまして、いわゆる大都市人口が集中することがけしからぬから、衛星都市を開発して行くということで、その内容は全部公共企業体のような形で、一切の仕事をやつて行くというような、ちよつと想像のつかないような新しい構想のことが書いてありますが、こういうようなものについて自治庁は何かお考えなつたことがあるのかどうか。政府のどこかにこういうことがなければ、新聞がこれだけ大きなトップ記事で書くことはないと私は思う。そういうことがあるのかないのか、その辺をひとつお聞きしておきたいと思います。
  20. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 そういう記事は私も見たのでありますが、自治庁といたしましては政府部内のいかなる機関からも、そういうような法案について協議を受けたことはございません。もしも地方団体事業を行いまするために、特別にそういう公社というようなものをつくるという内容法案であるといたしますると、非常に問題があると私ども考えております。
  21. 門司亮

    門司委員 この書かれたものの内容を見ますと、内容はさつき申しましたように公社のような形で全部行うということになつておりますが、法の趣旨は、日本都市行政に対する一つのものの考え方でありまして、いわゆる大都市人口を集中するからこれをしないように、周辺の衛星都市を開発して行くという、日本都市行政というものの考え方から来ているように考えられるのであります。そうなつて参りますと、これには単に主管大臣として建設大臣がこれを行うというようなことが書いてありましたが、これは単に建設的なものでなくして、行政的なものが非常に多い法案であつて、おそらく自治庁がこれを知らないというわけには参らないと私は思うのであります。今の鈴木さんの意見では、何も相談を受けていないということでありますので、これ以上われわれもここでは追求いたしませんが、出どころがどこであるかということを、またいずれかの他の機会に聞きたいと思います。  その次に聞いておきたいと思いますことは、自治法その他の修正に関する関係でありますが、地方行政調査委員会議行政事務の再配分に対する自治庁の見解というものが、まだわれわれには十分受取れない、ということよりもむしろ十分聞かされていないのでありますが、今の自治庁お話では、この委員会議勧告その他が、この自治法改正に関連を持つように私には聞きとれたのであります。そこでそういうふうに解釈をしていいかどうかということであります。と同時に、もしこの勧告案から来る自治法修正であるとするならば、勧告案のどういう点を主として取入れて改正されるのか、もう少し詳しくお聞かせ願いたいと思います。
  22. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 地方行政調査委員会議勧告は、御承知のように政府国会に対してすでに出されておりまして、政府といたしましては、地方行政調査委員会議設置法にも明言されてありまする通り、これを尊重するということが法律上の要求なつておりまするので、地方行政調査委員会議勧告はできるだけこれを尊重して、地方自治制度改革の際においてはこれを取入れるようにいたしたい、かように考えております。なお政府といたしましては、行政簡素化ということを方針として決定しておりまして、その行政簡素化に関する部面も、地方行政調査委員会議勧告の中に相当程度つておりますが、ただ、地方行政調査委員会議勧告の主体は、現在ありまするところの行政事務を再配分するというところに主眼がございまして、再配分された事務をできるだけ合理的かつ能率的に処理して行くために機構合理化する、こういう考え方で成り立つているようであります。政府といたしましては、行政簡素化という面から、そのように機構合理化し能率化するというだけでなく、でき得まするならば、行政事務につきましてもこれを簡素化する、こういうことを考えようということでございまして、そういう見地からの改革もでき得まするならば織り込んで行きたいと考えておるのであります。
  23. 門司亮

    門司委員 自治法改正は、主として今のお話のような行政調査委員会議勧告に基くということに解釈することができるということにいたしますと、いろいろなこまかい問題がありますので、われわれはここでまたさらにこの上議論をするということは、一応避けておきたいと思いますが、ただこの中で非常に大きな問題になると考えられまするのは、この事務の再配分の中に、第一次勧告の中にもありましたように、地方行政事務というものが責任を明確にするという一つ原則、さらに行政上の能率を上げて行くということの原則、もう一つは、地方自治というものを尊重するという原則、この三つ原則の上に立つて現在の地方行政というものの事務の再配分をするとするならば、どうしてもやはり市町村を重要視した行政が執行されることが正しいのではないかということが、勧告の中に総合して見えるようでありますが、この点についての自治庁の御意見を伺つておきたいと思います。
  24. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 地方行政調査委員会議勧告は御指摘のごとく市町村自治の最も基本的なるものといたしまして、この基礎を強固にして行く、従つて合併等によりまして、経済的にもまた行政能力の上から行きましても、基礎の強固なものに仕上げて行く、そうしてそういう市町村に対して行政事務をできるだけおろして行く、こういう考え方であるわけであります。合併その他の措置が進行いたしません場合におきましては補完的に府県町村の行うべきものをある程度行つて行こう、こういうような二段構えの考え方であるようであります。政府といたしましても、市町村自治の最も基本的なものであると考えておりますので、できるだけこれを尊重する建前で行きたい、かように考えております。
  25. 門司亮

    門司委員 それからもう一つ出て参ります問題は、市町村をさつきのような三つ原則の上に立つて重要視して行くということになつて参りますると、必然的に適正規模の問題が次に現われて来るのでありますが、この適正規模については、政府はもとより勧告に基いて望ましい事項であるということだけでなくして、何らかの行政措置を講ずる——いわゆる法律でこれを行われるというような御意思があるのかどうか、適正な規模にすることのために、むろん地方自治体の自発的の意思によつて町村合併等が行われれば非常にけつこうでありますが、なかなか日本の現状というものは、そう簡単には私は府県の廃合あるいは町村合併というものは行われないと思いますが、そういう点について何か自治庁法律適正規模のような問題を指示されるようなお考えがあるかどうか。
  26. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 地方団体規模合理化をはかるということにつきまして、御指摘のように府県の廃合につきましても、地方行政調査委員会議の一応の勧告がございまするし、町村規模合理化につきましても、一応の勧告があるわけであります。ただ政府といたしましては府県の廃合ということは非常に影響するところが大でございまして、また実行上の各種の困難ということも考えられますので、これにつきましては相当慎重に当る必要があると考えております。町村規模合理化に関しましては、現在人口五千以下の町村が過半を占めておるような状態でございまして、これはやはり人口が相当のもの、七千なり一万というような規模町村になりますることが、普通の条件のもとにおきまする町村としては、最も適当であろうと思うのであります。山岳地帯とかその他特殊な地帯を除きまして、標準的な条件における町村としては、やはり相当の規模のものがいいと考えられるのでありまして、地方自治庁におきましては、昨年来勧告を受けましてから、ただちに地方自治委員会議意見を徴しまして、それによつて合併を大いに勧奨いたしておるのであります。その際になおでき得まするならば、府県等に合併のための一つの準備委員会のようなものをつくつて、そこで研究をしてもらう。そうして合併をするという機運を醸成して行つて、できるだけこの合併を円滑にかつ実効を上げるようにやつてもらいたいという考え方を持つておるのであります。ただそういうことを法制化いたしまして、強制的にやるということにつきましては、これは自治という建前から申しまして適当でないと考えておりまするが、ただそういう合併の機運を醸成をいたし、できるだけ合理的なる合併を促進するという意味において、何らか協議機関というような形のものをつくるということも、一つ考え方であろうということで研究はいたしておりまするが、まだ具体的な結論には到達いたしておりません。
  27. 門司亮

