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河野(通)
政府委員 具体的には、いわゆる
金融機関の調整勘定の処理の問題に来ております。御指摘のように対外
関係の問題は、あとでさしつかえない
程度で説明さしていただきたいと思いますが、その問題を除外いたしますならば、企業の方の再建整備も大体見通しがつきました。その他の資産についても大体評価ができる
段階にた
つております。従いまして今の
お話のような筋で、百パーセントまでは払えないにしても、銀行によ
つてみな違いますが、ある
程度払える
段階に来ております。金額は今
お話のように、大体銀行について申し上げますと、約百八十億の調整勘定の負債に対して、大体百億近くの資産が今のところある。各銀行によ
つて違いますから、百パーセント大体それで払える銀行と、あるいは三、四十パーセントしか払えない銀行、いろいろありますが、大体おしなべていいますと、百八十億に対して百億という
程度の計算に相なるわけであります。だだこの問題は、第一点は先ほど
ちよつと御指摘もありました対外
関係、ことに海外に支店を持
つておりました銀行における償権債務の
関係がどう処理されるかによ
つて、最惡の場合には相当大きな影響を及ぼす。調整勘定で、打切られた第二封鎖
預金者に支払いをして、その後何らかの対外
関係で、大きな債務を支払わなければならぬということに
なつた場合に、その調整勘定で支払えないといつたようなことに
なつて来た場合に、どうするかという問題がある。従いましてこれらの対外
関係の債権債務が、非常に大きなウエートを占めておる
金融機関におきましては、これの処理がなかなかむずかしい。実際問題としてこの調整勘定の最終的な処理をいたすことについて、実にむずかしい問題があると思います。
それからもう一点は銀行だけに限
つて申し上げますが、銀行の間にAの銀行は100%払えた。Bの銀行は三〇%しか払えなかつた。極端な例をあげますとそういうことで、これはしかたないのだと言
つていいのかどうかといつた点も、私
どもとしてはやはり全体としての立場から考えて参りたいと思います。
それからこれは銀行ではありませんが、たとえば生命保險会社等の再建整備の処理につきましても、これはやはり外国で、ことに中国、満洲あるいは朝鮮、台湾等におきまして、相当多額の生命保險というものが契約されておる。ことにこれは中国人とかあるいは韓国人とか、そういつた方々が被保險者に
なつておる契約も相当ある。こういつたものが、一体先ほど銀行について申し上げましたと同じような意味合いにおける渉外的な債権債務の形において、いかに処理さるべきかという問題が非常に大きな問題として残
つておる。ただ銀行だけが何とか片づくにいたしましても、そういつた生命保險会社等の調整勘定の整理の問題も、やはり考えて参らなければならぬ。それからもう一点は、銀行にはあまりございませんが、無盡会社その他の
金融機関におきましては、
政府から補償を受けておる場合に、この補償をまず返さなければならぬ。そういたしました場合には、ある保險会社は一文も第二封鎖
預金が払えないというような場合もあり得るわけです。そういつた点をどういうふうに考えて行くか等につきまして、なかなか困難な問題がございます。しかし私
どもはこういつた戰後の整理の問題は、事情の許す限り片づけられるだけ早く片づけたいという気持を持
つております。打切られた第二封鎖
預金者の方々にも、可能な限りにおいてお払いをすることが、やはり今
お話のように資本を蓄積するために、非常にプラスの効果があると考えますので、これらの困難な問題が実は非常に山積いたしておりますが、それをできるだけ早く解決いたしまして、打切られた第二封鎖
預金者に、許す限りのお支払いをするといつたような
方向で考えて参りたい。せつかく現在
努力をいたしておりますが、
ちよつと今一二の例をあげましたところでもおわかりいただけるように、なかなか困難な問題が多いのです。せつかく
努力をいたしておる次第であります。