    門司委員 きようは私議論は避け、主として意見だけを申し上げておきたいと思いますが、その次に聞いておきたいと思いますることは、従つてこれから出て参りまする財政の問題に再びぶつかつて来るわけでありまするが、これらの勧告に基きまする行政事務か再配分されて来るということになつて参りますると、必然的にそれの裏づけをする財政的のものがはつきりいたしませんと、今のような地方財政平衡交付金だけにたよつておるという地方財政ではとうていやりきれぬと思いますから、これについて今度の二十七年度予算編成に対しまして、地方自治庁といたしましては税法の改正と同時に、これらの問題が考えられておるかどうか、たとえば地方財政平衡交付金改正内容にいたしましても、これは前の配付税法的な性格を持つようにするのか、あるいは特別の単にこれは昭和二十四年だけだと思いまするが、たとえば酒の最終小売価格の五分というようなものが、地方の財政に渡されておつたのでありまするが、こういうことをずつと考えて参りますると、やはり国税の地方に配付されるもの、たとえば道路の維持管理は都道府県がやつてつて、そうしてガソリン税だけは地方がとるというような税そのものの本質から考えても、少し道にはずれたようなものが地方にとられておる。そのほかさつき申し上げましたような酒であるとかタバコであるとか、要するに政府の専売益金というものが、やはり地方の購買力に応じて政府の収益になつておるということは事実であります。これらの問題は、やはり政府に還付するような方法が講ぜられ、そうして地方の財政能力に応じた地方財政というものが確立されて行くことが、私は正しいと思うのであります。従つて今度の税法改正の中に、二十七年度予算編成とからんで、そういうことが一体自治庁あるいは地方財政委員会考えられておるかどうかということを、もう一つお伺いしておきたいと思います。
  28. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 地方財政平衡交付金法あるいは地方税法に関連をしてのお尋ねでございますが、ただいま門司委員の仰せになりましたようなことは、たとえば道路の負担と、それから得られまするところの財源との関係でありまするとか、あるいは酒、タバコの消費税の問題でありまするとか、地方財政における自主性の強化というような御指摘の点でありまするとか、これらの点はいずれも問題点であることは事実でございまして、政府部内におきましても、それぞれ関係機関において研究はいたしておりまするが、まだ何ら具体的な成案、結論を見るに至つていない段階でございまして、目下のところこうする、ああするというところまでのお話は申し上げかねる状態であります。
  29. 門司亮

    門司委員 そうなつて参りますと、昭和二十七年度予算編成は遅れていると言つておりますが、大体政府は二月中ぐらいにはおそらくお出しになると思う。いつも地方財政が非常に困つているという一つの大きな原因の中に、地方財政に関する問題はたえず国の予算のあとまわしになつている。いわゆる国の予算が先に立てられて、そのあとで地方財政を協議しているものであるから、大蔵大臣はなかなか言うことを聞かぬ。そんなことをしていると本予算を変更しなければならぬようなことになるから、事めんどうだというので、地方財政はなおざりにされている。予算委員会が通つて会議を終つた後に、地方財政をどうするかということで議論していうようなことでは、おそらく今日の地方財政の非常に窮迫していることを救済することができない実情だと考えております。従つて私が先ほど申しているようなことは、おそらく本予算の成立しない前に、何とか自治庁なり——主として自治庁でありますが、地方財政委員会等はいつも一般の要求なりあるいは会合をしてもらつて、そうして本予算にこういうものが組み入れられておつて、後にいくら騒いで見ても本予算がきまつてしまつてあとで、これを修正するということは困難であります。こういうことがたえず繰返されておるということになると、地方の財政というものは、いつまでたつても国の財政の犠牲にならざるを得ないと思うのです。大蔵大臣の主管のもとりに地方財政が左右されるというような、まつたく日本の民主化に逆行した形がとられていることは当然であります。従つてこの機会に申し上げておきたいと思いますことは、そういうばかばかしいことでなくして、もし本予算国会に提案された後において、本年度地方税の修正が行われることになれば、もはやきまつたわくの中でわれわれは議論をしておるだけになつて、地方財政に何らの寄与もできないと考えておる。こういうことではとうていわれわれは承服するわけに参りません。従つてこれらの問題はできるだけ早く解決してもらつて、そうして地方自治体に対する財政的裏づけをするように、当局は鋭意この際努力をしてもらいたい。私はこの機会に、本予算が出ない前に地方財政に必要な財源だけは確保するように努力をしていただきたいということを、強く要求いたしておきます。同時に、昭和二十七年度地方予算に対する地方財政委員会意見でありますが、これはやはり従来と同じように単なる一つ意見であつて、最後には大蔵省との間に、平衡交付金で始末をつけなければならないということになつて、またことしと同じようなけんかを繰返すことになると思いますから、従つてさつき申し上げましたようなことを要求はいたしておきますが、もう少し具体的に二十七年度地方予算に対する見解を聞かせておいていただきたい。それは収入支出とのアンバランスがどのくらいあるか、それから一体どのくらい地方予算は膨脹して行くがということ、それらの点でおわかりになつているだけの構想を、この機会にお聞かせ願いたいと思います。
  30. 荻田保

    荻田政府委員 昭和二十七年度予算につきましては、ただいま大蔵省と折衝中でございますが、なお資料の御要求もあるようでございますので、その見積り等が整いましてから、その点は詳しく御説明することにいたします。大体のところ本年度のペース・アップを平年度化いたしまして、物価等につきましても騰貴を相当見込み、公共事業費の変更等も考え、逆に行政整理、事務簡素化等による経費の節減ということを考えましても、本年度に比べまして三百億以上のものが不足する。もちろん税収入と自然増収を見積ります。それを見積りましてもさらにその上に三百億程度のものが不足をいたしますが、やはりその額は一応平衡交付金及び地方債によるものといたしまして、そうしてそのわくの範囲内におきまして、今度の地方税法改正あるいは酒、タバコ還付税の創設ということもあわせ考えまして措置するように、目下政府部内の意見を交換中ででございます。まだ結論が出ておりませんのでどうなるかわかりませんが、いずれにいたしましても、地方財政のわくといたしましては、来年度相当額をふやしますが、ことしが足りません上に、やはり来年もふえる要素のみあるのでありますから、なかなかやつて行けないと考えております。
  31. 門司亮

    門司委員 今の数字でありますが、これは私の誤解であれば別であります。三百億くらい足らないというお話でありますが、この三百億というのは平衡交付金も本年度並に見た三百億でありますか、あるいは現在の平衡交付金の中でなお地財委その他が要求いたりしておりまする百億と、それからさらに地方債を要求いたしておりまする五十億というものを含めた三百億であるのか、一体どちらになるのですか、その点をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  32. 荻田保

    荻田政府委員 一応地方債も平衡交付金も本年度の額、すなわち地方債五百億、平衡交付金千二百億を基礎といたしましての数字でございます。
  33. 門司亮

    門司委員 そういたしますと、実質的には、一番先に聞きました例の短期融資等考えあわせて参りますと、自治庁の三百億くらいの数字にはちよつと食い違いがあるのじやないかと思う。自治庁といたしましては、私どもの方から申しますれば、自治庁要求しておる本年度の額に対する増額でなければ、大蔵省からそれだけへこまされることになると思う。一体そういうことでやつて行けるかどうか、むしろこの際自治庁といたしましては、はつきりした数字がどうしてもつかむことができないというようなことが考えられ、さらに現実の問題として今そういうものにぶつかつておる。絶えず地方財政というものは何かある一定の基礎まではわかるが、それ以上は数字の上では大蔵省自治庁との間に、非常に大きな食い違いができておつて、そのたびごとに地財委意見が曲げられておるというような形が出て来ておる。たとえば本年度の当初予算における手数料等のごときは最初は地財委の手数料は非常に少い見積りで当初予算には出されておつたが、修正案のときには大蔵省の案のまま、のまされておる。大蔵省の言つておつたことに屈伏したという言葉を使うのはどうかと思うが、同調されておるのは間違いないのであつて、そういうな権威のない予算の算定をいたしておりますならば、これはもう数字ばかりいじつておる大蔵省に負けるにきまつておると思う。従つてもう少し自治庁としては、はつきりした数字で行つていただきたい。同時に今の三百億という数字は私が申しましたような地財委の百五十億を含まない数字であるかということを、もう一度はつきりお聞きしておきたいのであります。
  34. 荻田保

    荻田政府委員 来年度地方の予質をふやすのには、どうしても国の予算決定がどうなるかということと非常に関連するのでございまして、たとえば公共事業費の補助金がどれだけ出るかということは、これは国の予算と並行しなければわかりません。従つて地方歳出のわくというものも、国の予質と並行してきまるものなのでございます。先ほど申しましたのは、一応そういうものを現状並としての計算でございます。従つて三百億程度足りないと申しました中には、本年度百五十億足りないという額も含めての話でございます。
  35. 門司亮

    門司委員 大体意見だけを聞いておきますが、そういたしますと、問題になつて参りますのは、今事務局長は国の予算と並行してというお話でありますが、本年度地方税の修正、それから地方財政法改正等は、国の予算提出されまする前にお出しを願わぬと、国の予算のきまつたあとでは、さつき申しますようにいくらやつても、どうにもならぬのであります。地方財政平衡交付金が、最初から少いことはわかり切つておるのであつて、この委員会としてはこれを増額しなければならないということでいくらやつても、国の予算がきまつておるからということで、予算委員会ではなかなか取上げてくれない。こつちで審議しておるうちに本会議は通つてしまうということで、いくらここで議論をいたしましても、結局それは何にもならないという結果になつております。私はこの機会に三十七年度予算の問題に対しまして、国、地方を通じてそういう手違いのないように、ぜひ早く予算処置を講じてもらうように要望をいたしておきまして、きようの私の質問は一応終りたいと思います。
  36. 立花敏男

    立花委員 岡野さんのさいぜんのお言葉の中に、関係方面と折衝中であるということがあつたのですが、その内容をひとつお聞かせ願いたいと思うのです。私どもが衆議院におきましても、あるいは参議院におきましても、満場一致で決議いたしました平衡交付金の増額、これがどうなるかということは、私たちだけの関心ではなしに、全国民の関心だと思うのです。それが遺憾なことに実現いたしませんが、その後の折衝が政府において行われておるということになりますと、どういたしましても国民はその内容を明白にしていただきたいのであります。われわれが国会として最後の折衝をいたしました場合に、関係方面では、金はある、金はあるがこれは出せないのである、それは大蔵大臣は知つておるんだ、再軍備費に充当すべき金はあるのだが、平衡交付金に出す金はないというようなことを明白に言つておられました。それで交渉が打切られたわけです。こうなつて参りましたあとで行われております政府関係方面との交渉が、どういうふうな内容なつておるのか、これはぜひ明らかにしていただきたいと思いますので、大臣の御答弁をお願いいたしたいと思います。
  37. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。それは国家財政の見地から大蔵省関係方面とが折衝しつつあるはずでございます。私まだ大蔵大臣から詳しい報告を受けておりませんから、ただいま申し上げる材料を持つておりません。
  38. 立花敏男

    立花委員 あの決議案が国会を通過いたしました場合も、岡野さんが発言なさらないで、大蔵大臣が発言したと思うのですが、岡野さんはやはり何といつて地方財政の問題につきましては、当面の責任者だと思うのです。だからわれわれの意思表示として、また国民の最高の意思決定機関として国会が、平衡交付金増額の決議をいたしました以上はその成行きに関しまして岡野さんが関心をお持ちになつていない、交渉の内容もお知りになつていないというのでは、これは岡野さんの責任が果されていないのではないかと私は思う。岡野さんは責任をお感じになつていないのか、あるいはどういうわけで関係方面との平衡交付金の増額に関する交渉をお知りになつていないのか、あるいは政府として岡野国務大臣には知らせないという秘密政策をおとりになつておるのか、これを明らかにしていただきませんと、われわれは地方財政責任者としての岡野さんに信頼を置くことができないと思います。どういうわけでその内容をお知りになつていないのか、知る必要がないと思つてお知りになつていないのか、知らされていないのか、これを明白にしていただきたい。
  39. 岡野清豪

    岡野国務大臣 閣内にはそれぞれ所管の事務がございまして、国家財政に対して関係方面と交渉するのは、大蔵大臣の職責でございます。これは所管の権限争いが起きてはいけませんから、みな所管々々においてまかしておるわけでございます。そうして先ほども私が申し上げておりますように、その後の情勢はどうなるかということは、いつも催促しておりますけれども、まだ適当な結果が出て来るような交渉段階まで行つていないということを、大蔵大臣から承つております。それで責任はむろん感じておりますから、しよつちゆう日夜そういうことに対して大蔵大臣に会うたびに話はしますけれども、しかしその交渉がまだうまく行つていないという結論を承るだけでございます。それだけのことでございますから、私が責任を感ずる感じないは——感じておればこそ、しよつちゆう大蔵大臣をさしずして、関係方面と交渉することを促進させておるわけであります。
  40. 立花敏男

    立花委員 責任をお感じになつているのであれば、それを具体的にお示しになつて、ここで明白に関係方面との交渉過程、その内容お話なつてこそ、責任をお感じになつている具体的な証拠だと思うのです。それを今のような御答弁では、何ら責任をお感じになつていないと判断するよりしかたがないと思います。この平衡交付金の問題は、国家財政の問題でもありますが、同時に地方自治庁の大きな問題であり、あなたの所管事項の当面の一番大きな問題ではないかと思う。その交渉の過程がどうなつているか御説明が願えないようでは、いくら責任をお感じになつていると申されましても、私どもはそれを信頼するわけに参りませんので、今御承知ないならば、今後の機会にぜひ明白にしていただくことをお願いしておきたいと思います。と申しますのは、この平衡交付金が両院一致の決議であつても増加されないというこの重大なる問題が、ただ単に国家財政との関係というような一般的な言葉で葬り去られておるということは日本の民主化によつて私は重大なる問題だと思います。だから国家財政とどういう関連において、どういう意味合いにおいて、増額が実現しないのかということを明確にされない以上は、国民は問題の所在をはつきりつかむことができなくて、永久に地方財政の貧困は救済されないだろうと思うのです。だからその根源をひとつ明白にしていただきたいと思います。荻田局長の答弁の中にも来年度は千三百億に、大体三百億ばかり増額するのだ、しかもその中には現在要求しておる百五十億も含めて三百億ということになりますと、来年度の平衡交付金は、たかだか千四百億か千五百億だと思うのです。大体非常に少額なもので、国家財政がいわれておりますような九千億に達しようとする場合の平衡交付金の額としては、総額に対する平衡交付金の比率は確かに今年より減つております。私どもの見ますところでは、毎年平衡交付金の国家予算総額の中の率は減つてつているわけなのだ、こういうことで地方財政の窮乏が救われる目当はありませんし、こういう国家財政の見地から、どんどん平衡交付金が縮減されるということが、何らの具体的な原因の説明なしに、ただ国家財政との関連においてという言葉だけで葬り去られることは、私は納得が参りませんし、おそらく自治体も国民も納得しないだろうと思う。だからこの原因が一体どこにあるのか、国家財政が九千億にふえながら、平衡交付金はただ二百億か百五十億の増加でしかないということは、私ども納得できません。これはどうしても岡野さんに明白にしていただく必要があると思いますので、今後の説明をひとつお願いしておきます。  それからこの問題と関連いたしまして、最近——十一日の日でございましたか、全国の知事会議がありまして、岡野さんに要望があつたはずですが、これに対して岡野さんはどうお答えになりたか、これをひとつ承らせていただきたい。私どもはこの委員会におきまして、また予算委員会におきまして、あるいは大蔵大臣から本会議におきまして、自治体に対する年末の金融操作はやるということを承つておるわけなんです。岡野さんはこの委員会におきまして百億や五十億の融資のことは考えておるということを言われたわけであります。その具体的な方法はどういうふうにお考えなつておるか、こういう御発言を信頼しての知事会議の要望に対して、岡野さんはどういうふうに具体的に御答弁なさるか、これを承らせていただきたいと思います。
  41. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。知事会議で返事したことははつきり覚えておりませんが、とにかく知事会議で決議したことに対しては、私は政府として大いに努力して善処する、こういう返事をしたように思います。
  42. 立花敏男

    立花委員 知事会議は十一日にありましたので、まだ四日ばかり前にしかすぎないわけであります。しかもこの平衡交付金の増額の問題は、臨時国会の重大問題であつたし、地方にとりましてはまつたく死活の問題なんです。それで年来にあたりまして知事が、わざわざ全国知事会議をやりまして、大藏大臣なり岡野さんに要望しておる。それに対して答えたことを今御存じない、忘れたということではたして許さるべきであるかどうか。これこそあなたがいくら責任を持つておるとおつしやつても、二、三日前に話したことをもうここで発表できないというような態度は、私は責任を持つておる者の態度とは言えないと思う。しかし人間だから忘れることもあると思いますが、私どもはあらためてここで知事の要望を代弁いたしまして、お尋ねをいたしますが、それに対して今この場で、前の言葉でなくてもけつこうでございますから、どういうふうな用意があるのか、どういう政策をとろうと考えておられるのか、御答弁を願いたい。
  43. 岡野清豪

    岡野国務大臣 一応承りますが、あなたは知事会議から代弁を委任されておられるのですか、それをはつきり承りたい。
  44. 立花敏男

    立花委員 私どもはさいぜんから話の過程で申しておりますように、知事会議の要望は、私ども書類で承つておりますし、たびたびの陳情で知事さんたちの政府に対する意見なり、要求なりは承つております。また私どもは及ばずながら地方民、県民の意向も代表して国会へ参つておるわけなんです。だから今地方の県民がどういう要望を政府に対して持つており、あるいは地方自治体に対して持つておるかということは、これは私ども存じておるつもりなんです。知事会議の決議あるいは要望というものは、新聞にも明らかに報道されておりますし、また私どもの方にも会議の資料が参つております。これはおそらく岡野さんもお受取りになつておるだろうと思うのです。そういう良識の上に立つて、私どもはお尋ねいたしておりますので、今のような岡野さんの三百代言的なる御答弁を承ろうとは、私は予期いたしておりません。これは誠実に知事会議がどういう要望を持つておるか、平衡交付金が増額されないで、押しつまりました年の瀬を控えまして、地方公務員のベース・アップをやらなければならぬ、地方公務員の年末手当を出さなければならぬ、こういうときに地方が何を政府に要望し、何を岡野国務大臣に期待しておるかということは、もう明白だと思うのです。これがおわかりにならないあなたではないと思う。たつて私に知事会議の要望書を言えというのなら、私はこの資料によつて読み上げますが、そういうことをするまでもなく岡野さんよく御存じだと思うのです。それを私あらためて岡野さんが答弁をお忘れになつたとおつしやつておられますから、ここでそういう意味のことを私から申し上げて、それに対する御見解なり御態度はどうだということを承りたいということを申しておるのであります。
  45. 岡野清豪

    岡野国務大臣 はつきりお伺いいたしますが、ここは国会委員会でございますから、共産党を代表して立花さんが私に意見を聞くとおつしやるのなら、私はお答えいたしますけれども、知事会議の代弁をここへ持つて来て、知事の代理をする、知事会議をここで二度繰返す、こういうことは私は承服できません。
  46. 立花敏男

    立花委員 知事会議の代弁と申しましたのは言葉のあやでございまして、もちろん委任状を受取つておるわけでも何でもございませんが、私どもは共産党の代表というだけではなしに、やはり国民の代表でございまして、そういう意味で地方自治体の要望も取入れ、地方自治体の住民の要望も取入れて、その代弁としてお尋ねするという意味で、ひとつ御答弁願いたいと思います。
  47. 岡野清豪

    岡野国務大臣 何を御答弁申し上げればよろしいんですか。
  48. 立花敏男

    立花委員 ちよつと読み上げます。政府に要望する知事会議の事項、一、地方公務員の給与と国家公務員の給与との間に不均衡があつたとしても、給与法が改正されてしまつたのだから調整することは法的にも疑義があり、また実際的にも不可能である。二、政府地方とで構成した権威ある組織によつて実態を調査した結果をお互いに認めた上で調整する。三、今度の地方公務員の給与改訂は、国家公務員の線に沿つて府県が適正給与と認めたものを基準として行う。四、大蔵省の査定額を越えたものについては、つなぎ融資を認めること、またこのほかの各府県の不足額については、とりあえずつなぎ融資を認め、その後すみやかに平衡交付金または地方債によつて追加補正すること。こういう要望を知事会議が持つておるわけなんです。あえて形式的に代弁とは申しませんけれども、私ども地方府県の住民の意思を代表いたしまして参つております以上は、これを支持いたしたいと思いますが、これを私どもの言葉としてあなたにこの場でお尋ねいたし、これに対する御答弁をお願いしたいと思います。
  49. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。それは知事の代表者にあなたからお聞き取りを願いたいと思います。何と申しますれば、その当時決議しまして、私が出て行きました。そうして知事が納得して帰つておりますから、もし知事が納得しないであなたを通じて、もう一ぺん国会で答弁を再確認しろとか何とかいう御依頼があつたのならば、それをもう一度承つて、それから御返答申し上げましう。
  50. 立花敏男

    立花委員 まつたく不誠意きわまる態度だと思うのですが、それではおそらく知事は納得しないと思う。今日の速記録を読みまして知事がどう感ずるか、私はその判断に待ちたいと思いますので、これ以上あなたとの無用な論争をする必要はないと思います。  問題を別に持つて行きたいと思います。公務員の年末手当の問題、あるいはベース・アップの問題が、地方で非常に問題になつております。この間私神戸に帰りますと、市役所に千名ばかりの、いわゆるすわり込みの交渉が続けられておりますし、大阪の市役所でも同様千数百名がすわり込みの交渉をやつておる。東京へ帰つて参りますと、電車もとまろうとしておるような状態で、まつたく地方公務員として、年の瀬が越せるか越せないかという重大せとぎわに立ちまして、市長あるいは知事あたりも大分困惑のようでございますが、地方公務員の給与につきまして、政府部内で非常な意見の対立がある。特に教職員の給与に関しましては、地方自治庁と文部省との間に非常に大きな意見の食い違いがある。あるいは地方公務員の給与が、国家公務員よりも高額であるという問題に関しましては、大蔵省地方財政委員会とでは、はつきりした対立がある。地方財政委員会委員長は、この席で地方公務員の給与は、国家公務員より高くないということを明言されておるにもかかわらず、大蔵省の方では、大蔵省調査によると何百円か高いということを明白に申しておりまして、非常に大きな混乱を生じておるわけなのでございますが、これを統一的にひとつ御説明願いたいつと思う。
  51. 岡野清豪

    岡野国務大臣 先般の給与ベースの、大蔵省地財委、文部省あたりの数字にいろいろ食違いがあるとか、一致しないとかいうようなうわさもありましたけれども、しかし閣内ではみな一致しておるわけです。でございますから先般官房長官の名前で、各地方団体に一応の通達をしておいたわけであります。しかしながら知事諸公がいろいろ申しますのには、七十万人の公務員に対して七万五千人の抜き検査では納得行かない、もう少し徹底的によく調べてもらいたい、われわれも協力するから、こういうことで、知事会議におきまして私は、文部省、大蔵省地方自治庁並びに地方財政委員会から専門の事務官を出しまして、そうして給与のほんとうに的確な一致した状態を急速に調べて、そうしてその調べた結果によつて財政措置をしよう、こういう答弁をして来ました。知事はそれで納得して、われわれ委託してその研究にまかしておるような次第であります。
  52. 立花敏男

    立花委員 そういたしますと、給与に関する閣内で一致した意見を、ひとつ明白にしていただきたいと思います。今のお言葉によりますと、今後の調査によつて実際的なものを決定しようというふうに一致したと理解してよろしいのでございますか、それとも大蔵省が従来言つておりましたように、地方公務員の方が国家公務員より何百円か高額であるということに一致されたのか、あるいは地方財政委員長の言つておられるように、決して高くないということに一致されたのか、それ身ひとつ明白にしていただきたい。
  53. 岡野清豪

    岡野国務大臣 先般一応の予算設置をいたします場合に、たよるべき数字がはつきりいたしませんものでございますから、結局七万五千人でも実態調査をしました結果によつて出て来たこの数字を採用するほかにいたし方がございませんでしたから、一応その数字を採用いたしまして、予算措置をしたのでございます。しかしながら一万数区百のいろいろの異なつ団体におきましては、その平均によつて行くわけにも行きますまいし、またいろいろ脱漏とか見落しとかいうことがありまして、これがほんとうに的確な給与ベースの差額であるというものも出て来ないとも限りませんので、知事の要望によりまして新しくそういうような委員を選びまして、その機関にまかせて、もう一度やらそうということにしたわけであります。でございますから、閣内といたしましては、この前出しました数字の線を一応の目安としまして予算措置をしてある。しかしながら、それが納得が行かないというような点もありましようし、またあるいはそこに欠陥があるかもしれません。急いでやつたことでございますから、正確を期していないかもしれませんが、それを是正する意味において、文部省、大蔵省地方自治庁並びに財政委員会の各委員を出しまして、それから知事も協力しまして、全体的のほんとうに確かな数字を出して、その確かな数字によつて出て来た予算措置を、また新しく考えるということになつております。
  54. 立花敏男

    立花委員 非常にあいまいなので、もう一度はつきりしておきたいと思うのですが、地方公務員の方が国家公務員よりも高額であるということを、原則的にお認めになつたのか。あるいは予算編成をやる関係上、それの算出基礎として一応そういう数字をとつて、実際上の給与の比較、あるいはそれの実態調査というものは、今後の調査によつて決定するとおつしやられるのか。その辺が非常に不明確だと思いますので、この点をひとつ明らかにしておいていただきたいと思います。
  55. 岡野清豪

    岡野国務大臣 原則としましては地方公務員の方は国家公務員よりは少し高い、こういうことには閣内一致しております。しかしながら、それがどのくらい高いか安いかということは個々別々の一万数百の団体にわたることでございますから、正確が期せられない。また正確を期するほどの材料が整つていなかつたものですから、今回新しく委員会を設けて、これをもう少し詳しく掘り下げて、的確な実態を調査した上で、適当な処置をしたいと考えております。
  56. 立花敏男

    立花委員 少しおかしいと思うのです。正確でない資料に基いて原則的に高いとお認めになつたということは納得できないし、正確でないもので原則がきめられるはずがないと思う。だからその点非常にあいまいだと思いますし、特に地方財政委員会責任者が、地方財政委員会委員長が、再三この席上で、地方公務員の給与は国家公務員よりも高くないということを言明されておるのですから、岡野さんとしては、大蔵省意見にお従いになるのか、あるいは地方財政委員会意見を尊重するのか、この点をひとつ明確にしておいていただきたいと思います。
  57. 岡野清豪

    岡野国務大臣 これは議論にわたりますが、問題は予算でもそうでございましよう、予算というものは、見込みです。実際に支払つた受取り証書が三百五十万円だから、三百五十万きつちりと行くというような数字のものではない。一体来年度予算はおよそどのくらいいるだろうかという見込みを立てるのが予算なんです。そうすれば積み重ねて行くところの基礎数字もまたやはり一種の見込みなんです。その見込みを大量観察すれば、先般閣議でいろいろ話題に上りましたように、地方公務員の方が国家公務員よりは給与ベースが、このくらい高いように見えるから、その見込みで予算措置をしたのです。ところが東京とか大阪のようにぐんと高くて、この平均数字よりはまるでかけ離れた数字のあるところもありましようし、また反対に、地方公務員の方が国家公務員よりは非常に安くて、うんと上げなければならないような状態もあるわけでございますが、大量観察で見込んだ予算でございますから、予算の立場においては正確と旨つていいと思います。ただその正確が実際に当てはめるときにあまりかけ離れてはいけない。また一万何百の地方公共団体が、個々別々にやるのではどうも困るから、調べてやつたらいいじやないかということで調べることにしたのです。私は見込みということは当然だと思います。予算は見込みです。
  58. 立花敏男

    立花委員 だから予算編成上見込みを出す上で必要だから、技術的に採用した数字であるという御説明があれば、私は納得するのですが、原則的に地方の方が高いのだとおつしやられますと、これは重大問題であり、特に地方財政委員長の言葉と食い違つて参りますので、この点をお尋ねいたしたのですが、ただいまの御説明のように、見込みのものである、予算編成上の見込みを出すために使つた数字である、実態は個々の調査によつて明白になるだろうというのであれば、私どもも了承するのですが、その点どうなんですか。
  59. 岡野清豪

    岡野国務大臣 今のお話では御納得が行つたように思いましたが、まだ御納得が行きませんか。
  60. 立花敏男

    立花委員 それでいいなら私も初めから納得しているのですが、あなたは原則的に高いなどとおつしやられるから、これは大問題であると思いましてお尋ねしたのでありますが、それが明白になればけつこうだと思います。それが明白になつた上でのその後の問題ですが、そういたしますと、一応の予算編成上の見込みの上の数を出すための金額であるというように理解いたしまして、今後の実態の調査にまつといたしまして、それがやられました上ではつきりしたものが出ました場合は、その差額の取扱いにつきましてどうなさるおつもりか、これをひとつ承つておきたいと思う。
  61. 岡野清豪

    岡野国務大臣 適当に処置をすることにいたしております。
  62. 立花敏男

    立花委員 適当に処置するとおつしやられますと、一応低く見積りました給与ではじき出しました平衡交付金、これを適当に増額するというふうに理解していいと思うのですが、それでよろしゆうございますか。
  63. 岡野清豪

    岡野国務大臣 非常に低く見積つて、差額が出て来れば繋ぎ融資を出すということに私は言明しておきました。
  64. 立花敏男

    立花委員 繋ぎ融資まで一足飛びに飛んでしまいましたが、これは当然平衡交付金で出すのが原則だと思うのですが、それはやはりお認めになりますか。平衡交付金で出すのが原則であるが、それがとかくの事情で繋ぎ融資にまたざるを得ないということになれば、まだ話はわかるのですが、その原則はやはりお認め願いたいと思うが、それはどうなつておりますか。
  65. 岡野清豪

    岡野国務大臣 あなたは自問自答なさつていらつしやいます。先刻来平衡交付金の交渉をしているか、していないかということを一生懸命責めていらつしやつた。平衡交付金が足らないということはそういうことで足らない。それで今やつているのです。だからあなたのおつしやることはみな自問自答です。
  66. 立花敏男

    立花委員 自問自答でもけつこうなんですが、そうしたら平衡交付金で補うというのが原則であるということを認めていただいたというふうに自問自答しておきます。  それからもう一つお尋ねいたしたいのは、最近地方の財政が非常に困つておりますが、その困つております一つの大きな原因は、警察予備隊の増設計画、それから進駐軍関係の宿舎、土地あるいは備品の購入というような関係で、非常に地方自治体の負担が大きくなつております。たとえばこの間横田基地でB二九がひつくりかえりまして、大損害を付近の自治体に与えております。しかもこの場合も貧弱な町村で約五十万の応急費用を出しておりますが、こういう問題に対しまして政府の方ではどう処置されるおつもりか。小さいあの付近の町村でまつたく予測しない金を五十万円出すということは、たいへんな問題なんですが、これを政府の方ではほうつておいてもいいとお考えなつているのか。あるいは特別平衡交付金その他で補う見通しがあるのかどうか。これは小さい問題なんでございますが、この問題は全国的に相当ありますし、私どもが陳情を受取つております横浜におきましては、年に十億の支出が余分にいるというわけなんです。これはこの間の衆議院での人事委員会で、横浜の理事者の代表が参りましての公述の中にありましたが、大体十億近い金が進駐軍がおるために、横浜の負担になつておるという問題がありますし、あるいは九州の小倉ですか、佐世保ですか、こういう都市でも非常に大きい問題が起つておりまして、進駐軍がおりますために、いらざる費用が自治体にかかつて来る、これを国家で補償するように全国の都市連盟をつくるのだということを、市長さんたちが先頭に立つてつておられるようでありますが、こういう問題に対しまして岡野さんはどういうふうなお考えを持つておられるか。特にこの問題が行政協定の中に取入れられまして、どんどん地方自治体こういう問題がふえて来る、あるいは予備隊の増設に伴いまして、建物、土地あるいは新しい宿舎の施設というものに関しまして、地方自治体に非常に目に見えない金のついえが出て来るという場合に、政府としてどういうふうにお考えなつておられますか。ひとつ承らしていただきたいのであります。
  67. 岡野清豪

    岡野国務大臣 占領下におきます行政が、あの批准後、また条約発効いたしますれば、独立国家として立つて行かなければならないので、そういう問題がいろいろ重つておりまして、今後独立国家として行く場合に、どうしたらいいかということに対しては、いろいろ協議中でございまして、まだ成案は得ておりません。
  68. 立花敏男

    立花委員 ではひとつこの際、いろいろ案をお立てになる上の原則政府の腹構えというようなものをお聞きしておきたいと思うのです。これは予備隊の宿舎をつくります場合あるいは土地を取上げます場合、あるいは何か今度東京を引払つて横浜に移るとか進駐軍の方で言つているそうですが、そういう場合の設営とかいうものに関しまして、これの自治体との交渉は、どういう原則で行われるのか。あるいは最近土地の問題などたくさん起つているようですが、これは単なる商取引の形で行つていいのかどうか。この負担が耐えられないような額に達する場合は、自治体が拒否してもいいのかどうか。あるいはそれに対する自治体への損害賠償と申しますか、そういう何らかの補償を正当に要求する権利があるのかどうか。この原則をひとつ……。どういう原則で交渉をおやりになり、どういう原則でその関係法案なり何なりをおつくりになるおつもりなのか、これをひとつ………。
  69. 岡野清豪

    岡野国務大臣 どういう情勢なつて来るかの見当がまだつきかねておりますから、それに対する原則もまだきまつておりません。
  70. 立花敏男

    立花委員 これはとんでもないことを承ると思うのですが、どういう情勢なつて来るかおわかりにならないのですか。一体どういう情勢になるかわからないということは、どういうことなんですか。
  71. 岡野清豪

    岡野国務大臣 独立国家として、そうして安全保障条約を結びまして、これからどういうふうにして独立の形態を整のえて行くかということに対して、今協議中でございますから、その協議がととのわない以上は、どういうふうになつて行くかわかりません。
  72. 立花敏男

    立花委員 だからそういうことを立案なさるのに、どういう心構えでおやりになるかということをお尋ねしているわけなんです。独立がどういう情勢になるかわからぬというようなことは私わからないのですが、日本が民主的な人民の心を基礎に置いて、独立国家になるということはもう明白なんです。しかも日本国民が平和を望んでおります以上は、しかも平和憲法があります以上は、おそらく戦争にはなれないと思うのですが、岡野国務大臣が、これからどういう情勢になるかわからないというようなことを言われますと、国民は非常な不安定を感ずるんですが、一体それはどういうことなんですか。
  73. 岡野清豪

    岡野国務大臣 申し上げる段階じやございません。
  74. 立花敏男

    立花委員 それだとなおさらますます不安にならざるを得ないと思うのですが、政府の方では批准も済んだんだから、日本は平和な民主国家になるのだ、独立国家になるのだということを宣伝されているにかかわらず、その閣僚である一大臣がどういう情勢になるかわからない。一体どういう情勢になるかわからないということは、どういうことなのかとお尋ねいたしますと、申し上げる段階ではない、と言われますと、国民はとほうに暮れざるを得ないと思いますし、あるいは政府が非常な秘密的な政治をおやりになつていると考えても、これは国民の罪ではないと思うのですが、この点を明白になさる責任が私は政府にあり、その一員である岡野国務大臣にあると考えますが、御答弁はございませんか。
  75. 岡野清豪

    岡野国務大臣 言明の限りでございません。
  76. 立花敏男

    立花委員 大臣の答弁がないとすると、荻田さんにちよつとお尋ねいたしたいのですが、荻田さんはさいぜん平衡交付金の額は個々の団体の赤字を積み上げて行く、そういう方法をとつているので、総額は未定だということをおつしやられましたが、どういうような形で個々の赤字を積み上げる手続をやつておられますか。それをひとつ承りたい。
  77. 荻田保

    荻田政府委員 各府県及び市町村につきまして、実態を調査しております。
  78. 立花敏男

    立花委員 もう一つ大臣にちよつとだけ伺つておきたいのですが、今国会関係法案提出の問題のときに、私発言を要求したのですがお許しがなくて出されなかつたのですが、大臣の御答弁は大体お出しになる予定の項目だけしかおあげにならなくて、内容説明なかつたわけですが、これをちよつとお尋ねしておきたいのです。平衡交付金法改正地方税法改正をおあげになつておられますが、この二つの関係をあらためて聞いておきたいと思う。岡野国務大臣地方財政平衡交付金法が、非常に地方自治の障害になつているということすら、この委員会で言つておられますので、さだめて抜本的な地方財政平衡交付金法改正をなさるおつもりでしようが、どういう改正をなさるのか。またそれに関連して地方税法改正をお考えなつておられまして、酒タバコの消費税をおとりになるということもお考えなつているようですが、はたして酒タバコの消費税が平衡交付金の減額をまかなえるというふうにお考えなつておられまするか。地方の住民の担税力が、酒、タバコの消費税に対する担税力が相当あるという見通しなのかどうか。この具体的な御答弁をひとつ聞かしておいていただきたい。
  79. 荻田保

    荻田政府委員 具体的に申し上げる段階に立ち至つておりません。
  80. 金光義邦

    金光委員長 ちよつと立花さんにお諮りしますが、大臣は一時に放送局に行かれるのだそうですが、いかがでしよう、大臣はこの程度で……。
  81. 立花敏男

    立花委員 ではこの次にやります。それでは荻田さんに……。ちよつと今の問題、もつと詳しくお尋ねしておきたいと思いますが、私どもが衆議院で決議しましたのも地方財政委員会意見を尊重してという言葉が、たしか決議の中にあつたと思うのですが、そういう意味で平衡交付金に対する国会の意思表示が、大体明白じやないかと思うのですが、あなたの言われる個々の団体の赤字を積み上げるという方法と、国会の決議との関係をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  82. 荻田保

    荻田政府委員 われわれの当初出しておりました意見書は、今なお間違いないと思つておりますが、国会でもそれを尊重されていることをありがたく思います。しかしこれを具体化するにつきましては、やはり個々の団体の実情を調べた方が、より根拠が正確になるという考えからいたしまして、今調べているのでございます。
  83. 立花敏男

    立花委員 非常に技術的になりますが、どういう方法でお調べになつており、どういう成果が今あがつているかということも、あわせてお尋ねしておきます。
  84. 荻田保

    荻田政府委員 府県につきましては全部、市も全部、町村につきましては一応原則で全部、予算及び決算の見込み等、本年度の最終のしりがとうなるということを調査しております。
  85. 立花敏男

    立花委員 それにはさいぜん大臣との間に質疑応答いたしましたベース改訂の問題、それも含んでおりますかどうか、あるいは年末の手当の問題、これも含んでおりますかどうか。
  86. 荻田保

    荻田政府委員 全部含めて考えております。
  87. 立花敏男

    立花委員 どういう基準で、どういうふうに含んでおられますか。そして地方から出て参りましたそういうベースあるいは年末手当に対しまして、どういうふうな方針で、この総額決定なさろうとしておられますか。
  88. 荻田保

    荻田政府委員 先ほど大臣の言われた給与の問題につきましては、特に特別委員会をつくりまして、それの調査も並行してやりたいと思います。
  89. 立花敏男

    立花委員 その委員会はいつできて、どういう方針で査定するのですか。それから年末手当に関しましては、どういうふうなお考えで、どういうふうな査定をなさるのですか。
  90. 荻田保

    荻田政府委員 委員会はつくることになつておりまして、今大体の打合せをしております。どういう方法調査をするかということも、その委員会ができましてから調査したいと思つております。年末手当等も政府と同じ額を考えております。
  91. 立花敏男

    立花委員 そういたしますと、それは来年度予算の問題になつて、われわれの国会の議決あるいは大蔵大臣なりが、たびたび前国会で言明されました年末の融資の問題、あるいはさいぜん言いました前国会平衡交付金増額の決議の実行の問題、これとは大分縁が遠いのじやないかと思うのですが、一体この委員会はいつごろできまして、いつごろ成案を得て実施の運びになる見通しなのか。
  92. 荻田保

    荻田政府委員 本年度内に間に合うようにいたしたいと考えております。
  93. 立花敏男

    立花委員 そうすると、本年度内地方への平衡交付金増額分の配分までに、間に合うというふうに考えてよろしいですか。
  94. 荻田保

    荻田政府委員 そういうように考えております。
  95. 立花敏男

    立花委員 そうなりますと、やはり最初の額が問題になつて来るわけですが、今までの調査の結論といたしまして、本年度内に間に合うという地方への配分の額は、大体幾らくらいの見通しでありますか。見通しでけつこうであります。
  96. 荻田保

    荻田政府委員 総額をお尋ねになつておりますか。
  97. 立花敏男

    立花委員 ええ。
  98. 荻田保

    荻田政府委員 それは、大体当初の通り、百五十億を今のところわれわれは考えております。しかしそれは先ほど申しますように、もう少し具体的に積み上げてみれば、あるいはかわつた数字が出るかもしれません。
  99. 金光義邦

    金光委員長 それでは本日は、質疑はこれで終ります。     —————————————
  100. 金光義邦

    金光委員長 この際委員派遣承認申請に関する件についてお諮りいたします。本委員会におきましては、地方財政に関し、きわめて大なる関心を有するところであり、前国会におきましても、その実情を調査するため、委員派遣の承認を議長に申請いたしたのでありますが、承認されなかつたのであります。つきましては、今国会におきましても委員を各地に派遣いたしまして、地方財政の実情を調査いたしたいと思いますが、委員派遣に関しましては、すべて委員長に御一任を願うことにして、議長に委員派遣の承認を申請いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  101. 立花敏男

    立花委員 異議あり。この間のようなまずい結果になりますと、非常に私ども迷惑いたしますので、この際委員派遣にはただちに賛成することができないわけであります。委員会自体がやはり十分にこの問題を取上げてやるべき余地があり、その機会があるにかかわらず、今まで十分やつていなかつたと思います。きよう初めて開かれましたような関係で、今まで問題はほうつてあつたような気がするのです。そういう問題を、委員会がそういうような扱いにしながら、いたずらに委員派遣だけを主張いたしましても、運営委員会で問題にならないのは当然であると思いますので、もつと委員会自体で、平衡交付金の問題なり、起債の問題なりを真剣に、慎重にひとつ取上げていただいて、必要とあれば地方市町村長あるいは関係者、あるいは知事あたりに参考人として出ていただいて、委員会で十分慎重に平衡交付金の増額を闘いとるような運営を、まず最初にお願いいたしたいと思います。それが実現できましてから、この委員地方派遣の問題をあらためて委員会で問題にいたしたいと思います。現在の委員会の運営から見まして、それができていないと思いますので、私はこの問題については異議がありまして、賛成いたしかねます。
  102. 床次徳二

    床次委員 今立花さんから意見もありましたが、本委員会として調査すべきことは、まだたくさん残つております。その点は当然本委員会におきましても、引続き調査すべきものと存じます。この点は立花委員と同じ意見でありますが、実地調査につきましては、やはり今の時期において行つておかないとあとその機会を失う。やはり一番審議に都合のよいときに、実地の資料について調べてみたい。先ほどの御意見のように、関係者を呼んで調べることその他は、適当なときにできると思いますが、実地調査だけは今でなければ機会が得られない。その点につきまして異議が出ましたが、さつそくただいま御説明のような措置におとりはからいを願いたいと思います。
  103. 金光義邦

    金光委員長 それでは立花委員の御発言は了解いたしましたから、さように今後の委員会の運営をいたしたいと思います。なおただいまの委員派遣承認申請に関する件につきましては、御異議ないものと認め、さように決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時五十九分散会